古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:大統領

 古村治彦です。

 第二次トランプ政権の副大統領JD・ヴァンスは、シリコンヴァレーの大富豪で、今話題のイーロン・マスクとも関係が深いピーター・ティール長年の協力関係を持っており、ティールはヴァンスのキャリアを支援してきた。ヴァンスがティールと初めて会ったのは、2011年のことで、ヴァンスがイェール大学法科大学院(ラースクール)でティールの講演会に聴衆として参加したことが始まりだ。ティールはこの時に、選抜された法科大学院の学生たちと昼食会を開いており、この昼食会に、ヴァンスと、現在、オハイオ州知事選挙出馬に向けて準備をしているヴィヴェック・ラマスワミ(ヴァンスと同じオハイオ州出身で学友であり親友)が出席している。ヴァンスの妻ウーシャも同級生で、ラマスワミとは同じインド系というルーツを持つ。ラマスワミの妻はイェール大学時代に知り合った医者である。ティールと知り合う機会を得て以来、ヴァンスとラマスワミはキャリアにおいて、ピーター・ティールから手厚い支援を受けてきた。
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ドナルド・トランプとピーター・ティール
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イーロン・マスク、ドナルド・トランプ、J・D・ヴァンス

 ティールはヴァンスとラマスワミにビジネスを始める際の企業資金を提供している。ヴァンスは2015年にティールが共同創設者となったミスリル・キャピタルのパートナーとなった。この時期に後にベストセラーとなる回顧録『ヒルビリー・エレジー』(2016年発表)を執筆している。2019年にはヴァンスは地元のオハイオ州に戻り、ヴェンチャーキャピタル会社ナリヤ・キャピタルを創設した。この会社設立を手助けしたのもティールだった。ヴァンスは地元からの政界進出を目指していた。2021年にティールは、ヴァンスを連れて、フロリダ州にあるトランプの邸宅マール・ア・ラーゴに赴き、ヴァンスとトランプを引き合わせて、ヴァンスと熱心なトランプ支持者にすることに成功した。2022年のオハイオ州選出の連邦上院議員選挙では、共和党の候補者を決める予備選挙から激戦となったが、ティールはヴァンスに1500万ドルという、議員選挙では異例の額(史上最高額)の献金を行い、ヴァンスは選挙を勝ち抜いて連邦上院議員となった。

 ヴァンスは次に副大統領の地位まで上昇した。2028年の大統領選挙では、トランプの有力な後継者となり、大統領になる可能性もある。ティールはヴァンスを15年近く前にすでに見出し、育ててきた。この関係は容易に切れることはない。ティールは表向きトランプを支持していないが、彼の影響力は、大きいものである。

(貼り付けはじめ)

JD・ヴァンスとピーター・ティール:トランプの副大統領候補と大富豪との間の関係について知っておくべきこと(JD Vance And Peter Thiel: What To Know About The Relationship Between Trump’s VP Pick And The Billionaire

アントニオ・ピクエノ筆

2024年7月16日

『フォーブス』誌

https://www.forbes.com/sites/antoniopequenoiv/2024/07/16/jd-vance-and-peter-thiel-what-to-know-about-the-relationship-between-trumps-vp-pick-and-the-billionaire/

ドナルド・トランプ前大統領の副大統領候補となり、注目を集めているJD・ヴァンスは、共和党の大口献金者で、シリコンヴァレーの大富豪ピーター・ティールと長期にわたる協力関係を築いており、ティールは、ヴェンチャーキャピタル時代からオハイオ州選出の連邦上院議員としての役割に至るまで、ヴァンスを一貫して支援してきた。

■重要な事実(Key Facts

ヴァンスとティールの関係は2011年にまで遡ることができる。ヴァンスがカトリック系の雑誌『ザ・ランプ』に寄稿したブログ記事によると、イェール大学法科大学で、ヴェンチャーキャピタリストのティールが講演を行い、その後に連邦上院議員となっているヴァンスはティールと会った。ヴァンスはティールの講演について「私の人生においてもっともも重要な瞬間」と形容した。

投稿記事の中で、ヴァンスは講演後、法律分野の外の世界でのキャリアの軸を定める計画を​​立て始めた。ティールは、これまで自分(ヴァンス)が会った中で「おそらく最も賢い人」であり、ティールのキリスト教信仰は「愚かな人はキリスト教徒で賢い人は無神論者だという、私が作り上げた社会的テンプレートに反していた」と書いている。

『ワシントン・ポスト』紙によると、ティールはその後、ヴァンスにとって「非常に素晴らしい指南役(pretty good mentor)」となり、ヴァンスはヴェンチャーキャピタルに転身し、2015年にティールが共同設立したミスリル・キャピタルにパートナーとして加わったと『ポリティコ』誌は報じている。

ワシントン・ポストによると、ヴァンスはまだミスリル・キャピタルに勤務していた2016年に『ヒルビリー・エレジー:危機にある家族と文化の回想録(Hillbilly Elegy: A Memoir of a Family and Culture in Crisis)』を出版し、将来の大統領選挙に立候補する可能性について熟考し始めた、ヴェンチャーキャピタリストであったヴァンスは一躍脚光を浴びるようになった。

ヴァンスは2017年にミスリル・キャピタルを退職し、ワシントンDCに本拠を置く投資会社レヴォリューションにマネジングディレクターとして入社し、シリコンヴァレーやニューヨーク市などの主要拠点以外の新興企業に投資した。

ヴァンスは2019年にナリヤ・キャピタルという名前で自身のヴェンチャーキャピタル会社を立ち上げ、見過ごされてきた都市の新興企業への投資を目指し、ティールのほか、ヴェンチャーキャピタリストのマーク・アンドリーセンや元グーグルCEOのエリック・シュミットら億万長者の投資家から支援を受けたと『アクシオス』誌は報じている。

『ニューヨーク・タイムズ』紙によると、ティールはまた、トランプの批判者としての地位を確立していたヴァンスを2021年にマール・ア・ラーゴに連れて行き、トランプ前大統領との関係を円滑化させたということだ。

会談後、ヴァンスはトランプとその政策に同情するようになり、2021年1月6日の連邦議事堂襲撃を軽視し、投票日のわずか数週間前に、2022年の連邦上院議員選挙でトランプ前大統領からの支持を取り付けた。

ヴァンスは2022年の連邦上院選挙で成功を収めたが、ティールから更に多くの支援を集め、ティールから約1500万ドルという記録的な寄付金を受け取り、これは1人の連邦上院議員候補者への寄付としては史上最高額となった。

ヴァンスの選挙運動広告のほほ部べ手は、ティールが寄付した「プロテクト・オハイオ・バヴァューズ・スーパーPAC」に外注されており、ティールが100万ドルを寄付したヴェンチャーキャピタリストのデイヴィッド・サックスを含む約10人の大口寄付者をヴァンスに集めるのに協力したとポリティコは報じている。

ピーター・ティールの純資産は79億ドルと推定されるが、これはフェイスブックの初期投資家の1人としての彼の役割と、ストライプやスペースXの主要投資家であるヴェンチャーキャピタル会社ファウンダーズ・ファンドのジェネラル・パートナーとしての彼の仕事によるところが大きい。ティールはまた、物議を醸している顔認識ソフトウェア企業クリアビューAIにも数百万ドルを投資している。

■脱線(Tangent

ティール氏の支持は、ヴァンスの2022年上院議員選挙で大きな変化をもたらすかに見えたが、当時のヴァンスは他の候補者に比べて資金面での優位性が欠けており、数年前から反トランプ的な発言を繰り返し、前大統領を「非難すべき(reprehensible)」「冷笑的(cynical)」と呼び、彼が「アメリカのヒトラー(America’s Hitler)」になる可能性を内密にほのめかしていたためだ。ヴァンスは投票日を前に自身のコメントを撤回し、トランプ大統領からの支持を得ることができたが、後にトランプは、ヴァンスが「今は理解しているし、私もそれをよく見てきた(gets it now, and I have seen that in spades)」と語った。

■重要な引用(Crucial Quote

ティールは先月、アスペン・アイディア・フェスティヴァルのインタヴューで、「私の頭に銃を突きつけても、トランプに投票するよ」と語った。この発言は、トランプ支持に消極的であることを示しているようだ。ティールは、もしトランプ支持を主張するよう求められたら、「おそらく反バイデンの主張は思いつくだろうが、そうしないだろう」と述べた。ティールはまた、トランプに献金することはなく、11月にはドナルド前大統領が勝利すると信じていると述べた。ティールは2016年にトランプに100万ドル以上を寄付している。

■ピーター・ティールとドナルド・トランプとの関係は何か?(What Is Peter Thiel’s Connection To Donald Trump?

ティールは2016年、トランプの最も重要な献金者の1人であり、トランプをソースとする陰謀論に共鳴した議会候補者を支援し、後にトランプへの更なる財政支援を撤回するなど、前大統領へのある種消極的な支持を表明してきた。ティールは昨年、『ジ・アトランティック』誌に対し、2016年の前大統領への支援について「間違っていた(got wrong)」ことがたくさんあったと語った。ティールの政治思想は、既成制度への不信と進歩的エリートへの批判にある。彼はまた、国境での規制強化を推進してきた。一方、ヴァンスはよりトランプに近い政治を行っており、国として保証された中絶の権利に反対し、厳格な銃規制に反対し、インフレとの闘いを優先している。しかし、トランプとヴァンスは、プロジェクト2025に対する国民的支持の度合いを含め、全てにおいて意見が一致している訳ではない。

■重要なバックグラウンド(Key Background

CIAが支援している分析会社パランティア社の共同創設者でもあるティールは、2010年以降、主に共和党所属の連邦議員や政治活動委員会に数百万ドルの寄付をしており、時にはカリフォルニア州知事のギャヴィン・ニューサムやカリフォルニア州の民主党所属のロウ・カンナ連邦下院議員などの民主党員にも寄付していると選挙資金追跡調査会社オープンシークレットは報じている。ティールは、2022年の上院選で共和党候補として落選したヴェンチャーキャピタリストのブレイク・マスターズを支援したセービング・アリゾナPACに2000万ドルを寄付した。マスターズは現在、アリゾナ州議会候補として立候補している。ティールはまた、テッド・クルーズ連邦上院議員(共和党、テキサス州)、マイケル・マッコール連邦下院議員(共和党、テキサス州)なケヴィン・マッカーシー元下院議長(共和党、カリフォルニア州)などの共和党所属の連邦議員たちに数千ドルの寄付を行っている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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古村治彦です。

 2025年3月25日に刊行する新刊の準備もほぼ終わり、ブログに復帰することができるようになりました。本年に入ってほったらかしにしましたことをお詫び申し上げます。昨年(2024年)12月に構想が始まり、今年1月に本格的に執筆を開始し、2月上旬に書き上げ、その後、ゲラ(本のページの形になった原稿)の加筆修正をやっておりました。2025年1月20日にドナルド・トランプが大統領に就任し、第二次トランプ政権が発足しましたが、怒涛の動きもあり、それへの対応にも追われました。十分に網羅できたとは自信を持って言えませんが、内容の良し悪しは読者の皆様のご判断を待ちたいと思います。よろしくお願いいたします。ここから言葉を改めます。

 私の新刊はドナルド・トランプの大統領返り咲き、第二次トランプ政権について書いている。トランプがこれから何をするか、どのように行動するかについて知りたければ、大統領就任式での演説を読むことが重要だと私は考える。今回のトランプの演説の中身は大変すばらしいものだったと私は判断している。何をやりたいか、どのようになりたいかということをこの演説が明らかにしている。3月25日に出す新刊でも、演説の中から重要な部分を引用して解説している。このブログでは、私なりの翻訳を掲載する。私の文章を読んでいただいている方はもう慣れておられると思うが、重要な部分には英単語を書いてある。

 これから3月25日の新刊発売日まで、ブログに新刊の内容に関わる重要な記事を紹介していく。新刊発刊後は是非振り返ってまた利用していただきたいと思う。

(貼り付けはじめ)

トランプの就任式の演説全文を読む(Read the full transcript of Trump's inauguration speech

メリッサ・クイン、ケイトリン・イレック筆

2025年1月20日

CBS News

https://www.cbsnews.com/news/transcript-trump-inauguration-speech-2025/

ワシントン発。トランプ大統領は月曜日、2度目の就任演説を行ない、「常識の革命(revolution of common sense)」を誓い、「私たちは国家的成功のスリリングな新時代の幕開けにいる(we are at the start of a thrilling new era of national success)」と宣言した。

国会議事堂のロタンダで行われた30分間の演説で、トランプ大統領は「変革の潮流(tide of change)」を約束し、前任者ジョー・バイデン前大統領の政策がもたらした「衰退(decline)」からの救済を訴えた。

そのために、トランプは演説後に約200の大統領令、行動、宣言に署名する予定だ。

トランプ氏は、「アメリカの黄金時代が今始まる。この日から、私たちの国は繁栄し、再び世界中で尊敬されるようになるだろう」と述べた。

以下は、AP通信によるトランプ氏の第2回就任演説の全文である。

■トランプの就任式演説の全文(The full text of Trump's inauguration speech)■

ヴァンス副大統領、ジョンソン下院議長、スーン上院議員、ロバーツ合衆国最高裁長官、最高裁判事の皆様、クリントン大統領、ブッシュ大統領、オバマ大統領、バイデン大塗料、ハリス副大統領、そして、同法である市民の皆様。

アメリカの黄金時代はこの瞬間から始まる。本日この日から、私たちの国は再び、繁栄し、世界中から尊敬されるようになるだろう。私たちは、世界の全ての国家から羨望の対象となるだろう。そして、私たちはこれ以上、私たちを利用することを私たち自身に許さないだろう。

トランプ政権下の全ての日を通じて、非常に簡潔に述べるならば、私は、アメリカ・ファーストを最優先する(put America first)。私たちの主権(sovereignty)は取り戻される(reclaimed)。私たちの安全は回復される(restored)。正義の天秤のバランスを取り戻す(The scales of justice will be rebalanced)。司法省と政府の悪質で暴力的で不公正な武器化(vicious, violent and unfair weaponization)は終わるだろう。そして私たちの最優先事項は、誇りと繁栄と自由を持つ国家を創ることである(o create a nation that is proud and prosperous and free)。

アメリカはやがて、かつてないほど偉大で、強く、はるかに卓越した国になるだろう。私は、国家的成功のスリリングな新時代の幕開けを確信し、楽観的な気持ちで大統領職に復帰する。変化の潮流がこの国の隅々まで行き渡っている(sweeping)。太陽の光が全世界に降り注ぎ、アメリカはかつてないほどこの機会(opportunity)をつかむチャンス(chance)を手にしている。

しかし、最初に、私たちは直面する課題について正直にならなければならない。課題は多くあるが、現在世界が目の当たりにしているこの大きな勢いとアメリカ合衆国によって、それらは消滅するだろう。今日、私たちが集うとき、政府は信頼の危機(crisis of trust)に直面している。長年にわたり、急進的で腐敗したエスタブリッシュメントたち(the radical and corrupt establishment)は、市民から権力と富を奪い取ってきた(extracted)。私たちの社会の柱が壊れ、完全に崩壊したかのように見える一方で、私たちは今、自国の簡単な危機さえ管理できない政府を抱え、同時に、海外では破滅的な出来事のカタログにつまずき続けている。

立派な、法を遵守する(law-abiding)アメリカ市民を守ろうとせず、その多くが世界中から不法入国した刑務所や精神病院から出てきた、危険な犯罪者たちに聖域と保護(sanctuary and protection)を提供している。外国の国境防衛には無制限の資金を提供するのに、アメリカの国境や、もっと重要な自国民を守ろうとしない政府を私たちは持っている。

最近ノースカロライナ州の素晴らしい人々が示したように、私たちの国は緊急時に基本的なサーヴィスを提供することができなくなっている。何カ月も前のハリケーンの被害に今でも苦しんでいる州もある。もっと最近の例では、ロサンゼルスで、数週間前の火災がいまだに悲惨な形で燃え続けている。炎は家屋や地域社会に猛威を振るい、この国で最も裕福で権力を持つ人々にも影響を及ぼしている。その何人かは今ここに座っている。何とも愉快なことだ(That's interesting)。

しかし、このままではいけない。誰もがこのような状態に対して何もできない。それを変える。災害時に何の役にも立たない公衆衛生システムであるにもかかわらず、世界のどの国よりも多くの予算が費やされている。そして教育制度は、子供たちに自分自身を恥じ、多くの場合、私たちが必死に与えようとしている愛情にもかかわらず、私たちの国を憎むように教えている。これら全てが今日から変わり、即座に変化するだろう。

私たちの最近の選挙は、恐ろしい裏切り(horrible betrayal)、そしてこれまで行われてきた多くの裏切り全てを完全に、そして完全に覆し、国民に信仰(faith)、富(wealth)、民主政治体制(democracy)、そして実際に自由を取り戻すという命令なのだ。この瞬間から、アメリカの衰退(America's decline)は終わる。

私たちの自由と国家の輝かしい運命は、もはや否定されることはなく、アメリカ政府の誠実さ(integrity)、有能さ(competency)、忠誠心(loyalty)を直ちに回復する。過去8年間、私は250年のアメリカの歴史において、どの大統領よりも試練と挑戦を受け(tested and challenged)、その過程で多くのことを学んできた。私たちの共和国を取り戻す旅は、決して容易なものではなかったということを皆様にお伝えすることができる。私たちの大義(our cause)を阻止しようとする人たちは、私の自由を奪い、更には私の命をも奪おうとしてきた。ほんの数カ月前、美しいペンシルヴァニアの野原で、暗殺者の銃弾が私の耳を引き裂いた(ripped)。しかし、私は、当時も今も、私の命が救われたのには理由があると感じている(But I felt then, and believe even more so now, that my life was saved for a reason)。アメリカを再び偉大にするために、私は神に救われたのだ(I was saved by God to make America great again)。

だからこそ、アメリカの愛国者である私たちの政権の下で、私たちは日々、威厳と力と強さ(dignity and power and strength)をもってあらゆる危機に立ち向かうために働く。あらゆる人種、宗教、肌の色、信条を持つ市民のために、希望、繁栄、安全、平和を取り戻すために、私たちは目的とスピードを持って動く。アメリカ市民にとって、2025年1月20日は解放記念日(Liberation Day)である。

今回の大統領選挙が、私たちの国の歴史上、最大かつ最も重要な選挙として記憶されることを私は望んでいる。私たちの勝利が示したように、国民全体が私たちのアジェンダの下で急速に団結し、事実上社会のあらゆる要素からの支持が劇的に高まっている。老若男女、アフリカ系アメリカ人、ヒスパニック系アメリカ人、アジア系アメリカ人、都市部、郊外、地方。そして非常に重要なことは、7つの激戦州と一般投票全て力強い勝利を収めたことだ。私たちは数百万人の人々によって勝利を与えられた。

黒人およびヒスパニック系コミュニティーの皆様、皆さんの投票によって私に示された多大な愛情と信頼に感謝したいと思う。私たちは記録を塗り替えた。私は選挙戦で皆さんの声を聞いてきたし、これから先も皆さまと一緒に働けることを楽しみにしている。

今日はマーティン・ルーサー・キング牧師記念日であり、彼の栄誉、偉大な栄誉になるだろうが、私たちは彼の夢を現実にするために一緒に努力する。私たちは彼の夢を実現させる。

国民の団結はいまやアメリカに戻りつつあり、自信と誇り(confidence and pride)はかつてないほど高まっている。私の政権は、卓越性とたゆまぬ成功(excellence and unrelenting success)を強く追求することで、あらゆることに奮起していく。私たちは私たちの国を忘れないだろう。憲法を忘れないだろう。そして、私たちの神を忘れないだろう。

本日、私は一連の歴史的な大統領令(executive orders)に署名する。これらの行動により、私たちはアメリカの完全な回復と常識の革命(complete restoration of America and the revolution of common sense)を開始する。常識が全てだ。まず、私は南部国境に国家非常事態を宣言する(declare a national emergency)。全ての不法入国を直ちに停止する。そして、何百万人、何千万人という罪を犯した外国人を元の場所に戻すプロセスを開始する。メキシコ残留政策を復活させる。キャッチ・アンド・リリースの慣行を廃止する。そして、私たちの国への悲惨な侵略を撃退するため、南国境に軍隊を派遣する。本日私が署名する命令により、カルテルを外国テロ組織として指定する。そして、1798年に制定された「外敵法」(Alien Enemies Act of 1798)を発動し、連邦および州の法執行機関の全面的かつ莫大な権力を行使して、私たちの都市やインナーシティを含むアメリカ本土に壊滅的な犯罪をもたらす全ての外国人ギャングや犯罪ネットワークの存在を排除するよう、政府に指示する。

アメリカ軍最高司令官(commander in chief)として、私には脅威や侵略から私たちの国を守ること以上の責任はない。そして、それこそが私がこれからやるべきことだ。これまで誰も経験したことのないようなレヴェルで、それを実行する。次に、私は内閣の全メンバーに対し、記録的なインフレを打破し、コストと物価を急速に引き下げるために、自由に使える膨大な力を結集するよう指示する。インフレ危機(inflation crisis)は、巨額の支出超過とエネルギー価格の高騰によって引き起こされた。だからこそ今日、私は国家エネルギー緊急事態を宣言する。じゃんじゃん掘りまくる(We will drill, baby, drill)。

アメリカは再び製造業国家(manufacturing nation)となり、他の製造業国家が決して持つことのないもの、すなわち地球上のどの国よりも大量の石油とガス(the largest amount of oil and gas of any country on Earth)を持っている。そして、それを使うだろう。価格を引き下げ、戦略的埋蔵量を再び満たし、アメリカのエネルギーを世界中に輸出する。そしてアメリカのエネルギーを世界中に輸出する。そして、私たちの足元にある金の液体(liquid gold)が、その一助となるのだ。

今日の私の行動により、グリーン・ニューディールを終わらせ、電気自動車の義務化を撤回し、自動車産業を救い、偉大なアメリカの自動車労働者に対する私の神聖な公約を守る。つまり、皆さまは好きな車を買うことができるようになる。私たちは、ほんの数年前には誰も夢にも思わなかったようなスピードで、再びアメリカで自動車を製造する。そして、私たちの国の自動車労働者の皆様の感動的な信任投票に感謝する。彼らの一票によって、私たちは偉大なる成果を上げることができた。

私は、アメリカの労働者と家族を守るため、貿易システムの見直しを直ちに開始する。他国を豊かにするために自国民に課税する(taxing our citizens)のではなく、自国民を豊かにするために外国に関税をかけ(tariff)、課税する(tax)。この目的のために、全ての関税、関税(duties)、収入を徴収する対外歳入庁(External Revenue Service)を設立する。外国からもたらされる巨額の資金が国庫に入ることになる。

アメリカン・ドリームは間もなく復活し、かつてないほど繁栄するだろう。連邦政府への信頼と有効性を回復するため、私の政権は、政府効率化省(Department of Government Efficiency)を新設する。

表現の自由を制限しようとする違法かつ違憲な連邦政府の取り組みが何年も何年も続いてきたが、私はまた、政府による検閲(government censorship)を直ちに停止し、アメリカに言論の自由を取り戻すための大統領令に署名する。国家の巨大な権力が、政敵(political opponents)を迫害するために武器化されることは二度とない。私は何か知っている。私たちはそれを許さない。二度と起こらない。私の指導力の下、憲法と法の支配の下、公正、平等、公平な正義を取り戻す。そして、私たちの街に法と秩序を取り戻す。

今週、私はまた、公私のあらゆる場面に人種やジェンダーを社会的に改造(socially engineer)しようとする政府の政策に終止符を打つ。私たちは、色にとらわれない(colorblind)、実力主義(merit based)の社会を築く。本日より、アメリカ政府の公式方針として、ジェンダーは男性と女性の2種類のみとする。今週、私は新型コロナウイルスワクチンの義務化に反対して不当に除隊させられた軍人を、給与を全額戻して復職させる。そして私は、兵士たちが任務中に過激な政治理論や社会実験にさらされるのを阻止する命令に署名する。これは直ちに終了する。私たちの軍隊は、その唯一の使命であるアメリカの敵を倒すことに専念することができるようになる。2017年のように、私たちは再び、世界が見たこともないような最強の軍隊を構築するだろう。

私たちの成功は、勝利した戦い(the battles we win)だけでなく、終結させた戦争(the wars that we end)によっても測られる。そしておそらく最も重要なことは、決して巻き込まれることのない戦争(the wars we never get into)である。私の最も誇れる遺産は、平和構築者・調停者(peacemaker)であり、統一者(unifier)だろう。私はそうありたいと考えている。平和構築者であり、統一者だ。就任前日の昨日、中東の人質が家族のもとに戻ったと発表できることを嬉しく思う。

アメリカは、地球上で最も偉大で、最も強力で、最も尊敬される国家としての正当な地位を取り戻し、全世界の畏敬と称賛(awe and admiration)を喚起する。今からしばらくして、メキシコ湾の名称を「アメリカ湾」に変更する。そして、偉大なるウイリアム・マッキンリー大統領の名前を、本来あるべき場所であるマッキンリー山に復活させる。マッキンリー大統領は、関税と才能によって私たちの国を大金持ちにした。

マッキンリー大統領は天性の実業家であり、セオドア・ルーズヴェルトに多くの偉大なことのための資金を与えた。パナマ運河もその1つだが、これは愚かにも、アメリカが、つまりアメリカは、考えてもみて欲しい、パナマ運河(Panama Canal)の建設に、それまでのプロジェクトで使われたことのないほどの巨費を投じ、3万8000人もの命が失われた後、パナマ国に譲渡された。私たちは、この愚かな贈り物からひどい仕打ちを受けた。そして、パナマは私たちとの約束を破った。私たちの取引の目的と条約の精神は完全に侵害された。アメリカ海軍を含むアメリカの艦船は酷い過大請求を受けており、どのような形であれ公平に扱われていない。そして何よりも、中国がパナマ運河を運営している。私たちは中国に与えたのではなく、パナマに与えたのだ。私たちはパナマ運河を取り戻す。

何よりも、今日のアメリカ人に対する私からのメッセージは、勇気と活力(vigor)、そして歴史上最も偉大な文明の活力(vitality)をもって、再び行動する時が来たということである。だから、私たちの国を解放し(liberate)、勝利と成功(victory and success)の新たな高みへと導く。私たちは決して躊躇しない。ともに、慢性疾患(chronic disease)の蔓延に終止符を打ち、子どもたちを安全で、健康で、病気のない状態に保とう。富を増やし、領土を広げ、都市を建設し、期待を高め、国旗を新たな美しい地平へと運ぶ。そして私たちは、アメリカ人宇宙飛行士を打ち上げ、火星に星条旗を植え付けるために、星々に向かって明白な運命を追い求めるだろう。

それは偉大な国家の活力源(lifeblood)だ。そして今、私たちの国は他のどの国よりも野心的である。私たちの国ほど野心的な国はない。アメリカ人は探検家であり、建設者であり、革新者であり、起業家であり、開拓者である。フロンティアの精神は私たちの心に刻まれている。次の大冒険への呼び声が、私たちの魂の内側から響き渡る。私たちアメリカ人の祖先は、広大な大陸の端にあったいくつかの小さな植民地を、地球上で最も非凡な市民からなる強大な共和国(mighty republic)に変えた。どの国もアメリカの足元にも及ばない。アメリカ人は、未開の荒野を何千キロも突き進んだ。砂漠を越え、山を登り、未知の危険に立ち向かい、西部開拓を勝ち抜き、奴隷制を終わらせ、何百万人もの人々を圧政から救い出し、何百万人もの人々を貧困から救い出し、電気を利用し、原子を分裂させ、人類を天空に打ち上げ、人類の知識の宇宙を人間の手のひらに乗せた。私たちが力を合わせれば、できないことはないし、達成できない夢もない。

多くの人が、私がこのような歴史的な政治的カムバックを果たすことは不可能だと思っていた。しかし、今日皆様がご覧になっているように、私はここにいる。アメリカ国民が声を上げたのだ。不可能なことを不可能だと信じてはならない(you should never believe that something is impossible to do.)という証明として、私は今、皆様の前に立っている。アメリカでは、不可能こそが、私たちが最も得意とすることだ。ニューヨークからロサンゼルスまで、フィラデルフィアからフェニックスまで、シカゴからマイアミまで、ヒューストンからここワシントンDCまで、私たちの国は、私たちの権利と自由のために全てを捧げた何世代もの愛国者たちによって鍛えられ、築かれた。彼らは、農民であり兵士であり、カウボーイであり工場労働者であり、鉄鋼労働者であり炭鉱労働者であり、警察官であり開拓者であった。彼らは共に鉄道を敷設し、高層ビルを建て、偉大な高速道路を建設し、2つの世界大戦に勝利し、ファシズムと共産主義を打ち破り、直面したあらゆる困難に勝利した。

結局のところ、私たちは、これまで共に乗り越えてきた全てを経て、アメリカ史上最高の4年間を迎えようとしている。皆様の助けを借りて、私たちはアメリカの約束を取り戻し、私たちが愛する国を再建する。そして、私たちはこの国をとても愛している。私たちは神のもと、一つの国民であり、一つの家族であり、一つの栄光ある国家だ。だから、我が子に夢を託す全ての親たち、そして未来を夢見るすべての子どもたちにメッセージを送る。私はあなたとともにいる。あなたのために戦い、あなたのために勝つ。そして私たちは、かつてないほど勝利するのだ。

近年、私たちの国は非常に苦しんでいた。しかし、私たちは国家を取り戻し、再び偉大な、かつてないほど偉大な国にするつもりだ。私たちは、他にはない国家となる。思いやり(compassion)、勇気(courage)、例外主義(exceptionalism)に満ちた国になる。私たちの力は全ての戦争を止め、怒り(angry)、暴力的な(violent)、そしてまったく予測不可能(unpredictable)だった世界に、新たな団結の精神をもたらすだろう。

アメリカは再び尊敬され、宗教、信仰、善意の人々からも賞賛されるようになる。私たちは繁栄するだろう。私たちは誇りを持つだろう。私たちは強くなり、かつてない勝利を収めるだろう。私たちは侵攻されない。私たちは脅かされない。私たちは折れない。そして、私たちは失敗しない。

今日から、アメリカ合衆国は自由で、主権を保ち、そして独立の国家となるだろう。私たちは勇敢に立つことになる。私たちは誇りをもって生きていく。私は大いなる夢を持つだろう。私たちの進む道に私たちを阻止するものは何もない。何故なら私たちはアメリカ人だからだ。未来は私たちのものだ。そして、私たちの黄金時代は始まったばかりだ。

ありがとうございます。アメリカに神のご加護を。皆様、ありがとう。ありがとうございます。

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 2024年の大統領選挙(11月5日)で勝利したトランプが政権構想を発表する前の9日に、第一次政権で国連大使を務めたニッキー・ヘイリーと、国務長官を務めたマイク・ポンぺオについて、第二次政権では政権入りさせないと発表した。ポンぺオは、トランプに近い大物として、アメリカでも、日本でも、第二次政権の国務長官候補として名前が挙がっていた。ニッキー・ヘイリーは今回の大統領選挙の共和党予備選挙に出馬して、トランプと指名を争った経緯があり、また、選挙期間中にはトランプ批判を繰り返したことから、厳しいかなと思っていたが、ポンぺオの政権入りの可能性消滅には驚いた。
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ニッキー・ヘイリー
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マイク・ポンぺオ

 日本製鉄がアメリカのUSスティールの買収に動く中で、マイク・ポンぺオを指南役に迎えたという報道があり、トランプに近いポンぺオに説得してもらって、トランプの反対を取り下げてもらうという心づもりがあったであろうことは容易に推測されるが、トランプがポンぺオを遠ざけたということは望ましくない計算違いということになるだろう。しかし、それまでの状況から、ポンぺオがトランプの側近であるという判断は間違っていない。これがトランプの「予測不可能」なところだということも言える。

 第二次トランプ政権の顔触れを見ると、第一次政権の大物はほぼ入っていない。ヘイリーもポンぺオも第一次政権の閣僚級(国連大使は閣僚級の扱い)、国家安全保障会議に出席できる権限を持つ、アメリカ最高位の職に就いていたということであり、大物は退けたということにはなる。しかし、ポンぺオはトランプ批判をしておらず、何故ポンぺオまで外されるのかという疑問が残る。ポンぺオもまた、大統領選挙共和党予備選挙に出馬して、トランプに対抗するという憶測が流れていたが、結局は出馬しなかった。それでもトランプ周辺から外された格好だ。

 ここからは私の見解を述べる。ヘイリーとポンぺオが外されたのはどうしてか?両者には第一次トランプ政権の閣僚だったという共通点はあるが、トランプとの距離感に差がある。ヘイリーが外されるのは理解できるが、ポンぺオが外されるのは理解できない。ヘイリー、ポンぺオのもう一つの共通点は、「コーク兄弟との近さ」があり、そのために両者が外された理由ではないかというのが私の考えである。コーク兄弟はトランプに反対し続けてきた。コーク兄弟についてはこのブログでも何度も紹介してきたし、私は、コーク兄弟についての評伝『アメリカの真の支配者 コーク一族』を翻訳した。
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チャールズ・コーク

※古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

20190507日「トランプ大統領に反対する共和党のグループはネオコン派とリバータリアン」
https://suinikki.blog.jp/archives/78919932.html

 ヘイリーは今回の大統領選挙共和党予備選挙でコーク兄弟の全面支援を受けて出馬したが、トランプに敗北した。ポンぺオはカンザス州選出の連邦下院議員として政界に進出したが、そのパトロンとなったのがコーク兄弟だった。コーク兄弟が所有するコーク・インダストリーズの本社はカンザス州ウィッチタにある。コーク兄弟はリバータリアニズムを信奉し、リバータリアンの勢力を拡大するために巨額の資金を投じてきた。彼らから見れば、ポピュリストのトランプは危険な人物である。規制を嫌い、自由な経済活動を何よりも重視するリバータリアンのコーク兄弟にとって、関税引き上げなどは全く受け入れられない。

 トランプ陣営から見れば、ヘイリーとポンぺオは「仇敵のコーク兄弟との距離が近すぎる」ということになる。それならば第一次政権で閣僚に起用したのはどうしてかということになるが、これはやはり、トランプとトランプ陣営がアマチュアだったということになるだろう。第一次政権での混乱はやはり人物の見極めが甘かったことが原因という分析がなされていたのだろう。そのために、今回はそのようなことがないように人選し、反逆する可能性がある人物はあらかじめ排除しておくということになったのではないかと思う。

 第二次トランプ政権には4年間しか時間がない。政権内の内部抗争に時間を取られてしまうのは損である。しかし、ここで前言を翻すようであるが、ポンぺオに関しては、北朝鮮との交渉の経験もあり、対北朝鮮外交において、特使などに起用されることも考えられる。私たちはまず、トランプが「予測不可能」であるということを前提にして考えを組み立てる必要がある。

(貼り付けはじめ)

●「トランプ氏、ヘイリー元国連大使とポンペオ元国務長官を起用せず」

読売新聞 2024/11/10 12:09

https://www.yomiuri.co.jp/world/20241110-OYT1T50039/

 【ワシントン=今井隆】トランプ次期米大統領は9日、新政権ではニッキー・ヘイリー元国連大使とマイク・ポンペオ元国務長官を起用しないと明らかにした。両氏について、「現在検討中のトランプ政権に招くつもりはない」と自身のSNSに投稿した。

 ヘイリー氏は前政権で国連大使を務めた。大統領選では共和党指名候補争いに立候補し、トランプ氏を繰り返し批判した。選挙戦から撤退した後にトランプ氏への支持を表明した。

 ポンペオ氏は前政権で中央情報局(CIA)長官や国務長官を務めた。党指名候補争いへの立候補に意欲的とみられていたが、見送った経緯がある。米メディアは、国防長官候補の一人と報じていた。

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億万長者のコーク兄弟が支援するネットワークがニッキー・ヘイリーへの支出を停止(Billionaire Koch brothers-backed network stops Nikki Haley spending

トム・ゲイガン筆

2024年226

BBCニューズ

https://www.bbc.com/news/world-us-canada-68401537

億万長者のコーク兄弟によって設立されたリバータリアン系保守団体が、ニッキー・ヘイリーの大統領選挙キャンペーンへの資金提供を停止した。

アメリカン・フォ・プロスペリティ・アクション(Americans for Prosperity ActionAFP)による資金提供中止の決定は、共和党候補指名を目指すヘイリーにとって新たな後退となった。

ヘイリーは土曜日、地元サウスカロライナ州でドナルド・トランプ前大統領に敗れた。トランプは予備選で4連勝を達成した。

しかし、彼女は戦い続けることを誓った。

日曜日にAFPの会長兼CEOはスタッフに宛てた電子メールで、AFPの支援はヘイリーではなく、11月の選挙で重要な連邦上院と連邦下院の選挙に集中すると述べた。

「彼女は闘い続けることを明言しており、私たちは心から彼女を支援する」とエミリー・サイデルは書いている。

サイデルは続けて「しかし、この先の予備選挙での課題を考えると、どのような外部団体も、彼女の勝利への道を広げるような重要な変化をもたらすことはできないだろう」と書いている。

ヘイリー選対は、まだ継続するのに十分な資金が入ってくると主張している。

ヘイリーのスポークスマンであるオリビア・ペレス・クバスは、AFPの支援に感謝し、サウスカロライナ州での敗北以来100万ドルが入ってきていると述べた。クバスは「続けるための燃料は十分にある。私たちには救うべき国がある」と述べている。

AFPは、ヘイリーがトランプへの明確な挑戦者としての地位を確立しようとしていた11月に支持と資金援助を表明していた。

それ以来、彼女は共和党内のトランプの対抗馬の中で最も耐久性があることを証明してきたが、今彼女がどのように勝利への道を見出すことができるかは不明である。

11月には、トランプとジョー・バイデン大統領(民主党)の再戦に向かう可能性が高まっている。

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コーク・ネットワーク、2024年大統領選予備選でドナルド・トランプ以外の共和党支持を計画(Koch network plans to back a Republican – other than Donald Trump – in the 2024 presidential primary

フレデリカ・ショーテン筆
2023年2月5日

https://edition.cnn.com/2023/02/05/politics/koch-network-republican-primary-2024/index.html

億万長者チャールズ・コークに関連する巨大なネットワークが2024年の大統領選挙予備選挙で共和党の候補者一人に資金と支援を提供する準備を進めている。

コーク・ネットワークの主要政治部門であるアメリカン・フォ・プロスペリティ・アクション(Americans for Prosperity ActionAFP)は、「共和党の大統領選挙予備選挙で、我が国を前進させることができ、勝利することができる候補者を支援する用意がある」と、AFPCEOAFP Actionの最高顧問であるエミリー・サイデルは、日曜日に発表された声明メモでこのように述べた。

この声明メモにはドナルド・トランプについての言及はないが、AFPアクションの関係者がCNNに確認したところによると、同ネットワークは前大統領のホワイトハウス候補を支援する予定はないという。

サイデルはAFPのスタッフや活動家に宛てて「私たちの国家に新たな章を書くには、過去のページをめくる必要がある。したがって、この国にとって最善のことは、2025年に新たな章を代表する大統領が誕生することだろう」と書いている。

直近の2回のホワイトハウス候補指名争いを傍観してきたコークが共和党予備選挙に参加するという決断を下したことで、共和党の大統領候補者たちは、カンザス州を拠点とする実業家と、彼の影響力のある自由市場ネットワークに資金を提供する数百人の富裕層献金者を取り込もうと奔走することになりそうだ。

トランプはホワイトハウス在任中、政権の通商政策や強硬な移民政策を厳しく批判するコーク当局者らと頻繁にスパーリングを行った。

AFPアクションは2024年の政治活動の予算を発表していないが、同ネットワークは過去の選挙サイクルで数億ドルを費やしており、共和党全国委員会の資金力に匹敵する。アメリカンズ・フォ・プロスペリティは36州に常駐のスタッフを擁し、全国に数百万人の草の根活動家を抱えている。

また、AFPアクションの政治部門は、より多くの争いに影響を与え、予備選挙に参加する新たな有権者を見つけるため、議会や州レベルの予備選により早く、より積極的に関与する計画だとAFPアクション関係者は述べた。

サイデルは、首都に「有害な状況(toxic situation)」を作り出し、政策の進展を妨げていると語る「壊れた政治(broken politics)」に対処するために、このネットワークは活動を強化していると語った。

サイデルは「共和党は、アメリカの核心原則に反することを主張する悪い候補者を指名している。そしてアメリカ国民は彼らを拒否している」と書いている。

そして、民主党は 「更なる極端な政策(more and more extreme policies)」を推し進めているとしている。

2024年の立候補を検討している共和党議員の中には、マイク・ペンス元副大統領をはじめ、コーク・ワールドと長年のつながりがある者もいる。ペンスの長年の最側近であるマーク・ショートは、かつてコーク・ネットワークで政治活動を監督していた。

もう1人の候補者マイク・ポンペオ前国務長官は、コーク・インダストリーズの本社があるカンザス州ウィチタを代表する連邦下院議員だったとき、コークの政治委員会から資金援助を受けていた。元サウスカロライナ州知事のニッキー・ヘイリーは、今月末に共和党候補指名への立候補を表明する予定だが、少なくとも1回はコークの献金者の集会に出席している。また、コッホが支援するスーパーPACは、ロン・デサンティスが2018年の共和党予備選挙で競り勝ち知事になる前に支援していた。

リバータリアン寄りのネットワークは近年、公の場で優先順位の再設定に取り組み、トランプ時代には共和党ブランドから距離を置くよう努めてきた。

しかし、同ネットワークは、他の政治・政策問題で当時の大統領や共和党全国委員会と衝突したにもかかわらず、例えば2017年に1兆5000億ドル規模の税制改革を推進するために多額の費用を投じて、トランプ主導の取り組みを支持した。

サイデルは、ネットワークの広がりの1つの兆候として、AFPAFPアクションが昨年の中間選挙で450以上のレースに参加し、700万以上のドアをノックし、1億通以上の郵便物を発送したことを指摘した。

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ランド・ポールが別のイヴェントを欠席する中、ロン・ポールがコーク兄弟のイヴェントに参加‘Ron Paul Headlines One Koch Brothers Event—as Rand Paul Skips Another

-元連邦下院議員のロン・ポールがコーク兄弟主催の#YALcon15で観衆を沸かせる一方、息子のランド・ポールは大きな撤退を行った。若きリバータリアンの戦いの内幕を報じる。

オリヴィア・ナッジ筆

2015年8月3日

『デイリー・ビースト』誌

https://www.thedailybeast.com/ron-paul-headlines-one-koch-brothers-eventas-rand-paul-skips-another/

ヤング・アメリカンズ・フォー・リバティ・カンファレンス(Young Americans for Liberty Conference#YALcon15)に参加する大学生たちは、ある参加者の言葉を借りれば 「迷える子犬(lost puppies)」だ。

自分の興味(アイン・ランドやフリードリヒ・ハイエク)が仲間に共有されていないため、自分のキャンパスになじめない子供たちだ。しかし、#YALcon15のウェブサイトによれば、彼らはたった30ドルで、「原理に基づいて勝つことに参加する若者を動員する(mobilize young people committed to winning on principle)」ことを目的としたリバータリアン会議に参加することができる。そして彼らは96時間、ここワシントンDCにあるライアン・ホールと呼ばれるアメリカ・カトリック大学の寮で、最も装飾的な蝶ネクタイを締め、自分たちと同じような人たち、つまり「原理に基づいて勝つ(Winning on Principle)」ことに参加する人たちのために作られたスピーチやプレゼンテーションに耳を傾けながら、一緒に家を見つけたような気分に浸ることができる。

私が見たのは、順不同だが、キルトを着た若者(彼は二晩続けて同じものを着ていた)、黒いマーカーで「#RAWMILK」と書かれたピンクのボタンダウンシャツを着た若者(彼はウィスコンシン州出身だと言っていた)、YouTube スターにどうすれば自分もスターになれるかを一対一で尋ねている若きリバータリアンたちの列。そして、ロン・ポールを生で見ることを生涯待ち望んでいた若者たち(原理に基づいて勝利することに専念している!)の1マイルの長さの列がそこにはあった。

しかし、ロン・ポールは彼らのダンブルドア(『ハリー・ポッター』の登場人物)かもしれないが、#YALcon15はロン・ポールの元スタッフが中心となって運営され、そのほとんどがコーク兄弟によって支援されている。ロン・ポールはこのコークのイヴェントの主役を務めたが、彼の息子ランドは南カリフォルニアで開催されたコーク兄弟の献金者イヴェントを欠席し、関係者を落胆させた。共和党の大統領選予備選候補者たちが週末に西部に向かう準備をしている中、ケンタッキー州選出の連邦上院議員ランド・ポールはアイオワ州でのちょっとした選挙イヴェントに向かった。

ランド・ポール陣営は私や他の記者に、彼はコーク家の集まりへの招待状を受け取っていたが、先約があり、予定を無断ですっぽかすような人物ではないと断言した。しかし、彼の欠席は、a)資金調達がうまくいっておらず、億万長者の助けが必要なこと、b1月の前回のコーク家サミットでのパフォーマンスで非難されたこと、という事実によって、より不可解なものとなった。コーク家サミットでは、ランド・ポールは、『ポリティコ』誌のケン・ヴォーゲル記者が特徴として挙げた「とりとめのない、時には不人気な回答(rambling and sometimes unpopular answers)」をし、ブルーのブレザーにジーンズ、カウボーイブーツという彼の特徴的な服装を身に着けていた。この服装は一部の超富裕層の寄付者にとっては不快なほどカジュアルな服装だった。

若いポールの選挙キャンペーンは、リバータリアン傾向を持つ有権者から明らかな人気を得ているのと同時に、共和党の他の派閥や民主党にも広くアピールできる人物として自らを位置づけようとしている。そうなると、選挙に勝つことを最優先とするリバータリアンであるコーク家のお気に入りであることは明らかだ。しかし、そうはなっていない。1月にブルームバーグ・ポリティックスに寄稿したデイヴ・ウェイゲルが指摘したように、「ポールのリバータリアニズムはコーク家のリバータリアニズムではない」ということになる。

しかし、若いリバータリアンたちにとって、この運動には顔がある。「彼は“エサ”なんだ(He’s the bait)」と、「Antiwar.com」の創設者であるジャスティン・ライモンドは私に言った。ライモンドはリバータリアン運動の中核と呼ばれるグループの一員であり、彼のような人々にとってコーク家は売国奴(sellouts)なのだ。

デイヴィッド・コークは1980年にリバータリアンとして大統領選に出馬し、落選した。その後、彼はシンクタンクなどを通じて他の方法で政治に影響を与えることに目を向けたが、同時にリバータリアニズムを主流にした。政策に真の影響力を持つには勝たなければならず、勝つためには魅力的でなければならない。そこでリバータリアン運動は、コークが設立したケイトー研究所(Cato Institute)と、マレー・ロスバードが設立したルートヴィヒ・フォン・ミーゼス研究所(Ludwig von Mises Institute)という、より筋金入りのリバータリアンに奉仕する別々の派閥に分裂した。ウェイゲルが書いたように、ロン・ポールはロスバードに近い。彼が大統領選に出馬した2007年、主流派のリバータリアンの間で「懸念された(the worry)」のは、ポールのブランドであるポピュリスト(populist)、連邦準備制度理事会(FRB)叩きのリバータリアニズムは、この哲学を売り込む最良の方法ではないということだった。

チャールズ・コークの元友人であるガス・ディゼレガは、コーク一族は「共和党の保守派と同盟を結ぶことを決めた。その後、彼は魂を失い、言うなれば、かつて持っていた知的誠実さ(intellectual honesty)を全て失った」と述べた。

ロン・ポールへの支持に消極的であった訳ではないが、ロン・ポールが若者たちをリバータリアニズムに引き込み、「原理で勝つ(Win on Principle)」ために、より現実的には右派候補の草の根活動家として集中するための正しい方法であることをコークは理解しているのかもしれない。

そのため、コーク兄弟が南カリフォルニアで最も勝利する可能性が高い候補者を選ぶことに集中している間、国の反対側では別の種類の皮肉を用いていた。

ライモンドは次のように述べている。「コークの人々はYALに寄生しているようなものだ。彼らはYALを伝道ベルトのように使って、人々を自分たちのネットワークに吸い込み、自分たちが持っているどんな計画にも彼らを吸い込もうとしている」。

#YALcon15は、各参加者の名札の裏に「プラチナ」、「ゴールド」、「シルヴァー」と書かれて、分類される23の組織によって後援されており、これら23の組織の大部分はコーク兄弟の募金ネットワークの一部だ。または批評家によって「コクトパス(Kochtopus)」と呼ばれている。

#YALcon15 の「プラチナ」スポンサーは次の通りだ。チャールズ・コークによって設立されたチャールズ・コーク研究所、コーク兄弟が資金提供しているリーダーシップ研究所、 スチューデント・フォ・リバティもコーク兄弟から資金提供を受けている。フリーダム・ワークス(Freedom Works)は、1984年に健全な経済のための市民としてコーク兄弟によって設立されたが、2004年に2つの組織に分離され、もう1つは同じくプラチナ寄付者としてリストされており、アメリカンズ・フォ・プロスペリティ(Americans for Prosperity)と名付けられ、最終的にコーク家の中心的な政治団体となった。

「ゴールド」のスポンサーは、コーク兄弟が寄付者であり、デイヴィッド・コークが理事を務めるリーズン財団、薬物政策同盟、教育における個人の権利財団 (Foundation for Individual Rights in EducationFIRE) は、コークの寄付者ネットワークから100万ドル以上を受け取っている。コークが資金提供したグループであるフリーダム・パートナーズ1100万ドルを注ぎ込んだジェネレーション・オポチュニティ(Generation Opportunity,

コンサヴァティヴス・コンサーンド・アバウト・ザ・デス・ペナルティがある。

「シルヴァー」スポンサーは以下の通りだ。ハリー・リードがコーク兄弟を公に批判したため、かつて連邦上院倫理特別委員会に苦情を提出したティーパーティー・ペイトリオッツ(Tea Party Patriots)、コーク兄弟が資金提供しているフリーダム・パートナーズ(Freedom Partners)、ヘリテージ財団(Heritage Foundation)はチャールズ・コーク財団から1万1000ドル以上、フリーダム・パートナーズから100万ドル以上を受け取っている。正義研究所(The Institute for Justice)、そのシードマネーはチャールズ・コークによって提供された。チャールズ・コークによって共同設立されたケイトー研究所、アイン・ランド研究所はケイトー研究所の元最高経営責任者であるジョン・アリソンの支援を受けている。コーク兄弟が資金提供を敷いている、コーク兄弟の弟ウィリアムが所属する独立研究所、コーク兄弟が資金提供したアメリカ研究基金がある。コーク兄弟が支援するNRA(全米ライフル協会)もある。コーク兄弟から資金提供を受けている人道研究所が組織する自由基金(Liberty Foundation)。経済教育財団 (FEE)、そしてアメリカズ・フューチャー財団はコーク家のフェローシップ・プログラムからインターンを受け入れている。

YALのウェブサイトによると、ゴールドスポンサーは1万2000ドル、シルヴァースポンサーは6000ドルの寄付が必要だ。プラチナスポンサーがいくら寄付しなければならないかについての情報はない。 YALの広報担当者は私の問い合わせに応じなかった。

キャンパスから歩いてすぐのブルックランド・パイントのバーに座って、原理で勝つことに専念するシンシナティ出身の若者ジミー・マヘイニーは、どうしてここに来ることになったのかについて話していた。トーマス・マッシー連邦下院議員とジャスティン・アマシ連邦下院議員はちょうど彼や他のYALメンバーと話をしたばかりで、マヘイニーは彼らをとても気に入っており、実際、フェイスブック上で「いいね!」したことさえあった。しかし、マヘイニーの政治的覚醒のきっかけは彼らではなかった。それはもちろんロン・ポールだった。マヘイニーはトランペットを吹くのが好きで、ある日、マーチングバンドの仲間たちがロン・ポールについて話しているのを耳にした。「私は彼とリバータリアニズムについてさらに調べ続けた。そして突然、これが実に理にかなっていることに気づいた」と彼は話した。

木曜日の夕方、会議室はロン・ポールのスピーチを前に予想通り満員だった。聴衆は彼が出てくる前から「連邦政府を終わらせろ(END THE FED)」と叫び始め、彼が出てくるとすぐに立ち上がった。

ロン・ポールは「未来はあなたの手の中にあると私が思うことは秘密ではない。国際的にも経済的にも、今のように全世界がひっくり返った事はかつてなかった」と述べた。

学生たちは、まるで目の前で魔法をかけられているかのように、夢中になってロン・ポールを見つめていた。携帯電話で彼の様子を撮影している人もいた。彼が法定通貨(fiat money)と連邦準備制度(Federal Reserve)について冗談を言ったとき、彼らはまさに適切な瞬間に笑った。「ワシントンに戻っても、あまり興奮はしない。実際のところ、私はあそこを訪れることさえない」とロン・ポールは連邦議事堂を示唆しながら述べた。「それはあまりにも憂鬱なことだ」と述べて、誰もが笑った。ロン・ポールは次のように語った。「しかし、私がここにいるのは、皆さんのような若者が将来のことを考え、あそこにいる大勢の人たちが知っているより少しは理解しているのだから、落ち込む必要はないと分かっているからだ。皆さんは自由とは何かを理解しており、そしてそれが重要なのだ!」

スピーチの後、マヘイニーはツイッターにミームを投稿した。「DIE STATIST SCUM(国家主義のくずに死を)」と書かれていた。ジミーは、「ロン・ポール(RP)は#YALcon15のようだ」というキャプションを付けた。彼はフェイスブックにロン・ポールとの写真を投稿した。ジミーはにやりと笑い、2本の指を横に広げてV字にし、右目の上にかざした。

土曜日になっても、人々はスピーチのことを話していた。キャンパスのメインビル「プライズ」の外では、少人数のグループがマルボロを吸っていた。そのうちの一人は、スピーチの後に警備員とともに芝生を歩くポールを見かけ、彼と話すことができた。ニュージャージー州南部から来たある若者は、前夜に飲みすぎて一日中寝ていたと愚痴をこぼした。スピーチの最中、彼は疲れて居眠りをしていた。別の若者は「彼はどんなリバータリアンなのか?」と質問した。ロン・ポールのために起きていられない人なんているのか?

訂正:この記事の前のヴァージョンではジョン・アリソンをケイトー研究所成功経営責任者と誤って描写した。正確には彼は元最高経営責任者だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001

※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 2024年12月3日から4日にかけて起きた、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領による戒厳令布告と失敗について、「誰が戒厳令布告を勧めたのだろうか」と思っていたら、どうやら金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防相だったようだ。金国防相は辞表を提出し、尹大統領はそれを受理したということだが、実質的には解任・罷免で、金国防相が責任を取る形になった。

 金前国防相は尹大統領の高校の同窓生(一学年下らしい)で、個人的に親しい関係があったということだ。金龍顕は韓国軍制服組の最高幹部にまでなった人物であり、尹大統領が就任してからは警備部長をしていた。尹大統領の信頼が厚い人物であったようだ。また、韓国軍政府組の最高幹部であり、短慮の人物であるとは思えない。金前国防相がどういう計算で、勝算があって、戒厳令布告を進言したのか、もしくは破れかぶれで、もうこれしか手段が残っていないということで、戒厳令布告を進言したのか、そこのところを知りたいところだ。

 興味深いのは、今年9月に金龍顕が新しい国防相に指名された際に、「戒厳令」へ向けた動きであるという批判が起きて、与党人民の力党はそれを否定していることだ。金龍顕が国防相に就任するということは、尹大統領が非常手段を行使する可能性があるということを今年の9月の段階で既に批判者たちが主張していたということになる。金前国防相が強硬な手段を選ぶことに躊躇しないということを韓国政界では分かっていたようだ。

 金前国防相は、日韓安全保障関係、日米韓三カ国の協力関係を強化することを主張しつつ、それだけでは不十分ということで、韓国の核武装についても主張していた。韓国の核武装は、アメリカや日本にとって微妙な、難しい問題である。韓国の核武装は、朴正煕大統領も検討し、そのために、アメリカによって暗殺されたという説もある。韓国が持つ核兵器が北朝鮮に備えるものではなく、日米に向かうものになりかねないという懸念がある。今回の戒厳令布告は、国会での予算審議に行き詰まりが原因ということになっているが、韓国政治の基底にある韓国の地政学的な位置やナショナリズムが大きな原因ということも考えられるのではないかと思う。

(貼り付けはじめ)

●「韓国大統領、戒厳令進言の国防相の辞表を受理 後任は駐サウジ大使」

12/5() 11:21配信 毎日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/501f986fde9c28c69394d085f3eab0f6f36237b9

 韓国大統領府は5日、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が金龍顕(キム・ヨンヒョン)国防相の辞表を受理したと明らかにした。金氏は、尹氏に戒厳令の宣布を進言。戒厳令の解除後、「関連した全ての事態の責任がある」として辞意を表明していた。

 大統領府は、後任に崔秉赫(チェ・ヒョンヒョク)駐サウジアラビア大使を充てる方針を発表した。崔氏は軍人出身で、米韓連合軍司令部の副司令官などを歴任した。【ソウル福岡静哉】
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●「韓国新国防相に金龍顕氏就任 北朝鮮に「政権終末」警告 無人戦闘体系構築急ぐ」

2024/9/6 19:10 産経新聞

https://www.sankei.com/article/20240906-5CSRX2YA45L37KWQS3PYX7VAVQ/

韓国の尹錫悦大統領は6日、新たな国防相に軍出身で、大統領警護庁トップを務めた金龍顕氏を任命した。金氏は国防省での就任式で、北朝鮮に対し「挑発すれば『政権の終末』に直面する」と警告、無人機などを活用した「無人戦闘体系」の構築を急ぐとも強調した。

申源湜前国防相は、北朝鮮が挑発に出れば「即刻、強力に最後まで」懲らしめると重ねて発言してきた。金氏もこのスローガンを踏襲する意向を表明。米国の「核の傘」提供を軸とした拡大抑止を強化していく考えも示した。

金氏を巡っては、軍の学閥人事や不正に関与した疑惑があるとして野党が任命に反対。手続きの一つである国会での人事聴聞経過報告書の採択には至らなかったが、尹氏は任命を強行した。(共同)
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プロファイル:韓国の新しい国防相の金龍顕(Kim Yong-hyun、キム・ヨンヒョン)(Profile: New ROK Defense Minister Kim Yong-hyun

-韓国の新しい国防相に任命されたことを受けて、このプロファイルは金龍顕(Kim Yong-hyun、キム・ヨンヒョン)の経歴と主要な役職の概要を提供する。

ケイトリン・カン筆

2024年9月10日

スティムソン・センター

https://www.stimson.org/2024/profile-new-rok-defense-minister-kim-yong-hyun/

9月2日、韓国の尹錫悦(Yoon Suk Yeol、ユン・ソンニョル)大統領大統領は、金龍顕(Kim Yong-hyun、キム・ヨンヒョン)を国防相に任命した。812日に、国防相の辛源植(Shin Won-sikシン・ウォンシク)が国家安全保障問題担当大統領補佐官に、国家安全保障問題担当大統領補佐官の張浩鎮(Chang Ho-jin、チャン・ホジン)が新たに創設された大統領外交・国家安全保障特別補佐官に任命されるなどの予想外の人事異動が行われた中で、金は新しい地位に任命された。これらの人事異動は、安全保障と地政学的な懸念の高まりが動機となっているとの憶測が広まっている。

韓国は核の選択肢を求める可能性を排除すべきではないという金の発言は、特に尹政権の公式見解が、アメリカの同盟関係や拡大抑止の約束を通じて安全保障問題に対処するというものであることを考えると、注目を集めた。更に、金は、エスカレートする北朝鮮の脅威に対処するため、米韓二国間および米韓日三国間の安全保障協力を重視する尹政権の政策を推し進める可能性が高い。

●金とはどんな人物か?(Who Is Kim?

金龍顕は、2022年5月の尹政権発足以来、大統領警護部長を務めていた。2017年に三ツ星の陸軍大将として退任するまで、首都防衛軍司令官から陸軍司令官まで、軍の要職を務めた。統合参謀本部(JCS)の作戦部長を率いる。彼は生活の質の向上と徴兵制の支援を強く支持し、そのキャリアを通じてさまざまな軍体内の生活の質向上政策を推し進めたことでも知られている。

尹大統領とは高校時代の同窓生という長年のつながりがあり、金龍顕は以前尹大統領と仕事をしたことがあり、彼の政策志向を熟知している。尹大統領の大統領選挙では、軍事システムの技術統合を支援するなど、安全保障と外交政策についてユン大統領に緊密に助言した。また、大統領府を龍山(ヨンサン)にある国防省の敷地内に移転させ、安全性を高めるという尹大統領の選挙公約を実現させた。

このような経歴から、金龍顕は「最高司令官(大統領)の意向を格別に理解している」と評価されており、北朝鮮の脅威に対する安全保障を強化し、アメリカとの協力を深めるという尹大統領のヴィジョンに近い形で政策実行をサポートするのではないかと期待されている。

●主要なテーマでの立場(Key Positions

・北朝鮮(North Korea

金龍顕は、増大する北朝鮮の脅威に対する国家安全保障の強化と「最悪のシナリオに備える」必要性に焦点を当てた尹政権の方針を維持している。金は、北朝鮮に対する政府のタカ派的な姿勢を継続する意向であり、この姿勢は、「挑発(provocations)」が高まった場合の報復を警告する過去の発言によって強化されている。

北朝鮮に対する韓国の防衛アプローチについて、金龍顕はアメリカの拡大抑止が北朝鮮の脅威に対応する基礎となるべきだと述べたが、韓国の核武装も排除せず、「あらゆる選択肢が開かれている。アメリカの拡大抑止だけでは北朝鮮に対する核抑止力として十分ではない」とも述べた。これは、アメリカの拡大抑止力を通じて北朝鮮の脅威に対処するという尹政権の公式政策や、韓国の核能力が米韓同盟に及ぼす影響に対する直前の前任者辛源植の懸念とはいくらか矛盾している。金は過去に、北朝鮮が完全な非核化する可能性は低いことを認め、アメリカの戦術核兵器の再配備や国産核開発などの選択肢を含め、韓国が対応して自国を守ることを可能にする別のアプローチを主張してきた。

・米韓同盟と日本との安全保障協力(US-ROK Alliance and Security Cooperation With Japan

金龍顕は、核の選択肢を残しておくことに関心があるにもかかわらず、格上げされた米韓同盟と拡大抑止力への継続的な依存への支持を明確にしている。金は、特にロシアと北朝鮮の軍事協力の深化に直面して、米韓共同訓練の強化と、進化する北朝鮮の脅威に対する抑止力の拡大を強調してきた。

韓国の核の選択肢に関する金龍顕の立場や、日本が「核武装を追求する」可能性についての過去の懸念の声にもかかわらず、金は、対北朝鮮防衛を強化するための日米との共同作業に関する尹大統領の優先順位を強化する可能性が高い。金はまた、尹政権下で進展した日韓二国間関係を維持するため、日本との関係において肯定的なバランスを維持するだろう。

・中国(China

金龍顕は、尹大統領の目的に沿って、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)システム砲台の増設を支持し、増大する北朝鮮の能力に対して重層的なミサイル防衛システムが必要だと主張している。金は、中国の反発に対する懸念を払拭し、更なる報復は「明確な主権侵害(a clear infringement of sovereignty)」であると主張した。

金龍顕は、米中競争の激化と中国、北朝鮮、ロシアの連携強化を指摘し、朝鮮半島の安全保障に対するさまざまな脅威を緩和するため、韓国の軍事力を強化することを誓った。

●主要な利害関係者たちからの反応(Reaction From Key Stakeholders

・与党「人民の力」党:金龍顕の指名は保守的な与党によって支持されており、戒厳令(martial law)への動きを示唆する指名であるとの非難を否定した。

・野党「共に民主」党:リベラルな民主党は、金龍顕の指名に反対しており、尹大統領との個人的なつながりが国防相としての役割に影響することを懸念している。共に民主党はまた、2023年の海兵隊員死亡事件の隠蔽疑惑など、現在進行中の事件への金の関与の可能性についても問題を提起している。

国家革新党:韓国第三党の趙国(チョ・グク)代表は、金が韓国の核オプションに前向きであることを批判し、そのような動きは北東アジアの不安定性を悪化させると述べた。

●今後の見通し(Looking Ahead

金龍顕の国会承認公聴会は9月2日に開かれた。尹大統領は国会の承認なしに首相以外の閣僚を任命する権限を持っているため、この公聴会はほとんど形式的なものと見られている。公聴会中、与党人民の力党と野党共に民進党は金龍顕の資質について意見を交わし、金自身は攻撃を「誤報に基づく虚偽宣伝」として拒否し、北朝鮮の脅威と核武装への開放に対処する方法について政策スタンスを維持した。

尹大統領はこの人事を推し進め、金龍顕は96日に就任した。米韓同盟や米韓日三カ国の安全保障協力を通じて北朝鮮の脅威を抑止することを柱とする尹大統領の安全保障政策を継承する上で主導的な役割を果たすと期待されており、就任演説では前任者の姿勢を再確認し、「圧倒的な」防衛態勢を構築することを誓った。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 私たちは民主政治体制国家に生きている以上、これからも、選挙を何度か経験するだろう(不慮の事故などで亡くなることもあるが)。なかなか難しいが、政治家や候補者に質問をするという機会を得ることもあるだろう。れいわ新撰組は街頭や集会で質疑応答を行っているが、あまり他の党では見かけないにしても(勉強不足で知らないことがあるのはあらかじめお詫びします)、個人の演説会などに行けば質問することができるだろう。

 重要なことは、「何を知っているか」ではなく、「どのように決定を下すか」ということだ。以下のスティーヴン・M・ウォルトの論稿にあるように、小さな国の首都の名前やミサイルの名前などを聞くことはあまり意味がない。もちろん、知識が多いのは素晴らしいことだが、私たちは、クイズの優勝者を自分たちの指導者に戴く訳にはいかない。クイズの優秀な回答者になるためには相当な苦労と頭脳明晰さが求められるだろうが、政治家や指導者に求められる最重要の資質という訳ではないだろう。

 私たちが政治家や候補者に質問する際には、「どのように考えるか」「どのように結論を出すか」ということを重視すべきだ。政治家は、最後は決断である。韓国で起きた戒厳令布告失敗で言えば、尹錫悦(ユンソンニョル)大統領は結果として失敗した訳であるが、彼の決断はどうだったのかということで評価される。そして、政治は結果が全てである。その点で、尹大統領は政治家としては失敗したということになる。現実の世界は、あらかじめ解答がある訳ではない。また、完全な情報が与えられる訳ではない。不完全な情報の中で、自身の経綸、論理性に基づいて、政治家は決断を下す。その方法や過程を知ることが重要になってくる。有権者として、もし私たちが政治家に質問できる機会がある場合に、政治家の「考え方(結論の導き出し方)」を知るということが重要になるだろう。そういう質問をすることは難しいかもしれないが、以下の論稿は参考になる。そして、以下の論稿の内容は、私たちが、政治状況を判断する際にも役立つと考える。

(貼り付けはじめ)

ハリスとトランプがまだ問われるべきいくつかの質問(The Questions Harris and Trump Still Need to Be Asked

-アメリカ大統領選を取材するジャーナリストのための虎の巻(cheat seat)を公開する。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年9月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/09/17/kamala-harris-trump-election-debate-foreign-policy-questions/

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ペンシルヴァニア州フィラデルフィアで行われたカマラ・ハリスとドナルド・トランプの討論会(2024年9月10日)

アメリカ大統領選挙候補者討論会が終わり、ハリス陣営とトランプ陣営を取材する記者たちはおそらく通常の活動を再開するだろう。今後数週間のうちに、数少ない幸運な記者たちが2人の候補者に外交政策について質問する機会を得るかもしれない。私はジャーナリストでもメディアの専門家でもないが、世界政治とアメリカの外交政策について多少は知っているつもりでいる。ここでは、アメリカが外の世界とどのように対処すべきかについて、どちらかの候補者の見解を探る機会を得た場合、報道陣は何をすべきか(そしてすべきでないか)について、いくつか考えてみたい。

選挙戦の最後の数週間で興味深い洞察を引き出すのは容易ではない。カマラ・ハリス副大統領は、ジョー・バイデン大統領のウクライナとガザ地区への対応を擁護しなければならない、あるいは少なくともそこから大きく逸脱してはならない、という不運な立場にある。そのためには、巧みな身のこなしが必要であり、無難な短い言葉の巧みな使い方(sound bites)や曖昧な決まり文句に固執する誘惑にハリスが抗うのは難しいだろう。ドナルド・トランプ前大統領に関しては、彼に何を聞いても時間の無駄かもしれない。しかし、2016年にマギー・ハバーマンとデイヴィッド・サンガーが示したように、綿密なインタヴューによって候補者が重要な外交政策問題についてどのように考えているかが明らかになり、彼らが何を信じているのか、何を正しく直感しているのか、そして何を明らかに理解していないのかが明らかになることがある。

そのような現実を踏まえて、もし私がいくつかの質問を投げかける機会を得たとしたら、どのような質問をするかをこれから挙げていく。

第一に、候補者がいかに世界のことを知らないかを明らかにする(と思われる)ことで、候補者を困惑させることを主目的とした、ありがちな「やらせ」質問(“gotcha” questions)は省く。大統領候補にタジキスタンの外相やアジア開発銀行の頭取の名前を尋ねたり、国際決済銀行の仕組みを説明させたりするのは馬鹿げている。私は世界政治の研究を生業としているが、私も同僚の多くも、この種の雑学コンテストではうまくいかないだろう。もっと重要なのは、何百人もの世界的指導者の名前や、その他の難解な詳細を思い出すことができたとしても、候補者の世界の仕組みに関する基本的な見解や、現在のアメリカの利益、あるいはそれらの利益を促進すると考える政策については何も分からないということだ。

「トリヴィアル・パースート」の外交政策版をプレイする代わりに、私は各候補者に最も尊敬する外国の指導者とその理由を尋ねるだろう。少なくとも1人の名前を思いつかなければ、それは憂慮すべきレベルの無知か、過度にアメリカ中心の世界観のどちらかを示唆している。質問の後半も重要だ。どのような資質や業績があって特定の指導者を尊敬するようになったのかを知ることで、彼ら自身の優先順位や価値観がどのようなものなのかをよりよく知ることができる。

同様に、悪名高い「午前3時の電話(3 a.m. phone call)」(訳者註:2008年の大統領選挙民主党予備選挙でヒラリー・クリントンが流したCM)や通常の危機シナリオの数々にどう対応するかも質問しない。中国による突然の台湾攻撃、中東での全面戦争、アメリカへの大規模なサイバー攻撃、友好的な外国政府の暴力的転覆、その他多くの恐ろしい可能性にどう対処するか、大統領選に立候補している誰も知らないというのが明白な真実なのだ。なぜか? なぜなら、ほぼ全ての状況で最終的に何を決断するかは、事前に特定できない多くの詳細によって決まるからだ。大統領になれるほど賢い人なら、そんな質問に答えようともしないはずだ。

仮説的なシナリオで彼らが何をするかを質問する代わりに、私は彼らが問題をどのように考えて解決するかを探ることにもっと興味がある。たとえば、中国が台湾に封鎖を実施した場合、アメリカは対応策を講じる際に何を達成しようとすると考えるか? この状況に対する私たちの関心は何だろうか? また、直ちに生じる可能性のある機会やリスクは何だろうか? 彼らは諜報機関、北京の米大使、国家安全保障会議の中国・台湾担当上級部長、あるいは統合参謀本部議長にどんな質問をするだろうか? どのような選択肢を検討したいと考えるか? また、様々な選択肢の中から選択するためにどのような基準を使用するか? 他にどのような要因 (同盟諸国の意見、競合する約束など) が彼らの決定に影響を与える可能性があるか? 候補者が思いつくであろう困難な状況でどのような行動をとるのかを正確に知る必要はないが、彼らがアメリカの国益を前進させる対応をどのように選択するのか、少しでも知りたいと思っている。

両候補がNATOについてどう考えているかは既に分かっている(ハリスは大ファン、トランプはそうではない)ので、それについて聞いても意味がない。同様に、アメリカとイスラエルとの関係について一般的な質問をしても、興味深いことは何も見えてこない。大統領選挙に立候補している人なら誰でも、イスラエルへの「鉄壁の(ironclad)」関与などについて話すことを知っている。しかし、もし私がトランプにインタヴューするとしたら、パレスティナ人をアブラハム合意から外したのは間違いだったのか、ハマスが2023年10月にイスラエルへの攻撃を開始した理由の1つはパレスティナ人の排除であったのかと質問するだろう。もし私がハリスにインタヴューするとしたら、イスラエルが停戦を求めるアメリカの声に逆らっているにもかかわらず、何十億ドルもの追加兵器をイスラエルに与えることが、なぜアメリカの利益につながるのか説明してもらいたい。彼女は、この政策がアメリカ人をより安全にし、繁栄させ、世界中で尊敬されるようになると考えているのか? それはどのようにして実現されるのか?

次に、実績のある2人(1人は大統領として、もう1人は副大統領として)を相手にしているのだから、私はそれぞれの候補者に、自分の大統領としての実績と相手の大統領としての実績を比較するよう求める。しかし、自分の行動を擁護し、ライヴァルを批判するよう求めるのではなく(それは安易すぎる)、自分の記録を批判し、自分が打ち負かしたい相手について何か肯定的なことを見つけるよう求める。トランプ大統領には、1期目に犯した外交政策上の最大のミスを教えてもらい、そこから学んだことがあるとすれば、それは何だったのかを明らかにするよう求めるだろう。彼は、自分の大統領としての実績はアメリカ史上最高のものであり、ミスはまったくなかったと主張するかもしれないので、私ならリストを用意する。貿易赤字を更に悪化させた対中関税、イランを包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of ActionJCPOA)から離脱させて核爆弾に近づけようとした決断、どこにもつながらない北朝鮮の金正恩委員長とのリアリティショー的な首脳会談、アフガニスタンでの永久戦争(forever war)を終わらせることができなかったこと、ロシア大使に機密情報をうっかり漏らしてしまったこと、他の民主政体諸国家の指導者たちとの険悪な関係。そのうえで、バイデンが外交政策で行ったことのうち、彼が同意したものを挙げてもらうことにする。

ハリスにも同じ扱いをする。トランプの外交政策の行動のどのような側面が正しかったか? 彼の最大の成功は何か? 対照的に、バイデン政権の最大の外交政策の失敗は何か? トランプの場合と同様に、彼女が質問をはぐらかそうとした場合に備えて、私は提案できる可能性の便利なリストを用意する。バイデンも同様の戦略に従い、ある意味では更に踏み込んだことを考えると、トランプが通商問題で中国に厳しく対応したのは正しかったのだろうか? 彼女はバイデンのティームがガザ地区を上手く取り扱ったと考えているのだろうか? バイデンが2020年の選挙戦期間中に約束したように、なぜアメリカはイランとのJCPOAに再参加しなかったのか? バイデンとアントニー・ブリンケン国務長官は、ロシアのウクライナ侵攻を阻止したり、ウクライナの多大な苦しみやさらなる領土の喪失を免れて戦争を迅速に終結させたりする可能性のある合意に達するためにもっと努力すべきだったのだろうか? アメリカ政府が多くの独裁者と協力する必要があり、時には一部の民主政体同盟諸国と大きな問題を抱えていることを考慮すると、民主政治体制と独裁主義を明確に区別することがアメリカの外交政策を組織するための最良の枠組みなのだろうか? これらのことなどを質問する。

民主、共和両党とも、開放的だが管理された貿易の利点を忘れてしまったかのようだ。特にトランプは、関税は他国に課税する手段であり、国をより豊かで生産性の高いものにする簡単な方法であるという、長い間信じられていなかった考え方に熱中している。両候補に次のように質問したい。比較優位の法則(law of comparative advantage)が何であるか知っているか? また、それに基づいて外交経済政策を考えているか? (もし彼らがデイヴィッド・リカードについて言及していたらボーナスポイントだがそれは期待しない)。

最後に、各候補者に外交政策上の最優先課題を質問したい。今後4年間で外交政策の主要目標を1つだけ達成できるとしたらそれは何か? 気候変動を食い止めることか? 有意義な中東和平合意の交渉か? 「抵抗の枢軸(axis of resistance)」にくさびを打ち込むことか? 戦略的軍備管理への真剣な取り組みの再開か? ロシアをウクライナから撤退させること、あるいはメキシコの暴力的な麻薬組織への対処を支援することか? 国連安全保障理事会の改革か? 数え切れないほどの可能性があり、たとえ彼らが真実を語ったとしても、就任後にそれを実行するとは限らない。外交政策に不意打ちはつきものであり、最善の計画が予期せぬ出来事によって覆されることはよくあることだ。信じられないなら、ジョージ・W・ブッシュに2001年9月11日の外交政策がどうなったか聞いてみればいい。しかし、私は、候補者たちが、もし可能であれば我々をどこへ導きたいのか、そしてどのようにそこに到達できると考えているのかを知りたい。

これが私のアドバイスだ。この文章を読んで、どちらの陣営も私に電話をかけてきて、選んだ候補者と一対一で話をしようとはしないだろう。しかし、もしあなたが現役のジャーナリスト、ポッドキャスター、トークショーの司会者で、そのような機会があれば、私の提案をぜひ使って欲しい。どこで入手したかは言う必要はない。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。「X」アカウント:@stephenwalt

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