古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:国家安全保障戦略

 古村治彦です。

 ドナルド・トランプ大統領が2025年12月に発表した「国家安全保障戦略(National Security StrategyNSS)」は、アメリカによるヴェネズエラ攻撃が実施されたことで、注目度を増している。この文書にはアメリカの「西半球回帰」、モンロー主義(ヤンキー帝国主義)への回帰が明らかになった。第二次トランプ政権の外交政策が「国家安全保障戦略」を基盤にして進むとすれば、この文書に注目するのは当然のことだ。

 「国家安全保障戦略」において、トランプ政権はヨーロッパの「文明の消失(civilizational erasure)」を危惧している。トランプ政権が考える「ヨーロッパ文明」は「白人文明」であある。非白人、非キリスト教徒の移民を多く受け入れることでヨーロッパらしさがなくなっているということである。また、ヨーロッパが安全保障分野において、アメリカに「ただ乗り(free-ride)」をしているという批判も継続している。更には、厳しい規制のために創造性と工業力が低下したために経済力の低下も起きているという指摘もしている。NATO加盟諸国は防衛費の対GDP比を5%(そのうちの1.5%はインフラ整備)にまで引き上げるとしている。アメリカ(トランプ政権)はヨーロッパに対して、移民を制限し、防衛費の増額を求めている。アメリカはヨーロッパに対して厳しい要求を突きつける形で介入をしている。

 こうした中で、ヴェネズエラ攻撃が発生した。また、トランプ大統領自身からグリーンランドについての言及もあった。ヨーロッパ諸国は対応に苦慮している。ヴェネズエラ攻撃に関しては主語を曖昧にして、「国際法は遵守されるべき」と生ぬるい対応をしていれば良いが、グリーンランドで何か起きれば、そうも言っていられない。ヨーロッパ諸国のほぼ全てがNATOに加盟し、集団的自衛権の義務を負う。アメリカ軍がグリーンランドに侵入すれば、当事国デンマークと共にアメリカ軍の排除に出動しなければならない。対ソ連(現在は対ロシア)の防衛同盟であったはずのNATOという枠組みで、そのリーダーであるアメリカが脅威となるという異常事態である。

 トランプのアイソレイショニズム(Isolationism)は、アメリカを国内に戻すということではなかった。世界の警察官(World Police)の役割を放棄して、自身が切り取り強盗になるということであった。そして、全ては「アメリカ・ファースト」という言葉をお題目にして、正当化するというものであった。私は「国家安全保障戦略」を読んで、「何でもアメリカ・ファーストと言えば万事OK、全てがうまくいくと思っているな」という感想を持った。「アメリカ・ファースト」は「世界の諸問題ではなく、アメリカ国内の諸問題を解決することを優先する」ということであったはずだ。トランプ本人が「トランプ革命」を裏切った。いつの時代も革命の指導者が革命を裏切るものであるがそれが世の習いというものだろうか。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領の「国家安全保障戦略」は西側諸国の崩壊に向けた青写真だ(Trump’s National Security Strategy Is a Blueprint for the Demise of the West

-ホワイトハウスの政策は一貫性に欠けるかもしれないが極めて危険だ。

ハワード・フレンチ筆

2025年12月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/12/11/trump-national-security-strategy-blueprint-west-demise/

かつて、アメリカの著名な保守派の人物たちは、西ヨーロッパの同盟諸国に対する数々の使い古された不満に固執していた。

冷戦期のアメリカのイデオローグたちによれば、ヨーロッパ諸国は過剰な税金を課し、その資金を過度に手厚い社会保障制度に費やし、それがヨーロッパを弱体化させ、技術革新と成長を阻害しているという。ヨーロッパは、かつて資本主義の砦であった自由で競争的な市場の精神を放棄し、着実に、しかし幾分静かに、社会主義の行き詰まりへと突き進んでいるという警告が頻繁に発せられた。

少なくともリチャード・ニクソン大統領の政権時代まで遡る、もう一つの定型的な不満は、ヨーロッパが慢性的に自国の防衛費を不足させているというものだ。これは、ヨーロッパ、ひいては西側諸国自身を、最大の存亡の危機であるソ連から守るために設計された、アメリカによる国防総省への多額の支出(予算)にただ乗り(free riding)しているだけなのだ。

ヨーロッパに対するこうした古くからの不満の一部、例えばヨーロッパ大陸の防衛費が倹約的だとされる点などは、ドナルド・トランプ米大統領政権が先週発表した新たな国家安全保障戦略にも依然として残っている。しかし、多くの評論家たちが指摘するように、この文書は共和党の世界観を数十年ぶりに抜本的に刷新するものだ。ヨーロッパに関する主要な前提に関して言えば、ほぼ全てが、近年の共和党の主要人物―ニクソン元大統領、ロナルド・レーガン大統領、そしておそらく1964年の大統領選挙で落選した超保守派のバリー・ゴールドウォーターでさえも―が認識できないほどに歪められている。

ロシアがアメリカとヨーロッパにとって共通の安全保障上の大きな懸念事項であるという前提は、ほぼ完全に消え去った。これは主に省略や行間から読み取れる情報を通して明らかだが、トランプ大統領が今年、アメリカの外交政策をモスクワに有利な方向に転換しようとした数々の行動からも見て取れる。そして、このことを最もよく表しているのはロシア自身だ。ロシアは、ワシントンの方針転換の中で、自らの幸運を信じられないかもしれない。ロシアのメディアは即座に、ワシントンの「国家安全保障戦略」はロシア自身の世界観と概ね一致していると断言した。

ウクライナで進行中の戦争が2022年のロシア侵攻によるものでなければ、これは別問題だろう。しかし、トランプ政権の安全保障関係者たちがロシアの拡張主義に関心を示していないという事実は、トランプとその顧問たちがまだ明確に表明する勇気も率直さも持ち合わせていない、真に急進的な何かを示唆している。

誤解のないようにしよう。ホワイトハウスの新たな戦略文書は、西洋―少なくとも第二次世界大戦以降、世界が西洋という言葉で理解してきたもの―の崩壊を企てる青写真であり、その出発点は、ヨーロッパとアメリカの間に緊密に結びついた共通の利益である。

トランプのシナリオは、名目上は白人社会が有色人種、つまりかつて熱狂的な白人パニック小説のジャンルを席巻した黒人、褐色人種、黄色人種の大群によって徐々に乗っ取られていくという暗い幻想を描いている。これは、1920年代の人気作家ロトロップ・ストッダードのような人物に最もよく例えられる。ストッダードは、影響力のある著書『白人の世界至上主義に抗う有色人種の高まる潮流(The Rising Tide of Color Against White World-Supremacy)』の中で、「有色人種の移民は普遍的な危機であり、白人世界のあらゆる部分を脅かす(colored migration is a universal peril, menacing every part of the white world)」と記している。(ストッダードへの薄っぺらな言及は、20世紀で最も高く評価されているアメリカ小説の一つ、F・スコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー(The Great Gatsby)』にも見受けられる。)

一方、トランプの「国家安全保障戦略」は、移民によってヨーロッパはもはやヨーロッパではなくなる危機に瀕しており、それは明らかに白人によって定義されることを意味すると警告している。これがこれほど重要な文書に含まれるに値する理由は、トランプにとって、アメリカとヨーロッパが共に「白人のままでいる(“remain” white)」ことが、緊密な同盟関係を維持するための根本条件だからだと直感的に理解できる。言い換えれば、トランプにとって、白人であることへのこだわりを維持することは、長きにわたり普遍的かつ疑問の余地なく用いられてきた「西洋(the West)」という呼称に値し続けるための条件なのだ。

アメリカ政府の白人性への執着は憂慮すべきものだが、トランプ政権の政策に少しでも一貫性があると想像するのは間違いだろう。非白人移民の流入が主な原因でヨーロッパがそのアイデンティティを失う危険に晒されていると警告するトランプの発言には、あまりにも明白な論理的欠陥があり、問題となっているのは人種問題だけではない、むしろ根底には、おそらくもっと深刻な別の問題が潜んでいることを示唆している。

この欠陥は、アメリカの移民率をヨーロッパの主要国や最も裕福な国々の移民率と比較すると明らかになる。そうすることで、ヨーロッパがこの点で際立っているわけではないことが分かる。

ドイツの人口の約19%は移民であり、これは米国の15%をわずかに上回っている。これは、アンゲラ・メルケル首相時代にドイツの人口減少を冷静に評価した結果と言えるだろう。メルケル首相の在任中、ドイツは中東の破綻国家シリアから数十万人の人々を受け入れた。これほど多くの新規移民を受け入れるには、必然的に文化的な適応が必要となり、受け入れ側の住民と移民の双方にストレスをもたらす。しかし、多くのドイツ有権者が少なくとも一時的には大規模な移民受け入れに反対しているとはいえ、シリア人などの流入が、ドイツの深刻な人口減少、高齢化、そしてそれに伴う労働力不足(crisis of population decline, aging, and the associated problem of too few workers)という危機を食い止めることができれば、歴史はメルケル首相の政策を寛大に評価することになるかもしれない。

ヨーロッパの他の二大大国フランスとイギリスの外国生まれの人口は、それぞれ全人口の約14%と16%で、アメリカ合衆国とほぼ同程度だ。挙げた3つの例のいずれも統計的に例外的な数値ではないという事実は、ヨーロッパが自らの人種的抹消に向かって急速に進んでいるというトランプの見解を明確に反証している。そして、はっきり言って、アメリカ合衆国もそうではない。

ヨーロッパの国防費に対するアメリカの不満も同様に根拠に乏しい。『ワシントン・ポスト』紙の最近の論説が指摘したように、アメリカ合衆国はヨーロッパ諸国に対し、GDPの5%を国防費に充てることを要求しているにもかかわらず、2025年度にGDPの3%を国防費に充てるという基準をかろうじて上回る見通しだ。

ヨーロッパが何らかの形でアメリカの先導に従うべきだという考えは、ヨーロッパの生活水準がトランプ政権下のアメリカよりも高いという現実、そして今日多くのヨーロッパ諸国が、大西洋を挟んだ新たな曖昧な長年の同盟国であるアメリカよりも、より活気に満ちた民主政体国家であると広く認識されているという事実によっても裏付けられていない。

何が起こっているのかをより深く理解するには、トランプが2016年の政権獲得当初、外国人嫌悪と人種・民族に基づく脅しを主要な戦術として用いたことを思い出す必要がある。アイデンティティ問題で多数の有権者を煽動することは、支持を集める確実な手段であるだけでなく、近年のいかなる前例からも大きく逸脱する彼の政策要素から目を逸らす効果的な手段でもあった。

これは、トランプのヨーロッパに対する真の狙いを示唆しているように思われる。それは、より大規模で広範な急進的な保守政策を支持することであり、人種に基づくナショナリズムはその槍の先ではあるものの、単なる一要素に過ぎない。

事実、トランプ自身も、国家安全保障声明において、ヨーロッパにおける極右政党の推進に対するワシントンの関心を表明することで、このことを自ら明らかにしたのだ(不器用な表現だと言いたいところだが)。トランプが人種的排外主義に訴えたことは、ヨーロッパの論評家たちから困惑と憤りを招いたが、それほど驚くことではなかった。なぜなら、これらは既に長らく彼の国内政治の中核を成していたからである。

トランプはこれまでもヨーロッパ諸国の国内政治に介入しようと試みてきたが、これほど大胆な介入はかつてなかった。ヨーロッパ大陸の極右勢力への全面的な協力を明確かつ公式に表明したのだ。極右勢力の政党の多くは、反ユダヤ主義に加担し、ファシズムに影響を受けている。このような大胆な介入は、ヨーロッパの多くの方面から激しい抗議を引き起こしている。

もしトランプがこれほどまでに急進的な政治転換に基づく政策を実行に移すならば、そして何よりも、非常に過激な見解を声高に推進してきたJD・ヴァンス副大統領のような人物が後継者となるならば、こうした展開は単なる白人性の強調にとどまらず、古い西洋の終焉を正式にもたらすことになるだろう。

アメリカ独立戦争中、ベンジャミン・フランクリンは「私たちは私たち自身の自由を守ることで、彼ら(ヨーロッパ人)の自由のために戦っているのだ」と述べ、フランスなどのヨーロッパ列強に支援を訴えた。

もちろん、西側諸国の民主政体の記録には欠点がつきものだ。しかし、自由を中心とする共通の価値観というこの理念こそが、アメリカとヨーロッパ諸国の同盟関係を支えてきた核心であり続けた。トランプがこれまで以上に露骨に権威主義(authoritarianism)を信奉する中、アメリカがこの価値観から乖離していることこそが、世界が「西側(the West)」と呼ぶものの常識を最終的に覆す可能性がある。

もしフランクリンが今日生きていたら、彼は自分の定式を逆転させ、「ヨーロッパ人は私たちの自由を守ることで、アメリカ人が自らの自由を守るよう鼓舞することを望んでいる」と表現したかもしれない。

※ハワード・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年海外特派員を務めた。最新作に『第二の解放:エンクルマ、汎アフリカ主義、そして最高潮の世界的な黒人性(The Second Emancipation: Nkrumah, Pan-Africanism, and Global Blackness at High Tide)』がある。Blueskyアカウント:@hofrench.bsky.socialXアカウント:@hofrench

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 「Make America Great Again(アメリカを再び偉大に)」「MAGA」「アメリカ・ファースト(America First)」というスローガンと共にドナルド・トランプは大統領にまで駆け上がった。一敗地に塗れても再び、捲土重来で大統領に返り咲いた。それは、アメリカの有権者たちの意思がそこにあったからだ。「アメリカはもう世界の警察官を辞めて国内優先に戻ろう」「他国に攻め入るのや止めよう」という、生活に疲れたアメリカの有権者たちの叫びがトランプ大統領を生み出したのだ。これは、ポピュリズム(既存の政治やエリートたちに対する異議申し立て)の勝利であった。そして、トランプ革命は実現するはずだった。

しかし、現在、トランプ革命は進んでいない。既存のエリートたちに対する最大の攻撃材料であるエプスタイン文書は日本の戦後の教科書の如く黒塗りとなった。国内の物価高は依然として続いている。2025年4月に高関税政策を打ち出したが、その後はかなり後退している。こうした国内政策の不調をごまかすために外国の問題に首を突っ込むという常套手段をトランプもまた選択した。

 トランプを支持した有権者の間でも支持と不支持が分かれるだろう。トランプ個人を支持する人々は今回のヴェネズエラ攻撃も支持するだろう。しかし、トランプの主張した「アメリカを再び偉大に」「アメリカ・ファースト」の考えを支持する人々にとっては、今回の攻撃は受け入れられない。「海外に軍隊を出さないと言ったではないか」ということになる。これに「エプスタイン文書もなんだか訳の分からない形で形だけ公開しただけだ」という不満も重なれば、トランプに対する不満も高まることになる。

 「トランプが三期目を目指す」という話もあった。アメリカの大統領職は2期8年しかできないと憲法の規定でなっている。それを覆すという話もあったが、自身の熱心な支持基盤であるMAGA有権者たちの間で分裂が起きてしまえばそれも沙汰やみということになるだろう。トランプが次の選挙に出ないということになれば、トランプはやりたい放題だ。後は野となれ山となれである。トランプ自身がトランプ革命の主導者でありながら、トランプ革命を崩壊に導くということになる。裏切られたトランプ革命で2026年の年が明けたということになる。世界は不安定さを増し、アメリカの衰退とドル離れは促進される。この現実を私たちは重く受け止めばならない。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプがヴェネズエラ体制転換に可能性を残す中でMAGA層に分裂が生じる(MAGA divide emerges as Trump leaves door ajar to regime change in Venezuela

アル・ウィーヴァー筆

2026年1月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/5673779-conservative-concerns-trump-venezuela/

ドナルド・トランプ大統領がヴェネズエラへの地上部隊派遣と政権交代の可能性を残した決定は、保守派からは冷ややかな受け止められ方をしている。彼らは、トランプ大統領が「永遠の戦争(forever wars)」を終わらせ、外国紛争に介入しないという重要な選挙公約を危険に晒していると警告している。

トランプ大統領は長年にわたり、中東地域における長期にわたる紛争を招いたジョージ・W・ブッシュ政権の政策を激しく非難し、「アメリカ・ファースト(America First)」運動を標榜してきた。

しかし、トランプ大統領の評価はここ数カ月で低下しており、その筆頭は週末の出来事、そしてさらに重要なのは、トランプ大統領が適切な政権移行が行われるまでこの南アメリカの国を「統治(run)」する計画を打ち出した後の今後の展開である。

トランプ大統領の元ホワイトハウス補佐官スティーヴ・バノンは月曜日のポッドキャスト番組「ウォー・ルーム」で次のように述べた。「MAGAはトランプ大統領と精緻な軍事作戦、そしてマドゥロのマドゥロを全面的に支持した。彼を捕まえて裁判にかけたい?  捕まえて裁判にかけろ。人々がここで懸念しているより大きな問題は、トランプ大統領が『私たちは地上部隊を派遣する(Hey, we’re going to do boots on the ground)』と発言し、昨夜は『国家を再建する(We’re going to rebuild the country)』と発言したことだ」。

バノンはさらに、マドゥロがブルックリンのメトロポリタン拘置所から周辺地域を通って移送される様子を捉えた写真や動画を多数挙げ、皮肉を込めて「素晴らしい(lovely)」と評した。

バノンは「マドゥロがブルックリンの拘置所からブルックリンの美しい土地、そしておそらくブロンクスの一部を通って移送された時、アメリカはカラカスよりもひどい状況に見えた。おそらく、アメリカにも焦点を当てるべきだろう」と述べた。

トランプ大統領の発言は週末の様々な時点で行われ、当局は徐々に撤回し、そのようなことは何も起こっていないと主張した。

マルコ・ルビオ国務長官は日曜日のインタヴューで、現在、アメリカ軍はヴェネズエラに駐留していないと述べた。

しかしながら、トランプ大統領は、依然として異なる調子で歌い続けている。MAGA支持層の一部を警戒させた最初の発言は、石油産業を維持するためにヴェネズエラに軍隊を残留させる可能性のある計画に焦点を当てたものだった。

トランプ大統領は記者団に対して、「私たちは石油インフラを再建する。私たちはそれを適切に運営し、ヴェネズエラ国民の安全を確保する」と述べた。

週末後半には、かつてマドゥロ大統領が率いていたヴェネズエラの将来に対する懸念も一蹴した。

トランプ大統領は『アトランティック』誌のインタヴューで次のように語った。「あの国の再建や政権交代、何と呼ぼうと、今の状況よりはましだ。これ以上悪くなることはない」。

一連の発言は、複数のMAGAの主要な支持者を動揺させている。その中には、アフガニスタンとイラクでの長年の戦争を背景に成人した若者たちも含まれる。

彼らの目には、ヴェネズエラで起こっていることは、彼らが支持してきたことではないということになる。

「ヴェネズエラは、シリア、アフガニスタン、イラクが『解放された(liberated)』ように『解放』された」と右派の論客キャンディス・オーエンズは週末、ソーシャルプラットフォームXに投稿し、「CIAは『グローバリストのサイコパス(globalist psychopaths)』の命令で、またしても国家の敵対的乗っ取り(hostile takeover of a country)を企てた」と述べた。

トランプ大統領と彼のティームによる対外行動への反応として、こうした議論が巻き起こったのは今回が初めてではない。6月にアメリカがイランの核施設への攻撃を開始した際も、多くの著名な保守派連邦議員たちが同様の懸念を表明した。トランプ大統領は、この敵対国の体制改革について同様の見解を示した。

しかし、マドゥロ大統領の拘束とヴェネズエラ政府の不透明な将来が、事態をさらに悪化させている。かつてはMAGAの正会員だったものの、トランプ大統領の支持基盤から排除されたマージョリー・テイラー・グリーン前連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)は、今回の動きをロシアによるウクライナ侵攻や中国による台湾併合の可能性になぞらえた。

グリーン前議員は週末、「政権交代、外国の戦争への資金提供、そしてアメリカ人の税金が外国の活動、国内外の外国人、そして外国政府に流れ続ける一方で、生活費、住宅費、医療費の高騰に直面し、税金の詐欺や不正利用について知ることに対し、ほとんどのアメリカ人が激怒している。特に若い世代はそうだ」と語った。

グリーン前議員は続けて、「アメリカ国民が、アメリカ政府による終わりなき軍事侵略と外国戦争への支援(our own government’s never ending military aggression and support of foreign wars)に嫌悪感を抱くのは正しい。なぜなら、私たちはその費用を負担せざるを得ず、共和党も民主党も常にワシントンの軍事機構に資金を提供し、活動させているからだ。MAGAの多くのメンバーは、これを終わらせるために投票したと考えている。しかし、それは全くの間違いだった」と述べた。

しかし、MAGA傘下の他の人々は、今後起こりうる事態について公に不満を表明している人々は、不必要にそうしていると主張している。

彼らは、政権の行動は限定的であり、トランプの発言にもかかわらず、長期にわたる政権交代への懸念は単なる雑音に過ぎないと主張している。

トランプの有力な支持者であるエリック・シュミット連邦上院議員(ミズーリ州選出、共和党)は次のように述べた。「現代においておそらく最も複雑で秘密裏に行われた任務を遂行した際、私たちは約5時間にわたり地上部隊を派遣した。皆さんが目にしているのは、アメリカ国民を守るために、この半球(西半球)における適切な権限がより一層行使されているということだと考える」。

他の人々の目には、この動きはMAGA全体に広く反響を呼ぶだろう。その理由は単純だ。

トランプ政権に近いある情報筋は、MAGAのアイソレイショニスト派を「声高な少数派(loud minority)」として軽視し次のように語った。「結局のところ、MAGAにとって重要なのは勝利だ。これは、アメリカ合衆国を善の力、つまり、badaとして強化することだ。もし採掘が失敗していたら、私たちは別の話をしていただろう」。

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(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 古村治彦です。

 2025年1月2日に発生したアメリカによるヴェネズエラ攻撃とニコラス・マドゥロ大統領夫妻の拘束連行はドナルド・トランプ米大統領の決定によってなされた。2026年初頭に世界は衝撃を受けた。年末に価格を下げた金銀プラチナはまた価格上昇に転じるだろう。「有事の金」「ドル離れ」ということになるだろう。

 南アメリカは基本的に地域内で大きな紛争案件を抱えておらず、比較的安定した地域だった。そこに今回の出来事が起きた。南アメリカ諸国は自国の安全保障について、具体的にはアメリカからの攻撃を想定しなければならなくなった。南アメリカ諸国はアメリカの「裏庭」にされ、始原を収奪されてきた歴史がある。「モンロー主義」とはアメリカの帝国主義宣言である。今回の出来事は「ヤンキー帝国主義」の復活ということになる。これは南アメリカ諸国を不安に陥れることになる。

南アメリカの大国はブラジルだ。ブラジルはBRICSの創設メンバー国であり、ルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領はドルの基軸通貨の地位について疑義を呈している。アメリカにとっては厄介な存在である。しかし、ブラジルはGDPで世界10位、約2兆1800億ドル(約338兆円)の大国である。南米で次に来るのは、アルゼンチンで世界24位、6370億ドル(約98兆7000億円)である。ブラジルは相当な危機感を持っているだろう。ブラジルはどのような行動を取るかであるが、アメリカにべったりになるということはなく、BRICSの枠組みに傾きながら、アメリカに対抗するということになる。バランシングを行うということになる。

私は、南アメリカや西側以外の国々で、「中国やロシアの軍隊をアメリカ軍よけに駐留させる」という選択をする国が出てくるのではないかと考えている。これは極端であるが、アメリカ軍は手ごわい相手とは戦う意図はない。それならば、自国内に中国軍やロシア軍がいれば攻撃を躊躇すると考える国も出てくるのではないかと考える。もちろん、中露両国はそのような申し出を拒絶するだろう。そのような危険な行動を取ることはできない。しかし、西側以外の国々はアメリカの攻撃を恐れて、中露両国に傾倒することになる。ドナルド・トランプ大統領はグリーンランドを狙う態度を示しているが、NATOは集団的自衛権の同盟であるため、アメリカ軍がグリーンランドに侵入するとなれば、カナダからヨーロッパ諸国、トルコまで、アメリカ軍の排除に動かねばならない。それができなければNATOの枠組みは崩壊する。そうなれば、NATO加盟諸国から中露に近づく国も出てくるだろう。

 アメリカ一辺倒の不具合が2026年になって表面化してきた。日本もまたこの事態について真剣に考慮しなければならない。

(貼り付けはじめ)

南アメリカの戦略的転換(A Strategic Break for South America

-ニコラス・マドゥロ大統領の逮捕を受けて、南アメリカ大陸各国政府は抑止力と自治に関する厄介な問題に直面している。

オリヴァー・ストゥエンケル筆

2026年1月3日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/01/03/venezuela-us-trump-maduro-defense-regime-change/

columbiaarmyvenezuelaincident20260102001

1月3日、アメリカがヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領逮捕作戦を開始した後、コロンビア軍がククタにあるヴェネズエラとの国境検問所を監視する。

土曜日の早朝、ドナルド・トランプ米大統領は、アメリカがヴェネズエラを攻撃し、ニコラス・マドゥロ大統領と夫人を拘束したと発表した。この出来事の歴史的意義はいくら強調してもしすぎることはない。

マドゥロ大統領の破滅的な統治、あるいはトランプ大統領が表明した「ヴェネズエラを統治し、その石油埋蔵量を支配する」という目標について、人々がどう考えるかは別として、南アメリカのある国家の政府に対してアメリカが公然と軍事力を行使したことは、この地域における前例のない重大な断絶(rupture)となる。その影響はヴェネズエラ国内だけにとどまらないだろう。

多くのアナリストたちは、ヴェネズエラに対するアメリカの軍事攻撃を、1989年のパナマ以来の、南アメリカにおける初めての直接的なアメリカの軍事介入だと評している。しかし、その見方は、カラカスで起こった出来事の重要性を過小評価している。南アメリカは単一の戦略的空間ではない。南アメリカと中央アメリカの諸国間の結びつきは限定的な場合もある。

トランプ政権によるマドゥロ政権転覆は、アメリカがある南アメリカの国家の政府に対し政権交代を目的として公然と軍事攻撃を仕掛けた初めての事例である(冷戦期にはワシントンが大陸内の複数の独裁政権を密かに支援していた)。国家間戦争がほぼ存在せず、世界で最もリスクの低い地政学的領域の1つであることを長年誇りとしてきたこの地域にとって、マドゥロの追い落としは分水嶺となる瞬間(a watershed moment)である。

ブラジルやチリといった南アメリカ諸国にとって、1989年のアメリカによるパナマ侵攻は、厄介ではあるものの、現実離れした出来事だった。パナマは中央アメリカの小国であり、歴史的にパナマの名を冠した運河をめぐるアメリカの戦略的利益と深く関わってきた。一方、ヴェネズエラは異なる。南アメリカの大国であり、政治的影響力も大きく、世界最大の確認石油埋蔵量を誇る。今回のアメリカの軍事行動は、大陸全体の国防体制指導者たちに、ワシントンの権力に対する自らの脆弱性を再評価させるだろう。これは、ここ数十年、真剣に検討した者はほとんどいなかったことだ。

冷戦後の多くの時代において、南アメリカ諸国は、ワシントンとの意見の相違が何であれ、アメリカによる直接的な軍事介入の時代は終わったという前提の下で行動してきた。ヴェネズエラへのアメリカの攻撃は、この幻想(illusion)を打ち砕いた。依然としてアメリカと概ね足並みを揃えている政府でさえも、抑止力、自律性、調達、戦略的ヘッジ(deterrence, autonomy, procurement, and strategic hedging)といった厄介な問題を検討せざるを得なくなるだろう。

これまでのところ、南アメリカ諸国の指導者たちは、アメリカによるマドゥロ政権打倒に対する公の反応を政治的に追跡している。トランプ大統領の極右派の同盟者であるアルゼンチンのハヴィエル・ミレイ大統領は、マドゥロ大統領の攻撃と拘束を権威主義(authoritarianism)への打撃として称賛した。一方、左派のブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領は、これらを主権と国際法の侵害(violations of sovereignty and international law)として非難した。

しかし、密室では、この地域の軍事計画担当者たちは、アメリカの行動を非常に不安なものと捉えている可能性が高い。こうした動きは、アメリカへの依存を減らし、対外的なパートナーシップを多様化し、国家および地域の防衛力を強化する方法についての議論を加速させるだろう。

こうした議論は必ずしも即時の政策転換につながる訳ではないかもしれないが、長期的な戦略的思考を形作るだろう。ブラジル、チリ、コロンビアといった国々(うち2カ国は今年選挙を控えている)は、国内防衛産業の強化、域外パートナーとの安全保障関係の深化、あるいは対外的な強制を困難にする能力への投資拡大に重点を置く可能性がある。これらの動きをアメリカに対するヘッジとして公然と位置付ける国はなくても、そう理解されるだろう。

ヴェネズエラ国内で今後何が起こるかは不透明だ。マドゥロ大統領が拘束されたことで、権力は突如として掌握される。3人の人物がヴェネズエラの未来を左右する可能性がある。

マドゥロ政権の副大統領を務めたデルシー・ロドリゲスは、豊富な外交経験とキューバ、ロシア、イランとの強いつながりを持つ、ヴェテランの政権内部関係者だ。長らく政権内で最も恐れられていた人物の1人であるディオスダド・カベジョ内務相は、国内治安部隊に影響力を持ち、政権の強硬派の中核(the regime’s hard-line core)を担っている。一方、ウラジミール・パドリノ・ロペス国防相は、最も重要な切り札、すなわち軍の忠誠心を握っている。

ワシントンは、多くの識者が想定していたほど、ヴェネズエラの野党によるクリーンな政権掌握には関心がないのかもしれない。ロドリゲスは侵攻前にマルコ・ルビオ米国務長官と会談したと報じられており、トランプ政権と何らかの合意に達したのではないかという憶測が広がっている。

トランプ自身の発言もその方向を示唆している。土曜日の記者会見で、トランプは野党指導者で2025年のノーベル平和賞受賞者であるマリア・コリーナ・マチャドを大統領に据えるという考えに距離を置く姿勢を示した。「彼女が指導者になるのは非常に難しいだろう。彼女は国内で支持も尊敬も得ていない」とトランプは述べた。「彼女はとても素晴らしい女性だが、尊敬されていない」。

トランプの発言は、ワシントンが野党主導の政府への急速な移行よりも安定を優先している可能性を示唆している。もしそうだとすれば、マドゥロ政権崩壊後のヴェネズエラの軌跡は、多くのヴェネズエラ国民が期待するものとは大きく異なるものになる可能性がある。

大きく分けて3つのシナリオが考えられる。1つ目は、主に象徴的なアメリカの勝利である。マドゥロの制圧を取り除けば、ヴェネズエラの政権はほぼそのまま残り、ロドリゲスもしくは他の同盟者が正式に政権を掌握する。ホワイトハウスが、ヴェネズエラの実際の統治に必要な継続的な政治的関心、資源、そして行政能力を投入する意思があるかどうかは、全く明らかではない。ワシントンは成功を宣言し、制裁を部分的に緩和または再調整し、カラカスの根底にある権力構造は存続するだろう。

第二のシナリオは、大規模な国内動員と軍部を含むエリート層の離反を通じた政権崩壊である。この結末の可能性は、カラカスをはじめとする主要都市におけるマドゥロ大統領の逮捕に対する国民の反応、そして軍部が継続的な弾圧のコストが秩序維持のメリットを上回ると判断するかどうかに左右される。

第三のシナリオは、ヴェネズエラにおけるより深い政治的変革を強制するために、アメリカによる長期的な圧力(追加的な軍事攻撃の可能性も含む)を伴う。この道筋は、持続的な強制、アメリカの治安部隊の継続的な駐留、そしてコストが急速に増大する可能性のある期限のない関与を伴う。また、アメリカの行動に対する地域的な不安を増幅させ、アメリカが南アメリカにおける政治的結果を左右するために武力を行使する用意があるという認識を強めることにもなるだろう。

どのシナリオが勝利するかは、ヴェネズエラの将来だけでなく、今後何年にもわたる南アメリカの戦略的状況を形作ることになるだろう。ここ数カ月のワシントンのヴェネズエラに対する行動は、西半球全体におけるリスク、力、そして前例に対する認識を既に変化させている。たとえヴェネズエラが最終的に安定に至ったとしても、南アメリカが大国の軍事介入から隔離されているという考えはもはや存在しない。

オリヴァー・ストゥエンケル:カーネギー国際平和財団(ワシントンDC)民主政治体制・紛争・統治プログラム上級研究員。ジェトゥリオ・ヴァルガス財団(サンパウロ)国際関係論准教授。Xアカウント:@OliverStuenkel

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年1月2日、ドナルド・トランプ大統領の最終決定を受け、アメリカ軍によるヴェネズエラ侵入・ニコラス・マドゥロ大統領夫妻拘束移送作戦が実行された。作戦名は「絶対的決意作戦(Operation Absolute Resolve)」だ。マドゥロ夫妻はアメリカのニューヨークに移送された。このブログでも何度も紹介したように、トランプ大統領が発表した「国家安全保障戦略」の「モンロー主義」「西半球重視」が実行された形である。「モンロー主義」とは、「西半球(南北アメリカ大陸)はアメリカの影響圏(sphere of influence)であり、他国の影響を排除する。その代わり、アメリカはヨーロッパには出て行かない」という原則だ。これは、「南米大陸はアメリカの利益に貢献させる存在とする」ということで、「ヤンキー帝国主義(Yankee Imperialism)」である。日本の「大東亜共栄圏(Great East Asian Co-Prosperity Sphere)」と同様の考えである。1830年代のモンロー主義は、イギリスの南米進出を阻止するためのもので、2025年のモンロー主義は、中国(とロシア)の進出を阻止するためのものだ。

 ヴェネズエラは世界最大規模の石油埋蔵量を誇り、ウゴ・チャヴェス政権で国有化されるまではアメリカ企業が投資し、石油を採掘し、利益を得ていた。今回のヴェネズエラ侵攻は、アメリカがヴェネズエラの石油資源を「管理」するために実行された。このことはドナルド・トランプ大統領も認めている。そして、ヴェネズエラできちんとした政権が誕生するまで、アメリカがヴェネズエラを統治するが、その経費はヴェネズエラの石油を管理し売却した利益で賄うとしている。

その後は、民主派・反体制派の指導者たちがアメリカによって「エスコート」され、ヴェネズエラの統治にあたる。その代表格がマリア・コリナ・マチャドだ。

これまでの「民主化(democratization)」の事例から考えると次のようなシナリオが考えられる。こうした人々はアメリカ傀儡である。アメリカの後ろ盾が新指導者たちの「正統性(legitimacy)」の源となる。新政府はまず石油産業の国有化を止め、アメリカ企業に売り渡す。新指導者たちはアメリカ企業から利益を得る。新自由主義的な改革を進め、国民には苦痛を味わうことを強制する。結果として、国民の間には「マドゥロ大統領時代が良かった」という不満が高まる。結果として、「民主的な」新指導者たちは人々を弾圧する。最悪の場合には国内で内戦が勃発する。アメリカは適当なところで「あとはご勝手に」と引き上げる。ヴェネズエラ国内に、そして南アメリカに不安定要因を生み出すということになる。

 ヴェネズエラは南アメリカの独立運動の父であるシモン・ボリバルの生まれた場所である。ヴェネズエラの正式国名には「ボリバル共和国」とつく。このことはこのブログでも以前に紹介した。アメリカ軍の侵入によって、ヴェネズエラ国民の多くは「ボリバル主義」を汚されたと考えるだろう。アメリカの帝国主義に対する反感が高まり、ナショナリズムが高まる。これが厄介である。ヴェネズエラ軍の一部がゲリラ戦を展開すれば内戦は激化する。

 私はトランプ政権内で、ネオコンのような対外介入主義のグループが力を持つようになっていると考える。マルコ・ルビオ国務長官とエルブリッジ・コルビー国防次官はその代表格だ。このブログで2025年12月31日にご紹介した、トランプ政権の外交政策に関わる重要人物についての記事を是非ご参照いただきたい。

 トランプが融通無碍であり、国際法違反など全く歯牙にもかけないということは分かっていた。しかし、他国に侵攻して指導者を拘束移送するという、ネオコンでもやらないようなことをやるのは予想外だった。予想外のことをやる人物だという恐怖を週に持たせる「狂人理論(Madman Theory)」に従っているということもできるが、「TACOTrump Always Chickened Out)」、つまり、「トランプはいつも最後になったら怖気づいて逃げる」という評価を覆したかったということもあるだろう。また、国内問題、特に物価高問題とエプスタイン文書問題から目を逸らさせるということもあっただろう。

 今回の攻撃は短期的にはプラスの効果があるだろうが、中長期的に見て、マイナスの効果を生むことになるだろう。「西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」アメリカへの信頼の低下、ドル離れ、中国への傾斜と言ったことが考えられる。アメリカを警戒して、中国に近づく、バランシング(Balancing)が起きるということも考えられる。

 2026年も世界は安定しないということになる。ドル離れも進み、実物資産への資金の流入が続くことになる。アメリカの衰退は続き、日本もそれに付き合って一緒に沈んでいくことになる。

(貼り付けはじめ)

トランプによるマドゥロ政権の驚くべき転覆に関する5つの重要なポイント(Five key takeaways on Trump’s stunning toppling of Maduro

ジュリア・マンチェスター、ラウラ・ケリー、レイチェル・フラジン、レベッカ・ベイッチ、エラ・リー筆

2026年1月3日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5671319-trump-venezuela-operation-maduro-takeaways/

ドナルド・トランプ大統領がヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領を拘束する作戦を成功させたことで世界中に衝撃が走った。

今回の大規模な作戦は土曜日の早朝に行われ、150機以上のアメリカ軍機が投入された。マドゥロ大統領と妻のシリア・フローレスはニューヨーク南部地区で迅速に起訴され、現在はアメリカ軍艦船「イオウジマ」でニューヨークへ向かっている。

トランプ大統領は、この作戦の詳細を発表する記者会見で、新政権が樹立されるまでアメリカが南米の国家であるヴェネズエラを統治すると発表したことなど報道の中心となった。

共和党はマドゥロ大統領追放に向けた政権の行動を称賛したが、民主党は作戦自体と連邦議会の不関与を即座に非難した。

トランプ大統領によるマドゥロ大統領の驚くべき失脚に関する5つのポイントを掲載する。

(1)トランプがヴェネズエラを「統治」するとしさらなる攻撃を警告した(Trump seeks to ‘run’ Venezuela, threatens more strikes

トランプによる最新の記者会年において最も注目を集めたのは、新指導者が安全かつ平和的に就任するまで、アメリカがヴェネズエラを統治すると明言したことだ。

トランプは自身の邸宅マール・ア・ラーゴで記者団に対して次のように語った。「安全かつ適切で賢明な政権交代(transition)が実現するまで、私たちはこの国を統治するつもりだ。誰かが政権に就くようにさせることで起きた、過去数年間と同じ状況に陥るのは避けたい」。

ヴェネズエラを誰が統治するのか具体的に問われると、トランプは「あるグループ(a group)」と共に統治すると述べた。

トランプは次のように述べた。「私たちはあるグループと共にヴェネズエラを統治し、適切に統治されるよう徹底するつもりだ。私たちはヴェネズエラ国民が確実に保護されるようにするつもりだ、そしてこの暴漢によって国外追放されたヴェネズエラ国民が確実に保護されるようにするつもりだ」。

ヴェネズエラのデルシー・ロドリゲス副大統領は、土曜日にマドゥロ大統領が逮捕されたことを受け、権力を掌握した。アメリカはロドリゲス副大統領と協力するかどうかとの質問に対し、トランプ大統領は、マルコ・ルビオ国務長官が彼女と協議したと述べた。

「彼女は基本的に、ヴェネズエラを再び偉大な国にするために必要だと考えることを実行する用意がある」とトランプ大統領は述べた。

トランプ大統領は、必要と判断されれば、アメリカは第二次攻撃を行う用意があると警告した。

トランプ大統領は「必要であれば、第二次の、より大規模な攻撃を行う用意がある。実際、第二次攻撃が必要だと想定していたが、現在のところ、おそらく必要ではないだろうと考えている」と述べた。

(2)民主党は不正だと訴えている(Democrats cry foul

連邦議会民主党は、攻撃が行われる前に連邦議会に通知がなされていなかったと指摘し、攻撃を激しく非難した。

連邦上院外交委員会の幹部委員であるジーン・シャヒーン連邦上院議員(ニューハンプシャー州選出、民主党)は声明で、今回の作戦はトランプ政権が連邦議会に説明した内容と「全くもって首尾一貫していない」と述べた。

「大統領がこれまで様々な形で正当化してきたにもかかわらず、明確な終わりのない武力紛争にアメリカを引きずり込むことがなぜ正当化されるのか、大統領から直接聞く必要がある」とシャヒーン議員は述べた。

戦争権限(war powers)と軍の展開を管轄する連邦下院外交委員会の幹部委員グレゴリー・ミークス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、今回の作戦を「国際法違反(a violation of international law)であり、アメリカの国際的な立場をさらに悪くするものだ」と非難した。

連邦下院情報委員会の民主党側筆頭委員ジム・ハイムズ連邦下院議員(コネチカット州選出、民主党)も今回の軍事行動に疑問を呈した。

ハイムズ議員は声明で、「マドゥロは正統性のない統治者(an illegitimate ruler)だが、彼の大統領職が連邦議会の承認なしの軍事行動を正当化するような脅威をもたらすという証拠は見ていない。また、攻撃日以降の戦略やヴェネズエラが混乱に陥るのをいかに防ぐのかについて何も聞いていない」と述べた。

トランプ大統領は、連邦議会が作戦の詳細を漏洩し、任務に支障をきたしただろうと主張し、マルコ・ルビオ国務長官も大統領の主張を擁護した。

ルビオ長官は、「これは事前に通知できる種類の任務ではない。任務を危険に晒すからだ」と述べた。

(3)作戦はロシアと中国にとって前例となる恐れを促す(Operation spurs fear over precedent for Russia, China

トランプ大統領は、マドゥロ政権の主要な同盟国であるロシア、中国、イランとのアメリカ関係への影響は、石油を中心に展開すると述べた。

トランプ大統領は具体的な内容を明らかにしなかったものの、ヴェネズエラ産原油のアメリカへの販売を、イランとロシアの原油輸出を圧迫するために利用する可能性があるという強い示唆が示された。中国はロシア産原油の主要購入国である。

 

トランプ大統領は次のように明言した。「石油を必要としている他の国々に関して言えば、私たちは石油ビジネスを営んでいる。私たちはそれを売るつもりだ。・・・言い換えれば、私たちは石油を売ることになる。・・・私たちは大量の石油を他の国々に売ることになる。多くの国々が既に石油を使っている」。

トランプは、ヴェネズエラでの作戦がロシアのウラジーミル・プーティン大統領との関係にどのような影響を与えるかについては明確に言及しなかった。ある時点では、ロシアのウクライナ戦争は「収束しつつある(straightened out)」と示唆し、その後、プーティン大統領については「満足していない(not thrilled)」と述べた。

しかし、トランプ大統領の側近たちは、アメリカの敵対勢力に恐怖心を抱かせようとした。トランプは金曜日、生活費の高騰に抗議するイランの民衆の抗議活動を守るため、イランで軍事作戦を開始すると警告を発していた。

ルビオ国務長官は「トランプ大統領が何かをすると言った時、問題に対処すると言った時、大統領はそれを真剣に受け止め、行動に移す」と述べた。

ルビオ長官は続けて「ニコラス・マドゥロには、今回の事態を避ける機会が何度もあった。非常に、非常に、非常に寛大な申し出が何度も提示されたにもかかわらず、野蛮な行動を選んだ」と述べた。

「そして、その結果は今夜私たちが目にしたことだ」。

(4)トランプはヴェネズエラの石油管理を目指す(Trump seeks control of Venezuelan oil

トランプ大統領は土曜日、ヴェネズエラが世界最大の石油確認埋蔵量を保有していることから、アメリカがヴェネズエラの石油セクターを管理したいと述べた。

トランプは土曜日の記者会見で、「ヴェネズエラの石油事業は長きにわたり、完全に破綻していた」と述べた。

トランプは続けて「世界最大規模のアメリカの巨大石油会社に、数十億ドルを投じて、ひどく壊れたインフラ、石油インフラを修復させ、ヴェネズエラのために利益を上げてもらうつもりだ」と語った。

アメリカには国営石油会社が存在しないため、石油の採掘を行うかどうか、またいつ行うかは政府ではなく個々の石油会社が決定する。

マドゥロが拘束された時、アメリカ企業シェヴロンはすでにヴェネズエラで操業している状態であった。

(5)マドゥロ大統領が麻薬密輸で告発されるも、ギャングと関係は起訴の根拠は不十分 (Maduro accused of drug trafficking, but indictment is slim on gang ties

マドゥロは、妻や政権関係者とともに、ヴェネズエラの指導者が自らと同盟国の利益のために、麻薬密売からテロに至るまで、広範な犯罪行為を政府の権力を利用して保護・推進したとして、4件の起訴がなされている。

起訴状によると、マドゥロが6つの異なるテロ組織や麻薬密売組織に関与したと非難しているが、それらのつながりについてはほとんど詳細が示されていないか、組織について軽く言及しているだけである。

ニューヨーク南部地区の検察官たちは、ヴェネズエラの指導者たちが25年以上にわたり、公的な信頼と権力を悪用し、政府機関を腐敗させ、大量のコカインをアメリカに輸入したと主張している。

マドゥロ大統領は政権発足当初から、麻薬密売人に外交パスポートを提供し、マネーロンダリングされた資金を積んだ航空機に外交上の隠れ蓑を提供していたとされている。

マドゥロ大統領とその妻は、2006年から2015年にかけて独自のコカイン密売組織を運営し、自分たちの利益を損なう人々の誘拐、暴行、殺害を命じたとして告発されている。

さらにアメリカ政府は、マドゥロ大統領が、コロンビア革命軍(Fuerzas Armadas Revolucionarias de ColombiaFARC)と連携して麻薬密売を支援していたと主張している。

しかし、起訴状はトランプ政権が長年にわたり主張してきた疑惑については、ほとんど触れていない。トランプ陣営はマドゥロがトレン・デ・アラグア・ギャングやカルテル・デ・ロス・ソレスと繋がりがあると述べているものの、起訴状は、マドゥロとこれらのグループとの関係について、これらのグループのリーダーたちを起訴する以外に具体的な詳細は示していない。

起訴状は、マドゥロがメキシコの2つの主要カルテルと繋がりがあるとも非難しているものの、シナロア・カルテルやセタスの活動についてはほとんど言及していない。

この法廷闘争は、トランプにマドゥロ大統領を追い落とす権限があったかどうかという疑問にも悩まされることは間違いないところだ。

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トランプ政権はヴェネズエラでの活動開始後に「ギャング・オブ・エイト」にその旨を通知した(Trump administration informed Gang of Eight of Venezuela operation after it started

アレクサンダー・ボルトン筆

2026年1月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/5671149-surprise-operation-maduro-arrest/

事情に詳しい情報筋によると、トランプ政権は、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領に対する作戦開始後に、連邦上下両院の共和党・民主党トップと、連邦上下両院の情報・諜報委員会の委員長および幹部からなる「ギャング・オブ・エイト(Gang of Eight)」に作戦について報告したという。

トランプ政権は、アメリカ軍機と特殊部隊がカラカスへ向かう間、奇襲効果を維持するため、連邦議会の主要指導者たちに事前の通知をしなかった。

連邦上院情報・諜報委員会委員長トム・コットン連邦上院議員(アーカンソー州選出、共和党)は土曜日、政権が作戦について連邦議会に事前通知しなかったことを擁護した。

コットン議員はフォックスニューズに対して、「おそらく、この4日間、適切な天候を待っていたことが、情報漏洩がなかった理由の1つだろう」と語り、連邦議会の主要委員会にはこの作戦について事前に通知されていなかったことを認めた。

コットン議員は続けて「FBIがアメリカ国内で麻薬密売人やサイバー犯罪者を逮捕する際に、連邦議会に通知されることはない。同様に、行政機関が起訴された人物を逮捕する際にも、連邦議会に通知されることはない」と発言した。

アーカンソー州選出の共和党議員であるコットンは、「行政機関が逮捕を行うたびに、連邦議会に通知する必要はない」と付け加えた。

連邦上院情報委員会副委員長マーク・ワーナー連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)は、マドゥロ大統領に対する軍事行動の承認権限は連邦議会が持つべきだったと述べ、今回の攻撃は中国とロシアを地域近隣諸国への攻撃的な行動へと駆り立てる可能性があると警告した。

ワーナー議員は、「我が国の憲法が軍事力行使に関する最も重大な決定を連邦議会に委ねているのには理由がある。政権交代(regime change)を実行するための軍事力行使は、その影響が最初の攻撃で終わらないからこそ、最も綿密な監視を必要とする」と警告した。

ワーナー議員は、今回の一方的な行動は、中国が台湾を攻撃したり、ロシアがウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領を攻撃したりする正当性(justification)を与える可能性があると述べた。

ワーナー議員は、「アメリカが犯罪行為を行ったと非難する外国指導者たちを軍事力で侵略し、捕らえる権利を主張するのであれば、中国が台湾の指導者に対して同様の権限を主張することを何が妨げるというのか?」と発言した。

「ウラジーミル・プーティン大統領がウクライナ大統領を拉致するのをなぜ正当化できないのか?」とワーナー議員は問いかけた。

マルコ・ルビオ国務長官は、主要議員には作戦の「直後(immediately after)」に通知されたと述べ、事前通知(advanced notice)があれば作戦は危険に晒されただろうと主張した。

「私たちは直後に連邦議員たちに連絡を取った。これは連邦議会に通知できるような種類の作戦ではなかった」と彼は述べた。

ルビオ長官は、予測不可能な気象条件のため、アメリカ軍幹部は作戦の正確な時期を把握できなかったと指摘した。

ルビオ国務長官はフロリダ州でトランプ大統領と記者会見に出席し記者団に次のように語った。「これはトリガーベース(trigger-based、訳者註:特定の条件やイヴェントが発生したときに自動的に発動する)の任務であり、条件が満たされる必要があった。数日間、毎晩監視を続けてきた。したがって、誰かに電話して『今後15日以内にこれを実行するかもしれない』と言えるような任務ではなかった」。

ルビオ長官は続けて、「これは本質的に、アメリカ司法から逃亡中の起訴された2人の逮捕であった。任務を危険に晒すことになるので、事前に通知できるような任務ではない」と述べた。

トランプ大統領は記者団に対し、連邦議会は国防当局や情報機関の当局者から提供された機密情報を漏洩する傾向があると述べた。

トランプ大統領は「連邦議会には漏洩する傾向がある。これは良くないことだ」と述べた。

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アメリカが実行したマドゥロ拘束の作戦はどのように実行したか(How the US operation to capture Maduro went down

エレン・ミッチェル、フィリップ・ティモティジャ筆

2026年1月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/defense/5671368-us-forces-capture-maduro/

金曜日の午後10時46分(東部標準時)、ドナルド・トランプ大統領は数カ月にわたる緊張の高まりと外交交渉の失敗を受け、ヴェネズエラの指導者ニコラス・マドゥロを捕らえる計画を実行に移した。

統合参謀本部議長ダン・ケイン大将によると、「絶対的決意作戦(Operation Absolute Resolve)」として知られるこの作戦は、アメリカ軍当局と情報・諜報機関による数カ月にわたる計画とリハーサルの集大成であった。

この作戦の基盤はアメリカの情報・諜報機関によって築かれたもので、彼らは数カ月にわたってマドゥロ大統領を追跡し、「彼の移動方法、居住地、旅行先、食事場所、服装を把握」したとケイン大将は土曜日の朝、トランプ大統領とともに行われた記者会見で述べた。

CIAは8月からヴェネズエラに小規模な部隊を派遣しており、マドゥロ大統領の生活様式に関する知見を提供することで、最終的にマドゥロ大統領を捕らえるのを容易にしたと、事情に詳しい情報源が土曜日に『ザ・ヒル』誌に匿名を条件に語った。この情報源は、機密事項について匿名を条件に語った。

CIAはまた、ヴェネズエラ政府内にマドゥロ大統領の移動パターンを追跡する要員を配置し、任務遂行中にマドゥロ大統領の居場所を特定することができたと情報源は付け加えた。

アメリカ軍兵士たちは数週間の準備を経て、12月初旬には即行動開始の準備を整えていたが、「イヴェントの一連の同時発生(a series of aligned events)」を待っていた。

ケイン大将は「ヴェネズエラでは、この時期の天候は常に重要な要素だ。クリスマスと新年の数週間、アメリカ軍兵士たちは辛抱強く待機し、適切なきっかけが訪れ、大統領が行動開始を命じるのを待っていた」と述べた。

ケイン大将は、昨夜の天候が「ちょうど良い程度(just enough)」に回復し、アメリカ軍の飛行士たちの進路が開けたことで、トランプ政権は好機を見出していたと述べた。

マドゥロ大統領拘束がどのように実行されたかの詳細は以下の通りだ。

ケイン大将は記者団に対し、金曜日夜のトランプ大統領の命令を受け、爆撃機、戦闘機、情報収集機、偵察機、監視機を含む150機以上のアメリカ軍機が、陸上と海上の20カ所の基地からヴェネズエラに向けて発進したと述べた。

アメリカ軍のヘリコプター群は、法執行官を含む救出部隊を乗せて離陸し、水面から100フィート(約30メートル)上空からヴェネズエラへの飛行を開始した。海岸線に近づくと、アメリカ軍はアメリカ宇宙軍、アメリカ・サイバー軍、その他の司令部が提供する「様々な効果を積み重ね(layering different effects)」、「進路を開き(create a pathway)」し始めた。

これらの部隊は、F-22F-18F-35E/A-18E-2B-1爆撃機、そして遠隔操縦無人機によって守られており、ヴェネズエラの防空システムを「解体・無力化(dismantling and disabling)」し、ヘリコプター群がカラカスへ安全に進入できるよう武器を使用したとケイン大将は述べた。

ケイン大将は「部隊が、彼らが物陰に隠れていた高地の最後の地点を通過した時、私たちは完全に奇襲効果(the element of surprise)を維持できたと判断した」と語った。

トランプ大統領がフロリダ州パームビーチの邸宅マール・ア・ラーゴから作戦のライヴ配信を見守る中、アメリカ軍は東部標準時午前1時1分にマドゥロ大統領の邸宅に到着した。部隊が進入する途中、部隊は銃撃を受け、ヘリコプター1機が被弾したものの、まだ飛行は可能だった。

その後、軍人たちは複数のFBI捜査官と共にマドゥロ大統領の邸宅に侵入した。トランプ大統領はマドゥロの邸宅を「厳重に警備され(very highly guarded)」「要塞(fortress)」のようと評した。

トランプは「彼らはただ侵入しただけで、本来は侵入できない場所に侵入した。まさにそのために設置された鉄の扉だ。護衛たちは数秒のうちに排除された」と述べた。

トランプ大統領はまた、ヴェネズエラの指導者が安全な部屋に入ろうとしたが失敗したと述べた。

アメリカ軍最高司令官であるトランプは、「彼は安全な部屋に入ろうとしたが、あまりにも急な襲撃に遭い、入ることができなかった」と述べた。

一方、ケイン大将は、アメリカ軍特殊部隊が安全確保のために「迅速かつ正確かつ規律正しく」行動し、最終的にマドゥロ大統領と妻シリア・フローレスを逮捕したが、2人は「降伏(gave up)」したと述べた。

夫妻はアメリカ軍の支援を受けて米司法省によって拘束された。

マドゥロ大統領の邸宅敷地内に侵入したアメリカ軍部隊には、空中および地上の情報ティームからリアルタイムの最新情報が提供されていた。

ケイン大将は、ヘリコプター群が救出部隊を救助するために出動し、戦闘機とドローンが上空から制圧射撃を行ったと述べた。部隊がヴェネズエラから撤退し始めると、「複数の自衛交戦(multiple self-defense engagements)」があったとケイン大将は指摘した。

アメリカ軍はヴェネズエラ領土を離れ、東部標準時午前3時29分にマドゥロ大統領夫妻とともに海上に到着した。その後、夫妻は海軍のワスプ級強襲揚陸艦「イオウジマ」に移された。

ケイン大将は「私たちは、計画し、訓練し、リハーサルし、報告し、何度もリハーサルを行う。正しく行うためではなく、間違えないようにするためだと考えている」と述べた。

マドゥロ大統領の拘束後、トランプ大統領は、政権移行が行われるまで、マルコ・ルビオ国務長官とピート・ヘグゼス国防長官を含むアメリカ政府のティームがヴェネズエラを「統治(run)」すると述べた。

トランプ大統領は、ヴェネズエラにアメリカ軍を地上派遣する可能性を排除しなかった。

トランプ大統領は、「必要であれば、私たちは地上部隊の派遣を恐れない。昨夜、非常に高いレヴェルの部隊を地上に派遣した。私たちはヴェネズエラが適切に統治されるようにする」と発言した。

「我々は今、ヴェネズエラに駐留している。必要であれば、再び派遣する準備もできている」とトランプ大統領は記者会見で述べ、アメリカはヴェネズエラの利益を生む石油産業も管理すると付け加えた。「石油産業は莫大な利益を生み出すだろう。私たちはヴェネズエラ国民にその利益を与える」。

アメリカ軍は現在もヴェネズエラに駐留している。

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連邦上院は来週トランプ大統領のヴェネズエラに対する軍事行動を阻止する投票を行う予定している(Senate to vote next week to block Trump’s military action against Venezuela

アレクサンダー・ボルトン筆

2026年1月3日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/senate/5671074-senate-war-powers-resolution-venezuela-vote/

連邦上院は来週、ドナルド・トランプ大統領によるヴェネズエラへの軍事行動継続を阻止するための超党派の戦争権限決議案を採決する。アメリカ軍が土曜日早朝に南アメリカのヴェネズエラを攻撃し、ニコラス・マドゥロ大統領を拘束したことを受け、この採決はより一層の重要性を帯びている。

トランプ政権によるヴェネズエラへの更なる敵対行為を阻止するこの決議案は特権的な議決であるため、ジョン・スーン連邦上院多数党(共和党)院内総務(サウスダコタ州選出、共和党)は、この決議案の審議を阻止することはできない。

この決議案は、チャック・シューマー連邦上院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)、ティム・ケイン連邦上院議員(ヴァージニア州選出、民主党)、ランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)、アダム・シフ連邦上院議員(カリフォルニア州選出、民主党)が提出している。

連邦上院での可決には単純過半数の賛成が必要となる。

ケイン議員は声明の中で次のように述べている。「連邦議会が戦争、平和、外交、貿易といった問題において、憲法上極めて重要な役割を改めて主張すべき時がとっくに過ぎている。連邦議会の明確な承認がない限り、ヴェネズエラとの戦争は行わないことを規定した私の超党派決議案は来週採決される」。

ケイン議員は「アメリカの民主政治体制250周年を迎えた今、建国の父たちが逃れようと闘った暴政(tyranny)へと堕落することを許してはならない」と付け加えた。

アダム・シフ連邦上院議員は、トランプ大統領のマドゥロ大統領に対する行動は、この地域を「混乱(chaos)」に陥れる恐れがあると警告した。

カリフォルニア州選出の民主党議員であるシフは声明の中で「連邦議会の承認も国民の支持もないまま行動するトランプ大統領は、西半球を混乱に陥れる危険を冒し、戦争を始めるのではなく、終わらせるという約束を破った」と述べた。

シフ議員は連邦議会に対し、武力行使を承認するか拒否するかの権限を再確認するよう促した。

シフ議員はさらに「新たな戦争に巻き込まれることを深く拒絶するアメリカ国民の声を代弁しなければならない」と語った。

連邦上院の戦争権限決議案は、民主党議員全員とリバータリアン寄りの保守派であるポール議員が賛成票を投じると見込まれているため、来週可決される可能性がある。

可決に必要な51票を確保するには、共和党議員からさらに3人の賛成票が必要となる。

穏健派のスーザン・コリンズ連邦上院議員(メイン州選出、共和党)とリサ・マコウスキー連邦上院議員(アラスカ州選出、共和党)、そして長年にわたりアメリカ主導の海外軍事関与に懸念を表明してきたポピュリスト保守派のジョシュ・ホウリー連邦上院議員(ミズーリ州選出、共和党)は、この決議案に賛成票を投じる可能性がある。

連邦上院共和党指導部のスーン議員は、マドゥロの拘束を「アメリカで起訴されている麻薬犯罪について、彼を裁きにかけるための重要な第一歩」と称賛した。

スーン議員はソーシャルプラットフォームXに、「この必要な行動を遂行してくれた勇敢な軍隊の男女に感謝する」と投稿した。

ジム・マクガヴァン下院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)が提出した、トランプ大統領によるヴェネズエラへの軍事力行使を阻止するための法案は、先月(2025年12月)、連邦下院で否決された。

連邦下院は213対211で、マクガヴァン議員提出の法案を否決した。この法案は、連邦議会の承認なしに、ヴェネズエラとの敵対行為またはヴェネズエラに対する敵対行為から全てのアメリカ軍を撤退させるよう大統領に指示するものだった。

連邦下院はまた、連邦下院外交委員会の民主党側筆頭議員であるグレゴリー・ミークス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が提出した決議案を216対210で否決した。この決議案は、連邦議会の承認がない限り、「大統領が指定する西半球のあらゆるテロ組織」との敵対行為からアメリカ軍を撤退させるというものだ。

ミークス議員の決議案は、アメリカへの麻薬密輸の疑いがあるヴェネズエラの船舶に対する軍事攻撃を阻止することを目的としていた。

連邦上院で可決された戦争権限に関する決議は、法的な効力を持つためには連邦下院の承認とトランプ大統領の署名が必要となる。

​​トランプ大統領は、最高司令官(commander in chief)としての権限を制限する決議案には拒否権を発動すると予想されているが、上下両院とも拒否権を覆すのに十分な票数に達していない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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『トランプの電撃作戦』
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年はアメリカ建国250年の節目の年である。中間選挙がじっしされる年でもある。現在、ドナルド・トランプ大統領の人気は低迷し、連邦下院で共和党は過半数を失う可能性が高い。連邦上院は共和党が過半数を維持する可能性が高い。下院で民主党が過半数を握れば議長を出すことになり、トランプ肝いりの法案の可決も困難になる。第二次トランプ政権の後半2年の政権運営も厳しくなる。

 トランプ政権が支持率を上昇させるには、物価対策と外交政策の成功が重要になる。海外からの輸入製品の価格引き下げが物価対策の1つの方法である。そのためには、究極的には戦争を終わらせる必要がある。地政学リスクと言うが、地政学リスクを下げることが重要だ。ウクライナ戦争とイスラエル・ハマス紛争を収拾することが重要であるが、ウクライナ戦争は2026年2月24日に4年が経過することになるが、停戦の見通しは立っていない。イスラエルのガザ地区の状況も戦闘は起きていないが、イスラエルはガザ地区への圧力を強めている。また、イランに対して更なる攻撃を加える姿勢を捨てていない。中東地域も不安定なままである。

 昨年、トランプ政権は「国家安全保障戦略」を発表した。このことについてはこのブログでも複数回紹介した。重要なのは、ラテンアメリカと中東、東アジアである。トランプ政権は、ヴェネズエラ近海にアメリカ海軍の艦艇を派遣し、船舶に対して攻撃を行い、ニコラス・マドゥロ大統領に圧力をかけている。麻薬対策を大義名分にしているが、それならば、コロンビアやメキシコを標的にした方が合理的だ。アメリカ政府はマルコ・ルビオ国務長官を中心にして、ラテンアメリカにおけるアメリカの勢力確保を狙い、反米勢力の一掃、中国とロシアの影響力排除を行おうとするグループがいる。ヴェネズエラはそのための標的である。問題は、どこまで介入するかということだ。地上軍派遣の可能性も浮上しているが、この段階まで進むと、アメリカは泥沼にはまり込む可能性がある。マドゥロ政権を倒しても、マドゥロ支持派がゲリラ戦を展開する可能性がある。ラテンアメリカ各国の「ボリバル主義」「反ヤンキー帝国主義」感情が高揚することになる。それでも地上部隊まで派遣して、マドゥロ政権を打倒して親米政権を樹立するというところまで進めば、トランプは自身が戦争を止める大統領だという自画自賛を放棄することになる。国内の不満を海外での武力行使で目を逸らさせるという意図があるとすれば、アメリカ国内の不満は相当大きくなっているという見方もできるだろう。また、トランプ政権内の対外強硬派の勢いが強くなっているのだろう。※2025年1月2日にトランプ大統領はアメリカ軍に対してヴェネズエラへの攻撃を命令し、マドゥロ大統領夫妻を拘束し、国外に連れ出したと発表した。このような暴挙は予想できなかった。トランプ主義、アメリカ・ファーストの終焉である。BRICSを中心とする「西側以外の国々」は反アメリカの姿勢を強めるだろう。トランプも馬鹿なことをしたものだ。ドル離れと金(きん)への資金の移動が続くことになる。

 中東地域に関して言えば、イランへの攻撃があるかどうかである。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はイランへの攻撃を行いたいという願望を持っている。中東地域の不安定な状況はネタニヤフの個人的な利益に適う。状況が平常に戻れば、個人的な汚職の問題で裁判にかけられることになる。ハマスとの紛争が停戦したことで、平常に戻る可能性が大きくなるが、状況の不安定化を継続させるために、ガザ地区に対して人道的に許しがたい圧力をかけ、ハマスの暴発を狙うか、ハマスを支援するイランへの攻撃を行うかである。アメリカのトランプ大統領は昨年実行したイランへの空爆について、イランが核開発を、場所を変えて継続している可能性があると発言している。イランへの攻撃は実行される可能性はあるが、大規模な攻撃とはならないだろう。イランとイスラエルの全面戦争に発展することは避けたい。イラン側としてもアメリカの衰退が継続していけばイスラエルも衰退していくということになるので、中国やロシアと連携しながら、状況を悪化させないということになる。

 東アジアにおける最大の不安定要因は高市早苗首相と日本である。日本は成長のない30年を経て、残念なことだが衰退が決定づけられている。経済や社会において人々の不満が高まっていく。人々の不満を外に向けることは常套手段である。そうした状況下で、「日本初の女性首相」という大義名分で、極右派・隷米派の高市早苗議員が首相に就任した。そして、早速に台湾有事の発言で、日中関係と東アジアに緊張をもたらした。高市政権の後ろ盾はアメリカ国防総省のナンバー3であるエルブリッジ・コルビー国防次官だ。コルビー次官については、これまでの著作で取り上げているので、そちらを参照していただきたい。トランプ大統領は中国との対立を望んでいないが、トランプ政権に入った、対中強硬派が中国との対立を望んでいる。厄介なことに、アメリカが直接対峙するのではなく、日本を利用して、日本をぶつけようという姑息な手段を用いてである。2026年は高市政権を退陣させ、日本が中国との衝突を起こさないようにすることが重要である。
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 2026年も世界を不安定にしようという動きがある。私たちはそのことに気づき、そして、阻止するために学び続ける必要がある。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領の新たな国家安全保障戦略:5つの重要なポイント(Trump’s new national security strategy: 5 key takeaways

ラウラ・ケリー筆

2025年12月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/5635890-trump-national-security-strategy/

ドナルド・トランプ大統領は木曜日の夜遅く、「国家安全保障戦略(national security strategy)」を発表した。西半球(Western Hemisphere)におけるより大きな軍事プレゼンス(a larger military presence)、世界貿易の均衡(balancing global trade,)、国境警備の強化(tightening up border security)、そしてヨーロッパとの文化戦争への勝利(winning the culture war with Europe)に重点が置かれている。

この包括的な戦略は通常、新政権発足1年以内に発表され、大統領の外交政策の重点を説明し、予算の配分に関する指針を示している。

33ページに及ぶこの文書は、トランプ大統領の「アメリカ・ファースト(America First)」のイデオロギーを基盤としているが、同時に、トランプ大統領がモンロー主義を踏襲し、西半球におけるアメリカの優位性(U.S. dominance)を主張していることを初めて明確に示している。

「長年の無視の後、アメリカはモンロー主義を再び主張し、実行することで、西半球におけるアメリカの優位性を回復し、アメリカ本土と地域全体の主要地域へのアクセスを守る」と「国家安全保障戦略」は述べている。

この文書は、アメリカの世界からの撤退を明確には示していないが、同盟国間の負担分担の増大(increasing burden sharing among allies)、アメリカの経済的利益と重要なサプライチェインへのアクセスの向上(elevating American economic interests and access to critical supply chains)、アメリカのエネルギー生産の「解放」(“unleashing” American energy production)を求めている。

トランプ大統領の「国家安全保障戦略(NSS)」の5つのポイントを以下に挙げる。

(1)カリブ海におけるトランプ大統領の戦争は激化する見込み(Trump’s war in the Caribbean likely to heat up

カリブ海で麻薬密輸の疑いのある船舶に対するトランプ大統領の2カ月以上にわたる軍事作戦は、「国家安全保障戦略」がアメリカに対し、世界的な軍事プレゼンスを南北アメリカ大陸に再調整し、「ここ数十年、あるいは数年間でアメリカの国家安全保障にとって相対的に重要性が低下した地域」から撤退するよう求めていることから、より大きな支持を得る可能性が高いだろう。

トランプ大統領は、カリブ海におけるアメリカ軍の軍事作戦を麻薬カルテルとの「武力紛争(armed conflict)」と位置づけ、麻薬密売の罪でアメリカで起訴されているヴェネズエラの実力者ニコラス・マドゥロ大統領を主要な脅威として挙げ、アメリカは間もなく「地上作戦(land operations)」を開始する可能性があると述べた。

ヴェネズエラは具体的には名指しされていないものの、「国家安全保障戦略」は、アメリカ国境の安全確保と「カルテルの打倒(defeat cartels)」、そして「戦略的に重要な地域へのアクセスの確立または拡大(establishing or expanding access in strategically important locations)」のために「標的を絞った展開(targeted deployments)」を求めている。

この戦略はまた、トランプ大統領が関税を用いて地域を支配する手法にも焦点を当てている。しかし、トランプ大統領がそのような権力を有しているかどうかは、最高裁判所で係争中の訴訟の焦点となっている。

「アメリカは、関税と相互貿易協定を強力なツールとして活用し、アメリカの経済と産業を強化するため、商業外交(commercial diplomacy)を優先する」と文書は述べている。

この文書はラテンアメリカにおける中国の進出を明確に指摘していないものの、NSSは、米国は金融とテクノロジーにおける影響力を駆使して地域諸国を敵対勢力から引き離し、「スパイ活動、サイバーセキュリティ、債務の罠、その他の方法」でこれらの諸国への依存の脅威を強調すべきだと述べている。

And while the document does not explicitly call out China’s inroads in Latin America, the NSS says the U.S. should use its leverage in finance and technology to pull regional countries away from adversaries and underscore threats of reliance on those countries “in espionage, cybersecurity, debt-traps, and other ways.”

(2)トランプ大統領がロシアへの対応に失敗したとしてヨーロッパを批判(Trump criticizes Europe as failing to deal with Russia

「国家安全保障戦略」は、ロシアとの関係悪化の一因となったヨーロッパの「自信の欠如(lack of self-confidence)」を批判しているが、ロシアのウラジーミル・プーティン大統領による2014年と2022年のウクライナ侵攻の決定や、破壊工作、選挙介入、そして大陸における不安定化煽動といった活動については言及していない。

「国家安全保障戦略」は、「ユーラシア大陸全体にわたる戦略的安定の条件を再構築し、ロシアとヨーロッパ諸国間の紛争リスクを軽減する」ためにヨーロッパとロシアの間の仲介を行うことができる唯一の勢力がアメリカであると述べている。

この文書はさらに、アメリカは「ヨーロッパの偉大さを促進する」必要があると明言しており、これはヴァンス副大統領が2月にドイツで行った演説を彷彿とさせる。

ヨーロッパ外交評議会上級政策研究員パウエル・ゼルカは分析の中で、「ワシントンはもはや、ヨーロッパの内政に干渉しないふりをしていない」と述べている。

「現在では、こうした干渉を『ヨーロッパがヨーロッパであり続けることを望む』という善意の行為であり、アメリカの戦略的必要性に基づくものと位置付けている。最優先事項は何か? 『ヨーロッパ諸国において、ヨーロッパの現在の方向性に対する抵抗を育むこと』である」。

(3)台湾はアメリカの対中戦略を応援(Taiwan cheers US strategy on China

「国家安全保障戦略(NSS)」が台湾の主権と安全保障を外部からの影響から守ることを明確に認めたことは、台北の外務省から歓迎され、ワシントンの対中強硬派は、トランプ政権が台湾を北京に明け渡すつもりはないと安心することになるだろう。

「アメリカの『国家安全保障戦略(NSS)』は、台湾をめぐる紛争の抑止が地域と世界にとって不可欠であると明言している」と台湾外務省は声明で述べた。

「台湾の安全はインド太平洋の安定を支えるものであり、私たちは自衛を強化し、地域の平和と繁栄に貢献し続ける」。

「国家安全保障戦略」は、台湾をめぐる紛争を抑止するためにアメリカに対し「軍事力の優位性(military overmatch)」を維持するよう求め、「有利な通常戦力のバランス(a favorable conventional military balance)」が地域におけるアメリカの利益の鍵であるとしながらも、地域におけるアメリカの同盟国間の「負担分担(burden-sharing)」を強調している。

この文書は、日本、韓国、台湾、オーストラリアに対し、国防費の増額を求める圧力を継続するよう求めている。

ハドソン研究所アジア太平洋安全保障担当部長パトリック・クローニンは、「国家安全保障戦略」への初期の反応として、「アジアについて考えると、経済と抑止力への重点は概ね妥当だ」と述べている。

クローニンは続けて「それでもなお、中国の戦略が相互に公正な貿易に関するものだという考えは、この文書が過去の誤った前提について正当に指摘している様々な批判に真っ向から反するものである」と述べた。

(4)アメリカの中東への重点は「後退」(American focus on Middle East to ‘recede’

トランプ大統領は、アメリカのエネルギー輸出増加に注力し、イスラエルとの12日間の戦争とアメリカの核施設への攻撃を受けてイランとその代理勢力が大幅に弱体化したと述べるなど、中東におけるアメリカの責任を軽減しようと努めている。

「国家安全保障戦略」は、「しかし、長期的な計画と日常的な実行の両面において、中東がアメリカの外交政策を支配していた時代は、ありがたいことに終わった。中東がもはや重要ではなくなったからではなく、かつてのように常に人々を苛立たせ、差し迫った大惨事の潜在的な原因ではなくなったからだ」と述べている。

トランプ大統領は「紛争は依然として中東で最も厄介な問題である」と認めつつも、この地域の明るい展望を描いている。

リバータリアン系シンクタンクであるケイトー研究所研究員ジョン・ホフマンは、アメリカが中東における役割を縮小する戦略を歓迎する一方で、トランプ政権にそのようなロードマップを実行する政治的意思があるかどうか疑問視している。

ホフマンは「過去4人の大統領うち2人はドナルド・トランプ――は、中東へのアメリカの関与縮小を公約に掲げながら、変化ではなく継続性に根ざした政策を追求してきた」と書いている。

「ワシントンは依然としてこの状況に巻き込まれ、この地域の情勢を細かく管理しようとしている。このようなアプローチでは、この『国家安全保障戦略(NSS)』の明示された目的を達成できないだろう。トランプが中東情勢を根本的に転換する政治的意思を持っているかどうかはまだ分からない」。

(5)民主党からの党派的な反発を招く(Draws partisan pushback from Democrats

民主党は、トランプ大統領の「国家安全保障戦略(NSS)」を、世界におけるアメリカの後退を示す危険な計画であり、アメリカと同盟諸国を弱体化させるものだと即座に非難した。

連邦下院情報特別委員会と連邦下院軍事委員会委員であるジェイソン・クロウ下院議員(コロラド州選出、民主党)は声明で「この計画が進められると、世界はより危険な場所となり、アメリカ国民の安全は脅かされるだろう」と、述べた。

「多くの懸念すべき点の中でも、ソーシャルエンジニアリング(social engineering)、文化戦争(culture warfare)、そして同盟国である外国政府や政治体制への干渉(interference with allied foreign governments and political systems)を露骨に呼びかけている点が挙げられる。これは国内外における自由と個人の権利に対する攻撃だ」。

同様に、連邦上院軍事委員会委員であるリチャード・ブルーメンソール連邦上院議員(コネチカット州選出、民主党)は、「国家安全保障戦略(NSS)」は「同盟諸国を見捨てて、ウクライナを犠牲にし、主要な戦略目標と基本的価値観を放棄するという後退を予兆するものだ。アメリカはより安全になるどころか、より弱体化するだろう。アメリカ・ファーストはアメリカだけの問題であり、その代償を払うことになるだろう」と述べた。

評論家の一部はより慎重な見方を示した。

民主政治体制防衛財団軍事政治力センター上級ディレクターであるブラッドリー・ボウマンは、「国家安全保障戦略」は「以前の国家安全保障戦略との連続性もいくつかあるが、大きな変更点もいくつかある」とコメントした。

「称賛に値する点もあれば、注目すべき批判点もあり、そして深刻な『何だって?』という点もある」。

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(終わり)

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