古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:ヴェネズエラ

 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権になり、アメリカは西半球、南北アメリカ大陸支配に対する欲望を隠さなくなった。ヴェネズエラに対しては奇襲攻撃を行い、ニコラス・マドゥロ大統領を拘束した(ヴェネズエラ政府内部の最高クラスに協力網ができていたのは想像できる)キューバに対する支配を明言し、経済制裁を実施している。そして、デンマーク領のグリーンランドの僚友の使途を明確にしている。NATOという集団的自衛権(collective self-defense)に基づいた同盟関係の中で、同盟国同士であるアメリカとデンマークが戦争状態になる場合、他の同盟諸国は、侵略側になるアメリカを自国への攻撃とみなし反撃として、攻撃するのか、大いに懸念される。アメリカが同盟国を攻撃するということはこれまで想定されてこなかった(学術研究としてはそういうシミュレーションはあっただろうが)。「アメリカと同盟関係を結んでも安心できない」ということになれば、同盟関係の意味はなくなってしまう。

 さて、下記論稿では「集団安全保障(collective security)」という言葉が使われている。論稿の著者スティーヴン・M・ウォルトは以下のように書いている。

(引用貼り付けはじめ)

伝統的な集団安全保障は、各国が平和的に意見の相違を解決し、この原則に違反する国を阻止するために協力することを約束することで、パウア・ポリティックス(power politics)を超越すること(to transcend power politics by committing states to settle their differences peacefully and to work together to stop any country that violates this principle)を求めてきた。残念ながら、これは危険な侵略者を容易に特定でき、他の全ての国々がその正体について合意していることを前提としている。さらに、全ての大国が、たとえ自国の利益が直接関わっていない場合でも、強力な侵略者を阻止するために協力する意思があることを前提としている。これは、多大な費用と危険を伴う。必然的に、傍観して他者に問題を処理させたいという誘惑に駆られるプレイヤーもいるだろう。つまり、この集団安全保障のヴィジョンは、世界政治において稀にしか見られない、あるいは全く存在しないレヴェルの信頼と無私の精神(a level of trust and selflessness that is rare to non-existent in world politics)にかかっている。
(中略)

戦争の可能性を低減することを目的とした協定、あるいは共通の脅威を抑止または撃退するために一部の国家が力を合わせる軍事同盟だ(as agreements intended to make war less likely or as military alliances where a subset of states join forces to deter or defeat a common threat)。歴史はそのような例を数多く残している。残念ながら、こうした比較的控えめな形態の集団安全保障でさえ、それほど効果的ではなく、その効果は低下しつつあり、将来の世界は近年よりも危険なものとなるだろう。

(引用貼り付け終わり)

 私たちは良く「集団安全保障」と「集団的自衛権(collective self-defense)」という言葉を目にし、耳にする。スティーヴン・M・ウォルトはこの2つの言葉を区別して使っていない。しかし、これら2つの言葉は厳密に違いがある。「集団安全保障(collective security)」と「集団的自衛権(collective self-defense)」は違う。集団安全保障は、国連などの国際的な枠組みにおいて、侵略を行った国家に対して、加盟国が全体で制裁や軍事行動を行うことを指す。全体で平和維持を目指す。集団的自衛権は、自国と密接な関係ある国、例えば、同盟国が攻撃を受けた場合に、自国が攻撃を受けたと見なし、対処することを指す。同盟国、パートナーの防衛を指す。NATOは集団的安全保障ではなく、集団的自衛権の枠組みということになる。細かい話になってしまうが、これらには違いがあるということを私は知っておくと、報道を見聞きする際に、気を付けるようになる。

 話を元に戻すと、世界の超大国であるアメリカは「やりたい放題(Do whatever you want)」ができ、そこには理屈をつけて「正当化(justification)」することが可能だ。しかし、そうしたことを続けていれば、国力が低下していくと、他国からの離反や反撃を招くことになる。現在でいえば、アメリカとイスラエルはこの「やりたい放題」をやりながら、「世界の平和のため」「自衛のため」という正当化を行っている。しかし、それをいつまでも続けることはできない。世界でアメリカとイスラエルに対する反感の声が高まっており、それを力で抑えられるということはもうできない。

 「アメリカに頼れない」「アメリカを信用できない」という考えが世界に蔓延していけば、現在の国際社会の構造は大きく変化していくことになる。渡したが日々目撃している世界の大きな動きはそのことを示している。

(貼り付けはじめ)

「集団安全保障」は生命維持装置に繋がれている(‘Collective Security’ Is on Life Support)

-国際関係の基本概念の1つがこれまでにないほどの危機に瀕している。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年12月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/16/nato-collective-security-alliances-nato-life-support/

collectivesecurityus001

ドイツ南部のホーエンフェルス訓練場で行われたNATO演習中、アメリカとアルメニアの兵士たちが負傷したとみられる兵士を医療装甲車両から陸軍移動外科病院(mobile army surgical hospital、MASH)に搬送している(2023年9月14日)

脆弱な世界秩序を考えると、「集団安全保障(collective security)」という概念はもはや消滅してしまったのではないかという疑問について考えてしまう。その答えは、この言葉が何を意味するかによって異なる。もし集団安全保障が、世界の複数の主要大国が現状変更のために武力を用いることを放棄し、この誓約に違反する国を阻止するために結束することに同意するシステムを意味するのであれば、それは死んではいない。それは単純な理由からだ。それは、そもそも存在しなかったからだ。

第一次世界大戦後に設立された国際連盟(the League of Nations)に最もよく見られるように、伝統的な集団安全保障は、各国が平和的に意見の相違を解決し、この原則に違反する国を阻止するために協力することを約束することで、パウア・ポリティックス(power politics)を超越すること(to transcend power politics by committing states to settle their differences peacefully and to work together to stop any country that violates this principle)を求めてきた。残念ながら、これは危険な侵略者を容易に特定でき、他の全ての国々がその正体について合意していることを前提としている。さらに、全ての大国が、たとえ自国の利益が直接関わっていない場合でも、強力な侵略者を阻止するために協力する意思があることを前提としている。これは、多大な費用と危険を伴う。必然的に、傍観して他者に問題を処理させたいという誘惑に駆られるプレイヤーもいるだろう。つまり、この集団安全保障のヴィジョンは、世界政治において稀にしか見られない、あるいは全く存在しないレヴェルの信頼と無私の精神(a level of trust and selflessness that is rare to non-existent in world politics)にかかっている。

しかし、集団安全保障には別の定義が存在する。それは、戦争の可能性を低減することを目的とした協定、あるいは共通の脅威を抑止または撃退するために一部の国家が力を合わせる軍事同盟だ(as agreements intended to make war less likely or as military alliances where a subset of states join forces to deter or defeat a common threat)。歴史はそのような例を数多く残している。残念ながら、こうした比較的控えめな形態の集団安全保障でさえ、それほど効果的ではなく、その効果は低下しつつあり、将来の世界は近年よりも危険なものとなるだろう。

しかしながら、過去に存在した比較的現実的な集団安全保障体制は、なぜ現在は生命維持装置に頼っているのかを理解するだけでも、今日、より深く検討する価値がある。

集団安全保障体制の限定的な形態の1つに「安全保障レジーム(security regime)」がある。これは、競争相手が狭く具体的な方法で競争を制限することに合意するものだ。SA​​LT条約やSTART条約といった軍備管理協定(arms control agreements)はその好例であり、これらの措置のいくつかは確かに戦争のリスクをわずかに軽減するのに役立った。しかし、これらの協定は、超大国が数千もの核兵器を製造したり、その威力を高めるために数十億ドルもの資金を費やしたりするのを阻止することはできていない。また、ソ連と西側諸国間の激しい対立に終止符を打つこともなかった。

こうした種類の軍備管理協定の見通しは、参加すべき国の数が増えていることもあって、今日では明るくない。世界は冷戦時代の二極構造(bipolar)ではなく、多極構造(multipolar)となっている。つまり、大国間の軍備管理を機能させるには、中国を巻き込む必要があるということだ。北京、モスクワ、ワシントンを巻き込んだ軍備管理協定を締結するための努力は行われておらず、中国は他の米露2カ国に追いつくまでは軍備制限に関心がない。それどころか、中国をはじめとする一部の国は核兵器を増強しており、ロシアとアメリカはこれに対抗して自国の軍事力を近代化している。さらに、他のいくつかの国も独自の核戦力の取得を検討している。人工知能やサイバー兵器に関するガードレールを設ける取り組みは行き詰まっているが、これは、関係国全てに意味のある制限について合意させることが困難な作業であることを考えると、驚くべきことではない。

集団安全保障の限定的な形態の2つ目は平和維持活動(peacekeeping)だ。2つかそれ以上の交戦国(warring parties)が和平(make peace)を決定した場合、中立の平和維持部隊が派遣され、合意内容を監視し、双方の安心感を与えることになる。しかし、この仕組みは、以前交戦していた集団が真に戦闘を停止し、その決定を堅持する意思がある場合にのみ有効だ。なぜなら、平和維持部隊は通常、再び武装蜂起する国家や軍閥(a warlord)を阻止するには弱すぎるからだ。平和維持活動は有用な手段だが、それだけでは戦争を防ぐことはできない。

集団安全保障の最終形態であり、より正確には「集団防衛(collective defense)」と呼ばれる形態は軍事同盟(a military alliance)だ。共通の脅威に直面している国々は、相互防衛に協力し、脅威となる国家からの攻撃を抑止し、あるいは攻撃を受けた場合には撃退するために軍事準備を調整することで、より安全な体制を築くことができる。同盟は、強力で十分な武装を備えた国家が近隣にあり、現状変更のために武力行使に踏み切る意思があるように見える場合に最も形成されやすいだろう。このような状況では、潜在的な侵略者による脅威は他の国々にとって明確であり、その危険に対抗するために団結する十分な理由となる。この論理は、1949年にNATOが結成された理由、冷戦期にアメリカが日本、韓国、その他のアジア諸国と同盟を結んだ理由、そして第一次湾岸戦争においてイラクをクウェートから追い出すために大規模な連合軍が結成された理由を説明している。

国家が外部からの脅威に対して力を合わせる傾向は、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、アメリカとヨーロッパ諸国の多くが結集して支援を行ったことにも表れている。しかし、これはまた、戦争が長引く中で中国と北朝鮮がロシアに多大な支援を提供してきた理由も説明している。ウクライナの事例はまた、集団防衛体制が必ずしも戦争を阻止できる訳ではないことを改めて認識させてくれる。抑止力(deterrence)が機能しないこともあるからだ。

冷戦期には集団防衛協定が非常にうまく機能した。なぜなら、ヨーロッパで武力行使すれば、2つの強力な同盟国間の大規模で破壊的な戦争(a vast and destructive war between two powerful alliances)につながることは、両陣営にとって明らかだったからだ。この悲惨な見通しを踏まえ、両陣営は賢明にも戦闘を回避した。

残念なことに、今日ではどの国が最大の脅威であるか、またそれらにどう対処するのが最善かについて、コンセンサスがはるかに乏しいため、冷戦期と同様の予測可能性と安定性は期待できない。例えばヨーロッパでは、ロシアをかつての帝国を再建し、ヨーロッパ大陸を支配しようとする容赦ない侵略者と見なす国もあれば、そうした警戒的な見方を共有しない国もある。南半球のほとんどの国はロシアを恐れておらず、モスクワとの取引を続けている。また、トランプ政権のロシアに対する立場は毎週のように変化しているようだ。NATOは依然としてウクライナがいつか加盟すると主張してるすが、NATO加盟諸国で自国の兵士をウクライナのために戦い、命を落とすことを望む国は1つもない。

さらに言えば、アメリカの政策立案者たちは、アメリカがアジアにおける中国の力の封じ込め(containing Chinese power in Asia)に集中できるようにするため、ヨーロッパは自らの安全保障に責任を持つべきだとますます確信を深めている。ヨーロッパはインド太平洋地域で戦略的な役割を果たすことについて時折口にするが、そこで変化をもたらすだけの軍事力を持つヨーロッパの国は存在しない。また、ヨーロッパはそうすることに重大な利益を持ってはいない。これは、アメリカとヨーロッパの戦略的利益が乖離していることを意味しており、たとえ同盟が形式上は維持されていたとしても、NATOは必然的に弱体化するだろう。

しかし、中国の台頭と野心は、アジアの近隣諸国、そして言うまでもなくアメリカにも明らかである。しかしながら、バランスをとる連合体を形成する努力は、アメリカの地域政策の不安定さ、多くのアジア経済にとって中国が重要であることから中国との友好関係を維持しようとする姿勢、様々なアジア大国間の対立、そして各国が傍観者となり、他国に対中国対策の重労働を担わせようとする姿勢(each state’s desire to get others to do the heavy lifting against China while they sit on the sidelines)によって阻まれてきた。その結果、危機に際して誰が何をするのかということに関して不確実性が高まり、誤算(miscalculation)の可能性が高まっている。例えば、中国による攻撃があった場合、オーストラリア、日本、アメリカ、その他いくつかの国が台湾を支援する可能性は十分にあるが、一部あるいは全員が傍観者となる可能性もある。つまり、アジアには中国を標的としたバランスをとる連合体が存在するものの、中国による地域覇権(regional hegemony)獲得への試みを抑止するのに十分な一貫性と信頼性を備えていない可能性があるのだ。

最後に、国家が同盟を結ぶのは主に外的脅威(external threats)への対応策だが、こうした取り決めは、国家が同様の価値観、特に自由主義的民主政治体制(liberal democracy)の中核となる価値観を共有している場合により強固なものとなる。残念ながら、かつて西側諸国を一つにまとめていた共通の価値観は消えつつある。冷戦終結時には、自由主義的民主政体こそが未来の潮流だと多くの人が信じていた。しかし、20年近くにわたり自由主義的民主政体は着実に後退を続け、エジプト、ハンガリー、インド、ロシア、トルコ、そしておそらくはアメリカでさえも、独裁者による支配(strongman rule)に基づく政府が台頭している。イギリスはヨーロッパ連合(EU)を離脱し、ハンガリーとスロバキアはEUの多くの原則に反対している。さらに、最近発表されたホワイトハウスの「国家安全保障戦略(National Security Strategy)」は、トランプ政権がEUの自由主義的原則と多くのヨーロッパ諸国政府に積極的に敵対していることを極めて明確にしている。

さらに、ヨーロッパとアメリカは中東情勢をめぐってますます対立を深めている。アメリカは、ガザ地区で大量虐殺作戦を展開するイスラエルに対し、220億ドル以上の追加軍事援助を行った。国際刑事裁判所(the International Criminal Court、ICC)がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とヨアブ・ガラント前国防相、そして複数のハマス指導者を戦争犯罪で起訴した際、アメリカは複数の国際刑事裁判所の関係者に制裁を科した。一方、イギリスやノルウェーを含む多くのヨーロッパ諸国は、パレスティナ国家を正式に承認し、イスラエル当局者の戦争犯罪責任を問うことを誓約している。こうした異なる対応のどこに、人権や国際正義への共通の関与があるか​? 長年にわたりアメリカの最も緊密な同盟国であり、情報機関のパートナーであったイギリスが、トランプ政権によるカリブ海における小型船舶への違法かつ残虐な攻撃への関与を懸念し、アメリカとの特定の情報共有を停止したことも、示唆に富んでいる。これは小さな問題かもしれないが、どのような行為が正当か、あるいは西洋の核心的価値観に合致しているかについての合意が減少しつつあることのもう1つの兆候だ。

残念ながら、私が言いたいのは、共通の価値観は、勢力均衡(balance-of-power)を理由とした同盟関係を強化する、もしくは加盟諸国が相反する戦略的利益を克服する助けにはならないということだ。

この確かに悲観的な分析から、どのような結論を導き出すことになるか? 3つ提案したい。第一に、より野心的な集団安全保障に未来への希望を託すべきではない。それは過去に一度も機能したことがなく、将来も機能しないだろう。第二に、私たちは依然として、個々の国家が生き残り繁栄するために自国の資源に頼らざるを得ない世界に生きている。しかし、共通の危険に対処するために信頼できるパートナーを持つことで、安全保障を向上させることができないということはない。外交の任務は、こうした危険が何であるかを明らかにし、どのように対応するかについて幅広い合意を形成することだ。残念ながら、現在、このような外交は不足している。

第三に、自国の能力を強化し、強固な同盟関係を築くことは、既存の紛争の解決、ライヴァルとの緊張緩和、あるいは特定のリスクの最小化に向けた真剣な努力を妨げるものではない。こうした課題は、素人による密室取引(backroom deals conducted by amateurs)ではなく、経験と知識が豊富な当局者たちが規律ある透明性のある方法で敵対国と交渉することによって最も効果的に達成される。

しかし、誤ってはならない。集団安全保障へのより現実的なアプローチでさえ、戦争のリスクや、国家がその可能性に備える必要性を排除することはできない。集団安全保障は死んではいないかもしれないが、良好な健康状態にあるとは言えない。

※スティーヴン・M・ウォルト:ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント:@stephenwalt.bsky.social、Xアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領はグリーンランド領有に関して、反対したヨーロッパ諸国への関税措置を撤廃し、買収交渉を行うという姿勢の転換を行った。「俺たち(アメリカ)が第二次世界大戦で助けてやらなかったら今頃お前たちはドイツを話していたんだぞ、そして、片言の日本語も話していただろう」ということをスイスで開かれているダヴォス会議で発言し、ヨーロッパ諸国の国民の不興を買っている。トランプにすればそんなことはお構いなしだ。「アメリカ・ファースト」で突き進むだけだ。グリーンランドのレアメタルと、中露両国が開発し、アジア諸国にとって便利な北極海航路に対する嫌がらせ(と通行料の徴収ができれば最高)でアメリカ国民に利益をもたらす、お金を配ることが最重要の目的だ。
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 この伝で行けば、パナマ運河もアメリカに戻せということになる。グリーンランドとパナマ運河を押さえることで、世界の物流を押さえることができる。それがトランプと側近たちの狙いだろう。しかし、それは中露両国も黙ってはいないだろう。

 トランプの交渉術は相手にショックを与えて、思考力を奪っておいて、それで交渉を行うというものだ。とんでもないことを言ったり、行ったりして、相手がひるんでいる隙に、自分の要求を通すということだ。交渉という点では、トランプは世界でも指折りの才能と経験を持っている。日本の政界で太刀打ちできる人はいないだろう。経済界ではいるかもしれないが。

 しかし、このようなトランプの交渉術は既に見切られている。トランプが強く出る場合に、相手も強く出て、トランプをひるませることができれば、トランプは引く。実際に、高関税政策に対して、中国は強く出てトランプを引かせている。今回のグリーンランドに関することでも、ヨーロッパ諸国がアメリカ国債の売却をちらつかせることで、トランプは引いた。世界の先進諸国はアメリカ国債を「安全資産」と保有してきたが、その売却という、一種の自爆的な方法を取るぞと脅すことで、トランプを引かせるという方法を採用している。

 トランプの「アメリカ・ファースト」外交は、アメリカの衰退を促進する。そして、世界は、世界覇権国アメリカの衰退に対応するために、この時期を過ごすことになる。

(貼り付けはじめ)

トランプは外交をどのようにやるかを全く分かっていない(Trump Has No Idea How to Do Diplomacy)

-たとえ部分的に正しいとしても、彼は間違っている。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年8月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/08/19/trump-diplomacy-putin-ukraine-europe/

アラスカで行われたウラジーミル・プーティン大統領とのあの奇妙な首脳会談と、ワシントンで行われたNATO首脳会議の組み合わせは、ドナルド・トランプ米大統領がひどい交渉者であり、「譲歩の術(art of the giveaway)」の達人であることを改めて思い知らせる出来事だった。トランプは準備を怠り、部下に事前に根回しをする(lay the groundwork beforehand)、会議に臨むたびに自分が何を望んでいるのか、どこまで譲歩(red line)すべきかさえ分からずにいる。戦略もなければ細部にも関心がなく、行き当たりばったりで臨む。

最初の任期中、北朝鮮の金正恩委員長との的外れなリアリティ番組のような会合に時間を浪費したことで分かったように、トランプが本当に求めているのは注目と、自分が主導権を握っていることを示唆するドラマチックなヴィジュアルだけだ。彼が締結するであろう合意の中身は、無関係とまでは言わないまでも、二次的なものに過ぎない。だからこそ、最近発表された貿易協定の中には、彼が主張するほどアメリカにとって有利ではないものもあるのだ。

トランプの突飛な外交失策に人々が注目するのは、彼が世界最強の国の大統領であり、カルト的な共和党の卑怯な議員たちが彼の気まぐれに付き従い続けているからに他ならない。しかし、トランプ、マルコ・ルビオ国務長官、そして外交の素人スティーヴ・ウィトコフのような軽薄な人物が、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領やセルゲイ・ラブロフ外相といった人物と対峙すれば、後者がアメリカから巧みに利益を得ることは目に見えている。自問自答してみて欲しい。トランプがアラスカでプーティンと会談した際、アメリカ、同盟国、あるいはウクライナのために何か得たものはあっただろうか? プーティンは何かを譲歩しただろうか? さらに言えば、ウクライナを見捨てないよう説得するために現れたヨーロッパ各国の首脳からトランプはどのような譲歩(concessions)を得たのだろうか?

強力な敵対国との交渉を成功させるには、双方の利益、力、そして決意を冷徹かつ容赦なく現実的に評価する必要がある。プーティンのような指導者を、単に好意を抱いているから、あるいは滑走路にレッドカーペットを敷いたからといって、魅了して譲歩させることは不可能だ。希望的観測にふけったり、誰も真剣に受け止めないような脅しや約束をしたりしても、何の成果も得られない。

この最後の問題は、10年以上にわたり西側のロシア・ウクライナ政策を悩ませてきた。大半の西側諸国の政治家や評論家たちは未だ認めたがらないが、問題の根本原因はロシアと西側諸国の動機付けにおける根本的な非対称性(a fundamental asymmetry)にある。これは双方の脅威認識(perceptions of threat)と致命的な国益の定義(definitions of vital interests)の相違から生じる非対称性だ。(記録のために付記すれば、この認識の隔たりこそが、2014年に私たちのうちの何人かがこの道を進むことに警鐘を鳴らした理由である)。プーティンが自らの行動に数多くの理由を抱えていたとしても、最も重要なのは、ウクライナのNATO加盟がロシアにとって存亡の危機(an existential threat to Russia)をもたらすという恐怖、ロシアの政治スペクトル全体に広く共有されていた恐怖であった。

この問題において西側の立場を最も損なったのは、外交政策エリートたちが「無制限なNATO拡大(open-ended NATO enlargement)」、特に2008年のウクライナとジョージアへの将来加盟申請準備招待が戦略的失策(a strategic blunder)であった事実を、現実逃避的に認めてこなかったことだ。これがプーティンが和平合意で対処すべきと主張する「根本原因(root causes)」の中で最も重要であり、西側諸国の拡大推進の使徒たち(the Western apostles of expansion)が最も激しく否定、無視しようとしてきた点だ。これらはいずれもプーティンの違法な予防戦争(Putin’s illegal preventive war)を正当化するものではないが、そもそも紛争が起きた原因を誰も認めず対処しなければ、深刻な対立を終結させるのは困難である。

非愉快な現実は、モスクワは自国の経済を戦時体制に置き、数十万人の命を犠牲にすることを厭わなかったのに対し、ウクライナを支援する西側諸国はそうしておらず、今後もそうするつもりはないということだ。ウクライナ人は祖国を守るために計り知れないほどの英雄的な犠牲を払ってきたし、西側諸国はキエフに多額の資金、武器、情報、訓練、外交支援を提供してきた。しかし、ヨーロッパや北アメリカの他の国々が、自国の軍隊をキエフに派遣してそこで戦死するなどということについては、最初から明らかだった。(繰り返すが、西側諸国の指導者たちが2008年、あるいは2014年以降にこの点をもっと慎重に検討していればよかったのにと思う。)NATOが自ら参戦すべきだったと考える人々もおり、私は彼らの一貫した姿勢を尊敬しているが、彼らが関係する国民や指導者を説得することは全くできなかった。

その結果、ロシアは戦場で優位に立っており、ウクライナの失策(例えば2023年夏の不運な反撃など)もその一因となっている。ウクライナが失った領土(クリミアを含む)を全て奪還し、NATOとヨーロッパ連合に加盟することが唯一の受け入れ可能な結果だと依然として主張する人たちにはこの目標を具体的にどのように達成するつもりなのか説明を求めるべきだ。この奇跡をどのように実現するのか、首尾一貫した説得力のある戦略を提示するまでは、交渉のテーブルに彼らを招き入れるなど全く馬鹿げている。

したがって、トランプが先日のアラスカ首脳会談でプーティン大統領の側に立ったのは正しかったのだろうか? そして、トランプの姿勢を固めようとワシントンを訪れたヨーロッパ諸国の首脳たちの甘言や嘆願(blandishments and pleas)に抵抗すべきだったのだろうか? 答えはノーだ。

ここではより大きな利害関係が絡んでおり、アメリカとヨーロッパの交渉戦略はこれらに焦点を当てるべきである。プーティン大統領の要求の一部は将来の和平協定で受け入れざるを得ないとしても、NATO加盟国の一部からの軍撤退や、ウクライナの「非ナチ化(de-Nazified)」と部分的な武装解除といった要求は即座に拒否されるべきだ。ロシアが、将来ウクライナに駐留するかもしれないと懸念する外部勢力から自国を守る必要があると主張するならば、ウクライナはロシアによる新たな攻撃から守られ、自国を防衛する手段を与えられるべきである。

後者の懸念は、ウクライナや他の欧州諸国が、NATO第5条のような、正式な加盟国ではないものの何らかの安全保障保証に関心を持つ理由である。しかし、この考えには少なくとも2つの明白な反対意見がある。第一に、第5条は完全な安全保障の誓約ではなく、攻撃を受けた加盟国を支援するために同盟軍の派遣を自動的に引き起こすような仕掛けでは決してない。第5条は、加盟国の1つへの攻撃は加盟国全体への攻撃とみなされ、各加盟国は個別および集団的に「必要と考える行動(such action as it deems necessary)」をとると述べているだけだ。第二に、そして同様に重要な点として、トランプは生涯にわたって約束を破り、予告なしに方針を転換してきた経歴を持つ。それを考えると、分別のある国が彼の約束や誓約をなぜ信じるだろうか? たとえウクライナに対する何らかの安全保障の誓約について最終的に合意に達したとしても、誰がそれを真剣に受け止めるだろうか?

プーティン大統領とゼレンスキー大統領の直接会談の実現も検討されており、おそらくアメリカが仲介役を務めることになるだろう。これは、これまでそのような要請に抵抗してきたプーティン大統領にとって象徴的な譲歩となるだろう。しかし、戦場の現状やウクライナの長期的な展望に大きな変化がない限り、そのような会談が永続的な平和をもたらすとは到底思えない。繰り返しになるが、個人的な会談というドラマに惑わされないことが重要だ。メディアは騒ぎ立てるが、(トランプとウィトコフが関与している場合)成果はほとんどない。

一体何が期待できるというのだろうか? 戦闘の進展状況、そしてロシアがこの問題をウクライナ以外の国よりも重視しているという事実を考えると、モスクワは望んでいたことの一部を得ることになるだろう。しかし、ロシアがすでに支払ってきた莫大なコストと、ウクライナが今後も外部からの寛大な支援を受け続けることでさらに大きな損失が生じる可能性を考えると、西側諸国の利益にならないものをロシアに提供することを拒否することは可能であるはずだ。

トランプ大統領のオンオフの繰り返しや、その他多くの問題でヨーロッパの同盟諸国と争おうとする姿勢とは対照的に、最良の合意を得るための最善の方法は、アメリカがヨーロッパとの統一戦線(a unified front)を維持し、NATOがウクライナに寛大な軍事支援を継続し、ウクライナとアメリカが双方の交渉状況を現実的に評価した上で、ロシアとの真剣かつ綿密な交渉を進めることだ。しかしながら、真剣かつ綿密な交渉を遂行してくれる人物を探しているのであれば、ペンシルベニア通り1600番地は私としてはお勧めしない。

こうした状況を考えると、もし昨年(2024年)11月にカマラ・ハリス米副大統領が大統領に選出されていたらどうなっていただろうかと疑問に思う。ハリスは優れた外交政策戦略家とは言えず、バイデン政権もロシアとウクライナへの対応で幾度となく失策を犯していた。しかし、ワシントン(そして民主党エリート層)では、ウクライナがその目的の全てを達成することは不可能であり(たとえそれが抽象的にどれほど望ましく正当であったとしても)、アメリカ大統領選が終結した暁には戦争を終結させる必要があるという認識が広く共有されていた。ハリスなら、バイデンのティームを他の有能な顧問に交代させ、その成果を追求するよう指示し、困難な状況下でもウクライナが可能な限り最良の合意を得られるよう支援し続けただろうと私は思う。

もちろん、ハリス政権が成功したかどうかは分からない。しかし、信頼できる有能な外交アクターとしてのアメリカの評判をトランプ氏以上に傷つけることはできなかっただろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.social、Xアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年1月は、第二次ドナルド・トランプ政権の外交・軍事面の「暴れっぷり」が際立つ時期となっている。ヴェネズエラへの攻撃の状況が落ち着いている中で、グリーンランド領有に向けて、デンマークをはじめとするヨーロッパ諸国に圧力をかけている。また、イランでの反政府デモをきっかけとして、イラン政府に対しても圧力をかける姿勢を見せている。外交で大きな成果を上げて、政権発足一周年を祝い、2月24日に連邦議会で実施予定の一般教書演説(the State of the Union Address)で国内外にアピールをしたいというところだろう。そこまでに、ロシア・ウクライナ戦争の停戦ができれば、大金星ということになるが、それは難しいだろう。

 ヴェネズエラ攻撃に目を奪われてしまうが、第二次ドナルド・トランプ政権の外交に注力する動きは昨年からのことであった。そして、これは、国内状況が好転しないことから、国民の目を逸らさせるということも大きな原因であろう。国内のインフレ状況が収まらず、住宅費(家賃)をはじめとする生活費の高騰が続き、一般国民には苦しい状態が続いている。移民・関税執行局(ICE)による不法移民捜査に対する反感がトランプ政権、連邦政府に対する反感へと進み、武力衝突・内戦状態になる可能性がある。トランプ外交に関しては、アメリカ国民からの支持を得ていない。不支持率が上昇している。
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政権発足以来のトランプ政権の支持率の推移(赤線が不支持率)

 ヴェネズエラやグリーンランドをコントロール下に置くことで、トランプ政権としては、金銭的な利益を得ようという目論見もある。ヴェネズエラの石油の売却利益、グリーンランドのレアアース開発と北極海航路に対する通行税の性格を持つ通行料を入手し、それらをアメリカ国民に「分配」することで、国民の不満を和らげたいところだ。アメリカの影響圏(sphere of influence)である西半球(Western Hemisphere)をアメリカとアメリカ国民の利益のために使い尽くす、再植民地化(recolonialization)することが、「アメリカ・ファースト」外交の真骨頂ということになる。短期的にはそれが利益となるだろうが、長期的に見れば、それはアメリカにとっては世界での立場を失うということになり、損失ということになる。衰退して世界から退場するならば、静かに退場して欲しいところだ。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領が2025年末を外交政策で埋める(Trump fills end of 2025 with foreign policy)

ブレット・サミュエルズ筆

2025年12月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5665946-trump-foreign-policy-focus/

ドナルド・トランプ大統領は、2期目の1年目が終わりに近づく中、外交政策に没頭している。2026年にはアメリカ経済への懸念が共和党を席巻すると見込まれているにもかかわらず、外交政策に注力している。

トランプ大統領は年末をフロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」で過ごし、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を招待した。トランプ大統領はクリスマスの日にナイジェリアにおけるイスラム国への軍事攻撃を発表し、南アメリカのヴェネズエラとの緊張が高まる中、12月26日にはヴェネズエラの施設を攻撃したことを明らかにした。

こうした一連の出来事は、トランプ大統領が2期目において外交政策に注力し、国外での実績を確固たるものにしようとしていることを如実に示している。しかし、こうした注目は、国内における最大の課題の1つを犠牲にすることになるかもしれない。

匿名を条件に率直に語った共和党系のストラティジストの1人は、トランプ大統領とホワイトハウスは就任以来、財政見通しの改善にどのような対策を講じてきたかを有権者に直接訴える必要があると語った。

このストラィテジストは、「トランプは外交問題に注力している。彼のエネルギーはどこへ行ってしまったのか? 有権者にとってはちょっと変な時期だ。議論をしようとしている人がいない」と語った。

トランプの国際的な関心については、月曜日に大統領がベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した際に完全に明らかになった。

イスラエル首相ネタニヤフが到着すると、トランプは数分間質問に答えたが、そのほとんどが世界的な紛争に関するものだった。

トランプ大統領は、麻薬密輸船を標的としたヴェネズエラの「実施区域(implementation area)」への最近のアメリカ軍による攻撃について言及した。また、イスラエルとハマス間の停戦維持に向けた継続的な取り組みについても議論した。ロシアのウラジーミル・プーティン大統領との「生産的な(productive)」電話会談についても言及し、イスラエルによるイランへの攻撃の可能性についても質問を受けた。

トランプ大統領とネタニヤフ首相の昼食会に記者団が部屋に入ってくると、トランプ大統領が首相に対し、二国間の紛争を終わらせるためにいかにして貿易を利用したかを説明する声が聞こえた。

トランプ大統領は「私がそのことで功績を認められたか? いいや、そんなことはなかった。私は停戦を8つもやった。インドとパキスタンはどうか? つまり、私は8つやった。そして、残りのことは何も教えてくれないんだ」と述べた。

トランプ大統領が月曜日にネタニヤフ首相と会談した翌日、トランプ大統領はゼレンスキー大統領をマール・ア・ラーゴに招き、ウクライナ紛争終結に向けた和平案について重要な協議を行った。トランプ大統領は今月初め、エジプト大統領が新年を迎える前にフロリダにある自身の邸宅を訪問する可能性を示唆していた。

トランプ大統領の年末の会談は、2期目の1年目を象徴するものだ。この1年間、トランプ大統領はイタリア、ヴァティカン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、イギリス、イスラエル、日本、カナダ、韓国、マレーシアを訪問し、和平協定や貿易協定の締結に尽力した。

トランプ大統領は、イスラエルとハマス間の戦闘終結のため、中東における停戦合意の仲介に数ヶ月間にわたって努力した。ウクライナ紛争の終結を目指し、ゼレンスキー大統領やプーティン大統領とは今年を通して複数回電話会談を行い、アラスカではプーティン大統領と直接首脳会談も行った。

トランプ大統領の側近たちは、ノーベル平和賞の受賞を公然と訴えた。一方、ネタニヤフ首相やFIFA会長を含む他の人々は、トランプ大統領の国際的な貢献を称える賞を授与することで、トランプ大統領の支持を得ようとしてきた。

数カ月にわたりトランプ大統領の外交重視を批判し、関係を断ったことで、来週には連邦議員辞職を予定しているジョージア州選出のマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(共和党)は、トランプ大統領の過ごし方に注目している。

「今日はゼレンスキー。明日はネタニヤフ。アメリカらしくやっていけるだろうか?」とグリーン議員は日曜日、ソーシャルプラットフォーム「X」に投稿した。

ホワイトハウス高官たちは、トランプ大統領が外交政策に偏りすぎているという批判に反論している。彼らは、移民取り締まりを強化する大統領令の発令、夏の間に成立した巨額の増税・歳出法案、そして製薬会社との「最恵国待遇(most favored nation)」協定による処方薬価格引き下げの取り組みがあったことを指摘している。

トランプ大統領の支持者たちはまた、大統領の海外での行動がアメリカ国内に利益をもたらしていると主張している。彼らは、トランプ大統領がEU、日本、イギリスなどと締結した貿易協定に加え、ヴェネズエラとの対峙が麻薬や不法移民の脅威からアメリカを守ることになるという考えも主張している。

しかし、世論調査では、有権者たちが必ずしもトランプ大統領の外交政策への注力について支持していないことが明らかになっている。

今月初めに発表されたキュニピアック大学の世論調査によると、トランプ大統領に対する有権者の全体的な支持率は低迷しており、回答者のわずか40%が彼のパフォーマンスを支持していると回答した。世論調査によると、トランプ大統領の外交政策の対応を支持する人は41%、不支持は54%だった。

しかし、ストラティジストたちは、11月の中間選挙の結果は、有権者がトランプ大統領の外交政策の成果についてどう感じているかよりも、経済についてどう感じているかによって左右される可能性が高いと概ね同意している。

ホワイトハウスは、インフレの鈍化と堅調な国内総生産(GDP)をトランプ大統領の経済政策が成功している証拠として挙げているが、世論調査では、有権者の大半がそう感じていないことが示された。

キュニピアック大学の世論調査によると、回答者の40%がトランプ大統領の経済政策を支持し、57%が不支持と回答した。この結果は、同様に有権者がトランプ大統領の経済政策に失望していることを示す他の世論調査結果と一致している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカによる西半球支配の動きはラテンアメリカ諸国やヨーロッパを緊張させている。ヴェネズエラ攻撃によって、「アメリカが実際に攻撃をする」可能性を見せられて、動揺が広がっている。他国からの侵略から守ってくれて、地域に安定をもたらすはずだったアメリカが攻撃する主体になったということは戦後80年の大きな節目での、国際社会の構造の大転換となった。ラテンアメリカはそれぞれに不平不満はありながらも、平和を維持してきた。しかし、これからはどうなるか分からない。

 アメリカは「裏庭(backyard)」であるラテンアメリカを勢力圏として管理し、味方につけようとしてきた。モンロー主義の場合は、ラテンアメリカ諸国が独立する時期で、スペインやポルトガルに代わってイギリスがラテンアメリカでの影響力伸長を目指して、独立運動を支援していたのを阻止するということが理由であった。アメリカは、ラテンアメリカに地域外の大国が進出してくることを安全保障上の脅威と捉え、深刻な恐怖感を持って対応する。今回のヴェネズエラ攻撃の場合には対象となるのは中国とロシアである。

 トランプ大統領はヴェネズエラの石油を管理し、販売した利益をヴェネズエラ国民とアメリカ国民に分配するとし、更には、ヴェネズエラ国民はその利益でアメリカ製品だけを買うように主張している。これは、ヴェネズエラの属国化のさらに先の「再植民地化(recolonization)」である。

 このようなアメリカの動きは長期的に見れば、アメリカの利益にならない。アメリカが大国として暴れまわることで、信頼を失い、アメリカとの協力を控えることになる。さらには、中国とロシアに近づき、対米防衛同盟を結成する動きも出てくるだろう。しかし、今のアメリカには既に長期的な視点を持って対外政策を行うだけの余裕がない。トランプ率いるアメリカはグリーンランドの領有も狙っているが、これは、レアアースの取得と、北極海航路の通行料徴収が目的である。アメリカは何が何でもお金を稼いで、国民を食べさせねばならない。トランプは、大統領就任演説で、アメリカを製造業の国にすると述べた。しかし、既に手遅れである。生産設備はなく、質の高い労働力などどこにもない。これから工場を建設すると言っても時間がかかる。その間に人々の暮らしは厳しくなる。結局、短期的な方法を取らざるを得ない。トランプの攻撃的なドンロー主義は、アメリカには余裕がなくなってどうしようもないという状況の裏返しである。アメリカはこれから「悪い隣人」となって、町のチンピラのようなことをする。「昔は立派だったのにね」と言われ、嫌われながら、衰退していく。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領の「悪い隣人」政策(Trump’s Bad Neighbor Policy)

-地域諸国を属国(vassal states)のように扱うことは彼らを中国の懐に進めるになるだろう。

ウィリアム・M・レオグランデ、ピーター・コーンブルー筆

2026年1月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/05/trump-maduro-venezuela-oil/

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スペイン・バルセロナで行われたデモで抗議者が「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」と書かれた帽子をかぶっている。帽子の文字は「ヴェネズエラ」とテープで上書きされている(2026年1月4日)

「2026年にようこそ」とピート・ヘグゼス米国防長官は土曜日、アメリカ軍によるヴェネズエラへの攻撃を祝うマール・ア・ラーゴでの記者会見で宣言した。「トランプ大統領の下、アメリカは戻ってきた」。つまり、1900年代初頭の砲艦ドル外交(gunboat and dollar diplomacy)の時代、つまりラテンアメリカにおける帝国主義的覇権(imperial hegemony over Latin America)を志向し、いまだに完全には消えることのない敵意を生み出していた(engendering enmities that have never entirely dissipated)時代への回帰である。

世界をそれぞれの勢力圏(spheres of influence)に分割することを構想するドナルド・トランプにとって、ラテンアメリカ地域におけるアメリカの支配(U.S. domination)はそれ自体が目標だ。「西半球(the Western Hemisphere)におけるアメリカの支配は、二度と疑われることはないだろう」と、ヴェネズエラの複数の空港への空襲と、ニコラス・マドゥロ大統領とシリア・フローレス夫人の強制連行を含む夜明け前の襲撃からわずか数時間後、トランプは記者団にそのように語った。ヴェネズエラの今後について問われると、「私たちが統治することになる」と答えた。もはや国家建設(nation-building)は行わないという彼の約束は裏切られ、これで終わりとなった。

アメリカによるカラカス爆撃、マドゥロ大統領の拉致、そしてトランプ大統領によるヴェネズエラ石油産業の掌握計画は、フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領の善隣政策(President Franklin D. Roosevelt’s Good Neighbor Policy)によって構想され、1950年代に米州相互援助条約(the Inter-American Treaty of Reciprocal Assistance)と米州機構(OAS)憲章(the Charter of the Organization of American States)によって成文化された米州システム(the inter-American system)に深刻な打撃を与えた。

マドゥロ大統領はラテンアメリカ内に友人をあまり持っていないが、主要国の指導者の多くはアメリカの攻撃を非難している。地域の指導者たちは短期的には反撃できる余地がほとんどないが、アメリカのラテンアメリカへの介入の歴史は、たとえトランプとその外交政策ティームがカラカスで思い通りに事が運んだとしても、西半球におけるアメリカの立場に与える外交的ダメージは、彼らが想像する以上に大きな代償を伴う可能性があることを示唆している。たとえ彼らがカラカスで思い通りに事が運ぶことができるかかどうかは、決して確定的ではない。

トランプは、第二次世界大戦終結以来の国際秩序を形作ってきた規範や制度(the norms and institutions)を破壊してきたことで悪名高い人物だ。NATOや国連から世界銀行や世界貿易機関に至るまで、「アメリカ・ファースト(America First)」は、ハードパワーに依存し、多国間の関与やコミットメントに懐疑的なアメリカの外交政策を意味してきた。

第2次トランプ政権発足後数週間で、トランプはその姿勢が西半球でどのように適用されるかを予見した。パナマシティにパナマ運河を返還し、カナダに主権を放棄して51番目のアメリカの州となるよう要求した。先月(2025年12月)末には、デンマークに対しグリーンランドの引き渡しを要求し、さもなければアメリカ軍による奪取に直面する可能性があると繰り返した。

ヴェネズエラは、昨年9月にアメリカ軍がカリブ海で麻薬密輸船とされる船舶の爆破を開始して以来、トランプの一方的な攻撃の的となっており、トランプはマドゥロをいわゆる「カルテル・デ・ロス・ソレス」の麻薬テロリストの首謀者だと非難している。

しかし、マルコ・ルビオ国務長官に煽られたトランプのヴェネズエラへの執着は、麻薬が原因だったことは一度もない。ヴェネズエラはコカインを生産していないし、ましてやフェンタニルも生産していない。ヴェネズエラはコロンビア産コカインの二次的な中継地点であり、その輸送先は主にヨーロッパだ。アメリカ市場向けのコカインは、コロンビアとエクアドルから太平洋を経由して北上するか、陸路でメキシコを経由して北上する。さらに、もしトランプの主目的が麻薬密売人の処罰であったならば、400トン以上のコカインのアメリカへの密輸を幇助した罪で有罪判決を受けたホンジュラスの元大統領フアン・オルランド・エルナンデスを恩赦することはなかっただろう。

トランプ大統領がカリブ海に大規模な艦隊を派遣したことは、当然のことながら、アメリカが砲艦外交(gunboat diplomacy)の手段として、あるいは介入(intervention)の前兆として、この地域に海軍部隊を定期的に派遣していた砲艦外交を想起させた。100年前、砲艦外交はセオドア・ルーズヴェルト大統領と密接に結び付けられ、モンロー主義のルーズヴェルト的系列として正当化された。この系列では、アメリカはラテンアメリカ諸国への介入によって安定を維持する権利があると主張していた。

その後20年間にわたる24回のアメリカによる介入と6回の長期占領は、ラテンアメリカ諸国の間に大規模な反感を招いた。第一次世界大戦中、多くのラテンアメリカ諸国が中立を守り、ドイツはメキシコにアメリカへの宣戦布告を促せるのではないかと考えたほどである。

1930年代、ヨーロッパに再び戦火の雲が立ち込めると、ルーズヴェルト大統領は善隣政策を採用し、関係修復と、西半球に戦争が到来した際にラテンアメリカが連合国側にしっかりと留まることを保証するために、軍事介入を放棄した。ルー元はこの政策に成功し、戦後の米州システムの基礎を築いた。

確かに、アメリカは西半球を支配するという帝国主義的誘惑(the imperial temptation)を完全に捨て去ったことはなかった。特に冷戦期においては、共産主義の脅威、とりわけキューバ革命後の脅威が、グアテマラ、キューバ、ドミニカ共和国、チリ、グレナダ、ニカラグアといった主要な国々への、秘密のそして公然の介入を生み出した。

トランプ大統領は、自ら「トランプ系列(Trump Corollary)」を発表し、続いてヴェネズエラに介入することで、ラテンアメリカにおけるブレジネフ・ドクトリン(the Brezhnev Doctrine)に相当するアメリカ版を宣言した。すなわち、アメリカの勢力圏内にある国々は限定的な主権(limited sovereignty)しか持たないというものだ。先月発表されたトランプ大統領の国家安全保障戦略(Trump’s National Security Strategy)は、「アメリカは西半球において卓越した存在でなければならない(The United States must be preeminent in the Western Hemisphere)」と明確に宣言している。

ラテンアメリカの人々は、少なくとも今後3年間は、国際法の制約がもはや適用されないホッブズ流の自然状態(a Hobbesian state of nature)に生きていることを理解すべきだ。トランプは国内法以上に国際法を軽視している。米州協力の基盤文書である米州機構(OAS)憲章は、「いかなる国または国家集団も、いかなる理由によっても、直接的または間接的に、他国の内政または外交問題に介入する権利を有しない」「いかなる国も、他国の主権的意思を強制し、そこからいかなる利益を得るため、経済的または政治的性格を有する強制的手段を用い、または用いることを奨励してはならない」「国の領土は不可侵である。いかなる理由によっても、一時的であっても、他国による直接的または間接的な軍事占領またはその他の武力行使の対象とされてはならない」と厳粛に宣言している。事実上、この憲章は今や死文(a dead letter)となっている。

ラテンアメリカ諸国からの初期反応は、トランプ大統領によるアメリカ国内法の軽視に対する国内の反応と軌を一にしている。イデオロギー的に同調的な指導者たちは、支持を得るために惜しみない賛辞を送った。トランプ大統領から200億ドルの救済措置を受けたアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、マドゥロ大統領の退陣を支持し、「自由万歳、くそが(Long live freedom, damn it)」と宣言した。しかし、主要国はアメリカの介入をはっきりと非難した。ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は、アメリカは「容認できない一線を越えた(has crossed an unacceptable line)」と直後に警告した。コロンビアでは、グスタボ・ペトロ大統領がワシントンの軍事作戦を「地域の主権への攻撃(assault on the sovereignty of the region)」と非難した。チリでは、退任間近のガブリエル・ボリッチ大統領が、トランプ政権の行動は「領土保全の原則の重大な侵害であり、地域諸国の安全、主権、そして安定を危険に晒す(constitutes a grave violation of the principle of territorial integrity and puts at risk the security, sovereignty, and the stability of the countries in the region)」と宣言した。メキシコ外務省は声明で、「ラテンアメリカ・カリブ海地域は相互尊重(mutual respect)、紛争の平和的解決(the peaceful settlement of disputes)、武力行使と武力威嚇の禁止(the prohibition of the use and threat of force)を基礎として築かれた平和ゾーン(a zone of peace)であるため、いかなる軍事行動も地域の安定を深刻に脅かすことになる」と指摘した。

短期的には、ラテンアメリカ諸国はトランプの攻撃的な姿勢を抑えるためにできることはほとんどない。昨年、トランプはメキシコとコロンビアへの軍事攻撃をちらつかせ、パナマ運河を再占領し、ニカラグアとキューバに新たな経済制裁を課した。強者はやりたいことをやり、弱者は当然の苦しみを味わうことになる(The strong do what they will; the weak suffer what they must)。

​​しかし長期的には、ラテンアメリカ諸国には、最初の砲艦外交の時代と同様に、選択肢がある。国際的な経済関係をヨーロッパやアジアのより信頼できるパートナーへと転換することで、アメリカの経済制裁に対して脆弱な(vulnerable)状態を軽くすることができる。アメリカの外交的圧力、そして(程度は低いものの)アメリカの軍事的脅威とのバランスを取るために、他の主要国に新たな戦略的同盟を求めることもできる。トランプの優先事項である移民問題や麻薬密売問題など、アメリカ単独では解決できない問題への協力を縮小するだけで、受動的に抵抗することもできる。

ラテンアメリカ諸国がアメリカから離れる傾向は、ここしばらく徐々に進行しており、その先頭に中国が立っている。過去10年間、アメリカ南方軍の年次態勢声明は、中国を戦略的競争相手(a strategic competitor)、そしてアメリカの半球の利益に対する脅威として拡大していると指摘してきた。昨年発表された最新版では、「アメリカと中国は激しい戦略的競争に巻き込まれている(The United States and China are locked in a fierce strategic competition)」と警告している。

ルーズヴェルト大統領の善隣政策は、ヨーロッパで高まりつつある危機に対処するため、ラテンアメリカ諸国に同盟関係を築くことを目指していた。トランプ大統領は、アメリカはこの地域に同盟国(allies)など必要なく、属国(vassals)さえあれば十分だと考えているようだ。わずか1年で、アメリカは典型的な「悪い隣国(Bad Neighbor)」に変身した。ラテンアメリカ諸国をアメリカの宗主権(suzerainty)の対象として扱うことは、ラテンアメリカ諸国の中国への傾きを加速させ、アメリカの地域的影響力(U.S. regional influence)を弱めるだけだ。もし世界でトランプ大統領のヴェネズエラ介入を密かに称賛している人がいれば、それは中国の習近平国家主席だろう。

※ウィリアム・M・レオグランデ:アメリカン大学教授。クインシー研究所非常勤研究員。ピーター・コーンブルーとの共著『キューバへの裏チャンネル:ワシントンとハバナの交渉の隠された歴史(Back Channel to Cuba: The Hidden History of Negotiations between Washington and Havana)』がある。Xアカウント:@WMLeoGrande

※ピーター・コーンブルー:ジョージワシントン大学国立安全保障アーカイヴのキューバ文書プロジェクト部長。『1962年のキューバミサイル危機(The Cuban Missile Crisis, 1962)』の共著者であり、ウィリアム・M・レオグランデと共著で『キューバへの裏チャンネル:ワシントンとハバナの交渉の隠された歴史(Back Channel to Cuba: The Hidden History of Negotiations between Washington and Havana)』もある。Xアカウント:@peterkornbluh

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 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権は国内外で不安定な状況を作り出している。ヴェネズエラ攻撃を利用して、他国に脅しをかけている。グリーンランドの領有の意思を隠さずに、堂々と主張している。グリーンランドにアメリカ軍を派遣するということになれば、対ロシアの防衛同盟としてのNATOが瓦解する。卑近なたとえをするならば、「みんなで防犯組織を作ったら、仲間内から泥棒が出た」ということになるからだ。

 国内ではICE(アメリカ移民関税執行局)による不法移民取り締まりがアメリカ国内の緊張を高めている。ミネアポリスでICEの捜査員による女性の射殺事件が発生し、ミシガン州知事ティム・ウォルツは州兵の出動待機命令を出した。ICEの捜査員と一般市民の小競り合いも各地で頻発している。これがいつ更なる暴力事件から武力衝突、内戦にまで発展するか分からない。私たちは世界の大きな構造転換に直面している。アメリカの衰退がそのきっかけである。

 そうした中で、私たちが住む日本、そして東アジアと隣接する東南アジアは平穏を保たねばならない。それは、世界の経済成長エンジンであり、今や世界を支える地域になっているからだ。そこで残念なのは日本の状況だ。高市早苗首相という地政学リスクを抱え、アジアに不安定な状況をもたらしている。その高市首相の支持率が70%超えという日本国民は客観的に見て、馬鹿でアホでどうしようもないということになる。自分の頭絵で考えることを知らず(教えられてこなかったのだから仕方がないとは言え)、上から言われたとおりに生きて死ぬだけの存在だ。高市首相は解散総選挙を選択したが、高市首相を退陣させることができるかどうか、期待はできない。日本もアメリカと一緒に衰退し、沈んでいくしかないようだ。世界は大きく変化しようとしている。残念なことだが、アメリカと日本はその変化で負け組として衰退するしかない状況だ。せめて、個人個人で自分の置かれた状況を考慮して最善の方策を選択するしかない。

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ドナルド・トランプは世界にアメリカを恐怖することを教えている(Trump Is Teaching the World to Fear America)

-数十年かけて築き上げてきた善意(goodwill)が今や無駄になっている。

ファリード・ザカリア筆

2026年1月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/09/trump-fear-united-states-alliances-global-power-balance/

歴史を通して、最も力強い国は往々にして友好国を見つけるのに苦労してきた。ある国が支配的になると、他国はそれに対抗しようとする。東ヨーロッパにあるロシアの隣国群を見れば、世界が認めてすぐに、NATOに加盟した。アジアにある中国の近隣諸国を見れば、日本、インド、オーストラリア、ヴェトナムなどが、北京の台頭を受けて、アメリカとの、そして互いの安全保障関係を着実に強化してきた。

しかし、アメリカを見てみると、この理論は揺らぎ始める。

アメリカは世界で最も強力な国だが、最も豊かで能力のある国の多くはアメリカに対抗するのではなく、同盟国となっている。彼らは核心的な安全保障問題においてはアメリカに従っている。アメリカの軍隊を受け入れている。自国の軍隊をアメリカと統合する。これは近代史の長い流れの中では普通のことではない。むしろ、非常に特殊なことだ。

それなぜか? それはアメリカが聖人のよう(saintly)だからではなく、しばしば古典的な覇権国(a classic hegemon)とは一線を画す行動を取ってきたからだ。第二次世界大戦後の80年間、アメリカは往々にして、その力強さを他国が受け入れ可能なもの、すなわちルール、制度、そして正統性(rules, institutions and legitimacy)へと変換しようと努めてきた。属国体制(tributary systems)ではなく同盟関係(alliances)を築き、たとえそれが不十分な場合であっても、集団安全保障、自決、自由な商業活動(collective security, self-determination, open commerce)といった諸原則を掲げてきた。

アメリカの一極主義の象徴としてしばしば挙げられるイラク戦争について考えてみよう。私はあの戦争の賢明さを擁護している訳ではない。国際システムに対するアメリカの姿勢について、より大きな視点で論じているのだ。ジョージ・W・ブッシュ政権は2002年に連邦議会の承認を求め、承認を得た後、国連に訴え、安全保障理事会決議1441号の成立に貢献した。また、この取り組みを支持する49カ国からなる連合も結成した。ワシントンは、この主張を表明し、パートナーを集め、他国に広く受け入れられる根拠を探る必要性を感じていた。

力を正当性へと変換しようとする努力こそが、アメリカの優位性の隠れた柱(the hidden pillar of American primacy)である。アメリカが脅迫者(a shakedown artist)ではなくルールメイカー(a rulemaker)として行動するとき、恐怖よりも価値のあるもの、すなわち同意(consent)を得ることになる。同意こそが覇権をリーダーシップへと、そしてリーダーシップを他国が他の選択肢よりも好ましいと考えるシステムへと変える。また、バランスを取ろうとする衝動を燃え上がらせないのも同意である。

そして、まさにヴェネズエラの出来事が今、危険に晒しているのはまさにこのことだ。ニコラス・マドゥロへの襲撃そのものではなく、アメリカ外交政策におけるこの断絶を特徴づけているのは、法、規範、同盟、そしてアメリカの外交政策に対する完全な無視(disregard for law, norms, alliances and diplomacy that mark this break in American foreign policy)である。

CNNのインタヴューで、ホワイトハウスのスティーヴン・ミラー大統領次席補佐官は、「アメリカ合衆国がヴェネズエラを統治している」と断言し、「国際的なお世辞(international niceties)」を一蹴し、世界は「強さ・・・力・・・権力」、つまり歴史の「鉄則(iron laws)」によって支配されていると主張した。一方、ドナルド・トランプ大統領は、ヴェネズエラが「移行(transition)」を迎えるまでアメリカが統治し、石油を奪取すると述べた。これは、アメリカの国庫を潤すための露骨な侵略行為(a naked act of aggression to benefit America’s coffers)だった。

もしあなたがカナダ人、ドイツ人、韓国人、あるいはメキシコ人なら、ミラーの言葉に恐怖を覚えるだろう。それはアメリカがオタワやベルリンに侵攻しようとしているからではなく、論理が変わった(the logic has changed)からだ。アメリカの力は、他国が受け入れることができるより広範な原則、民主政治体制、集団安全保障、ルールに基づく秩序(democracy, collective security, a rules-based order)のために使われるという主張はもはや存在しない。力には力に基づいた行動を取る権利がついてくるという主張だ。つまり、力があるから支配するのだ、という議論だ。これがまさに近隣諸国を不安にさせる大国の行動(great-power behavior)である。

トランプはこの作戦を正当化するためにモンロー主義(the Monroe Doctrine)を持ち出した。モンロー主義は1823年以降、反帝国主義的(anti-imperial)なもの、つまりヨーロッパによる西半球への植民地主義的な介入を阻止することを目的としていた(aimed at preventing colonial-style interventions by Europe in the Western Hemisphere)とよく考えられていたことを忘れてはならない。モンロー主義がラテンアメリカ全域へのアメリカの侵略を容認するものへと変化したのは、その後、特に1904年にセオドア・ルーズヴェルト大統領が同様の政策(President Theodore Roosevelt’s corollary)を採択したことによる。アメリカ帝国主義のこの栄華は長くは続かず、地域にとってもアメリカの評判にとっても良い結末にはならなかった。

過去40年間、共和党と民主党はラテンアメリカ地域に対する新たな超党派的アプローチを構築した。これはラテンアメリカ諸国が軍事政権から民主政治他一世へ移行する動きを後押しし、貿易・投資・制度改革支援を促進し、各国と連携して麻薬問題や移民問題に対処した。メキシコはこの転換の象徴だ。かつてワシントンへの深い不信感で定義づけられていた国が、密接なサプライチェインと日常的な法執行協力で結ばれた、アメリカにとって最も緊密な経済パートナーの1つとなった。(そして、21世紀の大半において、メキシコ人によるアメリカへの純移民数はほぼゼロに近い状態が続いている。)

メキシコ人による米国への純移民数はほぼゼロに近い状態が続いている。)

この数十年にわたり築き上げられた戦略的資本(strategic capital)が今、浪費されつつある。そして長期的には、国際舞台で完全なる利己的な捕食者のように振る舞うアメリカは強くなるどころか、孤立を深めるだろう。同盟諸国はヘッジし、パートナーは代替案を模索し、中立国は徐々に距離を置く。歴史が常に予見してきたバランシング(balancing)が遂に訪れるかもしれない。それはアメリカが弱体化したからではなく、自らの強さの真の源泉を忘れたからだ。

トランプ政権の志向は、アメリカをプーティンのロシアのように振る舞わせることにあるようだ。露骨に自国の利益を追求する攻撃的な国家として振舞う。そしてミラーが指摘するように、歴史の大半において強大国はそう行動してきた。アメリカを除いてはそうしてきた。アメリカは、紆余曲折と多くの過ちを伴いながらも、過去80年間にわたり異なる道を歩み、新たな世界を築き上げてきた。その世界が今、無謀にも解体されつつある。

※ファリード・ザカリア:CNN「ファリード・ザカリアGPS」司会者。著作も多く、最新刊は『』。『ワシントン・ポスト』紙に各週でコラムを掲載し、それは『フォーリン・ポリシー』誌にも掲載されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領のヴェネズエラ攻撃とニコラス・マドゥロ大統領夫妻拘束連行は世界に衝撃を与えた。私も「トランプはどうしてそんなことをやったんでしょうか」「アメリカはどうなるんですかね」といった問い合わせをいただくことがある。トランプが主張するドンロー主義(Donroe Doctrine)は、1830年代のジェイムズ・モンロー大統領のモンロー主義(南北アメリカ大陸からスペインとイギリスの影響を排除する)と、1900年頃のセオドア・ルーズヴェルト大統領(と先代のウィリアム・マッキンリー大統領)が採用した棍棒外交(中南米諸国に対して武力行使をちらつかせ、また実際に行使してアメリカに従わせる)を混合した外交政策の基盤となる原理ということになる。そして、これこそが「アメリカ・ファースト」(アメリカの利益が最優先)ということになる。

 こうしたドンロー主義に対して、懸念の声が出てくるのは当然のことだ。国外から一気に首都を急襲するという方式は、1979年から1981年にかけて起きたイランのテヘランのアメリカ大使館人質事件(Iran Hostage Crisis)において、人質救出作戦として立案されたイーグルクロー作戦(Operation Eagle Claw)と似たような形である。イーグルクロー作戦は天候に恵まれず失敗し、アメリカ大使館人質事件は当時のジミー・カーター大統領の再選失敗の最大の原因となった。もし、今回のヴェネズエラ急襲作戦が失敗していれば、トランプ大統領と政権にとって致命的な傷となったことだろう。今回の成功は幸運だったと言える。

 懸念されるのは、今回の成功に味を占めて、成功体験に浮かれて、他国にも同様の攻撃を行う可能性があることだ。メキシコやグリーンランド、パナマにアメリカ軍部隊を侵入させるということは今のところ考えにくいが、可能性がゼロではない。また、そのような可能性を相手側に考慮させることで、アメリカ側の交渉力を上げ、意向に従わせようとする可能性もある。短期的にそれが成功しても、中長期的に見て、それが成功となるかどうかは分からない。アメリカのならず者のような行動は他国からの反感を買い、忌避を生み出す。そして、相対的に、中国とロシアの評価を上げることになる。

国際関係論では、「バランシング(balancing)」と「バンドワゴニング(bandwagoning)」という考え方があるが、脅威となる国が出てきたときに他国が一緒になって対抗することを「バランシング」、脅威となる国に味方することを「バンドワゴニング」という。アメリカに対抗できるもう一つの軸として、著書やブログでも何度も紹介してきた、中国とロシアを中心とするBRICS諸国を中核とする「西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」による「バランシング」が起きる可能性が高い。アメリカは予期しているよりも影響力を行使できないということになる。そうなると、国際的な孤立を招くということになる。今回のヴェネズエラ急襲成功が結果として大きな損失を生み出すということも十分に考えられる。

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ヴェネズエラはドナルド・トランプ大統領の運が尽きる場所になるかもしれない(Venezuela Might Be Where Trump’s Luck Runs Out)

-トランプ大統領は、支持基盤内部の極めて強硬な派閥とハト派の間で綱渡りを続けている。

エンマ・アシュフォード筆

2026年1月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/05/venezuela-trump-us-military-intervention-regime-change-south-america/

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(右から)ドナルド・トランプ米大統領、マルコ・ルビオ国務長官、ジョン・ラトクリフCIA長官、ピート・ヘグゼス国防長官がフロリダ州パームビーチにあるトランプの邸宅マール・ア・ラーゴからヴェネズエラにおける米軍の作戦を監視する(2026年1月3日)

国境の南側へのアメリカの軍事介入は、野球やアップルパイと同じくらいアメリカ的だ。1914年、ウッドロウ・ウィルソン大統領はアメリカの経済的利益を守るため、メキシコのベラクルスを占領するために軍隊を派遣した。冷戦時代、アメリカはキューバからニカラグア、グアテマラ、パナマに至るまで、公然と、あるいは秘密裏に、様々な政権転覆作戦(overt and covert regime change operations)を実行した。さらに最近の1994年には、クリントン政権がハイチに侵攻し、退陣したジャン=ベルトラン・アリスティド大統領を復帰させた。

それにもかかわらず、先週末に見られたような、事実上の武装誘拐(an armed kidnapping)とも言える指導者交代を、アメリカの政権が公然と、そして誇らしげに行っていることは衝撃的だった。これらの行動が選択された理由に関する公式の説明には、ほとんど策略がなく、この攻撃を何らかの国際法に組み込もうとする真摯な試みもなかった。むしろ、ドナルド・トランプ政権は事実上、アメリカの利益の優先性を主張した。ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、移民の阻止、麻薬の流入の防止、そしてアメリカの石油会社によるヴェネズエラの豊かな油田へのアクセスの許可を妨害したという主張であった。

提示された数々の論拠は、2003年のイラク侵攻の直前、政権が既に決定していた行動を正当化する様々な理由付けを次々と提示した状況を彷彿とさせる。しかし、これさえも誤解を招く。ヴェネズエラに関する説明は、ジョージ・W・ブッシュ政権が夢見ることしかできなかったようなスピードで、国際法の建前を無視して提示された。少なくともジョージ・W・ブッシュ大統領は、最終的にそのプロセスを無視する前に、国連安全保障理事会の承認(U.N. Security Council authorization)を求めた。

ここでも、提示された論拠はどれも真に説得力がない。アメリカは世界最大の産油国であり、ヴェネズエラ産の原油供給過剰(a glut of Venezuelan oil)は、世界的な価格下落によって、テキサス州などの産油地にさえ悪影響を及ぼしかねない。アメリカ国内で死者を出している薬物のほとんどは、ヴェネズエラ産ではない。そして、アメリカの法執行機関は、たとえ有効な令状があっても、通常は海外で軍事行動を起こすことはない。

実際には、これは明らかにアメリカの力、そしてこの地域を支配する必要性を誇示するための演習となった。マドゥロ大統領はトランプ政権に繰り返し反抗し、カリブ海における圧力と軍備増強にもかかわらず、権力を手放して快適な亡命生活(a comfortable exile)を送ることを拒否してきた。マドゥロ大統領の継続的な抵抗に、たとえドナルド・トランプでさえ、アメリカの譲歩(U.S. concessions)によって乗り越えられる可能性は、常に低かった。トランプは、アメリカ大統領の中でも、ハイリスクな状況においてブラフを仕掛け、譲歩する姿勢で知られている。

これは、トランプ政権が最近発表した国家安全保障戦略において、いわゆるモンロー主義のトランプ系(Trump Corollary to the Monroe Doctrine)が提示されたことを考えると特に当てはまる。この戦略は、中国などの西半球外の勢力を締め出し、「西半球に軍事力やその他の脅威となる能力を配置する能力、あるいは戦略的に重要な資産を所有・管理する能力(the ability to position forces or other threatening capabilities, or to own or control strategically vital assets, in our Hemisphere)」を否定することを約束している。この文書が不吉に約束しているように、アメリカは「各国が私たちを第一選択のパートナーと見なすことを望んでおり、(様々な手段を通じて)他国との協力を阻止するつもりだ(nations to see us as their partner of first choice, and … will (through various means) discourage their collaboration with others)」。

マドゥロの拘束はまさにこの目的にかなうものであり、中国とロシアに西半球への介入を避けるよう求めるシグナルを送る可能性もある。また、複数の政権当局者によるキューバとメキシコに関する発言が示唆するように、これは他の地域内の諸国政府にも、移民問題、麻薬問題、あるいは他国との協力といった問題で協力を求めるシグナルを送ることになる。もし協力しなければ、アメリカによる懲罰的攻撃(a U.S. punitive strike)を受けるリスクがある。これは非常にリスクの高い戦略だ。今回の襲撃が計画通りに進まなければ、トランプ政権は期待していたよりも弱体化してしまう可能性がある。

おそらく最大の問題は、今回の襲撃をトランプのより広範な外交政策の文脈でどう解釈するかということだ。一部の人々はこれを政権内の1つの派閥の勝利(the triumph of one faction inside the administration)と解釈し、「タカ派が勝利している(The hawks are winning)」と簡潔に報じた。そして、この作戦の顔は明らかにタカ派のマルコ・ルビオ国務長官であることは事実だ。外国の政権交代を長年批判してきたJ・D・ヴァンス副大統領は、この襲撃を支持しているものの、襲撃に関する写真や記者会見には出席しておらず、その理由については安全保障に関する漠然とした発言のみで説明している。

しかし、トランプの側近であるタカ派やネオコンもこの状況に不満を抱いている。大統領は記者団に対し、民主派野党の有力候補であるマリア・コリーナ・マチャドには、近いうちにヴェネズエラで政権を掌握するために必要な支持がないと述べた。ルビオ長官もすぐにこの見解に同調した。政権当局者たちは、マドゥロの副大統領であるデルシー・ロドリゲスが政権移行に向けて政権と協力すると見込まれていると述べており、この作戦は民主政治体制を促す政権交代(pro-democracy regime change)というよりも、非協力的な指導者を排除すること(removing an uncooperative leader)が目的であることを示唆している。

このように、マドゥロ襲撃は、その行動は攻撃的かつ野心的であると同時に、政治的目的は非常に限定的である。この点において、これはおそらく2025年6月のトランプによるイラン核施設への攻撃に最も類似していると言えるだろう。どちらのケースでも、トランプはアメリカの軍事力の強力なデモンストレーションを行う一方で、911以降のアメリカの軍事介入の多くを悩ませてきたエスカレーション、混乱、そして意図せぬ結果(the escalation, chaos, and unintended consequences)を回避しようと努めた。つまり、彼はアメリカがほとんど何の責任も負わない武力行使を行えるという主張を試しているのだ。

このアプローチは、政権内の対立する諸派閥の間を縫うように進められ、ネオコンやレーガン主義の残党(Reaganite holdovers)が渇望する軍事行動を許容しつつ、介入主義(interventionist)に消極的な支持基盤に対しては、アメリカがイラク戦争のような惨事を再び招くことはないとの安心感を与えようとするものだ。これまでのところ、この戦略は功を奏している。しかし、政治的にも地政学的にも、依然として非常にリスクの高い戦略であることに変わりはない。トランプ大統領は幸運だった。イランへの攻撃は事態の大幅なエスカレーションにはつながらず、マドゥロ政権の掌握は今のところヴェネズエラを混乱に陥れたようには見えない。

しかし、だからといって、大統領が将来、例えばメキシコやグリーンランドで同様の攻撃を行った場合、その影響を回避できる能力がアメリカへの逆風に容易に転じないという保証はない。そして、トランプ大統領がこうしたアメリカの武力行使を繰り返せば繰り返すほど、そのどれかが壊滅的な結果を招く可能性が高まるのだ。ヴェネズエラでは、それは軍事クーデター、国家崩壊、あるいはより広範な難民危機(military coup, state collapse, or broader refugee crisis)を意味する可能性がある。他の地域では、戦争、もしくは混乱を意味する可能性がある。

トランプ大統領は、自身を支持してくれた支持基盤を遠ざけるリスクを負っているだけではない。この国際的な瀬戸際政策(this game of international brinksmanship)が成功するたびに、トランプはより自信過剰(more overconfident)になり、次回の誤算のリスク(the risks of miscalculation)が高まる可能性が高い。

※エンマ・アシュフォード:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。スティムソン・センターアメリカ大戦略再発想プログラム上級研究員。ジョージタウン大学非常勤助教。著作に『石油、国家、そして戦争(Oil, the State, and War)』がある。Xアカウント:@EmmaMAshford

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領が2025年12月に発表した「国家安全保障戦略(National Security Strategy、NSS)」は、アメリカによるヴェネズエラ攻撃が実施されたことで、注目度を増している。この文書にはアメリカの「西半球回帰」、モンロー主義(ヤンキー帝国主義)への回帰が明らかになった。第二次トランプ政権の外交政策が「国家安全保障戦略」を基盤にして進むとすれば、この文書に注目するのは当然のことだ。

 「国家安全保障戦略」において、トランプ政権はヨーロッパの「文明の消失(civilizational erasure)」を危惧している。トランプ政権が考える「ヨーロッパ文明」は「白人文明」であある。非白人、非キリスト教徒の移民を多く受け入れることでヨーロッパらしさがなくなっているということである。また、ヨーロッパが安全保障分野において、アメリカに「ただ乗り(free-ride)」をしているという批判も継続している。更には、厳しい規制のために創造性と工業力が低下したために経済力の低下も起きているという指摘もしている。NATO加盟諸国は防衛費の対GDP比を5%(そのうちの1.5%はインフラ整備)にまで引き上げるとしている。アメリカ(トランプ政権)はヨーロッパに対して、移民を制限し、防衛費の増額を求めている。アメリカはヨーロッパに対して厳しい要求を突きつける形で介入をしている。

 こうした中で、ヴェネズエラ攻撃が発生した。また、トランプ大統領自身からグリーンランドについての言及もあった。ヨーロッパ諸国は対応に苦慮している。ヴェネズエラ攻撃に関しては主語を曖昧にして、「国際法は遵守されるべき」と生ぬるい対応をしていれば良いが、グリーンランドで何か起きれば、そうも言っていられない。ヨーロッパ諸国のほぼ全てがNATOに加盟し、集団的自衛権の義務を負う。アメリカ軍がグリーンランドに侵入すれば、当事国デンマークと共にアメリカ軍の排除に出動しなければならない。対ソ連(現在は対ロシア)の防衛同盟であったはずのNATOという枠組みで、そのリーダーであるアメリカが脅威となるという異常事態である。

 トランプのアイソレイショニズム(Isolationism)は、アメリカを国内に戻すということではなかった。世界の警察官(World Police)の役割を放棄して、自身が切り取り強盗になるということであった。そして、全ては「アメリカ・ファースト」という言葉をお題目にして、正当化するというものであった。私は「国家安全保障戦略」を読んで、「何でもアメリカ・ファーストと言えば万事OK、全てがうまくいくと思っているな」という感想を持った。「アメリカ・ファースト」は「世界の諸問題ではなく、アメリカ国内の諸問題を解決することを優先する」ということであったはずだ。トランプ本人が「トランプ革命」を裏切った。いつの時代も革命の指導者が革命を裏切るものであるがそれが世の習いというものだろうか。

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ドナルド・トランプ大統領の「国家安全保障戦略」は西側諸国の崩壊に向けた青写真だ(Trump’s National Security Strategy Is a Blueprint for the Demise of the West)

-ホワイトハウスの政策は一貫性に欠けるかもしれないが極めて危険だ。

ハワード・フレンチ筆

2025年12月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/11/trump-national-security-strategy-blueprint-west-demise/

かつて、アメリカの著名な保守派の人物たちは、西ヨーロッパの同盟諸国に対する数々の使い古された不満に固執していた。

冷戦期のアメリカのイデオローグたちによれば、ヨーロッパ諸国は過剰な税金を課し、その資金を過度に手厚い社会保障制度に費やし、それがヨーロッパを弱体化させ、技術革新と成長を阻害しているという。ヨーロッパは、かつて資本主義の砦であった自由で競争的な市場の精神を放棄し、着実に、しかし幾分静かに、社会主義の行き詰まりへと突き進んでいるという警告が頻繁に発せられた。

少なくともリチャード・ニクソン大統領の政権時代まで遡る、もう一つの定型的な不満は、ヨーロッパが慢性的に自国の防衛費を不足させているというものだ。これは、ヨーロッパ、ひいては西側諸国自身を、最大の存亡の危機であるソ連から守るために設計された、アメリカによる国防総省への多額の支出(予算)にただ乗り(free riding)しているだけなのだ。

ヨーロッパに対するこうした古くからの不満の一部、例えばヨーロッパ大陸の防衛費が倹約的だとされる点などは、ドナルド・トランプ米大統領政権が先週発表した新たな国家安全保障戦略にも依然として残っている。しかし、多くの評論家たちが指摘するように、この文書は共和党の世界観を数十年ぶりに抜本的に刷新するものだ。ヨーロッパに関する主要な前提に関して言えば、ほぼ全てが、近年の共和党の主要人物―ニクソン元大統領、ロナルド・レーガン大統領、そしておそらく1964年の大統領選挙で落選した超保守派のバリー・ゴールドウォーターでさえも―が認識できないほどに歪められている。

ロシアがアメリカとヨーロッパにとって共通の安全保障上の大きな懸念事項であるという前提は、ほぼ完全に消え去った。これは主に省略や行間から読み取れる情報を通して明らかだが、トランプ大統領が今年、アメリカの外交政策をモスクワに有利な方向に転換しようとした数々の行動からも見て取れる。そして、このことを最もよく表しているのはロシア自身だ。ロシアは、ワシントンの方針転換の中で、自らの幸運を信じられないかもしれない。ロシアのメディアは即座に、ワシントンの「国家安全保障戦略」はロシア自身の世界観と概ね一致していると断言した。

ウクライナで進行中の戦争が2022年のロシア侵攻によるものでなければ、これは別問題だろう。しかし、トランプ政権の安全保障関係者たちがロシアの拡張主義に関心を示していないという事実は、トランプとその顧問たちがまだ明確に表明する勇気も率直さも持ち合わせていない、真に急進的な何かを示唆している。

誤解のないようにしよう。ホワイトハウスの新たな戦略文書は、西洋―少なくとも第二次世界大戦以降、世界が西洋という言葉で理解してきたもの―の崩壊を企てる青写真であり、その出発点は、ヨーロッパとアメリカの間に緊密に結びついた共通の利益である。

トランプのシナリオは、名目上は白人社会が有色人種、つまりかつて熱狂的な白人パニック小説のジャンルを席巻した黒人、褐色人種、黄色人種の大群によって徐々に乗っ取られていくという暗い幻想を描いている。これは、1920年代の人気作家ロトロップ・ストッダードのような人物に最もよく例えられる。ストッダードは、影響力のある著書『白人の世界至上主義に抗う有色人種の高まる潮流(The Rising Tide of Color Against White World-Supremacy)』の中で、「有色人種の移民は普遍的な危機であり、白人世界のあらゆる部分を脅かす(colored migration is a universal peril, menacing every part of the white world)」と記している。(ストッダードへの薄っぺらな言及は、20世紀で最も高く評価されているアメリカ小説の一つ、F・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー(The Great Gatsby)』にも見受けられる。)

一方、トランプの「国家安全保障戦略」は、移民によってヨーロッパはもはやヨーロッパではなくなる危機に瀕しており、それは明らかに白人によって定義されることを意味すると警告している。これがこれほど重要な文書に含まれるに値する理由は、トランプにとって、アメリカとヨーロッパが共に「白人のままでいる(“remain” white)」ことが、緊密な同盟関係を維持するための根本条件だからだと直感的に理解できる。言い換えれば、トランプにとって、白人であることへのこだわりを維持することは、長きにわたり普遍的かつ疑問の余地なく用いられてきた「西洋(the West)」という呼称に値し続けるための条件なのだ。

アメリカ政府の白人性への執着は憂慮すべきものだが、トランプ政権の政策に少しでも一貫性があると想像するのは間違いだろう。非白人移民の流入が主な原因でヨーロッパがそのアイデンティティを失う危険に晒されていると警告するトランプの発言には、あまりにも明白な論理的欠陥があり、問題となっているのは人種問題だけではない、むしろ根底には、おそらくもっと深刻な別の問題が潜んでいることを示唆している。

この欠陥は、アメリカの移民率をヨーロッパの主要国や最も裕福な国々の移民率と比較すると明らかになる。そうすることで、ヨーロッパがこの点で際立っているわけではないことが分かる。

ドイツの人口の約19%は移民であり、これは米国の15%をわずかに上回っている。これは、アンゲラ・メルケル首相時代にドイツの人口減少を冷静に評価した結果と言えるだろう。メルケル首相の在任中、ドイツは中東の破綻国家シリアから数十万人の人々を受け入れた。これほど多くの新規移民を受け入れるには、必然的に文化的な適応が必要となり、受け入れ側の住民と移民の双方にストレスをもたらす。しかし、多くのドイツ有権者が少なくとも一時的には大規模な移民受け入れに反対しているとはいえ、シリア人などの流入が、ドイツの深刻な人口減少、高齢化、そしてそれに伴う労働力不足(crisis of population decline, aging, and the associated problem of too few workers)という危機を食い止めることができれば、歴史はメルケル首相の政策を寛大に評価することになるかもしれない。

ヨーロッパの他の二大大国フランスとイギリスの外国生まれの人口は、それぞれ全人口の約14%と16%で、アメリカ合衆国とほぼ同程度だ。挙げた3つの例のいずれも統計的に例外的な数値ではないという事実は、ヨーロッパが自らの人種的抹消に向かって急速に進んでいるというトランプの見解を明確に反証している。そして、はっきり言って、アメリカ合衆国もそうではない。

ヨーロッパの国防費に対するアメリカの不満も同様に根拠に乏しい。『ワシントン・ポスト』紙の最近の論説が指摘したように、アメリカ合衆国はヨーロッパ諸国に対し、GDPの5%を国防費に充てることを要求しているにもかかわらず、2025年度にGDPの3%を国防費に充てるという基準をかろうじて上回る見通しだ。

ヨーロッパが何らかの形でアメリカの先導に従うべきだという考えは、ヨーロッパの生活水準がトランプ政権下のアメリカよりも高いという現実、そして今日多くのヨーロッパ諸国が、大西洋を挟んだ新たな曖昧な長年の同盟国であるアメリカよりも、より活気に満ちた民主政体国家であると広く認識されているという事実によっても裏付けられていない。

何が起こっているのかをより深く理解するには、トランプが2016年の政権獲得当初、外国人嫌悪と人種・民族に基づく脅しを主要な戦術として用いたことを思い出す必要がある。アイデンティティ問題で多数の有権者を煽動することは、支持を集める確実な手段であるだけでなく、近年のいかなる前例からも大きく逸脱する彼の政策要素から目を逸らす効果的な手段でもあった。

これは、トランプのヨーロッパに対する真の狙いを示唆しているように思われる。それは、より大規模で広範な急進的な保守政策を支持することであり、人種に基づくナショナリズムはその槍の先ではあるものの、単なる一要素に過ぎない。

事実、トランプ自身も、国家安全保障声明において、ヨーロッパにおける極右政党の推進に対するワシントンの関心を表明することで、このことを自ら明らかにしたのだ(不器用な表現だと言いたいところだが)。トランプが人種的排外主義に訴えたことは、ヨーロッパの論評家たちから困惑と憤りを招いたが、それほど驚くことではなかった。なぜなら、これらは既に長らく彼の国内政治の中核を成していたからである。

トランプはこれまでもヨーロッパ諸国の国内政治に介入しようと試みてきたが、これほど大胆な介入はかつてなかった。ヨーロッパ大陸の極右勢力への全面的な協力を明確かつ公式に表明したのだ。極右勢力の政党の多くは、反ユダヤ主義に加担し、ファシズムに影響を受けている。このような大胆な介入は、ヨーロッパの多くの方面から激しい抗議を引き起こしている。

もしトランプがこれほどまでに急進的な政治転換に基づく政策を実行に移すならば、そして何よりも、非常に過激な見解を声高に推進してきたJ・D・ヴァンス副大統領のような人物が後継者となるならば、こうした展開は単なる白人性の強調にとどまらず、古い西洋の終焉を正式にもたらすことになるだろう。

アメリカ独立戦争中、ベンジャミン・フランクリンは「私たちは私たち自身の自由を守ることで、彼ら(ヨーロッパ人)の自由のために戦っているのだ」と述べ、フランスなどのヨーロッパ列強に支援を訴えた。

もちろん、西側諸国の民主政体の記録には欠点がつきものだ。しかし、自由を中心とする共通の価値観というこの理念こそが、アメリカとヨーロッパ諸国の同盟関係を支えてきた核心であり続けた。トランプがこれまで以上に露骨に権威主義(authoritarianism)を信奉する中、アメリカがこの価値観から乖離していることこそが、世界が「西側(the West)」と呼ぶものの常識を最終的に覆す可能性がある。

もしフランクリンが今日生きていたら、彼は自分の定式を逆転させ、「ヨーロッパ人は私たちの自由を守ることで、アメリカ人が自らの自由を守るよう鼓舞することを望んでいる」と表現したかもしれない。

※ハワード・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年海外特派員を務めた。最新作に『第二の解放:エンクルマ、汎アフリカ主義、そして最高潮の世界的な黒人性(The Second Emancipation: Nkrumah, Pan-Africanism, and Global Blackness at High Tide)』がある。Blueskyアカウント:@hofrench.bsky.social、Xアカウント:@hofrench

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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 古村治彦です。

 「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」「MAGA」「アメリカ・ファースト(America First)」というスローガンと共にドナルド・トランプは大統領にまで駆け上がった。一敗地に塗れても再び、捲土重来で大統領に返り咲いた。それは、アメリカの有権者たちの意思がそこにあったからだ。「アメリカはもう世界の警察官を辞めて国内優先に戻ろう」「他国に攻め入るのや止めよう」という、生活に疲れたアメリカの有権者たちの叫びがトランプ大統領を生み出したのだ。これは、ポピュリズム(既存の政治やエリートたちに対する異議申し立て)の勝利であった。そして、トランプ革命は実現するはずだった。

しかし、現在、トランプ革命は進んでいない。既存のエリートたちに対する最大の攻撃材料であるエプスタイン文書は日本の戦後の教科書の如く黒塗りとなった。国内の物価高は依然として続いている。2025年4月に高関税政策を打ち出したが、その後はかなり後退している。こうした国内政策の不調をごまかすために外国の問題に首を突っ込むという常套手段をトランプもまた選択した。

 トランプを支持した有権者の間でも支持と不支持が分かれるだろう。トランプ個人を支持する人々は今回のヴェネズエラ攻撃も支持するだろう。しかし、トランプの主張した「アメリカを再び偉大に」「アメリカ・ファースト」の考えを支持する人々にとっては、今回の攻撃は受け入れられない。「海外に軍隊を出さないと言ったではないか」ということになる。これに「エプスタイン文書もなんだか訳の分からない形で形だけ公開しただけだ」という不満も重なれば、トランプに対する不満も高まることになる。

 「トランプが三期目を目指す」という話もあった。アメリカの大統領職は2期8年しかできないと憲法の規定でなっている。それを覆すという話もあったが、自身の熱心な支持基盤であるMAGA有権者たちの間で分裂が起きてしまえばそれも沙汰やみということになるだろう。トランプが次の選挙に出ないということになれば、トランプはやりたい放題だ。後は野となれ山となれである。トランプ自身がトランプ革命の主導者でありながら、トランプ革命を崩壊に導くということになる。裏切られたトランプ革命で2026年の年が明けたということになる。世界は不安定さを増し、アメリカの衰退とドル離れは促進される。この現実を私たちは重く受け止めばならない。

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ドナルド・トランプがヴェネズエラ体制転換に可能性を残す中でMAGA層に分裂が生じる(MAGA divide emerges as Trump leaves door ajar to regime change in Venezuela)

アル・ウィーヴァー筆

2026年1月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/5673779-conservative-concerns-trump-venezuela/

ドナルド・トランプ大統領がヴェネズエラへの地上部隊派遣と政権交代の可能性を残した決定は、保守派からは冷ややかな受け止められ方をしている。彼らは、トランプ大統領が「永遠の戦争(forever wars)」を終わらせ、外国紛争に介入しないという重要な選挙公約を危険に晒していると警告している。

トランプ大統領は長年にわたり、中東地域における長期にわたる紛争を招いたジョージ・W・ブッシュ政権の政策を激しく非難し、「アメリカ・ファースト(America First)」運動を標榜してきた。

しかし、トランプ大統領の評価はここ数カ月で低下しており、その筆頭は週末の出来事、そしてさらに重要なのは、トランプ大統領が適切な政権移行が行われるまでこの南アメリカの国を「統治(run)」する計画を打ち出した後の今後の展開である。

トランプ大統領の元ホワイトハウス補佐官スティーヴ・バノンは月曜日のポッドキャスト番組「ウォー・ルーム」で次のように述べた。「MAGAはトランプ大統領と精緻な軍事作戦、そしてマドゥロのマドゥロを全面的に支持した。彼を捕まえて裁判にかけたい?  捕まえて裁判にかけろ。人々がここで懸念しているより大きな問題は、トランプ大統領が『私たちは地上部隊を派遣する(Hey, we’re going to do boots on the ground)』と発言し、昨夜は『国家を再建する(We’re going to rebuild the country)』と発言したことだ」。

バノンはさらに、マドゥロがブルックリンのメトロポリタン拘置所から周辺地域を通って移送される様子を捉えた写真や動画を多数挙げ、皮肉を込めて「素晴らしい(lovely)」と評した。

バノンは「マドゥロがブルックリンの拘置所からブルックリンの美しい土地、そしておそらくブロンクスの一部を通って移送された時、アメリカはカラカスよりもひどい状況に見えた。おそらく、アメリカにも焦点を当てるべきだろう」と述べた。

トランプ大統領の発言は週末の様々な時点で行われ、当局は徐々に撤回し、そのようなことは何も起こっていないと主張した。

マルコ・ルビオ国務長官は日曜日のインタヴューで、現在、アメリカ軍はヴェネズエラに駐留していないと述べた。

しかしながら、トランプ大統領は、依然として異なる調子で歌い続けている。MAGA支持層の一部を警戒させた最初の発言は、石油産業を維持するためにヴェネズエラに軍隊を残留させる可能性のある計画に焦点を当てたものだった。

トランプ大統領は記者団に対して、「私たちは石油インフラを再建する。私たちはそれを適切に運営し、ヴェネズエラ国民の安全を確保する」と述べた。

週末後半には、かつてマドゥロ大統領が率いていたヴェネズエラの将来に対する懸念も一蹴した。

トランプ大統領は『アトランティック』誌のインタヴューで次のように語った。「あの国の再建や政権交代、何と呼ぼうと、今の状況よりはましだ。これ以上悪くなることはない」。

一連の発言は、複数のMAGAの主要な支持者を動揺させている。その中には、アフガニスタンとイラクでの長年の戦争を背景に成人した若者たちも含まれる。

彼らの目には、ヴェネズエラで起こっていることは、彼らが支持してきたことではないということになる。

「ヴェネズエラは、シリア、アフガニスタン、イラクが『解放された(liberated)』ように『解放』された」と右派の論客キャンディス・オーエンズは週末、ソーシャルプラットフォームXに投稿し、「CIAは『グローバリストのサイコパス(globalist psychopaths)』の命令で、またしても国家の敵対的乗っ取り(hostile takeover of a country)を企てた」と述べた。

トランプ大統領と彼のティームによる対外行動への反応として、こうした議論が巻き起こったのは今回が初めてではない。6月にアメリカがイランの核施設への攻撃を開始した際も、多くの著名な保守派連邦議員たちが同様の懸念を表明した。トランプ大統領は、この敵対国の体制改革について同様の見解を示した。

しかし、マドゥロ大統領の拘束とヴェネズエラ政府の不透明な将来が、事態をさらに悪化させている。かつてはMAGAの正会員だったものの、トランプ大統領の支持基盤から排除されたマージョリー・テイラー・グリーン前連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)は、今回の動きをロシアによるウクライナ侵攻や中国による台湾併合の可能性になぞらえた。

グリーン前議員は週末、「政権交代、外国の戦争への資金提供、そしてアメリカ人の税金が外国の活動、国内外の外国人、そして外国政府に流れ続ける一方で、生活費、住宅費、医療費の高騰に直面し、税金の詐欺や不正利用について知ることに対し、ほとんどのアメリカ人が激怒している。特に若い世代はそうだ」と語った。

グリーン前議員は続けて、「アメリカ国民が、アメリカ政府による終わりなき軍事侵略と外国戦争への支援(our own government’s never ending military aggression and support of foreign wars)に嫌悪感を抱くのは正しい。なぜなら、私たちはその費用を負担せざるを得ず、共和党も民主党も常にワシントンの軍事機構に資金を提供し、活動させているからだ。MAGAの多くのメンバーは、これを終わらせるために投票したと考えている。しかし、それは全くの間違いだった」と述べた。

しかし、MAGA傘下の他の人々は、今後起こりうる事態について公に不満を表明している人々は、不必要にそうしていると主張している。

彼らは、政権の行動は限定的であり、トランプの発言にもかかわらず、長期にわたる政権交代への懸念は単なる雑音に過ぎないと主張している。

トランプの有力な支持者であるエリック・シュミット連邦上院議員(ミズーリ州選出、共和党)は次のように述べた。「現代においておそらく最も複雑で秘密裏に行われた任務を遂行した際、私たちは約5時間にわたり地上部隊を派遣した。皆さんが目にしているのは、アメリカ国民を守るために、この半球(西半球)における適切な権限がより一層行使されているということだと考える」。

他の人々の目には、この動きはMAGA全体に広く反響を呼ぶだろう。その理由は単純だ。

トランプ政権に近いある情報筋は、MAGAのアイソレイショニスト派を「声高な少数派(loud minority)」として軽視し次のように語った。「結局のところ、MAGAにとって重要なのは勝利だ。これは、アメリカ合衆国を善の力、つまり、badaとして強化することだ。もし採掘が失敗していたら、私たちは別の話をしていただろう」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領の決定によるヴェネズエラ攻撃とニコラス・マドゥロ大統領夫妻の拘束移送について、アメリカ国民の考えは割れている。支持と不支持が拮抗し、分からないと答える人たちも同じ割合で存在する。支持の理由としては、倒されるべき独裁者が倒された、ヴェネズエラ国民のためになった、ヴェネズエラの石油をアメリカの利益のために使える、中国とロシアの影響を南アメリカから排除できるといったもので、不支持の理由は、国際法に違反する行為だ、海外の問題には関与しないという選挙の公約に反する、連邦議会の承認を得ていないといったものだ。分からないと答える理由は、支持も不支持もその理由も含めて理解できるので態度を決められないということであろう。

 党派で見れば、共和党支持者は攻撃支持が多く、民主党支持者は攻撃不支持が多い。重要なのは「過度な関与」についてだ。具体的には、アメリカ軍がヴェネズエラに駐留するということになるが、このことについては党派に関係なく、アメリカ国民の多くが懸念を持っていることが明らかになった。アフガニスタンやイラクのようなことになるのが心配だということだ。

 トランプ大統領は、アメリカ軍をヴェネズエラに派遣して駐留するということはしないだろう。それは政治的な自殺行為となる。そして、あくまで外側からの圧力をかけて(二度目の攻撃もあるぞとほのめかしながら)、アメリカの利益になるようにヴェネズエラの政権を脅すことになる。トランプはヴェネズエラの石油をアメリカに持ってきてそれを売って利益をアメリカ国民とヴェネズエラ国民のために使うという発表を行った。結局、これがトランプのやりたかったことだ。アメリカ軍は駐留しないで、石油を分捕ってきてアメリカ国民に利益を分け与える。各世帯に2000ドル(約31万円)を支給するということを発表していたが、そのための原資ができたということになる。駐留はなしで儲かるとなれば、アメリカ国民の間でも支持は広がるだろう。

 2026年の中間選挙では共和党は厳しい戦いを強いられると予想されていた。しかし、トランプ大統領のバラマキがうまくいけば、共和党は劣勢を挽回することができるだろう。そして、トランプは影響力を保持することになる。最後の1年はレイムダックするだろうが、共和党の政治家たちへの影響力を残すことはできる。しかし、国際的には、アメリカの衰退は印象付けられることになり、アメリカ衰退の大きな流れを変えることはできないままである。

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ドナルド・トランプ大統領のヴェネズエラ戦略についてアメリカ人は本当のところはどう考えているか(What Americans Really Think About Trump’s Venezuela Gambit)

-新しい世論調査は変化するアメリカ世論を鮮やかに描き出している。

クリスティーナ・リュー筆

2026年1月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/06/trump-venezuela-maduro-public-opinion-poll/

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1月4日にワシントンのホワイトハウスに到着後に南庭園(サウスローン)を歩くドナルド・トランプ米大統領

ドナルド・トランプ米大統領は、ヴェネズエラへの最近の攻撃とニコラス・マドゥロ大統領追い落としを「素晴らしい」と称賛しているが、最新の世論調査によると、この動きをめぐってアメリカ国民の意見は依然として大きく分かれている。

先週末の作戦以前の世論調査では、アメリカ国民はヴェネズエラにおけるいかなるアメリカ軍の行動にも概ね反対していたことが示唆されていた。例えば、2025年12月にキュニピアック大学が実施した世論調査では、回答者の約63%が反対を表明したのに対し、2025年11月にCBSニューズ/ユーガヴが実施した調査では、なんと70%が反対を表明した。

しかし、ロイター社とイプソス社が月曜日に発表した最新の世論調査結果によると、今週末の展開に対するアメリカ国民の支持と不支持は、より均衡して分かれている。この世論調査は1月4日と5日に実施され、全国の成人1200人以上を対象に行われた。世界の注目を集めるようになった物議を醸す軍事作戦をアメリカ国民がどう見ているか、興味深い一面を示している。

アメリカの攻撃に対して複雑な反応を示しているのは、世界の指導者たちだけではないことが判明した。世論調査の結果は、アメリカ国民も幅広い見解を抱いており、明確にトップに立つ反応は存在しないことを示唆している。しかし、明確なのは、ホワイトハウスがヴェネズエラの内政問題に深く関与しすぎることへの警戒感だ。

世論調査を実施したイプソス・パブリック・アフェアーズの世論調査部門主任兼上級副会長アレック・タイソンは「アメリカ国民はあまり関与したくないと考えている。アメリカ軍がヴェネズエラに駐留することを望んでいない」と述べた。

タイソンは続けて、「これは政権にとって非常に狭い道筋を示している。アメリカ国民は肯定的な結果を受け入れる、あるいは期待しているかもしれないが、過度に関与することには非常に慎重だ」と述べた。

この課題はデータにも反映されている。調査回答者の33%がアメリカの軍事行動を支持し、不支持の34%とほぼ同数だった。また、深刻な不確実性も存在し、32%の人がどう感じるべきか分からないと回答した。

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世論は党派によってさらに大きく分かれている。例えば、共和党員の約3分の2がトランプ大統領の作戦を支持した。一方、民主党員は同じ割合の人が反対した。

世論調査は、ホワイトハウスによるヴェネズエラの独裁者ニコラス・マドゥロの追い落としが、ヴェネズエラの安定、生活の質、そして選挙の公正さにプラスの影響を与える可能性があるという、やや楽観的な見方を示している。しかし、こうした感情もまた党派によって分かれており、共和党員は軍事作戦の影響について概ね楽観的であったのに対し、民主党員ははるかに懐疑的であった。

そして、全般的に見て、より大きな懸念は、トランプ政権の作戦によってアメリカがヴェネズエラ情勢にさらに永続的に巻き込まれるのではないかという懸念と、それに伴う経済的損失やアメリカ軍人の生命への危険に対する懸念であるようだ。

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回答者のおよそ4分の3が、アメリカがヴェネズエラ情勢に「過度に関与する(too involved)」ことを懸念していると述べた。この意見は、民主党支持者の90%、共和党支持者の半数以上が共有している。

タイソンは「アメリカ国民はヴェネズエラへの関与について限定的、ここは強調しておくが限定的であるべきと考えていることを明確にしておきたい」と述べた。

ロイター・イプソスによる今回の調査で示された感情は、『ワシントン・ポスト』紙が最近行った世論調査の結果とほぼ一致している。この世論調査でも、軍事作戦に対する国民の反応はほぼ二分されていることが分かった。ワシントン・ポストによると、回答者の40%が攻撃を支持し、不支持は42%、不明は18%だった。

この調査では、トランプ大統領が以前示唆したように、ヴェネズエラを支配しようとするアメリカのいかなる試みも、アメリカ人は概して支持しないだろうことも示唆された。回答者の45%がそのような行動に反対すると回答し、30%は分からないと回答した。支持すると答えたのは、回答者の約4分の1に過ぎなかった。

この世論調査で最も顕著な結果の1つは、回答者の圧倒的多数、つまり94%が、ヴェネズエラ国民自身が将来の国の指導者を決めるべきだと考えていることだ。

※クリスティーナ・リュー:『フォーリン・ポリシー』スタッフライター。Blueskyアカウント:@christinalu.bsky.social、Xアカウント:@christinafei

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 古村治彦です。

 2025年1月2日に発生したアメリカによるヴェネズエラ攻撃とニコラス・マドゥロ大統領夫妻の拘束連行はドナルド・トランプ米大統領の決定によってなされた。2026年初頭に世界は衝撃を受けた。年末に価格を下げた金銀プラチナはまた価格上昇に転じるだろう。「有事の金」「ドル離れ」ということになるだろう。

 南アメリカは基本的に地域内で大きな紛争案件を抱えておらず、比較的安定した地域だった。そこに今回の出来事が起きた。南アメリカ諸国は自国の安全保障について、具体的にはアメリカからの攻撃を想定しなければならなくなった。南アメリカ諸国はアメリカの「裏庭」にされ、始原を収奪されてきた歴史がある。「モンロー主義」とはアメリカの帝国主義宣言である。今回の出来事は「ヤンキー帝国主義」の復活ということになる。これは南アメリカ諸国を不安に陥れることになる。

南アメリカの大国はブラジルだ。ブラジルはBRICSの創設メンバー国であり、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領はドルの基軸通貨の地位について疑義を呈している。アメリカにとっては厄介な存在である。しかし、ブラジルはGDPで世界10位、約2兆1800億ドル(約338兆円)の大国である。南米で次に来るのは、アルゼンチンで世界24位、6370億ドル(約98兆7000億円)である。ブラジルは相当な危機感を持っているだろう。ブラジルはどのような行動を取るかであるが、アメリカにべったりになるということはなく、BRICSの枠組みに傾きながら、アメリカに対抗するということになる。バランシングを行うということになる。

私は、南アメリカや西側以外の国々で、「中国やロシアの軍隊をアメリカ軍よけに駐留させる」という選択をする国が出てくるのではないかと考えている。これは極端であるが、アメリカ軍は手ごわい相手とは戦う意図はない。それならば、自国内に中国軍やロシア軍がいれば攻撃を躊躇すると考える国も出てくるのではないかと考える。もちろん、中露両国はそのような申し出を拒絶するだろう。そのような危険な行動を取ることはできない。しかし、西側以外の国々はアメリカの攻撃を恐れて、中露両国に傾倒することになる。ドナルド・トランプ大統領はグリーンランドを狙う態度を示しているが、NATOは集団的自衛権の同盟であるため、アメリカ軍がグリーンランドに侵入するとなれば、カナダからヨーロッパ諸国、トルコまで、アメリカ軍の排除に動かねばならない。それができなければNATOの枠組みは崩壊する。そうなれば、NATO加盟諸国から中露に近づく国も出てくるだろう。

 アメリカ一辺倒の不具合が2026年になって表面化してきた。日本もまたこの事態について真剣に考慮しなければならない。

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南アメリカの戦略的転換(A Strategic Break for South America)

-ニコラス・マドゥロ大統領の逮捕を受けて、南アメリカ大陸各国政府は抑止力と自治に関する厄介な問題に直面している。

オリヴァー・ストゥエンケル筆

2026年1月3日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/03/venezuela-us-trump-maduro-defense-regime-change/

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1月3日、アメリカがヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領逮捕作戦を開始した後、コロンビア軍がククタにあるヴェネズエラとの国境検問所を監視する。

土曜日の早朝、ドナルド・トランプ米大統領は、アメリカがヴェネズエラを攻撃し、ニコラス・マドゥロ大統領と夫人を拘束したと発表した。この出来事の歴史的意義はいくら強調してもしすぎることはない。

マドゥロ大統領の破滅的な統治、あるいはトランプ大統領が表明した「ヴェネズエラを統治し、その石油埋蔵量を支配する」という目標について、人々がどう考えるかは別として、南アメリカのある国家の政府に対してアメリカが公然と軍事力を行使したことは、この地域における前例のない重大な断絶(rupture)となる。その影響はヴェネズエラ国内だけにとどまらないだろう。

多くのアナリストたちは、ヴェネズエラに対するアメリカの軍事攻撃を、1989年のパナマ以来の、南アメリカにおける初めての直接的なアメリカの軍事介入だと評している。しかし、その見方は、カラカスで起こった出来事の重要性を過小評価している。南アメリカは単一の戦略的空間ではない。南アメリカと中央アメリカの諸国間の結びつきは限定的な場合もある。

トランプ政権によるマドゥロ政権転覆は、アメリカがある南アメリカの国家の政府に対し政権交代を目的として公然と軍事攻撃を仕掛けた初めての事例である(冷戦期にはワシントンが大陸内の複数の独裁政権を密かに支援していた)。国家間戦争がほぼ存在せず、世界で最もリスクの低い地政学的領域の1つであることを長年誇りとしてきたこの地域にとって、マドゥロの追い落としは分水嶺となる瞬間(a watershed moment)である。

ブラジルやチリといった南アメリカ諸国にとって、1989年のアメリカによるパナマ侵攻は、厄介ではあるものの、現実離れした出来事だった。パナマは中央アメリカの小国であり、歴史的にパナマの名を冠した運河をめぐるアメリカの戦略的利益と深く関わってきた。一方、ヴェネズエラは異なる。南アメリカの大国であり、政治的影響力も大きく、世界最大の確認石油埋蔵量を誇る。今回のアメリカの軍事行動は、大陸全体の国防体制指導者たちに、ワシントンの権力に対する自らの脆弱性を再評価させるだろう。これは、ここ数十年、真剣に検討した者はほとんどいなかったことだ。

冷戦後の多くの時代において、南アメリカ諸国は、ワシントンとの意見の相違が何であれ、アメリカによる直接的な軍事介入の時代は終わったという前提の下で行動してきた。ヴェネズエラへのアメリカの攻撃は、この幻想(illusion)を打ち砕いた。依然としてアメリカと概ね足並みを揃えている政府でさえも、抑止力、自律性、調達、戦略的ヘッジ(deterrence, autonomy, procurement, and strategic hedging)といった厄介な問題を検討せざるを得なくなるだろう。

これまでのところ、南アメリカ諸国の指導者たちは、アメリカによるマドゥロ政権打倒に対する公の反応を政治的に追跡している。トランプ大統領の極右派の同盟者であるアルゼンチンのハヴィエル・ミレイ大統領は、マドゥロ大統領の攻撃と拘束を権威主義(authoritarianism)への打撃として称賛した。一方、左派のブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は、これらを主権と国際法の侵害(violations of sovereignty and international law)として非難した。

しかし、密室では、この地域の軍事計画担当者たちは、アメリカの行動を非常に不安なものと捉えている可能性が高い。こうした動きは、アメリカへの依存を減らし、対外的なパートナーシップを多様化し、国家および地域の防衛力を強化する方法についての議論を加速させるだろう。

こうした議論は必ずしも即時の政策転換につながる訳ではないかもしれないが、長期的な戦略的思考を形作るだろう。ブラジル、チリ、コロンビアといった国々(うち2カ国は今年選挙を控えている)は、国内防衛産業の強化、域外パートナーとの安全保障関係の深化、あるいは対外的な強制を困難にする能力への投資拡大に重点を置く可能性がある。これらの動きをアメリカに対するヘッジとして公然と位置付ける国はなくても、そう理解されるだろう。

ヴェネズエラ国内で今後何が起こるかは不透明だ。マドゥロ大統領が拘束されたことで、権力は突如として掌握される。3人の人物がヴェネズエラの未来を左右する可能性がある。

マドゥロ政権の副大統領を務めたデルシー・ロドリゲスは、豊富な外交経験とキューバ、ロシア、イランとの強いつながりを持つ、ヴェテランの政権内部関係者だ。長らく政権内で最も恐れられていた人物の1人であるディオスダド・カベジョ内務相は、国内治安部隊に影響力を持ち、政権の強硬派の中核(the regime’s hard-line core)を担っている。一方、ウラジミール・パドリノ・ロペス国防相は、最も重要な切り札、すなわち軍の忠誠心を握っている。

ワシントンは、多くの識者が想定していたほど、ヴェネズエラの野党によるクリーンな政権掌握には関心がないのかもしれない。ロドリゲスは侵攻前にマルコ・ルビオ米国務長官と会談したと報じられており、トランプ政権と何らかの合意に達したのではないかという憶測が広がっている。

トランプ自身の発言もその方向を示唆している。土曜日の記者会見で、トランプは野党指導者で2025年のノーベル平和賞受賞者であるマリア・コリーナ・マチャドを大統領に据えるという考えに距離を置く姿勢を示した。「彼女が指導者になるのは非常に難しいだろう。彼女は国内で支持も尊敬も得ていない」とトランプは述べた。「彼女はとても素晴らしい女性だが、尊敬されていない」。

トランプの発言は、ワシントンが野党主導の政府への急速な移行よりも安定を優先している可能性を示唆している。もしそうだとすれば、マドゥロ政権崩壊後のヴェネズエラの軌跡は、多くのヴェネズエラ国民が期待するものとは大きく異なるものになる可能性がある。

大きく分けて3つのシナリオが考えられる。1つ目は、主に象徴的なアメリカの勝利である。マドゥロの制圧を取り除けば、ヴェネズエラの政権はほぼそのまま残り、ロドリゲスもしくは他の同盟者が正式に政権を掌握する。ホワイトハウスが、ヴェネズエラの実際の統治に必要な継続的な政治的関心、資源、そして行政能力を投入する意思があるかどうかは、全く明らかではない。ワシントンは成功を宣言し、制裁を部分的に緩和または再調整し、カラカスの根底にある権力構造は存続するだろう。

第二のシナリオは、大規模な国内動員と軍部を含むエリート層の離反を通じた政権崩壊である。この結末の可能性は、カラカスをはじめとする主要都市におけるマドゥロ大統領の逮捕に対する国民の反応、そして軍部が継続的な弾圧のコストが秩序維持のメリットを上回ると判断するかどうかに左右される。

第三のシナリオは、ヴェネズエラにおけるより深い政治的変革を強制するために、アメリカによる長期的な圧力(追加的な軍事攻撃の可能性も含む)を伴う。この道筋は、持続的な強制、アメリカの治安部隊の継続的な駐留、そしてコストが急速に増大する可能性のある期限のない関与を伴う。また、アメリカの行動に対する地域的な不安を増幅させ、アメリカが南アメリカにおける政治的結果を左右するために武力を行使する用意があるという認識を強めることにもなるだろう。

どのシナリオが勝利するかは、ヴェネズエラの将来だけでなく、今後何年にもわたる南アメリカの戦略的状況を形作ることになるだろう。ここ数カ月のワシントンのヴェネズエラに対する行動は、西半球全体におけるリスク、力、そして前例に対する認識を既に変化させている。たとえヴェネズエラが最終的に安定に至ったとしても、南アメリカが大国の軍事介入から隔離されているという考えはもはや存在しない。

オリヴァー・ストゥエンケル:カーネギー国際平和財団(ワシントンDC)民主政治体制・紛争・統治プログラム上級研究員。ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(サンパウロ)国際関係論准教授。Xアカウント:@OliverStuenkel

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