古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ユーラシア

 古村治彦です。

 

 中国が発表した「一帯一路」計画については、日本ではあまり報道がなされないようです。話が大きすぎて日本人には理解しづらい面があると思われます。私が子供の頃にNHKで放送された「シルクロード」という番組がありましたが、現代のシルクロードを作るということかな、だけどそれは時代遅れなんじゃないのかという考えもあると思います。


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 一帯一路計画は中国の東岸からヨーロッパ西岸をつなぐ、ユーラシア大陸を横断するためのインフラ建設や整備の一大プロジェクトです。そして、中国はこれを海上輸送、海運、シーレーンにまで拡大しようとしています。具体的には、海上輸送ルートでヨーロッパと中国をつなぐということになります。

 

 中国政府はそのために海運企業コスコとチャイナ・マーチャンツ・ポーツに多額の融資を行い、シーレーンの整備と世界各地の港湾施設の管理運営権を積極的に取得(買収)させています。ヨーロッパの港湾施設の10%は中国の管理下にあるという数字が出ています。

 

 一帯一路計画が進められる中で、日本はどのような立ち位置を取るか、で将来の展望も変わってくるでしょう。太平洋でアメリカとつながり、中国とは至近距離にある日本ですが、アメリカ偏重ばかりでは、世界の半分での活躍の機会を失いかねません。「中国を敵とする」という単純極まりない思考では日本はますます縮小の道を進むことになるでしょう。

 

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なぜ中国はヨーロッパ各地の港湾施設を買い続けているのか?(Why Is China Buying Up Europe’s Ports?

-中国国有の港湾管理大企業が中国政府の推進する「一帯一路」プロジェクトの最前線で激しく活動している

 

キース・ジョンソン筆

201822

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2018/02/02/why-is-china-buying-up-europes-ports/?utm_content=buffer5fefe&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

「一帯一路」計画は中国が何兆ドルもの資金を投入する外交政策の目玉プロジェクトだ。しかし、この計画は実際には何も進んでいない、目に見えない曖昧なものだと揶揄されることが多い。

 

シンガポールから北海までの各港湾は活発に活動している。これらの港で、中国の国有企業が一帯一路計画を現実のものにしている。これらの企業は積極的にこれらの港湾施設を買収している。中国企業による買収によって、世界貿易と政治的な影響力の姿が現実的に書き換えられようとしている。

 

「コスコ・シッピング・ポーツ(中国遠洋運輸集団)」と「チャイナ・マーチャンツ・ポート・ホールディングス(招商局港口控股有限公司)」は資金豊富な中国の巨大企業だ。両社は先を争うようにして、インド洋、地中海、大西洋沿岸の各港湾施設を購入している。先月もコスコはベルギー第二の規模を誇るゼーブルージュの港湾施設の買収の最終合意にこぎつけた。ゼ―ブルージュは北東ヨーロッパにおける中国の最初の橋頭堡となった。

 

これまでも数年間にわたり、スペイン、イタリア、ギリシアといった国々の港湾施設の買収が進んでいた。中国の国有企業は国内市場に縛り付けられていたが、今やヨーロッパの全港湾の10%をコントロールするまでになっている。

 

港湾施設の買収契約は、中国政府の野心的な計画を明確に表すものだ。中国政府は、中国とヨーロッパを海路、道路、鉄道、パイプラインで物理的につなげる計画を持っている。港湾は一帯一路計画における海の半分の基礎をなすものだ。中国がコントロールする港湾は南シナ海からインド洋、スエズ運河を通ってヨーロッパの南半分にまで達している。

 

海事コンサルタント会社ドロウリー社で港湾施設担当上級アナリストを務めるニール・デイヴィッドソンは次のように語っている。「コスコのような企業にとって、港湾施設購入契約は財政的に無理のないものである。そして、中国政府の幹部たちを喜ばせるものだ。それは、中国政府の掲げる一帯一路計画に沿ったものであるからだ。こうした動きの下にあるのは地政学的な思惑だ」。

 

現代の商業の力を手に入れることは、中国が通常の状態だと考える状態に戻るための方法なのだ。西洋諸国によって与えられた中国の屈辱の世紀、それは中国の各港をヨーロッパ諸国の戦艦によって強引に開港させられたことで始まった。この状態から脱却するためには商業的な力を手に入れることが必要だと中国は考えている。

 

オランダ国際関係研究所の中国専門家フランス=ポール・ヴァンダー・パッテンは「究極的な目的は中国の外国依存を低下させ、世界に対する中国の影響力を強めることだ」と述べている。

 

中国の影響力が増していることはヨーロッパでは驚きをもって迎えられている。中国からの投資は天井知らずの状態になっている。ヨーロッパ各国の指導者たちは、中国の習近平国家主席が中国の経済力を政治的な影響力に転換するのではないかという不安を募らせている。コスコは10億ドルを投じて、ギリシアのさびれた港ピレウスの港湾施設を買収した。これについて、中国政府はギリシアを利用して、ヨーロッパ連合による中国の人権状況と南シナ海の行動への非難を弱めさせようとするのではないかという懸念が出ている。

 

現在、中国の国有企業は地中海を進撃している。そして、同時に中央ヨーロッパと東ヨーロッパへの投資も加速させている。こうした動きに対して、懸念が募っている。

 

HISマークイットで酒井各国の港湾を担当しているターロック・ムーニーは次のように語っている。「一帯一路計画に沿った主要な社会インフラへの投資の規模は、ヨーロッパ諸国における中国の政治的な影響が増大している。これは確かなことだ」。

 

中国の海運と港湾企業は海運分野では小規模であった。海運事業分野はAP・モーラー・マースクやハチソン・ポーツのような大企業によって支配されていた。しかし、2016年、中国政府はチャイナ・オーシャン・シッピング(中国遠洋運輸集団総公司)とチャイナ・シッピング・カンパニー(中国海運集団総公司)を合併させ、コスコを発足させた。コスコは海運、港湾管理、その他の輸送事業を手広く行う巨大企業となった。

 

コスコの進撃は止まらなかった。昨年、コスコは昨年60億ドル以上を投じてライヴァル企業であるオリエント・オーヴァーシーズ・インターナショナルを買収した。これによって海運ビジネスにおける地位を固めることに成功した。現在、コスコは、世界最大級の海運企業(ヨーロッパ以外では最大)と世界で最も忙しい港湾管理企業をコントロールしている。

 

港湾に関して言うと、コスコは最大の中国国営企業という訳ではない。チャイナ・マーチャンツ・ポート・ホールディングスの方がより多くの貨物を取り扱い、海外で活発な動きを見せている。ヨーロッパでの港湾施設の買収に加えて、スリランカ、ジブチ、ブラジルでの拠点づくりを進めている。

コスコとチャイナ・マーチャンツはヨーロッパの競合企業に対して有利な点を持っている。中国企業は低利の資金をふんだんに利用して世界中の魅力的な資産を積極的に買収することができる。コスコとチャイナ・マーチャンツは、中国国有銀行から低利の融資を受けることができる。コスコは、中国開発銀行が提供する一帯一路関連融資で数十億ドル規模の融資を受けることが出来る。

 

「貿易と商業の観点からすると、安い金利の貸付金が利用できることと外交上の支援を受けられることで、中国の港湾管理企業はライヴァルとなる投資家たちに競り勝ち、自分たちが選んだ港湾施設を手に入れることが出来るようになるということを意味する」とムーニーは語った。

 

ある港湾が商業的な価値よりも中国政府にとって戦略的な価値がある場合には、財政的な自由度が増す。中国政府が資金を積極的に融資するようになるのだ。ジブチにおけるチャイナ・マーチャンツ担当部分のカーゴ取り扱い量は、昨年前半、世界的な好景気にもかかわらず、減少した。しかし、ジブチは中国政府にとって死命を決するほどに重要な港である。それは、中国国外唯一の中国人民解放軍の基地が置かれ、中国にとって重要なインド洋のシーレーンにとっての拠点となるからだ。


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ジブチの中国人民解放軍基地
 

ムーニーは次のように語っている。「中国政府にとって戦略的な価値がある場合には、中国の企業は商業的な価値がほとんどない、もしくは全くない資産も買収し、投資し続けることが可能だ」。

 

中国の企業による積極的な買収は地政学的な熱狂だけが理由ではない。

 

2016年に世界の貿易取引量が減少し、海運企業も打撃を受けた。コスコは2016年に売り上げを14億ドルも減少させた。しかし、港湾は利益を出している。ドリューイー・デイヴィッドソンは「港湾と流通基地は利益が出る。しかし、海運ビジネスは飛行機会社のようなもので、利幅が薄いのである」と語った。

 

コスコのような企業は投資を行って、さびれていた港湾を巨大な流通基地に変貌させ、利益が出るようにしたいと考えている。コスコはギリシアのピレウスをさびれた港から、ヨーロッパ、中東、アジアをつなぐ流通基地に変貌させた。コスコは、スペインの港湾ヴァレンシアを西地中海、ゼ―ブルージュを北東ヨーロッパの流通基地に変貌させようとしている。

 

中国の拡大のペースはヨーロッパ経済にとって重要な要素となっている。港湾だけではなく、エネルギー産業とハイテク産業の分野でも重要になっている。ヨーロッパ各国の指導者たちはイライラを隠せないでいる。

 

欧州委員会委員長ジャン=クロード・ユンケルは、中国という名前は出していないが、港湾のような資産の外国による買収について懸念を表明している。欧州委員会は、国家の安全にかかわるような微妙な分野における外国からの投資を精査するための新しい方策の導入を検討中である。

 

フランス大統領エマニュエル・マクロンは、先月の中国の公式訪問の中で更なる表現を使った。マクロンは中国政府によるヨーロッパ各国の重要なインフラの買収について特に言及し、ヨーロッパ各国の団結によって対処することを呼びかけた。ロイター通信は、マクロンが「中国は、ヨーロッパ諸国の中で中国に門戸を開いている国がある場合に、ヨーロッパ大陸と力に敬意を払うつもりはないだろう。」と発言したと報じている。

 

中国はヨーロッパ各国の成長が期待できる各企業を買収しているが、これには反発もある。2016年に中国はドイツのロボットメイカー・クカを買収した。これは、ヨーロッパ経済が成長するために必要な最新技術を中国が横取りするのではないかという懸念を引き起こした。

 

オランダ国際関係研究所のヴァンダー・パッテンは、中央ヨーロッパと東ヨーロッパにおける一帯一路計画に沿った港湾契約やその他のインフラ計画は、既にガタガタになっているヨーロッパ連合から政治的に弱い加盟諸国が離脱する危険を伴うものだ、と述べている。

 

ヴァンダー・パッテンは次のように語る。「現在、中国からの投資によって政治的な影響を受けるのかどうかということがより議論されるようになっている。大きな違いは、地中海沿岸諸国は中央ヨーロッパ諸国に対する中国の投資が、これらの国々の中国に対する姿勢に影響を与えるであろうということがすでに議論の前提になっているということだ」。

 

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アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

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 古村治彦です。

 

 今年に入って、中国・上海郊外の義烏市からロンドンまでの貨物輸送鉄道が開通したそうです。7500マイル(約12000キロ)を16日間でつなぐというものだそうです。

 

この鉄道線は、中国が2011年に発表した「一帯一路(One Belt, One Road)」構想の一環であり、この一帯一路構想は、シルクロードと海のシルクロードの再構築、という中国のユーラシア大陸とアフリカ大陸、インド洋を「獲得する」ための大構想です。

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 以下に紹介する文章にもありますが、太平洋でアメリカと日本から受ける圧力を受け流すために、後背地として中央アジア、そして遠くヨーロッパ、アフリカまで包含する大構想です。 

 

 一帯一路構想は鉄道だけではなく、道路やパイプライン、航路でもつながるということであって、まさにこれから、「ユーラシアの時代」がやってくるという予感がします。
 


(貼りつけはじめ)

中国の「新シルクロード」急行、出発進行(
All Aboard China’s ‘New Silk Road’ Express

:太平洋からロンドンまでの中国の鉄道は、アメリカとの関係が緊張を増す中でヨーロッパ志向になっていることを示す

 

ロビー・グレイマー筆

2017年1月4日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2017/01/04/all-aboard-chinas-new-silk-road-express-yiwu-to-london-train-geopolitics-one-belt-one-road/?utm_content=buffer9f622&utm_medium=social&utm_source=facebook.com&utm_campaign=buffer

 

中国の「新しいシルクロード」は輝かしい新しい道を獲得した。中国東部の浙江省からロンドンまでつなぐ鉄道サーヴィスが始まる。中国鉄路総公司は1月2日に、上海市郊外で人口100万を抱える都市である義烏市から初めて貨物輸送列車が出発したと発表した。これは、物流における素晴らしい企てだ。この鉄道は全長7500マイルを誇り、16日間をかけてヨーロッパ各国の大都市や首都をつなぐ。

 

より重要な事は、義烏・ロンドン鉄道線は、中国の「一帯一路」政策という地政学的な野心をあらわにするものだ。この一帯一路政策は、中国と中央アジア、中東、ヨーロッパを繋いだ古代の貿易ルートである「シルクロード」を再び作り上げることを目的にしている。アメリカは中央アジアに安全保障をもたらそうという野心を持っている。そして、米中の貿易関係が悪化し、ドナルド・トランプ次期大統領と彼の政権移行ティームが示しているように、中国に対して厳しい姿勢を取っている。この「新しいシルクロード」は、中国にとってより重要性を増すものとなる。

 

古い貿易ルートであるシルクロードを通じてアジアとヨーロッパを繋ぐという中国の目標は、「ベルト・アンド・ロード・イニシアティヴ」など多くの名前で呼ばれている。これは、世界人口の60%を占める65の国々の間で貿易がやりやすくするということなのである。中国は鉄鋼やセメントといった主要な産業部門で生産力過剰に苦しんでいる。そこで、中国は経済を健全なペースで成長させるために必要な新たな市場を探している。

 

ブルガリアの財務大臣や世界銀行幹部を歴任したシメオン・デジャンコフは、「中国は、自国の労働力と建設資材を輸出しているのだ」と述べている。

 

また、中国の国営銀行はそれぞれ、輸送と建設インフラのために2500億ドルの融資を行っている。ピーターソン国際経済研究所の報告によると、「一帯一路」プロジェクトに対する投資は最大で4兆ドルにまで達すると見込まれている。

 

この鉄道はお金の面だけではなく、中国の外交政策にとっても僥倖である。オランダ国際関係研究所の欧中関係専門家であるフラン=ポール・ヴァンダー・パッテンは、「新しいシルクロードは、中国が外交政策面で持っている多くの目的を混合して含んでいる」と述べている。ヨーロッパと環インド洋地域のエネルギー、鉄道、港湾に対する中国の投資は、経済的な利益よりも地政学的な利益を中国にもたらす可能性が高い。

 

ヴァンダー・パッテンは「投資によって、中国はアジア、アフリカ、ヨーロッパでの外交的な影響力を強めることができる。東アジア地域でアメリカと日本から受けている地政学的な圧力に対してそれで対抗することができる」と述べている。

 

中国は、アメリカとの関係が緊張感を増していく中で、ここ数年、国内消費を増加させようとしているが、現在でも輸出に依存している。このプロジェクトは中国にとってさらに重要になっていくことだろう。トランプは自由貿易を声高に批判し、自分の周りに中国を叩く経済学者や貿易に関するアドヴァイザーを集めている。彼らは中国がアメリカ経済を苦しめていると非難している。このことは中国の指導者たちを心配させている。アメリカ貿易通商代表部によると、2015年の米中の貿易関係は合計で6594億ドルに達するものとなっている。

 

アメリカが関税率を上げ、通貨戦争を起こすようなことがあると、ヨーロッパに向けた新しいシルクロードは、中国にとっての格好の避難所となるだろう。

 

デジャンコフは次のように述べている。「トランプ次期政権が貿易面で厳しい態度を取ると、中国は、“ヨーロッパは我々にとっての主要な貿易パートナーである”と言ってインフラを建設することになるだろう」。

 

鉄道輸送サーヴィスは大量輸送の面で最も効率的な輸送方法ではない。しかし、中国鉄路総公司は、ドイツのハンブルク、イタリアのミラノ、スペインのマドリッド向けの鉄道輸送サーヴィスを提供している。義烏・ロンドン鉄道線はコンテナ200個しか輸送できない。巨大な輸送船ならば2万個のコンテナを運べることを考えるとこの数は大変に小さい。しかし、ある種の財物であれば十分に利益を出せるものである。

 

イギリスに本社を置く輸送サーヴィス会社ブリューネル・プロジェクト・カーゴ社のマイク・ホワイトは、「ロンドンまでの鉄道輸送は、海上輸送に比べて半分の距離で済み、空路輸送に比べてコストを半分にできる」と述べている。ブリューネル・プロジェクト・カーゴ社は義烏・ロンドン鉄道線に参加している。ホワイトは、「義烏・ロンドン鉄道線の実現によって、中国との輸出入にかかわる輸送業者や荷主の多くが輸送方法について考え方を変えることになるだろう」と述べている。

 

義烏・ロンドン鉄道線は象徴的な記念碑的事業となっている。前出のデジャンコフは、「“一帯一路”構想が2011年に初めて発表された時から、この構想はヨーロッパの中心とロンドンにつながることを目的とした計画となって具体化したし、それが実現しつつある」と述べた。

 

経済大国であるイギリスは、2014年だけで6630億ドル分の輸入を行った。イギリスは、中国の輸出を基盤とした経済にとって魅力的な対象となる。ここ数年、中国はイギリスの産業とエネルギーに対する投資を増加させている。そして、中国は少なくともつい最近までは、世界第二位の経済大国への経済的なアクセスを熱望するイギリスの指導者たちから熱烈な歓迎を受けた。EU離脱後にヨーロッパとの貿易における優位を失う可能性が出てきたことで、イギリスは、中国との貿易関係を更に深めたいという希望を持つようになるだろう。

 

「一帯一路」はただ鉄道だけのことではない。「帯」は中央アジアを貫く道路とパイプラインを含む陸上のつながりを意味するものだ。「路」は、中国産の絹をローマ帝国各地の市場に送るためにインド洋で開拓された古い海のシルクロードを再び作り出すことを意味している。

 

しかし、中国の習近平国家主席は鉄道投資を最優先政策としている。国有鉄道に2020年までに5030億ドルを投資し、規模を拡大して、新たな輸出市場につなげようとしている、とブルームバーグは報じている。デジャンコフは「鉄道は新しいシルクロードにとって最重要の構成要素となる」と語っている。

 

迎える側となるヨーロッパは、義烏・ロンドン鉄道線が提供するであろうサーヴィスについて歓迎している。特に経済的に遅れていて、輸送、エネルギーなどに投資を必要としているヨーロッパ内部の周辺部は熱いまなざしを向けている。

 

ヴァンダー・パッテンは、中国の新たな鉄道ザーヴィスによって資金を得られることになるので、「ヨーロッパ各国の政府と企業は鉄道サーヴィスに対して大きな期待を持っている」と語っている。

 

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(終わり)



アメリカの真の支配者 コーク一族
ダニエル・シュルマン
講談社
2016-01-22




 

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