古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ミシェル・オバマ

 古村治彦です。

 8月19日からの民主党の全国大会でのジャンプアップを目指して、民主党内では「団結」を求めて、カマラ・ハリスに候補者を一本化しようという動きが加速している。民主党の有力者たちや議員たちが次々とハリス支持を表明している。その中で、昨日までハリス支持を表明していない有力者がバラク・オバマ元大統領とミシェル・オバマ元大統領夫人(ファーストレイディ)だ。先週末の報道では、オバマがジョー・バイデンへの撤退について話しをし、ハリスには自身の大統領選挙の選対スタッフ出身者たちを集めて(デイヴィッド・プルーフ元大統領上級顧問など)、ハリス選対を助けるという報道が出ていた。オバマは、バイデンの撤退決定については称賛したが、ハリス後継には支持をしなかった。
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連邦議会民主党の重鎮クラスも即座のハリス支持を明言しなかったが、ナンシー・ペロシ元連邦下院議長、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務は、民主党所属の議員団の動きを受けて、ハリス支持を表明している。

 今回のバイデンの撤退決定とハリス後継支持で、民主党周辺は盛り上がっているが、「バイデンが後継に指名したということだけで、ハリスをそのまま候補者にして良いのか」という「そもそも論」が出ている。舞台裏でバイデンに様々な撤退圧力をかけて、「自発的な形を整えて」、バイデンを引きずり下ろして、ハリスを後継に据えるというのは見方によっては、全くもって「民主的」ではない。ハリスをきちんとした形で候補者に指名するプロセスをこれからやっていくことは難しいと誰でも分かるが、できるだけのことをするのが民主党の責務だ。民主党の予備選挙をハリスは戦わないままで候補者になる。これは、ハリス大統領の正統性をかなり弱めることになる。各州の予備選挙や党員集会で誰も名前を書いていない人物がいきなり候補者になるということになる。この点は民主党として、きちんと対処しなければ、流血の事件となった1968年の民主党全国大会を繰り返すことになる。奇しくも、今年の会場も1968年と同じくシカゴだ。

 シカゴは、オバマ家の地盤である。ここで、流血の惨事とまではいかなくても、紛糾するような事態が起きれば、オバマ家の意向に傷がつく。その点で、オバマは非常に慎重に動いているのだろうと思う。また、自身が最後に支持を表明して、「誰が最高実力者なのか」ということを示したいということもあるだろう。

 「ハリスでやるぞ」「新規まき直しだ」という浮かれた雰囲気が民主党内や支持者の間で出てきている。しかし、選挙は厳しいし、ハリスは「張り子の虎(paper tiger)」である。オバマはその点で、そうした雰囲気を払拭しようとしているのだろうと私は考えている。

(貼り付けはじめ)

後継指名されたハリス米副大統領、女性初・黒人初・アジア系初で脚光…実績乏しく民主党内に不安

7/22() 15:00配信 読売新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbd7728fe80cbbeceb758099688da1c3393f2d40?page=1

https://news.yahoo.co.jp/articles/bbd7728fe80cbbeceb758099688da1c3393f2d40?page=2

 【ワシントン=田島大志】11月の米大統領選からバイデン大統領(81)が撤退表明したことを受け、民主党は共和党のトランプ前大統領(78)に対抗できる後任選びに入った。バイデン氏が事実上の後継指名をしたハリス副大統領(59)が本命だが、党内が一枚岩でまとまるかどうかは不透明だ。

 「トランプを打ち負かすため、民主党、我が国を団結させるために全力を尽くす」。ハリス氏は21日の声明で、党の正式指名を得ることに強い決意を示した。

 民主党のビル・クリントン元大統領と妻のヒラリー・クリントン元国務長官は21日、連名の声明でハリス氏の支持を表明した。「今こそハリス氏を支援し、全力を尽くして当選のために闘う時だ」と結集を訴えた。

 大統領選まで4か月弱と時間が限られる中、バイデン氏を支えてきた経緯もあり、党所属議員や支持団体の間ではハリス氏での一本化を図る動きが始まっている。バイデン氏が集めた選挙資金もハリス氏への引き継ぎは容易とみられている。

 ハリス氏は、上院議員などを経て21年に女性初、黒人初として副大統領に就任した。母親はインド移民でアジア系としても初めてで、就任当初は脚光を浴びた。ただ、移民問題などを担当したバイデン政権では目立った実績に乏しく、国民的な人気は低迷している。

 米政治情報サイト「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)」がまとめた、トランプ氏との対決を想定した世論調査の平均支持率は、トランプ氏が43・5%に対し、ハリス氏は38・5%にとどまっている。

 バイデン氏の撤退論が浮上する中、カリフォルニア州のギャビン・ニューサム知事(56)やミシガン州のグレッチェン・ホイットマー知事(52)らを推す声も出た。

 21日に声明を出したオバマ元大統領も「党が傑出した候補者選びのプロセスを用意できると自信を持っている」としつつ、ハリス氏には触れなかった。党内ではトランプ氏に「勝てる候補」としてハリス氏に対する不安もくすぶる。

 党大会直前での撤退は前例がないだけに、後継候補の選出も手探りとなる。

 党全国委員会のジェイミー・ハリソン委員長は21日の声明で「団結した党として前進するための透明で秩序あるプロセスに着手する」と表明しつつ、具体的な選出方法は明らかにしなかった。米メディアによると、8月上旬にオンラインで代議員による指名投票を行う案のほか、8月19~22日の党大会の投票で選出する方法などが検討されている。

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ペロシがハリスを民主党の大統領選挙候補者として支持(Pelosi endorses Harris as Democratic nominee

マイケル・シュネル筆

2024年7月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4786197-pelosi-endorses-harris-democratic-nominee/

ナンシー・ペロシ前連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)は、ジョー・バイデン大統領が再選を望まないと発表した翌日に、カマラ・ハリス副大統領を民主党の大統領候補に正式に支持し、支援を表明した。

(依然として党内で重鎮である)ペロシ前議長の支持は、カリフォルニア州民主党がバイデンに水面下で選挙戦残留の決定を再考するよう圧力をかける上で重要な役割を果たしたため、ペロシの支持は重要だ。ペロシはバイデンが撤退発表した直後にハリスへの支持を差し控えたが、ペロシは月曜日に全面的な支持を表明した。

ペロシは声明の中で、「本日、私はこの国の将来に対する計り知れない誇りと限りない楽観をもってカマラ・ハリス副大統領をアメリカ大統領として支持する」と述べた。

昨年トップの座から退くまで、約20年にわたり、連邦下院民主党を率いてきたペロシは、ハリスが11月に党を勝利に導くと「全面的に確信している(full confidence)」と述べた。

ペロシは次のように述べた。「公式には、私はカマラ・ハリスが勤労者家庭(working families)の擁護者として、特に女性の選択権のために闘う強さと勇気を見てきた。個人的には、カマラ・ハリスが強い価値観、信仰、公共奉仕への取り組みに根ざしていることを何十年も前から知っている。政治的には、誤解しないで欲しいのだが、政界の女性としてのカマラ・ハリスは非常に洞察力があり、私は彼女が11月に私たちを勝利に導いてくれると確信している」。

月曜日遅く、民主党全国大会のカリフォルニア州代表団の会議中に、ペロシはシカゴでの全国大会で、同団体がハリス氏を支持することを求める動議を提出した。

ペロシはハリスの初期の大統領選挙活動を支持した最新の連邦下院民主党議員となった。この選挙運動は、日曜日にバイデンが撤退した直後に開始され、選挙戦のトップの座を埋めるためにハリスを支持すると発表した。

しかし、カリフォルニア民主党は、バイデン大統領が選挙戦からの撤退を発表した直後に、ハリスへの支持を保留した数少ない著名な民主党員の一人だった。ペロシ、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、ハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、オバマ前大統領はいずれも、撤退のニューズを受けての声明でバイデンを称賛したが、ハリスを支持するまでには至らなかった。

他のヴェテランの民主党議員3人はまだハリスを支持していない。しかし、ハリスは、月曜日、連邦上院民主党ナンバー2のディック・ダービン上院多数党(民主党)幹事長(イリノイ州選出、民主党)、連邦下院民主党のナンバー2とナンバー3である、連邦下院少数党(民主党)幹事長のキャサリン・クラーク、民主党議員団長のピート・アギラール議員(カリフォルニア州選出、民主党)からの支持を獲得した。

ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は日曜日の短いインタヴューで本誌に対し、何人かの民主党幹部は、何者かではなく、ハリスを候補者とする何らかのプロセスを展開することを可能にするために、今のところ支持を保留している可能性があると語った。これは、彼女にとっては戴冠式のようだ。その戦略がハリスを「より強力で正当な(stronger and more legitimate)」候補者にするだろうと彼らは考えているのかもしれない。

ハフマン議員は「私はハリス副大統領が候補者になると完全に確信している。100%の確信を持っているが、これが多少の展開を許しても問題ない」と述べた。

ペロシは、先月の討論会での悲惨な成績を受けてバイデンが選挙戦に残留するという決断を再評価するよう圧力をかける上で、舞台裏で重要な役割を果たしたが、バイデンは撤退決定をするまでその決意を堅持していた。

今月初め、形勢がバイデン有利に傾き始めたとき、ペロシは大統領のお気に入り番組として知られるMSNBCの「モーニング・ジョー」に出演し、バイデンが選挙戦継続を明らかにしていたが、「彼がやると決めたことは何でもやって欲しい」と語った。

多くの連邦下院民主党議員は、ペロシのテレビ出演を受けてバイデンの撤退を求めるようになった。

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オバマはハリス支持にまで至っていない(Obama stops short of backing Harris

サラ・フォーティンスキー筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/4784831-obama-stops-short-of-backing-harris/

バラク・オバマ元大統領は、バイデン大統領が再選に向けて立候補しないとの報道を受けて、バイデン大統領を「最高クラスの愛国者(patriot of the highest order)」と称賛したが、後任としてカマラ・ハリス副大統領を支持するまでには至らなかった。

オバマは声明の中で、「ジョー・バイデンはアメリカで最も影響力のある大統領の一人であり、私にとって親愛なる友人でありパートナーでもある。今日、私たちはまた、彼が最高クラスの愛国者であることを改めて認識している」と書いた。

オバマ元大統領は、ハリスには言及せず、党が「今後数日で前人未到の海域を航行する(navigating uncharted waters)ことになる」と予想しているが、党の前進する能力に信頼を表明した。

オバマ大統領は声明文の後半で、「私たちの党の指導者たちが優れた候補者を生み出すプロセスを作り上げることができると、私は大いなる信頼を持っている。全ての人に機会を提供する、寛大で豊かで団結したアメリカというジョー・バイデンのヴィジョンは、8月の民主党全国大会で完全に明らかになるだろうと私は確信している。そして、私たち一人ひとりが希望のメッセージを伝え、11月以降も前進する準備ができていることを期待している」と述べた。

オバマは続けて、「今のところ、ミッシェルと私は、この危険な時期に、有能さと勇気をもって私たちを導いてくれた、そして、この国の建国の基礎となった自由と平等の理想への献身をしてくれたジョーとジルに対して、愛と感謝の気持ちを表したい」と述べた。

オバマは、バイデンがホワイトハウスで一緒に働いていた頃、バイデンと緊密な関係にあったことで有名だが、バイデンにとってこれがいかに難しい決断だったかを指摘し、バイデンが国にとって何が正しいかを考えていると確信していると付け加えた。

オバマはさらに次のように書いている。「ジョーが戦いから決して一歩も引かなかったことも知っている。彼にとって、政治情勢を見つめ、新たな候補者にトーチを引き継がなければならないと決断することは、間違いなく彼の人生の中で最も困難なことの一つだろう。しかし、それがアメリカにとって正しいと信じない限り、彼がこの決定を下さないことを私は知っている。これは、ジョー・バイデンの祖国愛の証であり、真の公僕が再び自分の利益よりもアメリカ国民の利益を優先した歴史的な例であり、将来の世代の指導者も見習うべきだろう」。

オバマ元大統領は、新型コロナウイルス感染拡大終結への貢献から雇用創出の記録、処方薬コストの引き下げ、気候変動への投資、労働組合への支援まで、バイデンの在任中の実績を称賛した。オバマは世界舞台でのバイデンのリーダーシップと、ロシアのウクライナ侵略に対してNATO諸国を団結させる役割を宣伝した。

オバマはバイデンの人柄を称賛した。オバマは、「彼の深い共感力と苦労して獲得した回復力、彼の基本的な良識と、誰もが大切だという信念がある。ドナルド・トランプ政権の特徴だった4年間の混乱、虚偽、分断から国を救い出したのはバイデンだ」と述べた。

オバマは次のように書いている。「この優れた実績が、バイデン大統領に再選に立候補し、彼が始めた仕事をやり遂げる権利を与えた。ドナルド・トランプを再びホワイトハウスに迎え入れ、共和党に連邦議会を支配させれば、彼が生涯をかけて闘ってきたこと、そして民主党が掲げることのすべてが危険に晒されることをバイデンは理解している」。

オバマ元大統領は次のように述べた。「ジョーは彼の政策と模範を通じて、私たちが最高の状態にあること、つまり信頼と誠実さ、優しさと勤勉といった昔ながらの価値観を大切にする国であることを思い出させてくれた。民主政治体制、法の支配、責任を信じている国だ。誰であろうと誰もが発言権を持ち、より良い生活を得るチャンスを得る権利があると主張する国だ」。

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ペロシ、ジェフリーズが2024年大統領選挙民主党候補者としてハリスを支持するに至っていない(Pelosi, Jeffries stop short of backing Harris as 2024 nominee

マイケル・シュネル筆

2024年7月21日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/4784903-pelosi-jeffries-endorsement-harris/

ジョー・バイデン大統領が再選を目指さないと発表したことを受けて、日曜日、ナンシー・ペロシ元連邦下院議長(カリフォルニア州選出、民主党)とハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)は、カマラ・ハリス副大統領を党の新たな候補者として支持するまでには至っていない。民主党が前途未踏の道に進む中、支持を表明しなかった。

ペロシとジェフリーズは、先月の討論会での悲惨な結果を受けて。バイデンの立候補に懸念を表明したと伝えられているが、両議員は大統領を称賛したが、ハリスの名前には言及せず、11月の大統領選挙で、誰を候補者に据えたいのかについても言及しなかった。

ペロシは声明で次のように述べた。「ジョー・バイデン大統領は、常に我が国を第一に考えてきた(put our country first)愛国的なアメリカ人だ。彼が残したヴィジョン、価値観、リーダーシップにより、彼はアメリカ史上最も影響力のある大統領の一人となった。常にアメリカの約束を信じ、人々にその約束を果たす機会を与えてくれたバイデン大統領に愛と感謝を捧げる。神はジョー・バイデンの偉大さと善良さでアメリカを祝福した」。

ジェフリーズもペロシの意見に同調し、バイデンを「アメリカ史上最も功績があり、影響力のある指導者の一人」と称賛し、その後、バイデンの大統領としての数々の功績を列挙した。

「ジョー・バイデン大統領が知性、品格、威厳をもって私たちを導いてくれたので、今日のアメリカはより良い場所になった。私たちは永遠に感謝するだろう」とジェフリーズは付け加えた。

ジェフリーズとハリスは日曜日の夜に話した。

チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)とオバマ前大統領も、党の新しい候補者としてハリスへの支持を明確に表明しない声明を発表し、これに驚いた人々もいた。

民主党幹部の動向に詳しいある関係者は本誌に対し、日曜日は感傷的な日となり、連邦議員たちはこのニューズに対処していると語った。彼らは、その日はバイデンにとっての日であり、議員たちはその日その時に問題に対処していると付け加えた。

しかし、有力者たちからの支持の欠如は注目に値する。それは、ペロシのような民主党の有力者たちが、バイデンに選挙戦を続けるという決断について再考を促すように舞台裏で努力をしたからだ。

ペロシは今月初め、潮目がバイデンの方向から傾き始めたとき、バイデンのお気に入りのニューズ番組として知られるMSNBCの「モーニング・ジョー」に出演し、バイデン大統領が大統領選を続けると決断していることが明らかだったにもかかわらず、「彼がやると決めたことは何でもやって欲しい」と語った。

本誌の調査では、ペロシとバイデンは1週間以上会話していないことが分かった。

民主党トップからの支持がないことは、すぐにハリスへの支持を表明した連邦下院民主党議員団の他のメンバーとは対照的である。

民主党指導部の一員を務めた経験を持ち、2020年の大統領選挙でバイデンを支持したことが勝利の鍵となった、ジェームズ・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)は、プラミラ・ジャヤパル下院議員(ワシントン州選出、民主党)と同様に、ハリスを新しい候補者として支持した。ジャヤパル議員は、連邦下院進歩主義派議員連盟の会長を務めている。また、連邦下院歳出委員会の民主党側幹部メンバーであるローザ・デラウロ連邦下院議員(コネチカット州出身、民主党)もハリス支持を表明した。前述のクライバーン議員は以前、バイデンが選挙戦から撤退した場合には、ハリスを支持すると述べていた。

民主党幹部たちは、バイデンの撤退発表直後、ハリスへの支持を表明するまでには至らなかったが、近い将来、ハリスへの支持を表明する可能性がある。たとえば、ジェフリーズは、通常、大きな決断を下す前に、連邦下院民主党議員団のメンバーと会って話をするのが通例だ。

このグループは火曜日に毎週開かれている定期会合に集まる予定だ。

ジャレッド・ハフマン連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は日曜日夜、本誌の短いインタヴューに対し、民主党の幹部の一部は、ハリスの支持を急いでいないかもしれないと語った。彼らは、何らかのプロセスが展開されることを容認すれば、ハリスがより強力な候補者になると感じているからである。ただし、そのプロセスがどのようなものであるかは不明だ。

ハフマンは次のように述べた。「少しのプロセスがあれば、カマラはより強く、より正当なものになると信じている人もいる。しかし、そのプロセスの終わりに彼女が候補者にならないだろうと示唆する人は私の知る限りでは誰もいない。この急速な団結がリアルタイムで起こっているのを目の当たりにしている」。

ハフマンは、「私はハリス副大統領が私たちの候補者になると完全に自信を持っている、あるいは200%の確信を持っているが、これが多少なりとも展開することを許容しても問題ない」と付け加えた。

ハフマンは、議員たちからよりオープンなプロセスを求める声が出ていることについて、「ハリスに反対しているという意味ではない」と指摘した。

ハフマンは、そのプロセスは民主党全国委員会(Democratic National CommitteeDNC)の規則委員会の判断に委ねられ、「完全にオープンな大会にはならない(less than a wide-open convention)」と予想していると述べた。

民主党全国委員会のジェイミー・ハリソン委員長は、日曜日に発表した声明の中で、「今後数日以内に、党は11月にドナルド・トランプを破ることができる候補者とともに、団結した民主党として前進するための、透明性があり、かつ秩序あるプロセスに着手する」と述べた。

ハリソン委員長は「このプロセスは党の確立された規則と手順によって管理される。私たちの代議員は、候補者をアメリカ国民に迅速に示す責任を真剣に受け止める用意がある」と続けて述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 現職のジョー・バイデン大統領の人気のなさが少しずつだが報道されるようになっている。更に、バイデンの数々の奇行(何の脈絡もなく「女王陛下に神のご加護を」と叫ぶなど)や、考えなしの発言(「日本の岸田首相を“説得”して防衛費増額をさせた」という内政干渉発言)に不安を持つアメリカ国民も増えている。バイデンの年齢は80歳で、アメリカ史上最高齢の大統領となり(就任時の78歳でも史上最高齢)、年齢に関する不安も大きくなっている。

バイデンは再選を目指すと表明しているが、選挙の投開票日である2024年11月上旬では81歳、更に4年の任期を務めれば86歳となる。アメリカ歴代の大統領46名の内、40代で大統領になったのは9名、50代で大統領になったのは25名だ。健康で頭脳が良く働く人生の時期、いわゆる働き盛りの世代が大統領になることが多い中で、既に仕事から引退している人が多い70代で大統領になり、80歳を迎えた人物であるバイデンを不安視する人が多いのは自然なことだ。

 バイデンの不人気に加えて、副大統領であるカマラ・ハリスの不人気も目を覆うばかりだ。ハリスの仕事ぶりに関する世論調査は軒並み、不支持が支持を10ポイントも上回る状況だ。ハリスが足を引っ張ることでバイデンの再選が危ういという不安が民主党内部で高まっている。しかし、ここでバイデンがハリスを更迭して別の人物を副大統領候補にして再選を目指すということになると、バイデンの任命責任や民主党内部の人材の払底など、マイナスになる要素をアピールすることになる。
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 そうした中で、「ミシェル・オバマを副大統領にしたらよい」論がでてくることになる。ミシェル待望論では、「ミシェルもハリスと同じアフリカ系アメリカ人女性だし(ハリスはインド系でもあるが)、ハリスよりも頭脳明晰で仕事ができる。それにバラク・オバマ元大統領も政権に協力するだろう」ということになっている。

 ミシェルは政治家に向かない。ミシェルは頭が良すぎて、人を見たらまずその人の頭脳レヴェルを判定して、及第点に達したら話をするが、及第点以下となったら冷たい対応をするというのは有名な話だ。ミシェルは、一般国民とも交流しなければならない、時には道化を演じなければならない政治家などできないのだ。日本風に言えば、頭が高い、頭を下げられない人物ということになる。それだったら、「バラクを副大統領に」ということになるが、憲法上の規定では大統領経験者、しかも二期務めた人物が副大統領になれないということはないようだが、それはそのような想定がなされたことがないからだ。民主党の人材払底と行き当たりばったりはアメリカ国民に不安を与えることになる。

 バイデンの再選を民主党は最大目標にしており、そのために各州で実施される予備選挙の日程を変更したり、討論会を行わないと発表したりとなんとも卑怯なことを行っている。どうにかこうにかバイデンが勝った後はどうするのかという構想もなく、民主党はこれから厳しい時期を迎えることになる。

(貼り付けはじめ)

ミシェル・オバマは2024年の大統領選挙で民主が勝利を挙げる可能性が最もある選択肢となる(Michelle Obama would be Democrats’ best chance to win in 2024

メリル・マシューズ筆

2023年3月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/3899576-michelle-obama-would-be-democrats-best-chance-to-win-in-2024/

ミシェル・オバマ前大統領夫人が2024年大統領選挙に出馬する可能性があると、最近メディアで話題になっている。その可能性は極めて低いが(彼女は常に出馬の可能性を否定してきた)、その熱狂ぶりは理解できる。ミシェルが民主党の大統領候補、あるいは副大統領候補になれば、民主党がホワイトハウスを維持する最大のチャンスとなる。

現状では、ジョー・バイデン大統領が指名獲得の可能性が高い共和党大統領候補(トランプ前大統領を除く)に対して再選を勝ち取る可能性は大きくない。

有権者の大多数は80歳のバイデンの再出馬を望んでおらず、その中には民主党有権者の過半数(57%)も含まれている。そして、有権者が大統領の健康状態や大統領としての職務遂行能力に更に懸念を抱くようになれば、この過半数はさらに拡大する可能性が高い。

更に言えば、バイデンの最近の動きに関して、彼があれほど非難していたトランプ大統領の移民政策を受け入れたり、進歩主義派の警察費廃止構想に反対しようとしたりするもので、民主党の政治的エネルギーの大半が存在する進歩主義派を疎ましく思っている。

しかし、バイデンが勝てないとしたら、誰が勝てるだろうか? ミシェル・オバマならチャンスはある。その理由は次の通りだ。

民主党は、バラク・オバマの大統領就任を、ジョン・F・ケネディの大統領時代を指す言葉としてよく使われる、現代の「キャメロット(Camelot)」のようなものだと考えている。ある歴史家は、「キャメロットという言葉は、1961年1月から1963年11月まで続いた、ケネディとその家族のカリスマ性をとらえたケネディ政権を指して、回顧的に使われてきた」と評している。

民主党は、オバマとその家族から発せられるカリスマ性を懐かしんでいるが、ジョー・バイデンからカリスマ性を連想する人はいない。

事実は、オバマは現在の民主党で最も人気があり、有能な人物である。フォックスニューズが昨年10月に指摘したように、中間選挙直前、民主党がオバマ大統領に選挙運動をするよう促していたとき、「2017年1月に大統領を退いたオバマ元大統領は、依然として民主党支持者たちの間では絶大な人気があり、無党派層には中程度の人気がある」ということだ。

もしミシェルが民主党の指名候補になれば、バラクはミシェルだけでなく政権や民主党の側近になるだろう。要するに、ミシェルを取り込むことが、民主党が考えるオバマ・マジックを取り戻す最善の方法なのだ。

加えて、ミシェルの指名は、ヒラリー・クリントンの敗北に対する一種の政治的仕返しとなるだろうが、ミシェルの方が高い人気を誇るという点ではましだ。

ヒラリーはアメリカ初の女性大統領になりたかった。彼女は失敗し、民主党、特にヒラリーはドナルド・トランプによる敗北を乗り越えられないでいる。

ヒラリーはいまだに、おそらくロシアの干渉によって選挙が何らかの形で盗まれたと信じている。

もしミシェル・オバマが2024年の大統領選挙で勝利し、特にドナルド・トランプが共和党候補だった場合、彼女がドナルド・トランプを打ち負かせば、民主党にとっては正義が復活したように見えるだろう。

最後に、ミシェルがバイデンの再選を目指して民主党の大統領候補者になることを拒否して、副大統領候補になる場合、彼女はカマラ・ハリス副大統領を脇に追いやることができるかもしれない人物である。

民主党、そして一般市民はカマラ・ハリスに不満を抱いているが、それには理由がある。彼女のスピーチは、しばしば脈絡のない言葉や考えの羅列になってしまう。そして彼女は、アメリカ南部国境危機の管理など、与えられた数少ない仕事を失敗している。

ティーム・ハリスは問題点を把握しており、民主党の指導者たちは批判を抑えようとしている。

この状況は、1992年のジョージ・HW・ブッシュ大統領の再選キャンペーンを彷彿とさせる。副大統領はインディアナ州選出の元連邦上院議員、ダン・クエールだった。クエールはまっとうな人物だったが、公の場で発言するときにはそれなりに問題があり、メディアはそれを串刺しにした。

1992年夏、何人かの共和党指導者は、再選において厳しい状況に直面していたブッシュに、クエールを降ろし、別の副大統領を選ぶよう説得しようとした。クエールを降ろし、別の副大統領候補を選ぶよう、厳しい再選に直面していたブッシュを説得しようとしたのだ。ブッシュはこれを断り、再選に失敗した。

バイデンは大統領候補として、アフリカ系アメリカ人女性を伴走者に選ぶよう圧力をかけられ、それを実行した。ミシェルが彼の伴走者になったとしても、それは変わらないだろう。さらに、賢くて明晰な副大統領を得ることができ、その副大統領は大統領候補としてのバイデンの魅力を高め、民主党や多くの無党派層から絶大な人気を得るだろう。

おそらく実現しないだろう。しかし、ミシェル・オバマが副大統領候補としてだけでも出馬すれば、2024年に民主党が勝利する最大のチャンスとなる。

※メリル・マシューズ:テキサス州ダラスにあるポリシー・イノヴェイション研究所常勤研究員。ツイッターアカウント:@MerrillMatthews.

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ジョージ・フロイド事件からアメリカやヨーロッパではデモや暴動が起きている。人種差別をなくすという主張は、法の下で平等に扱ってくれという要求であり、そのことは当然のことだ。暴動や略奪は問題解決にはつながらない。

こうした状況で、アメリカ国内の南軍由来の米軍基地の名前を変更する、とか、映画『風と共に去りぬ』の配信をアメリカ国内で停止するといったことは、やり過ぎだし、そうしたことをしたからといって歴史は変えられないし、何より歴史を抹殺してなかったことにすることにつながり、かえって良くない。

 今年はアメリカ大統領選挙の年であり、共和党では現職のドナルド・トランプ大統領、民主党ではジョー・バイデン前副大統領が本選挙で戦う。バイデンは副大統領候補に「女性を選ぶ」と発表している。既に多くの名前が出ている。そうした中で、根強い人気があるのがミッシェル・オバマである。バラク・オバマ前大統領の夫人であり、前ファーストレディだ。以下にミシェル・オバマが副大統領候補になる可能性について古い記事をご紹介する。
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 バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者からの支持で、民主党予備選挙で大客点を起こし、勝利することができた。2016年の大統領選挙では、民主党候補者(ヒラリー・クリントン)への投票率が下がったアフリカ系アメリカ人有権者を再び取り戻すためには、アフリカ系アメリカ人女性が良いということも一つの考えではある。しかし、バーニー・サンダースを支持する有権者が多かったヒスパニック系を惹きつけるためには、ヒスパニック系の女性だという声も大きい。

 ミシェルは夫バラクよりも頭脳明晰で、行動力があり、立派な人物だと言われている。しかし、頭が良すぎるために、普通の政治家のように振舞うことができないようだ。愛想を振りまくといったことができない。相手が馬鹿に見えてしまうと、それがそのまま露骨に態度に出てしまうというのは政治家としては欠点だ。

 やはりアフリカ系アメリカ人女性ということになると、スーザン・ライスということになるだろう。ミシェルはヒラリーと相いれないだろうし(お互いが自分の方が頭が良いと思って嫌い合う)、ミシェルにはやはり政治や行政の経験がない。それに比べれば、ライスの方が経験豊富だ。何よりバイデンが大統領に当選しても何か重大なことが起きれば、大統領になるとなれば、ライスということになるだろう。
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 大宅壮一が以前、藤山愛一郎が岸信介に唆されて政治の道に進むとなった際に、「絹のハンカチをぞうきんに使うな」と述べた。政治とは汚い世界であり、向かない人物は近づかない方が良い。藤山も利用されるだけされて、最後には捨てられ、「井戸塀政治家(政治をやって最後には井戸と塀しか残らなかった政治家)」の見本となった。ミシェルは政治には向かないだろう。そのことはミシェルもバラクもよく分かっているだろう。望まれているうちが花である。

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バイデンが民主党の候補者となれば、ミシェル・オバマを副大統領候補として選ぶだろうか?(If Biden’s the Nominee, Might He Pick Michelle Obama as His Vice President?

ジョン・ファンド筆

2020年3月8日

『ナショナル・レヴュー』誌

https://www.nationalreview.com/2020/03/joe-biden-might-he-pick-michelle-obama-as-his-vice-president/

彼女は民主党の大統領選挙において有利な点を与えることになるが、彼女自身は選挙に出ることに関心をほぼ持っていない。

民主党にとって良いニュースは、バーニー・サンダースが今年の秋に大統領選挙候補者となる可能性はかなり低くなったことだ。悪いニュースはジョー・バイデンが大統領選挙候補者として強みがないということだ。結果として、彼が自分の立場を強くするために誰を副大統領候補に選ぶかについての議論の緊迫度が高まっている。民主党の指導者層はこの議題で激しい議論を展開している。

多くの人が考えるのは、バイデンの副大統領候補は、大胆な選択であると同時に、2016年にヒラリー・クリントンが失ったマイノリティの投票を強力に集めることができる人物であるべきということになる。連邦下院多数党(民主党)幹事長ジム・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)は最終的にバイデン支持を表明し、サウスカロライナ州でのバイデンの圧勝をもたらした。クライバーンは明確な考えを持っている。

クライボーンは記者団に対して次のように見通しを話した。「今年の副大統領候補の候補者名簿に女性が入っていないということは考えられない。私はその人物が非白人であれば更に良いと思う」。

クライボーンと同様の趣旨の発言を行ったのはヴァレリー・ジャレットだ。彼女は8年間にわたりオバマ大統領の上級顧問を務めた。ジャレットはCBSニュースの取材に対して、「民主党の大統領選挙候補者は一般的な通年を打ち破り、非白人の女性を副大統領に選ぶべきでしょうし、そうするでしょう」と述べた。

この時、ジャレットの発言はそれだけにとどまった。結果、ジャレットは誰が副大統領候補にふさわしいかということまで言う機会はなかった。しかし、オバマ家に対してジャレットよりも近い人はいない。ジャレットが副大統領候補として非白人の女性の名前を上げる場合に、ジャレット自身が30年近くずっと親しくしている女性を候補者に入れないということは考えられないと誰しもが考える。その女性とは、ミシェル・オバマ、である。

ジャレットとミシェルは30年以上の知己である。1991年、当時のシカゴ市長リチャード・デイリーの次席補佐官だったジャレットは当時26歳のミシェル・ロビンソンの就職面接を行った。ハーヴァード大学法科大学院の卒業生ミシェル・ロビンソンはジャレットに強烈な印象を残した。ジャレットは自伝の中で「ミシェルからは有能さ、性格の良さ、誠実さが感じられた」と書いている。ジャレットはミシェルを採用した。そして、ジャレットはミシェルから婚約者のバラク・オバマを紹介された。ジャレットはカップルを庇護し、シカゴのエリートたちに紹介した。これこそは、オバマ家がホワイトハウスにまで上昇するスタートであった。第二弾の動きのために時期は今ではないか?

ミシェルが副大統領候補になれば民主党の支持基盤には人気となるだろう。そして、バイデンが民主党の大統領選挙になる場合に、今年の11月に多くの投票を必要としているのはこの支持基盤である。先月カリフォルニア州において、スタンフォード大学フォーヴァ―研究所、ビル・レーン・センター・フォ・ジ・アメリカン・ウエスト、YouGovが、登録済み有権者1507名を対象にした世論調査を協働に実施した。その中で、副大統領候補に誰が良いかという設問があった。

有権者たちは明確に女性を支持している。有権者のうち31%がミシェル・オバマの名前を挙げている。続くのはカリフォルニア州選出連邦上院議員カマラ・ハリスで19%、第三位にはミネソタ州選出連邦上院議員エイミー・クロウブッシャーが入り18%、元ジョージア州上院議員ステイシー・エイブラムスが13%で4位に入った。そして、カリフォルニアを地盤とするヴェンチャーキャピタリストであるトム・ステイヤーは10%の支持を集めた。

普通に考えれば、ミシェル・オバマを副大統領候補にするということは全く実現性のない、問題外のことであるということになる。ミシェル・オバマは、人々の見えない場所では、自信に満ちた態度であり強引であると知られている。強引な人物という評判を持つ人物がこれまで副大統領に選ばれたことはあまりなかった。現在82歳になるジョー・バイデンが大統領に当選しても再選を目指して出馬するだろうと考える人はあまりいない。そのため、ミシェルが副大統領となれば、バイデンの跡継ぎを狙っていると見られる危険性はある。ミシェルは有権者の多くの人気を集めてはいるが、彼女は共和党側と協力すること、自分が馬鹿だと考えている人たちを丁寧に扱うことには全く興味関心を持っていない。

しかし、バイデンはミシェルを副大統領候補にするという考えを受け入れ、支持することを公言している。今年2月にアイオワ州の選挙集会である有権者からの質問に対し、元ファーストレディを副大統領候補に「すぐにでも」選びたいとしながらも、オバマ家はホワイトハウスを出てからの生活が「少し解放された」ようなもので気に入っている、と述べた。昨年9月、スティーヴン・コルバートとのインタヴューの中で、バイデンは、ミシェルを副大統領にするという考えを支持していた。その前に、バイデンは「冗談だからね、ミシェル、冗談を言っているんだから」と述べた。

しかし、バイデンは冗談を述べたのだろうか?シカゴ時代からのある知人は次のように述べている。「オバマ家は人々の注目を集める生活から離れて3年を過ごしました。しかし、トランプ大統領が再選され、2期目を迎えることになると、彼はオバマ前大統領が行ったこと全てを破壊するという自身の公約を完結させることになるでしょう。ミシェルが副大統領候補になることで、そのようなことが阻止できるということあれば、出馬するという選択肢は全く問題外ということでもないでしょう」。

もしバイデンがアフリカ系アメリカ人を副大統領候補にしたいと望むならば、その他の選択肢は様々な問題を示している。バイデンは副大統領候補となる人物はメディケア・フォ・オールに反対しなければならないと述べた。これではニュージャージー州選出のコーリー・ブッカー連邦上院議員を副大統領候補に起用することはできない。2018年のジョージア州知事選挙で善戦したステイシー・エイブラムスに関しては、問題は複雑となる。エイブラムスは州議会以上の経験を持っていない。また、全国規模の選挙に出馬ということになれば彼女の過去は詳しくほじくり返されることになるだろう。

カリフォルニア州選出の連邦上院議員カマラ・ハリスは候補者の1人だ。ハリスに関してマイナス面は、昨年夏の討論会でハリスは、強制的なバス通学にバイデンが過去に反対したことは人種差別的だと昔のことをほじくり返して、バイデンを激しく攻撃したということだ。しかし、バイデンは政治上の恨みを長く引きずっている訳ではない。ハリスに関しては、いくつかの秘密裏の世論調査の結果が示しているのだが、ハリスがアフリカ系アメリカ人とインド系アメリカ人の両方の血を引いているということを知ったアフリカ系アメリカ人有権者たちの中に、彼女への支持を止める人たちが出ている。

バイデン大統領候補とオバマ副大統領候補実現の大きな障害は、当然のことながら、ミシェル・オバマは副大統領候補になるという考えに興味を持っていないと表明していることだ。2018年にテレビ番組『ジミー・キンメル・ライヴ』に出演した際、ミシェルは選挙に立候補しないと述べた。「選挙に出ることについて誰とも真剣に話したことはないんですよ。何故なら私は全く関心を持っていないし、選挙に出ることはないからです。絶対にやりません」。

ミシェルの配偶者も同意している。「いいですか、人生において確かなことが3つあります。死、租税、そしてミシェルが大統領選挙に立候補しないこと、です。私に言えるのはこれだけです」。

このオバマ前大統領の発言はオバマ側近の多くが合意できる内容である。彼らは、ミシェル・オバマは長年にわたり政治と資金集めの汚さを軽蔑していること、娘2人を守りたいという強い希望を持っていること、考えが合わない人々と親しげに交流することを好まないことを指摘している。MSNBCのコメンテイターを務めるマイケル・スティールは次のように語っている。「私がアフリカ系アメリカ人として初めて共和党全国委員会委員長に就任した際、オバマ一家と一緒に写真を撮ったことがありました。彼女は私に対する嫌な気持ちを隠せない人でした。純氷のような人ですよ。彼女はにこりともせず、私をにらみつけていました。そして、私は現像した写真をもらうことはありませんでした」。

しかし、これに対抗する主張も存在する。副大統領候補になれば、ミシェルは15週間だけ選挙運動をやればよいということになる。大統領候補となると選挙運動の期間は2年となる。ミシェルは強く望めば政治資金集めをしなくても済むだろう。娘2人は今大学生になっている。そして、主流派メディアは娘たちについての報道の制限を続けている。それでは、彼女は群衆と会うことを好んでいないことを報道しているだろうか? 民主党系の世論調査専門家であるある人物は次のように語った。「彼女はイヴェントなどに文字通り出席だけはするが、あまり話をすることはないんです。それでも群衆は彼女が大好きなんですよ」。

こうした主張全てを考慮しても、ミシェルが出馬するだろうかという質問の答えはノーということになるだろう。しかし、ミシェル・オバマにイエスと言わせるためのとっておきの手段が存在する。今年2月のアイオワ州での選挙集会において、バイデンはバラク・オバマを最高裁判事に起用する可能性があるかと質問された。歴史を振り返ってみると、元大統領で1人だけ、ウィリアム・ハワード・タフトが1920年代に大統領執務室から最高裁に進んだ。バイデンは、「そうですね、その可能性はありますが、彼がそれを受けないと思いますよ。彼は素晴らしい最高裁判事になることができるでしょうけれど」と答えた。

しかし、私はこのバイデンの考えが正確かどうか疑問を持っている。法科大学院教授を勤めたこともあるオバマは最高裁の知的な雰囲気にマッチすることができるだろう。そして、アメリカで最高の裁判所に彼より適している人物が他にいるだろうか?バラク・オバマは、最高裁判事のクラレンス・トーマスのアフリカ系アメリカ人の立場を強化する保守主義(black-empowerment conservatism)と交代できるだろうし、トランプ政権の遺産の多くを打ち倒すための必要な決定票を投じることができるだろう。

民主党内部には、ミッシェルを副大統領候補にしたいと奔走している人々がいる。そうした人々は、バイデンがバラク・オバマを副大統領候補に選ぶのではないかと疑いを持っている。しかし、2016年にも似たような考えがあった。夫ビル・クリントン元大統領を副大統領にするかどうか、ヒラリー・クリントンは質問されたことがあった。ヒラリーは、その考えが「頭をよぎった」ことは認めたが、それは非立憲的だと否定した。ヒラリーはテレビ番組「エクストラ」の司会者マリオ・ロペスに次のように語った。「ビルは素晴らしい副大統領になるでしょうが、現在の憲法では、彼には資格がないのです。ビルは大統領量を2期務めました。そして、彼が副大統領としてこの2期という制限を超えることはできないということになると思います。少なくとも私はそのように言われています」。

ミシェル・オバマが副大統領候補になる可能性について私が議論した人全ては、ミシェルを副大統領候補に選ぶことは他に何にも出来ないほど、短期的な刺激剤となり、民主党側を活性化させることになると述べている。多くのメディアは夢中になって、オバマ家に対してこびへつらうような報道をすることになるだろう。しかし、ミシェルが副大統領候補になることは、民主党にとって機会になると同時に問題にもなる。とにかく、民主党幹部たちは、バイデンの選挙運動における不安定な技術とパフォーマンスについて懸念を持っている。幹部たちはミシェルを副大統領候補に選ぶことは救命ボートのようなものだと考えている。

もちろん、私が話した政治の専門家たちの多くが、バイデンはオバマ夫人を選ぶことはないだろうと予測している。他方、専門家たちは、ジョージ・W・ブッシュがディック・チェイニーを副大統領に選ぶなどとは考えていなかったし、ジョン・F・ケネディがリンドン・ジョンソンを副大統領候補にするなど考えた人などはほとんどいなかった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 

 2018年も押し詰まってきました。2019年ももうすぐですが、アメリカでは2020年のアメリカ大統領選挙に向けて、いろいろと動き出す時期です。挑戦者側の民主党ではいろいろな人たちの名前が出ては消えている状況です。ヒラリー・クリントンの名前も出てくるほどです。

 

 民主党の大統領選挙に向けて、ヒラリーで敗北したことを受けて、オバマ政権出身者が良いのではないかという話が出ています。バラク・オバマ前大統領、もっと言えば、ミシェル・オバマ夫人が支持を表明した人物が民主党の大統領選挙候補としてふさわしいという話が出ています。しかし、オバマ政権出身者ということになれば、こちらも複数おり、その中でもジョー・バイデン前副大統領とエリック・ホルダー前司法長官が、オバマ夫妻とオバマ政権出身者たちの支持を得やすいということになっています。

 

 しかし、一枚岩とは言えず、どちらかということになると、遺恨が生じることも考えられます。ですから、オバマ夫妻も簡単には誰を支持するのかということは表明できないということになります。オバマ夫妻はこれからも民主党内で影響力を持つ、うまくいけばキングメイカーになるということを考えているでしょうから、ここで失敗する訳にはいきません。

 

 今年11月の中間選挙で、民主党は連邦下院での過半数、435議席を獲得しました。これを「ブルーウェイヴ(青い波、青色は民主党を示す色)」と喧伝するマスコミもありました。しかし、下に紹介する記事では、話はそう単純にはいかないようです。

 

 下で紹介する記事の分析によると、民主党は左に寄り過ぎたために、左派が優勢な場所では勝利を得られたが、それ以外の場所では、左派出身の候補者は落選したということだそうです。民主党はバーニー・サンダースの台頭を受け、左派の人々を多く擁立したが、選挙区の事情に合わない人たちも出て来て、そういう人たちは落選したということです。

 

 そして、興味深いのは、今回の中間選挙では連邦上院と州知事の一部の選挙も実施されたのですが、有権者の動きが「トランプ政権が嫌いなので、国政では民主党に入れた」のだが、「州知事選挙では、増税を訴えている民主党の候補者に入れない」ということであったという分析がなされていることです。連邦議員には左派を選ぶが(トランプが嫌いだから共和党には入れたくない、民主党は左派の人が候補者だが仕方がないからこの人に入れる)、知事の場合には増税を言わない人に入れる、という動きになったということです。

 

 民主党が左派に寄り過ぎると、左派が優勢な場所ではよいのですが、アメリカ全土ということになると、支持を得られないということになります。しかし、民主党では左派が強い状況ですから、左派の意向が反映されやすいということになります。そうなればアメリカ全土で戦う大統領選挙では民主党に不利ということになります。

 

 民主党の有力候補者であるジョー・バイデンにしてもバーニー・サンダースにしても70代を過ぎており、年齢の点で懸念があります。トランプ大統領の方が年下ということになります。トランプ大統領としてはバイデンやサンダースが出てくれば年齢の点で対抗し、左派が出てくれば儲けものという感じで待っているのだろうと思います。

 

 ビトー・オローク連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)の名前も取りざたされていますが、テキサス州の連邦上院議員選挙で現職のテッド・クルーズ連邦上院議員に敗北してしまいました。もし大統領選挙出馬ということになると、自分の出身州で勝てなかった人物が大統領選挙候補としてふさわしいかどうかということも議論になるでしょう。

 

 こうして見ると、2020年に向けた民主党の先行きは厳しいものがあるということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

オバマを中心とする世界は分裂しており、2020年の大統領選挙における候補者が複数存在する(A divided Obama world has options in 2020

 

エイミー・パーネス筆

2018年11月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/414188-a-divided-obama-world-has-options-in-2020

 

2020年のホワイトハウスを目指すレース(大統領選挙)に誰が戻るかとなった時に、オバマを中心とする世界は分裂する。

 

バラク・オバマ前大統領の協力者たちの多くはジョー・バイデン前副大統領に大統領選挙に出馬して欲しい、彼を支援する用意はできていると考えている。

 

その他の人々は、オバマ政権で司法長官を務めたエリック・ホルダーに出馬して欲しいと考えている。ホルダーはオバマ大統領の上級補佐官を務めたヴァレリー・ジャレットと緊密な関係にある。

 

他にはマサチューセッツ前州知事デヴァル・パトリックを支持する人たちもいる。パトリックは、オバマ大統領のストラティジストを務めたデイヴィッド・アクセルロッドと長年にわたり盟友関係にあり、パトリックは大統領選挙出馬に向けてアクセルロッドと話し合った。

 

2020年の大統領選挙に関して、30名ほどの名前が出ている。そうした中で、緊密な関係にあるオバマを中心とする世界の人々が初めて分裂する可能性がある。

 

オバマ大統領の側近だったある人物は「こうした人々は同じ支持基盤で争うので、争いは厳しくなるだろう」と述べた。

 

オバマ大統領時代のホワイトハウス報道官と2012年の大統領選挙でオバマ陣営のスポークスマンを務めたベン・ラボルトは、オバマ派の内部が分裂する可能性があることを認めた。

 

ラボルトは次のように発言している。「今年の民主党の予備選挙に出馬する準備をしている才能ある人物はいる。その人物が出ることで、オバマを中心とする世界の人々にとっては、離散ということになる。民主党員の多くが支持できる人であっても、友人やオバマ政権時代に同僚だった人々からは支持されない、そんなことが初めて起きるかもしれない」。ちなみにラボルト自身は誰を支持するかについて表明することを拒絶した。

 

ラボルトは続けて次のように語っている。「私たちは2度の激しい選挙戦を勝利した経験から知恵を持っており、その知恵で民主党に貢献したいと望んでいる。私たちは選挙戦を通じて候補者たちの支持を強力に拡大させるための知恵と経験を持っている」。

 

オバマは裏側で彼の側近たちを支援し、選挙に出るように促してさえいる。しかし、オバマ自身は、ミシェル・オバマ夫人と同様に、民主党の予備選挙が終盤に差し掛かるまで、公の場で誰を支持するかは明言せず、中立を保つ可能性が高いとオバマ周辺の人々は語っている。

 

しかし、オバマの側近や大口支援者の間では、オバマの支持を得たいという期待は大きくなる一方だ。

 

オバマの側近であるある人物は、全員が、ヴァレリー・ジャレットがどう動くかを見ていると語った。ジャレットはホルダーとホルダーの家族と緊密な関係を保ち続けている。

 

しかし、ジャレットは友人たちに対して、パトリックを支持するかもしれないとも語っている。デイヴィッド・サイマスをはじめとするオバマの補佐官だった人々は、パトリックを支援していると言われている。サイマスはパトリックの許で次席首席補佐官を務め、現在はオバマ財団の最高経営責任者を務めている。

 

民主党所属のあるストラティジストは次のように語っている。「パトリックとホルダーに対して、オバマ政権出身者たちとヴァレリー・ジャレットは親近感を覚え、政界以外にもその魅力が伝わる人物だと考えている節がある。デヴァル・パトリックの政界での人脈はオバマ政権出身者ばかりだ。オバマ政権出身者たちの間で誰が候補者になるかについて終わりのない占いが続くだろう。彼らはオバマの意向が最終的に誰に向くかを知りたいと考えている」。

 

オバマ政権出身者や支援者の間では、バイデン出馬という噂も流れている。大統領選挙の初期段階であるが既にそうした話が出ている。バイデンはオバマ政権に参加していた人々を惹き付けるだろう。なぜならばそれはオバマ政権出身者たちの多くがバイデンを、トランプを倒す可能性を持つ数少ない人物の一人だと考えているからだ。

 

オバマの大統領選挙陣営に参加したある民主党員は次のように語っている。「今名前が出ている3人が選挙に出る場合、誰がオバマの敷いたレールに乗ることが出来るだろうか?私の直感ではバイデンということになる。バイデンはオバマ政権のナンバー2であったし、在任中にオバマ自身に何かあれば大統領職を譲るというくらいに信頼していた人物だ」

 

ジョン・、トミー・ヴェトー、ダン・ファイファー、ジョン・ラヴェットのようなオバマ大統領の補佐官だった人々は、バイデン出馬を注意深く見守っている。彼らは、「ポッド・セイヴ・アメリカ」というポッドキャストとテレビ番組を制作する会社を立ち上げ、成功させている。

 

それでも、バイデン、パトリック、ホルダーはそれぞれ大統領選挙出馬を検討していると言われているが、本当に出馬するかどうかは不明瞭だ。

 

ホルダーは中間選挙で出馬していた候補者たちを支援して回っていた。その中で、今月初めにマスコミの注目を集める発言を行った。ホルダーは、ミッシェル・オバマが提唱して有名になったスローガン「相手が品位も何もない形で攻撃するならば、私たちは品位を高く保とう」を言い換えたことで、マスコミの注目を集めた。

 

ジョージア州である選挙集会に出席した際、ホルダーは「いやいや、相手が品位も何もない形で攻撃してくるならば、私たちは相手を蹴り上げてやる。それが民主党の新しいやり方なのだ」と発言した。

 

ホルダーをよく知っている人々は、ホルダーは融通が利かず、選挙戦でもクソ真面目な話ばかりだった。

 

長年民主党に所属し、ホルダーが司法長官時代には司法省の報道官を務めたブライアン・ファロンは次のように述べている。「民主党員の多くは、エリック・ホルダーがあまり好ましくない話題ばかりを取り上げることに“舌打ち”をしていた。それでもホルダーは悪びれることなく、構造的な人種差別について延々と語った」。

 

ファロン「トランプが政治の世界に出てくるかなり前から、ホルダーは司法長官として、警察による暴力、有権者が投票の際に受ける抑圧、大量収監に厳しく対処するための政策を実施していた。歴代司法長官でホルダーの業績に比肩できる人はほぼいない」。

 

バイデンとパトリックは、全米を廻って選挙の民主党の候補者たちを応援することで、マスコミの注目を集めた。その他の民主党の大物とは異なり、バイデンは民主党優勢州だけではなく、共和阿東優勢州にも積極に出かけて行った。これは、バイデンが今でも白人の労働者階級の有権者の人気を保っていることを示している。

 

バイデン、ホルダー、パトリックの3人は互いに賛辞を送り合う。ホルダーは『バスフィード』誌の取材に対して「私がデヴァル・パトリックと知り合ってしばらく経つ。知り合って数年経つ。彼は知事を二期務めたが、素晴らしい仕事をしたと思う」と述べた。

 

ロバート・ウォルフは2008年と2012年にオバマ陣営の選挙資金担当幹部(bundler)を務めた。ウォルフは2020年の大統領選挙の候補者となり得る人物たちと親しい関係にある。ウォルフは2020年の大統領選挙は個人の関係では決まらないだろうと述べた。

 

ウォルフは次のように発言した。「民主党は党として、高度に純化するだろうと考えている。そうした中で、この人だなと私たち民主党員、民主党支持者の考えが一致するように進めることができる人が実際にトランプを倒せる人物なのだろう」。

 

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民主党はブルーウェイヴ(青い波)でチャンスが潰え、2020年の選挙では厳しい戦いを強いられることになる(Democrats face tough 2020 battle after blowing chance at blue wave

 

クリスティン・テイト筆

2018年11月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/415750-democrats-face-tough-2020-battle-after-blowing-chance-at-blue-wave

 

左派の人々が常々不得意としているのは、期待に応えるということだ。トランプ大統領の就任以降、彼の反対勢力は、中間選挙において連邦議会の共和党を一掃するブルーウェイヴが起きる発生するという期待に賭けていた。しかし、結果は民主党が連邦下院議員選挙でそこそこの勝利を収め、連邦上院では共和党が大きな勝利を収めた。民主党は重要な選挙で、穏健もしくは保守的な選挙区であまりに左派的な候補者を擁立したことで敗北を喫した。最高の結果を得たのは穏健派の民主党の候補者たちであった。一方、強硬な左派の候補者は各選挙で敗北を喫した。

 

左派の人々は、今回の中間選挙が2020年の選挙の前哨戦であり勝利を収めることが出来ると確信していた。多くの点で、民主党はイデオロギー上の純粋性ではなく、中道に進むべき選挙であった。

 

ほぼ全ての世論調査と新聞の論説は、アメリカ全土で民主党の候補者たちが勝利すると予測していた。民主党が圧勝すべき各州において、実際には民主党は後退した。ペンシルヴァニア州のようなラストベルトの一部で勢力を盛り返したが、増進した分はオハイオ州とインディアナ州での敗北で相殺された。

 

民主党は接戦の多くを落としてしまった。その理由は、民主党の候補者たちが主流ではない人々から選ばれたことにある。民主党は根こそぎ勝利を収めようとしたが、左派が優勢ではない各州で期待以下の勝利しか収めることが出来なかった。民主党はニューメキシコ州、ヴァージニア州、コロラド州で印象的な勝利をもぎ取った。しかし、民主党は支持基盤にのみ向けた選挙運動を展開したことで、無党派や穏健派の有権者たちからの支持を得ることが出来なかった。2006年と2008年の選挙では民主党はこうした有権者から支持を得た。いくつかの選挙区では、進歩派のバーニー・サンダースの仲間だと主張してきた候補者たちが勝てるはずの選挙で敗北を喫したのである。

 

フロリダ州は進歩派により過ぎた民主党敗北の顕著な例となった。アンドリュー・ギラムは、『リアルクリアポリティックス』誌の事前調査では平均で3.6%リードしており、全国メディアでは勝利の可能性が高いと報じられていた。しかし、ギラムは接戦ではあったが、1ポイントの差をつけられて敗北した。これは衝撃であった。ギラムはもともと喧伝されていたよりも大した候補者ではなかったということが明らかになった。ギラム敗北の主な原因は何か?ギラムの公約は伝統的に民主、共和両党が伯仲しているフロリダ州の左派にとっては素晴らしいものであった。最大の公約は、州の法人税を41%も引き上げるというものであった。しかし、これによって生み出される10億ドル規模の増税をもってしても、彼の主張した急進的な政策を賄うのには十分ではなかった。ギラムの計画は納税医者に更に毎年26億ドルの負担増を強いるものであった。

 

フロリダ州知事選挙における民主、共和両党の候補者たちについて報道を見れば、ギラムが失った数千、数万の得票について説明できる、それまで見えていなかった問題が見えるようになる。ギラムは世論調査の結果では常にリードしていた。しかし、ある住民投票が人々の投票における優先順位が決まったことで、結果が変わってしまった。フロリダ州では州憲法修正5条について住民投票が行われた。州憲法修正第5条は、増税する場合には州議会で圧倒的多数で可決された場合にのみに限られるとするものだ。この修正第5条は約65%の賛成で成立した。

 

穏健派有権者がひとたびは急進左派に投票した選挙区で、民主党は今回の中間選挙で敗北した。ミズーリ州選出連邦上院議員のクレイリー・マカスキル、モンタナ州選出連邦上院議員のジョン・テスター、インディアナ州選出連邦上院議員ジョー・ドネリーは、前回までの民主党色を薄めた選挙戦ではなく、オバマケアや増税、最高裁判事で反トランプ的な投票を行ったことを前面に打ち出して戦った。3名のうち、生き残ったのはテスターだけだった。

 

民主党は、目立つ選挙区で妥協してしまった。なぜなら民主党は強固な支持基盤の意向を無視できずに、選挙区の特性を無視して、左派過ぎる人物を擁立することを止めることが出来なかった。民主党が選挙区の特性に合った候補者を擁立したところでは、勝利を収めているのだ!ジョー・マンシン連邦上院議員は、ウェストヴァージニア州の前知事という中道派のイメージと連邦最高裁判事人事でブレット・カヴァナーに賛成票を投じたことで、何とか勝利を収めることが出来た。コノー・ラム連邦下院議員はペンシルヴァニア州西部の新たに引き直された第17区で56%を獲得して勝利した。シュレッド・ブラウンはオハイオ州連邦上院議員選挙で二期目の当選を決めた。

 

上記の当選した候補者たちは伝統的な民主党の政治主張とは距離を取っていた。こうした人々の間には2つの共通点がある。第一に彼らは社会主義者ではない。第二に彼らは選挙区で選挙戦を戦うために特性を理解しそこに合った候補者たちである。

 

今年の中間選挙において連邦上院と下院の選挙で民主党は今回選挙独特の現象に直面した。経済は好調なのに、有権者の多く、特に郊外の富裕な人々がドナルド・トランプを激しく嫌っている。都市部の強硬な進歩主義派と全国の穏健派が連合を組むということが勝利をもたらす戦略となった。有権者はトランプを激しく嫌う中で、有権者はワシントンに対して「メッセージを送る」ということと自分たちの財布に直結する州レヴェルの選挙で、州の運営の仕方をどのように行うかということの間で選択を行った。その人物が健康保険を政府が全額支払う制度を支持するから候補者にするというだけでは、一般有権者の支持を獲得することはできない。小さな青い「波」が引いていく中で、民主党に残された課題はより難しいものとなっていくだろう。

 

その顕著な例として、民主党が圧倒的に優位なニューイングランド地方が挙げられる。マサチューセッツ州からはエリザベス・ウォーレン、ロードアイランド州からはシェルドン・ホワイトハウス、ヴァーモント州からはバーニー・サンダースが連邦上院に送られる。この地方の連邦下院議員の当選者はほぼ民主党所属である。しかしながら、州知事選挙では、共和党がヴァーモント州、ニューハンプシャー州、マサチューセッツ州で勝利した。マサチューセッツ州の有権者はウォーレンを当選させながら、それ以上の大差で、共和党所属の現職知事チャーリー・ベイカーを当選させた。ロバート・コンクエストが提唱した政治における3つの法則を思い出させる。それは、「人はすべからく自分に関することでは保守的になる」というものだ。ニューイングランド地方の有権者は全国に反トランプ的な態度を鮮明に示しながら、自分たちの生活圏では州税の税率や手数料率をより低くすることを選択した。これはつまり、「自分たちは嫌だけど、他の地方の人たちには社会主義をどうぞ」という態度なのだ。

 

既に2020年の選挙に向けた動きは始まっている。民主党が連邦上下両院で過半数を獲得し、ホワイトハウスを奪還する機会を手にしたいと考えるならば、中道に向けて動くべきだ。行き過ぎの調査と左派により過ぎた公約によって、民主党は2020年の選挙での勝利の機会を失う可能性も高い。左派と急進左派の間くらいの有権者を狙って、ジョー・バイデンやビトー・オロークを候補者にするならば、民主党がホワイトハウスを奪還する機会も生まれる可能性がある。中間選挙の結果で示されたように、カマラ・ハリスとエリザベス・ウォーレンではアメリカ全土で勝負できない。

 

結局のところ、ドナルド・トランプは現役の大統領であり、その地位を使って自分の考えを人々に広める力を持っている。そして、2018年の中間選挙ではその力を効率よく使ったということになる。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 2016年の米大統領選挙で民主党の一部から大反発を受け、結局、本選挙でもドナルド・トランプに敗れたヒラリー・クリントンですが、リベラル派であるはずの彼女らしからぬ発言がアメリカで注目を浴びました(少しですが)。

 

 イギリスの高級紙『ザ・ガーディアン』紙とのインタヴューに応じ(インタヴューが行われたのはアメリカ国内)、その中で、ヨーロッパ各国はそろそろ移民流入を止めるべきだ、そうしないと各国のポピュリズム、反移民を掲げる政党がますます台頭して、国内政治を混乱させ続けるし、テロリズムの脅威も増えるという発言を行いました。リベラル派なら、自分の国が大変な状況で出てこざるを得なかった難民の皆さん、大変ですね、いらっしゃい、と言いそうなものですが、それを制限すべきと発言しました。

 

 ヒラリーがどうしてこのような発言をしたのか、いくつかの解釈が出来ると思います。ヒラリーは2020年の米大統領選挙への再出馬を考えているのではないかという報道がアメリカではなされています。まだ諦めていない、ということです。そのために、移民を制限すべき、という発言をして、移民に対して否定的な世論に迎合しているという考えが出来ます。しかし、こんなことをしても、2016年にヒラリーに投票しなかった人たちが、ヒラリーも考えを変えたか、立派立派と彼女に投票するはずもなく、また、リベラル派の重要な主張でもある移民について否定的な考えを示したことで、民主党内での支持を失うということまで考えられます。

 

ヒラリーが本気で、移民制限を主張することで大統領選挙で勝利したいと考えているのなら、政治センスがない、世論の風向きを読めないということで、どんなに頭が良くても、一国の指導者には向かないということになります。「トランプや、私の夫ビルのようにアホで何も考えていないのに大統領になれて、あんなあほな男たちよりもずっと頭が良くて、人格も立派な自分が大統領になれないのはおかしい、女性差別だ」とヒラリー考えているかもしれませんが、この場合、ヒラリーに政治家としてのセンスと能力が欠如していることが問題であるということになります。

 

 また、民主党の内部闘争に目を向ければ、バラク・オバマ前大統領、露骨に言えばミシェル・オバマ夫人の影響力が増大し(次の大統領選挙の民主党候補者にはオバマの支持がある人が良いと考える人が増えつつある)、2016年の大統領選挙で、民主党予備選挙でヒラリーを追い詰めたバーニー・サンダース連邦上院議員をはじめとする、民主社会主義者の勢力も伸びています。民主社会主義者たちは、移民問題について寛容な立場を採ります。これに対して、ヒラリーは自分が「現実主義的な」リベラルであるとアピールして、民主党内での影響力を保持しようと考えているという解釈もできます。

 

 更に、アメリカ外交の潮流にも目を転じれば、ヒラリーは、人道的介入主義派ということになります。人道的介入主義は、戦争や飢餓などが起きている、もしくは非民主的な政治体制で国民が弾圧を受けているそのような国々に対しては、それらの国々の国民を救うという人道的な目的のために、アメリカが軍事力を行使しても良い、いやすべきだ、という考えです。ヒラリーにしてみれば、「バラク・オバマ前大統領のリアリズムも、ドナルド・トランプ大統領のアイソレーショニズムも、シリア問題を解決できずに難民を生み出した。私が大統領になって、アメリカ軍をシリアに派遣しておけば、難民問題なんか起きなかったんだ」ということになります。更に、「世界を一つに、国境などなくそう、全ての国々が民主的政治制度と資本主義的経済制度を採り入れたら理想世界が実現するという私たちの崇高な理念の邪魔になるポピュリズム、ナショナリズムが移民流入のために台頭してきているのは望ましくない」ということを述べていることになります。

 

 ヒラリーが今頃移民制限のようなことをヨーロッパに仮託して述べたところで、結局のところ、アメリカ政治での影響力を回復することもまた増すことはできません。成仏しきれずに悪霊となってさまよい続けるような態度であり続ける限り、ヒラリーに次の機会はありませんし、一番得をするのはドナルド・トランプ大統領ということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

ヒラリー・クリントンは、ヨーロッパ各国に対して、ポピュリストの台頭を防ぐためという理由で移民受け入れを制限するように求めた(Hillary Clinton calls on Europe to curb migration to halt populists

 

ブランドン・コンラディス筆

2018年11月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/news/417989-hillary-clinton-calls-on-europe-to-curb-migration-to-halt-right-wing-populists

 

ヒラリー・クリントン元国務長官はヨーロッパ各国の指導者たちに対して、ヨーロッパ大陸における右派ポピュリズムの脅威が増大する中で、それに対抗するためにより厳格な移民政策を実行するように求めている。

 

クリントンは木曜日に発行された『ザ・ガーディアン』紙に掲載されたインタヴュー記事の中で、「ヨーロッパは移民流入をコントロールする必要がある。なぜなら移民流入が火に油を注ぐことになっているからだ」と発言している。

 

「アンゲラ・メルケルのような各国の指導者たちが採用している、非常に寛大で温かいアプローチについて私は称賛する。しかし、ヨーロッパはもう十分に自分たちのやるべきことをやったと言うことは正確であると私は考える。そして、ヨーロッパは明確なメッセージを送らねばならない。それは、“私たちはこれ以上避難所と支援を与え続けることはできない”というものだ。なぜなら、移民問題についてはある程度のところで線を引いておかねば、それが国家自体を混乱させ続けることになるからだ」。

 

ヒラリー・クリントンの発言は、ヨーロッパ内部における分裂を明示している。ここ数年間の難民の大量流入によって、ヨーロッパ各国の政治状況は分裂的、党派性が強いものとなり、テロリズムの脅威が増大し、過激な主張を行うポピュリズム政党が数多く誕生している。

 

メルケルは、難民流入に関するヨーロッパで行われている議論の中心的存在となっている。メルケルは2015年にいわゆる「開かれたドア」移民政策を税所に実施した。この政策によって、北アフリカと中東から数万の移民がヨーロッパに流入することになった。

 

ドイツ首相であるメルケルは先月、

The German chancellor last month signaled she would be stepping down from her role amid growing unease over the fallout from her policies. ギリシア、ハンガリー、イタリア、スウェーデンなどで反移民を掲げる政党が台頭する中で、メルケルの決心は公表された。

 

ヨーロッパ連合(EU)はまた、イギリスのEU離脱の決定から派生する様々な出来事に対処することに追われている。イギリスのEU離脱の国民投票の結果には、移民に対する恐怖が大きな影響を与えた。

 

ヒラリー・クリントンは2016年の米大統領選挙でドナルド・トランプに敗れた。トランプは反移民的主張で勝利を収めた。トランプの首席戦略官を務めたスティーヴン・バノンは、ヨーロッパにおいて彼の影響力を保持しようとしている。バノンは、ブリュッセルに本部を置く新しい組織を作った。これは、ヨーロッパ大陸にある各国のポピュリズム政党の勢力を伸長させることを目的としている。T

 

ヒラリーはザ・ガーディアン紙とのインタヴューの中で次のように語った。「移民を政治の道具や政権の姿勢のシンボルに使うことで、政治は間違った方向に進んでしまう。移民たちの持つ文化的ヘリテージとアイデンティティ、国民の統合に対する攻撃も強まる。こうしたことは現在、アメリカの政権によって利用されている」。

 

ヒラリーは次のように語った。「移民問題に対する解決策についてだが、なにもメディアや政治的に立場の違う人々を攻撃することではない。また、陪審員を買収することでもないし、自分たちの政党や運動に対しての経済的、政治的支援をロシアに求めることでもない」

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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