古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:森友学園

 古村治彦です。

 

 今回は、『ブルームバーグ』誌の森友学園・塚本幼稚園を巡るスキャンダルに関する記事をご紹介します。そして、この記事を書いた記者が昨年に行った安倍昭恵さんへのインタヴューを基にした記事を併せてご紹介します。

 

 イザベル・レイノルズ記者は、安倍昭恵さんにインタヴューを行い、それが記事になったのが昨年の12月、そして、先週の金曜日に、森友学園スキャンダルについて記事を書いています。これまでご紹介した他の欧米の新聞や雑誌に比べて、ややトーンがやわらかく感じるのは、やはり記者自身が安倍昭恵さんと直接会って話をしているということが影響しているのだろうと思います。安倍昭恵さんは直接話せば、魅了されてしまうような魅力を持っている人なのだろうと推察されます。しかし、綺麗なバラにはとげがあるとも言います。

 

 安倍昭恵さんのインタヴューを読むと、彼女の中に、「アメリカに占領されてしまって、アメリカ文化が入ってきたために、日本の良い部分が失われた」という考えが確固としてあることが分かります。明恵さんが大麻解禁に熱心なのは、戦後に大麻の栽培がアメリカによって禁止されて、それで神道の儀式で使う麻繊維が日本製ではなく、中国からの輸入に頼るようになったからだということが分かりますし、彼女が開いたレストランでは、日本で採れた食材のみを使っているのもその延長でしょう。彼女の中で、大麻解禁と瑞穂の國記念小學院の名誉校長になることは矛盾しないのはそのせいです。この点では、結局安倍昭恵さんと安倍晋三さんはぴったりのご夫婦であり、このご夫婦が分業して、「アメとムチ」をやって、人々の支持を惹きつけてきたことが現在の状況を生み出しています。ですから、「アメ」である昭恵さんの存在は厄介なものです。今回のスキャンダルでしかし、この危険性が明らかになっていくと思います。

 

 彼女のインタヴュー記事を読んだ後で、スキャンダルをめぐる記事を読むと、やや擁護している感じがするなという印象を持ちます。

 

レイノルズ記者は、「安倍首相は今週、国会で「私は公人ですが、妻は民間人です。妻を犯罪者化のように取り扱うことは極めて不愉快です」と発言した」と書いています。これは確かにそのような発言はありましたが、質問者は誰も安倍昭恵さんを犯罪者であると発言していません。それどころか被害者ではないのかという懸念を示唆している人たちもいます。これは阿部首相自身の変な印象操作による、答弁逃れでしかありません。そうした文脈を無視して、この発言を特別に取り上げている点で、少し擁護しているんだろうと思われます。

 

 安倍首相の支持率が高いこと、自民党の党大会で総裁任期が3年、3期までということで、戦後では最長の10年の首相在任と言うことも視野に入ってきました。安倍首相の人気を支えてきた一つの要素として、昭恵さんの行動と存在があるのは間違いないところです。しかし、森友学園の報道が続いていく中で、安倍首相の在任期間が10年に届くかどうか、少し心許なくなってきていると言えるでしょう。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「党大会を前に幼稚園を巡るスキャンダルが安倍首相に付きまとう(Kindergarten Scandal Dogs Abe Ahead of Party Meeting)」

 

イザベル・レイノルズ筆

ブルームバーグ

2017年3月3日

https://www.bloomberg.com/politics/articles/2017-03-02/nationalist-kindergarten-scandal-dogs-abe-ahead-of-party-meeting

 

●安倍首相は妻の学校との関係、更に土地取引の件で厳しく追及されている

●トランプとの会談で上がったが支持率が6ポイント下落と日経新聞が報道

 

日本の歴史上、最長の在任期間を誇る首相になるための段階に進む前のこの数日間、安倍晋三首相は妻と国家主義的な教育を行う幼稚園を巡るスキャンダルに対峙している。

 

安倍氏が首相になって4年間が過ぎた。この週末、与党である自由民主党の党員たちは、安倍首相が党の総裁に3期連続在任することができるようにするための規則の改定に無条件の賛成を示そうとしている。これによって、安倍氏の首相在任が10年に及ぶ可能性も出てきた。

 

安倍首相の支持率は概して安定している。世論調査の数字では、彼の支持率の李悠馬は良く分からないが、安倍首相の政権担当期間中に失業率が1990年代中盤の数字にまで下がっていること、野党第一党の民進党が2012年の総選挙での惨敗の後で再建に苦闘していることが考えられる。

 

それでも、今週末の彼の大勝利の瞬間が森友学園を巡るスキャンダルで怪我される危険が出てきている。森友学園は大阪で幼稚園を運営しており、この幼稚園は戦前の国家主義的な要素を含むカリキュラムでの教育を行い、安倍首相を支持しているということが明らかになった。

 

森友学園が、野党側が述べているように評価額よりもかなり低い値段で土地を購入できたことについて、いくつも疑問が浮上している。この土地取引は、森友学園が小学校を開校して業務を拡大しようとした計画の一部である。

 

●ゴミのある土地(Waste Site

 

安倍首相や昭恵夫人(学校の名誉校長に就任させられた)が土地取引に関与したことを示す証拠は出てきていない。そして、学園の理事長である籠池泰典氏は土地の価格について政治家に働きかけを行ったことはないと述べた。籠池氏は産経新聞の取材に対して、敷地内から実際にゴミが見つかったと答えた。

 

安倍首相はこの問題から距離を取ろうと努めている。そして、土地取引に関して、自身もしくは昭恵夫人が関わっていることを示す証拠が出たら辞職すると述べた。そして、木曜日、いかなる調査にも協力すると表明した。野党の山本太郎議員は、証拠を出してもらうために、昭恵夫人に国会に出席してもらって質問を受けてもらうように求めた。

 

今回の問題は国家審議の多くの時間を占め、マスコミにとっては格好のテーマとなっている。月曜日に発表された日経新聞による世論調査では、安倍首相に対する支持率は6ポイント下がり、60%であった。2月に行われたドナルド・トランプ米大統領との首脳会談の後に上昇した支持率は少し低下した。それでも、政治アナリストであるスティーヴン・リードは、安倍首相は「各種のスキャンダルに上手に対処している」と述べている。

 

●中国の反応(China Reacts

 

政治腐敗に関する著書もある東京にある中央大学の政治学教授スティーヴン・リードは、「大事なことは人々を素早く切り捨てること、そして、何も嘘はないと明らかにすることです。しかし、安倍首相は妻を切り捨てることはできませんし、野党側は、このことをニュースにすることに成功しています」と述べた。

 

中国の国営メディアもこの騒ぎを報道している。日中両国は現在、領土と安倍首相の軍隊の役割を拡大させようという努力を巡って緊張関係にある。新華社通信は木曜日、記事の中で、「火のないところに煙は立たないものだ」と書いた。

 

塚本幼稚園は、子供たちに天皇の写真に頭を下げさせること、19世紀に出された教育勅語を暗唱刺させることで知られている。こうした行為は第二次世界大戦での日本の敗戦後、行われなくなったものだ。先月、幼稚園は、「外国人の間で誤解を引き起こす可能性」を持つ表現を使ったことについて謝罪した。共同通信によると、籠池園長は韓国人と中国人に対する差別的な発言を行った疑いで調査が行われた。

 

昭恵夫人は予定されていた役職から身を引いたが、森友学園との妻との関係を巡って国会では安倍首相への追及が続いている。今週、フジテレビで放映された映像の中で、昭恵夫人が幼稚園を訪問し、園児たちが「日本と日本人のために働いている安倍晋三内閣総理大臣を献身的に支えている」ことに感謝するという言葉を大きな声で一斉に述べた時に、涙を流した様子が映っている。

 

安倍首相は今週、国会で「私は公人ですが、妻は民間人です。妻を犯罪者化のように取り扱うことは極めて不愉快です」と発言した。

 

昭恵夫人は昨年にブルームバーグが行ったインタヴューの中で、日本は、西洋文化を取り入れたことで、アイデンティティのいくつかの要素を失ったように感じていると述べた。

 

自民党所属の参議院議員で元防災大臣の鴻池祥肇は記者たちに、森友学園から献金は受けたが、土地取引に関しての助力を求められたが拒否したと述べた、と水曜日に読売新聞が報じた。

 

テンプル大学日本校の非常勤研究員であるマイケル・キューセクは、YouTubeにアップした動画の中で、幼稚園のカリキュラムよりも、学園を巡るお金の動きの方が安倍首相を傷つける可能性があると述べた。

 

今回の自民党大会は、「安倍氏にとっての戴冠式となるはずであったが、にわかに彼がこれまで経験したことのないスキャンダルが起きた」と、キューセクは述べている。

 

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●「日本のファースト・レディーは安倍氏への家庭内ホットラインで批判を行う(Japan’s First Lady Offers Critics a Household Hotline to Abe)」

 

イザベル・レイノルズ、エミ・ノブヒロ筆

ブルームバーグ

2016年12月5日

https://www.bloomberg.com/news/articles/2016-12-04/japan-s-first-lady-offers-critics-a-household-hotline-to-abe

 

●安倍昭恵夫人は貿易、原子力発電、国防政策に反対している

●総理大臣夫人のフェイスブックのタイムラインには平和への願いがつづられる

 

高い支持率を誇る安倍晋三氏は、現代史において最長の在任期間を誇る首相となる可能性も囁かれている。そのような安倍首相にはひとりよがりになるリスクがある。そこで、29年間、安倍首相の妻をしている安倍昭恵氏の出番だ。

 

日本の大製菓会社の家に生まれ、現在54歳になる昭恵氏は、日本では、「家庭内野党(the household opposition)」として有名だ。これは、昭恵氏が、TPP貿易協定、原子力技術の輸出の拡大、沖縄における米軍基地の拡大といった安倍氏の政策に反対を表明しているからだ。

 

先週、東京の中心部で4年前に彼女が開店したレストランでインタヴューを行った。昭恵氏は、「私の夫や近い人々には届かないような考えを取り上げて、伝えたいのです。これが野党のようだと思われたんだと思います」と語った。

 

昭恵氏は伝統的な首相夫人のイメージから離れようとしている。伝統的なイメージは、妻は夫に従い、裏で色々と助けるというものだ。更に驚くべきことは、安倍首相の政策に対する批判を表に出すことが、62歳の保守派の論客にとってアピールとなっているということだ。

 

元経済産業省の官僚で、現在は明治大学国際総合研究所客員研究員の奥村準は次のように語っている。「昭恵氏はこれまでの首相夫人の枠では捉えきれません。日本国内の誰も、アメリカのファースト・レディーでも、あの方のようには行動できないでしょうね。興味深いことは、昭恵氏の行動や言動が安倍首相を傷つけていないということです。実際には、安倍首相のイメージを和らげています。安倍首相は全く異なる考えや視点を許容できているという風にです」。

 

●ソーシャル・メディア(Social Media

 

Uzu」という名前のオーガニック食材を使う小さなレストランでインタヴューは続いた。昭恵氏は、人々から聞いた批判的な意見を夫に伝える時にはそれに適した時間とタイミングに行うようにしようとしていると述べた。

 

昭恵氏は、「毎日、野党の方々が批判されていて、私が家に帰ってきて批判を始めたら、夫は止めてくれと言うでしょうね」と語る。続けて、「妻として、夫をあまり攻撃したくないと思うときももちろんありますが、時には、どうしても言わなければならないことがあると思うときもありますよ」とも述べる。

 

昭恵氏は日本の総理大臣夫人では初めて積極的にソーシャル・メディアを活用している。彼女のフェイスブックのページには彼女の考えについて、多くの賞賛と批判の声が寄せられる。フェイスブックでは10万以上のフォロワーを持っている。彼女は口汚い書き込みをするフォロワー以外にはブロックすることはない。

 

彼女は今年11月にフェイスブックに書き込みを行いその中で、「世界平和について語る前に、私自身のタイムライン内での平和を達成したいのです」と書いた。

 

昼食をともにしながらのインタヴューの中で、「中には、私に大きな期待を寄せて下さる方もいます。夫とは逆の意見を持つ方で、私に対して夫にもっと強く言うようにと批判する方もいます。私たち夫婦の間で意見が異なるのにどうして一緒にいられるのかと質問する方や離婚しなさいと言う方までいるんですよ」と言って、昭恵氏は笑った。「ほっといてください、ですよね」。

 

●メディアの注目(Media Storms

 

昭恵氏は、幼稚園から高校まで、上流の過程の子女が通うカトリック系の学校に通った。そして、女性だけの専門学校に進学した。彼女は卒業後、日本最大の広告会社である電通に入社した。電通の上司が安倍氏を紹介する算段をした。今年初めのある雑誌のインタヴューの中で、子供を授からなかったことについてあれこれ言われることに対して、苦言を呈した。

 

昭恵氏の行動はしばしば彼女の言葉よりも雄弁だ。今年8月、彼女は、警察による警備や秘書の同行もなく(without a police escort or secretaries)、予告なく沖縄を訪れた。彼女は沖縄本島北部のアメリカ軍のヘリパッド建設反対の人々の許を訪れた。彼女は、夫には反対される恐れがあったので、相談しないで訪問したと述べた。

 

メディアが注目したもう1つの行動が、8月の後半にハワイのパールハーバーで祈りをささげる姿であった。パールハーバーは日本が奇襲をかけた場所で、この攻撃によって、アメリカは第二次世界大戦に引きずり込まれることになった。彼女の弧の行動が、安倍首相の日本首相初のパールハーバー訪問を促したという見方も出たが、公式訪問がこのように急に決まるということはない。

 

安倍夫妻は合わないようで合っているカップルだ。そんな2人は1945年から1952年まで続いたアメリカの占領時代よりも前の日本の様々な側面を称賛する点では一致している。安倍首相はたびたび、「戦後レジーム」を批判し、軍隊の役割を拡大するためにアメリカが草案を作った憲法を書きなおそうという熱意を持っていることで知られている。昭恵氏は文化面に興味を持っており、言語と自然により集中している。

 

昭恵氏は自身でオーガニックの米を作っている。そして、日本で取れた食材だけを使った食事を提供する彼女のレストランでその米を出している。彼女はまた、首相公邸に設置しているミツバチの巣箱では日本のミツバチを飼っていると述べた。ヨーロッパのミツバチの方がより多くのハチミツを作るがそれでも日本のミツバチを飼っていると述べた。

 

「戦後、ヨーロッパとアメリカの文化が入ってきて、日本はもともと持っていたものを弱められてしまったと考えています」と昭恵は述べた。

 

昭恵氏は西洋においては自然をコントロールしようと試みると述べる。そして、これは、2011年の大震災の時に起きたレヴェルの大津波から地域を守るために東北地方で進められている巨大な堤防作りもそれと同じだと述べている。

 

●大麻関連産業(Hemp Industry

 

昭恵氏はまた日本の大麻関連産業が失われたことを残念に思っている。アメリカが占領するまで、日本では大麻関連産業が栄えていたが、現在では、33の農家に栽培許可が与えられているだけだ。1954年には3万7000の農家が栽培していた。昭恵氏は、長い間、日本独自の宗教である神道の儀式で麻繊維が使われてきたが、今はその大部分を中国からの輸入に頼っていると語った。

 

昭恵氏は精神に作用しない大麻の栽培と医療目的でのマリファナの使用を主張している。医療用マリファナを支持した参議院議員が辞職したことから、ここ数か月、始まったばかりの医療用マリファナの合法化を目指す運動に対する批判が起こっている。

 

「私はこれまで大麻を吸ったことはありませんし、大麻吸引には賛成ではありません」と述べたが、大麻の産業目的、医療目的での使用まで全て禁止するのは正しくないと考えているとも述べた。

 

安倍氏は2006年に1年だけ首相を務めた。それ以降、昭恵氏はスポットライトを浴びる生活を送るようになった。昭恵氏は夫である安倍晋三氏が3期連続で自民党の総裁に留任し、首相を続けることは素晴らしいことだと考えている。特に、ドナルド・トランプが大統領選挙に当選して、アメリカの政策ははっきりしない時に、世界に強力な指導者として安倍晋三氏が存在することは素晴らしいことだと考えている。

 

昭恵氏は、「私の夫が再び総理大臣になれたのは、努力のせいではなく、運命というべきものです。日本は今、大きな役割を果たす時です」と語った。

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 今回はイギリスの雑誌『ジ・エコノミスト(The Economist)』誌に掲載された、森友学園・塚本幼稚園に関する記事をご紹介します。短い記事ですが、論調は大変に厳しいものです。

 

 まず、ウルトラナショナリスト(ultranationalist)という言葉が重要です。この言葉は以前にもご紹介した『ザ・ガーディアン』紙でも使われています。ナショナリストというと、国家主義者、国家主義的ですが、これにウルトラがつくと、超という言葉をつけることになります。これは、排外主義的、好戦主義的という意味合いが強くなり、大変危険な考えであり、存在だということになります。イギリスのメディアが使っている点も見逃せません。イギリスはインドシナ半島やマレー半島、シンガポールで日本軍と戦いました。そして、多数のイギリス軍将兵が捕虜となり、虐待を受けました。この時のイメージを呼び起させるのが、日本の超国家主義という言葉です。

 

 今回の記事では、このような戦前の軍国主義への回帰を「政府が奨励しているかのように見えることに日本国民は驚いている」と書いています。森友学園に対する超破格値での土地売却は、政府が超国家主義的な考えを広めることを奨励しているという捉え方をしています。そして、この政府を率いているのは、安倍晋三首相なのです。

 

 今回の記事では、稲田朋美氏の名前にも言及されています。安倍首相(と安倍昭恵夫人)と稲田氏は、揃って危険な人物なのだということが言われているのです。

 

 安倍首相とその周辺に向けられる目は厳しいものとなっています。危険人物が率いる日本、というイメージになっていますが、これを払拭することはほぼ不可能ですが、唯一の方法は、安倍首相が退陣することです。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「衝撃の学校:日本に存在する超国家主義的な幼稚園(School of shock An ultranationalist kindergarten in Japan)」

 

当惑を覚えるほどに大変驚かされるのは、この幼稚園は総理大臣とのつながりを持っていることだ

 

2017年3月4日 東京発

http://www.economist.com/news/asia/21717996-embarrassingly-it-has-links-prime-minister-ultranationalist-kindergarten-japan?fsrc=scn/tw/te/rfd/pe

 

塚本幼稚園に通う子供たちは毎朝、軍歌に合わせて小さな足を踏み鳴らしながら行進し、天皇の写真に向かって頭を下げ、国家を守るために自分自身を捧げることを力強く誓う。様々な学校行事では、3歳、4歳、5歳の子供たちが、見守っている保護者たちに対して、大きな声で外国の脅威から日本を守るように強く求める。

 

塚本幼稚園の園児の曽祖父母たちが子供時代、同じような教育を受けた。しかし、第二次世界大戦後、公立学校では国家主義的な要素は減少させられた。つい最近まで、私立学校でこのような過度な愛国主義と好戦主義が教えられていたことを認識している日本人は少なった。日本政府がそのような動きを奨励していたかのように考えられることに気付かされ、日本国民は更に驚いた。

 

昨年、塚本幼稚園を運営する学校法人である森友学園は、大阪市内(訳者註:大阪府豊中市内)の公的な土地を破格の値段で購入した。その価格は土地の持つ価値の14%に過ぎないものだった。森友学園は、塚本幼稚園と同じく、超国家主義的な考えを広め、教え込むための小学校を建設し始めた。学校建設の寄付を集める時には日本の首相である安倍晋三氏の名前を前面に押し出した。 安倍首相の昭恵夫人は、塚本幼稚園で講演を行い、名誉校長に任命された。防衛大臣である稲田朋美氏は、籠池氏が戦艦の帰還を歓迎するために、園児たちを港にまで派遣し、自衛隊員の士気向上に貢献したことに対して感謝状を贈った。

 

安倍氏は土地取引に関与したことはないと否定した。そして、もし誰かが関与を証明出来たら辞職するだろうとも述べた。安倍首相は、自分たち夫婦は塚本幼稚園を支援してくれるようにという、籠池泰典園長からの依頼に悩まされていた、籠池氏は、「自分(安倍首相)は何度もそんなことはできない」と言っているのに、自分の名前を使って金を集めていたのだ、と述べている。

 

しかしながら、安倍氏は以前、籠池氏を賞賛していた。安倍首相は、籠池氏について、教育に対する「素晴らしい情熱」を持ち、自分とは「同じようなイデオロギー」を共有していると述べた。追及が進むにつれて、安倍夫人と稲田氏両方に関する見直しが行われる兆候が見られるようになった。稲田氏と安倍夫人に関する記述の一切が塚本幼稚園のウェブサイトから消されたのだ。

 

塚本幼稚園は、ヘイトスピーチ関連の法律違反の疑いで捜査を受けている最中だ。塚本幼稚園は保護者に文書を配ったが、その中で中国人と書くべきところを「支那人(shinajin)」と書いた。この言葉は、「チンク(chink、訳者註:中国人に対する蔑称)」に相当する言葉である。副園長である籠池夫人は、韓国系の園児の保護者に手紙を送り、その中で、自分は差別をしないが、「韓国人と中国人を憎んでいる」と書いている。

 

森友学園は、安倍氏と同様に、苦しみに悶えている。大阪府の職員たちは、工事が完成しても小学校に認可はおりない可能性があると述べている。小学校には、予想よりも少ない入学希望者しか集まっていない。そして、小学校は、予定していた「安倍晋三内閣総理大臣記念小學院(Prime Minister Shinzo Abe memorial school)」というより壮大な名前から、「瑞穂の國記念小學院(Land of Rice memorial school)」に変更することを余儀なくされた。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)










 
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 古村治彦です。

 

 今回の森友学園・瑞穂の國記念小學院(安倍晋三記念小学校)を巡るスキャンダルで出てくるのが、森友学園が経営している塚本幼稚園での園児による教育勅語の暗唱です。戦前の日本では、教育勅語は教育の指導原理となっていましたが、あのように皆で暗唱するものではなく、「紀元節(211日)、天長節(天皇誕生日)、明治節(113日)および11日(元日、四方節)の四大節と呼ばれた祝祭日には、学校で儀式が行われ、全校生徒に向けて校長が教育勅語を厳粛に読み上げ、その写しは御真影(天皇・皇后の写真)とともに奉安殿に納められて、丁重に扱われた」(wikipediaから)というものだったようです。校長先生が奉読するものを静かに聞くものだったようです。先生が天皇の代りになって、「朕」という天皇の自称の言葉から始まる言葉を読むものです。生徒が「朕」と言うことはおかしなことです。だって生徒はどう逆立ちしても天皇ではありませんから。

 

 有名な勅語に「陸海軍軍人に賜りたる勅諭」というものがあります。これは戦前の軍人に対して、「このような軍人であれ」という指針を示したものです。勅諭ですから、「天皇が教え諭すもの」です。陸軍士官学校では、後半の5条を毎朝、生徒たちが暗唱していました。海軍士官学校では記憶・暗唱されませんでした。海軍は「直後のご精神さえ分かっていればよい」ということだったそうです。塚本幼稚園の籠池泰典園長は、この陸軍士官学校のまねをしたかったのだろうと思いますが、自分たちの勝手なイメージで、実際にありもしない戦前の姿を生み出してしまっています。

 

 この教育勅語ですが、1890年に制定されたもので、主導したのは長州閥の山県有朋です。実際に起草したのは井上毅です。この教育勅語に関しては、最後の元老となった西園寺公望が文部大臣時代に、「国際協調主義」「国際社会における日本人の位置と役割」といった部分が欠落しているという理由で、第二教育勅語の制定を考え、その原案まで作っていましたが、日の目を見ることはありませんでした。1930年代から40年代にかけての日本の歴史を振り返る時、西園寺の危惧が悲しいことに現実化してしまったということが言えます。亡国の歴史が全て教育勅語に起因するということはありません。しかし、戦前教育の指導原理として国際的な感覚を涵養できなったという点では、問題があったと思います。

 

 連日、報道されていますが、森友学園・塚本幼稚園に関するスキャンダルでは、塚本幼稚園の教育内容にも焦点があてられています。教育勅語の暗唱の様子も放映されています。教育勅語はそもそも、日本国憲法下の日本において、教育の現場にあってはならない、存在してはいけないものです。

 

 以下は衆議院予算委員会で行われた質疑の様子を伝えるものです。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「「教育勅語」教育は不適切 森友学園の幼稚園教育内容宮本議員追及に文科相 衆院予算委分科会」

 

しんぶん赤旗 2017224

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik16/2017-02-24/2017022415_01_1.html

 

 不透明な国有地売却が問題になっている大阪市内の学校法人「森友学園」(籠池泰典理事長)が、幼稚園児に教育勅語を暗唱させるなどしている教育内容の問題点が23日、衆院予算委員会分科会で追及されました。日本共産党の宮本岳志議員は、文部科学省に指導を求めました。

 

 森友学園は、同市淀川区で運営している塚本幼稚園で毎朝、教育勅語を暗唱させていることで知られます。

 

 籠池理事長は本紙の取材に、同学園が今年4月から開校しようとしている私立小学校でも「教育勅語を朗誦(ろうしょう)する」と明言しています。同校の名誉校長は、安倍晋三首相夫人の昭恵氏です。

 

 同校の認可を審議している大阪府私立学校審議会では、学園の教育方針やカリキュラムについて「思想教育のような部分がある」「違和感を覚える」と懸念の声があがっています。

 

 宮本氏は、文部科学省が以前から「教育勅語そのものを教材として使うということは考えられない」という立場をとってきたことをあげて「いまもその立場に変わりはないか」とただしました。

 

 文科省の藤原誠初等中等教育局長は「変わっていない」と答えました。

 

 宮本氏は、教育勅語の暗唱は文科省が一貫して否定してきたものであり「これを小学校で教えるのは不適切だ」とただしました。

 

 松野博一文科相は「この教育方針が認可も受けていない小学校でどう扱われるかは仮定の問題だ」としながら「教育勅語を教育の源泉として扱うことは適切でない」と答えました。

 

 宮本氏は、塚本幼稚園では「しつけ」と称して「子どもがおもらししたら、そのままカバンに入れて持ち帰らせる」など児童虐待につながりかねない問題もあることをあげ、「不適切なものがあればただちにただすべきだ」と求めました。

 

 教育勅語 戦前の教育の基本原理を示すものとして1890年に明治天皇の言葉として出されました。親孝行や兄弟仲良くなど当たり前に思える徳目を並べていますが、それらをすべて天皇への命がけの忠義に結び付け、「重大事態があれば天皇のために命を投げ出せ」と徹底して教え込んだのが特徴で、軍国主義教育の主柱となりました。敗戦後、憲法、教育基本法の理念に反するとして1948年、国会の決議で公式に否定されました。

 

(貼りつけ終わり)

 

 この記事には、「敗戦後、憲法、教育基本法の理念に反するとして1948年、国会の決議で公式に否定されました」とあります。これはどういうことでしょうか。

 

教育勅語は1890年に制定されたということは、これまでこのブログでもご紹介した海外の新聞記事にでも出ています。それではいつまで効力があったかというと、実質的には敗戦の年にアメリカ軍が進駐してくるくらいまでですが、その効力がないことが正式に決まったのは1948年6月19日です。同時にその他の詔勅(陸海軍軍人に賜りたる勅諭など)も一括して無効とされました。

 

この日に、国会の衆議院、参議院それぞれで決議案が可決されました。衆議院は、「教育勅語等排除に関する決議」、参議院は、「教育勅語等の失効確認に関する決議」となっています。それぞれに決議を貼り付けます。

 

(貼り付けはじめ)

 

教育勅語等排除に関する決議 昭和23年年6月19日 衆議院本会議

 

民主平和国家として世界史的建設途上にあるわが国の現実は、その精神内容において未だ決定的な民主化を確認するを得ないのは遺憾である。これが徹底に最も緊要なことは敎育基本法に則り、敎育の革新と振興とをはかることにある。しかるに既に過去の文書となっている敎育勅語並びに陸海軍軍人に賜わりたる勅諭その他の敎育に関する諸詔勅が、今日もなお國民道徳の指導原理としての性格を持続しているかの如く誤解されるのは、從來の行政上の措置が不十分であつたがためである。

 

思うに、これらの詔勅の根本的理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもととなる。よって憲法第九十八条の本旨に従い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する。政府は直ちにこれらの謄本を回収し、排除の措置を完了すべきである。

 

右決議する。

 

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教育勅語等の失効確認に関する決議 昭和23年6月19日 参議院本会議

 

 われらは、さきに日本国憲法の人類普遍の原理に則り、教育基本法を制定して、わが国家及びわが民族を中心とする教育の誤りを徹底的に払拭し、真理と平和とを希求する人間を育成する民主主義的教育理念をおごそかに宣明した。その結果として、教育勅語は、軍人に賜はりたる勅諭、戊申詔書、青少年学徒に賜はりたる勅語その他の諸詔勅とともに、既に廃止せられその効力を失っている。

 

 しかし教育勅語等が、あるいは従来の如き効力を今日なお保有するかの疑いを懐く者あるをおもんばかり、われらはとくに、それらが既に効力を失っている事実を明確にするとともに、政府をして教育勅語その他の諸詔勅の謄本をもれなく回収せしめる。

 

 われらはここに、教育の真の権威の確立と国民道徳の振興のために、全国民が一致して教育基本法の明示する新教育理念の普及徹底に努力をいたすべきことを期する。

 

 右決議する。

 

(貼り付け終わり)

 

 衆議院の排除決議では、「これらの詔勅の根本的理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもととなる。よって憲法第九十八条の本旨に従い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する」と述べています。

 

 教育勅語には、主権在君、神話的国体観に基づいているので、基本的人権を損ない、国際的信義の点から疑問が残るので、憲法第98条に従って、排除すると述べています。憲法98条には、「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。」と書かれています。

 

 日本国憲法は国の最高法規であって、その条規に反する法律や詔勅は存在できませんし、効力を持ちません。教育勅語は主権在君、神話的国体観に基づいているので、日本国憲法に反するので効力はないとしています。

 

 参議院の失効確認決議では、「さきに日本国憲法の人類普遍の原理に則り、教育基本法を制定して、わが国家及びわが民族を中心とする教育の誤りを徹底的に払拭し、真理と平和とを希求する人間を育成する民主主義的教育理念をおごそかに宣明した。その結果として、教育勅語は、軍人に賜はりたる勅諭、戊申詔書、青少年学徒に賜はりたる勅語その他の諸詔勅とともに、既に廃止せられその効力を失っている」と述べています。

 

 こちらでは、日本国憲法の人類普遍の原理に基づいた教育基本法ができたので、教育勅語はその効力はないと述べています。日本国憲法に基づいて教育基本法が出来、それがこれからの指導原理となるので、教育勅語はその効力を失ったとしています。

 

 それぞれ理屈は異なりますが、教育勅語は日本国憲法に合ってないということを述べています。ですから、この教育勅語は日本国憲法が制定されて以降、公的な場所には出てきてはいけない存在なのです。もちろん、学問研究や個人の思想や信条のために、それを保持して読むことは良いでしょう。しかし、日本国憲法の人類普遍の原理に基づいている教育基本法が現在の教育関係の指導原理的な法律となっている以上、日本国憲法に反する存在である教育勅語を教育の場に持ち込むのは法律違反です。ですから、森友学園が行っていることも法律違反の可能性が高いのです。

 

 森友学園が認可申請中の「瑞穂の國記念小學院」のウェブサイトの「学習目標」(http://www.mizuhonokuni.ed.jp/curriculum/objective/)のページには、はっきり、「道徳(教育勅語)」と書かれています。この学校が認可されれば、教育勅語を教えることになります。これは日本国憲法に基づいて定められた教育基本法に反する行為ですが、この小学校に認可を与えた大阪府の公務員、知事の責任となるでしょう。

 

 更に言えば、国会での審議中、共産党の小池晃参議院議員の質疑中に、「(教育勅語は)いいじゃないか」というヤジが閣僚席や委員席から叫ばれました。私はこのヤジを飛ばした大臣、国会議員、もしかしたら政府委員(キャリア官僚)たちは狭義の意味で憲法遵守義務違反だと考えます。

 

 公務員には憲法遵守義務があります。日本国憲法に反する行為はできません。これは日本国憲法第99条に定められています。

 

憲法99条には、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。」と書かれています。国務大臣や国会議員は憲法を尊重し擁護する義務を負っています。

 

 国会議員が、しかも国権の最高機関である(日本国憲法第41条)国会の場で委員会に出席しているなかで、堂々と教育勅語を賞賛する発言を行うのは明らかに憲法違反です。国会の内部で堂々と憲法違反をする国会議員には辞めてもらうしかありません。国会議員を辞めてもらって好きなだけ教育勅語礼賛の言葉を叫び続ければよいのです。

 教育勅語復活ということを公約に掲げて選挙を行うことは良いとしましょう。政党は公的な存在ですが、公務員でありません。政党が公約として教育勅語復活(しかしこれには日本国憲法の廃棄も一緒に主張されねばなりません)を 掲げることは良いでしょう。それで当選した国会議員が国会審議などで主張するのもよいでしょう。ですから、上で狭義と書きました。しかし、これにはどうしても日本国憲法の廃棄、全文からの全ての書き直しが必要となってきますから、まずは改憲、しかも全面的な改憲をしなければなりません。

 

 安倍晋三首相やお仲間たちが改憲を進めようとしています。今回のスキャンダルで、彼らの進める改憲のイメージが私たちにはっきり見える形になりました。塚本幼稚園の様子こそは、安倍氏らが実現したい「美しい日本」であり、改憲後の姿となります。ここまで日本は追い詰められてきました。ここで押し戻さねばなりません。

 

(終わり)









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 古村治彦です。

 

 森友学園・瑞穂の國記念小學院(安倍晋三記念小学校)を巡るスキャンダルが安倍晋三首相を追い詰めています。本ブログでも再三ご紹介していますが、海外メディアの方が冷静にかつ冷酷に現在の状況を報道しています。

 

 朝日新聞が「学校法人に大阪の国有地売却 価格非公表、近隣の1割か」というタイトルで、今回のスキャンダルのことを報じたのが2017年2月9日です。その後、テレビ東京の夕方のニュース番組「ゆうがたサテライト」で「“愛国”学校ができるまで 名誉校長は安倍総理夫人」という特集が流されました。この日の衆議院予算委員会で、安倍晋三首相は、森友学園の籠池泰典理事長について、「「妻からですね。この森友学園ですか?の先生の教育に対する熱意は素晴らしいという話を聞いております」「いわば私の考え方に非常に共鳴している方でですね、その方から、小学校を作りたいので『安倍晋三小学校』にしたいという話があったが、私はそこでお断りをしているんですね」と発言しました。

 

 そして、この疑惑が①国有地の異常な安値での売却、②学校の認可を巡る疑惑、③安倍昭恵夫人を巡る動きとどんどん拡大していきました。そして、2月24日の衆議院予算委員会で「この方は非常にこだわるというか、そう簡単に引き下がらない人」「非常にしつこい中においてですね、あのー、しつこいと言ったら非常に、何回も何回も熱心に言ってこられる中にあったですね.」と発言し、籠池氏を切って捨てる発言をしました。

 

 現在、スキャンダルはどんどん拡大して言っています。安倍首相の政治生命に致命傷を負わせる可能性も高まっています。

 

 安倍首相は、2012年12月に総選挙で勝利して以来、「わが世の春」を謳歌してきました。その間には安保法制、集団的自衛権を巡る憲法解釈の変更などを達成していきました。国民は2009年から2012年までの民主党政権、特に菅直人・野田佳彦両総理大臣時代の失政と民主党の分裂にうんざりし、橋下徹氏率いる維新勢力を躍進させ、また、自民党にも大きな議席を与えてきました。

 

 そして、安倍氏は自身が掲げる改憲(憲法改定)に照準を定めました。以下にその時の記事を貼り付けました。安倍首相は「前文から全てを変えたい」と述べています。これは、日本国憲法の廃棄であり、反憲法とも言うべきものです。彼のこれまでの発言から、改憲の本丸は憲法九条であることは間違いありませんが、全文を含めて全部となると、これは、第1条から第8条までを占める天皇についての部分も変えるということになります。そして、彼の考えていることは、戦前回帰であり、天皇を国家元首にすることなのだろうと思います。しかし、気をつけなければならないのは、安倍首相は天皇を尊崇してそのように考えている訳ではありません。維新の時、大久保利通が言った「玉(=天皇)を取る」ということであり、天皇を祀り上げて実権は自分たちが握るということです。

 

(貼りつけはじめ)

 

●「「前文から全てを含めて変えたい」 安倍首相が改憲への意欲を明言」

 

BuzzFeed Japan 2016/7/10() 23:08配信

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160710-00010003-bfj-pol

 

参院選の開票が進む中、圧勝を確実にした自民党の安倍晋三首相が「前文から全てを含めて変えたい」と全面的な改憲への意欲を語った。【BuzzFeed Japana/ 古田大輔】

 

テレビ東京の選挙特番で、池上彰さんのインタビューに答えた。

 

安倍首相は選挙戦を通じて、街頭演説で憲法についてほとんど語らなかった。東京・秋葉原の最後の訴えでも一言も触れなかった。

 

そのことについて、池上さんに問われた安倍首相は「憲法改正は自民党の立党以来の悲願」と強調した上で、こう答えた。

 

「憲法改正するとは、ずっと申し上げています。選挙公約にも書いております。また、どの条文を変えていくかについては、谷垣総裁時代に憲法改正草案をお示ししている」

 

では、具体的にどの条文を変えようとしているのか。池上さんはこれまでの改憲論争で焦点に上がった9条や96条を例に挙げて問うた。

 

安倍首相は、笑みを浮かべて答えた。

 

「それだけではなく、前文から全てを含めてですね、それを変えたいと思っています」

 

力を込めてそう言った上で、ただ、と言葉を続けた。

 

「現実どうなっていくか。結果を残していかないといけないわけでありまして、ただ、自分の要望を示すのでは、これは政治ではない」

 

参院で改憲に必要な3分の2議席を占めるには、与党の自民・公明だけでなく、おおさか維新の会や日本のこころを大切にする党の協力が必要だ。しかも、この4党はどの条文を変えるかについて、一致していない。

 

どの条文を変えるのか。また、自身も「道半ば」と語るアベノミクスを推進し、経済・財政を立て直すことはできるのか。

 

3分の2の壁を超えても、課題は山積みだ。

 

(貼り付け終わり)

 

 そのような中、昨年8月、今上天皇が異例のお言葉発表を行い、退位と譲位を考えていることを表明しました。これから、いわゆる生前譲位、この制度を今上天皇一代限りにするか、恒久化するか、皇室典範の改定はどうするか、ということが、女性天皇や女性宮家の問題と合わせて焦点となってきました。一部には、今上天皇が安倍首相の改憲前のめり姿勢に危惧を抱き、このような発表を行ったのだという解釈もなされました。私もこの解釈を取ります。もちろん、今上天皇が公の場所で政治的な発言をすることはありません。

 

●「皇室は安倍政権の憲法改正を止められるか

Why Japan's Emperor Abdication Matters

 

2016816日(火)1620

ビル・パウエル

ニューズウィーク日本版

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/post-5661.php

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2016/08/post-5661_2.php

 

<生前退位そのものは、日本以外の国にとって大したニュースではない。しかし天皇のお言葉に憲法改正に突き進む安倍政権を牽制する「政治的」メッセージが含まれているとすれば、無視できない>

 

 世界最古の世襲君主制である日本の皇室において、天皇は88日、ビデオメッセージを通じて生前退位の意向をにじませるお言葉を発表した。82歳という高齢と健康面の不安から、日本国憲法に定める象徴天皇としての務めを完璧に果たすことが困難になるかもしれないという。

 

 生前退位そのものは、日本以外の国ではさほど注目に値するニュースではない。だが、天皇のメッセージには他の願いも込められている可能性がある。

 

 第2次世界大戦後、天皇は政治的な権限を取り上げられた。日本を占領したGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)の草案をもとに制定された日本国憲法によるものだ。現天皇の父である昭和天皇は、戦前の憲法下ではいわゆる「現人神」とされ、日本軍国主義ならびに日本臣民の中心的存在だった。それが戦後日本国憲法が制定されると、世界が見守る中で、海洋生物学を趣味とする物静かで温和な1人の男性に生まれ変わった。

 

 現天皇は、政治に関与しない立場を貫いて、日本国民の大半から慕われている。天皇と同じように高齢化が進む日本社会では、天皇が将来的に退位を望んでいるとしても仕方のないことだととらえられている。ただし、現行法では生前退位に関する取り決めがない。安倍晋三首相は、天皇のビデオメッセージ公開を受けて次のようなコメントを発表した。「天皇陛下の御年齢や御公務の負担の現状にかんがみるとき、天皇陛下の御心労に思いを致し、どのようなことができるのか、しっかりと考えていかなければいけないと思っています」

 

天皇は平和憲法を支持

 

 天皇が56歳の皇太子に皇位を譲りたいという意向を示したこのタイミングは、日本にとっては微妙な時期だ。安倍は高い支持率を誇る保守派で、平和主義を掲げる日本国憲法を改正し、自衛隊により強い役割を担わせることに前向きである。与党を含む改憲勢力は現在、国会で圧倒的多数の議席を獲得している。安倍はおそらく、国民投票の実施に動くだろう。

 

 日本の左派は、安倍首相の憲法改正への動きに大きな懸念を抱いている。多くは、安倍は中国の脅威を視野に日本の再軍備を狙う国粋主義者だと警戒している。

 

 一方、現在の天皇は、即位してから約30年にわたって、日本の「平和憲法」を支持する姿勢をはっきりと打ち出してきた。数年前からは、第2次大戦における日本の役割についての遺憾の意も強調している。その内容は、昭和天皇や歴代首相らよりもさらに踏み込んだものだ。

 

 2015815日には、終戦70年を迎えた全国戦没者追悼式において次のように述べた。「ここに過去を顧み、さきの大戦に対する深い反省と共に、今後、戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い、全国民と共に、戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、心からなる追悼の意を表し、世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」

 

 日本の皇室ウォッチャーの間では、安倍を始めとする保守派が目指す憲法改正に対し、天皇が反対の意思を示したものと解釈されている。

 

 皇位継承者である皇太子も天皇と同様の考えであるとされる。皇太子は、55歳の誕生日を迎えた20152月に記者会見でこう述べた。「私自身、戦後生まれであり、戦争を体験しておりませんが、戦争の記憶が薄れようとしている今日、謙虚に過去を振り返るとともに、戦争を体験した世代から戦争を知らない世代に、悲惨な体験や日本がたどった歴史が正しく伝えられていくことが大切であると考えています」

 

 この言葉もまた、改憲勢力を牽制したものであると受けとめられている。

 

 安倍が憲法改正から手を引く可能性は低く、歴史的な論争へのお膳立ては整ったと言えよう。この論争は、日本国内においてきわめて大きな影響を持つ。論争の一方は政治的エシュタブリッシュメント、もう一方が、表向きは「非政治的」とされる皇室だからだ。

 

(貼り付け終わり)

 

 2017年1月26日付の本ブログでご紹介したアメリカのリベラル派の日本分析の記事では、「付言すると、クェーカー教徒によって教育された今上天皇の天皇在位期間は、1989年に始まったのだが、この期間の多くの期間で、激戦地や戦争の爪痕を残す場所を訪問することで特徴づけられている。今上天皇はアジアにおける戦禍を目撃し続けてきた。日本の軍事力を整備した平和主義が追求されているが、皇太子がこの立場を取らねばならないということではない」と書かれています。

 

 これは欧米の人々からすると、日本の天皇は私たちと価値観が同じだし、平和主義だということになって、好感が持たれているということです。

 

 天皇の退位についてですが、今上天皇の一代限り、皇室典範の改定はしないということで、安倍氏は突破しようとしています。自民党の「天皇の退位等についての懇談会」の座長は、安倍首相と同じ山口県(長州)選出である、高村正彦副総裁です。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「天皇陛下退位で全体会議、3月2・3日に 衆参正副議長」

 

朝日新聞 20172271158

http://www.asahi.com/articles/ASK2W3G8TK2WUTFK004.html

 

 天皇陛下の退位を巡り、衆参両院の正副議長は27日、10の政党と会派の代表者を集めた全体会議を来月2日と3日に開く方針を、各党に伝えた。退位のための法整備について、一代限り可能にする特例法か、将来の天皇も対象にする皇室典範改正かといったテーマで意見交換する。

 

 正副議長は順次、各党・会派の代表者と個別に会談。聴取した意見を整理した文書を示して確認を求め、全体会議の日程を伝えた。

 

 川端達夫衆院副議長と国会内で会談した民進党の野田佳彦幹事長によると、2日は陛下の「お言葉」の受け止め方や象徴天皇制、皇位継承の安定性について、3日は特例法か皇室典範改正かといった法整備のあり方がテーマになるという。野田氏は記者団に「建設的な議論をしたい」と語った。

 

 一方、菅義偉官房長官は27日の記者会見で、女性宮家の創設を含む皇族減少への対応について、「検討を先延ばしすべきでないと思っている」と述べた。

 

●「特別法で一致…「退位一代限り」党見解」

 

毎日新聞2017213 2347(最終更新 213 2348)

http://mainichi.jp/articles/20170214/k00/00m/010/102000c

 

 自民党は13日、「天皇の退位等についての懇談会」(座長・高村正彦副総裁)を党本部で開き、現在の陛下一代に限って退位を認める特別立法での対応が望ましいとの党見解をまとめた。法整備の細部には踏み込まず、皇室典範に特別立法の根拠規定を置くかどうかなどは触れなかった。20日に衆参両院の正副議長に報告する。

 

 見解は、退位を皇室典範改正による恒久措置にした場合、明確な基準を設けるのが困難とし、一代限りの特別立法が望ましいと結論付けた。

 

 特別立法での対応については皇位継承を「皇室典範の定めるところにより」と規定した憲法2条に反するとの指摘があるため、「憲法と皇室典範、今回の立法措置(特別立法)の関係を明確にする必要がある」との記述を盛り込んだ。「安定的な皇位継承」については、「別途、慎重に検討すべき課題」と明記した。

 

 自民党は正副議長への報告前に、皇室典範改正による恒久制度化を主張している民進党との協議を模索している。

 

 茂木敏充政調会長は「皇室典範の付則に(特別立法の)根拠規定を置くことも考えられる」と述べ、対応に含みを持たせた。【大久保渉】

 

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一代限りの特例法に=天皇退位、幹部協議で一致-自民

 

時事通信 2017年2月6日

http://www.jiji.com/jc/article?k=2017020600936&g=soc

 

 自民党は6日、幹部で構成する「天皇の退位等についての懇談会」(座長・高村正彦副総裁)を開き、今の陛下一代に限って退位を認める特例法による対処で、党内の意見集約を図る方針で一致した。一代限りの特例法を軸に検討を進めている政府と足並みをそろえた形だ。同党は13日の次回会合で、見解の取りまとめを目指す。

女性宮家は緊急課題=野田民進幹事長

 

 6日の懇談会会合では、出席者全員が特例法による対処に賛成意見を述べた。また、党所属議員から書面で募った意見のうち、特例法を推す意見が7割に上った。座長代理を務める茂木敏充政調会長は会合後、記者団に「党内の意見は収れんされつつある」と強調した。

 

 一方、公明党の2日の会合でも、一代限りの退位を推す意見が多数を占めており、与党として方向性はおおむね一致している。今後の各党協議では、皇室典範改正による恒久制度化を主張する民進党などとの調整が焦点となる。

 

 衆参両院の正副議長は、各党協議を踏まえ、3月中旬までに国会としての見解を取りまとめる方針だ。(2017/02/06-19:46

 

(貼り付け終わり)

 

 ここまで来ると、安倍首相(と長州閥)はわが世の春を謳歌し、増上慢になっているとさえ言えるほどになりました。今上天皇の意向を詳しく聞くこともせず、また、その真意を無視し、全てを自分の思い通りにしようとしてきました。戦後具時代のことですが、毛利家の外交担当をし、後に僧でありながら大名になった、安国寺恵瓊(あんこくじえけい)は、尾田信中について、「高転びに転ぶ」「豊臣秀吉という人物は大変な人物だ」という手紙を毛利本家に送り、実際に彼の考えた通りになりました。安倍氏はこの故事に近づく、危険水位に入っていると思います。

 

 自民党を預かる形の二階俊博幹事長は、安倍首相に忠勤を励むように見せながら、要所では微妙に温度差を感じさせる動きをしています。元々日中友好に熱心で、二階氏の日中友好の熱心さに比例してか、彼の地元である和歌山の南紀白浜の動物園にはパンダがたくさん送られています。東京のパンダ好きが飛行機に乗って南紀白浜空港まで行って、パンダを見に行っているという話を聞いたことがあります。

 

 その二階幹事長ですが、今回のスキャンダルが報じられて、1週間経った2月16日に、自民党本部で行われた山口県物産展が開催されました。以下にそれを報じる記事を貼ります。この場に安倍総裁、高村副総裁、二階幹事長が顔を揃えました。高村副総裁も「山口の名産品は総理、皆さんがよく知っているのはフグですが」という浮ついた発言をしました。これは増上慢です。また、二階幹事長は、「日本は山口県を中心にして動いている」という発言を行いました。安倍首相、高村副総裁と2人の山口県選出の議員がいたからのリップサーヴィスであるとも言えますが、これは少し異常なほどの褒めようです。自民党には東北地方の各県から選出の議員たちもいて、東北地方では、戊辰戦争に関しての複雑な感情がまだ残っています。二階氏はそうしたことに配慮ができない政治家ではありません。

 

 スキャンダルが大きくなり始めている中で、このような発言をした意図はどこにあるのか定かではありませんが、二階氏は、安倍首相にただただ忠勤を励むというタイプではないだけに何か隠された意図があるのだろうと思います。

 

(貼り付けはじめ)

 

●「二階俊博氏、女性天皇を容認 自民幹部初「国民に違和感ない」」

 

産経新聞 2016年8月26日

http://www.sankei.com/politics/news/160826/plt1608260009-n1.html

 

 自民党の二階俊博幹事長は25日のBS朝日番組の収録で「女性尊重の時代に、天皇陛下だけ『そうならない』というのは時代遅れだ。そうと決まれば国民には違和感はないと思う」と述べ、女性天皇を容認する考えを示した。現在の自民党幹部が女性天皇の容認に言及したのは初めてで、今後議論が活発化する可能性がある。

 

 二階氏は収録後、記者団に対し「トップが女性の国もいくつかある。何の問題も生じていない」と指摘。その上で「女性がこれだけ各界で活躍しているところで、皇室、天皇だけが女性が適当でないというのは通らないと思う」と述べた。

 

 二階氏は番組で、天皇陛下が「生前退位」のご意向を示されたことについて「国民の八十数%の支持があるので、その方向へ早く決着に持っていくことが政治の側の責任だ」と述べ、認める考えを示した。「安倍晋三首相が処理すべきだ」とも語り、政府の責任で対応することを求めた。

 

 女性天皇と生前退位に関する議論について、二階氏は記者団に「一緒にやれればいいが、やれなければ切り離して考えればいい」と述べた。

 

 女性天皇に関しては、平成17年に当時の小泉純一郎首相の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が、女性・女系天皇を容認する報告書を提出。野田佳彦内閣では24年に女性皇族が結婚後も皇室に残る「女性宮家」創設を検討したが、いずれも皇室典範改正などには至らなかった。

 

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●「二階俊博自民幹事長「日本は山口県を中心に回っている」 党本部で開催の山口県物産展で」

 

産経新聞 2017年2月16日

http://www.sankei.com/politics/news/170216/plt1702160024-n1.html

 

 自民党は16日、党本部で安倍晋三首相の地元である山口県の物産展を開いた。首相も法被姿で登場し「今日は県の最もおいしい、優れた名産が集まっている。大切なのは買っていただくことだ」と地元の農産品などをアピールした。

 

 首相の来場前には、同じ山口県選出の高村正彦副総裁が「山口県では首相が一番とれるんですが、みなさんがご存じなのはふぐですね」と会場の笑いを取ると、二階俊博幹事長は「日本国は山口県を中心に回っている」と述べ、首相を持ち上げていた。

 

(貼り付け終わり)

 

 ここで安倍首相が政治的に大きな痛手を負うと、自民党内部でもいつまでも安倍首相を押し立てていては自分たちまで危なくなるということになるでしょう。そうなれば、造反というか、ポスト安倍を狙う動きも活発化していくでしょう。非清和会(安倍派)の、旧宏池会系に期待したいと思います。

 

 そうした中で、これまで約4年間余り続いた安倍路線にも修正が加えられていくでしょう。安倍氏の意向に沿った動きにもブレーキがかかったり、方向転換の動きが起きたりするでしょう。

 

 今回、スキャンダルの中心人物となった、森友学園理事長・塚本幼稚園園長の籠池泰典氏は日本会議大阪支部の役員を務めています。日本会議については、『日本会議の研究』(菅野完著、扶桑社新書、2016年)を是非お読みください。日本会議のメンバーの中には、今上天皇と皇后の考えや姿勢を嫌っている人が多くいるということです。そして、安倍氏が進める路線を応援しています。そうした中の一人である籠池氏が思いがけなく安倍氏をストップさせる役割を果たすということになるのは、何とも皮肉なものだと思わざるを得ません。

 

 古村治彦です。

 

 今回は、塚本幼稚園・森友学園に関するワシントン・ポスト紙の記事を皆様にご紹介します。これまで、ニューヨーク・タイムズ紙、ザ・ガーディアン紙の記事をご紹介しましたが、今回の記事はそれらとまた少し違う視点からの内容になっています。

 

 今回の記事は、今回のスキャンダルが、安倍首相に致命傷になりかねないという視点から書かれています。内容自体はこれまで紹介されたものがほとんどですが(前半は幼稚園の教育内容と差別の件、後半は土地取引の件となっています)、安倍晋三記念小学校という言葉が出てきており、また、土地取引で、8億円値引きされ、更にゴミの除去費用で1億2000万円が政府から学園側に支払われており、実質的に土地がタダで学園に与えられた点を書いてあります。

 

 外側からの目で見ると、事態がよりシンプルにかつ明確に見えてきます。そして、安倍首相にとってはこの問題が命取りになる可能性を秘めているということ分かります。

 

(貼りつけはじめ)

 

日本において、ある学校を巡るスキャンダルが安倍氏に絡みつく危険性が出てきている(In Japan, a scandal over a school threatens to entangle Abe

 

アンナ・フィールド

ワシントン・ポスト

2017年2月27日

https://www.washingtonpost.com/world/asia_pacific/in-japan-a-scandal-over-a-school-threatens-to-entangle-abe/2017/02/27/29486b94-fa1a-11e6-aa1e-5f735ee31334_story.html?utm_term=.8777d9ea980a

 

東京発。日本の首相が彼の任期の中で最大の危機に直面している。後ろ暗い土地取引、隠蔽、「邪悪な」韓国人と中国人についての文章を送った幼稚園を巡る、急激に大きくなりつつあるスキャンダルに絡み付かれている。

 

安倍晋三氏は間違ったことは何もしていないと強く否定し、安倍昭恵夫人は、スキャンダルと批判の中心点となっている新設予定の学校の「名誉校長」を辞任した。しかし、スキャンダルがすぐに終息するという兆候は見られない。

 

上智大学の政治学教授で安倍政権を厳しく批判している中野晃一氏は「多くの疑問が浮上しており、安倍首相はこれらに答える必要があります。安倍氏が直接関与しているかどうかは分かりません。もし関与していないにしても、今回の件で安倍首相は痛手を蒙るでしょう」と述べた。

 

全てはヘイトスピーチに関する地方の小さな話から始まった。

 

大阪府豊中市にある塚本幼稚園(訳者註:正確には大阪市淀川区)が、保護者たちに対して手紙を送り、その中で在日韓国・朝鮮人や日本在住の中国人が「邪悪な考え(wicked ideas)」を持っていると述べ、中国人に対して侮蔑的な言葉を使った。

 

この私立幼稚園の運営する学校法人の理事長である籠池泰典氏は、手紙の送付は事実だと認めた。

 

別の文書では、「日本国内に(韓国人の)精神を受け継いでいるのに見た目は日本人という人々が存在することが問題です」と述べていた。共同通信がある保護者からこの手紙を入手し、内容を報道した。

 

共同通信が入手した2015年の運動会(a sport day)の映像では、ある園児が「日本を悪者にする中国と韓国には心を入れ替えてもらいたいです。私たちは安倍首相を支持します」と述べている。

 

安倍氏は月曜日になって、学校から距離を取ろうと躍起となった。国会での質疑の中で、「自分は教育内容について全く知らない」と述べた。

 

安倍氏は、籠池氏について以前、「私の考えとよく似た考えを持っている人」と述べていた。しかし、月曜日になって、「人種、国籍、宗教」で差別をする人は学校の指導者としてふさわしくないと述べた。

 

安倍氏は、「当然のことですが、私はあのような形で園児に応援されたいとは思いません。また、園児たちがあのようなことを言うのは、園児たちにとって適切ではないと考えます」と述べた。

 

大阪は在日韓国・朝鮮人の割合が特に高い。在日韓国・朝鮮人は、20世紀初めの日本による朝鮮半島の植民地支配が残したものである。

 

塚本幼稚園に通う3歳から5歳の園児たちは、日本国旗の前で国歌を歌い、教育勅語を暗唱する。教育勅語は1890年に制定され、日本人に対して、「皇統を保護し、その繁栄を維持する」ために「国に対して自分自身を勇敢に捧げる」よう求める内容だ。教育勅語は第二次世界大戦で日本が敗北した後、廃止された。この時、日本における天皇の役割は、儀式的なものにまで縮小された。

 

塚本幼稚園はウェブサイトでは、「塚本幼稚園では、日本人としての礼節を尊び、愛国人を育てる」としている。そして、幼稚園はこのウェブサイトを通じて、一連の文書の内容について「誤解」を招いたことを謝罪した。

 

しかし、スキャンダルが本格化したのは、塚本幼稚園を運営する森友学園が「安倍晋三記念小学校(“Shinzo Abe Memorial Elementary School”)」とつけようとした学校の敷地のために購入した土地が大きく値引きされて売られていたことが明らかになってからだ。

 

新設の小学校は今年の4月に開校予定だ。小学校はウェブサイトの中で、「初めてのそして唯一の神道小学校」であることを宣伝し、「日本人としての誇りを持ち、強固な背骨を持つ子供たちを育てる」としている。神道は日本の精霊信仰の宗教で、安倍氏はその信者だ。

 

森友学園は昨年、評価額840万ドルの2エーカーの土地に120万ドルを支払った。この値引きは表向き、土地がゴミや汚染土を含んでいたからだと説明されている。それにもかかわらず、政府は、ごみ処理や清掃のためのコストにかかる費用として、120万ドルを払い戻している。これは、森友学園が支払った額と同額だ。

 

日本共産党に所属する宮本岳志衆議院議員は、国会で「これは、政府がタダで土地をあげたということではないですか?」と質問した。

 

隣りにある少し広い土地は2010年に豊中市が講演を設置するために売却されたが、その値段は1250万ドルだった。学校が支払った金額の10倍だ。

 

現在、財務省は土地取引交渉に関する記録は、取引が成立後に廃棄したと述べている。これに対して、野党第一党の民進党の議員たちは、政府が隠蔽していると非難している。会計検査院(The Board of Audit)が現在、調査中である。

 

安倍氏は、森友学園に対して自分の名前を学校に使わないように頼んだが、寄付金集めの過程で、学園側が安倍氏の依頼を無視したと述べた。

 

安倍氏は先週の国家の委員会で「私が何度も止めるように依頼したのに、そのような形で私の名前が使われたことは極めて残念です」と述べた。安倍氏は更に、自分か妻が何か間違ったことをしていたことが発見されたら、自分は首相も議員も辞職すると述べた。

 

安倍昭恵夫人は、籠池校長の「情熱」を称賛していた。そして、名誉校長を務めた。しかし、先週金曜日になって名誉校長を辞任した。そして、学校のウェブサイトから彼女についての記述は全て削除された。

 

この件で、スキャンダルは人種差別だけでなく、政治的な談合(political collusion)の疑惑にまで広がることになった。

 

学校法人の理事長である籠池氏は、日本会議大阪支部の役員だ。日本会議は、国家主義的な団体で、安倍晋三首相や、与党議員たちの多く、そして、安倍内閣の大臣たちと深いつながりを持っている。

 

日本会議は多くの目標を掲げているが、その中には、「愛国心の醸成」と、第二次世界大戦後に日本を占領したアメリカによって書かれた憲法にかわって、「我が国の真の特性を基盤にした」新しい憲法の制定をすることが含まれている。

 

安倍氏は、強固な保守主義者(arch-conservative)で、日本を再び「美しい国」に(make Japan a “beautiful country” again)したいと望んでいる。安倍氏は、戦後日本に付けられた足枷を緩めるために改憲に向けて邁進している。

 

しかし、日本会議の目標は、日本に戦前の強さを回復させることである。籠池氏は、幼稚園の保護者向けのニュースレターの中で、改憲を主張し、「安倍晋三首相のような偉大な人物から学ぶ」ことを奨励した。

 

複数の専門家は、このスキャンダルが大きくなり続け、安倍氏が現在明らかになっているものよりもより大きな役割を果たしていたことが発見されたら、安倍氏に致命的に大きなダメージを与えることになるだろうと述べている。

 

左派の新聞社である毎日新聞社の記者だった板垣英憲氏は、「今回の疑惑で安倍政権は大きく傷ついており、政権の基盤を揺るがす可能性があります」と述べた。

 

今回のスキャンダルは、地方政治のそして人種差別に関わる問題を含んでいるが、それ以外に、日本の近隣諸国との間で外交的な嵐を巻き起こす可能性を持っている。板垣氏は、「安倍氏首相は今回の疑惑は小さな問題だと考えているかもしれません。しかし、大きなダメージになる可能性を秘めているのです」と述べている。

 

複数の世論調査で、安倍氏は約60%の支持率を記録している。そして、自民党内、そして野党第一党の民進党から彼に挑戦しようという動きはほぼない。しかし、スキャンダルが拡大することで、衆議院の解散と総選挙の実施という彼の計画が遅れる可能性もある。

 

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