古村治彦です。
副島隆彦・近藤大介著『アメリカの衰退で世界覇権を狙う中国の実力』(ビジネス社)は、中国に関して、現在の政治から歴史までを幅広く、網羅的に、かつ正確に知るために必読書だ。中国研究本は数多く出ているし、優秀な研究者は多くいる。そうした人々の話を聞いたり、専門書を読んだりすることで、中国について知ることはできるが、そのためのお金と時間、労力を考えると、この本を1冊、きちんと読んで、自分の興味関心があるポイントや気になったところを後で調べてみるという方が、効率(現在は「タイパ」「コスパ」と言うそうだ)が良いということになるだろう。

アメリカの衰退で世界覇権を狙う中国の実力
私は中国の政治面に興味関心を持っている。また、文化面も興味を持っている。このブログでも何度か中国政治に関する記事をご紹介している。中国語で書かれた記事を読むまでの力がなく(中国語を学習したので少しは分かるのだが)、どうしても英語か日本語で書かれた記事を読むしかない。
『アメリカの衰退で世界覇権を狙う中国の実力』で、近藤氏は習近平が国家主席4期務めるということを述べている。そうなると、その下の世代が国家主席、最高指導者の地位に就くことは難しいということになる。世界の現状は、大きな構造転換が起きつつあり、中途半端なかじ取りでは中国は沈没してしまうということで、習近平がかじ取りをするということになる。それでも、次の任期では、陳吉寧上海市党委員会書記が中央政治局常務委員(7人いるので「チャイナ・セヴン」と呼ばれる)という最高幹部入りをするということで、副島、近藤両氏の考えが一致している。「スペア・タイヤ」という表現をしているが、何かあった時のための「保険」の意味合いがあるということで、それだけの重要人物であるということが分かる。近藤氏によれば「頭脳明晰で、温厚な学者(イギリスで土木工学の博士号を取得)」として評価されている。もちろん行政手腕がなければ、上海市党委員会書記にはなれない。これから注目していきたい。
陳吉寧上海市党委員会書記
現在50代の若手の幹部たち、将来の最高指導者候補たちについては、以前に以下の記事でご紹介しているので是非お読みいただきたい。
※2022年07月29日 中国共産党指導者第7世代の顔ぶれに関する記事を紹介する(1)
https://suinikki.blog.jp/archives/86426139.html※2022年07月30日 中国共産党指導者第7世代の顔ぶれに関する記事を紹介する(2)
https://suinikki.blog.jp/archives/86430777.html(貼り付けはじめ)
訪中の国民党・鄭麗文氏、上海市党委員会書記の陳吉寧氏と会談 「国家統一」にも言及
風傳媒(台湾) 2026-04-09 14:17
楊騰凱(ヨウ・トウガイ)筆
https://japan.storm.mg/articles/1119274
https://japan.storm.mg/articles/1119274#page2
国民党主席・鄭麗文氏(左)が率いる訪中団は4月8日午後、上海を訪問し、同市党委員会書記の陳吉寧氏(右)と会談した。(写真/楊騰凱撮影)
中国を訪問中の台湾最大野党、国民党の鄭麗文主席率いる一行は8日午後、上海市に到着し、同市のトップ、中国共産党上海市党委員会書記の陳吉寧氏と会談した。現在、中国共産党の総書記を務める習近平氏(中国国家首席)や李強首相もかつて同職を務めたほか、陳氏は海外の要人と頻繁に面会していることもあり、次世代の中国最高指導部入りが有力視されている。今回の会談で陳氏は鄭氏に対し、「両岸(中台)は血のつながった家族だ」と述べ、国家統一の推進を希望するとの意向を示した。
鄭氏は7日、訪問団を率いて中国本土を訪問。最初の訪問地である南京を経て、8日に上海へ移動し、同日午後に陳氏と面会した。
現在、上海市委員会書記という要職にある陳氏だが、同職は過去に習氏や李首相のほか、江沢民・元国家主席など、数々の最高指導部メンバーを輩出してきた。さらに、シンガポールのリー・シェンロン前首相が2024年に訪中した際、自国メディアに対して「中国の次世代指導者との人脈構築を希望する」とコメントする報道映像に陳氏の姿が映し出されたこともあり、同氏の最高指導部入りを予測する見方が一段と強まっている。
●陳氏「両岸同胞は皆、中国人」
陳氏は冒頭のあいさつで、「両岸の同胞はみな中国人であり、我々は血のつながった家族である」と発言した。また昨年、鄭氏が国民党主席に当選した際、習氏が祝電を送り、両党が「1992年コンセンサス(九二共識)」を堅持し、台湾独立に反対する姿勢を強調したことに言及。「共通の政治的基盤の上で、両岸の交流と協力を積極的に推進し、台湾海峡の平和と安定を維持するとともに、両岸同胞の絆と福祉を増進していくべきだ」と語った。さらに、「中国人としての気概と自信を深め、『国家統一を推進』しなければならない。中華民族の共同の故郷を断固として守り、両岸同胞の根本的利益を確固として守り抜き、手を携えて中華民族のすばらしい未来を切り開くことこそが、両岸関係を処理する上での大きな方向だ」と主張した。
続けて陳氏は、上海は両岸の協力、交流が最も活発な都市で、中国本土において台湾系企業(台商)が最も集中し、人的往来が最も頻繁な都市の一つだと説明。「両岸に関する多くの歴史的出来事がここ上海で起きている。現在、上海には台湾系企業約15万社が進出し、約4万人の台湾人が居住しており、うち5559名の台湾人学生がこの地で学び、生活している」と語った。その上で「我々は『両岸一家親(中台は一つの家族)』の理念に則り、彼らに対して多方面で支援を提供している。鄭氏の今回の訪問がさらに大きな役割を果たし、上海と台湾の交流が一段と深まることを期待する」と述べた。
(関連記事: 中国が黄海で実弾射撃 国民党・鄭麗文主席の訪中に水差す、民進党は「実力なき平和は幻想」 | 関連記事をもっと読む )
鄭麗文・国民党主席(左)と上海市党委員会書記の陳吉寧氏(右)が会談した。(写真/中央社)
●鄭麗文氏「両岸の平和的発展を中断させてはならない」
一方、鄭氏はあいさつの中で、21年前に当時の連戦・国民党主席による中国訪問「平和の旅」に随行して初めて上海を訪れたほか、その後、約20年前にもう一度、訪ずれたと明かした。「約20年ぶりに再び上海を訪れ、この間に多くの出来事があったことを実感するとともに、上海が全く異なる姿へと変貌を遂げていることに驚いている」と述べた。また、「今回の訪問は短期間だが、先ほど上海に住む台湾の若者たちと面会し、交流する機会を得た。一人一人のバックグラウンドが異なり、それぞれにすばらしい物語を持っているが、彼らがここ上海で勇敢に夢を実現する場所を見つけたことは、この都市の多様性、寛容性、そして豊かさを十二分に示している」と語った。
さらに鄭氏は、両岸関係において上海は特殊な地位を占めておち、これまでたびたび決定的な役割を果たしてきたと指摘。かつて『汪辜会談(辜振甫氏と汪道涵氏のトップ会談)』(1993年」)も上海で開催されたが、台湾の対中交渉窓口機関・海峡交流基金会(海基会)の元董事長を務めた辜振甫氏(故人)は、92年コンセンサスに加え、このような対話が継続されることを強く望んでいたと明かした。また、必ずしも自身が交渉に当たる必要はないが、両岸の平和的発展に向けた努力を将来にわたって中断させてはならないと訴えていたと振り返った。
また、台北市と上海市の都市間フォーラム(双城論壇)がこれまで16回にわたり開催され、極めて重要な役割と機能を果たしてきたことに言及。「今回の訪問を機に、上海と台湾間の多角的な交流が拡大し、深化することをまず期待している」と語った。また陳氏が過去、台湾の若者の結婚式に参列するためだけにわざわざ訪台したことがあり、その気持ちは非常に特別なものだと指摘し、きょう再び上海を訪問したことで、両岸の平和に向けた相互の善意と信頼を引き続き蓄積し、拡大させていきたいと意欲を示した。
最後に鄭氏は、「両岸の若者、ひいては世界の若者たちが夢を追い求め、実現しようとしている。我々の世代が彼らの障害になるのではなく、むしろ強力な後ろ盾となるべきだ。彼らにより大きな舞台を提供し、自信を持たせ、平和な環境の中で夢を実現できるよう支援していきたい」と強調した。
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シンガポール上級相が選んだ「次の中国指導者」…陳吉寧党書記、世界の大物が列を成す
ⓒ 中央日報/中央日報日本語版2025.01.28
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https://japanese.joins.com/JArticle/329142?sectcode=A00&servcode=A00
昨年11月26日に北京の釣魚台国賓館で中国の習近平国家主席が(右)がシンガポールのリー・シェンロン上級相と会談に先立ち握手をしている。[写真 中国外交部]
●「次世代の中国指導者と新しい関係を結ぶことを希望した」
シンガポールのリー・シェンロン上級相が昨年11月末、中国上海で陳吉寧党書記(61)に会った後に述べた言葉だ。陳吉寧党書記を中国の次世代指導者として公認するというニュアンスだった。
シンガポール首相に在職した20年間、14回中国を訪問したリー氏は、中国の政治に詳しい。そのリー氏がトランプ氏の当選直後、5泊6日の日程で訪中し、中国は習近平国家主席(72)、王滬寧・全国政治協商会議主席(70)、何立峰・国務院副首相(70)、陳書記の4人が会談者として出席した。米中間の橋渡し役として有名なシンガポールの実力者を招待したためだった。
リー上級相は、最年少の陳書記との会談のため、蘇州から北京を経て、再び上海を訪れた。これについて専門家の間では「2年後の2027年、中国共産党21次党大会で予想されるリーダーシップ改編まで考慮した歩み」という分析が出ている。
陳書記は昨年1年間、世界の政財界のVIP68人に会った。韓国中央日報が上海党機関紙「解放日報」の陳書記動静記事を全数分析した結果、昨年1月2日、ローレンス・サマーズ元米財務長官を皮切りに1年間、グローバル政治家22人、多国籍企業のトップ46人と会談を行った。
続いて昨年、ドイツのオラフ・ショルツ首相(4月)、トニー・ブリンケン米国務長官(4月)、イタリアのジョルジャ・メローニ首相(7月)、アントニオ・グテーレス国連事務総長(9月)、スペイン・ノルウェー首相(9月)、フィンランド大統領(10月)まで国家首班22人が北京とは別に上海を経て陳書記に会った。
経済界のリストは一層華やかだ。昨年1月10日、スイスUBSのコルム・ケレハー議長を皮切りに、スターバックスのハワード・シュルツ創業者(3月)、英スタンダードチャータードCEO(4月)、ナイキ(6月)、サウジアラビア国富ファンド総裁兼アラムコ会長(7月)、メルセデス・ベンツCEO(9月)、プルデンシャル、ノバルティス会長(9月)、モンクレア会長(10月)、ウォルマートCEO(10月)、ゼネラルエレクトリック(GE)ヘルスケアCEO(11月)、フォルクスワーゲン会長(11月)など金融・自動車・製薬・不動産など世界屈指の企業総帥らが陳書記と会談を行い、中国事業を協議した。
陳書記が接見した外賓の名簿は同じ政治局委員が治める北京・広東・重慶・天津では見られない現象だ。陳書記の独走に米国時事評論家の鄧聿文氏は「中国政府が北京より上海にさらに重要な政治的地位を付与した可能性がある」とし、「陳吉寧は今後一段階上に上がる可能性が高い」との見方を示した。
陳書記の浮上には3つの背景が作用した。第一に、陳書記と習近平主席との関係だ。1964年生まれの陳書記は、習主席の母校である清華大学の学部を卒業した。習主席、陳希・現中央党校校長(72)とともに清華出身の「鉄のトライアングル」と呼ばれている。しかも、習主席が重視している環境の専門家だ。学部で環境工学を専攻し、清華大学総長、環境部長、北京市長を歴任した。1988年から1998年までの10年間、英国ブルネル大学とインペリアルカレッジに留学した。第20期政治局24人のうち、ほぼ唯一の国際的な背景まで備えた習主席の後継者として挙げられている。
第二に、上海党書記が持つ政治的プレミアムだ。上海書記は政治局常務委員になる足掛かりとして評価されている。歴代の総書記や首相のうち江沢民・朱鎔基・習近平・李昌がいずれも上海書記を経た。2006年、胡錦濤主席と権力闘争から押し出された陳良宇以外に例外はなかった。
第三に、中国経済に占める上海の地位だ。反対に見れば、待望論が時期尚早である可能性もある。これと関連し、国家安保戦略研究院のヤン・ガプヨン首席研究委員は、「グローバル企業のトップと陳吉寧の頻繁な会談は、多国籍企業の中国本社が上海にあるという点も反映されただろう」とし、「一部から出ている陳吉寧が次期常務委員の上位を占めるという待望論は予断し難い」と指摘した。
陳吉寧書記が昨年接見した外賓名簿に韓国人は見当たらない。接見した人物68人のうち半数以上の38人が欧州出身だった。米中の間で欧州を牽引しようとする意図が反映されたという解釈が出ている。アジア圏は10人に過ぎない。韓国はもちろん日本もない。ヤン研究委員は「陳吉寧側の意図的排除なのかどうかまでは分からないが、中国の次世代政治家とネットワーキングを等閑視する韓国政治・経済界の注意が必要」と述べた。
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習近平の後継者は党の第七世代指導部から現れるのか?(Will a Successor
to Xi Jinping Emerge from the Party’s Seventh-Generation Leadership?)
ウィリー・ウー=ラップ・ラム筆
2022年12月16日
『チャイナ・ブリーフ』誌
https://jamestown.org/will-a-successor-to-xi-jinping-emerge-from-the-partys-seventh-generation-leadership/
習近平(しゅうきんぺい、Xi Jinping、1953年-、72歳)総書記は、中国共産党(CCP)の規則や慣例を破ってきた長い歴史を持つ。先日閉幕した第20回党大会では、党規約を改正することで自らを「終身党核心(party core for life)」とし、中央委員会と政治局の要職を自らの派閥のメンバーで固めることでその地位を強化した(China Brief、10月24日付)。その結果、習近平が少なくとも2032年の第22回党大会まで政権を掌握するという意向を事実上公言することになる。これに対して、異議を唱える真の、あるいは潜在的なライヴァルが現れる可能性は低い。したがって、習近平は今、党のもう一つの重要な制度、すなわち透明性のある秩序ある後継者指名プロセスを軽視している(BBC中国語版、10月28日、ラジオ・フランス・インターナショナル、10月12日)。
●世代交代からの逸脱(A Break From Generational
Succession)
改革の設計者である鄧小平(とうしょうへい、Deng Xiaoping、1904-1997年、92歳没)が実施した重要な制度改革の一つは、党総書記の任期を5年で2期に制限し、後継者を退任の5年前に指名することであった。この取り決めは、毛沢東(もうたくとう、Mao Zedong、1893-1976年、82歳没)時代に起こった混乱を避けるためのものであった。当時、劉少奇(りゅうしょうき、Liu Shaoqi、1898-1969年、70歳没)国家主席、林彪(りんぴょう、Lin
Biao、1907-1971年、63歳没)元帥、華国鋒(かこくほう、Hua Guofeng、1921-2008年、87歳没)治安部長など、多くの「後継者(successors)」候補が指名されたが、党内の派閥間の内紛を悪化させる結果にしかならなかった。そしてもちろん、鄧小平自身の後継者として最初に指名された胡耀邦総書記と趙紫陽総書記も、党・国家・軍事機構を完全に掌握することで最高指導者の地位を効果的に獲得することはできなかった。
鄧小平は1980年代初頭にいわゆる世代交代モデルを確立した(ラジオ・フリー・アジア、10月27日)。こうして「第三世代指導部の中核(core of the Third-Generation leadership)」である江沢民(こうたくみん、Jiang Zemin1926-2022年、96歳没)の後を継いだのは、1940年代生まれの第四世代幹部の代表である胡錦濤(こきんとう、Hu Jintao1942年-、83歳)だった。そして胡錦濤は最終的に第五世代の代表である習近平(1953年-、72歳)にその地位を譲った。しかし、習近平の後を継ぐ第六世代(6G)幹部は現れないだろう(チャイナ・ブリーフ、2021年11月12日)。「七上八下(政治局常務委員の定年年齢は68歳だが、67歳以下の者はもう1期務めることができる)」と呼ばれる、よく守られている党の慣例によれば、習近平の後継者は2032年の第22回党大会の時点で68歳未満でなければならない(ラジオ・フランス・インターナショナル、1月2日)。習近平が2032年に68歳で定年退職するという慣例に従わない可能性もあるが、第19回および第20回党大会では七上八下のルールが概ね守られていた。
しかしながら、新たに選出された政治局と政治局常務委員の比較的若いメンバー、すなわち政治局常務委員の丁薛祥(ていせつしょう、Ding Xuexiang、1962年-、63歳)と、政治局員の袁家軍(えんかぐん、Yuan
Jiajun1962年-、63歳)、陳敏爾(ちんびんじ、Chen Min'er、1960年-、65歳)、劉国中(りゅうこくちゅう、Liu Guozhong、1962年-、63歳)、李書磊(りしょれい、Li Shulei、1964年-、62歳)、陳吉寧(ちんきつねい、Chen Jining、1964年-、62歳)は、2032年には全員68歳以上になるため、政治局常務委員への就任または留任に関する「七上八下」の規定を満たすことができない(新華社、10月23日)。人事面では、この展開により、1970年代生まれの第七世代(7G)の若手スターに道が開かれた。昨年10月に承認された中央委員会の補欠委員(投票権のない第二級委員)171人のうち、約30人が第七世代の新人である(新華社、10月22日)。また、国家最高レヴェルの汚職対策機関である中央規律委員会(委員131人)の幹部5人も1970年代生まれである(財新網、11月1日)。
●権力への跳躍板(Springboards to Power)
新たに選出された中央委員会候補委員のうち、諸葛宇杰と時光輝は、それぞれ上海市と貴州省の党委員会副書記の地位に既に就いている。諸葛宇杰(しょかつうけつ、Zhuge Yujie1971年-、55歳)は、キャリアの全てを上海で過ごしてきた。上海の海事・港湾部門での勤務を経て、2017年3月、わずか45歳で上海市党委員会書記局長に昇進した。数カ月後には、上海市党委員会常務委員に就任するとともに、書記長も兼任した。2022年3月には、上海市党委員会副書記2人のうちの1人に就任した(山東商報、5月2日;東方網3月29日)。
時光輝(じこうき、Shi Guanghui、1970年-、56歳)もまた、キャリアの大部分を上海で過ごし、最初はエンジニアとして、その後は区レヴェルの行政官として活躍した。2013年には上海副市長に昇進した。5年後、貴州省に異動となり、省党委員会の常務委員(治安担当)に任命された。今年初めには、貴州省党委員会副書記に任命された(Gov.cn、10月28日;貴州日報、4月29日)。上海は伝統的に党の最高幹部への登竜門となっていることを考えると、諸葛と時の将来は明るいと言えるだろう。
中央委員会の代替候補者リストに新たに加わった者のほとんどは、省や主要都市の党または行政機関の長または副長である。こうした人物たちは以下の通りだ。杭州市党書記の劉捷(りゅうしょう、Liu Jie、1970年-、56歳)、北京市副市長の楊晋柏(ようしんはく、Yang Jinbai1973年-、53歳)、山東省済南市党書記の劉強(りゅうきょう、Liu
Qiang、1971年-、55歳)、内モンゴル自治区執行副主席の黄志強(こうしきょう、Huang Zhiqiang、1970年-、56歳)、江蘇省執行副省長の費高雲(1971年-)、福建省副省長の郭寧寧(1970年生まれ)、厦門市党書記の崔永輝(1970年生まれ)などが含まれる。山西省大同市党書記の李東亮(1973年生まれ)、ウルムチ市党書記の楊発森(1971年生まれ)、昆明市党書記の劉洪建(1973年生まれ)、太原市党書記の韋韜(1970年生まれ)(重慶晨報、11月30日;太原日報、11月22日;人民日報、10月23日;澎湃新聞、2021年10月25日)。
杭州市党委員会書記のポストは中国共産党の上層部への近道とみなされているため、劉捷は特別な注目を集めている。1970年生まれの劉は、湖南省の大規模製鉄所で技師兼管理者としてキャリアを積み、2000年にはわずか30歳で湘崗第二製鉄所の所長に就任した。2015年には江西省委員会常務委員に昇格し、書記長に就任したことで大きな転機を迎えた。2021年には浙江省党委員会委員に任命され、同時に省都杭州市の党委員会書記にも就任した(杭州日報、11月22日;Qq.com、11月20日)。習近平派(XJPF)に所属する元浙江省出身者が多数いることを考えると、劉の浙江省との繋がりは重要である。
新たに任命された第七世代中央委員会の候補委員の何人かは、冶金、電気、港湾施設のエンジニアリングと管理に関する訓練と経験を持つテクノクラートである。特に注目すべきは、銀行業界での経験を持つ有望な人材だ。これは、中国の地方行政機関の多くが不動産部門からの収入と税収に過度に依存してきたために、多額の債務を抱えているという事実を反映しているようだ。金融経験を持つ指導者には、債務削減と地方税基盤の多様化という使命が与えられている(VOA中国語版、7月13日;サウスチャイナ・モーニング・ポスト[SCMP]、2021年11月2日)。
山東省の劉強と福建省の郭寧寧は、金融テクノクラートとして出世した具体例だ。劉はキャリアの大半を銀行業界で過ごし、2010年代には中国農業銀行上海支店長、そして中国銀行副総裁にまで上り詰めた。郭は、数少ない第七世代の女性スターの一人であり、キャリアの大半を中国銀行で過ごしてきた。以前は中国銀行の香港支店とシンガポール支店の支店長を務め、2016年に中国農業銀行の副総裁に昇進した。その2年後、福建省の財務担当副総裁として赴任した。2021年には、『タイム』誌の「次世代を担う100人のリーダー」に選出された(Finance.sina、3月28日;Time.com、2021年2月17日)
中央規律検査委員会の第七世代メンバーの中で、李欣然(1972年生まれ)は最も優れた経歴を持つ人物と言えるだろう。法学修士号を持つ李は、規律・反腐敗部門でキャリアを積み、中央規律検査委員会の地方視察ティームにも所属した経験を持つ。1995年から1998年まではチベット自治区ラサ市の規律部に勤務し、その後、チベット自治区警察の規律部長に就任した。第20回党大会で中央規律検査委員会常務委員に選出された(Qq.com、10月13日;澎湃新聞、2021年9月30日)。
●結論(Conclusion)
いわゆる習近平派閥メンバーの大多数が福建省、浙江省、上海市出身であることから、これら3地域出身の最高指導者の側近が中央委員会および政治局の正式メンバーに多く含まれていることは注目に値する。しかしながら、第七世代の中央委員会候補メンバーのうち、「党核心(party core’s)」の側近グループと何らかの繋がりを持つ者はごく少数に過ぎない。このことから、習近平が2032年まで健康を維持した場合、党総書記のポストを習近平派閥以外の人物に譲り渡しつつ、中央軍事委員会主席という強力な地位を保持することで中国の最高指導者の座を維持する可能性が考えられる。結局のところ、これは鄧小平が1978年に権力を握ってから1997年に亡くなるまで採用したモデルだった。鄧小平は党総書記の地位には就かなかったものの、1989年6月4日の弾圧から数カ月後まで中央軍事委員会総書記を務めていたため、政治のあらゆる分野における最終的な意思決定者であり続けることができた(VOA中国語、10月18日;The Initium [香港]、2018年2月26日)。しかし、鄧の権力の重要な要素の一つは、彼が改革開放政策の創始者としてほぼ普遍的な尊敬を集めていたという事実にあった。習近平が自己利益のために中国共産党の慣例を繰り返し逸脱してきたこと、そして経済運営の失敗によってその威信が損なわれているという事実は、2032年に総書記としての4期目の任期が満了する前に、彼の権威が揺らぐ可能性を示唆している。
※ウィリー・ウォーラップ・ラム博士:ジェームズタウン財団の上級研究員、『チャイナ・ブリーフ』誌の定期寄稿者。香港中文大学歴史学部およびグローバル政治経済学修士課程非常勤教授。中国に関する著書は6冊あり、『習近平時代の中国政治(Chinese Politics in the Era of Xi Jinping)』(2015年)が代表作であり、最新作『中国の未来をめぐる闘い(The Fight for China’s Future)』は、2020年にラウトレッジ社から出版された。
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『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』



















