古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:安倍昭恵

 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 今回の総選挙では自公が215議席と過半数割れとなり、その後、追加公認や自民会派入りをしても、まだ過半数に届かない状況になり、自公連立政権は国民民主党との政策協議を通じて、閣外協力を取り付けることで、政権を維持することになる。国民民主党の玉木雄一郎代表は「対決よりも解決」「自民党のアクセル役に」と述べてきたことから、実質的な事項の補完勢力であって、その役割を果たしていることになる。

 各党がそれぞれに政策協議を行っている様子がメディアで報道されているが、これまでの安倍派清和会一強時代の傲岸不遜、傲慢な形に比べれば素晴らしいことだ。「決める政治」などともてはやされて拙速な決定が尊ばれているが、デモクラシーはそのような拙速なものではない。アメリカの大統領制を念頭にこのような主張がなされてきたが、アメリカでは法案一つ可決するのも大変なことで、党議拘束というものもないので、自分の党から出ている大統領の支持する法案でも反対する議員たちが出るのは当たり前で、その人たちを説得するのが仕事の内ということになる。

 今回の総選挙で、安倍派清和会系の候補者が多く落選した。その中には安倍昭恵氏や高市早苗議員が応援に入った人たちが多くいる。統一教会問題、裏金問題が出る前には栄耀栄華を誇っていたが、ここまで勢力を縮められたというのは、「栄枯盛衰、会者定離」という言葉を思わざるを得ない。

 今回の選挙で自民党は大敗した訳だが、しぶとく当選した人たちもいる。今回の選挙では、自民党一強、安倍派清和会一強で、その状態に胡坐をかいて、日常活動を怠った人たちが多いのではないかと思う。安倍政権下で初当選した自民党政治家の質の悪さについては、「魔の●回生」という言葉が付けられて度々報じられてきた。こうした議員たちが今回の総選挙で落選したとすれば、自民党の体質強化につながると考えられる。

 長い一強支配は腐敗を生む。「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する(Power tends to corrupt and absolute power corrupts absolutely)」というジョン・アクトン卿の言葉が改めて思い出される。人々の「安倍(派)的なもの」に対する拒否感によって日本政治はほんの少しであるが浄化に向かう。これだけでも一つの内閣の命運を賭けるに値する大事業だった。石破茂首相はその賭けに勝ったという見方もできるだろう。

(貼り付けはじめ)

●「高市早苗氏、応援先が「ほとんど落選」報道に憤慨 地方遊説は「党役員をしておられる方々の仕事」と撤退宣言?

10/31() 14:45配信 J-CASTニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/42728343797257222c674aadc9215ab34befaea8

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高市早苗氏(2021年9月撮影)

 自民党の高市早苗衆院議員が20241031日、一部メディアによる「不正確な報道」について、Xで苦言を呈した。

 高市氏は衆院選(27日投開票)で10選を果たすも、その応援演説の効果に言及する報道が注目を集めていた。

■「地上波の民放2局で不正確な報道をして私を叩いていた」

 高市氏は31日、1000文字を超えるポストで自身をめぐる報道に疑問をつづった。「今回の衆院選の私の遊説について、地上波の民放2局で不正確な報道をして私を叩いていた旨を、仄聞しました」と切り出した。

 「例えば、私が関西を中心に30箇所を回ったとか、殆ど落選させてしまったという旨の誤報道」があったとするも、実際には「私が街頭演説や決起大会演説などに伺ったのは、46箇所です」。「遊説地域は、ブロック別では、北海道、東北、北関東、南関東、東京、北陸信越、東海、近畿、九州でした」と全国各地を回っていたと明かした。

 全国を移動していたことから「時間的には限界」だったが、「伺えない選挙区については、個人演説会場で流して頂く応援動画を送信するなど、計62箇所に対応致しました」という。「私も秘書達も、体力の限界まで頑張りました」と選挙戦を振り返った。

 「殆ど落選させてしまった」という報道についても、「もともと情勢調査で大激戦になっていたり、対立候補がリードしている選挙区を選んで回るわけですから、私が演説をしたくらいで楽に当選できるはずもありません」と説明。「残念な結果だった選挙区も多々ありましたが、選挙区当選や比例復活当選ができた選挙区も、それなりの数はありました」とした。

■「次の総裁選目当てだろうなどという下品な報道は、流石に悔しいですね」

 また、今回の衆院選では「役職も無い自民党の1人のヒラ政治家」だったとし、自分の車で回った選挙区では「党本部からガソリン代や高速道路の通行料金が支給されるわけでもなく、長距離を遅刻しないように運転してくれた私の秘書も大変な疲労だったと思います」という。

 「選挙後も、特に党役員から慰労の御言葉を頂いたわけでもなく、ヒラ政治家が勝手にボランティア遊説をしていただけの事」と執行部との距離感をにじませた。

 こうした中での自身についての報道に「次の総裁選目当てだろうなどという下品な報道は、流石に悔しいですね」と憤りを見せた。

 高市氏は3年前の衆院選時には、自民党の政調会長をつとめていたが、「3年前の全国遊説先でも、今年の総裁選を応援して下さった議員は、ごく数名」だという。こうした背景から、「選挙応援は、純粋に党勢拡大を期するもので、3年も後の総裁選などとは無関係」だと強調した。

 「少なくとも心身ともに限界まで頑張った挙句に、不正確な憶測報道をされ、コメンテーターに叩かれるのでは虚しい限り」と落胆している。

 今後については「今後は、党勢拡大など地方遊説は党役員をしておられる方々の仕事と割り切り、ヒラの1議員として政策活動に励みます」と地方遊説を控える意向も匂わせた。
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●「「安倍晋三」の威光に陰り…衆院選で「昭恵夫人応援」候補ボロボロまさかの36敗」

10/30() 11:03配信 日刊ゲンダイDIGITAL

https://news.yahoo.co.jp/articles/9acc531a8f09acf1b820e92c786f1b7cf2e2cd16
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丸川珠代氏と抱き合う昭恵夫人(C)日刊ゲンダイ

 永田町から「安倍印」が激減だ。自公過半数割れという政権与党の大敗に終わった衆院選は、かつて最大派閥を誇った旧安倍派の面々が相次いで落選。安倍元首相の妻・昭恵夫人が応援に駆け付けた候補は36敗の惨状だった。

 昭恵夫人は今回の選挙戦で少なくとも9人の選挙区へ応援入り。公示翌日から、新人の黒崎祐一氏(東京27区)萩生田光一元政調会長(同24区)丸川珠代元五輪相(同7区)世耕弘成前参院幹事長(和歌山2区)石井拓前衆院議員(愛知13区)井原巧前衆院議員(愛媛2区)新人の大空幸星氏(東京15区)下村博文元文科相(東京11区)岸信千世前衆院議員(山口2区)と、駆けずり回っていた。

 昭恵夫人は「主人と一緒に応援して回りたい」と意気込んでいたものの、フタを開けてみれば小選挙区で当選したのは萩生田、世耕、信千世の3氏。大空氏は比例復活した。

 開票後すぐに当確が出たのは、安倍元首相の形見の靴を履いて二階元幹事長の三男との保守分裂戦に臨んだ世耕氏だけ。萩生田氏は次点候補に約8000票差、信千世氏は約1700票差まで追い上げられた。

 ギリギリ逃げ勝った候補がいる一方、旧安倍派幹部だった下村氏、安倍元首相の覚えめでたかった丸川氏は開票直後に落選確実が判明。「安倍」の威光は逆風に勝てなかった。

 丸川氏の応援に駆け付けた際、昭恵夫人はマイクに力を込めて「本当に素晴らしい候補だと確信しております」と語り、「こんなに安倍先生がいないことが悲しく思える時はありません」と涙を流す丸川氏の横で目元を拭っていた。

■ぎこちない昭恵夫人と丸川氏

 ところが、街頭演説が終わった後、2人一緒に聴衆へ駆け寄って握手するのかと思いきや、なぜかバラバラにスタート。最終的に2人そろっての写真撮影に応じ、互いに抱きしめあったが、その姿はどことなくぎこちなかった。

 一通り挨拶を終えた昭恵夫人は、丸川氏が有権者への声かけに歩いて行った方向とは逆方面に歩き始め、さっさと帰路に。すっかり涙も乾いている様子だった。

 来年夏の参院選では、激戦が予想される1人区に旧安倍派の裏金議員も出馬する見込み。またしても昭恵夫人は「主人と一緒に」応援して回るつもりかもしれないが、安倍元首相の威光も長くは続くまい。
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自民旧安倍派3分の120人に 裏金逆風、衆院勢力変化

自民派閥の衆院勢力

20241028 2158分 共同通信

https://www.47news.jp/11689994.html
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 27日投開票の衆院選を経て、自民党内の衆院勢力構図は大きく変わった。派閥裏金事件に多くの前議員が関わった旧安倍派は昨年121日時点の59人から、約3分の120人に激減。旧安倍派と同様、政治資金収支報告書に不記載のあった旧二階派は31人から21人に減らした。

 旧安倍派のうち9人は、裏金事件に関与して自民非公認となり、無所属で立候補した。このうち萩生田光一、西村康稔両氏を除く7人が落選した。

 旧二階派は、自民非公認で出馬した平沢勝栄氏が当選したものの、比例代表との重複立候補が認められなかった武田良太氏が落選した。

 旧岸田派は34人から26人、旧茂木派は32人から27人にそれぞれ減らした。旧森山派は増減なしの7人。党内で唯一、存続している麻生派は公示前の40人から31人となった。
(貼り付け終わり)
(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 

 安倍晋三首相は2019年4月26日にメラニア・トランプ大統領夫人のバースディーパーティーに出席し(おそらく昭恵夫人も)、翌日(2019年4月27日)にはドナルド・トランプ大統領とゴルフを行うという計画だそうです。もちろん首脳会談は行われるでしょうが、その時間はどれくらいあるのか、と疑問を持ってしまいます。1万キロを往復して、いったい何時間首脳会談が行われ、有益な話が出来るのだろうか、疑問です。


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 安倍晋三首相は、外国首脳との個人的な友情関係を外交の一つの重要な要素と位置付けているようですが、トランプ大統領には偏愛的なまでの努力を傾注しているようです。しかし、それがうまく機能しているのだろうかというと、そうではないというのが答えです。

 

 そもそも最高首脳の鶴の一声で外交方針が大転換するというのは、民主政治体制に即した動きではありませんし、個人的な関係で成果を得るというのはもちろん存在する方法ではありますが、それが常道、王道になってはいけません。個人の友情で国歌の方針がぶれるなどということはあってはならないことですし、民主国家同士なら尚更です。

 

 わざわざ喧嘩をする必要はありませんが、へいこらして、「仲良くしてください、何かあったらご憐憫の沙汰をお願いします」とやることは外交ではありません。トランプ大統領も世界各国の指導者たちと会って値踏みをしているでしょうが、安倍晋三という人物には「使い勝手の良い捨て駒」以上の評価はしていないでしょう。「ちょっと脅せば、何でも買うし、金も出す」というのは友人同士でもありません。

 

 そもそもが2016年の米大統領選挙で民主党のヒラリー・クリントンが勝利すると見越して、そちらの方ばかりに注意を向けていたために、番狂わせでトランプ大統領が当選してしまったことで、安倍首相と日本政府は大分慌てたようです。アメリカ国内、世界中でトランプ当選を予想していた人たちは少ないのですから、それ自体は責められませんが、その後の慌てぶりは酷いものでした。

 

 結果として、その慌てぶりをトランプ大統領側に利用されるような形になっています。やらなくても良いことをわざわざやって、自ら墓穴を掘っているようです。


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 それにしてもトランプ大統領に何とか取り入ろうとしている姿は見苦しい限りです。孫娘が日本大使館に来ると分かったら、慌てて、その女の子がお気に入りのピコ太郎を呼ぼうとして失敗したり、ほぼ成果がないのに北朝鮮との外交を理由にしてノーベル平和賞にトランプ大統領だけを推薦したり、そんなに阿諛追従をしなければならないのかと情けなくなるばかりです。


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 個人的な友情関係を外交に展開するということは、一歩間違えば、相手の侮蔑を買い、かえって舐められて終わりということになります。安倍首相が身をもって教えてくれるこの事実を日本はこれから教訓として活かしていかねばなりません。

 

(貼り付けはじめ)

 

最高級ゴルフクラブと誕生日の豪華なパーティー:安倍首相のトランプ大統領の機嫌の取り方(Gold-plated golf clubs and birthday bashes: How Abe courts Trump

―他の世界の指導者よりも、その結果は複雑なものではあるが、日本の首相はドナルド・トランプ大統領との関係を近づけようと努めている。

 

エリアナ・ジョンソン筆

2019年4月17日

『ポリティコ』誌

https://www.politico.com/story/2019/04/17/trump-shinzo-abe-melania-birthday-japan-1278635

 

日本では2019年5月1日に新しい新天皇が即位する。この時、日本の安倍晋三首相は少し時差ボケを感じているかもしれない。

 

現代の日本にとって最も重要な儀式の一つのわずか4日前、安倍首相は世界中ジェット飛行機で飛び回り、重要な使命のために日本に戻る計画になっている。天皇の即位はローマでの新法王の選挙と同じである。彼の旅の目的は、ドナルド・トランプ大統領との関係を維持するということだ。

 

安倍首相の36時間、6700マイルを越える旅の内容について、計画に詳しい2人の取材源は次のように語っている。2019年4月26日の金曜日にメラニア・トランプ大統領夫人の49回目の誕生日のお祝いに出席し、翌日には大統領とゴルフをプレーする。これは安倍首相がアメリカ合衆国大統領との関係を構築しようとしてきた長年の努力を象徴するものである。

 

安倍首相は2012年に首相に就任し、米日同盟関係を強化することを決意し、アメリカ大統領との個人的な友情関係を構築することが外交上の妥協を得るための方法だという確信を得た。2年以上にわたるご機嫌伺いの中で、安倍首相はトランプタワーで大統領選挙当選直後のトランプに面会した際に最高級のゴルフクラブを贈った。また最近では、トランプ大統領のツイッター上の投稿での情報でしかないが、安倍首相は北朝鮮との核兵器をめぐる外交交渉を理由にして大統領をノーベル平和賞に推薦したということだ。

 

これらの動きは、安倍首相とトランプとの関係において、安倍首相の方に大きな利害があることが反映している。彼が率いる島国である日本は台頭する中国からの防衛をアメリカに依存している。トランプが導入すると主張している自動車輸入への関税に恐怖し、鉄鋼とアルミニウムに既に課されている関税を撤回させようと努力している。

 

日本はアメリカとの貿易交渉を開始している。日本の代表団はワシントンに到着し、月曜日と火曜日にトランプ政権の通商代表ロバート・ライトハウザーと会談を持った。安倍首相はトランプからの関心を維持しようと努力を増大させている。トランプ大統領は5月と6月に続けて日本を訪問することで日本側の恩義に報いようという計画を立てている。日本政府の関係者たちは、気まぐれな大統領がどういった人々に依存しているのかということを理解し、接触しようと試みている。

 

東アジア専門家で政治学者でもあるワシントン・カレッジのアンドリュー・L・オロスは次のように語っている。「安倍首相の政策ティームは長い時間を割いてトランプ大統領の発言、ツイートも含めて言葉遣いを詳細に調べ上げている。政策ティームは、安倍首相と日本の代表団に対して話す際のポイントをトランプ大統領の言葉遣いを真似て指南している。これは、交渉の準備をする際に政策にかかわる問題のニュアンスや詳細について指南する従来のやり方は対照的なものである」。

 

安倍首相の目的の一部は経済的厄災を避けることだ。貿易に関する交渉、そして大統領が日本に自働車に関税をかけてダメージを与えるかどうかを決断することは、お友達関係を維持するか、壊すかの重要な問題となる。

 

戦略国際問題研究所(CSIS)のアジア担当上級副所長で日本部長であるマイケル・グリーンは次のように語っている。「安倍首相の周辺が私に語っているのは、トランプ大統領が自動車関税を導入するなら、安倍首相は必ず反撃をするということだ。これについては日本側を非難できない。これまでトランプ大統領が日本にやってきたこととは異なり、これは日本に対する侮辱であり、日本にダメージを与えることである」。

 

日本にダメージを与える決断が行われることを防ぐ、加えてその他の政策目的を達成するために、安倍首相と安倍首相周辺は非公式のトランプ専門学者(Trumpologists)となっている。日本政府高官たちに実際に接触のあった学者たちによると、彼らはアメリカの学者たちに対して、トランプ大統領を喜ばせる最善の方法は何かを教えてくれるように依頼している、ということだ。学者たちから得た助言には以下のようなものがあった。トランプ大統領に最も近いアドヴァイザー陣の中にいる大統領の家族に接触する。

 

グリーンは、日本政府は当初、トランプ大統領の娘婿で上級顧問のジャレッド・クシュナーが中国の大富豪たちとクシュナー家の不動産ビジネスを通じて緊密な関係を持っていることで、地域のライヴァル国である中国がトランプ政権と緊密な関係を築くことを懸念していたと述べている。グリーンは次のように述べている。「日本政府関係者たちはニューヨークに在住する中国人の大富豪たちと不動産ビジネスを通じて大変に緊密になっていることを懸念していた。アメリカへの偏愛と戦略的な関心は、中国がトランプ政権にとって最大の関心を勝ち取ることを阻止するということにつながった」。あるホワイトハウス関係者は「ジャレッドは中国の大富豪たちと同様に多くの日本の大富豪たちとも親しい。彼との関係で彼の政府で行う仕事に何かしら影響を与えることが出来ると考えるのは馬鹿げている」と述べている。

 

トランプ大統領の周囲を喜ばせようとして、日本政府は、2017年にワシントンの日本大使館で催された桜まつりのお祝いに、エンターテイナーの「ピコ太郎」をわざわざ招待した。ピコ太郎はトランプの孫娘アラベラ・クシュナーのお気に入りであった。この催しにはイヴァンカと2人の子供も出席した。その中にはアラベラも含まれていた。ピコ太郎は渡米が出来ず、ヒットした歌をその場で披露することが出来なかったが、イヴァンカ・トランプとあるアラベラのために撮影したヴィデオ映像が流された。

 

日本の外交官たちは、トランプ大統領が2019年5月末に訪日し即位したばかりの新天皇と会見することになっているが、この時にホワイトハウスの高官たちとアメリカの学者たちにどうすれば大統領の印象に残るかということを問い合わせている。ちなみに天皇の即位は1989年以来のことだ。アイディアには以下のようなものがある。トランプ大統領夫妻を東京の中心部にある皇居でのお茶会に招待する、そして、天皇の神聖な邸宅である皇居に立ち入ることを許されている人はほぼいないが、トランプ大統領夫妻に対して、特別に内部を見学するツアーを行う。

 

6月末にG20先進国サミット年次総会が、安倍首相がホストとして大阪で開催される予定で、トランプはこの時に日本に戻る予定だ。

 

安倍首相の個人的な外交関係のモデルは、アジア、中東、ヨーロッパ各国の指導者たちの外交姿勢を反映している。指導者たちはトランプ大統領を追いかけ、深い個人的なつながりを構築し、それを外交につなげようとしている。このようにしてトランプ時代に形が変わった政治のやり方をやっていこうとしている。,個人的な関係と大袈裟な甘言が国益をめぐる戦略に組み込まれている。

 

これらの国々の間には競争心が存在する。トランプ大統領が日本を訪問する際、安倍首相と側近たちは地域のライヴァルである中国に勝ちたいと願っている。中国はトランプ大統領が大統領就任後初の外遊先として2017年に訪問した国だ。この時、習近平主席はトランプ大統領夫妻に紫禁城内部を案内した。その後、夫妻は一流の中国のオペラとアクロバットを鑑賞した。

 

ホワイトハウスに勤務していたある人物によると、中国訪問後にトランプ大統領は「私たちは中国を警戒する必要があるようだ」と述べたということだ。余り感動することがないトランプ大統領は中国で見た、中国の子供たちと中国の伝統衣装を着たパフォーマーたちによるオペラとパフォーマンスを見て驚いたようだ。アメリカにも同じくらいのものがあるはずだと大統領は考え、「そうだ、アメリカのロケッツ(Rockettes、訳者註;ニューヨークを拠点とするダンスティーム)みたいだ・・」とつぶやいた。

 

ここで出てくる疑問は、日本側はその努力に見合った見返りを得ているかどうか、ということだ。安倍首相を批判する人々は、安倍首相の阿諛追従は成果を生み出していないとこき下ろしている。トランプ大統領は2018年3月に数か国に対して鉄鋼とアルミニウムの輸出に関税をかける際に、日本を除外することを拒絶した。安倍首相と周辺の人々は、トランプ大統領が北朝鮮の指導者金正恩委員長との外交で手のひら返しに恐怖感を持っている。トランプ大統領は金委員著を「リトル・ロケットマン」と酷評していたのに「大変に頭の切れる」指導者と称賛するようになった。安倍首相率いる日本政府は、日本上空を通過するミサイルテストを複数回にわたって実行した金委員長に対して信頼感を持っていない。そして、金委員長が核兵器開発プログラムを放棄することを望んでいる。そして、日本の要求とは見合わない内容の合意をトランプ大統領が北朝鮮側と結ぶのではないかという恐怖心を持っている。

 

そのため、トランプ大統領が2019年2月に、安倍首相が金委員長との核兵器をめぐる外交を行ったことを理由にしてトランプ大統領をノーベル平和賞に推薦したことを発表した後、安倍首相はそのこと自体を否定しなかった。安倍首相は疑念を持った国会議員たちに対して、「トランプ大統領とは緊密に協力している」が、「そのことは事実ではない、とは言わない」と発言した。

 

安倍首相を擁護する人々は、トランプ大統領が行っていない行為について指摘している。2016年の大統領選挙期間中、トランプは日本が自国の防衛力の構築に失敗していると非難し、日本と韓国は核兵器の開発を考慮すべきだと提案した。

 

トランプは2016年3月に『ニューヨーク・タイムズ』紙とのインタヴューで次のように語った。「北朝鮮が頭を上げるたびに、日本からの救助要請を受ける。その他のあらゆる場所からも要請を受ける。そして、何かして下さいと言われる。しかし、いつか私たちには何もできない日が来るだろう」。

 

トランプ大統領は左派である韓国の文在寅大統領とはより冷たい関係になっている。トランプ大統領はオーヴァルオフィス(大統領執務室)から韓国を批判している。一方、日本に対しては国防費の増額の要求を止めている。

 

現代アジアを専門とするスタンフォード大学フーヴァー研究所研究員マイケル・オースリンは次のように語っている。「トランプ大統領は日本との同盟関係で日本側に対して更に予算を出すように求めたことはない。韓国との同盟に関してはそのように述べたことはあるが、日本に関してはない。従って、日本政府はトランプ大統領を伝統的な日米関係の枠組みの中に入れ込むことに成功しているのだ」。

 

オースリンは、2016年の大統領選挙でヒラリー・クリントンが勝利して大統領になると予想してそのための準備をしており、クリントンのアドヴァイザーたちとの関係を構築しながら、トランプのティームは無視したために、トランプ勝利後は、最大限の両手を挙げての最大限の暖かい抱擁を行うしかなかった、と述べている。オースリンは、トランプが勝利したので、安倍首相は「行き着くところまで登るしか選択肢がなくなった」と述べている。

 

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 古村治彦です。

 

 今回は、2017年にアメリカのドナルド・トランプ大統領と家族に贈られた贈り物についての記事をご紹介します。アメリカ大統領に対して外交上の儀礼として贈り物をすると、アメリカの国庫に収められ、大統領が個人で欲しい場合には、市場価格で買い取るということみたいです。


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 2017年、トランプ大統領と家族に贈られた贈り物の総額は14万ドル(約1500万円)だったそうです。最も高額だったのは、中国の習近平国家主席から贈られた磁器製の食器セットと書だったそうです。中国の勢いはこういうところにも出ています。中東諸国もイメージ通り、高額の贈り物を贈っています。もっとも彼らからすれば、もっと高額のものを贈ることが出来るのでしょうが、突出しないように気を使っているのでしょう。

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 各国は自国のブランドをアピールする機会ととらえているようです。日本の場合は、安倍昭惠夫人がメラニア夫人に真珠で有名なミキモトの装飾品を贈ったようですし、ベルギー首相はベルギーのブランドのハンドバッグを贈ったようです。

 

 写真を探してみたのですが、贈り物の写真は見つかりませんでした。どんなものだったのか興味があります。

 

(貼り付けはじめ)

 

2017年に外国の指導者たちはトランプ家に14万ドル以上の贈り物をした(Foreign leaders gave Trump family over $140K in gifts in 2017: report

 

エイヴェリー・アナポル筆

2019年3月7日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/432987-foreign-leaders-gave-trump-family-over-140k-in-gifts-in-2017-report

 

トランプ・ファミリーは、トランプ大統領就任後の最初の1年で、外国の指導者たちから総額14万ドル以上の贈り物を受け取った。

 

AP通信によれば、こうした贈り物の中には、ヴェトナム首相から贈られた1880ドルもする宝石をあしらったトランプ大統領の肖像画も含まれている。

 

大統領への贈り物に関する国務省の年次報告書は木曜日に連邦官報として発表される、とAP通信が報じた。

 

外国の指導者たちがアメリカ大統領に外交上の会談などを通じて豪華な贈り物をするというのは伝統になっている。2014年、オバマ前大統領は外国の指導者たちから150万ドル以上総統の贈り物を受け取った。

 

贈り物は全て国庫に収められることが法的に取り決められている。大統領が個人的に市場価格で買い取りたいと思うもの以外は国庫に収められる。

 

AP通信は、トランプ大統領への贈り物の中には、個人名入り、きわめて個人的なものが含まれていると報じた。例えば、ポーランド大統領は、「ニューヨークのドナルド・J・トランプ大統領」と題された、トランプ大統領とトランプタワーの写真が掲載された写真アルバムを贈った。

 

64ページになる報告書に記載された贈り物の中で最も高額なのは、トランプ大統領が所有するビーチリゾート、マーラゴのイメージがプリントされた磁器製の洋食器セットで1万6250ドル相当である。次に高額なのは1万4400ドル相当の書であった。これらは共に中国の習近平国家主席からの贈り物で、AP通信が特に報道している。

 

トランプ家はまた中東諸侯の指導者たちから数千ドル相当の贈り物を受け取った。サウジアラビアのサルマン王からは6400ドル相当のルビーとエメラルドがあしらわれたペンダントのついたネックレス、エルサレムの嘆きの壁(Western Wall)を管理する聖職者(rabbi)から4500ドル相当のトランプ家の名前入りの『詩篇(Psalms)』のハードカヴァー本を受け取った。トランプ大統領はイスラエルのアメリカ大使館をエルサレムに移すことを決めた。

 

AP通信は、メラニア・トランプ大統領夫人と娘で補佐官でもあるイヴァンカ・トランプは多くのデザイナーのハンドバッグと艶やかな刺繍が施された衣装を贈られた、と報じている。

 

=====

 

サウジアラビアと中国を含む外国の指導者たちがトランプ大統領に豪華なプレゼントを贈り、総額は14万ドルに達した(Foreign leaders, including from Saudi Arabia and China, lavish Trump with $140,000 in gifts

―サウジアラビアのサルマン王から贈られた6400ドル相当のルビーとエメラルドをあしらったペンダントのついたネックレスを含む外交関係で贈られた豪華な品々

 

2019年3月7日

AP通信

https://www.nbcnews.com/politics/donald-trump/foreign-leaders-including-saudi-arabia-china-lavish-trump-140-000-n980126?

 

ワシントン発。外国の指導者たちは、大統領就任後の最初の1年間でドナルド・トランプ大統領と彼の家族に14万ドル以上の贈り物を贈った。中国とサウジアラビアが最も豪華な贈り物を贈った。

 

国務省の贈り物の金額に関する年次報告書によると、中国の習近平国家主席はトランプ大統領とメラニア夫人に、2017年中最も高額なプレゼントを贈った。習主席が送ったのは、華麗に飾り付けられた書とそれを入れる化粧箱でその価値は1万4400ドルである。そして、16250ドル相当の磁器製の食器セットも贈られた。食器にはトランプ大統領所有のマーラゴ・リゾートにあるピンクハウスが描かれていた。トランプ大統領への贈り物と同様に、メラニア夫人、娘のイヴァンカ、義理の息子レッド・クシュナーへの贈り物も国庫に収められる。

 

サウジアラビアとペルシア湾岸諸国はトランプ家に対して少なくとも総額2万4120ドル分の贈り物を贈った。サウジアラビアのサルマン王からは、6400ドル相当のルビーとエメラルドがあしらわれたペンダントのついたネックレスが贈られた。バーレーンの王太子からは4850ドル相当の黄金製の戦闘機のモデルが贈られた。アラブ首長国連邦の王太子からは、3700ドル相当のアフリカのオリックス三頭の銅像が贈られた。クウェート首長からは1610ドル相当の金メッキされたクウェートのコインが贈られた。オマーンの副首相からは1260ドル相当のワニ革が使われているケースに入ったロイヤル・パヒュームが贈られた。

 

木曜日に連邦官報として国務省儀典局が発表した64ページの年次報告書によると、トランプ大統領一家への贈り物という点では、中東の他の国々から贈り物はなかった。

 

トランプ家は、エルサレムの嘆きの壁を管理する聖職者から4500ドル相当のトランプ家の名前入りの『詩篇』のハードカヴァー本を受け取った。聖墳墓教会(Church of the Holy Sepulchre)からは、5800ドル相当の金とダイアモンドをあしらったネックレスとペンダント、エルサレムのギリシア正教会(Greek Orthodox)総大主教からは4200ドル相当のキリスト降誕の置物が贈られた。

 

パレスティナ自治政府大統領のマフムード・アッバースも、アメリカとパレスティナとの関係をトランプ政権が悪化させる前から、トランプ大統領には豪華なプレゼントを贈っていた。アッバースはトランプ大統領とメラニア夫人に、ネオビザンティン様式のキリスト降誕の置物、メラニア夫人の上半身の肖像画と写真、全部で6770ドル相当を贈った。

 

トランプから気に入られていないその他の世界の指導者たちも2017年に贈り物をしている。ドイツのアンジェラ・メルケル首相、フランスのエマニュエル・マクロン大統領、カナダのジャスティン・トルドー首相がその代表である。メルケルはトランプ家に5264ドル相当のモンブラン製のペンと紙を贈った。マクロンは1100ドル相当の1783年当時のアメリカの地図を贈った。トルドーは450ドル相当の王冠をかぶった雄ライオンの砂岩の彫像を贈った。

 

外国の指導者たちからの贈り物の中には、大統領の関心を誘おうとするものがあった。ヴェトナム首相からは1880ドル相当の宝石の原石で作られたアメリカ国旗の前に立つトランプ大統領の肖像画が贈られた。ポーランド大統領からは850ドル相当の「ニューヨークのドナルド・J・トランプ大統領」というタイトルの写真集が贈られた。この写真集にはトランプ大統領の白黒の写真と多色刷りの写真が掲載されている。

 

外国の指導者たちから大統領夫人に贈られる贈り物としては、衣装、芸術品、宝飾品、アクセサリーが多い。

 

日本の首相夫人は2200ドル相当のミキモト製のダイアモンドと真珠があしらわれたイアリングと3000ドル相当の金とアクリルの絵画を贈った。イタリア首相はメラニア夫人に3400ドル相当のフェラガモのハンドバッグを贈った。ベルギーの首相とパートナーはメラニア夫人に2つのハンドバッグを贈った。共にデルヴォーのもので、それぞれ1020ドルと2273ドル相当であった。イヴァンカ・トランプもまたベルギー首相から1023ドル相当のデルヴォーのハンドバッグが贈られた。サウジアラビア政府は、メラニア夫人とイヴァンカに豪華な服を贈った。その中の一着は伝統衣装のアバヤで1500ドル相当であった。

 

イヴァンカ・トランプの配偶者クシュナーは、2017年に外国政府高官から6つの贈り物を受け取ったと報告した。その中で最も高額だったのは、ヨルダン国王から贈られた3630ドル相当の万年筆であった。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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 古村治彦です。

 

 『ニューヨーク・タイムズ』紙のウェッブサイト版の女性に関するページ「Women in the World(世界における女性たち)」に面白い記事が掲載されました。

 

 それは、「日本のファーストレイディーは、トランプとの会話を避けるために、英語がしゃべれないふりをしたのか?」というタイトルの記事です。記事の内容を以下にまとめてご紹介します。

 

(貼りつけはじめ)

 

Did Japan’s first lady pretend she doesn’t speak English to avoid talking to Trump?

 

2017/07/20

WITW Staff

http://nytlive.nytimes.com/womenintheworld/2017/07/20/did-japans-first-lady-pretend-she-doesnt-speak-english-to-avoid-talking-to-trump/

 

(貼りつけ終わり)

 

 ニューヨーク・タイムズ紙の政治記者マギー・ハーバーマンがドナルド・トランプ大統領にインタヴューを行い、その中で、先日のG20サミットの様子についてトランプが話をしました。G20サミットでは20各国の指導者たちと配偶者たちが集まり(40名)、その他にEUの最高幹部たちやIMFのラガルデ専務理事もいたので、50名ほどになった。世界各国からのメディアも来ていて、みんなでたくさんの写真を撮った。

 

 オペラを皆で見に行った、その後に夕食会となった。トランプ大統領の隣は、安倍昭恵夫人が座った。トランプ大統領は、「安倍首相も昭恵夫人も素晴らしい人たちだが、昭恵夫人は英語がしゃべれない」とインタヴューで述べています。ハーバーマン記者が「全く、ゼロ?」と驚くと、トランプ大統領は「ハローさえ言えないくらい」と答え、「その席にいるのは大変だったでしょう」とハーバーマン記者が質問し、「大変だった、だって、その席にどれくらい座っていたと思う?」とトランプ大統領は答え、「何時間もでしょう」とハーバーマン記者が言い、「1時間45分だった」とトランプ大統領が答えました。


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 このインタヴューが出た後、昭恵夫人に対して、奇妙な評価が出てきました。昭恵夫人は先日の安倍首相の訪米に同行し、メラニア夫人と日本庭園を訪れたり、フロリダ州のマーアラゴ・リゾートで夫妻同士で夕食を楽しんだりしました。この時の様子は写真や映像に残されています。この時の様子から、「昭恵夫人が英語ができないというのはおかしい、この時にはちゃんと英語でコミュニケーションを取っている」ということになりました。

 

 そこで、アメリカ国内のフェミニストたちは、「昭恵夫人はトランプ大統領と話をしたくないために、英語ができないふりをした」という解釈をし、彼女は素晴らしいということになりました。

 

 私も昭恵夫人が聖心学園で教育を受けたという経歴を持っている以上、同世代の人々よりも英語や外国人に接する機会が多かったと考えますので、昭恵夫人が、「ハローも言えないほど」に英語ができないということは考えにくいと思います。また、立教大学大学院でミャンマーの教育に関する研究で修士号を取得し、ミャンマーも訪問していることを考えると(ミャンマーはイギリスの植民地であったことを考えると)、英語が全くできないというのはないと思います。

 安倍昭恵夫人が英語でスピーチを行っている映像も見ましたが、英語が全くできない人だとはとても思えませんでした。発音などは安倍首相よりも上手でした。あれだけきれいな発音なら、難しい議論はできないにしても、あいさつや楽しい会話はできると思います。


 

 しかし、G20の夕食会で、隣り合ったトランプ大統領と全く会話をしなかった、英語が出来ないふりをしたというのはおかしいと思います。また、彼女の人懐こい性格から考えて、たとえ言葉ができなくても、何とかコミュニケーションを取ろう、その場にいる人たちを楽しませようとするだろうことは容易に推測できます。

 

 ですから、昭恵夫人がトランプ大統領を約2時間もほったらかすということは考えにくいのです。しかし、実際にトランプ大統領はそう感じた、そして、彼女は英語ができないのだと考えたということです。

 

 なぜ昭恵夫人がトランプ大統領と話さなかったのか、ということが疑問として残ります。英語ができないからということはおそらく理由ではありません。それでは、フェミニストが言うように、女性蔑視をするトランプ大統領が嫌で話さなかったということがあるでしょうか。彼女は自分に批判的、敵対的な人たちとも話をしてきました。ですから、トランプ大統領が嫌いだから話さないということはないように思われます。

 

 昭恵夫人は2月以降、森友学園問題や秘書の業務に関して、大きな批判を受けてきました。そのために昭恵夫人の行動にメディアの関心も集まるようになりました。結果として、彼女の「天然」な行動も報道されるようになりました。

 

 また、安倍首相の訪米では、安倍首相自身はお酒を飲まないが、昭恵夫人はお酒をたしなむので、トランプ大統領夫妻との夕食の席上、一人でワインを飲み過ぎて、周囲をあきれさせたということも報道されました。緊張状態で、自分が頑張らねばと思うと、アルコールが回ってしまって、いつもよりも酔ってしまうのが速くなるということもあったとは思いますが、外交上の礼を失する行動であったということも言われました。また、昭恵夫人は誰に対しても物怖じしませんから、トランプ大統領に何かとんでもないことを言う可能性を周囲は心配したでしょう。

 

 従って、今回は昭恵夫人には特に厳しく、いつものように振る舞うのではなく、おとなしく、目立たないようにするよう、という注意がなされていたのでしょう。そして、その注意を忠実に守ろうとして、トランプ大統領をほおっておくということになったのだと思います。こう考えると、昭恵夫人は非常に不器用なように感じられます。

 

 しかし、もしこれが計算でなされたのだとすると大変な策士であると言わねばなりません。注意をした人々に対してやり返してやろう、鼻を明かしてやろうということで、わざとトランプ大統領を無視するような行動を取ったということになれば、大変な計算です。「私を押さえつけようとするなら、それに従いますよ」ということで、徹底的におとなしく、やり過ぎなほどにおとなしくして、かえって問題になるということになれば、今度は、おとなしくするように注意した人たちに「どうしてそういうことを言ったのだ」という批判が向かいます。

 

 「おとなしくしてほしい」という注意を逆手にとっての報復、ということになると、これはこれで大変なことです。

 

 真相が何かは分かりません。


 しかし、トランプ攻撃のために何でも使われるものだなぁと感心させられます。

 

(終わり)




アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12





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 古村治彦です。

 

 今回はワシントン・ポスト紙が報じた森友学園を巡るスキャンダルの記事をご紹介します。このスキャンダルは籠池氏が宣誓証言をしたことで、彼の発言の重要性が増し、終息には向かわないであろうと書かれています。

 

 また稲田大臣の森本学園とのかかわりを巡る発言の混乱で、辞任を求める声が広がっていることが紹介されています。

 

 このスキャンダルは、今週末にどのような動きを見せるか、具体的には、日本維新の会の党内(大阪ウイングとそれ以外)と党外(対自民党、対公明党)でどのような動きを見せるかで来週に色々と動きが出ることが予想されます。そうなれば、ワシントン・ポスト紙の記事でフィールド記者が書いているように、この問題はすぐには終息しないということになります。

 

(貼り付けはじめ)

 

日本の安倍首相は極右の学校に秘密の寄付をしたと追及される(Japanese Prime Minister Abe accused of giving secret donation to far-right school

 

アンナ・フィールド筆

2017年3月23日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/japanese-nationalist-school-boss-says-prime-minister-gave-him-a-secret-donation/2017/03/23/5d8f5322-0fdc-11e7-ab07-07d9f521f6b5_story.html?utm_term=.97d7be43983d

 

東京発。日本の首相を巡る政治論争は終息の兆しを見せない。国家主義的な学校の理事長が木曜日、宣誓をした上で、安倍晋三首相が彼に対して9000ドルの寄付をしたと述べた。

 

この嫌疑について安倍首相は強く否定しているが、これまで無敵だと見られてきた首相にダメージを与えている。今回のスキャンダルによって支持率が低下し、来月に解散総選挙をするのではないかという噂話が流れている。

 

今回の論争の中心にいるのは大阪の学校法人である森友学園である。森友学園は幼稚園を運営している。この幼稚園では、園児たちに、日本の近隣諸国に対して強硬な姿勢を撮っている安倍首相を応援させ、「邪悪な」韓国人と中国人と書いた文書を送った。

 

森友学園は小学校開設を計画していた。この小学校はもともと「安倍晋三記念小学校(Shinzo Abe Memorial Elementary School)」という名前を付けられていた。そして、安倍昭恵首相夫人を名誉校長に就任してもらっていた。

 

しかし、今年初め、森友学園が学校用地の土地を大幅な値引きを受けて購入していたことが発覚した。土地の価格は評価額の14%にまで引き下げられた。

 

格安の国有地売却によって、首相のイデオロギー上の同盟者のために好待遇をしたのではないかという疑いが広がった。

 

森友学園理事長籠池泰典氏は木曜日、国会の2つの委員会に出席し、安倍昭恵夫人が夫の代理で自分に寄付をくれたという主張を繰り返した。しかし、今回は籠池氏は宣誓をして発言をした。

 

籠池氏は参議院予算委員会で「安倍夫人は私どもの幼稚園に三回お越しになりました」と述べた。2015年9月の訪問で、籠池氏は安倍夫人と延長室で会ったと述べた。

 

籠池氏は「お付の方に席を外すように言われた後、部屋には私ども2人だけになりました。そこで、夫人は、“どうぞ、これをお取りください。安倍晋三からです”と私に仰って、100万円の入った封筒を寄付として私に下さいました」と述べた。この金額は現在の為替レートでは約9000ドルに相当する。

 

籠池氏は「安倍夫人は寄付を渡したことを否定され、全く覚えがないと仰っているとお聞きしましたが、私どもにとっては大変名誉なことですから、私ははっきりと覚えております」と述べた。

 

安倍首相の最側近である菅義偉官房長官は再び、疑いを否定した。そして、木曜日、安倍夫人に付いていた2人の政府職員は両方とも夫人の側を離れたことはないと否定した。もし2人が離れていれば籠池氏は安倍夫人とだけ会うことができたがそうではないということだ。

 

この問題について安倍昭恵夫人は木曜日夜に沈黙を破り、疑いに対する否定をフェイスブックに反論を掲載した。

 

スキャンダルの渦中、来月開講予定であった小学校開設認可申請は取り下げられ、森友学園は土地の返還を強制される。

 

しかし、籠池氏の証人喚問はいくつかのテレビチャンネルで放送され、疑いが再び明確にされた。これによって今回の論争がすぐに終息するということはなくなったと言える。

 

今回のスキャンダルでは安倍昭恵首相夫人が渦中の人物となっているが、これに加えて、安倍内閣の防衛大臣で超保守派の政治家稲田朋美もスキャンダルに巻き込まれている。

 

稲田朋美大臣は、彼女が弁護士時代、森友学園の代理人であったことを否定した。しかし、先週になって、2004年になって森友学園のために働いていたことを認めさせられることになった。稲田大臣はこのことを忘れていたと述べ、謝罪した。しかし、発言の撤回によって、稲田大臣の辞任を求める声が広がっている。

 

今回のスキャンダルは、安倍政権の支持率の引き下げに重要な影響を与えた。安倍政権の支持率はここ数週間で10ポイント下がった。2012年末に首相になってから最大の下げ幅になった。しかし、保守的な読売新聞の最新の世論調査では、支持率自体は56%と依然高いままだ。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)








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