古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:国際連合

 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 今回は2つの論稿をご紹介する。1つ目は、ジョー・バイデンが今年9月に国連総会で演説したことを受けて書かれたものだ。創設75周年を迎える国連の総会での演説の中で、バイデンはアメリカの外交努力と成果を強調したが、ウクライナ戦争やイスラエル・ハマス紛争に関しては、聴衆となった各国代表団からの反応は薄かった。世界は既に、アメリカが世界の諸問題解決には無力な存在になっていること、国連もまた形骸化し、第一次世界大戦後から第二次世界大戦直後まで存在した国際連盟のようになっている。国際的な諸問題を解決する場所ではなく、対立を激化するだけの場所になっている。

 2つ目の論稿はジョー・バイデンが大統領選挙を継続し、再選に意欲を見せていた時期に書かれたものだ。重要なのは、大統領の健康状態はアメリカの外交政策に影響を与えるのかということだ。論稿の著者スティーヴン・M・ウォルトは歴史上の具体例を挙げて次のように指摘している。ウッドロー・ウィルソン大統領のように病状が隠され、他国がその無能力を利用することはなかったケースもあれば、フランクリン・ルーズヴェルト大統領のように身体的な衰弱が交渉に影響を与えたケースもある。一方で、アイゼンハワーやケネディのように、病気があっても政策に大きな影響を与えなかった大統領もいる。 これらの事例から、大統領の障害が必ずしも外交政策に影響を及ぼすわけではないということになる。

アメリカの外交政策の立案や実行は大統領個人に依存しておらず、ティームによって支えられている。また、既存の外交政策エスタブリッシュメントによってその意向が制約されることもある。ウォルトは他国が大統領の力の弱さ、健康状態の悪さを利用することがあると指摘している。現在のイスラエルがまさにそうだ。イスラエルは、ガザ地区のハマス、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、これらの組織を支援するイランに対する戦争に進もうとしている。戦争の段階を引き上げて、最悪の場合には核戦争になるかもしれないという非常に危険な動きをしている。イスラエルはアメリカのジョー・バイデン大統領と政権が動けないことを見越して、このような動きに出ている。これは、バイデン政権のレイムダック化(無力化)がもたらしていることだ、

 国連が既に形骸化し、アメリカが中東の平和を保つことさえ難しいほどに無力化していることは現在の世界構造が大きく変化していく前兆を示している。私たちはそのことをきちんと認識しなければならない。

(貼り付けはじめ)

バイデンを置き去りにする世界(The World Is Leaving Biden Behind

-ジョー・バイデン大統領は国連(United Nations)での祝辞の中で、中心の維持を宣言した。しかし、物事は彼が追いつくよりも速く崩壊している。

マイケル・ハーシュ筆

2024年9月24日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/09/24/the-world-is-leaving-biden-behind/

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ニューヨーク市の国際連合本部での国連総会で壇上から降りる際に手を振るジョー・バイデン米大統領(9月24日)

演壇のどちらの側でも、特に温かい別れはなかった。

火曜日に国連総会(U.N. General Assembly)で祝辞を述べたジョー・バイデン米大統領は、自身の半世紀に及ぶ公務について語り、自分の年齢について今ではもう聞き飽きたジョークを飛ばし、ほどほどの笑いを誘った。「自分がまだ40歳にしか見えないのは分かっている」とバイデンは言った。しかし、楽しかったのはそれだけだった。バイデンはその後、今後の世界的な課題についてぼんやりと話し始め、各国の国連代表団はほんのわずかな拍手でそれに応えた。彼がウクライナの防衛と中東戦争の終結について語ったとき、彼がアフガニスタンからの撤退を擁護したとき、沈黙があった。

バイデンのスピーチで最も印象に残ったのは、間違いなく終盤、81歳での再出馬を断念したことを示唆し、次のように宣言した場面だろう。「仲間の指導者たちの皆さん、政権を維持することよりも重要なことがあることを決して忘れないで欲しい。バイデンはこの台詞に持続的な拍手を受けたが、会場にいた多くの国の代表が、どんな犠牲を払っても権力の座に留まろうと必死な独裁者に率いられている現状を考えると、これはむしろ皮肉なことだった。

しかしその後、バイデン大統領がタートルベイの実際の舞台であり、同時に世界の舞台でもある舞台から降りるよう案内されると、別のことが明らかになった。バイデンが大統領として回復し再活性化することを望んでいた、破綻した世界システムは、ほぼ彼を追い越したのだ。それだけではない。大統領就任まで残り4カ月となったバイデンには、現在激化している血なまぐさい紛争を解決する見込みがほとんどない。アメリカの外交官がヒズボラの抑制をほぼ諦めている中、イスラエルがレバノンのヒズボラを攻撃し、紛争は日に日に激化している。ウォルター・ラッセル・ミードは月曜日、『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に「バイデンは外交が大好きかもしれないが、外交は彼を愛してくれない(Biden may love diplomacy, but diplomacy doesn’t love him back)」と書いた。

そうではなく、国連そのものが、そして国連がかつて象徴していたもの全てが、かつての国際連盟(League of Nations)のように無用の存在になりつつあるということだ。一方はアメリカ、もう一方はロシアと中国である。つまり、国連安全保障理事会(U.N. Security Council)の拒否権(veto)を持つ5カ国のメンバーのうち3カ国が、国連を再び大国のサッカーのフィールドであり、対立と果てしない膠着状態の場としている。この状況は、ソ連がほとんど全てに拒否権を発動していた冷戦の最盛期を彷彿とさせる。(マーシャル・プランと朝鮮戦争決議ではソ連代表団は両日とも欠席し、キプロスなどでの小規模な停戦監視任務など、いくつかの重要な例外はあるが、拒否権発動が多く行われた。

国連総会に関しては、かつて人類の議会(the Parliament of Man)として神格化されていた(apotheosized)この組織は、地域政治や小国の演説や些細な馴れ合い、そしてしばしば反イスラエルの暴言によって、これまで以上に機能不全に陥った場所となっている。かつては、1975年にアラブ諸国がシオニズムを人種差別と決めつけた決議案がその象徴だった。火曜日、バイデンに続いて登壇したトルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と彼の「大量殺人ネットワーク(mass murder network)」をアドルフ・ヒトラーになぞらえた暴言を吐いた。エルドアンはまた、安全保障理事会とその常任理事国5カ国を非難し、「世界は5カ国よりも大きい(The world is bigger than five)」と述べた。

バイデンは自身のスピーチで、今日の不安定な世界情勢を、彼が29歳で初めて連邦上院議員に当選し、ヴェトナム戦争と冷戦がまだ続いていた頃と比較しようとした。バイデンは次のように述べた。「アメリカと世界はあの時を乗り越えた。簡単でも単純でもなかったが、大きな失敗もなかった。しかし、軍備管理を通じて核兵器の脅威を減らし、冷戦そのものを終結させることができた。イスラエルとエジプトは戦争に突入したが、その後歴史的な和平を結んだ。私たちはヴェトナム戦争を終結させた」。

「私は歴史の驚くべき広がりを見てきた」とバイデンは宣言し、公職に就いたときと同じように楽観的に公職を去ると語った。そしてバイデンは、ウィリアム・バトラー・イェイツの有名な詩「再臨(The Second Coming)」を引用し、「単なる無政府状態(mere anarchy)」が「世界に放たれ(loosed upon the world)」、「中心(the center)」が保てなかった第一次世界大戦の時代よりは、今日の混乱があっても状況はましだと述べた。

バイデンは「決定的な違いが見られる。私たちの時代でも、中心は維持されてきた」と述べた。バイデンは、自身のリーダーシップの下、世界はここ100年で最悪のパンデミックに対して、「ページをめくった」と述べ、ウクライナにおける国連憲章を擁護し、アメリカは気候変動とクリーンエネルギーに対して史上最大の投資を行ってきたと述べた。バイデンは「私たちを引き離す力よりも、私たちを結びつける力の方が強いことを確認して欲しい」と述べた。

それは、現在のところ、バイデンと彼のティームが追いつくよりも早く、物事がバラバラになっているように見えるからだ。

国連創設に関する著書『創造の行為(アクト・オブ・クリエイション)』の著者スティーヴン・シュレジンジャーは、「これは遺産となる演説だった。バイデンは、政権が国連憲章への関与を精力的に示してきたことを強調し、最も重要なのは、ロシアによるウクライナへの残酷かつ違法な侵略に対するウクライナの防衛を支援することだった」と語った。伝統的なリベラルな民主党大統領として、バイデンはまた、世界の保健福祉、食料不安、干ばつ、貿易とテクノロジー、サイバースペースに関する規範、企業に対する世界最低税(global minimum tax)、インド太平洋の安全保障など、組織内での主要優先事項のリストにチェックを入れた。また、枠組み、サプライチェーン、債務免除、人権、テロリズムを重視した

しかし、結局のところ、「バイデンは新しい政策を提示しなかった」とシュレジンジャーはEメールで語った。彼は続けて次のように述べた。「ウクライナでもガザ地区でも、和平解決についての新しいアイデアを提示することはなかった。また、国連がこれらの危機に対処できなかったことを非難することもなかった。バイデンの演説は何かを変えるものではなく、世界の舞台における組織の重要性をアメリカ人に再認識させ、将来のアメリカ大統領に目印を残すための努力の行為であった」。

実際、軍事的覇権(military hegemony)から外交に移行しようとするバイデンの努力は、ほとんどの戦線で失敗しており、ミードが指摘するように、中東以外の分野では失敗している。 「アメリカの歴史上、これほど中東外交に力を入れた政権はない」とミードは書いた。ミードは続けて次のように書いている。「しかし、アメリカの歴代政権の外交官がこれほど成功しなかったことがかつてあっただろうか? バイデンはイランをアメリカとの核合意に戻そうと試みたが失敗し、イスラエルとパレスティナの新たな対話を軌道に乗せようとしたが失敗した。彼はスーダンの内戦を止めようとしたが失敗した」

一部の外交筋によれば、特にネタニヤフ首相はもはやバイデンらの言うことなどまったく聞いていない。その代わり、イスラエルはカマラ・ハリスであれ、ドナルド・トランプであれ、次の米大統領が就任するまでエスカレートした戦争を続けるだろうとの見方が中東には強いという。イスラエル人にとってもアラブ人にとっても、ある外交官が言うように「バイデンに何らかの勝利を与えても政治的利益はない(here is no political gain in giving Biden any kind of victory)」のだ。

国連そのものについては、追悼記事(obituaries)を書くにはまだ早すぎる。国際連盟は第二次世界大戦の勃発とともに休止状態に入ったが(正式に解散したのは1946年)、国際原子力機関や国連開発計画など、国連の諸機関は今も世界の安定を守るために重要な役割を果たしている。毎年開催される国連気候変動会議もまた、不可欠なフォーラムである。そして、国連が果たすべき役割、つまり世界的な集団安全保障の維持という、国際主義者の一部が信じている役割において、国連が完全に失敗していることは事実であるが、世界機関は第三次世界大戦を防ぐために一役買ってきたし、またそうするかもしれない。

シュレジンジャーはそのように主張する。「国連は、過去75年間で最大かつ最も危険な対立、キューバ危機の解決に直接的な役割を果たした」と、彼は2020年の国連創設75周年に際してのインタヴューで私に語った。実際、当時のアドレイ・スティーヴンソン米国連大使は、キューバにロシアのミサイルがある証拠を突きつけ、安全保障理事会でソ連国連大使に「あなたは今、世界世論の法廷に立っている」と言い放ち、米ソ間の核戦争を回避することに貢献した。

現在、ロシアや中国とそのような対立が差し迫っている訳ではないが、ホワイトハウスは今週発表したファクトシートで次のように指摘している。「私たちは国連総会で141カ国を集め、ロシアの国際法違反を非難した。私たちは国連安全保障理事会の討論を利用して、ロシアの違法な戦争と残虐行為にスポットライトを当てた。国連人権理事会からロシアを追い出すよう国連総会に迫った。私たちは、国連の幹部人事を拒否し、国連諸機関への選出を阻止することで、ロシアを孤立させた」。

シュレジンジャーは、より大規模な戦争に発展しかねない地域紛争や地方紛争を防ぐため、国連が平和構築の役割を果たした事例を、その歴史の中で30件ほど数えている。アンゴラ、カンボジア、クロアチア、グアテマラ、モザンビーク、ナミビア、セルビア、南アフリカなどである。国連はまた、ワシントンが指揮を執ることに関心がなく、めったに話題にならないような人道支援プロジェクト(ガザ地区における評判の悪い国連救済事業機関など)のための連絡機関としての役割も果たしている。

しかし、11月5日に誰が次期米大統領に選出されるかに大きく左右されるだろう。ハリスは一貫して国連憲章に具体化された国際ルールや規範の擁護を主張してきたが、トランプはそれを軽視する傾向にある。好むと好まざるとにかかわらず、国連は、将来の中国、イラン、ロシアを国際システムに取り込むための、あるいは少なくとも国際システムに残された唯一の現実的なフォーラムである。

※マイケル・ハーシュ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。『資本攻勢:ワシントンの賢人たちはどのようにしてアメリカの未来をウォール街に渡し、我々自身と戦争を行ったのか(How Washington’s Wise Men Turned America’s Future Over to Wall Street and At War With Ourselves)』と『何故アメリカはより良い世界を築くチャンスを無駄にしているのか(Why America Is Squandering Its Chance to Build a Better World)』の2冊の本の著者でもある。ツイッターアカウント:@michaelphirsh

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バイデンの弱さはアメリカを危険に晒すことはない(Biden’s Frailty Doesn’t Endanger America

-大統領の体の弱さが国家をより脆弱にしない理由を挙げる。

スティーヴン・M。ウォルト筆

2024年7月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/07/11/bidens-old-frailty-election-national-security-america/

彼はやるのか、それともやらないのか? 最近のアメリカ政治で最も注目されているのは、ジョー・バイデン大統領が2024年の大統領選挙から撤退するのかどうかということだ。バイデンはこれまでその呼びかけに反抗してきたが、彼と民主党が最終的にどう決断するか、あるいはそれが11月の選挙にどう影響するかは誰にも分からない。政治評論家たちは、この騒動の主な受益者であり、今や悪名高い6月27日の討論会以来、政治的なスペクトルを超えたコメンテイターたちが残業して走り書きをしている。

バイデンの討論会でのパフォーマンスを受けて、あまり注目されなくなった疑問は、彼の身体的・認知的な限界が、現実のものであれ、認識されているものであれ、アメリカの外交政策そのものに何らかの影響を与えるかどうかということである。彼がカマラ・ハリス副大統領を支持して大統領職を辞任しないと仮定すると(私はその可能性は極めて低いと考えている)、バイデンは少なくとも2025年1月20日までは大統領であり続けることになる。その間におよそ6カ月、つまり大統領任期の8分の1がある。敵対国、さらにはアメリカの同盟国の一部が、もはや最善の策を提示していないと信じている大統領を利用しようとする可能性があるだろうか?

歴史を見てみると、その判断は様々だ。ウッドロー・ウィルソン大統領(当時)は1919年10月に体を衰弱させる脳卒中を患ったが、彼の妻と医師はその病状を隠しており、外国がウィルソンの無能力を利用しようとすることはなかった。

一方、フランクリン・ルーズヴェルト大統領は、1945年4月に致命的な脳卒中で倒れるまでの数年間、明らかに衰弱しており、その2ヵ月前に開催されたヤルタ・サミットでは、力の衰えによって交渉の効率が大幅に低下していた可能性がある。ドワイト・アイゼンハワーは1955年9月に深刻な心臓発作に見舞われたが、政府運営に影響はなく、1956年に再選を果たし、2期目を成功のうちに終えた。ジョン・F・ケネディはアジソン病とその他いくつかの深刻な病気を患っていたが、この隠れた病気は公私ともに彼の活動に支障をきたすことはなかったようだ。

リチャード・M・ニクソン大統領は、1973年のアラブ・イスラエル戦争中、当時のエドワード・ヒース英首相からの電話に出ることができず、キッシンジャー米国務長官や他の高官に重要な決断を委ねたと伝えられている。また、ロナルド・レーガンは2期目の任期中にアルツハイマー病の初期段階にあったかもしれないが、その病状がアメリカの政策や他国の行動に大きな影響を与えたという証拠はほとんどない。

これらの例を見ると、大統領の障害は、人々が当初考えていたほど深刻な問題ではないことが分かる。アメリカの大統領が重要な存在であることは言うまでもないが、政策の立案や実行は決して大統領1人だけの責任ではない。全ての大統領にはティームがあり、様々なシナリオに対する政策の選択肢や可能性のある対応は、多くの場合、実施に先立って議論される。また、大統領に多少の障害があっても、部下(例えば、国務長官や国防長官、国家情報長官、国家安全保障会議議長など)が後を引き継ぐ。

また、若くて精力的な大統領であっても、外交政策機構のあらゆる側面を手なずけることはできない。「ブロブ(Blob)」(国家の外交政策分野のエスタブリッシュメント)には、大統領がやろうとすることを薄めたり、抵抗したり、方向転換させたりする、様々な方法がある。その結果、たとえ大統領が100%以下の力で行動していたとしても、敵対勢力はアメリカが直接的な挑戦に応じないと確信することはできない。実際、政権が挑発に過剰反応する可能性は、過小反応する可能性と同じくらい高く、単に大統領の状態が悪用されないことを示すだけである。

バイデンの状況がどうであれ、他の国家が既にヘッジをかけている(リスクを回避する)ため、バイデンの状況はそれほど重要ではない。アメリカの二極化(polarization)の現状と、いくつかの重要な外交政策問題についての民主党と共和党の間の鋭い相違を考えると、バイデン政権が今から11月までの間に行うかもしれない公約を重視する外国の指導者はいないだろうし、特にそれが共和党の推定候補者であるドナルド・トランプ前大統領の方向性と対立するものであればなおさらだ。

バイデンは明日、ホワイトハウス記者団全員の前で腕立て伏せを50回行い、円周率の小数点以下の最初の50桁を暗唱することもできるだろうし、他の政府もアメリカの保証に基づいて約束をする前に11月を待つことになるだろう。そして、たとえバイデンが30歳若かったとしても、今から選挙までの間に政権が大きな外交政策に着手するとは予想できないだろう。

十分に機能していない大統領が大きな影響を及ぼす可能性のあるシナリオを2つ考えてみよう。アメリカが、1962年のキューバ・ミサイル危機のような長期化し、大きなリスクを伴う課題に直面し、大統領が、ケネディ大統領が暫定的な「国家安全保障会議執行委員会(Executive Committee of the National Security CouncilExComm)」を通じて行ったような、長期化し、激しい審議を主導することができなかったと想像してみて欲しい。

あまり関与していない大統領であれば、最終的に異なる選択をするかもしれない(例えば、キューバに海軍の検疫を課すというケネディの決定は、空爆を開始するという最初の考えよりもはるかにエスカレートしていなかった)が、そのような選択がどうなるかを予測することは不可能である。先ほどの繰り返しになるが、潜在的な挑戦者は 潜在的な挑戦者は、もし大統領が内部の議論を積極的に誘導していなければ、アメリカの対応がより強硬になる可能性を考慮しなければならない。大統領が弱体化したからといって、必ずしも対応が弱くなるとは限らない。そうでないと考えるのは、大統領は常に、その大統領に仕える人々よりもタカ派で毅然としていると思い込むことであり、賢明な敵対者はそう思い込むべきでない。

精力的でなく、集中力も、有能でもない大統領は、より多くの努力を部下に委任する必要があり、現CIA長官ウィリアム・バーンズのような経験豊富で有能な交渉人でさえ、大統領と全く同じ権限で話すことはできないだろう。ただし、この違いは程度の問題である可能性がある。たとえ大統領が電話対応に多くの時間を費やすことができなかったとしても、アメリカ外交が行き詰まるわけではない。

更に言えば、トップの人物は不安定であるという認識が利点となる場合もある。もしアメリカの交渉担当者が相手に譲歩させようとしているなら、「大統領は年老いて自分のやり方に凝り固まっているし、この問題に関する彼の見解は決して変わらないだろう。あなたが私にもっと何かを与えない限り、私が彼を動かせる方法はない」と述べることができる。したがって、場合によっては、大統領が全盛期を過ぎたという認識をアメリカの外交官が利用できる巧妙なものになる可能性がある。

最後に、バイデンの今後6ヶ月間の職務遂行能力に対する疑念は、トランプがアメリカの外交政策を監督した際に示した資質とのバランスを取る必要がある。トランプ大統領の1期目に関するインサイダーたちの証言によれば、彼は不規則で、気まぐれで、細部に関心がなく、ほとんどの外交問題に持続的な注意を払うことができないと言われている。中国と対決する必要性、アフガニスタンからの撤退、ヨーロッパに国防を強化させる必要性など、いくつかの直感は正しかったが、その他の問題(環太平洋パートナーシップ、イラン核合意など)に対する彼の見解は不見識であり、彼が採用した政策の多くは約束通りに実現できなかったか、アメリカを弱い立場に追いやった。

「認知能力」が大統領の職務遂行能力を測るリトマス試験紙だとするなら、要するに、有力な候補者2人、トランプとバイデンのどちらにも熱意を持つのは難しいことになる。これが非常に多くのアメリカ人(1月時点で67%)が候補者たちを支持できないと答えた理由であり、更には民主党が支持者たちに選択肢を提供するくらいに賢明であることの理由である。もちろん、この選択肢にロバート・F・ケネディ・ジュニアは入っていない。良いニューズは、大統領の病弱さが、今から2025年1月までの間にそれほど大きな違いを生むことはないということだ。それ以降は、11月にどの政党が勝とうとも、全てはギャンブルのようなものだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 「有志連合(coalitions of the willing)」という言葉を聞くようになって久しい。このことを別名では「ミニラテラリズム(minilateralism)」とも言う。この言葉は比較的新しい言葉だ。一極主義(unilateralism)、二極主義(bilateralism)、多極主義(multilateralism)と似たような言葉があるが、二極主義と多極主義の間に入るのがミニラテラリズムだ。ミニラテラリズムは、簡単に言えば、3から6の国が集まって枠組みを作って、世界で起きる様々な問題に対処するということだ。アメリカのジョー・バイデン政権はこうしたミニラテラリズムに基づいた数カ国からなる有志連合を外交政策の中心に据えている。それは、国連は既に機能不全に陥っており、国際問題への効果的な対処が難しい状況になっているからだ。そして、これは、戦後の世界構造が変化しつつあることも関係している。
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 国連において最重要期間は国連安全保障理事会(国連安保理)である。その中でも、安保理常任理事国5カ国、アメリカ、イギリス、フランス、中国、ロシアが意思決定において優越的な地位を占めている。これらの国々には拒否権(veto)が認められている。国際連合(the United Nations)は、第二次世界体制の戦勝側である、連合国(the United NationsAllies)が国連なのである。戦時中の下のポスターを見て欲しい。ここには「The United Nations Fight for Freedom(連合国は自由のために戦う)」と書かれている。国連とは、第二次世界大戦の戦勝側が優越的な地位を占めるための国際的な枠組みなのである。そして、戦争で大きな犠牲を払った主要諸大国(powers)が世界の方向を決めるという仕組みになっている。
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 しかし、米ソ対立から冷戦が始まり、国連は協調の場ではなく、米ソ対立を基にした争いの場になってきた。そして、現在は、米英仏対中露、西側諸国対それ以外の国々、ザ・ウエスト(the West)対ザ・レスト(the Rest)の争いの場に変容しつつある。

 国連では何も決められない。問題にも対処できない。アメリカの国力がダ充実していたころは、一極的な行動もできたが、今はそれも難しい。だから、「ある程度お金や力を持っている気の合う仲間」を誘い合わせて、有志連合を形成する方向に進んでいる。パートナーは、西側の仲間内で見つけるということになる。各地域で有志連合を作り、それを重層的なネットワーク化しようとしている。こうした動きはザ・レスト側にもあり、その基本がブリックス(BRICS)ということになる。戦後世界構造の変化の中で、国際的な枠組みにも変化が起きている。

(貼り付けはじめ)

バイデンの「有志連合」外交ドクトリン(Biden’s ‘Coalitions of the Willing’ Foreign-Policy Doctrine

-アメリカ外交の最新の動きは、大統領がいかに「ミニラテラリズム(minilateralism)」を重視しているかを示している。

ロビー・グラマー筆

2024年4月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/04/11/biden-minilateralism-foreign-policy-doctrine-japan-philippines-aukus-quad/

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2023年3月13日、オーカス(AUKUS)の三カ国首脳会談の後の記者会見でのオーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相、ジョー・バイデン米大統領、リシ・スナク英首相

ジョー・バイデン米大統領が今週、ワシントンで日本とフィリピンの両国首脳を招き、史上初の3カ国首脳会議を開催する一方で、バイデン政権のアントニー・ブリンケン米国務長官は来週、イタリアで開催されるG7外相会議の準備を進めている。何千キロも離れており、議題も大きく異なっているにもかかわらず、この2つの会議はいずれもバイデン外交のドクトリンの特徴となっているミニラテラリズム(minilateralism)の一環である。

ミニラテリズムとは、本誌フォーリン・ポリシーの複数の記事で最初に広まった、奇妙な用語で、国連や世界貿易機関(WTO)のような大規模で動きの遅い伝統的な多国間機関ではなく、共通の利益を持つ、より小規模でよりターゲットを絞った国々のグループが関与する国際協力の一形態を指す。および。これはまさにバイデン政権が追求してきたアプローチであり、冷戦後の世界秩序がいかに崩壊しつつあるかを示すこれまでで最も明らかな兆候を表している。

この戦略は、民主党の外交政策の伝統的な理念からの大幅な転換を示している。バラク・オバマ政権時代、ワシントンは国連システムや他の主要な多国間ブロック(multilateral blocs)を通じて主要な外交政策の取り組みを推進することに重点を置いていた。2011年のNATOによるリビアへの介入については、最初は国連安全保障理事会のゴーサインを得ようと努力したし、バラク・オバマ大統領の気候変動への取り組みについても、主要な国連内部の会議を通して行おうとした。

その代わりに、バイデン・ティームは、主要な危機に関する特定の政策課題を推進するために、より小規模で目的に合った「有志連合」(smaller, fit-for-purpose “coalitions of the willing”)にますます頼るようになっている。

ヨーロッパでは、G7を利用してウクライナ戦争に対するロシアへの徹底的な経済制裁を実施し、ウクライナへの軍事援助を数十カ国間で調整するための暫定的な新組織、いわゆるラムシュタイン・グループ(Ramstein group、訳者註:ウクライナ防衛のための40カ国以上が参加した国際会議)を設立した。アジアでは、中国の台頭を食い止めようと、日米豪印戦略対話(Quadrilateral Security DialogueQuad)、AUKUS、そして日本とフィリピンとの三国間イニシアティヴ(今週首脳会談が実施された)など、重複する小さなグループのパッチワークをバイデン政権は採用している。

新アメリカ安全保障センター上級研究員リサ・カーティスは、「このような3、4カ国によるミニラテラルな会合(minilateral meetings)は、安全保障関係の緩やかなネットワーク(a loose network of security relationships)を発展させるというバイデン政権の戦略の特徴となっている」と述べている。

カーティスは、バイデンが2期目を勝ち取るかどうかにかかわらず、ミニラテラリズムのアプローチはバイデン政権が終わってからも、より長続きする可能性が高いと述べた。インド太平洋に関するバイデンとトランプのドクトリンは、驚くほどよく似ていると指摘している。加えて、中国に対抗するためのAUKUSのような構想は、ワシントンの政治的スペクトルを超えて広く普及しており、ドナルド・トランプの共和党にしても、国連と政界貿易機関(WTO)のシステムに深い懐疑的な見方をしている。

この戦略が功を奏しているかどうかはまだ明らかになっていない。バイデン政権は、インド太平洋地域でこうした外交的イニシアティヴの「格子細工(latticework)」と呼ばれるものを立ち上げ、一定の勝利を収めたが、それらが実際に中国を地政学的に制限できるかどうかはまだ分からない。

しかし、ワシントンが注意深くなければ、こうしたミニラテラルな取り組みも暗礁に乗り上げる可能性がある。「ASEANウォンク・ニュースレター」の発行人であるラシャンス・パラメスワランは次のように述べている。「もし将来の米政権が、気候や経済といった分野での各国のニーズも認識した、より包括的なアジェンダを維持するのではなく、アメリカ主導のミニラテラリズムの焦点を中国への対抗だけに絞った場合、アメリカは北京に対して僅かな勝利を得ることはできても、この地域の多くを失うリスクがある」。

パラメスワランは続けて次のように述べている。「ミニラテラルに参加する国々は、物事を成し遂げるために、より柔軟な連合を構築する。しかし、ミニラテラルは、二国間(bilateral)、もしくは多国間(multilateral)での関与を調整したときにこそ最も効果を発揮するため、既存の制度を弱体化させる一連の排他的なクラブのようには見えない。中国はじしんが発するメッセージの一部を使って、ミニラテラルを厄介者のように印象付けようとしている」。

いずれにせよ、バイデン政権の内部関係者たちによれば、新しいミニラテラリズム(minilateralism)のアプローチは、アメリカが何十年にもわたって築き上げ、維持してきた第二次世界大戦後の国際システムが、もはや目的にそぐわなくなっていることを端的に反映したものだという。

あるバイデン政権幹部は匿名上条件に、次のように率直に意見を述べた。「私たちが80年間構築し、依存してきた多国間秩序(multilateral order)は、あまりにも時代遅れ(old-timey)で扱いにくくなっている(unwieldy)。国連やその他の大きな機関における絶え間ない行き詰まりに対する回避策を見つけなければならない」。

新しい方策のために、バイデン政権は熱狂的なペースで取り組んでいる。政権の高官たちとこの問題に詳しい複数の外交官たちによれば、バイデンは来週イタリアで開かれるG7外相会議に続いて、6月にイタリアで開かれるG7サミットと、今年後半にペルーで開かれるアジア太平洋経済協力サミット(Asia-Pacific Economic Cooperation summit)に出席する予定だという。複数のバイデン政権関係者はまた、11月下旬か12月上旬にニューデリーで開催される日米豪印戦略対話首脳会議(Quad Summit)のためのインド訪問の可能性も視野に入れ、その下準備を進めている。この計画はバイデンが再選されるかどうかにかかっている。

この言葉は比較的新しいかもしれないが、国連のような組織における外交的膠着状態を回避する方法としてのミニラテラリズムという考え方は、決して新しいものではない。たとえばG7はもともと、1973年の石油危機をきっかけにして、フランス、ドイツ、日本、イギリス、アメリカの主要先進工業国が、世界貿易機関(WTO)や国際通貨基金(IMF)の厳格なシステムの枠外で、主要な金融問題に取り組むためのフォーラムとして1970年代初頭に設立された。後にイタリアとカナダが加盟し、ヨーロッパ連合(EU)も「数に挙げられていないメンバー(non-enumerated member)」として加わった。

しかし、近年ワシントンの一部では、ロシアのウクライナ紛争をめぐる行き詰まり、ミャンマー紛争への対応の失敗、国際機関における中国の影響力拡大に対する不信感、スーダンが内戦に突入した際の不手際など、注目される国際機関の失敗や失策が後を絶たないため、ミニラテラリズムはさらに魅力的なものとなっている。こうしたことから、民主党内の伝統的な制度の熱心な支持者でさえ、解決策を他に求めるようになっている。

経済面では、アメリカはG7レヴェルにおいて、対ロシア制裁を調整することを選択した。ウクライナ戦争の主要な侵略者が常任理事国(permanent member)であり、拒否権(veto)を持つ国連安全保障理事会(U.N. Security Council)では、そのような努力は効果を上げないと予測していたからだ。バイデン政権はまた、世界貿易機関(WTO)や国際通貨基金(IMF)などの機関ではなく、G7という場を利用して世界的な法人税制の見直しを行い、中国の「一帯一路」構想(Belt and Road Initiative)に対抗して、国際インフラ投資プログラム(international infrastructure investment program)を立ち上げて注目を集めた

インターナショナル・クライシス・グループの国連担当部長のリチャード・ゴーワンは、「ホワイトハウスは世界をよく観察し、多くの制度が綻びを見せているのを見て、かなり重要な問題に関して国連から望むものを引き出すのは非常に難しいと見ている」と述べている。

現在世界で最も大きな地政学的引火点の2つ、ウクライナ戦争とインド太平洋の緊張には、いずれも国連安全保障理事会の常任理事国であるロシアと中国が関与しており、それらの緊張に対処するための国連の取り組みを阻止するために、中露両国は拒否権を行使することに何の躊躇もしない。(つい先月、ロシアは、ウクライナ戦争を支援するための武器供与と引き換えに北朝鮮との関係を強化する中、成立すると広く考えられていた対北朝鮮制裁を監視する15年間の計画を頓挫させた。)

アメリカはまた、世界で3番目に大きな地政学的火種であるイスラエルとハマスの戦争に対処する努力において、国連から距離を置いている。先月、ようやく1つの決議が可決されたが、アメリカが棄権したため、緊密なパートナーであるイスラエルは怒ったが、イスラエルの戦争戦略に全く変更は行われなかった。

2022年の歴史的な国連総会の投票では、世界の圧倒的多数がロシアのウクライナ侵攻を非難したが、それまでと同様にモスクワの戦争に関する計算を変えさせることはできなかった。

そして今週、アメリカがイランによるイスラエル攻撃の可能性に警告を発した時、アントニー・ブリンケン米国務長官は、イランが常設の外交拠点を持つ国連にその懸念を持ち込まず、むしろ従来のシステムを回避してトルコ、中国、サウジアラビアの外相に電話をかけ、緊張緩和のためにテヘランに水面下で働きかけを行うように促した。

インド、南アフリカ、ブラジルなどの中堅・新興大国(middle and rising powers)は、国連安全保障理事会は時代遅れであり、いわゆるグローバル・サウス(global south)が国際問題で果たす役割の高まりを反映していないと主張しているが、制度改革の努力は全てが失敗に終わっている。

表向きは大国(列強)間競争(great-power competition)に関与していない問題、たとえばハイチの安全保障危機やエチオピアとスーダンの戦争でさえ、バイデン政権は国連に可能な役割は存在しないと見ている。2021年にバイデン政権の国連大使に就任したリンダ・トーマス=グリーンフィールドは、エチオピア北部ティグライ地方での致命的な戦争に安保理が正式に対処するよう強く働きかけた。しかし、この危機に関する公開会合が開かれるまでに数カ月が必要だった。

前述のゴーワンは、このため、当初はバイデン政権がトランプ政権後の世界機構に大きな再投資を行うことを期待していた国連外交官たちは、バイデン政権のミニラテラリズムへの軸足移動(Biden’s pivot to minilateralism)に失望することになった、と主張している。

ゴーワンは次のように述べている。「バイデン政権は、大多数の国にウクライナの主権に対するリップサービスを求めたいときには国連は役に立つが、実際に何かを成し遂げたいときには、別の場所に行く方が賢明だと考えている。国連では、『トランプの嵐を乗り切って、バイデンが晴れをもたらしてくれると思ったのに、代わりに霧雨が降ってきた』という感覚があるようだ」。

※ロビー・グラマー:『フォーリン・ポリシー』誌外交・国家安全保障担当記者。ツイッターアカウント:@RobbieGramer

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今回、ロシアによるウクライナ侵攻について、感情的になって「ロシアは許さない」「ウクライナ頑張れ」となるのは自然なことだと思う。しかし、少し落ち着いて国際政治を俯瞰して眺めてみると、何とも残酷な現実が見えてくる。それは、「国際政治は大国間政治(power politics)でしかない」ということだ。そのことを私たちに教えてくれるのは、『戦争と国際法を知らない日本人へ』(小室直樹著、徳間書店、2022年)だ。この本は『世紀末・戦争の構造』(徳間文庫、1997年)の再刊だ。何とも時機を得た再刊となった。

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戦争と国際法を知らない日本人へ ニュー・クラシック・ライブラリー

小室直樹(1932-2010年、77歳で没)については著者紹介を引用する。「1932年、東京都生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。 1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。 著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『国民のための戦争と平和』他多数。 渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』など」。
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 小室直樹は経済学、社会学、政治学など社会科学百般をその一身で「統合」した、不世出(ふせいしゅつ)の偉大な社会科学者だった。『戦争と国際法を知らない日本人へ』には巻末に副島隆彦先生による解説と小室直樹文献一覧が付いている。是非お読みいただきたい。

※ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」内の「今日のぼやき・広報ページ」で公開中↓

http://www.snsi.jp/tops/kouhou/2311

1944年にアメリカの首都ワシントンのジョージタウン地区にある、ダンバートン・オークス・ガーデン(Dumbarton Oaks Garden)にアメリカ、イギリス、ソ連、中華民国の代表が集まり、国際連盟に代わる新たな国際機関の創設が決定した。それが国際連合(国連)である。この4か国にフランスが加わって、国連の中核メンバー国である、そして、安全保障理事会常任理事国(The United Nations Security Council Permanent Members)となった。第二次世界大戦の戦勝国クラブと言っても良い。以下のポスターを見てもらいたい。国連は連合国のことである。

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 国連安全保障理事会の常任理事国の圧倒的な力(拒否権、veto)を前にして、それ以外の国々ができることはほぼない。国連改革と言って、常任理事国(permanent members)の数を増やすとか、制度自体を廃止するということは現在の五大常任理事国にとっては利益を損なわれることであるし、第二次世界大戦の勝利と大きな犠牲の面からもそれはできない。それならば国連総会の権限を強化し、安保理決議も多数決でできるようにするということも考えられるが、それはそれでやはり常任理事国が反対するだろう。

 国連安全保障理事会での決議(resolution)には加盟国を拘束する力があるが、国連総会(The United Nations General Assembly)での決議は勧告であり、拘束力を持たない。朝鮮戦争において北朝鮮の朝鮮人民軍(+中国人民志願軍[抗美援朝義勇軍])との戦いで、アメリカ軍が主体となって国連軍(United Nations Command)が形成されたのは、国連安保理で非難決議が可決されたからだ(常任理事国のソ連が反対ではなく棄権したため)。現在の状況であれば、ロシア非難決議に対してロシアが反対するだろうから決議は可決されない。

 小室直樹は『』第4章で国連こそは「むき出しの列強政治(naked powers politics)」だと喝破した。この本のポイントはここにある。列強政治、大国間政治の前には私たちは何とも無力な存在である。ポイントについては副島先生が引用しているので、私もそれを使って引用する。

(貼り付けはじめ)

昭和6年(1931年)9月18日、日本軍は突如として行動を開始し、まもなく、満州を占領した。(引用者注。これが満州事変。世界はこれを日本の中国侵略だと決断した。この日が、いわゆる「日中15年戦争」の始まりの日 ) 

 さあ、国際連盟が騒いだの騒がないのって。……日本は(中国に関する)九カ国条約違反であると非難された。1922年に結ばれた九カ国条約とは、日、米、英、仏、伊、蘭、中、ベルギー、ポルトガルとの間で結ばれた条約であって、中国の独立と領土を保障している。……

 ……国際連盟を牛(ぎゆう)()っている英仏の肚(はら)は、日本ごとき軍事大国がひとたび決意した以上、その軍事行動を押しとどめる力なんか、どこの国にもないことをよく知っていた。

 ……だが、ここで、国際連盟の二面性──表ではウィルソン(米大統領)流の原理主義、裏では列(れっ)(きょう)政治──が、その(国際連盟の)命取りになった。

……連盟が健在のときにおいてすら、国際政治の本質はやはり大戦以前と同様、列強政治であった。仮面をかぶった列強(パウアズ)政治(disguised powers politics ディスガイズト・パウア・ポリティックス)と称される所以(ゆえん)である。国際連盟の機能が麻痺するにつれて、列強政治はますますその正体をあらわにしてきた。(158-166ページ)

=====

 戦争という非常事態に際して、当然のことながら、列強政治の色彩は、さらに決定的に強まった。カイロ会談、テヘラン会談、ヤルタ会談、ポツダム会談など。戦後世界を決定する会議は、米英ソの三者によって意思決定がなされた。ときたまフランスの参加が許され、まれにちょっぴり中国の発言がみとめられる。そのほかの諸国にいたっては、連合国の一員であろうがなかろうが、全くのお呼びなし……。

 国連は、軍事同盟である。国連の本質は、日本とドイツに対する軍事同盟である。

 ……1942年1月1日、日独伊枢軸国と交戦中の26カ国は、個別的休戦を結ばないことを宣言、同盟関係を確認しあった。この軍事同盟を国際連合と呼んだ。これが、国際連合の濫觴(らんしょう。始まり)。

 国際連合は、対枢軸(すうじく)軍事同盟として生まれた。(中略)国際連盟が、仮面をかぶった列強政治(disguised powers politics)だとすれば、国際連合は、むき出しの列強政治(naked[ネイキッド] powers[・パウアズ・] politics[ポリティックス])である。(176-180ページ)

(貼り付け終わり)

 国際政治はどんなに取り繕ってみても列強政治、大国間政治でしかない。国連はそのむき出しの場所だ。見かけがきれいであっても、その下には硬質の、残酷な大国間の駆け引きと論理が存在する。私たちはそのことを理解しておかねばならない。

(貼り付けはじめ)

●「安保理常任理事国からのロシア解任、「選択肢」と英」

3/1() 23:04配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/088f06b5433bd13f426021bdd8e902f8794adb05

AFP=時事】英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相の報道官は1日、ロシアのウクライナ侵攻を受け、5か国で構成する国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国からロシアを解任する案を、英政府として議論する用意があると表明した。

 報道官は記者団に対し、「首相はこれに関して立場を示していない」としながらも、「われわれはロシアが外交的に孤立することを望んでおり、それを達成するために全ての選択肢を検討するということは言える」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

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●「ロシア非難決議否決 日本など80カ国超賛同も―国連安保理」

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https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022600292&g=int

 【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は25日午後(日本時間26日午前)、ロシアによるウクライナ侵攻を非難し、即時撤退を求める米国主導の決議案を採決に付したが、ロシアが拒否権を行使し否決された。理事国15カ国中、米欧など11カ国が賛成し、中国、インド、アラブ首長国連邦(UAE)は棄権した。

 米国は否決を見据え、決議案への賛同を示す共同提案国を理事国以外にも広く募り、日本を含む80カ国以上が名を連ねた。ロシアの国際的孤立を強調するのが狙いだ。

 トーマスグリーンフィールド米国連大使は、採決前、「簡単な投票だ。国連憲章を支持するなら『イエス』、ロシアの行動に同調するなら『ノー』か棄権だ」と迫った。

 結果、動向が注目された中国だけでなく、日米オーストラリアとの連携枠組み「クアッド」の一角であるインドも棄権に回った。インドのティルムルティ国連大使は「外交の道が断念されたのは遺憾だ」と理由を説明した。

 ウクライナのキスリツァ国連大使は会合での演説中、出席者に犠牲者への黙とうを要請。約10秒間祈りをささげた後、議場からは自然と連帯を示す拍手がわき上がった。ロシアのネベンジャ国連大使は鼻で笑ったが、ロシアの孤立を印象付けた。

 安保理決議案は否決されたが、米欧などは意思表示のため、国連総会で同内容の決議採択を目指している。ただ、総会決議に法的拘束力は無い。

 安保理は2014年にも、ウクライナ南部クリミア半島のロシア併合をめぐる住民投票を無効とする決議案採択を目指したが、ロシアが拒否権を発動して否決された。その際も中国は棄権している。

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ウクライナをめぐり国連を舞台にして米露が世界の世論を争う(U.S. and Russia Battle for World Opinion at U.N. Over Ukraine

-ブリンケンは今でも外交上の出口を探している。

コラム・リンチ、ロビー・グラマー、ジャック・デッチ筆

2022年2月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/02/17/us-russia-un-ukraine/

アメリカは、クレムリンがウクライナの首都キエフの占領を目指し、空、海、陸軍を派遣してウクライナへの侵攻を準備していると警告しており、アメリカとロシアは木曜日の国連安全保障理事会で緊迫した言葉による戦闘を展開した。

アントニー・ブリンケン米国務長官は、ミュンヘン安全保障会議のためにベルリンを訪れていたが一時的にニューヨークに戻り、ロシアのセルゲイ・ベルシニン外務副大臣が輪番議長を務める国連安全保障理事会で演説を行った。これは事態の緊急性を示すものだった。

ブリンケン氏は15カ国が参加した安全保障理事会の席上、「今日、私たちは会議を開いているが、平和と安全に対する最も差し迫った脅威は、ロシアによるウクライナへの侵略である。アメリカの情報諜報機関の報告によれば、ウクライナに対する攻撃が今後数日のうちに行われることを示唆している」と述べた。ブリンケンは続けて「これは、何百万人もの人々の生命と安全、そして国連憲章(United Nations Charter)とルールに基づく国際秩序(rule-based international order)の根幹を脅かす危機的状況である」と発言した。

ブリンケン国務長官の国連安全保障理事会の出席は、「国連安全保障理事会を、ロシアに対する国際世論を結集し、その外交的孤立を演出するための世界に向けた劇場(global theater)として利用する」というアメリカの戦略の一部である。国連安保理はロシアにウクライナの国境を尊重するよう強制する力をほとんど持たない。ブリンケン国務長官は、ウクライナ国境から軍を撤退させるというロシアの主張を否定し、ロシアのメディアが「国民の怒りを最大化(maximize public outrage)」し、「戦争の正当化の根拠を作り上げる(lay the groundwork for an invented justification of war)」ための大規模な偽情報キャンペーンを行っている兆候など、米国が考えるロシアの戦争戦略について詳細に説明した。

ブリンケン長官は次のように予測した。「ロシア政府は、ロシア国民やウクライナ国内のロシア系住民を守るために、ロシアが対応しなければならないという宣言を出すだろう。ロシアのミサイルや爆弾はウクライナ全土に落下するだろう。通信は妨害され、サイバー攻撃によってウクライナの主要機関が機能しなくなるだろう。その後、ロシアの戦車と兵士は、すでに詳細な計画が立てられ、明確に設定された重要な目標に向かって前進するだろう。その目標には、280万人の市民が暮らす、ウクライナの首都キエフも含まれると考えている」。

バイデン政権は、ロシアの軍事計画を白日の下に晒すことによって、モスクワに戦争のための信頼できる口実を与えず、ウラジミール・プーティン大統領を説得して、外交的出口を選択させることができるという希望を表明している。ブリンケン国務長官は、来週ヨーロッパでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談することを提案した。また、NATO・ロシア協議会と欧州安全保障協力機構(Organization for Security and Co-operation in EuropeOSCE)の会合を提案し、重要な国々の指導者たちによる首脳会談への道筋をつけることを目指している

ロシア代表のベルシニンは、「欧米諸国がロシアはウクライナを攻撃するとの根拠のない非難を行っている」と述べ反撃した。ベルシニンは安保理理事会の出席者たちに、「カメラに向かって大見得を切りたいという誘惑に負けないように」、そして「この会議をサーカスのようにしないように」と訴えた。

ベルシニンは、2月16日にロシアがウクライナに侵攻するという米国のリーク情報を嘲笑し、「いわゆる侵攻が行われるとされた日付は既に過ぎている。私たちからのあなた方への助言としては、厄介な状況に自ら進んで飛び込まないということだ」と述べた。

今月の国連安全保障理事会の議長を務めるロシアは、ウクライナ東部の一部を支配するロシアに支援された分離主義勢力と政治的な協議を行うことを政府に要求している、ミンスク合意をウクライナ側が遵守していないとを強調するために木曜日に会議を召集した。ベルシニンは「明らかなことを見ようとしない西側諸国のダチョウのような姿勢に、私たちは非常に失望していると言わざるを得ない」と述べた。

ウクライナに駐在しているミッコ・キンヌネン欧州安全保障協力機構特別代表は、ミンスク合意の全締約国が完全に合意内容を履行できていないと指摘し、一方の締約国に責任を押し付けるのは「適切ではない」と述べた。

ロシアのパブリック・ディプロマシー(public diplomacy)は、過去のアメリカの情報諜報活動の失敗(intelligence failure)によって利益を得ている。特にジョージ・W・ブッシュ(息子)元大統領が第一次湾岸戦争後、サダム・フセインが大量破壊兵器(weapons of mass destruction)を保有しているという誤った主張に基づいてイラクを侵攻したことから利益を得ている。当時のコリン・パウエル米国務長官が2003年2月に行った安全保障理事会での説明で、炭疽菌の模擬瓶を振り回して、イラクが大量の生物兵器をテロ兵器として使用する能力があると虚偽の説明をしたことを、ロシア当局者は頻繁に引き合いに出している。

ブリンケンは、アメリカの情報の信頼性に対する懸念に直ちに反論し、「アメリカの情報諜報活動が結果的にうまくいかなかった過去の事例を思い起こすことで、アメリカの情報に疑問を投げかける人がいることは承知している。しかし、明確にしておく。私が現在ここにいるのは、戦争を始めるためではなく、戦争を防ぐためなのだ」と述べた。

木曜日の会議に先立ち、ロシアは、ウクライナのドンバス地方でロシア語を話す人々に対して、ウクライナ軍が「大量虐殺」を行ったとする報告書を国連に提出したドンバス地方は、現在、ロシアの支援を受けた分離主義勢力が実効支配している。バイデン政権の最高幹部たちはこの主張に疑問を投げかけ、ロシアの侵攻の口実になる可能性があると指摘した。

ブリンケンは国連で次のように発言した。「ロシアはこの出来事を民族浄化(ethnic cleansing)や大量虐殺(genocide)と表現するかもしれない。この議場にいる私たちが重要視している概念、そして私の家族の歴史に基づいても非常に重要な概念を馬鹿にしている」。 ブリンケン米国務長官の継父はホロコーストの生存者だ。

アメリカ国務省のネッド・プライス報道官は、国連での会議に先立つ水曜日、記者団に対し、「過去数週間にわたり、ロシア当局者とロシアのメディアが、侵略の口実になるような話を数多く報道機関に植え込んでいるのを目撃してきた。こうした行動は、ロシアがウクライナに対する軍事行動の口実にするために展開している偽りの物語(false narrative)である」と述べた。

一方、アメリカ連邦議会の指導的立場にある議員たちからは、戦争回避のための外交努力が挫折し、プーティンが侵略計画を続けるのではないかという懸念の声が上がっている。連邦上院外交委員会委員長ロバート・メネンデス連邦上院議員は木曜日にMSNBCの番組に出演し次のように述べた。「これはプーティン理解入門初歩であるが、残念ながら、プーティンによって外交の窓が閉ざされつつあり、彼が前進することはウクライナ人にとっても、ロシアにとっても悲劇的な間違いである。私は状況についてますます懸念を強めている」。

バイデン政権と西側諸国の政府高官たちによる戦争への警告が熱を高まる中で、ブリンケン米国務長官の演説は行われた。ワシントンとその同盟諸国は数週間前から、ロシアの偽旗作戦(false-flag operations)による侵攻の可能性を指摘し、ロシアのウクライナ攻撃を防ごうとしてきた。しかし、これまでのところ、ウクライナの首都キエフに近い隣国ベラルーシを含むウクライナの国境付近でのロシア軍の増派と展開は継続中だ。

ロイド・オースティン米国防長官は2月17日に、ブリュッセルのNATO本部で演説を行いその中で、ロシアが将兵やヘリコプターを増派し、黒海での態勢を強化し、血液バンクを前線に移動させたと述べ、軍事行動が迫っている可能性を示唆した。これは、民間企業マクサーの衛星画像と一致し、この48時間でロシア軍がベラルーシに野戦病院(field hospitals)を建設し、ウクライナ国境に届く範囲に攻撃ヘリを増派していることを示したものだ。

木曜日の朝、ウクライナ軍は、ロシア連邦議会が独立を認めるよう推進しているドネツク州とルハンスク州で、親ロシア派の分離主義勢力が発射した砲弾が少なくとも32発となったと発表した。キエフからポーランド国境に近い西部の都市リヴィウに移転した在ウクライナ米国大使館は、分離主義勢力が幼稚園と高校を襲い、少なくとも教師2名が負傷し、村の電力が途絶えたが、こうした攻撃はロシア軍が行ったものとして非難している。「ドンバスにおける侵略者は明らかだ。それはロシアだ」と駐ウクライナ米国大使館はツイッター上に投稿した。米国大使館は、この攻撃をミンスク合意の「憎むべき違反(heinous violation)」と呼んだ。

ヨーロッパ諸国の指導者たちもこのような意見に同調している。木曜日にキエフを訪れたリズ・トラス英外相は、現地でこの攻撃を知った後、「これはクレムリン作成の作戦書からそのまま出てきたものだ」とツイートした。

クレムリンがここ数カ月、ウクライナ国境付近での軍備増強を加速させて以来、ワシントンとモスクワの関係は確実に悪化している。先週、モスクワはアメリカ大使館で2番目に高い地位にある外交官をロシアから追放した。米国大使館のバート・ゴーマン次席公使は、視察が終わる前に国外退去を余儀なくされた。米国務省の報道官は、「ロシアによる我が国の次席公使に対する取り扱いは全くもって正当な根拠を欠いたものであり、私たちはこれをエスカレートした措置とみなし、対応を検討している」と述べた。

ロシアは昨年、ロシア駐在を許可するアメリカからの外交官の数を制限した。そのため、アメリカ政府はロシア国内の複数の米国領事館を閉鎖し、モスクワの米国大使館も人員削減を余儀なくされた。それに対して、バイデン政権はアメリカ駐在のロシアからの外交官の数を減らすという報復措置は取っていない。

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