古村治彦です。
サッカーのワールドカップ北中米大会(カナダ、アメリカ。メキシコでの開催)が佳境に入っている。日本代表は予選リーグを突破し、決勝トーナメント1回戦で強豪ブラジルと対戦し、1対2で敗れた。そのブラジルはノルウェーに1対2で敗北を喫した。日本は1998年のフランス大会で初出場して以来、8大会連続で出場し、アジアの強豪となった。私が子供の頃、1980年代は、アニメ『キャプテン翼』の影響でサッカー人気は高まっていたが、韓国や中東の国々に歯が立たなかった。それを思えば日本のサッカーは急成長だと考えられるが、専門家や目の肥えたファンの人たちからすれば不満が残る結果だったかもしれない。
今大会は、アメリカによる、選手やファンに対する不公平な取り扱い、ドナルド・トランプ大統領が介入したのではと取り沙汰されたアメリカ代表選手の退場処分保留などの、政治と絡んだニューズが多く出ている。しかし、参加数が48になったことで、参加枠が拡大したことで、あまり有名ではない小国も参加し、どんな国なのかと興味を持って調べるという楽しみもある。キュラソーやカーボベルデなど申し訳ないが、全く知らなかった。
今大会の参加ティームの多くは国外生まれの選手たちが多くを占めるようになっているそうだ。1930年の第1回大会の時はその割合が約5%だったが、今大会は約25%になっている。私はラグビーが好きでよく見ているが、ラグビーの場合には代表ティームのメンバーになるには条件が異なり、多くの外国出身選手が日本代表としてプレーしているが、サッカーはもっと条件が厳しいのかと思っていたが、少し緩くなっているようだ。
また、ヨーロッパの有名プロティームの育成組織、アカデミー出身者が様々な国の代表に入っているということだ。有名なティームは途上国などの身体能力に優れた子供たちを青田買いして、育成組織に入れるということは昔から行われ、そこからスーパースターが生まれているが、同時に、途中で怪我をしたり、技術が伸びなかったりした場合には放り出されて、行き場もなく、教育も受けていないために仕事にもありつけずに犯罪に走るという若者たちがいるということもある。
日本代表にも帰化選手や外国にルーツを持つ選手が昔からいたし、これからもどんどん増えていくだろう。それはグローバリズムの結果だ。同時に、移民、外国から来た(自発的、非自発的は問わず)が作った国であるアメリカで、これだけグローバル化したサッカーの世界大会ワールドカップが開催されているのに、出入国で不公平な取り扱いがあったことはグローバル化の副作用と言うべきであろう。別の副作用はトランプ大統領の出現であるが。
以下の記事を読みながら、サッカーは世界の歴史や大きな流れを映す鏡だということを改めて認識した。
(貼り付けはじめ)
ワールドカップの新たな地理学(The New Geography of the
World Cup)
-移民、植民地時代の歴史、そしてエリート・アカデミーが、現代の代表ティームのあり方を再定義した。
ジル・ゲラ、ダイアン・ロイ筆
2026年6月24日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2026/06/24/world-cup-soccer-football-immigration-nationality-haiti/

男子サッカーハイチ代表ティームが初めてFIFAワールドカップに出場した1974年当時、ティームは完全に国内育ちの選手で構成されていた。登録メンバー22名全員がハイチ生まれであり、1名を除いて全員が国内クラブに所属していた。
それから50年以上が経過した今日、6月13日に行われたスコットランドとの初戦に出場した26名の選手のうち16名はハイチ以外の生まれであり、その大半は北アメリカやヨーロッパのクラブでプレーしている。これらの選手の多くは、ハイチにルーツを持つことで代表資格を得ている。国内を拠点とする選手は、ウデンスキー・ピエールただ1人だ。代表ティームを率いるフランス人のセバスチャン・ミニェ監督は、代表ティームにとって史上2度目となるワールドカップ出場を果たし、ティームを指揮しているが、これまでハイチの地を踏んだことはない。
ハイチ代表が国外生まれの選手に依存している背景には、経済の不安定さ、政情不安、そして蔓延する治安の悪化といった、多くの人々を国外流出へと追いやってきた状況がある。2021年のジョブネル・モイーズ大統領暗殺事件以降、ギャングによる暴力が横行し、代表ティームが国内で試合を行うことは事実上不可能となった。そのため、ハイチ代表はワールドカップ予選のホームゲームをキュラソーで開催し、フロリダやニュージャージーでトレーニングを行ってきた。
しかし、ハイチ代表の選手構成は決して例外的なものではない。アメリカ、カナダ、メキシコの3カ国が共同開催する今年のワールドカップでは、多くのティームが、自国以外の国で生まれた選手を所属させている。こうした傾向は1980年代以降加速しており、ワールドカップ出場ティームの構成に対する移民の影響力の増大や、サッカーというスポーツがますます国境を越えた広がりを見せている現状を反映している。
2004年、カタール・サッカー協会がカタールと縁もゆかりもない選手に金銭的報酬を提示して帰化させたことを受け、FIFA(国際サッカー連盟)は代表資格に関する規定を厳格化し、選手が代表する国との間に「明確なつながり(clear connection)」を持つことを義務付けた。現在では、出生であれ帰化であれ、その国の国籍を保有していれば代表ティームでプレーすることが可能だ。ただし帰化の場合、FIFAは、本人、親、祖父母の出生地や血縁関係による直接的なつながり、あるいは少なくとも5年間の継続的な居住実績といった条件を求めている。こうした変更は、便宜的な帰化を制限しつつ、血縁やルーツに基づく代表入りを正当なルートとして明文化したことで、今年の大会に見られるような、ディアスポラ(he diaspora、国外在住者やその子孫)を多く含むティーム構成を形作る一因となった。
ワールドカップの代表ティームには以前から外国生まれの選手が含まれてきたが、その割合は時代によって変動しており、これは移民の動向やプロサッカーのグローバル化を反映していると考えられる。2022年に『ヴォックス』誌が発表した分析によれば、1930年の第1回大会では参加ティームはわずか13で、全選手のうち出生国以外の国を代表していた選手の割合は5%強だった。一方、32ティームが参加した2022年のカタール大会では、その数字は16.5%に上昇した。
2022年大会ではモロッコがその傾向を牽引し、代表選手の約54%が国外生まれだった。チュニジアやセネガルも、主にフランス生まれの選手を多数起用していた。
今年のワールドカップでは、国外生まれの選手の割合が23.2%へと著しく上昇した。この増加の主な要因の1つは、今大会の出場ティーム数が過去最多の48に拡大されたことだ。この拡大により、国境を越えて選手を招集できる(ディアスポラなどの)選手層を持つ国々が、より多く本大会への出場権を獲得できるようになった。
同時に、各国のサッカー連盟は最強のティームを編成するために、積極的に国外へと目を向けるようになっている。人口の少ない国にとっては、国外在住のディアスポラのネットワークを活用することが不可欠だ。その最も顕著な例と言えるのがキュラソーだ。人口約15万6000人のキュラソーは、ワールドカップ出場権を獲得した史上最小の国だ。26名の代表メンバーは、そのほぼ全員が国外生まれの選手で構成されている。1人を除く全員がオランダ生まれであり、これは約400年に及ぶオランダによる植民地支配の名残と言える。
他にも、コンゴ民主共和国(76.9%)、モロッコ(73.1%)、アルジェリア(61.5%)、ボスニア・ヘルツェゴビナ(57.7%)、チュニジア(57.7%)など、国外生まれの選手に大きく依存している出場国がいくつかある。その一方で、オーストリア、ブラジル、コロンビア、南アフリカのように、国外生まれの選手が誰もいないティームもある。
2026年ワールドカップに出場する国外生まれの選手の多くに共通する出身国がある。それはフランスだ。全48ティームの中で、フランス生まれの選手は99人に上り、そのうち54人はパリ都市圏(Greater
Paris)の出身だ。この事実は、サッカーの才能を輩出する地域として世界で最も多くの人材を送り出しているという、フランスの首都が長年築いてきた評価を改めて裏付けるものとなっている。比較として挙げると、ロンドン都市圏から今大会に送り出された選手は14人だった。
世界最高峰のサッカーを支えるインフラのような役割をごく一部のクラブが事実上担うようになっている。ヨーロッパのいくつかのクラブのアカデミーが多国籍なルーツを持つ選手をワールドカップに送り出している。
マンチェスター・シティのユース組織で育った選手は10の異なる代表ティームでプレーしており、マンチェスター・ユナイテッドとアーセナルのアカデミー出身者はそれぞれ8ティーム、パリ・サンジェルマンは7ティーム、バイエルン・ミュンヘンは5ティームの代表選手を輩出している。エリート選手の育成で名高いアムステルダムのクラブであるアヤックスは、今大会において他のどのアカデミーよりも多くの出身選手を送り出しており、その数は5つの代表ティームにまたがる計17名になる。
今年のワールドカップは史上最も真にグローバルな大会である一方、国境を越えた人の移動に対する障壁も高まっている。大会全試合の4分の3にあたる78試合を開催するアメリカは、ドナルド・トランプ大統領の下で入国管理や渡航に関する政策を厳格化した。
一部の国については、サポーターがアメリカへ渡航することが事実上不可能になっている。ハイチとイランはアメリカの全面的な渡航禁止措置の対象となっており、両国の国民は移民ヴィザ・非移民ヴィザを問わず、その取得がほぼ全面的に認められていない。ただし、選手や必要不可欠なスタッフについては例外が設けられている。さらに、本大会出場国であるセネガルとコートジボワールも12月に一部渡航禁止リストに追加され、新規の観光ヴィザ発給が停止された。そのため、1月1日時点でアメリカのヴィザを保有していなかったファンは現在ヴィザを取得することができない。
こうした規制は広範囲にわたる影響を及ぼしている。少なくとも15名のイラン関係者がアメリカのヴィザの発給を拒否されたほか、イラン・サッカー連盟は、出場全連盟に認められているはずの「自国ファン向けのアメリカ開催試合のチケット割り当て権限」をFIFAに取り消されたと発表した。また、ワールドカップで主審を務める初のソマリア人審判となる予定だったオマール・アルタンは、「テロ組織の容疑者との関わり(association with suspected members of terror organizations)」が疑われたとしてマイアミの空港で拘束された後、アメリカへの入国を拒否された。イラク代表のストライカーであるアイメン・フセイン選手も、シカゴ到着時に7時間近くにわたって拘束され、尋問を受けた。
アメリカによる最も厳しい入国制限は、主に国外出身の才能ある選手でティームを構成している国々に向けられる傾向がある。この両者の重なりは偶然ではない。自国のサッカーの才能を国外へ流出させる原因となる不安定な情勢や機会の欠如は、同時に、その国のファンを入国させることへの「リスク(risk)」を高いとみなさせる要因にもなっている。特例措置が設けられたとしても、その適用範囲は意図的に限定されている。それらは旅行者個人ではなくワールドカップの観戦チケットに紐づけられており、大会終了とともに効力を失うからだ。
アルジェリア、カーボベルデ、チュニジア、セネガル、コートジボワールの5カ国は、アメリカの「ヴィザ保証金(ボンド)」制度の対象国となっている。この制度により、選手を除くこれらの国の国民は、観光ヴィザを取得する際に5000ドルから1万5000ドルの保証金(返金可能)を預け入れることが義務付けられている。トランプ政権は先月、4月中旬の時点でアメリカ開催試合のチケットを購入し、かつ「FIFAパス」に登録しているファンに対しては、この保証金要件を免除すると発表した。しかし、この免除措置が恩恵をもたらすのは、アルジェリア、カーボベルデ、チュニジアのサポーターに限られる。セネガルとコートジボワールのファンにとっては救済策にならない。両国に対しては部分的な渡航制限が課されており、保証金の対象となるはずの観光ヴィザの発給自体がすでに停止されているからだ。
他の開催国による救済策も限定的だ。カナダは、これらアフリカや中東地域の国々(およびその他の対象国)のファンに対し、訪問者ヴィザの取得を義務付けているが、その取得はアメリカのヴィザと同様に困難だ。メキシコは、有効なアメリカのヴィザ(あるいはカナダ、イギリス、日本、またはシェンゲン協定加盟国のヴィザ)をすでに所持している旅行者にはヴィザを免除している。しかし、ハイチやイランの国民のようにアメリカへの入国を拒否されているファンは、メキシコのヴィザを直接申請せざるを得ないだろう。
チュニジアはグループステージの3試合のうち2試合をメキシコで行い、セネガルとコートジボワールはそれぞれ1試合をカナダで行う予定だが、どの国へ入るにもヴィザという壁が立ちはだかっている。これは、開催国がファンの入国障壁を緩和していた過去の大会とは異なる状況だ。2018年のロシア大会では、政府発行の「ファンID」を取得した全てのチケット保有者に対し、ヴィザなしでの入国が認められた。2022年のカタール大会でも同様の措置がとられ、ファンは通常のヴィザなしで大会期間中の入国が可能だった。
その結果、出場ティームの国際色はかつてないほど豊かであるにもかかわらず、スタジアムの観客席の構成は以前とほとんど変わらないという大会になるだろう。出場ティーム数が48に拡大されたことで、ディアスポラを中心に構成された代表ティームを擁する国々がいくつか加わった。ヴィザ取得のハードルが最も高い国々を応援することになるファンの多くもまた、そうしたディアスポラ・コミュニティの出身者となるだろう。
こうした傾向は、6月16日にニュージャージーで行われたフランス対セネガル戦で如実に表れた。両ティームは、同じ現象の異なる側面を映し出している。フランス代表のメンバーの多くは、フランス生まれの移民の子供たちである一方、セネガル代表の国外生まれの選手たちは、フランスのクラブでキャリアを築いたアフリカ系ディアスポラの人々だ。
フランス代表の26名のうち、国外生まれはわずか3名で、ティームの88.5%がプロキャリアの大半をフランス国内で過ごしている。対照的に、セネガル代表のメンバーは半数近くが国外生まれであり、そのうち10人がフランスで生まれている。また、セネガル代表選手の4分の3近くが、フランスでプロとしてのプレー経験を持っている。
代表ティームは時に、その国が抱く理想的な自己像の反映と見なされることがある。しかし、2026年ワールドカップの代表メンバー構成は、あるがままの国家の姿を映し出しているようだ。そこには、その国にとどまった人々、国を離れた人々、そしてその双方の子供たちが含まれており、彼らがひと夏の間、サッカー界最大の舞台に集結している。
—インフォグラフィック制作:ロリ・ケリー(エグゼクティヴ・クリエイティヴ・ディレクター)
訂正(2026年6月24日):本記事の以前の版に掲載された図において、ボスニア・ヘルツェゴビナおよびヨルダンの代表選手に関する色分けに誤りがあった。現在は修正済みだ。
訂正(2026年6月25日):ボスニア・ヘルツェゴビナ代表メンバーの直前の変更を反映し、同国の国外生まれ選手数にヨヴォ・ルキッチを追加する形で図を更新した。
更新(2026年6月29日):エボラ出血熱に関連する渡航制限についての情報を追加し、本記事のインフォグラフィックを更新した。
※ジル・ゲラ:ニカネン・センター移民・安全保障政策担当上級アナリスト。Xアカウント:@gildeguerra
※ダイアナ・ロイ:米外交評議会ラテンアメリカ・移民担当上級ライター兼編集者。Xアカウント:@Diana_royy
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(終わり)

シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』




















