古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:抗議活動

 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 イスラエルのガザ地区での攻撃について、アメリカの各大学で抗議活動が盛んに行われているは日本でも盛んに報道されている。大学当局が排除する様子も映り、「せっかく一流大学に入っているのに、退学の危険があるのにどうしてこんなことをするのか」というコメンテイターがいた。暴力的、破壊的な抗議活動は批判されるべきだが、平和的な抗議活動は、大学のキャンパス内で行われるのは自然なことだ。日本でも学生運動が盛んだった時代もあるが、過激化、尖鋭化したために、暴力的、破壊的な運動になって、かえって、こうした活動ができにくくなってしまった。私の同郷のある友人は、東京のとある大学に進学する際に、「少々のギャンブルやお酒での失敗、恋愛関係での失敗は大丈夫。ただ、学生運動とか、政治に関心を持つとかは止めるように」と言われたと教えてくれた。

 ハーヴァード大学の教授であるスティーヴン・M・ウォルトは、抗議活動を行う学生たちに賛意を示しながら、「抗議活動でやるべきではないこと」をまとめた論稿を発表している。論稿の内容は、政治活動や抗議活動全般に言えることだと思う。

 ウォルトは、主流メディアやソーシャルメディアの影響や抗議活動の戦術について述べ、多くの学生たちと彼らの親族が卒業式での行動に慎重であるべきだと述べた。祝辞の邪魔をしたり、他の学生が卒業証書を受け取るのを序増したりはすべきではないとしている。また、学生たちに対し、自分たちの主張を表明する自由はあるが、他者の権利を尊重するようにと忠告している。根拠のない、過激な主張は支持を得られないので、そこにも注意するように求めている。ウォルトの忠告は非常に有益である。

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アメリカ国内のパレスティナ支持の抗議者たちがすべきこととすべきではないこと(What America’s Palestine Protesters Should and Shouldn’t Do

-一人の同情を持つ観察者から大学生たちに向けたハウトゥガイド。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2024年5月6日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/05/06/what-americas-palestine-protesters-should-and-shouldnt-do/

シカゴで行われたパレスティナ支持のデモの中、シカゴ美術大学、ルーズベルト大学、コロンビア・カレッジ・シカゴの学生や教職員たちを阻止しようとする警察(4月26日)。

世捨て人(hermit)でないなら、全米の大学キャンパスが学生のデモで騒然となっているのをご存知だろう。そのデモでは、広場やその他の公共スペースにテントを張って野営するのが一般的だ。デモ参加者たちはガザ地区でのイスラエルの行動と、それに対するアメリカの支援に抗議し、即時停戦(immediate cease-fire)を要求し、時には、大学がイスラエルへの投資から撤退し、他の方法で距離を置くよう要求している。大学管理者たちは現在、理想主義的で情熱的な学生、怒りを持っている寄付者、イスラエル・ロビーの影響力のあるグループ、陰険な連邦議員、そして学問の自由の重要な要素が危険にさらされていると懸念する教員らの間で板挟みになっていることを認識している。

私は学生たちに同情するが、彼らの行動全てや一部の学生の発言全てに同意してはいない。私は、ハマスが10月7日にイスラエルで行ったことは、犯罪的で間違っていると疑ったことは一度もないが、その犯罪はイスラエルの無差別で意図的に残酷な過剰反応(Israel’s indiscriminate and deliberately cruel overreaction)を正当化するものでは決してない。また、ハマスの犯罪を理由に、パレスティナ人が数十年にわたって経験してきた苦しみや避難を無視するべきではない。これらの抗議活動に参加している、少数の人々は非難されるべき発言をしているが、参加者の大多数(かなりの数の若いユダヤ系アメリカ人を含む)は反ユダヤ主義(antisemitism)ではなく、苦境(plight)に立たされたガザ地区の住民たちの窮状に対する同情、アメリカがイスラエルに与え続けている支援に対する嫌悪感(disgust)、そして、パレスティナ人とイスラエル人双方のために平和の大義を推進したいという願望から行動していることは、複数の証言から明らかである。特に驚くべきことではないにしても、学生たちを批判する人々が、3万5000人のパレスティナ人の無差別殺害(indiscriminate killing)やイスラエルの重要な政府高官たちが表明した虐殺感情(genocidal sentiments)よりも、少数の無知な短気の嘆かわしい発言に腹を立てているように見えるのは、皮肉で憂慮すべきことである。一方の、少数の過激派の発言を非難するつもりなら、公平性を保つためには、もう一方の過激派も非難する必要がある。

これらの抗議運動は、その様々な目的を達成するのだろうか? 私には分からない。イスラエルの略奪(predations)とアメリカの共犯行為(complicity)に注目を集めることに成功した今、私は、特に大学の卒業式が始まろうとしている今、彼らが集めた共感と支持を知らず知らずのうちに損なうような行動を取るのではないかと心配している。

この件に関する私の考えは、私が住むマサチューセッツ州のあるリベラルアーツ・カレッジ(liberal arts college)での最近の経験に一部基づいている。私は元国務省職員とともにアメリカの中東政策に関する公開イヴェントに出席し、司会の教授による質問に答えるのに1時間ほど費やした。いくつかの点では同意したが、他の点では大きく意見が食い違ったものの、全体としては敬意を払いつつ、実りある意見交換となった。私は、アメリカの過去および現在の政策は大きく誤っており、アメリカは今やイスラエルが犯している犯罪に加担していると考えていることを明確にした。

イヴェントは質疑応答まで何事もなく終わった。他のスピーカーと私が聴衆からのいくつかの質問に答えた後、1人の学生指されて、立ち上がり、ガザ地区で起きていることを非難する長い声明を読み始めた。そのスピーチは、それまでの1時間に私たちが話した内容には何ら反応しておらず、要約して質問を投げかけるよう何度も要求されたにもかかわらず、その学生は声明を最後まで読み上げ、その後、おそらく十数人の他の学生のグループとコール・アンド・レスポンスで唱和(chant)を始めた。昭和はさらに数分間続き、数人の警備員が到着し、学生たちは立ち上がって自主的に行進して去っていった。

質疑応答は再開されたが、数分後、別の学生が指され、立ち上がり、同じ発言を繰り返し、もう1人の学生とともに再び唱和を始めた。最初のグループとは異なり、2人の学生はステージの前方を占拠し、立ち去ろうとしなかった。さらに数分後、主催者はイヴェントを終了させた。

学生たちの発言や唱和には、攻撃的なものや脅迫的なものは何もなかった。もし私たちに反論する機会があれば、彼らの言っていることの多くに同意すると言っただろう。しかし、そうすることで他の聴衆を敵に回してしまったのだから、イヴェントを強制終了させたのは重大な戦術ミスだと感じた。最初の中断の後に抗議が終わっていれば、抗議者たちは自分の主張を行い、パネリストたちは彼らの主張に反論し、聴衆はその応酬から利益を得ただろう。しかし、結果的には、聴衆の大半は、早々に終了せざるを得ないほどイヴェントが中断されたことに、目に見えて苛立っていた。

私自身、アメリカとイスラエルの関係についてかなり物議を醸すような激しい主張を行い、また、意見の異なる人々を含む聴衆の前でかなりの数の講義を行ってきたが、大学(およびアメリカ)にパレスティナ人の権利にもっと注意を払い、イスラエルの行動から距離を置くよう求めている学生たちに、頼まれもしないがアドヴァイスをしたい。

(建設的な行動についての追加的な提案については、ニコラス・クリストフのコラムを参照して欲しい)。

第一に、既にあなたの方向に傾いている人々の本能を強化し、まだ決心していない人々を説得しようとしていることを決して忘れないようにして欲しい。あなたは、熱心なシオニストたちに意見を変えるよう説得しようとはしないだろう。同様に、シオニストたちがあなたの意見を変えることもないだろう。しかし、まだ決心していない人々は通常、事実(facts)、論理(logic)、理性(reason)、証拠(evidence)に惹かれる。私の経験では、彼らは怒り(anger)、無礼(rudeness)、不寛容(intolerance)、そして特に、より知りたいという自分の欲求(desire)を邪魔する人にうんざりする。15年前、私がイスラエル・ロビー(Israel Lobby)について公開講演をしていたとき、聴衆の誰かが私に向かって怒鳴ったり、人身攻撃を始めたりするのはいつも助けになった。それはなぜだろうか? それは、聴衆の残りの人々がそのような行動を無礼で、私が言ったことへの反論に何の裏付けもないと見なし、したがって私がおそらく正しいと結論付けたからだ。

第二に、主流メディアにもソーシャルメディアにも十分にアクセスできる、潤沢な資金を持ち、組織化され、献身的な敵対勢力に立ち向かっていることを認識することだ。彼らは、行き過ぎた行為(excesses)、残念な出来事(regrettable incidents)、不注意(careless)や憎悪に満ちた発言(hateful statements)、怒りの表現(expressions of anger)などを利用して、運動全体の信用を落とそうとするだろう。それがうまくいかなければ、でっち上げるだろう。従って、相手側に更なる弾みを与えるような行動を取らないことは理にかなっている。

第三に、卒業式のとき、出席者たちがあなたに反対するほどに式典を妨害するのは間違いだ。出席する学生や家族のほとんどは、あなたほどこれらの問題に関心がなく、彼らの多くはガザ地区の破壊と、アメリカがそれを可能にしている方法について明確な意見を持っていないかもしれない。ほとんどの学生は、両親、祖父母、兄弟、友人の誇らしげな視線の下で、自分の成果を祝うために卒業式に出席する。それらの人々は皆、その祝賀を不可能にする人に対して怒りを覚えるだろう。確かに、彼らの怒りはパレスティナ人が苦しんでいることに比べれば、大きなことではないが、それは重要ではない。目標は、できるだけ多くの人々をあなたの側に引き入れることであり、あなたが達成しようとしていることを支持してくれるかもしれない人々を遠ざけることではない。

まとめよう。希望するなら、カフィエ(訳者註:アラブの頭に着ける四角い布)を着用。卒業証書(diploma)を受け取るために壇上を横切るとき、「今すぐ停戦だ(cease-fire now)」と叫ぶのも自由だ。しかし、他の人々がそのエリアに入るのを妨げたり、卒業式のスピーカー(たち)の声が聞こえないようにしたり、出席者がガザ地区で起きていることに腹を立てるのではなく、あなたに対して腹を立てるような環境を作ったりしてはならない。なぜなら、卒業式を台無しにしたところで、学生仲間やその家族は、ジョー・バイデン大統領やイスラエル首相ベンヤミン・ネタニヤフに腹を立てることはないからだ。彼らはあなたに腹を立てるだろうし、それこそが相手側が望んでいることなのだ。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

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(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 今や世界において中国の動向は重要な要素となっている。中国がどのように動くかで国際社会の動向が決まるということになっている。アメリカも重要であるが、中国もその重要度を増している。2023年の中国はどのように動くかということに多くの人々は関心を持っている。

 最近の中国に関する報道と言えば、「新型コロナウイルスゼロ」政策を放棄し、行動の緩和が実施されている。そのために新型コロナウイルス感染者数が増大しているが、公式発表では死者数が極端に抑えられているということだ。中国はこれだから信用できないということになる。

対外的には台湾問題に注目が集まっている。昨年2月24日のウクライナ戦争勃発後、「ウクライナの次は台湾だ」、つまり「中国が台湾に侵攻する」という主張が声高に叫ばれ、米中間の関係も緊張をはらむものとなった。最近では台湾からも「あまり危機感を煽らないで欲しい(特に日米両国)」という声が出ている。中国は国内問題もあり、また、現在の国際秩序の中で経済力を高める段階にあり、保守的な状況である。

 下に紹介にした論稿では5つのポイントで中国に関する予測を行っている。簡単にまとめると、「(1)新型コロナウイルス感染拡大で死者数が増える、(2)経済の回復は遅い、(3)旅行業界だけは活況を呈する、(4)人々の不満が小規模な抗議活動ということで噴出する、(5)米中関係は穏やかになり、台湾問題は静けさを保つ」ということになる。

 上記の予測ポイントについて、私なりの考えを書いていきたい。新型コロナウイルス感染拡大に関しては、中国は世界で最初に対処した国であり、その対処方法を模索し、開発し、改善してきた。病院の整備などのスピード感は群を抜いていた。自然免疫に方向転換を行っても、ある程度の管理を行うものと思われる。経済活動は、世界経済と連動している部分もあるが、国内需要がこれから増大していくだろう。そのスピードと規模をうまく予測できる人はいないだろう。ただ、国内需要が経済回復をけん引するだろう。旅行については既に私たちが目撃しているように活況を呈している。人々の不満が収まれば抗議活動は沈静化するだろう。国際関係について言えば、アメリカが敵対姿勢を弱めれば中国も穏やかになるだろうし、台湾問題もアメリカが煽動しなければ落ち着いたまま進んでいくだろう。

 新型コロナウイルス対策もウィズコロナに変更されていく中で、経済と社会が少しずつ動き始めているのは世界共通だ。中国も例外ではない。巨大船舶と同じで、少しの動きが他の小さな船舶に比べれば大きなものとなる。あまりに急激な動きは世界に及ぼす波も大きくなってしまう。中国はそろりそろりと動いてくれるのが最善なのである。

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2023年の中国に関する5つの予測(5 Predictions for China in 2023

-新型コロナウイルスをめぐる悲劇から弱体化する習近平まで、来年に起こる可能性があることを述べていく。

ジェイムズ・パーマー筆

2022年12月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/12/28/china-predictions-2023-covid-xi-jinping/

今年(2022年)は中国にとって非常に悪い年であった。しかし、このニューズレターが昨年予測したように、事態は常に更に悪くなる可能性がある。14億人の人口を抱える国について推測するのは難しいし、中南海(中国政府中枢)のシャッターの内側を覗き込もうとするのもまた難しい。しかし、2023年にどのような悪いことが起き、そしてどのような良いことが起こるかについて、以下に私が最善を尽くして行った予想を書いていく。

(1)新型コロナウイルスに関する悲劇(A COVID-19 Tragedy

中国はつい2度目の新型コロナウイルス感染拡大の危機に直面しており、その様相は悲惨なものとなっている。中国疾病予防管理センター(Center for Disease Control and PreventionCDC)の内部ブリーフィングによると、2022年12月1日から12月20日の間に2億5000万人が感染したと推定され、12月7日に政府が新型コロナウイルスゼロ政策を解除したのは封じ込めシステムの失敗に対する性急な対応だったことが明白に確認された。中国疾病予防管理センターの推定では、先週の火曜日の1日だけでおよそ3700万人が感染していることになる。

中国の医療制度は、長年の準備不足と治療よりも封じ込めに重点を置いてきたこともあり、既に対応に追われている状況だ。オミクロンBA.2亜型の致死率0.3%に基づいて計算すると、2億5000万人の感染者の中から75万人が死亡する可能性があることになる。この指数関数的な増加率からすると、第一波は2023年1月末までに中国の人口の60%に到達する可能性があります。この場合、9億人が感染し、270万人が死亡することになる。

もちろん、未知の部分も多く、現在中国で流行している変異株は致死率が低い可能性もある。私はそうであって欲しいと願っている。『フォーリン・ポリシー』が正式に確認したのではないが、中国の友人たちは、家から一歩も出ていないのに、新型コロナウイルスに感染したという話を語っており、アパートの集中空調システムを通じて感染している可能性を示唆している。

多数の死者が出れば、特に新型コロナウイルスゼロの価値があるかどうかという点では、心理的に大きな影響を与えるだろう。インドの新型コロナウイルス感染拡大の経験から、中国でもウイルスが猛威を振るえば、2020年には数百万人の死者が出る可能性があった。しかし、救われた命では、それぞれの喪失の悲しみや辛さを軽減することはできない。しかし、中国で公的な政治的危機が起こるとは思わないで欲しい。新型コロナウイルスによる死亡の影響は、犠牲者の多い国においても、世界的には驚くほど小さい。

更に言えば、2億5千万人の感染を経て、12月23日現在、中国が公式に報告した死者はわずか8人である。中国が死者数について明らかに嘘をつき、馬鹿げた計算方法を用い、メディアで危機を取り上げないようにしているのは、国民の怒りを恐れてのことだ。たとえ公式発表の数字が事実でないと分かっていても、危機的状況をテレビ画面から遠ざけることで、かえって危機を身近なものとして感じられるかもしれない。

(2)弱含みの経済回復(Weak Economic Recovery

中国の新型コロナウイルスの死者数は2023年の怪しいデータだけしか存在しないのではない。政治体制は、プロパガンダのためと内部の政治的理由のために、たとえ判断が不可能であっても統計事態は要求する。今回の新型コロナウイルス感染の波の規模からすると、ヴェトナムなどのように新型コロナウイルス感染対策を解除したからと言って、中国経済が以前のレヴェルに回復することはないだろう。

中国においては、消費者の潜在的な需要はたくさん存在が、新型コロナウイルスに感染することへの不安やリスクを回避しようとする志向が強いため、その需要は少しずつ出てくるのではないかと考えられる。厳しい2年間を経て、地方政府も中央政府もポジティブなデータを出すようにという政治的圧力が非常に強くなっている。それは人口の数字にも影響を及ぼしている。研究者たちは、中国の人口はすでに減少しており、新型コロナウイルスによる死亡はその問題をより厳しいものにすると主張している。

更に言えば、新型コロナウイルスは、病気や死亡によって主要な労働者がいなくなることで、サプライチェインに打撃を与える。また、最悪のシナリオでは、大きな流行を経験していない村や小さな町が、感染拡大当初と同じように、訪問者を隔離し、旅行を阻止する方法を採用する可能性がある。中央政府は2020年よりもずっとこうした方法を敵視するだろうが、地方における中央政府の執行能力は遅くしかも弱くなる可能性が高い。

挙句の果てに、中国は新型コロナウイルス感染拡大の結果ではない、多くの経済問題を抱えている。経済成長の大半を支えてきた不動産セクターはゆっくりとした崩壊を続け、アメリカは自国経済と中国経済を切り離す試みを本格化させ、世界的な景気後退の危機が迫っている。中国政府は、景気刺激策で不動産ブームを少しは下支えできるかもしれないが、いつかは現実を直視しなければならないだろう。

同様に、中国のテクノロジーを標的にしたアメリカの政策は、中国のテクノロジー産業に対する中国の公式な巨額の投資を生み出す可能性が高い。しかし、それは政府のコネに依存し、半導体向けのビッグファンドの失敗のように、多くの腐敗を伴うことになるだろう。

(3)旅行ブーム(A Travel Boom

2023年に甦る可能性があるのは旅行業界だ。国内需要は現在の新型コロナウイルス感染の波が過ぎるまで回復しないが、10月の大型連休には過去最高を記録する可能性がある。また、海外旅行もより早く回復するだろう。検疫期間が短縮され、完全に終了する可能性が高いため、中国人は大量に海外旅行に出かけることになる。この記事はクリスマス前に書いたが、検疫は12月26日に終了し、飛行機の予約ラッシュとなった。3年間も世界から隔離されていたため、旅行する余裕のある人は、アメリカの学校に通う子供たちを訪ねたり、タイのビーチに行ったりなど、国外に出ることに必死だ。

また、若者の間では、常に後退しているように見えるこの国から移住したいという願望も存在する。欧米諸国は、移民に対する偏執的な嫌悪感を維持するのではなく、潜在的な才能の大きな波を拾い上げることに目を向けるべきだ。

(4)より小規模な抗議運動(More Small Protests

2022年末の抗議デモの波の後、中国では来年も小規模なデモが続くと考えられる。新型コロナウイルスゼロ政策終了を求めるデモのような統一されたシナリオはないだろう。しかし、不正な金融会社から盗まれたお金を取り戻すか、新型コロナウイルス感染拡大による封鎖を終わらせるかにかかわらず、当局に圧力がかかる可能性があることは明白だ。

習近平国家主席の退陣を求める思想的なデモ参加者は嫌がらせや逮捕を受けたが、新型コロナウイルスゼロ政策反対のデモ参加者のほとんどは報復を免れた。このことは、人々が他の問題についても限界に挑戦することを促すかもしれない。残念ながら、不動産業界にとっては更に悪いニュースだ。過去10年間、中国で最も一般的で成功した抗議活動の1つは、資産税導入の試みに反対するものであった。

また、習近平の立場も非常に弱くなっている。習近平は、中国メディアが常にその成功を誇っていた「新型コロナウイルスゼロ」政策と密接に結びついていた。これに加えて、経済が減速しているため、中国の政治エリートは習近平の指導力に対して深刻な疑念を抱いている。問題は、2022年10月の中国共産党大会で習近平がいかにうまく立ち回ったかを考えると、彼らが何かできるのかということだ。

今年、習近平が国民と中国共産党の両方に対する権力を再強化するために、政治的統制を強化することはあり得る。しかし、長年にわたるイデオロギー的な弾圧の後に、何を締め付けるのだろうか?

(5)より穏健な言葉と静かな海峡(Softer Words and a Quiet Strait

中国の国内問題の数々は、国際舞台では、主に非公式な場でではあるが、より良い言葉につながっているようだ。アメリカをはじめとする外交官たちは、中国側が以前よりも対話に前向きになっていると報告しており、2022年11月のG20サミットでジョー・バイデン米大統領と会談した習近平国家主席は、両国間の経済摩擦の激しさにもかかわらず、笑顔のトーンを維持する可能性がある。

しかし、その部分的な雪解けは非常に不透明であり、ちょっとした危機でも関係が再び凍結する可能性がある。中国の国営メディアは、10年前よりも外国嫌いで反米的であり、中国の問題をアメリカのせいにしようとする強い動機がある。

これら全ての問題は、今年、台湾をめぐる大きなトラブルを期待しない方が良いということを示唆している。中国政府は単に国内で対処すべき問題が多すぎて、戦争はおろか、新たな危機を迎える余裕もないのだ。ナンシー・ペロシ米連邦下院議長の台湾訪問をめぐる一時的な騒動は、結局のところ大げさなものであったことが判明した。だからといって、いわゆる統一への執着や台湾への政治的干渉がなくなる訳ではなく、おそらく現状維持にとどまるだろう。

※ジェイムズ・パーマー:『フォーリン・ポリシー』誌副編集長。ツイッターアカウント:@BeijingPalmer

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(終わり)

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