古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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 古村治彦です。 

 本日は、副島隆彦先生の最新刊『米銀行破綻の連鎖から世界大恐慌の道筋が見えた』(徳間書店)をご紹介します。発売日は2023年7月1日です。
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米銀行破綻の連鎖から世界大恐慌の道筋が見えた

 以下に、まえがき、目次、あとがきを貼り付けます。参考にして是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき

副島隆彦

●アメリカ地方銀行の取り付け騒ぎは終わらない

 アメリカで、中堅の地方銀行(リージョナル・バンク)の破綻(はたん)が5月にも相次いだ。この動きはさらに続く。9月には再び、銀行の取(と)り付(つ)け騒ぎ(バンク・ラニング bank running)が起きる。

 それは今年の3月10日に起きた取り付け(バンク・ラン)よりも大規模なものだ。

 アメリカの金融がガラガラと崩れつつある。

 私は、「世界大恐慌(ワールド・グレイト・デプレッション)が迫り来る」と、「株式(ストック)と債券(ボンド)の大暴落が起きる」と書き続けて、もう25年が経()つ。いまさら私は何を言い、何を書けばいいのか。ひとりで呆(あき)れ返(かえ)っている。私はホラ吹き人間だったのか?

「アメリカは強い。アメリカは強大だ。アメリカさまにしっかり付()いていれば、これからも日本は大丈夫だ」と言い続け、信じ続けた者たち、即ち、お前たちだ! この馬鹿やろうたちは一体、これからどうするつもりだ。

 今さら私に何の助言を求めるというのか。

 私、副島隆彦は、憮然(ぶぜん)として、ひとりで不愉快極まりない思いで事態を見つめている。5月の連休も、自分のこの金融本を書く気が起きないまま過ぎ去った。

「先生の次の金融本は、いつ出ますか?」と、自分のおカネ(投資)のことしか考えない人々が、安心、安全のお札(ふだ)がわりに私の新刊本を待つ。たいして真面目(まじめ)に読みもしないくせに。

 これからの世界の金融、経済の動きについて、私はもうグダグダと書かない。徹底的に分かり易く、サラサラと、書く。私の文章を読んだ人が、誰でもすっと分かるように1行ずつ、ではっきりと書く。1行ずつ、文章は平易であるべきだ、の極意(ごくい)を、私は、大(だい)作家のひとり谷崎潤一郎(たにざきじゅんいちろう)の文体[ぶんたい](スタイル)から学んだ。

 誰がいつまでも訳(わけ)の分からない、バカみたいに難かしい金融本、経済(学?)本なんか書いていられるか。金融、経済の専門家という連中は皆(みんな)、滅びた、死んだ。お前たちの高級文章なんか誰にも相手にされない。読んで貰(もら)えない。書いていることが、ウソで人騙(ひとだま)しだからだ。

 米の中堅銀行(各州を代表する有力な地銀[ちぎん]である)の経営破綻は、4月にいったん治(おさ)まった。危機が一旦(いったん)は、収束(しゅうそく)したように見える。しかし、皆さんもご存知のとおり、その後もぐずぐずとぐずついて、再びアメリカの銀行たちの取り付け騒ぎ(バンク・ラニング)が起きると言われている。次の連鎖破綻(はたん)は、8行までならいいが、10行を超すと金融恐慌(マネタリー・クライシス)になる。日本でも昭和2(1927)年3月に起きた(写真のとおり)。米政府(財務省)とFRB(連邦準備制度理事会)が助けきれなくなる。

●2024年から「ドル覇権の崩壊」が始まる

最近は「脱(だつ)ドル化」という言葉がよく言われる。アメリカのドルの信用が世界中で低下している。それでも、まだ世界の貿易の決済の54パーセントは、米ドルでやっている。これが、50パーセントを割ると、アメリカの世界からの信頼が決定的に落ちる。このことの別名が「ドル覇権(はけん)の崩壊」だ。私は、ドル覇権(ヘジェモニー)(米ドルによる世界支配)が終わることを、15年前(2007年)から書き続けている。

「副島の予言はハズレ」と言われてずっと不愉快だった。それで、それから、どうなったか。何が今、起きつつあるのか。まだ「副島ハズレ」と、私の本に向かって書評(ブック・レビュー)を書けるのか。

 アメリカのドルによる世界支配が、本当に崩れつつある。この考えに反対する人はもうほとんどいなくなった。日本人は、従順奴隷[じゅうじゅんどれい]という意味だ)だから、風向き(日和[ひより])に合わせて、何とでも、平気で自分の考えを変える。今やドル支配(覇権[はけん])の終焉(しゅうえん)は、いつ起きるか、の議論になっている。

「いやあ、まだあと20年は続く(即ち2043年まで)」と主張し続けた専門家たちが、アメリカにもずっといた。私は、そんなに長くはかからない、と書いて来た。来年2024年から、ドル覇権はガラガラと崩れるだろう。

 たとえ米ドルの弱体化(ドルの暴落)が起きても、アメリカの世界支配は、簡単には終わらなくて、ずっと続くと思っている人々が日本の保守派の大半だ。今もそうだ。しかし、そんなことはもう無いよ。あと数年で終わりだ。

●金とドルの戦いでドルは大暴落

 金(きん)は、これからまだまだ上がる。1グラム2万円、いや3万円までゆく。今(5月12日)金(きん)の小売(こうり)価格で、1グラム=9800円まで行った(P203の表を参照)。アメリカ政府(財務省)とFRB(米[べい]中央銀行)とゴールドマンサックスが組んで、違法そのものの、金(きん)ETF(イーティーエフ)(金(きん)証券。ペイパー・マネーの先物取引。差金決済[さきんけっさい])で、レバレッジ(投資倍率)を何と500倍どころか、今や1000倍ぐらいをかけて、金(きん)を売りクズしている。

 わずか1割(10パーセント)の担保(保証金)も差し出さずに、全くタダで「政府さま(お上[かみ])がやる取引だぞ」と〝裸の空(から)売り(ネイキッド・ショート・セリング)〟を仕掛けている。

 アメリカ政府(財務省とFRB)は、もう現物(げんぶつ)の金(きん)をほとんど持っていない。「アメリカはニューヨーク連銀(れんぎん)が8300トンの金(きん)を保有している」というのはウソである。

 もう、ケンタッキー州のフォートノックス(米陸軍の基地である)のニューヨーク連銀(れんぎん)の金庫(巨大な横穴[よこあな]の洞窟)に、金の地金(じがね)(ingot インゴット)はほとんど無い。有るはずなのに無い。使ってしまって外国に流れた。

 アメリカ政府がいくらドルの空(から)売りをやっても、もうダメだ。金(きん)が米ドルを、ブチ壊して大上昇してゆく。金(きん)とドルの戦いで、ドルの大敗(おおま)けが迫っている。だからドルは大(だい)暴落する。

 この金融本では、私はさらに、これからの金融の動きを予言をする。どこまででも分かり易く書く。

 日経新聞と週刊ダイヤモンドと週刊東洋経済という一流金融雑誌が、毎号、毎号書いているような難しいことを私は書きたくない。ああいう難しい文章を読んで、何か分()かったふりをしている投資家や金融業界の人間たちが大嫌いだ。私は、本当に分かりやすい言葉でお金(かね)の動きを説明する。これが出来なければ、私の負けだ。私はすでにこの25年間に70冊以上の、金融本を書いてきた。あいつら(金融評論家たち)に妥協して、私も難しいことを知ったかぶりをしてワザと書いてきた。それがもうイヤになった。

 恐れいったことに、この金融雑誌たちが、平気で、「世界恐慌が迫り来る」という特集記事を書くようになった。恐慌になる、大暴落が起きる、と書いたら、その業界人は、業界追放ではなかったのか。お前たちは、いつ、自分たちのルールを変えたのだ。この恥知らずどもめが。

●米政府は無限にお札を刷って自滅してゆく

 3月10日に、シリコンバレー・バンク(SVB)が経営破綻した。それで、アメリカに新しい金融危機が勃発した。それ以来アメリカは震(ふる)えている。誰もがこのことに気づいている。しかし、日本のアメリカの手先(てさき)どもが、今も団結して、日本国民を洗脳して、騙(だま)し続けているから、誰も公然と真実を言う(書く)者がいない。私、副島隆彦だけが、なんとか、かんとか書いてきた。

 私は、SVBの破綻の翌々日の3月13日に、自分のホームページにはっきり書いて予言した。次のアメリカの中堅銀行たちが破綻の連鎖をするのは7月だ、と。遅くとも9月までに次の米(べい)金融危機が起きると。だが、米(べい)政府とFRBは、自分たちがやることは違法(いほう)であり、さらに犯罪(刑事違法[けいじいほう])であることを知りながら、「もう、こうなったら」で無限にお札を刷って、市中(しちゅう)という名前の、危ない民間銀行たちに、10トン・トラックの現金輸送車で運び込む。こうなったら、何でもやる。「政府がやることはすべて合法(ごうほう)である」という近代(モダーン)ヨーロッパで生まれた、「国家は悪(あく)evil[イーヴォ])をなさず」(ハ?)の、おかしな法理論で突破する気だ。

 そして、その揚げ句に、(法律上の根拠がなく)刷り散らかし過ぎた米ドル札(さつ)と国債(こくさい)(国の借金証書)が原因で、ドルの信用が一気に、世界中で消滅して、それでドルの大(だい)暴落が起きるのだ。

 即ち、「ドル覇権の崩壊」 “ The() Collapse(コラプス) of(オブ) the() US(ユーエス) Dollar(ダラー) Hegemony(ヘジェモニー)  である。

 めでたし、めでたし。

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米銀行破綻の連鎖から世界大恐慌の道筋が見えた──[目次]

まえがき

アメリカ地方銀行の取り付け騒ぎは終わらない─2

2024年から「ドル覇権の崩壊」が始まる─5

金とドルの戦いでドルは大暴落─7

米政府は無限にお札を刷って自滅してゆく─9

第1章 世界大恐慌への道筋が見えた            

SVBの経営破綻から金融危機が始まった─18

やっぱり2024年に世界大恐慌に突入する─22

政府による銀行救済にも限度がある─31

米国債の高値掴みで損失を出した─37

ハイリスク・ハイリターン債とは高危険債だ─40

ニューヨークのジャンク債市場こそが金融核爆弾─42

債券市場から大恐慌が始まる─44

パウエルFRB議長が自らの誤りを認めた─46

米政府もFRBもお手上げの事態になる─51

アメリカの連鎖破綻がヨーロッパに飛び火した─56

第2章 これから米地銀の破綻が連鎖する   

これから全米で160行の中堅銀行が潰れる─66

米の有力地銀が次々と破綻する─72

日本でもAT1債を仕組み債で売っていた─86

国債の売り崩しをやっていた連中が敗北した─92

ついにNY株がピークアウトした─102

世界中で債券価格が暴落を始めたのはなぜか─106

金利が上がることほどいやなことはない─119

第3章 いよいよアメリカのドル覇権が崩壊する       

ジリアン・テットが金利リスクの恐ろしさを指摘─124

インフレとはエネルギー(石油、ガス)の価格が上がっているだけのこと─158

ペトロ人民元がアメリカのドル覇権に挑戦する─165

世界の主要な港でドル決済がどんどんされなくなっている─167

日本でも脱ドル化が進んでいる─173

ドルの大暴落への対応がリデノミネーション─178

アメリカは没落してドルは大暴落する─182

第4章 金は1グラム=1万円をもうすぐ超える       

金価格が暴騰し始めた─186

国内の金は1円の円安で、1グラム60円上がる─190

金は減価償却がないから売ったら消費税10%が返ってくる─195

国が召し上げるのは売値の3割と覚えておく─198

金の売買の証拠を見せられたら黙って払いなさい─201

(きん)を小分けにしたければ日本マテリアルに頼みなさい205

「ばかの金」で金(きん)をあやつる206

(きん)証券の先物市場はぶっ壊れてゆく208

世界の中央銀行が競って金を買い漁っている─214

金は上海黄金市場で取引されるようになる─226

預金封鎖がすでに準備されている─231

1ドル=1円にこれからなってゆく─235

日本円は新札切り替え時にリデノミネーションをやる─237

第5章 黒田日銀総裁は日本を救った            

黒田は勝利宣言をして引退の花道を飾った─242

日本国債暴落にかけたゴロツキ投資家たちが総敗北した─248

黒田日銀は米国債を売って日本国債を買った─249

日本のインフレ目標2%達成は黒田の大業績だ─260

アメリカの経済学は死んだ─264

日本が裏金でアメリカに貢いでいる残高は1800兆円─268

あとがき─280

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あとがき

 アメリカの次の銀行の連鎖倒産は9月だろう。遅くても10月だ。

 この本では「(これから)潰れる危ない米有力地銀(ちぎん)トップ14行のリスト」を、私は独自に作って載せた(本書P20とP64)。これがこの本の最大の売り物だろう。我れながら苦労して作った最先端の金融情報である。

 併せて、全米トップ45の銀行のリストも載せた。私が金融・経済の近(きん)未来予測を本に書き続けて25年になる。

 全米で潰れる(破綻処理)中堅銀行は60行と噂(うわさ)されている。

 私が自力で調査し作成した「危ない米銀行」をじっと見ていたら、これらは、全米50州の各々(それぞれ)の州を代表する銀行たちであることが分かって驚いた。その州の州民(日本でなら県民)にとっては、一(いち)大事で大騒ぎになっているだろう。このことが、日本にいる私には全く伝わらない。

 やはり、情熱、知識、ニューズは大きく統制(コントロール)されているようである。日本の金融メディアの欠点、欠陥、節穴(ふしあな)を補(おぎな)うために、私の本が存在する。私は、さらに意気揚々(ようよう)と、世界大恐慌(ワールド・グレイト・デプレッション)に向かう世界に、日本の持ち場からカッサンドラの預言(よげん)をあげ続ける。

 この本も徳間書店学芸編集部の力石幸一氏との地獄の共同作業の中から生まれた。記して感謝します。

2023年6月

副島隆彦 

ホームページ「副島隆彦の学問道場」 http://www.snsi.jp

ここで私は前途のある、優秀だが貧しい若者たちを育てています。

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(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年1月28日に副島隆彦・孫崎享著『世界が破壊される前に日本に何ができるか』(徳間書店)が発売になります。

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世界が破壊される前に日本に何ができるか

 対談者の孫崎享氏は、ウズベキスタン駐箚特命全権大使、外務省国際情報局局長、イラン駐箚特命全権大使など要職を歴任したエリート外交官です。著書『戦後史の正体』『アメリカに潰された政治家たち』がよく知られています。

 以下に、はじめに、目次、おわりを貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

はじめに

孫崎享氏は偉い人なのだ

 この本は、外務省の高官(国際情報局長)であった孫崎享(まごさきうける)氏と私の初めての対談本である。内容の中心は、最新のウクライナ戦争の分析と、日本外交の真実を孫崎大使に語っていただいたことである。

 大使(アンバサダー)という言葉は、元々ヨーロッパで、国王(王様)のお友達という意味だ。大使が手袋を脱()いでテーブルに叩(たた)きつけたら、戦争の合図となる。日本でも、大使は天皇の勅任官(ちょくにんかん)であって、ひとりひとりが外国に対して日本を代表する。一度でも大使になった人は一生、大使(アンバサダー)を公称できる。

 しかし日本にはこの習慣はないので、私は孫崎氏()と呼ぶ。それでも本書の中で、私は時々、孫崎大使と呼んでいる。孫崎氏は私より10歳上である。

 孫崎氏は本当は偉い人なのだ。その偉さを日本人は誰も理解しない。何が偉いのかと言うと、私は氏のご自宅で対談していて、驚いた事実がある。

 孫崎氏が外務省に入って(1966年、23歳)、すぐにイギリス陸軍の言語(げんご)学校(アーミー・スクール・オブ・エデュケイション)に派遣された。この学校は、どう考えてもイギリスの高級な国家情報部員(国家スパイ)の養成学校である。私はここはイギリス陸軍大学の一部だと思う。

 孫崎氏は、この言語学校(敵国の言語であるロシア語を教える)で13人の同期生と学んだ。その中に、ケント公 Duke(デューク) of(オブ) Kent(ケント)(プリンス・マイケル・オブ・ケント)がいたという。その他、風変わりなイギリス貴族たちが、孫崎氏のご学友である。その中のひとりの変人は、孫崎氏の御自宅に泊まったそうだ(P220)。この人物は英国家情報部M(エム)(アイ)(シックス)の副長官になった。

 もうひとりの変人は、2003年からのイラク戦争(War in Iraq)でWMD(ダヴリューエムディー)(大量破壊兵器。核と生物兵器)がイラクで見つからなかったことで、アメリカ政府(子ブッシュ政権)が追い詰められた時の主導者である。これ程(ほど)の人物でなければ、アメリカ政府を揺さぶることはできない。

 イギリス貴族かつ高官の中の、正義の変人たちは、これぐらいの奇妙な人々である。アメリカが大嫌いなのだ。それでもイギリス支配階級の中で堂々と生きている。孫崎氏が、日本国内で変人外交官扱いされるのは、これ程の高貴な精神をイギリスで叩き込まれ、涵養(かんよう)して来たからである。孫崎氏の反米精神の神髄はここで育(はぐく)まれた。

 孫崎氏は、日本の言論界で、今では陰謀論者(コンスピラシー・セオリスト)扱いされていると、私は聞いている。私が「孫崎先生は、外務省で対米自立派(アメリカの言いなりにならない人たち)、即(すなわ)ち、冷()や飯(めし)()いですよね」と言ったら、孫崎氏は否定もせず、同意する様子だった。こんな失礼なことを、これまで面と向かって言われたことがないのだ。

 本当は、自分たち対米自立派(アジア重視派)が、ずっと外務省の主流であって、アメリカにヘコヘコする対米追随(ついずい)派よりも、ずっと誉(ほまれ)高いのだ、という強い信念をお持ちである。

 孫崎大使が所属しているアメリカ何するものぞ、の対米自主派の重厚な伝統は、本書第4章P182以下で出てくる坂本重太郎(さかもとじゅうたろう)や谷野作太郎(たにのさくたろう)の連綿(れんめん)と続く、日本外務省の内部の激しい争いの苦闘である。孫崎氏はこの考えを深く受け継いでいる。

 本書の第4章で、戦後の日本外務省の大きな骨格を初めて外側に明らかにした。大変重要である。

 前述したケント公爵と付き合いができる日本人は希有(けう)の存在である。ヨーク公アンドリュー王子(故エリザベス2世の次男。少女売春で悪評判)や、エセックス公ヘンリー王子(アメリカ黒人のメーガン・マークルと結婚して王室から追放)と、グロスター公くらいしか英公爵(デューク)はいないのだ、ということを日本人は知識層でも知らない。

 ケント公爵というのは、日本で言えば、今も続く徳川公爵家(尾張名古屋で徳川氏の宗家(そうけ))のような人なのだ。または近衛家(このえけ)を筆頭とする藤原摂関(せっかん)家、あるいは、水戸光圀(みとみつくに)(黄門(こうもん)さま。三代将軍家光(いえみつ)の従兄弟(いとこ))のような立場の高貴な人なのだ。だから「下()ろうども下がりおろう」というような人だ。今でも英連邦(コモンウェルス。カナダ、オーストラリア、インドを含む)では、英国王の叔父と知られ畏(おそ)れられる。

 今の日本は、天皇家(皇室)以外はアメリカによって消滅させられたので、私たちは貴族を実感で分からなくなった。

 なぜ、孫崎氏が風変わりな外交官で変人扱いされているのに、本人が全く気にしない理由を私は、ハッと分かった。日本外務省の権威なんか、はるかに超えている人なのだ。

 孫崎氏は、日本外務省がイギリスに送り込んで、最高級の国家スパイとして育てられた特別な人材なのだ。たかがアメリカの子分になり、アメリカの手先をやっている日本人学者や、ジャーナリストであるお前たちなんかとは、格(クラス)がちがうのだ。

 イギリス貴族は、長い歴史からアメリカを見下(みくだ)す。この精神が孫崎氏に深く、びっしりと転移している。孫崎氏の言論は、外務省を離れて解き放された。そして、ただひらすら日本国民に帰依(きえ)すると決めた。

 孫崎氏のこの複雑な経緯(けいい)と心理は、特異なイギリス仕込(じこ)みの国家スパイ教育を受けたことからにじみ出ていると私は分かった。孫崎氏の言論を軽くみて、ケナしている程度の者たちなど、氏は高見(たかみ)から嗤(わら)い蹴散(けち)らしてしまう。

 本書中の孫崎氏の発言は、全く表面的な過激さはない。読者は飽()きてしまうだろう。だが、氏の発するコトバには、日本を背負って外交の現場で、その国家機密の中を、長年泳いで来た人間としての重みがある。

 本書P149で、中国を代表する学者の発言が出てくる。ここに出演する各団の代表は、おそらく、孫崎氏と同じような各国の、上に突き抜けた変人学者たちであろう。このレベルになると、それこそ何を言ってもいい。自国政府の見解や態度と異なっても構わない程の論客たちであるようだ。

 その日本代表が、まさしく孫崎氏なのである。だから孫崎氏が、世界政治言論の中に選ばれている独特の地位を、私たちは知るべきなのである。

 中国を代表する学者が言った。「日本は(中国とアメリカの)どっちに付くんだ」という激しい直截(ちょくせつ)の問い詰めをした。国内の言論人である私たちは、こんな厳しい質問を突きつけられたら、まともに答えることはできない。ヘラヘラと言(げん)を左右にするしかない。

 中国は、アメリカと決定的に対決すると決めたようなのである。アメリカとの戦争までも準備している。そのために習近平の独裁に近い体制づくりをした。中国共産党第20回大会(20大(だい))の翌日、2022年10月23日に決まった7人の新指導部「チャイナ・セブン」の強い決断である。まず金融と経済(貿易)面で、アメリカからどれだけ痛めつけられても中国は、もう後(うし)ろに退()かない。

 私たち日本人は、まだ甘い考えをしている。私は孫崎氏のさりげない言葉から、世界の最先端の大きな動きを悟った。

 孫崎氏が、ここで日本を代表する外交官の言論人として世界と立ち向かっている。このことを私たちは知るべきだ。世界水準にある人物たちは、それぞれの国がもつ限界を上(うわ)()なれることで、初めて最高水準の人間たちの交(まじわ)りとなる。この水準に到達した有資格者はなかなかいない。

 たかが、アメリカの手先、子分をやっている分際(ぶんざい)で、孫崎氏を見下せると思うな。

 外務省には大使をやった高官たちが山ほどいるだろうが、みんな御身(おんみ)大事で大勢に抗(あらが)うことをせず、停年後の自分の生活の利()(とく)をかき集めることに窮々(きゅうきゅう)とする。

 本書の一番重要な問題である、プーチンは果たして核兵器を本当に使うか、の問題に関して、私は孫崎氏に率直にぶつけた。

「孫崎先生。私は、もうあまりに西側(欧米勢力)が、ヒドい謀略(ブチャの虐殺の捏造(ねつぞう)とか)をロシアに仕掛けるので、怒(いか)りました。もういい。プーチン、核兵器を以下の4つに射ってくれ、と書きました。人類の諸悪(しょあく)の根源であるローマ・カトリック教会の総本山のヴァチカンに1発。イギリス国教会(アングリカン・チャーチ)の総本山のウェストミンスター大聖堂(カテドラル)(その裏側が英議会)。オランダのハーグにある国際司法・刑事両裁判所に1発(ここは戦術核でいい)。そして4つめが、ニューヨークだ。この4発をプーチン射ってくれ、とまで言ってるのです」と、私は言った。

 私はここで無視されるか、あきれられ、あまりの非常識を非難されると思った。

 ところが。孫崎氏は何と、「それでいいんですよ。副島さんがプーチンに命令して、核を射てと言ったのですから。それでいいんですよ」と言ってくれた。どうも、それはお前の意見で、主張だから勝手に自由に言っていいという意味らしい。

 私は、この孫崎氏の全てを突き抜けた、高いレベルの議論の仕方が、世界最高水準の知識人たちの間には有るのだとハタと気づいた。これぐらいのことを言えないようでは、知識人としては、世界で通用しない。

 私が孫崎享氏を、日本最高の国際人材(世界で通用する)だ、と厳格に判定した理由は、以上のとおりである。

 あとは皆さん、本書を読んでください。

2023年1月

副島隆彦 

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『世界が破壊される前に日本に何ができるか』 もくじ

はじめに──孫崎享氏は偉い人なのだ  副島隆彦 1

第1章 「安倍処分」の真相

安倍晋三を殺したのはアメリカだ

山上は安倍殺しの単独犯ではない …… 20

殺害をめぐる不可解な謎 …… 24

安倍暗殺はアメリカの怒りが原因だった …… 29

竹島をめぐる韓国からの工作資金 …… 33

アメリカ政治を汚した統一教会 …… 35

キッシンジャーたちが「安倍処分」を決めた …… 40

大転換する世界の行方

台湾海峡に出ている日本の巡視船の危うさ …… 46

ゼレンスキーと安倍晋三はどちらもネオナチ …… 49

AOCとアメリカ左翼勢力の限界 …… 54

国家分裂するアメリカとウクライナ …… 58

アメリカの戦費の半分は日本が拠出した …… 64

アメリカ支配から脱すると世界は安定する …… 68

自家撞着に陥るEUの危機 …… 72

日本は島国に立てこもって生き延びればいい …… 75

第2章 ウクライナ戦争の真実

なぜプーチンは嵌められたのか

「ブチャの虐殺」は捏造だった …… 82

NATOの東方拡大がすべての原因 …… 85

ひっくり返された従来の対ロシア戦略 …… 88

プーチンは米英の周到な罠に落ちた …… 90

仕掛けたのはヌーランド国務次官とネオコン …… 95

国際社会の変化とロシア軍の勝利 …… 99

プーチンは国際秩序に挑戦した …… 104

核戦争まで発展するのか …… 107

ネオナチとウクライナ戦争の特殊事情

ウクライナは特殊な国 …… 109

ナチズムはいかに生まれたのか …… 112

アメリカ・NATOの狙いは長期・泥沼化 …… 116

プーチンが抑えている核戦争の危機 …… 120

「プーチンよ、核を撃て」 …… 123

第3章 崩れた世界のパワーバランス

アメリカ一極支配の終焉

天然資源のロシアか、ドル体制のアメリカか …… 130

世界の歴史を変えたG20の衝撃 …… 134

崩れていくアメリカの一極支配 …… 138

アメリカがすべて正しいのか …… 142

国際秩序と世界政治の真相 …… 146

世界経済をリードする中国と新興大国

日中露のオンライン会談で分かったこと …… 149

購買力平価ベースで中国は世界一 …… 152

ドル覇権の終わりと世界の二分裂 …… 154

第4章 日米外交の正体

外務省と対米追随の戦後史

かつての外務省はアメリカ一辺倒ではなかった …… 158

独自外交だった奇跡の短期間 …… 160

外務省の組織と日米関係 …… 162

ニクソンショックとパナマ侵攻が与えた打撃 …… 166

軍事同盟になった日米関係 …… 169

半導体交渉と自動車交渉の攻防 …… 172

アメリカが仕掛けたノーパンしゃぶしゃぶ事件…… 174

最後の抵抗「樋口レポート」 …… 178

外務省の対米追随派と自主派の対立

尊敬すべき外務省の自主派官僚 …… 182

エズラ・ヴオーゲルの裏の顔 …… 185

谷内正太郎とジャパン・ハンドラーズたち …… 187

歴代の外務次官を評価する …… 191

第5章 スパイと日本外交のリアルな話

ロシアとスパイの過酷な世界

スパイの書いた本は国際情勢の把握に役に立つ …… 202

命を簡単に捨てるロシア人の不思議 …… 206

二重スパイにするのがスパイの仕事 …… 209

大使を狙うハニートラップの罠 …… 211

怪しいニューヨークのジェトロ事務所長 …… 213

日本外交のリアルと大使のお仕事

イギリス軍ロシア語学校の華麗な同級生たち …… 217

日本人は過去の日本を背負っている …… 220

世界水準の情報と侵攻事件 …… 222

日本外交の現実 …… 227

戦わない屈辱は一時期で終わる …… 230

ウズベキスタンの日本人墓地 …… 232

大使の仕事とは何なのか …… 234

重要なのはインテグリティと判断力 …… 237

第6章 戦争しない国日本の戦略

日本が戦争しないために出来ること

戦争しないことを最優先にする …… 240

日本は世界の嵐から身を守れ …… 244

中国の台湾侵攻と日本の有事 …… 246

アメリカ一辺倒から脱すること …… 250

世界で大きな地殻変動が起きている …… 254

社会のため、国のために立ち上がる …… 258

すべての紛争は外交で解決できる …… 261

おわりに── 孫崎享 265

歴代外務次官年表 …… 196

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おわりに

「武力行使反対」を唱えるだけでなく、和平の道を提示せよ

 私は今、日本は極めて危険な所に来ていると思う。もはや、「正当な民主主義国家」に位置しないのでないかとすら思う。

「正当な民主主義国家」であるためには、言論の自由が不可欠である。しかし、日本は言論の自由のある国ではなくなった。

「国境なき記者団」が毎年、世界の報道の自由度のランキングを発表している。2022年、日本は71位である。G7の国では、ドイツ(16位)、カナダ(19位)、イギリス(24位)、フランス(26位)、アメリカ(42位)、イタリア(58位)で、日本はG7の最劣等である。

 日本の周辺を見てみよう。エクアドル(68位)、ケニア(69位)、ハイチ(70位)、キルギスタン(72位)、セネガル(73位)、パナマ(74位)である。

 報道の自由度で同じような国で7カ国連合を作るのなら、日本はG7ではなくて、エクアドル、ケニア、ハイチ、キルギスタン、セネガル、パナマと作るのが妥当だ。

 なぜこんなことになっているのか。権力の圧力を、日本では、「忖度(そんたく)」という格好いい言葉で表現されているが、権力に対抗する発言を主要報道機関ができなくなっているという状況による。

 確かに日本では、言論人が殺されるという事態は少ない。しかし、彼らの発言が一般の人に届かぬように、次々と手段を打ってくる。

 いつから言論人の排斥が起こったのか。それは小泉政権(2001年4月26日―2006年9月)であろうが、2003年、安倍晋三氏が自民党幹事長になってからではないか。

 典型的な例は、マッド・アマノ氏が自民党のポスター「この国を想い、この国を創る」をパロディにして、「あの米国を想い、この属国を創る」とした時のこと。これに対して、安倍幹事長が「上記ホームページ上の本件改変図画を削除されるよう併せて厳重通告いたします」と言ったのが、外部に出た最初の事件ではなかったか。

 そうして、政府批判をする識者は次々と言論界から消えていった。

 2022年、11月29日、次のニュースが流れた。

「宮台真司(みやだいしんじ)さんは東京都立大学・人文社会学部教授で、現代社会や戦後思想など幅広い分野を論評する論客。警視庁によりますと、きょう午後4時半前、東京・八王子市の東京都立大の南大沢キャンパスで、都立大の中で男性が顔を切られた、と目撃者の男性から110番通報がありました」

 たぶん、この宮台氏襲撃事件の真相は明らかにならないだろう。だが、このような進展は当然予想された。

 政府・自民党は、反対の見解を持つ者を自らが排斥しただけではなく、世論工作でこうした人々への憎悪を掻()き立てる支援をした。その氷山の一角が次の報道に表れている。

「一般市民を装って野党やメディアを誹謗(ひぼう)中傷するツイッターの匿名アカウント〝Dappi(だっぴ)〟発信元企業が、自民党東京都支部連合会(自民党都連)から昨年も業務を受けていたことが、17日、東京都選挙管理委員会が公表した2022年分の政治資金収支報告書でわかりました」

〝Dappi〟のようなサイトで憎悪を掻()き立てられた者が、最後には殺人まで犯すのは十分予測されたことである。

 こうして言論人が次々姿を消す中、政府を厳しく非難する副島隆彦氏が生き残っているのは凄(すご)いことだ。それは確固とした副島ファンを確立したことにある。その力量には、自らの力不足を痛感するにつれ敬服するばかりである。

 そうした中、せっかくの場所の提供をいただいたので、私が今、発言したいことを次に記す。

 日本は今、国会では9条を主体に、憲法改正に賛成する勢力が3分の2を占めている。防衛費の増大を当然のことのように議論している。

 他方において、公的年金の実質的目減りを当然のようにしている。安保三文書、「国家安全保障戦略(NSS)」「防衛計画の大綱(大綱、「国家防衛戦略」と名称変更)」「中期防衛力整備計画(中期防、「防衛力整備計画」と名称変更)」が成立しようとしている。明らかに戦争をする国に向かって動いている。

 なぜこうなったのか。

 申し訳ないが、私はリベラル勢力、護憲グループの怠慢によると思う。

 平和的姿勢を貫くには、① 武力行使に反対と、対立があれば「平和的」手段を貫くという政策の両輪が必要である。平和的な帰結が行われるためには、常に当事者双方の妥協が必要である。

 妥協が成立するためには、過去の経緯、双方の主張、妥協点の模()(さく)をなさねばならない。前者だけで後者がないとすると、どうなるか。

 ウクライナ問題を見てみよう。

 2022年2月28日、英国ガーディアン紙は「多くがNATO拡大は戦争になると警告した。それが無視された」という標題で、「ロシアのウクライナ攻撃は侵略行為であり、最近の展開でプーチンは主たる責任を負う。だがNATOのロシアに対する傲慢(ごうまん)で聞く耳持たぬとの対ロシア政策は同等の責任を負う」と述べた。

 この間、日本では溢(あふ)れるばかりのウクライナに関する報道があったが、こういう報道を知っていますか。

 日本等はロシアに対する経済制裁を主張した。しかし、これは有効に働かない(西側はロシア原油の購入を止める動きをしたが、中国、インドが輸入し、他方原油価格の高騰でロシアの石油収入は逆に増大した)。「糾弾」と「制裁」の主張は、結果として武力行使、武装の強化にいく。

 日本が平和国家なら、当然、和平をまず考えるべきである。日本のどの政党が、どの政治家が和平案を提示したか。

 世界を見れば、トルコ、イスラエル、インド、インドネシア、中国は和平を、ロシア、ウクライナの両国に呼び掛けた。米国統合参謀本部議長ですら、「和平で解決する時になっている」と主張している。なぜ日本は、それができないのか。

 かつて夏目漱石は日露戦争について、短編『趣味の遺伝』(1906年)の中で、「陽気のせいで神も気違(きちがい)になる。『人を屠(ほふ)りて餓えたる犬を救え』と雲の裡(うち)より叫ぶ声が、逆(さか)しまに日本海を撼(うご)かして満洲の果まで響き渡った時、日人と露人ははっと応(こた)えて百里に余る一大屠場(とじょう)を朔北(さくほく)の野()に開いた」と書いた。「神も気違(きちがい)になる」と表現した。

 同じくトルストイは「知識人が先頭に立って人々を誘導している。知識人は戦争の危険を冒(おか)さずに他人を煽動(せんどう)することのみに努めている」と書いた。

 繰り返すが、今日の政治混乱の一端は、日本のリベラル勢力、護憲勢力の怠慢による。

「武力行使反対」を唱えるだけでなく、和平の道を提示しなければならないのだ。

2023年1月

孫崎 享 

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 今回は、『日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る(上・下)』(徳間書店)をご紹介します。発売日は2022年11月2日です。

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日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る(上)

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日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る(下)

 本書は副島隆彦先生の英語分野の代表作である『英文法の謎を解く』(1995年)、『続・英文法の謎を解く』(1997年)、『完結・英文法の謎を解く』(1998年)のちくま新書の3部作を、2冊にまとめて再刊です。

 以下に、はじめ、目次、あとがき(『完結・英文法の謎を解く』から)を貼り付けます。是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

はじめに

 本書は、ちくま新書から刊行した『英文法の謎を解く』(1995年)、『続・英文法の謎を解く』(1997年)、そして『完結・英文法の謎を解く』(1998年)の3冊を上下2巻の新装版にしたものである。

 この3部作は、幸い読者から好評を得てベストセラーとなり、シリーズトータルで40万部を超え、大きな反響を呼んだ。

「日本人が英語ができないのは、明治から続く日本の英語公(こう)教育に欠陥があるからだ」と、私は主張した。英語教育に関わる人々からの強烈な反発もあった。しかし、あれから 25 年が経過したが、事態はまったく変わっていない。日本人は英語が相変わらずへたである。25 年前に私が書いたことが、驚くべきことに、全く古くなっていない。この間、日本の大学の文学部の英文科卒共同体はいったい何をしていたのか。その責任が今も問われる。

 しかし、さらに真実は、今やどこの大学にも「英文科」はない。滅んでしまった。

 33年前(1989年)に起きた、ある事件(英和辞書のつくり方の欠陥問題を巡って争われた)の所為(せい)もある。

 日本の大学知識人たちは、国内だけで威張っている。世界標準(world values, ワールド・ヴァリューズと言う)から見ると日本には本物の知識人(インテレクチュアルズ intellectuals)はほとんどいない。海外で活躍するビジネスマンや理科系のエンジニアのなかに世界で通用する人々がいる。この真実を正直に認めあう真剣さと正直さが、現実を打開してゆく唯一の方策である。これだけが、日本人の英語学習を根底から変革する。この現実のひどさをみんなで正直に認めて公然と議論しさえすれば、日本人の英語学習問題は、急激に改善する。本書が復刊されたことで、この議論の起爆剤になることを、私はひたすら祈る。

副島隆彦

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日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る──上巻目次

第1部 英文法の謎を解く

はじめに 1

第1章 have について考える

have について考える 11

基本動詞 have について考える 11

固有名詞の前の a the について 11

病気の have を覚えよう 13

have be と同祖である 14

超動詞 get の登場 17

イギリス英語とアメリカ英語の違い 19

I donʼt know . をきちんと言おう 20

have を身近にしよう 22

evening は何時? 24

時制について 25

第2章 I am happy.  は、×「私は幸せです」ではない

fine happy の違い 29

超基本語 well, good, nice の使い方 31

You are wrong . の正しい意味 33

Watch your step ! ──足元を見つめよう 35

I hear you. を訳してみよう 38

I am juice. は、日本語英語の極北である 40

please の2通りの使い方 43

第3章 基本的な動詞の使い方を知ろう

say, talk, speak, tell, call について 47

say の使い方 49

tell の使い方 50

call について考える 51

現代英文の基本形 52

前置詞 of の意味 54

あまり便利ではない英和辞書 56

基礎工事のダメな日本人英語 58

第4章 文型理論と品詞分類法はちがう

現在完了形とは何か 59

現在完了形の構文分析 61

be have は別格である 62

叙述用法の be 64

be の使い方の4つの基本種類 65

「構文」とは何か 66

Itʼs a Sony. について 67

文型分類理論の完成 70

現在進行形を考える 72

動名詞か、現在分詞か 74

不定詞とは一体何のことか 77

第5章 It people について考える

Itʼs good. について 85

「天気・天候の it 」について 86

「時間の it 」について 88

it this that も同じである 88

Itʼs me. ’ について 89

「日本人はよく働く」という文を英作文してみよう 90

種類全体を表す the 91

種類全体を表す a 93

数えられる名詞と数えられない名詞 94

猫は昼間はよく寝ています 95

people というコトバもむずかしい 97

統辞論と意味論の両面から考えよう 98

英語の試験のチェックポイント 99

第6章 日本人だけしか使わないヘンな英語

What is the matter with you? はヘンな英語だ 101

Itʼs kind of you to ...... について 103

× hearing test (ヒアリング・テスト)について 105

× speak ill of (スピーク・イル・オヴ)について 106

× had better (ハッド・ベター)について 107

a walking dictionary (ア・ウォーキング・ディクショ

ナリー)について 109

Mother (マザー)について 110

senior to ......,  junior to ......(シニア・トゥー、ジ

ュニア・トゥー)について 110

I go out. I start home. (アイ・ゴー・アウト、アイ・

スタート・ホーム)について 111

第7章 仮定法は、なぜむずかしいか

「ただの条件の文」は仮定法ではない 115

日本人になかなか理解できない理由 116

仮定法・過去の文 177

仮定法・過去完了の文 119

仮定法・過去の文の方がコワイ 120

仮定法とは、最高度に洗練された表現法だ 123

直説法・現在の文 124

「仮定法・現在」「仮定法・未来」の文 126

すっきり分かる「仮定法・過去完了」 129

仮定法 と 条件法 はちがう 133

クレオパトラの鼻──仮定法・過去完了の文 135

今は使われない仮定法・現在の文 136

願望表現の仮定法 139

第8章 英語文法理論の体系英語の山と「節」について

英文法体系の立体図式 145

輸入英文法の混乱 147

英文の立体化モデル 148

英語勉強のスキーの山 152

文と節はどうちがうのか 154

関係代名詞とは何か 155

副詞節 の代表選手は when 161

8種類の 副詞節 162

接続詞の使い方を徹底的に習熟しよう 164

第9章 文型理論と「第5文型の文」

例文を文型理論で考える 167

第5文型の代表文例 170

さまざまな第5文型の文 172

深刻な問題 177

第10章 比較の表現

比較表現 の 連続的展開 183

大学入学試験に出題された問題 194

第2部 続・英文法の謎を解く

はじめに 199

読者からの手紙 199

本書がめざすテーマ 203

第11章 存在の be について考える

It is 3 hours. で考える 205

It wonʼt be long before. について 207

Iʼm late. で到着の be を考える 211

さらに「存在の be」を考える 219

第12章 英文法とドイツ文法の関係について考える

私が書いた一文について 223

第13章 日本人だけしか使わないヘンな英語

テレビ・コマーシャルの英語 233

ニガイ午後の紅茶 238

異文化コミュニケーションの失敗談 246

英語教育の中のヘンな英語 249

日常生活の中のヘンな英語 251

第14章 seem look はきわめて重要な動詞である

seem look の重要性 259

「見ている」のは誰か 260

叙述用法の型の文 262

第2文型か第3文型か 262

その他の代表的な不完全自動詞 268

It seems that...... の重要性について 273

現代アメリカ人は seem を嫌う 275

第15章 good bad 倫理判断と価値判断のちがい

「彼はいい人だね」の「いい」とは何か 279

倫理判断と価値判断の表 282

正義(ジャスティス)について 289

be good at~ について 291

value について 294

第16章 the way how の関係そして what that

the way の使い方 299

関係代名詞・関係副詞の最高級問題 302

助動詞扱いの be to について 308

A is B. の文と「助動詞の is to」の文の区別をつけよう 310

that what の関係について 313

複合関係代名詞 の whatever の早分かり 315

some any every のちがい 316

「~の間」を表わす前置詞 318

日付の書き方 323

あとがき 329

付録① 第5文型の文の表 331

付録② 英文法用語たったこれだけの表(まとめ) 332

付録③ 140 個の基本動詞について 336

付録④ get の七変化論 339

*  *  *

日本は世界最低の英語教育の国だ。英文法の謎を解くが甦る──下巻目次

第2部 続・英文法の謎を解く(承前)

上巻に続いて はじめに 1

第17章 なぜ、日本人は英語がへたなのか 

東アジアの英語文化圏 11

言語的に孤立した国「日本」 13

ピジンとクレオール 15

日本人の英語は、ピジン・イングリッシュ 17

第18章 基本動詞の使い方について考える 

自動詞と他動詞の区別はできない 21

I think that......「~と私は思う」の使い方 25

再び、I go to school. の基本文について 29

第19章 ラテン語文法の「格」と英文法の「文型」の統一に向かって 

ラテン語文法の「格」と英文法の「文型」 37

英文法の「語」とラテン・ドイツ文法の「格」の関係の表 39

20 章 英語の音声について(発音論) 45

英文を音声として読むことは簡単なことではない 45

「アは6つある!」 「二重母音は4つある!」 と覚える 49

日本人の英語発音の致命的欠陥 52

英和辞書の発声表記 56

音声記号を自力で書いてみる 61

子音の清音と濁音 64

日本語のサ行摩擦音について 66

日本語の「フ」と「ヴ」について 67

ダーク・エルの問題 69

「エ」と「イ」の音の区別 72

第3部 完結・英文法の謎を解く

はじめに 75

第21章 「人、人間」を表す one a person 

a person one の法則を知ること 79

people はただの「人々」でいいのか? 81

a person one の複数形が people である! 84

You の使い方も重要 85

We には総称的用法はない 87

Man a man men は全然違う 88

human beings には学術用語的な硬さがある 91

Itʼsto の構文から You を考える 92

a person の代名詞は何? 96

it one はどう違うか 101

第22章 冠詞 a the と複数形の -s の問題はやっぱり奥が深い 

I like a cat. の誤文を訂正する 105

a the の問題はやっかいだ 110

第23章 基本語の All → Many → Some → No

システムとして理解する数量表現の基本 119

重要なのは基本語の理解である 119

All → No の体系表 122

大学受験でよく出題される英作文問題 133

代名詞の one, other, some の使い方 138

第24章 I am a Japanese.

「私は日本人です」は間違い英文らしい 145

I am a Japanese. は誤りか 145

for a long time「長い間」について 149

代表的な不可算名詞と people 163

第25章 「煙草をすってもいいですか」 

相手に許可をもとめる助動詞 may can 169

would の怖さが分かれば一人前 171

学校英語の教え方が問題である 177

第26章 「これを英語でなんと言うの」

Whatʼs the English for this ? 181

外国語の勉強の基本 181

「これを英語でなんと言うの」の英文を考える 184

「語る」と「話す」の違い 188

What 型と How 型の疑問文 190

Whatʼs the English for this ? 193

第27章 第五文型論 再説 

複雑なしくみをもつ第五文型の文 195

動詞 help の使い方 197

「ポン・ポン・ポン・そしてポン」のリズムで理解する 202

大学入試に出題されつづけた悪問 220

第28章 人間の感情・判断を表す動詞 

人間の感情・判断を表す動詞たちの代表選手 227

Iʼm shocked. -ed がむずかしい 235

 

第29章 mind ×心ではない。思考、知能である 

「気にする、いやがる」の mind 243

Yes, I mind. は「私はイヤです」だ 251

Yes No は常にはっきりさせる 254

mind ×「心」ではない 258

mind は思考力である 261

思考に関する数々の抽象語 262

諸辞書の mind の定義 266

日本のマインド・サイエンティストたちの恥さらし 268

mind は頭の中の思考力のことである 280

あとがき 285

付録① 表英文法用語たったこれだけの表 287

=====

あとがき

 この本で、私の『英文法の謎を解く』は、一応、3巻完結となる。多くの読者に恵まれたので著者としては満足しなければならない。寄せられた読者からの手紙や反響を総合して判断すると、『正』編・『続』編の読者の中心部分は、中学・高校の英語教師と、それから学習塾や予備校で英語を教えている教師(大学生を含む)たちであることが分かった。つまり現場の第一線の教師たちが、私の本から真剣に学んでいることが分かった。

 この現場のまじめな教師たちにお願いする。私が独力で築きあげた理論を自分勝手に変造したり、小手先の教室技術として活用するのではなくて、もっと大きく「自分こそは、奇型化しつくした日本英語教育の現場にあって、その責任を負っている者のひとりだ」という自覚と反省を持ってほしい。

 私自身を含めて、このままでは、いかんのです。絶対にいかん。日本人英語教師30万人自身が言語障壁(a language barrier, ランゲッジ・バリアー)の分厚い層として、日本を外側世界から遮断する壁になっている。この現状を何とかせねばならない。

 まだまだ書きたいことはたくさんある(おそらくあと10冊分ぐらい)のだが、目下、私は、アメリカ政治思想研究と国家戦略研究のほうが忙しい。今は、日本人(日本国民)をここまで世界から孤立させてしまった諸原因を探索し、その元凶を発見することに熱中している。

 その仕事が一段落したら、再び、この日本英語教育批判のフィールドに戻って来ます。ここは私の独壇場でありホーム・グラウンドだ。だから誰にも気兼ねする気がない。もし身のほども知らずに、踏み荒らしてくる者があれば鎧袖一触(がいしゅういっしょく)、殲滅(せんめつ)するだけである。

1998年 7月

副島隆彦

(貼り付け終わり)

(終わり)

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

2022年5月28日に副島隆彦先生の最新刊『有事の金。そして世界は大恐慌へ』(徳間書店)が発売になります。以下にまえがきとあとがきを貼り付けます。ぜひてにとってお読みください。

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有事の金。そして世界は大恐慌へ

(貼り付けはじめ)

まえがき

 この本は、突如、始まったウクライナ戦争(2022年2月24日)と金融、経済の関係について書く。戦争(政治の延長)と経済(お金と実物[じつぶつ])の関係が、これからどうなってゆくのか、を書く。

 日本人にとっては、9000キロも離れた遠くの国でのことだが大事件である。しかも、ネット(SNS)が発達した現在では、ロシア軍の戦車が次々と火を噴いて吹き飛び、むごたらしく散乱するロシアの若い兵隊たちの死体の映像が、スマホの画面にもバンバン入って来た。ロシア兵は開戦2カ月で2万人死んだようだ。ウクライナ兵も爆撃で同じぐらい死亡しただろう。手足を吹き飛ばされた負傷兵はどちらもその倍の4万人ずつ出ているだろう。戦争というのは真にむごたらしいものである。軍需産業(ぐんじゅさんぎょう)というのも有るから、人類(人間)は戦争をやめない。

 これからの世界経済は、どうなるのか。世界はロシア、中国を中心とする新興国(しんこうこく)連合(ユーラシア同盟) 対(たい) アメリカ西欧の西側同盟(ザ・ウエスト)とに分裂する2つの世界に分かれる、という説がある。いや、それ以上にウクライナ戦争は第3次世界大戦に繋(つな)がり核戦争(ニュークレア・ウォーフェア)も起きる、地球の大破壊の時代に入ってゆくという説まで出ている。私は大きくは後者の立場である。

 前ページに載せた「ウクライナ戦争とNYダウ(株価)の関係」の表のとおり、アメリカのバイデン政権(と英ボリス・ジョンソン首相)は、2021年の11月から、ロシアのプーチン大統領を着々とウクライナにおびき出す策略を実行した。開戦させる(プーチンに侵略させる)べく、手ぐすねを引いた。「相手に先に手を出させる。そして大(だい)悪人に仕立て上げる」は、アメリカのこの200年間の常套(じょうとう)手段である。日本に先に手を出させた真珠湾攻撃(1941年12月8日)と全く同じ手口である。

 バイデンは、開戦わずか1週間後の3月2日に勝利宣言とも言える、米議会での一般教書演説(ステイト・オブ・ユニオン)(国民の団結演説)を行った。このあとも予定どおりウクライナ軍の勝利すなわちアメリカが背後から指揮、命令する代理戦争、は快進撃した。

 ところが、3月8日に、株(ストック)と債券(ボンド)の暴落が起きた。前掲のグラフを参照。そして金(ゴールド)が暴騰(とう)して1オンス2079ドル(日本の小売りで1グラム8400円)が起きた。市場(マーケット)(市況)の方が政治(軍事、外交)よりも先を行く。市場は、必ずしもウクライナ(すなわちアメリカ)の勝利を予想しなくなった。

 このあとは、「資源(実物) 対(たい) ドル(の信用)の闘い」の世界に変わった。アメリカは、初めの戦術(tacticsタクティックス)で勝ったが、長期戦の戦略(strategyストラテジー)では決して勝っていないことがはっきりしてきた。ロシア(プーチン体制)に対する厳しい経済制裁(エコノミック・サンクション)がどうも効()かない。このことも判明した。

 アメリカは、ロシアをウクライナで嵌()めてドロ沼状態(quagmire[クアグマイア] situation[シチュエイション])に陥れたと、英米の指導者たち(経済界のトップたちも)は、一斉に欣喜雀躍(きんきじゃくやく)した。と思ったら、ロシア制裁のダダ漏れ(ほころび)が起きた。ここから先が、大変だ。

 世界は文字通り大動乱の時代に入った。だから「有事(ゆうじ)の金(きん)」なのである。金(きん)は実物資産の王者である。金はこのあと1グラム1万円を超えて、さらに上がるだろう。私は今の3倍になる、と予言してこの本で書き続ける。

 さあ、日本人は、どうやって自分の財産を守り、平和を守り、戦争をしないで済み、生き延びてゆけるか。この本で私の知能の限りを尽くして書く。

=====

あとがき

 この本を書き上げようとしている4月22日(金)に、NYダウ(平均株価)は860ドル急落した。続けて4月30日にも939ドル落ちて、3万3000ドルを割った(終値3万2977ドル)。

 アメリカ経済はうまくゆかない。ウクライナ戦争で、アメリカはゼレンスキー政権を全力で兵器支援したが、勝利しない。3月15日からは手詰まり、膠着状態(stalemate[ステイルメイト])に陥った。株価は戻るし、これからもズルズルとこんなものだろう。

 FRBの金融政策は、高(ハイ)インフレを何とか抑え込んで(金融引き締めで)、かつ、景気刺激(金融緩和で)も続ける、という脵裂(またさ)き状態だ。痩()せよう(ひきしめ)と思いながら、ついつい食べてしまう(デブ)私たちの日常と同じだ。

「資源(含むエネルギー) 対(たい) ドル(アメリカの金融世界支配)の戦い」でどうやら「ドル」の負けがはっきりしてきた。私たちは、この3月、4月にSNSで焼けただれて砲塔が吹き飛んだロシア軍の戦車とロシア兵の若者たちの死体と、爆撃で廃墟と化したウクライナの諸都市の映像を毎日のように見て考え込んだ。日本もあんな目に遭()わなければいいが、が日本国民の根底からの暗黙の合い言葉であった。私は投資家と小(しょう)資産家(小[]金持ち層)のために金融本を書き続けている。だが決して金儲け一点張りの人間ではない。でも私の予言どおり金(きん)が上がってよかった。金はまだまだ、今の3倍まで上がる。

 今回も、徳間書店編集部の力石幸一氏の尽力に預(あずか)った。私が極端言論(極(きょく)(ろん))に走ろうとするのを、それとなく押し止めてくださった。記して感謝します。

2022年5月

副島隆彦 

(貼り付け終わり)

(終わり)

※6月28日には、副島先生のウクライナ戦争に関する最新分析『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープ・ステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』が発売になります。


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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今回、ロシアによるウクライナ侵攻について、感情的になって「ロシアは許さない」「ウクライナ頑張れ」となるのは自然なことだと思う。しかし、少し落ち着いて国際政治を俯瞰して眺めてみると、何とも残酷な現実が見えてくる。それは、「国際政治は大国間政治(power politics)でしかない」ということだ。そのことを私たちに教えてくれるのは、『戦争と国際法を知らない日本人へ』(小室直樹著、徳間書店、2022年)だ。この本は『世紀末・戦争の構造』(徳間文庫、1997年)の再刊だ。何とも時機を得た再刊となった。

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戦争と国際法を知らない日本人へ ニュー・クラシック・ライブラリー

小室直樹(1932-2010年、77歳で没)については著者紹介を引用する。「1932年、東京都生まれ。京都大学理学部数学科卒。大阪大学大学院経済学研究科中退、東京大学大学院法学政治研究科修了。マサチューセッツ工科大学、ミシガン大学、ハーバード大学に留学。 1972年、東京大学から法学博士号を授与される。2010年没。 著書は『ソビエト帝国の崩壊』『韓国の悲劇』『日本人のための経済原論』『日本人のための宗教原論』『国民のための戦争と平和』他多数。 渡部昇一氏との共著に『自ら国を潰すのか』など」。
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 小室直樹は経済学、社会学、政治学など社会科学百般をその一身で「統合」した、不世出(ふせいしゅつ)の偉大な社会科学者だった。『戦争と国際法を知らない日本人へ』には巻末に副島隆彦先生による解説と小室直樹文献一覧が付いている。是非お読みいただきたい。

※ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」内の「今日のぼやき・広報ページ」で公開中↓

http://www.snsi.jp/tops/kouhou/2311

1944年にアメリカの首都ワシントンのジョージタウン地区にある、ダンバートン・オークス・ガーデン(Dumbarton Oaks Garden)にアメリカ、イギリス、ソ連、中華民国の代表が集まり、国際連盟に代わる新たな国際機関の創設が決定した。それが国際連合(国連)である。この4か国にフランスが加わって、国連の中核メンバー国である、そして、安全保障理事会常任理事国(The United Nations Security Council Permanent Members)となった。第二次世界大戦の戦勝国クラブと言っても良い。以下のポスターを見てもらいたい。国連は連合国のことである。

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 国連安全保障理事会の常任理事国の圧倒的な力(拒否権、veto)を前にして、それ以外の国々ができることはほぼない。国連改革と言って、常任理事国(permanent members)の数を増やすとか、制度自体を廃止するということは現在の五大常任理事国にとっては利益を損なわれることであるし、第二次世界大戦の勝利と大きな犠牲の面からもそれはできない。それならば国連総会の権限を強化し、安保理決議も多数決でできるようにするということも考えられるが、それはそれでやはり常任理事国が反対するだろう。

 国連安全保障理事会での決議(resolution)には加盟国を拘束する力があるが、国連総会(The United Nations General Assembly)での決議は勧告であり、拘束力を持たない。朝鮮戦争において北朝鮮の朝鮮人民軍(+中国人民志願軍[抗美援朝義勇軍])との戦いで、アメリカ軍が主体となって国連軍(United Nations Command)が形成されたのは、国連安保理で非難決議が可決されたからだ(常任理事国のソ連が反対ではなく棄権したため)。現在の状況であれば、ロシア非難決議に対してロシアが反対するだろうから決議は可決されない。

 小室直樹は『』第4章で国連こそは「むき出しの列強政治(naked powers politics)」だと喝破した。この本のポイントはここにある。列強政治、大国間政治の前には私たちは何とも無力な存在である。ポイントについては副島先生が引用しているので、私もそれを使って引用する。

(貼り付けはじめ)

昭和6年(1931年)9月18日、日本軍は突如として行動を開始し、まもなく、満州を占領した。(引用者注。これが満州事変。世界はこれを日本の中国侵略だと決断した。この日が、いわゆる「日中15年戦争」の始まりの日 ) 

 さあ、国際連盟が騒いだの騒がないのって。……日本は(中国に関する)九カ国条約違反であると非難された。1922年に結ばれた九カ国条約とは、日、米、英、仏、伊、蘭、中、ベルギー、ポルトガルとの間で結ばれた条約であって、中国の独立と領土を保障している。……

 ……国際連盟を牛(ぎゆう)()っている英仏の肚(はら)は、日本ごとき軍事大国がひとたび決意した以上、その軍事行動を押しとどめる力なんか、どこの国にもないことをよく知っていた。

 ……だが、ここで、国際連盟の二面性──表ではウィルソン(米大統領)流の原理主義、裏では列(れっ)(きょう)政治──が、その(国際連盟の)命取りになった。

……連盟が健在のときにおいてすら、国際政治の本質はやはり大戦以前と同様、列強政治であった。仮面をかぶった列強(パウアズ)政治(disguised powers politics ディスガイズト・パウア・ポリティックス)と称される所以(ゆえん)である。国際連盟の機能が麻痺するにつれて、列強政治はますますその正体をあらわにしてきた。(158-166ページ)

=====

 戦争という非常事態に際して、当然のことながら、列強政治の色彩は、さらに決定的に強まった。カイロ会談、テヘラン会談、ヤルタ会談、ポツダム会談など。戦後世界を決定する会議は、米英ソの三者によって意思決定がなされた。ときたまフランスの参加が許され、まれにちょっぴり中国の発言がみとめられる。そのほかの諸国にいたっては、連合国の一員であろうがなかろうが、全くのお呼びなし……。

 国連は、軍事同盟である。国連の本質は、日本とドイツに対する軍事同盟である。

 ……1942年1月1日、日独伊枢軸国と交戦中の26カ国は、個別的休戦を結ばないことを宣言、同盟関係を確認しあった。この軍事同盟を国際連合と呼んだ。これが、国際連合の濫觴(らんしょう。始まり)。

 国際連合は、対枢軸(すうじく)軍事同盟として生まれた。(中略)国際連盟が、仮面をかぶった列強政治(disguised powers politics)だとすれば、国際連合は、むき出しの列強政治(naked[ネイキッド] powers[・パウアズ・] politics[ポリティックス])である。(176-180ページ)

(貼り付け終わり)

 国際政治はどんなに取り繕ってみても列強政治、大国間政治でしかない。国連はそのむき出しの場所だ。見かけがきれいであっても、その下には硬質の、残酷な大国間の駆け引きと論理が存在する。私たちはそのことを理解しておかねばならない。

(貼り付けはじめ)

●「安保理常任理事国からのロシア解任、「選択肢」と英」

3/1() 23:04配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/088f06b5433bd13f426021bdd8e902f8794adb05

AFP=時事】英国のボリス・ジョンソン(Boris Johnson)首相の報道官は1日、ロシアのウクライナ侵攻を受け、5か国で構成する国連安全保障理事会(UN Security Council)の常任理事国からロシアを解任する案を、英政府として議論する用意があると表明した。

 報道官は記者団に対し、「首相はこれに関して立場を示していない」としながらも、「われわれはロシアが外交的に孤立することを望んでおり、それを達成するために全ての選択肢を検討するということは言える」と述べた。【翻訳編集】 AFPBB News

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●「ロシア非難決議否決 日本など80カ国超賛同も―国連安保理」

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https://www.jiji.com/jc/article?k=2022022600292&g=int

 【ニューヨーク時事】国連安全保障理事会は25日午後(日本時間26日午前)、ロシアによるウクライナ侵攻を非難し、即時撤退を求める米国主導の決議案を採決に付したが、ロシアが拒否権を行使し否決された。理事国15カ国中、米欧など11カ国が賛成し、中国、インド、アラブ首長国連邦(UAE)は棄権した。

 米国は否決を見据え、決議案への賛同を示す共同提案国を理事国以外にも広く募り、日本を含む80カ国以上が名を連ねた。ロシアの国際的孤立を強調するのが狙いだ。

 トーマスグリーンフィールド米国連大使は、採決前、「簡単な投票だ。国連憲章を支持するなら『イエス』、ロシアの行動に同調するなら『ノー』か棄権だ」と迫った。

 結果、動向が注目された中国だけでなく、日米オーストラリアとの連携枠組み「クアッド」の一角であるインドも棄権に回った。インドのティルムルティ国連大使は「外交の道が断念されたのは遺憾だ」と理由を説明した。

 ウクライナのキスリツァ国連大使は会合での演説中、出席者に犠牲者への黙とうを要請。約10秒間祈りをささげた後、議場からは自然と連帯を示す拍手がわき上がった。ロシアのネベンジャ国連大使は鼻で笑ったが、ロシアの孤立を印象付けた。

 安保理決議案は否決されたが、米欧などは意思表示のため、国連総会で同内容の決議採択を目指している。ただ、総会決議に法的拘束力は無い。

 安保理は2014年にも、ウクライナ南部クリミア半島のロシア併合をめぐる住民投票を無効とする決議案採択を目指したが、ロシアが拒否権を発動して否決された。その際も中国は棄権している。

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ウクライナをめぐり国連を舞台にして米露が世界の世論を争う(U.S. and Russia Battle for World Opinion at U.N. Over Ukraine

-ブリンケンは今でも外交上の出口を探している。

コラム・リンチ、ロビー・グラマー、ジャック・デッチ筆

2022年2月17日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/02/17/us-russia-un-ukraine/

アメリカは、クレムリンがウクライナの首都キエフの占領を目指し、空、海、陸軍を派遣してウクライナへの侵攻を準備していると警告しており、アメリカとロシアは木曜日の国連安全保障理事会で緊迫した言葉による戦闘を展開した。

アントニー・ブリンケン米国務長官は、ミュンヘン安全保障会議のためにベルリンを訪れていたが一時的にニューヨークに戻り、ロシアのセルゲイ・ベルシニン外務副大臣が輪番議長を務める国連安全保障理事会で演説を行った。これは事態の緊急性を示すものだった。

ブリンケン氏は15カ国が参加した安全保障理事会の席上、「今日、私たちは会議を開いているが、平和と安全に対する最も差し迫った脅威は、ロシアによるウクライナへの侵略である。アメリカの情報諜報機関の報告によれば、ウクライナに対する攻撃が今後数日のうちに行われることを示唆している」と述べた。ブリンケンは続けて「これは、何百万人もの人々の生命と安全、そして国連憲章(United Nations Charter)とルールに基づく国際秩序(rule-based international order)の根幹を脅かす危機的状況である」と発言した。

ブリンケン国務長官の国連安全保障理事会の出席は、「国連安全保障理事会を、ロシアに対する国際世論を結集し、その外交的孤立を演出するための世界に向けた劇場(global theater)として利用する」というアメリカの戦略の一部である。国連安保理はロシアにウクライナの国境を尊重するよう強制する力をほとんど持たない。ブリンケン国務長官は、ウクライナ国境から軍を撤退させるというロシアの主張を否定し、ロシアのメディアが「国民の怒りを最大化(maximize public outrage)」し、「戦争の正当化の根拠を作り上げる(lay the groundwork for an invented justification of war)」ための大規模な偽情報キャンペーンを行っている兆候など、米国が考えるロシアの戦争戦略について詳細に説明した。

ブリンケン長官は次のように予測した。「ロシア政府は、ロシア国民やウクライナ国内のロシア系住民を守るために、ロシアが対応しなければならないという宣言を出すだろう。ロシアのミサイルや爆弾はウクライナ全土に落下するだろう。通信は妨害され、サイバー攻撃によってウクライナの主要機関が機能しなくなるだろう。その後、ロシアの戦車と兵士は、すでに詳細な計画が立てられ、明確に設定された重要な目標に向かって前進するだろう。その目標には、280万人の市民が暮らす、ウクライナの首都キエフも含まれると考えている」。

バイデン政権は、ロシアの軍事計画を白日の下に晒すことによって、モスクワに戦争のための信頼できる口実を与えず、ウラジミール・プーティン大統領を説得して、外交的出口を選択させることができるという希望を表明している。ブリンケン国務長官は、来週ヨーロッパでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相と会談することを提案した。また、NATO・ロシア協議会と欧州安全保障協力機構(Organization for Security and Co-operation in EuropeOSCE)の会合を提案し、重要な国々の指導者たちによる首脳会談への道筋をつけることを目指している

ロシア代表のベルシニンは、「欧米諸国がロシアはウクライナを攻撃するとの根拠のない非難を行っている」と述べ反撃した。ベルシニンは安保理理事会の出席者たちに、「カメラに向かって大見得を切りたいという誘惑に負けないように」、そして「この会議をサーカスのようにしないように」と訴えた。

ベルシニンは、2月16日にロシアがウクライナに侵攻するという米国のリーク情報を嘲笑し、「いわゆる侵攻が行われるとされた日付は既に過ぎている。私たちからのあなた方への助言としては、厄介な状況に自ら進んで飛び込まないということだ」と述べた。

今月の国連安全保障理事会の議長を務めるロシアは、ウクライナ東部の一部を支配するロシアに支援された分離主義勢力と政治的な協議を行うことを政府に要求している、ミンスク合意をウクライナ側が遵守していないとを強調するために木曜日に会議を召集した。ベルシニンは「明らかなことを見ようとしない西側諸国のダチョウのような姿勢に、私たちは非常に失望していると言わざるを得ない」と述べた。

ウクライナに駐在しているミッコ・キンヌネン欧州安全保障協力機構特別代表は、ミンスク合意の全締約国が完全に合意内容を履行できていないと指摘し、一方の締約国に責任を押し付けるのは「適切ではない」と述べた。

ロシアのパブリック・ディプロマシー(public diplomacy)は、過去のアメリカの情報諜報活動の失敗(intelligence failure)によって利益を得ている。特にジョージ・W・ブッシュ(息子)元大統領が第一次湾岸戦争後、サダム・フセインが大量破壊兵器(weapons of mass destruction)を保有しているという誤った主張に基づいてイラクを侵攻したことから利益を得ている。当時のコリン・パウエル米国務長官が2003年2月に行った安全保障理事会での説明で、炭疽菌の模擬瓶を振り回して、イラクが大量の生物兵器をテロ兵器として使用する能力があると虚偽の説明をしたことを、ロシア当局者は頻繁に引き合いに出している。

ブリンケンは、アメリカの情報の信頼性に対する懸念に直ちに反論し、「アメリカの情報諜報活動が結果的にうまくいかなかった過去の事例を思い起こすことで、アメリカの情報に疑問を投げかける人がいることは承知している。しかし、明確にしておく。私が現在ここにいるのは、戦争を始めるためではなく、戦争を防ぐためなのだ」と述べた。

木曜日の会議に先立ち、ロシアは、ウクライナのドンバス地方でロシア語を話す人々に対して、ウクライナ軍が「大量虐殺」を行ったとする報告書を国連に提出したドンバス地方は、現在、ロシアの支援を受けた分離主義勢力が実効支配している。バイデン政権の最高幹部たちはこの主張に疑問を投げかけ、ロシアの侵攻の口実になる可能性があると指摘した。

ブリンケンは国連で次のように発言した。「ロシアはこの出来事を民族浄化(ethnic cleansing)や大量虐殺(genocide)と表現するかもしれない。この議場にいる私たちが重要視している概念、そして私の家族の歴史に基づいても非常に重要な概念を馬鹿にしている」。 ブリンケン米国務長官の継父はホロコーストの生存者だ。

アメリカ国務省のネッド・プライス報道官は、国連での会議に先立つ水曜日、記者団に対し、「過去数週間にわたり、ロシア当局者とロシアのメディアが、侵略の口実になるような話を数多く報道機関に植え込んでいるのを目撃してきた。こうした行動は、ロシアがウクライナに対する軍事行動の口実にするために展開している偽りの物語(false narrative)である」と述べた。

一方、アメリカ連邦議会の指導的立場にある議員たちからは、戦争回避のための外交努力が挫折し、プーティンが侵略計画を続けるのではないかという懸念の声が上がっている。連邦上院外交委員会委員長ロバート・メネンデス連邦上院議員は木曜日にMSNBCの番組に出演し次のように述べた。「これはプーティン理解入門初歩であるが、残念ながら、プーティンによって外交の窓が閉ざされつつあり、彼が前進することはウクライナ人にとっても、ロシアにとっても悲劇的な間違いである。私は状況についてますます懸念を強めている」。

バイデン政権と西側諸国の政府高官たちによる戦争への警告が熱を高まる中で、ブリンケン米国務長官の演説は行われた。ワシントンとその同盟諸国は数週間前から、ロシアの偽旗作戦(false-flag operations)による侵攻の可能性を指摘し、ロシアのウクライナ攻撃を防ごうとしてきた。しかし、これまでのところ、ウクライナの首都キエフに近い隣国ベラルーシを含むウクライナの国境付近でのロシア軍の増派と展開は継続中だ。

ロイド・オースティン米国防長官は2月17日に、ブリュッセルのNATO本部で演説を行いその中で、ロシアが将兵やヘリコプターを増派し、黒海での態勢を強化し、血液バンクを前線に移動させたと述べ、軍事行動が迫っている可能性を示唆した。これは、民間企業マクサーの衛星画像と一致し、この48時間でロシア軍がベラルーシに野戦病院(field hospitals)を建設し、ウクライナ国境に届く範囲に攻撃ヘリを増派していることを示したものだ。

木曜日の朝、ウクライナ軍は、ロシア連邦議会が独立を認めるよう推進しているドネツク州とルハンスク州で、親ロシア派の分離主義勢力が発射した砲弾が少なくとも32発となったと発表した。キエフからポーランド国境に近い西部の都市リヴィウに移転した在ウクライナ米国大使館は、分離主義勢力が幼稚園と高校を襲い、少なくとも教師2名が負傷し、村の電力が途絶えたが、こうした攻撃はロシア軍が行ったものとして非難している。「ドンバスにおける侵略者は明らかだ。それはロシアだ」と駐ウクライナ米国大使館はツイッター上に投稿した。米国大使館は、この攻撃をミンスク合意の「憎むべき違反(heinous violation)」と呼んだ。

ヨーロッパ諸国の指導者たちもこのような意見に同調している。木曜日にキエフを訪れたリズ・トラス英外相は、現地でこの攻撃を知った後、「これはクレムリン作成の作戦書からそのまま出てきたものだ」とツイートした。

クレムリンがここ数カ月、ウクライナ国境付近での軍備増強を加速させて以来、ワシントンとモスクワの関係は確実に悪化している。先週、モスクワはアメリカ大使館で2番目に高い地位にある外交官をロシアから追放した。米国大使館のバート・ゴーマン次席公使は、視察が終わる前に国外退去を余儀なくされた。米国務省の報道官は、「ロシアによる我が国の次席公使に対する取り扱いは全くもって正当な根拠を欠いたものであり、私たちはこれをエスカレートした措置とみなし、対応を検討している」と述べた。

ロシアは昨年、ロシア駐在を許可するアメリカからの外交官の数を制限した。そのため、アメリカ政府はロシア国内の複数の米国領事館を閉鎖し、モスクワの米国大使館も人員削減を余儀なくされた。それに対して、バイデン政権はアメリカ駐在のロシアからの外交官の数を減らすという報復措置は取っていない。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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