古村治彦です。
2022年7月10日に第26回参議院選挙の投開票が実施された。結果は自民党が改選前議席(55議席)から8議席を増やして63議席増やして大勝ということになった。公明党は1議席減らして13議席となったが、「与党で過半数」という岸田文雄元首相が掲げた勝敗ラインを超えることになり、岸田首相は初めての国政選挙で勝利した。自民党は非改選55議席と足して、参議院で118議席(参院全体で248議席・過半数は125議席)となった。公明党は非改選14議席と足して27議席となり、自公連立与党で145議席(3分の2の議席数は165議席)となった。
「与党系野党(ゆ党)」の日本維新の会は改選前6議席から6増の12議席となり、参院全体では非改選と合計して21議席となった。憲法の変更を進める勢力これで166議席となり、3分の2を超えた。新たに与党系野党の仲間入りをした国民民主党は改選前7議席から2減の5議席となり、非改選と合わせて10議席となった。与党系はこれで176議席となった。参院全体の7割を与党系が占め、「大政翼賛会」体制が盤石なものとなった。
野党第一党の立憲民主党は惨敗だった。開戦前23議席から6減の17議席で、非改選と合わせて39議席となった。共産は改選前6議席から2減の4議席で非改選と合わせて11議席となった。れいわ新選組は改選0議席から今回3名が当選し、非改選と合わせて5議席となった。社民党は現有1議席を確保した。政党要件である得票率2%を確保した。NHK党、参政党は1議席ずつ獲得し加えて政党要件を突破した。NHK党は2議席を持つことになった。
自民党大勝、安倍晋三元首相の暗殺が大きく影響と考えられるが、私はそれについては疑問を持っている。下記2つの記事を参考にしてみていきたい。投票率について言うと、前回の衆院選の投票率は55.93%で、今回の参院選が52.05%だったことから、投票に行った人の数は減っている。安倍氏への弔意を示すためならば、投票率が挙がっても良さそうなものだが、選挙に行かないという決定をした人が前回衆院選よりも増えたということになる。最近の酷暑も外出をためらわせることもあっただろう。しかし、期日前投票は過去最高を記録したということで、組織票関係は日曜日の前に既に済ませるということになっているのだろう。
また、各政党の比例における得票数と得票率を見ると、以下の通りとなる。
・自由民主党
衆院選:1991万4883票(34.7%)→参院選:1825万8791票(34.4%)
・公明党
衆院選:711万4282票(12.4%)→参院選:618万1431票(11.7%)
・立憲民主党
衆院選:1149万2094票(20%)→参院選:676万9789票(12.8%)
・日本維新の会
衆院選:805万830票(14.0%)→参院選:784万5985票(14.8%)
・日本共産党
衆院選:416万6076票(7.3%)→参院選:361万8342票(6.8%)
・国民民主党
衆院選:259万3396票(4.5%)→参院選:315万9110票(6%)
・れいわ新選組
衆院選:221万5648票(3.9%)→参院選:231万9159票(4.4%)
・参政党
衆院選:0票(※擁立せず)→参院選:176万8349票(3.3%)
・社民党
衆院選:101万8588票(1.8%)→参院選:125万8621票(2.4%)
NHK党
衆院選:79万6788票(1.4% ※当時の名称は「NHKと裁判してる党 弁護士法72条違反で」)→参院選:125万3875票(2.4%)
自民党は横ばい、公明党はやや減少というところだ。全体で一人負けとなっているのが立憲民主党だ。得票率を4割減させ、日本維新の会に逆転されている。しかし、日本維新の会も横ばいである。現職がいる大阪と兵庫で勝利を収めたがその他の地域では浸透できず、東京でも敗北した。ここが一つの最大拡大圏ということになるだろう。国民民主党、社民党は投票率が下がった中で得票数、得票率を上げている。国民民主党はこれから「ゆ党」として存在感を増していくだろう。第二経団連と化した連合にとっては支持しやすい政党が出来た。連合の存在意義が問われるが現在の状況では御用組合、第二経団連以上の存在にはなれないだろう。
こうしたことを考えてみると、国民は政治に関心を失い、とりあえずということで、自民党に入れているということが考えられる。「これまでもずっと自民党だったし今回もそしてこれからも自民党」という惰性が働いている。安倍晋三元首相の「弔い合戦」にすらならなかった。それこそは日本政治の危機と言えるだろう。
(貼り付けはじめ)
●「安倍氏の遺志継ぐ」自民が大勝。立憲は苦戦、議席を伸ばしたのは“あの党”だった【参院選の結果まとめ】
吉川慧
『ビジネス・インサイダー』誌
Jul. 11, 2022, 09:40 AM 政治31,777
https://www.businessinsider.jp/post-256460
【2022年の参院選のポイント10】
自民単独で改選議席の過半数、与党で参院全体の過半数超え
改憲4党で改憲発議に必要な参院全体「3分の2」超え
立憲は公示前勢力を下回る
日本維新の会が議席増
公明、共産、国民は議席減
れいわ新選組は議席増、山本太郎代表が当選
社民党は政党要件維持、福島瑞穂党首が当選
NHK党も政党要件維持、「ガーシー」が当選
政治団体「参政党」が比例で1議席、比例得票2%超えで国政政党へ
女性当選者が過去最多の30人
改選125議席を争った第26回参院選が10月31日投開票され、自民党が単独で63議席(選挙区45・比例18)を獲得し、改選議席125の過半数を占め、大勝。公示前111議席から119議席となった。一方、野党第1党の立憲民主党は現有議席を下回った。NHKなどが開票速報で伝えた。
参議院の非改選を含めた定数は248。今回は改選124議席と神奈川選挙区の補欠選挙を合わせて125議席を争った。
岸田文雄首相は勝敗ラインについて「与党で過半数」と述べていたが、それを上回った。
また今回の選挙で憲法改正に前向きな自民・公明・日本維新の会・国民民主党の「改憲4党」が参院全体の3分の2(166議席)を超える177議席となった。
今回の参院選で、投開票2日前の7月8日、奈良市で演説中の安倍晋三元首相が銃で撃たれ死亡した。首相経験者が殺害されたのは戦後初めてのことだ。
首相経験者の現職国会議員が凶弾に倒れた異例の事態に、与野党を問わず「民主主義に対する攻撃だ」と非難の声が挙がった。
翌日の選挙戦最終日となる9日、東京・銀座四丁目交差点で開かれた自民党の街頭演説会。演説開始前には安倍氏への黙祷が呼びかけられた。街宣車と聴衆の間には距離がとられ、SPや警察官が列を形成して目を光らせていた。
党の選挙スタッフは喪章をつけていた。SPと見られる人が選挙スタッフに「自民党さん?喪章をつけてください」と声をかけている場面も。喪章は関係者を見分ける意味合いもあるようだった。
応援弁士は「テロに屈することなく選挙を戦い抜く」「絶対に負けられない戦い」「安倍氏の遺志を継ぐ」と話し、候補者も「安倍先生の思い描いた未来を引き継いでいかなければ」(東京選挙区・生稲晃子氏)など、安倍氏の遺志を引き継ぐ姿勢を鮮明にし、有権者に投票を訴えていた。
立憲・泉代表「右と左に野党が分かれている」 党勢立て直しが急務
立憲民主党は公示前45[改選23]で、今回獲得したのは17議席(選挙区10・比例7)にとどまった。新勢力は38議席。野党第1党は維持したが、現有を下回る苦戦。比例の得票は維新を下回った。党勢の衰退になかなか歯止めがかからない。
3年前と6年前の参院選では、立憲などの野党は32の1人区で原則候補者を一本化し、与野党対決に持ち込んだ。
今回は「32人の1人区が大事だと考えていた」(西村智奈美幹事長)としながらも、野党統一候補の調整ができたのは11選挙区にとどまった。
結果、野党系候補は1人区で4勝28敗。新潟の森ゆうこ氏など著名な議員が議席を失った。小沢一郎氏の地元の秋田でも現職が敗北し、自民党が30年ぶりに議席を獲得した。
泉健太代表は10日の会見で「共闘すれば勝てる、しなかったから勝てないという単純な話ではない」とは言うものの、1人区は選挙全体の勝敗をカギを握るとされる。このままでは政権交代は遠のくばかりだ。
激戦の東京選挙区(6人区)では蓮舫氏が現有議席を確保。ただ、過去の選挙ではトップ当選だったが今回は4番手。NHKで当確が出たのは午後9時前後だった。
泉代表の地元である京都選挙区(2人区)では、自民や維新の新人と激しく争った福山哲郎前幹事長が議席を守った。
蓮舫氏は党への支持が広がらなかった理由について「何をやりたい政党なのか何をしてくれる政党なのかメッセージ性が薄かったと思う」と話した。
共産党との共闘を嫌う立憲の支持団体の一つ「連合」との足並みの乱れも垣間見えた。
2月、連合は今回の参院選の基本方針で、支援政党を明記しないという異例の方針を決めた。さらに1人区で立憲と国民民主党が競合することを容認した。立憲と国民民主党の間で一人区での候補者調整が進まなかったことで、組織の分裂を防ぐ目的があった。参院選を控え、自民党も連合に接近。野党勢力の分断を図る狙いが伺えた。
連合との距離感について、泉代表は10日の会見では「現場では惜しみない支援があり、勢いをつけていただいた」「政党自身が積極的に支援してもらえるよう、政治の側こそ努力すべきことがある」と連合への感謝を述べた。
かつて泉代表が「兄弟政党」と語ったことがある国民民主党(代表:玉木雄一郎氏)との関係については、こう語った。
「現場では生活者目線の物価対策、働き方改善、賃上げなど一緒に訴えるという環境は全国各地、地域地域の中には存在していると思う。そうした声を両党の本部は重く受け止めなければならない」
「働く人の立場を守るためにどう行動してくべきか、両党の執行部は真剣に考える時が来ている」
いずれにしろ、党勢の立て直しが急務となることは、泉代表も痛感しているようだ。
泉代表が「6年前の選挙と野党の状況は随分変わった。右の野党、左の野党にわかれ、それぞれがまとまれない状況が続いている」と述べるように、自民党に対抗できず、野党間の“つぶしあい”で存在感を発揮できない状況が続いている。
ただ、今後も自らが党の立て直しを図る意思を示し、党代表からの辞任は否定した。
維新「15」→「21」へ議席増
野党第1党の立憲が議席を減らした一方、昨年の衆院選に続いて議席を増やしたのが日本維新の会だ。
公示前は15議席[改選6]だったが、今回は12議席を獲得。比例だけで見れば得票は立憲を上回る野党第1党に。新勢力は21議席と躍進した。
ただ、選挙区は4議席にとどまり東京などでは敗北。関西圏では強いが全国政党となるには課題もありそうだ。松井一郎代表は10日の会見で「躍進という結果ではない。少し期待値が上がったのかな、という受け止めだ」と述べた。
また松井代表は「次の代表に引き継ぎたい」として党代表を辞任する意向を示した。すでに2023年4月の大阪市長の任期満了とともに政界引退の意向も表明しており、世代交代を図る方針だ。
比例区では現職の石井苗子氏、新人の松野明美氏や中条きよし氏、元都知事の猪瀬直樹氏らが当選確実となった。
れいわ議席増、社民は政党要件維持、NHK党は「ガーシー」当選
その他の党の情勢をNHKの開票情報から見てみよう。
自民党と連立を組む公明党は公示前28[改選14]で、今回13議席を獲得。1議席を失い、27議席となった。
共産党は公示前13[改選6]議席で、今回は4議席を獲得。2議席減の11議席となった。激戦の東京選挙区(6人区)では現職の山添拓氏が3番手で当選。議席を守った。
国民民主党は公示前12[改選7]議席で、今回は5議席を獲得。新勢力は2議席減の10議席となった。
公選法上の政党要件を維持できるか、党の存亡を賭けた戦いと位置づけて戦った社民党は、共同通信によると比例区で2%を得票してなんとか政党要件を死守。全国比例の福島瑞穂党首が5回目の当選を果たし、公示前の1議席を守った。
れいわ新選組は山本太郎代表が東京選挙区で当選し、国政に復帰。比例では重度障害がある天畠大輔氏、コメンテーターの水道橋博士氏も議席を獲得し、公示前2議席から5議席に勢力を伸ばした。
NHK党は比例で1議席を獲得し、公示前勢力と合わせて2議席に。政党要件も維持した。YouTubeで「ガーシー」を名乗り、芸能界のスキャンダル話の“暴露”で話題を集めた東谷義和氏の当確も伝えられた。
政治団体「参政党」が比例で1議席、国政政党へ。
今回の参院選で新たに議席を得たのが、政治団体の参政党だ。比例で1議席を獲得。公選法上で政党要件を満たす得票率2%を超えることが確実となったと共同通信が伝えた。
参政党は自民党からの出馬経験がある元吹田市議会議員の神谷宗幣事務局長らが一昨年に設立した保守色が強い政治団体。主にTikTokやInstagramなどのSNS、YouTubeのショート動画などで演説の「切り抜き」動画が拡散され、急速に支持を広げた。
今回初の国政選挙への挑戦で選挙区に45人、比例で5人を擁立。党員・サポーター数は約8万2000人、選挙資金約5億円は党費や寄付・クラウドファンディングで集めたという。
参政党は、「学力(テストの点数)より学習力(自ら考え自ら学ぶ力)の高い日本人の育成」「化学的な物質に依存しない食と医療の実現と、それを支える循環型の環境の追求」「日本の舵取りに外国勢力が関与できない体制づくり」を3つの重点政策とした。
具体的には、探究型フリースクールを地方自治体が作れるようにする法改正、国や地域・伝統を大切に思える自尊史観の教育、農薬や肥料・化学薬品を使わない農業と漁業の推進、外国資本の企業買収や土地買収を困難にする法律制定、外国人労働者の増加抑制、外国人参政権を認めないことなどを主張。また、政府の新型コロナ対策を批判。ワクチンを打ちたくなければ打たない自由もあると訴える。また、戦後教育や既存のマスメディアへの批判を唱えている。
女性当選者、過去最多の29人
今回の参院選では全候補者545人のうち女性候補者数は過去最多の181人に。全候補者に占める女性候補者の割合も過去最高の33.2%となった。選挙の結果、女性の当選者は30人でこれまでの最多となった。
※最新の情報に記事を更新しました(2022/07/11 12:21)
(文・吉川慧)
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国民民主党、実は人気を伸ばしていた?自民・公明は微減、立民は大幅マイナス...参院選「党派別得票率」を見る
議席を減らした国民民主に明るい兆し?社民党は政党要件を維持。
ハフポスト日本版編集部
2022年07月11日 12時31分 JST | 更新 1日前
https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_62cb8575e4b06e3d9bb6ecee
参議院議員選挙は7月10日に投開票され、憲法改正に前向きな自民・公明・維新・国民の4政党の議席が全体の3分の2を超える177議席に到達。与党勝利が大々的に伝えられる結果となった。
一方で、2021年10月31日に実施された衆議院議員選挙と、今回の参院選で、政党や政治団体などに票を投じる比例代表の得票を見ていくと、違った傾向も見えてくる。
■自公は減少、立民は大幅に減らす
衆院選の比例代表では政党や政治団体名に、参院選ではそれに加えて候補者名にも投票可能。いずれの場合も、党派別の得票数として集計される。
去年の衆院選と今回の参院選を比べると、党派別の得票率、つまり政党や政治団体が獲得した票の割合は次の通りとなっている(参院選の得票数はNHKのまとめを参考にしている)。
なお、衆院選の投票率は55.93%で、今回の参院選が52.05%となっている。そのため、全体の票数は衆院選の方が多い。得票数では按分を切り捨て、得票率では小数点第2位を四捨五入している。
自由民主党
衆院選:1991万4883票(34.7%)
→
参院選:1825万8791票(34.4%)
公明党
衆院選:711万4282票(12.4%)
→
参院選:618万1431票(11.7%)
立憲民主党
衆院選:1149万2094票(20%)
→
参院選:676万9789票(12.8%)
日本維新の会
衆院選:805万830票(14.0%)
→
参院選:784万5985票(14.8%)
日本共産党
衆院選:416万6076票(7.3%)
→
参院選:361万8342票(6.8%)
国民民主党
衆院選:259万3396票(4.5%)
→
参院選:315万9110票(6%)
れいわ新選組
衆院選:221万5648票(3.9%)
→
参院選:231万9159票(4.4%)
参政党
衆院選:0票(※擁立せず)
→
参院選:176万8349票(3.3%)
社民党
衆院選:101万8588票(1.8%)
→
参院選:125万8621票(2.4%)
NHK党
衆院選:79万6788票(1.4% ※当時の名称は「NHKと裁判してる党 弁護士法72条違反で」)
→
参院選:125万3875票(2.4%)
※議席を獲得した政党・政治団体のみ記載
■国民民主に明るい兆し?
強固な支持基盤を固め選挙運動を展開する自民党と公明党は、全体の得票率では微減だった。減少ぶりが目立つのは立憲民主党。野党共闘を旗印に掲げて臨んだ衆院選と違い、今回は与野党一騎討ちの構図を十分に作りきれなかった。
選挙前勢力から議席を積み増した日本維新の会は、全体の得票率も微増だった。
国民民主党は改選7議席から、選挙後は5議席と減らした。しかし全体の投票数が衆院選と比べて減ったのにも関わらず、比例票は増加。割合も4.5%から6%へ増やすなど明るい兆しを残した。
社民党は、比例代表の得票率が2%を上回らないと公職選挙法上の政党要件を維持できない選挙だった。党首の福島みずほ氏も当選となり、支持層の危機感が反映された可能性がある。
参政党は170万を超える比例票を獲得。YouTubeやTiktokなど、SNSを通じた選挙戦略が奏功したとみられる。
(貼り付け終わり)
(終わり)※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。
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