古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:岸田文雄

 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 ウクライナ戦争は長期化し、イスラエルとハマスの紛争も半年を超えた。どちらも民間人の犠牲者が多く出ている。どちらも停戦が望ましい状況なのに、世界はまだ戦いを続けさせようとしている。アメリカ連邦議会は、ウクライナとイスラエルの支援を含むパッケージ法案を可決成立させ、ジョー・バイデン大統領も署名して、法律として発効することになった。同時期に、日本の岸田文雄首相が訪米し、米連邦議事堂での演説と言う、属国の指導者に対しては、最高の栄誉を与えられた。岸田首相の米連邦議事堂での演説は以下のように報じられた。

(貼り付けはじめ)

●「米議員らが首相演説を高評価 ウクライナ支援訴え大きな拍手浴びる」

毎日新聞 2024/4/12 10:40(最終更新 4/12 15:35

https://mainichi.jp/articles/20240412/k00/00m/030/070000c

 国賓待遇で訪米中の岸田文雄首相は11日、連邦議会の上下両院合同会議で演説した。英語による約34分間のスピーチで、拍手を浴びたのは48回以上。ロシアの侵攻を受けるウクライナの支援法案の審議が共和党の一部の反対で難航する中、米国の孤立主義に警鐘を鳴らし、米議員から「重要なメッセージを届けた」と高く評価された。

 「日本はこれからもウクライナと共にある」。米国のウクライナ支援の重要性を訴えた後、首相が日本の姿勢を強調すると、大多数の議員が立ち上がり、この日一番の拍手を送った。

 米議会では、民主党のバイデン政権が求めるウクライナ支援法案の審議が停滞している。上院は既に通過し、下院でも多数の議員が賛意を示している。しかし、法案を採決するかどうかを判断する共和党のジョンソン下院議長は、党内の保守強硬派の反発を懸念し、態度を決めかねている。採決すれば可決は確実とみられるが、ウクライナ支援の継続に懐疑的な保守強硬派が議長解任の動きを見せているからだ。

 首相は11日の演説で、孤立主義的なトランプ前大統領や下院の保守強硬派を念頭に「一部の米国民の心の内で、世界における米国のあるべき役割に自己疑念を持たれていると感じる」と踏み込んだ。それまで拍手が相次いでいた議場では「自己疑念」という言葉が出た後に雰囲気がやや重くなったが、首相は「米国のリーダーシップは必要不可欠だ」「米国は独りではない。日本は米国と共にある」と鼓舞した。

 取材に応じた議員らは演説を歓迎した。将来の大統領候補に名前が挙がるクロブシャー上院議員(民主党)は「首相がウクライナへの行動を求めると、実質的に(議員)全員が支持した。非常に重要なことだった」と強調。上院軍事委員会の筆頭委員であるウィッカー上院議員(共和党)も「インド太平洋地域にとっても、民主主義国のウクライナを支援するのは重要だとの訴えは非常に正当なものだ。下院がウクライナ支援に向け、前進することを願う」と述べた。

 バロン下院議員(民主党)は「孤立主義に関する訴えは素晴らしいものだった」と評価。キャピト上院議員(共和党)も「米国の努力を評価した上で、米国が独りではないと伝えてくれた。ウクライナに関するメッセージも響いた」と語った。一方、米メディアによると、ウクライナ支援に反対し、議長解任の動きを見せている保守強硬派のグリーン下院議員(共和党)は、首相がウクライナに言及した際には拍手せず、手元の携帯電話を見ていたという。【ワシントン秋山信一】

(貼り付け終わり)

 岸田文雄首相の訪米の後に、ウクライナ支援とイスラエル支援のパッケージ法案が可決した。昨年の11月から、ジョー・バイデン大統領がいくら求めても、連邦下院で過半数を握る共和党はウクライナ支援に反対してきた。世論調査を見ても、ウクライナ支援については、アメリカ国民の過半数が反対している、「もう十分にしてやったではないか」と考えているということはこのブログでも紹介したし、『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』でも書いている。岸田首相の訪米がきっかけになったかのように、急に、共和党と民主党の主流派、エスタブリッシュメント派が合同して、賛成多数で一気に成立してしまった。共和党の議員たちは有権者、世論を裏切ったことになる。下の記事にある通り、選挙区に帰って有権者たちから批判を浴びるだろう。そして、ジョンソン議長はこの法案可決と引き換えにして、議長の地位から追われることも考えられる。しかし、アメリカのエスタブリッシュメント派に対する功績は大であり、これから安泰であろう。しかし、アメリカ政府もお金が厳しい中で、すんなりと成立してしまったのはどうしてだろうか。ここで、私は次の3つの要素を挙げたいと思う。落語には、お客から3つの題をもらって、短時間で(時には数日間で)、落ちのある落語を作るということがある。これは三題噺(さんだいばなし)と呼ばれる。「芝浜」という冬になると高座にかかる、有名な噺があるが、これも元々は三題噺から生まれた。

さて、私が挙げたいのは「ウクライナ支援、岸田訪米、円安ドル高(円を売ってドルを買う)」という三題だ。そして、この噺で出てくる落ち(結論)は、「日本がアメリカのウクライナ支援分を肩代わりする、そのためにドルが必要になってドルを買っている」ということになると思う。そんな荒唐無稽な、と思うかもしれないし、日本政府がドルを買う資金源は何だ、と言われるだろう。日本の予算には、一般会計と特別会計がある。一般会計は私たちがよく耳にするもので、毎年3月末に国会で成立する、20204年度は約112兆円だ。特別会計はその3倍以上の460兆円規模である。こちらはあまり注目されない。特別会計から裏金をねん出する、もしくは外国為替関係で操作をする。そうやって、ウクライナ支援分である600億ドル(約9兆3000億円)を作り出すことになる。岸田首相訪米では、日米防衛協力ということで、自衛隊のアメリカ軍の下請け化、二軍化が話し合われたが、それは表向きのことで、裏では、この600億ドル分のことが「命令」されたと考えるべきだ。「アメリカと共にある、ウクライナと共にある、と言ったんだから、誠意を見せろ」と、チンピラまがいの恫喝で金を出させられたのだろうと思う。これが属国の役割だと言えばその通りだが、日本もいつまでもATMをやれるということはない。金を出すからには、こちらにも何か見返りになることをと言えるようになるべきだが、アメリカの衰退が目に見えるようになっている時期、そろそろその準備を始める頃だと考える。

(貼り付けはじめ)

連邦下院が対外援助法案を可決、ウクライナとイスラエルに援助を送る(House passes foreign aid bill, sending help to Ukraine and Israel

-この法案は来週連邦上院に提出され、ジョー・バイデン大統領も支持を表明している。

マリアナ・ソトマイヤー、メーガン・ヴァスケス筆

2024年4月20日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/politics/2024/04/20/house-vote-ukraine-israel-aid-johnson-2/

連邦下院は土曜日、世界的な脅威の中で外国の同盟諸国を支援するため、950億ドル(約14兆7000億円)規模の大規模な支援策を可決した。マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)は、極右勢力が今回の可決によって彼を追放すると脅しているが、世界におけるアメリカの役割に対する幅広い支持を示した。

採決直後、ジョンソン議長がウクライナ支援を前進させた場合、議長の座から追い出すと公約していたマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)は行動を起こさなかった。グリーン議員は記者団に対し、同僚議員たちが今週休会中に有権者からの反発に直面し、それから、ワシントンに戻ってから議長追放の取り組みに加わることを検討してほしいと語った。

連邦上院は来週初めに対外援助策を審議し、バイデン大統領が署名する予定になっている。

バイデンは土曜日の採決後の声明で、連邦下院が「歴史の呼びかけに応え、私が何カ月もかけて確保しようと闘ってきた、緊急に必要とされる国家安全保障法案を可決するために団結した」と評価した。

連邦議場では「ウクライナ!」の大合唱と青と黄色の旗が振られ、出席した民主党所属の連邦下院議員たちと少数派の共和党議員たちが、数カ月に及ぶ法制上の行き詰まりを打破し、ロシアとの戦争に巻き込まれたウクライナへの600億ドル(約9兆3000億円)の援助を承認した。採決は311対112となり、反対したのは共和党の保守派ばかりだった。

米国防総省が、ウクライナにとって最大の軍事的支援者であるアメリカからの援助がなければ、ウクライナは着々とロシア軍に更に多くの陣地を譲り、死傷者の数をさらに増やすという、驚異的な状況に直面するだろうと警告しているため、ウクライナへの資金はロシアとの戦争において、ウクライナにとって重要な岐路にある。また、ジョンソン議長にとっては、自身の職が脅かされているにもかかわらず、優先度の高い法案の可決に向けて、連邦下院共和党主流派と民主党の連合をリードし、大きな勝利を得た。

土曜日の民主党議員の会合中、ある議員は、民主党の支持によって政府への資金提供が可能になり、外国の脅威を監視するアメリカのスパイ機関の再認可が可能になったことを踏まえると、民主党が事実上過半数を支配していると誇らしげに叫んだ。

「連邦下院民主党はこの機会に立ち上がり、ジョー・バイデン大統領もこの機会に立ち上がり、マイク・ジョンソン議長率いる伝統的保守派もこの機会に立ち上がりました」と民主党のハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務は高らかに宣言した。

ウクライナ支援の可決は、ドナルド・トランプ前大統領への大きな反撃でもある。トランプは長年ウクライナを批判する一方で、ロシアの指導者ウラジミール・プーティンに繰り返し同調し、既に占領した土地をロシアに保持させることで戦争を解決すると側近たちに語ってきた。トランプはウクライナの援助を融資に変えることを推し進め、共和党は土曜日の法案に融資の要件を盛り込むよう促した。

ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、「民主、共和両党、そしてマイク・ジョンソン連邦下院議長個人に対し、歴史を正しい方向に導いてくれた決定に“感謝する”」とXに記した。

ウクライナ問題で問題解決に向けて動いてきたジョンソン議長は、「法案への批判者たち(critics of the legislation)」がいたにもかかわらず、超党派で外国の同盟諸国への資金提供を進める決定を下したことに開き直った。

ジョンソン議長は、「これは完璧な法律ではない。政府が分裂し、様々な意見が存在する時代には、完璧な法案が可決される保証される訳ではない」とジョンソン議長は語った。

ミッチ・マコーネル連邦上院少数党(共和党)院内総務(ケンタッキー州選出、共和党)は、法案可決を祝し、「連邦議会は、同盟とパートナーシップの強さ、公約の信頼性、そしてアメリカを守り侵略を抑止するための軍隊の能力を高めるために不可欠なこの投資がついに前進した」と述べた。

連邦下院はまた、イスラエルへの260億ドル(約4兆円)の資金拠出を圧倒的多数で可決した。その中には、90億ドル(約1兆3500億円)の人道支援が含まれ、その一部はガザ地区に割り当てられる。イスラエルが先週末、イランが発射したミサイルと無人機への報復としてイランを攻撃した数日後にこの法案は可決した。

共和党所属の連邦下院議員21名がこの法案に反対し、民主党議員37名に加わったが、その多くは、ガザ地区への人道支援が含まれていたにもかかわらず、同地域に支援を提供できる国連機関への資金を剥奪するという理由でこの法案に反対票を投じた。 10月7日のハマスによるイスラエルへの越境攻撃に国連機関のガザ地区職員1万2000人のうち12人が参加したことがアメリカ情報諜報機関とイスラエルによって判明したことを受け、アメリカは国連救済事業機関(U.N. Relief and Works AgencyUNRWA)への資金提供を停止した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、今回の援助について、「非常にありがたい」と述べ、「イスラエルに対する超党派の強い支持を示し、西洋文明を守るものだ」とXに投稿した

連邦下院はまた、中国の脅威に直面するインド太平洋地域の同盟諸国への80億ドルの支援を、385対34で圧倒的な差で可決した。反対票を投じたのは共和党の極右議員ばかりだった。

連邦下院はまた、「TikTok」を禁止する可能性、ウクライナに売却するためのロシア資産の差し押さえ、融資という形で提供されるウクライナ支援に条件をつけることなど、超党派の優先事項が多く含まれる法案を可決した。

ジョンソン議長は次のように述べた。「連邦上院の白紙委任(blank check)とは異なり、連邦下院の法案には非常に重要な特徴がいくつもある。ウクライナ支援に対する説明責任が強化される。私たちは議員たちの声を反映した。私たちは彼らにチャンスを与えた。私たちは彼らに、より良いプロセスを提供し、最終的にはより良い政策を実現した」。

連邦下院共和党は、アメリカの資金は南部国境の管理など国内問題に費やしたほうが良いと主張し、ウクライナへの送金にますます慎重になっている。ジョンソン議長はまた、南部国境での移民を取り締まる厳しい法案を提出したが、共和党の強硬派議員3人が連邦下院規則委員会での手続き動議を拒否したため、法案は否決された。

ジョンソン議長は、グリーン議員の行動が自分を議長職から追い落とそうとする動議の検討を早めるきっかけとなる可能性があることを認識し、リスクを冒して支援策可決を進めた。しかし、ジョンソン議長は今週初め、民主政治体制を維持するためにアメリカが介入し、独裁政権と戦う同盟諸国を支援する歴史上重要な時期に直面していると指摘し、リスクや党派争いに関係なく前に進むことを決意した。

ジョンソン議長は、「私は議長解任動議の心配をしながらこの議事堂の中を歩き回っているのではない。私は自分の仕事をしなければならない。私は、連邦議会の意思を尊重し、正しいと信じることをしたまでのことだ」と述べた。

グリーンは今週、ジョンソンを解任する動議を提出し、トーマス・マシー議員(ケンタッキー州選出、共和党)の支持を得た。トーマス・マシー議員とポール・A・ゴーサー議員(アリゾナ州選出、共和党)の支持を得た。マイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出、共和党)が辞職し、共和党の多数派が1議席に減少した今、議長を追放するには十分な数だ。ただし、民主党がジョンソン議長の救援に乗り出さない限りは、である。ジョンソン議長はウクライナ支援のために行動したため、民主党はその可能性を真剣に検討している。

グリーン議員は、共和党の同僚たちに有権者の意見を聞き、来月ワシントンに戻ったらジョンソン議長を続投させるかどうかについて議員らに話し合ってもらいたいため、土曜日に動議を提出しないことに決めたと語った。

グリーンは、ウクライナへの資金提供を支援した共和党の同僚について「この国のアメリカ人は全員激怒すべきだと思う。誰がこんな人たちに投票するだろう? どうすればこの人たちに投票できるだろうか? 彼らは私たちの国に奉仕していない」と語った。

マシー議員は、ジョンソン議長が「辞任を自発的に表明すれば、議長不在期間が長期化することは避けられる」と述べた。もしジョンソン議長が辞任しなければ、年内に議長が解任されるだろうと予想した。

マシー議員は次のように述べた。「彼はレームダックになった議長(lame-duck speaker)だ。私たちは連邦議会が機能するようにしようとしている。ジョンソン議長に集められている募金がケビン・マッカーシー前議長時代の募金の半分以下であるのには理由がある。それは、レームダックになった議長などに誰も会いたがらないからだ」。マシー議員は続けて、「私たちのオフィスには、2025年1月3日に再選できる人物が必要だ。そしておそらくここにいる人々はそれを認めたくないかもしれないが、ジョンソンがそこに到達するつもりがないことは私にとって非常に明白だ」と述べた。

土曜日、11月まで連邦下院議長でいられると思うかと質問されたジョンソン議長は、「はい」とだけ答えた。

ジャクリーン・アレマニー、トビ・ラジがこの記事の作成に貢献した。
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連邦下院がウクライナとイスラエルへの数十億ドルの援助を数ヶ月の闘いの末に可決。次は連邦上院だ(The House passes billions in aid for Ukraine and Israel after months of struggle. Next is the Senate

-連邦下院は、ウクライナ、イスラエル、その他のアメリカの同盟諸国に対する950億ドルの対外援助パッケージを、連邦議会での数ヶ月の混乱の後、承認した。

スティーヴン・グローヴス、リサ・マスカロ筆

2024年4月21日

APニューズ』紙

https://apnews.com/article/ukraine-aid-israel-tiktok-congress-a8910452e623413bf1da1e491d1d94ba

ワシントン発(AP通信)。連邦下院は、ウクライナ、イスラエル、その他のアメリカの同盟諸国に対する950億ドル(約14兆7000億円)の対外援助を、週末の議会で承認した。週末にこのようなことが行われるのは珍しいことだ。これは、ロシアの侵略を撃退するためのアメリカの新たな支援をめぐって、数ヶ月にわたる強硬な右派の抵抗の後、民主党と共和党が結束したことで達成された。

土曜日、610億ドル(約9兆5000億円)にのぼるウクライナへの支援は圧倒的な賛成多数で、数分で可決された。戦争で引き裂かれた同盟国への新たな支援策をめぐって、アメリカの連邦議員たちが争う中、この支援は力強いものとなった。民主党所属の下院議員の多くが連邦議場で歓声を上げ、ウクライナの青と黄色の旗を振った。

イスラエルや他の同盟諸国への援助も、人気プラットフォーム「TikTok」を取り締まる措置と同様に、大差で承認された。法案全体は連邦上院に送られ、早ければ火曜日にも可決される可能性がある。ジョー・バイデン大統領は直ちに署名すると約束している。

マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)は、「私たちはここで務めを果たしたし、歴史はそれを高く評価するだろう」、自らの職を賭して法案成立に尽力し、疲れ切った様子で語った。

ホワイトハウスによれば、ジョー・バイデン大統領はジョンソン議長および民主党のハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務と個別に会談し、法案を推進することで「わが国の安全保障を最優先してくれたこと(putting our national security first)」に感謝した。

バイデン大統領は、「私は、連邦上院がこのパッケージを速やかに私の机に送り、私が署名して法制化し、ウクライナの緊急の戦場でのニーズに応えるために武器と装備を速やかに送ることができるようにすることを強く求める」と述べた。

ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領は、連邦下院の民主、共和両党と「歴史を正しい軌道に乗せた決断に対して個人的にマイク・ジョンソン議長に感謝している」とX(旧ツイッター)で述べた。

ゼレンスキー大統領は「アメリカ、ありがとう」と述べた。

連邦議会でのこの場面は、多数派を握っているものの対外援助、特にウクライナに対する援助をめぐって大きく意見が分かれている共和党によって煽られた数カ月間の機能不全(dysfunction)と膠着状態(stalemate)を経て、印象的な行動を示した。ジョンソン議長は、2022年12月以来となるウクライナへの主要政策となる軍事資金(military funding)と人道資金(humanitarian funding)の承認を確実に得るために民主党に頼った。

その日の朝は、厳粛かつ真剣な議論と異常な目的意識で始まり、共和党と民主党の指導者たちが団結して迅速な承認を求め、アメリカが同盟諸国を支援し、世界舞台でリーダーであり続けることが確実になると述べた。連邦議会の訪問者ギャラリーは見物人で混雑していた。

連邦下院外交委員会委員長のマイケル・マッコール下院議員(テキサス州選出、共和党)は「世界の目が私たちに注がれており、我々が今ここで行うことは歴史が判断を下すだろう」と述べた。

連邦下院の法案通過により、ウクライナの軍事物資が不足し始めた2023年10月に初めて提出された、バイデン大統領のウクライナへの支援資金承認要請に対する最大のハードルが取り除かれた。

共和党が過半数を占める連邦下院は何をすべきかで数カ月にわたり苦悩し、まずウクライナ支援を米国・メキシコ国境の政策変更と結びつけるよう要求したが、まさにその方針に沿った超党派の連邦上院提案の法案を即座に拒否した。

ジョンソン議長にとって終盤戦に到達することは、ジョンソン議長の決意と共和党内での支持の両方を試す、厳しい試練となっている。現在、ジョンソン議長を公然と議長職から解任するよう求める声は少数ながらも増えている。しかし、連邦議会の各党の指導者たちは、この投票を歴史の転換点として位置付けて投票を行った。アメリカの同盟諸国がヨーロッパ大陸から中東、インド太平洋に至る戦争や脅威に悩まされている中での差し迫った犠牲をアメリカは払うことになる。

ニューヨーク州選出の連邦下院議員で、連邦下院外交委員会民主党側筆頭委員であるグレゴリー・ミークスは、「今日の私たちもそうであるが、歴史を生きていると、私たちが連邦下院本会議で行った投票の行動の重要性や、それが将来に及ぼす影響についてその時の段階では理解できないことがある。しかし、これは歴史的な瞬間だ。」と発言した。

反対派、特にジョンソン議長を含む多数派と対立している、共和党極右派は、アメリカは、国内の国境警備や国の債務増加に対処する国内の戦線に注力すべきだと主張し、海外で使用される兵器を製造するために、大部分がアメリカの軍需メーカーに流れ込むことになる、更なる資金の支出に警鐘を鳴らした。

それでも、連邦議会は、ゼレンスキー大統領から日本の岸田文雄首相まで、ここ数カ月の間に世界の指導者たちがワシントンを次々と訪れ、連邦議員たちに援助を承認するよう懇願しているのを目にした。世界的に見れば、この遅れは同盟国に対するアメリカの関与に疑問を投げかけるものだった。

バイデンの外交政策の最優先事項の1つ、ロシアのプーティン大統領のヨーロッパ進出を阻止することが問題になっていた。ジョンソン議長と秘密裏に会談した後、バイデン大統領はすぐにジョンソン議長の案を支持し、最終的な採決に必要な手続き上のハードルを乗り越えるために民主党が法案を支持する道を開いた。

ジェフリーズ院内総務は「民主党員や共和党員としてではなく、アメリカ人として、民主政治体制が危機に瀕しているところならどこでも守る責任がある」と、議場での討論の中で述べた。

ウクライナへの援助が共和党所属の議員たちの過半数を獲得できなかった一方で、数十人の進歩主義的な民主党所属議員たちは、数万の市民を殺害したガザ地区への攻撃の停止を要求し、イスラエルへの援助法案に反対票を投じた。約20人の共和党強硬派は、イスラエルや台湾のような伝統的に共和党の支持を得てきた同盟諸国への援助も含め、援助パッケージのあらゆる部分に反対票を投じた。

共和党所属議員の一部も、採決中に民主党議員たちがウクライナの国旗を振ったことに怒って反対した。フロリダ州選出の共和党所属のカット・カマック連邦下院議員は、X(旧ツイッター)で、民主党議員たちの行動に「激怒」しており、連邦下院議場での外国の国旗の掲示を禁止する法案の作成に取り組んでいると述べた。

同時に、共和党の大統領候補と目されるドナルド・トランプは、「アメリカ・ファースト(America First)」を掲げて共和党をよりアイソレーショニズム的なスタンスに傾けるため、ソーシャルメディア上の発言や連邦議員たちとの直接電話を通じて遠くから意見を述べるなど、この戦いに大きな影を落としている。

ウクライナの防衛はかつて連邦議会で超党派の強固な支持を得ていたが、戦争が3年目に入ると、共和党議員の過半数が更なる援助に反対するようになった。トランプ前大統領の盟友であるマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員は、資金をゼロにする修正案を提出したが、否決された。

超保守的な連邦下院共和党の議員連盟であるフリーダム・コーカスは、この法案を「アメリカ最後の」対外戦争対策案(the “America Last” foreign wars package)と嘲笑し、法案には国境警備措置が含まれていないとして、共和党指導部に反抗し、法案に反対するよう議員らに促した。

グリーンを筆頭とする3人の共和党所属の議員たちが、議長解任の投票につながる「解任動議(motion to vacate)」を支持したため、ジョンソン議長の連邦議長職の維持の可能性が小さくなっている。極右派に後押しされるように、グリーン議員の側には、アリゾナ州選出のポール・ゴーサー議員(アリゾナ州選出、共和党)を含む多くの議員に加わっている。ゴーサー下院議員、トーマス・マシー連邦下院議員(ケンタッキー州選出、共和党)など、ジョンソン議長に自発的に退くよう求める議員も増えている。

このパッケージには、民主党が支持した、あるいは少なくとも受け入れることを望んでいる共和党の優先事項がいくつか含まれている。その中には、ウクライナ再建のために、アメリカが凍結されたロシア中央銀行の資産を差し押さえることを可能にする提案や、イラン、ロシア、中国、鎮痛効果のある合成ドラッグであるフェンタニルを取引する犯罪組織に対する制裁、人気動画アプリ「TikTok」の中国に拠点を置くオーナーに対し、1年以内に株式を売却するか、アメリカでの取引を禁止することを求める法案などが含まれている。

それでも、これらの法案を議会で成立させようと全力を挙げているのは、アメリカ国内政治だけでなくウクライナの現実を反映している。国家安全保障に関連する各委員会の理事である議員たちは、機密扱いのブリーフィングを受けることができるが、ロシアが兵力と弾薬の不足に悩むウクライナ軍を打ちのめし、戦況が悪化することを深刻に懸念している。

ニューヨーク州選出のチャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)は、火曜日に連邦上院がこのパッケージの手続き投票を開始すると発表し、「世界中の同盟諸国がこの時を待っていた」と述べた。

共和党のミッチ・マコーネル連邦上院少数党(共和党)院内総務は、来週、右派の反対を押し切る準備をしながら、「目の前の課題は緊急だ。歴史を作るために再び連邦上院の出番となる」と述べた。

(貼り付け終わり)

(つづく)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号の、佐藤優(さとうまさる)先生の書評コーナー「名著、再び」で2ページにわたってご紹介いただきました。ありがとうございます。是非お読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 4月10日に岸田文雄首相が国賓待遇でアメリカを訪問し、ジョー・バイデン米大統領と首脳会談を行った。岸田首相の連邦議会での演説では「巧みなジョークで大うけ」という演出がなされた。これだけのおもてなしを受けるためには、お土産にどれくらいが必要なのだろうか、と考えると気が重くなる。ウクライナ戦争やパレスティナ紛争で、ウクライナとイスラエルへの支援をしなければならないアメリカからすれば、唯々諾々とお金を出してくれる日本は移動式金庫のようなもので、首相を呼びつければお金を持ってやってくる、「カモがネギを背負ってやってくる」ということでしかない。今回も「共同開発」「協力」などと言う言葉たくさん並べられたが、それぞれの請求書は東京に送られる。

 日本にとっての最大の懸念は、「アメリカの尖兵となって、中国にぶつけられること」であり、「中国と戦争をしなければならない状態にさせられること」だ。日本では、「中国が攻めてくる、攻めてくる」と声高に叫ぶ考えの足りない人たちが一部にいる。中国が日本に軍事的に侵攻してどのような利益があるのか、よく考えた方が良い。そうした日本人は、「日米安全保障条約があるから、いざとなったらアメリカが一緒に戦ってくれる」などとも言う。それは大きな間違いだ。アメリカは日本と一緒になって戦ってくれない。それどころか、いざとなれば、「日本国憲法があるのに中国と勝手に戦争をした」という理由で、日本を米中共同の敵に祀り上げるくらいの論理構成をしてくるだろう。ここで怖いのは、アメリカの間接的なお墨付きを得て、日本が中国に攻め込ませさせられる(中国とぶつけられる)ということだ。日米防衛協力は、自衛隊をアメリカ軍の下に置いて、好きに使えるようにするということだ。そして、自衛隊がアメリカ軍の尖兵となって(アメリカは自分たちの不利益にならない形で)、中国と戦えるようにするということだ。

 日本の自衛隊は今のところ、正式な形でアメリカ軍の指揮下に入っていない。実質的には入っているようなものではあるが、今のところは、アメリカ軍と協議をしてという形を取って、独立した形になっている。今、テーマになっているのは、「いざとなった時に、話し合いなどをしている時間的余裕などないのだから、いざとなったら、自衛隊はアメリカ軍の指揮下に入れるということ」である。このような状態になった時に怖いことは、アメリカがシナリオを書いて、日中が衝突するということを起こされることだ。もしくは、中国人民解放軍の一部(アメリカに使嗾されるスパイのような存在)が暴発して、自衛隊を攻撃するという事件を起こすことだ。

 そのようなことが起きるはずがないと考えるのは当然だろうが、そのようなことが起きる危険については可能性についても私たちは考えておくべきだ。日中が戦わないということを基本線にして、物事を組み立てていく。アメリカには面従腹背、中国には実態を説明して何か起きても自制、そしてどうしようもなくなれば、八百長を仕組む、これくらいのことは日本政府に期待したいところだ。

(貼り付けはじめ)

バイデン・岸田首脳会談は新たな防衛協力を確実なものとする(Biden-Kishida Summit Secures New Defense Cooperation

-アメリカと日本は南シナ海における中国の影響力に対抗することを目的としている。

アレクサンドラ・シャープ筆

2024年4月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/04/10/us-japan-summit-biden-kishida-state-visit-south-china-sea/

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ホワイトハウスにてジョー・バイデン大統領の隣で演説を行う日本の岸田文雄首相

●「壊れることのない」パートナーシップ(An ‘Unbreakable’ Partnership

ジョー・バイデン米大統領は水曜日、日本の岸田文雄首相をホワイトハウスに迎え、二国間の防衛・情報協力を強化するための70項目以上の計画を発表した。今回の数日間にわたって行われた日米首脳会談は、南シナ海における中国の野心や北朝鮮の核開発計画への懸念など、インド太平洋における緊張の高まりに対処することを目的としている。

バイデン大統領は、日米のパートナーシップは「壊れることはない(unbreakable)」と述べ、「2つの偉大な民主政治体制国家の間の記念碑的な同盟(monumental alliance between our two great democracies)」を称えた。

バイデンと岸田はまた、日本の自衛隊との連携を強化するため、日本にあるアメリカ軍司令部の機能向上(upgrading)についても話し合う予定だった。両首脳はまた、アメリカと日本がどのような種類の防衛兵器を共同生産できるかを検討するための「軍産評議会(military industrial council)」の設立も発表した。ロイド・オースティン米国防長官と日本の木原稔防衛大臣は今後数カ月かけて詳細を最終決定する予定だ。

第二次世界大戦での日本の敗北後、日本は軍隊を自衛(self-defense)の目的に限定する平和憲法(pacifist constitution)を制定した。しかし、岸田は前任者の安倍晋三政権下で始まったそのドクトリン(doctrine)からの転換を続けている。2021年の首相就任以来、岸田は殺傷兵器の輸出規制を緩和し、2027年までに防衛費をGDPの2%に引き上げると約束し、反撃能力(counterstrike abilities)を高めるためにアメリカ製トマホークミサイルを購入し、日米豪印戦略対話(Quadrilateral Security DialogueQuad)などの安全保障グループの設立を支援した。

岸田首相は「今日、世界はこれまで以上に多くの課題と困難に直面している。日本はアメリカの友人たちと手を携え、共にインド太平洋地域と世界の課題に取り組む先頭に立って進んでいく」と述べた。

首脳会談の中で、バイデンと岸田は、共同月探査計画、人工知能、半導体、クリーンエネルギーに関する研究協力、日本の学校との交流プログラムに参加するアメリカの高校生のための新しい奨学金制度創設を発表した。両首脳の会話の多くは、東京の機密情報保護活動を強化する方法(ways to boost Tokyo’s sensitive intelligence protection efforts)にも及んだ。日本は以前から、中国の挑発行為により対抗するため、ファイブ・アイズ[Five Eyes](オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、イギリス、アメリカで構成される情報諜報ネットワーク[intelligence network])への加盟を目指してきた。

木曜日、岸田首相はアメリカ連邦議会の合同会議で演説する史上2人目の日本の指導者となる。また、南シナ海で繰り返される中国とフィリピンの沿岸警備船との敵対行為について話し合うため、バイデン、フィリピンのフェルディナンド・マルコス・ジュニア大統領との三者会談にも出席する。バイデンが計画している岸田首相、マルコス大統領との会談の狙いについて、あるアメリカ政府関係者はロイター通信の取材に対して、「台本をひっくり返し、中国を孤立させる(flip the script and isolate China)」ことだと語った。

※アレクサンドラ・シャープ:『フォーリン・ポリシー』誌「ワールド・ブリーフ」欄記者。ツイッターアカウント:@AlexandraSSharp

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バイデンと岸田にとって勝利のヴィクトリーランをするにはまだ早過ぎる(It’s Too Soon for Biden and Kishida to Take a Victory Lap

-日米同盟にはまだ3つの不愉快な疑問が存在する。

ジェニファー・カヴァナー、ケリー・A・グリ―コ筆

2024年4月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/04/09/kishida-biden-japan-summit-united-states-military-alliance/

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2022年5月23日、東京・赤坂の迎賓館で行われた歓迎式典で、儀仗兵を閲兵するジョー・バイデン米大統領と岸田文雄首相。

4月10日にジョー・バイデン米大統領が日本の岸田文雄首相をホワイトハウスに迎える際、国内で国内政治的課題に直面している両首脳は、日米同盟の強靭さを熱心に宣伝するだろうが、それには当然の理由がある。日米安全保障協力は、日米両国の管理の下で新たな高みに達している。日本は防衛費を増額し、同盟諸国は緊急時対応計画(contingency planning)を深め、軍事演習を強化した。

日米両首脳は、結束のイメージが不一致によって損なわれないよう、茨の道を突き進みたくなるだろう。しかし、喫緊の問題が依然として日米同盟の上に横たわっている。過去3年間の急速な進展にもかかわらず、日米両国は、紛争が発生した場合に信頼できる共闘を行うために必要な、協調的な意思決定プロセスと統合をいまだに欠いている。同盟に弱点があると見なされれば、中国を増長させる危険性があるため、これは憂慮すべきことだ。

日米同盟の最大の脅威により効果的に対抗するために、バイデンと岸田は今度の訪問をきっかけにして、3つの難問に緊急に取り組むべきだ。同盟の指揮統制体制をどのように近代化するか、日本がアメリカの地上配備型長距離攻撃能力を自国内に配備すること(the deployment of U.S. ground-based long-range strike capabilities)を認めるかどうか、認めるとすればどのような条件になるのか、そして在日アメリカ軍、特に沖縄の態勢と再配分をどうするか、である。

ワシントンと東京がこれらの問題に対処する窓口は限られており、それを避ければ避けるほど、抑止力(deterrence)が破綻し、日米同盟が真の危機に備えられなくなるリスクが高まる。

軍事同盟にとって、同盟軍の展開と使用をどのように調整するかほど重大な決定はほとんどない。しかしながら、日米同盟はこれまで決して戦争をするための同盟ではなかったため、基本的な軍事調整メカニズムが欠如している。

過去70年間、日米同盟は2つの異なる指揮系統(two separate command structures)で運営されてきた。日米両国はそれぞれ独立した指揮系統を維持し、同盟国全体の指揮官に権限を委譲することはなかった。朝鮮戦争でそうであったように、日本は主として、アメリカがこの地域で作戦を展開するための拠点であり続け、戦場における同盟国ではない状態が続いたので、この取り決めは機能した。

中国の軍事力がより強力になり、自分たちの権益を主張する態度が強まり、日本自身の能力と役割が拡大するにつれて、この取り決めはもはや同盟のニーズに合わなくなっている。今や日米同盟の成功は、並列作戦(parallel operations)ではなく、統合作戦(combined operations)を実施できるかどうかにかかっている。この時代遅れの構造を更新することが、バイデンと岸田が取り組むべき喫緊の課題である。幸いなことに、彼らは今週、指揮系統関係を見直す計画を発表する予定だ。理想的な世界では、日米両国は韓国の連合軍司令部(Combined Forces Command)のような統一司令部構造(unified command structure)を確立するだろうが、日本国内の法的・政治的制約があるため、日本軍がアメリカ軍の指揮下に入ることはできない。

検討中と報じられている、次善の選択肢は、ハワイを拠点とする米太平洋艦隊(U.S. Pacific Fleet)の四つ星の海軍大将クラスが司令官として率いる統合任務部隊(joint task forceJTF)の下で、2つの国の司令部をより緊密に統合することである。在日アメリカ軍(U.S. Forces JapanUSFJ)は現在、統合作戦司令部(joint operational command)ではない。その代わり、三つ星の海軍中将クラスの司令官は日本との日米地位協定(the Status of Forces Agreement with Japan)を監督する管理的な役割を果たし、作戦を実施する権限は限られている。しかし、提案されているオプションでは、統合任務部隊(JTF)は有事の際にアメリカ軍統合部隊の作戦統制権を握り、日本の自衛隊と調整することになる。

しかし、統合任務部隊(JTF)のオプションは、日米同盟の指揮統制の問題に対する特効薬ではない。例えば、日本の陸上自衛隊に命令を下す正式な権限がないため、統合任務部隊(JTF)司令官は説得によってしか同盟を指揮することができないが、ハワイからではその任務がさらに困難になっている。同盟国の指揮系統が重複することは複雑なだけでなく、しばしば軍事的惨事に終わることもある。たとえば、1940年にはフランス側の代表団が複数の階層構造になっていたため、イギリスの同盟諸国は誰と調整すべきか混乱し、フランスのドイツへの降伏に終わった急速な軍事崩壊の一因となった。

バイデンと岸田は、より合理的なアプローチ、具体的には在日アメリカ軍をアメリカの四つ星の大将クラスが司令官を務める統合作戦司令部(joint operational command headquarters)に移行させることを検討すべきだ。このアプローチでは、在日アメリカ軍を日本の将来の統合作戦司令部(Japan’s future joint operational headquarters)と同居させるかどうかや、両者間の調整をどのように行うかといった問題に日米が取り組む必要がある。しかし、情報共有、適時的な意思決定、密接に統合された作戦の効果的な遂行を促進することができるようになり、現在のモデルから大幅に改善されるであろう。

しかし、紛争時に意思決定を行うためのより効果的な枠組みは、いざというときに同盟軍がどのように共闘するのかについての明確なコンセプトも持っていなければ意味をなさない。日米両国はそのような統合計画に向けて取り組んできたが、アメリカ軍が日本本土において、どのようなシステムを使用できるかという疑問はまだ解決していない。例えば、アメリカ軍の地上発射型長距離ミサイルを日本に配備できるかどうかなどである。これは岸田首相とバイデン大統領にとっての2番目の議題になるはずだ。

アメリカの立場からすれば、日本に配備される、信頼できる地上攻撃能力の第一の目的は、台湾海峡や南シナ海、東シナ海周辺にいる中国の水上艦船やその他の標的を狙い撃ちすることだ。そうすることで、この地域で起こりうる様々な事態において、北京に軍事的勝利を簡単に与えないようにすることである。日本は、独自の地上配備型長距離ミサイル[ground-based long-range missiles](アメリカ製トマホーク400発)の購入を計画しているが、主に、北京が日本本土を攻撃した場合に中国本土を標的にするための反撃能力(counterstrike capability)の一部として使用するつもりである。

自国の作戦上の野心を満たすため(To fill its own operational ambitions)、アメリカは、アメリカが所有し、運用している地上配備型トマホークや、より短距離の精密攻撃弾道ミサイルシステム(shorter-range precision-strike ballistic missile systems)を日本国内に配備することに関心を示している。しかし東京都は、アメリカがミサイルを配備することを容認することには否定的だ。アメリカのミサイルを受け入れると、日本は中国からの報復(retaliation)を受けやすくなる、もしくは、先制攻撃(preemptive attack)を招き、民間人に被害が及ぶ可能性が高まるからだ。

しかし、日本が、アメリカの運用しているミサイルを受け入れるかどうかについて曖昧な態度であることは、同盟国軍が中国の軍事作戦を妨害し、低下させる能力について、複雑に様々な要素が絡み合った、抑止力のシグナルを中国に送っている。日本とアメリカには今後の選択肢がいくつかあるが、時間が最も重要である。ミサイルシステムを配備する場合、アメリカのミサイルは紛争が始まるかなり前に日本に配備する必要がある。なぜなら、ミサイルの運搬は攻撃や封鎖(blockade)に対して脆弱であるからだ。紛争以外でも、緊張が高まる中での配備は誤算(miscalculation)と事態悪化(エスカレーション、escalation)の可能性を高めるだろう。

バイデンと岸田は次回の会談でこの問題を完全には解決できないかもしれないが、そのような展開が受け入れられる時期と場所を定義することで議論を進めることはできるだろう。また、長距離ミサイルシステムの共同生産(co-production)や共同管理(shared management)、あるいは二国間軍事演習に長距離ミサイルを組み込むなど、ある種のローテーション体制など、短期的な代替案も検討すべきである。

岸田とバイデンが取り組むべき最後の問題は、在日アメリカ軍の態勢を、特に沖縄における日本自身の防衛態勢とより緊密に連携させることである。第二次世界大戦後、アメリカは沖縄に大規模な軍事プレゼンスを維持してきたが、沖縄は台湾海峡や南シナ海に近いため戦略的に貴重である一方、日本本土から遠いため脆弱でもある。

アメリカは沖縄でより生存可能で信頼できる戦力の構築を目指しており、沖縄の海兵隊連隊(Marine Corps regiment)を転用するという野心的な計画を進めている。これらのアメリカ軍は、近くに駐留する自衛隊と並行して戦い、対艦ミサイル(anti-ship missiles)や無人機(drones)を装備し、中国が発見しにくく、重要なシーレーンで中国の船舶を狙いやすくなる周囲の島々に迅速に分散することを可能にする。

しかし、日本政治は独自の戦力態勢の変更を推進している。日本との長年にわたる兵力再編計画では、約9000人のアメリカ海兵隊が沖縄からグアムなど他の場所に移動することになっており、日本が新基地建設費の3分の1以上を負担すると決定している。

これら2つの取り組みは相互に作用し、対処すべきリスクを生み出している。たとえ危機の時期であっても、沖縄全土に海兵隊を配備することは、既に中国の攻撃の標的になることを恐れている沖縄県民との緊張を悪化させるだろう。こうした憤りは、アメリカ軍と沖縄県民、さらには沖縄と東京との関係を悪化させ、中国の偽情報(disinformation)が日米同盟と日本国内の結束を損なう隙を生む可能性がある。しかし、アメリカ軍を沖縄からグアムに移転すれば、政治的緊張は緩和される可能性があるが、アメリカ軍は統合作戦に直接貢献できなくなる。

政治的緊張(political tensions)を緩和しながら沖縄のアメリカ軍の態勢を維持するために、アメリカと日本は、沖縄のアメリカ軍基地を、2015年の三沢基地や横須賀海軍基地のように、アメリカ軍と日本の陸上自衛隊の両方が使用する統合基地に転換することを検討すべきである。日本の他の地域。この変更は、統合作戦のための部隊をさらに統合し、アメリカ軍が占領軍であるかのような外観を回避し、日米同盟が互恵協力(mutually beneficial cooperation)に基づいていることをより具体的に伝えることになるだろう。

日米同盟は日米両国の安全保障と防衛の要であり、国内の政治的議論においても重要な役割を果たしている。しかし、その目的に沿うためには、日米同盟は効果的な戦闘力になるために真剣になる必要がある。バイデンと岸田は、今回の訪日をきっかけにこうした対話を開始し、日米同盟が最も差し迫った脅威に立ち向かうために十分な強さと信頼性を持つようにすべきである。

※ジェニファー・カヴァナー:カーネギー国際平和財団アメリカン・ステイトクラフト・プログラムの上級研究員、ジョージタウン大学非常勤教授。ツイッターアカウント:@jekavanagh

※ケリー・A・グリ―コ:スティムソンセンターのアメリカ大戦略再構築プログラムの上級研究員、海兵隊大学のブルート・クルラック記念革新・未来戦争センターの非常勤研究員、ジョージタウン大学の非常勤教授。ツイッターアカウント:@ka_grieco
(貼り付け終わり)
(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。日本がアメリカの下請けで武器を製造するということは、私が本の中で予想していた通りの展開です。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 岸田文雄と自民党をめぐっては、スキャンダルもあり、増税もあり、非常に厳しい状況になっている。それでも何とか予算を通すことができた。今年4月には、岸田首相は、国賓としてアメリカを訪問する。アメリカ連邦議会の上下両院合同会議で演説を行うことが決まっている。国賓待遇なので、ジョー・バイデン大統領主催の晩餐会や、岸田首相主催の答礼となる晩餐会もあるだろう。私の記憶では、連邦議事堂で演説を行った日本の首相は、故安倍晋三元首相以来だと思う。「属国」の首相に対して、これだけの「好待遇」をするということは、それ相応の「お土産」がいる。それが下記の記事にあるアメリカ向けの軍事装備部品の共同生産体制の強化、増産ということである。
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 ウクライナ戦争が開戦して2年以上経過し、状況はウクライナにとって不利になっている。アメリカをはじめとする西側諸国では、ウクライナに対する支援が厳しくなっている。最大の支援国であるアメリカでは、アメリカ連邦下院でウクライナ支援に反対する共和党強硬派がいる。大統領選挙の共和党候補者となること学実となっているドナルド・トランプも反対している。アメリカ国民の多くも「既に十分にしてやった」と考えている。これらのことは、『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』で詳しく書いている。

 また、アメリカは工業生産力が落ちている中で、多くの武器をウクライナに送っているために、アメリカ軍の装備自体が足りなくなっているということは、2022年の段階で既に報じられている。工業生産力は中国、ドイツ、日本に劣っている。また、軍事用品は一般使用できないために、簡単に増産はできないし、雇用を増やすということもできない。そうした中で、アメリカとしては武器の生産に困っているという状況だ。そうした中で、便利使いされるのは日本だ。これらのことも私は『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』の中で予想していた。その通りになった。
 アメリカで足りない武器を日本が代わりに作らせていただく、しかも日本のお金で、ということになる。これは「ウクライナ支援」という大義名分がつく。アメリカが武器とお金を渡してウクライナ人に戦わせるというのがウクライナ戦争の大きな構図であるが、ここに日本人がお金を出すということが加わる。

 アメリカは「民主政治体制防衛のための武器庫(arsenal of democracy)」(フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領の言葉)という大義名分を守るために、属国・日本を使う。貧乏くじを引かされるのは日本ということはこれからもそうだったし、これからも続くだろう。
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●「アメリカ向け装備部品増産へ、日米首脳会談で連携強化調整…日本がウクライナ支援を下支え」

2024/03/10 05:00

https://www.yomiuri.co.jp/politics/20240309-OYT1T50255/
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 日米両政府は4月に予定する首脳会談で、防衛装備品を巡る「共同生産体制の強化」について合意し、成果文書に明記する方向で調整に入った。ロシアによる侵略が続くウクライナ支援で米国の生産体制は 逼迫ひっぱく している。日本がウクライナ支援を下支えすることで日米同盟の結束を示し、抑止力維持にもつなげる狙いだ。

 複数の日米両政府筋が明らかにした。米ワシントンで4月10日に行われる岸田首相とバイデン大統領との会談では、日米の防衛産業間の連携強化が主要なテーマとなる。米側には、ウクライナ支援の長期化などで砲弾やミサイルが在庫不足に陥りかねないとの危機感がある。

 日本は昨年12月、防衛装備移転3原則と運用指針を改正した。これに合わせ、米国のミサイル不足を補うため、地対空誘導弾パトリオットミサイルの米国への輸出を決めた。

 首脳会談では、こうした補完関係を加速させる方針を確認する見通しだ。覇権主義的な動きを強める中国もにらみ、装備品のサプライチェーン(供給網)を強化したいとの考えがある。

 具体的には3原則と運用指針の改正で防衛装備品の部品輸出を幅広く認めたことを踏まえ、主に部品の生産拡大を想定しているとみられる。ウクライナで大量に消費されているりゅう弾砲の部品などが浮上しており、日米は今後、弾薬なども含めて対象とする装備品の特定を急ぐ。

 日米両政府は日本企業が米軍装備品の整備や修理を定期的に行う事業の本格化も検討しており、首脳会談でも議題とする方向だ。

 米海軍第7艦隊を中心に日本に前方配備された艦艇が対象候補に挙がっている。現在、大規模な整備は米本土で行われているが、日本で実施できれば、整備の際の運用休止期間の短縮や費用の抑制につながる。日本にとっては防衛生産・技術基盤の強化も期待できる。

 艦艇に加え、最新鋭ステルス戦闘機「F35A」なども候補として浮上している。

 ただ、日本政府内では、日本の艦艇整備拠点の受け入れ余地が少ないとの指摘もある。米議会では一連の事業を日本が行うことになれば米国の雇用に影響しかねないとの警戒感もあるとされ、慎重に詰める方針だ。

 今回の首脳会談は国賓待遇で招かれて行うもので、首相は米議会の上下両院合同会議で演説する。

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治と世界政治について詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。このブログを継続するため、本をご購読いただければ大変助かります。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 昨年からの自民党各派閥のパーティー券販売キックバック問題(裏金作り)は、複数の政治家と安倍派、二階派、岸田派の会計責任者の立件でひと段落となった。安倍派、二階派、岸田派、森山派、石破グループ(政策集団・勉強会として存続していた)は派閥解散、麻生派と茂木派は存続ということになった。菅義偉前首相を中心とする、無派閥という議員グループが大きな勢力となっている。現状は、旧派閥と新派閥の対立構造という形で捉えることができる。

 また、茂木派からは、小渕優子衆議院議員と青木一男参議院議員が退会を表明し、その後も参議院議員数名が退会した。田中角栄から竹下登、小渕恵三、橋本龍太郎と続く派閥において、「茂木敏充ではなく、小渕優子を首相にする」という意図を持った動きである。麻生派は今のところ大きな動きはないが、80歳を超えて失言も続く麻生太郎に引退してもらい、河野太郎を領袖とするという動きと、それに反対する動きが派内にはあるだろう。河野は菅義偉とも同じ神奈川県を地盤としている点で関係が良好であり、同じ神奈川県を地盤としている小泉進次郎も、以前の総裁選挙で河野太郎を支持したこともあり、河野太郎は、麻生派を継承もしくは分裂して、河野派となり、菅・小泉の神奈川グループの支援を受けるということも考えられる。

 安倍派に関しては、幹部の責任論がくすぶり続け、座長の塩谷立議員や五人衆と言われる幹部たちの離党や議員辞職についても語られている。自民党内部にそのような声がある。これは極めて重要な動きである。この議員たちは、自分たちが離党をしたり、議員を辞めたりする必要があるのかと憤慨しているだろうし、そもそも自分たちは派閥の慣例に従っただけのことで、それを作ったのは森喜朗元首相だと声に出して反論したいだろう。こうした安倍派の凋落の中で、福田達夫議員は新しい集団作りを目指すと発言した。福田派の結成ということになる。

 今回の派閥パーティー券販売をめぐる特捜検察の捜査にはアメリカの意図があっただろうということを推察し、そのことをこのブログでも書いた。そしうて、これまでの動きも合わせて考えると、私は、今回の派閥潰しの最終目標は森喜朗元首相の失脚であっただろうと考える。そして、合わせて、現在の自民党執行部の古い幹部たちの力を失わせ、新しい、若手たちの東洋を進めるということであっただろうと考えている。

 森喜朗という人物については、全くとらえどころがない、理解しがたい、日本の典型的な政治家として、アメリカは捉えていただろう。ロシアとの関係が深く(父親の代から)、清濁併せ呑むということで、アメリカ側としては御しにくいタイプの典型的な日本の政治家であった。今回、二階派も解散ということになり、二階俊博元幹事長も力を失い、引退を迫られることになるだろう。二階議員は中国との太いパイプを持つことで知られているが、アメリカにしてみれば、邪魔な存在ということで、森喜朗と二階俊博はまとめて失脚させられることになった。

 自民党の新しい実力者として、菅義偉がその地位に就くことになった。菅義偉議員は、安倍晋三政権の官房長官時代にアメリカを単独で訪問し、アメリカ側が首実検を済ませている。日本維新の会とも関係が深く、カジノ推進ということでアメリカの利益を推進する政治家である。アメリカとしては、森や二階に代わって、菅を実力者として据えるということにしたようだ。そして、派閥はご破算になって、新たに、河野派、福田派、小渕派、無派閥の小泉進次郎議員という、新しいリーダーたちを育成し、より直接的に、アメリカの意向が伝わり、実行されるような体制を構築しようとしていることになる。

 今回の動きは、アメリカ国内のジャパンハンドラーズの勢力変動の影響もあったと言えるだろう。安倍晋三を支持してきた、マイケル・グリーンがシドニー大学に移籍したことは、彼が左遷され、都落ちさせられたということである。そして、グリーンの後ろ盾を失った安倍晋三は首相の座を追われ、最終的には暗殺された。誰に暗殺されたか、このことは私の先生である副島隆彦先生の『愛子天皇待望論』(弓立社)に詳しいので、そちらを読んでもらいたい。

安倍晋三元首相と彼を取り巻く勢力は、統一教会に影響を受け、日本の歴史守勢主義を推し進め、核武装まで進めようとしていた。アメリカとしては、アメリカ軍にとって役立つ日本の防衛力強化は歓迎であるが、安倍晋三元首相はそれ以上のことをしようとした。彼はアメリカにべったりで、アメリカ従属路線の人物だと日本人である私たちは評価するが、アメリカ側からすれば、「靖国神社に参拝し、太平洋戦争での日本は正しかったと主張するカルト・オブ・ヤスクニであり、核武装まで主張する危なっかしい人物」となる。アメリカにとっては使い捨ての駒であり、どんなに栄耀栄華を誇っていても最後はポイッと捨てられる。

こうした動きを冷静にかつ冷酷に見てきたのが岸田文雄という人物の怖さである。岸田首相に関しては世間の評価は低いが、その粘り強さや下手(したて)に出ながら、いつの間にか相手を逆に締めているような動きには、政治家としての強さを感じる。岸田首相の対米レッドライン(最終防衛線)は、「金で済むことならば金を出す(防衛費の倍増のために増税はする)が、中国とぶつけられることはなんとしても回避する」ということだろう。国民生活の苦しさは日本の政治家であれば分かっているはずだが、「戦争をさせられるよりはずっと良い、何とか耐えてもらいたい」ということだと思う。書き散らしになって申し訳ないが、私の今に日本政治に関する考えを書いた。

(終わり)

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治と世界政治について俯瞰し、分析しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。


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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 本日(2024年1月19日)、東京地検特捜部は、安倍派、二階派、岸田派の会計責任者たちを起訴し、立件した。既に逮捕された国会議員、起訴されている議員たちもいるが、これ以上の事件の拡大はないということになりそうだ。会計責任者たちが起訴された、3つの派閥の幹部たちが起訴されないということで、国民感情としては「ふざけるな」ということになっている。
 ここでより俯瞰的な見方をしてみたいと思う。特捜検察はどうして重要な国会議員たちを逮捕しないのかということであるが、特捜検察の目的は法律に基づいて、正義を行うということではない。特捜検察は、簡単に言えば、権力者にとって都合の良い、切れ味鋭い「刀」である。権力者の刀だというのなら、どうして岸田首相の派閥である岸田派が立件されたのか、ということであるが、それは、究極的には、日本の首相は日本の権力者ではないということだ。それでは、日本の権力者は誰であるが。それはアメリカだ。特捜地検はアメリカにとっての刀である。

 アメリカの日本支配を強めるため、より効率的、直接的に行うために、アメリカは日本政治と自民党の整理を行おうとしている。派閥という、アメリカからすれば訳の分からない機関が自民党を動かすのではなく、アメリカが育てた、教育した、息のかかった議員たちが主流派になり、当選回数や経験などに関係なく、指導的な立場に就けるようにする、そのために、派閥を解消するということがアメリカの意向であり、特捜検察はそのために動いた。政治家の逮捕など大きなことではないのだ。

 特捜検察の源流は、戦後直後の混乱期に、旧日本軍や官庁が個別に物資を隠匿していた事件(隠退蔵物資事件)を摘発する捜査部隊(隠匿退蔵物資事件捜査部)であり、この捜査部隊を作らせたのは、連合国軍最高司令官総司令部(General Headquarters, the Supreme Commander for the Allied PowersGHQ/SCAP)の民政局(Government SectionGS)次長を務めたチャールズ・L・ケーディスである。それ以来、特捜検察はアメリカの刀であった。田中角栄や小沢一郎といった、アメリカに唯々諾々と従うことをしなかった政治家たちは、特捜検察に襲い掛かられた。私たちは日本の戦後の属国としての歴史について知り、その現実を改善するための方策を国民的な議論の中で見出していかねばならない。

 アメリカは、中国の台頭という脅威に直面している。アメリカは中国に対峙するにあたり、日本を最前線だと考えている。その点で、日本の重要性は増している。アメリカが直接中国と戦うという訳にはいかない。そこで、日本を中国にぶつけて様子を見る、いざとなれば、日本を切って、中国との関係改善のために、共通の敵とするということまでやりかねない。日本にとって極めて重要なのは、中国と絶対に武力衝突を起こさないことだ。そのための人材として二階俊博元幹事長がいた訳だが、派閥解消で力を失う。アメリカにとっては狙い通りの動きである。

 アメリカの日本政治、自民党の整理は、安倍晋三元首相の暗殺が契機となった。安倍晋三元首相はアメリカにとって単純に称賛できない存在だった。アメリカにべったり、アメリカ従属の政治家であるが、同時に、太平洋戦争に関して修正主義、靖国神社参拝を行う、アメリカに反対する立場の政治家でもあった。安倍元首相の後ろ盾はマイケル・グリーンであったが、グリーンがワシントンDCからシドニーに都落ちをして、アメリカの対日管理の空気感が変わってきた。これが行きつく先が、安倍派にばかりスポットが当たった裏金問題である。

こうしたことは自民党所属の国会議員たちの大多数には知らされていない。最高幹部層だけの話だ。普通の自民党議員たちは、あれっと思っているうちに、裏金問題が大きくなり(マスコミを使って大ごとのように宣伝された)、選挙区に帰って有力な支持者たちとどうしてこうなったのかなどと話しているうちに、派閥解消まで話が進んで呆然としているという状態だ。これは「ショック・ドクトリン」の応用だ。災害などが起きて、人々が呆然としているうちに、新しい制度などが素早く導入されるというものだ。自民党議員たちは気づいたらこのようなことになっていた。金曜日なので選挙区に帰る議員たちがほとんどだろうが、皆、説明する言葉もなく、有権者たちと同様に呆然とするしかない。

 アメリカとしては、派閥という訳の分からないもので人事が決まるのではなく、親米派の議員たちが主流派を形成して、そこから指導者が出てくることが望ましい。派閥があることで物事がスムーズに進まないということがないようにしたい。こうしたことから、特捜検察を使って、自民党の整理の仕上げとして、派閥解消を実現させた。特捜検察は忠実にその目的のために動いた。自民党の派閥がなくなって嬉しい、と単純に喜べない状況にあると私は考えている。

(貼り付けはじめ)

●「安倍派幹部7人、立件断念 パー券問題で東京地検特捜部」

毎日新聞 1/19() 15:40配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/cb08c3775adc3c475e55c9734fe3faa20611a482

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、東京地検特捜部は19日、清和政策研究会(安倍派)の幹部議員7人について政治資金規正法違反容疑での立件を断念した。パーティー券収入のノルマ超過分を派閥や自身の政治団体の政治資金収支報告書に記載していない疑いが持たれていたが、いずれも会計責任者との共謀が立証できないと判断したとみられる。

 松野、西村、高木、世耕、萩生田の5氏は安倍派の「5人衆」と称され、座長の塩谷氏とともに派閥の集団指導体制をとるメンバー。下村、松野、西村、高木の4氏は公訴時効にかからない2018年以降に派閥の事務を取り仕切る事務総長を務めた。

 一方、特捜部は、安倍派と、志帥会(二階派)の会計責任者ら2人を同法違反で在宅起訴し、宏池会(岸田派)の元会計責任者を略式起訴した。一連の事件では、自民の主要5派閥が同法違反容疑で刑事告発されたが、うち3派閥が立件される形となった。

【井口慎太郎、北村秀徳、岩本桜、山田豊】

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●「安倍、二階、岸田3派閥の会計責任者らを立件 政治資金規正法違反」

毎日新聞 1/19() 14:22配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/30040cadf66ce588899df6217a5cdcfc23af5a18

 自民党派閥の政治資金パーティーを巡る事件で、パーティー券収入のノルマ超過分に関する収支を政治資金収支報告書に記載しなかったとして、東京地検特捜部は19日、清和政策研究会(安倍派)と、志帥会(二階派)の会計責任者ら2人を政治資金規正法違反(虚偽記載)で在宅起訴し、宏池会(岸田派)の元会計責任者を略式起訴した。

 一連の事件では、自民の主要5派閥が同法違反容疑で刑事告発されたが、うち3派閥が立件される形となった。

 在宅起訴されたのは、安倍派の会計責任者の松本淳一郎被告(76)と、二階派の元会計責任者の永井等被告(69)。略式起訴されたのは、岸田派の元会計責任者の佐々木和男元職員(80)。3派閥とも幹部議員は刑事訴追されなかった。

 起訴状によると、安倍派では2018年からの5年間でパーティー券に関する収入約67500万円、支出約67600万円が記載されず、二階派では18年からの5年間で収入約26400万円、支出約11600万円が不記載になっていたとされる。岸田派では18年からの3年間で収入約3000万円が不記載になっていたとしている。

 3派閥ではパーティー券収入のノルマ超過分を議員側にキックバック(還流)する運用が続けられていたとされる。安倍派では還流資金に関する収支が派閥側と議員側の両方の収支報告書に記載されておらず、二階、岸田両派では議員側への支出は記載されているものの、パーティー券収入の総額が過少記載されていた疑いが持たれていた。

 安倍、二階両派ではノルマ超過分を派閥に報告せず、事務所でプールしていた議員が複数いるとされていた。【井口慎太郎、北村秀徳、岩本桜、山田豊】

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●「岸田派解散検討 首相他派閥の対応 言及する立場にない

NHK 2024119 1406

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240119/k10014326701000.html

自民党岸田派の解散の検討を表明したことをめぐり、岸田総理大臣は19日午前、ほかの派閥の対応に言及する立場にないとした上で党としては、国民の信頼回復に向けた派閥のルールの議論を続ける考えを示しました。

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる問題を受け、岸田総理大臣が、18日夜、みずからが会長を務めていた「宏池会」=岸田派の解散を検討していることを明らかにしたのを受け、今後は、ほかの派閥に同様の動きが広がるかが焦点となる見通しです。

岸田総理大臣は19日午前、総理大臣官邸で記者団に対し「政治の信頼回復のために『宏池会』を解散するということを申し上げた。ただ他の派閥のありようについて何か申し上げる立場にない」と述べました。

また、自民党の政治刷新本部で議論の焦点となっている派閥のあり方について、どう道筋をつけていくのか問われ「国民から派閥がカネやポストを求める場になっているのではないかとの疑念の目が注がれている。こうした疑念を払拭して、信頼を回復するため、政策集団のルールについては考えていかなければならない」と述べました。

一方、一連の政治資金をめぐる問題の実態解明などへの対応について「現在、検察の捜査が続けられている。その結果を見た上で適切なタイミングで対応を考えていきたい」と述べました。

林官房長官「総理の判断 重く受け止めた」

林官房長官は閣議のあとの記者会見で「きのう、岸田総理大臣から『宏池会』の解散を検討していると伝えられ、私としても総理の判断を尊重したいと申し上げた」と述べました。

そのうえで「岸田総理大臣とは日頃より密に意思疎通を行っていて、『宏池会』への思いの強さはじゅうじゅう承知している。そのうえでの判断ということで重く受け止めた」と述べました。

一方、記者団から自民党のほかの派閥はどうあるべきか問われ「それぞれの政策集団のありようについて申し上げる立場にないが、自民党の政治刷新本部で政策集団の在り方に関するルール作りを含めて議論が深められるものと考えている」と述べました。

また、派閥を離脱した岸田総理大臣が今回の判断に関わったプロセスを問われたのに対し「現在『宏池会』の会長が不在な中で、直近まで会長を務めていた岸田総理大臣が、私を含む派閥のメンバーに考えを述べ、その考えで一致したということだ」と説明しました。

木原防衛相「政治資金の透明性高めることが必要」

自民党茂木派に所属する木原防衛大臣は閣議の後の記者会見で「一部の政策グループの政治資金パーティーの収支で不適切な会計処理が行われたことが発端だと理解している。政策グループの存在自体に問題があるのか、政策グループの不適切な行為に問題があるのか、私の所属するグループが対象ではないので判断がつかないが、政治資金の透明性を高めることが必要で、不適切な行為に対しては厳格な責任体制を確立することも必要だ」と述べました。

松本総務相「信頼回復へ強い決意で発言したのでは」

自民党麻生派に所属する松本総務大臣は閣議のあとの記者会見で「私も国民の政治不信には強い危機感を抱いている。岸田総理大臣も何としても信頼を回復しなければならないという強い決意を持って、自民党総裁として発言したのではないか」と述べました。

そのうえで「具体的な信頼回復の道筋については、自民党の政治刷新本部で議論が重ねられている。方向が定まれば所属議員として従っていく」と述べました。

齋藤経産相「大変重い発言 深い感慨で受け止め」

岸田総理大臣が自民党岸田派の解散の検討を表明したことについて、齋藤経済産業大臣は、19日の閣議のあとの会見で「長い伝統ある宏池会を解散することを検討しているという昨晩の発言については、大変重い発言であったと、自民党の一国会議員としてある種の深い感慨を持って受け止めている」と述べました。

そのうえで「政策集団の在り方についても党の政治刷新本部において議論が深められていくということで、期待しながら見守っていきたい」と述べました。

盛山文科相「派閥の解散 信頼を得るために必要かも」

自民党岸田派に所属する盛山文部科学大臣は、閣議のあとの記者会見で「大臣の立場でコメントすることはない」としたうえで「きのうの岸田総理大臣の発言を夜のニュースで見たが、『とうとうここまで言ったのか』と思った。一議員として、国民の政治に対する信頼を取り戻していくことは不可欠で、実効性のある対策を講じることが重要だと考える」と述べました。

また、派閥の解散が実効性のある対策なのかと記者団から問われ「派閥はあっておかしくないと私は思う。ただ国民からすると、派閥があるからこういう事態が起こっているという批判もあると思う。いったん派閥を解消して活動していくというのも、国民の信頼を得るために必要なやり方かもしれない」と述べました。

高市経済安保相「改革への強い思いで述べたのでは」

かつて安倍派の前身の派閥に所属し、今は無派閥の高市経済安全保障担当大臣は、閣議のあとの記者会見で「岸田総理大臣は自民党総裁の立場にもあり、改革への強い思いとして述べたのではないか。国民の信頼を得られるよう党の政治刷新本部で議論が行われており、私の立場としては、閣僚として一つでも成果を挙げ、岸田内閣の実績を作れるようコツコツと働いていきたい」と述べました。

公明 石井幹事長「潔い判断」

公明党の石井幹事長は記者会見で「岸田総理大臣は宏池会に強い思い入れがあると思うので、そういう意味では潔い判断だ。岸田総理大臣の判断がほかの派閥にどれだけ影響を及ぼすか見守っていきたい。派閥の問題は自民党自身が考えることで今回の再発防止策のすべてではなく、あわせて政治資金規正法の改正が必要になる」と述べました。

立民 泉代表「指導力も責任感もない」

立憲民主党の泉代表は記者会見で「岸田総理大臣は自分の派閥のことしか言っておらず、他の派閥のことを言わないなら自民党総裁としての責任を全く果たしていない。各派閥で億円単位の裏金が発覚しても、とりつぶしをしようとせず、指導力も責任感もない」と述べました。

また「岸田総理大臣は派閥を離脱していたのではないか。離脱はフェイクであり、実際の運営権は岸田総理にあったことが今回の『岸田派解散宣言』で明らかになった」と述べました。

一方、東京地検特捜部が、安倍派や二階派の幹部について立件しない見通しとなっていることに関連して「東京地検には捜査権限があり、国民が納得する結果を出してもらいたい。収支報告書に記載されていない金額が4000万円や5000万円だったら立件され、1000万円だったら大丈夫という理屈があるのか。納得できないという人がほとんどではないか」と述べました。

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●「【速報】志帥会・二階元幹事長「派閥を解消したい」派閥の政治資金事件受け議員総会で言及」

TBS NEWS DIG 1/19() 15:54配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/a826d7ec7fe6cc1ae8c23c0b4db3871ceddfce3c

自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる事件を受け、二階派の会長を務める二階俊博元幹事長は議員総会で「派閥を解消したい」と話したことが分かりました。議員総会に出席した議員が明らかにしました。

二階派の政治資金パーティーをめぐっては、おととしまでの5年間でおよそ2億円が裏金となり、政治資金収支報告書に記載されていなかった疑いがもたれています。

東京地検特捜部は二階派の元会計責任者を政治資金規正法違反の罪で在宅起訴したほか、二階氏の事務所では派閥に納めていない「中抜き」とよばれる不記載の資金が3000万円以上あったとして秘書が略式起訴されています。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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