古村治彦です。
2025年2月28日、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領がホワイトハウスを訪問し、ドナルド・トランプ大統領と会談を持った。そして、記者たちがいる前で、J・D・ヴァンス副大統領も入って、口論となった。その様子は日本でも報道された。その口論の内容について、一部(後半部)をご紹介する。
この口論の内容を見て、私は、「ゼレンスキーという人物はシンプルに頭が悪い人だ」と感じた。トランプと会談を持つとなれば、このようなことになる可能性が高いことは誰でも分かることだ。それでも、うまく対処するために準備をすることが重要なのに(石破茂首相は訪米前の週末に事前準備勉強会を開いていた)、そのような準備の跡が見られない。ウクライナをどのように導くか、戦争をどのように終わらせるかということについて、側近たちも含めて策もなく略もないということのようだ。側近たちのレヴェルもまたゼレンスキーのレヴェルを示している。つまり、頭が悪いのである。
更に問題は、アメリカ側を「脅した」ことだ。「ゼレンスキーがアメリカは『将来それ(外国から攻められる恐怖)を感じるかもしれない』と示唆するとトランプが激怒」という項目がある。これは、ゼレンスキーが「アメリカは攻められる危険がないから、私たちの感じていることは分からない。しかし、将来は感じることになるだろう」という趣旨の発言を行い、トランプが激怒したということである。これは、「アメリカはいつまでも世界一の超大国ではいられない。すぐに弱体化して、私たちと同じ苦しみを味わうぞ」ということである。ゼレンスキーのこの見立ては説得力がある。しかしながら、それを、メディアを前にして言うべきではなかった。アメリカ国民も聞いているのである。アメリカからのお金と武器がなければ、ウクライナは戦争継続ができないのである。ゼレンスキーはアメリカからの支援継続を獲得するのが最重要の目的である。しかし、この目的達成を危険に晒すようなことをしてしまうというのは頭が悪い人物であり、このようなリーダーを持ってしまったのはウクライナにとっての最大の不幸である。日本も他山の石として注意しなければならない。
(貼り付けはじめ)
彼らが発言したこと:米大統領執務室でのトランプ、ゼレンスキー、そしてヴァンスの熱を帯びたやり取り(What they said: Trump, Zelenskyy and Vance’s heated argument in the
Oval Office)
アドリアナ・ゴメス・リコン筆
2025年3月1日
AP通信
https://apnews.com/article/trump-zelenskyy-vance-transcript-oval-office-80685f5727628c64065da81525f8f0cf
フロリダ州フォートローダーデール(AP)発。ドナルド・トランプ大統領とJ・D・ヴァンス副大統領は金曜日、ウクライナ戦争に関してウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領を非難した。ゼレンスキーがロシアのウラジーミル・プーティンとの外交問題についてヴァンス大統領に異議を唱えた後、感謝の意を示していないと非難した。
米大統領執務室での口論は世界的に放送された。ゼレンスキーの残りのホワイトハウス訪問はキャンセルされ、2022年のロシアの侵攻に対するウクライナの防衛において、アメリカがこれからどの程度支援するのか疑問が起きる事態になった。
以下は、このやりとりの重要な瞬間の文字起こしである。
■ゼレンスキーがヴァンスに対して、ロシアと外交について挑戦(Zelenskyy
challenges Vance on Russia and diplomacy)
・ヴァンス:「4年間にわたり、アメリカ合衆国、私たちは記者会見に立ち、ウラジーミル・プーティンについて強い調子で話す(talk tough)大統領を有してきた。そして、プーティンはウクライナに侵攻し、ウクライナの大きな部分を破壊した。平和の道筋(path to peace)と繁栄への道筋(path to prosperity)は、おそらく、外交への関与ということになる。私たちはジョーバイデンの考える道筋を試した。胸を張り、大統領の言葉が大統領の行動よりも重要であるかのように装った。アメリカを良い国にする(What makes America a good country)のは、アメリカが外交に関与することだ。それがトランプ大統領のやっていることだ」。
・ゼレンスキー:「あなたに質問しても良いか?」。
・ヴァンス:「もちろん、どうぞ」。
・ゼレンスキー:「それでは。彼(プーティン)はウクライナの大きな部分、東部とクリミア半島を占領した。彼は2014年に占領した。そして、それから長い期間、占領した。私はバイデン政権下での話だけをしているのではない。その時期は、(バラク・)オバマ大統領、トランプ大統領の時代だった。そして、バイデン大統領の時代になり、今はトランプ大統領だ。そして神のご加護のもと、トランプ大統領が彼を止めるだろう。しかし、2014年の間は誰も彼を止めなかった。彼はただ占領し、奪った。人を殺した。お分かりの通りに・・・」。
・トランプ:「2015年?」
・ゼレンスキー:「2014年」。
・トランプ:「おや、2014年? 私はいなかった」。
・ヴァンス:「それは正しい」。
・ゼレンスキー:「そう。しかし、2014年から2022年まで、接触線で人が死んでいる状況は変わらない。誰も彼を止められなかった。私たちが彼と会話をしたことはご存知だろう。そして私たちは彼と、私、あなた、大統領、2019年に私は彼と協定に署名した。私は彼、(フランスのエマニュエル・)マクロン大統領、(ドイツのアンゲラ・)メルケル前首相と署名した。私たちは停戦(ceasefire)に署名した。停戦だ。しかしその後、彼は停戦を破り、同胞を殺し、捕虜交換も行わなかった。私たちは捕虜交換に署名した。でも、彼はそれをしなかった
J・D、あなたの言う外交とは何か? どういう意味なのか?」。
・ヴァンス:「私は、あなたの国の破壊を終わらせる外交について話している。大統領、失礼ながら、あなたが米大統領執務室に入ってきて、アメリカのメディアの前でこの問題を訴えようとするのは失礼だ(disrespectful)と思う。今、あなた方は人員の問題(manpower
problems)を理由に徴兵(conscripts)をして、人々を前線に押し出している。あなたは、この争いを終わらせようと努力している大統領に感謝すべきだ」。
・ゼレンスキー:「あなたはウクライナに来たことはあるか? 私たちにはどんな問題があるとおっしゃりたいのか?」。
ヴァンス:「貴国を訪問したことがある」。
ゼレンスキー:「一度だけ」。
・ヴァンス:「私は実際に様々なニューズを見て、何が起きているのか知っている。大統領、人々をプロパガンダツアー(propaganda tour)に連れて行く。軍隊に人々を参加させることに問題があったことにあなたは反対か?」
・ゼレンスキー:「私たちは複数の問題を抱えている」。
・ヴァンス:「そして、アメリカ大統領の執務室にやってきて、自国の破壊を防ごうとしている政権を攻撃することが敬意を表する行動だと考えるのか?」。
・ゼレンスキー:「多くの疑問がある。最初から始めよう」。
・ヴァンス:「もちろん」。
■ゼレンスキーがアメリカは「将来それ(外国から攻められる恐怖)を感じるかもしれない」と示唆するとトランプが激怒(Trump erupts when Zelenskyy suggests the U.S. might ‘feel it in the
future’)
・ゼレンスキー:「第一に、戦争中は誰もが問題を抱えている。しかし、あなた方には素敵な海があり、今は感じていない。しかし、あなた方は将来それ(外国から攻められる恐怖)を感じるだろう。神のご加護がありますよういに」。
・トランプ:「あなたは知らない。あなたは知らない。私たちがこれから何を感じるかなんて言わないように。私たちは問題を解決しようとしている。私たちが何を感じようとしているかなんて言うな」。
・ゼレンスキー 「あなたに対して言っているのではない。私はこれらの疑問に答えている」。
・トランプ:「あなたはそれを指示する立場にないからだ」
・ヴァンス:「それはまさにあなたがやっていることだ」。
・トランプ:「あなたは私たちが何を感じるかを決める立場にはない。私たちはとてもいい気分だ」。
・ゼレンスキー:「影響されていると感じるだろう」。
・トランプ:「私たちはとても良い、とても強いと感じるだろう」。
・ゼレンスキー:「私はあなた方に断言する。影響されていると感じるだろう」。
・トランプ:「あなたは今いい位置にいない。あなたは非常に悪い立場にいることに甘んじている」。
・ゼレンスキー:「戦争が始まってすぐの段階から・・・」。
・トランプ 「あなたは良い立場にいない。あなたは今カードを持っていない。我々と一緒なら、カードを持ち始めることができる」。
・ゼレンスキー:「私はカード遊びをしているのではない。大統領。私は非常に真剣だ」。
・トランプ:「あなたはカード遊びをしているではないか。あなたは数百万の人々の命を使ってギャンブル遊びをしている。あなたは第三次世界大戦を引き起こすようなギャンブル遊びをしている」。
・ゼレンスキー:「あなたは何を言っているのか? 何を言いたいのか?」。
・トランプ:「あなたは第三次世界大戦に賭けている。そして、あなたがやっていることは、多くの人々が言うべきことをはるかに超えてあなたを支援してきたこの国という国に対して、非常に失礼なことだ」
・ヴァンス:「一度でも感謝を述べたことがあるか?」
・ゼレンスキー:「多くの機会で。本日も」。
・ヴァンス:「ノー。今回の会談の全体を通して言っていない。あなたは昨年10月にペンシルヴァニア州に行き、私たちのライヴァルの候補者のために選挙活動を行った」。
・ゼレンスキー:「いいえ、していない」。
・ヴァンス:「アメリカ合衆国と、あなたの国を救おうとしている大統領に感謝の言葉を述べるように」。
・ゼレンスキー:「どうかもう止めて欲しい。あなたは戦争について、何か声を荒げたら・・・」。
・トランプ:「彼は声を荒げてなどいない。大声で話していない。あなたの国が大きな困難、問題の中にあるのだ」。
・ゼレンスキー:「答えても・・・」。
・トランプ:「いやいや、あなたは既に多く話している。あなたの国が大きな困難、問題の中にある」。
・ゼレンスキー:「分かっている」。
・トランプ:「あなたは勝てない。あなたはこの戦争に勝てない。私たちのおかげで、あなたは無事に切り抜けられる可能性が大いにある」。
・ゼレンスキー:「大統領、私たちは国に留まり、強くあり続ける。戦争が始まった当初から、私たちは孤独だった。そして、私たちは感謝している。私はありがとうと感謝を述べた」。
■トランプはゼレンスキーに対して停戦を受け入れるように求める(Trump
demands Zelenskyy accept a ceasefire)
・トランプ:「もしあなた方が私たちの供与した軍事装備を持っていなかったら、この戦争は2週間で終わったことであろう」。
・ゼレンスキー:「3日間だ。私はプーティンからその言葉を聞いた。3日間だ」。
・トランプ:「それよりも短かったかもしれない。このようなビジネスをするのは非常に難しいことだ」。
・ヴァンス:「ただありがとうと述べるべきだろう」。
・ゼレンスキー:「私はこれまで多くの機会で述べてきた。ありがとうとアメリカ国民に対して述べてきた」。
・ヴァンス:「意見の相違があることを受け入れ、自分が間違っているときにアメリカのメディアを使って争うのではなく、その意見の相違を訴訟について徹底的に話そうではないか。私たちは、あなたが間違っていることを知っている」。
・トランプ:「しかし、アメリカ国民が、今何が起きているのかを知るのは良いことだと私は思う。とても重要なことだと思う。だからこそ私はこうした話を長い間続けてきた。あなたは感謝しなければならない」。
・ゼレンスキー:「私は深く感謝している」。
・トランプ:「あなた方はカードを持っていない。あなた方はそこに埋もれている。人々は死んでいる。兵士は不足している。停戦はとてもよいことだ。そしてあなた方は私たちに『停戦は望んでいない。停戦は望んでいない。私は進みたい。そしてこれを望んでいる』と言う。よろしいか、もし今すぐ停戦が実現できるなら、そうするべきだ。そうすれば銃弾が飛び交うのを止め、兵士が殺されるのを止められる」。
・ゼレンスキー:「もちろん、私たちは戦争を止めたいと望んでいる。しかし、私があなたに申し上げたように、保証(guarantees)が必要だ」。
・トランプ:「あなたは停戦を望まないと言うのか? 私は停戦を望む。なぜなら、合意(agreement)よりも早く停戦が実現するからだ」
・ゼレンスキー:「停戦について国民に聞いてみては、彼らがどう考えるか」。
・トランプ:「それは私との話ではない。それはバイデンという男との話だ。彼は賢い人間ではない」。
・ゼレンスキー:「彼はあなた方の大統領だった。あなた方の大統領だった」。
・トランプ:「失礼だが、それはオバマ大統領があなた方にシーツを渡し、私がジャヴェリンを渡した時の話だ。私は戦車を全部破壊するためのジャヴェリンを渡した。オバマ大統領はあなた方にシーツを渡しました。実際、オバマ大統領はシーツを渡し、トランプ大統領はジャヴェリンを渡したと発表されている。あなた方はもっと感謝しなければならない。なぜなら、あなた方にはカードがないからだ。私たちがいればカードを持つことができるが、私たちがいなければ、あなた方にはカードがないということになる」。
■トランプはプーティンが自分を尊敬している、それは第一次政権についての捜査のためだと発言(Trump says Putin respects him due to the investigations of his first
term)
・ヴァンス(記者たちからの質問を再開):「彼女はロシアが停戦を破ったらどうすると質問している」。
・トランプ:「もし何かあったらどうする? 今あなたの頭の上に爆弾が落ちたらどうする? いいだろう、もし彼らがそれを破ったら?
分からない、彼らはバイデンとの約束は破った、なぜなら彼らはバイデンを尊敬していなかったからだ。彼らはオバマを尊敬していなかった。彼らは私を尊敬している。言っておくが、プーティンは私と一緒に大変な目に遭った。彼は偽りの魔女狩り(phony witch hunt)を経験した。・・・私が言えるのはこれだけだ。彼はオバマやブッシュとの取引(deals)を破ったかもしれないし、バイデンとの取引を破ったかもしれない。彼はそうしたかもしれない。おそらくそうした。何が起こったのかは分からないが、彼は私との取引を破らなかった。彼は取引をして合意を取り付けたいのだ。あなた(ゼレンスキー)が取引できるかどうかは分からない」。
「問題は、私があなた(ゼレンスキーに向かって)にタフガイ(tough guy)になる力を与えたことだ。アメリカなしではあなたはタフガイにはなれないと思う。あなたの国民は非常に勇敢だ。しかし、あなたは取引をするか、私たちは出て行くかだ(But you’re either going to make a deal or we’re out)。そして、もし私たちが出て行ったら、君たちは戦うことになる(And if we’re out, you’ll fight it out)。いい結果にはならないと思うが、君たちは戦うことになる。だが、君たちはカードを持っていない(But you don’t have the cards.)。私たちがその契約に署名すれば、君たちはずっと有利な立場になるが、君たちは感謝の気持ちをまったく示さない( But once we sign that deal, you’re in
a much better position, but you’re not acting at all thankful)。それはいいことではない。正直に言うと、いいことではない。
「よし、もう十分見たと思う。どう思う? これは素晴らしいテレビ番組になるだろう。そう言わせてもらう」。
(貼り付け終わり)
(終わり)

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』

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