古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:ホルムズ海峡

 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を罵倒したという報道についてはすでにご紹介した。「狂っている」「何をやっているんだ」「ますます嫌われるぞ」ということを使ってはいけない言葉「fuck」を交えて浴びせたということだ。もっとひどい内容もあったのではないかと推察される。トランプの一連の発言は、「お前にはすっかり騙された」「イランが、イスラエルがレバノン攻撃を停止しないと和平交渉をしないと言ってきている、俺たちの邪魔をするな」という気持ちがよく出ている。

 トランプがここまで感情を爆発させたのは、今回のイラン攻撃、イラン戦争が完全に失敗、大失敗、大失策だということを認めており、和平交渉もうまくいっていない、イスラエルのせいでさらに状況が悪くなるということを認識しているからだ。さらに「ますます嫌われるぞ」というのは国際ツ的な孤立を危惧しており、アメリカがイスラエルと一緒に孤立することは望ましくないということも考えの中にあったということだろう。

 トランプが融通向けであること、自分の過去の発言や行動には全く縛られずに、くるくると態度を変えるということは世界中の人々が目撃し、そのような人物だと認識している。従って、「私は間違った判断をした」という言葉もさらっと言ってしまえるだろう。しかし、そのためには、「自分を間違いに導いた主要な責任者を差し出す」ということが必要になる。スケープゴートについて言及し、「こいつのせいなんだ、こいつが悪いんだ、こいつに責任があるんだ」ということが言えなくてはならない。犠牲の羊の候補者は、アメリカ側では、ピート・へぐセス米国防長官、外国では、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。へぐセス長官は、イスラエルのネタニヤフ首相がイラン攻撃を売り込んだ際に、トランプ政権の閣僚たちが不安を感じ、反対する中で、前のめりで賛成した。イラン攻撃後に、トランプが「ピート、君がやれと言ったよな」と記者会見で発言したこともある。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はなんと言っても、ホワイトハウスまで出向いて、トランプ大統領と閣僚たちを前にして、1時間にわたり、イラン攻撃のメリットをプレゼンしたという事実がある。イスラエルだけではイランへ大規模攻撃をすることができない。アメリカを巻き込めるかどうかがカギだったが、それに成功した。しかし、イラン攻撃、イラン戦争自体は失敗だった。トランプとしては、ネタニヤフ首相に責任をかぶせることが良い選択肢となる。

 トランプ大統領としてはイスラエルを切り捨て、イランと和平を結び、中東地域から出ていきたい。イスラエルは既に中東地域のイスラム教国のいくつか(代表格はUAE)を取り込んでいる。ここにアメリカとイスラエルの分裂線がある。イスラエルはアメリカに見捨てられたらどうしようもない。アメリカにしがみつこうとするだろう。それならば、アメリカが支援し続けるためには、落とし前をつけてもらおう。それはネタニヤフ首相を退陣させろ(汚職で逮捕するかどうかはイスラエル国内で話し合って判断しろ)ということになるだろう。イスラエル国内で反米感情が沸き上がることも考えられる。しかし、根本に立ち返るならば、極右勢力を政治の主流に据えないということになり、イスラエル国内政治が浄化されねばならないということになる。これは日本も同じような状況である。

(貼り付けはじめ)

トランプは自分が大失敗したと認めるべきだ(Trump Should Just Admit He Screwed Up

-イラン戦争は明白に間違いだった。なぜそう言わないのか?

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年5月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/28/trump-iran-war-mistake-admit/

アメリカとイランの間で噂されている和平合意の詳細、あるいはそもそも合意が成立するかどうかも不明だが、3桁のIQを持つ者なら誰でも、イスラエルとアメリカが戦争を始めた時点でとてつもない大失敗(a colossal blunder)をしたことを理解している。アメリカとイスラエル両国が掲げた目標は1つも達成されていない。イラン政権は崩壊せず、核兵器を放棄せず、ミサイルとドローンの能力はそのまま維持されている。イランは、近隣諸国に甚大な被害を与えたいと思えばいつでもホルムズ海峡を封鎖できることを実証した。ドナルド・トランプ米大統領とピート・ヘグセス米国防長官が過去3カ月間繰り広げてきた自慢話や威勢のいい発言は、くだらない大言壮語(hot air)に過ぎなかったことが暴露された。

和平合意が成立すれば、トランプ政権はこの豚に大量の口紅を塗りつけ、一種の戦略的勝利(strategic victory)だと主張するだろう。しかし、納得する人はほとんどいないだろうし、こうした努力はトランプ大統領とその取り巻きの追従者たちを滑稽に見せるだけだ。この大失敗を成功と偽る説得力のある方法はどこにもない。彼らがそうしようとすればするほど、妄想に取り憑かれているように見えるだろう。

そこで私は考えた。もしトランプ大統領が自分の大失敗を認めたらどうなるだろうか? 大失敗を認めることは彼の得意分野ではないが、その点では彼だけではない。政治家は、たとえ誰の目にも明らかな大失敗であっても、大失敗を認めることはほとんどない。ましてや重要なこととなるとなおさらだ。例えば、ボリス・ジョンソン元英首相はブレグジットを擁護し続け、マイク・ポンペオ元米国務長官は、イラク侵攻(2003年)と第一次トランプ政権のイラン核合意破棄(2015年)は賢明な判断だったと今も主張している。

こうした明らかな大失敗を認めようとしない姿勢は、少々不可解だ。誰もが知っているように、完璧な人間など存在しないし、外交政策は不確実なものであり、どんなに綿密に練られた計画でも失敗する可能性がある。トランプよりも賢明で衝動性が低い指導者であっても(もっとも、トランプを基準にするのは低いのではあるが)、全てを完璧にこなせる指導者など存在しない。また、ほとんどの人は、失敗したときは、大失敗を認め、経験から学び、同じ大失敗を繰り返さないようにすることが最善策だと学ぶ。当然のことながら、高額な代償を払い続ける指導者は、いずれその代償を支払うことになるだろう。しかし、概して職務を立派に遂行し、時折の過ちを認める勇気を持つ当局者は、国民が彼らの最善の努力を認め、その誠実さを評価すれば、より人気が高まるかもしれない。

しかし、この道を選ぼうとする指導者はほとんどいないようだ。独裁者は特に間違いを認めることを嫌がる。なぜなら、彼らの権力は通常、個人崇拝(cults of personality)と、自分たちが絶対無謬であるという幻想(the illusion that they are infallible)を維持することに依存しているからだ。しかし、民主政治体制の指導者でさえ、たとえ些細な間違いでも認めれば、反対派がすぐに攻撃してくることを知っているため、在任中は間違いを認めることをためらう。例えば、ジョン・F・ケネディはピッグス湾事件の失敗について全責任を負い、バラク・オバマはトム・ダシュルを米保健福祉省長官に任命した初期の決定(ダシュルの脱税が発覚して裏目に出た)を認め、ロナルド・レーガンはイラン・コントラ事件が間違いだったことをほぼ認めた。しかし、このような瞬間は稀だ。2004年にジョージ・W・ブッシュ米大統領が最初の任期中に犯した間違いを思い出すように求められたとき、彼は1つも挙げることができなかった。政治家が失敗を認めるのを見たいなら、たいていは回顧録が出るまで待たなければならないが、それでも期待外れに終わるかもしれない。

しかし、トランプは政治家としてのキャリアを通して規範を壊し続け、そのテフロンのような耐性はレーガンさえも凌駕する。考えてみて欲しい。彼はかつて「五番街で人を撃っても支持者を失うことはない(he could shoot someone on Fifth Avenue and not lose any voters)」と豪語した人物だ。そして残念なことだが、この発言は彼の最も的確な言葉の1つであることが証明されている。近年のアメリカ大統領の中で、カメラの前で大失敗を認め、そして前に進むことができる人物がいるとすれば、それはトランプだろう。実際、彼は過去にそうしたことがあるが、過去の反省の態度が本心からのものだったかどうかは疑問だ。

そして、それはそれほど難しいことではないかもしれない。トランプはまず、イラン問題が長年にわたり厄介な問題であり、歴代大統領も解決できなかったことを人々に思い出させることから始めればよい。彼は、この問題をきっぱりと解決したかったと主張し、もう一度爆撃すれば効果があると考えた十分な理由があったと説明できるだろう。イランの政権が不人気で、年初にデモの波を鎮圧せざるを得なかったことを指摘することもできる。この計算は大きく間違っていたことが判明したが、トランプ流の典型的なやり方で、何事も100%確実ではないと人々に思い出させ、自分の仕事は難しい決断を下すことだと述べ、様々な方面から受けた悪い助言のせいで間違いを犯したと非難することができるだろう。ここで彼は、トランプの好戦的な態度がトランプに何の利益ももたらさず、アメリカとイスラエルの両方でますます不人気になっているイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を非難することができるだろう。ネタニヤフがどれほど評判を落としているかを考えると、彼をスケープゴートにすることは、この時点でトランプの人気を高めることさえあるかもしれない。

トランプは、自身の意図は称賛に値するものであり、今回の策略は価値のある賭けだったと主張した後、この一件から多くを学んだと述べ、前任者たちと対比させるだろう。彼の声が聞こえてくるようだ。「眠そうなジョー・バイデンとは違い、彼は何事にも考えを変えず、同じ失敗を繰り返すばかりだった。私は常に学び続け、適応力のある、非常に安定した天才だ」。そして、ホワイトハウスの物議を醸している舞踏室プロジェクトなど、別の話題に移るだろう。

トランプが、数々の失策を重ねてきた2期目における最も深刻な失態に対して、このようなアプローチを取ると期待できるだろうか? 正直に言って、そうは思わない。トランプは、過去に時折、大失敗を認めてきた(たいていは、無能な任命者を解任せざるを得なくなった時だが)。しかし、重大な失敗を認めることは、彼の権力のオーラを損ない、より多くの人々が公然と彼に反抗するようになり、偉大な大統領として記憶されるという彼の夢(his dream of being remembered as a great president)を打ち砕くことになると、彼は考えているのだろう。たとえそれが今となってはどれほど可能性が低くなっているとしても諦めていないだろう。トランプの支持基盤であるMAGA支持者たちは今後も彼を支持し続けるだろうが、数カ月後には彼らだけがトランプの頼みの綱となるかもしれない。

紛争終結を遅らせることで、トランプは敗北寸前の状況から勝利の幻想を無理やり掴み取ろうとしているが、これはアメリカとその同盟諸国が被っている苦痛をさらに増幅させ、トランプ自身の評判にもさらなるダメージを与えている。彼が自らの失敗を認め、前に進む方が皆にとって良いだろう。しかし、高齢の親から車の鍵を取り上げた経験のある人なら誰でも知っているように、頑固な高齢者はしばしば自分の利益を理解できないものだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ウォルトは『新地政学(The New Geopolitics)』の著者。これは今日の世界を生き抜くために活用すべき最も重要な概念を解説した、全5回のニュースレター形式のマスタークラスだ。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 イラン戦争は、停戦合意が大詰め段階だとドナルド・トランプ大統領が発表しながら、同時に「合意を急がないように」と述べたと発表し、トランプらしさ全開で状況が進んでいる。アメリカとしては、イランの政権転覆(体制転換)が望めない中で、核兵器開発につながるウラン濃縮の廃棄を求めている。イランとしては、戦争の被害の賠償と体制の保証、ホルムズ海峡の管理権を求める。イスラエルとしては、中東地域の混乱が続けば良いということなので、和平は静観しているようだ。イスラエルは、既にUAEという「魚の小骨」をイランの喉(ペルシア湾)に刺すことに成功しているので、これ以上のことは望んでいないだろう。
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 下記論稿において、著者ファリード・ザカリアは、イスラム革命後のアメリカは、イランについてディレンマを抱えてきたと指摘している。それは「イランの体制を転換させるのか、イランの政策を転換させるのか」ということだ。

 イランの体制を転換するためには、アメリカはイランに対して軍事攻撃をするしかない。しかし、それは実態としては不可能であった。今でもそうだ。今回のイラン戦争は、規模で見れば大規模な戦争ではない(犠牲となった人たちには非常に申し訳ない表現になってしまって心苦しいが)。範囲も期間もそこまでではない。しかし、ペルシア湾、ホルムズ海峡というチョークポイントがそこに含まれることで、世界規模で影響を受け、大きくなってしまった。逆に、ホルムズ海峡がなければイランはここまで持ちこたえることはできなかっただろう。アメリカはイランほどの大国を攻撃して体制転換させるほどの力をすでに失っている。第二次世界大戦の時期とはもう違う。しかし、公式的には、イランとの国交はないし、外交関係はない。

 しかし、アメリカとイランは実際には交渉はしなければならないし、イランは国連にも加盟している。実質的には国家として認めている。しかし、外交関係はない。それでも、バラク・オバマ大統領時代には核開発に関して合意が結ばれた。建前とは違うのだ。今回、イラン側がアメリカ側に体制の保証を求めている。これをアメリカ側が認めてしまうと、アメリカは建前が崩れてしまう。国家として認めてしまうことになる。それはそれでアメリカにとっては良いことかもしれないが、今回のイラン戦争の失敗はこの点にある。「イランと交渉して、体制保障をしてしまわねばならない」ことで歴史は動くが、アメリカの建前は崩れる。これこそがアメリカの敗北である。このアメリカの敗北を世界に喧伝してしまうことになってしまう。アメリカ帝国の崩壊をここに明白に示すことになる。アメリカの終わりの始まりということになる。

(貼り付けはじめ)

ワシントンが解決を拒むイランに関するディレンマ(The Iran Dilemma Washington Refuses to Resolve

-アメリカの政策において2つの目標が半世紀近くにわたり対立し続けている。

ファリード・ザカリア筆

2026年5月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/08/iran-war-united-states-nuclear-weapons-regime-change-donald-trump-foreign-policy/

世界で最も強力な国家が、経済制裁と軍事攻撃によって荒廃した、はるかに小さく弱い国家に対して、なぜ思い通りにできないのだろうか? イラン戦争におけるアメリカの抱える問題を理解する最も簡単な方法は、ゲーム理論(game theory)を用いることだ。ドナルド・トランプ大統領はイランと「チキン」ゲーム(a game of “chicken”)を仕掛けた。まるで2台の車が互いに真っ直ぐに突進し合うようなものだ。このような状況では、一方の存亡に関わる利害が他方の利害がはるかに低い場合、利害の大きい方がたいてい勝つ。イラン政権にとって、負ければ政権が崩壊し、国民が虐殺される可能性が高い。一方、ドナルド・トランプ大統領にとっては、マール・ア・ラーゴでの週末が台無しになる程度だろう。イラン側がこのチキンゲームでハンドルを握りしめることを厭わない理由が容易に理解できる。

しかし、アメリカがイランへの対応にこれほど苦しんでいるのには、トランプ大統領と今回の拙速な戦争(ill-conceived war)だけではない、より広範な理由がある。イランでイスラム政権が樹立されて以来、アメリカはイランに対して相反する態度(two minds)を取り続けてきた。一方では、人質解放から核兵器制限に至るまで、アメリカが解決を望むいくつかの課題があった。他方では、単に交渉するだけでなく、政権を打倒したいと考えている。この2つの姿勢の間には、半世紀近くにわたってアメリカの外交政策を貫いてきた緊張関係が存在する。ワシントンはイランの特定の政策を変えたいのか、それともイランそのものを変えたいのか?(Does Washington want to change certain policies of Iran or does it want to change Iran?

ワシントンがテヘランと交渉すれば、ギヴ・アント・テイクがあり、必然的に双方の譲歩(concessions on both sides)があり、敵対関係はいくらか緩和される。何よりも、アメリカ政府はイランと関わることで、イスラム共和国に一定の正当性を与え、真剣な交渉相手として扱い、国際舞台でイランを代表する存在として認めることになる。しかし、この容認は一部のアメリカのエリート層にとっては受け入れがたいものだった。彼らは、イラン・イスラム共和国は非合法であり、存在すべきではなく、ワシントンがイランに対して取るべき唯一の政策は、イランを打倒することだと考えているからだ。それでも、ワシントンが望むものの中には、イランでしか実現できないものもある。だからこそ、ロナルド・レーガン大統領でさえ、公にはイランの聖職者たちを非難しながらも、密かに彼らと交渉していた。

トランプ大統領のイラン政策には、ほぼ毎日、矛盾した態度が見られる。あるソーシャルメディアの投稿では、イラン文明を破壊し、47年にわたる悪行に終止符を打つと脅迫する一方で、同じ日に別の投稿では、イランとの交渉が進展していると述べている。トランプ大統領は交渉に臨み、イランとの合意に楽観的な姿勢を見せたかと思えば、交渉の合間にテヘランとの戦争を始め、イラン国民に政府打倒を促す。そして1週間も経たないうちに、イランが要求に応じれば明るい未来が待っていると約束する。

アメリカはソ連に対しても同様に矛盾した態度をとっていた。1917年に共産党がロシアを掌握すると、ワシントンはソ連との国交を断絶し、小規模ながらソ連打倒を試みたことさえあった。フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領がソ連の存在を認め、モスクワと大使を交換するまでには、それから約16年もの歳月を要した。この緊張関係は第二次世界大戦後に再び表面化した。1970年代、ヘンリー・キッシンジャーのソ連との交渉政策は、悪の帝国(evil empire)の地位を強化するものとして右派から激しく非難された。キッシンジャーは常に、アメリカはソ連とはイデオロギー的に対立しているものの、核兵器管理(the control of nuclear weapons)など、モスクワとの合意なしには解決できない国益も抱えていると主張した。

イラン問題におけるキッシンジャーの立場に相当するのが、バラク・オバマ大統領である。オバマ政権は、イランに別の政権を望むかもしれないが、アメリカの国益に対する最大の脅威(ソ連の場合と同様、核兵器問題)に対処するためには、現政権と向き合わなければならないと判断した。イラン核合意は、イランの外交政策における最も危険な要素を無力化(neutralize)するための試みであり、実際にその目的は達成された。しかし、多くの右派にとって、その代償は、ある意味でイラン政権を正当化(legitimized)してしまったことだった。トランプ大統領はアメリカを核合意から離脱させたが、これはハサン・ロウハニ大統領の失脚とテヘランの強硬派の復権を招き、彼らはイランのウラン濃縮計画を加速させた。そしてトランプ大統領は再び同じディレンマに陥った。合意を結ぶべきか、それとも毅然とした態度を取るべきか?(Does he make a deal or take a stand?

現時点で、トランプ大統領が合意を望んでいることは明らかだ。しかし、合意に至れば、イラン・イスラム共和国が47年間求め続けてきたもの、つまりアメリカ国内の最も強硬な勢力からも無制限の承認(unqualified acceptance)を得ることになるかもしれない。テヘランにとって、それは多くの譲歩に値するほどの大きな報酬となるだろう。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、最新刊に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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(終わり)
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 古村治彦です。

 イラン戦争が始まってもうすぐ2カ月が経過しようとしている。現在は一時停戦となっているが、速やかな停戦に向けて、アメリカとイランの間を仲介しているパキスタンが奔走している。しかし、ホルムズ海峡封鎖一本で世界経済を人質にして勝負しているイランは、アメリカを焦らすだけ焦らして、自国の有利な条件を引き出そうとしている。5月14日と15日のドナルド・トランプ大統領による中国公式訪問までに一定の成果を挙げたい米中両国は、イランとの交渉において共通の利益を持っていると言えるだろう。

 イラン戦争が始まって世界経済は石油価格高騰と物資不足の影響をつけつつある。日本は前回のオイルショックの教訓を活かし備蓄があるが、現在の状況が続けば、厳しい状況は早晩やってくる。日本にとっても早急な停戦が望まれる。アメリカは国内で石油が生産できるので、ホルムズ海峡が封鎖されても影響は少ないというトランプ大統領の発言があったが、アメリカ国内でも石油価格は上昇している。

アメリカでは5月や6月に卒業式(commencement ceremony)があり、夏休みのホリデーシーズンを迎える。移動も多くなり、ガソリン価格や航空機チケット代の上昇は人々の生活を直撃する。ここで人々に不満を持たれてしまうと、大統領の支持率にダメージを与える。何よりも今年は中間選挙が実施される年だ。共和党が連邦下院で過半数を失う可能性が指摘されている。そうなれば、「トランプの応援を受けても選挙に勝てない」ということになり、トランプの影響力や勢力は減退することになる。

 アメリカはウクライナの支援、イスラエルの支援、そして、中東地域に派遣しているアメリカ軍の戦費ということで、巨額の予算が必要となる。それらは増税をして賄うことになるが、増税となれば有権者の反対や不満を増やすことになる。そうなれば国債発行に頼るしかないが、累積した国債はアメリカ政府に重くのしかかる。結局のところ、増税やインフレによって、一般庶民、有権者の生活を直撃することになる。海外での戦争をしないというトランプ大統領の訴えを信じて投票したアメリカの有権者にとっては大きな裏切りである。トランプはイラン戦争開戦の責任を取って実質的な政策運営から引退することが望ましいということになるだろう。それでなくても三期目はないので、中間選挙後は「死に体(lame deck、レイムダック)」状態になる。最後のお勤めは、JD・ヴァンス副大統領にしっかりと引継ぎをして、大統領にさせることだ。

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イラン戦争の経済的コスト:数字で見る(The Economic Costs of the Iran War, by the Numbers

―数百万ドル規模の兵器から原油価格の高騰まで、この戦争がもたらす経済的損失を以下に挙げていく。

マキシーン・デイヴィ、エリ・ウィゼヴィッチ筆

2026年3月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/13/iran-war-cost-economic-oil-gas-prices-hormuz/

アメリカとイスラエルが2月28日にイランを攻撃して以来、中東地域全域で戦争が勃発した。わずか13日でその被害は甚大だ。

人的被害は甚大である。イラン保健省によると、3月13日時点で少なくとも1444人のイラン人が死亡しており、その中には、アメリカが実行したとみられる小学校への攻撃で死亡した少なくとも168人の子どもも含まれている。イスラエルによるレバノンへの爆撃では600人以上が死亡、80万人以上が避難を余儀なくされた。イランによる地域各地への攻撃、そしてイランの代理勢力であるヒズボラによるイスラエルへの攻撃で、60人以上が死亡、数百人が負傷した。また、アメリカ軍兵士13人が死亡した。

エスファンディヤル・バトマンゲリジ氏は『フォーリン・ポリシー』誌に寄稿し、「これは単なるペルシア湾での戦争ではなく、第二次世界大戦以来、グローバル経済の拠点となる都市や施設に直接的な影響を与えた初めての紛争だ」と述べた。

原油価格から欠航便まで、この戦争がすでに世界経済をいかに混乱させているかを示す主要な数字を以下に挙げていく。

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『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、米国防総省当局者は火曜日、連邦議事堂で行われた連邦議員向け非公開ブリーフィングでこの推計値を示した。この数字には、2月28日以前の数カ月にわたるアメリカの軍備増強費用は含まれていない。

以前のブリーフィングで、国防担当当局者たちは最初の2日間で56億ドル相当の弾薬が使用されたと述べていた。マクドナルド・アモア、モーガン・D・バジリアン、ジャハラ・マティセクによる『フォーリン・ポリシー』誌の分析によると、アメリカは「壮大な怒り作戦」開始後最初の36時間で、推定1250発の防衛・攻撃用弾薬を消費した。

彼らは「消費された弾薬、そしてそれらを製造するために必要な鉱物資源は、西側諸国、特にアメリカにとって防衛産業に関する問題である」と述べている。

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当初は市場の反応が鈍かったものの、国際指標であるブレント原油価格は3月9日の取引時間中に一時1バレル119.50ドルまで急騰し、その後同じ日の中で100ドルを下回った。3月11日以降、価格は3桁台で推移している。『フォーリン・ポリシー』誌のキース・ジョンソンは、「市場はついに、イラン戦争が世界経済に及ぼす脅威の深刻さに気づき始めた」と報じた。

今回の価格高騰は過去1年間で最大であり、イラン、イスラエル、アメリカによる12日間の戦争が行われた2025年6月の高騰を上回った。金曜日現在、原油価格は1バレル100ドル以上で推移している。

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水曜日、国際エネルギー機関(IEA)は、加盟32カ国が市場の混乱緩和と原油価格高騰対策として、12億バレルを超える緊急備蓄原油の放出に全会一致で合意したと発表した。これはIEA史上最大規模の原油放出であり、協調的な放出としては6回目となる。

また、スコット・ベセント米財務長官は木曜日、アメリカが制裁対象となっているロシア産原油を既に海上に積載した状態で各国が購入することを一時的に許可すると発表した。

ジョンソンは、「トランプ政権は、自らが引き起こした戦争の影響を抑制するため、軍事、金融、エネルギーなどあらゆる政策手段を駆使してきたが、今のところ全て無駄に終わっている」と述べた。

アメリカのガソリン価格は平均で1ガロンあたり3.50ドルを超え、昨年同時期より0.50ドル以上高くなっている。
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湾岸諸国からの石油製品と液化天然ガス(LNG)の輸出は戦争によって深刻な打撃を受けており、生産者の収入減は甚大である。コンサルティング会社ウッド・マッケンジーの推計によると、サウジアラビアは戦争開始以来、45億ドルという最大の収入を失ったと『フィナンシャル・タイムズ』紙は報じている。

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世界第2位のLNG輸出国である国営カタールエネルギーは先週生産を停止し、世界のヘリウム市場と肥料市場に波及効果(knock-on effects)をもたらした。

カタールのサード・アル・カービ・エネルギー相はニューヨーク・タイムズ紙に対し、中東地域での戦争は「世界の経済を崩壊させる可能性がある」と警告した。

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イランは3月2日、ホルムズ海峡を通過しようとする船舶は全て攻撃すると初めて宣言した。『ガーディアン』紙の報道によると、それ以来、約500隻の石油・ガスタンカー、500隻のコンテナ船、そして6隻のクルーズ船が海峡の両岸で立ち往生している。

戦争開始以来、ペルシア湾、ホルムズ海峡、オマーン湾周辺で運航するタンカー、コンテナ船、その他のばら積み貨物船を含む少なくとも2隻の民間船舶がイランの攻撃を受けている。

イランの新最高指導者(supreme leader)モジタバ・ハメネイ師は、就任後初の公式声明で木曜日、「ホルムズ海峡封鎖(blocking the Strait of Hormuz)という手段は、今後も間違いなく使い続けなければならない」と述べた。

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ペルシア湾岸地域で運航する船舶の保険料高騰を受け、アメリカ国際開発金融公社(DFC)は、トランプ政権が海峡を通じたエネルギー輸送の再開を目指す取り組みの一環として、特定の船舶(具体的な船舶名は未公表)に対し海上再保険を提供すると発表した。DFCは、この計画の実施にあたり、米中央軍および米財務省と連携し、保険会社チャブが主導的な役割を担う。

3月11日時点で、中東地域発着便は4万6000便以上が欠航となった。イランは、世界で最も利用者の多い国際空港であるドバイを含む、中東地域の複数の国の空港を標的にしている。ドーハのハマド国際空港は3月1日から6日まで全便の運航を停止し、現在も通常の利用客数のごく一部でしか運航していない。

戦争勃発当初、航空便の運航停止により数十万人の旅行者が地域内で足止めされ、避難活動が困難を極めた。 『フォーリン・ポリシー』誌のサム・スコブ記者は3月10日、米国務省が解雇された職員からの支援申し出を断ったと報じた。

同時に、ジェット燃料価格は原油価格を上回るペースで上昇している。航空会社が運賃値上げや運航便数の削減を発表するにつれ、このコストは世界の消費者に転嫁されることになるだろう。

※マキシーン・デイヴィ:『フォーリン・ポリシー』誌編集研究員。

※エリ・ウィゼヴィッチ:『フォーリン・ポリシー』誌編集研究員。

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 古村治彦です。

 今回は、イラン攻撃直前に発表された、ファリード・ザカリアの論考をご紹介する。2月末、27日の段階で発表された論稿だ。27日は攻撃の前日、攻撃命令はすでに下されていた。ザカリアはおそらくイラン攻撃命令が下されたことを掴んでいただろう。その前に、既に中東地域にアメリカ軍が展開していたこともあり、イラン攻撃については秒読み段階という手応えもあっただろう。

 ザカリアの主張は、「爆撃と願いは戦略ではない」ということだ。これは、アメリカが明確な戦略的目標を設定して、その実現のために攻撃をするならばいざ知らず、そのようなことがない状況で、攻撃をしても、「後は野となれ山となれ」の状態になって失敗するというものだ。アメリカがイランの核兵器開発能力を排除するということで攻撃するということならば、それは2025年6月の攻撃で成功している。また、イランの弱体化についても、経済制裁なども絡めて実施しており、その効果は出ている。アメリカの情報・諜報機関もイランは核兵器を開発していないという報告を出している。イランの政権転覆、体制転換を目標とするならば、空爆だけでは成功しない。地上軍の侵攻と占領が必要となるが、アメリカ軍は地上軍派遣を実施できない。アメリカ軍がイランに対して地上侵攻を行えば、双方に多大な犠牲者が出る。アメリカ軍は犠牲者が出ることを嫌う世論とも戦わねばならない。アメリカはイランの体制転換、政権転覆を短期的には望んでいなかった。

 アメリカのイラン攻撃は全く意味のないものということになる。イスラエルにとっては、自力ではできないことであるが、アメリカを利用してイラン攻撃をしてあわよくばうまくいってくれると嬉しいという博打としての攻撃で会って、それが今回失敗したことになる。イスラエルとしてはイランの政権転覆、体制転換が望ましいが、自力で行うことは不可能だ。イスラエルが地上軍を派遣することはできない。モサドがイラン国内、イラン政府内に張り巡らしたネットワークを利用して情報を取り、暗殺を実行することはできるが、それが政権転覆、体制転換にはつながらない。

 こうして、合理的に考えれば、イラン攻撃の判断は誤ったものということになる。アメリカのドナルド・トランプ大統領やイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はその責任を取る必要があるが、今のところは早期の停戦合意をしなければならない。そのためにJD・ヴァンス副大統領が事態の収拾にあたっている。イスラエルがその邪魔をしようとするという見方もあるが、そのようなことをすれば、イスラエルはアメリカ国民からの支持も失い、亡国の坂道を転げ落ちていくだけのことになってしまうだろう。

(貼り付けはじめ)

「爆撃と願い」は戦略ではない(‘Bomb and Hope’ Is Not a Strategy

―イラン政権が崩壊しなければならないなら、その後に起こる事態の責任はトランプ大統領が負うことになる。そして、それは決して穏やかなものではないだろう。

ファリード・ザカリア筆

2026年2月27日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/02/27/iran-united-states-trump-bomb-war/

ドナルド・トランプ大統領は、1時間47分に及ぶ一般教書演説(State of the Union address)の中で、イランについてわずか3分しか触れなかった。これは憂慮すべき事態である。なぜなら、アメリカはイランとの戦争の瀬戸際(the verge of a war)に立たされているにもかかわらず、そのことについて公の場でほとんど議論されていないからだ。トランプ政権は、イラク戦争以来最大規模のアメリカ軍をこの地域に集結させ、2つの空母打撃群と少なくとも150機の航空機を近隣に展開させている。この地域には最大4万人のアメリカ軍兵士が駐留している。それにもかかわらず、軍事作戦を成功させるための核心は、依然として不明確で定義されていない。戦争目的は一体何か?

トランプ大統領は一般教書演説の中で、基本的な目標は、イランに「私たちは決して核兵器を持たない」という秘密の言葉を言わせることだ(those secret words: ‘We will never have a nuclear weapon)と示唆したように思われる。しかし、イランは数十年にわたり、このことを繰り返し述べてきた。イスラム共和国の最高指導者は2003年に核兵器保有を禁じるファトワ(fatwa、宗教令)を発布し、その後も何度もそれを繰り返している。この主張は、バラク・オバマ政権とイラン政府が合意したイラン核合意の冒頭部分で改めて確認されている。トランプ大統領が望むのがこの立場の再確認だけなら、この危機はすぐに終結するはずだ。

しかし実際には、トランプ大統領はそれ以上のものを望んでいる。それは一体何なのか? トランプ政権内部には、イランのウラン濃縮計画の破壊を望むと述べる人物もいる。しかしながら、6月にアメリカがイランを爆撃した際、大統領はイランの核開発計画を「壊滅させた(obliterated)」と声高に繰り返し宣言した。彼は間違いをしてしまったのか? それとも私たちを欺いているのだろうか? もしそうでないとすれば、イランは制裁と禁輸措置の下で、わずか数カ月で核開発計画全体を再構築できたのだろうか? そのため、最初の爆撃よりもさらに大規模な2度目の爆撃が必要になったというのだろうか? そのような主張には到底信頼を置くことができない。

トランプ政権とイランの協議は、主に核問題に焦点を当ててきた。政権はレッドラインを何度も変更してきた。時には、イランのウラン濃縮を容認する可能性があると述べてきた。これは、核不拡散体制の下で全ての国が有する権利だと多くの人が主張している。一方で、マルコ・ルビオ国務長官のような政権高官は、いかなるウラン濃縮も容認できないと述べている。ルビオ長官はまた、イランが弾道ミサイル問題(これは別の問題である)について協議を拒否していることを「大きな問題(big problem)」と指摘した。トランプ政権高官たちは、ヒズボラやハマスといった同盟者へのイランの支援を制限する必要性について言及することもある。そしてトランプ大統領はここ数カ月、政権交代を目標としていることを示唆する発言を繰り返してきた。では、真の目的は何なのか?

イランの核能力を制限することは一つの目標であり、トランプ大統領がかつて指摘したように、昨夏の爆撃によってその目標はほぼ達成された。ヒズボラとハマスは、イスラエルによる壊滅的な攻撃によって、かつての面影を失っている。イラン軍は、空爆で多くの指導者が死亡し、弱体化している。それでは、真の目的は政権交代(体制転換、regime change)なのだろうか? もしそうだとすれば、空爆だけでそれが達成される可能性は極めて低い。地上部隊が実際に侵攻して政権転覆を行うことなしに、政権が崩壊した例は、これまで一つも思い当たらない。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子やアラブ首長国連邦のムハンマド・ビン・ザイード・アル・ナヒヤーン大統領など、長年イランの敵対国であった人々が、焦点の定まらない軍事力が制御不能に陥り、中東地域全体を不安定化させる恐れがあるとして、慎重な対応を促していることは、まさにそれを物語っている。

たとえアメリカがイランの最高指導者を含む多くの高官を殺害する壊滅的な攻撃を行ったとしても、最も可能性の高い結果は、イラン軍が社会に対する支配力をさらに強めることである。戦争は、兵士が支配する。聖職者たちは排除され、イランの現在の聖職者と軍人による混合政権は、より一般的な将校主導の政府に取って代わられるかもしれない。しかし、それは自由民主政治体制への道としてはありそうもない。もしイランの民主化(democratization)がトランプ政権の目標であるならば、それを明確に表明し、計画を立て、反体制派を支援し、指導者を探し出し、彼らに支援を提供するべきである。爆撃と願いは戦略ではない(Bomb and hope is not a strategy)。

戦争理論の巨匠カール・フォン・クラウゼヴィッツは、軍事力は明確な政治目標によって導かれなければならない(military might must be directed by a clear political objective)と主張した。明確な目標なしに戦うことは、戦争を目的のない暴力(aimless violence)に変え、その結果が偶然に左右される危険性があるとクラウゼヴィッツは説明した。ワシントンの政策立案者は、立ち止まって単純な問いに答えなければならない。私たちが目指す最終状態は一体何なのか、そして軍事行動はそれをどのように達成するのか? 漠然とした目標―「弱体化(degrade)」「抑止(deter)」「行動変容(change behavior)」―は、任務の拡大を招く。もしイランの核兵器開発を阻止することが目的なら、条件が満たされていることを確認するための査察(inspections)を伴う合意こそが目標となる(そう、まさにトランプ大統領が離脱した合意だ)。もし政権交代(体制転換)が目的なら、ワシントンは事後的な政治的責任を受け入れる包括的な戦略を準備する必要がある。これ以下の対応は、アメリカ軍と数百万人の人々の未来を賭けた賭けに他ならない。

※ファリード・ザカリア:CNN番組「ファリード・ザカリアGPS」司会者、著述家。最新作に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。『ワシントン・ポスト』紙に週に一度コラムを掲載し、『フォーリン・ポリシー』誌に転載されている。Xアカウント:@FareedZakaria

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年2月28日にイスラエルとアメリカによるイランに対する大規模攻撃からイラン戦争は始まった。イランによる報復攻撃もあり、3月中は事態が深刻化する可能性について議論されていた。アメリカ軍によるイランへの地上侵攻作戦の可能性が語られていた。具体的には、ペルシア湾のイランの石油積み出し拠点であるカーグ島への侵攻などが語られていた。

 現在は、イランのイスラム革命防衛隊、アメリカ海軍によるホルム海峡封鎖という状況になっている。地上戦の可能性は低いままであるが、ゼロではない。アメリカ軍としては、イラン側への圧力のためにも、地上作戦の可能性については示唆する、匂わせるということになる。しかし、地上作戦ということになれば、アメリカ軍に大きな犠牲が出る。アメリカ軍は、世論の反対も考慮して、犠牲者を出さないようにしながら、相手を圧倒しなければならない、腕を縛った状態で、相手に圧勝しなければならないという状況にある。アメリカ軍は、犠牲者を出さないために、相手を慎重に選ぶ。アメリカ軍よりも圧倒的に弱体で、できれば内通者、協力者がいるような、そういう軍隊を持つ国を相手にしたい。2026年1月に攻撃したヴェネズエラは絶好の標的だった。イランに関しては、リスクがありながら、攻撃を選択し、失敗した。これ以上の失敗はできない。世論をこれ以上反対に振れさせる訳にはいかない。イランの国土は広大であり、海岸から山地まで多種多様で、小規模な地上軍派遣ではすぐに撃破されてしまう。

 ドナルド・トランプ大統領やイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が認知機能の衰えや狂気からイラン戦争を開始した訳ではない。彼らなりの使命感と成算があっての攻撃決定であった。そして、戦争がここまで長引くことは予想していなかった。これ以上の失策を重ねることはできない。地上戦という博打を打つ可能性は低い。アメリカ、そして、トランプ大統領は今回の失敗から早く抜け出したい。そのためには、和平交渉が最善の途である。そして、それが世界にとっても最善の途である。

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イランに対するアメリカの地上戦の5つのシナリオ(Five Scenarios for a U.S. Ground War on Iran

―複雑な地理的条件により明確な進入地点は存在しない。

アラッシュ・レイシネジャッド筆

2026年3月31日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/31/scenarios-ground-war-iran-trump-israel-kharg-hormuz-oil/

数十年にわたり、アメリカによるイランへの地上侵攻は、エスカレーションの限界点(the outer limit of escalation)とみなされてきた。実行には多大なコストがかかり、継続するにはあまりにも不安定化を招くと考えられていたからだ。しかし、その前提は今、崩れつつある。アメリカとイスラエルによる対イラン戦争が激化する中で、かつては考えられなかったことが、ますます現実味を帯びてきている。もはや問題は、地上侵攻(a ground invasion)が可能かどうかではなく、どこから開始し、戦略的な成果を上げられるか、という点にある。

一見すると、イラン周辺地域はペルシア湾やオマーン湾から西部国境地帯に至るまで、複数の侵入経路を提供しているように見える。しかし、これは中心的な錯覚である。侵攻を可能にする地理的条件は、同時に戦略的に自滅的なものにもなり得る。イランの軍事地理(Iran’s military geography)は、外部勢力を狭い沿岸のチョークポイント(choke point)、エネルギー拠点、そして国境回廊へと誘導する。これらの地域は、成功への道筋というよりも、むしろより広範なエスカレーションの引き金となる。一見すると選択肢の羅列に見えるものは、実際には、結果の地図に過ぎないのだ。

この論理が最も明確に表れるのは、カーグ島、ホルムズ海峡、アブ・ムサ諸島、大トゥンブ諸島と小トゥンブ諸島、チャーバハル・コナラク回廊、そしてアバダーン・ホッラムシャフル軸という5つの拠点である。いずれもアクセス手段となる可能性を秘めているように見えるが、いずれも戦略的な成功への明確な道筋を示すものではない。
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(1)カーグ島(1. Kharg Island

カーグ島は、見かけ上の優位性が戦略的な危険を生み出す最も明確な例と言えるだろう。イランの原油輸出のボトルネックであり、原油輸出量の約90%がここを通過するカーグ島は、まさに一点集中型の潜在的な弱点だ。イラン内陸部から比較的隔絶され、長さ約8キロ、幅約4~5キロのカーグ島は、コンパクトで、外部に晒されさており、重要なインフラが密集している。イラン経済の重心であり、国内で最も経済力が集中し、同時に脆弱性も高い場所だ。純粋に作戦上の観点から見ると、イラン領土への直接的な侵攻を伴わずに、最大限の混乱を引き起こす可能性を秘めている。

しかし、まさにそれがカーグ島を非常に危険なものにしている理由だ。カーグ島への攻撃は、局地的な軍事行動にとどまることはない。イランの石油輸出の要衝を攻撃することで、その影響は直ちに世界のエネルギー市場に波及し、ペルシア湾のインフラの安全保障に対する広範な懸念を引き起こすことになるだろう。さらに重要なのは、事態のエスカレーションを招き、イランが地域エネルギー施設への報復攻撃に踏み切る可能性が高くなる。

その矛盾は明白だ。カーグ島を魅力的なものにしているまさにその特徴、つまりイラン経済における中心的な役割こそが、カーグ島への攻撃が紛争を急速に国際化させることを確実にする。カーグ島は単なる攻撃目標ではなく、戦況を一変させる引き金となる。

(2)ホルムズ海峡(2. The Strait of Hormuz

ホルムズ海峡は、この紛争において依然として最も重要な戦場となる。世界の石油の約5分の1がこの狭い海峡を通過するため、世界で最も重要なエネルギーのチョークポイントとなっている。ホルムズ海峡は、計り知れない戦略的優位性をもたらす支配の要衝として捉えられることが多い。

しかし、この見方は誤解を招く。ホルムズ海峡は、単一の地点を占領できるようなものではなく、複雑な海域・領土システムとなっている。この海峡を効果的に支配するには、イラン最大の港湾都市であるバンダルアッバスと、イラン最大の島であるゲシュム島に対する作戦が必要となる。これらはペルシア湾におけるイランの防衛体制の中核を構成するものである。ホルムズ海峡を支配することは、事実上、領土をめぐる戦争に突入することに他ならない。

これは根本的なディレンマを生み出す。持続的な支配を維持するには、沿岸防衛を弱体化させ、ミサイル能力と非対称的な海軍力を抑制し、激しい争奪環境下で継続的な軍事プレゼンスを維持する必要がある。全面侵攻​​には至らないものの、影響力を行使できると思われる手段は、イランの領土防衛に直接結びついた、長期にわたる資源集約型の作戦へと発展する可能性が高く、世界のエネルギー市場とサプライチェイン全体に長期的な不安定をもたらすだろう。

(3)3つの島嶼(3. The Three Islands

アブ・ムサ諸島と大トゥンブ諸島、小トゥンブ諸島は、ホルムズ海峡への戦略的な西側の玄関口を形成している。カーグ島やホルムズ海峡とは異なり、これらの島々の経済的価値は限られているものの、象徴的かつ地政学的に非常に重要な意味を持つ。

これらの島々を占領しても、軍事バランスを決定的に変えることはなく、イラン内陸部への道を開くこともないだろう。しかし、これらの島々はイランの主権とアラブ首長国連邦(UAE)の長年の領有権主張が交錯する地点に位置しているため、これらの島々に対するいかなる作戦も、極めて大きな政治的影響を及ぼすことになる。

したがって、一見すると低コストで象徴的な行動に見えるものが、アメリカの戦略的立場を改善することなく、戦争を拡大させる可能性がある。これは、象徴的価値は高いが、決定的な戦略的成果が得られないという、より広範なパターンと一致する。標的が容易であればあるほど、戦略的成功への貢献度は低くなり、不利な条件で戦争を拡大させるリスクが高まる。

(4)チャーバハル・コナラク(4. Chabahar-Konarak

最も議論されていない侵入経路(entry point)は、イラン南東沿岸のチャーバハル・コナラク回廊である。ここは、これまでとは異なるタイプの侵入ルートに見える。厳重に軍事化されたペルシア湾岸地域と比べると、地理的に開けており、混雑も少なく、一見すると外部からの作戦行動にとってより容易な場所のように思える。

しかし、このアクセスの容易さには根本的な制約がある。チャーバハルは、影響力を行使できる拠点とはなり得ない。カーグ島とは異なり、イランの石油供給の生命線の中核をなす場所ではない。ホルムズ海峡とは異なり、世界の重要なチョークポイントを支配している訳でもない。ペルシア湾岸地域とは異なり、この地域は重要なインフラが集中していない一方で、自然の防衛障壁も存在する。

しかし、最大の問題は距離である。そこに足がかりを築いたとしても、侵攻部隊はイランの経済的・政治的中心地から遠く離れており、早期の侵入は長期にわたる、兵站コストのかかる作戦となるだろう。作戦上は侵入しやすいように見える場所だが、戦略的には脆弱なのである。

(5)アバダーン・ホッラムシャフル(5. Abadan-Khorramshahr

地上侵攻がより決定的な形をとる場合、最も可能性の高いルートは、イラン南西部の石油資源が豊富なアバダーン・ホラムシャフルだろう。ここはペルシア湾から戦略的に重要な地域へ至る最も直接的なルートである。

しかし、このルートを単独で攻略することはできない。進軍はクウェートを起点とし、イラク南部に入り、バスラを経由してフゼスタン州へと進む可能性が高い。これは、1980年にイラクがイランと戦争した際に当時のイラク大統領サダム・フセインが辿ったルートをなぞるものだ。

しかし、46年後の今日、イラクの領土はもはや受動的な回廊ではない。いかなる作戦も、アメリカ軍がイラン領土に到達する前から、イランと連携する民兵組織、特に人民動員部隊(ハシュド・アル・シャービ)からの圧力に直面する可能性が高い。戦場は、従来の国家間戦争にとどまらないだろう。それは、事実上、イラク南部からイラン南西部に広がる連続したシーア派地政学的空間における、断片的で多層的な闘争という様相を呈する可能性がある。

したがって、イランへの最も直接的なルートに見えるものは、同時に最も危険なルートでもあり、イランだけでなく、イラク全土に及ぶ大規模な戦争のリスクが存在する。この枢軸を作戦上実現可能にしているまさにその特性こそが、政治的、軍事的に危険なものにしている。ここでは、決断力があるという幻想が最も強く、同時にリスクも最も高い。

さらに考慮すべき点は、これら5つのシナリオのいずれにおいても、クルド人が果たす役割である。アメリカの侵攻は、イラン西部国境沿いでのクルド人の蜂起を伴う可能性がある。その結果、イランの防衛力は複数の戦線に分散されることになるだろう。

イラン西部国境地帯では、長年にわたりクルド人グループとの紛争が続いており、イラン・クルド民主党、クルディスタン自由党、クルディスタン自由生活党、ハバト、クルディスタン労働者コマラ、イラン・クルディスタン・コマラ党などが挙げられる。これらのグループは、テヘランに対峙する連携強化に向けて動き出していると報じられている。

しかし、この選択肢には大きな制約がある。これらのグループは分裂しており、能力も多種多様で、テヘランとの大規模な衝突に踏み切る意思があるかどうかは依然として不透明なままである。さらに、イラク・クルディスタン地域政府は報復のリスクを懸念し、事態のエスカレーションを避ける強い動機を持っている。一方、イラク国内のイラン系民兵組織は、この地域を二次的な戦場に変えてしまう可能性がある。トルコがクルド人の軍事化に反対していることも、もう一つの制約要因だ。さらに重要なのは、この戦略はイラン国内で逆効果となる可能性があるということだ。紛争が国家の弱体化ではなく、領土保全と愛国的結束の強化という構図に転換されてしまう恐れがある。

総合的に見ると、勝利のための戦略ではなく、エスカレーションの地図となる。それぞれが侵入経路を提供するものの、いずれも予測可能な結果を​​もたらす限定的な行動を可能にはしない。侵入を可能にする経路そのものが、成功の達成を困難にし、維持をさらに困難にする要因となる。効果的な圧力を生み出す標的は、より広範な経済的・地域的混乱を引き起こすリスクがあり、一方、封じ込めを図る努力は戦略的な効果を生み出せない。一見すると複数の選択肢に見えるものが、結局は一つのディレンマに集約される。すなわち、限定的な影響を受け入れるか、制御不能なエスカレーションを招くかのどちらかである。

このようなエスカレーションは、間違いなくペルシア湾のエネルギーシステム全体に影響を及ぼし、イランと連携するフーシ派が海上交通を妨害する能力を保持しているバブ・エル・マンデブ海峡での反撃圧力を引き起こすだろう。その結果、世界的な影響を及ぼす複数のチョークポイント危機が生じることになる。

もう一つの危険は、罠に陥る可能性だ。国家対テロセンター元所長ジョー・ケントが警告したように、ホルムズ海峡の島々を占領すれば、アメリカ軍は有利な立場に立つことはなく、標的となり、孤立して機雷、ミサイル、ドローン群による攻撃に脆弱な状態に置かれる可能性がある。

もちろん、アメリカはナタンズやフォルドゥといった場所への限定的なヘリコプター攻撃を選択することもできる。しかし、約400キログラムの濃縮ウランが既に未知の場所に分散している可能性があり、誤算や急速なエスカレーションのリスクが高まるため、このような作戦は特に危険だ。あるいは、テヘランに向けてヘリコプターまたは空挺部隊を投入する可能性もある。しかし、地理的な制約を回避し、紛争を圧縮しようとする試みは、こうしたシナリオに長年備えてきた体制に直面することになる。革命と数十年にわたる非対称戦争によって形成されたイラン・イスラム共和国は、圧力を吸収し、近接戦闘に特化している。迅速な作戦として始まったものが、たちまち長期化し、分散化し、さらには都市部を中心とする抵抗へと発展し、支配権の問題は解決するどころか、むしろ深刻化する可能性がある。

イランへの地上侵攻は、ますます現実味を帯びてきているように見えるかもしれない。しかし、それは地理に対する根本的な誤解に基づいている。イランは長年にわたり、単に地理的条件に適応してきたのではなく、むしろそれを武器として活用してきた。山岳地帯、砂漠、海岸線、島嶼、そして要衝は、戦場における受動的な要素ではなく、圧力を吸収し、戦力を分散させ、敵に損害を与えるために設計された防衛戦略の能動的な構成要素なのである。この意味で、イランの地理は単に軍事作戦の様相を形作るだけでなく、それを世界的な出来事へと変容させるのである。

※アラッシュ・レイシネジャッド:タフツ大学フレッチャー大学院非常勤講師。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス中東地域センター非常勤研究員。Xアカウント:@arashreisi

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 古村治彦です。

 イラン戦争の仲介役はパキスタンのシャバズ・シャリフ首相であり、パキスタン陸軍参謀長のアシム・ムニール元帥である。ムニール元帥はパキスタン軍情報・諜報機関ISI長官を長年務め、イランやイスラエルの各国の情報・諜報機関との太いパイプを持ち、また、アメリカのドナルド・トランプ大統領とも昵懇の仲である。表に出ている仲介役はパキスタンであるが、実質的にイランに働きかけを行っているのは中国である。そのことは、トランプ大統領もシャリフ首相も認めている。中国側は正式には働きかけを認めて、発表していないが、中国は積極的にイランに働きかけを行ったことは事実である。

 イランから輸出される石油の80%以上が中国向けである。イスラム革命防衛隊によるホルムズ海峡封鎖が実施された3月初旬以降も、イランは石油輸出を実施しており、そのことはアメリカも認めていた(原油価格安定のため)。イラン側は人民元による決済を条件として民間タンカーの航行を認めていた。

 2026年4月11日にパキスタンのイスラマバードで、アメリカとイランによる和平交渉が行われたが、21時間に及ぶ交渉も合意には至らなかった。その後、トランプ大統領はアメリカ海軍によるホルムズ海峡封鎖の実施を発表した。現在、イラン戦争は停戦状態にあるが、ホルムズ海峡をお互いが封鎖するという状態になっている。これによって、中国向けのイランからの石油輸出もできないということになる。トランプ大統領によるホルムズ海峡封鎖発表は中国に対して、イランへの働きかけを強めるように求める措置だ。

 2026年5月14日にアメリカのドナルド・トランプ大統領は中国を公式訪問する。この時までに、トランプ大統領は和平合意を達成することで、意気揚々と訪中したいところだろう。中国もトランプを中国に招いて、トランプを称揚しながら、同時に、台湾統一について、踏み込んだ発言、「台湾問題は中国の内政問題である」をさせて、アメリカが台湾に関して関与しないということを明らかにさせたいだろう。

 イラン側としては、和平合意の条件として、体制と安全の保証をアメリカと中国に求めるだろう。アメリカがイランの体制と安全の保証を行っても、それを信用することはできないというところが最大の問題点となる。中国による保証ということも求めることになるだろうが、中国としては、アメリカと直接対峙する最悪の事態ということにもなりかねず、ここをどう解決するかということになる。問題の根本は、アメリカの信頼性が欠如しているという点だ。そこをこれから中国がどのようにして埋めていくかということになる。世界政治における中国の役割はより大きくなっていく。このことをイラン戦争の現状は示している。

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中国、アメリカのイラン港湾封鎖は「無責任で危険」と非難

赤い船体に黄色いクレーンのついた貨物船が洋上にある画像提供,Reuters

BBC NEWS JAPAN2026415

ジェイムズ・グレゴリー

https://www.bbc.com/japanese/articles/c15dd704jpno

中国政府は14日、アメリカによるイラン港湾の海上封鎖を「無責任で危険だ」と非難した。中国外務省は、この動きが「ただでさえもろい状態にある停戦合意を損なう」と主張。アメリカとイスラエルの攻撃に対抗してイランが事実上封鎖した重要航路のホルムズ海峡で、通過する船舶の安全をさらに危険にさらすとした。

中国外務省の郭嘉昆報道官は記者会見で、「海峡の状況緩和の条件を根本的に整えるには、包括的な停戦を実現し、戦争を終らせる以外に方法はないと、中国は考えている」と述べた。

「中国は全当事者に対し、停戦の取り決めを順守し、対話と和平交渉という全般的な方向性に専念し、地域情勢の緩和促進のため実務的に行動し、海峡の通常の航行をできるだけ早く回復させるよう求める」とも、報道官は述べた。

郭報道官はこのほか、中国がイランに新しい防空システムを供与する準備を進めているとの報道について、「完全な作り事だ」と一蹴した。

ドナルド・トランプ米大統領は、中国がイランに軍事支援を提供した場合、中国製品に50%の関税を課すと警告している。

郭報道官は、「アメリカがこれを口実に中国に対する追加関税を課すことに固執するならば、中国は必ず断固とした対抗措置を取る」と述べた。

アメリカによる封鎖は13日に発効した。この前日には、パキスタンが仲介したアメリカとイランの協議が決裂している。

封鎖措置について、トランプ氏は、イランに核開発の野心を放棄させるためのものだと主張している。専門家の中には、イラン産原油を最も購入している中国に圧力をかけ、イラン政府に海峡の開放を促す狙いがあるとする人もいる。

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イランの国連大使はアメリカによる封鎖を、イランの主権に対する「重大な侵害」だと非難している。

これまでのところ中国の船舶は、海峡を通過できている数少ない船の一部だった。海峡通過のために、イランに通行料を支払っていたかどうかは明らかになっていない。

アメリカによる封鎖は、中国への石油供給を断ち切り、中国経済に広範な影響を及ぼす可能性がある。

中国の主張に先立ち、JD・ヴァンス米副大統領はホルムズ海峡をめぐるイランの封鎖について「経済的テロ」だと非難していた。イランは先月以降、通過する船舶を実際に攻撃し、さらに攻撃すると脅してきた。

ヴァンス氏は米FOXニュースに対し、「合衆国大統領が示したように、こちらも同じように対抗できる」と述べた。「イランが経済的テロを実施しようとするなら、こちらはイランの船舶は1隻も外へは出さないという、単純な原則を順守する」。

アメリカは、イラン以外の港との往来のために海峡を利用する船舶を軍が妨害することはないとしている。イラン沿岸近くで米海軍艦船を危険にさらすよりも、オマーン湾やインド洋で海軍を展開し、イランの湾岸港湾を封鎖しようとしている。

しかし、BBCヴェリファイ(検証チーム)が分析した航行データによると、14日には少なくとも4隻のイラン関連船が海峡を通過した。

一方、原油価格は14日に1バレルあたり100ドルを下回った。

アメリカとイランの間の不安定な停戦は、48日に発効して以来、維持されている。ホルムズ海峡の地位や、停戦にレバノンが合意に含まれているかどうかが、両国の間で争点となっている。

イスラエルは、停戦が適用されるのはイランのみだと主張。イランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派武装勢力ヒズボラに対する激しい攻撃を継続しており、レバノンではこれまでに何百人も殺害している。

こうした中、レバノンとイスラエルの当局者による直接協議が14日、米ワシントンで行われた。両国が直接的に対話したのは1993年以来初めて。

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中国がイラン戦争一時停戦の裏で大笑い...一時停戦によって中国が「最大の勝者」となる理由

4/11() 8:05配信 ニューズウィーク日本版

https://news.yahoo.co.jp/articles/03f78918876e11a6c23c47a354a3d4c2f6f8d6b0

https://news.yahoo.co.jp/articles/03f78918876e11a6c23c47a354a3d4c2f6f8d6b0?page=2

今週成立した停戦について、アメリカとイランはいずれも自らが勝者だと主張している。しかし、水面下で最大の勝者となったのは中国である可能性がある。

417日、ドナルド・トランプ米大統領は、中国指導部がイランとの2週間の停戦実現に貢献したと考えていると公に述べた(この停戦が維持されるかどうかは別問題だが)。

この発言は、5月中旬に予定されているトランプの中国公式訪問に向けて前向きな材料となる。

中国政府も、戦闘の一時停止を歓迎すると表明した。

「戦闘開始以来、中国は紛争終結に向け積極的に取り組んできた」と、在米中国大使館の報道官、劉鵬宇(リュー・ペンユー)は本誌に語った。「王毅(ワン・イー)外相は関係各国の外相と26回協議を行った。その中にはイラン外相との2回の協議も含まれる」

中国は中東に特使を派遣したほか、3月下旬にはパキスタンとともに5項目からなる和平案を発表した。

48日、イラン政府は地域の平和維持を支援する安全保障の後ろ盾として中国を招いた。アフリカの角に近いジブチに海外軍事基地を持つ中国は、この提案を受け入れていないが、今回の成果はすでに中国にとって大きな実績となっている。

劉は「関係各国がこの平和の機会を捉え、対話によって相違を埋め、できるだけ早く敵対行為を終わらせることを望む」と述べた。「責任ある大国として、中国は今後も建設的な役割を果たし、湾岸および中東地域の平和と安定の回復に積極的に貢献していく」

●理想的な仲介者

イラン戦争で中国が調停役を引き受けることは、ある意味で予想外ではなかった。

中国とイランの関係は、イランの石油輸出の90%以上を中国が購入していることにとどまらない。両国は長年にわたり外交および防衛面でも結びつきを持っている(イランが導入した中国製の防空システムを含む軍事装備は、アメリカとイスラエルによる激しい爆撃を防ぐには至らなかったが)。

46日、ニューヨークで開催された国連安全保障理事会では、バーレーンが提出したホルムズ海峡の安全保障に関する決議案が、中国とロシアの拒否権により採択されなかった。

中国の傅聡(フー・ツォン)国連大使は、この決議案は「紛争の根本原因と全体像を捉えていない」と指摘したうえで、「アメリカは文明の存続そのものを公然と脅かしている」とアメリカ批判を展開した。

ニューヨーク・タイムズ紙は、イラン最大の貿易相手国である中国が停戦成立に重要な介入を行ったと報じている。この実績により、中国の紛争調停の能力に対する評価が高まる可能性がある。

ただし、停戦実現に向けた具体的な働きかけや、テヘランに対してどのような圧力をかけたのかについては明らかにされていない。

中東諸国は、これまでアメリカが打開できなかった外交的行き詰まりに対し、中国が関与することを歓迎したとみられる。

その背景には、中国がペルシャ湾地域から石油の約半分、天然ガスの約3分の1を輸入しているという事情がある。

●ウクライナ戦争への介入の可能性は?

一方、イランの新指導部には選択肢がほとんど残されていなかったようだ。ドローンやミサイル攻撃によりカタールやオマーンの重要なエネルギーインフラを攻撃し、従来の交渉相手との関係をほぼ断絶していたためである。

米ワシントンD.C.のシンクタンク、ジャーマン・マーシャル基金のインド太平洋プログラム責任者であるボニー・グレイザーは、「中国が世界中で仲裁者としての役割を積極的に求めているとは思わない。中国の利益が重大に脅かされ、かつ強い影響力を持つ場合に限り積極的に関与する傾向がある」と分析している。

「中国は紛争の激化や長期化が自国の利益を損なうことを防ぐため、イランに圧力をかけた可能性が高い。中国はイラン(の現政権)が存続し、安価な石油を(中国に)供給し続けることを望んでいる」

また、中国によるウクライナ戦争への可能性については、「ウクライナ戦争は中国の利益に直接的脅威を与えていない。さらに、習近平はイランに対するほどロシアに圧力をかける意欲は低いと考えられる。特にプーチンは停戦や仲介による解決に関心を示していない点でイランと異なる」と否定的な考えを示した。

●戦後はどうなる?

アメリカとイランの協議が長期的な和平合意に向かう中、中国は戦後復興に関与する最初の国の1つとなるという形で利益を得る可能性がある。

中国はすでにイランにとって重要な経済パートナーであり、2016年には習近平主席の「一帯一路」構想にイランを参加させている。中国はインフラ整備だけでなく、最新技術をイランの都市に導入する上でも有利な立場にある。

パキスタンのシェバズ・シャリフ首相は48日、中国を含む各国が停戦実現に向けて「極めて重要かつ全面的な支援」を行ったとXに投稿した。同国政府は411日にイスラマバードで和平協議を主催する予定だ。

ホルムズ海峡におけるイランの「通行料」構想が今後どうなるかは依然として不透明であり、今後の協議の争点となる可能性がある。トランプはすでに、共同事業によって海峡の通行を維持できる可能性に言及しているが、イラン革命防衛隊は、最終的な決定権を自分たちが握っておきたいと考えているようだ。

また、フィナンシャル・タイムズ紙は48日、イランが海峡を通過する石油1バレル当たり1ドルを暗号通貨で支払うことを要求していると報じた。

さらに、イランの核開発問題のような難題に入る以前から、停戦そのものについて意見の相違が存在している。

特に、イスラエルがイランの代理勢力であるヒズボラに対して行っている攻撃が、停戦の対象に含まれるかどうかが争点となっている。アメリカとイスラエルは、これらは停戦の対象外としている。

中国はイランの戦争に積極的に介入しているわけではない。しかし、大国となった中国の動きは、中国から離れた場所での戦争においても無視できないだろう。

ジョン・フェン

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トランプ「中国がイランを停戦交渉の場に引き込んだ」 習近平の思惑は?

遠藤誉(中国問題グローバル研究所所長、筑波大学名誉教授、理学博士)

4/9() 12:49

https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/c11d00fa28cc17dd6c6430a51f7c345447b29beb

 パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は48日、パキスタンの仲介によって、米国、イラン、そして両国の同盟国がレバノンを含む「あらゆる場所」での停戦に合意したと発表した。トランプ大統領がイランを壊滅させる期限としていた日本時間8日午前9時のわずか1時間前のことである。

 いったい何が起こって、いきなり「2週間の即時停戦」が実現したのか?

 その陰には中国の動きがあったことをトランプは認めている。

 中国自身はそれに関して沈黙しているが、習近平にはどのような思惑があるのだろうか?

◆(ペルシャ)文明を消滅させるとまで豪語したトランプ

 トランプの口汚さは限界を超えていた。ここでは書けないような言葉を吐き続けた。

 イランは紀元前500年とも300年とも言われる歴史を持ったペルシャ帝国の文明を引き継いでいる国だ。その文明を破壊しつくし、この世から消滅させてやるとトランプはわめいた。一般庶民が生きていくことができなくなる橋や発電所も全て爆撃して破壊するとわめき続け、遂には「イラン人は動物なので殺しても戦争犯罪にはならない」とまで言ってのけたのである。

 このような人が「世界最大の民主主義国家のリーダー」であっていいのか?

 民主主義でなくとも、少なくとも人類が築き上げている一国家のリーダーであり続けていいのか?

 一部のアメリカ人と少なからぬイスラエル人以外は、誰一人トランプの狂気じみた罵詈(ばり)雑言(ぞうごん)に賛同する人はいないだろう。

 なぜここまで品性のない言葉を吐き続けるかといえば、おそらくトランプには、イラン攻撃から抜け出したいと思ってももう退路がなく、絶望的な悪口(あっこう)雑言を吐く以外に道が無くなったからではないだろうか。

 筆者には、トランプが「誰か助けてくれー!俺をこの泥沼から掬(すく)い出してくれ―!」と、助けを求めているようにしか聞こえない。

 彼はイラン攻撃から抜けだしたいのだ。イランは思ったより強かった。

 この底なしの攻撃を続ければ、石油価格は高騰し米国民の生活は苦しくなり、中間選挙で必ず敗北することは分かっている。

 しかし「名誉ある撤退」ができない。

 習近平は、そこに目を付けたのではないかと思う。

 ――あなたを救い出してあげる方法が一つだけあります。それはイランにホルムズ海峡を開かせることです。そしてイランの方が停戦交渉に積極的に応じることです。そうすれば、あなたは自分で勝手に「これは米国の勝利だぁ!」と叫ぶことができます。せめて2週間でもいい。休戦していれば、あなたはもう二度と、あの抜け出せない泥沼に戻りたいとは思わないようになるでしょう。

 習近平は、こう考えたのではないかと「推測」するのである。

 もちろん習近平の頭には、ある「狙い」があることは容易に想像できる。その具体的内容は後述するとして、まずはトランプが「中国がイランに即時停戦を促してくれた」と本音を吐いたファクトを確認したい。

◆トランプが「イランを停戦交渉に引きずり込んだのは中国だ」と言った!

 なんと、トランプは8日、AFPの電話取材を受けて、以下のように答えている。

 ●これは完全に米国の勝利だ!

 ●中国がイランを交渉のテーブルに着かせ、2週間の停戦合意に導いたと信じている。

 ●私は5月に北京を訪問し、中国の習近平国家主席と会談する予定だ。

 ●(主要同盟国であるイランを停戦交渉に導く上で中国が関与していたのか、という質問に対して)「そうだと聞いている」答えた。

                     (AFPの取材に対する回答の概要は以上)

 習近平が考えているだろうと予測した通りの展開だ。

 同日、CNN(日本語)も<トランプ氏、イランが停戦交渉に応じるよう中国が後押ししたとの考え>という見出しで同様の報道をしている。トランプのこの発言に関してコメントを求められた在ワシントン中国大使館の報道官はCNNに対し、「紛争が始まって以降、中国は停戦を実現し、紛争を終結させるために働きかけてきた」としか述べなかったという。中国が手を貸したのだということを中国側は明かそうとしない。

 CNN48日の中国外交部定例記者会見でも「中国が手を差し伸べたのではないか」という質問を外交部報道官に向けたようだが、報道官は在ワシントン中国大使館と同様の回答しかしなかった。

 習近平は、「いまこそイランを説得しろ!」と王毅外相に命じて激しく動いたにもかかわらず、それを誇示しないというか、隠そうとさえしている。そこにはトランプに花を持たせて、やがて北京で開かれる米中首脳会談のときに習近平に圧倒的に有利なディールを持ちかける材料にしたいという思惑が見え隠れする。

NYtimesAPが「中国が最後に介入し、停戦を促進した」と報道

 48日 午後420(東部標準時)、ニューヨークタイムズは<米国、イラン、イスラエルが停戦に合意>というタイトルで、以下のように報道している。

 ――イラン当局者3人によると、パキスタンの必死の外交努力と、イランの主要同盟国である中国による土壇場での介入(イランに対し柔軟な姿勢を示し緊張緩和を求めた)を受け、イランはパキスタンの2週間の停戦提案を受け入れた。これは、重要インフラへの被害による経済的打撃への懸念が高まっていることが背景にある。当局者らは、停戦は新最高指導者モジュタバ・ハメネイ師によって承認されたと述べた。

                    (ニューヨークタイムズからの引用は以上)

 同じ48日のAP通信は<中国当局はイランに対し、米国との停戦の道を模索するよう促した>と、もっとストレートに報道している。そこには以下のように書いてある。

 ――中国当局はイランに対し、米国との停戦に向けた道筋を見出すよう促した。イラン最大の貿易相手国である中国は、イラン側と協議し、停戦合意への道筋を見出すよう働きかけた。匿名を条件に取材に応じた2人の当局者が明らかにした。当局者らによると、交渉が進展するにつれ、中国当局者はイラン当局者と連絡を取り合い、停戦合意への道筋を見出すようイランに促した。外交問題について公に発言する権限を持たない当局者の1人は、中国は影響力を行使しようと、主にパキスタン、トルコ、エジプトなどの仲介者と連携してきたと述べた。中国外務省はコメント要請にすぐには応じなかった。

 火曜日、中国外務省の毛寧報道官は、「すべての当事者は誠意を示し、そもそも起きるべきではなかったこの戦争を速やかに終結させる必要がある」と述べた。彼女は、中国は今回の紛争が世界経済とエネルギー安全保障に与える影響について「深く懸念している」と述べた。 (AP通信からの引用は以上)

 このように複数の米メディアが、イラン側からの証言として「中国が動いたために即時停戦への急転した」ことを報道しているのである。

 中国自身といえば、327日の王毅外相とパキスタンの外相との電話会談や、331日に王毅外相がパキスタンの副首相と会談して「即時停戦」など5項目の提案をしたことしか報道していない。

 トランプとのディールに使うため、あたかも「これはトランプの功績だ」と言えるようなプレゼントをしているとしか思えないのである。

◆中国にはなぜイランを説得する力があるのか

 ならば、なぜ中国にはそこまでイランを説得する力を持っているのだろうか?

 それはイランの経済収入の柱である石油の約100%に近い量を中国が購入してくれているからである。

 イランの2025GDP3565.1億ドル(IMFデータ)で、中央政府の歳入はGDP9.5%なので、約339億ドルになる。

 一方、米エネルギー情報局(EIA)が推測したイランの原油収入は2023420億ドル、2024430億ドルとなる。

 また、米中経済安全保障調査委員会のファクトシートでは、以下のように述べている。

 ――中国はイラン最大の貿易相手国であり、イラン産原油の主要な購入国である。中国による購入はイランの原油輸出量の約9割を占め、イラン政府の予算や軍事活動を支える年間数百億ドルの収入をもたらしている。(以上)

 そこで筆者独自に「イラン原油輸出における中国の比率の推移」を、米国に拠点を置く超党派の非営利団体United Against Nuclear IranIran Tanker Trackingにあるデータに基づいて図表化することを試みた。Iran Tanker Trackingでは、1回アクセスして1ヵ月のデータを1個取得する方法しかない。そこで根気よく毎月のデータを入手すべく、毎回アクセスして1データずつ入手して作成したのが図表1である。

図表1:イラン原油輸出における中国の比率推移

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United Against Nuclear IranIran Tanker Trackingに基づいてグラフは筆者作成

 2024年のイランの原油収入は430億ドルで、原油輸出における中国の比率は89.9%なので、2024年中国に原油を販売して得る収入は386億ドルとなり、イラン政府の歳入(2025年は339億ドル)の規模を上回っている。ただし、EIAの原油収入推計は国際の原油価格に基づいているのに対して、中国はイランから割引価格で購入しているため、実際の収入はもう少し少ない可能性がある。それでもなお、中国への原油輸出によって得られる収入は、イランの国家歳入値にほぼ相当する。

 これをもう少し長期的スパンで見ると、中国のイラン原油の輸入量は図表2のような推移を辿(たど)っている。

図表2:中国がイランから輸入した原油の推移(トランプ1.0の対イラン制裁以降)

chinaimportoilfromiran20172026001

公開されている各種情報から引用したケプラーデータ(実線)に基づき、20263月は中旬までのケプラー推測データ(点線)に基づき、グラフは筆者作成

 引用した報道には以下の記事がある。

 https://ifpnews.com/irans-crude-oil-shipments-china-tripled-2020/

 https://iranprimer.usip.org/blog/2019/sep/11/irans-increasing-reliance-china

 https://www.reuters.com/world/china-trade-spat-undermines-trumps-max-pressure-iran-campaign-bousso-2025-04-10/

 https://www.reuters.com/business/energy/chinas-heavy-reliance-iranian-oil-imports-2026-03-21/

 https://www.kpler.com/blog/strait-of-hormuz-watch-amid-iran-conflict-risk-tracking-crude-flows-interference-and-diversions-in-kpler

 https://www.kpler.com/blog/explainer-why-kharg-island-is-the-backbone-of-irans-oil-economy---and-its-greatest-vulnerability

 なお、20263月のデータは、ケプラーの316日の記事に基づくので、3月全体のデータではない。

 このように、イラン経済は中国によって支えられており、人民元で決済している。米国の制裁によりイランはドルを使えないからだ。36日のコラム<イラン「ホルムズ海峡通行、中露には許可」>で書いたように、だからこそイランはホルムズ海峡において中国の船舶の通航を許可し、さらに人民元で決済する船舶の通航を追加許可したのである。

 その意味でイランの戦費は「中国からの石油購入による収入がなければ成立しない」と言っても過言ではない。

 すなわち、イランは中国に「今はホルムズ海峡を開放して、戦争を一時停止しろ」と言われたら、「中国のアドバイス(指示?)に従う」という関係にあるのである。

 だからこそ、今回は「中国の指示によって即時停戦が実現した」ということになる。

 NHKをはじめ日本のメディアは、イランとアメリカの間の紛争なので、アメリカやイラン問題に詳しい専門家の話だけを聞いていればいいと思っているようだが、どの専門家も「真の理由」を知らないで「不可解ですね・・・」とか「予測がはずれました・・・」をくり返している。

 真相を知るには、もっと大局的な視点を持たなければならない。

 今回の盲点は、中国の動きを見ていなかったところにある。

◆習近平の思惑

 では最後に、習近平の思惑は何処にあるのかに触れたい。

 習近平の政治生命を懸けた最大の目標は台湾統一である。

 ここまでの蛮行をくり返すトランプのやり方は、習近平にとっては大きなプレゼントでもあり、唯一のチャンスでもある。じっと動かず観察していた習近平は、ここで意を決して動いたものと考えられる。しかもそれをトランプの手柄にするという手腕は、さすが中国数千年の戦乱の歴史が残した賜物だろう。

 晴れて北京で米中首脳会談が行われた時には、心理的に習近平に有利の立場から「台湾統一」を持ち出す。「中華民族の統一なので、口出しをしないように」と言える力関係に持っていった。

 これが習近平の唯一にして最大の目的だ。

 もちろん中東におけるイランの存在も、習近平にとっては無視できない。

 202557日のコラム<膨大な海外米軍基地が示す戦後体制 習近平は貿易で世界制覇を狙っている>に書いたように、中東諸国のほとんどの国には米軍基地があり、イランが米軍に押さえられてしまったら、中東地域が全て米国追随国になってしまう。それでは困るのである。一帯一路の理念も貫徹できなくなるしグローバルサウスを束ねようとする習近平の夢も潰える。

 2023312日のコラム<中国、イラン・サウジ関係修復を仲介 その先には台湾平和統一と石油人民元>に書いたように、中国はイランとサウジアラビアを和解させて中東諸国に和解雪崩現象をもたらした。イランを上海協力機構やBRICSにも加盟させて国際舞台に上らせ、国際秩序の中に組み込もうとした。

 そうしないと経済貿易で世界をつなごうとしている習近平の狙いが果たせないからだ。経済貿易で世界覇権を握ることによって、台湾統一の阻害要因を取り除こうとしているのである。

 奇しくもいま、台湾の国民党主席・鄭麗文が訪中しており、習近平とは10日に10年ぶりに国共党首会談を行う。習近平の思惑が凝縮されているような一日となろう。

 その思惑が米イスラエルのイラン攻撃の期限付き即時停戦をもたらしたことから、日本人は目を逸らしてはならない。

 その視線で、高市総理が何をやっているのかを見ると、世界が見えてくるだろうと願う。

 但し残念ながら、結局イスラエルはレバノンを攻撃し続けており、イランは停戦合意違反と反発してホルムズ海峡を再封鎖しようとしている。果たしてこの停戦合意がどこまで続くかは定かでない要素があることを最後に付け加えておきたい。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 イラン戦争は現在のところ、停戦になっているが、ホルムズ海峡をめぐり、イランとアメリカがお互いに海上封鎖を行い、にらみ合いという状況になっている。イラン側も石油輸出ができないということになると、世界は本格的な石油欠乏に陥る可能性が高く、非常に厳しい状態が続く。価格が上昇するだけならまだしも、物品がないという状態になることが恐ろしい。

 アメリカの外交政策の大きな潮流として、介入主義とリアリズムがあり、介入主義には、共和党系となるとネオコンサヴァティヴィズム、民主党系となると人道的介入主義がある。介入主義は海外の非民主的な国家の民主化(democratization)を求める。もっとも、アメリカの利益にかなう非民主的な国家の民主化は求められない(例:サウジアラビア、中央アジア諸国)。最悪の場合には、戦争に訴えてでも民主化するということになる。

 イランに関しては、1979年のイスラム革命によって、中東における親米の非民主的な王政から反米のイスラム共和国となって以来、アメリカの介入主義にとっては攻撃材料となってきた。1980年から1988年のイラン・イラク戦争は、アメリカがイラクのサダム・フセイン大統領を支援して、イスラム革命の拡大を防ぎ、イランの弱体化を進めるために行われた戦争だ。イスラム革命に関しては、中東地域の国々にとっても迷惑な話ということになる。

 アメリカ国内にはイラン攻撃を主張する人々がいた。今回ご紹介する論稿ではそのような人々の実名が出ている。そして、論稿の著者スティーヴン・M・ウォルト教授は、そうした人々に責任を取ることを求めている。それは何も引退せよとか筆を折ってしまえ、職を辞せよということではなく、彼らが間違っていた点を分析し、反省し、誠実にそのことを述べることである。彼らの主張を封じてしまうことではない。思想の自由、表現の自由は誰であっても守られねばならない。反省について私たちは歓迎し、その誠実さを称揚すべきである。しかし、こうしたことは非常に難しい。しかし、過ちを繰り返さない、未来において過ちの可能性を少しでも減少させるためには、間違いや誤りについて「寛容」でなければならない。

(貼り付けはじめ)

アメリカの戦争推進派エリートたちは責任を取らされるべきだ(America’s Pro-War Elites Must Be Held Accountable

―イランにおける破滅的な冒険を擁護した者たちは責任を逃れることはできない。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年4月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/04/09/america-pro-war-elites-accountable-responsibility/?tpcc=recirc_latest062921

アメリカは多くの点で優れているが、エリートたちに責任を取らせること(holding elites to account)は得意ではない。ジェラルド・フォード大統領はリチャード・ニクソンを恩赦し、ジョージ・HW・ブッシュ大統領はイラン・コントラ事件の責任者を恩赦し、バラク・オバマ大統領は拷問の違法使用を承認した者たちを訴追しなかった。ヴェトナム戦争とイラク戦争という悲惨な戦争の立案者たちは、その後も生涯にわたりエスタブリッシュメント側の尊敬される一員であり続け、場合によっては著名な機関で指導的地位や閑職に就き、望む時にいつでも外交問題について意見を述べ続けた。2008年の金融危機を引き起こした詐欺師たちも責任を問われることはなく、私たちはただ過去を水に流して前に進んだだけだった。こうした経緯を考えると、アメリカが過去の過ちを繰り返す傾向があるのも不思議ではない。

イランとの戦争はその典型的な例である。火曜日に発表された停戦が維持されるかどうかはまだ分からないが、2025年6月のイラン攻撃以降に、再び戦争に突入したことがとんでもない失策であったことは既に明らかだ。2カ月前、ホルムズ海峡は開かれており、イランは封じ込められ、その指導者たちは不人気で、石油と天然ガスの価格は低く、アメリカの兵器備蓄は豊富だった。今日、石油と天然ガスの価格は高騰し、インフレは上昇し、イランは海峡を支配し、通行料で収入を得ている。そして、イラン政府はより若くなり、より強硬路線で、国民の支持も高まっている。アメリカのミサイル備蓄は枯渇し、中東地域の主要施設のいくつかは深刻な被害を受けている。そして全世界は、自分が何をしているのか全く分かっていない衝動的な老人にアメリカが率いられていることを思い知らされた。この時点で、不必要な戦略的大惨事(an unnecessary strategic disaster)となった事態の責任者に責任を負わせることを遅らせる理由はない。

戦争という愚かな決断の責任は誰にあるのか、そして誰に責任がないのかについて、既にいくつかの予備的な見解を述べた。もちろん、第一の責任はドナルド・トランプ米大統領、イスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフ、そして彼らを支援した側近たちにある。しかし、このような決断は突如として起こるものではない。民主政治体制国家においては、愚かな選択戦争への道は、評論家、ロビイスト、補佐官、そしてその他の自称専門家によって舗装される。彼らは時に何年もかけて、戦争という名の犬を解き放てば厄介な外交問題が消え去ると政策決定者を説得しようとする。彼らの努力によって、軍事力行使という考え方が徐々に常態化し、何千もの命がかかっている重大かつ運命的な決断が、数ある選択肢の1つに過ぎないように思えてしまう。

戦争の公式はほぼ常に同じだ。まず、選んだ敵を悪の権化(the epitome of evil)であり、改革不可能な存在として描き出す。次に、戦争推進派は、作戦は迅速かつ容易で、費用もかからず、広範囲にわたる長期的な利益をもたらすと断言する。そして、残り時間がなくなりつつあり、今行動を起こさなければ悲惨な結果を招くと繰り返し警告する。彼らは、多くのものを爆破した後に犠牲となる罪のない民間人や、生き残った人々が直面する苦難については意図的に沈黙を守り、攻撃対象となっている住民は私たちの行動を歓迎するだろうと自信満々に予測する。このお決まりのパターンは、好機が訪れ、愚かな指導者が戦争推進派の主張が正しいと判断するまで、延々と繰り返される。

それでは、トランプ大統領の開戦決定を正当化するのに一役買った主要人物は誰だろうか? 『ニューヨーク・タイムズ』紙のブレット・スティーヴンスは間違いなくその1人だ。スティーヴンスは長年にわたりイランとの戦争を声高に主張しており、2003年のイラク侵攻を支持し(そして今も擁護している)のと同様である。世界有数の報道機関の要職に就く彼は、2024年に「私たちは絶対にイランへの攻撃をエスカレートさせる必要がある」と書いた。開戦前夜にも「イラン攻撃の論拠」と題したコラムでこの見解を改めて表明した。現在もなお、彼はこの戦いに全力を注いでおり、その後もコラムを執筆し、戦争は順調に進んでいると読者に保証し、アメリカの努力を緩めることを戒めている。もしあなたが税金を戦争犯罪に使われることを喜び、ガソリン価格に1ガロン6ドル以上払うことを楽しんでいるなら、彼に感謝の手紙を送っても構わない。

スティーヴンスと同様、アトランティック・カウンシルのマシュー・クローニグも、2012年の記事「イラン攻撃の時」をスタートにして、10年以上にわたりイランへの戦争を主張してきた。この記事は、戦略分析の失敗例の典型例と言えるだろう。クローニグは、戦争がどのような結果になるかという最良のシナリオと、戦争が起こらなかった場合に何が起こるかという最悪のシナリオを混同していた。クローニグはその後の著書でも同様の主張を繰り返し、以来、その見解を微塵も変えていない。2025年にも再び戦争を主張し、イランが報復措置を取ることはないだろうから、大規模な戦争に発展する危険性はほとんどないと主張した。(どうやらイランの指導者たちは彼の分析を読んでいないようだ。もし読んでいたとしても、明らかに納得しなかっただろう。)

アメリカン・エンタープライズ研究所のダニエル・プレトカ、マーク・ティーセン、マイケル・ルービンもまた、戦争の熱烈な支持者として知られている。開戦前夜、これらの筋金入りのタカ派は長時間のポッドキャスト対談を行い、トランプ大統領が政権交代(体制転換、regime change)を主導することを期待する理由を説明し、イラン政府の転覆は容易だと予測し、指導者暗殺の是非について何気なく議論した。プレトカは、戦争の費用増大とトランプ大統領の明らかな焦りにもかかわらず、依然として戦争を擁護しており、3人とも戦争による人的被害、度重なる国際法違反、あるいは戦争犯罪の可能性について、全く懸念を示していないようだ。

フーヴァー研究所のナイオール・ファーガソンも同様に責任を問われるべきだ。2003年のイラク侵攻を支持した人物にふさわしく、ファーガソンは2026年初頭のポッドキャストで、アメリカは昨年夏に始めた「仕事を完遂するべきだ(finish the job)」と述べた。ファーガソンは、「この邪悪な政権を地球上から排除することは、間違いなくイランの一般市民にとって有益であり、地域全体、ひいては世界にとっても有益となるだろう。さあ、実行しよう」と述べた。トランプ大統領がファーガソンの願いを叶えた際、ファーガソンは『フリー・プレス』誌の読者に対し、「アメリカとイスラエルによるイラン・イスラム共和国との戦争について、私が自信を持って約束できることが1つある。それは、戦争は長くは続かないということだ」と断言した。常に柔軟な姿勢を見せるファーガソンは、最近では当初の楽観論から後退し、戦争が「世界規模(global)」に拡大する可能性について疑問を呈しているようだ。戦争を煽る前に、その可能性についてもう少し考えてくれていたらよかったのにと思う。

ジャック・キーン退役大将(四つ星)も注目に値する。他の退役軍人たちは今回の戦争の是非を問うているが、キーン大将は特に一貫して戦争を支持してきた。開戦前、彼はフォックス・ニューズに対し、軍事力行使は「最善の選択肢(the best option)」であり、政権交代のための「歴史的な機会(historic opportunity)」だと述べた。開戦後もキーン大将は戦争を擁護し続け、トランプ大統領の決定を称賛し、戦争はすぐに終結すると予測している。

対イラン好戦主義者について語る上で、マーク・デュボウィッツと、彼が率いる民主政治体制防衛財団(the Foundation for Defense of DemocraciesFDD)の様々な関係者を外すことはできない。イスラエル・ロビー(the Israel Lobby)の主要組織であるFDDは、イランのウラン濃縮能力と濃縮ウランの備蓄量を大幅に削減し、イランが核兵器を開発するまでの時間を延長するはずだった包括的共同行動計画(核開発合意、JCPOA)に最も積極的に反対した組織の1つだ。当初の合意を阻止できなかったFDDは、イランが完全に合意を遵守していたにもかかわらず、トランプ大統領が最初の任期中にJCPOAから離脱し、聖職者政権を打倒することを目的とした「最大限の圧力(maximum pressure)」政策を採用するよう説得するのに貢献した。批評家たちは、合意を破棄すればイランはウラン濃縮を再開し、核兵器開発に近づく(そして実際にそうなった)ことになり、アメリカは最終的に武力行使という決断を迫られ、現在我々が経験しているようなあらゆる悪影響が生じるだろうと警告した。しかし、デュボウィッツはその可能性について考慮せず、2月初旬に前米公共ラジオに対し、アメリカは「まず攻撃し、それから話し合うべきだ(strike first and then talk)」と語った。それ以来、トランプ大統領の判断ミスや、戦争が世界中でもたらした人的被害を示す証拠が増えているにもかかわらず、FDDは一貫して戦争を応援し続けている。

そして、第一次トランプ政権で米国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたジョン・ボルトンも挙げられる。ボルトンはトランプ大統領の戦争対応を含め、トランプを厳しく批判するようになったが、イラン政権打倒のための武力行使を長年支持し、ワシントンとテヘランの関係改善に向けた外交努力に反対してきた。2015年の核開発合意に反対し、トランプ政権1期目の失敗に終わった「最大限の圧力(maximum pressure)」キャンペーンを支持し、2026年3月初旬にはPBSのインタヴューで、2月の開戦決定は「完全に正当化される(totally justified)」と述べ、「20年前に開戦していれば、世界はもっと安全だっただろう」と続けた。したがって、トランプ大統領と対立したとはいえ、ボルトンはこの戦争を引き起こした人物の1人として挙げるべきだろう。

2026年2月28日以前にイラン攻撃を主張し、その後も戦争を擁護し続けている著名人は、これらの名前だけではない。リンジー・グラハム連邦上院議員やトム・コットン連邦上院議員といった共和党の政治家、そしてフォックス・ニューズのマーク・レヴィンやショーン・ハニティといったコメンテーターは、ここでは除外した。世界経済や、より深刻な国家安全保障上の課題への対応能力に甚大な影響を与えるにもかかわらず、アメリカの指導者たちが再び中東地域における無期限の紛争を開始するという政治的風潮を作り出した、他にも重要な人物が間違いなくいるだろう。私のリストに名前を追加して、彼らのうち誰かが最終的に自分たちの助言が間違っていたと認めるかどうかを確かめて欲しい。

もし戦争が本当にアメリカの大敗で終わるとしたら、現状ではその可能性が極めて高いように見えるが、戦争を推進した人々は、戦争は正しい判断だったと主張し、トランプ大統領、ピート・ヘグセス国防長官、マルコ・ルビオ国務長官、JD・ヴァンス副大統領たちを、彼らの巧妙な計画を適切に実行できなかったとして非難するだろう。しかし、この言い訳は通用しないだろう。攻撃命令が出る前からトランプ政権の無能さは明らかだったし、戦争が順調に進むと信じる理由はほとんどなかったからだ。

アメリカ人が同じ過ちを繰り返さないようにするには、こうした悪質な助言を繰り返す人間たちの意見に耳を傾けるのを大幅に減らす必要がある。確かに、説明責任(accountability)を求めるあまり行き過ぎてしまうこともある。外交政策は不確実なものであり、誰もが常に正しい判断を下せるわけではないからだ(私も含めて)。しかし、分別のある人は過ちを認め、経験から学ぶ。一方、イデオロギーに凝り固まった人や活動家は、ますます頑固になる傾向がある。同じ処方箋を繰り返し提示し、毎回同じように悪い結果を招き、決して学ぼうとしない人がいるなら、別の助言を求めるべき時だ。

ここは依然として自由な国であり、今回の愚かな戦争を煽った者たちを訴追したり、解雇したり、罰したり、その他の形で虐待したりすべきだと言っている訳ではない。ジョン・スチュアート・ミルが「思想と議論の自由(the liberty of thought and discussion)」と呼んだものが、長期的にはより良い政策を生み出すと今でも信じているし、意見の異なる見解を抑圧しようとするべきではない。しかし、表現の自由と反対意見への寛容さを守ることは、全ての声に等しく注目したり、同等の重要性を与えたりすることを要求するものではない。

誤った助言を繰り返す人々に責任を問う第一歩は、誰がそのようなことをしているのかを特定し、彼らの発言を記録することだ。私がこのコラムを書いたのもそのためだ。今後、記事のために専門家の助言を求める記者が、名簿にあるお馴染みの名前ばかりに頼るのではなく、もっと多様な意見に耳を傾けるようになることを期待したい。学術誌の編集者は、好戦的な論客の投稿をより懐疑的に扱うべきであり、啓発的な解説を求めるニュースネットワークやポッドキャスターは、こうした失敗した預言者を今よりも頻繁に取り上げるべきではない。そして何よりも重要なのは、困難な外交問題について賢明な助言を求める政策立案者は、他者の洞察と助言に頼るべきだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 今でも、なぜトランプがイラン回線に踏み切ったのかということには様々な説明がなされるが、どれも一長一短あり、専門家たちの専門的な知見や経験に基づいた説明は一面的であり、バイアスがかかり、ヴェクトルがかかっているものだ。アメリカやイスラエルひいき、イランひいきや反アメリカといった立場で説明する内容は全く異なる。また、どの情報に焦点を当てるかということでも違ってくる。これが一番という説明はない。できるだけ多くの説明を見て聞いて、読んで、自分で判断するしかない。もしくはそれらを総合するしかない。そこには素人と玄人の大きな差は存在しない。

 それでも、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がドナルド・トランプ米大統領の決断に大きな役割を果たしたことは間違いない。ネタニヤフがトランプに対して行ったことは以下の通りだ。(1)ネタニヤフはイランが核兵器を増強しようとしている(2025年後半からは再び増強しようとしている)と説得し続けた(2025年に6回の訪米)、(2)2025年6月の12日間のイラン攻撃が予想外の大成功した(トランプは消極的だったが成功したことで自身の功績と主張)、(3)ネタニヤフが2025年7月にホワイトハウス訪問時にノーベル平和賞推薦状を手交した、(4)2025年12月にイスラエルとユダヤ人への貢献を讃えて、「イスラエル賞」を贈呈(反ユダヤ主義との闘い、イスラエルの自衛権支持、アラブ諸国との国交正常化への貢献を理由にして)。トランプの歓心を買い、トランプにイスラエルの意向を実現させるというところまで、ネタニヤフはトランプを「誘導」した。

 そして、私が極め付きだと考えたのは、「イランを徹底的に叩いて、体制転換までさせることに成功すれば、これが中東地域における最後の大きな戦争ということになり、それ以降、アメリカはイスラエルに巨額の軍事支援(年間数兆円規模)をしなくて済む」というネタニヤフの殺し文句だ。中東地域において、最後の大きな戦争を実施して勝利し、イランの核兵器開発能力を除去し、体制転換、民主化を実現し、イスラエルの安全保障環境の改善と中東地域の安定に貢献するということになれば、トランプ大統領は「偉大な大統領」として、歴史に名を残すことになる。これはトランプの肥大化した自尊心を大いに満足させる内容だ。そのために、様々なリスクや懸念を振り払い、戦争を決断したということになるだろう。そこまでトランプを誘導したネタニヤフは見事と言うしかない。

しかし、現実は甘くない。目論見が外れ、戦争は膠着状態に陥り、イランはホルムズ海峡封鎖一本で勝負を挑んでいる。アメリカとイスラエルは、トランプとネタニヤフの賭けのために、現在は不利な状況にある。それでも、ホルムズ海峡のアメリカ軍による封鎖ということで、何とかイーヴンに持ち込もうとしている。この状況で、何とか和平交渉を進め、停戦を実現することが世界のためである。そして、そのために裏方で動いているのが中国である。こうして見ると、世界の構造が大きく変化していることが分かる。アメリカは世界の警察官や仲介者としての役割から外れている。平和の構築者として中国が台頭しつつある。世界構造の大変化を私たちは目撃している。

(貼り付けはじめ)

トランプは、ネタニヤフが約束した「容易な」イラン戦争の現実を全く理解していなかったのか?(Was Trump oblivious to the realities of Netanyahu’s promised ‘easy’ war on Iran?

-アメリカ政府高官たちは、ネタニヤフ首相の主張は誇張されており、イスラエルにとって広範囲に及ぶ影響を及ぼす可能性があると考えている。

ピーター・ベアウモント筆

2026年4月6日

『ザ・ガーディアン』紙

https://www.theguardian.com/world/2026/apr/06/trump-iran-war-netanyahu-israel

昨年12月29日、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がドナルド・トランプの所有するマール・ア・ラゴ・クラブに到着した際、イスラエル首相は訴えと、それとなく示唆的な誘いを携えていた。

2025年6月の12日間にわたるイラン核戦争でアメリカがイランの核施設爆撃に参加した後、数カ月にわたり防空システムやその他のミサイルを補充してきたイスラエルは、今度はより具体的な目標を掲げ、再び攻撃に臨む準備を整えていた。

両首脳が主催した記者会見で、トランプ大統領はネタニヤフ首相のいつもの発言を忠実に繰り返したように見えた。「イランが再び核兵器を増強しようとしていると聞いている」とトランプは述べた。「そうなれば、私たちはイランを叩き潰さなければならない。徹底的に叩き潰すだろう。だが、そうならないことを願っている」と続けた。

イスラエルの指導者ネタニヤフは、過去の指導者たちと同様に、トランプ大統領の自尊心に訴える切り札を用意していた。それは、イスラエルとユダヤ民族への多大な貢献を称え、イスラエル最高栄誉である「イスラエル賞(Israel Prize)」を授与することだった。この賞は、イスラエル人以外にはめったに授与されない。

『アトランティック』誌によると、ネタニヤフ首相は、取引主義で知られるトランプ大統領に対し、もう一つのメリットを提示した。イランを打ち負かすことで、イスラエルはアメリカからの軍事援助への莫大な依存から脱却できるというのだ。

複数の報道が明らかにしているように、この会談は、ネタニヤフ首相とトランプ大統領がその後数週間にわたって行った数多くの接触の1つに過ぎなかった。ネタニヤフ首相は、前回の戦闘よりもはるかに壮大な野望を掲げ、イランとの全面的な紛争に対するアメリカの参加を確約しようとしていた。

イスラエルの諜報機関モサドが作成した評価によると、脆弱で国民の支持を得られていないイラン政権は、国内の抗議活動によって揺らぎ、崩壊寸前の状態にあった。イラン国民は、これらのデモに対する致命的な弾圧に激怒していた。

これは、短期間の作戦で歴史的な好機となるはずだった。一部の報道によれば、イスラエル首相が提示したもう一つの利点は、トランプ大統領がイランによる暗殺計画への報復を果たせることだった。

その後明らかになったことからはっきりしているのは、イランに関する自称「専門家(expert)」であるネタニヤフ首相と、イスラエル軍の幹部たちは、容易な戦争という彼らの主張に全力を注いでいたということだ。

戦争初日の2月28日、匿名の複数のイスラエル政府当局者は『ハアレツ』紙に対し、イランの最後のミサイル発射装置が破壊されれば、イランの脅威は数日で収束するだろうと説明した。

同紙の別の記事では、イスラエルの軍事計画担当者は、せいぜい3週間で終わると想定した戦争のためにミサイル迎撃ミサイルを備蓄していたと報じた。

この紛争を独立した紛争として捉えると、イスラエルだけでなくアメリカも関与していると言えるが、イスラエルの戦争の一部であり、2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃以来、ネタニヤフ首相が展開する「恒常的紛争状態(state of permanent conflict)」における最新の戦線である。

この攻撃は、イスラエルの戦略的計算を根本から変えた。そして、ガザ地区、レバノン、そしてイランへと拡大する地域紛争、イエメンのフーシ派、シリア内陸部における紛争において、共通のテーマが浮かび上がってきた。それは、ネタニヤフ首相が勝利を約束し宣言するものの、現実は常に儚く、傲慢なものに過ぎないということだ。

ガザ地区では、凄惨な死と破壊の惨劇にもかかわらず、衰退したハマスは依然として廃墟の中に生き残っている。ヒズボラが敗北したと宣言されたレバノンでは、同組織は国境を越えてロケット弾を発射する能力を維持しており、イスラエルはかつて失敗し、ヒズボラの台頭を招いたのと同じ、レバノン南部占領政策に再び陥っている。

イランでは、最高指導者アリ・ハメネイ師をはじめとする高官が殺害されたにもかかわらず、「首脳部排除(decapitation)」戦略はネタニヤフ首相が約束したような迅速な政権交代には繋がらず、少なくとも今のところは、イスラム革命防衛隊(the Islamic Revolutionary Guards Corps)を中心とした政権の強化という結果に終わっている。

影響力と説得力の正確な力学は依然として不明瞭だが、トランプ政権高官の間でも、ネタニヤフ首相が過剰な約束をしたという認識が広まっていることは明らかだ。特に、副大統領のJD・ヴァンスとネタニヤフ首相の間で交わされたとされる、その点について議論が交わされたとされる険悪な会話の内容が、その認識を強めている。

先週、Axiosはネタニヤフ首相の愛称を用いたアメリカの情報筋の話として、「開戦前、ネタニヤフ首相は政権交代が実際よりもはるかに容易だと大統領に説得した。副大統領はそうした発言の一部について冷静に見ていた」と報じた。

しかし、より慎重な見方をする者もいる。元駐イスラエル米大使のダニエル・C・カーツァーと、カーネギー国際平和財団のアーロン・デイヴィッド・ミラーは、トランプを「意欲的で全面的に協力するパートナー(a willing and full partner)」と評した。

カーツァーとミラーは次のように指摘している。「トランプはリスクを厭わず、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を追い落した後、自ら作り出した軍事力と無敵のオーラに酔いしれていた。ネタニヤフ首相が紛争のタイミングを決定した可能性はあるが、トランプはおそらく既に戦争への道を歩み始めていた」。

戦争が2カ月目に突入し、終結の見通しが立たない中、ホルムズ海峡の封鎖によって世界経済が混乱に陥る中、ネタニヤフ首相の「容易な」戦争という約束がもたらした悪影響は、周辺地域をはるかに超えて広がっている。

その点において、長年にわたり紛争を支持してきたネタニヤフ首相の役割に対する認識は、トランプ大統領自身の積極的な関与と同様に重要である。

安全保障専門家のリチャード・K・ベッツとスティーヴン・ビドルが先週の『フォーリン・アフェアーズ』誌に寄稿したように、「開戦からわずか数週間で、この戦争は数十億ドルもの直接支出を招き、ウクライナへの支援を縮小させ、アメリカの最新鋭兵器の在庫に危険なほどの負担をかけ、世界経済に衝撃を与えた」。

また、この紛争はNATOの力を弱体化させると同時に、中国、ロシア、北朝鮮を勢いづかせる可能性もある。ネタニヤフ首相は聖書になぞらえてイランに「十の災い(10 plagues)」を下すと豪語しているが、イランとヒズボラのミサイルが依然としてイスラエルに着弾している現状を考えると、過越祭は防空壕に目を光らせながら過越祭を過ごさなければならないだろうと一部の人々は認識している。

ネタニヤフ首相とイスラエルにとって、外交と世論の面で長期的な影響が生じる可能性が高く、これはイラン問題と並んで、長年イスラエル首相を悩ませてきた問題である。

多くの外国の首都で既に警戒、あるいは露骨な不信感をもって見られているネタニヤフ首相と彼の戦争は、トランプが仲介したアブラハム合意という形で築かれたイスラエルとペルシア湾岸諸国との緊張緩和を脅かしている。

ランド研究所戦略・ドクトリン・プログラム責任者であるラファエル・コーエンは、「一部のアラブ諸国は、自らが望んでいない戦争に巻き込まれたとしてイスラエルを非難する可能性がある」と述べた。コーエンはさらに、トランプ大統領とネタニヤフ首相が約束したように中東地域の地政学的状況は変化するかもしれないが、「少なくともイスラエル側につく国々という点においては、事態が収束した後には大きく様変わりする可能性がある」と指摘した。

ペルシア湾岸諸国以外では、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が先週、アメリカとイスラエルによるイランへの攻撃はテヘランの核開発計画に対する永続的な解決策にはならないという、より広範な見解を反映した発言をした。

マクロン大統領は韓国で、「たとえ数週間であっても、標的を絞った軍事行動では、核問題を長期的に解決することはできない」と述べ、ホルムズ海峡を開放するための軍事作戦は「非現実的(unrealistic)」だと批判した。「外交的・技術的な交渉の枠組みがなければ、状況は数カ月後、あるいは数年後に再び悪化する可能性がある」と付け加えた。

アメリカでは、各種世論調査によると、イスラエルへの支持は政治的立場を問わず低下しており、特に民主党支持者と若年層で顕著である。アメリカとイスラエルによるイラン攻撃の前日に発表されたギャラップ社の調査によると、ギャラップ社が2001年にこの質問の調査を開始してから初めて、アメリカ国民のパレスティナ人に対する同情度がイスラエル人に対する同情度を上回ったことが明らかになった。

その後も、この低下傾向はアメリカのユダヤ系有権者の間でも続いている。Jストリートが委託した調査では、ユダヤ系有権者の60%がイランへの軍事行動に反対し、58%がアメリカの国力を弱体化させると考えていることが分かった。また、3分の1が、この戦争はイスラエルの安全保障を弱体化させると考えていると回答した。

2009年から2010年までバラク・オバマ大統領のホワイトナイト大統領首席補佐官を務め、元駐日米大使でもあるラーム・エマニュエルは、『セマフォー』誌の取材に対し、将来的にはイスラエルがアメリカの軍事支援の唯一の受益国としての地位を失う可能性があると語った。

「彼らは、私たちの兵器を購入する他のどの国とも同じように制限を受けることになるだろう。イスラエルは他の国と同じ扱いになるだろう。……今は状況が全く違う。そして、アメリカの納税者があなたたちのために費用を負担することはないだろう」。

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ドナルド・トランプ側近の中でイラン攻撃に最も懐疑的な声を上げていたのがヴァンス:『ニューヨーク・タイムズ』紙報道(Vance most skeptical voice in Trump’s inner circle on Iran strikes: New York Times report

マックス・レゴ筆

2026年4月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5820244-vance-warns-iran-war-chaos/

ニューヨーク・タイムズ紙が火曜日に報じたところによると、JD・ヴァンス副大統領はドナルド・トランプ大統領によるイランへの全面攻撃承認に反対していた。

ジョナサン・スワンとマギー・ハーバーマンが発刊予定の著書『政権転覆(体制転換):ドナルド・トランプ皇帝大統領の内幕(Regime Change: Inside the Imperial Presidency of Donald Trump)』で詳述している新たな調査によると、ヴァンス副大統領はアメリカがイスラエルと連携してイランに対する政権転覆(体制転換)戦争を開始することに懐疑的な見解を示していた。

ザ・ヒル誌はホワイトハウスとヴァンスのオフィスにコメントを求めた。

イラク戦争に従軍した元米海兵隊員であるヴァンスは、2024年の大統領選挙前にイランと戦争することに反対していた。

ヴァンスは2024年10月にコメディアンのティム・ディロンに次のように語った。「私たちの利益は、イランと戦争をしないことにあると私は堅く信じている。それは膨大な資源の浪費となり、我が国にとって莫大な費用がかかるだろう」。

スワンとハーバーマンの最新の報道によると、ヴァンス副大統領は現在進行中の戦争に至るまでの過程で、同様の主張を繰り返していた。トランプ大統領が1月にイラン政府に対し、抗議デモ参加者を殺害しないよう警告した際、ヴァンス副大統領はトランプ大統領に対し、全面的な作戦(a full-scale operation)ではなく、限定的な懲罰的攻撃(a limited, punitive strike)を承認するよう促した。

トランプ大統領が後者の選択肢(全面的な作戦)に固執していることが明らかになると、ヴァンスは圧倒的かつ効率的な方法で選挙運動を展開すべきだと主張した。報道によると、ヴァンスは他の政権幹部たちの立ち会いのもと、トランプに対し、イランとの戦争は地域的な混乱と多数の犠牲者を生む可能性があると伝えたという。

アメリカに拠点を置く人権活動家通信社(HUNRA)によると、月曜日の時点で、紛争勃発以来、少なくとも248人の子供を含む1665人の民間人がイランで死亡している。また、イランの攻撃によりアメリカ軍兵士7人が死亡し、先月イラクで空中給油機が墜落した事

ヴァンスはさらに、2024年の大統領選でトランプ・バンス陣営を支持した有権者たちは、自分たちが新たな戦争を起こさないと約束したことを理由に、裏切られたと感じるだろうとトランプ大統領に伝えた。

タッカー・カールソンやマージョリー・テイラー・グリーン前連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)といった保守派の著名人がイラン戦争を批判する一方で、先月実施されたCBSニューズ・YouGovの世論調査では、自らを「MAGA共和党員」と認識する回答者の75%が、イランに関する大統領の意思決定について「大いに」信頼をしていると答えた。

報告書によると、ヴァンス副大統領はイランとの戦争がアメリカの軍需物資備蓄にどのような影響を与えるかについても懸念を示した。米統合参謀本部議長ダン・ケイン大将も、この作戦が備蓄に及ぼす影響について詳細に説明したが、トランプ大統領が「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦」を承認すべきかどうかについては意見を述べなかった。

報告書はまた、ヴァンス副大統領が2月11日にホワイトハウスで行われたトランプ大統領、政権幹部、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相、イスラエル当局者との会合に出席していなかったと述べている。当時、副大統領はアゼルバイジャンに滞在しており、イルハム・アリエフ大統領と会談していた。

報道によると、トランプ政権幹部の中には、この紛争について異なる見解を持つ人物たちもいた。ピート・ヘグセス国防長官はイランへの攻撃を最も強く主張していた一方、マルコ・ルビオ国務長官は「どちらとも言えない」立場だったとされている。

しかし、イラン戦争が始まって以来、ルビオ長官は、アメリカはイランが核兵器を開発することを阻止し、弾道ミサイル計画を破壊することを目的としていると主張し、戦争を正当化してきた。

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イランとの戦争に踏み切った決断:ドナルド・トランプ大統領は何を考えていたのか?(The Decision to Go to War with Iran: What Was Trump Thinking?

ウィリアム・キーナン筆

2026年4月12日

『タイムズ・オブ・イスラエル』紙ブログ

https://blogs.timesofisrael.com/the-decision-to-go-to-war-with-iran-what-was-trump-thinking/

ドナルド・トランプ大統領が2月下旬にイランへのアメリカ・イスラエル共同攻撃を承認した決定は、その決定に至った経緯や大統領の思考を形成した要因について激しい議論を巻き起こした。この出来事を最も詳細に再現したのは、トランプ大統領の側近に深く関わっていると広く見なされている『ニューヨーク・タイムズ』紙のマギー・ハーバーマン記者とジョナサン・スワン記者の報道である。彼らの記事は、近刊予定の著書『政権交代:ドナルド・トランプ皇帝型大統領の内幕(Regime Change: Inside the Imperial Presidency of Donald Trump)』のための取材に基づいている。ホワイトハウスは記事の内容を確認しておらず、トランプ政権当局者も詳細を裏付けていない。しかし、彼らの報道は、攻撃に至るまでの内部力学と、大統領の判断を左右した、相反する圧力について、入手可能な最も明確な説明を提供している。

彼らの再現によると、決定的な瞬間は2月11日に訪れた。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が、ホワイトハウスのシチュエーションルームでトランプ大統領と側近に対し非公開のブリーフィングを行った時である。シチュエーションルームは、外国首脳との直接会談にはほとんど使われない場所である。ネタニヤフ首相は数カ月にわたり、アメリカに対しイランへの大規模攻撃に同意するよう働きかけており、今回のプレゼンテーションは、長年の敵対国を排除し、中東の戦略的状況を再構築する機会として位置づけられた。会合は情報漏洩を防ぐため意図的に小規模に抑えられ、他の閣僚らは会合が開かれていることすら知らされていなかった。特に目立ったのは、外交訪問でアゼルバイジャンに滞在していたJD・ヴァンス副大統領の欠席である。急な招集のため、彼は間に合わなかった。出席者には、スージー・ワイルズ首席補佐官、マルコ・ルビオ国務長官、ピート・ヘグセス国防長官、ダン・ケイン統合参謀本部議長、ジョン・ラトクリフCIA長官、ジャレッド・クシュナー、スティーヴ・ウィトコフ特使たちがいた。

●ネタニヤフ首相の立場(Netanyahu’s Position

ネタニヤフ首相のプレゼンテーションは約1時間続き、出席者によると、自信に満ちた単調な口調で行われた。彼の主張は4つの要素から成っていた。イランのミサイル能力は数週間以内に破壊できる、イラン政権はホルムズ海峡を封鎖できない、モサドの秘密支援を受けた街頭デモが再開され、政権交代につながる可能性がある、そしてクルド人戦闘員がイラクから地上戦線を開く可能性があるというものだった。イスラエル側は、イラン最後のシャーの亡命中の息子で、アメリカとイスラエルに戦争開始を強く求めていたレザ・パラヴィーを含む、神権政治後のイランの指導者候補のヴィデオモンタージュを上映した。ネタニヤフ首相は、イランの指導部は脆弱で、軍事力は過剰に拡大しており、国民は反乱の準備が整っていると主張した。彼はトランプ大統領に対し、リスクは管理可能であり、戦略的な見返りは計り知れないと断言し、切迫感と必然性を伝えた。同席者が潜在的なリスクを指摘すると、彼はそれらを認めつつも、1つの核心的な点を強調した。それは、何もしないことのリスクは行動することのリスクよりも大きいという彼の見解だった。

●トランプの立場(Trump’s Position

ネタニヤフ首相が売り込みに苦労したとすれば、報道はトランプを熱心な買い手として描いている。トランプのイランに対する見解は以前からタカ派的だった。彼は数年前に核合意から離脱し、この会談の8カ月前にイランの標的への大規模攻撃を命じ、イランを対峙すべきテロ国家と繰り返し表現していた。ネタニヤフ首相がプレゼンテーションを終えると、トランプは「私には良い考えだと思える(Sounds good to me)」と簡潔に賛同した。側近たちはこれをほぼゴーサインと解釈し、報道はトランプの反応が、彼が以前から抱いていたイランへの敵意と、強く自信に満ちた外国の指導者に好意的に反応する傾向の両方を反映していると示唆している。

ハーバーマン記者とスワン記者は、トランプが自身の情報・諜報機関関係者の慎重な意見を軽視する傾向があると指摘している。トランプは情報・諜報機関関係者を、しばしば過度に微妙なニュアンスを帯びていたり、悲観的すぎたりしていると見なしているのだ。彼はこれまで、大胆かつ簡潔な解決策を好む傾向を示しており、時には断固とした外国の国家元首の保証をより信頼してきた。報道によれば、ネタニヤフ首相の確信はトランプ大統領の直感と一致しており、大統領は当初からこの計画を受け入れたという。注目すべきは、トランプ大統領が2月26日に上級補佐官たちに正式に意見を求めた時(攻撃の最終命令を出す2日前)、ニューヨーク・タイムズが引用した複数の補佐官によると、彼はすでに数週間前に事実上決断を下していたということだ。

●へぐセス国防長官の立場(Hegseth’s Position

ピート・ヘグセス国防長官は、トランプ大統領の側近の中で最も熱心に戦争を主張していた人物だった。トランプ大統領が最終命令を下す2日前、ヘグセス長官は集まった関係者に対し、「いずれイランを何とかしなければならないのだから、今やってしまえばいい」と述べた。彼の姿勢は、出席していた他のほとんどの当局者が示した懐疑的な見方とは対照的であり、報道では彼が行動を促す最も強い内部の推進者であったとされている。

●ヴァンス副大統領の立場(Vance’s Position

JD・ヴァンス副大統領は、2月11日のシチュエーションルームでのブリーフィングには出席していなかった。ネタニヤフ首相が提案を行った時、彼はまだアゼルバイジャンに滞在していた。翌日の2月12日、アメリカ政府当局者のみによるフォローアップ会議でヴァンスは帰国し、ネタニヤフ首相の計画についてより広範な議論に参加した。報道によると、ヴァンスはトランプ大統領に対し、イランとの戦争は恐ろしい考えだと直接伝えた唯一の高官だった。ヴァンスは、地域的な混乱、多数の死傷者、そしてトランプ大統領の反介入主義支持者を敵に回すという政治的リスクについて警告した。彼らはこの決定を裏切りとみなすだろうとヴァンスは述べた。また、ヴァンスは軍需物資の問題についても懸念を示した。生存への強い意志を持つ政権との戦争は、将来の紛争においてアメリカをはるかに不利な立場に置く可能性があると指摘した。

報道は、トランプ大統領の方針が明確になるにつれて、ヴァンスの立場が変化していった様子を捉えている。当初、彼は一切の攻撃に反対していた。何らかの介入が避けられないと判断されると、彼はより限定的な行動へと舵を切ろうとした。そして、大規模な作戦が確実視されるようになると、目標を迅速に達成するためには圧倒的な武力をもって作戦を実行するべきだと主張した。ヴァンス副大統領の反対意見にもかかわらず、トランプ大統領の方針は変わらなかった。

●ルビオ国務長官の立場(Rubio’s Position

マルコ・ルビオ国務長官は、政権交代の実現可能性について明確な懐疑的な見解を示した。2月12日のフォローアップ会議で、ラトクリフCIA長官が政権交代のシナリオを「茶番劇」と評した後、ルビオは口を挟み、「言い換えるならば、でたらめということだ(In other words, it’s bullshit.)」と率直に述べた。しかし、ルビオはトランプ大統領の決定に直接反対したり、大統領に強く反対意見を述べたりはしなかった。報道によると、彼は最終的には大統領の直感に従ったとされており、これは戦時内閣の懐疑的なメンバーのほとんどと同様であった。

●ケイン米統合参謀本部議長の立場(Caine’s Position

米統合参謀本部議長ダン・ケイン大将は、作戦上の根拠に基づいた最も的確な警告を発した。ケイン大将はトランプ大統領に対し、ネタニヤフ首相が爆撃作戦で達成できることを「過度に売り込みされている(oversold)」と述べ、率直に次のように述べた。「大統領閣下、これは私の経験上、イスラエル軍の常套手段です。彼らは過度に売り込みを行い、計画は必ずしも十分に練られている訳ではないのです」。その後の数日間、ケイン大将はトランプ大統領に、報道によれば「憂慮すべき軍事的評価(alarming military assessment)」を伝えた。イランとの戦争は、ウクライナとイスラエルへの関与で既に逼迫しているアメリカの兵器備蓄、特にミサイル迎撃ミサイルの備蓄を大幅に減少させるだろう、というものだ。ケイン大将はまた、ホルムズ海峡の安全確保の途方もない困難と、イランが海峡封鎖に動くリスクについても指摘した。トランプ大統領は、イランがそのような事態になる前に降伏するだろうと想定し、この可能性を一蹴した。

●ラトクリフCIA長官の立場(Ratcliffe’s Position

ジョン・ラトクリフCIA長官は、イスラエルの計画の前提を体系的に解体した。彼は、迅速な攻撃によって政権交代を達成するという考えを「茶番(farcical)」と断じ、イランの政治体制は強固で、その治安機関は深く根付いていると主張した。ラトクリフの評価は、イランの現政権は不人気ではあるものの構造的に強固であるという情報・諜報機関の長年の見解を反映している。2月12日のラトクリフのブリーフィングでは、ネタニヤフ首相のプレゼンテーションを4つの構成要素に分解し、率直な結論を示した。ハメネイ師の殺害とイランの軍事力投射能力の低下は達成可能とみなされたものの、政権交代は現実的な目標ではないとされた。報道によると、トランプ大統領は、これまで複雑すぎると考える情報機関の評価を軽視してきたように、これらの警告を軽視したようだ。

●結論(Conclusion

ネタニヤフ首相はイラン攻撃売り込みに苦労したが、トランプ大統領は熱心に受け入れた。イランに対するトランプの見解は既にタカ派であり、8カ月前にはイランの標的への大規模攻撃を命じていた。この報道で最も重要な点は、トランプ大統領が自身の補佐官や情報機関関係者からの3つの具体的な警告を無視したとされることだ。その3点とは、政権交代の実現可能性、イランがホルムズ海峡を封鎖する可能性、そして戦略目標達成に必要な時間とコストだ。少なくともホルムズ海峡に関しては、その後の出来事が補佐官たちの指摘が正しかったこと、そしてトランプ大統領の判断が間違っていたことを証明した。

このパターンは、トランプ大統領の意思決定に関するこれまでの報告と一致する。彼はしばしば、複雑すぎると考える情報・諜報機関の評価を退け、代わりに、自身が強いと考える指導者が提示する大胆で単純化された回答に傾倒してきた。今回の報道によると、ネタニヤフ首相の自信は、イエスと答える傾向のある大統領、行動を急ぐ国防長官、そして(ヴァンス副大統領という例外を除いて、懐疑的な閣僚たちでも最終的に対立するのではなく譲歩したという状況に遭遇したようだ。こうした力関係の結果は、今もなお明らかになりつつある。

※ウィリアム・キーナン:中東地域情報・諜報アナリスト(引退)で、NATOと米国防総省勤務経験を持つ。15年以上にわたり、中東地域・北アフリカ地域に駐在した。著書に『アラビア王国での9年間(ARABIA - Nine Years in the Kingdom)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年2月28日に始まったイラン戦争は4月8日にパキスタンのシャバーズ・シャリフ首相がアメリカとイランの2週間の停戦を発表し、11日にはパキスタンのイスラマバードでアメリカのJD・ヴァン副大統領とスティーヴ・ウィトコフ特使、ドナルド・トランプ大統領の娘婿ジャレッド・クシュナー、イランのモハンマド・ガリバフ国会議長とアッバース・アラグチ外相による21時間に及ぶ交渉が行われたが合意に達しなかった、12日にはトランプ大統領がアメリカ海軍によるホルムズ海峡封鎖を発表し、実施されている。状況は動いている。

 今回の一時的ではあるが停戦合意に至ったのは中国によるイランへの働きかけがある。トランプ大統領は4月7日に「中国からイランに働きかけがあったと聞いている」と発言している。また、パキスタンのシャリフ首相も中国の働きかけがあったことを認めている。

 イランは、今回の戦争において、ホルムズ海峡封鎖という武器を最大限に使ってアメリカとイスラエルに対抗している。ホルムズ海峡封鎖一本での勝負という状況になっている。イランのイスラム革命防衛隊は開戦直後にホルムズ海峡封鎖を実施したが、イランの許可した民間船舶は航行可能であり、実際にはイランのタンカーは通過している。これは、アメリカ側がイランの石油輸出を認めてきたからでもある。それでも、石油価格高騰により、世界経済に悪影響が出ており、日本も例外ではない。イランの石油輸出先はほぼ中国という状態で、中国は石油を確保することができた(イスラム革命防衛隊は人民元払いの民間タンカーの航行を最初から認めていた)。それでも、石油価格高騰は中国にとっても頭が痛い。3月中旬の全国人民代表大会(全人代)では経済成長率の目標を引き下げたが、その数字にも悪影響が出る。中国としては停戦とホルムズ海峡の航行自由の回復は必要であった。

 そのために、中国はイランに働きかけを行い、2週間の停戦を実現させた。そして、和平交渉まで進むことができたが、合意に至らなかった。その後に、トランプ大統領は、アメリカ海軍によるホルムズ海峡封鎖を発表した。これは、イラン側のタンカーの航行を認めないということになる。そして、中国向けのタンカーが航行できないということも意味する。

 これまでホルムズ海峡封鎖はイラン側の武器として使われてきた。それによって、アメリカとイスラエル側は圧されてきたが、アメリカ側もイラン側を封鎖することで、チキンゲームの様相を呈することになった。イラン側も、そして、中国も痛みを伴うということになる。

 私は、トランプ大統領によるホルムズ海峡封鎖によって、様相は、1962年のキューバミサイル機器(Cuban Missile Crisis)に近づいたと考えている。米ソ冷戦の最盛期、ソ連がキューバにミサイル基地を建設し、核兵器を持ち込むということになり、アメリカ側はそれを阻止するということになり、海上封鎖(検疫 quarantine と称した)を実施したが、世界は核戦争の一歩手前まで進んだ。それでも、アメリカのジョン・F・ケネディ大統領とソ連のニキータ・フルシチョフ書記長の交渉によって、キューバからのミサイル撤去、秘密協定として、トルコからのアメリカのミサイル撤去が合意された。

 トランプ大統領はこのキューバ危機を教訓にして、イランに圧力をかけて、さらに中国に圧力をかけて、イラン側からの交渉のコンタクトを求めているということであろうと私は考えている。中国側はアメリカとイラン両政府と交渉を実施して、和平合意条件を整えているであろう。中国にはそれだけの実力がある。そして、裏方に徹して、トランプに和平交渉成立、合意達成の手柄をあげさせて、5月14日から訪中してもらうというシナリオになっていると私は考えている。トランプは自身をケネディ元大統領と肩を並べる存在としてアピールしたいところであろう。もちろん、交渉が成功すれば、JD・ヴァンス副大統領も功績をあげることになるので、トランプ大統領の後継者の地位を固めることになる。

 イランの最高指導層がアメリカと中国からの勧奨と圧力にどのように対応するか、自国の安全の保障をアメリカだけではなく、中国にも保障してもらえるならば受け入れ可能と考えるかどうか、である。最高指導者の地位に就いたばかりのモジタバ・ハメネイ師に決断をし、それにイラン政府とイスラム革命防衛隊を従わせるだけの力があるかどうかが懸念される。2週間の停戦合意の期間はあまりにも短いが、世界の命運がかかっている2週間と言っても言い過ぎではないだろう。

(貼り付けはじめ)

イランへの強制:ドナルド・トランプ政権のホルムズ海峡封鎖がなぜ短いのか(Coercing Iran: Why Trump’s Hormuz Blockade Has a Short Fuse

―トランプ政権はホルムズ海峡の海上封鎖(blockade)を宣言し、世界的なエネルギー危機によってアメリカが撤退を余儀なくされる前に、イランが経済的圧力に屈服するだろうと目論んでいる。この膠着状態の結末は全く不透明だ。

マックス・ブート筆

2026年4月14日

『フォーリン・アフェアーズ』誌

https://www.cfr.org/articles/coercing-iran-why-trumps-hormuz-blockade-has-a-short-fuse

ドナルド・トランプ大統領は日曜日、イランとの交渉が失敗したと発表した。これは驚くべきことではなかった。アメリカがイランと締結した唯一の合意は、2015年の包括的共同行動計画(the 2015 Joint Comprehensive Plan of ActionJCPOA)であり、締結までに約18カ月を必要とし、しかも核問題のみに焦点を当てたものだった。JD・ヴァンス副大統領が率いる、トランプの経験の浅い交渉団(Trump’s inexperienced negotiators)が、パキスタンのイスラマバードで行われたマラソン交渉で、イランの核開発計画や地域における武装勢力への支援といった問題でイラン側とのあらゆる相違点を解消できる見込みはほとんどなかった。

驚くべきことは、トランプ大統領が次に取った行動だ。トランプは、ホルムズ海峡の海上封鎖を発表した。月曜日の午前10時(東部時間)から、アメリカ海軍はイランの港に出入りする全ての船舶を阻止する。イラン以外の港に寄港した船舶は、イランが通過を許可すれば、自由に航行できることになる。

これは、先週の停戦発表後のホルムズ海峡再開の失敗に対する、不可解な反応だった。戦闘は一時停止したものの、海峡は事実上イランの支配下にあり、通過できた船舶はごくわずかだった。テヘランは、機雷の散布場所が不明なため海峡を開放できないと主張したが、イランがアメリカとペルシア湾岸同盟諸国に対する圧力を強めるために海峡を閉鎖し続けているのではないかという疑念が広く持たれていた。

世界の石油生産量の20%がペルシア湾から産出されていることを考えると、海峡の閉鎖は世界的なエネルギー危機をさらに悪化させることを意味していた。サウジアラビアとアラブ首長国連邦は、この重要な水路を迂回するパイプラインを使って一部の石油を輸送できるものの、原油の大部分はペルシア湾に滞留したままだ。

イランによるホルムズ海峡封鎖が問題だとすれば、アメリカによる封鎖を宣言することに一体どんな意味があるのだろうか? トランプ政権の計算は、イラン戦争によって既に世界各国が経済的苦痛を味わっているのだから、今度はイランの番だというものであるようだ。

イランは確かにアメリカとイスラエルの爆撃作戦で甚大な被害を受けたが、それでも石油輸出量を戦前の水準近くまで維持することに成功している。原油価格の高騰により、イランはむしろ戦争から思わぬ経済的恩恵を受けている。トランプ大統領が価格の急騰を抑えるためにイランの石油輸出に対する制裁を緩和したことが、その恩恵をさらに強めている。アメリカのホルムズ海峡封鎖は、イランに対して「他国がホルムズ海峡を通って輸出できないなら、イランもできない(If other nations can’t export through the Strait of Hormuz, you can’t either)」と告げているに等しい。

元米財務省制裁担当専門家で、現在は民主政治体制防衛財団の研究員を務めるミアド・マレキは、封鎖が実施されればイランは月130億ドルの損失を被ると試算している。マレキは、「石油・ガスはイラン政府の輸出収入の80%、GDPの23.7%を占めている」と指摘している。イランの石油輸出の90%が中国向けであることを考えると、中国もアメリカの封鎖による打撃を受けることは必至だろう。

トランプ大統領は、中国とイランへの圧力を強めることで、イランがイスラマバードで提示された合意案を受け入れざるを得なくなると見込んでいるのは明らかだ。この合意案には、イランが20年間の核濃縮活動の全面停止、核分裂性物質の全面放棄、地域における代理勢力への支援停止と引き換えに制裁緩和を受けるという内容が含まれていると報じられている。しかし、事態が悪化する可能性のある要因は数多く存在する。

アメリカはキューバに対する事実上の封鎖を実施しながら、先月、ロシアの石油タンカーがキューバに到達することを容認した。これはトランプ大統領がロシアとの対立を避けたかったためとみられる。習近平国家主席との首脳会談を控える中、アメリカ海軍が中国への石油輸送タンカーを阻止した場合、トランプ大統領は北京との対立を招くリスクを冒す覚悟があるのだろうか?

アメリカ海軍は15隻の軍艦をこの地域に展開しており、封鎖を実施する能力は備えている。しかし、イランがこの封鎖を国際法上の戦争行為とみなし、反撃を開始すれば、地域全体が危機に瀕する可能性がある。トランプ大統領はイラン海軍が「完全に壊滅した(completely obliterated)」と豪語しているが、これは正規海軍のことを指している。CNNによると、イスラム革命防衛隊は小型高速攻撃艇の約半数を保有している。また、ミサイル発射装置の半数と数千機のドローンも保有している。

アメリカ海軍は、幅わずか21マイル(約33キロ)のホルムズ海峡そのものではなく、東のオマーン湾とアラビア海で封鎖を実施しているようだ。これにより、アメリカ海軍に対するイランの攻撃リスクは軽減されるが、ペルシア湾岸地域のエネルギーインフラは依然として脆弱なままだ。サウジアラビアが石油を輸出するために利用している紅海へのパイプラインルートも脆弱だ。サウジアラビアは、イランのイエメンにおける同盟勢力であるフーシ派が、紅海への入り口を支配するバブ・エル・マンデブ海峡を封鎖するのではないかと懸念している。先週、イランを文明の破壊で脅迫した後、トランプ大統領はイランの電力と石油インフラを標的にするという脅迫を取り下げた。これは、イランがペルシア湾岸諸国に対して同様の脅迫を行ったことが一因だ。トランプ大統領は、イランが封鎖への報復としてこの脅迫を実行に移すことはないと考えているようだ。もしこの計算が間違っていれば、世界経済にとって壊滅的な結果となるだろう。

イランが軍事力で報復しないとしても、トランプ大統領は依然として大きな賭けに出ている。それは、イランの経済的な痛手に対する耐性がアメリカよりも低いという前提に基づいている。つまり、世界的なエネルギー危機がトランプ政権に撤退を強いる前に、イランが封鎖によって十分な経済的打撃を受け、アメリカの条件で戦争を終結させることに同意することを期待しているのだ。

しかし、イランは長年にわたる厳しい制裁に耐え、民衆の抗議活動が発生すれば容赦なく弾圧できる独裁国家である。一方、アメリカは民主政治体制国家であり、ガソリン価格の高騰はインフレを加速させ、共和党の中間選挙での勝算を低下させている。イラン戦争はすでにアメリカ国民の間で不人気であり、トランプ大統領は方針転換を迫られる前に、どれだけ長くエネルギー危機を悪化させ続けることができるのだろうか?

トランプはイランに対する要求を緩和する(例えば、国際監視下でイランが少量のウラン濃縮を継続することを認めるなど)か、あるいは過去にもそうしたように、ホルムズ海峡は他国の問題だと宣言するかもしれない。

イランとアメリカは、互いに封鎖を仕掛けることで、どちらが先に折れるかを見極める、重大な局面を迎えている。私はイランに賭けない方が賢明だと思う。

本論稿は著者個人の見解および意見を表明するものであり、外交問題評議会(Council on Foreign Relations)は独立した非党派の会員制組織、シンクタンク、出版社であり、各政策問題に関して組織としての立場を取ることはない。

※マックス・ブート:外交問題評議会(the Council on Foreign Relations.)ジーン・J・カークパトリック記念上級研究員(国家安全諸問題研究)。

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(終わり)

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 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権は昨年4月に高関税政策を実施し、世界に混乱をもたらした。日本に対しても高関税を課すということで、当時の石破茂政権の赤沢亮正経済再生担当大臣が短期間で何度も日米間を往復し、交渉をまとめ、関税引き下げに成功した。トランプが「国際緊急経済権限法」を根拠にして進めた高関税は米連邦最高裁判所によって「違法」の判断が出た(2026年2月)。これに対して、トランプ政権は国際緊急経済権限法以外の法律を根拠にして高関税政策を進めようとしている。

 アメリカとイスラエルが始めたイラン戦争によって世界経済は混乱と不安に陥っている。何よりも世界の重要なチョークポイントであるホルムズ海峡の選別的封鎖によって、石油価格が高騰している。更には一部の国では、石油の備蓄が底を突き、石油不足に陥っている。お金があってお石油が買えないという状態の国が出ている。日本は1970年代のオイルショックの教訓を基にして備蓄をしているが、先行き不安ということは他国と大差はない。石油価格が上昇すれば日本国内のガソリンなどの価格が上昇し、石油を減量するとする製品や物流コストの上昇によって物価は上昇する。

 アメリカ国内においてもドル安とインフレが発生し、国民生活は苦しい状況が続いている。その苦しさは日本の比ではない。人々はトランプに経済対策を期待して投票した。しかし、現在は全く逆の状態になっている。アメリカは中東地域の石油に依存しておらず、従って、戦争の影響を受けない、戦争の影響を受けるのは中国だという主張もあった。ところが、石油価格の高騰はアメリカ国内を直撃している。中国も当然苦しいが、現状で苦しくない国というのは存在しない。さらに言えば、ペルシア湾岸地域は投資を集める、煌びやか大都市をつくり、日本でも憧れの対象となっていた、ドバイやアブダビ(両方ともアラブ首長国連邦)、ドーハ(カタール)は現在のところ、戦争の中にある。現状が続けば、経済は大きく毀損されることになる。

 トランプにとっては戦争よりも、経済問題対応こそがより重要な課題である。それを外して、安易に国内の不平不満を逸らそうとして、戦争を始めてしまったのが大きな間違いだったのだ。トランプとネタニヤフの思惑通りあれば、影響は小さかっただろう。しかし、2026年の経済はイラン戦争の継続のために、厳しい状況が続くことになる。

(貼り付けはじめ)

イランはトランプにとって唯一の戦争ではない(Iran Isn’t Trump’s Only War

-ドナルド・トランプはテヘランに対して戦争を仕掛けているにもかかわらず、アメリカの貿易相手諸国に対する経済戦争の火にも再点火している。

キース・ジョンソン筆

2026年3月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/18/trump-trade-war-iran-economics-section-301/

ドナルド・トランプ米大統領のイランに対する戦争は、市場、同盟諸国、農家、半導体メーカー、そして海運保険会社を混乱させている。

しかし、トランプ大統領が今月戦っているのは、この戦争だけではない。先週、トランプ政権の貿易担当機関は、最高裁によって無効とされた以前の関税措置に続き、新たな関税措置の導入を前に、世界の他の国々による「不公正な(unfair)」貿易慣行と称する一連の調査を開始した。しかし、今回の関税措置は効力が強く、法的異議申し立てを受けにくい。つまり、トランプ大統領の貿易戦争は終わりなく続く可能性があるということだ。

シンガポールのヒンリッチ財団で貿易政策部門責任者を務め、アメリカの貿易法の難解な部分に精通しているデボラ・エルムズは「私たちは振り出しに戻ってしまう可能性が高い。プランCではなく、プランAに戻ったのだ」と述べた。

トランプ政権が行ったことは、ヴェネズエラでの小規模な戦争、キューバ獲得の脅威、イランでの紛争などに気を取られている人々にとって、数年前に自らが始めた世界貿易戦争を、まさに同じ手段を用いて再燃させているように見えている。

トランプ政権は特に、1974年通商法第301条(後に2度改正)に依拠している。これは行政府への広範な貿易権限委譲であり、トランプ大統領は1期目において、中国への関税賦課にこの権限を行使した。これらの関税はジョー・バイデン大統領によって維持されたが、現在はさらに強化されている。

エルムズは「連邦議会は明らかに大統領に権限を委譲しすぎている」と述べ、1934年以降、ホワイトハウスに連邦議会よりも大きな貿易に関する発言権を与えてきた一連の法案に言及した。エルムズはさらに「しかし、彼らは大統領が合理的で分別のある行動をとるだろうと考えて権限を委譲したのだ」と語った。

トランプ政権が他の手段に頼ろうとしているのは、連邦最高裁判所が2月に、政権がカーター政権時代の法律を用いて世界のほぼ全ての国に関税を課したことは違法であるとの判決を下したためだ。最初の回避策は、1974年通商法第112条に依拠することだったが、これには期限があり、連邦議会の監視を受ける可能性もあった。これらの関税は7月に期限切れとなるため、トランプ政権は急いでいる。政権が現在頼ろうとしている同法の条項は、より長期にわたり、期限が定められておらず、議会の監視も含まれていない。同じ1974年通商法の第122条による関税とは異なり、第301条による関税は、いわば「フリーパス」のようなものだ。トランプが2月に頼った関税は、7月24日以降も継続するには連邦上下両院の承認が必要だったが、新たな関税にはその必要はない。

エルムズは「通商法301条は永久に続く可能性がある。だからこそ、非常に危険なのだと私は考えている」と述べた。

トランプ政権1期目には、貿易政策には一定のプロセスがあった。長年貿易に携わってきたロバート・ライトハイザーが統括していた。彼は保護主義者であると同時に完璧主義者でもあった。しかし、2期目に入ると、トランプ政権の貿易ティームは以前ほど綿密ではなくなった。例えば、昨年(2025年)4月にトランプが「相互主義(reciprocal)」と称した関税措置を導入した際、ペンギンに輸入関税を課しただけでなく、新たな関税率表の計算自体が間違っていたため、世界中から嘲笑を浴びた。

最新のアメリカの貿易措置は、2つの異なる点を標的としている。1つは、16の経済圏(アメリカの主要貿易相手国全てを含む)を対象としたもので、各国による「差別的(discriminatory)」行為、具体的には、製品を製造して海外に販売しているという行為である。もう1つは、60の経済圏を対象としたもので、海外での労働コスト削減のために強制労働が用いられ、アメリカ企業に不利な状況を作り出しているとされる行為を問題視している。

トランプ大統領の貿易戦争の大きな問題点は、非生産的であることに加えて、アメリカの同盟諸国との関係を悪化させていることだ。今週、トランプ大統領はイランとの戦争において同盟諸国に支援を求めたが、何の支援も得られなかった。

しかし、トランプ大統領の貿易戦争が続く中で懸念すべき理由は他にもある。特に、彼が始めた戦争によってアメリカ国内の燃料価格が高騰し、アジア各国の経済が苦境に陥っている現状においてはなおさらだ。それは、アメリカ経済にさらなる打撃を与える可能性が高いからである。

2024年、アメリカ経済は世界の羨望の的だった。しかし先週、米商務省は昨年第4四半期のGDP成長率予測を下方修正した。トランプ政権は主要貿易相手国16カ国に対し、イランが世界の経済生命線であるホルムズ海峡を依然として支配下に置いている中で、圧力を強めている。ホルムズ海峡は通常、世界の石油と天然ガスの5分の1が通過する海峡である。

ホワイトハウスの首席経済補佐官ケヴィン・ハセットは火曜日、消費者物価の上昇は「今のところ私たちの懸念事項の中で最も優先順位が低い」と述べた。イランへのミサイル攻撃であれ、同盟諸国に対する貿易調査であれ、トランプ政権は物価上昇問題で自ら敗北を招こうとしているように見える。

※キース・ジョンソン:『フォーリン・ポリシー』誌地経学・エネルギー担当記者。Blueskyアカウント:@kfj-fp.bsky.socialXアカウント:@KFJ_FP

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