古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:実物資産


 古村治彦です。

 今回は、副島隆彦最新刊『金を握りしめた者が勝つ 銀は10倍になる』(祥伝社)をご紹介する。発売日は2026年2月4日だ。
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『金を握りしめた者が勝つ』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに移動します

 このブログでも何度かご紹介しているように、昨年から金をはじめとする実物資産の価格が上昇している。アメリカと日本とイスラエルの「悪の枢軸」「地政学リスクトリオ」の「活発な動き」のために、ドル離れと実物資産の需要の増加が見られる。ドナルド・トランプ、高市早苗、ベンヤミン・ネタニヤフがやりたいことをやり続けることで、実物資産の価格上昇が続くことが予想される。

 こうした状況下で、『金を握りしめた者が勝つ 銀は10倍になる』の刊行は時宜を得たものとなる。

以下に、まえがき、目次、あとがきを掲載する。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

『金を握りしめた者が勝つ 銀は10倍になる』 まえがき 副島隆彦(そえじまたかひこ)

「金(きん)とドルの戦い」において、金が勝利した。

金の値段が、日本だけでなく世界中で暴騰(ぼうとう)した。世界中の人々が金を買うために金ショップに殺到している。この動きは今も続いている。中国、ロシアだけでなく、インドでも、南米のブラジルでも、アラブ中東世界でも、資金のある人は金を買うことに熱中している。欧米白人の資産家たちも同様である。これまでに金(きん)を買っていた人々の勝利である。

金1グラムの最高値段は、2025年(去年)10月21日の史上最高値(さいたかね)で2万3370円(国内の小売[こうり]の値段)まで行った。1グラム=2万円を大きく超えた。この事態に多くの人が驚いた。

 金1キログラムの延()べ板(いた) bar [バー])ならば2000万円もする。小さな家1戸()や鉄筋アパート1室が買える値段である。とんでもないことが起きてしまった。

私、副島隆彦は、ずっと金の価格の上昇を予言して、自分の本に書き続けた。この20年間の自分の金融予言が当たって、私の信用はさらに高まった。この事実を私の本の読者とともに私は喜ぶ。

私が「金とドルの戦い」という考えを思いついて書き始めたのは、2003年である。その証拠は、自分の過去の本にさかのぼって、この本に載()せる。そのころ金は1グラム=1200円ぐらいだった。だから、そのときと比べて実に、金は20倍の値上がりをした。

私はそのころ「金(きん)をどれだけ買ったらいいですか」の質問に対して「皆さんの奥さんの体重と同じだけ金を買いなさい」と講演会で話して回っていた。女性の体重は、だいたい50キロ前後である。男である私が成人女性の体重は50キロ前後なのだ、と実感で知るようになったのは最近のことである。男はだいたい70キロから80キロである。ということは、その体重分の金の値段は、当時6000万円であった(1200円×50キロ)。それが今現在、いくらになったと思いますか。

(きん)1グラム=2万2000円として50キログラムの金は12億円である。驚くべき金額である。あのころ私が講演していた聴衆の企業経営者や資産家たちにとって、6000万円というお金は本当に、たいしたことはなかった。それが今、12億円にもなってしまった。そして今度は金(きん)の、売却時(譲渡益課税)と相続のときの税金の払いのことで、これまた、たいへんなことになっている。新たに大きな問題が出現したのだ。 

私は、3年前に『金融恐慌が始まるので 金(きん)は3倍になる』(2023年12月、祥伝社刊)を書いた。この本で「金は3倍になる」と私がはっきりと予言した。ところが、誰も本気にしてくれなかった。私のすぐ周(まわ)りにいる人たちも理解しなかった。皆、ぼーっとしていた。私が何を言っているのか、誰も分からなかった。ところが現実にまさにまさしく「金は3倍に」なりつつある。あのとき、2023年8月28日に金1グラムが1万円を突破したあとだった。まさしくあの本を書いたとき、 金1グラムは1万円を突破した。あのときから「3年で3倍になる」が、私たちの目の前で実現しようとしている。

このあと金1グラムが快進撃を続け、2万円を突破した(2025年9月29日)。1万円が2万円になるのに2年と1カ月かかっている。このとき、私の書いたことが当たり始めた。私の予言は真実味を帯()びた。私の書くことを信じて、この20年間の間に金(きん)を要所、要所で買い続けた人々の大勝利である。買わなかった人たちは……

去年2025年中に2万3000円台まで行った1グラムの金が、残りの5000円上昇を達成して私の予言の金1グラム3万円を超えれば、私が3年前に予言したとおり、まさしく「3年で3倍になる」という予言は的中である。あと1年で3万円を突破すれば、私が3年前に予言したとおり、「3年で3倍になる」という予言を的中させたことになる。

このようにして、私はすでに金融の予言書として信頼されている。私の書いたことは日本国民から評価されている。

これからの金(きん)の値上がり(あるいは、一時の逆流)予測に関して、この本で細かく書いていく。ジム・リカーズ James Rickards(75歳)というアメリカ人の金融評論家(リスク・アナリスト)が「1オンス=1万ドルになる」と言った。彼の2016年刊(10年前)の本である。ということは、金1グラムは、今の為替(かわせ)1ドル=150円で計算すると、日本円で4万8000円になる。とんでもない金額である。だが私は、ジム・リカーズの、この金1オンス=1万ドルは実現すると思う。なぜならば、人類の歴史は、今や金本位制(きんほんいせい)(ゴールド・スタンダード)の復活に向かって着々と進んでいるからである。

米ドルはもはや金(きん)との戦いにおいて敗れ去った。ドル体制が崩壊して数年後にできる新しい世界通貨体制が始まる。それを支(ささ)えるだけの金が、現在のドルでの全通貨量(金額評価する)の20%はなければいけない。

(きん)は国際値段(NY(ニユーヨーク)の先物(さきもの)市場)で、1トロイオンス(31・1グラム)=4000ドルを突破した。2025年10月7日から8日にかけてである。そして10月20日の終値(おわりね)で4359ドルの史上最高値をつけた(P7のグラフ)。世界中の金融投資に関わっている人々は、驚き呆(あき)れて言葉を失った。

そしてこの翌日から下落した。1021日には1オンス=3880ドルまで下落した。その数日後には、ふたたび4000ドルを回復した。直(ちよつ)(きん)の値段は1オンス=4638ドルである(1月14日)。

年末の金の下落で、金価格のグラフに1回〝踊り場〟ができた。この金のいったんの下落はなぜ起きたか。それはNYのガラの悪いヘッジファンドたち(恐ろしい博奕[ばくち]打ちの金融ユダヤ人たちである)が急遽(きゅうきょ)(初めて、と言ってよい)、金市場に参入して、1オンス=4000ドルの声を聞いて驚いて、「オレたちも乗り遅れるな」(FOMO[フォウモウ] Fear[フィア] of[オブ] Missing[ミツシング] Out[アウト] )で、金(きん)ETF(イーティーエフ)(ペイパー・ゴールド)市場で大量の買いを入れたからだ。おそらく1兆ドル(150兆円)ぐらいの買いである。

しかし、彼らは、どんなものでも短期売買しかしない。だから10日後に4000ドルから300ドル値上がりしたところで一斉(いつせい)に売り払った。これを利益(りえき)確定(かくてい)(利確[りかく])と言う。こういう荒っぽいことをするのがヘッジファンドたちである。だから、世界の金価格に踊り場が生まれた。この動きは今後も続くだろう。金(きん)は、このあとは急には上がらないで、着々と少しずつ上がってゆくと私は予測している。

このNYのガラの悪い投機家たちの他に、世界中で金の4000ドル超え高騰が起きたあとに、「やっぱり今からでも金を買おう」と思って、自分のポートフォリオ(自己資産の割り当て表)で、金(きん)を15%にまで上げた人たちがいる。彼ら個人投資家たち堅実であり着実だ。彼らは新規の金(きん)市場への参入者である。彼らはこのあと金をずっと長く保有(ロングホールド)するつもりである。このように世界中で個人の金買いが続いてゆく。私は、この個人たちが正しい投資行動をとっていると判定する。

だから、このあと、長期での金の上昇がふたたび始まる。目先の目標値は1オンス=5000ドルである。そして1万ドルである。

私が「金を買いなさい」と言って本に書き始めて23年が経()った(2003年から)。これまでに私が書いた本を熱心に読んで、内容を信用して、金を買って持ち続けた人々に大きなご褒美(ほうび)が与えられた。

2026年1月

副島隆彦(そえじまたかひこ)

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『金を握りしめた者が勝つ 銀は10倍になる』 【目次】

まえがき

第1章 世界は金本位制の復活へ向かう

●金1グラムは10万円になる、と私、副島隆彦は予言する

●アメリカ中心の時代が終わり、世界は新しい秩序に移行する

●なぜ金本位制に戻ってゆくのか

●日本円は米ドルの動きと反対方向に切り上げられ、やがて電子マネーになる

●金価格は、わずか2年で2倍になった

●〝砂金(さきん)採()り体験〟が人気に

●私は23年前から「金を買いなさい」と書いてきた

●「金を握りしめる」のは世界的な動きである

第2章 もうすぐ金1グラムは3万円になる

●リーマン・ショックのとき、アメリカは「やってはならないこと」をやった

●米ドルの価値の毀損(きそん)が起きている

●貧困国・アメリカの現実

●私の助言で金を買った人々からの大きな反響

●「写真相場」とは何か

●ゴールドマン・サックスより先に私が「1オンス5000ドル」を予言した

●先物の「裸の空売り」で巨額の損失

第3章 これからは金貨(ゴールド・コイン)を買いなさい

●NY先物市場での金(きん)の動きの全体像

●紙キレの金を売り買いして失敗した

●ペイパー・ゴールドに手を出すな

●イギリス、スイス、ヴァチカンから金地金がアメリカに運び込まれた

●〝天皇家の金〟を持ち出そうとした2人の日本人

●「13兆円の米国債」の正体

●中国とロシア、そして新興大国が金を買う

●「税務署が怖い」と言う人たちへ

●1キロや2キロの金で税金に悩む必要はない

●なぜ私は金貨(ゴールド・コイン)を薦(すす)めるのか

●業者が買い取った金はどこへ行くのか

●年間110万円までなら贈与税はかからない

●金で儲かったなら、そのお金で周りの人を助けなさい

第4章 銀(シルバー)とプラチナも上がってゆく

●相続税とタンス預金をどうするか

●金は現物(げんぶつ)を自分で守るべきだ

●女性銀行員が貸金庫の金(きん)と現金を盗んだ

●急騰の裏側で何が起きているのか

●銀1キロが300万円になる日が来る

●先端企業が「いくらでもいいから買え」と指示

●イーロン・マスクが銀鉱山の株を大量に買った

●46年前の〝シルバー・ショック〟

●インドの中央銀行が銀を融資の担保に認めた

●なぜ幕末の日本から金(小判)が流出したのか

●かつてプラチナは金より高かった

●人造ダイアの量産でダイアモンドの資産価値は失われた

第5章 金に敗れたドル覇権は崩壊する

●もうすぐ超円高=ドル暴落が起きる

●トランプのドル切り下げで1ドル=15円になる

●NYの株とともに日本株も暴落する

●日銀の利上げをアメリカは認めなかった

●日本はインフレではない。デフレだ

●トランプが各国への相互関税をやめた理由

●なぜ国(くに)は国民から消費税を取りたいのか

●国家の借金は毎年毎年、積み上がる

●15京円の借金大国・アメリカの真実

●日本は「対米投資」で80兆円をふんだくられた

●日本人は歯を食いしばって頑張り続ける

●2026年末、アメリカは世界覇権国の地位からすべり落ちる

第6章 日本と米中、世界はこうなる

●軍事政権の特殊な人間、イーロン・マスク

●トランプは軍人たちに支えられている

●黒塗りされたエプスタイン・ファイル

●なぜ江戸幕府はキリシタンを弾圧したのか

●クリントン夫妻も悪魔の儀式に参加した

●〝次の大統領〟J.D.ヴァンスの人物像

●自民党員の中に統一教会員が集団加入

●世界と歴史を大きく見るために

●日本の政治指導者は靖国参拝をしてはならない

●米中は「台湾をどうするか」で話し合っている

●台湾は平和的に中国に統一される

●誰が日本の核保有を許さないのか

●だから安倍晋三は〝処分〟された

あとがき

=====

『金を握りしめた者が勝つ 銀は10倍になる』 あとがき

 この本の書き上げの昨年末(12月おわり)に、NYの銀(ぎん)の先物(フューチャー)市場 COMEX(コメックス) で大変動があった。銀価格は、下落した(1オンス=72ドル。銀貨1枚で1万5000円)どころか、200ドルに向かっている。米と英が支配する先物市場とETF(イーティーエフ)(ペイパー・シルバー、紙キレの銀)が壊れつつある。現物(げんぶつ)(実物)の銀の7割を握っている中国の勝ちだ。第4章で前述した。世界は金(きん)だけでなく、銀(シルバー)も加えた金銀本位制(バイメタリズム bimetallism )に向かっている。

 1月3日に、アメリカ(トランプ政権)による南米ベネズエラ国のマドゥロ大統領の拘束(キャプチュア)、連行が起きた。アメリカは、直接ベネズエラ国にある大量の石油と天然ガスを自分のものにする戦略に出た。鉱物資源(ミネラルズ)も直接、支配する。トランプはもうNY(ニユーヨーク)の金融(紙キレ)経済を信用していない。実物を握るしかない、と。世界は一気に実物(じつぶつ)経済( tangible[タンンジブル] economy(エコノミー) )が中心になった。これは『「実物経済」の復活』(2003年3月、光文社)を出版して日本では私が初めて言い始め(唱導[しょうどう])した理論だ。

 私は昨年10月中(ちゅう)の金の高騰(こうとう)の凄(すご)さを横目で見ながら、ずっと不愉快だった。もう本を書く気力を失った。「俺(おれ)がずっと20年間、書いて(主張し、予言して)きたとおりじゃないか」とブツクサ言いながら、うつ症(しょう)のまま過ごした。12月になって、ようやく「それでも、やっぱり書くか。全国に私の読者が待っている」と元気(げんき)(気の元)を取り戻した。

 本当にもうすぐ世界体制が変わる。この本に、書くべきことはすべて書いた。しっかりと読んでもらえれば分かる。

 この本も長年(25年間も)私につき合ってくれている編集者の岡部康彦氏が苦労して編集してくれた。記して感謝します。

2026年1月

副島隆彦(そえじまたかひこ)

(貼り付け終わり)

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 古村治彦です。

 2025年の重大な出来事に金や銀、プラチナの価格高騰があった。私の周りでも、金や銀の価格高騰について話題に上ることが多かった。以下のグラフにあるように、2020年1月の時点から比べて金は約4倍、銀も約4倍、プラチナはおよそ2倍となっている。特に2025年10月からの上昇率が高く、これは証明されていないが、高市早苗政権発足が理由の1つになると私は考えている。実物資産の価格が上昇するのは、地政学リスク(特に戦争の可能性)が高まった際に起きるものだ。高市早苗首相の台湾有事に関する発言をはじめとして、高市政権は東アジアの平和と安定を脅かす最大の要因となっている。高市政権が地政学リスクとなっている可能性がある。
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金価格の推移
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銀価格の推移
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プラチナ価格の推移

 2025年の年末にニューヨークで金銀プラチナの価格下落が起きている。このことについては、副島隆彦先生の論稿が最新の分析となっている。是非お読みいただきたい。
※ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」内「重たい掲示板」
3205】年末に金、銀、プラチナに大変なことが起きていた。アメリカ金融資本主義の終わりが始まった。副島隆彦 投稿日:2026/01/02 09:04 ↓↓↓

https://snsi.jp/bbs/page-1/#23676

 2026年も金銀プラチナの価格の上昇は続くという予測が出ている。それは、金の世界的な需要が高いためだ。中国やロシアを中心に新興国(西側以外の国々、the Rest[ザ・レスト])での需要が高まっているが、世界各国の中央銀行が資産における金の割合を増やしていることも理由として挙げられる。これは地政学リスクもあるが、他に、ドルの価値の下落ということもある。「脱ドル化(de-dollarization)」については、これまでも著作の中で紹介してきたが、ドルの価値が下落している状況で、金が買われている。金の需要が高いというのは、世界が不安定になっている証拠であり、複雑な感情になるが、世界の根本的な構造転換の時代となっているので、このような動きになっている。ドル覇権(dollar hegemony)の衰退と実物資産への移動は大きな流れであり、2026年も続いていくことになるだろう。

(貼り付けはじめ)

●「ドル覇権はいつまで持ちこたえるか、揺らぐ基軸通貨の前提」

ブルームバーグ日本版 20251230 at 9:58 JST

https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-30/T81C0NKIP3JH00?taid=6953393d469db40001f5f878&utm_campaign=trueanthem&utm_content=japan&utm_medium=social&utm_source=twitter

世界経済におけるドルの覇権は、どこまで持ちこたえるのか。仮にその地位が揺らげば、どの程度の影響が生じるのか。少し前まで、こうした問いは机上の空論として一蹴されてきた。世界経済は長年、ドルを軸に回っており、過去にも「脱ドル化」を予測する見方は繰り返し現れたが、構図が近く変わる兆しは乏しかった。

しかし、トランプ米大統領が国際関係の常識を多方面から揺さぶったことで、状況は変わり始めた。時に、あり得ないと思われていたことが現実になる。

ドル支配を巡る議論の焦点は、得られる利益とその代償、そして先行者としての地位にある。ドルが基軸通貨であることで、米国は世界の金融システムに一定の影響力を持つ。

その影響力は権限として機能し、金融制裁という形で行使されてきた。さらに、ドル建てで資金を調達する借り手は、相対的に低いコストで資金を確保できる。世界的にドル資産への需要が極めて高いためだ。一方で、ドル資産への需要の高さはドル高を招き、そのしわ寄せは米国内の製造業に及ぶ。

多くの経済学者は、こうしたコストと利益のバランスは、依然として基軸通貨としてのドル優位に分があるとみている。だがホワイトハウスの見方は異なる。米国は利益を維持したまま代償を取り除けると考えているのだ。

こうした発想を示しているのが、米大統領経済諮問委員会(CEA)の委員長で、米連邦準備制度理事会(FRB)の理事も務めるスティーブン・マイラン氏だ。通商障壁によって米国の製造業を後押しし、金融介入でドルの競争力を保つ一方、同盟関係の見直しを示唆するなど経済以外の手段も使って、世界の金融インフラにおけるドルの地位を維持しようとしている。

通商障壁が経済を強化するとの考え方には、控えめに言っても疑問が残る。もっとも、ここではその是非はいったん脇に置こう。仮に関税によって世界貿易が分断され、その結果として米製造業の雇用が回復し、経済が押し上げられるとしよう。こうした意図的な貿易分断の政策は、トランプ政権が唱えるように、基軸通貨としてのドルの地位を維持することと両立するのだろうか。

その答えの鍵は、ドルの優位性がどこから生まれているのかにある。行き着く先は「慣性」だ。

しばらくの間であれば、米国が経済力や軍事力といった別の面で相対的に弱まったとしても、ドルの支配的地位は維持され得る。理由は単純で、支配的な通貨は「便利」だからだ。取引が円滑になることで参加者全体の利便性が高まり、いわゆるネットワーク効果が生まれる。米国が資本市場を適切に機能させ、高インフレや金融不安を回避しながら経済運営を首尾良く続ける限り、その恩恵は結果として広く共有される。

こうした利点は、ドル中心の仕組みを支えるだけでなく、自己強化的にも作用する。国際取引でドル建ての売買が行われれば、取引主体はドル建ての金融資産を保有するようになる。ドル資産への需要が高まれば、米国債などの価格が上昇し、結果的にドル金利は低下する。ドルで低コストに資金調達できれば、取引はさらにドル建てで行われやすくなる。

しかし、相応の衝撃が加われば、この仕組みは逆方向に回りかねない。貿易の分断によってドル建て取引が減れば、ドルで低コストに資金を調達できるという優位性は損なわれる。その結果、ドル建て取引はさらに縮小する。

ドルの支配的地位は、ほかの要因によっても支えられている。とりわけ大きいのが、現実的な代替通貨が見当たらない点だ。ユーロは、欧州連合(EU)の低成長や政治の機能不全に加え、銀行・資本市場同盟を十分に構築できていないことが足かせとなっている。中国の人民元も、改革は進んだものの、政府による統制や制度面の未成熟さが制約となる。

それでも、米国の経済運営に対する不満が強まる中で、通貨覇権を巡る競争が再び活発化する可能性はある。

トランプ政権もこの危険を理解しており、手を打ち始めている。例えば、BRICS諸国が脱ドル化構想を進めれば、報復措置を取ると威嚇している。ただ、こうした対応だけで十分とは言えない。むしろ最終的には逆効果になりかねない。米国に依存するコストを浮き彫りにし、代替が必要だという考えをかえって強めてしまう恐れがあるからだ。

高関税措置の乱発や、ドル決済網に依拠した金融制裁の多用、そして先の読めない行動。トランプ政権のこうした姿勢はいずれも同じ方向に作用し、従来の秩序から得られていた利益を相殺し、かつてのパートナーたちに別の選択肢を意識させている。

ドルの地位を脅かすもう一つの大きな要因は、ドル建て資産がもはや安全ではないのではないかとの見方が広がりつつあることだ。米国は過剰な借り入れに依存する体質に陥っているとの指摘がある。政治の世界では、歴史的な規模に膨らんだ財政赤字をどう抑制するかについて、十分な議論が行われていない。債務が返済困難な水準まで膨らめば、インフレによって実質的に債務負担を軽減する選択が取られかねない。その過程で、政治からの独立性が揺らぐFRBが、その実行役を担わされる恐れもある。

こうした動きはいずれも、ドル覇権への信認を高めるものではない。現実的な対抗通貨が現れなくても、金融の分断は加速し得る。基軸通貨がユーロや人民元に移行するという、なお想像しにくい展開ではなく、世界は徐々に標準なき状態や、複数の標準が併存する方向へ向かう可能性がある。体制を一変させるような危機が起きないとしても、世界は重要な何かを失うことになりかねない。そして、その代償を最も大きく払うのは、ほかならぬ米国だ。

今のところ、投資家は動じていない。「こうした状況もいずれ過ぎ去る」と考えているのかもしれない。トランプ氏は例外的な存在であり、政権2期目の最初の1年は、その基準で見ても異例尽くしだった。さすがに、この状態がずっと続くとは考えにくい。やがて政治は次の局面へ移り、平常が戻ると考える向きも多いだろう。

たしかに、そうかもしれない。だが、もしそうならなかったとしたら、ドル覇権の持続性よりも、もっと深刻な問題が表面化しているはずだ。

(クライブ・クルック氏は、ブルームバーグ・オピニオンのコラムニストです。このコラムの内容は、必ずしも編集部やブルームバーグ・エル・ピー、オーナーらの意見を反映するものではありません)

原題:Dollar’s Exorbitant Privilege Is on Borrowed Time: Clive Crook(抜粋)

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近づく金最高値、途切れぬ中銀買い ブラジルの購入ペース「中国超え」

グローバルマーケット

日本経済新聞 20251218 11:00

[会員限定記事]

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB11BC30R11C25A2000000/

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中央銀行の金買いの裾野が拡大している=ロイター

金(ゴールド)価格が再び最高値に接近している。市場で意識されているのは米利下げ観測に加え、中央銀行の強い買い意欲だ。ブラジル中央銀行は4年ぶりに購入を再開し、2025年の買い入れ規模は中国を上回っている。10月は中銀全体で今年最大となった。上場投資信託(ETF)などの活用で一部手口が見えにくくなっており、統計値以上に購入規模が膨らんでいる可能性もある。

金価格の国際指標の一つであるロンドン現物価格は17日の取引で前日比45.13ドル(1%)高い1トロイオンス(約31.1グラム)4348.66ドルを付けた。10月に最高値(4381.21ドル)を付けた後に利益確定売りに押され、4000ドルを下回る場面があった。足元では再び騰勢を強めており、最高値まで残り0.7%の水準に戻ってきた。

国内では外国為替市場における円安・ドル高の影響もあり、指標となる地金商最大手の田中貴金属工業が18日午前に公表した小売価格が前日比240円(1%)高の1グラム23961円と最高値を記録した。

金価格上昇の一因は米利下げ観測だ。11月の米雇用統計が労働市場の減速を示したとの見方から、市場では米連邦準備理事会(FRB)が2026年にもう一段の政策金利引き下げに動くとみられている。加えて大口の買い手の存在も改めて意識されている。新興国の中央銀行だ。

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1日にブラジル・サンパウロで開かれた投資助言会社の会合。ブラジル中銀のガリポロ総裁が金の購入について言及し「安値で買って利益を得ようとしているわけではない」としたうえで「将来の逆風に備えるため、より強固な準備高を維持する」と強調した。市場は今後も購入を継続すると受け止めた。

国際調査機関のワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)が今月公表したリポートによると、中銀による金買いは10月に前月比36%多い53トンで昨年11月以来の高水準だった。1トロイオンス4000ドル超えという歴史的高値圏でも買い控えることなく、むしろ相場を押し上げるような行動をとっていたことが明らかになった。

WGCによるとブラジル中銀は9月に4年ぶりに15トンの金を買うと、10月も16トンの追加購入に踏み切った。110月期の累計でみると定期的に購入を続ける中国を上回る。外貨準備における金の保有比率を30%にまで高めると目標を示すポーランドの中銀も、5月以降は停止していた買い入れを10月に再開した。買い手である中銀の顔ぶれが広がり、金の先高観につながっている。

新興国の中銀は米ドル建て資産を中心に構成する外貨準備を「非ドル」資産に分散させようとしている。米国は基軸通貨ドルを武器にロシアなど敵対国に厳しい制裁を科した。ブラジルも関税を巡ってトランプ米政権と対立した経緯があり、「ドル離れ」を志向しやすいとみられている。

英商品ブローカーのマレックスで市場分析のグローバル責任者を務めるガイ・ウルフ氏は「他の既存通貨も現状だと米ドルと同様に発行する政府の財政悪化などの懸念を抱えており、金が買われている」とみる。外貨準備を金に振り向ける動きは「1020年続き、中長期的に金価格を下支えする」とみる。

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中銀の金購入方法も多様になっている。中銀の金保有と言えば映画で見るような地金が一般的だが、現物の金を裏付けとするETFや先物・スワップなどデリバティブ(金融派生商品)を活用する事例が増えている。

米資産運用大手インベスコが世界各国の中銀の資金運用担当者などに対して毎年実施する調査では、回答した中銀の16%がすでにETFを購入しており、5年後までに投資するとの回答は21%に達した。調査を担当したロドニー・リングロー氏は中銀がETFやデリバティブを活用する利点について「効率的かつ匿名性高く金の比率を調整できる」と話す。

WGCが公表する金ETFの資金流出入は機関投資家やヘッジファンドの取引動向を映すものとして広く認識されているが「すでに中銀の売買も反映されている可能性がある」(インベスコのリングロー氏)。実際の中銀による購入額はWGCの統計で報告されている分よりも大きいことも想定される。

ファンド勢が機動的に売買する金ETFは、相場環境によって資金が大きく流入したり、流出したりする。長期保有が前提である中銀による活用が広がれば「ETFも動かないマネーになるかもしれない」(日本貴金属マーケット協会の池水雄一代表理事)との見方があった。今後はETFの売買動向にも一段と注目が集まりそうだ。

(神山美輝、サンパウロ=水口二季)

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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