古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:大統領


 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 2024年5月19日に、イランのエブラヒム・ライシ大統領とホセイン・アミール=アブドラヒアン外相、他に政府高官たちが乗ったヘリコプターが墜落事故を起こし、搭乗員たちが全員死亡した。大統領と外相という最重要の政府高官たちが同じヘリコプターに登場していたというのは、安全管理の面から解せないところであるが、ライシ大統領の事故に、アメリカやイスラエルが絡んでいるということはひとまずないようだ。
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 今回の事故で、イランとイスラエルとの間の状況がさらに悪化するということはないと考えられる。これまで、イスラエルがシリアのダマスカスにあるイラン大使館を攻撃し、イスラム革命防衛隊の司令官クラスを殺害している。報復として、イランはイスラエルにドローンやミサイルによる攻撃を行った。両国間の関係が悪化し、より大規模な戦闘ということになれば、両国が直接領土を接してはいないので、航空機やミサイルによる攻撃が主体となり、最後は核兵器使用ということまで考えられる。ライシ大統領は、イランの国家最高指導者であるアリ・ハメネイ師の意向に沿って、強硬な態度を取ってきた。しかし、同時に、状況がさらに悪化しないように、細かい点で配慮を見せてきた。この流れは変わらないようだ。しかし、イスラエルと対峙する、レバノンのヒズボラとガザ地区のハマス、それらを支援するイスラム革命防衛隊を強化することは忘れないだろう。
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 イランにしてみれば、イスラエルとそれを支援するアメリカが国際世論の批判に晒されて、孤立することが望ましい。実際に、イスラエルによるガザ地区での作戦実行が過剰な防衛であって、一般市民に大きくの犠牲者が出ているということは、批判を招いている。ハマスについては、パレスティナ内部でも決して大きな支持を集めている訳ではないが、パレスティナの代表のような振る舞いをし、イランにとって有効な存在になっている。ハマスとヒズボラを使って、イスラエルを攻撃するということはイランにとって重要な戦略となっている。
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更には、イランが紅海の入り口にあるイエメンのフーシ派も支援していることも大きい。これによって、貿易海運に影響が出ており、アメリカが率いる西側諸国にとっては頭が痛い問題である。

イランが中国やロシアの支援を受けて、中東での動きを活発化させている。それは、中国が仲介してのサウジアラビアとの国交正常化合意が実現したことが大きい。サウジアラビアも向米一辺倒から脱却しており、中東におけるアメリカとイスラエルの重要性が縮小している。重要なのは、中東の現状が核兵器使用の大きな戦争にまで進まないようにコントロールすることであり、イランもそれを望んでいるようだ。
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イランがイスラエルに勝てると信じているその理由(Why Iran Believes It’s Winning Against Israel

-イラン政府は、地域秩序の再構成(regional reordering)が進行中であると結論づけた。大統領と外務大臣が亡くなってもその流れは変わらないだろう。

アリ・ヴァエス、ハミドレザ・アジジ筆

2024年5月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/05/20/iran-israel-war-deterrence-raisi-crash/?tpcc=recirc_latest062921

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バグダッドのイラン大使館前にて、イランの故エブラヒム・ライシ大統領を弔う人々のキャンドルリストの横で警備するイラク軍兵士(5月20日)

日曜日(5月19日)、イランのエブラヒム・ライシ大統領とホセイン・アミール=アブドラヒアン外相を含む数名の政府高官がヘリコプター墜落事故で死亡した。この事件は、4月にイランとイスラエルの間で前例のないエスカレーションが起こった後に発生し、イランの地域政策と現在進行中のイスラエルとの対立に潜在的な影響を与えるのではないかという予測が出ている。

イラン行政府のトップに突然空白が生じたにもかかわらず、イランの外交・地域政策の戦略的方向性は、主に最高指導者アリ・ハメネイ師(Ayatollah Ali Khamenei)によって決定され、イスラム革命防衛隊(Islamic Revolutionary Guard CorpsIRGC)の影響を受けており、今後も変わらないと見られている。しかし、イランとイスラエル間の最近の事態悪化は、既にイランの戦略的思考(strategic thinking)と地域的計算(regional calculations)に影響を与えている。

イランにとって、イスラエルが4月1日にダマスカスにあるイラン大使館を攻撃し、高級指揮官を含む、イスラム革命防衛隊メンバー数人を殺害したことは一線を越えた。イランの立場からすれば、標的の幹部と施設の性格の両方が、イスラエルによる容認できない、事態悪化を意味する。

当面の問題として、テヘランは、イランが主権領土に相当すると見なしている場所への攻撃を放置すれば、イスラエルがイラン領内で、更に多くのイラン政府高官を標的にする可能性があると考えている。しかし、おそらく、より重要なことは、イラン政府関係者たちが、ダマスカスにあるイラン大使館攻撃を、ヒズボラの後方支援を断ち切ることを目的としたものであり、イスラエルによるレバノン侵攻という、より大きな目的に向けての中間的な動きと認識したことであろう。

2023年12月にイスラエルがダマスカス郊外で、イスラム革命防衛隊のラジ・ムサビ准将を殺害したことで、レヴァント地域におけるイランの非国家同盟組織の支援を担当する、イランの後方支援担当責任者(chief of logistics)が排除された。2024年1月の同様の攻撃で、シリアにおけるイスラム革命防衛隊の情報諜報責任者が解任され、4月1日にはモハメド・レザ・ザヘディ将軍が殺害されたことで、レヴァント地域の作戦責任者が排除された。

イランはまた、国内および地域の同盟国、組織の面子を保つ必要もあった。4月のダマスカス攻撃後、一部の強硬派は指導部を公然と批判し始めた。そのため、テヘランは武力で対応しなければならないと考えたが、戦争を引き起こすことなく、ある程度の抑止力を回復する必要があった。

414日未明、イスラエルに対し、高度に電波誘導を用いた大規模な無人機とミサイルによる攻撃を実施することで、戦争にならない範囲での報復を行った。優先事項は死と破壊ではなく、むしろイスラエルの領土を直接攻撃する勇気があることを示すことであった。もちろん、攻撃の規模を考えると、死と破壊の危険が当然のこととしてあった。イラン政府はおそらく、イスラエルとアメリカの防衛能力に関する重要な情報を収集しながら、自国が持つ能力のどの部分を公開するかを選択した可能性が高い。

イスラム革命防衛隊の航空宇宙戦隊司令官は、イランが今回の作戦のために準備した能力の20%未満しか投入しなかったのに対し、イスラエルは、アメリカや他の同盟諸国の支援を受け、防衛兵器をフル動員しなければならなかったと示唆した。これらの主張が少しでも正確であれば、イランがより高度な兵器を用いて、更なる大規模な攻撃を行う場合、特に奇襲的で長期間に及ぶような攻撃の場合、今回成功した防衛を再現できるのかという疑問が生じる。

イスラエルとそのパートナーたちは、この攻撃をほぼ無力化すること(neutralizing)に成功したが、テヘランは支持者・支援者の間での立場を強め、おそらくアラブ各国の路上で、パレスティナの権利擁護を公言し実行しているという評判を高めた。ガザでの戦争の惨状から国際的な関心をそらすことなく、このようなことが成し遂げられた。この事実は、アメリカやヨーロッパ諸国の大学キャンパスで行われた親パレスティナ派の抗議行動によって、より浮き彫りにされた。

この観点からすると、今回のイランによる攻撃の成功は、その限定的な軍事的成果からではなく、より強力な超大国の支援を受けている、強力な敵を直接標的にしたという事実そのものからもたらされた。ハメネイ師が主張しているように、イランがイスラエルに送った重要なシグナルは、イスラエルがイラン軍を切り崩し、レヴァントでの行動ができないようにすることを目的とする、今後の作戦を抑止するために、テヘランはある程度のリスクを受け入れることができるということであった。

しかし、この攻撃の直後に、イスラム革命防衛隊の最高司令官が設定したレッドライン(イランの標的に対するいかなる攻撃も、イランがイスラエルを再び直接攻撃する原因となる)は、イスラエルが現地時間4月19日にイスファハンで行った空対地ミサイル攻撃(イラク領空からS-300ミサイル防衛システムのレーダーを空対地ミサイルで攻撃、ナタンツの機密核施設に近接)に照らして、すぐに空威張りであることが示された。

イランにとって、イスラエルとの暗闘が現状に戻ることは、おそらく受け入れられる結果だろう。テヘランからすれば、せいぜい、シリアにおけるイランの武器輸送と施設を標的とするイスラエルのマバム(「戦争の中の戦争[war within the wars]」)キャンペーンの範囲を制限する方法を見つけることだろう。イランは少なくとも、イスラエルがイランの上級指揮官を標的にすること、そして、イラン国内で屈辱的な秘密工作を行うのを止めさせたいと考えている。イランがこれらの目的を達成できるかどうかを判断するのは時期尚早である。

今、重要なのは、イスラエルとイランの二国間の対立(bilateral rivalry)が、より広い地域情勢の中でどのように位置づけられるかということである。イスラエルとアメリカは、アラブ諸国との一時的な地域協力関係(ad hoc regional cooperation with Arab states)を活性化させ、ミサイルの一斉射撃を阻止したと自慢することができた。しかし、関係するアラブ諸国は、イスラエルから名指しされたり、味方についたと見られたりすることを避けたがった。イスラエルがアラブ諸国の行動を、自国に有利な反イラン地域同盟(anti-Iran regional alliance)の出現を示唆するものだと決めつけようとしたのとは反対に、アラブ諸国の指導者たちは、イスラエルとイランとの間の緊張が、自国を銃撃戦に巻き込む可能性があるという、以前から恐れていたことが証明されたと考えたのである。

イランの指導者たちは、ヒズボラという地域的な槍の先端を使わなかった、自分たちの報復が、更なる事態悪化の可能性を軽減することに成功したと、今のところは確信しているようだ。イランの攻撃からイスラエルを守るには10億ドル以上の費用がかかり、少なくとも5カ国が参加する大規模なティームワークが必要であるのに対し、イランには攻撃に2億ドルの費用がかかったということは、イスラエルもアメリカも、更なる戦闘を求めていないことを暗示している。したがって、イスラエルとアメリカ軍がおそらく同じことをしているのと同じように、イランには学んだ教訓に焦点を当てる余地がある。

イランがパンチを手加減してやったと主張しているにもかかわらず、アメリカ政府当局者たちは、その目的は「明らかに重大な損害と死者を引き起こすことであった」と評価している。今回の場合、パンチは当たらなかった。これは攻撃の脆弱性と防御力の両方の結果であると思われる。長距離を飛行するイランの無人機はほぼリアルタイムで探知され、発射体の多くはイスラエル領土に到達する前に迎撃されたからだ。かなりの割合(おそらく半分程度)が迎撃された。弾道ミサイルのうち多くが、自然に失敗して到達できなかったと報じられている。

これらの欠陥を正すために、イランはイスラエルに近い地域で武器の開発と備蓄を強化し、シリアでのプレゼンスの強化を必要とするだけでなく、将来の攻撃手段の一環として極超音速ミサイルを含むより先進的なミサイルの開発を加速させようとする可能性がある。

イスラエルによるイランへの報復は、イスラエルがイランの核施設に重大な損害を与える能力を持っていることをイランの指導者たちに思い知らせるものだった。また、イラン国内における、S-400のような、より高性能な防空システムの欠如や、近隣の空域に侵入するイスラエルの本質的に揺るぎない能力といった、テヘランの主要な欠点も露呈した。前者の欠点に対処するため、テヘランは、イランとヨーロッパの関係を更に悪化させることになるとしても、弾道ミサイルと引き換えにロシアの最新兵器を入手する努力を強化するだろう。

後者の欠点に対処するために、特にシリアでは、ロシアに助けを求める可能性もある。しかし、イラクではアメリカ軍が立ちはだかり、イランは、イラクの民兵組織にアメリカ軍基地を狙い続けるよう促し、イラク政府への政治的圧力を強めることで、イラクから約2500人のアメリカ軍を追い出そうとする動機をより高める可能性が高い。

テヘランはまた、シリアのユーフラテス川以東で、既に不安定な状態にあるクルド人主導のシリア民主軍の支配を緩めるための努力を強化する可能性が高い。これにより、イランは、シリアへの(そしてその先のレバノンへの)陸上アクセスポイントを増やし、同時にユーフラテス川西岸のデイル・エゾル州での影響力を強化することができる。最後に、テヘランは度重なる諜報活動の失敗により、国外にいる上級指揮官の所在が明らかにされてしまったことや、国内が脆弱になったことへの対処にも注力するだろう。

イラン指導部は、イランが10月以来実証してきた能力、つまり地域パートナーの非対称戦闘能力と、イスラエル上空を飛ぶイランのミサイル弾頭の永続的なイメージが、ガザ紛争の余波と相まって、地域秩序の再構成の前兆となる可能性があると信じている。

イラン政府の目には、イスラエルは世界的にますます排斥されると映っている。ロシア、中国、インドのような他の大国が影響力を拡大するにつれ、アメリカはもはやこの地域の最も重要なプレーヤーではなくなるだろう。そしてペルシア湾岸アラブ諸国(Gulf Arab states)は、イランに対して団結することを避け、代わりにシリアやヒズボラなどのイランの同盟国や組織との関係改善を目指すことになるだろう。

イラン指導部は、短期間に核弾頭を開発できる、制限核兵器保有国(threshold nuclear weapons state)としてのイランの地位を強化したいという願望でこのヴィジョンを補完している。特に、西側諸国が効果的で持続的な経済制裁緩和を行う能力があるかについてのテヘランの悲観的な見方を考慮すれば、イランの核能力の大幅な縮小を目的とした将来の合意は困難ということになるだろう。

しかし、イランの指導者たちは、永続的な現実が彼らの強気な物語を台無しにし、短期および中期の両方のリスクをもたらすことに気づくかもしれない。イランとイスラエルがゲームの新しいルールをまだ完全に定義してテストしていないことを考えると、特にイランは自慢の戦略的忍耐力(strategic patience)を放棄し、より攻撃的な姿勢に置き換えるべきだと信じる、政府内の人々が優勢であるように見えるため、両国は誤算を示す可能性がある。これらの強硬派は、イスラエルが、近いうちにイランが越えてはならない一線を堅持する姿勢を試すことになり、イランがそれに失敗すれば、4月14日に取った多大なリスクから得られる利益は失われると信じている。

そうなれば、双方の誤算(miscalculation)のリスクが高まり、壊滅的な打撃を与えかねない状況悪化の連鎖につながりかねない。中期的には、イランが中東で消滅しつつあるパクス・アメリカーナ(Pax Americana、アメリカによる平和)に代わる新たな秩序が生まれつつある、と見ていることが、かえってペルシア湾岸アラブ諸国が、アメリカの安全保障をより強固なものにする要求を倍加させ、テヘランが直面する脅威に対する認識を深めることになりかねない。

※アリ・ヴァエス:インターナショナル・クライシス・グループのイランプロジェクト部長、ジョージタウン大学外交学部非常勤講師。ツイッターアカウント:@AliVaez

※ハミドレザ・アジジ:ジャーマン国際・安全保障問題担当研究所訪問研究員。シャヒド・バレスティ大学地域研究助教(2016-2020年)。テヘラン大学地域研究学部訪問講師(2016-2018年)。ツイッターアカウント:@HamidRezaAz

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ライシ大統領の死がイランの未来に意味するもの(What Raisi’s Death Means for Iran’s Future

-ヘリコプター墜落事故によるライシ大統領の突然の死は、地域的な混乱の中でイランに不確実性をもたらす。

ジャック・ディッチ筆

2024年5月20日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/05/20/iran-president-helicopter-crash-raisi-politics-supreme-leader/

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イラン大統領エブラヒム・ライシがシリアのダマスカスを訪問(2023年5月3日)

イランのエブラヒム・ライシ大統領は日曜日、他のイラン政府高官たちの一団を乗せたヘリコプターがイラン北部の山中に不時着した事故で死亡し、イランと中東地域の将来に大きな疑問を生じさせた。

イラン国営のイスラム共和国通信が確認したところによると、ホセイン・アミール=アブドラヒアン外相と他の高官たちもイランの東アゼルバイジャン州を移動中に墜落し死亡した。墜落現場が発見されるまでの数時間、濃霧が捜索・救助活動を妨げた。霧は非常に濃く、イラン側はヘリコプターの位置を特定するためにヨーロッパ連合(EU)の衛星の支援を要請せざるを得なかった。

ライシ大統領の死は、イランが強硬な方向(hard-line direction)に進み、中東を地域戦争(regional war)の危機に晒される恐れがあったイラン政治の短い変革の時代(transformative era)に終止符を打った。ライシは政権の座に就いて約3年間、イランの国内政治と社会政策をより保守的な方向に動かし、2017年の大統領選挙でライシを破った前任者のハッサン・ロウハニの後、イランをこの地域における明らかなアメリカの敵対者の立場へと更に推し進めた。ロウハニは、代理攻撃(proxy attacks)を強化する前に、まずイランの核開発をめぐる西側諸国との緊張緩和を模索した。

イスラム法学者で、アリ・ハメネイ師(Ayatollah Ali Khamenei)との緊密な関係で知られ、多くの当局者や専門家たちが高齢化する最高指導者の後継者候補とみなされてきた、ライシの大統領在任期間中、イランはウラン濃縮(uranium enrichment)を加速させ、包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of Action)の交渉を遅らせた。アメリカはライシが大統領に就任する3年前の2018年に協定を離脱した。

ライシ政権下のイランはまた、シャヘド自爆ドローンや大砲の大規模な輸出でウクライナに対するロシアの戦争を支援し、ハマスによる2023年10月のイスラエルへの越境攻撃の後、アメリカとイスラエルに対する地域の代理民兵組織(regional proxy militias)による攻撃を増加させ、ライシの死のわずか1カ月前には、イスラエルに対して大規模なドローンとミサイル攻撃を開始した。

複数の専門家によれば、ライシの後任が誰になろうとも、彼が追求した戦略はイランの政治的・聖職的指導部の上層部の間で堅持されており、変わることはないだろうという。

民主政治体制防衛財団(Foundation for Defense of DemocraciesFDD)のイラン上級研究員ベーナム・ベン・タレブルーは次のように述べている。「ライシがいてもいなくても、政権は10月7日以降の中東の成り行きに満足している。イランは、アメリカとイスラエルに対して、代理人を使って直接攻撃したが、4月に見られたような、一触即発(tit-for-tat)の状況にも何度か直面しながら、状況を有利になるように進めている」。

イラン憲法では、選挙が実施されるまでの50日間は、ムハンマド・モクバー筆頭副大統領が政権のトップを務めることになっている。アナリストによれば、最近の議会選挙は記録的な低投票率だったという。更に、2021年の前回の大統領選挙では、ライヴァルたちを追い落とし、ライシ候補の勝利を確実にするために、ハメネイと協力者たちは多大な努力を行った。

ライシは大統領に就任する前、1988年に推定5000人の反体制派の処刑を担当した、イラン検察委員会の委員を務めていた。ライシは国連から人道に対する罪で告発され、米財務省から制裁を受けていた。そして、その強圧的なアプローチは、2022年9月にイラン道徳警察が、22歳のマフサ・アミニが公共の場で適切にヒジャブを着用しなかったとして交流した後に死亡した事件がそれに続き、これが全国的な抗議活動を引き起こした。

臨時選挙や来年に予定されている正式な大統領選挙という地平線の先には、イランの支配層のトップに激震が走る可能性がある。国家元首(head of state)の息子であるモジタバ・ハメネイ以外に、85歳のハメネイの後継者となりうる人物は限られているため、ライシの死はイランの政治的未来を更なる混乱に陥れる可能性がある。

イラン経済の主要部分を支配するイラン国軍最大の部隊である、イスラム革命防衛隊(Islamic Revolutionary Guard CorpsIRGC)も、この混乱を利用して自らの力を増大する可能性がある。

米国防大学近東アジア戦略研究センター教授で退役米陸軍大佐のデービッド・デ・ロシュは、「ライシがいなくなってしまう場合、後継者は明白になっていない。本当に興味深いのは、イスラム革命防衛隊が基本的に、スローモーションクーデター(slow-motion coup)を完了するかどうかを見ることだ」と述べている。

救助隊が墜落したライシのヘリコプターを捜索中に、国営メディアはイラン国民にライシのために祈るよう求めた。その代わりに、墜落の報道を受けて、イラン国民の一部は祝賀の花火を上げ、強硬派の指導者の死について歓喜したようだ。

米海軍大学院准教授で、ヴェテランのイラン専門家であるアフション・オストヴァールは、ライシ大統領の死去が確認される前に、「今日の墜落とライシ大統領と外相の死亡の可能性はイラン政治を揺るがすだろう」とXへの投稿で書いた。オストヴァールは続けて、「原因が何であれ、不正行為(foul play)の認識は政権内に蔓延するだろう。野心的な分子が利益を求めて圧力をかけ、政権の他の部分からの反発を強いられる可能性がある。このような事態が起きることに備えておくべきだ」。

専門家たちは、臨時選挙でも2025年のイラン大統領選挙でも、自由化を進める人物が現れる可能性は低いとしながらも、ライシの死は、水面下で続いてきた抗議運動の復活にわずかな隙を残す可能性があると述べている。

「民主政治体制防衛財団の専門家ベン・タレブルーは、「講義運動は死んでいない。これらの運動は、ストライキや労働組合など、低レヴェルの周辺地域で活動している。全国的な引き金になるかもしれないし、何も起こらないかもしれない。しかし、イランの抗議運動の物語はいつ起こるか、起きるかどうかの問題でもある」と述べた。

※ジャック・ディッチ:『フォーリン・ポリシー』誌国防総省・国家安全保障担当記者。ツイッターアカウント:@JackDetsch

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2024年11月のアメリカ大統領選挙に向けて、ドナルド・トランプ前大統領が出馬表明し、ジョー・バイデン大統領も2期目に向けての出馬表明を行った。民主、共和党両党はそれぞれの大統領選挙候補者を決める予備選挙を行う。予備選挙は全米各州とワシントンDCで行われるが、それは来年(2024年)初めからスタートするが、選挙戦自体は既に開始されている。

民主党はバイデンが2期目を目指すが、これまで何度も大統領選挙に出馬し、エスタブリッシュメント派と闘ってきた進歩主義派のバーニー・サンダース連邦上院議員は出馬せず、進歩主義派で人気の高いアレクサンドリア・オカシオ・コルテス連邦下院議員も出馬しない。驚いたのは、ケネディ家のロバート・ケネディ・ジュニアが出馬表明を行ったことだ。ロバート・ケネディ・ジュニアの父は、ジョン・F・ケネディ大統領の弟で、こちらも暗殺されたロバート・ケネディ元司法長官だ。ケネディ家はアメリカ民主党の「王朝」であるが、最近は存在感が希薄になっているのを受けての出馬だろうが、バイデンを倒すことはできないだろう。民主党側はバイデンが順当に大統領選挙候補者になるだろう。
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共和党側も既に複数の人物が出馬表明を行っているが、トランプ以外では、ニッキー・ヘイリー元国連大使(トランプ政権)・元サウルカロライナ州知事が現時点では有力候補者と言えるだろう。共和党側では現職のフロリダ州知事ロン・デサンティスが有力候補者とみられているが、まだ出馬宣言をしていない。デサンティスは先月、日本を訪問し、その際に岸田文雄首相を首相観点に訪問している。これはデサンティス側からの依頼を首相官邸が受け入れてのことであった。アメリカの州知事程度が首相官邸に依頼をしたからと言って、首相に会えるということは、いくら属国と言っても通常であれば無理だ。日本の首相官邸は、デサンティスが共和党の大統領選挙候補になる可能性があると見ていて、念のため、万が一の可能性も考慮して、今回首相官邸訪問を許可したのだろう。
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 しかし、これまでの各種世論調査の結果では、トランプがデサンティスをはじめとする他の候補者たち(出馬宣言していない人物も含む)に大きくリードを保ち、首位を独走している。トランプに対しては刑事訴追が行われたが、その影響は全くないどころか、かえって支持を伸ばしている。

 その理由は「強さ」である。そして、トランプのライヴァルと目されるデサンティスがエスタブリッシュメント派の候補者であることが既に有権者に見破られているからだ。デサンティスの岸田首相との会談もデサンティスがエスタブリッシュメント派であることから実現したと言える。しかし、そのために、「デサンティスには強さはない。戦いを勝ち抜く力はない」と共和党支持の有権者は考えているようだ。

 2024年の大統領選挙もトランプ対バイデンの戦いという構図になりそうだ。バイデンと側近たちは「大統領の犯罪(具体的にはノルドストリーム爆破事件)」が白日の下に晒されることがないように、そして選挙に落ちて、そうした犯罪が明らかにされ、自分たちが逮捕されることないようにするため、あらゆる手段で選挙を勝ちに行く。不正な手段でもなんでもやるだろう。「毒を食らわば皿まで」だ。しかし、そのような選挙に、民主政治体制国家のモデル、お手本、世界最高の国の矜持はズタズタにされてしまう。アメリカ国民の中での断絶や不和が更に広がり、アノミー状態に陥って、国会時において大きなダメージとなるだろう。

(貼り付けはじめ)

共和党支持の有権者たちはどうしてそこまでトランプに忠実なのか(Why GOP voters are so loyal to Trump

-共和党の予備選挙の有権者たちでは、2024年の共和党大統領候補としてトランプ元大統領への支持を緩める気配はない。

キャロライン・ヴァキール筆

2023年4月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/3978590-why-gop-voters-are-so-loyal-to-trump/

人々の注目を集めている法廷闘争に巻き込まれ、昨年の中間選挙で共和党が予想よりも振るわなかったことがありながら、トランプはほとどの世論調査において、共和党予備選挙に出馬を予想されている人物たちに対するリードを広げている。

大統領選挙の討論会や予備選はまだ数カ月先だが、世論調査担当者や一部の反トランプ共和党員たちは、トランプ前大統領が最近起訴されたことや、共和党内で彼のライヴァルと目される候補者たちに対する彼の率直なアプローチが、共和党の支持者の一部がまだ前大統領を支持している理由の1つだと指摘している。

反トランプの立場の団体であるリンカーン・プロジェクトの共同設立者リック・ウィルソンは次のように述べている。「ドナルド・トランプは、自分に対するあらゆる法律面からの批判、自分に対するあらゆる外部からの告発は無効であり、それらは『ディープ・ステート』が生み出したもの、あるいは共和党の有権者たちから自分を引き離すためのある種の陰謀の産物だと信じるように、共和党支持者たちの多くに訴え、それに成功している」。

ウィルソンは続けて次のように語った。「マーアラゴにFBIの捜査官たちが踏み込んだ後、トランプ支持の数字が上がったのはどうしてか? ニューヨークで起訴された後、なぜトランプ支持の数字が上がったのか? それは、そのベースが、つまり、人々は犯罪者を好まないという、事前に知られていた政治的行動の反対として受け取られているからだ。ドナルド・トランプを犯罪者だと非難すると、あらゆる証拠があっても、支持者たちの反応は、『いや、彼は犯罪者ではない。あなた方がやっていることこそが犯罪だ』と言うのだ」。

トランプは今年3月下旬、刑事告訴を受けることになった最初の大統領経験者となり、大きな話題となった。今回の起訴は、マンハッタン地区検事アルヴィン・ブラッグ(民主党)による、2016年の選挙運動中にポルノ女優に支払われた口止め料にトランプが関与した可能性を中心とする捜査を基にしている。

起訴されることは通常、大統領選挙候補にとって政治的に不利になると考えられるが、世論調査の結果では、トランプに害はなく、むしろ助けになっている可能性さえある。

NPRPBS 「ニューズアワー」、マリスト大学が今週発表した世論調査の結果では、共和党員の63%が、たとえトランプ氏が有罪になったとしても、再び大統領になることを望んでいると答えた。

共和党内の著名な人物や2024年大統領選挙の共和党の候補者になる可能性があると考えられている人物でさえ、トランプ氏を擁護しており、起訴によって最終的にトランプが倒れるという反対派の期待をしぼめさせている。マイク・ペンス元副大統領は起訴を「暴挙(outrage)」と表現し、ティム・スコット連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は「茶番(travesty)」だと評した。ニッキー・ヘイリーは、この捜査が「正義ではなく復讐(more about revenge than it is about justice)」によるものであると示唆した。

しかし、一部の共和党関係者は、トランプが世論調査でリードを保っているのは、予備選挙のライヴァルと目されている、フロリダ州知事ロン・デサンティス氏(共和党)に対するトランプの強引なアプローチのおかげでもあると述べている。

ルイジアナ州を拠点とする世論調査専門家ジョン・クーヴィヨンは、通常、共和党と仕事をしているが、本誌の取材に対して、「トランプが反撃することこそが共和党の支持者たちを惹きつけているのだと分かった」と述べている。

2024年の選挙に立候補している人物はまだ少ないが、トランプは早い段階で候補者を確定させるための措置を講じている。トランプ前大統領の注目の多くは、まだ正式に参戦していないものの、一般にトランプの最大のライヴァルと目されているデサンティスに向けられている。

トランプ氏は、フロリダ州知事を「ロン・デサンティモニアス」などというニックネームで揶揄し、自身のトゥルース・ソーシャル・プラットフォームや広告を利用して、デサンティスを攻撃している。親トランプのスーパーPACは今月初め、デサンティスが指でプリンを食べる様子を描いた広告を展開した。これは、フロリダ州知事がかつて調理器具を使わずにプリンを食べたことがあると報じた『デイリー・ビースト』誌の記事から取ったものだ。

反トランプの共和党説明責任PACの政治ディレクターであるガナー・ラマーは、デサンティスに対するいくつかの攻撃について、「彼は共和党のエスタブリッシュメント側の候補というレッテルを貼られることになり、有権者たちが今現在、本当に関心のない他の共和党と差別化できない」と指摘した。

トランプは、クリス・クリスティ元ニュージャージー州知事やクリス・スヌヌ元ニューハンプシャー州知事など、他の共和党員へのジャブも辞さない姿勢を見せている。トランプは、木曜日にニューハンプシャー州で行われた熱狂的な聴衆を前にしたスピーチで、クリスティは「大きな口を開けている。それが彼の全てだ」と述べ、クリスティへジャブを浴びせた。

トランプはスヌヌについて、「彼は本当にインパクトを与えることができたはずだ。連邦上院議員に立候補することもできたはずだ。おそらく、その家柄のおかげで、簡単に当選できただろう。そして、それはとてつもないことだっただろう。その代わりに、彼は大統領選への出馬というバカげた遊びをしたいということでバカげた選択をする」と、トランプはサヌヌについて語った。

トランプのライヴァルたちは皆、程度の差こそあれ、トランプを攻撃しているが、そのほとんどはトランプほど攻撃的ではなかった。先月、フォックス・ニューズのピアーズ・モーガンとのインタビューで、デサンティスはトランプがつけた、自分を軽蔑するようなニックネームについて、「あなたは私を何と呼んでもいい、ただ、私を勝者と呼んでくれればいい。それがフロリダで私たちができたことだからだ。多くのポイントを積み重ね、この州を本当に次のレヴェルへと導いたのだ」と語った。

また、フロリダ州知事デサンティスは3月にブラッグの起訴を批判した際、「ある種の不倫疑惑について沈黙を守るためにポルノ女優に口止め料を支払うことにどのような効果があるのか分からない」とも発言している。これは、トランプがポルノ女優ストーミー・ダニエルズと関係を持ったという疑惑に関するものだ。

しかし、デサンティスはトランプに対して更に強く反撃するよう圧力を受けており、共和党内にはトランプ前大統領が知事を凌駕していると懸念する声もある。

世論調査専門家のクーヴィヨンは、トランプの猛攻撃が「彼に優位性を与えているのは、彼がこのようにタフな男であり、他の共和党候補は必要なものを持っていないと見せているからだ」と述べた。

共和党のメンバーたちは、最初の予備選挙までまだ十分な時間があると強調しているが、フロリダ州知事デサンティスにあまり感銘を受けていないように見える人もいる.

リンカーン・プロジェクトのウィルソンは、「結局のところ、候補者たちは一定のレヴェルでパフォーマンスを発揮しなければならないが、デサンティスは大舞台に立つ準備ができていない。彼はうまく話せない。彼はうまく話せず、人々とつながりを持てない。そして、ドナルド・トランプに対する私の批判は全て、ドナルド・トランプが見事なショーマンであるという事実から決して目を逸らすことがない中で行われている」と述べた。

デサンティス支持派のスーパーPAC「ネヴァー・バック・ダウンNever 」のコミュニケーション担当ディレクターであるエリン・ペリーヌは次のように述べている。「デサンティス知事は、2024年の大統領候補になるかどうか発表していないが、彼は紛れもなく戦士である。デサンティス知事は戦いに負けたことがないだけでなく、選挙にも負けたことがない。もしトランプが、ファウチ博士に盲従して全国的な封鎖を行い、ゲヴィン・ニューサムと仲良しで、フロリダ州を破壊し、彼の支持する2022年の候補者を敗北させたという彼の記録を守らなければならないなら、トランプが苦労するのは明らかだ」。

これらの動きは、世論調査によって、共和党の有権者のかなりの割合がトランプ氏の再選出馬を望まないという結果も出ているにもかかわらず、トランプがいかに2024年の大統領選挙予備選の候補者たちをうまく支配し続けているかを強調している。

トランプ陣営のスポークスマンであるスティーヴン・チャンは電子メールの中で次のように述べている。「トランプ大統領は、全国規模および各州の世論調査において、予備選挙と一般選挙の支持率において他を圧倒している。だからこそ、連邦議会議員、州議会議員、地域のリーダー、草の根活動家たちは、2024年に勝利できるのはトランプだけだと知っているからこそ、彼を支持しているのだ」。

チャンは続けて「トランプ前大統領が掲げる大胆で前向きな政策課題に迫る候補者は、今回の選挙では他にいない」と述べた。

トランプ陣営に参加した経験を持つブライアン・シーティックは「まだ多くの時間が残されている。私たちはディベートを複数回行うつもりだ」と述べた。

シーティックは次のように述べている。「確かに、デサンティス・ティームは、選挙戦というハード面でも、独立支出というソフト面でも、多大な資源を持っているはずだ。そのため、彼らは自分たちの主張をする機会を得ることになるだろう。しかし、デサンティスを取り巻く初期の話題性は薄れ、いよいよ本格的な選挙戦に突入することになる」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 アメリカのジョー・バイデン大統領の支持率は低いままだ。この言葉を何度繰り返したことだろうか。アメリカの分断を癒す穏やかな大統領として、ドナルド・トランプ前大統領とは違うのだ、新型コロナウイルス対策も経済対策もしっかりやれるんだ、連邦議会は民主党が過半数を握っているし、上院議員出身だから知己も多い、と鳴り物入りでスタートしたバイデン大統領が、トランプ前大統領の支持率とあまり変わらずに、低迷している。民主党側はトランプ前大統領の支持率の低さを嘲笑していたが、それならばバイデン大統領にも同じだけの嘲笑を浴びせねばバランスが取れないだろう。

 現在のアメリカでは、人々の不安感、悲観主義が渦を巻いている。インフレが進行し、生活が苦しいということが最大の原因だ。インフレは貧しい人たちほど影響を受ける。民主党の支持基盤は貧しい人々であることから、そこからそっぽを向かれると民主党は厳しい。また、期待の新型コロナウイルス対策でもバイデンの支持率はそこまで高くはない。人々はもう疲れている(日本もそうだが)。そうなれば、どこの国でもそうだが、「政治が悪い、指導者が悪い」ということになる。そこからバイデンに対する批判が高まるということになる。

 ウクライナ情勢でも、ウクライナに決定的な軍事援助ができない以上、ウクライナ軍や国民、財産の犠牲を重ねながらロシア軍の勝利を引き延ばすことはできるが、ここから逆転させることは難しい。ウクライナ失陥となれば、バイデンに対する支持率はますます下がるだろう。

 今年11月の中間選挙では連邦上下両院で共和党が過半数を奪還する可能性が高い。そうなれば、バイデン政権の運営もますます厳しくなる。目玉政策を推進することも出来なくなる。そもそもバイデン政権の目玉政策派は公共事業に対する大型支出ということで、現在のインフレ率を考えると支持を得ることが難しい。バイデン政権のブレイクスルーは困難である。

(貼り付けはじめ)

『ワシントン・ポスト』紙・ABC共同世論調査は深刻な悲観主義に陥っているアメリカ湖民の姿を発見した。国民は経済とバイデンの指導力に懸念を持っている(Post-ABC poll finds a deeply pessimistic nation, worried about the economy and Biden’s leadership

―11月の中間選挙に向かう中で有権者たちは民主党ではなく共和党をより信頼している状況で、バイデン大統領の支持率はまた新たな低い数字を記録した。

ダン・バルズ、スコット・クレメント、エミリー・ガスキン筆

2022年2月27日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/politics/2022/02/27/biden-post-abc-poll/

『ワシントン・ポスト』紙とABCニューズの共同世論調査によると、ジョー・バイデン大統領は火曜日に一般教書演説を行うが、アメリカ国民は深く悲観しており、バイデン大統領の下で経済が悪化し、重要問題に対する彼の指導力を信頼しておらず、2022年11月の選挙後に共和党が議会を支配することを望んでいるということだ。

バイデンは、プライムタイムに連邦下院議場から国民に語りかける際、複数の問題に対処することになる。ロシア軍がウクライナに侵攻し、ヨーロッパの安定を乱し、西側同盟に挑戦している。アメリカとその同盟諸国がロシアに科した制裁は、アメリカがインフレコストの下でその対処に苦労しているにもかかわらず、原油価格を上昇させる可能性がある。一方、バイデンは、数カ月にわたって停滞している国内政策の残りの部分からの影響に直面している。

今回の世論調査では、バイデンの大統領支持率は過去最低となり、彼が行っている仕事を支持すると答えた人は37%、不支持と答えた人は55%だった。全体では、44%が強く不支持だと答えている。予想通り、共和党支持者の間では圧倒的に不支持(86%)で、無党派層の多数(61%)も否定的な評価をしている。民主党支持者の間では77%がバイデンに好意的な評価をしている。

washingtonpostabcpolls202202501

次の連邦議会では、大統領に対するチェック機能を果たすために共和党の手に過半数を委ねるか、バイデンの優先事項を支持する民主党の手に委ねるか、どちらがいいかという質問に対しては、成人の50%が、共和党が連邦議会の過半数を掌握する方が良いと答え、40%が、民主党過半数を握ることを支持している。

また、今日選挙が行われる場合、連邦下院議員選挙でどのように投票するかという質問に対しては、登録済有権者の49%が共和党の候補者を支持すると答え、42%が民主党の候補者に投票すると答えた。ちなみに、民主党が大きな得票を得て連邦下院の過半数を獲得した2018年の中間選挙の直前には、この同じ質問で民主党が7ポイントの優位を占めた。

ロシアの侵攻は、この選挙の年の初頭における政治的な計算を変えた。しかし、ウクライナでの戦闘はまだ初期段階にあり、ロシアのウラジミール・プーティン大統領の最終目的も完全に知られていないことを考えると、バイデン大統領と民主党に対する有権者の態度にどんな影響があり得るかを評価するには時期尚早であろう。

初期の評価は矛盾している。ロシアに科された制裁措置には大きな、そして超党派の多数が賛成している。しかし、47%がバイデンのこれまでの危機管理方法に不支持と答えている。今のところ、今回の国際危機がバイデンを後押しすることはない。国際危機がアメリカ大統領の支持率を引き上げることはこれまで何度か起きている。今回の調査は、本格的な侵攻が始まり、アメリカなどが制裁で対応する前にほぼ終了した。

アメリカ人はウクライナ危機に対するバイデン大統領の指導力以外にも、大きな問題でバイデンを否定的に評価している。バイデンの経済への対応に関する支持率は、現在37%で、58%が不支持と答えている。これは2021年11月の世論調査よりもわずかに悪いのだが、その差は統計的に有意ではない。

新型コロナウイルス感染拡大への対応については、44%が支持、50%が不支持と答えている。バイデンの新型コロナウイルス感染拡大に関する数字は、昨年の夏、10人中6人が彼のやっている仕事を承認すると答えたときから、着実に下がってきている。それ以来、ワシントン・ポスト紙とABCのどの共同世論調査でも、新型コロナウイルス感染者数が急激に減少し、マスク着用義務やその他の制限の全般的な緩和が国の多くの地域で進行しているにもかかわらず、その支持率はさらに少し低下している。

大統領は、アメリカ人の経済に対する厳しい評価が重荷になっているようだ。現在、75%のアメリカ人が経済を否定的に評価しており、2021年11月の70%から上昇している。これは、ワシントン・ポスト紙とABCの共同世論調査において、2013年以来最悪の評価である。全体では、39%が経済は「悪い」状態にあると答えており、これは2012年以来最も高い数字だが、2021年11月に同じことを答えた38%からほとんど変化していない。

バイデンが大統領に就任して以来、アメリカ人の大多数は経済が悪化したと言っており、54%がそう答えたのに対し、経済は良くなったという人は17%、13ヶ月前に就任する前とほぼ同じという人は27%だった。

バイデンの大統領就任後の1年間で、失業率は4%にまで低下し、経済は約600万人の新規雇用を増やした。しかし、インフレ率は40年ぶりの高水準に達し、ガソリンや食料品の価格はアメリカの家庭の財布を直撃している。

アメリカ人の10人のうち6人は、インフレが自分自身や家族の一員に苦難をもたらしたと答え、10人に3人はその苦難が深刻であると答えた。所得が5万ドル以下の層では、深刻な苦難に見舞われたと答えた人の割合はさらに高く43%になっている。

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アメリカ人の3分の1以上が、バイデンが大統領になる前ほど経済的に恵まれていないと答え、一方、全成人のほぼ半数は、バイデンが大統領になったときと経済的にほぼ同じ状況だと答えている。6人に1人はより裕福になったと答えている。

バイデン大統領に現在のインフレ率の責任があるのかどうかについて、ほぼ均等に分かれている。50%が「大いに」あるいは「かなり」責任があると答え、48%は「あまり」あるいは「まったく」責任がないと答えた。これらの意見は党派的の線に沿って分裂している。

価格高騰の責任は、より高い利益を求める大企業や、サプライチェインを遮断した新型コロナウイルス感染拡大による経済的混乱にあるとする意見が多い。3人に2人以上(全てのの党派で過半数を占める)が、インフレ率の上昇は利益を上げようとする企業のせいだと言い、10人に7人以上が新型コロナウイルス感染拡大による混乱を原因として挙げている。

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バイデンに対する印象の弱点は、彼の個人的な能力に対する疑念の度合いとつながる。彼が強い指導者であるかという質問に対して59%がノー、36%がイエスと答えた。これは彼の全体的な支持率と密接に関連する。無党派層では65%が「強くない」と答えた。

バイデン大統領に関する更なる個人的な質問については、バイデンには大統領を務めるのに必要な精神的な鋭敏さがないと思うという人が54%、あると思うという人が40%となっている。前回、ワシントン・ポスト紙・ABCニューズの共同世論調査でこの質問をしたのは2020年5月だった。この時は、バイデン候補が大統領に必要な精神的鋭敏さを持っていると答えた人が51%だったのに対し、そうでないと答えた人は43%だった。今回はほぼ逆の結果だった。

この質問について、共和党支持者と民主党支持者は全く逆の見解を持っているのは驚くに値しない。次の選挙で重要な役割を果たす無党派層については、大統領の精神的鋭敏さについて59%が否定的な評価をしており、2020年5月から13ポイント上昇している。

一方、2022年11月の選挙への関心は、歴史的に見て大統領選の年に比べて投票率が低くなることを考えると、比較的高くなっている。現在、成人の67%、登録済有権者の75%が「確実に投票する」と回答した。これは、中間選挙の投票率が過去100年で最高に急増した2018年の年明けに比べればわずかに高い数字となっている。この早い段階で、共和党議員を支持する有権者の82%が「確実に投票する」と答えているのに対し、民主党を支持する有権者の74%が「確実に投票する」と答えている。

今回のワシントン・ポストとABCの共同世論調査は、共和党員または共和党寄りの無党派層であると認識している人の割合が2回連続で増加していることを示している。最新の世論調査では、46%の成人が共和党員または共和党寄りであり、昨年6月の41%、4月の40%から上昇した。民主党支持者の割合は、昨年4月の48%から今月は43%に減少している。これは、ギャラップ社の世論調査において、2021年初頭から年末にかけて共和党へのシフトが顕著であったことと一致する。

中間選挙が近づくにつれ、どの政党が最も信頼されるか、国民の評価は分かれている。経済問題では共和党が大きくリードしており、54%の成人が共和党を信頼すると答え、35%が民主党を信頼すると答えた。この問題については1990年に共和党が記録した19ポイントのリードに匹敵する。一方、新型コロナウイルス感染対策については、43%対37%と、民主党が僅差で優勢である。

アメリカ国民は、教育に関して誰を信頼するかで大きく分かれている。この問題は、マスクの義務付けや遠隔学習から、親の関与やカリキュラムの問題、特にアメリカの人種史の教育まで、この1年でより争いの激しいものとなっている。

歴史的には、教育問題では民主党が優位に立ってきたが、共和党は2022年11月の中間選挙に向けてこの問題を最重要課題とし、民主党を守勢に立たせようとするシグナルを発している。今日の世論調査では、これらの問題への対処について、共和党を信頼する有権者が41%に対し、民主党をより信頼すると答えた有権者は44%だった。2006年には、56%が民主党をより信頼していた。1990年から2006年にかけて、民主党は教育問題への対応で平均して13ポイントの優位を保っていた。

『ワシントン・ポスト』紙・ABC共同世論調査は2022年2月20日から24日にかけてランダム・サンプリングで選ばれた1011名の成人を対象に実施された。調査は携帯電話と地上電話を使って行われた。全ての結果について誤差は4ポイントだ。サンプルのうち904名は登録済の有権者たちだ。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2022年3月1日にジョー・バイデン大統領が一般教書演説を行った。1年間の成果を誇る演説であったが、全体的に総花的で空元気の演説だった。議場にいる連邦議員たち、特に民主党所属の議員たちは何でもかんでも立ち上がって、やけのやんぱちで拍手をするものだから、バイデンとの呼吸が合わずに、バイデンはとてもやりにくそうだった。それで同じ行を二度読んだり、「ウクライナ人」と言うべきところを「イラン人」と言い間違ったりしたのだろう。

 今回は、バイデンの一般教書演説で語られなかった5つの重要な事柄について書かれている記事をご紹介する。それら5つの事柄は「(1)学生ローン債務問題、(2)アフガニスタンからの撤退(3)ドナルド・トランプ前大統領、(4)2021年1月6日の連邦議事堂襲撃事件、(5)中間選挙」であった。学生ローン債務問題は若者たちからの投票を得るための切り札のように思われるが、民主党内部でもいわゆる「借金の棒引き(徳政令)」には反対の声が大きい。若者全員が大学に行く訳ではなく、一部の若者のために多額の予算を使って借金を棒引きにするのは不公平だという声だ。従って、目玉政策とすることはできない。また、トランプ前大統領について語ることはどうしても批判ばかりとなってしまい、トランプ支持の有権者たちからの更なる反発を招くことは必至なので、それではアメリカ国内の分断を癒すというバイデン政権のメインテーマに反することになる。そして、中間選挙については今のところ厳しい情勢が続いており、語るべき言葉もないということだろう。

 国内の不満から人々の目を逸らすために、外国の問題に目を向けさせるというのはどんな時代のどんな政権にとっても常套手段だ。今回のロシアのウクライナ侵攻はバイデン政権にとっては外に目を向けさせる機会となるが、欧米諸国によるロシア制裁によって、アメリカ国民の生活に大きな影響が出るというジレンマを抱えている。先日もご紹介したが、アメリカ国民の多くは対ロシア制裁を支持しているが、「自分たちの生活に影響が出る」搭乗券が付くとその数字が下がってしまう。バイデン政権にとっては難しいかじ取りが続く。

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バイデンが一般教書演説の中で話さなかった5つの事柄(Five things Biden didn't talk about in State of the Union

アレックス・ガンギターノ筆

2022年3月2日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/596461-five-things-biden-didnt-talk-about-in-state-of-the-union

ジョー・バイデン大統領は、火曜日に行われた自身初の一般教書演説で、いくつかの主要なトピックに言及せず、5つの重要な問題に言及しなかった。

学生ローンの負債、アフガニスタンからのアメリカ軍撤退、トランプ前大統領、2021年1月6日の暴動、そして来る中間選挙の5つが、1時間余りの演説の中で省かれた。

バイデンが演説に含まなかった5つの問題について見ていく。

(1)学生ローン(Student loans

バイデン大統領は学生ローン債務の免除について全く言及しなかった。学生ローン債務問題については、民主党の連邦議員たちがこれまでバイデン大統領に対して大統領在任中に取り組むように求めている。

連邦上院多数党(民主党)院内総務のチャールズ・シューマー(民主党)のような民主党指導者の間で広範な学生ローン免除が支持を得ているため、議員らは大統領にこの問題について透明性も提供するよう求めている。

バイデンは2020年の大統領選挙で、1人当たり少なくとも1万ドルの連邦学生ローンを免除することを選挙公約に掲げ、進歩主義派は借り手1人当たり5万ドルに引き上げるよう求めている。

2021年4月、バイデン大統領は学生ローン負債を帳消しにする権限を判断するため、教育省にメモを要求した。それ以来、政権はメモが完成しているかどうかを公には発表していない。

ホワイトハウスは最近この話題について尋ねられ、バイデンが2022年1月に5月初めまで延長した連邦学生ローンの支払い凍結を強調している。この凍結は、2020年3月に当時のトランプ大統領の下で制定されたモラトリアムによって始まり、これまで何度か延長されてきた。

(2)アフガニスタン(Afghanistan

バイデン大統領は一般教書演説の中で、政権1年目の2021年8月に行った、混乱したアフガニスタンからの撤退に言及しなかったことで、すぐに反発を受けた。

グリーンベレー出身者として初めて連邦下院議員に当選し、アフガニスタンに何度も遠征したマイク・ウォルツ下院議員(フロリダ州選出、共和党)は、撤退に言及しなかったことを恥ずべきことと指摘した。

ボバート議員は「何という不名誉な体裁をつくろう姿だろう。アメリカ国内にいる13人の戦死者(ゴールドスター勲章受章者)の母親たちと何千人ものアフガニスタンの協力者たちに答えるべきだ」と述べ、2021年8月にカブール空港で起きた自爆テロで13人のアメリカ軍兵士が犠牲になったことに言及した。

一般教書演説中、ローレン・ボバート連邦下院議員(コロラド州選出、共和党)はバイデン大統領に対して叫び声をあげ、アメリカ軍を棺桶に入れたようなものだと非難した。この異常で衝撃的な礼儀作法に対する違反は、バイデン大統領が、イラクとアフガニスタンに駐留する多くの米軍が大規模な燃焼炉からの化学物質を含む有毒な煙にさらされて癌を発症したこと、そして有毒な燃焼炉の影響を受けたかもしれない彼の亡き息子について話していたときに起こった。

バイデンは「国旗で覆われた棺桶に被害者たちを入れてしまうような癌だ。私はこのことについて痛いほどよく知っている」と語った。

バイデン大統領は、アフガニスタンからの撤退の方法について共和党と民主党から批判を受けながらも、その決断について自己弁護してきた。先月、バイデンは、軍当局者が撤退についてバイデン政権関係者を批判したとされる陸軍の調査報告書の記述と調査結果を否定したと述べた。

(3)トランプ(Trump

バイデンは前任者であるトランプ前大統領の名前を演説の中で言及しなかった。

バイデン大統領はこれまでの複数の演説でトランプの名前に言及することは非常に稀で、前任者の名前を示唆する傾向があった。火曜日の一般教書演説では、数カ所でトランプを連想させる発言をした。

バイデンは「アメリカ人の上位1パーセントに恩恵を与えた前政権で成立した2兆ドルの減税とは異なり、アメリカン・レスキュー・プランは働く人々を助け、誰も置き去りにしない」と述べ、2017年に成立したトランプ前大統領による減税案を批判した。

その後、2021年11月に可決成立した超党派によるインフラ整備法について強調する際、「インフラ週間の話はもうたくさんだ(“we’re done talking about infrastructure weeks)」と述べた。「インフラ週間」とは、トランプが1兆ドル規模のインフラ案のイベントを1週間かけて開催したが全く盛り上がらなかったことを受けて、ワシントンでジョークとして

バイデン大統領の一般教書演説の主眼は団結であり、麻薬の蔓延への対処、子どもの精神衛生医療への資源提供、退役軍人の支援、癌の撲滅など、「団結の課題(unity agenda)」すなわち超党派での議会通過を促す4項目を提案した。

(4)2021年1月6日の連邦議事堂進入事件(Jan. 6

バイデン大統領の一般教書演説は、約1年前、2020年の大統領選挙の結果認定に抗議してトランプ支持の群衆が押し寄せた議場で行われた。しかし、バイデンは演説の中で2021年1月6日の出来事には触れなかった。

事件発生1年の節目に、バイデン大統領は連邦議事堂内のスタチュアリー・ホール(国民彫像ホール)で演説を行い、「嘘の網(web of lies)」を広げたトランプ前大統領を手厳しく非難した。彼はまた、演説の中で、トランプに言及することをしないことで、トランプを際立たせるという手法を取った。

暴動の後、数カ月間設置されていた連邦議事堂の周囲のフェンスは、火曜日の演説に先立って元のレヴェルに戻された。また、最大700名の州兵が、問題が発生した場合に地元警察を支援するために待機していた。

フェンスは、最近カナダで見られたようなトラック運転手に対する新型コロナウイルスワクチン義務化に対する抗議に備えたものでもあった。しかし、連邦議会での一般教書演説の前後にトラック運転手たちが大挙して車列を連ねてワシントンDCにやって来るという計画は頓挫したようだ。

(5)中間選挙(Midterms

2022年の中間選挙まで残り数カ月に迫る中、バイデン大統領は演説の中で、来るべき選挙について語らなかった。

民主党は今年秋の中間選挙で連邦議会での過半数を維持することに対して、大きな壁に直面しており、各種世論調査の結果では、バイデンの支持率はほとんどが40%台前半という非常に厳しい状況にある。また、バイデン大統領の所属する民主党は中間選挙で敗北する可能性が高まっている。

バイデン大統領は火曜日、インフレーション対策とアメリカ人のために物価を下げるための政権の努力について語った。インフレーション率の上昇は、バイデンの支持率に打撃を与え、今年の連邦上下両院の過半数を維持したい民主党にとって難題となっている。

バイデン大統領はまた、ロシアのウクライナへの侵攻と、アメリカと同盟諸国がモスクワを非難し、制裁措置を講じるために一致して制裁措置を取っていることについても詳しく語った。アメリカの有権者たちは、ロシアの侵攻に対抗するバイデンの努力を精査する可能性が高いため、ロシアによるウクライナ侵攻は中間選挙の結果に影響を与える可能性がある。

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一般教書演説でバイデンは4部構成で団結について提案(Biden proposes four-part unity agenda during State of the Union

ブレット・サミュエルズ筆

2022年3月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/596451-biden-proposes-four-part-unity-agenda-during-state-of-the-union

ジョー・バイデン大統領は火曜日、連邦議会に超党派で成立を促す4項目の「団結アジェンダ(課題)」について提案した。その4つの項目は、麻薬の蔓延への対処、子どもの精神衛生医療への資源提供、退役軍人への支援、がんの撲滅だ。

「国家のための団結アジェンダ、これらを私たちは達成できるのだ」 とバイデンは語った。

バイデンが主張した課題一つ一つは、議場で大きな拍手を浴びた。これらの提案は、ワシントンの分裂を緩和するという公約を掲げて選挙戦を戦ったものの、共和党の激しい抵抗に遭い、時には個人攻撃を受けてきたバイデンにとって、重要な意味を持つものとなった。

バイデン大統領は連邦議会に対し、麻薬中毒に苦しむ人々の予防と治療のための予算を増やすように要求した。

また、バイデン大統領は、子どもの精神衛生を改善する取り組みの一環として、プライヴァシー保護を強化し、子どもへのターゲット広告を違法化するよう議員たちに促した。

個人的なアピールの中で、バイデン大統領は連邦議会に対して、イラクとアフガニスタンに従軍中に有毒な化学物質に曝された退役軍人たちに対する医療を確実に提供するための法律の可決を求めた。バイデン大統領は息子ボウの死因となった脳腫瘍の原因として焼却炉からの化学物質があったのだろうと考えていると発言した。

バイデンはまた、癌、アルツハイマー病、糖尿病などの治療法を模索する機関である医療高等研究計画局に資金を提供し、「私たちが知っている癌を終わらせる」ことを支援するよう求めた。

バイデンの「団結アジェンダ」は、超党派性が定期的にしか発揮されない夜の間に行われた。バイデンがウクライナの駐米大使を称賛した際、議員たちは一斉に立ち上がって拍手を送り、バイデンが警察への予算提供を支持すると述べたときには、両党の議員が喝采を送った。

しかし、一般教書演説が実施された夜は緊張感にも満ちていた。週末に開催された白人至上ナショナリズムの集会で演説したことで話題になっている保守派の熱血漢マージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)は、バイデンが移民について話した際に「壁を作れ」と叫んだ。

ローレン・ボバート連邦下院議員(コロラド州選出、共和党)は、バイデン大統領が自身の息子の逝去について述べた際に、アフガニスタンにおけるアメリカ軍の将兵の死亡について叫び声を上げた。

複数の共和党所属の連邦議員たちは、議場への入室に際して新型コロナウイルスの検査が義務付けられたことを理由にして演説への出席自体を拒絶した。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2022年3月1日(日本時間では3月2日)にアメリカでは年に1回の「一般教書演説(State of the Union address)」が実施される。この日はアメリカ連邦議事堂に上下両院議員、行政府の閣僚、連邦最高裁判所の判事たち、アメリカ5軍の最高幹部たちなどが集まり、彼らの前で大統領が演説を行う。アメリカ合衆国(the Union)の国内と国外の状況(State)について、演説を行う。自分と政権の達成した政策成果を強調する。

 今回のジョー・バイデン大統領が行う一般教書演説には、国内においては、新型コロナウイルス感染拡大防止策、インフレーション対策、経済対策、雇用対策、インフラ整備策などが出てくるだろうし、国外に関してはロシアによるウクライナ侵攻が取り上げられるだろう。私が注目しているのは、ロシアや中国に対して「枢軸(axis)」という言葉を使うかどうかだ。これを使えばアメリカは露中を屈服させるまで戦うということを示唆することになるからだ。

 今回のバイデン大統領の一般教書演説について、ホワイトハウスのサキ報道官は「楽観主義」が入るだろうということを述べている。現在の閉塞状況での楽観主義とはどのようなものになるのか気になるところだ。ただの美辞麗句、空々しい言葉の羅列で「希望」を語られてもそれはただの能天気な態度である。アメリカ国民に、そして世界中の人々に本当の希望を持たせるような演説になるのか、残念だが期待が持てない。

 

(貼り付けはじめ)

一般教書演説でバイデン大統領はウクライナについて「楽観的に」を語るだろう(Biden will speak on Ukraine, 'optimism' in State of the Union

ジョセフ・チョイ筆

2022年2月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/596029-biden-will-speak-on-ukrainian-invasion-in-state-of-the-union-but-will?utm_source=thehill&utm_medium=widgets&utm_campaign=es_recommended_content

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、ジョー・バイデン大統領は、火曜日(2022年3月1日)の一般教書演説(State of the Union address)でロシアのウクライナ侵攻について話すが、楽観的なメッセージも送るだろう、と述べた。

ABCの番組「ディス・ウィーク」の司会者ジョージ・ステファノポロスは日曜日、バイデン大統領の一般教書演説の内容が先週のウクライナ侵攻でどう変更されたのかと、先に質問した。

サキ報道官は次のように述べた。「一般教書演説で、アメリカ国民と世界中で見ている誰もが、大統領が過去数カ月にわたって主導してきた、独裁政治とプーティン大統領の外国侵略の試みと戦うための世界的連合(global coalition)を構築する努力について話すことに関しては疑問の余地はないだろう」とプサキ氏は述べた。

サキ報道官は更に「しかし、人々はバイデン大統領から、彼の楽観主義(optimism)と、アメリカ国民の回復力(resilience)と強さに対する彼の信念について聞くことになる」と述べた。

サキ報道官は、一般教書演説について特定の瞬間にメッセージを伝えるものだと指摘した。オバマ前大統領は大不況の最中、最初の一般教書演説を行い、ブッシュ前大統領は911テロの数カ月後に最初の演説を行ったことを指摘した。

バイデン大統領はウクライナの危機を認めつつ、「私たちが期待すること」について話すだろうということだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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