古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:北朝鮮

 古村治彦です。

 5月に米中首脳会談、中露首脳会談が北京で実施された。その後、習近平中国国家主席の7年ぶりの北朝鮮訪問、平壌(ピョンヤン)での北朝鮮の最高指導者である金正恩委員長との首脳会談が実施されるという報道が出た。その後、本日8日から習主席による訪朝が実施されると発表された。習近平訪朝の報道が出た後、中国が北朝鮮を自分の陣営、影響圏にとどめておくことを重要視しているという分析が多く出た。それについてはこのブログでもすでにご紹介した。北朝鮮は国際政治の中で、独自の立場を築きつつある。ロシアにはウクライナ戦争への派兵と戦死傷者を出すということで、朝露関係は「血の盟約」に格上げとなった。ロシアからは石油や技術支援を得ることが可能になった。中国への依存度を減らすことに成功した。中国としてこれは困る。北朝鮮が行動の自由を得て勝手な行動を行うことは、予測不可能性が高まり、東アジア地域の安全環境にとってマイナスだ。先日の中露首脳会談で、中国の習近平国家主席はロシアのウラジーミル・プーティン大統領に、北朝鮮との関係について一種の「警告」を発しただろうと私は考えている。

 重要なことは、中朝首脳会談は、習近平国家主席が北朝鮮を訪問する形になるということだ。米中首脳会談、中露首脳会談はドナルド・トランプ大統領、ウラジーミル・プーティン大統領が北京を訪問するという形になった。それに対して、習近平国家主席が北朝鮮までわざわざ足を運ぶという形を取ることで、北朝鮮側の字損信を満足させるということになる。しかし、その代償としては、北朝鮮に対しては厳しい「警告」もあるだろうと私は考えている。もちろん、自分の陣営にとどめるために、支援の約束もするだろうが、「誰が北朝鮮をこれまで支えてきて、国家として存続することを助けてきたのか」ということを金正恩委員長にしっかりと理解させることが最優先事項となるだろう。

中国が見放してしまえば、北朝鮮は国家として存続することができない、もちろんそんなことになれば、北朝鮮は自暴自棄になって何をするか分からないのではあるが、最終的には中国人民解放軍が北朝鮮の人民を「解放」するために国境を越えて侵攻し、現体制の転換、金王朝の打倒を強引に行うということも示唆するだろう。そういうことはしたくないから、核兵器保有までは認めてやるが、それ以上、暴れるようなことはするな、分かっているなということを確認するための中朝首脳会談となるだろう。金正恩委員長も馬鹿ではない。外交に関して軌道修正を行うということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

中国は北朝鮮を自分の陣営にとどめる必要がある(China Needs North Korea on Its Side

-もう筋実施されると見られる習近平国家主席の平壌訪問は7年ぶりとなる。

デン・イーウェン筆

2026年5月27日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/27/xi-jinping-kim-jong-un-china-north-korea-visit/

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北京の天安門広場で、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領、中国の習近平国家主席、北朝鮮の金正恩委員長が並んで歩いている(2025年9月3日)

韓国メディアは最近、中国の警備・儀典担当者が既に平壌入りして、準備を進めていると報じ、習近平国家主席が5月下旬か6月上旬に北朝鮮を訪問する可能性があると伝えた。

中国は訪問を正式に発表していないが、今回の訪問は長らく待たれており、習主席の視点からすれば必要不可欠だ。北京と平壌は、表向きは緊密な関係にあるものの、水面下では両国関係はしばしば緊張状態にある。中国は北朝鮮の核保有国としての地位を完全には認めておらず、北朝鮮における影響力をロシアに奪われることを懸念している。

習主席が最後に平壌を公式訪問したのは2019年6月で、7年近く前のことだ。パンデミックによる3年間を除いても、これは長い空白期間であり、その間、習主席は韓国を含む多くの国を訪問している。キューバやヴェネズエラの首脳をはじめ、ここ数週間でドナルド・トランプ米大統領やウラジーミル・プーティン露大統領など、多くの外国首脳が中国を訪問している。平壌にもプーティン大統領やヴェトナムのト・ラム大統領など、多くの賓客が訪れている。

外交儀礼の空白自体が政治的なシグナルとなる。そして、北朝鮮が世界から極めて閉鎖的であるため、中国と北朝鮮の外交は本質的に異例である。中朝両国は共産主義国家であり、相互支援の歴史を持ち、北朝鮮は中国にとって唯一の正式な条約同盟国であるものの、「血で結ばれた(forged in blood)」友情は見た目以上に脆い(fragile)。

習近平国家主席の訪朝が長らく遅れていることは、北朝鮮が事実上の核保有国(a de facto nuclear-armed state)となったという現実を北京がまだ完全に受け入れていないことを反映しており、これが中朝関係の深化を阻む大きな障害となっている。

北朝鮮は既に核兵器を保有しており、一方、中国の長年の外交政策は朝鮮半島の非核化(the denuclearization of the Korean Peninsula)である。北朝鮮の金正恩委員長にとって、核兵器は体制の安全保障を究極的に保証するものであり、小国としての運命を免れ、アメリカと交渉するための唯一の切り札(nuclear weapons are the ultimate guarantee of regime security and North Korea’s only bargaining chip to escape the fate of a small state and negotiate with the United States)である。金委員長に核兵器放棄を求めることは、体制の安全保障を放棄させることに等しい。北京にとって、北朝鮮を核保有国として公然と認めることは、中国が長年堅持してきた核不拡散の立場を損ない、韓国、日本、その他諸国からの連鎖反応を引き起こす可能性がある。

北京はかつてアメリカと協力して北朝鮮に核開発計画の放棄を迫ったが、これは中朝両国関係を悪化させた。その結果、中朝関係は長年にわたり極めて悪化した。最終的に、北京は北朝鮮の核兵器保有を暗黙のうちに容認せざるを得なくなった。つまり、朝鮮半島の非核化を原則として強調し続けながらも、実際には北朝鮮が核保有国であることを認めざるを得なかった。

中国の外交用語には依然として「朝鮮半島の非核化」という言葉が使われているが、もはや中朝関係の中心的なテーマではない。北京は、朝鮮半島の平和と安定、政治的解決、アメリカの軍事的抑止力への反対、そして北朝鮮の正当な安全保障上の懸念への尊重をより重視するようになっている。この変化は重要である。これは、北京が平壌との関係を重視し、米日韓安全保障同盟への対抗を非核化という目標よりも優先させていることを示している。

習近平国家主席の訪朝は、新たな協議の機会となる。北京は、北朝鮮の核問題を中国と北朝鮮の首脳レヴェルの交流を阻害する要因としてこれ以上容認できないと認識したのかもしれない。中朝両国関係は、北朝鮮の事実上の核保有という現状を踏まえて再構築される必要がある。

習主席の訪朝はまた、中国が北朝鮮を自国の戦略的緩衝システム(its own surrounding strategic buffer system)に再び組み込むことを意味するだろう。現在、日米韓の安全保障協力が深化し、日中関係が極めて悪化している状況下で、北朝鮮の中国にとっての戦略的価値は高まっている。核武装した北朝鮮は、もちろん中国にとっても潜在的な脅威ではあるが、日本にとってはより差し迫った脅威であり、北京にとっては切り札となる。

習近平はプーティン大統領のことも念頭に置いている。金正恩がモスクワに接近したのは、中国をロシアに取って代わらせたいからではなく、北朝鮮の安全保障を保証してくれる後ろ盾が必要だからだ。プーティン大統領はまさにその支援を提供する用意がある。しかし、ロシアが北朝鮮に提供できるのは軍事・安全保障面での支援だけであり、1980年代から1990年代にかけて中国が追求し、中国当局が長年北朝鮮に受け入れるよう働きかけてきたような、完全な発展の道筋を示すことはできない。

中国が北朝鮮との距離を保ち続ければ、北朝鮮はますますロシアに接近し、最終的には朝鮮半島における支配的な地位を失うことになるだろう。こうした現実を踏まえ、中国は習近平の訪問を利用して、経済的・安全保障上のインセンティヴを提供することで、北朝鮮を北京主導の軌道に引き戻そうとするだろう。

さらに、習近平の訪問は、豆満江河口と羅津・先峰経済特区へのアクセスを開放し、中国東北部の経済を活性化させることも目的としている。かつて中国の工業地帯として栄えたものの、長らく停滞状態に陥っている中国東北部の復興は、長年にわたり議論されてきたものの、いまだに本格的に始動していない。

人口減少や制度の停滞など、その理由は多岐にわたるが、周辺地域との関係も無視できない。中国東北部は北朝鮮と国境を接しており、北朝鮮の長期にわたる閉鎖政策が、真の意味での国境を越えた交流や貿易の機会を阻んできた。もし中朝関係が改善し、北朝鮮が限定的な形で開放政策を実施し、豆満江の河口が開放され、羅津港と羅先経済特区が再び活発化すれば、中国東北部は朝鮮半島、ロシア極東、そして日本海を結ぶ新たな繋がりを築き、新たな未来を切り開く可能性を秘めている。プーティン大統領の最近の中国訪問において、習近平国家主席との共同声明で再び豆満江問題と北朝鮮との協議の必要性が言及されたことは、この問題が依然として完全には解決されていないことを示している。

金正恩委員長には、習主席の訪問を歓迎する独自の理由がある。プーティン大統領は既に国内における王朝的権威(dynastic authority)を固めているものの、国外からの承認も必要としている。北朝鮮訪問は既に安全保障面で大きな支持を得た。しかし、中国の重要性は異なる。今日のロシアは、戦争と制裁に苦しみ、国力が衰退している大国である。一方、中国は世界第2位の強国である。

北朝鮮が真に発展を望み、政権の安定を維持するためには、依然として大国である中国の援助と支援に頼らざるを得ない。習近平国家主席の訪朝延期が続くということは、中朝関係がそれほど強固ではなく、金正恩の個人的権威が習主席の全面的な支持を得ていないことを意味する。したがって、金正恩委員長は習主席を盛大に歓迎することで、自身の権威にさらなる正当性を加える必要がある。

そして、北朝鮮が将来的に門戸を開放し、国際社会に復帰したいのであれば、孤立国家(a pariah state)の瀬戸際に立たされているモスクワではなく、北京を必要とする。特に、金正恩委員長がアメリカとのルートを開設し、トランプ大統領との首脳会談を再び開催し、アメリカの制裁の一部解​​除を実現したいのであれば、北京の仲介と安全保障の提供が必要となるだろう。

習主席の北朝鮮訪問は、金正恩委員長が中国を迂回してトランプ大統領と直接接触し、将来のトランプ大統領との首脳会談から中国が排除されることを北京が恐れていることの表れだと指摘する人もいる。習近平国家主席が北朝鮮を訪問すれば、トランプ大統領へのメッセージを伝える可能性は確かにある。しかし、北京が将来の米朝交渉から中国が排除されることを恐れているというのは誇張である。北朝鮮はそのようなことはしないし、そもそもできない。金正恩委員長とトランプ大統領の過去2回の会談では、中国は排除されなかった。むしろ、金委員長はシンガポールでトランプ大統領と会談する前に、まず北京で習主席と会談した。

今日、金委員長が北京を迂回して単独で行動することは、さらに困難になっている。北朝鮮はアメリカを信用しておらず、金委員長もトランプ大統領を信用していない。2019年のハノイ首脳会談の失敗は、金委員長にとって痛恨の出来事であり、教訓となった。彼はすでにトランプ大統領の土壇場での要求や突然の方針転換を経験している。ヴェネズエラやイラン、そしておそらくキューバでの経験を踏まえれば、小国は大国の支援、核兵器、あるいはその両方を必要とするという確信をさらに強めるだろう。彼がアメリカとトランプ大統領を信用しているだろうか?

習近平国家主席の訪朝は、核問題をめぐる中朝両国間の対立が完全に解消されることを意味するものではない。しかし、両国は現実に基づいた、より現実的な二国間関係を構築するだろう。中朝両国は伝統的な友好関係を引き続き重視する。北朝鮮は引き続き中国の保護と支援(China’s protection and assistance)を必要とし、北京は引き続き北朝鮮を自国の交渉材料(its own bargaining chip)として必要とする。それぞれが必要なものを得ることで、相互の実用的な関係(a relationship of mutual pragmatism)は長く続く可能性がある。

※デン・イーウェン:中国の作家・学者

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 2026年5月14日から15日にかけて米中首脳会談、20日に中露首脳会談が北京で実施された。アメリカのドナルド・トランプ大統領とロシアのウラジーミル・プーティン大統領が北京を訪問し、習近平中国国家主席が出迎える形となった。20世紀の第二次世界大戦後の世界を二分し、冷戦を戦った超大国である米露(旧ソ連)の最高指導者たちが21世紀の覇権国となる中国を訪問したことは歴史の皮肉である。中露首脳会談後、今度は中朝首脳会談の話が出てきた。習近平主席が7年ぶりに北朝鮮を訪問し、金正恩委員長と会談を持つということだ。トランプとプーティンを北京に来させた習近平がわざわざ北朝鮮を訪問するというのは、北朝鮮と金正恩委員長を尊重しているという外形を取りながら、中身は厳しい対処を行うということではないかと私は考えている。
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 それは、「北朝鮮は誰のおかげで存続できているのか」ということを改めて認識させるということだ。最近でいえば、ロシアと北朝鮮の接近ぶりが際立つ。北朝鮮はウクライナ戦争に北朝鮮人民軍を派遣し、多数の戦死者と負傷者を出している。その代わりにロシアから武器開発や資源などの支援を受けている。北朝鮮とロシアは北朝鮮の核開発でも旧ソ連時代から協力関係にある。ロシア(旧ソ連)は北朝鮮を中国に対する一種の牽制要員として利用している。しかし、実際に北朝鮮が国家として存続できているのは中国からの支援が大きい。そもそもが朝鮮戦争で鴨緑江まで追い詰められた北朝鮮に中国が人民義勇軍による支援を行ったことで、38度線付近まで押し返すことができた。中国側の膨大な死傷者や武器の犠牲があって北朝鮮の存立は守られた。北朝鮮のロシアへの接近は中国を苛立たせる。北朝鮮がロシアと接近することで中国の影響から脱しようという動きは中国としては許せないことになる。そのために、あくまで北朝鮮のメンツをつぶさない形で、北朝鮮に釘を刺すということになる。
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 中朝露の関係が今は中国とロシアが接近していることで二等辺三角形になっている。これでは下がぐらつくことで関係が安定しない。あくまで正三角形にならねばならない。そのための動きであると私は考えている。

(貼り付けはじめ)

習近平国家主席がトランプ退任後を見据えて外交攻勢を加速させている(Xi’s Flurry of Post-Trump Diplomacy

-中国の習近平国家主席は異例かつ重要な北朝鮮訪問の準備を進めている可能性がある。

リシ・イエンガー筆

2026年5月22日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/22/xi-north-korea-putin-trump-beijing-visit/

中国の習近平国家主席は、ドナルド・トランプ米大統領と(多額の費用をかけずに[without breaking the bank])北京での初会談を行った(breaking the ice)わずか数日後、より長年のパートナーとの関係に目を向けた。

習主席は火曜日、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領を北京に迎え、実質的でより友好的な会談を行った。中露両首脳は、中国とロシアの「永遠に続く友情(everlasting friendship)」をテーマにした写真展に出席し、原子力エネルギーからヒョウ、パンダ、サルなどの保護に至るまで、あらゆる分野で「協力を深化させる(deepen cooperation)」ことを誓う長文の共同声明を発表した。また、トランプ大統領が提案したゴールデンドームミサイル防衛システムを「戦略的安定に対する明白な脅威(clear threat to strategic stability)」と名指しし、米露核兵器条約(新戦略兵器削減条約[New START])の失効を容認したトランプ大統領の「無責任な政策(irresponsible policy)」を非難した。

しかし、この包括的な会談は、全く予想外という訳ではなかった。習近平国家主席は、プーティン大統領の中国公式訪問が25回目であることに触れ、中露両国が築いてきた緊密なパートナーシップを強調した。

しかしながら、習主席はプーティン大統領の訪問に続き、さらに稀で重要な外交的行動を計画している可能性がある。複数の報道によると、習主席は数日中、早ければ来週にも北朝鮮を訪問する準備を進めているという。中国は公式には訪問を発表しておらず、在ワシントン中国大使館もコメントを拒否している。

もし実現すれば、習主席の北朝鮮訪問は、中国の最高指導者となって2度目、そして7年ぶりとなる。中朝両国は何十年にもわたり緊密なパートナーシップを築いてきた。北朝鮮の貿易のほぼ全ては中国とのものであり、北朝鮮は中国が相互防衛条約(a mutual defense pact)を結んでいる世界で唯一の国である。

しかし、北朝鮮とロシアの緊密化、特にウクライナにおけるロシアの戦争への軍事支援は、中国の立場をやや後退させている。北朝鮮の金正恩委員長とプーティン大統領は2024年に独自の相互防衛条約を締結した。

ワシントンのブルッキングス研究所の上級研究員で、SK-コリア財団韓国研究講座担当のアンドリュー・ヨーは、「習近平国家主席は、モスクワと平壌の強固で深まる関係にあまり乗り気ではないという見方がある。北朝鮮に対する影響力を失うリスクがあるため、中国は自国の存在感を維持したいと考えている」と述べている。

ヨー続けて次のように述べている。「中国は不安定性(instability)も懸念している。独自の路線を歩む北朝鮮にロシアの兵器や技術が渡れば、不安定化を招く可能性がある。中国が最も恐れているのはまさにその点であり、だからこそ北朝鮮が自国の勢力圏(orbit)に留まるようにしたいと考えている」。

中国が北朝鮮との関係強化を図る動きは、昨年1年間で勢いを増している。昨年9月には習近平国家主席が北京で行われた軍事パレードに金正恩委員長(プーティン大統領も同席)を迎え入れた。また、王毅外相も先月、北朝鮮の首都平壌を訪問し、金委員長と会談した。その中で、中朝両国が「主要な国際問題および地域問題について意思疎通と連携を強化する」必要性を強調した。

北朝鮮外交に関心を示す最近の訪問客は、プーティン大統領だけではない。トランプ大統領は政権復帰後、2019年の金委員長との歴史的な会談を再現したいと繰り返し示唆してきた。昨年、トランプ大統領は何度か金委員長と「会いたい」と述べ、先週、北京で習主席と北朝鮮問題について話し合ったことを記者団に明らかにした(ただし、会談内容の詳細は明らかにしなかった)。

しかし、北朝鮮はトランプ政権1期目、金正恩委員長がトランプ大統領と3度会談した時よりもはるかに自信に満ち、強硬な姿勢を見せている。この自信は、ロシアからの支援に加え、サイバー攻撃で数十億ドル相当の仮想通貨を奪取し、国際的な制裁を乗り切るための資金源としていることも一因だ。バイデン政権の国家安全保障会議で東アジア・オセアニア担当上級ディレクターを務めたミラ・ラップ=フーパーは、こうした状況も平壌と北京の関係に影響を与えるだろうと指摘する。

ラップ=フーパーは次のように語っている。「北朝鮮はここ2年間、ここ数十年で最も自信に満ち、制約の少ない立場にある。近年、北朝鮮にはほとんど焦りの兆候が見られない。北朝鮮が望んでいるのは、中国との関係をより強固なものに再構築することだろう。つまり、北朝鮮はもはや従属的なパートナー(a junior partner)や副官(a sheriff’s deputy)のような存在ではなく、中国・ロシア間のパートナーシップにおいて、より対等な立場に立つことを目指している」。

一方、中国の野心ははるかに広範で、よりグローバルなものだ。習近平国家主席の活発な外交活動は、世界における中国の地位と国際社会における台頭を示すシグナルを送るためだ(彼は将来のアメリカ軍の北京訪問についても強硬な姿勢を示している)。

オバマ政権、第一次トランプ政権、バイデン政権を通じて、国家安全保障会議や国務省などでアジア担当の政府高官や外交官を務めたダニエル・クリテンブリンクは、「ここで重要なのは、中国が世界の舞台でリーダーシップを発揮しようとしていることであり、個々のやり取りに焦点を絞りすぎるのは避ける必要がある」と述べた。

現在、ワシントンに拠点を置く地政学コンサルティング会社であるアジア・グループのパートナーを務めるクリテンブリンクは、3月の北京訪問時にその雰囲気を肌で感じたと述べ、トランプ大統領とプーティン大統領による相次ぐ首脳会談によってその思いはさらに強まったと述べた。クリテンブリンクは次のように述べている。「中国の自信はかつてないほど高まっている。国際情勢が中国に有利に働き、中国の時代が到来し、中国はそのチャンスを活かさなければならないという確信を持っている。こうした変化の多くは不安を掻き立て、混乱を招くものだが、それでも中国指導部からは公私ともに、中国はこれらの課題全てに対する解決策を持っており、その解決において中国が中心的な役割を果たすだろうというメッセージが伝わってきたように感じた」。

習近平国家主席の平壌訪問は、主に二国間関係の強化とロシアとの関係調整を目的としたものとなるだろうが、同時に、中国が不可欠なグローバルプレーヤーとしての地位を確立しようとする、より広範な動きの一環でもある。

ブルッキングス研究所ジョン・L・ソーントン中国センター所長ライアン・ハスは次のように述べている。「2026年前半、北京は世界外交の中心地(the center of gravity for global diplomacy)となった。北京は、国際秩序の維持に努める予測可能な主体として自らを位置づけている。中国は、世界の舞台で外交的影響力を蓄積するために、アメリカとの対比を巧みに利用している」。

※リシ・イエンガー:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Blueskyアカウント:@iyengarish.bsky.socialXアカウント:@Iyengarish Instagram: @iyengar.rishi

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 北朝鮮が朝鮮半島、東アジアの情勢を不安定化させる動きに出ている。2024年10月には韓国とつながる道路を爆破し、憲法を改正して、韓国を「主敵(principal enemy)」に規定した。これまで北朝鮮にとって韓国は「自国の領土(朝鮮半島)の南部に盤踞するアメリカの傀儡政権が違法に支配する地域」であり、韓国民は「アメリカと韓国からの支配を受けており解放しなければならない同胞」ということになっていた。しかし、韓国を「主敵」と定義することで、北朝鮮が韓国を攻撃するのではないかということで朝鮮半島の状況は危機感が増した。朝鮮戦争が再び起きる(現在は休戦中なので休戦が終わって戦闘が始まる)可能性が取り沙汰されている。北朝鮮が繰り返しているミサイル実験もこのような可能性に拍車をかけている。

 北朝鮮の金正恩総書記とアメリカのドナルド・トランプ前大統領は朝鮮半島の非核化に向けて合意を取り付けた。しかし、その後、ジョー・バイデン政権が発足し、この合意は無効化されている状況だ。北朝鮮はバイデン政権との交渉を行わなかった。バイデン政権もまた積極的に北朝鮮との交渉を行わなかった。結果として、北朝鮮の核開発とミサイル開発が進められることになった。そして、現在、状況が不安定化している。この北朝鮮の強気の裏には、ロシアとの関係深化がある。北朝鮮はウクライナに派兵さえも行った。こうした動きは中国を刺激し、敏感にさせている。中国としては朝鮮半島の状況の不安定化は望ましいものではない。

 北朝鮮のこのような動きは北朝鮮が破滅に向かうためにやっているのではない。合理的に考えれば、北朝鮮は状況を不安定化して、交渉材料にしようとしている。誰に対しての交渉材料か。それはアメリカだ。アメリカは来週には新大統領が決まる。交渉相手はドナルド・トランプか、カマラ・ハリスかということになる。トランプとは交渉を行った実績がある。トランプは早期に北朝鮮との交渉を行おうとするだろう。カマラ・ハリスが大統領になれば、ジョー・バイデン政権の路線を引き継いで、北朝鮮との交渉を行わないと打ち出すだろうが、状況が切迫してくれば、交渉のテーブルに着かざるを得ないことになるだろう。北朝鮮としては、ロシアの支援を受けており、アメリカに対しては強気に出られる状況にある。そして、何かしらのリターン、見返りを受け取ることを目指すことになるだろう。

 北朝鮮が派手に動いている時は逆にそこまで危険ではないと考えられる。本当に韓国を攻撃し、戦争を引き起こそうとするならば、静かに奇襲作戦を準備するだろう。従って、現状は朝鮮半島の状況は不安定化しているが、戦争の危険はそこまで高まっていない。問題は突発的な事件で戦争が起きてしまうことだ。北朝鮮と韓国の当局者はこの点を注意してもらいたい。

(貼り付けはじめ)

●「北朝鮮、憲法改正で韓国を「敵対国」と定義」

20241017日 BBCニューズ日本語版

https://www.bbc.com/japanese/articles/cq643vdnm5vo

北朝鮮の国営メディアは17日、同国が韓国を「敵対国」と定義する憲法改正を行ったと伝えた。北朝鮮が憲法改正を公にしたのはこれが初めて。

国営紙「労働新聞」は、北朝鮮と韓国の緊張がここ数年で最高潮に達しているなか、この変更は「避けられない正当な措置」だと報じた。

北朝鮮は15日、韓国とつながる2本の道路の一部を爆破した。国営メディアはこの動きを、両国を「完全に分離するための段階的措置の一部」だと説明している。

専門家らは、今回の憲法改正は主に象徴的な動きだとみている。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)総書記は今年202312月の段階で、南北統一を放棄していた。

国営メディアは当時、金総書記が南北関係を「敵対する二つの国、戦争状態にある二つの交戦国」と表現したと報じた。

そして今年1月には、韓国との統一は不可能であると宣言し、憲法を改正して韓国を「第1の敵国」と指定する可能性を示唆した。

それ以来、特にここ数か月の間、南北間で批判の応酬となり、緊張は着実に高まっている。

 米シンクタンクのランド研究所の防衛アナリスト、ブルース・ベネット氏は、「敵対国」という表現は、ほぼ1年前から北朝鮮の発信の特徴となっていると述べた。

2023年末にこの発言が出た時は、対立のリスクとエスカレーションの可能性を高め、重要な進展となった」と、ベネット氏はBBCに語った。

「それ以来、金総書記とその妹(与正氏)は、韓国とアメリカに対して何度も核兵器による脅迫を行い、多くの行動で緊張を高めてきた。そのため、リスクは高まっている」

専門家の多くは、先週の最高人民会議で北朝鮮が統一政策と国境政策に関する憲法改正を行うとみていたが、そのような変更は現在まで公表されていない。

それでも、アナリストらは本格的な戦争の可能性については懐疑的だ。

「状況が戦争レベルにまでエスカレートするとは思わない」と、韓国・釜山の東亜大学で政治学と外交を教えるカン・ドンワン教授は言う。「北朝鮮は軍事対立を悪用し、国内の結束を強めている」。

一方、ソウルの北韓大学院大学校のキム・ドンヨプ教授は、北朝鮮が全面戦争を開始する能力があるのか疑問視している。

「政権は、そのような紛争がもたらす深刻な結果を十分に認識している」と、キム教授は述べた。

=====

再び朝鮮戦争が起こるリスクはかつてないほど高まっている(The Risk of Another Korean War Is Higher Than Ever

-北朝鮮はロシアと中国それぞれを利用しており、アメリカには見切りをつけている。

ロバート・A・マニング筆

2024年10月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/10/07/northkorea-war-nuclear-russia-china/?tpcc=recirc_trending062921

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「北朝鮮とロシアの無敗の友情と団結万歳!」「ロシア連邦大統領ウラジーミル・ウラジーミロヴィチ・プーチン同志を温かく歓迎する」と書かれた横断幕が平壌の平壌屋内競技場外掲げられている。そして、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領と北朝鮮の指導者金正恩の肖像画も掲示されている(2024年6月20日)。

今年1月、経験豊かな韓国専門家であるロバート・カーリンとジークフリード・ヘッカーが、北朝鮮の指導者金正恩が戦争の準備をしていると書き、多くの人々を驚かせた。それは誇張かもしれないが、その懸念は的外れではない。私は過去30年にわたり、政府内外で朝鮮の核問題に取り組んできたが、朝鮮半島は1950年以降のどの時期よりも危険で不安定になっているように見える。

2019年以来、北朝鮮の核問題をめぐって3つの相互に関連した戦略的転換があり、1992年以来のアメリカと韓国の外交を導いてきた中核的な前提を無効にしている。まず、2019年にハノイで金正恩とドナルド・トランプ前米大統領との首脳会談が失敗に終わったことを受けて、金正恩は2021年に固体燃料大陸間弾道ミサイル、小型弾頭、戦術核兵器、極超音速ミサイルを含む核・ミサイルの大規模増強の5カ年計画を明らかにした。北朝鮮の核産業複合体への投資と、核を手放さないという金正恩委員長の強調した声明(これは北朝鮮の憲法と先制核理論に具体化されている)は、姿勢の戦略的変化を強調している。

これらの新たな能力と表明された意図は、北東アジアの戦略的バランスを変化させ、アメリカの拡大抑止力(United States’ extended deterrence)に対する新たな信頼性の問題を引き起こし、韓国が独自の核兵器を手に入れたいという願望を増大させた。

そして、北朝鮮の地政学的な再配置もある。それは、金正恩が諸大国の均衡(balancing major powers)を図る、アメリカとの国交正常化という北朝鮮の長期目標を放棄したことから始まった。これは30年にわたる核外交の論理を支えていた。

同時に、北朝鮮は2016年と2017年の北朝鮮核実験後に中国が国連の厳しい経済制裁を支持したことで緊張が高まっていた中国との関係を強化した。金正恩は2019年1月に北京を訪問し、中国の習近平国家主席も2019年6月に平壌に続いて交流訪問を行った。それ以来、中国はロシアとともに、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル実験に対して新たな制裁を課そうとするアメリカの取り組みを阻止してきた。

ウクライナ侵攻後、ロシアが北朝鮮と新たな安全保障パートナーシップを結び、経済的・軍事的援助を弾薬やミサイルと交換する中で、地政学的変化は激化した。中国当局者やシンクタンクの専門家との非公式な協議で伝えられたように、この動きは中国を不快にさせた。彼らは、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領が中国政府の影響力を奪い、金正恩の祖父である金日成が2つの共産主義大国を敵対させた1950年代と1960年代によく似た状況を作り出しているのではないかと懸念している。

3つ目の変化も同様に深刻だ。今年1月、金正恩は歴史によって分断された1つの同族国家として北朝鮮と韓国が定義していた70年間の統一政策を放棄し、韓国を「主敵(principal enemy)」と宣言した。彼は、統一への誓約を消去する北朝鮮憲法の変更を要求し、南北和解を扱う機関を解体し、父親が平壌に建てた統一記念碑を取り壊した。

最近の出来事はこれらの変化を強めている。金正恩にとって、アメリカの選挙サイクルはしばしば楽しいメッセージの機会となる。9月、北朝鮮は短距離弾道ミサイルの集中発射実験を開始し、金正恩は核戦力をアメリカとの戦闘に備えさせると誓約し、その後、念のため、極秘施設内を散歩する自身の珍しい写真を公開した。ウラン濃縮工場を建設し、より多くの核兵器を製造すると約束した。しかし、これは私たちが期待できることのほんの一部を示しているに過ぎない。

なぜこれが重要なのだろうか? 少なくとも今のところ、それがそれぞれアメリカと韓国の政策目標であり続けているという事実にもかかわらず、金正恩は非核化と南北統一(denuclearization and North-South reunification)の両方を議題から外した。

韓国問題は今やゼロサムの大国間競争(great-power competition)の中に組み込まれている。北東アジアには、中国、ロシア、北朝鮮という対立する2つのブロックが存在し、別に、アメリカ、韓国、日本が存在する傾向にある。中国とロシアが(アメリカ、中国、ロシア、日本、韓国、北朝鮮が参加する)「六者協議(Six Party Talks)」で協力することを可能にした核拡散(nuclear proliferation)に対する共通の懸念はもはや存在しない。金正恩は現在、進化する核・ミサイル兵器、プーティン大統領の支援、そして最悪の場合は中国の無関心によって、これまでにないほど勇気づけられている。

しかし、私の言葉を鵜呑みにしないで欲しい。北朝鮮に関する国家情報会議(National Intelligence Council)の2023年の報告書では、新たなリスク環境の概要が述べられている。その判断は次のようになる。

北朝鮮は今後も、核兵器使用という立場を利用して強圧的な外交を続けるだろうし、核兵器や弾道ミサイルの質と量が増えれば増えるほど、よりリスクの高い強圧的行動を検討するのはほぼ間違いない。

報告書は、金正恩が「体制が危機に瀕していると確信(believes the regime is in peril)」しない限り、核兵器を使用することはないと評価する一方で、「核兵器がアメリカや韓国の容認できないほど強力な反応を抑止できると考え、より大きな通常軍事的リスクを取ることを厭わないかもしれない(He may be willing to take greater conventional military risks, believing that nuclear weapons will deter an unacceptably strong US or South Korean response)」と述べ、誤算(miscalculation)の可能性を示唆している。

報告書は、武力による「領土を奪取し、半島の政治的支配を達成しようとする攻撃戦略(an offensive strategy that seeks to seize territory and achieve political dominance over the Peninsula)」は「強制戦略よりも可能性が低い(less likely than the strategy of coercion)」としているが、後から考えると評議会が修正する可能性があるのではないかと私が疑う重要な警告を発している。

金正恩がアメリカの介入を阻止し、中国の支援を維持しながら韓国軍を圧倒できると信じている場合、あるいは国内または国際危機が修正主義的な目標を達成する最後のチャンスであると判断した場合、攻撃戦略(offensive strategy)の可能性はさらに高まるだろう。

このような戦略の結果、どのようなシナリオが考えられるだろうか? エスカレートする可能性のある火種は、南北朝鮮の海洋境界線である北方限界線(Northern Limit LineNLL)である。NLLは1953年の休戦前後に国連軍司令部によって画定されたが、北朝鮮はこれを争っており、長年の不満と度重なる軍事衝突の原因となっている。2010年、平壌は、NLLが韓国領と定義する5つの島の1つである延坪島を砲撃した。この攻撃で韓国海兵隊員2人が死亡し、韓国船1隻も沈没した。北朝鮮は今年初めにもこの島の近くで砲弾を発射している。

金正恩が憲法改正を要求し、韓国を「主敵(principal enemy)」と宣言したのと同じ1月の演説で、彼は将来の最高人民会議(Supreme People’s AssemblySPA)会議で北方限界線の国境主張を修正することにも言及した。「我が国の南側国境線は明確に引かれているため、違法な『北方限界線』やその他の境界線は決して容認できない。韓国が我が国の領土である陸地、空域、水域を0.001ミリでも侵犯すれば、戦争挑発(war provocation)と見なすだろう」。金正恩は10月7日に最高人民会議の会議を予定している。

朝鮮半島のこうした現実と北東アジアの地政学的苦境から生じるリスクは、いくつかの危険だがもっともらしいシナリオを示唆している。まず、国家情報会議報告書や韓国のアナリストたちが予見している核の影のシナリオがある。それは次のようなものだ。

米韓軍事演習を非難した後、北朝鮮はそのうちの2つの島の近くで実弾射撃訓練と思われる演習を開始し、その後砲弾を集中砲火し、続いて軍隊が延坪島に上陸した。韓国を牽制するアメリカの努力は失敗し、韓国政府は空軍と海軍をその地域に派遣し、北朝鮮の船舶に砲撃し、海兵隊を島に上陸させた。戦闘が続く中、北朝鮮は近くの無人島に戦術核兵器を発射した。

アメリカや韓国は軍事的に対応し、エスカレーションの危険を冒すだろうか? 広島以来初の核使用に直面して、中国は国連安全保障理事会決議に拒否権を発動するだろうか、それとも状況を封じ込めるために米国と協力するだろうか? アメリカと韓国の両国が北朝鮮との信頼できる外交的または軍事的コミュニケーション手段を欠いている現在、北朝鮮は簡単に制御不能になる可能性がある。

更に憂慮すべきシナリオは、朝鮮半島危機と台湾危機が同時に発生するアジアでの二正面戦争(two-front war)である。ウォーゲーム(wargaming)、政府関係者へのインタヴュー、ワークショップに基づく2023年の詳細な報告書の中で、北朝鮮担当の元国家情報担当官であるマーカス・ガラウスカスは、抑止力(deterrence)がどのように失敗する可能性があるか、また、例えば中国が台湾に侵攻し、アメリカが軍事介入(military intervention)して焦点と資源を逸らした場合、金正恩が韓国を攻撃する論理と力学について詳述している。あるいは逆に、中国と北朝鮮の両方が台湾と韓国を攻撃するような、協調しての同時攻撃(simultaneous offensives)の可能性もある。

3つの核保有国が対立する(そしてプーティンがどのように行動するかを推測するかもしれない)というのは、空想的に聞こえるかもしれないし、ハルマゲドンに向けて夢遊病になるのではないかと危惧する人もいるかもしれない。そのような最悪のシナリオがすぐに起こる可能性は低いが、北朝鮮の地政学的な再配置によって、今後6~18カ月以内に平壌が劇的な動きを見せる可能性は高まっている。

アメリカも中国も、朝鮮半島をめぐる危機感に欠けている。中国当局者によれば、北京は平壌の行動をアメリカの制裁のせいであり、自分たちの問題ではないと見ている。ウクライナや中東地域での紛争が激化し、中国とのゼロサム競争が高い議題となっている今、北朝鮮は後回しにされているし、今後もされ続けるだろう。しかし、金正恩はそれについて何か言うかもしれない。

※ロバート・A・マニング:スティムソン・センターの戦略的先見ハブ上級研究員を務めており、世界的な先見性と中国プログラムに取り組んでいる。ツイッターアカウント:@Rmanning4

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2023年9月13日、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領と、北朝鮮の最高指導者である金正恩朝鮮労働党総書記・国務委員会委員長が、ロシア極東のボストチヌイ宇宙基地で首脳会談を行った。両国は西側世界では特に評判が悪い「ならず者国家(rouge state)」である。プーティンと金正恩は独裁者として忌み嫌われている存在だ。その2人が首脳会談を行って、西側メディアが悪口ばかりになるのは当然のことだ。

 ウクライナ戦争が2年目を迎え、戦況は膠着状態に陥っている。ロシアは、戦争の初期段階で、西側諸国からの経済制裁を受けたが、それを持ちこたえ、石油の輸出によって外貨を稼ぐことができている。それでも戦争の長期で、武器の減少が取り沙汰されている。そうした中で、金委員長をプーティンが直接出迎えて厚遇したということは、北朝鮮からの武器供与を求めてのことだろうというのが多くの人の見方だ。北朝鮮からすれば、ロシアからの技術供与や食糧支援を求めているということのようだ。

 北朝鮮とロシアの二国関係は、互恵的な関係ということが言える。お互いがお互いの望むものを持っており、それを与え合うことで、お互いが利益を得るということになる。北朝鮮とロシアの接近によって、ロシアが北朝鮮にミサイル技術や宇宙技術を供与することになれば、北朝鮮のミサイル、核兵器がより高度になり、東アジア地域における、危険が増すという考えも出てくるだろう。

 しかし、ロシアも中国もそこまで甘くはない。北朝鮮の位置を考えれば(両国と国境を接している)、北朝鮮に高度のミサイルを持たせることは、中露両国の安全保障にとっても脅威となる。特に中国の場合、黄海を超えれば、すぐに北京である。北朝鮮のミサイルがアメリカや日本を向いているうちは良いが、それがいつ北側(ロシア)や西側(中国)に向かうかは分からない。従って、致命的に重要な技術を北朝鮮に供与することはない。中露は全面的に北朝鮮を信頼してはいない。あくまで自分たちがコントロールできる範囲に置いておかねばならない。

 アメリカからすれば、北朝鮮を中露両国から引き離すということが重要だ。ドナルド・トランプ前米大統領は、前代未聞の米朝首脳会談を成功させた(2018年のシンガポール、2019年のヴェトナムの首都ハノイ)。ここで、北朝鮮の非核化の見返りとしてのアメリカからの経済支援による経済開発といった話も出ていた。しかし、ジョー・バイデン政権になってからは米朝関係には何の進展もない。トランプのような政界のアウトサイダーだからこそなしえた成果であったのだろう。北朝鮮からすれば、トランプがいなくなれば、アメリカは約束を反故にする、もしくは北朝鮮の体制転換のために北朝鮮に浸透してくるということは分かっていることであり、アメリカとの交渉にはおいそれとは乗れないということになる。

 北朝鮮は、この機会にロシアとの関係を良好なものとしておくことは、対中関係にも影響を与えるという計算もあるだろう。中露両国を両天秤にかけるということだ。北朝鮮はいつも実にしたたかだ。

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プーティンと金がお互いから欲しいもの(What Putin and Kim Want From Each Other

-最近の両者による首脳会談は、ロシアと北朝鮮の関係がいかに取引的なものになっているかを示した。

アンキット・パンダ筆

2023年9月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/09/15/russia-north-korea-putin-kim-summit-diplomacy-weapons-missiles-space-cooperation-sanctions/

新型コロナウイルスの感染拡大のさなか、3年以上にわたって自主的に課した、厳しい孤立主義(isolationism)を経て、北朝鮮の指導者金正恩は今週、思い切って国境の外に飛び出した。金委員長はロシアのウラジーミル・プーティン大統領に会うため、かつて父親が好んだのと同じ装甲列車(armored train)に乗って、ロシア極東に向かった。金委員長が外国指導者と会談するのは2019年以降では初めてのこととなった。プーティン露大統領は、ホスト役を務めることで、最近のG20BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)首脳会談への欠席が象徴する、プーティン自身の外交的孤立の中で、外交分野における自身の正常なイメージを示すことができた。

プーティン大統領は、2019年に初めて会った北朝鮮の指導者である金正恩に対する親近感を示し、ロシア語で非公式に挨拶した。金委員長は、ウクライナに対するモスクワの「聖なる闘争(sacred struggle)」に対する北朝鮮の献身を告白した。両者とも西側諸国が支配する世界秩序に対して団結を示すことを目的としていたが、その戦略的一致は実際には両指導者にとって困難な状況によって引き起こされた、より取引的な論理から生じている。簡単に言えば、それぞれが相手に提供できるものがたくさんあるということだ。

金正恩とプーティンは、お互いに正確に何を求めてきたのかを胸に秘めている。典型的な首脳同士による首脳会談とは異なり、両者は協議や合意内容を示唆するいかなる種類の共同声明も発表しないことを選択した。しかし、両国間で行われている、最近の他のハイレヴェルの外交行為と同様に、両者の会談の様子は、より明白なものであった。

金委員長の訪問に先立って、ロシアのセルゲイ・ショイグ国防大臣は、兵器調達に携わる他の国防高官らに囲まれ、北朝鮮の兵器が豊富に展示されている平壌の展示場を視察した。北朝鮮が、ロシアが長年支持してきた国連安全保障理事会の支持による包括的な武器禁輸下にあるという事実は、大きな障害ではないようだ。

金・プーティン首脳会談の開催地の選定も同様に微妙だった。まず、両首脳はロシアの比較的新しいボストチヌイ宇宙基地での会談を選んだ。これは、モスクワがカザフスタンのバイコヌール宇宙基地への依存を減らすために設計されたロシア東部の宇宙基地である。ロシア国営メディアは、プーティンが、そこで会談することを決めたのは、金正恩が「ロケット技術に大きな関心を持っている」ことを認めたからだと述べ、北朝鮮の指導者は「宇宙開発を進めようとしている。だから私たちはボストチヌイ宇宙基地に来たのだ」と述べたと報じた。実際、北朝鮮は成熟した宇宙開発プログラムを開発しようとしているが、今年2度の衛星打ち上げ失敗が示すように、成長の余地がある。ロシアの宇宙打ち上げ技術の援助は、軍事偵察衛星(military reconnaissance satellites)の開発を含む平壌の軍事的近代化の野望(military modernization ambitions)の実現に大いに貢献するだろう。

しかし、北朝鮮がロシアの利益を全力で支援することで得られる恩恵は他にもある。プーティン大統領との会談後、金委員長の列車はコムソモリスク・ナ・アムーレに向けて進み、そこで金委員長はSu-35戦闘機とSu-57戦闘機を生産する工場を訪れた。これらの戦闘機は現在朝鮮人民軍空軍が利用できる旧式の機体よりもはるかに先進的なシステムだ。新しい戦闘機を調達できなくても、北朝鮮は、既存のソ連製軍用機を強化し、耐空性と信頼性を大幅に向上させるためのスペアパーツやコンポーネントの安定供給から恩恵を受ける可能性がある。

金正恩はまた、自国のミサイル計画を強化するために、ロシアのサプライヤーから調達した原材料や複合材へのアクセスも求めるだろう。北朝鮮は、ケブラーやアラミド繊維のような素材をロシアから調達し、高度なミサイルに使用するために、組織的な犯罪ネットワークに長い間依存してきた。ロシアがこのような移転を積極的に促進することは、国連制裁違反ではあるが、平壌の軍事的野望の実現を支援することになる。北朝鮮はまた、秘密裏に技術支援を求める可能性もある。国際的なルールや規範を蔑ろにするプーティン大統領によって、これまで両国間で考えられなかったような技術協力が実現可能になるかもしれない。

ミサイルや戦闘機といったハード面以外で、金正恩は、新型コロナウイルス感染拡大を通じて、北朝鮮で深刻化している栄養面の問題に対処できる食糧援助の可能性についてもプーティンに打診したようだ。このような援助は制裁に違反するものではないが、それにもかかわらず、金正恩が近年、核の近代化に巨額の資金をつぎ込みながらも公然と認めている食糧不足に対処する一助となるだろう。北朝鮮とロシアは国境と領海を接しているので、大規模輸送も容易だ。

ロシアは北朝鮮の目的に対して外交的支援を提供することもできる。北朝鮮は既に、国連安全保障理事会におけるロシアと中国の庇護からかなりの恩恵を受けている。 2019年の米朝外交の最終段階の崩壊以来、中国政府とロシア政府はいずれも新たな制裁や国連での正式な非難さえも明確に拒否している。2016年と2017年の、例外的に広範な分野別の措置に対する黙認とは全く異なり、北朝鮮を積極的に支援していることになる。昨年は、北朝鮮の大陸間弾道ミサイル実験を非難する米大統領声明を両国とも支持しなかった。

一方、今回の会談に対するロシア政府の関心は、ロシア軍が使用しているソ連時代の発射装置と逆互換性のある、北朝鮮が大量に保有している砲弾やロケット弾の弾薬にあると考えられる。昨年9月に『ニューヨーク・タイムズ』紙が取材したあるアメリカ政府の情報筋は、そのような移送はすでに行われていたと示唆したが、これはおそらく時期尚早であったと思われる。むしろ、最近相次いでいる北朝鮮とロシアの二国間外交は、こうした移転を促進することを目的としていたとみられ、ホワイトハウス報道官はショイグ防衛相の訪問後、それが「積極的に進められている(actively advancing)」と述べた。

プーティン大統領と金委員長の首脳会談で、イデオロギーを共有する姿勢を見せようとしたにもかかわらず、プーティンと金正恩は相手の要求に完全に応じるつもりはないかもしれない。例えば、北朝鮮はロシア海軍の核推進技術へのアクセスを求めるかもしれない。同様に、ロシアはウクライナで使用される可能性のある、より高度な北朝鮮ミサイルの入手を求めるかもしれないが、金正恩は自国の国防と抑止力のためにミサイルを保有することを好むかもしれない。

両国の会談は、北東アジアにおける新たな権威主義的枢軸(a new authoritarian axis)の話を促すだろうが、この関係の最近の高まりが、各国の目先の戦略的利益よりも、深い基盤を持っていることを示唆するものはほとんどない。モスクワは自国に有利なように世界秩序を修正しようとしているかもしれないが、その努力のパートナーとして北朝鮮を参加させても使い道は限られる。

一方、北朝鮮にとって、ロシアとより深い関係を築きたいという願望は、新型コロナウイルス感染拡大とロシアのウクライナ侵攻の両方に先行している。金正恩が2019年にロシアの極東でプーティンと初めて会ったのは、前回失敗した米朝首脳会談の直後だった。その年の暮れ、金正恩は自国の戦略的アプローチについて「新しい方法」に従うことを示唆した。ロシアとのより良い関係は、この新しい方法の一部であると思われる。ロシアが孤立し、世界的な規範に背くことを厭わなくなるなど、現在の地政学的ダイナミクスは、平壌に絶好の機会を与えている。

金正恩の訪問は人々を驚かせた。特に注目すべきは、2019年以来の海外訪問に中国ではなくロシアを選んだことだ。2018年、金委員長は最終的に韓国やアメリカとの首脳外交に向かう前に、中国の習近平国家主席との会談を選んだ。中国側の声明によれば、両者の最初の会談で、習主席は何よりもまず、両国間の「ハイレヴェルの交流」の重要性を強調し、「同志委員長(Comrade Chairman)と頻繁に連絡を取り合いたい」と述べたということだ。

しかし、金委員長の選択は、北京と平壌の間に大きな溝があることを示すものではない。金委員長と習近平は新型コロナウイルス感染拡大の最中に書簡を交換し、ある中国高官は最近、平壌の軍事パレードに出席した。しかし、少なくとも短期的には、金正恩は習近平よりも、ますます絶望的になっているプーティンを、より積極的な後援者となるだろうと評価している可能性が高い。北京と平壌はともにプーティンの戦争努力を支持しているが、大規模な軍需物資の提供を望んでいるのは北朝鮮だけだ。

ロシアの対ウクライナ作戦に対する北朝鮮の支援は、戦場での変革にはつながらないだろう。通常弾薬の不足は、ロシアと迅速な勝利の間に立ちはだかる要因とは言い難い。平壌による弾薬供給に対して、期待される最も重要な短期的効果は、ロシアが将来NATOと衝突する場合、自国の備蓄を補充し、維持できるようになることであろう。

アメリカにとって、金委員長とプーティンの関係が緊密になるという見通しは悪いニューズだが、終末をもたらすようなものではない。仮にプーティンと金正恩が互いにほとんど関心を持たなかったとしても、両首脳は単独でアメリカの利益に対する深刻な挑戦を続けるだろう。

おそらく、この関係がもたらす結果として、北朝鮮の継続的な核兵器保有に対する現状維持の外交アプローチへの影響ほど重要なものはないであろう。既存の国連制裁体制に直面して、ロシアが公然と北朝鮮を露骨に支援すれば、空想的な短期目標である非核化(denuclearization)が不可能になるだろう。

このことは、ここ数十年でアメリカの対北朝鮮アプローチを見直すための最も重大なきっかけとなる可能性が高い。現在、外交の展望は漠然としているように見えるが、ワシントンは、かつて金正恩がドナルド・トランプ前米大統領に会うためにハノイ行きの列車に乗るように仕向けたのも、大国との関係を進めるための、ほぼ同じ取引的アプローチだったことを思い起こすべきだ。

金委員長にモスクワから目を背けるよう促すのは難しいだろう。しかし、アメリカは北朝鮮に少なくとも外交の可能性をもう一度考えるきっかけを与えるために、外交部門が持つ、あらゆるツールを活用する用意を行っているはずだ。金委員長は昨年、アメリカは無制限の交渉を求め、北朝鮮に対して敵意がないことを公言しているにもかかわらず、「ジョー・バイデン政権の行動、特に韓国を安心させるために取った措置の多くが北朝鮮に悪影響を与えている。無制限の交渉や敵は存在しない、などの言葉を信じるに足る理由は存在しない」と不満を述べた。

ワシントンはまた、金正恩がハノイに行った際に求めていたのは、限定的な核の譲歩と引き換えに、自国の経済に対する分野別の制裁を緩和するという取引であったことを思い起こすべきだ。制裁緩和の見通しを利用することは、北朝鮮の不遵守を防ぐためのスナップバック(訳者註:元の状態に素早く戻すという意味)条項付きで、誘惑としての価値を持ち続けるかもしれない。しかし、ワシントンがすぐに行動を起こさなければ、金正恩がかつて交渉の場で制裁緩和を求めていた意義はかなり薄れてしまうかもしれない。ロシアが北朝鮮との取引の意欲を示している現在ではなおさらである。

最後に、アメリカとその同盟諸国は、より高性能化する北朝鮮の核兵器が危機や紛争で使用されるリスクを軽減することに引き続き関心を持っている。今後の交渉の前提が核リスクの軽減や抑制に焦点を当てることができると金委員長に示唆すれば、北朝鮮が外交的により苦境に陥る理由を生み出すことになるだろう。

※アンキット・パンダ:ワシントンに本拠を置くカーネギー国際平和財団各政策プログラムスタントン記念上級研究員。著書に『金正恩と彼の爆弾:北朝鮮における生存と抑止(Kim Jong Un and the Bomb: Survival and Deterrence in North Korea)』がある。ツイッターアカウント:@nktpnd

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 古村治彦です。

 「韓国が核武装する」という話を聞いて、「そんな馬鹿なことはあり得ない」「アメリカが許すはずがない」という反応をする人たちがほとんどだろう。朴正熙大統領が最後暗殺されたのも核武装を目指した彼をアメリカが許さずに最後はCIAが殺害指令を出したからだという話もあるほどで、日本と同じくアメリカの属国である韓国の核武装は、日本がそうであるように許されるはずがないというのは常識的判断である。

 朝鮮半島の非核化はドナルド・トランプ政権時代に動くかに見えた。トランプ大統領と北朝鮮の金正恩国務委員化委員長が会談を行い、「CVID(完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄、complete, verifiable, irreversible dismantlement)」で合意した。しかし、その後は何の進展もなかった。北朝鮮は核開発を進めている。旧ソ連時代からの関係でロシアが支援しているという話もある。

 北朝鮮がアメリカ本土を射程に収めるミサイルと核兵器を保有することになれば、「アメリカは本土攻撃を受けるリスクを冒してまで韓国を守ってくれるだろうか」という疑問が韓国側に生じてくるのは当然のことだ。特に現在のウクライナ戦争の状況を見れば、「アメリカはロシアの核攻撃を怖がってウクライナを本格的に防衛するということを行わない」ということになる。そうなれば韓国としては北朝鮮との対抗上、自国で核兵器を所有しなければならなくなると。

 朝鮮半島を西洋的な考えから見ればそういうことになるだろう。しかし、大前提として、北朝鮮の核兵器とミサイルは韓国向けに建造されたものではない。中国、ロシア、アメリカ、日本という大国の間で生きていくための抑止力である。北朝鮮のミサイルはアメリカと日本にだけ向いているのではない。ロシアと中国にだって向いている。勧告はそのことを知っている。「北朝鮮の核兵器」とは「朝鮮半島の朝鮮民族が持つ核兵器」である。韓国は自分たちで核兵器を開発して保有する必要はない。韓国が自国で核兵器を持ったとして、どこに照準を合わせるのか。北朝鮮ではあるまい。やはり中国、ロシア、アメリカ、日本ということになる。

 このようなことを書けば身もふたもないということになる。「韓国と北朝鮮が赤の他人で仇敵」ということであれば、韓国の核武装も現実味を帯びる。しかし、両国は共に言葉も同じ民族だ。そのことをよくよく考慮しなければならない。

 アメリカにとってそんな危険な状況を作り出すことは得策ではない。韓国は日本とは立場の違うアメリカにとっての属国である。韓国の核兵器とミサイルがアメリカに向かうということを起こしてはならない。だから、アメリカはそのようなことを許すことはない。しかし、このような議論が出てくるというのは、アメリカの信頼性が低下し、国力が減退し、衰退国家となっている証拠ということになる。

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ワシントンは韓国に原爆を持たせる許可を与えるかもしれない(Washington Might Let South Korea Have the Bomb

-北朝鮮の核武装によりかつてタブーとされていた選択肢が考えられるようになっている。

ダグ・バンドウ筆

2023年1月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/01/17/us-south-korea-nuclear-weapons-denuclearization/

北朝鮮の核武装の野望を抑えようとするワシントンの試みは行き詰まりを見せている。北朝鮮は核保有国(nuclear state)である。北朝鮮の核兵器は規模と精巧さを増している。アメリカへの先制攻撃(preemptive strike)はできないだろうが、アメリカが韓国防衛に関与していることに対して報復することはできるようになるかもしれない。

このバランスの変化は、アメリカと韓国の間で核政策をめぐる深刻な議論を巻き起こしている。まず、北朝鮮が既に爆弾を持っているのに、非核化(denuclearization)、有名なCVID(完全かつ検証可能で不可逆的な廃棄、complete, verifiable, irreversible dismantlement)を追求することに意味があるのかという疑問である。金正恩委員長に核廃棄を説得、もしくは強要できると考える楽観主義者たち(Panglossians)はまだ少数派である。ワシントンの公式政策は、北朝鮮を核保有国として断固として認めないが、現実はいずれ政策の後退を余儀なくされるかもしれない。

更に重要なことは、韓国のエスタブリッシュメント派がアメリカの核兵器を手に入れたい、あるいは少なくともそれに近づきたいと考えていることである。あるいは、韓国の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は、ソウルが独自に核兵器を開発する可能性を示唆した。多くの韓国政府関係者は、半島に「戦略的資産(strategic assets)」を駐留させ、ヨーロッパのような「核の共有(nuclear-sharing)」を望んでいる。韓国の冷笑主義者、もしくはリアリストたちは、アメリカの関与の持続性と約束の誠実さを疑っており、自国(韓国)独自の核兵器を欲しがっている。アメリカの政策立案者の中には、その可能性に前向きな人もいるようだ。

北朝鮮の核戦力の増強は、朝鮮半島の安全保障の現状に脅威を与えている。1953年の米韓相互防衛条約(Mutual Defense Treaty)の批准(ratification)以来、アメリカは韓国の防衛を約束した。アメリカの責任は戦場に限られていたため、初期のころは比較的簡単に約束できた。朝鮮戦争(Korean War)は激烈で破壊的であったが、これまでの世界的な紛争と同様に、その暴力はアメリカ本土にはほぼ及ばなかった。そして最近まで、北朝鮮はアメリカや太平洋の領土にさえ到達する術を持たなかった。例えば、1953年に韓国の李承晩大統領(当時)が休戦協定への署名を拒否したにもかかわらず、半島統一(to unify the peninsula)のために戦わないという選択をしたように、アメリカは自国に有利なように政策を調整することが容易にできた。

しかしながら、ソウルの政策立案者たちは、通常兵器と核兵器の両方による拡大抑止力(extended deterrence)の実行可能性(viability)について、ますます神経質になっているように見える。昨年(2022年)、北は90回を超える弾道ミサイル(ballistic missiles)実験を行い、世界的な注目を浴びた。平壌は大陸間弾道ミサイル(intercontinental ballistic missiles)に核弾頭(nuclear warheads)を搭載し、アメリカの諸都市を危険に晒すことに精力的に取り組んできた。もし、金正恩がアメリカ本土に「炎と怒り(fire and fury)」をもたらすことができたら、ワシントンは韓国との約束を守れるだろうか?

ウクライナはアメリカの条約上の同盟国ではないが、それでもこうした懸念は強まっている。ジョー・バイデン政権はロシアのエスカレーション、特にモスクワの核兵器使用の可能性に懸念を示しているが、高度化する兵器移転(arms transfers)を止めるのではなく、減速させている。結果として、北朝鮮がロシアと同様の(ロシアよりも規模が小さいのではあるが)核兵器能力を持つ場合のアメリカの対応に対する疑問を生じさせる。

尹大統領は次のように説明した。「拡大抑止力と呼ばれるものは、アメリカが全て面倒を見るから心配するなということでもあった。しかし、今はそれだけでは国民を納得させるのは難しい」。尹大統領は、アメリカの核兵器の使用について、ソウルが手を貸す考えを示した。大統領は「核兵器はアメリカのものだが、計画や情報の共有、演習、訓練はアメリカと米国が共同で行うべきだ」と述べた。

これは合理的な懸念である。もちろん、アメリカの政府当局者たちは、韓国に対する深くかつ永遠の関与を表明することで韓国側の懸念に応えた。ホワイトハウスは2022年5月、韓米同盟について「磐石な基盤(rock solid foundation)」と形容した。バイデン政権は更に、バイデン大統領訪韓を次のように称賛した。「ジョー・バイデン大統領は、核、通常兵器、ミサイル防衛能力を含むアメリカの防衛能力の全範囲を使用して、韓国に対するアメリカの拡大抑止の約束を確認する」と述べた。

しかしながら、一般的な保証はほとんど意味をなさない。ウクライナ人は、キエフがソ連時代の核兵器を放棄することと引き換えに提示された、歯切れの悪い、内容があいまいな1994年のブダペスト・メモランダムについて覚えている。

将来、米韓両軍が北上し、北朝鮮が最後通牒(ultimatum)を出し、同盟諸国軍が北朝鮮の領土から撤退しなければ、あるいはワシントンが紛争から完全に撤退しなければ、アメリカ本土を核攻撃すると脅している紛争を想像してみるといい。ワシントンの視点に立てば、韓国にはアメリカの多くの都市と何百万人ものアメリカ人を犠牲にする価値のあるものは何もないだろう。未来のアメリカ大統領ならどうするだろうか?

だからこそ、独立した抑止力に対する韓国の強力な後押しがある。国民の支持も強い。しかし、ほとんどの人は避けられない複雑な事態を考慮していないのではないだろう。現在、レ任浩永(イム・ホヨン)退役陸軍大将や国会議員の趙慶泰(チョ・ギョンテ)など、この考えを推し進めようとしている人物もいる。既に述べたように尹大統領も可能性を示唆している。しかし、ソウルの公式政策は一般的にワシントンから兵器を提供されることを望んでいる。

ワシントンは韓国製の原子爆弾については徹頭徹尾反対している。その理由の1つは、原則としての核不拡散(nonproliferation in principle)に忠実であることだ。また、通常は明言されないが、友好諸国間での核の独占を維持することで、アメリカのアジアにおける優位性(America’s Asian predominance)を維持したいとの考えもある。

しかし、この政策的な難問については、一部の人々の考えを変えつつあるようだ。例えば、フーヴァー研究所のマイケル・オースリンは早くからこの問題を提起している。彼は次のように書いている。「金正恩がいわれのない核攻撃を行うとは考えにくいが、経験豊富な韓国ウオッチャーたちは、戦争が起きれば負けが明らかになった時点で、間違いなく核兵器を使用すると私は考えている。このようなリスクが高まるにつれ、アメリカは韓国との数十年にわたる同盟関係を見直すことを避けられなくなるだろう。ワシントンが韓国を助けると約束し続けるだけで、アメリカの民間人に対する脅威はグロテスクなまでに拡大するだろう」。

オハイオ州選出の連邦下院議員を長年務めたスティーヴ・シャボットは最近、「ワシントンが 日本と韓国の両方と核兵器プログラム自体を検討するための話し合いに入るべきだ」という驚くべき提案を行った。彼は、この道を進む必要がないことを望むが、「韓国と話すだけでも中国の注意を引くことができ、もしかしたら彼ら(中国)は初めて北朝鮮を抑制するために積極的に行動するかもしれない」と主張した。

かつて、私を含む一部の専門家は、少なくともこのような議論を始める理由として、この可能性を提示していた。しかし、北朝鮮の核兵器が増え続けている現状では、北朝鮮の核武装を阻止するタイミングはほぼ確実に過ぎている。仮に北京がその気になったとしても、パンドラの箱に詰め物をするようなものだ。いずれにせよ、中国は以前にも増して国境の安定を維持することに関心を持ち、アメリカが軍事封じ込め(military containment)だけでなく経済的封じ込め(economic containment)に動いた後は、アメリカに便宜を図ることには以前に比べて関心が薄くなっている。

その場合、シャボットの主張は明白な疑問をもたらすだろう。アメリカは同盟諸国の核兵器製造を容認するのか? 特に岸田文雄内閣は軍事費の大幅増を約束しており、同時に2050年までに約2000万人(約17%)の日本の人口が減少すると予想され、大規模な軍備を整えることが難しくなっているため、韓国の原爆は日本国内で議論を引き起こすことは必至であろう。

拡大抑止を止めれば、金正恩がアメリカ本土を人質(hostage)に取ることはできなくなる。北朝鮮以外の国にも利点がある。北京は、軍事的に領有権を主張する際に、これまでとは異なるリスク計算に直面することになる。台湾への核技術移転も考えられる。ただし、中国のアメリカへの先制攻撃を防ぐために、アメリカが直接兵器を台湾に提供しなければならなくなるかもしれない。

しかしながら、このような政策の欠点も明らかである。核兵器が増えれば、事故(accidents)や漏えい(leaks)、脅威(threats)の機会が増え、戦争が起きれば事態が悪化する可能性がある。中国は核開発を加速させることで対抗するかもしれない。北朝鮮は、核兵器の制限に関する交渉に消極的になるだろうが、いずれにしても交渉には応じないかもしれない。アメリカが核武装した北朝鮮と対峙することを望まないのであれば、核武装したイランやロシアと戦争するリスクを冒すだろうか。他の同盟諸国も核武装の選択肢を検討するかもしれない。

しかし、友好諸国への核拡散(friendly proliferation)を許す、あるいは助長する可能性はもはや否定できない。特に韓国は、ワシントンの承認なしに核武装を進めることを決定する可能性がある。もしアメリカがイスラエルへの制裁を望まず、インドとパキスタンへの処罰を諦め、北朝鮮を阻止できなかったら、ソウルやおそらく東京の核開発を阻止できるのだろうか? そうすることの代償は見合うのだろうか? そうすることは可能なのだろうか? アメリカは、特に中国を封じ込めようとしている間は、同盟を解消したり、制裁を課したりすることはないだろう。

長年にわたり、同盟諸国の核武装を認めることは考えられなかった。それゆえ、韓国と台湾の核開発に対してアメリカは圧力をかけてきた。しかし、それは北朝鮮が実質的な核保有国になる前のことである。アジアにおける拡大抑止力は、アメリカ国民にとってそれほどリスクにはならない。韓国のために全てを賭ける覚悟がない限り、アメリカの政策立案者たちは、これまで考えられなかったようなこと、つまり韓国の各爆弾所有について考えなければならない。

※ダグ・バンドウ:ケイト―研究所上級研究員。ロナルド・レーガン大統領の特別補佐官を務めた。複数の著作があり、最新作は『仕掛け線:変化した世界における韓国とアメリカ外交政策(Tripwire: Korea and U.S. Foreign Policy in a Changed World)』である。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 「日本はアメリカ様が中国、ロシア、北朝鮮に対抗する際の礎石(cornerstone)でございますので、いかようにもお使いくださいませ」と岸田文雄首相がホワイトハウスにまで伺候して、ジョー・バイデン米大統領に尻尾を振りに行った。属国日本の奴隷頭、アメリカ様にお取次ぎをする現地人の代表が日本国首相である。バイデンにとって日本の岸田文雄首相とウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は共に、対中、対ロシアのための「礎石」と表向きには言うだろうが、本音を言えば「捨石(sacrificed stone)」である。バイデン大統領に「肩を抱かれて」何かを囁かれるのは、属国の奴隷頭にとっては「厚遇」ということになるようだ。

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 「中国の脅威に対抗する」というお題目を唱えながら、日本は軍拡の途を走らされることになった。世界を見てみれば、西側世界(the West)と呼ばれる、西側先進諸国が異口同音に「ロシア・中国・北朝鮮の脅威」を声高に叫ぶようになり、軍拡、軍事費増大の大義名分にしている。日本の動きもその一環でしかない。西側諸国だ、先進諸国だと威張ってみても、その実態はアメリカの属国の集まりで、奴隷たち(各国の国民)の待遇が多少違う程度のことだ。日本が最低ランクの扱われ方をしている。岸田内閣を取り仕切っている木原誠二内閣官房副長官が不良を気取る中学生のように、やさぐれてしまうのは無理のないところだ(あれで咥えタバコでもしていたらもっと良かったが)。

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 私たちは日本の現状をまずは正しく理解することだ。「日本は立派な国だ」という考えを捨てて、情勢を見てみることだ(生活レヴェルでそういう考えを持つのはまだ良いけれど)。そして、西側諸国だ、立派だ立派だという掛け声に騙されないこと、惑わされないことだ。「日本がアメリカの手先、先兵となって、中国やロシアとぶつかるように仕向けられて、人命が損なわれ、生活にも大きな悪影響が出るのではないか」という視点を持つことが重要だ。

 同盟関係は相手を利用するためのものだ。最近やけに日本を持ち上げるような言説が見られ、ヨーロッパの国々と軍事関連で関係を深めているなぁと少し勘の鋭い人々なら気づいているだろう。これは危険な兆候である。日本の国益のためには戦争を起こさないこと、戦争に巻き込まれないことが何よりも重要だ。

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日本は東京を中国、ロシアに対する安全保障の米国の基軸として売り込む(Japan sells Tokyo as US linchpin of security against China, Russia

ラウラ・ケリー筆

2023年1月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3812858-japan-sells-tokyo-as-us-linchpin-of-security-against-china-russia/

日本の岸田文雄首相がジョー・バイデン大統領を訪問したのは、東京が東半球の安全保障の基軸(linchpin)であり、中国や北朝鮮の侵略に対する防波堤(bulwark)であることを売り込むためであった。

これは、島国である日本にとって歴史的な大きな変化の一部であり、第二次世界大戦後に自らに定めた平和主義政策(pacifist policy)を後退させ、軍備を拡大することに関与するようになった。

日本はまた、ウクライナ戦争でロシアに対する制裁に加わったが、キエフに決定的な援助は行っていない。

米外交問題評議会アジア太平洋研究部門上級研究員シーラ・スミスは、「日本は、戦後の自国の軍事に関してためらいを持つ(hesitancy about its military)という型から本当に抜け出した」と述べている。

スミスは更に「ある意味で、国家運営の矢の一つとして軍事力の必要性をためらわない新しい日本が世界の舞台に出ているのだ」と語った。

金曜日にホワイトハウスの大統領執務室において、バイデン大統領は、岸田首相のワシントン訪問を日米同盟にとって「非常に重要な瞬間(remarkable moment)」であると述べた。 

バイデン大統領は「これほどまでに日米両国が緊密な関係にあった時期はなかったと思う」と述べた。

バイデンは続けて「はっきりさせておきたい。アメリカは日米同盟に、そしてより重要なことは、日本の防衛に、完全に、徹底的に、完全に関与する」と語った。

岸田首相は金曜日、日米両国は「最近の歴史の中で最も困難で複雑な安全保障環境に直面している」と述べた。

今後5年間で防衛費を倍増させるという日本の言質(commitment)は、ワシントンで広く歓迎され、東京はバイデン政権から具体的な利益を得て歩んでいる。

バイデン政権の複数の高官は、高度な情報収集や監視などの能力向上で日本駐留のアメリカ軍を強化すると述べた。日米両国はまた、宇宙やサイバーセキュリティをカヴァーするために相互防衛(mutual defense)の約束を拡大している。

また、バイデン政権は、東京が飛来するミサイルによる攻撃から自国を守り、北朝鮮や中国などの侵略者に対して攻撃を仕掛けることができるよう、反撃能力(counterstrike capabilities)を開発するという日本の決断を支持している。

日本は、中国の軍拡を東京への脅威と認識し、ロシアのウクライナ侵攻がインド太平洋地域に波及する可能性があると見ている。

日本政府は2022年12月に発表した国家防衛戦略で、「ロシアのウクライナへの侵攻が証明するように、日本もメンバーである国際社会は深刻な課題に直面しており、新たな危機に陥っている」と書いている。

この国家防衛戦略では続けて、「将来、インド太平洋地域、特に東アジア地域で、戦後の安定した国際秩序の基盤を揺るがすような重大な出来事が起こる可能性を排除することはできない」とも付け加えられている。

日本はアメリカとヨーロッパの対ロシア制裁に加わり、キエフに人道的・防衛的支援を送ってきた。

2022年6月にマドリッドで開催されたNATO首脳会議では、日本を招待するという前例のない異例の措置が取られた。

新アメリカ安全保障センターのインド太平洋安全保障プログラム上級研究員のジェイコブ・ストークスは、日本の防衛政策と日米同盟において「極めて重要な時期(an incredibly important time)」であると語っている。

ストークスは「北東アジアにおける安全保障環境が非常に厳しくなっていることを反映し、日本のアプローチに根本的な変化が起きている。もちろん、中国からの挑戦もあるが、北朝鮮やロシアからの脅威も存在する」と述べた。

ストークスは「アメリカの戦略的観点からすると、日本はこの地域との関わりにおいて、まさに礎石(cornerstone)の国である。また、インド太平洋地域におけるアメリカの最も重要な国家関係を持つ国が日本であることは間違いない」と述べた。

岸田首相は、フランス、イタリア、イギリス、カナダのG7諸国を訪問して、5カ国訪問の最終目的地としてワシントンに到着した。

日本は2023年にG7の議長国を務め、2024年5月に広島で首脳会談を主催する予定だ。広島は、アメリカによる最初の原爆投下の場所だ。日本はまた、2024年1月の国連安保理の議長国でもある。国連安全保障理事会の非常任理事国であり、議長国として2年間の任期を務めている。

東京はこれら2つの場所を利用して、核兵器の軍縮(disarmament)と不拡散(nonproliferation)を求める声を高めたい意向だ。こうした動きは、ロシアのウラジミール・プーティン大統領がウクライナで核兵器を使用すると脅し、中国が核兵器の備蓄を増やし、北朝鮮が核兵器実験の可能性の下地を作っている状況の中でそれに対処するためだ。

外交問題評議会のスミスは「日本は、核軍縮と核兵器使用のリスクを軽減する必要性を強く感じている」と述べている。

東京はこの主張と軍拡(military expansion)の追求のバランスを取っている。水曜日にイギリスと防衛協定に調印し、アメリカとヨーロッパの同盟諸国が定義する「ルールに基づく(rule-based)」国際・経済秩序の防衛と完全に連携している。

スミスは続けて「インド太平洋地域の同盟国、とりわけ日本が、ヨーロッパの同盟諸国とこれまでとは全く異なる形で連携していることは、興味深い認識だと思う。そしてそれは、やはりプーティンのせいだ」と語った。

スミスは「日本が先頭になって、ヨーロッパの同盟諸国とインド太平洋の同盟諸国から、戦後秩序に対する挑戦の瞬間であるという、非常に似たような言葉が出てくるようになった」と述べた。

バイデン政権と日本が完全に一致していない分野の一つは、日本が地域貿易協定(正式名称は環太平洋パートナーシップに関する包括的および進歩的協定[Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership]CPTPP)に参加することを求めたのに、アメリカが応じないことである。

ホワイトハウスのカリーヌ・ジャン=ピエール報道官は金曜日に、「CPTPPに関しては、私たちが検討しているオプションではない」と語った。ジャン=ピエール報道官は、アメリカは2022年5月に開始されたイニシアチヴであるインド太平洋経済枠組(Indo-Pacific Economic Framework)に焦点を当てていると述べた。

CPTPPは、オバマ政権時代の環太平洋パートナーシップ(Trans Pacific PartnershipTPP)の加盟11カ国によって形成された自由貿易協定である。ドナルド・トランプ前米大統領は2017年の就任初日にTPPからアメリカを離脱させた。

イギリスはCPTPPへの参加を目前にしており、中国と台湾はともに加盟を申請している。スミスは、「日本はCPTPPへの加盟を追求する中国に対する防波堤として、アメリカの加盟を強く望んでいる」と述べた。

スミスは次のように述べている。「中国は、その経済力を使って、CPTPPの他の加盟諸国に対して、中国を参加させるのも悪くないと説得し始めるのではないかという懸念が存在する。そして、この地域が求めているのは、カウンターバランス(counterbalance)だと私は考えている。人々は口に出しては言わないかもしれないが、アメリカの中国に対するカウンターバランスは、まさにこのことなのである」。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 アメリカは冷戦期以降、世界において、2つの大きな地域的非常事態(two major regional contingencytwo-MRC)に即応できるようにする戦略を採用している。簡単に言えば、世界のどこかで2つの大きな戦争が起きてもそれらに対応し、2つの戦争を同時に戦って勝つことができるようにするというものだ。下記の論稿では、「アメリカ軍は連戦気においては、2つの大きな戦争と1つの小さな戦争を同時に戦って勝てると主張していた」ということだ。そのためにアメリカ軍の能力を常に世界最大、最強にしていくということがこれまで当たり前だった。

 しかし、ドナルド・トランプ前大統領が当選して風向きが変わった。世界各地に駐留するアメリカ軍の撤退とNATOをはじめとする同盟諸国の防衛費の引き上げを求める流れになった。「もうアメリカはそこまでのことはできない」ということになった。日本の防衛予算をGDP2%まで上昇させよ(これまでは1%以内ということになってきた)という動きはこのアメリカの動きに連動している。トランプ政権がこうした要求を出して、バイデン政権になっても継続している。アメリカにしてみれば、軍需産業の売上が上がることだし、結構なことだということになる。

 アメリカ軍は既に2つの大きな戦争を同時に戦うことはできない。第二次世界大戦の時のようにヨーロッパとアジアで物量と大量の兵員で押し込んで敵を屈服させるということはできない。1つの戦争だけならばまだ戦えるが、それも厳しいということになる。現在のウクライナ戦争は、アメリカの戦費と武器によって戦われているものであり、アメリカ・ウクライナ連合軍と言っても良いだろうが、国土が荒廃し、将兵がどんどん死んでいくというのはウクライナばかりだ。武器がどんどん消費され儲かるのは軍需産業ということになる。ただ、アメリカ軍は自軍の貯蔵から武器を供与しているが、その補充が間に合っていないということが起きているようだ。

 アメリカ軍が懸念すべき地域としては、東アジア(中国と台湾、朝鮮半島)、中東(イランとイスラエル)、ウクライナ(対ロシア)がある。これらの地域で危機が起きた場合に、アメリカ軍は即応することはできないと下記論稿で述べられている。そのため、同盟諸国に対し防衛費の増額を求めている。そうした中で、ウクライナ戦争が起きた。これを「渡りに船」と各国は防衛費を増額している。防衛費ということになると、不思議なことにジャンジャンお手盛り、「財源は?」などと言う質問ができないようになっている。これは多くの国でも起きている。

 これだけでもアメリカ一極集中の時代は終わりということになる。他の国を巻き込むということになる。日本はどこまでお付き合いするかを決めておかねば、いつの間にか最前線でアメリカの武器を持って、日本の防衛以外の外国での戦争を戦わされることになっている可能性もある。そうした馬鹿げたことにならないように願うばかりだが、どうも雲行きは怪しい。

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アメリカは4正面戦争を戦うことが可能なのだろうか? それは現在では不可能だ(Could the US fight a four-front war? Not today

レオナード・ホックバーグ、マイケル・ホックバーグ筆

2021年6月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/national-security/556666-could-the-us-fight-a-four-front-war-not-today/

ジョー・バイデン大統領がイラン核合意の再交渉を模索する一方で、イランのテロリストの代理人であるハマスが、アメリカの同盟国であるイスラエルに戦争を仕掛けてきた。民主党の一部の進歩主義的な人々が、政治的正しさという祭壇の上でイスラエルを犠牲にすることを主張しても、外交政策の専門家たちは、アメリカが信頼性を保つために同盟諸国を守る必要があることを認識している。ハマスの抑制と引き換えに核交渉でイランをなだめる試みは、チグリス・ユーフラテス川流域からシリア、レバノン、ガザを通る三日月地帯の支配を目指すイランの長期戦略に資することになる。

地政学的分析の祖といわれるハルフォード・マッキンダーは、『民主政治体制の理想と現実』(1919年)の中で、スエズ運河を支配するイギリスにとって聖なる土地が重要であることを強調した。また、地政学的な観点から、シベリアに鉄道を敷設すれば、ランドパワーが単独または同盟を組んでユーラシア大陸に資源を動員し、シーパワーの覇権に対抗することができることを強調した。2度の世界大戦とその後の冷戦は、マッキンダーの言う「ハートランド」を支配しようとする勢力が、ユーラシア大陸沿岸の国民国家を支配することを阻止するために行われたのである。

今日、マッキンダーの地政学的悪夢が現実のものとなりつつあるように思われる。ロシア、中国、イランという3つの独裁政権が北朝鮮などと連携してマッキンダーのハートランドを占め、ヨーロッパ、インド、極東の自由主義的民主制体制諸国家に大きな影響力を行使している。中国は、「一帯一路」構想の一環として、ユーラシア大陸を経済的、文化的、軍事的に結びつけている。この脅威の領土的範囲は、西はバルト海と黒海から、南シナ海、台湾海峡、東シナ海、ベーリング海にまで及んでいる。

アメリカと同盟諸国は、ユーラシア大陸の環太平洋地域周辺にある複数の紛争地点に直面している。ロシアはクリミア征服を強化するため、ウクライナに脅威を与え続けている。アメリカはウクライナが核兵器を放棄した際、1994年のブダペスト・メモランダムでウクライナの領土保全を保証した。ロシアはその保証の価値の低さを雄弁に物語っている。一方、ロシアはNATO加盟国であるバルト3国(エストニア、ラトヴィア、リトアニア)にも脅威を与えている。NATO加盟国への侵攻が成功すればアメリカの信用は失墜する。

中国は、香港が独立を保ってきた「一国二制度」の原則を否定し、習近平指導者は、必要なら武力で台湾を中国に編入すると宣言している。中国は、台湾を侵略または封鎖する能力を構築しており、先端エレクトロニクスや半導体を台湾に依存し、太平洋における中国の野心を封じ込める港としてアメリカを脅かしている。東シナ海では、中国は日本の尖閣諸島の領有権を主張し、南シナ海では、重要な航路の主権を主張するために人工島を建設している。中国は現在、全ての海洋近隣諸国を脅かしており、ブータンやインドなど陸地の近隣諸国への侵略を始めている。チベットと香港は征服され、占領された領土である。

ならず者的な独裁体制諸国家は脅威を増している。イランはイエメンの反政府勢力フーシを支援し、ペルシア湾岸諸国とイラクのシーア派の不満を煽り、ヒズボラを通じてレバノンとシリアを支配し、ホルムズ湾を通る船舶を脅している。北朝鮮は韓国に対して通常兵器の脅威を与え、その核開発計画はアメリカを標的としている。

上海協力機構(SCO)は、中国が主導し、ロシアが追随する同盟であり、マッキンダーのハートランドを占める独裁的な大国の多くを結び付けている。アメリカはこの30年ほどで初めて、中国という独裁的な競争者と敵対することになった。中国の軍事費は指数関数的な上昇を続けているが、NATOの防衛費は横ばいである。敵の裏庭で戦争をして勝つには、敵が最も強く、私たちが最も弱いところで戦うことが必要である。

冷戦の最盛期、アメリカは2つの大きな戦争と1つの小さな戦争を戦うことができると主張していた。しかし、その軍事力は、敵対国の軍事力に比べ、徐々に低下している。軍事力の低下を示す一つの重要な指標は、アメリカの海軍艦隊の規模である。レーガン政権時代、米国は600隻の海軍を維持することを目指した。レーガン政権時代、アメリカは600隻の海軍を維持しようとしたが、それ以来、アメリカの海軍艦隊の規模は劇的に縮小している。セス・クロプシーによれば、今日、「アメリカ海軍は101隻の艦船を世界中に展開している。アメリカ海軍の艦隊全体では297隻に過ぎない」という。中国沿岸の課題に対応するための艦艇はもちろん、ユーラシア大陸の複数の紛争地点での侵略を抑止するための艦艇も十分ではない。近い将来、中国が台湾への侵攻を表明しているにもかかわらず、アメリカはアジア太平洋地域の第7艦隊の一部として配備された空母を持たなくなるだろう。

アメリカが直面する危機を評価する上で、国家安全保障の専門家たちはアメリカに敵対する国々が協調して行動する可能性を考慮しなければならない。もしアメリカと同盟諸国が、ウクライナ、台湾、イスラエルに対する4正面同時戦争に直面し、さらに北朝鮮が韓国を攻撃し、核抑止力を活用し、イランがホルムズ海峡を封鎖したらどうだろう。このような攻撃は、おそらくアメリカの金融・物理インフラへのサイバー攻撃と組み合わされるだろう。

アメリカはこのような同時多発的な挑戦に対応する軍事能力を有しているのだろうか? 同盟諸国を守り、条約上の約束を守るために核兵器を使用する準備はできているのだろうか? 厳しい選択を迫られた場合、アメリカはこれらの紛争のどれを優先させるか? 多面戦争を回避するためには、アメリカは同時に複数の場所で通常兵器を使った紛争を戦い、勝利する準備を整え、同盟国の自衛能力を強化するために投資しなければならない。

アメリカの国家安全保障分野のアナリストたちは、あまりにも長い間、マッキンダーの悪夢を生み出してきた地政学を無視してきた。権威主義的な諸大国は、共通の大義を見出し、行動を調整するという強い歴史を持っている。独裁者たちは、立法府の議論なしに決定を下すという贅沢さと呪いを持っている。もしアメリカが、中国、ロシア、イラン、北朝鮮という独裁諸国家枢軸による協調行動を抑止できなければ、これらの大国は必ずや共通の原因を見つけ、多面的な戦争に発展するだろう。

※レオナード・ホックバーグ:「マッキンダー・フォーラム・US」のコーディネイター。外交政策研究所上級研究員。スタンフォード大学をはじめ複数の高等教育機関で教鞭を執った退職教授。彼はまたフーヴァー研究所研究員に任命された。彼は、「ストラットフォー」の前身「ストラティジック・フォーキャスティング・Inc」を共同創設した。

※マイケル・ホックバーグ:物理学者。半導体製造分野と電気通信分野で4つの成功したスタートアップ企業を創設した元大学教授。それらの企業の中には2019年にシスコが買収したラクステラ、2020年にノキアに買収されたエレニオンがある。シンガポール(NRF Fellowship) aとアメリカ(PECASE)で若手科学者にとっての最高賞を受賞。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 私が拙著『アメリカ政治の秘密』『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で取り上げたジョー・バイデン政権のキーパーソンであるジェイク・サリヴァン国家安全保障問題担当大統領補佐官が中国の楊潔篪外交部長とルクセンブルクで4時間以上にわたり会談を持ったというニューズが報道された。このブログでも繰り返し紹介しているが、「西側世界対それ以外の世界(the West vs. the Rest)」という二分された世界において、米中はそれぞれの勢力のリーダーということになる。米中両国が世界を管理する「G2Group of Two)」体制が当面の世界の安定にとって重要である。

 バイデン政権の高官が会談の様子を述べているが、ジェイク・サリヴァンからは「台湾問題について、アメリカは“一つの中国”政策を維持すると繰り返し述べながら、中国の台湾に対する姿勢やウクライナ戦争に関する姿勢を批判した」ということだ。中国側からのリアクションについて言及はないが、相当激しい応酬が行われたことが予想される。

ウクライナ戦争は対ロシア封じ込めのためのEUNATOの東方拡大が招いた悲劇であるが、それを敷衍するならば、クアッド(Quad)やAUKUS(アメリカ、イギリス、オーストラリアの軍事同盟、日本は参加拒否)といった対中封じ込めの動きもまた悲劇を招く可能性がある。従って、ここはアメリカとしても慎重に事を運ばねばならないし、その点は中国も同様だ。あくまでも「米中間競争を管理する」ということでいかねばならない。

 日本はこの二つの勢力のはざまに位置する。両方と良好な関係を維持する必要がある。どちらかに偏る必要はないし、それは不可能だ。戦後から現在までアメリカの属国であるが、この状態でいることを当然のことと考えずに常にその先はどうなるかということを考えねばならないが、戦後世界体制が変化していく中で、これから先のことをより真剣に考えばならなくなるだろう。

(貼り付けはじめ)

ルクセンブルクでバイデン政権高官が4時間以上にわたり中国のトップ高官と会談(Biden official meets with China’s top diplomat for four hours in Luxembourg

モーガン・チャルファント筆

2022年6月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/3521788-biden-official-meets-with-chinas-top-diplomat-for-four-hours-in-luxembourg/

国家安全保障問題担当大統領補佐官ジェイク・サリヴァンは月曜日、ルクセンブルクで4時間以上にわたって中国のトップ外交官である楊潔篪外交部長と会談を持った。バイデン政権のある幹部によると、両者は様々な議題について討論を行ったということだ。

バイデン政権幹部は会談について次のように語った。サリヴァンは、バイデン政権が「一つの中国」政策を堅持すると繰り返し述べた。また、中国の台湾海峡における「強制的かつ攻撃的な行動」についての懸念を表明した。更にはウクライナ戦争においてロシアを援助していることに対して警告を発した。

この高官は「両者は米中関係に対する評価を共有し、それぞれが両国の間の力学をどう見ているかについての意見交換も行った。この会談を率直で、深く、実質的で、生産的であった」と述べた。

サリヴァンはまた、最近のミサイル発射を受けて北朝鮮に新たな制裁を科すとした国連安全保障理事会でのアメリカの決議案に対して、中国が最近拒否権を行使したことについても懸念を表明した。

この高官は「ジェイクは北朝鮮に関しては米国と中国が協力すべき分野であることを明確にした」とも述べた。

今回の会談は、ロイド・オースティン国防長官がシンガポールで中国の魏鳳和国防部長と会談し、台湾に対する攻撃的な行動に対して北京に警告した数日後のことだった。

魏国防部長はその後、シンガポールで開催されたシャングリラ対話での公式発言でアメリカを批判し、アメリカが中国を「中傷」していると非難し、対立を避けるよう警告を発した。 

バイデン大統領は最近、大統領就任後初めてアジアを訪問し、インド太平洋地域におけるアメリカの経済的関与の指針となる新たな枠組を発表したが、これは中国の影響力拡大に対抗するための努力と広く受け止められている。

アジア諸国歴訪中、バイデンは台湾を軍事的に守ることを約束し、アメリカの政策転換を示唆した。しかし、ホワイトハウスはすぐにこれを明確に否定しようと躍起になった。

ホワイトハウスは、今回のサリヴァンと楊潔篪の会談を、米中間の競争を「責任を持って」管理するための政権の幅広い努力の一環と位置づけた。

ホワイトハウスは声明を発表し、その中で「サリヴァン氏は、米中間の競争を管理するために、開かれたコミュニケーションラインを維持することの重要性を強調した」と述べた。

サリヴァンが最後に楊潔篪と会談を持ったのは5月18日のことだった。両者は3月にもローマで会談し、サリヴァンは中国がウクライナ侵攻の初期にロシアと連携していることに懸念を示した。

3月の会談の前に、バイデン大統領と中国の習近平国家主席がヴェデオ会談を行い、アメリカ大統領は中国に対し、もしロシアを援助するようなことがあれば深刻な事態を招くことになると警告を発した。

ホワイトハウスが再びバイデン・習近平会談の計画を立てているかどうかは不明である。バイデン政権のある高官は、現時点では「具体的なことは何も計画していない」と答えたが、会談の可能性についてはドアを開けたままにしているとも語った。

ホワイトハウスのカリーヌ・ジャンピエール報道官はその後記者団に対し、バイデンと習近平の今後の会談は予定されていないと述べたが、バイデン政権は「中国との開かれたコミュニケーションラインを維持し続ける」とも述べた。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。 

 今回、ドナルド・トランプ米大統領の外交交渉は全くうまくいっていない、成功していないということを取り上げている記事をご紹介したい。

 対中国、対イラン、対北朝鮮など、アメリカは国際的な諸問題に直面している。アメリカは、中国とは貿易戦争、イランと北朝鮮に対しては核開発、核兵器廃棄といった問題を抱えている。どれもこれもうまくいっていない。トランプ大統領が脅しをかけてみたり、すかしてみたり、良いことを言ってみたりと様々なことをやっているが、うまくいっていない。暗礁に乗り上げているという状況だ。

 トランプ大統領にとっては日本だけが唯一彼のいうことをほぼ受け入れてくれる国だ。防衛関連品を買えと言えば「はい、喜んで」と言い、トウモロコシがだぶついているので何とかしろと言えば、「是非買わせていただきます」となる。日本との場合は交渉ではなく、厳命、それですらなくて、指示、というくらいのことだ。

 ところが世界各国はそうはいかない。そして、それは、「トランプ大統領にはそもそも交渉術などないからだ」ということになる。トランプ大統領は不動産業で財を成し、自分の苗字「トランプ」をつけた高層ビルやホテル、リゾート施設をアメリカ国内外各地に持っている。自身が一代で今のトランプ・コーポレイションをここまでのグループにし、資産を築き上げた大富豪だ。それはトランプ大統領の実力、特に交渉力のおかげだと考えられている。しかし、長年トランプ大統領と一緒に仕事をしていた人物はそうではないと主張している。

 トランプ大統領の交渉術は「こん棒で叩きまくる」ようなもので、一対一で脅しをかけまくるものだということだ。交渉事というのは相手にも利益が出るように落としどころを探るものだ。「ウィン・ウィン」関係を成立させるものだ。しかし、トランプ大統領の考えは「自分だけが勝つ、得をする」ということで、それはなぜかと問われた時に、「世界には無数の人間がいて、取引するのは1回限りだから」と答えたという。また、脅しだけでなく、お世辞を駆使することもあるということだ。

 トランプは大統領になってもこのビジネスにいそしんでいた時代の交渉術を使っている。脅しで入り、相手が強硬だとお世辞を駆使する、という1つのパターンになっている。パターンになっていると、相手はどう対処すればよいか分かる。だから、放っておかれるということになり、交渉が暗礁に乗り上げるということになる。

 トランプ大統領が当選して3年、最初は突拍子もないことをやるということで、戦々恐々としていたが、だんだんパターンが見切られてしまい、放置されてしまうということになっている。ただ、日本だけは真剣に付き合って、言うことを聞いている。

(貼り付けはじめ)

トランプはどうして交渉を成立させることに失敗するのか(Why Trump Fails at Making Deals

―トランプ大統領は中国、イラン、北朝鮮、インド、最近ではデンマークといった国々との間での交渉に失敗している。彼を長く知っている人々は「現在のアメリカ大統領は実際には交渉能力の低いのだ」と述べているが、数々の失敗はそれを証明している。

マイケル・ハーシュ筆

2019年8月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2019/08/21/why-trump-cant-make-deals-international-negotiations/

これは彼のアピールの中核である。2015年に突然大統領選挙に出馬して以来、不動産王はアメリカの有権者たちの支持を勝ち取ろうとしてきた。有権者の多くがトランプ個人を嫌いでも支持せざるを得ないようにしてきた。トランプはこれまでずっと自分は交渉の達人であり、アメリカ国民のために多くの新しい合意を勝ち取ることが出来ると主張してきた。 

しかし、大統領選挙当選3周年が近づく中、トランプ大統領は国際的な交渉においてほとんど成果を挙げていないという証拠が山積みになっている。2018年にNAFTAの再編に合意して以来、中国、イラン、北朝鮮、その他の国々との最高レヴェルの交渉を再スタートさせるための彼の努力は全て暗礁に乗り上げている。今週、トランプ大統領は交渉が下手であることを再び見せつけてしまった。トランプ大統領はアメリカの親密な同盟国デンマーク訪問を中止した。デンマーク首相はトランプ大統領の盟友で、彼と同じく反移民の姿勢を取っている。しかし、トランプがグリーンランドの購入を提案し、デンマーク政府はグリーンランド売却を考慮することを拒絶したために、訪問が取りやめになった。技術的にはデンマークはグリーンランドをアメリカに売却することはできない。それはグリーンランドには自治政府があり、首相が選ばれているからだ。

トランプを長年見てきた多くの人々にとって、トランプが大統領になって外交交渉にことごとく失敗していることは、実業界での華々しいキャリアを実態以上に過剰に売り込んだことの結果でしかないということになる。トランプ・オーガナイゼーションで建築家として働いたアラン・ラピダスは「ドナルドの交渉能力は虚構でしかない」と述べた。ラピダスは十代の頃からトランプと知り合い、トランプが不動産業を家族でやっている頃から一緒に働いた人物だ。

ラピダスは本誌の取材に対して、「ドナルドの交渉術は絶叫と脅迫で構成されている。ドナルドには緻密さもないし、ユーモアのセンスもない。こん棒で殴りつける、殴りつける、殴りつける、これだけだ」と述べた。

ラピダスはトランプと彼の事業が交渉に成功したが、それはハーヴェイ・フリーマンやスーザン・ハイルブロンのような幹部社員の交渉能力や技術のおかげだと述べた。2人はトランプ・オーガナイゼーションのアトランティック・シティでの事業やリース事業のほとんどを管掌した。 ラピダスは「彼らは詳細な分析と資料の読み込みを全て行った。トランプがもしこの仕事をやらねばならなかったとしても、まずやらなかっただろう」と述べた。

トランプの仕事仲間や取引先だった人々は、トランプが交渉の席で銀行をやっつけていたと自慢しているのは話を盛り過ぎていると指摘している。その当時のトランプの会計責任者だったスティーヴン・ボレンバックの交渉術によって、トランプは1990年に9億ドルの負債を抱えて個人破産寸前まで追い込まれたが、うまく逃れることが出来たのだ、と彼らは述べている。

トランプの自伝作家で多くの機会でトランプにインタヴューをしてきたマイケル・ダントニオは、ラピダスの発言に同意している。ダントニオも大統領としての交渉術は彼が実業家であった時のものと何も変わらないと認めている。ダントニオは次のように述べている。「彼のスタイルは敵意むき出しで、交渉相手から可能な全ての妥協を引き出すためにいじめ同様の方法を採用する。そして自分の利益を最大化する。トランプが私に語ったところでは、相手と“ウィン・ウィン”ではなく、“私だけが勝つ”取引をすることにしか興味がないということだった。将来またビジネスをするかもしれないので相手に好意を見せるために、相手に何かしらの利益を与えたことはあったかと私が彼に質問したところ、答えは“ノー”だった。そして、世界にはこれだけたくさんの人間がいるのだから、取引は一度きりだ、と語った」。

会社相手ではなく国家相手の交渉をする際には状況は異なる。世界には一定数の国家が存在するだけだ。アメリカ大統領は諸大国と何度も何度も交渉し合意に達するという行為を繰り返すことになる。それは様々な分野で行われるものだが、あくまで友好的になされる。更に言えば、国家は企業のように競争をして負けたからといって退場することはできない。破産を申請することも簡単に解散することもできない。貿易関係においては、「私だけが勝つ」というゼロサムの結果は存在しない。

結局のところ、国の誇りというものが重要になる。交渉を成功させるには、相手方の顔を立てることも必要だ。世界各国の指導者たちは、ビジネス上の取引でやられてしまった人々のように、降伏することもこそこそ逃げ出すこともできない。トランプ大統領はこのような妥協を望まない姿勢を明確にしている。2018年のアメリカ・カナダ・メキシコの協定に関する話し合いで、大統領は義理の息子ジャレッド・クシュナーからの強い働きかけを受けて、カナダとメキシコにしぶしぶではあるが2、3の譲歩をしたと報じられた。の当時、アメリカ通商代表ロバート・ライトハイザーは「ジャレッドの働きかけがなければ、この協定は成立しなかっただろう」と記者団に語っている。

ダントニオは次のように語っている。「トランプ大統領は外交を行うこと、そして主権国家と交渉することの準備がそもそもできていないのだ。二国間もしくは多国間での利益を生み出すためのギヴ・アンド・テイクのやり方を彼は知らない。彼は自己中心的過ぎるために、自分とは異なる考えを持つ人々を敵と認識する。大統領は自分のいじめが通じない相手がいれば自分が攻撃されたと思い、彼の提案に対して自分の考えを述べるような人物には激怒するのだ」。

従って、トランプ大統領は、こん棒で叩きまくるアプローチでは交渉相手によっては交渉が行き詰まり、交渉開始当初よりも交渉が進んでいる段階での方が、合意形成がより難しくなるというパターンが出来上がっていることに気付いている。トランプ大統領は中国と対峙するための12か国からなる環太平洋パートナーシップ協定から離脱した後で、トランプ大統領は彼の方か一方的に中国との貿易戦争を始めた。しかし、結果は、彼の習近平中国国家主席が企業向け補助金と知的財産権侵害の主要な問題に対して何の対策も取らないということであった。市場からは2年間の停滞は国際経済に脅威を与えるという警告が出ていた。トランプ大統領はオバマ政権下で結ばれたイランとの核開発をめぐる合意を「これまでで最悪の合意」と非難した。そして、イランに対する経済制裁を再開した。その中には、イラン外相モハマド・ジャヴァド・ザリフ個人に対する制裁も含まれていた。イランをめぐる情勢は先行きが見えない。トランプ大統領は北朝鮮の最高指導者金正恩と親しくなろうとし、アフガニスタンにおけるアメリカの状況を改善するためにカシミール地方をめぐるインドとパキスタンとの間を仲介しようと無様な提案を行った。これらもまた何も進んでいない。一つの局面では、トランプ大統領はもうすぐある程度の成功を収めることが出来るだろう。それはタリバンとの交渉だ。トランプ大統領は交渉に関しては特使であるザルメイ・ハリルザルドに任せきりだ。専門家の中には、トランプ大統領が公約しているアメリカ軍のアフガニスタンからの撤退は、タリバンに勝利をもたらすだけだと恐怖感を持っている人たちがいる。

トランプ大統領自身は何の心配もしていないふりを続け、ほとんどの問題に関しては解決を「急いでいない」と繰り返し述べている。それでも今週水曜日に記者団に対して中国に対して「私たちは勝利を収めつつある」と述べ、「私は選ばれた人間なのだ」という見当違いのアピールを行った。しかし、彼は2020年に迫った大統領選挙までの時間を浪費することになるだろう。

トランプ大統領は世界各国との交渉にことごとく失敗しているが、国内でも失敗を続けている。トランプ大統領の主要な公約である社会資本(インフラストラクチャー)、移民、医療制度について実質的な話し合いはこれまでなされていない。トランプ大統領は刑法改革法を成立させたが、これは民主党が訴えていた政策であり、こちらも義理の息子クシュナーの交渉術のおかげである。思い返してみれば、今年の1月、トランプ大統領は公約した国境の壁に関して、民主党に完全に屈服した。大統領自身が始めた政府機関の閉鎖が35日間に及んだ。大統領は最終的には連邦政府職員の給料を支払うための一時的な手段を採ることに合意したが、国境の壁への予算はつかなかった。

トランプの交渉スタイルは予測しやすいもので、ある一つのパターンが存在する。別のトランプ伝記作家グゥエンダ・ブレアはこれを「こん棒で殴りつけることと愛情を大袈裟に表現すること(love-bombing)」と呼んでいる。中国とイランに対しては次のようなパターンになる。中国の習近平国家主席とイランのハッサン・ロウハニ大統領に対しては降伏以外にはないというようなことを言っていた。これは両者にとっては不可能ではないにしても政治的に難しいことになる。トランプ大統領は同時にお世辞を言うことも忘れなかった。今週、トランプ大統領はツイッター上で「習近平は中国国民からの大いなる尊敬を集めている偉大な指導者だ」と書き、ロウハニ大統領に関しては別の観点から、「ロウハニ大統領はとても愛すべき人物だと思う」と書いている。

金正恩委員長との関係ではトランプ大統領は最初のうち脅しを繰り返した。ある時点では、当時のレックス・ティラーソン国務長官を北朝鮮との交渉をしようとして「時間を無駄にしている」と非難した。しかし同時にお世辞を繰り返すことも忘れなかった。そして、首脳会談や私的なメッセージの交換を行った。トランプ大統領は金委員長に「核兵器を放棄すれば北朝鮮はとても豊かな国になる」と請け合った。

しかし、トランプ大統領の広報外交(パブリック・ディプロマシー)も大臣レヴェルの交渉者たちの交渉も素晴らしい成果を上げることはできなかった。しかし、金委員長は別だ。一連の外交を通じて、金委員長はこれまでにない程の国際的な関心と認知を受け、彼自身の政権の正統性も認められた。

ブレアは次のように語っている。「中国やデンマークに対してのトランプ大統領のアプローチは古くからのドナルドのやり方だ。彼は自分ともう1人だけが部屋にいる形にしようとする。だから多国間の条件や会議を彼は嫌うのだ。彼は部屋の中に1人だけ入れて、その人に集中して脅しをかけたいのだ」。

ブレアは、グリーンランドをめぐる買い取り要請もトランプのキャリアでのやり方をそのまま使っているものだと述べている。「今起きていることは、ブランド確立ということなのだ。まず、トランプ・コーポレイションのブランド確立があった。それからカジノ、リアリティTV番組、と続き、今は大統領としてのブランド確立が行われているのだ。大統領としてのブランドを確立するためには、世界最大の島を買い取ること以上により良い方法はないではないか?」

ラピダスのトランプ家との家族ぐるみの付き合いはトランプ大統領の父フレッド・トランプにまで遡る。ラピダスはフレッドとも建築士として一緒に仕事をした。トランプ大統領のアプローチは自分の仕事仲間や取引先にとってはおなじみのもので驚きはないとしている。ラピダスは次のように述べている。「トランプ大統領のやり方は彼がビジネスをやっていた時と全く同じだ。彼がやっていることはその継続に過ぎない。とどまることを知らない嘘が続けられる。当時の私はそれを見ながら、なんだかかわいげを感じていた」。

ラピダスは、「トランプの交渉スタイルは、当時も今も、その場しのぎで何の明確な戦略などないのだ。私は、彼が頻繁に更新するツイッターを見てますますその思いを強めている」と述べている。ラピダスは、1980年代のアトランティック・シティでのカジノの件をめぐる裁判での審理のことをよく覚えている。トランプは出廷し宣誓をしたのち、カジノを建設した理由について嘘の証言をした。ラピダスは、何とか嘘を止めねばならないと感じたと述べている。

ラピダスは次のように語った。「その後で私はトランプに、何をやっているんだ、どうしてあんなことを言ったんだと食って掛かった。彼は“アラン、私はね、自分の言葉が口から出るまで私は何を言っているのか自分でも分からないんだよ”と言った。これがドナルド・トランプという人物なのだ」。

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(終わり)
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決定版 属国 日本論

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 今回は現在の日韓関係の悪化はアメリカの弱体化の兆候だという内容の記事をご紹介します。記事の内容は日韓関係の悪化を概観しながら(徴用工問題と慰安婦問題を混同している点は誤りがあります)、アメリカの存在感と影響力が以前のように大きければ、更なる悪化を防ぐことが出来るのだが、それはもう望むべくもない、ということを主張しています。

 

 著者のスティーヴ・クレモンスは北東アジアの国際関係の専門家ですが、日中韓それぞれが行き過ぎた行動をとっていると述べています。

 

 韓国の最高裁が徴用工問題に関して、韓国で経済活動を行っている日本企業に対して賠償金支払い、もしくは財産の没収という判決を出しました。サンフランシスコ講和条約で日米両政府は相互に請求権を放棄しました。これに対して被爆者がアメリカに被害の補償を請求できなくなったとして日本政府を提訴しました。これに対して、日本政府は、「外交保護権(自国民の被害に対して政府が外国政府に補償を求める権利)」は放棄したが、被爆者個人が請求する権利は放棄していない、という立場を取りました。

 

日本では被爆者がアメリカに対して個人的に被害の保証を請求することを否定できない立場から、韓国の徴用工や慰安婦についても個人請求権は否定しないという立場でした。しかし、その後は日本の裁判所では個人の請求権を認めないという判決が出て、韓国や中国の元徴用工や慰安婦、戦時中に被害を受けた人たちが日本の裁判所で訴えても、請求が認められないということになりました。

 

 韓国の最高裁の判決によって、元徴用工の訴えが認められたことが発端となりました。日本政府は当然、そのような判決は認められないという立場です。韓国政府も日韓国交正常化(1965年)の際に請求権問題は解決している、日本が韓国に支払った経済協力金(実質的な賠償金)には徴用工の保証の資金も含まれている、という立場ですから、最高裁の判決には当惑したものと思われます。しかし、三権分立(日本も韓国もそうです)で、司法の独立が尊重されるとなると、韓国政府が最高裁の判決を変更することはできません。

 

 私は大人の態度というのは、ここで態度を硬化させるのではなく、それでは話し合い、交渉をしてお互いに納得が出来る点を見つけましょう、というものだと思います。しかし、このような状況下、日本政府は軍事転用可能な物資や技術の最終輸出先に不安があるという立場(北朝鮮に渡り各開発プログラムに使われる危険性がある)から、半導体製造の原材料の韓国への輸出規制を強化し、韓国を輸出規制に関して優遇措置が受けられるホワイト国から除外しました。

 

 韓国内では徴用工問題の報復として、韓国の主要産業となっている半導体製造などに影響を与える行為として反発が起きました。そして、韓国からは日本の韓国におけるホワイト国認定の解除と日韓秘密軍事情報保護協定(GSOMIA)の破棄という反撃が起きました。韓国からの安全保障上重要な情報やデータが日本に入ってこないということになると、一番の懸念は北朝鮮に関する情報やデータが直接入ってこないということです。アメリカは両国と協定を結んでいますから、日本の安全保障に関連するということになれば、韓国から提供された北朝鮮の情報やデータを日本に提供するでしょうから、大きな影響はないかもしれませんが、アメリカを介しての安全保障関係を結んでいたはずだった韓国からの「手切れ」は大きな衝撃となりました。

 

 日本側は貿易問題と安全保障問題は全くの別物だという立場で、韓国政府の行動を非難していますが、そもそも日本側の貿易管理強化は、対北朝鮮の懸念という安全保障上の理由から起きたもので、日本政府の行動こそは安全保障と貿易問題を一緒にしています。

 

 今回ご紹介する記事の著者クレモンスは、アメリカの存在感と影響力がしっかりとしていて、安全保障に関与していたならば、今回のような日韓関係の悪化はなかっただろうという立場です。そして、日韓両国政府は、対立がもたらす大きなリスクを認識し、対立を激化させないようにすべきだと主張しています。

 

 北朝鮮に関しては、アメリカのドナルド・トランプ大統領と北朝鮮の金正恩委員長のトップ会談がシンガポールとヴェトナムのハノイで2回、更に今年6月30日には大阪でのG20の後にトランプ大統領が38度線を訪問、板門店で、「トランプ大統領のツイッターでの呼びかけを読んだ」とする金委員長と会い、話し合いを行いました。

 

 このように北朝鮮をめぐる情勢は、外見上は華やかですが、実質的には何も進んでいません。核兵器放棄も行われる兆候は見られません。そのうち、アメリカは中国との貿易戦争を開始し、今も続いています。クレモンスは、「1930年代のスムート・ホーリー関税法時代の悪夢」と表現しています。日韓貿易戦争もまたこの小型版と言えるでしょう。米中貿易戦争の主眼はホアウェイ(ファーウェイ、為華技術)の5Gをめぐる争いという面もあり、日韓貿易戦争にはファーウェイとアメリカの間で板挟みになるサムソンに対する日本からの圧力(アメリカからの依頼[命令]でしょう)という面もあると思います。


 「交渉の達人」ということで、アメリカ大統領になったドナルド・トランプ大統領ですが、国際政治や国内政治の舞台では、全くうまくいっていません。トランプ大統領が行ってきた交渉術は脅しと開き直りであって、国際舞台では通用しない、という批判も出ています。

 

 北東アジア地域を一気に不安定にさせている米中貿易戦争と日韓貿易戦争は、とどのつまり、アメリカの衰退の兆候であり、国際関係の構造が大きく変わる、終わりの始まりということが言えるでしょう。そうした中で、日本はあまり大きな被害を受けないように、いきり立って対応するのではなく、「柳に風」と受け流すというくらいが良いのだろうと思います。

  

(貼り付けはじめ)

 

韓国と日本との間の争いはアメリカの弱体化を示す兆候(South Korea-Japan spitting contest is a sign of US weakness

 

スティーヴ・クレモンス筆

2019年8月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/international/458763-south-korea-japan-spitting-contest-is-a-sign-of-us-weakness

 

現在、各地で緊張状態が発生しているが、アメリカがそれらを土壇場で救うことが出来ると考えている人たちはほぼいない。

 

アメリカの同盟国であるサウジアラビアとアラブ首長国連邦はカタールに対して禁輸措置を実施している。カタールには中東地域最大規模のアメリカ軍基地が置かれている。イギリスはヨーロッパから離脱しようとしている。トルコはロシアから防空システムを購入し、アメリカとNATOを拒絶している。香港ではデモが激化している。香港の民主政治体制は危機に瀕している。中国とアメリカはお互いに関税引き上げを激化させている。スムート・ホーリー関税法時代の悪夢を復活させようと夢中になっているかのようだ。

 

現在、アメリカの同盟国である日本と韓国はお互いに非難合戦を激化させ、日米韓3か国の防衛同盟の枠組みに脅威を与えるような状況になっている。3か国の枠組みによって、北朝鮮は封じ込められてきたし、枠組みの存在は北東アジアにおけるロシアと中国の冒険主義に対する堤防となってきた。

 

こうした状況に加え、トランプ大統領はグリーンランドをめぐる発言でデンマーク国民を怒らせている。また、アマゾンの密林の20%が焼失しようとしている。混乱状況はこれまでにない高みにまで到達しつつある。

 

過去を振り返ってみると、アメリカが安全保障を与えることで、世界の各地域は、お互いに敵意を持つ国々で構成されていながらモラルハザードに陥らないで済んできたと私は考えている。アメリカが地域の平和を守り、地域の近隣諸国間の角逐を和らげる役割を果たした。これで地域の近隣諸国は無謀な、ナショナリスティックな主張をお互いに繰り返しながらも、地域の状況が不安定化する、もしくは戦争が起きるというところまではいかなかった。

 

日本の政治指導者たちは靖国神社に参拝することで、第二次世界大戦前の価値観を復活させようとし、ナショナリスティックな感情を弄んできた。靖国神社には戦時中の日本の戦争指導者たちの霊魂が祀られている。また、日本の政治指導者たちは、日本が戦時中に行った大量殺人、性的暴行、日本が支配した中国と朝鮮半島の人々からの収奪について、ごまかし、正当化しようとしている。

 

韓国の政治指導者たちは、悪意に満ちた日本に敵対する言動を行っている。このような言動を行うのは、かつて日本が植民地化した際に行った犯罪について繰り返すことで、自分たちの正統性を明確にしようという狙いがあるからだ。

 

中国でも状況は同じだ。中国の教科書のほぼ全ては歴史において日本を怪物のような悪者に仕立て上げようという熱意に満ちている。 物事をはっきりさせたいのだが、日本は戦時中にアジアで残酷なことを行った。そして、歴史に対して記憶喪失のようになっている。しかし、中国の教科書やテレビ番組は日本に対する歪められた固定観念に溢れている。

 

地域内の争いの激化を克服するために、アメリカは日本の攻撃的な軍事力の復活を止めるボトルのコルクに役割を果たしたし、日本と韓国にとっての安全保障上の重要なパートナーとなった。その結果、日韓両国は、歴史における恨みはありながらも、情報・諜報関係と安全保障上のパートナーとなった。

 

日本と韓国との間の協力関係は重要だ。特にアメリカの安全保障、そして両国の安全保障にとって大変に重要だ。北朝鮮が脅威であるという認識から出てくる両国の違いと争いと北東アジア地域においてアメリカが地域の安定の基盤となるものを提供することが出来なくなっていることが明らかになることで、日韓の協力関係は弱くなっている。

 

先週、日本側の行為が韓国側の更なる行為にとっての引き金となった。韓国側は日本との情報共有協定を破棄した。この協定は軍事情報に関する包括的保全協定(GSOMIA)と呼ばれるものだ。その引き金となったのは、日本が韓国に対する輸出管理格付けを変更したことであった。日本側は韓国から重要な技術や物資が北朝鮮に密輸されるのではないかという恐怖感を持っており、そうした行為を行った。

 

韓国の文在寅大統領は北朝鮮の金正恩に対して媚びへつらっている。これはトランプ政権が北朝鮮の指導者に寒い場所あら出てくるようにと温かく働きかけていることに対する反応である。日本側は、核技術にとって重要な技術や戦略的物資が韓国企業から北朝鮮に輸出される可能性があるという恐怖感を持った。日本はこれらの技術や物資の韓国に対する売却を差し止めなかった。しかし、日本は貿易に関する韓国の格付けを変更した。結果として、北朝鮮に対する輸出が懸念される物資などは、北朝鮮の核開発プログラムに使用されないことを確実にするために、項目別の許可制の対象となり、より厳しく監視されることになった。

 

日本側の措置は韓国の指導者たちを激怒させた。そして、両国間の争いを激化させた。韓国最高裁はそれまでの国際的な合意を無視し、現在韓国で活動中の日本企業の一部に対して第二次世界大戦中のこうした企業の「慰安婦」に対する取り扱いに対して賠償金を支払うように命令を下した。慰安婦は日本の占領軍の将兵のために売春行為を強要された女性たちだ。そして、実施しないようにというアメリカと日本からの要請があったにもかかわらず、韓国は日曜日に自動延長が予定されていたGSOMIA情報共有枠組を停止した。

 

ある日本政府高官は韓国側の行動を「無謀」で「錯乱」したものだと断じた。複数のアメリカ政府高官は、GSOMIAの停止は日米韓の同盟関係を損なうものとなるであろうし、その結果として地域の安定を失い、北朝鮮を勇気づけ大胆な行動をとらせることにつながるだろう、そうなれば分裂はさらに深まると繰り返し発言した。

 

日本の河野太郎外相は「大韓民国政府による決定は現在の北東アジア地域の安全保障環境について完全に誤った判断をしているものであり、従って大変遺憾であると言わざるを得ない」と発言した。河野外相は更に続けて、「大韓民国政府は、大韓民国に向けた輸出管理の日本の見直しをめぐる合意を拡大するのではなく、安全保障の面でこのような決定を行った。輸出管理と安全保障は全く次元の違うものだ。従って、大韓民国政府の主張は全く受け入れられないものであり、私たちは大韓民国政府に対して強く抗議するものである」と述べた。

 

今回の件が起きる前にも日本と韓国の指導者たちは仲たがいをしていた。そして、日本の公式の認識と慰安婦に対する犯罪に対する悔恨などの諸問題で争いを続けていた。しかし、両者の争いはアセアンやG20の場でも展開され、両者は同じステージに立つことを拒絶した。一度は日本の安倍晋三首相と韓国の文在寅大統領が同じにステージに立つことを拒絶した。しかし、重要な情報交換協定を破棄するまでには至らなかった。

 

明らかになりつつあるのは、このようないら立ちが募る状況下におけるアメリカの影響力は減退しつつあるということだ。そして、世界におけるアメリカの戦略的縮小がもたらす現実は、お互いに敵意を持つ国々の間を取り持つ緩衝材という役割が小さくなっていくというものだ。アメリカが安全保障を提供することで、地域を構成する国々の指導者たちは、無謀な、ナショナリスティックな、地域に危険をもたらす発言をしながらも実際に地域に不安定がもたらされることも、戦争がもたらされることもなかった。アメリカによる安全保障は子供たちが寝るときにしっかりと抱き締める毛布のようなものであった。しかし、そのようなことは現在では全く期待できない。

 

現在、発言や行動が更に重要になっていくであろうし、アジア地域における実際の紛争をもたらす可能性が高まっている。歴史は繰り返す。アジア諸国の指導者と国民は、同盟感懐を犠牲にし、安定的な安全保障関係の合意を破棄することがどれほど高くつくかということを認識する前に、まず争いがどれほどコストをもたらすものかについて認識する必要があるのだ。

 

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