古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:新型コロナウイルス

 古村治彦です。

今回はブログをお読みいただいている皆様にご報告をいたします。
 2023年9月6日(水)にかかりつけ医を受診し、抗原検査の結果、新型コロナウイルス陽性反応が出ました。その前から体調不良が続いていましたが、コロナウイルスによる体調不良の可能性が高まりました。

 2023年8月30日(水)の午後、体調の変化を最初に感じました。自分は風邪をひき始めると、首の後ろがこわばり、筋肉に痛みが出ることが多いのですが、その症状を感じ、「猛暑の疲れが出て夏風邪をひいたのだろう」と判断しました。市販の風邪薬を服用し早めに就寝したのですが、翌木曜日(8月31日)、翌金曜日(9月1日)には発熱が起き、38度4分という自分としては経験がない高熱となりました。喉の痛みが激しく、つばを飲み込むたびに激痛が走るという状態でした。

 土曜日、日曜日には体温は37度台まで下がり、喉の痛みも治まりましたが、倦怠感と咳、鼻水は続きました。微熱が続く中で、体調が回復しないため、水曜日(9月6日)にかかりつけ医を受診しました。
 その際、解熱剤やアレルギーを抑える薬、咳を抑える薬を処方してもらいました。対処療法的な薬剤の処方ということになり、状況はあまり改善しませんでした。倦怠感が酷く、昼間でもベッドで過ごすことが多かったです。9月9日(土)にかかりつけ医を再受診し、ラゲブリオという治療薬を処方してもらいました。これは5日間でウイルスを除去する効果があるとのことです。薬価が大変高い薬剤ですが、9月いっぱいは公費負担ということであり大変助かりました。医療保険制度に感謝します。
 日曜日(9月10日)からは微熱が治まり、体調はだいぶ良くなりましたが、まだ咳(喉で痰が絡む感じ)と鼻水が続く状況です。倦怠感が薄まりましたので、体をなまらせてはいけないと思い、息が上がらない程度の速度で15分程度外を歩くことを始めました。
 今回のことで多くのお見舞いや励ましの言葉をいただき、アドヴァイスもいただきました。まことにありがとうございます。今後、健康に留意して精進をしてまいります。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

(終わり)

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 古村治彦です。

 今や世界において中国の動向は重要な要素となっている。中国がどのように動くかで国際社会の動向が決まるということになっている。アメリカも重要であるが、中国もその重要度を増している。2023年の中国はどのように動くかということに多くの人々は関心を持っている。

 最近の中国に関する報道と言えば、「新型コロナウイルスゼロ」政策を放棄し、行動の緩和が実施されている。そのために新型コロナウイルス感染者数が増大しているが、公式発表では死者数が極端に抑えられているということだ。中国はこれだから信用できないということになる。

対外的には台湾問題に注目が集まっている。昨年2月24日のウクライナ戦争勃発後、「ウクライナの次は台湾だ」、つまり「中国が台湾に侵攻する」という主張が声高に叫ばれ、米中間の関係も緊張をはらむものとなった。最近では台湾からも「あまり危機感を煽らないで欲しい(特に日米両国)」という声が出ている。中国は国内問題もあり、また、現在の国際秩序の中で経済力を高める段階にあり、保守的な状況である。

 下に紹介にした論稿では5つのポイントで中国に関する予測を行っている。簡単にまとめると、「(1)新型コロナウイルス感染拡大で死者数が増える、(2)経済の回復は遅い、(3)旅行業界だけは活況を呈する、(4)人々の不満が小規模な抗議活動ということで噴出する、(5)米中関係は穏やかになり、台湾問題は静けさを保つ」ということになる。

 上記の予測ポイントについて、私なりの考えを書いていきたい。新型コロナウイルス感染拡大に関しては、中国は世界で最初に対処した国であり、その対処方法を模索し、開発し、改善してきた。病院の整備などのスピード感は群を抜いていた。自然免疫に方向転換を行っても、ある程度の管理を行うものと思われる。経済活動は、世界経済と連動している部分もあるが、国内需要がこれから増大していくだろう。そのスピードと規模をうまく予測できる人はいないだろう。ただ、国内需要が経済回復をけん引するだろう。旅行については既に私たちが目撃しているように活況を呈している。人々の不満が収まれば抗議活動は沈静化するだろう。国際関係について言えば、アメリカが敵対姿勢を弱めれば中国も穏やかになるだろうし、台湾問題もアメリカが煽動しなければ落ち着いたまま進んでいくだろう。

 新型コロナウイルス対策もウィズコロナに変更されていく中で、経済と社会が少しずつ動き始めているのは世界共通だ。中国も例外ではない。巨大船舶と同じで、少しの動きが他の小さな船舶に比べれば大きなものとなる。あまりに急激な動きは世界に及ぼす波も大きくなってしまう。中国はそろりそろりと動いてくれるのが最善なのである。

(貼り付けはじめ)

2023年の中国に関する5つの予測(5 Predictions for China in 2023)

-新型コロナウイルスをめぐる悲劇から弱体化する習近平まで、来年に起こる可能性があることを述べていく。

ジェイムズ・パーマー筆

2022年12月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/12/28/china-predictions-2023-covid-xi-jinping/

今年(2022年)は中国にとって非常に悪い年であった。しかし、このニューズレターが昨年予測したように、事態は常に更に悪くなる可能性がある。14億人の人口を抱える国について推測するのは難しいし、中南海(中国政府中枢)のシャッターの内側を覗き込もうとするのもまた難しい。しかし、2023年にどのような悪いことが起き、そしてどのような良いことが起こるかについて、以下に私が最善を尽くして行った予想を書いていく。

(1)新型コロナウイルスに関する悲劇(A COVID-19 Tragedy)

中国はつい2度目の新型コロナウイルス感染拡大の危機に直面しており、その様相は悲惨なものとなっている。中国疾病予防管理センター(Center for Disease Control and Prevention、CDC)の内部ブリーフィングによると、2022年12月1日から12月20日の間に2億5000万人が感染したと推定され、12月7日に政府が新型コロナウイルスゼロ政策を解除したのは封じ込めシステムの失敗に対する性急な対応だったことが明白に確認された。中国疾病予防管理センターの推定では、先週の火曜日の1日だけでおよそ3700万人が感染していることになる。

中国の医療制度は、長年の準備不足と治療よりも封じ込めに重点を置いてきたこともあり、既に対応に追われている状況だ。オミクロンBA.2亜型の致死率0.3%に基づいて計算すると、2億5000万人の感染者の中から75万人が死亡する可能性があることになる。この指数関数的な増加率からすると、第一波は2023年1月末までに中国の人口の60%に到達する可能性があります。この場合、9億人が感染し、270万人が死亡することになる。

もちろん、未知の部分も多く、現在中国で流行している変異株は致死率が低い可能性もある。私はそうであって欲しいと願っている。『フォーリン・ポリシー』が正式に確認したのではないが、中国の友人たちは、家から一歩も出ていないのに、新型コロナウイルスに感染したという話を語っており、アパートの集中空調システムを通じて感染している可能性を示唆している。

多数の死者が出れば、特に新型コロナウイルスゼロの価値があるかどうかという点では、心理的に大きな影響を与えるだろう。インドの新型コロナウイルス感染拡大の経験から、中国でもウイルスが猛威を振るえば、2020年には数百万人の死者が出る可能性があった。しかし、救われた命では、それぞれの喪失の悲しみや辛さを軽減することはできない。しかし、中国で公的な政治的危機が起こるとは思わないで欲しい。新型コロナウイルスによる死亡の影響は、犠牲者の多い国においても、世界的には驚くほど小さい。

更に言えば、2億5千万人の感染を経て、12月23日現在、中国が公式に報告した死者はわずか8人である。中国が死者数について明らかに嘘をつき、馬鹿げた計算方法を用い、メディアで危機を取り上げないようにしているのは、国民の怒りを恐れてのことだ。たとえ公式発表の数字が事実でないと分かっていても、危機的状況をテレビ画面から遠ざけることで、かえって危機を身近なものとして感じられるかもしれない。

(2)弱含みの経済回復(Weak Economic Recovery)

中国の新型コロナウイルスの死者数は2023年の怪しいデータだけしか存在しないのではない。政治体制は、プロパガンダのためと内部の政治的理由のために、たとえ判断が不可能であっても統計事態は要求する。今回の新型コロナウイルス感染の波の規模からすると、ヴェトナムなどのように新型コロナウイルス感染対策を解除したからと言って、中国経済が以前のレヴェルに回復することはないだろう。

中国においては、消費者の潜在的な需要はたくさん存在が、新型コロナウイルスに感染することへの不安やリスクを回避しようとする志向が強いため、その需要は少しずつ出てくるのではないかと考えられる。厳しい2年間を経て、地方政府も中央政府もポジティブなデータを出すようにという政治的圧力が非常に強くなっている。それは人口の数字にも影響を及ぼしている。研究者たちは、中国の人口はすでに減少しており、新型コロナウイルスによる死亡はその問題をより厳しいものにすると主張している。

更に言えば、新型コロナウイルスは、病気や死亡によって主要な労働者がいなくなることで、サプライチェインに打撃を与える。また、最悪のシナリオでは、大きな流行を経験していない村や小さな町が、感染拡大当初と同じように、訪問者を隔離し、旅行を阻止する方法を採用する可能性がある。中央政府は2020年よりもずっとこうした方法を敵視するだろうが、地方における中央政府の執行能力は遅くしかも弱くなる可能性が高い。

挙句の果てに、中国は新型コロナウイルス感染拡大の結果ではない、多くの経済問題を抱えている。経済成長の大半を支えてきた不動産セクターはゆっくりとした崩壊を続け、アメリカは自国経済と中国経済を切り離す試みを本格化させ、世界的な景気後退の危機が迫っている。中国政府は、景気刺激策で不動産ブームを少しは下支えできるかもしれないが、いつかは現実を直視しなければならないだろう。

同様に、中国のテクノロジーを標的にしたアメリカの政策は、中国のテクノロジー産業に対する中国の公式な巨額の投資を生み出す可能性が高い。しかし、それは政府のコネに依存し、半導体向けのビッグファンドの失敗のように、多くの腐敗を伴うことになるだろう。

(3)旅行ブーム(A Travel Boom)

2023年に甦る可能性があるのは旅行業界だ。国内需要は現在の新型コロナウイルス感染の波が過ぎるまで回復しないが、10月の大型連休には過去最高を記録する可能性がある。また、海外旅行もより早く回復するだろう。検疫期間が短縮され、完全に終了する可能性が高いため、中国人は大量に海外旅行に出かけることになる。この記事はクリスマス前に書いたが、検疫は12月26日に終了し、飛行機の予約ラッシュとなった。3年間も世界から隔離されていたため、旅行する余裕のある人は、アメリカの学校に通う子供たちを訪ねたり、タイのビーチに行ったりなど、国外に出ることに必死だ。

また、若者の間では、常に後退しているように見えるこの国から移住したいという願望も存在する。欧米諸国は、移民に対する偏執的な嫌悪感を維持するのではなく、潜在的な才能の大きな波を拾い上げることに目を向けるべきだ。

(4)より小規模な抗議運動(More Small Protests)

2022年末の抗議デモの波の後、中国では来年も小規模なデモが続くと考えられる。新型コロナウイルスゼロ政策終了を求めるデモのような統一されたシナリオはないだろう。しかし、不正な金融会社から盗まれたお金を取り戻すか、新型コロナウイルス感染拡大による封鎖を終わらせるかにかかわらず、当局に圧力がかかる可能性があることは明白だ。

習近平国家主席の退陣を求める思想的なデモ参加者は嫌がらせや逮捕を受けたが、新型コロナウイルスゼロ政策反対のデモ参加者のほとんどは報復を免れた。このことは、人々が他の問題についても限界に挑戦することを促すかもしれない。残念ながら、不動産業界にとっては更に悪いニュースだ。過去10年間、中国で最も一般的で成功した抗議活動の1つは、資産税導入の試みに反対するものであった。

また、習近平の立場も非常に弱くなっている。習近平は、中国メディアが常にその成功を誇っていた「新型コロナウイルスゼロ」政策と密接に結びついていた。これに加えて、経済が減速しているため、中国の政治エリートは習近平の指導力に対して深刻な疑念を抱いている。問題は、2022年10月の中国共産党大会で習近平がいかにうまく立ち回ったかを考えると、彼らが何かできるのかということだ。

今年、習近平が国民と中国共産党の両方に対する権力を再強化するために、政治的統制を強化することはあり得る。しかし、長年にわたるイデオロギー的な弾圧の後に、何を締め付けるのだろうか?

(5)より穏健な言葉と静かな海峡(Softer Words and a Quiet Strait)

中国の国内問題の数々は、国際舞台では、主に非公式な場でではあるが、より良い言葉につながっているようだ。アメリカをはじめとする外交官たちは、中国側が以前よりも対話に前向きになっていると報告しており、2022年11月のG20サミットでジョー・バイデン米大統領と会談した習近平国家主席は、両国間の経済摩擦の激しさにもかかわらず、笑顔のトーンを維持する可能性がある。

しかし、その部分的な雪解けは非常に不透明であり、ちょっとした危機でも関係が再び凍結する可能性がある。中国の国営メディアは、10年前よりも外国嫌いで反米的であり、中国の問題をアメリカのせいにしようとする強い動機がある。

これら全ての問題は、今年、台湾をめぐる大きなトラブルを期待しない方が良いということを示唆している。中国政府は単に国内で対処すべき問題が多すぎて、戦争はおろか、新たな危機を迎える余裕もないのだ。ナンシー・ペロシ米連邦下院議長の台湾訪問をめぐる一時的な騒動は、結局のところ大げさなものであったことが判明した。だからといって、いわゆる統一への執着や台湾への政治的干渉がなくなる訳ではなく、おそらく現状維持にとどまるだろう。

※ジェイムズ・パーマー:『フォーリン・ポリシー』誌副編集長。ツイッターアカウント:@BeijingPalmer

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 昨日は、国際関係論の一学派リアリズムの泰斗であるスティーヴン・M・ウォルトのリアリズムによる新型コロナウイルス感染拡大に関する分析論稿を紹介した。今回ご紹介する論稿はウォルトの論稿に対する反論という内容になっている。

 新型コロナウイルス拡大が国際的な問題となって3年が経過した。各国は医療体制の拡充や補助金の新設や増額などで対応してきた。日本も例外ではない。そうした中で、国家の役割が増大し、人と物、資本が国境を越えて激しく動き回る、グローバライゼーションの深化はとん挫した形になった。国際機関に対する信頼も小さくなっていった。

 しかし、今回ご紹介する論稿の著者ジョンストンは、初期段階の対応はリアリズムで分析できるが、これからはそうではないと述べている。もう1つの学派であるリベラリズム(Liberalism)によって分析・説明が可能になると主張している。

 リベラリズムとは、各国家は国益を追求するために、進んで協力を行う、国際機関やNGOなどの非国家主体が国際関係において、重要役割を果たすと主張する学派だ。新型コロナウイルス感染拡大の初期段階では各国は国境を閉じ、人の往来を制限して、国内での対応に終始した。しかし、これから新型コロナウイルス感染拡大前の世界に戻るということになれば、国際的な取り決めや協力が必要になり、国際機関の役割も重要になっていく。グローバライゼーションの動きがどれくらい復活をしてくるかは分からないが、おそらくこれまでのような無制限ということはないにしても、人、物、資本の往来はどんどん復活していくだろう。

 社会科学の諸理論は、社会的な出来事を分析し、説明し、更には予測することを目的にして作られている。理論(theory)が完璧であればそれは法則(law)ということになるが、それはなかなか実現できないことだ。諸理論は長所と短所をそれぞれ抱えており、また、現実の出来事のどの部分を強調するかという点でも違っている。理論を構成していくというのは、言葉遊びのようであり、まどろっこしくて、めんどくさいのように感じる。

 しかし、そうやって遅々としてか進まない営為というものもまた社会にとって必要であり、いつか大いに役立つものが生み出されるのではないかという希望を持って進められるべき営為でもある。日本においては官民で、学問研究に対する理解も支援も少なくなりつつあるように感じている。それは何とも悲しいことだし、日本の国力が落ちている、衰退国家になっているということを実感させられる動きだ。

(貼り付けはじめ)

感染拡大とリアリズムの限界(The Pandemic and the Limits of Realism)

-国際関係論の基本的な理論であるリアリズムはそれが主張するよりも現実的ということではない。

セス・A・ジョンストン筆

2020年6月24日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/06/24/coronavirus-pandemic-realism-limited-international-relations-theory/

スティーブン・ウォルトの「コロナウイルス感染に対するリアリズム的ガイド」は、彼の他の論文とともに、国際関係の現実主義者がコロナウイルスをこの学派の思想の正当性を証明するのに役立つと見ている説得力のある例である。現実主義者が自信を持つには十分な理由がある。新型コロナウイルス感染拡大への対応は、主権国家の優位性(primacy of sovereign states)、大国間競争の根拠(rationale for great-power competition)、国際協力への様々な障害(obstacles to international cooperation)など、リアリズムの伝統の主要な信条を実証するものとなった。

しかし、新型コロナウイルス感染拡大は、政策を成功に導く源泉としてのリアリズムの欠点も露呈している。リアリズムが得意とするのは、リスクや危険を説明することであり、解決策を提示することではない。リアリズムの長所は治療や予防よりも診断にある。新型コロナウイルスに最も効果的に対処するためには、政策立案者たちは、過去4分の3世紀の他の大きな危機への対応に、不本意ながら情報を与えてくれたもう1つの理論的伝統に目を向ける必要がある。

リアリズムは多くのことを正しく理解しており、それが、少なくともアメリカにおいて、リアリズムが国際関係論の基礎となる学派であり続ける理由の1つである。新型コロナウイルス感染拡大は、世界政治の主役は国家であるというリアリズムの見識を浮き彫りにしている。新型コロナウイルスが発生すると、各国は国境を閉鎖または強化し、国境内の移動を制限し、安全保障と公衆衛生の資源を結集して迅速に行動した。世界保健機関(World Health Organization、WHO)は当初、こうした国境管理に反対するよう勧告し、企業は経済活動の低下を懸念し、個人は移動の自由の制限に苦しんだが、これは秩序を維持し出来事を形成する国家の権威を強調するものだ。

しかし、国の独自行動がいかにリアリズムから理解できるものであっても、また予測できるものであっても、その不十分さは同じである。国境管理と渡航制限によって、各国が新型コロナウイルス感染拡大から免れることはなかった。たとえ完璧な管理が可能であったとしても、それが望ましいかどうかは疑問である。島国であるニュージーランドは、物理的な地理的優位性と国家の決定的な行動により、新型コロナウイルスに対して国境を維持し、比較的成功を収めていることについて考える。ニュージーランドが国家的勝利を収めたとしても、感染拡大が国境を越えて猛威を振るう限り、それは不完全なものに過ぎない。再感染し、国際的な開放性に依存する産業が経済的なダメージを受け続ける危険性がある。つまり、自国内での感染を防ぐことは国益にかなうが、他の国が同じことをしない限り、その国益は実現しないのだ。経済や安全保障の競争は、「相対的利益(relative gains)」やゼロサムの競争論理といったリアリズム的な考察に合致しやすいが、疾病のような国境を越えた大災害は、「無政府状態(anarchy)」の国際システムにおける個々の国家の限界を露わにする。

国境を越えるようなリスクと国益との間の断絶は、資源をめぐる国家の奔走という別の問題にも関連している。ここでもリアリズムがこの問題の診断に役立っている。なぜ各国が医療用マスク、人工呼吸器、治療やワクチンのための知的財産といった希少な品目をめぐって争うのかを説明している。このような争いは、ゼロサムの論理の性質を持つ。しかし、協調性のない行動は非効率的な配分(inefficient allocation)をもたらし、時間と労力を浪費し、コストを増大させる。これら全ては、感染症の発生を阻止するという包括的なそして共通の利益を損なうものである。同じ資源をめぐるアメリカの州や自治体の無秩序な争いは、国内でもよく見られる光景である。リアリズムが提示する建設的な選択肢はほとんどない。

リアリストたちは国際機関を信用しないよう注意を促す。例えば、国連もWHOも新型コロナウイルスを倒すことはできない。国際機関が自律的な国際的なアクターであるとすれば、それは弱いものであることは事実である。しかし、この批判は的外れである。国際機関は、国家の行動に代わるものでも、国際関係における国家の主要な地位に対する挑戦者でもない。むしろ、外交政策や国家運営(statecraft)の道具である。国家が国際機関を設立し、参加するのは、予測可能性(predictability)、情報、コスト削減、その他機関が提供できるサーヴィスから利益を得るためである。リアリズムの著名な学者であるジョン・ミアシャイマーでさえ、国際機関は「事実上、大国が考案し、従うことに同意したルールであり、そのルールを守ることが自分たちの利益になると信じているからである」と認めている。制度学派のロバート・コヘインとリサ・マーティンが数十年前にミアシャイマーとの大激論で述べたように、国家は確かに自己利益追求的であるが、協力はしばしば彼らの利益になり、制度はその協力を促進するのに役立つのである。ミアシャイマーは、最近、他の分野でもアメリカの利益に資するために、より多くの国際機関を創設するよう主張したので、最終的には同意することになったのかもしれない。また、制度学派も、安易な協力を期待することの甘さに対するリアリズムの警告を認めている。日常生活において、隣人との協力は簡単でも確実でもない。しかし、アメリカ人の多くが感染拡大にもかかわらず、街頭に出て要求したように、代替案よりも望ましいことであるから、それを得るために努力する価値があるのだ。

主要な違いは、制度主義(institutionalism)の方が、自己利益追求的な協力の現実的な可能性をより強調することである。この強調の仕方の違いによって、リアリズムと制度主義の間にある実質的な共通点が曖昧になりかねない。両方とも、国際協力(international cooperation)が望ましいことは認識しているが、より困難な問題は、それをどのように達成するかということである。この点では、現実主義的な洞察(insight)が大いに貢献する。覇権的なパワー(hegemony power)が国際的な制度を押し付けると、その制度は覇権を失った後も存続しうるという古典的な考え方がある。また、ジョセフ・ナイのリーダーシップに関する議論でも、パワーは中心的な役割を果たし、コストを下げ、成果を向上させるために、パワーのハードとソフト両面の「賢い(smart)」応用が必要であるとしている。さらに他の研究者たちは、制度設計(institutional design)が強制、情報共有、その他の設計上の特徴を通じて、不正行為(cheating)、恐怖(fear)、不確実性(uncertainty)のリスクを縮小することができると指摘している。これらの資源は完璧ではないが、パワー、リーダーシップ、制度設計に対する影響力など、その全てがアメリカで利用可能であることは朗報である。

日常生活において、隣国との協力は簡単でも確実でもない。しかし、感染拡大にもかかわらず、アメリカ人の多くが街頭に立って要求しているように、代替案よりも望ましいことであるから、それを得るために努力する価値はある。国益は、利用可能な資源やヴィジョンと相まって、アメリカや他の国々が過去の危機の際に国際機関を設立し、行動してきた理由を説明する。国際連合(United Nations)は、第二次世界大戦中にアメリカが連合国(the Allies)に対して作った造語であり、終戦時に制度化されたものである。イスラム国(Islamic State)討伐のための国際的な連合は、国際テロ対策という共通の利益を更に高めるために数十カ国が結集し、それ自体は2014年のNATO会議の傍らで考案されたものである。2008年の金融危機の際、各国は経済政策を調整し、コストを分担し、経済を救うために、G20を再発明した。

アメリカはこうした制度の創設を主導し、莫大な利益を得た。第一次世界大戦後の国際連盟(League of Nations)への加盟を拒絶し、911後のテロ対策では、当初はやや単独行動的(unilateral)であったように、国際協力は必ずしもアメリカの最初の衝動では無かった。しかし、アメリカは最終的に、国際的な協調行動とリーダーシップによって、自国の利益をよりよく実現することができると判断したのである。

新型コロナウイルスの大流行に対する国家の初期反応については、リアリズムで説明することができるが、より良い方法を見出すためには、他の諸理論に建設的な政策アイデアを求める必要がある。これまでの世界的危機と同様、アメリカは国際機関に国益を見出す努力をすることができるし、そうすべきである。

※セス・A・ジョンストン:ハーヴァード大学ベルファー科学・国際問題センター研究員。

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 古村治彦です。

 大変古い記事で申し訳ないが、国際関係論におけるリアリズムとリベラリズムという2つの学派の考え方を現実問題に当てはめてみたらどのような分析になるかという内容の論稿をご紹介したい。著者はリアリズムの代表的な学者でハーヴァード大学教授のスティーヴン・M・ウォルトだ。

 ここ最近の世界的な大事件と言えば、新型コロナウイルスの世界規模での感染拡大だ。各国はどのように新型コロナウイルスに対応するのかという分析記事である。国際関係論におけるリアリズムとは、国際政治においては国家が主役であり国益のために行動し、それぞれのパワー(力、国力)を前提として、国際関係を分析するが、国家間の協力よりは競争、更には均衡状態が実現しやすいという考え方である。リベラリズムとは、世界各国は国益を実現するために協力を行い、相互依存関係を深化させる。そして、国家以外の主体(国際機関やNGOなど)も重要なアクターであるとするものだ。

 今回の新型コロナウイルス感染拡大で各国政府は様々な分野で役割を果たした。国家の存在、役割が改めて認識されることになった。その点で言えば、リアリズムの分析が有効ということになる。リアリズムは国益を国家の生存と定義し、各国家の体制の違いにはあまり注目していない。どの形の国家であっても、国家の生存を第一とするということになる。各国家は滅亡しないように生存を最優先して行動する。これが前提となる。

 グローバライゼーションが深化して、国家以外の主体、国際機関やNGOなどが重要な主体となっているということが盛んに喧伝されたが、今回の新型コロナウイルス感染拡大ではそこまでの存在感を示すことはできなかった。やはり各国家が、他の国々の対応を横目で見ながら対応するということになった。

 2016年のドナルド・トランプの米大統領選挙当選、イギリスのEUからの離脱(ブレグジット、Brexit)はグローバライゼーションへの大きな反撃となったが、新型コロナウイルスもまたグローバライゼーションを止めるための要素となった。「アイソレイショニズム(Isolationism)」「アメリカ・ファースト(America First)」という言葉が改めて実感を持って認識されることになった。

 日本国内でもグローバライゼーションによる格差拡大、各レヴェルの政府の役割の縮小が進んでいた中で、新型コロナウイルス感染拡大対策が後手に回ったと言わざるを得ない。日本でもグローバライゼーションに対する揺り戻しがこれから進んでいくだろう。グローバライゼーションの推進勢力である自民党、公明党の連立政権と与党補完勢力(ゆ党)の日本維新の会に対する支持率の低下はそのことを示していると言えるだろう。

 新型コロナウイルスは世界の進む方向とそのスピードを変えるほどの大きな影響があったということになる。

(貼り付けはじめ)

コロナウイルス感染に対するリアリズム的ガイド(The Realist’s Guide to the Coronavirus Outbreak)

-グローバライゼーションはICU(集中治療室)に向かっている。そして、増大する国際的な危機の性質に関するその他の外交政策に関する洞察にも向かっている。

スティーヴン・M・ウォルト筆

2020年3月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/03/09/coronavirus-economy-globalization-virus-icu-realism/

国際政治と外交政策に対するリアリズムのアプローチは、新型コロナウイルスの発生のような潜在的な感染拡大の問題にあまり注意を向けない。もちろん、全てを説明する理論は存在しない。リアリズムは主に、無政府状態の制約効果(constraining effects of anarchy)、大国同士が優位性を競う理由(reasons why great powers compete for advantage)、国家間の効果的な協力に対する永続的な障害(enduring obstacles to effective cooperation among states)に焦点を当てている。種間ウイルス感染、疫学、または公衆衛生の最善の形態についてはほとんど語られていないため、リアリストたちに在宅勤務を開始する必要があるかどうかを尋ねるべきではない。

これらの明白な限界があるにもかかわらず、リアリズムは、新しいコロナウイルスの発生が提起しているいくつかの問題に対して、有益な洞察を提供することができる。たとえば、トゥキディデスのペロポネソス戦争に関する記述(リアリズムの伝統の基礎となった文書の1つ)の中心的な出来事が、紀元前430年にアテネを襲い、3年以上にわたって続いたペストであることは、記憶しておく価値がある。歴史家たちは、このペストはペリクレスのような著名な指導者を含むアテネの人口の約3分の1を殺害し、アテネの長期的な力の可能性に明らかにマイナスの影響を及ぼしたと考えている。リアリズムとは、私たちが現在置かれている状況について、何か示唆を与えてくれるものではないだろうか?

第一に、最も明白なことは、現在の緊急事態(present emergency)は、国家(states)が依然として世界政治の主役であることを思い起こさせるということだ。数年ごとに、学者や評論家たちは、世界情勢において国家の存在意義が薄れつつあり、他の主体や社会勢力(非政府組織、多国籍企業、国際テロリスト、グローバル市場など)が国家の主権を弱め、国家を歴史のごみ箱に押し込んでいると指摘している。しかし、新たな危険が生じた時、人間は何よりもまず国家に保護を求める。911同時多発テロの後、アメリカ人はアルカイダから自分たちを守るために、国連やマイクロソフト社やアムネスティ・インターナショナルに頼らず、ワシントンと連邦政府に頼った。そして、それは今日も同じである。世界中で、市民は公的機関に権威ある情報を提供し、効果的な対応策を講じるよう求めている。先週、ジャーナリストのデレク・トンプソンがツイッター上で書いていたように、「パンデミックにリバータリアンは存在しない(There are no libertarians in a pandemic)」。これは、より広範なグローバルな取り組みが必要でないということではなく、グローバル化にもかかわらず、国家は依然として現代世界の中心的な政治的アクターであることを思い出させるものである。現実主義者たちはこの点を何十年にもわたって強調してきたが、コロナウイルスはそれをまたもや鮮明に思い出させるものである。

第二に、より構造的なリアリズムでは、相対的なパワーを除いて、国家間の差異を軽視する傾向があるが、コロナウイルス感染への対応を通じて、異なるタイプの政権の強みと弱点が露呈していることだ。硬直した独裁国家は飢饉や伝染病などの災害に対して脆弱であると、学者たちは以前から指摘してきた。これはまさに中国やイランで起こったと思われることである。警鐘を鳴らそうとした人々は沈黙させられ、あるいは処罰され、トップはそれに対処するために迅速に動員する代わりに、何が起こっているのかを隠そうとした。権威主義的な政府は、資源を動員して野心的な対応をすることが得意である。北京が都市全体を隔離し、広範囲に及ぶ規制を行ったのはそのためだが、トップに立つ人々は何が起こっているのかを把握し、認識した後でなければならないのである。

民主政体国家では、独立したメディアや下級役人が処罰されることなく警鐘を鳴らすことができることもあり、情報がより自由に流れるため、問題の発生をより的確に把握することができるはずだ。しかし、民主政体国家においては、時宜を得たな対応策を策定し、実行に移す際に問題が生じる可能性がある。特にアメリカでは、緊急事態に対応する第一対応者(first responder)やその他の機関が、多くの州政府や地方政府の管理下に置かれているため、この欠陥が深刻になる可能性がある。事前に十分な計画を立て、ワシントンから効果的な調整が行われない限り(最善の状況でこれを行うのは容易ではない)、正確で時宜を得た警告であっても、効果的な緊急対策は生まれないかもしれない。ニューオーリンズのハリケーン・カトリーナやプエルトリコのハリケーン・マリアへの対応の失敗がその具体例だ。

残念なことに、ミシェル・ゴールドバーグが最近の『ニューヨーク・タイムズ』紙の論稿で指摘したように、「ドナルド・トランプのコロナウイルスへの対応は、独裁と民主政体の最悪の特徴を兼ね備えており、不透明さとプロパガンダと指導者不在の非効率性が混在している」のである。以前、連邦政府全体とホワイトハウス自体の災害対策を格下げしたトランプは、一貫してコロナウイルス発生の深刻さを軽視し、資格を持つ科学者の評価を覆し、あるいは挑戦し、効果的な連邦政府の対応を調整できず、前線にいる地方公務員と喧嘩をし、全てを退任して3年以上になる前任者バラク・オバマのせいにしてきた。分権的な民主政体システム(decentralized democratic system)の責任者に権威主義者を据え、更に深刻な緊急事態が重なれば、このような事態も予想される。

明るい兆しはあるのだろうか? リアリズムはわずかながらあるのかもしれないと提案している。競争の激しい世界では、国家は他国が何をしているかに警戒心を抱き、成功を真似ようとする大きな動機がある。例えば、軍事上の技術革新はすぐに他国に採用される傾向がある。適応に失敗すれば、遅れをとって脆弱になるからだ。このような観点から、いくつかの国がコロナウイルスに対してより効果的な対応をとれば、他の国もすぐにそれに追随することが予想される。このプロセスは、各国が正確な情報を共有し、情報を政治的に利用したり、利益を得るために利用したりすることを控えれば、より迅速に実現することができる。

残念なことに、リアリズムは、この問題に関して効果的な国際協力を実現することは、その必要性が明らかであるにもかかわらず、容易ではないことも指摘している。リアリストたちは、協力(cooperation)は常に起こるものであり、規範(norms)や制度(institutions)は、国家が協力することが自国の利益になる場合には、それを助けることができると認識している。しかし、リアリストたちは、国際協力は往々にして脆弱であると警告する。その理由は、他国が約束を守らないことを恐れたり、協力が自分たちの利益よりも他国の利益になることを心配したり、コストの不釣り合いな負担を避けようとしたりすることにある。このような懸念があるからといって、各国が互いに協力してこの地球規模の問題に取り組むことを妨げるとは思わないが、これらの懸念のいずれか、あるいは全てが、集団的対応(collective response)の効果を低下させる可能性がある。

最後に、外交政策上のリアリズムは、もしこの新型コロナウイルス感染拡大が(2003年のSARSの流行のように)迅速かつ多かれ少なかれ永久に沈静化しないならば、既に進行中の脱グローバリズムへの拡大傾向を強化することになるとも指摘している。1990年代、グローバライゼーションの使徒たち(apostles of globalization)は、貿易、旅行、グローバル金融統合、デジタル革命、そして資本主義的自由民主政治体制の明白な優位性によって、世界はますます緊密につながり、ますますフラットでボーダレスになっていく世界で、私たちはみな豊かになるために忙しくなるだろうと信じていた。過去10年以上、この楽観的なヴィジョンは着実に後退し、自律性(autonomy)と大切な生活様式の維持のために、効率、成長、開放性を交換しようとする人がどんどん増えている。イギリスのEU離脱賛成派(Brexiteers)が言うように、彼らは「コントロールを取り戻したい」ということなのだ。

リアリストにとっては、この反発は当然のことである。リアリストのケネス・ウォルツがその代表作『国際政治の理論(Theory of International Politics)』で書いているように、「国内の命令は『特殊化する(specialize)』」であり、国際的命令は『自分のことは自分でやれ!(Take care of yourself !)』」なのだ!」。キリスト教的リアリストのラインホールド・ニーバーも1930年代に同様の警告を発し、「国際商業の発展、国家間の経済的相互依存(economic interdependence)の増大、技術文明(technological civilisation)の全装置は、国家間の問題や課題を、それを解決する知性(intelligence)が生まれるよりもはるかに急速に増大させている」と書いている。

リベラル派の理論家たちは、国家間の相互依存の高まりが繁栄の源泉となり、国際的な対立を阻害すると主張してきた。これに対し、リアリストたちは、緊密な関係は脆弱性(vulnerability)の源でもあり、紛争の原因となり得ると警告している。ウォルツとニーバーは、国家間の結びつきが強くなればなるほど、解決できる問題と同じくらい多くの問題が発生し、時には解決策を考えるよりも早く問題が発生する、と言っているのだ。そのため、国際政治の重要な構成要素である国家は、互いの取引に制限を設けることでリスクと脆弱性を軽減しようとする。

従って、リアリズムの観点からすれば、新型コロナウイルスは国家にグローバライゼーションを制限する新たな理由を与える可能性がある。超グローバライゼーションは、世界の金融システムを危機に対してより脆弱にし、雇用の奪い合いによる深刻な国内政治問題を引き起こしたが、現在我々が目撃しているような国際規模の感染拡大に文字通りさらされる機会も増加した。

明確にしよう。リアリズムは、経済的自立への後退や、2つの世界大戦と世界恐慌の結果として起こったのと同じレヴェルの脱グローバリズムを予測するものではない。現代の国家は、新型コロナウイルスのようなものに直面しても、全ての関係を断ち切る訳にはいかない。しかし、現代のグローバライゼーションの高水準はもはや過去のものとなり、2つの種類の境界を越えたウイルスが、国家間の境界(borders)をもう少し高くする理由の1つになるのではないかと私は推測している。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。ツイッターアカウント:@stephenwalt

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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 新型コロナウイルスの感染拡大が世界的な問題になって3年余りが経過している。思い返してみればその最初は中国の武漢市であった。その当時、日本でもアメリカでも武漢市での混乱の様子や人々が戸惑い慌てている様子を連日報道していた。中国政府はうまく対応していない、強権的に人々を抑圧している、中国はパンデミックでたいせいに大きな影響が出るのではないかというような主張もなされていた。その後、同じような光景が世界各地で見られた。西側諸国の感染者数や死亡者数(それぞれ1000人あたりの数)を見れば、先進諸国がうまく対応してきたと評価する人は少ないと思う。

 アメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌に感染拡大初期の中国の様子を現地に住む人物が回顧して書いた記事が掲載された。その内容は「中国政府がいかに効果的に新型コロナウイルス感染拡大に対応したか」というものだ。著者エリック・リーは英語で文章が書けるくらいの人物であり、おそらく中国以外の英語圏で教育を受けたものと考えられる。中国系の苗字であるが、国籍は中国ではないのではないかとも考えられる。中国の上海に在住し、子供たちは中国の公立学校で教育を受けているところから、中国でこれからも暮らすことを選択しているのだろう。彼の各内容はある程度割り引いて読まねばならないだろうとは思う。

 しかし、中国が新型コロナウイルス感染拡大に対して国家を挙げて、ある程度効果的に対応したということは認めなければならない。私は中国の対応は、「戦時態勢に向けた訓練」という意味が強かったのではないかと思う。第三次世界大戦が勃発し、中国が攻撃を受ける場合を想定しての

 中国の戦時態勢を率いるのが習近平だ。習近平がこれまでの慣例を破って、中国国家主席として3期目に突入しているが、このブログで何度も指摘しているが、戦時態勢構築のためである。中国国民は「賢帝」習近平を先頭にして戦時態勢の準備を進めているということになる。習近平の人気、支持率の高さは一般国民の意思が反映されているという解釈もある。「賢帝」という言葉はいささか過剰な高評価とも思われるが、そういう評価があるということを私たちは知っておくことも良いのだろう。民主的な選挙で選ばれた指導者が「賢帝」になり得ないということを私たちは身近で経験できているのは悲しいことだ。

(貼り付けはじめ)

習近平は「賢帝」である(Xi Jinping Is a ‘Good Emperor’)

-一人の中国の擁護者は、なぜ新型コロナウイルス感染拡大によって習近平、党、北京への信頼が高まったかを語る。

エリック・リー筆

2020年5月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2020/05/14/xi-jinping-good-emperor-coronavirus/

上海では、生活も仕事も徐々に平常に戻りつつある。私も同僚もオフィスに戻った。レストランやバーも再開し、入り口で体温チェックをしている。私が出資している中国最大の自転車シェアリング会社「ハローバイク」は、利用者が大流行前の70%に戻ったと報告している。中国の他の地域でも程度の差こそあれ、同じようなことが起こっている。永遠に続くと思われた悪夢は、もう終わったのかもしれない。この機会に、中国の社会と政府について私が学んだ5つのことについて話してみよう。中国は時宜を得て正しい指導者を持つという幸運に恵まれた。

中国の人々は、自分たちの政治機関を信頼している。私たちの中国に対する理解は、権威主義的一党独裁国家(authoritarian one-party state)は国民の真の信頼を維持することができないという定義に支配されてきた。しかし、そろそろそれを脇に置く時期が来ている。大自然がこれほどのインパクトを与えてくれたのだから、もはや現実は無視できない。

2020年1月23日、中国政府は武漢市を封鎖し、更に総人口5600万人の湖北省全域に人類史上最大の検疫(quarantine)を命じた。2日後、チベットを除く全ての省が最高レヴェルの健康緊急事態を宣言し、7億6000万人以上の都市住民が家に閉じこもり、必要な時だけ外出を許され、公共の場ではマスク着用が義務づけられた。ほとんどの農村も閉鎖された。当時、全国で報告された感染者は571人、死亡者は17人であり、その後の世界的な状況を考えると、むしろ少ない方であった。

この措置の大きさには中国全土が驚かされた。人口2400万人の上海で、数日前まで渋滞していた道路が一夜にして人も車もいなくなった。最初は1週間か2週間で終わるだろうと思っていた。しかし、封鎖は継続した。人々は家に留まり、通りは空いたままだった。

何億人もの人々が即座に、そしてほぼ完全に封鎖に従ったことは、私にとって本当に驚きとなった。中国に行ったことがある人なら、中国の人々がどれほど手に負えないように見えるかを知っているだろう。中国の正規の警察は非武装である。上海の街角では、交通違反の切符をめぐって警察官と口論している人を見かけることがよくある。これほど長い間、多くの人がこのような大規模な封鎖に完全に服従したのは、自発的な行動以外に説明のしようがない。確かに、誰も病気になりたくないという利己心で説明できる部分もある。しかし、教養ある若者の大群が政府の命令や警告に公然と反抗してビーチやクラブに集まり(少なくとも初期の段階では)、警察の厳しい取締りが今も続いている他の国々と比較すれば、利己心だけでは説明できないことは明らかである。政治機関の専門性と自分たちを守る能力に対する国民の極めて高度な信頼だけがこのような服従をもたらす。

このような服従は、中国の厳格な治安維持体制によるものだと主張する人もいるかもしれない。これは2つの理由で的外れである。第一に、治安部隊が有効なのは少人数の活動家に対してであり、数億人の膨大な人口が集団で不服従を選択した場合には有効にはならない。第二に、感染拡大期間中、監禁を強制する大規模な強制行動があったという報告はほとんどなく、証拠もほとんどない。

また、中国政府は国民とのコミュニケーションにも余念がない。毎日、市、県、全国的レヴェルで新しいデータが発表された。テレビでは毎時間、政府の専門家たちが新型コロナウイルスと国の対応について詳しく話していた。どの新聞も、ソーシャル・ディスタンシングを置くことの重要性について書いている。つまり、信頼は盲目的なものではなかった。

中国の市民社会は健在だ。2月初旬に中国のソーシャルメディアにどっぷり浸かっていたら、逆の結論になったかもしれない。文化大革命終結後の最大の国民的トラウマの中で、国民の怒りが渦巻いていたのだ。15年前のSARS流行後に政府が構築した、地方当局が北京に早期警報する仕組みは、コロナウイルス発生の初期段階で明らかに失敗していた。その原因は、官僚が悪い知らせを上層部に伝えることを恐れていたためと推測され、中国の政治体制に重大な欠陥があることが露呈された。12月にコロナウイルスの危険性を最初に警告し、地元警察から口止めされた武漢の医師李文亮が自らウイルスに感染し、騒動は最高潮に達した。それだけを見れば、中国のチェルノブイリの瞬間、あるいは「アラブの春」の始まりと見る向きもあろう。しかし、結果はそうではなかった。

中国中央政府が人類史上最も大規模な疫病対策に動員をかけると、国は一つにまとまった。50万人のヴォランティアが湖北省の最前線に向かい、衛生要員、検疫要員、後方支援要員として健康と生命を危険に晒しながら活動した。全国では200万人以上の国民がヴォランティアとして登録し活動した。ソーシャルメディアは、彼らの感動的なストーリーや画像で溢れ始めた。カフェやレストランでは、ビジネスが壊滅的な損失を被っているにもかかわらず、ヴォランティアに食べ物や飲み物を無料で提供していた。ある写真には、武漢のコミュニティワーカーが宅配用の薬包で肩からつま先まで覆われている様子を写したもので、話題になった。ほぼ全ての地域で24時間体制の検問所が設けられ、ヴォランティアと警備員が出入りを管理し、人々の体温をチェックした。また、多くの地域がヴォランティアを組織し、高齢者などの弱い立場の住民の生活をチェックした。14億人もの人々が、全ての道路、全ての地域、全ての村で、このようなことが起こっていることを想像してみて欲しい。犯罪はほぼ皆無だった。

インターネット上では、政府や様々な社会機関がコロナウイルスの特徴やパンデミックの進行状況について膨大な量の情報を発信した。ソーシャルメディアでも大規模な市民参加型の情報発信が行われた。今、私はCNNやBBCで、欧米諸国の専門家や当局者たちが、ウイルスが硬い表面やエアロゾル状で生存できる時間の長さなどについて話しているのを見ている。しかし、こうしたことは、2月の時点で既に何千万人もの中国のネットユーザーが毎日、毎時間話していたことだ。

政府はトップダウンで、パンデミックに対する「人民の戦争(people’s war)」を呼びかけた。そして、これはまさにボトムアップで起こったことだった。私はこれまで、中国では権威主義的な政党支配国家が市民社会の発展を許さないから市民社会が弱いのだという、多くの政治思想家の共通認識を、多少なりとも信じていた。しかし、それは、市民社会が国家とは別のもの、あるいは国家と対立するものであるという、一般的なリベラル派の定義に基づいていることに思い至った。中国の市民社会を古典的な定義、すなわちアリストテレスが「コイノニア・ポリティケ(koinonia politike)」(国家と区別されない政治的共同体)と呼んだもので見てみると、このパンデミックを通じて、おそらく世界で最も活気に満ちているように見えた。

中国では、国家の能力は市場よりも重要である。中国に限らず、最も議論が尽きないテーマの一つが、市場と国家の関係(relationship between the market and the state)である。今回は、国家が勝利し、大勝利を収めた。最も熱心な新自由主義者以外には、市場の成長とともに国家の能力を維持することが、何百万人とは言わないまでも何十万人もの死者を出すかもしれない想像を絶する破滅から中国を救ったことは極めて明白である。

1月下旬の疫病対策が始まると、中国国家は行動を開始した。中央政府は国家の医療資源を調整し、いち早く湖北省に集中させた。全国から217の医療チーム、4万2,000人以上の医療関係者が機材や物資とともに湖北省に派遣された。中央政府は、約1万7千台の人工呼吸器の湖北への輸送を調整した。その結果、流行の中心地である湖北省では、人工呼吸器が大きく不足することはなかった。

At the onset of the counter-epidemic operation in late January, the Chinese state swung into action. The central government coordinated national medical resources to quickly concentrate on Hubei province. In total, 217 medical teams with more than 42,000 medical personnel were dispatched to Hubei from around the country, along with equipment and supplies. The central government coordinated the shipment of around 17,000 ventilators to Hubei. The result was that the epicenter of the outbreak never experienced any major shortage of ventilators.

武漢では、10日間で1000床の巨大な新病院が建設された。その後、コンヴェンションセンターなどの既存の建造物を利用して、市内16カ所、計1万3000床の仮設病院を建設し、隔離された環境で軽症の患者を治療した。工業用マスクの原料を生産する国営エネルギー大手シノペックは、35日間かけて生産ラインを設計し直し、医療用マスクの生産に対応させた。自動車メーカーも組立ラインからマスクや医療用品を送り出した。マスクの生産量は1月の1日2千万枚から2月下旬には1億1600万枚になった。

それでは、これらのことを誰がやったのか? 全国から湖北に派遣された医師や看護師は、ほとんどが国営病院に勤務する国家公務員であった。病院を建設し、マスクを製造したのも国有企業である。

広大な国土にもかかわらず、この作戦は非常によく組織化されていた。北京から、中央政府が毎週、時には毎日、地方に対策を展開する。北京から、中央政府が週単位、時には日単位で地方に施策を展開し、地方政府には、その地方の事情に合わせた自由な発想で指示が出された。そして、省政府が市や県に同じように下降線を引いていく。また、その逆もある。また、その逆もしかりで、地方政府から北京へも意見が上がってくる。例えば、武漢のある学術チームは、既存の病院では、感染の恐れのある軽症の患者を多数収容することができないことを発見し、「仮設病院」のアイデアを提案した。その結果と提案を北京に送ったところ、承認され、24時間以内に実施するよう命じられた。

また、中国は国家としては経済危機の影響を和らげるために迅速に行動した。企業への直接の補助金に加え、政府は労働法の施行方法を調整し、不況時に従業員に給与を全額支払う義務を免除するようにした。その代わり、各企業は従業員を解雇せず、最低賃金と健康保険を維持するよう求められた。また、地主が国有企業の場合は、家賃の減額や免除を受けることができた。

中国共産党が中心的な役割を果たしてきた。この危機を乗り越えるにあたり、3名の人物が無名から全国的な名声を得るに至った。警告を無視した最初の内部告発者である李医師は、新型コロナウイルスで死亡した。鍾南山は、このパンデミックのための国家公衆衛生総責任者であり、アメリカのアンソニー・ファウチと同様に、対疫病作戦の表の顔として活躍している。張文宏は、上海で流行対策活動を主導してきた華山病院の医師である。経歴も地域も世代も全く異なる3人だが、2つの共通点がある。まず、全員が医師である。コロナウイルスを最初に警告し、警察に口止めされた武漢の医師がウイルスに感染したことで、騒動は最高潮に達した。

この試練の中で、中国共産党は最も目立つ存在であった。張は、私の家の2ブロック先にある病院で働いている。上海防衛のための医療チーム編成について語る彼の姿がヴィデオに収められていた。「党員は問答無用で真っ先に行け!」と叫んでいた。このヴィデオはインターネット上で大いに拡散された。

連日、武漢に向かう中国共産党の旗の前で宣誓する党員ヴォランティアの映像が中国のインターネット上に溢れ、自分の命より他人の命を優先させることを誓った。4月29日現在、前線で死亡した496人の医療従事者とヴォランティアのうち328人が党員である。

中国の習近平国家主席は「賢帝(good emperor)」だ。何年か前に、アメリカの政治学者フランシス・フクヤマが、「悪帝問題(bad emperor problem)」という言葉を作った。権威主義的な政治体制では、たとえ良い統治者が出るにしても、この体制では悪い統治者が権力を持って国を滅ぼすことを防ぐことはほとんどできないという理論的な意味である。今は、この理論を議論する時期でも場所でもない。しかし、今、私が知っていることは、習近平は「賢帝」だということだ。

1月28日、習近平は世界保健機関(WHO)のトップとの会談で、自分が伝染病対策作戦の直接の責任者であることを国民に告げた。このとき、未来はこれほど暗く、不確かなものではないと感じたが、日和見主義や責任回避はこの最高指導者の性格には存在しない。武漢と湖北を封鎖することは、非常に大きな結果をもたらすので、彼一人の決断であったろう。武漢・湖北の封鎖は、彼一人の決断であったろうが、結果的に国家を破滅から救う決断となった。彼は、政治局常務委員会(Politburo Standing Committee)の会議を主宰し、政策指示を出し、それを公表するという前代未聞の行動に出た。公の場ではマスクを着用した。17万人の第一線の政府関係者や有志とテレビ会議を行った。まさに「人民の戦争」は、全国民の前で彼自身が主導した。

習近平は強力な指導者として、特に国際的に、しかし国内的にも非難されることが多かったし、今後もそうであることは間違いない。欧米諸国のメディアや政府は、メディアや政治的異論に対する規制を強化し、新疆ウイグル自治区のイスラム教徒に対する政策が物議を醸しているとして、習近平政権を攻撃している。国内の反対派の中には、北京に政治権力を集中させようとする最近の動きに反対する者もいる。しかし、私の知人や中国の政治評論家の間では、最も厳しい批判をする人たちでさえ、この一世一代の危機における彼の舵取りを認めている。私は、この後、習近平の国民的人気は急上昇すると思っている。

習近平の指導力は、政府全体の社会的信用を高めた。初期段階でミスがあり、その結果、発生時の対応が遅れたことは明らかである。そして、特に内部告発者(whistleblower)である李医師の明らかな口封じに対する正当な怒りもあった。しかし、中国がほとんど知られていないウイルスに不意を突かれたことも事実である。今、中国人は、14億人の人々が数ヶ月にわたって何が起こるかを世界に示した後にもかかわらず、多くの国の政府がパンデミックの抑制に苦心しているのを恐怖の目で見ているため、自国政府の最初の誤りは、検討と反省に値するものの、もはやそれほど許しがたいとは思えない。中国のインターネット上には、武漢に向かうヴォランティアが中国共産党の旗の前で宣誓する画像が溢れかえっていた。

私にとっても、世界中の多くの人にとっても、新型コロナウイルスは生涯で最も特別な出来事であることは間違いない。ビジネスマンとして、政治学を学ぶ者として、確かに影響を与えた。しかし、親として最も感情的な影響を受けたのはこの出来事だった。私の子どもたちは、上海の公立学校に通っている。1月27日、上海は2月に予定されていた春学期の開始を延期すると発表した。子供たちは喜んだ。しかし、その喜びは長くは続かなかった。2週間後、上海市教育局から学校再開の命令が出た。上海市教育局では、全教育課程をオンライン学習に対応させるべく、記録的な速さで準備を進めていた。その新しい教材がメールで送られてきて、プリントアウトするように言われた。2日目に自宅のインクジェットプリンターが壊れた。そこで、業務用のレーザープリンターを購入し、中学校の教科書を1000ページ以上印刷した。

全ての学校は、毎日、朝8時から夕方4時まで、中国語、数学、物理、英語と、普段の学校と同じようにパソコンの画面の前で、次々と授業を続けている。宿題は毎晩、プリントアウトしたものを写真に撮り、学校のシステムにアップロードして提出する。翌朝、採点され、訂正を求められる。子供たちが家にいるのは良いことだ。しかし、私たち親の負担は大変なものだ。子供たちにこれほど怒鳴ったことはなかった。

3月19日の朝、私は目を覚まし、約2カ月間毎朝続けてきたように、前日のコロナウイルスの数値を確認しようとスマホに手を伸ばした。その朝、中国で確認された感染者数は8万928人、累積死亡者数は3245人であることを確認した。「新たな確定症例はゼロ!」となった。

私は急いで1階に降りて、子供たちに良い知らせを伝えた。子供たちの臨時教室になっているダイニングルームに入ると、国歌の前奏が聞こえてきて、私は足を止めた。子供たちは制服姿でパソコンの前に立ち、国旗掲揚の儀式を見守っていた。私は久しぶりに涙を流した。

※エリック・リー:ヴェンチャー・キャピタリスト、政治学者。上海在住。

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 古村治彦です。

 2022年11月15日、16日にインドネシアのバリでG20サミットが開催された。G20サミット期間中に日中、日米、米中の二国間の首脳会談が実施された。現代は情報通信技術の発展によって、直接対面しなくても顔を見ながら話をすることができる。リモートワークやリモート飲み会ということが日本でも盛んになっている。しかし、多くの人々が異口同音に述べているのは、「やはり直接会った方が話は進みやすい、誤解が少ない」ということだ。不思議なもので、画面を通さないでお何場所で直接会って話をした方が良いということだ。これはどうも世界共通の感覚のようだ。

 中国が厳しい新型コロナウイルス対策(ゼロコロナ対策)を行っているのは日本でも報道されている。国内で厳しいロックダウンを実施しているし、外国からの渡航も制限している。そのために、外交官や専門家たちの相互交流が制限され、その結果として米中間の緊張関係が高まっているということが今回ご紹介する論稿の趣旨だ。相手が何を考えているか、自分が何を考えているか、胸襟を開いて話し合う、もしくは言葉ではない、たとえば表情や態度といったことからの推察や洞察が相互理解に深く寄与している。

 新型コロナウイルス感染拡大で直接の首脳会談の機会も減っている。そうした中で、ウクライナ戦争が勃発したのは象徴的だ。お互いがお互いの考えを理解する機会を持たずに、敵意を高め続けていけばそのような悲劇的な結果になる可能性も高まる。首脳同士が直接会談を持つということは非常に重要である。

 更に言えば、そうしたトップ外交だけではなく、民間の交流も重要だ。観光旅行も物見遊山ではあるが、相互理解にとって重要だ。相互に学生たちが留学し合うということは将来にとって重要だ。

 新型コロナウイルス感染拡大によって世界規模で相互交流が中断された。その間に相互理解ではなく、相互不信が進んでしまったとしたらそれもまた新型コロナウイルス感染拡大がもたらしたマイナスの影響だ。新型コロナウイルスに打ち勝つために、相互理解を深めるために、交流を促進できるよう方策を整えることが重要だ。

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習近平・ジョー・バイデン会談は中国の破壊的な孤立を解消するのに役立つかもしれない(Xi-Biden Meeting May Help End China’s Destructive Isolation)

-北京は世界から危険なほど孤立している。

スコット・ケネディ

2022年11月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/14/xi-biden-meeting-china-isolation/

中国は、悪名高い「ゼロ新型コロナウイルス」管理策と海外渡航制限により、1970年代半ば以降で最も深刻に孤立した状態になっている。中国の都市生活者の多くは、自国が北朝鮮のような孤立化の方向に進んでいると見ており、数年前に作られた造語「西朝鮮(West Korea)」を自国を表現するために使うことが多くなっている。中国はまだ「隠者の王国(Hermit Kingdom)」にはなっていないが、新型コロナウイルス発生後、ワシントンのシンクタンクの専門家として初めて中国を訪れた私は、中国の孤立化が平壌と同様に世界にとって危険であることを確信した。

G20サミットに併せて、インドネシアのバリ島で会談したジョー・バイデン米大統領と習近平中国国家主席は、互いの孤立を解消することが最優先課題であり、そうすることが両国の自己利益になると同時に、世界の他の国々の利益にもなると理解していたようである。これは、悲惨な状況になっているだけに、緊急に必要なことである。

北京首都国際空港に隣接する検疫ホテルの窓からの風景が、中国が内向きになったことを知る最初の手がかりとなった。北京へのフライトは2019年の水準から3分の2以上減少し、私が滞在した10日間、海外の航空会社の飛行機が着陸してくるのを見なかった。市内では、外国人観光客の不在がさらに鮮明になった。私が宿泊したホテルはアメリカの大手チェインに属していたが、宿泊客が少ないため、レストランは週のうち何日かしか営業していなかった。

2020年初頭、中国は外国人観光客への門戸を閉じた。かつて中国の大都市で見慣れたバックパッカーも、高級バスに乗った裕福なツアー客も、1人も見かけなくなった。それ以来、多くの国々からの駐在員やその家族、そして彼らの子供たちを教えていた欧米諸国出身の教師たちが去っていった。多国籍企業のCEOたちはかつて中国に集まっていたが、今は離れている。各国の大使館は人手不足に陥っている。北京はもはや進取の気性に富む外交官にとって人気のある目的地ではなく、主にゼロ新型コロナウイルス政策のおかげで、以前よりも苦労の多い場所になっているからである。何度も追放され、ヴィザの取得に何年もかかった結果、ほんの一握りのアメリカ人ジャーナリストしか中国に残っていない。

私のような欧米の学者は、長い検疫のために主に中国を避けているが、カナダ人のマイケル・コブリグのような扱いを受けるかもしれないと懸念する専門家も存在する。コブリグは外交官から学者に転身し、カナダがアメリカの引渡し要求に応じてファーウェイ幹部の孟晩舟を拘束した報復として、同じカナダのマイケル・スパーバーとほぼ3年間不当に収監された人物だ。

次世代の中国専門家となり得たかもしれない若いアメリカ人の数は少なくなっている。米政府関係者によると、2018年のピーク時に1万1000人以上いたアメリカ人留学生は、現在、中国全土で300人未満に減っているということだ。

滞在する外国人は、常にその理由を自問する。配偶者が中国人であるとか、子供の教育を中断させたくないとか、儲かる仕事があるとか、答えは様々である。ある友人は「義務感から中国から離れないのだ」と打ち明けた。「もし、私が去ったら、誰がここで目撃するのだろう」と彼は述べた。

海外に出かける中国人の数も減っている。中国人経営者、観光客、学者などは、旅行に対する不安や帰国後の長い検疫を避けたいなどの理由で、ほとんど家にこもっている。外国人との広範な交流の政治的リスクは新型コロナウイルス感染拡大前に高まっていたようだが、学者の多くは、新型コロナウイルスを国内に持ち帰ることを恐れて、大学が海外旅行を承認してくれないと本誌に語っている。最新のデータによると、2021年時点で30万人を超えるアメリカへの留学生を含め、海外にはまだ多数の中国人留学生がいるが、そのほとんどは検疫の要求のために故郷から切り離された状態だ。

物理的な隔離と直接の接触の制限がもたらす結果は深刻だ。相互理解がまず犠牲になる。文書を読んだり、オンラインで会議を開いたりしても、顔を合わせての長時間の交流の代わりにはならない。北京と上海における中国側との会話から、アメリカ、ウクライナ、台湾、技術競争、新型コロナウイルス、その他の問題に対する公式および個人の意見の幅について、ネットで得るよりはるかに大きな洞察を得ることができた。また、現地に赴くことで、それらの意見や議論が中国国内の社会力学によってどのように形成されているかを知ることができた。

更に言えば、直接会っての交流が少ないため、中国の政策コミュニティでは、アメリカを悪者扱いし、中国のあらゆる行動を正当化し、北京がワシントンとの闘いに勝利していると結論づける、揺るぎないコンセンサスを特徴とする「共鳴室(echo chamber)」の形成が強化される。このような歪んだ見方を打破する唯一の効果的な方法は、長期的かつ反復的な対面での関与と外交だ。協力の拡大が目的であれ、抑止が目的であれ、効果的なコミュニケイション(聞くことと話すことの両方)が重要である。

中国の外交政策専門家で長年の友人である人物が「必要なものは全てオンラインで手に入るから、もうアメリカに行く必要はない」と本誌に語っていたが私は深く憂慮している。「もし私が国務省に行ったとしたら、米中間の諸課題のリストを渡されるだけだ」と彼は言った。しかし、他の国の人々はもちろん、色々なアメリカ人と旅行して話をしなければ、アメリカの政策の原点や、アメリカ人が中国の政策をどう評価しているかを理解することはほぼ不可能だ。同じことが、オフィスから中国を見るアメリカ人にも当てはまる。

また、限られたつながりによって、相手に対する非人間化(dehumanization)、共感の欠如(lack of empathy)、そして問題が解決され関係が修復されることへの希望を放棄する行為、すなわち離反(estrangement)を生み出す。ワシントン同様、北京でも関係の軌跡について運命論に(fatalism)遭遇した。その結果、最悪の事態を想定した計画が強化され、それが双方の行動と反撃の悪循環を生み、さらなる緊張の激化(escalation of tensions)を招いている。

米中両国は今、そのような状況に置かれているが、そこに留まっている必要はない。習近平・バイデン会談では、3時間半の間に幅広いテーマについて議論し、台湾に関するレッドラインを明確にし、ロシアと北朝鮮に向けた核兵器の使用に反対する共通の合意を打ち出すことに成功した。しかし、それ以上に注目すべきは、米中両国の高官たちによる定期的な交流を行う権限を与えることで合意したことだ。その場限りのコミュニケイションにとどまらず、いくつかのワーキンググループを通じて対話を進めると発表した。

アメリカ人の中には、北京との対話は中国の時間稼ぎであると懸念する人がいるのも当然のことだ。正しい姿勢は、対話の機会を与え、それがうまくいかなければ中断することである。また、バイデン政権が現在進めている、中国の軍事力を助ける可能性のある先端技術の制限、アメリカの技術革新に対する支援の拡大、中国の人権侵害に対する発言、台湾に関する公約の遵守などを、対話の拡大が妨げることはないと考えられる。

次のステップは、双方が双方向の海外渡航を促進することだ。最初は企業幹部、学者、学生、そして最終的には観光客の渡航を促進する。そのためには、航空便の増便を許可し、中国の場合はヴィザの発給を増やし、検疫期間を最近設定された8日間を下回るまで徐々に短縮することが必要であろう。公衆衛生上のリスクを最小限に抑えるため、中国は海外からの入国者に対する検査の頻度を増やし、国内の人々に対してはワクチン接種を拡大し、十分な治療薬を入手・配布し、新型コロナウイルス患者の増加に備えて病院を準備することができるだろう。

最終的には、相手国に赴任する双方の記者の数を制限することをめぐる対立の解決策を見出すことだ。中国はアメリカの記者の中国へ戻ることを歓迎すべきである。それは、海外から中国を報道しようとするよりも、現地にいた方がニュアンスやバランスの取れた報道ができる可能性が高いからだ。そしてアメリカは、中国の報道機関の全社員が、実際には生粋のジャーナリストであることを保証する方法を見出すことができるはずである。

米中両国の政府と社会の間で直接対面してのコミュニケイションを拡大することは、明白な紛争の可能性を減らし、アメリカの国家安全保障と経済を強化し、米中両国が気候変動やその他の地球規模の課題に協力して取り組む可能性を高める方法で、責任を持って戦略的競争(strategic competition)を追求するための中核となるものである。

※スコット・ケネディ:戦略国際問題研究所(Center for Strategic and International Studies、CSIS)上級顧問、中国ビジネス・経済学部門評議員会長。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 ジョー・バイデン大統領による一般教書演説が行われた。ロシアのウクライナ侵攻を受け、内容の修正が直前になって行われたということだ。新型コロナウイルス対策とインフレーション対策という国内政策が演説の主眼になると見られてきたが、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、外交政策が重要なポイントということになった。

 実際の演説は1時間ほどで最初はやはりロシアによるウクライナ侵攻が取り上げられた。プーティンを非難し、制裁には世界各国が参加しているとして、それらの国名をずらずらと列挙した。「自分たちの側が正しい」という正当性を示すために国名を列挙したと言える。その後は新型コロナウイルス対策と経済対策に話が移った。全体としては総花的で、可もなく不可もなく、ただ民主党系の議員たちを中心に無理やりにでも盛り上がっているように見せようとする意図が透けて見えて興ざめした。そのため、演説中にバイデンの話と拍手の呼吸が合わずに、バイデンの調子が上がらないようになってしまっているように感じた。

 バイデンは年齢もあるので仕方がないが、言い間違いがあり、プロンプターを読むのにいくつかの言葉や業を繰り返すところがあり、言葉に詰まるところがありであまりうまい演説という訳ではなかった。途中で早口になったところもあり、ささやくような声で話すところと大声を張り上げるところがあったが、これは私としては生理的に受け付けられず、気持ち悪く感じた。演説のうまさで言えば、バラク・オバマ元大統領はうまかったと思う。

 サキ報道官が演説の直前に「楽観主義について語る」と述べていたが、結局のところ、「このような厳しい時代ではあるが、私はこれまでの人生において最もアメリカに対して楽観的(optimistic)である」とバイデンが述べたところがそれに当たるのだろう。

 バイデンの演説を聞いて元気が出たかと言われたら、答えは「ノー」だ。内外共に厳しい状況の中で、名演説を行えば、バイデンの評価も変わったことだろうが、結局のところ、非常に「凡庸な」大統領による「凡庸な」一般教書演説となった。

(貼り付けはじめ)

バイデンは一般教書演説でプーティンを非難し、団結を呼びかけ(Biden condemns Putin, projects unity in State of Union address)

モーガン・チャルファント、ブレット・サミュエルズ筆

2022年3月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/596453-biden-condemns-putin-projects-unity-in-state-of-union-address

ジョー・バイデン大統領は火曜日、ロシアのウクライナ侵攻という見通し不透明の状況の中で初の一般教書演説を行い、アメリカの議員たちや海外の同盟諸国の結束(unity)を示し、ロシアのウラジミール・プーティン大統領を非難した。

バイデンは「6日前、ロシアのウラジミール・プーティンは、自由世界の思想の根幹(foundations of the free world thinking)を揺るがそうとした。しかし彼は大きな誤算を犯した」と述べた。

バイデンは続けて「プーティンのウクライナに対する最新の攻撃は、計画的であり、全くいわれのないものだった。彼は何度も何度も外交努力を拒絶した。彼は西側とNATOが反応しないと思っていた。彼はアメリカ国民を自宅で、この議場で、この国で分裂させることができると考えた。彼はヨーロッパでも私たちを分裂させることができると考えた。プーティンは間違った。私たちは準備ができている。私たちは団結している」と述べた。

バイデン大統領は、62分間の連邦議場での一般教書演説のうち、最初の10分間をヨーロッパで進行中の危機について述べた後、インフレーションや新型コロナウイルス感染拡大への対応といった国内の優先事項に目を向けた。

バイデン大統領は演説の中で、EUやカナダに続いて、ロシアの航空機をアメリカの領空から追放する計画を発表し、アメリカと30か国が紛争によるエネルギー価格の高騰に対処するため、戦略備蓄(strategic reserves)から6千万バレルの石油の放出を強調した。

バイデン大統領は、「私たちは同盟諸国と団結し、必要に応じて更に多くのことを行う用意がある。皆さん、知っておいて欲しい。私たちは大丈夫だ」と述べた

「将来この時代の歴史が書かれる時に、プーティンのウクライナ戦争はロシアを弱くし、世界の他の国々を強くするだろう、と書かれるはずだ」とバイデンは語った。

バイデン大統領のウクライナに関する言葉遣い、特にファーストレディ(大統領夫人)の隣に座る駐米ウクライナ大使を称賛する発言は、プーティンに対して厳しい姿勢を貫くことを誓い、超党派の喝采を浴びた。民主、共和両党の連邦議員たちは、ウクライナの国旗の色にちなんで、青と黄色の服を着ていた。

しかし、演説の他の部分は、もっと党派分断的な反応があった。

バイデン大統領がトランプ政権時代に成立したアメリカの富裕層向け減税を非難すると、民主党は嘲笑の声を上げた。バイデンが来年の国内政策の計画を打ち出すと共和党の拍手はまばらで、バイデンが移民について話すと「その壁を作れ」と唱えた共和党所属の議員もいた。

バイデン大統領は、演説の前の数日間、バイデンが経済を後退させたという共和党側からの批判に反論しようと、特に消費者と中流家庭を苦しめている記録的な高いインフレーション率について発言していた。

バイデン大統領は、昨年650万人分の雇用が増加したことを売り込み、昨年(2021年)秋の超党派によるインフラ法の成立を強調し、同法の施行に伴い、今年中に6万5000マイルの高速道路と1500の橋の補修を開始する計画を発表した。

また、ジル・バイデン大統領夫人のゲストとして出席したインテル社のパット・ゲルシンガーCEOについて言及し、アメリカの製造業への投資が拡大していることを強調した。

また、バイデン大統領は、議会で停滞している政策を活性化させるため、「ビルド・バック・ベター」法案を「ビルド・ア・ベター・アメリカ」法案として名前を付け替えることを発表した。バイデン大統領は、経済計画をインフレーション対策として捉え直し、処方箋薬のコスト削減、気候にやさしい技術への投資によるエネルギーコストの削減、育児費用の削減などの行動を議会に呼びかけた。

バイデンは、「これをやり遂げよう。私たちは皆、変化を起こさなければならないことを知っている」と述べた。

バイデンはまた、共和党の反対で保留になっている連邦準備制度理事会の候補者を承認するよう連邦上院に呼びかけ、インフレーションに対処する力の多くは連邦準備制度にあることを指摘した。

バイデンは、民主党と共和党が互いを「敵」としてではなく、「同じアメリカ人」として見るよう呼びかけ、新鮮だが親しみのある団結を訴えた。彼は、麻薬の蔓延との戦いや、ソーシャルメディアにおける子供のプライバシー保護の実施など、両党の議員が共に取り組むことのできる議題をいくつか提示した。

一般教書演説の多くの時間で、バイデン大統領は企業が公正な税負担をするよう求め、中間層(middle class)を強化し、ペンシルヴァニア州スクラントン出身であることを言及し、協力すれば国は強くなると訴えるなど、選挙期間中に支持者に向けて行った演説のテーマと同じものだった。

バイデンは「このような厳しい時代ではあるが、私はこれまでの人生において最もアメリカに対して楽観的(optimistic)である」と述べた。

民主党の中には、歴史的な傾向、インフレーション、新型コロナウイルスのしつこい流行などを理由に、2022年11月のチャンスについて悲観的な(pessimistic)見方をする人たちもいる。しかし、火曜日、ウイルスに対する政府の取り組みに、ある種の転機が訪れた。

議場ではマスクの着用が義務付けられておらず、ほとんどの議員がマスクをせず、感染拡大の新たな局面を迎える時であることを示唆した。

「昨年は新型コロナウイルスによって、私たちはバラバラになってしまった。昨年は新型コロナウイルスが私たちをバラバラにしてしまったが、今年、私たちはついに再び一緒になった」と、バイデンはマスクで顔を覆わずに議場に入った後、このように発言した。

一般教書演説の中で、バイデン大統領は、国が安全に正常な状態に戻ることができると楽観視する理由として、ワクチン接種の普及、ブースター接種や治療法の利用可能性、より広く利用可能な検査を挙げた。

バイデンは「私たちは、他の病気と同じように、ウイルスとの闘いを続けていくつもりだ。そして、このウイルスは変異して広がっていくので、私たちは警戒を怠らないようにしなければならない」と述べた。

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バイデンの一般教書演説における5つの注目を集めた瞬間(Five viral moments from Biden's State of the Union)

サラクシ・ライ筆

2022年3月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/596450-five-viral-moments-from-bidens-state-of-the-union

ジョー・バイデン大統領は、ロシアのウクライナ侵攻、インフレーションの亢進、新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、火曜日、彼自身初の一般教書演説を行った。

しかし、この演説は、大統領を罵倒する聴衆から、引退する最高裁判事へのスタンディングオベーションまで、数多くの人々の注目を集めた場面があった。

これから、バイデン大統領の一般教書演説で最も話題になった瞬間をいくつか紹介する。

(1)バイデンの大失言(Biden's big gaffe)

バイデンは一般教書演説の中で、ウクライナ人のことを「イラン人」と言ってしまい、明らかな失態を犯してしまった。

この失言は、演説の冒頭で、ウクライナへの侵攻を開始したロシアのウラジミール・プーティン大統領を非難する際に起きた。ウクライナ人への賛辞は超党派の拍手を集めたが、彼の失言をソーシャルメディア上にいる人々は見逃さなかった。

一般教書演説の公式原稿によると、バイデンは「プーティンは戦車でキエフを取り囲むかもしれないが、ウクライナ人の心や魂を得ることはできない」と言いたかったようだ。その代わりに、バイデンは「プーティンは戦車でキエフを取り囲むかもしれないが、イランの人々の心と魂を得ることは決してできない」と言ってしまった。

この発言はツイッター上で広く共有され、連邦下院司法委員会共和党委員会のアカウントも「イラン人?」とツイッター上に投稿した。

(2)バイデン大統領の演説に意気込みを見せたシューマー(Schumer shows his enthusiasm for Biden's speech)

バイデン大統領に対して少しばかり早めにスタンディングオベーションを始めたことで、チャールズ・シューマー連邦上院院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)の熱心過ぎる反応がツイッターを騒がせた。

バイデンは演説の中で、「アメリカ人の上位1パーセントに恩恵を与えた前政権で成立した2兆円の減税とは違うのだ」とトランプ前大統領のことを言い始めた。

バイデンが発言している間に、一人だけで立ち上がったシューマーが拍手しているところにカメラが切り替わった。シューマーはニヤニヤしながら通路の向こう側を見て、そして座り直した。

バイデンは続けて「"アメリカ・レスキュー・プランは人々を助けることの手助けとなり、誰も置き去りにしなかった」と述べた。

シューマーは再び椅子から勢いよく立ち上がり、今度は多くの民主党の同僚議員たちも加わって、バイデンに満腔の拍手を送り始めた。

バイデン大統領の演説が続く中、カメラに映ったシューマーのおかしな姿はSNS上で広く共有され、その気まずい瞬間をすぐに「gif」化するよう求める声が多く聞かれた。

共和党所属のマット・ゲーツ連邦下院議員(フロリダ州選出)は、この人々の関心を集めた瞬間について、「ジョー・バイデンのタイミングの悪さとつぶやきを理解しようとする全ての人たちへ」とツイートした。

(3)ボバートがバイデンの演説を罵倒する(Boebert heckles Biden's speech)

ローレン・ボバート連邦下院議員(コロラド州選出、共和党)は一般教書演説でバイデン大統領に何度も罵声を浴びせ、ある時はバイデンがアメリカ軍を棺桶に入れたと叫び、「13人も」と叫んだ。

バイデンはボバートの叫び声を無視し、代わりにアメリカの退役軍人が危険な焼却炉(burn pits)に晒されていることについて話し続けた。バイデンは、イラクで燃焼炉の近くで兵役についた後、癌で死亡した息子のボウ・バイデンについて言及した。

ボバートの発言は、民主党議員たちからブーイングを浴びせられた。彼女の仲間の共和党員の多くは、このやりとりを無視しているように見えた。

しかし、ボバートが演説中に口を挟んだのはこれだけではない。

バイデンが最高裁判事指名の話から移民制度改革の話に切り替えたとき、ボバートはマージョリー・テイラー・グリーン下院議員(ジョージア州選出、共和党)と共に「壁を作れ(build the wall)」と叫び始めたが、バイデンは演説を続けた。

彼女は後に「後ろにいる人たちのためにもっと大きな声で言う。壁を作れ!!!」とツイートした。

バイデンの演説中に電話をしているところを目撃されたボバートは、アメリカ人にワクチン接種を受けさせるというバイデン大統領の発言についても非難した。

「なぜジョーは国旗の代わりにファイザーのピンを背広の襟につけないのか? ジョーが誰のために働いているのか、私たちは知るべきだ」とボバートはツイートした。

(4)ブレイヤーに対する最後の歓呼の声(Breyer's last hurrah)

 連邦最高裁判所判事スティーヴン・ブレイヤーが連邦議員たちからスタンディング・オヴェイションを受けた際の反応を見て、多くの人々がコメントや投稿を行った。

ブレイヤーは27年にわたり連邦最高裁判事を務め、今年の夏で引退することが決まっているブレイヤーは、議場内での反応と激しい拍手に圧倒されたようだった。両手で顔を覆う仕草も見せた。また、胸に手を当てて立ち上がった。

「今夜、この国のために人生を捧げた人を称えたいと思う。陸軍退役軍人、憲法学者、合衆国最高裁判事を引退したブレイヤー判事に敬意を表したい。ブレイヤー判事、あなたの功績に感謝の意を表する」とバイデンは述べた。

この瞬間に多くの人々がコメントをSNS上に投稿した。民主党系のストラティジストでバーニー・サンダースの補佐官を務めたチャック・ロシャは、「ブレイヤー判事の反応はなんとかわいらしく素晴らしいものだろう」とツイートした。

(5)バイデンはツイッター上で「警察への予算提供」トレンドを作り出した(Biden makes 'fund the police' trend on Twitter)

バイデン大統領は、警察に対する発言で、共和党所属の議員も含む議員の大多数から大きな喝采を浴びた。

「私たちは全員、同意するはずだ。答えは、警察への予算を打ち切ること(defund the police)ではない。その答えは、警察に予算を「提供すること」(FUND the police)だ。警察に予算を提供することだ。警察に予算を提供することだ」と述べると、議場内は大きな歓声に包まれ、連邦議員たちは珍しく超党派(bipartisan)で支持を表明した。

バイデンは火曜日の演説で、「銃による暴力を減らすための効果が実証された対策を法案として提出し可決すること」「攻撃銃と大容量弾倉(assault weapons and high-capacity magazines)を禁止し、代わりに、銃製造業者をアメリカ国内で唯一訴えられない業界にし

しかし、バイデン大統領が連邦議会で喝采を浴びる一方、ツイッター上では「警察への予算打ち切り」と「警察への予算提供」をめぐって多くの人々が激しい論争を繰り広げた。

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バイデン大統領の一般教書演説で見るべき5つのポイント(Five things to watch in Biden's State of the Union address)

モーガン・チャルファント、ブレット・サミュエルズ筆

2022年3月1日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/596312-five-things-to-watch-as-biden-delivers-state-of-the-union-amid-war-in

火曜日に行われるジョー・バイデン大統領による初めての一般教書演説は、ウクライナでの戦争のさなかに行われる。

大統領は、アフリカ系アメリカ人女性初の連邦最高裁判所判事候補を指名したばかりだ。しかし、バイデン大統領は、2年間続く新型コロナウイルスの感染拡大とインフレーションの亢進に取り組む、苛立ちを隠せないアメリカ国民に直面している。

バイデンは低調を極める支持率に直面しており、2022年の中間選挙を前にして、それを覆すことができるかどうか疑問視されている。

バイデンにとっての初めての一般教書演説を見るにあたっての5つのポイントを挙げていく。

(1)ウクライナについてどれほど言及するか?(How much of the address is about Ukraine?)

数週間前までは国内問題に焦点を当てた演説であろうと考えられていたが、この1週間でバイデンの関心はヨーロッパで進行中の外交危機に移り、演説の中でこれを正面から取り上げるだろうと予想されている。

ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は月曜日に記者団に対し、「この演説がほんの数ヶ月前に考えられていたものとは少し違う内容となることは間違いない」と語った。

バイデンは、懲罰的な経済制裁でプーティンに対抗するため、同盟諸国を団結させて、一致したアプローチを取ることについて話すと予想される。

クリス・クーンズ連邦上院議員(デラウェア州選出、民主党)は先週、記者団に対し、バイデンが「アメリカが持つ最重要の同盟としての NATO への神聖な関与と、ウクライナ難民やウクライナの抵抗運動(レジスタンス)、そして自由で民主的な西側の未来のための支援を提供する決意とを強化する力強いメッセージを発信するよう」に期待すると述べた。

バイデン大統領は、現在の危機を、大統領にとっての中心テーマとなっている、民主政治体制国家が独裁国家(autocracies)に勝利するための闘いであると位置づけるだろう。また、それがアメリカ人にとってどのような意味を持つのかについても語ることになりそうだ。

バラク・オバマ前大統領の下で国家安全保障会議のヨーロッパ問題担当上級部長を務めたチャールズ・カプチャンは、「この戦争はゲームチェンジャーとなる」と語った。「私たちは、第二次世界大戦後のヨーロッパにおいて、最も重要な戦争を今目撃している。この戦争は世界を変えようとしている。ヨーロッパの再軍備強化(remilitarization)と再分割(redivision)につながるだろう。それは拡大する可能性がある」と述べた。

(2)バイデンは団結を促進できるか?(Can he foster unity?)

バイデンは、ワシントンDCにプロフェッショナリズムと超党派性を回復することを誓って就任したが、これまでのところ、彼の優先政策に反対し、彼の大統領としての適性(fitness)を疑問視する共和党から激しい抵抗に遭っている。

バイデン大統領は超党派の支援を集める動きを諦めておらず、超党派のインフラ法案で協力した事例を強調し、最高裁判事候補のケタンジ・ブラウン・ジャクソンへの幅広い支持を求めると考えられる。

ロシアのウクライナ侵攻により、バイデン氏と彼のティームはここ数日、演説の練り直しを余儀なくされているが、この危機は、バイデン政権がロシアへの制裁を強化する中で、バイデンにとって人々を結集させるポイントとなり得るものである。

民主党中道派系シンクタンクであるサード・ウェイの政策担当副所長ジム・ケスラーは、「バイデンという人物の特徴も理由として挙げられるが、国家安全保障の緊張が国を一つにする機会でもあるので、過去の大統領に比べるとより党派的ではない一般教書演説になると思う」と述べた。

それでも、ABCニューズと『ワシントン・ポスト』紙が日曜日に発表した世論調査の結果によると、バイデン大統領の支持率はわずか37%にとどまっている。中間選挙での連邦議会上下両院での過半数奪回に焦点を当てるため、演説に先立ってバイデンが自分たちを説得する機会はほとんどないだろうと共和党側は示唆している。

共和党全国委員会のロナ・マクダニエル委員長は、演説に先立つ記者団との電話会見で、バイデン大統領がインフレーション、犯罪、移民、新型コロナウイルス感染拡大や外交政策に関する一貫性のないメッセージ(inconsistent messaging)に対処するかどうかに注目することになるだろうだろうと述べた。

マクダニエルは「残念ながら、我々は明日の夜、アメリカの人々が気にしていることについて聞くことはできないだろう。彼はただのショーを行うだけのことだ。彼は、アメリカ国民に信じてもらいたいことを言うだろう。しかし、私たちは自分の目でそれを見ている。私たちは薄くなってしまった財布を持ちながらバイデンの演説の中身のなさを感じるだろう」と述べた。

(3)バイデンは今こそ新型コロナウイルスと共に生きる時だと宣言するか?(Does Biden declare it’s time to live with COVID-19?)

アメリカ疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention、CDC)は金曜日、全米の多くの地域でマスク着用に関する推奨事項を緩和する最新のガイダンスを発表した。

このマスク着用に関する緩やかな姿勢への転換は、バイデン政権が数週間にわたり、患者がオミクロン変異株の感染拡大の波のピークから大幅に減少したことから、感染拡大の状態に関するトーンの転換を示唆した後に出されたものである。

民主党所属の知事の中には、マスクの必要条件を解除し始めている人たちが出ている。共和党所属の知事たちの解除はもっと早かった。ホワイトハウスも火曜日から完全にワクチンを接種した従業員のマスクの必要条件を緩める予定だ。

バイデンは、火曜日の演説でほぼ間違いなく、ワクチン接種の成功と治療法の開発を強調し、アメリカ政府が新型コロナウイルスに対するアプローチする方法を変える時が来たと示唆する可能性がある。新型コロナウイルスの感染数の変化に伴い、議場では出席者にマスク着用は要求されない。

バイデンは「新型コロナウイルスによって亡くなる人が毎日出ている。新型コロナウイルスで毎日亡くなっている人たちがいますし、免疫不全の人たちもいる。しかし、私たちが目指しているのは、新型コロナウイルスが私たちの日常生活に支障をきたさないようにさせる期間だ」と発言している。

バイデンは、アメリカが夏の数カ月に移行するにつれて感染者が横ばいになり、特に経済が成長し、インフレーションが落ち着けば、国民からの支持を受けることができると見ているだろう。

バイデン政権への移行(transition)期間中にバイデンの政権移行ティームに助言した感染症専門学者のマイケル・オスターホルムは、オミクロン変異株のような亜種が将来出現する可能性はまだあると指摘している。彼は、バイデンは国民に対して、症例が減少していくことを確信できると伝える一方で、次に何が起こるかは分からないので、変化に備える必要性を強調すべきであると述べた。

オスターホルムは「今は誰もが不確実性を望んでいない。そのため、これはまさに大変な時期ということになる」と述べた。

(4)ビルド・バック・ベター法案についてのバイデンのメッセージはどのようなものになるか?(What is his message on Build Back Better?)

一般教書演説は、昨年末に頓挫したバイデンが重要政策と位置付けている法案について、議会との協議を復活させようとする機会となる。

バイデンは、医療衛生、幼児保育、エネルギー条項など ビルド・バック・ベター法案の要素について行動するよう議会に呼びかけると予想される。バイデンが実際に法案の名前を口にするかは不明である。ホワイトハウスの高官や関係者たちは、ここ数週間、この法案の名称を変更する可能性を示唆している。

ある政権高官は月曜日、記者団に対して、「法案の名前についてではない。一般教書演説で触れられるのはアイデアについてだ。家族のためのコストを下げることであり、大統領がそのようなアイデアについて話すのを期待できると思う」と述べた。

この政府高官は、バイデンが政府債務を減らす必要性についても話すと述べた。これは、2022年12月に連邦下院が可決した法案を、インフレーションへの懸念から支持できないとしたジョー・マンチン上院議員(ウエストヴァージニア州選出、民主党)を取り込むためのものだと思われる。

ケスラーは、気候変動とクリーンエネルギーの条項がビルド・バック・ベター法案の中心であるため、ウクライナ危機がバイデン大統領にとっての国内優先政策である気候変動とクリーンエネルギーの重要性を主張するきっかけになると指摘した。

ケスラーは「石油から電気そして原子力への移行は、長期的にはロシアの経済を破綻させることになる。それは3週間前にはなかった国家安全保障の意味合いを持つものだ」と述べた。

(5)経済に関する様々な懸念に彼はどのように発言するか?(How does he address economic concerns?)

複数の政権関係者によれば、バイデンは演説でインフレーションを正面から取り上げ、コスト上昇に更に対処しなければならないことを強調するということだ。

バイデンは、サプライチェインの強化や公正な競争の促進など、政権が現在注力しているコスト上昇への対応策を説明し、バイデンの国内経済政策を通過させるよう連邦議会に働きかけるだろうと見られている。

インフレーション率は昨年、40年ぶりの高水準に達し、世論調査では、景気回復のペースが速いにもかかわらず、アメリカ人の大多数が経済に不満を持っていることが明らかになっている。バイデンの世論調査の数字は、国民が新型コロナウイルス感染拡大とインフレーションの両方に疲弊し続ける中で、急落し続けている。

しかし、バイデンは、インフレーションによる痛みを認めつつ、昨年の驚異的な雇用の伸びを指摘しながら、前途を楽観的に見るということで、バランスを取ることになりそうだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 古村治彦です。
pewresearchcenterbidenapprovalratings202109003
 2021年9月に入り、ジョー・バイデン大統領の支持率が低下している。各種世論調査で支持率が5割を切り、第一期目の大統領としては低いレヴェルに入った。以下のグラフの通りだ。

pewresearchcenterbidenapprovalratings202109001
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 バイデン政権は新型コロナウイルス感染拡大対策を最優先テーマと掲げている。3月の段階では対策への支持も高かったが、バイデンが事業所などでのワクチン義務化を発表すると、支持は下がった。また、「アメリカを団結させる」というバイデンの公約についても、実現していないと考えている有権者が多いことも分かった。
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 ピュー・リサーチセンターの詳細な調査結果で興味深かったのは、バイデンに「精神的な元気(mentally sharp)」な様子がないと考えている人が6割近くいるということだ。バイデンは史上最高齢でアメリカ大統領に初当選した人物であり、日本で言えば後期高齢者である。自民党所属の麻生太郎副総理兼財務相、二階俊博幹事長と同じ世代であるが、背負っている責任や仕事はけた外れに多い。アメリカ大統領は激務であり、就任して1年もしない段階で既にへばっているということになるだろう。

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 そこで考えられるのは、バイデンが大統領職を一期だけで退くということだ。人気はまだ3年以上も残っているので、途中でギヴアップ(病気などで)ということも考えられる。来年の中間選挙の結果いかんではバイデンの二期目という話はなくなってしまうだろう。普通であれば、副大統領が後継として出てくることが考えられるが、カマラ・ハリスの人気も低い。元々支持率が5割を切っていて、現状はそのままなので、バイデンの支持率急落が目立つが、元々人気がないというところがカマラ・ハリスの根本的な問題だ。

 新型コロナウイルス感染対策とアフガニスタンからの撤退によって、バイデンの支持率は大幅に下がっている。共和党支持者からの支持はほとんどない状況であり、拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』で指摘したように、「アメリカ国内の分断」は深刻化する一方だ。

(貼り付けはじめ)

ピュー・リサーチセンターの最新の世論調査の結果では、バイデンの支持率は44%に下落(Biden approval sinks to 44 percent in new Pew poll)

モーガン・チャルファント筆

2021年9月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/573668-biden-approval-sinks-to-44-percent-in-new-pew-poll

ピュー・リサーチセンターが発表した最新の世論調査の結果によると、アメリカの成人の44%がバイデン大統領の大統領としての仕事ぶりを評価している一方で、53%は評価していないということが分かった。7月から支持率は急落している。

2カ月前のピュー・リサーチセンターの世論調査の結果は、バイデンの仕事ぶりを55%が評価し、43%が評価しないというものだった。バイデンの民主党員や民主党支持者の間での支持率は、7月の88%から75%となり、13ポイントも下落した。共和党員や共和党支持者の間での支持率は17%から9%に下落した。

まとめると、民主、共和両党の選挙で選ばれた政治家たちの支持率は下落している。今回のピュー・リサーチセンターの世論調査は9月13日から19日にかけて実施され、調査対象者は1万371名のアメリカの成人であった。

ピュー・リサーチセンターの調査では、今年4月以降、連邦議会共和党への支持率は5ポイント低下したが、連邦議会民主党への支持率は11ポイントも下落した。

バイデンは、新型コロナウイルスワクチン接種を受けていない何百万人ものアメリカ人の間でコロナウイルスが再流行していることや、アフガニスタンからのアフリカ軍撤退から混乱が起きていることから、大統領としての難しい局面を迎えています。

ホワイトハウスはまた、バイデン大統領の経済政策を議会で可決させるために、連邦議会民主党をまとめようとしているが、政策パッケージの内容や規模、時期をめぐって穏健派と進歩派が対立しているため、困難さが増しているのが現状だ。

今回の世論調査の結果には、バイデンにとって良いニュースもいくつか含まれている。彼の経済提案については多くの人々に支持されており、それは過去の世論調査の結果と変わらない。ピュー・リサーチセンターの今回の世論調査によると、連邦上院が可決した1兆2000億ドル(約132億円)規模の超党派のインフラ整備法案を51%が支持している。反対は20%だ。残りの29%は「分からない、知らない」と答えた。

一方、3兆5000億円(約385億円)規模の経済対策案には49%が賛成し、反対派25%、「分からない、知らない」と答えたのは25%だった。

共和党側はバイデンの税制提案について批判しているが、今回の世論調査では、66%が大企業への増税に賛成し、所得が40万ドル(約4400万円)以上の世帯への増税に61%が賛成している。

個別の問題では、バイデンの新型コロナウイルス対応への支持が3月の65%から最新の四調査では51%に下落している。それでもまだ過半数の支持を得てはいる。経済政策については48%が「ある程度」もしくは「強力に」支持していると答えている。51%が「全く」「それほど」支持していないと答えた。

外交政策については、45%が「ある程度」もしくは「強力に」支持すると答え、54%が支持しないと答えた。そして、バイデンがアメリカをより団結させるかという質問には、34%だけが「ある程度」もしくは「強力に」そう考えると答え、66%が躁は考えてないという結果となった。アメリカをより団結させるというのはバイデンの主要な選挙公約の一つだった。

ピュー・リサーチセンターの世論調査は、今週初めのギャロップ社の世論調査に続いて結果発表となった。ギャロップ社の調査でバイデンの支持率は43%となり、これは大統領一期目の支持率としては、同社の歴史で最も低い数字となった。

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ギャロップ社の世論調査で、バイデンの支持率が43%となり、記録的な低さとなった(Biden approval rating drops to record low 43 percent in Gallup polling)

セリーヌ・キャストロヌオヴォ筆

2021年9月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/573367-biden-approval-rating-drops-to-record-low-43-percent-in-gallup

水曜日に発表されたギャロップ社の世論調査の結果によると、大統領就任から8カ月経過してのバイデン大統領の支持率は43%に下落した。この数字はギャロップ社が調査を開始して以降、第一期目の大統領の数字としては最低レヴェルとなった。

ギャロップ社の調査は2021年9月1日から17日にかけて実施され、バイデンの大統領としての仕事ぶりに対して、初めて過半数が不支持という結果になった。アメリカの成人の53%が彼の大統領としての仕事ぶりにマイナスの評価をすると答えた。

バイデンの支持率は民主党支持者の間では、今月は90%とこれまで最低の数字となったが、それでも高いレヴェルを維持した。共和党支持者の間での支持率は、今月は6%にとどまった。それでもこれまで最も高い数字となった。

無党派の有権者の間では、バイデン政権発足以来最低の数字となる37%の支持率を記録した。就任して1カ月の数字である61%から大幅の下落を記録した。

最新のギャロップ社の世論調査は、アフガニスタンからのアメリカ軍の撤退の後に実施された。バイデンはアフガニスタンからのアメリカ軍の完全撤退を行おうとした。アフガニスタンはタリバンの急速な権力掌握の中にある。20年前、アメリカ軍はこの軍事力を持ったグループを追い落としたが、彼らは再び権力を掌握した。

バイデンは、アメリカ人とアフガニスタン国内で危険に晒される可能性の高いアフガニスタン人の退避で混乱を起こしたとして、民主、共和両党から批判を受けた。特に、イスラム国のアフガニスタン国内のグループがカブール空港で爆弾による自爆テロを実行し、13名のアメリカ軍将兵と少なくとも169名のアフガニスタンの一般市民が殺害された事件の発生後に批判の声が高まった。

バイデン大統領は8月31日までにアメリカ軍の完全撤退を完了するとした自身の決断は正しかったと擁護し続けている。アフガニスタン国内に残っているアメリカ人とアフガニスタン人の協力者たちの退避の努力は続けられており、外交的手段によってそれらの対比はより安全に実施されるだろうとバイデンは主張している。

ギャロップ社による調査が実施されている期間中、バイデンは複数のワクチンの義務化計画について発表し、いくつかの州の共和党所属の指導者たちによって批判された。100名以上が雇用されている事業所は労働者全員に新型コロナウイルスワクチン接種か毎週の検査を義務付けると発表したが、それに対して批判が起きた。

共和党の政治家たちや経済団体からは義務化は、政府による行き過ぎ(government overreach)だと非難した。また、先週、共和党に属する24州の州司法長官が、被雇用者に対するワクチン義務化を行うならば、バイデンに対して訴訟を提起すると反撃した。

ギャロップ社の世論調査の結果でバイデンへの支持率が低いことが分かったが、先週発表されたキュニピアック大学の世論調査の結果では支持率は42%だった。そして、50%が不支持だった。

加えて、月曜日に発表されたハーヴァード大学CAPS・ハリス社共同世論調査の結果では、アメリカの有権者の間でのバイデンとトランプ副大統領の好感度は同率となった。

水曜日に発表されたギャロップ社の調査は、無作為に抽出された1000名以上のアメリカの成人を対象に実施された。誤差は4ポイントだ。

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最新の世論調査の結果で、バイデンの支持率は42%に下落(Biden approval rating slips to 42 percent in new poll)

モニーク・ビールス筆

2021年9月14日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/572235-biden-approval-rating-slips-to-42-percent-in-new-poll

最新の世論調査の結果、アメリカの成人の半数がバイデンに対して不支持を表明している。バイデンが大統領に就任して以来、初めて、「マイナス領域」に入った。

本日、アメリカの成人を対象に実施した、キュニピアック大学の世論調査の結果が発表された。調査に参加した人の42%がバイデンの大統領としての仕事ぶりを評価し、50%が評価しなかった。

新型コロナウイルス対策については複雑な結果となった。バイデンは幅広いワクチン義務化を課そうとしている中で、対策への支持が48%、不支持が49%となった。

アフガニスタンからのアメリカ軍撤退を受けて、バイデンの外交政策についての支持率は大幅に下がった。

バイデンの外交政策への支持率は34%にとどまり、59%が不支持と答えた。8月の時点では、支持率と不支持率はそれぞれ44%だった。

今回の世論調査の結果によると、6割以上人たちが、アメリカ軍はアフガニスタンに戻らねばならないと答えた。しかし、7割の人たちがアフガニスタンからのアメリカ軍撤退は正しい決定だと考えている。

気候変動対応についてはバイデンの支持・不支持はだいたい半分となっている(支持率は42%、不支持率は44%)となっている。一方で、経済対応についてはマイナスの評価(支持率は42%、不支持率は52%)となっている。

キュニピアック大学は2021年9月10日から13日にかけてアメリカの成人1210名を対象に世論調査を実施した。誤差は2.8ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 明日、このブログでも詳しく紹介するが、ジョー・バイデン大統領の支持率は下落している。バイデン政権は新型コロナウイルス対策と経済対策という、国内問題への対応に重点を置いていた。更には、国内の分断にも対処するということも公約に掲げていた。支持率が下がっているというのはそれらにうまく対処していないということが原因であると考えられる。

 バイデン政権発足に向けて、バイデン政権が重点を置くであろう5つのポイントというのがあった。それらは、(1)新型コロナウイルス対策、(2)経済、(3)分断の解消、(4)議会との協力、(5)バイデン自身の大統領としてやりたいことの明確化であった。新型コロナウイルス対策はワクチンができてから順調に推移していたが、ワクチン接種義務化の話が出てきて、反対論も多くなっている。経済はコロナの状況に左右されている。分断の解消は進んでいないどころか、深刻化するばかりだ。議会との協力と言っても、民主党内のエスタブリッシュメント派対進歩主義派が影響してうまくいっていない。そして、こうしたこともあって、バイデンの姿には元気がない。

 こうして国内問題でうまくいかない場合の常とう手段、どこの国のどの政権でもやることだが、外国の敵を設定して、国内問題から目を背けさせる。バイデンにとっては中国とロシアがそれにあたる。日本も入らされているクアッド(Quad、アメリカ、日本、インド、オーストラリア)という枠組みとは別にAUKUS(アメリカ、イギリス、オーストラリア)という枠組みが発表された。これはユーラシアを包囲しているということであるが、逆の見方をすれば、イギリスとオーストラリアが境界のポイントとして、アメリカの影響圏がその範囲に限定されているという見方もできる。

 明日の記事とも合わせて今回の記事をお読みいただきたいと思う。

(貼り付けはじめ)

大統領選挙当選者バイデンが直面する5つの最大の挑戦(The five biggest challenges facing President-elect Biden)

ナイオール・スタンジ筆

2020年11月29日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/527663-the-five-biggest-challenges-facing-president-elect-biden

大統領選挙当選者ジョー・バイデンは2021年1月20日まで大統領に就任することはないが、彼が直面するであろう困難のほとんどは既に明確になっている。

トランプ大統領に代わって大統領になって取り組まねばならない5つの大きな問題についてこれから見ていく。

(1)新型コロナウイルス感染拡大との戦い(Fighting the pandemic)

2020年、新型コロナウイルス感染拡大によって、アメリカ人の生活は急速に変化させられてきた。アメリカ国内で現在までに26万人以上が死亡し、感染者数は1300万以上となっている。

感染者数は、夏の終わりから秋にかけて落ち着いた後、再び急速に増加している。11月末の感謝祭の直前には、全国の1日の死亡者数が2週間前に比べて約60%増加し、1日の新規感染者数も40%以上増加した。

バイデンの公約には、追跡調査の改善と各州知事へマスク着用義務を設定するように求めることが含まれていた。バイデンはまた、科学的な助言にきちんと耳を傾けることを強調した。これは明らかにトランプに対して放ったジャブとなった。トランプはアンソニー・ファウチや他の専門家たちを遠ざけ、効果が証明されていない治療法を色々と発表してきた。

3種類のワクチンの試験結果が良好であることから良いニュースがもたらされる可能性も高い。

しかしながら、国民に幅広くワクチン接種が実行されるには数カ月を要する。

新型コロナウイルスはアメリカにとっての最大の問題だ。この問題の対処を誤れば、バイデンには大きな損失となる。

(2)経済(The economy)

新型コロナウイルスは、アメリカ国民の肉体的健康と、経済にも莫大な負担をかけている。

2020年10月の時点でのアメリカ国内の失業率は6.9%だった。9月に比べて、1ポイント下がり、ピークだった2020年4月の失業率は14.7%だったがそれからだいぶ下がった。しかし、新型コロナウイルスが拡大する直前の2020年2月の時点の3.5%の約2倍となっている。

経済学者たちは景気後退の二番底の見通しを持ちそれを懸念している。ワクチンについて希望があっても経済は厳しいという見通しを持っている。

新型コロナウイルスの感染率が上昇すると、より厳しい規制が課されることになる。一部の都市や州では既に規制が強化されており、それが労働者や企業にさらなるダメージを与えることが懸念される。

消費者態度指数は最近になって下がっている。これはアメリカ人の消費意欲が下がっていることを示している。そのような動きでは経済に対する憂慮は深まるばかりだ。

連邦議会は感染拡大に関連しての新たな経済刺激策を可決することに失敗している。連邦下院議長ナンシー・ペロシ連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)と連邦上院少数党(民主党)院内総務チャールズ・シューマー連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)を含む民主党側の指導者たちは、連邦上院多数党(共和党)院内総務ミッチ・マコーネル連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)よりも支援策を望んでいるが、マコーネルは承認していない。

バイデン大統領には、賃借人と住宅ローン保有者たちへの保護を拡大するというようなことを、大統領令を通じて行うことが可能だ。

経済において1つの明るい点がある。それは、2月末から3月にかけての不振から抜けて、株式市場の状況が良くなっていることだ。

バイデンが経済を再び活性化できれば、政治的に大きな報酬を受け取ることになる。しかし、そのような結果が保証されているということではない。

(3)党派対立の激化(Polarization)

バイデンは選挙期間中に、「国家の魂」を回復するということを公約に掲げた。しかし、これは実行するよりも言いっぱなしにすることの方がはるかに容易だ。

アメリカはここ数十年、党派対立の激化が進んできた。それは政治家によってだけ進められたのではなく、ケーブルニュースやSNSといった文化的な力によっても進められた。

そして、トランプが登場した。彼は自分の支持基盤を喜ばせ、批判者たちを怒らせ、不和の火を消すのではなく、火に油を注ぐことに関心を持っているようだった

ここ数週間、トランプは、2020年の大統領選挙で不正が行われたということを示唆する共同謀議理論を主張し、この動きは効果的だった。『エコノミスト』誌・YouGov共同世論調査の最新の結果では、共和党支持者の80%と無党派の45%が、バイデンの勝利は正当性を持たないと確信していると答えた。

バイデンには、中道的なイメージや長年の実績など、国をまとめようとする上での強みがある。

しかし、国家を極端な方向に進める力は簡単には消え去らないだろう。

(4)議会との交渉(Dealing with Congress)

バイデンは来年1月の段階で、連邦下院は民主党が過半数を握っているので協力できるということが既に分かっているが、連邦上院に関してはジョージア州での2つの決選投票の結果次第ということになる。

民主党が両議席を獲得するというのが最高のシナリオであるが、それでも連邦上院の議席数は同数となる。連邦上院が同数になった場合の決定投票ができるのは副大統領なので、民主党は事実上、過半数を占めるということになる。しかし、議席数が同数の場合には、バイデン政権にとっては快適な状態とは言えない。

共和党はバイデンと進んで協力するだろうか?どんなに贔屓目で見ても、それは疑問だ。マコーネルはこれまで連邦上院において強硬路線を採用してきた。マコーネルは、オバマ元大統領の一期目の中盤に、「彼を一期だけの大統領にしてやる」と発言したのは良く知られている。オバマ大統領の任期が終わりに近づき、オバマは連邦最高裁判事の候補者にメリック・ガーランドを指名したが、マコーネルは公聴会の開催を阻止した。

バイデンは長年にわたり連邦上院議員を務めたが、これは彼にとって有利な点となる。副大統領として、オバマ大統領の議会への使者としての役割を果たした。彼は、党派を超えて連絡をして話ができることを誇りとしている。

左派に属するバイデンに対する批判者たちは、バイデンの考えは時代遅れで、彼が求めているような気さくな雰囲気は過去のものであると主張している。

バイデン政権の最初の1年間で、誰の主張が正しかったのかがはっきりわかることになるだろう。

(5)大統領としての意義を明確にする(Defining his presidency)

バイデンの選挙運動の基本的な主張は極めて明確だった。それは、彼はトランプをホワイトハウスから追い出すための原動力だ、というものだった。

この主張は100%うまく証明された。バイデンはトランプに全国規模で、4ポイント、600万票の差をつけて勝利した。

しかし、バイデン大統領、バイデン政権の具体的な姿を描くことは難しい。その姿は極めて不明瞭だ。ただ、アメリカ国内の士気を高めるという曖昧な希望があるだけだ。

感染対策や経済だけではなく、医療、環境、気候変動などバイデンが前進させることが可能な様々な政策分野が多く存在する。

しかし、バイデンはそれらの糸を織りあげて、大統領として、まとまった意味を持たせることができるだろうか?

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(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2021年5月29日に最新刊『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』が発売になりました。バイデン政権の詳細な分析を行いました。バイデン政権に興味がある方には有益な情報が多く入っています。是非お読みください。

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

 ジョー・バイデン大統領の最新の支持率の数字が出た。フォックスニュースの世論調査によれば、4月、5月に比べ微増(2%増)であったということだ。新型コロナウイルス感染拡大対応に対する支持率は高まっている。ワクチン接種が進み、アメリカ国内では経済活動の再開が進んでおり、それが好感されているようだ。しかし、その支持率には党派の違いが色濃く反映している。民主党支持者は9割が支持しているが、共和党支持者は4割の支持にとどまっている。党派による分断は根深い。

 また、新型コロナウイルスの発生について、中国の武漢にある研究所からの漏洩が原因だとする考えがアメリカ国民の過半数に持たれているということも明らかになった。自然発生だったと考える人たちの倍の60%がそのように考えているようだ。これが米中間の新たな火種となることが懸念される。

 アメリカ国民の間の分断については拙著『悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める』でも詳しく分析している。是非読んでいただきたい。

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フォックスニュースの世論調査でバイデン大統領の支持率は56%(Biden gets 56 percent approval rating in Fox News poll)

レクシー・ロナス筆

2021年6月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/559968-biden-gets-56-percent-approval-rating-in-fox-news-poll?rl=1

最新のフォックスニュースの世論調査の結果によると、バイデン大統領の支持率は56%であった。

4月と5月の時の数字54%に比べて微増となった。今回の世論調査では、バイデン大統領の仕事ぶりに対して43%は支持をしなかった。

バイデン大統領の新型コロナウイルス感染拡大対応については64%が支持をしている。共和党支持者の10名の内4名、民主党支持者の10名の内9名が支持している。一方で、支持しないと答えたのは34%だった。

バイデン大統領の新型コロナウイルス感染拡大対応に対する今回の世論調査の支持率はこれまでの世論調査の中で最高の数字である。

多くの州が経済活動を再開し、全米の数百万の国民が既にワクチン接種を完了したことで、新型コロナウイルス感染拡大対応に対する支持率が高くなっている。

新型コロナウイルス感染拡大の始まりについて、今回の世論調査の調査対象の60%が「ウイルスは中国の研究場から漏れ出したものだ」と考え、自然に発生したものだと考えているのは31%にとどまった。

研究所からの漏洩理論は陰謀論だと考えられてきたが、新しい証拠が出て来て、厚生関係の政府高官たちは見直しをすることになった。

バイデンは各情報諜報機関に対してコロナウイルスの源について再調査するように命じた。

今回の世論調査の調査対象者は1001名で6月19日から21日まで調査が実施された。誤差は3ポイントだった。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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アメリカ政治の秘密
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ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側
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