民主党の大統領候補となったカマラ・ハリスに副大統領候補の名前が色々と出てきている。候補者コンビのバランス(対照的なアイデンティティの人が良い)や、選挙戦術(激戦州で勝利をもたらしてくれそうな人が良い)を考えると、ペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ、ノースカロライナ州知事のロイ・クーパー、知事以外では、アリゾナ州選出の連邦上院議員マーク・ケリー、バイデン政権の運輸長官を務めているピート・ブティジェッジ(インディアナ州サウスベンド市の市長を務めた)といった名前が挙げられる。彼らは白人、男性、東部や中西部出身、激戦州出身といった条件に当てはまっている。
ジョシュ・シャピロとカマラ・ハリス
ロイ・クーパーとカマラ・ハリス
人気の高い、カリフォルニア州知事ギャビン・ニューサムは、ハリスと同じカリフォルニア州を地盤としているために法律上、副大統領候補となるのは難しい。ミシガン秦のグレッチェン・ウィットマーは女性コンビとなってしまうことがネックとなってしまう。また、アフリカ系などのマイノリティ出身者もこの場合はバランスが悪いということになる。アメリカ大統領選挙は長く、女性やマイノリティが候補者に選ばれにくい状況が続いてきたが、これから少しずつ変化していくだろう。
共和党の副大統領候補が激戦の五大湖周辺のオハイオ州を地盤とするJ・D・ヴァンスを選んできたということは、五大湖周辺州を取りたいという意図が明確である。そのために、貧しい白人家庭(母親は離婚下シングルマザーで麻薬中毒になっていた)で育ったヴァンスを持ってきた。ペンシルヴァニア州知事シャピロはその点では好敵手ということになる。シャピロは夫婦そろってユダヤ系であり、ハリスの配偶者ダグラス・エムホフもユダヤ系となると、民主党系にはWASPが一人もいないという状況になる。この点は注目される。ロイ・クーパーはいかにも南部人ということで好感を持たれるタイプだが、ノースカロライナ州以外の人気や知名度は低い。経歴や知名度アピールできるとすれば、ケリー上院議員(元海軍パイロットで宇宙飛行士)やブティジェッジ長官(同性愛者、若さ、頭脳明晰さ、軍務に志願したこと)ということになる。
マーク・ケリーとカマラ・ハリス
ピート・ブティジェッジとカマラ・ハリス
ハリスとのバランスと激戦州への効果ということを考えると、ペンシルヴァニア州知事シャピロ、ケリー上院議員といったところの可能性が高いのではないかと考えられる。
(貼り付けはじめ)
民主党はハリスに対して副大統領候補を激戦州から選ぶように促す(Democrats
urge Harris to look to battleground states for VP pick)
アル・ウィーヴァー筆
2024年7月22日
『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/4786852-harris-vice-president-pick-midwest-governors/
民主党はカマラ・ハリス副大統領に対し、大統領選への立候補で民主党内の支持を固める中、副大統領候補として激戦州や党の知事たちから選ぶよう求めている。
ジョー・バイデン大統領が日曜日に民主党候補者から撤退し、ハリスを後継者として支持して以来、ハリスは速やかに党を味方につけた。
この急速な動きを受けて、民主党は副大統領候補として誰が彼女の後継者となるべきかに注目しており、多くの人は、彼らが言うところの「荷物が乗ったベンチ(loaded bench、候補者が多いという意味)」をどのように利用して、コンビのバランスを最も良くするかに注目している。
ブライアン・シャッツ連邦上院議員(民主党、ハワイ州)は、「これはハリス副大統領にとって初めての大統領としての決定であり、彼女には多くの良い選択肢が揃っている」と連邦議事堂で記者団に対し、多くの民主党知事の名前を挙げながら語った。その中には、ペンシルヴァニア州のジョシュ・シャピロ、ミシガン州のグレッチェン・ウィットマー、ノースカロライナ州のロイ・クーパーが含まれていた。更にピート・ブティジェッジ運輸長官とマーク・ケリー連邦上院議員(アリゾナ州選出、民主党)も候補者として挙げられている。
シャッツは、「リストは続く。おそらく大事な人を挙げるのを忘れていて、誰かを怒らせていると思う。でも、私たちは今、たくさんの候補者を持っている」と述べた。
党のストラティジストや議員たちは、ハリスがカリフォルニア州出身で法曹界の経歴を持ち、黒人およびアジア系アメリカ人女性として初めてその職に就く大統領候補と釣り合える候補者を探す必要があるかもしれないことを認めている。
そうした選択肢の大部分を占めているのは、中西部や激戦州出身の男性で、その多くは知事で、ハリスがペンシルヴァニア州、ミシガン州、ウィスコンシン州の「青い壁(Blue Wall)」を維持するのを支援する任務を負うことになる。
ある民主党関係者は、「海岸地域出身でなく、政府機関を運営したり、州を運営したり、市長を務めたりしている、もしくはしてきた人物はバランスが取れているだろう」と語った。
複数の民主党議員は、ノースカロライナ州知事としての2期目の任期を終えようとしているクーパーを、選挙戦を後押しする可能性がある人物として挙げており、トランプ前大統領が2020年にノースカロライナ州をリードしたのはわずか7万5000票未満だったと指摘している。
ある連邦下院民主党議員は「副大統領をイメージできるとしたら、クーパーによく似ているだろう。彼は基本的に中心的なキャスティングの1人だ」と述べた。
クーパー知事は月曜日のテレビインタヴューで、日曜日にハリスと電話で話したと語った。クーパーは、会話では「このレースに勝つこと」に焦点が当てられていたと述べたが、副大統領候補についての具体的な話は避けた。
67歳のクーパーは、「人々が私のことを話してくれることはありがたい。でも今週は今、彼女に焦点を当てる必要があると思う」と述べた。
バイデンの閣僚の中で、唯一検討対象と言われているピート・ブティジェッジには有利な点があり、それは、ブティジェッジが、共和党の副大統領候補のJ・D・ヴァンス連邦上院議員(オハイオ州選出、共和党)との討論会で、最も良いパフォーマンスを発揮するだろうと主張している民主党関係者がいる。
ブティジェッジは、インディアナ州出身でもあり、大統領選に立候補した後に名前が挙がった人物の中で最も有名になっている。
しかし、彼の潜在的な弱点は、有権者がアフリカ系とアジア系アメリカ人の女性と、同性愛者の男性からなるコンビを支持するかどうかに集中している。
一部の民主党議員は懸念を無視している。
ある民主党関係者は、「そんなことに腹を立てるような人たちは、どうせ私たちに投票しないだろう」と語った。
ケリー議員は、近年選挙で比類のない勝利を収めている、激戦州出身の退役軍人で元宇宙飛行士という輝かしい履歴書を民主党が注目しており、副大統領候補の明らかな有力候補となっている。
しかし、彼には明らかな弱点がある。ハリスが勝てば議席を離れ、激戦州で、後任を決める特別選挙を実施する必要があり、連邦上院で民主党が過半数を維持するために、困難をもたらす可能性がある。
激戦州のある民主党関係者は、「ケリーを引き抜いておいて、アリゾナ州で連邦上院の議席を維持することはできない」と語った。
そして、シャピロ知事はかなりの話題を呼び、2028年の大統領候補として広く考えられているが、彼が適任であることを警戒する、一部の進歩主義者からの厳しい監視にさらされている。
連邦下院民主党によると、シャピロ知事はヴィープステークス(veepstakes、訳者註:副大統領候補選出の手続き)の唯一の候補者だが、就学援助やイスラエルへの熱烈な支持など、数々の政策上の立場を理由に進歩主義派議員から「強い反発(strong pushback)」を受けているということだ。
「進歩主義派が会いたくないということを内密に話し合っている事実がある。進歩主義派が会いたくないと言っているのはシャピロだけだ」とこの議員は語った。
一方、深刻な争いを繰り広げている唯一の女性であるウィットマーは、ミシガン州で記者団に対し、「ミシガン州を離れない」し、「どこへも行く」つもりはないと語った。
予期せぬヴィープステークスの分野は決着からは程遠い現状であるが、団結を目指す政党の最前線に立つ候補者が現れるまで、今後数週間のうちに他の名前が浮上するのは確実で、指名を迅速に行うことになる。
シャッツ議員は「これによって明らかになったものの一つは、民主党にはステップアップする準備ができている次世代の指導者がいることを証明することだ」と述べた。
(貼り付け終わり)
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