古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:共和党予備選挙

 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。今年実施されるアメリカ大統領選挙についての分析も行いました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 米大統領選挙共和党予備選挙は、ドナルド・トランプ前大統領が4連勝となった。既に有力なライヴァルたちは選挙戦から撤退し、ニッキー・ヘイリー元米国連大使・元サウスカロライナ州知事しか残っていない。先週末、サウスカロライナ州で共和党予備選挙が実施された。結果はトランプの圧勝となった。ヘイリーは地元サウスカロライナ州でも敗北を喫し、選挙戦からの撤退が話題に上がっている。トランプの共和党予備選挙の勝利と大統領選挙本選挙候補者指名が確実視されている。これで、大統領選挙本選挙は、民主党のジョー・バイデン大統領対共和党のドナルド・トランプ前大統領の戦いとなる。
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 共和党の反ポピュリズム勢力・反トランプ勢力の旗頭であるコーク一族は、ヘイリーに資金提供を行ってきたが、サウスカロライナ州共和党予備選挙でのヘイリーの敗北を受けて、資金提供を停止すると発表した。大統領選挙でトランプを止めることは不可能だということを敵であるコーク一族も認めたことになる。
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左がデイヴィッド・コーク(故人)、右がチャールズ・コーク(コーク系の総帥)

 コーク一族の資金ネットワークは、連邦下院共和党の議員たちで構成する、議員連盟であるフリーダム・コーカスの議員たちの当選と新しい議員たちの当選を目指すことになる。フリーダム・コーカスは日本では親トランプ派とされているが、実態は、コーク一族の資金が入っている反トランプ派である。それなのに、日本で親トランプ派とされているのは、共和党エスタブリッシュメントに反対する姿勢のために、親トランプ派の議員たちが入っているからである。フリーダム・コーカスは反トランプ派・反エスタブリッシュメントである。詳しく知りたい方は、私が翻訳した『アメリカの真の支配者 コーク一族』(講談社)と、拙著『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)をお読みいただきたい。

(貼り付けはじめ)

大統領選挙サウスカロライナ州共和党予備選挙の5つのポイント(Five takeaways from the South Carolina GOP primary

ナイオール・スタンジ筆

2024年2月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/4487698-five-takeaways-from-the-south-carolina-gop-primary/

サウスカロライナ州チャールストン発。土曜日に行われた大統領選挙サウスカロライナ州共和党予備選挙で、ドナルド・トランプ前大統領が対抗馬のニッキー・ヘイリーを打ち負かし、圧勝した。

アメリカ東部標準時の午後7時に投票が締め切られた瞬間、トランプの選挙戦での勝利が決まった。午後10時前に開票率が83%に達した時点で、トランプは、ヘイリーに21ポイントの差をつけて圧勝した。

大統領選挙ミシガン州共和党予備選挙は来週火曜日に行われる。そして、3月5日は10以上の州で投票が行われるスーパーチューズデーとなる。

サウスカロライナ州での予備選挙についてこれから5つのポイントを挙げていく。

(1)トランプは地滑り的な勝利によって、候補者指名への最終経路に入った(Trump’s landslide puts him on a glide path to nomination

よほどの重大な出来事が起きない限り、トランプが2024年大統領選挙の共和党の指名候補となるのは間違いのないところだ。

トランプ前大統領はこれまでのところ、予備選挙が4州で行われ、4連勝している。サウスカロライナ州では、ヘイリーが知事として2度当選した実績があったが、トランプはヘイリーを叩きのめした。

コロンビアで行われたトランプの勝利演説では、サウスカロライナ州の共和党エスタブリッシュメントがどの程度トランプの後ろ盾になっているかが明らかになった。ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)とリンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、ヘンリー・マクマスター州知事(共和党)と一緒に壇上に立ち、トランプに代わって短いスピーチを行った。

チャールストンでは、ヘイリーがたった一人で壇上に立ち、少数の聴衆を前に演説した。

ヘイリーは、トランプは11月の大統領本選挙では当選不可能だと訴え続けている。しかし、彼女の主張が共和党の有権者の支持を得られると信じる根拠はない。

これは必ずしも前サウスカロライナ州知事ヘイリーの失敗ではなく、単に共和党の支持層が依然としてトランプに熱狂していることを反映している。

これまでのところ、どの州でもトランプ前大統領はライヴァルたちに得票率で二桁の差をつけて圧勝している。

候補者指名争いは、掛け声を除けば全て終わっている。

(2)ヘイリーは選挙戦から撤退しない(Haley isn’t quitting

数週間前、ヘイリーがサウスカロライナ州予備選挙を前に選挙戦から撤退するかどうか、疑問を持たれていた。

この当時、トランプの支持者たちは、ヘイリーが惨敗すれば、彼女は選挙戦を止めることになるだろうと予測していた。

しかし、この予測通りにはならなかった。

選挙後のサウスカロライナ州でのヘイリーの演説は、少なくともスーパーチューズデーまでは戦い続けるという断固とした宣言に等しかった。

彼女は、これまでに有権者たちに示してきた約束について言及し、「私は約束を守る女性」と述べた時、その夜最大の歓声を受けた。

彼女の主張の根拠は、多くのアメリカ人がバイデン大統領とトランプ氏の対決に興味を持てない状況にある中で、「この戦いをあきらめない(not going to give up this fight)」というものだ。

ヘイリーは語気と言葉を強め、このような激しい選挙戦は、「アメリカが分裂するだろう」結果をもたらすだろうと示唆した。

前知事ヘイリーは1月に、これまでで最高の献金額を記録したが、選挙戦を継続するための資金を持っている。そして、彼女には熱烈な支持者もいるが、その数はトランプ大統領の指名獲得への影響を与えるほどではない。

サウスカロライナ州での支持者の一人、ネル・パーカーは、ヘイリーは「明かりを灯し続ける資金がある限り選挙戦に留まるべきだ」と本誌の取材に語った。

(3)共和党は現在MAGAMake America Great Again)の政党になっている(The GOP is now the MAGA Party

トランプが共和党内を支配していることを示すのは、トランプのライヴァルたちにつけた票差だけではない。

サウスカロライナ州の共和党有権者のほとんどが、トランプの世界観全体を共有しているということだ。

AP通信の有権者調査「ヴォートキャスト」は、少なくとも初期の結果では、サウスカロライナ州の共和党有権者の約10人に6人が、アメリカのウクライナに対する援助継続に反対していることを示した。これはヘイリーにとって悪いニューズであり、軍事的伝統の強い州においては印象的な結果となった。

この調査によると、サウスカロライナ州の共和党有権者の約10人に7人が、トランプの行動に関する各種の捜査はトランプを弱体化させようとするものだというトランプの主張を受け入れている。

これらの数字を考慮すると、ここにいる共和党員の約10人中6人が自分たちを「アメリカを再び偉大に(MAGA)」 運動の支持者だと考えるのも不思議ではない。

共和党は良い意味でも悪い意味でも、今やトランプの党となっているのだ。

(4)トランプの暴言は本選挙への危険信号となる(Trump’s rhetoric still raises red flags for the general election

共和党のサウスカロライナ州予備選挙で大差をつけたにもかかわらず、11月の本選挙におけるトランプの当選可能性に関する疑問は消えない。

それは、トランプが直面している91件の刑事告発のせいだけではない。それはまた、彼が炎上させる性質(propensity to inflame)を持っているからでもある。

トランプはサウスカロライナ州での予備選挙前夜、金曜日に開催されたアフリカ系アメリカ人保守連合の年次総会で演説した際に、その傾向を再び示した。

トランプは、アフリカ系アメリカ人が自分の警察に捕まった際に撮影される顔写真(mugshot)を「受け入れてくれた」と述べた。これは、犯罪率の高いアフリカ系アメリカ人の有権者たちが、自分が起訴されたことについて共感を持ってくれるだろうということを、不器用に示唆しようとした発言だった。

トランプ前大統領は次のように述べた。「私は何の理由もなく、何でもないことで起訴された。そして多くの人が、だからこそアフリカ系アメリカ人の皆さんが私のことを好きなのだと言ってくれている。アフリカ系アメリカ人の皆さんはひどく傷つけられ、差別されてきたからこそ、私に共感してくれる。実際、アフリカ系アメリカ人の皆さんは私を差別されているように見ている。とても素晴らしいことだが、そこに何かがあるかもしれない」。

翌朝、ヘイリーはサウスカロライナ州キアワアイランドで予備選挙の投票を行った後、トランプによるこれらの発言を非難した。

ヘイリーは「これはドナルド・トランプがテレプロンプターを外したときに起こること、本当にうんざりしてしまう。これがドナルド・トランプが引き起こす混乱というものだ。これが、本選挙の日まで毎日やってくる不快感の原因だ」と述べた。

もちろん、更に別の論争が起きることになっても、トランプに固執している支持者が離れていくことはないだろう。しかし、彼の暴言(よく言えば無礼)は、説得されやすい有権者たちを獲得するチャンスを妨げている。

民主党がよく指摘するように、トランプは2016年と2020年の2度の本選挙で得票総数で敗れている。

(5)ヘイリーの攻撃は共和党支持層を超えてトランプの妨げになる可能性がある(Haley’s attacks could hinder Trump beyond the GOP base

ヘイリーの攻撃はトランプの共和党候補指名獲得への前進を妨げるものではないが、穏健派の共感を呼び、民主党が11月にトランプ前大統領に対して主張を展開して支持を集めるのに役立つ可能性がある。

土曜日の演説でヘイリーは、トランプが政敵たちを「人間のくず(vermin)」という言葉で表現することに異議を唱えた。

サウスカロライナ州での予備選挙までの数日間、ヘイリーはトランプが本選挙で勝つことはできないと述べ、最近のNATOに関する発言で彼がロシアのプーティン大統領に「味方(sided)」していると非難し、トランプをナルシストと評し、軍服を着たことがないと嘲笑した。

トランプ大統領の盟友たちは、ヘイリーがこの種の発言で、トランプに対して損害を与える可能性があるため、ヘイリーの選挙戦からの撤退を望んでいる。ナンシー・メイス下院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は、金曜日、サウスカロライナ州ロックヒルでのトランプの集会で本誌の取材に応じた際、この主張を展開した。

しかし、トランプ前大統領は、ヘイリーが自分よりも得票するという脅威の可能性を打ち砕いた。

しかし、民主党の攻撃広告の絶好の材料となるであろうヘイリーの言葉は、11月の大統領選挙本選挙に向けて、まだまだトランプを苦しめる可能性がある。

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●「米富豪コーク氏団体、ヘイリー氏の支援停止 米報道」

2024年2月26日 日経新聞 

https://www.nikkei.com/article/DGKKZO78750410W4A220C2EAF000/

【ワシントン=中村亮】米富豪チャールズ・コーク氏の政治団体は、11月の大統領選に向けた共和党の候補指名争いでニッキー・ヘイリー元国連大使の支援を停止する。米ポリティコが25日に報じた。ヘイリー氏への撤退圧力になる。

保守系政治団体「繁栄のための米国民アクション」の首脳が25日、スタッフに宛てたメールでヘイリー氏支援のために資金を使うのをやめると伝えた。

「外部グループが彼女の勝利に向けた道を広げるために大きな貢献をできると思わない」と記した。代わりに11月に大統領選と同時実施の上院選や下院選に資金を振り向けるという。コーク氏の政治団体による動きは、ヘイリー氏の選挙資金が細る予兆となる可能性がある。資金集めが行き詰まると、指名争いから撤退を余儀なくされる公算が大きい。ヘイリー氏は24日、地元である南部サウスカロライナ州の予備選でトランプ前大統領に敗れた。前大統領が1月の中西部アイオワ州の党員集会から5連勝を果たし、ヘイリー氏は反転攻勢の糸口をつかめていない。

米メディアによるとヘイリー氏の選挙陣営は25日、最近24時間で100万ドル(約15000万円)以上の資金を集めたと明らかにした。敗北が続いても、資金集めの勢いが衰えていないとアピールする狙いがある。

ヘイリー氏は25日、中西部ミシガン州で支持者集会を開く。同州では27日に予備選を予定する。16州・地域が予備選を一斉に開く35日のスーパーチューズデーが指名争いの大きな山場になる。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治、アメリカ大統領選挙について詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年アメリカ大統領選挙がスタートした。前半は、民主、共和両党の大統領選挙候補者を決める予備選挙(primary)が始まった。アイオワ州での党員集会(caucus)が実施された。気温がマイナス20度(摂氏)まで下がる厳しい天候の中で、10万人以上が参加し、ドナルド・トランプ前大統領が圧勝した。2位にフロリダ州知事ロン・デサンティスが2位、3位に元サウスカロライナ州知事・米国連大使ニッキー・ヘイリーとなった。デサンティスとヘイリーは僅差の結果となった。以下のとおりである。
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 事前の各種世論調査で、トランプが大量リードしていたため、今回の結果に驚きはない。予備選挙においての当面の話題は、ロン・デサンティスとニッキー・ヘイリーのどちらが生き残るかということだ。デサンティスは各種世論調査においてトランプに次いで2位となっていたが、今回のアイオワ州の結果をどう見るべきなのかは難しい。2位に入ったのは大きいが、3位のヘイリーとの差が小さかったことが問題だ。ヘイリーはこれから実施されるサウスカロライナ州知事を務めていたこともあり、サウスカロライナ州では、トランプに2位となると予想されている。また、次週実施されるニューハンプシャー州予備選挙でもヘイリーが2位に入るという予想もされており、デサンティスには厳しい状況が続く。

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 私は、共和党予備選挙は、ニッキー・ヘイリーが生き残る可能性が高いと見ている。ヘイリーが勢いをつけていくだろうと考えている。しかし、トランプ優位は動かないだろう。トランプとしてはどれだけの差をつけて勝利できるかということがこれからのテーマということになるだろう。
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アイオワ州での大統領選挙共和党予備選挙に関する5つのポイント(5 takeaways from the Iowa GOP caucuses

キャロライン・ヴァキール筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410502-iowa-gop-caucuses-donald-trump-vivek-ramaswamy-ron-desantis-nikki-haley-takeaways/

月曜日のアイオワ州共和党党員集会でドナルド・トランプ前大統領が圧勝し、共和党有権者に対する前大統領の優位性を示す最初の大きなテストとなった。

現在、すべての注目は早くもニューハンプシャー州に集まっており、ニューハンプシャー州ではトランプ前大統領がフロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)や元国連大使ニッキー・ヘイリーをリードしており、両候補ともにニューハンプシャー州でトランプに大差をつけられている。

各種世論調査によると、ヘイリーはニューハンプシャー州ではアイオワ州よりも良い結果を得ており、ニューハンプシャー州での争いを維持できる可能性があるが、サウスカロライナ州とネバダ州など他の序盤戦については、その実力が疑問視されている。

一方、デサンティスは、多くの資金を投入したアイオワ州で2位に甘んじることになり、厳しい問いに直面している。

トランプの期待が高まる中で、月曜日の夜、ヴィヴェク・ラマスワミは選挙活動を中止し、トランプを支持すると発表した。これによってトランプ前大統領はヴィヴェク・ラマスワミ氏から後押しを受けることになった。

極寒のアイオワ州で行われた共和党党員集会の5つのポイントをこれからご紹介する

(1)予想通りのトランプの圧勝(Trump dominates, as expected

東部標準時午後8時に投票が開始してから1時間も経過しないうちにトランプはアイオワ州党員集会で簡単に大勝した。

ディシジョンデスクHQは、午後8時46分にトランプをアイオワ州の勝者と予想し、その後、デサンティスが大差をつけられての2位と予想すると発表した。

アイオワ州は大統領候補指名争いが行われる最初の州に過ぎないが、トランプの勝利は予想されていたとはいえ、彼が共和党を掌握していることを浮き彫りにした。また、これから予備選挙が実施される数州でのヘイリーとデサンティスの苦戦の可能性を高めることとなった。

トランプの大勝利は、アイオワ州の極寒の気温が投票数にどのような影響を与えるかという疑問の中でもたらされた。アメリカ国立気象局デモイン支局は、かつてツイッターとして知られていたウェブサイト「X」に、月曜日は「1972年までさかのぼると、アイオワ州の投票日としては史上最も寒い日になりそうだ」と投稿した。

しかし、厳しい天候でさえトランプ支持者を集会から遠ざけることはできなかった。火曜日早朝時点のディシジョンデスクHQの開票速報では、トランプは50%をはるかに超える票を獲得していた。

(2)アイオワ州でヘイリーは彼女が必要としているものを獲得した(Haley gets what she needs in Iowa

ヘイリーはアイオワ州で3位となった。最近の世論調査では2位とされていたものの、その予想がだいたい当たる結果となった。

しかし、メディア各社がデサンティスが2位になると予想した後でも、ヘイリーは支持者たちに3位という結果を誇らしげに報告した。

ヘイリーは「この選挙戦では、一時、私を含めて14人が立候補しているという状況になった。世論調査で私の支持率が2%ということもあった。しかし今夜、アイオワはアイオワがいつもやっていることをやってくれた」と述べた。

「有識者たちはあらゆる角度から結果を分析するだろう。それは理解できる。しかし、ニューハンプシャー州、サウスカロライナ州、そしてそれ以降の状況を見ると、今夜、アイオワ州は共和党予備選を2人の対決の構図にしてくれたと断言できる!」と彼女は付け加えた。

このコメントは、ヘイリーが既にデサンティスよりもはるかに強力な候補と見られているニューハンプシャー州に軸足を移していることを示している。ニューハンプシャー州での世論調査では、ヘイリー候補はトランプ前大統領に次ぐ2位につけている。

ディシジョンデスクHQと『ザ・ヒル』誌がまとめたニューハンプシャー州の調査の平均では、トランプが42%、ヘイリーが31%、デサンティス氏が7%となった。しかし、初期の州世論調査と全国世論調査の両方で元大統領が依然としてライヴァルをリードしていることを考えると、ヘイリーがトランプに対抗するにはまだ長い道のりに直面している。

(3)デサンティスは選挙戦に留まるかについての厳しい決断に直面(DeSantis faces tough decision on staying in race

デサンティスが選挙戦から離脱する気配はない。日曜日、CNNの取材に対し、デサンティスは、選挙戦がこれから長期戦になるだろうと語った。

デサンティスは月曜日の夜に開票速報視聴パーティーにおいて、支持者たちに対して次のように語った。「彼らは、私たちがここアイオワで敗北し選挙に留まることはできないだろうと予測していたという事実にとても興奮していた。しかし、私が言えるのは、彼らが私たちに投げかけた全てにもかかわらず、皆さんの支持のおかげで、私たちは選挙に留まることができた。みんなが私たちを攻撃していたが、それを振り払うことができた」。

それでも、この先の地図は、アイオワ州に多くのエネルギーを注いできた知事にとって難しいものとなる。ザ・ヒルとディシジョンデスクHQが出した、各種世論調査の数字の平均によると、デサンティスは、ニューハンプシャー州において6.6%で3位に甘んじている。また、サウスカロライナ州でも、デサンティスは9.4%で、大差をつけられての3位となっている。

ヘイリー陣営はニューハンプシャー州とサウスカロライナ州に重点を置いており、デサンティスは、更に不利な立場に置かれている。デサンティスは、主にトランプ支持層と同じ保守層にアピールしようとしていることを考えると、現実的にどうすれば指名を獲得できるのかという厳しい問題に直面している。

(4)早い段階での結果発表は反発を招いた(Early race calls draw backlash

トランプがアイオワ州共和党党員集会の勝者であると夜の早い段階から発表されたが、この事実はデサンティスの支持者たちの怒りを招き、一部のメディア関係者からの批判を招いた。

AP通信は午後8時31分(東部標準時)、NBCニューズは午後8時33分(東部標準時)頃、ザ・ヒルが提携しているディシジョンデスクHQは午後8時46分(東部標準時)にトランプ勝利を報じた。

デサンティス選対広報部長のアンドリュー・ロメオは、メディアの勝利者確定報道に対する声明の中で、「何万人ものアイオワ州人が投票する前に、メディアが選挙戦を召集して選挙妨害に加担するというのは、まったくもって言語道断である。メディアはトランプの味方であり、これはこれまでで最もひどい例だ」と述べた。

デサンティス陣営のジェイムズ・ウスマイヤー選対本部長も、NBCニューズとのインタヴューにおいて、早期の勝利者報道を「ぞっとする」と非難した。

一方、デサンティスを支援するスーパーPACは、CNNAP通信、ABCニューズ、NBCニューズの早い段階でのトランプ勝利確定報道を批判し、勝者確定に関するそれぞれの方針の誤りを指摘するメールを送った。

しかし、早期にトランプの勝利者報道をしたことについても、一部のジャーナリストから疑問の声が上がっている。

セマフォーのデイブ・ワイゲル記者はXに「非常に非常に初期の段階でトランプが大勝しているが、初期のネットワーク各局の勝利者確定は少し疑わしい。人々はまだ党員集会会場にいて、電話を持っている。どれだけの数の人が確定報道を見て、考えを買えただろうか?」と投稿している。

『ナショナル・ジャーナル』誌のカーク・バド記者「AP通信は、どのようにして早い段階で党員集会でのトランプの勝利について短い説明をしているが、有権者がまだ多くの選挙区で投票している最中に確定報道をしたことについての論争には触れていない」とはXに投稿した。

早い段階での選挙戦の勝者確定報道が選挙戦の行方を大きく左右した可能性は低いが、メディアが報じているように既に選挙結果を疑う傾向にある一部の国民の間で懐疑的な見方を引き起こす可能性がある。

(5)極寒の中、投票率に打撃を受けた(Turnout takes a hit amid frigid conditions

アイオワ州が極寒状況に見舞われたため、投票率は予想を下回ると予測された。

ディシジョンデスクHQは、月曜日の夜に投票率の予想を下げたと発表し、「投票が完了したと報告している郡の投票数は、投票開始時の予想を一貫して下回っている」と指摘した。

ディシジョンデスクHQは、午後10時(米国東部時間)以降、約11万人の有権者が集会に参加したと推定しているが、「IA GOPからのデータがかなり変動しているため、変更される可能性がある」と注意を発している。

2016年の選挙では18万人以上が投票した。

投票率は、アイオワ州の凍てつくような気温に影響された可能性が高く、天候が候補者にどのような影響を与えるかについて、各候補者に疑問が投げかけられていた。

ジュリア・マンチェスターがアイオワ州からこの論稿の作成に貢献した。
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アイオワ共和党党員集会の結果を説明する5つの数字(Five numbers that explain the Iowa caucus results

ジュリア・ムラー、ジャレッド・ガンズ筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410536-five-numbers-that-explain-the-iowa-caucus-results/

ドナルド・トランプ前大統領は月曜日のアイオワ州共和党党員集会で容易に勝利し、来週のニューハンプシャー州予備選挙に向けて、選挙戦が加速するための最初の州で、共和党のライヴァルであるニッキー・ヘイリーやフロリダ州知事ロン・デサンティスを破った。

アイオワ州で共和党党員集会の投票が始まってから1時間も経たないうちに、マスコミ各社はトランプ勝利を報道した。票の集計はまだ続いているが、最新の集計の時点で、トランプが30ポイントの差で勝利する準備ができているようだ。

しかし、トランプの勝利のために他の候補者たちにつけた差は、2024年の選挙の最初の投票で得られた注目すべき数字の1つにすぎない。

アイオワ州共和党党員集会に関する数字で見ると次のようになる。

(1)トランプの得票率:51%(Trump’s percentage: 51 percent

東部標準時午前12時25分現在、ディシジョンデスクHQの集計によるt約10万9000票が投票され、トランプは51%の得票率を誇っている。

ディシジョンデスクHQによると、トランプ前大統領は2位の候補に30ポイント近くリードしている。デサンティスが2位、ヘイリーが3位と予測されている。

トランプは、各種世論調査でライヴァルに二桁の差をつけてアイオワ州党員集会に臨み、アイオワ州での勝利で、来週ニューハンプシャー州で行われる全米初の共和党予備選を前に勢いを増している。

トランプのリードを削ごうと数カ月間努力してきたトランプ以外の候補者たちにとっては、良い兆候ではない。

トランプは2016年、2020年にアイオワ州の共和党予備選挙で勝利したが、2016年のアイオワ州党員集会ではテッド・クルーズ上院議員(テキサス州選出)に敗れ、その後ニューハンプシャー州で勝利し、大統領選挙候補者指名を受けた。 

トランプ前大統領は月曜日、アイオワでの選挙戦は「とてつもない夜」になるだろうと予想していた。

(2)勝利者確定報道時間:30分(Time the race was called: 30 minutes

アイオワ州での投票開始からわずか30分後、各メディアからトランプの勝利を宣言する最初の報道があった。AP通信が午後8時31分にトランプを勝者と予想し、他のメディアもすぐにこれに続いた。

本誌のパートナーであるディシジョンデスクHQは、約15分後の午後8時46分に勝利者確定報道を行った。

投票開始後、まだ投票をしていない人もいる中で、極めて早く勝利者予測・確定報道が出た。CNNのキャスターであるジェイク・タッパーは、CNNの予測を発表した後、「このような早期の確定報道をしたのは記憶にないほど早い」と、報道の早さを指摘した。

党員集会に至るまでの世論調査や出口調査ではトランプが大幅にリードしており、選挙戦が召集される前の初期の結果はトランプ氏が容易に勝利することを示しているように見えた。タッパーは、CNNは投票前調査と初回投票におけるトランプの「圧倒的な」リードに基づいて予測を立てる可能性があると述べた。

しかし、早期の勝利者確定報道では、多くの投票がまだ行われていない中で予測を行ったことに対して批判が生じた。党員集会にかかる時間はさまざまで、30分で結果が出るものもあれば、数時間かかるものもある。

デサンティス選対の反応は特に激しく、選対広報担当のアンドリュー・ロメオは「選挙妨害(election interference)」だと主張した。

ロメオは「何万人ものアイオワ人が投票する前に、メディアが選挙戦を召集して選挙妨害に加担するというのはまったく言語道断の好意である。メディアはトランプ前大統領の味方であり、これはこれまでで最もひどい例だ」と語った。

親デサンティスのスーパーPAC「ネヴァー・バック・ダウン」の戦略コミュニケーション・ディレクターを務めるマット・ウォーキングは、投票が終わる前に確定報道に対する複数の報道機関の方針をツイートした。

(3)2位と3位の差:2ポイント(Margin between second and third place: 2 points

月曜日の夜の党員集会に先立ち、専門家たちは選挙サイクルがスタートする中、候補者の強さを示すシグナルとしてアイオワ州の1位、2位、3位の間の差に注目していると述べた。

発表時点では、デサンティスがアイオワ州で2位を確保し、ヘイリーが3位と予想されている。

発表時点のディシジョンデスクHQによると、デサンティスとヘイリーの差はわずか2.1ポイントで、得票率はそれぞれ21.2%対19.1%だった。

この接戦は、アイオワ州党員集会の8日後に投票が行われるニューハンプシャー州予備選挙において、事前の各種世論丁でデサンティスを大きく引き離しているヘイリーにとっては良い兆候と言えるだろう。

また、フロリダ州知事デサンティスはアイオワ州を選挙戦の最重要課題としていたため、デサンティスの勢いを削ぐハードルとなるだろう。デサンティスは、アイオワ州の全99郡を訪問するという目標を達成し、アイオワ州では他のどの早期投票州よりもはるかに強力な世論調査の結果を得ていた。

アイオワで多くの時間を費やしたデサンティスは、今後の各州で本気で戦えるよう、選挙運動のインフラを構築する作業が待っている。

起業家のヴィヴェク・ラマスワミとアーカンソー州知事アサ・ハッチンソンは上位3位に入れず、これが選挙運動の終了をもたらす可能性があると専門家たちは長年指摘してきた。ラマスワミは月曜日の夜の記者会見で選挙戦から撤退し、トランプ氏を支持すると表明した。

(4)投票数:11万(Turnout: 110,000

アイオワ州民は4年に1度の党員集会に熱心なことで知られ、全国で最初の投票に参加するために定期的に多くの人々が集まる。しかし、1月の寒さに慣れた有権者にとっても、歴史的に悪天候が障壁となった。

アイオワ州共和党のジェフ・カウフマン委員長は、本誌の取材に対し、道路の除雪が進み、雪も止んだことから、投票率については楽観的な見方を示し、参加者数については「いい感じ」だと語った。カウフマン委員長は、18万7000人という記録的な数字に達するとは予想していなかったが、早朝時点では「いい感じ」だったと語った。

ディシジョンデスクHQは、約11万人の有権者が投票に参加したと予測した。この数字は、記録を打ち立てた2016年の党員集会からは大きな減少となったが、2012年と2008年にそれぞれ投票した約12万人からはわずかな減少にとどまった。

月曜日の夜の党員集会終了に関する声明の中で、カウフマンは「アイオワの人々は、数日前に吹雪に見舞われた後、記録的な低温に耐えながら、自分たちのコミュニティーのメンバーと国の将来について話し合い、真の草の根民主政治体制(grassroots democracy)に参加した」とカウフマンは夜の終わりに向けて声明で述べた。

(5)風冷指数:50度(Wind chill: 50 degrees

月曜日、アイオワ州民は凍えるような寒さと厳しい冬の天候に直面した。国立気象台は、デモインの風冷指数をマイナス30度と発表した。

選挙戦までの数日間、一部の選挙計画が複雑な状況となったことを受け、候補者らは支持者らに雪の中でも勇敢に党員集会に行くよう呼び掛けた。党員集会に先立って複数の対面イヴェントを中止し、代わりにヴァーチャルで開催することを余儀なくされた。

デサンティスは党員集会開始前、支持者たちに「寒さに負けずアイオワ州共和党党員集会に参加して、私を応援して欲しい。あなたの一票が、今夜ほど大きな影響を与える機会はない!」と述べた。

ラマスワミは、アイオワ州の支持者たちに「私たちの国を救うために、寒さに耐えていただきたい」と呼びかけた。

アイオワ州共和党党員集会が州内の各選挙区で始まった、デモインの午後8時の気温はマイナス20度(摂氏)にまで下がった。

ウエザー・チャンネルとアキュウエザーによると、月曜日の日中の最高気温はマイナス17度(摂氏)だった。
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アイオワ州共和党党員集会の勝者と敗者(Winners and losers of the Iowa caucuses

ナイオール・スタンジ筆

2024年1月16日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/4410571-winners-and-losers-of-the-iowa-caucuses/

アイオワ州デモイン発。有権者は月曜日、2024年の大統領選挙期間で初めて意思表示をする機会を持ち、その結果、アイオワ州共和党党員集会でドナルド・トランプ前大統領が圧倒的な勝利を収めた。

トランプは2位に約30ポイントを付けて圧勝した。

党員集会に向けて大きな注目は、2位争いを中心に展開していた。フロリダ州知事ロン・デサンティス(共和党)が元国連大使ニッキー・ヘイリーを抑えて残念賞(consolation prize)を受賞した。

党員集会では、実業家のヴィヴェック・ラマスワミが4位という最低の成績で選挙戦を中止するなど、これまでと同じく候補者たちが絞られた。ラマスワミは予想通りトランプを支持した。

極循環によってアイオワ州の気温が氷点下にまで下ったため、天候が今年の選挙戦の大きな要因となった。月曜日はこれまでで最も寒い投票日となった。

約11万2000人のアイオワ州民が投票を行ったが、2016年に記録された約18万6000人には遠く及ばなかった。

以下に、月曜日の夜の勝者と敗者について見ていく。

●勝者たち

・ドナルド・トランプ前大統領(Former President Trump

トランプにとって、これ以上ない夜となった。

トランプは世論調査が予想していた通りの大差で勝利したが、支持者の間に態度が弱くなったり、満足したりする兆しは見られなかった。

トランプの得票率は50%の大台をクリアしたと見られる。これにより党員集会参加者の大多数がトランプに反対しているという、ライヴァルたちの主張の正当性がなくなる。

同じく重要なことは、デサンティスとヘイリーの僅差の結果により、今後しばらくは両者が選挙戦に残る可能性が高く、非トランプ票が確実に二分される状態が続くことになる。

トランプは、支持者を前に行った約20分間の勝利演説では、彼の基準からすると珍しく穏やかだった。ライヴァルたちに対しては、「みんな一緒に楽しい時間を過ごしてきた。ヘイリーとデサンティスはふたりともよくやった」とささやかではあるが賛辞を贈った。

トランプはまた、「今こそ全員が団結する時だ」と主張したが、この発言は現代で最も二極化を進めた、とトランプ前大統領を批判する人たちには違和感があるだろう。

しかし、この穏やかな口調は、ライヴァルたちを退かせようとするトランプ・チームの全般的な働きかけの一部だった。

2022年のアリゾナ州知事選に敗れ、現在は同州の上院議員候補であるトランプの忠実な支持者であるカリ・レイクは本誌の取材に対し、他の候補者の立候補はもはや「虚栄のプロジェクト(vanity projects)」に過ぎないと語った。

レイクは次のように語っている。「彼らに勝ち目はない。アイオワ州とニューハンプシャー州に何億ドルもつぎ込んで、強敵の候補者トランプを追い落とそうとしているのは残念なことだ。彼らが少し立ち止まって、考え直し、トランプ大統領がアメリカを救う手助けをする人物であることを認識することを願っている」。

・世論調査会社や組織・団体(Pollsters

世論調査会社は物事を誤ると大きな非難を浴びるが、アイオワ州では堅実な結果を残した。

本質的に世論調査と予想が難しい党員集会ではこれは並大抵のことではなく、今回の場合は荒天が新たな不確実要素となった。

トランプが30ポイントを付けてリードしていることは、開票率98%で、ほとんどの世論調査会社の予測の範囲内だった。

専門家たちたちは、党員集会前の最終世論調査のいくつかで、ヘイリーがデサンティスを抜いて2位になっていたことに注目するだろう。

しかし、公平を期すために、優秀な世論調査会社のいくつかは、ヘイリー支持者の一部から明らかに情熱が感じられないという理由で、これらの結果に注意書きを入れていた。

高く評価されているデモイン・レジスター世論調査の中心人物であるJ.アン・セルザーは、党員集会の2日前に、ヘイリー支持のレヴェルには「根底にある弱さ(underlying weakness)」があり、「ヘイリーの支持者の大きな割合が、集会に参加せずに家にとどまるかもしれない」と述べた。

まさにその通りになったようだ。

・アイオワ州共和党党員集会(The Iowa caucuses

アイオワ州共和党は、困難な状況にもかかわらず党員集会自体がスムーズに行われたことで、安堵のため息をつくことができている。

投票率がかなり低かったこと認めざるを得ないが、それでも天候を考えれば十分評価できるレヴェルだった。

重大な不正の報告もなく、結果に疑問を呈する候補者もいなかった。

これは、4年前の民主党アイオワ州党員集会の大失敗を考えれば、より重要なことだった。

あの時は、結果を報告するシステムが故障した。結局、民主党全国委員会はアイオワ州から予備選における全米最初の地位を剥奪したのである。

●勝敗つかず

・ロン・デサンティス(Ron DeSantis

結論を述べるならば、デサンティスは生き残った。

もし3位に転落していたら、フロリダ州知事デサンティスは選挙戦から退くべきだという声が大合唱になっていただろう。それは、世論調査で3位につけているニューハンプシャー州や、ヘイリーの地元サウスカロライナ州という、あまり歓迎されない地域に向かうからだ。

2位になったことで、デサンティスは期待以上の結果を残したと主張できる。デサンティス候補は、投票日の夜に支持者を前に行った演説で、「私たちに投げつけられた全てのもの、私たちに反対するすべての人たちの存在にもかかわらず、私たちはアイオワ州で認められた」と語った。

とはいえ、一時はアイオワ州がトランプ氏を逆転する理想的な地形だと考えていた候補者にとって、アイオワ州でのダントツの2位は自慢できるものではない。

デサンティス陣営はまた、メディア各社による早期の勝利者確定報道に激怒した。フロリダ州知事デサンティスの支持者たち、これが彼の票を押し下げた可能性があるという正当な主張をしている。

とは言え、一時はアイオワ州がトランプを逆転する理想的な地形だと考えていたデサンティスにとって、アイオワ州での大きく引き離されての2位は自慢できるものではない。

前途は極めて険しいが、デサンティスはまた新たな一日を戦うために生きている。

●敗者たち(Losers

・ニッキー・ヘイリー(Nikki Haley

ヘイリー選対は、アイオワ州の結果は彼女の道徳的勝利であると熱心に主張している。

それは本当のことではない。

ヘイリー自身も党員集会後の演説で、「今夜、アイオワ州はこの​​共和党予備選を2人の選挙戦にしてくれた」と主張した。

これは良い表現だ。しかし、これを述べた候補者ヘイリーが3位に沈み、勝者から32ポイントの差をつけられており、説得力を持つ表現とはなっていない。

結果をより深く分析すると、根強い問題も示されているように考えられる。ヘイリーの支持者の圧倒的多数は大学教育を受けた有権者であり、党内ではそうした人々の数は大学の学位を持たない有権者よりも少ない。

とにかくヘイリーは選挙戦から撤退しなかった。

ヘイリーはニューハンプシャー州で力強く復活することだろう。デサンティスよりも、ヘイリーの方が共闘大統領候補者指名獲得への道筋を想定しやすい。

しかし、ヘイリーは単純にアイオワでは敗者となった。それは、彼女がどうしても2位になることを望んだのだが、それを成し遂げることができなかったからだ。

・マスコミの予測(Media projections

共和党党員集会が始まってから30分後にトランプ氏を勝者と予想したことを受けて、メディア各社はまたしても独自の騒ぎに陥っている。

勝利者確定報道は多くのアイオワ州住民が投票を行う前になされた。

AP通信と複数の全国ネットワークを持つテレビ局は、それまでに行った有権者調査と最初期の開票状況を合わせて勝利者確定報道を行った。

しかし、それまでは、投票がまだ実施されている間は、結果の予測は行わないというガイドラインが一般的に受け入れられていた。その経験則(rule of thumb)が月曜日に破られた。

デサンティスを支援する主要なスーパーPACの創設者であるケン・カチネリは、本誌の取材に対してテキスト・メッセージで、早期の確定報道は「非常に言語道断な行為だ」と語った。

カチネリは「ネットワークテレビは投票が始まった途端に勝利者確定報道を行った」と抗議の意を表した。

もちろん、デサンティス陣営は、デサンティスの得票率はもっと高かったはずだと主張する権利を持っている。

しかし、合理的な基準からすれば、極めて早期の勝利者確定報道は、またしてもメディアにとって疑わしい瞬間となってしまった。

・ヴィヴェック・ラマスワミ(Vivek Ramaswamy

彼は選挙戦から撤退した。

党員集会で約8%の投票率で4位につけた後、ラマスワミの前途は存在しなかった。

この結果は、世論調査が以前から示していた通りのものだった。インターネット上の熱狂的なファン層がいたとしても、ラマスワミの魅力は極めて限定的なものだった。実際、彼に好感を持たない有権者の割合は、選挙期間中に上昇した。

ラマスワミは選挙戦からの撤退を発表したが、同時にトランプに「完全な支持」を表明した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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