古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:ヴェネズエラ

 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領はグリーンランド領有に関して、反対したヨーロッパ諸国への関税措置を撤廃し、買収交渉を行うという姿勢の転換を行った。「俺たち(アメリカ)が第二次世界大戦で助けてやらなかったら今頃お前たちはドイツを話していたんだぞ、そして、片言の日本語も話していただろう」ということをスイスで開かれているダヴォス会議で発言し、ヨーロッパ諸国の国民の不興を買っている。トランプにすればそんなことはお構いなしだ。「アメリカ・ファースト」で突き進むだけだ。グリーンランドのレアメタルと、中露両国が開発し、アジア諸国にとって便利な北極海航路に対する嫌がらせ(と通行料の徴収ができれば最高)でアメリカ国民に利益をもたらす、お金を配ることが最重要の目的だ。
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 この伝で行けば、パナマ運河もアメリカに戻せということになる。グリーンランドとパナマ運河を押さえることで、世界の物流を押さえることができる。それがトランプと側近たちの狙いだろう。しかし、それは中露両国も黙ってはいないだろう。

 トランプの交渉術は相手にショックを与えて、思考力を奪っておいて、それで交渉を行うというものだ。とんでもないことを言ったり、行ったりして、相手がひるんでいる隙に、自分の要求を通すということだ。交渉という点では、トランプは世界でも指折りの才能と経験を持っている。日本の政界で太刀打ちできる人はいないだろう。経済界ではいるかもしれないが。

 しかし、このようなトランプの交渉術は既に見切られている。トランプが強く出る場合に、相手も強く出て、トランプをひるませることができれば、トランプは引く。実際に、高関税政策に対して、中国は強く出てトランプを引かせている。今回のグリーンランドに関することでも、ヨーロッパ諸国がアメリカ国債の売却をちらつかせることで、トランプは引いた。世界の先進諸国はアメリカ国債を「安全資産」と保有してきたが、その売却という、一種の自爆的な方法を取るぞと脅すことで、トランプを引かせるという方法を採用している。

 トランプの「アメリカ・ファースト」外交は、アメリカの衰退を促進する。そして、世界は、世界覇権国アメリカの衰退に対応するために、この時期を過ごすことになる。

(貼り付けはじめ)

トランプは外交をどのようにやるかを全く分かっていない(Trump Has No Idea How to Do Diplomacy

-たとえ部分的に正しいとしても、彼は間違っている。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年8月19日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/08/19/trump-diplomacy-putin-ukraine-europe/

アラスカで行われたウラジーミル・プーティン大統領とのあの奇妙な首脳会談と、ワシントンで行われたNATO首脳会議の組み合わせは、ドナルド・トランプ米大統領がひどい交渉者であり、「譲歩の術(art of the giveaway)」の達人であることを改めて思い知らせる出来事だった。トランプは準備を怠り、部下に事前に根回しをする(lay the groundwork beforehand)、会議に臨むたびに自分が何を望んでいるのか、どこまで譲歩(red line)すべきかさえ分からずにいる。戦略もなければ細部にも関心がなく、行き当たりばったりで臨む。

最初の任期中、北朝鮮の金正恩委員長との的外れなリアリティ番組のような会合に時間を浪費したことで分かったように、トランプが本当に求めているのは注目と、自分が主導権を握っていることを示唆するドラマチックなヴィジュアルだけだ。彼が締結するであろう合意の中身は、無関係とまでは言わないまでも、二次的なものに過ぎない。だからこそ、最近発表された貿易協定の中には、彼が主張するほどアメリカにとって有利ではないものもあるのだ。

トランプの突飛な外交失策に人々が注目するのは、彼が世界最強の国の大統領であり、カルト的な共和党の卑怯な議員たちが彼の気まぐれに付き従い続けているからに他ならない。しかし、トランプ、マルコ・ルビオ国務長官、そして外交の素人スティーヴ・ウィトコフのような軽薄な人物が、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領やセルゲイ・ラブロフ外相といった人物と対峙すれば、後者がアメリカから巧みに利益を得ることは目に見えている。自問自答してみて欲しい。トランプがアラスカでプーティンと会談した際、アメリカ、同盟国、あるいはウクライナのために何か得たものはあっただろうか? プーティンは何かを譲歩しただろうか? さらに言えば、ウクライナを見捨てないよう説得するために現れたヨーロッパ各国の首脳からトランプはどのような譲歩(concessions)を得たのだろうか?

強力な敵対国との交渉を成功させるには、双方の利益、力、そして決意を冷徹かつ容赦なく現実的に評価する必要がある。プーティンのような指導者を、単に好意を抱いているから、あるいは滑走路にレッドカーペットを敷いたからといって、魅了して譲歩させることは不可能だ。希望的観測にふけったり、誰も真剣に受け止めないような脅しや約束をしたりしても、何の成果も得られない。

この最後の問題は、10年以上にわたり西側のロシア・ウクライナ政策を悩ませてきた。大半の西側諸国の政治家や評論家たちは未だ認めたがらないが、問題の根本原因はロシアと西側諸国の動機付けにおける根本的な非対称性(a fundamental asymmetry)にある。これは双方の脅威認識(perceptions of threat)と致命的な国益の定義(definitions of vital interests)の相違から生じる非対称性だ。(記録のために付記すれば、この認識の隔たりこそが、2014年に私たちのうちの何人かがこの道を進むことに警鐘を鳴らした理由である)。プーティンが自らの行動に数多くの理由を抱えていたとしても、最も重要なのは、ウクライナのNATO加盟がロシアにとって存亡の危機(an existential threat to Russia)をもたらすという恐怖、ロシアの政治スペクトル全体に広く共有されていた恐怖であった。

この問題において西側の立場を最も損なったのは、外交政策エリートたちが「無制限なNATO拡大(open-ended NATO enlargement)」、特に2008年のウクライナとジョージアへの将来加盟申請準備招待が戦略的失策(a strategic blunder)であった事実を、現実逃避的に認めてこなかったことだ。これがプーティンが和平合意で対処すべきと主張する「根本原因(root causes)」の中で最も重要であり、西側諸国の拡大推進の使徒たち(the Western apostles of expansion)が最も激しく否定、無視しようとしてきた点だ。これらはいずれもプーティンの違法な予防戦争(Putin’s illegal preventive war)を正当化するものではないが、そもそも紛争が起きた原因を誰も認めず対処しなければ、深刻な対立を終結させるのは困難である。

非愉快な現実は、モスクワは自国の経済を戦時体制に置き、数十万人の命を犠牲にすることを厭わなかったのに対し、ウクライナを支援する西側諸国はそうしておらず、今後もそうするつもりはないということだ。ウクライナ人は祖国を守るために計り知れないほどの英雄的な犠牲を払ってきたし、西側諸国はキエフに多額の資金、武器、情報、訓練、外交支援を提供してきた。しかし、ヨーロッパや北アメリカの他の国々が、自国の軍隊をキエフに派遣してそこで戦死するなどということについては、最初から明らかだった。(繰り返すが、西側諸国の指導者たちが2008年、あるいは2014年以降にこの点をもっと慎重に検討していればよかったのにと思う。)NATOが自ら参戦すべきだったと考える人々もおり、私は彼らの一貫した姿勢を尊敬しているが、彼らが関係する国民や指導者を説得することは全くできなかった。

その結果、ロシアは戦場で優位に立っており、ウクライナの失策(例えば2023年夏の不運な反撃など)もその一因となっている。ウクライナが失った領土(クリミアを含む)を全て奪還し、NATOとヨーロッパ連合に加盟することが唯一の受け入れ可能な結果だと依然として主張する人たちにはこの目標を具体的にどのように達成するつもりなのか説明を求めるべきだ。この奇跡をどのように実現するのか、首尾一貫した説得力のある戦略を提示するまでは、交渉のテーブルに彼らを招き入れるなど全く馬鹿げている。

したがって、トランプが先日のアラスカ首脳会談でプーティン大統領の側に立ったのは正しかったのだろうか? そして、トランプの姿勢を固めようとワシントンを訪れたヨーロッパ諸国の首脳たちの甘言や嘆願(blandishments and pleas)に抵抗すべきだったのだろうか? 答えはノーだ。

ここではより大きな利害関係が絡んでおり、アメリカとヨーロッパの交渉戦略はこれらに焦点を当てるべきである。プーティン大統領の要求の一部は将来の和平協定で受け入れざるを得ないとしても、NATO加盟国の一部からの軍撤退や、ウクライナの「非ナチ化(de-Nazified)」と部分的な武装解除といった要求は即座に拒否されるべきだ。ロシアが、将来ウクライナに駐留するかもしれないと懸念する外部勢力から自国を守る必要があると主張するならば、ウクライナはロシアによる新たな攻撃から守られ、自国を防衛する手段を与えられるべきである。

後者の懸念は、ウクライナや他の欧州諸国が、NATO第5条のような、正式な加盟国ではないものの何らかの安全保障保証に関心を持つ理由である。しかし、この考えには少なくとも2つの明白な反対意見がある。第一に、第5条は完全な安全保障の誓約ではなく、攻撃を受けた加盟国を支援するために同盟軍の派遣を自動的に引き起こすような仕掛けでは決してない。第5条は、加盟国の1つへの攻撃は加盟国全体への攻撃とみなされ、各加盟国は個別および集団的に「必要と考える行動(such action as it deems necessary)」をとると述べているだけだ。第二に、そして同様に重要な点として、トランプは生涯にわたって約束を破り、予告なしに方針を転換してきた経歴を持つ。それを考えると、分別のある国が彼の約束や誓約をなぜ信じるだろうか? たとえウクライナに対する何らかの安全保障の誓約について最終的に合意に達したとしても、誰がそれを真剣に受け止めるだろうか?

プーティン大統領とゼレンスキー大統領の直接会談の実現も検討されており、おそらくアメリカが仲介役を務めることになるだろう。これは、これまでそのような要請に抵抗してきたプーティン大統領にとって象徴的な譲歩となるだろう。しかし、戦場の現状やウクライナの長期的な展望に大きな変化がない限り、そのような会談が永続的な平和をもたらすとは到底思えない。繰り返しになるが、個人的な会談というドラマに惑わされないことが重要だ。メディアは騒ぎ立てるが、(トランプとウィトコフが関与している場合)成果はほとんどない。

一体何が期待できるというのだろうか? 戦闘の進展状況、そしてロシアがこの問題をウクライナ以外の国よりも重視しているという事実を考えると、モスクワは望んでいたことの一部を得ることになるだろう。しかし、ロシアがすでに支払ってきた莫大なコストと、ウクライナが今後も外部からの寛大な支援を受け続けることでさらに大きな損失が生じる可能性を考えると、西側諸国の利益にならないものをロシアに提供することを拒否することは可能であるはずだ。

トランプ大統領のオンオフの繰り返しや、その他多くの問題でヨーロッパの同盟諸国と争おうとする姿勢とは対照的に、最良の合意を得るための最善の方法は、アメリカがヨーロッパとの統一戦線(a unified front)を維持し、NATOがウクライナに寛大な軍事支援を継続し、ウクライナとアメリカが双方の交渉状況を現実的に評価した上で、ロシアとの真剣かつ綿密な交渉を進めることだ。しかしながら、真剣かつ綿密な交渉を遂行してくれる人物を探しているのであれば、ペンシルベニア通り1600番地は私としてはお勧めしない。

こうした状況を考えると、もし昨年(2024年)11月にカマラ・ハリス米副大統領が大統領に選出されていたらどうなっていただろうかと疑問に思う。ハリスは優れた外交政策戦略家とは言えず、バイデン政権もロシアとウクライナへの対応で幾度となく失策を犯していた。しかし、ワシントン(そして民主党エリート層)では、ウクライナがその目的の全てを達成することは不可能であり(たとえそれが抽象的にどれほど望ましく正当であったとしても)、アメリカ大統領選が終結した暁には戦争を終結させる必要があるという認識が広く共有されていた。ハリスなら、バイデンのティームを他の有能な顧問に交代させ、その成果を追求するよう指示し、困難な状況下でもウクライナが可能な限り最良の合意を得られるよう支援し続けただろうと私は思う。

もちろん、ハリス政権が成功したかどうかは分からない。しかし、信頼できる有能な外交アクターとしてのアメリカの評判をトランプ氏以上に傷つけることはできなかっただろう。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年1月は、第二次ドナルド・トランプ政権の外交・軍事面の「暴れっぷり」が際立つ時期となっている。ヴェネズエラへの攻撃の状況が落ち着いている中で、グリーンランド領有に向けて、デンマークをはじめとするヨーロッパ諸国に圧力をかけている。また、イランでの反政府デモをきっかけとして、イラン政府に対しても圧力をかける姿勢を見せている。外交で大きな成果を上げて、政権発足一周年を祝い、2月24日に連邦議会で実施予定の一般教書演説(the State of the Union Address)で国内外にアピールをしたいというところだろう。そこまでに、ロシア・ウクライナ戦争の停戦ができれば、大金星ということになるが、それは難しいだろう。

 ヴェネズエラ攻撃に目を奪われてしまうが、第二次ドナルド・トランプ政権の外交に注力する動きは昨年からのことであった。そして、これは、国内状況が好転しないことから、国民の目を逸らさせるということも大きな原因であろう。国内のインフレ状況が収まらず、住宅費(家賃)をはじめとする生活費の高騰が続き、一般国民には苦しい状態が続いている。移民・関税執行局(ICE)による不法移民捜査に対する反感がトランプ政権、連邦政府に対する反感へと進み、武力衝突・内戦状態になる可能性がある。トランプ外交に関しては、アメリカ国民からの支持を得ていない。不支持率が上昇している。
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政権発足以来のトランプ政権の支持率の推移(赤線が不支持率)

 ヴェネズエラやグリーンランドをコントロール下に置くことで、トランプ政権としては、金銭的な利益を得ようという目論見もある。ヴェネズエラの石油の売却利益、グリーンランドのレアアース開発と北極海航路に対する通行税の性格を持つ通行料を入手し、それらをアメリカ国民に「分配」することで、国民の不満を和らげたいところだ。アメリカの影響圏(sphere of influence)である西半球(Western Hemisphere)をアメリカとアメリカ国民の利益のために使い尽くす、再植民地化(recolonialization)することが、「アメリカ・ファースト」外交の真骨頂ということになる。短期的にはそれが利益となるだろうが、長期的に見れば、それはアメリカにとっては世界での立場を失うということになり、損失ということになる。衰退して世界から退場するならば、静かに退場して欲しいところだ。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領が2025年末を外交政策で埋める(Trump fills end of 2025 with foreign policy

ブレット・サミュエルズ筆

2025年12月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5665946-trump-foreign-policy-focus/

ドナルド・トランプ大統領は、2期目の1年目が終わりに近づく中、外交政策に没頭している。2026年にはアメリカ経済への懸念が共和党を席巻すると見込まれているにもかかわらず、外交政策に注力している。

トランプ大統領は年末をフロリダ州の邸宅「マール・ア・ラーゴ」で過ごし、ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領とイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相を招待した。トランプ大統領はクリスマスの日にナイジェリアにおけるイスラム国への軍事攻撃を発表し、南アメリカのヴェネズエラとの緊張が高まる中、12月26日にはヴェネズエラの施設を攻撃したことを明らかにした。

こうした一連の出来事は、トランプ大統領が2期目において外交政策に注力し、国外での実績を確固たるものにしようとしていることを如実に示している。しかし、こうした注目は、国内における最大の課題の1つを犠牲にすることになるかもしれない。

匿名を条件に率直に語った共和党系のストラティジストの1人は、トランプ大統領とホワイトハウスは就任以来、財政見通しの改善にどのような対策を講じてきたかを有権者に直接訴える必要があると語った。

このストラィテジストは、「トランプは外交問題に注力している。彼のエネルギーはどこへ行ってしまったのか? 有権者にとってはちょっと変な時期だ。議論をしようとしている人がいない」と語った。

トランプの国際的な関心については、月曜日に大統領がベンヤミン・ネタニヤフ首相と会談した際に完全に明らかになった。

イスラエル首相ネタニヤフが到着すると、トランプは数分間質問に答えたが、そのほとんどが世界的な紛争に関するものだった。

トランプ大統領は、麻薬密輸船を標的としたヴェネズエラの「実施区域(implementation area)」への最近のアメリカ軍による攻撃について言及した。また、イスラエルとハマス間の停戦維持に向けた継続的な取り組みについても議論した。ロシアのウラジーミル・プーティン大統領との「生産的な(productive)」電話会談についても言及し、イスラエルによるイランへの攻撃の可能性についても質問を受けた。

トランプ大統領とネタニヤフ首相の昼食会に記者団が部屋に入ってくると、トランプ大統領が首相に対し、二国間の紛争を終わらせるためにいかにして貿易を利用したかを説明する声が聞こえた。

トランプ大統領は「私がそのことで功績を認められたか? いいや、そんなことはなかった。私は停戦を8つもやった。インドとパキスタンはどうか? つまり、私は8つやった。そして、残りのことは何も教えてくれないんだ」と述べた。

トランプ大統領が月曜日にネタニヤフ首相と会談した翌日、トランプ大統領はゼレンスキー大統領をマール・ア・ラーゴに招き、ウクライナ紛争終結に向けた和平案について重要な協議を行った。トランプ大統領は今月初め、エジプト大統領が新年を迎える前にフロリダにある自身の邸宅を訪問する可能性を示唆していた。

トランプ大統領の年末の会談は、2期目の1年目を象徴するものだ。この1年間、トランプ大統領はイタリア、ヴァティカン、サウジアラビア、カタール、アラブ首長国連邦、イギリス、イスラエル、日本、カナダ、韓国、マレーシアを訪問し、和平協定や貿易協定の締結に尽力した。

トランプ大統領は、イスラエルとハマス間の戦闘終結のため、中東における停戦合意の仲介に数ヶ月間にわたって努力した。ウクライナ紛争の終結を目指し、ゼレンスキー大統領やプーティン大統領とは今年を通して複数回電話会談を行い、アラスカではプーティン大統領と直接首脳会談も行った。

トランプ大統領の側近たちは、ノーベル平和賞の受賞を公然と訴えた。一方、ネタニヤフ首相やFIFA会長を含む他の人々は、トランプ大統領の国際的な貢献を称える賞を授与することで、トランプ大統領の支持を得ようとしてきた。

数カ月にわたりトランプ大統領の外交重視を批判し、関係を断ったことで、来週には連邦議員辞職を予定しているジョージア州選出のマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(共和党)は、トランプ大統領の過ごし方に注目している。

「今日はゼレンスキー。明日はネタニヤフ。アメリカらしくやっていけるだろうか?」とグリーン議員は日曜日、ソーシャルプラットフォーム「X」に投稿した。

ホワイトハウス高官たちは、トランプ大統領が外交政策に偏りすぎているという批判に反論している。彼らは、移民取り締まりを強化する大統領令の発令、夏の間に成立した巨額の増税・歳出法案、そして製薬会社との「最恵国待遇(most favored nation)」協定による処方薬価格引き下げの取り組みがあったことを指摘している。

トランプ大統領の支持者たちはまた、大統領の海外での行動がアメリカ国内に利益をもたらしていると主張している。彼らは、トランプ大統領がEU、日本、イギリスなどと締結した貿易協定に加え、ヴェネズエラとの対峙が麻薬や不法移民の脅威からアメリカを守ることになるという考えも主張している。

しかし、世論調査では、有権者たちが必ずしもトランプ大統領の外交政策への注力について支持していないことが明らかになっている。

今月初めに発表されたキュニピアック大学の世論調査によると、トランプ大統領に対する有権者の全体的な支持率は低迷しており、回答者のわずか40%が彼のパフォーマンスを支持していると回答した。世論調査によると、トランプ大統領の外交政策の対応を支持する人は41%、不支持は54%だった。

しかし、ストラティジストたちは、11月の中間選挙の結果は、有権者がトランプ大統領の外交政策の成果についてどう感じているかよりも、経済についてどう感じているかによって左右される可能性が高いと概ね同意している。

ホワイトハウスは、インフレの鈍化と堅調な国内総生産(GDP)をトランプ大統領の経済政策が成功している証拠として挙げているが、世論調査では、有権者の大半がそう感じていないことが示された。

キュニピアック大学の世論調査によると、回答者の40%がトランプ大統領の経済政策を支持し、57%が不支持と回答した。この結果は、同様に有権者がトランプ大統領の経済政策に失望していることを示す他の世論調査結果と一致している。

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(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 アメリカによる西半球支配の動きはラテンアメリカ諸国やヨーロッパを緊張させている。ヴェネズエラ攻撃によって、「アメリカが実際に攻撃をする」可能性を見せられて、動揺が広がっている。他国からの侵略から守ってくれて、地域に安定をもたらすはずだったアメリカが攻撃する主体になったということは戦後80年の大きな節目での、国際社会の構造の大転換となった。ラテンアメリカはそれぞれに不平不満はありながらも、平和を維持してきた。しかし、これからはどうなるか分からない。

 アメリカは「裏庭(backyard)」であるラテンアメリカを勢力圏として管理し、味方につけようとしてきた。モンロー主義の場合は、ラテンアメリカ諸国が独立する時期で、スペインやポルトガルに代わってイギリスがラテンアメリカでの影響力伸長を目指して、独立運動を支援していたのを阻止するということが理由であった。アメリカは、ラテンアメリカに地域外の大国が進出してくることを安全保障上の脅威と捉え、深刻な恐怖感を持って対応する。今回のヴェネズエラ攻撃の場合には対象となるのは中国とロシアである。

 トランプ大統領はヴェネズエラの石油を管理し、販売した利益をヴェネズエラ国民とアメリカ国民に分配するとし、更には、ヴェネズエラ国民はその利益でアメリカ製品だけを買うように主張している。これは、ヴェネズエラの属国化のさらに先の「再植民地化(recolonization)」である。

 このようなアメリカの動きは長期的に見れば、アメリカの利益にならない。アメリカが大国として暴れまわることで、信頼を失い、アメリカとの協力を控えることになる。さらには、中国とロシアに近づき、対米防衛同盟を結成する動きも出てくるだろう。しかし、今のアメリカには既に長期的な視点を持って対外政策を行うだけの余裕がない。トランプ率いるアメリカはグリーンランドの領有も狙っているが、これは、レアアースの取得と、北極海航路の通行料徴収が目的である。アメリカは何が何でもお金を稼いで、国民を食べさせねばならない。トランプは、大統領就任演説で、アメリカを製造業の国にすると述べた。しかし、既に手遅れである。生産設備はなく、質の高い労働力などどこにもない。これから工場を建設すると言っても時間がかかる。その間に人々の暮らしは厳しくなる。結局、短期的な方法を取らざるを得ない。トランプの攻撃的なドンロー主義は、アメリカには余裕がなくなってどうしようもないという状況の裏返しである。アメリカはこれから「悪い隣人」となって、町のチンピラのようなことをする。「昔は立派だったのにね」と言われ、嫌われながら、衰退していく。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領の「悪い隣人」政策(Trump’s Bad Neighbor Policy

-地域諸国を属国(vassal states)のように扱うことは彼らを中国の懐に進めるになるだろう。

ウィリアム・M・レオグランデ、ピーター・コーンブルー筆

2026年1月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/05/trump-maduro-venezuela-oil/

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スペイン・バルセロナで行われたデモで抗議者が「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」と書かれた帽子をかぶっている。帽子の文字は「ヴェネズエラ」とテープで上書きされている(2026年1月4日)

「2026年にようこそ」とピート・ヘグゼス米国防長官は土曜日、アメリカ軍によるヴェネズエラへの攻撃を祝うマール・ア・ラーゴでの記者会見で宣言した。「トランプ大統領の下、アメリカは戻ってきた」。つまり、1900年代初頭の砲艦ドル外交(gunboat and dollar diplomacy)の時代、つまりラテンアメリカにおける帝国主義的覇権(imperial hegemony over Latin America)を志向し、いまだに完全には消えることのない敵意を生み出していた(engendering enmities that have never entirely dissipated)時代への回帰である。

世界をそれぞれの勢力圏(spheres of influence)に分割することを構想するドナルド・トランプにとって、ラテンアメリカ地域におけるアメリカの支配(U.S. domination)はそれ自体が目標だ。「西半球(the Western Hemisphere)におけるアメリカの支配は、二度と疑われることはないだろう」と、ヴェネズエラの複数の空港への空襲と、ニコラス・マドゥロ大統領とシリア・フローレス夫人の強制連行を含む夜明け前の襲撃からわずか数時間後、トランプは記者団にそのように語った。ヴェネズエラの今後について問われると、「私たちが統治することになる」と答えた。もはや国家建設(nation-building)は行わないという彼の約束は裏切られ、これで終わりとなった。

アメリカによるカラカス爆撃、マドゥロ大統領の拉致、そしてトランプ大統領によるヴェネズエラ石油産業の掌握計画は、フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領の善隣政策(President Franklin D. Roosevelt’s Good Neighbor Policy)によって構想され、1950年代に米州相互援助条約(the Inter-American Treaty of Reciprocal Assistance)と米州機構(OAS)憲章(the Charter of the Organization of American States)によって成文化された米州システム(the inter-American system)に深刻な打撃を与えた。

マドゥロ大統領はラテンアメリカ内に友人をあまり持っていないが、主要国の指導者の多くはアメリカの攻撃を非難している。地域の指導者たちは短期的には反撃できる余地がほとんどないが、アメリカのラテンアメリカへの介入の歴史は、たとえトランプとその外交政策ティームがカラカスで思い通りに事が運んだとしても、西半球におけるアメリカの立場に与える外交的ダメージは、彼らが想像する以上に大きな代償を伴う可能性があることを示唆している。たとえ彼らがカラカスで思い通りに事が運ぶことができるかかどうかは、決して確定的ではない。

トランプは、第二次世界大戦終結以来の国際秩序を形作ってきた規範や制度(the norms and institutions)を破壊してきたことで悪名高い人物だ。NATOや国連から世界銀行や世界貿易機関に至るまで、「アメリカ・ファースト(America First)」は、ハードパワーに依存し、多国間の関与やコミットメントに懐疑的なアメリカの外交政策を意味してきた。

第2次トランプ政権発足後数週間で、トランプはその姿勢が西半球でどのように適用されるかを予見した。パナマシティにパナマ運河を返還し、カナダに主権を放棄して51番目のアメリカの州となるよう要求した。先月(2025年12月)末には、デンマークに対しグリーンランドの引き渡しを要求し、さもなければアメリカ軍による奪取に直面する可能性があると繰り返した。

ヴェネズエラは、昨年9月にアメリカ軍がカリブ海で麻薬密輸船とされる船舶の爆破を開始して以来、トランプの一方的な攻撃の的となっており、トランプはマドゥロをいわゆる「カルテル・デ・ロス・ソレス」の麻薬テロリストの首謀者だと非難している。

しかし、マルコ・ルビオ国務長官に煽られたトランプのヴェネズエラへの執着は、麻薬が原因だったことは一度もない。ヴェネズエラはコカインを生産していないし、ましてやフェンタニルも生産していない。ヴェネズエラはコロンビア産コカインの二次的な中継地点であり、その輸送先は主にヨーロッパだ。アメリカ市場向けのコカインは、コロンビアとエクアドルから太平洋を経由して北上するか、陸路でメキシコを経由して北上する。さらに、もしトランプの主目的が麻薬密売人の処罰であったならば、400トン以上のコカインのアメリカへの密輸を幇助した罪で有罪判決を受けたホンジュラスの元大統領フアン・オルランド・エルナンデスを恩赦することはなかっただろう。

トランプ大統領がカリブ海に大規模な艦隊を派遣したことは、当然のことながら、アメリカが砲艦外交(gunboat diplomacy)の手段として、あるいは介入(intervention)の前兆として、この地域に海軍部隊を定期的に派遣していた砲艦外交を想起させた。100年前、砲艦外交はセオドア・ルーズヴェルト大統領と密接に結び付けられ、モンロー主義のルーズヴェルト的系列として正当化された。この系列では、アメリカはラテンアメリカ諸国への介入によって安定を維持する権利があると主張していた。

その後20年間にわたる24回のアメリカによる介入と6回の長期占領は、ラテンアメリカ諸国の間に大規模な反感を招いた。第一次世界大戦中、多くのラテンアメリカ諸国が中立を守り、ドイツはメキシコにアメリカへの宣戦布告を促せるのではないかと考えたほどである。

1930年代、ヨーロッパに再び戦火の雲が立ち込めると、ルーズヴェルト大統領は善隣政策を採用し、関係修復と、西半球に戦争が到来した際にラテンアメリカが連合国側にしっかりと留まることを保証するために、軍事介入を放棄した。ルー元はこの政策に成功し、戦後の米州システムの基礎を築いた。

確かに、アメリカは西半球を支配するという帝国主義的誘惑(the imperial temptation)を完全に捨て去ったことはなかった。特に冷戦期においては、共産主義の脅威、とりわけキューバ革命後の脅威が、グアテマラ、キューバ、ドミニカ共和国、チリ、グレナダ、ニカラグアといった主要な国々への、秘密のそして公然の介入を生み出した。

トランプ大統領は、自ら「トランプ系列(Trump Corollary)」を発表し、続いてヴェネズエラに介入することで、ラテンアメリカにおけるブレジネフ・ドクトリン(the Brezhnev Doctrine)に相当するアメリカ版を宣言した。すなわち、アメリカの勢力圏内にある国々は限定的な主権(limited sovereignty)しか持たないというものだ。先月発表されたトランプ大統領の国家安全保障戦略(Trump’s National Security Strategy)は、「アメリカは西半球において卓越した存在でなければならない(The United States must be preeminent in the Western Hemisphere)」と明確に宣言している。

ラテンアメリカの人々は、少なくとも今後3年間は、国際法の制約がもはや適用されないホッブズ流の自然状態(a Hobbesian state of nature)に生きていることを理解すべきだ。トランプは国内法以上に国際法を軽視している。米州協力の基盤文書である米州機構(OAS)憲章は、「いかなる国または国家集団も、いかなる理由によっても、直接的または間接的に、他国の内政または外交問題に介入する権利を有しない」「いかなる国も、他国の主権的意思を強制し、そこからいかなる利益を得るため、経済的または政治的性格を有する強制的手段を用い、または用いることを奨励してはならない」「国の領土は不可侵である。いかなる理由によっても、一時的であっても、他国による直接的または間接的な軍事占領またはその他の武力行使の対象とされてはならない」と厳粛に宣言している。事実上、この憲章は今や死文(a dead letter)となっている。

ラテンアメリカ諸国からの初期反応は、トランプ大統領によるアメリカ国内法の軽視に対する国内の反応と軌を一にしている。イデオロギー的に同調的な指導者たちは、支持を得るために惜しみない賛辞を送った。トランプ大統領から200億ドルの救済措置を受けたアルゼンチンのハビエル・ミレイ大統領は、マドゥロ大統領の退陣を支持し、「自由万歳、くそが(Long live freedom, damn it)」と宣言した。しかし、主要国はアメリカの介入をはっきりと非難した。ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領は、アメリカは「容認できない一線を越えた(has crossed an unacceptable line)」と直後に警告した。コロンビアでは、グスタボ・ペトロ大統領がワシントンの軍事作戦を「地域の主権への攻撃(assault on the sovereignty of the region)」と非難した。チリでは、退任間近のガブリエル・ボリッチ大統領が、トランプ政権の行動は「領土保全の原則の重大な侵害であり、地域諸国の安全、主権、そして安定を危険に晒す(constitutes a grave violation of the principle of territorial integrity and puts at risk the security, sovereignty, and the stability of the countries in the region)」と宣言した。メキシコ外務省は声明で、「ラテンアメリカ・カリブ海地域は相互尊重(mutual respect)、紛争の平和的解決(the peaceful settlement of disputes)、武力行使と武力威嚇の禁止(the prohibition of the use and threat of force)を基礎として築かれた平和ゾーン(a zone of peace)であるため、いかなる軍事行動も地域の安定を深刻に脅かすことになる」と指摘した。

短期的には、ラテンアメリカ諸国はトランプの攻撃的な姿勢を抑えるためにできることはほとんどない。昨年、トランプはメキシコとコロンビアへの軍事攻撃をちらつかせ、パナマ運河を再占領し、ニカラグアとキューバに新たな経済制裁を課した。強者はやりたいことをやり、弱者は当然の苦しみを味わうことになる(The strong do what they will; the weak suffer what they must)。

​​しかし長期的には、ラテンアメリカ諸国には、最初の砲艦外交の時代と同様に、選択肢がある。国際的な経済関係をヨーロッパやアジアのより信頼できるパートナーへと転換することで、アメリカの経済制裁に対して脆弱な(vulnerable)状態を軽くすることができる。アメリカの外交的圧力、そして(程度は低いものの)アメリカの軍事的脅威とのバランスを取るために、他の主要国に新たな戦略的同盟を求めることもできる。トランプの優先事項である移民問題や麻薬密売問題など、アメリカ単独では解決できない問題への協力を縮小するだけで、受動的に抵抗することもできる。

ラテンアメリカ諸国がアメリカから離れる傾向は、ここしばらく徐々に進行しており、その先頭に中国が立っている。過去10年間、アメリカ南方軍の年次態勢声明は、中国を戦略的競争相手(a strategic competitor)、そしてアメリカの半球の利益に対する脅威として拡大していると指摘してきた。昨年発表された最新版では、「アメリカと中国は激しい戦略的競争に巻き込まれている(The United States and China are locked in a fierce strategic competition)」と警告している。

ルーズヴェルト大統領の善隣政策は、ヨーロッパで高まりつつある危機に対処するため、ラテンアメリカ諸国に同盟関係を築くことを目指していた。トランプ大統領は、アメリカはこの地域に同盟国(allies)など必要なく、属国(vassals)さえあれば十分だと考えているようだ。わずか1年で、アメリカは典型的な「悪い隣国(Bad Neighbor)」に変身した。ラテンアメリカ諸国をアメリカの宗主権(suzerainty)の対象として扱うことは、ラテンアメリカ諸国の中国への傾きを加速させ、アメリカの地域的影響力(U.S. regional influence)を弱めるだけだ。もし世界でトランプ大統領のヴェネズエラ介入を密かに称賛している人がいれば、それは中国の習近平国家主席だろう。

※ウィリアム・M・レオグランデ:アメリカン大学教授。クインシー研究所非常勤研究員。ピーター・コーンブルーとの共著『キューバへの裏チャンネル:ワシントンとハバナの交渉の隠された歴史(Back Channel to Cuba: The Hidden History of Negotiations between Washington and Havana)』がある。Xアカウント:@WMLeoGrande

※ピーター・コーンブルー:ジョージワシントン大学国立安全保障アーカイヴのキューバ文書プロジェクト部長。『1962年のキューバミサイル危機(The Cuban Missile Crisis, 1962)』の共著者であり、ウィリアム・M・レオグランデと共著で『キューバへの裏チャンネル:ワシントンとハバナの交渉の隠された歴史(Back Channel to Cuba: The Hidden History of Negotiations between Washington and Havana)』もある。Xアカウント:@peterkornbluh

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(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 第二次ドナルド・トランプ政権は国内外で不安定な状況を作り出している。ヴェネズエラ攻撃を利用して、他国に脅しをかけている。グリーンランドの領有の意思を隠さずに、堂々と主張している。グリーンランドにアメリカ軍を派遣するということになれば、対ロシアの防衛同盟としてのNATOが瓦解する。卑近なたとえをするならば、「みんなで防犯組織を作ったら、仲間内から泥棒が出た」ということになるからだ。

 国内ではICE(アメリカ移民関税執行局)による不法移民取り締まりがアメリカ国内の緊張を高めている。ミネアポリスでICEの捜査員による女性の射殺事件が発生し、ミシガン州知事ティム・ウォルツは州兵の出動待機命令を出した。ICEの捜査員と一般市民の小競り合いも各地で頻発している。これがいつ更なる暴力事件から武力衝突、内戦にまで発展するか分からない。私たちは世界の大きな構造転換に直面している。アメリカの衰退がそのきっかけである。

 そうした中で、私たちが住む日本、そして東アジアと隣接する東南アジアは平穏を保たねばならない。それは、世界の経済成長エンジンであり、今や世界を支える地域になっているからだ。そこで残念なのは日本の状況だ。高市早苗首相という地政学リスクを抱え、アジアに不安定な状況をもたらしている。その高市首相の支持率が70%超えという日本国民は客観的に見て、馬鹿でアホでどうしようもないということになる。自分の頭絵で考えることを知らず(教えられてこなかったのだから仕方がないとは言え)、上から言われたとおりに生きて死ぬだけの存在だ。高市首相は解散総選挙を選択したが、高市首相を退陣させることができるかどうか、期待はできない。日本もアメリカと一緒に衰退し、沈んでいくしかないようだ。世界は大きく変化しようとしている。残念なことだが、アメリカと日本はその変化で負け組として衰退するしかない状況だ。せめて、個人個人で自分の置かれた状況を考慮して最善の方策を選択するしかない。

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ドナルド・トランプは世界にアメリカを恐怖することを教えている(Trump Is Teaching the World to Fear America

-数十年かけて築き上げてきた善意(goodwill)が今や無駄になっている。

ファリード・ザカリア筆

2026年1月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/09/trump-fear-united-states-alliances-global-power-balance/

歴史を通して、最も力強い国は往々にして友好国を見つけるのに苦労してきた。ある国が支配的になると、他国はそれに対抗しようとする。東ヨーロッパにあるロシアの隣国群を見れば、世界が認めてすぐに、NATOに加盟した。アジアにある中国の近隣諸国を見れば、日本、インド、オーストラリア、ヴェトナムなどが、北京の台頭を受けて、アメリカとの、そして互いの安全保障関係を着実に強化してきた。

しかし、アメリカを見てみると、この理論は揺らぎ始める。

アメリカは世界で最も強力な国だが、最も豊かで能力のある国の多くはアメリカに対抗するのではなく、同盟国となっている。彼らは核心的な安全保障問題においてはアメリカに従っている。アメリカの軍隊を受け入れている。自国の軍隊をアメリカと統合する。これは近代史の長い流れの中では普通のことではない。むしろ、非常に特殊なことだ。

それなぜか? それはアメリカが聖人のよう(saintly)だからではなく、しばしば古典的な覇権国(a classic hegemon)とは一線を画す行動を取ってきたからだ。第二次世界大戦後の80年間、アメリカは往々にして、その力強さを他国が受け入れ可能なもの、すなわちルール、制度、そして正統性(rules, institutions and legitimacy)へと変換しようと努めてきた。属国体制(tributary systems)ではなく同盟関係(alliances)を築き、たとえそれが不十分な場合であっても、集団安全保障、自決、自由な商業活動(collective security, self-determination, open commerce)といった諸原則を掲げてきた。

アメリカの一極主義の象徴としてしばしば挙げられるイラク戦争について考えてみよう。私はあの戦争の賢明さを擁護している訳ではない。国際システムに対するアメリカの姿勢について、より大きな視点で論じているのだ。ジョージ・W・ブッシュ政権は2002年に連邦議会の承認を求め、承認を得た後、国連に訴え、安全保障理事会決議1441号の成立に貢献した。また、この取り組みを支持する49カ国からなる連合も結成した。ワシントンは、この主張を表明し、パートナーを集め、他国に広く受け入れられる根拠を探る必要性を感じていた。

力を正当性へと変換しようとする努力こそが、アメリカの優位性の隠れた柱(the hidden pillar of American primacy)である。アメリカが脅迫者(a shakedown artist)ではなくルールメイカー(a rulemaker)として行動するとき、恐怖よりも価値のあるもの、すなわち同意(consent)を得ることになる。同意こそが覇権をリーダーシップへと、そしてリーダーシップを他国が他の選択肢よりも好ましいと考えるシステムへと変える。また、バランスを取ろうとする衝動を燃え上がらせないのも同意である。

そして、まさにヴェネズエラの出来事が今、危険に晒しているのはまさにこのことだ。ニコラス・マドゥロへの襲撃そのものではなく、アメリカ外交政策におけるこの断絶を特徴づけているのは、法、規範、同盟、そしてアメリカの外交政策に対する完全な無視(disregard for law, norms, alliances and diplomacy that mark this break in American foreign policy)である。

CNNのインタヴューで、ホワイトハウスのスティーヴン・ミラー大統領次席補佐官は、「アメリカ合衆国がヴェネズエラを統治している」と断言し、「国際的なお世辞(international niceties)」を一蹴し、世界は「強さ・・・力・・・権力」、つまり歴史の「鉄則(iron laws)」によって支配されていると主張した。一方、ドナルド・トランプ大統領は、ヴェネズエラが「移行(transition)」を迎えるまでアメリカが統治し、石油を奪取すると述べた。これは、アメリカの国庫を潤すための露骨な侵略行為(a naked act of aggression to benefit America’s coffers)だった。

もしあなたがカナダ人、ドイツ人、韓国人、あるいはメキシコ人なら、ミラーの言葉に恐怖を覚えるだろう。それはアメリカがオタワやベルリンに侵攻しようとしているからではなく、論理が変わった(the logic has changed)からだ。アメリカの力は、他国が受け入れることができるより広範な原則、民主政治体制、集団安全保障、ルールに基づく秩序(democracy, collective security, a rules-based order)のために使われるという主張はもはや存在しない。力には力に基づいた行動を取る権利がついてくるという主張だ。つまり、力があるから支配するのだ、という議論だ。これがまさに近隣諸国を不安にさせる大国の行動(great-power behavior)である。

トランプはこの作戦を正当化するためにモンロー主義(the Monroe Doctrine)を持ち出した。モンロー主義は1823年以降、反帝国主義的(anti-imperial)なもの、つまりヨーロッパによる西半球への植民地主義的な介入を阻止することを目的としていた(aimed at preventing colonial-style interventions by Europe in the Western Hemisphere)とよく考えられていたことを忘れてはならない。モンロー主義がラテンアメリカ全域へのアメリカの侵略を容認するものへと変化したのは、その後、特に1904年にセオドア・ルーズヴェルト大統領が同様の政策(President Theodore Roosevelt’s corollary)を採択したことによる。アメリカ帝国主義のこの栄華は長くは続かず、地域にとってもアメリカの評判にとっても良い結末にはならなかった。

過去40年間、共和党と民主党はラテンアメリカ地域に対する新たな超党派的アプローチを構築した。これはラテンアメリカ諸国が軍事政権から民主政治他一世へ移行する動きを後押しし、貿易・投資・制度改革支援を促進し、各国と連携して麻薬問題や移民問題に対処した。メキシコはこの転換の象徴だ。かつてワシントンへの深い不信感で定義づけられていた国が、密接なサプライチェインと日常的な法執行協力で結ばれた、アメリカにとって最も緊密な経済パートナーの1つとなった。(そして、21世紀の大半において、メキシコ人によるアメリカへの純移民数はほぼゼロに近い状態が続いている。)

メキシコ人による米国への純移民数はほぼゼロに近い状態が続いている。)

この数十年にわたり築き上げられた戦略的資本(strategic capital)が今、浪費されつつある。そして長期的には、国際舞台で完全なる利己的な捕食者のように振る舞うアメリカは強くなるどころか、孤立を深めるだろう。同盟諸国はヘッジし、パートナーは代替案を模索し、中立国は徐々に距離を置く。歴史が常に予見してきたバランシング(balancing)が遂に訪れるかもしれない。それはアメリカが弱体化したからではなく、自らの強さの真の源泉を忘れたからだ。

トランプ政権の志向は、アメリカをプーティンのロシアのように振る舞わせることにあるようだ。露骨に自国の利益を追求する攻撃的な国家として振舞う。そしてミラーが指摘するように、歴史の大半において強大国はそう行動してきた。アメリカを除いてはそうしてきた。アメリカは、紆余曲折と多くの過ちを伴いながらも、過去80年間にわたり異なる道を歩み、新たな世界を築き上げてきた。その世界が今、無謀にも解体されつつある。

※ファリード・ザカリア:CNN「ファリード・ザカリアGPS」司会者。著作も多く、最新刊は『』。『ワシントン・ポスト』紙に各週でコラムを掲載し、それは『フォーリン・ポリシー』誌にも掲載されている。Xアカウント:@FareedZakaria

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(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領のヴェネズエラ攻撃とニコラス・マドゥロ大統領夫妻拘束連行は世界に衝撃を与えた。私も「トランプはどうしてそんなことをやったんでしょうか」「アメリカはどうなるんですかね」といった問い合わせをいただくことがある。トランプが主張するドンロー主義(Donroe Doctrine)は、1830年代のジェイムズ・モンロー大統領のモンロー主義(南北アメリカ大陸からスペインとイギリスの影響を排除する)と、1900年頃のセオドア・ルーズヴェルト大統領(と先代のウィリアム・マッキンリー大統領)が採用した棍棒外交(中南米諸国に対して武力行使をちらつかせ、また実際に行使してアメリカに従わせる)を混合した外交政策の基盤となる原理ということになる。そして、これこそが「アメリカ・ファースト」(アメリカの利益が最優先)ということになる。

 こうしたドンロー主義に対して、懸念の声が出てくるのは当然のことだ。国外から一気に首都を急襲するという方式は、1979年から1981年にかけて起きたイランのテヘランのアメリカ大使館人質事件(Iran Hostage Crisis)において、人質救出作戦として立案されたイーグルクロー作戦(Operation Eagle Claw)と似たような形である。イーグルクロー作戦は天候に恵まれず失敗し、アメリカ大使館人質事件は当時のジミー・カーター大統領の再選失敗の最大の原因となった。もし、今回のヴェネズエラ急襲作戦が失敗していれば、トランプ大統領と政権にとって致命的な傷となったことだろう。今回の成功は幸運だったと言える。

 懸念されるのは、今回の成功に味を占めて、成功体験に浮かれて、他国にも同様の攻撃を行う可能性があることだ。メキシコやグリーンランド、パナマにアメリカ軍部隊を侵入させるということは今のところ考えにくいが、可能性がゼロではない。また、そのような可能性を相手側に考慮させることで、アメリカ側の交渉力を上げ、意向に従わせようとする可能性もある。短期的にそれが成功しても、中長期的に見て、それが成功となるかどうかは分からない。アメリカのならず者のような行動は他国からの反感を買い、忌避を生み出す。そして、相対的に、中国とロシアの評価を上げることになる。

国際関係論では、「バランシング(balancing)」と「バンドワゴニング(bandwagoning)」という考え方があるが、脅威となる国が出てきたときに他国が一緒になって対抗することを「バランシング」、脅威となる国に味方することを「バンドワゴニング」という。アメリカに対抗できるもう一つの軸として、著書やブログでも何度も紹介してきた、中国とロシアを中心とするBRICS諸国を中核とする「西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」による「バランシング」が起きる可能性が高い。アメリカは予期しているよりも影響力を行使できないということになる。そうなると、国際的な孤立を招くということになる。今回のヴェネズエラ急襲成功が結果として大きな損失を生み出すということも十分に考えられる。

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ヴェネズエラはドナルド・トランプ大統領の運が尽きる場所になるかもしれない(Venezuela Might Be Where Trump’s Luck Runs Out

-トランプ大統領は、支持基盤内部の極めて強硬な派閥とハト派の間で綱渡りを続けている。

エンマ・アシュフォード筆

2026年1月5日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/05/venezuela-trump-us-military-intervention-regime-change-south-america/

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(右から)ドナルド・トランプ米大統領、マルコ・ルビオ国務長官、ジョン・ラトクリフCIA長官、ピート・ヘグゼス国防長官がフロリダ州パームビーチにあるトランプの邸宅マール・ア・ラーゴからヴェネズエラにおける米軍の作戦を監視する(2026年1月3日)

国境の南側へのアメリカの軍事介入は、野球やアップルパイと同じくらいアメリカ的だ。1914年、ウッドロウ・ウィルソン大統領はアメリカの経済的利益を守るため、メキシコのベラクルスを占領するために軍隊を派遣した。冷戦時代、アメリカはキューバからニカラグア、グアテマラ、パナマに至るまで、公然と、あるいは秘密裏に、様々な政権転覆作戦(overt and covert regime change operations)を実行した。さらに最近の1994年には、クリントン政権がハイチに侵攻し、退陣したジャン=ベルトラン・アリスティド大統領を復帰させた。

それにもかかわらず、先週末に見られたような、事実上の武装誘拐(an armed kidnapping)とも言える指導者交代を、アメリカの政権が公然と、そして誇らしげに行っていることは衝撃的だった。これらの行動が選択された理由に関する公式の説明には、ほとんど策略がなく、この攻撃を何らかの国際法に組み込もうとする真摯な試みもなかった。むしろ、ドナルド・トランプ政権は事実上、アメリカの利益の優先性を主張した。ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は、移民の阻止、麻薬の流入の防止、そしてアメリカの石油会社によるヴェネズエラの豊かな油田へのアクセスの許可を妨害したという主張であった。

提示された数々の論拠は、2003年のイラク侵攻の直前、政権が既に決定していた行動を正当化する様々な理由付けを次々と提示した状況を彷彿とさせる。しかし、これさえも誤解を招く。ヴェネズエラに関する説明は、ジョージ・W・ブッシュ政権が夢見ることしかできなかったようなスピードで、国際法の建前を無視して提示された。少なくともジョージ・W・ブッシュ大統領は、最終的にそのプロセスを無視する前に、国連安全保障理事会の承認(U.N. Security Council authorization)を求めた。

ここでも、提示された論拠はどれも真に説得力がない。アメリカは世界最大の産油国であり、ヴェネズエラ産の原油供給過剰(a glut of Venezuelan oil)は、世界的な価格下落によって、テキサス州などの産油地にさえ悪影響を及ぼしかねない。アメリカ国内で死者を出している薬物のほとんどは、ヴェネズエラ産ではない。そして、アメリカの法執行機関は、たとえ有効な令状があっても、通常は海外で軍事行動を起こすことはない。

実際には、これは明らかにアメリカの力、そしてこの地域を支配する必要性を誇示するための演習となった。マドゥロ大統領はトランプ政権に繰り返し反抗し、カリブ海における圧力と軍備増強にもかかわらず、権力を手放して快適な亡命生活(a comfortable exile)を送ることを拒否してきた。マドゥロ大統領の継続的な抵抗に、たとえドナルド・トランプでさえ、アメリカの譲歩(U.S. concessions)によって乗り越えられる可能性は、常に低かった。トランプは、アメリカ大統領の中でも、ハイリスクな状況においてブラフを仕掛け、譲歩する姿勢で知られている。

これは、トランプ政権が最近発表した国家安全保障戦略において、いわゆるモンロー主義のトランプ系(Trump Corollary to the Monroe Doctrine)が提示されたことを考えると特に当てはまる。この戦略は、中国などの西半球外の勢力を締め出し、「西半球に軍事力やその他の脅威となる能力を配置する能力、あるいは戦略的に重要な資産を所有・管理する能力(the ability to position forces or other threatening capabilities, or to own or control strategically vital assets, in our Hemisphere)」を否定することを約束している。この文書が不吉に約束しているように、アメリカは「各国が私たちを第一選択のパートナーと見なすことを望んでおり、(様々な手段を通じて)他国との協力を阻止するつもりだ(nations to see us as their partner of first choice, and … will (through various means) discourage their collaboration with others)」。

マドゥロの拘束はまさにこの目的にかなうものであり、中国とロシアに西半球への介入を避けるよう求めるシグナルを送る可能性もある。また、複数の政権当局者によるキューバとメキシコに関する発言が示唆するように、これは他の地域内の諸国政府にも、移民問題、麻薬問題、あるいは他国との協力といった問題で協力を求めるシグナルを送ることになる。もし協力しなければ、アメリカによる懲罰的攻撃(a U.S. punitive strike)を受けるリスクがある。これは非常にリスクの高い戦略だ。今回の襲撃が計画通りに進まなければ、トランプ政権は期待していたよりも弱体化してしまう可能性がある。

おそらく最大の問題は、今回の襲撃をトランプのより広範な外交政策の文脈でどう解釈するかということだ。一部の人々はこれを政権内の1つの派閥の勝利(the triumph of one faction inside the administration)と解釈し、「タカ派が勝利している(The hawks are winning)」と簡潔に報じた。そして、この作戦の顔は明らかにタカ派のマルコ・ルビオ国務長官であることは事実だ。外国の政権交代を長年批判してきたJD・ヴァンス副大統領は、この襲撃を支持しているものの、襲撃に関する写真や記者会見には出席しておらず、その理由については安全保障に関する漠然とした発言のみで説明している。

しかし、トランプの側近であるタカ派やネオコンもこの状況に不満を抱いている。大統領は記者団に対し、民主派野党の有力候補であるマリア・コリーナ・マチャドには、近いうちにヴェネズエラで政権を掌握するために必要な支持がないと述べた。ルビオ長官もすぐにこの見解に同調した。政権当局者たちは、マドゥロの副大統領であるデルシー・ロドリゲスが政権移行に向けて政権と協力すると見込まれていると述べており、この作戦は民主政治体制を促す政権交代(pro-democracy regime change)というよりも、非協力的な指導者を排除すること(removing an uncooperative leader)が目的であることを示唆している。

このように、マドゥロ襲撃は、その行動は攻撃的かつ野心的であると同時に、政治的目的は非常に限定的である。この点において、これはおそらく2025年6月のトランプによるイラン核施設への攻撃に最も類似していると言えるだろう。どちらのケースでも、トランプはアメリカの軍事力の強力なデモンストレーションを行う一方で、911以降のアメリカの軍事介入の多くを悩ませてきたエスカレーション、混乱、そして意図せぬ結果(the escalation, chaos, and unintended consequences)を回避しようと努めた。つまり、彼はアメリカがほとんど何の責任も負わない武力行使を行えるという主張を試しているのだ。

このアプローチは、政権内の対立する諸派閥の間を縫うように進められ、ネオコンやレーガン主義の残党(Reaganite holdovers)が渇望する軍事行動を許容しつつ、介入主義(interventionist)に消極的な支持基盤に対しては、アメリカがイラク戦争のような惨事を再び招くことはないとの安心感を与えようとするものだ。これまでのところ、この戦略は功を奏している。しかし、政治的にも地政学的にも、依然として非常にリスクの高い戦略であることに変わりはない。トランプ大統領は幸運だった。イランへの攻撃は事態の大幅なエスカレーションにはつながらず、マドゥロ政権の掌握は今のところヴェネズエラを混乱に陥れたようには見えない。

しかし、だからといって、大統領が将来、例えばメキシコやグリーンランドで同様の攻撃を行った場合、その影響を回避できる能力がアメリカへの逆風に容易に転じないという保証はない。そして、トランプ大統領がこうしたアメリカの武力行使を繰り返せば繰り返すほど、そのどれかが壊滅的な結果を招く可能性が高まるのだ。ヴェネズエラでは、それは軍事クーデター、国家崩壊、あるいはより広範な難民危機(military coup, state collapse, or broader refugee crisis)を意味する可能性がある。他の地域では、戦争、もしくは混乱を意味する可能性がある。

トランプ大統領は、自身を支持してくれた支持基盤を遠ざけるリスクを負っているだけではない。この国際的な瀬戸際政策(this game of international brinksmanship)が成功するたびに、トランプはより自信過剰(more overconfident)になり、次回の誤算のリスク(the risks of miscalculation)が高まる可能性が高い。

※エンマ・アシュフォード:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。スティムソン・センターアメリカ大戦略再発想プログラム上級研究員。ジョージタウン大学非常勤助教。著作に『石油、国家、そして戦争(Oil, the State, and War)』がある。Xアカウント:@EmmaMAshford

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