古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:国防総省

 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカの大学で歴史関連の授業が減らされたり、非常勤の教員が教えたりということが増えている。これは日本でも同様だ。私の出身の大学学部で、ゼミに所属した先生の専門は経済史だった。その先生が定年で大学を去ることになったが、その先生が担当していた経済史・社会史・社会経済史の後任の先生は補充されず、授業もなくなってしまった。歴史学や文学のような、経済活動に直接関係のない(と思われる)授業が減らされている。学生の履修の数も減っているのだろう。「難しいだけで就職の役に立たないのなら、コスパ、タイパが良い授業を受けて、そちらで良い成績を取ればよい」と考えるのだろうと思う。そうではない学生さんも多くいると思うが、現在の世相はそうだろう。昔から、「文学部なんかに行っても就職はないぞ」とも言われてきたから、人文学系は軽んじられる傾向にあった。

 今回、ご紹介する記事は、アメリカでの歴史学の授業や履修する学生数の減少は、アメリカの国家安全保障に悪影響を与えるという内容だ。これは、日本でも言えることだと私は考える。経済学にしても、政治学にしても、歴史は非常に重要な要素である。歴史を学んでおくこと、過去を知っておくことは、どのような道に進むにしても、そして、日常生活においても非常に重要だ。それは、過去の失敗から学ぶことは、将来の失敗を防ぐ可能性を高めるからだ。これは個人的感想だが、過去の成功にばかり目を向けて学んでいるようでは、重要なところで大きな過ちを犯してしまうものだ。面白くなくても、嫌でも、過去の失敗から学ぶことで、大きな成功は収められなくても、大きな失敗はしないと考える。

 そして、主権者であり、有権者である国民にとって、歴史を知ることは、国家の進むべき方向性を決める際に重要になる。国家が戦争を行う際に、国民はプロパガンダやマスコミの偏向報道によって影響を受け、戦争を支持するものだ。歴史を知り、慎重さを持つ国民になれば、大きな誤りを犯す可能性は低くなる(残念ながらゼロではない)。そのためには、歴史教育が重要であるが、その歴史教育の内容も重要だ。正確な歴史教育が行われてこそなのであり、現在、歴史修正主義者たちが行おうとしている歴史の都合の良い歪曲は、国家を誤った方向に導くものだ。

 日本でもそうだが、歴史教育は軽視されがちだ。そして、受験において、暗記科目として、細かい年号と人名地名の記憶合戦の場となっている。そうではなく、自分たちが生きる上野で指針となるべき、歴史教育が行われることが需要だ。そして、それが国家と社会体制を維持することにつながる。

(貼り付けはじめ)

歴史危機は国家安全保障問題である(The History Crisis Is a National Security Problem

-各大学が学者たちの雇用を削減すると、重要な学びが失われる。

ブレット・デヴロー筆

2024年3月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/03/10/the-history-crisis-is-a-national-security-problem/?tpcc=recirc_trending062921

アメリカは急速に歴史家を追放しており、国家安全保障への影響は悲惨なものとなっている。アメリカは、地域の複雑な歴史に根ざした課題や紛争に取り組みながらも、歴史学部の予算を打ち切り、歴史教育の優先順位を下げるという10年半にわたる歩みを続けている。このことは、世界観がますます、そして危険なほど浅薄な、新しい世代の政策立案者やアドヴァイザーたちを生み出す恐れがある。

歴史は未曽有の危機に陥っている。予算削減と退職する歴史家の後任の拒否により、大学の歴史学部は現在急速に縮小している。中西部の各大学の歴史学部に関する2022年の調査では、学部の常勤教員の数が2010年以来3分の1近く減少していることが判明した。各大学の歴史家の雇用が依然として退職者の補充に必要な水準を大幅に下回る水準にとどまっているため、常勤教員数の減少は加速度的に進んでいる。

その結果、訓練を受けた歴史学者がこの分野で職を見つけるのに苦労している。歴史学の博士号を持つ人々が博士壕取得後4年以内に終身在職権を持つ教授職(tenure track)に就職する割合は劇的に低下し、2013年の博士号取得コホートでは54%であったが、2017年のコホートではわずか27%であった。2022年には、2019年と2020年のコホートのうち、常勤教員として採用されたのはわずか10%という惨憺たる状況である。2010年以降、1970年代から歴史学分野の就職に貢献してきた歴史学の博士号取得者数は31.9%も減少した。

これは学問だけの問題のように聞こえるかもしれないが、学科が衰えれば、一般教育の場で教えることのできる生徒の数や、中等教育の歴史教師の数も減少し、歴史研究のペースも鈍化する。ウィーリング・ジェズイット大学のように、歴史学科を全面的に削減した学校もあれば、タルサ大学の歴史学大学院プログラムが消滅したように、専攻や大学院プログラムを削減した学校もある。また、ウィスコンシン大学スティーブンスポイント校やエヴァンズビル大学などは、歴史学専攻を削減すると脅迫したが、最終的に撤回を余儀なくされた。

こうした予算の圧力に直面すると同時に、歴史部門もまた、クリストファー・ルーフォのような右派の人物たちが、しばしば州議会議員や知事の支援を受けて、政治的動機に基づいて人文学(humanities)への攻撃を開始するので、そうした圧力にも直面している。とは言え、人文学全般と特に歴史学部の削減は超党派の病気であり、レッドステイトでは大騒ぎでプログラムを中止する一方、ブルーステイトでは静かに中止している。

歴史学分野は2つの方向から打撃を受けている。大学が一般教育を重視せず、より専門的な学位取得を目指すという長年の傾向によって、歴史学位への学生の登録は減少していった。そして、2008年の金融危機の後、経済的な見通しが立たないとして人文学系の学位から離れようとしたため、大学生に占める歴史学専攻の割合が激減した。実際にはそのようなことはないのだが(歴史学専攻の学生は幅広い経済分野でうまくやっている)、世間一般の認識は依然として学生の行動を動かしていた。その結果、大学の管理職は歴史学部の削減を正当化し、退職する教授の後任を置かないという形をとることが多くなった。

しかし、2017年以降、歴史学コースの登録者数がほぼ安定したように見えるにもかかわらず、大学はリベラルアーツ(liberal arts、一般教養)からの広範な離脱と歩調を合わせ、歴史学教員の削減を続けた。多くの学部にとって、現在の履修者数の減少は主に人員不足の結果である。アメリカの高等教育における歴史学の衰退は、市場原理による必然的な結果ではなく、政策的な選択であった。

このような政策が生み出した歴史学分野の崩壊は、国家安全保障に直接的な影響を及ぼしている。国防総省は、士官学校や専門軍事教育の一環としての座学教育、部隊の作戦を記録・分析し、歴史的データの要請に対応する部隊レヴェルの職業軍人教育担当の歴史家まで、様々な職種の学問的歴史家を、アメリカ国内で最も多く雇用している学校の1つである。

国防総省の歴史家はまた、アメリカ海軍歴史遺産司令部(Naval History and Heritage Command)の指示を受けて、全兵科の歴史の授業を担当し、アメリカ陸軍大学出版局のように、軍の任務を支援する出版活動にも従事したりしている。ウェイン・リー軍事史学会副会長は、国防総省は常時およそ300人の博士号を持つ歴史学者を雇用していると推定している。国務省も歴史担当官室(Office of the Historian)を設置し、他国に関する知識の意一環として、歴史的専門知識を広く活用している。

アメリカ軍の組織がこれほど多くの歴史学者を雇用していることは、それほど驚くことではない。トゥキディデスやポリュビオスまで遡れば、いずれも軍事経験のある歴史家であり、将来の将校や指導者を育成する最善の方法は、歴史を入念に研究することであると認識していた。ナポレオン自身も、優れた指揮官になるための最良の方法は「アレクサンダー、ハンニバル、カエサル、グスタフス・アドルフス、テュレンヌ、オイゲン、フリードリッヒ大王の作戦を何度も何度も熟読することだ」と述べている。

学習機関して、過去の過ちを繰り返さないことを目指す、軍事部門にとって、自国の歴史と広範な軍事史の研究は不可欠である。歴史は必ずしも単純な教訓を与えてくれるとは限らないが、戦略的な知恵を得るための唯一の試行錯誤の道筋を与えてくれる。具体例としては、2007年のイラクに対するアメリカ軍の増派の基礎となった戦略的思考は、20世紀のイギリスによるマレーでの対反乱作戦(British counterinsurgency operation)についての歴史的研究に大きな影響を受けている。一般的な対反乱理論も、フランスのアルジェリアでの対反乱作戦の失敗から生み出された理論に大きく依存している。もちろん同時に、こうした歴史的事例を再評価することで、たとえば、マレーにおけるイギリスの成功は、他の戦争では再現できない要因によるものであったと主張することで、教義(ドクトリン)の再考と更なる洗練が迫られることになるかもしれない。

それは、そうした過程が現在、危険に晒されているからだ。米連邦政府が必要とする歴史学者を養成するために頼りにしているプログラムは、主に公立大学システムの中に存在しているが、歴史学という学問分野辞退が崩壊しつつあるからである。過去数年間、米連邦政府の仕事は、有資格の歴史学者にとって、沈みゆく歴史学という船から逃れるための救命ボートであった。しかし、新しい歴史研究者の急速な減少は、このような人材供給が枯渇しつつあることを意味する。そして、歴史研究と出版のペースが落ちれば、政策立案者が賢明な判断を下すために必要な歴史的洞察は、より少なく、より遅くなっていくだろう。

That process is now endangered, as the programs that the federal government relies on to train the historians it needs exist primarily within public university systems where history, as a discipline, is collapsing. For the past few years, federal jobs have represented a lifeboat away from the sinking ship of academic history for qualified historians. But the rapid decline of new historians means that this supply of staff is drying up. And as the pace of historical research and publishing slows, the historical insights policymakers need to make wise decisions will be fewer and slower in coming.

しかし、歴史学の衰退が国家安全保障に及ぼす影響は、連邦政府による直接雇用にとどまらない。アメリカのような民主政治体制国家は、選挙を通じて国民が幅広い戦略的優先事項を設定し、文民指導者たち(civilian leaders)がその優先事項を実行可能な政策に反映させることに依存している。一般市民が歴史的知識を持ち、増やしていくことも、アメリカの競争力にとって重要な側面である。

1947年のトルーマン高等教育委員会に遡るまでもなく、アメリカは学生に「人間として、親として、市民としての義務を果たす(for performing his duties as a man, a parent, and a citizen)」ための準備をさせ、「自由な社会で正しく立派に生きていくための価値観、態度、知識、技能(the values, attitudes, knowledge, and skills that will equip him to live rightly and well in a free society)」を身につけさせるためには、幅広いリベラルアーツ(一般教養)教育が不可欠であると認識していた。

その基本的な現実は変わっていない。アメリカ国民は現在、東ヨーロッパ、中東、インド太平洋におけるアメリカの戦略的優先事項について暗黙のうちに決定を下すために投票を利用するよう求められている。 予備役将校訓練課程(Reserve Officers' Training CorpsROTC)の卒業生たちがアメリカ軍の各部門で新たに任命された将校の単純過半数を占めていることを考えると、士官団も民間大学の歴史の衰退と無縁ではない。

良くも悪くも、歴史は指導者の意思決定にも影響を与える。例えば、キューバ危機の際に当時のジョン・F・ケネディ大統領がバーバラ・トゥックマンの『八月の砲声』の教訓を考慮したように、あるいは、対テロ世界戦争(Global War on Terrorism)の初期にジョージ・W・ブッシュ政権でヴィクター・デイヴィス・ハンソンの一連の著作の人気が悪影響を及ぼしたように。指導者たちは、自らの決断の参考とするために過去に目を向ける。従って、政策立案者たちが利用できる歴史が、現在の疑問に対するものであり、最新かつ厳密なものであることを保証することは、国家安全保障上の強い関心事である。

もちろん、より深いレヴェルでは、高等教育で行われていることは、機能的にアメリカの有権者全体に影響を与える中等教育にも及んでいる。歴史プログラムが縮小し続け、その結果教えられる学部生や修士レヴェルの学生が減少するにつれ、アメリカの高校に配置できる、適切な訓練を受けた歴史教師の供給も減少している。実際、これは既に起こっていることであり、7年生から12年生(中学1年生から高校3年生)までの歴史の授業を担当する教師の大多数は歴史学の大学の学位を持っていない。その結果、自国の歴史に対する国民の理解の質、ひいては賢明な政治的決定を下す国民の能力が低下したことは、驚くべきことではない。

幸いなことに、これは克服できない問題ではない。一つには、アメリカでは歴史教育の質がどれほど低下しているかに気づいていないにせよ、国民は歴史教育を依然として広く評価していることである。ある世論調査では、84%のアメリカ人が、歴史は少なくともビジネスや工学と同じくらい重要な学問であると答えている。

そしてまさに、リベラルアーツ全般、特に歴史の衰退は市場の力ではなく政治的傾向によって引き起こされているため、政治的行動によって比較的少ないコストで回復することができる。歴史研究を含む人文学研究に資金を提供する全米人文学基金(National Endowment for the Humanities)の予算は、2023会計年度に98億8000万ドル相当の資金提供を受けた科学機関である国立科学財団(National Science Foundation)の2%の規模にすぎない。たとえアメリカが歴史の学問を活性化するための学問研究や防衛に支出する金額のほんの一部であっても、アメリカの国家安全保障に極めて重要な貢献をする分野に新たな命を吹き込むのに役立つだろう。

歴史を幅広く理解する政策立案者、軍事指導者、市民を持つことは、戦略上の優先事項である。アメリカの政界と国防関連のエスタブリッシュメントたちが、歴史学を粗末に扱ってもよい時期はとうに過ぎている。

※ブレット・デヴロー:ローマ帝国時代の経済と軍事を専門とする歴史家。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 サイバー空間の安全保障ということが現在の大きな課題になっている。バイデン大統領もサイバー戦争ということに言及したほどだ。具体的には、中国やロシアからアメリカへの攻撃がサイバー空間を使って行われているということだ。インフラのシステムに侵入してその機能を停止させるということが実際に起きている。また、SNSを使って、人々の考えをコントロールするということも起きている。

 下にご紹介する論稿は、サイバー安全保障・社会資本[インフラ]安全保障庁(Cybersecurity and Infrastructure Security AgencyCISA)を国土安全保障省(Department of Homeland SecurityDHS)の下にある現状から、独立させて、大統領直属の機関にせよ、という内容のものだ。

 この最新の課題解決で直面するのが古くからある、省庁再編問題、予算や権限を減らされたくない省庁とそれらを増やしたい省庁とのせめぎ合いということになる。この解決のためには時間がかかる。課題の重要性よりも、省庁の予算や権限の方が大事、ということは世界各国で起きていることだ。アメリカのサイバー空間での安全保障でもそれが起きているということだ。

 サイバー空間の安全保障ということになれば、国土安全保障省、国防総省、連邦捜査局(FBI)、中央情報局(CIA)などが絡む。しかし、国家情報関連についてはアメリカ合衆国国家情報長官(Director of National Intelligence)が統括している。これを応用すれば、サイバー安全保障・社会資本[インフラ]安全保障庁長官がサイバー安全保障関連を統括するということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

アメリカには閣議に参加できる長官を持つサイバー安全保障省が必要だ(America deserves a Cabinet-level Department of Cybersecurity

タヤナ・ボルトン、ブライソン・ボート筆

2021年6月30日

https://thehill.com/opinion/cybersecurity/560920-america-deserves-a-cabinet-level-department-of-cybersecurity

先週、報道されたように、国土安全保障省(Department of Homeland SecurityDHS)の政治問題化についての戦いと、サイバー安全保障・社会資本[インフラ]安全保障庁Cybersecurity and Infrastructure Security AgencyCISA)の規模縮小についての戦いが活発化しているということだ。サイバースペース・ソラリウム委員会(Cyberspace Solarium Commission)をはじめ、多くの人がサイバー安全保障・社会資本安全保障庁の機能を現状維持しながら同時に、強化することを主張している。一方、サイバー安全保障を国土安全保障省から分離させ、サイバー安全保障・社会資本安全保障庁を独立させるという思い切った方法が正しい答えとなる。

現在のところ、ジェン・イースタリーのサイバー安全保障・社会資本安全保障庁長官の人事承認は保留となっている。これは、リック・スコット連邦上院議員(フロリダ州選出、共和党)がハリス副大統領のアメリカ南部国境地帯訪問について懸念を持っているためだ。サイバー安全保障・社会資本安全保障庁長官の人事と副大統領の国境地帯訪問に何の関係があるのか?何も関係がない。しかし、サイバー安全保障・社会資本安全保障庁が国家安全保障省に属しているので、スコット議員はサイバー安全保障を人質として取り扱い、譲歩を引き出せている。クリス・クレブス元サイバー安全保障・社会資本[インフラ]安全保障庁長官も、国土安全保障省とサイバー安全保障・社会資本安全保障庁の分離を支持しているようだ。

国家サイバー安全保障強化委員会上級部長を務めたカーステン・トッドは次のように述べている。「国土安全保障省創設において、911事件の再発を防ぐために、できることは全てを行った」。その結果、国土安全保障省の役割は、大統領の警護、スーパーボウル警備、入国管理、空港警備、サイバー安全保障となった。これが最良でかつ最も効率的な構造なのだろうか?国土安全保障省は、ソーラーウィンズを介したロシアによる連邦政府機関への侵入を防いだり、コロニアル・パイプラインを保護したりするには明らかに不十分だった。

更に、サイバー安全保障・社会資本安全保障庁の限定されたリソースと少ない予算のために、職員たちは自信を持って職務を遂行することはできず、才能のある人材を集めることもできない。サイバー安全保障・社会資本安全保障庁は、予算の増額や民間企業との情報共有の調整などを主張しているが、今回の人事承認問題以外にも、サイバー安全保障・社会資本安全保障庁が政治問題に巻き込まれていることについて、対応に常に苦慮している。

サイバースペース・ソラリウム委員会とのデフコン(DEFCON 訳者註:米国防総省が規定する戦争準備の5段階のこと)に関する議論の中で、サイバー安全保障と政治問題化の重要性は、テクノロジー産業の巨大企業とのかかわりにおいて重要だということが明らかになった。オフレコ(外に漏れない)会話の中で、テクノロジー産業の巨大企業の社員たちの中には、サイバー安全保障・社会資本安全保障庁との協力には反対だ、なぜなら自分たちは国土安全保障省の政策の多くについて疑念を持ち、道徳的に間違っていると考えているからだ、と述べる人たちがいた。

国土安全保障省からサイバー安全保障・社会資本安全保障庁を再編するには多くの時間がかかり(最大で5年かかる)、国家安全保障において重要な時期と考えられる現在において、業務を停滞させることになると反対する人たちがいる。日常のハッキング問題についても対応が遅くなってしまうということだ。しかし、それならば、適切な再編のために「良いタイミング」というのはいつかと言われると、そんなタイミングは存在しない。私たちの敵は、私たちへの攻撃や私たちのシステムをテストすることについて、ひとときも手を止めることはないだろう。サイバー安全保障・社会資本安全保障庁が現在重要な仕事を行っているので再編は不可能だとするならば、これから10年間でどれほど重大なサイバー安全保障にかかわる問題が出てくるかについて考えてもらいたい。

国土安全保障省が監督するサイバー安全保障・社会資本安全保障庁が常に主導権争いに明け暮れて生産性が失われ、指導者たちは自分たちの政策目標を国土安全保障省の包括的な政策にいかにして落とし込むかを考えてばかりということになり、その結果は壊滅的なものになる。マーク・カネラスは最近次のように主張した。「サイバー安全保障・社会資本安全保障庁の知名度が上昇しつつある。これは、政治的資本として有効である。バイデンと連邦議会はサイバー安全保障・社会資本安全保障庁を独立した規制執行機関とする機会として捉えるべきだ。それによって、サイバー安全保障・社会資本安全保障庁はアメリカの重要なインフラを守るという目的を完全に達成することができる」。

サイバー安全保障・社会資本安全保障庁単独では、より大規模な、より成熟した政府機関、「重量級」の役所である、連邦捜査局(FBI)や国防総省(DoD)似た対抗できないと主張する人々がいる。しかし、大統領に直接面会も出来ず、国防総省の250分の1の予算や規模しか持たない機関のトップが、これまでどれだけ強い立場にいたかを考えて欲しい。独立した内閣機関である「サイバー安全保障省(Department of Cybersecurity)」は、大統領に直属し、連邦政府のネットワーク防御機関として、大幅な権限を持つことになる。

物理的な安全保障とサイバー安全保障を分離することについて懸念が高まっているが、これは確かに重要なことである。しかし、課題が重なっている諸機関はこの問題を解決している。国防総省や連邦捜査局との省庁間調整について、同じことを主張する人はいない。なぜなら、彼らは強力で機能的な組織であり、他の省庁との協力関係を持っているからだ。サイバー安全保障・社会資本安全保障庁はこの方法を国土安全保障省との関係にも応用することができる。サイバー安全保障・社会資本安全保障庁は計画立案に特化し、執行運用を国土安全保障省に任せるマトリックス型の組織を作ることができる。時間はかかるだろうが、関係が構築されれば、手間は大きく削減されるだろう。

最近のイースタリーの人事承認阻止、コロニアル・パイプラインやソーラーウィンズのハッキングが示しているのは、サイバー安全保障に関しては、国土安全保障省に埋もれた予算不足で経験不足な官僚組織ではなく、国家安全保障の重要な分野を防御する、強力で独立した非政治的な機関が必要であることだ。サイバー安全保障・社会資本安全保障庁には、国際的に認知された中核拠点として成長・発展するための自由が必要である。アメリカに必要なのはサイバー安全保障・社会資本安全保障庁なのだ。

タティアナ・ボルトン:Rストリート研究所サイバー安全保障・脅威担当部長。サイバースペース・ソラリウム委員会政策担当部長。※ブライソン・ボート:Rストリート研究所サイバー安全保障・脅威担当ティーム研究員。次世代型攻撃無力化プラットフォームのスタートアップ企業サイズ(SCYTHE)サイバー安全保障専門コンサルタント企業グリム(GRIMM)創設者。産業コントロールシステムの安全を訴える非営利団体ICSヴィレッジ共同創設者。

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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2021年5月29日に最新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』(秀和システム)を発売しました。最初から孤軍奮闘、自力で皆さんに本の存在を知っていただくしかない状況です。不貞腐れている時間はありません。矢尽き刀折れるまで続ける所存です。

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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

 大統領選挙終了後からバイデンの大統領就任式の間、そして、現在までトランプ支持者の中でささやかれているのは、「米軍の出動」「米軍の蹶起」である。簡単に言えば、クーデターである。クーデターのためには、兵士だけでは駄目だし、将官だけでも成功しない。縦(階級)と横(部隊数や人数)の広がりが必要である。そして、クーデターを起こすには、大義名分、自分たちの行動を正当化するための理由付けが最重要だ。

 アメリカ軍の内部にどれだけのトランプ支持者がおり、その人々がネットワーク化されて、その階層も上は大将中将から下は二等兵まで幅広くなっているのか、そうしたことは分からない。しかし、「クーデターが必要だ」と考えている人からそれは必要ないとと考える人まで、トランプ支持者が米軍内にいるのは確かだ。軍関係者は共和党支持者が多いと言われている。これまでもこのブログでご紹介してきたが、共和党支持者内のトランプ支持者の割合は高い。そこから敷衍すれば、米軍内のトランプ支持者の数は多いということが推測される。

 米軍幹部や民主党は、米軍内のトランプ支持者を追い出そうとしている。そのために調査をするとしている。米軍の軍人や関係者がどのような思想を持とうがそれは自由だ。それを表面に出さないで、上官の命令に従って粛々と責任を果たしていれば何の問題もない。この表面上は問題のない軍人(トランプ支持の考えを持つ)たちが、スリーパーのように思えるのだろう。ひとたび、何か起これば、この人たちが立ち上がるということを恐れているのだろう。

 調査の範囲が退役軍人にも広がっているというのは、トランプ支持の集会を企画したり、参加したりしている人たちの多くに退役軍人たちがいることを示している。この人たちは、全く軍務や軍の訓練を経験していない一般の人々とは、組織力、行動力、武器使用能力において雲泥の差がある。この人たちの動きを縛りたいということも軍の意向としてあるのだろう。しかし、軍関係のトランプ支持者の全貌を完全に掌握することは不可能だ。そうなれば、軍の最高幹部や民主党は常にスリーパーの影に怯えねばならないことになる。

(貼り付けはじめ)

退役准将が、軍隊内にいる狂信的なトランプ支持者たちを根絶やしにする必要があると発言(Retired brigadier general says Trump loyalists in military need rooting out

ジョフ・コルヴィン筆

2021年1月8日

https://fortune.com/2021/01/08/trump-support-military-capitol-coup-attempt/

連邦議事堂進入事件によって、政権移行に伴って起こると考えられる暴力事件において米軍の将兵の関与があるのではないという疑問が出て来ている。今回の暴動に対してトランプ大統領は現役の将兵を派遣しなかった。州兵はワシントン市長ムリエル・バウザーの要請によって、マイク・ペンス副大統領が命令を出して、それで派遣されたものだ。トランプ大統領は2020年12月の段階で、大統領執務室において、選挙結果を覆すために米軍を使用する可能性について話し合いを持ったと報道されている。この会議に出席したのは、トランプ大統領の初代の国家安全保障問題担当大統領補佐官だったマイケル・フリン退役陸軍中将だった。フリンはテレビ番組に出演し、「トランプ大統領は米軍の能力を利用し、選挙結果が接戦となっている各州に派遣し、選挙をやり直させることができる」と発言した。連邦議事堂進入事件の3日前、存命中の国防長官経験者10名は連名で、『ワシントン・ポスト』紙に論説を発表し、「選挙をめぐる争いを解決するために米軍を関与させること」に反対すると表明した。

これから何が起きるかについて、本誌はトーマス・コルディッツとインタヴューを行う。コルディッツは退役陸軍准将である。コルディッツは陸軍士官学校とイェール大学経営学部で教鞭を執っている。また、ライス大学ドアー記念ニューリーダーズ研究所の運営責任者も務めている。

トランプと軍部との間の関係についての現在のあなたの考えをお聞かせください。

私が大変懸念しているのは、軍隊の中に強力なトランプ支持が長年にわたり存在してきたということです。軍隊に属する人々が保守的、もしくは極めて保守的になる権利は認められています。しかし、軍隊内のトランプ支持者たちは、1月6日の事件について、本来は米軍が可及的速やかに行うべきものであった壮挙だと考えています。トランプ支持者たちが軍隊から排除されている限りはそのようなことは起きません。ですから、彼らの排除は必要なことなのです。私たちは本の数名の人たちの話をしているのではありません。私たちは国防総省全体に数千名は存在する人たちの話をしているのです。これらの人々の多くは自分たちの主張を隠そうともせずに発信し続けるでしょう。特にSNSで発信するでしょう。これは反乱であり、国家に対する犯罪です。米軍の最高幹部たちには、反乱は素晴らしい、もしくは合法だと考える人間たちや秘かにそうした考えを持つ人間たちをいかなる理由があろうとも、排除しなければならない責務があります。

■議事堂進入事件のような状況に関連する軍の原理とは何ですか?

米軍は、民警団法(Posse Comitatus Act・訳者註:1878年の連邦法で、国内の治安維持に陸軍、空軍、州兵を動員することを禁じたもの)によって統制されています。米軍は、アメリカ市民やアメリカの国土に対峙するような使い方はできないのです。法執行目的のために使用することができないのです。米軍統合参謀本部議長マーク・ミリー大将が、とランプ大統領や周辺が望んだ、米軍の選挙執行活動やその他の活動は不可能だと公式に発表した理由はここにあります。

政権移行に関しては、米軍将兵は誰が大統領になるにしてもその過程に介入しない義務を有しています。米軍の将兵はアメリカ合衆国憲法を支持し、擁護するという宣誓を行っています。アイゼンハワー大統領時代には、米軍の将官が投票を行うことさえ良くないことだと考えられていたほどです。米軍の将官が私的な空間で政治的な発言ができるようになったのはつい最近のことです。将官たちはもちろん投票に行きます。しかし、将官として、政治的に中立であることを保つ責任があり、自分たちの責務を果たす際には政治的中立であることが求められます。その中にはSNSで部下や他の人たちに対して政治的な発言をしないことも含まれます。将官として、自身の好き嫌いを発言することは命令を下すことに等しい行為となるからです。

陸軍在職中に投票はしましたか?

私はキャリアを通じて投票に参加しました。そのほとんど全てが不在者投票でした。私の部下たちは、私が誰に投票したか、私の政治的な考えはどのようなものかを知ることはなかったと思います。軍務に就いている期間、私たちには個人の信条を表明する自由はありません。そして、私たちのために働いている人たちもそのようなことをしないように求められています。これが軍隊にいる人間がいかにして政治的な動きに近づくかということの内容なのです。

士官たちにはリベラルな考え、保守的な考え、それ以外の考えを持つ自由があります。しかし、現在軍隊の内部にあるのは、カルトに近いものです。反乱にはいくつかの段階があり、それは国内で起きるテロリズムです。連邦議事堂の窓を登っていて銃撃された女性は空軍に12年間在職した退役軍人でした。私は彼女がこのような馬鹿げた行為を行うに至った時間は短いものではない、一夕一朝に形成されたものではないと考えます。ですから、今回の事件は重要なのです。

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連邦議事堂進入事件発生後、数千名の将兵がワシントンDCに派遣されている中、国防総省はアメリカ軍内の過激主義について捜査する(Pentagon probes extremism in U.S. military as thousands of troops guard D.C. after Capitol riot

ケヴィン・ブリューインガー、アマンダ・マシアス筆

2021年114

CNBC

https://www.cnbc.com/2021/01/14/pentagon-probing-extremism-in-us-military-after-capitol-riot.html

主要なポイント

・10名以上の民主党所属の連邦上院議員たちが国防総省に対して、米軍内の白人優越主義(white supremacy)の拡大について調査すべきだと主張した。

・ドナルド・トランプ大統領の支持者たちがアメリカ連邦議事堂に進入する事件を起こした時、数千名の州兵がワシントンを防衛していた。

・エミリー・レイニー陸軍大尉は心理作戦に参加していた。ブラッグ基地の司令部が、レイニー大尉の暴動への関与について調査していることを認めた後、レイニーは陸軍から退職した。

木曜日、国防総省の内部調査部門は、先週のアメリカ連邦議事堂に対する進入事件の後、米軍内の過激主義者たちと白人優越主義者たちを排除するために、当局は十分な対策を行っていないと発表した。

数千名の州兵、そのうちには武装した者たちもいたが、彼らがトランプ大統領の支持者たちによる1月6日の議会進入事件の前に、ワシントンの防衛のために派遣されていた。今回の捜査はこの派遣を受けて、今月になって開始された。

国防総省は将官クラスの間での過激主義を排除するために可能な方策は全て実施していると主張したが、今回の内部調査部門の発表はその後になされたものだ。

司法当局は水曜日のジョー・バイデン大統領の就任式で更なる暴力行為がなされる可能性を認めその対処を準備している。司法当局の幹部たちは、過激主義者たちが全国の各州議事堂を攻撃目標にしていることについて懸念を持っている。また、インターネット上では、人々がトランプ支持の集会を組織しようとしている。

プログラムの観察と評価を担当する、アメリカ軍副監察官キャロライン・ハンツは書簡の中で次のように述べている。「今回の捜査の目的は、「国防総省と米軍部隊が、現役の職員や将兵が白人優越主義、過激主義、犯罪ギャングのイデオロギーや原理に参加したり、主張を展開したりすることを禁止している政策と手続きを、どれほど実行しているのかを見極めるものである」。

ハンツは、監察官局は「監督と評価が進めば、目的を見直し、範囲を拡大する可能性がある。そして、私たちは更なる目的の追加や見直しについて国防総省最高幹部たちからの提案を受け考慮することになるだろう」。

民主、共和両党の連邦議員たちは、連邦議事堂進入事件についての捜査を実施し、司法当局による対応を行うように求めている。

木曜日の午後、コネチカット州選出のリチャード・ブルーメンソール連邦上院議員が率いる10名以上の民主党所属の連邦上院議員たちは、米軍内の白人優越主義の拡大を調査するように求めた。

議員たちが米軍監察官代理シーン・オドネルに宛てた書簡の中で次のように述べられている。「米軍上層部内の白人優越主義と過激なイデオロギーの問題は新しいものではない。しかし、連邦議事堂進入事件は、即座に警戒を強めねばならないということを示している」。

書簡では、進入に参加した、もしくは暴力事件が起きる前に近くで開かれていたトランプ支持の集会に参加した、そのような人々の中に、退役軍人、もしくは現役の軍人たちが多数確認された、と記載されている。

議員たちは次のように書いている。「白人優越主義イデオロギーの拡散は米軍にとって危険であり、アメリカの民主政治体制が必要としている安全な軍と市民社会との関係に亀裂が入っている」。

国防総省の諜報部門責任者ゲイリー・リードは水曜日に次のような文章を発表している。「国防総省に在職する我々は、国防総省から過激主義を排除するためにあらゆる手段を採っている。国防総省は米軍関係者全員に対して、優越主義、過激主義、犯罪に関わるギャングやそれらのイデオロギーに積極的に関与することを厳しく戒めている」。

月曜日、タミー・ダックワース連邦上院議員(イリノイ州選出、民主党)は国防長官代理クリス・ミラーに対して、現役のもしくは退役した軍関係者たちが暴動事件に参加したかどうかを調査するように求めた。

ダックワースは、捜査当局によって軍関係者が特定された場合、ミラーは「これらの人々について、統一軍事裁判法(Uniform Code of Military Justice)に基づいて、責任を果たさせるために適切な行動を取らねばならない」と発言した。

ダックワースは州兵の陸軍中佐で退役したが、現役中はイラクに派遣された経験を持つ。ダックワースは「素晴らしい軍律を守るためには、アメリカ軍内に入り込み、我が国の安全保障を脅かしている過激主義者たちを排除することが必要なのである」と述べた。

アメリカ陸軍の心理作戦に関与していたエミリー・レイニー陸軍大尉は月曜日、ブラッグ基地の司令部が彼女の暴動への関与について調査していることを認めた後の月曜日、辞表を提出した。

火曜日に出された声明の中で、陸軍は、FBIと協力して、先週の暴動の参加者の中に陸軍と何らかの関係を持つ人間がいるかどうかを特定するとしている。

陸軍報道官はEメールでの声明の中で、「暴力、市民的不服従、平和への反抗といった活動は、統一軍事裁判法、もしくは州法、連邦法によって罰せられることになるだろう」と書いている。

ワシントンに2万人規模の州兵が派遣されている中、国防総省監察部による調査が行われるということが明らかにされた。この数は現在、イラク、シリア、アフガニスタンに派遣されている米軍将兵の合計数よりも多くなっている。

派遣された軍隊の一部は連邦議事堂警備部とバイデンの就任式を支援する目的を持っている。これらの将兵は武装している。

安全保障上の理由から、州兵部隊と国防総省の幹部たちはどの程度の数の将兵が武装するかどうか、大統領就任式の後に将兵が武装するかどうかを明らかにしていない。

国防総省のある幹部は火曜日、記者団に対して、ワシントンの各行事を支援するために派遣されている州兵の更なる背景調査を行う予定だと発言した。

軍隊が連邦議事堂に多数派遣されている中、ホワイトハウスはトランプ大統領からの声明を発表した。その内容は一期目で終わる大統領の任期期間中に海外に派遣されている米軍章への数を削減するというものだった。

トランプは2016年の大統領選挙で「中東における馬鹿げた終わりのない戦争を止める」と訴えていた。トランプは声明の中で「アメリカ軍はアフガニスタンに19年間も駐屯している」と述べた。

トランプは更に「同様に、イラクとシリアにおける危険度はこれまでで最低となっている。私は終わりのない戦いを終えるためにこれからも努力を続けていく」と述べた。

トランプは加えて、「我が国の軍隊を再建し、軍務に就いている勇敢な男性と女性を支援することは私の無上の光栄だ」と述べた。

ホワイトハウスから米軍の撤退のプレスリリースが出された後すぐにトランプ大統領の声明が出された。トランプ大統領は声明と同じくらいの長さのメッセージを頻繁にツイッターに投稿してきた。トランプ大統領は暴動に対する最初の反応に続き、声明という形で自身の主張を発表している。

連邦議事堂を人々が包囲する直前にホワイトハウスの外で開かれていた集会で、トランプ大統領は、大統領選挙は「盗まれた」と謝った主張を展開していた。連邦下院において民主党と共和党の一部が投票して、トランプ大統領が反乱を使嗾したとして、弾劾を可決した後、トランプ大統領はヴィデオメッセージで暴動参加者たちを非難した。

トランプは水曜日夜に発表したヴィデオメッセージにおいて、「私の真の支持者の中に、政治に関連する暴力を支持する人など一人もいない」と述べた。トランプ支持者たちがトランプ支持の集会からやがて連邦議事堂に移動し、暴動に参加したことについて、自分の発言は適切だったとトランプ派主張している。

民主党側はトランプの有罪に向けて動いており、連邦上院における選挙で大統領の座から引きずり降ろしたいとしている。連邦上院多数党(共和党)院内総務(Senate Majority Leader)のミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、弾劾裁判はトランプがホワイトハウスを去る前までに結審することは不可能だと述べた。これが意味するところは、裁判はバイデン政権成立直後までかかる、ということである。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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 古村治彦です。

 今回は、2021年5月29日発売の新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で詳しく取り上げた最重要人物ミッシェル・フロノイが2017年に発表した論稿をご紹介する。記事の最後にあるフロノイの紹介文に出てくる2つの言葉「国防次官」と「ウエストエグゼク社」がキーワードである。詳しくは是非新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を読んでもらいたい。
micheleflournoy501
ミッシェル・フロノイ

 フロノイは2017年に、現在国務長官を務めるアントニー・ブリンケンと一緒にウエストエグゼク社を創設した。ウエスト社はコンサルタント会社であるが、何をやっているのかよく分からない。しかし、下に掲載した論稿を読めば、フロノイとウエスト社が何をやろうとし、何をやってきたかはよく分かる。

 フロノイはロシアからのサイバー攻撃からアメリカの民主政治体制(デモクラシー)を守るために、官民を挙げてサイバー環境の安全を高め、対応能力を向上させるべきだと述べている。「国家安全保障のためのテクノロジー(Tech for Security)」という考えをこの時点で提唱している。この点が極めて重要で、バイデン政権の動向を理解するために必要な考えだ。是非新著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』を読んでいただきたい。

ロシアが2018年の選挙に介入する前にアメリカには戦略が必要だ(America needs a strategy before Russia meddles in 2018 elections

ミッシェル・フロノイ

2017年10月31日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/national-security/358010-america-needs-a-strategy-before-russia-meddles-in-2018-elections

連邦議会は、フェイスブック社、グーグル社、そしてツイッター社から経営陣を召喚し、2016年の大統領選挙でのロシアの介入について証言を求めた。連邦上院、下院の両情報・諜報委員会では、ロシア政府がいかにしてSNSの使用者たちのアカウントをハッキングして間違った情報を与えたか、いかにしてアメリカ政治に影響を与えようとしたかについて、厳しい質問がなされた。こうした状況下、私たちは一つの重要なポイントを心に留めておく必要がある。それは、これが単に、フェイスブック社、グーグル社、ツイッター社の個別の問題ではないということだ。それは、国家安全保障上の問題であり、トランプ政権はそのことを認識していないので、アメリカとしての効果的な対応をできていない。

昨年(2016年)、ロシアは、古くからあるKGBの作戦書通りに、アメリカ大統領選挙の結果を与え、アメリカの民主政治体制を棄損するために攻撃を加えた。過去に複数のヨーロッパの国々でも同様の攻撃があったが、アメリカに対するサイバー攻撃によるハッキング、フェイクニュースの拡散、偽情報の拡散、候補者の陣営の情報獲得などの複合的な攻撃は前代未聞の規模となった。

アメリカの選挙に対するロシアの介入についての捜査は継続中であるが、アメリカの諜報部門は、アメリカの有権者たちの疑念と不満を持たせることで民主政治体制への信頼を低下させる、ウラジーミル・プーチンが与しやすいと考える候補者を支援する、最終的にはロシアが国際社会で再び大国の地位を取り戻すといったことがロシア政府の目的であることを明らかにしている。

ロシアの介入は前回の選挙で終わったと考えたい人たちもいるだろうが、ロシアがアメリカに対して情報戦争を仕掛け続けているのはあらゆる証拠が示している。2018年の中間選挙と2020年の大統領選挙について考えてみよう。アメリカの対応がないとなれば、ロシアは思い通りにサイバー攻撃を実施できる。候補者たちのEメールを暴露し、様々なSNSを利用してフェイクニュースと広告を拡散し、投票システムに介入し、選挙の結果の正統性に疑念を持たせることができると様々な可能性を考慮できるではないか?

アメリカにとって緊急で必要なのは、2018年もしくは2020年の選挙でロシアの介入を防ぐための明確な戦略と行動計画だ。そのためには、連邦、州、地方の各レヴェルの政府とテクノロジー企業とメディアの協力が必要で、子の協力には2つの重要な目的がある。一つは、ロシアが仕掛けてくる情報戦争からアメリカを守り、反撃するための能力を向上させることだ。二つ目は、プーチンに将来の介入を思いとどまらせるために、ロシア側へコストを負わせるための戦略を構築することだ。

しかし、トランプ大統領は、アメリカの民主政治体制に対する将来の攻撃を無力化する、もしくは防衛するための能力を向上させるためのアメリカを挙げた努力を行う先頭に立つのではなく、ロシアによる介入を示す諸事実を否定し、それらに反論することに終始している。アメリカの民主政体を守るそのスタートとして、アメリカ政府は選挙に関連するシステムとプロセス全てのサイバー上の安全を強化しなければならない。情報産業の手助けを受けながら、各候補者、選対、そして政党は、 ハッキングされにくいようにしなければならない。そのためには、複数段階での認証を行うなどのサイバー衛生(インターネットの接続環境を良好に保つこと)の改善、複数のアカウントにはそれぞれに別のパスワードを設定すること、Eメールに書く内容に気を付けること、より安全で暗号化されるものがあるならばそちらを使い安全ではない技術を使わないことが重要である。

加えて、州政府と地方政府は選挙の投票インフラの重要な弱点を調べ出し、対応するべきだ。この弱点をロシアは2016年に突いてきたのだ。私たちがまずやらねばならないことは、紙による検証が可能な投票機械を使用することである。ロシアからの攻撃に対する第二線は、選挙結果の監査能力の強化、選挙結果への信頼を向上させるために統計的により厳格な方法を採用することである。米国土安全保障省は安全に関するより厳しい基準の設定を主導しなければならない。連邦議会はこれからの3年間で各州がこの基準を達成することを支援するために予算をつけねばならない。

ロシアの偽情報と「フェイクニュース」に対抗することは、最も困難な作業となるであろう。アメリカにおける根本的な価値観である言論の自由、強力で独立的なメディア、自由で開かれたインターネットという条件下で、ロシアに対抗することは難しい。「フェイクニュース」の影響を減少させるには公共部門と民間部門との間のより緊密な協力が必要となるだろう。フェイスブック社、グーグル社、その他のテクノロジー企業は、自分たちが提供しているプラットフォームの誤った使用に対して適切に対処しなければならない。その具体的な内容は、ターゲットとされている使用者たちへの通知、選挙に出ている候補者たち、選対、政党と協力してインターネット上のネットワークとSNSの安全性を向上すること、フェイクのアカウントを特定し削除する能力の向上、人間が生み出した内容とボットが生み出した内容との区別をつける能力の向上、疑わしい内容の特定と優先性の下降、有料広告の透明性の強化が含まれている。これらの試みは評価され、確立されるべきだ。

私たちは、プーチンがサイバー攻撃と諜報活動をするかどうかを決定する際に慎重に行動するよう、ロシア政府に負担をかけるようにする必要がある。アメリカ政府は、ロシアが我が国の選挙システム、ニューズメディア、SNSを目標にした攻撃を行えないようにすべきだ。私たちは明確な戦略を確立し、深刻なサイバー攻撃への本格的な対応策を複数実行する必要がある。対応策には連邦議会とヨーロッパ連合と協力して対ロシア経済制裁を実行することも含まれる。経済政策を科すことで、大西洋を挟む両岸(アメリカとヨーロッパ)の将来の選挙にロシアが介入すれば相応の代償を支払わせることができる。

まとめると、ロシアは、SNSを民主政治体制への攻撃のための戦場としている。そうではあるが、SNS自体が問題なのではない。実際、フェイスブック社、グーグル社、そしてツイッター社は、ロシアからの攻撃に対する解決法を確立するための重要なパートナーだ。プーチンは、アメリカ経済で最も革新的な部門であるIT部門には規制が必要だという考えに舌を出して喜んでいることだろう。連邦議会はIT部門に規制を加えたいという誘惑に抗する必要がある。緊急的に必要なことは更なる規制ではない。アメリカ全体での対応策の策定である。テクノロジー部門における革新的な問題解決策の構築によって将来のロシアの攻撃を無力化することである。我が国の民主政治体制と国家安全保障はIT技術に依存しているのだ。

ミシェル・フロノイは2009年から2012年まで政策担当国防次官を務めた。彼女はウエストエグゼク社の共同創設者だ。ウエストエグゼク社(WestExec)はフェイスブックス社を含む多種多様な企業のコンサルタント業務を行っている。

(貼り付け終わり)
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悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

(終わり)

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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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