古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:党員集会

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治、アメリカ大統領選挙について詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年アメリカ大統領選挙がスタートした。前半は、民主、共和両党の大統領選挙候補者を決める予備選挙(primary)が始まった。アイオワ州での党員集会(caucus)が実施された。気温がマイナス20度(摂氏)まで下がる厳しい天候の中で、10万人以上が参加し、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝した。2位にフロリダ州知事ロン・デサンティスが2位、3位に元サウスカロライナ州知事・米国連大使ニッキー・ヘイリーとなった。デサンティスとヘイリーは僅差の結果となった。以下のとおりである。
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 事前の各種世論調査で、トランプが大量リードしていたため、今回の結果に驚きはない。予備選挙においての当面の話題は、ロン・デサンティスとニッキー・ヘイリーのどちらが生き残るかということだ。デサンティスは各種世論調査においてトランプに次いで2位となっていたが、今回のアイオワ州の結果をどう見るべきなのかは難しい。2位に入ったのは大きいが、3位のヘイリーとの差が小さかったことが問題だ。ヘイリーはこれから実施されるサウスカロライナ州知事を務めていたこともあり、サウスカロライナ州では、トランプに2位となると予想されている。また、次週実施されるニューハンプシャー州予備選挙でもヘイリーが2位に入るという予想もされており、デサンティスには厳しい状況が続く。

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 私は、共和党予備選挙は、ニッキー・ヘイリーが生き残る可能性が高いと見ている。ヘイリーが勢いをつけていくだろうと考えている。しかし、トランプ優位は動かないだろう。トランプとしてはどれだけの差をつけて勝利できるかということがこれからのテーマということになるだろう。
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(貼り付けはじめ)

アイオワ州での大統領選挙共和党予備選挙に関する5つのポイント(5 takeaways from the Iowa GOP caucuses

キャロライン・ヴァキール筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410502-iowa-gop-caucuses-donald-trump-vivek-ramaswamy-ron-desantis-nikki-haley-takeaways/

月曜日のアイオワ州共和党党員集会でドナルド・トランプ前大統領が圧勝し、共和党有権者に対する前大統領の優位性を示す最初の大きなテストとなった。

現在、すべての注目は早くもニューハンプシャー州に集まっており、ニューハンプシャー州ではトランプ前大統領がフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)や元国連大使ニッキー・ヘイリーをリードしており、両候補ともにニューハンプシャー州でトランプに大差をつけられている。

各種世論調査によると、ヘイリーはニューハンプシャー州ではアイオワ州よりも良い結果を得ており、ニューハンプシャー州での争いを維持できる可能性があるが、サウスカロライナ州とネバダ州など他の序盤戦については、その実力が疑問視されている。

一方、デサンティスは、多くの資金を投入したアイオワ州で2位に甘んじることになり、厳しい問いに直面している。

トランプの期待が高まる中で、月曜日の夜、ヴィヴェク・ラマスワミは選挙活動を中止し、トランプを支持すると発表した。これによってトランプ前大統領はヴィヴェク・ラマスワミ氏から後押しを受けることになった。

極寒のアイオワ州で行われた共和党党員集会の5つのポイントをこれからご紹介する

(1)予想通りのトランプの圧勝(Trump dominates, as expected

東部標準時午後8時に投票が開始してから1時間も経過しないうちにトランプはアイオワ州党員集会で簡単に大勝した。

ディシジョンデスクHQは、午後8時46分にトランプをアイオワ州の勝者と予想し、その後、デサンティスが大差をつけられての2位と予想すると発表した。

アイオワ州は大統領候補指名争いが行われる最初の州に過ぎないが、トランプの勝利は予想されていたとはいえ、彼が共和党を掌握していることを浮き彫りにした。また、これから予備選挙が実施される数州でのヘイリーとデサンティスの苦戦の可能性を高めることとなった。

トランプの大勝利は、アイオワ州の極寒の気温が投票数にどのような影響を与えるかという疑問の中でもたらされた。アメリカ国立気象局デモイン支局は、かつてツイッターとして知られていたウェブサイト「X」に、月曜日は「1972年までさかのぼると、アイオワ州の投票日としては史上最も寒い日になりそうだ」と投稿した。

しかし、厳しい天候でさえトランプ支持者を集会から遠ざけることはできなかった。火曜日早朝時点のディシジョンデスクHQの開票速報では、トランプは50%をはるかに超える票を獲得していた。

(2)アイオワ州でヘイリーは彼女が必要としているものを獲得した(Haley gets what she needs in Iowa

ヘイリーはアイオワ州で3位となった。最近の世論調査では2位とされていたものの、その予想がだいたい当たる結果となった。

しかし、メディア各社がデサンティスが2位になると予想した後でも、ヘイリーは支持者たちに3位という結果を誇らしげに報告した。

ヘイリーは「この選挙戦では、一時、私を含めて14人が立候補しているという状況になった。世論調査で私の支持率が2%ということもあった。しかし今夜、アイオワはアイオワがいつもやっていることをやってくれた」と述べた。

「有識者たちはあらゆる角度から結果を分析するだろう。それは理解できる。しかし、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、そしてそれ以降の状況を見ると、今夜、アイオワ州は共和党予備選を2人の対決の構図にしてくれたと断言できる!」と彼女は付け加えた。

このコメントは、ヘイリーが既にデサンティスよりもはるかに強力な候補と見られているニューハンプシャー州に軸足を移していることを示している。ニューハンプシャー州での世論調査では、ヘイリー候補はトランプ前大統領に次ぐ2位につけている。

ディシジョンデスクHQと『ザ・ヒル』誌がまとめたニューハンプシャー州の調査の平均では、トランプが42%、ヘイリーが31%、デサンティス氏が7%となった。しかし、初期の州世論調査と全国世論調査の両方で元大統領が依然としてライヴァルをリードしていることを考えると、ヘイリーがトランプに対抗するにはまだ長い道のりに直面している。

(3)デサンティスは選挙戦に留まるかについての厳しい決断に直面(DeSantis faces tough decision on staying in race

デサンティスが選挙戦から離脱する気配はない。日曜日、CNNの取材に対し、デサンティスは、選挙戦がこれから長期戦になるだろうと語った。

デサンティスは月曜日の夜に開票速報視聴パーティーにおいて、支持者たちに対して次のように語った。「彼らは、私たちがここアイオワで敗北し選挙に留まることはできないだろうと予測していたという事実にとても興奮していた。しかし、私が言えるのは、彼らが私たちに投げかけた全てにもかかわらず、皆さんの支持のおかげで、私たちは選挙に留まることができた。みんなが私たちを攻撃していたが、それを振り払うことができた」。

それでも、この先の地図は、アイオワ州に多くのエネルギーを注いできた知事にとって難しいものとなる。ザ・ヒルとディシジョンデスクHQが出した、各種世論調査の数字の平均によると、デサンティスは、ニューハンプシャー州において6.6%で3位に甘んじている。また、サウスカロライナ州でも、デサンティスは9.4%で、大差をつけられての3位となっている。

ヘイリー陣営はニューハンプシャー州とサウスカロライナ州に重点を置いており、デサンティスは、更に不利な立場に置かれている。デサンティスは、主にトランプ支持層と同じ保守層にアピールしようとしていることを考えると、現実的にどうすれば指名を獲得できるのかという厳しい問題に直面している。

(4)早い段階での結果発表は反発を招いた(Early race calls draw backlash

トランプがアイオワ州共和党党員集会の勝者であると夜の早い段階から発表されたが、この事実はデサンティスの支持者たちの怒りを招き、一部のメディア関係者からの批判を招いた。

AP通信は午後8時31分(東部標準時)、NBCニューズは午後8時33分(東部標準時)頃、ザ・ヒルが提携しているディシジョンデスクHQは午後8時46分(東部標準時)にトランプ勝利を報じた。

デサンティス選対広報部長のアンドリュー・ロメオは、メディアの勝利者確定報道に対する声明の中で、「何万人ものアイオワ州人が投票する前に、メディアが選挙戦を召集して選挙妨害に加担するというのは、まったくもって言語道断である。メディアはトランプの味方であり、これはこれまでで最もひどい例だ」と述べた。

デサンティス陣営のジェイムズ・ウスマイヤー選対本部長も、NBCニューズとのインタヴューにおいて、早期の勝利者報道を「ぞっとする」と非難した。

一方、デサンティスを支援するスーパーPACは、CNNAP通信、ABCニューズ、NBCニューズの早い段階でのトランプ勝利確定報道を批判し、勝者確定に関するそれぞれの方針の誤りを指摘するメールを送った。

しかし、早期にトランプの勝利者報道をしたことについても、一部のジャーナリストから疑問の声が上がっている。

セマフォーのデイブ・ワイゲル記者はXに「非常に非常に初期の段階でトランプが大勝しているが、初期のネットワーク各局の勝利者確定は少し疑わしい。人々はまだ党員集会会場にいて、電話を持っている。どれだけの数の人が確定報道を見て、考えを買えただろうか?」と投稿している。

『ナショナル・ジャーナル』誌のカーク・バド記者「AP通信は、どのようにして早い段階で党員集会でのトランプの勝利について短い説明をしているが、有権者がまだ多くの選挙区で投票している最中に確定報道をしたことについての論争には触れていない」とはXに投稿した。

早い段階での選挙戦の勝者確定報道が選挙戦の行方を大きく左右した可能性は低いが、メディアが報じているように既に選挙結果を疑う傾向にある一部の国民の間で懐疑的な見方を引き起こす可能性がある。

(5)極寒の中、投票率に打撃を受けた(Turnout takes a hit amid frigid conditions

アイオワ州が極寒状況に見舞われたため、投票率は予想を下回ると予測された。

ディシジョンデスクHQは、月曜日の夜に投票率の予想を下げたと発表し、「投票が完了したと報告している郡の投票数は、投票開始時の予想を一貫して下回っている」と指摘した。

ディシジョンデスクHQは、午後10時(米国東部時間)以降、約11万人の有権者が集会に参加したと推定しているが、「IA GOPからのデータがかなり変動しているため、変更される可能性がある」と注意を発している。

2016年の選挙では18万人以上が投票した。

投票率は、アイオワ州の凍てつくような気温に影響された可能性が高く、天候が候補者にどのような影響を与えるかについて、各候補者に疑問が投げかけられていた。

ジュリア・マンチェスターがアイオワ州からこの論稿の作成に貢献した。
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アイオワ共和党党員集会の結果を説明する5つの数字(Five numbers that explain the Iowa caucus results

ジュリア・ムラー、ジャレッド・ガンズ筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410536-five-numbers-that-explain-the-iowa-caucus-results/

ドナルド・トランプ前大統領は月曜日のアイオワ州共和党党員集会で容易に勝利し、来週のニューハンプシャー州予備選挙に向けて、選挙戦が加速するための最初の州で、共和党のライヴァルであるニッキー・ヘイリーやフロリダ州知事ロン・デサンティスを破った。

アイオワ州で共和党党員集会の投票が始まってから1時間も経たないうちに、マスコミ各社はトランプ勝利を報道した。票の集計はまだ続いているが、最新の集計の時点で、トランプが30ポイントの差で勝利する準備ができているようだ。

しかし、トランプの勝利のために他の候補者たちにつけた差は、2024年の選挙の最初の投票で得られた注目すべき数字の1つにすぎない。

アイオワ州共和党党員集会に関する数字で見ると次のようになる。

(1)トランプの得票率:51%(Trump’s percentage: 51 percent

東部標準時午前12時25分現在、ディシジョンデスクHQの集計によるt約10万9000票が投票され、トランプは51%の得票率を誇っている。

ディシジョンデスクHQによると、トランプ前大統領は2位の候補に30ポイント近くリードしている。デサンティスが2位、ヘイリーが3位と予測されている。

トランプは、各種世論調査でライヴァルに二桁の差をつけてアイオワ州党員集会に臨み、アイオワ州での勝利で、来週ニューハンプシャー州で行われる全米初の共和党予備選を前に勢いを増している。

トランプのリードを削ごうと数カ月間努力してきたトランプ以外の候補者たちにとっては、良い兆候ではない。

トランプは2016年、2020年にアイオワ州の共和党予備選挙で勝利したが、2016年のアイオワ州党員集会ではテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)に敗れ、その後ニューハンプシャー州で勝利し、大統領選挙候補者指名を受けた。 

トランプ前大統領は月曜日、アイオワでの選挙戦は「とてつもない夜」になるだろうと予想していた。

(2)勝利者確定報道時間:30分(Time the race was called: 30 minutes

アイオワ州での投票開始からわずか30分後、各メディアからトランプの勝利を宣言する最初の報道があった。AP通信が午後8時31分にトランプを勝者と予想し、他のメディアもすぐにこれに続いた。

本誌のパートナーであるディシジョンデスクHQは、約15分後の午後8時46分に勝利者確定報道を行った。

投票開始後、まだ投票をしていない人もいる中で、極めて早く勝利者予測・確定報道が出た。CNNのキャスターであるジェイク・タッパーは、CNNの予測を発表した後、「このような早期の確定報道をしたのは記憶にないほど早い」と、報道の早さを指摘した。

党員集会に至るまでの世論調査や出口調査ではトランプが大幅にリードしており、選挙戦が召集される前の初期の結果はトランプ氏が容易に勝利することを示しているように見えた。タッパーは、CNNは投票前調査と初回投票におけるトランプの「圧倒的な」リードに基づいて予測を立てる可能性があると述べた。

しかし、早期の勝利者確定報道では、多くの投票がまだ行われていない中で予測を行ったことに対して批判が生じた。党員集会にかかる時間はさまざまで、30分で結果が出るものもあれば、数時間かかるものもある。

デサンティス選対の反応は特に激しく、選対広報担当のアンドリュー・ロメオは「選挙妨害(election interference)」だと主張した。

ロメオは「何万人ものアイオワ人が投票する前に、メディアが選挙戦を召集して選挙妨害に加担するというのはまったく言語道断の好意である。メディアはトランプ前大統領の味方であり、これはこれまでで最もひどい例だ」と語った。

親デサンティスのスーパーPAC「ネヴァー・バック・ダウン」の戦略コミュニケーション・ディレクターを務めるマット・ウォーキングは、投票が終わる前に確定報道に対する複数の報道機関の方針をツイートした。

(3)2位と3位の差:2ポイント(Margin between second and third place: 2 points

月曜日の夜の党員集会に先立ち、専門家たちは選挙サイクルがスタートする中、候補者の強さを示すシグナルとしてアイオワ州の1位、2位、3位の間の差に注目していると述べた。

発表時点では、デサンティスがアイオワ州で2位を確保し、ヘイリーが3位と予想されている。

発表時点のディシジョンデスクHQによると、デサンティスとヘイリーの差はわずか2.1ポイントで、得票率はそれぞれ21.2%対19.1%だった。

この接戦は、アイオワ州党員集会の8日後に投票が行われるニューハンプシャー州予備選挙において、事前の各種世論丁でデサンティスを大きく引き離しているヘイリーにとっては良い兆候と言えるだろう。

また、フロリダ州知事デサンティスはアイオワ州を選挙戦の最重要課題としていたため、デサンティスの勢いを削ぐハードルとなるだろう。デサンティスは、アイオワ州の全99郡を訪問するという目標を達成し、アイオワ州では他のどの早期投票州よりもはるかに強力な世論調査の結果を得ていた。

アイオワで多くの時間を費やしたデサンティスは、今後の各州で本気で戦えるよう、選挙運動のインフラを構築する作業が待っている。

起業家のヴィヴェク・ラマスワミとアーカンソー州知事アサ・ハッチンソンは上位3位に入れず、これが選挙運動の終了をもたらす可能性があると専門家たちは長年指摘してきた。ラマスワミは月曜日の夜の記者会見で選挙戦から撤退し、トランプ氏を支持すると表明した。

(4)投票数:11万(Turnout: 110,000

アイオワ州民は4年に1度の党員集会に熱心なことで知られ、全国で最初の投票に参加するために定期的に多くの人々が集まる。しかし、1月の寒さに慣れた有権者にとっても、歴史的に悪天候が障壁となった。

アイオワ州共和党のジェフ・カウフマン委員長は、本誌の取材に対し、道路の除雪が進み、雪も止んだことから、投票率については楽観的な見方を示し、参加者数については「いい感じ」だと語った。カウフマン委員長は、18万7000人という記録的な数字に達するとは予想していなかったが、早朝時点では「いい感じ」だったと語った。

ディシジョンデスクHQは、約11万人の有権者が投票に参加したと予測した。この数字は、記録を打ち立てた2016年の党員集会からは大きな減少となったが、2012年と2008年にそれぞれ投票した約12万人からはわずかな減少にとどまった。

月曜日の夜の党員集会終了に関する声明の中で、カウフマンは「アイオワの人々は、数日前に吹雪に見舞われた後、記録的な低温に耐えながら、自分たちのコミュニティーのメンバーと国の将来について話し合い、真の草の根民主政治体制(grassroots democracy)に参加した」とカウフマンは夜の終わりに向けて声明で述べた。

(5)風冷指数:50度(Wind chill: 50 degrees

月曜日、アイオワ州民は凍えるような寒さと厳しい冬の天候に直面した。国立気象台は、デモインの風冷指数をマイナス30度と発表した。

選挙戦までの数日間、一部の選挙計画が複雑な状況となったことを受け、候補者らは支持者らに雪の中でも勇敢に党員集会に行くよう呼び掛けた。党員集会に先立って複数の対面イヴェントを中止し、代わりにヴァーチャルで開催することを余儀なくされた。

デサンティスは党員集会開始前、支持者たちに「寒さに負けずアイオワ州共和党党員集会に参加して、私を応援して欲しい。あなたの一票が、今夜ほど大きな影響を与える機会はない!」と述べた。

ラマスワミは、アイオワ州の支持者たちに「私たちの国を救うために、寒さに耐えていただきたい」と呼びかけた。

アイオワ州共和党党員集会が州内の各選挙区で始まった、デモインの午後8時の気温はマイナス20度(摂氏)にまで下がった。

ウエザー・チャンネルとアキュウエザーによると、月曜日の日中の最高気温はマイナス17度(摂氏)だった。
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アイオワ州共和党党員集会の勝者と敗者(Winners and losers of the Iowa caucuses

ナイオール・スタンジ筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410571-winners-and-losers-of-the-iowa-caucuses/

アイオワ州デモイン発。有権者は月曜日、2024年の大統領選挙期間で初めて意思表示をする機会を持ち、その結果、アイオワ州共和党党員集会でドナルド・トランプ前大統領が圧倒的な勝利を収めた。

トランプは2位に約30ポイントを付けて圧勝した。

党員集会に向けて大きな注目は、2位争いを中心に展開していた。フロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)が元国連大使ニッキー・ヘイリーを抑えて残念賞(consolation prize)を受賞した。

党員集会では、実業家のヴィヴェック・ラマスワミが4位という最低の成績で選挙戦を中止するなど、これまでと同じく候補者たちが絞られた。ラマスワミは予想通りトランプを支持した。

極循環によってアイオワ州の気温が氷点下にまで下ったため、天候が今年の選挙戦の大きな要因となった。月曜日はこれまでで最も寒い投票日となった。

約11万2000人のアイオワ州民が投票を行ったが、2016年に記録された約18万6000人には遠く及ばなかった。

以下に、月曜日の夜の勝者と敗者について見ていく。

●勝者たち

・ドナルド・トランプ前大統領(Former President Trump

トランプにとって、これ以上ない夜となった。

トランプは世論調査が予想していた通りの大差で勝利したが、支持者の間に態度が弱くなったり、満足したりする兆しは見られなかった。

トランプの得票率は50%の大台をクリアしたと見られる。これにより党員集会参加者の大多数がトランプに反対しているという、ライヴァルたちの主張の正当性がなくなる。

同じく重要なことは、デサンティスとヘイリーの僅差の結果により、今後しばらくは両者が選挙戦に残る可能性が高く、非トランプ票が確実に二分される状態が続くことになる。

トランプは、支持者を前に行った約20分間の勝利演説では、彼の基準からすると珍しく穏やかだった。ライヴァルたちに対しては、「みんな一緒に楽しい時間を過ごしてきた。ヘイリーとデサンティスはふたりともよくやった」とささやかではあるが賛辞を贈った。

トランプはまた、「今こそ全員が団結する時だ」と主張したが、この発言は現代で最も二極化を進めた、とトランプ前大統領を批判する人たちには違和感があるだろう。

しかし、この穏やかな口調は、ライヴァルたちを退かせようとするトランプ・チームの全般的な働きかけの一部だった。

2022年のアリゾナ州知事選に敗れ、現在は同州の上院議員候補であるトランプの忠実な支持者であるカリ・レイクは本誌の取材に対し、他の候補者の立候補はもはや「虚栄のプロジェクト(vanity projects)」に過ぎないと語った。

レイクは次のように語っている。「彼らに勝ち目はない。アイオワ州とニューハンプシャー州に何億ドルもつぎ込んで、強敵の候補者トランプを追い落とそうとしているのは残念なことだ。彼らが少し立ち止まって、考え直し、トランプ大統領がアメリカを救う手助けをする人物であることを認識することを願っている」。

・世論調査会社や組織・団体(Pollsters

世論調査会社は物事を誤ると大きな非難を浴びるが、アイオワ州では堅実な結果を残した。

本質的に世論調査と予想が難しい党員集会ではこれは並大抵のことではなく、今回の場合は荒天が新たな不確実要素となった。

トランプが30ポイントを付けてリードしていることは、開票率98%で、ほとんどの世論調査会社の予測の範囲内だった。

専門家たちたちは、党員集会前の最終世論調査のいくつかで、ヘイリーがデサンティスを抜いて2位になっていたことに注目するだろう。

しかし、公平を期すために、優秀な世論調査会社のいくつかは、ヘイリー支持者の一部から明らかに情熱が感じられないという理由で、これらの結果に注意書きを入れていた。

高く評価されているデモイン・レジスター世論調査の中心人物であるJ.アン・セルザーは、党員集会の2日前に、ヘイリー支持のレヴェルには「根底にある弱さ(underlying weakness)」があり、「ヘイリーの支持者の大きな割合が、集会に参加せずに家にとどまるかもしれない」と述べた。

まさにその通りになったようだ。

・アイオワ州共和党党員集会(The Iowa caucuses

アイオワ州共和党は、困難な状況にもかかわらず党員集会自体がスムーズに行われたことで、安堵のため息をつくことができている。

投票率がかなり低かったこと認めざるを得ないが、それでも天候を考えれば十分評価できるレヴェルだった。

重大な不正の報告もなく、結果に疑問を呈する候補者もいなかった。

これは、4年前の民主党アイオワ州党員集会の大失敗を考えれば、より重要なことだった。

あの時は、結果を報告するシステムが故障した。結局、民主党全国委員会はアイオワ州から予備選における全米最初の地位を剥奪したのである。

●勝敗つかず

・ロン・デサンティス(Ron DeSantis

結論を述べるならば、デサンティスは生き残った。

もし3位に転落していたら、フロリダ州知事デサンティスは選挙戦から退くべきだという声が大合唱になっていただろう。それは、世論調査で3位につけているニューハンプシャー州や、ヘイリーの地元サウスカロライナ州という、あまり歓迎されない地域に向かうからだ。

2位になったことで、デサンティスは期待以上の結果を残したと主張できる。デサンティス候補は、投票日の夜に支持者を前に行った演説で、「私たちに投げつけられた全てのもの、私たちに反対するすべての人たちの存在にもかかわらず、私たちはアイオワ州で認められた」と語った。

とはいえ、一時はアイオワ州がトランプ氏を逆転する理想的な地形だと考えていた候補者にとって、アイオワ州でのダントツの2位は自慢できるものではない。

デサンティス陣営はまた、メディア各社による早期の勝利者確定報道に激怒した。フロリダ州知事デサンティスの支持者たち、これが彼の票を押し下げた可能性があるという正当な主張をしている。

とは言え、一時はアイオワ州がトランプを逆転する理想的な地形だと考えていたデサンティスにとって、アイオワ州での大きく引き離されての2位は自慢できるものではない。

前途は極めて険しいが、デサンティスはまた新たな一日を戦うために生きている。

●敗者たち(Losers

・ニッキー・ヘイリー(Nikki Haley

ヘイリー選対は、アイオワ州の結果は彼女の道徳的勝利であると熱心に主張している。

それは本当のことではない。

ヘイリー自身も党員集会後の演説で、「今夜、アイオワ州はこの​​共和党予備選を2人の選挙戦にしてくれた」と主張した。

これは良い表現だ。しかし、これを述べた候補者ヘイリーが3位に沈み、勝者から32ポイントの差をつけられており、説得力を持つ表現とはなっていない。

結果をより深く分析すると、根強い問題も示されているように考えられる。ヘイリーの支持者の圧倒的多数は大学教育を受けた有権者であり、党内ではそうした人々の数は大学の学位を持たない有権者よりも少ない。

とにかくヘイリーは選挙戦から撤退しなかった。

ヘイリーはニューハンプシャー州で力強く復活することだろう。デサンティスよりも、ヘイリーの方が共闘大統領候補者指名獲得への道筋を想定しやすい。

しかし、ヘイリーは単純にアイオワでは敗者となった。それは、彼女がどうしても2位になることを望んだのだが、それを成し遂げることができなかったからだ。

・マスコミの予測(Media projections

共和党党員集会が始まってから30分後にトランプ氏を勝者と予想したことを受けて、メディア各社はまたしても独自の騒ぎに陥っている。

勝利者確定報道は多くのアイオワ州住民が投票を行う前になされた。

AP通信と複数の全国ネットワークを持つテレビ局は、それまでに行った有権者調査と最初期の開票状況を合わせて勝利者確定報道を行った。

しかし、それまでは、投票がまだ実施されている間は、結果の予測は行わないというガイドラインが一般的に受け入れられていた。その経験則(rule of thumb)が月曜日に破られた。

デサンティスを支援する主要なスーパーPACの創設者であるケン・カチネリは、本誌の取材に対してテキスト・メッセージで、早期の確定報道は「非常に言語道断な行為だ」と語った。

カチネリは「ネットワークテレビは投票が始まった途端に勝利者確定報道を行った」と抗議の意を表した。

もちろん、デサンティス陣営は、デサンティスの得票率はもっと高かったはずだと主張する権利を持っている。

しかし、合理的な基準からすれば、極めて早期の勝利者確定報道は、またしてもメディアにとって疑わしい瞬間となってしまった。

・ヴィヴェック・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy

彼は選挙戦から撤退した。

党員集会で約8%の投票率で4位につけた後、ラマスワミの前途は存在しなかった。

この結果は、世論調査が以前から示していた通りのものだった。インターネット上の熱狂的なファン層がいたとしても、ラマスワミの魅力は極めて限定的なものだった。実際、彼に好感を持たない有権者の割合は、選挙期間中に上昇した。

ラマスワミは選挙戦からの撤退を発表したが、同時にトランプに「完全な支持」を表明した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2020年2月22日に実施されたアメリカ大統領選挙民主党予備選挙・ネヴァダ州党員集会の結果はバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が圧勝という結果が出た。まだ最終結果が出ていないので、獲得代議員数は確定していない。2位にはジョー・バイデン前副大統領が入りそうだが、得票率ではサンダースの半分にも届かない状況だ。それでも持ち直したという評価になっているというのは、2019年を通じて隠し世論調査でトップを走ってきた候補者としては何とも情けない話だ。
berniesanders171

 サンダースの大躍進を苦々しく思っているのは、ドナルド・トランプ大統領や共和党側ではなく、民主党内の反サンダースの人々だ。民主党エスタブリッシュメント派と呼ばれる主流派の人々だ。

 2020年2月21日に『ワシントン・ポスト』紙が、アメリカ政府の情報機関が、2020年のアメリカ大統領選挙に介入するために、ドナルド・トランプ大統領とバーニー・サンダースを支援している、選挙介入をしている、と報じた。アメリカ大統領選挙の結果を、アメリカの有権者の考えではなく、ロシアの意向によって決められるなどということは、アメリカ国家の正当性の根幹を揺るがす大事件だ。

 ここで重要なのは、報道でサンダースの名前が挙がった点だ。「サンダースの大躍進の裏にはロシアの存在がある」と読み取る人も出てくるだろう。この報道は、トランプ大統領に対する攻撃であると同時に、サンダースへの攻撃ということになる。

 この報道に関しては、サンダースは、ロシアが選挙に介入しようとしているという情報を伝達されたことは認めたが、ロシアに対して「アメリカの選挙に手を触れようとするな」という警告を発した。

 アメリカはこれまで世界各国の選挙に介入したり、クーデターに関与したりしてきた。日本についても、自民党に選挙資金を提供したり、労働組合を懐柔したりすることで、安定的な一党支配体制を構築した。このことについては拙著『アメリカ政治の秘密』をお読みいただきたい。

 下の記事によると、サンダースはロシアの選挙介入に関する報道が出た後、それがワシントン・ポスト紙の報道だと知り、「good friends(本当に仲の良い友人たち)」と嫌味たっぷりに言い捨てたそうだ。これは、「ああ、なるほど、民主党内の私に反対する勢力が書かせたな、仲の良いワシントン・ポストを使ったな」というだ。そして、その後に、ロシアからの選挙介入を非難しつつ、民主・共和両党のエスタブリッシュメント派を名指しし、「あなたたちもロシア人と同じく、私たちを止めることはできない」とツイッター上で宣言した。
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 下の記事の著者クリス・シリーザは私の尊敬するアメリカの政治記者だが、彼は一連の動きに敏感に反応して、これはサンダースによる「宣戦布告」だと書いている。民主党内部の争いについてはこのブログでも何度も紹介しているが、私はシナリオによっては分裂もあると考える。象徴的な言葉を使えば、「オバマの党」と「サンダースの党」に分裂することになると考えている。世界中どこでもそうだが、急速な変化を望む人々(革命を求める人々をしておく)と漸進的な変化を望む人々(改良を求める人々としておく)がどうしても対立してしまう。

 今のアメリカは若者たち、ミレニアル世代(20代中盤くらいから30代後半くらいまで)とZ世代(18歳から20代中盤くらいまで)には、「自分たちは親や祖父母たちに比べて経済的、社会的に恵まれていない」「上の世代が決めた戦争の最前線に放り込まれるのは若い私たちだ」「アメリカの現制度はおかしいところが多い」という意識が強い。その現状への不満をうまく掬い取ったのがバーニー・サンダースだ。彼は1980年代から主要な主張は一切変わっていない。それを若者たちが「発見」したのだ。

 一方、1990年代に若者で今や中年になったX世代(現在の40歳から上くらい)は上の世代と同じく、穏健になっている。私もこの世代に属するが(日本で言えば団塊ジュニア世代となる)、1994年にアメリカ映画「リアリティ・バイツ」という映画が公開された。私は、主演の女優ウイノナ・ライダーに憧れたものだが、若者たちの日常の苦しさを描いた映画で、X世代を象徴する映画と当時言われた。「リアリティ・バイツ(Reality bites)」とは「日常が噛みついてくる」という意味だ。X世代はあれから25年経って、現実に噛み千切られて、すっかり丸くなった。世論調査を見ても、ジョー・バイデン支持の割合が高い。「何とかしようと思っても無駄さ、現実はとても厳しいものさ」という諦観があるのだと思う。民主党支持層には世代間の亀裂がある。大まかに言えば、若い人たちはサンダース支持、X世代から上は中道派ということになる。

 民主党は分裂への動きも含みながら大統領選挙予備選挙を進めていくことになる。繰り返しになるが、予備選挙の結果次第では、民主党は分裂するのではないかと私考えている。私が考える最悪のシナリオは、6月までの民主党予備選挙で宣誓済み代い議員獲得数でサンダースが1位になるが過半数には至らない、そこで7月の民主党全国大会の代議員による党の指名候補選挙で1回目の投票では誰も過半数を得ることができず、2回目の投票ということになり、特別代議員も参加しての選挙で、サンダース以外の候補者が過半数を獲得して党の指名候補となり、それに憤激したサンダース支持者たちが暴れるというものだ。

 民主党にとってはサンダースがすんなりと宣誓済み代議員の過半数を獲得して民主党全国大会に進んで、1回目の投票でサンダースが党の指名候補になる方がまだ分裂の危険は少ないと思う。エスタブリッシュメント派も渋々従うだろうし、どうせサンダースでは選挙に勝てない、勝てなければ、「だから左に寄り過ぎては駄目なんだ」と言って、左派を追い出すか、おとなしくさせることができる。

 サンダースでは本選挙でトランプ大統領に勝てないというのは、よほどの失政がない限り、現職が有利ということもあるが、選挙の帰趨を決める重要な州であるフロリダ州で勝てないということもあるからだ。フロリダ州は2000年以降、勝利した側が全て取っている。フロリダ州の特徴は、成功して優雅な引退生活を送るために引っ越してきた老人たちが多いこと、キューバ革命の際にキューバから亡命してきた人々とその子孫が多く、反共意識が強いことがある。「社会主義」という言葉には反感を持つ。「資本主義自由市場経済」の勝利者であるアメリカで生まれ育ち、成功した人たちと、革命から逃れてきた人々、どちらもサンダースを支持する人たちは少ない。もちろん、これからのサンダースの選挙運動次第であるが、現在のところ、ひっくり返すところまで至っていない。また、中西部の五大湖周辺州では、共和党優位のインディアナ州と民主党優位のイリノイ州を除く、ペンシルヴァニア州(厳密には中西部には属さないが)、オハイオ州、ミシガン州、ウィスコンシン州の動向が重油だ。これらの州で勝利を収めねば、大統領への当選もない。今のところ、サンダースが固めているということもないようだ。こうしたことから、現在のところ、トランプ大統領の再選の可能性は高いということになる。

 民主党が勝手に内部闘争をしてくれている分には、トランプ大統領も「どうぞどうぞ好きなだけおやんなさい」ということになり、時々ちょっかいを出して、火に油を注ぐようなことをやればよい、高みの見物ということになる。

(貼り付けはじめ)

バーニー・サンダースが遂に民主党エスタブリッシュメント派に対して宣戦布告(Bernie Sanders just declared war on the Democratic establishment

クリス・シリーザ(CNN編集委員)筆Chris Cillizza

2020年2月22日

CNN

https://edition.cnn.com/2020/02/22/politics/bernie-sanders-2020/index.html

CNN発。金曜日の夜、バーニー・サンダースはこれまでの長年にわたる民主党エスタブリッシュメント派との戦いを公の場に暴露した。2020年の大統領選挙民主党予備選挙でのサンダースの勝利にロシアが貢献しようとしているというニュースが報じられて数時間後でありネヴァダ州での民主党党員集会の数時間前に、サンダースはツイートをしてエスタブリッシュメント派との戦いを宣言した。

金曜日の夜、サンダースはツイッターに次のように投稿(ツイート)した。「共和党エスタブリッシュメント派の皆さんへのニュースが入りました。民主党エスタブリッシュメント派の皆さんにもニュースがあります。そのニュースとは、彼ら(ロシア人)は私を止められない、というものです」。

なんてこった!

このツイートのタイミングは決して偶然ではないと思われる。

『ワシントン・ポスト』紙は金曜日午後、その支援がどれだけ明らかなのかは不明としながらも、サンダース選対はロシアがサンダースの勝利のために動いているというブリーフィングを受けたと報じた。

同日、サンダースは1カ月前にロシアの試みについて情報提供を受けたことを認めた。サンダースは次のように述べた。「ロシア、そしておそらく他の国々が、今回の大統領選挙に関与しようとしているという情報が私たちに伝えられました。私はロシアに対してメッセージを送ります。アメリカ国内のいかなる選挙にも手を出すな」。

サンダースは金曜日の夜のツイートの前に、選挙戦を取材している記者団に対して、ワシントン・ポスト紙の報道のタイミングには何かの意図があるのではないかという疑いを持っていると語った。彼はネヴァダ州の党員集会の直前だったことを指摘し、どのメディアが報じたのかと質問した。ワシントン・ポスト紙が報じたと知らされると、皮肉たっぷりに「誰かさんたちの素晴らしい友人たちだね」と言い残した。

その後、サンダースの広報担当マイク・キャスカはツイートの中で、トランプ政権の差し金を示唆した。キャスカは次のようにツイートした。「もしこのリークがバーニーを傷つけることを意図しないものだったなら、誰からも関心も集めることはなかっただろう。トランプ大統領が本選挙でバーニーと対決することに関して神経質になっているのは明らかだ」。

そして、サンダースは前述のようなツイートをした。これは明らかに、民主・共和両党のエスタブリッシュメント派と戦争状態にあるとサンダース自身が考えていることを明確にするものだった。予想通り、サンダースのツイートに対しては、多くの否定的な反応が、いわゆる党のエスタブリッシュメントから寄せられた。

長年にわたり民主党のストラティジストを務めているジョー・ロックハートは「民衆党のエスタブリッシュメント派は私たちに公民権、参政権、重火器所持の禁止、社会保障とメディケアを与えてくれました」とツイートし、更に「議員、あなたはこれまでにいったい何を成し遂げましたか?」と投降した。

サンダースの大統領選挙出馬に関する限り、今回だけではなく2016年の時もそうだったが、民主党エスタブリッシュメント派と、サンダース、サンダース選対、支持者たちとの間は戦争状態にあることは公言されていなかったが明らかだった。

2016年のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙は憎悪を深めただけに終わった。民主党全国委員会からハッキングされて暴露されたEメールによって、民主党全国委員会の複数のスタッフがヒラリー・クリントンに有利になるように不正を働いていたことが明らかになった。最終的にサンダースはヒラリー・クリントン支持を表明したが、選挙戦を通じて生じた悪感情は消え去ることはなかった。

今年公開されたドキュメンタリー映画の中でヒラリー・クリントンはサンダースについて次のように語った。「彼を好きな人間なんていません。誰も彼と一緒に働きたいと思いません。彼はこれまでに何も成し遂げたことがないんですよ。彼は職業政治家で、他の仕事をしたことがありません。彼の話す内容は馬鹿げたことばかりで、それに引き込まれてしまう人たちのことをかわいそうに思います」。

サンダースは今年1月、ヒラリーからの攻撃をことさら軽いものとして扱おうとした。しかし、彼は自分自身の中に怒りを貯めこみ続けているのは明らかだ。

そして、物事が更に悪くなったのは運営がうまくいかなかったアイオワ州での党員集会時であった。投票集計が絶望的に遅くなったが、それよりもサンダースにとって良くなかったのは、一般得票数ではサンダースが勝利を得ながら、代議員獲得数ではインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジが勝利を収め、結果に分裂があったことだ。こうした結果によって、サンダース自身と彼の支持者たちの脳裏には何かのたくらみが進行しているという考えが浮かんだ。彼らは何が進行しているのか、その裏に何があるのかを明確に分かっていなかったし、現在も分かっていない。しかし、何が確かにあるのだということは確信を持っている。だからサンダースは民主党に頼らずに自力で選挙組織を作り、選挙運動を展開しているのだ。確かに、サンダースは民主党エスタブリッシュメント派に反対する組織を作り上げているのだ。

明確にしておきたい。サンダースの行動も発言も間違っているということではない!長きにわたって民主党に属している政治のプロたちで、民主社会主義者を自認する人物を民主党の大統領選挙本選挙候補者に指名することで民主党が秋の選挙で大敗を喫することになると考えている人たちは本当にたくさんいる。

大統領選挙民主党予備選挙を戦っているサンダースのライヴァルたちはサンダースと民主党との間の薄い関係を問題にしようとしている。ブティジェッジは水曜日の夜にラスヴェガスで開催された討論会で「本当に民主党に属している人物を前に出すようにしましょうよ」と述べた。

金曜日の夜にサンダースが発信したツイートによって、今回の予備選挙を動かしている大きな構造と動きがより明らかになった。戦いの中心にはサンダースがいて、民主党エスタブリッシュメント派とサンダースはどちらが生き残るかの戦いをしている。これが全てだ。サンダースは既に発言し、宣戦布告をしている。民主党エスタブリッシュメント派はサンダースからの攻撃に対して、反撃し、勝利することができるだろうか?

(貼り付け終わり)

(終わり)

amerikaseijinohimitsu019
アメリカ政治の秘密
harvarddaigakunohimitsu001
ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領民主党予備選挙はネヴァダ州での党員集会が2020年2月22日に実施される。ネヴァダ州の特徴はヒスパニック系が人口の3分の1以上を占めるというものだ。これまでのアイオワ州とニューハンプシャー州は白人が圧倒的多数を占めていたが、白人ではないヒスパニック系が大きな割合を占める、人種構成がより多様な週でどのような結果が出るかが注目される。これは来週金曜日2月29日のサウスカロライナ州での予備選挙でも同様で、こちらはアフリカ系アメリカ人有権者が大きな割合を占める。これからの2州の注目ポイントはそこだ。
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 現在の状況ではバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が支持を伸ばして勝利すると見られている。2位をインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、ジョー・バイデン前副大統領が争う展開になっている。ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは全国規模の世論調査で支持率の数字を上げているが、2月中の予備選挙では候補者登録をしていないので、結果に影響を与えない。
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 2019年を通じて各種世論調査でトップを走ってきたジョー・バイデンは支持を急落させている。ネヴァダ州とサウスカロライナ州で何とか態勢を立て直したいところであるが、状況は好転していない。バイデンはアフリカ系アメリカ人有権者からの支持に自身を持っているが、サウスカロライナ州での数字を見ても支持率は下落している。
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 ネヴァダ州での党員集会の直前、ネヴァダ州ラスヴェガス市で候補者による討論会が開催された。この討論会からニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグも参加することになった。討論会を主催する民主党全国委員会は討論会の参加条件に各種世論調査の支持率の数字と政治献金者数を設定していた。ブルームバーグは政治献金を受け取らず、自己資金で選挙運動を展開しているために、討論会の参加条件をクリアしていなかった。そこで、民主党全国委員会はルールを変更し、政治献金者数の条件を外した。そのためにブルームバーグは討論会に参加することになった。

 しかし、彼は討論会に参加しないままの方が良かったと思われるくらいに、討論会で大失敗を犯した。ニューヨーク市長時代には選挙の時には討論会に出席したこともあっただろうが、それ以降は真剣で切り合うような厳しい討論会に出席したことはなかったし、何よりも準備が全くできていないようであった。ブルームバーグは他の候補者が簡単に攻撃できる攻撃目標、こちらから殴りつけられるが向こうから殴り返してこないサンドバッグのような状態で、他の候補者を引き立てるだけの存在となった。

 エリザベス・ウォーレンとエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は討論会の機会をうまく使って、自身の主張をアピールし、ライヴァルたちをうまく攻撃することができた。ウォーレンはブルームバーグをトランプ大統領と同じ、傲慢な大富豪で差別主義者という攻撃を成功させた。クロウブシャーはざっくばらんな中西部気質を前面に出し、同じ中道派のライヴァルであるブティジェッジをうまくこき下ろすことができた。

サンダースは高みの見物で、大きな負担もなく、失敗もなく討論会を終えた。彼にとってはこれまでで一番楽な討論会になっただろう。民主党エスタブリッシュメントは、誰も彼を止められない状況にいら立ちを募らせている。

バイデンに関してはこれまでの8回の討論会と同様、「いるのかいないのか分からない」「居眠りをしていた(トランプ大統領からはスリーピー・ジョーと揶揄されている)」ような状況で何も改善していなかった。

予備選挙直前の討論会は有権者の行動に大きな影響を与えることは前回のニューハンプシャー州でも明らかにされた。今回で言えば、ウォーレンが支持を伸ばしてくるだろう。サンダースの1位は動かないが、2位は熾烈な混戦状態となるだろう。6名の有力候補が混戦のまま、スーパーチューズデーを迎えることになる。

(貼り付けはじめ)

ラスヴェガスでの民主党討論会での勝者と敗者たち(Winners and losers from the Democratic debate in Las Vegas

ナイオール・スタンジ筆

2020年2月20日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/483792-winners-and-losers-from-the-democratic-debate-in-las-vegas

水曜日夜にラスヴェガスでの討論会の壇上に6名のアメリカ大統領選挙民主党予備選挙候補者たちが上がった。土曜日にネヴァダ州で民主党党員集会が開かれる前に討論会が実施された。

水曜日の討論会は今回の予備選挙で9回目の討論会となった。しかし、今回の討論会ではニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグが初登場となった。ブルームバーグは各種全国規模の世論調査で支持率を上げ、選挙運動に莫大な資金を投下している。

誰が勝者で誰が敗者か?

●勝者たち

(1)エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)

ウォーレンはニューハンプシャー州での予備選挙で4位に終わり失望が広がった。彼女はラスヴェガスで一か八かの賭けをしなければならなかった。そして彼女は賭けをし、勝った。

マサチューセッツ州選出の連邦上院議員でハーヴァード大学法科大学の教授を務めた経験を持つウォーレンは討論を得意としているが、水曜日の討論会では注力し、力強いパフォーマンスを見せた。

更に重要なことは、討論会における最も人々の記憶に残る瞬間において明確な勝利者となった。

この瞬間とは、ブルームバーグの女性に対する取扱いの話題の時であった。

討論会の共同司会者ハリー・ジャクソンが非難されるべき性差別的発言について質問され、ブルームバーグは、自身の会社(ブルームバーグ社)と市長時代における、幹部クラスの仕事をしている女性の数について言及して質問の矛先をかわそうとした。

ブルームバーグに反論についてウォーレンは次のようにやり返した。「皆さん、彼の言い訳を聞きましたか。よく聞いて下さい。彼は、私は数人の女性に対して良い取り扱いをしてはいます、と述べたんです。そんなもの何の意味もありませんよ」。

ウォーレンはブルームバーグに対して更に長時間攻撃を続けた。ブルームバーグは、ブルームバーグ社を裁判に訴えている女性たちについての情報について秘密保持条項を盾に開示を拒否していることを批判した。

ウォーレンはブルームバーグとトランプ大統領を比較する発言で討論会を始めた。彼女は討論会での成功をこの時に既に示していた。

ウォーレンは次のように口火を切った。「私は私たちが戦おうとしている人物について話したいと思います。その人物は超大富豪で、女性たちを“太ったメス豚”や“馬面のレズビアン”と呼んでいるのです。ああ、そうです、違いますよ。私がいま語っているのはドナルド・トランプについてではありません。私は今ブルームバーグ市長について話しているんですよ」。

ウォーレンは民主党の候補者指名獲得レースで極めて厳しい戦いを強いられることになった。ウォーレンはアイオワ州とニューハンプシャー州での予備選挙の結果で上位2名に入ることができなかった。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の存在のために左派の有権者からの支持を拡大できていない。

しかし、ウォーレンは水曜日の討論会でこれ以上望むべくもないほどの良いパフォーマンスを行うことができた。

(2)バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)

サンダースは討論会に、民主党の党指名獲得レースにおける異論のないトップ走者として参加することになった。

サンダースはリアルクリアポリティックスでの世論調査の平均で、2位に10ポイントサイをつけてトップに立っている。彼には熱心な支持者たちがついており、ネヴァダ州での党員集会で勝利を得る可能性が高い。

討論会の壇上でサンダースが行うべきことは、目立つミスを犯さないことだった。サンダースはこれを軽々とクリアした。

壇上の誰もサンダースに大きなダメージを与えることはできなかった。そして、ブルームバーグに対しての攻撃がほとんどだったこともサンダースにとっては有利に働いた。サンダース自身は討論会での最初に発言でブルームバーグの職務質問への支持に関して言及した。

サンダースの敵対者たちは彼を攻撃しようと試みたが、彼は比較的容易に反撃することができた。

インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは、サンダースと強力なネヴァダ州飲食業従事者組合との間での争いを持ち出した。サンダースはこれを一言で斥けた。

サンダースは「私たちはあなたが夢想しているよりも良い多くの組合からの支持を貰っています」と述べた。

好き嫌いはあるだろうが、サンダースが民主党の候補者指名に向けた方向性が変わってしまうと考える理由は今のところ存在しない。

(3)エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)

クロウブシャーは、ニューハンプシャー州での予備選挙直前に開催された前回の討論会でのパフォーマンスで自身の選挙運動を活性化させた。討論会の直後の予備選挙で、驚きの3位に入った。

水曜日の討論会で、クロウブシャーは、そこまで目立つことはなかったが、力強いパフォーマンスを行った。

クロウブシャーが売り出している政治的ブランドは間違いなく、アメリカ中西部で育まれた現実的な中道主義ということである。ジョー・バイデン前副大統領が支持率を下げている中で、クロウブシャーが自身の支持率を引き上げる余地が出てきている。

ブルームバーグは、税務申告のためにコンピュータソフト「ターボ・タックス」を使ったことがないと述べた後に自身の中流家庭出身という出自を強調した。

彼女は、「私の夫は夫婦の税務申告をしてくれるんですが、ターボ・タックスを使いますね」と述べた。

討論会の後半、クロウブシャーとブティジェッジとのやり取りは特にとげとげしいものとなった。クロウブシャーは、ブティジェッジが彼女のことを馬鹿だと指摘したことについて非難した。

別のやり取りでは、クロウブシャーはブティジェッジの殊勝ぶる性向についてやり返した。

クロウブシャーはブティジェッジに対して「みんながあなたのように完璧な人間だったら良かったのにね、ピート」と述べた。

クロウブシャーが民主党の指名候補になる道筋はまだ見えにくいままだ。しかし、クロウブシャーにとっては良い夜となった。

●どちらでもない

(1)インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジ

いくつかの側面でブティジェッジは圧力を受けている。

ブティジェッジは、ネヴァダ州、そして4つ目の投票場所となるサウスカロライナ州での各種世論調査での支持率の数字が良くない。ブティジェッジはアイオワ州とニューハンプシャー州で力強い結果を得たが、この勢いを支持者が望むようにはつなげていけていないようだ。そして、予備選挙において中道派の候補としての立場もブルームバーグからの脅威に晒されている。

ネヴァダ州での討論会で素晴らしいパフォーマンスを見せることができていれば支持率の数字を上げることに貢献したであろうが、彼はうまくやることができなかった。

ブティジェッジは明らかな失言をしなかった。

水曜日の討論会に関して、ブティジエッジはまあまあだった。しかし、十分に良かったとはとても言えない。

●敗者たち

(1)ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグ

間違いなく、ブルームバーグにとって酷い夜となった。

ブルームバーグは文字通り他の全ての候補者たちから攻撃を受けた。これは驚くに値しない。他の候補者たちは討論会の壇上からブルームバーグを無傷で帰すことをしなかった。ブルームバーグはテレビ広告に3億5000万ドルを既に支出している彼を攻撃目標とした。

より衝撃的だったことは、ブルームバーグが自分を弁護することを全くうまくできなかったことだ。ウォーレンが秘密保持条項についてブルームバーグを批判したところは最も目立つ場面となった。

ブルームバーグは職務質問について自己弁護をすることに躊躇していた。このテーマは討論会で必ず出るだろうと誰もが考えていたのに対策ができていなかった。

ブルームバーグはニューヨーク市長を3期連続で務めたのだが、その時にすぐにイライラする態度を見せることで有名だった。ニューヨーク市民にとってはおなじみのブルームバーグの苛立った態度はこの討論会でも見ることができた。

その一例が「ターボ・タックス」についての発言だ。クロウブシャーはこのことでブルームバーグを攻めた。更にウォーレンからも攻撃を受けた。

元市長マイケル・ブルームバーグは自身の巨万の富を積極的に擁護する姿は、現在の民主党においては政治的に問題があると見なされる。彼は世界で最も富裕な20目の超大富豪の中に入っている。

もちろん、討論会での大失敗が何も問題にならない可能性もある。ブルームバーグは2020年3月3日のスーパーチューズデーまで投票用紙の候補者リストに入っていない。3月3日までに人々の記憶が消えていくこともあるし、大雪崩のようなテレビ広告の放映によって隠されることもあるだろう。

しかし、酷いパフォーマンスだったという事実は何も変わらない。

(2)ジョー・バイデン前副大統領

バイデン選対は苦境に立たされている。

バイデンはニューハンプシャー州での予備選挙で5位に沈んだ。彼の支持基盤であるアフリカ系アメリカ人からの支持が下がっていることを示す兆候がある。水曜日に発表されたABCニュースと『ワシントン・ポスト』紙による全国規模の世論調査の結果によると、バイデンの支持率は前月に比べて半減している。

2019年から本格化した予備選挙の序盤から、バイデンは討論会で良いパフォーマンスを行うことができなかった。水曜日の討論会でもそれは変わらなかった。討論会ではところどころで姿が見えなくなるように感じられたほどだった。

バイデンは時に反撃を行った。ライヴァルたちが自身の業績を誇る中で、バイデンは自身の長い政治キャリアの中で積み上げた多くの業績を列挙した。

しかし、バイデンは討論会の壇上にいるほかの人々の陰に隠れてしまった。彼の選挙運動がうまくいっていない中でこれはとても悪い兆候である。

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ラスヴェガスでの討論会での5つの特徴(5 takeaways from Las Vegas debate

ジョナサン・イーズリー筆

2020年2月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/483789-5-takeaways-from-las-vegas-debate

ラスヴェガス発。水曜日、パリス・ホテル・アンド・カジノでの夜は戦いの夜となった。ネヴァダ州での党員集会の直前、2020年大統領選挙民主党予備選挙候補者たちはおとなしくせず、激しい戦いに身を投じた。

ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは初めて討論会に参加した。バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)はトップ走者としての立場を強めた。エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)はこれまでで最も強力なパフォーマンスを行った。インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジとエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)は、ニューハンプシャー州での予備選挙での勢いを固めた。

ラスヴェガスで人々の関心を集めた夜に関する5つの特徴について書いていく。

(1)ブルームバーグ・バブルははじけてしまうかもしれない

ブルームバーグにとっての最初の討論会が彼にとってこれほどひどいものになるということを想像することは難しかった。

ブルームバーグはライヴァルたちが、ニューヨーク市長時代の警察による職務質問と女性に関する職場環境の悪さについて、攻撃してくることは分かっていた。

しかし、ブルームバークは適切な反応を行わなかった。彼が防戦一方になって苦しいやり取りは彼の負けという形で終わることがほとんどだった。

ウォーレンは強烈な一撃を出して討論会をスタートさせた。

ウォーレンは次のように語った。「超大富豪で女性を肥った牝ブタや馬面のレズビアンと呼ぶ人がいます。いえ、私はドナルド・トランプについて話しているのではありません。私はブルームバーグ市長について話しているんですよ。女性にハラスメントを行い、黒人が多く住む地区を特定しそこを融資可能地区から除外するレッドライニングと職務質問という政策を支持した過去を持つ人物を民主党が指名候補にするならば、民主党は大統領選挙で勝利を得ることは無いでしょう。私たちがある超大富豪から別の超大富豪に大統領を代えるようなことをするならばそれには大きなリスクが伴います」。

討論会が進み、ウォーレンは更に勢いを得て、ブルームバーグに対して秘密保持条項が入った労働契約書に署名した女性たちに関する情報を発表するように求めた。それから何度かやり取りがあった後、ブルームバーグは白目をむいて話を終わらせた。

討論会の壇上にいる候補者たちは全員、ブルームバーグを攻撃した。多額の資金を投じて討論会の参加資格をクリアしたこと、市長時代の警察の施策、女性差別的な行動の容認と性差別的な発言、過去に共和党員であったことなどが攻撃材料となった。

ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは長い間あらゆる種類の討論会に参加したことがなく、失敗をみせつけることになった。一方、ライヴァルたちは9回目の討論会の参加となり、慣れていないブルームバーグを激しい攻撃をし、彼を簡単に料理することができた。

ブルームバーグは各種世論調査の支持率の数字でトップに迫る勢いである。数百万ドルの資金を背景にしてテレビ広告を放映することで、既に本選挙を戦っているかのような体制を取っている。

水曜日の夜にブルームバーグは現実の厳しさを味わった。ライヴァルたちに論争に引きずり込まれ、激しい攻撃を受けた。討論会でのパフォーマンスを受け、サンダースを阻止することを熱望している主流派民主党員にとって、ブルームバーグが大いなる希望となるかどうかについて疑義が出ている。

(2)サンダースの勢いは続いていくだろう

サンダースは土曜日のネヴァダ州での党員集会で勝利を得ると見られている。ラティーノたちの間での支持が上昇していることで、彼の勝利の可能性も高まっている。

サンダースは選挙運動の力点をカリフォルニア州とテキサス州に映している。両州は人工が多く、多くの代議員が配分されている。両州では202033日のスーパーチューズデーで予備選挙が実施される。

今週土曜日のネヴァダ州での勝利によって、サンダースを阻止することができるのかどうかという話は熱を帯びてくるだろう。

水曜日の討論会ではサンダースの勢いを止めるようなことは何も起きなかった。

実際、ブルームバーグという超大富豪で攻撃材料をたくさん提供してくれる存在がサンダースにとって完全な燃料となった可能性はある。政治におけるカネの問題から富裕層への増税と「メディケア・フォ・オール」といった全ての問題で、サンダースは進歩主知的な主張を明確にすることができた。

反サンダースの動きは大きく動き出そうとしている。

サンダースを民主党の指名候補にすれば11月の大統領選挙では惨敗を喫することになると懸念を表明する不満を持った人々が民主党内に存在する。

サンダースは民主党エスタブリッシュメント派から毛嫌いされている。その中にはケーブルテレビのニュース番組のパネリストやキャスターも含まれる。水曜日の夜にサンダースが受けた攻撃の多くは、討論会が実施される前の数日間にメディアで既に流されたものだった。

サンダースの健康状態は詳しく調べられることになるだろう。昨年、サンダースは心臓発作で倒れた。サンダースに対しては完全な健康診断書を発表するように新たに求める声が出てくるだろう。

サンダースのインターネット上の支持者たち、いわゆる「バーニー・ブラザーズ」は、サンダースのライヴァルたちに対するインターネットを使った酷い攻撃を行っているという評判が立っている。バーニー・ブラザーズはサンダースに対する攻撃の材料となった。

そして、サンダースの社会主義の主張はいつも通りに攻撃の材料となった。主流派の民主党員たちは11月のトランプ大統領の戦いで不利に働くことになると警告を発している。

討論会において最も重要となるであろう場面は、サンダースのライヴァルである5名のうち、「予備選挙で獲得代議員数が最も多かった人物が民主党の指名候補になるべきだ」と述べたのが誰もいなかったということだ。これは、サンダース以外の5人の候補者たちが、サンダースが獲得代議員数トップで民主党全国大会が開催されても、全国大会の指名候補投票でどういう結果になるか分からない、と考えていることを示している。

(4)失望感が高まる中、候補者たちは攻撃を続けた

何人かの候補者たちは窮地に追い込まれている。そのためにエネルギッシュな、火薬を爆発させているかのような姿勢で討論会に臨んだ。その結果、今回の予備選挙において最も人々の関心を惹きつけ、激しい討論会となった。

ウォーレンの討論会でのパフォーマンスは素晴らしいもので、人々は、彼女は復活すると話すことになるだろう。

ウォーレンはブルームバーグを引きずり降ろそうと狙っていた。そして、ウォーレンは、ブルームバーグを攻撃し、彼の不愛想さと短気を明らかにして弱点を晒すことに成功した。

ブティジェッジはアイオワ州では僅差で勝利を収め、ニューハンプシャー州では僅差で2位になった。しかし、ブティジェッジは避けられている非白人の有権者の間で支持を広げる能力があるのかどうかについて疑義が出ている。

ブティジェッジは繰り返しサンダースとの戦いに身構えた。サンダースは厳格な妥協を許さないイデオローグである。ブティジェッジはクロウブシャーとも戦った。ブティジェッジとクロウブシャーは予備選挙で中道派の候補者同士として争っている。

ブティジェッジの攻撃の全てが有効ではなかった。ブティジェッジは討論会にいて何度かクロウブシャーを激怒させた。クロウブシャーは当意即妙な言い回しで反撃した。

クロウブシャーは「誰もあなたほど完璧ではないのよ、ピート」と述べた。

ブティジェッジとクロウブシャーはお互いを嫌い合っているように見えた。

しかし、全候補者たちはこれからの2週間でレースの行方が決まるだろうと認識している。約3分の1の代議員がスーパーチューズデーに配分されている。予備選挙の行方はこれからの2週間にかかっている。これからの厳しい2週間の予備選挙で民主党の統合がテストされることになる。

(5)医療保険制度をめぐり候補者たちは分裂

「メディケア・フォ・オール」をめぐる主張が討論会の話題の多くを占めた。

メディケア・フォ・オールに関しては草の根での支持基盤が活性化されている。ウォーレンとカマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)の支持率の低下の裏にはこれがあったと思われる。メディケア・フォ・オールについて両者は言葉を濁したが、その後支持率が急落した。

左派はメディケア・フォ・オール実現に向けて医療保険制度を完全に見直す候補者を選びたいと熱望している。

穏健派は一般のアメリカ国民は自分たちが現在購入している民間の医療保険がなくなると言われると聞く耳を持たなくなるだろうという懸念を表明している。

今回の討論会での勝者が民主党の指名候補者になるかどうかも分からないし、11月の本選挙でトランプを倒すことができるかどうかも明確にはできない。

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今晩のネヴァダ州での討論会について見るべき5つの点(5 things to watch in tonight's Nevada debate

ジュリア・マンチェスター筆

2020年2月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/483562-5-things-to-watch-in-tonights-nevada-debate

アメリカ大統領選挙民主党予備選挙の6名の有力候補たちが水曜日の夜にラスヴェガスで討論会の壇上に立つ。数日後にはネヴァダ州で党員集会が実施される。

ニューヨーク市元市長マイケル・ブルームバーグは討論会の参加条件をクリアした。彼は各種世論調査で支持率を上げ続けている中で民主党予備選挙の状況を変化させようとしている。大富豪であるブルームバーグは、ネヴァダ州の党員集会では候補者登録をしていないが、彼の勢いを止めたい他の候補者たちからの様々な攻撃に晒されることになるのは確実だ。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)とインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは、アイオワ州とニューハンプシャー州で得た勢いを持続させるだろう。エイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)はニューハンプシャー州での討論会で予想以上に力強いパフォーマンスを見せたが、これを今回も続けるだろう。

ジョー・バイデン前副大統領は各種世論調査で支持率トップを走っていたが、現状は支持率を下落させている。ネヴァダ州での討論会で勢いを取り戻そうとしてくるだろう。アイオワ州とニューハンプシャー州に比べて人口の人種構成がより多様なネヴァダ州はバイデンにとってやりやすい州となるはずだと見られている。一方、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は予備選挙のスタートに失敗してしまったので、こちらもまた勢いを取り戻そうとしてくるだろう。

これからネヴァダ州での討論会で見るべき5つの点を挙げていく。

(1)ブルームバーグはどのように攻撃に対処するか?

ブルームバーグは水曜日夜の討論会に参加する。ブルームバーグは各種世論調査で支持率を伸ばしている中で他の候補者たちからの攻撃対象になる。

討論会に参加することで、有権者はブルームバーグをほぼ初めて見ることになる。ブルームバーグはこれまで討論会に参加したことがなく、出馬宣言以降、いくつかインタヴューを受けた程度だった。選挙資金を自己資金で賄っている候補者であるブルームバーグは、民主党全国委員会が政治献金者数に関する条件を取り下げたので、ネヴァダ州の討論会に参加することになった。

民主党予備選挙の候補者たちからブルームバーグが受けている最大の攻撃はサンダースからの攻撃である。サンダースは、ブルームバーグが数百万ドルをテレビ広告に投じていることを受けて、民主党の候補者指名をカネで買おうとしていると繰り返し非難している。

舌戦は今週月曜日にエスカレートした。ブルームバーグは、サンダース支持者の行動と発言をしっかり抑えられていないと非難した。

バイデンとクロウブシャーは討論会でブルームバーグを攻撃しようというやる気を見せている。両者はブルームバーグが警察官の職務質問や収入の低い人々に対する住宅政策について以前に行った発言について攻撃するだろう。

クロウブシャーは「私もまたブルームバーグ氏が討論会の壇上に出てくるように求めてきました。多額のお金がかかるテレビ広告の量では私は彼に太刀打ちできません。しかし、討論会の壇上では私は彼を叩きのめすことができますからね」と述べた。

(2)サンダースがどのように「メディケア・フォ・オール」への攻撃をどのようにかわすか?

サンダースが主張しているメディケア・フォ・オールは、彼の選挙運動における柱となる政策だ。先週、ネヴァダ州での出来事を受けて、メディケア・フォ・オールは攻撃を受けることになった。ネヴァダ州で力を持つ飲食業従事者組合が民間の医療保険が政府の運営する医療保険に代わることで「メディケア・フォ・オールは組合の健康保険を終焉させることになる」と警告を発したのだ。

クロウブシャー、ブティジエッジ、バイデンは、サンダースに対して、メディケア・フォ・オールの財源はどうするのかと質問している。ウォーレンは予備選挙の序盤で似たような質問に晒された。

サンダースを支持しないと発表した飲食業従事者組合をめぐる最近の議論によって、サンダースの提案している計画に対する新たな精査がなされるようになっている。

2020年1月、ブティジェッジはサンダースの計画について次のように語っている。「メディケア・フォ・オールが導入された際にどのように機能するかについてこれまで何の説明もなされてきませんでした。これは驚くべきことです。メディケア・フォ・オールはアメリカ経済に長期間にわたる影響を与える最大の事業になるというのに」。

サンダースはメディケア・フォ・オールがなければ、健康保険のコストはこれからの10年で更に高くなるだろうと主張している。

サンダースは、彼の支持者たちが飲食業従事者組合に対してインターネット上で「悪辣な」攻撃を行ったことについて非難するように圧力を受けた。サンダースは全ての候補者の支持者に対してインターネット上での攻撃を止めるように訴えた。彼は「全ての形態の嫌がらせを私は許容しません」と述べた。

(3)バイデンとウォーレンは討論会で存在感を見せ勢いを取り戻すことができるか?

予備選挙の序盤から中盤にかけて、バイデンとウォーレンはトップ走者と見られてきた。しかし、アイオワ州とニューハンプシャー州での期待外れの結果を受けて、それ以降の各種世論調査では支持率を下落させている。

専門家たちは口を揃えて、バイデンのこれまでの討論会でのパフォーマンスは弱かったと評価している。水曜日の討論会で勢いを取り戻そうとする中で、パフォーマンスの弱さは弱点となる。バイデンはネヴァダ州のラティーノとアフリカ系アメリカ人からの支持を頼みにしており、水曜日の討論会を全米のラテイーノとアフリカ系アメリカ人の共同体とのつながりを再確認する機会としたいところだ。

ウォーレンはこれまでの討論会で力強いパフォーマンスを見せてきた。彼女は選挙戦のリセットボタンを押したい状況の中で、勢いをつける機会を探している。ウォーレンは自分をサンダースと区別して自分こそが選挙戦の中で進歩主義派のトップの位置を取り戻そうとしてくるだろう。また、ブルームバーグを攻撃する機会も探している。

クロウブシャーは今月のニューハンプシャー州での予備選挙が実施される直前に開催された討論会で力強いパフォーマンスを見せた。このパフォーマンスがニューハンプシャー州の予備選挙で予想外の3位に貢献したと考えられている。

(4)ブティジェッジ、クロウブシャーはどのようにより多様な有権者を惹きつけるか?

ブティジェッジとクロウブシャーはアイオワ州とニューハンプシャー州の戦いで勢いをつけた。しかし、ネヴァダ州の聴衆はこれまでとは全く異なるものとなるだろう。

両者はアメリカ中西部出身で、選挙戦を通じて非白人の有権者たちへのアピールに苦労してきた。ネヴァダ州で両者は苦労するだろう。ブティジェッジとクロウブシャーはアイオワ州とニューハンプシャー州での時間と比べてネヴァダ州で時間を過ごしていない。両者が有権者たちにアピールするためには水曜日の討論会は極めて重要となる。

ブティジェッジとクロウブシャーはそれぞれが市長と検察官としての過去のキャリアについての質問に答えることになるだろう。両者はキャリアでの役割を通じてマイノリティの共同体にどのように影響を与えたかについて答えねばならないだろう。

ブティジェッジは、市長時代のアフリカ系アメリカ人男性に対する銃撃への警察の関与、マリファナ所持でのアフリカ系アメリカ人の逮捕率の高さ、アフリカ系アメリカ人の警察本部長の解任について詳細に調べられている。

クロウブシャーは検察官時代の2002年にある黒人の十代の若者を殺人容疑で訴追したことがあった。しかし、この殺人事件に関してはAP通信が多くの疑問点や矛盾点を報道している。このことでクロウブシャーは批判を受けている。連邦上院議員であるクロウブシャーはこの事件に関わる全ての証拠を見直すように求めている。

(5)ブルームバーグ以外の候補者でどの候補者たちが衝突したり、炎上したりするか?

水曜日の夜にブルームバーグ以外に、他の候補者たちも衝突する人たちも出てくるだろう。

ブティジエッジとサンダースは、政策の違いをめぐり一対一で衝突するだろう。両者は民主党内部の穏健派と進歩主義派の分裂を示している。ブティジェッジがアイオワ州での党員集会での獲得代議員数で僅差の1位となった時、バイデンはブティジェッジの市長としての経験を攻撃した。ブティジェッジはバイデンに代わって民主党内の穏健派の代表者となりつつある。

クロウブシャーはサンダースを攻撃することで自身の立場を浴することができると考えているだろう。彼女自身をより現実的な候補者として売り込むことができると考えているだろう。しかし、彼女はまた討論会の壇上にいる穏健派の候補者たちを攻撃したいとも考えていることだろう。そうすることで中道派の候補者たちの混みあった集団から抜け出そうとするだろう。

ウォーレンは以前にサンダース攻撃をココ見たが失敗した。また、自身の進歩主義的主張を際立たせるために穏健派に照準を合わせている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 アメリカ大統領選挙民主党予備選挙で最初に予備選挙となる党員集会が実施されるアイオワ州での最新の情勢についての記事を紹介する。現在のところ、ジョー・バイデン前副大統領とバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)との間で大接戦が展開されている。支持率を伸ばし、いくかの世論調査でトップに立っていたインディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは数字を落とし、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)も伸び悩んでいる。

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 進歩主義派・左派を代表するサンダース対穏健派・中道派を代表するバイデンの戦いという構図になっている。最大の争点は医療保険制度だ。サンダースは国が全てを管理するメディケア・フォ・オールを提唱している。バイデンは自身が副大統領を務めたバラク・オバマ前政権で成立したオバマケア(民間保険会社も利用した国民皆保険に近い制度)の改善を主張している。下のグラフにある最新の世論調査の結果では、メディケア・フォ・オール(サンダースとウォーレン)に対する支持がやや多いが、中道派(バイデン、ブティジエッジ、クロウブシャー)への支持も4割以上を超えている。

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 また、このブログでも紹介したIT実業家のアンドリュー・ヤンが主張している「18歳以上のアメリカ国民全員に毎月1000ドルを支給する」というベイシックインカムについても評価が分かれている。53%が支持し、30%が反対、17%が良く分からないと答えている。ベイシックインカムの議論ではそれでは社会保障制度はどうなるのかという点に注意を払いながら行われるべきだと私は考えている。

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来週月曜日にアイオワ州での党員集会が実施されるが、現在、ワシントンではドナルド・トランプ大統領に対する弾劾が中心的テーマとなっている。トランプ大統領は、「ウクライナが問題であるならば、ジョー・バイデンと息子ハンター・バイデンの問題はどうなるのか」という点で反撃することが予想される。これが民主党予備選挙に与える影響は小さくはないだろう。特に大接戦となっている状況ではこの点で1位となるか、2になるか、分かれてくると思う。

しかし、予備選挙全体で見れば、バイデンが有利であることは変わりがない。アイオワ州、続くニューハンプシャー州でサンダースが連勝しても勢いはそこまでということになるだろうと思われる。バイデンはどちらでも2位に入っていれば良いということになる。

(貼り付けはじめ)

世論調査:アイオワ州でサンダースがバイデンを9ポイントリードする(Poll: Sanders leads Biden by 9 points in Iowa

ジョン・バウデン筆

2020年1月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/480026-poll-sanders-leads-biden-by-9-points-ahead-of-iowa-caucuses

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が最新の世論調査の結果、民主党予備選挙においてアイオワ州でトップに立った。アイオワ州ではあと数日で全米の中で最初に党員集会が実施される。

日曜日夜に発表されたエマーソン大学の世論調査の結果によると、有権者登録済の民主党員と左派に共感する無党派層の有権者たちの中で、30%が党員集会でサンダースを支持すると答え、ジョー・バイデン前副大統領(民主党)の支持率は21%だった。

エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)は支持率が11%となり、支持率13%のエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)に抜かれて第4位となった。インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジは支持率10%で第5位となった。

上記5名以外の候補者で支持率5%を超える人はいなかった。同日に発表された『USAトゥディ』紙とサフォーク大学の共同世論調査では、バイデンが僅差でサンダースをリードしているという結果が出た。

エマーソン大学の世論調査は固定電話とインターネットを通じてアイオワ州在住の民主党支持者と無党派の有権者450名を対象に調査が行われた。誤差は4.6ポイントだ。

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Sanders, Biden in statistical dead heat in Iowa: poll

BY JUSTINE COLEMAN - 01/26/20 11:21 AM EST 101

https://thehill.com/homenews/campaign/479968-sanders-biden-almost-tied-in-iowa-poll

アイオワ州での党員集会が近づく中、日曜日に発表された世論調査の結果、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)とジョー・バイデン前副大統領は、アイオワ州での2020年米大統領選挙民主党予備選挙における支持率の数字でトップを争ってデッドヒートを演じしている。

サンダースの支持率は26%で、バイデンを1ポイント上回っている。この差は「YouGov」が実施したCBSニュースの世論調査の誤差の範囲内である。

インディアナ州サウスベンド市前市長ピート・ブティジェッジが2人に続き、支持率22%で3位に入った。ブティジェッジに続くのがエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)とエイミー・クロウブシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)で、それぞれ支持率は15%、7%だった。

アイオワ州では、党員集会での得票率で15%以上を得ることが代議員を獲得するための条件であり、締切までに自分が支持した候補者が15%の得票率を記録できなければ、支持する候補者を変更することができる。クロウブッシャーやその他の候補者たちの支持者たちがバイデン支持に回る可能性が高いとCBSは報じている。

ウォーレンが代議員獲得条件を上回らない場合、彼女の支持者たちはサンダース支持に回る可能性が高いとCBSニュースは報じている。

世論調査の調査対象者の3分の1強は自分が第一に支持する候補者を既に決めていると答えた。サンダース支持者の48%、バイデン支持者の40%は考えを変えることはないと答えた。

今回の世論調査は2020年1月16日から23日にかけて実施された。アイオワ州在住の有権者登録済の有権者2500名が調査対象となった。その中には民主党支持、民主党寄りの無党派有権者1041名が含まれている。誤差は3.9ポイントだ。

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 古村治彦です。

petebuttigieg101

 2020年大統領選挙民主党予備選挙は2020年2月3日のアイオワ州での党員集会(caucus)から始まる。民主党もそして共和党も予備選挙(primary)には党員集会(caucus)と予備選挙(primary)の2種類がある。各州でどちらの方式を使って行うかが決まっている。党員集会は近所の民主党員で世話役の家に党員が集まり、自分が支持する候補者について話し、その後にそれぞれどの候補者を支持するかを表明する。その数が集計されて結果が出る。予備選挙は普通の選挙の形式を取る。党員しか参加できない州と党員でなくても参加できる州がある。アイオワ州で最初に予備選挙が始まるのが伝統になっている。
monmouthuniversitypolliniowa20191112001

 アイオワ州での党員集会、その次のニューハンプシャー州での予備選挙は予備選挙序盤の勢いを示す大事な選挙になる。アイオワ州とニューハンプシャー州でトップ、もしくは上位につけることで選挙を生き残ることができるが、そうでなければ選挙戦撤退も視野に入ってくる。

 アイオワ州で実施された最新の世論調査の結果では、ピート・ブティジェッジがトップに立った。僅差でジョー・バイデンとエリザベス・ウォーレンが追いかける展開になっている。ブティジェッジは中道派で幅広い層から支持を集めている。サンダースは少し支持を下げている。ブティジェッジが中西部のインディアナ州を地盤にしているということもあり、同じ中西部のアイオワ州で支持を伸ばしているということもあるだろう。

 しかし、アイオワ州の有権者はこれから考えを変えるということも言っており、まだ確定ではない。他の候補者たちの巻き返しもあるだろう。しかし、ブティジェッジがトップ集団に食い込む形になり、カマラ・ハリスは脱落していくという流れは変わらない。ブティジェッジが存在感を増していけば、選挙戦での合従連衡も複雑化していくことになる。

(貼り付けはじめ)

 世論調査:アイオワ州の民主党予備選挙でブティジェッジがリード(Poll: Buttigieg leads Democratic field in Iowa

マックス・グリーンウッド筆

2019年11月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/470079-poll-buttigieg-leads-democratic-field-in-iowa

マンモス大学の世論調査の結果が発表され、アイオワ州の民主党予備選挙において、インディアナ州サウスベンド市長ピート・ブティジェッジがトップに浮上した。来年2月に全米で最初に予備選挙となる党員集会を前にしてブティジェッジが上昇局面を迎えつつあるということを示している。

世論調査の結果では、アイオワ州の党員集会参加予定者の間でブティジェッジは22%の支持を集めた。これは8月の世論調査の結果に比べて14ポイントの上昇となった。第2位には支持率19%のジョー・バイデン前副大統領、第3位には支持率18%のエリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)がつけた。

上位3名以外に支持率二桁を記録したのはバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァ-モント州選出、無所属)で支持率が13%だった。

世論調査の結果を見ると、2020年米大統領選挙民主党指名候補選挙で最初に投票となるアイオワ州の党員集会では、ブティジェッジ、バイデン、ウォーレンが一団を形成している。

37歳のブティジェッジは若さを強調し、バイデンにとって代われる人物だという印象付けを行おうと努力しており、その結果としてここ数か月、アイオワ州での支持率を上昇させてきた。バイデンは民主党内の中道派のほとんどの支持を集めている。

ブティジェッジは予備選挙で上位につけている進歩主義派のウォーレン、サンダースと自分自身との間の際を際立たせようとしてきた。そして、「メディケア・フォ・オール」に関する提案について、マサチューセッツ州選出の連邦上院議員であるウォーレンに対して提案の詳細を攻撃している。

マンモス大学世論調査研究所所長のパトリック・マレーはアイオワ州でのブティジェッジの支持率の急上昇は党員集会参加予定者の中で幅広い層やグループの支持を集めていることを示している、そして、特定のブロックやグループの支持だけではないと指摘している。

マレーは次のように語った。「ブティジェッジはアイオワ州の民主党員と民主党支持者の中で幅広い人々にとっての第一の選択肢となって台頭している。ブティジェッジは高齢者の間で支持率を伸ばしている。しかし、彼の支持基盤を特定の一つのグループに限定することはできない。ブティジェッジは有権者の教育程度やイデオロギーに関係なく多くの有権者の支持を集めている」。

カマラ・ハリス連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)はここ数か月で選挙戦略を変更し、アイオワ州に特に力を注ぐようになっている。それでもここ数か月のマンモス大学の世論調査の結果の支持率が急落している。8月には12%あったがそれが11月には3%になった。結果として、支持率5%を記録し第5位となったエイミー・クロウブッシャー連邦上院議員(ミネソタ州選出、民主党)に追い抜かれた。

それでもアイオワ州の選挙は流動的だ。マンモス大学の世論調査の結果によると、党員集会参加予定者の60%以上が現在支持している候補者以外でも党員集会の夜に師事する可能性があると答えている。16%が党員集会までに考えを変える可能性が極めて高いと答えている。

28%、3分の1弱の有権者が2月3日の党員集会で支持する候補者を既にしっかりと決めていると答えた。

マレーは次のように述べている。「アイオワ州の党員集会参加予定者はいつもそうだが最後の瞬間に考えを変えることが殆どだ。実際、参加者の中には党員集会の夜までじっくり考えて支持する候補者を決めるという人たちも多いのだ。こういうことから、アイオワ州の予備選挙は極めて流動的であり、それが2月3日まで続く」。

党員集会参加者の過半数は党員集会の夜までに考えを変える可能性があると答えている。第二の候補者として有権者の中で名前が挙がっている候補者たちも上位に入ってくる可能性は十分にあるということになる。

世論調査対象者の17%がウォーレンは第二の選ぶ候補者だと答えた。15%がブティジェッジを第二の候補者に選ぶと答え、12%がサンダース、10%がバイデンと答えた。

マンモス大学の世論調査は2019年11月7日から11日にかけてアイオワ州の党員集会参加予定者451名を対象に実施された。誤差は4.6ポイントだ。

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