古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:モジタバ・ハメネイ

 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を罵倒したという報道についてはすでにご紹介した。「狂っている」「何をやっているんだ」「ますます嫌われるぞ」ということを使ってはいけない言葉「fuck」を交えて浴びせたということだ。もっとひどい内容もあったのではないかと推察される。トランプの一連の発言は、「お前にはすっかり騙された」「イランが、イスラエルがレバノン攻撃を停止しないと和平交渉をしないと言ってきている、俺たちの邪魔をするな」という気持ちがよく出ている。

 トランプがここまで感情を爆発させたのは、今回のイラン攻撃、イラン戦争が完全に失敗、大失敗、大失策だということを認めており、和平交渉もうまくいっていない、イスラエルのせいでさらに状況が悪くなるということを認識しているからだ。さらに「ますます嫌われるぞ」というのは国際ツ的な孤立を危惧しており、アメリカがイスラエルと一緒に孤立することは望ましくないということも考えの中にあったということだろう。

 トランプが融通向けであること、自分の過去の発言や行動には全く縛られずに、くるくると態度を変えるということは世界中の人々が目撃し、そのような人物だと認識している。従って、「私は間違った判断をした」という言葉もさらっと言ってしまえるだろう。しかし、そのためには、「自分を間違いに導いた主要な責任者を差し出す」ということが必要になる。スケープゴートについて言及し、「こいつのせいなんだ、こいつが悪いんだ、こいつに責任があるんだ」ということが言えなくてはならない。犠牲の羊の候補者は、アメリカ側では、ピート・へぐセス米国防長官、外国では、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相だ。へぐセス長官は、イスラエルのネタニヤフ首相がイラン攻撃を売り込んだ際に、トランプ政権の閣僚たちが不安を感じ、反対する中で、前のめりで賛成した。イラン攻撃後に、トランプが「ピート、君がやれと言ったよな」と記者会見で発言したこともある。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はなんと言っても、ホワイトハウスまで出向いて、トランプ大統領と閣僚たちを前にして、1時間にわたり、イラン攻撃のメリットをプレゼンしたという事実がある。イスラエルだけではイランへ大規模攻撃をすることができない。アメリカを巻き込めるかどうかがカギだったが、それに成功した。しかし、イラン攻撃、イラン戦争自体は失敗だった。トランプとしては、ネタニヤフ首相に責任をかぶせることが良い選択肢となる。

 トランプ大統領としてはイスラエルを切り捨て、イランと和平を結び、中東地域から出ていきたい。イスラエルは既に中東地域のイスラム教国のいくつか(代表格はUAE)を取り込んでいる。ここにアメリカとイスラエルの分裂線がある。イスラエルはアメリカに見捨てられたらどうしようもない。アメリカにしがみつこうとするだろう。それならば、アメリカが支援し続けるためには、落とし前をつけてもらおう。それはネタニヤフ首相を退陣させろ(汚職で逮捕するかどうかはイスラエル国内で話し合って判断しろ)ということになるだろう。イスラエル国内で反米感情が沸き上がることも考えられる。しかし、根本に立ち返るならば、極右勢力を政治の主流に据えないということになり、イスラエル国内政治が浄化されねばならないということになる。これは日本も同じような状況である。

(貼り付けはじめ)

トランプは自分が大失敗したと認めるべきだ(Trump Should Just Admit He Screwed Up

-イラン戦争は明白に間違いだった。なぜそう言わないのか?

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年5月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/28/trump-iran-war-mistake-admit/

アメリカとイランの間で噂されている和平合意の詳細、あるいはそもそも合意が成立するかどうかも不明だが、3桁のIQを持つ者なら誰でも、イスラエルとアメリカが戦争を始めた時点でとてつもない大失敗(a colossal blunder)をしたことを理解している。アメリカとイスラエル両国が掲げた目標は1つも達成されていない。イラン政権は崩壊せず、核兵器を放棄せず、ミサイルとドローンの能力はそのまま維持されている。イランは、近隣諸国に甚大な被害を与えたいと思えばいつでもホルムズ海峡を封鎖できることを実証した。ドナルド・トランプ米大統領とピート・ヘグセス米国防長官が過去3カ月間繰り広げてきた自慢話や威勢のいい発言は、くだらない大言壮語(hot air)に過ぎなかったことが暴露された。

和平合意が成立すれば、トランプ政権はこの豚に大量の口紅を塗りつけ、一種の戦略的勝利(strategic victory)だと主張するだろう。しかし、納得する人はほとんどいないだろうし、こうした努力はトランプ大統領とその取り巻きの追従者たちを滑稽に見せるだけだ。この大失敗を成功と偽る説得力のある方法はどこにもない。彼らがそうしようとすればするほど、妄想に取り憑かれているように見えるだろう。

そこで私は考えた。もしトランプ大統領が自分の大失敗を認めたらどうなるだろうか? 大失敗を認めることは彼の得意分野ではないが、その点では彼だけではない。政治家は、たとえ誰の目にも明らかな大失敗であっても、大失敗を認めることはほとんどない。ましてや重要なこととなるとなおさらだ。例えば、ボリス・ジョンソン元英首相はブレグジットを擁護し続け、マイク・ポンペオ元米国務長官は、イラク侵攻(2003年)と第一次トランプ政権のイラン核合意破棄(2015年)は賢明な判断だったと今も主張している。

こうした明らかな大失敗を認めようとしない姿勢は、少々不可解だ。誰もが知っているように、完璧な人間など存在しないし、外交政策は不確実なものであり、どんなに綿密に練られた計画でも失敗する可能性がある。トランプよりも賢明で衝動性が低い指導者であっても(もっとも、トランプを基準にするのは低いのではあるが)、全てを完璧にこなせる指導者など存在しない。また、ほとんどの人は、失敗したときは、大失敗を認め、経験から学び、同じ大失敗を繰り返さないようにすることが最善策だと学ぶ。当然のことながら、高額な代償を払い続ける指導者は、いずれその代償を支払うことになるだろう。しかし、概して職務を立派に遂行し、時折の過ちを認める勇気を持つ当局者は、国民が彼らの最善の努力を認め、その誠実さを評価すれば、より人気が高まるかもしれない。

しかし、この道を選ぼうとする指導者はほとんどいないようだ。独裁者は特に間違いを認めることを嫌がる。なぜなら、彼らの権力は通常、個人崇拝(cults of personality)と、自分たちが絶対無謬であるという幻想(the illusion that they are infallible)を維持することに依存しているからだ。しかし、民主政治体制の指導者でさえ、たとえ些細な間違いでも認めれば、反対派がすぐに攻撃してくることを知っているため、在任中は間違いを認めることをためらう。例えば、ジョン・F・ケネディはピッグス湾事件の失敗について全責任を負い、バラク・オバマはトム・ダシュルを米保健福祉省長官に任命した初期の決定(ダシュルの脱税が発覚して裏目に出た)を認め、ロナルド・レーガンはイラン・コントラ事件が間違いだったことをほぼ認めた。しかし、このような瞬間は稀だ。2004年にジョージ・W・ブッシュ米大統領が最初の任期中に犯した間違いを思い出すように求められたとき、彼は1つも挙げることができなかった。政治家が失敗を認めるのを見たいなら、たいていは回顧録が出るまで待たなければならないが、それでも期待外れに終わるかもしれない。

しかし、トランプは政治家としてのキャリアを通して規範を壊し続け、そのテフロンのような耐性はレーガンさえも凌駕する。考えてみて欲しい。彼はかつて「五番街で人を撃っても支持者を失うことはない(he could shoot someone on Fifth Avenue and not lose any voters)」と豪語した人物だ。そして残念なことだが、この発言は彼の最も的確な言葉の1つであることが証明されている。近年のアメリカ大統領の中で、カメラの前で大失敗を認め、そして前に進むことができる人物がいるとすれば、それはトランプだろう。実際、彼は過去にそうしたことがあるが、過去の反省の態度が本心からのものだったかどうかは疑問だ。

そして、それはそれほど難しいことではないかもしれない。トランプはまず、イラン問題が長年にわたり厄介な問題であり、歴代大統領も解決できなかったことを人々に思い出させることから始めればよい。彼は、この問題をきっぱりと解決したかったと主張し、もう一度爆撃すれば効果があると考えた十分な理由があったと説明できるだろう。イランの政権が不人気で、年初にデモの波を鎮圧せざるを得なかったことを指摘することもできる。この計算は大きく間違っていたことが判明したが、トランプ流の典型的なやり方で、何事も100%確実ではないと人々に思い出させ、自分の仕事は難しい決断を下すことだと述べ、様々な方面から受けた悪い助言のせいで間違いを犯したと非難することができるだろう。ここで彼は、トランプの好戦的な態度がトランプに何の利益ももたらさず、アメリカとイスラエルの両方でますます不人気になっているイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を非難することができるだろう。ネタニヤフがどれほど評判を落としているかを考えると、彼をスケープゴートにすることは、この時点でトランプの人気を高めることさえあるかもしれない。

トランプは、自身の意図は称賛に値するものであり、今回の策略は価値のある賭けだったと主張した後、この一件から多くを学んだと述べ、前任者たちと対比させるだろう。彼の声が聞こえてくるようだ。「眠そうなジョー・バイデンとは違い、彼は何事にも考えを変えず、同じ失敗を繰り返すばかりだった。私は常に学び続け、適応力のある、非常に安定した天才だ」。そして、ホワイトハウスの物議を醸している舞踏室プロジェクトなど、別の話題に移るだろう。

トランプが、数々の失策を重ねてきた2期目における最も深刻な失態に対して、このようなアプローチを取ると期待できるだろうか? 正直に言って、そうは思わない。トランプは、過去に時折、大失敗を認めてきた(たいていは、無能な任命者を解任せざるを得なくなった時だが)。しかし、重大な失敗を認めることは、彼の権力のオーラを損ない、より多くの人々が公然と彼に反抗するようになり、偉大な大統領として記憶されるという彼の夢(his dream of being remembered as a great president)を打ち砕くことになると、彼は考えているのだろう。たとえそれが今となってはどれほど可能性が低くなっているとしても諦めていないだろう。トランプの支持基盤であるMAGA支持者たちは今後も彼を支持し続けるだろうが、数カ月後には彼らだけがトランプの頼みの綱となるかもしれない。

紛争終結を遅らせることで、トランプは敗北寸前の状況から勝利の幻想を無理やり掴み取ろうとしているが、これはアメリカとその同盟諸国が被っている苦痛をさらに増幅させ、トランプ自身の評判にもさらなるダメージを与えている。彼が自らの失敗を認め、前に進む方が皆にとって良いだろう。しかし、高齢の親から車の鍵を取り上げた経験のある人なら誰でも知っているように、頑固な高齢者はしばしば自分の利益を理解できないものだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ウォルトは『新地政学(The New Geopolitics)』の著者。これは今日の世界を生き抜くために活用すべき最も重要な概念を解説した、全5回のニュースレター形式のマスタークラスだ。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 イラン戦争は4月上旬に一時的に停戦が合意され、その後、停戦が延長されている状況だ。アメリカやイランによる小規模な攻撃は実施されているが、大規模な攻撃の再開には至っていない。アメリカとイランによる和平交渉は継続されており、アメリカ側が少しずつ条件を緩めている、譲っているという状況である。イラン側はホルムズ海峡を握っており、これが世界経済に深刻な影響を与えており、アメリカ側にとっても厳しい状況になっている。数週間で戦争は終わり、イランの政権転覆、もしくは体制転換までつながるという甘い目論見で戦争を始めたドナルド・トランプ大統領にとっての致命的な失策となり、また、アメリカにとっても国力や存在感、影響力を毀損するほどの重大な出来事ということになるだろう。

 アメリカ軍は世界第一の規模と戦闘力を持っており、予算額でいえば、世界第2位から第10位までの9カ国の予算の合計総額を一国で上回る規模を誇っている。アメリカ軍は最強であるということは世界の「常識」であった。それが崩れつつある。アメリカは弱い相手、確実に圧勝できる相手を選んで戦争を仕掛けて軽く勝ってきたが、少し骨のある相手となると途端に弱くなるということが今回のイラン戦争で明らかになった。また、ウクライナ戦争への支援もあり、アメリカは装備面で不安を持っていることも明らかにされた。あれだけの防衛予算がありながら、武器や装備に不安があるということも驚きであった。イラン戦争ではイスラエルやペルシア湾岸諸国のアメリカ軍基地に攻撃が加えられ、被害が出た。「アメリカ軍があっても屁のツッパリにもならんではないか」ということにもなっている。

 ドナルド・トランプ大統領はアメリカが世界から撤収する、西半球(南北アメリカ大陸)に戻る、21世紀型のモンロー主義であるドンロー主義を打ち出していた。2026年1月のヴェネズエラ攻撃やキューバに対する非人道的な封鎖は批判されるべきだが、ドンロー主義としては筋が通っている。しかし、イラン攻撃に関してはトランプの主張と矛盾している。イラン戦争と中東地域の不安定は、イスラエルの利益となる。トランプは「アメリカ・ファースト」ではなく、「イスラエル・ファースト」の選択をし、失敗してしまった。トランプを失敗させる方向に誘導したイスラエルの洗脳力は大したものだと言わねばならない。

 しかし、イラン戦争はトランプとアメリカにとって墓穴ということになる。国力を毀損し、世界を混乱に陥れ、信頼を失い、世界帝国、世界覇権国の地位からの陥落を内外に印象付けた。イラン戦争の影響は数年の間続くだろう。その間にアメリカはますます衰退していくだろう。日本政府、高市早苗政権はイラン戦争がすぐに終わると見込んで、無策で大事な3月、4月、5月を過ごした。その付けをこれから支払うことになるだろう。アメリカ追従一辺倒が、これからの時代に以下に危険かということを私たちは痛みの中で学んでいくことになるだろう。

(貼り付けはじめ)

イラン問題はトランプにとっての最大の失敗となる可能性がある(Iran Could Be Trump’s Greatest Failure

-多くのことが恐ろしいほど間違った方向に進んでいる―そして、事態はまだ終わっていない。

ラヴィ・アグラワル筆

2026年5月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/18/iran-war-trump-foreign-policy-failure-energy-crisis-military/

先週北京で行われた華やかな式典の中、ドナルド・トランプ米大統領は、習近平中国国家主席にワシントンとテヘラン間の和平合意の仲介を依頼できると期待していた。しかし、それは実現しなかった。中国も、ロシアを除くほとんどの国と同様に、戦争の終結を望んでいるだろう。しかし、イランの新指導者たちは、相手が明らかに逃げ腰になっているチキンゲーム(a game of chicken in which their opponent has long made it clear that he wants to chicken out)を楽しんでいるように見える。

テヘランは、私たちと同じようにニューズの見出しを読んでいる。そして、トランプ大統領にとってこの戦争が破滅的(disastrous)になるという証拠は増え続けている。現時点で、戦争がどのように終結しようとも、トランプ大統領、アメリカ、そして世界経済全体にとっての苦痛は、しばらくの間続くことになるだろう。それは一体何のためであろうか?

それでは、イラン攻撃によって何が得られたのかを見てみよう。最高指導者アリ・ハメネイ師を含む主要指導者が殺害された。イランの空軍と海軍は壊滅的な打撃を受け、ミサイル発射能力も低下した。しかし、得られたのはここまでだ。イランの政権は依然として存続しており、より若く、より復讐心に燃える新たな指導者が誕生した。『ニューヨーク・タイムズ』紙がアメリカの情報機関の評価に基づいて発表した衝撃的な報道によると、イランは戦前のミサイル備蓄量の70%、移動式発射機の70%を依然として保有しており、ホルムズ海峡沿いのミサイル基地の90%以上を運用可能な状態で利用していることが明らかになった。この最後の点は、イランが将来いつでも世界で最も重要なエネルギーの要衝であるホルムズ海峡を通る航行を妨害し続けることができることを意味する。テヘランはミサイルでイスラエルやアメリカのペルシア湾岸の同盟諸国を攻撃することも依然として可能である。そして最も驚くべきことに、イランは依然として高濃縮ウランを保有している。もし戦争の目的の1つが、テヘランが核爆弾を開発できないようにすることであったとすれば、その目的は達成されていない。

一方、米国防総省は損失の算定に追われている。『ワシントン・ポスト』紙の調査によると、イランは中東地域のアメリカ軍基地15カ所で217棟の建造物を損傷させた。CNNは、バーレーン、クウェート、イラク、アラブ首長国連邦、カタールにある少なくとも9カ所のアメリカ軍基地がイランの攻撃により「甚大な被害(significantly damaged)」を受けたと報じた。これらの施設の再建には数年と数十億ドルの費用がかかる。戦略国際問題研究所(CSIS)によると、アメリカは現在進行中の戦争の激戦期に、パトリオット防衛ミサイルの半分から60%(ウクライナがロシアとの4年間の戦争で使用した数よりも多い)とトマホークミサイルの3分の1をイランとの交戦に使用した。費用はさておき、これらのミサイルは製造と補充に最大4年かかる。もしアメリカが別の戦場、例えば台湾防衛に投入された場合、戦力は大幅に低下した状態で戦闘に臨むことになるだろう。そして、人命の損失も忘れてはならない。これまでの戦闘で少なくとも13名のアメリカ軍兵士が死亡し、400名以上が負傷した。遺族はただただ、なぜこのような事態になったのかと問い続けるしかないだろう。

ここでソフトパワーの代償について語るのは少々無粋に思えるかもしれないが、国内的あるいは国際的な合意なしに戦争を遂行すれば、ホワイトハウスは他国が戦争を始めたことを非難する際に、規範や規則を持ち出す余地が少なくなるという点を考慮する価値はある。アメリカは他国の指導者の処刑を命じることを常態化させてしまった。

そして、エネルギー危機もある。アメリカのガソリン価格は昨年同時期と比べてほぼ50%上昇している。商用車が使用するディーゼル燃料は59%も上昇した。明白な理由は戦争だ。ホルムズ海峡の封鎖によって、それまで供給過剰だった市場が圧迫された。以前にも書いたように、ヨーロッパやアジアではその影響はさらに深刻だ。パキスタンやフィリピンなどの国々は、エネルギー節約のため、公務員の勤務時間を短縮し、大学を閉鎖している。世界第5位の経済大国であるインドでさえ、先週、14億人の国民に対し、燃料消費量を削減し、金(きん)の買い占めをやめるよう要請した。これだけでも十分悪い状況だが、最悪の事態はまだこれからだ。アメリカが石油輸出を拡大し、戦略石油備蓄を取り崩していなければ、エネルギー価格は今頃もっと高騰していたはずだ。国内需要が減少している中国も、膨大な石油備蓄を使い果たしている。ワシントンが輸出を削減したり、北京が備蓄ではなく市場に供給し始めたりすれば、価格は急騰する可能性がある。いつものように、最も大きな打撃を受けるのは小規模経済国だろう。

他の商品も深刻な不足に見舞われており、世界全体に様々な波及効果が及ぶことが予想される。ホルムズ海峡は、平時であれば世界の原油と天然ガスの5分の1を輸送するだけでなく、世界の肥料供給量の5分の1、ヘリウム供給量の3分の1も担っている。世界的な食糧危機と、ヘリウムを必要とする半導体の不足は、すでにエコノミストたちの来年の予測に織り込まれている。危機が長引けば長引くほどコストは増大する。

世界経済の成長はすでに鈍化している。4月、国際通貨基金(IMF)は成長率予測を3.4%から3.1%に下方修正した。本日発表される新たな予測では、さらに0.3ポイントの下方修正が必要となるだろう。IMFは、エネルギー供給が正常に戻らなければ、来年の成長率は2%まで低下すると予測しており、このシナリオはますます現実味を帯びてきている。この事態を客観的に捉えるために、1980年以降、世界の経済成長率が2%を下回ったのはわずか4回しかないことを指摘したい。また、1950年以降、世界経済が景気後退に陥ったのは、2008年の世界金融危機と2020年の新型コロナウイルス感染症パンデミックの2回だけだ。もしイラン戦争がこれら2つの予期せぬ衝撃に並ぶ事態になれば、トランプとアメリカにとって、歴史的なオウンゴールとなるだろう。

アメリカの同盟諸国へのコストも考慮に入れるべきだろう。トランプ大統領は、ホルムズ海峡の強制的な再開と機雷除去のために、ヨーロッパのNATO同盟国に協力を求めた。しかし、支援が得られないことに気づくと、支援を要請したことを否定した。率直さで知られていないドイツのフリードリヒ・メルツ首相は、アメリカはイランによって「屈辱を与えられた(humiliated)」と述べ、トランプ大統領を激怒させ、すでに緊張状態にあった両国関係をさらに悪化させた。ペルシア湾岸諸国では、アメリカに自国領土に軍事基地を建設するよう要請した国々が、なぜ自ら進んで標的になったのかと疑問を抱いている。例えば、カタールは戦前の天然ガス生産量に戻るには数年かかる見込みで、今年の経済成長率は8.6%のマイナスになると予測されている。ショックに耐える力が限られているアジアの同盟諸国は、アメリカが国際舞台でならず者国家なのではないかと疑問を抱いている。しかし、アメリカの敵対諸国は、この戦争を別の視点で見ている。中国は、アメリカ軍が過負荷状態に陥り弱体化したことを喜んでいるだろう。そして、ロシアはこの紛争の明白な勝者となり、開戦以来、月間石油収入を倍増させている。

トランプ大統領は、戦争をさらに強化するという選択肢を公然と検討している。しかし、それは以前にも増して不確実な利益と、はるかに大きな潜在的な苦痛を伴うだろう。この状況から抜け出す方法としては、外交が望ましいが、そもそもなぜ戦争を始めたのかという疑問が残る。これは、先週のトランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談に立ち返る。もしあなたが北京の指導者だったら、最大の長期的競争相手が致命的な過ち(a catastrophic mistake)を犯している最中に、その邪魔をしたいと思うだろうか? 私はそのように考えない。

※ラヴィ・アグラワル:『フォーリン・ポリシー』誌編集長Xアカウント:@RaviReports

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ドナルド・トランプのイラン戦争はオウンゴール(Trump’s Iran Own Goal

-イラン戦争は強硬派を勢いづかせ、重要な海上輸送路を封鎖し、ロシアの勢力を拡大させた。

ファリード・ザカリア筆

2026年4月3日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/04/03/trump-iran-war-israel-united-states-military-nuclear-weapons-missiles-winners-losers/

アメリカ・イスラエルとイランの戦争が始まって2カ月が経過した現在、現状を改めて確認しておく価値がある。2月末に戦争が始まる前のイランとその周辺地域の状況は以下の通りだ。

昨年6月、イランの核濃縮施設は、ドナルド・トランプ大統領の言葉を借りれば、アメリカとイスラエルの空軍によるステルス爆撃機と3万ポンド(約13.6トン)のバンカーバスター爆弾を用いた12日間の爆撃作戦によって「完璧に完全に破壊された(completely and totally obliterated)」。イスラエル国防軍司令官もトランプ大統領の意見に同意し、「私たちはイランの核開発計画を何年も遅らせた。ミサイル計画についても同様だ」と述べた。イスラエル原子力委員会もこの結論を改めて表明し、イランが核物質を入手しない限り、「この成果は無期限に続く」と付け加えた。そして、イランが核物質を入手することは積極的に阻止されていると強調した。

2024年にイスラエルが行った複数の空爆作戦により、イランの軍事力は大幅に弱体化していた。これらの作戦では、イスラム革命防衛隊の主要幹部が殺害され、防空システムが破壊され、弾道ミサイル施設が攻撃された。イスラエルはまた、イランの最も強力な同盟民兵組織であるヒズボラを激しく爆撃し、その指導部を複数殺害した。多くの分析によれば、ヒズボラの軍事力は壊滅的な打撃を受けた。イスラエルは既にガザ地区のハマスを壊滅させていた。さらに、シリア政府を支援していたイラン系民兵組織に対するイスラエルの作戦は、2024年12月のシリア政権崩壊の一因となった。

言い換えると、イランは軍事的に非常に劣勢な状況にあった。加えて、経済も制裁強化と腐敗した政権によって崩壊寸前だった。イランが近隣諸国、ましてや約6000マイル離れたアメリカにとって脅威であると主張する者はほとんどいなかった。トランプ大統領は水曜日、事実上これを認め、「アメリカは必ずしもそこにいる必要はないが、同盟諸国を支援するためにそこにいる」と述べた。注目すべきは、ヨーロッパやアジアの同盟諸国は事前に相談を受けておらず、多くの国が戦争に反対の声を上げている点である。

実際、報道によると、ベンヤミン・ネタニヤフ首相がトランプ大統領にこの戦争を説得したのは、イランが差し迫った脅威だったからではなく、イランのかつてない弱体化が政権交代を迫る好機となったからだという。そうでなければ、トランプ大統領が開戦直後の短い声明を、イラン国民に立ち上がって政権を打倒するよう呼びかける言葉で締めくくった理由は何だろうか? ネタニヤフ首相も自身のメッセージで同様の呼びかけを行った。

これまでのところ、イランに壊滅的な打撃を与え、既に脆弱な軍事力を弱体化させたこと(このような一方的な戦いでは予想できたことだが)を除けば、望まれた成果はほとんど得られていない。イランの政権は崩壊していない。主要な指導者は交代したが、その内容は悪化している。核兵器開発を禁じたことで知られる86歳のアリ・ハメネイ師は殺害され、息子が後を継いだ。息子は父親よりも強硬派と言われている。概して、常に好戦的だった革命防衛隊は勢力を拡大しているように見えるが、これは戦時下においては当然のことと言えるだろう。

47年間にわたるアメリカ・イラン間の緊張関係の中で、数々の脅威にもかかわらず自由航行を維持してきたホルムズ海峡は、トランプ大統領が「はるかに理性的(much more reasonable)」と評する新指導部によって封鎖されている。トランプ大統領は、あと数回の爆撃の後、イランが自国の石油を輸出したがるため、海峡は「自然に(naturally)」開通するだろうと述べている。これは状況を誤解している。海峡は閉鎖されていない。イラン産原油は自由に、特に中国に向けて流れている。戦争の結果、イランは紛争前と比べて、日々の原油販売で約2倍の収入を得ている。さらに、タンカー1隻あたり200万ドルという通行料を徴収し続ければ、テヘランは毎月数億ドルもの追加収入を得ることになる。これは軍事力の再建に十分な額であり、それ以上の利益をもたらすだろう。

アメリカの湾岸同盟諸国は、戦争前よりもはるかに不安定で緊張した環境に直面している。彼らのビジネスモデルは、平和、安定、そして経済統合を必要としている。サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子は、近代化という野心的な計画を推進するために地政学的な緊張を緩和しようと、2023年にイランとの関係を修復した。しかし現在、石油輸出が停滞し、地域が安定のオアシスへと向かう道筋から紛争のるつぼへと転落したことで、こうした進展はすべて危機に瀕している。

勝者がロシアであるのは明白だ。原油価格の高騰とアメリカによる制裁解除により、ロシアは毎月数十億ドルもの追加収入を得ることになる。ウクライナは必要な武器が中東地域に転用されるため、損失を被る。ヨーロッパはエネルギーコストの高騰に苦しむ一方、トランプ大統領はNATOにアメリカが起こした戦争への参加を要求し、従わなければ脱退すると脅迫している。(NATOは防衛同盟であり、朝鮮戦争、ヴェトナム戦争、イラク戦争には参加していないことに留意すべきである。)アメリカが中東地域の新たな紛争に巻き込まれ、アジアへの関心を失うことで、中国は利益を得る。一方、北京はグリーンテクノロジーへの巨額投資によって、この戦争の多くのコストから守られており、世界からはより責任感があり、混乱を招かない超大国(a more responsible, less disruptive superpower)として認識されている。

もちろん、状況は変わる可能性がある。戦争は予測不可能(unpredictable)だ。しかし、これまでのところ、これほど多くのコストを費やして、これほど少ない利益しか得られなかったアメリカの軍事行動はかつてあっただろうか?

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、最近では『革命の時代(Age of Revolutions)』を著した。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria
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 古村治彦です。

 アメリカのドナルド・トランプ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対して怒りを爆発させ、罵倒したという報道が出た。イスラエルがレバノンへの攻撃を激化させていることに対して、イラン側がそのようなことが続けば停戦交渉は続けられないとアメリカが側に伝えたことがきっかけで、トランプの怒りが爆発したということのようだ。ネタニヤフ首相に電話をかけて、「狂っている」「何をやってやがるんだ」ということをおよそ外国の指導者に対しては使わない、使ってはいけない「fuck」という言葉を交えて、激しく罵ったということだ。ネタニヤフ首相は「OKOK、全てをうまくやるから」と宥めたが、レバノンの首都ベイルートへの攻撃は中止せざるを得なかったようだ。
donaldtrumpbenjaminnetanyahulashout2026001
トランプ(左)とネタニヤフ

 このブログでも、そして、『ザ・フナイ』2026年7月号の拙稿でも紹介したように、2026年2月28日からの、アメリカとイスラエルによるイランへの大規模攻撃は、ネタニヤフ首相がトランプ大統領に売り込んで実現したものだ。トランプは、ネタニヤフの巧言に乗せられて、重大な決断をしてしまった。政権の最高幹部たちはこぞって反対意見を述べ、止めようとしたが、トランプは突き進んだ。JD・ヴァンス副大統領は明確に反対意見を述べたが、その内容が現在そのまま起きている(ホルムズ海峡の封鎖や世界経済への影響、トランプ大統領の支持率低下など)。

 イラン戦争が思い通りの結果にならず、石油価格の上昇を招き、それがアメリカの一般国民の生活にも影響を与えている。トランプ大統領の支持率は40%を切り、不支持率は50%代後半まで上昇している。現状では2026年11月に実施される中間選挙で共和党は敗北を喫し、トランプは力を失うということになる。イランとの停戦合意は現状を打破し、状況を改善するための最善の方策である。再攻撃をちらつかせているが、再攻撃をすれば、停戦交渉はさらに困難になる。再攻撃をするならばイランを政権転覆・体制転換まで追い込むまでやる必要があるが、そんな力はアメリカ軍にはない。

従って、何としても停戦交渉をまとめたい。しかし、イスラエルが邪魔をしてくる。それを分かってイランが圧力をかけてくる。こうした思い通りにいかない状況でトランプが爆発してしまったということになる。政治の世界では「騙される方が悪い」ということになる。ネタニヤフの口車に乗ってイラン戦争を始めてしまったトランプが悪い。しかし、トランプとしては、「ネタニヤフの野郎が俺を騙して、嵌めて、こんな状況にしてしまった」「イランの言うことを聞かなくちゃならない屈辱、これは全てネタニヤフが悪い」ということになる。

 重要な点として、トランプは「イスラエルが国際的に孤立しつつある」ということをきちんと理解している点が挙げられる。イスラエルはガザ地区への過剰な報復攻撃から、イラン攻撃、レバノンへの過剰な攻撃を実施している。それも全て「自衛」を理由にし、批判を「反ユダヤ主義」というラベリング、レッテル貼りで封殺する。しかし、実態は狂信的極右による攻撃に過ぎない。これはイスラエルの安全を高めることにはならない。イスラエルは国際的孤立など望むところだというくらいになっている。トランプがネタニヤフに「狂っている(crazy)」という言葉を使ったが、この言葉は現在のイスラエルを形容する言葉ということになる。

(貼り付けはじめ)

「俺がいなければお前は刑務所に」 トランプ氏がネタニヤフ氏罵倒か

毎日新聞 2026/6/2 10:20(最終更新 6/2 10:49

https://mainichi.jp/articles/20260602/k00/00m/030/028000c

 トランプ米大統領は1日、イスラエルのネタニヤフ首相と、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの代表者それぞれと電話協議し、双方に交戦停止を求めたと明らかにした。これに先立ち、イランがレバノンでの戦闘激化を理由に米国との停戦交渉を中断すると表明しており、米政権がイラン側に配慮したとみられる。トランプ氏は自身のソーシャルメディアに「イランとの協議は速いペースで続いている」と投稿した。

 イスラエルと親イランのヒズボラの戦闘を巡っては、4月中旬に発効した停戦合意が形骸化しており、米イランの停戦協議のネックとなっている。イスラエルは最近、レバノンへの攻勢を強めており、ネタニヤフ氏がベイルート南郊への攻撃計画を発表していた。

 米ニュースサイト「アクシオス」によると、トランプ氏は電話協議でネタニヤフ氏を「今や誰もがお前を嫌っている」「完全に狂っている」「俺がいなければお前は刑務所に入っていた」などと罵倒し、強い不満をあらわにしたという。トランプ氏とネタニヤフ氏はこれまでも度々電話協議をしているが、アクシオスは米政府高官の話として、今回はトランプ氏の2期目就任以降では最悪レベルのものだったと報じた。

 一方、ネタニヤフ氏はトランプ氏との協議後、X(ツイッター)に「イスラエル軍はレバノン南部での作戦を計画通り実施する」と投稿しており、レバノンでの緊張緩和につながるかは不透明だ。

 トランプ氏は1日、米ABCニュースの電話取材に応じ、停戦のためのイランとの「覚書」について、今後1週間程度でまとまるとの見通しを述べた。まだ交渉中の点があり、合意には至っていないとも説明した。【ワシントン平野光芳、エルサレム松岡大地】

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「あんたは全く持って狂っている」:トランプ大統領がネタニヤフ首相に電話会談を行いレバノンに関して激怒("You're fucking crazy": Trump fumes at Netanyahu in call on Lebanon

バラク・ラヴィド、マーク・キャプト筆

2026年6月1日

『アクシオス』誌

https://www.axios.com/2026/06/01/trump-netanyahu-israel-lebanon-call

ドナルド・トランプ大統領は月曜日、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話会ダインを行い、レバノンにおけるイスラエルの軍事行動のエスカレーションについて、罵詈雑言を浴びせた。アメリカ政府当局者2人と、会談内容を知る別の情報筋が『アクシオス』誌に明らかにした。

●なぜこれが重要なのか:月曜日、イランはイスラエルのレバノンにおける行動を理由に、アメリカとの交渉を打ち切ると脅迫した。情報筋2人によると、トランプ大統領は電話会談でネタニヤフ首相を「狂っている(crazy)」と呼び、恩知らず(ingratitude)だと非難した。また、イスラエルによるベイルート攻撃計画を止めた(put the brake)。

●舞台裏:あるアメリカ政府当局者によると、トランプ大統領はネタニヤフ首相に対し、レバノンの首都ベイルートへの爆撃を実行すれば、イスラエルは国際社会でさらに孤立するだろうと伝えた。

・情報筋2人によると、トランプ大統領はネタニヤフ首相が投獄されないように尽力したと主張したと述べた。これは、ネタニヤフ首相の汚職裁判におけるトランプ大統領の支援を指している。

・トランプ大統領のネタニヤフ首相への発言を要約して、ある当局者は「あんたは全く持って狂っている。俺の助けがなかったらあんたは刑務所に入っていただろう(You'd be in prison if it weren't for me)。俺があんたを救ってやったんだぞ。今や誰もがあんたを憎んでいる。この(レバノン攻撃)せいで誰もがイスラエルを憎んでいる」と述べた。

・電話会談の内容を知る別の情報筋によると、トランプ大統領は「激怒(pissed)」しており、ある時点でネタニヤフ首相に「一体全体、あんた何をやっていやがるんだ?」と怒鳴ったという。

●ニューズの中心:アメリカ政府当局者によると、トランプ大統領はヒズボラがイスラエルに向けて発砲していること、そしてイスラエルが自衛する必要があることを認識していたものの、ここ数日、ネタニヤフ首相の対応が不均衡にエスカレートしていると感じていたということだ。

・ベイルートへの脅威に加え、イスラエルはレバノン南部での地上作戦を拡大している。

・別のアメリカ政府当局者によると、トランプ大統領はイスラエルがレバノンで多数の民間人を殺害したことを懸念しており、ヒズボラの司令官1人を排除するためにイスラエルが建物を破壊したことに反対していたという。

●現状:あるイスラエル政府当局者は、ベイルートのヒズボラ標的への攻撃計画はもはやないとアクシオスに語った。

●文脈読解:トランプ大統領とネタニヤフ首相は過去に何度か緊迫した電話会談を行ってきたが、イラン問題や他の問題については緊密に連携してきた。あるアメリカ政府当局者は、今回の会談はトランプ大統領が政権復帰後、ネタニヤフ首相と行った電話会談の中で最も険悪なものの1つだったと述べた。

・トランプ大統領の怒りは、ネタニヤフ首相がレバノン情勢をエスカレートさせたことで、イランとの交渉が破綻する恐れがあったことに起因していると見られる。

・電話会談後、トランプ大統領はSNS「トゥルース・ソーシャル」に、イランとの協議は「速いペースで進展している最中だ(continuing, at a rapid pace)」と投稿した。

●もう1つの側:ネタニヤフ首相は電話会談後、声明を発表し、ヒズボラがイスラエルへの攻撃を停止しなければイスラエルはベイルートの標的を攻撃するとトランプ大統領に伝え、その間もイスラエルはレバノン南部での作戦を継続すると述べた。

・「私たちの立場は変わらない」とネタニヤフ首相は声明の中で書いている。

・別のアメリカ政府当局者は、実際にはトランプ大統領が電話会談でネタニヤフ首相を「圧倒した(steamrolled)」と主張した。「ネタニヤフ首相は電話で、『OKOK、とにかく全てきちんと処理する』と述べた」とこの当局者は語った。

・ネタニヤフ首相官邸はコメントの要請に応じなかった。

●注目点:アメリカとイランが交渉中の覚書には、レバノンでの戦闘終結を求める内容が含まれていると情報筋はアクシオスに語った。これは、以前トランプ大統領とネタニヤフ首相の間で行われた緊迫した電話会談の原因となったものだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 イラン戦争は、停戦合意が大詰め段階だとドナルド・トランプ大統領が発表しながら、同時に「合意を急がないように」と述べたと発表し、トランプらしさ全開で状況が進んでいる。アメリカとしては、イランの政権転覆(体制転換)が望めない中で、核兵器開発につながるウラン濃縮の廃棄を求めている。イランとしては、戦争の被害の賠償と体制の保証、ホルムズ海峡の管理権を求める。イスラエルとしては、中東地域の混乱が続けば良いということなので、和平は静観しているようだ。イスラエルは、既にUAEという「魚の小骨」をイランの喉(ペルシア湾)に刺すことに成功しているので、これ以上のことは望んでいないだろう。
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 下記論稿において、著者ファリード・ザカリアは、イスラム革命後のアメリカは、イランについてディレンマを抱えてきたと指摘している。それは「イランの体制を転換させるのか、イランの政策を転換させるのか」ということだ。

 イランの体制を転換するためには、アメリカはイランに対して軍事攻撃をするしかない。しかし、それは実態としては不可能であった。今でもそうだ。今回のイラン戦争は、規模で見れば大規模な戦争ではない(犠牲となった人たちには非常に申し訳ない表現になってしまって心苦しいが)。範囲も期間もそこまでではない。しかし、ペルシア湾、ホルムズ海峡というチョークポイントがそこに含まれることで、世界規模で影響を受け、大きくなってしまった。逆に、ホルムズ海峡がなければイランはここまで持ちこたえることはできなかっただろう。アメリカはイランほどの大国を攻撃して体制転換させるほどの力をすでに失っている。第二次世界大戦の時期とはもう違う。しかし、公式的には、イランとの国交はないし、外交関係はない。

 しかし、アメリカとイランは実際には交渉はしなければならないし、イランは国連にも加盟している。実質的には国家として認めている。しかし、外交関係はない。それでも、バラク・オバマ大統領時代には核開発に関して合意が結ばれた。建前とは違うのだ。今回、イラン側がアメリカ側に体制の保証を求めている。これをアメリカ側が認めてしまうと、アメリカは建前が崩れてしまう。国家として認めてしまうことになる。それはそれでアメリカにとっては良いことかもしれないが、今回のイラン戦争の失敗はこの点にある。「イランと交渉して、体制保障をしてしまわねばならない」ことで歴史は動くが、アメリカの建前は崩れる。これこそがアメリカの敗北である。このアメリカの敗北を世界に喧伝してしまうことになってしまう。アメリカ帝国の崩壊をここに明白に示すことになる。アメリカの終わりの始まりということになる。

(貼り付けはじめ)

ワシントンが解決を拒むイランに関するディレンマ(The Iran Dilemma Washington Refuses to Resolve

-アメリカの政策において2つの目標が半世紀近くにわたり対立し続けている。

ファリード・ザカリア筆

2026年5月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/08/iran-war-united-states-nuclear-weapons-regime-change-donald-trump-foreign-policy/

世界で最も強力な国家が、経済制裁と軍事攻撃によって荒廃した、はるかに小さく弱い国家に対して、なぜ思い通りにできないのだろうか? イラン戦争におけるアメリカの抱える問題を理解する最も簡単な方法は、ゲーム理論(game theory)を用いることだ。ドナルド・トランプ大統領はイランと「チキン」ゲーム(a game of “chicken”)を仕掛けた。まるで2台の車が互いに真っ直ぐに突進し合うようなものだ。このような状況では、一方の存亡に関わる利害が他方の利害がはるかに低い場合、利害の大きい方がたいてい勝つ。イラン政権にとって、負ければ政権が崩壊し、国民が虐殺される可能性が高い。一方、ドナルド・トランプ大統領にとっては、マール・ア・ラーゴでの週末が台無しになる程度だろう。イラン側がこのチキンゲームでハンドルを握りしめることを厭わない理由が容易に理解できる。

しかし、アメリカがイランへの対応にこれほど苦しんでいるのには、トランプ大統領と今回の拙速な戦争(ill-conceived war)だけではない、より広範な理由がある。イランでイスラム政権が樹立されて以来、アメリカはイランに対して相反する態度(two minds)を取り続けてきた。一方では、人質解放から核兵器制限に至るまで、アメリカが解決を望むいくつかの課題があった。他方では、単に交渉するだけでなく、政権を打倒したいと考えている。この2つの姿勢の間には、半世紀近くにわたってアメリカの外交政策を貫いてきた緊張関係が存在する。ワシントンはイランの特定の政策を変えたいのか、それともイランそのものを変えたいのか?(Does Washington want to change certain policies of Iran or does it want to change Iran?

ワシントンがテヘランと交渉すれば、ギヴ・アント・テイクがあり、必然的に双方の譲歩(concessions on both sides)があり、敵対関係はいくらか緩和される。何よりも、アメリカ政府はイランと関わることで、イスラム共和国に一定の正当性を与え、真剣な交渉相手として扱い、国際舞台でイランを代表する存在として認めることになる。しかし、この容認は一部のアメリカのエリート層にとっては受け入れがたいものだった。彼らは、イラン・イスラム共和国は非合法であり、存在すべきではなく、ワシントンがイランに対して取るべき唯一の政策は、イランを打倒することだと考えているからだ。それでも、ワシントンが望むものの中には、イランでしか実現できないものもある。だからこそ、ロナルド・レーガン大統領でさえ、公にはイランの聖職者たちを非難しながらも、密かに彼らと交渉していた。

トランプ大統領のイラン政策には、ほぼ毎日、矛盾した態度が見られる。あるソーシャルメディアの投稿では、イラン文明を破壊し、47年にわたる悪行に終止符を打つと脅迫する一方で、同じ日に別の投稿では、イランとの交渉が進展していると述べている。トランプ大統領は交渉に臨み、イランとの合意に楽観的な姿勢を見せたかと思えば、交渉の合間にテヘランとの戦争を始め、イラン国民に政府打倒を促す。そして1週間も経たないうちに、イランが要求に応じれば明るい未来が待っていると約束する。

アメリカはソ連に対しても同様に矛盾した態度をとっていた。1917年に共産党がロシアを掌握すると、ワシントンはソ連との国交を断絶し、小規模ながらソ連打倒を試みたことさえあった。フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領がソ連の存在を認め、モスクワと大使を交換するまでには、それから約16年もの歳月を要した。この緊張関係は第二次世界大戦後に再び表面化した。1970年代、ヘンリー・キッシンジャーのソ連との交渉政策は、悪の帝国(evil empire)の地位を強化するものとして右派から激しく非難された。キッシンジャーは常に、アメリカはソ連とはイデオロギー的に対立しているものの、核兵器管理(the control of nuclear weapons)など、モスクワとの合意なしには解決できない国益も抱えていると主張した。

イラン問題におけるキッシンジャーの立場に相当するのが、バラク・オバマ大統領である。オバマ政権は、イランに別の政権を望むかもしれないが、アメリカの国益に対する最大の脅威(ソ連の場合と同様、核兵器問題)に対処するためには、現政権と向き合わなければならないと判断した。イラン核合意は、イランの外交政策における最も危険な要素を無力化(neutralize)するための試みであり、実際にその目的は達成された。しかし、多くの右派にとって、その代償は、ある意味でイラン政権を正当化(legitimized)してしまったことだった。トランプ大統領はアメリカを核合意から離脱させたが、これはハサン・ロウハニ大統領の失脚とテヘランの強硬派の復権を招き、彼らはイランのウラン濃縮計画を加速させた。そしてトランプ大統領は再び同じディレンマに陥った。合意を結ぶべきか、それとも毅然とした態度を取るべきか?(Does he make a deal or take a stand?

現時点で、トランプ大統領が合意を望んでいることは明らかだ。しかし、合意に至れば、イラン・イスラム共和国が47年間求め続けてきたもの、つまりアメリカ国内の最も強硬な勢力からも無制限の承認(unqualified acceptance)を得ることになるかもしれない。テヘランにとって、それは多くの譲歩に値するほどの大きな報酬となるだろう。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、最新刊に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 アメリカとイスラエルによる攻撃から始まったイラン戦争は正式な最終和平が達成されずに3カ月が過ぎようとしている。4月7日にパキスタンの仲介により、2週間の一時停戦が合意され、4月22日からは停戦が継続しているが、お互いにホルム海峡を封鎖し合い、にらみ合っている状況だ。5月24日には、60日間の停戦合意間近という報道が出た。アメリカのドナルド・トランプ大統領は再攻撃を検討しているが、ペルシア湾岸諸国が攻撃をしないように依頼しているという報道も出ているが、アメリカはウクライナ戦争も抱え、思うように武力行使ができない状況にある。
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 イラン戦争に関しては、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相がアメリカのドナルド・トランプ大統領に戦争を「売り込んで」、トランプをやる気にさせて始まったことは、このブログですでにご紹介した。イスラエルにとっての最大の利益は「イランを弱体化させること」であり、中東地域を一種の混乱状態にすることで、自分たちに攻撃を向けないようにして、「目立たない」うちに、「パレスティナ処分」を行うということだ。それが現在はうまくいっている。アメリカを中東地域から撤退させないで、泥沼に足を取られるようにするということにも成功した。さらには、「保険」として、ペルシア湾を挟んでのイランの隣国UAEを味方に引き入れ、依存させ、イランと敵対させることで、「喉に刺さった魚の小骨」のようにすることにも成功した。イスラエルはペルシア湾に対イラン橋頭保(bridgehead)を確保したと言える。

※古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ:UAE(アラブ首長国連邦)のOPEC離脱は中東地域の不安定化を助長する↓ https://suinikki.blog.jp/archives/90508844.html

 しかし、アメリカと中東諸国にとっては良い迷惑である。平和と安定がなければ、ビジネスもうまくできない。石油が輸出できなければ、他に主要な産業がないは干上がってしまう。他の産業として、金融や観光を発展させようとしてきたが、これらの産業分野こそは平和と安定が必須条件となってくる。危険な場所に投資はしないし、人は観光に行こうとは思わない。中東諸国が石油を売って儲けたお金(ドル)でアメリカへの投資も行われていた訳だが(ペトロ・ダラー体制)、この投資の流れが細くなれば、アメリカの利益にもならない。このように考えると、イラン戦争はアメリカの国益には適わない。そのことを痛感し、じりじりとしているのがトランプ大統領だろう。一日も早い停戦と和平達成こそがイスラエル以外の世界にとって望ましいことだ。

(貼り付けはじめ)

イラン内戦はアメリカの国益にはならない(An Iranian Civil War Is Not in America’s Interest

-イスラエルは政権崩壊(regime collapse)による混乱を歓迎するかもしれない。しかし、アメリカとその同盟諸国は歓迎できない。

ファリード・ザカリア筆

2026年3月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/06/iran-civil-war-united-states-allies-regime-collapse/

「ジャズの即興演奏による政権転覆(Regime change by jazz improvisation)」。イラン研究の権威であるカリム・サジャドプールは、トランプ政権がイランとの戦争で用いた戦略をこう評した。残念ながら、これはワシントンから発せられる、散漫で、変化に富み、不確実なアプローチを最も的確に表現した言葉と言えるだろう。

トランプ大統領はこの戦争を、イラン国民に政府打倒を呼びかけることで開始した。おそらく彼は、政権が即座に崩壊すると想定していたのだろう。しかし、そうならなかったため、わずか1、2日で方針転換した。政権内部の潜在的な指導者への対処を検討し始め、ヴェネズエラへのアメリカの介入を模範とすべき「完璧な(perfect)」事例だと称賛した。なぜなら、ヴェネズエラへの介入は政権転覆とは程遠く、逮捕したのはたった2人だったからだ。ピート・ヘグセス国防長官は、この戦争が「政権転覆[体制転換]戦争(regime change war)」であることを明確に否定し、側近のエルブリッジ・コルビーも同様の見解を示した。両者とも、目標はイランの軍事力を弱体化させることだけだと述べていた(昨年6月、ステルス爆撃機を含む12日間の爆撃で、イラン軍の多くはすでに「壊滅(obliterated)」していた)。しかしその後、事態は一転し、ドナルド・トランプ大統領はイランとイラクのクルド人指導者に接触し、イランの軍事力を弱体化させるためではなく、テヘラン政権の転覆、ひいてはイランの国境線の変更さえも視野に入れ、戦闘に参加するならば支援を約束した。トランプ大統領は現在、イランの「無条件降伏(UNCONDITIONAL SURRENDER)」なしには合意はあり得ないと宣言している。

つまり、目標は政権交代ではない―ただし、時折そうなることもある。

しかし、この戦争で最も危険な要素は、主役がサックス奏者のように即興で行動していることではない。戦争を遂行する2国が、それぞれ異なる、そしておそらく相容れない目的を持っていることだ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相にとって、この戦争の目的は明らかにイスラム共和国の破壊である。彼は、この戦争が40年来の夢の集大成であることを認めた。また、この機会を利用してヒズボラを根こそぎ排除しようとしている。

イスラエルの軍事戦略は、的確かつ巧みに実行され、その目標に完全に合致している。イスラエルの攻撃は、イラン指導部を壊滅させ、軍事力を弱体化させ、指導部施設を攻撃し、さらには警察施設までも標的にしている。『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙が報じたように、イスラエルはイランの抑圧的な国家体制を組織的に破壊し、政権崩壊の危機をもたらしている。そして、現状のままでは、イスラエルは目的を達成する可能性が高い。そうなれば、イラン国内に権力の空白が生じ、反乱を招く恐れがあるが、ほぼ確実に内戦へと発展するだろう。誰が権力を握ろうとも、この政権は必ず抵抗するだろう。ここで適切な具体例は、10年以上内戦に苦しみ、数十万人が死亡し、数百万人が難民となったシリアである。

トム・フリードマンが指摘したように、イランは容易に崩壊する可能性のある国だ。クルド人、アルメニア人、アゼルバイジャン人など、近隣諸国と繋がりを持つ民族集団が多数存在する。彼らはこれまで平和的に共存してきたが、歴史が示すように、バルカン半島からイラクに至るまで、秩序が崩壊し力の空白(a power vacuum)が生じると、人々は部族集団に引きこもり、他者への信頼を失う。そして、こうして内戦が始まるのだ。この戦争を煽る要因は、イラン政府が、いかなる新政府や新勢力に対しても戦う覚悟のある、武装した献身的な兵士を多数擁しているという事実である。革命防衛隊は推定20万人規模で、さらに数十万人規模の準軍事組織であるバシジも存在する。そして、約40万人の正規軍も存在する。サダム・フセインの軍隊がアメリカの侵攻後に崩壊し、その多くが反乱軍として再び姿を現したように、革命防衛隊も別の装いで戦い、いかなる新政府も国を支配できないようにするだろうと想像できる。リビアでは、カダフィ政権崩壊から14年以上経った現在もなお、国全体を掌握する単一の勢力は存在しない。国家を破壊することは、再建するよりもはるかに容易なのだ。

イスラエルにとって、これはおそらく受け入れられる結果だろう。最大の敵を排除できたのだから、イラン(とレバノン)に混乱が生じても仕方がない。シリア内戦は、イスラエルが、イスラエルと戦うことを使命とする主要なアラブ国家と対峙しなくてよくなったため、実際にはイスラエルの安全保障を向上させた。しかし、イラン内戦はアメリカの国益にはならず、石油、物資、資金、そして人々の自由な往来を可能とするために、地域の安定と予測可能性に依存しているアメリカの最も緊密なアラブ同盟国にとっても国益にはならない。

ワシントンは、イランを内戦に陥れることなく、この戦争で得た成果―武装解除され、牙を抜かれたイラン―を確実に維持する方法を見つけ出す必要がある。

成果を強化し、この戦争を終結させる方法はまだ残されている。いつものように、カタールは仲介者として有益な役割を果たすことができるだろう。しかし、時間は刻々と過ぎている。いずれこの戦争は転換点(a tipping point)に達し、誰もその波及効果(the spillover)を制御できなくなるだろう。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、最近では『革命の時代(Age of Revolutions)』を著した。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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 古村治彦です。

 イラン戦争は膠着状態に陥っている。ホルムズ海峡の閉鎖が解かれなければ、世界経済の混迷は続く。石油価格の高騰や石油由来の物品の不足は続くことになる。現在、表ではパキスタン、裏では中国が米中間を取り持ち、和平の条件を整えている。アメリカとイラン両国はできるだけ自分に有利な条件でと考えているだろうが、落としどころを見つけて、一日も早く停戦合意、和平合意を達成してもらいたいところだ。アメリカはイランの核兵器開発能力の完全廃絶、イランは体制の保証、安全の保証を求めている。ここで問題になっているのは、「アメリカの信頼性の欠如」だ。より正確に言えば、「トランプのする約束の信頼性の欠如」だ。

 トランプは、前政権が行った約束を反故にするということをしてきた。たとえば、第一次政権時、バラク・オバマ政権がイランとの交渉の末締結した核開発に関する合意を放棄した。また、キューバとの間の国交正常化や経済関係正常化についても反故にする決定を行った。トランプはアメリカ政府の継続性を無視し、約束を反故にするということをしてきた。それがここにきて重荷になっている。「トランプが約束したとしてもそれが守られる保証はない」というのは非常に厳しい。しかしそれでもなお、和平交渉は再開され、和平合意は達成されなければならない。なぜなら、アメリカはこれ以上、大規模な攻撃はできないし、実行する意志もない。地上軍を派遣してイラン国内で大規模な戦闘を展開するということはもってのほかだ。

 イランはアメリカ側が音を上げるまで、嫌気がさして、「何でも言うことを聞く」というところを目指しているだろう。中国やパキスタンは「アメリカにも少しは花を持たせないと、現状が続くことはイランにとっても得策ではない」という説得を続けているだろう。そして、アメリカ側に対しては「トランプの信頼性のなさが問題だ」ということは伝えているだろう。そうなれば、「少なくとも外交に関してはJD・ヴァンス副大統領が主導権を握って進めてくれなければ困る」ということになるだろう。「いざとなれば、トランプを座敷牢に閉じ込めてでも」という決意をもって、責任をもって外交運営ができる人物はヴァンスであり、トランプ自身が後ろに引くことで、和平が進むということになる。トランプにとっては不満が募ることになるだろうが、和平がなければ中間選挙の結果もおぼつかず、そうなれば完全に無力化してしまうことになるとなれば、ここは妥協するしかないということになる。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプのレッドラインは今や何の意味も持たない(Trump’s Red Lines Mean Nothing Now

―イランは、虚勢(bluff)、場当たり的な対応(improvisation)、そして服従の儀式(submission rituals)の上に築かれた大統領制の限界を露呈させている。

ファリード・ザカリア筆

2026年3月27日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/27/donald-trump-red-line-iran-war-barack-obama-syria-maga-foreign-policy-middle-east/

バラク・オバマ大統領の退任後、彼の外交政策における最大の誤りの一つは、シリアの「レッドライン(red line)」だったという見方が定説となった。オバマはシリアが化学兵器を使用すれば攻撃すると明言していたが、実際に化学兵器を使用した証拠が出てくると、介入(intervention)の是非を連邦議会に委ね、連邦議会は行動を起こさなかった。

当時、ドナルド・トランプはこれを「大惨事(a disaster)」と呼び、マルコ・ルビオ連邦上院議員(当時、フロリダ州選出、共和党)は「世代を超えて、そしてアメリカの評判を傷つける(generational and reputational damage)」出来事だと非難した。数年後、ピート・ヘグセスは、オバマの外交政策は「支離滅裂な迷路(an incoherent maze)」の一部だと批判した。リンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、オバマが自ら引いたレッドラインを無視したことで、世界におけるアメリカの信頼性を失墜させる危険を冒したと説明した。

オバマのレッドラインの二転三転(flip flop)は、イラン・イラク戦争以降に見られる政策決定の模範例と言えるだろう。先週、トランプ大統領はソーシャルメディアに「イランが今この瞬間から48時間以内に、脅威を与えることなくホルムズ海峡を完全に開放しない場合、アメリカ合衆国はイランの様々な発電所を攻撃し、破壊するだろう。まずは最大の発電所から攻撃を開始する」と投稿した。

その後の展開は皆さんがご存じの通りだ。イランはこの脅威に屈することなく、攻撃と海峡封鎖を継続した。トランプ大統領の対応はどうだったか? 急遽方針を転換し、エネルギーインフラに関するあらゆる措置を5日間延期すると発表した。そして、突如として、一晩にして、イランとアメリカが「中東における敵対関係の完全かつ全面的な解決(complete and total resolution of our hostilities in the Middle East)」に向けた「生産的な協議(productive conversations)」を開始したと主張した。イラン側はこうした協議が行われていることを否定した。そして今、トランプ大統領は延期期間をさらに1週間半延長すると発表している。

トランプ大統領の評価が相対評価(on a curve)で行われていることは、もはや明らかだ。関税を130%に引き上げるとか、イラン最大のガス田を爆破するとか、「戦争はほぼ終結した(the war is very complete, pretty much)」などと言っても、これらの発言にはほとんど意味がない。これらは実際のアメリカの政策かもしれないし、そうでないかもしれない。あるいは、1日か1週間だけ政策として通用し、その後変更される可能性もある。戦争はほぼ終結したと発言した直後、トランプは同じ日に「私たちはまだ十分な勝利を収めていない(we haven’t won enough)」「敵が完全に、そして決定的に敗北するまで、私たちは決して諦めない(we’ll not relent until the enemy is totally and decisively defeated)」と断言した。イランの指導者たちと交渉することに同意したものの、彼らが次々と殺されるため交渉できなくなったと述べているが、実際に殺戮を行っているのは紛れもなくトランプ自身の軍隊(そしてイスラエル軍)である。これで全て理解できるだろうか?

トランプの支持者たちは、この矛盾こそが戦略的な天才の所業であり、人々を油断させているのだと主張する。しかし、その政策は様々な理由で変化しているようだ。例えば、株価が下落したり、標的国がトランプを称賛し、金塊を贈呈したりするかもしれない。トランプの最大の強みは、瞬時に方針転換できる柔軟性(he is flexible enough to turn on a dime)と、彼が提案するものなら何でも受け入れる支持基盤(a base that will accept anything he proposes)を持っていることだ。かつては中東戦争に断固反対していたトランプのMAGA支持者の多くは、今や改宗者のような熱狂ぶり(the zeal of converts)でこの中東戦争を信じている。トランプ大統領は敵対行為を終結させたいと明言しているものの、今回の問題は関税問題とは異なり、彼自身が始めたことを止めることができない点にある。イランには投票権があり、現在イランは戦闘継続に投票している。弱体化しているとはいえ、世界経済に打撃を与え、ひいてはアメリカに痛手を与えるだけの軍事力は依然として持っていると判断している。

世界にとって、もはやアメリカの信頼性などというものは存在せず、ただ主人公が危機を巧みに回避し、昨日の発言によって引き起こされた危機を今日の発言で解決できると期待する、奇妙なリアリティ番組のようなものになっている。イランの発電所を破壊すると脅迫する前日、トランプはアメリカがイランに対する軍事作戦を「縮小(winding down)」することを検討していると主張し、ホルムズ海峡の防衛は自分の問題ではなく、海峡を通過する輸入品を扱う他国が対処できると示唆した。また別の時には、他国の助けは必要ないと述べた。かつてビジネスマンたちは政策の不確実性を理由に前政権を非難していたが、今ではトランプの混乱の祭典がほぼ毎週市場を揺るがす中、彼らはこぞってトランプを称賛している。

トランプ大統領は、アメリカの強大な力を弄び、従わない者を罰し、従う者を褒賞することに慣れきっている。そうすることで、彼は数十年にわたって築き上げてきた信頼を、短期的な利益を得るために浪費している。時には、それは彼自身の家族のビジネス上の利益にもつながっている。しかし、イランにおいては、彼は自分のルールに従わない敵対者と対峙しているように見える。

※ファリード・ザカリア:CNN番組「ファリード・ザカリアGPS」司会者、著述家。最新作に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。『ワシントン・ポスト』紙に週に一度コラムを掲載し、『フォーリン・ポリシー』誌に転載されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 国際社会の構造は大きく変化しつつある。これまでの約600年間、世界を支配したのは西洋諸国、ポルトガル・スペイン、オランダ、イギリス、アメリカであった。そこにはイタリア、フランス、ドイツといった諸大国も存在してきた。現在は「西側諸国(the West、ジ・ウエスト)」対「西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」の2つの陣営に分かれている。そのことが明確になったのが、2022年2月からのウクライナ戦争であった。

 第二次ドナルド・トランプ政権発足後から、アメリカは「ならず者国家(rogue state)」のような振る舞いに終始している。ヴェネズエラやイランを直接攻撃しただけではなく、キューバに対しては不必要な経済制裁、グリーンランド領有の野心を明らかにすることなど、相手に関係なく、「お前のものは俺のもの、俺のものは俺のもの」「気に入らないからぶん殴る」というアニメ「ドラえもん」に出てくるガキ大将のジャイアンのような態度を取り続けている。このような暴れん坊のアメリカに対して、どのような対処法があるのかについて、下記論稿の著者で、国際関係論の大物学者であるスティーヴン・M・ウォルトは6つの方法を提案している。それらは国際関係論の研究の成果でもある。それらについては下記論稿をお読みいただきたい。

 国力を衰えさせながら、野心をむき出しにして自分勝手な行動を取る、老いた超大国となるアメリカに日本はどのように対応すべきかということであるが、大前提として、日本はアメリカの属国であるという事実がある。今まではアメリカの属国として、アメリカの言う通り、アメリカの利益になり、日本の利益になる行動を取ればよかった。しかし、アメリカが変容するならば、日米関係も変容するのが当然だ。対米従属一辺倒から変化しなければならない。アメリカと一緒に泥船に乗って沈む訳にはいかない。

 日本は地理的に見てもそうだが、米中両超大国の間に位置する。経済大国であったの過去の栄光、少子高齢化の最先端を進んでいる。そうした中で、中国との関係も重要である。現在の高市早苗政権が行っている政策派のこの点で最悪と言わざるを得ない。中国との関係改善は喫緊の課題だ。しかし、中国に急接近することも難しい。日本はアメリカの属国である。したがって、重要なことは、アメリカらか少しずつ距離を取りながら、中国に少しずつ近づくということになる。現在が10対ゼロで対米従属一辺倒であるならば、そこを黄金比の1対約0.6、5対3くらいにするというのはどうだろうか。完全に二等分するのではなく、アメリカに寄りながら、中国も立てる。これが間にいる、ミドルパワー国家である日本の生き方ではないかと私は考えている。

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アメリカはならず者国家になった(The United States Has Become a Rogue State

―アメリカを除く世界ができることを挙げていく。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2026年3月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/26/united-states-trump-rogue-state-iran/

第二次ドナルド・トランプ政権は、私を含め多くの専門家の予想をはるかに超える混乱と損害、そして危険性をもたらしており、イランとの悲劇的なまでに無能な戦争は、その事実を如実に物語っている。その結果、世界中の国々が、ますます暴走するアメリカへの対処法を模索せざるを得ない状況に陥っている。自分に問うてみて欲しい。もしあなたがサウジアラビア、ブラジル、ドイツ、インドネシア、ナイジェリア、デンマーク、オーストラリアなどの指導者だったらどうするだろうか?

なぜこれが難しい問題なのか。アメリカは、たとえ現在、誤った重商主義(misguided mercantilism)、科学や学術界への無分別な攻撃(mindless attacks on science and academia)、あらゆる種類の移民に対する露骨な敵意(overt hostility to immigrants of all sorts)、化石燃料への依存の強化(doubling down on fossil fuel dependence)、無駄な軍事支出(wasteful military spending)、慢性的な財政赤字(chronic deficits)など、いずれはアメリカを弱体化させるだろう政策を追求しているとしても、現在のところは非常に強力な国家だ。しかし今のところ、他国は、アメリカの力が意図的であろうとなかろうと、自国に害を及ぼす可能性があると懸念せざるを得ない。

第二に、私が他の場所で詳しく論じてきたように、アメリカは今や略奪的な覇権国(a predatory hegemon)のように振る舞い、数十年にわたって築き上げてきた影響力を駆使して、同盟国も敵対国も等しく搾取している。ほぼ全ての他国との関係において、このようなゼロサム的なアプローチをとることは、ほとんどの国際機関や規範に対する根深い敵意、意図的な不安定な行動、そして他国の指導者を露骨に軽蔑しながら、そのほとんどから屈辱的な服従と忠誠(demeaning acts of submission and fealty)を期待する傾向を伴う。イラン戦争の余波が地域全体、そして世界中に広がるにつれ、政権が自らの行動が他国にどのような影響を与えるかを理解していなかったか、あるいは単に気にしていなかったかのどちらかが浮き彫りになっている。

そして、これが第三の問題につながる。アメリカの外交政策は今や、大統領をはじめとする極めて無能な官僚たちの手に委ねられている。国際的な影響力は多くの要素に左右されるが、重要な要素の一つは、他国が、自分たちが関わる相手が賢明で、情報に通じており、概して自分たちの行動を理解していると信じることである。現時点で、トランプ政権の上層部で、そのような評価に値する人物はいるだろうか? 少なくとも私には見当もつかない。外交政策の遂行は困難な仕事であり、どの政権も全てを完璧にこなせるというものではない。しかし、この政権は毎週のように自らの目標を掲げながら、自らは無誤謬である(it is infallible)と主張している。

さらに悪いことに、これらの問題点のいくつかは、たとえトランプと全く異なる見解を持つ人物が後任になったとしても、退任後に容易に是正できるものではないだろう。経験豊富な公務員(一部の上級軍人を含む)が退職または解雇され、後任が任命されないか、あるいはトランプに忠実な人物によって取って代わられることで、アメリカの外交政策機構の組織力は空洞化している。

そして、アメリカの政治体制は依然として深刻な分極化状態にあるため、他国もまた、政治の振り子が両極端の間を行ったり来たりするのではないかと懸念せざるを得ない。アメリカ国民はトランプを一度ならず二度も選出しており、再び似たような人物を選ぶ可能性もある。こうした現実を踏まえれば、ワシントンが今日、あるいは民主党大統領の下でどのような約束をしようとも、どの国もそれを信頼できるだろうか?

まとめると、世界の他の国々は、少なくとも今後3年間、おそらくはそれ以上、強力で、おそらく略奪的で​​、極めて不安定なアメリカ合衆国と向き合わなければならないということだ。そうなるとすれば、アメリカ合衆国だけが危険な略奪者(dangerous predator)ではないこと(そして一部の国にとっては、より差し迫った危険が身近にあること)を念頭に置きながら他の国々はどうすべきだろうか。

質問を繰り返す。もしあなたが他国の外交政策を担うとしたらどうするか?

私が考える主な選択肢を以下に挙げる。

(1)バランシング(Balancing

歴史を通じて、強力で危険な国家に対処する古典的な方法は、自国の努力、あるいは他国との連携(あるいはその両方)によって、それらの国家に対抗するためにバランスを取ることだ。ロシアと中国の「無制限パートナーシップ(no-limits partnership)」、北朝鮮がウクライナでロシアに提供した支援、イランが中東地域各地で支援した代理勢力のネットワーク(the network of proxies)、そしてロシアがイランに提供しているとされる情報支援(the intelligence support that Russia is reportedly giving Iran)などに、この傾向が見られる。

一部の国が採用する可能性のあるもう一つの戦略は、「ソフト・バランシング(soft balancing)」だ。これは、強力な国家の目的を阻止するために、外交行動を意識的に調整するものだ。典型的な例としては、2002年の国連安全保障理事会決議案(イラクへのアメリカ軍攻撃を承認するもの)に反対したフランス、ドイツ、ロシアの協調行動が挙げられる。この出来事はジョージ・W・ブッシュ政権に戦争を思いとどまらせるには至らなかったものの、アメリカ(およびイギリス)の孤立を露呈させ、米英両国が最終的に支払う政治的代償を増大させた。

トランプ大統領がデンマークからグリーンランドを奪取すると脅迫したことに対するヨーロッパの対応は、もう一つの明白な例である。これは、強大な国家が望ましくない行動に出るのを阻止するための協調的な外交対応(a coordinated diplomatic response)であり、軍事的要素も含まれていた。カナダのマーク・カーニー首相が1月に、世界のミドルパワー国家が結束し、信頼できない略奪的なアメリカとの協力に依存しない、互恵的な関係(mutually beneficial relations)を築くよう呼びかけた際、念頭に置いていたのは、ソフト・バランシングであったようだ。

トランプ政権は、アメリカのパワーとのバランスを図るためのハードな取り組みもソフトな取り組みも、いずれも弱く、不安定で、大きな成果をもたらさないと見込んでいる。多くの国がアメリカのパワーに対抗するために多大なコストのかかる行動を取ることに当然ながら消極的であること、そして「ソフト・バランシング」の取り組みでさえ大きな集団行動上の問題に直面することを考えると、彼らの見方は正しいかもしれない。しかし、これらの障害は克服できないものではない。特に、アメリカに迎合することが新たな要求を生むだけであったり、他国がアメリカとの緊密なパートナーシップを資産ではなく負債とみなすようになったりすれば、なおさらである。

そして、もう一つのバランシングの形を忘れてはならない。アメリカが自国を攻撃するかもしれないと懸念する国、あるいはアメリカがもはや信頼できる守護者(a reliable protector)ではないと恐れる国は、自国の核抑止力(nuclear deterrents)を獲得することで安全保障を強化しようとするだろう。アメリカの信頼性に対する懸念から、フランスは自国の抑止力をヨーロッパ全域に拡大することを提案しており、韓国や日本といった国々も再び自国の抑止力の必要性を検討している。イランとの戦争、そして比較的慎重なイラン指導者数名の排除は、北朝鮮を模倣して機会があったうちに積極的に核兵器開発に取り組まなかったことが最大の過ちだったと考える国々の立場を強化するだけだろう。

(2)バンドワゴニング(Bandwagoning

多くの現実主義的な学者は、強力な略奪国家に追随することは危険であり、したがって稀であると主張するが、一部の国はこれを最善の選択肢とみなすだろう。特に弱体で脆弱な国は、アメリカと連携して最善の結果を期待する以外に選択肢がないと結論づけるかもしれない。また、アメリカの支援を利用して自国の修正主義的な目的を推進したい国は、喜んでこの流れに乗るだろう。

イスラエル、サウジアラビア、そしてペルシア湾岸の小国は、こうした楽観主義的な行動(opportunistic behavior)の明白な例である。このカテゴリーには、ハンガリーのヴィクトル・オルバン、アルゼンチンのハビエル・ミレイ、フランスのマリーヌ・ルペン、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフといった右派指導者も含まれる。彼らはトランプを、自由主義的民主政治体制や多くの国際規範に対する嫌悪感を共有する、権威とカリスマ性を備えた人物と見なしている。これらの指導者全員(トランプも含む)が、苦戦を強いられているハンガリーのオルバンの再選運動を公然と支持していることは、何ら驚くべきことではない。

しかしながら、気まぐれで略奪的なアメリカに追随することには、それなりのリスクが伴う。例えば、イラン戦争、低迷するアメリカ経済、トランプ大統領の支持率低迷といった失態は、MAGAブランドを汚しており、外国のポピュリストにとってアメリカとの緊密な関係は必ずしも有益とは言えないだろう。

さらに言えば、これらの指導者の多くは、自らを熱烈なナショナリストとして描くことで支持を得ているが、略奪的な外国勢力への長期的な服従とは相容れない。こうした懸念が、フランスの極右政党「国民連合」の実質的な指導者であるルペンが、ここ数カ月の間にトランプ大統領からやや距離を置いている理由を説明しているのかもしれない。

(3)政治的策略(Political manipulation

アメリカとの緊密な関係を維持し、アメリカの力を利用して自国の目的を推進しようとする国々は、自国が望む方向にアメリカの外交政策を誘導するために、一層の努力を重ねるだろう。

ネタニヤフ首相とイスラエル・ロビーの主要組織は、トランプ大統領に最新の戦争開始を説得するのに一役買い、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン王太子はトランプ大統領に地上部隊の投入を促していると報じられている。イスラエルと湾岸諸国がホワイトハウスと連邦議会に武器供給の継続を求めるロビー活動を続けることはほぼ確実であり、トランプ大統領の任期中は、より露骨な影響力行使(ジャレッド・クシュナーやトランプ・オーガナイゼーションへの新たなビジネス取引など)も続くと予想される。しかし、イラン戦争はこれらの国々にとってもリスクとなる。他国のために戦われている戦争と見なされれば見られるほど、戦争が不利な結果に終わった場合の反発リスクは高まる。

(4)分散化とリスク軽減(Diversifying and de-risking

信頼できないパートナーと取引する場合、たとえ多少コストがかかったとしても、そのパートナーへの依存度を下げるのが賢明な策となる。この傾向は、2025年4月にトランプ大統領が報復関税を発表して以来顕著に表れている。その後、アメリカの貿易相手国は、互いに自由貿易協定を締結することで、アメリカ市場への依存度を低減しようと躍起になった。カナダは中国との緊張関係を緩和し、インドネシアやインドと新たな貿易協定を締結した。ヨーロッパ連合(EU)もインドやメルコスールと同様の措置を講じている。

(5)拒絶(もしくは「ただノーという」)(Balking (or “just say no”)

親なら誰でも知っているように、時に非常に弱い立場の国は、要求に頑固に応じないことで、強い立場の国が強制的に従わせる意志や忍耐力に欠けることを期待し、自らの主張を通すことがある。例えば、トランプ大統領がホルムズ海峡の開通に協力するようNATO加盟国に要求した際、加盟国は拒否した。これは、開戦前に相談を受けていなかったこと、トランプ大統領の失策を救済する理由がほとんどないこと、そしておそらく今回の失敗がワシントンに教訓を与えることを期待していたためだ。

あるいは、各国は要求に応じるふりをしながら、実際には行動を遅らせ、予期せぬ複雑な問題を公表し、遵守状況の確認を困難にし、できる限り混乱を招くような行動をとることもできる。この戦略の魅力は明らかだ。ワシントンとの直接対決を避けられるだけでなく、要求に応じることによるあらゆるコストも回避できるからだ。

過去には、他国もアメリカに対して同様の戦術を用いてきた。NATO加盟国は国防費増額を繰り返し約束しながら、毎回目標を達成できなかった。また、イスラエルは入植地の撤去を約束しながら、可能な限りゆっくりと進め、その間に新たな入植地を建設した。トランプ政権は、中国が第一次トランプ政権に交わした経済的な約束を履行したかどうかを検証しようとしていると報じられている(おそらく履行していないだろう)。

世界は広く、忙しく、複雑な世界だ。アメリカのような強大な国でさえ、他国が過去に合意した全ての事柄を把握し、それらが約束通りに履行されているかどうかを判断することは不可能だ。

(6)アメリカの見え方を悪くする(Make the United States look bad

ハードパワー(hard power)は依然として世界政治における主要な通貨だが、強大な国家は、概ね高潔で、ある程度正直で信頼でき、少なくとも時折は世界をより良くしようと努力していると見なされることで、さらに恩恵を受ける。この資質こそ、私の亡き同僚ジョセフ・ナイが「ソフトパワー(soft power)」と呼んだものだ。国家は、他国から魅力的(appealing)で、概ね善意(benevolent)に満ちていると認識されることで、影響力を増す。

したがって、アメリカの敵対国は、アメリカを利己的で攻撃的、危険な国、そして賞賛や模倣の対象ではなく拒絶すべきモデルとして描くことで、そのイメージを傷つけようとあらゆる手段を講じるだろう。中国が長年実践してきたこの戦略の必然的な帰結は、アメリカがつまずき続けるのを傍観し、干渉しないことだ。ナポレオン・ボナパルトが言ったとされるように、「敵が過ちを犯しているときは、決して邪魔をしてはならない(never interrupt an enemy when it is making a mistake)」。

そして、トランプ政権はまさにこの戦略を容易にしているのだ! 単なる疑いだけでカリブ海で船舶を爆破したことを自慢したり、外国首脳の暗殺を支援したり、移民や観光客を虐待したり、十数カ国に渡航禁止措置を課したり、大統領を批判したという許されない罪で外国当局者に金融制裁を命じたり、力こそすべてだと豪語したり、まるで覚醒剤を打ったハムスターのように上下に揺れる関税率を課したり、行き先も定まらないまま世界経済全体に影響を及ぼす戦争を始めたり、リストはどれだけでも続く。

アメリカのイメージが、善意はあるものの時に誤った判断をする世界大国から、無関心で残酷、反射的に不誠実で、自国の利益しか考えない国へと変化するにつれ、ワシントンとビジネスをしたいと願う指導者でさえ、あまり近づきすぎることを警戒するようになるだろう。

アメリカに対抗する様々な戦略は、互いに強化し合う関係にある。強硬な手段であれ軟弱な手段であれ、バランスを取ろうとする国が増えるほど、他国もアメリカから距離を置きやすくなる。アメリカが世界において果たす役割が、広く善意に基づくものではなく、積極的に有害なものと認識されるようになればなるほど、多くの国がアメリカ側に留まることは難しくなり、外国の指導者たちはワシントンに立ち向かうことでより多くの利益を得るだろう。各国が反発すればするほど、他国もそれに追随しやすくなる。なぜなら、超大国(a superpower)であっても、全ての国の些細な反抗行為を把握し、すべてを一度に罰することはできないからだ。

ワシントンの現在の行動に対するこうした様々な対応策から、アメリカ人が学ぶべき主な教訓はここにある。強大な国家であることの大きな利点は、問題に対処する際に、大きな余裕と豊富な資源を活用できることだ。欠点は、一部の国がアメリカの力を自国の利益のために利用しようとする一方で、他の国はそれを懸念し、抑制または制限する方法を模索するということだ。

この理由から、先見の明のある大国は、自国の力を抑制的に行使し、可能な限り広く受け入れられている規範を遵守し、緊密な同盟国でさえ独自の思惑を持っていることを認識し、全ての関係者が利益を得られるような関係構築に努めるだろう。強硬な力を維持することは重要だが、それを柔らかな手袋で包み込むことも同様に重要である。アメリカは過去75年間、概ねこれをうまく実践し、大きな恩恵を受けてきたが、現在の指導者たちはその知恵を急速に捨て去りつつある。

私が20年以上前に警告したように、「もしアメリカが既存のパートナーシップの崩壊を早め、我々を封じ込めることを目的とした新たな関係を生み出すことになれば、私たちは自らを責めるしかないだろう」。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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 古村治彦です。

 イラン戦争が始まってもうすぐ2カ月が経過しようとしている。現在は一時停戦となっているが、速やかな停戦に向けて、アメリカとイランの間を仲介しているパキスタンが奔走している。しかし、ホルムズ海峡封鎖一本で世界経済を人質にして勝負しているイランは、アメリカを焦らすだけ焦らして、自国の有利な条件を引き出そうとしている。5月14日と15日のドナルド・トランプ大統領による中国公式訪問までに一定の成果を挙げたい米中両国は、イランとの交渉において共通の利益を持っていると言えるだろう。

 イラン戦争が始まって世界経済は石油価格高騰と物資不足の影響をつけつつある。日本は前回のオイルショックの教訓を活かし備蓄があるが、現在の状況が続けば、厳しい状況は早晩やってくる。日本にとっても早急な停戦が望まれる。アメリカは国内で石油が生産できるので、ホルムズ海峡が封鎖されても影響は少ないというトランプ大統領の発言があったが、アメリカ国内でも石油価格は上昇している。

アメリカでは5月や6月に卒業式(commencement ceremony)があり、夏休みのホリデーシーズンを迎える。移動も多くなり、ガソリン価格や航空機チケット代の上昇は人々の生活を直撃する。ここで人々に不満を持たれてしまうと、大統領の支持率にダメージを与える。何よりも今年は中間選挙が実施される年だ。共和党が連邦下院で過半数を失う可能性が指摘されている。そうなれば、「トランプの応援を受けても選挙に勝てない」ということになり、トランプの影響力や勢力は減退することになる。

 アメリカはウクライナの支援、イスラエルの支援、そして、中東地域に派遣しているアメリカ軍の戦費ということで、巨額の予算が必要となる。それらは増税をして賄うことになるが、増税となれば有権者の反対や不満を増やすことになる。そうなれば国債発行に頼るしかないが、累積した国債はアメリカ政府に重くのしかかる。結局のところ、増税やインフレによって、一般庶民、有権者の生活を直撃することになる。海外での戦争をしないというトランプ大統領の訴えを信じて投票したアメリカの有権者にとっては大きな裏切りである。トランプはイラン戦争開戦の責任を取って実質的な政策運営から引退することが望ましいということになるだろう。それでなくても三期目はないので、中間選挙後は「死に体(lame deck、レイムダック)」状態になる。最後のお勤めは、JD・ヴァンス副大統領にしっかりと引継ぎをして、大統領にさせることだ。

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イラン戦争の経済的コスト:数字で見る(The Economic Costs of the Iran War, by the Numbers

―数百万ドル規模の兵器から原油価格の高騰まで、この戦争がもたらす経済的損失を以下に挙げていく。

マキシーン・デイヴィ、エリ・ウィゼヴィッチ筆

2026年3月13日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/03/13/iran-war-cost-economic-oil-gas-prices-hormuz/

アメリカとイスラエルが2月28日にイランを攻撃して以来、中東地域全域で戦争が勃発した。わずか13日でその被害は甚大だ。

人的被害は甚大である。イラン保健省によると、3月13日時点で少なくとも1444人のイラン人が死亡しており、その中には、アメリカが実行したとみられる小学校への攻撃で死亡した少なくとも168人の子どもも含まれている。イスラエルによるレバノンへの爆撃では600人以上が死亡、80万人以上が避難を余儀なくされた。イランによる地域各地への攻撃、そしてイランの代理勢力であるヒズボラによるイスラエルへの攻撃で、60人以上が死亡、数百人が負傷した。また、アメリカ軍兵士13人が死亡した。

エスファンディヤル・バトマンゲリジ氏は『フォーリン・ポリシー』誌に寄稿し、「これは単なるペルシア湾での戦争ではなく、第二次世界大戦以来、グローバル経済の拠点となる都市や施設に直接的な影響を与えた初めての紛争だ」と述べた。

原油価格から欠航便まで、この戦争がすでに世界経済をいかに混乱させているかを示す主要な数字を以下に挙げていく。

2026iranwareconomiccost001

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、米国防総省当局者は火曜日、連邦議事堂で行われた連邦議員向け非公開ブリーフィングでこの推計値を示した。この数字には、2月28日以前の数カ月にわたるアメリカの軍備増強費用は含まれていない。

以前のブリーフィングで、国防担当当局者たちは最初の2日間で56億ドル相当の弾薬が使用されたと述べていた。マクドナルド・アモア、モーガン・D・バジリアン、ジャハラ・マティセクによる『フォーリン・ポリシー』誌の分析によると、アメリカは「壮大な怒り作戦」開始後最初の36時間で、推定1250発の防衛・攻撃用弾薬を消費した。

彼らは「消費された弾薬、そしてそれらを製造するために必要な鉱物資源は、西側諸国、特にアメリカにとって防衛産業に関する問題である」と述べている。

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当初は市場の反応が鈍かったものの、国際指標であるブレント原油価格は3月9日の取引時間中に一時1バレル119.50ドルまで急騰し、その後同じ日の中で100ドルを下回った。3月11日以降、価格は3桁台で推移している。『フォーリン・ポリシー』誌のキース・ジョンソンは、「市場はついに、イラン戦争が世界経済に及ぼす脅威の深刻さに気づき始めた」と報じた。

今回の価格高騰は過去1年間で最大であり、イラン、イスラエル、アメリカによる12日間の戦争が行われた2025年6月の高騰を上回った。金曜日現在、原油価格は1バレル100ドル以上で推移している。

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水曜日、国際エネルギー機関(IEA)は、加盟32カ国が市場の混乱緩和と原油価格高騰対策として、12億バレルを超える緊急備蓄原油の放出に全会一致で合意したと発表した。これはIEA史上最大規模の原油放出であり、協調的な放出としては6回目となる。

また、スコット・ベセント米財務長官は木曜日、アメリカが制裁対象となっているロシア産原油を既に海上に積載した状態で各国が購入することを一時的に許可すると発表した。

ジョンソンは、「トランプ政権は、自らが引き起こした戦争の影響を抑制するため、軍事、金融、エネルギーなどあらゆる政策手段を駆使してきたが、今のところ全て無駄に終わっている」と述べた。

アメリカのガソリン価格は平均で1ガロンあたり3.50ドルを超え、昨年同時期より0.50ドル以上高くなっている。
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湾岸諸国からの石油製品と液化天然ガス(LNG)の輸出は戦争によって深刻な打撃を受けており、生産者の収入減は甚大である。コンサルティング会社ウッド・マッケンジーの推計によると、サウジアラビアは戦争開始以来、45億ドルという最大の収入を失ったと『フィナンシャル・タイムズ』紙は報じている。

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世界第2位のLNG輸出国である国営カタールエネルギーは先週生産を停止し、世界のヘリウム市場と肥料市場に波及効果(knock-on effects)をもたらした。

カタールのサード・アル・カービ・エネルギー相はニューヨーク・タイムズ紙に対し、中東地域での戦争は「世界の経済を崩壊させる可能性がある」と警告した。

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イランは3月2日、ホルムズ海峡を通過しようとする船舶は全て攻撃すると初めて宣言した。『ガーディアン』紙の報道によると、それ以来、約500隻の石油・ガスタンカー、500隻のコンテナ船、そして6隻のクルーズ船が海峡の両岸で立ち往生している。

戦争開始以来、ペルシア湾、ホルムズ海峡、オマーン湾周辺で運航するタンカー、コンテナ船、その他のばら積み貨物船を含む少なくとも2隻の民間船舶がイランの攻撃を受けている。

イランの新最高指導者(supreme leader)モジタバ・ハメネイ師は、就任後初の公式声明で木曜日、「ホルムズ海峡封鎖(blocking the Strait of Hormuz)という手段は、今後も間違いなく使い続けなければならない」と述べた。

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ペルシア湾岸地域で運航する船舶の保険料高騰を受け、アメリカ国際開発金融公社(DFC)は、トランプ政権が海峡を通じたエネルギー輸送の再開を目指す取り組みの一環として、特定の船舶(具体的な船舶名は未公表)に対し海上再保険を提供すると発表した。DFCは、この計画の実施にあたり、米中央軍および米財務省と連携し、保険会社チャブが主導的な役割を担う。

3月11日時点で、中東地域発着便は4万6000便以上が欠航となった。イランは、世界で最も利用者の多い国際空港であるドバイを含む、中東地域の複数の国の空港を標的にしている。ドーハのハマド国際空港は3月1日から6日まで全便の運航を停止し、現在も通常の利用客数のごく一部でしか運航していない。

戦争勃発当初、航空便の運航停止により数十万人の旅行者が地域内で足止めされ、避難活動が困難を極めた。 『フォーリン・ポリシー』誌のサム・スコブ記者は3月10日、米国務省が解雇された職員からの支援申し出を断ったと報じた。

同時に、ジェット燃料価格は原油価格を上回るペースで上昇している。航空会社が運賃値上げや運航便数の削減を発表するにつれ、このコストは世界の消費者に転嫁されることになるだろう。

※マキシーン・デイヴィ:『フォーリン・ポリシー』誌編集研究員。

※エリ・ウィゼヴィッチ:『フォーリン・ポリシー』誌編集研究員。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 中東地域で起きている諸問題の多くはイスラエルが絡んでいる。イスラエル建国から拡大、占領という形で中東地域において不協和音を起こしている。現在でいえば、イラン戦争はイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が引き起こした戦争である。イスラエル側にも理屈がある。イスラエルが自衛行動を取ることは制限されない。問題は、彼らが自衛という名の下に過剰な攻撃を民間人に加えていることであり、イスラエルへの正当な批判までも「反ユダヤ主義」というレッテルを貼って圧殺、封殺をしようとすることだ。そして、イスラエルの傲慢な態度の源泉はアメリカからの支援がある。アメリカから数兆円の軍事支援を受け、最新の兵器を備えて、中東地域の近隣諸国を圧倒している。核兵器までも開発し保有している。興味深いのは、こうして中東地域最強になりながら、一向に安全が確保されていないことだ。矛と盾をどんなに最新最強にしても、建国以来、安全安心を確保することはできなかった。

 アメリカはイスラエルを支援することを「国是(national credo)」としてきた。第二次世界大戦中にユダヤ人の大規模虐殺を止めることができなかったことが原罪のように突き刺さっている。また、アメリカ国内のユダヤ系アメリカ人がイスラエルを支援するために、その資金力と影響力を行使してきた。彼らは、いくつかの親イスラエル組織を構築し、政治的な活動、ロビー活動を展開してきた。イスラエルに批判的な政治家に対して、落選運動に資金提供をしたり、ユダヤ系が多く住む大都市圏であれば、集団的に相手候補に投票したりすることで落選をさせるなどの行動を取って、影響力を保持し、イスラエルに有利になる政策をアメリカ政府が行うように働きかけてきた。このようなアメリカからの手厚い支援がイスラエルを増長させてきた。

 イスラエルの傲慢と増長が中東地域における諸問題の原因となっている。それであるならば、問題を解決するためには、こうした傲慢と増長を取り去ることが必要である。そのためには、アメリカとイスラエルの間の「特別な関係」を見直し、改善していくこと、他国との関係に近づけていくことが、アメリカとイスラエル両国にとって重要だ。そうしなければ、お互いが抱きつき合ったままで、世界から孤立し、衰退、滅亡の途を進むことになる。

(貼り付けはじめ)

ガザの平和は長続きしないだろう(The Peace in Gaza Won’t Last

-イスラエルとアメリカの特別な関係が終わることが真の戦争終結のシグナルとなるだろう。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年10月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/10/15/peace-gaza-israel-us-trump-middle-east/

ガザ地区での虐殺が少なくとも一時的に停止し、イスラエル人の人質とパレスティナ人の囚人の交換が行われ、苦しむガザ住民への救援物資がより自由に届くようになったことは、誰もが感謝すべきことだ。当然のことながら、ドナルド・トランプ米大統領は勝利宣言を行い、停戦合意を「新たな中東の歴史的な夜明け(historic dawn of a new Middle East)」と称している。しかし、彼は以前にも同様のことを述べており、歴代大統領の中にもそうした人がいた。彼の言葉が正しいことを願うが、確信は持てない。

今回の合意後、2つの疑問が依然として残っている。1つ目は、言うまでもなく「この合意は維持されるのか?」という点だ。そして、2つ目は、イスラエルと世界の他の国々との関係、特にアメリカとの「特別な関係(special relationship)」が、ついに永続的な平和を実現できるような方向に変化しているかどうかという点である。この2つ目の疑問は、最初の疑問への答えを大きく左右する。

最初の疑問に関して言えば、楽観視するのは難しい。他の批評家も指摘しているように、この「和平案(peace plan)」は、パレスティナ側の参加が最小限に抑えられた、イスラエルを強く支持するアメリカの「仲介者(mediators)」(スティーヴ・ウィトコフとジャレッド・クシュナー)によって作成された。最終的な形は、交渉による解決というよりは、最後通牒(an ultimatum)に近いものだった。この合意は、イスラエルの極右勢力の極端な野望(ガザ地区の併合やパレスティナ住民の永久追放など)の一部を拒否するものの、パレスティナ側には、ハマスの完全武装解除、全てのトンネルの破壊、あらゆる政治活動からの排除、そしてパレスティナ自治政府の抜本的かつ具体的な内容が未定の改革など、困難かつ検証不可能な(impossible-to-verify)一連の調整を求めている。トランプ大統領自身が議長を務める「平和評議会(Board of Peace)」が監督する、まだ特定されていない外部監視機関が、合意の遵守状況を監視し、双方が合意を遵守しているかどうかを判断する。

さらに重要なのは、この合意が全ての困難な政治問題を将来の不特定の時点に先送りし、イスラエルによるヨルダン川西岸地区併合の継続的な試みについては全く触れていない点だ。これは、ルーシーとチャーリー・ブラウンとフットボールの古い物語と同じだ。イスラエルは、パレスティナ側の遵守が不十分だと宣言し、再び圧力を強める(あるいは暴力を再開する)機会をいくらでも得るだろう。

したがって、この計画が成功すると信じるには、国際社会、特にアメリカが、イスラエルに対し、現在の合意を維持し、パレスティナとの長年の紛争に対する公正かつ恒久的な解決策を最終的に交渉するよう、容赦ない圧力(relentless pressure)をかけ続けると信じなければならない。確かに、トランプ大統領はついにイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の引き延ばし戦術にうんざりし、この限定的な合意を受け入れさせたようだ。これは、米大統領が、もし行使する意思があれば、どれほどの影響力を持っているかを示す全てだ。

しかし、ネタニヤフ首相、彼の右派支持者、そしてイスラエル社会自体が、ハマスやその他のパレスティナ過激派が完全に排除されたと確信していたとしても、真の二国家解決案(a genuine two-state solution)や何らかの形の単一国家連邦制(some form of one-state confederation)を受け入れる意思があるという証拠はどこにもない。トランプ大統領の極めて短い集中力、気まぐれな性格、そして細部への無関心さを考えると、一体誰が、この問題が継続的に実行されると真剣に考えているだろうか?

問題はトランプ大統領だけではない。外部勢力は、1956年、1967年、1973年の第四次中東戦争におけるアメリカとソ連の行動、そしてそれ以降のワシントンの幾度にもわたる行動のように、交戦当事者に一時的な停戦を促すことはしばしば行ってきた。しかし、公正かつ永続的な政治的解決を実現するために、十分な時間、注意、そして政治的資本を投入し、あらゆる影響力を行使する意思は決して示してこなかった。だからこそ、オスロ合意、2000年のキャンプ・デイヴィッド首脳会談、2007年のアナポリス会議、不運な結果に終わった中東カルテット(アメリカ、ロシア、ヨーロッパ連合、国際連合)、その他大々的に宣伝された和平構想は全て失敗に終わった。

もしアメリカによる継続的な圧力が必要なのであれば、私の2つ目の疑問が重要になる。トランプ大統領の個人的な意向に関わらず、アメリカとイスラエルの関係は和平の可能性を高めるような方向に変化しつつあるのだろうか?

2023年10月7日の攻撃は、国際社会の目から見てハマスに大きな打撃を与え、イスラエルのジェノサイド的対応も同様にイスラエルのイメージを損なった。イギリス、フランス、カナダ、オーストラリア、その他いくつかの国はパレスティナ国家を正式に承認した。これは確かに象徴的なジェスチャーであるが、人々の意識がどれほど変化したかを物語っている。イスラエルのアラブ世界との関係正常化に向けた努力は停滞している。ここアメリカでは、世論調査で支持の劇的な変化が示されており、イスラエルよりもパレスティナに同情的なアメリカ人が多く、イスラエルの行動はジェノサイド(あるいはそれに近い行為)に当たると考える人が41%、正当化できると考える人はわずか22%となっている。

イスラエルへの支持は民主党支持者と無党派層の間で最も急激に低下しているが、スティーヴ・バノン、タッカー・カールソン、マージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員といった著名な保守派も厳しい批判を表明している。民主党支持者は人権問題への懸念を強く訴えている一方、保守派は、ますます無法化するイスラエルへのアメリカの無条件の支援(unconditional U.S. support)は「アメリカ・ファースト(America First)」の理念と相容れないと考えている。

特別な関係の直接的なコストは、長い間明らかだった。イスラエルはアメリカから最大の軍事援助を受けている外国であり、アメリカ政府は、イスラエルが一人当たりの所得で世界16位にランクインし、相当数の核兵器を保有する繁栄した国であるにもかかわらず、公式には「質的な軍事的優位性(qualitative military edge)」を維持することを約束している。年間約40億ドルの軍事援助は通常、イスラエル・ハマス戦争中に急増し、アメリカの納税者は約220億ドルを負担した。この無条件の支援こそが、中東諸国の指導者たちが武器、投資、市場アクセスを得るためにアメリカ政府に媚びへつらい続けているにもかかわらず、アメリカが中東諸国の大半で依然として非常に不人気である主な理由である。イスラエルへの無条件の支援は、ワシントンが人権の揺るぎない擁護者であり、したがってロシアや中国などの大国ライヴァルよりも道徳的に優れているという主張を損なうことで、アメリカのソフトパワー(America’s soft power)を低下させている。こうした偽善は、トランプ政権がこうした理想を軽視していることを考えると、彼らにとっては問題にならないかもしれないが、それでもアメリカのリベラルな理想とは相容れない。

また、特別な関係は、人口1000万人にも満たない小国が、世界で最も強力な国の政治生活において、不釣り合いなほど多くの時間を割かれていることを意味する。インド、日本、インドネシア、ナイジェリア、ブラジルといった、より規模が大きく戦略的に重要な国々が占める紙面や放送時間と比較して、この小国が受ける報道量を考えてみて欲しい。オーストリアはイスラエルとほぼ同じ人口とGDPを持ち、多くの国際機関の本部が置かれているにもかかわらず、アメリカ人はオーストリアについて散発的にしか耳にしない。あるいは、この小国に特化したシンクタンクやロビー団体の数、そしてアメリカの政治家がこの国の問題に費やす時間の量を見てみよう。

さらに、この小国に関連する問題は、アメリカのより広範な文化や知的活動に日常的に波及している。現在大学を攻撃している背景には多くの要因があるが、ガザ地区の虐殺と、それを支援したアメリカの役割に抗議する学生たち(その多くはユダヤ人)から生じた、誇張された反ユダヤ主義(antisemitism)の非難によって、その攻撃はさらに激化している。学問の自由、ひいては言論の自由全般に対する攻撃は、イスラエルを批判から守り、特別な関係を維持したいという誤った願望だけによって動機づけられているわけではないが、そうした目的も一部の人々にとっては、その要因の一つとなっている。

最後に、この小さな国にアメリカの大統領がどれほどの時間と注意を費やしているかを見てみよう。ジミー・カーター大統領は1978年のキャンプ・デイヴィッド合意の交渉にほぼ2週間を費やし、ビル・クリントン大統領も同様の試みを行った。しかも、これは首脳会談以外でこれらの問題に費やした時間は含まれていない。ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ジョー・バイデンの各大統領は、イスラエル関連の問題に数日、場合によっては数週間を費やした。アントニー・ブリンケン国務長官は在任4年間でイスラエルを16回訪問したが、アフリカ大陸全体への訪問はわずか4回だった。トランプ大統領でさえ、イスラエル問題から距離を置くこと、あるいはイスラエル政策を部下に完全に委任することは不可能だと悟った。大統領、上級顧問、その他の高官がこれらの問題に費やす時間は、アメリカの安全保障と繁栄にとってより直接的に重要な問題に取り組むことができない時間となる。

だからこそ、私をはじめとする多くの人々は、イスラエルの規模と戦略的重要性、そしてアメリカの国益との合致を考慮し、アメリカがイスラエルと正常な関係を築くべきだと繰り返し訴えてきた。正常な関係においては、ワシントンはもはやアメリカとイスラエルの国益が同一であるかのように装うことはなくなるだろう。イスラエルがアメリカにとって望ましい行動をとれば、アメリカはイスラエルを支持するだろう。もしイスラエルがアメリカの意向に反する行動、例えば占領地における入植地の拡大といった行動をとれば、アメリカはイスラエルに強く反対するだろう。

イスラエルは歴史的起源、キリスト教徒による長く悲劇的な反ユダヤ主義の歴史、ホロコーストの遺産、そして非常に紛争の多い地域に位置していることから、通常の国ではないため、通常の関係は意味がないと主張する専門家たちもいるかもしれない。おそらくそうだろうが、2025年においては、イスラエルが「正常(normal)」ではない点は、実際にはアメリカの支援を維持するのではなく、むしろ縮小する理由となる。イアン・ラスティックが最近指摘したように、イスラエルはイスラエルの政治学者イェヘズケル・ドロールの「狂った国家(crazy state)」の定義にますます当てはまるようになっている。狂った国​​家とは、(1)しばしば他者に害を及ぼす攻撃的な目標を追求する、(2)そのような目標に対して極めて過激な関与を示す、(3)不道徳な行為を厭わないにもかかわらず、道徳的優越感を広く示す、(4)そのような目標を追求するために論理的な手段を合理的に選択する能力を持つ、(5)それらを追求するのに十分な能力を持つ、というものである。ラスティックの見解では、イスラエルの現状を決定づける重要な要因の一つは、「アメリカ政権が歴代のイスラエル政府にほぼ無条件の支援を与えてきたこと()has been the nearly unconditional support which American administrations have given to Israeli governments」であり、彼はその原因を「ワシントンにおけるイスラエルロビーの圧倒的な政治力(the Israel lobby’s super-abundant political power in Washington.)」にあると指摘する。

この立場は「反イスラエル(anti-Israel)」と言えるだろうか? 決してそうではない。無条件の支援はアメリカにとって有害で​​あり、イスラエルにとっては災難である。イスラエルは海外からの支持を失い、国内では分裂が深まり、メシア的右派(the messianic right)への傾倒がますます強まり、高学歴で経済的に流動的なエリート層の国外流出に苦しんでいる。「寛容な正常化(benevolent normality)」政策は、たとえそれがAIPAC、アメリカ・シオニスト機構、イスラエルのためのキリスト教徒連合、その他、特別な関係を維持し、イスラエルを現在の窮状に陥れ、何百万人もの不本意なパレスティナ住民に多大な苦痛を与えることを可能にしてきた団体の利益にならないとしても、長期的にはアメリカにとってもイスラエルにとってもより良いものとなるだろう。要するに、永続的な平和を望むなら、イスラエルとのより正常な関係が必要だ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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 古村治彦です。

 イラン戦争は停戦状態となって二週間以上が経過した。その間に和平交渉が行われたが、合意には至らなかった。現在は動きが見えない状況にある。アメリカのドナルド・トランプ大統領は暴言を発したり、引いてみたりと尻尾を掴ませないように、世界を煙に巻いている。和平交渉はいきなり代表同士が会って話すものではない。双方の事務当局、外務担当の職員たちが条件を話し合いながら、叩き台を作っていく。現在はその作業が進められているのだろうが、双方の最高幹部クラスの意向が全く嚙み合わなければ、叩き台作り作業も難航するだろう。

 アメリカとしてはイランの核兵器製造能力を完全に除去したいというところだ。イランは体制の継続保証が欲しいところだ。ここにイスラエルの意向も絡んでくるので、話が複雑になる。また、現状では、イランのほうが有利な立場を保持しているという感じになっている。総合格闘技の試合を見た人は多いだろうが、体格が大きくて強い選手が相手を打撃で倒して上から覆いかぶさったところで、倒された選手が下から関節技や首の絞め技(チョークスリーパーなど)でかえって相手からギヴアップを奪うということがあるが、現状はそれに近い。アメリカとイスラエルの大規模空爆で、イランは大きな被害を受けた(最高指導者アリ・ハメネイ師まで殺害された)が、世界にとって重要なチョークポイントであるホルムズ海峡を封鎖する(絞め上げる)ことで、世界経済とアメリカ経済に悪影響を与え、対抗している。アメリカは戦闘(battle)で勝っているが、戦争(war)には負けているという状態になっている。

このような状況で、イランは簡単に妥協しない。そして、アメリカに消耗を強いて、嫌気がさすまで長引かせることによって、かえってアメリカから妥協や良い条件を引き出すという目論見を持っている。これは、大国と小国の間や宗主国と植民地の間などの、非対称的な戦争において採用されてきた戦略である。事態を打開しようとして、更に強硬な作戦、核兵器の使用や地上軍の投入を行えば、泥沼(quagmire)にはまり、事態は悪化してしまう。そのこともヴェトナム戦争が示している。イラン戦争は開始されるべき戦争ではなかった。そのことはトランプ以外のトランプ政権とアメリカ政府の最高幹部クラスは分かっていたが止められなかった。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の懐柔策と操縦が見事にはまり、トランプ大統領はイラン攻撃を決定した。この経緯については、このブログでもすでにご紹介した。

 トランプは長所である、自分の言葉や過去の行動に縛られない、無反省と定見のなさで、ピート・へぐセス国防長官当たりに開戦の責任を押し付けて更迭し、和平合意にゴーを出すべきだ。そして、外交政策はJD・ヴァンス副大統領に任せるようになって欲しい。その代わり、アメリカと世界は、トランプをあやすために、最高の栄誉や賞賛を与えるということはやるべきかもしれない。ノーベル平和賞を与えるのもその一つの方策かもしれない。

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今、イランが主導権を握っている(Iran Is Calling the Shots Now

―テヘランはヴェトナムにおけるホー・チ・ミンの戦略に従っている。

マイケル・ハーシュ筆

2026年4月23日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/04/23/iran-united-states-vietnam-trump-oil-war/

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テヘランで行われた式典で、故アリ・ハメネイ師(左上)と新最高指導者モジタバ・ハメネイ師の肖像画の下で敬礼しているイランの男子生徒(2026年4月1日)

イランはまだ「もう一つのヴェトナム(another Vietnam)」ではない。アメリカ軍地上部隊が耐え難いほどの犠牲者を出している訳でもなく、週ごとの死者数を報じる見出しもなく、アメリカ国内の街頭で大規模な反戦デモが起きている訳でもない。そしてもちろん、打ちのめされたリンドン・ベインズ・ジョンソンではなく、現アメリカ大統領ドナルド・J・トランプは、この戦争に参戦してまだ数カ月しか経っていないと誇らしげに語っている。ちなみにヴェトナム戦争については「即座に(very quickly)」勝利できたはずだと豪語している。

しかし、テヘランがドナルド・トランプ大統領にかけている圧力は、ヴェトナム戦争でジョンソン大統領を困惑させた圧力と非常によく似ているように感じられる。具体的に言えば、それは北ヴェトナムの象徴的指導者ホー・チ・ミンが執拗に追求した勝利戦略(the winning strategy)に酷似している。

戦争の早期終結に向けた協議を拒否し、トランプ大統領に停戦を無期限に延長するよう迫ることで(大統領は数日前までは延長しないと断言していた)、イラン指導部(それが誰であれ)はホー・チ・ミンの戦略を踏襲しているように見える。

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クアンチ省近郊のある地域で、ヴェトナム戦争でこの地域で戦死した兵士たちを追悼するアメリカ第一騎兵師団の兵士たちが礼拝を行う野外礼拝堂として利用されている

ホー・チ・ミンと、1960年代に彼の後継者となったレ・ズアンは、西側帝国主義国家であるフランス、そしてアメリカという二つの勢力を打ち破った。彼らは、テヘランが理解していると思われる事実、すなわち、どれほど強力な侵略者であっても、遠く離れた地からの侵略者は、自分たちよりもずっと早く戦争に飽きるということ(Aggressors from far away, no matter how powerful, will tire of war well before you do)を理解していた。ホーは1946年、フランスの植民地主義者たちにこう言い放った。「私たちがあなた方の兵士を一人殺すごとに、あなた方は私たちの兵士を一人殺すかもしれない。しかし、たとえそのような不利な状況でも、あなた方は負け、私たちは勝つだろう」。

そして、テヘランが今トランプ大統領を屈辱に陥れているように、ジョンソン大統領のますます切迫した交渉要請を繰り返し拒否したのも、ホーとレ・ズアンだった。 1967年にジョンソン大統領に宛てた書簡の中で、ホー・チ・ミンは「アメリカの爆撃およびその他のあらゆる戦争行為の無条件停止(the unconditional cessation of U.S. bombing raids and all other acts of war)」が実現するまで交渉に応じるつもりはないと明言し、「ヴェトナム国民は決して武力に屈服せず、爆撃の脅威の下での交渉も決して受け入れない(Vietnamese people will never submit to force, they will never accept talks under threat of bombs)」と付け加えた。

1960年代、ジョンソン大統領は軍事会議でハノイの頑固さを度々非難し、ローリングサンダー作戦から始まった空爆の強化と継続的な爆撃作戦がなぜ北ヴェトナム指導部を交渉のテーブルに着かせることができなかったのかと疑問を呈した。「彼らは決して諦めないだろう(I don’t believe they’re ever going to quit)」と、ある時、ロバート・マクナマラ国防長官に語った。

同様にイランでも、トランプ大統領が「深刻な分裂状態(seriously fractured)」と呼んだ指導部の兆候が見られるものの、モハマド・バゲル・ガリバフ国会議長は、テヘランは「脅迫の下での交渉は受け入れない(not accept negotiations under the shadow of threats)」と宣言した。今週、イランの交渉担当者はトランプ大統領とJD・ヴァンス副大統領をホワイトハウスで不安げに待たせたままだった。結局電話はかかってこなかった。さらに、イスラム革命防衛隊(IRGC)の指揮官たちよりも穏健派とされるガリバフは、テヘランは停戦を利用して「戦場で新たな切り札を見せる(to reveal new cards on the battlefield)」準備をしていると述べた。

トランプ大統領は4月21日、トゥルー・ソーシャル上で「イラン側からの提案が提出されるまで停戦を延長する(extend the Ceasefire until such time as their proposal is submitted)」と発表した。つまり、イランが主導権を握っているように見えるということだ(Iran now seems to be calling the shots)。

ハーヴァード大学ケネディ・スクールのグローバル・ヴェトナム戦争研究イニシアティヴの共同創設者兼ディレクターであるハイ・グエンは、「ヴェトナム戦争終結から50年、アメリカはイランとの戦争で再び同じ過ちを繰り返している」と述べた。

「ヴェトナム戦争時のヴェトナムと同様に、非対称戦争(an asymmetric war)において、イランはアメリカが想像もできないほどの優位性を持っている」とグエンは私に語った。彼は続けて次のように述べた。「イランは、アメリカが何千トンもの爆弾を投下することはできても、長期戦に耐えるだけの忍耐力がないことを理解している。ヴェトナムの革命家たちと同様に、イランは国家資源に関して多大な犠牲を払ってでも長期戦を戦う覚悟ができているようだ。言い換えれば、イランはアメリカにとってのアキレス腱を理解している(Iran, in other words, understands the Achilles’ heel of the U.S)」。

「これが降伏の姿だ」と元NATO米大使のイヴォ・ダールダーはブログ記事に書いた。「停戦を望んだのはトランプ大統領だった。さらなるエスカレーションをしてしまうと、イランが譲歩しないと悟り、戦争継続(長期化)による経済的・政治的な影響を恐れたからだ。もしトランプ大統領が停戦を無期限に延長するなら、イランはそれで構わない。現状では、あらゆる面で優位に立っているのはイランであり、トランプ大統領ではない。アメリカ大統領に残された唯一の切り札は、望まない戦争を再開することだけだ(The US president’s only card is restarting a war he doesn’t want)。一方、イランは残りの切り札を全て握っている(Meanwhile, Iran holds the rest of the cards)」。

指導部の大部分が壊滅したにもかかわらず、イラン・イスラム共和国はホルムズ海峡へのアクセスを掌握しており、そのコントロールをさらに強めているようだ。今週、複数の船舶を拿捕し、アメリカの海上封鎖をかいくぐって航行している。『フィナンシャル・タイムズ』紙は、貨物追跡会社ボルテクサの情報として、火曜日時点でイラン関連の石油タンカー約34隻が海上封鎖を通過したと報じている。

一方、米国防総省国防情報局長官ジェイムズ・H・アダムス海兵隊中将は、連邦議会証言の中で、イランが「数千発」のミサイルと無人攻撃機を保有していることを認めた。CBSは4月22日、4月8日の停戦開始時点で、イランの弾道ミサイルと発射システムの備蓄の約半分が依然として無傷であり、海峡の混乱に用いられるイスラム革命防衛隊(IRGC)海軍部隊の約60%も同様に無傷で残っていると報じた。

これらの数字は、停戦開始当日に「壮大な怒り作戦は戦場における歴史的かつ圧倒的な勝利だった」と宣言したピート・ヘグセス国防長官の発言と矛盾する。

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左:1964年4月26日、ワシントンで行われた記者会見で発言するロバート・マクナマラ米国防長官。背後には、様々な軍事施設を示すヴェトナムの地図が掲げられている。

右:3月2日、ピート・ヘグセス米国防長官が、ワシントンのペンタゴンで行われたイランにおけるアメリカ軍の軍事行動に関する記者会見で発言している。

実際のところ、現在、ヴェトナム戦争を最も彷彿とさせるのは、ヘグセス長官による日々の戦場での勝利宣言だろう。彼は、ヴェトナム戦争でアメリカが勝利していると国民を繰り返し欺いた「ベスト・アンド・ブライティスト(best and brightest)」マクナマラ元国防長官の漫画版のような存在だ。マクナマラは「死者数(body counts)」などの戦場における消耗戦の統計的証拠を引用することで悪名高かった。同様に、ペンタゴン職員から「愚かなマクナマラ(Dumb McNamara)」というあだ名をつけられているヘグセス長官も、破壊したミサイル、発射装置、艦船の数、そして殺害した指導者の数を挙げることで、イランにおけるワシントンの「決定的な軍事的勝利(decisive military victory)」を数値化することに熱心だ。

しかし、それはもはや1、2カ月前ほど重要ではなくなっている。1969年のヴェトナム和平に関するパリ会談について、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官は次のように記している。「私たちは軍事戦争(a military war)を戦ったが、敵は政治戦争(a political one)を戦った。私たちは物理的な消耗戦(physical attrition)を狙い、敵は私たちの心理的な疲弊(psychological exhaustion)を狙った」。

ヴェトナムは、アメリカがヴェトナム国内で十分な消耗戦を成功させるずっと前に、ワシントンにおける敵の疲弊をすでに達成していた。その結果、会談開始時にハノイは妥協を許さない姿勢を取り、キッシンジャー自身も南ヴェトナム陥落前に「和平は間近だ(peace is at hand)」と誤った宣言をするに至った。

The Vietnamese achieved exhaustion of their enemy in Washington well before the Americans

現在、イランでも同様の力学が働いている可能性がある。おそらく主な違いは、イランがホルムズ海峡を封鎖することで、経済攻撃と政治戦争の両方でトランプ大統領を急速に疲弊させようとしている点だろう。特に中間選挙まであと6カ月という時期に、これはトランプ大統領と彼の党に深刻な打撃を与える可能性がある。

「テヘランはハノイと同じ計算をしている可能性が高い。つまり、アメリカの空爆による懲罰を耐え忍び、真剣な交渉を拒否すれば、長期化する決着のつかない戦争(protracted indecisive war)に対するアメリカ国民の支持は徐々に低下し、ワシントンは交渉でより多くの譲歩を迫られることになるだろう」と米海軍兵学校の歴史家ブライアン・ヴァンデマークは述べている。

ヴェトナム戦争は経済的にもジョンソン大統領に打撃を与えた。戦争支出はジョンソン大統領と彼が熱望した「偉大な社会(Great Society)」プログラムにとって財政危機を招き、最終的には高インフレと民主党の壊滅的な選挙敗北につながった。

しかし、イランが握っている支配力(the chokehold)は、かつてホー・チ・ミンが享受していたものよりもはるかに強固で、即座に効力を発揮し、世界中のエネルギー価格を高騰させている。国際通貨基金(IMF)によると、ホルムズ海峡の封鎖は既に史上最悪の石油供給途絶(oil supply disruption)であり、世界的な景気後退につながる可能性がある。

それでも、株式市場をはじめとする各種指数は堅調に推移しており、トランプ大統領は劣勢を示唆する様子を全く見せていない。まるで時間には余裕があるかのように振る舞っている。4月21日のCNBCのインタヴューで、トランプ大統領は第一次世界大戦以降のアメリカの過去の戦争への関与に関する疑わしい数字を羅列し、現在の紛争はまだ「5カ月」しか経っていないと主張した(実際には3カ月程度)。「ヴェトナム戦争はもっと早く勝てたはずだ。もし私が大統領だったら、イラク戦争も私たちが勝利したのと同じ期間で勝てたはずだ。なぜなら、私たちはここで実質的に勝利したのだから」と彼は述べた。

しかし、今のところ、勝利したと言えるものはほとんどないようだ。

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テヘランでイスラエルとアメリカの共同攻撃現場を清掃する作業員たち(4月7日)

大国が小国に侵攻しすぎると、911以降、ワシントン自身も痛感したように、大国が犯す戦略的な過ちはあまりにもよくある。実際、トランプ政権は、地上部隊の派遣を可能な限り避けることで、イラクとアフガニスタンの泥沼化を回避しようとしてきたことを明確にしている。

アフガニスタンでは、アメリカが20年にわたる断続的な平和維持活動の末に撤退する前、タリバンは「あなたたちは時計を持っているが、私たちには時間がある(You have the watches, but we have the time)」とよく言っていた。ヴェトナム、イラク、アフガニスタンに共通するのは、ヴェトコン、イラクのジハード主義者、タリバンといった民族主義的な抵抗勢力は、強力な外国の占領者でさえも、その存続期間を凌駕することが多いという点だ。

前述のグエンが述べたように、「戦後、マクナマラは、アメリカがヴェトナムで敗北した理由の一つは、ヴェトナムが長年にわたり侵略と戦ってきた歴史を理解していなかったことだと述べた」。

昨年6月、トランプ大統領がイランの核施設に対するアメリカ・イスラエル共同作戦に関与した後、こうした紛争に懐疑的なことで知られるヴァンス副大統領は演説で次のように述べた。「私が『トランプ・ドクトリン(Trump Doctrine)』と呼ぶものは至って単純だ。第一に、明確なアメリカの国益を表明する。この場合、それはイランが核兵器を保有してはならないということだ。第二に、その問題を積極的に外交的に解決しようと試みる。そして第三に、外交的に解決できない場合は、圧倒的な軍事力を用いて解決し、長期戦に発展する前にさっさと撤退する」。

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左:リンドン・B・ジョンソン米大統領はヴェトナム戦争に関する演説の準備のためホワイトハウス閣議室の机上の書類に目を通している

右:ドナルド・トランプ米大統領は3月16日、ワシントンDCのホワイトハウス大統領執務室で書類に署名する準備をしている

トランプ大統領は、この件に関して明確な目標について言及しておらず、もし最終的にイランを交渉のテーブルに着かせたとしても、アメリカはバラク・オバマ元大統領が2015年に締結した核合意と同様の妥協を受け入れざるを得なくなる可能性が高まっている。これには、イランが保有する核兵器開発寸前の濃縮核物質(Iran’s nearly-bomb-ready enriched nuclear material)をどう扱うかという問題も含まれる。トランプ大統領が破棄する前の合意では、イランは核物質の98%を国外に搬出することが義務付けられていた。現在、トランプ大統領はイランが核物質を引き渡すと主張し続けているが、テヘラン側はそのような譲歩(concession)は一切していないと述べている。

アトランティック・カウンシルのステラティジストC・アンソニー・プファフ退役米陸軍大佐は「強国の利益が限られている場合、弱い国が強い国に勝つケースはよくある。なぜなら、強い国の方が弱い国よりも先に撤退の限界点(its threshold to quit)に達するからだ」と述べた。

プファフは続けて「今回のやり取りもまさにそうだ。たとえ私たちがテヘランに対して、彼らの視点から見て妥当な要求を提示したとしても、彼らはさらなる譲歩を求めるだろう」と語った

※マイケル・ハーシュ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。『資本攻勢:ワシントンの賢人たちはどのようにしてアメリカの未来をウォール街に渡し、我々自身と戦争を行ったのか(How Washington’s Wise Men Turned America’s Future Over to Wall Street and At War With Ourselves)』と『何故アメリカはより良い世界を築くチャンスを無駄にしているのか(Why America Is Squandering Its Chance to Build a Better World)』の2冊の本の著者でもある。Xアカウント:@michaelphirsh

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