古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:上院

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治について詳しく分析しました。2024年はアメリカ大統領選挙の年です。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカ連邦議会(上院と下院)の民主、共和両党の議員たちの間には、議員連盟(caucus)と呼ばれるグループがある。民主、共和両党内の議員連盟は、日本の派閥(faction)的な色合いがあるが、明確な親分・子分関係は存在せず、イデオロギーや信条が近い議員たちが一緒に行動するというような形のものである。民主、共和両党に複数の議連があり、採決の時などに、賛成、反対の動きや票読みの際に、注目を集める。

 『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』でも取り上げたが、アメリカ連邦下院共和党において、重要な存在になっているのが、「フリーダム・コーカス」と呼ばれる議連だ。この議連は、日本語では「自由議員連盟」と訳されることもある。フリーダム・コーカスは、保守派・リバータリアン派の議連である。オバマ政権時代に、勢いを伸ばした、ティーパーティー運動に源流があり、ティーバーティ―運動で当選した議員たちが結成した議連であり、政府による介入や規制を排除することを求めている。2015年に結成された比較的新しい議連であるが、メンバーは41名を数える。共和党の連邦下院議員が217名の内の41名が属しており、一大勢力となっている。共和党内で最も右寄りの議連であり、エスタブリッシュメント派とも対立する場面があり、トランプ支持の議連と言われるが、そのような単純な話では済まない。この議連には、トランプ支持派の議員たちも入っているが、同時に、トランプに対して反対する、リバータリアンの議員たちも入っており、中で対立が起きた。トランプ派の議員たちが、自分たちだけの議連を結成しようとして、その動きを潰されたことがある。

 昨年(2023年)、トランプ派として有名なマジョ―リー・テイラー・グリーン連邦下院議員(ジョージア州選出)が「アメリカ・ファースト・コーカス(議連)」を結成する動きを見せた。グリーンを中心とするトランプ派の議員たちがフリーダム・コーカスから独立する動きを見せた。それに対して、連邦下院共和党指導部とフリーダム・コーカスの幹部メンバーたちが激怒し、アメリカ・ファースト・コーカスが結成されたら、参加議員たちは、議会のどの委員会にも参加させないという脅しを行った。委員会に所属できなければ、立法作業に参加する道を閉ざされることになり、議員活動はできなくなる。トランプ派の議員たちはおとなしく従うしかなかった。首謀者のグリーン議員は、フリーダム・コーカスから追放処分となった。

 共和党所属の連邦議員たちの間では、トランプに対する恐れと反感、諦観が入り混じっている。トランプに表立って反対すれば、「あいつは落とすべきだ」とトランプに言われてしまう。そうなると、トランプ支持者たちは、その議員を落選させてしまう。これまでにも、トランプに反対した議員たちは多くは落選させられる、もしくは自主的な引退を選択することになった。だから、議員たちはよほど選挙に自信があるなら別だが、表立っては従うしかない。しかし、同時に反感もある。それが、トランプ派議員たちに対する動きとして出てくる。このような複雑な動きになっているので、一概に「この議連はトランプ支持の議連」と決めつけてしまうのは実態に即していないということになる。

(貼り付けはじめ)

グリーンがフリーダム・コーカスから追放された、と幹部メンバーが言及(Greene ousted from Freedom Caucus, board member says

エミリー・ブルックス筆

2023年7月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/4084065-greene-ousted-from-freedom-caucus-board-member-says/

強硬派のフリーダム・コーカスは、マジョーリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)をメンバーから除名するための投票を実施した、とフリーダム・コーカスの幹部メンバーであるアンディ・ハリス連邦下院議員(メリーランド州選出、共和党)は述べた。

ハリスは木曜日、『ポリティコ』誌とCNNの取材に対して、「マジョーリー・テイラー・グリーンは、彼女のこれまでの行動を理由にして、連邦下院フリーダム・コーカスから除名されるべきかどうかの投票が実施された」と述べた。

連邦下院フリーダム・コーカスの報道担当者は、コーカスの秘密保持条項を指摘して、コーカスがグリーンを除名したかどうかについて、その正否を認めなかった。

フリーダム・コーカスは「連邦下院フリーダム・コーカスはメンバーの地位や資格(membership)や内部のプロセスについてコメントしない」と発表した。

今回のニューズに関する声明の中で、グリーンは連邦下院フリーダム・コーカスにおける、彼女の地位について直接言及しなかった。

グリーンは「連邦議会において、私は自分が代表している選挙区であるジョージア州北部を最優先にして仕事をしている。ワシントンにおけるいかなるグループのためにも仕事をしていない。アメリカ・ファーストの考えは、私のキリスト教の信仰に導かれ、鋼で鍛えられ、私の人格に焼き付けられ、決して変わることはない」と述べた。

グリーン議員は「私は、この国を破壊しようとするアメリカを憎んでいる民主党と、連邦議会の儀仗で毎日戦っている。私は、国境を守り、子宮の中にいる、もしくは生まれた後の子どもたちを守り、永遠に続く外国の戦争を終わらせ、この国を救うために働くことを望む人となら誰とでも協力する。共和党は、2024年にドナルド・トランプ大統領が選挙に勝利する時、共和党主導の、強力で統一された連邦議会が何をするのかをアメリカに示すことができる期間は、既に2年を切っている。私が最重要視しているのはこの一点であり、他には何もない」と締めくくった。

広報担当のハリスは、グリーン議員が正式にフリーダム・コーカスから外れたかどうか質問され、次のように答えた。「私の知る限り、そういうことだ」。

ケヴィン・マッカーシー連邦下院議長(カリフォルニア州選出、共和党)がジョー・バイデン大統領と交わした債務法案の合意を支持することで、多くの同僚と対立したため、グリーン議員はフリーダム・コーカスから排除されることになった。グリーン議員はマッカーシーに近い支持者となっている。フリーダム・コーカス所属の同僚議員たちの多くが反対し、1月に歴史的な15票差の連邦下院議長選挙を余儀なくされた時でさえ、マッカーシーを議長候補として支持した。

ハリスは、債務法案とグリーンのマッカーシー支持について、「その全てが重要だったと思います」と語った。

しかし、グリーン議員と同様の、お騒がせ議員であるローレン・ボーバート下院議員(コロラド州選出、共和党)との最近の衝突が、結果としてフリーダム・コーカス所属の議員らにグリーン議員の排除投票を促したようで、広報担当ハリスはそれを「決定的な一撃となった(the straw that broke the camel’s back)」と語った。

グリーン連邦議員は2023年6月下旬、ボーバートが国土安全保障省長官アレハンドロ・マヨルカスに対する弾劾訴追を強行する意表をつく行動に出た後、連邦下院の議場でボーバートを「小娘(little bitch)」と呼んだ。グリーンは、ボーバートが連邦下院共和党所属議員会に自分の決定について説明しに来なかったことを批判し、ボーバートがマヨルカスに対する弾劾訴追についても自分の行動を真似ただけのことだと非難した。

ハリスは、「グリーンが同僚議員ボーバートに使った表現は、おそらく同僚議員、特に女性議員に対して使うべきではなかったと思う」と述べた。

『ポリティコ』誌が先週初めて報じたこの投票は、連邦下院が独立記念日を前に2週間の休会に入る前の朝に行われた。

ハリスは投票方法については明言しなかったが、連邦下院フリーダム・コーカスのスコット・ペリー会長(ペンシルヴァニア州選出、共和党)を「真のリーダー(true leader)」であり、「素晴らしい仕事(great job)」をしていると称賛した。

しかし、グリーンを排除する動きは、ペリーやフリーダム・コーカス全体に対する外部からの批判を呼んでいる。

ある共和党幹部補佐官は本誌の取材に対して、「私がスコット・ペリーなら、8月の休会前の3週間の会期を前に、これが最後の見出しになることを望んでいる。HFCをめぐるドラマの連続のせいで、議員たちはどの議案も通過させることができない。指導部も疲れているはずだ」と述べた。

連邦下院フリーダム・コーカスのメンバーと下院共和党指導部との間の最も差し迫った争いは、予算と支出レヴェルをめぐるものだ。先月、同グループの一部メンバーとその協力者たちは、債務上限法案で設定された歳出水準の上限に抗議し、下院議場での立法活動を1週間妨害した。

それ以来数週間、同グループのメンバーは支出レヴェルについて定期的に指導部と会談してきたが、意見の相違が残ったまま2週間の休暇に入った。

支出レヴェル以外にも、フリーダム・コーカスのメンバーは、自分たちの法案を強行採決するための特権的動議で、指導部の頭痛の種を増やした。マヨルカス弾劾訴追案を強行採決したボーバートの動きは最終的に委員会に差し戻されたが、これに加え、アナ・パウリナ・ルナ議員(フロリダ州選出、共和党)は、アダム・シフ議員(カリフォルニア州選出、民主党)のトランプ前大統領に関する発言に対する問責決議案を強行採決した。

=====

マジョーリー・テイラー・グリーンは、共和党からの反撃を受ける中で、「アメリカ・ファースト」コーカス発足の計画を放棄する(Marjorie Taylor Greene scraps planned launch of controversial ‘America First’ caucus amid blowback from GOP

ダニエラ・ディアズ筆

CNN

2021年4月18日

https://edition.cnn.com/2021/04/17/politics/marjorie-taylor-greene-america-first-caucus/index.html

CNN発。保守派のマジョーリー・テイラー・グリーン連邦下院議員は金曜日、報道担当者を通じて「アメリカ・ファースト」コーカス(議員連盟)の発足を確認していたにもかかわらず、共和党内の指導者たちから反撃を受け、コーカスの発足を取りやめることになった。

グリーン議員の報道担当ニック・ダイアーは土曜日の午後、ジョージア州選出の共和党連邦下院議員グリーンは「何も立ち上げない」とCNNに送った電子メールの中で述べた。

ダイアーは、パンチボウル・ニューズが入手した、煽動的な表現が使われたコーカスの宣伝ビラに言及しながら、「議員は、何も立ち上げてようとしていないを明確にしたいと望んでいる。これはごく初期の提案であり、合意も承認もされていない」とCNNに送ったメールの中で語った。

ダイアーは更に、「彼女はその文言を承認しておらず、何も立ち上げる予定はない」と付け加えた。

これは、グリーン議員の事務所が「ごく近いうちに」コーカスを発足させると言っていた金曜日からの大きな後退だ。

ダイアーは金曜日、CNNに送った声明の中で、「アメリカ・ファースト・コーカス(議員連盟)の綱領が近々発表されるので、楽しみにしていてください」とダイアー氏はCNNに声明の中で述べていた。

グリーンは土曜日の午後、一連のツイートで、彼女の「アメリカ・ファースト」コーカスのスタッフ・レヴェルの草案は、「私が読んでいない外部グループからのもの」だと主張した。彼女はまた、メディアが「誤った物語(false narratives)」を作り、人種に焦点をあてて、「アイデンティティ政治(identity politics)を通じ、憎しみでアメリカ国民を分断している」と非難した。

グリーンはツイッター上で、ドナルド・トランプ前大統領のアメリカ・ファーストのアジェンダの提唱を進める計画を示唆した。

新しいコーカス(議員連盟)を宣伝するチラシは、「アングロサクソン独自の政治的伝統に対する共通の敬意(common respect for uniquely Anglo-Saxon political traditions)」を呼びかけ、選挙の整合性に関する一連の共同謀議論を前面に押し出している。

チラシはまた、「大量の移民」が「独自の文化とアイデンティティを持つユニークな国としてのアメリカの長期的な存続的な未来」を脅かすと警告する、白人中心主義的な(nativist)主張も概説している。

連邦議会の議員連盟は通常、特定の政策課題を推進しようとする議員たちで構成される任意団体である。このグループは正式な議会の立法機構の外で運営されているが、その多くは、議論に影響を与え、共通の政策提言を増幅させることに成功している。

金曜日、新しいコーカス(議員連盟)に関する報道がなされる中、ダイアーはチラシの初期案が流出したことに不満を述べたが、CNNに対する声明では、このコーカス(議員連盟)の結成計画が進行中であることを確認した。

グリーン議員の事務所からの発言の撤回は、連邦下院共和党トップのケヴィン・マッカーシー連邦下院議員・連邦下院少数党院内総務が間接的に同議員の新しいコーカスに言及しながら、「共和党はリンカーンの党であり、すべてのアメリカ人にさらなる機会を与える党であり、排外主義的な白人中心主義者にとっての犬笛(dog whistles)ではない」とツイートした翌日に行われた。

また、連邦下院共和党第3位の地位にある共和党連邦下院議員会議長リズ・チェイニーは、グリーンの新しいコーカス(議員連盟)に関する報道についてツイッター上で次のように反応した。

チェイニー議員は「共和党は、万人に平等な機会、自由、正義を信じている。私たちは子供たちに寛容、良識、道徳的勇気という価値観を教えている」と彼女は書いた。「人種差別、民族主義、反ユダヤ主義は悪だ。歴史が教えているように、私たちには皆、そのような悪意ある憎しみに立ち向かい、拒絶する義務がある」と書いた。

闘争中の共和党のマット・ギーツ下院議員(フロリダ州選出)は、金曜日に次のようにツイートした。彼は現在、性売買と売春の疑惑で連邦捜査を受けている、「私はマジョ―リー・テイラー・グリーン議員(@mtgreenee)と共に、アメリカ・ファースト・コーカスに参加することを誇りに思う。私たちは戦争を終わらせ、不法移民を阻止し、アメリカの労働者にとっての公平な貿易を推進する。これは、ビッグ・メディア(主流メディア)、ビッグ・テック(GAFAなど)、ビッグ・ガヴァメント(大きな政府)に属するアメリカ・ラスト派による単なる反撃に過ぎない」。

共和党のポール・ゴーサー連邦下院議員(アリゾナ州選出)は、「アメリカ・ファースト」コーカスの立ち上げ計画への関与を否定し、土曜日の声明で 「連邦下院フリーダム・コーカスに所属して、アメリカ・ファーストの問題に取り組み続ける」と記した。パンチボウル・ニューズは、ゴーサーがこの「アメリカ・ファースト」コーカス(議員連盟)に関与していると報じていた。

彼は土曜日、パンチボウル・ニューズの報道を読み、初めてビラの存在を知ったと主張した。

共和党のアダム・キンジンガー連邦下院議員(イリノイ州選出)は、新しいコーカス(議員連盟)についての最初の報道を受けて「うんざりしている」と述べ、金曜日、新しい議員連盟に参加する議員から委員会の割り当てを剥奪され、共和党の議員会議への参加を阻止されるべきだと述べた。

キンジンガ―議員は「私たちは、共和党員、共和党所属を名乗ることを阻止することはできないが、彼らは共和党に属しいていないと声を大にして言うことはできる」とツイッターに投稿した。

この記事は追加で更新された。

CNNのアリ・メイン、ヴェロニカ・ストラカルシ、アニー・グレイヤー、ライアン・ノーブルズ、ポール・ルブランがこのレポートに貢献した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




野望の中国近現代史
オーヴィル・シェル
ビジネス社
2014-05-23



 

 古村治彦です。

 

 日本でも政治家の劣化は激しいですが、アメリカでも同じようです。その代表例がトム・コットンです。トム・コットンのアホさ加減については、記事の中でも言及されています。大変「東洋的」と言うか、罰則の親族連帯責任論を唱えているというのは、時代遅れです。そして、彼が恐らく誇りに思っている西洋文明とは全く相いれないものです。

 

 どうも世界は悲劇で満ち溢れているようです。

 

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トム・コットンの影響力(Tom Cotton’s Influence

 

エイミー・デイヴィッドソン筆

2015年3月13日

『ニューヨーカー』誌

http://www.newyorker.com/news/amy-davidson/tom-cotton-iran-letter?mbid=social_facebook

 

 テネシー州選出で共和党所属のボブ・コーカー連邦上院議員は、3月12日に『ザ・ヒル』誌の取材に対して、「今週末まで私はこのように勢いがつくとは思わなかった」と述べた。彼は、「イラン・イスラム共和国の指導者たち宛て」の書簡についての取材に対してこのように答えたのだ。この書簡には、47名の共和党所属の連邦上院議員たちが署名した。その中には、アーカンソー州選出のトム・コットン議員も含まれている。コットン議員がこの書簡を主導したのだ。この書簡は、オバマ政権が進めているイランとの核開発を巡る交渉を邪魔するために、イスラム聖職者ムッラーたちにアメリカ合衆国大統領だけが彼らにトラブルをもたらす存在ではないということを示唆する内容になっている。共和党所属の上院議員たちの中からさえも、公開書簡について少なからず懸念を持っている人たちが出ている。フォックス・ニュースのメギン・ケリーは、保守主義の立場から、コットンに対して、アヤトラであるアリ・ハメネイがどのポイントに反応すると思ってこの書簡を準備したのかと質問した。コットンは、「専門家たちは私に対してイラン国民はアメリカ憲法について理解していないと語ったのでこのような書簡の内容になった」と答えた。民主党所属の議員は誰もこの書簡に署名しなかった。コーカーは書簡に署名しなかった7名のうちの1人だ。

 

 共和党の議員で署名しなかったのは次の人々であった。スーザン・コリンズ(メイン州選出)、ラマー・アレキサンダー(テネシー州選出)、ダン・コーツ(インディアナ州選出)、リサ・マコースキー(アラスカ州選出)、ジェフ・フレイク(アリゾナ州選出)、サド・コクラン(ミシシッピー州選出)。彼らがどうして署名しなかったのかについて興味がある。「拝啓アヤトラ様」書簡は共和党所属の議員たちにとってはいたずらのような楽しい企みであったのに彼らはそれに参加しなかったのだ。コリンズ議員の答えは極めて理性的なものであった。「私はアヤトラが上院議員たちからの書簡で説得されるだろうとは考えていない」。他の人々はもっと慎重であった。「私は適切ではないと考えた」(フレイク議員)。「この問題については公の場で議論すべきではないと考えた」(コクラン議員)。恐らく、共和党の幹部たちに指導力が全くないわけではないのだ。私たちが考えるべき疑問は、どうして7名が署名しなかったのか、ではなく、失言や強烈な表現を使うことでよく知られている一年生議員コットンがどのようにして46名の同僚議員たちの署名を集めたのか、である。

 

 彼自身がよく強調するように、37歳のコットン議員は、アフガニスタンとイラクの戦争に従軍した元軍人であり、ハーヴァード大学法科大学院の卒業生である。2006年、『ニューヨーク・タイムズ』紙は、アメリカ政府が、テロリズムとの戦いの名目で、テロとは何の関係もないアメリカ国民の財産情報を集めていたと報じた。当時、陸軍大尉としてバグダッドに駐留していたコットンは、ニューヨーク・タイムズ紙に手紙を送った。その中で、「貴紙の編集者の皆さんは投獄されるべきだ」と書いた。彼は続けて、「次回、私が同じような内容の記事を読むことになって、その酷さをまた感じることになるだろう。貴紙がテロリストたちに我が国政府の行う財産調査の内容を教えなくなるまでそこのことをは続いていくことだろう」と書いた。更に彼は「私はスパイ関連法に精通している」とし、ニューヨーク・タイムズ紙の人々はそれに基づいて訴追されるべきだと書いた。ニューヨーク・タイムズ紙はコットンの手紙を紙面に掲載しなかったが、保守派のウェブサイト「パワー・ライン」が掲載した。コットンはこれによって保守派の人々の賞賛を集め、軍を除隊し、アーカンソー州で家族が経営する肉牛牧場に戻った後、連邦議員選挙に出馬するチャンスを掴んだ。

 

 2012年、トム・コットンは連邦下院議員選挙に当選した。彼が連邦下院議員として最初に行ったのは、経済制裁に関する法律の修正で、法律を破った人間だけではなく、その親族にも罰を与えるようにすべきだというものであった。その範囲として「曾孫」や「三親等以内」を挙げていた。法律の修正は失敗した。『ワシントン・ポスト』紙が指摘したように、このような内容は深刻な憲法違反であった。しかし、コットン議員は全く懲りなかった。後悔している時間などなかった。彼はこの時既に連邦上院議員選挙に出馬することを決めていた。彼は連邦上院議員を二期務めていた民主党所属の現職マーク・プライアーに対抗して出馬した。 彼はティーパーティー・エクスプレス、クラブ・フォ・グロウス、彼の無限の未来を感じる共和党の有名人たちからの支援を受けた。昨年9月、『ジ・アトランティック』誌はコットンのプロフィールを紹介する記事を掲載した。記事のタイトルは「保守派のスーパースターを作る」であった。

 

 コットンは中絶の権利とオバマケアへの反対を掲げて選挙戦を戦った。そして、彼は元軍人たちと外交政策のタカ派にアピールした。AP通信は、「彼の選挙運動バスの前面には巨大なブーツの絵が描かれ、それをアーカンソー州旗で隠していた」と報じた。昨年の春、彼はテレビ番組の「モーニング・ジョー」に出演したのだが、その時、彼が「過激」だと言われていることについて質問された。コットンはプライアーの記録に言及しながら答えた。「プライアー氏が唯一過激であったのは、5年も前にオバマケアに反対票を投じた時だけのようですね」。コットンは得票率で17ポイントの大差をつけてプライアーを破った。イランとの交渉を失敗させようとして、ここ2カ月、コットンは連邦上院で、グアンタナモ収容所からこれ以上収容者を解放させないように動いてきた。グアンタナモ収容所に収容されている収容者の半数はアメリカに対して何の脅威にもならない存在であることが既に判明している。コットンがやろうとしてきたことは、収容者たちを「地獄で朽ち果てさせる」というものだ。

 

 政界の市場機能の不調のために出現したのが、トム・コットンだと言えるだろう。軍人としての経験を売りにした若い議員たちは連邦議会にはなかなかいないが、そんな議員たちがどのようにしてチャンスを掴み、選挙に通ったのか?彼らにどんな才能があって連邦議員になれるのだろうか?昨年の連邦上院議員選挙で、コットンは、「慎重さに欠ける」という批判に応えねばならなかった。彼の思慮のなさは魅力のようになっている。他のヴェテランの共和党所属の連邦議員たちには見られない過激さ、稚拙さ、怒りが同僚たちから受けて、彼らは力を得ることが出来た。何がそこまで魅力的なのか? もしくは何が彼らをそこまで恐れさせるのか?

 

 ジョン・マケイン議員は『ポリティコ』誌の取材に次のように答えた。「公開書簡を読んだのが、私には書簡には論理的に見えたので、署名をした。それだけのことだ。私はたくさんの手紙に署名する」。確かに彼は誰も実際には読まないような手紙には何の懸念も署名できるだろうが、今回の書簡には関しては全く違うはずだ。それでも署名した。マケインは、フォックス・ニュースのグレタ・ヴァン・サステレンに対して、アメリカ連邦議会は外交に関して重要な役割を果たすことをイランは知る必要があると答えたが、同時にやや後悔の念も見せて、「この書簡は最良の方法ではなかったかもしれない」とも述べた。ルイジアナ州知事ボビー・ジンダルは、「コットンの主導した書簡に署名したい、2016年の大統領選挙の候補者たちにも署名してもらいたい」と述べた。ランド・ポール議員、マルコ・ルビオ議員、テッド・クルーズ議員は既に署名している。

 

 コットンは同僚の上院議員たちに個人的にかつ精力的にロビー活動を行った。そして、恐らく誰も彼を止めることが出来なかったのだろう。連邦上院外交委員会委員長コーカー議員は書簡に署名することは拒否した。それは、彼がイランとの交渉をより品のある方法で台無しにするための法案を可決させようとしてきたからだ。彼はポリティコ誌の取材に対して、「私はこのような書簡が必要だとは考えていない。私の目標は交渉の結果に影響を与えるために法案の可決と大統領の拒否権の行使を覆すために必要な67名の賛成を集めることだ」と答えた。彼と同じくテネシー州選出の連邦上院議員であるラマー・アレキサンダーは、『ノックスヴィル・ニュース・センティネル』紙の取材に対して、自分は同僚コーカー議員の専門性についていくと述べた。 ムコースキー議員の広報担当は、彼女がコーカー議員提出の法案の共同提出者であると強調した。サド・コクランは伝統的な恭子は保守派議員であるが、昨年の選挙ではティーパーティー運動の標的とされ、厳しい選挙戦を余儀なくされた。同時期には妻の経営する老人ホームへの不法侵入事件が起き、妻は最終的に自殺してしまうという事件まで起きた。そのことが今回の書簡に署名しなかった理由ではないかと考えられる。繰り返しになるが、書簡に署名しなかった議員たちは、署名すると決める前に理性的な会話をして、その後署名しないと決定した。そう考えると、あれほど多くの議員たちが書簡に署名したことは何の驚きでもない。現在の連邦上院で合理性と論理性を持って物事に対処することはほとんどないのだから。

 

※エイミー・デイヴィッドソン:『ニューヨーカー』誌スタッフライター。ニューヨーカー誌のコメント欄のレギュラー寄稿者であり、電子版のコラムを担当している。戦争、スポーツ、その他ありとあらゆる話題を網羅している。

 

(終わり)











 
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