古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:天然ガス

 古村治彦です。

olafscholzxijinpoing2022501

 2022年11月初旬、ドイツのオラフ・ショルツ首相が中国を訪問した。2022年2月にウクライナ戦争が勃発し、ヨーロッパ諸国は対ロ経済制裁を行っているが、ロシアを屈服させるまでには至らず、かえってロシアからの天然ガスが入ってこないことから、エネルギー不足に陥り、アメリカからの割高の天然ガス購入を強いられている。通常であれば、夏季に割安の天然ガスを備蓄し、冬に需要増に備えているが、それができない状況で、厳冬となればヨーロッパ諸国で凍死者が出ることも予想されている。

 ドイツはウクライナ戦争勃発後にロシア制裁に対して消極的な姿勢を見せていたが、その後は他国に追随する形になっている。また、ロシアからの天然ガス輸入に関しては、のルドストリームの破壊によって物理的に厳しい状況になっている。

 そうした中で、ドイツのショルツ首相が中国を訪問した。この訪中の意図はどこにあるのかということが取り沙汰された。中国はロシアを支援する形になっている。そのような中国を重視する外交は間違ったメッセージを与えるという批判が出てくるのは当然のことだ。ドイツは中国に経済的に大きく依存していない。だから、中国に追随する必要はないということになる。

 ショルツ独首相訪中は中国との経済関係強化ということもあっただろうが、私は中国からの天然ガス輸入について議論、依頼を行うためであっただろうと推測している。以下に関連する記事を掲載する。

(貼り付けはじめ)

ロシア産天然ガス、中国を経由して欧州に流れる―独メディア

Record China    2022920() 610

https://www.recordchina.co.jp/b901413-s25-c100-d0193.html

17日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、ロシアの天然ガスが中国を経由して欧州に輸出されていると報じた。

2022917日、独国際放送局ドイチェ・ヴェレの中国語版サイトは、ロシアの天然ガスが中国を経由して欧州に輸出されていると報じた。

記事は、今年に入って中国のエネルギー企業が国際市場ですでに400万トンの液化天然ガス(LNG)を販売しており、欧州が今年上半期に消費した天然ガスの7%前後に相当すると紹介。中国の九豊集団(JOVOグループ)が「すでに欧州向けに総額1億ドル(約143億円)のLNGを売った」とコメントし、中国石油化工も約315万トンのLNGを販売したとしている。

そして、米ライス大学のエネルギー・専門家であるアンナ・ミクルスカ氏が「欧州が中国から購入するLNGに、ロシアからやってきたものが混ざっていることは間違いない。私は、何らかの規定がロシア産エネルギーを規制できると信じていない。中国からLNGを買わなければ、欧州では今冬に深刻な天然ガス不足に見舞われる可能性がある。現状、ロシアではなく中国が利益を得ている状況だ」と語ったことを紹介した。

また、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって以降、中国がロシアからのエネルギー輸入を大きく増やしており、輸入額が1年前の200億ドル(約29000億円)から350億ドル(約49000億円)にまで増えていると指摘。ロシアもエネルギー計画で対中輸出増加を掲げており、「ロシアも、欧州連合(EU)による依存が弱まる中で供給先の多様化を実現する必要があることをはっきり認識している」とした。

一方で、専門家からは「欧州は中国のサプライヤーによってエネルギー不足分を補填(ほてん)できると考えてはならない。ロシアや他の国に比べて、中国が欧州に輸出できる天然ガスの総量には限りがあるからだ。しかも、中国の経済活動が回復すれば、欧州は一層高い価格で中国から天然ガスを購入せざるを得なくなる」との警告も出ていると紹介。ミクルスカ氏が「中国とロシアの協力に伴って、両国が一緒になって世界のエネルギー市場を操縦する可能性がある。欧州は供給先の問題をなんとかしなければ根本的な問題解決にならないが、それは決して簡単ではなく、今冬には解決できないだろう」と述べたことを伝えた。(翻訳・編集/川尻)

(貼り付け終わり)

 ロシア印のついた天然ガスは買えないが、中国印になれば買えるということになる。これくらいの「産地偽装」は色々なもので行われているだろう。ドイツとしては中国から天然ガスを輸入したいところだろう。それでは対ロ経済制裁の効果が削がれてしまうことになるが、背に腹は代えられないということもあり、かつ、経済制裁は効果を発揮していない。アメリカからの高い天然ガスを買うということは馬鹿げたことだ。ドイツはアメリカに対して面従腹背で臨んでおり、それに対して、他のヨーロッパ諸国、特に東欧、中欧諸国が苛立っているという構図のようだ。

(貼り付けはじめ)

ドイツは中国を見捨てることができる(Germany Can Afford to Spurn China

-ドイツが中国と提携する経済的根拠は意外に乏しい。

ルーク・パティ

2022年11月4日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/04/germany-can-afford-to-spurn-china/

ドイツのオラフ・ショルツ首相が今週北京を訪問したことで、西側諸国の対中戦略競争においてドイツが信頼できるパートナーかどうかをめぐり激しい議論が巻き起こっている。

大西洋の両岸で、ドイツの輸出主導型経済(export-driven economy)が中国市場に依存しすぎていて、不公正な貿易慣行、産業スパイ、人権侵害について北京と強く対立できないとの見方が強い。ドイツ連邦議会のタカ派議員でさえ、この依存体質が、アメリカとその同盟諸国が中国の台湾侵攻の可能性に対抗して展開する制裁を、ベルリンが「無力」にしていると見ている。

ドイツ経済にとって中国が重要であることに反論はない。近年、中国はドイツにとって最大の貿易相手国となっている。しかし、ドイツは中国に依存している訳ではない。貿易にせよ、対外投資にせよ、ドイツが決定的に依存している市場は、ヨーロッパ以外にない。国家的な経済的利益と言うよりも、ドイツの一部の多国籍企業や産業界の特別な利益が、中国依存の物語を推進し、ベルリンの戦略的行動を制限している。

まずは貿易から始めよう。2021年、ドイツの貿易相手国ランキングでは、中国が財の輸出入全体の9.5%を占めトップとなった。しかし、どのパートナーが1位であるかに注目すると、ドイツの貿易関係の全体像が歪んで見えてしまう。

ドイツの世界との貿易関係を特徴づけているのは、依存関係(dependency)ではなく、多様性(diversity)である。中国を筆頭に、アメリカ、フランス、ポーランド、その他のヨーロッパ諸国は、それぞれドイツの財の貿易総額の5%から8%を占めている。最近、世界の貿易総額のおよそ5分の1を占めるサーヴィス貿易を含めると、中国とドイツの西側貿易相手国との差はさらに縮まる。

中国への貿易依存度が20%から30%である韓国、日本、オーストラリアとは異なり、ドイツには地政学的な駆け引きができる余地がはるかに大きい。

中国がドイツの貿易成長を強力に推進している訳でもない。ドイツの経済学者ユルゲン・マテスの研究は、1991年から2018年にかけて、中国がドイツの輸出増加の10分の1程度しか占めていないことを明らかにしている。これは注目すべき貢献ではあるが、中国の需要がドイツの輸出主導型経済のエンジンであるという図式にはほとんど当てはまらない。

ドイツが依存する単一市場といえば、ヨーロッパ連合(EU)共通市場である。そこでは、世界をリードするドイツの自動車産業や機械工学産業が深く結びついている。例えば、ドイツはポーランド、ハンガリー、チェコ、スロバキアといった中央ヨーロッパのヴィシェラード(Visegrád)諸国との貿易額が、中国との貿易額より40%も多い。この4カ国は中国の経済規模の7%に相当するにもかかわらずドイツとの貿易が大きい。

こうした欧州域内の貿易連関は、中国に過度に依存しているわけではない。ミュンヘンに本拠を置くイフォー経済研究所によれば、中国からの輸入品を第三国で加工してからドイツで最終的に輸出するという複雑なグローバル・サプライチェインにおいて、中国は対外付加価値の7%を占めているのに対し、EUは44%、アメリカは10%を占めている。

従来の常識的な考え方とは異なり、中国が全てを作っている訳ではない。ヨーロッパでは、世界の他の地域と同様に、経済の地域化(economic regionalization)が依然としてグローバル化(globalization)に勝っている。

中国との貿易が急激に断絶した場合の経済的損失は、確かにドイツの実質所得で480億ユーロと推定され、大きなダメージとなるだろう。しかし、この起こりうる結果を、主に中国からもたらされる産業スパイによって年間550億ユーロを失っているドイツの現実と比較してみるべきだ。

ドイツの対中投資関係について見てみる。これまでの10年間、徐々に減少していたドイツの対中投資は2022年上半期に過去最高を記録するまでに急増した。しかし、今年これまでにドイツ企業が中国市場に投資した100億ユーロは、まだドイツの対外投資活動全体のおよそ10%にしか過ぎない。ドイツ企業の対中投資は、新しい水準に達しても、ユーロ圏の19カ国に投資した額の5分の1以下である。

ヨーロッパ全体の傾向を牽引するように、ドイツの対中投資額も少数の大規模多国籍企業に高度に集中するようになっている。ドイツの自動車メーカーであるフォルクスワーゲン、メルセデス・ベンツ、BMWがその代表である。機械工学、電気機器、化学産業とは異なり、ドイツの自動車産業は中国への外資を大幅に拡大し、2019年の対外投資総額の29%を占めた。

ここ数年、ドイツの自動車部門は通常、ドイツの対中投資の70%以上、欧州の対中投資の3分の1以上を占めている。現在、中国の電気自動車市場で台頭する国内勢に対抗するため、長年の合弁事業でより大きな株式を取得し、新たな技術提携を確立するために数十億ドルを投じている。

しかし、他のドイツ企業も、より高い依存関係を築きたいと考えているようだ。国際市場からの自立を目指すと表明した北京の目標や、将来起こりうる中国の台湾侵攻から生じる地政学的リスクにもめげず、総合科学メーカーであるBASFは新しい石油化学工場への100億ドルの投資の第一段階を開始し、シーメンスは中国でのデジタル産業の大幅拡大を計画している。

アメリカ、日本、韓国の多くの企業と同様に、ドイツビジネス界のリーダーたちは引き続き中国での収益と利益の将来の成長を見込んでおり、中国市場での成功が自社のグローバル競争力を前進させると見ている。全ドイツ企業の中国拠点の子会社の売上高は、2016年の海外売上高の9%から2019年には8.4%に減少したが、ドイツ株式市場のドイツの優良企業上位40社が生み出す企業収益は、2021年には平均16%へと上昇に転じている。

ドイツを代表する企業の一部が、高い企業依存度がこれ以上拡大しないように制限するドイツ政府内の取り組みに歯止めをかけるために、強くロビー活動を展開しているのは当然のことだ。ドイツの外務省と経済省の対立が深まるなか、ショルツ首相とアドバイザーたちは、対外投資審査などの措置をベルリンの来るべき中国戦略の一部としないことを望むドイツビジネス界リーダーたちの側に立っているようだ。

ショルツとアドバイザーたちは、ドイツの多国籍企業が中国で成長しても、平均的なドイツ人には必ずしも多くの利益をもたらさないことを念頭に置かなければならない。中国への輸出はドイツ国内の約100万人の雇用を下支えしているが、ドイツの労働人口は約4600万人いる。在中国ドイツ商工会議所の最近の調査によると、ドイツ経済の中核である中小製造業のいわゆるミッテルシュタント(Mittelstand)は、大企業に比べて中国市場での見通しをあまり楽観視していない。同時に、北京は経済的なつながりを利用して、ドイツやヨーロッパの外交・安全保障政策の意思決定を強要し、コントロールしようとする姿勢を示している。

ショルツ独首相は中国との「一方的な依存関係を解消したい」と述べているが、ドイツ企業経営幹部12人を北京に招くなど、彼の行動は、存在するリスクをより強めるものだ。ドイツの大手多国籍企業の株主や機関投資家たちも、中国に大規模投資することによる地政学的リスクを評価に反映させる必要性が高まっているのである。

中国はドイツが経済的に繁栄するためのチケットではない。最終的には減速し、ますますリスクが高まる中国経済を通じて競争力を高めることに固執すると、貧弱なデジタルインフラから労働力不足まで、ドイツの技術革新と生産性の課題を克服するために必要な注意が損なわれてしまう。ドイツはインドや東南アジアへの貿易・投資を奨励することはできるが、政治や産業の意思決定者たちは、最終的にはドイツやヨーロッパの国内競争力を念頭に置かなければならない。

中国とドイツの間の広範な貿易・投資の相互依存関係は、まだどちらかが圧倒的に有利ということはない。しかし、ドイツは、わずかではあるが、中国との間に深く埋め込まれた供給面での脆弱性を解消するために、迅速に行動しなければならない。例えば、EUは加工用希土類元素の98%を中国から調達しており、中国の産業は太陽光発電や風力発電に不可欠な部品の多くを生産している。ドイツはまた、一部の化学製品や電気・輸送機器の中国からの輸入を多様化する必要がある。

世界第4位の経済大国であるドイツは決して無力ではない。戦略的緊急性をもって行動し、日本、オーストラリア、アメリカなど、重要な分野で代替サプライチェインの構築という大きな課題に積極的に取り組んでいる国々と緊密に連携し、EUをリードすることができるだろう。しかし、当面の間、ベルリンは代わりに親密な同盟諸国を動揺させることを選択した。

ショルツは、北京とのコミュニケイションラインをオープンしておくことは正しい。ドイツが大規模なデカップリング戦略(decoupling strategy)を選択する必要はない。しかし、ドイツ首相がアジアからベルリンに戻る際には、ドイツの対中アプローチにおいて、特別な利益と国益を切り離すことから始める必要がある。

※ルーク・パティ:デンマーク国際問題研究所上級研究員。著書に『中国は如何に負けるか:中国の国際規模の野心に対する反撃(How China Loses: The Pushback Against Chinese Global Ambitions)』がある。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 日本でも様々な物品で値上げラッシュが続いている。世界規模で食料価格とエネルギー価格の高騰が続いている。今年の夏の電気代を見て驚いた人も多いだろう。ヨーロッパ諸国とアメリカは、ウクライナ戦争勃発後に、対ロシア制裁を行い、ロシアを早期に屈服させる意図があったがこれに失敗し、戦争は続き、世界各国で深刻な物価高が起きている。ヨーロッパ諸国はロシアからの天然ガス輸入に依存していたところに、それが途絶してしまったために、厳しい状況になっている。そして、よりエネルギーを必要とする冬はより厳しい状況になると予想されている。
naturalgaspriceschartgraph511
天然ガスの価格の推移

 以下の記事によると、ヨーロッパ諸国は通常よりも10倍も高い価格で天然ガスを購入している。そして、通常であれば夏の時期に天然ガス貯蔵施設を満杯にして冬に備えることになっているのが、それができない状況になっている。そこで、ロシア以外の国々からの輸入を企図しているが、それもうまくいっていないということだ。

 ヨーロッパ諸国では、ネクタイをしない、エアコンをかけている店のドアを開けっぱなしにしないといった、涙ぐましい努力がなされている。今年の冬はエアコンに頼らないということで、薪を貯蔵している人々も出ているようだ。

 こうした厳しい状況の中で、「ウクライナ戦争を早く止めるべきだ」「アメリカが停戦に持っていくか、天然ガスの供給を行うかをすべきだ」という声がヨーロッパ諸国で大きくなっている。ウクライナ戦争がこのまま継続すれば、エネルギー価格高騰のままで冬を迎えることになれば、ヨーロッパ諸国に住む人々にとっては自分たちの生活や生命が脅かされる事態となる。そうなればウクライナのことに構っていられるか、という考えが出てくるのは自然なことだ。

 ヨーロッパ諸国が天然ガスの供給を世界規模に拡大すれば、世界のエネルギー価格は高騰したままだ。天然資源を輸入に依存している日本にとっても他人事ではない。ヨーロッパ諸国と天然ガスをめぐって競争しなければならない状況になる。中国やインドといった国々はヨーロッパに向かうはずだったロシアからの天然ガスを手に入れることが出来るので、この競争に参加しないだろうからこれはまだ救いとなる。しかし、現状が続けば、日本もまた厳しい冬を迎えねばならない。

 ウクライナ戦争は一刻も早く停戦すべきだ。そして、対ロシア制裁を解除して、ロシアからの天然資源(肥料の原材料も含む)が世界規模で流通するようにすべきだ。これは善悪の問題ではない。貧困に苦しむ世界中の多くの人々の生存に関わる問題だ。

(貼り付けはじめ)

ヨーロッパのエネルギー危機がどれほど深刻かをあなたは知らない(You Have No Idea How Bad Europe’s Energy Crisis Is

-天然ガスの価格は通常よりも10倍になっており、産業界は停滞し、消費者たちは怒り、政治家たちはパニックに陥っている。

クリスティーナ・ルー筆

2022年8月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/08/26/europe-energy-crisis-natural-gas-economy-winter/

世界のほとんどの国がエネルギー価格の上昇に苦しんでいるとすれば、ヨーロッパは、冬の到来とともに消費者たちに大きな経済的苦痛を与えないために、緊急の救済策や対策を講じなければならないほど、窮地に追い込まれている。

最大の問題は天然ガス価格の高騰で、ヨーロッパ全域に大打撃を与え、インフレを加速させ、産業を停滞させ、一般市民が電気料金の請求書を手にしたときに戦慄するような事態を引き起こしている。ヨーロッパの天然ガス価格は現在、過去10年間の平均の約10倍で、アメリカの約10倍の価格になっている。コンサルタント会社「ラピダン・エネルギー・グループ」のグローバル・ガス市場の専門家であるアレックス・マントンは、ヨーロッパの天然ガスは非常に高価で、原油1バレルに500ドル払っているようなものだと言う。しかも、これはまだましな時期の話だ。

マントンは「事態は危機的状況にある。ガス需要がピークを迎える冬まで、あと数カ月しかない。冬の間、需要に見合うだけのガスが確保できるかどうか、本当に不安だ」と述べた。

天然ガス問題は、ロシアのウクライナ戦争によるところが大きい。ウクライナ戦争によって、ロシア産ガスのヨーロッパへの輸出が途絶え、他の地域でも価格が上がっている。しかし、戦争だけが原因ではない。気候変動によって河川が枯渇し、ヨーロッパ各地の原子力発電所の多くが停止している。また、ヨーロッパの政策立案者たちの間では、システムにショックアブソーバーを組み込む方法について、10年以上にわたって混乱が続いている。ドイツとフランスの電力価格は今週再び記録的な水準に達し、大陸の電力危機がますます深刻化していることを反映している。各国が経済的な圧力に屈する中、絶望的な時間が絶望的な手段を求めている。イギリスは家庭用エネルギーコストの上限を80%引き上げると発表し、ドイツは約500ユーロの値上げを行った。

ドイツのロベルト・ハーベック経済大臣は、「ドイツのエネルギー市場は崩壊し、それに伴ってヨーロッパのエネルギー市場の大部分も崩壊してしまうだろう」と述べた。

通常、ヨーロッパでは、夏の間にガス貯蔵量を補充し、使用量の多い冬に賄うことができる。しかし、寒さに向かう時期を控え、ロシアが天然ガスの流れを制限している今、ヨーロッパは時間との戦いに突入している。専門家たちによれば、これまでのところ、ヨーロッパ諸国はほぼ計画通りに進んでいるが、だからといって冬になったら困るというわけではないということだ。

マントンは次のように述べている。「冬になると、ヨーロッパは通常、「貯蔵しているガスを大量に使い、同時に他の供給源から大量のガスを輸入する。その両方が必要だ。しかし、今年の冬を考えると、ロシアのガスがまったく供給されなくなるという現実的な脅威がある」。平時には、ロシアは、ヨーロッパの天然ガス輸入の約40パーセントを供給している。

冬にロシアの天然ガス供給がなければ、ヨーロッパ諸国はアメリカなどからの液化天然ガス(LNG)の輸入に更に頼らざるを得なくなるだろうとマントンは付け加えた。問題は、液化天然ガスの大口需要先であるアジアが、同じように液化天然ガスの供給を競っていることだ。つまり、ヨーロッパ東部からの古いパイプ式ガスよりも常に価格が高くなる。

マントンは更に「それが、ヨーロッパと世界が直面している危機だ」と述べた。

ヨーロッパがモスクワのエネルギー供給を放棄したため、多くの指導者たちが他の国との代替取引と供給の確保を急いだ。イタリアはアルジェリアからより多くの天然ガスを確保し、他の国々はアゼルバイジャン、ノルウェー、カタールに目を向けている。ドイツはカナダとの新たな液化天然ガス取引に期待を寄せているが、カナダはあまり楽観的でない。また、ドイツは5つの浮体式液化天然ガス基地を建設中であり、オランダ、フィンランド、イタリアも浮体式液化天然ガス基地を建設してガス輸入の準備を進めているなど、液化天然ガスインフラへの投資がかなり進んでいる。

しかし、当面の間、エネルギー専門家は、各国が供給を補強するためにできることは限られていると指摘する。コロンビア大学グローバルエネルギー政策センターの創設者であり、バラク・オバマ前米大統領の元特別補佐官であるジェイソン・ボードフは、「ヨーロッパへの追加供給には当面限界がある」と述べている。

ヨーロッパの指導者たちも内向きになり、電力使用量を抑制するための広範囲な省エネ策を制定している。スペインは以前、節電のために労働者にネクタイをしないよう勧告していたが、今週、消費を抑えるための冷暖房規則を含む新しい節電計画を承認した。フランスは、冷房の効いた店舗がドアを閉めない場合、罰金を科すと圧迫し、ドイツはベルリンのモニュメント脇のスポットライトを消した。また、一部のドイツ人は自らの手で、来るべき冬に備え、薪を備蓄している。このような動きは、ドイツが現在進行中の危機を理由に最後の原子力発電所の段階的廃止を延期することを議論している時に起こったものである。

ボードフは次のように語っている。「ヨーロッパが過去に経験したことのないような最悪のエネルギー危機の最中に、更に原子力発電所を廃止するのは見当違いに思える。それは、失われた原子力の供給を補い、人々のために電力を供給し続けるために、天然ガスのような代替エネルギーの供給量を見つける必要があり、穴を少しばかり深くするだけのことだ」。

ラピディアン・エネルギー・グループのグローバルなガス市場の専門家であるマントンは、施設を稼働させ続けることは口で言うほど簡単なことではないと言う。マントンは「これらの原子力発電所を運営する企業は、特定の時点、つまり今年の年末に運転を終了する計画で動いており、すでにそれに基づいて発電所を管理している。今、“継続させたい”と言えば、状況はより複雑になる」と述べている。

技術者たちが奔走する一方で、政治家たちは集まって協議しようとしている。金曜日、チェコのヨゼフ・シケラ産業相は、チェコ共和国がヨーロッパ連合のエネルギー理事会に臨時会合を開くよう要請すると述べた。

産業界と家庭がどれだけ持ちこたえられるかは不明である。コンサルタント会社オックスフォード・エコノミクスによれば、エネルギー価格の高騰とGDPの大幅な下方修正により、英国は2桁のインフレイションに見舞われているという。ヨーロッパもそれほど良い状況にない。オックスフォード・エコノミクスは報告書の中で次のように書いている。「ヨーロッパの製造業は今後複数の四半期にわたって景気後退を経験すると思われるが、家計にも影響が及ぶだろう。ガソリンと電気料金の値上げは消費者に大きな打撃を与え、値上げ幅が大きいため、政府の更なる介入の実施可能性は高いと考えられる」。

今のところ、ヨーロッパ大陸は長く辛い道のりを歩んでいるように見える。マントンは「ヨーロッパは、事態が好転する前に悪化することを覚悟しているようなものだ。大きな問題は、事態がどの程度悪化するかだ」と述べた。

※クリスティーナ・ルー:『フォーリン・ポリシー』誌編集員。ツイッターアカウントは@christinafei
(貼り付け終わり)
(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 ロシアによるウクライナ侵攻が開始されたもうすぐ2カ月が経過しようとしている。西側諸国はロシアに対する経済制裁を実施しているが、その効果について疑問が出ている。そもそもヨーロッパ諸国、特にドイツはロシアからのエネルギーに依存しており、輸入代金を支払っている。季節が春になり、暖房用のエネルギー需要は少なくなっていくだろうが、ヨーロッパ諸国はロシア以外の輸入エネルギー元を手当てしなければならない。

 しかし、BRICS諸国(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)をはじめとして、対ロシア制裁に参加していない国々も多い。ロシアとしてはこうした国々に割引でエネルギーを供給していけば(価格上昇前の水準の金額でもこれらの国々にはありがたいことになる)、経済に対する致命的なダメージは避けられることになる。実物資源を持っていることはやはり大きなことだ。

 ロシアのルーブルは侵攻前の住準に戻りつつあり、2022年のエネルギー収入は約40兆円が見込まれている。その多くはヨーロッパのロシアからのエネルギー輸入代金ということになる。ロシアからエネルギーを輸入しておいて代金は制裁だから支払わないという厚顔無恥は、歴史的これ以上の狡猾なことをやってのけてきたヨーロッパ諸国でもいくらなんでもできない。

ヨーロッパ諸国がロシアからのエネルギー輸入を完全に遮断しない限り、「ヨーロッパからの資金がロシアの戦費となる」という事実は変わらない。ヨーロッパ諸国はウクライナを応援しながら、ロシアにも戦費を提供するという何ともふざけた状況になっている。正義の為ならエネルギー輸入を完全に遮断したらよい。ロシアに経済戦争を仕掛けてロシア経済を破壊すると述べたおっちょこちょいのヨーロッパの政治家もいたが、自分たちがどのような状況に置かれているのか分からなかったようだ。

 日本もアメリカの属国、西側諸国という立場から対ロシア制裁という正義にお付き合いしなければならない。ウクライナ戦争によって物価が上昇しており、さらに追い打ちをかけて今年の4月から値上げラッシュだ。日本で上がらないのは人間の労働に対する対価だけだ。戦争は早く止めてもらいたい。しかし、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は妥協をする意図を持たず、戦争の更なるエスカレーションを求めている。これでは戦争はこれからも続いていくという悲観的な先行きしか持つことができない。新型コロナウイルス感染拡大に何とか対処しつつあり、世界的に良い方向に進んでいたのに、という何ともやりきれない状況だ。

(貼り付けはじめ)

●「ロシア、制裁の迂回に成功か-エネルギー輸出で経済下支え」

Alan CrawfordJulian Lee

202248 3:46 JST

ルーブルは戦争前の水準回復、「制裁は経済をまひさせるに至らず」

ロシア産ソコル原油の来月分は完売、今年のエネルギー輸出3割増も

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-07/R9Z8M0T1UM1001

-ルーブルは戦争前の水準回復、「制裁は経済をまひさせるに至らず」

-ロシア産ソコル原油の来月分は完売、今年のエネルギー輸出3割増も

ロシアのウクライナ侵攻を巡り、欧州は米国と歩調を合わせて追加制裁を打ち出す構えだ。だが、ロシアが経済を支える方法を見いだしつつある兆しが多く表れている。

 ロシア極東産ソコル原油の来月出荷分は完売。中国の数社は3月にロシア産石炭を人民元で購入した。ロシアから欧州に輸出されるガスの量は、侵攻以降に増加した。このいずれもが、制裁の対象とはなっていない。

 ブルームバーグ・エコノミクスはロシアがエネルギー輸出で今年上げる収入を約3200億ドル(約40兆円)と予想、前年から3割強増加すると見込む。ロシア・ルーブルはドルに対して戦争前の水準をすでに回復している。

ロシアの原油生産は今月減少しているが、エネルギー輸出で稼ぎ続け通貨を支えている状況は、西側の首脳をいら立たせている。ロシアの孤立は深まり、ロシア軍がウクライナの一部地域から撤退しているとしても、ロシア経済の底堅さはプーチン大統領にとって国内向けに勝利をアピールできる材料になる。

ピーターソン国際経済研究所のシニアフェローで、欧州中央銀行(ECB)の政策委員だったパトリック・ホノハン氏は6日、「金融などの制裁がロシア経済を弱体化させているのは疑いない」としつつ、「ロシアの輸出から得る収入を断たない限り、制裁がロシア経済をまひさせるには至らない」とブログでの投稿に記した。

Foreign Exchange Reserves(外貨準備)

Russia estimates that half of its reserves are frozen by sanctions(ロシアは外貨準備高の約半分が制裁によって凍結されていると推定)
foreignexchangereservesbloomberg511

欧州連合(EU)加盟国は7日、ロシア産石炭の段階的な輸入禁止を盛り込んだ第5次の制裁パッケージで合意する見通し。EUがエネルギー輸入に関連した制裁を打ち出すのはこれが初めてになる。EUの行政執行機関、欧州委員会はロシアのトラックと船舶について、農産物やエネルギーなどの例外を除き大半のEU入域を禁止することを目指している。

ウクライナのゼレンスキー大統領は定例となっている夜の演説で、新たな対ロシア制裁は見た目こそ「華々しい」が、十分ではないと主張。「世界がブチャで目にした悪事に釣り合うとは、ほとんど言えない」と語った。

=====

●「バイデン米大統領が「がれき」とやゆしたルーブル、盛り返し鮮明」

Sydney Maki

202247 13:18 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-04-07/R9XYG9T0AFH601

-対ロ制裁でもルーブルはウクライナ侵攻前の水準まで戻す

-ロシア産原油・天然ガス購入で外国勢がプーチン大統領に命綱

ウクライナ侵攻開始からの数日間に、通貨ルーブルはロシアの新たな金融孤立を浮き彫りにする有力な象徴となった。

 プーチン政権に対する米欧などの制裁を受け、ルーブルは一時1ドル=121.5ルーブルと過去最安値に沈み、1998年のロシア金融危機時の暴落を想起させた。厳しい様相となる中で、バイデン米大統領は「ルーブル(ruble)が瞬く間にほぼrubble(がれき)と化した」とやゆした。

しかし現状は異なることは明らかだ。6日のモスクワ市場のルーブル終値は79.7ルーブルで、ウクライナ侵攻前の水準を回復している。

ロシア政府や新興財閥(オリガルヒ)にさまざまな制裁が科され、外国企業の撤退も相次いでいるが、外国勢がロシア産原油・天然ガスの大量購入継続でプーチン大統領の財源を満たしルーブルが下支えされる限り、こうした措置がほぼ骨抜きであることは明らかだ。

それ以外の面でロシアが世界経済からほぼ遮断されたままであっても、同国の今年のエネルギー輸出収入は約3210億ドル(約397000億円)と、前年を3割余り上回るとブルームバーグ・エコノミクスは推計する。

Russia's onshore currency recovers to pre-invasion levels(ロシアのオンショア通貨はウクライナ侵攻の前のレヴェルに回復)

russuanonshorecurrencyreboundsgraph511 

米欧などの制裁に対応し、ロシアが実施した資本規制もルーブルを支えているものと見受けられる。海外に住む投資家の資産凍結やロシア企業に保有外貨の8割売却を義務付ける措置などが含まれる。

こうした事情を背景に、ルーブルが侵攻前の水準を回復したことの意義に疑念を抱く見方もある。しかも相場持ち直しは約10年ぶりの薄商いの中で起きている。「当局が講じたあらゆる措置を踏まえると、ルーブルは変動相場制ではない」と、ゼネラリ・インシュアランス・アセット・マネジメントの新興国市場シニアストラテジスト、ギヨーム・トレスカ氏は語る。

一方、ロシア産原油・天然ガス購入で外国勢がプーチン大統領に実質的に命綱を差し伸べている状況は見過ごし難い。これはロシアに対し、通貨高につながる傾向のある経常黒字をもたらし、制裁で同国に打撃を与える取り組みに水を差している。

ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのストラテジスト、ブレンダン・マッケナ氏は「経常黒字は実際ルーブルを安定させるもう一つの材料だろう」とし、「エネルギー高が続きロシア産エネルギー・商品の主要輸入国が購入を継続すれば、経常収支は黒字のままだろう」と指摘した。制裁へのロシア側の対抗措置もあってルーブルは対ドルで78ルーブルに上昇する可能性があると同氏は話した。

Dollar Lifeline(ドルの生命線)

Russia is set for another year of higher energy earnings(ロシアは今年もエネルギー収入の増加が見込まれる)

russianenergyexportsrevenue511 

Source: Bloomberg Economics

Note: * Revenue calculated for 2022 based on current prices

(貼り付け終わり)

(終わり)


bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 ウクライナ戦争はロシアが東部に注力するために戦線を整理縮小している。戦線の整理縮小には数週間の時間がかかるだろうが、それが終わればウクライナ東部ドンバス地方での更なる攻撃作戦が実施されるだろう。

私は2月にロシアによるウクライナ侵攻が開始された際にはロシア軍は東部ドンバス地方を確保しそれ以上は前進しない、戦争は激化しないと考えていたがそれは間違っていた。しかし、結果としてロシア軍は東部に注力することになった。ウクライナが東部をロシアに渡さないために戦闘を継続するか、東部に関しては妥協して停戦を行うのか、不透明であるが、ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領はアメリカに更なる重要な兵器供与を求める発言をしており、戦争はこれからも継続するだろう。

ゼレンスキー大統領の停戦に前向きな姿勢は演技でしかない。これまでも何度もより有利な条件での停戦合意ができるはずであったがそれができていないということは、ゼレンスキー大統領は国民と国土の損耗も気にせずに自分は安全な場所にいて人々に戦闘と苦難を強いているということになる。戦争屋、好戦主義者の手先そのものだ。つくづく指導者選びは重要だと痛感させられる。ここを間違うと私たちの声明まで危険に晒される。

 アメリカの制服組トップのマーク・ミリー米統合参謀本部議長がウクライナ戦争は年単位で続くという見解を公式に述べた。これだけの大規模戦争で儲かるのは軍需産業であり、軍産複合体がますます肥え太っていく。アメリカは武器を供与するだけで、「アメリカ軍が参戦すると世界大戦になる」と言い続けて、ひたすら武器を送り続けるだけだ。アメリカにとっては「おいしい」展開である。

その代金は誰が支払うのか? ウクライナ政府がある程度は支払うだろうが、全てを支払えるとは思えない。そうなれば請求書は「西側先進諸国」に回ってくる。日本にも応分の負担をということになるだろう。結局、こうした国々に住む人々の税金ということになる。既に私たちは石油価格の上昇や円安によって給料が上がらない中で物価だけは上がっているという状況に直面している。そこに増税が襲い掛かってくる。やれやれ、頑張れ頑張れと囃し立てた、いつもはリベラルな、ご立派な知識人を僭称する好戦主義者たちだけに重税がかかるなら良いが、そういう訳にはいかない。

 更に言えば、ロシアからの石油、石炭、天然ガスがなければ生きていけないヨーロッパ諸国は経済制裁だ、ロシアを経済的にぶっ潰してやる、とお勇ましく気勢を上げながら、裏では「ロシアからの天然資源が来なければ困っちゃうの」ということで、今でも輸入している。ロシアとしては戦費の問題もあるから売った方が良いということになる。これでどれだけの制裁の効果があるのか甚だ疑問だ。「武器だけ渡して自分たちは何もしない、敵であるロシアから天然資源を買っている」という西側諸国の姿勢はウクライナ国民にとっては裏切りでしかない。今は助けてもらっているということになっているが、後で冷静に考えてみれば、自分たちは貧乏くじを引かされたのだということに気付いて、反西洋の考えがウクライナ国内で拡大することも考えられる。

 ウクライナ戦争は何とも奇妙な状況に陥ってしまった。かわいそうなのはウクライナ国民である。

(貼り付けはじめ)

アメリカ軍最高幹部がロシアとウクライナの紛争は「年単位と判断される」と予想(Top US general says he expects Russia, Ukraine conflict to be ‘measured in years’

マウリーン・ブレスリン筆

2022年4月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/news/3260171-top-us-general-says-he-expects-russia-ukraine-conflict-to-be-measured-in-years/

米統合参謀本部議長マーク・ミリー大将は木曜日、連邦下院軍事委員会に出席し、ウクライナでの紛争は何年も続くと予想していると述べた。

国防費請求に関する証言を行っている中、ミリーは「今回の戦争は非常に長引く紛争であり、数年単位続くと判断されると私は考えている。10年単位となるのかは分からないが、少なくとも数年であることは確かだ」と、国防予算要求に関する証言の中で述べた。

ミリーは続けて「今回の戦争はロシアが引き起こした非常に長期的な紛争であり、NATO、米国、ウクライナ、そしてウクライナを支援する全同盟諸国とパートナー諸国は、かなりの期間にわたって戦争に関与することになると思う」と述べた。

ミリーはまた、ロシアのウクライナ侵攻について、自身が軍務に就いて42年間の中で、「ヨーロッパのそしておそらく世界の平和と安全に対する最大の脅威」であると断じた。

ミリーは「ロシアのウクライナ侵攻は、ヨーロッパの平和と安定だけでなく、私の両親やアメリカ人が一世代にわたって守ろうとして懸命に戦った世界の平和と安定を損なう恐れがある」と述べた。

ミリーは、ロシアと中国が共に「現在の世界秩序(current global order)」に挑戦する立場にあると述べた。

ミリーは委員会の席上で次のように述べた。「私たちは今、2つの世界的大国に直面している。中国とロシアは、それぞれが重大な軍事力を持ち、ルールに基づく現在の世界秩序を根本的に変えようとしている。私たちは、より不安定な世界に入りつつあり、深刻な国際紛争発生の可能性は、減少するどころか、増大している」。

民主、共和両党の連邦下院議員たちは、ウクライナで使用されている兵器の種類についてミリーに質問し、ウクライナの防衛努力を強化するために何ができるかについて質問した。

バイデン政権は、ロシアのウクライナ侵攻が2ヶ月目に突入したため、ウクライナの防衛を助けるために武器を送る姿勢を堅持している。

次に送られる武器はアメリカから送られる武器の第2弾となる。

=====

バイデンがウクライナ国内での「数々の重大な戦争犯罪」を非難(Biden decries ‘major war crimes’ in Ukraine

モーガン・チャルファント筆

2022年4月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/news/administration/3260644-biden-decries-major-war-crimes-in-ukraine/

ジョー・バイデン大統領は水曜日、ワシントンDCで行われた会議での演説で、ロシアに対する新たな制裁を喧伝し、ウクライナで「複数の重大な戦争犯罪(major war crimes)」を犯したとしてモスクワに責任を負わせることを約束した。

バイデンは、北米建築業組合の立法対策部門会議での演説の冒頭で、ウクライナの首都キエフに近い町ブチャで殺害された市民の恐ろしい画像について非難した。

バイデンは次のように語った。「ロシア軍の撤退の後に街中に遺体が残された。ある者は手を後ろに縛られた状態で後頭部を撃たれていた。一般市民は冷酷に処刑された。遺体は巨大な墓地に捨てられた。残忍さと非人道的な感覚が残され全世界が目撃している。主要な戦争犯罪が起こっているのである。責任ある国々は、これらの加害者の責任を追及するために団結しなければならない」。

今週初めにブチャの殺害を「戦争犯罪」とし、ロシアのウラジミール・プーティン大統領に裁判を受けさせるよう求めたバイデンは、水曜日午前にホワイトハウスが発表したロシアに対する新たな制裁措置の概要を説明し、ロシアに対する国際的な罰則はロシア経済に深刻な影響を及ぼすことになると述べた。

バイデン政権は水曜日、ロシアの最大手銀行2行、プーティンの娘たち、セルゲイ・ラブロフ外相の家族を対象とした新たな制裁を発表した。バイデンはまた、ロシアへの新たな投資を禁止する大統領令に署名する予定だ。

バイデンは水曜日、ウクライナでの戦争についてロシアへの圧力を強化し続けると公約し、アメリカはロシアと戦うためにウクライナへの軍事支援を継続すると述べた。

バイデンは「ロシアは戦争開始時点の目的達成を失敗している。今日、キエフはまだ確保されている」と述べた。

複数のアメリカ政府高官は、ロシアはキエフから軍を撤退させているが、モスクワが攻撃開始から1ヶ月でキエフを奪えなかったため、プーティンはウクライナ東部に攻撃を集中させる可能性が高いと警告している。

バイデンは「この戦争は長く続く可能性があるが、アメリカはウクライナとウクライナ国民、そして自由のための戦いに立ち続けるだろう」と述べた。

バイデンは、ワシントン・ヒルトンホテルで行われたこの会議に出席していた2000人以上の組合幹部や組合員たちから、スタンディング・オヴェーションと大きな歓声を浴びた。

=====

バイデンの発言が意図していたもの(What Biden meant to say

ハーラン・ウルマン筆

2022年4月4日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/international/3257864-what-biden-meant-to-say/

ジョー・バイデン大統領は、1973年に連邦上院議員になって以来、失言をしがちであった。最新の失言は10日前のワルシャワでのことだ。バイデンは「とんでもない男がいたものだ。この男は権力の座に居座り続けることはできない(For God’s sake, this man cannot stay in power.)」という9つの単語を発音するとほぼ同時に、ホワイトハウスは「大統領が言いたかったのは体制転換政策(policy of regime change)ではない」という訂正を出した。

同様の訂正はバイデン大統領のこれ以外の重大な3つの外交政策に関する宣言にもどれくらい適用されるものなのか。その三つとは、民主政治体制対独裁政治体制(democracy versus autocracy)、ロシアのプーティン大統領を戦犯とする(labeling Russian President Valdimir Putin a war criminal)、NATOの全てを防衛する(defending every inch of NATO)である。この同じ訂正基準がどのように適用されるのだろうか。

バイデンは以前から、民主政治体制と独裁政治体制の間の戦いを実存的なものと呼んできた。敵は、ロシアや中国と言った独裁国家、北朝鮮、イラン、そして現在ホワイトハウスがロヒンギャに対する大量虐殺の罪を犯したと烙印を押したミャンマーなどの劣化国家の独裁者たちである。しかし、歴代の米大統領は、民主政治体制と抑圧的な独裁政治体制の間の戦いをしばしば巨視的なものとしてとらえてきた。

ジョン・F・ケネディ大統領は「自由の存続と成功のためなら、いかなる代償も払い、いかなる重荷も背負う」と宣言した。この約束は、アメリカによる南ヴェトナムへのコミットメントとなり、アメリカは数十年にわたる戦争に負けることになる。リンドン・B・ジョンソン大統領はさらに、ヴェトナム戦争は「共産主義者をミシシッピではなくメコンに留めるため」であると主張した。しかし、アメリカはその教訓を学んだのだろうか?

学んではいないのだ。2002年にイラン、イラク(両国は血生臭い戦争をした)、北朝鮮の間の神聖でなく実行不可能な同盟を捏造するために悪名高い「悪の枢軸(axis of evil)」を作り出した後、ジョージ・W・ブッシュ大統領は「フリーダム・アジェンダ(Freedom Agenda)」を考案して、遠過ぎる橋を渡った。ブッシュのテーマは、民主化(democratization)が「中東の地政学的な風景を変える(change the geostrategic landscape of the Middle East)」というものだった。ブッシュは正しかった。イラクをそしてこの地域全体に民主化をもたらすための第二次イラク戦争は中東の特質を悪い方向に変えてしまう大惨事(disaster)となった。

問題は、民主政治体制対独裁政治体制ではない。民主政治体制を機能させることが問題なのであって、独裁体制が民主体制より優れているかどうかが問題なのではない。中国とロシアが成功しているように見える理由の一つは、ほとんどの世論調査から分かるようにアメリカの政府が失敗しているからである。

しかし、アメリカは民主政治体制が存在するために衰退しているのではない。アメリカは、統治(governing)よりも権力とイデオロギー(power and ideology)を追求する二つの政党のために衰退しているのである。ベンジャミン・フランクリンは賢明にも「皆さんがそれを維持できる限りアメリカは共和国だ」と述べた。現時点では陪審員は不在となっている。

バイデンは以前、ウラジミール・プーティンを「虐殺者(butcher)」「殺人者(killer)」「戦争犯罪者(war criminal)」と呼んだ。しかし、ロシアとの交渉は不可欠で、それはウクライナに関する議題にだけ限定されない。軍備管理、イランの核兵器開発を阻止し、核戦争につながる不用意なエスカレーションを防ぐことが重要なのだ。

この文言は交渉の助けになるのか、それとも妨げになるのか? アメリカはこれまで、プーティンのような不愉快なアクターとしばしば交渉してきた。ヨシフ・スターリン、朝鮮戦争中の中国共産党、ニクソンの三角外交、北ヴェトナム、包括的共同行動計画でのイランなどだ。

ウクライナ戦争が終わったら何が起きるだろうか? 長期的な敵対関係を反映したものになるのだろうか? もしそうなら、戦争犯罪者プーティンに対処するだけでなく、独裁政治体制との戦争と必要な交渉とのバランスをとるために、バイデン政権はどのような戦略をとるのだろうか?

バイデン大統領は、北大西洋条約第5条の鉄壁の約束でNATOの領土を「全て」守ることを繰り返した。しかし第5条は鉄壁なのだろうか? 第5条には「一カ国に対する攻撃はす全ての加盟国に対する攻撃と見なす」と書かれている。そして、各国はそれぞれどのような行動を取るか検討するものとされている。

第5条の発動は、武力行使や宣戦布告を自動的に保証するものではない。加盟諸国の議会は、武力行使や宣戦布告を承認しなければならない。例えば、ロシアがポーランド国内にあるウクライナへの補給線に一発のミサイル攻撃をしたり、ポーランドで小型核兵器を爆発させたりしたとしよう。このような事態が起きた場合にはNATOはどう対処するだろうか?

加盟各国は第5条に賛成するだろうか? もし賛成なら、ロシアの核攻撃に直面して、各国政府は戦争に突入するだろうか? 第5条は2001年9月12日、アルカイダが米国を攻撃した後に一度だけ発動された。しかし全てのNATO諸国がアフガニスタンに出兵した訳ではなかった。

これらの批判は専門的に聞こえるかもしれない。しかし、そうではない。政治はしばしば世論に影響を与えるために誇張や大げさな表現を要求するが、それはリスクと無縁ではない。連邦上院のある幹部が私に非公式に語ったように、プーティンは自分に対する疑惑をプロパガンダとして利用し、アメリカとNATOのロシアに対する敵意を更に証明し、ウクライナでの「特殊軍事作戦(special military operations)」を正当化するだろう。

だから、何が語られているのか、そしてもっと重要なのは何を意味しているのかに注意することだ。しかし、5条の場合、私はバイデンが本気だと信じている。

ハーラン・ウルマン(博士):ワシントンDCにある大西洋協議会上級アドヴァイザー。アメリカの対イラク戦略「衝撃と畏怖(shock and awe)」の主張菜立案者となった。最新作は 『第五の騎士と相互認証破壊:大規模な破壊攻撃がいかにして分断された国家と世界にとって存亡の危機となるに至ったか("The Fifth Horseman and the New MAD: How Massive Attacks of Disruption Became the Looming Existential Danger to a Divided Nation and that World at Large")』である。

=====

最新の対ロシア制裁について知っておくべき5つのポイント(Five things to know about the newest Russia sanctions

ロウラ・ケリー筆

2022年4月6日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/3261009-five-things-to-know-about-the-newest-russia-sanctions/

ジョー・バイデン政権は水曜日、ロシアのウラジミール・プーティン大統領の側近、娘2人、そしてロシアの金融機関を対象とした新たな制裁の拡大を発表した。

バイデン政権は、制裁はロシアの撤退後、キエフ郊外のウクライナの都市や町で発覚した恐ろしい状況に直接対応するものだと発表した。ロシアの占領下にあって、何百人もの市民が意図的に殺されたと考えられている。

バイデン大統領は4月2日の演説で、「重大な戦争犯罪が実際に起きているのだ」と述べ、「責任ある国々」が犯人の責任を追及するよう呼び掛けた。

バイデンは「同盟諸国やパートナー諸国と協力して、経済的コストを上げ続け、プーティンの痛みを増長させ、ロシアの経済的孤立をさらに高める」と述べた。

今回の制裁について知っておくべき5つのポイントを挙げていく。

(1)制裁はプーティンの娘たちを標的としている(Sanctions target Putin’s daughters

アメリカによるプーティンに対する制裁は水曜日にプーティンの成人した子供2名を対象とする新たな措置を取ることで拡大した。

今回の制裁は、ブラックリストに載っている人物がアメリカ国内で保有するあらゆる財産や資産を封鎖し、アメリカ人が制裁対象者と金融取引を行うことを原則禁止するもので、カテリーナ・ウラジミロヴナ・ティホノヴァとマリア・ウラジミロヴナ・ヴォロンツォヴァが対象となった。

バイデン政権のある上級幹部は水曜日、この2人の女性に対する制裁は「ロシアの独裁政治を暴露する」という米国の広範な戦略の一環として科されたと述べた。

アメリカ国内では、ティホノヴァは、ロシア政府と防衛産業を支援する仕事をしている技術系幹部、ボロンツォヴァは「クレムリンから遺伝子研究のために数十億ドルの予算を受け取り、プーティンによって個人的に監督されている」 国家予算によるプログラムを指揮していると説明されている。

国務省において40年にわたって様々な上級職を歴任し、駐ロシア大使を務めたトーマス・ピッカリングは、この動きは「小さなジェスチャー」だと述べたが、「プーティン個人に向けられていることは明らかだ」とも付け加えた。

ピッカリングは、プーティンが新たな措置に直面しても「冷淡(unflinching)」であることを期待すると述べた。アメリカは既に、ロシアの指導者プーティンに対して特別な制裁を科している。

ピッカリングは次のように述べた。「私は、プーティンが毅然とした態度で臨み、制裁が個人的な影響を及ぼしているという兆候を見せようとはしないだろうと考える。そのためには、同じことを繰り返さないようにすることと、自分自身を無敵の強者、強靭な柔道家、リーダーであるという概念を維持することになる」。

(2)アメリカはプーティン大統領の側近と外相の家族をブラックリストに掲載(U.S. blacklists Putin’s top associates and family of foreign minister

その他にロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相の妻マリヤ・アレクサンドロヴナ・ラヴロヴァと2人の娘アカテリーナ・セルゲイヴナ・ラブロワが制裁対象者となった。ラヴロフ外相は2月25日付でプーティンと同じタイミングで制裁対象となった。

また、アメリカはロシアの安全保障会議の21名のメンバーも制裁対象にしている。今回の措置により、これまでの制裁と合わせて、ロシア安全保障会議の全メンバーが、アメリカもしくはアメリカの同盟諸国、カナダ、ヨーロッパ連合(EU)、日本、ニュージーランド、オーストラリア、イギリスによる制裁を受けることになった。

アメリカはこれまでに、オリガルヒ140名と彼らの家族、更には400名以上のロシア政府高官を制裁対象にしていた。

バイデン政権のある高官は制裁対象者について「戦争の重要な設計者たち(the key architects of the war)」と呼び、制裁戦略は「プーティンとその取り巻きが何十年もロシア国民から金をむしり取ってきたことを明らかにする」ためだと述べた。

ピッカリングは、個人に対する制裁が米国によるエスカレーションをどれだけ明確に示しているかは不明だとしながらも、「個人を対象にした制裁というアイデアは常に、最高指導者層にメッセージを送り、何らかの方法で、その指導者にとって厄介なことを実行するということなのである」と述べた。

(3)ロシアのエネルギーとガス供給は現在のところ大部分が許可されている(Russian energy and gas delivery largely allowed, for now

ロシアに対して壊滅的な打撃を与えるために最も重要なのは、アメリカとその同盟諸国が、ロシアの予算収入の約40%を占める石油と天然ガスの輸出を断つ努力をしたことだ。

バイデン政権は、ロシア最大の銀行であるスベル銀行とアルファ銀行に対する制裁の拡大を発表したが、ロシアの石油・ガス輸出のための金融取引を許可する重要な例外規定を設け、ロシア経済にとって最も有害な措置の一部を差し控えた。これによりヨーロッパの同盟諸国のためのエネルギーは確保されることになった。

この金融緩和措置により、諸外国はロシアの輸出代金を自国通貨で支払うことができるが、ロシアはその収入をルーブルに換えてから使用することができるため、その影響はやや弱くなる。

新アメリカ安全保障センターのエドワード・フィッシュマン上級研究員は「エネルギーは何故除外されるのか? 最も答えに近い推測は以下の通りだ。アメリカはヨーロッパ連合の意向を無視できず、ヨーロッパ連合はドイツの意向を無視できないからだろう」とツイートした。

ドイツのクリスチャン・リンドナー財務相は、「短期的なスパンで言えば、ドイツにはロシアのガスを遮断する余裕などない」と発言した。

ロイター通信によると、リンドナー財務相は「ロシアからの天然資源輸入を停止することは彼らよりも私たち自身に大きな損害を与えることになる」と述べたということだ。

フィッシュマンは、「ロシアは石油とガスの販売を続けることで、毎日10億ドルをかき集めることができる」と述べた。

アメリカはロシアの石油とガスの輸入を停止している。イギリスは4月2日、2022年末までにロシアの石炭と石油への依存を解消し、その後すぐに天然ガスの輸入を終了するように対処すると発表した。

ヨーロッパ議会のシャルル・ミシェル議長は水曜日、ロシアの石炭を直ちに禁止する新たな制裁パッケージを提案し、「石油、さらには天然ガスの輸入禁止も遅かれ早かれ必要となるだろう」と述べた。

リトアニアは日曜日、ヨーロッパ連合加盟国で初めてロシアの天然ガス輸入禁止を発表し、バルト沿岸の隣国ラトビアも間もなく同様の発表をすると見られている。

しかし、ヨーロッパ連合が一体となって制裁措置を講じるには、ヨーロッパ連合加盟27カ国からのコンセンサスが必要となる。プーティン大統領を支持するハンガリーのオルバン・ヴィクトル大統領は、ブダペストはロシアのエネルギー輸入禁止に参加しないと既に明言している。

(4)ハンガリー、インドそして中国は制裁強化のための切り札だ(Hungary, India and China are wild cards in enforcing sanctions

ハンガリーのオルバン大統領がロシアからの天然ガスの代金を支払い続けるという約束をしたことは、アメリカがロシアに対して世界的に統一された金融圧力キャンペーンを行うという目標において、埋められなかった他の溝を広げることになる。

インドはロシアとの重要な関係を維持するために、アメリカの制裁に加わることも、モスクワの侵攻を露骨に非難することさえも控えている。インドはロシアから石炭と石油を輸入している。

このバイデン政権高官は、インドを「友人」「パートナー」と呼びながらも、ロシアの侵攻についてインド側と幅広く議論してきたと述べた。この人物は「私たちは、可能な限り最大限の調整を行うことができるという希望を持ち続けている」とも述べた。

一方、ロイター通信によると、中国はロシアの原油のトップ輸入国であり、ロシアのガスと石炭を相当量輸入している。

北京は、ワシントンのモスクワに対する孤立キャンペーンを嘲笑する一方で、クレムリンと完全に連携することは控えてきた。ロイター通信は、北京がロシアとの既存のエネルギー契約を尊重する一方で、新たな契約を結ぶことは避けていると報じている。

このバイデン政権高官は、ワシントンは「アメリカ政府と中国政府の最高レヴェル」による一連の非公開協議を行い、アメリカは「これらの制裁を回避したり埋め合わせたりするいかなる努力の結果について、中国政府に対して明確に示してきた」と述べた。

(5)アメリカ政府はロシアの各金融機関に対する制裁は「ソヴィエト・スタイル」の生活水準へのトリガーを引く(U.S. says Russian bank sanctions triggering “Soviet-style” living standards

バイデン政権はイギリス政府と共に、水曜日にロシアへの新規投資を阻止することで、更に一歩踏み込んだ。これは急速に変化する世界の中で、ロシア経済から新たな収入と最新の技術やノウハウへのアクセスを奪うというより広範な戦略の一部である。

バイデン政権のある上級幹部は「現実的に言えば、ロシアは経済的、金融的、技術的に孤立しつつあり、このままでは1980年代のソヴィエト・スタイルの生活水準に戻ってしまうだろう」と語った。

ハーヴァード大学博士研究員でヨーロッパ政策分析センター上級研究員のベンジャミン・シュミットは、ロシアの銀行部門に発動された制裁は、ウクライナ戦争で「プーティン政権に容赦しないよう圧力を強める重要な次のステップ」だが、「エネルギー取引を促進するための大きな揺らぎを残す」ものだとも述べた。

シュミットは本誌の取材に対してEメールで「石油とガスがプーティンの恐ろしい戦争マシーンの資金源として重要な役割を果たしていることを考えると、国際社会がこの資金の流れをできるだけ早く止めるための措置を取ることが不可欠だ」と回答した。

=====

バイデン氏、プーチン氏は「戦争犯罪人」 対ロシア追加制裁へ

ロイター通信 2022年4月5日

https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-usa-biden-idJPKCN2LW1FW

[ワシントン 4日 ロイター] - バイデン米大統領は4日、ロシア軍が撤退したウクライナの首都キーウ近郊で民間人とみられる多数の遺体が見つかったのを受け、プーチン大統領を「戦争犯罪人だ」と非難した。

バイデン氏はまた、ロシアにさらなる制裁を科す方針も示した。

ホワイトハウスで記者団に対し「ブチャで何が行われたか、誰もが知るところとなった。(プーチン大統領が)戦犯に当たることを示している」と指摘。「情報を収集する必要がある。ウクライナが戦い続けられるよう必要な武器を提供し続けると同時に、戦犯裁判を起こすために全ての詳細を把握する必要がある」と述べた。

サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)は4日の記者会見で、戦争犯罪の立件に向けて、米国内や同盟国、ウクライナの現地、国際機関、各国の独立系メディアといった4つの情報源から証拠を集めると説明した。

ゼレンスキー大統領は4日、護衛官とともにブチャを訪れ、国営テレビに対し「これは戦争犯罪であり、世界でジェノサイド(民族大量虐殺)として認識されるだろう」と述べた。

一方、サリバン氏は、米国がジェノサイドと断定できるほどの証拠をまだ確認していないと述べた。

サリバン氏はまた、今週中にロシアへの追加制裁を発表する予定だと明らかにした。

(貼り付け終わり)

(終わり)


bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 ロシアのウクライナ侵攻に対して、欧米を含む西側諸国は経済制裁を発動している。世界金融からの締め出しということになるが、これは制裁を科す西側諸国の国民生活にも大きな影響を与える。簡単に予想がつくのは、エネルギー価格の高騰だ。西ヨーロッパ諸国は、ロシアからの石油や天然ガスに依存してきた。従って、今回の制裁でもエネルギー分野に関しては例外措置とされている。ロシアからのエネルギー供給が減少すれば、困るのはヨーロッパ諸国だ。ロシアからのエネルギー供給が減ることになれば、西ヨーロッパ諸国は代替の輸入先を探すことになる。そうなればどうしても他の国々との競争になり、価格は上昇するだろう。日本もこのエネルギー獲得競争に巻き込まれる。日本国内のガソリン価格や電気料金の値上げは避けられない状況だ。

 エネルギー価格の上昇は他の製品や商品の価格高騰にもつながる。以下の論稿にもあるように、意外なところでは、アメリカはロシアから安価な肥料を輸入しており、それが途絶すると、農業生産にもかかわってくる。アメリカ国内の農業従事者たちは既に減産を視野に入れて計画を立てているということだ。そうなれば世界規模で食料不足ということになる。

 日本でも物価高が進行している中で、更に追い打ちをかけるような事態になるだろう。ロシアに対しての経済制裁はロシア経済にダメージを与えることになる。しかし、よく見ると、エネルギー部門が例外措置にしてあるなど、西側諸国、特にヨーロッパ諸国への影響が少しでも小さくなるように設計されている。フランスの経済担当大臣が「経済戦争でロシア経済を破壊する(フランスの経済規模なんて小さい癖に)」と言いながら、フランスのエネルギー巨大企業と樽はロシアからの撤退を行わない方針だ。良い意味でも悪い意味でも、フランスは狡猾で二枚腰だ。こういう点は見習うべきだ。しかし、彼らの口先だけの威勢のよさと実際の行動の差には唖然としてしまう。こういうことをやって恬として恥じるということがないというのも、戦争に明け暮れ、植民地獲得競争に奔走した野蛮極まりないヨーロッパという土地がなせる業なのか。

 これから私たちはインフレーションの進行に備え生活を防衛していかねばならない。インフレーションが進行すれば生活は苦しくなるし、政府は利上げと増税で私たちの生活を更に苦しめるだろう。大企業群はロシアのウクライナ侵攻を奇貨として、製品やサーヴィスの値上げを躊躇なく進めるだろう。この点に関しては、各企業がどれほどの利益を上げるかを注意深く監視して、不当な利益を上げるようならば、それもまた、対ロシアと同じく厳しく糾弾しなければならない。何とも嫌な春になりそうだ。

(貼り付けはじめ)

ロシアのウクライナ侵攻がアメリカ経済に与える影響に関する5つのポイント(Five ways the Russian invasion of Ukraine could impact the US economy

サラクシ・ライ、シルヴァン・レイン筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/596203-five-ways-the-russian-invasion-of-ukraine-could-impact-americans

ロシアのウクライナ侵攻と、それに対する米国と西側同盟諸国による前例のない制裁措置は、世界経済と金融市場を動揺させている。

また、世界的にインフレーションが進行する中で、重要な食料、エネルギー、工業製品のサプライチェインが混乱し、海外旅行ができなくなり、株式市場が乱高下している。

ロシアのウクライナがアメリカ国民に与える影響の5つについてこれから見ていく。

(1)エネルギー価格と石油価格の上昇(Energy and oil prices rise

ロシアのウクライナ侵攻は5日目を迎え、アメリカとヨーロッパ連合は制裁を強化し続けている中、月曜日の原油価格は急騰し、ブレント原油は1バレル100ドルを突破した。

米国エネルギー情報局によると、2020年の単年度だけでも、ロシアはアメリカにとって3番目に大きな外国産石油の供給国であり、輸入石油の7%を占めていた。また、ロシアは2019年に130億ドルの鉱物性燃料をアメリカに輸出しており、アメリカに送られるロシアからの輸出の半分以上を占めていた。

注目すべきは、ロシアに科された制裁措置が今のところエネルギー部門を除外しているにもかかわらず価格が上昇していることだ。バイデン大統領は、この措置について「アメリカ国民がガソリン売り場で感じている痛みを抑えるため」の決定であると述べている。

しかし、フランスのパリ政治学院(Sciences Po Paris)教授でガソリン分野のアナリストであるティエリー・ブロスは、『ウォールストリート・ジャーナル』紙に、石油価格は「極めて不安定」な状態が続くだろうと語った。ブロスは「ウラジミール・プーティンはいつでも供給削減を決定できるのだ」と述べた。

今週月曜日、全米のガソリン価格は平均で1ガロン(約3.78リットル)3.62ドルとなった。アメリカ自動車協会によると、ガソリン価格は「原油価格が上昇を続けているため、今後も上昇し続けるだろう」と述べている。アメリカの平均ガソリン価格は、1年前には約2,71ドルだったが、この上昇はロシアがウクライナとの国境に軍隊を集結させる前から始まっていた。

アメリカ自動車協会の広報担当のアンドリュー・グロスは声明の中で「ロシアの侵攻とそれに伴うアメリカと同盟諸国による一連の金融制裁のエスカレートは、世界の石油市場に動揺を与えている」と述べている。

グロスは更に「アメリカの株式市場と同様に、石油市場も乱高下(volatility)に対応しにくい。爆発的な状況であり、地球の裏側での出来事がアメリカの消費者に波及することがあるのだということを痛感させられている」と述べた。

ウォールストリート・ジャーナルは、アメリカをはじめとする主要な石油消費国が、原油価格の上昇を受けて、7000万バレルの緊急備蓄(emergency stockpiles)を放出することを検討していると報じた。

(2)農業従事者のためのサプライチェインにかかわる諸問題で食料品価格は上昇する(Supply chain issues for farmers could drive higher food prices

アメリカ国内の農業従事者たちは、紛争前に過去最高値を記録していた肥料価格の高騰に備えているところだった。

『ブルームバーグ』誌によると、低コストで大量の肥料を生産するロシアは、カナダに次いで世界第2位のカリの生産国である。カリは主要な商品作物や農産物に使われる重要な栄養分である。

ロシアとウクライナの危機が最高潮に達する前から、『アイオワ・キャピタル・ディスパッチ』紙は、アメリカの農業従事者たちは来年の栽培シーズンに向けて、高騰する肥料価格と供給不足のため、トウモロコシの作付けと畑での窒素肥料(nitrogen fertilizer)の使用を控える可能性が高いと報じていた。

トム・ヴィルサック農務長官は木曜日、ロシアのウクライナ侵攻が米国農業に及ぼす直接的な影響について、最大の懸念は肥料会社による価格つり上げであり、「我々はそれを注視していく意向であると明確にしておく」と述べた。

サードブリッジ社のシニアアナリスト、パトリック・ドネリーは、「我が社の専門家たちによると、カリや肥料の生産業者は必要に応じて生産を増やす能力を持っているということだ。問題は、サプライチェインを通じて小売店や農家に供給される量がどの程度増加させることができるかだ」と語った。

ドネリーは更に「最も直接的な影響は、農産物価格の更なるインフレーション、ひいては食品価格の上昇となることだ。アメリカ国民はこの先、食料品代がもっと高くなると予想される」と付け加えた。

(3)旅行の制限と工区運賃の上昇(Travel restrictions and rising airfare costs

ウクライナは領空を閉鎖し、ロシア発着のフライトをキャンセルする航空会社が増えている。EUだけでなく、多くの国々がロシアの航空会社に対して領空を閉鎖している。

スコッツ・チープ・フライツのウィリス・オーランドは本誌の取材に対して次のように述べている。「領空閉鎖という点で、イギリスとロシアの間で報復合戦の状態になっており、FAAはウクライナ、ベラルーシ、ロシア西部の一部で民間航空機の飛行を制限している。こうした規制が継続または拡大した場合、中東、アフリカ、アジアへの航空運賃が高くなる可能性がある」と述べた。

紛争地域から遠く離れた場所での旅行も影響を受ける可能性がある。

オーランドは「この危機は、既に高騰している原油価格の上昇に拍車をかけるに違いない。ジェット燃料は航空会社にとって最大の経費の一つであり、燃料費の高止まりは運賃の上昇に反映される可能性がある」と述べた。

しかし、運賃に反映される燃料費高騰の影響は、「現在のような非常に競争の激しい運賃環境では緩和されるはずだ」とオーランド氏は付け加えた。

However, the effect of higher fuel costs on which fares are available is bound to be “tempered by the extremely competitive fare environment we're currently in,” Orlando added.

「航空会社は、ここ数週間、平均運賃が上昇しているにもかかわらず、新たな航空需要を取り込もうと絶えず努力しており、その結果、運賃のセールが頻繁に行われている」と述べた。

Airlines are grappling constantly to capture renewed demand for flights, which is resulting in frequent fare sales, even as average fares have crept higher in recent weeks,” he said.

(4)株式市場の乱高下(Stock market volatility

ロシアがウクライナとの国境に軍隊を集結させ、市場が大規模な紛争に備える中、株価は1年を通して着実に下落し続けた。戦争の到来とロシアに科せられた前例のない制裁措置により、金融セクターは未知の領域に向かい、今後も乱高下が続く可能性がある。

2022年に入ってから、ダウ平均は7%以上、S&P500指数は9%以上、ナスダック総合株価指数は約13%下落しており、投資の専門家たちは数年にわたる猛烈な上昇の後、さらなる減速に警戒感を強めている。

アリー社のチーフ・マーケット・アンド・マネー・ストラテジストであるリンゼイ・ベルは「リスク管理は優れた投資計画の鍵だが、地政学的リスクは計画的に備えることが難しい」と、アリーのチーフ・マーケット・アンド・マネー・ストラテジスト、リンゼイ・ベル氏は書いている。

「ロシアとウクライナの地政学的危機が続いていることが、今の株価を圧迫しているかもしれないが、歴史的に見れば、こうしたディップは長期投資家にとって良い買い場となり得る。この状況で考慮すべきは地政学的リスクだけではないが、いつの間にかFRBが心配の壁のトップに戻っていることは十分にあり得ることだ。"

The ongoing Russia-Ukraine geopolitical crisis may be pressuring stocks right now, but history suggests these dips could be good buying opportunities for long-term investors. While there is more than just geopolitical risk to consider in this situation, it’s quite possible that before you know it, the Fed will be back at the top of our wall of worry.”

(5)連邦準備制度によるより迅速な利上げ(Faster Fed rate hikes

エネルギー価格と食料品価格の更なる高騰とサプライチェインのボトルネックはインフレーション圧力を生み出し、連邦準備制度に対して、今停止している一連の利上げを促すことになるだろう。

インフレーション率が連邦準備制度の予想を大きく上回る水準まで上昇したため、FRBは既に来月から年内で数回の利上げを実施する姿勢を示している。FRBがインフレーションの指標として推奨している個人消費支出(personal consumption expendituresPCE)価格指数によると、今年1月までの12カ月間で物価は6.1%上昇した。

経済活動の低下によってインフレーションが緩和される可能性はある。一方で、専門家たちは、好調なアメリカ経済と深刻な供給の混乱の可能性が組み合わさることで、FRBがより早く利上げに踏み切る可能性があると見ている。

ゴールドマン・サックスのエコノミストであるデービッド・メリクルは金曜日に発表したリサーチ・ノートの中で、「2022年に非常に高いインフレーション経路をたどると、残り7回のFRB会合全てにおいて着実に利上げを行うことが容易になるはずだ」と述べている。

メリクルは、食品とエネルギー価格を除いた年間インフレ率は2022年末に3.7%と、前回予想の3.1%から上昇すると予想している。FRBは平均して年間2%のインフレを目指している。

=====

前例のない西側諸国の制裁はロシア経済の首を絞める(Unprecedented Western sanctions strangling Russian economy

シルヴァン・レイン、アレックス・ガンギターノ筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/finance/596144-unprecedented-western-sanctions-strangling-russian-economy

アメリカと西側の同盟諸国による金融制裁がロシア経済の首を絞めている。

ロシア大統領ウラジミール・プーティンがウクライナに対する戦争を仕掛けている最中、バイデン政権、イギリス、ヨーロッパ連合、その他の主要な経済プレーヤーたちからの前例のない罰則の重みで、彼の国ロシアの経済は崩壊し始めている。

ノートルダム大学キョウ国際問題大学院の経済制裁の専門家ジョージ・ロペスは、「経済界、銀行界の誰もが、私たちが新しい領域にいることを知っている。それは、銀行部門の中心を最も強力な矢として、一国の経済を組織的に停止させることだ」と述べている。

アメリカと同盟諸国が、ロシア中央銀行が保有する約6000億ドルの準備金からロシア政府を切り離し、ロシアの国際金融システムとの関係を更に断つ措置を取ったことで、月曜日のルーブルの価値は急落した。

西側諸国は、ロシア中央銀行、ロシア財務省、ロシアの外国投資ファンドとのほとんどの取引を禁止し、プーティンが制裁の衝撃を緩和するために何年も蓄えてきた資金を封じ込めた。この制裁は、世界的な混乱の中でドルの価値が上昇する中、世界金融システムの主要基軸通貨であるドルへのロシアのアクセスを遮断するものでもある。

アメリカとEUはまた、ロシアの特定の銀行に対し、銀行が取引を行う際に使用するメッセージング・システムである国際銀行間金融通信協会(Society for Worldwide Interbank Financial TelecommunicationSWIFT)へのアクセスも禁止した。

ロシアの準備金のうち約3000億ドルは、現在、アメリカ、ヨーロッパ、その他の同盟諸国にあり、現在はプーティンから切り離されている。ロシアはまだ数十億ドル相当の金を国内に保有しているが、複数の専門家によれば、モスクワは自国の銀行が厳しい制裁を受けているため、ロシアの銀行と進んで取引する人はほとんどいないだろうと述べている。

調査会社マネタリー・ポリシー・アナリティクス社の共同設立者でエコノミストのデレク・タンは、「問題は、他の人々が喜んで取引しない場合、彼らはそれを有用なものに変換することができないということだ」と述べている。

タンは「ロシアの銀行は資産を保有しているが、使うことができない」と発言した。

外貨準備を利用できないロシア政府は、経済と金融セクターを浮揚させるために必死の手段に打って出た。ロシア中央銀行は基準金利を20%に引き上げ、ルーブルが更に暴落するのを防ぐために外国人が保有する有価証券の売却を禁止した。

ロシアは海外の金融機関にSWIFTの代替手段に参加するよう促したが、欧米の路線に従わない国には制裁が待っているため、賛同者はほとんどいないようだ。

ロシアは最終的に、銀行の経営破綻、インフレーションの進行、長期にわたる深刻な経済的ダメージを防ぐことはできないかもしれない。アメリカとEUはロシアへのダメージを限定的にするためにいくつかの例外を設けたが、専門家たちは、欧米による経済制裁の影響は世界市場に波及する可能性があると分析している。

アメリカはこれまでにも、ヴェネズエラ、北朝鮮、イランの各中央銀行を制裁の対象としてきた。しかし、ロシアのような経済規模を持つ国に対して、これほど多くの国の支持を受けて、これほど厳しい制裁を科したことはない。スイスがロシアに制裁を加えることは、モスクワにとっても大きな痛手であり、金融市場で大きな存在感を示す歴史的に独自の多胎場を保ってきた国ロシアにとって大きな転機となると見られる。

クロウェル・アンド・モーリング社の国際貿易プラクティスグループで、アメリカの経済制裁分析を専門とする役員デイヴィッド・ウルフは次のように述べた。「今回の欧米諸国の対ロア経済制裁は前例のないことだ。これほど早く、これほどのレヴェルで各国が協調して行動したことを私はこれまで見たことがなかった」。

2020年のロシアの国内総生産(gross domestic product)は約1兆5000億ドルで、ニューヨーク州よりもわずかであるが小規模の経済だ。しかし、ロシアは石油、天然ガス、小麦、特定の金属の世界供給のかなりの割合を産出しており、敵対する西側諸国に対して重要な影響力を保持している。

前出のタンは「アメリカにとってそれほど関係はないのだが、ヨーロッパにとっては極めて深刻な事態になると思う」と発言した。ロシアとの経済関係が深い東欧・中欧諸国にとって、今回の制裁は「極めて破壊的(extremely disruptive)」なものになる可能性があるとタンは述べた。

ヨーロッパはロシアの石油や天然ガスの輸出に特に大きく依存しており、そのためヨーロッパの指導者たちはロシアに対する厳しい経済制裁について警戒している。もしプーティンがロシアからのエネルギーや食糧のヨーロッパへの輸出制限を決めれば、物価上昇を更に強めながら、需要は急増するという、プーティンにとっては有利な状況になる。

アメリカはエネルギーの純輸出国であるが、アメリカの石油と天然ガスに対する需要が急増すれば、過去12カ月で40%上昇したアメリカ国内のガソリン価格も上昇する可能性がある。ガソリン価格の高騰は、インフレーションの進行で急落したバイデン大統領の支持率を更に低下させる可能性がある。

アメリカと同盟諸国は、これまでに発表された対ロシア経済制裁のうち、エネルギー関連の支払いについては例外とするということで、経済制裁による反動・吹き戻し(blowback)を抑えようとしている。このような例外措置は、西側諸国をエネルギー価格の上昇から守るだけでなく、西側による制裁(かなり厳しい罰則を設けている)の経済的な影響力をある程度維持することになる。

トランプ前大統領の下で文民安全保障・民主政治体制・人権担当国務次官を務めたエリック・ユーランドは「ロシアの経済規模は私たちよりはるかに小さいが、ロシアは欧米諸国の製品やサーヴィスを輸入禁止にするなど、確報復する可能性を持っている。つまり、西側諸国や西側企業からのロシアへの製品輸出禁止に直面する可能性が突如としてできたということになる」と、述べた。

ユーランドは、西側諸国の制裁がすぐに影響を与える分野がある一方で、完全な影響を与えるのに数カ月かかる分野もあると述べた。

ユーランドは更に「これらの影響のいくつかは、より中規模である。そのため、私たちはエネルギー生産とその事業に関するロシアの取引能力を中断するようにしなければならない。短期的な価格の影響に関しては、この制裁の効果が明らかになる3から6ヶ月の期間で見るようにすべきで、即座に顕著な変化はないと思われる」と発言した。

しかし、ロシアには、制裁による経済的な締め付けを緩和するための選択肢や協力者がほとんど存在しない。中国とロシアは経済的に密接な関係を築いているが、中国の銀行の中にはロシアの石油会社向けの取引処理に難色を示すところも既に出ているとタンは指摘している。

タンは「中国の銀行は伝統的に、アメリカの制裁に抵触することを非常に警戒する」と述べた。

=====

多くの多国籍企業がモスクワを罰するためにロシアから撤退(Multinationals flee Russia, punishing Moscow

カール・エヴァース=ヒルストロム筆

2022年2月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/business-a-lobbying/business-a-lobbying/596200-multinational-us-companies-flee-russia-amid-invasion

ロシアによるウクライナへの残虐な侵攻を受け、国際社会の多くのアクターたちがロシアを孤立させようとしている。多くの巨大多国籍企業もその動きに同調し、ロシアからの撤退を進めている。

石油・ガス分野の巨大多国籍企業のBPとシェルは、ロシアで数十億ドル相当の投資を何十年も行ってきたが、ロシアから撤退すると発表した。複数のアメリカの多国籍企業はロシアへの出荷を完全に停止している。

ロシアのウラジミール・プーティン大統領と取引することによる評判の悪化や財務上のリスクを考慮する企業が増えるにつれ、ロシアからの脱出(exodus)は続くと予想される。複数の専門家は、エネルギー企業が巨額の損失を甘受してロシアから撤退する決定を下すことで、失うものが少ない産業分野の企業も即座にエネルギー企業に同調するだろうと分析している。

戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International StudiesCSIS)の国際ビジネス担当部長ビル・ラインシュ「各企業の最高幹部クラスが、政治的なリスクを考慮するだけでなく、ロシアの行動に対して純粋に怒りを感じているのだと私は考えている」と発言した。更には「企業がこれほど早くロシアからの撤退を決断したことに驚いている」とも述べた。

こうした決断の背景には、ロシア政府との関係を断つよう求める世論の大きな圧力がある。また、アメリカとその同盟諸国が発動した大規模な制裁により、各企業がロシア企業とビジネスを行うことが著しく困難になっていることも理由として挙げられる。

シェルは月曜日、約30億ドル相当のロシア国有のエネルギー・プロジェクトへの出資を断念すると発表した。シェルは更に、この措置が資産価値を低下させ、「減損処理(impairments)につながる」と強調した。

シェルの最高経営責任者(CEO)であるベン・ヴァン・バーデンは、「私たちは、ヨーロッパの安全保障を脅かす無意味な軍事侵略行為によって、ウクライナで人命が失われたことに衝撃を受けており、これを遺憾に思う」と声明の中で述べた。

ヴァン・バーデンの声明発表は、長年プーティン大統領を擁護してきたBPが、ロシア国営エネルギー企業ロスネフチの株式20%を売却すると発表した後に行われた。厳しい制裁下で売却は困難であるため、BPがこの投資を償却することになれば、250億ドルもの損失が発生する可能性がある。

BPのヘルゲ・ランド社長は声明の中で、「ロシアのウクライナへの攻撃は、地域全体に悲劇的な結果をもたらしている侵略行為である」と述べた。「BPは30年以上にわたってロシアで事業を行い、優秀なロシア人の同僚たちと協力してきた。しかし、今回の軍事行動は根本的な変化を意味する」と述べた。"

ロシアがウクライナへの攻撃を激化させる中、世界からの孤立も同時に進んでいる。アメリカの運送会社フェデックスとUPSは、ロシアとウクライナ両国への全ての出荷を一時的に停止すると発表した。ドイツのDHLは、安全上の懸念を理由にロシアとウクライナへのサーヴィスを一部停止すると発表した。

海上輸送企業マースクは月曜日、ロシアとの間の輸送を停止する可能性があると発表した。この動きは、ロシアを国際貿易から更に切り離すことになる。デンマークの巨大海運会社マースクは、ウクライナの治安状況を注視し、「ロシアに対して科された、常に変化する制裁と制限に従う準備をしている」と述べた。

ロシアから撤退していない企業は、複雑な制裁をどのように乗り切るかを分析し、ロシアとのビジネスを継続することが制裁による規制上の課題に適合するかどうかを探っていると思われる。

クレムリンのウクライナ侵攻に対応して、アメリカと同盟諸国は、海外に保有するロシア中央銀行の資産約6300億ドルを凍結し、ロシア国有企業の資金調達を阻止し、ロシアの銀行の一部を国際決済システム「SWIFT」から切り離した。アメリカはロシアの国有銀行が米ドルにアクセスできないようにし、ロシアがコンピューターチップやその他の技術を入手できないようにする輸出規制を課した。

わずか数日の間に、この制裁によってロシア経済は崩壊寸前にまで追い込まれた。月曜日の午後、ロシア・ルーブルの価値は1セント以下となり、企業がこの国から撤退する理由がまた一つ増えた。

ヨーロッパ域内の各企業、特に銀行やエネルギー企業は、2014年にクリミア半島を併合したことでアメリカがロシアに制裁を発動した後、一般的にロシアへの投資を制限しようとしたアメリカ企業よりもはるかにロシアへの関与の度合いが高くなっている。

アメリカ通商代表部によると、ロシアはアメリカに輸入される石油の約7%を占めているが、全製品の輸入国としては全体で20位、アメリカ製品の輸出市場としては40位に過ぎない。

ロシアから切り離される場合、アメリカ企業で困難に直面することになるのは少数だ。ボーイングは航空機の製造にロシア製のチタンを長年使用してきたが、他の国から材料を調達できると主張している。ペプシコとマクドナルドはともに、売上の4%前後をロシアとウクライナから得ている。

しかし、他の企業は既に行動を起こしている。デル・テクノロジーズはロシアへのコンピューター販売を凍結すると発表し、デルタ航空はロシアの航空会社アエロフロートとのチケット購入の提携を停止した。アエロフロートはヨーロッパのほぼ全域で飛行を禁止されている。

前出のラインシュは「エネルギー分野を除けば、ロシアは経済の舞台で大きな役割を担っていない。ロシアとの貿易を停止するのは、消費者としても政治的にも賢い行動であり、企業のコストもそれほどかからないだろう」と述べた。

ロシアの攻撃から逃れるウクライナ国民に対して、他のアメリカ企業も積極的に支援している。エアー・B・アンド・Bは10万人のウクライナ人難民に無料で短期間の住居を提供すると発表し、グーグル、メタ、ツイッターは複数のロシア国営企業がウクライナでコンテンツを宣伝することを禁止している。

(貼り付け終わり)

(終わり)

bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ