古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:林芳正

 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 先週金曜日に自民党総裁選挙が実施され、石破茂新総裁が選出された。それから週末にかけて、人事構想が報道されるように、明けて9月30日月曜日には、なんと、10月27日に投開票となる、解散総選挙が実施されることが決まった。何とも慌ただしい数日間となった。今回の人事は、安倍派清和会を排除するものとなった。麻生太郎元首相は最高顧問就任の打診を受諾する方向であるという。総裁選挙で子分の河野太郎を見捨てて、結局負けるという大失態を演じた麻生は静かに引退させてもらえずに、晒し者になる。「最高顧問だって()」と鼻で笑われながら、じろじろと見られることになるだろう。菅義偉元首相は副総裁になる。自民党の機構上、副総裁には何の力もないが、肩書だけは立派だ。自民党執行部に入った以上、石破を支える立場ということになり、倒閣運動などをする場合にはその座から去らねばならない。自分の持ち球である小泉進次郎の出来が悪すぎて、半分失敗したようなものだから、しばらくは静かにしているだろう。

 驚きだったのは森山裕議員の幹事長就任、小泉進次郎議員の選対本部長就任である。森山議員が石破新総裁に進言して、早期の解散総選挙が実現したということで、森山幹事長は、選挙を仕切って、石破で勝たせるということに全力だろう。ここで勝利すれば、森山議員の自民党内での影響力も増す。実質的に選対を仕切るのは森山氏だ。選対本部長の小泉進次郎議員は厳しい立場だ。裏金議員や統一教会関係議員の公認をどうするか、で血刀をぶら下げて同僚議員の首を切らねばならないことになる。小泉議員に恨みが集中する。ここをうまく乗り切れば、小泉復権ということになるが、うまくいかなければ、弊履の如く捨てられてしまうだろう。正念場である。

 重要なのは林芳正議員の官房長官続投である。林氏は今回の総裁選挙でも豪雨対策で公務優先し、評価を上げた。岸田派宏池会として林芳正議員が後継者となり、ポスト石破ということになる。官房副長官には青木一彦参議院議員が選ばれた。茂木派は茂木敏光議員が総裁選挙で敗北し、力を失っていく。既に退会している小渕優子議員と青木一彦参議院議員が小渕派経世会(七日会)を再建していく。小渕優子議員は組織運動本部長ということで、自民党の政治運動全般、様々な団体や組織との交渉などを統括する立場となる。ここで、人脈を広げておくこと将来の総理総裁候補となるためには重要だ。

 私が興味を持っていたのは、総裁選挙で小林鷹之代議士を支援した福田達夫議員の処遇だった。安倍派清和会の次期プリンスという位置づけだった。清和会は、岸-安倍系と福田系の2つの流れがあり、昭和時代は特に跡目相続の際に争いが絶えない派閥だった。福田達夫議員は幹事長代行ということで、森山幹事長を支える執行部入りということになった。これは、安倍派との分離を示している。総裁選挙で最下位だった加藤勝信議員は財務大臣に就任。加藤議員の岳父加藤六月は、安倍派の相続争いで、森喜朗に敗れて苦杯をなめたという経験を持つが、これは森喜朗への当てつけかと思うほどだ。

 石破執行部・政権は、裏金問題や統一教会問題を利用しての安倍派清和会弱体化を意図したものだ。それがよく示されている。

(貼り付けはじめ)

●「麻生氏が最高顧問、過去に岸信介氏らの名も 党役員・閣僚人事の全容」

9/29() 21:20配信 朝日新聞デジタル

https://news.yahoo.co.jp/articles/585915f4721464642bb833192781d6c825e1ee9a

 自民党の石破茂新総裁による党役員・閣僚人事の全容が29日、判明した。党最高顧問に麻生太郎副総裁(84)を充て、総務会長には鈴木俊一財務相(71)を起用する。1日に発足する新内閣の閣僚のうち初入閣は13人、女性は2人。いずれも防衛相経験者の岩屋毅衆院議員(67)を外相に、中谷元衆院議員(66)を防衛相に起用する。

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【チャート図】固辞相次ぐ石破人事 船出は分断消えぬまま

■組織運動本部長に小渕氏、小泉氏は選対委員長

 幹事長に内定している森山裕総務会長(79)が29日、都内で麻生氏と会談した。関係者によると、森山氏から最高顧問を打診し、麻生氏は応じる意向を示したという。総裁選の決選投票で高市早苗経済安全保障相(63)を支持した麻生氏を処遇し、党の最高意思決定機関である総務会のトップに麻生派の鈴木氏を充てることで挙党態勢を演出する。過去には首相経験者の岸信介氏や福田赳夫氏らが最高顧問を務めた。

 また、国会対策委員長に坂本哲志農林水産相(73)、組織運動本部長に小渕優子選挙対策委員長(50)を充てる。平井卓也広報本部長(66)は続投する。副総裁に菅義偉前首相(75)、政調会長に小野寺五典元防衛相(64)、選対委員長に小泉進次郎元環境相(43)はすでに内定している。

■文科相に阿部俊子氏、三原じゅん子氏も初入閣

 今回の人事では、裏金問題で政治資金収支報告書の不記載が発覚した議員は起用しない方向だ。

 閣僚のうち外相の岩屋氏、防衛相の中谷氏はいずれも石破氏に近く、防衛政策に詳しい。外交・安全保障を重視する石破氏の姿勢を反映した形だ。石破氏が主張する日米地位協定の改定やアジア版NATO創設の実現に向けた交渉を担当する。

 女性閣僚は、こども政策担当相に三原じゅん子・元厚生労働副大臣(60)、文部科学相に阿部俊子・文科副大臣(65)を起用する。

 総裁選で石破氏の推薦人だった議員が多く登用される。村上誠一郎元行政改革相(72)は総務相、小里泰弘首相補佐官(66)は農林水産相、平将明党広報本部長代理(57)はデジタル相、赤沢亮正財務副大臣(63)は経済再生相、伊東良孝元農水副大臣(75)は沖縄・北方担当相となる。

 法相に牧原秀樹(53)、厚生労働相に福岡資麿(51)、経済産業相に武藤容治(68)、環境相に浅尾慶一郎(60)、復興相に伊藤忠彦(60)、国家公安委員長に坂井学(59)、経済安保相に城内実(59)の7氏が就く。

 安全保障担当の首相補佐官には長島昭久衆院議員(62)が就く。官僚トップの事務の官房副長官は佐藤文俊・元総務事務次官(67)を起用する。政務の官房副長官は橘慶一郎衆院議員(63)と青木一彦参院議員(63)が内定している。

=====

●「森山氏進言受け石破氏、衆院選「10月27日」短期決戦へ決断…立民・野田氏は「ひょう変」批判」

9/30() 6:26配信 読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/104f97d7f92b14180609632bec143d3ac066a2ab

https://news.yahoo.co.jp/articles/104f97d7f92b14180609632bec143d3ac066a2ab?page=2

https://news.yahoo.co.jp/articles/104f97d7f92b14180609632bec143d3ac066a2ab?page=3

[スキャナー]

 自民党の石破茂新総裁が衆院選を「10月15日公示―27日投開票」で行うのは、政権発足の勢いに乗り、短期決戦で勝利を収めたいとの思惑からだ。森山裕新幹事長らも強く進言した。党役員・閣僚人事は総裁選の論功行賞と首相経験者への配慮の色合いが濃く、世論の評価につながるかどうかは不透明だ。(政治部 森藤千恵、阿部真司)

 「新政権の信を問うのはやっぱり早い方がいいと思っている」

 29日のフジテレビの番組で石破氏はこう強調した。

 10月1日に召集される臨時国会の審議については、党首討論を挙げ、「(国民に)判断いただける材料をきちんと調える」と述べた。

 4日の衆参両院での所信表明演説とそれに続く各党代表質問を終えた後、党首討論で野党側との論戦に応じたうえで、衆院解散に踏み切る意向を示したものとみられる。

 石破氏は9日に衆院を解散し、ラオスで10~11日に開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議で首脳外交デビューを果たしたい考えだ。

ひょう変

 石破氏は総裁選の論戦では、「世界情勢がどうなるか分からないのに『すぐ解散する』という言い方はしない」(9月14日)と語るなど、早期解散に慎重姿勢を示すこともあった。

 衆院解散を巡っては、憲法69条に内閣が不信任となった場合、解散か総辞職を選ぶ規定があることから、解散はこれに限るべきだとの主張がある。一方、憲法7条には内閣の助言と承認による天皇の国事行為の一つとして解散が書かれており、これを根拠にした「7条解散」が定着しているのが実情だ。

 石破氏は元々、首相がタイミングを選べる「7条解散」に否定的で、自身のブログでも「解散は政権の延命や党利党略目的で行われるべきものではない」(2023年6月9日)と指摘していた。

 この日の番組では、石破氏は「国民の審判を経ないまま、新政権ができた。どうですかと判断を求めるのも69条の趣旨には合致する」と説明したが、立憲民主党の野田代表から「全く納得できない。これまでおっしゃってきたことと違う」と、ひょう変ぶりを突っ込まれる場面があった。

メリット

 石破氏が早期解散に傾斜したのは、森山総務会長が幹事長ポストを引き受けるにあたり、衆院選をできる限り急ぐことで、総裁選の盛り上がりを活用できるメリットを説いたことが大きいとみられる。

 岸田首相や菅前首相も森山氏と同じ考えだった。さらに、公明党も来年夏の参院選を見据え、早期の衆院選を求めていたことが石破氏の背中を押した。

 内閣支持率は発足直後に最も高まり、閣僚らの不祥事などで徐々に低下していくことが多い。

 2008年9月に就任した麻生首相は当初、高い支持率を誇ったが、解散のタイミングを逸し、衆院議員の任期満了直前の解散を迫られ、選挙に惨敗して政権交代を許した。

 今の衆院議員の任期満了は25年10月に迫っており、自民党内では「麻生政権の二の舞いは避けたい」との懸念が強い。

 党役員・閣僚に内定した顔ぶれを見ると、石破新総裁と関係が近い議員や、総裁選の決選投票で石破氏支持に回った議員が目立つ。

 「私の政策に真っ向反対と言われると、閣内不一致や執行部不一致が起こるので、なかなかつらい」

 石破氏は29日のフジテレビ番組でこう述べ、自身と考え方が近い議員の起用を重視する考えを示した。

 石破氏の思い入れが強い要所には古くから親交がある同じ防衛相経験者から、総裁選で石破氏の選挙対策本部長を務めた岩屋毅氏が外相、中谷元氏が防衛相、小野寺五典氏が党政調会長に就く。経済再生相の赤沢亮正財務副大臣、デジタル相の平将明・元内閣府副大臣は、旧石破派で長く石破氏を支えてきた面々だ。

 決選投票で石破氏の支持に回った旧岸田派や菅義偉・前首相のグループへの配慮もにじむ。

 一方で、決選投票を争った高市経済安全保障相の取り込みにも気を配った。石破氏は29日の番組で、高市氏について「今まで色んなキャリアを経てきた。党全体、国全体のためであれば起用したい」と語った。

 だが、高市氏は、党の意思決定を仕切る総務会長の打診を断り、距離を置く姿勢を鮮明にした。総裁選で5位となった小林鷹之・前経済安保相も党広報本部長を固辞した。

 そこで石破氏が「挙党態勢」を演出するために頼ったのは麻生副総裁だった。

 幹事長に就く森山総務会長は29日、東京都内で麻生氏と面会し、党最高顧問への就任を依頼し、麻生氏は受諾した。

 唯一、派閥を維持する麻生派(54人)は決選投票で高市氏支持に回ったが、総務会長に鈴木財務相が就き、武藤容治・元経済産業副大臣と、浅尾慶一郎・参院議院運営委員長が初入閣することになった。ただ、旧安倍派からの入閣はゼロで、「のけ者扱いだ」(同派若手)との反発も出ている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
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 2024年9月27日午後、自民党総裁選挙が実施された。9名の候補者が出馬して、選挙運動が行われ、投開票が実施された。1回目の投票は議員票(367票)と党員票(367票)で行われた。1回目の選挙の結果は以下の通りだ。
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(1)高市早苗181票(議員票72票;党員票109)

(2)石破茂154票(議員票46票;党員票108票)

(3)小泉進次郎136票(議員票75票;党員票61票)

(4)林芳正65票(議員票38票;党員票27票)

(5)小林鷹之60票(議員票41票;党員票19票)

(6)茂木敏光47票(議員票34票;党員票13票)

(7)上川陽子40票(議員票23票;党員票17票)

(8)河野太郎30票(議員票22票;党員票7票)

(9)加藤勝信22票(議員票16票;党員票6票)

 有力と見られていた、小泉進次郎議員が3位に沈んだ。過半数を獲得した候補者が出なかったために、1位の高市早苗議員と2位の石破茂議員による決選投票が実施された。決選投票は議員票(367票)と都道府県連票(47票)と、議員票の割合が高くなる。決選投票の結果は以下の通りだ。

(1)石破茂215票(議員票189票;都道府県連票26票)

(2)高市早苗194票(議員票173票;都道府県連票21)

無効票:5票
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 選挙の結果、石破茂議員が自民党の新総裁に選出された。そして、首相に指名されることが確実になった。私は、小泉進次郎議員選出が確実という見立てが政治のプロの間でなされていることを知り、絶望していた。更に、最近になって高市早苗議員の人気が急上昇していると報道されて、ますます嫌になっていた。「前門の小泉、後門の高市」で困ったことだなと思っていた。更に、麻生太郎元首相・副総裁が自身の率いる麻生派に1回目の投票で、自派の河野太郎議員ではなく、高市早苗議員に投票せよと促したという報道を見て、ますます嫌になっていた。麻生議員は高市議員が「勝ち馬」になると見ているのだと考え、なんてことだと諦めの気持ちになっていた。

 そうした絶望や諦めの気持ちが大きかった分、決選投票で石破議員が選出された時には、安堵感を持った。もちろん、石破氏が最善の選択肢ではない。しかし、最悪の選択肢を避けることができたというのは日本国にとって何よりのことだった。安倍晋三政治の清算ということがそのまま進められるな、自民党保守本流政治の復活が期待できるなと感じている。しかし、もちろん、石破氏に対する自民党内の反感、拒否感は大きい、党内運営は厳しいものとなるだろう。何か小さな失敗でも倒閣運動も起きるだろう。

 こうして見ると、立憲民主党の野田佳彦新代表選出は何とも悪い選択となった。野田代表は中道から少し右の有権者の支持を狙うと発言した。自民党総裁に、その層にアピール力を持つ石破新総裁が選ばれた。石破氏対野田氏でどちらに勝ち目があるか、と言えば、残念ながら石破氏だろう。野田氏は民主党の介錯人を務めた。最悪の場合、二度目の介錯人を務めることになるだろう。

 麻生太郎議員は晩節を汚す大きな判断ミスを行った。高市議員が勝利していれば、キングメイカーとして存在感を増していただろうが、自派の河野議員を見捨て、勝ち馬にも乗れずという最悪の結果となった。もっと早くに引退しておれば、晩節を汚すこともなかっただろうに、最後の最後でこのようなことになった。麻生派は派内で麻生太郎議員に対する引退勧告を出すべきだろう。84歳という年齢を考えればもう引退してもおかしくない。麻生派の跡目争いということが起きて、麻生派は分裂するだろうが、河野氏にどれだけの議員がついていくだろうか。今回の選挙で人望のなさが露呈した。これからの政治生命も脅かされてしまうだろう。小林鷹之議員は福田達夫議員と中曽根康隆議員の、安倍派と二階派の若手たちの支援を受けてある程度は戦えただろうが、それ以上のことはない。最初から最後まで不思議だったのは、そして今でも不思議なのは、上川陽子議員の人気が上がっていると言われ続けたことだ。一体何だったのか、一種の陽動、当て馬だったのだろうかと考えざるを得ない。

 今回の自民党総裁選挙では、最悪の選択肢を回避することになった。それが何よりの収穫である。自民党が大きく変わることはないし、議員たちがルールを守るということが一番実現困難なことだろう。しかし、最悪の事態を免れた。そのことが大きい。

(貼り付けはじめ)

●「自民新総裁の石破茂氏 元銀行員、安全保障や農政の論客」

9/27() 15:30配信 毎日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/c6f78ed348ffd0f8d69bda571f1537bcf9847ed4

 5回目の挑戦にして初めて自民党総裁に選ばれた石破茂氏とはどんな人物なのか。

 父は、自治相や鳥取県知事を務めた石破二朗氏。慶応大を卒業後、三井銀行(現三井住友銀行)に勤めていたが、父の死後に田中角栄元首相の勧めで1986年衆院選に自民党公認で出馬して初当選した。

 リクルート事件後につくられた若手議員のグループで中心的役割を担い、選挙制度改革を訴えた。非自民の細川護熙連立政権が誕生した93年に自民党を離党。新生党や新進党に所属し、97年に自民党へ復党した。安全保障や農政の論客として知られ、防衛相や農相を歴任している。

 歴代最長政権を築いた安倍晋三元首相とは距離があったとされ、安倍政権に批判的な発言を繰り返してきた。各種世論調査では「次の首相にふさわしい人」でトップに顔を出す一方、党内の国会議員の人気は高くなく、総裁選では敗退を繰り返していた。

 今回の総裁選は「38年間の政治生活の総決算。最後の戦いに挑む」との思いで臨んでいた。

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<独自>自民・麻生副総裁が高市氏支持へ、麻生派議員にも指示 1回目から

9/26() 22:44配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/385a69f027f45a2b77afa8d7d1186ce7c2c9e95f

自民党の麻生太郎副総裁が、総裁選(27日投開票)で高市早苗経済安全保障担当相を支持する意向を固め、岸田文雄首相(党総裁)らに伝えたことが分かった。26日、複数の党幹部が明らかにした。麻生氏はこれまで麻生派(志公会)の河野太郎デジタル相を支援する考えを示していた。麻生派は河野氏や上川陽子外相らに推薦人を出していたが、麻生氏は1回目の投票から高市氏を支援するよう同派議員に指示を出した。

総裁選は高市氏のほか、石破茂元幹事長と小泉進次郎元環境相の3人が激しく競り合う混戦となっている。麻生氏はこのうち、首相在任中に自らに退陣要求を突きつけた石破氏や、関係が良好ではない菅義偉前首相と近い小泉氏支持には難色を示していた。

ただ、党として派閥解消を掲げる中、麻生氏の派閥単位での指示が同派議員に徹底されるかは不透明だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 以下の論稿は、10月31日の総選挙の前に、アメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌に掲載された日本政治分析の記事を紹介する。この記事では、安倍政権の功績を称え、岸田政権の行き先を不安視する内容だったが、結局、岸田文雄首相は政権基盤を固め、邪魔者だった甘利明には選挙で負けた責任を取らせて幹事長を辞任させることに成功した。また、これまでの人事では巧妙に麻生太郎と安倍晋三を外す動きを少しずつ進めている。

 下に紹介する記事は、日本政治の実態を捉えているとは言い難い。しかし、「アメリカ側から見た日本政治の姿」という側面からは良く書けているということになる。安倍政権下での対米従属の深化は、アメリカ側からすれば、日本の手駒としての能力が上がったということである。将棋で言えば、「歩」程度だったが、「飛車」「角行」とまではいかないが、「香車」程度にはなったということである。これで「日本の使い勝手」が良くなったということになる。

 岸田文雄に首相が交代したことでアメリカは警戒感を持っていることだろうが、そこに、ともにハーヴァード大学ケネディ行政大学院で修士号を取得した、茂木敏光を自民党幹事長に配し、林芳正を外相に起用したことで、「アメリカには逆らいません」という姿勢を示すことで、アメリカの警戒感を和らげようとしている。また、ジョージタウン大学卒業の河野太郎も首相候補であることから、これからしばらくは、アメリカで教育を受けた人物たちが首相を務めることになるだろうということをアメリカにシグナルとして送っている。

 この論稿の筆者はアメリカで日本政治を研究する立派な学者であろうが、やはり日本にいないことで、日本分析は隔靴掻痒の感を否めない。安倍首相は偉かった、岸田首相は心配という単純な話では済まないのである。

(貼り付けはじめ)

日本の総選挙は岸田の運命を決めることになるだろう(Japan’s Lower House Elections Will Decide Kishida’s Fate

-「回転ドア」首相は国内と国外に影響を与えることだろう

ナオコ・アオキ筆

『フォーリン・ポリシー』誌

2021年10月29日

https://foreignpolicy.com/2021/10/29/japan-kishida-ldp-prime-minister-revolving-door-lower-house-elections/

日本の下院に当たる衆議院議員選挙が10月31日に実施される。これは新たに首相に就任した岸田文雄首相にとっては最初の大きなテストとなるだろう。彼は前任者である菅義偉が就任後1年で辞職したことを受けて今月初めに首相に就任したばかりだ。今回の首相交代によって首相交代のサイクルがとても早いように見えるかもしれないが、2012年12月から2020年9月までの約8年間、日本を率いた安倍晋三元首相の時代までは、ほぼ毎年、新しい首相が誕生するのが当たり前だった。

菅首相の辞任が、日本の首相の「回転ドア」の連鎖の始まりとなるのか、はたまた、岸田首相も同じ運命をたどるのか、判断するのは時期尚早だ。過去には、政治的な戦いやスキャンダルで辞任する首相もいたし、個人の健康上の理由で辞任する首相もいた。しかし、選挙の敗北の結果として辞任ということが多かった。日曜日の選挙は、岸田首相が権力の座に座り続けられるかどうかを測るリトマス試験紙ということになるだろう。

岸田首相がどれだけ続けられるかが問題ではないという人たちもいるだろう。血胸のところ、日本は法の支配(rule of law)を尊重し、自由で公正な選挙(free and fair elections)が実施され、人々の諸権利(civil rights)が守られている安定した民主政治体制(stable democracy)である。近年、欧米で大きな広がりを見せているポピュリズム(populism)の陥穽も、この国では回避されている。また、政策の策定や効果的な実施に大きな役割を果たす強力な官僚組織があることでも知られている。

しかし、日本の首相の在任期間が日本にとっても世界にとっても重要である複数の理由がある。

1994年以降、日本の政治改革によって、首相の権力は拡大している。同年の選挙改革によって、議会の選挙システムは中選挙区制(multi-seat constituencies)から小選挙区制(single-seat districts)と比例代表制(proportional representation)に代わった。これによって、一つの選挙区の中で、一つの政党が複数の候補者を出して勝利を収めることができなくなった。

これにより、過去70年間、日本の政治を支配してきた自民党内の力学が変化し、かつては選挙区で候補者を出し合っていた自民党の派閥(factions)の間の競争が緩和された。その結果、自民党内の派閥の領袖たちの影響力は低下し、首相が派閥の領袖たちの意向に左右されなくなり、少なくとも理論的には、総理総裁がより個人的な力を発揮できるようになった。

また、1990年代後半から始まった一連の行政改革により、官僚に頼らずに政策を始め、展開できる首相の法的権限が強化された。2001年には政策設計機能と内閣府の創設によって官房長官(Cabinet Secretariat)の力が強化された。内閣府は政策形成の点で首相を直接支援する機能を持っている。安倍政権は2013年に国家安全保障会議(National Security Council)を創設し、外交政策に関する首相の力を強化した。これは、政治の最高指導者の手に安全保障政策形成の力を集中させるものだ。

つまり、現在の日本の首相は、20年前の首相に比べて、国の方向性を決め、政策の優先順位を決定し、改革を実行できるより強い立場にある。

権限は強化されているが、短期でどんどん交代していく首相では、中期的もしくは長期的なヴィジョンを実現するのに十分な時間を持つことはできない。短い在任期間では、首相が国内政治システムの重要な利害関係者から支持を得て、法案を起草して可決し、優先順位の高い政策を実行することはできない。この現象は、遠くない過去に多くの例が存在する。

最近の日本の首相は就任後に自分自身の経済成長戦略をスタートさせてきた。2007年9月から2008年9月まで首相を務めた福田康夫はテクノロジー部門の技術革新を通じて成長を促進する計画を立てた。福田の後任麻生太郎の在任期間は1年弱だった。麻生派自身の「成長イニシアティヴ」を策定した。アジア全体の経済規模を2倍にするために、輸出主導型モデル(export-oriented model)から需要主導型モデル(demand-driven one)に転換することを目指した。しかし、世界的な金融危機に見舞われ、福田も麻生もともに大きな成果は得られなかった。

2009年から2012年にかけて、自民党は野党だった。この時期に出た民主党の首相3人もまた自身の経済プログラムを推進した。たとえば、2011年9月から2012年12月まで482日間在任した野田佳彦は、8カ年経済成長戦略をスタートさせた。この戦略の目的は、「日本再生(rebirth of Japan)」を達成することだった。この計画は、2011年3月に発生した福島第一原発事故の後に導入され、その目的は、医療や再生可能エネルギーのような分野で新しい産業と雇用を生み出すことであった。多くの目標の一つは、2020年までに、ガソリンと電気のハイブリッド、電気、天然ガスなど高燃費効率車が日本の全自動車の50%を占めるようにすることだった。しかし、その計画は頓挫してしまった。2020年の日本の新車販売台数のうち、これらの車の販売台数は36.2%にとどまった。この36.2%の内訳は、環境に優しい完全な電気自動車ではなく、ガソリンと電気のハイブリッド車が大半を占めている。

同じパターンが外交政策でも繰り返されている。福田はこれから30年間のヴィジョンとして、太平洋に面した、環太平洋(Pacific Rim)の諸国のネットワーク化を進め、「太平洋を内海(inland sea)にする」ことを提唱した。このヴィジョンにおいて日本にとって重要政策とされたのは、インド洋において対テロ作戦に従事しているアメリカと外国の艦船に対する燃料補給業務を海上自衛隊に行わせることで、アメリカ主導のテロリズムの戦いに貢献することだった。皮肉なことに、皮肉なことに、福田は自民党が過半数を失った参議院で海上自衛隊の燃料補給業務の再可決法案を可決させることができずに辞任した。一方、麻生は「自由と繁栄の弧(arc of freedom and prosperity)」を議論した。これは、日本が同様の価値観を持つ国々と協力するというものだった。その基本概念は、現在の日本の外交政策にも生きているが、麻生の構想の名前で覚えている人はほぼいない。

安倍首相は約8年首相に在任し、強化された立場を完全に活用することで、これらの常識を覆した。最も注目すべきは、大規模な金融緩和、財政出動、構造改革を組み合わせた「アベノミクス」と呼ばれる経済成長プログラムである。アベノミクスは、日本経済の将来の軌道を根本的に変えるには至らなかったものの、デフレ脱却、失業率の低下、企業収益の向上を実現した。また、マーケティング的にも成功した。日本の首相の名前が、日本の専門家たちの少数グループだけに知られているだけでなく、世界中に知られている政策プログラムに付いているのは珍しいことだ。

経済に加えて、安倍派安全保障分野で成果を残した。日本の自衛隊の使命を拡大することで成果を残した。これらのステップをめぐっては論争が起きた。日本国憲法第9条は戦争を放棄している。これまでの数十年間、自衛隊の役割は増大しているが、安倍の改革は、特定の条件下での集団的自衛権の行使を日本に与えることで、重要な成果を上げた。

安倍首相が長期にわたり首相に在任したことで、日本の外交政策にも貢献した。安倍首相は、外交的そして概念的な構想を推進するために必要な諸外国の指導者との関係を構築する時間を得ることができた。この努力の成果の一つは、自由で開かれたインド太平洋というヴィジョンである。この考えは安倍首相が元々提唱したものだったが、トランプ政権によって採用され、2017年には完全なアメリカの戦略となった。

安倍政権下、2017年にアメリカが協議から脱退した後も、日本は地域の自由貿易協定である環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)を主導した。アメリカが関与しない多極的な枠組みで日本が指導力を示したレアケースだった。

もちろん、安倍元首相の長期にわたった在任期間は、彼の政策目標が全て達成されたということを意味しない。とりわけ、また、1970年代から1980年代にかけて北朝鮮に拉致された日本人に関する問題や、北朝鮮の核・ミサイルの脅威の抑制について、北朝鮮との間で進展させることはできなかった。安倍首相はまた千島列島日本では北方領土と知られる千島列島をめぐるロシアとの領土問題についても何の進展もなかった。

また、首相の政治力を決める要因は、在任期間だけではない。国民からの支持もまた重要だ。安倍元首相は在任期間のほとんどで国民からの支持を享受した。安倍首相の外交・安全保障政策に対しては、中国をはじめとする地域の新たな課題に対処する必要性についての国内のコンセンサスが高まっていたことも追い風となった。

ここで2021年10月31日の選挙の話が出てくる。自民党の選挙結果によって、自民党が岸田を総裁に選んだことと岸田が挙げた公約に対する国民の支持の程度を測定することになるだろう。

現時点では、自民党が議席を増やすかどうかではなく、どれくらい議席を減らすかが問題となっている。最近の世論調査では、自民党の支持率が低下している。岸田首相は自民党の連立相手である公明党との間で衆議院の過半数を維持するという控えめな目標を掲げている。2021年10月14日に国会を解散する(dissolution)前、日本の下院にあたる衆議院465議席のうち、自民党は276議席を占め、公明党は29議席を占めている。岸田の掲げた目標を達成するためには、自民党は72議席を減らすことができる。最近の世論調査では、自公連立政権が過半数を維持する可能性が高いと言われているが、自民党が単独で過半数を維持できるかどうかは不確実である。

日曜日に自民党が予想以上の結果を出せば、党内での岸田首相の影響力が高まり、岸田首相が希望する政策を実行するための時間と場所が確保される可能性が高まる。良くない結果になれば、その可能性は低くなり、公明党の影響力は大きくなる。良くない結果となれば、来年夏の参議院選挙に向けて、自民党はまた新たな総理総裁選出を検討するきっかけにもなるだろう。どちらの結果になるにしても、岸田の仕事はより複雑になっていくだろう。

※ナオコ・アオキ:メリーランド大学国際・安全保障研究センター研究員、アメリカン大学の準教授を務めている。

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日本の選挙:岸田文雄首相は与党自民党の勝利を宣言(Japan election: PM Fumio Kishida declares victory for ruling LDP

BBC

2021年11月1日

https://www.bbc.com/news/world-asia-59110828

日本の岸田文雄首相は彼が率いる与党自由民主党(Liberal Democratic PartyLDP)の勝利を宣言した。

1カ月前に首相に就任したばかりの岸田氏にとって大勝利となった。彼が率いる自民党は衆議院(lower house)で233議席以上の議席を確保した。これは連立のパートナーである公明党の存在がなくても議会の過半数を占める数字だ。

自民党はこれまで数十年にわたり日本政治を支配してきたが、新型コロナウイルス感染拡大対策では批判を浴びた。

岸田首相の前任者菅義偉は就任1年で辞職することになった。

新型コロナウイルス感染者数拡大についての人々の懸念がありながらも東京オリンピック開催を推進し続けたことで自民党の支持率は低下し続けていた。そうした中で、菅首相の辞職が発表された。

64歳の岸田氏は長年にわたり首相の座を狙い続け、2012年から2017年まで外相を務めた。

自民党は465議席中276議席を占める形で総選挙を迎えた。

選挙戦序盤の世論調査では、自民党は過半数を占めるためには連立パートナーの公明党に頼らねばならないという結果が示されていたが、その予測は覆された。

自民党は261議席を獲得し、過半数の233議席を大きく上回った。公明党は32議席を獲得し、連立与党の議席数は合計で293議席となった。

日本の議会は、国会(National Diet)として知られている。国会は下院(lower)に当たる衆議院(House of Representatives)と上院(upper)に当たる参議院(House of Councillors)で構成される。

日曜日の投票はより優位な衆議院に関するものであり、参議院議員選挙は来年実施される。

月曜日、日経225は2.6%の上昇で終えた。投資家たちは自民党が過半数を大きく超えて議席を獲得したことについて、岸田首相の経済刺激策が議会をスムーズに通過するだろうということに賭けた。株価上昇はこのことを意味している。

選挙前、岸田首相は新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにして、世界第三位の経済を支援するために数十兆円規模の支出を行うことを約束した。

日曜日、岸田首相は公営放送であるNHKに出演し、その際、今年の終わりまでに更なる追加予算を策定する計画だと述べた。

●岸田文雄とはどんな人物?

(1)岸田氏は政治家一族の出身であり、彼の父親と祖父も政府に関与した。

(2)彼は1993年に議員に初当選した。2012年から2017年まで外相を務めたがこれは最長記録だ。

(3)2016年のバラク・オバマ大統領の広島(岸田氏の地元)訪問を調整した。広島は核爆弾による攻撃を受けた都市の一つだ。現職のアメリカ大統領による初訪問となった。

(4)名門の東京大学の入学試験に失敗した。これは多くが東京大学で学んだ彼の一族からは「恥(embarrassment)」と見られた。

(5)彼はお酒を飲むのを好む。外相時代にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相に飲み比べを挑んだというエピソードは有名だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 今回は、林芳正外相起用に関する優れた分析記事をご紹介する。私は、岸田首相はかなりしたたかな人物であると見ている。「岸田は3A(安倍、麻生、甘利)の傀儡(かいらい、操り人形)だ」という主張が多くなされていたが、私はそうだろうかと思っていた。甘利明を幹事長に持ってきたときには、「それ見ろ、3Aの言いなりじゃないか」ということになったが、私は「幹事長は総選挙の最高責任者であり、総裁に責任を負わせないために、選挙で負けたら(自民党が議席を減らしたら)、辞任もある。だから短命で終わるかもしれない」と考えていた。実際には、自民党は大敗ということではなかったが、甘利明は自身が小選挙区で落選し、結果として幹事長を辞任することになった。大物が小選挙区で落選するということは、それだけで政治生命に大ダメージを与えることだ。甘利の浮上は難しい。3Aの一角が崩れた。
kishidafumiohayashiyoshimasa505

林芳正(左)と岸田文雄
 麻生太郎を自民党副総裁という形で遇した。副総裁と言えば何かかなり偉いポジションのようだが、実際は何の権限もないし、お飾り、盲腸のようなもので、「上がり」ポジションだ。「上がり」ポジションとしては、議長というものもあるが、麻生太郎は首相を経験しており、慣例的にそして伝統的に、首相経験者が議長を務めることはないし、その逆もない。ただ、自民党副総裁が脚光を浴びる時、それは、党内で次の総理総裁を決める時に揉めに揉めて、どうしようもない時だ。副総裁は調停役ということになる。椎名悦三郎の「椎名裁定(田中角栄の後に三木武夫を指名した)」や西村英一の「西村裁定(大平正芳首相の急逝を受け鈴木善幸が指名された)」が思い出される。麻生副総裁が存在感を増すとすれば、ポスト岸田で党内が混乱する時だ。調停役となると、派閥的な動きはしにくくなる。麻生副総裁が麻生派を動かしてどうこう言うことも難しくなる。そうこうしているうちに、河野太郎への禅譲ということになる。大宏池会復活のために、岸田派と河野派の合流ということも視野に入ってくる。

 前置きが長くなったが、下の記事にあるように、甘利幹事長辞任を受け、岸田首相は、外相だった茂木敏光(竹下派を継承して茂木派に)を幹事長に据え、後任の外相に林芳正を起用した。これは極めて重要な動きだ。林は長らく参議院議員を務めたが、今回の総選挙で衆議院議員として初当選した。これで、林芳正は総理総裁候補に浮上した。岸田派のプリンスの座を確保した。大臣経験は豊富であり、手堅い手腕は知られているので、後は党務、党三役をこなせば、一気に総理総裁の有力候補となる。年齢が60歳なので、残された時間は10年もないが、65歳までに条件が整えばということになる。

 山口県は安倍晋三元首相のお膝元である。そこで、長年にわたり林芳正は我慢をし続けて、準備をし続けた。林芳正は単純に「中国とぶつかれ」ということにはならない。また、今回、外相起用となったのは、アメリカ政界との深いつながりがあるということもあるだろう。アメリカ時代が馬鹿みたいに中国と対立するという路線を採用しないということになっている。そうした中で、林外相というのは、英語で意思疎通(議論も含めて)ができて、アメリカの意向を掴みやすく、かつ中国から嫌われていないという重要な人物ということになる。

 林芳正外相起用は岸田首相のしたたかさを示している。このしたたかさこそが、自民党保守本流(吉田茂からの流れ、田中角栄と大平正芳の盟友関係を経て、竹下登・宮澤喜一のニューリーダー時代を経ての現在)の真骨頂である。保守本流の、保守傍流に対する新規巻き直しということになる。

(貼り付けはじめ)

日本の外相は中国に対する厳しい姿勢を取ることに直面している(Japan’s Foreign Minister Faces Tough Calls on China

林芳正は派閥を基盤とする人事パターンを壊した

ウィリアム・スポサト筆

2021年11月11日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2021/11/11/yoshimasa-hayashi-japan-new-foreign-minister-qualified-china/

先の総選挙で驚くほどに良い結果を出したことを受けて、日本の岸田文雄新首相は、与党自民党内の派閥政治よりも、経験と国際的な経歴を重視した外務大臣人事を行い、外交政策に影響を与えようとしている。これは日本では珍しいことだ。そして、これに対しては多くの批判が起きている。

日本の内閣人事は、伝統的に自由民主党(Liberal Democratic PartyLDP)内の各派閥に対して便宜を図る形で実施されてきた。自民党は1955年に結党されて以来、ほぼ継続的に日本を統治してきた。内閣の大臣ポストは、大臣が実際に意味のある政策を実行できるようになるずっと前に頻繁に交代させられる。そして、そうした中で、いくつかの伝説的な恥ずべき出来事がいくつも起きた。任命された大臣にしばしば必要な専門知識が欠けていたことが明らかになった。最近で最も際立ったケースとしては、2018年に任命されたサイバーセキュリティ担当大臣が、これまで自分自身でコンピュータを使ったことがないと認めたことだ。

これらの出来事とは対照的に、国際的に名前を知られている林芳正の外相への指名において、岸田首相は自分が外交政策をどのように実行したいと望んでいるかを示すシグナルを送っている。それと同時に、自民党内で最大級の力を誇る2人の重要人物の警告を無視することを示している。その2人とは元首相の安倍晋三と麻生太郎だ。

林の外相になる資格に疑いの余地はない。彼は名門東京大学の出身であり、ハーヴァード大学ジョン・F・ケネディ行政学大学院で修士号を取得した。英語に極めて堪能であり、ワシントンでスティーヴン・ニール連邦下院議員(ノースカロライナ州選出)とウィリアム・ロス連邦上院議員(デラウェア州選出)のスタッフを務めた経験を持つ。最近、林はアメリカの外交政策に関する多くのイヴェントに出席し、演説を行ってきた。彼は1995年に参議院議員に初当選し、多くの内閣ポストを経験してきた。スキャンダルの後、手堅い手腕が必要とされた際によく起用された。彼は経済財政相、農林水産相、防衛相、文部科学相を歴任した。

日本の複数のメディアの報道によると、自民党の2人の大物議員が林の外相起用に反対した理由は、大きく分けて2つある。党内政治のレヴェルでは、安倍と麻生が「林は衆議院議員に初当選した人物だ。それまでの26年間は参議院議員を務めて、今年になって衆議院議員になったばかりだ」と不平を述べた。これは、伝統的に日本の政治とビジネスを主導してきたヒエラルキーを重視する世界では、林は彼の順番が来るまで待たねばならないということになる。

2つ目の不満はより本質的なものだった。2人は、林が中国に対する弱腰市政だと考えている。中国は、自国がアジア地域内最大の大国であり、アメリカとは対等な関係にあるという確信を持っている。そのために、日本の中国に対抗するという熱望が高まっている。中国政府の好戦的な発言の増加、アジアの広大な水域における領有権の主張、敵対する相手に対して経済力で懲罰を加えようとする意欲など受け、日本の政治家の間では反中ムードが高まっている。これに比例して台湾を支持する声は高まっている。台湾は、世界のテクノロジー産業を支える高性能のコンピューターチップを独占的に生産することで経済的な影響力を保有している。このようなアプローチはアメリカ国内でも支持されている。

しかし、林は中国政府に対して柔らかい姿勢を取らないだろうと主張する人たちもいる。東京の上智大学で政治学を教える中野晃一教授は「林は岸田よりも原則的なリベラル派だが、親米派でもある。米国の対中政策に全面的に矛盾するような行動を取ることはないと私は考える」と述べた。

噺自身がこの問題から正面から取り組んだ。2021年11月11日、林は記者会見の席上、日中友好議員連盟(Japan-China Friendship Parliamentarians’ Union)会長職から退くと発表した。日中友好議員連盟は中国政府との友好関係を目指す超党派の国会議員の集まりである。彼は、会長職から退くことについて、外相としての役割において「無用な誤解」を避けることが目的だと述べた。彼もまた中国の様々な行動についての日本の懸念を表明した。林は日本政府が不満や不安を表明する際の言葉遣いを使って次のように述べた。「世界共通の普遍的な価値観に対する深刻な挑戦を目にする機会がどんどんと増えている。この価値観によって平和と国際共同体、国際的秩序の安定が保たれてきたのだ」。

林の外相起用によって中国政府は安堵感を持っているかもしれない。しかし、岸田首相は同時に中国国内の人権状況についての、日本の新しい、より厳しい姿勢を維持することもシグナルで示した。岸田首相は今週、中谷元元防衛省を人権関連諸問題についての特別補佐官に任命した。中国のウイグル族やその他の少数民族、香港の民主活動家たちに対する取り扱いを担当する。中谷は人権侵害を行っている国々に対して制裁を科すことが可能となる法律制定を目指す超党派の議員連盟のメンバーである。日本は中国の人権侵害について話はしているが、アメリカによる中国政府高官に対する制裁や新疆ウイグル自治区からの製品の輸入禁止のような具体的な行動を取るまでには至っていない。

専門家の中には、岸田首相の今回の人事の目的は、タカ派の安倍元首相よりも、より微妙な内容の政策を行うということだと主張している人たちがいる。安倍元首相は2019年に辞任したが、日本史上最長の在任期間を記録した。上智大学の中野教授は次のように述べている。「今回の林外相の起用は、日本政府が中国政策において米国と概ね同調していることを示している。しかし、中谷の起用は、林の外相起用と同様に、岸田が安倍元首相、安倍元首相のよりイデオロギー的で強硬な反中国政策のスタンスにとってのメッセンジャーボーイになりたくないということを示している」。

同時に、中国に対する政治的態度と緊密な貿易関係を切り離すという、これまでの日本の政策方針にも綻びが生じているように見える。

テンプル大学日本校現代アジア研究所長のロバート・ドゥジャラクは次のように述べている。「日本政府には、中国が“問題(problem)”であり、いくつかの点で脅威(threat)であるというコンセンサスが存在する。中国を巨大で差し迫った危険だと考える人もおり、また多少の懸念を持っている人たちもいる。しかしながらそのような人達も北京を全く善良なアクターと見なしていることはない」。

林は、国際的に緊密な人脈を持っている。米国との同盟関係を維持しながら、中国との貿易を維持するという難しい問題を解決するのに有利な立場にあると考えられる。しかし、そのためには彼が十分な任期を持つことが前提となる。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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