古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:日本

 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 来年2025年に、名目GDPでインドが日本を抜いて世界第4位になるという予測が日本でも報道された。日本は世界第5位に下がる。日本の衰退が印象付けられるものだが、インドの躍進スピードが大きい。現在第3位のドイツと日本の差は小さいことから、インドがドイツを抜いて世界第3位になるのも近いということになる。インドは、「西側以外の国々(ザ・レスト、the Rest)」の中で、存在感を増している。

 インドは中国を抜いて、世界最大の人口を抱えている。14億1700万人を誇る。名目GDPは世界第4位であるが、一人当たりのGDPにすればまだ3000ドル程度だ(中国は約1万ドル、韓国は約3万ドル)。まだまだ貧しいのであるが、これから伸びしろが大きいということになる。人口ボーナス(15歳から64歳までの人口が、それ以外の人口の2倍いる状態)もあり、これから国内需要が増大し、国内市場が巨大になっていく。外国企業にとっても魅力的な市場である。
 2014年に就任したナレンドラ・モディ首相のインフラ整備と「メイク・イン・インディア」政策という製造業育成政策で、自動車生産が伸びている。もちろん、IT関係のサーヴィス業もお家芸であり、経済成長をけん引している。ヒンドゥー・ナショナリズムを経済ナショナリズムに転化させて、国内産業を育成し、雇用を確保し、国民生活を改善していくという流れになっている。それでは、インドは、中国のように世界覇権を握るほどの大国になるかどうかであるが、世界第一の経済大国にまでなれるかどうか、については疑問が残る。しかし、これからインドは注目に値する国である。

(貼り付けはじめ)

インド経済の躍進:世界をリードする成長とチャンスの地

NEW 2024/5/23

Global X Japan

https://media.rakuten-sec.net/articles/-/45248

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●歴史的な高成長が続くインド経済

●モディ政権による経済政策、外国資本が参入しやすいビジネス環境

●インドの経済成長をまるっと捉える

■歴史的な高成長が続くインド経済

 インドの直近3年間の実質GDP(国内総生産)成長率は9.69%(2021年)、6.99%(2022年)、7.83%(2023年)と高水準です。2024年は6.81%と予測*されており、世界経済の成長率がおおむね3%で推移していることを踏まえるとインド経済の力強さが際立ちます。

 また、2023年の名目GDPは日本に次ぐ5位となり、2027年には日本とドイツを抜いて世界3位の経済大国になるとみられています*

*IMF(国際通貨基金)による予測

 力強い経済成長を支えるのは世界一の人口、特に生産年齢人口が多いことです。国連の推計では、インドの人口は2023年に中国を抜き世界一となりました。さらに人口ボーナス期(1564歳の生産年齢人口がそれ以外の人口の2倍以上に達する状態)が2050年ごろまで続く見通しであり、今後も巨大な人口に支えられた経済成長が持続すると考えられます。

 一方で、1人当たりの名目GDP(約2,410ドル、2022年)は1970年代の日本と同水準と低く、伸びしろが十二分にあります。2010年当時の中国でも同様に言われていたことですが、国民一人一人の所得水準が増加することで、その後中国経済は急速に拡大、今や米国を脅かす超巨大経済大国となりました。

 なお、一般的に1人当たりの名目GDP3,000ドルを超えると家電製品や家具などの耐久消費財の売れ行きが加速し、7,0001万ドルに達すると自動車や高級家電の普及に拍車がかかります。

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(出所)世界銀行よりGlobal X Japan作成

■モディ政権による経済政策、外国資本が参入しやすいビジネス環境

 インドのナレンドラ・モディ首相は現在2期目です。1期目(2014年~)ではインフラ整備や法税制改革を推進し、2期目(2019年~)では法人税引き下げや補助金制度の導入で製造業振興策に取り組みました。3期目については現在行われている総選挙の結果次第ですが、選挙公約として高速鉄道網の拡張などさらに積極的なインフラ政策を盛り込んでいます。

 また、インドは外国資本が参入しやすいビジネス環境となっています。英語が第二公用語であることや、初等教育の段階からプログラミングの授業が行われているためIT人材が豊富なことが主な背景です。

 そのため、先進国企業の業務のアウトソースを受託できる素地があります。IT分野はカースト制度の概念にない新しい職種であり、それ故、低カースト出身者が経済的に成功するための機会にもなっています。

 歴史的には中国、パキスタンなどともめる場面もありましたが、近年は経済優先の全方位外交を行っており、G7を中心とする民主主義的な国だけでなく、ロシアや中国などの権威主義的な国々とも中立的な立場で貿易を行うなど、結果として外国資本をうまく誘致できています。

 今後も外国資本により新たな雇用が生まれ、その結果として中間層を中心に所得水準が上がり、消費が拡大するという内需主導型の成長が続くと期待されます。

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(出所)世界銀行よりGlobal X Japan作成

■インドの経済成長をまるっと捉える

 上記のような背景からインドの株式市場には海外投資家から資金が流入しており、インドにおける個人の資産運用への関心の高まりも相まって、主要株価指数は最高値を更新しています。

 しかし、バリュエーションの面では高い利益成長からPER(株価収益率)は横ばいで推移しており、相場に過熱感はみられません。今後も良好なファンダメンタルズを支えに中長期的な株価上昇が期待されます。

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(注)株価指数はNifty50を使用。期間は201812月末から20244月末、株価は起点を100として指数化(月次、インドルピー建て)(出所)BloombergよりGlobal X Japan作成

 523日に、インド全体の経済成長を取りにいくETF(上場投資信託)が東証に上場しました。【188A】グローバルX インド・トップ10+ ETFは、インドが強みを持つ情報技術やコミュニケーション・サービスを含む9つのセクターを投資対象とし、各セクターを代表する大型の15銘柄を厳選します。ウエートは特定のセクターに偏らないようにするため均等にします。

 一般的なインドの株価指数(Nifty50SENSEXなど)は時価総額加重平均のため、時価総額の大きい金融が3040%と大きくなる傾向があります。過去のインドのGDPのセクター別の内訳をみると農業、工業、サービスの3大項目が大きく、比率を変えることなく推移しています。

 インド経済は特定のセクター、分野に偏った成長ではなく、ある程度均等に成長していることから、セクターを分散している当ETFに投資することでインド経済全体の成長を享受できます。

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※四捨五入の関係で必ずしも100にならないことがあります。(注)2024430日時点(出所)BloombergよりGlobal X Japan作成

 このようにセクターを分散・銘柄を厳選することで、当ETFの対象株価指数(Mirae Asset India Select Top 10+ Index)は他のインド株価指数を上回っており、今後も相対的に高いパフォーマンスが期待されます。なお、当ETFNISA(ニーサ:少額投資非課税制度)の成長投資枠の対象銘柄です。

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(注)Mirae Asset India Select Top 10+ Indexの算出開始日は202445日。算出開始日以前の指数に関する情報は全て指数算出会社がバックテストしたデータ。期間は2008620日から2024430日。起点を100として指数化(インドルピー建て、配当込み、日次)(出所)BloombergよりGlobal X Japan作成

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インドは本当に次の中国なのか?(Is India Really the Next China?

-インド経済上昇の可能性は高いが、政府の政策が妨げになっている。

ジョシュ・フェルマン、アルビンド・スブラマニアン筆

2024年4月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/04/08/is-india-really-the-next-china/

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インドは中国になるだろうか? 中国経済が下降線をたどり、インドの成長に対する楽観論が世界中に広がる中で、この疑問はもはやナショナリストの熱狂的な妄想として片付けることはできない。なぜなら、少なくとも、世界は既にインドを大国のように取り扱っているからだ。

次のことについて考えてみて欲しい。2023年、カナダ国内で起きたカナダ人殺害事件と、アメリカ国内で起きたアメリカ人殺害計画にインド政府が関係しているという疑惑が持ち上がった。しかし、疑惑以上に注目すべきはその反応である。アメリカ政府は、煽動的になりかねない事態を鎮火させるために、ほとんど何も語らず、ただ裁判を無事に終わらせることを選択した。つまり、インドの傲慢さは非難されることなく容認された。これは、インドの政治的地位が新たに確立されたことを示す証拠である。

経済面に関して言えば、過去40年間の中国の経験が非常に特殊なタイプの奇跡であり、再現できる可能性が低いことは事実である。しかしながら、そうではありながらも、インドはもはやかつてのような経済的に制約された大国ではないため、中国のようになる可能性は存在する。

過去四半世紀にわたり、インドの発展はインフラによって妨げられ、インド自身の製造ニーズを満たすには、インフラの納涼区が不十分であり、インドを輸出基地として検討する外国企業にとってもまた明らかに不十分だった。しかし、過去10年間で、インドのインフラは大きく変化した。ナレンドラ・モディ首相の政府は、道路、港湾、空港、鉄道、電力、電気通信を大量に建設し、以前のインドの姿が認識できないほどになった。ほんの一例を挙げると、2014年にモディ政権が発足して以来、約3万4000マイルの国道が建設された。

インドのデジタルインフラも大きく姿を変えた。かつてはギシギシと音を立て、技術的にも後進的だったデジタルインフラは、今や最先端を行くようになり、一般的なインド人は、ごく日常的な買い物でさえスマートフォンで決済するようになった。より重要なのは、デジタル・ネットワークが全てのインド国民をカバーするようになったことで、政府は困っている人に現金を直接給付するなどのプログラムを導入できるようになり、民間企業は起業や技術革新のプラットフォームとして活用している。

同時に、モディ政権の「新福祉主義(New Welfarism)」はインド国民の生活の質を向上させた。この特徴的なアプローチは、基本的に私的な財やサーヴィスを公的に提供することを優先し、有権者にクリーンな燃料、衛生設備、電力、住宅、水、銀行口座を提供する一方で、恩恵を受けるのはモディ首相であることを明確にしている。こうしたプログラムの結果、新型コロナウイルス感染拡大のような苦難の時期にも、国家は雇用や無料の食料で弱者を救済できるようになった。インドが国家として、より良いものを構築し、提供する能力には目を見張るものがある。

これらは主要な政策成果であり、累積的な国家的努力の成果だ。これらの取り組みの多くは、実際には、モディ政権前の中央政府および州政府によって開始されたものだが、その進歩を加速させている点でモディ政権は重要な称賛に値する。そして、その成果が出ている兆しも見えている。

第一に、インドは、技能ベースのサーヴィス輸出に新たな大きな弾みをつけている。インドのサーヴィス産業は2000年代初頭にブームになったが、2008年から2009年にかけての世界金融危機の後に停滞した。そして今、再生が見られる。2022年、インドの世界市場シェアは1.1%ポイント(約400億ドル)増加し、これはスキルの重要なジャンプアップを反映している。(2023年、インドは更に世界市場シェアを拡大する可能性が高いが、そのペースはそれほど速くない)。

以前は安価なコードを書いたり、コールセンターで働いたりしていたインド人が、今では世界規模の能力センターを運営し、高いスキルを持った人材が世界のトップ企業で分析業務を行っている。JPモルガン・チェースだけでも、インドに5万人以上の従業員がおり、ゴールドマン・サックスのニューヨーク以外で最大のオフィスはベンガルールにある。アクセンチュアやアマゾンなども大規模な拠点を構えている。このブームが高層マンションの建設に火をつけ、アーメダバード、ベンガルール、ハイデラバード、ムンバイ、プネーといったハイテク都市のスカイラインに点在するようになった。建設業も大いに発展している。SUVの販売台数は急増し、高級ショッピングモールや高級レストランが誕生している。

第二に、インドで最も人口が多く、最も開発が遅れているウッタル・プラデシュ州が復活の兆しを見せている。ウッタル・プラデシュ州は、老朽化したインフラ(多くの寺院は言うまでもない)を改修し、財政を管理下に置き、自警団のヒンドゥー教の僧侶から政治家に転身したカリスマ的な宗派指導者の下、汚職や暴力を激減させている。ウッタル・プラデシュ州が最終的に魅力的な投資先になることができれば、その人口的な重さによって国全体の軌道を変える可能性がある。その変革は、インドのヒンディー語中心地域(最近までバイマル(bimaru、病んだ地域[diseased region])と蔑称されていた)が永久に低開発(underdevelopment)を強いられる訳ではないというシグナルを送ることになるだろう。

最後に、習近平国家主席の下で中国経済の下降スパイラルが加速している。その結果、資本は驚くべきペースで中国から流出し、公式の数字によれば、2023年には企業や家計の資金が正味690億ドルも流出したという結果になっている。

こうした資本のうち、わずかではあるが、インドに流れ込んでいるものがある。最も顕著なのは、アップルがインドの多くの州に工場を設立したことで、インド国内市場への供給が容易になり、特に米中間の経済的緊張が高まっている現在、輸出基盤が多様化している。その結果、国内の電子機器供給のためのチェーンが構築され、特にインド南部では2万人以上の労働者を雇用する大規模な工場の設立を計画しているところもある。これは、常に小規模で非効率な製造業を特徴としてきたインドにおいて、驚くべき現象である。

このような大規模工場が実現可能であることが証明されれば、商品輸出の急増に火をつけることになる。それは、長年苦境に立たされてきたインドの製造業だけでなく、高スキルの輸出サーヴィス・ブームを享受できなかった、低スキル労働者にとっても、展望を大きく変えることになるだろう。この計算は考慮に値する。インドの低スキル輸出は、40%を超える世界市場シェアに反映される中国の競争力レヴェルには決して到達しない。それは、先進諸国が産業基盤の多くを、1国(中国)だけにシフトすることを促した政治的・経済的な特殊事情が、もはや存在しないからだ。しかし、今後10年間で、インドが現在の3%程度のシェアを5~10ポイント高めることは十分に可能であり、これは数千億ドルの追加輸出に相当する。

良好な前兆にもかかわらず、インドが中国を追い越すという宣言は時期尚早である。それは、明るい兆しはまだ経済データには説得力を持って反映されておらず、政府の政策も新たなチャンスを実現するには不十分なままだからだ。

経済データについて考えてみよう。私たちはしばらくの間、インドが2010年代の失われた10年間を本当に脱却することができたという主張に懐疑的であった。この時代は、緩やかな成長、ほとんど構造的変化が見られず、雇用創出も弱かった。確かに、新型コロナウイルス感染拡大後に経済は回復したが、その方法は不平等であり、労働力よりも資本が、中小企業よりも大企業が、そして非公式経済で雇用されている数百万の人々よりも給与をもらっている中産階級や富裕層が優遇されている。

問題の一部は、インドがこれまで、中国の相対的な経済衰退によって生まれた新たな機会のごく一部しか活用できていないことだ。政府が「メイク・イン・インディア(インドで製品を作ろう、Make in India)」というキャンペーンを決然と展開しているにもかかわらず、多くの企業にインドでの事業拡大を納得させるまでには至っていない。実際、外国直接投資(foreign direct investmentFDI)の流入は減少している。また、中国を除く新興市場への外国直接投資の流入に占めるインドの割合も小さくなっている。

これは慎重な外国人だけの話ではない。政府が整備したインフラ整備や補助金、そして場合によっては製造業に対しての惜しみない保護主義(protectionism)にも関わらず、国内企業でさえ投資に消極的だ。プラントや機械への民間投資は、過去10年間の低迷した水準から依然として回復していない。そして、この状況が好転していることを示す説得力のある兆候はない。実際、2023年の新規プロジェクトの発表は、前年のレヴェルと比較して名目上において、減少した。

その結果、膨大な非熟練労働力の雇用創出の源泉であるインドの製造業輸出は低迷を続けている。実際、世界金融危機以降、アパレルなどの主要分野におけるインドの世界市場シェアは低下している。このような事態はモディ政権やインド中央銀行にとっても大きな懸念材料であり、中央銀行は最近、民間セクターが「行動を共にし(get its act together)」、政府の投資負担を軽減するよう促す報告書を発表した。

なぜ企業は、目の前にあるチャンスをつかむことに消極的なのだろうか? 基本的には、インドで事業を拡大することのリスクが高すぎると認識しているからである。

企業の懸念は主に3つの分野にある。第一に、彼らは政策決定の「ソフトウェア(software)」が依然として脆弱であることを懸念している。少数の国内複合巨大企業と一部の大手外資企業が有利な企業と見なされており、競争の場は平等ではなく、広範な投資環境に悪影響を及ぼしている。結局のところ、リスクが低減されたという理由で投資を引き受けるあらゆる好意的な企業に対し、リスクが増大したために投資を削減した競合他社も数多く存在する。彼らにとって、国家の恣意的な行動の犠牲者となるリスクは依然として大きい。

第二に、インド政府は輸出を促進する必要性を認識しながらも、内向き志向(inwardness)、つまり、輸入障壁には依然として強い執着を持っている。この保護主義には新たな魅力がある。それは、インドの国内市場は今や非常に大きく、国内企業は非常に発展しているため、政府の後押しを受けさえすれば、外国企業に取って代わることは容易だと多くの人が考えているからだ。当然のことながら、経済的ナショナリズム(economic nationalism)は必然的に政治的ナショナリズム(political nationalism)を伴う。

しかし、インドの国内市場は、少なくともグローバル企業が売ろうとしている、中産階級向けの商品については、特別に大きくはないというのが現実だ。また、保護主義的な措置が頻繁に発表されると、企業は遅かれ早かれ重要な海外からの供給を断たれるかもしれないとリスクを回避するようになり、実際に国内投資が減退する。例えば、昨年(2023年)8月に発表されたノートパソコンの輸入規制は、重要なIT部門の企業にパニックを引き起こした。結局、規制は緩和されたが、他のセクターでも同様の措置が実施されたため、その懸念はいまだに残っている。

結局のところ、政治と経済の間に、くさびのようにして、はまり込んでいる問題が立ちはだかっている。政治体制が安定している限り、制度の崩壊に直面しても、投資と成長は生き残り、さらには繁栄することができる。そして、モディ首相の人気は安定を予感させている。しかし、インド北部の少数民族コミュニティ、南部諸州、反政府派、農民の間で不満と反抗心が高まり、突発的な事件発生の可能性が高まっている。経済学者のジョン・メイナード・ケインズが述べた有名な言葉にあるように、「避けられないことは決して起こらない。それはいつも予想外のことだ(The inevitable never happens. It is the unexpected, always.)」。

※ジョシュ・フェルマン:JHコンサルティング社代表。国際通貨基金(IMF)インド事務所長を務めた。

※アルビンド・スブラマニアン:ピーターソン国際経済研究所上級研究員。モディ政権の首席経済補佐官を務めた。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生の書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカ経済は堅調で、日米の金利差も大きいままで、ドル高円安(ドルを買って円を売る)状態が続いている。強いドル(購買力の高いドル)は、輸入製品が安くなり、アメリカ国民の生活のためには良いが、輸出は弱くなる。円安はその逆ということになる。アメリカは物価上昇が続いており、インフレ状態にあるが、実質賃金も上昇している。日本の物価がインフレなのかどうかは議論が分かれているところだが、実質賃金は低下しており、家計に影響を与えている。

 アメリカはインフレ状態であるので、利上げの判断がどうなるかであるが、景気減速も怖いとなると、なかなか踏み出せない状態にある。インフレ状態が続き、強いドルを背景にして、海外からの輸入が増えていくと、ドルの海外への流出は増えていく。ここで怖いのは、アメリカの景気減速であるが、それよりももっと怖いのは、アメリカ国債の崩れやドルの信用不安だ。アメリカ国内では経済が堅調と言われながら、下記の記事のように、厳しい状態にある人々の数は増えている。財産もなく、生活するのがやっとの賃金しか得られないが、公的な補助を受ける基準よりは上という数が、景気が好調ということもあって増えている。

しかし、それは逆に、賃金は上がっても生活は厳しいまま、公的補助がない分、厳しいということになる。住む場所を失い、自動車の中で生活をしているほぼホームレス状態であるが、仕事があるというようなことが起きている。都市部の固定資産税と家賃の高騰で、生活が破綻する人々は増えている。以前であれば、アメリカでは、高校を卒業すれば、親元を離れて自立して生活する、進学したり、就職したりということが当たり前だった。大学進学も奨学金を受けたり、学生ローンを組んだりして、自分で何とかするということが自然だった。今では、若い人たちは大学を卒業して、親元、実家に戻り、そこで生活するようになった。一人暮らしの家賃を払うことや、学生ローンの返済は自力ではとてもできない状況になっている。

 経済格差が進み、勝者はより富裕となり、敗者はより貧しくなり、それが固定化、階級化されて再生産されるようになる。人間社会は階級社会であったので、昔に戻ったということになる。しかし、それでは現代社会は不安定になるばかりだ。現在の社会は階級社会ではないということで設計されているが、それが実際と合わないということになれば、人々の不安と不満は高まるばかりだ。それが政治の世界でのポピュリズムとなり、ドナルド・トランプ大統領の誕生と、民主党進歩主義派の登場につながった。

これまでアメリカのことを書いてきたが、より深刻なのは日本である。以下の記事にあるように、経済格差はアメリカやイギリスよりも大きいということだ。戦後、「一億総中流社会」と呼ばれた日本であるが(これは過大評価ではあるが)、21世紀に入って、小泉政権以降の自民党政権、自公政権の政策の誤りによって、格差が拡大し、少子化が進行し、経済も衰退していった。「経済のことは自民党とその裏にいる財務省に任せておけば安心だ」と無定見、無思想に自民党に投票し続けた、日本国民自身が招いた大惨事である。日本の亡国化の進行を止める、もしくはそのスピードを緩める第一歩は自民党と財務相に責任を取らせることである。

(貼り付けはじめ)

●「アメリカでは「ALICE」が増えている職に就いているが資産がなく、生活費の支払いに苦労している人々」

Noah Sheidlower,Juliana Kaplan [原文] (翻訳:大場真由子、編集:井上俊彦)

May. 02, 2024, 10:30 AM  国際23,099

BUSINESS INSIDER

https://www.businessinsider.jp/post-285805

ALICEとは「資産に限りがあり、収入に制約がある雇用者」を指す。

・ほとんどのALICEは、政府の援助を受けるには収入がやや多いが、その収入はアメリカで日常生活を送るためには決して十分なものではない。

・彼らの存在は、アメリカが経済的に苦境にある人々を評価する方法にギャップがあることを示している。

フードスタンプ(食料品の配給システム)や障害者手当を受ける資格はない収入を得ていながらも、その収入が家賃や医療費が支払うには十分ではない場合、あなたは「ALICE」だということになる。

ALICEとは、非営利団体ユナイテッド・ウェイ(United Way)のプログラム「ユナイテッドフォーALICEUnited For ALICE)」が生み出した造語で、アメリカ人のうちで「資産が限られ(Asset Limited)、収入に制約がある(Income Constrained)被雇用者(Employed)」を表す言葉だ。4人世帯で31200ドル(約483万円)、個人で15060ドル(約233万円)という連邦貧困レベル(Federal Poverty Level)をわずかに上回る収入を得ながらも、基本的な生活の支払いに苦労しているアメリカ人を指す。

ALICEの多くは一般的に、得ている賃金が生活費をまかなうのに十分ではない労働者だ。つまり、彼らは給料ギリギリの生活をしている。中には、医療機関にかかるために、食費や保育料の支払いを犠牲にせざるを得ない人もいる。

ユナイテッドフォーALICEが、アメリカ国勢調査局(USCB)の全米地域調査(American Community Survey)のデータとユナイテッド・ウェイの推計によると、アメリカの世帯の約29%がALICEであり、13%が連邦貧困レベル以下にあるという。

政府の多くの取り組みは、人々が貧困から抜け出すことを支援しようとしてきた。だが、ユナイテッドフォーALICEでナショナルディレクターを務めるステファニー・フープス (Stephanie Hoopes)がBusiness Insiderに語ったように、連邦貧困レベルは多くの点で時代遅れであり、地域差や、人々の家計に占める食費の割合の変化を考慮していない。またフープスは、経済的には恵まれているが、将来のために投資することができない人々を支援することにあまり注意が払われていないとも話している。

アメリカ全体の貧困率はおおむね低下しており、これは一見、アメリカの労働者にとっては朗報のように思える。政府の支援は最も経済的に困窮するアメリカ人たちに届くかもしれないが、依然経済的に不安定なALICEへの給付金の打ち切りは、彼らを取り残してしまうことになるだろう。

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2010年から2021年の貧困率の変化

ALICEの割合はこの10年の間にアメリカ全土で増加しており、モンタナ州やアイダホ州などのパンデミックに起因したブームが起こった州ではその割合が大きく跳ね上がっている。これは、多くのアメリカ人の収入が増加したものの、インフレや住宅価格の高騰に追いついていない可能性があるからだ。

ALICEの広がりは、一見堅調に見える労働市場の根底にある経済的な問題を示しているのかもしれない。豊かさと支援の狭間に立たされるアメリカ人はますます増えており、国の政策はそのような人たちに応えるものにはなっていない。これは、さまざまな援助に対し受給資格を撤廃し、直接的な刺激策を提供していたパンデミック時の景気刺激策とは対照的だ。

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2010年から2021年のALICEの増減

「フラストレーションやストレス、難しい選択をしなければならない状況が毎日毎日続く中に身を置くことは本当につらいことだ」とフープスは言う。

「子どものために薬を買いに行くのか、それとも今夜の夕食を食べるのか。電気はつけたままにしておくのか、保育園に行くのか」

■貧困状態にあるアメリカ人は減少しているが、ALICEは増加している

例えば、低所得者用食料品購入支援プログラムであるSNAPSupplemental Nutrition Assistance Program)の受給資格を得るためには、連邦貧困レベルの約138%以下の所得、つまり4人家族の総所得が39000ドル(約602万円)以下でなければならない。

障害を持つアメリカ人に給付される補足的所得補償給付(Supplemental Security Income)の場合、受給できなくなるのは通常、年間の個人所得23652ドル(約365万円)からだ。州によっては、個人や家族が連邦貧困レベルの200%から250%の所得があっても受給できる場合もある。

ユナイテッドフォーALICEによると、これらの世帯は一般的なアメリカ人よりもインフレの影響を受けているという。消費者物価指数(CPI)は、アメリカのインフレを測る主な指標のひとつだが、外食、スポーツ用品、コンサートチケットなど、ALICEが頻繁に購入しない商品やサービスが多く含まれている。

ユナイテッドフォーALICEは、低所得世帯の生存予算をより詳細に追跡する「ALICE必需品指数」を開発した。基本的な支出のみのインフレ率を測定すると、ALICE必需品指数はCPIよりも速く上昇している。同時に、ALICEは過去12年間、賃金の上昇に遅れをとっている。

「我々の計算では、毎年同じものを買うだけなのに、遅れを取るようになることが分かった。ALICEは、その期間、これらの物を買うためにさらに丸1年働かなければならなかっただろう」とフープスは言う。

そして、ALICE内でも格差が見られる。

「黒人やヒスパニック系の世帯、障害を持つ人々に影響が大きく、若い世帯や高齢者世帯でもALICEの基準値を下回る可能性が高く、また子どものいる片親の世帯も、両親のいる世帯と比較すると基準値を下回る可能性が高い」

実際、多くのアメリカ人は必ずしも貧困に陥っているわけではないが、ALICEになる可能性は高まっている。フープスによると、ALICEというレッテルは労働者の間で共感を呼んでいるという。

「我々がプレゼンをすると、終わった後にみんながやって来て、『なぜ私が苦労しているのかを説明してくれてありがとう。私は自分が問題だと思っていた』と言われる」とフープスは言う。

「ここでは構造的な説明をするので、非常に現実的な形で人々に知らしめている」

このことは、ALICEの基準値を上回るアメリカ人の割合が、2010年から2021年にかけて、フロリダ州やユタ州を除く、ほぼすべての州で減少したことを意味する。フロリダ州とユタ州は、新型コロナウイルスのパンデミック中に沿岸部の富裕層が移住してきた州だ。

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2010年から2021年のALICE以上のクラスの割合の増減

ALICEが増えていることは、アメリカ人が良い経済指標に対して楽観的になれない理由の一つかもしれない。また、アメリカで苦しんでいるのはいったい誰なのかという型にはまったイメージに風穴を開けることにもなる。

「人々は、それは誰なのか、多くの型にはまったイメージを持っていて、それは怠け者であったり、努力していない人だったりする。人々には生活コストがあり、仕事の賃金がある。だがそれらの仕事のほとんどは、生活コストをカバーできる十分な賃金を支払っていないこと我々のデータは示している」とフープスは語った。

「これは数学的な方程式であり、構造的な問題だ。人々が努力していないわけではない」
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●「5100万世帯が日々の生活に苦慮、十分な収入得られず 米」

CNN

2018.05.19 Sat posted at 18:07 JST

https://www.cnn.co.jp/usa/35119435.html

5100万世帯が十分な収入を得られず、家計のやりくりで苦労しているとの調査結果が発表された

ニューヨーク(CNNMoney) 米国の世帯数の43%が月々の家計のやり繰りに苦労し、住宅費、食費、子どもの世話、健康保険、交通費や携帯電話利用料などの支払いに困らないほど十分な収入を得ていないことが全米規模の最新調査で19日までにわかった。

43%は約5100万世帯に相当する。今回調査の実施組織は「United Way ALICE Project」で、貧困層とされる1619万世帯や、「ALICE」と呼んでいる、勤めてはいるものの資産が限られ、所得額に限界がある家庭の3470万世帯が含まれる。

今回調査の責任者は米国経済は一見、好転の兆しを示しているが、世帯の経済的な困窮は広範な問題であり続けていることが裏付けられたと指摘した。

家計の調整に困っている世帯数を州別に見た場合、カリフォルニア、ニューメキシコ、ハワイ各州がそれぞれ49%と最大だった。最小はノースダコタ州の32%だった。

これら世帯の多数は保育関連分野、在宅介護、事務所補助員や店舗従業員で構成され、低賃金に直面し、貯金もほとんどない。米国内の職種の約66%の報酬は時給20ドル(約2220円)以下としている。

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●「相対的貧困率とは 日本15.4%、米英より格差大きく」

きょうのことば

日本経済新聞 20231119 2:00

▼相対的貧困率 国や地域の中での経済格差を測る代表的な指標のひとつ。所得が集団の中央値の半分にあたる貧困線に届かない人の割合を指す。税金や社会保険料を除いた手取りの収入を世帯の人数で調整した「等価可処分所得」が比較の物差しになる。

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、貧困線は直近の2021年に127万円だった。相対的貧困率は15.4%で、30年前より1.9ポイント高い。経済協力開発機構(OECD)によると、米国は21年に15.1%、英国は20年に11.2%だった。日本は米英と比べると国内の経済格差がやや大きい状況といえる。
povertylinegrapninjapan2022001

日本で子どもの相対的貧困率はピークの12年に16.3%と、おおよそ6人に1人の割合だった。21年は11.5%まで下がった。子どもがいる世帯で大人が一人だけの場合は44.5%と、大人が二人以上いる場合の8.6%を大きく上回る。ひとり親世帯などが経済的に苦しい傾向にあることを示している。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 ウクライナ戦争は長期化し、イスラエルとハマスの紛争も半年を超えた。どちらも民間人の犠牲者が多く出ている。どちらも停戦が望ましい状況なのに、世界はまだ戦いを続けさせようとしている。アメリカ連邦議会は、ウクライナとイスラエルの支援を含むパッケージ法案を可決成立させ、ジョー・バイデン大統領も署名して、法律として発効することになった。同時期に、日本の岸田文雄首相が訪米し、米連邦議事堂での演説と言う、属国の指導者に対しては、最高の栄誉を与えられた。岸田首相の米連邦議事堂での演説は以下のように報じられた。

(貼り付けはじめ)

●「米議員らが首相演説を高評価 ウクライナ支援訴え大きな拍手浴びる」

毎日新聞 2024/4/12 10:40(最終更新 4/12 15:35

https://mainichi.jp/articles/20240412/k00/00m/030/070000c

 国賓待遇で訪米中の岸田文雄首相は11日、連邦議会の上下両院合同会議で演説した。英語による約34分間のスピーチで、拍手を浴びたのは48回以上。ロシアの侵攻を受けるウクライナの支援法案の審議が共和党の一部の反対で難航する中、米国の孤立主義に警鐘を鳴らし、米議員から「重要なメッセージを届けた」と高く評価された。

 「日本はこれからもウクライナと共にある」。米国のウクライナ支援の重要性を訴えた後、首相が日本の姿勢を強調すると、大多数の議員が立ち上がり、この日一番の拍手を送った。

 米議会では、民主党のバイデン政権が求めるウクライナ支援法案の審議が停滞している。上院は既に通過し、下院でも多数の議員が賛意を示している。しかし、法案を採決するかどうかを判断する共和党のジョンソン下院議長は、党内の保守強硬派の反発を懸念し、態度を決めかねている。採決すれば可決は確実とみられるが、ウクライナ支援の継続に懐疑的な保守強硬派が議長解任の動きを見せているからだ。

 首相は11日の演説で、孤立主義的なトランプ前大統領や下院の保守強硬派を念頭に「一部の米国民の心の内で、世界における米国のあるべき役割に自己疑念を持たれていると感じる」と踏み込んだ。それまで拍手が相次いでいた議場では「自己疑念」という言葉が出た後に雰囲気がやや重くなったが、首相は「米国のリーダーシップは必要不可欠だ」「米国は独りではない。日本は米国と共にある」と鼓舞した。

 取材に応じた議員らは演説を歓迎した。将来の大統領候補に名前が挙がるクロブシャー上院議員(民主党)は「首相がウクライナへの行動を求めると、実質的に(議員)全員が支持した。非常に重要なことだった」と強調。上院軍事委員会の筆頭委員であるウィッカー上院議員(共和党)も「インド太平洋地域にとっても、民主主義国のウクライナを支援するのは重要だとの訴えは非常に正当なものだ。下院がウクライナ支援に向け、前進することを願う」と述べた。

 バロン下院議員(民主党)は「孤立主義に関する訴えは素晴らしいものだった」と評価。キャピト上院議員(共和党)も「米国の努力を評価した上で、米国が独りではないと伝えてくれた。ウクライナに関するメッセージも響いた」と語った。一方、米メディアによると、ウクライナ支援に反対し、議長解任の動きを見せている保守強硬派のグリーン下院議員(共和党)は、首相がウクライナに言及した際には拍手せず、手元の携帯電話を見ていたという。【ワシントン秋山信一】

(貼り付け終わり)

 岸田文雄首相の訪米の後に、ウクライナ支援とイスラエル支援のパッケージ法案が可決した。昨年の11月から、ジョー・バイデン大統領がいくら求めても、連邦下院で過半数を握る共和党はウクライナ支援に反対してきた。世論調査を見ても、ウクライナ支援については、アメリカ国民の過半数が反対している、「もう十分にしてやったではないか」と考えているということはこのブログでも紹介したし、『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』でも書いている。岸田首相の訪米がきっかけになったかのように、急に、共和党と民主党の主流派、エスタブリッシュメント派が合同して、賛成多数で一気に成立してしまった。共和党の議員たちは有権者、世論を裏切ったことになる。下の記事にある通り、選挙区に帰って有権者たちから批判を浴びるだろう。そして、ジョンソン議長はこの法案可決と引き換えにして、議長の地位から追われることも考えられる。しかし、アメリカのエスタブリッシュメント派に対する功績は大であり、これから安泰であろう。しかし、アメリカ政府もお金が厳しい中で、すんなりと成立してしまったのはどうしてだろうか。ここで、私は次の3つの要素を挙げたいと思う。落語には、お客から3つの題をもらって、短時間で(時には数日間で)、落ちのある落語を作るということがある。これは三題噺(さんだいばなし)と呼ばれる。「芝浜」という冬になると高座にかかる、有名な噺があるが、これも元々は三題噺から生まれた。

さて、私が挙げたいのは「ウクライナ支援、岸田訪米、円安ドル高(円を売ってドルを買う)」という三題だ。そして、この噺で出てくる落ち(結論)は、「日本がアメリカのウクライナ支援分を肩代わりする、そのためにドルが必要になってドルを買っている」ということになると思う。そんな荒唐無稽な、と思うかもしれないし、日本政府がドルを買う資金源は何だ、と言われるだろう。日本の予算には、一般会計と特別会計がある。一般会計は私たちがよく耳にするもので、毎年3月末に国会で成立する、20204年度は約112兆円だ。特別会計はその3倍以上の460兆円規模である。こちらはあまり注目されない。特別会計から裏金をねん出する、もしくは外国為替関係で操作をする。そうやって、ウクライナ支援分である600億ドル(約9兆3000億円)を作り出すことになる。岸田首相訪米では、日米防衛協力ということで、自衛隊のアメリカ軍の下請け化、二軍化が話し合われたが、それは表向きのことで、裏では、この600億ドル分のことが「命令」されたと考えるべきだ。「アメリカと共にある、ウクライナと共にある、と言ったんだから、誠意を見せろ」と、チンピラまがいの恫喝で金を出させられたのだろうと思う。これが属国の役割だと言えばその通りだが、日本もいつまでもATMをやれるということはない。金を出すからには、こちらにも何か見返りになることをと言えるようになるべきだが、アメリカの衰退が目に見えるようになっている時期、そろそろその準備を始める頃だと考える。

(貼り付けはじめ)

連邦下院が対外援助法案を可決、ウクライナとイスラエルに援助を送る(House passes foreign aid bill, sending help to Ukraine and Israel

-この法案は来週連邦上院に提出され、ジョー・バイデン大統領も支持を表明している。

マリアナ・ソトマイヤー、メーガン・ヴァスケス筆

2024年4月20日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/politics/2024/04/20/house-vote-ukraine-israel-aid-johnson-2/

連邦下院は土曜日、世界的な脅威の中で外国の同盟諸国を支援するため、950億ドル(約14兆7000億円)規模の大規模な支援策を可決した。マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)は、極右勢力が今回の可決によって彼を追放すると脅しているが、世界におけるアメリカの役割に対する幅広い支持を示した。

採決直後、ジョンソン議長がウクライナ支援を前進させた場合、議長の座から追い出すと公約していたマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員(ジョージア州選出、共和党)は行動を起こさなかった。グリーン議員は記者団に対し、同僚議員たちが今週休会中に有権者からの反発に直面し、それから、ワシントンに戻ってから議長追放の取り組みに加わることを検討してほしいと語った。

連邦上院は来週初めに対外援助策を審議し、バイデン大統領が署名する予定になっている。

バイデンは土曜日の採決後の声明で、連邦下院が「歴史の呼びかけに応え、私が何カ月もかけて確保しようと闘ってきた、緊急に必要とされる国家安全保障法案を可決するために団結した」と評価した。

連邦議場では「ウクライナ!」の大合唱と青と黄色の旗が振られ、出席した民主党所属の連邦下院議員たちと少数派の共和党議員たちが、数カ月に及ぶ法制上の行き詰まりを打破し、ロシアとの戦争に巻き込まれたウクライナへの600億ドル(約9兆3000億円)の援助を承認した。採決は311対112となり、反対したのは共和党の保守派ばかりだった。

米国防総省が、ウクライナにとって最大の軍事的支援者であるアメリカからの援助がなければ、ウクライナは着々とロシア軍に更に多くの陣地を譲り、死傷者の数をさらに増やすという、驚異的な状況に直面するだろうと警告しているため、ウクライナへの資金はロシアとの戦争において、ウクライナにとって重要な岐路にある。また、ジョンソン議長にとっては、自身の職が脅かされているにもかかわらず、優先度の高い法案の可決に向けて、連邦下院共和党主流派と民主党の連合をリードし、大きな勝利を得た。

土曜日の民主党議員の会合中、ある議員は、民主党の支持によって政府への資金提供が可能になり、外国の脅威を監視するアメリカのスパイ機関の再認可が可能になったことを踏まえると、民主党が事実上過半数を支配していると誇らしげに叫んだ。

「連邦下院民主党はこの機会に立ち上がり、ジョー・バイデン大統領もこの機会に立ち上がり、マイク・ジョンソン議長率いる伝統的保守派もこの機会に立ち上がりました」と民主党のハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務は高らかに宣言した。

ウクライナ支援の可決は、ドナルド・トランプ前大統領への大きな反撃でもある。トランプは長年ウクライナを批判する一方で、ロシアの指導者ウラジミール・プーティンに繰り返し同調し、既に占領した土地をロシアに保持させることで戦争を解決すると側近たちに語ってきた。トランプはウクライナの援助を融資に変えることを推し進め、共和党は土曜日の法案に融資の要件を盛り込むよう促した。

ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は、「民主、共和両党、そしてマイク・ジョンソン連邦下院議長個人に対し、歴史を正しい方向に導いてくれた決定に“感謝する”」とXに記した。

ウクライナ問題で問題解決に向けて動いてきたジョンソン議長は、「法案への批判者たち(critics of the legislation)」がいたにもかかわらず、超党派で外国の同盟諸国への資金提供を進める決定を下したことに開き直った。

ジョンソン議長は、「これは完璧な法律ではない。政府が分裂し、様々な意見が存在する時代には、完璧な法案が可決される保証される訳ではない」とジョンソン議長は語った。

ミッチ・マコーネル連邦上院少数党(共和党)院内総務(ケンタッキー州選出、共和党)は、法案可決を祝し、「連邦議会は、同盟とパートナーシップの強さ、公約の信頼性、そしてアメリカを守り侵略を抑止するための軍隊の能力を高めるために不可欠なこの投資がついに前進した」と述べた。

連邦下院はまた、イスラエルへの260億ドル(約4兆円)の資金拠出を圧倒的多数で可決した。その中には、90億ドル(約1兆3500億円)の人道支援が含まれ、その一部はガザ地区に割り当てられる。イスラエルが先週末、イランが発射したミサイルと無人機への報復としてイランを攻撃した数日後にこの法案は可決した。

共和党所属の連邦下院議員21名がこの法案に反対し、民主党議員37名に加わったが、その多くは、ガザ地区への人道支援が含まれていたにもかかわらず、同地域に支援を提供できる国連機関への資金を剥奪するという理由でこの法案に反対票を投じた。 10月7日のハマスによるイスラエルへの越境攻撃に国連機関のガザ地区職員1万2000人のうち12人が参加したことがアメリカ情報諜報機関とイスラエルによって判明したことを受け、アメリカは国連救済事業機関(U.N. Relief and Works AgencyUNRWA)への資金提供を停止した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、今回の援助について、「非常にありがたい」と述べ、「イスラエルに対する超党派の強い支持を示し、西洋文明を守るものだ」とXに投稿した

連邦下院はまた、中国の脅威に直面するインド太平洋地域の同盟諸国への80億ドルの支援を、385対34で圧倒的な差で可決した。反対票を投じたのは共和党の極右議員ばかりだった。

連邦下院はまた、「TikTok」を禁止する可能性、ウクライナに売却するためのロシア資産の差し押さえ、融資という形で提供されるウクライナ支援に条件をつけることなど、超党派の優先事項が多く含まれる法案を可決した。

ジョンソン議長は次のように述べた。「連邦上院の白紙委任(blank check)とは異なり、連邦下院の法案には非常に重要な特徴がいくつもある。ウクライナ支援に対する説明責任が強化される。私たちは議員たちの声を反映した。私たちは彼らにチャンスを与えた。私たちは彼らに、より良いプロセスを提供し、最終的にはより良い政策を実現した」。

連邦下院共和党は、アメリカの資金は南部国境の管理など国内問題に費やしたほうが良いと主張し、ウクライナへの送金にますます慎重になっている。ジョンソン議長はまた、南部国境での移民を取り締まる厳しい法案を提出したが、共和党の強硬派議員3人が連邦下院規則委員会での手続き動議を拒否したため、法案は否決された。

ジョンソン議長は、グリーン議員の行動が自分を議長職から追い落とそうとする動議の検討を早めるきっかけとなる可能性があることを認識し、リスクを冒して支援策可決を進めた。しかし、ジョンソン議長は今週初め、民主政治体制を維持するためにアメリカが介入し、独裁政権と戦う同盟諸国を支援する歴史上重要な時期に直面していると指摘し、リスクや党派争いに関係なく前に進むことを決意した。

ジョンソン議長は、「私は議長解任動議の心配をしながらこの議事堂の中を歩き回っているのではない。私は自分の仕事をしなければならない。私は、連邦議会の意思を尊重し、正しいと信じることをしたまでのことだ」と述べた。

グリーンは今週、ジョンソンを解任する動議を提出し、トーマス・マシー議員(ケンタッキー州選出、共和党)の支持を得た。トーマス・マシー議員とポール・A・ゴーサー議員(アリゾナ州選出、共和党)の支持を得た。マイク・ギャラガー議員(ウィスコンシン州選出、共和党)が辞職し、共和党の多数派が1議席に減少した今、議長を追放するには十分な数だ。ただし、民主党がジョンソン議長の救援に乗り出さない限りは、である。ジョンソン議長はウクライナ支援のために行動したため、民主党はその可能性を真剣に検討している。

グリーン議員は、共和党の同僚たちに有権者の意見を聞き、来月ワシントンに戻ったらジョンソン議長を続投させるかどうかについて議員らに話し合ってもらいたいため、土曜日に動議を提出しないことに決めたと語った。

グリーンは、ウクライナへの資金提供を支援した共和党の同僚について「この国のアメリカ人は全員激怒すべきだと思う。誰がこんな人たちに投票するだろう? どうすればこの人たちに投票できるだろうか? 彼らは私たちの国に奉仕していない」と語った。

マシー議員は、ジョンソン議長が「辞任を自発的に表明すれば、議長不在期間が長期化することは避けられる」と述べた。もしジョンソン議長が辞任しなければ、年内に議長が解任されるだろうと予想した。

マシー議員は次のように述べた。「彼はレームダックになった議長(lame-duck speaker)だ。私たちは連邦議会が機能するようにしようとしている。ジョンソン議長に集められている募金がケビン・マッカーシー前議長時代の募金の半分以下であるのには理由がある。それは、レームダックになった議長などに誰も会いたがらないからだ」。マシー議員は続けて、「私たちのオフィスには、2025年1月3日に再選できる人物が必要だ。そしておそらくここにいる人々はそれを認めたくないかもしれないが、ジョンソンがそこに到達するつもりがないことは私にとって非常に明白だ」と述べた。

土曜日、11月まで連邦下院議長でいられると思うかと質問されたジョンソン議長は、「はい」とだけ答えた。

ジャクリーン・アレマニー、トビ・ラジがこの記事の作成に貢献した。
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連邦下院がウクライナとイスラエルへの数十億ドルの援助を数ヶ月の闘いの末に可決。次は連邦上院だ(The House passes billions in aid for Ukraine and Israel after months of struggle. Next is the Senate

-連邦下院は、ウクライナ、イスラエル、その他のアメリカの同盟諸国に対する950億ドルの対外援助パッケージを、連邦議会での数ヶ月の混乱の後、承認した。

スティーヴン・グローヴス、リサ・マスカロ筆

2024年4月21日

APニューズ』紙

https://apnews.com/article/ukraine-aid-israel-tiktok-congress-a8910452e623413bf1da1e491d1d94ba

ワシントン発(AP通信)。連邦下院は、ウクライナ、イスラエル、その他のアメリカの同盟諸国に対する950億ドル(約14兆7000億円)の対外援助を、週末の議会で承認した。週末にこのようなことが行われるのは珍しいことだ。これは、ロシアの侵略を撃退するためのアメリカの新たな支援をめぐって、数ヶ月にわたる強硬な右派の抵抗の後、民主党と共和党が結束したことで達成された。

土曜日、610億ドル(約9兆5000億円)にのぼるウクライナへの支援は圧倒的な賛成多数で、数分で可決された。戦争で引き裂かれた同盟国への新たな支援策をめぐって、アメリカの連邦議員たちが争う中、この支援は力強いものとなった。民主党所属の下院議員の多くが連邦議場で歓声を上げ、ウクライナの青と黄色の旗を振った。

イスラエルや他の同盟諸国への援助も、人気プラットフォーム「TikTok」を取り締まる措置と同様に、大差で承認された。法案全体は連邦上院に送られ、早ければ火曜日にも可決される可能性がある。ジョー・バイデン大統領は直ちに署名すると約束している。

マイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)は、「私たちはここで務めを果たしたし、歴史はそれを高く評価するだろう」、自らの職を賭して法案成立に尽力し、疲れ切った様子で語った。

ホワイトハウスによれば、ジョー・バイデン大統領はジョンソン議長および民主党のハキーム・ジェフリーズ連邦下院少数党(民主党)院内総務と個別に会談し、法案を推進することで「わが国の安全保障を最優先してくれたこと(putting our national security first)」に感謝した。

バイデン大統領は、「私は、連邦上院がこのパッケージを速やかに私の机に送り、私が署名して法制化し、ウクライナの緊急の戦場でのニーズに応えるために武器と装備を速やかに送ることができるようにすることを強く求める」と述べた。

ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領は、連邦下院の民主、共和両党と「歴史を正しい軌道に乗せた決断に対して個人的にマイク・ジョンソン議長に感謝している」とX(旧ツイッター)で述べた。

ゼレンスキー大統領は「アメリカ、ありがとう」と述べた。

連邦議会でのこの場面は、多数派を握っているものの対外援助、特にウクライナに対する援助をめぐって大きく意見が分かれている共和党によって煽られた数カ月間の機能不全(dysfunction)と膠着状態(stalemate)を経て、印象的な行動を示した。ジョンソン議長は、2022年12月以来となるウクライナへの主要政策となる軍事資金(military funding)と人道資金(humanitarian funding)の承認を確実に得るために民主党に頼った。

その日の朝は、厳粛かつ真剣な議論と異常な目的意識で始まり、共和党と民主党の指導者たちが団結して迅速な承認を求め、アメリカが同盟諸国を支援し、世界舞台でリーダーであり続けることが確実になると述べた。連邦議会の訪問者ギャラリーは見物人で混雑していた。

連邦下院外交委員会委員長のマイケル・マッコール下院議員(テキサス州選出、共和党)は「世界の目が私たちに注がれており、我々が今ここで行うことは歴史が判断を下すだろう」と述べた。

連邦下院の法案通過により、ウクライナの軍事物資が不足し始めた2023年10月に初めて提出された、バイデン大統領のウクライナへの支援資金承認要請に対する最大のハードルが取り除かれた。

共和党が過半数を占める連邦下院は何をすべきかで数カ月にわたり苦悩し、まずウクライナ支援を米国・メキシコ国境の政策変更と結びつけるよう要求したが、まさにその方針に沿った超党派の連邦上院提案の法案を即座に拒否した。

ジョンソン議長にとって終盤戦に到達することは、ジョンソン議長の決意と共和党内での支持の両方を試す、厳しい試練となっている。現在、ジョンソン議長を公然と議長職から解任するよう求める声は少数ながらも増えている。しかし、連邦議会の各党の指導者たちは、この投票を歴史の転換点として位置付けて投票を行った。アメリカの同盟諸国がヨーロッパ大陸から中東、インド太平洋に至る戦争や脅威に悩まされている中での差し迫った犠牲をアメリカは払うことになる。

ニューヨーク州選出の連邦下院議員で、連邦下院外交委員会民主党側筆頭委員であるグレゴリー・ミークスは、「今日の私たちもそうであるが、歴史を生きていると、私たちが連邦下院本会議で行った投票の行動の重要性や、それが将来に及ぼす影響についてその時の段階では理解できないことがある。しかし、これは歴史的な瞬間だ。」と発言した。

反対派、特にジョンソン議長を含む多数派と対立している、共和党極右派は、アメリカは、国内の国境警備や国の債務増加に対処する国内の戦線に注力すべきだと主張し、海外で使用される兵器を製造するために、大部分がアメリカの軍需メーカーに流れ込むことになる、更なる資金の支出に警鐘を鳴らした。

それでも、連邦議会は、ゼレンスキー大統領から日本の岸田文雄首相まで、ここ数カ月の間に世界の指導者たちがワシントンを次々と訪れ、連邦議員たちに援助を承認するよう懇願しているのを目にした。世界的に見れば、この遅れは同盟国に対するアメリカの関与に疑問を投げかけるものだった。

バイデンの外交政策の最優先事項の1つ、ロシアのプーティン大統領のヨーロッパ進出を阻止することが問題になっていた。ジョンソン議長と秘密裏に会談した後、バイデン大統領はすぐにジョンソン議長の案を支持し、最終的な採決に必要な手続き上のハードルを乗り越えるために民主党が法案を支持する道を開いた。

ジェフリーズ院内総務は「民主党員や共和党員としてではなく、アメリカ人として、民主政治体制が危機に瀕しているところならどこでも守る責任がある」と、議場での討論の中で述べた。

ウクライナへの援助が共和党所属の議員たちの過半数を獲得できなかった一方で、数十人の進歩主義的な民主党所属議員たちは、数万の市民を殺害したガザ地区への攻撃の停止を要求し、イスラエルへの援助法案に反対票を投じた。約20人の共和党強硬派は、イスラエルや台湾のような伝統的に共和党の支持を得てきた同盟諸国への援助も含め、援助パッケージのあらゆる部分に反対票を投じた。

共和党所属議員の一部も、採決中に民主党議員たちがウクライナの国旗を振ったことに怒って反対した。フロリダ州選出の共和党所属のカット・カマック連邦下院議員は、X(旧ツイッター)で、民主党議員たちの行動に「激怒」しており、連邦下院議場での外国の国旗の掲示を禁止する法案の作成に取り組んでいると述べた。

同時に、共和党の大統領候補と目されるドナルド・トランプは、「アメリカ・ファースト(America First)」を掲げて共和党をよりアイソレーショニズム的なスタンスに傾けるため、ソーシャルメディア上の発言や連邦議員たちとの直接電話を通じて遠くから意見を述べるなど、この戦いに大きな影を落としている。

ウクライナの防衛はかつて連邦議会で超党派の強固な支持を得ていたが、戦争が3年目に入ると、共和党議員の過半数が更なる援助に反対するようになった。トランプ前大統領の盟友であるマージョリー・テイラー・グリーン連邦下院議員は、資金をゼロにする修正案を提出したが、否決された。

超保守的な連邦下院共和党の議員連盟であるフリーダム・コーカスは、この法案を「アメリカ最後の」対外戦争対策案(the “America Last” foreign wars package)と嘲笑し、法案には国境警備措置が含まれていないとして、共和党指導部に反抗し、法案に反対するよう議員らに促した。

グリーンを筆頭とする3人の共和党所属の議員たちが、議長解任の投票につながる「解任動議(motion to vacate)」を支持したため、ジョンソン議長の連邦議長職の維持の可能性が小さくなっている。極右派に後押しされるように、グリーン議員の側には、アリゾナ州選出のポール・ゴーサー議員(アリゾナ州選出、共和党)を含む多くの議員に加わっている。ゴーサー下院議員、トーマス・マシー連邦下院議員(ケンタッキー州選出、共和党)など、ジョンソン議長に自発的に退くよう求める議員も増えている。

このパッケージには、民主党が支持した、あるいは少なくとも受け入れることを望んでいる共和党の優先事項がいくつか含まれている。その中には、ウクライナ再建のために、アメリカが凍結されたロシア中央銀行の資産を差し押さえることを可能にする提案や、イラン、ロシア、中国、鎮痛効果のある合成ドラッグであるフェンタニルを取引する犯罪組織に対する制裁、人気動画アプリ「TikTok」の中国に拠点を置くオーナーに対し、1年以内に株式を売却するか、アメリカでの取引を禁止することを求める法案などが含まれている。

それでも、これらの法案を議会で成立させようと全力を挙げているのは、アメリカ国内政治だけでなくウクライナの現実を反映している。国家安全保障に関連する各委員会の理事である議員たちは、機密扱いのブリーフィングを受けることができるが、ロシアが兵力と弾薬の不足に悩むウクライナ軍を打ちのめし、戦況が悪化することを深刻に懸念している。

ニューヨーク州選出のチャック・シューマー連邦上院多数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)は、火曜日に連邦上院がこのパッケージの手続き投票を開始すると発表し、「世界中の同盟諸国がこの時を待っていた」と述べた。

共和党のミッチ・マコーネル連邦上院少数党(共和党)院内総務は、来週、右派の反対を押し切る準備をしながら、「目の前の課題は緊急だ。歴史を作るために再び連邦上院の出番となる」と述べた。

(貼り付け終わり)

(つづく)
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)が刊行されました。「西側諸国対西側以外の国々」という構造で国際政治を分析しています。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 インドネシアの新大統領に選出されたプラヴウォ・スビアント国防相が選挙後の初めての外遊として、中国と日本を訪問した。中国だけ、日本だけではなく、両国を訪問したという点はインドネシアの置かれている立場をよく表している。インドネシアは東南アジアの地域大国として、アジア全体の地域大国である中国と日本の橋渡しができる国である。思い返せば、北朝鮮の拉致被害者曽我ひとみさんが夫ジェンキンズ氏と娘たちと再会を果たしたのはインドネシアの首都ジャカルタでのことだった。

 プラヴウォ国防相(新大統領)は、インドネシア共和国の建国の父スカルノを失脚させ、第2代大統領となり、独裁者として権勢を振るったスハルトの娘婿だ(1983年に結婚・現在別居中という話がある)。陸軍の中で栄進を重ね、陸軍中将となった時に、民主化でスハルトが失脚し、軍を追われることになった。軍籍をはく奪された後は海外で亡命生活をしながら、ビジネスを展開し成功、資産は約1億5000万ドル(約225億円)と見られている。スハルトの娘婿、東ティモール派遣軍の司令官時代に、独立運動の活動家の殺害や弾圧、人権侵害に関わった疑いというマイナス面がありながら、政界に進出し、大統領選挙に何度も出馬している。

 2019年の大統領選挙では、二期目を目指すジョコ・ウィドド大統領の対抗馬として出馬し、選挙後には選挙に不正があったと主張し、プラヴウォ支持者が暴動をおこし、死者が出る騒ぎとなった。それほど対立した関係であったが、ジョコ大統領は、プラヴウォを自分の政権の国防相に迎え入れた。そして、今回の大統領選挙では、ジョコ大統領の長男ギブランが、プラヴウォの副大統領となり、実質的に、ジョコ大統領が「後継者」としてプラヴウォを指名し、「お目付け役」として長男をつけるということになった。選挙結果は、プラヴウォの勝利だった。1回目の投票で過半数を取れないので、2回目の決選投票になると思われていたが、1回目の投票で、プラヴウォは58%の得票率で勝利を決めた。

 ジョコ大統領はこれから院政を敷くことになる。プラヴウォは、ジョコ大統領の路線を継承することを公約に掲げている。そして、アメリカをはじめとする西側諸国と、中国をはじめとする西側以外の国々との間でうまくバランスを取りながら、国内経済成長路線を維持する。もし、何か反する動きがあれば、プラヴウォのマイナス面である、過去を掘り返して、大統領の座から追われるということになるだろう。副大統領となるジョコ大統領の長男ギブランが、大統領になるかどうかは不明だが、それもこれから5年での成果にかかっている。インドネシア政治はこれから注目される。

(貼り付けはじめ)
インドネシア次期大統領 中国 習主席と会談 関係強化を確認

202442 633分 NHK

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240402/k10014409911000.html
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インドネシアの次期大統領のプラボウォ国防相は、当選後、初めての外国訪問先として中国を訪れて習近平国家主席と会談し、双方とも両国関係のさらなる強化を確認しました。

ことし2月に行われたインドネシアの大統領選挙で当選したプラボウォ国防相は、当選後初めての外国訪問として習近平国家主席の招きを受けた中国を訪れていて、1日、北京で習主席と会談しました。

インドネシア国防省によりますと、会談でプラボウォ氏は「防衛分野の協力において、中国は地域の平和と安定を確保するのに鍵となるパートナーの1つだ」と述べ、中国との関係を重視していく姿勢を強調したということです。

中国外務省によりますと、これに対し習主席はプラボウォ氏の当選を祝福し「中国とインドネシアはともに新興国の代表であり、主権や安全保障、発展の利益を守る上で互いをしっかり支持すべきだ」と述べ、両国関係の強化を確認しました。

また、南シナ海をめぐってASEAN=東南アジア諸国連合の一部の国との領有権争いを念頭に「海洋協力を引き続き深めることを望んでいる」と述べ、インドネシアに理解を求めました。

中国としては、ASEANの大国であるインドネシアとの連携を重視する姿勢を改めて示し、地域での影響力を強めるねらいがあるとみられます。

プラボウォ氏は2日、日本も訪れる予定で、岸田総理大臣との会談が調整されています。
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【インドネシア】プラボウォ氏と岸田首相会談、協力強化確認

4/4() 11:31配信  NNAKyodo News Group

https://news.yahoo.co.jp/articles/6e93ecdf6cc95647af589409f4383d76e4abd06d

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 インドネシア次期大統領のプラボウォ・スビアント国防相は3日、訪問中の日本で岸田文雄首相と会談した。2国間関係や地域情勢について意見交換し、協力関係を強化していくことを確認した。プラボウォ氏の大統領選当選後の外遊先としては、日本が中国に続いて2カ国目となった。

 プラボウォ氏と岸田氏の会談は、午前9時15分から約35分間実施された。岸田氏は、プラボウォ氏に当選の祝意を改めて示し「早々の訪日は日本重視の姿勢と受け止め、大変心強い」と述べた。また「基本的な価値や原則を共有する『包括的・戦略的パートナー』として、2国間関係や地域・国際情勢に係る協力をさらに進めていきたい」とした。

 岸田氏は、2国間関係において、インフラやエネルギー分野で協力するほか、インドネシアが目指している経済協力開発機構(OECD)への加盟に向けて支援することも伝えた。

 プラボウォ氏は「インドネシアと日本は旧友であり、重要なパートナーだ。これまでの良好な関係をさまざまな分野でさらに強化したい」と述べた。安全保障協力をはじめ、農水産業や防災などの分野で、2国間関係を深めることに期待を示した。

 地域情勢を巡っては、東シナ海や南シナ海情勢、北朝鮮への対応、ミャンマー情勢などでも意見交換し、連携を継続していくことを確認した。

 プラボウォ氏は、2月に実施された大統領選の正式結果が3月20日に発表され初当選した。当選後初の外遊で同月31日~4月2日に中国を訪問し、習近平国家主席や李強首相と会談した。

 プラボウォ氏は、憲法上3選が認められておらず2期・10年で退任するジョコ・ウィドド大統領の後任として、1020日に就任する。

 ■木原防衛相とも会談

 プラボウォ氏は3日、木原稔防衛相とも会談した。両者は、防衛省で午前1028分から約50分間会談し、2国間・多国間の防衛協力や交流を強化していくことで一致した。木原氏は、南シナ海での力による一方的な現状変更や緊張を高める行為に強く反対すると表明した。中国の海洋進出を念頭に置いた発言とみられる。

 また木原氏は、海洋国家の両国間において「法の支配に基づく『自由で開かれたインド太平洋』を維持・強化していきたい」と述べた。 

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プラヴウォはインドネシアをどのように主導するか?(How Will Prabowo Lead Indonesia?

-今回の大統領選挙の勝者プラヴウォは選挙運動の中で過去を葬ろうとした。指導者として成功するために、彼は歴史が繰り返されないことを期待している。

サリル・トリパティ筆

2024年2月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/02/28/indonesia-elections-prabowo-leader-human-rights-jokowi/

大統領選挙において2度の失敗を経験した末、今年の2月14日、インドネシアのプラヴウォ・スビアント国防相が大統領選挙で念願の勝利を収めた。プラヴウォは自分の勝利が自分の政治の結果だと考えたいように見えるが、彼の成功はジョコウィとして知られるインドネシアのジョコ・ウィドド現大統領の人気に負うところが大きい。プラヴウォは2014年と2019年にジョコウィの対抗馬として出馬し、いずれも敗れた。しかし、ジョコウィは2019年にプラヴウォを国防相に任命することで、専門家と支持者の多くを驚かせた。ジョコウィの長男であるギブラン・ラカブミン・ラカは、プラヴウォの副大統領候補として出馬した。

インドネシアにおける選挙の最終結果は数週間以内に発表されるが、初期の集計によると、プラヴウォが得票率58%でリードしており、対抗馬のガンジャル・プラノウォとアニエス・バスウェダン(いずれも元州知事)を大幅に上回っている。他の候補者は2月14日の選挙に関して不正があったと主張し、投票結果に異議を唱えるつもりだと述べている。広範な操作の証拠があれば、憲法裁判所は結果を取り消す可能性がある。新大統領は10月まで就任しない。

任期制限により、ジョコウィ大統領は3度目の出馬を妨げられた。今回の選挙は、ジョコウィなら簡単に勝てたであろう。ギブランが副大統領として勝利すると予想されているため、多くのインドネシア人は次期政権がジョコウィの事実上の3期目、あるいは少なくとも継続性を示すものと見なしている。しかし、ジョコウィは大統領職を辞し、未知の領域に入りつつある。プラヴウォを支援することで、自身が今でも関係を持っている、インドネシア闘争民主党(Indonesian Democratic Party of Struggle PDI-P)との架け橋をジョコウィが燃やしてしまうことになった。闘争民主党候補者のガンジャールが3位に終わって、裏切られたと感じるのには十分な理由がある。ガンジャールは、自分の得票数がこれほど少ないとは信じていないと述べている。

プラヴウォはジョコウィの支援なしでは勝利できなかったが、統治するにあたり、ジョコウィに依存する必要はもはや存在しない。退任する大統領のテクノクラート出身の閣僚のうち、プラヴウォの下で引き続き職務を続ける者はほとんどいないと見られているが、プラヴウォはそれを気にしないかもしれない。彼の経済政策はポピュリズム的であり、特にインドネシアの財政赤字を増大させる学校給食プログラムなど補助金の増額提案などがある。対照的に、ジョコウィ政権の財務大臣、尊敬を集める経済学者スリ・ムリャニ・インドラワティは改革派として知られ、かつては世界銀行の専務理事を務めたこともある。彼女がプラヴウォの下で職務を継続する可能性は低い。

タイミングは選挙において、プラヴウォに対してもう1つの利点をもたらした。プラヴウォは、人々の記憶が薄れつつあることを利用して、権力を固めようとしている。選挙期間中、彼はソーシャルメディアを使って若い有権者に自分をアピールし、過去を覆い隠すような、かわいらしいおじいさんとしてのイメージを打ち出した。元陸軍中将の人権に関する記録はあまりに酷いもので、何年もの間、アメリカへの入国が事実上禁止されていた。興味深いことに、プラヴウォは3人の候補者の中で唯一、ヒューマン・ライツ・ウォッチが行った「インドネシアの次期大統領として人権を守るために何をするか」という質問に答えなかった。インドネシアの有権者の半数以上は1980年代以降に生まれており、プラヴウォが東ティモール(現東ティモール民主共和国)で特殊部隊の司令官を務めていたことなど、おぼろげな記憶しかないことになる。人権団体は、プラヴウォが東ティモールでの人権侵害に関係していると主張しているが、プラヴウォはこれを否定している。

もしプラヴウォが東ティモールでの勤務していた時代以降、ある種の免罪符を持っているように見えたとしたら、それは彼が長年、インドネシアを32年間統治したスハルト元大統領の次女、シティ・ヘディアティ・ハリジャディ(別名ティティーク)と結婚していたからだ。スハルトの息子たちはビジネスに専念し、婿のプラヴウォは軍隊で華々しいキャリアを積んだ。プラヴウォとティティークの結婚はかなり前に終わったが、ティティークは彼の立候補を支持し、今年最後の選挙集会にも彼の側に姿を見せた。2023年12月、プラヴウォは元妻ティティークを自身が率いる政党グリンドラ党の顧問に任命した。

スハルトの長期にわたる統治の間、インドネシアは多くの社会経済指標を改善し、食糧生産を増加させ、識字力を向上させ、外国からの投資を誘致した。しかし、この時代には寡頭制文化の台頭も見られた。スハルトの子供たちは事業で繁栄し、指導者と協力する縁故資本家たち(crony capitalists)が経済を支配した。1980年代に経済を安定させようとした努力にもかかわらず、汚職(corruption)は1990年代半ばまでに大幅に増加した。1997年7月にタイの通貨バーツが急落し、他のアジア通貨もその影響に巻き込まれた。

当時、インドネシアは公的債務を比較的うまく管理していたが、民間部門は、過大評価されているインドネシア・ルピアが安定的に続くとの前提で無謀な借り入れを行い、短期債務を積み上げていた。何かが与えられなければならず、市場はルピアに賭けて、ルピアを暴落させた。インフレと物資不足は避けられず、金融危機は本格的な経済危機(economic crisis)に変わり、その後、政治危機(political crisis)に発展した。スハルトは国際通貨基金(International Monetary Fund)に緊急支援を求め、その後はより実質的なパッケージを求めた。

世情不安(public unrest)が高まり、首都ジャカルタ全土でデモ行進が行われた。1998年5月、治安部隊はトリサクティ大学の学生活動家たちを取り締まり、少なくとも4人の学生が殺された。他にも多くの学生が拉致され、何人かは帰ってこなかった。その後の数日間、大きな変化が迫っていた。戦車が首都を走り回り、煙が充満し、デモ隊は企業を破壊し、スハルトに近い大物たちの邸宅を襲撃した。1998年5月21日、スハルトは辞任した。この出来事はプラヴウォのキャリアを後退させ、今も彼を苦しめている。

プラヴウォは予備役に編入された。プラヴウォは当初、学生拉致の責任を否定していたが、2014年の大統領選挙においては、命令を実行しただけだ、と自らの役割を認めた。

南東アジアはノスタルジックな局面を迎えているようだ。古い秩序への憧れが地域全体の選挙で繰り広げられている。フィリピンを統治するフェルディナンド・"ボンボン・マルコス・ジュニア(Ferdinand “Bongbong” Marcos Jr.)大統領は、彼の父親が1965年から1986年まで大統領を務め、民衆蜂起の後に倒され、1989年にハワイに亡命した。一方、マレーシアでは、1990年代に副首相を務めたアンワル・イブラヒムが首相を務めている。アンワルは1981年から2003年まで、そして2018年から2020年まで再びマレーシアを統治したマハティール・モハマド首相(当時)と対立し、アンワルは1998年に淫行と汚職の罪で投獄された。アンワルは最終的に2022年に首相となった。

多くの国民がスハルト時代の暗黒面を忘れていることを願いつつも、プラヴウォがインドネシアで政権を取ったことは、この傾向を裏付けているようだ。残る疑問は、プラヴウォとジョコウィの同盟関係がいつまで続くかということだ。ジョコウィの息子であるギブランは、スラカルタ市長を務めただけで、政治経験は浅いが、いつかは大統領になりたいと考えているようだ。もしプラヴウォがギブランを脅威と見なせば、2人の同盟関係に綻びが生じるかもしれない。72歳のプラヴウォは、スハルトが辞任したときより5歳若いだけで、選挙チームは選挙運動中に脳卒中の治療を受けたという噂を否定しなければならなかった。

インドネシアの専門家たちは、ワヤン・クリット[wayang kulit](影絵人形劇[shadow puppetry])と呼ばれる民俗劇を、この国の表向きには不可解な政治のメタファーとして用いることが多い。人々はスクリーンの向こう側で何が起きているのかを垣間見ることしかできないし、目に見えるものが正確に出来事を表しているとは限らない。スハルトはそのような曖昧さの達人(the master of such ambiguities)だった。しかし、プラヴウォはもっと率直で険悪で、短気なことで知られている。彼がインドネシアを統治する際に、ジェモイ(gemoy、かわいい)イメージを維持できるかどうかは未知数だ。

プラヴウォの闘争的な性格は、西側の諸大国に説教することを厭わないということであり、有権者にアピールできるかもしれない。過去には、インドネシアにとって他国からの民主政治体制に関する教訓は必要ないと発言し、ジャカルタのパーム油輸出への依存をめぐるヨーロッパ諸国からの批判には、植民地時代の歴史を引き合いに出して歯向かった。大統領選挙期間中、ヨーロッパ連合(EU)の森林破壊に対する政策を批判し、プラヴウォは次のように述べた。「茶、コーヒー、ゴム、チョコレートを植えさせたのはヨーロッパ人だ。そして今、私たちが森林を破壊していると言うのか? 私たちの森林を破壊したのはあなたたちだ」。この態度は、礼儀正しいポピュリスト(polite populist)というジョコウィの評判とは対照的である。

更に、狭い目的によって同盟関係が変化する多極化した世界では、プラヴウォはスハルトの型にはまり、独立した路線を作り上げるかもしれない。インドネシアと中国は南シナ海の係争中の島々の所有権を主張している国の1つだが、プラヴウォは中国への投資にヨーロッパの投資家たちよりも制約が少ないため、中国に言い寄っている。 2023年6月にシンガポールで開催されたシャングリラ対話(Shangri-La Dialogue)で、プラヴウォはモスクワで作成された可能性が高い、ロシアのウクライナ戦争に対する和平案を提案し、多くの地域アナリストやインドネシアのメディアを驚かせた。

プラヴウォは、インドネシアの広大な群島全域で学校給食費の補助を拡大する計画など、国内の支持を補強するために危険なポピュリスト的施策に頼ることになりそうだ。彼のチームは、初年度に76億8000万ドルもの費用がかかる可能性があると述べている。それは称賛に値するが、給食費補助計画はインドネシアの予算を圧迫し、財政赤字を拡大させる可能性がある。そうなればインフレにつながり、プラヴウォの側にはジョコウィ政権のテクノクラート的な有能な大臣たちはいなくなるだろう。プラヴウォは、ジョコウィのようなテクノクラート的な大臣たちを味方につけることはできない。彼の過去の気質がどうであれ、それはインドネシアに危険をもたらすかもしれない。

結局のところ、過去はインドネシアに必要なことの序章であってはならない。世界で4番目に人口の多い国として、その安定は重要であり、民主政治体制への移行(transition to democracy)を確固たるものにしなければならない。成功するためには、プラヴウォはインドネシアの若い人々の願望に応えることができる21世紀のリーダーになる必要がある。そして、技術力だけでなく、実質を提供する必要がある。

※サリル・トリパティ:ニューヨークを拠点とするライター。1990年代から東南アジアから報道を続け、その中にはジャカルタからスハルト政権崩壊も含まれている。著書に『悔い改めない大佐:バングラデシュ戦争とその不穏な遺産(The Colonel Who Would Not Repent: The Bangladesh War and its Unquiet Legacy)』があり、現在はグジャラートについての本を執筆中。

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インドネシア大統領選挙の勝者には暗い過去とかわいいイメージがある(Indonesia’s Election Winner Has a Dark Past and a Cute Image

-プラヴウォ・スビアントの記録は民主政治体制にとって良い兆候ではない

ジョセフ・ラックマン筆

2024年2月14日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/02/14/prabowo-indonesia-election-democracy-jokowi/

ジャカルタ発。「神のご加護で、1ラウンド、1ラウンド、1ラウンドだ。プラヴウォ、プラヴウォ」。歓喜に沸く群衆が、ジャカルタのスタジアムで次期大統領に決まったプラヴウォ・スビアントが勝利演説をするために到着したときにこのように大合唱した。約2億人のインドネシア国民が投票権を持ち、その52%が40歳以下という圧倒的な差で、旧独裁政権と深いつながりを持つ72歳の元陸軍中将を選んだ。

彼は変わったと言う人たちもいる。また、ジョコ・ウィドド現大統領(通称ジョコウィ)の選挙運動への暗黙の支援によって、既に緊張状態にあるインドネシアの民主政治体制にとって、ジョコウィの登場は悪い知らせになると懸念する声もある。ジョコ・ウィドド現大統領は、かつてのライバルの選挙運動を黙認していた訳ではない。インドネシアのヒューマン・ライツ・ウォッチのヴェテランのメンバーであるアンドレアス・ハルソノは、「ジョコウィは、インドネシアをかつての独裁者スハルトの、新秩序の闇に逆戻りさせる扉を開いてしまった」と語った。

最も明らかな心配の種は、プラボヴウォの伴走者であるギブラン・ラカブミン・ラカがジョコウィの息子であるという事実だ。父親が政治家としてのキャリアをスタートさせた、スラカルタ市長として2年強の政治経験を持つ、この36歳が立候補資格を得たのは、40歳以上という従来の制限を例外とする憲法裁判所の判決が最終的に下ったからだ。

国家は選挙運動の他の部分でも同様の判断を下している。党指導者たちに対する汚職捜査が浮上したが、ジョコウィがプラヴウォを支援することになった後は消えた。野党陣営は警察が嫌がらせをし、人々にプラヴウォを支持するよう圧力をかけていると訴えた。そして、インドネシア人への社会援​​助への支出が急増しただけでなく、場合によってはプラヴウォの選挙運動に関係する人々によって配られたとさえ伝えられている。前述のハルソノは「多くの法学教授や他の学者は、これはスハルト後のインドネシアでこれまで行われた中で最も汚い選挙であると述べた」と述べた。

大統領選挙に敗れた2人の候補は現在、開票における大規模な不正を主張している。結果を覆すのに必要な規模の、信頼に足る証拠はまだない。インドネシアの世論調査の専門家であるセス・ソダーボーグは、「あちこちに不正や問題があるのは確かだと思う。しかし、何千万票もの偽の投票があれば、その痕跡が残るだろう」と語った。

それでも、選挙運動中の選挙妨害は、多くの人々にとって、特にプラヴウォ自身の過去と組み合わせれば、懸念が存在することになる。特にプラヴウォ自身の過去と合わせればなおさらだ。彼が最初に注目されるようになったのは、東ティモールでの流血の対反乱作戦中にインドネシアの特殊部隊を指揮していた時だ。プラヴウォは将官として、抵抗運動の指導者ニコラウ・ロバトの殺害に関与した。プラヴウォは東ティモールと西パプアの虐殺の責任者として告発されているが、彼は疑惑について常に激しく否定している。

スハルトの娘との結婚により、プラヴウォは政治的に有名になり、一部の人は彼を潜在的なスハルトの後継者と見なしている。1998年に民主化運動がスハルト政権を崩壊させたとき、プラヴウォは23人の民主活動家誘拐に関与し(うち13人は行方不明で死亡と推定されている)、自ら権力を掌握しようとしたという疑惑がある。

新しい政権によって一時的に失脚させられたプラヴウォは、すぐにインドネシア政界に復帰した。2004年に大統領候補に指名され、2009年には副大統領候補として出馬し、2014年と2019年には大統領選に出馬した。

いずれの時もプロヴウォはジョコウィに敗れた。2019年に敗れたジョコウィは当初、大規模な不正を主張して結果を否定し、8人の死者を出す暴動を引き起こした。ジョコウィはプラヴウォを国防相として政権に参加させることで事態を打開し、多くの人々を驚かせた。

これにより、プラヴウォはジョコウィの後継者となり、多くの若い有権者にとってはかわいらしい老人へと変貌を遂げることになった。それ以前の10年間、プラヴウォの選挙運動は熱狂的な「強者のナショナリズム(strongman nationalism)」によって特徴づけられ、彼はスタジアムの馬の後ろに乗って、熱狂する群衆に対して、外国の破壊的勢力や共産主義について警告を発していた。彼は明らかに日和見主義(opportunism)であるにもかかわらず、過激派イスラム主義グループと同盟を結び、脅威を増大させた。プラヴウォの母親はキリスト教徒であり、彼の兄もキリスト教徒である。

今回、プラボウォは、かつて彼の陣営が、秘密共産主義者・中国系無神論者・キリスト教徒と中傷したジョコウィへの忠誠を仰々しく、繰り返し宣言し、その政策を継続することを計画した。選挙戦では、ナショナリズムの隆興が、外国人たちがインドネシアを没落させ、富を盗むことへの警告として感じられた。しかし、選挙戦で最も目立ったのは、「ジェモイ(gemoy、かわいい)」というイメージの宣伝だった。ソーシャルメディアは、父親のように不器用に踊ったり、猫を抱っこしたりする動画や、彼の顔をピクサーのアニメのように描いたもので埋め尽くされた。

特に若い有権者たちは、プラヴウォのイメージが気に入り、おそらく彼の過去を知らずに、彼に群がった。プラヴウォの勝利演説を待つ群衆の中で、大学の工学部で学ぶ学生のファウザン・ディスマスは、プラヴウォは「タフ(tough)」だから好きだと明言した。しかし、過去の人権侵害疑惑やスハルトとのつながりについて尋ねられると、ディスマスは「そのことについてはよく知らない」と言葉を濁した。彼は「私はまだ生まれていなかった」とも述べた。

それでは、次はどうなるのか?

国際的には、インドネシアの姿勢や立場が大きく変わることはないだろう。アメリカも中国もインドネシアに言い寄ってきているが、インドネシアは長い間、国際問題における中立(neutrality)と非同盟(nonalignment)の原則を堅持してきた。プラヴウォは、インドネシアの立場を冷戦時代のスイスやフィンランドに例えて、この姿勢への関与を強調している。

それでも、プラヴウォの大げさな性格と鋭敏なナショナリズムは、時折驚きをもたらすかもしれない。インドネシアは南シナ海における中国の領有権に異議を唱え続けており、その領有権はインドネシアが「北ナトゥナ海(North Natuna)」と呼ぶ海域と重なっている。昨年8月、プラヴウォはロイド・オースティン米国防長官との共同声明を発表し、一時的に対中強硬路線を取るように見えた。しかし、その2カ月前、シンガポールで開かれたシャングリラ・ダイアログで、彼はウクライナ和平案を提案した。

国内的には、民主政治体制の衰退(democratic decline)を心配する以上に、プラヴウォとジョコウィの同盟関係がいつまで続くかが重要な問題かもしれない。大統領選挙期間中、詳細な政策論議は欠けていたが、プラヴウォはインフラ整備、インドネシアの天然資源の「川下化(downstreaming)」、ボルネオ島への新首都建設などでジョコウィに追随することを声高に約束した。しかし、プラヴウォは気性が激しいことで知られ、何十年もの間、指導者への野心を抱いてきた。果たして彼は前任者の影に隠れていることに満足するのだろうか?

もしプラヴウォがこれに反旗を翻す場合、ジョコウィの影響力は限られたものになるかもしれない。ジョコウィの息子は副大統領かもしれないが、その役割にはアメリカと同様、大統領が譲り渡したいと思う以上の正式な権限はほとんどない。

ジョコウィはまた、自分自身の政治的手段も持っていない。彼はまだ形式的にはインドネシア闘争民主党(PDI-P)のメンバーだが、闘争民主党が推薦した候補者ガンジャル・プラノウォ元中部ジャワ州知事よりもプラヴウォを非公式に支援したことで、その闘争民主党との関係を繋ぐ橋は完全に焼け落ちてしまった。一方、彼のもう一人の息子であるケーサン・パンガレップが9月に引き継いだインドネシア連帯党という小政党は、国民評議会に議席を得るのに十分な票を得ることができなかった。

プラヴウォも72歳で、健康状態が良くないと噂されている。世界第3位の民主政体国家が、事業経営にはある程度成功したが、かつて父親が市長をしていた市の市長を2年間務めた経験しかない若者の手に委ねられることになるかもしれない。インドネシアのヴェテランのテクノクラートの中には、どちらがより心配なのか分からないというひとたちもいる。 プラヴウォ大統領か、ギブラン大統領か、どちらの方が酷いことになるのか?

※ジョセフ・ラックマン:インドネシアと東南アジアからの報道を行うフリージャーナリスト。ツイッターアカウント:@rachman_joseph

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行いたしました。ウクライナ戦争についても詳しく分析し、『週刊ダイヤモンド』誌2024年3月2日号で、佐藤優(さとうまさる)先生に「説得力がある」という言葉と共に、ご紹介いただいております。是非手に取ってお読みください。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 ウクライナ戦争についてはあらゆる角度からの多種多様な論稿や記事が発表されている。今回ご紹介する論稿は、ロシア内戦介入戦争(シベリア出兵)についての著作を基にして、ウクライナ戦争との比較を行っている。日本ではシベリア出兵(Siberian Intervention)で知られるロシア内戦介入戦争(Allied intervention in the Russian Civil War)は、1917年にロシア革命(10月革命)で成立したボリシェヴィキと、ロシア帝国存続を目指す反ボリシェヴィキである白系ロシアによるロシア内戦に第一次世界大戦の戦勝諸国が介入した戦争を指す。日本もアメリカなどと共に、シベリア地方に出兵し、一部を占領した。ロシア内戦は白系ロシアの敗北、ボリシェヴィキの勝利で終わった。
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 今回のウクライナ戦争では、ウクライナに侵攻したロシアに対して、西側諸国がウクライナに資金や軍事装備を支援している。ウクライナ戦争については、ロシア側をボリシェヴィキ、ウクライナ側を白系ロシアに見立てている。この類推(アナロジー、analogy)がそのまま正しいと、ウクライナが戦争に負けることになる。

 この記事の著者セオドア・バンゼルは、ウクライナを勝利に導くためには、「西側諸国が、明確な長期戦略を策定し、緊密な連携を継続し、自国民に訴えかけることで国内の支持を強化することを続けることだ」としている。残念なことだが、バンゼルの挙げた条件を西側諸国が実行することはほぼ不可能だ。

まず、長期戦略を策定することが既にできていない。戦争の落としどころ、最終目標を決めてそれに向かって進むということができていない。場当たり的に、その場しのぎでウクライナに支援を与えているが、ざるに水を入れているようなもので、その効果は薄れ続けている。西側諸国が緊密な連携をしているということもない。取りあえず、金と適当な武器をウクライナに与えているだけ、誰(どの国)が音頭を取っているかもよく分からない。ヨーロッパの諸大国はアメリカ任せ、自分のところにとばっちり(ロシアからの攻撃、最悪のケースは核攻撃)がないようにしているだけのことだ。西側諸国の国民の間に「ウクライナ疲れ」「ゼレンスキー疲れ」が蔓延し、アメリカ国民の過半数が「ウクライナにはもう十分してやった」と考えているほどだ。これでは支援継続は難しい。

 こうしてみると、結局、ロシア内戦介入戦争と同様に、ウクライナ戦争は西側諸国の敗北ということになる。いまさら言っても詮無きことではあるが、長期戦になる前に、ウクライナは良い条件で停戦できるときに停船をすべきだった。私は2022年3月の時点でこのことを述べている。こうして見ると、人間は賢くない。謙虚に歴史から学ぶという姿勢が重要である。

(貼り付けはじめ)

西側諸国による最後のロシア侵攻からの大きな教訓(The Big Lesson From the West’s Last Invasion of Russia

-ロシア内戦への連合国の介入が今日のウクライナについて教えてくれること。

セオドア・バンゼル筆

2024年33

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/03/03/the-big-lesson-from-the-wests-last-invasion-of-russia/?tpcc=recirc_latest062921

ほぼ全員がミシガン州出身だったとは言え、アメリカ軍兵士にとってロシア北部は厳しい寒さに感じられたに違いない。1918年9月4日、4800人のアメリカ軍が北極圏からわずか140マイルしか離れていないロシアのアルハンゲリスクに上陸した。その3週間後、彼らはイギリス軍やフランス軍とともに、そびえ立つ松林や亜寒帯の湿地帯の中で赤軍(Red Army)との戦いに突入した。最終的に、2年間の戦闘で244人のアメリカ兵が死亡した。アメリカ軍将兵の日記には、最初の遭遇戦の悲惨な様子が描かれている。

「私たちは機関銃の巣に突っ込んで早々に退却した。[ボリシェヴィキはまだ激しく砲撃してくる。私の分隊のペリーとアダムソンは負傷し、銃弾は私の両肩を撃ち抜いた。ひどく疲れ、腹が減った。他の隊員もそうだ。この攻撃で4人が死亡、10人が負傷した]

これらの不運な魂は、ロシア内戦への連合国による介入という、広大かつ不運な事態の一端に過ぎなかった。1918年から1920年にかけて、アメリカ、イギリス、フランス、日本は、バルト海からロシア北部、シベリア、クリミアに数千の軍隊を送り込み、反共産主義の白系ロシアに数百万ドルの援助と軍事物資を送った。これは20世紀における外交政策の失敗の中でも最も複雑で忘れられがちなものの1つであり、アンナ・リードの新著『厄介な小さな戦争:ロシア内戦への西側の介入(A Nasty Little War: The Western Intervention Into the Russian Civil War)』では、鮮明にかつ詳細に語られている。

リードが参戦した将兵たちの個人的な日記と並行して見事に織り成す紛争の詳細は、しばしば別世界のように感じられる。日本軍はロシア極東のウラジオストクを占領した。当初は連合国の中で最もタカ派介入支持者だった、気まぐれなフランスはウクライナ南部の占領を主導し、ムイコラーイウ、ヘルソン、セヴァストポリ、オデッサといった読者にはおなじみの都市をめぐって赤軍と争った。 6万人の軍隊を含む介入に最も多くの資金を投入したイギリスは、迫りくるトルコ軍からバクーを守り、バルト三国でボリシェヴィキに対して海軍の破壊活動を行い、最終的には黒海の港から白人を避難させ、ロシアの周縁部全域を徘徊していた。赤軍の猛攻撃の前に崩壊した。

リードの優れた著書に漂う不穏な疑問は、西側諸国が歴史を繰り返す運命にあるのかということである。介入(intervention)は失敗に終わり、目を凝らして見ると、今日のウクライナへの介入も、物資、人的資源、政治的意志が無限に湧き出るように見える広大で断固としたロシアを前にすると、同様に無駄に見えるかもしれない。アメリカ連邦議会共和党の極右派、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相、ドナルド・トランプ元米大統領たちはそう信じ込むだろう。ロシア介入中にロシア北部の連合国軍のイギリス軍司令官エドマンド・アイアンサイドが語った絶望感は、「ロシアはあまりにも巨大なので、息が詰まるような気分になる」というものだった。

しかし、歴史的な反響が強いにもかかわらず、この2つの介入の違いは、その類似点よりも示唆に富んでいる。綿密な研究は、おそらく更に大きな問いを投げかけている。対外介入を成功させる条件とは何か? 確かに連合国は失敗を犯したが、公平を期すなら、失敗の大半は自分たちの手に負えないことが原因だった。最も制限的な要因は、白系ロシアの同盟者たちが無能かつ有害だったことだ。白系ロシアは反ボリシェヴィキの社会主義者と無能な元ツァーリ将校からなるバラバラのグループで、根っからの大ロシア独裁者(Great Russian autocrats)だった。白系ロシアはロシア国民の支持を得られず、また決定的なことに、ウクライナ人からバルト人に至るまで、少数民族の宝庫である帝室主義(Tsarist)ロシアをロシアの庇護下に置こうとしていた。

今日のウクライナの置かれた状況ははるかに有利だ。アメリカとヨーロッパ諸国は、目もくらむような道徳的明快さとの闘いにおいて、ヴォロディミール・ゼレンスキー政権のウクライナにおいて統一された断固たる支持者たちを擁している。ロシア経済は戦時中の状況にあるかもしれないが、全体として見ると西側諸国ははるかに多くの資源を手元に持っている。そして、この任務、つまりやる気に満ちたウクライナを敵対的な侵略から守るということは、世界最大の国の政府を打倒するという試みに比べるとはるかに野心的ではない。実際、この2つの介入を冷静に比較すれば、当時の西側諸国の首都のように今は衰えつつある自国の政治的意志が邪魔にならない限り、西側はウクライナを最後までやり遂げるという決意を強めるはずだ。

対外介入に欠かせないのは、明確で達成可能な目的、信頼できる現地の同盟者たち、攻撃可能な敵国、物質的手段、そして最後までやり遂げる政治的意志である。連合軍のロシアへの介入は、ほとんどすべての面で致命的に欠けていた。

リードの物語で最も印象的なのは、連合国軍がロシアで一体何をするつもりだったのかがしばしば不透明なことだろう。確かなことは、全ての西側諸国政府がボリシェヴィズムを嫌悪し、その膨張主義的で感染力のある可能性を恐れていたということだ。しかし、それ以上の戦略や目的はほとんど共有されていなかった。実際、西側諸国の軍隊は当初、ドイツ軍の手に渡ることを恐れたロシア北部と東部の鉄道と連合軍の軍事倉庫を警備するために派遣された。しかし、1918年11月にドイツが降伏した後、状況は少し複雑になった。ジョージ・F・ケナンがその名著『介入の決断(The Decision to Intervene)』の中で述べているように、「アメリカ軍がロシアに到着して間もない頃、ワシントンが考えていたアメリカ軍がロシアに駐留するほとんど全ての理由が、歴史によって一挙に無効にされた」のである。

現地にいた熱心なイギリス軍将校たちは、ウィンストン・チャーチル陸軍長官のような国内のタカ派閣僚に後押しされ、気まぐれなロシアの冒険を擁護して自らの政治資金をほとんど使い果たしてしまったが、すぐに積極的に介入して赤軍と戦うイニシアティヴを確保した。ウクライナ南部など他の地域では、現地の白軍を支援する任務が明確であったが、フランスは一連の挫折と反乱に見舞われたため、すぐに意気消沈し、1919年4月に帰国の途に就いた。

この曖昧さを象徴するのが、ウッドロー・ウィルソン大統領が1918年7月に個人的に書いたメモに書かれたアメリカ軍介入の指示である。ウィルソン大統領はこの決断に苦悩し、「ロシアにおいて、何をするのが正しく、実行可能かについて分かるために血の汗を流している」というのが特徴的だった。ウィルソンはメモの冒頭で、軍事介入は「ロシアの現在の悲しい混乱を治すどころか、むしろ助長する」と警告し、シベリアで活動するチェコ軍団を支援するためと、「北方でロシア人組織が組織的に集まるのを安全にする」ためにロシア北部に米軍を派遣することを約束した。これらは明確な内容とは言い難い。

アメリカ軍将校たちは、これらの指示を疑わしそうに受け止めた。シベリアで8000人の将兵たち(doughboys)を指揮していたウィリアム・グレイブス大将は、アメリカが紛争に関与していることに明らかに懐疑的であり、ウィルソンの指示を赤軍と戦うのではなく鉄道の警備のみを許可するものと解釈していた。グレイブス大将は後に回想録の中で、ワシントンが何を達成しようとしているのか全く分からなかったと書いている。これは全て、シベリアでのより介入寄りのイギリスの同僚たちとは反対の考えであった。彼らは代わりに、白軍の恐ろしく無能な「最高支配者(supreme ruler)」アレクサンドル・コルチャク提督を積極的に支援した。アレクサンドル・コルチャック提督はロシア黒海艦隊の元司令官であり、内陸のシベリアの奥地で、不得意な陸戦を展開していた。ちなみに、コルチャック提督を現ロシア大統領ウラジーミル・プーティンは熱烈に支持している。

ここから白系ロシアの話に移る。おそらく、外国介入、特にウクライナとロシア内戦の両方に対する西側介入のような野心的な介入の必須条件は、現地の同盟国である。それは、西側諸国によるリビア介入後の混乱と、バルカン半島への介入の成功との違いだ。この点で白系ロシアは惨めな失敗を喫した。

どこから始めたらいいのか分からない。コルチャックの他にも、ロシア南部で白軍を率いていた無能なアントーン・デニーキン将軍がいた。彼は、自分の監視下で白軍が行ったウクライナのユダヤ人に対するおぞましいポグロムについて、連合国政府に対して嘘を言ってごまかした。また、11の時間帯にまたがるロシアの全周囲を網羅する、ありえないほど広大でバラバラの戦線で活動する以上に、複雑怪奇な白軍の派閥は、基本的に軍閥(warlords)として行動し、忠誠心や協調性はほとんど存在しなかった。

白系ロシアにとって致命的だったのは、首尾一貫した、あるいは説得力のあるイデオロギーが存在しなかったことだ。アントニー・ベーバーは、彼の素晴らしいロシア内戦史の中で、白系ロシアの敗因を政治的プログラムの欠如と分裂的性質の両方にあると指摘している。「ロシアでは、社会主義革命家たちと反動的君主主義者たちのまったく相容れない同盟は、共産主義者の独裁一本やりにほとんど歯が立たなかった」。

これら全てを赤軍と比較してみる。彼らはモスクワとサンクトペテルブルクの工業の中心地を支配し、より強力な国内通信網を使って内外に活動した。このおかげでレオン・トロツキー政治局員、リードによれば、彼は「洞察力があり、決断力があり、限りなく精力的という、天才に近い戦争指導者として開花した」、白軍がロシア東部と北部から前進する中、劣勢な前線を強化するために装甲列車に飛び乗ることができた。ボリシェヴィキは、破滅的な経済政策を実施し、国内でテロの第一波を引き起こしたにもかかわらず、士気が高く、少なくともその時点では地元住民たちにある程度のアピールをする明確なイデオロギーを持っていた。

そして根本的に、彼らの意志は白系ロシアや西側諸国よりもはるかに強かった。第一次世界大戦の荒廃の後、連合国政府はボルシェビズムの蔓延を恐れたが、疲弊した国民を巻き込むことはできなかった。この点で、歴史的な反響は最も厄介である。国民の支持は当然のことながら低迷し予算は逼迫した。1919年、イギリスの『デイリー・エクスプレス』紙が、今日のアメリカ共和党のレトリックを利用して次のように述べた。「イギリスは既に世界の半分の警察官であるが、全ヨーロッパの警察官にはなれない。東ヨーロッパの凍てつくような平原は、イギリスの擲弾兵一人の骨にも値しない」。シベリアとロシア南部での白系ロシアの挫折は、棺桶に釘を打つようなものだった。当時も今もウクライナでは、介入に対する外国の政治的支持は、戦場での勢いの感覚に最も依存していた。

外交政策立案者たちの仕事は、自分たちがコントロールできるものとコントロールできないものを区別することだ。同盟諸国、地理、敵の脆弱性など、有利な条件を直観できる限り、戦略と目標、政治的意志の動員、努力を支援する資材の提供、調整など、自分たちが管理できる事柄に焦点を当て、同盟諸国とそれらを最適化することが課題ということになる。

現在、西側諸国の首都に蔓延している悲観論にもかかわらず、今日のウクライナ戦争は、ロシア内戦中に連合諸国が直面した状況とは異なり、政策立案者たちが望むことができる、より好ましい状況のいくつかを提示している。白系ロシアと異なり、ウクライナは価値ある有能な同盟国であり、意欲の高い国民を背景に領土を守るために戦っている。ウクライナの大義は正義にかなったものであり、二項対立の特質を西側諸国の国民に容易に説明できる。プーティン大統領の勝利への個人的な意志は強い一方で、ロシア社会を全面的に動員することへの躊躇とその行動を見れば、彼が国民に求めることの限界を感じていることは明らかだ。ロシアの人的資源と物資はウクライナよりも多いが、ウクライナの武装と戦闘を維持するために必要な量は完全に管理可能である。現在連邦下院の共和党極右派が停止させている、アメリカからの600億ドルの補助金は、その見返りに比べれば微々たるものである。ウクライナを擁護することで西側の価値観を擁護する。ロシアを戦略的な落とし穴にはまり込ませ、NATOの東側面の残りの部分を脅かすロシアの能力を低下させる。そして大西洋横断同盟を強化する。現在、西側諸国の首都は、1918年当時に比べてはるかに団結しており、各首都間の防衛連携も強固になっている。彼らはウクライナの終盤戦に対する共通の感覚を鋭くすることはできるが、紛争が何らかの交渉による解決で終わることは誰もが知っている――問題は誰の条件によるものか、である。

もしアメリカとその同盟諸国が、ロシア内戦への西側の介入の落とし穴を避けることができれば、つまり、明確な長期戦略を策定し、緊密な連携を継続し、自国民に訴えかけることで国内の支持を強化することができれば、プーティンに打ち勝つ可能性は十分にある。このような好条件を考えると、長期的な成功への主な、そしておそらく唯一の障害は、この仕事をやり遂げる政治的意志があるかどうかである。

※セオドア・バンゼル:ラザード社地政学顧問会議議長兼執行委員。駐モスクワ米大使館政治部門、米財務省で勤務した。

(貼り付け終わり)

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