古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:マルコ・ルビオ

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。

 先日、『ニューヨーク・タイムズ』紙がトランプ政権の閣議において、マルコ・ルビオ国務長官と政府効率化省を率いるイーロン・マスクが衝突したと報じられた。マスクはルビオが何もしていないと怒り、ルビオはマスクが米国国際開発庁(USAID)を閉鎖すべきと主張したことについて激怒しており、言い合いになったということだ。その他にもシーン・ダフィ運輸長官とマスクが衝突したということも伝えられている。USAIDに関しては、ルビオが国務長官就任早々に一部予算停止を行ったが、そのことよりもマスクが閉鎖を主張したことの方が取り上げられて面白くないのだろうと考えられる。

 イーロン・マスク率いる政府効率化省のスタッフたちは第2次トランプ政権発足直後から、各政府機関を「急襲」し、人事や予算などの情報を収集している。スタッフたちには腕利きのハッカーもおり、コンピュータに隠されている秘密情報などにもアクセスしているということだ。政府効率化省は連邦政府の人員整理や各機関の縮小や閉鎖を主導しており、官僚たちにとっては脅威になっている。

トランプに対して忠誠心が厚い閣僚たちも、マスクにばかり注目が集まるのは面白くないことだろう。自分が長官として主管する各省の人員整理や予算削減については、自分が主導して行い、手柄にしたいところに、マスクが荒らしまわっているということになる。また、マルコ・ルビオに関しては、まだ大統領選挙出馬に色気があるのだろうと考えられる。今のところ、JD・ヴァンス副大統領がトランプの後継者と見られているが、ルビオも以前の大統領選挙に出馬した経験を持ち、大統領の座を簡単にあきらめたくはないだろう。しかし、戦後、国務長官出身者で大統領になった人物はいない。ルビオは国務長官への使命を受諾した時点で、大統領になることは諦めておくべきだろう。しかし、閣僚全体のマスクへの不満を代表する形で衝突することで、存在感を増すという狙いもあったのではないかと考えられる。トランプ大統領はうまくマネイジメントをしようとしている。このような状況は彼にとっては日常茶飯事にあったことだろう。

 トランプの手綱さばきがどのようになるか注目されるが、第1次政権よりも第2次政権の方が安定してうまく行っているように見える。

(貼り付けはじめ)

ルビオ、マスクがトランプ政権の閣議で衝突:『ニューヨーク・タイムズ』紙報道(Rubio, Musk clash at Trump Cabinet meeting: NYT

フィリップ・ティモティジァ筆

2025年3月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5183121-rubio-musk-clash-at-trump-cabinet-meeting-nyt/

マルコ・ルビオ国務長官は、トランプ大統領主催の閣議で、ハイテク業界の大富豪でトランプ大統領の側近であるイーロン・マスクと衝突した。

6つの大企業を率いる世界一の大富豪であるマスクは、前上院議員のルビオを叱りつけ、国務省の職員の多くを解雇しなかったこと、そして彼は「テレビでは良いが(good on TV)」、それ以外ではほとんど何もしていないことを痛烈に批判したと『ニューヨーク・タイムズ』紙は金曜日に、この出来事を知る5人のインタヴューを引用して報じた。

ルビオは個人的にはマスクに対してしばらく前から「激怒(furious)」しており、特に政府効率化省(Department of Government EfficiencyDOGE)が、100カ国以上で数十億ドルの安全保障、人道、開発援助を管理する機関である米国国際開発庁(U.S. International Development Agency)の閉鎖を視野に入れていることから激怒しているとニューヨーク・タイムズ紙は報じている。

スコット・ベセント財務長官が出席しなかった木曜日の閣議でルビオは反撃した。

国務長官ルビオはマスクが真実を語っていないと主張した。ニューヨーク・タイムズによると、ルビオ長官は早期退職した国務省職員1500人以上を解雇の対象として数え直す必要があるのか​​と質問したということだ。

ますますヒートアップしたやりとりの後、トランプ大統領はルビオ長官を擁護するために介入した。大統領は、国家トップの外交官が「素晴らしい仕事(great job)」をしていると賞賛し、彼はメディアへの出演が多く、過密なスケジュールをこなしており、なおかつ国務省を監督しなければならないと述べたとニューヨーク・タイムズは報じた。

トランプは金曜日にこの爆発的な報道について質問された。彼は、ルビオとマスクが争ったことを否定し、両者とも良い仕事をしていると賞賛した。

トランプは「衝突はない、私はそこにいた、君はただのトラブルメーカーだ。それに、そんな質問をすべきではない、ワールドカップの話をしているのだから」と述べた。

「イーロンはマルコと仲が良く、2人とも素晴らしい仕事をしている。衝突はない」と、FIFA会長のジャンニ・インファンティーノを横に置いて、トランプは付け加えた。

その数分後、大統領は再び木曜日の会談について質問されたが、この質問には直接答えなかった。

トランプ大統領は記者団に対して、「二人とも素晴らしいほど仲がいい。マルコは国務長官として信じられないようなことをやってのけた。そしてイーロンはユニークな男で、素晴らしい仕事をしている」と述べた。

国務省のタミー・ブルース報道官はニューヨーク・タイムズに、ルビオ長官は「この閣議は、アメリカを再び偉大な国にするという同じ目標を達成するために団結したダイナミックなティームとのオープンで生産的な話し合いだったと考えている」と語った。

閣議の中でトランプ大統領は、雇用や予算削減を推進するのは閣僚であるべきだが、マスクはアドヴァイザーとしてそこにいるのだと繰り返した。

「閣僚たちにはまず、望む人全員を留めてほしい。必要な人全員をそうして欲しい」とトランプ大統領は木曜日、大統領執務室で記者団に語った。

「私は彼らにできる限りの最高の仕事をするように望む。優秀な人材がいるのは貴重で、とても重要なことだ。私たちは彼らにその優秀な人材を維持してもらいたい。だから私たちは彼らを監視するつもりだ。イーロンとグループも彼らを監視するつもりだ。削減できるなら、それが一番いい。そして削減しないなら、イーロンが削減するだろう」とトランプ大統領は付け加えた。

木曜日に対立した閣僚はルビオだけではない。

シーン・ダフィ運輸長官と航空宇宙大手スペースXを率いるマスクは、連邦航空局(Federal Aviation AdministrationFAA)が航空機を追跡するために使用する機器の条件や、それを改善するために必要なことについて対立したとニューヨーク・タイムズが報じた。また、ハワード・ラトニック商務長官は、このやり取りでマスクを支持したと付け加えた。

ダフィは、DOGEのスタッフたちが航空管制官(air traffic controllers)を解雇しようとしたと述べたが、ニューヨーク・タイムズによると、マスクはこの主張は「嘘」だと述べた。

元下院議員の運輸省長官ダフィは、マスクは間違っていると述べた。億万長者マスクはダフィに対し、運輸省の職員が解雇しようとした管制官の名前を挙げるよう求めたとニューヨーク・タイムズは報じた。

ダフィはまた、空港の管制塔には多様性、公平性、包括性(diversity, equity and inclusionDEI)の取り組みによって採用された労働者が配置されているというマスクの主張にも反撃した。

ニューヨーク・タイムズが金曜日に報じたところによると、この騒動はまたもやトランプが口を挟み、ダフィにマサチューセッツ工科大学から「天才(geniuses)」を連れてきて航空管制官として働かせなければならないと告げたことで終わった。

ニューヨーク・タイムズが金曜日に報じた後、ダフィは声明を発表し、トランプ大統領が「生産的な(productive)」会合を開いてくれたことに感謝し、DOGEがこれまで行ってきた仕事を賞賛した。

DOGEは、航空管制システムの重要なアップグレードに取り組んでいる私たちに助言を与えるだけでなく、各機関が非効率な部分を特定するのを手助けする素晴らしい仕事をしている」とダフィは書いている。

ダフィはまた、木曜日の会合で当局者たちは「特にFAAと航空管制官の」航空旅行の安全について議論したと書き、FAADEI部門は「2日目に」解体されたと付け加えた。

ダフィは、連邦政府の人員削減に対するトランプのアプローチを「革命的(revolutionizing)」であると賞賛し、運輸省はマスクおよびDOGEと「緊密に(closely)」協力して「政府の運営方法に革命を起こす(revolutionize the way government is run)」と述べた。

今週初め、ダグ・コリンズ退役軍人長官は、退役軍人省が約7万2000人、つまり全職員の15%を削減する計画であることを確認した。この動きは、連邦議会および全国の州から反発を招いている。

トランプ大統領は会談でコリンズ長官と、退役軍人省の雇用削減に関しては慎重なアプローチを採用すべきだという点で合意し、トランプ大統領は退役軍人省は「賢い者たち(smart ones)」を残し、「悪い者たち(bad ones)」を排除すべきだと付け加えたとニューヨーク・タイムズは報じている。

大統領は木曜日のトゥルース・ソーシャルへの投稿で、閣僚会議が「積極的なもの(positive)」であったと述べ、「最高の」「最も生産的な」人材を維持するためのコスト削減イニシアティヴについて「DOGEと協力する」よう各閣僚に伝えた。

トランプは、「私たちは『斧(hatchet)』ではなく、『メス(scalpel)』と言っている。彼ら、イーロン、DOGE、その他の偉大な人々の組み合わせは、歴史的なレヴェルで物事を行うことができるだろう」と書いている。

ホワイトハウスのキャロライン・リーヴィット報道官は本誌に対し、「トランプ大統領が述べたように、これは連邦政府全体のコスト削減策と人員配置について話し合うための、大統領のティームのメンバー間での素晴らしく生産的な会議だった。トランプ大統領が政府をより効率的にするという公約を実現するため、全員がひとつのティームとして働いている」と語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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 古村治彦です。

 現在、第二次ドナルド・トランプ政権の「スター」となっているのは政府効率化省(Department of Government EfficiencyDOGE)を率いるイーロン・マスクだ。しかし、副大統領であるJ・D・ヴァンスもまた副大統領として順調に仕事のスタートを切り、トランプの後継者の地位を固めようとしている。イーロン・マスクは目立っており、トランプの後継者になれそうであるが、彼は南アフリカ生まれであるため、アメリカ大統領になる資格がない。トランプ運動(MAGA運動)を主導することはできるだろうが、アメリカ大統領になれない。トランプの次の大統領になれるのはJ・D・ヴァンスだ。

 そうした中で、ヴァンスが順調に力をつけているという内容の論稿が出ている。この論稿の内容をご紹介したい。
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(左から)イーロン・マスク、ドナルド・トランプ、J・D・ヴァンス

JD・ヴァンス副大統領の影響力は増大しており、ホワイトハウスや国際舞台で重要な役割を果たしている。特に、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領との会談では、強硬な姿勢を見せ、ゼレンスキーに対して、ゼレンスキーの無礼な態度を指摘し、アメリカからの支援に感謝を求めた。

ヴァンスは攻撃的な姿勢を持っているが、これはトランプ大統領の支持層にフレッシュな印象を与えるものとなった。ヴァンスがトランプ支持者の中で重要な地位を築いたという声もある。また、ヴァンスは国境の移民問題に関与し、南部国境を訪問するなど政治活動も活発に行っている。

ヴァンスは、トランプ大統領のアジェンダを支持し、反対派に対峙する姿勢を示すことで、政権内部での権力を強化している。その一方で、トランプ自身がヴァンスの将来に対する支援に消極的な姿勢を見せたことにより、ヴァンスが後継者になるのかということについて、疑問も出ている。

ヴァンスはトランプ政権での様々な任務に取り組み、特にTikTokの売却問題についても監督する役割を担っている。このような活動は、トランプ大統領が彼に対して深い信頼を寄せていることを示しているという分析もある。

ヴァンスは、トランプの意向を受けつつ党内の影響力を増しているが、その立ち位置は他の政治家との関係や選挙の結果によって変わりうる。彼の活動や行動は、今後のトランプ支持者としての彼の運命に大きく影響する可能性が高い。

 ヴァンスは第二次トランプ政権の閣僚の連邦上院での人事承認でも舞台裏で交渉を行ってうまく進めている。このような裏回し的な仕事をして成功しているのは大きい。トランプ政権の屋台骨を支えるということになれば、トランプの後継者としての地位を固めることになる。アメリカ大統領選挙は2028年に実施されるが、2027年にはスタートする。そう考えると、時間があるようでない。ヴァンスはトランプ政権を支える仕事をしっかりやって基盤を固めていくこと、これに尽きることになる。国務長官であるマルコ・ルビオも大統領選挙に色気を持っているだろうが、マスクとの衝突などをしているようでは、漁夫の利をヴァンスにさらわれることになる。ヴァンスの動きにこれから注目していかねばならない。

(貼り付けはじめ)

ヴァンスがトランプ世界での影響力を増大させている(Vance ramps up his clout in Trump world

アレックス・ガンギターノ筆
2025年3月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5183327-vanec-clout-trump-world/

JD・ヴァンス副大統領の影響力は上昇を続けており、ホワイトハウスや世界の舞台で鍋をかき回す(状況をかき回す、トラブルを起こす、挑発する)役割を担っている。

ヴァンスの攻撃犬としての役割は、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領との米大統領執務室での会談中に完全に発揮された。ヴァンスは外国の指導者であるゼレンスキーと対峙し、彼を無礼だと非難し、ロシアとの戦争中にアメリカがウクライナに提供した数十億ドルの援助に対する感謝を要求した。

ヴァンスのより攻撃的な姿勢は、ヨーロッパで波紋を呼び、南部国境を訪問するなどして、数週間にわたってテクノロジー業界の億万長者イーロン・マスクが注目を浴びた後のことだ。マスクは注目度でトランプ大統領を上回ることさえある。

ホワイトハウスの意向に詳しい情報筋は次のように語った。「ヴァンスは指名されて以来、最高の1週間を過ごした。トランプとMAGAワールドの得点源の花形プレイヤー(go-to player)として確固たる地位を築いた」。

ヴァンスは副大統領として、連邦議会合同演説の際に連邦下院本会議場でトランプの後ろの席に座り、共和党議員と一緒になってアル・グリーン議員(テキサス州選出、民主党)に野次を飛ばし、抗議のためにトランプの演説を妨害したグリーンの退場を主張した。

その後、ヴァンスは閣僚とともにアメリカ南部国境を訪れ、移民問題を強調し、パトロール隊員の許を訪問し、グレッグ・アボット州知事とともに関税と国境の壁について記者会見を開いた。

しかし、ヴァンスが本当に注目を集めたのは先週金曜日、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領との会談が軌道から外れ、記者たちの質問に答えて、ゼレンスキー大統領にロシアのウラジーミル・プーティン大統領との外交交渉を提案した時だった。

そのため、ゼレンスキーはヴァンスに尋ねた後、過去10年間にプーティンがウクライナに対して行った侵略のリストを読み上げた。ゼレンスキーはヴァンスに「JD、どのような外交について話しているのか?」と質問した。

ゼレンスキーが口をはさもうとすると、ヴァンスは次のように語った。「私は、あなたの国の破壊を終わらせるような外交について話している。大統領、大統領、失礼ながら、あなたがアメリカの大統領執務室までやってきて、アメリカのメディアの前でこの件を争おうとするのは無礼だと思う」。

この会談について本紙の取材に答えた共和党員の中には、ヴァンスが不必要に会談を燃え上がらせたと言う者もいた。しかし、ウクライナへの資金援助に懐疑的な姿勢を強め、トランプの「アメリカ第一」のアジェンダに同調するMAGA世界でも、ヴァンスの行動は新鮮さを感じたという。

共和党の献金者であるダン・エヴァーハートは「トランプ大統領のアジェンダを全面的に擁護し、反対派に直接戦いを挑むことで、ヴァンスは政権の最高執行者(administration’s top enforcer)としての役割を確固たるものにしている。これは単なる忠誠心についてではない。それは力についてだ。トランプ大統領のためにパンチを繰り出すたびに、ヴァンス自身の支持基盤が強化され、真のMAGA戦士としての資格が強化される」と述べた。

エヴァーハートは加えて、「明確にしておきたいのは、これは今日だけの問題ではないということだ。ヴァンスはトランプ運動の未来に自らの権利を主張し、トランプが退任した後の後継者として自らを位置づけている」と述べた。

米大統領執務室でのゼレンスキーとの口論により、ヴァンスはトランプが1月に大統領に就任して以来、一度も経験したことのない形で脚光を浴びることになった。その代わりに政権の注目を浴びているのはマスクで、マスクが率いる政府効率化局(Department of Government EfficiencyDOGE)が思いつきで政府機関を丸ごと解体するなど連邦政府の急進的な改革に関与したことで、しばしば物議を醸す形で注目を集めている。

トランプ陣営に近い情報筋は次のように語った。「ヴァンスやマスクは、制限を受けずに自由に、穴を突ける権限を持っている人がいるという印象があるが、このような人たちは今まで見たことがない。トランプは自由に動くこと(freelancing)に対してある程度寛容だ。トランプは成果を出す人が好きなのだと思う」。

しかし、トランプの口調は今週、少なくともマスクに関しては少し変わった。2回目の閣僚会議でトランプは、マスクではなく閣僚たちが各省庁の予算削減を主導すべきだと主張したが、彼らが必要なことをしなければマスクがやるという但し書きを付け加えた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、マスクとマルコ・ルビオ国務長官の間でも緊張が高まっていると報じられている。ルビオ国務長官は、マスクのティームが米国国際開発庁(United States Agency for International DevelopmentUSAID)を閉鎖して以来、数週間にわたってマスクに激怒していると報じられている。

一方、トランプはヴァンスの政治的将来について厳しい立場に置いている。フォックス・ニューズのインタヴューで、トランプ大統領はヴァンスが共和党の次期リーダーになることを全面的に支持しなかったため、トランプの戦略は何だったのかと多くの人が疑問に思った。専門家の一部は、それがヴァンスの姿勢を強めることにもつながったと指摘している。

トランプ世界に近いある情報筋は次のように語った。「ヴァンスはマスクとは違った形でMAGA教義の解釈者としてかなり長いリードを持っている。そのため、ヴァンスは間違いなくより積極的な姿勢を取るだろう。彼は後継者になりたいからだ」。

ヴァンスは、トランプのより物議を醸す閣僚候補の支持を舞台裏で働きかけ、共和党所属の連邦上院議員たちやホワイトハウスの注目を集めた。ヴァンスは、現在承認されている国家情報長官トゥルシー・ギャバ―ドと保健福祉長官ロバート・F・ケネディ・ジュニアに賛成票を投じられるところまで彼らを説得したとされている。

ヴァンスはまた、4月5日の期限を前に人気アプリTikTokの売却の可能性を監督するようトランプに任された。

ヴァンスの仕事に詳しい情報筋は本誌に対して次のように述べた。「ヴァンス副大統領は、トランプ大統領の明確な指示のもと、TikTokや連邦上院人事承認の支援などのプロジェクトを引き受けてきた。トランプ大統領は明らかに、副大統領が困難な任務を任せて、それを実行することについて信頼している」。

一方、ヴァンスがトランプの明確な後継者で大統領選挙の有力候補(Trump’s heir apparent and presidential hopefuls)であることに懐疑的な連邦上院議員もいる。連邦上院の大統領候補たちは、ある時点で将来のポジショニングを独自に作り始めるだろうと、トランプ世界に近い情報筋は述べた。

「トランプがヴァンスは自分の後継者かと聞かれたとき、すぐに認めなかったことは、人々の記憶に残っていないと思う」とこの情報筋は語った。

一方、ヴァンスは2028年の党の未来を担えることを示すため、多方面からその役割を固めつつある。彼は、支持を拒否したトランプを擁護し、時期尚早だと主張さえしている。

第一次トランプ政権で広報補佐官を務めたジョーダン・ウッドは次のように語った。「ヴァンスはトランプをソフトにさせるためにいるのではなく、運動全体を前進させる(entire movement forward)ためにいる。トランプにとって、ヴァンスはトランプ自身が始めたことの産物であり、若く、攻撃的で、その未来に完全に関与している」。

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ビッグテック5社を解体せよ

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。よろしくお願いいたします。

 ドナルド・トランプ次期大統領は着々と第二次トランプ政権の人事を発表している。第二次トランプ政権の顔ぶれについて批判もあるが、スピード感と明確な意図は評価されるべきだ。選挙が終わって10日ほどで、これだけの人事を、スピード感を持って発表出来ているのは選挙前から構想が練られ、準備が進められ、指名を受けた人々に対する根回しが済んでいたことを示している。このスピード感はトランプ陣営が2016年に比べて、「プロフェッショナルの集団」となったことを示している。2016年は言ってみれば、「期待されていなかったのに予想外の当選をして、慌てているアマチュアの集団」であった。

 トランプ新政権の意図は「復讐」ということになっているが、もちろんそれだけではない。これまでに指名された人々は、自分がトップとなる各政府機関に対して批判的な人々である。彼らはトランプの意向を忠実に遂行する「忠誠心」を持ち、各政府機関の改革に取り組むことになる。特に情報・諜報分野の国家情報長官に指名されたトゥルシー・ギャバードとCIA長官に指名されたジョン・ラトクリフは注目である。情報・諜報分野は戦争にも直結する役割を担う分野で、ここを改革することで、「アメリカ・ファースト」「アイソレイショニズム(国内問題解決優先主義)」を断行し、究極的には「核戦争を阻止する」という目標を達成するということになる。

 今回の第二次トランプ政権の顔ぶれはまだ発表途中であるが、2016年のトランプの大統領当選以来の8年間で、「トランプ政治運動」に参加し、成果を上げた人々が入った「本格政権」ということになる。彼らは既存の政治のしがらみを持たず、本格的にトランプの目指す改革を実行できる人物たちだ。そして、これからも続くであろう「トランプ政治運動」の中核となる人々だ。トランプは今回の大統領任期4年で退任するが、それ以降も、「トランプ政治運動」は続いていく。JD・ヴァンス次期副大統領やエリス・ステファニック米国連大使といった若手(2人ともまだ40歳だ)を伸ばしていく4年間ということにもなるだろう。

 しかし、同時に心配なのは、既存のワシントン政治の強靭さだ。民主、共和両党のエスタブリッシュメントと各界のエリートたちはトランプたちの動きを阻止するためにあらゆる手段を用いて抵抗するだろう。激しい権力闘争、政治闘争が起きる。アメリカの分断は修復不可能なところまで来ている。そうしたワシントン内部の権力闘争から、アメリカ内戦までつながるということも考えられる。

 アメリカの衰退は既定路線で、トランプが大統領になり、トランプの下で改革が続いてもアメリカが復活することはない。しかし、アメリカが建国の理念に立ち返り、少しでも状況を良くすることをアメリカ国民はトランプに託した。理想通りの結果は得られないだろうが、トランプ流のポピュリズムがどれだけのことができるか注目していきたい。

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トランプの形成しつつある政権の5つのポイント(5 takeaways from Trump’s emerging Cabinet

ブレット・サミュエルズ筆

2024年11月15日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/4993461-trump-cabinet-5-takeaways/

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ドナルド・トランプ次期大統領は、来るべき政権のための閣僚と上級補佐官を素早くまとめ上げ、その過程で物議を醸す人選でワシントンを動揺させている。

トランプは、次期大統領としての最初の1週間で次々と指名や人事を発表し、連邦議員たちは対応に追われた。

以下は、これまでのトランプ政権の内閣についての5つのポイントである。

(1)トランプは忠誠心を最重視(Trump prioritizes loyalty

トランプ次期大統領は以前から、自分の周辺にいる人間には忠誠心(loyalty)が最重要であると明言しており、これまでの閣僚人事は、トランプ次期大統領の味方であり続けた人々に報いていることの表れとなっている。

トランプがこれまでに指名した候補者や人事のほぼ全員が、何らかの形でトランプ次期大統領を擁護し、選挙戦で支持し、あるいは次期大統領の激動期に味方してきた人物たちだ。

米国連大使にエリス・ステファニック連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)、環境保護庁長官にリー・ゼルディン、退役軍人長官にダグ・コリンズ、CIA長官にジョン・ラトクリフを指名したが、この4人の閣僚候補は、2020年の弾劾擁護ティームのメンバーだった人物たちだ。

マット・ギーツ前連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)は、2016年以来、トランプ大統領の最も率直で声高な擁護者の1人だった。トランプがフロリダ州選出の共和党所属の前連邦下院議員を司法長官に指名してワシントンを揺るがしたが、ゲーツは突然議員辞職した。

ロバート・F・ケネディ・ジュニアとトゥルシー・ギャバードは、元民主党員としてトランプを支持した後、選挙戦でトランプの有力な代理人となった。そして、トランプ自身の個人的な犯罪弁護士であるトッド・ブランチとエミール・ボーブは、今年初めの口止め料裁判の際に彼の弁護をした後、司法省のトップの仕事に抜擢された。

集められた政権は、トランプ大統領の1期目に政府高官の第一陣を形成した「ライヴァル・ティーム(team of rivals)」とは程遠い。

トランプ大統領の最初の立法事務局長を務めたマーク・ショートは、MSNBCの番組で、「このグループは、より緊密な人間集団であるように見える。名乗りを上げている人たちを皆さんは好きではないかもしれないが、同時に、彼らはかなり迅速に動いていると思う」と述べた。

(2)指揮を任された省庁を批判する候補者たち(Some nominees undercut agencies they’re tasked to lead

複数の閣僚候補者が過去に、自分たちが率いることを任された政府機関の使命を損なうと思われるレトリックを使用してきた。

国家情報長官に抜擢された元民主党所属の連邦下院議員のギャバードは、ウクライナ戦争に関するロシアのプロパガンダをおうむ返しにしていると非難され、シリアの指導者バシャール・アル=アサドが市民への化学兵器使用を示唆された後、戦犯のレッテルを貼ることを拒否した。

ゲーツは過去にFBIの予算停止を要求し、アルコール・タバコ・銃器・爆発物取締局を廃止する法案を提出したことがある。両機関は司法省内に置かれており、司法長官としてのゲーツの権限下にあることになる。

トランプ大統領が国防総省のトップに指名したピート・ヘグセスは、今年初めに出版した著書の中で、女性は男性よりも戦闘任務に適していないと書いたことで批判を浴びている。彼はまた、国防総省の多様性と公平性を受け入れる取り組みにも批判的だ。人事承認されれば、ヘグセスは国防総省で働く数百万人の男女を監督することになる。

また、米保健福祉省のトップに選ばれたケネディは、長年にわたって反ワクチン陰謀論を広め、生乳の消費を促進し、イベルメクチンのような新型コロナウイルスの実証されていない治療法を推し進めてきた。もし人事承認されれば、ケネディはワクチンを承認し、メディケアとメディケイドを管理し、各種の病気の治療法の研究を行なう国の保健・規制機関に対する広範な権限を持つことになる。

(3)2016年に比べてより素早いペースでより明確なヴィジョン(A quicker pace and clearer vision than 2016

2016年にトランプがホワイトハウスを勝ち取った時、彼と彼のティームは足元をすくわれたように見え、新政権の人員配置の取り組みを強化するのに時間がかかった。

クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事(共和党)は、選挙直後に政権移行責任者を更迭され(当時)、トランプは候補者たちをトランプタワーに出入りさせて報道陣にお披露目した。彼が最初の閣僚候補を指名したのは、選挙から10日後の2016年11月18日だった。

これとは対照的に、トランプはカマラ・ハリス副大統領に勝利してからおよそ1週間以内に、主要閣僚だけでなく、司法省の第二レヴェルの高官たちやホワイトハウスの上級スタッフたちを指名するという急速な動きを見せた。

トランプの盟友たちはこれを、トランプが今回自分が何を求めているのか分かっていることの明確な表れだと受け止めた。

トランプ大統領の1期目で、ホワイトハウス報道官を務めたショーン・スパイサーは、「4年間の荒野は無駄ではなかったので、政権移行は2016年よりも明らかに良い状態にあると思う」と語った。

スパイサーは続けて「計画、人事、プロセスは全てが考え抜かれたものであり、今、トランプの周囲にいる人々は全員、政策課題解決の推進に尽力している。政策課題に対する彼らの関与と努力について、トランプ大統領はもう疑う必要を持たない」と述べた。

(4)連邦上院での人事承認に試練が控えている(Tests lie ahead for Senate confirmations

トランプ次期大統領の候補者、特にゲイツ、ギャバード、ケネディは連邦上院共和党にとって試練となり、共和党の連邦上院議員たちがトランプ次期大統領からどれだけ独立するつもりであるかを示すバロメーターとなるだろう。
共和党は1月から連邦上院で53議席を獲得する勢いであり、トランプが指名した候補たちが民主党の支持を得られないと仮定すれば、共和党の3人の離反を免れることができる。次期副大統領のJD・ヴァンス(オハイオ州選出、共和党)は、50対50の状況を打破するだろう(訳者註 50対50となれば副大統領が上院議長を務める)。

連邦上院議員は、連邦下院や行政府をチェックする、まじめな機関としての役割の重要性をよく口にする。しかし、選挙でトランプが圧勝したことで、上院議員たちは次期大統領の意向に従わなければならないという圧力が強まるかもしれない。

トランプ大統領は、共和党所属の連邦上院議員に、候補者の名前を出す前から圧力をかける作戦を開始した。連邦上院多数党(共和党)院内総務に誰がなろうとも、休会任命(recess appointments)の承認を迫るとした。休会任命とは、物議を醸すような指名があった場合、大統領が実質的に人事承認手続きを回避できるようにする手続きである。

今週、連邦上院多数党(共和党)院内総務に選出されたジョン・スーン連邦上院議員(サウスダコタ州選出、共和党)は、休会任命の可能性を否定していないが、共和党の反対が多ければ、手続き上難しい可能性があることも認めている。

スーン議員はフォックス・ニューズに出演し、「全てはプロセスだ。しかし、そのどれもが必ずしも不可能だとは思わない。全ての選択肢をテーブルに載せておく必要があると思う」と語った。

スーン議員は続けて「そして、これらの候補者たちは連邦議会で一日を過ごすに値する。彼らには公聴会、人事承認公聴会、精査の機会が与えられるに値する。そして、連邦上院は助言と同意の下で憲法上の役割を遂行するだろう」と述べた。

(5)重要はポジションについてはこれからも続けて発表(Key positions still to come

注目度の高い候補者の多くは既に発表されているが、トランプ次期大統領が今後数日のうちに充てるとみられる閣僚級の役職やホワイトハウスのトップ職はまだいくつもある。

最も注目されるのは彼の経済ティームだ。トランプは依然として財務長官、商務長官、米通商代表の人選の発表を控えている。

財務長官としては、スコット・ベッセントとハワード・ルトニックが最終候補と見られており、トランプ第1期で米通商代表を務め、関税の使用を強く主張するロバート・ライトハイザーが新政権で仕事を得る可能性が高い。

農務長官、運輸長官、住宅都市開発長官もまだ発表されていない。トランプは選挙活動中に教育省を閉鎖すると公約したが、それには連邦議会の承認が必要となる。トランプ大統領が当面、教育長官を指名するつもりかどうかは不明だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。よろしくお願いいたします。

 ドナルド・トランプ次期大統領は、国務長官にマルコ・ルビオ、国家安全保障問題担当大統領補佐官にマイク・ウォルツ、米国連大使にエリス・ステファニックを指名した。この人事に共通するのは対中強硬姿勢、親イスラエル姿勢、ウクライナ戦争終結志向姿勢といったことが挙げられる。直近で言えば、ドナルド・トランプが主張しているように、ウクライナ戦争停戦を促進し、イスラエルへの支援を行う(事態の悪化、深刻化は望まない)という布陣になる。
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ドナルド・トランプとマルコ・ルビオ

現在のアメリカでは、ウクライナ(ヨーロッパ地域)とイスラエル(中東地域)の対処が先で、アジア地域までは動きが取れないということになっている。対中強硬姿勢と言いながら、実際には何か重要な動きをすることは難しい。台湾問題は米中双方が自制して問題化させないようにするだろう。それよりも、危険なのは朝鮮半島である。北朝鮮がウクライナに兵式を派遣し、韓国に対しては強硬姿勢を鮮明にしており、「朝鮮戦争の再燃か」という懸念の声が上がっていることは、このブログでもご紹介した。
※「古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ」2024年11月5日付「朝鮮半島の状況が不安定化し朝鮮戦争が起きる可能性について取り沙汰されている:中国もロシアもそれを望んでいないがこの危険性が交渉材料になる(アメリカとの)」→https://suinikki.blog.jp/archives/89105815.html

 ここで重要なのは、第一期トランプ政権で実施された米朝首脳会談と非核化の合意形成である。トランプは、中国の習近平国家主席、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領との関係を利用して、朝鮮半島問題を悪化させないように動くだろう。現在のところ、アメリカではウクライナ問題と中東・イスラエル問題に注目が集まっている中で、朝鮮半島問題についても裏側で動くことだろう。重要なのはトップ人事と同時に、実務者レヴェルの人事である。トランプ政権にとっての最重要課題は「核戦争の防止」である。

 マルコ・ルビオはアメリカ大統領選挙に出馬した経歴を持ち、トランプとも争った過去を持つ。今回、トランプがルビオを指名したことに驚きの声が上がった。ルビオに関しては、トランプも全幅の信頼を置いてはいないだろう。国務副長官、国務次官にルビオをけん制するための人物を配置するだろう。マイク・ウォルツは退役軍人(陸軍大佐)で、エリート部隊のグリーンベレー出身で、連邦下院議員を務めた経歴を持つ。ウォルツの配置は、南部国境に軍の部隊を派遣するという「麻薬戦争(drug war)」対策の側面があることが考えられる。
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ドナルド・トランプとマイク・ウォルツ
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エリス・ステファニックとドナルド・トランプ
 エリス・ステファニックは共和党の「ライジングスター」であり、第二次政権以降も「トランプ政治運動」の重要人物として活動できるように育てていこうという意図が見える。副大統領のJD・ヴァンスと同い年ということもあり、将来の副大統領候補、あるいは大統領候補ということも考えられる。そのために、米国連大使抜擢で、政治キャリアの第二段階のスタートということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

トランプがマルコ・ルビオを国務長官に指名と発表(Trump announces Rubio as pick for secretary of State

ブレット・サミュエルズ、ラウラ・ケリー筆

2024年11月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4988992-trump-rubio-secretary-state/

ドナルド・トランプ次期大統領は水曜日、マルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)を国務長官に指名する決定を正式に発表し、かつてのライヴァルを政権の外交トップの役割に据えた。

トランプ大統領は声明で、ルビオを「非常に尊敬される指導者であり、自由を求める人々にとっての非常に強力な代弁者」と称賛した。

トランプは更に「彼は我が国の力強い代弁者であり、同盟諸国の真の友人であり、決して敵に屈しない恐れを知らぬ戦士となるだろう」と付け加えた。

ルビオのトランプ内閣閣僚への選出は、共和党大統領予備選で両者が激しいライヴァル関係にあり、個人的な侮辱をお互いに与えあっていた2016年からの劇的な好転ということになる。

今年初め、トランプ大統領はJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)を選出する前に、ルビオを副大統領候補に選ぶところだった。

フロリダ州選出の連邦上院議員は中国とイランに厳しい外交政策のタカ派とみられている。ルビオ氏は9月のNBCとのインタヴューで、ウクライナとロシアの間の戦争は「交渉による解決(with a negotiated settlement)」で終わるのは明らかだと語った。

トランプ大統領は、就任後は速やかに「アメリカ・ファースト」の外交政策ヴィジョンを復活させると誓った。トランプは、アメリカが対ロシア戦争でウクライナを支援し続けることに懐疑的な姿勢を表明し、ヨーロッパの同盟諸国に対し、キエフ支援とNATO同盟を通じた自国の防衛支援に一層の努力をするよう求めた。

月曜日遅くに最初に報道されて以来、民主、共和両党の議員たちはルビオの選出を温かく歓迎した。ジョン・フェッターマン連邦上院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)はルビオの承認に投票する意向を示し、マーク・ワーナー連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)はルビオを「賢く、才能に溢れ(smart, talented)」、「世界中のアメリカの利益を代弁する強い代弁者(a strong voice for American interests around the globe)」と呼んだ。

ルビオは指名発表後の声明で、トランプ大統領からの信頼を光栄に思い、「外交政策の課題に対処するために(to carry out his foreign policy agenda)」日々努力すると述べた。

ルビオは声明で「1月20日の大統領就任時に大統領が国家安全保障・外交政策ティームを設置できるよう、連邦上院の同僚たちの支持を得ることを楽しみにしている」と述べた。

フロリダ州選出の連邦上院議員ルビオは、指名が発表される数分前に連邦議会議事堂で記者団の取材に応じ、トランプの提案の一部について考えを述べ、トランプがルビオのポストについての人事承認プロセスを回避する手段として連邦上院議員に関与を求めてきた休会任命戦略(strategy of recess appointments)への反対を表明した。

ルビオは「理想的には、人々が投票され、人々が好きなように投票できるような指名プロセスが必要だ」と述べた。

ルビオは続けて「本当に重要な役職に就いていて、時間の面で理不尽な妨害をする人がいる場合、球界任命の予定は最後の手段として使うものだ」と述べた。

ルビオは、アプリ「TikTok(ティックトック)」の国家安全保障上のリスクについて懸念があるとしながらも、法律として可決された禁止措置を撤回するかどうかについてはトランプ大統領が権限を持っていると述べた。

ルビオは「このアプリとそれがもたらす脆弱性については依然として懸念があるが、究極的に言えば、私はアメリカ大統領ではないのだ」と述べた。

ウクライナについて質問されると、ルビオはトランプ大統領の意見を尊重し、「彼は戦争の終結を望んでいる」とし、「戦争を乗り越える方法を見つけるのは大統領の仕事だ。彼の戦略やその点での決断について、私は話すつもりはない」と述べた。

ルビオは「彼は、これは終わらせるべき戦争だということをかなり明確に示したと思う。事態は行き詰まり、ウクライナは1世紀前に戻りつつある」と語った。

ルビオ氏は政権交代に先立ち、ウクライナへの更なる資金提供を約束するつもりはないだろう。

「それを考える前に、新政権が発足するまで待とうではないか。私たちは来月も政府に資金を提供しなければならない」とルビオは語った。

ルビオの人事承認公聴会を実施する、連邦上院外交委員会のメンバーであるティム・ケイン連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は、ジェフ・マークリー連邦上院議員(オレゴン州選出、民主党)のような委員会の民主党側メンバーたちと一緒に、ルビオの人事承認への早期の支持を表明した。

ケイン議員は「今言えるのは、ルビオは連邦上院外交委員会の非常に献身的なメンバーだということだけだ。それは前向きなことだ」と語った。

トランプ大統領は先週の選挙で勝利した後、国家安全保障ティームを急速に強化した。トランプはエリス・ステファニック連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)を米国連大使に選び、マイク・ウォルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)を国家安全保障問題担当大統領補佐官に指名した。トランプはまた、フォックス・ニューズの司会者で退役軍人のピート・ヘグセスを、国防総省を率いる候補者に指名した。

=====
トランプの国家安全保障問題担当大統領補佐官指名を受けたマイク・ウォルツについて知っておくべき5つのこと(Five things to know about Mike Waltz, Trump’s national security adviser pick

ブラッド・ドレス筆

2024年11月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/4986351-trump-waltz-national-security/

ドナルド・トランプ次期大統領は、次期国家安全保障問題担当大統領補佐官に国防政策や外交政策で長年の経験を持つ退役陸軍軍人でグリーンベレー出身のマイケル・ウォルツ連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)を選出した。

フロリダ州第6選挙区の代表であるウォルツは2019年から連邦下院議員を務めており、連邦下院軍事委員会、外交委員会、情報・諜報委員会の委員を務めている。

トランプ大統領は自身のソーシャルメディアサイト「トゥルース・ソーシャル」で、ウォルツは「中国、ロシア、イラン、そして世界的なテロリズムによってもたらされる脅威の専門家(expert on the threats posed by China, Russia, Iran and global terrorism)」であり、「私のアメリカ・ファースト外交政策の擁護者であり、私たちの力による平和の追求においても素晴らしい擁護者となるだろう」と述べた。

これからウォルツについて知っておくべきポイントを述べていく。

(1)中国に対するタカ派的な考え(Hawkish views on China

ウォルツは国家安全保障担当大統領補佐官の役割に中国に対する強硬な立場を持ち込むことになる。連邦議会で、ウォルツは、インド太平洋地域における中国の優越を防ぐためにインド太平洋地域の諸国とアメリカ政府の関係を強化する法案など、中国政府を抑えることを目的とした法案を支持してきた。

ウォルツは2020年のフォックス・ニューズとのインタヴューで、中国はアメリカに対する「存在に関わる脅威(existential threat)」であると述べた。

ウォルツは、「これは、私たちが20世紀の大部分でソ連と対峙しなければならなかったのと同じように、国家安全保障の問題になるだろう。21世紀には中国も同様になるだろう」と付け加えた。

ウォルツは連邦下院インド議員連盟の共同議長でもあり、中国に対する共通の同盟を支援するためにニューデリーとのより深い関係を築こうとしてきた。

ウォルツは中国の歴史的な平時における「軍事力増強(military buildup)」について警告し、アメリカの国家安全保障の焦点は中国政府の抑止(deterring Beijing)に軸足を移すべきだと述べた。

ウォルツは2020年に連邦下院で対中国タスクフォースの創設に貢献した。この特別委員会は新型コロナウイルス感染症のパンデミックに対応して設立され、複数の分野における中国政府の脅威を検討していた。連邦下院には現在、中国に関する特別委員会が設置されている。

トランプ大統領はまた、同じく対中国タカ派のマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)を国務長官に指名し、中国との対決が第二次トランんプ政権の最優先課題になる可能性が高いことを示した。

中国の最高指導者である習近平は、中国政府が本土の一部とみなしている自治領の島国である台湾に対する潜在的な攻撃に備えて軍が2027年までに準備を整えるべきだと示唆した。

(2)イスラエルに対する熱心な支援者(Ardent supporter of Israel

ウォルツは、大半の共和党員と同様、中東戦争を通じてイスラエルへの全力の支持を示してきた。中東ではイスラエル軍がイランの支援を受けた複数の代理組織と戦っている。

バイデン政権と民主党は、ガザ地区での死者数の多さに懸念を表明している。ガザ地区では、2023年10月7日にイスラエル南部に侵攻し、約1200人が殺害され、ハマスとイスラエルが戦った1年以上で4万3000人以上のパレスティナ人が死亡した。ハマスは約250名を人質に取った。

バイデン大統領と民主党は停戦(ceasefire)と人質解放(hostage release)の合意を推進してきた。ハマスは今もガザ地区で約100人の人質を拘束している。

しかし、ウォルツは9月のフォックス・ニューズとのインタヴューで、停戦と人質解放の合意だけでは紛争は終結しないと述べた。

ウォルツは「イランはイスラエルを破壊したいため、今後も不安を煽り続けるだろう。イランに対して譲歩(concession)を重ねることが、実は状況を不安定化させている」と述べた。

ウォルツはまた、アメリカがイラクでの軍隊駐留を縮小していることへの懸念を表明し、イスラエルがレバノンのハマスとイランが支援する過激派組織ヒズボラの両方に対して行動を起こすことを支持している。

(3)バイデンのウクライナ戦略に疑念を示す(Skeptical of Biden’s Ukraine strategy

ウォルツは、ロシアとの関係があまりにも穏やかで良いとして批評家らから非難されているトランプよりも、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領に対してはるかに厳しい態度を取っている。

2022年にロシアがウクライナに侵攻すると、ウォルツはすぐさま侵攻を非難し、攻撃から守るためのウクライナへの武器支援を支持した。

それでもトランプ大統領は、1月20日の就任までにウクライナ戦争を終わらせると約束した。

ウォルツは、トランプ次期大統領の和平案を全面的に支持していなかったが、同時に、バイデンの紛争へのアプローチを批判してきた。

ウォルツは2023年9月の声明で、バイデンは「ウクライナにおけるアメリカの目的も、それを達成するための戦略も説明していない」とし、NATO同盟諸国はキエフへの支援を強化する必要があると述べた。

ウォルツは「短期的には、アメリカの軍事援助はヨーロッパの負担分担と今後の平等なヨーロッパ援助を条件とする必要がある。アメリカは貯蓄を自国の安全保障に投資しなければならない。それは、南部国境を確保するためにウクライナに与えるあらゆる援助のドル価値と一致するべきである」と述べた。

(4)メキシコのカルテルに対する軍事力行使を支持(Backs using military against Mexican cartels

トランプ大統領は国境に現役部隊を派遣し、大量国外追放を実施することを提案しており、次期政権に強硬派の入国管理当局者を選出している。

ウォルツは、共和党内で国境でのより厳しい行動を求める声が高まっていることに加わり、アメリカは移民改革の前にまず国境を確保する必要があると述べ、それを怠ったバイデン政権を非難した。

ウォルツは、2023年にはメキシコのカルテルに対する軍事力の行使を認める法案の共同提案者となった。数人の共和党連邦議員は現在、犯罪組織がフェンタニルのような強力で致死性の麻薬を国内に輸送していることへの懸念を理由に、カルテルに対する軍事行動を支持している。

ウォルツは2023年の声明の中で、「我が国の南部国境の状況は、我が国の法執行職員にとって耐えられなくなった。攻撃を開始する時が来た」と述べた。

(5)輝かしい軍人としてのキャリア(Decorated military career

ウォルツはフロリダ州ボイントンビーチ出身の退役大佐で、ヴァージニア軍事学校に通い、その後アメリカ陸軍と州兵として27年間勤務した。

彼は陸軍レンジャー学校に入学し、エリート特殊部隊グリーンベレーに入隊した。ウォルツはアフガニスタン、中東、アフリカに派遣された。

ウォルツは後にジョージ・W・ブッシュ(息子)政権でドナルド・ラムズフェルド国防長官とロバート・ゲイツ国防長官の下で国防政策部長(defense policy director)を務めた。

彼はまた、グリーンベレーとしての経験についての本を書き、アメリカ軍の訓練と支援に重点を置く小規模な防衛請負会社メティス・ソリューションズを設立した。

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エリス・ステファニックについて知っておくべき5つのこと(5 things to know about Elise Stefanik

エミリー・ブルックス、マイケル・シュニール筆

2024年11月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/4984791-stefanik-ambassador-un-trump/?ipid=promo-link-block3

ドナルド・トランプ次期大統領は月曜日、米国連大使にエリス・ステファニク連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)を指名し、共和党内でのステファニックの台頭の勢いを更に高めた。

これは、近年トランプ大統領の最も熱心な擁護者であり、支持者の1人である共和党連邦下院議員会の会長であり、連邦下院で最も地位の高い共和党女性連邦下院議員に対する抜擢である。

しかし、ハーヴァード大学卒業生でトランプ大統領の副大統領候補とも目されていたステファニックも、スターとしての力が高まるにつれ、より厳しく精査されている。

ステファニクについて知っておくべき5つのことは以下の通りだ。

(1)親トランプの変革を遂げた(Underwent pro-Trump transformation

トランプが権力を握った時、他の多くの共和党連邦議員と同様に、ステファニクも当初はトランプと距離を置き、イスラム教徒が多数を占める7カ国の国民のアメリカ入国を禁止するトランプ大統領の2017年の大統領令などの政策について、公然とトランプと決別したことさえあった。

しかし、それはトランプ大統領の1期目に急速に変化し、一部の政治の専門家たちを驚かせた。

2019年のトランプ大統領の最初の弾劾手続きまでに、ステファニクは連邦議事堂でのトランプ大統領の擁護者のトップの1人になっていた。連邦下院情報委員会の委員として、彼女は好戦的なアプローチをとり、弾劾公聴会で当時の委員長アダム・シフ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)に異議を唱えた。

このためトランプ大統領はステファニクのソーシャルメディアに「共和党の新たなスターが誕生した(A new Republican Star is born)」と投稿した。

ステファニックの姿勢は長年にわたって強固であり、ステファニクは数々の法的問題に直面したトランプを最も鋭く擁護しただけでなく、ジャック・スミス特別検察官(special counsel Jack Smith)に対して倫理訴訟を起こすなどの行動も取っていた。

ステファニクは、トランプが2022年に大統領選への立候補を表明した際に、トランプを支持した連邦議会共和党指導部の最初のメンバーとなった。

(2)リズ・チェイニーに代わって下院議員会会長に就任(Replaced Liz Cheney as conference chair

連邦下院共和党は、1月6日の連邦議事堂襲撃後にトランプの弾劾に賛成票を投じた連邦下院共和党議員10人のうちの1人であるリズ・チェイニー元連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)を、トランプ元大統領からの批判が続く中、2021年5月の連邦下院会会長から解任した。

ステファニクはその時点で強力なトランプ擁護者であるという評判があり、すぐに当時の連邦下院少数党(共和党)院内総務ケヴィン・マッカーシー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、共和党)とトランプからの支持を獲得した。彼女は同じく立候補したチップ・ロイ下院議員(テキサス州選出、共和党)を大差で破った。

当時、党のメッセージを主導する任務を負った議員会会長は、連邦下院共和党内で第3位の地位にあった。2022年の中間選挙後に共和党が過半数を獲得したとき、ステファニクは連邦下院多数派に昇格することを目指すのではなく、その職に留まり、連邦下院第4位の序列となった(訳者註:共和党が連邦下院議長を取ったために党の役職の序列が1つずつ下がる)。

(3)反ユダヤ主義について大学の学長たちを批判したことで話題になった(Went viral for taking on university presidents on antisemitism

ステファニクは何年にもわたって全国規模の舞台で活躍してきたが、昨年、ハマスによる10月7日のイスラエル攻撃後の大学キャンパスでの反ユダヤ主義について、連邦議会公聴会で3人の学長に迫り、その名声が更に高まり、話題になった。

証言した学長の3人のうち2人は公聴会後に、その発言に対する反発の中で辞任しており、ステファニクはこの展開を称賛した。

ハーヴァード大学のクロディーン・ゲイ学長が辞任した後、彼女はソーシャルプラットフォームXに「2アウト(TWO DOWN)」と書いた。

連邦下院教育労働委員会の前で行われたこの公聴会では、ステファニクへの支持が民主、共和両党から得られた。大学学長の解任を求めるステファニクの主張を民主党と共和党が支持した。

ステファニクはそれ以来、反ユダヤ主義と闘い、ハマスからイスラエルを守る連邦下院共和党の取り組みの顔として浮上している。5月に彼女はイスラエル国会で演説し、ハマスのイスラエルへのテロ攻撃以来イスラエルを訪問した最高位の連邦下院議員となった。

ステファニクはまた、その立場を利用して国連を追及してきた。例えば10月、彼女は声明の中で、国連は「反ユダヤ主義で腐敗するのを許されている(allowed to rot with antisemitism)」と述べ、国連への将来の資金提供を脅かしているようだった。

「アメリカの納税者たちは、ジョー・バイデンとカマラ・ハリスが反ユダヤ主義で腐敗を許した組織に資金を提供し続けることに興味がない」と彼女は述べた。

(4)女性の共和党からの連邦下院議員候補の擁立に努力(Focused on lifting up female House GOP candidates

ステファニクは女性連邦議会候補者の支援に多大なエネルギーを注ぎ、連邦下院に共和党から立候補する女性たちを募集し支援するための政治活動委員会「エレヴェートPACElevate PAC)」を立ち上げた。

彼女は、2018年の「ブルーウェーブ(Blue Wave 訳者註:民主党の大勝利)」の後、第116回連邦議会で連邦下院の共和党所属の女性議員の数がわずか13人に減った後に、この取り組みを始めた。2021年に始まる次の議会では、共和党所属の女性連邦議員の数は23人に増加した。

ステファニクの努力には、女性候補者を支援するために共和党の予備選でがむしゃらに行動することが含まれており、そのことが時として彼女を連邦下院共和党指導部の他の人々と対立させることになった。当時の全米共和党議会委員会委員長のトム・エマー連邦下院議員(ミネソタ州選出、共和党)は、ステファニクが共和党の予備選に介入するのは「誤り(mistake)」だろうと発言すると、ステファニクは「ニューズ速報…私は許可を求めていた訳ではない(NEWSFLASH… I wasn’t asking for permission)」と反論した。

ステファニクが支援した候補者の1人は、2024年トランプ陣営報道担当のキャロライン・リービットで、2022年にニューハンプシャー州で連邦下院議員選挙に立候補した。

(5)初当選時に連邦下院で最年少の女性議員となった(Youngest woman in House when elected

ステファニクは2014年に連邦下院議員に初当選し、30歳で史上最年少の女性連邦下院議員となり、歴史に名を残した。

現在40歳のステファニクは、アメリカの国連大使に就任する最年少の一人となるであろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 今回は、トランプが共和党予備選挙で勝利することを阻止するために、リベラル派は、共和党の予備選挙に参加してマルコ・ルビオに投票すべきだという記事を紹介します。著者は、ピーター・ベイナードです。

 

 スーパーチューズデー(多くの州で予備選挙が行われ、選挙戦の流れが決まることが多い)が近づいています。各種世論調査では、トランプはテキサス以外で一位を獲得する勢いで、トランプが共和党の大統領選挙候補者に指名される可能性がどんどん大きくなっています。これについて、「トランプ旋風はいよいよ危険だ」という考えがメディアに出てくるようになりました。

 

 私はトランプ人気と日本の安倍晋三政権や橋下徹氏の人気が落ちないことには共通点があるように思います。彼らの言っていることは驚くほどによく似ています。トランプに熱狂しているアメリカ人の姿を見ていると、「ああ、あれは日本の有権者の姿でもあるのだな」と思います。閉塞感と怒りから発したポピュリズム(この言葉にはいくつかの意味があります)が、知恵のある政治家たちに利用されると暴走してしまい、革命と同じことが起きて、破壊しかもたらさないということがあります。

 

 この記事が訴えるようにリベラル派が共和党の予備選挙に参加することはないですが、ある種の危機感がアメリカにあるということは分かる記事です。

 

=====

 

リベラル派がマルコ・ルビオに投票すべき理由とは(Why Liberals Should Vote for Marco Rubio

―民主党員、民主党支持者はドナルド・トランプの共和党大統領選挙候補者指名を阻止するためにできることは全てやらねばならない。その中には、トランプを倒す可能性を持つ一人の人物を支持することも含まれる

 

ピーター・ベイナート筆

2016年2月28日

『ジ・アトランティック』誌

http://www.theatlantic.com/politics/archive/2016/02/why-liberals-should-vote-for-marco-rubio/471444/

 

 マルコ・ルビオはダメな大統領になることだろう。彼の税制に関する考えを知れば、ジョージ・W・ブッシュ前大統領は分別のある財政運営をしていたということになる。経済制裁、戦争、もしくは戦争を起こすという脅しを使うことは911事件以降、失敗続きであることはよく知られている。それでもルビオはこうしたやり方を使ってアメリカの敵たちを屈服させようとするだろう。移民問題に関して彼は誠実ではないし、臆病である。ルビオの生まれ故郷は定期的に洪水に見舞われているのに、彼自身は気候変動の影響を否定している。

 

 もし私が、共和党員ではなくても参加できる共和党予備選挙が実施される、スーパーチューズデーに含まれる9つの州の住民であったなら、民主党の予備選挙に参加して、ヒラリー・クリントンかバーニー・サンダースに投票する機会を失ってでも、共和党の予備選挙に参加して、ルビオに投票するだろう。私以外のリベラル派の人々はルビオに投票すべきだ。彼に政治献金をできる人はそうすべきだ。ドナルド・トランプの共和党大党選挙候補者指名を阻止するためなら何でもしなくてはならない。

 

 私の提案に対して3つの反論が存在する。

 

1.反論の第一は、リベラル派の観点からすれば、共和党内でルビオはなく、ジョン・ケーシックが最適の選択肢になる、というものだ。それはその通りだ。しかし、トランプを止めるという点では、ケーシックは無力だ。ケーシックは選挙資金を持っておらず、陣営の体制も整っていない。彼は自分の出身州でだけ上位に顔を出しているに過ぎない。現時点で、トランプを倒すために必要なエリートと大衆両方から羅の支持を受けられる候補者は1人だけだ。そして、その候補者こそがルビオだ。

 

2.反論の2つ目は、ルビオはトランプに比べてかなり良いという訳ではない、というものだ。実際、いくつかの争点では、ルビオはトランプよりも悪い考えを持っている。ルビオは、トランプとは違い、イラク戦争を導いた論理に挑戦してはいない。また、アメリカの選挙資金システムの腐敗について注意を喚起することもないだろう。

 

 しかし、これらの問題は確かに重要であるが、2人の候補者の間には根本的に大きな違いが存在する。ルビオはアメリカ合衆国憲法、そして特に人権宣言を尊重している。トランプは違う。トランプはアメリカの民主政治体制を脅かしている訳ではない。彼は、アメリカ国民が自分たちの指導者を選ぶ権利を否定しようとしてはいない。しかし、トランプは、アメリカの自由主義的な民主政治体制に脅威を与えている。自由主義的な民主政治体制は、たとえ民主的な選挙で形成された多数派であっても奪うことが出来ない根本的な諸権利が存在するという考えを基礎にする。トランプは世論を軽視してはいない。彼はその最も基本的な側面を利用し、煽動している。人々の憎悪と劣情に訴えればアピールできるとは分かっていても、政治家のほとんどは法的な規範と個人の権利を尊重してそうした動きを自制するものだ。しかし、トランプはこうした制限を「政治的正しさの押しつけ」と呼び、彼の侮蔑的な態度を誇らしげに見せびらかしている。

 

 トランプは、テロリストの家族を殺害することを求め、拷問に対して100%の支持を表明している。911事件の後、このような過激な言辞を使って、アメリカ国民の過半数、いや少なくとも共和党員の過半数を熱狂させることが出来るのだということを認識する、大統領候補者はこれまでにもいたと私は考える。しかし、トランプ以外の人々はさすがにそういうことはできないと踏みとどまった。トランプ以外の候補者たちもイスラム教徒を悪者扱いしているが、誰も、全てのイスラム教徒のアメリカ入国禁止など主張しない。トランプ以外の共和党の候補者たちは、オバマ大統領のアメリカ市民権に関する疑惑を問題にすることはほとんどない。トランプは、オバマ大統領がアメリカで生まれたこと自体を否定した。

 

 こうした違いが存在すること自体が恥だ。トランプ以外の候補者たちが、「イスラム教徒は911事件の発生時に大喜びした」という流言飛語を垂れ流す姿など想像することはできない。しかし、トランプだけはこうした流言飛語を利用しているのだ。実際にはそうした事実はなかったことは証明されている。トランプ以外の候補者たちは、主流派メディアに対して右派の立場から怒りを表明してはいる。しかし、トランプだけが名誉棄損に関する法律を変更し、ジャーナリストが彼に対して批判的な記事を書くことを難しくしてやると主張している。そして、トランプだけが、彼を阻止するために政治資金を出している人たちを公開の場で脅しているのだ。

 

 トランプがウラジミール・プーティンを称揚しているのは全くの偶然ではない。トランプがプーティンがやったこと全てを称揚してそれをやろうという訳ではないだろうが、トランプが大統領になったら、アメリカは、ファリード・ザカリアが「非自由主義的民主政治制度」と呼ぶ方向に進んでいくだろう。非自由主義的民主政治制度の下では、アメリカ国民は大統領を選挙で選ぶことはできる。しかし、選挙で選ばれた大統領は彼の権力の行使について今よりも制限が少なくなり、より自由に攻撃対象とするグループの諸権利を奪うことが出来るようになるだろう。これらの制限の多くは社会の慣習、しきたりの問題だと言える。私たちは、誰かが攻撃するまでアメリカの民主政治体制が如何に自由主義体であったかということに気付かないでいた。ルビオではなく、トランプはまさにその点を攻撃しているのだ。

 

3.リベラルはルビオを支持すべきという考えに対する反論の3つ目は、トランプが共和党を破壊することがアメリカの利益になる、というものだ。共和党が分裂、もしくはこの秋の選挙で大敗すれば、穏健派が再び影響力を取り戻し、共和党、もしくはそれに代わる何かは、気候変動を否定すること、判事を決定することを拒絶していること、アメリカの財政破綻とデフォルトの淵に追い込むことを止めるかもしれないと彼らは言う。トランプが勝利すれば、共和党は「頭を冷やす」かもしれないと彼らは考えている。

 

私はこの主張が魅力的なものであることは理解するが、馬鹿げていると断じる。トランプが本選挙で負ける可能性は高いが、100%負けるという保証はない。ヒラリー・クリントンが起訴されることがあるかもしれない。テロリストが投票日の2日前に攻撃をするかもしれない。こうしたことが起きないにしても、誰もこれから半年何が起きるかは断言できない中で、大統領選挙の流れは健全で穏やかなものにすべきだ。

 

 しかし、私たちは、次のことをはっきりと認識しなければならない。 トランプが共和党の大統領選挙候補者に指名されること、それはアメリカが大事な一線を超えてしまうということを意味する。

 

 憲法が設定している制限を尊重せず、弱い立場のマイノリティを更に攻撃する人物が我が国の2大政党のうちの1つを率いようとしているのだ。その結果は、程度を測ることは難しいが、大変深刻なものとなるであろう。数日前、アイオワ州の高校のバスケットボールの試合で、一方のティームのファンが、ラティーノ、アフリカ系、先住民系の選手たちで構成されていた相手ティームに対して、「トランプ」「トランプ」と大合唱して威嚇するという出来事が起きた。彼らは、人種差別を行う大統領となるであろう人物の名前を叫んだのだ。トランプの選挙戦で、彼を批判する人々は暴力を振るわれている。昨年、ボストンでは、2人の男が「トランプは正しい」と叫びながら鉄パイプでヒスパニックの男性を殴打するという事件が起きた。もしトランプが共和党の大統領選挙候補者に指名されてしまったら、そして神の気まぐれで大統領になってしまったらどんなことが起きるか、想像してみて欲しい。あらゆる点で、アメリカはより醜く、恐ろしい場所になってしまうだろう。

 

 対照的に、ルビオが勝利すれば、共和党は安定するだろう。民主、共和両党の間で行われる議論で飛び交う言葉は同じものとなって、議論はかみ合うことだろう。ルビオが共和党内の急進派や「既存勢力」からどんなに好かれていても、まだましだという期待はできる。

 

 トランプが共和党の予備選で勝利することでこれらを全てひっくり返されることになる。アメリカ政治が根本から変化することになる。しかし、常々保守派の人々がリベラル派の人々に行っているように、変化は進歩ではあるとは言えない。ある場合には変化の後に起きることよりも、道徳的に腐敗した現状維持の方がより良い場合もある。トランプが勝利することは政治的にこれまで経験したことのない恐ろしい状況が生まれるということを意味するのだ。

 

 リベラル派はこのような状況を食い止めるために、マルコ・ルビオを支持すべきだ。そして、私たちがこれに失敗したならば、今度は、保守派の人々に、トランプを阻止するためにヒラリー・クリントンを支持するように訴えるべきだ。アメリカ政治における党派対立は激しくなっている。しかし、穏健なリベラル派と穏健は保守派の間には共通の規範が存在する。そして、それを壊されるのを視たくないとこれらの人々は考えている。今こそイデオロギー上の違いを乗り越えて、団結すべき時だ。

 

(終わり)

野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23







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