古村治彦です。
現在のアメリカ連邦下院議長ポール・ライアン(ウィスコンシン州選出、共和党)に政治家引退説が出ています。
「ライアンは2018年の中間選挙後に連邦下院議員を引退する」という話を米誌が報じています。ライアンは記者会見で「すぐ」の引退を否定しています。
ライアンが引退するのではという説の根拠として、ライアンは税制改革を目標にして議員活動をしており、共和党主導の税制改革が成功した場合に、その絶頂で引退するのではないかということが挙げられています。また、ワシントンでの生活に疲れているようにも見えるということも挙げられています。
ライアンには健康不安説があるのだという話は何度か聞いたことがあります。だから、大統領を目指すのも健康問題があるから難しいという話も聞いたことがあります。これらの話は根拠がある訳ではないので、何とも言えないのですが、ライアンがワシントンの生活に疲れており、税制改革を花道にして引退するというのはあり得そうな話です。
2016年の大統領選挙では、ドナルド・トランプをなかなか支持しなかったこともあり、トランプ大統領とは距離があるようです。トランプ大統領が政権発足時にレインス・プリーバスを大統領首席補佐官に任命しましたが、これはプリーバスがライアンと同じウィスコンシン州出身で政治家転進を目指していることから、ライアンへの当てつけであろうという話も流れました。
ライアンが連邦下院議員まで引退となると。プリーバスがその後釜となる可能性があります。
(貼り付けはじめ)
ライアンは2018年の中間選挙後に引退する可能性がある(Ryan could retire
after 2018 midterms: report)
エイヴェリー・アナポール筆
2017年12月14日
『ザ・ヒル』誌
http://thehill.com/homenews/house/364918-ryan-could-retire-after-2018-midterms-report
ポール・ライアン米連邦下院議長(ウィスコンシン州選出、共和党)は2018年の中間選挙後に引退することを考えていると報じられた。
『ポリティコ』誌は木曜日、ライアンは、「最も親密な側近たち」に対して、議長を務めている現在の議員任期が最後の人気となるだろうと述べた、と報じた。
ポリティコ誌は30名以上のライアンの同僚、補佐官、ロビイスト、協力者たちに取材を行った。この取材によると、「2018年以降もライアンが下院にとどまるだろうと考える人は誰もいない」ということであった。
木曜日、ライアンは記者たちに対して、下院から離れる計画は持っていないと語った。
毎週木曜日に行われる定例記者会見の最後に、「あなたは“すぐに”連邦議員から引退するのか」と質問されたとき、ライアンは含み笑いを浮かべ、ステージから降りながら、「いいえ、そんなことはありません」と答えた。
ライアンの近い将来についてはここ数カ月話題になっていた。先月、共和党関係者は本誌の取材に対して、共和党が税制改革を成功させたらという条件付きで、連邦下院銀長の任期を全うするだろうと答えた。
11月に本誌の取材に答えたある共和党所属の連邦議員は次のように答えた。「ライアンが絶頂の時に引退したいと述べるのではと考えている人たちは多い。税制改革法の可決は、18年にわたって税制改革のために連邦議会で戦ってきたライアンにとっては絶頂の時ということになる」。
連邦議会共和党は現在のところ、クリスマスまでに税制改革法を議会で通過させて、トランプ大統領に送るために努力している。
連邦議会共和党の最高幹部たちはライアンが引退する場合には後任に名乗りを上げようとしているように見える。
共和党の中でライアンの後任になりそうな人物として、次のような人々が挙げられる。2年前に連邦下院議長の座をライアンと争って敗れたケヴィン・マッカーシー(カリフォルニア州選出、共和党)共和党連邦下院院内総務、6月に銃乱射事件で瀕死の重傷を負ったスティーヴ・スカリス共和党連邦下院院内総務(ルイジアナ州選出、共和党)、キャシー・マクモリス・ロジャース共和党会議議長(ワシントン州選出、共和党)、保守派の共和党連邦議員の団体「共和党スタディ・コミッティー・コーカス」会長のマーク・ウォーカー(ノースカロライナ州選出、共和党)といった人々が候補者だ。
税制改革はライアンにとって長年の目標であった。今年初めごろ、共和党連邦議員たちの中には本誌の取材に対して、共和党がクリスマスまでに税制改革法を成立させることができたら、ライアンは引退する可能性があると語っていた。
ライアンに近いある共和党連邦議員は「ポール(・ライアン)は税制改革が可決されたら引退する可能性がある。税制改革に成功して引退する可能性は失敗して引退する可能性よりも高い」と語った。
ライアンは2015年に連邦下院議長になる前から、ワシントンでの生活に疲れており、その疲れが蓄積しているように見えた。ライアンは2014年に『ナショナル・ジャーナル』誌のインタヴューの中で、自分はこれから先10年も連邦議員を続けるつもりはないし、自分の残されたキャリア全期間をワシントンで過ごすつもりはないと述べた。
2012年の大統領選挙でミット・ロムニーは敗れた。この時、ライアンは副大統領候補として戦った。この時、ライアンは妻に対して連邦下院議員から引退しようかと考えていると話した、とポリティコ誌は報じた。当時の連邦下院銀長ジョン・ベイナー(オハイオ州選出、共和党)は引退を思いとどまるように説得し、「あなたが連邦下院予算委員長を続けられるようにするから」とライアンに対して述べた。
2015年にライアンが連邦下院議長に選ばれる数週間前、ライアンは議長の座に興味はないと発言していた。彼は「議長職は子供が巣立った後の人(empty nester)に適した地位だ」と述べた。ちなみにライアンには3人の子供がいる。
しかし、保守派にとって連邦下院議長の最適任者はライアンであった。2015年に議長の座を争ったマッカーシーは『ナショナル・レヴュー』誌の当時の取材に対して、ライアンには連邦下院議長になって欲しいと語っていた。
(貼り付け終わり)
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