古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:中道派

 古村治彦です。

 アメリカでも新型コロナウイルス感染拡大が進行しており、ニューヨーク市のビル・デブラシオ市長は非常事態宣言を発表し、ブロードウェイの演劇は中止となった。また、プロバスケットボールNBAもユタ・ジャズ(元々はニューオーリンズにあったためジャズという名前になったがその後にユタ州ソルトレイク市に移転)の選手たちにウイルス感染が確認されたため、リーグ戦中断を発表した。再開時期は未定としている。プロ野球メジャーリーグ・ベースボールもオープン戦(プレシーズンゲーム)を終了し、公式戦開幕を延期とした。

 こうした中で、アメリカ大統領選挙民主党予備選挙にも影響が出ている。ジョー・バイデン陣営、バーニー・サンダース陣営ともに選挙集会を中止した。選挙集会には多くの人々が参加し、時にはロックコンサートのような熱狂状態になる。また候補者や登壇した候補者を支持する政治家や有名人たちが支持者と握手をしたり、ハグをしたり、一緒にスマートフォンで写真を撮ったりといった行為が行われる。

バイデン、サンダースは共に高齢者ということもあり(コロナウイルスで重症化しやすいのは高齢者と基礎疾患を持つ人々と言われている)、まず何より2人を守らねばならない。しかし、数多くの人々が関わっている選対やスタッフを完全に守り切ることは難しい。

 2020年3月15日にアリゾナ州フェニックス市で開催予定だった予備選挙最後の討論会は初めてのバイデン対サンダースの一騎打ちとなるものであるが、場所をワシントンDCに移し、聴衆も入れないで開催されることが決まった。聴衆を巻き込んで自分に有利な雰囲気作りが得意なサンダースにとっては不利な状況だ。

 こうした中で、「サンダースがまたバイデンを徹底的にこき下ろし攻撃するのは確実で、これはトランプ大統領の代わりにバイデンを攻撃しているのと同じだからもう討論会を止めたらどうだ」「予備選挙も大勢は決したのだから選挙中止も検討したらどうか」という声が民主党の一部から出ている。共和党の場合は、トランプ大統領の一人勝ちだが、対抗馬が出て細々とではあるが予備選挙を実施している。しかし、いくつかの州では元々予備選挙を実施しないと決めている。

 難しいのは今年7月下旬、8月下旬に予定されている民主党全国大会と共和党全国大会だ。それぞれ4日間開催され、大きなアリーナに数千人が一堂に会する。その間には有名人のミニコンサートもあり、お祭り気分で盛り上がる。最終日には代議員たちの投票で11月の本選挙の党の指名候補(正副両大統領候補)が決定する。老若男女数多くの人々が密閉した空間に集まる、という大変リスクの高い状態となる。この頃までに落ち着いていれば良いが、どうなるか分からない。「東京オリンピックを1年延期したらどうだと言ったトランプ大統領のことだから大統領選挙も1年延期したらと言い出すだろう」というジョークがインターネット上で語られている。

 こうした中で、サンダースは3月3日のスーパーチューズデーに続き、3月10日の6州での予備選挙でも退勢を挽回することはできなかった。サンダースは代議員配分数が最小のノースダコタ州で勝利したが、他州では惨敗もしくは僅差での敗北となった。獲得代議員数は更に差がついた。3月17日にはアリゾナ州、フロリダ州、イリノイ州、オハイオ州で10日よりも多い代議員数を争うことになるが、現在のところ、この4つの州ではいずれもバイデンが大量リードという世論調査の結果が出ている。全国規模の世論調査でもバイデンが大量リードという展開になっている。

 私が書いたように、サンダースは太平洋戦争で日本軍がサイパンを失陥した時と同じような状況で、既に勝負あったということになる。ここからは局地的に抵抗をして敗北を遅らせるということしかない状況だ。バイデンが15日の討論会で失言をする、サンダースが効果的な発言をする、バイデンに健康問題が出る、バイデンに金銭や女性関係でのスキャンダルが出るということがなければ、大逆転は難しいだろう。

 そうした中で、サンダースも含め、11月の本選挙に向けた民主党内融和の雰囲気作りがなされ始めている。サンダースは水曜日に演説を行い、選挙戦を継続する意思を表明したが、バイデンに対する攻撃は控え、政策で議論し合おうという姿勢を見せた。また、サンダース自身は「政策は良いと思うのだけど、選挙で勝つにはバイデンだ」という有権者の声があることを認め、党内融和と自身の支持者への11月の本選挙ではバイデンへ投票するように働きかけるというようなことを行っている。

 新型コロナウイルス感染拡大で選挙集会なども開けない中、ただ予備選挙を継続していくということが良いのかどうかは分からないが、サンダースがきれいさっぱりと諦めをつけて、支持者と共にバイデンに投票できるようにするためには予備選挙を続けることが良いように私には思われる。中途半端なところで圧力をかけて強引に止めさせると反発が大きい。それよりは自然の流れに任せることの方が反発は少ないように思われる。

 バイデンも進歩主義派の政策の一部を取り入れて融和を図ることになるだろう。11月の本選挙に向けての雰囲気作りが始まっている。

(貼り付けはじめ)

バイデンに対する気落ちする敗北を喫した後にサンダースは重要な時期に直面している(Sanders faces pivotal moment after dispiriting defeats to Biden

ジョナサン・イーズリー筆

2020年3月11日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/487107-sanders-faces-pivotal-moment-after-dispiriting-defeats-to-biden

民主党の指名候補となるための戦いでジョー・バイデン前副大統領に失望感が漂う敗戦を喫したことでバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)は岐路に立たされている。

予備選挙はまだ終了していない。バイデンはまだ党の指名を獲得するために必要な1991名の宣誓済み代議員数の半分にも達していない。しかし、スーパーチューズデーの14州の内10州、今週のミシガン州、ミズーリ州、ミシシッピ州で敗れたサンダースにとっては代議員獲得数の計算は厳しいものである。

CNNの分析によると、サンダースがバイデンに追いつくには残りの全州で平均10ポイントの差をつけて勝利しなければならない。しかし、これからの予定はサンダースにとってはより厳しい現実を突きつける。サンダースはこれから3月17日のフロリダ州、3月24日のジョージア州で大きな差をつけられて敗れるという予想となっている。

民主党の指導者たちの一部からは予備選挙を終える時期ではないかという声が出ている。これは、サンダースがあまりにも長い期間予備選挙を続けることで、11月のトランプ大統領との本選挙の戦いを前にして、バイデンを攻撃し、バイデンの評価を傷つけることになる。

水曜日、サンダースは選挙戦を続け、日曜日にアリゾナ州で開催される討論会でバイデンと討論をしたいと発言した。予備選挙における最後の討論会は初めてサンダースとバイデンの一騎打ちの形となる。

しかし、サンダースは彼の唯一の懸念はトランプを倒すことであることを明らかにし、トランプを倒すため、民主党の候補者を傷つけるようなことはしないということを強く発信した。

サンダースは「トランプ大統領は必ず倒さねばなりません。そのために私は出来ることは何でもします」と発言した。

サンダースの演説は政治について率直に語った内容で素晴らしいものであった。

サンダースは、進歩主義的左派は現在大きな政策の戦いで勝利を収めたと宣言した。しかし、民主党支持の有権者たちは、トランプとの一騎打ち対決で当選できる可能性が最も高い候補者はバイデンだと決めたのだとも述べた。

サンダースは「私はそのような考えに全く同意しませんが、これが数百万の民主党支持と無党派の有権者たちの主張です」と述べた。

バイデンの記録を攻撃するよりも、サンダースは討論会でバイデンに答えて欲しいと考える政策に関する疑問をいくつも提示した。バイデンが考える医療保険、移民政策、収入格差問題、刑法システムについての改革を述べて欲しいと訴えた。

特筆すべき点は、サンダースが、バイデンがイラクでの軍事行動に承認を与える投票をしたこと、批判者たちはこれでクレディットカード業界に大きな力を与えることになった破産法に賛成票を投じたこと、ソーシャルセキュリティーの凍結についてのバイデンの過去の発言などについて、これまで行ってきた攻撃を繰り返さなかったことだ。

サンダースはその代わりにバイデンに対して、左派が持つバイデンが大統領候補になるにあたっての懸念と、若くて熱心なサンダース支持者たちの支持をバイデンが一部得始めているということを述べた。

サンダースの演説は民主党内部にある恐怖心を少し和らげるものとなった。民主党内部には、サンダースがバイデンに対して自分もろとも致命傷を与えるための攻撃を準備しているのではないかという懸念があった。本選挙を前にしてバイデンをぼろぼろにしてしまう、もしくはサンダースの支持基盤である若者たちに本選挙当日には家にいて投票所に向かわないようにと促すのではないかと見られていた。

バイデンがこれからも獲得代議員数でサンダースを引き離し続けると見られる中で、いつまで選挙戦を続けるのかということについて具体的な日程も示唆もサンダースは与えなかった。しかし、サンダースの演説については、長年にわたりサンダースを批判してきた民主党内の一部の人々からは好感をもって受け取られた。こうした人々は、サンダースの演説について、これは現在の政治状況に関する冷静な分析であり、11月の本選挙を前にして民主党をまとめるための第一歩となる可能性があると考えた。

ニューヨークを拠点とする民主党系のストラティジストであるジョン・レイニッシュは次のように述べた。「サンダースはジョーに対して、問題点を一つ一つ、疑問を一つ一つ、挙げていきました。私からの支持を得るそして、私の支持者からの支持を得る手始めとして、これらに答える必要がある、という意思表示です。サンダースは発言内容をよく整理しており、本当に素晴らしいと思います。サンダースはドナルド・トランプを倒すために私たちはいかにして団結するかということに今は集中しています。こうした発言は度量の大きさだけでなく、大変な賢さも感じさせてくれます」。

サンダースの演説はサンダース支持者たちにも肯定的に受け止められた。支持者たちは、支持する候補であるサンダースがトップに立っていないからということで進歩主義派がこれまで勝ち取ってきた業績を無駄にすることがないように、サンダースには予備選挙を戦い続けて影響力を保持し、発揮して欲しいと強く願っている。

進歩主義派のストラティジストでサンダース支持者のジョナサン・タシニは次のように述べた。「バーニーは予備選挙にとどまるべきです。そして、“ジョーは私の友人だが意見は一致しない”という調子を継続すべきです。そして、過去5年に民主党内の議論を深めさせた様々な考えを主張し続けるべきです。予備選挙の期間が全て終了するこの道の終わりで、数百万のサンダース支持者たちが真のグリーン・ニューディール政策の実現、大企業の権力との対峙、政府が提供する国民皆保険が実現する可能性があると考えることができれば、2016年の時もそうしたように、大多数の人々が本選挙で投票するでしょう」。

火曜日の夜に結果が次々と出て、バイデンが獲得代議員数で差を広げている中で、サンダースには選挙戦から撤退するように求める圧力がかかり始めた。

ジェイムズ・クライバーン連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、民主党)がサウスカロライナ州の予備選挙直前にバイデンを支持したことが予備選挙におけるターニングポイントとなった。クライバーン議員は次の討論会は中止すべきだと述べた。

民主党系の2つのスーパーPACは、バイデンが実質的な党の指名候補に決したとし、今年の秋のバイデン当選に向けての努力を更に高めていくと宣言した。

サンダースをこれまで批判し続けてきた民主党系のストラティジストであるジェイムズ・カーヴィルはサンダースの選挙戦からの撤退を求めた。

カーヴィルは「予備選挙の大勢は既に決しています。予備選挙を一日でも長く続けることを正当化する理由はありません」と述べた。

しかし、サンダースの側近たちはこの種の発言はまさに全くもって良くないメッセージだと述べている。

サンダースの側近たちは、サンダース支持者たちがトランプ大統領を打倒するために11月の本選挙では民主党候補に入れると確信しているが、民主党候補者は、サンダース支持者たちが従属するように虐げられていると感じたままにさせるよりも、勝利のために必要な存在だと感じさせて支持させるようにする方がより良い方法だとも考えている。

2015年からサンダースを支持してきた進歩主義派の思想家ビル・プレスは次のように述べた。「民主党はトランプを追い落とすためにまとまらねばなりません。これが目標です。この目標を達成するためには、民主党にバーニー・サンダースと彼の支持者が必要です。民主党にはこうした若い人たちが必要です。もし若い人たちが過半数を占めていないとしてもです。若い人々を怒らせるもっとも簡単な方法はバーニーに圧力をかけて予備選挙から撤退させることです。これをもし民主党の人々がやったら最大級の間違いを犯したことになります」。

プレスは続けて次のように語った。「民主党予備選挙の戦いは醜いものになる必要もないし、個人攻撃なんてなってはいけません。マイナスなものになる必要なんてどこにもないと思っています。地位が高い人や役職にあるではなく、普通の人々に決めてもらう、これが予備選挙のあるべき姿です」。11月の段階で民主党をまとめることそしてバーニー支持者たちを本選挙で民主党候補に投票させるための最良の方法は、バーニー支持者たちが本当に必要な存在であることを分かってもらうことであって、排除することではありません」。

火曜日夜の勝利演説の中で、バイデンはサンダースの支持者に対して初めての呼びかけを行った。

バイデンはフィラデルフィアで次のように述べた。「私はバーニー・サンダースと彼の支持者の皆さんに疲れを知らないエネルギーと熱意に謝意を表します。私たちは共通の目的を持っています。一緒にドナルド・トランプを倒しましょう」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
※このブログのオリジナルのタイトルは「、エリザベス・ウォーレン(とトゥルシー・ギャバ―ド)とマイケル・ブルームバーグはどうするんだ:はっきり言っていなくなってよ、ということに」でした。しかし、速報でマイケル・ブルームバーグが選挙戦から撤退し、バイデン支持表明が入ってきたのでタイトルを変更します。

 スーパーチューズデーの勝敗の結果はだいたい出揃ったが、正確な代議員の配分数は現在のところ決まっていない。ジョー・バイデンが大勝し、バーニー・サンダースは事前の各種世論調査の数字よりも悪く、事前にトップを取れると思われていた州でバイデンに敗北した。マイケル・ブルームバーグも期待外れの結果に終わった。バイデンが勢いを取り戻したためにそれにはじかれてしまった形だ。エリザベス・ウォーレンは地元マサチューセッツ州でバイデン、サンダースに敗れ3位に終わった。

 こうした中で、進歩主義派の中から「まとまろう(=ウォーレンとギャバ―ドを撤退させよう)」という動きが出そうである。アレクサンドリア・オカシオ=コルテスと同じく新人連邦下院議員であるイルハン・オマルがツイッター上で「進歩主義派でまとまろう、まとまっていたら勝てた」という糾弾を行った。その矛先は明言していないが、進歩主義派の候補者であるウォーレンとトゥルシー・ギャバ―ドである。ギャバ―ドはスーパーチューズデーでアメリカ領サモアにおいて2位に入り、代議員1名を獲得した。全く蚊帳の外の候補者であるが、2016年にはサンダースを応援した人物だ。彼女が取る1%くらいの得票でも今となっては重要だ。ウォーレンはもっと票を獲得するのだから、サンダース支持者からすれば更に邪魔である。

 ウォーレンもギャバ―ドも意志の強さは一級品である。サンダースの狂信的な支持者であるバーニー・ブラザーズから執拗な攻撃を受けてもひるむことはないだろう。ギャバ―ドは予備役ではあるがハワイ州軍の士官でイラクとアフガニスタンで軍務に就いた経験を持つ。しかし、ギャバ―ドはサンダースが説得すれば一本化に乗るかもしれない。問題はウォーレンだ。ウォーレン自身は民主党エスタブリッシュメント派、主流派との関係は悪くない。ここで選挙戦は撤退するが、誰にも支持表明しないということになれば、ウォーレンの支持者の一部はサンダースにはいかないこともある。ウォーレン支持者からすればサンダースこそが邪魔な存在なのだ。

 進歩主義派としては一本化して、来週のミシガン州でなんとしてもサンダースを勝利に、できれば大勝利に導きたい。これができれば、サンダースが巻き替えることも可能だ。前回の大統領選挙で民主党が敗北し、トランプを当選させることになったミシガンで勝つ、ということは大きなアピールになる。

 一方、中道派からすると、マイケル・ブルームバーグの動向は重要だ。ブルームバーグは豊富な資金力でテレビ広告を放映し、多くのスタッフを雇って選挙運動を展開し、一気に有力候補にまで台頭した。しかし、ネヴァダ州とサウスカロライナ州での討論会で弱い姿を晒した上に、バイデンが勢いを取り戻したために、スーパーチューズデーで予想を下回る結果しか得られなかった。


 日本時間2020年3月5日0時10分頃に、マイケル・ブルームバーグの選挙戦のsuspend(サスペンド、一時停止する)が報道された。ここで使われるsuspension(サスペンション、一時休止)とwithdraw(ウィズドロー、撤退する)の名詞withdrawal(ウイズドロウアル、撤退)は厳密には意味が違うのだが、選挙戦からの撤退ということになる。また、ブルームバーグがバイデン支持を表明という報道も入ってきた。これで中道派は一本化された。進歩主義派はこの1週間でまとまる、つまりウォーレンとギャバードを選挙戦から撤退させられるか、しかもあまり揉めることなく、ということが焦点になる。

(貼り付けはじめ)

バイデンが火曜日の夜に大勝を収めた時、オマルは「統一された進歩主義派の運動」の欠如を声高に糾弾する(Omar calls out lack of 'united progressive movement' as Biden wins big on Super Tuesday

レベッカ・クレアー筆

2020年3月4日

『ザ・ヒル』誌
https://thehill.com/homenews/campaign/485868-omar-calls-out-lack-of-united-progressive-movement-as-biden-wins-big-in

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の選挙運動を支えているイルハン・オマル連邦下院議員(ミネソタ州選出、民主党)は、「統一された進歩主義派の運動」があれば、彼女の地元ミネソタ州でサンダースに勝利をもたらすことができただろうがそれができなかったと示唆した。火曜日にジョー・バイデン前副大統領がミネソタ州で予想外の逆転勝利を収めた後にオマルの発言はなされた。

オマルは火曜日夜にツイッター上に次のように投稿した。「昨夜穏健派がまとまったように進歩主義派がまとまっていたらどうなったかを想像しよう。誰が勝利を収めていただろうか?これこそ私たちが分析すべきことである。統一された進歩主義派の運動があれば「一緒に構築する」ということができ、僅差で敗れたミネソタ州や他の州で勝利を収めることができたのだ」。

イルハン・オマルのツイート

スーパーチューズデーでバイデンはミネソタ州において予想外の勝利を収めた。最新の世論調査では4位に沈んでいたのに大逆転で勝利した。

エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)が月曜日の夜に選挙戦を停止してバイデン支持を表明した後、バイデンの驚きの勝利がもたらされた。インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジもまた選挙戦を終えた後にバイデン支持を表明した。昨年11月に選挙戦から撤退したビトー・オローク前連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)もそれに倣った。

2016年の大統領選挙民主党予備選挙でサンダースはミネソタ州で勝利したが、火曜日の選挙ではバイデンに続く2位となった。

サンダースはエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)と共に選挙戦に残っている進歩主義派の候補者である。ウォーレンは選挙戦を続け、火曜日には地元マサチューセッツ州で勝利を収めることができなかった。

 マサチューセッツ州で勝利したのはバイデンで、続く2位にはサンダースが入り、ウォーレンは3位となった。

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スーパーチューズデーでの不振を受けてブルームバーグは選挙運動を見直す(Bloomberg to reassess campaign following lackluster Super Tuesday showing

マックス・グリーンウッド、エイミー。パーネス筆

2020年3月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/485856-bloomberg-to-reassess-campaign-following-lackluster-super-tuesday-showing

ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは水曜日、スーパーチューズデーで実施された各州での予備選挙の結果が不振だったことを受けて、民主党予備選挙全体について見直すことを決めた。ブルームバーグ選対に近い複数の関係者の証言で明らかになった。

ブルームバーグは昨年11月に選挙戦を始めたばかりで、自身の財産から数億ドルを投じてテレビ広告を放映し、スーパーチューズデーで予備選挙の投開票が実施される14州に選挙運動のための組織を構築した。

火曜日に投開票が実施された各州での予備選挙はブルームバーグが初めて候補者登録された選挙となった。ブルームバーグはアイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州、サウスカロライナ州での予備選挙に立候補者登録をせず、スーパーチューズデー以降に集中するという戦略を採用した。

しかし、結果は彼自身の期待を大きく下回るものとなった。ヴァージニア州とノースカロライナ州を含む彼が特に資金を多く投入した各州で期待外れとなった。

ジョー・バイデン前副大統領がこれらの州に加えてアラバマ州、アーカンソー州、テネシー州、ミネソタ州で勝利を収めた。一方、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)はヴァーモント州、コロラド州、ユタ州で勝利を収めた。

こうした結果はブルームバーグに失望をもたらした。ブルームバーグの選挙戦は、先月から始まった予備選挙でバイデンの支持が下落することを前提にして行われてきたものだった。

ジョー・バイデンはアイオワ州、ニューハンプシャー州、ネヴァダ州で期待を大きく下回る惨敗を喫したが、週末のサウスカロライナ州で圧勝し、スーパーチューズデーに向かって大きな勢いを得ることになった。

ここ数日のうちに起きた穏健派のライヴァルたち、インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジとエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)の決心によってバイデンの勢いが増した。2人は選挙戦から撤退し、バイデン支持を表明した。

穏健派のバイデンを中心とした合同は、バイデンの民主党の候補者指名獲得への道のりを複雑なものにした。火曜日に発表した声明の中で、ブルームバーグ選対の責任者ケヴィン・シーキーは、ブルームバーグが選挙戦に出馬表明してからほんの数カ月で有力候補にまで台頭した実績を強調した。

しかし、シーキーは予備選挙におけるブルームバーグの次の一手はどのようなものになるかについては語らなかった。

シーキーは次のように述べた。「今夜、3分の1の代議員が配分されたに過ぎない。マイクが今夜述べたように、今夜私たちがどれだけの数の代議員を勝ちとる結果になっても、これまで誰も可能だなどと考えたこともなかったことを私たちは成し遂げたのだ。わずか3カ月の選挙運動で、最初支持率1%のところから民主党の候補指名を争う有力候補にまでなることができたのだ」。

シーキーは更に「私たちにとっての最重要の課題は変わらない。今年11月にドナルド・トランプを倒すことだ」とも語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 今回はピート・ブティジェッジについてまとめた記事をご紹介する。アメリカ人でも初見では何と発音して良いか分からない苗字の37歳の同性愛を公言した初の候補者が有力候補者として大統領選挙民主党予備選挙で善戦をしている。彼についてはこのブログでも何度もご紹介している。下のタグの「ピート・ブティジェッジ」を押せば関連記事が出てくる。
petebuttigieg101
ブティジェッジ

昨年3月のCNNのタウンホールミーティング形式の番組で一気に有権者の心を掴み、その後も彼の華麗な経歴と優秀さで多くの人々を惹き付けている。まだ37歳という年齢を考えれば、民主党の期待の若手として将来の大統領選挙で有力候補となるだろう。バラク・オバマ前大統領もブティジェッジを期待の若手として名前を挙げている。

 アメリカ中西部の名門ノートルダム大学の教授である両親のもとに一人っ子として誕生したピート・ブティジェッジは小さい頃から聡明で、高校卒業時には同級生や教師たちから「将来アメリカ大統領になる」と評価されていた。ハーヴァード大学、ローズ奨学金でオックスフォード大学大学院留学という華麗な学歴、市長在職中に海軍の情報士官として7カ月間アフガニスタンで従軍した経験を持つ。7か国語を操るというのも凄まじい。

 今回の記事では、ブティジェッジの政策について詳しくまとめられている。ブティジェッジは、中道派の最策を掲げている。医療保険制度に関しては、将来的にはメディケア。フォ・オールを目指すとしながらも、まずはオバマケアを拡充しつつ、民間保険も組み合わせるということを述べている。大学教育完全無償化についても、全員が大学進学をするわけではないとして懐疑的な態度を取っている。外交政策では自身の従軍経験を踏まえ、外国の政権転覆のための介入主義的政策に反対している。

 ブティジェッジに政治経験が不足しているというのは彼の年齢を考えるとややアンフェアな批判であると言えるだろう。彼は既に生まれ故郷のインディアナ州サウスベンド市長を2期務めている。中央政界での経験が少ないというのは、それだけ染まっていないということも言える。そもそもジョージ・W・ブッシュ(息子)やジミー・カーター、ロナルド・レーガン、ビル・クリントンといった人々は地方の州知事の経験はあったが中央政界での経験はなかった。

 ブティジェッジの泣き所はアフリカ系アメリカ人層からの支持が圧倒的に少ないことだ。彼が身にまとうエリート臭が嫌われているというのがあるし、市長としてアフリカ系アメリカ人の市警察本部長を、盗聴を理由に解任したことでアフリカ系アメリカ人グループからの批判を浴びている。これは、サウスベンド市の歴史上はじめてアフリカ系アメリカ人の警官が本部長に就任した。しかし、これを面白く思わない白人警察官たちが陰で悪口を言っていた。この本部長は証拠を掴もうと盗聴で白人警察官たちの会話を録音していた。これが発覚して問題になった。ブティジェッジ市長は、この盗聴行為が法律違反であるとして本部長を解任した。また、昨年にはサウスベンド市で白人警官がアフリカ系アメリカ人大生を射殺するという事件もあり、ブティジェッジにとっては泣き所となっている。また、左派、進歩主義派からの批判や非難も多くある。

 全米で最初に予備選挙である党員集会が実施されるアイオワ州では接戦ながらブティジェッジが支持率で1位を取る世論調査もある。しかし、さすがにジョー・バイデン前副大統領、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が勢いを増している。それでもブティジェッジが1位となれば選挙戦が活気づき、ブティジェッジ陣営も勢いづく。日本でも報道が増えるだろうから是非見ていて欲しい。ちなみに彼が子供の頃にピアノを習っていたのはインディアナ州立大学に通っていた女性の日本人留学生だったということだ。もしこの女性が存命ならば(1980年代に留学していたということを考えるとまだお若いとは思うが)、日本のマスコミは探し出して、思い出などお話を聞いておいたら良いと思う。よほどのスキャンダルがない限り今回の選挙だけで消える人物ではない。次の機会がある人物でもある。

 ぜひ注目していただきたい。
※訂正とお詫び(2020年2月5日)
ブティジェッジがピアノを習ったのは、ピアニストの建部佳世氏のようです。ブティジェッジの自伝150ページに記述がありました。建部氏は1985年からインディアナ州サウスベンド市の交響楽団の首席鍵盤奏者を5年間務めたという事で、上記の「留学生」ではありませんでした。私の記憶が曖昧なままに書いてしまいました。お詫びして訂正いたします。申し訳ございません。
下記が建部氏の経歴が掲載されたピアノリサイタルの案内です。
http://noguchiseitaikayotatebe.blogspot.com/p/kayo-tatebe-y-la-musica.html

(貼り付けはじめ)

ピート・ブティジェッジは2020年大統領選挙に出馬している。私たちが彼について知っていること全てとどのように選挙戦をたたかっていくかを掲載する。(Pete Buttigieg is running for president in 2020. Here's everything we know about the candidate and how he stacks up against the competition.

エリザ・レルマン、サマンサ・リー筆

2020年1月15日

『ビジネス・インサイダー』誌

https://www.businessinsider.com/who-is-pete-buttigieg-bio-age-family-key-positions-2019-3

●ピート・ブティジェッジはどういう人物か?

・現在の職業:インディアナ州サウスベンド市長。米大統領選挙民主党予備選挙に出馬中。

・年齢:37歳

・家族:ブティジェッジは中学校教師チャステン・グレズマン・ブティジェッジと結婚。

・地元の町:インディアナ州サウスベンド市

・所属政党:民主党

・以前の職業:マッキンゼー・アンド・カンパニーのコンサルタント(2007-2010年)、アメリカ海軍予備士官(2009―2017年)、アフガニスタンで防諜担当士官として7カ月間従軍。

●ピート・ブティジェッジと直接戦っている候補者たちは誰か?

本誌が繰り返し実施してきた世論調査の結果を基にして、ピート・ブティジェッジと同じレーンで争っている候補者は誰か、民主党内での競争相手は誰かを見つけ出した。

平均的なブティジェッジ支持の有権者はブティジェッジ以外の5名に良い印象を持っていると答えた。これはブティジェッジ支持の有権者は彼以外に3つほどの選択肢を考慮しているということを意味している。

競争力を保つために、彼はトップ集団に何とか入っていきたいと望むだろう。トップ集団の数は4名以下ということになる。彼の支持者の中で彼だけを支持しているというのは3%しかいない。

2019年春はブティジェッジにとって素晴らしい季節となった。この時期、彼は民主党予備選挙参加予定の有権者の間で最低の知名度であったがそれが30%台前半にまで急上昇した。しかし、ブティジェッジにとって2019年夏は失速の季節となった。

エリザベス・ウォーレンはブティジェッジにとっての問題となっている。ブティジェッジ支持の有権者の約80%はウォーレンにも好感度を持っている。

カマラ・ハリスはブティジェッジ支持の有権者たちの間で特に人気がある。ブティジェッジを支持する有権者たちの3分の2がハリスに好感を持っている。この数字は民主党有権者全体でのハリスの好感度に比べて20ポイントほど高いものである。

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ブティジェッジ支持者の他の候補者への態度

本誌は「サーヴェイ・モンキー・オーディエンス」を通して全国規模のサンプルを使い、各候補者を支持する有権者たちのグループがどのように重ねっているかを見てきた。私たちは調査対象者に各候補者についてよく知っているかどうか、党の指名候補となった場合に満足か不満足か、時にはこの人物は本選挙でドナルド・トランプ大統領に対して勝利できるかそれとも敗北するかを質問した。

●ピート・ブティジェッジの政策ポジションはどのようなものか?

・医療について:

長期的には単一者支払制度(政府が税金で医療費を全て負担する)の実現を支持するが、市場志向の強いオバマケアにまず公的な選択を加えることを主張している。ブティジェッジはこれを「メディケア・フォ・オール・フー・ウォント・イット(望む人たちのためのメディケア・フォ・オール)」と呼んでいる。メディケア・フォ・オール制度の実現には民間保険会社の提供する医療保険の廃止を必要とするは考えていない。

麻薬中毒を対象とする精神医療サーヴィスを拡大する計画を発表している。2028年までの麻薬中毒と自殺による死者数が合計で100万人に達しないようにすることを目標としている(訳者註:アメリカでの自殺者数は年間約3万人、麻薬中毒での死者数は年間約7万人)。

ブティジェッジは2019年9月の討論会で自身の計画を穏健な選択肢であると擁護した。そして進歩主義派のライヴァルたちの包括的な提案を批判した。

ブティジェッジは、メディケア(訳者註:高齢者と障がい者向け公的医療保険制度)の受給者の薬の自己負担を月額200ドルに制限することで、薬価を大きく引き下げる、そして薬価を過大に高く設定している製薬企業から特許を取り上げる計画を発表した。

2019年11月20日の討論会の壇上、ブティジェッジは単一者支払者医療制度について「国民に分裂をもたらす」ものだと非難し、ウォーレン連邦上院議員とサンダース連邦上院議員が主張しているメディケア・フォ・オール制度を攻撃した。

・移民について:

オバマ政権が導入した「若年移民に対する国外強制退去の延期措置(DACA)」を支持している。DACAは、子供の時に親に連れられてアメリカに不法に入国した若い人々を保護する制度だ。ブティジェッジは書類を持っていない不法移民状態の若者たちに市民権を与える制度の実現を主張している。

トランプ政権が実現しようとしている国境の壁に反対しているが、国境警備の強化は支持している。その中にはフェンスの設置も含まれている。

・気候変動について:

気候に関する政策に1兆5000億ドルから2兆ドルを支出するとしている。クリーンエネルギー関連で300万の雇用を創出すると主張する。炭素税導入を支持している。

2050年までにアメリカ国内でカーボンニュートラル(炭素中立、排出される炭素と吸収される炭素を同量にする)を実現したいとしている。

アメリカのパリ協定(気候変動)への復帰を目指している。ブティジェッジは2017年にトランプ大統領がパリ協定からの脱退を行った後にもパリ協定の内容を順守し続けるという協定にサインした全米400名以上の市長の中の一人である。

・選挙資金について:

企業が設置している政治活動委員会(PAC)からの献金を受け取らない。化石燃料企業からの献金を受け取らないと宣言している。しかし、大口献金者からの献金は一部支持している。

・妊娠中絶について:

妊娠中絶の権利を支持している。しかし、妊娠20週以降の中絶禁止が剛健かどうかについては発言していない。

妊娠中絶の大多数への連邦政府の資金援助を禁止するハイド協定の撤廃を支持している。

LGBTQの諸権利について:

平等に関する連邦法制定を支持している。これはLGBTQ+の人々への選別のない保護を拡大するものだ。彼はトランスジェンダーの人々の諸権利を支持している。その中には受刑者が性一致手術を受ける権利も含まれている。

2019年9月の討論会の檀上で、ブティジェッジはサウスベンド市長選挙の選挙期間中に同性愛者であることをカミングアウトした経験について語った。彼は次のように述べた。「私は現職市長として市民のために行ってきた仕事に基づいて人々は判断を下してくれると私は信じていました。有権者は私を信頼すると決断し、私は80%の得票率で再選されたのです」。

2019年10月、ブティジェッジは包括的な一連の諸政策を発表した。その中には、雇用に関する差別、男性にも女性に分類されない性別認識をアメリカのパスポートへの表示、自身の性的志向のために除隊させられたLGBTQの退役軍人に対する恩給などの恩典を回復させることが含まれている。

・教育について:

伝統的な黒人大学とマイノリティへの高等教育を提供してきた高等教育機関への予算を250億ドルまで増加させることを支持している。

低所得家庭出身の学生たちへの借金を創らない形での教育提供と中流家庭出身の学生のための無料の公立大学での教育を支持している。

・銃規制について:

普遍的なバックグラウンドチェックの導入、軍隊が使用するタイプの強力な武器の流通禁止、全国均一の免許制度の導入、「レッドフラグ」法制(訳者註:家族や警察が他人や自分自身に危害を加える人物が武器を一時的に所有できないように裁判所に申請できる)の導入を支持している。

・刑事司法制度改革について:

2019年7月、ブティジェッジは警察制度の広範な改革を進める計画を発表した。致命傷を与える武器の使用に関する新たな制限、各州に対して警察行為についての更なる情報提供を推進するものである。

麻薬所持による投獄、量刑の下限、民間刑務所の廃止を支持している。

死刑廃止、マリファナ使用の合法化、「バン・ザ・ボックス」を支持している。バン・ザ・ボックスとは雇用者が就職希望者に刑法犯罪歴を選考の最初の段階で質問することを禁止するというものだ。

・貿易について;

北米自由貿易協定(NAFTA)に対して批判的だ。ブティジェッジはNAFTAによって中西部の雇用を海外に流出させたと考えている。

・アメリカ先住民の諸権利について:

アメリカ先住民女性の高過ぎる失踪事件数と殺人事件数を研究するために委員会創設と天然資源に関連する決定を行う際には先住民族の諸権利を考慮することを義務とすることを支持している。

・外交政策について:

アフガニスタンからの米軍撤退を支持している。シリアにおける「制限のない関与」に反対している。しかし、防諜と特殊作戦に「特に制限」した範囲を維持すべきだと主張している。

2001年の軍事力使用の権限を大統領に認める連邦議会の決定を破棄し新たに作り変えることを支持している。

オバマ政権下でのイランとの核開発に関する合意とパリ協定(気候変動)への復帰を支持している。

イスラエルがヨルダン川西岸での領土を拡大するのならばアメリカの支援を削減することを支持している。

・税制について:

富裕層への課税の実施と勤労所得税額控除の拡大を主張している。

・民主政治体制に関する改革について:

大統領選挙における選挙人制度の廃止と一般投票による大統領選挙の結果決定を支持している。ワシントンDCの州への昇格と完全な政治代表を支持している。

連邦最高裁判所の判事の数を15名に拡充することを支持している。

「ア・ニュー・コール・トゥ・サーヴィス」を提案している。これは高校卒業資格を持つ人々に向けて100万人分の有給の国家サーヴィス雇用を生み出すというものだ。

2019年7月の2回目の討論会で、ブティジェッジは、選挙人制度の廃止や連邦最高裁判所の判事を拡充というような憲法に関わる大きな改革について多くの人々が考えているほど難しいものではないと示唆している。

ブティジェッジは次のように発言している。「この国は憲法を変更してお酒を飲めないようにしそれを変更し飲酒が出来るようにしました。こうした変更が起きたのは私たちが考えを変えたからです。それなのに私たちが生きているこの時代に我が国の民主政治体制を改革できないと皆さんは仰っています。これから20年間、私たちは民主政治体制の改革について語り続けることになるのでしょう」。

・社会保障ネットについて:

アメリカ国内で普遍的なベイシック・インカムについて「議論を行う」べきだと述べている。

最低時給を15ドルに引き上げることを支持している。

●ピート・ブティジェッジの政策における成功はどんなものか?

ブティジェッジはサウスベンド市で「スマート・ストリート」を実行した。これはサウスベンド市内のダウンタウンを再活性化するために片道一車線の道路を自転車専用レーン付きの片道二車線に道路にし、加えて歩行者専用道路を建設するというものであった。

サウスベンド市の公園とリヴァーフロント地区への5000万ドルの投資を監督した。

●ピート・ブティジェッジはどの地域で支持率が高いか?

2019年8月末から本誌が実施した12回の世論調査の結果を基にして、私たちは各候補者が民主党の大統領選挙候補者に指名されるとしてどれくらい有権者を満足させるかという設問に関してどの地域に住む有権者がどれくらい満足しているかという分析を行った。予備選挙が最初に行われる4つの州はアメリカ中西部の西部、ニューイングランド、アメリカ大西洋岸南部、ロッキー山脈地域にそれぞれある。それぞれの地域には民主党全国大会の代議員団が配置されている。アメリカ大西洋南部には16%、アメリカ太平洋岸地域には16%、アメリカ大西洋岸中部には16%、アメリカ中西部の頭部には15%が配分されている。

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どの地域で強いかを示す地図(青が濃いほど強い)

ニューイングランド地方に住む有権者たちが他の地域に比べて、ブティジェッジについて候補者として最も満足しており、その率は5.7ポイントである。彼はまたアメリカ南部の西部(プラス3.5ポイント)とアメリカ中西部の西部(プラス4.3ポイント)を記録している。支持が低いのはアメリカ大西洋岸の中部(マイナス5.3ポイント)とアメリカ南部の東部(マイナス4.6ポイント)である。

●民主党内の各派閥からピート・ブティジェッジはどのように見られているか?

ブティジェッジは自分のことを穏健なリベラルと考えている有権者からの支持が多い。自分のことをリベラルもしくは保守と自己規定していない民主党予備選挙参加予定の有権者の間では支持率が高くない。左派とリベラル派と自己規定している有権者の間でやや支持が高い。

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政治的志向についての表

●ブティジェッジはこれまでにどれくらいの献金を集めたか?

2019年3月にCNNのタウンホールミーティング形式の番組に出演した後の24時間で、ブティジェッジは2万2000名の献金者から60万ドルの資金を集めた。ブティジェッジは2019年3月半ばに献金者が6万5000名に達し、第1回目の民主党予備選挙の参加条件をクリアしたと発表した。

ブティジエッジ選対は2019年第一四半期に16万名弱の献金者から700万ドルの資金を集めた。2019年第二四半期には29万4000名の献金者から2480万ドルを集めた。これは同時期において民主党予備選挙候補者の中で最も大きい金額となった。2019年第三四半期には1910万ドルを集めた。

●有権者たちは他の候補者と比較してピート・ブティジェッジについてどのように見ているか?

本誌は複数の世論調査を実施し、その中で候補者たちはどのように認識されているかをチェックしている。本誌は世論調査を通じて各候補者を左派から右派まで位置づけしてくれるように頼んだ。ブティジェッジは候補者たちの中で中道派に位置づけられている。各候補者の公的な仕事の経歴と政治における経験についての知識を基にして各候補者がどのように大統領として働く準備ができているかでランク付けをするように、調査対象者に頼んだところ、全国的な経歴が欠けているので、ブティジェッジは最も経験が少ない候補者だと見られていることが分かったがこれは驚くべきことではなかった。しかしながら、好ましいもしくは人間らしい候補者について質問したところ、ブティジェッジはジョー・バイデンに続いて2位に入った。

●ピート・ブティジェッジはトランプ大統領を倒すことができるか?

本紙が繰り返し実施している世論兆社の結果を考慮すると、当選可能性について言えば他の候補者と同程度であることが分かった。これは中西部の小さな大学町の市長としては大変なことだ。

●ピート・ブティジェッジの特徴と強みについて民主党支持の有権者はどのように感じているか?

本誌は有権者の特徴と強みについてどのように感じているかについて世論調査を行ってきた。私たちは調査対象者に対して特徴と強みのリストを提示し、どの特徴を持っているかで大統領選挙で投票するかしないかについて質問した。

例えば、民主党予備選挙参加予定の有権者の中で、19%が大学教授であれば投票すると答えた。一方、4%が大学教授なので投票しないと答えた。従って純粋な好感度としてはプラス15%である。従って私たちは候補者の経歴書の特徴でどのように投票に結びつけるかということを見ることができる。

ブティジェッジにとってプラスになる特徴と強みは、税金還付書類の公開(プラス43%)、複数の言語を使えること(プラス25%)、50歳以下の年齢(プラス23%)、移民の子供(プラス21%)、帰還軍人(プラス17%)、市長(プラス15%)、ローズ奨学生(プラス12%)、アイヴィーリーグ大学での教育(プラス7%)だ。

民主党支持の有権者たちの志向に基づいて、ブティジェッジにとってマイナスとなる特徴と強みは、経営コンサルタントという経歴(マイナス18%)、政治に関して経験が少ないこと(マイナス22%)、富裕な家庭で育ったこと(マイナス42%)だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。
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 民主党予備選挙は、左派のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が目立っている。一方、トップを走っているジョー・バイデン前副大統領は中道穏健派であり、アイオワ州でトップに立っているインディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジもまた中道穏健派に分類されている。

 今回の大統領選挙民主党予備選挙で左派と中道穏健派の争点となっているのは、メディケア・フォ・オールだ。簡単に言うと、国民皆保険制度のために政府がすべてを取り仕切るようにすべきだという左派と、それはあまりにもアメリカの現実から外れているという中道派の争いだ。また、中道派は大学の学費無償化についても懐疑的だ。ブティジエッジは、大学に行かない人も多くいるのに無償化するのは不公平だと述べている。

 「民主党が全体的に左に寄り過ぎだ」「社会主義的すぎる」という批判は根強い。左派・進歩主義派のウォーレンとサンダースの支持率を合わせると35%から40%となる。左派や進歩主義派が過半数を占めている訳ではないが、かなりの支持を集めている。

 「しかしこれでは共和党支持者は仕方がないにしても、支持政党を持たない有権者にとってアピールしない、あまりにも急進的だ。そうなれば現職のトランプ大統領には勝てない」と批判が出ることになる。

トランプ大統領が共和党にしては過激なそして急進的な主張で接戦ながら当選したという事実(保護貿易や国債を発行してでもインフラ整備をやるというのは伝統的な主流派共和党勢力とは相いれない)は忘れられている。トランプ大統領は国内政策の面で左に寄せた。それで民主党を支持していた白人労働者たちの支持を得て当選できた。それならば民主党が大統領選挙で勝利するためには、その人たちからの支持を取り返さなければならない。

そこで民主党中道派であり主流派を代表するバイデンが出たところで勝てるのだろうか、ということになる。民主党内の声ではバイデンは当選可能性(electability)が高いということになる。しかし、彼が人口グループで言えば白人労働者、地域で言えば中西部の各州を取り返すだけのアピール力とパワーがあるのかというと、年齢や失言のことを考えると期待できないということなる。

そこで37歳のピート・ブティジェッジだということになる。ブティジエッジは性的少数者ということもありリベラルな装いができるが、本質は中道穏健派だ。オバマ前大統領も期待の若手ということで支持率を伸ばしつつある。しかし、国政レヴェルでの経験もなく、これからいろいろと批判に晒されていくことになる。そうしたことを乗り越えて、これから民主党の有力政治家となっていくだろうが、今回の大統領選挙には間に合わない。

民主党がホワイトハウスを奪還するのはしばらく先ということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

メモ:中道穏健派が民主党予備選挙のトーンを変化させる(The Memo: Centrists change tone of Democratic race

ニオール・スタンジ筆

2019年11月18日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/471010-the-memo-centrists-change-tone-of-democratic-race

中道左派がアメリカ大統領選挙民主党予備選挙で反撃しつつあるのだろうか?

インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジはアイオワ州で支持率を伸ばしている。元マサチューセッツ州知事ディヴァル・パトリックが選挙戦に出馬し、大富豪で元ニューヨーク市長のマイケル・ブルームバーグが出馬を検討中だ。バラク・オバマ前大統領も民主党に対してアメリカの有権者が全面的な変化を求めているという過大な判断をしないようにと警告を発している。

こうした動きは連続して起きており、予備選挙の雰囲気を変えつつある。予備選挙はこれまで進歩主義派のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)の台頭が大きな話題となっており、またジョー・バイデン前副大統領が主張する中道派の諸政策は民主党の支持基盤の考えから外れているのではないかという疑問を多くの人々が持っていた。

金曜日、ワシントンを訪問したオバマ前大統領は次のように語った。「アメリカはこれまでと同様、革命などよりも改善により関心を抱く国だ。平均的なアメリカ国民は、私たちは現在のシステムを完全に破壊し、作り直す必要があるなどとは考えない」。

オバマ前大統領の介入は直接的なものではなかった。オバマは彼の行った改革が十分ではなく、もっとやれたのではないかと主張する人々には反対しなかったが、ウォーレンやバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、民主党)のような進歩主義派が主張する急進主義よりも漸進主義を支持する発言を行った。

予備選挙の情勢が流動的で、中道派が盛り返しているということを示しているのは、ウォーレンがメディケア・フォ・オール政策の実現を大統領就任後すぐに実行しないということを明確にしたことだ。ウォーレンは大統領に選ばれたら、メディケア・フォ・オールを就任3年目の終わりまでに成立させるつもりだと金曜日に発言した。

専門家たちの多くは、ウォーレンの動きは、「ウォーレンは一般選挙の有権者にとっては急進すぎる立場に立っている」と主張する人々に対する妥協だと思われている。急進的な立場に立っていることは大きな弱点となり、民主党員や支持者は予備選挙で有力なウォーレンがこれでは来年11月にトランプを倒せないと絶望的になっていると考える人たちも多い。

民主党系ストラティジストのジュリー・ロジンスキーは次のように語っている。「国民皆保険よりも自分の現在の医療保険を維持したいという人々が一定数いるということから、ウォーレンの国民皆保険制度の主張で有権者の支持を失うのではないかという懸念を持っている人々を宥めるための一つの方策としてすぐには導入しないと明言したのだと思う」。

ウォーレンとサンダースが、アイオワ州でのブティジェッジの台頭に懸念を持っていることは間違いない。アイオワ州ではリベラル派の活動家たちが党員集会をリードする州である。最近の2回の党員集会は共に激戦となり、2016年の時には最終的に党の指名候補となったヒラリー・クリントンに対してサンダースは肉薄し、2008年の時には当時連邦上院議員だったオバマがヒラリーを倒した。ヒラリーは3位に沈んだ。

『デモイン・レジスター』紙とCNNの共同世論調査の結果が土曜日に発表された。アイオワ州の党員集会参加予定者の25%がブティジェッジを大統領の代位市選択肢として挙げた。ブティジェッジから少し差があって第2位にウォーレンが入り16%、サンダースとバイデンは15%だった。

更に言うと、世論調査の結果からは、党員集会参加予定者たちはウォーレンやサンダースよりもブティジェッジとバイデンをより支持していることが分かる。

有権者の63%がブティジェッジの政治観は「大体正しい」と答え、バイデンに関しては55%がそのように答えた。ウォーレンとサンダースの数字はより低い。それぞれ48%と37%だった。

党員集会参加者の過半数にあたる53%がサンダースの政治観は「リベラルすぎる」と考え、ウォーレンについては38%がそのように考えている。

ブティジェッジはリアルクリアポリティックスが出しているアイオワ州での世論調査の平均でリードしている。

本紙の取材に応じた複数の民主党系ストラティジストは最新の世論調査の結果にとらわれ過ぎてはいけないと懸念を表明している。彼らは予備選挙の情勢が流動的だとしている。また、ブティジェッジはアイオワ州で重点的にテレビCMを放映していると指摘する人たちもいる。

ブティジェッジの台頭に疑念を持つ人々はまた、ブティジェッジはニューハンプシャー州の世論調査で支持率を上昇させているが、それでもトップ3の候補者たちから遠く置いて行かれている状態だと述べている。こうしたことは、民主党内において全国規模で親中道派の流れが起きているという考えに反していることを示している。

匿名のある民主党系ストラティジストは露骨に「アイオワ州でブティジェッジが大量リードしていると言うけど、彼の支持率はたったの25%だ!それで大量リードだなんだというのはジョークでしかないということになる」と述べた。

このストラティジストはまた次のように述べた。「民主党は進歩主義的な政党のままだと私は思う。また党は左側に動いている。しかし、左派に与しないというのならば、自分の主張を擁護できるようにならねばならない」。

進歩主義派の有権者は、メディアがブティジェッジに関心を持つこと、ブルームバーグとパトリックに出馬に関して報道をすることは、やり過ぎだと感じているようだ。

サンダースを支持している民主党系ストラティジストであるジョナサン・タシニは、白人が大多数を占めるアイオワ州での各種世論調査の結果は全国規模の民主党の流れを示しているという考えには「全く動揺しない」と述べている。

そして、タシニは続けて次のように述べた。「アイオワ州におけるこれまでの大統領選挙を振り返ってみれば、エネルギーを投入して世論調査の数字を上げる人々が出てくるのが通例だ。しかし、党員集会の人までにその勢いを維持できるかは分からない」。

また、タシニは左派の候補者たちに対する怒りの力を過小評価しないことが重要だとも述べている。

タシニは「政治献金者、専従党員、議員たちが属している中道穏健派のエスタブリッシュメントは進歩主義派の人々が民主党を指導して欲しくないと思っていることは間違いない。それは、進歩主義派がリードするようになると、エスタブリッシュメントの地位と立場、権力が脅かされると考えているからだ」と述べた。

他のストラティジストと同じくロジンスキーは、結論を出すには早すぎると述べている。

ロジンスキーは、民主党支持の有権者たちがたった一つの最重要の基準に合う候補者を探している、その基準とはトランプを倒せる能力だ、と述べている。

ロジンスキーは中道派の候補者たちを支持するのにイデオロギー上の理由は存在しないと述べた。

彼女は「中道派の支持にはイデオロギーではなく、当選可能性が基礎となっている」と述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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