古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:リチャード・グレネル

 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ前大統領が今年の大統領選挙に当選し、二期目の政権を発足させると、前政権に参加していた人物たちが政権入りすると見られている。外交・安全保障関係で言えば、下記論稿にあるように、国家安全保障問題担当大統領補佐官を務めたロバート・オブライエン、国家情報長官を務めたジョン・ラトクリフ、元駐ドイツ米大使リチャード・グレネル、前政権で情報機関や国防コミュニティで複数の役職を歴任したカッシュ・パテルといった人々の名前が挙がっている。彼らはトランプに対して忠誠心を持っている人物たちだ。
robertobrien101
ロバート・オブイエン
johnratcliffe001
ジョン・ラトクリフ
richardgrenell001
リチャード・グレネル
kashpatel001
カッシュ・パテル

 トランプ政権が発足すれば、ウクライナ戦争に関しては、少々強引にでも停戦に持っていくだろう。ロシアのウラジーミル・プーティン大統領と、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領の両方と話ができるのはトランプだけだ。ウクライナにしてみれば、自国に不利な条件での停戦を求められる可能性が高い。ゼレンスキー大統領が常々述べている、1991年の独立時点での国土の奪還はもともと無理な話だったが、それを公約にしてしまっている以上、それができずに停戦となれば、ゼレンスキーは退陣するしかない。その後にはゼレンスキーと周辺人物たちの汚職や腐敗が捜査され、逮捕拘留ということにもなるだろう。ゼレンスキーに停戦を飲ませるには、免罪を確約しておく必要もあるだろう。
 イスラエルも似たような状況である。ベンヤミン・ネタニヤフはガザ地区での攻撃を強めながら、同時にレバンンのヒズボラ、更にはイランとの全面戦争という危険な賭けをしている。ネタニヤフも戦争の状況が落ち着いて停戦となれば、自身の汚職スキャンダルのために、逮捕は免れない。ここのところはゼレンスキーと同様だ。
 このように、脛に傷を持つゼレンスキーとネタニヤフという2人の指導者がアメリカの権力の空白、現職大統領の無力化の隙を突いて、戦争の規模を拡大させようとしている。トランプが大統領になれば、この2人に対して圧力をかけつつ、落としどころを見つけるために交渉をすることになるだろう。

 アメリカが世界の警察官であることはもう無理な話になっている。単独で行動することはできない。従って、同盟諸国には過重な負担を強いてくることになる。日本も例外ではない。ここで、日本をはじめとする同盟諸国は負担と自国の国力と周辺環境が見合っているのかということを真剣に考えねばならない。これまではある意味ではアメリカにおんぶにだっこで良いとなって、真剣に考えてこなかった。だから、コスト意識も薄く、簡単に戦争だ、なんだと考えもなく言うことができた。

しかし、今の西側諸国で戦争に耐えられるだけの経済力を持っている国がどれだけあるか。防衛力強化のための増税にどれだけ耐えられるか。それならば、戦争に至らないように、周辺諸国との交渉チャンネルをキープし、対応人材を教育し、「外交(交渉)が主」という意識に変化していくことが重要だ。そのための、アメリカのトランプ政権誕生ということになれば、世界の構造も大きく変わっていく。

トランプという人は、自覚はないだろうが、アメリカ衰退に対応し、何とか幕引きをするための人物である。そして、アメリカ一極から米中二極、更には多極へと向かう中で、アメリカを世界の超大国から普通の大国にしていく過程の中で生み出された人物である。私たちにこれまでの外交の常識に疑問を持たせて、新しい形を考えるきっかけを与える人物なのである。

(貼り付けはじめ)

トランプは中国、NATO、ウクライナに対するアメリカの外交政策を再構築するために忠誠心を持つ人間たちを配置するだろう(Trump would install loyalists to reshape US foreign policy on China, NATO and Ukraine

グラム・スラッテリー、サイモン・ルイス、イドレス・アリ、フィル・スチュワート筆

2023年12月19日

ロイター通信

https://www.reuters.com/world/us/trump-install-loyalists-reshape-us-foreign-policy-diplomats-gird-doomsday-2023-12-18/#:~:text=Those%20advisers%20include%20John%20Ratcliffe,the%20intelligence%20and%20defense%20communities

12月18日、ワシントン発(ロイター通信)。ドナルド・トランプは二期目で、国防総省、国務省、CIAの要職に忠誠心を持つ人物を据える可能性が高く、彼らの主な忠誠はトランプに対してであり、一期目の大統領時代よりも、より自由にアイソレイショニスト的政策や気まぐれな政策を制定できるようになるだろう。20名近くの以前の、そして現役の側近や外交官たちに取材して明らかになった。

その結果、トランプが大統領になれば、ウクライナ戦争から対中貿易に至るまで、アメリカの姿勢を大幅に変更することが可能になり、外交政策を実施する(時には制約する)連邦機関にも変更を加えることができると側近や外交官たちは語った。

トランプは、一期目の大統領時代に、自分の計画の一部を遅らせたり、棚上げしたり、説得して止めさせたりする政府高官に対してしばしば不満を表明した。マーク・エスパー元国防長官は回想録の中で、アメリカの最大の貿易相手国であるメキシコの麻薬カルテルに対するミサイル攻撃というトランプ大統領の提案に二度異議を唱えたと述べた。トランプはこのことに関してコメントしていない。

今年の選挙戦での提案の中で、トランプはメキシコのカルテルに対してアメリカ軍特殊部隊を配備すると述べているが、これはメキシコ政府の賛同を得られそうにない。

もしトランプが再び政権に返り咲けば、トランプはヨーロッパへの国防援助を削減し、中国との経済関係をさらに縮小させるだろうと側近たちは語った。

ロバート・オブライエンは、トランプのトップ外交顧問の一人であり、トランプと定期的に話をしているが、NATO諸国が国内総生産の少なくとも2%を国防費に充てるという約束を守らなかった場合、貿易関税を課すことが、トランプの大統領2期目の任期中に検討される政策の1つになるだろうと述べた。

トランプ陣営はこの記事についてコメントを控えた。

トランプと会話した4人の関係者の話によると、2016年の大統領選に向けての準備段階とは異なり、トランプは定期的に話し合う安定した人々、外交政策の経験が豊富で個人的な信頼を寄せる人々を育ててきたという。

これらの顧問には、トランプ政権最後の国家情報長官ジョン・ラトクリフ、元駐ドイツ米大使リチャード・グレネル、元トランプ政権のスタッフで情報機関や国防コミュニティで複数の役職を歴任したカッシュ・パテルが含まれる。

これらの人々は誰もインタヴュューの依頼に応じなかった。

これらの非公式な顧問たちの具体的な政策はある程度異なるものの、大半は退任以来トランプを声高に擁護しており、アメリカがNATOとウクライナの両方を支援するために多額の費用を支払っているとして懸念を表明している。

●「終末オプション」("DOOMSDAY OPTION"

トランプは共和党大統領候補指名争いで圧倒的なリードを保っている。トランプが共和党の大統領選挙候補者となり、来年11月に民主党のジョー・バイデン大統領を破れば、国内外で権力の行使方法についてより精通した、より大胆になったトランプを世界が目にする可能性が高いと現・元側近たちは述べた。

この見通しを受けて、外国資本はトランプの2期目がどのようになるかについて情報を求めて争っている。トランプ自身は、ウクライナ戦争を24時間以内に終わらせるといった大まかな主張以外に、次回どのような外交政策を追求するかについてほとんど手がかりを提供していない。

ロイター通信がインタヴューしたヨーロッパ諸国の外交官8人は、トランプ大統領が北大西洋条約機構(NATO)同盟諸国を守るという、アメリカの公約を尊重するかどうか疑問があり、ロシアとの戦争が継続中であるが、ウクライナへの援助を打ち切るのではないかとの深刻な懸念があると述べた。

デリケートな問題のため匿名を条件に語ったワシントン駐在の北ヨーロッパの外交官の1人は、トランプ元大統領が2021年にホワイトハウスを去った後も、同僚たちとともにトランプの側近らと会話を続けていたと語った。

この外交官は次のように述べた。「そうした内輪の話の内容は、『私たちには統治する準備ができていなかった。次回は違うやり方をしなければならない』というものだった。2017年に彼らが大統領執務室に入ったとき、一体何をすればいいのか全く分かなかった。しかし、このようなことは二度と起こらないだろう」。

NATO加盟諸国であるこの外交官とワシントンのもう1人の外交官は、彼らの任務が本国の首都に宛てた外交公電で「終末オプション(doomsday option)」の可能性を概説したと述べた。

これらの外交官たちが外交公電で述べた複数の選挙後の仮説のうちの1つである、仮想シナリオでは、トランプは官僚機構の諸要素を解体し、アメリカの抑制と均衡(checks and balances)のシステムが弱体化するほどに、政敵を追及するという公約を実行している。

取材に応じた外交官は、アメリカ政治に対する外交官グループの見解について次のように述べた。「外交官として、自国の首都に説明しなければならない。『バイデンが再選されれば、アメリカは再建を続けているので、事態はむしろうまくいくかもしれない』と私たちは報告する。そして、トランプについては、穏やかなヴァージョンとなる。一期目の政権を繰り返し、攻撃的なニュアンスを加えたものだ。そして、終末の選択肢があるということを報告する」。

●グローバリズムからの撤退(RETREAT FROM GLOBALISM

トランプ政権で中東担当米国防次官補を務めたマイケル・マルロイは、トランプ前大統領はアイソレイショニストな外交政策に賛同し、トランプと対立する可能性が低い人物を任命する可能性が高いと述べた。

米大統領は、国務省、国防総省、CIAを含む連邦官僚の最上級職に政治任命者(political appointees)を指名する権限を持っている。

マルロイは、「それは主にトランプ大統領への忠誠心に基づくものになると思う。彼が信じる外交政策に対する確固たる信念、それはある種のグローバリスト政策ではなく、アメリカにもっと重点を置いている」と述べた。

トランプ大統領は、自身が支持していたトランスジェンダー軍人の入隊禁止から2018年のシリアからのアメリカ軍撤退の決定に至るまで、1期目に国防総省で任命した自らの任命者たちと多くの問題で衝突した。

トランプ政権で1人目の国防長官を務めたジム・マティスが2018年に辞任した時、元四つ星将軍はトランプとは政策的に大きな違いがあると述べた。マティスはそれらについて明確には述べなかったが、辞表の中で、ロシアのような敵に対して武器を持った距離に保ちながら、NATOや他の同盟諸国との鉄壁の絆を維持する必要性を強調した。

トランプ政権下の元駐スイス大使で、現在は選挙資金集め担当者でトランプと連絡を取り合っているエド・マクマレンは、知人のほとんどの外交官はトランプ大統領に忠実に仕えていたと強調した。

しかし、トランプは2期目の外交政策のトップポストには、不誠実、あるいは反抗的な官僚を選ぶことを避ける必要があることを認識しているとマクマレンは述べた。

マクマレンは「トランプ前大統領は、次期政権の成功には能力と忠誠心が重要であることを強く意識している」と述べた。

マクマレンはトランプ陣営の公式政策サイト「アジェンダ47」によると、トランプ大統領の最高顧問団以外では、潜在的なトランプ政権は「ならず者(rouge)」とみなされる国家安全保障コミュニティの下位レヴェルの関係者を排除する計画だという。

どの政権が誕生しても、中立の官僚組織が存在するアメリカでは、このような措置はほとんど前例がないということになる。

トランプ大統領は、1期目の最後の数カ月間に発令したが、完全に施行されることはなかったが、公務員の解雇をより容易にする大統領令を復活させる計画だと述べた。

今年初めにアジェンダ47で公開されたあまり報道されていない文書の中で、トランプは「真実と和解委員会、新しいタブを開く(Truth and Reconciliation Commission, opens new tab)」を設立し、他の機能の中でもとりわけ「ディープステート(Deep State)」の権力乱用に関連する文書を公開すると述べた。トランプはまた、情報収集をリアルタイムで監視することを目的とした別の「監査(auditing)」機関を創設する予定だ。

トランプは今年初めに新しいタブを開いて、政策ビデオの中で、「国務省、国防総省、そして国家安全保障関連政府機関は、私の政権が終わるころには、まったく違った場所になっているだろう」と述べた。

NATO撤退? 新たな貿易戦争(NATO PULLOUT? NEW TRADE WAR

トランプは大統領2期目の任期中に、中国の最も優遇された貿易立国としての地位(一般的に言えば国家間の貿易障壁を下げる立場)を終わらせ、ヨーロッパ諸国に防衛費の増加を促すと約束した。

ウクライナのロシアとの戦争において、トランプがアメリカによる重要な支援を継続するかどうかは、NATOへの継続的な関与と同様に、準備をしようとするワシントンに駐在するヨーロッパ諸国の外交官たちにとって特に重要である。

バルト諸国のある外交官は「トランプがNATOからアメリカを引き離すか、ヨーロッパから撤退したいという噂がある。もちろん心配な内容に聞こえるが、私たちはパニックには陥っていない」と語った。

NATOの将来に対する懸念にもかかわらず、この記事のためにインタヴューした複数の外交官は、トランプ大統領の1期目の圧力が確かに国防費の増加につながったと述べた。

トランプ政権下で、3人目の国家安全保障問題担当大統領補佐官で、その後トランプを声高に批判するようになったジョン・ボルトンはロイター通信に対し、トランプ大統領がNATOから離脱すると信じていると語った。

このような決定は、75年近く同盟の集団安全保障に依存してきたヨーロッパ諸国にとっては天地を揺るがすものとなるだろう。

他のトランプ政権関係者の3人(うち2人は現在もトランプ氏と連絡を取り合っている)はその可能性を否定し、そのうちの1人は国内政治的な反発に値するものではないだろうと述べた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、このやりとりを知る関係者2人によると、少なくともワシントン駐在の外交官の1人、フィンランドのミッコ・ハウタラ大使が何度もトランプ大統領と直接会話しているということだ。

これらの議論は、フィンランドのNATO加盟プロセスに集中した。ある関係者によると、ハウタラ大使は、フィンランドが同盟に何をもたらし、フィンランドの参加がアメリカにどのような利益をもたらすかについてトランプに正確な情報を確実に伝えたかったということだ。

報道:グラム・スラッテリー、サイモン・ルイス、イドレス・アリ、フィル・スチュワート。追加報道:ジョナサン・ランディ、アーシャド・モハメド、スティーヴ・ホランド。編集:ロス・コルヴィン、ドン・ダーフィー、ダニエル・フリン。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領がジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官を解任しました。ボルトンは自分から辞任したと述べていますが、実質的には更迭、馘首です。

 

 現在、ホワイトハウスの国家安全保障担当ティームで、国家安全保障問題担当大統領補佐官と国家情報長官が空席になっています。国家情報長官はアメリカ政府の各情報機関を統括します。ダン・コーツ国家情報長官は2019年8月15日に辞任しました。国家安全保障問題担当大統領補佐官はトランプ政権発足3年間で3名が辞任しました。

 

 国家安全保障問題担当大統領補佐官と国家情報長官の後任についての予測記事をご紹介します。国家安全保障問題担当大統領補佐官の候補者としてリチャード・グレネル(Richard Grenell、1966年―、52歳)です。現在は駐ドイツ米国大使を務めています。


richardgrenelldonaldtrump001
グレネルとトランプ大統領

 

 グレネルはハーヴァード大学行政学大学院修了後に、複数の共和党の連邦議員のスタッフを務めました。そして、ジョージ・W・ブッシュ政権下の2001年から2008年にかけて、国連の米国代表部の報道官を務めました。この時に2005年から国連大使を務めたジョン・ボルトンの知己を得ました。その後はメディア関係のコンサルタントを務めながら、保守系メディアに出演してきました。2017年にトランプ大統領はグレネルを駐ドイツ米国大使に任命しました。

 

 記事にある通り、グレネルは強硬姿勢でドイツに対してアメリカの要望を次々と押し付けることに成功しており、その剛腕ぶりが評価されて国家安全保障問題担当大統領補佐官起用があるのではないかと言われています。アメリカの利益をイデオロギーよりも優先させることが出来る人物でもあるということも起用の理由となるということです。

 

 マイク・ポンぺオ国務長官はブライアン・フック(Brian Hook、1968年―、51歳)を推すだろうということです。フックは現在イラン担当特使を務めています。フックはコンサルタントを務めた後、ジョージ・W・ブッシュ政権下で国務次官補を務めました。2012年の大統領選挙で共和党候補となったミット・ロムニーの外交顧問を務めました。2017年から1年ほどは国務省政策企画本部長(Director of Policy Planning)を務めました。政策企画本部長は重要ポストであり、これを務めた人物は後により重要な職位に就くことが多いです。フックは介入主義的な考えを持っており、そのために2016年の段階でトランプ大統領を批判したということで、国家安全保障問題担当大統領補佐官起用の可能性は低いのではないかと言われています。


brianhook001
 
フック

 

国家情報長官の候補者としてピート・ホークストラ(Pete Hoekstra、1953年―、65歳)の名前が挙がっています。ホークストラはミシガン州第2選挙区で9期連続当選(1993―2011年)しました。連邦下院議員時代には情報・諜報分野の専門家で、連邦下院情報・諜報委員下院の委員長を務め、民主、共和両党から尊敬を集めていたということです。連邦下院議員引退後は、ヘリテージ財団の研究員を務めました。そして、自身のルーツもオランダということもあり、トランプ大統領からオランダ大使に任命されました。オランダ大使となった後に、反イスラム発言で謝罪に追い込まれました。


petehoekstradonaldtrump001
ホークストラとトランプ大統領

 

 こうした人物たちが国家安全保障ティームに参加することになっても、これまでと何か大きく変わるのだろうかということがはなはだ疑問です。ボルトンと基本的な考えがあまり変わらない人たちのようですから、大きく変わらないだろうと思います。ただ、アジアよりもヨーロッパや中東に強い人たちのようですから、アジア、特に中国に対しての敵対的姿勢は弱まるのではないかと思います。トランプ大統領は中国を宥めるためにボルトンを切ったということになるでしょうが、後任の人たちを見ると、イランには引き続き強硬姿勢ということになるでしょう。

 

 それではイランとアメリカが直接戦うかというとそうでもなくて、イスラエルとサウジラビアが呉越同舟の形でイランと戦うということになるのではないかと思います。サウジアラビアの石油製造施設がドローン攻撃で破壊されたということですが、イランのバックにはドローン技術を急速に発達させている中国がおり、支援するということになります。お互いにドローンを飛ばし合い、ミサイルを飛ばし合うということになるでしょう。

 

 アメリカにはそれを止める力があるとは思えません。こうして世界の秩序の再編成が始まっていくのではないかと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

ボルトン退任後のトランプ政権の安全保障担当ティームに入るであろう2人の人物の名前(Two names who would give Trump an all-star security team after Bolton

 

ジョン・ソロモン筆

2019年9月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/national-security/460829-two-names-who-would-give-trump-an-all-star-security-team-after-bolton

 

トランプ大統領が好きであっても嫌いであってもどちらでもよい。ドナルド・トランプ大統領は外交政策に関して、自分自身が何を望んでいるのかを正確に分かっている。トランプ大統領は世界におけるアメリカの戦略的利益とは何かについての明確な定義と「戦争は常に最終手段なのだ」という主張を欲している。

 

トランプ大統領のこれら2つの目的に対する頑固なまでの信奉は時に、彼を批判する人々からはナショナリスティックでありまた非介入主義的だと嘲りを受けている。

 

しかし、一定年齢以上の人々であれば覚えているだろうが、これらの諸原理は長い間アメリカの外交政策の基盤となっていた。しかし、ビル・クリントンとバラク・オバマがイランに対する融和策の誘惑に負け、ジョージ・W・ブッシュがアメリカを容赦のない好戦的な世界の警察官としてしまったことで、これらの諸原理がアメリカ外交の基盤であった時代は終わった。

 

これまでの20年間のアメリカの外交政策は暗いものであった。そして、それぞれの国際的な問題におけるアメリカの国益の定義づけを行うことから、より人気取りな、好戦的なアプローチを採用することへと変化していった。これによってブッシュ大統領のイラクの大量破壊兵器に関して誤った主張やシリア国内の内戦に対して無責任な対応のような失敗が起きた。

 

火曜日、ジョン・ボルトンが国家安全保障問題担当大統領補佐官から退くことが発表された。トランプ大統領は外交政策におけるアメリカの戦略的な利益を再構築し、これから国際社会をリードしていくための明確な国際的なドクトリンを構成することが出来る、稀有な機会に恵まれることになった。

 

しかし、そのためには彼がこれまであまり成功してこなかったことをやらねばならない。それは適切な人物を選ぶことだ。

 

ネオコンのボルトンのような、メディアが注目する人物が適材ではない。また、ケリー、マクマスター、マティスのような制服組も適当ではない。また、ダン・コーツのようなエスタブリッシュメントとの妥協が政権内で最もうまく働くことになった。

 

大統領の政策ヴィジョンを共有し、少なくとも個人的なエゴを抑えて大統領の計画を実行することが出来る、決意、明快さ、能力を持つ人物を抜擢するべきだ。

 

新しく司法長官に任命されたウィリアム・バーは、ロシアの「通謀」事件の大失敗の後、一貫性のない司法省を掌握するにあたり、これまでとは異なるアプローチで成功した。マイク・ポンぺオ国務長官もまた前任のレックス・ティラーソンの外交上の失敗、ティラーソンの前歴をかけて言えば石油流出にうまく対処することができた。

 

トランプには2人の候補者がいる。両者ともに連邦上院で他の職位に既に承認されている。両者とも空席になった国家安全保障問題担当大統領補佐官と国家情報長官に就任してその重要な役割を果たし、バーとポンぺオが行ったような立て直しを行うことが出来る。

 

1人目の候補者はリチャード・グレネルだ。グレネルは現在駐ドイツ米国大使を務めている。彼はヨーロッパ連合を率いている女傑アンジェラ・メルケルの世界における影響力を削ぐこと、アメリカの戦略上の勝利を次々とドイツから引き出すことに能力を発揮してきた。

 

ベルリンに赴任してすぐに、グレネルは重量級のボクサーのような破壊力のあるパンチを繰り出した。ニューヨークで長年にわたり暮らしていたナチスの強制労働収容所の看守を務めた95歳の男性の引き渡し問題で、ドイツ政府は腰が引けた姿勢を取っていたが、グレネルの強烈な働きかけで最終的にアメリカ側に対して引き渡しを要求させた。

 

これまでのアメリカの各政権は自分たちの仕事を成し遂げてきたと主張してきた。トランプとグレネルは成功を収めてきた。

 

グレネルは更に次のようなことを行った。

 

・無気力なNATOへの支出について条件をつけることでヨーロッパ各国の指導者たちを苛立たせたが、これはトランプ大統領の重要な戦略的な目的であった。

 

・ドイツ政府を説得し、アメリカからの液化天然ガス輸入のための新しい施設を建設させた。

 

・ドイツ政府に容赦なく圧力をかけノードストリーム2として知られるロシアからの新しい天然ガスパイプライン建設に抵抗させた。

 

・ドイツ政府に対して圧力をかけてドイツ国内にイラン航空の就航を差し止めさせることに成功した。

 

そして今週になってグレネルはトランプ大統領の権威を使って、ドイツ国内でヒズボラが活動することを禁止することに抵抗しているドイツに圧力をかけて、抵抗を軟化させた。

 

グレネルの業績リストを見ると、グレネルはトランプ大統領が望むものを達成することが出来ると証明されている。グレネルはそれを相手に条件を付けさせないで、豪腕で勝利を手にする。グレネルはトランプ大統領と同じくらいにツイッターを愛用しているが、これによって人々との自然で密接な関係を作り上げている。

 

ボルトンの弟子であるグレネルは師匠であるボルトンがある時にはまったく見せることがなかったある特性を持っている。それはイデオロギーよりも実践的な戦略的利益を優先する能力である。ボルトンも多くの機会にこの素晴らしい能力を見せたが、全くダメな時もあった。

 

私の取材源によれば、ボルトンは、ヴェネズエラの争乱が起きている時でもアメリカの石油・エネルギー企業は同地に留まるべきだという考えに強く反対した、ということだ。ボルトンにとってこれは譲れない線だった。しかし、トランプ政権内の国家安全保障担当ティームの構成員のほとんどにとっては、マドゥロ政権が崩壊するまでアメリカのビジネス利益を確保し続けることの重要性の方が優先されるべきであった。それはロシアと中国にヴェネズエラにおける戦略的な既得利益を横取りされないようにするためだった。

 

このような機会を見分ける能力が国家安全保障問題担当大統領補佐官にとって重要だ。

 

ポンぺオはトランプ大統領に対して自分と考えの近い仲間を国家安全保障問題担当大統領補佐官に就けて欲しいと強く要望する可能性がある。その代表格がイラン危機に関する特使を務めるブライアン・フックだ。ポンぺオの発言は常に重要視されるが、フックを補佐官に任命することは、トランプ大統領を批判してきた人物を信頼が必要な職位につけることになるが、これでは大統領がこれまで犯してきた複数の失敗をまた繰り返すことになるだろう。

 

フックはジョン・ヘイ・イニシアティヴ創設に貢献した。このグループは2012年の大統領選挙の候補者だったミット・ロムニー陣営の外交政策アドヴァイザーたちで結成された。ジョン・ヘイ・イニシアティヴは2016年、121名の保守陣営の指導者たちが署名をした重要な書簡を発表する際に、組織化に貢献した。書簡の中には、トランプ大統領はアメリカの安全を損なうことになるだろうと書かれていた。フック自身は書簡に署名しなかったが、彼はトランプ大統領に対しての批判を隠さなかった。

 

フックはイラン問題において素晴らしい仕事をしている。しかし、国家安全保障問題担当大統領補佐官よりも現在の職位に留まる方がより良い仕事が出来るだろう。なぜなら、フックは過去にトランプ大統領を批判しており、そのために国家安全保障問題担当大統領補佐官になっても人々を指揮するための権威を持てない可能性が高い。

 

グレネル同様、ヨーロッパの国の大使を務めている人物で空席となっている国家情報長官に就任すると言われている人物がいる。それは元連邦下院議員で現在は駐オランダ米国大使を務めているピーター・ホークストラである。

 

ダン・コーツはトランプ大統領と意思疎通が出来ていなかった。そして重要な透明性を確保する機会をことごとく逸した。そのためにロシア疑惑の捜査の際に問題が噴出した。その中には連邦議会による重要な事情聴取の機密解除という不手際も含まれている。

 

ホークストラは連邦下院議員時代に、連邦下院情報委員会の委員長として民主、共和党双方から尊敬を集めていた。彼は情報関連コミュニティに理解があり、トランプ大統領の信頼も大きい。ホークストラは物事を実行する際に常識を重視する中西部出身者特有の特徴を持っている。中西部出身者は個人的な栄光を求めない特性を持っている。

 

イラン、ヴェネズエラ、北朝鮮、ロシア、シリアやその他の国際問題に関して、トランプ大統領には、一つの方向に向かって進む、まとまった、能力の高い国家安全保障担当ティームが必要である。

 

トランプ大統領が2人の人物を適材適所で抜擢できると、問題となっている国に対するアメリカの利益を定義するためのトランプ・ドクトリンを固め、アメリカの軍事力を問題解決のための最終手段として取っておくことが出来るようになる。そうすることで、トランプ大統領は大統領選挙候補者時代の別の公約を実現することが出来るだろう。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

アメリカ政治の秘密日本人が知らない世界支配の構造【電子書籍】[ 古村治彦 ]

価格:1,400円
(2018/3/9 10:43時点)
感想(0件)

ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側[本/雑誌] (単行本・ムック) / 古村治彦/著

価格:1,836円
(2018/4/13 10:12時点)
感想(0件)


このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ