古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 日中関係は冷え込んでいるという表現が生温いほどに悪化している。2025年11月の高市早苗首相の不要な台湾に関する発言から、すでに半年ほどを経過し、改善の努力は続けられていると思うが、成果は見られない。これは、近衛文麿首相の「爾後国民政府を対手(あいて)とせず」並みの日中関係における重大なマイナス発言として、後世の歴史家たちから評価されるだろう。あの時に謝って撤回しておけばここまでのことにはならなかった。高市首相は国益を毀損した首相である。


 米中首脳会談(5月14~15日)、中露首脳会談(5月20日)が行われ、ここで、日本の「新型軍国主義(Neo-Militarism)」について、中国の習近平国家主席が警告を発したという報道がなされている。米中首脳会談では議題に出る予定ではなかったのに、習主席が激しい言葉遣いで日本の新型軍国主義を非難したことに、アメリカ側が驚いたということだ。トランプ大統領は北朝鮮の脅威があるので日本の防衛費は増加しているという趣旨の発言をしたということだが、そもそも、どうしてアメリカ大統領が日本の弁護をしなければならないのかと大いに不満を持ったと思う(実際にはアメリカが大幅増額を要求しているのであるが)。「アメリカが増額するように命令しているからですよ」とはいくらトランプ大統領でも言えなかったようだ。「日本はあなたのところの属国だ。しっかり管理をしてくれなければ困る」ということになったようだ。トランプ大統領は帰りの飛行機から高市首相に15分間電話をしたそうだが、その内容は伝わっていない。「まぁ何とかとりなしておいたから」と言ったと考えられるし、「少しはおとなしくしろ」と言った可能性もある。

 中露首脳会談後の共同声明では、日本の「新型軍国主義」への非難の言葉が記載されている。米中首脳会談での話はあくまでメディアによる取材で出てきた話であるが、中露首脳会談の共同声明はきちんとした証拠となる。中国とロシアが日本の「軍国主義」傾向に警戒感を持っているということを公に示した。国連常任理事国で、日本の隣国である中国とロシアがそのような態度となっている。この状況は非常にまずい。これで日本国内に核武装の機運が高まるということになれば、国連憲章第53条や第107条にある「敵国」認定される可能性もある。もちろん、アメリカが国連安全保障理事会で拒否権を発動してくれて、日本が攻撃されることはないだろうが、今の日本は非常に危うく外側からは見えている。

 中国側が使う「新型軍国主義(xin xing jung guo zhu yi)」という言葉は、新型コロナウイルスの中国語訳である「新型冠状病毒(xin xing guan zhuang bing du)」を連想させる。ある意味では、ここに救いがある。「日本は新型軍国主義ウイルスに感染している状態で病気なのだからその治療をすれば元に戻る」と中国側は見てくれていると考えることもできる。

 日本は少子高齢化が世界で最も進み、経済力は衰え、国力研究会に今更研究をしてもらわなくても国力は大きく衰退している。日本は21世紀の「東亜病夫(sick man of East AsiaDōngyà bìngfū)」である。この言葉は19世紀末に衰退していた清朝に対して使われた言葉である。病気から目を逸らすために、病気の痛みや苦しさから目を逸らすために、「排外主義」や「過激なナショナリズム」に走り、果てには核武装を言い出す人たちが出てくる。それを外側から煽り立てる勢力がいる。現在のような状況が続けば、日中間の不測の事態、思いがけない武力衝突の可能性が高まるばかりだ。日本が東アジアと世界の不安定要因にならないためにも現在のような極右的志向を改めることが重要だ。
 しかし、日本人は全体として新型軍国主義というウイルスを避けるための「免疫システム(immune system)」である「知性」や「思考力」が極端に低下している。このウイルスとの戦いに勝てるかどうかは甚だ悲観的にならざるを得ない。

(貼り付けはじめ)

中国の習近平国家主席はドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で日本の「再軍備」を激しく非難した(Xi Jinping railed against Japan’s ‘remilitarisation’ at Donald Trump summit

-習主席は、アメリカの同盟国である日本の防衛費増額を批判する際に、激しい口調で発言した。

デメトリ・セヴァストプロ(ワシントンDC)、ジョー・リーヒー(北京)、レオ・ルイス(東京)筆

2026年5月25日

『フィナンシャル・タイムズ』紙

https://www.ft.com/content/70e922b3-c423-40f2-9c9d-1c64a38e026b?syn-25a6b1a6=1

北京で行われたドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で、習近平中国国家主席は高市早苗首相に対し、日本の「再軍備(remilitarisation)」を激しく非難した。会談に詳しい7人の関係者が明らかにした。

習主席は日本について語る際、声を荒げ、感情的(vocal and agitated)になった。首脳会談前には中国側との協議で日本問題が取り上げられていなかったため、アメリカ政府当局者たちは驚いた。複数の関係者によると、習主席の激しい非難は、2日間にわたる首脳会談の中で最も白熱した場面(the most heated part)だったという。

習主席が高市首相と日本の防衛費増額を厳しく批判した後、トランプ大統領は、北朝鮮の脅威の高まりを理由に、日本はより積極的な安全保障姿勢を取る必要があると応じた。トランプ大統領が、日本の最大の安全保障上の懸念事項である中国について、同じ文脈で言及したかどうかは不明である。

元ホワイトハウス対日担当高官のクリストファー・ジョンストンは、習主席の日本に対する「辛辣なアプローチ(caustic approach)」と、トランプ大統領の米中関係安定への願望を利用しようとする試みは、安全保障における自立を目指す日本の姿勢を改めて裏付けるものだと述べた。

「習近平の自己認識の欠如は驚くべきものだ。彼自身の行動が、より強力な日本の台頭を加速させている」とジョンストンは述べた。

「中国の反日的なレトリックは、自国国境の外では支持を得ていない。・・・東京は、オーストラリア、フィリピン、そして韓国を含む地域全体のパートナー諸国との安全保障関係を強化している。これらの国々は皆、『再軍備(remilitarizing)』を進める日本よりも、攻撃的な中国をはるかに懸念している。」

日本は毎年発表する防衛白書において、北朝鮮よりも中国の脅威を優先的に挙げてきた。2023年以降、中国の軍事活動と対外姿勢を「最大の戦略的課題(greatest strategic challenge)」と位置づけている。2026年版防衛白書の草案では、中国による近年の軍事的強硬姿勢の高まりに焦点を当て、北京とモスクワの軍事協力の深化に「深刻な懸念(serious concern)」を表明している。

北京と東京の関係は、昨年11月、高市首相が台湾への中国の攻撃は日本にとって「存立の危機(existential threat)」となり、自衛隊の派遣を正当化する可能性があると発言したことに対し、中国が激しく反発して以来、急激に悪化している。高市首相の発言は政策変更を意味するものではないものの、中国からの非難を招いた。

中国はその後も日本に対する攻撃を繰り返し、レアアースの軍民両用輸出制限といった具体的な措置と、言葉による攻撃を織り交ぜながら攻撃を続けている。中国外務省は金曜日、日本が2025年までに防衛費を9.7%増額したと発表した。

中国外務省は続けて、「日本の防衛予算は14年連続で増加しているにもかかわらず、日本の右派勢力は依然として防衛費増額を声高に要求している。これは、日本の『平和国家(country for peace)』という仮面が剥がれ落ち、新軍国主義(neo-militarism)へと傾きつつあることを改めて示している」と述べた。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、世界第2位の軍事費支出国である中国は、昨年、防衛費を7.4%増の3360億ドルに引き上げた。これは31年連続の増額となる。一方、日本の防衛費は620億ドルだった。

高市首相は台湾に関する発言後、トランプ大統領やアメリカ政府高官からほとんど支持を得られなかった。この状況は、米中首脳サミットを前に、トランプ大統領が日本についてどのような発言をするのかという不安を東京にもたらした。

トランプ大統領はワシントンへの帰路、エアフォースワン機内から高市首相に電話をかけた。しかし、ホワイトハウスと日本政府は、大統領が高市首相に何を話したかについて詳細を明らかにしていない。

習近平国家主席との首脳会談について、あるアメリカ政府高官は、トランプ大統領が「日本国民への深い敬意と高市首相との親密な個人的関係を強調した(emphasised his deep respect for the Japanese people and his close personal relationship with Prime Minister Takaichi)」と述べた。

この高官はさらに、「アメリカ代表団は、在日アメリカ軍の大規模な駐留について中国側に改めて注意を促した(The US delegation reminded Chinese counterparts about the large US military presence in Japan)」と付け加えた。

日本政府は、トランプ大統領による同盟諸国への関税賦課から、イラン核戦争によって対中米軍事抑止力が弱体化しているとの懸念まで、日米同盟の現状について不安を抱いている。

『フィナンシャル・タイムズ』紙は土曜日、アメリカが今月、日本に対し、中国への「反撃(counterstrike)」力として日本が2024年に発注したトマホークミサイル400発の納入が大幅に遅れる可能性があると伝えたと報じた。

トランプ大統領が北京で、台湾への140億ドル規模の過去最高額の武器売却案は中国との交渉において有効な「交渉材料(negotiating chip)」になると述べたことを受け、同盟国やパートナー国はワシントンの台湾への関与について懸念を表明している。

『フィナンシャル・タイムズ』紙は金曜日、中国が、アメリカが台湾への武器売却案を承認するかどうかを明確にするまで、国防総省の政策担当高官(国防次官)であるエルブリッジ・コルビーの北京訪問を保留していると報じた。

在米中国大使館は習近平国家主席の発言についてコメントしなかったものの、日本の「右派勢力(right-wing forces)」が「地域平和の基盤を・・・揺るがそうとしている()shake the...foundation of regional peace」と非難した。

駐米中国大使館はさらに、「日本はまず何よりも、台湾に関する誤った言動を改め、無謀な再軍備の動き(reckless remilitarisation drive)を止め、良き友好関係(good neighbourliness)と友情(friendship)平和的発展(peaceful development)という正しい軌道に戻り、具体的な行動によってアジア諸国や世界の信頼を得るべきだ」と付け加えた。

日本の首相官邸はコメントを拒絶した。

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習近平氏、高市首相に言及し激高…中国外務省は否定

5/25() 18:15配信 読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/6b59e21248db3cac7208c4a5c9920c91eaec724f

 【ワシントン=栗山紘尚】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は24日、北京で14~15日に行われた米中首脳会談で、中国の習近平(シージンピン)国家主席が、高市首相が「再軍備」を進めているとして声を荒らげて激高したと報じた。複数の関係者からの情報として伝えた。

 報道によると、習氏は会談で日本の防衛費増額の取り組みが話題になった際、口調を強めた。トランプ米大統領は日本の防衛強化策について、北朝鮮の脅威を引き合いに出し、「日本は積極的に防衛力強化を進めざるを得ない」と擁護したという。2日間の会談で、「最も緊迫した場面」だったと伝えている。

 報道について、中国外務省の毛寧(マオニン)報道局長は25日の記者会見で「中米首脳会談については、既に発表している。報道は中国が把握している内容とは異なる」と否定した。

 トランプ氏は3月に高市首相と会談した際、「習氏との会談では、日本を称賛するつもりだ」と話していた。習氏は今月20日、ロシアのプーチン大統領との首脳会談後の共同記者発表でも「軍国主義を復活させる挑発行為に反対する」と日本を批判した。

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中露が共同声明で「再軍備加速」と日本を名指し批判 プーチン氏、2日間の訪中終え帰国

5/21() 11:34配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/69fe43d836f28814268b07ea0cbe4dcf09759a7b

【北京=三塚聖平】中国国営新華社通信は20日夜、習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が同日の会談後に署名した「全面的戦略協力のさらなる強化と善隣友好協力の深化」に関する共同声明の内容を伝えた。共同声明は「日本で加速する『再軍備』が、地域の平和と安定を深刻に脅かしている」と主張し、日本を名指しして批判した。

中国は、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を機に対日姿勢を硬化させており、ロシアと対日圧力でも連携を強化する可能性がある。

共同声明は、中国が主張する「新型軍国主義」という言葉も使い、日本側に「残酷非道な侵略の歴史に基づき、第二次大戦の全ての結果を認める」ことを求めた。日本で非核三原則の見直しを求める意見が出ていることに触れ、「日本の右翼勢力の容認できない野心と極端な挑発行為」への「警戒」を表明した。

米国とイスラエルによるイランへの攻撃に関しては、「国際法などに違反し、中東情勢の安定を甚だしく損なう」との認識で一致した。名指しを避けつつも米国を念頭に「一部の国が覇権主義を追い求め、新植民地主義の思考に固執している」と批判した。

ロシアが侵略したウクライナに関する問題については、「対話と交渉を通じた解決策の追求を継続することを支持する」と表明した。

新華社は、「世界の多極化と新型国際関係」に関する共同声明の内容も伝えた。中露両国で「多極世界と、より公正な新型国際関係の形成に向けた共通ビジョンの構築を継続する」としている。

プーチン氏は20日夜、2日間の中国訪問日程を終えて帰国の途に就いた。同日夜には習氏とプーチン氏が北京の人民大会堂でお茶を飲みながら会談した。中国外務省によると、習氏は、中露関係について「高い質の発展を続け、さらなる高みへ至ると信じている」と強調した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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