古村治彦です。
ドナルド・トランプ次期大統領は、国務長官にマルコ・ルビオ、国家安全保障問題担当大統領補佐官にマイク・ウォルツ、米国連大使にエリス・ステファニックを指名した。この人事に共通するのは対中強硬姿勢、親イスラエル姿勢、ウクライナ戦争終結志向姿勢といったことが挙げられる。直近で言えば、ドナルド・トランプが主張しているように、ウクライナ戦争停戦を促進し、イスラエルへの支援を行う(事態の悪化、深刻化は望まない)という布陣になる。
ドナルド・トランプとマルコ・ルビオ
現在のアメリカでは、ウクライナ(ヨーロッパ地域)とイスラエル(中東地域)の対処が先で、アジア地域までは動きが取れないということになっている。対中強硬姿勢と言いながら、実際には何か重要な動きをすることは難しい。台湾問題は米中双方が自制して問題化させないようにするだろう。それよりも、危険なのは朝鮮半島である。北朝鮮がウクライナに兵式を派遣し、韓国に対しては強硬姿勢を鮮明にしており、「朝鮮戦争の再燃か」という懸念の声が上がっていることは、このブログでもご紹介した。
※「古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ」2024年11月5日付「朝鮮半島の状況が不安定化し朝鮮戦争が起きる可能性について取り沙汰されている:中国もロシアもそれを望んでいないがこの危険性が交渉材料になる(アメリカとの)」→https://suinikki.blog.jp/archives/89105815.html
ここで重要なのは、第一期トランプ政権で実施された米朝首脳会談と非核化の合意形成である。トランプは、中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領との関係を利用して、朝鮮半島問題を悪化させないように動くだろう。現在のところ、アメリカではウクライナ問題と中東・イスラエル問題に注目が集まっている中で、朝鮮半島問題についても裏側で動くことだろう。重要なのはトップ人事と同時に、実務者レヴェルの人事である。トランプ政権にとっての最重要課題は「核戦争の防止」である。
マルコ・ルビオはアメリカ大統領選挙に出馬した経歴を持ち、トランプとも争った過去を持つ。今回、トランプがルビオを指名したことに驚きの声が上がった。ルビオに関しては、トランプも全幅の信頼を置いてはいないだろう。国務副長官、国務次官にルビオをけん制するための人物を配置するだろう。マイク・ウォルツは退役軍人(陸軍大佐)で、エリート部隊のグリーンベレー出身で、連邦下院議員を務めた経歴を持つ。ウォルツの配置は、南部国境に軍の部隊を派遣するという「麻薬戦争(drug war)」対策の側面があることが考えられる。
ドナルド・トランプとマイク・ウォルツ
エリス・ステファニックとドナルド・トランプ
エリス・ステファニックは共和党の「ライジングスター」であり、第二次政権以降も「トランプ政治運動」の重要人物として活動できるように育てていこうという意図が見える。副大統領のJ・D・ヴァンスと同い年ということもあり、将来の副大統領候補、あるいは大統領候補ということも考えられる。そのために、米国連大使抜擢で、政治キャリアの第二段階のスタートということになるだろう。
(貼り付けはじめ)
トランプがマルコ・ルビオを国務長官に指名と発表(Trump announces
Rubio as pick for secretary of State)
ブレット・サミュエルズ、ラウラ・ケリー筆
2024年11月13日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/4988992-trump-rubio-secretary-state/
ドナルド・トランプ次期大統領は水曜日、マルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)を国務長官に指名する決定を正式に発表し、かつてのライヴァルを政権の外交トップの役割に据えた。
トランプ大統領は声明で、ルビオを「非常に尊敬される指導者であり、自由を求める人々にとっての非常に強力な代弁者」と称賛した。
トランプは更に「彼は我が国の力強い代弁者であり、同盟諸国の真の友人であり、決して敵に屈しない恐れを知らぬ戦士となるだろう」と付け加えた。
ルビオのトランプ内閣閣僚への選出は、共和党大統領予備選で両者が激しいライヴァル関係にあり、個人的な侮辱をお互いに与えあっていた2016年からの劇的な好転ということになる。
今年初め、トランプ大統領はJ・D・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)を選出する前に、ルビオを副大統領候補に選ぶところだった。
フロリダ州選出の連邦上院議員は中国とイランに厳しい外交政策のタカ派とみられている。ルビオ氏は9月のNBCとのインタヴューで、ウクライナとロシアの間の戦争は「交渉による解決(with a
negotiated settlement)」で終わるのは明らかだと語った。
トランプ大統領は、就任後は速やかに「アメリカ・ファースト」の外交政策ヴィジョンを復活させると誓った。トランプは、アメリカが対ロシア戦争でウクライナを支援し続けることに懐疑的な姿勢を表明し、ヨーロッパの同盟諸国に対し、キエフ支援とNATO同盟を通じた自国の防衛支援に一層の努力をするよう求めた。
月曜日遅くに最初に報道されて以来、民主、共和両党の議員たちはルビオの選出を温かく歓迎した。ジョン・フェッターマン連邦上院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)はルビオの承認に投票する意向を示し、マーク・ワーナー連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)はルビオを「賢く、才能に溢れ(smart, talented)」、「世界中のアメリカの利益を代弁する強い代弁者(a
strong voice for American interests around the globe)」と呼んだ。
ルビオは指名発表後の声明で、トランプ大統領からの信頼を光栄に思い、「外交政策の課題に対処するために(to carry out his foreign policy agenda)」日々努力すると述べた。
ルビオは声明で「1月20日の大統領就任時に大統領が国家安全保障・外交政策ティームを設置できるよう、連邦上院の同僚たちの支持を得ることを楽しみにしている」と述べた。
フロリダ州選出の連邦上院議員ルビオは、指名が発表される数分前に連邦議会議事堂で記者団の取材に応じ、トランプの提案の一部について考えを述べ、トランプがルビオのポストについての人事承認プロセスを回避する手段として連邦上院議員に関与を求めてきた休会任命戦略(strategy of recess appointments)への反対を表明した。
ルビオは「理想的には、人々が投票され、人々が好きなように投票できるような指名プロセスが必要だ」と述べた。
ルビオは続けて「本当に重要な役職に就いていて、時間の面で理不尽な妨害をする人がいる場合、球界任命の予定は最後の手段として使うものだ」と述べた。
ルビオは、アプリ「TikTok(ティックトック)」の国家安全保障上のリスクについて懸念があるとしながらも、法律として可決された禁止措置を撤回するかどうかについてはトランプ大統領が権限を持っていると述べた。
ルビオは「このアプリとそれがもたらす脆弱性については依然として懸念があるが、究極的に言えば、私はアメリカ大統領ではないのだ」と述べた。
ウクライナについて質問されると、ルビオはトランプ大統領の意見を尊重し、「彼は戦争の終結を望んでいる」とし、「戦争を乗り越える方法を見つけるのは大統領の仕事だ。彼の戦略やその点での決断について、私は話すつもりはない」と述べた。
ルビオは「彼は、これは終わらせるべき戦争だということをかなり明確に示したと思う。事態は行き詰まり、ウクライナは1世紀前に戻りつつある」と語った。
ルビオ氏は政権交代に先立ち、ウクライナへの更なる資金提供を約束するつもりはないだろう。
「それを考える前に、新政権が発足するまで待とうではないか。私たちは来月も政府に資金を提供しなければならない」とルビオは語った。
ルビオの人事承認公聴会を実施する、連邦上院外交委員会のメンバーであるティム・ケイン連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は、ジェフ・マークリー連邦上院議員(オレゴン州選出、民主党)のような委員会の民主党側メンバーたちと一緒に、ルビオの人事承認への早期の支持を表明した。
ケイン議員は「今言えるのは、ルビオは連邦上院外交委員会の非常に献身的なメンバーだということだけだ。それは前向きなことだ」と語った。
トランプ大統領は先週の選挙で勝利した後、国家安全保障ティームを急速に強化した。トランプはエリス・ステファニック連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)を米国連大使に選び、マイク・ウォルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)を国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名した。トランプはまた、フォックス・ニューズの司会者で退役軍人のピート・ヘグセスを、国防総省を率いる候補者に指名した。
=====
トランプの国家安全保障問題担当大統領補佐官指名を受けたマイク・ウォルツについて知っておくべき5つのこと(Five
things to know about Mike Waltz, Trump’s national security adviser pick)
ブラッド・ドレス筆
2024年11月12日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/policy/defense/4986351-trump-waltz-national-security/
ドナルド・トランプ次期大統領は、次期国家安全保障問題担当大統領補佐官に国防政策や外交政策で長年の経験を持つ退役陸軍軍人でグリーンベレー出身のマイケル・ウォルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)を選出した。
フロリダ州第6選挙区の代表であるウォルツは2019年から連邦下院議員を務めており、連邦下院軍事委員会、外交委員会、情報・諜報委員会の委員を務めている。
トランプ大統領は自身のソーシャルメディアサイト「トゥルース・ソーシャル」で、ウォルツは「中国、ロシア、イラン、そして世界的なテロリズムによってもたらされる脅威の専門家(expert on the threats posed by China, Russia, Iran and global
terrorism)」であり、「私のアメリカ・ファースト外交政策の擁護者であり、私たちの力による平和の追求においても素晴らしい擁護者となるだろう」と述べた。
これからウォルツについて知っておくべきポイントを述べていく。
(1)中国に対するタカ派的な考え(Hawkish views on China)
ウォルツは国家安全保障担当大統領補佐官の役割に中国に対する強硬な立場を持ち込むことになる。連邦議会で、ウォルツは、インド太平洋地域における中国の優越を防ぐためにインド太平洋地域の諸国とアメリカ政府の関係を強化する法案など、中国政府を抑えることを目的とした法案を支持してきた。
ウォルツは2020年のフォックス・ニューズとのインタヴューで、中国はアメリカに対する「存在に関わる脅威(existential threat)」であると述べた。
ウォルツは、「これは、私たちが20世紀の大部分でソ連と対峙しなければならなかったのと同じように、国家安全保障の問題になるだろう。21世紀には中国も同様になるだろう」と付け加えた。
ウォルツは連邦下院インド議員連盟の共同議長でもあり、中国に対する共通の同盟を支援するためにニューデリーとのより深い関係を築こうとしてきた。
ウォルツは中国の歴史的な平時における「軍事力増強(military buildup)」について警告し、アメリカの国家安全保障の焦点は中国政府の抑止(deterring Beijing)に軸足を移すべきだと述べた。
ウォルツは2020年に連邦下院で対中国タスクフォースの創設に貢献した。この特別委員会は新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対応して設立され、複数の分野における中国政府の脅威を検討していた。連邦下院には現在、中国に関する特別委員会が設置されている。
トランプ大統領はまた、同じく対中国タカ派のマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)を国務長官に指名し、中国との対決が第二次トランんプ政権の最優先課題になる可能性が高いことを示した。
中国の最高指導者である習近平は、中国政府が本土の一部とみなしている自治領の島国である台湾に対する潜在的な攻撃に備えて軍が2027年までに準備を整えるべきだと示唆した。
(2)イスラエルに対する熱心な支援者(Ardent supporter of
Israel)
ウォルツは、大半の共和党員と同様、中東戦争を通じてイスラエルへの全力の支持を示してきた。中東ではイスラエル軍がイランの支援を受けた複数の代理組織と戦っている。
バイデン政権と民主党は、ガザ地区での死者数の多さに懸念を表明している。ガザ地区では、2023年10月7日にイスラエル南部に侵攻し、約1200人が殺害され、ハマスとイスラエルが戦った1年以上で4万3000人以上のパレスティナ人が死亡した。ハマスは約250名を人質に取った。
バイデン大統領と民主党は停戦(ceasefire)と人質解放(hostage release)の合意を推進してきた。ハマスは今もガザ地区で約100人の人質を拘束している。
しかし、ウォルツは9月のフォックス・ニューズとのインタヴューで、停戦と人質解放の合意だけでは紛争は終結しないと述べた。
ウォルツは「イランはイスラエルを破壊したいため、今後も不安を煽り続けるだろう。イランに対して譲歩(concession)を重ねることが、実は状況を不安定化させている」と述べた。
ウォルツはまた、アメリカがイラクでの軍隊駐留を縮小していることへの懸念を表明し、イスラエルがレバノンのハマスとイランが支援する過激派組織ヒズボラの両方に対して行動を起こすことを支持している。
(3)バイデンのウクライナ戦略に疑念を示す(Skeptical of Biden’s
Ukraine strategy)
ウォルツは、ロシアとの関係があまりにも穏やかで良いとして批評家らから非難されているトランプよりも、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領に対してはるかに厳しい態度を取っている。
2022年にロシアがウクライナに侵攻すると、ウォルツはすぐさま侵攻を非難し、攻撃から守るためのウクライナへの武器支援を支持した。
それでもトランプ大統領は、1月20日の就任までにウクライナ戦争を終わらせると約束した。
ウォルツは、トランプ次期大統領の和平案を全面的に支持していなかったが、同時に、バイデンの紛争へのアプローチを批判してきた。
ウォルツは2023年9月の声明で、バイデンは「ウクライナにおけるアメリカの目的も、それを達成するための戦略も説明していない」とし、NATO同盟諸国はキエフへの支援を強化する必要があると述べた。
ウォルツは「短期的には、アメリカの軍事援助はヨーロッパの負担分担と今後の平等なヨーロッパ援助を条件とする必要がある。アメリカは貯蓄を自国の安全保障に投資しなければならない。それは、南部国境を確保するためにウクライナに与えるあらゆる援助のドル価値と一致するべきである」と述べた。
(4)メキシコのカルテルに対する軍事力行使を支持(Backs using
military against Mexican cartels)
トランプ大統領は国境に現役部隊を派遣し、大量国外追放を実施することを提案しており、次期政権に強硬派の入国管理当局者を選出している。
ウォルツは、共和党内で国境でのより厳しい行動を求める声が高まっていることに加わり、アメリカは移民改革の前にまず国境を確保する必要があると述べ、それを怠ったバイデン政権を非難した。
ウォルツは、2023年にはメキシコのカルテルに対する軍事力の行使を認める法案の共同提案者となった。数人の共和党連邦議員は現在、犯罪組織がフェンタニルのような強力で致死性の麻薬を国内に輸送していることへの懸念を理由に、カルテルに対する軍事行動を支持している。
ウォルツは2023年の声明の中で、「我が国の南部国境の状況は、我が国の法執行職員にとって耐えられなくなった。攻撃を開始する時が来た」と述べた。
(5)輝かしい軍人としてのキャリア(Decorated military career)
ウォルツはフロリダ州ボイントンビーチ出身の退役大佐で、ヴァージニア軍事学校に通い、その後アメリカ陸軍と州兵として27年間勤務した。
彼は陸軍レンジャー学校に入学し、エリート特殊部隊グリーンベレーに入隊した。ウォルツはアフガニスタン、中東、アフリカに派遣された。
ウォルツは後にジョージ・W・ブッシュ(息子)政権でドナルド・ラムズフェルド国防長官とロバート・ゲイツ国防長官の下で国防政策部長(defense policy director)を務めた。
彼はまた、グリーンベレーとしての経験についての本を書き、アメリカ軍の訓練と支援に重点を置く小規模な防衛請負会社メティス・ソリューションズを設立した。
=====
エリス・ステファニックについて知っておくべき5つのこと(5 things to
know about Elise Stefanik)
エミリー・ブルックス、マイケル・シュニール筆
2024年11月11日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/house/4984791-stefanik-ambassador-un-trump/?ipid=promo-link-block3
ドナルド・トランプ次期大統領は月曜日、米国連大使にエリス・ステファニク連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)を指名し、共和党内でのステファニックの台頭の勢いを更に高めた。
これは、近年トランプ大統領の最も熱心な擁護者であり、支持者の1人である共和党連邦下院議員会の会長であり、連邦下院で最も地位の高い共和党女性連邦下院議員に対する抜擢である。
しかし、ハーヴァード大学卒業生でトランプ大統領の副大統領候補とも目されていたステファニックも、スターとしての力が高まるにつれ、より厳しく精査されている。
ステファニクについて知っておくべき5つのことは以下の通りだ。
(1)親トランプの変革を遂げた(Underwent pro-Trump
transformation)
トランプが権力を握った時、他の多くの共和党連邦議員と同様に、ステファニクも当初はトランプと距離を置き、イスラム教徒が多数を占める7カ国の国民のアメリカ入国を禁止するトランプ大統領の2017年の大統領令などの政策について、公然とトランプと決別したことさえあった。
しかし、それはトランプ大統領の1期目に急速に変化し、一部の政治の専門家たちを驚かせた。
2019年のトランプ大統領の最初の弾劾手続きまでに、ステファニクは連邦議事堂でのトランプ大統領の擁護者のトップの1人になっていた。連邦下院情報委員会の委員として、彼女は好戦的なアプローチをとり、弾劾公聴会で当時の委員長アダム・シフ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)に異議を唱えた。
このためトランプ大統領はステファニクのソーシャルメディアに「共和党の新たなスターが誕生した(A new Republican Star is born)」と投稿した。
ステファニックの姿勢は長年にわたって強固であり、ステファニクは数々の法的問題に直面したトランプを最も鋭く擁護しただけでなく、ジャック・スミス特別検察官(special counsel Jack Smith)に対して倫理訴訟を起こすなどの行動も取っていた。
ステファニクは、トランプが2022年に大統領選への立候補を表明した際に、トランプを支持した連邦議会共和党指導部の最初のメンバーとなった。
(2)リズ・チェイニーに代わって下院議員会会長に就任(Replaced Liz
Cheney as conference chair)
連邦下院共和党は、1月6日の連邦議事堂襲撃後にトランプの弾劾に賛成票を投じた連邦下院共和党議員10人のうちの1人であるリズ・チェイニー元連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)を、トランプ元大統領からの批判が続く中、2021年5月の連邦下院会会長から解任した。
ステファニクはその時点で強力なトランプ擁護者であるという評判があり、すぐに当時の連邦下院少数党(共和党)院内総務ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)とトランプからの支持を獲得した。彼女は同じく立候補したチップ・ロイ下院議員(テキサス州選出、共和党)を大差で破った。
当時、党のメッセージを主導する任務を負った議員会会長は、連邦下院共和党内で第3位の地位にあった。2022年の中間選挙後に共和党が過半数を獲得したとき、ステファニクは連邦下院多数派に昇格することを目指すのではなく、その職に留まり、連邦下院第4位の序列となった(訳者註:共和党が連邦下院議長を取ったために党の役職の序列が1つずつ下がる)。
(3)反ユダヤ主義について大学の学長たちを批判したことで話題になった(Went
viral for taking on university presidents on antisemitism)
ステファニクは何年にもわたって全国規模の舞台で活躍してきたが、昨年、ハマスによる10月7日のイスラエル攻撃後の大学キャンパスでの反ユダヤ主義について、連邦議会公聴会で3人の学長に迫り、その名声が更に高まり、話題になった。
証言した学長の3人のうち2人は公聴会後に、その発言に対する反発の中で辞任しており、ステファニクはこの展開を称賛した。
ハーヴァード大学のクロディーン・ゲイ学長が辞任した後、彼女はソーシャルプラットフォームXに「2アウト(TWO DOWN)」と書いた。
連邦下院教育労働委員会の前で行われたこの公聴会では、ステファニクへの支持が民主、共和両党から得られた。大学学長の解任を求めるステファニクの主張を民主党と共和党が支持した。
ステファニクはそれ以来、反ユダヤ主義と闘い、ハマスからイスラエルを守る連邦下院共和党の取り組みの顔として浮上している。5月に彼女はイスラエル国会で演説し、ハマスのイスラエルへのテロ攻撃以来イスラエルを訪問した最高位の連邦下院議員となった。
ステファニクはまた、その立場を利用して国連を追及してきた。例えば10月、彼女は声明の中で、国連は「反ユダヤ主義で腐敗するのを許されている(allowed to rot with antisemitism)」と述べ、国連への将来の資金提供を脅かしているようだった。
「アメリカの納税者たちは、ジョー・バイデンとカマラ・ハリスが反ユダヤ主義で腐敗を許した組織に資金を提供し続けることに興味がない」と彼女は述べた。
(4)女性の共和党からの連邦下院議員候補の擁立に努力(Focused on
lifting up female House GOP candidates)
ステファニクは女性連邦議会候補者の支援に多大なエネルギーを注ぎ、連邦下院に共和党から立候補する女性たちを募集し支援するための政治活動委員会「エレヴェートPAC(Elevate PAC)」を立ち上げた。
彼女は、2018年の「ブルーウェーブ(Blue Wave 訳者註:民主党の大勝利)」の後、第116回連邦議会で連邦下院の共和党所属の女性議員の数がわずか13人に減った後に、この取り組みを始めた。2021年に始まる次の議会では、共和党所属の女性連邦議員の数は23人に増加した。
ステファニクの努力には、女性候補者を支援するために共和党の予備選でがむしゃらに行動することが含まれており、そのことが時として彼女を連邦下院共和党指導部の他の人々と対立させることになった。当時の全米共和党議会委員会委員長のトム・エマー連邦下院議員(ミネソタ州選出、共和党)は、ステファニクが共和党の予備選に介入するのは「誤り(mistake)」だろうと発言すると、ステファニクは「ニューズ速報…私は許可を求めていた訳ではない(NEWSFLASH… I wasn’t asking for permission)」と反論した。
ステファニクが支援した候補者の1人は、2024年トランプ陣営報道担当のキャロライン・リービットで、2022年にニューハンプシャー州で連邦下院議員選挙に立候補した。
(5)初当選時に連邦下院で最年少の女性議員となった(Youngest woman in
House when elected)
ステファニクは2014年に連邦下院議員に初当選し、30歳で史上最年少の女性連邦下院議員となり、歴史に名を残した。
現在40歳のステファニクは、アメリカの国連大使に就任する最年少の一人となるであろう。
(貼り付け終わり)
(終わり)

ビッグテック5社を解体せよ