古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ポピュリズム

 古村治彦です。

 アメリカに関しては外交政策に注目が集まっている。「ドンロー主義」というモンロー主義と棍棒外交を足して、再植民地化という要素を掛け合わせた、アメリカの新たな外交政策は、各国から脅威と見られている。ドナルド・トランプ大統領が外交に注力しているのは、国内問題から目を逸らさせるためだ。国内には大きな不満が溜まり、不安定な状況になっている。不法移民摘発から火がつきそうな国内での暴力や生活費が下がらないインフレ状況は、トランプ政権を苦しめている。結果として、移民(有色人種)や外国を攻撃することで、不満を逸らさせるという、古典的な方法を採用している。

 MAGA派の中で分裂があったのは、ジェフリー・エプスタイン事件の文書、エプスタインファイルの公開をめぐってのことであった。トランプ大統領は選挙期間中、エプスタインファイル公開を公約に掲げていた。しかし、大統領就任後には、エプスタインファイルは存在しないと述べ、批判者たちを「弱虫」と呼んだ。誰もが、エプスタインファイルにトランプの名前があって、未成年の女性たちとの性的な関係があったのだろう、だからファイルを公開できないのだろうと推測した。トランプ大統領のこれまでの行状から、それくらいは織り込み済みで、それが暴露されたからと言って、支持が大きく減ることはないとも言えた。ここからは私の推測だが、エプスタインファイルにはイギリス王室やイギリス貴族たちの名前があったのだろう。アンドルー元王子に責任を全部負わせているが、更なる重要人物たちの名前があったものと推測される。トランプ大統領が当選してから、二度もイギリスを訪問し、チャールズ国王を先頭に大変な歓迎であったことは、口止めをお願いしてのことだったのではないか。エプスタインファイルは結局公開されたが、のり弁当のように一面真っ黒な文書もあった。「被害女性のプライヴァ氏―を守る」ということにすれば、重要な部分を消して公開することも可能だ。

 アメリカ国内のインフレ(物価高)、生活苦の影響を一番に受けているのはMAGA派、失業している白人労働者たちである。彼らの中から「こんなはずでなかった」とトランプ支持を止める人たちも出てきている。同時に、「トランプの進める世直しはこれからが本番だ」と支持する人たちもいる。こうして、支持基盤に分裂が起きることになる。そして、支持派はどんどん過激になっていく。先鋭化していく。アメリカ社会の分断は続き、アメリカの衰退は進むことになる。

(貼り付けはじめ)

抑制されない過激主義がMAGAを内部から分裂させている(Unchecked extremism is tearing MAGA apart from within

スヴァンテ・マイリック筆

2025年11月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/5595297-maga-movement-antisemitism-controversy/

MAGA運動にとって、この1カ月は厳しい月だった。有権者たちがトランプ大統領と同調する候補者を拒否する一方で、MAGAの指導者たちは、運動にどの程度の反ユダヤ主義的偏見(antisemitic bigotry)や過激主義(extremism)を受け入れるべきかを巡って互いに争っていた。これは決して好ましい状況ではない。

論争の中心となったのは、元FOXニューズ司会者のタッカー・カールソンが、ヒトラーとスターリンを崇拝するネット上の有名人ニック・フエンテスに親近感を持って行ったインタヴァューだった。フエンテスは、人種差別、反ユダヤ主義、女性蔑視、白人キリスト教ナショナリズム、暴力の脅し、そしてアメリカ民主政治体制がファシスト独裁政治に取って代わられることへの切望(racism, antisemitism, misogyny, white Christian nationalism, threats of violence and a yearning for American democracy to be replaced with a fascist dictatorship.)を日々発信し、疎外された若い白人男性の間で支持を集めてきた。

フエンテスは右翼系ポッドキャスト番組に出演し、インタヴュアーたちの助けを借りて評判を高め、過激主義を軽視してきた。カールソンはFOXニューズを去って以来、極右の熱狂的な支持基盤にどっぷり浸かってきたため、彼がフエンテスをより幅広い聴衆に届ける手助けをする人物になったことは、それほど驚くべきことではなかった。

驚くべきは、MAGA運動においておそらく最も影響力のある団体であるヘリテージ財団のケヴィン・ロバーツ会長が、保守派がカールソンとフエンテスとの軽率なインタヴューを非難し始めた後、公にカールソンを擁護せざるを得なくなったことだ。

ロバーツは水面下で仲間を擁護しただけではない。彼は、保守運動はカールソンやフエンテスを「キャンセル(cancel)」すべきではないと宣言するヴィデオ映像を録画した。ヘリテージ財団と有料メディア関係にあるカールソンは、シンクタンクの「常に」親しい友人であり続けると明言した。

それだけでも十分に良くないのだが、ロバーツはさらに踏み込み、カールソンを批判する人々を「悪意のある連合(venomous coalition)」で、「グローバリスト階級(globalist class)」の一部だと非難するという、典型的な反ユダヤ主義の比喩を使った。

ロバーツのヴィデオは、ヘリテージ財団内、そしてその支持者や政治的同盟者の間で怒りと混乱を引き起こした。彼が公私ともに謝罪したにもかかわらず、この混乱は続いている。

ロバーツとカールソンは親密だ。ロバーツは昨年の共和党全国大会でヘリテージ財団のイヴェントにカールソンを特別講演者として招待した。カールソンは聴衆に対し、「キリスト教徒を殺す(kill Christians)」ことを望む人々との「精神をめぐる戦い(spiritual war)」に臨んでいると述べた。

カールソンはJD・ヴァンス副大統領の大ファンでもあり、トランプにヴァンスを副大統領候補に選ぶよう勧めた。そして、ヴァンスもカールソンをホワイトハウスに招待し、チャーリー・カーク暗殺後に自身が司会を務めた番組「チャーリー・カーク・ショー」に出演させた。カールソンの息子はヴァンスのために働いている。

MAGAの継承者を目論むヴァンスは、運動の一部が求める「右翼に敵なし(no enemies to the right)」の立場を取らざるを得ないだろう。ロバーツは動画の中でこの立場を支持しているように見えた。そのため、ヘリテージ財団のスタッフの中には、保守派の大きな組織がカールソンやフエンテスのような人物を排除できないことを意味するのかと疑問を呈する者もいる。

ヴァンス自身もいかがわしい仲間と交流し、極右の人物たちと付き合っている。その中には民主政治体制に敵対する者もいれば、フエンテスとそれほど変わらない見解を持つ者もいる。

ヴァンスは最近、共和党の若手党幹部グループの間で流出したテレグラムのチャットで明らかになった人種差別的・ナチス的な感情を軽視した。この発言に対する超党派の激しい非難の中、ヴァンスは「子供」や「少年」の間で交わされた冗談を「大袈裟に誇張している(pearl clutching)」と揶揄した。

しかし、彼らは子供ではなかった。ほとんどが24歳から35歳までの大人であり、ヴァンスは人々に彼らを許すよう促していた。トランプ政権が人種差別や陰謀論を助長する高官たちを許してきたのと同じだ。

さらに最近、ヴァンスは「ターニングポイントUSA」のイヴェントで講演した。ある質問者は、アメリカのイスラエル支援について質問した際、「彼らの宗教はアメリカの宗教と一致しないだけでなく、アメリカの宗教の迫害を公然と支持している」と主張した。ヴァンスはこの質問に反論する機会を逃した。

こうした状況において、フエンテスは勝利を収めた。彼はヘリテージ財団が「私とタッカーに同情的な人々にとっての安全な避難所であり、踏切板になりつつある」と主張した。これは、彼の支持者(通称グロイパー[groypers])を共和党に浸透させ、保守的な組織を乗っ取ろうとする彼の試み​​における画期的な出来事だった。

フエンテスは、ヴァンスの最近の行動について言及し、副大統領は共和党の寄付者を喜ばせたいという欲求と、選挙活動中にヴァンスを執拗に追い回すと断言する「グロイパー」たちを疎外させたくないという願望の間で板挟みになっていると自慢げに語った。

これはMAGA運動が自ら招いた事態だ。

トランプは初の大統領選挙キャンペーンを開始して以来、排外主義者、白人至上主義者、そしてキリスト教至上主義者を活気づけてきた。偏見を持つ人々が誇りを持って自己表現できるよう、彼は彼らを勇気づけてきた。ますます不人気となっている自身の運動と政権に彼らを招き入れ、フエンテス、カールソン、ロバーツらが引き起こしたような衝突を避けられないものにしてきた。

一方、民主党候補は全米各地で勝利を収め、強力で包括的な連合を築き、私たち全員のために機能するアメリカというヴィジョンを掲げて若者たちを鼓舞した。そこに私たちの未来がある。共に築こう!

※スヴァンテ・マイリック:「ピープル・フォ・ジ・アメリカン・ウェイ」会長。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 第二次ドナルド・トランプ政権は「変容した」と言うしかない。トランプの急激な変わり身は周囲を置き去りにしている。就任してすぐの、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領との会談の厳しい態度、JD・ヴァンス副大統領の厳しい叱責は、ウクライナ戦争の停戦を促す効果があると当時の私は考えていた。ヨーロッパ諸国、特にイギリスは「口だけ番長」で、武器も金も人も出さずに、ウクライナを焚きつけるだけ、ほとんどがアメリカの金で戦争が行われてきた。トランプはこの状況を変えるだろうと考えていた。
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2025年も残り2カ月を切った。また年を越える。ウクライナ戦争は勃発以来、4年目であり、来年の2026年2月24日を過ぎても戦争が継続していれば、5年目に突入ということになる。ロシア政治や経済、国際関係の専門家たちは、ロシアは人員と戦費の関係で戦争を続けられないと4年間も言い続けた。月報のように「もうすぐロシアはギヴアップ」と言い続けてきた。アメリカとヨーロッパ諸国に比べて、圧倒的に経済面で脆弱なはずのロシアが戦争を継続し、奪取した地域を維持している。この戦争はウクライナの負けではなく、西側諸国の負けということになる。トランプはこの西が諸国の負けを確定させながらも、ロシアとの「ディール(deal、取引)」によって、ある程度の利益を確保できると私は考えていた。しかし、状況はどうもそうなっていない。
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ドナルド・トランプとイギリス国王チャールズ三世

 ヨーロッパ、とくにイギリスがトランプを取り込むことに成功したと考えている。関税交渉をうまく片付け、史上初の米大統領として2度目の国賓招待ということで、トランプを手懐(てなず)ける(tame)ことに成功したのかもしれない。イギリスの狡猾さと外交力は、実力を失って久しい21世紀になっても侮れない。「現代のビザンツ帝国と言うべきだろう。ヨーロッパは、ドナルド・トランプ、習近平、ウラジーミル・プーティンによるヤルタ2.0体制の構築を阻止し、ヨーロッパ防衛にアメリカを関与させ続けることに成功した。トランプの「変容」「変わり身」は、ポピュリズムの敗北を意味する。私たちはこのことを冷静に見つめ、分析しなければならない。

(貼り付けはじめ)

トランプとヴァンスがヨーロッパについてどれほど不快な態度を取ったとしても、彼らは率直な真実を語っている(No matter how distasteful we find Trump and Vance over Europe, they speak a blunt truth

-アメリカは最悪のタイミングと最悪の言い方を選んだが、再編を求めるのは正しい。

サイモン・ジェンキンス筆

2025年2月21日

『ザ・ガーティアン』紙

https://www.theguardian.com/commentisfree/2025/feb/21/donald-trump-jd-vance-europe-us-realignment

ここ最近、右翼勢力でいるのは大変だ。ドナルド・トランプについて何か良いことを言う必要がある。それは困難だ。彼はウクライナ戦争を始めたのはキエフであり、その大統領であるウォロディミル・ゼレンスキーを「独裁者(dictator)」だと考えている。しかし、JD・ヴァンスはどうだろうか? アメリカ副大統領は、「言論の自由(free speech)を後退させている」ヨーロッパの「内部からの脅威(threat from within)」は、ロシアや中国からのどんな脅威よりも深刻だと考えている。彼らは正気を失っている。他に何を言うことがあるだろうか?

答えは数多くある。ジョン・スチュアート・ミルは「物事について、自分の側しか知らない人は、そのことについてほとんど何も知らない(he who knows only his own side of the case knows little of that)」と警告した。私たちは、彼らの主張に賛成するか否かに関わらず、理解しようと努力しければならない。

確かに、彼らは嘘つき(mendacious)で偽善的(hypocritical)だ。トランプは、ゼレンスキーが「選挙を拒否している(refuses to have elections)」と主張し、「各種世論調査では非常に低い支持率だ(very low in the polls)」と主張しているが、最近の世論調査では依然としてウクライナ国民の過半数の支持を得ている。「内部からの」言論の自由への脅威(the threat to free speech “from within”)に関しては、AP通信はメキシコ湾を「アメリカ湾(Gulf of America)」に改名することを拒否したためホワイトハウスのブリーフィングから締め出され、トランプ大統領の友人であるイーロン・マスクはCBSの「嘘つき(lying)」ジャーナリストは「長期の懲役刑に値する(deserve a long prison sentence)」と考えている。

トランプ・ヴァンスは、世界を善と自由へと導くという、神から与えられたアメリカの宿命について、半世紀にもわたって合意に基づいた曖昧な言い回しをしてきた。平和と戦争、移民問題、関税問題など、彼らはアメリカの利益のみを追求していると主張している。なぜアメリカは、自衛できないヨーロッパを守るために毎年数十億ドルもの費用を費やす必要があるのだろうか? なぜ遠く離れた国々に武器を与えて隣国と戦わせたり、途方もない額の援助を困窮するアフリカに注ぎ込んだりする必要があるのだろうか?

もし世界の他の国々が失敗してきたとしたら、アメリカは2世紀半もの間自由で豊かであり続けてきたのだが、それは世界の問題だ。アメリカはこの50年間、地球上の生活を向上させようと巨額の資金を費やしてきたが、率直に言って、それは失敗に終わった。外交儀礼(diplomatic etiquette)などどうでもいい。

ウクライナに関してはもうたくさんだ。ウラジーミル・プーティン大統領はアメリカを侵略するつもりはなく、西ヨーロッパを侵略する意図もない。もしヨーロッパがそうではないふりをし、ウラジーミル・プーティンの敵を擁護し、彼に制裁を与えて激怒させたいのであれば、ヨーロッパだけでそうすることができる。

NATOはヒトラーとスターリンの産物だ。ヨーロッパ防衛の費用をアメリカに負担させるための単なる手段に過ぎなかった。だが今は違う。米国防長官ピート・ヘグセットは「アメリカはもはやヨーロッパの安全保障の主要な保証者(the primary guarantor of security in Europe)ではない」と述べた。これで核抑止力も形骸化した。

実際には、こうした主張は目新しいものではない。ただし、これほど露骨に政権によって表明されたことはこれまでなかった。様々な形で、それらは1世紀以上にわたるアメリカのアイソレイショニズム(Isolationism)の表層下に潜んでいた。選挙に勝つため、ウッドロウ・ウィルソンは第一次世界大戦について「私たちとは無関係であり、その原因は私たちに及ばない(one with which we have nothing to do, whose causes cannot touch us)」と断言した。フランクリン・ルーズベルトも第二次大戦について同様の約束をした。彼はアメリカの母親たちに「何度でも繰り返すが、あなた方の息子たちは外国の戦争に送り込まれることはない(again and again and again, your boys are not going to be sent into any foreign wars”. Neither kept his word)」と約束した。どちらもその言葉を守らなかった。

ヴェトナム戦争時のように、戦争中はアメリカ世論も愛国的になる。しかしそれ以外は一貫して反介入主義的(anti-interventionist)だ。ケネディは「地球規模の犠牲(global sacrifice)」を訴え、「アメリカがあなたのために何をするかではなく、人類の自由のために共に何ができるかを問え(ask not what America will do for you, but what together we can do for the freedom of man)」と訴えたかもしれない。だがそれは主に外国向けの美辞麗句に過ぎなかった。

トランプ・ヴァンスが今、西ヨーロッパ諸国に伝えているのは「本気になれ(get serious)」だ。冷戦は終わった。ロシアが西ヨーロッパ占領を望んでいないことは周知の事実だ。この脅威は、賢明な大統領ドワイト・アイゼンハワーが「米軍産複合体(military-industrial complex)」と呼んだ連中が作り上げた幻想に過ぎない。彼らは恐怖から利益を搾り取ることに長けている。キア・スターマーが本当に「防衛を優先する(to give priority to defence)」つもりなら、自らの保健・福祉予算を削減して賄えばよい。だが彼は本当に脅威を感じているのか、それとも単に聞こえが良い言葉を言っているだけなのか?

ジョー・バイデンはキエフへの支援の程度に細心の注意を払った。今こそ脱出の避けられない瞬間だが、それに先立って非常に困難な停戦が必要となるだろう。ワシントンからの実質的な保証がなければ、キエフの最終的な敗北以外に道は開けない。ウクライナは、南ヴェトナムにおけるアメリカの再来となる可能性もある。

トランプ・ヴァンスは、冷戦の大部分を支えてきた陳腐な言葉(platitude)、こけおどし(bluff)、そして不当利得(profiteering)の混合物の実態を、最小限の配慮で暴露することを決断した。1989年のNATOの勝利は、より微妙なニュアンスを持つ多極世界への移行の必要性を示唆していたが、それは決して適切に定義されることはなかった。

トランプ・ヴァンスが言うように、再編は切実に必要だ。しかし彼らがそれを表明したタイミングと方法は最悪の選択だった。私たちは彼らに好きなだけ無礼に振る舞えるが、彼らにはアメリカの民主政治体制が味方するだろう。

※サイモン・ジェンキンス:『ザ・ガーディアン』紙コラムニスト。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 


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『人類を不幸にした諸悪の根源 ローマ・カトリックと悪の帝国イギリス』
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>※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 2025年11月にニューヨーク市長選挙が実施される。本選挙に向けて、民主党や共和党で予備選挙が実施された。ニューヨーク州やニューヨーク市が民主党の金城湯池であることを考えると、民主党の候補者になれれば、本選挙で当選することがほぼ確実ということになっている。今回、民主党予備選挙で、ニューヨーク州議会下院議員ゾーラン・マムダニ(Zohran Mamdani、1991年-、33歳)が勝利した。マムダニは前ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモを破っての勝利だった。
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アンドリュー・クオモはニューヨーク政界のサラブレッドだ。クオモ家はニューヨーク民主党の「王家」とも言える存在だ。アンドリューの父であるマリオ・クオモはニューヨーク州務長官、ニューヨーク州副知事、ニューヨーク知事を務めた。1984年の民主党全国大会で基調演説を行い、ロナルド・レーガン大統領を批判した。この演説が大きな注目を集めた。アンドリュー・クオモはビル・クリントン政権で住宅都市開発長官を務め、ニューヨーク州司法長官、ニューヨーク州知事を務めた。弟のクリス・クオモは報道分野で活躍し、CNNで自身の番組を持つほどであったが、兄アンドリューのセクシャルハラスメント疑惑をめぐり、擁護活動を行ったことでCNNを解雇された。マムダニがクオモを破ったということは、既成政治、エスタブリッシュメントに対する人々の不信が根深いということを示している。

 マムダニはウガンダ生まれで、父はアフリカ研究の学者、母は映画監督だ。両親はインド系で(父マフムードはウガンダ生まれ)、途中で南アフリカに移り、その後、アメリカに移った。父はコロンビア大学教授を務めている。マムダニはウガンダとアメリカの両方の国籍を保有している。マムダニは父と同じくイスラム教徒だ。メイン州の名門ボウディン大学に進学した。大学卒業後にラッパー活動をしながら、住宅カウンセラーを務め、社会活動や政治活動を行い、2020年にニューヨーク州議会下院議員に当選した。

 マムダニは、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)やアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)と同様に民主社会主義者を自認し、家賃の凍結、安価な公営住宅の増設、市営商店を設置し、安価や食品の供給、市営バスの無料化、富裕層への課税強化を訴えた。

 ニューヨーク州やカリフォルニア州といった民主党の金城湯池の地域では、民主党エスタブリッシュメント派への反感から、進歩主義派への支持が高まっている。これは、共和党側で言えば、ポピュリズムのドナルド・トランプ派が伸長していることと同じ動きである。民主、共和両党のエスタブリッシュメント派は自分たちが行ってきた政策の失敗を反省することから始めなければならないが、アメリカの国力減退は既に手遅れの時期に来ている。人々はますますエスタブリッシュメント派、中道から離れていくことになるだろう。

(貼り付けはじめ)

マムダニがニューヨーク市長選挙民主党予備選で正式に勝利(Mamdani formally wins Democratic primary for NYC mayor

ジャレッド・ガンズ筆

2025年7月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5378850-zohran-mamdani-wins-dems-nomination/

「デシジョン・デスク・HQ」は、ニューヨーク州議会議員ゾーラン・マムダニは、順位付け投票による集計(ranked choice tabulation)が終了し、ニューヨーク市長選挙の民主党候補指名を正式に獲得したと予測している。

先週火曜日の予備選挙後、マムダニは、第1ラウンドの集計で約7ポイントの差で大きくリードしていたため、元ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ(民主党)をはじめとする多くの候補者たちを破る番狂わせ(upset)の勝利はほぼ確実と思われていた。第1ラウンドで2位だったクオモが民主党予備選挙での敗北を認め、マムダニを祝福したことを受け、マムダニは勝利宣言を行った。

しかし、順位付け投票による追加集計は火曜日まで公表されなかった。

ニューヨーク市では、予備選挙日までに消印が押された郵送投票が集計対象となっているため、今後数週間のうちに未集計の投票が集計に加算される可能性がある。

ニューヨーク市の優先順位投票制度では、有権者は最大5人の候補者を優先順位順に選ぶことができる。先週のように、第一希望の票の過半数を獲得した候補者がいない場合、最も得票数の少ない候補者が脱落し、その票は支持者の第二希望の票に再配分される。

このプロセスはいずれかの候補者が過半数を獲得するまで継続される。

他の候補者たちは、得票数が少なすぎて他の候補者からの票を得ても結果に影響がなかったため、第3ラウンドに進む前に脱落した。ニューヨーク市会計監査官ブラッド・ランダーは11.2%で3位、ニューヨーク市議会議長エイドリアン・アダムズは4.2%で4位だった。

他の候補者全ての得票率は2%以下となった。

脱落した候補者の票のほぼ半分は第3ラウンドでマムダニに、4分の1強はクオモに集まった。また、4分の1の有権者は、マムダニとクオモを5人の候補者のいずれにも含めなかった。

マムダニは声明で、先週の予備選挙で民主党が「明確な声(clear voice)」を発し、「住みやすい都市、未来の政治、そして台頭する権威主義に抵抗することを恐れないリーダー」という信任を得たと述べた。

マムダニは「私たちのキャンペーンに投票してくれた54万5000人以上のニューヨーク市民の支持に深く感謝するとともに、エリック・アダムズを破り、働く人々を第一に考える市政を勝ち取る中で、この連携をさらに拡大できることを大変嬉しく思う」と述べた。

2021年からアメリカ民主社会主義党の支援を受けて州議会議員を務めるマムダニは、クオモに代わる進歩的な候補者として自らを売り込み、他の候補者を探している有権者の関心を惹きつけようとした。家賃凍結、無料バス、市営食料品店など、幅広い進歩的な政策提案を行い、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の支持を得た。

マムダニは他の候補者たちからも支持を受けており、特に市の監査役ブラッド・ランダーはマムダニと相互推薦を行っており、他の候補者を第2候補にランク付けするよう有権者に促し、クオモを破る可能性を高めた。

予備選開始当初、勝利の見込みがあるのはクオモかマムダニの2人だけと見られていた。

選挙戦は当初、クオモが他を大きく引き離して圧倒的な優位に立っていたが、他の候補者たちがなかなか支持を集められず、徐々にクオモとマムダニの2人による争いへと移行していた。

クオモは3月に選挙戦に参戦する前からほとんどの世論調査でトップを走っていたが、マムダニはここ数週間でその差を縮め、自身が大きく優位に立っていた若い有権者の支持を獲得した。クオモの強みは、特に高齢者層を中心とした年配層の支持だった。

クオモは、州および連邦レヴェルで長年公職を務めてきた経験を強調した。10年以上知事を務める前は、クリントン政権下で住宅都市開発省を率い、州司法長官も務めました。

クオモはまた、11月の大統領選挙でカマラ・ハリス前副大統領が敗北した後、アイデンティティを模索する中で、市と民主党全体が直面している問題は左派政権のせいだと非難した。

しかし、彼の純支持率は他の候補者のほとんどよりも一貫して低く、有権者の40%が彼に好意的ではないと見ていた。

知事在任中、クオモは新型コロナウイルス感染拡大中の介護施設での死亡者数を故意に過少報告したという非難を受け、複数の女性からセクハラの申し立てを受けた。クオモは、介護施設の監督に関する連邦政府のガイドラインに従っており、ハラスメントの申し立てを一貫して否定していると主張して自己弁護している。

しかし、マムダニは全般的に期待を上回る結果を残した。期待されていた分野では好成績を収め、弱点とされていた層でもまずまずの成績を残した。白人有権者や大学卒有権者に強いと予想されていたが、黒人やヒスパニック系有権者など、クオモがより強いと予想されていた層でもまずまずの成績を残した。

マムダニは、黒人とヒスパニック系が混在する地域や、裕福な高齢の白人地域で勝利を収めた。

しかし、クオモが総選挙で引き続き立候補するかどうかについては疑問が残る。

クオモは既に11月の予備選挙で、ファイト・アンド・デリヴァー党の党首として出馬表明している。予備選後、無所属で立候補するかどうかは、順位付け投票の最終結果を見てから判断すると述べた。

クオモ陣営の広報担当者リッチ・アゾパルディは声明で、30歳未満でこれまで投票経験のない有権者の数が「急増」したことで予備選挙の有権者層は変化したが、クオモの目標は変わりなく、住宅価格の高騰、住宅、教育、公共の安全問題への取り組みと人々の結束を通じて、ニューヨーク市民に「真の変化(real change)」をもたらすことだと述べた。

アゾパルディは、「過激主義、分断、空約束(empty promises)は、この街の問題の解決策にはならない。今回の選挙は予備選挙の有権者の一部の動機を探るものであり、大多数の有権者を代表するものではない」と述べ、マムダニに対するクオモの批判を改めて強調した。 アゾパルディは、「私たちの家族の経済的不安定さはここでの最優先事項だ。だからこそ、実行可能な解決策、結果、そして成果が非常に重要なのだ」とも述べた。

アゾパルディは、「私たちは、今後の対応策を決定していく中で、ニューヨーク市内全域の人々と話し合いを続けていく」と語った。

CNNは、クオモは少なくとも11月の選挙では候補者名簿に残るものの、今後数カ月で積極的に選挙活動を行うかどうかは未定だと報じている。

マムダニは既に、無所属で再選を目指す現職のエリック・アダムズ市長、共和党候補のカーティス・スリア、そして無所属のジム・ウォルデンと対決する構えだ。予備選挙とは異なり、ニューヨーク市の総選挙では順位付け投票は行われず、勝者は他のどの候補者よりも多くの票を獲得するだけで済む。

=====
ゾーラン・マムダニの勝利から得た6つの教訓(6 lessons from Zohran Mamdani’s victory

スティーヴ・イスラエル筆

2025年6月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/5372085-6-lessons-from-zohran-mamdanis-victory/

ニューヨーク市の政治は常に大げさで、強引で、ドラマチックなものだった。今週、それはブロードウェイの舞台にふさわしいものとなった。

現職の民主党所属のニューヨーク市長エリック・アダムズは、自身の支持基盤からあまりにも不人気になり、予備選への出馬すら断念した。彼のキャラクターは、トランプ大統領の公然たる反対者から、6件の起訴状を前にトランプ支持者へと転落した。そして驚くべき偶然にも、司法省は起訴状を取り下げた。

ニューヨーク州前知事アンドリュー・クオモが選挙戦に参戦し、莫大な資金集めで中道左派の他の候補者を瞬く間に追い落とした。一方、生まれ持った才能とテレビ映りの良さを兼ね備えた若き運動家ゾーラン・マムダニは、主流政治(mainstream politics)に対する人々の不満に刺激され、民主党支持基盤の左派を固めた。

まるで「ラマンチャの男」と「オール・ザ・キングス・メン」が出会ったかのようだ。

衝撃の結末:民主社会主義者がニューヨーク市長選挙の民主党予備選挙で勝利した。マムダニが主導権を握った。

多くの中道派民主党員にとって、マムダニの勝利は選挙前の楽観的な予測さえも大きく上回り、体制に衝撃を与えた。しかし、政治家や評論家たちは、この選挙戦から全国的な結論を導き出す際は自己責任で判断すべきだ。そこには、単なる短い言葉の断片を超越する複雑な事情がある。

ニューヨーク市長選挙民主党予備選から得られた教訓をいくつか挙げよう。

第一に、マムダニの勝利は、ほとんどのアメリカ人がイデオロギーの中心、あるいはその付近に位置しているにもかかわらず、アメリカ政治の中心は維持されていないことを示唆している。トランプとその側近たちは、共和党の正統派思想と制度を極右に引きずり込み、マムダニの勝利は民主党が再び極左に引きずり込まれたことを示唆している。私たちは反動的な政治環境(a reactionary political environment)にあり、一方の行動が他方のエネルギーを刺激している。

第二に、民主党にとって、マムダニの選挙運動は、街頭だけでなく州議会や連邦議会代表団においても世代交代を確固たるものにするものだ。より若く、より進歩的な活動家たちが政治システムに参入しつつある。これは、国政、州政、地方自治体における民主党にとって良いことだ。建設的な連携を築き、友軍の攻撃を避けることができれば、なおさらだ。

第三に、今回の選挙から一般的な傾向を推測することはできても、全米の民主党の顔ぶれを決めることにはならない。マムダニは、左派の熱狂の波に乗り、デジタルに精通した統制のとれた選挙戦を展開した。しかし、ニューヨーク市の民主党登録者の30%しか投票に行かなかった中で、彼はこの選挙に勝利した。これは、2026年に連邦下院をひっくり返すために民主党が激戦選挙区で説得する必要のある有権者を代表するサンプルではなかった。マムダニは称賛に値するが、ニューヨーク市ブルックリンとアイオワ州ブルックリンの選挙に勝つことは全くの別物だ。

第四に、民主党にはこの最悪の状況(perfect storm、パーフェクト・ストーム)においても明るい兆しがある。もし民主党が、進歩的左派の巨大なエネルギーで穏健派有権者たちにアピールする常識的な政策アジェンダを実現できれば、民主党は勝利の戦略を手にすることができる。有権者の一方の派閥を満足させるために他方の派閥を見捨てなければならないという議論は、ゼロサム戦略であり、選挙戦の戦場を拡大する方法ではない。左派対中道派ではなく、勝つためには両方がいなければならない。マムダニの焦点は、進歩主義派や穏健派が受け入れることのできる多くの問題、つまり、手頃な価格、生活の質、億万長者減税のための医療費削減に反対することのプレビューに役立つ。

第五に、マムダニの圧勝でさえも、彼の勝利の連合に軟弱な部分があることを明らかにしている。マムダニの勝利は印象的だ。クオモの牙城であるスタテン島とクイーンズでさえも、マムダニが勝利した。しかし、民主党がマムダニの戦略を全国的に採用しようとする動きには警告の兆候がある。

マムダニは 「金持ち優遇(soak the rich)」のメッセージを発していたにもかかわらず、高所得者層と中所得者層によって当選したのに対し、クオモは低所得者層を圧倒的に獲得した。再分配政策にもかかわらず、マムダニが市内の富裕層を納得させることができたのは、マムダニの政治運動にとって良い兆候である。しかし、民主党が2026年と2028年に勝利するためには、労働者階級の有権者を獲得する必要がある。

そして、バーニー・サンダースが2度の大統領選予備選挙で見せたパフォーマンスとは異なり、マムダニはクオモも圧勝した黒人有権者に苦戦した。中間選挙に出馬する民主党が黒人有権者の支持を得られなければ、来年11月に民主党が連邦下院をひっくり返すチャンスはない。マムダニの連合は今回の予備選挙で勝利するには十分だったが、民主党が全国的に勝利するには不十分だ。

第六に、民主党はマムダニのデジタル戦略による草の根動員を再現すべきである。あるXの投稿では、「Zohran Mamdani 」とツイートするだけで、すぐに1000の「いいね!」を獲得できると言われている。これは、彼のヴォランティアがニューヨーク市中の150万以上のドアをノックする、強力な地上戦に変換された。彼のダイナミックなキャンペーンは、クオモの無気力なメッセージングとは対照的だった。

ニューヨーク市長予備選挙は、11月の選挙も同様に奇妙な展開となるだろう。クオモとアダムズには、依然として無所属の票が残っている。共和党候補のカーティス・スリアワは、マムダニの立場、特にイスラエルに対する忌まわしい見解に反発している民主党支持者を引きつける新たな機会を得るかもしれない。

つまり、今後さらにドラマが展開される可能性があるということだ。これはまだ幕間の出来事に過ぎない。

※スティーヴ・イスラエル:ニューヨーク州選出の連邦下院議員(8期)を務めた。2011年から2015年まで民主党連邦下院選挙委員会の委員長を務めた。

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マムダニの勝利は民主党に懸念と教訓をもたらす(Mamdani’s victory brings concerns, and lessons, for Democrats

ダグラス・ショーエン、カーリー・クーパーマン筆

2025年6月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/5374228-democrats-leftward-polarization-zohran-mamdani/

2024年の大統領選挙の重要な教訓が、民主党が経済・社会問題において中道に近づく必要があるというものだったとすれば、先週のニューヨーク市選挙は、民主党が教訓を学んでいないことを如実に示している。

実際、33歳の州議会議員ゾーラン・マムダニがニューヨーク州元知事アンドリュー・クオモを破って勝利したことは、民主党が自らのルーツを再発見するどころか、さらに左傾化を続けていることを示唆している。

さらに、進歩派や民主社会主義者はマムダニの総選挙での勝利を喜ぶだろうが、穏健派の民主党員は不安を抱いている。これは、穏健派と進歩派の間で分極化し、どちらの方向へ進むべきか確信が持てない民主党の現状を反映している。

はっきりさせておくと、マムダニの精力的な選挙運動が民主党にとってのロードマップとなるべきであることは否定できない。

マムダニは生活費に対する人々の根深い不満を掘り起こし、通常は有権者たちとしてあまり信頼できない若者の心を躍らせた。さらに、前回の選挙で民主党指導部がほとんどできなかった方法で有権者たちとの繋がりを築いた。

しかしながら、民主党は、民主党が向かっている方向性に警鐘を鳴らしつつも、活力に満ちた明るい選挙戦を展開するための教訓を吸収すべきだと言えるだろう。

マムダニは、あまりにも無意味な政策を掲げて選挙戦を展開し、『ニューヨーク・タイムズ』紙と『ニューヨーク・ポスト』紙の編集委員会を結集させ、ニューヨークのような大都市を率いる能力がないと非難した。

このように、マムダニには4つの根本的な懸念事項があり、民主党がさらに1つの教訓を心に刻むべきだ。

第一の懸念は、マムダニが自らを社会主義と称し、極端な思想を掲げていることだ。2024年の選挙後数カ月にわたる世論調査では、民主党支持者でさえ、党がさらに左傾化するのではなく、中道寄りになることを望んでいることが明らかになった。

ギャラップ社の世論調査によると、民主党支持者と民主党寄りの無党派層のかなりの割合(45%)が、党がより穏健になることを望んでいるのに対し、党がよりリベラルになるべきだと答えたのは29%だった。

2021年に実施された同じ世論調査と比較すると、党が中道化になることを望む民主党支持者の割合は11ポイント増加し、よりリベラルになることを望む割合は5ポイント減少した。

共和党は、マムダニの極左政策、すなわち公共交通機関の無料化、警察予算の削減、そして、ソヴィエト連邦でさえ最終的に悪い考えだと認識した市営食料品店の開設といった政策を、民主党全体の代表として描き出そうとするだろう。

実際、トランプ大統領とJD・ヴァンス副大統領は既にそうし始めている。

トランプは民主党が「100%共産主義の狂人(100 percent Communist Lunatic)」を選んだことを激しく非難し、ヴァンス副大統領はマムダニを「民主党の新党首(new leader of the Democratic Party)」として冗談交じりに祝福し、さらに彼を「反ユダヤ主義の社会主義過激派(antisemitic socialist radical)」と呼んだ。

第二に、『ニューヨーク・タイムズ』紙が指摘したように、マムダニにはニューヨーク市を統治する資格が全くない。

彼の極左的な思想、経験不足、年齢を別にしても、不動産会社の大物スコット・レヒラーが「資本主義の首都(the capital of capitalism)」と呼ぶ場所で資本主義を攻撃し、大幅な増税を計画していることは、ニューヨーク市の経済を衰退させるに違いない。

同様に、3つ目の懸念は、マムダニが特定の問題でトランプ大統領に対抗できるかどうかだ。

経験豊富で資格もはるかにあるカリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)はこの点で成功を収めているが、ニューサムでさえホワイトハウスとの関係構築に失敗することがある。

経験不足のマムダニは、より良い結果を出すことができるだろうか? それとも、より可能性が高いのは、トランプ大統領と、ニューヨーク州知事であるキャシー・ホウクル(民主党)と衝突することになるだろうか。ホウクル知事は、マムダニの選挙運動の柱である減税政策に既に反対を表明している。

マムダニが本選挙で勝利すると仮定すると(実際、勝利する可能性が高い)、最後の懸念が浮上する。それは、マムダニがどのようにニューヨーク市を統治するのかということだ。

もし彼の任期が、非常に似た選挙戦を展開した同じく社会主義者のシカゴ市長ブランドン・ジョンソンのそれと似たものになれば、ニューヨーク市にダメージを与えるだけでなく、民主党の評判を落とすことになるかもしれない。

マムダニは2026年の中間選挙の10カ月前、来年1月に就任宣誓を行う予定だ。そして、彼の任期のピークは2028年の大統領選挙となるだろう。

マムダニの支持率がジョンソンと同程度(最近の世論調査ではわずか26%)であれば、共和党は恩恵を受けるだろう。

民主党所属の連邦議員たちは、生ぬるい支持から完全な拒否まで、様々な反応を示した。

連邦議会民主党指導部のチャック・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出)とハキーム・ジェフリーズ連邦下院議員(ニューヨーク州選出)はマムダニを祝福したが、重要なことは、全面的な支持を表明するには至らなかったことだ。

ローラ・ギレン連邦下院議員、トム・スオッツィ連邦下院議員、ジョシュ・ゴットハイマー連邦下院議員といったニューヨーク州の中道派の民主党議員たちも、マムダニから距離を置いており、ギレン議員はマムダニについて「容認できない反ユダヤ主義的な発言を繰り返しており、非常に憂慮すべきだ」と述べている。

ビル・クリントン元大統領の下で財務長官を務めたラリー・サマーズは、「インティファーダをグローバル化せよ(globalize the intifada)」というスローガンを否定しなかったが、「トロツキスト的な経済政策を提唱する候補者を選出した党の将来について、深く憂慮している」と記している。

確かに、こうした懸念にもかかわらず、民主党にとって、特に党が将来の方向性を決定づける中で、非常に現実的な教訓が1つある。マムダニが勝利したのは、彼が熱意あふれる選挙戦を展開し、有権者をその熱意で鼓舞したからだ。政治的右派と左派の両方の有権者が既成勢力の候補者にうんざりしている時代に、マムダニは非常に現実的な問題を取り上げた。

同様に、マムダニが選挙戦で訴えた問題、主に住宅価格の高騰は、たとえ彼の解決策が的外れであったとしても、正当な懸念事項である。有権者は両陣営の候補者に対し、生活費の高騰が最大の懸念事項であると訴えてきたが、対策はほとんど講じられていない。

これを念頭に置くと、民主党は、現実に根ざさないマムダニのような極端な考えではなく、真の解決策を提示する候補者を選び、選挙活動を行うことが重要だ。

2024年11月の大統領選挙でトランプを勝利に導いた3つの課題、すなわち生活費、犯罪と公共の安全、そして移民問題を考えてみよう。最初の2つの課題について、マムダニは、巨額の公共支出プロジェクトを賄うために、企業を圧迫するほどの極めて高い税金を約束し、(少なくとも過去には)ニューヨーク市警の予算を削減した。これは、昨年11月に有権者に拒否されたジョー・バイデン前大統領やカマラ・ハリス副大統領の政策よりも、はるかに左寄りだ。

そして移民問題に関して、マムダニがニューヨーク市のサンクチュアリシティ法を強硬に支持すれば、民主党はアメリカ国民よりも移民、さらには暴力犯罪者を重視するという考えを強めることになるだろう。

言い換えれば、民主党に必要なのは、有権者と繋がり、彼らが真に関心を持つ問題について、陳腐な言葉ではなく具体的​​な解決策を提示し、熱意を喚起する選挙活動を展開する候補者だ。

結局のところ、民主党は、未来に対する考え方が大きく異なる穏健派と進歩主義派に分極化し(polarized)、岐路に立たされている。民主党は、自らの立場をしっかりと見定め、党がどちらの方向に進むべきかを決めることが不可欠だ。

穏健派が優勢となり、民主党がさらに左派に進むのではなく、その原点に戻ることが私たちの望みだ。

ニューヨーク市はアメリカの大部分を代表するものではない。マムダニのような候補者が党の全国的な顔になったとしても、民主党が近い将来、政治の荒野から抜け出せるとは考えにくいだろう。

※ダグラス・E・ショーン、カーリー・クーパーマン:ニューヨーク市に拠点を置く世論調査会社ショーン・クーパーマン・リサーチの世論調査員兼パートナー。2人は共著で、『アメリカ:団結か死か(America: Unite or Die)』を刊行している。

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(終わり)

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 今回は、興味深い論稿をご紹介する。民主党系のストラティジストが書いた文章で、内容は、イーロン・マスクが行っている政府効率化(連邦政府職員の削減、連邦政府機関の一部の閉鎖、予算の削減)がトランプと支持者たちを離間させるというものだ。 

論稿の著者ブラッド・バノンは「マスクはトランプのスケープゴートにされる可能性がある。民主党は、トランプを弱体化させることが最終目標であり、マスクを攻撃することではないと認識すべきである」と主張している。失業保険や生活保護など、連邦政府の予算が入っている福祉制度や労働対策制度を利用している低所得者層にとって、連邦政府の予算削減は生活に直結する大問題だ。

これまでにブログで何度も書いているが、トランプは、アメリカの貧乏白人、白人労働者たちの支持を受けて、彼らの代表として、既存の政治を壊すためにワシントンにやって来ている。貧しい白人、白人労働者たちが望んでいるのは、雇用であり、働かせてくれさえすれば、そして、生活できるだけの給料を保証してくれれば、福祉に頼ることなく、自分で生活を立て直すという考えを持っている。

 彼らの考えはもっともで素晴らしい。しかし、実態は厳しいだろう。トランプ政権下の4年間でどれだけの雇用が、一度、製造業が去ってしまった地域に戻るだろうか。しかも、彼らが望むだけの賃金となると、どうしても競争力は限定されてしまう。そうなると、彼らもまた我慢を強いられる。自分たちの思い通りにはいかないし、福祉に頼るということも続くことになるだろう。

 以下の論稿で重要なのは、後半の以下の記述だ。「マスクを嫌うバノンは私だけではない。トランプの大統領顧問を務めたスティーヴ・バノン(私とは血縁関係はない)は、長年の堅固なトランプ支持ポピュリスト勢力(the old diehard Trump populists)と、マスクを中心とするトランプ・ワールドの新たな有力企業勢力(the new dominant corporate wing of Trump World)との間で、MAGA内戦が勃発すると警告している。バノンはこれを、トランプ連合内の億万長者と労働者階級の勢力間の戦い(a battle between the billionaire and working-class elements within the Trump coalition)だと表現した」。

 既に、日本でも報道されているように、政権内部には不協和音が起きつつある。最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)でも、政権内の不協和音、衝突については触れているが、より鮮明になっているようだ。私は違和感を覚えていたが、それが「長年の堅固なトランプ支持ポピュリスト勢力(the old diehard Trump populists)と、マスクを中心とするトランプ・ワールドの新たな有力企業勢力(the new dominant corporate wing of Trump World)」という形で言語化されている。トランプ政権はポピュリズム政権であるが、大富豪であるイーロン・マスク、そして、ピーター・ティールが支えていることの違和感はあった。これが顕在化しつつある。

 トランプという巨大な存在によって、そうした不協和音を抑えることができるだろうが、それがいつまで続くだろうかということは私の最新の興味関心ということになる。

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マスクは民主党がトランプを労働者階級の支持層から引き離すために必要な楔となるかもしれない(Musk may be the wedge Democrats need to separate Trump from his working-class base

ブラッド・バノン筆

2025年2月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/5158364-elons-musk-vs-trump-division/

イーロン・マスクはメディアの注目を独占している。この状況が続く限り、彼にはそれを楽しんでいて欲しい。マスクはトランプ大統領の影を薄くし始めており、トランプのようなナルシストが長く我慢するはずがない。

木曜日、クールなサングラスをかけ、チェーンソーを振り回すマスクは、今年のCPAC保守派会議の主役だった。FOXニューズのショーン・ハニティとの共同インタヴューでは、トランプを圧倒した。トランプが脇役に甘んじていた最近の大統領執務室での会合の報道では、マスクと息子が中心人物だった。カルヴィン・クーリッジがネイティヴ・アメリカンの頭飾りを身につけて以来、最悪の大統領写真撮影の機会だった(意識が高ぶっていることを許して欲しい)。

マスクはフレッド・アステアの真似を精一杯やっている。重力に逆らって天井で踊っている。この綱渡りは、彼の失墜が更に悲惨なものになることを意味するだけだ。

2週間前に『エコノミスト』誌が実施した全国世論調査によれば、トランプ大統領は既に不人気であり、人命が失われる数が増えるにつれ、事態はさらに悪化するだろうことは間違いない。

トランプの支持率も、2度目の就任以来低下している。彼に対するネガティヴな評価が警戒すべきレヴェルにまで達すれば(そして必ずそうなるだろう)、脚光を浴びることを好むこの大企業経営者であるマスクは大統領のスケープゴート(scapegoat)にされるだろう。トランプの元側近の多くと同様に、彼も使い捨てられる存在だ(He is disposable like so many of Trump’s former associates)。民主党は、私たちの最終目標は大統領を弱体化させることであり、マスクを弱体化させることではないことを忘れてはならない(Democrats must remember that weakening the president, not Musk, is our ultimate goal)。マスクがトランプの意のままに動いているのであって、その逆ではないことを明確にすべきだ(We should make it clear that Musk is doing Trump’s bidding and not the other way around)。

国民の60%以上は、マスクがトランプに大きな影響力を持っていると考えているものの、マスクにそう望んでいるのはアメリカ人の5人に1人だけだ。共和党員の3人に1人でさえ、この大企業経営者マスクは大統領に過大な影響力を持っていると考えている。

トランプは、マスク、Metaのマーク・ザッカーバーグ、Amazonの『ワシントン・ポスト』紙のジェフ・ベゾスといった超富裕層のテック業界の巨人たちと肩を並べている。ワシントン・ポストで最近起きた騒動は、トランプの企業カルテルがいかに集中的な権力を持っているかを如実に示している。公益団体コモン・コーズは、マスクを批判するラップアラウンド広告を一面、裏面、そして中面1ページに掲載することを提案した。しかし、注文を受けた後、ワシントン・ポストは尻込みして広告掲載を断った。ワシントン・ポストのモットーは、「ワシントン・ポストで民主政治体制は闇の中で死ぬ(Democracy Dies in Darkness at the Washington Post)」に変更されるべきだ。

ワシントン・ポストが広告掲載を拒否したことは、言論の自由に対する明白かつ差し迫った脅威だ。また、トランプ、マスク、ベゾスが、機能不全に陥ったアメリカ民主政治体制の心臓部に血液を送り込む情報動脈(the information arteries)を、いかに強大に締め上げているかを如実に示している。

マスクは世界で最も富裕な人物の1人、いや、最も裕福な人物と言えるだろう。彼は政府効率化省をリードする頭脳(the brain behind the Department of Government Efficiency)だ。彼の冷酷な指揮下で在宅医療や学校給食を失う貧しいアメリカ国民のことを、彼には気遣う理由など存在しない。効率化をあえて追求するあまり、彼は大切なものを駄目にし()throw the baby out with the bathwater、何百万人もの人々に奉仕する連邦政府機関を丸ごと潰そうとしている。彼の執拗な追求には、政府撲滅省(the Department of Government Eradication)というより適切な名称がふさわしいだろう。そして、彼が直属する大統領の真の目的はまさに政府の撲滅なのだ。

最近、政府効率化省(DOGE)は移民・関税執行局(the Immigration and Customs Enforcement Agency)で80億ドルの無駄遣いを発見したと主張した。『ニューヨーク・タイムズ』紙が調査したところ、実際の数字は800万ドルだったことが判明した。マスクが80億ドルと800万ドルの違いも分からないのであれば、他に何を間違っているだろうか? 彼は政府支出の効率化(efficiency in government spending)を担うべき人物ではない。

彼はまた、行動と言動において利益相反(conflict of interest)そのものだ。彼の巨大な企業的利益は、彼が担う重要な政府責任と真っ向から衝突している。彼のロケット会社スペースX社は連邦政府の請負業者である。

マスクを嫌うバノンは私だけではない。トランプの大統領顧問を務めたスティーヴ・バノン(私とは血縁関係はない)は、長年の堅固なトランプ支持ポピュリスト勢力(the old diehard Trump populists)と、マスクを中心とするトランプ・ワールドの新たな有力企業勢力(the new dominant corporate wing of Trump World)との間で、MAGA内戦が勃発すると警告している。バノンはこれを、トランプ連合内の億万長者と労働者階級の勢力間の戦い(a battle between the billionaire and working-class elements within the Trump coalition)だと表現した。

民主党と進歩主義派は、この分裂につけ込むことができる。苦境に立たされた労働者世帯を支援するという自らの関与を強調することで、こうした分裂をうまく利用することができる。彼らは、トランプが新政権発足初日に物価を引き下げるという、今や放棄された選挙公約を実行してくれることを期待していた。

分断統治(divide and conquer)は常に敵を倒す効果的な手段だった。私たちはMAGA内の分裂につけ込まなければならない。マスクは、トランプを労働者階級の支持層から引き離すために必要な楔(wedge)となるかもしれない。

※ブラッド・バノン:民主党の全国規模担当ストラティジストであり、民主党、労働組合、そして進歩主義的な問題団体のための世論調査を行うバノン・コミュニケーションズ・リサーチCEO。彼は、権力、政治、政策に関する人気の進歩主義派ポッドキャスト「デッドライン・DC・ウィズ・ブラッド・バノン(Deadline D.C. with Brad Bannon)」の司会者を務めている。

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 ドナルド・トランプには大統領としては残り4年間弱しか時間がない。そのうち、最終年はレイムダック化と呼ばれる、次はないのだからということで、人々が離れて実質的に力を失う時期があるとなると、3年間ほどしかない。2026年11月には中間選挙(連邦上院議席の一部と連邦下院の全議席の選挙)が実施され、だいたい与党側が議席を減らすので、連邦上下両院での優位も崩れるかもしれない。そうなれば、政権運営は難しくなるので、最初の2年間で勝負を決しておかねばならない。

トランプは、アメリカの抱える財政赤字と貿易赤字を何とかしようと、電撃作戦を仕掛けた。巨大な連邦政府(職員は約200万人)と巨額の連邦政府予算(約7兆ドル、約1000兆円に達する)の削減を行うために、イーロン・マスクを政府効率化省のトップに据えた。私たちは新自由主義全盛の頃に、アメリカは小さい政府で効率が良い、決定スピードが速いなどと嘘を教えられてきたが、共和党と民主党の大統領、連邦議会は、アメリカ連邦政府を巨大化させてきた。そのくせ、日本は国家予算を削り、人員を減らすことを、アメリカの手先にして売国奴、買弁の小泉純一郎や竹中平蔵に強要されてきた。話が逸れたので元に戻す。

 貿易赤字に対しては、高関税を課すことになった。関税を支払うのは、輸入する業者たちだ。そして、関税が上がった分で業者や取引業者が吸収できない分は消費者が価格の上昇ということで支払うことになる。物価上昇については、トランプ大統領はエネルギーの増産で対処しようとしているが、アメリカ政府の輸出増加を狙う、ドル安誘導で物価上昇は避けられない。アメリカ国民は、強いドルのおかげで世界中から製品を比較的安価に手に入れることができた。そして、外国に支払ったドルは、「世界で最も安全な資産」である米国債購入で、アメリカに戻るというシステムを作り上げ、借金漬けの生活を送ることが可能になった。

 トランプはそのような戦後のシステムとそれが生んだひずみを解消しようとしている。もちろん、それはうまくいかないだろう。はっきり言って、アメリカの製造業が復活するなんてことはないし、アメリカの借金が全てチャラになることはない。多少の延命になるかどうかだ。しかし、これまでの政治家たちが先送りにしてきたことを何とかしようという姿勢を見せているだけでも、アメリカ国民の評価を得るだろう。

 以下の論稿にあるように、これまでの常識で見ていけば、トランプはすぐに失敗することになるだろう。しかし、現状はこれまでとは大きく異なっている。戦後の世界構造、いや、近代600年の世界構造が大きく動揺している。その中で、時代精神、心性を体現する人物としてトランプは出現した。このことを分からなければ、右往左往するだけのことになってしまう。

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これは「トランプのピーク」になるかもしれない(This Could Be ‘Peak Trump’

-彼の権力への復帰は印象的なものだが、これから困難な仕事が始まる。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年1月27日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/01/27/peak-trump-war-diplomacy-tariffs-economy/

トランプ政権の発表だけを聞いたり、これまでに業績を上げてきたジャーナリストたちによる、まるで目の前の出来事に戸惑うような(the deer-in-the-headlights)説明だけを読んだりすれば、トランプ新政権は既に抗えないほどの勢いを増大させているという結論を皆さんは持つかもしれない。トランプの君主的な野心(Trump’s monarchical pretensions)を考えると、彼は間違いなく、自分には制限がなく、抵抗は無駄だと皆に思わせたいと思っているだろう。しかし、それは事実ではない。トランプの華々しい復帰と初期の広範な取り組みを、止められない勢いだと誤解すべきではない。むしろ、後になって、この時期を振り返ったえら、トランプ的傲慢さの頂点(the highwater mark of Trumpian hubris)だったということになるだろう。大袈裟な約束をするのは簡単だが、実際に成果を上げるのは非常に困難なのだ。

もちろん、トランプの手腕を過小評価すべきではない。彼は、疑わしい事業に銀行から融資を取り付け、騙されやすい顧客に、決して実現しないものに金を支払わせることに大いに長けている。彼は、事実がどうであろうと、アメリカは絶望的な状況にあり、自分だけがそれを解決できると有権者を説得することに驚くほど長けていることを証明してきた。これは、様々な問題の責任を負わせる架空の敵(fictitious enemies)を見つけることにも同様に長けているからだ。過去の犯罪に対する処罰を逃れることにかけては並外れた技能を持っており、自身、家族、そして仲間に利益をもたらすことにも長けている。そして正直に言って、彼は疑問視されるべき正統性(orthodoxies that deserved to be questioned)、特にアメリカを不必要で失敗に終わる戦争に引きずり込む外交政策エスタブリッシュメントの傾向に、果敢に挑戦してきたことでも恩恵を受けている。

トランプが才能を発揮できていないのは、政府を運営し、首尾一貫した政策を立案し、一般のアメリカ国民に広範かつ具体的な利益をもたらすことにおいてだ。彼の最初の任期における実績は忘れてはならない。貿易赤字は改善するどころか悪化し、不法移民は大幅に減少せず、パンデミックへの対応の失敗で何千人ものアメリカ人が不必要な死を遂げ、北朝鮮は核兵器を増強し、イランはウラン濃縮を再開し、大々的に宣伝されたアブラハム合意は、2023年10月7日のハマスによるイスラエル攻撃の布石となった。彼はアメリカ・メキシコ国境に壁を建設することはなく、メキシコは費用を負担しなかった。中国は、トランプが交渉した大規模貿易協定で約束した2000億ドル相当のアメリカ製品を購入しなかった。まさに多くの勝利を得た!

今回はもっと良い結果になるだろうか? もしかしたらその可能性はある。2017年とは異なり、今回は彼には要職に忠実な側近が就いており、ホワイトハウスには有能で有能な首席補佐官(chief of staff)がいると誰もが認めるだろう。しかし、こうした強みをもってしても、トランプの政治政策に潜む深刻な矛盾(deep contradictions)や、彼が直面するであろう障害(obstacles)を解消することはできない。

それらの点を列挙してみよう。

第一に、偉大な平和調停者(a great peacemaker)として歴史に名を残したいというトランプ氏の願望と、自分の思い通りにするために相手を威圧し、武力行使で脅すという彼の根強い特長との間には、明らかな緊張関係がある。巧みな強制外交の使用(the adroit use of coercive diplomacy)は和平努力を促進することもあるが、あらゆる方向に大きな棒を振り回すトランプの特長は、どこでも通用する訳ではない。遅かれ早かれ、彼のブラフは見破られ、彼は引き下がるか、行動を起こさなければならないだろう。彼の怒りの矛先となっている相手の中には、「泥沼(quagmire)」に陥っている存在もおり、武力行使の脅しは、従わせるどころか、抵抗を強める傾向がある。彼はまた、ロシアによるウクライナ戦争と、ほぼ確実に崩壊するイスラエルとハマスの停戦という、特に厄介な2つの紛争を引き継いだ。そして、後者については24時間以内に解決できると選挙運動中に自慢していたことを、既に撤回している。

第二に、トランプの経済政策は到底納得のいくものではなく、彼は自らが表明した目標の一部を犠牲にするか、経済破綻の危機(a potential economic trainwreck)に直面することになるだろう。減税(tax cuts)の延長、関税(tariffs)の導入、そして労働者の国外追放(deporting)は、いずれも財政赤字の拡大とインフレの再燃を招く恐れがあり、トランプが得意とする予測不可能性(unpredictability)によって生じる不確実性(uncertainty)は、企業の足かせにもなるだろう。トランプと支持者たちは、規制緩和(deregulation)と「無駄な(wasteful)」支出の削減でこの矛盾は解消されると主張しているが、国防総省への支出を増やすのであれば、多くのアメリカ人が依存し支持している社会保障制度を大幅に削減しない限り、大した節約にはならない。トランプ大統領は、ジョー・バイデン前大統領から極めて健全な経済を引き継いだ。更に重要なのは、トランプ大統領が実施すると約束した政策が、この落ち込みをより悪化させるということだ。

第三に、トランプが他国(特にメキシコ)を罰すると脅すことと、反移民政策の間には明らかな矛盾がある。メキシコへの関税は、多くのアメリカの製造業が依存するサプライチェインを混乱させるだけでなく、メキシコ経済に打撃を与え、より多くの人々がリスクを無視してアメリカへの移住を試みるようになるだろう。不法移民を阻止する最良の方法は、近隣諸国を不況に陥れるのではなく、経済的に繁栄させることだが、トランプはこのことを理解しているのだろうか?

第四に、政府機関を骨抜きにし、公務員にリトマス試験を課し、不適格者や深刻な問題を抱えた人物を主要な政府機関の責任者に据えることは、不可欠な公共サーヴィスの低下を確実に招く。政府機関は政治の格好の標的だが、億万長者ではないアメリカ人は、特に緊急事態において、それらの機関が円滑に機能することを頼りにしている。公共サーヴィスが低下した場合、一般のアメリカ人は憤慨するだろうし、トランプには他に責める相手はいないはずだ。

第五に、大学やその他の知識生産組織を攻撃することは、アメリカを愚かにし、人的資本を減退させ、他の国々の追い上げを助長することになる。大学を標的にするなら、技術革新を推進し、効果的な公共政策の策定に貢献し、社会全体の幸福に貢献する将来の科学者、エンジニア、医師、芸術家、社会科学者、弁護士、その他の専門家を誰が教育することになるのだろうか? 大学、非政府組織、シンクタンクにMAGAアジェンダを押し付けることで、各国が致命的な過ちを避けるための健全な議論が阻害されてしまう。これは、アメリカのような開かれた社会が、権威主義的なライヴァル国よりも一般的に豊かで、強く、過ちを犯しにくい理由を説明するものだ。賢明な大統領なら、この優位性を手放したいと思うだろうか?

第六に、トランプ氏が政府の腐敗を全く新しいレヴェルに引き上げると信じるに足る理由は十分にある。彼は既に、金持ちでテクノロジー業界の大富豪たちからの金銭と譲歩を強要している。彼らは金銭の授受に躍起になっている。関税やその他の貿易制限を課すことで、企業は例外を求め、それを得るために金銭を投じるため、腐敗が蔓延する新たな機会が生まれる。腐敗が蔓延すると、資源は人材買収に浪費され、投資は最も優秀なイノベーターや最も有望な事業ではなく、独裁者の言いなりになる忠誠心の高い層に流れていく。開発専門家たちは、腐敗の削減と法の支配の強化が経済成長を促進すると強調しているが、トランプはアメリカを逆の方向に導こうとしているようだ。彼と彼の仲間はより豊かになるだろうが、あなたはそうならないだろう。

第七に、トランプの二期目は、ある意味で、共和党が長年追求してきたいわゆる統一された行政権の実現に向けた集大成と言えるだろう。行政権の集中(the concentration of executive power)は1世紀以上にわたり着実に進んできたが、近年の最高裁判決はこの傾向を加速させ、トランプの君主制的な本能(Trump’s monarchical instincts)を強めている。抑制されない権力の問題は、独裁者の過ちを正す術がないことだ。特に、情報環境も掌握し、自らの失策を指摘する者を排除したり、沈黙させたりできる場合、猶更だ。人間は誤りを犯す生き物であり、過ちは避けられないが、抑制されない権力を持つ指導者は、大きな過ちを犯しがちだ。ヨシフ・スターリン、毛沢東、アドルフ・ヒトラー、ベニート・ムッソリーニ、サダム・フセイン、ムアンマル・カダフィ、そして北朝鮮の金王朝が、権力を掌握し、やりたい放題になった時にどれほどの損害を与えたかを考えてみて欲しい。中国の習近平国家主席の最近の一連の失策もまた、警告となる具体例となる。

就任演説でトランプは、アメリカ合衆国を新たな「黄金時代(golden age)」へと導くと宣言した。しかし、寡頭政治家たち(oligarchs)が政治を支配し、縁故資本主義(crony capitalism)が蔓延し、政府が市民社会(civil society)の独立した機関を威圧し、嘘が政治言説の常套手段となり、宗教的教義が公共政策の主要要素を左右し、問題は常に変化する内外の「敵(enemy)」のせいにされるような国のヴィジョンとは、到底合致しない。これはアメリカ合衆国というより、ロシア、中国、あるいはイランに近い。そして、大多数のアメリカ人が本当に望んでいるのは、そのような状況ではないだろう。

良いニューズなのは、そこに到達するにはまだ道のりが長く、独裁政治(autocracy)への道には落とし穴がたくさんあるということだ。22024年11月5日のアメリカ大統領選挙以来、トランプが続けてきた勝利のラップソングは終わりを迎え、彼の突飛な公約を全て実現するという困難な仕事が始まる。特に誠実さや清廉さといった基本的規範を軽蔑する人物には嫌悪感を抱いているものの、もしトランプが私の予想を覆し、専門家の予想を覆し、アメリカをより豊かで、より団結し、より安全で、より尊敬され、より平穏な国にしてくれるなら、嬉しい驚きを感じるだろう。しかし、私はそれに賭けるつもりはない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Bluesky: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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