古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:安倍晋三

 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 今回の総選挙では自公が215議席と過半数割れとなり、その後、追加公認や自民会派入りをしても、まだ過半数に届かない状況になり、自公連立政権は国民民主党との政策協議を通じて、閣外協力を取り付けることで、政権を維持することになる。国民民主党の玉木雄一郎代表は「対決よりも解決」「自民党のアクセル役に」と述べてきたことから、実質的な事項の補完勢力であって、その役割を果たしていることになる。

 各党がそれぞれに政策協議を行っている様子がメディアで報道されているが、これまでの安倍派清和会一強時代の傲岸不遜、傲慢な形に比べれば素晴らしいことだ。「決める政治」などともてはやされて拙速な決定が尊ばれているが、デモクラシーはそのような拙速なものではない。アメリカの大統領制を念頭にこのような主張がなされてきたが、アメリカでは法案一つ可決するのも大変なことで、党議拘束というものもないので、自分の党から出ている大統領の支持する法案でも反対する議員たちが出るのは当たり前で、その人たちを説得するのが仕事の内ということになる。

 今回の総選挙で、安倍派清和会系の候補者が多く落選した。その中には安倍昭恵氏や高市早苗議員が応援に入った人たちが多くいる。統一教会問題、裏金問題が出る前には栄耀栄華を誇っていたが、ここまで勢力を縮められたというのは、「栄枯盛衰、会者定離」という言葉を思わざるを得ない。

 今回の選挙で自民党は大敗した訳だが、しぶとく当選した人たちもいる。今回の選挙では、自民党一強、安倍派清和会一強で、その状態に胡坐をかいて、日常活動を怠った人たちが多いのではないかと思う。安倍政権下で初当選した自民党政治家の質の悪さについては、「魔の●回生」という言葉が付けられて度々報じられてきた。こうした議員たちが今回の総選挙で落選したとすれば、自民党の体質強化につながると考えられる。

 長い一強支配は腐敗を生む。「権力は腐敗する、絶対的権力は絶対に腐敗する(Power tends to corrupt and absolute power corrupts absolutely)」というジョン・アクトン卿の言葉が改めて思い出される。人々の「安倍(派)的なもの」に対する拒否感によって日本政治はほんの少しであるが浄化に向かう。これだけでも一つの内閣の命運を賭けるに値する大事業だった。石破茂首相はその賭けに勝ったという見方もできるだろう。

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●「高市早苗氏、応援先が「ほとんど落選」報道に憤慨 地方遊説は「党役員をしておられる方々の仕事」と撤退宣言?

10/31() 14:45配信 J-CASTニュース

https://news.yahoo.co.jp/articles/42728343797257222c674aadc9215ab34befaea8

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高市早苗氏(2021年9月撮影)

 自民党の高市早苗衆院議員が20241031日、一部メディアによる「不正確な報道」について、Xで苦言を呈した。

 高市氏は衆院選(27日投開票)で10選を果たすも、その応援演説の効果に言及する報道が注目を集めていた。

■「地上波の民放2局で不正確な報道をして私を叩いていた」

 高市氏は31日、1000文字を超えるポストで自身をめぐる報道に疑問をつづった。「今回の衆院選の私の遊説について、地上波の民放2局で不正確な報道をして私を叩いていた旨を、仄聞しました」と切り出した。

 「例えば、私が関西を中心に30箇所を回ったとか、殆ど落選させてしまったという旨の誤報道」があったとするも、実際には「私が街頭演説や決起大会演説などに伺ったのは、46箇所です」。「遊説地域は、ブロック別では、北海道、東北、北関東、南関東、東京、北陸信越、東海、近畿、九州でした」と全国各地を回っていたと明かした。

 全国を移動していたことから「時間的には限界」だったが、「伺えない選挙区については、個人演説会場で流して頂く応援動画を送信するなど、計62箇所に対応致しました」という。「私も秘書達も、体力の限界まで頑張りました」と選挙戦を振り返った。

 「殆ど落選させてしまった」という報道についても、「もともと情勢調査で大激戦になっていたり、対立候補がリードしている選挙区を選んで回るわけですから、私が演説をしたくらいで楽に当選できるはずもありません」と説明。「残念な結果だった選挙区も多々ありましたが、選挙区当選や比例復活当選ができた選挙区も、それなりの数はありました」とした。

■「次の総裁選目当てだろうなどという下品な報道は、流石に悔しいですね」

 また、今回の衆院選では「役職も無い自民党の1人のヒラ政治家」だったとし、自分の車で回った選挙区では「党本部からガソリン代や高速道路の通行料金が支給されるわけでもなく、長距離を遅刻しないように運転してくれた私の秘書も大変な疲労だったと思います」という。

 「選挙後も、特に党役員から慰労の御言葉を頂いたわけでもなく、ヒラ政治家が勝手にボランティア遊説をしていただけの事」と執行部との距離感をにじませた。

 こうした中での自身についての報道に「次の総裁選目当てだろうなどという下品な報道は、流石に悔しいですね」と憤りを見せた。

 高市氏は3年前の衆院選時には、自民党の政調会長をつとめていたが、「3年前の全国遊説先でも、今年の総裁選を応援して下さった議員は、ごく数名」だという。こうした背景から、「選挙応援は、純粋に党勢拡大を期するもので、3年も後の総裁選などとは無関係」だと強調した。

 「少なくとも心身ともに限界まで頑張った挙句に、不正確な憶測報道をされ、コメンテーターに叩かれるのでは虚しい限り」と落胆している。

 今後については「今後は、党勢拡大など地方遊説は党役員をしておられる方々の仕事と割り切り、ヒラの1議員として政策活動に励みます」と地方遊説を控える意向も匂わせた。
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●「「安倍晋三」の威光に陰り…衆院選で「昭恵夫人応援」候補ボロボロまさかの36敗」

10/30() 11:03配信 日刊ゲンダイDIGITAL

https://news.yahoo.co.jp/articles/9acc531a8f09acf1b820e92c786f1b7cf2e2cd16
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丸川珠代氏と抱き合う昭恵夫人(C)日刊ゲンダイ

 永田町から「安倍印」が激減だ。自公過半数割れという政権与党の大敗に終わった衆院選は、かつて最大派閥を誇った旧安倍派の面々が相次いで落選。安倍元首相の妻・昭恵夫人が応援に駆け付けた候補は36敗の惨状だった。

 昭恵夫人は今回の選挙戦で少なくとも9人の選挙区へ応援入り。公示翌日から、新人の黒崎祐一氏(東京27区)萩生田光一元政調会長(同24区)丸川珠代元五輪相(同7区)世耕弘成前参院幹事長(和歌山2区)石井拓前衆院議員(愛知13区)井原巧前衆院議員(愛媛2区)新人の大空幸星氏(東京15区)下村博文元文科相(東京11区)岸信千世前衆院議員(山口2区)と、駆けずり回っていた。

 昭恵夫人は「主人と一緒に応援して回りたい」と意気込んでいたものの、フタを開けてみれば小選挙区で当選したのは萩生田、世耕、信千世の3氏。大空氏は比例復活した。

 開票後すぐに当確が出たのは、安倍元首相の形見の靴を履いて二階元幹事長の三男との保守分裂戦に臨んだ世耕氏だけ。萩生田氏は次点候補に約8000票差、信千世氏は約1700票差まで追い上げられた。

 ギリギリ逃げ勝った候補がいる一方、旧安倍派幹部だった下村氏、安倍元首相の覚えめでたかった丸川氏は開票直後に落選確実が判明。「安倍」の威光は逆風に勝てなかった。

 丸川氏の応援に駆け付けた際、昭恵夫人はマイクに力を込めて「本当に素晴らしい候補だと確信しております」と語り、「こんなに安倍先生がいないことが悲しく思える時はありません」と涙を流す丸川氏の横で目元を拭っていた。

■ぎこちない昭恵夫人と丸川氏

 ところが、街頭演説が終わった後、2人一緒に聴衆へ駆け寄って握手するのかと思いきや、なぜかバラバラにスタート。最終的に2人そろっての写真撮影に応じ、互いに抱きしめあったが、その姿はどことなくぎこちなかった。

 一通り挨拶を終えた昭恵夫人は、丸川氏が有権者への声かけに歩いて行った方向とは逆方面に歩き始め、さっさと帰路に。すっかり涙も乾いている様子だった。

 来年夏の参院選では、激戦が予想される1人区に旧安倍派の裏金議員も出馬する見込み。またしても昭恵夫人は「主人と一緒に」応援して回るつもりかもしれないが、安倍元首相の威光も長くは続くまい。
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自民旧安倍派3分の120人に 裏金逆風、衆院勢力変化

自民派閥の衆院勢力

20241028 2158分 共同通信

https://www.47news.jp/11689994.html
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 27日投開票の衆院選を経て、自民党内の衆院勢力構図は大きく変わった。派閥裏金事件に多くの前議員が関わった旧安倍派は昨年121日時点の59人から、約3分の120人に激減。旧安倍派と同様、政治資金収支報告書に不記載のあった旧二階派は31人から21人に減らした。

 旧安倍派のうち9人は、裏金事件に関与して自民非公認となり、無所属で立候補した。このうち萩生田光一、西村康稔両氏を除く7人が落選した。

 旧二階派は、自民非公認で出馬した平沢勝栄氏が当選したものの、比例代表との重複立候補が認められなかった武田良太氏が落選した。

 旧岸田派は34人から26人、旧茂木派は32人から27人にそれぞれ減らした。旧森山派は増減なしの7人。党内で唯一、存続している麻生派は公示前の40人から31人となった。
(貼り付け終わり)
(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。週刊ダイヤモンド2024年3月2日号にて、佐藤優先生にご紹介いただきました。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 最近、名越健郎(なごしけんろう)著『秘密資金の戦後政党史』(新潮選書、2019年)を読んだ。この本では、外国勢力、具体的には、アメリカ、中国、ソヴィエト連邦から、日本の各政党、自民党、民社党、社会党、共産党への資金提供があったことが書かれている。アメリカや旧ソ連などの公開資料を調べ、その中に出てくる日本の各政党への資金提供の文書を詳しく分析し、資金の流れを解明している。日本の政党が外国勢力から資金提供を受けることは法律で禁止されており、違法行為である。従って、外国勢力からの資金提供は非公式、秘密に行われた。

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秘密資金の戦後政党史

 自由民主党結党時(1955年)に、民主党系から出て、初代の幹事長となった(1956年末まで)のが岸信介だった。岸信介は、戦前に商工省に入省し、次官となった。国家総動員立案の中心的人物であった。満州国の産業政策を立案し、戦争開始時の東條内閣では商工大臣・無任所大臣兼軍需時間を務めた。敗戦後は、A級戦犯として逮捕されたが、後に釈放し、政界復帰を果たした。

岸信介は、1956年の石橋湛山との自民党初の党総裁選挙で敗れたが、1957年3月には石橋の病気退陣を受けて、自民党総裁、首相に就任した。1960年の日米安保条約改定で大規模な反対運動に遭い、安保改訂成立後に退陣したが、その後も日本政界で隠然たる力を保持した。80歳を超えた1979年まで代議士を務めた。戦前から戦後まで日本政界で影響力を保持し、「昭和の妖怪」と呼ばれた。

 戦後の岸信介につきまとったのは、CIAとの密接な関係、そして韓国発祥の統一教会、創始者である文鮮明との蜜月関係であった。外国勢力との関係が取り沙汰されてきた。『秘密資金の戦後政党史』によれば、岸信介と弟の佐藤栄作元首相といった人物たちが、自民党の資金不足を言い訳にして、アメリカ大使館の外交官やCIAの要員たちに資金提供を求めている。反共のためのアメリカの手先として利用されたのが岸信介だった。岸信介・娘婿の安倍晋太郎・孫の安倍晋三と続く、アメリカのCIAと統一教会との深いつながりは、下に掲載した東京新聞の記事の通りである。

 民社党はもともと社会党右派であったが、1959年末に参議院選挙敗北の責任をめぐって、社会党を脱党し、1960年に民社党が結成された。安保については条件付き賛成という立場を取った。民社党は、民間労組(同盟)を支持基盤として、中道路線を標榜したが、自民党よりも右寄りの姿勢を持つ野党であった。民社党にもCIAからの資金が入っていた。民社党首脳部は社会党在籍時からアメリカ大使館、CIAと特別な関係を結び、民社党結成後は、資金提供を受けた。現在の国民民主党は、20世紀の民社党のような存在だと考えるのが妥当である。民社党・同盟系の研修機関として設立された富士政治大学校にはCIAの資金が出ていたという説もある。富士政治大学校では、反共教育がなされていた。ここで教育を受けた民間労組の組合員たちが民社党の活動家にもなっていった。現在の連合の会長である芳野友子は、この富士政治大学校の強い影響を受けている。

また、ここで重要なのは、富士政治大学校を設置した、富士教育センター(民社党系)の理事長に、松下正寿という学者が就任していた事実である。松下正寿は政治学者であり、立教大学教授・立教大学総長を務め、民社党所属の参議院議員を務めた。松下は、統一教会の教祖である文鮮明に傾倒し、文鮮明を褒め上げる著書も書いている。富士政治大学校がどのような教育をしていたか、推して知るべし、である。民社党・同盟にはこのような統一教会との深い関係があった。それが現在も続いていると考えることが自然である。

 さて、ここからは私の考えたことである。日本が経済成長する前に、アメリカ(CIA)は日本に資金を提供し、「反共の防波堤」として成長させた。その後、経済成長を遂げた日本は、CIAに搾取される存在になった。CIAは、冷戦下、共産主義の拡大を阻止するために、反響を掲げる宗教団体である統一教会を利用した。統一教会の勢力を南米に拡大させ、共産主義勢力と競わせた。その際に、利用したのが、統一教会の日本人信者と資金である。以前放送された、TBSの「報道特集」で、統一教会の南米での拡大が取り上げられていた。日本人信者が大金を持って大挙して南米に向かったということが報告されている。これは、統一教会がCIAの意向を受けて動いていたことを示している。

 自民党と民社党という、日本の保守勢力にCIAと統一教会は深く浸透し、利用してきた。それは今も続いていると考えることが自然だ。その中心が、岸信介・安倍晋太郎・安倍晋三の流れであり、安倍派(清和政策研究会)だった。日本の保守を標榜しながら、日本人と日本の資金を外国勢力に搾取されることを許してきたのがこの勢力だ。日本がアメリカの属国を止め、芯の独立を果たすためには、まずここを切開手術して明らかにして、切除しなければならない。

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●「旧統一教会系と歩んだ安倍氏「3代」スパイ防止法を巡る歴史から闇を読み解く」

2022817 0600分 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/196366

https://www.tokyo-np.co.jp/article/196366/2

 続々と明るみに出る国会議員と世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の関係。ただ、そもそもの話をお忘れではないか。安倍晋三元首相のケースだ。読み解くカギになるのが、いわゆる「スパイ防止法」。法制定を巡る経過をたどると、祖父の岸信介元首相、父の安倍晋太郎元外相、そして当人までの3代にわたり、教団系の政治団体「国際勝共連合」と共同歩調を取った過去が浮かんできた。政権中枢が絡んだ闇の深さこそ、目を向けるべきだ。(特別報道部・木原育子、中沢佳子)

◆岸信介氏「あるときは内密に…」

 「岸元首相は、本連合設立当初から勝共運動に理解を示し、陰に陽に支援、助言を行ってきた」

 勝共連合の機関紙「思想新聞」の1987816日付1面には、同月7日に亡くなった信介氏の評伝が掲載され、先の一文がつづられた。広辞苑によると、「陰に陽に」とは「あるときは内密に、あるときは公然と」の意。親密ぶりがうかがえる。評伝はこう続く。「スパイ防止法制定運動の先頭に立ってきた

 この法律は、防衛と外交の機密情報を外国勢力に漏らせば厳罰を下す内容だ。信介氏は並々ならぬ思いを持っていたようだ。

 57年に首相として訪米した際、米側から秘密保護に関する新法制定の要請を受けて「いずれ立法措置を」と応じていた。晩年の84年に「スパイ防止のための法律制定促進議員・有識者懇談会」が発足すると、会長に就いた。

◆岸氏、勝共連合、そしてCIA

 勝共連合の「本気度」もすさまじかった。思想新聞によれば、78年には「3000万人署名」を行い、久保木修己会長は元検事総長や元最高裁判事、元韓国大使らとともに79年発足の「スパイ防止法制定促進国民会議」に参加。以後、勝共連合は全都道府県に下部組織をつくり、地方議会への請願運動を展開した。

 思想新聞も連日、「国会への圧力を強めていこう」などと喧伝けんでん。87年の元日紙面では漫画で同法を解説しており、左派と想定した人物を博士風の男性が論破する流れになっていた。

 日本のトップだった信介氏、韓国発祥の教団の流れをくむ勝共連合。スパイ防止法を求めたのはなぜか。

 「根本的にはCIA(米中央情報局)」と話し始めたのは、御年89歳の政治評論家、森田実さんだ。「アメリカの政策は今も昔も変わらない。反共で韓国と日本の手を結ばせ、アジアを分断しながら戦いを挑ませる手法だ」

 信介氏は「米共和党に最も近い人物」といい、旧ソ連と向き合う上で「日本の関連法制では整備が不十分という米側の意向をくもうとした」。勝共連合の方は「権力や金のために日本に食い込むには米側に取り入るのが一番早かった」。

◆晋太郎氏「自信たっぷりの笑顔で…」

 スパイ防止法を巡り、勝共連合と共同歩調を取ったのは晋太郎氏もだった。

 856月に自民党議員が法案を提出した時には外相で、このころの参院外務委員会では「審議について関心を持っている。そういう方向を打ち出すことも理解できる」と踏み込んだ。

 思想新聞を読むと、勝共連合関連の会合に党代表や来賓として再三参加しており、「自信たっぷりの笑顔で『スパイ防止法成立に積極的に取り組みたい』と述べました」と報じられた。

 その晋太郎氏は韓国と深い縁を持っていたようだ。

 「安倍三代」の著者でジャーナリストの青木理氏によると、晋太郎氏の地元、山口県下関市は古くから朝鮮半島との交流の要衝だった。釜山行きのフェリーが行き交い、今も韓国との玄関口。在日コリアンが多く暮らし、地元の有力な韓国系の実業家も晋太郎氏を支援してきた。

◆全ては朝鮮半島との関係の中に

 青木氏は「勝共連合の結び付きと土地柄は切り離して考えるべきだ」と念押ししつつ、「時代背景もあり、反共というイデオロギーを核に岸さんと旧統一教会が結び付き、晋太郎氏もそのまま引き継いだ事実は間違いない。戦前から戦中、戦後に続く朝鮮半島との関係の中に全てはある」と指摘する。

 晋太郎氏は1991年に亡くなった。信介氏の時と同じように、思想新聞は1面で評伝を掲載した。やはり、この言葉で悼んだ。

 「安倍氏はまた、故岸信介元首相や福田元首相と同様、陰に陽に本連合に対し支援、助言を行ってきた」

 85年提案のスパイ防止法案は野党の強い反発などもあり、このころに成立することはなかった。

 「世界情勢は成立へと推し進める流れになかった」。政治評論家の小林吉弥氏はそう話す。冷戦の終結や旧ソ連の崩壊があり「急いで成立させる必要性は薄れた」。信介氏が87年、晋太郎氏も91年と相次いで亡くなり、旗振り役が消えたのも一因という。

 晋太郎氏に関しては、力を振るいにくい状況もあった。「外相こそ務めたが、当時首相だった中曽根康弘氏とは党総裁選で競った間。田中派に担がれた中曽根政権で、福田派の晋太郎氏はさほど重きを置かれず、政権中枢と距離があった」(小林氏)

◆晋三氏の登場と「特定秘密保護法」

 晋太郎氏の死から15年たった2006年、晋三氏は首相に就いた。思想新聞はここぞとばかりに「スパイ防止法制定急げ」「法の再上程を」と必要性を訴える見出しを付けた。

 安倍晋三政権は07年、海上自衛隊の情報流出疑惑を機に、「軍事情報包括保護協定(GSOMIA)」を米国と結んだ。米国と協定を交わした国が秘密軍事情報を共有する際、米国と同レベルの秘密保護が求められる。

 短命の第1次政権後、晋三氏は12年末に返り咲いた。翌137月の参院選で衆参ねじれ国会が解消したのを受け、力に任せた政権運営を展開。衆参両院で採決を強行して成立させたのが「特定秘密保護法」だ。

 防衛や外交の機密情報の漏洩ろうえいを厳罰化する同法は当時、スパイ防止法との類似点が指摘された。知る権利を侵す危うさをはらむが、思想新聞は「安保体制が大きく前進した」と持ち上げた。その一方、諜報ちょうほう活動をより強く取り締まる内容を盛り込んだスパイ防止法を制定するよう促した。

◆「教団系は自民党のいたるところに」

 「晋三氏が秘密保護法を成立させたがったのは祖父、信介氏への思いの強さ、教団との関係性からかもしれない」

 旧統一教会に詳しいジャーナリストの鈴木エイト氏はそう推し量る。

 ただ、教団と必ずしも考えが完全一致していないとも。「秘密保護法は政府が探られたくないことを追及されないようにした。一方、教団がスパイ防止法で求めるのはより踏み込んだ内容。両者の関係はまだ分からないことが多い。さらなる解明が必要だ」と語る。

 名古屋学院大の飯島滋明教授(憲法学)は、晋三氏が対米関係を考え、秘密保護法制定に動いたとみる。「スパイ防止法も秘密保護法も、政府による情報隠しを可能にし、戦争できる国づくりのための法。一気に進めると反発が大きいので、規制できる言動の範囲が限られる秘密保護法を足掛かりとしたのだろう」

 共同歩調が浮き彫りになった安倍家と教団系の過去。右派色の強い教団と一国の首相との関わりに、飯島氏は警鐘を鳴らす。

 「スパイ防止法が制定されれば、情報の入手はさらに制約される。基地監視はスパイ活動とされ、反基地運動が抑え込まれかねない。教団は自民党のいたるところに食い込んでいる。たださなければ、過去と似た動きが繰り返される」

◆デスクメモ

 陰に陽に勝共連合を支援したという晋太郎氏。死去から2年後、同じ山口県の選挙区から立候補したのが晋三氏だ。東京育ちで、選挙区との関わりは希薄。初当選を支えたのは父と縁深い面々だろう。では、勝共連合はどうか。恩返しのごとく、陰に陽に動いたのか。どうにも気になる。(榊)

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治と世界政治について俯瞰し、分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。


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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 本日(2024年1月19日)、東京地検特捜部は、安倍派、二階派、岸田派の会計責任者たちを起訴し、立件した。既に逮捕された国会議員、起訴されている議員たちもいるが、これ以上の事件の拡大はないということになりそうだ。会計責任者たちが起訴された、3つの派閥の幹部たちが起訴されないということで、国民感情としては「ふざけるな」ということになっている。
 ここでより俯瞰的な見方をしてみたいと思う。特捜検察はどうして重要な国会議員たちを逮捕しないのかということであるが、特捜検察の目的は法律に基づいて、正義を行うということではない。特捜検察は、簡単に言えば、権力者にとって都合の良い、切れ味鋭い「刀」である。権力者の刀だというのなら、どうして岸田首相の派閥である岸田派が立件されたのか、ということであるが、それは、究極的には、日本の首相は日本の権力者ではないということだ。それでは、日本の権力者は誰であるが。それはアメリカだ。特捜地検はアメリカにとっての刀である。

 アメリカの日本支配を強めるため、より効率的、直接的に行うために、アメリカは日本政治と自民党の整理を行おうとしている。派閥という、アメリカからすれば訳の分からない機関が自民党を動かすのではなく、アメリカが育てた、教育した、息のかかった議員たちが主流派になり、当選回数や経験などに関係なく、指導的な立場に就けるようにする、そのために、派閥を解消するということがアメリカの意向であり、特捜検察はそのために動いた。政治家の逮捕など大きなことではないのだ。

 特捜検察の源流は、戦後直後の混乱期に、旧日本軍や官庁が個別に物資を隠匿していた事件(隠退蔵物資事件)を摘発する捜査部隊(隠匿退蔵物資事件捜査部)であり、この捜査部隊を作らせたのは、連合国軍最高司令官総司令部(General Headquarters, the Supreme Commander for the Allied PowersGHQ/SCAP)の民政局(Government SectionGS)次長を務めたチャールズ・L・ケーディスである。それ以来、特捜検察はアメリカの刀であった。田中角栄や小沢一郎といった、アメリカに唯々諾々と従うことをしなかった政治家たちは、特捜検察に襲い掛かられた。私たちは日本の戦後の属国としての歴史について知り、その現実を改善するための方策を国民的な議論の中で見出していかねばならない。

 アメリカは、中国の台頭という脅威に直面している。アメリカは中国に対峙するにあたり、日本を最前線だと考えている。その点で、日本の重要性は増している。アメリカが直接中国と戦うという訳にはいかない。そこで、日本を中国にぶつけて様子を見る、いざとなれば、日本を切って、中国との関係改善のために、共通の敵とするということまでやりかねない。日本にとって極めて重要なのは、中国と絶対に武力衝突を起こさないことだ。そのための人材として二階俊博元幹事長がいた訳だが、派閥解消で力を失う。アメリカにとっては狙い通りの動きである。

 アメリカの日本政治、自民党の整理は、安倍晋三元首相の暗殺が契機となった。安倍晋三元首相はアメリカにとって単純に称賛できない存在だった。アメリカにべったり、アメリカ従属の政治家であるが、同時に、太平洋戦争に関して修正主義、靖国神社参拝を行う、アメリカに反対する立場の政治家でもあった。安倍元首相の後ろ盾はマイケル・グリーンであったが、グリーンがワシントンDCからシドニーに都落ちをして、アメリカの対日管理の空気感が変わってきた。これが行きつく先が、安倍派にばかりスポットが当たった裏金問題である。

こうしたことは自民党所属の国会議員たちの大多数には知らされていない。最高幹部層だけの話だ。普通の自民党議員たちは、あれっと思っているうちに、裏金問題が大きくなり(マスコミを使って大ごとのように宣伝された)、選挙区に帰って有力な支持者たちとどうしてこうなったのかなどと話しているうちに、派閥解消まで話が進んで呆然としているという状態だ。これは「ショック・ドクトリン」の応用だ。災害などが起きて、人々が呆然としているうちに、新しい制度などが素早く導入されるというものだ。自民党議員たちは気づいたらこのようなことになっていた。金曜日なので選挙区に帰る議員たちがほとんどだろうが、皆、説明する言葉もなく、有権者たちと同様に呆然とするしかない。

 アメリカとしては、派閥という訳の分からないもので人事が決まるのではなく、親米派の議員たちが主流派を形成して、そこから指導者が出てくることが望ましい。派閥があることで物事がスムーズに進まないということがないようにしたい。こうしたことから、特捜検察を使って、自民党の整理の仕上げとして、派閥解消を実現させた。特捜検察は忠実にその目的のために動いた。自民党の派閥がなくなって嬉しい、と単純に喜べない状況にあると私は考えている。

(貼り付けはじめ)

●「安倍派幹部7人、立件断念 パー券問題で東京地検特捜部」

毎日新聞 1/19() 15:40配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/cb08c3775adc3c475e55c9734fe3faa20611a482

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、東京地検特捜部は19日、清和政策研究会(安倍派)の幹部議員7人について政治資金規正法違反容疑での立件を断念した。パーティー券収入のノルマ超過分を派閥や自身の政治団体の政治資金収支報告書に記載していない疑いが持たれていたが、いずれも会計責任者との共謀が立証できないと判断したとみられる。

 松野、西村、高木、世耕、萩生田の5氏は安倍派の「5人衆」と称され、座長の塩谷氏とともに派閥の集団指導体制をとるメンバー。下村、松野、西村、高木の4氏は公訴時効にかからない2018年以降に派閥の事務を取り仕切る事務総長を務めた。

 一方、特捜部は、安倍派と、志帥会(二階派)の会計責任者ら2人を同法違反で在宅起訴し、宏池会(岸田派)の元会計責任者を略式起訴した。一連の事件では、自民の主要5派閥が同法違反容疑で刑事告発されたが、うち3派閥が立件される形となった。

【井口慎太郎、北村秀徳、岩本桜、山田豊】

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●「安倍、二階、岸田3派閥の会計責任者らを立件 政治資金規正法違反」

毎日新聞 1/19() 14:22配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/30040cadf66ce588899df6217a5cdcfc23af5a18

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、パーティー券収入のノルマ超過分に関する収支を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、東京地検特捜部は19日、清和政策研究会(安倍派)と、志帥会(二階派)の会計責任者ら2人を政治資金規正法違反(虚偽記載)で在宅起訴し、宏池会(岸田派)の元会計責任者を略式起訴した。

 一連の事件では、自民の主要5派閥が同法違反容疑で刑事告発されたが、うち3派閥が立件される形となった。

 在宅起訴されたのは、安倍派の会計責任者の松本淳一郎被告(76)と、二階派の元会計責任者の永井等被告(69)。略式起訴されたのは、岸田派の元会計責任者の佐々木和男元職員(80)。3派閥とも幹部議員は刑事訴追されなかった。

 起訴状によると、安倍派では2018年からの5年間でパーティー券に関する収入約67500万円、支出約67600万円が記載されず、二階派では18年からの5年間で収入約26400万円、支出約11600万円が不記載になっていたとされる。岸田派では18年からの3年間で収入約3000万円が不記載になっていたとしている。

 3派閥ではパーティー券収入のノルマ超過分を議員側にキックバック(還流)する運用が続けられていたとされる。安倍派では還流資金に関する収支が派閥側と議員側の両方の収支報告書に記載されておらず、二階、岸田両派では議員側への支出は記載されているものの、パーティー券収入の総額が過少記載されていた疑いが持たれていた。

 安倍、二階両派ではノルマ超過分を派閥に報告せず、事務所でプールしていた議員が複数いるとされていた。【井口慎太郎、北村秀徳、岩本桜、山田豊】

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●「岸田派解散検討 首相他派閥の対応 言及する立場にない

NHK 2024119 1406

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240119/k10014326701000.html

自民党岸田派の解散の検討を表明したことをめぐり、岸田総理大臣は19日午前、ほかの派閥の対応に言及する立場にないとした上で党としては、国民の信頼回復に向けた派閥のルールの議論を続ける考えを示しました。

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受け、岸田総理大臣が、18日夜、みずからが会長を務めていた「宏池会」=岸田派の解散を検討していることを明らかにしたのを受け、今後は、ほかの派閥に同様の動きが広がるかが焦点となる見通しです。

岸田総理大臣は19日午前、総理大臣官邸で記者団に対し「政治の信頼回復のために『宏池会』を解散するということを申し上げた。ただ他の派閥のありようについて何か申し上げる立場にない」と述べました。

また、自民党の政治刷新本部で議論の焦点となっている派閥のあり方について、どう道筋をつけていくのか問われ「国民から派閥がカネやポストを求める場になっているのではないかとの疑念の目が注がれている。こうした疑念を払拭して、信頼を回復するため、政策集団のルールについては考えていかなければならない」と述べました。

一方、一連の政治資金をめぐる問題の実態解明などへの対応について「現在、検察の捜査が続けられている。その結果を見た上で適切なタイミングで対応を考えていきたい」と述べました。

林官房長官「総理の判断 重く受け止めた」

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「きのう、岸田総理大臣から『宏池会』の解散を検討していると伝えられ、私としても総理の判断を尊重したいと申し上げた」と述べました。

そのうえで「岸田総理大臣とは日頃より密に意思疎通を行っていて、『宏池会』への思いの強さはじゅうじゅう承知している。そのうえでの判断ということで重く受け止めた」と述べました。

一方、記者団から自民党のほかの派閥はどうあるべきか問われ「それぞれの政策集団のありようについて申し上げる立場にないが、自民党の政治刷新本部で政策集団の在り方に関するルール作りを含めて議論が深められるものと考えている」と述べました。

また、派閥を離脱した岸田総理大臣が今回の判断に関わったプロセスを問われたのに対し「現在『宏池会』の会長が不在な中で、直近まで会長を務めていた岸田総理大臣が、私を含む派閥のメンバーに考えを述べ、その考えで一致したということだ」と説明しました。

木原防衛相「政治資金の透明性高めることが必要」

自民党茂木派に所属する木原防衛大臣は閣議の後の記者会見で「一部の政策グループの政治資金パーティーの収支で不適切な会計処理が行われたことが発端だと理解している。政策グループの存在自体に問題があるのか、政策グループの不適切な行為に問題があるのか、私の所属するグループが対象ではないので判断がつかないが、政治資金の透明性を高めることが必要で、不適切な行為に対しては厳格な責任体制を確立することも必要だ」と述べました。

松本総務相「信頼回復へ強い決意で発言したのでは」

自民党麻生派に所属する松本総務大臣は閣議のあとの記者会見で「私も国民の政治不信には強い危機感を抱いている。岸田総理大臣も何としても信頼を回復しなければならないという強い決意を持って、自民党総裁として発言したのではないか」と述べました。

そのうえで「具体的な信頼回復の道筋については、自民党の政治刷新本部で議論が重ねられている。方向が定まれば所属議員として従っていく」と述べました。

齋藤経産相「大変重い発言 深い感慨で受け止め」

岸田総理大臣が自民党岸田派の解散の検討を表明したことについて、齋藤経済産業大臣は、19日の閣議のあとの会見で「長い伝統ある宏池会を解散することを検討しているという昨晩の発言については、大変重い発言であったと、自民党の一国会議員としてある種の深い感慨を持って受け止めている」と述べました。

そのうえで「政策集団の在り方についても党の政治刷新本部において議論が深められていくということで、期待しながら見守っていきたい」と述べました。

盛山文科相「派閥の解散 信頼を得るために必要かも」

自民党岸田派に所属する盛山文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で「大臣の立場でコメントすることはない」としたうえで「きのうの岸田総理大臣の発言を夜のニュースで見たが、『とうとうここまで言ったのか』と思った。一議員として、国民の政治に対する信頼を取り戻していくことは不可欠で、実効性のある対策を講じることが重要だと考える」と述べました。

また、派閥の解散が実効性のある対策なのかと記者団から問われ「派閥はあっておかしくないと私は思う。ただ国民からすると、派閥があるからこういう事態が起こっているという批判もあると思う。いったん派閥を解消して活動していくというのも、国民の信頼を得るために必要なやり方かもしれない」と述べました。

高市経済安保相「改革への強い思いで述べたのでは」

かつて安倍派の前身の派閥に所属し、今は無派閥の高市経済安全保障担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「岸田総理大臣は自民党総裁の立場にもあり、改革への強い思いとして述べたのではないか。国民の信頼を得られるよう党の政治刷新本部で議論が行われており、私の立場としては、閣僚として一つでも成果を挙げ、岸田内閣の実績を作れるようコツコツと働いていきたい」と述べました。

公明 石井幹事長「潔い判断」

公明党の石井幹事長は記者会見で「岸田総理大臣は宏池会に強い思い入れがあると思うので、そういう意味では潔い判断だ。岸田総理大臣の判断がほかの派閥にどれだけ影響を及ぼすか見守っていきたい。派閥の問題は自民党自身が考えることで今回の再発防止策のすべてではなく、あわせて政治資金規正法の改正が必要になる」と述べました。

立民 泉代表「指導力も責任感もない」

立憲民主党の泉代表は記者会見で「岸田総理大臣は自分の派閥のことしか言っておらず、他の派閥のことを言わないなら自民党総裁としての責任を全く果たしていない。各派閥で億円単位の裏金が発覚しても、とりつぶしをしようとせず、指導力も責任感もない」と述べました。

また「岸田総理大臣は派閥を離脱していたのではないか。離脱はフェイクであり、実際の運営権は岸田総理にあったことが今回の『岸田派解散宣言』で明らかになった」と述べました。

一方、東京地検特捜部が、安倍派や二階派の幹部について立件しない見通しとなっていることに関連して「東京地検には捜査権限があり、国民が納得する結果を出してもらいたい。収支報告書に記載されていない金額が4000万円や5000万円だったら立件され、1000万円だったら大丈夫という理屈があるのか。納得できないという人がほとんどではないか」と述べました。

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●「【速報】志帥会・二階元幹事長「派閥を解消したい」派閥の政治資金事件受け議員総会で言及」

TBS NEWS DIG 1/19() 15:54配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/a826d7ec7fe6cc1ae8c23c0b4db3871ceddfce3c

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受け、二階派の会長を務める二階俊博元幹事長は議員総会で「派閥を解消したい」と話したことが分かりました。議員総会に出席した議員が明らかにしました。

二階派の政治資金パーティーをめぐっては、おととしまでの5年間でおよそ2億円が裏金となり、政治資金収支報告書に記載されていなかった疑いがもたれています。

東京地検特捜部は二階派の元会計責任者を政治資金規正法違反の罪で在宅起訴したほか、二階氏の事務所では派閥に納めていない「中抜き」とよばれる不記載の資金が3000万円以上あったとして秘書が略式起訴されています。

(貼り付け終わり)

(終わり)
bigtech5shawokaitaiseyo501
ビッグテック5社を解体せよ

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2022年の日本における最大の事件は安倍晋三元首相暗殺事件だった。これによって、日本の政界では現在、自民党と統一教会の関係清算の動きが進んでいる。統一教会への批判も依然として強いままだ。安倍晋三元首相暗殺事件の山上進容疑者の背景に、家庭関係の不幸と母親の統一教会への入信と多額の寄付による不幸があり、山上容疑者が統一教会に怨恨の感情を抱き、現在の教団最高指導者韓鶴子総裁を狙うも果たせず、統一教会と関係が深いと彼自身が考えた安倍晋三元首相を狙ったが報道され、統一教会に対して注目が一気に集まった。そして、統一教会が政界、特に自民党に深く食い込んでいる実態が明らかにされるようになり、自民党は統一教会との関係を清算せざるを得ない状況に追い込まれた。

 祖父信介元首相以来、父安倍晋太郎元外相がともに統一教会と深い関係にあり、安倍晋三元首相もまた関係を継続させた。その結末が悲劇的なことであったことは何とも皮肉なものだ。

 安倍晋三元首相は「改革の熱狂」を引き起こした小泉純一郎・竹中平蔵時代の申し子のような形で、若きスターとして自民党や政府の重職をほぼ担うことなしに、これまでのキャリアパスとは異なる形で首相に就任した。第一次政権は1年弱と短気であったが、第二次政権は長期政権となり、政権担当機関は憲政史上最長を記録した。この間に安倍晋三元首相が行ったことは、戦後日本の構造の改悪であった。格差の拡大、解釈改憲の強行による憲法九条の骨抜き、対米従属体制の強化であった。アベノミクスと呼ばれる経済政策は効果を生まなかった。戦後体制の変革を目指した安倍晋三元首相の残した日本は、衰退国家の道をたどる日本となった。少子高齢社会の流れを止められなかったが、これは安倍氏以外の政治家でも同じことだっただろう。

 安倍元首相の暗殺によって、政界における安倍晋三元首相の影響力が消え、彼に守られていた人々は後ろ盾を失った。「チェンジ・オブ・ペース」で就任した岸田文雄首相は、国防費GDP比2%達成というアメリカからの指令(トランプ政権時代から言われていた)を実現するために、大幅な増税を画策している。また、先制攻撃の容認という重要な転換も行おうとしている。国防予算の増額と先制攻撃の容認ということが合わされば、近隣諸国にとっては脅威ということになる。安全保障の不安定な環境があるので国防を強化するということがさらに不安定化を増長するということになる。

 私は安保条約改定で退陣した岸政権から経済重視の池田政権への移行と、安倍政権から岸田政権への移行をアナロジーとして比べて考えていた。簡単に言えば、宏池会系になれば、好戦的な姿勢は弱まるだろうと考えた。しかし、21世紀にはこのようなアナロジーは適さなかったようだ。宏池会は平和路線で経済重視という常識は既に通用しないようだ。ある意味で、戦後体制が終焉したということが言えるだろう。そして、非常に残念なことであるが、安倍晋三元首相が目指した戦後体制の終焉は成功したということになるのだろうと思う。

(貼り付けはじめ)

安倍晋三元首相の国葬は、安倍元首相の存命中と同様に議論を巻き起こすものだ(Shinzo Abe’s State Funeral Is as Controversial as He Was

-暗殺された元首相のための儀式は一つの時代の終焉を際立たせた。

スペンサー・コーエン筆

2022年9月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/09/26/japan-shinzo-abe-state-funeral/

戦後初のそして最後の首相公葬が秋の暖かい火曜日に行われた。1967年10月31日、吉田茂はその2週間前に89歳で亡くなった。不確実で激動のアメリカ占領時代とその後の独立時代に日本を率いたこの人物を国家は讃えた。1951年、サンフランシスコで戦争終結のための講和条約に調印し、瓦礫と火の海から生まれた新しい民主政治体制国家「新生日本」を体現した人物ことが吉田茂だった。

神奈川県大磯の吉田茂邸の芝生の上に、小銃を手にした自衛隊の儀仗隊の列が立ち、式典は始まった。長男で作家・評論家の吉田健一が遺骨を入れた箱を持ち、ゆっくりとした足取りで重厚な黒塗りの車に乗り込んだ。車は東京に向かい、頭を下げて祈る弔問客で埋め尽くされた通りを走り、やがて皇居近くの日本武道館に到着した。外は大勢の人、中は関係者や外交官たちなどが集まり、厳粛な雰囲気に包まれていた。吉田健一は父の遺骨を持って中央通路を歩き、佐藤栄作首相に遺骨を渡すと、佐藤首相は自衛隊の儀仗隊3人に遺骨を手渡した。その遺骨は、数千本の菊の花で覆われた祭壇と、高さ3メートルの遺影の下に運ばれた。

吉田茂の肖像画は、1964年の東京オリンピックのために建設された会場である日本武道館に集まった政治家や外国の外交官たちを見下ろし、建設と成長に沸く首都で、安定と経済力の象徴である新しい新幹線が横切る国土を眺めていた。この平和と繁栄は、数十年前に吉田茂が行った政策によって形作られたものである。吉田は、軍事力とアメリカからの完全な独立を、自由民主党(Liberal Democratic PartyLDP)政権を強固にした産業と経済力に引き換え、「吉田ドクトリン(Yoshida Doctrine)」「サンフランシスコ・システム(San Francisco System,)」「吉田案件(Yoshida Deal)」と呼ばれるものによって、国家の指導者になった。吉田の死は、1945年の第二次世界大戦の終結から始まった壮大な歴史の幕を閉じたかのようであった。歴史家のジョン・ダワーは、「彼の死は、吉田が他のどの日本人よりも体現した『戦後』という章に、最後の文章を書いたのだ(the death wrote the final sentence to the chapter called ‘postwar,’ which Yoshida more than any other single Japanese personified)」と書いている。

2時10分、日本中にサイレンが鳴り響き、武道館は静まり返り、多くの人が一つの時代の終わりを感じた。しかし、多くの人がそれを受け止めた。銀座で黙祷する人たちに10代の少女が、「あれ、皆さん何をしているんですか?」と声をかけた。佐藤内閣は1947年に廃止された戦前の国葬令(state funeral ordinance)を回避し、公示や国会審議によらず閣議決定(cabinet decision)で葬儀を行ったのだ。このような経緯に戸惑う人もいれば、真っ向から反対する人もいた。国葬の正当性を疑問視し、恣意的な法的根拠を糾弾し、国葬は過去の帝国の遺物であり、残すべきものではないとする評論家もいた。保守的な読売新聞の記者でさえも「無感動な国葬(an emotionless state funeral)」と評した。

さて、今週火曜日に行われる安倍晋三元首相の国葬では、華やかさ、ページェント、喪服、弔辞、批判、そしてスペクタクルが再び繰り返されることになる。政治家の国葬は、約80年前に終わった戦争の後で2回目、50年以上ぶりのことである。「吉田茂以来、国葬が行われなかったと言うよりは、吉田以降、国葬が永久に廃止されたと考えた方が真実に近いと思う」と朝日新聞はで論評した。1975年、佐藤栄作は死去し、彼の支持者たちは国葬で彼を讃えようとした。しかし、明確な法的根拠がなかったため、国、国民、自民党の出資による形での国民葬(national funeral)が行われた。

それ以来、戦後はこの方式が定着した。内閣総理大臣の葬儀は、内閣と自民党の共同出資で行われることになった。1989年、昭和天皇(海外では裕仁天皇と呼ばれる)は、宮内庁が「国家儀礼(State Ceremony)」と呼ぶ「大喪の礼」を行い、吉田首相の儀式とは異なる形で国民が敬意を表した。しかし、現在の岸田文雄首相は儀礼にとらわれない。しかし、岸田文雄首相は、佐藤首相に倣い、閣議決定で安倍首相の国葬を行った。

安倍首相を例外とすることは、当然といえば当然だが、賛否両論があった。7月、街頭演説中に手製の銃で撃たれて亡くなった安倍元首相は、ある時代の政治を象徴する人物だった。岸信介元首相の孫であり、自民党の有力政治家だった故安倍晋太郎元外相の子息である安倍晋三は、戦後最も長く首相を務めた政治家となった。亡くなった当時は、自民党の最大派閥を率いていた。

しかし、国葬1週間前の時点でも日本人の約6割が葬儀に反対している。その理由は、安倍首相の右翼的な政策に対する軽蔑から、あるいは葬儀そのものが独裁的な行事であるという考えからである。ここ数カ月、市民団体が葬儀に国費を使うことの差し止めを求め、何千人もの人々が東京の街頭に出て、国民が何も言えないで決まった儀式だと抗議している。「国葬が民主政治体制のための葬儀であってはならない(A state funeral must not be a funeral for democracy)」と、8月31日に約4000人の群衆が国会の前に集まって叫んだ。批評家たちは、国葬は大衆に、しばしば不人気な人物を集団で悼み、記憶することを強要し、時に物議をかもす彼の政策への批判を押しとどめようとする試みであると見ている。国葬は「民主政治体制の破壊」を意味すると経済学教授の金子勝は書き、およそ1200万ドルにのぼる納税者の資金を追悼のために使うことは非民主的で、特に法的根拠があいまいな式典の場合はそうであると主張した。しかし、岸田首相と自民党は葬儀を続行し、首相は葬儀は「民主政治体制を守るものだ」と宣言した。

先週、イギリス女王エリザベス二世の国葬のために参加者たちがロンドンに集まった。その儀式と人物との比較は避けられないものであった。エリザベス女王は、多くの人々から慕われる君主であり、今日イギリスに住むほとんどの人々が生きている間、国の象徴的な舵取りをする中立的な存在として見られていた。もちろん全ての人々がそうであった訳ではない。これに対し、安倍首相は君主ではなく政治家として、国際的なリベラリズムと右翼的なナショナリズムの間に境界線を引いた。そして、2000年代初頭に政権を握った。S・ネイサン・パークは次のように主張している。安倍首相は、歴史修正主義(historical revisionism)を標榜したことで物議をかもし、分裂している人物ではあった。しかし、彼の周囲にいた人々と外国の外交官の双方を惹きつける魅力があった。しかし、おそらく最も適切な比較は、エリザベス女王の死と、戦前、戦中、戦後とその地位にあった昭和天皇の死である。1989年の昭和天皇の葬儀は、何日も喪に服し、結束して、明確で顕著な歴史の区切りを示すように見えた。

安倍元首相の死は、女王や天皇といった君主の死ほどには、国家の安定を破壊していないように見える。しかし、東京大学の五百旗頭薫教授(日本政治・外交史)は、銃撃事件直後の『フォーサイト』誌に、日本政治では有力な保守政治家が暗殺されると「政治が漂流する(politics goes adrift)」のが通例だと書いている。安倍首相のような「保守主義と進歩主義」のバランスを取る政治家が国政の舵取りをし、その暗殺によって全てが混迷と混乱(confusion and disorder)に陥るという。

そして、1967年と同じように、終わりを宣言する日々が続いている。安倍元首相のスピーチライターだった慶応大学教授の谷口智彦は、「国葬によって、安倍首相の『チャーチル的(Churchillian)』な、国家への貢献が歴史に刻まれる」と書いている。また、この式典にあまり賛成でない人たちもその歴史的意義を認めている。朝日新聞のある論説委員は、銃撃事件の数日後、そして東京の寺院で行われたより小規模で内輪の安倍首相の葬儀の翌日に、「1つの時代が終わったのに、人々や車は何も変わっていないかのように動き続けていた」と書いている。

また、グローバルな視点からの意見もあった。産経新聞の磨井慎吾は、「私たちが生きてきた平成という時代は、急速に歴史になりつつあるという思いが強くなっている」と書いている。平成は厳密には2019年に天皇陛下の退位で既に終わっているが、暦が変わり、祝日が規定されたものの、その推移は穏やかで地味なものだった。そして、3年後の今、世界的な新型コロナウイルス感染拡大、ウクライナ戦争、安倍首相の暗殺を経て、変化が起きているのではないかと磨井は主張している。安倍元首相の葬儀は、吉田元首相の葬儀と同じように、一つの時代の終わりを意味するのかもしれない。

安倍首相暗殺の意味は、週ごと、日ごと、最初は時間ごとに変化していった。しかし、多くの人が口にしたのは、「民主政治体制(democracy)」という言葉だった。7月8日、銃撃事件から数時間後、岸信夫防衛相は記者団にこう語った。参院選の2日前だった。安倍首相の弟である岸首相はやつれた様子で、声は小さく、テンポはゆっくりで落ち着いていた。彼は「民主政治体制への冒涜(an affront to democracy)」と述べ、次に銃撃は暴力的で、言論の自由(free speech)と公正な選挙(fair elections)を抑圧しようとするものだと言い、厳しく非難した。岸田首相も同じように「日本は民主政治体制を守らなければならない」と演説を続けた。読売新聞が7月12日に発表した世論調査では、73%の人が暗殺事件を民主政治体制(a threat to democracy)への脅威と見ている。

また、当初は犯人の動機があいまいであったこと、標的があまりに重要で影響力があったこと、そして近年との比較があまりに平板であったことからか、コメンテーターたちは政治的暗殺の多い日本の歴史に他の場所との類似性を探した。国内外のジャーナリストや学者たちが「日本における政治的暴力の歴史」や「日本の過去の暗殺に関する入門書」を執筆した。保守的とはいえ国民感情のバロメーターであるNHKは、過去の暗殺の写真や映像をふんだんに使って安倍首相狙撃の特集を組んだ。

戦前の複数の暗殺は実質的時代を転換させるものであり、行為や時代は違うが、安倍首相狙撃後の類似を危惧する論者が出ているのは当然だ。昭和時代の研究者である保阪正康は、暗殺事件後に『文芸春秋』誌に書いたように、当初、犯人は安倍を批判する極左か極右の人物だと考えていた。そして、銃撃の2日後、朝日新聞のインタヴューで、その推測に基づいて、戦前の暗殺のように「暴力の連鎖(chain of violence)」が続くと警告していた。保坂は、1930年に東京駅で撃たれた浜口雄幸首相や、1932年に超国家主義者の青年軍人たちがクーデターを起こし、犬養毅首相を殺害したいわゆる5・15事件のことを読者に思い起こさせた。このような政治家の刺殺事件や射殺事件は、戦前の民主主義に対する攻撃であり、戦争への足がかりであり、ファシズムの初期の侵攻の兆候であると、1947年に碩学丸山真男が指摘した。

保坂は戦後にも目を向けていた。彼は朝日新聞の取材に対し、1945年以降、「暴力の連鎖」は終わったと述べている。歴史学者でジョージワシントン大学国際関係学部准教授のアレックス・フィン・マッカートニーは、「暗殺は特に、日本の極右勢力によって使われた政治的暴力の戦術だ」と述べた。戦後でも、日本社会党の浅沼稲次郎委員長が他の党首たちと討論しているときに刀で刺されて殺された陰惨な事件や、安倍首相の祖父である岸信介の暗殺未遂事件などが起きた。保坂は取材に対して「戦後の長い期間、政治家に対する暴力は連鎖的に起こることはなく戦争に発展することもなかった。私にとって、これは民主政治体制が確立されていた証拠だ。今回の事件を受けて、もう一度、これを証明しなければならない」と述べた。

しかし、今回の安部元首相暗殺事件は特異な出来事なのだろうか? 衰退(decline)、崩壊(collapse)の兆しという見方もある。それは、41歳の山上徹也容疑者は、一見するとバラバラで単発に見える最近の暴力事件の複数の犯人の一人であったからだ。2008年に東京・秋葉原の群衆に車で突っ込み、道行く人を刺して7人を殺害、10人を負傷させた残虐な殺人事件で、犯人の加藤智大に対して、日本政府によって39歳にして2021年12月以来の死刑執行が行われた。2019年には、家族と暮らす51歳の無職、岩崎隆一がナイフで武装してバス停で待つ子供たちに近づき、2人を殺害し、十数人に怪我を負わせ、自分自身は自殺した。同年、青葉真司(41歳)が京都のアニメスタジオに火を放ち、36人が死亡した。

山上、加藤、青葉、岩崎の4人は、政治的、思想的に一致している訳でもない。しかし、彼らはほぼ同時代の1960年代後半から1980年代前半に生まれ、バブル崩壊後の崩壊の真っ只中で育った世代である。「就職氷河期世代(Employment ice age generation)」である。戦後の終身雇用(lifetime employment)の約束が株価とともにしぼんでしまった、意気消沈し忘れ去られた世代である。後に、英語では「Lost Generation」と呼ばれるようになった。どんな意味で失われたのか? 仕事が失われ、社会的流動性が失われ、希望が失われた。

これは、山上容疑者が高校の卒業アルバムに書いた、未来の自分を表現するための言葉である。バブル崩壊から7年後の1999年、高校卒業者の就職率は88.2%と、日本史上最低の数字となった。父親が自殺し、兄が癌に侵され、山上容疑者と母親は悲しみと喪失感に苛まれていた。母は統一教会に入会し、多額の寄付をしたため、山上容疑者は大学に通うことができなかった。彼の将来は不安定であり、経済的な停滞によって更に悪化した。

慶應義塾大学経済学部の嘉治佐保子教授は2015年、「失われた数十年は、日本が大切にしてきた一体感と調和という概念を侵食した(The lost decades have eroded Japan’s cherished notion of oneness and harmony)」と書いている。戦後、吉田が築いた取り決めで鍛えられた思想の崩壊ということになる。解雇されたサラリーマンがスーツを着て公園のベンチで新聞を読み、親族や近所の人に解雇されたことは言えなかったこと、1990年代後半の自殺率の上昇、ネトウヨや2ちゃんねる文化、ひきこもり、これらは全て崩壊の兆候だろう。アメリカ在住の作家イアン・ブルーマは2009年に「悲惨な世界大戦の残骸から構築された日本社会の構造全体が崩れてきている」と書いている。

そして山上容疑者は、統一教会への恨みを募らせている中で、戦後社会の崩壊に巻き込まれた。統一教会に人生を狂わされ、経済的な停滞で更に悪くなったと彼は考えた。そこで彼は、統一教会の現在の指導者であり、故・創始者である文鮮明の妻である韓鶴子を殺害しようと計画したが、新型コロナウイルス感染拡大時代の渡航制限のために不可能だったと捜査当局に語った。しかし、統一教会と緩いつながりがあるとされる安倍元首相が統一教会のイヴェントで演説している映像を見て、標的を安倍首相に移し、7月8日に奈良で殺害した。

山上徹也は戦後の崩壊と衰退の産物だ。しかし、安倍元首相の死は、それ自体が変化の触媒(catalyst)となり、敗戦後の数年間に最初に刻まれたシステムの解体を更に進めることになるかもしれない。安倍の死は、数十年にわたる保守支配の終焉を意味するかもしれない。歴史家のアンドリュー・レヴィディスは、「安倍首相の殺害によってもたらされた問題は、岸信介によって定義された保守政治の時代の終焉に到達したかどうかである」と述べている。安倍元首相が継承してきた保守の覇権(conservative hegemony)と一党支配(one-party rule)は、彼の暗殺によって混乱と不確実性に投げ込まれるかもしれないが、今のところその可能性は低いと思われる。

銃撃事件はまた、自民党幹部と統一教会との関係に明るい光を当てた。これは、今や崩壊するかもしれない戦後の秩序のもう一つの遺物である。また、多くの人が、暗殺について、どうやって個人が銃を作ることができたのか、と疑問を持っている。そして政治学者の彦谷貴子が『フォーリン・アフェアーズ』誌に書いているように、ウクライナ戦争後に起きた暗殺に続いて、安全保障についての関心が高まって、国防と安全保障に関する会話が起きている。知るのは時期尚早だが、安倍元首相の銃撃は、戦後の平和主義の秩序さえも解体させる可能性がある.

それでは、安倍首相の葬儀は、戦後の最後の息の根を止めることになるのだろうか? 東京大学の五百籏頭薫教授は、銃撃事件後の数日間のメール交換で、「様子を見なければならないが、吉田の葬儀が本当に終わらせることができなかった戦後の時代の終わりになるかもしれない」と慎重に語った。この葬儀は、戦後の、冷戦の、ある種の終わりであるかもしれない。2006年に初めて政権を取った安倍首相は、その政策と目的、思想と信条、意欲、意思を集約した言葉を口にした。それが「戦後レジームからの脱却(overcoming the postwar regime)」だった。安倍晋三元首相は、生前にはこの目的を果たせなかったが、死後はそれに成功するかもしれない。

※スペンサー・コーエン:ニューヨークを拠点とするジャーナリスト。以前は東京を拠点としていた。朝日新聞のスタッフとしてニューヨーク支局から記事を送っている。今回の記事は彼個人の仕事であり、朝日新聞とは関係ない。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今回は副島隆彦先生と佐藤優先生の共著『欧米の謀略を打ち破り よみがえるロシア帝国』(ビジネス社)が2022年10月21日発売になります。

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欧米の策略を打ち破りよみがえるロシア帝国

 以下に、まえがき、目次、あとがきを貼り付けます。参考にしていただき、是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

(貼り付けはじめ)

まえがき 佐藤 優

今年、2022年は歴史の分水嶺となる年になった。

まず、国際秩序に大きな影響を与えたのが、2月24日のロシアによるウクライナ侵攻だ。

日本の論壇がウクライナ応援一辺倒になっている状況で、副島隆彦氏は、ロシアのプーチン大統領が正しいという立場を鮮明にした稀有な知識人だ。この点、私は副島氏ほど腹が据わっていない。ロシアにどのような理屈があろうとも、武力侵攻はウクライナの主権と領土の一体性を毀損する国際法違反行為で正しくないと考えている。

他方、私はウクライナのゼレンスキー政権を応援する気持ちにはならない。この政権のウクライナ民族至上主義、ステパン・バンデラのようなナチス・ドイツ協力者を英雄視する姿勢(それが現代のネオナチであるアゾフ連隊の思想的基盤になっている)、18歳から60歳までの男性国民の出国を禁じ、最後の1人まで戦えという姿勢にはまったく共感を覚えない。

そもそも、ロシア政府とウクライナ政府が公式に合意した「第2ミンスク合意」に基づいて、ウクライナのルハンスク州とドネツク州における親ロシア派武装勢力が実効支配している地域に、ウクライナが特別の統治体制を認める憲法改正を行う。そして、この地域で国際的な監視団の入った自由選挙を行い、その民意に基づいた解決をすれば、今回の戦争を避けることはできた。しかし、ウクライナは頑(かたく)なに「第2ミンスク合意」の履行を拒否した。その結果、2月24日にロシアによる侵攻を招いたのである。

その後、ロシア軍と親ロシア派武装勢力が実効支配するルハンスク州、一部地域が実効支配されているドネツク州、ザパロジエ州、ヘルソン州で、ロシアとの編入に関する住民投票が9月25〜28日に行われ、「編入賛成」が圧倒的多数だった。プーチン大統領は9月30日に、これら4州の併合を決定した。

地政学的に、ウクライナはロシアと西側(ヨーロッパ諸国+北米諸国)の緩衝地帯である。このような国が、NATO(北大西洋条約機構)というアメリカを中心とする軍事同盟に加わることも、ロシアと軍事同盟を組むことも、地域の緊張を著しく強めることになる。

このように、ウクライナ戦争の将来を予測する際には、地政学的要因が重要になる。地政学を無視して、自由と民主主義というイデオロギーによってウクライナ戦争を強引に解決しようとしているのがアメリカだ。副島氏はアメリカ政治の専門家だ。ネオコン(新保守主義者)の力によって民主主義を世界に拡散するという思想がいかに危険であるか、と以前から警鐘を鳴らしていた。

副島氏は、ドナルド・トランプ前大統領を支持する姿勢を鮮明にしている。たしかにトランプ氏が大統領になったほうが、棲(す)み分けを認めるので、中国、ロシアなどと安定的関係が構築できると思う。アメリカ政治の内在的論理を知る上で、私は副島氏から多くの知的啓発を受けた。この対談における私の貢献は、日本や欧米でほとんど報じられていないロシアの論理について詳しく紹介したことだ。

副島氏は、ウクライナ戦争におけるイギリスの情報操作、謀略に注目する。この点について、本文でも登場するロシア政府系テレビ「第1チャンネル」の政治討論番組「グレートゲーム」が、2022年9月12日の放送で興味深い見方を示しているので紹介する。

* * *

ドミトリー・スースロフ(高等経済大学教授):今日(9月12日)、プーチン大統領は閣

議で西側によるロシアに対する経済制裁は機能していないと述べた。この状況でアメ

リカはウクライナにおける軍事紛争を最大限に引き延ばそうとしている。

 先週末(9月8日)、この関連で3つの出来事があった。バイデン米大統領がG7首脳とウクライナへの軍事的、経済的援助のためのビデオ会議を行った。同日、ブリンケン米国務長官がキエフを訪問し、22億ドルの長期的軍事資金提供を約束した。同日、ドイツのラムシュタイン空軍基地で、オースティン米国防長官が支援国会合で6億7500万ドルの短期支援をウクライナに対して行うと述べた。

 これらから、最低限3つの事柄が明らかになった。

第1は、より攻撃的な重火器をウクライナに提供する意思をアメリカが持っているということだ。9月12日の『南ドイツ新聞』が、米国防総省がウクライナに最新型の戦車を提供する用意があると書いている。

第2に、アメリカがより直接的に紛争に関与しようとしていることだ。『ニューヨーク・タイムズ』は、ハリコフにおけるウクライナ軍の攻勢について、アメリカがウクライナを助けたと報じている。

第3に、この紛争に対するアメリカの実際的関与が、公式に表明されているよりも、はるかに大きいということだ。「ブルームバーグ通信」(9月9日)が報じたところによれば、アメリカはウクライナにかなり以前から公表せずに、GPSによる精密誘導弾エクスカリバーを供与していたということだ。

 われわれは、アメリカのこういった傾向とそれがもたらす結果について、「国益のためのセンター」所長のドミトリー・サイムズ氏、対外情報庁(SVR)中将で戦略研究センター前所長のレオニード・レシェトニコフ氏と話し合いたい。

サイムズさん、私が尋ねたいのは3番目の点についてだ。アメリカは言うこととやることが異なっている。この紛争の基礎になっているのが大きな噓だ。それはキエフ当局だけではない。ウクライナ政府が噓をつくということについて、われわれは幻想を持っていない。

問題はアメリカとNATOだ。武器の供与だけでなく、極めて多くの疑念がある。まったく信頼できない。この状況で、ロシアがアメリカやNATOとなんらかの合意を達成することができるのだろうか。

ドミトリー・サイムズ(米シンクタンク「国益のためのセンター」所長、米国籍):スースロフさん、「戦争による最初の犠牲は真実である」という俚諺(りげん)がある。レシェトニコフさんもこの言葉に賛成すると思う。

敵と情報を共有することは頭の良い者がすることでない。意図的な情報操作がある。われわれはここを攻めると見せかけて、別の場所に攻め込む。有名なのはソ連によるベラルーシ進攻作戦だ。ソ連は意図的にドイツが真実と異なる印象を抱くようになるような情報を流した。

 戦時には、中途半端な真実、あるいはまったく真実でない情報を流すことがある。現在行われている意図的な情報操作は、民主主義を唱道している文明的国家には馴染まない。レシェトニコフさんは、この種の問題についての専門家と思うが、これは英情報機関MI6(エムアイシックス)にとっては通常のことではないのだろうか。

MI6は定期的にインテリジェンス情報を公表している。これはプロパガンダ(宣伝)の要素が強い。これはインテリジェンスの機能と矛盾する。プロパガンダかインテリジェンスか、どちらかを選ばなくてはならない。インテリジェンスであり同時にプロパガンダであるということは困難だ。

ここで米NBCの報道を見てみよう。アメリカが、どのように情報キャンペーンを展開しているかについてだ。

【番組での掲示】

過去との訣別。アメリカはロシアとの情報戦を展開するにあたって、疑わしいインテリジェンス情報を用いている。

多くのアメリカの官僚が、アメリカは信頼性の高くない情報でさえ武器として用いていると述べている。それは以下の思想に基づいている。クレムリンの戦術を阻止し、無効化するためには、ロシアの戦争キャンペーンを困難にしなくてはならない。モスクワの宣伝を妨害し、ロシアが現下の軍事行動に関連して、国際世論への影響を決定づけることがないようにしなくてはならない。ケン・ディラニアン記者、2022年4月6日、NBCニュース

 スースロフさん、1970年代に私がソ連からアメリカに移住してそれほど時間が経っていないときのことだった。私は戦略研究所で働いていた。そして週一回、「ラジオ・リバティー」(米議会が資金を提供する宣伝放送)に原稿を提出していた。

この放送局はソ連に対する敵対的姿勢を公にしていた。私はこんな指示を受けた。まずソ連指導部に対して侮辱的な表現をしてはいけないということだった。それから最も重要なのは、明白な噓をついてはいけないということだった。偏向した情報や正確でない情報も流してはいけないと言われた。

現在、複数のチャネルでさまざまな情報がモスクワに伝えられているが、プロパガンダの嵐のようだ。米国家レベルのチャネルでは、すべての人が同じことを言っている。そのようなことが国家から要請されているわけでもないのに、誰もがプーチンと闘おうとしており、ロシアとの闘争に従事している。少なくとも私にとってこれは不快な状況だ。

* * *

本書では、戦時においてあらゆる国は情報操作を行うという前提で、報じられた内容から真実とそうでない事柄を区別するよう私も副島氏も努力した。2人のあいだで、情報の評価が異なる箇所では、そのことがよくわかるように書いた。

内政に関しては、7月8日の安倍晋三(あべしんぞう)元首相が銃撃され、死亡した事件について扱った。本件に関しては、安倍氏に対する政治的評価のみならず、事実認定についても2人の見解にかなりの対立がある。この点についても無理に調整せず、認識と意見の違いが鮮明になるように努力した。

日本の危機はこれから一層深刻になる。危機から抜け出すためのヒントが本書には多々詰まっていると自負している。

 本書を上梓するにあたっては、ビジネス社の大森勇輝氏、フリーランス編集者・ライターの水波康氏にたいへんお世話になりました。どうもありがとうございます。また忍耐強く私の話に付き合ってくださった副島隆彦氏にも深く感謝申し上げます。

2022年9月23日、曙橋(東京都新宿区)の自宅にて

=====

『欧米の謀略を打ち破り よみがえるロシア帝国』 目次

まえがき 佐藤優 ……

第1章 安倍元首相を殺したのは同盟国アメリカである

世界的な流れのなかで起きた安倍暗殺事件と統一教会排除の動き

山上徹也は本当に安倍元首相を殺害したのか? ……20

〝おもちゃの銃〟と消えた銃弾 ……25

安倍暗殺事件で本当にベネフィットを得たのは誰か ……29

歴史の必然で分裂し始めたアメリカの対日戦略

アメリカ国務省内で起きている激しい対立 ……33

キーパーソンはマーク・ナッパーと福田達夫 ……36

日本の害毒と化した岸田政権 ……39

次のターゲットは竹中平蔵か ……42

追悼文に表れたロシアの安倍評価 ……45

サハリン2新会社設立のポイントはシェル外し ……48

日本は国際政治のゲームに参加できる立場ではない ……52

第2章 日本では絶対に報じられないウクライナ戦争の過去・現在・未来

二度と元には戻れない世界秩序を壊した蛮行

ステパン・バンデラとは何者なのか? ……56

世界が懸念する危険なウクライナ民族主義 ……59

緒戦で欧米の罠にはまったプーチン ……63

心理戦のために仕込まれたゼレンスキー ……66

親友サーシャが教えてくれた「偽旗作戦」の実態 ……70

世界中で行われた「フォーフィチャー」と「シージャー」 ……73

世界のルールを根本的に変えた国家による資産収奪 ……76

ブチャの虐殺を誰が行い、誰が殺されたのか? ……78

虐殺事件後に大きく変わった軍事支援の量と質 ……81

家族と名誉のためなら死もいとわないロシア人 ……84

開戦と同時に激化したプロパガンダ戦と集団洗脳

ロシアにとって戦争の転換点は5月18日 ……90

「佐藤さん、あなたは気持ちも頭もロシア人と通じている」……93

戦争中に行われた集団洗脳の実態 ……95

レーニンに始まるロシア流宣伝と扇動の違い ……99

なぜかロシアのテレビに出るキッシンジャー系知識人 ……102

専門家の分析より大事な政治家が煽る〝風〟……105

第3章 「必勝の信念」から始まる戦争分析の大きな過ち

絶対に信じてはいけない日本のロシア専門家たち

完全に空論と化した「核抑止理論」 ……110

近代500年を支配し続けてきたディープステイト ……113

沖縄人の痛みとウクライナ人の想い ……115

戦争終結へ向けての3つのシナリオ ……117

イギリスが行う卑劣な諜報戦略 ……121

『国民の僕』で描かれたウクライナ国家の終焉 ……125

ノイズにすぎない日本のメディア情報 ……129

正しかった橋下徹の〝特異〟な考え方 ……132

世界を動かしているのはカネではなく政治と思想

データが細かいロシア、大ざっぱなウクライナ ……136

国連憲章にのっとったロシアの軍事行動 ……137

戦場に転がっている兵士の死体の意味 ……140

戦争犯罪人に仕立てられたシベリアの整備工 ……142

政治を上から動かしているのが思想 ……146

第4章 アメリカとイギリスによる戦争犯罪の恐るべき真実

あらかじめセットされていたウクライナという時限爆弾

8年前からウクライナに介入し続けているアメリカ ……150

なぜ同時期にマイダン革命が起き、ISが出現したのか? ……154

ヴィクトリア・ヌーランドとネオコンの思惑 ……160

トッドが語ったウクライナという国をめぐる〝常識〟……165

『ひまわり』と『隊長ブーリバ』に描かれた真実 ……169

隠れた危険国家ポーランドの実態 ……173

ポーランドを巧妙に利用するイギリス ……176

「4州併合」の背景にあったウクライナ軍の蛮行 ……180

時間とともに瓦解していく「西側」という正義の旗印

暴落しないルーブルのひみつ ……187

ロシアが忌み嫌い続けるドイツ ……190

本当のワルはイギリスとバチカンだった ……191

北欧とナチスのあからさまな繋がり ……195

すでに崩壊しているAUKUS ……199

第5章 ウクライナ戦争を乗り越え復活するロシア帝国

中国とロシアの主導で塗り替えられる勢力図

古くて新しい帝国と帝国のぶつかり合い …… 204

中国はロシアを屈服させるのか? ……207

ロシア独特の帝国の作り方 ……211

アメリカから英中に移行する金相場の覇権 ……214

始まったザ・ウエストとザ・レストの戦い ……217

ディープステイトと優生学という大問題 ……220

世界中が見誤った「哲人王」プーチンの底力

実はトランプはそれほど強くない ……227

中東とロシア、ウクライナ関係のカギは食料 ……230

イスラエルのあいまい戦略とイランの核武装 ……233

ゼレンスキー暗殺の可能性 ……234

トラスのイギリスでは何もできない ……238

G7首脳を返す刀で斬り捨てた裸のプーチン ……241

ロシアは勝つが、プーチンのやり方は間違っている ……247

あとがき 副島隆彦 ……253

=====

あとがき 副島隆彦

この本は、私と佐藤優氏の7冊目の対談本である。世界がめまぐるしく動く。時代の転変の中で、次々と押し寄せる暴風雨の中で、自分の考えも木の葉が舞うように飛び散る。

それでも個々の人間の命は有限である。ハイデガーが言った人間という現存在[げんそんざい](ダーザイン)である。佐藤優氏も私も、もうそんなに長くは生きないと思う。佐藤氏は、大病をいくつも抱え、手術で次々と乗り越えて、それでも旺盛に執筆活動をしている。この人は、普通の人間とは違う。恐るべき生命力を持っていて驚嘆する。

 本書の「まえがき」で佐藤氏は、「今年(2022年)を歴史(世界史)の分水嶺」ととらえた。ウクライナ戦争の戦況を大きく描き、そこにロシアの最高級の知識人の名を4人挙げている。彼らがロシアのテレビ討論番組に出演して率直に語る内容が、どれほど重要か、佐藤優の解説が私たちに教えてくれる。

①ドミトリー・スースロフ(政治学者) ②ドミトリー・サイムズ(政治分析者) ③レオニード・レシェトニコフ(SVR 対外情報庁) ウラジーミル・ソロヴィヨフ(番組司会者)の4人である。

②のドミトリー・サイムズ氏は、何と、ロシアから政治亡命して、今はアメリカの国家情報部のために働いている。佐藤氏が、「このサイムズ氏は、米国務省のキッシンジャー系の知識人です」と教えてくれた。

 ④のソロヴィヨフは、ロシアで一番人気のある政治評論家であり、自分のテレビ番組を持っている。ロシア国民を、ウクライナ戦争でのロシアの勝利へ向けて、力強く啓蒙している。だから、ウクライナ政府が放つ殺し屋(ヒットマン)たちに狙われている。

これらのロシア側の当代、最高レベルの知識人たちの堂々たる言論を、佐藤優が、この本で私たち日本人に解説してくれた。それをロシア語で聞き取って高度の価値判断(ヴァリュー・ジャッジメント)ができる。このことは、ものすごく重要なことである。佐藤優に、この任務をもっともっとやってもらわないといけない。

日本国内に溢(あふ)れかえっている、愚劣な、反(はん)ロシアまる出しの「ウクライナでロシアは負けている」の偏狭で浅薄(せんぱく)な煽動言論(軍事問題を含む)と、ニューズ報道ばかり、私たちは見せられている。

 世界政治の現実と真実は、それらとは全く異なる。

私たちは、安倍晋三の死で(7月8日)、じわじわと日本の国家体制に潜入(インフィルトレイト)して、乗っ取っていた気色の悪い反共右翼の特異な宗教団体の束縛(そくばく)と洗脳から自由になって、私たちの国(くに)の存亡の危機を本気で考えなければならない。

担当編集者たちへのお礼は佐藤優が書いたので、私は繰り返さない。

2022年9月

(貼り付け終わり)

(終わり)

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