古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:マルコ・ルビオ

 古村治彦です。

 米国務省が「キューバがアメリカ国内の左翼団体を通じてアメリカ転覆の試みを行ってきた」とする報告書を発表した。1960年代から現在まで、キューバはアメリカの左翼団体、古くはブラック・パンサーやウェザー・アンダーグラウンド、現在でいえばアメリカ民主社会主義者への支援や影響力行使を行っていると主張している。アメリカはキューバの政権転覆、体制転換を試みるために、軍事侵攻や暗殺、フィデル・カストロ議長のひげをはやさせないための研究まで行っており、経済制裁を通じてキューバを貧困化させてきた。これも立派な内政干渉であり、転覆の試みである。自分たちの行うこのような試みは素晴らしい試みで問題ではないが、キューバの試みは攻撃をするための口実になるという「二重基準」である。

 近年、アメリカで民主社会主義が支持を集めているということはこのブログでもご紹介した。マルコ・ルビオのような対中強硬ネオコンにとってはキューバも民主社会主義もどちらも目障りな存在であり、それを攻撃するために報告書を出したということもあるだろう。アメリカで民主社会主義が支持を集めているのは、キューバが支援しているからではない。アメリカ国内で「分断」が深刻化し、所得格差や教育格差といった「格差(inequality)」が拡大しているからだ。アメリカ国内で一般国民の生活が苦しくなれば、民主社会主義の支持が拡大していくのは当然のことだ。それをキューバと結びつけるのは「牽強付会」も甚だしいということになる。

 アメリカで民主社会主義が拡大しないためには、ドナルド・トランプ大統領が唱えている「アメリカ・ファースト」を徹底することだ。国内の電気、水道、ガス、道路、橋梁などのインフラ(社会資本)の整備から始めることだ。世界第一の経済大国で豊かな国であるならば、どうしても高速道路がデコボコで、橋が落ちてしまうというようなことが起きてしまうのか。国民が最低限の医療に手ごろな価格でアクセスできるようにすべきではないか。これは税金の使い道を変更すればできることだ。トランプの「アメリカ・ファースト」は、貧しい白人労働者たちのための政策であるはずだ。しかし、実際には物価高で、医療費高騰もあり、厳しい生活が続いている。都市部の住宅費高騰も酷い。きちんとした仕事のあるホームレスという変な言葉がまかり通る状態である。トランプの支持率低下は、イラン戦争の失敗ということもあるが、公約が実現していない、生活が苦しいままだという不満も理由として挙げられるだろう。

 国内の不満を和らげる、逸らすために、外国に目を向けさせるというのは古今東西、どんな政権でも使う、常套手段である。日本の高市早苗政権も中国敵視をして国民の不満を逸らそうとしている。アメリカはなんと経済制裁で青色吐息のキューバがアメリカの政権転覆を目論む悪の親玉というようなことを言い始めた。このような外国の脅威を強調し、外国に侵攻するというマイナスのサイクルにトランプ政権が入りつつある。トランプの神通力も陰りを見せているということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

米国務省がキューバについて左翼団体を通じた重大な脅威と位置づけた(State Department Frames Cuba as Major Threat via Left-Wing Groups

-この報告書はキューバ政権の転覆に向けたアメリカの動きが強まる中で発表された。

サム・スコーヴ筆

2026年7月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/07/20/state-department-cuba-report-left-wing-terrorism-rubio-trump/

米国務省が月曜日に発表した100ページに及ぶ報告書は、キューバが数十年にわたる破壊工作(subversive operations)を通じてアメリカを転覆させようと画策してきたと主張している。その工作の多くは、アメリカ国内の左派勢力の活動と結びついたものだとされている。

この報告書は、キューバを、アメリカ政府当局者たちがこれまで一般的に認識していたよりも危険な存在として位置づけている。報告書によると、キューバの「工作員や協力者(agents and operatives)」は「数百」もの組織内で活動しており、「現代アメリカ史上、敵対的な外国勢力による影響力行使の手段として、最大級かつ最も巧妙で危険なものの1つ」を構成している。

ごく最近まで、トランプ政権の当局者たちは、ロシア、中国、イランといった国々に焦点を当てることが多く、キューバをアメリカに対する重大な脅威として言及することはあまりなかった。

この報告書は特に、アメリカの有力政治団体である「アメリカ民主社会主義者(DSA)」を、キューバと連携する「偽装団体や同調者(front groups and fellow travelers)」のリストに含めるなど、アメリカ国内の政治問題にも踏み込んでいる。その根拠の1つとして、DSAのメンバーによるキューバへの渡航などが挙げられている。アメリカ民主社会主義者(DSA

)は、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員やニューヨーク市長ゾーラン・マムダニといった著名な政治家を支援してきた。DSAは、コメントの求めに対し、すぐに返答をすることはなかった。

報告書のいくつかの章では、1960年代から1970年代にかけて最も活発に活動した「ブラック・パンサー(Black Panthers)」や「ウェザー・アンダーグラウンド(Weather Underground)」など、アメリカの左派団体とキューバとの歴史的なつながりについても詳述されている。また別の箇所では、1980年代における南米の左派団体へのキューバによる支援についても取り上げられている。

この報告書は、一連の出来事と、現代のアメリカ政治に対するキューバの関与(とされるもの)との間に結びつきを見出している。「ジョージ・フロイド事件に伴う暴動から『アンティファ(Antifa)』の台頭、さらにはアメリカの大学キャンパスにおけるテロ擁護的な活動の急増に至るまで、近年のアメリカ政治史における最も重大な激動の多くは、何らかの形でキューバの影響と結びつけることができる」と報告書は結論づけている。

報告書は、キューバの行動を、アメリカによる一連の工作活動、1961年のピッグス湾事件をはじめとする軍事行動、暗殺、制裁、政治的圧力によるキューバ政権の転覆の試みへの反応としては捉えていない。むしろ、キューバの行動を「西洋文明そのものに対する革命(revolution against Western civilization itself)」の一環として位置づけている。

しかし、専門家の中には、かつて野心的な冷戦時代の工作活動を展開していたキューバと、制裁によって弱体化した現在のキューバとを結びつけるこの報告書の主張は誇張であると指摘する人たちもいる。

南米を専門とするノーステキサス大学ダラス校の政治学教授オーランド・ペレスは次のように書いている。「キューバの情報機関は忍耐強く有能であり、その点に異論の余地はない。しかし、孤立し崩壊しつつある国家を、西半球を操る黒幕として描き直すことは、その『弱さ(weakness)』を『脅威(menace)』へとすり替える行為である」。

アメリカは1月以降、制裁の強化やエネルギー供給の封鎖を通じてキューバへの圧力を強めており、その結果、キューバでは深刻なエネルギー不足が生じている。ドナルド・トランプ米大統領は、イランとの現在の対立が収束した暁には、次はキューバに矛先を向ける意向を繰り返し示唆してきた。

キューバ出身の両親を持つマルコ・ルビオ米国務長官は、長年にわたりキューバの共産主義政権への圧力を求めてきた。ルビオ長官は月曜日、Xへの投稿で報告書を紹介し、「キューバ政権は急進左翼思想(radical leftism)の最大の支援者である」と指摘した。

しかしながら、キューバは共産主義政権の打倒を狙うアメリカの試みに何十年にもわたって抵抗し続けてきた歴史を持ち、軍事行動以外の手段でトランプ政権がキューバ政府にさらなる影響を及ぼそうとする場合、具体的にどのような手法をとるのかは不透明だ。

※サム・スコーヴ:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Xアカウント:@samuelskove

(貼り付け終わり)

(終わり)



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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年2月28日に始まったイラン戦争について、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がアメリカを巻き込む形で攻撃が始まったことは既にご紹介した。ネタニヤフ首相による「誘導(induction)」にドナルド・トランプ大統領が乗せられてしまったということになる。もちろん、トランプ大統領個人だけではなく、政権内部にもイラン攻撃に賛成する人物たちが揃っていたということはある。下記論稿では次のように書かれている。

(引用貼り付けはじめ)

第二次トランプ政権では、ワシントンは遠隔地での戦争を通じて莫大な富を蓄積するロビイストの巨大なネットワークと、アメリカの覇権維持のために戦争も辞さない新世代のネオコンによって支配されている(Under the second Trump administration, Washington has been gripped by a vast network of lobbyists accumulating immense wealth through remote wars and new neocons willing to go to war to maintain US hegemony

(引用貼り付け終わり)
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マイク・ウォルツ国連大使(左)とマルコ・ルビオ国務長官
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エリオット・エイブラムス

 下記論稿では、「ワイトハウス大統領次席補佐官スティーヴン・ミラー、国務長官マルコ・ルビオ、国連大使マイク・ウォルツ、元国家安全保障問題担当次席大統領補佐官アレックス・ウォン、そして政策担当国防次官エルブリッジ・コルビー」といった人々がネオコンとして名前が挙がっている。ネオコンとして、ジョージ・W・ブッシュ政権で国家安全保障問題担当大統領次席補佐官を務め、第一次ドナルド・トランプ政権では、ヴェネズエラとイラン問題の特別代表を務めたエリオット・エイブラムスが創設したシンクタンクのヴァンデンバーグ・コアリションの影響力についても下記論稿では言及されている。下記論稿ではさらに、「ロックブリッジ・ネットワーク(Rockbridge Network)」について軽く振られているが、この団体はかなり重要であるので、このブログで後ほど紹介する。
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ドナルド・トランプ大統領とスティーヴン・ミラー(右)

 第二次ドナルド・トランプ政権の内部で大きな力を持っているのは、スティーヴン・ミラーホワイトハウス大統領次席補佐官兼国土安全保障問題担当大統領補佐官である。第一次政権ではスピーチライターと特別顧問を務めた。強硬な国境政策や不法移民政策を策定し、実行しているのはミラーであるが、このミラーはイスラエルとのベンヤミン・ネタニヤフ首相ともユタ野人同士ということもあり昵懇の間柄だ。ミラーがトランプ大統領のイラン攻撃決定に影響を及ぼしたということは十分に考えられることだ。

 第二次ドナルド・トランプ政権の内部の動きについてはこれからも随時追いかけ、ご報告する。このブログを継続するためにも、定期的にブログを開きお読みいただきたい。また、著書についてもお買い上げいただきたい。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプの暴走を操る新世代のネオコンたち(The new class of neocons guiding Trump’s rampages

キム・ドンスク筆

2026年4月21日

『ハンギョレ』紙(韓国)

https://english.hani.co.kr/arti/english_edition/e_international/1255216.html

ドナルド・トランプはネオコンを敬遠していたが、トランプ2.0時代において、新世代のネオコンが相当な権力を握っている。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、どのようにしてドナルド・トランプ米大統領を説得し、イランとの戦争に踏み切らせることができたのだろうか?

ネタニヤフ首相は、この合意を一気に成立させたのではない。むしろ、それは綿密な計画の成果であり、保守的なシオニストやイスラエル企業の協力を得て、2024年の大統領選挙におけるトランプの立候補を支援するという戦略に基づいていた。この計画の中心は、イスラエルを支持する保守派の政治的影響力を行使し、第二次トランプ政権の外交・国家安全保障ティームに新たなネオコン層を送り込むことだった。

これらの人物は、保守系シンクタンクであるヘリテージ財団が2024年の大統領選挙前に作成した、第二次トランプ政権を想定した政策綱領「プロジェクト2025(Project 2025)」の執筆者の中にも含まれていた。

トランプが昨年(2025年)1月にホワイトハウスに復帰するとすぐに、ワシントンに拠点を置くシンクタンクであるヴァンデンバーグ・コアリションは、新たな外交政策を提唱する報告書を発表した。その報告書のタイトルは「世紀の取引:中東問題の解決(Deals of the Century: Solving the Middle East)」だった。

この報告書は、トランプの2期目に向けたネオコンのマニフェストとも言えるもので、アメリカはイスラエルへの軍事援助をさらに拡大し、イランに対して根本的に異なる姿勢を取るべきだと主張していた。

これは、トランプの選挙公約で掲げた「海外での軍事冒険はしない(o stay out of foreign military adventures)」というアイソレイショニスト(アメリカ国内問題解決最優先的)な姿勢から脱却させるための、まさに強硬なロードマップだった。

報告書は、アメリカの最優先事項は「イランの核兵器開発計画を抑止すること(deter Iran’s nuclear weapons ambitions)」だと述べ、中東地域における中国の影響力拡大への懸念を表明するとともに、中国をアメリカの主要な敵対国と位置づけるよう促した。要するに、ヴァンデンバーグ・コアリションは、イランと中国がトランプの2期目における主要な外交課題であると強調したのである。

ヴァンデンバーグ・コアリションの報告書は、過去1年間、アメリカ政府の最高レヴェルで繰り返し参照されてきた。特に、ホワイトハウス大統領次席補佐官スティーヴン・ミラー、国務長官マルコ・ルビオ、国連大使マイク・ウォルツ、元国家安全保障問題担当次席大統領補佐官アレックス・ウォン、そして政策担当国防次官エルブリッジ・コルビーなどが、ヴァンデンバーグ・コアリションの提案を実行するための具体的な措置を準備し、トランプ大統領に提示した。

結局のところ、ヴァンデンバーグ・コアリションの戦略的焦点は中国の封じ込め(containing China)にある。報告書の中で、ヴェネズエラ政府をアメリカの勢力圏(sphere of influence)に組み込むことで、ヴェネズエラが足がかりとなっていた西半球(the Western Hemisphere)における中国の影響力を弱めることができると主張している。

アメリカは、外交・軍事資源を他の分野に集中させれば、中東地域などの重要地域における中国の影響力拡大を効果的に抑制できると考えている。これは、中国の世界的な影響力を弱体化させるための多段階イニシアティヴの一環である。一部のアナリストは、トランプ大統領の対イラン攻撃は、北京訪問のための布石だったと考えている。

トランプ大統領の勢力志向の外交政策は、「破壊して取引する(destroy and deal)」という行動様式として体系化され、以前よりも攻撃的で予測不可能なものとなっている。

2021年に設立されたヴァンデンバーグ・コアリションは、介入主義的な外交政策と国防費の増額を提唱している。2025年、この組織はヴェネズエラとイランに関する多数の報告書を発表し、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領の逮捕を促し、イランを非難した。

著名なネオコンであるエリオット・エイブラムスは、ヴァンデンバーグ・コアリションの創設者兼会長だ。彼は介入主義(interventionism)の熱烈な支持者であり、中東地域にアメリカに友好的な政権を樹立することが、世界からテロリストを一掃する最善かつ最も確実な方法だと信じている。また、2003年のイラク侵攻を執拗に支持したネオコン運動の中核人物でもある。彼はイラン・コントラ事件への関与で有罪判決を受けた。

バラク・オバマ政権の8年間を通して、エイブラムスは外交問題評議会の上級研究員を務め、その間、オバマの「後ろから導く(leading from behind)」外交政策はアメリカの影響力を弱めていると主張した。

エイブラムスはオバマのキューバとイランとの関係正常化の試みを強く批判し、オバマが敵国に接近していると非難した。イラク戦争の反動が無視できないほど深刻化した後も、エイブラムスはシリア内戦とイスラエル・パレスティナ紛争について持論を展開し続け、イラク戦争後に散り散りになったネオコン勢力を再結集させた。

2019年、第一次トランプ政権に、エイブラムスはイラン・ヴェネズエラ担当米特別代表に任命され、公職に復帰した。エイブラムスはイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と特別な関係にある。

私はかつて2007年のAPEC首脳会議でエイブラムスに直接会う機会があった。私が韓国人だと知ると、エイブラムスは「中国、イラン、北朝鮮が連携している以上、アメリカ、イスラエル、韓国は国家安全保障に関して協力する必要がある」と述べた。

トランプが2024年の大統領選挙で孤立主義を唱え、「新たな戦争は起こさない(there would be no new wars)」と主張した際、エイブラムスはヴァンデンバーグ・コアリションに所属する複数のネオコン戦略家を招き入れ、ヘリテージ財団の「プロジェクト2025」計画ティームに加えた。

エイブラムスは第二次トランプ政権には公式な役職には就いていないものの、舞台裏のアドヴァイザー兼アナリストとして中東政策に関する理論的助言を提供し、影響力を行使している。何よりも、エイブラムスの指導の下、トランプ政権の要職に就く新世代のネオコンたちは、絶大な権力を振るっている。

トランプ大統領の側近の多くは、エイブラムスに同調するネオコンの中に名を連ねている。スティーヴン・ミラー、マイケル・ウォルツ、マルコ・ルビオなどがその例だ。連邦上院では、テッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)、リンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)、トム・コットン連邦上院議員(アーカンソー州選出、共和党)が、エイブラムスの政策を支持するネオコンである。

その他、注目すべきネオコンとしては、ジェイミソン・グリア米通商代表、ブライアン・キャバノー(国土安全保障次官候補)、アール・マシューズ(国防総省法律顧問)、モーガン・オルタガス(中東地域担当米国特使代理)、マイク・ハッカビー駐イスラエル米大使などが挙げられる。

ハッカビーの側近であり、イスラエルを熱烈に支持し、MAGA運動の柱としてホワイトハウスで影響力を持つデイヴィッド・ミルスタインは、トランプ大統領が揺るぎない信頼を寄せているFOXニューズの司会者で保守派コメンテーターのマーク・レヴェンの義理の息子でもある。さらに、韓国でよく知られたエルブリッジ・コルビーは、エイブラムスの義理の姉の息子である。

かつてネオコンはアメリカの外交政策に大きな影響力を持っていたが、イラク戦争の惨禍の後、ジョン・ボルトンを最後の生き残りとしてワシントンから姿を消したかに見えた。

しかしながら、彼らはイスラエル中心の中東政策という長年の戦略を擁護することで、トランプ政権の中枢に静かに深く入り込んできた。これらの新たなネオコンは、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト(America First)」の原則と、介入主義への揺るぎない信念を融合させ、新たなタカ派政策を築き上げている。

彼らはもはや、旧来のネオコンが掲げていた民主政治体制の普及というスローガンを唱えていない。代わりに、圧倒的な武力による制圧と取引に焦点を当てることで、第二次トランプ政権の外交・安全保障政策を主導している。価値観(values)よりも実利主義(pragmatism)を優先することで、彼らは敵対国、つまり中国を効果的に無力化する(neutralizing)という目標を設定し、トランプの注目を集めている。

こうした新ネオコンと同盟を結んだネタニヤフ首相が用いているもう一つの戦略は、トランプ一族が経営する企業に巨額の資金を投入することだ。これらの企業の多くは、防衛、人工知能、航空宇宙、バイオテクノロジーといった分野の巨大企業である。

トランプがイランを攻撃し戦争を仕掛ける中、彼の2人の息子は防衛産業への投資で莫大な利益を上げている。次男のエリック・トランプは、イスラエルのドローンメーカーで米防総省の契約企業であるエクステンド社に投資し、この戦争においてドローンの能力がますます重要になるにつれて巨額の富を築いた。

トランプ大統領の長男であるドナルド・トランプ・ジュニアは、ドローン部品を製造するスタートアップ企業アンユージュアル・マシーンズの株主兼アドヴァイザーを務めている。アンユージュアル・マシーンズはドローン部品製造のため、米国防総省から6億2000万ドルの融資を受けた。これは国防総省戦略資本局が過去に行った融資の中で最大規模である。

トランプ・ジュニアはまた、「愛国的資本主義(patriotic capitalism)」を推進し、防衛技術系スタートアップ企業に投資するヴェンチャーキャピタル企業である1789キャピタルのパートナーでもある。1789キャピタルは、シリコンヴァレーのヴェンチャーキャピタリストの中でもトランプを支持する億万長者ネットワークであるロックブリッジ・ネットワーク(the Rockbridge Network)の億万長者たちが支援する投資運用会社である。

1789キャピタルは、トランプ大統領の再選直後にトランプ・ジュニアがパートナーとして加わって以来、爆発的な成長を遂げている。1789キャピタルは主に防衛・兵器産業分野に投資しており、アンドゥリル・インダストリーズ、ハドリアン・オートメーション、スペースX、そして米国防総省のパートナー企業である希土類磁石の新興メーカーであるバルカン・エレメンツなどが投資ポートフォリオに含まれている。

トランプ・ジュニアは、物議を醸している予測市場企業ポリマーケットのアドヴァイザーも務めており、主要な外交政策や国家安全保障に関する決定を事前に予測することで巨額の利益を得ていると疑われている。

第二次トランプ政権では、ワシントンは遠隔地での戦争を通じて莫大な富を蓄積するロビイストの巨大なネットワークと、アメリカの覇権維持のために戦争も辞さない新世代のネオコンによって支配されている(Under the second Trump administration, Washington has been gripped by a vast network of lobbyists accumulating immense wealth through remote wars and new neocons willing to go to war to maintain US hegemony)。

ネタニヤフ首相の影響力は、こうした新たな政治情勢の中で発揮されている。これらの人物は、中国、ロシア、イラン、北朝鮮をまとめて「CRINK」という新しい略語を作り出し、これらの国々を「新たな悪の枢軸(the new axis of evil)」と位置づけている。

韓国では、トランプ大統領の5月の中国訪問が、米朝関係の打開につながるのではないかと期待されている。個人的には、その見通しに不安を覚える。ペルシア湾が炎上している状況が、まるで他人事のように感じられないと言うのは、大げさな反応だろうか。

キム・ドンスク:韓国系アメリカ人グラスルーツ会議議長。

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ドナルド・トランプの熱狂者:スティーヴン・ミラーの恐怖政治の内幕(Trump’s ZealotInside Stephen Miller’s Reign of Terror

―ドナルド・トランプのアメリカについてあなたが嫌悪したり愛したりするもの全てはスティーヴン・ミラーの恐怖共和国についてあなたが憎んだり大切にしたりするものと全く同じだ。

アサウィン・スエブサエング、ニッキ・マカン・ラミレズ、アンドリュー・ぺレズ筆
2025年9月14日

『ローリングストーン』誌
https://www.rollingstone.com/politics/politics-features/stephen-miller-trump-terror-ice-immigration-military-1235426023/

昨年(2024年)11月6日午前3時過ぎ、ヒルトン・ウェストパームビーチ・ホテルの受付近くに立っていた、薄毛で痩せ型の男性ほど、この世で幸せそうな人はいなかっただろう。

ドナルド・トランプは、隣接するフロリダ・コンヴェンションセンターで2024年大統領選挙の開票速報パーティーを終えたばかりで、「史上最も素晴らしい政治的出来事(the most incredible political thing)」と雄弁に語る演説で勝利を宣言した。歓喜に沸く共和党の献金者、選挙スタッフ、将来の政府高官、そして出席者たち(もちろんジョン・ヴォイトも)が、祝賀のためにこの高級ホテルに押し寄せた。

ロビーの正面に立っていたのはスティーヴン・ミラー。トランプが間もなくホワイトハウスの政策決定と行政権限の絶対的な責任者として指名する人物だ。

ミラーは、トランプ政権初期の主要な政策立案者の一人であり、特に大統領による合法移民の抑制政策において重要な役割を果たした。ジョー・バイデン政権の高官たちは、トランプ政権1期目にミラーが移民政策に与えたダメージは今もなお国に重くのしかかっており、バイデン陣営は4年間の政権期間中にその多くを覆すことができなかった、あるいはそうしようとしなかったと語るだろう。

しかし、フロリダでのあの夜、当時39歳だったミラーにとって何かが違っていた。目の前に無限の可能性が広がっていたのだ。

祝賀ムードの中、ミラーはトランプ政権の高官たちと集まり、次々と祝福の言葉をかけてくる熱狂的な保守派有権者や共和党の大物たちに感謝の意を伝えた。彼らは皆、あの夜の勝利はトランプだけのものではなく、ミラー自身の勝利でもあることを理解しており、多くの人がトランプから贈られたミラーの指輪にキスをせざるを得ないと感じていた。

トランプの復権を目の当たりにした瞬間、ミラーの顔に浮かんだ抑えきれない喜びの表情は、未来を見通す者の目を見ていたかのようだった。トランプのトップ補佐官であり、最も忠実な信奉者であり、1期目のMAGA派幹部の度重なる粛清をどうにか生き延びた唯一の側近は、この国が今や自分のものになったことを悟っていた。

喜びにあふれた女性に語りかけるミラーは「素晴らしいことになるだろう」と言った。

トランプの2期目が始まって7カ月以上が経ち、スティーヴン・ミラーは、アメリカ、いや世界でも最も権力を持つ非選出官僚となった。トランプの承認を得て、ミラーは、その階級のアメリカ政府高官としては前例のないほど、国家を自由に運営し、再構築することを許されている。トランプ政権の悪名高い政策を思い浮かべてみてほしい。おそらく、それはスティーヴン・ミラーによって推進されたものだろう。

全てにトランプの署名があるものの、大統領が夜な夜な大統領令を書き、法理論を自らの意のままに操っている訳ではない。そのほとんど全てはミラーの著作(あるいは少なくとも共著)である。ドナルド・トランプのアメリカについてあなたが嫌悪したり愛したりするものはすべて、スティーヴン・ミラーの恐怖の共和国についてあなたが憎んだり大切にしたりするものと同じだ。

ミラーの指導の下、大統領が望めば、政府は適正な手続きを経ずに、あなたやあなたの配偶者を国外の強制収容所に強制送還(あるいは誘拐して身柄を引き渡す)することができる。ホワイトハウスは、人身保護令状(habeas corpus)のような最も基本的な憲法上の権利を剥奪すると繰り返し脅迫することができる。大統領は、最高司令官を苛立たせたか、選挙を盗むのに協力することを拒否した以外に何も悪いことをしていない敵に対して、司法省による刑事捜査を開始することができる。大統領とその側近は、たとえ犯罪歴がなくても、裁判所への定期的な出頭時、教会、子供の学校の前など、どこでもあなたを逮捕することができる。彼らは極めて厳格な移民逮捕「割り当て(quotas)」制度を導入し、大量強制送還ではなく、大量失踪と刑務所や新設された収容所での無期限拘留を主とする体制を確立した。

彼らは連邦法執行機関の大部分を、大統領とそのスタッフの気まぐれで活動する、覆面をした匿名で責任を問われない秘密警察(secret police)へと急速に変貌させた。大統領はいつでも、武装した州兵や海兵隊をアメリカの都市の街路に派遣し、そこを敵地とみなすことができる。政権は、ホワイトハウス西棟から連邦通信委員会に至るまで、言論の自由を抑圧する十字軍(an anti-free-speech crusade)を展開し、メディア、コメディアン、そして老齢のロックスターに対する検閲を政策の最優先事項としている。

「影の国防長官(Shadow Sec Def)」。

「ミラー総理大臣(Prime Minister Miller)」。

「本当の司法長官(The REAL Attorney General)」。

「国土安全保障省のボス(The DHS boss)」。

「ミラー大統領(President Miller)」。

トランプ政権の当局者や大統領およびホワイトハウスに近い他の共和党員は、ミラーがいつか陰で自分の悪口を言われるのではないかと疑心暗鬼になっているが、それでも彼らはホワイトハウス副首席補佐官に付けた非公式の肩書きやニックネームをささやき合っている。

ローリングストーン誌が、元FOXニューズのスターで国防長官を務めるピート​​・ヘグセスについてある政権高官に尋ねたところ、この情報源は自ら進んで「彼はスティーヴン(・ミラー)の言うことを聞いている」と答えた。

国防総省報道官のショーン・パーネルは、ヘグセス長官は「スティーヴン・ミラーと良好な協力関係を築いている。両者はトランプ大統領の『アメリカ・ファースト(America First)』政策の遂行において完全に一致している」と述べた。

●「とんでもない奴」(‘One Intense Motherfucker’

カリフォルニア州サンタモニカで十代だった頃、ミラーは学校で自分と関わりのないハンサムな少年たちを挑発することに何よりも熱中していた。

サンタモニカのリンカーン中学校でミラーと初めて出会ったジェイソン・イスラスは、自分とミラー、そしてもう一人の友人は仲の良いアウトサイダー集団で、中学時代はスタートレックの話をするなど、思春期の男の子らしいことをして過ごしたと語る(イスラスはミラーがカーク船長の大ファンだったことを覚えている)。しかし、1999年の夏、中学2年生から3年生になる頃、状況は一変した。イスラスによれば、ミラーは彼に「もう友達ではいられない」と告げたという。「彼が言ったことの一つは、僕がラテン系の血を引いていることが気に入らないということだった」とイスラスは回想する。

その後数十年、ミラーは成長するどころか、過激な思想をますます強固にしていった。バラク・オバマ政権時代にアラバマ州選出のジェフ・セッションズ連邦上院議員の事務所で広報担当補佐官として働いていた頃、彼は連邦議事堂の保守派の同僚たちから非常に嫌われていた。そのため、他の共和党議員事務所のスタッフは、ミラーが陶器の人形遊びが好きだといった悪意のある噂をでっち上げたり、広めたりしていた。(ホワイトハウス当局者は、彼の連邦議会での活動に関するそのような描写は「不正確で根拠のない噂話」だと主張している。)当時のスタッフは、彼が極右のヘイトサイトを読み過ぎてワシントンの最も過激な沼に足を踏み入れるとどうなるかという、単なる笑い話か、あるいはあまり知られていない教訓話以上の存在になるとは夢にも思っていなかった。

今日に至るまで、状況はほとんど変わっていない。トランプ大統領の政策立案者であり執行者でもあるスティーヴン・ミラーは、3人のトランプの補佐官によれば、いかなる犠牲を払ってでも、自らが「反白人憎悪(anti-white hatred)」「反白人人種差別(anti-white racism)」「反白人差別(anti-white discrimination)」とみなすものを根絶するために、政府の力を駆使することに執着している。

ミラー氏は、軍事戦闘(military combat)、永遠の戦争(forever war)、文化と国土への侵略(invasion against the culture and the homeland)といった、誇張された表現を用いた終末論的な単語(apocalyptic terms)ばかりを用いる。

彼は、収容と大量強制送還のための「キャンプ(camps)」と名付けた、巨大で超軍事化されたネットワークを構築することを切望している。このネットワークによって、アメリカの政治的・物理的な景観が永久に変わることを期待しているのだ。

ユダヤ人であるミラーは、自身のおじから、ユダヤ人の道徳的・政治的価値観を裏切った人物として非難されている。ミラーは長年、1924年移民法に深い敬意を抱いており、アメリカをあの時代に戻したいと願っている。この法律は、ナチスから逃れようとしたユダヤ人がアメリカへの安全な渡航を拒否されたことで、ホロコーストをより悲惨なものにしたことで悪名高い。

2024年の大統領選挙結果が確定した直後、人権団体や移民擁護派は、ミラーがこれから解き放とうとしている猛攻に全く備えができていないと痛感せざるを得なかった。トランプ政権の任命者の中で、彼らを夜も眠らせないほど心配させたのはミラーだった。トランプ政権の次期「国境警備責任者(border czar)」トム・ホーマンが大量強制送還について大々的に語っていたとしても、ミラーに比べれば取るに足らない存在だった。ホーマンの仕事ぶりを知る者にとって、元移民税関執行局(ICE)長官代行は、時折、規則や制限が多少なりとも存在することを認めていた。ミラーのような男にとって、重要な法律とは、彼とトランプが都合よく歪めることができる法律だけだった。

ミラーは、匿名の人種差別主義者のインターネット荒らしが苦痛に満ちた現実世界に具現化し、権力を授けられたような存在かもしれない。しかし、だからといって、彼は自らが唱えるイデオロギーの正当性を心から信じていない訳ではない。彼自身は、自らを勝利の英雄、軟弱なリベラリズムに対する唯一の解毒剤、そして、彼自身や仲間たちが多元的な現実によって不当な扱いを受けていると感じている、寛容な合法・非合法移民に対する聖戦士(a holy warrior against the permissive legal and illegal immigration)だと考えている。

トランプ政権の最高幹部である共和党員にミラーについて尋ねると、賞賛と不安が入り混じった独特の反応が返ってくる。「とんでもない奴だ(One intense motherfucker)」と長年トランプの顧問を務めてきた人物は言う。

友人たちが彼をより穏やかで、親切で、面白い人物に見せようと試みても、たいていは失敗に終わり、偏屈者(a crank)か、これまで出会った中で最も意地悪なオタク(the meanest dork)のように映ってしまう。例えば、ミラーの長年の側近数名によると、ホワイトハウスの最高補佐官である彼は、これまでに出会った中で最も「MAHA(アメリカを再び健康に、Make America Healthy Again)」(マナーの悪い、傲慢な)人物の一人であり、ロバート・F・ケネディ・ジュニア流の食と健康(あるいは反健康)に関するプロパガンダにどっぷり浸かっているという。彼の私生活に関する話を聞くと、控えめに言っても退屈な人物像が浮かび上がる。

ローリングストーン誌に、ミラーに言い寄られたある女性は、2017年頃、デュポンサークル近くのバーで、結婚前のミラーに口説かれた時のことを語っている。その話によると、彼女は服の襟にどこの国名が書いてあるのか(中国とは言わないように)と執拗に聞かれ、保守派の典型的なタイプではないという理由で「グローバリスト(globalist)」だと非難されたという。

ワシントンで彼を奇妙だと思うのは、見知らぬ女性だけではない。長年にわたる緊密な協力関係の中で、トランプ大統領は、まるで核兵器を携えたおしゃべりな意地悪女のように、ミラーの陰口を言うことをためらわなかった。この件を直接知る2人の情報筋によると、トランプは過去に、ミラーの強烈でぎこちなく、時には人を遠ざけるような態度について、他の人に話していたという。

しかし、トランプにとって、ミラーは頼りになる突破口(a useful battering ram)であり、「ロイ・コーンはどこにいるのか?」という長年の疑問に対する政策的な答えなのだ。

ホワイトハウス報道官キャロライン・リーヴィットは次のように述べている。「スティーヴン・ミラーは、トランプ大統領の最も長く仕え、最も信頼されている顧問の一人として、ほぼ10年間務めてきた。大統領がスティーヴンをどれほど尊敬しているかは、私自身が日々目の当たりにしているので、このように断言できる。だからこそ、スティーヴンは政策担当大統領次席補佐官兼国土安全保障担当大統領補佐官を務めている。大統領はスティーヴンと、その実績あるリーダーシップ能力に絶大な信頼を寄せているからだ。スティーヴンは職務を非常に効率的にこなすだけでなく、忠実な同僚であり友人でもある。これに反する意見は、彼をよく知らない人々の根拠のない噂話に過ぎない」。

報道官の声明に加え、トランプ政権はローリングストーン誌に対し、共和党所属の連邦議員たちからの長々とした推薦文リストを送付した。それはまるで、トランプ支持派のリンクトインの推薦欄を彷彿とさせるもので、スティーヴン・ミラーが個人的にも人々に好かれていることを証明するためだった。

例えば、ジョシュ・ホウリー連邦上院議員は、ミラーを「友人(a friend)」と呼べることを嬉しく思うと述べ、「彼はアメリカの家族が繁栄できる未来の実現に深く尽力している」と付け加えた。

スティーヴ・スカリス連邦下院多数党(共和党)院内総務は、「スティーヴン・ミラーは聡明で思慮深く、議員たちの意見や懸念に耳を傾ける時間を惜しまず、常に一緒に仕事がしやすい人物だ」と述べ、「スティーヴン・ミラー氏を親しい友人と呼べることを誇りに思う」と付け加えた。

ホワイトハウスは、トム・コットン連邦上院議員、マイク・リー連邦上院議員、ジム・ジョーダン連邦下院議員からも同様の声明を発表し、報道官は、これらの議員によるミラーへの称賛は全てこの記事に掲載される予定だと述べた。

●「やり遂げる」(‘Get It Done’

トランプ政権のホワイトハウス・ウエストウイングで働く複数の情報筋によると、現在、大統領の側近は形式上はホワイトハウス副首席補佐官だが、トランプ政権の政策責任者として、実際の首席補佐官であるスージー・ワイルズ(トランプの2024年大統領選共同責任者)をはるかに凌駕している。

ミラーは、事実上あらゆる政策と行政措置(特に国内政策関連)に関与し、事実上全ての文書、トランプ大統領の指示、憲法上疑わしい命令、メモに関わっている。ワシントンDC、ロサンゼルス、そしてあなたの街の民主党優勢都市にも迫りつつあるトランプ政権の軍事介入の構図は、ミラーが軽蔑するリベラル派の牙城を制圧するという彼の構想の産物でもある。

「スティーヴンにとっては最高に楽しい仕事だ」とトランプ氏の側近の一人は、アメリカ軍の国内展開を指揮しているミラーの役割について語る。

トランプ政権による多様性推進プログラム、高等教育、そしてトランプが好まない言論の自由に対する徹底的な締め付けは、ミラーの理念を如実に表しており、かつては粗野とみなされていた方法で保守派の「文化戦争(culture war)」を連邦政府の手に委ねるという長年の野望を実現させた。トランプの広範な移民・国境警備政策は、まさに「スティーヴン・ミラー・ショー」であり、スティーヴン・ミラー・プロダクションズLLCが制作し、スティーヴン・ミラー自身が演出を手がけている。

大統領がこれらの国内プログラムを開始するために署名する書類の一枚一枚を、トランプの側近であるミラーは精査し、時には修正を加え、連邦政府機関のあらゆる部署のトランプ政権関係者に、彼自身の言葉を借りれば「やり遂げる(get it done)」と圧力をかける。

彼が省庁や機関の職員を叱責する様子は、もはや悪夢とまではいかないまでも、伝説となっている。トランプ政権2期目が始まって以来、連邦政府で働き、ミラーと直接やり取りをしたことのある2人の情報筋がローリングストーン誌に語ったところによると、ミラーの叱責によって、それぞれ職場で泣いてしまったという。

省庁間の協議において、ミラーは日常的に相手を罵倒し、怒鳴りつけ、職員の職や党内での将来を脅し、同僚の前で屈辱を与えようとしてきた。移民逮捕者数が十分に水増しされていないと感じたり、トランプ大統領の国内政策が少しでも停滞していると感じたりすると、激怒する。彼は長時間労働と、新政権が打ち出す過酷な政策の細部にわたる管理で知られている。2017年以来、共和党上層部では、トランプ大統領のためなら何でも言い、何でもやり、ほとんど誰でも裏切ることを厭わない人物として、そして何よりも大統領との権力関係と近さを維持するために、そうした姿勢を貫いてきた人物として、長年にわたり悪評がつきまとっている。

トランプ政権の最高幹部レヴェルでは、パム・ボンディ司法長官が司法省を、クリスティ・ノーム国土安全保障長官が国土安全保障省を牛耳っているという考えは、あまりにも不完全である。名目上は独立している各省庁は、ホワイトハウスのウエストウイング、つまり実質的にはミラーによって運営されている。

政府関係者の中には、トランプ大統領は州兵や武装した海兵隊を民主党が統治する都市部に派遣できるものの、これらの部隊は従来の法執行活動を行うことはできないと指摘する者もいた。こうした状況に対し、ミラーは政権の弁護士やスタッフに対し、トランプ大統領は彼らにその法的制約を回避する方法を見つけ出し、得られた法的​​理論を報告するよう求めている。

ミラーは、トランプ政権発足当初の数カ月間、非常事態宣言ではなく国内政治目的のために、アメリカ国内へのアメリカ軍派遣を常態化させることを最優先事項としてきた。関係者によると、トランプ大統領とミラーは、これに反対する者を「弱者(weak)」「臆病者(cowards)」「犯罪擁護者(pro-crime)」と見なしているという。

●「私たちは命令に従うしかない」(‘We Just Have to Follow Orders’
トランプ大統領がロサンゼルスでの移民税関執行局(ICE)の作戦を支援するため、州兵と海兵隊を派遣した後、ミラーは、不法移民を市から一掃すれば、残された住民にとってユートピアが生まれると主張した。

「不法移民がいなくなれば、アメリカ国民のためにどれだけの資源が解放されるか、想像できるか?」とミラーはフォックスニューズに語った。「救急外来で列に並ぶ必要もなくなり、ロサンゼルスのひどい交通渋滞もなくなる。健康保険料は下がり、公立学校の教室の規模も縮小する。・・・そして、もし政府の支援が必要になったとしても、第三世界から来た何百万人もの不法移民の後ろに並ぶ必要はない。これは、一般のアメリカ国民の生活の質にとって、まさに大きな恩恵となるだろう」。

2025年7月、ホワイトハウス前で記者団の取材に応じた際、ミラーは「幼い子供を持つ母親(moms with young kids)」を標的にすることが政権の資源の最適な使い方なのかと問われた。それに対し、彼は記者に対し、不法移民のうち何パーセントを滞在させるべきかと問い詰めた。「どの不法移民がレイプや殺人を犯すかを、魔法の8ボールで予知できるとでも思っているのか?」。

ミラーには法律の専門知識はないが、トランプ政権関係者によると、ミラーはトランプが外国人敵対者法(AIEA)を利用して適正手続きを経ずに大量強制送還を行うという策略の首謀者だったという。この計画は、2023年に保守系ラジオパーソナリティのクレイ・トラビスとバック・セクストンとのインタヴューで詳細に語られたものだ。

ミラーはまた、国家による恣意的拘束からの保護という憲法上の基本的権利である人身保護令状の停止を公に示唆した最初の政権関係者でもある。2025年5月にホワイトハウスで記者団に対し、ミラーは「侵略時には人身保護令状の特権を停止することができる。したがって、我々はそれを積極的に検討している選択肢の一つだ」と述べた。もちろん、侵略など起きていない。

ミラーの遺産と、彼が現代社会で果たした役割の真髄を理解したいなら、ペンシルヴァニア通り1600番地(ホワイトハウス)の向こう側を見据える必要がある。トランプの主要な執行者であるミラーを理解するには、彼が全米各地で無数の人々に何をしているのかを理解する必要がある。そして、被害者の話を聞いた時の彼の個人的な、本能的な反応を理解しなければならない。

全米には、トランプとミラーの集団によって引き裂かれた何千もの家族がいる。そのほとんどは、世に出回ることもなく、おそらく耳にすることもないだろう。そのうちの一つが、今年初めにオハイオ州の移民弁護士からローリングストーン誌に伝えられた。ローリングストーン誌はこの話の詳細を確認し、妻、夫、そして3歳の娘には仮名を使用することに同意した。弁護士は、ミラーとトランプ政権が無償で移民支援を行う弁護士を標的にしていることを理由に、身元を明かさないよう求めた。

2020年、「リカルド」(ここではそう呼ぶ)は、ラテンアメリカの故郷を逃れ、アメリカに亡命を求めた。リカルド自身が語るように、彼は故郷で軍隊に所属していたが、汚職や強力な組織犯罪を理由に、もし故郷に留まれば自分に何が起こるか恐れるようになったという。

2025年までに、彼はすでにアメリカで生活基盤を築いていた。妻の「エレン」と幼い娘の「ジェシカ」と共に、オハイオ州コロンバスに暮らしていた。彼は家族を養うために働き、エレンはジェシカの世話をしていた。2人の間には、軽犯罪や暴力犯罪、その他の犯罪歴は一切なかった。しかし、2024年初頭、2人は予定されていた公聴会に出頭したものの、実際には出席せずに帰ってしまった。受付係が誤って、その日の公聴会の予定に入っていないと告げたためだった。このたった一つの不手際誰の言い分にも反するはずのない出来事だったが、トランプ政権2期目の下で、彼らの家族を破滅(doom)へと導くことになった。

今年の6月、リカルドはICE(移民税関執行局)から、地元のICE事務所に出頭するよう求めるテキストメッセージを受け取った。トランプ政権がミラーとトランプによって推進した数々の新政策や逮捕割り当てを前に、彼の弁護士は疑念を抱いた。それでも、リカルドはこの偉大な国を信じていた。彼は自分が犯罪者ではないこと、正しい方法でここに来たかったこと、そして隠すことは何もないことを示したかったのだ。

オハイオ州を拠点とする弁護士は、コロンバス郊外の連邦入国管理局の受付で、建物に入るために列に並んでいた3人家族と出会った。ジェシカとエレンはお揃いの服装で、ジェシカはリボンで結んだおさげ髪にピンクのワンピースを着ていた。弁護士は、ジェシカが父親の頬を触って遊んでいると、父親がフグのように頬を膨らませて笑っていたのを覚えている。

待合室を過ぎると、武装した移民税関執行局(ICE)職員2人が間もなく彼らの両脇に現れ、そのうちの1人が弁護士と家族に、職員には選択の余地がないと告げた。ICEは「ワシントンからの(from Wasington)」指示を受けていると職員は言った。その指示は1月のトランプ大統領就任後に出されたもので、ミラー長官が直接作成した、逮捕・強制送還件数の増加を求める新たな基準と要求(既存の犯罪歴の有無に関わらず)が含まれていた。

職員は、父親にその場で手錠をかけ、連行しなければならないと告げた。「私たちは命令に従うしかない」とICE職員は言った。

スペイン語を話す家族は、最初は何が起こっているのか理解できなかった。夫婦と弁護士はICE職員に家族全員で自主退去させてほしいと懇願し、弁護士が通訳を交えながら、何度もやり取りをしなければならなかった。そうすればアメリカの納税者の負担が軽減されるはずだと彼らは訴えた。

ICE職員は謝罪した。どうすることもできないようだった。

職員たちは、エレンとジェシカが部屋を出られるように配慮してくれた。ジェシカが父親に手錠をかけられる場面を見なくて済むようにするためだ。父親はしゃがみ込み、ジェシカを抱き上げて別れのハグをした。混乱して泣きじゃくるジェシカは、父親の首に腕を回し、体を抱きしめて離れようとしなかった。

2人のICE職員のうち1人が、手続きを進める必要があると家族に告げた。ちょうどその時、エレンはジェシカの腰に手を回し、最初は就学前の幼い娘を父親から引き離すことができなかった。ICE職員の1人は父親の肩に手を置き、もう1人は家族を見守っていた。

「パパ!」少女はスペイン語で叫んだ。「パパに会いたい!パパに会いたい!」。

エレンはついにヒステリックになっているジェシカを部屋から連れ出すことができた。ICE職員がリチャードを連れて行く間も、ジェシカは「パパ、パパ、いやだー!」と叫び続けた。待合室に戻る途中、弁護士は待合室に座っていた移民たちや他の人々の顔を見た。彼らはドアの向こうで何が待ち受けているのか、困惑と恐怖の表情で見つめていた。数カ月後、弁護士はローリングストーン誌にこう語っている。「今でもあの少女の叫び声が耳に残っている」。

エレンとジェシカは荷物をまとめてリチャードの故郷へ向かった。2人は数日中に彼と再会できると期待していた。ところが、トランプ政権はリチャードをルイジアナ州の拘留施設に約2カ月間も拘束し、2人の恐怖をよそに、2人は彼を行方不明にしてしまった。その後、2人は再会を果たしたが、心の傷はまだ癒えていない。弁護士によると、ジェシカは今でも夜中に目を覚まし、「パパ!」と叫ぶという。

現代のどの政権下でも、厳しい移民取り締まりが行われ、胸が張り裂けるような決断が下されてきた。しかし、この話が起こっているのは、トランプ政権とミラーが、ミラー自身が逮捕者数を水増しするためだけに、各州の機関に取り締まり強化を強要しているからだ。

あなたにとって、これは悲しい、あるいは恐ろしいことのように思えるかもしれない。しかし、ミラーにとって、あなたの怒りは実に滑稽なものだ。今年、トランプ政権の側近であるミラーは、非公式の会話の中で、移民家族の「悲しい話(sob stories)」を煽るリベラル派は、ミラーと政府が決して騙されない感情的な「脅迫(blackmail)」を行っていると述べている。彼はそれを笑い飛ばし、再びホラーストーリーの創作に取り掛かった。
(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカとイスラエルがイランに対して大規模攻撃を行うことで始まったイラン戦争は、パキスタンのシャバーズ・シャリフ首相が仲介役となり、2週間の停戦が合意に至ったという発表を行ったことで事態が急速に動いた。アメリカもイランも停戦に合意医したことを認め、イスラエルは停戦に合意するとしているが、イランから支援を受けているヒズボラに対する攻撃を継続するとして、レバノンへの大規模攻撃を継続している。パキスタンのシャリフ首相はレバノン攻撃停止が停戦条件に入っているとしているが、認識の違いはこれからの停戦に方向に影響を与えることになるだろう。
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(左から)トランプ、ヴァンス、ルビオ、スージー・ワイルズ大統領首席補佐官

 そうした中で、ニューヨーク・タイムズ紙は、ドナルド・トランプ大統領によるイラン攻撃決定に進むまでの内幕を報じた。2026年2月11日に、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が極秘裏にホワイトハウスを訪問し、外国首脳はほぼ入ったことがないシチュエーションルームで1時間にわたり、イラン戦争開始を勧奨するプレゼンテーションを行った。プレゼンテーションの内容について以下の記事では、「第一部分は最高指導者の暗殺、つまりハメネイ師の殺害。第二部分はイランの軍事力投射能力と近隣諸国への脅威能力の弱体化、第三部分はイラン国内での民衆蜂起、そして、第四部分は世俗的な指導者を擁立する政権転覆(体制転換)である」としている。アメリカ政府関係者たちは、最初の2つの部分は達成可能であるが、残り2つは達成不可能であるという評価を下していた。このプレゼンテーションの会合には、JD・ヴァンス副大統領は出席していなかった。アゼルバイジャンに外遊中で当日までに帰国できなかった。

 翌日12日にプレゼンテーションの内容を評価する会合が開かれ、ヴァンス副大統領はこちらには出席することが出来た。そして、この会合で、トランプ大統領に対して、イラン攻撃に反対する意見を述べた。以下の記事から引用する。

(引用はじめ)

ヴァンス副大統領は、イランとの政権転覆戦争は破滅的な結果を招くと考えていた。彼の望みは、一切の攻撃を行わないことだった。しかし、トランプが何らかの形で介入する可能性が高いことを承知していたヴァンスは、より限定的な行動へと舵を切ろうとした。その後、大統領が大規模な作戦に踏み切ることが確実になると、ヴァンスは、目的を迅速に達成するためには圧倒的な武力行使が必要だと主張した。

ヴァンスは同僚たちの前で、イランとの戦争は地域的な混乱と計り知れない数の犠牲者をもたらす可能性があるとトランプに警告した。また、トランプの政治連合を崩壊させ、新たな戦争は起こさないという約束を信じていた多くの有権者から裏切りとみなされるだろうとも述べた。

ヴァンス副大統領は他にも懸念を表明した。副大統領として、彼はアメリカの軍需品問題の深刻さを認識していた。生き残りを強く望む政権との戦争は、アメリカを今後数年間、紛争を戦う上で極めて不利な立場に追い込む可能性がある。

副大統領は側近に対し、政権の存続がかかっている状況でイランがどのような報復行動に出るかを、どれほど軍事的見識があっても正確に予測することはできないと語った。戦争は容易に予測不可能な方向へ進む可能性がある。さらに、彼は戦争後に平和なイランを築く可能性は低いと考えていた。

そして、おそらく最大の懸念は、ホルムズ海峡におけるイランの優位性だった。膨大な量の石油と天然ガスを輸送するこの狭い海峡が封鎖されれば、ガソリン価格の高騰をはじめとするアメリカ国内への影響は甚大になるだろう。

(貼り付け終わり)

 現状はヴァンス副大統領の懸念の通りになっている。その他の最高幹部たちでは、ピート・ヘグセス国防長官が攻撃に賛成し、マルコ・ルビオ国務長官は曖昧な態度を取った。ただ全員が、トランプ大統領が攻撃を決定するならば支持し、それぞれの役職で支えるということは変わらなかった。最終的には、2月26日に会合が開かれ、トランプ大統領から攻撃決定の意思が示された。トランプの決断の理由は、記事によると、「イランが核兵器を保有できないようにしなければならないこと、そしてイランがイスラエルや中東地域全体にミサイルを発射できないようにしなければならないことを確実にしなければならない」ということだった。ネタニヤフ首相のプレゼンテーションで示された4つの部分のうちの2つを実行するということだった。これは、「イラン国内での民衆蜂起と世俗的な指導者を擁立する政権転覆(体制転換)」はゴールとはしないということだった。ここから、開戦直前において、アメリカとイスラエルは戦争のゴールが異なっていたということが明らかだ。

 2月11日にネタニヤフ首相がホワイトハウスのシチュエーションルームでプレゼンテーションを行ったが、それよりも前に両国政府の実務者レヴェルですり合わせが行われ、実際に攻撃決定となれば、どの程度の攻撃をどの範囲で実行するかということは決定されていただろう。そうでなければ、攻撃開始までの準備期間が短期間過ぎるということになる。さらに、イスラエル側はヴァンス副大統領がホワイトハウスに来られない日程を狙ってプレゼンテーションを行ったということも考えられる。プレゼンテーションの場所で、ヴァンス副大統領に反対されたら、ネタニヤフ首相の面子はなくなってしまう。ネタニヤフ首相による下準備は2025年から開始されていた。2025年だけで6回もホワイトハウスを訪問している。ここで「説得」、いや「洗脳」「刷り込み」が行われたということは考えられる。

ヴァンス副大統領はその過程を注視している訳で、イスラエルとネタニヤフ首相に対して不信感を募らせていたことは明らかだ。実際に、3月23日、ヴァンス副大統領はネタニヤフ首相と電話会談を行い、そこで、イラン戦争に関して見通しが甘かったこと、イスラエルの入植者たちの暴力をイスラエル政府が統制できていないことを強く口調で非難したという報道が出ている。

 ヴァンスがトランプが錯誤の結果として開始したイラン戦争の尻拭いをするということになるのは当然のことだ。彼にはそれを実行するだけの資格がある。懸念はイスラエルによる妨害である。ヴァンスがイラン戦争停戦を成功させれば、2028年の大統領選挙での勝利に大きく近づく。そうなれば、イスラエルとしては具合が悪い。イスラエルに対して懐疑的な大統領が誕生すれば、イスラエルにとっては利益にならない。イスラエルがヴァンスに対して妨害工作を仕掛けてくるという可能性がある。しかし、ヴァンスは「トランプ主義」、「アメリカ・ファースト」と「アイソレイショニズム」の正統な後継者である。ヴァンスをアメリカ国民が支えることになるだろう。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領はいかにしてアメリカをイランとの戦争へと導いたか(How Trump Took the U.S. to War With Iran

-一連のシチュエーションルームでの会議において、トランプ大統領は自身の直感と、副大統領の強い懸念、そして悲観的な情報機関の評価との間で葛藤した。ここでは、トランプがいかにして運命的な決断を下したのか、その内幕を明らかにする。

ジョナサン・スワン、マギー・ハーバーマン筆

2026年4月7日
『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2026/04/07/us/politics/trump-iran-war.html

ベンヤミン・ネタニヤフ首相を乗せた黒塗りのSUVは、2月11日午前11時前にホワイトハウスに到着した。イランへの大規模攻撃にアメリカが同意するよう数カ月にわたり働きかけてきたイスラエル首相は、記者たちの目から隠れるように、ほとんど式典もなくホワイトハウス内へと案内された。彼の長い政治キャリアの中でも最も重要な局面の一つに向けて進めた準備が実現した瞬間だった。

アメリカとイスラエル両国の高官たちはまず、大統領執務室に隣接する閣議室に集まった。その後、ネタニヤフ首相は階下へ移動し会談本番に臨んだ。ホワイトハウスのシチュエーションルームで、ドナルド・トランプ大統領と側近たちに対し、イランに関する極秘のプレゼンテーションが行われた。このシチュエーションルームは、外国首脳との直接会談にはほとんど使用されていなかった。

トランプ大統領は着席したが、いつものマホガニー製の会議テーブルの最上座ではなく、壁に設置された大型スクリーンが見える反対側の椅子に腰掛けた。ネタニヤフ首相は反対側、大統領の真向かいに座った。首相の背後のスクリーンには、イスラエルの対外情報機関モサドの長官であるダヴィッド・バルネアと、イスラエル軍関係者たちが映し出されていた。ネタニヤフ首相の背後に視覚的に配置された彼らは、戦時指導者が自身の率いるティームに囲まれているような印象を与えた。

ホワイトハウス・大統領首席補佐官スージー・ワイルズはテーブルの端に座り、国家安全保障問題担当大統領補佐官を兼任するマルコ・ルビオ国務長官はいつもの席に着いていた。国防長官ピート・ヘグセスと米統合参​​謀本部議長ダン・ケイン大将は、こうした会談では通常一緒に座るのだが、この日は片側に座った。彼らに加わったのは、CIA長官ジョン・ラトクリフだった。大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナーと、イランとの交渉を担当していたトランプ大統領特使スティーヴ・ウィトコフが主要メンバーを構成した。

会合は情報漏洩を防ぐため、意図的に小規模に抑えられていた。他の閣僚たちは会合が開かれていることすら知らなかった。副大統領も欠席していた。JD・ヴァンス副大統領はアゼルバイジャンに滞在しており、会合は急遽決定されたため、開始時間までに戻ることができなかった。

ネタニヤフ首相がこの後1時間で行うプレゼンテーションは、世界で最も不安定な地域の一つである中東地域において、アメリカとイスラエルを大規模な武力衝突へと導く決定的な役割を果たすことになるだろうと考えられた。そして、この決定は、その後の数日間、数週間にわたりホワイトハウス内で一連の議論へと発展した。その詳細はこれまで報じられていないが、トランプはイラン攻撃でイスラエルと共闘することを承認する前に、選択肢とリスクを慎重に検討した。

トランプがアメリカを戦争へと導いた経緯を詳述した今回の記事の内容は、発刊予定の著書『政権転覆(体制転換):ドナルド・トランプ皇帝型大統領の内幕(Regime Change: Inside the Imperial Presidency of Donald Trump)』のための取材に基づいている。本書は、政権内部での協議がいかに大統領の直感、側近間の亀裂、そしてホワイトハウス運営の実態を浮き彫りにしたかを明らかにしている。匿名を条件に行われた広範なインタヴューに基づき、内部の議論やデリケートな問題について詳述している。

今回の報道は、トランプのタカ派的な考え方が、数カ月にわたりネタニヤフの考え方とどれほど密接に一致していたかを明らかにしている。その一致度は、大統領の主要な補佐官たちの一部でさえ認識していなかったほどだ。両者の緊密な関係は、2つの政権にわたって一貫して見られ、その力関係は、時に緊張をはらむこともありながらも、アメリカ政治の左右両派から激しい批判と疑念を招いてきた。

そして、最終的には、トランプの戦争内閣の中でも懐疑的なメンバーでさえ―全面戦争に最も反対していたホワイトハウス内の人物であるヴァンスを除いて―、戦争が迅速かつ決定的なものになるという大統領の確信を含む、大統領の直感に従ったことを示している。ホワイトハウスはコメントを控えた。

2月11日、ホワイトハウスのシチュエーションルームで、ネタニヤフ首相はイランの政権転覆(体制転換)がまさに実現可能な時期にあると強く訴え、アメリカ・イスラエル合同作戦によってイスラム共和国を終焉させることができるとの確信を表明した。

イスラエル側はトランプ大統領に対し、強硬なイラン政権が崩壊した場合に国家を掌握する可能性のある新たな指導者たちの映像をまとめた短いヴィデオを上映した。その中には、イラン最後のシャー(国王)の亡命中の息子で、現在はワシントンを拠点とする反体制派のレザ・パラヴィーも含まれていた。パラヴィーは、自分自身を、イランを神権政治後の政権へと導くことができる世俗的な指導者として、位置づけようとしてきた。

ネタニヤフ首相とそのティームは、ほぼ確実な勝利を示唆する条件を提示した。イランの弾道ミサイル計画は数週間以内に破壊される可能性がある。イラン政権は弱体化し、ホルムズ海峡を封鎖することは不可能になるだろう。また、イランが近隣諸国のアメリカの権益を攻撃する可能性は極めて低いと評価された。

さらに、モサドの情報によると、イラン国内で再び街頭デモが始まるとみられ、イスラエル諜報機関が暴動や反乱を煽ることで、激しい爆撃作戦はイラン反体制派による政権転覆(体制転換)の条件を整える可能性があるという。イスラエル側はまた、イランのクルド人戦闘員がイラクから国境を越えて北西部に地上戦線を開き、政権軍をさらに分散させ、崩壊を加速させる可能性も指摘した。

ネタニヤフ首相は自信に満ちた単調な口調でプレゼンテーションを行った。その発言は、その場にいた最も重要な人物、つまりアメリカ大統領に好印象を与えたようだった。

トランプ大統領はネタニヤフ首相に「私には良い考えのように思える(Sounds good to me)」と告げた。ネタニヤフ首相にとって、これはアメリカ・イスラエル共同作戦へのゴーサインが出されたことを意味していた。

トランプ大統領が最終的な決断を下したと感じたのはネタニヤフ首相だけではなかった。大統領の補佐官たちは、トランプ大統領がネタニヤフ首相の軍事・情報機関の能力に深く感銘を受けていたことを察知していた。それは、6月のイランとの12日間の戦争前に両者が会談した時と同様だった。

2月11日のホワイトハウス訪問の際、ネタニヤフ首相は閣議室に集まったアメリカ国民に対し、86歳のイラン最高指導者アリ・ハメネイ師がもたらす存亡の危機について改めて認識させようと努めた。

シチュエーションルームにいた他の出席者から作戦に伴う潜在的なリスクについて質問されると、ネタニヤフ首相はリスクを認めつつも、重要な点を1つ強調した。それは、何もしないことのリスクは行動することのリスクよりも大きいという見解だった。攻撃を遅らせれば、イランにミサイル生産を加速させ、核開発計画を防御する「防護壁(a shield of immunity)」を構築する時間を与えてしまうことになり、結果として行動の代償は増大するだけだと首相は主張した。

シチュエーションルームにいた全員が、イランはミサイルとドローンの備蓄を、アメリカが中東地域におけるアメリカの国益と同盟国を守るために、はるかに高価な迎撃ミサイルを製造・供給するよりもはるかに低コストで、はるかに迅速に増強できる能力を持っていることを理解していた。

ネタニヤフ首相のプレゼンテーション、そしてそれに対するトランプ大統領の好意的な反応は、アメリカ諜報・情報機関にとって喫緊の課題となった。アナリストたちは夜通し、イスラエル側がトランプ大統領に伝えた内容の妥当性を評価する作業に追われた。

●「茶番劇」(‘Farcical’

米諜報・情報機関の分析結果は、翌日の2月12日、ホワイトハウスのシチュエーションルームで、アメリカ政府当局者のみが出席する別の会議で共有された。トランプ大統領の到着に先立ち、2人の諜報・情報部門の高官が大統領側近たちにブリーフィングを行った。

諜報・情報機関関係者たちはアメリカ軍の能力に関する深い専門知識を持ち、イランの体制とその構成員を隅々まで知り尽くしていた。彼らはネタニヤフ首相のプレゼンテーションを4つの部分に分解していた。第一部分は最高指導者の暗殺、つまりハメネイ師の殺害。第二部分はイランの軍事力投射能力と近隣諸国への脅威能力の弱体化、第三部分はイラン国内での民衆蜂起、そして、第四部分は世俗的な指導者を擁立する政権転覆(体制転換)である。

アメリカ政府当局は、最初の2つの目標はアメリカの情報収集力と軍事力で達成可能だと判断した。一方、クルド人によるイランへの地上侵攻の可能性を含むネタニヤフ首相の提案の第三と第四の部分は、現実離れしていると判断した。

トランプ大統領が会議に出席すると、ラトクリフCIA長官はトランプ大統領にこの評価を説明した。CIA長官はイスラエル首相の政権交代シナリオを一言で「茶番劇」と表現した。

その時、ルビオ国務長官が口を挟んだ。「それはつまり、それはでたらめということだね」と彼は言った。

ラトクリフ長官は、紛争における事態の予測不可能性を鑑みれば、政権転覆(体制転換)は起こり得るものの、達成可能な目標と考えるべきではないと付け加えた。

アゼルバイジャンから帰国したばかりのヴァンス副大統領をはじめ、数名がこれに加わり、政権交代(体制転換)の見通しについて強い懐疑的な見解を示した。

トランプ大統領は次にケイン大将に目を向けた。「大将、どう考える?」。

ケイン大将は次のように答えた。「大統領閣下、これは私の経験上、イスラエルの常套手段です。彼らは誇張し、計画は必ずしも十分に練られてはおりません。彼らは私たちを必要としていることを知っており、だからこそ強引に売り込んでいると考えております」。

トランプ大統領はすぐにその評価を検討した。政権交代は「彼らの問題だ」と述べた。トランプ大統領が述べた「彼ら」がイスラエル国民を指しているのか、イラン国民を指しているのかは不明だった。しかし、肝心なのは、イランとの戦争に踏み切るかどうかのトランプの決断は、ネタニヤフ首相のプレゼンテーションの第三の部分と第四の部分が実現可能かどうかには左右されないということだった。

トランプは、第一の部分と第二の部分、すなわち最高指導者とイランの最高幹部の殺害、そしてイラン軍の解体という目標の達成に依然として強い関心を示していたようだ。

トランプが「壊し屋ケイン(Razin’ Caine)」と呼んだケイン統合参謀本部議長は、数年前にイスラム国は他の予想よりもはるかに早く壊滅させることができるとトランプに語り、強い印象を与えた。トランプはその信頼に応え、元空軍戦闘機パイロットだったケイン大将を大統領の最高軍事顧問に任命した。ケイン将軍は政治的な忠誠心を持つ人物ではなく、イランとの戦争には深刻な懸念を抱いていた。しかし、彼は大統領に自らの見解を伝える際には非常に慎重だった。

計画に関与していた少数の補佐官たちが数日間協議を重ねる中、ケイン大将はトランプ大統領たちに、イランに対する大規模作戦はミサイル迎撃ミサイルを含むアメリカの兵器備蓄を大幅に減少させるという、憂慮すべき軍事的評価を伝えた。これらの兵器は、ウクライナとイスラエルへの長年の支援によって既に備蓄が逼迫していた。ケイン大将は、これらの備蓄を迅速に補充する明確な道筋は見当たらないと述べた。

また、ホルムズ海峡の安全確保の極めて困難な点と、イランが海峡を封鎖するリスクについても指摘した。トランプ大統領は、イラン政権がそのような事態になる前に降伏するだろうという前提で、この可能性を軽視していた。大統領は、戦争は非常に短期間で終わると考えていたようで、6月のイラン核施設へのアメリカ軍爆撃に対するイランの反応が冷淡だったことが、その印象をさらに強めていた。

開戦に至るまでのケイン大将の役割は、軍事顧問と大統領の意思決定との間の典型的な緊張関係を如実に物語っている。統合参謀本部議長は立場を明確にせず、大統領に指示を与えるのは自分の役割ではなく、選択肢と潜在的なリスク、そして起こりうる二次的・三次的な影響を提示するのが自分の役割だと繰り返し主張したため、聞いている人の中には、まるで問題のあらゆる側面を同時に論じているように見える者もいた。

彼は常に「それで、どうなるのか?(And then what?)」と問いかけたが、トランプはしばしば、自分が聞きたいことしか聞いていないように見えた。

ケイン大将は、前任者のマーク・A・ミリー大将とはほぼあらゆる点で異なっていた。ミリー大将はトランプ政権初期にトランプと激しく対立し、大統領が危険または無謀な行動を

両者のやり取りに詳しいある人物は、トランプがケイン大将からの戦術的な助言と戦略的な助言を混同する癖があったと指摘した。具体的には、ケイン大将は作戦のある側面における困難について警告したかと思えば、その直後に、アメリカには安価な精密誘導爆弾が事実上無尽蔵にあり、制空権を確保すれば数週間にわたってイランを攻撃し続けることができると述べる、といった具合だった。

統合参謀本部議長にとって、これらは別々の見解だった。しかし、トランプは、2番目の見解が1番目の見解をほぼ確実に打ち消すと考えていたようだ。

審議中、統合参謀本部議長はイランとの戦争は恐ろしい考えだと大統領に直接伝えることはなかったが、ケイン大将の同僚の中には、まさにそう考えていたと確信する者もいた。

●タカ派のトランプ(Trump the Hawk

ネタニヤフ首相は、大統領補佐官の多くから不信感を抱かれていたが、首相の見解は、トランプ陣営の反介入主義者や、より広範な「アメリカ・ファースト」運動の支持者たちが認めたがる以上に、トランプ大統領の見解にずっと近かった。これは長年にわたり事実だった。

トランプ大統領が二期にわたって直面した外交上の課題の中で、イラン問題は特に異質なものだった。彼はイランを極めて危険な敵とみなし、イラン政権の戦争遂行能力や核兵器保有能力を阻害するためなら、大きなリスクを冒すことも厭わなかった。さらに、ネタニヤフ首相の主張は、トランプが32歳だった1979年に権力を掌握したイランの神権政治体制を解体したいというトランプの願望と合致していた。イランはそれ以来、アメリカにとって目の上のこぶのような存在だった。

現在、彼は聖職者による政権掌握から47年が経過した現在、イランで政権交代(体制転換)を成し遂げた最初の大統領となる可能性があった。通常は言及されないものの、常に背景には、イランがトランプ暗殺を企てていたというもう一つの動機があった。これは、アメリカではイランの国際テロ活動の推進力と見なされていたカセム・ソレイマニ司令官が2020年1月に暗殺されたことへの報復だった。

大統領に復帰したトランプ大統領は、アメリ軍の能力に対する自信をさらに強めていた。特に、1月3日にヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を邸宅から拉致した、特殊部隊による華々しい襲撃作戦は、大統領の自信を一層高めた。この作戦でアメリカ兵の死者は一人も出なかったが、これは大統領にとって米軍の比類なき能力を改めて証明する出来事となった。

トランプ政権の中で、イランに対する軍事作戦を最も強く主張したのはヘグセス国防長官だった。

一方、ルビオ国務長官は同僚たちに対し、より複雑な心境であることを示唆していた。イランが交渉による合意に応じるとは考えていなかったものの、全面戦争に踏み切るよりも、最大限の圧力をかけ続けることを望んでいた。しかし、ルビオ長官はトランプ大統領に作戦中止を説得しようとはせず、開戦後は政権の正当化について、確信を持って演説した。

ワイルズ大統領首席補佐官は、新たな海外紛争がもたらす影響について懸念を抱いていたものの、大規模な会議で軍事問題について積極的に発言することはあまりなく、むしろ補佐官たちが大統領に意見や懸念を伝えるよう促していた。ワイルズ補佐官は他の多くの問題では影響力を行使していたが、トランプ大統領や将軍らが集まる場では、一歩引いて傍観していた。ワイルズに近い関係者によると、軍事的な決定について大統領に懸念を表明するのは自分の役割ではないと考えていたという。そして、ケイン大将、ラトクリフ長官、ルビオ長官といった補佐官たちの専門知識こそ、大統領が耳を傾けるべき重要なものだと考えていた。

それでも、ワイルズは同僚に対し、アメリカが中東地域で再び戦争に巻き込まれることを懸念していると語っていた。イランへの攻撃は、中間選挙の数カ月前にガソリン価格の高騰を引き起こす可能性があり、その選挙はトランプ大統領の2期目の最後の2年間が、成果を上げる年になるのか、それとも連邦下院民主党からの召喚状を受ける年になるのかを左右する可能性がある。しかし最終的には、ワイルズは作戦に賛成した。

●懐疑論者ヴァンス(Vance the Skeptic

トランプの側近の中で、イランとの戦争の可能性を最も懸念し、それを阻止するために最も尽力したのは、副大統領のヴァンスだった。

ヴァンスは、まさに今真剣に検討されているような軍事的冒険主義(military adventurism)に反対することで政治家としてのキャリアを築いてきた。彼はイランとの戦争を「莫大な資源の浪費(a huge distraction of resources)」であり「莫大な費用がかかる(massively expensive.)」と述べていた。

しかし、彼は全面的にハト派だった訳ではない。2026年1月、トランプがイランに対しデモ参加者の殺害を止めるように公的に警告し、支援を約束した際、ヴァンスは非公式に大統領にレッドラインを厳格に執行するよう促していた。しかし、副大統領が主張したのは、限定的な懲罰的攻撃であり、2017年にトランプがシリアの民間人に対する化学兵器使用を理由にミサイル攻撃を行ったような形態に近いものだった。

ヴァンス副大統領は、イランとの政権転覆戦争は破滅的な結果を招くと考えていた。彼の望みは、一切の攻撃を行わないことだった。しかし、トランプが何らかの形で介入する可能性が高いことを承知していたヴァンスは、より限定的な行動へと舵を切ろうとした。その後、大統領が大規模な作戦に踏み切ることが確実になると、ヴァンスは、目的を迅速に達成するためには圧倒的な武力行使が必要だと主張した。

ヴァンスは同僚たちの前で、イランとの戦争は地域的な混乱と計り知れない数の犠牲者をもたらす可能性があるとトランプに警告した。また、トランプの政治連合を崩壊させ、新たな戦争は起こさないという約束を信じていた多くの有権者から裏切りとみなされるだろうとも述べた。

ヴァンス副大統領は他にも懸念を表明した。副大統領として、彼はアメリカの軍需品問題の深刻さを認識していた。生き残りを強く望む政権との戦争は、アメリカを今後数年間、紛争を戦う上で極めて不利な立場に追い込む可能性がある。

副大統領は側近に対し、政権の存続がかかっている状況でイランがどのような報復行動に出るかを、どれほど軍事的見識があっても正確に予測することはできないと語った。戦争は容易に予測不可能な方向へ進む可能性がある。さらに、彼は戦争後に平和なイランを築く可能性は低いと考えていた。

そして、おそらく最大の懸念は、ホルムズ海峡におけるイランの優位性だった。膨大な量の石油と天然ガスを輸送するこの狭い海峡が封鎖されれば、ガソリン価格の高騰をはじめとするアメリカ国内への影響は甚大になるだろう。

右派の有力な介入懐疑論者として台頭したコメンテーターのタッカー・カールソンは、前年に何度かホワイトハウスを訪れ、イランとの戦争はトランプ大統領の政権を崩壊させると警告していた。トランプ大統領は、開戦の数週間前、長年の友人であるカールソンに対して、電話で安心させようとした。「心配しているのは分かっているが大丈夫だ(I know you’re worried about it, but it’s going to be OK)」と大統領は言った。カールソンがどうしてそう言えるのかと尋ねると、「いつもそうだったからだ(Because it always is)」とトランプ大統領は答えた。

2月末、アメリカとイスラエルは、作戦のスケジュールを大幅に前倒しする新たな情報について協議した。イランの最高指導者が、他の政権幹部らと白昼堂々と地上で会合を開くという情報だった。これは、イラン指導部の中枢を攻撃するまたとない機会であり、二度とないかもしれない標的だった。

トランプ大統領はイランに対し、核兵器開発への道を阻む合意に至るための新たな機会を与えた。この外交努力は、アメリカが中東地域への軍事資産の移転を進めるための時間的猶予も与えた。

大統領は数週間前に事実上決断を下していたと複数の側近は述べている。しかし、具体的な時期はまだ決めていなかった。ネタニヤフ首相はトランプ大統領に迅速な行動を促した。

同じ週、クシュナーとウィトコフは、イラン当局者との最新の協議後、ジュネーブから電話をかけた。オマーンとスイスで行われた3回の交渉で、両者はイランの合意意欲を探っていた。ある時点で、両者はイランに対し、核開発計画期間中、無償で核燃料を提供すると申し出た。これは、テヘランがウラン濃縮に固執する理由が、本当に民生用エネルギーのためなのか、それとも核兵器製造能力の維持のためなのかを見極めるための試みだった。

イラン側はこの申し出を拒否し、自国の尊厳に対する攻撃だと非難した。

クシュナーとウィトコフは大統領に状況を説明した。交渉は可能だろうが、数カ月はかかるだろうと彼らは述べた。トランプ大統領が、彼らが自分の目を見て問題を解決できると言えるかと問うているのなら、そこに至るまでには相当な努力が必要になるだろうとクシュナーは告げた。それはイラン側が駆け引きをしているからだった。

●「やらなければならないと思う」(‘I Think We Need to Do It’

2月26日木曜日の午後5時頃、最終のシチュエーションルーム会議が始まった。この時点で、会議室にいる全員の立場は明確になっていた。これまでの会議で全てが議論され、全員が互いの立場を把握していた。議論は約1時間半続いた。

トランプ大統領はいつものようにテーブルの最上座に座った。右隣には副大統領ヴァンス、その隣にはワイルズ補佐官、その隣にはラトクリフ長官、ホワイトハウス法律顧問のデイヴィッド・ウォリントン、そしてホワイトハウス広報部長スティーヴン・チャンが座っていた。チャンの向かい側にはホワイトハウス報道官のカロライン・リーヴィットが座り、その右隣にはケイン大将、続いてヘグセス長官、そしてルビオ長官が座っていた。

戦争計画グループは極秘裏に進められ、世界石油市場史上最大規模の供給途絶を管理する必要のある主要幹部2名、スコット・ベッセント財務長官とエネルギー長官クリス・ライト、そして国家情報長官ドゥルシー・ギャバードも除外されていた。

大統領は会議の冒頭で、「さて、現状はどうなっているのか?(OK, what have we got?)」と問いかけた。

ヘグセス長官とケイン大将は攻撃の手順を説明した。その後、トランプ大統領は全員の意見を聞きたいと述べた。

この作戦の前提そのものに反対していたヴァンスは、大統領に対し、「これは悪い考えだと思いますが、もしあなたが実行したいのであれば支持します」と述べた。

ワイルズ補佐官はトランプ大統領に対し、アメリカの国家安全保障のために必要だと感じるなら実行すべきだと述べた。

ラトクリフ長官は実行の是非については意見を述べなかったが、イラン指導部がテヘランの最高指導者の邸宅で収集しようとしている驚くべき新たな情報について説明した。CIA長官は大統領に対し、政権交代は言葉の定義次第であるが、可能だと述べ、「最高指導者の殺害だけを意味するなら、おそらく実行できるだろう」と語った。

ホワイトハウス法律顧問ウォリントンは、質問を受けた際、この計画はアメリカ政府当局者によって立案され、大統領に提示された経緯から見て、法的に許容される選択肢であると述べた。個人的な意見は述べなかったが、大統領から意見を求められると、海兵隊の退役軍人として、数年前にイランによって殺害されたアメリカ軍兵士を知っていたと語った。この問題は、彼にとって非常に個人的なものだった。ウォリントンは大統領に対し、イスラエルが計画を強行するのであれば、アメリカも同様に行動すべきだと述べた。

チャン部長は、予想される広報上の影響について説明した。トランプは、さらなる戦争に反対して大統領選に立候補した。国民は海外での紛争を望んで投票したわけではない。この計画は、6月のイラン爆撃作戦後に政権が述べてきたこと全てに反するものだった。イランの核施設は完全に破壊されたと8カ月月間主張し続けてきたことを、どのように説明するのか。チャンは賛成も反対も表明しなかったが、トランプがどのような決定を下そうとも、それは正しいものになるだろうと述べた。

リーヴィットは大統領に対し、これは大統領の決定であり、報道ティームは最善を尽くして対応すると伝えた。

ヘグセス長官は限定的な立場を取った。いずれイランに対処しなければならないのだから、今やってしまえば良い、というものだ。彼は技術的な評価として、与えられた兵力で一定期間内に作戦を遂行できると述べた。

ケイン大将は冷静に、作戦のリスクと、それが弾薬の枯渇にどのような影響を与えるかを説明した。彼は意見を述べず、トランプ大統領が作戦を命じれば軍は実行する、という立場を示した。大統領の最高軍事指導者2人は、作戦の展開と、イランの軍事力を低下させるアメリカの能力について概説した。

ルビオ長官は発言の番になると、より明確な見解を示し、大統領に次のように述べた。「もし私たちの目標が政権転覆(体制転換)や反乱であるならば、作戦は行うべきではないです。しかし、目標がイランのミサイル計画を破壊することであるならば、それは達成可能な目標です」。

誰もが大統領の直感(instincts)に従った。彼らは大統領が大胆な決断を下し、想像を絶するリスクを負い、そして何とか成功を収めてきたのを見てきた。その時、誰も大統領を阻むことはできなかった。

「私たちは作戦を実行する必要があると思う(I think we need to do it)」と大統領は部屋にいる人々に告げた。彼は、イランが核兵器を保有できないようにしなければならないこと、そしてイランがイスラエルや中東地域全体にミサイルを発射できないようにしなければならないことを確実にしなければならないと述べた。

ケイン大将はトランプ大統領に、まだ時間があるので、翌日の午後4時までに承認を与えればよいと伝えた。

翌日の午後、エアフォースワン機内で、ケイン大将に対して、期限の2分前、トランプは次のように命令を送った。「エピック・フューリー(壮絶な怒り)作戦を承認する。中止はない。幸運を祈る」

※ジョナサン・スワン:ニューヨーク・タイムズ紙ホワイトナイト特派員。ドナルド・J・トランプ政権を担当。シグナル・アカウント:@jonathan.941

マギー・ハーバーマン:ニューヨーク・タイムズ紙ホワイトナイト特派員。トランプ大統領を担当。

※ジョナサン・スワンとマギー・ハーバーマンはニューヨーク・タイムズ紙ホワイトナイト特派員であり、近刊の『政権転覆(体制転換):ドナルド・トランプ皇帝型大統領の内幕(Regime Change: Inside the Imperial Presidency of Donald Trump)』の共著者。この記事は、近刊のために取材した内容に基づいている。

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緊迫した電話会談でJD・ヴァンス副大統領はイラン体制転換の可能性を過大評価しているとベンヤミン・ネタニヤフ首相を批判した:報道(In tense call, Vance knocked PM for overselling likelihood of Iran regime change — report

-アメリカ政府当局者たちは、海外での軍事介入に長年懐疑的であり、イランとの停戦交渉で主導的な役割を担う予定のヴァンス副大統領に対し、「イスラエルによる工作」が行われたと疑っていると報じられている。

『タイム・オブ・イスラエル』紙スタッフ

2026年3月27日

『タイム・オブ・イスラエル』紙

https://www.timesofisrael.com/in-tense-call-vance-knocked-pm-for-overselling-iran-regime-change-likelihood-report/

JD・ヴァンス米副大統領は月曜日の電話会談で、イランにおけるアメリカ・イスラエル共同爆撃作戦がイラン政権を転覆させる可能性を過大に強調したとして、ベンヤミン・ネタニヤフ首相を厳しく批判したと、米情報筋とイスラエル情報筋の話として『アクシオス』誌が金曜日に報じた。

「開戦前、ネタニヤフ首相は政権交代(体制転換)が実際よりもはるかに容易だとトランプ大統領に説得していた。ヴァンス副大統領はそうした発言の一部について冷静に見抜いていた」とネタニヤフ首相の愛称を用いたアメリカ政府の情報筋は語った。

アメリカ政府当局者たちはまた、イスラエル側の一部関係者がヴァンス副大統領のタカ派姿勢が不十分だと考えており、イスラエル側は戦争終結に向けた取り組みで主導的な役割を担う副大統領の立場を弱体化させようとしていると考えている。

アクシオス誌が引用したある高官は、「イランがヴァンス副大統領と合意できなければ、合意は得られない。彼こそがイランにとって最良の相手だ」と述べた。

しかし、アクシオス誌は、ヴァンス副大統領がイランとの合意を急いでいるという見方に反論する政権関係者の発言も引用している。「これはイスラエルによるヴァンス副大統領に対する策略だ」とイランが副大統領との交渉を望んでいるとの報道を受け、この関係者は述べた。

ヴァンス副大統領の顧問らはまた、イスラエルの批判者たちが、ヴァンス副大統領がヨルダン川西岸地区におけるパレスティナ人に対するイスラエル入植者たちによる暴力の激化をイスラエルが抑制できていないとして、ネタニヤフ首相に電話で怒鳴りつけたとするヘブライ語メディアの報道を捏造したのではないかと疑っている。アメリカとイスラエルの政府当局はこの報道を否定している。

イラク戦争の退役軍人であるヴァンス副大統領は、特に中東地域における無期限のアメリカ軍介入に長年懐疑的な姿勢を示してきた。イランとの戦争前、ヴァンスはトランプ米大統領政権の中でも最も懐疑的な人物の1人であり、戦争の期間、目的、そしてアメリカの軍需物資への影響について懸念を表明していたと、アクシオス誌が引用したアメリカ政府情報筋は伝えている。

しかし、ヴァンスは、イランが反体制派デモ隊を弾圧してから約6週間後の2月28日にアメリカとイスラエルがイランに対して開始した爆撃作戦を支持する姿勢を、トランプ政権内の他のメンバーと公に一致させている。

以前の報道によると、イスラエルの情報機関モサドの長官は、作戦が成功すれば、モサドとCIAが政権転覆(体制転換)につながる蜂起を扇動できると戦争前に評価していたという。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、ネタニヤフ首相はイランとの戦争に先立ち、ホワイトハウスとモサドの計画について協議したが、計画が実現せず、トランプ大統領が「いつでも」戦争を終結させる可能性があることに不満を抱いているという。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 スティーヴン・M・ウォルトによる以下の論稿は2025年7月に発表された論稿であるが、現状を理解する上で重要な内容となっている。ここで重要なのは、政治的力、政治的な魅力と政策立案・遂行を分けて考えている点だ。私はこのことが出来ていなかった。第二次ドナルド・トランプ政権に持つ違和感を言語化できていなかったが、この政治的な力と政策立案・遂行を分けることで、私の抱える違和感を言語化できるように思う。

トランプは生粋の政治家ではなく、財界人としても主流から外れたアウトサイダーだ。そうした人物が既存の政治を破壊するためにワシントンに乗り込んだ。彼の個人的な魅力で大きな政治力を持った。しかし、政策立案・遂行は彼一人ではできない。周囲に人材を配置しなければならない。第二次政権の特徴は、イスラエルとの関係が深い人物が揃ったことだ。国家情報長官であるトゥルシー・ギャバードは民主党所属の連邦下院議員時代から、非主流派であり、イランやロシアとの交渉を主張し続けてきた。ギャバード長官以外は親イスラエル派であり、今回のイラン攻撃を推進した。トランプは政治的な力を持つが、政策立案・遂行の力を持たず、結果として、政策の失敗をしてしまうことになった。更に言えば、トランプに周辺に配置された人物たちはワシントンの既存政治、エスタブリッシュメントの息のかかった人物たちであり、彼らによって、トランプ政治が変容させられたということが考えられる。

 トランプが政策立案・遂行を任せる人物の選定に失敗したとも言えるだろう。しかし、選定の過程で述べたことと実際に政権発足後に実行することに乖離がある場合、つまり、嘘をついた、もしくは態度を変化させたと言うことになる。

 私がここで重要だと考えているのは、JD・ヴァンス副大統領の存在である。第二次トランプ政権が大統領選挙期間の公約をことごとく破っている状況で、ヴァンスは非常に苦心してトランプ政権内でバランスを取りながら、選挙期間中の公約を守る、もしくは守る姿勢を見せている。トランプが州に騙されて搦(から)めとられている様子も見ている。そうした中で、彼がトランプの後継者として、トランプの失敗を学んでいると私は見ている。政治力を持ちながら、政策立案・遂行に失敗するのは、自分を利用しようとして集まる、もしくは集められる人物たちの影響が大きいということを学んでいるだろう。

 トランプもまた騙され、利用されたということを考えると、ワシントンの既存の政治、エスタブリッシュメントたちの力は大きく、簡単に打ち破ることが出来ないということが認識される。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプが逃した好機は積み上がっている(Trump’s Missed Opportunities Are Piling Up

-トランプ政権にはアメリカをより良い方向に変えるという前例のない好機があった。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年7月29日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/07/29/trumps-missed-opportunities-are-piling-up/

好むと好まざるとにかかわらず、ドナルド・トランプ米大統領は、この10年近くにわたり、アメリカ政界で最も重要な人物であり続けている。今や、私たちは彼を評価する十分な時間があり、彼について2つのことが明白になっている。第一に、トランプの政治的魅力は当初から過小評価されていたこと、そして彼は時を経るごとに、より有能な政治家へと成長してきたことだ。度重なる嘘、公約違反、重罪判決、性犯罪、そして自分の望みを阻むあらゆる規範を容赦なく破壊する姿勢にもかかわらず、彼は共和党を自らの理想とする姿へと変貌させ、最初の任期の惨憺たる実績にもかかわらず、2024年の再選を果たした。彼は今、アメリカ史上最も過激な政治変革を試みている。権威主義的な政権掌握(an authoritarian takeover)は着々と進んでおり、成功する可能性が高い。

彼について分かったもう一つのことは、彼が政策立案者として極めて無能だということだ。無知、衝動性、そして能力よりも忠誠心を優先する傾向が相まって、彼は幾度となく愚かな決断を下してきた。彼は権力を集中させ、私腹を肥やし、弱者を威圧することには長けているが、アメリカ全体に利益をもたらす建設的な政策を立案・実行する能力には長けていないことが明らかになった。

政治的手腕(political adroitness)と政策立案能力の欠如(policymaking ineptitude)の組み合わせは、まさに悲劇(tragedy)のようになっている。なぜなら、トランプはそのカリスマ性と有利な立場(共和党が連邦上下両院を支配し、従順とは言わないまでも、トランプに理解を示す最高裁判所が存在する)を活かせば、近年の大統領が国家の深刻な問題に取り組むことを困難にしてきた膠着状態と機能不全(the logjams and dysfunction)を打破できたはずだからだ。もしトランプがこの機会を建設的に、そして異なる政策のために活用していれば、「アメリカを再び偉大にする(make America great again)」ために大きく貢献できたかもしれないし、ひいては彼が長年主張してきた「アメリカ史上最も偉大な大統領の一人(one of the country’s greatest presidents)」という称号にふさわしい人物になれたかもしれない。

しかし、イギリス国教会の祈祷書を言い換えるならば、トランプは「なすべきことをせず、なすべきでないことをした。彼には健全さが全くない([has] left undone those things which [he] ought to have done,; and [he has] done those things which [he] ought not to have done; and there is no health in [him])」となる。そして、アメリカはこれらの失敗によって大きな苦しみを味わうことになるだろう。

私が言いたいことは何か?

まず、トランプはアメリカの過剰な軍事プレゼンスを縮小し、同盟諸国に防衛努力のより大きな分担を促し、国防総省の肥大化した軍事予算を抑制することで、差し迫った国内のニーズに対応し、増大する国家債務を削減するために必要な資源を確保できたはずだ。ロシアのウクライナでの行動も少なからず影響しているものの、トランプは一部の同盟国にさらなる協力を促すことに成功したが、アメリカの世界的な軍事プレゼンスは縮小されておらず、国防予算は増え続けている。その一方で、連邦議会が可決したばかりの予算案は、アメリカの債務水準を数兆ドル増加させ、上位1%の富裕層をさらに富ませ、幅広い公共サーヴィスを削減し、大多数のアメリカ人の生活を改善する効果はほとんどないだろう。さらに、この予算案には、警察国家(police state)の萌芽となる要素も含まれている。

なんという機会の損失だろう! 中国を含む先進工業国を訪れれば、きらびやかな近代的な空港、安全で効率的かつ手頃な価格の公共交通機関、穴だらけではない道路、超高速の都市間鉄道、そして最先端の港湾やその他の重要なインフラが整っていることに気づくだろう。これらの国の多くは、優れた医療制度と高い平均寿命も誇っている。かつてアメリカはそのインフラの質で世界を驚嘆させたが、同盟諸国やライヴァル諸国に追いつくことはできなかった。その代わりに、愚かな対外戦争や長期にわたる介入(foolish foreign wars and protracted interventions)に数兆ドルを浪費してしまった。さらに悪いことに、国内は深刻な分極化に陥っており、政治システムには拒否権が行き渡っているため、私たちが求める長期的なプログラムを立ち上げ、実行することはほぼ不可能となっている。トランプは、自らが繰り返し主張する(そして最高裁が認める意向を示している)大統領権限を行使し、こうした行き詰まりを打開して国内で「国家建設(nation-building)」を行うこともできたはずだ。しかし彼は、大学への脅迫、NPR(公共ラジオ)やPBS(公共テレビ)への資金削減、トランスジェンダーの選手への処罰、メディケイドの縮小、そしてジョー・バイデン前大統領やバラク・オバマ元大統領が関与したあらゆる政策の解体を選んだ。

トランプは、科学に対する連邦政府の支援を大幅に削減し、大学キャンパスには反ユダヤ主義が蔓延しているという荒唐無稽な主張に基づいて高等教育を攻撃する代わりに、連邦政府の権限を活用して、科学研究におけるアメリカの優位性を維持することもできたはずだ。ソ連がスプートニクを打ち上げた後、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領がそうしたように、連邦政府の支援によって生み出された発見から、その後の世代のアメリカ人は多大な恩恵を受けてきた。アメリカはまた、世界中から最も優秀な人材を引き寄せ、留める能力からも恩恵を受けてきた。しかしトランプは今、その優位性を逆転させようとしている。中国はすでに研究開発費でアメリカを上回り、研究者たちはより多くの特許や科学論文を生み出しており、電気自動車やクリーンエネルギーといった将来の重要技術のいくつかにおいて主導的な役割を獲得している。トランプの対応とはどうだろうか? それは一方的な知的武装解除(unilateral intellectual disarmament)の政策である。

もし、その強大な権力を公益のために使おうとする強力な大統領であれば、アメリカ国民の健康を守ることを使命とする機関をロバート・F・ケネディ・ジュニアのようなペテン師たちに委ねたりはしなかっただろうし、気候危機に対処するための、遅ればせながらなお不十分な国の取り組みを後退させるようなこともなかったはずだ。もしトランプが真に偉大なことを成し遂げたいと望むなら、彼は自身の第一期政権における数少ない成功事例の一つ記録的な速さで命を救うCOVID-19ワクチンの開発を可能にした「ワープ・スピード」計画を基盤とし、バイデンが推進しようとしたグリーン・トランジションを加速させるはずだ。誤解のないように言っておくが、気候変動は現実のものであり、事態はさらに悪化するだろう。なぜなら、大気物理学の法則はフォックスニューズを見たり、ソーシャルメディア上のプロパガンダに左右されたりしないからだ。パリ協定からの離脱や化石燃料への依存強化を促すというトランプ氏の決定は、問題を悪化させ、米国はその結果に対する備えが不十分になるだろう。

アメリカの偉大さについて言えば、より賢明なトランプであれば、同盟諸国を搾取すべき属国(vassals)のように扱うのではなく、アメリカの戦略的パートナーシップの改革と強化に尽力するだろう。あるヨーロッパ連合(EU)当局者が「ゆすりたかり(shakedown)」と正しく指摘した彼の気まぐれで強圧的な関税政策は、アメリカの消費者の物価を上昇させ、国内外の経済成長を鈍化させるだろう。また、アメリカの同盟諸国がトランプの国防費増額要求に応じることをより困難にするだろう。デンマーク、カナダ、韓国、日本といった親米諸国と対立することは、歴代大統領の中でも最も愚かな決断の一つと言えるだろう。これらの国々は歯を食いしばってトランプの要求の一部を受け入れるかもしれないが、二度とアメリカを以前と同じように見ることはなく、ワシントンの指示に従う、もしくは、将来的にワシントンが望むような調整を行うことに消極的になるだろう。

トランプ大統領が本当に前任者よりも外交手腕に優れていることを示したいのであれば、ガザ地区での虐殺を終わらせるためにアメリカの影響力を活用し、イランとの新たな核合意に現実的なアプローチを取り、ウクライナ和平に向けて飴と鞭(carrots and sticks)を組み合わせるべきだった。しかし、彼はこの問題を素人外交官のスティーヴ・ウィトコフに任せてしまい、結果として中東地域でのさらなる惨劇(carnage)、アメリカのイメージのさらなる悪化(もはやこれ以上悪化する余地があるのか​​どうかも怪しいが)、そしてロシアの前進を招いた。

一方、トランプ大統領とマルコ・ルビオ国務長官は外交団を弱体化させ、かつて多くの国際機関で支配的だったアメリカの地位を放棄している。『ニューヨーク・タイムズ』紙が先週報じたように、北京はこれにいち早く乗じて、様々な国際フォーラムで存在感を高め、取引を成立させている。こうした動きは一見不可解に思えるかもしれないが、これらの機関こそ、多くの国際関係を形作るルールや技術基準が確立される場なのである。中国当局は、将来的に影響力を拡大するための専門知識と人脈を築き上げており、一方で、アメリカはますます存在感を失っている。スコット・ベセント米財務長官は、先日開催されたG20サミットに出席することさえしなかった。なぜか? それは、南アフリカで開催されたからだ。中国は、外交の価値、直接対話の利点、そしてソフトパワーの重要性を理解しているからこそ、すでにアメリカよりも多くの外交官と在外公館を擁している。トランプ大統領はそれを理解していない。アメリカの当局者やビジネスリーダーが、もはや「アメリカ製(made in America)」ではないルールで世界を渡り歩かなければならないことに気づいた時、それは大きな衝撃となるだろう。そして、まさにトランプ大統領がアメリカを導こうとしている世界こそが、そうした世界なのだ。

最後に、トランプは、国をさらに分断するのではなく、共和党に対する影響力と、政府の三権全てを掌握している立場を利用して、国を統一することもできたはずだ。彼は、実績のある女性やマイノリティを政府の要職から追放し、「無能な白人男性のためのアファーマティブ・アクション(affirmative action for incompetent white guys)」を推進するのではなく、より過激な形の「ウォークイズム(wokeism)」からの撤退を(すでに進行中だったプロセスだが)巧みに促し、厳格な実力主義の必要性を強調することもできたはずだ。その好例が、ピート・ヘグセス米国防長官、あるいはダレン・ビーティーだ。ビーティーは、白人至上主義者とのつながりを理由に第一期トランプ政権から解雇された陰謀論者だが、つい先日、アメリカ平和研究所の所長に任命されたばかりだ。トランプは、法的に疑問の残る強制送還を承認し、海外からの有能な人材にとってアメリカをはるかに魅力のない場所にしてしまうのではなく、賢明な移民制度改革を推進することもできたはずだ。

要するに、トランプには、アメリカを弱体化させている政治的分断を縮小し、国際的な地位を強化する可能性のある、広範囲にわたる、そして長らく待望されていた改革(far-reaching and long-overdue reforms)に着手する絶好の機会があった。もし彼がそのカリスマ性と政治的手腕を、より思慮深く、国民の利益を重視する政策に注いでいれば、私を含め、彼を最も厳しく批判する人々も納得したかもしれない。しかし彼は正反対の道を選び、支持率が急速に低下しているにもかかわらず、その姿勢を改める気配は全く見られない。

読者の皆さんが何を考えているかは分かっている。「もしトランプがこうしたことを少しでも実行していたら、穏健な民主党員のような振る舞いになり、MAGA支持層が反旗を翻していただろう」と考えているだろう。私はそうは考えない。ジェフリー・エプスタインのスキャンダルはさておき、トランプの支持層は、たとえ過去の立場と真っ向から矛盾していても、彼が言うことならほぼ何でも飲み込む用意があるようだ。私は、彼が支持基盤を説得し、上述した政策を受け入れさせることができたと確信している。特に、その多くの施策が彼らにとってすぐに利益となるものであったならばなおさらだ。無党派層や穏健派は喜んだだろうし、それによって2024年の大統領選挙で彼に僅差の勝利をもたらした緩やかな連合が固まったはずだ。化石燃料業界は反対しただろうが、その他の経済界は、規制改革や、おそらくは控えめな減税によって、説得できたかもしれない。

しかし、私のこのフィクションのシナリオには致命的な欠陥(a fatal flaw)がある。それは、別のトランプを想定している点だ。自らの天才性を確信し、自己顕示欲にのみ執着し、ルールや規範を軽視する復讐心に燃えるナルシストではなく、私のシナリオが想定するのは、真に民主政治体制を守り、できるだけ多くのアメリカ人の生活を向上させ、世界政治におけるアメリカの特権的な地位を維持したいと願う大統領である。残念ながら、トランプはそのような人物ではない。だからこそ、彼に与えられた機会は浪費され、あるいはそれ以上に台無しにされているのだ。素晴らしい未来はあり得たはずだが、この大統領の下では実現しなかった。トランプ自身が称賛されることを切望していることを考えれば、これは彼自身の悲劇だと捉えることもできるだろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権下のアメリカに対処することが世界の課題になっている。ドナルド・トランプの自己顕示欲と名誉欲、そして、気まぐれに私たちは振り回されている。アメリカにとっての従順な従属国である日本は、アメリカの国益の為だけに行動している。アメリカ以上に「アメリカ・ファースト」である。高市早苗首相の訪米は手に抱えきれないほどの貢物(みつぎもの)を持ち、喜び勇んで朝貢を行う対米従属・朝貢外交である。私たちが歴史の授業で習った、中国の各王朝への朝貢は、貢物の価値の何十倍ものお土産をいただいて帰ってくるものであったが、現在の対米朝貢外交はお土産などない。

 世界各国で、対トランプにとっての重要なポイントは異なる。しかし、下記論稿を読むと分かるが、共通する点としては、トランプの不確実性に備えることとアメリカ(トランプ)の言いなりにならないことである。それは、自国や地域の利益を追求する途でもある。

 以下の論稿で重要なのは、イスラエルの部分である。この論稿は2025年12月29日に発表されたもので、この段階では、アメリカによるヴェネズエラ攻撃とニコラス・マドゥロ大統領拘束も、イスラエルとアメリカによるイランへの大規模攻撃も全く予想されていなかった(可能性としては議論されていたが)。イスラエルに関しては、トランプがイスラエルへの支援を削減する可能英について言及されている。それを避けるためには、イスラエルがアメリカに見返りを与えるべきだという主張がなされている。しかし、実際には、トランプ大統領はイスラエルと共にイラン攻撃を行うという決断を行った。これは、国際関係論や世界政治の専門家から見て「例外的な」「通常では考えられない」決断であったことを示している。そして、それはまた、トランプと言う人物が原理原則にとらわれない、素人の無手勝流の判断をする人物であることを示している。

 素人の無手勝流が成功を収めることもある。しかし、多くの場合にはやはり失敗に終わる。トランプを戦争に引きずり込んだことで、イスラエル、そして、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は「勝利」したということになる。アメリカが中東地域から撤退する、イスラエルに対うる支援を削減するということを阻止して、イラン攻撃に巻き込んだ。そして、トランプはそれにまんまと乗ってしまったということはアメリカにとっての失敗となった。イラン戦争によって世界経済は大きく混乱し、アメリカとイスラエルに対する反感も大きくなっていく。そして、トランプの「騙されやすさ」という最大の欠点が曝露されたことで、日本以外の世界各国はそこを利用して国益の追求を行うだろう。

(貼り付けはじめ)

2026年の世界リーダーのためのトランプへの対処に関する6つの教訓(6 Trump Lessons for Global Leaders in 2026

-『フォーリン・ポリシー』誌コラムニストたちが世界は新しいワシントンにどう対処するかについて考察する。

ゾンユアン・ゾー・リュー、ラジャ・モハン、ジェイムズ・クラブトゥリー、エリザベス・ブラウ、アガテ・デマライス、スティーヴン・A・クック筆

2025年12月29日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/29/trump-lessons-2026-china-india-europe-middle-east/

年初の恒例として、コラムニストたちに水晶玉(crystal ball)を覗き込み、これからの1年がどうなるかを占ってもらう。

今年は、ドナルド・トランプ米大統領がホワイトハウスに復帰した1年間の教訓を、そして世界の指導者たちが今後これらの教訓をどのように活かしていくのかを、ライターたちに考察してもらった。トランプ政権は、最初の任期よりもはるかに大きな変革をもたらし、世界中に関税を課し、同盟関係を縮小し、敵対国との妥協を模索するなど、アメリカの外交政策を変革した。混乱を極め、予測不能な展開もしばしば見られたが、各国の指導者たちは、より不安定な時代において、ワシントンとの関係をいかに築くべきかを学んでいる。

2026年の世界政治を形作るであろう、トランプ政権2期目からの6つの教訓をご紹介する。-ステファン・タイル副編集長

●中国にとっての教訓:トランプをどう操るか(Lesson for China: How to Play Trump

ゾンユアン・ゾー・リュー(『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、外交評議会研究員)

トランプ政権の関税最後通牒に世界の多くが反発する中、中国は抵抗を続け、2025年をほぼ無傷で乗り切った。そこから得られた教訓は単純だが、極めて重要だ。トランプは現在、一期目の任期中よりもはるかに奔放で、予測不可能であり、アメリカ経済を武器として用いることに積極的になっている。しかし、アメリカからの最も厳しい圧力でさえ、曲げられたり、鈍化されたり、時には覆されたりする可能性がある。

特に注目すべき教訓は3つある。一つ目の教訓は、トランプの過剰な脅威は滅多に効果を発揮しない(Trump’s maximalist threats rarely stick)というものだ。注目を集める関税、制裁、ハイテク製品の禁輸措置は、市場の圧力、ロビー活動、あるいは大統領が勝利と呼べる取引を何でも手に入れたいという欲求に屈することが多かった。二つ目の教訓は、中国は貿易の多様化を加速させ、アメリカの圧力を吸収し、弱みを示唆することを避ける余裕が生まれたというものだ。三つ目の教訓は、アメリカのサプライチェインの脆弱性と政治的に敏感な支持層に対する標的型報復は、広範な反撃よりもはるかに効果的であることが証明されたというものだ。

さらに明らかになったのは、中国がトランプ政権最初の貿易戦争で洗練され、アメリカの輸出管理体制を巧みに乗り越えてきた10年近くの経験に基づいて策定された戦略を実行に移したことだ。中国は自国の輸出管理体制を洗練させ、重要鉱物やその他の上流原材料の輸出を制限することで、アメリカに対して戦略を試した。象徴的なものではなく、実効的な手段で実行した。その結果は、中国政府当局が長らく疑念を抱いていたであろう事実を裏付けるものとなった。アメリカのサプライチェインは脆弱だ。価格高騰、メーカーからの苦情、ロビー活動による圧力は、その具体的な証拠となった。トランプ大統領がNVIDIA H200チップの中国への輸出許可を撤回したのは、善意によるものではなく、北京の調整された圧力が功を奏した証拠だ。

アメリカの最新の「国家安全保障戦略(National Security StrategyNSS)」はこの解釈を裏付けている。アナリストたちは、アメリカが地政学的な闘争を軽視し、中国を主に経済的・技術的な競争相手として位置付けていることを指摘した。この文書は緊張緩和(détente、デタント)を約束しているものではないが、戦場を明確に示している。それは経済と技術の影響力であり、まさに中国が実力を発揮している分野である。

この経験は、もう一つの教訓を確固たるものにした。トランプ政権は中間選挙が近づくにつれ、中核支持層の活性化を図る必要性から、制度的な基盤がさらに薄れ、取引中心になり、短期的な政治的勝利にばかり焦点を絞るようになる可能性がある。したがって、トランプは標的を絞った圧力にさらに影響を受けやすくなる可能性がある。彼は、中国に利益をもたらす貿易や規制上の譲歩―様々な関税の緩和、技術ライセンス規則の調整、特定の中国企業の米国市場参入の許可など―を進んで行うかもしれない。同時​​に、これらの決定を勝利―交渉の成功、貿易赤字の「勝利(win)」、あるいは中国が報復措置の一部から手を引く―として位置づけるかもしれない。トランプの譲歩(concessions)がアメリカの中核的な国家安全保障上の利益を直ちに損なうものではないとしても、中国が時間をかけてつけ込む可能性のある脆弱性(vulnerabilities)を蓄積させる可能性がある。

2026年に向けた中国の姿勢は明確だ。トランプがほとんど譲歩することなく勝利を収められるような、限定的で取引的な合意を追求するだろう。ヨーロッパ、東南アジア、ペルシア湾岸諸国との関係を深めることで、アメリカの影響力を弱め、国内の技術自立を加速させるだろう。不安定さは今や構造的なものとなり、トランプが4月に予定している訪中でさえ、失われた安定と信頼を回復することはできないだろう。中国が期待しているのは緊張緩和(デタント)ではなく、時間だけだ。アメリカの脆弱性を探り、自国の体制を強化し、ワシントンの圧力が徐々に弱まるようにするための時間だ。忍耐、緻密さ、そして調整された影響力(patience, precision, and calibrated leverage)こそが、北京の国家運営における決定的な武器(Beijing’s defining arsenal of statecraft)となっている。

●インドにとっての教訓:アメリカとの関係を改善する(Lesson for India: Repair U.S. Relations

C・ラジャ・モハン(『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、OP・ジンダル・グローバル大学教授)

インドのナレンドラ・モディ首相ほどトランプのアメリカ大統領復帰を熱狂的に歓迎した政府はほとんどなく、そしてこれほど失望した政府もほとんどない。

モディ首相はトランプ大統領就任後、最初に会談した世界の首脳の一人であり、インドは商業がアメリカの外交政策の中心軸となったことを認識し、速やかに貿易交渉を開始した。

しかし、インドとアメリカの戦略的パートナーシップを強化するという期待は、2025年8月にトランプ大統領がインド製品への関税を50%に引き上げたことで打ち砕かれた。問題の一因は、モディがトランプの平和構築に関する壮大な妄想、特にインドとパキスタンの軍事衝突に関する見解を誤読した点にあった。もしモディが、南アジアを自滅から救うというトランプの役割についてもっと熱心に賛辞を述べていれば、ニューデリーとワシントンの関係は少し違った展開を見せていたかもしれない。

モディ首相の側近たちは、トランプをホワイトハウスに復帰させた連合勢力をある程度把握していた。しかし、MAGA運動の力と熱狂に不意を突かれ、予想外の勢いでインドとその在外インド系市民たちに牙を剥いた。それ以来、インド政府はそのアプローチを調整し、現在は3つの原則に基づいて行動している。トランプが繰り返しパキスタンとの戦争を終結させたと主張しているにもかかわらず(インド政府はこれを虚偽だと考えている)、公の場でトランプ氏と議論することを避けること、ガザ地区とウクライナにおけるトランプの和平努力を称賛すること、そして貿易、技術、防衛といった分野におけるアメリカの幅広いシステムの関与を維持することである。

2026年には、トランプの国内での地位が低下の兆しを見せているため、インド政府はワシントンにおいて活動ができる政治的余地が拡大すると見ている。インドの戦略は今、3つの軸を中心に展開している。

第一に、2025年のトランプ政権下で沈黙を強いられた、伝統的な親インド派の支持基盤、すなわち安全保障体制、アメリカ連邦議会、ビジネス団体、そして在外インド人ネットワークを動員することだ。これまで発言をためらっていた人たちも、今こそ米印両国関係の均衡回復に貢献してくれる可能性がある。インド政府はまた、MAGA連合の少なくとも一部との関係改善策を見つけなければならないことも認識している。

第二に、インドはトランプ大統領の干渉を招く可能性のあるパキスタンとの新たな危機を回避する決意を持っている。新たな軍事紛争が勃発すれば、インドは再びトランプ大統領の奔放な衝動の標的となる可能性がある。

第三に、そして最も重要なのは、インド政府が多様化戦略(diversification strategy)を加速させていることだ。関税ショックは、インドに輸出先の拡大、ヨーロッパとの貿易交渉の迅速化、そしてロシアをはじめとする新興市場との経済連携の拡大を促した。安全保障政策においては、インドはより慎重にリスク回避(ヘッジ)を行っており、アメリカとのパートナーシップを維持しながら中国との緊張を緩和し、ロシアとの関係を深め、ヨーロッパと戦略的に関わっている。

人間と同じように、国も痛みに慣れる。モディ首相はトランプの関税への対応を学ぶ中で、ワシントンの威圧的な圧力に毅然とした態度で臨むことが国内で効果を発揮し、海外でも尊敬を得られることを学んだ。インド国内の伝統的にアメリカに懐疑的な人々にとって、トランプの2期目は、アメリカに戦略的な依存を過度に求めるべきではないという戒めとなる。楽観主義者にとっては、2025年の混乱は、トランプがその年のオリンピックのような政治的高みから退く2026年には、より良い基盤へと変わるかもしれない。この楽観主義の根底にあるのは、インドとの戦略的パートナーシップにおける25年以上にわたる超党派によるアメリカの投資が、どんなに予測不可能なホワイトハウスでさえ、1、2年で破壊される可能性は低いというインドの賭けとなっている。

●同盟諸国にとっての教訓:ヤマアラシになれ(Lesson for Allies: Become Porcupines

ジェイムズ・クラブトゥリー(『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ヨーロッパ外交評議会客員研究員)

アメリカの同盟諸国やパートナーがトランプ政権下のアメリカ外交政策の変革に適応する中、彼らが直面する厳しい戦略的計算を一言で表すなら「ヤマアラシ(porcupine)」である。ウクライナ、バルト三国、ポーランドから台湾、日本に至るまで、潜在的に脆弱な国々は過去1年間から同じ不快な結論を導き出しているトランプの新世界秩序における生存は、もはや旧来のアメリカの保証に依存せず、自らを攻撃するのがあまりにも痛みを伴う存在にするということにかかっている(survival in Trump’s new world order no longer depends on old-fashioned U.S. guarantees but on making yourself too painful to attack.)。

ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領は2025年12月、2014年のロシア初侵攻以来、ウクライナの戦略的目標の礎であったNATO加盟がもはや現実的な目標ではないことを公に認めた。代わりにウクライナとヨーロッパの指導者たちはより現実的な目標に焦点を当てている。それは、将来のロシアの侵略を抑止するのに十分な軍事能力を再構築するための十分な余裕をもたらす停戦を確保することだ。ヨーロッパ委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が最近述べたように、「ウクライナは潜在的な侵略者にとって消化できない鋼鉄のヤマアラシ(a steel porcupine, undigestible for potential invaders)にならねばならない」。

アメリカの新しい「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」は、ワシントンがヨーロッパの安全保障に関与する姿勢も、せいぜい条件付きであることを示している。ウクライナに当てはまることは、ロシアの他の潜在的な標的にしても同様である。特にヨーロッパのNATO加盟諸国が、かつての大西洋横断西側陣営の指導者に頼れなくなった今、その傾向は顕著だ。ヨーロッパ全域でトランプ・ショックは、各国に既に進行中だった「一世代で最大規模の再軍備(their most significant rearmament in a generation)」を加速させる要因となった。ドイツやポーランドといった主要諸国は軍事予算を劇的に拡大させている。

台湾もほぼ同様の計算を受け入れてきた。ワシントンの台北に対する安全保障上の関与は長らく公式には曖昧だったが、その戦略的な曖昧さは今や大統領の気まぐれに取って代わられた(that strategic ambiguity has now been replaced by changing presidential whims)。トランプ大統領が中国との「合意(deal)」と呼べるものの確保と、それに伴う国賓訪問に注力する今後数カ月は、特にこの傾向が顕著になるだろう。

台湾の頼清徳総統は最近、野心的な国防強化を発表し、2026年には軍事費をGDPの3%、2020年代末には5%に引き上げるという。これは台湾の戦略的脆弱性に対する懸念を反映している。台北の投資には、移動式対艦ミサイル、機雷、分散型防空システムなどが含まれる。これらは、アメリカの支援が不確実になる中で、中国の侵攻を高コストにすることを目的とした、いわばヤマアラシ兵器の集積である。

ヨーロッパと同様に、インド太平洋地域における長年のアメリカの同盟諸国は、2025年のトランプ大統領の不安定なアプローチを研究し、自国がより鋭い防衛戦略を開発することの賢明さを見出した。日本は防衛改革を加速させる計画で、軍事費は当初の計画より1年早い2026年にはGDPの2%を超える見込みだ。

冷戦時代と冷戦後の時代において、ワシントンは同盟諸国がアメリカの拡大抑止の下で繁栄できる秩序を築き上げた。同盟国の多くは、アメリカの安全保障保証への依存を当然のことながら高く評価していた。トランプ大統領が、アメリカは大統領が関心を持つ場合にのみ約束を守ると明確に表明した今、これらの国々は、鋼鉄の棘(steel spines)のような強靭さこそが最善の防衛手段であると判断しつつある。

●各大企業のCEOたちにとっての教訓:投資について慎重に考慮せよ(Lesson for CEOs: Think Twice About Investing

エリザベス・ブラウ(『フォーリン・ポリシー』コラムニスト、大西洋評議会上級研究員)

2025年はトランプ政権による数々の驚きの出来事に見舞われ、その中にはビジネス界に影響を与えたものも複数あった。特に経営者たちを驚愕させた事件が1つある。2025年9月にアメリカ移民税関捜査局(U.S. Immigration and Customs EnforcementICE)がジョージア州で現代自動車とLGの従業員約500人を拘束した事件だ。

労働者の中には、韓国の二大製造業大手が所有する新工場の設立を支援するためジョージア州に派遣された韓国国民317人も含まれていたことを思い出して欲しい。複雑な近代工場の設立には専門技術が必要だが、現代とLGはジョージア州で即座にそのような専門知識を持つ人々を見つけることができなかった。さらに緊急性もあった。トランプ大統領が韓国からアメリカへの輸入品に25%の関税を課した直後であり、ソウルは自国企業がアメリカにどれだけ投資できるかを示すことでホワイトハウスを喜ばせようと躍起になっていた。H-Bヴィザや類似の就労ヴィザ取得に通常かかる長い待機期間がこの取り組みを頓挫させる恐れがあった。『ニューヨーク・タイムズ』紙が報じたところでは、韓国人たちは短期ビジネス訪問者向けのB-1ヴィザと、短期ビジネス訪問も認めるESTAヴィザ免除プログラムを利用してアメリカに入国した。しかしこれはICE(移民関税捜査局)の方針に反するものだったので、彼らは拘束された。

このニューズは、アメリカへの投資を検討していた製造業の経営者たちに衝撃を与えた。中国が欧米に対してより敵対的になる中、多くの欧米メーカーはアメリカへの「フレンドショア(friendshore)」計画を立てており、トランプは関税措置など明確な手段でそれを促していた。結局のところ、産業をアメリカに呼び戻すことがトランプの経済政策の中核である。経営者たちを襲った「トランプ・ショック」とは、彼の意向に沿ってアメリカに製造拠点を設けることが自社ビジネスに逆効果となり得るという認識だった。そのリスクはICE(移民関税執行局)による労働者拘束を超えている。世界中から部品を調達するアメリカ製造企業—今日ではほぼ全ての主要メーカーが該当する—は今や複数の高額関税の直撃を受けている。

2026年、このトランプ・ショックが経営陣にアメリカ以外の立地を検討させるきっかけになっても驚くことはないだろう。ヴェトナムからケベックまで、中国からの生産分散を図る企業を歓迎する国や地域が相次いでおり、こうした管轄区域は取り組みを強化する可能性が高い。アメリカは依然として魅力的なビジネス拠点だが、企業が最も嫌うのは不確実性だ。製造業には多くの段階、複雑なサプライチェイン、長期的な視野で計画された投資が伴う。いずれかの部分が機能不全に陥ったり、混乱を経験したり、新たな政策によって突然混乱に陥ったりすれば、サプライチェイン全体が狂ってしまう。

2000年代初頭の中国ショックは、欧米諸国全体で賃金抑制と製造業雇用喪失を引き起こした。迫り来るトランプ・ショックは異なる様相を呈するだろう。経営者たちが「トランプ流のアメリカ」が想定とは全く異なるビジネス環境であるという現実を認識する契機となる。

●ヨーロッパにとっての教訓:冷静さを保ち物事を実行し続ける(Lesson for Europe: Keep Calm and Carry On

アガテ・デマライス(『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ヨーロッパ外交評議会上級研究員)

昨春、ウォーレン・デービッドソン米連邦下院議員は、「トランプ錯乱症候群研究法案(the Trump Derangement Syndrome Research Act)」を提出した。これは、アメリカ国立衛生研究所に対し、なぜトランプとその政策が軽蔑されるのかを調査するよう命じる法案だった。一部の外国政策立案者も、同様の症候群に陥っている可能性がある。つまり、突発的な不安から途方もない政策を採用してしまうというものだ。その一例が、昨年日本がアメリカと締結した貿易協定である。この協定では、2029年1月までに5500億ドルの日本の納税者の税金をアメリカで支出することが約束されている。

これまでのところ、ヨーロッパの指導者たちは、この危険な症候群の最悪の症状を何とか回避してきた。反対の主張があるにもかかわらず、2025年7月に締結されたアメリカとヨーロッパ連合(EU)の貿易協定は、ヨーロッパの屈服とは程遠い内容だ。むしろ、EUはトランプへの対応について、既にいくつかの教訓を学んでいるようだ。まず、EUはトランプの関税への愛着を説得する時間を無駄にせず、関税率15%で合意した。第二に、EU首脳は、自国企業と消費者に損害を与えるだけの報復関税を課したいという衝動を賢明に抑えた。第三に、EUは結束を重視した。個々のヨーロッパ各国政府は、ワシントンに駆けつけて二国間協定を締結したいという衝動をうまく抑えることができた。二国間協定は、EUの集団交渉力を弱めることになるだろう。

2026年には、ヨーロッパ首脳にとって、トランプ政権への対応策を見直す十分な機会が与えられるだろう。大西洋をまたぐ最初の戦いはウクライナ問題だ。2025年11月、ヨーロッパとウクライナの頭ごなしに提案された、米露和平協定は、トランプが主にベルギー、そして比較的小規模ながらフランスをはじめとするEU加盟国に保有されているロシア中央銀行の凍結中の準備金3000億ドルを狙っていることを非常に明確にした。第二に、アメリカはおそらく、EU製鉄鋼への関税引き下げと引き換えに、透明性、コンテンツモデレーション、データプライバシーを含むデジタルルールの緩和をヨーロッパに迫るよう圧力を強めるだろう。第三に、フロリダ州マイアミ近郊にあるトランプが所有するゴルフリゾートで開催される今年のG20サミットは、驚きに満ちたものになるかもしれない。トランプがこの会合を、世界経済の80%以上を占める首脳を説得し、アメリカに利益をもたらす二国間協定に署名させる絶好の機会と捉えることは容易に想像できる。これら3つの戦いに打ち勝つために、EUは冷静さを保ち、継続する必要がある。ヨーロッパにとって、自助努力と結束(self-help and unity)は依然として今日の合言葉である。

●イスラエルにとっての教訓:トランプは容易に支援について再考する可能性がある(Lesson for Israel: Trump Could Easily Rethink Aid

スティーヴン・A・クック(『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、外交評議会研究員)

トランプの中東地域へのアプローチが驚きだったと言うのは、その言葉の意味を軽視することになる。振り返ってみよう。彼はイランの核施設への空爆を命じ、イスラエルとハマスに停戦を強制し、おそらく元ジハード(聖戦)主義者であろうシリアのアハメド・アル・シャラー大統領と大統領執務室で会談した。アメリカは現在、ガザ地区における国家建設(nation-building)を支援し、ヒズボラの武装解除に取り組み、イスラエルとレバノンの正常な関係構築を推進し、サウジアラビアへの安全保障保証の拡大について広範な協議を行っている。
これは、トランプが約1年前に大統領に復帰した際に支持者や同調者が皆に告げた中東地域からの撤退とは異なる。MAGAやそのシンクタンクの頭の中には「アメリカ・ファースト」外交政策があるかもしれないが、ホワイトハウスはそのような原則を一切遵守していない。中東地域を含むアメリカの外交政策は、トランプ大統領の直感に基づいていることが判明した。トランプ大統領は、耳を傾ける者全員にそう語ってきた。もし書面で確認したいのであれば、最新の「国家安全保障戦略(National Security StrategyNSS)」は、その一貫性のなさ、そしてこの地域におけるトランプ大統領の行動と滑稽なほど矛盾しているという点で特筆すべきものだ。

それでは、トランプ大統領は2026年に何をするのだろうか? 私は決して賭けるようなことはしないが、イスラエルへの軍事援助に関しては、トランプが事態を一変させるだろうと断言する。現在の支援協定はトランプ大統領の任期末まで期限切れにならないが、この問題は既にトランプの頭の中にある。2025年4月、ホワイトハウスでイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した際、トランプ大統領は「私たちはイスラエルに年間40億ドルを支援している。これは多額の援助である。とにかく、おめでたいことではある」と述べた。これは、イスラエルがアメリカ内でこの援助の全てを支出しているにもかかわらず、トランプ大統領がこれを大した金額だとは考えていないことを示唆していると言えるだろう。

アメリカとイスラエルの両首都においては、私怨延長をめぐって多くの疑問が投げかけられている。これまでのところ、ネタニヤフ首相顧問のロン・ダーマーは、20年間の最終合意を提案しており、その後に支援は停止されるとしている。アメリカの軍事支援を段階的に縮小するのは良い考えだが、トランプを説得するには、イスラエル側が何か大きなものを提示しなければならないだろう。サウジアラビアが約束したように最大1兆ドルの投資を約束するだけの資金はイスラエルにはないため、工夫を凝らさなければならないだろう。トランプが3度にわたり大統領選に出馬した際、常に中心的テーマとして掲げてきたのは、アメリカは世界の平和と安定のために多大な犠牲を払っているにもかかわらず、何の見返りも得ていないという主張だった。今度はイスラエルが代償を支払う番である。

※ゾンユアン・ゾー・リュー:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。外交評議会モウリス・Rグリーンバーグ記念中国研究研究員。最新作に『ソヴリン・ファンド:中国共産党は如何にして世界規模の野望に資金を提供しているか(Sovereign Funds: How the Communist Party of China Finances Its Global Ambitions)』(ハーヴァード大学出版局、2023年)がある。

C・ラジャ・モハン:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。OP・ジンダル・グローバル大学モトワニ・ジャデジャ記念アメリカ研究所卓越教授。シンガポール国立大学客員研究教授。インド安全保障諮問会議元委員。Xアカウント:@MohanCRaja

※ジェイズム・クラブトゥリー:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。著書に『億万長者のインド支配:インドの新たな黄金時代に続く旅路(The Billionaire Raj: A Journey Through India’s New Gilded Age)』がある。Xアカウント:@jamescrabtree

※エリザベス・ブラウ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。大西洋評議会上級研究員。著書に『さらばグローバライゼーション(Goodbye Globalization)』がある。Blueskyアカウント:@elisabethbraw.bsky.social

※アガテ・デマライス:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ヨーロッパ外交評議会地経学上級政策研究員。著書に『逆効果:制裁がいかにしてアメリカの利益に反して世界を変えていくか(Backfire: How Sanctions Reshape the World Against U.S. Interests)』がある。Blueskyアカウント:@agathedemarais.bsky.socialXアカウント:@AgatheDemarais

※スティーヴン・A・クック:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。外交評議会中東・アフリカ研究担当エニ・エンリコ・マッテイ記念上級研究員。最新作に『野望の終焉:中東地域における過去、現在、未来(The End of Ambition: America’s Past, Present, and Future in the Middle East)』がある。Xアカウント:@stevenacook

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権は政権発足後、第一次政権時代に比べて、軍事攻撃の数や度合いを高めている。アメリカ・ファースト、アメリカが「世界の警察官」であることを止めるというのが旗印であったが、現在は「世界の暴れ者」となっている。第一次政権では、北朝鮮の最高指導者である金正恩委員長と服す会の会談を行い、板門店(パンムンジョム)で軍事境界線を行き来するということまでやって見せた。

 以下の論稿にある「ポチョムキン平和(Potemkin peace)」について説明する。帝政ロシア時代に、皇帝が行幸する際に、現実の極貧の生活を隠すために、見せかけの豊かな村落を短期間に作ったことを、「ポチョムキン村」と呼んだことから、見せかけの和平を行うことを「ポチョムキン平和」という言葉で表現している。アメリカのメディアでは、トランプ外交について、「実質的な問題解決を伴わない、表面的な和平が達成されるだけだ」という批判がなされ、「ポチョムキン平和」「ポチョムキン合意(Potemkin agreements)」という言葉が使われている。

 イスラエルとハマスの停戦合意(2025年10月)は人質の解放などの一定の成果があったが、有名無実化している。イスラエル側がガザ地区の人道的な状況の悪化を進め、アメリカもそれを容認している。トランプ大統領が一方的にイスラエルに肩入れし、無条件で支持している。ガザ地区の状況を悪化させ、パレスティナ人たちを追放するなどして、ガザ地区の「再開発」を進めることで、多額の利益を得ようという動きになっており、トランプと家族や友人たちの利益のためにそのようなことが実行されようとしている。

 このようなことでは、アメリカは外交交渉の相手や仲介者としては信頼を得られない。アメリカは核開発に関連して、イランと交渉を実施しながら、先生軍事攻撃を行った。これでは、アメリカの交渉は軍事的な野心を隠すための隠れ蓑でしかないということになる。これはアメリカにとって非常にまずいことになる。アメリカの信頼が低下することで、交渉の価値も下がり、世界は混乱と無秩序に溢れることになる。このようにして、世界の構造は大きく変化していく。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領の虚偽の和平合意は危険だ(Trump’s Fake Peace Deals Are Dangerous

-ポチョムキン的平和(Potemkin peace)はそれ自体が脅威となり得る。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年12月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/22/trump-peace-deals-ceasefire-gaza-ukraine-congo-fake/

ホリデーシーズンは、読者の皆さんに平和の重要性と、平和をより広く永続的なものにするために私たちが取るべきステップについて改めて考えさせる絶好の機会である。私は以前から、近年のアメリカの指導者たちが平和について語る機会が、本来あるべきよりも少なくなっている(前任者よりも少ない)ことに気づいていた。アメリカがより平和な世界への幅広い関心を持っていることを考えると、これは驚くべきことだ。

この点において、ドナルド・トランプ米大統領はある種の例外と言えるだろう。彼は平和について多く語るが、それは主に、自分がノーベル平和賞に値すると主張するためだ(最近、FIFA会長ジャンニ・インファンティーノから授与されたあの奇妙な賞に加えて)。彼は少なくとも8つの戦争を終結させたと主張しているが、残念ながら、この主張は「トランプ大学」が教育を受けるのに良い場所だったという考えと同じくらい正確ではない。紛争の真の終結ではなく、トランプの得意技はポチョムキン平和案、つまり大々的に宣言されてすぐに崩壊する象徴的な「合意」だ(Instead of a genuine end to conflict, Trump’s specialty is a Potemkin peace plan—a symbolic “agreement” proclaimed with great fanfare that soon collapses)。

例えばガザ地区では、トランプ大統領が「これは戦争の終結だけでなく、恐怖と死の時代の終焉でもある」と称賛した20項目の和平計画は、イスラエルとハマスの間の暴力を終わらせていない。それどころか、イスラエルによるヨルダン川西岸のゆっくりとした征服と、そこに住むパレスティナ人への残虐な扱いを助長している。2025年10月に停戦が成立して以来、400人近くのパレスティナ人(と少数のイスラエル兵)が殺害され、救援物資は依然として限られていて不十分であり、停戦のその後の段階を監視するはずだった平和維持部隊はまだ設立されていない。そして、計画にある「将来のパレスティナ国家への道筋(pathway toward a future Palestinian state)」という意図的に曖昧な表現が本物であり、何かにつながる可能性があると本気で信じている人がいるだろうか? 計画は真の平和への一歩ではなかった。それは「大イスラエル(greater Israel)」を創り出し、最終的にはパレスティナ人を意味ある政治的実体として消し去ろうとする絶え間ない努力の単なる見せかけに過ぎなかった。

同様に、カンボジアとタイの国境紛争は終結したというトランプ大統領の主張も、数々の出来事によって信憑性を失っている。両国は最近になって戦闘を再開し、タイのアヌティン・チャーンウィラクル首相はトランプ大統領との電話会談で停戦要求を拒否し、「タイは、我が国の国土と国民に対する危害や脅威がなくなるまで軍事行動を継続する」と宣言した。

コンゴ民主共和国でも同様の悲劇的な状況が見受けられる。ルワンダが支援するM23民兵組織がコンゴ軍への攻撃を再開し、領土支配を拡大している。マルコ・ルビオ米国務長官でさえ、これはトランプ大統領が仲介したとされる停戦の「明確な違反()a clear violation」であると認めた。スーダンでは、残虐な内戦を終結させようとするアメリカの努力は、何の成果も生んでいない。インドのナレンドラ・モディ首相は、インドとパキスタン間の国境紛争を一時的に鎮圧したというトランプ大統領の主張を否定した(その過程でトランプ大統領の怒りを買った)。エジプトとエチオピアは、トランプ大統領の散発的な介入にもかかわらず、ナイル川の物議を醸すダム建設計画をめぐって依然として対立している。

これらのケース全てで、トランプ大統領が平和を推進したという主張は、ほとんどが誇大宣伝(hype)に過ぎない。

ウクライナについても同様だ。大統領選挙運動中、トランプ大統領はウクライナでの戦争を「24時間以内に(in 24 hours)」終わらせると豪語したが、これは当時としては突飛な主張であり、ウクライナとロシアの両陣営に戦闘停止を説得しようと試みたトランプの不安定な努力は、未だに実を結んでいない。

そして、こうした効果のない和平努力は、他の場所で戦争の火に油を注ぐ行動を伴っていることを忘れてはならない。トランプ大統領は、イスラエルがイランを攻撃した際にイスラエルに協力した。また、アフガニスタン、ナイジェリア、ソマリア、リビア、イラク、シリア、イエメンで爆撃やミサイル攻撃を命じた。彼の政権は、カリブ海で麻薬密輸の容疑者を法廷外で殺害することを平気で行っており、これはアメリカ国内法および国際法に明確に違反している。さらに、ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領率いる政権を打倒するために軍事力を使うと脅迫している。これは「平和推進者(peacemaker)」というレッテルを貼られるに値する経歴ではない。

戦争を終結させ、永続的な平和を築くことは容易ではない。通常は、一方の完全な勝利(その後、敗者が結果を覆そうとするのを思いとどまらせるような妥当な和解が成立する)か、戦闘を継続しても何も得られないという相互承認(mutual recognition)が必要になる。後者の場合、双方は望むもの全てを得られる訳ではないことを受け入れ、満足するために必要なものを十分に得ることに集中しなければならない。

しかしながら、いずれの場合でも、国境の位置、賠償の可能性、捕虜の送還、外交関係の回復、様々な安全保障、そして条件を監視し「関与問題(commitment problem)」(つまり、将来的にどちらか一方が約束を破る可能性)を軽減するためのメカニズム(中立平和維持軍の派遣など)など、多くの詳細を詰める必要がある。理想的には、和平合意は、通常長い時間を要する長期的な和解への道筋も示すものとなるだろう。公平な第三者仲介者は、これらの全ての手順を円滑に進め、合意の履行を確実にするのに役立つ。

トランプは下手な平和構築者である。それは、彼自身も彼のティームがこれらの要件を全て無視しているからだ。トランプ自身も、せっかちで細部に関心を示さないことで有名だ(notoriously impatient and uninterested in details)。1978年のキャンプ・デイヴィッド合意にエジプトとイスラエルの当局者たちを署名させるために長時間を費やしたジミー・カーター元米大統領や、1905年の日露戦争終結の合意の仲介にほぼ1カ月を費やしたセオドア・ルーズヴェルト元米大統領とは異なり、トランプには、戦闘当事者間の溝を埋めるための独創的な提案を自ら袖をまくり上げて練り上げる意欲も能力もない。また、彼の集中力は非常に短いため、敵対国は彼が他のことに移ると、ただ待つだけで戦闘に戻れることを知っている。

大統領の直接関与が絶対条件ではないのは当然だが、その場合、大統領は有能な代表者を指名し、自身に代わって役割を担わせなければならない。残念ながらトランプは、必要な専門知識を持つプロの外交官ではなく、スティーヴ・ウィトコフやジャレッド・クシュナーのような素人外交官(amateur diplomats)に依存することを好み、潜在的な合意が実行可能かどうかを判断する経験豊富な官僚を信頼していない。ここでトランプの「ディープステイト(the deep state)」に対する敵意は自業自得と言える。専門家たちの助言は極めて貴重であり、プロの外交官は政治任命者(political appointees)を凌駕する傾向があるからだ。ロンドン大学ユニバーシティ・カレッジのジョナサン・モンテンが最近指摘したように、「(トランプは)自らを中核的存在と見なされたい。・・・そのため準備の質、専門性の質、外交交渉の質はいずれも極めて低い」のである。

トランプの「カウボーイ外交(cowboy diplomacy)」を擁護しようとする者でさえ、「しかし平和が空虚な合意(hollow agreements)—ホワイトハウスの芝生で振りかざされる箇条書きの書類—の上に築かれるなら、その平和は長く続かないかもしれない」と認めている。

さらに、トランプとその選任した使節たちの一部は公平さを欠いている。その結果、紛争当事者の一部は彼らを信頼しておらず、仲介者たちは、行き詰まるか、署名後すぐに破綻する一方的な解決策を推し進める可能性が高い。この問題は、ウィトコフ、クシュナー、そして駐イスラエル米大使のマイク・ハッカビーの親イスラエル的な感情を考えると、中東で最も顕著であるが、ウクライナに対するトランプの軽蔑や、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領に対する賞賛にも明らかである。

トランプを称賛すべき点は、主要な軍事紛争、特に地上部隊の投入やその他の重大なリスクを伴う紛争を真に警戒しているようで、戦争は費用がかかり、収益性の高いビジネス取引の妨げになることを認識しているように見えることだ。それは良い直感であるが、主要な紛争を解決し、将来の問題の種をまかないようにするには、それ以上のものが必要だ。

もし私がこのホリデーシーズンで欲しい贈り物が何かと質問されたら、私はこう答えるだろう。平和構築(peacemaking)を単なる広報活動(public relations)や大統領の自己顕示(presidential preening)と捉えるのではなく、困難ではあるが真剣に取り組む価値のある課題として捉える姿勢が欲しい、と。以前にも書いたが、世界平和はアメリカの国益にかなう。なぜなら大規模な紛争は、アメリカの驚くほど安全で特権的な立場に永続的な損害を与えうる数少ない事象の1つだからだ。平和は道徳的にも望ましい。戦争は計り知れない人間の苦痛を伴うからだ。和平を真剣に追求しても、既存の紛争が全て終結する訳でも、新たな紛争の発生を完全に防げる訳でもないかもしれない。しかし、少なくともいくつかの紛争が終結する可能性は高まるだろう。このホリデーシーズンに、それこそが最も歓迎すべき贈り物となる。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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 古村治彦です。

 2026年2月28日に始まったイスラエル・アメリカによるイラン攻撃とイランによるペルシア湾岸諸国にあるアメリカ軍基地を中心とする報復攻撃は既に10日ほどが経過している。アメリカのドナルド・トランプ大統領は攻撃の成果を強調しているが、長期化の見通しが出ており、世界全体に影響が出つつある。イラン革命防衛田によるホルムズ海峡封鎖によって石油価格は高騰し、株価は下落している。「有事のドル買い」によって、円安も進行している。石油価格の上昇と円安によって、日本経済に深刻な影響が出ることが予想される。このような状況が長引くほどに、その影響も尾を引くことになる。

 以下の論稿は1年前の、2025年6月の論稿である。この時期にもイスラエルとアメリカによるイランの核開発関連施設に対する約2週間にわたる攻撃が実施された。今回、2026年2月の大規模攻撃に比べて限定的な規模にとどまったが、この2つの攻撃は一連の出来事として捉えるべきだろう。それは、以下のスティーヴン・M・ウォルトの論稿を読むと明らかだが、戦争の構造は同じだからである。

 以下の論稿では、ウォルトの厳しい批判の矛先はトランプに向かう。トランプの「注目を浴びたい、人々からの称賛を浴びたい」という肥大化した自己顕示欲が戦争に向かわせたとウォルトは主張している。ここで、私が僭越ではあるが付け加えるならば、このようなトランプの肥大化した自己顕示欲をイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に利用されたということになるだろう。イスラエル、そしてネタニヤフの狙いは、イランの弱体化である。アメリカはイランが核兵器を持っていないという判断をしていたが、これでは緊急的な脅威ということにはならない。しかし、トランプの自己顕示欲を利用して、ネタニヤフはイラン攻撃を行わせることに成功した。しかし、昨年の場合には、今回の大規模攻撃に比べて、限定的な攻撃にとどまった。今回、トランプが大規模攻撃を決断するにあたっては、マルコ・ルビオ国務長官の影響も大きかったと言われている。そして、ネタニヤフは昨年、2025年を通じて、ルビオとの関係構築を実行してきた。ネタニヤフのこうした根回りは政治家としては非常に重要な能力である。それが今回の大規模攻撃につながった。

 しかし、アメリカとイスラエルの攻撃は世界に深刻なマイナスの影響を与えている。長期化していけばより深刻な状況になり、アメリカとイスラエルに対する反感は募るということになり、それは両国の国益を損なうということにつながる。こうして世界の構造は大きく変化していく。

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ドナルド・トランプのエゴのための戦争(The War for Trump’s Ego

-イスラエルとアメリカによるイラン攻撃は見た目以上に意味を持たなかった。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年6月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/06/26/trump-iran-war-attack-ego/

まず、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とアメリカのドナルド・トランプ大統領によるイランとの戦争(それは戦争であった)が何を目的としていたのかを明確にしておこう。アメリカをより安全に、より豊かに、あるいは世界中でより尊敬され、賞賛される国にするためではなかった。トランプがトゥルーソーシャルで何を主張しようと、彼の忠実な支持者たちが何を言おうと、中東地域をより安定させること、あるいはイスラエルを長期的に守ることさえ目的ではなかった。

そもそも、イランは核兵器を取得する直前の段階にはなかった。これは、ホワイトハウスが彼女に屈服させ、発言を撤回させる前に、国家情報長官トゥルシー・ギャバードが連邦議会で述べた通りだ。そして、たとえテヘランがいつか核兵器を手に入れたとしても、その指導者たちがアメリカやイスラエルに対してそれを使用できない。それは、国家の自滅行為(committing national suicide)となるからだ。イスラエルは数十発の核爆弾を保有し、アメリカは数千発の核爆弾を保有している。イランの指導者たちはこのことをよく知っている。

さらに、ケネス・ウォルツが最後の論文で主張したように、イランが独自の抑止力を持つことができれば、中東はより安定する可能性がある。安全保障は強化され(つまり代理勢力に頼る必要性が減少し)、イスラエルが望む時に望む者を攻撃する能力は抑制されるだろう。もし気づいていないなら、レバノン、シリア、イエメンへの空爆に加え、2年近くガザ地区を容赦なく爆撃し、ガザ地区とヨルダン川西岸でゆっくりとした民族浄化(ethnic cleansing)を行っているのはイランではない。これらの活動を終わらせることは、地域全体の安定化に大きく貢献するだろう。ウォルツの主張には疑問に思うところもあるが、少なくともイランの爆弾は世界を一変させる大惨事(a world-altering catastrophe)となるので、いかなる犠牲を払ってでも阻止しなければならないという主張と同じくらいの説得力を持っている。

いずれにせよ、もしこの戦争の目的がイランによる核兵器取得の阻止だったとしたら、逆の効果をもたらす可能性が高い。トランプ大統領とその代弁者たち(mouthpieces)は、アメリカの攻撃は完全に成功し、イランの核インフラを破壊したと主張し続けているが、初期の被害評価では、これらのバンカーバスターの投下はイランの努力を数カ月遅らせたに過ぎないと結論付けられている。フォードウ施設内の主要構造物は無傷だっただけでなく、イランは最も濃縮度の高いウランの一部または全部を分散・隠蔽したと見られており、さらに濃縮する能力を保持している。また、これらの攻撃は、長年アメリカとの交渉に反対し、自国で核兵器を取得することを主張してきたイランの強硬派の支持を強めたようにも見え、トランプ大統領は彼らの主張に一層の説得力を与えた。もし将来イランが核兵器を取得した場合、その責任の大部分はトランプ大統領とネタニヤフ首相に帰せられるだろう。

もしこれがイランによる自国での核兵器製造を阻止するための綿密に練られた努力でなかったとしたら、一体何のためだったのだろうか? イスラエルが戦争を始めた以上、まずイスラエルの指導者たち、特にネタニヤフ首相が何を得ようとしていたのかを考えなければならない。明白な目的の1つは、イスラエルがガザ地区、そして程度は低いもののヨルダン川西岸地区で日々犯している戦争犯罪と破壊行為から世界の目を逸らすことだった。もう1つの目的は、アメリカとイランの交渉を妨害することだった。イスラエルはアメリカがイランの核インフラの一部を保持することを容認するのではないかと懸念しており、ネタニヤフ首相はイランとアメリカを対立させ続けたいと考えていた。ワシントンとテヘランの真の和解を阻止することが、ネタニヤフ首相が包括的共同行動計画(JCPOA)に反対した理由の1つである。バラク・オバマ政権は、JCPOAがアメリカとイランの緊張緩和への第一歩となることを期待していた。最後に、イスラエルはイラン高官を組織的に殺害することで、イランの体制転換につながり、イスラエルの地域的優位が確立されることを期待していた。前回のコラムで述べたように、この目標は単なる空想に過ぎないと思うが、だからといって、ますます強硬路線を強めるイスラエル政府(Israel’s increasingly hard-line government)にとって魅力的な空想ではなかった訳ではない。この地域の緊張状態を維持することは、ネタニヤフ首相を権力の座に留め(そして投獄から守ることにも)役立つ。

しかし、これらの点だけでは、トランプがなぜこの合意に同意することにしたのか、あるいはなぜ戦争は大成功だったという主張を改めて強調しているのかを説明することはできない。そこには、いくつかの明白な要因が作用していた。

第一に、この戦争は、少なくともアメリカの中東政策に関しては、ネオコンがまだ死んでいないこと、そしてイスラエル・ロビーが依然としてこの分野で大きな影響力を持っていることを改めて認識させるものだ。親イスラエルのアメリカ系ユダヤ人と福音派キリスト教シオニスト(evangelical Christian Zionists)の両方を含むこのロビーは、アメリカとイスラエルの間に特別な関係を維持したいと考えている。実際には、彼らはアメリカがイスラエルの行動に関わらずイスラエルを支持し、アメリカの力を利用してイスラエルの安全保障を強化することを望んでいる。2018年にトランプにJCPOA(包括的共同行動計画)を放棄させるにあたり、このロビーが重要な役割を果たしたことを思い出す価値がある。この戦略的失策は、イランの遠心分離機の増強と濃縮ウラン備蓄の増加を許した。先週末、AIPACや民主政治体制防衛財団(the Foundation for Defense of Democracies)といった組織団体、ミリアム・アデルソンのような裕福な政治献金者、そしてマルコ・ルビオ国務長官やマイク・ハッカビー駐イスラエル大使といった政治家たちは、ついに長年の希望であるイラン攻撃を実現させた。トランプ大統領が裕福なアラブ諸国の指導者たち(彼らは近年イランとの関係を冷やそうとしてきた)や、新たな中東戦争に反対するリアリストたちの声に耳を傾けてくれることを期待していたアメリカ国民は、またしても失望させられた。トランプ大統領は依然としてアメリカ軍地上部隊の投入には消極的で、イスラエルが「一体何を(what the fuck)」をしているのか分かっていないと批判するほどだったが、イスラエルから参戦を求められた際に、自らが戦争に踏み切った。「変化すればするほど、それは同じものである(Plus ça change, plus c’est la même chose)(The more things change, the more they stay the same)」。

しかしながら、イスラエル・ロビーはアメリカの政策を支配しておらず、戦争の最終決定権は依然としてトランプに委ねられていた。ここで鍵となったのは、トランプが持つ、注目の的でありたいという飽くなき欲求だった。彼は世界中が自分の一挙手一投足に注目し、議論し、そして理想的には称賛することを望んでいる。真の外交政策の成果、つまりアメリカをより安全で、より豊かに、より影響力のある国にする具体的な成果には、それほど関心がない。なぜなら、外交政策における大きな飛躍には、真摯な努力が必要だからだ。トランプはむしろ、自分と仲間が私腹を肥やしている間、偉業を成し遂げているように見せかけたいだけなのだ。イスラエルとの最新の戦争に加わったことで、彼は再び見出しのトップに躍り出た。そして、他国を爆撃することは、多くのアメリカ人(そして一部の洗練された観察者でさえ)が「大統領らしい(presidential)」と考える行為の1つだ。これはリアリティ番組のような政権であり、トランプはかつて人気番組「アプレンティス」で成功した実業家を演じたのと同じように、大統領を演じている。

トランプが結果(results)よりも体裁(appearances)を重視する傾向は、今に始まったことではない。トランプは最初の任期を北朝鮮の金正恩委員長とのオンライン上での激しい舌戦でスタートさせ、その後、突然、書簡を交換し「恋に落ちた(fallen in love)」と発表し、直接会談することになった。結果として行われた首脳会談は、トランプが好むようなメディアの熱狂的な反応を巻き起こしたが、準備不足の交渉は成果を上げず、北朝鮮の核兵器備蓄はそれ以来着実に増加し続けている。

この問題は他の多くの問題にも顕著に表れている。貿易政策を見てみよう。トランプが関税を脅迫、課す、延期、修正、停止、あるいは復活させるたびに、メディアは大騒ぎする。しかし、彼が交渉を約束した数々の「素晴らしい(beautiful)」貿易協定は、一度も実現していない。トランプはウクライナ戦争を「24時間以内に(in 24 hours)」終わらせると宣言し、大統領執務室でウォロディミール・ゼレンスキー大統領を叱責する(あの痛ましく気まずい会談は「素晴らしいテレビ中継だった(great television)」と発言した)が、戦争終結が予想以上に困難であることが判明すると、関心を失ってしまう。彼はメキシコ湾を「アメリカ湾」と改称したことは意義深い成果だと考えている。最近、「国防長官」ではなく「戦争長官」という肩書きに戻すことについても考えていた。トランプにとって重要なのは、肩書きと世間の印象であり、高官の能力や彼らが監督する政策の有効性ではない。目に見える成果を上げることではない。目標は、トランプとその行動に皆の注目を向け続けることだ。

現時点でこの傾向に誰も驚かないはずだ。なぜならトランプのキャリアは、何百万人もの人々に自分がそうでない何かであると信じ込ませる驚異的な能力の上に成り立っていたからだ。彼は平凡なビジネスマンだったが、新しいカモに金を貸すよう巧みに説得し、テレビで成功した大物実業家を演じることに長けていた。彼の再選は、何百万人もの人々を騙して、自分は国を偉大にする先見の明のある人物だと信じ込ませる彼の能力を改めて証明した。その一方で、彼の政権は、一般のアメリカ人が頼りにし、アメリカの力と影響力の基盤となっている多くの制度を解体している。現代アメリカの政治は、トランプのような人物のために作られている。彼の高尚な野心と真実を軽視する姿勢は、事実や実績よりもイメージ、クリック数、視聴者数が重視される世界にぴったり合っているのだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権の外交政策はマルコ・ルビオ国務長官が牛耳っている。アメリカの外交政策立案実施の特徴は、国務省とホワイトハウスに二本立てである点だ。が育成策に関して、国務長官(Secretary of State)と国家安全保障問題担当大統領補佐官(National Security Advisor)が責任者として存在する。2025年5月、国家安全保障問題担当大統領補佐官だったマイケル・ウォルツが更迭されて(2025年5月)、国連大使に転身してからは、ルビオがこの2つの職位を兼務している。ルビオには大きな権限が集まることになった。そして、トランプ政権は介入主義的な色合いを強めた。昨年のイランの核開発関連施設攻撃(2025年6月)もその一環だ。それが今回のイラン攻撃にまで続いている。

 ドンロー主義はモンロー主義の変化形である。これはアメリカは西半球まで後退するということであり、世界(全半球)帝国ではなく、西半球帝国になるという宣言である。それだと困ってしまうのはヨーロッパとイスラエルである。これらの国々は置き去りにされてしまう。ユーラシア大陸から西半球に引っ越しをする訳にもいかない。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ドナルド・トランプ大統領を洗脳に近い形で説得して、イラン攻撃を行わせた。ネタニヤフは自身のスキャンダルを免れ、国民の不満を外に逸らし、中東地域を不安定化させることで相対的にイスラエルの立場を強化し、そして、アメリカを中東から撤退させないために、イラン攻撃を実施した。彼の賭けは成功した。アメリカは中東から撤退することが出来なくなった。

 トランプ革命、ポピュリズム革命は失敗した。ワシントンの変革(ワシントンの洗濯)のために人々がワシントンに送り込んだトランプはワシントン政治の論理にからめとられてしまった。既存の政治、エスタブリッシュメントの頑強さを思う時、嘆息しか出ない。しかし、それでも人々はまた立ち上がることだろう。

(貼り付けはじめ)

「ドンロー主義」は意味をなさない(The ‘Donroe Doctrine’ Makes No Sense

-寛大に解釈したとしても矛盾が数多く存在する。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年1月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/08/donroe-doctrine-trump-venezuela-empire/

ドナルド・トランプ政権のヴェネズエラ政策(ニコラス・マドゥロ大統領の最近の拘束事件を含む)の戦略的正当性について、もしあなたが困惑しているなら、私はそれを非難することはできない。なぜなら、これまでに提示された論拠のほぼ全ては検討に値するものではないからだ。

第一に、これはアメリカを「麻薬テロ(narcoterrorism)」から守ることではない。ヴェネズエラはアメリカに流入する違法薬物(ましてやフェンタニル)の主要な供給源ではなかっただけでなく、ドナルド・トランプ米大統領が、麻薬密売で有罪判決を受けたホンジュラスの元大統領ファン・オルランド・エルナンデスに完全恩赦を与えるという決定を最近行ったが、このことはトランプがこの問題をどれほど真剣に考えているかを示している。さらに、米司法省は、トランプ政権が昨年繰り返し騒ぎ立てた危険な麻薬カルテル「カルテル・デ・ロス・ソレス(Cartel de los Soles)」が実際には存在しなかったことを認めた。言い換えれば、それは全くの虚構の政権プロパガンダであり、繰り返し警告されながら発見されなかったイラクの大量破壊兵器と同じくらい現実味を帯びていた。

マドゥロ政権の掌握もまた、アメリカの安全保障を強化するためではなかった。ヴェネズエラは非常に脆弱な国であり、マドゥロが容易に捕らえられたことからもそれが分かる。そして、ヴェネズエラはアメリカの強力なライヴァル国にとって、緊密な戦略的同盟国ではない。中国はヴェネズエラに軍事基地を建設しておらず、イランはアメリカを攻撃するためのミサイルをヴェネズエラに運び入れていなかった。ヴェネズエラには、アメリカの貿易ルートを阻害できるほどの強力な海軍力もなかった。カラカスがもたらす、アメリカが直面する深刻な脅威について、夜も眠れずに心配していた人間は誰もいなかったし、マドゥロ政権がブルックリンで投獄された今、私たちは誰一人として安眠できていない。

トランプ大統領は既に野党指導者マリア・コリーナ・マチャドの政権掌握を断念し、依然として紛れもなく独裁主義的な政権を率いるマドゥロ政権の副大統領と交渉する意向を示していることからも、民主政治体制の促進(promoting democracy)が目的だったのではないことが分かる。

危険な麻薬の撲滅でも、深刻な安全保障上の脅威への対処でも、民主政体回復への願望でもないのであれば、それは石油に違いない、そうではないか? トランプ大統領は、これが真の理由であり、アメリカ企業が石油を奪い取ってアメリカを偉大な国にするだろうと繰り返し主張している。これもまた間違いだ。トランプ大統領は好きなように信じればいい(そしてよく信じている)が、近いうちにあmエリカにとって大規模な石油ブームが待ち受けている訳ではない。火曜日、トランプ大統領はヴェネズエラが最大5000万バレルの石油をアメリカに引き渡すことに同意したと自慢したが、これはアメリカの原油生産量の4日分にも満たない量であることを考えると、このことを知らなければ、一見素晴らしい話に聞こえる。トランプは、売却益を管理し、ヴェネズエラ経済の支援に充てると述べた。もしそう信じるなら、トランプの略奪的本能(predatory instincts)に耳を傾けていないと言えるだろう。たとえその石油収入が最終的に得られたとしても、ヴェネズエラ経済の再建に必要な資金のほんの一部になるに過ぎない。

そうだ、ヴェネズエラは世界最大の確認埋蔵量を誇っているが、その重質原油は採掘が難しく、精製コストも高い。率直に言って、良識ある生産者なら開発を試みようとしないであろう、ヴェネズエラの石油開発に最後と言えるだろう。ヴェネズエラの老朽化したインフラの危機的状況と、昨今の原油価格の低迷を考えると、なおさらだ。そして、もし奇跡的に大量の原油が世界市場に流入すれば、価格はさらに下落し、アメリカのシェール掘削業者の多くは廃業に追い込まれるだろう。

そして、トランプや大手石油会社が何を考えているかに関わらず、世界は徐々に炭化水素から離脱し、他のエネルギー源へと目を向けつつあり、ヴェネズエラの埋蔵量の価値をさらに低下させていることを忘れてはならない。実際、気候変動の現実を考えると、最も賢明なのは、石油をできるだけ地中に残しておくことだ。つまり、中国が未来のグリーン産業を支配し、その結果、影響力を拡大することにレーザー光線のように集中している一方で、トランプと彼を取り巻く戦略の天才たちは、地球を脅かす、まるで前世紀的なエネルギー政策に邁進しているのだ。

従って、この作戦の戦略的根拠についてあなたが混乱するのも無理はない。私がここで見出す唯一の「戦略的」目的(“strategic” objective)は、西半球(the Western Hemisphere)におけるアメリカの覇権(hegemony)を再確立するという大まかな考えだ。トランプはあらゆるものに自分の名前を冠することで自らのテリトリーを示すことを好むため、この考えは現在「ドンロー・ドクトリン(Donroe Doctrine)」として宣伝されており、最近出された「国家安全保障戦略(National Security StrategyNSS)」にも明確に示唆されている。これは外交政策のリアリストなら支持できる合理的な考えのように聞こえるかもしれないが、綿密な検証にも耐えられない。

モンロー・ドクトリンの本来の目的は、アメリカが西半球におけるライヴァル大国の軍事介入を心配しなくて済むようにすることだった。ジェイムズ・モンロー大統領の構想が実現するまでにはほぼ1世紀が必要であったが、最終的にアメリカは他の全ての大国を西半球から追い出し、歴史家C・ヴァン・ウッドワードが「自由な(無料の)安全保障(free security)」と呼んだものの恩恵を享受することに成功した。

しかし、トランプらが言っているのはそういうことではない。なぜなら、現在、西半球で重要な軍事的役割を果たしている大国はおらず、また、そのような役割を担おうとしている大国も存在しないからだ。「国家安全保障戦略」が明らかにしたように、トランプ政権は、発生する可能性のあるあらゆる問題において、可能な限り多くの近隣諸国に、自らの指示に従わせようとしている。彼らは現在、マドゥロ大統領の後継者たちにこう言い放っている。「私たちの要求に応じなければ、封鎖を続け、もしかしたらもっとひどいことをするかもしれない」。そして、トランプ大統領と周辺の人々は地域の他の国々がこのメッセージを理解し、従順に行動してくれることを期待しているのだ。

特に、トランプ政権は近隣諸国の経済政策を統制する権利、そして中国などの国々にとって経済的に有益となる可能性のある政策に対して拒否権を行使する権利を主張している。「国家安全保障戦略」の中で書かれているように、「私たちは敵対的な外国の侵入や重要資産の所有から自由な半球を望む」とし、外部勢力が「戦略的に重要な資産を所有または支配」してはならず、アメリカは「非米州圏の競争相手が地域での影響力を拡大することを困難にしなければならない」と付け加えている。トランプ政権は、ラテンアメリカ諸国の一部が「低コストと規制障壁の低さ(low costs and fewer regulatory hurdles)」に「惹かれて他国と取引を行う(attracted to doing business)」傾向にあることを理解しているため、「各国にそのような支援を拒否させる(induce countries to reject such assistance)」と主張している。しかしトランプ政権は、一般的に対外援助に反対し、あらゆる二国間関係において利益の大部分を独占しようとする略奪的な政権であるため、欲しいものを手に入れるのに、寛大さ(generosity)ではなく脅し(threats)に頼らざるを得ない。

しかしながら、問題は、アメリカがこのように近隣諸国の経済に干渉し続けるならば、その地域の経済状況に対する責任を負わねばならなくなる点だ。アメリカ製品より安価な中国製品(電気自動車など一部では大幅に優れた製品)をラテンアメリカ諸国が購入しないようにと命じれば、現地の消費者は不満を抱くだろう。さらに、インフラ整備や新たな機会創出につながる中国やその他の外国投資を拒否するようこれらの政府に指示すれば、ワシントンは自らそれを提供せざるを得なくなる。さもなければ、ラテンアメリカの人々を貧困に陥らせていると非難されるだろう。これに、トランプ政権が自国の問題をラテンアメリカ地域からの移民・難民のせいにする傾向や、可能な限り多くを国外退去させるという強硬な姿勢を加えれば、安定した覇権ではなく、反米感情の高まりと地域の不安定化を招く処方箋となる。

より成功したアメリカの政策との対比は明らかである。例えば第二次世界大戦後、アメリカはヨーロッパやアジア(かつての敵国であるドイツや日本を含む)で極めて成功したパートナーシップを築いた。その背景には、これらの国々がソ連からの共通の脅威を認識していたこと、そしてアメリカが新たなパートナーが第二次世界大戦から可能な限り迅速に復興できるよう、善意をもって行動したことがある。しかし、トランプは「善意のある(benevolent)」という言葉の意味を知らない。彼の人生観は「自分のものは自分のもの、あなたのものは交渉可能(what’s mine is mine and what’s yours is negotiable)」である。

銃の威力で西半球を支配しようとしても、それは過去と同様に、将来も決してうまくいくことはないだろう。トランプ大統領の補佐官であるスティーヴン・ミラーは、「歴史の鉄則(iron laws of history)」の1つは、世界は力によって支配されているということだと考えている。しかし、彼が言及しなかった「鉄則」は、力だけが重要だと考える指導者は、必然的に多くの愚かなことをしてしまうというものである。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアヵウント:@stephenwalt

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(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 イスラエルとアメリカによるイランへの大規模攻撃について徐々にいろいろなことが分かってきて、イスラエルの意向が強く働いたことが明らかになっている。イスラエルは、イランを弱体化させ、自国が中東地域で覇権を握ることを目標としているが、そのような状況になれば、中東地域は不安定になる。しかし、そんなことはお構いなしである。アメリカが中東から引き揚げてしまう前に、アメリカを利用して獲れるものは獲っておくということになる。

 アメリカはイランへの軍事攻撃後の計画やシナリオを持たずに攻撃を行った。これは非常に無責任な態度ということになる。トランプとネタニヤフは攻撃後に、イラン国民に対して蜂起を呼び掛けた。新しい態勢を構築するようにと促した。しかし、アメリカにもイスラエルにもそれを支援する用意は全くない。イスラエルは支援する意図はないし、アメリカは、アフガニスタンやイラクでの失敗からそれが不可能なことが分かっている。そのために、口先で言うだけの無責任な態度ということになる。そのことについて、以下に紹介する論稿では「ポッタリ―バーン・ルール」が無視されているという批判がなされている。

下記論考に出てくる「ポッタリ―バーン・ルール」について説明する。家具や家庭用小物のフランチャイズの店として知られる「ポッタリーバーン」の店舗に貼られている店の方針(ルール)が「万が一商品を壊した場合には、お買い上げいただきます(You break it, you buy it)」というものだ。2003年のイラク戦争の際に、当時のジョージ・W・ブッシュ(子)政権の国務長官だったコリン・パウエルが「ある国や地域に軍事介入して体制を破壊・不安定化させた場合、その介入した国がその後の復興や治安維持の責任を負うという原則」を持ち出して、イラク戦争開戦に反対した際に、「万が一商品を壊した場合には、お買い上げいただきます(You break it, you buy it)」の言葉を使ったことから、「ポッタリーバーン・ルール」という言葉が国際関係論分野で使われるようになった。

 アメリカは世界唯一の超大国として、(一応は)責任ある態度を取る、もしくは取ろうとしてきた。しかし、現在はもうそのような態度を取るふりをしようともしていない。アメリカは全く頼りにならない。そのことを毎日世界中に宣伝している。

 そもそもが、今回のイラン攻撃は誤解と計算違いによってなされたものだ。トランプ大統領は肥大化した自己顕示欲によって、認知が歪んでしまっている。そして、それをネタニヤフ首相に利用されてしまった。そして、世界を混乱に陥れてしまった。トランプとネタニヤフは、イラン(政府と国民)の意思と強さを完全に見誤ってしまった。そして、事態の長期化によって見方であるペルシア湾岸諸国を苦しめることになり、世界の状況を悪化させる。攻撃をしてしまったことで、自分たちの首を自分たちで絞めるという結果になってしまった。アメリカとイスラエルは世界の混乱の最大のそして最重要の責任者である。アメリカとイスラエルは世界にとって「悪の枢軸」となっている。

(貼り付けはじめ)

「ポッタリーバーン・ルール」が廃止される時が来た(It’s Time to Retire the Pottery Barn Rule

-イランとの戦争は、「壊したら、責任は自分で取る」という古い考え方に終止符を打つ。

スザンヌ・ノッセール筆

2026年3月3日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/03/iran-war-us-foreign-intervention-colin-powell-pottery-barn-rule/

2002年、コリン・パウエル米国務長官は、ジョージ・W・ブッシュ大統領に対し、イラクのサダム・フセイン大統領を打倒した場合にブッシュ政権が負うことになる重荷について警告したことで有名だ。パウエルの警告は後に「ポッタリーバーン・ルール」として知られるようになった。「壊したら責任は自分で取る(You break it, you own it)」。家庭用品店の広報担当者が、客が商品を壊しても弁償は求められないと主張したとしても、それは問題にならない。このルールは小売業よりも外交政策において大きな反響を呼び、その後もリビア、シリア、アフガニスタン、そして最近ではヴェネズエラにおける紛争の議論で長年にわたり引き合いに出されることになる。

20年以上が経過し、ポッタリーバーン・ルールは廃止される時が来た。ドナルド・トランプ米大統領と政権は、アメリカが介入した国の運命に責任があるという主張に全く動じていない。これは、イランで現在行われている爆撃作戦で最高指導者アリ・ハメネイ師が殺害され、地域全体に及ぶ紛争が勃発したことで明らかになった。トランプ大統領にイランに対する計画があるかと問われたリンジー・グラム連邦上院議員は日曜日、「それは彼や私の仕事ではない」と述べた。グラム議員の発言は冷淡に聞こえたが、アメリカ国民も、アメリカが標的とした国々も、ワシントンが外国の領土を徹底的に支配することを望んでいる者はいない。近年のアメリカのそうした試みは、安定をもたらすどころか、数十億ドルもの資金と計り知れないほどの善意を失わせた。

ポッタリーバーン・ルールは抑止力(a deterrent)として意図されていた。長期にわたる外国との係争の可能性は、アメリカの指導者たちを愚かな冒険主義(unwise adventurism)から遠ざけるはずだった。しかし、アメリカがもはや他国を「所有(own)」しようとすべきではないという認識が高まるにつれ、このルールは慎重な力を失った。ポッタリーバーン・ルールは、アメリカ合衆国が唯一の超大国であり、ワシントンが絶大な信頼を勝ち取り、民主政治体制はどこにでも根付くという確固たる信念があった(the United States was the sole superpower, Washington enjoyed significant credibility, and there was broad faith that democracy could be seeded just about anywhere)時代を象徴するものだった。より争いが多く、ゼロサムゲームの世界では、民主政体は危機に瀕しており、今もなお適用可能なシンプルなルールはほとんど、あるいは全く存在しない。

ここ数日、アメリカとイスラエルによるイラン攻撃を受けて、専門家の多くが外交政策の原則として、空軍力だけでは体制転換を達成したことはない(airpower alone has never achieved positive regime change)と主張している。これは、トランプ政権は地上部隊を派遣するか、失敗を受け入れるかのどちらかを迫られることを意味する。第二次世界大戦後のドイツと日本の占領を想起させるこの考え方は、社会を安定と友好関係へと回復させるには、マーシャル・プランに倣った、長年にわたる骨の折れる部隊派遣と巨額の投資が必要となる、というものだ。1983年のグレナダと1989年のパナマへのアメリカの介入は、いずれも独裁者を排除するための部隊派遣を伴ったが、選挙とそれに伴う法と秩序(law and order)の確立に必要な、期限付きの地上作戦も伴っていた。

しかし、より最近の事例は、ポッタリーバーン・ルールがいかにして挫折した希望(dashed hope)につながり得るかを示している。アフガニスタン戦争とイラク戦争は、その長期にわたる戦争、数兆ドル規模の費用、数千人のアメリカ人の犠牲、そして深刻な民間人の犠牲という点で、崩壊した社会の「責任」を負う(taking “ownership”)ことが、それを再建できることを意味しないことを証明した。2000年代半ばには既に世論調査でイラク人の大半がアメリカ軍の撤退を望んでいることが示された。アフガニスタン人は当初、自国におけるアメリカ軍の駐留を支持していたものの、それも次第に減少した。アメリカ国内における2つの戦争の被害は甚大で、政府への不信感を加速させ、分断を深め、心身ともに傷ついた退役軍人の世代を生み出し、国家債務を膨らませた。

一方、介入の論理は変化した。アラブの春において、2010年代初頭のリビア、シリア、エジプト、その他の地域におけるアメリカの関与の程度は様々であったが、安定(stability)や民主化(democratization)とは相関していなかった。 2012年までに政治変革の期待は消え去り、動乱の最中も後も、アメリカ軍の増派が効果的だったと主張する人はほとんどいなかった。近年の高度な監視と標的設定により、より低いコストとリスクで指導者を追放することが可能になった。ヴェネズエラの独裁者ニコラス・マドゥロは、事実上人目に触れずに国を出た攻撃部隊によって捕らえられ、ハメネイ師とその側近たちは空襲で暗殺された。

国家建設(nation-building)が無益で逆効果であるとの信用を失うにつれ、ポッタリーバーン・ルールは、アメリカの介入の結果、特にワシントンの統制が及ばない現地の情勢などに対する政治的・道徳的責任を重視するパラダイムへと移行すべきである。ハメネイ師の追放が地域規模の全面戦争、世界的なテロ活動、あるいは長期的なエネルギー供給の途絶を引き起こした場合、トランプは政治的代償を払うことになるだろう。一方、イラン国民が攻撃を機に平和的な政権移行を実現できれば、アメリカの介入は好意的に評価されるかもしれない。ワシントンの動機が人権や自由よりも経済、安全保障、そして地政学的な利益に関係しているという事実は、ようやく息ができるようになった息苦しい人々にとっては問題ではないかもしれない。初期の世論調査では、マドゥロ大統領の追放は、ヴェネズエラ国民の間で非常に支持されていることが示唆されている。ただし、マドゥロ大統領の政党は依然として政権を握っている。一方、ハメネイ師の暗殺は、街頭で祝賀ムードに包まれている。

ヴェネズエラとイランへの介入は、自由と安全への夢を打ち砕く結果に終わる可能性が十分に考えられる。しかし、それは必ずしも両国の国民がアメリカを非難することを意味する訳ではない。両国において、残虐な指導者の排除が社会の変革につながるかどうかは、政治指導者、政府・軍当局者、そして市民社会運動が決定権を持つことになるだろう。カラカスの自治体の1つで市長を務め、かつてマドゥロ政権によって投獄されたヴェネズエラの反体制派で民主主義の指導者であるレオポルド・ロペスは、マドゥロ副大統領のデルシー・ロドリゲスを政権に残したままであるにもかかわらず、アメリカのトランプ大統領に恩義を感じている。先週末ニューヨークでロペスは、トランプ大統領が生み出したこの機会を活用し、将来の選挙に勝利するのは、ヴェネズエラ国民と野党運動の責任だと述べた。

ポッタリーバーンの店舗では、「壊したら、責任は自分で取る」というルールに代わる選択肢は、単に壊れた物を帳消しにすることだった。国家の砕けた破片は、簡単に片付けられるものではない。破綻国家(failed states)、統治されていない地域(ungoverned spaces)、そして、長期にわたる紛争(protracted conflicts)は、壊滅的な人々の活動(devastating human consequences)と波及効果(spillover effects)をもたらし、地域の不安定化、テロリズムの温床となり、病気の蔓延につながる。ポッタリーバーン・ルールの単純さは、アメリカ、標的とする政権下で暮らす人々、地域のアクター、そして世界秩序全体の利益を考慮した、より複雑な計算に取って代わられなければならない。政策立案者や軍事計画立案者たちは、それぞれの利益を綿密に計算し、最善、最悪、そして最も起こり得る結果を検証し、介入の正当性を判断する必要がある。

トランプ政権は介入後の明確な「計画(plan)」を持っていないかもしれないが、激しい戦闘の最中においては、いかに綿密に練られた計画であっても、他者の反応に翻弄され、その反応は完全に予測できるものではない。イラク侵攻後、ブッシュ(子)政権は速やかにジェイ・ガーナー中将を復興活動の指揮官に任命した。しかしガーナーはわずか1カ月で交代させられた。イラク国民の権限拡大と限定的なバース党脱却策を掲げたワシントンの当初の戦略は、より統制のとれた中央集権的なアプローチへと転換されたためである。これは、期待された成果をもたらさなかった一連の戦略転換の最初のものであった。アフガニスタンでは、NATOは当初カブールに限定した安定化部隊の展開を計画していたが、国内全域での暴力と不安定化により、より広範な展開を余儀なくされたため、方針を転換した。

より現実的かつ適切な期待は、戦争に内在する不確実性を認識しつつ、アメリカの政権があらゆるシナリオを策定し、検討することである。ワシントンは、将来起こりうるリスクを冷静に評価し、それらを回避・軽減するための緊急時対応策を講じた上でのみ、前進すべきである。トランプ政権は、そうした広範な先見性を発揮できていない兆候が見られる。中東地域に取り残されたアメリカ国民に対し、(この地域の空域の大部分が封鎖されているにもかかわらず)自宅待機と即時退避の両方を求めるという矛盾したメッセージを送ったことは、信頼を揺るがすものとなった。

ヴェネズエラとイランへの介入がアメリカの安全保障と経済利益に資するだけでなく、長きにわたり抑圧されてきた人々の生活を改善する可能性があると予測するのは、楽観的ではあるが、突飛な予測ではない。しかし、より広い視野で見れば、その結果はさらに不確実になる。マドゥロ大統領の逮捕やカリブ海における麻薬密輸容疑者に対する定期的な致命的な攻撃など、ヴェネズエラに対するアメリカの行動は、自国の敵対勢力を無力化しようとする他の大国によって確実に援用される前例となる。

アメリカとイスラエルによるイラン攻撃はこのパターンを強め、武力行使を禁じる国際規範の現行解釈を著しく損なう結果となった。こうした規範的影響は遠いように思えるかもしれないが、いずれ跳ね返ってくる可能性がある。ロシアのウラジーミル・プーティン大統領は、ウクライナ侵攻を開始するにあたり、1999年のコソヴォ支援のための西側諸国の軍事介入、2003年のイラク侵攻、そしてリビアとシリアへのアメリカの攻撃を援用し、主権と国際法に関する西側諸国の主張を覆そうとした。

ポッタリーバーン・ルールは、冷戦に勝利し、アメリカが世界的な正統性を享受していた時代に生まれた。911で大きな衝撃を受けたにもかかわらず、ワシントンは世界中に自由民主主義を広げることに楽観的な見方をし、中東地域にドイツや日本のような民主政治体制を築くことができる、そして築くべきだとさえ考えていた。しかし、そうした時代は遠い記憶となっている。民主政治体制は、かつて西側諸国が想像していたほど必然的なものではなく、はるかに脆弱であることが証明された。アメリカ人は、民主政体を他者に提供できると信じることよりも、自らの力で民主政体を自国内で維持しようと躍起になっている。

トランプとその政府高官たちは、都合の良い時にだけ自由について語る。彼の政権は、自国の国益がそうすることを正当化するならば、不人気で非民主的な敵対勢力を追及する用意は当然ある。しかし、外国介入の結果については、トランプは破片がどこに落ちようとも構わないと思っているようだ。ヴェネズエラでもイランでも、アメリカはどちらの未来も決めることはできない。アメリカの介入によってもたらされる結果が、その潜在的なコストに見合うものかどうかを最もよく判断できるのは、これらの国の国民自身である。

※スザンヌ・ノッセール:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。シカゴ外交評議会アメリカ外国政策・国際秩序担当レッサー・クラウン記念上級研究員。スターリング財団上級顧問。著書に『発言の勇気:全ての人々の言論の自由を守る(Dare to Speak: Defending Free Speech for All)』がある。Xアカウント:@SuzanneNossel

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ドナルド・トランプ大統領はイラン問題で計算違いをしたのか?(Did Trump Miscalculate on Iran?

-中東専門家のヴァリ・ナスルによると、ホワイトハウスはイランとイスラエルの痛みに対する耐性が高いことに気づきつつあるという。

ラヴィ・アグラワル筆

2026年3月2日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/02/nasr-trump-iran-israel-strikes-calculation/

中東では激しい戦闘が繰り広げられている。2月28日早朝、イスラエルとアメリカはイラン各地の拠点を攻撃した。その後、イランの最高指導者アリ・ハメネイ師が、自宅の敷地内に爆弾が直撃し、死亡したことが明らかになった。しかし、この報道確認の前後にも、テヘランはイスラエルに向けてミサイルを一斉発射しており、最高指導者の不在下でも機能する指揮統制体制の存在を示唆している。イランは、この地域の他の国々、特にカタール、アラブ首長国連邦、サウジアラビア、クウェートといったアメリカ軍基地を抱える湾岸諸国を攻撃している。

戦争はどのように終結するだろうか? イラン、イスラエル、そしてアメリカはそれぞれどのように成功を定義しているのだろうか? そして、それぞれの痛みの閾値(いきち、thresholds)はどれほど異なるのだろうか? FPライヴの最新エピソードでは、イランと中東の専門家であり、元米国務省上級顧問、ジョンズ・ホプキンス大学教授でもあるヴァリ・ナスルに話を聞いた。チャンネル登録者は、このページ上部のビデオボックスで対談の全編を視聴するか、無料のFPライブポッドキャストをダウンロードできる。以下は、編集・要約したトランスクリプトだ。

ラヴィ・アグラワル(RA):アリ・ハメネイ師は残忍な指導者(a brutal leader)でした。86歳で、30年以上イランを統治した。ヴァリ、彼の死をどのように受け止めているか?

ヴァリ・ナスル(VN):ある意味では、彼の死は予想されていた。高齢というだけでなく、彼を排除することがイスラエルとアメリカ双方の戦争目標の1つだったからだ。これはイランと中東にとって極めて重要な出来事だ。彼は36年間イランを率い、アメリカに対抗し、この地域における反帝国主義に抵抗するというイランの戦略の焦点でもあった。つまり、彼の死はイランにとって転換点(a turning point)となるということだ。

RA:しかし、イランはヴェネズエラとは違う。ヴェネズエラでは、ニコラス・マドゥロ大統領が1日の作戦遂行で副大統領に交代させられた。イランはハメネイ師の死後も報復(to retaliate)を続けている。現在、誰が指揮を執っているのか?

VN:イラン・イスラム共和国は、生き残るために設計されてきた。これは、大統領、首相、そして高官が暗殺された共和国成立初期にまで遡り、イラン・イラク戦争、そしてイスラエルとの12日間戦争にも続いた。つまり、このシステムは一人の人物に依存しないように構築されている(this system is built not to rely on one person)。ハメネイ師はイランで最も重要な指導者であり、国の進路を定め、核合意などの最終決定を下したが、イランは運用上、複数の結節点(multi-nodal)を持つシステムだ。様々な機関と様々な運用指導者が存在する。私たちが見ることが出来る通り、戦争の早い段階でハメネイ師が排除されたとしても、イランの立場には影響はない。イランは計画を実行し、前進し続けている。

彼は、国家安全保障顧問のアリ・ラリジャーニ、国会議長のモハンマド・バゲル・ガリバフ、司法長官、イスラム革命防衛隊司令官といった主要指導者と、その下層に複数の階層が存在するシステムを構築した。大統領の下には国家運営の実権を握る側もあり、これはイランの「ディープステート(deep state)」とでも呼ぶべき、高官、官僚、軍司令官、聖職者で構成されている。このディープステートと彼らが支配する機関が、共同で戦争を管理している。

RA:ハメネイ師の後継者は誰になるだろうか? こうした攻撃が続く現状において、それは本当に重要であろうか?

VN:私たちには分からない。イランがすぐに指導者を指名するとは考えられない。それは主に、ヒズボラのハッサン・ナスララ暗殺の直後の後継者に起きた出来事を既に経験しているからだ。イスラエルはヒズボラのナスララを殺害し、その後、その直後の後継者も殺害した。後継者の任命に向けて動いているが、すぐには実現しない可能性がある。こうした動きは、主に世界、イラン国民、そして地域におけるイラン支持者に対し、憲法に基づき体制が継続するという継続性を示すためです。最高指導者は誕生するだろう。しかし実際には、その人物が実際に実権を握り、権力を強化するまでには、ある程度の時間がかかるだろう。

RA:アメリカのドナルド・トランプ大統領やイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相のような人物がイラン国民に抗議を呼びかけているが、あなたがイランのディープステートについて説明されていることを踏まえると、蜂起の可能性はどの程度あるだろうか?

VN:1月の蜂起につながった人々の怒りは、紛れもなく現実のものだ。そして、デモを鎮圧するために体制が行った血なまぐさい弾圧に対する怒りと悲しみは、今もなお深く残っている。

しかし、現在、蜂起を阻む要因がいくつか存在する。第一に、怒りが高まっているにもかかわらず、イスラム共和国の外には、政治的感情と怒りを組織化し、持続的かつ強靭な方法で目標へと導くための政治運動が存在しない。亡命中の指導者にはそれを提供する能力も、それを管理するための地上戦力もある。第二に、特に首都には、街頭デモを抑止するための治安部隊が多数配置されている。そして第三に、イラン国民は戦争に直面している。彼らは自らの安全を懸念している。そして、戦争がどのように終わるのか、そして生活の糧を失うことになるのかどうかについても懸念している。

騒ぎが収まり、戦争が終息した時、政治的表現(political expression)が見られるようになるだろう。

RA:ヴァリ、あなたはアメリカ政府で働いた経験がある。ホワイトハウスの目的について、今現在どのようなことになっているか、何か考えを持っているか? ホワイトハウスは何を達成しようとしているのだろうか? そして、ホワイトハウスが任務完了と判断するのはどの時点だと考えるか?

VN:大統領がこの戦争の正当性を決して明確に説明しなかったため、判断は非常に難しい。6月にアメリカがイランの核計画を破壊したことに彼は非常に満足しているように見えた。彼にとって、イラン側と話し合う理由など存在しなかった。ところが突然、イランの体制転換(regime change)を目的とした軍事介入に関心を示し始めた。つまりアメリカの目的は、イランの核計画から体制転換へと変わったのだ。そして抗議運動が鎮圧され、その機会が過ぎ去ると、彼は再び核合意を論拠として使い始めた。その後、戦争を開始し、再びイランの体制転換を要求している。つまり、アメリカがなぜイランとの戦争にこれほどの緊急性を感じたのかは不明だ。戦争が始まり最高指導者が殺害された今、大統領は勝利宣言の準備ができていると思う。現時点で停戦を望まないのはイラン側だ。迅速な停戦(a quick cease-fire)で何の得もないと考えているからだ。そして、拡大する戦争に巻き込まれた大統領は窮地に立たされており、エネルギー価格が上昇し、アメリカの死傷者や資産への損害がさらに拡大する可能性がある。

RA:つまり、この戦争は、ある程度、イランが望む時に終わるということになる。それでは、テヘランはいつまでこの戦争を続けることができるだろうか?

VN:それでは、あなたが述べたことに、イランとイスラエル次第だということを付け加えたいと思う。イスラエルは、自国の戦争目的を達成するまで、この戦争が長引くことを望んでいると思う。イスラエルの場合、その目的ははるかに明確だ。言い換えれば、イスラエルはイスラム共和国を打倒するか、少なくともイランを地域の真のアクターではなくなるまで弱体化させ、さらにイランのミサイルやその他の軍事力をイスラエルにとって脅威ではなくなるまで弱体化させようとしている。イスラエルは、この目的を達成するには、たとえ達成できなくても、近づくためには、はるかに長い期間イランを爆撃する必要があると考えている。

イランはまた、アメリカが大きな犠牲を払わない短期的な戦争は、トランプにイランとの戦争は容易だと思わせるだけだと考えています。そして、彼は再び戦争を始められる。しかし、戦争が長期化し、血なまぐさい事態が起こり、より複雑になれば、将来的にアメリカがイランに対して更なる侵略を行うことに対する抑止力(a deterrence)となるだろう。これは、イランが2025年6月の戦争後に確立できなかった種類の抑止力である。イランは今のところ、湾岸諸国への攻撃を継続し、エネルギー価格を引き上げ、世界市場の懸念を高め、そして徐々にヨーロッパ諸国を戦争に巻き込むだけの体力があると考えている。カタールの液化天然ガス(LNG)ターミナルの閉鎖は、最終的にヨーロッパのエネルギー供給に影響を与える。そして、これらすべてが戦争をますます複雑にし、アメリカは現時点で停戦を要求するよりも、より高い代償を払う必要があると判断するかもしれない。

RA:昨年の12日間の戦争でイランが反撃した際、イランは力を控えたようだ。全力を出し切っていない。事前に警告していた標的を選定し、最大限の被害を与えようとはしていなかった。これが私の評価だ。現在、イランは明らかに昨年の夏よりもエスカレートしている。イランの戦力はどれほど増えたか、分かっているだろうか? このような状況下で、イランはどれほど多くのカードを切ることができるのだろうか? どれほど悪化する可能性があるだろうか?

VN:あなたに同感だ。イランはこの戦争で徐々にエスカレートしているが、イスラエルとアメリカからの最大の打撃は、最高指導者と30~40人の司令官の殺害、軍事基地の破壊など、戦争の始まりから始まっています。

第一に、イランはイスラエルだけでなく、地域全体でパトリオットミサイル、迎撃ミサイル、THAADミサイルの供給を枯渇させようとしている。言い換えれば、1万ドルから2万ドルもするイランの小型無人機1機を撃墜するには、大量のパトリオットミサイルなどの迎撃ミサイルが必要となる。最終的に彼らは、いずれこれが湾岸諸国、国防総省、そしてイスラエルにとって問題となると見込んでいる。これが彼らの戦略の1つだ。

第二に、彼らは必ずしもペルシア湾岸諸国やイスラエルの標的を攻撃しようとしているのではなく、継続的な圧力をかけようとしている。彼らはイスラエルに一日中ミサイルを発射しているが、大量ではないものの、継続的なパターンで発射しており、湾岸諸国でも同様のことを実施している。目的は、これらの国の防空システムと住民に継続的な圧力をかけることだ。人々が絶えずシェルターに逃げ込まなければならなくなるようになれば、活動を完全に混乱させることができる。そして、防空システムが疲弊した時点で、彼らはより高性能なミサイルと能力へと移行するだろう。つまり、私たちはまだ戦争の最悪の局面を経験していないと私は考えている。

この戦争は今や、持久力のテスト(a test of stamina)となっている。どちらが先にどちらを倒せるか? イスラエルとアメリカは、イスラム革命防衛隊の背骨を折って、イランのミサイル能力を無力化するのに十分なミサイル、サイロ、そして発射装置を攻撃できるだろうか? 彼らは明らかにそれを達成できていない。それとも、イランはワシントンとテルアビブの思惑を変えるほど長く戦い続けることができるだろうか? イランは徐々にエスカレートを続け、この戦争をペルシア湾岸諸国とヨーロッパにとって財政的にも物質的にもますます高くつくものにしていくだろう。

RA:あなたが「抵抗の枢軸(the Axis of Resistance)」と呼ぶ、この地域におけるイランのいわゆる代理勢力(proxy groups)について、概要を説明してもらえるだろうか? 彼らの現在の能力はどの程度で、どのポイントで戦闘に参戦する可能性があると考えるか?

VN:この戦争に実質的な影響を与える能力が最も高い代理勢力はフーシ派だ。彼らのミサイル火力は健在だからだ。彼らはイスラエルやスエズ運河、紅海の船舶を標的にする可能性がある。また、特定のシナリオでは、ペルシア湾岸諸国との停戦を破棄し、サウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)の後方、そしてペルシア湾岸諸国のアメリカ軍基地を攻撃し始める可能性もある。確かに、アメリカ、イスラエル、そしてサウジアラビアは彼らに対抗できるが、それは同時にイエメンへの注意をある程度逸らすことも意味する。

同様に、ヒズボラはイスラエルに真の打撃を与える立場にはないが、空爆やレバノンへの部隊派遣などによって、イスラエルを北の国境に焦点を絞らせるのに十分な注意散漫(a sufficient amount of distraction)を引き起こすことができる。つまり、イランの戦略は、これらのうちどれか1つがイスラエルとアメリカに大きな変化をもたらすということではなく、アメリカとイスラエルが想定していたよりもはるかに広大な戦場でのこの組み合わせが、状況を変えることができるということだ。

イスラエルとアメリカは、イランとの戦闘を2つの回廊(corridors)に沿って計画している。1つは空中回廊(the air corridor)における攻防、もう1つはイランと地域内のアメリカ軍基地間の回廊(the corridor between Iran and U.S. bases in the region)だ。イランはこれを湾岸地域内の民間人居住地域だけでなく、より広範な地域にも拡大しようとしている。そのため、より広範な地域で低速で戦闘を繰り広げ、より長く戦闘を継続することが、イランにとって有利に働く。

RA:ここでの主要三国、イラン、イスラエル、アメリカは、民間人の損失、インフラの損害、そして軍事的損害に関して、それぞれどの程度の痛みに耐えられるかという許容度(a different pain tolerance)が異なり、それを超えると計算が劇的に変わる可能性があるように思う。あなたの説明からすると、イランの痛みの許容度が驚くほど高いように思われる。最高指導者を失い、依然として代理勢力を使って軍事的に手控えている。これらの計算が変わるまでに、イランはあとどれだけの痛みに耐えられると考えるか?

VN:イランは痛みに耐えられるだろう。問題は、彼らの能力がいつ弱まるかだ。彼らは、イスラム共和国、革命、そして国家さえも生き残る唯一の方法は、この戦いに粘り強く取り組むことだと決断した。特に、この一連の暗殺事件は、指導者たちに、自分たちの誰かが、あるいは全員が、いつ殺されるか分からないという確信を与えている。つまり、彼らはこの戦いに全力を注いでいる(o, they’re all in on this fight)。

イスラエルはまた、痛みに関して高い閾値を持つ。今やイランとその代理勢力を打倒することを自らの使命とし、国民の決意と支持も得ている。しかし、それがどのポイントで変化する可能性があるかは予測できる。イスラエルには世論があり、政府が実際に対応しなければならない場合もあるからだ。イランには、特に1月の弾圧以降、このような世論がない。

アメリカはアキレス腱(the Achilles heel)だ。特にトランプ自身が厄介な軍事紛争に神経質になっているためだ。彼の支持基盤はこれを好ましく思っておらず、トランプ自身も支持基盤やアメリカ国民に対して戦争の必要性を訴えていない。ガソリン価格の高騰や、アメリカ国内で悪評を招くような甚大な被害に、トランプは最も反発するだろう。イランがこの脆弱性を突くのは当然のことであり、まさにトランプにとって試練の時だ。

ここでの危険の1つは、イランが2025年6月の戦争終結時の状況に戻りたくないと思っていることだ。イランにとって、これは最後の戦い(the last battle)だ。彼らは完全に敗北して敗走するか、今後のゲームのルールを変えることができるか、つまり、今後しばらくはアメリカやイスラエルとの戦争は起こらないかのどちらかだ。つまり、彼らの計算はトランプのそれとは大きく異なる。

RA:あなたの発言から敷衍して、ホワイトハウスはイランに関して十分な助言を得ているという印象を持つか? 彼らはイランの「痛みの閾値(pain threshold)」をきちんと計算しているだろうか?

VN:そのようには考えていない。アメリカ特使スティーヴ・ウィトコフが、大統領はイランが屈服しないことに苛立ちを感じていると述べたが、それはイラン側の計算を完全に誤解しているというだけのことだ。彼らは戦場の状況評価を見て、事態が自分たちの考えとは異なっていること、そしてハメネイ師殺害にもかかわらずイラン側がまだ降伏する準備ができていないことを理解しているはずだ。

これは、敵対国の考え方を読み間違えた、トランプの大きな誤算だったと私たちは見なすことになるかもしれない。

RA:アラブ首長国連邦、カタール、サウジアラビア、オマーン、バーレーンといった多くのペルシア湾岸諸国は、イランからの攻撃に直面している。民間人の犠牲やインフラへの被害が出ている。これらの国々は一枚岩(a monolith)ではないため、それぞれ異なる反応を示すことを私は認識しているが、どのような反応を示す可能性があるのか​​、大まかな考えを教えていただけるだろうか?

VN:ペルシア湾岸諸国は大きなジレンマに直面している。それは、イランを攻撃するため、あるいはイランの攻撃から守るためにアメリカ軍基地を受け入れているということだ。しかし、実際には、これらの基地は湾岸諸国を守ることができていない。

イランもまた、湾岸諸国を攻撃することを決断した。それは、彼らがアメリカを支持しているからではなく(それが口実ではあるが)、湾岸諸国の経済とエネルギー供給に打撃を与えることが世界経済に悪影響を与えるからだ。つまり、イランは世界経済を混乱させ、影響を与えることでトランプ大統領に圧力をかけようとしている。つまり、湾岸諸国にある程度のリスクを与えると同時に、湾岸諸国の経済はイランとの戦争とは無縁で、潤沢に成長し、収益を上げ、世界の経済的繁栄の源泉となり得るという誤った考えを世界に払拭する必要があるということだ。イランは湾岸諸国を戦争に巻き込むことで、自国に有利なように世界経済全体に圧力をかけている。

現在、湾岸諸国が抱える問題は、もし彼らがアメリカとの戦いに加わった場合―軍事バランスが実際に変わる訳ではないが―イランの政権が生き残った場合、数十年にわたってイランの攻撃を受けるリスクに晒されるということだ。そうなれば、彼らの経済は破綻するだろう。もし彼らがアメリカとの戦いに加わらず、イランの政権が生き残った場合、イランからのリスクは消えない。

RA:今回のアメリカとイランの協議で主要な仲介役を務めたオマーンの外務大臣は先週アメリカを訪れ、アメリカ側が公に述べていたよりも協議は順調に進んでいたとメディアに語った。彼は、イランは核開発計画の放棄に実質的に同意したと述べた。なぜオマーンは、アメリカの見解とは異なる見解を公然と表明したのだろうか?

VN:私は、これは実に興味深く、同時に懸念も抱かせた。なぜなら、彼がそうした時、私はそれが窮余の策だったと感じたからだ。トランプ大統領に適切な説明がなされていない、あるいはアメリカ全体がジュネーブでの成果を理解していないという確信があったのだろう。彼がここに来て、その成果を直接伝える最後の行動だった。彼は明らかに国王の支持を得ており、オマーンも合意は達成されたが、それが損なわれていると主張してトランプ大統領に対抗する価値があると判断したのだろう。

RA:これから1カ月、2カ月、3カ月、あるいは6カ月後に、どのような中東情勢が生まれると考えるか?

VN:中東地域はしばらくの間、不安定な状態が続くだろう。それはこの戦争だけでなく、2023年10月7日以降に起こったあらゆる出来事が、約40年間この地域で支配的だった力の均衡(the balance of power that was dominant in the region for about four decades)を崩したためだ。そこには勝者と敗者がおり、新たな均衡は構築されていない。

この戦争は、イランを殲滅させ、この地域におけるイスラエルの立場を強めることで、その均衡を確立するための一環となっている。従って、この戦争の後も、その結末次第ではあるが、中東はしばらくの間、新たな均衡を模索し続けることになるだろう。私が懸念しているのは、アメリカ政権がこうした視点を全く持っていないことだ。アメリカにとって中東における最適な均衡とは何か、そしてそれをどのように達成するかというヴィジョンを全く持たずに、取引的にこの地域に対処しているのだ。

※ラヴィ・アグラウワル:『フォーリン・ポリシー』誌編集長。Xアカウント:@RaviReports

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 2026年2月28日に開始されたアメリカとイスラエルによるイランに対する空爆とミサイル攻撃は収束を見せていない。イラン側からはイスラエルや湾岸諸国にあるアメリカ軍基地や関連施設に対する報復攻撃やホルムズ海峡封鎖通告もあり、世界経済への悪影響が懸念される。何よりもイラン国内では民間人の使者が出ており、アメリカ軍にも死者が出ている。湾岸諸国は厳しい状態になっている。

 イランの核開発に関しては、バラク・オバマ政権時代に、アメリカとイランの間で核兵器開発は行わないという合意に達していた。しかし、その後、第一次ドナルド・トランプ政権時代にこの合意はアメリカ側によって一方的に破棄された。続くジョー・バイデン政権では、核開発に関する合意に向けた動きもあったが合意には至らなかった。第二次トランプ政権下では交渉が行われていた。そうした中で、トランプ大統領は、そして、トランプ政権はどうしてイランへの大規模攻撃を決断したのか。

 端的にまとめれば、今回のイラン攻撃の基にある論理構成は、「イスラエルはイランのミサイル開発や核開発を存亡にかかわる脅威と捉え、イランの最高指導部を弱体化し、イラン政府の転覆を図るために攻撃を決意した。その決意を覆すことは難しい。イスラエルがイラン攻撃を実行すれば、中東地域にあるアメリカ軍基地も攻撃を受けて大きな被害が出る。その被害を避けるために、イスラエルと一緒になって攻撃をイランへの攻撃を行う」というものだ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がドナルド・トランプ大統領に積極的な働きかけを行い(一種の暗示をかけて[洗脳をして])、アメリカ軍によるイランへの大規模攻撃が決定された。アメリカ軍制服組トップの統合参謀本部議長のダン・ケイン大将は、リスクが高いという進言を行い、間接的に反対を表明した。また、JD・ヴァンス副大統領(高校卒業後に海兵隊に入隊しイラクへの派遣経験あり)は作戦を行うならば「大規模にかつ迅速に(go big and go fast)」行うようにと述べたとされている。これは作戦が長引くことを避けるために(泥沼[quagmire]にはまるを避けるために)、このように述べたようだ。

 イランはアメリカにとって存亡にかかわる差し迫った脅威(existential threat)ではない。従って、大規模攻撃を行って、イランの政府転覆から体制転換を行う必要は、少なくとも緊急的にはなかった。結局、イスラエルに乗せられて戦争を始めてしまったということになる。ネタニヤフ首相は汚職の疑惑に直面し、首相の座を降りれば、家族も一緒に訴追されるという危険な状態にある。ネタニヤフ首相が個人的な利益のためにこのような戦争を始めたとするならば(その可能性が高い)、これは人類に対する大いなる犯罪行為ということになる。そして、トランプ大統領は、有権者の期待(アイソレイショニズムとアメリカ・ファースト)を裏切ってこのような校に加担した共犯者ということになる。彼らの罪は「万死に値する」ものである。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領はどのようにして開戦を決意したか(How Trump Decided to Go to War

-トランプ大統領がイランへの軍事行動を支持したのは、外交交渉の終結を決意したイスラエルのある指導者の行動がきっかけだった。大統領の補佐官のなかでこれにきちんと反対したのはほぼいなかった。

マーク・マゼッティ、ジュリアン・E・バーンズ、タイラー・ペイジャー、エドワード・ウォン、エリック・シュミット、ローネン・バーグマン筆(記者たちは数十年にわたりワシントンと海外でアメリカのこれまでの戦争を協力して取材してきた)
2026年3月2日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/2026/03/02/us/politics/trump-war-iran-israel.html

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は2026年2月11日の朝、米大統領執務室に入り、アメリカ大統領を戦争への道へと進ませる決意を固めていた。

数週間にわたり、アメリカとイスラエルはイランに対する軍事攻撃について秘密裏に協議を続けてきた。しかし、トランプ政権当局者たちは最近、イランの核開発計画の将来について交渉を開始しており、イスラエルのネタニヤフ首相は、新たな外交努力が計画に支障をきたさないよう万全を期したいと考えていた。

約3時間にわたり、両首脳は戦争の可能性、さらには攻撃の可能性のある日時、そしてトランプ大統領がイランと合意に至る可能性(可能性は低いものの)について協議した。

数日後、トランプ大統領は外交ルートに懐疑的な姿勢を公に表明し、イランとの交渉の歴史は長年にわたる「話し合い、話し合い、そして話し合い(talking and talking and talking)」に過ぎないと一蹴した。

トランプは、イランの体制転換(regime change)を望むかとの記者団の質問に対し、「それが起こり得る最良のことのように思える(“seems like that would be the best thing that could happen)」と答えた。

2週間後、大統領はアメリカを戦争へと導いた。イスラエルと連携した大規模な軍事爆撃を承認した。この爆撃により、イランの最高指導者は瞬く間に殺害され、イランの民間施設や軍事核施設が壊滅的な被害を受けた。イランは混乱に陥り、中東地域全体で暴力が発生し、これまでにアメリカ兵6人とイラン民間人数十名が死亡した。トランプは、数週間に及ぶ可能性のある攻撃に備え、アメリカ軍の犠牲者が増える可能性が高いと述べている。

公の場では、トランプは軍事行動への道筋を迂回しているように見え、イラン政府との合意を望むと言いながら、同時にイラン政府を打倒したいと言い続けた。アメリカ国民に今こそ戦争が必要だと納得させようとはほとんど努力しなかった。トランプと側近たちが主張した根拠は限定的で、イランがアメリカにもたらす脅威の緊迫さの度合いに関する虚偽の主張も含まれていた。

しかし、水面下では、トランプ大統領の戦争への動きは容赦なく強まっていた。その原動力となったのは、ネタニヤフ首相をはじめとする同盟者たちであり、彼らは大統領にイランの神権政治体制(Iran’s theocratic government;)に対する決定的な打撃を与えるよう圧力をかけていた。また、1月にヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を打倒したアメリカによる作戦成功を受け、トランプ大統領自身も自信を深めていた。

トランプ大統領がイランへの持続的な攻撃を開始する決断を下した経緯を再現する本稿は、協議内容を直接知る関係者たちに加え、地域の外交官、イスラエルとアメリカの政権関係者、大統領のアドヴァイザーたち、連邦議会の議員たち、国防・情報当局者など、あらゆる立場の関係者の証言に基づいている。ほぼ全員が匿名を条件に、デリケートな議論や作戦の詳細について語ってくれた。

アメリカがイランを攻撃する決定を下したことは、弱体化した体制を攻撃すべきだと主張し、数カ月間トランプ氏に働きかけてきたネタニヤフにとっての勝利であった。昨年12月にトランプの別荘マール・ア・ラーゴで行われた会談で、ネタニヤフは今後数カ月以内にイスラエルがイランのミサイル基地を攻撃することについて大統領の承認を求めていた。

2カ月後、彼はさらに素晴らしいものを手に入れた。イラン指導部を打倒するための戦争における完全なパートナーを得た。

ホワイトハウスのキャロライン・リーヴィット報道官は月曜日の声明で、トランプ大統領は歴代大統領が立ち向かおうとしなかった脅威に立ち向かうという「勇気ある決断(courageous decision)」をしたと述べた。

大統領の側近の中で軍事行動に反対する者はほぼいなかった。中東地域におけるアメリカの軍事介入(military interventions)に長年懐疑的だったJD・ヴァンス副大統領でさえ、ホワイトハウスのシチュエーションルームでの会合で、もしアメリカがイランを攻撃するのであれば「大規模かつ迅速に行うべきだ(go big and go fast)」と主張したとヴァンスの発言を知る関係者は語っている。

同じ会合で、トランプの首席軍事補佐官である統合参謀本部議長ダン・ケイン将軍は、戦争はアメリカ軍に多大な犠牲をもたらす可能性があると大統領に伝えた。数日後、トランプは国民に対し、軍事補佐官がはるかに安心感を与えてくれたと語った。彼はトゥルース・ソーシャルへの投稿で、ケイン将軍がイランに対するいかなる軍事行動も「容易に勝利できる(something easily won)」だと述べたと述べている。

他の政権当局者も、連邦議員との非公開会合で同様に誤解を招く発言をした。2月24日に行われたいわゆる「ギャング・オブ・エイト(Gang of Eight)」(連邦上下両院の民主共和両党指導部と連邦上下両院情報諜報委員会の指導部)との会合で、マルコ・ルビオ国務長官は、トランプ政権が体制転換を検討していることに一切言及しなかったと発言に詳しい関係者は述べている。

3日後、トランプ大統領は、テキサス州コーパスクリスティでのイヴェントに出席するため大統領専用機エアフォースワンに搭乗中、イランの最高指導者の殺害をはじめとして、継続的な攻撃を命じた。

「“壮大な怒り作戦(Operation Epic Fury)“を承認する」とトランプ大統領は述べた。「中止は認めない。幸運を祈る」。

ホワイトハウスは、イランとの外交交渉は単なる芝居ではないと主張していた。しかし、この1カ月で、トランプ大統領、ネタニヤフ首相、そしてイランの指導者たちを一度に満足させるような合意、あるいは戦争を数カ月以上先送りできるような合意など、到底あり得ないことが明らかになった。

交渉は何も成果をもたらさなかったが、トランプ大統領にとっては別の目的があった。それは、中東地域におけるこの世代で最大規模のアメリカ軍増強を完了させ、トランプ大統領の言葉を借りれば「圧倒的な力と破壊力(overwhelming strength and devastating force)」による戦争を遂行するための時間を確保することだった。

日曜日のニューヨーク・タイムズ紙のインタヴューで、トランプ大統領は、イランが自分の望むものを決して与えないと確信したと述べた。

「交渉の終盤で、私は彼らがそこにたどり着くことはないと悟った」とトランプは語った。 「『とにかくやってみよう』と私は述べた」。

●急速な戦力増強(A Rapid Buildup

2026年1月中旬、トランプ大統領がイランを揺るがす反政府デモへの支援としてイランへの攻撃を初めて警告した当時、国防総省は中東地域で長期戦を遂行できる状況になかった。

当時、中東地域に米空母は存在せず、戦闘機部隊はヨーロッパとアメリカに駐留していた。また、中東各地に点在する約4万人のアメリカ軍部隊が駐留する基地は、予想されるイランの報復から身を守るための防空システムが不足していた。

イスラエルもまた、2025年12月のマール・ア・ラーゴでの会談でネタニヤフ首相がトランプ大統領と協議した軍事作戦の準備が整っていなかった。ミサイル迎撃ミサイルの供給を強化し、イスラエル全土に防空高射砲台を配備するには、より多くの時間が必要だった。

2026年1月14日、ネタニヤフ首相はトランプ大統領に電話をかけ、イスラエルの防衛準備が完了する月末まで軍事攻撃を延期するよう要請した。トランプは待つことに同意した。

両首脳はその後数週間にわたり数回会談した。ネタニヤフ首相はヴァンス副大統領、ルビオ国務長官、そしてホワイトハウスの対イラン交渉担当責任者であるスティーヴ・ウィトコフ特使とも協議した。イスラエルの軍と情報諜報機関の高官たちはワシントンに飛び、イスラエル国防軍参謀総長のエヤル・ザミール中将はアメリカ中央軍のブラッド・クーパー大将と定期的に連絡を取った。

2026年1月下旬までに、イランの抗議活動は容赦なく鎮圧されたが、戦争計画は順調に進んでいた。アメリカ軍はトランプ大統領に対し、イラン国内の施設への空襲実施のためにアメリカ軍を派遣するなど、幅広い選択肢を提示した。

2隻の空母と12隻の支援艦艇が中東地域に向けて出航し、国防総省は戦闘機、爆撃機、空中給油機、防空砲台を派遣した。

2月中旬までに、国防総省は数週間にわたる軍事作戦を遂行できる戦力を配置した。

その頃、ウィトコフと大統領の義理の息子であるジャレッド・クシュナーは、トランプ大統領の指示に従い、イランと間接的な核協議を行っていた。

しかし、トランプ政権が警戒している兆候もあった。

ルビオ国務長官は2月16日、ブダペスト訪問中に記者団に対し、次のように述べた。「イランは最終的にはシーア派聖職者、それも過激なシーア派聖職者によって統治され、その決定はシーア派聖職者によって行われていることを理解する必要がある。彼らは純粋な神学(theology)に基づいて政策決定を下す。そういうやり方で意思決定をする。だから、イランと合意するのは難しい」。

メッセージは明白だった。協議はイランの核開発計画の解体に関するものだったが、その目的はイランの指導層の排除にある可能性があった。

ウィトコフが2月21日、フォックスニューズのインタヴューで、トランプがイランが「ゼロ濃縮(zero enrichment)」、つまり核燃料生産能力の解体に難色を示していることに触れた時、その意味が明らかになった。

「トランプは、なぜイランが降伏しないのか、つまり『降伏した(capitulated)』という言葉は使いたくないが、なぜ降伏しないのかを知りたいようだ」とウィトコフ氏は述べた。

さらに、「なぜ、これほどの圧力を受け、我々があちらで保有する海軍力の規模を考えれば、彼らは私たちに『私たちは、核兵器は欲しくないと主張する。だから、我々が用意しているのはこれだ』と言ってくれないのか?」と付け加えた。

「しかし、彼らをその立場に追い込むのは容易ではない」とウィトコフは述べた。

大統領の補佐官たちにとって、大統領が何らかの軍事攻勢を強く検討していることは明らかだった。問題は、その軍事作戦の規模と、それが具体的に何を達成しようとしているのかということだった。

●複数の選択肢の評価(Assessing the Options

2026年2月18日、季節外れの暖かさが続くワシントンで、ヴァンス、ルビオ、ジョン・ラトクリフCIA長官、そしてホワイトハウス大統領首席補佐官スージー・ワイルズは、トランプ大統領と共にシチュエーションルームに集まり、軍事計画について協議した。

会議中、ケイン大将は様々な選択肢について議論した。その中には、アメリカ軍がイランを交渉に押し込むための限定的な攻撃を行うか、あるいはイラン政府転覆を目的としたより大規模な作戦を行うかが含まれていた。特に後者の選択肢は、アメリカ軍の死傷リスクが高く、中東地域の安定を揺るがし、アメリカ軍の兵器備蓄を大幅に枯渇させる可能性があるとケイン将軍は述べた。

ケイン大将は、検討中の選択肢はどれも、ヴェネズエラのマドゥロ大統領の拘束に成功するよりもはるかに困難であると強調した。大統領は、この作戦について、イランにおけるアメリカの成功の兆しと見ていた。

ケイン将軍の報道官ジョー・ホルステッドは、大統領と国防長官に提示された「選択肢と検討事項(options and considerations)」は機密事項であるとしてコメントを控えた。

一方、個人的には軍事攻撃に反対の姿勢を示しているとみられるヴァンス副大統領は、限定的な攻撃は誤りだったと主張した。アメリカがイランを攻撃するのであれば、「大規模かつ迅速に(go big and go fast)」行うべきだとヴァンスは出席者たちに語った。

ヴァンス副大統領の報道官はコメントを拒絶した。

会議の前、トランプはまず小規模な攻撃を行い、イランが核濃縮を放棄しない場合は大規模な攻撃を行うという戦略に傾倒していたように見えた。しかし、ヴァンス副大統領の主張は反響を呼んだようだ。そしてその後数日間で、アメリカとイスラエルはイランのミサイル・核開発計画だけでなく、指導部自体も一緒に攻撃すべきだという考えに傾く当局者が増えていった。

CIAは、イランの最高指導者(supreme leader)であるアリ・ハメネイ師が攻撃で殺害された場合に起こり得るシナリオをいくつか作成した。多くの変数(variables)があるため、CIAが確信を持って何が起こるかを判断するのは困難だったため、複数のシナリオを提示した。

1つのシナリオは、ハメネイ師に代わる強硬派の聖職者、ひょっとすると核兵器取得にさらに傾倒する指導者が登場するというものだ。別のシナリオは、政府に対する反乱を予測するものだったが、イランの反体制派の弱体化を考えると、情報当局者の多くは反乱の可能性は低いと考えていた。

複数のトランプ政権の高官は、第三のシナリオを予測した。それは、強硬派聖職者よりも現実的なイスラム革命防衛隊(the Islamic Revolutionary Guard CorpsIRG)の1つの派閥が権力を握るというものだ。名目上は聖職者が引き続き権力を握る可能性が高いものの、実際にはイスラム革命防衛隊の指導者たちが国を率いることになるというものだ。

このような動きは、40年にわたり強硬な反米姿勢を貫き、イランの聖職者指導部と深く結びついてきた将校団(an officer corps)にとって、劇的な転換となるだろう。

しかし、CIAの分析によると、アメリカがこの派閥の経済活動、例えば石油産業への影響力に干渉しない限り、一部の将校はアメリカに対して融和的な姿勢を示す可能性がある。彼らはイランの核開発計画を放棄したり、イランの代理勢力によるアメリカへの攻撃を阻止したりするかもしれない。

CIAはコメントを拒絶した。

軍事行動に反対するロビー活動はほとんどなかった。唯一の例外は、右派のポッドキャスターであり、大統領に近い同盟者でもあるタッカー・カールソンだ。彼は過去1カ月間に3回、大統領執務室で大統領と面会し、攻撃に反対する主張を展開した。

カールソンは、アメリカがイランと戦争に突入した場合、アメリカの軍人、エネルギー価格、そして地域におけるアラブ諸国へのリスクを説明した。カールソンは大統領に対し、イスラエルによってアメリカが窮地に陥るべきではないと述べ、アメリカが攻撃を検討しているのはイスラエルがイランを攻撃したいという願望があるからに他ならないと主張した。また、トランプ大統領に対しネタニヤフ首相を牽制するよう促した。

トランプ大統領は攻撃のリスクを理解していると述べたものの、カールソンにはイスラエルが始める攻撃に参加する以外に選択肢はないと伝えた。

カールソンは2月23日正午、ホワイトハウスを去った後、トランプは軍事行動に傾いていると考えていると関係者たちに語った。

●外交の最終段階(One Last Round of Diplomacy

ホワイトハウスは、トランプ大統領に対し対イラン作戦開始にあたり連邦議会の同意を得るよう求める一部議員の要請を無視し、連邦議会で戦争の必要性を訴える努力もほとんどしなかった。

しかし2月24日、トランプ大統領の一般教書演説の数時間前、いわゆる「ギャング・オブ・エイト(Gang of Eight)」と呼ばれる議員たちが議事堂内の厳重な会議室に集まり、ルビオ国務長官とラトクリフとヴィデオ会議で協議した。両者はペンシルヴァニア通りを少し下ったホワイトハウスにいたが、大統領演説の警備体制の都合上、2マイル(約3.2キロメートル)の移動は困難を極めた。

ルビオとラトクリフは、今回の攻撃の背景にある情報、攻撃のタイミング、そしてイランが今後の協議で核濃縮を放棄した場合の「出口(offramp)」の可能性について話し合った。

しかし、ルビオは政権が政権転覆作戦を検討していることには一切言及しなかった。

ルビオ国務長官はブリーフィングで、イスラエルとアメリカのどちらが先に攻撃したとしても、イランはアメリカ軍基地や大使館に対し強力な武器の集中攻撃で反撃すると主張した。いずれにせよアメリカは巻き込まれることになるため、アメリカがイスラエルと協力して行動するのは理にかなっているとルビオは述べた。そしてイスラエルは行動する決意をしているとルビオは述べた。

この論理は民主党員の一部の耳には心地よくなかった。彼らは、トランプ政権がネタニヤフ首相にアメリカの政策を左右させ、アメリカの軍備増強がイランの攻撃を誘発する可能性があるため、アメリカは攻撃せざるを得ないという循環論法(a circular argument)を展開していると考えていたのだ。

一般教書演説の2日後の木曜日、ウィトコフとクシュナーはジュネーブを訪れ、英語を話し、アメリカについて詳しいイランのアッバス・アラグチ外相と再び交渉を行った。

イラン側はアメリカに対し、将来の核濃縮レヴェルを示唆する7ページにわたる計画を提示したが、その数値がウィトコフとクシュナーを警戒させた。

アメリカ側は依然としてイランに対し濃縮ゼロを約束するよう求め、民生用核開発計画のための核燃料の無償提供を提案したが、イラン側は拒否したと、あるアメリカ政府当局者は述べた。協議終了後、ウィトコフとクシュナーはトランプに対し、合意に至る可能性は低いと伝えた。

その日、トランプは大統領執務室に共和党所属の連邦上院議員4名を招き、自身の立法議題について協議した。会話は最終的にイラン問題へと移った。

サウスカロライナ州選出の共和党議員で、イラン攻撃を声高に支持するリンジー・グラム連邦上院議員は、大統領は苛立ち、イラン側が合意に関心を示していないと考えていると述べた。

グラム議員はインタヴューで、「トランプ大統領は外交を追求する必要があると強く感じていたと思う。外交を追求することを望んでおり、軍事的選択肢は最後の手段だと思っていた」と述べた。グラム議員はトランプ大統領に対し、イラン側が交渉を長引かせるだろうが、そうさせるべきではないと伝えたということだ。

「彼(トランプ)は自分が試みたことに非常に満足していた」とグラム議員は述べた。

一方で、外交は単なるパントマイムであり、必ず失敗する運命にあると考える者もいる。

ジョー・バイデン政権で国務次官補として中東政策を担当した元外交官のバーバラ・リーフは、トランプが軍事行動へと向かうことは避けられないことは明らかだと述べ、協議の最中に2つ目の空母打撃群をこの地域に派遣したことを指摘した。

リーフは次のように述べた。「あれは戦争計画(war planning)の証拠だった。外交でより有利になるために、そんなものは必要ない。彼が軍事攻撃に出るだろうということを、私は全く疑っていなかった」。

●情報諜報機関によるクーデター(An Intelligence Coup

実際、アメリカとイスラエルは、ジュネーブでの会談前日の水曜日に既に攻撃の可能性について協議していた。ホワイトハウスは、イランに核濃縮への野望を諦めさせる最後のチャンスを与えるため、攻撃時期を木曜日の夜に延期した。その後、夜間に紛れてテヘランを攻撃するという案で、攻撃時期は金曜日まで延期されました。

この時期は、最終的に驚くべき諜報活動によって決定された。

ハメネイ師の動向を綿密に追跡していたCIAは、最高指導者が土曜日の朝、テヘラン中心部の自宅敷地内に滞在する予定であることを掴んだ。イランの文民および軍の高官たちも、同じ場所で同時刻に会合を開く予定だった。

CIAはこの情報をイスラエルの情報諜報機関に渡し、両国の指導者は、日中に大胆な「斬首(decapitation)」攻撃で戦争を開始することを決定した。

トランプは金曜午後、エネルギーに関する演説を行うためにテキサス州のコーパスクリスティに飛び立つ際、正式なゴーサインを出した。

地上に降り立った大統領は、外交の行き詰まりを示唆し、記者団に対し「交渉に満足していない」と述べた。イランは何十年もの間、「我が国の国民の足、顔、腕を吹き飛ばしてきた。彼らは我が国の船舶を次々と攻撃し、毎月何かを起越している」と述べた。

イラン当局者4名によると、アメリカが攻撃を準備しているという兆候は十分にあったものの、イラン側は日中に攻撃が行われる可能性は低いと考えていたという。

それはイランの週明けの土曜日の朝で、子供たちは学校へ、大人たちは仕事へ向かっていた。

最高国家安全保障会議(the Supreme National Security Council)の会合に出席した人々は、アメリカやイスラエルのスパイに知られていない可能性のある地下バンカーやその他の秘密の場所で会合を開く必要性を感じていなかった。

複数の当局者によると、ハメネイ師は側近に対し、戦争が勃発した場合、身を潜めた指導者として歴史に裁かれるよりも、その場に留まり殉教者(a martyr)となることを望むと語ったという。

高官たちが会議のために集まっている間、彼は敷地内の別の場所にある執務室にいた。会議終了後、説明を求めていた。

ミサイルは会議開始直後に着弾した。

※ヘレーネ・クーパー、ファーナズ・ファシヒ、ゾルラン・カンノ=ヤングス、デイヴィッド・E・サンガー、マイケル・クロウリーが本稿の作成に貢献した。

※マーク・マゼッティ:ワシントンDCを拠点とする、国家安全保障、情報諜報、外交問題を専門とする調査報道記者。CIAに関する著作がある。

※ジュリアン・E・バーンズ:『ニューヨーク・タイムズ』紙アメリカの情報諜報機関と国際安全保障問題担当記者。20年以上にわたり安全保障問題について書いてきた。

※テイラー・ペイジャー:『ニューヨーク・タイムズ』紙ホワイトハウス担当記者。トランプ大統領とトランプ政権を担当している。

※エドワード・ウォン:『ニューヨーク・タイムズ』紙記者。国際問題、アメリカ外交政策、国務省を担当。

※エリック・シュミット:『ニューヨーク・タイムズ』紙国家安全保障担当記者。30年以上にわたりアメリカの軍事問題とテロ対策を取材。

※ローネン・バーグマン:テルアヴィヴを拠点とする『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』誌スタッフライター。
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連邦議員たち:イスラエルのイラン攻撃計画がトランプ大統領の攻撃決定を決定づけた

アレクサンダー・ボルトン筆

2026年3月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5764030-trump-administration-iran-strikes-israel/

民主、共和両党の有力議員たちは月曜日、トランプ政権が今週末、イラン全土への爆撃とミサイル攻撃を開始する決定を行ったが、この決定は、アメリカの支援の有無にかかわらず、イスラエルがイランを攻撃する計画に大きく左右されたと述べた。

複数のトランプ政権高官は、議会で行われた機密ブリーフィングで、民主、共和両党の議員たちに対し、イスラエルのイラン攻撃計画は、アメリカが中東各地の基地に駐留するアメリカ軍兵士を守るため、先制行動(preemptive action)を取らざるを得ない状況に追い込んだと述べた。国防総省は、これらの兵士たちが報復攻撃(retaliatory strikes)の標的になると考えていた。

連邦上院情報諜報委員会の副委員長を務めるマーク・ワーナー連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は、ブリーフィングに出席し、同盟国(イスラエル)からの圧力を受けて他国(イラン)への大規模軍事攻撃を開始する決定は、アメリカを「未知の領域(“uncharted” territory)」に陥れたと述べた。

ワーナー議員は、「これは依然として選択的な戦争であり、他国からも認められているように、イスラエルの目標とタイムラインによって決定づけられたものだ」とブリーフィングで記者団に語った。

マルコ・ルビオ国務長官、ピート・ヘグゼス国防長官、ジョン・ラトクリフCIA長官、ダン・ケイン統合参謀本部議長は月曜日の午後、連邦議員たちにブリーフィングを行った。

ワーナー議員はイスラエルを支持すると述べたものの、差し迫った脅威(an imminent threat)がアメリカ自身ではなく同盟国に向けられている可能性があるにもかかわらず、アメリカ人の命を危険に晒すという決定には疑問を呈した。

ワーナー議員は「イスラエルはアメリカの偉大な同盟国だ。私はイスラエルを断固として支持する。しかし、結局のところ、アメリカ兵を危険に晒すこと、そしてアメリカ人の犠牲者やさらなる犠牲者が出ると予想される状況においては、アメリカの利益に対する差し迫った脅威の証拠が必要だと考えている。私は依然としてその基準を満たしていないと考えている」と述べた。

ワーナー議員は、もしイランに対する軍事作戦が「アメリカに対するイランからの差し迫った安全保障上の脅威によって推進されていたのであれば、私たちはより適切な計画を立てていたはずだ」と主張した。

マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)はブリーフィング後に記者団に対し、イスラエルがアメリカの支援なしでも軍事作戦を開始し、中東地域に駐留するアメリカ軍が危険に晒されることが明らかになったため、トランプ大統領はイランへの攻撃を命じるという、難しい決断に直面したと述べた。

ジョンソン議長は、「イスラエルは、アメリカの支援の有無にかかわらず、自国の防衛のために行動する決意を固めていた。それは何故か? それは、イスラエルが存亡にかかわる脅威(an existential threat)と見なす脅威に直面していたからだ。イランは急速にミサイルを製造しており、中東地域の同盟諸国はそれに対応できないほどになっていた」と述べた。

ジョンソン議長はさらに、「イスラエルがアメリカの支援の有無にかかわらず行動する決意を固めていたので、私たちの最高司令官、政権、そして閣僚は非常に難しい決断を迫られた。彼らは、アメリカ、私たちの軍隊、私たちの施設、そしてこの地域とそれ以外の地域にある私たちの資産に対する脅威を評価する必要があった」と語った。

ジョンソン議長は、トランプ政権の高官たちは「もしイスラエルがイランの兵器庫を破壊するために攻撃すれば」、イランは「即座にアメリカ軍の人員と資産に対して報復するだろう」と判断していたと述べた。

「もし私たちがそうした事態が起こるまで待っていたら、私たちの不作為(inactions)の結果は壊滅的なものになっていただろう」とジョンソン議長は主張した。

「もしイランが短距離・中距離ミサイルを含む全てのミサイル兵器を我が国の人員、資産、施設に向けて発射し始めていたならば、私たちは甚大な損失を被っていただろう」とジョンソン議長は語った。

「もし私たちが先に行動を起こす前に対応を待っていたら、私たちが行ったような行動をとった場合よりもはるかに大きな損失になっていただろう」とジョンソン議長は付け加えて述べた。

ルビオ国務長官はブリーフィング前に記者団に対し、イスラエルの攻撃に対するイランによるアメリカ軍への報復の脅威が、イラン全土へのアメリカ軍による攻撃開始の決定の原動力となったと述べた。

「私が受けた2つ目の質問は、『なぜ今なのか?』だ。攻撃開始が今である理由は2つある。1つ目は、イランがアメリカであれイスラエルであれ、あるいは誰であれ攻撃を受けた場合、イランはアメリカに対して報復措置を取ることは明白だった」とルビオ国務長官は述べた。

ルビオ長官は、イランによるアメリカ軍とアメリカ軍施設への報復命令は、イスラエルとアメリカが週末の攻撃を開始するずっと前に、現場の指揮官に任されていたと述べた。

ルビオ長官は「もし私たち(アメリカ)が攻撃を仕掛ける前に、彼ら(イスラエル)の攻撃をただじっと待っていたら、はるかに大きな犠牲を生み出していたことだろう」と述べた。

ルビオは次のように主張した。「大統領は非常に賢明な決断を下した。イスラエルの行動は必ず起こると分かっていたし、それがアメリカ軍への攻撃を誘発することも分かっていた。そして、イスラエルが攻撃を開始する前に先制攻撃をしなければ、より多くの犠牲者が出ることも分かっていた」。

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〇「米国のイラン攻撃、イスラエルの策略か? トランプ派内で対立激しく」

日本経済新聞 202634 5:51

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0401G0U6A300C2000000/

【ワシントン=飛田臨太郎】トランプ米政権のイラン攻撃を巡り、イスラエルに迫られて決断したか否かを巡り政権支持層内で論争が始まり、対立が鮮明になってきた。ルビオ国務長官がイスラエルの軍事計画が攻撃の引き金となったと説明して波紋を呼ぶ。トランプ米大統領は3日、火消しに追われた。

ルビオ氏は2日、記者団に米国が攻撃を決断した背景には、イスラエルがイランに対して米国への報復につながる軍事行動を計画していたためだと説明した。

「明らかに我々はイスラエルの意図を把握しており、それが我々にとって何を意味するかを理解していた。その結果として行動する準備が必要だった」と触れた。

発言後、「MAGA」と呼ばれるトランプ氏を支持する層からは軍事作戦そのものの正当性を疑うような声が噴出した。

MAGAはもともと戦争を嫌い、近年の中東への軍事関与は米国の国益のためではなく、イスラエルが政策決定に影で影響を与えてきたためだと考える人がいる。

MAGA系の著名インフルエンサーのマイク・サーノビッチ氏は「ルビオ氏の発言はレコードの針が飛んだ瞬間だ。多くの人が推測していた事実を口にした」と説き、軍事作戦のとりやめを求める声が増えるだろうと強調した。

トランプ氏は3日、支持層の反発を踏まえて、あくまで自身の判断だと強調した。イスラエルが米国を戦争に巻き込んだのかと問われ「むしろ、私がイスラエルに決断を迫ったと言えるかもしれない」と語った。

トランプ支持層の中でも、イスラエルとの関係を重視する人々はルビオ氏の発言が曲解されていると主張する。極右運動家のローラ・ルーマー氏は「『イスラエルに操られている』との虚偽の物語が流布している」と反論した。

米紙ニューヨーク・タイムズによるとイスラエルのネタニヤフ首相は、数カ月間にわたりトランプ氏にイラン攻撃を働きかけてきた。202512月に米国で会談した際には、トランプ氏に数カ月以内にイスラエルがイランのミサイル基地に攻撃するのを承認するよう求めた。

米国とイスラエルは歴史的に強い協力関係を築いてきた。一方、近年になってから親イスラエルの国民感情は揺らぎつつある。

米ピュー・リサーチ・センターが202510月に発表した世論調査によると、イスラエル政府に否定的な意見を持っている米国人は59%24年調査と比べて8ポイント増加した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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