古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ミシガン州

 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。
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 アメリカ大統領選挙は大詰めで、もうすぐ投票、そして開票が開始される。同時に連邦上院議員選挙(100議席のうちの約3分の1の議席)、連邦下院議員選挙(435議席全部)、州知事選挙(一部)が実施される。現在のところ、連邦上院、連邦下院の議席予想は、僅差で共和党リードとなっている。予想では上院では共和党が52議席(全100議席中)、下院では共和党が218議席(全435議席)となっている。

 大統領選挙に関しては、最後に来て、ハリスが追い上げて横一線という報道が目立っている。それでも、現在のところ、各種予想サイトではトランプの勝率が僅差で上回っている。しかし、2016年の大統領選挙から支持率を中心的な要素とした選挙結果予想が難しくなっている。特に今回は各種世論調査、全米規模のもの、州レヴェルのものでは僅差の結果が多く出ており、予想はかなり困難になっている。

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『ザ・ヒル』誌の予想

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FiveThirtyEight」の予想

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「RealClearPolitics」では各種予想の平均値を示している

 そうした中で、民主党側では勝利を確信する声が多くある一方で、不安を持って選挙当日を迎える人たちも多くいる。「ハリスの勝利だ!」と浮かれることのできない人々が多く出ている。下の記事は私がずっと感じてきたことをそのまま書いた内容になっている。佐藤優先生との対談『世界覇権国交代劇の真相』の第2章でも論じたが、ハリスの資質のなさ、8月の民主党全国大会以降に人気が上がったがそれは一時的なものであったこと(bounce[バウンス]bump[バンプ]という言葉で説明した)といったことが不安材料になっている。

『世界覇権国交代劇の真相』第2章では、副大統領候補指名前だったこともあり、複数の候補者について検討したが、ティム・ウォルツを副大統領候補に指名したことは全くの予想外だった。それはアメリカでもそのようで、ウォルツが左派であることが不安材料になっているようだ。それ以外にも飲酒運転での逮捕歴や中国との深い関係も挙げられている。

そして、そもそも論としては、ジョー・バイデンが大統領選挙からの撤退を表明するのが遅すぎた、もしくは、そもそものそもそもとして、バイデンが再選を目指すべきでなかったという主張が出ている。しかし、それならば昨年の段階でバイデンに撤退を促す、諦めさせる動きが出ているべきだった。それがなかったということは、民主党側の読みが甘かったということになる。下世話な言葉を使えば「引かれ者の小唄」である。

 そして、これもまた『世界覇権国交代劇の真相』第2章で論じたが、カマラ・ハリスが大統領候補になる過程がおかしかったということも不安材料になる。ハリスは通常の予備選挙を経ていない。これはやはりハリスの候補者としての正当性に影を落とす。

 大統領選挙は日本時間の今晩(アメリカ東部では火曜日朝)から投票が始まり、日本時間の6日朝(アメリカ東部では火曜日夜)から開票が始まる。結果の予想は難しい。こればかり言っているではないか、情けないと思われるかもしれないが、私としては、「ペンシルヴァニア州とジョージア州で選挙の大勢は決まる」と言うことを繰り返し申し述べておきたい。

(貼り付けはじめ)

ハリスの勢いを打ち砕いた2つの決断(The 2 decisions that crushed Harris’s momentum

ダグラス・マキノン筆

2024年11月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/4965971-the-two-decisions-that-crushed-harriss-momentum/

私と話をする民主党員でカマラ・ハリス副大統領が火曜日に勝利すると信じている人は誰一人としていない。

全員が可能な限り最良の候補者を特定し選出するために、8月の候補者がそれまでに決まっておらず、その場で決めるオープンな全国大会を望んでいたがそれは拒否された。その点、この木曜日、『ザ・ヒル』紙は「民主党はハリスの勝利を望みながらも指弾を始めた」という見出しの記事を掲載した。

ある民主党系のストラテジストの言葉を引用すると、「人々は神経質になっており、選挙当日を直前に控えて、証拠隠滅(cover their ass)を図ろうとしている。それは不安や利害関係、そして今回の大統領選挙が抱える特殊性に基づくものだ。今回の選挙には伝統的なプロセスがなかった。予備選挙がなかった。人々はただ受け入れる(fall in line)しかなかった」ということになる。

繰り返しになるが、これは民主党員の述べた言葉だ。そうするように命じられたから、彼らはただ「受け入れる」しかなかった。そして、民主党全国委員会、バラク・オバマ元大統領、ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)、チャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)の裏取引(backroom dealings)によって、オープンな全国大会実現の希望は更に打ち砕かれた。

このような裏取引の直後、全ての不満を持つ民主党員たちは、ハリスが予備選で1票も獲得することなく、失速したジョー・バイデン大統領の後任としてマシーン(the machine)によって任命されたことを受け入れなければならなかった。バイデンは7月21日、再選を断念し、後任にハリスを推薦すると正式に発表した。

一時的な興奮(buzz)と「喜び(joy)」が始まった。ただし、それは8月19日にシカゴで開催される民主党全国大会の前から消え始めた。それはなぜか? ハリスが8月6日にミネソタ州知事のティム・ウォルツを伴走者(副大統領候補)に選んだからだ。民主党の関係者たちが私に語ったように、ほぼ初日から、彼女は貴重な時間とエネルギーを費やしてその選択の正しさを守らなければならなかった。

ウォルツの起用はハリスが勢いを失った第一の理由だ。確かに、民主党員の多く、そしてリベラルメディアの多くがハリスに、より穏健派のペンシルベニア州知事ジョシュ・シャピロを選ぶことを望んでいたことは確かだ。その理由は、第一にペンシルヴァニア州が選挙で最も重要な州となることが確実だったこと、第二にシャピロが大統領候補・副大統領候補のティームにイデオロギーに関してバランスをもたらすだろうということだった。

率直な分析からすると、ハリスは極左リベラル(far-left liberal)だ。更に言えば、ウォルツはハリス以上に左寄りであると言える。ハリスがもっと穏健な伴走者(副大統領候補)を選ぶべきだったという現実的な理由は置いておいて、「愚か者(ナックルヘッド、knucklehead)」を自称するウォルツは初日からお荷物だったという現実がある。

ウォルツを選択したことで、ハリスはあらゆる形の負担を背負うことになった。ウォルツは軍歴を誇張した。飲酒運転によって逮捕されたが、その時は血中アルコール濃度が0.128%の状態で、時速96マイル(約154キロ)で自動車を運転した。彼は複数回にわたり中国を訪問と共産党当局者たちと交流を持ってきた。天安門事件の当日、実際にはネブラスカ州にいたのに香港にいたという話を捏造した。彼のショットガンのコミカルな扱いにより、彼は「エルマー・ファッド」ミームに変えられた。そしてウォルツは暴力的なアナキストたちの暴走を許し、ミネアポリスの一部を焼き払うことを許した知事となった。

追い打ちをかけるように、10月10日の副大統領候補討論会では、トランプ候補の伴奏者(副大統領候補)であるJD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)が、明らかに神経質で準備不足だったウォルツに大差をつけて勝利した。

ハリスの勢いを打ち砕くのに大きく貢献した2つ目の決定は8月23日にロバート・F・ケネディ・ジュニアが大統領選挙での無党派の候補者としての選挙運動を停止し、ドナルド・トランプ前大統領を支持したことだった。

この発表のタイミングは、ハリスにとっても彼女の選挙運動にとっても最悪のものとなった。全国大会終了の翌日にケネディが発表したことで、彼女の喜びに満ちたメッセージと投票率の上昇から大量のガスが吸い取られることになった。

しかし、また繰り返すことになるが、そのダメージは単に彼女が選出された全国大会の高揚感を踏みにじるよりもはるかに大きいものとなった。リベラルメディアや民主党の偏った意見はさておき、ケネディは何百万人ものアメリカ国民から深く尊敬されており、彼らはケネディを、腐敗したそして固定化されたエスタブリッシュメントたち(corrupt entrenched establishments)に対抗して自分たちの大義のために戦う、原則を守りながら非常に知的な独創的思想家と見なしている。

ケネディが選挙戦から撤退し、トランプを支持した日、『ポリティコ』誌は「ケネディの異端的な見解は民主党と共和党の両方から支持を集めた。両党は、ケネディがここ数十年で最大の選挙妨害者になることを心配した。大統領選は依然として信じられないほどの接戦であり、ケネディの支持のほんの一部でもトランプに移れば、激戦州で決定的な影響を与える可能性がある」と書いた。

実際にそうだ。しかし、私はそれが単なる 「ほんの一部(fraction)」ではなく、もっと大きなものになると考えている。その大きな理由の1つは、「母親票(mom vote)」だ。ケネディのトランプへの支持は、これまで好意的でなかった何百万人もの女性有権者をトランプ支持に引き込む可能性がある。それは一体なぜか? それは、彼女たちは子供たちの健康と幸福を心配する母親たちであり、ケネディが公の場で子供たちを守ってくれる数少ない人物の1人だと長い間信じてきたからだ。これはメディアが認識しているよりも、あるいは認識しようとするよりも、はるかに大きな問題だ。まさに試合の流れを一変させるゲームチェンジャー(game changer)なのだ。

そのために、これらの母親たちはトランプに勝ってもらって、ケネディを入閣させたいと望んでいるのだ。トランプは間違いなくそうするだろう。

ハリスは当初から欠陥のある候補者(flawed candidate)だったかもしれないが、7月21日に民主党候補に指名された後、勢いを増していた。しかし、その勢いはつかの間だった。彼女がウォルツを副大統領候補を選んだことと、ケネディ候補が選挙戦を中断してトランプ候補を支持することを決めたことで、その勢いは消えてしまった。

シャピロは、ハリスの判断力のなさと彼女の勢いのなさを踏み台にして、2028年の大統領選挙の選挙戦に臨むことになるだろう。

※ダグラス・マキノン:元ホワイトハウス、国防総省高官
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民主党はハリスの勝利を望みながらも指弾を始めた(Democrats start to point fingers even as they hope for Harris win

エイミー・パーネス筆

2024年10月31日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4962275-vice-president-harris-blame-game/

来週の大統領選でカマラ・ハリス副大統領が勝利する可能性がある。しかし、民主党関係者の間では、彼女がドナルド・トランプ前大統領に対して敗北した場合を想定して、既に水面下で指弾が行われている。

民主党議員の中には、ハリスの勝利にますます期待が高まっていると言う人たちがいる一方で、選挙戦の当初から悩まされてきた一連の要因に不満を募らせている人たちもいる。

特に経済に関する彼女のメッセージへの失望に関しては、ハリスと彼女の陣営に非難が向けられている。

しかし、民主党員の中には、ジョー・バイデン大統領に責任を負わせようとする人たちもいる。「彼は選挙戦から退く決定をするまで時間をかけすぎた」と考えている人たちだ。

ある民主党のストラテジストは、この件について「人々は神経質になっており、選挙当日を直前に控えて、証拠隠滅(cover their ass)を図ろうとしている。それは不安や利害関係、そして今回の大統領選挙が抱える特殊性に基づくものだ」と述べた。

このストラテジストは続けて「今回の選挙には伝統的なプロセスがなかった。予備選挙がなかった。人々はただ受け入れる(fall in line)しかなかった」と述べ、選挙日前から既に責任のなすりつけ合い(blame game)が起きていることは「私にとってはなんら驚くべきことではない」と語った。

もしハリスが負ければ、「責任をなすりつけようと皆が猛ダッシュするだろう」とこのストラテジストは付け加えた。

ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ(民主党)ではなく、ミネソタ州知事ティム・ウォルツ(民主党)を自分の伴走者(副大統領候補)に選んだハリス副大統領の決断は、トランプがペンシルヴァニア州で勝利した場合、きっと事後の大きな批判(second-guessed)を浴びることになるだろう。

オバマ政権下のホワイトハウスで補佐官を務めたある人物は、「ハリスは、シャピロを選ばなかったことで、本当に馬鹿者だと見られることになるだろう」と語った。

民主党の大口献金者の1人も「ウォルツが彼女に何かを与えたかどうかは分からない。私が話している多くの人たちは、ウォルツが素晴らしい人のようだと言う。彼と一緒にビールを飲みたいか? それはそう思う。しかし、正直に言って、彼は素晴らしい選択ではなかった」と述べた。

バイデン氏は火曜日の夜、トランプ支持者たちをゴミ(garbage)に喩えて、マスメディアで大きく報道された。

バイデン大統領は発言を撤回し、ホワイトハウスは文脈を無視して報道されたと主張した。いずれにせよ、彼らはワシントンの範囲内でハリスの演説が大成功を収めたことを踏襲した。ホワイトハウスを背景にハリスが行ったこの演説は、自身とトランプに対する彼女の最終弁論を表したもので、選挙戦終盤の極めて重要な瞬間となった。

このバイデンの発言がハリス陣営を刺激しなかったとは到底思えないが、ハリス副大統領は火曜の夜にバイデン大統領と話したときにこの問題は話題に上らなかったと語った。

上述のストラテジストは「不注意が原因の凡ミス(unforced error)があり、終わりが近づいていることについて話している。これでイライラしない人などいるだろうか?」と述べた。

水曜日になっても、ハリスはバイデンの発言を後始末していた。

ハリスは3州での選挙戦に出発する際、記者団を前にして「第一に、バイデン大統領は自分のコメントの真意を明らかにした。しかし、私は明確にしておきたい。誰に投票したかで人を批判することには私は強く反対する」と語った。

ハリスは選挙戦の最終盤になって、オバマ前大統領を含む代理人たちと一緒に姿を現しながらも、バイデンとは距離を置いてきた。この動きは、バイデン大統領は政権運営を成功させたのだから、たとえ気まずくても副大統領の選挙キャンペーンを手伝うべきだと考えるバイデンの忠実な支持者たちを苛立たせている。

熱心なバイデンの支持者は「バイデンはそこにいるべきだ。ハリスが今の地位にいるのは、彼のおかげだ」と述べた。

しかし、バイデンの 「ゴミ」発言以前から、ハリス敗北の責任はバイデンにあると囁かれてきた。

これらの声は、バイデンが7月下旬に選挙戦から撤退したことは、ハリスにとっては何の役にも立たなかったと述べている。

また別の人々は、バイデンが最初から再選を目指して出馬すべきではなかった、民主党が後継者を選ぶために完全な予備選を行うべきだったと主張している。

この静かな指弾の異常なところは、ハリスが来週にも次期大統領に選出される可能性があるということだ。

ハリスはほとんどの全米規模での世論調査でリードしており、主要激戦州での各種世論調査でもリードを保っている。水曜日に発表されたCNNの最新の世論調査では、ハリスはウィスコンシン州で6ポイント、ミシガン州で5ポイントリードしている。ペンシルヴァニア州ではトランプ、ハリス両候補が同率だった。

ハリスがこの3州で勝利を収めれば、ほぼ間違いなく当選となる。

民主党系のストラテジストであるジョエル・ペインは、「ハリスは、大きなエネルギーと勢いのある瞬間に強く迫っている。彼女はトランプよりも、より人気のある候補者であり、より幅広い連合を持ち、高い可能性を持っている」と述べている。

ペインは続けて「トランプ大統領の二期目の脅威を考えれば、民主政治体制への不安は当然だ。しかし、カマラ・ハリスと民主党が大統領選挙と上下両院の選挙で結果を出して良い気分になれることもたくさんある」と述べた。

同時に、レースは信じられないほどの接戦であり、どちらの候補者にも勝利の可能性が高く、どちらも確信が持てない状況だ。

それが神経質(nervousness)と被害妄想(paranoia)を生み出し、事後の大きな批判と陰口を叩く(backbiting)のに最適な雰囲気を作り出している。

トランプが敗北した場合も、事後の大きな批判が起きるだろう。

トランプ前大統領は、男性からの支持を強化するために辛辣な言論を倍増させたが、これはハリスが大きくリードしている重要な女性有権者を失う可能性がある。

もしハリスが勝利すれば、共和党は3回目の大統領選サイクルをトランプとともに乗り切るという決断に二の足を踏むだろう。また、コメディアンがラティーノやプエルトリコ系の人々に関する品のないジョークを飛ばしたことで、否定的な注目を集めたマディソン・スクエア・ガーデンで日曜日に集会について、どうしてこの集会を開かなければならなかったのか、その理由にも疑問を抱くだろう。

ある共和党系のストラテジストは、「これは選挙キャンペーンにとって最悪だ。彼はメッセージだけに徹するべきだ。メッセージから外れたら、彼は負けるだろう」と述べた。

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(終わり)

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 2024年11月5日(日本時間では6日)の米大統領選挙が近づいてきた。今週末が最後の週末と言うことになる。共和党のドナルド・トランプ前大統領、民主党のカマラ・ハリス副大統領は共に激戦州を訪問する予定となっている。今回の大統領選挙での激戦州は、ペンシルヴァニア州(選挙人19人)、ミシガン州(15人)、ウィスコンシン州(10人)、ノースカロライナ州(16人)、ジョージア州(16人)、ネヴァダ州(6人)、アリゾナ州(11人)だ。
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 重要なのは、前回ジョー・バイデンが奪還した「青い壁(Blue Wall)」のペンシルヴァニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州の五大湖周辺州をカマラ・ハリスが守れるかどうかだ。現在のところ、ペンシルヴァニア州ではトランプ、ミシガン州、ウィスコンシン州ではハリスが僅差でリードとなっている。ペンシルヴァニア州をハリスが取れば青い壁を死守できる可能性が高まり、ハリスの勝利が近づく。逆に、トランプが取ればトランプの勝利はほぼ確定的となる。ペンシルヴァニア州はアメリカ東部標準時のエリアに入っており、日本時間6日の早い段階で結果が出ることが予想される(順調であれば)。ペンシルヴァニア州の結果で大勢が分かることになる。もちろん、一応の結果が出た後に、異議が出て、数え直しということになって正式な結果が出るまでに時間がかかることが予想される。また、選挙関連の暴力事件も多く起こるだろう。
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 今回の選挙ではやはり人々の生活の苦しさが最大のテーマとなるだろう。アメリカの給料が高いこと、しかし、その分、物価が高いことは日本でも報じられている。アメリカの大都市での住居費が平均で100万円近くに達して、住んでいられないということで、きちんと仕事を持っているのに、ホームレスになっている人たちも多い。経済問題が選挙の代々のテーマとなるだろう。その点では、トランプに一日の長があり、現政権の副大統領であるカマラ・ハリスには不利になるだろう。

 しかし、これだけの大接戦となると、選挙は平穏には終わらない。トランプ、ハリス両候補者の支持者の中には、結果に納得のいかない人々が数え直し、再集計を求めて抗議活動を活発に展開する人たちが多く出るだろう。また、暴力事件が頻発するだろう。米大統領選挙のために社会不安が増大し、治安が悪化し、状況は不安定化するだろう。

 国連は選挙監視団を派遣し、暴力事件を抑止するようにすべきではないか。また、集計に関しては、日本の優秀な係員を派遣して、集計してあげるのが良いのではないか。もちろん、これらは冗談で、皮肉であるが、それほど、「デモクラシーの総本山」であるアメリカが揺らいでいる。

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それで、一体誰が勝つのか?-米大統領選最後の週末を迎えるにあたって分かっていること(So, who’s going to win? — What we know going into the final weekend of the presidential race

ナイオール・スタンジ筆

2024年11月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4966970-trump-harris-election-race-close/

アメリカ大統領選挙は、世論調査が歴史的な大接戦を示す中、大詰めを迎えている。

各種世論調査でこれほど多くの州が接戦になったことはかつてない。

『ザ・ヒル』誌とディシジョン・デスクHQDDHQ)が管理する世論調査の平均によれば、金曜日夜の時点で、激戦州7州のいずれにおいてもドナルド・トランプ、カマラ・ハリス両候補とも2ポイント以上の差はなかった。

ミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州のいわゆる「青い壁(Blue Wall)」と呼ばれる3つの州では、その差は1ポイント以下だった。

政治の専門家たちは、最終的な結果を占う手がかりを求め、早期投票数のデータを探し回っている。既に6000万票以上が期日前に投じられた。

しかし、どのような選挙でも、早期投票数から最終結果を推定するのは、あまりにも未知数が多いため、信憑性が低いことで知られている。

トランプ、ハリス両候補の側近たちは支持者の確信を強めようとしている。

トランプ候補のスティーヴン・ミラー顧問は「期日前投票の数字は引き続き素晴らしい。カマラは崩れている」と金曜日にソーシャルメディアで熱弁をふるった。

ハリスのアドバイザーであるデイヴィッド・プルーフもX上で「決選投票の後半に投票した人が二桁の差でハリス有利に崩れている」と主張している。

以下に大統領選挙レースがどのような状況にあるのかについて分かることを列挙していく。

●トランプがわずかに優勢(Trump has a tiny edge

各種世論調査によれば、レースはほぼデッドヒートになっている。しかし、どちらの候補者がほんのわずかでも優位に立っているのかということであれば、それはトランプだ。

DDHQFiveThirtyEight、ネイト・シルヴァーの「Silver Bulletin」、『ニューヨーク・タイムズ』紙が管理する各種世論調査の平均では、トランプ前大統領はハリス副大統領よりも多くの激戦州で優勢となっている。

DDHQの平均では、トランプは6州でリードしている。他のサイトでは5州でリードしている。この違いはウィスコンシン州の扱いで生じており、他の3サイトではハリスが優勢、DDHQではトランプが優勢となっている。

ハリスは全米規模の各種世論調査で僅差でのリードを保っている。

DDHQ平均では、ハリスのリードはわずか0.3ポイントだ。2016年、ヒラリー・クリントンは選挙に敗れたが、2ポイント以上の差をつけて全米規模での世論調査でリードした。

それでも、トランプ優位は決定的とは言い難い。DDHQFiveThirtyEightの予想では、トランプの勝利の確率はそれぞれ54%と51%で、コイントスで裏表を決めるのとほとんど変わらない。

●サンベルトとブルーウォールとの間に明確な分裂がある(There’s now a clear split between the Sun Belt and the Blue Wall

ここ数週間、重要な分裂が深まっている。それは、一方ではサンベルト・南部の激戦州、他方ではブルーウォール(青い壁)州の分裂である。

大雑把に言えば、トランプは前者で健闘し、ハリスは後者で競争力を発揮する。

DDHQ平均で2ポイント差をつけているアリゾナ州では、トランプがどの激戦区よりも大きくリードしている。1.9ポイント差のジョージア州、1.4ポイント差のノースカロライナ州もそう大きな差ではない。

DDHQの予測モデルでは、ジョージア州でトランプが勝利する確率は65%だが、「青い壁」3州のいずれでも勝利する確率は53%以下とされている。

ここで、選挙人団の計算を強調しておくことが重要だ。

ハリスが「青い壁」の3州で勝利すれば、たとえトランプが他の4州で勝利したとしても、ハリスがホワイトハウスを獲得することになる。

そのシナリオでは、ハリスはトランプの268人に対して、270人という、可能な限り僅差で勝利することになる。

●2つの重要な未知数(Two key unknowns

2つのオクトーバーサプライズは、先週の日曜日に行われたトランプ前大統領のマディソン・スクエア・ガーデンでの大集会で、コメディアンのトニー・ヒンチクリフが人種差別的なジョークを言ったことと、火曜日にジョー・バイデン大統領がトランプ支持者を「ゴミ(garbage)」と表現したことだ。

ヒンチクリフの愚弄はプエルトリコを標的としたものであったため、選挙において重要であった。いくつかの激戦州にはかなりの数のプエルトリコ人が住んでおり、その中にはペンシルヴァニア州だけでも40万人以上が居住している。

ハリス陣営はこの騒動を最大限に利用しようと、この騒動に関する新しい広告を掲載し、バッド・バニーやジェニファー・ロペスといった著名人からの支持を強調した。

一方、トランプはバイデンの「ゴミ」発言に焦点を当て、支持者を増やそうとした。この発言は、火曜日の夜、ホワイトハウスに隣接するエリプスでのハリスの大演説にも影を落とした、

トランプは水曜日、ウィスコンシン州での集会の前にゴミ収集車の運転席に登場し、バイデンのつまずきをニュースにし続けた。

●どちらの候補、敗北の可能性を過小評価してはいけない(Don’t underestimate the chances of a rout — for either candidate

評判の良い各世論調査機関にはある重要な疑問がつきまとう。それは、誰が実際に投票に来るのかというモデルが外れている可能性があるのかということだ。

世論調査のこの部分には、本質的に経験則に基づく推測(educated guess)が含まれる。また、システム由来の誤差が生じる可能性もある。

もっともらしいシナリオとしては、米連邦最高裁がロウ対ウェイド法を破棄して以来、初めての大統領選挙となる今年、リプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)を守りたいという願望に突き動かされた有権者たちが、ハリス候補への投票率を高めるというものが挙げられる。

そのような急増が実際に起きて、ハリスが世論調査の数字をわずか2ポイントでも上回れば、彼女は全ての激戦区で勝利するだろう。

しかし、こうしたシナリオは決して一方的ではない。トランプは過去にも世論調査を上回る結果を出している。例えば、2020年のウィスコンシン州では、トランプの得票率はRealClearPoliticsの世論調査平均の最終数字を5ポイント近く上回った。

それでもバイデンはウィスコンシン州で勝利をもぎ取った。しかし、今年のハリスには誤差はない。

激戦州でトランプがわずかでも優れたパフォーマンスを見せれば、比較的容易にトランプがホワイトハウスに復帰することになるだろう。

●トランプ大統領の最後の旅は疑問を持たれている(Trump’s final travel raises eyebrows

この数日間、候補者たちの一挙手一投足は、何か深い意味があるのではないかということで詳しく分析される。

特に、ハリスとトランプの選挙運動最後の訪問についてはそうだ。

訪問の詳細について疑念が出ている。

トランプは土曜日、日曜日、月曜日の3日間、ノースカロライナ州で4回のイヴェントを行う予定だ。
ノースカロライナ州はトランプが得意とする戦場の1つであるはずなのに、これは奇妙な決定だ。

この決定が示しているのは、トランプ陣営が公に認めている以上に、ノースカロライナ州での自分たちの立ち位置を気にしているということなのだろうか?

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(終わり)

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 アメリカ大統領選挙まで残り3週間ほどとなった。共和党のドナルド・トランプ前大統領と民主党のカマラ・ハリス副大統領の間で大接戦が演じられている。先日もこのブログでご紹介したが、激戦州(battleground statestoss-up states)はかなり絞られており、ここで大接戦が演じられている。

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激戦州を除いての状況

 今年7月末に、ジョー・バイデン大統領が再選を目指さない、そして、ハリス副大統領を支持すると発表してから、8月下旬の民主党全国大会での正式指名あたりまで、民主党側・ハリス陣営は上げ潮、上昇気流に乗っていた。「これで一気に形勢逆転だ、ハリスがトランプを突き放す」という雰囲気作りが行われた。しかし、支持率で逆転しても、突き放すまでには至らなかった。最近になって、トランプが再逆転という状況になっている。

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激戦州全体での支持率の推移(2024年10月14日まで)

 2020年の大統領選挙では、民主党のジョー・バイデン前副大統領(当時)がドナルド・トランプ大統領(当時)に勝利した。バイデンの獲得選挙人数は306人、トランプは232人だった。2016年の結果とちょうど反対となった。2016年の大統領選挙の結果はトランプが306人、ヒラリー・クリントン元国務長官(当時)が232人だった。

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2016年の結果(赤がトランプ、青がヒラリー)

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2020年の結果(赤がトランプ、青がバイデン)

 重要なのは、ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、ジョージア州で結果がひっくり返ったことだ。2016年の選挙ではこれらの州全てでトランプが勝利したが、2020年ではバイデンが全勝したのだ。「青い壁(Blue Wall)」の復活と喧伝された。バイデンは30年以上、民主党所属の連邦上院議員を務め、オバマ政権下の副大統領8年を加えると約半世紀にわたる国政経験があった。出身地のペンシルヴァニア州をはじめ、五大湖周辺州、中西部での幅広い人脈を持っていた。言ってみれば、バイデンは選挙戦における「地上戦の男」だ。

一方で、ヒラリーは出身こそイリノイ州シカゴであるが、配偶者のビルは南部アーカンソー州出身で知事を務め、拠点をニューヨークに置いていた。そのために、重要な五大湖周辺州や中西部では全くもって地上戦を展開できなかった。このマイナス面をカマラ・ハリスも持っている。ハリスはカリフォルニア州での検事、司法長官、連邦上院議員(1期の途中で副大統領に転出)、副大統領と、国政の経験が少ない上に、地域的にもかなり偏っている。中西部の人たちにしてみれば、「カマラってどんな人だ?」ということになる。ハリスはバイデンが復活させた「青い壁」を破られつつある。

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2024年10月14日までの支持率を換算しての予測

 選挙戦終盤になって、カマラ・ハリスの弱みがどんどん見えている状況だ。政治面での経験不足ということは否めないが、それを言えば、バラク・オバマだって、ジョージ・W・ブッシュだって、ビル・クリントンだって経験不足だった。ハリスは自身の人柄や魅力を伝える能力が足りないし、インタヴューなどで当意即妙に答える頭の回転の速さやユーモアのセンスがない。ただひたすら馬鹿笑いをしているだけのように見える。あれでは人々からの信頼は得られない。また、ジョー・バイデン政権の弱い部分や失策がハリスに重くのしかかるということもある。これはややかわいそうな面があるが、仕方がないことだ。

 ハリスに勢いが出ないということで、民主党全体に勢いがつかない状況だ。「バイデンでは選挙に勝てない、危ない」ということで、連邦議員たちがオバマに泣きつくような形で、バイデンを引きずり下ろすということをやった。それはとても民主的とは言えない強引なやり方だった。しかし、カマラ・ハリスが大統領候補になってみても、状況はさっぱり好転せずということになっている。2024年の選挙は民主党はどっちにしても、何をやっても駄目だったということになりかねない。

(貼り付けはじめ)

ハリスが負けつつある4つの理由(The 4 reasons Harris is losing

ダグラス・マッキノン筆

2024年10月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/4929051-the-4-reasons-harris-is-losing/

私は、非公式に3人の民主党選挙運動関係者と話をしたが、全員が選挙戦はカマラ・ハリス副大統領から離れつつある(勢いが落ちている)と確信している。彼らは、これが起こっている主な理由を4つ挙げていく。

第一はハリス自身だ。彼女はシンプルに、あまり良い候補者ではない。彼女は自信がなく、リハーサルのない、あるいは吟味されていない政策質問を受けるのを恐れているようだ。この責任は、政治をよく観察している人々にとっては驚きではないが、多くの有権者にとっては新たな懸念材料となっている。

この不安定さと不安感は、ハリスが2020年の大統領予備選ですぐに撤退するという醜態を演じた、最初の候補者だったときに初めて示された。今、有権者、大口献金者、民主党の権力者たちは、既視感のある明確な瞬間として、2024年に同じ失敗を思い起こそうとしている。

ハリスが低迷している第二の理由は、バイデン=ハリス政権の記録だ。それが彼女の足を引っ張り、重荷になっている。

ハリスは今週、ABCの「ザ・ヴュー」でのインタヴューでこの問題を著しく悪化させた。このインタヴューの目的は彼女を良く見せることだったにもかかわらず、ハリスは受け答えで失敗した。ハリスを支持する司会者のサニー・ホスティンは次のように質問した。「過去4年間、バイデン大統領と違うことをしましたか?」

ハリスはすぐに思惑から外れた。ハリスは「思い当たることは何もありません(There is not a thing that comes to mind)」と答えた。「思い当たることは何もない」と発言した。

この返答を聞いたハリス陣営、主要メディア、民主党のエリートたちの衝撃と落胆の悲鳴は、ワシントンDC一帯の地震計を作動させたはずだ。

驚くことでもないが、ティーム・トランプはその答えを繰り返し喧伝している。彼らは、ハリスがバイデン政権の失策に選挙戦の残りをスポット溶接したことに興奮を隠せないのだ。

第三に、最終的にフロリダ州知事ロン・デサンティスの大統領選挙キャンペーンを終わらせたのと同じ問題に行き着く。トランプが持っている「個人崇拝(カルト・オブ・パーソナリティ、cult of personality)」に対抗して選挙運動をするのは事実上不可能だ。

好むと好まざるとにかかわらず、トランプにはとらえどころのない 「それ(it)」の要素がある。それを買うことも、作り出すことも、偽ることもできない。持っているか、持っていないかだ。この「それ」のおかげで、2016年に彼は大統領の座を獲得し、2020年には現職大統領の歴代最多得票数を更新しながら、当選まであと一歩のところまで迫った。

ハリスは、共和党予備選のデサンティスと同様、数千万票を擁して選挙戦をスタートさせた「個人崇拝」キャンペーンの牙城に真っ向から立ち向かうことになる。

最後に、私が話を聞いた民主党工作員たちがハリスにとって最も壊滅的な問題だと信じている問題がある。それは、昔ながらの「皆さんにとって4年前より今のほうが良いのか?(Are you better off now than you were four years ago?)」質問だ。ハリスにとっての問題は、民主党の中核選挙区内の潜在的に何百万人ものアメリカ人が、自分たちは4年前の方が良かったと信じているだけでなく、今ではバイデンとハリスの政策と失敗によって自分たちとその家族が押しつぶされていると考えていることだ。

このようなシナリオの下で、実践的で、現実的で、ある程度の影響力を持つ民主党支持者たちは何をすべきなのだろうか? ある人たちにとっては、ハリスの敗北に備え、体制を立て直し、2028年の民主党大統領候補を吟味し始めることだ。

私が話をした人たちは、ハリスと民主党全体が、党内の極左派をなだめるために左に傾きすぎていることを恐れている。彼らは、これがハリスの敗北を予想させるだけでなく、民主党候補者全体に打撃を与えているのではないかと懸念している。

来月の選挙が、私が信じる通りに進めば、2028年にはJD・ヴァンス副大統領が共和党候補の筆頭となるだろう。ロン・デサンティス前知事は彼に挑戦するのか? 可能性はある。しかし、私が話をした人たちは、共和党の支持層は深く、どの候補が選ばれても強力だと考えている。

彼らは、民主党がホワイトハウスの座を争うことを望むなら、2028年にはより中道派の候補者を選ぶ必要があると考えている。しかし、それを現実にするためには、彼らは党内の非常に声高で非常に活動的な極左翼に立ち向かう勇気と強さも見つけなければならないだろう。

これから3週間あまりで、この問題の多くがはっきりと浮かび上がってくるだろう。

※ダグラス・マッキノン:ホワイトハウスと国防総省に勤務した経験を持つ。

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民主党の有権者登録についてハリスに赤信号が灯る(Democratic voter registration raises red flags for Harris

アレクサンダー・ボルトン筆

2024年10月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4929781-voter-registration-democrats-pennsylvania-nc-nevada/

専門家たちがジョー・バイデン政権ブランドと民主党全般に対する熱意の欠如を問題視している中、主要な激戦州であるペンシルヴァニア州、ノースカロライナ州、ネヴァダ州の3州で民主党の有権者登録の優位性が低下し、カマラ・ハリス副大統領に赤信号が灯っている。

もう1つの重要な激戦州であるアリゾナ州では、共和党の有権者登録数が大幅に増加しており、2020年にバイデン大統領が僅差で勝利した州を、ハリス副大統領が守るのは厳しくなる可能性がある。

ジョージア州、ミシガン州、ウィスコンシン州など他の大統領選激戦州では、政党別の有権者登録を行っていない。

ペンシルヴァニア州とノースカロライナ州で有権者登録が民主党から離れていることは、なぜハリス陣営が水圧破砕や税制などの問題を中心に据えてきたのかを説明するかもしれない。

ネヴァダ州では、民主党の有権者登録数の優位性が低下しているが、ハリス候補は他の州とは異なり、世論調査の平均値ではトランプ前大統領に対して明確なリードを保っている。

ペンシルヴァニア州のフランクリン・アンド・マーシャル大学世論調査研究センター所長のバーウッド・ヨストは、「2020年から2024年までの変化を見ると、民主党は約30万人減少し、共和党は約7万人増加している。無党派層は約8万3000人から8万5000人増加している」と述べている。

ヨストは、ペンシルヴァニア州の一部で民主党の有権者登録数が減少しているのは、「ワシントンの政権党に対する幻滅(disenchantment with the party in power Washington)」が原因だと述べている。

ヨストは更に、「人々はバイデン大統領の就任について非常に否定的に感じている。そうだ、ハリス陣営にとっては危険信号であり、彼らはそれを修正しようとしている」と付け加えた。

ヨストは、民主党の有権者登録数の減少は、エリー郡、ノースハンプトン郡、バックス郡などの激戦となっている郡や、フェイエット郡のようなトランプの勝率を可能な限り小さく抑えたい地方の郡におけるハリスの課題であると警告した。

ヨストは「警告のサインであることは間違いないが、接戦になることは分かっていた。これもその一例だ」と語った。

ザ・ヒルとディシジョン・デスクHQがペンシルヴァニア州の最近の世論調査を分析したところ、ペンシルヴァニア州では、ハリスがトランプを1ポイントリードしているが、両候補が同程度の確率で勝利すると予測している。

ボストンにあるサフォーク大学の政治研究センター長デイヴィッド・パレオロゴスによると、2020年のペンシヴァニア州の有権者登録数は民主党が共和党を約66万6000人上回っていたが、2024年には約35万4000人にまで縮小している。

パレオロゴスによると、ノースカロライナ州における民主党の有権者登録の優位性は、2020年のプラス393000人から、2024年にはプラス130000人程度に縮小している。

パレオロゴスは本誌に対し、「この4年間で、一般的に言って、民主党への登録離れが進んでいる」と述べている。

パレオロゴスは「共和党の有権者登録の急増よりも、民主党の有権者登録の減少の方が大きい」と説明する。

パレオロゴスは「私は多くの人たちが次のような事実に注目しているとは思えない。2020年にトランプがノースカロライナ州で勝利したとき、39万人ほどの民主党員登録者がいた。それにもかかわらずトランプは勝利した。現在は13万だ。アドバンテージの3分の2が減ってしまっているのだ」と語った。

パレオロゴスはノースカロライナ州について、「ハリス氏が得た可能性のある何らかの利益や、彼女が行った可能性のあるマイクロターゲティングにもかかわらず、トランプは、ノースカロライナ州での世論調査の一部が示す結果をおそらく拡大する立場にあるようだ」と分析している。

ピッツバーグ大学の歴史学者で、選挙データを研究しているララ・パットナムは、ペンシルヴァニア州では高齢の民主党議員が亡くなりつつあり、一方でかつて「レーガン民主党員(Reagan Democrats)」に分類されていた有権者たちが共和党に党派を変えつつあると指摘している。

パットナムは「基本的な数字は、民主党の登録から共和党の登録に移る人が増えていることです」と述べている。

パットナムは「その大部分はレーガン民主党員と呼ばれる人々で、民主党として登録していたが、共和党をより強く意識するようにかなり着実にシフトしている地域にいる人々で、投票嗜好に合わせてゆっくりと登録を変更している」と説明している。

パットナムは「このような人々はラストベルトに住む人々だ。組合が衰退し、経済の活力が他の地域に移ったことで、民主党の投票と古い工業地帯との結びつきが分断されたのだ」と付け加えた。

ペンシルヴァニア州とノースカロライナ州の民主党系ストラティジストたちは、2020年にバイデンがペンシルヴァニア州で勝利し、ノースカロライナ州では僅差で敗北して以来、この2つの重要な州で党の有権者登録の優位性が損なわれていることを認めている。

トランプや他の共和党員に投票した民主党登録者が政党登録を変更するようになったのはつい最近であり、登録数の変化が投票行動に追いつきつつあるとストラティジストたちは言う。

そして、無党派またはどの政党にも所属していないとして登録している新規有権者の多くは、トランプよりもハリスを支持する可能性が高いと主張している。

ペンシルヴァニア州に拠点を置く民主党ストラティジストであるJJ・バラバンは「何が起こっているのかと言うと、民主党登録者の一部が長年の投票方法を反映して政党を変更しているということだ。2020年にトランプ大統領に投票し、2024年に登録を民主党から共和党に変更しても、ペンシルヴァニア州の投票が2024年にどのように変化するかについてはあまり示されていない」と述べている。

ノースカロライナ州では、民主党系ストラティジストのモーガン・ジャクソンは、ハリスに投票する可能性が高い若い有権者たちが無所属として登録するケースが増えていると述べた。そして主な理由の1つは、双方の評判が悪いからだとジャクソンは述べた。

ジャクソンは本誌の取材に対して次のように答えている。「確かに、民主党の有権者登録数は減少し、共和党の登録数はわずかに増えたが、真実は、人々は無所属として登録しているだけのことである。現在、無所属の人々が有権者の最大の層となっている。言わなければならないのは、それは民主、共和両既存政党のブランドが有権者から最悪だと見られているからだ」。

ジャクソンは、「特に多くの初めての新規有権者、彼らは党に対して忠誠心を持っていないだけだ。しかし、私たちが目にしているのは、無所属の有権者、その大多数が無所属ではないということだ。彼らのほとんどはどちらかの政党に同調している。その中には本当にピンポン投票者、つまりスイング投票者である少数の人々がいる」と述べた。

ザ・ヒルとディシジョン・デスクHQは、トランプがノースカロライナ州で勝利する確率を64%とし、ノースカロライナ州の世論調査平均ではトランプがハリスよりも、1ポイント有利であるとしている。

サフォーク大学のパレオロゴスは、大統領と米連邦上院の激戦区である他の2つの激戦州、アリゾナ州とネヴァダ州でも、有権者登録における両党間の差が変化していると述べた。

アリゾナ州を拠点とする共和党系ストラティジストのコンスタンティン・ケラールは、共和党幹部と活動家たちがアリゾナ州での共和党登録を増やすために協力を密にして取り組んでいると述べた。

ケラールは「共和党は実際に現場に出て、やるべき現場での仕事を行った功績が認められる」と語っている。 

ケラールは、全国の共和党の有権者登録は120万人増加したが、民主党の有権者登録は2022年以降80万人減少したと述べた。

ケラールは次のように述べている。「全国的には、過去2年間で共和党へ200万票が移動している。共和党ブランドは民主党ブランドよりも成績が良い。私たちがアリゾナでこれほどの成果を上げたのは驚くべきことではないと思う」。

アリゾナ州では、バイデンがアリゾナ州を制した2020年に比べて、共和党が有権者登録で民主党に比べて2倍になっている。

パレオロゴスは「バイデンが勝ったアリゾナ州を見てみると、アリゾナ州では共和党員の純登録者数が13万人だったが、それが2倍になった。現在、アリゾナ州における共和党登録の優位は25万9000人だ」と語った。

パレオロゴスは、9月下旬に実施されたサフォーク大学の世論調査で、アリゾナ州においてトランプがハリスを6ポイントリードしている理由がこれで説明できると述べた。

パレオロゴスは「アリゾナ州でトランプが6ポイントリードしていることに私は驚かない。全ての要因を考慮すると、それは私にとってきわめて合理的な結果だ」と述べた。

パレオロゴスは、ネヴァダ州において、民主党の有権者登録の優位性が失われたと述べている。

パレオロゴスによれば、民主党は2020年には約79000人の純有権者登録数で優位に立っていた。その後、プラス29000人の有権者のプラスに落ち込んでいる。

パレオロゴスは「接戦を維持するのに十分かもしれないし、5万人の民主党登録者を失っただけで、トランプ氏に軍配が上がるかもしれない」と述べている。

『ネヴァダ・インディペンデント』誌のCEOであり、ネヴァダ州を代表する政治評論家であるジョン・ラルストンは、ネヴァダ州における民主党有権者の優勢は2020年には約5ポイントだったが、現在は1ポイントになっていると述べた。

ラルストンは本誌の取材に対して、Eメールで、「共和党が優勢になったのではなく、無党派層が爆発的に増えたため、民主党が失った有権者が少なくなっただけだ。それでも、民主党にとっては懸念材料だ」と答えた。

ラルストンは最近のコラムの中で、ネヴァダ州で最も人口の多いクラーク郡の登録者数が 「変動(shifting)」したことで、民主党が「明らかに弱体化(apparently vulnerable)」していると指摘した。

10月1日から9日の間に、クラーク郡では共和党が民主党より少なくとも1118人多く有権者登録を獲得した。

これは、2018年、2020年、2022年の10月最初の9日間に起こったこととは異なる。その前の年はいずれも、民主党が共和党より2000人以上多く登録を獲得している。

クラーク郡の人口は230万人を超え、州全体の3分の2を超える。バイデンは33500票差で、クラーク郡で勝利した。

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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙は、民主党がカマラ・ハリス副大統領を大統領候補者として正式に決め、副大統領候補にミネソタ州知事ティム・ウォルツを決めた。ウォルツの起用は、このブログで予想した通りで、アメリカ大統領選挙の主戦場は、五大湖周辺州の激戦州、ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルヴァニア州と定まった。共和党側はニューヨーク出身(現在はフロリダ州在住)のドナルド・トランプ、民主党側はカリフォルニア州出身のカマラ・ハリスとなり、いわゆる、アメリカの両沿岸地域出身であり、それぞれの副大統領候補が中西部、五大湖周辺州とその隣州の出身ということで、両陣営が五大湖周辺州を最重視し、ここで決着をつけようとしていることが明らかになった。

 ハリスがウォルツを起用したのはヒットだった。ウォルツはハリスにないものを補える人物だ。エリートではない、中道、中間層のアメリカ人(「普通の」アメリカ人)であり、ハリスの持つ、検察官上がりのエリート臭さを緩和することができる。ウォルツがリベラルであるが行き過ぎてはいないということで、党内の団結のためには良い人選となった。

 しかし、ハリスにはまだまだ厳しい壁が立ちはだかっている。ハリス自身の外交政策が見えてこないこと、中道なのか、リベラルなのかはっきりしないこと、ジョー・バイデンとどこがどう違うのかをはっきり示さねばならないが、やり過ぎるとそれは現政権批判になってしまうということだ。バイデンの政策をそのままそっくり日気づいて何も買えないということになれば、それならバイデンで良いではないかということになる。

 主戦場の五大湖周辺州で、ハリスはどれだけの「地上戦」を展開できるかと言われると、甚だ疑問だ。ウォルツがいるのでだいぶ助かるだろうが、彼女自身が五大湖周辺州にほぼ縁がないということが問題だ。ジョー・バイデンはペンシルヴァニア州の生まれ育ちで、隣のデラウェア州でキャリアを重ねたが、地縁、血縁、ネットワークは強固なものだ。労働組合やアフリカ系アメリカ人組織などとは数十年にわたり関係を築いてきた。バイデンはまさに「地上戦」の人である。ハリスとヒラリーはどうしても「空中戦」の人だ。ハリスがどれだけ地上戦を展開できるかだ。

 また、アメリカ経済の先行き不安ということになると、「経済はやはり経験のあるトランプ」ということになる。ハリスには経済運営を行った経験はない。アメリカ経済の後退局面がこの時期に来たというのはハリスにとっては逆風となるだろう。

 「ハリスさん、いいぞいいぞ」「ハリスが急上昇」という報道が日本でもなされているが、現状を冷静に見ることが必要だ。

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カマラ・ハリスが「ハネムーン期間」が終わって直面するであろう5つの疑問(5 questions facing Kamala Harris as her ‘honeymoon period’ ends

ナイオール・スタンジ筆

2024年7月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4799034-harris-2024-campaign-questions/

カマラ・ハリス副大統領の登場は、ジョー・バイデン大統領を候補者のままで迎える11月の選挙での自分たちの可能性を深く憂慮していた民主党所属の議員たちの間に大きな興奮を呼び起こした。

ハリス陣営によると、バイデンが選挙戦からの撤退を表明して1週間も経たずに、2億ドルを集めたということだ。17万人以上の新たなヴォランティアが登録したと報じられている。

各種世論調査でも、ハリスはドナルド・トランプ前大統領がバイデンに対して享受していた差を縮めている。

しかし、ほとんどの調査でトランプがリードを保っており、熱狂的なハリス支持者を含め、事実上誰もが彼女のハネムーン期間がすぐに終わることを知っている。

ハリスは、週末にマサチューセッツで行われた資金調達パーティーで、「私たちはこのレースでは負けている」と語った。

ハリスと選対が抱える大きな問題を5つこれから紹介していく。

(1)彼女は強力な副大統領候補選びができるだろうか?(Will she make a strong VP choice?

これがハリスに迫る最大の決断だ。

副大統領候補は近々決まるが、それはいつでもというタイミングだ。月曜日の「CBSモーニングス」でのインタヴューで、ミシガン州知事グレッチェン・ウィトマー(民主党)は、ハリスが「これからの6、7日(the next six, seven days)」で決めるだろうと語った。ウィトマーは、ハリスの伴走者(running mate)にはならないことを強く示唆した。

副大統領候補のトップランナーとしては、マーク・ケリー連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)、ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ(民主党)、ミネソタ州知事ティム・ウォルツ(民主党)が挙げられている。その他に、ケンタッキー州知事アンディ・バシア(民主党)とピート・ブティジェッジ運輸長官の名前も挙がっている。

上位3人のいずれかを推すのは簡単だ。ケリーは移民問題でハリスの弱点を補う能力があると考えられるからであり、シャピロは最大の激戦州の知事として人気があるからであり、そして、ウォルツは、平易な語り口で、中西部地方でアピールできるからだ。

しかし、紙の上では良さそうに見える伴走者選びも、簡単に失敗することがある。共和党側では、JD・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出)がトランプの副大統領候補として不安定なスタートを切ったことに大きな不安がある。共和党は、2008年にジョン・マケイン連邦上院議員(当時、アリゾナ州選出)の伴走者となったアラスカ州知事(当時)サラ・ペイリンのパフォーマンスにいまだに悩まされている。

ハリスが勝利のチャンスを得るために、副大統領候補の選択を失敗しないことが極めて重要となる。

(2)彼女はこれまでの立場をめぐる無遠慮な攻撃を鈍らせることができるか?(Can she blunt attacks over her previous positions?

ハリスに対するトランプ陣営の包括的な攻撃は、彼女がアメリカ国民にとってリベラルすぎるというものだ。

特に2020年の大統領選挙の民主党指名獲得を目指したハリスのコメントや政策的立場に関して真の脆弱性が存在する。

当時、ハリスは採掘(フラッキング、fracking)禁止を支持し、すでにグリーン・ニューディールの連邦上院共同提案者となっており、移民税関捜査局Immigration and Customs EnforcementICE)の抜本的改革を望んでいた。

ハリスがどのような立場に立っていたのかについては、いくつかの論争がある。

例えば、この時期に移民税関捜査局の廃止を求める声に賛成かどうか尋ねられた彼女は、「ICEを批判的に再検討(critically reexamine ICE)」する必要があると答え、更に「私たちはおそらくゼロから始めることさえ考える必要がある」と付け加えた。

ハリス陣営は、元検事という経歴は彼女を定義づける戦いにおいて大きな武器であり、強大な権益に立ち向かう意思があると思わせるのに役立つと反論している。

彼女はまた、2020年の予備選の時よりも、より中道的な位置づけをするようだ。例えば、彼女の陣営は先週末、本誌に対し、彼女はもはや採掘禁止を支持していないことを明らかにした。

しかし、トランプ陣営からのジャブは今後も続くだろう。

月曜日、トランプ陣営はハリスが語った古いインタヴューでのコメントを掲載した。ハリスは次のように述べていた。「そう、私は過激(radical)だ。私たちがやっていることについて過激になり、真剣に取り組む必要があると信じている」。

(3)彼女はイスラエルのガザ地区攻撃に怒る有権者を味方につけることができるだろうか?(Can she win over voters angry about Israel’s assault on Gaza?

バイデンがガザ地区攻撃でイスラエルを強く支持したことに対し、民主党の有権者の間には深い不満がある。

ギャラップ社が先月行った世論調査では、イスラエルがガザ地区でとった軍事行動に賛成している民主党員と支持者はわずか23%だった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が先週行った連邦議会での共同演説では、100人以上の民主党所属の連邦下院議員と連邦上院議員がボイコットした。

バイデンのイスラエルとガザ地区に対する姿勢は、アラブ系アメリカ人が全米で最も集中している重要な激戦州(swing state)であるミシガン州では、選挙上特に危険な要素である。

ハリスは先週末、バイデンとは別でネタニヤフ首相と会談した後、顕著な口調の変化を見せた。

イスラエルとその安全保障への「揺るぎない関与(unwavering commitment)」は確認したものの、ハリスはガザ地区で起きたことを「破壊的()devastating」と表現し、「あまりにも多くの罪のない民間人の死(the death of far too many innocent civilians)」を嘆いた。

ハリスは続けて「私たちは苦しみに無感覚になることを許すことはできない。私は沈黙しない」と述べた。

しかし、ハリスはまだ針の穴を通すことになるだろう。パレスティナに同情的な有権者たちは、実際の政策転換(shift in policy)を望んでおり、一方、親イスラエルの有権者たちは、支持が緩むことに非常に敏感となっている。

(4)彼女は重要な激戦区で勝利することができるか?(Can she win the key battlegrounds?

民主党内では、ハリスへの熱狂が起きているが、各種世論調査の数字を信じるならば、11月の選挙ではトランプが有利であることに変化はない。

ハリスの支持者たちは、バイデンが身を引いてからの世論調査の数はまだ少ないが、彼女の方向に動いていると指摘する。

しかし、特にアリゾナ州、ジョージア州、ネヴァダ州の激戦区において、彼女には挽回すべき大きな地盤がある。本誌とDDHQDecision Desk HQ)が管理している世論調査の平均では、これらの州でトランプは、約6ポイント、4ポイント、9ポイントそれぞれリードしている。

ハリスは火曜日にジョージア州に向かう。アフリカ系アメリカ人初の女性大統領となる可能性が、有権者のおよそ3人に1人がアフリカ系アメリカ人であるこの州で、彼女を大きく支援する可能性は十分にある。

ハリスは、ミシガン州、ペンシルヴァニア州、ウィスコンシン州の3つの「青い壁(blue wall)」と呼ばれる州で、僅差でリードを許している。

ハリス陣営は、彼女はまだ投票先未決定の有権者たちから大きな支持を得ていると考えている。しかし、前途は多難である(tough road ahead)ことは間違いない。

(5)彼女はバイデンと差別化できるだろうか?(Can she differentiate herself from Biden?

ハリスはある点で本質的に厳しい立場にある。彼女は11月の大統領選挙本選挙候補者と、そして支持率が低調な現職大統領の現職副大統領という、2つの役割を担っている。

今から投票日までの数カ月の課題は、あからさまに不誠実に見えることがないようにしながら、彼女が望む奈良の話であるが、どうなって、バイデンとの差別化を図るかということだ。

バイデンの実績としては、インフラ支出の増加、学生ローンの救済策、数百万人の高齢者のインスリン代を月額35ドルに制限するなどの具体的なものが挙げられるが、ハリスに関連付けたい要素がこれらである。

しかし、バイデンの記録の他の要素、特に移民と2022年の急速なインフレによって生じた、現在でも癒されていない政治的傷跡(political scar)ははるかに問題がある。

ハリスは今後数カ月間、ホワイトハウスにいるバイデンに対してあまり厳しい態度をとらないようにしながら、将来の明確なヴィジョンを概説する必要に迫られる。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカでは2020年11月3日を迎え、アメリカ東部標準字帯に属する各州では既に投票が開始されている。昨年から始まったアメリカ大統領選挙もいよいよ投開票日を迎えた。共和党のドナルド・トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領と、民主党のジョー・バイデン前副大統領とカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の激突だ。

 マスコミは今年のセミが鳴いている頃には「バイデン氏が圧倒的に有利」と報道し、私の知り合いの中にも「今回はいくら何でもバイデン氏が勝つだろう」という予測を立てている人が多くいた。私は常に周囲に合わせて、波風を手ないように生活するような性格に生まれついてしまっているが、今回は「トランプが勝つかもしれないよ」というへそ曲がりの答えをしていた。

 そもそも日本のメディアのアメリカ大統領選挙報道は、アメリカで大学や報道機関が実施する世論調査の結果を根拠にしており、はっきりして独自の取材や調査に基づいていない。しかも、だいたいが全国規模の世論調査の結果を根拠にして「バイデン氏大量リード」などとやっていた。しかし、私はこのブログでもさんざん書いたが、アメリカ大統領選挙は各州に配分された選挙人の総取りが基本であって、総得票数と選挙人獲得総数が合わないということがある。2000年と2016年がそうだった。だから、各州の情勢を詳しく見なければならない。日本の報道は大雑把であり、かつ根拠が不確実なものだった。

 さて、いよいよ投開票日である。今までも世論調査の結果の平均を出して、どちらがリードしているかで出した地図が以下のものだ。これはRealClearPoliticsのウェブサイトに行けば見られる。

RealClearPoliticsのウェブサイトのアドレスは以下の通り↓

https://www.realclearpolitics.com/epolls/2020/president/2020_elections_electoral_college_map_no_toss_ups.html

2020presidentialelectionrealclearpoliticsnotossupmap001
 これを見ると、選挙人獲得数はバイデンが318名、トランプが218名となり、バイデンが圧勝ということになる。しかし、RealClearPoliticsの名誉のために申し添えておくと、これは激戦州について、両候補の差がほぼないところでも無理にどちらかで色分けするとこういう結果になるというだけのことであって、これは実態に即した地図ではない。

 ここで、私は自分なりにいくつかの思考実験(と言う名目の遊び)をしたいと考えて、RealClearPoliticsの「Create Your Own Map」機能を利用して、シミュレーションをしてみた。テキサス州とフロリダ州はトランプが追い上げており、この両州でトランプが勝つという前提で地図を作ってみると次のようになる。

2020presidentialelectionfurumuraownmap004

バイデン217対トランプ193となる。更にミシガン州とペンシルヴァニア州を除いて、情勢を考慮して色分けを加えていく。まず、アリゾナ州とノースカロライナ州という共和党が強いが今回は激戦州をバイデンが取ったとすると、以下のような情勢になる。バイデンがあと少しで270が取れない情勢で、ミシガン州とペンシルヴァニア州が残る形になる。

2020presidentialelectionfurumuraownmap003

 アリゾナ州とノースカロライナ州をトランプが取ったとすると、選挙の情勢は以下の通りにトランプ
が有利ということになる。
2020presidentialelectionfurumuraownmap002
 日本のマスコミが述べてきたように、「バイデン氏圧倒的に有利」ということは少なくとも言えないということになる。私は最後の大統領選挙討論会がキーポイントだったと思う。ブログでも書いたが、あの時のトランプはバイデンを大きく上回った。そこから一気に追い上げムードになったと思う。そして、バイデンはリードを縮められている。

そのことが分かっているので、バイデン陣営は最後の1枚前の切り札であるバラク・オバマ前大統領を担ぎ出してきた。本当の切り札はミシェル・オバマ夫人であるが、ミシェルを出すと、余裕がないという逆宣伝になってしまうから出せなかったのだと私は判断する。

 今回の選挙では既に役1億人が期日前投票や郵便投票を利用して投票を済ませたという報道が出た。有権者人口が約2億5000万人で、いつもは1億3000万から4000万人が大統領選挙で投票をするが、この報道が正しいとすると、今回は得票率が上昇することが考えられる。そして、期日前投票に関する「モーニング・コンサルト」社の調査では、期日前に投票を済ませた人の中で、新型コロナウイルス感染でリスクの高い中高年が高い割合を占めたということだ。また、民主党支持の有権者が50%、共和党支持の有権者が21%だったということも注目される。

※モーニング・コンサルト社のウェブサイトのアドレスは以下の通り

https://morningconsult.com/exit-polling-live-updates/

 今回の選挙も2000年の選挙のように、色々と揉めて結果が確定するまで、長引きそうだ。私は最後の追い上げを考慮して、トランプが有利としておく。

(終わり)
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