古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:共和党

 古村治彦です。

 エプスタイン・ファイルをめぐる連邦議会での激しいやり取りについては、このブログでもご紹介した。エプスタイン・ファイルは既に、アメリカ政治において熱を帯びた戦いの最前線になっている。司法省は未編集の資料を保有しており、連邦議会は被害者の名前などの編集を認めながら公開を求めてきた。そして、今年に入って約350万ページにも及ぶ資料が公開された。それらは編集されたもので、どうしても「加害者の名前が編集されているのではないか」という疑いが付きまとう。

 司法省は、連邦議会の議員たちに司法省の事務所内での未編集の資料の閲覧を認めている。議員たちは全てを見ることが出来る。もちろん、約350万ページの資料を見ることなど不可能だ。それでも民主党側の議員たちの中から、加害の証拠があり、有罪の可能性があるという人物たちの名前が発表されている。これからも、編集された部分から、重大な加害に関与した可能性がある人物たちの名前が出てくるだろう。「○○の名前があった」「■■に加害の可能性がある」ということが取り沙汰されている様子は、戦後アメリカに吹き荒れた、マッカーシズム(McCarthyism)、赤狩り(Red ScareRed Purge)を思い起こさせる。

 司法省がどの議員がどのような検索や調査を行ったかについて記録を取っていることが問題視されている。司法省は、被害者の名前が漏洩しないように、もしもの場合の責任の所在を明らかにするために記録を取っているとしている。一方で、民主党所属の議員たちからは、これは行政権による司法権に対する侵害であるとして批判を強めている。司法省が、議員たちがどのような調査をしたかの記録を取って、それをマスコミにリークなどすれば、議員たちに批判が集まるという危険性もある。

 司法省の主張にも、連邦議会民主党側の主張にも説得力があるが、日ごろは問題視されないことが、粒立てて問題視されるということはそれだけの緊張感があるということだ。民主、共和両党は、中間選挙に向けて、お互いを攻撃しようとし、エプスタイン・ファイルはその攻撃材料となっている。これからファイルの調査が進むことで、展開は大きく変わっていくことも予想される。

(貼り付けはじめ)

民主党が司法省による連邦議員のエプスタイン文書検索追跡を調査開始(Democrats launch investigation into DOJ tracking of lawmakers’ Epstein files searches

レベッカ・ベイッチ筆

2026年2月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5738162-epstein-files-doj-bondi-house-democrats/

連邦下院司法委員会と監視委員会の民主党所属の連邦議員は、パム・ボンディ司法長官が、ある議員によるジェフリー・エプスタイン事件の未編集ファイルに関する調査の概要を閲覧しているのが目撃されたことを受け、金曜日に司法省に対する合同調査を開始した。

この書簡は、司法省に対し「連邦議員によるエプスタイン・ファイル閲覧の追跡を直ちに中止する」よう求め、連邦議員が閲覧した未編集ファイルを追跡する意図を問う内容だ。

連邦下院司法委員会と監視・政府改革委員会の民主党側トップであるジェイミー・ラスキン連邦下院議員(メリーランド州選出)とロバート・ガルシア連邦下院議員(カリフォルニア州選出)は、プラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)と共に、「水曜日、連邦下院司法委員会の公聴会に持参された『バーン・ブック』バインダーのページの写真は、司法省が、多少編集が緩められたエプスタイン・ファイルを閲覧する議員たちを秘密裏に追跡していたことを連邦議会と世界に明らかにした」と書簡に記した。

議員たちは、「私たちが憲法上の監視義務を遂行する中で、連邦議員たちがあずかり知らないうちに、あるいは同意なく行われるこうした監視は、三権分立(separation of powers)の明白な侵害であり、司法省がジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェルの共謀者、共犯者、そして幇助者を守るために手段を選ばず、被害者とアメリカ国民に正義を否定する姿勢をさらに強めていることの証拠である」と書いている。

司法省立法局(Office of Legislative AffairsOLA)は「秘密裏に連邦議会を監視する活動を行うべきではない」と議員たちは主張した。

写真には、ボンディ氏が「ジャヤパル・プラミラ捜査履歴」と題された文書を確認している様子が捉えられている。これは、司法長官と口論になったワシントン州選出の民主党議員の行動を確認しているように見える。

この写真は、議会で異例の超党派の合意を招き、両党の議員が自らの行動を追跡されることに憤慨した。

このような動きはマイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)から異例の叱責を受けた。

ジョンソン議長は、「連邦議員には当然、それぞれのペースと裁量でそれらの資料を閲覧する権利があるべきであり、誰かがそれを追跡するのは適切ではないと考える。司法省関係者全員に同じ意見を述べたい」と述べ、これが「見落としや漏れ(oversight)」であることを願うと付け加えた。

ボンディ司法長官は水曜日、民主党所属の連邦議員たちに反論するために頻繁にバインダーを取り出し、各議員の選挙区で犯された具体的な犯罪の概要を手元に用意していた一方で、大統領と株式市場のパフォーマンスについては称賛していた。

「ジャヤパル議員は火曜日の朝、この公聴会開始の約23時間前にエプスタイン・ファイルを閲覧していた。その23時間の間に、司法省は彼女の検索履歴を取得し、それを利用して、監督に関する重大な疑問をかわすための党派的な攻撃を準備したようだ。ジャヤパル議員は検索履歴文書の正確性を確認した」と議員たちは書簡に記している。

司法省は金曜日、新たな調査について言及しなかったが、以前の発言については指摘した。

司法省の広報官は木曜日に「司法省は連邦議会に対し、エプスタイン・ファイルの非編集文書を閲覧する機会を与えた。この閲覧の一環として、司法省は被害者情報の漏洩を防ぐためであり、民主党は、検索の監視が司法省に彼らの潜在的な捜査計画に関する洞察を誤って与えている」と主張している。

連邦議員たちは、エプスタイン・ファイルの未編集版を閲覧するよう招請され、月曜日から司法省内の事務所に出向き始めている。

連邦議員たちが出した書簡には、少なくとも12名の民主党所属の連邦議員がエプスタイン・ファイルを閲覧したと記されており、ファイル公開を求める法案の共同提案者である共和党のトーマス・マシー下院議員(ケンタッキー州選出)とナンシー・メイス下院議員(サウスカロライナ州選出)も閲覧した。

エプスタイン・ファイルの閲覧要請書には、司法省が「全議員の閲覧日時」を記録すると記載されていたものの、連邦議員たちの書簡では、連邦議員たちは検索履歴が集計されることを知らされていなかったと書かれている。書簡ではまた、検索履歴の閲覧に何人の司法省職員が関与したのか、そしてボンディ長官が水曜日に連邦下院司法委員会に出席した際、「その準備と出席中に、情報はどのように使用されたのか」についても質問している。

連邦議員たちは、「検索に加えて、連邦議員に関するどのような情報を収集しているのか?」と質問した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD (1)

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 古村治彦です。

 パム・ボンディ司法長官は連邦下院での公聴会に出席し、エプスタイン・ファイルについて、民主党所属の議員たちから激しく追及された。ボンディ長官はドナルド・トランプ大統領を護るために奮闘した。300万ページにも及ぶ文書が新たに公開されたが、被害者たちの名前が編集されていないところがあった、もしくは重要な部分で編集がされていたという批判がなされている。被害者たちは、名前が編集されていなかったことについて、「これ以上は騒ぐな」という口封じのための脅しだと批判している。

 民主、共和両党はエプスタイン・ファイルを自分たちにとって有利な武器として使おうとしている。民主党はトランプ大統領と政権最高幹部クラスがエプスタインと親密な関係にあったこと、トランプが大統領選挙期間中にはエプスタイン・ファイルの公開に積極的な姿勢だったのに、政権発足後には消極姿勢に転じたこと、その理由として、トランプがエプスタインと親密な関係にあり、犯罪行為に関係していたということを証明したいと考えていることなどを理由にして、攻撃材料としたいと考えている。

 共和党側は、ビル・クリントンをはじめとする民主党の重鎮たちや、リベラル派の大物、更には、民主党支持の財界人たちの名前を出すことや、民主党政権下では調査が進んでいなかったこと、逆に民主党側がトランプ攻撃のために、被害者たちを利用して政争の具にしようとしているとして反撃している。

 トランプ大統領自身は、エプスタイン・ファイルに関しては「騒ぐほどのものではない」「退屈な事件だ」という態度を取り、大きな騒ぎにはしたくないという姿勢を取っている。これがまた、トランプが自身の関与を隠そうとしているという批判を集めている。

 私はこのブログ書いたが、エプスタイン事件の本丸はイギリス王室やイギリス上流社会ではないかと考えている。さらに、ヨーロッパ各国の政治家や上流社会にも波及しており、もちろん、アメリカの上流階級も含めてだが、「エプスタイン階級(Epstein Class)」が形成されていると考えている。被害者の方々には申し訳ない言い方になるが、ただのセックススキャンダルだと思っていたが、それよりもより深刻な上流階級、「法の支配を受けない、法の上の人々」が犯罪行為を皆でやっていたということであろうと考えている。

 トランプは第二次政権になってから、ヨーロッパ諸国に対して融和的になっている。ウクライナに対してもそうだ。エプスタイン・ファイルの破壊力の深刻さを教えられ、これが破裂すれば、西側諸国は大きなダメージを受けると分かって、エスタブリッシュメントたち、上流階級の人々と何らかの「取引(ディール)」をしたのではないかと考えている。ヨーロッパ各国は王制が多く、エプスタイン事件とのかかわりが暴露されれば、王室や貴族性の廃止論が高まるだろう。もちろん、トランプ自身の身の安全が最優先だから、トランプにまで塁が及ぶようなことにはならないようにするだろう。

 ボンディ長官はこうした状況で、トランプを護るために奮闘している。長官の辞任までも視野に入れて対峙しているだろう。しかし、状況はなかなか厳しいようだ。300ページもの文書の分析は大変な作業となるだろう。そうした中でどのような爆弾が破裂するか分からない。

(貼り付けはじめ)

パム・ボンディ司法長官が出席した連邦議会での公聴会は激しい応酬が占めた:4つのポイント(Fiery exchanges dominate Bondi appearance before Congress: 4 takeaways

レベッカ・ベイッチ筆

2026年2月11日

https://thehill.com/homenews/house/5734303-pam-bondi-judiciary-committee-hearing-epstein/

パム・ボンディ司法長官は水曜日、就任後初めて連邦下院司法委員会に出席し、白熱した公聴会で議員たちと真っ向から対立した。

ボンディ司法長官は、ドナルド・トランプ大統領の敵対者たちに対する進行中の捜査から移民問題まで、幅広い問題について質問を受けたが、最も緊迫した応酬はエプスタインのファイルに関する質問の中で見られた。

ボンディ司法長官は大きなバインダーを手にして座り、議員たちを罵倒する際に何度もバインダーを参照した。それぞれの選挙区で起きた具体的な犯罪を引用したり、株式市場の動向を自慢したりした。

この繰り返しに民主党所属の議員たちから不満の声が上がり始め、ボンディ長官がバインダーを頻繁に参照したため、ある時点でジャレッド・モスコウィッツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)は「バインダーのジャレッド・モスコウィッツのセクションをめくってほしい。反対派のスタッフが私に対してどのような情報を提供したのか興味がある」と皮肉を言ったほどだ。

この激しい公聴会に関する4つのポイントを以下に紹介する。

(1)エプスタイン・ファイルをめぐる非難が焦点になった(Finger-pointing over the Epstein files takes center stage

公聴会には、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインの被害者11人が出席し(この人たち以外にも出席していた可能性がある)、公開されたファイルにおける大幅な改ざんを非難するシャツを着ていた。議員たちは被害者たちについて繰り返し言及した。

ある場面で、プラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は、トランプ政権下の司法省(DOJ)とまだ面会していない被害者たちは手を挙げるよう求めた。全員が手を挙げた。

この場面は、公聴会の冒頭でボンディ司法長官が、さらなる虐待事件があれば司法省として全力で対応すると公約していたこととは対照的だった。ボンディ長官は「FBIは皆さんからの連絡を待っている。犯罪行為の容疑は全て真剣に受け止め、捜査する」と述べていた。

ジャヤパル議員は、エプスタインとのメールのやり取りの中で、司法省が彼の側近の身元を隠していたことを明らかにした。このメールは、被害者たちの名前が公開されている別のファイルと並べて表示されていた。議員たちはこのファイルを公聴会のためにぼかしを入れた。

別の事例では、トーマス・マシー連邦下院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、司法省がファイルの中で「有罪の可能性が高い(likely incriminated)」とされている人物のメールを「私が現行犯逮捕した(of me catching you red-handed)」ためだけに修正したと述べた。

ボンディ長官は、ファイル内の不適切な修正があれば、その改善に努めると述べた。

ボンディ長官は「もし、修正されるべきでない人物の名前が修正されていたら、もちろん改善する。もし被害者の名前が修正されていない場合は、私たちにお持ちいただきたい。修正する。私たちは30日間で数百万ページに及ぶ文書を精査し、修正と修正の修正を繰り返した。私たちのミスの割合は非常に低い」と述べた。

ボンディ長官は、前任者のメリック・ガーランドを引き合いに出し、議員たちが前のバイデン政権下でエプスタイン捜査について説明を求めなかった理由を問いただして繰り返し反論した。

マシ―議員は「メリック・ガーランドについて質問されて嬉しい」と述べた。

マシー議員は「これはウォーターゲート事件よりも大きな問題だ。4つの政権にまたがる問題だ。バイデン政権に遡る必要はない。オバマ政権、ジョージ・W・ブッシュ政権まで遡ればよい。この隠蔽工作は何十年にもわたっており、あなたにはその責任の一部がある」と述べた。

(2)公聴会は嘲笑と激しい応酬で占められた(Taunts and fiery exchanges dominate hearing

エプスタインのファイルに関する様々な質問は、ボンディ長官と議員たちの間で最も激しい応酬を引き起こした。

特に注目すべき応酬の一つは、ボンディ議員がジャヤパル議員から、司法省と面会していないと主張する11人の被害者に対し、「司法省が被害者たちに与えた苦しみについて謝罪する」よう求められたのを拒絶したことだ。

この要求は2人の女性の間で口論に発展し、ボンディ長官は「こんな芝居がかった行動(theatrics)で汚い目に遭うつもりはない」と反論した一方、ジャヤパル議員はボンディ長官が被害者たちを無視していると主張した。

応酬の最後に、ボンディ長官は「プロ意識がない(unprofessional)」と呟いた。

その直後、ボンディ長官がトランプ大統領に反対する者への訴追と、エプスタイン事件に関する訴追の欠如を比較するよう求められ、再び緊張が高まった。ボンディ長官が話している最中、委員会筆頭議員のジェイミー・ラスキン連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)が口を挟み、ジェリー・ナドラー下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が自分の発言権を取り戻したと主張した。

ボンディ長官は、弁護士で憲法学教授を務めた経験を持つナドラー議員に向かって「あなたは落ちこぼれ弁護士だ。弁護士ですらない」と言い放った。

マシー議員がエプスタイン事件について質問すると、ボンディ長官は「トランプ錯乱症候群(Trump derangement syndrome)」にかかっていると述べ、マシー議員を「失敗した政治家(a failed politician)」と呼んだ。

ダン・ゴールドマン連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の質問に対し、ボンディ長官は「あなたは現代の弁護士として、2016年にトランプ大統領を弾劾しようとした時と同じくらいしか優秀ではない」と述べた。

ハンク・ジョンソン連邦下院議員(ジョージア州選出、民主党)は質問の中で、「ここではまるでジキル博士とハイド氏のようなやりとりをしている」と述べ、ボンディ長官が説明を求めると、「つまり、共和党員には優しく、民主党員にはハイド氏のように振る舞うということだ」と付け加えた。

民主党所属の議員たちとのやり取りのほぼ全てにおいて、ボンディ長官は後続の共和党所属の議員たちに時間を割いて発言を求め、しばしば民主党優勢選挙区で起きた犯罪の詳細を述べた。ある場面では、ベッカ・バリント下院議員(ヴァーモント州選出、民主党)が「弱腰だ(weak sauce)」と答えた。

ボンディ長官は、バリント議員が反ユダヤ主義を非難する決議に反対票を投じたと示唆して反論した。

バリント議員は、「そんなことを言いたのか? あなたは本気なのか? ホロコウストで祖父を亡くした女性に反ユダヤ主義について何かを言うのか」と言い放ち、部屋を飛び出した。

ジャスミン・クロケット連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は、ボンディ長官が民主党所属議員たちの質問に答えなかったことを非難した。

「私たちが迎えている証人はどういう訳か弁護士でありながら、証言の仕組みを理解していない」とクロケット議員は述べた。

(3)エプスタイン事件と比較したトランプの敵対者への訴追(Prosecution of Trump foes compared to Epstein case

民主、共和両党ともに、ボンディ長官に対し、トランプの敵対者たちに対する多数の事件と捜査について追及したが、それらの問題をどのように進めるべきかについては異なる見解を示した。

ラスキン議員は「あなた方は、アメリカ国民のための司法省をトランプの復讐の道具に変えてしまった。ドナルド・トランプはピザのように訴追を注文し、あなた方は毎回それを実行する」と述べ、軍人が違法な命令を拒否できると指摘するヴィデオ映像を撮影した民主党所属議員6人をトランプ政権が起訴しようとしたが、大陪審(grand jury)が却下したというニューズに言及した。

「またしても大陪審があなた方の復讐工場を閉鎖した。・・・あなた方が大陪審の叡智と憲法に則った愛国心に耳を傾け、あの屈辱を倍増させることを二度としないよう願う」。

ナドラー議員は、トランプ大統領の敵対者たちを訴追することに関心を示していることと、エプスタインの側近たちに関する新たな訴追がないことを対比させた。

ナドラー議員は、「司法省はこれらの加害者を一人も裁きにかけることができていない。それどころか、ドナルド・トランプ大統領の敵と見なされる人たちを執拗に追及している。エプスタインの共謀者のうち、何人を起訴したのか? そもそも何人の加害者を捜査しているのか?」と述べた。

一方、委員会のジム・ジョーダン委員長(オハイオ州選出、共和党)は、元CIA長官ジョン・ブレナンを刑事告発したことについて質問した。

ジョーダン委員長は、「ブレナン長官は委員会に嘘をついた。そして、アメリカ国民は彼が本当に嘘をついたことで起訴されるのかを知りたいと思うだろう」と述べた。

ジョーダン委員長はさらに、2016年の大統領選挙に関する捜査においてスティール文書が果たした役割についてブレナン長官が嘘をついたと非難した。ブレナン長官はいかなる不正行為も行っていないと否定している。

「捜査が進行中であるかどうかは確認も否定もできないが、法の上にある者はいない(no one is above the law)ということは言える」とボンディ長官は述べた。

(4)民主党所属議員たちがボンディ長官に対してトランプとエプスタインの関係について追及(Democrats press Bondi on Trump’s ties to Epstein

複数の民主党所属の議員たちがボンディ長官に対し、トランプ大統領とエプスタインの関係、そして司法省がトランプの行動をどの程度調査したかについて質問した。

ある時点で、テッド・リュー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、ボンディ長官がトランプ大統領とエプスタインがパーティーで撮影された映像を示した後、ボンディ長官が宣誓供述書で嘘をついたようだと述べた。

ボンディ長官は「これは全く馬鹿げている」と反論した。「彼らはドナルド・トランプ大統領が成し遂げた素晴らしいこと全てから目を逸らそうとしている。トランプ大統領が罪を犯したという証拠は何もない」と述べた。

リュー議員は、「あなたは宣誓下での(under oath)供述で嘘をついたと思うので、FBI国家脅威対策センターに通報した証人からの別の文書を提示する」と答え、トランプのリムジン運転手がトランプについて語った未確認の主張をまとめた文書を示した。

リュー議員は、「この証人を直ちに尋問する必要がある」と続けた。

「私を犯罪で告発することはできない」とボンディ長官は言い返した。

ゴールドマン議員はまた、司法省が編集した電子メールを示し、編集前のヴァージョンではエプスタインと側近のギレーヌ・マクスウェルが「ドナルド・トランプがジェフリー・エプスタインとの以前の関係について述べた発言」について話し合っていると述べた。

ゴールドマン議員は、「アメリカ国民が、ドナルド・トランプがジェフリー・エプスタインとの関係についてどれほど嘘をついているか理解できるよう、このメールの編集前のヴァージョンを公開することお約束してもらえるか?」と質問した。

民主党所属の議員たちはまた、トランプの名前がファイルに何回登場するかについても言及した。特にカシュ・パテルFBI長官が以前、その数は1000回未満だと主張していたことを踏まえると、なおさらその多さを強調する形となった。

モスコウィッツ議員は、聖書と『ハリー・ポッター』シリーズを傍らに置いて座っていた。

「エプスタイン・ファイルにトランプの名前が登場する回数は、神についての本に登場する神の名前よりも多くなっている。ちなみに、これはトランプ版聖書だ。ジェームズ王版ではない」とモスコウィッツ議員は述べた。

モスコウィッツ議員は、「エプスタイン・ファイルの中で、トランプの名前が登場する回数は、ハリー・ポッターの7冊の小説に登場するハリー・ポッターの回数よりも多い」と述べた。

多くの共和党所属の議員たちは、エプスタイン・ファイルについて質問しなかったが、質問した議員たちからはボンディ長官への称賛の声が上がった。

チップ・ロイ連邦下院議員(テキサス州選出、共和党)は「トランプ政権がこの問題を主導し、前政権は沈黙を守っていたと言っても言い過ぎには当たらない」と述べた。しかし、ロイ議員はさらに、なぜ被害者たちの名前が恣意的ではないにしても公表されたのかと問いただした。

しかし、ヘスス・“チュイ”・ガルシア連邦下院議員(イリノイ州選出、民主党)は激しい非難を行いその中で、ボンディ長官がファイルの取り扱いをめぐって激しい批判を受けていると指摘した。

ガルシア議員は、「これだけのことをした後では、誰もあなたを支持しない。私は民主党の日立のことを言っているのではない」と述べ、共和党が任命した判事たちによる敗北を指摘した。

「あなた方のMAGA支持基盤は、あなた方がエプスタイン・ファイルを隠蔽しているので、あなた方を軽蔑している。なんと皮肉なことか」

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 アメリカ国内の分断は深刻さを増している。第二次ドナルド・トランプ政権の大統領次席補佐官スティーヴン・ミラーが主導する、移民・関税執行局(ICE)の捜査員たちによる不法移民摘発で死者が出る事態となり、いくつかの地元の市や州が反発を強めている。既にご紹介したように、ミネソタ州ではティム・ウォルツ知事が州兵への出動準備のための「警告命令」を発令した。

 アメリカ国内は物価高(インフレ)による生活苦もあり、不満が溜まっている。その不満が外国や外国人(有色人種)に向かっている。アメリカ国内の分断は進み、アメリカは暴力が蔓延し、内戦状態になる可能性がある。

 2028年には大統領選挙が実施される。2027年には大統領選挙の選挙戦がスタートする。まずは民主、共和両党の大統領選挙候補者として指名を受けるための戦いが始まる。民主党では既に数名の政治家、主に各州の知事たちの名前が挙がっている。

 共和党側では、JD・ヴァンス副大統領、マルコ・ルビオ国務長官の名前が挙がっているが、トランプ大統領の三選を求める声が上がっている。アメリカ合衆国憲法では、同じ人物は大統領を2期8年までしか務められない。フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領は三選、更には四選を果たしたが、世界恐慌や第二次世界大戦という特殊な事情があり、当時は憲法に明文化されておらず(初代ジョージ・ワシントンが三選を拒否したことで慣習とされていた)、戦後になって憲法修正第22条に明記されることになった。現在では三選は違憲ということになる。それでもトランプは時に、三選を目指すような発言をしている。また、2028年に、共和党の大統領候補の副大統領候補となり、実質的に院政を行う(ジョージ・W・ブッシュ[バカ息子]大統領時代のディック・チェイニーのように)ということも取り沙汰されている。

 トランプはその時には80歳を超えて、アメリカ男性の平均寿命73歳を大きく超えることになる。また、最近になって衰えを見せる場面もあり、三選を目指すということはないと私は予想している。また、健保違反の三選を目指すということになれば、アメリカはこれまで以上に不安定な状況に追い込まれる。それよりは、自分の息のかかった人物を大統領候補にする方がより良い選択ということになる。しかし、トランプは融通無碍である。何をしてくるか分からない。そのように思わせることで、敵対勢力を翻弄するということもできる。今年の中間選挙の結果と合わせて注目していきたい。

(貼り付けはじめ)

「トランプ2028」は冗談ではない(‘Trump 2028’ Is No Joke

-ドナルド・トランプ米大統領は中国の独裁政権の戦略をより深く参考にしている。

ハワード・フレンチ筆

2025年10月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/10/08/trump-2028-china-xi-jinping-military/

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ミネアポリスのミネソタ大学で開催された「アメリカン・カムバック・ツアー」の会場で、列に並ぶ、「トランプ2028」のキャップをかぶった男性(2025年9月22日)

習近平国家主席は、統治開始当初から、軍幹部の粛清を常態化させてきた。不透明な法的手続きで汚職を理由にして、彼らの公然たる失脚、中国共産党からの追放、投獄を主導してきた。ほぼ全ての事例において、習近平と彼に忠実なプロパガンダ機関は、中国軍に対する政治的統制の強化に奔走してきた。

現代の中国研究者たちにとって最も重要な課題の1つは、なぜ習近平がこれほどまでに権力を掌握し、特に軍の服従(obeisance from the military)を確保することに固執するのかを見極めることである。その動機として最もよく挙げられるのは、習近平自身が常々主張している点、すなわち台湾の将来をめぐるいかなる戦いにも備え、最終的に勝利を収める必要があるという点である。

しかしながら、これが習近平の揺るぎない目的意識の全てを説明できるとは考えにくい。私には、習近平の動機は、少なくとも同程度には、自身の支配を永続させたいという願望によって支えられているように思える。それは、自身の権威に対するいかなる疑問も徹底的に排除することにかかっている。習近平の考えでは、毛沢東の言葉を借りれば、銃の絶対的な支配権を維持すること(maintaining absolute control of the gun)が、このための最低限の前提条件のようだ。中国の指導者は既に、中国の政治的継承を5年任期2期で規定していたルールブックを破棄し、2028年に党指導部による「再選(reelection)」という形式的な手続きを経れば、事実上、4期目の任期に突入する勢いだ。

過去のコラムで、ドナルド・トランプ米大統領の2期目の任期が、強圧的な権威主義と高度に個人化された統治(musclebound authoritarianism and highly personalized rule)を特徴とする中国のエリート政治の手法を借用しているように見える点について書いてきた。その最も明確な兆候の1つは、文化大革命の毛沢東のように、指導者に忠実な政治屋(political hacks)による行政を優先し、政府機関が空洞化していることである。

しかし、ここ数日、トランプ大統領が中国からさらに悲惨な教訓を引き出していることが明らかになっている。それは、国家安全保障機構に対して、そして国家安全保障機構を通して政治権力を行使することに執着する習近平国家主席の姿勢を如実に反映していると言えるだろう。これは、先週クアンティコで行われた、トランプ大統領とピート・ヘグゼス国防長官による、アメリカ軍最高幹部を集めた異例の大規模会合での演説、そして複数のアメリカ国内の都市に州兵、アメリカ移民関税執行局(U.S. Immigration and Customs EnforcementICE)などの連邦機関の職員を派遣したことからも明らかだ。

今日、アメリカ国民、そして世界は、トランプ大統領が中国の指導者と同様に権力の座を永続させるという目標を共有するという事態に備えなければならない。トランプ大統領は最近、民主党のチャック・シューマー連邦上院議員やハキーム・ジェフリーズ連邦下院議員を含む連邦議会指導者たちと会談した際、「トランプ2028」というスローガンが書かれた帽子を目立つように並べたテーブルに出席した。

トランプの公の場での発言や、最も熱烈な支持者たちの言辞に繰り返し登場するトランプの3期目就任に関する発言は、しばらくの間、広く冗談として片付けられていた。しかし、もし傍観者がかつてそのような話をこのように片付けることができたとしたら、それはもう過去の話だ。

クワンティコで行われたトランプとヘグセスの会合に関する多くの論評は、国防長官が兵士の体力強化を過度に重視していること、そしてジェンダーや多様性の問題よりも政治的正しさを重視する右翼的なアジェンダに重点を置いていることに集中している。一部の保守系メディアでさえ、ヘグセスの舞台上での威圧的なパフォーマンスを恥ずべきものと評した。しかし、この日最も重大な瞬間だったのは、トランプが「内部からの敵(enemy from within)」と呼ぶ敵と戦うためにアメリカ軍が果たすべき役割があると主張したことだ。

1878年のポッセ・コミタトゥス法(国内法執行におけるアメリカ軍の利用を禁じる)といった長年の伝統や法律を無視し、トランプ大統領は、軍に対し、国内の都市を軍事作戦のための訓練場として利用するよう求めた。

しかし、これは訓練というよりも、習近平国家主席流の、自身の政治的アジェンダの実現と忠誠心確保のための軍の再編に執着するトランプ大統領の姿勢と関係があるようだ。トランプ政権下でのアメリカの権威主義化への兆候は今に始まったことではないが、トランプ大統領の危険な発言と国内秩序の軍事化を指示する最近の行動は、ここ数世代におけるアメリカの民主政治体制に対する最も重大な挑戦の1つである。

今週のテレビインタヴューで、イリノイ州のJB・プリツカー知事は、アメリカの都市における軍人の継続的な展開は、国内秩序における軍の活用を常態化すること(to normalize)を目的としていると警告した。「来年、彼らは最終的にこれらの人々を投票所に派遣し、投票を守っていると主張するのではないかと懸念している」と彼は述べた。さらに、共和党が2026年の中間選挙で連邦議会の支配権(過半数)を失った場合、トランプは「2020年に行う可能性があると発言したこと、つまり軍隊を使って投票箱を押収し、不正があったと主張して票を集計することを実行するかもしれない」と付け加えた。

ここ数週間、トランプ大統領は数々の行動を次々と起こしており、権力への渇望(thirst for power)、牽制と均衡への焦燥(impatience with checks and balances)、そして真実軽視に対する懸念(disregard for the truth)が高まっている。

連邦裁判所の差し止め命令にもかかわらず、都市中心部の軍事統制を主張する最近の試みを推し進めるだけでなく、トランプ大統領と支持者たちは、緩やかに組織化され、一見すると一時的な反ファシスト・アナーキストの運動であるアンティファの亡霊を盾に、彼の政策に抗議する人々に対する暴力的な戦術の使用を正当化している。

法執行機関の連邦化は、不法移民の疑いのある人々や、適正手続きと人道的待遇を受ける権利を主張するあらゆる人々をも標的にしている。こうした戦術は最近、シカゴで極限まで押し進められ、貧困地域の人々がアパートから追い出されたり、路上で一斉検挙されたりしている。不法入国の疑いで、多くの場合、肌の色、言語、収入水準だけが理由となっているようだ。

一方、トランプ大統領は、反対派への憎悪を公然と表明する一方で、連邦予算を武器として利用し、伝統的に民主党を支持してきた州を罰し、大切なインフラ工事やその他のプロジェクトを凍結または中止している。

これほど多くの警告サインが点滅しているにもかかわらず、トランプ政権が、本来、そして伝統的に政治的に中立な立場にあるアメリカ軍を自らの目的のために利用しようとする最近の動きは、依然として最も危険なプロジェクトである。

習近平主席は、人民解放軍高官の度重なる粛清において、汚職を利用して排除したい人物を排除し、自身に個人的な恩義のある将軍たちのために道を作ってきた。これまでのところ、トランプは中国の習近平主席よりも曖昧で慎重な姿勢をとっており、最近排除された軍将官たちの失態とされる詳細についてはほとんど明らかにしていない。習近平の場合、軍高官の粛清のほぼ全てにおいて、その内容がいかに不透明で形式的なものであろうと、裁判が行われている。

国防長官としてヘグゼスは、元統合参謀本部議長のチャールズ・ブラウン・ジュニア将軍の場合は黒人であるという理由で、沿岸警備隊司令官のリンダ・フェイガン大将の場合は女性であるという理由以外に、明白な理由もなく、経験豊富で勲章を授与された将官を解任してきた。

軍の高官グループに対しては、昇進や職の安定をめぐる明白なイデオロギー審査はまだ行われていないが、指揮系統への服従だけでなく、トランプの政治方針への暗黙の同調が期待されているようだ。習近平主席による汚職疑惑の発言と同様に、政権が軍における民族的・性別的多様性を頻繁に軽視していることは、より広範で党派的な政策とトランプによる軍への個人的支配を隠蔽するために利用されているのではないかと警戒すべき理由が存在する。

「さらなる指導部交代が行われるだろう。それは私たちが望んでいるからではなく、しなければならないからだ」とヘグゼスはクアンティコに集まったアメリカ軍の最高幹部たちに語った。「もう一度言うが、これは生死に関わる問題だ。適切な人材を早く確保すれば、適切な政策を早く推進できる」。少し間を置いて、彼は付け加えた。「もし私が今日話している言葉に心が沈んでしまうようならば、名誉ある行動を取り、辞任すべきだ」。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年にわたり特派員を務めた。最新作に『第二の解放:高潮期のンクルマ、汎アフリカ主義、そしてグローバル・ブラックネス(The Second Emancipation: Nkrumah, Pan-Africanism, and Global Blackness at High Tide)』がある。ブルースカイ・アカウント: @hofrenchbluesky.social Xアカウント:@hofrench

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トランプ大統領とヘグセス国防長官が異例の政治的に緊張感漂う再興会議でアメリカ軍指導者たちに講義(Trump, Hegseth lecture military leaders in rare, politically charged summit

-この異例で、直前になって企画された会議は、大統領と国防長官が党派的な政策を喧伝する場となった。

ナタリー・アリソン、マイケル・バーンバウム、エミリー・デイヴィス、パトリック・スヴィテック、エイミー・B・ワン筆

2025年9月30日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/national-security/2025/09/30/hegseth-military-meeting-trump-generals/

火曜日、数百人のアメリカ軍最高幹部が、ドナルド・トランプ大統領とピート・ヘグゼス国防長官による極めて党派的な演説に沈黙して耳を傾けた。トランプとヘグセスは前任者たちを痛烈に批判し、自らの政治的目的を誇張するなど、両者の不満が露呈する異例の事態となった。

国防総省のヘグゼス長官ティームが主催したこのイヴェントは、世界各地の司令部から将軍や提督をワシントンから南に30マイル(約48キロ)ほど離れたヴァージニア州のクアンティコ海兵隊基地に招集した。トランプ大統領が直々に任命した統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍は冒頭の発言で、このイヴェントは集まった最高幹部の将官と彼らの上級顧問たちにとって、軍の文民指導部から直接話を聞く「前例のない機会であり、光栄なこと(unprecedented opportunity and honor)」であると述べた。

トランプ大統領は、熱心な高官を国防総省の責任者に据え、アメリカ軍を党派政治の支配から守るために定められた長年の規範を、繰り返し、そして容赦なく踏みにじってきた。しかし、火曜日の演説は、現政権がこうした原則を全面的に無視していることをこれまでで最も露骨に示したと言えるだろう。

トランプ氏は約70分に及ぶ支離滅裂な発言の中で、もし出席者が自分の発言に納得できないなら部屋から出て行ってもいいと冗談を飛ばしつつ、「階級が下がれば将来も下がる」と付け加え、一部の人から不快な笑いを誘った。トランプが政権に復帰して以来、彼とヘグセスは多くの将軍や提督を、多くの場合、理由もなく解任してきた。一方で、女性やその他の要人に対する不均衡な解雇に焦点を当ててきた。大統領と国防長官は、軍の多様性と包括性の向上を柱とする有害な「目覚めた(woke)」イデオロギーを唱えていると広く非難している。

トランプ大統領は、アメリカの都市を警備するために軍隊を投入した自身の行動を擁護し、「内部からの敵(the enemy within)」と自ら呼ぶものを非難する一方で、国内での軍事力行使を認められるべきだと主張した。国防総省はこれらの都市を「訓練場(training grounds)」として使用できるべきだと大統領は述べた。既に訴訟を招いている展開を命じる中で、この考えは州や地方当局から確実に警戒感を抱かせるだろう。

トランプ大統領はまた、国防総省を戦争省に改称した決定を称賛し、ウクライナ紛争を終結させられなかったことを嘆き、ロシア沖におけるアメリカ潜水艦の極めて機密性の高い動きを暗黙のうちに認めた。

「私はそれを『Nワード』と呼んでいる」と大統領は潜水艦について述べ、原子力搭載を暗に示唆した。「Nワードは2つあり、どちらも使うことはできない」と語った。

集まったアメリカ軍最高幹部たちは、軍の超党派の伝統に従い、全ての時間を沈黙して演説を聴いていた。デューク大学の政治学者ピーター・フィーヴァーは、彼らが両者の演説に敬意を払いながらも反応しなかったことで、「非常に困難な綱渡りをうまくこなした(managed well a very difficult walk along a high wire)」と述べた。さらに、アメリカ軍最高幹部たちが沈黙を守っている理由を理解しているように見えた、トランプ大統領とヘグゼス国防長官も称賛に値すると付け加えた。

「演説は、アメリカ軍が今後数ヶ月間、対処しなければならない多くの問題を提起した」とフィーバーは述べた。そして、「しかし、テレビの生放送でそうする必要はない。そのため、アメリカの政軍関係(American civil-military relations)における非常に微妙な局面は、一部が懸念していたような惨事にはつながらなかった」と語った。

元国防総省高官で政軍問題の専門家であるコリ・シェイクはより悲観的な見方を示した。

アメリカン・エンタープライズ研究所の上級研究員であるシェイクは、「軍の指導者たちを、あからさまに党派的な政治劇に巻き込むことは恥ずべき行為であり、最高司令官が彼らに同胞アメリカ国民への暴力を奨励することは危険だ」と、述べた。

トランプ大統領はヘグゼスによって紹介された。ヘグゼスは、大統領就任前の激しい前座として、時折、罵詈雑言や下品で扇動的な言葉を使った。「我々の敵へ。FAFOだ」と彼は言った。これは「くそくらえ、気付け(f--- around, find out)」という意味の略語だった。

国防長官は大統領の参加を想定せずにこの行事を計画し、先週、全ての上級軍司令官とその下士官補佐官をヴァージニア州に召集するという不可解な命令を出したが、旅程については一切情報を提供しなかった。『ワシントン・ポスト』紙が木曜日に初めて報じたこの命令は、今年多くの将軍や提督が解任されたことを受けて、一部の人々を不安にさせた。

元フォックス・ニューズの司会者で、州兵として陸軍士官を務めたヘグゼス長官は、火曜日の演説で、目の前に座る男女(それぞれ数十年以上の軍歴を持つ)に説教した。ヘグセスは、軍隊を「かつてないほど強く、タフで、速く、獰猛で、力強い」ものにすると誓い、国防長官就任から繰り返してきた数々の論点を繰り返した。その中には、軍幹部は体力、身だしなみ、規律(physical fitness, grooming and discipline)といった基準を厳格に取り組む必要があるという主張も含まれていた。

ヘグセス国防長官は、軍が本来の使命である「戦争を戦い勝利すること(to fight and win wars)」から逸脱させた「愚かで無謀な政治家たち(foolish and reckless politicians)」を非難し、軍隊における「数十年にわたる衰退」(decades of decay” in the force)を是正すると誓った。また、戦闘におけるアメリカ軍の致死力行使を規定する「政治的に正しい過剰な交戦規則(politically correct and overbearing rules of engagement)」は廃止されたと宣言した。

さらに、「さらなる指導部の交代が行われることは間違いない」と述べ、追加の解任も予告した。ヘグセスは、ピーター・キアレッリ将軍、ケネス・「フランク」・マッケンジー将軍、マーク・A・ミリー将軍の3名の退役将校を、自分が「排除」したい将校の例として名指しした。

この将官3名を名指しした決定は、個人的な感情によるものと思われる。2012年に陸軍の序列第2位の将官として退役したキアレッリは、イラク駐留中のヘグセスの所属した旅団の元旅団長マイケル・スティール大佐を、同部隊の兵士たちを精査した戦争犯罪調査結果を受けて叱責した。マッケンジーとミリーは、2021年のアフガニスタンからの混乱したアメリカ軍撤退の際に指導的役割を果たし、トランプ政権の政治的標的となっている。

ミリーはコメントを拒否し、マッケンジーには連絡が取れなかった。キアレッリは電子メールで、ミリーとマッケンジーと「同じ文に名を連ねることができて光栄だ」と述べ、彼らを「私がこれまで共に仕えた中で最も優れた指導者たち」と呼んだ。

ヘグゼス長官は、1990年から1991年にかけて数カ月の間、イラクの侵攻と隣国クウェートの併合を撃退した湾岸​​戦争を、アメリカにとって模範となる紛争の例として挙げた。彼は湾岸戦争を「圧倒的な戦力と明確な終結目標を伴う限定的な任務(limited mission with overwhelming force and a clear end state)」と表現した。

また、1980年代にロナルド・レーガン大統領がアメリカ軍の増強を進めたことが重要な役割を果たしたと指摘し、当時の多くの軍指導者がヴェトナム戦争での戦闘経験を活用したことを指摘した。

ヘグセスは次のように語っている。「これは今日でも同じことが言える。我が国の文民・軍の指導部には、イラク戦争とアフガニスタン戦争を経験した軍人が多数おり、国家建設や漠然とした終末論に対して『二度と繰り返してはならない』と訴えている。ホワイトハウスにおいて、こうした明確な見解が示され、トランプ大統領の軍備増強と相まって、私たちは将来の勝利に向けて準備を整えている」。

ヘグゼスは、兵士と民間人職員が匿名で内部告発をしたり、有害な指導者を報告したり、人種、性別、性的指向、宗教に基づく不平等な扱いを指摘したりできる手段を徹底的に見直すと述べた。

ヘグゼスは次のように明言した。「軽率な苦情はもう終わりだ。匿名での苦情も、何度も苦情を言うことも、評判を落とすことも、果てしない待機時間も、法的に宙ぶらりんになることも、キャリアを台無しにすることも、気を遣って行動することももうない。もちろん、人種差別は1948年以来、私たちの部隊では違法となっている。セクハラも同様だ。どちらも間違っており違法だ」。

ヘグゼスは、高い基準を維持することは「有害ではない」と断言し、「有害な指導者」といった表現の「歪曲」だと非難した。ヘグセスは、国防総省はそのような文言の見直しを行い、軍当局者に対して「報復や疑問視されることを恐れずに基準を施行する」権限を与えると述べた。

ヘグゼスはまた、女性に配慮するために基準がどのように変更されたかについても疑問を呈し、特に戦闘専門職に関連する基準は高い水準を維持しなければならないと述べた。「女性が成功できれば素晴らしい。そうでなければ、仕方がない」と彼は語った。

ヘグゼスは、「ペンタゴンの廊下にいる太った将軍や提督を含む、太った兵士」を非難し、「見栄えが悪い(bad look)」と述べた。ヘグセスは全員が年2回、体力テストに合格し、身長と体重の基準を満たすことが義務付けられるという。彼は、自身の「厳しい」フィットネス・ルーティン(his own “hard” fitness routine)を模範とすべきものとして挙げた。

ヘグゼスは、自身のヴィジョンに沿って11の新たな指令を配布していると述べた。これらの指令は後に国防当局者たちがオンラインで公開した。指令には、いじめの定義の見直し、パープルハート勲章受章者への授与義務、そして優秀な文民職員の残留を促す一方で「業績不振」の職員には退職を促す新たな方法を国防省が模索することなどが含まれている。

ヘグゼスはまた、2024年に出版予定の著書『戦士たちへの戦争』の宣伝も行った。この本は、「目覚めた」文化がいかに軍を弱体化させてきたかを検証している。クワンティコに到着すると、彼はソーシャルメディアにこのフレーズを投稿し、演説中にも再び言及した。

ヘグセスは、「戦士たちへの戦争を終わらせていると言えるだろう」と語り、効果を狙って少し間を置いてから、「誰かがそれについて本を書いたと聞いた」と付け加えた。

この土壇場での会合は、批判的な人々の間で、その費用について疑問を投げかけている。特に、安全なヴィデオ会議機器を使って行うことができたはずの演説であったにもかかわらず、費用がかさんでいるという批判が起きている。日本、中東、ヨーロッパといった遠方から軍幹部を招聘するには、航空費、宿泊費、移動費など数百万ドルに上る可能性があると、元政府高官2人が匿名を条件に語った。彼らは、この問題の機密性から、過去の政府関係者の出張経験に基づいて推定した。

また、この会合は、火曜日が会計年度末であり、政府閉鎖が迫っていることを踏まえると、全ての最高指導者が一堂に集まることへの安全上の懸念も引き起こした。国防総省が発表したガイダンスでは、閉鎖が発生した場合、全ての出張を「中止」すべきだが、上級指導者は例外を認める場合に限られるとされている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 エプスタイン文書公開は今年のアメリカ政治の大きなテーマになった。ドナルド・トランプ大統領は大統領選挙において、エプスタイン文書公開を主張していたが、大統領就任後には姿勢を変えて、文書は存在しないと述べ、支持者たちから反発を受けた。連邦議会民主党は、トランプとエプスタインの「親密な」関係が攻撃の武器になると考え、文書公開を求めていた。トランプは最終的に姿勢を変え、文書公開に賛成することになり、民主、共和両党が連邦議会で法案を可決した。その中で、ただ1人、法案に反対票を投じたのが共和党所属のクレイ・ヒギンズ連邦下院議員(ルイジアナ州選出、共和党)だった。私は、この唯一反対票を投じたヒギンズに興味を持った。なぜ1人だけ反対票を投じたのか、気になった。
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クレイ・ヒギンズ

 ヒギンズはキャリアのほとんどを警察官として過ごした。アメリカ陸軍に入隊し、憲兵として勤務し、上級軍曹まで昇進した。その後は地元ルイジアナ州で保安官事務所に勤務した。ギャング対策のヴィデオでライフルを構えて脅すという内容で批判を受け、保安官事務所を辞めたが、連邦下院議員選挙に出馬し、当選した。現在まで連邦下院議員5期目を務めている。極右的保守派として知られ、トランプ大統領を熱烈に支持している。

 ヒギンズがトランプも賛成に回ったエプスタイン分子公開に反対したのは、警察官を経験した立場からであった。犯罪捜査の現場からの意見として反対している。捜査への協力者や被害者の情報が公開されることの危険性に言及している。そのようなことが起きれば、犯罪捜査に協力する人たちが減り、犯罪捜査が難しくなるというのは説得力がある。ヒギンズは批判を受けることも多いが、筋の通った人物のようだ。

(貼り付けはじめ)

エプスタイン文書公開に投じられた唯一の反対票(The only 'no' vote on releasing Epstein files

ブランドン・ドレノン筆

BBC

https://www.bbc.com/news/articles/crl2g195n96o

アメリカ連邦下院のほぼ全ての共和党所属議員が、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインに関連する文書の公開を義務付ける法案に賛成票を投じた。

唯一反対票を投じたのは、ルイジアナ州選出の共和党連邦会員議員クレイ・ヒギンズで、党の意向に反し、原則的な「反対(NO)」を表明した。

「3カ月前、この法案が間違っていたし、今も間違っている」とヒギンズはXに投稿した。続けて、「この法案は、アメリカにおける250年にわたる刑事司法手続きを放棄している」

と述べた。

エプスタイン法案が427対1で圧倒的多数で可決されたことは、連邦議会における稀有な超党派の姿勢を示す瞬間となった。数時間後、連邦上院もこの法案を可決し、最終決定、すなわちドナルド・トランプ大統領の署名への道が開かれた。

ヒギンズにとって、エプスタインの多くの被害者の個人情報保護こそが、この法案における最大の課題だった。

ヒギンズはXに次のように書いた。「既に書いたように、この法案は、証人、アリバイを提供した人々、家族など、何千人もの罪のない人々の情報を暴露し、傷つけるものだ。現状のまま成立すれば、このような犯罪捜査ファイルの広範な暴露が、過激なメディアに公開されれば、間違いなく罪のない人々が傷つけられることになるだろう」。

ヒギンズは、連邦上院で修正されればこの法案を支持すると述べたが、連邦上院多数党(共和党)院内総務のジョン・スーンは既に修正の可能性は低いと示唆していた。

スーン議員は火曜日、連邦上院において全会一致で法案が可決される前、「連邦下院で427対1の賛成多数で法案が可決し、大統領が署名すると言った場合、修正が行われるかどうかは分からない」と述べた。

連邦下院が法案を可決する前、民主党議員全員に加えて、採決を強制するための嘆願書に署名したのは、共和党議員でトーマス・マシー、ローレン・ボーバート、ナンシー・メイス、マージョリー・テイラー・グリーンのわずか4人だけだった。

しかし、トランプ大統領が採決への反対を撤回したことで、法案は共和党の圧倒的支持を得た。

ヒギンズ議員は2017年からルイジアナ州第三選挙区からの議員を務めており、自身のウェブサイトによると、連邦議会で最も保守的な議員の1人として広く知られている。

共和党所属の200人以上の議員たちが反対票を投じたにもかかわらず、ヒギンズが反対票を投じたのは、彼が型破りな立場を取った初めての事例ではない。

2024年、連邦下院共和党は、ソーシャルメディア上でハイチを「西半球で最もひどい国」と呼び、ハイチ人を「ペットを食べる」や「ドタバタ劇のギャング」と呼んだヒギンズ議員の不快な発言を非難する決議を可決した。

ヒギンズ議員は「1月20日までに、こういう悪党どもは正気を取り戻し、この国から出て行ってくれ」と投稿した。

フェイスブックは2020年、ヒギンズ議員がルイジアナ州で警察の暴力に抗議するデモに参加する武装した抗議者たちについて「お前ら10人をその場でぶっ殺す(drop any 10 of you where you stand)」と投稿したことを受け2つの投稿を削除した。

フェイスブックは当時、『ビジネス・インサイダー』誌に対し、これらの投稿は「暴力扇動を禁じる当社のポリシーに違反したため削除された」と説明していた。

連邦下院議員になる前、ヒギンズ議員はルイジアナ州セント・ランドリー郡保安官事務所に勤務していた。彼は2016年、ライフルを構えてギャングのメンバーを脅迫する様子が映った物議を醸した犯罪防止ヴィデオへの批判を受けて保安官事務所を辞任した。

BBCはヒギンズの事務所にコメントを求めている。

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エプスタイン文書公開に反対票を投じた唯一の下院議員であるクレイ・ヒギンズとは誰か?(Who is Clay Higgins, the only House member to vote against Epstein files release?

アシュリー・フィールズ筆

2025年11月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5612391-clay-higgins-sole-house-dissenter-epstein-files-bill/

クレイ・ヒギンズ連邦下院議員(ルイジアナ州選出、共和党)は、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインに関連する文書の公開を司法省に命じる法案に対し、火曜日に反対票を投じた唯一の下院議員となった。

法執行機関出身の保守派であるヒギンズ議員は、エプスタイン文書透明性法案に対し「当初から原則的に反対」してきたと述べた。

ヒギンズ議員は火曜日にソーシャルプラットフォームXへ投稿した声明の中で、「既に書いたように、この法案の文言通りであれば、証人、アリバイを提供した人々、家族など、何千人もの無実の人々の情報を暴露し、傷つけることになる」と述べた。

「もし現在の形で成立すれば、このような犯罪捜査ファイルの広範な公開が、過激なメディアに公開されれば、間違いなく無実の人々が傷つけられることになるだろう」とルイジアナ州選出の共和党議員ヒギンズは付け加えた。更に「私の反対票でそれを許すことはない」と述べた。

ヒギンズ議員は公式プロフィールで自らを「連邦議会で最も保守的な議員の一人」と自称し、法執行機関での経歴をしばしば強調している。また、連邦下院フリーダム・コーカスのメンバーでもあり、連邦下院監視・政府改革連邦法執行小委員会の委員長を務め、汚職捜査を担当している。

●強硬な保守派(Hard-line conservative

ヒギンズ議員のウェブサイトによると、政治活動を通じて、彼は「小さな政府、減税、国境の安全確保、そして個人の自由(champion for smaller government, lower taxes, secure borders, and individual freedoms)を擁護する」主要原則を一貫して支持してきた。

ヒギンズは、反中央集権化と反政府運動(a decentralized and anti-government movement,)を推進することで知られるスリー・パーセンターズや、極右反政府民兵を自称するオース・キーパーズなど、これらの中核理念を推進する組織と密接な関係を持っている。

KLFYによると、ルイジアナ州選出の議員は、オンライン上での発言が地元のアメリカ自由人権協会(ACLU)からの反発を招いた後、セント・ランドリー郡保安官事務所を辞任した。8年後、トランプ大統領とヴァンス副大統領が、オハイオ州でハイチ移民が犬を盗んで食べているという虚偽の主張をした後、ハイチ移民を批判し、人種差別的な発言をしたことで再び非難を浴びた。

「笑。ハイチ人はワイルドだ。ペットを食べる、ブードゥー、西半球で最も汚い国、カルト、ドタバタ劇のギャング・・・だが、大統領と副大統領を告訴するなど、今となってはすっかり洗練された気分になっているだろう」と、ソーシャルプラットフォーム「X」に投稿し、後に削除された。

当時、「これらの悪党どもは皆、1月20日までに正気を取り戻し、この国から出て行かなければならない」と大統領就任式の日に言及して付け加えた。

ヒギンズ議員はその後、激しい反発を受け、発言を撤回した。

先月、ヒギンズは連邦下院少数党(民主党)院内総務のハキーム・ジェフリーズ(ニューヨーク州選出、民主党)を「爬虫類人間(Reptilian)」と表現した写真を投稿した。

●選挙結果の否定(Election denial

ヒギンズは依然としてトランプ大統領の熱烈な支持者であり、2020年の大統領選挙はバイデン前大統領に有利になるように「不正操作(rigged)」されたという根拠のない大統領の主張を支持する発言を続けている。

ヒギンズ議員は、2024年10月のタウンホールミーティングで「2020年の選挙日まで、そして選挙日の翌日の早朝に、6つの州で何が起こったのか、その真相を完全に知ることは決してないかもしれない」と述べた。

「しかし、分別のある人間であれば、何が起こったのかを冷静に考察すれば、組織的な選挙不正があったという結論に達するだろう」と彼は付け加えた。

ルイジアナ州選出のヒギンズ議員は、2021年1月6日にワシントンDCで発生した連邦議事堂襲撃事件の際、「ゴーストバス(ghost buses)」がユニオン駅でFBIの覆面情報員を降ろし、群衆に紛れ込んだという陰謀論も唱えている。

当時FBI長官だったクリストファー・レイは、2023年のこの件に関する議会公聴会で、この説を断固として否定した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 

 第二次ドナルド・トランプ政権が始まって、アメリカはどうなっているだろうか。インフレ状態が続き、人々の生活を圧迫している。トランプ政権下の各種選挙では共和党は苦戦している。フロリダ州マイアミ市の市長選挙で30年ぶりに民主党所属の候補者が当選した。フロリダ州マイアミ市は第二次トランプ政権のマルコ・ルビオ国務長官(前連邦上院議員)のお膝元であり、共和党支持が多いキューバ系の有権者が多い。しかし、それでも共和党が破れたというのは今後への影響が大きい。来年は中間選挙が実施される。現状では民主党の支持率が上回っており、連邦下院においては共和党が過半数を失う可能性があるという状況になっている。そうなれば、トランプ大統領の影響力も低下する。

 トランプが標榜した政策、「製造業の国家の再建」はその実現までに時間がかかる。工場を誘致し、人々の雇用を軌道に乗せるには数年規模の計画が必要だ。そのための投資も必要であるが、大企業は経済法則に従い、人件費が安く、労働力としての質の高い外国での生産を選ぶことになる。高関税の保護主義政策も一定の成果を上げたようであるが、肝心の中国との関係では、アメリカは大きく妥協することになった。アメリカが貿易赤字を削減するためには中国からの輸入を減らし、国内での生産を高めねばならないが、この道筋は非常に厳しい。アメリカの輸出を促進するためには、ドル安(ドルの価値が低いこと)が望ましいが、現状はドル高が続いている。相対的に円安になっている。

 下記論稿にあるように、アメリカの現状をどう見るか、どう分析するかであるが、ある観点から見れば「最良」、別の観点から見れば「最悪」ということになる。どう見るかはそれぞれの個人の判断に任されるが、現状では「悪い」と見る人が多くいるということになると思う。アメリカ国内の分断状況も改善される兆しはなく、来年の中間選挙の前後に、何か大きな暴力が絡む事態が勃発しなければ良いけれど、その懸念が大きいと思わされる状態である。なかなか厳しい状況で2025年を終えていくということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

最良の時代と最悪の時代、そしてアメリカの政治的分断(The best and worst of times and America’s political divide

ハーラン・ウルマン筆

2025年11月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/5619440-best-worst-times-america/

一つの思考実験(a thought experiment)をしてみよう。アメリカにとって、今は最良の時代だろうか、それとも最悪の時代だろうか?

MAGAMake America Great Again、アメリカを再び偉大に)の熱心な支持者を架空の人物を想定してみよう。MAGAの支持者と、MAGAが最良の時代だと主張する人物を想定してみよう。そして、MAGAに強く反対し、今は最悪の時代だと熱烈に信じている人物を架空の人物として想定してみよう。

この対比は、今日のアメリカ政治の何が間違っているかを示す。半分の真実と歪曲が、現実を装っている。

この架空の、そして欠陥のある議論は、今がアメリカにとって「黄金時代(golden era)」であるという主張から始まる。国境は閉鎖され、トランプは法と秩序をもたらしている。そして、アメリカ・ファースト政策は、国外においてアメリカをより安全で安心なものにしている。

トランプの経済計画の主要政策は関税、彼のお気に入りの言葉、である。関税は国家債務を解消し、数兆ドル規模の収入をもたらすと主張されている。関税によってアメリカのパートナーはアメリカへの直接投資を余儀なくされ、少なくとも20兆ドル、あるいはそれ以上の収入が見込まれる。

失業率はほぼゼロにまで低下し、インフレは過去のものとなるだろう。全てが順調に進めば、トランプが約束したアメリカ国民全員への2000ドルの給付金は間もなく支払われるだろう。
国際情勢はかつてないほど明るい。トランプは数え切れないほど多くの戦争を終結させてきた。ガザ地区では平和が訪れている。ウクライナ戦争終結に向けたトランプの戦略は、彼の卓越した交渉力に基づいている。

提案されている和平文書の正式な条件はまだ公表されていないが、その原則と基盤は極めて明確だ。トランプは既に戦争資金をヨーロッパに移管している。そして、平和はアメリカというよりもヨーロッパの責任となるだろう。

ウクライナは、本来ロシア領とすべき領土のロシアへの返還やウクライナ軍規模の縮小といった譲歩を迫られるだろう。NATO加盟の可能性も放棄せざるを得ないだろう。しかし、その安全保障は米露両国の投資の組み合わせによって保証される。

ロシアはもはや領土拡大の野心を抱いていない。なぜなら、野心を持ち続ければ、自国の投資が危険に晒されるからだ。ウクライナへの攻撃がアメリカの反撃を誘発するという、国連安全保障理事会第5条のような保証は不要だ。

同様に、中国とは強固な経済関係を確固たるものにする合意について交渉がなされ、米中両国関係は友好的な基盤へと回復するだろう。カリブ海諸国では、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が辞任するか、アメリカとの妥協点を見出すか、どちらかになるだろう。これもまた勝利と言えるだろう。

これらの観点からすれば、今こそまさに最良の時と言えるだろう。敵対的な見方をする人は、これまで述べてきたような見方をする人物が一体どこの惑星に住んでいるのかと疑問に思うだろう。

関税は税金と同じだ。適切に使えば効果を発揮するが、無秩序に適用されれば悲惨な結果を招く。インフレと失業は急上昇するだろう。そして、数兆ドル規模の支援約束は、まさに空論に過ぎない。債務はバクテリアのように増殖し、2026年夏半ばまでに40兆ドルに達するだろう。

全米各地に州兵を駐留させることは違法であり、何の成果ももたらしていない。ジョー・バイデン政権発足以降、暴力犯罪は減少傾向にある。

アメリカ軍に、積荷の正体不明の非武装小型船舶への攻撃を命じることは、戦争権限法および軍の法執行機関としての使用を禁じるポッセ・コミタトゥス法に反する。

ガザ停戦はイスラエルによって一貫して無視されており、イスラエルは依然としてガザ地区とシリアを攻撃し続けている。ウクライナとの合意案は、キエフを実質的に降伏に追い込むことになり、1938年のヒトラーとのミュンヘン協定を素晴らしいものと見せかけることになる。そして中国との関係は解決には程遠い。

2025年11月の各地での選挙で共和党が惨敗したことで、トランプは著しく弱体化している。裁判所は彼に不利な判決を下している。エプスタイン関連の文書公開をめぐるトランプの度重なる拒否と撤回は、彼の判断力に疑問を投げかけ、何が公開されるのかという疑問を投げかけている。

共和党はトランプがこの件を巧みに処理したと主張している。ハハッ!

多くの善良な人々(主に民主党員)が不必要に暴露され傷つけられるだろうという同情に基づいて、文書公開を拒否したというのは、全くのナンセンスだ。少なくとも、エプスタイン文書はトランプがエプスタインが未成年女性と何をしていたかを知っていながら沈黙を守っていたことを証明することになるだろう。

このやり取りが示すように、特に深刻な状況にある分野がある。それは、民主、共和両党が常識的な統治について合意できない政治環境だ。

さらに重要な点として、トランプは8人の連邦議員を扇動罪で告発した。扇動(sedition)とは、政府を転覆させるために武力を用いることだとトランプは理解しているはずだ。

トランプが主張する容疑は、軍隊は違法な命令に従わないように法律で義務付けられていると主張したことだ。アメリカ国民がこの法律を改めて認識しなければならないという事実は、政治情勢が最悪の状況にあることの究極の兆候である。

※ハーラン・ウルマン博士:UPI通信のアルノー・ドゥ・ボルクグレーヴ特別コラムニスト、アトランティック・カウンシル上級アドヴァイザー、2つの民間企業の会長、「ショックと畏怖の教義」主著者。ウルマンと元英国国防長官デイヴィッド・リチャーズは、戦略的大惨事の防止に関する著書を近々出版する予定となっている。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 

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『トランプの電撃作戦』
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 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 イスラム教徒でウガンダからの移民(インド系)、民主社会主義者を自認し、アメリカの視点からすれば過激な社会再作を訴えたことで注目を浴びた、ゾーラン・マムダニ次期ニューヨーク市長が、ホワイトハウスを訪問し、ドナルド・トランプ大統領と会談を持った。トランプはマムダニを「共産主義者の狂信者」と非難し、マムダニはトランプを「独裁者」と呼んでいて、両者が直接対面したらどのような事態になるか、非難合戦、口論になるだろうという予想が多くなされた。

 しかし、実際にはトランプ・マムダニ会談は口論の種になりそうな話題には踏み込まず、友好的な雰囲気で行われた。大統領執務室でトランプが執務机に座りながら、マムダニが隣に立って記者団の取材を受け、両者が握手をしたというのは象徴的であった。もちろん、トランプ大統領がマムダニを再び激しく非難することもあるだろうが、予想外の結果に拍子抜けという感じもあった。

 マムダニと対峙しているニューヨーク共和党ははしごを外された形になった。トランプがマムダニと直接会って激しく批判する様子を映像として使おうとしていたところに、それができなくなったどころか、握手までして「素晴らしい市長」と呼んでいるので、マムダニ攻撃、民主党攻撃がしにくい状況になった。

 私がこれまでの著作でも述べているように、民主党左派、民主社会主義者グループと、トランプ派は、反エスタブリッシュメント、ポピュリズム(既存の政治やエリートたちに対する一般国民の怒り)から出ているという共通点がある。以前にも紹介したように、馬蹄理論(horseshoe theory)という理論で説明ができる。そう考えると、2人の会談が友好的になったことはおかしなことではない。そして、考えが違っても、友好的な雰囲気で会談ができるという当たり前にあるべき状況が予想外とされるのはやはり問題ということになるだろう。これは現在、民主政治体制を採用している先進諸国に共通の問題と言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

不可解なほど前向きな大統領執務室での会合から得られたいくつかの教訓(Takeaways from a perplexingly positive Oval Office meeting

ダグラス・E・ショーエン筆

2025年12月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/white-house/5625759-trump-mamdani-love-fest/

こんな展開を予想できた人はいただろうか?

ドナルド・トランプ大統領がニューヨーク市次期市長のゾーラン・マムダニを大統領執務室に招待した際、トランプが以前「共産主義者の狂人(communist lunatic)」と嘲笑したマムダニを激しく非難するだろうと予想された。

同様に、マムダニがトランプを「独裁者(despot)」と呼び、「トランプのファシズム(Trump’s fascism)」を打ち破ると約束する中で、トランプとの会談をどう受け止めるかという疑問もあった。

しかし、政治的な殴り合いを期待していた人はひどく失望することになった。会談は非常に和やかなものだったからだ。『ポリティコ』誌は「トランプとマムダニは愛し合う―戦争ではなく(Trump, Mamdani make love — not war)」と表現し、フォックス・ニューズも同様に「愛の祭典(love fest)」と形容した。

確かに、この会談が闘争的なものになるという考えは、決して飛躍的なものではない。トランプは複数の世界の指導者を同じ部屋の中で厳しく叱責し、アメリカ合衆国大統領と34歳の次期ニューヨーク市長という力関係の不均衡は明らかにトランプに有利だった。

会談が喧嘩ではなく友好的なものだったことに党派性の高い人たちは失望したかもしれないが、この「愛の祭典」は、国全体、特にニューヨーク市にとって間違いなくプラスとなった。

実際、この国における激しい非難、分断、そして政治的暴力のレヴェルは、もはや耐え難いものとなり、私たちの国の価値観とは明らかにかけ離れている。

トランプとマムダニは友好的に会談することで、たとえ一時的であっても、これ以上の発言は控え、緊張を和らげることを選んだ。

さらに、マムダニの言葉を借りれば、両者が「生産的な(productive)」関係を築けば、ニューヨーク市、ひいてはアメリカ全体がより良い方向に進むことは否定できない。

同様に、両陣営にとって、個人的かつ政治的に重要な影響がある。

間もなくレームダックとなり、共和党に対する完全な支配力を今でも維持しているかどうかという疑問に直面しているトランプにとって、今回の会談は、彼が依然としてその権力を行使していることを明確に示すものとなった。

同時に、この会談はトランプの最大の盟友の1人であるニューヨーク州選出のエリス・ステファニック連邦下院議員(共和党)にとって確かに困難なものとなった。

ステファニックの知事選キャンペーンの核心は、現職のキャシー・ホックル知事(民主党)をマムダニの極左政策とその危険性に結びつけることであり、マムダニを「ジハード主義者(jihadist)」と呼ぶことさえあった。

トランプがマムダニの政策を繰り返し称賛しながらも、ステファニックのジハード主義に絡めたマムダニ攻撃には同意しなかったため、彼女の主張は著しく困難になっている。 MAGAの有力者であるローラ・ルーマーも同様のことを指摘し、「民主党はエリスを倒すために今日の記者会見の映像を流すだけでいい」とツイートした。

そのため、ステファニクが最も明白な犠牲者となるかもしれないが、中間選挙を前にマムダニを「ブギーマン(boogeyman、訳者註:子供たちを怖がらせる幽霊などのような存在)」に仕立て上げようとした共和党員は、事実上、その計画が頓挫した。

言い換えると、大統領であり共和党のリーダーであるトランプが、自分とマムダニの間には共通点があると発言したばかりなので、民主党を急進的な社会主義者と決めつけることは難しいだろう。

マムダニにとって、今回の会談は民主党内での影響力を高めるものとなり、市長選で当選したマムダニが政治的影響力を発揮し始めた時期と重なった。

マムダニは、次期連邦下院議員選挙において、ブラッド・ランダーを現職のダン・ゴールドマン下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)よりも優位に立たせるべく尽力する一方で、その影響力を利用して、ハキーム・ジェフリーズ議員(ニューヨーク州選出、民主党)に挑む、同じ民主社会主義者の候補者を阻止しようとしている。

マムダニの功績として、彼のアプローチは、トランプが大統領に復帰して以来、多くの民主党員がいかに的外れであるかを浮き彫りにした。

トランプの後ろに立ち、2人とも笑顔を浮かべている様子は、グレッチェン・ウィットマー州知事(ミシガン州、民主党)がトランプとの面会を目撃されるのを避けるために書類の後ろに隠れようとした失敗例と対照的に映る。

同様に、マムダニがトランプとの良好な関係をスタートさせたことで、ニューヨーク市は移民取り締まり、州兵の派遣、連邦政府予算の削減といったトランプの脅しを回避するための余裕を得られた可能性が高い。

しかしながら、ドナルド・トランプに関するあらゆる事柄と同様に、この良好な関係がどれだけ長く続くのかという疑問は当然出てくる。

例えば、マムダニが実際にイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の逮捕を試みたり、ニューヨーク市警にICE(米移民関税執行局)への協力を控えるよう指示したりした場合、トランプはどのように反応するだろうか?

同様に、マムダニが公約したより過激な政策のいくつかを可決できた場合、トランプは「小さな共産主義者(little communist)」という侮辱を再び口にするだろうか?

間もなく前連邦下院議員となるマージョリー・テイラー・グリーン(ジョージア州選出、共和党)がよく知っているように、トランプは自身の政治信条にはるかに忠実で同調する人々をほとんど予告なしに攻撃してきた。

マムダニにとって、トランプに浴び​​せた侮辱を「今も信じている」と主張していることは、非常に短気な大統領の怒りを引き起こすことになるかもしれない。

結局のところ、トランプとマムダニは、様々な違いはあるものの、どちらも熱心なポピュリストであるため、これが政治的な駆け引きだったのか、それとも真の関係の始まりだったのかを判断するのは無意味だ。

しかし重要なのは、大統領執務室での騒動を避けるため、トランプとマムダニ双方が国を第一に考え、党派的な信念を二の次にしているように見えることだ。これは間違いなくプラスだ。

※ダグラス・E・ショーエン:政治コンサルタント、ビル・クリントン大統領の補佐官、2020年の大統領選挙でマイケル・ブルームバーグ陣営の顧問を務めた。著書に『民主政治体制の終焉?:ロシアと中国の台頭とアメリカの後退(The End of Democracy? Russia and China on the Rise and America in Retreat)』がある。

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※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 第二次ドナルド・トランプ政権が発足し、半年以上が経過した。トランプの電撃的な政策実行も一段落したという感じになっている。そして、最近ではイーロン・マスクとの争いが起きている。身内である共和党からも批判の声が出ている。また、ジェフリー・エプスタイン事件のファイル公開について、トランプが実施しないとしたことで、支持者や共和党議員たちからも批判が出ている。

 下記論稿では、ドナルド・トランプ大統領が直面する問題として挙げられているのは、関税引き上げによる経済への影響、ロシアとウクライナの停戦・支援問題、予算をめぐる対立が挙げられている。共和党はそもそも、自由貿易(低い関税)、アイソレイショニズム(海外の戦争に関わらない)、小さな政府(小さな予算)を志向してきた。支持層は中小企業を含む経営者であり、保守政党であった。それが、トランプが大統領になって、これまでの志向とは異なる政党になった。議員たちからすれば、トランプに反対してしまうと、選挙で支持をしてもらえない、反対だと言われてしまう、対立候補を立てられてしまって党内の予備選挙で負けてしまうということがあるので、表立っての反対はできないでいた。

 しかし、たとえば、ウクライナ戦争について言えば、トランプ大統領も選挙期間中に、すぐに停船させる、ウクライナに支援はしないと述べていた。しかし、実際には停戦は出来ず、ウクライナ支援は継続されている。このことは、共和党の議員たちや支持者たちからすれば、約束不履行ということになる。

 このような状況で、来年の中間選挙に向けて、議員たちは自分たちの選挙のことを考えて動くことになる。そうなると、トランプと衝突する議員たちも出てくることになるだろう。これからのアメリカ政治に注目していかねばならない。

(貼り付けはじめ)

トランプ大統領の今後6カ月間に注目すべき右派の3つの大きな戦い(3 major fights on the right to watch in Trump’s next 6 months

エミリー・ブルックス筆

2025年7月25日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/newsletters/the-movement/5412436-movement-fights-gop-trump-six-months/

共和党はドナルド・トランプ大統領の就任後6カ月間、彼を中心に団結してきた。しかし、右派内でくすぶっていた対立は、今年後半に一気に表面化すると見込まれている。

トランプの減税と支出優先事項を盛り込んだ「大きく美しい1つの予算案」が共和党によって可決されたことで、党内での他の議論を整理する余地が生まれた。トランプの支持率は夏場の低迷期に差し掛かっており、批判の余地が生まれている。また、ジェフリー・エプスタインに関する暴露がトランプの共和党への支配力の弱まりを露呈しています。

注目すべきポイントは以下の通りだ。

(1)   関税引き上げ対自由貿易本能(1. Tariff hikes versus free trade instincts

共和党は、トランプ大統領が数カ月間一時停止していた大半の国への関税引き上げを、81日のもう一つの重要な期限を前にして、警戒している。

共和党所属の連邦議員の多くは、交渉の達人と常々称賛するトランプ大統領に、貿易相手国との合意締結の余地を与え、傍観してきた。しかし、ハワード・ラトニック商務長官は週末、CBSニューズの番組「フェイス・ザ・ネイション」で、8月1日の期限は厳守すると述べた。

ジョン・ケネディ連邦上院議員(ルイジアナ州選出、共和党)は先日、本誌に対し、関税をめぐる不確実性を考えると、世界経済とアメリカ経済は「現在、脆弱な状況にある」と述べた。

「ケネディ議員は私たちは未知の領域にいる。関税がアメリカ経済や世界経済にどのような影響を与えるかは分からない。私も、そして誰も分からない」と述べた。

共和党議員たちは、国際的な合意が不足する中で、迫り来る関税について既に懸念を表明し始めている。

例えば、『ポリティコ』誌が報じたように、ロン・エステス連邦下院議員(カンザス州選出、共和党)率いる共和党議員24名は先月、ジェイミーソン・グリア米通商代表部(USTR)に書簡を送り、民間航空機に対するゼロ関税政策の維持を求めた。

関税が現実味を帯び、合意がほとんど得られない場合、静かな懸念は大きく声高になる可能性が高い。

(2)ロシアとウクライナに対する姿勢(2. Posture toward Russia and Ukraine

ロシアのウラジーミル・プーティン大統領がウクライナ侵攻を終結させるようないかなる合意にも抵抗していることから、トランプ大統領のプーティン大統領に対する忍耐は明らかに限界に達しており、結果としてトランプ大統領はロシアに対してより強硬な姿勢を取ることに前向きになっている。

トランプ大統領は7月14日、ロシアが50日以内に合意に至らなければ、ロシアに「非常に厳しい関税(very severe tariffs)」を課すと警告した。超党派の対ロシア制裁法案を支持する共和党議員たちは、トランプ大統領がゴーサインを出し次第、採決を行うと述べている。

しかし、ロシアとウクライナの衝突に自らが関与することに依然として懐疑的な共和党議員たちも少なくない。ジョージア州選出のマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州選出、共和党)は先週、『ニューヨーク・タイムズ』紙のインタヴューで、NATO加盟国への武器供給を加速させ、その武器をウクライナに送るというトランプ大統領の計画を批判した。

グリーン議員は、「私はあらゆる集会でこう言ってきた。『ウクライナへの資金援助はもう止めろ。私たちは平和を望んでいる』と」と述べた。

先週、連邦下院共和党議員76人が、グリーン議員が提出した修正案に賛成票を投じた。修正案は否決され、下院共和党議員の過半数に満たない支持しか得られなかったものの、それでもなお大きな割合を占めており、トランプ大統領によるキエフ支援の取り組みを複雑化させる可能性がある。

(3)政府予算をめぐる対立(3. Government funding clashes

財政タカ派の懸念もあり、トランプ大統領は共和党議員全員の同意を得るために、自らの「大きく美しい1つの予算案」の可決に尽力した。そして、9月30日の予算期限を前に連邦議会が通常の政府予算案に取り組み始めるにつれ、こうした対立と力関係は更に複雑化するだろう。

同僚のアレックス・ボルトン記者によると、政府閉鎖への懸念は既に高まっている。共和党は、バイデン前大統領の下で承認された水準で依然として運営されている政府を維持するために、連邦上院民主党の協力を必要としているからだ。

通常、連邦上院の60票の賛成多数をクリアするには、歳出に関するより穏健な合意が必要となる。そして今回は、「大きく美しい1つの予算案」と、公共放送や対外援助に既に割り当てられている予算を差し戻した法案に憤慨する民主党が、より積極的な姿勢を取ろうとしている。

更に事態を複雑にしているのは、共和党の財政赤字対策に反対するタカ派による激しい反発だ。彼らは「大きく美しい1つの予算案」が歳出削減に十分な効果を上げなかったことに失望している。

しかし、8月の休会を前に通常の政府歳出法案の審議がほとんど進んでいないため、一時的な措置が取られる可能性が高まっている。これは財政赤字対策に反対するタカ派を激怒させるような提案となるだろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 アメリカでは来年の2026年に連邦上下両院の選挙が実施され(大統領選挙の間に行われるので中間選挙と呼ばれる)、2028年には大統領選挙が実施される。現職のドナルドトランプ大統領は任期制限で立候補できないので、新大統領が誕生する。

最新の世論調査の結果では、共和党側では、JD・ヴァンス副大統領が大きなリードを取ってトップになっている。民主党側では、このブログでも何度もご紹介してきたピート・ブティジェッジ前運輸長官が1位になっている。前回の大統領選挙で敗れたカマラ・ハリス前副大統領は、昨年の同様の世論調査の結果では、ハリスが大きくリードして1位だったことを考えると、ハリスの支持が下がっていると見るべきだ。これらのことは、拙著『トランプの電撃作戦』(秀和システム)で書いている。
※古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ
「2024年12月2日付 2028年米大統領選挙候補者は誰になるのかという話が早くも出ている:共和党はJD・ヴァンス次期副大統領が有力、民主党は多くの名前が出ている状況」
<a href=" https://suinikki.blog.jp/archives/89190113.html "> https://suinikki.blog.jp/archives/89190113.html </a>

 『トランプの電撃作戦』でも書いたが、カマラ・ハリスは2026年のカリフォルニア州知事選挙出馬を模索している。州知事選挙に関する世論調査の結果では、ハリスがトップになっている。2026年の州知事選挙に出馬して当選して州知事になれば、2028年の大統領選挙には出ることができない(1期目の途中での出馬は批判が多く出るだろうし、続けての選挙は物心両面で不可能だろう)。しかし、カリフォルニア州知事の2期目途中の2032年ならば可能性が出てくる。ハリスは2032年でもまだ60代なので、大統領選挙を狙える。
uspresidentialelection2028republicancandidates202506001
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 2028年の大統領選挙でハリスが出ないとなれば、民主党は有力者不在ということになる。今のところ、トップとなっているピート・ブティジェッジは弁舌爽やかでまだまだ若いが、同性愛者というところがどうしてもネックになる。3位につけたギャヴィン・ニューサムはカリフォルニア州では人気が高いが、ロサンゼルスでの山火事や暴動への対応などで印象が良くない。大統領選挙での激戦地域となる中西部の各州の知事であるジョシュ・シャピロ(ペンシルヴァニア州)とグレッチェン・ウィットマー(ミシガン州知事)はまだ知名度が上がっていない。こうなると、共和党側のJD・ヴァンス副大統領が大統領本選挙で勝利する可能性が今のところ高いということになる。

(貼り付けはじめ)

世論調査:2028年大統領選挙において共和党の明確なトップランナーはヴァンスだ(Vance is clear front-runner for GOP nod in 2028: Poll

ジャレッド・ガンス筆

2025年6月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5372037-vance-is-clear-front-runner-for-gop-nod-in-2028-poll/

金曜日に発表された世論調査によると、2028年共和党大統領候補指名争いで、JD・ヴァンス副大統領が他の候補者を大きく引き離し、最有力候補となっている。

エマーソン大学世論調査によると、ヴァンス副大統領の支持率は46%で、これに次ぐのはマルコ・ルビオ国務長官の12%、フロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)の9%だった。無所属のロバート・F・ケネディ・ジュニア保健福祉長官が5%で続き、クリスティ・ノーム国土安全保障長官とニッキー・ヘイリー元国連大使はそれぞれ2%だった。

他の6人の支持率は1%以下で、回答者の17%は態度未定、4%はリストにない人物を希望すると回答した。

これは、エマーソン大学が11月に実施した、2028年共和党予備選挙を想定した世論調査と比べて、ヴァンスの支持率が向上したことを示している。この調査では、ヴァンスの支持率は30%と、デサンティスが5%、2024年共和党大統領候補のヴィヴェック・ラマスワミの3%と比べてわずかにリードしていた。

回答者の半数は、当時、誰かを支持するかは未定だと回答していた。

エマーソン大学世論調査のエグゼクティブ・ディレクターであるスペンサー・キンボールは声明の中で、ヴァンスが最有力候補としての地位を「確固たるものにした」と述べ、共和党支持の男性有権者と60歳以上の有権者の52%から支持を得たと指摘した。

トランプ大統領は、2028年の共和党候補者として誰が後継者になるかについてある程度言及しているが、特定の候補者への支持を表明することは避けている。2月にフォックス・ニューズのインタヴューで、ヴァンスを後継者と宣言するのは「時期尚早」だとしながらも、自身と他の候補者は「非常に有能」だと述べた。

先月、NBCの「ミート・ザ・プレス」のインタヴューで、トランプ大統領はヴァンス副大統領とルビオ国務長官を、自身が率いる「アメリカを再び偉大に(Make America Great AgainMAGA)」運動の将来のリーダー候補として挙げた。

トランプは、「(ヴァンス氏は)素晴らしく、聡明な人物だと思う。マルコも素晴らしい。他にも素晴らしい人はたくさんいる」と語った。

今回の世論調査は6月24日から25日にかけて、共和党予備選挙の有権者416人を含む登録済み有権者1000人を対象に実施された。共和党支持者の回答の誤差は4.8ポイントだった。

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世論調査:カマラ・ハリスがカリフォルニア州知事選立候補者および候補予定者たちに2桁のリード(Harris holds double-digit lead over declared, potential California governor candidates: Poll
ジュリア・ミュラー筆

2025年7月2日

『ザ・ヒル』

https://thehill.com/homenews/campaign/5382192-kamala-harris-lead-california-governor-candidates-poll/

カリフォルニア州知事選挙への出馬を検討しているカマラ・ハリス副大統領は、2026年の知事選挙を想定すると、ハリス氏の支持率は2桁のリードを保っていることが、最新の世論調査で明らかになった。

カリフォルニア大学アーバイン校社会生態学部の最新データによると、ハリスは他の立候補を表明している候補者や噂されている候補者たちと比較した場合、24%の支持率を獲得した。

実業家から政治家に転身し、来年の知事選への出馬を検討していると報じられているリック・カルーソは9%の支持率で次点となった。

ハリスがリードしているにもかかわらず、カリフォルニア州民の40%が、任期制限(3期前)を迎えるギャヴィン・ニューサム知事(民主党)の後任としてどの候補者を支持するかまだ決めていないと回答した。

しかし、ハリス前副大統領と一般的な共和党員のどちらを支持するかという質問では、ハリスの支持率はさらに高く、それぞれ41%と29%の支持率を獲得した。

今回の世論調査によると、ハリスはカリフォルニア州民の間で11%の好感度を獲得しており、これは調査対象となった候補者の中で最も高い数値である。

2024年の大統領選挙で敗北したハリスの今後の動向に政界は注目している。

ハリスは、カリフォルニア州知事選挙への出馬を真剣に検討していると報じられている。カリフォルニア州は、ハリスが以前連邦上院議員を務め、州司法長官も務めた州だ。彼女は夏の終わりまでに出馬の是非を判断すると伝えられており、その間、知事選の候補者たちには幾分か冷ややかな反応が出ている。

カリフォルニア州副知事のエレニ・クナラキス氏(民主党)と州教育長のトニー・サーモンド氏(民主党)は、2023年から出馬している。民主党側では、ケイティ・ポーター元下院議員(カリフォルニア州)、元米国保健福祉長官のザビエル・ベセラ氏、元州議会議長のトニ・アトキンス氏、元州会計監査官のベティ・イー氏、元ロサンゼルス市長のアントニオ・ビラライゴサ氏も出馬を表明している。

California Lt. Gov. Eleni Kounalakis (D) and state Superintendent of Public Instruction Tony Thurmond (D) have been running since 2023. Also in the ring on the Democratic side are former Rep. Katie Porter (Calif.), former U.S. Health and Human Services Secretary Xavier Becerra, former State Assembly Speaker Toni Atkins, former state Controller Betty Yee and former Los Angeles Mayor Antonio Villaraigosa.

カリフォルニア州のロブ・ボンタ司法長官(民主党)は2月、知事選挙への出馬を取り止める決断を下し、『ポリティコ』誌に対し、ハリスの立候補は「民主党の整理を行い、新規開拓になるだろう」と述べた。

ハリスは2028年大統領選挙の初期の世論調査でも、民主党の最有力候補として浮上している。しかし、エマーソン大学の最新データによると、ハリスの大統領選挙への再出馬への支持はここ数カ月で低下しており、2028年大統領選挙の有力候補の中では、ピート・ブティジェッジ元運輸長官に次ぐ2位となっている。

エマーソン大学はトゥルードット(Truedot)と提携し、州全体で2つの世論調査を実施した。1つ目はハリスへの好感度に関する質問を含み、5月27日から6月2日にかけてカリフォルニア州の成人2143人を対象に調査した。2つ目は知事選投票に関する質問を含み、5月29日から6月4日にかけてカリフォルニア州の成人2000人を対象に調査した。誤差は、1つ目の調査が2.9ポイント、2つ目の調査が3.6ポイントだった。

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世論調査:カマラ・ハリスは2028年の大統領選挙で支持率低下が予測されている(Kamala Harris sees support drop in potential 2028 horse race: Poll

ジュリア・ミュラー筆

2025年6月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5372074-support-for-harris-declines-new-poll/

2028年大統領選挙の理論上の候補者争いにおいて、カマラ・ハリス前副大統領への支持が低下していることが世論調査で明らかになった。ハリスは次の政治的行動を検討している。

エマーソン大学世論調査の最新調査によると、ハリスは2028年の大統領選挙民主党予備選挙の候補者の中で2位につけており、民主党予備選の有権者の13%から支持を得ている。16%のピート・ブティジェッジ前運輸長官にわずかに及ばなかった。

民主党支持者たちのうち、まだ決めていないと回答した人が最も多く、23%だった。ハリスに僅差で次ぐのは、任期制限にかかるカリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)で12%だった。アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)とペンシルヴァニア州知事ジョシュ・シャピロ(民主党)がそれぞれ7%の支持を得て上位5位に入った。

最新の数字は、回答者に2028年の候補者の支持を記入させたエマーソンの11月の調査とは大きく異なっている。2024年大統領選の数週間後に行われたこの調査では、ハリスの支持率は37%で、次いでニューサムが7%、ブティジェッジが4%、シャピロが3%だった。さらに35%は未定だった。

2024年の大統領選挙での敗北を受け、ハリスの今後の動向をめぐって憶測が飛び交っている。

ハリスは、以前連邦上院議員を務め、州司法長官も務めた。ハリスは、カリフォルニア州知事選への出馬を真剣に検討していると報じられている。この不透明感は知事選挙の行方を左右する要因となっており、ハリスは出馬の是非を判断する期限を夏の終わりに設定していると言われている。

同時に、2028年初頭の世論調査では、ハリスが再び大統領選挙に立候補した場合、民主党の最有力候補となることが繰り返し示されている。カリフォルニア州知事公邸への出馬は2028年大統領選挙への出馬を阻む可能性があるが、ハリスはあらゆる選択肢を検討していると報じられている。

ハリスは今春、カリフォルニア州で開催された黒人女性のためのリーダーシップ・サミットで、「私はどこにも行かない(I’m not going anywhere)」と述べた。

一方、2028年大統領選挙の共和党候補者の中では、世論調査によると、ヴァンス副大統領が明確なリードを保っており、共和党予備選の有権者の46%の支持を得ている。未決定はわずか17%だった。

ヴァンスに続いたのは、マルコ・ルビオ国務長官(12%)、そして2024年予備選挙でトランプと戦ったフロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)(9%)だった。

2028年大統領選挙の一般投票では、有権者は二大政党に分かれ、一般民主党候補と一般共和党候補をそれぞれ42%ずつ支持した。さらに16%は未決定だった。

無党派層では、一般民主党候補が37%、一般共和党候補が29%で、未決定は34%だった。

6月24日、25日に実施された今回の世論調査は、アメリカの登録済み有権者1000人を対象に実施され、誤差は3ポイントだった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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 古村治彦です。
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 今回ご紹介する論稿は、第2次ドナルド・トランプ政権に対する批判をまとめるとこういう内容になるという論稿をご紹介する。著者はハーヴァード大学のスティーヴン・M・ウォルト教授だ。簡単に言えば、能力がないので政策決定や遂行で行き当たりばったりになり、言うことを変えて、他国からの信用を失う。それがアメリカの力を失わせることになるというものだ。
 トランプ政権はポピュリズム政権であり、アメリカ・ファーストを掲げる。ポピュリズムは、既存の政治に対する一般大衆・有権者の反感・異議申し立てが原動力になり、ワシントンの既存政治を変えるために、アウトサイダーを自分たちの代表としてワシントンに送り込むということだ。今回のアウトサイダーはドナルド・トランプだ。トランプはこれまでの外交や政治を大きく変えようとしている。それは、既存の政治勢力やエスタブリッシュメントから見れば、行き当たりばったりで、言うことが変わるということになる。それが「国を破滅させる」という表現になる。

しかし、考えてみて欲しい。なぜ、人々がアウトサイダーをワシントンに送り込むという決断を下したのか。それは、これまでの民主党、共和党の政治がうまくいっていないという判断があったからだ。「彼らは失敗した。だから交代させる。もちろん、これまでの方法ではない、別の方法をやらせる」ということになる。アメリカの失敗と衰退がトランプを登場させたのであって、トランプが失敗を引き起こしたのではない。

しかし、同時に、これまでにも何度も書いてきたことだが、トランプは独特のバランス感覚で、過激な発言とは裏腹に、押したり引いたり、妥協したり、時には部下に責任をかぶせるような形で撤回したりということで、意外と常識的な線を保つ。これに対して、忠実な支持者たちは不満を持つが、離反しない程度を保っている。

アメリカの衰退は既にどうしようもないところまで来ている。トランプは何とかしようともがいている。それが行き当たりばったり、言うことがころころ変わるということになる。トランプに対応する際には慌てず、冷静に対応することが肝要だ。
(貼り付けはじめ)
どのように国を破滅させるか(How to Ruin a Country

-ドナルド・トランプによるアメリカ外交政策の破壊を段階に合わせて解説する。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2025年4月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/04/07/trump-ruin-us-foreign-policy-country/

このコラムを定期的に読んでいる皆さんは、私が国際舞台におけるアメリカの行動をしばしば批判していることをご存知のことと思う。ジョージ・W・ブッシュ大統領の外交政策は大失敗だったと私は考えていた。バラク・オバマ大統領の8年間は期待外れ、ドナルド・トランプ大統領の最初の任期は大混乱、ジョー・バイデン大統領の4年間は戦略と道徳の失策によって汚点が付けられた。しかし、残念ながら、トランプと彼が任命した人物たちは、わずか3カ月足らずで、彼ら全員を無能な外交政策の狂信的な行動で凌駕している。シグナルゲート事件が起こらなかったとしても、これは真実だっただろう。

明確に申し上げたい。トランプが外国のために行動しているとは思わないし、意図的にアメリカの安全と繁栄を損なおうとしているとも考えていない。ただ、そうであるかのように振舞っているだけだ。トランプは、便利な「アメリカ外交政策を台無しにする5ステップガイド」に従っていると言えるかもしれない。

●ステップ1:追従者たちと忠誠者たちを大量に任命する。(Step 1: Appoint a lot of sycophants and loyalists.

国を滅ぼしたいなら、まずは愚かで有害な行為を誰にも止められないようにすることから始めるべきだ。つまり、無能で、盲目的に忠誠を誓い、あなたの庇護に完全に依存している、あるいは芯や信念に欠ける人物を任命し、独立心があり、信念を持ち、仕事が得意そうな人物を排除しなければならない。

ウォルター・リップマンが賢明に指摘したように、「皆が同じ考えを持つと、誰も深く考えなくなる(When all think alike, no one thinks very much)」。だからこそ、誤った指導者は国を窮地に追い込みやすくなる。反対勢力の不在は、ヨシフ・スターリンがソ連経済を誤った運営をし、毛沢東が悲惨な「大躍進政策(Great Leap Forward)」を開始することを許し、アドルフ・ヒトラーがヨーロッパの他の国々に宣戦布告することを可能にした。強力な国内反対勢力の不在は、2003年のブッシュ大統領のイラク侵攻を助長した。自国の外交政策を台無しにしたいなら、反対意見を無視し、追従者に頼るのは良い出発点だ。実際、ステップ1はプログラム全体にとって極めて重要である。愚かなことをたくさんやるなら、誰にも反論したり制約したりできないようにしたいはずだ。

●ステップ2:できるだけ多くの国家と喧嘩をする。(Step 2: Pick fights with as many states as possible.

国際政治は本質的に競争的であり、だからこそ国家は多くの友好的な相手と比較的少数の敵に囲まれた方が良い。したがって、成功する外交政策とは、他国からの支持を最大化し、直面する敵の数を最小化するものとなる。非常に有利な地理的条件にも助けられ、アメリカは世界の他の地域で重要な同盟諸国からの支持を得ることに驚くほど成功してきた。その成功の重要な要素は、巨大な影響力を行使しながらも、過度に攻撃的・好戦的に振舞わなかったことである。対照的に、ヴィルヘルㇺ二世治下のドイツ、ソヴィエト連邦、毛沢東主義の中国、リビア、サダム・フセイン政権下のイラクは全て、好戦的で威嚇的な行動を取り、近隣諸国やその他の国々が自国に対して力を合わせるよう促した。しかし、賢明な大国は、不必要な反感を買わないように、ヴェルヴェットの手袋でその拳を包むのである。

代わりにトランプは何をしているのか? わずか3カ月足らずの間に、トランプ政権はヨーロッパの同盟諸国を繰り返し侮辱し、同盟国の1つ(デンマーク)の領土を差し押さえると脅し、コロンビア、メキシコ、カナダ、その他数カ国と無用の喧嘩をした。トランプとJD・ヴァンス副大統領は、大統領執務室でウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領を公然といじめ、マフィアのボスのようにウクライナに強要し続け、アメリカの援助継続と引き換えに鉱業権を譲り渡すように求めている。大げさに言えば、トランプ政権は米国国際開発庁(USAID)を解体し、世界保健機関(WHO)から脱退し、世界最大の経済大国の政府はもはや恵まれない社会を援助することに関心がないことを明確にした。それに比べて中国を良く見せる良い方法があるだろうか?

そして先週、トランプ大統領は政治的スペクトラム全体にわたる経済学者からの度重なる警告を軽視し、同盟国と敵対国のリストに挙がる国々に対し、奇怪な関税を次々と課した。ウォール街はトランプ大統領の無知な決断を瞬時に受け止め、景気後退予測が高まる中、アメリカ史上最大の2日間の株価急落を記録した。この突拍子もない決断は、緊急事態への対応でも、他国から押し付けられたものでもない。自ら招いた傷であり、たとえ株式を1株も保有していなくても、何百万人ものアメリカ人を貧困に陥れることになるだろう。

地政学的な影響も深刻だ。一部の国は既に報復措置を講じており、世界的な景気後退のリスクをさらに高めている。しかし、反撃しない国でさえ、アメリカ市場への依存を減らし、アメリカ抜きで互恵的な貿易協定の構築を目指すようになるだろう。前回のコラムで述べたように、アジアの同盟諸国との貿易戦争を始めることは、政権が表明している中国との競争意欲と矛盾する。

●ステップ3:ナショナリズムの力を無視する。(Step 3: Ignore the power of nationalism.

トランプは熱烈なナショナリストを自称したがる(もっとも、国全体の利益よりも私腹を肥やすことに関心があるようだが)。しかし、他国も同様に強いナショナリズム的な感情を持っていることを認識していない。トランプが他国の指導者を批判し、領土を奪うと脅し、さらには併合を示唆する発言を続けると、ナショナリストたちの反感を買い、これらの国の政治家たちは、トランプに立ち向かえば国内での人気が高まることにすぐに気づくだろう。このように、トランプによるカナダへの威圧と貶めの不器用な試みは、カナダ国民の怒りを買い、自由党の復活を招いた。これはまさに、ジャスティン・トルドー前首相と後任のマーク・カーニー首相がナショナリズムという切り札を効果的に使ったからである。その直接的な結果として、アメリカへの旅行を希望するカナダ人が減少し(アメリカの観光産業にとって不利な状況である)、政府は他国との新たな経済・安全保障協定の締結も模索している。カナダのような友好的な隣国を我々に敵対させるには、驚くべきレヴェルの外交的無能さが必要だが、トランプはその任務を果たした。

●ステップ4:規範を破り、合意を破棄し、予測不可能になる。(Step 4: Violate norms, abandon agreements, and be unpredictable.

強大国の賢明な指導者たちは、規範や規則、制度が、互いの関係を管理し、弱小国をコントロールするための有用なツールになることを知っている。大国は必要であればルールを書き換えたり、反故にしたりするが、あまりに頻繁に、あるいはあまりに気まぐれなことをすれば、他国はより信頼できるパートナーを探さざるを得なくなる。北朝鮮やフセイン政権下のイラクのように、慢性的なルール破りという評判を得た国家は危険視され、排斥されるか封じ込められる可能性が高い。

トランプとその部下たちは、こうしたことをまったく理解していない。彼らは、国際制度や国際規範はアメリカの力を制限する厄介なものでしかなく、予測不可能であることが他国のバランスを崩し、アメリカの影響力を最大化すると信じている。彼らは、国家間の関係を形成する制度は、そのほとんどがアメリカの利益を念頭に置いて考案されたものであり、こうした取り決めが通常、他国を管理するワシントンの能力を高めていることに気づいていない。ルールを破ったり、主要な国際機関から脱退したりすることは、他国が自国に有利なようにルールを書き換えることを容易にするだけだ。

さらに言えば、予測不可能であることはビジネスにとって悪影響を及ぼす。アメリカの政策が一夜にして変わるようでは、企業は賢明な投資判断を下すことができない。また、信頼性の低さという評判が広まれば、他国は将来的にアメリカとの協力を躊躇するだろう。トランプ大統領が約束にほとんど意味がないことを何度も実証しているのに、トランプ大統領が何かすると約束したからといって、分別のある国がなぜ行動を調整するなどと考えられるだろうか?

●ステップ5:アメリカの力の基盤を揺るがす。(Step 5: Undermine the foundations of American power.

現代世界において、経済力、軍事力、そして国民の幸福は、何よりもまず知識にかかっている。アメリカが何十年にもわたって世界最強の経済大国であり続け、軍事力も強大である主な理由は、その科学技術力(scientific and technological edge)にある。強力な研究機関の必要性こそが、中国がこの分野に数兆ドルを注ぎ込み、世界クラスの大学や研究機関をますます多く設立している理由だ。したがって、アメリカを偉大な国にしたいと願う大統領は、科学の進歩と革新においてアメリカを最前線に維持するためにあらゆる手段を講じるはずだ。

その代わりにトランプは何をしているのか? 政府の要職に科学知識に乏しい人物たちを起用することに加え、第二次世界大戦以降、アメリカにおける知識の創造と科学の進歩に拍車をかけてきた研究機関に対する公開捜査を宣言した。コロンビア大学やハーヴァード大学、プリンストン大学やブラウン大学を、極めて疑わしい理由で標的にしただけではない。米平和研究所を閉鎖し、ウッドロー・ウィルソン国際学者研究センターを解体し、保健福祉省を粛清し、全米科学財団を解体し、数十億ドルの医療研究費を差し止めると脅した。その結果はどうなるだろうか? 科学研究プログラムは閉鎖され、博士課程は削減された。外国人科学者は他の共同研究者を探すだろうし、アメリカは優秀な頭脳の持ち主をこの国で研究させ、働かせることができなくなるだろう。実際、アメリカを拠点とする科学者の中には、自分たちの研究が十分に支援され、尊敬される国に移住する者も出てくるだろう。トランプ大統領は、アメリカの権力、威信、影響力の重要な要素を薪割り機に投入しようとしている。

守るべきなのは自然科学や医学だけではない。社会科学者、地域研究プログラム、人文科学を攻撃することも危険だ。なぜなら、これらの研究分野は、社会が社会問題に対処するための新しいアイデアを生み出す場だからだ。また、新しいアイデアや政策提案が検証され、批判され、誤りが暴かれ、修正される場でもある。偉大な国家を目指すなら、あらゆる政治的立場の学者が既存の経済政策、政治慣行、社会状況を調査し、疑問を投げかけることも必要だ。そうすることで、国民や指導者は何がうまく機能し、何が機能していないかを理解し、代替案を提案・評価できるようになる。政治家があらゆる政治的立場からの反対意見を黙らせたり、無視したりすると、愚かな政策が採用される可能性が高くなり、失敗したとしても修正される可能性が低くなる。だからこそ、独裁者は権力を集中させようとする際に、たとえそれが必然的に国を愚かで貧しくすることになっても、常に大学やその他の独立した知識源を攻撃する。

言い換えると、トランプ政権は、意思決定のあり方について私たちが知っていることのほとんど、そして世界政治について私たちが知っていることの多くを侵害している。集団思考(groupthink)を歓迎し、誠実な政策議論よりも指導者への盲目的服従(blind obedience)を優先している。国家が脅威に対してバランスを取ろうとする自然な傾向を無視し、現在の同盟諸国を疎外し、場合によっては敵に転じるリスクを冒している。ナショナリズムの永続的な力を見落とし、歴史と経済学入門で教えられている保護主義の有害な影響を否定している。アメリカを再び偉大にするどころか、これらの誤りはアメリカを貧しく、弱体化し、尊敬を失わせ、世界における影響力を弱めることになるだろう。

紳士淑女の皆さん、これこそが国の外交政策を台無しにする方法だ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。Blueskyアカウント: @stephenwalt.bsky.socialXアカウント:@stephenwalt

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古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 ロサンゼルスでの米移民・関税執行局(ICE)による不法移民の一斉摘発に対する抗議活動が先鋭化し、暴動(riots)にまで深刻化している。その様子は日本でも報道されている。抗議者たちは、プラカードを掲げたり、スローガンを発したりしている。また、デモ行進も行っている。平和的な活動であれば推奨されるべきことであるが、抗議活動参加者の一部が暴徒化している。その様子もまた報道されている。また、ロサンゼルス市警察には略奪(plunderinglooting)の報告が入っているということだ。死者の報告が出ていないことはせめてもの救いだ。

 ロサンゼルス市のカレル・バス市長はロサンゼルスの中心部(downtown)の一部に「夜間外出禁止令(curfew)」を出した。事態は1992年に発生したロサンゼルス暴動(Los Angeles Riots)に近くなっている。1992年の暴動は、白人警官によるアフリカ系アメリカ人男性殴打事件と裁判での無罪判決がきっかけとなった「人種関連暴動(race riots)」である。ロサンゼルス市内の南部は、以前はサウスセントラル(South Central)、現在はサウス(South)と呼ばれているが(サウスセントラルが最悪の印象を与えるので改められた)、マイノリティが多く、貧困や差別などが原因での、治安状況は全米でも最悪の部類だった(今でもあまり改善したとは言い難い)。

1992年の暴動はそこから北に上がってくる形で拡大し、高速道路10号線の付近まで上昇してきた。その付近にはコリアタウンがあり、韓国系アメリカ人たちが経営する商店が略奪の対象となり、韓国系アメリカ人たちは自衛のために武器を取って対峙することになった。ロサンゼルス北部にはビヴァリーヒルズやハリウッドがある。ロサンゼルス市警は高速道路10号線より北を守るために、それから下は放棄したために、コリアタウンまで被害が及んだという説もまことしやかに語られていた。部分的には本当であろうと私は考えている。

 今回の抗議活動は、ICEによる不法移民の一斉摘発に端を発する。そして、興味深いのは、メキシコや他の中南米諸国の国旗が掲げられ、「No One's Illegal On Stolen Land(盗まれた土地では誰も不法ではない)」というスローガンが叫ばれていることだ。以下のアドレスには、現地で写真家が撮影した映像がいくつか紹介されている。是非ご覧いただきたい。

Los Angeles Riots: "No One's Illegal On Stolen Land"

https://www.realclearpolitics.com/video/2025/06/10/los_angeles_riots_no_ones_illegal_on_stolen_land.html

 この映像の中にはデモをしている人々がスローガンを叫んでいるシーンがある。先導する女性は次のように言っている。

「盗まれた土地では誰も不法ではない"No one’s illegal on stolen land"

「奪われた土地に不法滞在する者はいない。この街を作ったのは誰なのか、思い出せ。メキシコ人全員、黒人全員だ。私たちが全てを作った。私たちが許さない限り、彼らは来てそれを奪うことはできない("Remember who made this city. All the Mexicans, all the black people. We made all that. They can't come and take it from us unless we let them.")」

人々に力を("Power to the people"

 このスローガンを先導する女性には、ロサンゼルスを作り上げるのに貢献した、白人もユダヤ人もアジア人も全く見えていない。彼女が考えるマイノリティはあまりにもステレオタイプでかつ視野が狭すぎる。ロサンゼルスは、1973年に市政史上初のアフリカ系アメリカ人のトム・ブラッドリー市長を誕生させた。彼は1993年まで市長を務めた。ブラッドリー市長誕生の原動力となったのは、マイノリティ(ユダヤ系、アフリカ系、菱パニック、アジア系など)の力を結集させた虹色連合(Rainbow Coalition)だった。ブラッドリーの名前は、ロサンゼルス国際空港の名前に冠されている。

何とも皮肉なのは彼の在任の最後でロサンゼルス暴動が起きてしまったことだ。それから、アフリカ系アメリカ人コミュニティと韓国系アメリカ人コミュニティの交流が実施されてきたが、人種間の融和というのは非常に難しい。今回の抗議活動でのスローガンでも、その難しさは表出している。これまで何度も書いているが、私はロサンゼルスで人種差別的な扱いをされたことはほぼなかったが(大学にばかりいたというのはあるが)、一度だけ、コリアタウンに住んでいたので、コリアタウンを歩いていて、ヒスパニック系の少年たちが乗った自動車が近づいてきて、パールハーバーがどうこうと叫ばれたことがあった(彼らの乗っていた自動車はホンダ製ではあったが)。差別というと、白人によるマイノリティに対する差別になっているが、マイノリティの間でもまた存在する。

 私は「盗まれた土地では誰も不法ではない」というスローガンを発しながら、メキシコ国旗を掲げるのは何とも矛盾していると考える。そして、これは非常に危険なことだとも考えている。ヒスパニックの人々からすれば、カリフォルニアという土地は、1848年の米墨戦争でアメリカが勝利したのでアメリカが分捕った土地だという思いがある。自分たちはメキシコ人としてここに住んでいたのだという思いがある。しかし、それを言い出したら、南北アメリカ大陸の全国家は盗まれた土地の上にある国家であり、その正統性は消滅する。メキシコもまた血塗られた盗まれた土地に建国された国民国家に過ぎない。私はここに矛盾を感じる。

 また、なぜ抗議者たちは、カリフォルニア州の旗やアナーキストの黒い旗を掲げていないのだろうかというのも不思議だ。「自分たちは先に住んでいた、国家などは関係ない、国家などはなくなってしまえ」ということにならないのだろうかというのが不思議だ。「自分たちはメキシコ人だ、メキシコ人の誇りを捨てない、いつかカリフォルニアをメキシコに復帰させる」という考えならば、メキシコ国旗を掲げるのは分かる。しかし、それをアメリカのほかの地域から見れば、非常に危険である。アメリカ連邦政府の建物に、メキシコ国旗を掲げた一団が突撃する姿は「侵略(invasion)」である。もし、カリフォルニアをメキシコに復帰させたいならば、住民投票を行うことから始めて、アメリカ合衆国に要求する。アメリカ合衆国は憲法で州の分離を規定していない。従って、他州の同意があれば良いが、そうではない場合には、内戦(civil war)という形になる、これに国際社会がカリフォルニアの側に立つというようなことがあれば良いがなければ厳しい戦いになる。メキシコ国旗を振り回しているというのは、突き詰めると非常に危険な行為であると言わざるを得ない。

 アメリカもメキシコもたかだか200年くらい前に国民国家として血塗られた盗まれた土地の上に建国されたに過ぎない。「No One's Illegal On Stolen Land(盗まれた土地では誰も不法ではない)」となれば、現在の国民国家体制は崩壊する。しかし、この言葉を叫びながら、メキシコ国旗を振り回すというのは何とも矛盾しており、非常に危険な行為である。

(貼り付けはじめ)

ロサンゼルス市警:月曜の夜に100人以上が逮捕され、警官2人が負傷(LAPD: Over 100 arrests Monday night, 2 officers injured

タラ・サター筆

2025年6月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/state-watch/5342977-lapd-over-100-arrests-monday-night-2-officers-injured/

ロサンゼルス市警察(Los Angeles Police DepartmentLAPD)は、米移民・関税執行局(Immigration and Customs EnforcementICE)による逮捕に抗議するロサンゼルス地域の抗議活動が続く中、月曜日の夜に100人以上が逮捕されたと発表した。

LA市警は火曜日のプレスリリースで、「複数の地元法執行機関のパートナーと共に、月曜日にダウンタウン地区で発生した抗議活動と犯罪行為に対応した」と述べた。LA市警によると、同夜、96人が「解散命令違反()Failure to Disperse」で逮捕され、「凶器による暴行(Assault with a Deadly Weapon)」で1人、「逮捕抵抗(Resisting Arrest)」で1人、「器物損壊(Vandalism)」で1人が逮捕された。

ロサンゼルス市警は声明の中で、「警官2人が負傷し、地元の病院に搬送されて治療を受けた後、退院した」と述べ、その後、「略奪(Looting)」で14人が逮捕されたと付け加えた。

カリフォルニア州知事ギャヴィン・ニューサム(民主党)は最近、ドナルド・トランプ政権の移民強制捜査に対する抗議活動が続く中、トランプ大統領がロサンゼルスに軍を派遣したことは他州への警告だと主張した。

「ポッド・セイヴ・アメリカ(Pod Save America)」の司会者トミー・ヴィエターは、カリフォルニア州知事に対し、「これはただトランプが狂ったカリフォルニアを追いかけているだけだ。他の土地のリベラルと同じだ。自分たちは大丈夫だ」と信じている他の全米の人々へのメッセージは何かと質問した。

ニューサム知事は月曜日の「Pod Save America」で次のように述べた。「これから起こることを予告したい。これから起こることに注意が必要だ」と「つまり、皆さん、皆さんもそう言っているだろう。彼が1月6日の暴動につながる状況を作り出したのは、まさにこれだ」。

ここ数日、トランプとニューサム知事はロサンゼルスの騒乱をめぐって激しく対立している。月曜日、トランプはカリフォルニア州知事の逮捕を支持すると発言し、ニューサム知事はXでこれに対し反応した。

「アメリカ合衆国大統領が現職知事の逮捕を求めた。こんな日がアメリカで二度と訪れては欲しくないと望む」とニューサム知事はX上で述べた。

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ロサンゼルス市長が数日間の抗議活動を受けてダウンタウンの一部に夜間外出禁止令を発令(LA mayor announces curfew for part of downtown after days of protests

エルヴィア・リモン筆

2025年6月10日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/5343511-la-mayor-announces-curfew-for-part-of-downtown-after-days-of-protests/

ロサンゼルス市長カレン・バスは火曜日の記者会見で、移民強制捜査に対する抗議活動が5日間続いたことを受け、「破壊行為や略奪を阻止するため(to stop the vandalism, to stop the looting)」、ダウンタウンの一部地域に夜間外出禁止令(a curfew)を発令すると発表した。

夜間外出禁止令は1平方マイル(約1.6平方キロメートル)の範囲で、午後8時から午前6時まで実施される予定だ。バス市長は、住民、通勤者、および許可を得た報道関係者を除き、この命令に違反した人間は警察に逮捕されると述べた。夜間外出禁止令は数日間続く見込みだ。

バス市長は「ダウンタウンに居住または勤務していない人はこの地域を避けて欲しい」と述べた。

バス市長によると、月曜日の夜、ダウンタウンには23の店舗があり、そのエリアには大きな落書きが見られたという。最も激しいデモの多くは、ロサンゼルスのダウンタウンにある連邦政府ビル群の近くで発生しており、その中にはエドワード・R・ロイバル連邦ビル(拘置所兼連邦裁判所)も含まれている。

バス市長は、夜間外出禁止令が出されている地域は、市全体の502平方マイル(約148平方キロ)に比べれば小さいと強調した。

バス市長は次のように述べた。「ここで起きた破壊行為や暴力を軽視する意図でこれを指摘するべきではないと思う。確かに重大な出来事だった。しかし、この1平方マイル(約1.6平方キロ)で起こっていることが、市全体に影響を及ぼしている訳ではないことを知ることは極めて重要だ」。

市長はさらに「抗議活動や暴力行為の映像の中には、これが市全体の危機であるかのような印象を与えるものがあるが、実際はそうではありません」と付け加えた。

夜間外出禁止令は、トランプ大統領が4000人の州兵をこの地域に派遣した中で発令された。

トランプ大統領は、ここ数日間で発生した米移民・関税執行局(ICE)の捜査をきっかけに発生した抗議者と法執行機関の衝突による暴力に対処するために、州兵の派遣は必要だと主張している。

国防総省はまた、連邦政府の建物と職員を守るため、ロサンゼルス大都市圏に700人の海兵隊員を派遣した。

カリフォルニア州のギャヴィン・ニューサム知事とロブ・ボンタ州司法長官(民主党)は月曜日、トランプ大統領によるカリフォルニア州兵派遣の決定を「前例のない権力掌握(unprecedented power grab)」だとして、政権を提訴した。

22ページに及ぶ訴状には「我が国と民主政治体制の礎石の1つは、国民が軍政(military rule)ではなく民政(civil rule)によって統治されていることだ」と記されている。

「建国の父たちは、政府は国民に責任を持ち(a government should be accountable to its people)、法の支配(rule of law)に基づき、軍政(military rule)ではなく民政(civil authority)によって統治されるべきであるという原則をアメリカが州国憲法に定めた」と訴状は続けている。

火曜日の記者会見で、バス市長はニューサム知事の「彼のパートナーシップ(for his partnership)」に感謝の意を表し、州および地方の指導者、役人、そして議員たちにも感謝の意を表した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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