古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:中間選挙

 古村治彦です。

 アメリカ国内の分断は深刻さを増している。第二次ドナルド・トランプ政権の大統領次席補佐官スティーヴン・ミラーが主導する、移民・関税執行局(ICE)の捜査員たちによる不法移民摘発で死者が出る事態となり、いくつかの地元の市や州が反発を強めている。既にご紹介したように、ミネソタ州ではティム・ウォルツ知事が州兵への出動準備のための「警告命令」を発令した。

 アメリカ国内は物価高(インフレ)による生活苦もあり、不満が溜まっている。その不満が外国や外国人(有色人種)に向かっている。アメリカ国内の分断は進み、アメリカは暴力が蔓延し、内戦状態になる可能性がある。

 2028年には大統領選挙が実施される。2027年には大統領選挙の選挙戦がスタートする。まずは民主、共和両党の大統領選挙候補者として指名を受けるための戦いが始まる。民主党では既に数名の政治家、主に各州の知事たちの名前が挙がっている。

 共和党側では、JD・ヴァンス副大統領、マルコ・ルビオ国務長官の名前が挙がっているが、トランプ大統領の三選を求める声が上がっている。アメリカ合衆国憲法では、同じ人物は大統領を2期8年までしか務められない。フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領は三選、更には四選を果たしたが、世界恐慌や第二次世界大戦という特殊な事情があり、当時は憲法に明文化されておらず(初代ジョージ・ワシントンが三選を拒否したことで慣習とされていた)、戦後になって憲法修正第22条に明記されることになった。現在では三選は違憲ということになる。それでもトランプは時に、三選を目指すような発言をしている。また、2028年に、共和党の大統領候補の副大統領候補となり、実質的に院政を行う(ジョージ・W・ブッシュ[バカ息子]大統領時代のディック・チェイニーのように)ということも取り沙汰されている。

 トランプはその時には80歳を超えて、アメリカ男性の平均寿命73歳を大きく超えることになる。また、最近になって衰えを見せる場面もあり、三選を目指すということはないと私は予想している。また、健保違反の三選を目指すということになれば、アメリカはこれまで以上に不安定な状況に追い込まれる。それよりは、自分の息のかかった人物を大統領候補にする方がより良い選択ということになる。しかし、トランプは融通無碍である。何をしてくるか分からない。そのように思わせることで、敵対勢力を翻弄するということもできる。今年の中間選挙の結果と合わせて注目していきたい。

(貼り付けはじめ)

「トランプ2028」は冗談ではない(‘Trump 2028’ Is No Joke

-ドナルド・トランプ米大統領は中国の独裁政権の戦略をより深く参考にしている。

ハワード・フレンチ筆

2025年10月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/10/08/trump-2028-china-xi-jinping-military/

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ミネアポリスのミネソタ大学で開催された「アメリカン・カムバック・ツアー」の会場で、列に並ぶ、「トランプ2028」のキャップをかぶった男性(2025年9月22日)

習近平国家主席は、統治開始当初から、軍幹部の粛清を常態化させてきた。不透明な法的手続きで汚職を理由にして、彼らの公然たる失脚、中国共産党からの追放、投獄を主導してきた。ほぼ全ての事例において、習近平と彼に忠実なプロパガンダ機関は、中国軍に対する政治的統制の強化に奔走してきた。

現代の中国研究者たちにとって最も重要な課題の1つは、なぜ習近平がこれほどまでに権力を掌握し、特に軍の服従(obeisance from the military)を確保することに固執するのかを見極めることである。その動機として最もよく挙げられるのは、習近平自身が常々主張している点、すなわち台湾の将来をめぐるいかなる戦いにも備え、最終的に勝利を収める必要があるという点である。

しかしながら、これが習近平の揺るぎない目的意識の全てを説明できるとは考えにくい。私には、習近平の動機は、少なくとも同程度には、自身の支配を永続させたいという願望によって支えられているように思える。それは、自身の権威に対するいかなる疑問も徹底的に排除することにかかっている。習近平の考えでは、毛沢東の言葉を借りれば、銃の絶対的な支配権を維持すること(maintaining absolute control of the gun)が、このための最低限の前提条件のようだ。中国の指導者は既に、中国の政治的継承を5年任期2期で規定していたルールブックを破棄し、2028年に党指導部による「再選(reelection)」という形式的な手続きを経れば、事実上、4期目の任期に突入する勢いだ。

過去のコラムで、ドナルド・トランプ米大統領の2期目の任期が、強圧的な権威主義と高度に個人化された統治(musclebound authoritarianism and highly personalized rule)を特徴とする中国のエリート政治の手法を借用しているように見える点について書いてきた。その最も明確な兆候の1つは、文化大革命の毛沢東のように、指導者に忠実な政治屋(political hacks)による行政を優先し、政府機関が空洞化していることである。

しかし、ここ数日、トランプ大統領が中国からさらに悲惨な教訓を引き出していることが明らかになっている。それは、国家安全保障機構に対して、そして国家安全保障機構を通して政治権力を行使することに執着する習近平国家主席の姿勢を如実に反映していると言えるだろう。これは、先週クアンティコで行われた、トランプ大統領とピート・ヘグゼス国防長官による、アメリカ軍最高幹部を集めた異例の大規模会合での演説、そして複数のアメリカ国内の都市に州兵、アメリカ移民関税執行局(U.S. Immigration and Customs EnforcementICE)などの連邦機関の職員を派遣したことからも明らかだ。

今日、アメリカ国民、そして世界は、トランプ大統領が中国の指導者と同様に権力の座を永続させるという目標を共有するという事態に備えなければならない。トランプ大統領は最近、民主党のチャック・シューマー連邦上院議員やハキーム・ジェフリーズ連邦下院議員を含む連邦議会指導者たちと会談した際、「トランプ2028」というスローガンが書かれた帽子を目立つように並べたテーブルに出席した。

トランプの公の場での発言や、最も熱烈な支持者たちの言辞に繰り返し登場するトランプの3期目就任に関する発言は、しばらくの間、広く冗談として片付けられていた。しかし、もし傍観者がかつてそのような話をこのように片付けることができたとしたら、それはもう過去の話だ。

クワンティコで行われたトランプとヘグセスの会合に関する多くの論評は、国防長官が兵士の体力強化を過度に重視していること、そしてジェンダーや多様性の問題よりも政治的正しさを重視する右翼的なアジェンダに重点を置いていることに集中している。一部の保守系メディアでさえ、ヘグセスの舞台上での威圧的なパフォーマンスを恥ずべきものと評した。しかし、この日最も重大な瞬間だったのは、トランプが「内部からの敵(enemy from within)」と呼ぶ敵と戦うためにアメリカ軍が果たすべき役割があると主張したことだ。

1878年のポッセ・コミタトゥス法(国内法執行におけるアメリカ軍の利用を禁じる)といった長年の伝統や法律を無視し、トランプ大統領は、軍に対し、国内の都市を軍事作戦のための訓練場として利用するよう求めた。

しかし、これは訓練というよりも、習近平国家主席流の、自身の政治的アジェンダの実現と忠誠心確保のための軍の再編に執着するトランプ大統領の姿勢と関係があるようだ。トランプ政権下でのアメリカの権威主義化への兆候は今に始まったことではないが、トランプ大統領の危険な発言と国内秩序の軍事化を指示する最近の行動は、ここ数世代におけるアメリカの民主政治体制に対する最も重大な挑戦の1つである。

今週のテレビインタヴューで、イリノイ州のJB・プリツカー知事は、アメリカの都市における軍人の継続的な展開は、国内秩序における軍の活用を常態化すること(to normalize)を目的としていると警告した。「来年、彼らは最終的にこれらの人々を投票所に派遣し、投票を守っていると主張するのではないかと懸念している」と彼は述べた。さらに、共和党が2026年の中間選挙で連邦議会の支配権(過半数)を失った場合、トランプは「2020年に行う可能性があると発言したこと、つまり軍隊を使って投票箱を押収し、不正があったと主張して票を集計することを実行するかもしれない」と付け加えた。

ここ数週間、トランプ大統領は数々の行動を次々と起こしており、権力への渇望(thirst for power)、牽制と均衡への焦燥(impatience with checks and balances)、そして真実軽視に対する懸念(disregard for the truth)が高まっている。

連邦裁判所の差し止め命令にもかかわらず、都市中心部の軍事統制を主張する最近の試みを推し進めるだけでなく、トランプ大統領と支持者たちは、緩やかに組織化され、一見すると一時的な反ファシスト・アナーキストの運動であるアンティファの亡霊を盾に、彼の政策に抗議する人々に対する暴力的な戦術の使用を正当化している。

法執行機関の連邦化は、不法移民の疑いのある人々や、適正手続きと人道的待遇を受ける権利を主張するあらゆる人々をも標的にしている。こうした戦術は最近、シカゴで極限まで押し進められ、貧困地域の人々がアパートから追い出されたり、路上で一斉検挙されたりしている。不法入国の疑いで、多くの場合、肌の色、言語、収入水準だけが理由となっているようだ。

一方、トランプ大統領は、反対派への憎悪を公然と表明する一方で、連邦予算を武器として利用し、伝統的に民主党を支持してきた州を罰し、大切なインフラ工事やその他のプロジェクトを凍結または中止している。

これほど多くの警告サインが点滅しているにもかかわらず、トランプ政権が、本来、そして伝統的に政治的に中立な立場にあるアメリカ軍を自らの目的のために利用しようとする最近の動きは、依然として最も危険なプロジェクトである。

習近平主席は、人民解放軍高官の度重なる粛清において、汚職を利用して排除したい人物を排除し、自身に個人的な恩義のある将軍たちのために道を作ってきた。これまでのところ、トランプは中国の習近平主席よりも曖昧で慎重な姿勢をとっており、最近排除された軍将官たちの失態とされる詳細についてはほとんど明らかにしていない。習近平の場合、軍高官の粛清のほぼ全てにおいて、その内容がいかに不透明で形式的なものであろうと、裁判が行われている。

国防長官としてヘグゼスは、元統合参謀本部議長のチャールズ・ブラウン・ジュニア将軍の場合は黒人であるという理由で、沿岸警備隊司令官のリンダ・フェイガン大将の場合は女性であるという理由以外に、明白な理由もなく、経験豊富で勲章を授与された将官を解任してきた。

軍の高官グループに対しては、昇進や職の安定をめぐる明白なイデオロギー審査はまだ行われていないが、指揮系統への服従だけでなく、トランプの政治方針への暗黙の同調が期待されているようだ。習近平主席による汚職疑惑の発言と同様に、政権が軍における民族的・性別的多様性を頻繁に軽視していることは、より広範で党派的な政策とトランプによる軍への個人的支配を隠蔽するために利用されているのではないかと警戒すべき理由が存在する。

「さらなる指導部交代が行われるだろう。それは私たちが望んでいるからではなく、しなければならないからだ」とヘグゼスはクアンティコに集まったアメリカ軍の最高幹部たちに語った。「もう一度言うが、これは生死に関わる問題だ。適切な人材を早く確保すれば、適切な政策を早く推進できる」。少し間を置いて、彼は付け加えた。「もし私が今日話している言葉に心が沈んでしまうようならば、名誉ある行動を取り、辞任すべきだ」。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年にわたり特派員を務めた。最新作に『第二の解放:高潮期のンクルマ、汎アフリカ主義、そしてグローバル・ブラックネス(The Second Emancipation: Nkrumah, Pan-Africanism, and Global Blackness at High Tide)』がある。ブルースカイ・アカウント: @hofrenchbluesky.social Xアカウント:@hofrench

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トランプ大統領とヘグセス国防長官が異例の政治的に緊張感漂う再興会議でアメリカ軍指導者たちに講義(Trump, Hegseth lecture military leaders in rare, politically charged summit

-この異例で、直前になって企画された会議は、大統領と国防長官が党派的な政策を喧伝する場となった。

ナタリー・アリソン、マイケル・バーンバウム、エミリー・デイヴィス、パトリック・スヴィテック、エイミー・B・ワン筆

2025年9月30日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/national-security/2025/09/30/hegseth-military-meeting-trump-generals/

火曜日、数百人のアメリカ軍最高幹部が、ドナルド・トランプ大統領とピート・ヘグゼス国防長官による極めて党派的な演説に沈黙して耳を傾けた。トランプとヘグセスは前任者たちを痛烈に批判し、自らの政治的目的を誇張するなど、両者の不満が露呈する異例の事態となった。

国防総省のヘグゼス長官ティームが主催したこのイヴェントは、世界各地の司令部から将軍や提督をワシントンから南に30マイル(約48キロ)ほど離れたヴァージニア州のクアンティコ海兵隊基地に招集した。トランプ大統領が直々に任命した統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍は冒頭の発言で、このイヴェントは集まった最高幹部の将官と彼らの上級顧問たちにとって、軍の文民指導部から直接話を聞く「前例のない機会であり、光栄なこと(unprecedented opportunity and honor)」であると述べた。

トランプ大統領は、熱心な高官を国防総省の責任者に据え、アメリカ軍を党派政治の支配から守るために定められた長年の規範を、繰り返し、そして容赦なく踏みにじってきた。しかし、火曜日の演説は、現政権がこうした原則を全面的に無視していることをこれまでで最も露骨に示したと言えるだろう。

トランプ氏は約70分に及ぶ支離滅裂な発言の中で、もし出席者が自分の発言に納得できないなら部屋から出て行ってもいいと冗談を飛ばしつつ、「階級が下がれば将来も下がる」と付け加え、一部の人から不快な笑いを誘った。トランプが政権に復帰して以来、彼とヘグセスは多くの将軍や提督を、多くの場合、理由もなく解任してきた。一方で、女性やその他の要人に対する不均衡な解雇に焦点を当ててきた。大統領と国防長官は、軍の多様性と包括性の向上を柱とする有害な「目覚めた(woke)」イデオロギーを唱えていると広く非難している。

トランプ大統領は、アメリカの都市を警備するために軍隊を投入した自身の行動を擁護し、「内部からの敵(the enemy within)」と自ら呼ぶものを非難する一方で、国内での軍事力行使を認められるべきだと主張した。国防総省はこれらの都市を「訓練場(training grounds)」として使用できるべきだと大統領は述べた。既に訴訟を招いている展開を命じる中で、この考えは州や地方当局から確実に警戒感を抱かせるだろう。

トランプ大統領はまた、国防総省を戦争省に改称した決定を称賛し、ウクライナ紛争を終結させられなかったことを嘆き、ロシア沖におけるアメリカ潜水艦の極めて機密性の高い動きを暗黙のうちに認めた。

「私はそれを『Nワード』と呼んでいる」と大統領は潜水艦について述べ、原子力搭載を暗に示唆した。「Nワードは2つあり、どちらも使うことはできない」と語った。

集まったアメリカ軍最高幹部たちは、軍の超党派の伝統に従い、全ての時間を沈黙して演説を聴いていた。デューク大学の政治学者ピーター・フィーヴァーは、彼らが両者の演説に敬意を払いながらも反応しなかったことで、「非常に困難な綱渡りをうまくこなした(managed well a very difficult walk along a high wire)」と述べた。さらに、アメリカ軍最高幹部たちが沈黙を守っている理由を理解しているように見えた、トランプ大統領とヘグゼス国防長官も称賛に値すると付け加えた。

「演説は、アメリカ軍が今後数ヶ月間、対処しなければならない多くの問題を提起した」とフィーバーは述べた。そして、「しかし、テレビの生放送でそうする必要はない。そのため、アメリカの政軍関係(American civil-military relations)における非常に微妙な局面は、一部が懸念していたような惨事にはつながらなかった」と語った。

元国防総省高官で政軍問題の専門家であるコリ・シェイクはより悲観的な見方を示した。

アメリカン・エンタープライズ研究所の上級研究員であるシェイクは、「軍の指導者たちを、あからさまに党派的な政治劇に巻き込むことは恥ずべき行為であり、最高司令官が彼らに同胞アメリカ国民への暴力を奨励することは危険だ」と、述べた。

トランプ大統領はヘグゼスによって紹介された。ヘグゼスは、大統領就任前の激しい前座として、時折、罵詈雑言や下品で扇動的な言葉を使った。「我々の敵へ。FAFOだ」と彼は言った。これは「くそくらえ、気付け(f--- around, find out)」という意味の略語だった。

国防長官は大統領の参加を想定せずにこの行事を計画し、先週、全ての上級軍司令官とその下士官補佐官をヴァージニア州に召集するという不可解な命令を出したが、旅程については一切情報を提供しなかった。『ワシントン・ポスト』紙が木曜日に初めて報じたこの命令は、今年多くの将軍や提督が解任されたことを受けて、一部の人々を不安にさせた。

元フォックス・ニューズの司会者で、州兵として陸軍士官を務めたヘグゼス長官は、火曜日の演説で、目の前に座る男女(それぞれ数十年以上の軍歴を持つ)に説教した。ヘグセスは、軍隊を「かつてないほど強く、タフで、速く、獰猛で、力強い」ものにすると誓い、国防長官就任から繰り返してきた数々の論点を繰り返した。その中には、軍幹部は体力、身だしなみ、規律(physical fitness, grooming and discipline)といった基準を厳格に取り組む必要があるという主張も含まれていた。

ヘグセス国防長官は、軍が本来の使命である「戦争を戦い勝利すること(to fight and win wars)」から逸脱させた「愚かで無謀な政治家たち(foolish and reckless politicians)」を非難し、軍隊における「数十年にわたる衰退」(decades of decay” in the force)を是正すると誓った。また、戦闘におけるアメリカ軍の致死力行使を規定する「政治的に正しい過剰な交戦規則(politically correct and overbearing rules of engagement)」は廃止されたと宣言した。

さらに、「さらなる指導部の交代が行われることは間違いない」と述べ、追加の解任も予告した。ヘグセスは、ピーター・キアレッリ将軍、ケネス・「フランク」・マッケンジー将軍、マーク・A・ミリー将軍の3名の退役将校を、自分が「排除」したい将校の例として名指しした。

この将官3名を名指しした決定は、個人的な感情によるものと思われる。2012年に陸軍の序列第2位の将官として退役したキアレッリは、イラク駐留中のヘグセスの所属した旅団の元旅団長マイケル・スティール大佐を、同部隊の兵士たちを精査した戦争犯罪調査結果を受けて叱責した。マッケンジーとミリーは、2021年のアフガニスタンからの混乱したアメリカ軍撤退の際に指導的役割を果たし、トランプ政権の政治的標的となっている。

ミリーはコメントを拒否し、マッケンジーには連絡が取れなかった。キアレッリは電子メールで、ミリーとマッケンジーと「同じ文に名を連ねることができて光栄だ」と述べ、彼らを「私がこれまで共に仕えた中で最も優れた指導者たち」と呼んだ。

ヘグゼス長官は、1990年から1991年にかけて数カ月の間、イラクの侵攻と隣国クウェートの併合を撃退した湾岸​​戦争を、アメリカにとって模範となる紛争の例として挙げた。彼は湾岸戦争を「圧倒的な戦力と明確な終結目標を伴う限定的な任務(limited mission with overwhelming force and a clear end state)」と表現した。

また、1980年代にロナルド・レーガン大統領がアメリカ軍の増強を進めたことが重要な役割を果たしたと指摘し、当時の多くの軍指導者がヴェトナム戦争での戦闘経験を活用したことを指摘した。

ヘグセスは次のように語っている。「これは今日でも同じことが言える。我が国の文民・軍の指導部には、イラク戦争とアフガニスタン戦争を経験した軍人が多数おり、国家建設や漠然とした終末論に対して『二度と繰り返してはならない』と訴えている。ホワイトハウスにおいて、こうした明確な見解が示され、トランプ大統領の軍備増強と相まって、私たちは将来の勝利に向けて準備を整えている」。

ヘグゼスは、兵士と民間人職員が匿名で内部告発をしたり、有害な指導者を報告したり、人種、性別、性的指向、宗教に基づく不平等な扱いを指摘したりできる手段を徹底的に見直すと述べた。

ヘグゼスは次のように明言した。「軽率な苦情はもう終わりだ。匿名での苦情も、何度も苦情を言うことも、評判を落とすことも、果てしない待機時間も、法的に宙ぶらりんになることも、キャリアを台無しにすることも、気を遣って行動することももうない。もちろん、人種差別は1948年以来、私たちの部隊では違法となっている。セクハラも同様だ。どちらも間違っており違法だ」。

ヘグゼスは、高い基準を維持することは「有害ではない」と断言し、「有害な指導者」といった表現の「歪曲」だと非難した。ヘグセスは、国防総省はそのような文言の見直しを行い、軍当局者に対して「報復や疑問視されることを恐れずに基準を施行する」権限を与えると述べた。

ヘグゼスはまた、女性に配慮するために基準がどのように変更されたかについても疑問を呈し、特に戦闘専門職に関連する基準は高い水準を維持しなければならないと述べた。「女性が成功できれば素晴らしい。そうでなければ、仕方がない」と彼は語った。

ヘグゼスは、「ペンタゴンの廊下にいる太った将軍や提督を含む、太った兵士」を非難し、「見栄えが悪い(bad look)」と述べた。ヘグセスは全員が年2回、体力テストに合格し、身長と体重の基準を満たすことが義務付けられるという。彼は、自身の「厳しい」フィットネス・ルーティン(his own “hard” fitness routine)を模範とすべきものとして挙げた。

ヘグゼスは、自身のヴィジョンに沿って11の新たな指令を配布していると述べた。これらの指令は後に国防当局者たちがオンラインで公開した。指令には、いじめの定義の見直し、パープルハート勲章受章者への授与義務、そして優秀な文民職員の残留を促す一方で「業績不振」の職員には退職を促す新たな方法を国防省が模索することなどが含まれている。

ヘグゼスはまた、2024年に出版予定の著書『戦士たちへの戦争』の宣伝も行った。この本は、「目覚めた」文化がいかに軍を弱体化させてきたかを検証している。クワンティコに到着すると、彼はソーシャルメディアにこのフレーズを投稿し、演説中にも再び言及した。

ヘグセスは、「戦士たちへの戦争を終わらせていると言えるだろう」と語り、効果を狙って少し間を置いてから、「誰かがそれについて本を書いたと聞いた」と付け加えた。

この土壇場での会合は、批判的な人々の間で、その費用について疑問を投げかけている。特に、安全なヴィデオ会議機器を使って行うことができたはずの演説であったにもかかわらず、費用がかさんでいるという批判が起きている。日本、中東、ヨーロッパといった遠方から軍幹部を招聘するには、航空費、宿泊費、移動費など数百万ドルに上る可能性があると、元政府高官2人が匿名を条件に語った。彼らは、この問題の機密性から、過去の政府関係者の出張経験に基づいて推定した。

また、この会合は、火曜日が会計年度末であり、政府閉鎖が迫っていることを踏まえると、全ての最高指導者が一堂に集まることへの安全上の懸念も引き起こした。国防総省が発表したガイダンスでは、閉鎖が発生した場合、全ての出張を「中止」すべきだが、上級指導者は例外を認める場合に限られるとされている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 先日の中間選挙では、様々な選挙が実施された非白人、女性、LGBTQ+の人々がこれまでよりも多く立候補し選挙戦を戦った。その中には、「史上初」という言葉が付く当選者が多く出た。全員をご紹介することはできないが、良くまとまっている記事をご紹介する。

 全体で見れば、共和党ではドナルド・トランプ前大統領が支持した連邦議員選挙の候補者たちが150名近く当選した。共和党のエスタブリッシュメント派は戦々恐々としている。彼らはトランプ派の伸長を警戒し、「今回の選挙で共和党が予想を下回る結果しか得られなかったのはトランプのせいだ」と訴えている。しかし、それは自分たちの責任を回避する言論でしかない。

 民主党では進歩主義的な議員たちが新たに当選しているがその勢力は小さい。しかし、彼らの影響力は大きい。特に若い人々への影響は顕著だ。そうした中で、25歳の進歩主義派の候補者マックスウェル・フロストがフロリダ州で連邦下院議員に当選した。彼の動きはこれから注目だ。

 その他にも性的マイノリティの人々が当選しているということが注目を集めている。アメリカでは性的マイノリティに対する差別が根強いが、それでも少しずつ変化が起きている。

 選挙はアメリカ社会を移す鏡とも言える存在だ。アメリカの多様性は少しずつであるが、公職の構成も反映されつつある。翻って日本を顧みれば、その道のりはまだ遠いということになる。

(貼り付けはじめ)

サマー・リーがペンシルヴァニア州初のアフリカ系アメリカ人女性として連邦議員に当選(Summer Lee becomes first Black woman elected to Congress from Pennsylvania

シェヤン・M・ダニエルズ

2022年11月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/3727447-summer-lee-becomes-first-black-woman-elected-to-congress-from-pennsylvania/

2022年5月12日(木)、ペンシルヴァニア州連邦下院議員選挙第12区の民主党候補者指名を目指すサマー・リー州下院議員がピッツバーグでの選挙集会で演説をしている。この演説の後にバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)からの支持表明を受けた。民主党予備選挙は2022年5月17日(火)の予定だった

進歩主義派の民主党員サマー・リーが火曜日、連邦下院議員選挙に当選し、ペンシルヴァニア州初のアフリカ系アメリカ人女性として連邦議会に赴くことに決まった。

リーにとっては、歴史的な瞬間を作り出すのは2回目のこととなった。リーは、ハリスバーグ地区から初めてアフリカ系アメリカ人女性としてペンシルヴァニア州下院議員に当選した経歴を持つ。

リーはピッツバーグのダウンタウンで開催した投開票日の集会で「今回の選挙運動は、最も疎外された人々を優先し、この国で真の労働者階級の運動がどのようなものになるかを求めて戦った運動となった」と語った。

リーは、ペンシルベニア州第12選挙区で、引退を表明した民主党連邦下院議員の後任として、共和党のマイク・ドイルを破った。

リーは州下院議員を2期務めた弁護士で、労働組合の組織化を行う活動を行っていたこともある。彼女は州下院議員選挙で再選を果たした。来年には補欠選挙が行われる予定である。

リーの成功は、進歩主義的な人々にとって大勝利となる。来年議会に参加する1年生議員となるリーは、連邦議会で「スクアッド(the squad)」と呼ばれる進歩主義的な議員集団の最新のメンバーになることが期待されている。

この選挙区は民主党が圧倒的に優勢とされていたが、連邦下院共和党の選挙部門はこの選挙区に資金を注ぎ込み、先月末には6桁(10万ドル単位)の資金投入を行った。さそれに対して米国イスラエル公共問題委員会(American Israel Public Affairs CommitteeAIPAC)傘下のスーパーPACは、リーの当選を阻止しようと100万ドル以上の資金を提供した。

AIPACの投開票日直前の支出は、現職の進歩主義的な連邦下院議員たちの怒りを引き起こした。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員(ニューヨーク州選出、民主党)やイルハン・オマル議員(ミシガン州選出、民主党)のような現職の進歩主義派連邦議員たちから怒りの声が上がった。2人は、AIPACが共和党の連邦議会支配のために働いていると非難し、オカシオ=コルテスはAIPACが「アメリカの民主政治体制の更なる不安定化(destabilizationに向けて働いている」とツイートした。

しかしリーは、火曜日に彼女のパーティーに集まった人々に、彼女の勝利はペンシルヴァニアが大口寄付者のお金よりも強いことを示すと語った。

リーは次のように述べた。「私たちは、ダークマネーや外部の人々がペンシルヴァニア西部にやってきて、私たちにふさわしい代表のタイプを教えるようなことはさせない。何故なら、私たちのコミュニティは自分たちにとってふさわしい代表を選び出すために長い期間待ち続けたからだ」。

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火曜日夜に歴史を作った10名の候補者たち(Ten candidates who made history Tuesday night

シェイヤンヌ・M・ダニエルズ筆

2022年11月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/3726601-ten-candidates-that-made-history-tuesday-night/

火曜日の中間選挙の結果で、全米で史上初という言葉が付く候補者の当選がいくつも報告された。

過去最多のアフリカ系アメリカ人候補たちが党派を超えて選挙に立候補し、LGBTQの代表が躍進し、ジェンダーの壁が打ち破られた。

これから、今年の選挙でガラスの天井を打ち破った10名の候補者たちを紹介していく。

(1)ウェス・ムーア(Wes Moore

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アメリカ陸軍の退役軍人でベストセラー本の執筆者であるウェス・ムーア(民主党)は、メリーランド州初のアフリカ系アメリカ人州知事に選ばれた。ムーアは州知事に選ばれたアフリカ系アメリカ人としては3人目となった。彼はトランプが支持した保守派のダン・コックスを破った。

ムーアは7月の民主党予備選挙で10名の他の候補者を倒して民主党候補者となった。選挙運動では、オプラ・ウィンフリーのような有名人たちからの支持を得た。また、民主党所属知事協会から多くの資金提供を受けた。

全米最大級の反貧困団体の元CEOであるムーアの勝利で、知事公邸を青く染め上げた。

ムーアは副知事に、アルナ・ミラーを起用する予定である。インド生まれのミラーは、アジア系アメリカ人として初めて、また移民として初めてメリーランド州の副知事に選出された。

(2)マウラ・ヒーリー(Maura Healey

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マサチューセッツ州司法長官マウラ・ヒーリー(民主党)は、火曜日の夜、2つの壁を打ち破った。マサチューセッツ州初の女性知事、そして全米初のレズビアンを公表した知事として選出された。

ヒーリーは、トランプ前大統領の推薦を受け、2020年の選挙が盗まれたという虚偽の主張を繰り返していたジェフ・ディール前州下院議会議員(共和党)を破った。

選挙戦を通じて、ヒーリーはディールに対して、リードを維持したが、ディールは、引退する現職の共和党所属のチャーリー・ベーカー知事の推薦を取り付けることができなかった。

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)と「ヒューマン・ライツ・キャンペイン(HRC)」は火曜日のヒーリーの当選を称賛した。HRCはツイートで、新しい州知事は「LGBTQ+コミュニティ全体にとってのロールモデルとなる」だろうと述べた。

(3)サラ・ハッカビー・サンダース(Sarah Huckabee Sanders

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元ホワイトハウス報道官サラ・ハッカビー・サンダース(共和党)はアーカンソー州知事に当選し、アーカンソー州初の女性知事となった。

トランプ人気が続くアーカンソー州で、元補佐官が、民主党候補のクリス・ジョーンズ、リバータリアン党候補のリッキー・デール・ハリントンを破っての当選が有力視されていた。

サンダースは昨年選挙戦を開始した際、アーカンソー州での選挙資金調達記録を更新し、火曜日までの世論調査ではジョーンズに対して2桁のリードを保っていた。

サンダースは元アーカンソー州知事マイク・ハッカビー(共和党)の娘であり、トランプ政権の有名な出身者の中で最も政治的に高位の選挙の当選者となった。

(4)マックスウェル・フロスト(Maxwell Frost

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民主党所属のマックスウェル・フロストは火曜日夜にZ世代初の連邦議員となった。

弱冠25歳のフロストは、フロリダ州選出の連邦上院議員選挙に出馬したヴァル・デミングス連邦下院議員(民主党)の後の議席を勝ち取った。彼は進歩主義的な政策を掲げて立候補し、「スクアッド」の最新メンバーになることが予想されている。「スクアッド」は非白人の進歩主義的な連邦下院議員たちのグループである。

勝利を宣言したツイートの中で、フロストは火曜日に「歴史は作られた」と書いた。

「フロリダ州民、Z世代、より良い未来に自分たちはふさわしいと考える全ての人たち、皆にとって、歴史が作られた。アメリカ合衆国議会において私の地元であるフロリダ州を代表する機会をいただけたことに感謝以上の言葉はない」とフロストはツイートした。

(5)ベッカ・バリント(Becca Balint
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民主党所属のベッカ・バリントはヴァーモント州初の女性連邦下院議員、芸であることを公表した人物初の議員となった。ヴァーモント州は全米で最後の女性を連邦議会に送る州となった。

元教師のバリントは、民主党所属の現職連邦下院議員だったピーター・ウェルチが連邦上院議員選挙への出馬を決めたことで空席となった議席のために、共和党のリアム・マデン、リバータリアン党のエリカ・ルディック、その他3名の無所属候補を破った。

今年3月、バリントは本誌『ザ・ヒル』誌の「チェンジング・アメリカ」で、ゲイであることを公表した。そして、彼女の生活体験を反LGBT関連法で矮小化しようとする同僚と自分のアイデンティティーのバランスをどうとるかについて語った。

バリントは「チェンジング・アメリカ」の中で次のように語った。「私は、民主政治体制が当たり前にあるものだと漫然と考えてはいけないということを、家族の中で強く意識して育った。議会でも、教師時代でも、地域社会の一員としても、憎しみが定着しないように、またお互いを単純に見ないようにするために、顔を出して人々と厳しい話し合いをしなければならないと、いつも同僚を励ましきた」。

(6)アンナ・パウリナ・ルナ(Anna Paulina Luna

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共和党所属のアンナ・パウリナ・ルナは火曜日、フロリダ州連邦下院第13選挙区で議席を青から赤に染め直すことに成功した。

ルナはフロリダ州初のメキシコ系アメリカ人女性の連邦下院議員となり、連邦下院で共和党が議席を伸ばすことに貢献した。彼女はフロリダ州選出の12名のラティーノ系連邦議員に参加することになる。そのうちの10名はキューバ系、1名はプエルトリコ系、1名はエクアドル系である。

ルナはオバマ大統領の補佐官を務めたエリック・リンとの接戦を制した。ルナは、保守派のスターである、マット・ギーツ連邦下院議員(フロリダ州選出)とローレン・ボバート連邦下院議員(コロラド州選出)、「トーキング・ポインツ・USA」創設者チャーリー・カークから支持を受けた。

(7)ジェイムズ・ローズナー(James Roesener
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民主党所属のジェイムズ・ローズナーは、トランスジェンダーの男性として初めて州議会議員に選出された。ローズナーは、ニューハンプシャー州連邦下院第22選挙区第8地区を代表する。

ローズナーは、記録的な数のトランスジェンダーおよびノンバイナリーの候補者の一人であった。彼らの立候補は、全米で反LGBTQの法案が相次いで提出された時期に行われた。

「ヴィクトリー・ファンド」によると、トランスジェンダーであることを公表している州議会議員は全米で8名しかおらず、トランスジェンダーであることを公表している男性もわずか6名しか当選していない。

ヴィクトリー・ファンドの社長兼CEOであるアニス・パーカーは声明の中で次のように述べた。「トランスの人々、特にトランス男性は、あらゆるレヴェルの政府において、依然として深刻な存在感の欠如の状態にある。彼の勝利によって、より多くのトランスの人々が選挙に出馬するきっかけになると確信している。政府や社会のあらゆるレヴェルでトランスフォビア(嫌悪)が激化している今、ローズナーは歴史的な選挙戦を通じて信じられないほどの勇気を示した」。

(8)アンソニー・ブラウン(Anthony Brown

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メリーランド州で長年の政治家を務めてきたアンソニー・ブラウンが、州史上初のアフリカ系アメリカ人州司法長官に就任することが決定した。

メリーランド州連邦下院第5選挙区の代表(連邦下院議員)を務めたブラウンは、これまでメリーランド州副知事、州議会議員を務め、2014年に州知事選に出馬した。

ブラウンは極右の共和党候補者マイケル・ペロウトカとの選挙で勝利が有力視されていた。『ボルティモア・サン』紙によると、メリーランド州では1919年以以降、共和党所属の人物が州司法長官に選ばれたことはない。

ブラウンは、州司法長官事務局の公民権部門を拡大し、中絶の権利を守り、銃による暴力を減らすために努力すると述べた。

ブラウンは2日、2000人以上を前にした勝利宣言で、州司法長官に選ばれたことは「名誉であり責任を感じている」と述べた。

(9)サマー・リー(Summer Lee
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火曜日、民主党所属のサマー・リーはペンシルヴァニア州初の女性連邦議員となった。彼女はペンシルヴァニア州連邦下院第12選挙区を代表することになる。

アメリカ・イスラエル公共問題委員会の政治活動委員会(PAC)である「ザ・ユナイテッド・デモクラシー・プロジェクト」がリーの相手である共和党候補者マイク・ドイルに選挙戦最終盤で資金を投入したが、サマー・リーが勝利を収めた。この動きは連邦議会の他の進歩主義派の議員たちから大きな怒りを引き出した。

リーは、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、アイアナ・プレスリー連邦下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出、無所属)といった進歩主義派の議員たちから支持を受けた。リーは宣誓就任すれば、「スクアッド」の最新のメンバーとなるだろう。

(10)デリア・ラミレス(Delia Ramirez

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デリア・ラミレスは、イリノイ州連邦下院第3区を代表することになる。中西部の州から選出された初のラティーナ(ラティーノの女性形)系議員として歴史に名を刻む。

移民の両親の娘であるラミレスはキャリアを通じて、公共サーヴィスの指導的なポジションに就いていた。

ラミレスの勝利は、2020年の区割りで、この地区の有権者攻勢で圧倒的にヒスパニック系が多くなったことを受けたものだ。彼女は共和党のジャスティン・ブラウを破った。

ラミレスは火曜日に支持者たちを前にして、「私たちは今夜歴史を作った。私たちはガラスの天井を打ち破った」と語った。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカでは中間選挙が終わり、連邦上院では民主党が過半数を確保し、連邦下院では共和党が過半数を確保することになった。事前の予想に比べて、民主党が大善戦したということになるが、連邦下院で過半数を失ったことで、ジョー・バイデン政権の政権運営は難しくなる。

 民主党の中には「スクアッド(the Squad)」と呼ばれる進歩主義派の若手議員たちがいる。その代表格がニューヨーク州選出のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員だ。この議員たちも今回の選挙で楽々と再選を決めた。スクアッドの議員たちは、「ジャスティス・デモクラッツ(Justice Democrats)」という進歩主義的な議員たちの増加を目指す政治行動委員会(PAC)からの支援を受けている。このPACの支援を受けて、今回複数の新人が初当選を果たした。進歩主義派の議員たちは民主党エスタブリッシュメント派と同調せずに、たとえ民主党の出した法案であっても、バイデン大統領肝いりの政策であっても、反対する場合がある。エスタブリッシュメント派にとっては目の上のたんこぶのような存在だ。

今回の中間選挙では、ニューヨーク州の連邦下院議員選挙で4つの選挙区で共和党が民主党から議席を奪取した。州知事選挙では、クオモ前知事がスキャンダルのために辞任して、副知事から昇格した現職のキャシー・ホーチュルが得票率約52%で勝利した。これは、最近の選挙結果から見れば、民主党側にとっては大苦戦ということになった。2016年の大統領選挙では民主党候補のヒラリー・クリントンが得票率約59%で勝利、2018年の州知事選挙では当時現職だったアンドリュー・クオモが得票率約59%で勝利、2020年の大統領選挙ではジョー・バイデンが得票率約60%で勝利を収めた。共和党側が支持を伸ばし、民主党は大事な地盤であるニューヨーク州で負けたということになる。
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2020年に比べて共和党が支持を伸ばした

この結果を受けて、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員はニューヨーク州民主党指導部を批判し、委員長の辞任を要求した。これに対して、エスタブリッシュメント派である指導部は「あなたは選挙のために何もしなかったではないか」と反撃するということになった。アレクサンドリア・オカシオ=コルテスは全米的に人気を誇る議員であるが、民主党エスタブリッシュメント派からは嫌われている。

 今回、民主党は予想よりも大きく負けなかったということで、民主党が勝ったようなものだという雰囲気が醸し出されているが、足元のニューヨーク州で負けているというのは深刻な事態である。2024年の大統領選挙と連邦議会選挙に向けて、民主党は立て直しを図らねばならないが、党内融和と協力体制を作るところからということになる。しかし、それが困難なほどに党内での分裂は厳しいものがある。

(貼り付けはじめ)

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自身の選挙で落選した民主党の選挙対策委員長がオカシオ=コルテスを非難:「彼女はニューヨーク州の各選挙区での民主党候補の勝利にほぼ何も貢献しなかった」(Ousted Dem campaign chair blasts Ocasio-Cortez: ‘She had almost nothing to do’ with our wins

ジュリア・シャピロ筆

2022年11月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3730516-ousted-dem-campaign-chair-blasts-ocasio-cortez-she-had-almost-nothing-to-do-with-our-wins/

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)がニューヨーク州で民主党が敗北を喫したことに民主党指導部の責任を追及したことを受けて、連邦下院民主党選挙対策委員会委員長シーン・パトリック・マロニー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)はオカシオ=コルテスを非難した。

マロニー議員は『ニューヨーク・タイムズ』紙の取材に対して次のように述べた。「はっきりさせておきたい。民主党が過半数を維持するための歴史的な防衛戦において、彼女はほぼ何も貢献しなかった。「党の選挙資金をびた一文負担しなかった。彼女からの資金など望まなかった最前線に立つ候補者たちに資金を押し付けること以外には何もしなかった」。
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火曜日の中間選挙の投開票の結果、ニューヨーク州が右傾化したことが明らかになったことを受け、オカシオ=コルテスは水曜日にニューヨーク州民主党指導部を批判した。共和党は、ニューヨーク州全体で、民主党が保持していた4議席を奪取した。その中にはマロニー自身の議席も含まれていた。

オカシオ=コルテスは特に、ニューヨーク州民主党委員会委員長ジェイ・ジェイコブスの辞任を求めた。

しかしながら、マロニーはニューヨーク州選出の連邦下院議員であるオカシオ=コルテスに反撃し、中間選挙における彼女の支援のレヴェルについて疑義を呈した。

マロニーは「民主党が今回の中間選挙において連邦下院で過半数を維持するために、彼女は1分も時間を使わなかった。彼女がどのようなアドヴァイスを持っているかは分からないが、きっと惜しみなくアドヴァイスを与えてくれるだろう」と語っている。

オカシオ=コルテスは木曜日の夜、マロニーが彼女の選挙運動を無視していると主張し、反論した。

このような状況下、オカシオ=コルテスは、「マロニーは私に接戦の選挙を戦っている各民主党陣営に寄付を呼びかけた。私がこの選挙戦で行った最初のことは寄付だった」とツイッターで述べた。彼女は続けて「今回の選挙で25万ドル以上を民主党に寄付し、民主党連邦議会選挙対策委員会(DCCC)の資金集めを促進したのに、彼はそれを否定している。もし彼が、私のカリフォルニア訪問や私たちの努力を知らないのなら、それは彼の責任だ」と書いた。

連邦下院民主党は、中間選挙で共和党の「赤い波(red wave)」を退け、大敗するという予測を覆した。しかし、共和党が連邦下院を支配する可能性は依然として高いと見られている。

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オカシオ=コルテスが中間選挙の結果に関してニューヨーク州民主党指導部を非難(Ocasio-Cortez slams NY Democratic Party leadership over election results

ミカエル・シュニール筆

2022年11月9日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/3727383-ocasio-cortez-slams-ny-democratic-party-leadership-over-election-results/

アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は水曜日、中間選挙の結果でニューヨーク州が右傾化したこと(共和党が勢力を伸ばしたこと)を受け、ニューヨーク州民主党指導部を非難し、委員長の辞任を要求した。

オカシオ=コルテスはツイッター上で次のように書いた。「ニューヨーク州民主党指導部は、前ニューヨーク州知事アンドリュー・クオモ(民主党)の下で骨抜きにされ、ロビイストを詰め込み、共和党を後押しするために働き、ニューヨーク州の再編成を守るための基本的な州投票法案を通せなかった、説明責任を果たすべきだ」。

オカシオ=コルテスは「私は1年前にジェイ・ジェイコブスの辞任を要求し、今もその立場を変えていない」とニューヨーク州民主党の会長に言及した。

オカシオ=コルテスは、ニューヨーク・タイムズ紙が発表した、今年のニューヨーク州知事選挙の得票と2020年の大統領選挙での得票を比較したグラフィックに反応した。ニューヨーク・タイムズによると、今年のニューヨーク州の投票はより共和党にシフトしたということだ。

しかしながら、ニューヨーク州知事キャシー・ホーチュル(民主党)は、リー・ゼルディン連邦下院議員(ニューヨーク州選出、共和党)の挑戦を退け、セクハラ疑惑で辞任したクオモの後に就任したニューヨーク州知事として初めて完全な任期を確保した。

その後のツイートでオカシオ・コルテスは、ジェイコブスが元KKK指導者のデイヴィッド・デュークを含めた類推を行ったことで炎上した事件を詳細に伝える2021年10月の記事のリンクを掲載した。

2021年10月、ジェイコブスは、候補者が予備選に勝ったからといって党が支持する必要はないと主張し、デイヴィッド・デュークがニューヨーク州の民主党予備選挙で勝利するという「シナリオ」を提示した。

オカシオ=コルテスは次のように書いている。「民主党の議席を守るはずだった投票法案の惨敗に党を導いた後、委員長(ジェイコブス)は民主党候補となったアフリカ系アメリカ人女性をKKKと比較した。それなのに彼は守られたのだ。昨夜の劣勢はその決定の結果だ」。

そして、3つ目のメッセージで、オカシオ=コルテスは、「昨晩のニューヨーク州での民主党の劣勢は、パフォーマンス、戦略、そして組織化よりも、石灰化したマシーン政治とコネや優遇を優先してきた長年の証しである」と述べた。

オカシオ=コルテスは、党委員長ジェイコブスは「去らねばならない」と述べ、「そして私たちはコミュニティのリーダーシップと小さな民主政治体制をより大切にするために党を再編成しなければならない」と付け加えた。

本誌はジェイコブスにコメントを求めた。

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「スクアッド」のメンバー議員たちが順調に再選を決める(‘Squad’ members cruise to reelection

ザック・ションフェルド筆

2022年11月8日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3726475-squad-members-cruise-to-re-election/

火曜日の中間選挙で、「スクアッド」と呼ばれる6人の進歩主義的な連峰下院議員のグループが、全員再選を果たすと予測されている。

様々な報道機関が、これらの民主党の連邦下院議員の当選を報じている。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス(ニューヨーク州選出)、イルハン・オマル(ミネソタ州選出)、アイアナ・プレスリー(マサチューセッツ州選出)、ラシダ・タリブ(ミシガン州選出)、コリ・ブッシュ(モンタナ州選出)、ジャマール・ボウマン(ニューヨーク州選出)がスクアッドのメンバーである。
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しかしながら、全ての議員が2020年の大統領選挙でジョー・バイデン大統領がトランプに対して得票率で2桁の差をつけた選挙区の出身なので、彼らの勝利は驚くに値しない。

オカシオ=コルテス、オマル、プレスリー、タリブの4人は、2018年の選挙で初当選した後、1年生議員グループとして注目され、ソーシャルメディアで多くのフォロワーを獲得した。

「ニューヨーク州第14選挙区を代表する連邦下院議員という大きな責任を私に託してくれた、コミュニティのメンバー全てと草の根の支援者に感謝します」とオカシオ=コルテスはツイートした。彼女は続けて「私たちは毎回、少ない選挙資金で選挙運動をやっています。新しい種類の統治を可能にしてくれる皆さんには、感謝の念を抱き続けています」と書いた。

上記の4人に2020年の選挙で当選したブッシュとボウマンがメンバーに加わった。

6人の連邦下院議員はいずれも比較的若く、党のエスタブリッシュメント派には同調しないという意志を示している。

彼らは、バイデン大統領や多くの民主党連邦議員が中間選挙までの数カ月の間に繰り返し宣伝した主要法案である超党派インフラ法に反対票を投じた唯一の民主党連邦議員グループになった。

連邦下院民主党が9月に上程する予定だった警察・治安関連4法案について、そのうちの1法案に「説明責任方策」が欠けているとして、スクアッドのメンバーたちは審議を延期させる事態を招いた。

このグループのメンバーの中にはブッシュやタリブなど、予備選挙でより穏健な候補者からの挑戦に直面したメンバーもいた。現職議員の2人は民主党の予備選挙で楽に勝利した。

タリブは次のようにツイートした。「ヴォランティアの皆さん、人々の投票する権利を守ってくださったこと、ありがとうございます。十分な配慮をしてくださってありがとうございます。喜びと愛を持って活動してくださってありがとうございます。今夜、私たちは、私たちのコミュニティが美しく、力強いものであることを人々に示すでしょう。私たちは沈黙するつもりはありません」。

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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカ中間選挙が終わった。現在のところ、いくつかの州や選挙区で結果が確定していないが、連邦下院では共和党が過半数を奪取し、連邦上院では民主党が過半数を保持する可能性が高い。ジョー・バイデン政権発足から2年間、ホワイトハウスと連邦上下両院の過半数を民主党が保持するという状態が続いてきたが、連邦下院は共和党が握るということになりそうだ。

 今回の中間選挙において、ドナルド・トランプ前大統領が支持した候補者たちが150名上連邦議員に当選した。トランプのスローガンは、「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」と「アメリカ・ファースト(America First)」である。トランプの外交政策の基本は「アイソレイショニズム(Isolationism、国内問題解決優先主義)」とも言われるが、これは簡単に言えば、「アメリカの国内問題解決に集中しよう、海外の問題は海外に任せておけばよい」ということになる。トランプ支持を鮮明にしている連邦議員たちはこれまで、連邦議会においてウクライナへの軍事支援に対して反対票を投じている。民主党側では、進歩主義派の議員たちが反対票を投じている。

 トランプとウクライナの関係で言えば、トランプが大統領在任中に、ウクライナと当時のジョー・バイデン副大統領と息子ハンター・バイデンの関係、スキャンダルについて、ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領に対して捜査を行うように要請し、それをゼレンスキーが拒絶したということが思い起こされる。ハンター・バイデンがほとんど何も仕事をしていないのに多額の報酬をウクライナのエネルギー企業から受け取っていたことがアメリカ国内でも報じられていたが、その本丸はバイデン副大統領(当時)とウクライナの関係である。はっきり言えば、ウクライナの中立政策(EUとロシアの間でどちらにも肩入れしすぎない)を放棄させ、ロシアの危機感を煽り、ウクライナとの間で紛争を引き起こさせることになった。

 トランプ派が多く連邦議員に当選したことで、バイデン政権は政権運営に苦慮することになる。特にウクライナ問題に関しては、お手盛りの軍事支援が難しくなることが予想される。ウクライナ側としては攻勢を続けている状況ではあるが、これはアメリカの手厚い支援があってこそである。トランプ派が増えればアメリカからの支援が削られることになる可能性がある。そこで、「良識派(トランプ派ではない、エスタブリッシュメント派)が多く当選して欲しい」というのがウクライナ側の本音ということになる。

 アメリカの支援が先細りということになれば、停戦交渉が実施され、現状が固定される可能性がある。ロシアとしては守備を固めてウクライナ側の攻勢を迎え撃つという戦略になる。ロシアとしてはそのような状態になることを待つということになるだろう。アメリカの中間選挙の結果がウクライナ戦争にも影響を与えることになる。

(貼り付けはじめ)

トランプ氏の通話記録を公表 ウクライナにバイデン氏捜査を働きかけ

2019926日 BBC日本語版

https://www.bbc.com/japanese/49834824

トランプ氏は「就任の誓いと憲法と安全保障を裏切った」 ペロシ下院議長

アメリカのドナルド・トランプ大統領が、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領に対し、政敵について捜査するよう働きかけていたことが、25日にホワイトハウスが公表した通話記録で明らかになった。野党・民主党からは、政敵潰しのために外交を利用したと批判が上がっている。

公表された通話記録によると、トランプ大統領はゼレンスキー大統領に対し、ジョー・バイデン前副大統領とその息子のウクライナでの活動について捜査するよう促していた。

バイデン前副大統領は、来年の大統領選で民主党候補に選ばれる可能性がある。

民主党は24日、このウクライナ疑惑をめぐり、弾劾調査を正式に開始すると発表していた。

「協力をしてくれるとありがたい」

公表された通話記録によると、トランプ氏はゼレンスキー氏との電話で、ウクライナのヴィクトール・ショーキン検事総長の解任について話し合った。

トランプ氏は、「ウクライナには非常に優秀な検事総長がいたのに、解任されたと聞いた。本当に不公平だ」、「ウクライナの非常に優秀な検事総長の解任方法についてや、非常に悪い人間が複数関与していたと、多くの人がうわさしている」と述べたという。

さらに、「それからもうひとつ、バイデンが(自分の息子の)捜査を止めさせたなどといった、バイデンの息子に関するうわさがたくさんある。多くの人が何があったのか知りたがっている。あなた(ゼレンスキー氏)がアメリカの司法長官と何らかの協力をしてくれるとありがたい」と続け、ウィリアム・バー米司法長官やルドルフ・ジュリアーニ米大統領顧問弁護士と連携して捜査するよう要請したという。

「バイデンは息子の捜査を止めたと自慢して回っていたので、調べてもらえれば。(中略)私にはひどい話に思える」と述べたトランプ氏に対し、「われわれはこの件の捜査に取り組む方針だ」とゼレンスキー氏は答えたという。

ゼレンスキー氏は、過去にアメリカを訪問した際、ニューヨークのトランプ・タワーに滞在したと伝え、トランプ大統領に感謝を述べた。

援助の重要性を強調

通話記録ではまた、トランプ氏がゼレンスキー氏に対し、軍事支援の実行はバイデン氏に関する捜査次第だとは明言していないことも明らかになった。

しかし、バイデン氏について言及する前に、トランプ氏はこう述べて、アメリカからの援助の重要性を強調していた。

「われわれは、ウクライナのために多くのことをしている」

ゼレンスキー大統領との電話の数日前、トランプ氏はウクライナへの39100万ドル(約420億円)の軍事支援を延期した。

トランプ氏は、ゼレンスキー氏に圧力をかけるためのものではなかったとしている。

「米史上最大の魔女狩り」

トランプ大統領はツイッターで、「完全に機密解除された未編集の通話記録」を25日に公表すると約束していた。しかし、ホワイトハウスが25日朝に公表したのは、政府職員が会話の内容を聞いて書き起こした文書だった。

トランプ大統領は25日朝、米ニューヨークで開かれた国連総会に出席。弾劾調査は「アメリカ史上唯一最大の魔女狩り」だと反発し、7月の電話はなんでもない内容だったと述べた。

一方、トランプ氏と共に国連総会に出席したゼレンスキー氏は記者団に対し、「われわれが電話でいい協議をしたということが、あなた方にもわかっただろう。普通の電話だった。さまざまなことを話し合った。誰も私に圧力をかけていなかったことが、通話記録を読んで分かったと思うが」と述べた。

「言い換えれば、圧力はなかった」と、トランプ氏は口を挟んだ。

一方、米下院情報委員会のアダム・シフ委員長(民主党、カリフォルニア州選出)は、記者団に対し、通話記録を見れば「古典的なマフィアがやるようなゆすり」があったと分かると述べた。

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キエフは中間選挙で共和党の「良心派が勝利する」ことを希望しているようだ(Kyiv Is Hoping the Republican Party’s Better Angels Prevail in the U.S. Midterms

-共和党の親トランプ派は少数派だが声は大きい。彼らはアメリカによるウクライナ支援に公然と疑問を呈している。

エイミー・マキノン筆

2022年10月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/10/14/ukraine-military-aid-midterms-republicans-gop-trump/?tpcc=recirc_latest062921

「党派間で消耗するだけの議論をするべきではない分野が存在する(Politics stops at the water’s edge)」、あるいは1947年、連邦上院外交委員会委員長だったアーサー・バンデンバーグ連邦上院議員(当時)が初めてそう発言したとき、そうであったかもしれない。しかし、近年、党派政治(partisan politics)がアメリカの外交政策に益々影響を及ぼしているため、来月の中間選挙では、ロシアとの戦いが冬に突入する中、アメリカのウクライナ支援に選挙がどのように影響するかが懸念されている。

連邦下院では共和党が過半数を奪還するとの予測が大勢を占めており、連邦上院の行方は依然不透明である。共和党の主流派は開戦以来、超党派でキエフを強く支持してきたが、ドナルド・トランプ前米大統領と連携する議員たちや、フォックスニューズなど右派のエコーチャンバー(反響室現象)の有力なコメンテーターたちは、ワシントンによる軍事援助の程度に疑問を呈し始めている。

ウクライナを更に武装化するという決定は、海外介入をためらわないタカ派のエスタブリッシュメント保守派と、トランプ政権で目立つようになったアイソレーショニストの合唱の間で共和党内で深まる亀裂の上に描かれている。

連邦下院軍事委員会委員長である民主党所属のアダム・スミス連邦議員は、「ウクライナを強く支持し、政権にもっと努力してほしいと思っている共和党議員たちはたくさんいる」と述べた。

しかし、共和党員、民主党員、そしてウクライナ人の間には、声の大きい少数派に圧倒されてしまうのではないか、という不安が忍び寄るようになった。5月には共和党所属の連邦下院議員57名と連邦上院議員11名が400億ドルのウクライナ支援策に反対票を投じ、極右議員を代表する議員連盟である「連邦下院フリーダム・コーカス」のメンバー数名もウクライナへの追加支援に明確に反対を表明している。8月には、メキシコとの国境に壁を建設するまでウクライナにこれ以上連邦資金を送らないよう求める法案を、フリーダム・こーカスのメンバーが共同提案した。

アトランティック・カウンシルのユーラシア・センター副所長のメリンダ・ヘリングは、「アメリカ第一を主張するアイソレイショニズム(America First isolationism)を信じるこれらの声は、全ての主要右翼メディアを支配している。彼らは最も騒がしく、最も声が大きく、最も注目されている」と述べた。

2月24日にロシアがウクライナに侵攻した日以来、影響力の強いフォックスニューズの司会者タッカー・カールソンなどは、この戦争をバイデン政権の失敗、2016年の大統領選挙に対するロシアの干渉に復讐するための努力として描いてきた。時には、カールソンは戦争に関するロシアの論調に同調している。

他の保守系論客たちは、カールソンらが共和党全体に及ぼした影響を否定した。アメリカン・エンタープライズ研究所の外交・防衛担当上級研究員ダニエル・プレトカは、「マット・ゲーツ連邦下院議員やタッカー・カールソンを引き合いに出すのは、いつでも背後に何らかの意図があるように聞こえる」と述べた。プレトカは、連邦上下両院の共和党幹部がいずれも、ウクライナへの支援を強化するよう政権に働きかけていると指摘した。

この件について匿名を条件に取材に応じたある共和党所属の連邦議会補佐官は「フォックスニューズのコメンテーターたちの影響については、多くのことが誇張されていると思う」と述べた。この補佐官は、軍事援助に関する共和党の懸念は、主に予算計上をめぐる官僚的な争いや、重火器をウクライナ軍の手に早く渡したいという思惑が中心になっていると指摘した。9月下旬の連邦上院議会での演説で、連邦上院少数派(共和党)院内総務のミッチ・マコーネル連邦上院議員は、バイデン政権に対し、ウクライナへの武器納入を早めるよう促した。

この補佐官は加えて、「ウクライナへの資金提供に対するもう1つの逡巡は、ウクライナそのものというよりも、バイデン政権が外国のパートナーに提供される非常に大きな金額の資金に対する適切な監督と説明責任を果たしていないことだ」と述べた。

バイデン政権のウクライナへの軍事援助の扱い方に対する共和党の批判にはほとんど中身がないとの見方もある。前述のヘリングは「バイデン政権に対する共和党の批判は、ウクライナに関してはナンセンスだ。私はこれまで共和党員であるが、ウクライナの専門家としてこのように断言する」と述べている。

しかし、2020年の大統領選は不正選挙であったという主張を軸に党が結束していることからも明らかなように、党の周辺にある意見が近年、主流派に移行する可能性があることを証明されている。11月の選挙に立候補した共和党の候補者の大多数は、投票結果に疑問を呈し、あるいは否定している。

スミスは「その小さな集団が、ケビン・マッカーシー連邦下院議員の選択する方向性に不釣り合いなほどの影響を及ぼしていることは確かだ」と述べた。

各種世論調査では、共和党支持の有権者の間で、アメリカのウクライナ支援に対する疲労感が高まっていることが既に明らかになっている。「モーニング・コンサルト」社が月曜日に発表した世論調査によると、「アメリカにはウクライナをロシアから守り抜く責任がある」と考える共和党員はわずか32%、民主党員の58%であった。へリングは「共和党の主流派は、ワシントンやニューヨークを離れ、アメリカ人と話をする義務があると思う。「そして、何故ウクライナを支援することがアメリカの国益に適うのかを説明する必要がある」と述べた。

キール世界経済研究所のウクライナ支援トラッカーによると、1月から10月の間に、アメリカは268億ドルの軍事支援を約束し、第2位のイギリスの数倍を提供した。

キエフへの米軍援助が削減されれば、ウクライナに存亡の危機をもたらすことになる。

ウクライナの独立した防衛反汚職委員会NAKO事務局長オレナ・トレグブは「ウクライナの人々はウクライナへの支援は超党派の問題であると信じている」と語っている。

オレナ・トレグブは続けて次のように述べた。「しかし、ここウクライナでは、ドナルド・トランプやタッカー・カールソンの発言に強い反発がある。これらはウクライナ人にとって本当に衝撃的な発言であり、ロシアのプロパガンダがどうしてこれほどまでにアメリカの共和党に浸透しているのか、ウクライナ人は困惑している」。

エイミー・マキノン:『フォーリン・ポリシー』誌国家安全保障・諜報分野担当記者。ツイッターアカウント:@ak_mack

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 アメリカの中間選挙(Midterm elections)が近づいてきた。連邦下院の全議席、連邦上院の一部、州知事の一部の選挙が実施される。現在のところ、連邦下院では共和党の過半数が確実、連邦上院では共和党が過半数を獲得できるかどうか微妙な状況となっている。以下の図の通りだ。

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連邦上院の状況
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連邦下院の状況

 今回の全国規模の選挙は「中間」という名前がついている通り、大統領選挙と大統領選挙の間に行われ、現職の大統領に対する「評価」がなされる選挙である。大統領選挙を期末試験と考えると、中間選挙は中間テストということになる。アメリカでも日本と同様にエネルギー価格と食料価格の高騰により、生活が苦しい人々が多く出ており、経済問題が選挙の焦点となっている。

 それ以外にも、今回の中間選挙には2024年の大統領選挙の前哨戦として、いくつかの重要なテーマが存在する。それらは、(1)民主党はラティーノ系有権者の支持を確保できるか、(2)ドナルド・トランプ前大統領以外の有力な大統領選挙候補者は出てくるか、(3)トランプはどれくらい躍進するか、(4)2016年にトランプを当選に導いたブルーカラー、労働者たちの支持はどこに向かうか、である。そして、2016年、2020年の大統領選挙で激戦州となった、フロリダ州、ジョージア州、ペンシルヴァニア州、オハイオ州、ウィスコンシン州、ネヴァダ州、アリゾナ州が焦点となる。これら、選挙の結果が大きく変わるパープルステイト(共和党の赤色と民主党の青色が混ざって紫となり、激戦であることを示す言葉)、スイングステイトに注目が集まる。

 今回の選挙戦では共和党予備選挙の段階で、トランプ前大統領が支持する候補者が躍進し、共和党のエスタブリッシュメント、主流派は戦々恐々としている。トランプ派はマイノリティではなく、共和党で大きな勢力となる。2024年の大統領選挙にトランプ前大統領が出馬するのか、もしくは彼が支援する候補者が出るのかということは大きな焦点となる。連邦議会の上下両院で過半数を獲得することになれば、共和党はジョー・バイデン政権と共和党に対してより対決的な姿勢で臨むことになるだろう。バイデン政権の政権運営は厳しいものとなる。

 民主党側では、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ―モント州選出)やアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出)が率いる進歩主義派の「ジャスティス・デモクラッツ」は勢力を少し拡大しそうであるが、トランプ派のように民主党を動かすほどにはならないだろう。民主党はホワイトハウスを抑え、連邦議会上下両院で過半数を占める与党であるが守勢となっている。大型の財政出動を行おうとしてきたが、党内に「ブルードック」と呼ばれる財政規律重視派を抱え、それもうまくいっていない。現状ではなかなか厳しい結果となるであろう。

 バイデン政権1期目後半の政権運営が厳しいものとなる場合、人々の関心を国内から国外に向けるために、外交と防衛分野で何かしら大きなことを起こそうとするだろう。その相手となるのは、中国とロシアということになる。しかし、ここで舵取りを間違うと、世界大戦を引き起こすということにもなりかねない。バイデンが次の2024年に大統領選挙に出馬できるかどうも焦点となる。これから注目である。

(貼り付けはじめ)

今回の中間選挙の5つの選挙戦が2024年の選挙とそれ以降に対する教訓となるだろう(Five midterm races that will hold big lessons for 2024 and beyond

ナイオール・スタンジ筆

2022年11月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3713192-five-midterm-races-that-will-hold-big-lessons-for-2024-and-beyond/

選挙の投開票日まであと1週間となり、連邦上院の熾烈な争いの中でも、最も緊迫した複数のレースに注目が集まっている。

しかし、いくつかの選挙戦は、アメリカ政治の現状を知る上で重要なスナップショットを提供したり、2024年以降への教訓を提供したりと、別の意味でも重要である。

これからいくつかの重要な一対一の選挙戦について見ていく。

(1)ネヴァダ州とラティーノ系有権者たちの争奪戦(Nevada and the battle for Latino voters
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ネヴァダ州は、共和党が民主党から連邦上院の議席を奪う最大のチャンスとなる州だ。

現職のキャサリン・コルテス・マスト連邦上院議員(民主党)は、決して安泰とは言えない。最近の各種世論調査では、共和党の挑戦者であるアダム・ラクサルトがわずかに優勢となっている。月曜日の午後に発表されたリアル・クリア・ポリティックス(RealClearPoliticsRCP)の平均では、ラクサルトが1ポイントリードしているという状況だ。

レースがどちらの道に進むにせよ、政治の専門家たちは、ラティーノ系有権者たちの間での民主党支持の更なる低下、あるいは安定化の兆候を探るために、この結果に注目するだろう。

民主党は既に、フロリダ州南部やテキサス州のリオグランデヴァレーなど、国内の他の地域でラティーノ系支持の低下の兆しが見られることを懸念している。

コルテス・マストはアメリカ史上初のラティーノ系上院議員で、彼女の公約には包括的な移民制度改革への強い支持が含まれている。

祖父が連邦上院議員やネヴァダ州知事を務めたラクサルトは、共和党のテレビ広告で「国境の混乱(boarder chaos)」と称し、コルテス・マスト議員やバイデン大統領を非難している。

ラクサルトは、スペイン語の広告や「Latinos Con Laxalt」のイヴェントなど、ラティーノ系有権者たちに対して激しい支持獲得競争を行っている。彼は、「ラティーノ系有権者は経済成長と機会という共和党の公約に応えている」と主張する。

それでもコルテス・マストはラティーノ系有権者のほとんどを獲得するはずだが、ラティーノ系有権者の間での両者の獲得支持の差は極めて重要となるだろう。

過去2人の民主党大統領候補、2020年のバイデンと2016年のヒラリー・クリントンは、出口調査によると、ネヴァダ州でのラティーノ系有権者の支持率で、それぞれ26ポイント、31ポイント差をつけていた。

もしコルテス・マストがこれよりずっと小さい差しかつけられなければ、おそらく彼女にとって破滅を意味し、全米の民主党議員に混乱を引き起こすことになる。

(2)フロリダ州とデサンティスの2024年の希望(Florida and DeSantis’s 2024 hopes
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理論的には、フロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)は厳しい再選キャンペーンに直面していたかもしれない。

知事は様々な問題でリベラル派を激怒させ、最近の最も爆発的な例は、彼が組織したマサチューセッツ州マーサズ・ヴィンヤードへの移民を送る飛行機便だ。

デサンティスは学校での性教育の制限を定める法律を支持したが、それは別の批判を生み出した。デサンティスとバイデンはまた、新型コロナウイルス感染拡大をめぐって激しく対立した。

こうした状況にもかかわらず、デサンティスは民主党の対立候補であるチャーリー・クリスト前連邦下院議員を大きく引き離している。

クリストは元知事で、元共和党員だが、リアル・クリア・ポリティックスの平均ではデサンティスが12ポイント以上リードしている。

現職知事のデサンティスが圧勝すれば、2024年の大統領選挙への立候補の憶測が高まっている中、手ごたえを感じることになる。

デサンティスは、共和党の大統領選挙予備選挙でドナルド・トランプ元大統領に一矢報いることができる唯一の共和党員との見方が広がっている。トランプが出馬を見送った場合、デサンティスは即座に最有力候補に躍り出ることになるだろう。

フロリダ州は共和党優勢に傾き始めてはいるが民主党との差は僅かでしかない。2018年の州知事選挙でデサンティスは1ポイント以下の差で初当選し、2020年にはトランプがバイデンにおよそ3ポイント差をつけてフロリダ州を制した。

その中で、デサンティスが得票率で2桁の差をつけて勝利を収めれば、彼は2024年に全米で最も選挙に強い共和党員であると主張する上でそれを証明する強力なデータとなる。

デサンティスの強さを考えれば、デサンティスとトランプの間に緊張が高まるのは当然だ。

トランプは選挙の投開票日直前、2日前の11月6日にマイアミで集会を開く予定だ。民主党のヴァル・デミングス連邦下院議員が候補者になっている、連邦上院議員選挙において、再選を果たすと予想されるマルコ・ルビオ連邦上院議員(フロリダ州選出)もトランプ主催の集会に出席する予定だ。

複数のメディアは、デサンティスはこの集会に招待されていないと報じている。

(3)アリゾナ州と2020年大統領選挙否定論(Arizona and election denialism
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民主党は今回の選挙で、特に2020年の大統領選挙における選挙不正の虚偽の主張と、扇動的な言葉を好むトランプを争点にしようとしてきた。

今のところ、少なくとも民主党の支持層を超えて、その主張が多くの有権者たちに浸透することはなさそうだ。

その代表例が、アリゾナ州の共和党知事候補であるカリ・レイクだ。

熱心なトランプ支持者であるレイクは、2020年の大統領選挙は違法であると繰り返し主張している。彼女はまた、今年初めの自身の共和党予備選が何らかの形で汚染されている可能性を示唆した。それは彼女の予備選挙での勝利が明らかになるまで続いた。レイク最終的に「私たちは不正に勝った」と宣言した。

10月中旬、ABCニュースのジョン・カールとのインタヴューで、レイクは今年の選挙の結果を受け入れるかどうかについて、ひどく曖昧な態度を示した。

レイクは、もし敗北した場合、自分の敗北を認めるかどうかについてカールに質問され、「公正、正直、透明である限り」認めると答えた。

それでもレイクは、リアル・クリア・ポリティックスの平均で民主党の対立候補であるケイティ・ホッブス州務長官に4ポイント近く差を付けてリードしている。

レイクがリードしているのは、共和党予備選挙で彼女を支持したトランプとの親密さと、元TVニュースキャスターで鍛えたメディアスキルに助けられているからだ。

何より重要なのは、アリゾナ州におけるバイデンの支持率が低調で、9月下旬のマリスト大学実施の世論調査では、登録有権者の39%が支持、54%が不支持という結果になったことだ。

レイクの勝利は、トランプとトランプ主義にとって大きな追い風となるだろう。

また、レイクが勝利することは、アメリカの民主政治体制の道筋を懸念する民主党員たちなどの血を凍らせる結果ということになるだろう。

(4)オハイオ州とブルーカラー有権者からの支持強化を求める民主党の探求(Ohio and Democrats’ quest to shore up blue-collar support
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民主党にとって今年の数少ない明るい話題は、ティム・ライアン連邦下院議員(民主党)が共和党のJD・ヴァンスとの連邦上院議員選挙で、多くのワシントン政治専門家たちの予想以上に競争力を発揮したオハイオ州だ。

オハイオ州は数十年にわたり民主党にとって先導指標であったが、近年は急激に共和党に傾倒している。トランプ大統領は2016年、2020年ともに同州を約8ポイント差で制した。

ライアンは、世論調査の平均値でヴァンスに23ポイント以上離されないでついていっている。

ライアンは、ヤングスタウンエリアでの自身の平凡なルーツを強調し、特に「警察から予算をはく奪せよ(Defund the Police)」 という有害なテーマについて、自身が所属する民主党の進歩主義的な要素との違いを明確にすることで戦ってきた。

ライアンは「バイデンは2024年に大統領選挙に再出馬すべきだとは考えていない」とも発言しているのが特徴的だ。

ライアンが直面している逆風を考えると、いずれも勝利を切り開くには十分ではないかもしれない。

現在、リアル・クリア・ポリティックスの平均では2ポイント差、データ・世論調査サイト「ファイヴサーティエイト(FiveThirtyEight)」では、ヴァンスの勝率は80%近くとされている。

ライアンに近い人々は、ミッチ・マコーネル連邦上院院内総務(共和党)とつながりのあるスーパーPACがヴァンスを支援するために約2800万ドルを費やしたにもかかわらず、全米民主党がライアンにより多くの資金援助をしなかったことを不満に思っている。

いずれにせよ、ライアンが勝つにしても負けるにしても、他の民主党員たちは、ライアンが労働者階級の有権者にどれだけ受け入れられるか、この結果を鋭く観察することになる。

もしライアンが好成績を収めれば、今後の選挙戦の雛形(テンプレイト)となる可能性がある。

(5)ミシガン州と中絶権をめぐる戦い(Michigan and the fight over abortion rights
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ミシガン州知事選挙は現在のところ民主党が神経を尖らせている選挙の1つとなっている。

現職のグレッチェン・ウィットマー知事(民主党)は、共和党の対立候補チューダー・ディクソンが10月初旬に2桁つけられていたリードを少しずつ縮めているのを目撃している。

リアル・クリア・ポリティックスの平均ではウィットマーが4.2ポイントの差をつけてリードしている。最近のある世論調査では同率という結果が出た。

両候補者間の最も顕著な対立点の1つは人工妊娠中絶である。

ウィットマーは中絶の権利を断固として擁護し、ディクソンはウィットマーと正反対だ。

現職知事ウィットマーはこの問題について生々しい言葉で語っている。大学時代にレイプされ、その結果として妊娠するのではないかという恐怖を感じたことを公然と語っている。また、中絶の権利を守るための戦いを、成人した自分の2人の娘に言及して語っている。

対照的に、ディクソンは、レイプや近親相姦の場合でも中絶に反対する立場を示しており、ウィットマーの立場を「極めて過激だ」と評している。

ミシガン州では、中絶の権利を明記する州憲法改正案「プロポーザル3」に対して有権者が意見を述べる機会があるため、中絶問題は特に顕著になる。

世論調査では、ミシガン州民の多くは中絶が広く合法とされることを望んでいる。中絶権活動家たちは、夏に、より保守的なカンザス州で、自分たちの側(中絶合法化)がほぼ同等の票を獲得したことに注目している。

もしウィットマー知事がミシガン州で圧勝すれば、中絶問題の有効性を証明することになる。

しかし、もしレースが拮抗し続けるか、あるいは彼女が敗れるなら、選挙結果から得られる教訓は全く異なるものになるだろう。

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これら5つの選挙戦が連邦上院の過半数をどちらが制するかを決定することになるだろう(These five races will determine the Senate majority

マックス・グリーンウッド、アル・ウィーヴァー筆

2022年10月31日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3712941-these-five-races-will-determine-the-senate-majority/

連邦上院議員選挙は、有権者が投票に向かうまで残り1週間しかなく、誰が勝ってもおかしくない状況だ。

共和党は現状から1議席増を確保すれば良い状況だ。国内環境がますます共和党寄りになっていて、ジョージア州とネヴァダ州で共和党がリードしているとの調査結果もあり、その扉を叩いている最中だ。「ファイヴサーティエイト(FiveThirtyEight)」の最新予測によると、過半数をめぐる戦いは「デッドヒート(dead heat)」状態になっており、最後の数日間は有権者を投票に向かわせるための最後の全力疾走でのスパートを両党が行っている。

連邦上院の過半数を決めることになるだろう5つの選挙戦をこれから見ていく。

(1)アリゾナ州(Arizona
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このリストにある5州のうち、民主党がマーク・ケリー連邦上院議員の議席を維持する可能性はまだ高いが、共和党のブレイク・マスターズがここ数週間でその差を縮めてきている。

ケリー議員は、再選を目指す民主党現職議員の中で最有力とされてきたが、8月初旬の予備選で共和党候補が浮上した後、2ヶ月近くマスターズに対してかなりのリードを保っていた。その多くは、民主党の圧倒的な資金調達作戦の結果、広告の猛攻を行ったおかげだ。

しかし、ここ数週間で状況は一変し、ほとんどの調査でケリーのリードは誤差の範囲に収まっている。その理由の多くは、激戦州でのレースが自然に接戦になることと、共和党の州知事選挙候補カリ・レイクの存在が上院議員選挙の結果に影響することの2つであるとあるストラティジストは語っている。

全国の連邦上院選挙に携わっている民主党のある幹部は、「ケリーが扉をこじ開けるとは思うが、誰もが予想するよりも選挙戦は極めて厳しい」と述べた。

アリゾナ在住のある共和党幹部は本誌の取材に対し、月曜日に出た『ニューヨーク・タイムズ』紙とシエナ・カレッジの共同世論調査は「現実的」だとしながらも、現時点でマスターズが2、3ポイントの差をは予想の範囲内であるとし、逆転の可能性の原動力はレイクでも述べた。

このストラティジストは「レイクとマスターズが協力しているのは間違いない。彼女はティーム全体をゴールまで引っ張ろうとしている」と述べている。

最新のリアル・クリア・ポリティックスの平均によると、州知事選挙でレイク(共和党)はアリゾナ州務長官ケイティ・ホッブス(民主党)を3.8%ポイントリードしている。同様に、現職の連邦上院議員ケリー(民主党)はマスターズ(共和党)を2.4ポイント差でリードしている。

(2)ジョージア州(Georgia
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ラファエル・ウォーノック連邦上院議員(ジョージア州選出、民主党)は、共和党の対立候補ハーシェル・ウォーカーに対して優位に立っているように見えたが、元NFLのスター選手で初出馬のウォーカーは、連邦上院選挙の過程で個人的にも職業的にも多くの論争に巻き込まれている。

ウォーカーに関する最も衝撃的な事実の1つは、先月初め、『デイリー・ビースト』紙が報じたもので、ウォーカーが2009年に当時の恋人に中絶手術を受けさせるために金を支払ったという疑惑を詳細に報じたものだ。

しかし、ウォーカーは世論調査でこのスキャンダルからそれほど大きな打撃を受けていない。ウォーカーは、犯罪の増加や長引く経済的懸念について何度もウォーノック議員を非難し、スキャンダルについてほぼ嘘だと一蹴している。その結果、ウォーカーはウォーノックとの各種世論調査の差を着実に縮め、ファイヴサーティエイトの世論調査平均によると、現在1ポイント強の差でウォーノックがリードしている。

元州議会上院議員でジョージア州共和党委員長のチャック・クレイは、「実際問題、ウォーカーはこれまで見た中で最も多く攻撃されている。私たちがまだ知らないような恐ろしい話が潜んでいるのでなければ、彼はこれまでにかなり叩かれていると思う」と述べた。

ウォーノックとウォーカーのレースが特に不安定なのは、ジョージア州は、候補者が選挙に勝つために50%以上の得票を必要とする2つの州のうちの1つであるという事実だ。そして、今のところ、ウォーノックもウォーカーもその基準に達していない。

クレイは「ウォーカーは50%には達しないかもしれないが、全てのネガティブな要素が大きな影響を及ぼしているようには見えない。まだ迷っている最後の2、3パーセントの人たちに、全てがかかっている」と述べた。

(3)ネヴァダ州(Nevada
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再選を目指す民主党所属の連邦上院議員の中で、キャサリン・コルテス・マスト連邦上院議員(ネバダ州選出、民主党)は最も脆弱かもしれない。

民主党の選挙戦が最も盛り上がっていた時期でさえ、彼女は共和党のライバルである元州司法長官アダム・ラクサルトに対して、他の激戦区の民主党議員が持つような明確なリードを保ってこなかった。ニューヨーク・タイムズとシエナ・カレッジが月曜日に発表した新しい世論調査では、コルテス・マストとラクサルトは47%で拮抗している。

ネヴァダ州は、民主、共和両党にとって一連の課題を突きつけている。一方、民主党は近年、ネヴァダ州で連勝を続けており、2018年のディーン・ヘラー元連邦上院議員(ネバダ州選出)の落選とその2年後のジョー・バイデン大統領の勝利で頂点に立った。

他方、共和党がラティーノ系有権者の間で差を拡大していることは、民主党がネヴァダ州での勝利を推進するために長年頼ってきた支持基盤を削り取る可能性がある。また、ネヴァダ州は人口が流動的であるため、政治的に固定化することが特に難しい。

複数の連邦上院議員選挙に携わった経験を持つある民主党のストラティジストは、「ネヴァダ州は、色々な意味でつかみどころがない。ネヴァダ州は、私たちが見てきた様々な潮流やトレンドが集まる場所だ」と語った。

(4)ペンシルヴァニア州(Pennsylvania
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選挙戦最終週、メフメト・オズの背後にはしっかりと風が吹いているが、それが来週ジョン・フェッターマン副知事(民主党)を倒すのに十分かどうかはまだ分からない。

現段階では、明らかにオズ有利な状況である。オズの犯罪増加についての絶え間ない批判は、何ヶ月も前から有権者の共感を呼び、先週の討論会では、脳卒中のため苦戦を続けていたフェッターマンの恩恵に浴した。

しかし、オズの終盤の追い上げは、州司法長官ジョシュ・シャピロ(民主党)の支持者を知事選、特にフィラデルフィア近郊で十分に引き剥がせるかどうかにかかっている。シャピロは、任期満了のトム・ウルフ知事(民主党)の後任として、ダグ・マストリアーノ州上院議員(共和党)に対する最有力候補と目されている。

ミューレンバーグ大学政治学教授であるクリス・ボリックは、オズの最近のメッセージを分析して次のように述べた。「本当に厳しいレースで、このクロスオーヴァー集団(民主党支持から共和党支持へ移る人々)はインパクトがあるかもしれない。メフメト・オズはフェッターマンを叩きのめして自分を穏健派として売り込もうとしている。彼はトランプについて話しているのではない。マストリアーノのような軽薄な党派的なことは一切語っていない」。

ブリックは続けて「これはアピールだ。オズの売りは、彼は大丈夫だということだ。過激ではないということだ」と述べた。

リアル・クリア・ポリティックスの最新の調査平均によると、フェッターマンはまだ1.5ポイントリードしている。

誰が勝利しても、僅差で勝利する可能性が高く、選挙の夜には勝敗がつかず、次の連邦上院議員が決まるまで何日もかかる可能性が高まっている。リー・チャップマン州務長官代理(民主党)は先週、完全な結果を出すには「少なくとも数日かかるだろう」と述べた。

ペンシルヴァニア州のある共和党幹部は本誌の取材に対し、「もしこれが厳しい選挙だと言うならば、選挙の正当性が疑われるような、非常に危険なウサギの穴にまた入ることになるだろう。他の州では、このようなことが予定通りに行われているのを見ると、なぜペンシルヴァニア州ではできないのかという疑問が生じる」。

(5)ウィスコンシン州(Wisconsin
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2022年は全体的に厳しい政治環境にあるが、民主党はウィスコンシン州に目をつけ、論争の絶えない共和党現職のロン・ジョンソン連邦上院議員を有権者が納得して追い出してくれるかもしれないと考えた。

民主党側は、長期にわたる、時には厳しい予備選挙を経て、副知事のマンデラ・バーンズ(ウィスコンシン州、民主党)を指名した。初期の世論調査ではジョンソンが危ういとされていたが、バーンズも総選挙への出馬に苦戦し、彼を「急進左派」と決めつける攻撃に何週間も晒されることになった。

民主党は最後の数週間、バーンズに最後の追い風を吹かせようと、選挙戦に資金を注ぎ込んでいる。バラク・オバマ前大統領は、今でも民主党で最も人気のある人物の一人であり、週末にはウィスコンシン州で党勢を回復させるために奔走している。

また、ファイヴサーティエイトの平均値では、ジョンソンがバーンズに3.4ポイントの差をつけており、レースは依然として接戦であることは確かだ。それでも共和党は、バーンズの見込みが過大評価され、民主党はジョンソンの強さを過小評価していると主張する。

共和党系のストラティジストのダグ・ヘイは、今年初め、「候補者の質」を理由に同党の連邦上院選勝利の見通しを軽視したミッチ・マコーネル連邦上院少数党(共和党)院内総務(共和党)の言葉を引用して発言した。

ヘイは「候補者の質が重要だと言って、マコーネルを非難しようとした人もいた。しかし、それは民主党の側でも重要なことだ。これはマンデラ・バーンズがあれほど期待はずれだった理由の1つだ」と語った。

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 古村治彦です。

 今年8月、アメリカのジョー・バイデン政権は連邦政府による学生ローンについて、返済を免除するという発表を行った。約4300万人が対象になると言われている。連邦政府が貸し付けている学生ローンの内で最高で1万ドル、ペル・グラントという種類の学生ローンの場合には2万ドルが帳消しの対象となる。学生ローンの徳政令ということになる。

 アメリカの大学教育、大学院教育の学費は高い。安い州立大学もあるが、そこでは学校案内に記載されている授業が実際には開講されないということもあって、教育のレヴェルが高くない。高い大学教育を受けようと思えばどうしてもお金がかかる。給付型の奨学金を得られることが出来ればよいが、当然のことだがそれは成績が優秀な学生たちに限られる。大学教育を受けようと思えば、どうしても学生ローンからの借り入れということになる。大学学部教育4年間に大学院まで利用すれば、その総額は日本円で1000万円を軽く超えることになる。学部を卒業して学士号を取得する段階で、数百万円の借金を背負うということはざらだ。現在はインフレであり、借金の額自体は相対的に小さく感じられるようになるが、それでも返済は当然のことながらきつい。

 そこでバイデン政権はこうした学生ローンの返済に苦しむ人々からの支持を得ようとして、学生ローン徳政令の計画を発表した。この計画については共和党と民主党の一部から反対の声が挙がっている。反対の理由は極めて単純で、「国民全体ではなく、一部のために税金を使うことには反対だ」「大学を出ないで働いている労働者も納めている税金を原資にして、エリートである大学卒業者の借金を棒引きにするのは間違っている」というものだ。

 アメリカでは金利引き上げによって住宅ローンの金利も上がり、返済に苦労している人々も多い。学生ローン返済と住宅ローン返済を比べてみれば、住宅ローン返済を軽減させた方が良いということになるが、それだけの予算をつけることは難しい。返済不能者が多く出るようになれば、住宅や土地の価格は下がり、アメリカの不動産バブル崩壊ということになる。これが景気後退の引き金を引けば、物価高での景気後退というスタグフレイションということになる。

 大卒者というカテゴリーで見ると、民主党支持が多いという結果が出ている。中間選挙に向けて、大卒者の支持を固めようという民主党側の意図はミエミエであるが、そう言ったことは、アメリカ国民は既にお見通しだ。このような弥縫策などでは焼け石に水ということになる。アメリカ国民の最大の関心事は経済、特に物価高への対応だ。ドル高状況にして、輸入品の価格を下げようとしているが、一番の物価対策はウクライナ戦争の早期停戦だ。しかし、アメリカはウクライナ戦争に多くの予算と武器を投入している。これではアメリカ国民を苦しめて、軍産複合体を肥太らせるということをやっているだけのことだ。

 学生ローン徳政令はそれほど大きな効果は持たないだろう。

(貼り付けはじめ)

バイデン大統領の学生ローン返済免除計画は民主党を含む連邦議員を分裂させる(Biden’s student loan forgiveness plan divides elected officials, including Democrats.

ジョナサン・ワイズマン、マギー・アスター筆

2022年8月25日

『ニューヨーク・タイムズ』紙

https://www.nytimes.com/live/2022/08/25/us/primary-elections-midterms

ジョー・バイデン大統領が水曜日に発表した、何百万人ものアメリカ人のために何千ドルもの大学の借金を帳消しにするという大統領令は、民主党の候補者たちを、彼の政権の他の政策と同様に分裂させることになった。一部の民主党所属の政治家たちは、この計画を利用して、自分の州や選挙区で大きな負担になる可能性のある大統領から距離を置くようにしている。

大統領による発表への反応は人種や世代によって大きく分かれ、アフリカ系の候補や若い有権者たちは賛成する傾向が強く、中道派の民主党の政治家たちは批判的な傾向が強かった。しかし、厳しい選挙戦に臨む民主党の候補者の間では、その反応について一貫性がほとんど見られなかった。

ジョージア州選出のラファエル・ウォーノック連邦上院議員とウィスコンシン州選出のマンデラ・バーンズ副知事は、ともに黒人で来年の連邦上院議員選挙での当選を目指しているが、大統領の計画への支持を表明している。ネヴァダ州のキャサリン・コルテス・マスト連邦上院議員は、再選に向けて厳しい戦いを強いられている民主党所属の政治家であるが、穏健派で融和的な姿勢を取っているが、大統領の計画に対して非常に批判的だ。

しかし、アリゾナ州選出のマーク・ケリー連邦上院議員は、超党派から支持を集める穏健派としてこの州での再選を目指すもう一人の民主党議員であるが、彼はこの計画を支持した。

ペンシルヴァニア州のジョン・フェッターマン副知事は、労働者階級の有権者たちにアピールすることを望んでおり、学生ローン免除の動きは、政策立案者に忘れられがちなペンシルヴァニア州に住む、苦境にある人々を救済するものだと賞賛している。一方、労働者階級の代弁者として連邦上院選に立候補したオハイオ州選出のティム・ライアン連邦下院議員は、既に成功への道を歩んでいる人々への贈り物であり、高等教育から締め出されたオハイオ

ライアン下院議員は、声明の中で「大学教育がチャンスを広げるものであることは間違いないが、既に経済的に安定していて、軌道に乗っている人たちに借金を免除することは、学位を持たずに同じように懸命に働いている何百万人ものオハイオ州民に対して間違ったメッセージを送ることになる」と述べている。

債務救済令をめぐる激しい対立は、計画が検討されていた期間や、この問題が10年以上前のウォール街占拠デモでの叫びから2020年のバイデン選挙公約に至るまでの長い道のりを考えると、やや意外なものとなっている。

この計画の出所は、ヴァーモント州選出のバーニー・サンダース連邦上院議員(無所属)やマサチューセッツ州のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(民主党)など、はるかに寛大な債務免除を約束して選挙戦を戦った党内左派であることは疑いようがない。今年11月の中間選挙の2カ月余り前に、バイデン大統領が穏健なヴァージョンを発表したことで、党を分裂させるのではなく、団結させることが期待されたかもしれない。

しかし、この動きは、共和党や民主党系の経済学者の一部が、深化するインフレイションのためのジェット燃料として、多額の予算を必要とする社会福祉案を描いているときに、不人気な大統領から出たものであった。

リベラル派のストラティジストであり、学生ローンの救済を強力に推進してきた進歩主義派団体ジャスティス・デモクラッツの報道担当であるワリード・シャヒードは、「民主党内には、政府がどれだけ介入すべきなのかという真の議論がまだある。更には、民主党の連邦議員の中には、激戦州(purple state)においては、大統領に対して反撃しなければならないと感じている人がいて、彼らが反撃するために選んだのがこの法案なのだ」と語った。

このような生々しい政治の裏には本質的な批判がある。バイデン大統領は、年収12万5000ドル以下のアメリカ人が抱える1万ドルの負債を帳消しにし、ペル・グラントを受け取っている低所得の学生には2万ドルを帳消しにするとしている。

コルテス・マスト連邦上院議員とライアン連邦下院議員は、この債務救済は、低所得のアメリカ人や、地方の医療や救急医療など、低賃金で切実なニーズに応える分野に進む大学生を十分に対象としていない、と指摘した。

学生ローン免除は社会的なニーズを満たすためのツールであるべきで、包括的な贈り物ではないとライアン議員は述べた。また、債務救済だけでは、問題の根本的な原因である授業料の高騰により、学生がますます大きな借金を背負わざるを得なくなっていることに対処できないとライアンたちは主張した。

コルテス・マスト連邦上院議員は声明の中で「低所得の学生に対するペル・グラントを拡大し、必要な学生にはローン免除を適用し、労働者世帯にとってより手頃な価格で大学を提供するための法案を可決することに私たちは集中すべきである」と述べた。

この立場は、同じく激戦州で再選を目指すコロラド州選出のマイケル・ベネット連邦上院議員(民主党)の発言と同じである。

しかし、党内左派の民主党員たちには、こうした立場は計算高く映ったようだ。債務救済の大部分は、多額の負債を抱えるエリート教育機関の卒業生ではなく、コミュニティカレッジに通い、おそらく学位は取得できないものの、それなりの負債と厳しい経済的見通しを抱えて卒業した若者たちに与えられる可能性が高い。

フェッターマン副知事の選対は、バイデン大統領の計画を「全体的に合理的」だと賞賛したが、大学に通っていないペンシルヴァニア州民のためのキャリア・技術プログラムへの投資拡大や、バイデン大統領も採用している二年制・コミュニティカレッジの授業料無料化についても訴えた。

フェッターマン陣営の報道担当ジョー・カルヴェロは「これは本当にどちらか一方だけの問題ではない。大卒であろうとなかろうと、それを必要とする人々を助けなければならない」と述べた。

ジョージア州の有権者層は異なる。ウォーノック議員が2020年の最初の選挙戦で債務救済を唱えたとき、ジョージア州の若い有権者はこれを支持した。彼が共和党の対抗馬ハーシェル・ウォーカーに勝つことを望むなら、若い有権者たちからの支持は再び必要とされるだろう。この計画に対する若い有権者の熱意は、ティックトック(TikTok)を湧き上がるような動画で埋め尽くした。

一方、ネヴァダ州の民主党の屋台骨は長年、調理師労働組合(Culinary Workers Union)とサービス従業員国際組合(Service Employees International Union)で、その労働力は大卒を必要としない職務が中心だ。

ライアン議員の反対は、ローンの返済が滞り、政府に何千億ドルもの損失を与える可能性のある政策によって取り残されたと感じるかもしれない、大卒でないオハイオ州民の4分の3に向けた公然のアピールであった。

また、共和党の対立候補であるJD・ヴァンスがフォックス・ニューズに出演し、「学生負債の軽減を望むなら、この非常に腐敗したシステムから利益を得ている人々にペナルティを課すべきで、オハイオ州の配管工に対して、大学教育を受けた若者、主に生涯を通じてとにかく多くのお金を稼ぐことになる若者の人生の決断に補助金を出すよう求めるべきではありません」と断言した。これはバイデン政権の政策に対する共和党側からの反応である。

ライアン選対の報道担当イジー・レヴィはライアンの姿勢は「逆張りということだけではない」と述べた。

しかし、大接戦の選挙戦を戦っている他の候補者たちは、そのような批判をする気にはならなかった。ウォーノック議員は、「連邦上院議員に就任以来、バイデン政権に学生ローン免除を働きかけてきた」と自身の功績を主張したが、それは「最初の一歩」に過ぎないとも述べた。

ウォーノック連邦上院議員は声明の中で「今回の発表はジョージア州民の多くにとって助けとなるし、数十年にわたり夫妻に苦しんできたが、財政上の基盤を得ることができる人たちも出てくるだろう」と述べた。

アリゾナ州選出のケリー連邦上院議員は、大統領の命令はウォーノック氏の「最初の一歩」ではなく、「節度(moderation)」の表れであると見ている。そして、ライアン連邦下院議員とは逆の結論に達し、バイデンの大統領令は「全ての学生ローンを帳消しにするという過去の提案よりも的を絞っている」し、「コミュニティカレッジに通った人の救済を含め、最も必要としている人に向けられたものだ」と述べた。

共和党は、そのような分裂を見なかった。彼らは皆、大統領の発表を非難した。フロリダ州でヴァル・B・デミングス連邦下院議員(民主党)との闘いで、再選を目指す共和党のマルコ・ルビオ連邦上院議員は、代替案として、連邦学生ローンの利息をなくす法案を提出したことをアピールした。

丸子議員は声明の中で次のように述べた。「学生ローンの負債を免除することは無料ではない。大学時代に借金をしたことのない85%のアメリカ人が、借金をした人のために負担を背負うことになる。それは救済ではなく、労働者家庭に課される不当な負担である」。

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あなたがどれだけ学生ローン免除を受けられるか、そしていつ受けられるか(Here’s how much student loan forgiveness you’ll receive, and when you’ll see it

アディ・ビンク、ネクスタ―・メディア・ワイアー筆

2022年8月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/nexstar_media_wire/3615588-heres-how-much-student-loan-forgiveness-youll-receive-and-when-youll-see-it/

(ネクスタ―)数カ月にわたって期待が続いていたが、バイデン政権はまもなく何百万ドルもの学生ローンの債務免除を開始する予定だ。ホワイトハウスの推計によると、最大で4300万人の債務者たちが免除を受ける見込みとなっている。

あなたがどれだけ免除を受けられるか、そしていつ受けられるか、それらはいくつかの要素にかかっている。

これから知るべき内容を挙げていく。

●ローンの種類が重要だ(Loan type matters

あなたが現在抱えている学生ローン(複数の学生ローン)の種類が重要だ。

バイデン政権が返済免除できるのは連邦政府による学生ローンだけであり、民間の貸し手によるいかなる学生ローンにも免除は適用されない。つまり、あなたのローンが連邦政府系金融機関(NelnetGreat LakesFedLoanなど)を通じて「米教育省が保有」していない場合、この免除の対象にはならない(ここで全リストを見ることができる)。

●私にはまだ学生ローンの借金が残っている。支払いはいつ再開されるか?

学部生と大学院生両方の学生ローン債務が存在するが、ローンが教育省に保管されている限り、免除の対象となる。

連邦学生ローン(Parent PLUS Loanを含む)は免除の対象となるが、一部免除の対象外となるものもある。『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、2020年に始まった支払い凍結の対象外だったFFELローン(連邦家庭教育ローン)は、今回の免除の対象にはならない。

●収入制限(The income cap

予想通り、バイデン政権は学生ローンの免除を所得に応じて制限する。

ホワイトハウスと米教育省の発表によると、「パンデミック時の年収が12万5000ドル以下(個人の場合)、または25万ドル以下(夫婦または世帯主の場合)の借り手が救済の対象となる」としている。大学時代にペル・グラントを受給していた同所得の上限以下の借り手は、最大で2倍の債務免除を受けられることになる。

年収がいずれかの所得制限を超える場合は、バイデン政権が説明した救済措置の対象にはならない。

2022年6月30日以降に受領した連邦学生ローンは対象外だ。

●どれくらいの免除となるか(How much forgiveness will you get

連邦学生ローンを抱えていて、所得制限に該当する、というこれまでの条件を満たせば、債務救済が期待できる。

バイデン政権によると、個人で12万5000ドル以下、夫婦や世帯主で25万ドル以下の収入の借り手は、最大1万ドルの救済を受けることができると言われている。ペル・グラントの受給者(自分がそうであるかどうかを知る方法はこちら)は、同じ基準で最大2万ドルまでの救済が可能となっている。

ホワイトハウスは学生ローン計画の予算を明らかにしていない。

しかし、「最大で」という言葉の意味するところはどこにあるのか?

それは非常に簡単なことだ。あなたの債務免除は、あなたがまだ借りている金額に制限される。例えば、あなたが12万5000ドル未満の収入でペル・グラントを受け取っていて、1万2000ドル(2万ドルを借りて8000ドルは既に返済した)の残高が残っているとする。それならばあなたは1万2000ドルの免除となる。2万ドルから1万2000ドルを引いた8000ドルを受け取ることはできない。

この救済措置のための利息は全体の残高に含まれる。

●負債免除はどれくらい早く利用できるようになるのか?(How soon will you see the debt relief?

学生ローンの免除がいつどのように実行されるかはまだ明らかにされていない。

米教育省によると、同省が既に持っている所得データに基づき、約800万人の借り手が自動的に救済の資格を得る可能性があるという。教育省があなたの収入データを持っていない、あるいは持っているかどうかわからない場合、今すぐできることはあまりない。

その代わり、バイデン政権が申請手続きを開始するのを待つ必要がある。「今後数週間のうちに」申請手続きが可能になる予定だ。学生ローン返済の一時停止が終わる12月31日までに申請できるようになる予定だ。

この申し込みフォームに記入することで、教育省を通じてアプリケーションが利用可能になった時に通知を受けるように登録することができる。

●私が知っておくべきことは何か?(What else should I know?

借り手が抱いている最大の懸念の1つは、このローン免除が課税対象になるかどうかだ。ホワイトハウスは水曜日に、アメリカン・レスキュー・プランのおかげで、そのようなことはないだろうと述べた。連邦議会は2025年までのローン免除に対する課税を撤廃した。

学生ローンの免除は、クレディットスコア(個人の信用度)にも影響する。ネクスタ―(Nexstar)への声明の中で、消費者データ産業協会(Consumer Data Industry Association)は、イクイファックス(Equifax)、エクスペリアン(Experian)、トランスユニオン(TransUnion)などの全米規模で展開する信用情報機関を代表する複数の業界団体は、「クレディットスコアについては、口座数、残高、支払い履歴、返済額など、消費者の信用情報に関連する多くの要素を考慮に入れている」と述べている。また、信用報告書から学生ローン情報を削除または一時停止することは、これらの各要素に関連する各個人の信用履歴に応じて、消費者のクレディっとスコアにある程度の影響を与えることになるともと述べている。

消費者データ産業協会の広報担当者はネクスタ―の更なる詳細開示の要求に応じなかった。

●バイデン大統領の学生ローン計画は、インフレにどのような影響を与えるか?(How will Biden’s student loan plan impact inflation?

ローン残高が全額消えない場合(約2300万人の借り手にとってはそうだろう)、バイデン大統領は支払いの一時停止を今年末まで延長した。しかし、2023年1月1日になると、利息が再び発生し、通常の支払いが再開される。バイデン大統領は、一時停止が再び延長されることはないだろうと示唆している。

連邦学生支援局によると、支払いが一時停止された2020年3月以降に任意で支払いを行った場合、その分の払い戻しを請求することができる。払い戻しを請求するには、ローンサーヴィサー(回収業者)に連絡して欲しい。

連邦議会が大統領に債務を帳消しにする明確な権限を与えたことはないため、ホワイトハウスはこの免除計画に関して訴訟に直面する可能性がある。バイデン政権は、その権限を新型コロナウイルス感染拡大と、軍人に援助を提供することを目的とした2003年の法律に結びつけている。法的措置が学生ローン免除のスケジュールにどのような影響を及ぼすかはまだわからない。

AP通信が本記事の作成に協力した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2022年11月の中間選挙まで残り約1カ月強となった。現在のところ、下の図が示しているように、連邦下院で共和党が過半数を握る可能性が高いと見られている。連邦上院で共和党が過半数を握る可能性もあるが、どのようになるか、先行きは不透明だ。4年ごとの大統領選挙の間に行われる連邦上下両院、各州の州知事の選挙は中間選挙(midterm elections)と呼ばれている。大統領を出している与党と大統領自身にとっての中間試験の意味合いが強い。これまでの中間選挙を見てみると、与党側に対して厳しい結果が出ることが多い。
2022midtermssenateelections20220929511
連邦上院の情勢
2022midtermshouseelections20220929511
連邦下院の情勢

 今回、2022年の中間選挙の各種選挙の、民主、共和両党の候補者を決める予備選挙(primaries)に関してはいくつかの特徴がある。まず、共和党側はドナルド・トランプ前大統領が支持した候補者たちが共和党の予備選挙で勝利し、各種選挙の共和党候補者となった。現職議員でもトランプから支持を得られなかった、もしくはトランプに敵対していると見られた人たちの多くが、共和党予備選挙で敗北した。その代表例が、このブログでも採算ご紹介してきたリズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出、共和党)だ。共和党はトランプの意向に大きく影響される状態になっている。その共和党が連邦議会で過半数を占めるということになれば、アメリカの国政全体におけるトランプの影響力は大きくなるということになる。

 民主党側では進歩主義派が勢力を拡大しつつあるが、その勢いが少し衰えているようだ。2016年の米大統領選挙でのバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の躍進によって、民主党内に進歩主義派の勢力が拡大していった。サンダースの大統領選挙の選対に参加していたアレクサンドリア・オカシオ・コルテスが2018年の連邦下院議員選挙に当選し、アメリカ政界で大きな注目の的になっていることは日本でも報道されている。私も拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で民主党内の進歩主義派の動きとエスタブリッシュメント派からの反発について取り上げている。今回の中間選挙の民主党予備選挙ではあまり勢力を伸ばすまでには至っていないが、すでに一定の勢力となっているのは確かだ。

 民主、共和両党でエスタブリッシュメント派は力を弱めているということになる。私がこれまでも述べてきたように、アメリカ政界を大きく見ると、民主、共和両党はそれぞれ、エスタブリッシュメント派対進歩主義派、エスタブリッシュメント派対トランプ派(MAGA派)に分裂している。進歩主義派とトランプ派はまったく相いれないようであるが、その根底には人々の既存の政治に対する怒りと不信からくるポピュリズム(Populism)がある。民主、共和両党の枠組みを取っ払えば、エスタブリッシュメント対ポピュリズムということになる。

 民主党エスタブリッシュメント派は、共和党側でトランプ派の候補者を増やして、自党の候補者に無党派層や共和党穏健派からの支持を集めようという戦略を採用したということだ。これが奏功すれば民主党が持ち直すことになるだろうが、今のところ、連邦下院では共和党が過半数を握るという状況では敵を招き入れてしまうという結果になるように思われる。

 連邦上下両院で民主党が過半数を失い、ポピュリズム派が勢力を拡大するということになると、ジョー・バイデン政権のかじ取りもますます難しくなる。バイデン政権が掲げる政策課題の実現も厳しくなる。これからの2年間でバイデンが支持率を上昇させるような大逆転を行えるとすれば、それはウクライナ戦争の停戦を実現することであるが、アメリカが進んで武器を供与している状況ではそれも難しい。アメリカ政治は手詰まり感がどんどんと深まっていくことになる。

(貼り付けはじめ)

重要な予備選挙の時期の5つの特徴(Five takeaways from a bruising primary season

マックス・グリーンウッド筆

2022年8月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3617430-five-takeaways-from-a-bruising-primary-season/

今週、フロリダとニューヨークで行われた予備選挙で、2022年最後の主要な指名争いが行われ、今後2年間の連邦議会の主導権を握ることを目指す連邦議会選挙(中間選挙)に関心が移りつつある。

今年3月から今週にかけて行われた民主、共和両党の予備選挙は、両党とその有権者、そして秋の選挙戦の行方を占う上で重要な示唆を与えることになった。

2022年の予備選挙から見える5つの特徴を見ていく。

(1)共和党は依然としてドナルド・トランプの政党であり2020年にまだこだわっている。

ドナルド・トランプ前大統領は1年半以上前にホワイトハウスを去ったけれども、今年の共和党予備選挙では、彼が依然として国内で最も影響力のある共和党員であることが証明された。

トランプからの支持の影響は明らかで、共和党の官衙や意見を形成し、予備選を混乱させ、共和党幹部の中には勝利はおぼつかないはずだと楽観視していた候補たちを予備選挙勝利に導いた。

トランプからの支持を得るために、20020年の大統領選挙の結果と、それが自分に不利に操作されているという彼の誤った主張ほど重要な問題はないということになる。共和党の候補者たちは選挙戦で頻繁にこの主張を繰り返し、中にはこの主張を中心に選挙戦を展開し、前大統領に気に入られることを狙う者たちも出た。

最終結果は次のようになった。全米で注目を集めた共和党の予備選挙のほとんどで、有権者たちはトランプに味方した。

最も競争率の高い連邦上院議員選挙の共和党候補者全員が、予備選挙の前にトランプ前大統領の支持を受けていた。2021年1月6日の連邦議会議事堂進入事件に関与したトランプの弾劾に賛成投票した後に再選を目指した連邦下院共和党議員6人のうち、共和党の予備選挙で再選を勝ち取ったのは2人だけという結果になった。

そして、2020年の選挙結果に疑問を呈したり、真っ向から否定したりした候補者は、知事、連邦上院、連邦下院、州務長官の本選挙の党候補者指名を確保し、2022年11月の全米の投票用紙に名前が記載されることになる。

もちろん、いくつかの例外はある。たとえばジョージア州のブライアン・ケンプ知事は、トランプが支持する予備選挙の相手、デイヴィッド・パデュー元上院議員(ジョージア州選出、共和党)に地滑り的な勝利を収めた。また、サウスカロライナ州では、ナンシー・メイス連邦下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)が、トランプ推薦のケイティ・アリントンを相手に予備選で勝利した。

それでも、2022年の共和党予備選挙で1つだけはっきりしたことがあるとすれば、それは共和党支持の有権者たちが依然として圧倒的にトランプを支持しているということだ。

(2)民主党は順当な勝ちが続いたが、進歩主義派がいくつかの重要な勝利を収めた(Democrats largely played it safe, but progressives scored some key wins

民主党の方向性をめぐる議論は続いているが、全米の有権者たちは予備選挙で穏健派や体制派を支持し、それが民主党にとって厳しい政治環境の中で勝利を収めるための最善策と考えたようだ。

例えば、オハイオ州では、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の大統領選挙キャンペーンで共同議長を務めた進歩主義派のニーナ・ターナー前オハイオ州上院議員が、党内のエスタブリッシュメント派の支持を受けたションテル・ブラウン連邦下院議員(オハイオ州選出、民主党)に2度目の敗北を喫した。

同様に、保守的なテキサス州南部出身のヘンリー・クエラー連邦下院議員(テキサス州選出)は、全米の注目を集めたレースで進歩主義的なジェシカ・シスネロスに僅差で勝利した。

それでも、民主党左派にとって悪いことばかりではなかった。

2つの重要な激戦州で、進歩主義的な人々が連邦上院議員選挙の民主党指名を勝ち取った。ペンシルヴァニア州では、ジョン・フェッターマン副知事が、郊外や農村部の有権者を取り込むのに有利な候補とされる穏健派のコナー・ラム連邦下院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)を破り、ウィスコンシン州のマンデラ・バーンズ副知事はロン・ジョンソン連邦上院議員(ウィスコンシン州選出、共和党)への対抗馬としてチャンスを得た。そして今週、フロリダ州中部地区の民主党は、ヴァル・デミングス連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)の後任として、サンダース支持の銃規制活動家マックスウェル・アレハンドロ・フロストを指名したばかりである。

しかし、今年の民主党予備選挙は、進歩主義的な人々が期待していたイデオロギーの転換点にはほど遠いものとなった。

(3)現職の連邦下院議員の多くにとって厳しい季節となった(It was a tough season for a lot of House incumbents

まだいくつかの予備選挙が残ってはいるが、2022年の予備選挙はこれまでの20年間で最も多くのアメリカ連邦下院の現職議員たちが党の再指名を得ることに失敗した年となる道筋をたどっている。

ウェブサイト「バロットピア」によると、今年に入って、15名の現職連邦下院議員たち、9名が共和党所属、6名が民主党所属であるが、連邦議会に帰る道を断たれることになった。「バロットピア」はこれらの敗北を追いかけている。

これらのケースの中には、議員たちの個人の力ではどうしようもない環境の変化のために起きた敗北もある。多くの場合、それは10年ごとの選挙区区割り変更のために起きた。

例えば今週、連邦下院議員歴30年のヴェテラン議員、キャロリン・マロニー連邦議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、マンハッタン区で行われた選挙区の区割りで選挙区が合併された結果、同じくヴェテランの現職のジェリー・ナドラー連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)に民主党予備選挙で敗れた。最初から、現職議員2名のうちどちらかが負けることは決まっていた。

しかし、他の予備選挙では、現職議員が政治的選択、とりわけトランプ弾劾への投票によって苦境に立たされた。その決断は、リズ・チェイニー連邦議員(ワイオミング州選出、共和党)、トム・ライス(サウスカロライナ州選出、共和党)、ピーター・メイジャー連邦下院議員(ミシガン州選出、共和党)、ハイメ・ヘレラ・ブートラー連邦下院議員(ワシントン州選出、共和党)に終わりを告げた。これらの現職の共和党所属の連邦下院議員たちは、トランプ支持の予備選挙での挑戦者に敗れた。選挙期間中、議員たちは弾劾投票について激しい批判に晒された。

また、マディソン・コーソーン連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)のように、いくつもの論争の的になって予備選で敗退した現職議員たちもいる。

(4)民主党側の足元固め(Democrats found their footing

今年の前半、民主党はいくつかの困難な問題に直面していた。連邦議会での立法課題はほとんど行き詰まり、インフレイションは過去数十年で最高レヴェルに達し、主要な政治的な成功はホワイトハウスには存在しなかった。

さらに悪いことは重なり、民主党は、「中間選挙では政権与党が必ず敗北する」という現実にも直面していた。

この事実は今も変わらないかもしれない。しかし、連邦最高裁判所がロウ対ウエイド判決を覆して以来、民主党の状況は著しく変化した。この判決は、性と生殖に関する権利(reproductive rights、リプロダクティブ・ライツ)の保護が損なわれることを恐れる有権者たちを結集するための強力なメッセージを民主党に与え、自己満足が懸念される中で民主党を再び活性化させるのに役立った。

民主党にとって最大の転機となったのはカンザス州だ。州憲法から中絶の権利を消去しようとする修正案が有権者に大差で否決されたのである。

それ以来、民主党はより明確なメッセージ戦略を打ち出し、共和党が連邦議会で過半数を占めることが性と生殖に関する権利にとって何を意味するかを警告し、大規模な税制・気候変動法案の成立を宣伝し、民主党には堅実な手腕があるとアピールするよう努めた。

もちろん、民主党の中間選挙の見通しはいくらか明るくなったように見えるが、依然として厳しい政治情勢と共和党に有利となる可能性のある強い歴史的逆風に直面していることに変わりはない。

(5)しかしながら共和党支持の有権者たちは活気づけられている(But Republican voters are still energized

民主党にとって見通しは明るくなったかもしれない。しかし、今年の予備選挙の結果を見ると、共和党の指導者たちが1年以上にわたって主張してきたことに依然として信憑性を与えている。共和党支持の有権者は活気づいてやる気になっている。

主要な激戦州の最重要選挙戦では、共和党の予備選投票率が民主党の投票率を何度も上回り、共和党の有権者が今年も熱心に投票に臨んでいることが明らかになっている。

ジョージア州の連邦上院補欠選挙では、共和党の投票者数が民主党の投票者数を50万人近く上回った。アリゾナ州では、複数の選挙での共和党予備選挙で20万人以上の有権者が投票を行った。ペンシルヴァニア、ウィスコンシン、ノースカロライナ、ネバダ、フロリダの各州でも共和党の投票率の優位性は保たれている。

確かに、共和党の投票率の高さは、有権者の熱意だけによるものではないかもしれない。例えばジョージア州では、共和党は州知事選挙の共和党予備選で熱戦を繰り広げたが、民主党のステイシー・エイブラムス候補は誰からも挑戦を受けずに民主党の候補者指名を勝ち取った。

ノースカロライナ州も同様で、共和党は引退するリチャード・バー連邦上院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)の後継を決める予備選挙でテッド・バッド連邦下院議員(ノースカロライナ州選出、共和党)とパット・マクロリー前知事の二者択一の選択となった。一方、民主党は、シェリー・ビーズリーを候補者として、既にほぼまとまった形になっていた。

しかし、フロリダ州では民主党が最も競争の激しい予備選挙の選挙戦を展開し、ペンシルヴァニア州とウィスコンシン州では賛否両論の熱い戦いが繰り広げられた。

また、今年のこれまでの各種世論調査の結果、共和党支持者の方が民主党支持者よりも11月の中間選挙の本選挙投票に熱心であることが明らかになっている。しかし、民主党の見通しが良くなるにつれて、その熱意の差も縮まり始めている。

ウェブサイト「モーニング・コンサルと」が先週発表した世論調査によると、共和党支持者の65%が中間選挙での投票に「きわめて」または「非常に」熱心であることが分かった。一方、民主党支持者の62%も同様に答えている。

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アメリカでの共和党予備選挙でドナルド・トランプが支持した候補者たちが勝利を重ねる(Donald Trump-backed candidates prevail in US primaries

-ドナルド・トランプ前大統領が共和党の一部に影響を与え続けていることを示す5つの州の予備選挙の結果

コートニー・ウィーヴァ―筆

2022年8月3日

『フィナンシャル・タイムズ』紙

https://www.ft.com/content/a114b4f5-11aa-4f26-b6b6-7a99c89b11da

ドナルド・トランプが支持した複数の候補者たちが、火曜日にアメリカの5つの州で行われた共和党予備選挙で勝利し、トランプ前大統領が共和党の一部の地域を引き続き支配していることが浮き彫りになった。

ミシガン州では、トランプ政権元高官ジョン・ギブスが、元雇用主(トランプ)の推薦と民主党から外部資金支援を受けて、現職の共和党所属の連邦下院議員ピーター・メイジャーを追い落とした。メイジャー議員は昨年、16日の連邦議会議事堂進入事件でトランプの弾劾に賛成票を投じた。

ミズーリ州では、2020年の米大統領選挙結果を覆す訴訟を支持し、同選挙でトランプが推薦した2候補のうちの1人だったエリック・シュミット州司法長官が、連邦上院の議席をめぐる争い(共和党予備選挙)で勝利を収めた。

一方、まだ開票中のアリゾナ州の共和党予備選挙では、知事選挙と連邦上院議員選挙の候補者には、トランプ氏が支持する候補者2人が決まり、今年後半の本選挙で民主党の対抗馬に挑むことになった。

アリゾナ州の連邦上院議員選の共和党予備選挙では、トランプは、億万長者ピーター・ティールの会社の元社員で、かつてのハイテク企業の雇用主ティールから多額の資金援助を受けて立候補したブレイク・マスターズを支持した。

アリゾナ州知事選挙では、トランプは2020年の大統領選挙が盗まれたという主張に共感する元テレビ司会者のカリ・レイクを支持した。レイクは民主党に所属していた。火曜日の夜、まだ開票中にもかかわらず、レイクは共和党予備選挙で勝利したことを宣言した。

トランプ政権の元副大統領であるマイク・ペンスを含む共和党のエスタブリッシュメントの多くは、カリン・テイラー・ロブソンを知事候補として支持していた。ロブソンは2020年の大統領選挙で票が盗まれたかどうかについては明言を避けているが、トランプの疑惑に関する主張を支持するところまでは至っていなかった。

トランプが推薦したアリゾナ州務長官選挙の共和党予備選挙で、2020年の大統領選挙の結果を声高に否定するマーク・フィンチェムは、州の投票を監督する立場となる州務長官選挙で、共和党の候補者指名を確保した。

トランプは、今年の共和党予備選で、注目度の高い知事選挙、連邦上院議員選挙、連邦下院議員選挙、地方選挙などで200名以上の候補者を支持している。

ジョージア州のデイヴィッド・パデュー元連邦上院議員など、トランプ前大統領が推薦した候補者の中で失敗した人もいるが、多くは国内で最も争いの激しいレースで勝利を収めている。ただし、世論調査の結果や資金調達で苦戦している人たちもいる。

ミズーリ州の連邦上院議員選挙の共和党予備選挙で、トランプは2名の候補者を支持するように見えた。トランプは声明で「エリック」を支持すると述べたが、それが不祥事疑惑で2018年に辞任した物議を醸した前知事のエリック・グレイテンズなのか、前司法長官のエリック・シュミットなのかはっきりさせなかった。

トランプの周辺では、将来は義理の娘となるキンバリー・ギルフォイル(訳者註:2020年にエリック・トランプと婚約)などが、トランプにグレイテンズの支持を強く求めていたが、大統領に近い人たちは、今回の指名で共和党が確保している議席が危うくなると警告している。

共和党の予備選挙の多くで、トランプは、自分の再選運動が盗まれたあるいは不正によってゆがめられたという虚偽の主張を公に支持した候補者たちを支持し、ミシガン州のメイジャーのように支持しなかった候補者を罰することに重きを置いている。

民主党もミシガン州の選挙でトランプが支持する候補を支援するために資金を使った。これは、より右派的なギブスとの対決でミシガン州を取り返す可能性が高いと考えたからだ。

アリゾナ州を拠点とする共和党系のストラティジストであるローナ・ロメロ・ファーガソンは、2020年の大統領選挙に焦点を当て続けることは、アリゾナのような州では、党が本選挙に軸足を移すため、それらの候補者の一部には逆効果になる可能性があると述べた。

ロメロは次のように指摘した。「州全体で勝つためには、共和党はメッセージの幅を広げ、穏健派や共和党寄りの無党派層など、より多くの有権者を引きつける必要がある。再選を目指す民主党所属の連邦上院議員マーク・ケリーは、経済、ガソリン価格の引き下げ、警察への資金援助に焦点を当てた広告を何カ月もテレビに流している。それを見習うべきだ」。

ロメロは、「共和党はただ有権者にとって本当に重要な問題に集中すればよい」とも述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2024年のアメリカ大統領選挙についても色々と取り沙汰されている。このブログでも取り上げたが、共和党内部の反トランプの急先鋒であるリズ・チェイニー連邦下院議員(ワイオミング州選出)は、連邦下院議員の共和党の候補者を決める予備選挙でトランプが支持・推薦する候補者に大差をつけられて敗北した。反トランプの旗頭として、チェイニーは2024年の大統領選挙に出馬するのではないかと取り沙汰されている。政策がどうこうということよりも、「トランプを当選させない」という一本勝負で、反トランプ派を糾合しようという考えでどこまで進めるのかは分からないが、チェイニーには共和党エスタブリッシュメント派がついている。資金面などでは心配は少ないということだろう。
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バイデン、サンダース、トランプ
 『USAトゥディ』紙が2024年に大統領選挙に出るのではないか、出て欲しいという顔ぶれ24名について、好感度調査を行った。その結果では、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が最も高い好感度を獲得した。同率2位でジョー・バイデンとドナルド・トランプが入った。その他の人たちはぱっとしない結果だったようだ。民主党進歩主義派の象徴であるアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員(ニューヨーク州選出)は中位にとどまった。サンダース、バイデン、トランプ以外の人物たちはいずれも好感度の前に知名度がなく、「そもそもどんな人なのか知らないので、好きも嫌いも判断できない」ということだったようだ。
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 ジョー・バイデン大統領の支持率の推移を見ると、発足当初は支持率55%、不支持率38%だったが、「新婚期間(ハネムーン期間)」と呼ばれる3カ月の間に支持率が下落し、不支持率の方が高くなる逆転状態に陥った。不支持率が50%を超え、支持率が30%台中盤から40%台前半に低迷している。
favorabilitiesuspoliticalleaders2022511

 バイデン大統領の支持率にとどまらず、現在のアメリカのホワイトハウスと連邦議会の指導者たちの支持率、好感度は軒並み低い。これが示しているのは、アメリカ国民の政治に対する信頼の低下である。現在の政治状況や政策に不満を持っているのだ。サンダースが好感度調査で1位となっているのはそうした不満の反映でもある。

 アメリカの政治の停滞とそこから生み出されるアメリカ国民の政治に対する不満は一朝一夕で解決できるものではない。これは構造的な問題であり、世界規模で考えれば、アメリカの衰退の始まりということになる。国民の目を国内問題から目を逸らさせるために行われるのが「外患」、敵づくりである。そのために中露を敵視し、宇蔵院戦争に追い込んでみたが、ロシアを経済制裁で速やかに屈服させるはずが意図と違う結果になり、逆に自分たちが追い込まれる事態となっている。アメリカの衰退は印象付けられている。私たちは世界覇権(ヘゲモニー)の移動に備えることを真剣に官衙ねばならない時期に立ち会っている。

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世論調査:サンダースは2024年大統領選挙候補者の間で最も高い好感度を記録(Sanders has highest favorability among possible 2024 contenders: poll

ザック・スコンフェルド筆

2022年8月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3617170-sanders-has-highest-favorability-among-possible-2024-contenders-poll/

USAトゥディ』紙・イプソス共同世論調査の最新の結果によると、バーニー・サンダース上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が、2024年大統領選挙の候補者(可能性)23人の中で最も高い好感度を記録している。

世論調査の回答者の46%がサンダースに対して少なくとも幾ばくかの好感度を持ち、41%が不支持となった。

ジョー・バイデン大統領は好感度43%で、全体で2番目の好感度を記録した。しかし、彼の不支持率はサンダースの数字に比べて高くなっており、52%が大統領に対して否定的な意見を表明した。ドナルド・トランプ前大統領はバイデン大統領と同様の結果を残した。

この3人の政治における重要人物の後ろに、知名度の高い候補者たちが続いている。しかし、全国的知名度が低い候補者になると、ほとんどの有権者に知られていないという状態になっている。

カマラ・ハリス副大統領とマイク・ペンス前副大統領はともに40%以上の回答者から好意的な評価を得ており、候補者の中でそれぞれ3位と4位の数字を得ている。

民主党員・支持者の間では、バイデンが最も好感度が高く、82%の有権者が現職大統領を好意的に捉えている。共和党支持の有権者で、バイデンに好意的な見方を示したのは、わずか11%だった。

バイデンとその側近は、健康状態が許せば2024年に2期目の出馬を計画していると主張しているが、民主党の中には、支持率が低い中でバイデンの再選を支持するかどうかという質問に明言を避ける者たちもいる。

そのような民主党所属の連邦議員の多くは、質問されると「今は今年の中間選挙に集中している」と答えている。しかし、質問をかわしている人物の中には、2024年に自らホワイトハウスを目指す可能性がある人物も含まれている。

アレクサンドリア・オカシオ・コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は今年6月、CNNの番組「ステイト・オブ・ザ・ユニオン」のインタヴューで、2024年の大統領選挙でバイデンを支持するのかどうかについて言及することを避けた。

オカシオ=コルテスは「その橋は渡ったら明確にします。しかし、私は大統領がヴィジョンを持っている場合、確かに私たちは全て時間が来れば、楽しませ、検討する意思があるものだと思う」。

世論調査でのオカシオ・コルテスの好感度は、23人の候補者の中で11位と中位に位置している。

調査対象となった有権者の33%がオカシオ=コルテスを好意的に見ていると回答し、38%が好意的でないと回答した。

世論調査では、進歩的な議員の好感度は共和党員・支持者たちの間で最も低く、共和党員・支持者の回答者の10%が彼女に好感を示し、バイデンやハリスより1ポイント低いことが分かった。

世論調査によると、トランプは共和党員・支持者たちの間で最も高い好感度、81%を記録した。トランプ前大統領に続き、ペンスとテッド・クルーズ連邦上院議員(テキサス州選出、共和党)が、それぞれ共和党有権者の69%と68%から好感を持たれている。

メリーランド州のラリー・ホーガン知事やニューハンプシャー州のクリス・スヌヌ知事など、世論調査の対象となった共和党穏健派の知事たちは好感度が低かった。

しかし、回答者の大多数は、この2人の知事についてよく知らないとも答えており、トランプやペンスといった知名度の高い人物は、世論調査の対象となったほとんどの有権者に知られているようだ。

今回の世論調査は、8月18日から22日にかけて、アメリカの成人2345人を対象にオンライン・インタヴューで実施された。誤差は2.5パーセントポイントだ。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 今年11月にアメリカで中間選挙が実施される。連邦上院の一部の議席と連邦会の全議席が選挙の対象となる。大統領選挙と大統領選挙の間に行われるので中間選挙(midterm elections)と呼ばれる。アメリカの大学では楽器の中間試験(midterm exams)をミッドターム(midterm)と略して呼ぶ。11月の選挙は現職大統領と所属政党にとっての中間試験となる。就任後の2年間の仕事ぶりを採点されることになる。歴代政権を見てみると、中間試験の結果はあまり芳しくない人たちが多かった。現在のジョー・バイデン大統領にとっても厳しい採点が下ることになるだろう。ジョー・バイデン大統領の支持率は40%台前半に低迷している。アメリカの有権者は基本的に厳しい。

 現在のところ、中間選挙に関する各種予想では、連邦上院は接戦、連邦下院は共和党が過半数を奪取するということになっている。以下のグラフや図をご覧いただきたい。
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 政党の支持率(赤:共和党、青:民主党)
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 中間選挙に向けて、バイデン政権は学生ローンの徳政令を打ち出してきた。これで多少、大統領に対する支持率が持ち直し、民主党の巻き返しが図れると期待されている。この学生ローン徳政令、具体的には卒業後に学生時代に借りたローンの返済に苦しむ人々が多く(借り手は約4300万人)、そうした人々に徳政令で返済免除とする(あくまで連邦政府の運営しているローンのみ)ということだ。この全国民が対象にならない徳政令については、民主党内部にも反対意見がある。一方、民主党内部の進歩主義派は、「学生ローン返済免除は、自分たちが長年訴え、大統領に働きかけてきた。その成果が出た」と喧伝している。しかし、進歩主義派は民主党内部の予備選挙では勝てておらず、「政策で勝って、選挙で負けている」と評されている。共和党側は学生ローン徳政令については反対している。

今年の11月の中間選挙で、連邦下院で過半数を握ると見られる共和党では、ドナルド・トランプ前大統領が支持・推薦する候補者たちが共和党内部の予備選挙に勝利している。本選挙で勝利すれば連邦議会内で議席を得ることになる。トランプ派は「MAGA派」とも呼ばれている。これはトランプのスローガンである「アメリカを再び偉大に(Make America Great Again)」のそれぞれの単語の頭文字を取った言葉だ。連邦下院で過半数を掌握する共和党内部でMAGA派が勢力を拡大するということになる。

 アメリカの有権者は、経済、特に物価高であり、その原因となっているウクライナ戦争と新型コロナウイルス対策に関心を持っている。これから秋から冬へと移っていく。ウクライナ戦争がその時期まで長引けば、エネルギー高や食料価格の高騰の状態のままで、寒い冬を乗り切らねばならない。人々の不安が中間選挙の結果に反映される。バイデン政権と民主党は思い切った手段を取らねばならないが、それができるかどうかは不透明だ。

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オピニオン:2022年中間選挙に向けた有権者の意気込みとその理由(Opinion: Voters are really fired up about the 2022 midterms -- and for good reason

SE・カップ筆

2022年8月25日

CNN

https://edition.cnn.com/2022/08/25/opinions/midterm-elections-critical-future-united-states-cupp/index.html

CNN発。2022年の中間選挙が目前に迫っているが、これほど重大な選挙はないだろう。当然のことながら、アメリカの有権者たちの関心は異常に高い。

ギャラップ社の最新の世論調査によると、アメリカの成人の約半数が2022年の選挙について「かなり」考えていると答えている。1998年から2014年までの全ての選挙に先立つ夏の間の平均は、わずか37%だった。

ギャラップが「関心の強度(intensity)」と呼ぶこの指標は、有権者の熱意を示している。そして、アメリカの有権者の半数は、通常よりも投票に熱心だということになる。

もし、あなたがこのような有権者でないなら、あなたとあなたの生活に直接影響を与える可能性のある選挙をよく見てみるべきかもしれない。今、政治から目を逸らすには、あまりにも多くの緊急課題がこの国に突きつけられている。

インフレイションから景気後退の可能性、ロウ対ウェイド裁判判決の転換と多くの州における人工妊娠中絶へのアクセスの後退、銃乱射事件と銃の改革、国境での移民問題、ロシアとウクライナの戦争、新型コロナウイルスの影響など、アメリカの有権者はこの重要な選挙期間に考慮しなければならない問題を数多く抱えている。

メディアは世論調査から社内外の調査まで、多くの有用なリソースを手にしていますが、有権者がどのように投票するかについては、投票前にしか分かりません。今年は「ロウ対ウェイド裁判判決」が投票率を押し上げると予測することもできるが、一方で、この不安定な経済状況では、民主党が本当に困ってしれない。そこで、我々はその源に直行する。

CNNオピニオン」は新シリーズ「アメリカの未来は今始まる」を開始し、アメリカの有権者の皆さんに意見を求めている。

大統領選挙ばかりに目が釘付けになりがちだが、こうした問題の多くを誰がどのように解決するのかを決めるのは連邦議会選挙である。来る11月の選挙は、少なくとも今後数年間の税制、銃規制、中絶法などの運命を文字通り決定する可能性がある。

「ロー対ウェイド」裁判の判を覆して中絶を事実上禁止している州の民主党は、中絶アクセスを成文化するのに十分な人数を確保できるだろうか?

フロリダ州のような州の共和党は、公立学校に影響を与える反スピーチ法をもっと通すようになるのだろうか?

あなたの州では、銃の安全性に関する法律は廃止されるのか、あるいはさらに前進するのか?

しかし、おそらくこれらの個々の政策問題よりももっと重要なのは、民主政治体制そのものという大きな問題である。NBCニューズの最新の世論調査によると、有権者の多くが11月に優先させたいことの上位に民主政治体制への脅威が挙げられている。2021年の連邦議会議事堂での暴動、2020年の選挙が盗まれたといまだに主張する前大統領、ジョー・バイデンを違法な大統領と信じる有権者の大部分、選挙は不正操作されているという嘘を主張しながら選挙戦を戦う何十人もの政治家候補、これら全てがこの中間選挙への賭けがこれ以上ないほど高いことを意味している。

ギャロップ社によると、インフレイション、食料価格の高騰、景気後退の危機などが大きくクローズアップされている今年、当然のことながら、経済が最優先課題となっているということだ。次いで銃政策、中絶、移民、税制、ロシアのウクライナ戦争、そして気候問題という順になっている。

しかし、それは選挙の投票率の実態に比べれば少しは整然としている。投票所での感情的な、時には非合理的な、動機付けを定量化することは不可能であり、過小評価されることもある。

例えば、どれだけの有権者が、ある1つの問題を他の全ての問題よりも優先しているのだろうか? 例えば、中絶か移民か、どちらを重視して投票するかという二者択一をしているだろうか?

右派のうち何人が、政策よりも、文化戦争的な衝動、「社会的正義のために進むこと(wokeness)」との戦いや「リベラル派を動揺させ敗北させる(owning the libs)」に突き動かされて投票しているか?

ドナルド・トランプ前大統領が選んだ共和党の候補者たちを議会から締め出すことに、より意欲を燃やしている左派の人々は何人いるだろうか?

2020年の大統領選挙が盗まれたという嘘に基づいて投票に行くのは誰だろう? そして、Qアノンや他の過激派グループが押し付ける他のおかしな陰謀論に基づいて投票するのは誰だろうか? 決して少なくない数だろう。

今年は何が有権者を振り向かせるのか、それはあまり意味をなさない。ある予備選挙を考えてみると、かつてワイオミング州のお気に入りだった共和党の娘であるリズ・チェイニーが、トランプが支持する2020年大統領選挙否定派のハリエット・ヘイグマンと対戦した。

連邦下院議員として93%の割合でトランプに好ましい投票し、間違いなく最も保守的な議員の1人であるリズ・チェイニーは共和党から追放された。この出来事は彼女の政策ではなく、トランプに対抗しようとしたことが原因である。

リズ・チェイニーは、2021年1月6日にトランプがもたらした損害について率直な意見を述べ、その数週間後にトランプ弾劾に投票し、1月6日事件に関する連邦議会委員会の役職に就いたことで、彼女は多くの共和党関係者から忌み嫌われる存在になった。実際、2021年、ワイオミング州共和党は、弾劾票を投じたリズ・チェイニーに対して問責決議し、その後、チェイニーを共和党員として認めないことにした。

昨年2月、連邦下院共和党は彼女を共和党所属連邦下院議員会会長の座から外そうとして秘密投票を行った。その結果はチェイニーにとってはつかの間の勝利だったが、61人の共和党議員が彼女を追い出す投票を行い、145人が彼女の残留を支持した。しかし、5月になると、20分足らずの音声投票によって、彼女は永久に追い出された。

最終的に、トランプが選んだヘイグマンからの挑戦に直面したチェイニーは、2016年に彼女を議員に圧倒的に投票した州での予備選で、その時とほぼ同じ差で敗退したのだ。

ワイオミング州の連邦下院議員共和党予備選にもう1つの奇妙なねじれを生じさせたのは、推定で数千人のワイオミング州の民主党員がチェイニーに投票するために党籍を切り替えたことだ。この行動について言えば、その理由はおそらく彼女の政策への支持ではなく、トランプを再び選挙で勝たせないという彼女の公約に対する支持ということになる。

ワイオミング州は確かに特殊なケーススタディだが、これは、一部の有権者がトランプに対する感情よりも政策によって2022年の中間選挙に臨む方法の縮図のようなものであるとも言える。

しかし、他の人々にとっては、トランプ前大統領はそれほど動機づけにならないようだ。例えば、ジョージア州、ノースカロライナ州、アイダホ州、ネブラスカ州では、トランプが選んだ候補者の何人かが他の共和党候補者に負けた。

民主党の予備選挙では、多くの場合、進歩主義派が穏健派候補に敗れており、おそらくバイデンの中道への回帰が再確認されたのであろう。もし彼らが多くの有権者と同じ問題意識を持っているとすれば、バイデンのインフレイションに対するアプローチを諦めず、銃規制、インフラ支出、税金、気候に関する彼の勝利を支持しているのだろうと思われる。

しかし、通常大統領選挙を含む総選挙の年よりもかなり投票率が低い中間選挙において、何が正確に投票率を押し上げるのかは、特に今年は常に定量化が困難となっている。

フロリダ州では、ロン・デサンティス州知事が提出した「教育における親の権利」法案(批判派からは「ゲイと言うな」法案と呼ばれる)が、民主、共和両党をそれぞれ支持する有権者にとって大きな動機づけになる可能性がある。

ロウ対ウェイド裁判判決の転覆によって中絶が事実上禁止された州では、この問題が大きくクローズアップされるかもしれない。

テキサス州やニューヨーク州のように、ユヴァルデやバッファローで起こった恐ろしい銃乱射事件が家族や地域社会にトラウマを与えた各州では、銃政策の行方は多くの有権者にとって一つの争点となり得るだろう。

しかし、他の選挙サイクルのような明確な指標がない以上、私たちは優れたジャーナリズムを発揮し、単純に問うことが肝要だ。「あなたにとって何が重要か、それはなぜか?」

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 古村治彦です。

 アメリカのジョー・バイデン政権は、学生ローン(student loan)返済免除計画を発表した。現在、学生ローンを抱えている人は全米で4300万人おり、その平均額は日本円で400万円程度である。1000万円、2000万円と借りている人たちもいる。この返済が若い世代に大きな負担となっている。これは日本でも全く同じ構図となっている。日本育英会の「奨学金(scholarship)」は「学生ローン」であり、無利子ならまだしも、有利子で返済しなければならない種類のものがある。昔は教職に就くと返済免除となったが今はそういう制度はないし、大学を出ても高給の仕事に就ける保証はなく、就職がうまくいかなければ返済は大変厳しいことになる。

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計画について記者会見するスーザン・ライス国内政策委員長

 今回の計画では一般的な学生ローンの借り手の場合は1万ドルを返済免除する、低所得世帯出身(ペル・グラントという連邦政府の奨学金を受けられた人たち)の場合には2万ドルを返済免除とするということだ。現在の所得が単身者の場合は12万5000ドル、夫婦の場合には25万ドル以上の場合にはこの恩恵を受けられない。対象者4300万のうち、90%以上が世帯所得7万5000ドル以下なので、ほとんど(約4000万人)が恩恵を受けることになる。

 今回の発表は中間選挙前のバラマキということになる。学生ローンの返還免除については2020年の米大大統領選挙の民主党予備選挙でもテーマとなった。アメリカ中西部インディアナ州出身のピート・ブティジェッジなどが反対姿勢だった。民主党内部にも学生ローン返済免除計画には反対の声がある。「大学卒業生という、国民の一部の、高所得の職に就いている恵まれた人たちの負債を和らげるために納税者のお金を使うのはおかしい」ということになる。より直接的に言えば、ブルーカラー労働者の税金をホワイトカラー高所得者のために使うのはおかしいということになる。また、前の世代でローンを完済した人たちからすれば、「自分たちだって大変な苦労をして返済したのに、現在ローンを返済している人たちだけというのはズルい」ということになる。

 現在、中間選挙の情勢は連邦上院では接戦、連邦下院では共和党有利となっている。そうした中で、選挙が近づき、民主党側としては何とか挽回したい。インフレイションが続き、人々の生活が苦しい中で、今回の学生ローン返済免除の話が出てきた。これをアメリカ国民がどのように判断するかである。日本でも返済しなければならない奨学金(学生ローン)の負担は若い世代で問題になっている。アメリカの動きを注視しながら日本について考え行く必要がある。

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バイデンの学生ローン免除計画についての心に引っかかる5つの疑問(Five lingering questions on Biden’s student loan forgiveness plan

アレックス・ガンギターノ筆

2022年8月25日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/3616040-five-lingering-questions-on-bidens-student-loan-forgiveness-plan/

ジョー・バイデン大統領は、ペル・グラント(Pell Grant、訳者註:連邦政府による返還不要の奨学金制度)受給者に対しては最大2万ドル(訳者註:ペル・グラント利用者[1人当たりの支給額が400ドルから4000ドルと幅がある]は世帯収入が年間2万ドル以下と低所得であるため、ペル・グラントだけではなく他に学生ローンを利用している場合がほとんどである)、その他の学生ローン利用者は1万ドルを免除するという計画を発表した。これは、民主党所属の連邦議員の多くからは喝采を浴び、共和党所属の議員たちからインフレイションを助長するだけだと嘲笑を浴びるという形で、物議を醸している。

アメリカ史上最大規模の学生ローン免除計画この取り組みの効果に関しては多くの疑問も残されている。

ここでは、その中から5つを紹介する。

(1)インフレイションを助長するか?(Will it raise inflation?

バイデン大統領の計画は、既に40年来の高いインフレイション率にマイナスの影響を与える可能性があるとして、直ちに非難を浴び、エコノミストの中には高いインフレイション率をもたらすと警告している人たちもいる。また、何らかの影響があっても、それはごくわずかなものであろうという意見もある。

共和党がインフレイションを理由にしてホワイトハウスを叩く一方で、この計画が実際にインフレイションを引き起こす可能性があるという批判は、少なくともバイデンの政治上の味方の中からも出ている。

ハーヴァード大学教授で、オバマ大統領のトップ経済顧問を務めたジェイソン・ファーマンは水曜日、「既に燃え上がっているインフレイションの火に、およそ5000億ドルのガソリンを注ぐなどは無謀なことだ」と述べた。

ホワイトハウスは、連邦学生ローンの数年にわたる支払い猶予を今年12月31日まで延長する一方で、猶予は2023年1月に終了するため、インフレイションのリスクは軽減されると主張している。政府関係者たちは、ローンの支払い再開と緩和措置の組み合わせにより、インフレイションの影響は基本的にゼロになると主張した。

学生ローン返済の一時停止は、インフレイションを助長するプログラムだと考えられてきたが、他の景気刺激策や新型コロナウイルス感染拡大時に消費者たちがお金を節約したことがより大きな要因であると考えられる。

超党派政策センターの高等教育政策担当副所長ケヴィン・ミラーは「学生ローンの返済が一時停止されたことで、おそらく少しはインフレイションになったことは明らかだ。経済から引き上げられるはずだったお金が人々のポケットに残った」と述べている。

(2)大学はこれに応じて授業料を上げるだろうか?(Will colleges raise tuition in response?

オブザーヴァーの多くは、大学がバイデンの動きに呼応して授業料を上げるかどうか、疑問を持っている。その根拠は免除がより増大するかもしれないというものだ。

ケイトー研究所政策アナリストのニール・マクロウスキーは次のように述べている。「一旦ローンを免除したり取り消したりすると、大々的に重要な前例を作ってしまうことになり、今後の人々に期待や妥当な議論が起きてしまう。人々が、自分のローンを返済する必要がない、あるいは全額返済する必要がないと思えば、もっとローンを組もうとする動機になる」。

また、授業料に直ちに大きな影響を与えるかどうかは疑問だ。 

カリフォルニア大学アーバイン校の学生ローン法担当部長ダリエ・ジメネズは、「ほとんどの学校は基本的に多層的な組織だ。授業料を設定する過程では、非常に多くの入力があるため、平均的あるいは全体的に何らかの即時効果があるかどうかは分からない」と述べた。 

米教育省は、悪質な業者に対して「警戒」し「特別に集中」し、学生負債危機を助長した大学の責任を追及する方法として、負債レヴェルが最悪の教育機関の「監視リスト」を毎年発表する予定であると当局者は述べている。

(3)法廷闘争に耐えられるか?(Will this stand up to court challenges?

バイデンの取り組みに対する法廷での異議申し立てが予想されるが、その正確な内容はまだ明らかになっていない。

ホワイトハウスのキャリーン・ジャン=ピエール報道官は木曜日、ホワイトハウスはその法的権限に自信を持っており、この措置は法廷でも持ちこたえられると述べた。

ホワイトハウスが指摘する法的権限は、2003年の「ヒーローズ法(HEROES Act)によるもので、新型コロナウイルス感染拡大のような国家的緊急事態により、借り手が経済的に悪い状況に置かれないようにするために必要と思われる一定の行動を取る権限を教育長に与えるものである。

ニール・マクロウスキーは、新型コロナウイルス感染拡大時に学生負債を抱える人々がより悪い状況に置かれたことは明確ではないと述べた。 

「大卒者は、仕事を続けることができたので、新型コロナウイルス感染拡大やそれに伴う経済問題、ロックダウンの悪影響から最も隔離されていたようなものだ」とマクロウスキーは語っている。

マクロウスキーは続けて「それは、彼らは仕事を続けることができたからだ。彼らは、ローンが凍結されたことで、より良い生活を送ることができている」と述べた。

また、マクラスキー氏は、バイデンが「基本的にお金を充当している(essentially appropriating money)」と問題提起し、これは連邦議会に属する権限であるとした。しかし、民主党が過半数を握っている連邦議会は、それに異議を唱えることはないだろうと指摘した。

「ローンというのは、返さなければならない政府からのお金のことを言う。今は返さなくてもいいということになると、ローンを補助金に変えてしまうことになる」と述べた。

民主党のクリス・パパス連邦下院議員(ニューハンプシャー州選出)は、この決定について、「連邦議会と私たちの監督・財政責任を回避している」と述べた。

(4)誰に資格があり、そしてないのか?(Who is in and out in terms of eligibility?

この政策は、ローンの借り手のごく少数、ローンを抱えている人たちの5%程度と推定されるが、この人たちを除外しているように見える。

この制度は、所得水準によって対象者に上限を設けており、単身者の場合は12万5000ドル、夫婦の場合は25万ドルとなっている。

ホワイトハウスによると、対象となる全員が救済を申請した場合、4300万人の連邦学生ローンの借り手が恩恵を受け、その90%近くが世帯所得7万5000ドル以下なので、それらの借り手に行き渡ることになるという。

(5)誰が支払うのか?(Who pays for it?

納税者がこのプログラムのツケを払うことになるが、その金額がいくらになるかは明らかではなく、ホワイトハウスはこの問題についての質問を避けている。

木曜日のホワイトハウスでの記者会見で、記者たちがジャン=ピエールに費用の見積もりを求めたが、彼女は、どれだけの借り手がこの申し出に応募するかは不明だと言ってはぐらかし、その場をしのいだ。

ホワイトハウスは、バイデンが赤字削減のために取ったとする他の政策で浮いたお金が、ローン免除の予算となって全額支払われると主張している。

共和党側は、消え去ることのない政治的問題を提起し、攻撃に転じている。

ベン・サッシー連邦上院議員(ネブラスカ州選出、共和党)は、この計画は「ブルーカラー労働者にホワイトカラーの大学院生を助成することを強いる計画(scheme” that “forces blue-collar workers to subsidize white-collar graduate students)」であると述べた。サッシー議員と他の共和党所属の連邦議員たちは、所得水準が12万5000ドルと25万ドルに制限されていることから、この計画は富裕層を助けることになるとも主張している。

連邦上院少数党(共和党)院内総務のミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、この決定について、高所得のアメリカ人に有利になる、富の「乱暴な不公平配分(wildly unfair distribution)」であり、借金返済のために犠牲を払った労働者たちに対する「平手打ち(slap in the face)」であると主張した。

民主党が中間選挙で共和党に負けるのではと心配すると考えられるグループであるブルーカラー労働者たちに、両者の主張がどう響くかは、今年11月の選挙で注視されるところだ。

バイデンは、特にマイノリティーのコミュニティで、共和党からの政治的打撃を回避するために、十分な数の人々が免除を支持するであろうことに賭けている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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