古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:楽天






 古村治彦です。



 今回は、2014年1月21日(全国の書店に行きわたるのに2日ほどかかります)に刊行いたします、私の2冊目の単著となります『ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側』(古村治彦著、PHP研究所、2014年)を皆様に宣伝をさせていただきます。



 本日(2014年1月10日)、見本(発売前に小数部の完成品ができます)ができ、私にも送られてきました。写真を見ていただくと分かりますが、この本のカヴァーの色は、赤っぽい色になっています。これは、「クリムゾン(crimson)」という色で、ハーヴァード大学のスクールカラー、シンボルカラーです。更に言うと、昨シーズン、日本のプロ野球で大旋風を巻き起こし、所属するパシフィック・リーグで初優勝し、その勢いのまま、日本シリーズで読売ジャイアンツを破って初の日本一に輝いた東北楽天ゴールデンイーグルスのシンボルカラーであり、もっと言えば、楽天グループのシンボルカラーです。このクリムゾンという色が本書のキーワードです。



 本書『ハーヴァード大学の秘密』は4部構成になっています。第一部は、「アメリカの代理人」養成所としてのハーヴァード大学、第二部は、アメリカの大学で学ぶということ、第三部は、ハーヴァード大学の知的パワーを象徴する学者たち、第四部は、ハーヴァード大学で真に教えたいこと、となっています。著者の私が言うのもなんですが、本書の肝となるのは最初の第一部と第四部です。





==========

【目次】



副島隆彦の推薦文



第一部 「アメリカの代理人」養成所としてのハーヴァード大学

第一章 ハーヴァード大学出身者の日本における人脈・最新版

    ―「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」が動かす現在の日本

第二章 ハーヴァード大学と日本

    ―戦前から戦後にかけて日本を動かしたハーヴァード大学人脈



第二部 アメリカの大学で学ぶということ

第三章 日本からアメリカへの留学の実態

    ―一大産業である留学

第四章 アメリカの大学の授業や制度、生活について

    ―これだけは読んでから、留学して欲しい



第三部 ハーヴァード大学の知的パワーを象徴する学者たち

第五章 サミュエル・ハンチントン

    ―リベラル派に喧嘩を売り続けた人生

第六章 ジョセフ・ナイ

    ―「アメリカの理想」に忠実なリベラル派



第四部 ハーヴァード大学で真に教えたいこと

第七章 共同体優先主義

    ―個人至上主義への危険な反発

第八章 合理的選択論(Rational Choice Theory

    ―自分が損をしないこと



あとがき



==========



第一部では、日本を動かす最高エリート層を形成する日本人ハーヴァード出身者たちのネットワークについて書いています。私はこれを「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」

と名付けました。具体的には、楽天の三木谷浩史会長兼社長を中心とする新経済連盟(新経連)に集う人々のネットワークについて書いています。また、今度の東京オリンピック招致成功に絡む人脈についても触れています。具体的には、早稲田大学スポーツ科学大学院教授の平田竹男氏を巡る人脈、そして、三木谷氏と平田氏をつなぐ線について書きました。この「クリムゾン・クラブ」がこれからアメリカの代理人として日本を動かしていくことになると私は考えます。そして、



 第一部では、最新の人脈の他に、戦前から戦後にかけての日本政治におけるハーヴァード大学人脈について書きました。私は、戦前には金子堅太郎を中心とするハーヴァード大学人脈があり、それが次に三木武夫、側近の松本瀧蔵に引き継がれたと考えています。戦後の日本とアメリカの関係で言えば、中曽根康弘・渡邉恒雄とヘンリー・キッシンジャーの関係が有名ですが、もう一つのラインとして三木武夫を中心とする線があったのではないかと考えます。そして、この2本のラインは一緒になり、三木武夫首相・中曽根康弘自民党幹事長のコンビで、アメリカの敵と認定された田中角栄を追い落としたのだというのが私の仮説です。



 第四部では、ハーヴァード大学政治学で教えられているもののうち、重要なものである共同体優先主義(Communitariansim)と合理的選択論(Rational Choice Theory)を取り上げて、説明しています。この2つの政治学上の重要な思想は、実はともに大変ユダヤ的であるということを私は指摘しました。共同体優先主義は、私の師である副島隆彦先生が見抜いたように、イスラエルの共同農場キブツの思想です。また共同体優先主義に分類される学者たちにはユダヤ系も多くいます。その代表が日本でも有名なマイケル・サンデル(Michael Sandel)ハーヴァード大学教授です。合理的選択論は、経済学の想定する経済的人間(economic man)を政治学に応用したもので(これを経済学の政治学に対する侵略と言って、経済学帝国主義と言う人もいます)、人間は「自己利益の最大化」のために行動するという前提で政治現象を分析していくものです。これも大変にユダヤ的な発想と言えます。こういったことを書くと、学問的ではないとして、アカデミックな世界では嫌われてしまいますが、私は敢えて書きました。



拙著『ハーヴァード大学の秘密』は、ハーヴァード大学をキーワードにして、このほかにも数多くのテーマを取り上げています。個々では紹介しきれないことをたくさん書きました。是非、多くの皆様にお読みいただきたいと思います。ここからは、現在の政治状況について書いていきたいと思います。



 私が『ハーヴァード大学の秘密』の最終的な推敲をしている2013年12月6日、キャロライン・ケネディ米大使が、楽天の本社を訪問し、三木谷氏と会談を行ったというニュースが入りました。私はこのことは大変重要だと直感的に思い、無理を言って、このことを本に入れてもらいました。キャロライン大使の動きは大変に重要ですが、そのことは後ほどにまとめて触れます。


carolinemikitani001
キャロライン・ケネディ大使(左)と三木谷浩史楽天会長兼社長



まず現在の政治状況を考えると、マイケル・グリーンが述べたように(2012年12月13日付東洋経済ONLINE「総選挙が「左派」に最後のとどめを刺す マイケル・グリーン氏が語る日本政治」ピーター・エニス http://toyokeizai.net/articles/-/12101)、「日本のリベラル系が殲滅」され、安晋三首相に抵抗できる勢力がいなくなりました。それで何が起きたかというと、安倍氏とその周辺が、アメリカの戦後世界を支配するための基礎となる正統性(legitimacy)を脅かす動きに出るようになったということです。それが、2013年12月26日の安倍晋三首相の靖国参拝です。靖国神社にA級戦犯として処刑された人々が合祀されたのは1978年、その目的は東京裁判史観を否定することでした。しかし、それは東京裁判を開いた連合国(アメリカがメインですが)に挑戦することでした。


abesinzoyasukuni001

安倍晋三首相の靖国神社参拝


 安倍首相の靖国神社参拝は、私がこのブログ内でも書きました通り(本ブログ2013年12月27日付 「分かっているようで分かっていないということになるのでしょうか」)、「アメリカの意図の読み間違い」であり、「アメリカに対する甘え(アメリカは一時的に怒っても、最後は許してくれる、だって日本は何と言ったってアメリカにとって大事な同盟国だし、ATMなのだから)」が引き起こしたものであると思います。ネオコンだろうがリベラルだろうが、「東条英機をはじめとするA級戦犯が祀ってある靖国神社(遊就館という太平洋戦争はアメリカが日本を圧迫し苛めたから起きたのだということを展示している博物館がある)に参拝するのは良いことでしょうか」と聞いて、「良いことですね」と大歓迎する人はアメリカ政府中枢に近いほどいないのではないかと思います。それは、アメリカの大義と戦後世界支配、世界覇権国の正統性を揺るがすことだからです。



 しかし、安倍首相には国内に対抗できる勢力がいない状況です。「リベラル」と言われた勢力は野党ではほぼ壊滅、自民党内の穏健派や保守本流系も静かになってしまった状況です。その結果、安倍氏と彼の周辺は誰にも実体のある反対や抵抗を受けることがなくなりました。そうして起こしたのが靖国神社参拝です。



 安倍氏を育て、盛り上げてきた、ジャパン・ハンドラーズは困ったことになったと思っているでしょう。安倍氏のために邪魔になるリベラルを黙らしてみたら、彼は自分たちに逆らうような行動をとるのですから(それが意図したものなのか、いわゆる「天然」なのかもよく分からないでしょう)。例えは適切かどうかわかりませんが、原子炉内の温度を適切に管理しようとしているのだが、暴走を抑えるための制御棒をなくしてしまったので、燃料棒が暴走して原子炉内の温度が上昇してしまうということに似ているのではないかと思います。



そこで重要な「制御棒」「対抗勢力」となるのが、昨年(2013年)秋に日本にやってきたキャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使です。キャロラインが駐日本アメリカ大使に着任してから、日本政治が少しずつ動いているなという感じを私は持ってきました(結いの党の結党など)。このブログの中でも書きましたが(本ブログ2013年11月17日付 「新しく米駐日大使になったキャロライン・ケネディについて考えたこと」)、王族や貴族がいないアメリカで、ケネディ家は王族のようなものであり(私はボストン・ケネディ王朝と呼んでいます)、キャロライン・ケネディはその王女様(お姫様)です。



話は脱線します。ケネディ家はアイルランドからの移民であって、ボストンに昔からボストン・ブラーミンと呼ばれるWASPの上流階級からは恐らく「成り上がり者」と下に見られているでしょうが、ボストンはアイルランド移民の町でもあります。ボストンにある、アメリカのプロバスケットボールNBAのチームは、ボストン・セルティックス(Boston Celtics)と言いますが、セルティックスとは「ケルト人たち」の意味です。チームカラーはグリーン、クローバーがロゴです。バスケットボールは元々労働者たちが良く見るスポーツでした。そのため、そうしたボストン社会の下層階級を意識した名前がセルティックスなのです。また、昨シーズン、ワールドシリーズを制したボストン・レッドソックス(Boston Redsox、日本人の上原浩治投手、田澤純一投手が大活躍しました)が本拠地フェンウェイ・パーク(Fenway Park)で試合をし、勝ったら流される曲があります。「スウィート・キャロライン(Sweet Caroline)」という曲なのですが、これは幼いキャロライン・ケネディからインスピレーションを得て作られた曲です。この歌は今やボストンを代表する曲になっています。こうして見ると、私がキャロライン大使を王女様と呼ぶのもあながち的外れとは言えないだろうと私は思います。





 私はキャロライン大使に関しては王女様なのでお飾りだろうと考えていましたが、どうもそうではないようです。ここの点を私は間違いました。彼女は映画「スターウォーズ」に出てくる、レイア姫やアミダラ女王のように強い意志を持って行動する人物のようです。また、これは私の初めての単著『アメリカ政治の秘密 日本人の知らない世界支配の構造』でも書きましたが、オバマ政権の外交を担っているのは、スーザン・ライス(Susan Rice)大統領補佐官やサマンサ・パワー(Samantha Power)国連大使ヒラリー・クリントン系の女性たちで、いずれ劣らぬ正義感の強い人々です。

obamaricpower001
オバマ大統領、スーザン・ライス、サマンサ・パワー


アメリカ政治の秘密
古村 治彦
PHP研究所
2012-05-12




 本ブログでもご紹介しましたが、駐日米大使館は、安倍晋三首相の靖国参拝に関して声明を発表し、その中で「失望した(disappointed)」という言葉を使いました。また、米国務省の報道官もこの言葉を繰り返しました。アメリカ大使館の声明に関して、色々な解釈をする人たちがいましたが、言葉通りに受け取るべきだったのです。キャロライン王女はご不満だったのです。このようなキャロライン王女に悪罵を投げつける人々(実際にアメリカ大使館のFBには異様な数の批判が書き込まれています)は、映画「スターウォーズ」で言えば、レイア姫を苛める銀河帝国軍の兵士たちと同じような存在として受け止められます。



 そして、最新の政治状況では、細川護煕元首相の都知事選挙出馬が最大の関心事となっています。東京の自民党は舛添要一元厚生労働大臣を支援するということになり、リベラル派、共産党と社民党は弁護士の宇都宮健児氏を推すことになりました。そして、軍事評論家で元航空幕僚長・元空将の田母神俊雄氏も出馬ということになり、石原慎太郎元東京都知事が支援することになりました。民主党は舛添氏の支援に回るかと思われましたが、細川氏の出馬で結論を先送りしています。



 私は昨日、細川氏が出馬の意思を固めたという話を聞いて、どうして今さら首相まで務めた人が選挙に出るんだ、学生野球の試合に引退したOBが出るようなものだ、と考えていました。しかし、昨晩ふと、これはアメリカの意向なのではないかと直感的に考えました。キャロライン大使が就任して以降、日本の政治が少しずつ動いていますが、それは安倍氏の支持ではなく、別の方向に動いていると感じていました。そして、細川氏の出馬も、キャロライン大使の意向なのではないかと考えて、それをツイッターでツイートしました。

hosokawamorihiko001
細川護煕



 細川氏の都知事選出馬は、かなり高い確率で、キャロライン大使の意向もあるのだということも分かってきました細川氏の奥さまである佳代子さんは、知的発達障害の人たちのためのスポーツ競技大会などを開催しているスペシャルオリンピックス(Special Olympics)を通じてケネディ家とつながりがあります。スペシャルオリンピックスは、ジョン・F・ケネディ(John F. Kennedy)元大統領の妹ユーニス・メリー・ケネディ・シュライバー(Eunice Kennedy Shriver)が1968年に始めました。そして、現在の理事長は、ケネディ元大統領の甥で、キャロライン・ケネディ大使のいとこのティモシー・ペリー・シュライバー(Timothy Perry Shriver)が理事長を務めています。日本のスペシャルオリンピックスは、細川佳代子さんが1993年に立ち上げたスペシャルオリンピックス・熊本が始まりとなっています。このように、細川家とケネディ家は国際的な社会活動を通じて繋がっています。こうした国際的なつながりは大変に重要です。この国際的なつながりとして、ヴァチカン(カトリック)も連なっているという話もあります。ケネディ家はアイルランド移民ですから、カトリックとの関係は深いし、オバマ政権の国連大使サマンサ・パワーはアイルランド生まれです。日本が、何か大きなものに包まれている、いや締められているそんな感じがしてきませんか。



 今回の細川氏の出馬には小泉純一郎元首相の支援があり、また、小沢一郎代議士・生活の党代表の働きかけがあったことが明らかになっています。こうして見ると、今回の細川氏の都知事選挙出馬は、安倍氏にブレーキを掛けるための、リベラル派(アメリカと日本の)の抵抗運動であると言えます。日本では実体のあるリベラルがいなくなってしまったために、戦う姫であるキャロラインが出てきているのだと思います。こうしたアメリカ側の意向が透けて見えるためか、自民党側では動揺が走っているようです。甘利明大臣の「殿ご乱心」発言はその慌てぶりを示しているものと言えまこす。

 私は『ハーヴァード大学の秘密』の第八章で、合理的選択論を取り上げました。この合理的選択論の重要な要素の一つが、プリンシパル(Principal)―エージェント(Agent)理論です。これは、「本人―代理人」理論と訳されます。プリンシパル(本人)は自分たちの利益を最大化するために、エージェント(代理人)を使います。これは政治の場面で色々な関係に見られます。有権者と政治家の場合は、有権者が本人となって、政治家が代理人となります。政治家と官僚(役人)の場合は、政治家が本人となって、官僚が代理人となります。問題は、代理人が本人の意向通りに動かない場合(これをエージェンシー・スラック、agency slackと言います)です。この場合、本人は代理人を変更するか(具体的には馘首)、意向通りに動くように誘導します。



 アメリカと日本の場合、アメリカの対日管理班(ジャパン・ハンドラーズ)が本人、日本の政治家が代理人となります。説明したように、代理人が本人の意向通りに動かないと、代理人は馘首になります。これまでもそうした例はありました。田中角栄は鳩山由紀夫といった人々はアメリカの意向に沿わなかったために潰されました。安倍氏だって例外ではありえません。安倍氏としては、「自分はアメリカの意向に従っている」と思っているかもしれません。しかし、そう考えているようでは、アメリカの複雑さ、大きさを全く理解していないということになります。安倍氏はネオコン派にくっついていれば安心と思っているかもしれませんが、アメリカはそこからシフトしたのです。そして何より、いくらネオコン派と言っても、靖国神社参拝については、安倍氏をそこまで徹底して弁護できないのです。アメリカの正義の前では、ネオコン派もリベラル派も一致しています。



 田中角栄氏はよく「石油問題でアメリカという虎の尾を踏んだのだ」と言われます。安倍氏も実は気づかないうちに「靖国問題でアメリカという虎の尾を踏んだのだ」と言うことになるのだと思います。



 今のうちはまだ、お灸的な感じで、都知事選で邪魔をされて、求心力を少し削がれると言ったところで済むのかもしれませんが、これからよほど自重して慎重に動かないと潰されてしまいます。二度目はないのです。We won’t give you a second!を突きつけられているというのが、私の今の政治状況に関する認識です。




(終わり)

  



このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック






 古村治彦です。



 今回は、最近起きた楽天を巡る2つのニュースについて書きたいと思います。私が1月に出版する本の中でも楽天、三木谷会長、桑田真澄氏について書きました。もうゲラを出してしまい、印刷に回ってしまいましたので、こちらで最新情報を書いておきたいと思います。



 一つ目は、新任のキャロライン・ケネディ米駐日大使が楽天本社を訪問し、三木谷浩史会長と会見を行ったというニュースです。


carolinemikitani001


(新聞記事転載貼り付けはじめ)



●「ケネディ大使が楽天・三木谷社長を訪問 異例の単独会談、出し抜かれた経済3団体」



2013年12月6日 MSN産経ニュース

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/131206/biz13120612350004-n1.htm



 ケネディ駐日米大使は6日午前、東京都品川区の楽天本社を訪れ、三木谷浩史会長兼社長と会談した。ケネディ大使は出迎えた三木谷氏に「楽天イーグルス日本一おめでとう」と笑顔で声をかけ、握手を交わし、記念撮影に収まった。大使は約一時間、同社の施設を見学した後、東北復興やネット関連ビジネスの振興策などで意見交換した。



 訪問は大使館側の要請で実現した。11月の着任以来、ケネディ大使が単独で日本企業を訪問するのは異例で、三木谷氏と親交が篤かったルース前大使の紹介によるものとみられる。



 三木谷氏はネットビジネスの経済団体・新経済連盟の代表幹事も務めており、ケネディ大使が日本の経済団体のトップと単独会談したのも初めて。経団連は米倉弘昌会長との会談は「年明けになる」としている。



(新聞記事転載貼り付け終わり)



 このニュースの肝は、記事のタイトルにもあるように、「出し抜かれた経済3団体」ということです。経済3団体とは、日本経団連、日経連、日商を指しますが、日本の主要企業は日本経団連に加盟しています。財界、経済界を動かしてきたのはこの経済団体です。しかし、楽天の三木谷氏は、日本経団連から脱退し、新経済連盟(新経連)を立ち上げ、代表幹事になりました。そして、着任早々で忙しいキャロライン・ケネディ大使がまず会った経済人が三木谷氏ということになりました。



 ケネディ大統領の訪問は、アメリカ大使館側から持ちかけられたものであると記事では書かれています。米大使は着任早々、まず経済3団体のトップと会うのが通例であり、常識というものでしょう。しかし、アメリカは楽天を、三木谷氏を選んだということになります。これはアメリカ側が三木谷氏を重要人物として扱っていることの証拠となります。



 ここら辺のことは2014年1月に出版する私の新刊『ハーヴァード大学の秘密』に書いてありますので、是非手にとってお読みいただきたいと思います。



 次に楽天を巡るニュース(楽天が大きな要素を占めるものではありませんが)として、元東京読売巨人軍の大エースであった桑田真澄氏と読売新聞社の渡辺恒雄会長の確執についての記事を取り上げます。



(記事の転載貼り付けはじめ)



●「桑田真澄「中日&楽天に監督売り込み」発覚で巨人が絶縁通告」



あさげいぷらす



2013123()957分配信 アサ芸プラス

http://news.nifty.com/cs/sports/baseballdetail/agp-20131203-18070/1.htm



KKコンビ」はある意味、やはり通じ合っているのか。桑田真澄氏(45)も清原氏同様、現場復帰をもくろんでとんだ失態を犯し、古巣から絶縁を言い渡されていたのだった。



「今シーズン、球界関係者を介して最初に『監督をやりたい』と売り込んだ先は楽天でした。何しろ、もし優勝しても星野仙一監督(66)は契約満了との理由で勇退する、との情報が流れていましたから」



 こう明かすのは、スポーツ紙遊軍記者である。



「ところが予想外の快進撃で、いつの間にか星野監督の去就はペンディングとなり、桑田氏は宙に浮いた」



 時を同じくして、桑田氏は、成績しだいで中畑清監督(59)のクビが寒くなりそうだったDeNAにも売り込みをかけていたのだという。遊軍記者がさらに続ける。



「つまり、監督が交代しそうな球団に狙いをつけたわけですね。恐らく、古巣・巨人の監督になる目はあまりないだろうと察知してのことでしょう」



 その理由を、読売グループ関係者が解説する。



「原辰徳監督(55)がまだ指揮を執っているというのに、『監督をやらせてほしい』と、チョロチョロ動いたんですよ。時には『原さんじゃダメですよ』と悪口めいたことも言いながら、最高権力者たる渡辺恒雄球団会長(87)に面会し、取り入ろうとした。それで渡辺会長は『こいつは信用できんなぁ』と敬遠するようになったんです」



 そんな折、中日内部ではポスト高木を巡る論議が始まっていたが、白井オーナー一派とは別のグループの球団幹部から、「桑田監督がいいのではないか」との声が上がったのだという。中日グループ関係者が声を潜めて明かす。



「夏頃からですね、桑田氏の名前が飛び交い始めたのは。『桑田監督、立浪ヘッドコーチ』という案です。そうした話を耳にした桑田氏が、これ幸いとアプローチをかけた、ということだと思いますね。だって中日と桑田氏の接点なんて、まったくないわけですから。ただ、その立案者には人事権はないうえ、そうした動きを知った白井オーナーが一時、『もう誰の名前も持ってくるな』と怒った。だって立浪ヘッドということは、桑田監督の後継者としての道筋がつくということでしょう。立浪氏の素行を問題視する白井オーナーが不快感を示すのも無理はない」



 この中日売り込みは、やがて渡辺会長の知るところとなる。そして烈火のごとく怒った──。



「今後、絶対に巨人の首脳にはさせん。巨人には出入り禁止だ!」



 巨人フロント関係者が言う。



「ナベツネさんは桑田に直接、そう通告したそうです。そもそも、ナベツネさんは今、『松井秀喜監督』擁立にご執心。さらにその後継は高橋由伸、阿部慎之助という青写真を描いている」



 桑田氏が働きかけたのがよりによって中日だったのがまずかった、との指摘も。



「楽天やDeNAだけなら大した話にはならなかった。読売新聞と中日新聞には部数拡大戦争があり、読売は中日が圧倒的な力を誇る東海地区に何度も挑んではじき返されている。しかし、また勝負を仕掛けたい渡辺会長にとって、東海地区での拡充を足がかりに、久しく1000万部を割っている部数を回復させることは悲願。それに水を差す行為は絶対に許されないのです」



 かくして桑田氏は渡辺会長の逆鱗に触れ、巨人から絶縁、追放宣告を受けてしまったというしだい──。



(記事の転載貼り付け終わり)





 桑田ほどの切れ者ならば、中日と読売の争いなどということはよく分かっているはずです。そして、本当に巨人の監督を狙っているのならば、原監督に対する倒閣運動的な行動を起こすはずもありません。そして、絶対に他球団の監督に色気を出すことはありません。巨人は生え抜き信仰がドグマとなっており、巨人に入団し、そして引退、他球団の監督になったことがない人間が監督になります。コーチ経験で言えば、故藤田元司監督が現役引退後、大洋の投手コーチを務めていますが、これは例外中に例外です。



藤田元司氏は慶応大学の出身で、当時の正力亨オーナーとは先輩後輩ということもあり、かつ長嶋解任の余波、王への禅譲に向けた中継ぎ的立場(王助監督、牧野ヘッドコーチのトロイカ体制を甘受しなくてはいけない)ということで引き受け手がなく、緊急避難的に藤田氏にお鉢が回ってきました。藤田氏は巨人OB会のドンであった川上哲治氏との関係も悪くなかったとういのもプラスに作用しました。現在の原監督は長嶋派と目されていますが、入団時の監督であった藤田氏を尊敬し、お手本にしているという話もあります。



その超ポジティヴキャラクターで巨人ファンに愛された中畑清氏も巨人の監督を目指し、他球団からの誘いも断り続けていましたが、恐らく、早くから巨人の監督の目を諦めていたV9戦士高田繁(日本ハム、ヤクルトの監督を歴任)現横浜DeNAジェネラルマネージャーからの説得もあり、横浜の監督となりました。入団の経緯から巨人ファンからもそこまで愛されなかった江川卓氏はテレビキャスターとしての安定した収入を捨てることもできず、現場への復帰はできていません。他球団からの誘いは毎年のように報道されますが、固辞しているようです。しかし、そこまで巨人を思っても、彼が監督になることはないでしょう。江川という人は怪物過ぎた故に、大きな悲哀を味わった人物です。



桑田氏も同じような流れにあります。入団の経緯もあって、そこまで巨人ファンに愛された人物かといわれるとそれは難しいかなと思います。努力家、理論家という点で尊敬を集めたのは事実ですが、監督候補というわけにはいきません。巨人から戦力外通告を受けて退団し、大リーグのピッツバーグ・パイレーツに移籍したという点から、生え抜きという条件から外れています。桑田氏は、よほどの緊急事態がない限り、自身が巨人の監督になる可能性が低いことはよく分かっているでしょう。



巨人側もポスト原監督の人材は豊富にいることは分かっているし、下手な期待を持たせないためにも桑田氏には監督の目がないことは伝えているでしょうし、桑田氏も頭の良い人ですから、そのことは言われなくても分かっているでしょう。それではなぜ、このような記事が出たのでしょう。巨人の監督の目がないならば、逆に言えば他の11球団の監督になりたいと就職活動をするのは自由であるはずです。巨人の監督にはしてやれないが、だからと言って他球団の監督になってもいけないというのは余りに横暴です。



巨人にしてみれば、巨人だけでOBをコーチや監督として面倒を見ることは難しいのですから、優秀なOBが他球団で評価を受けて、その人に他のOBを引っ張ってもらえば助かるという面があります。この点を考えれば、桑田氏は適任の人材です。あの名将・野村克也氏も桑田氏を高く評価しているのですから、他球団に就職活動をするのは当然です。



それではなぜ渡辺会長の逆鱗に触れたのかということになります。確かに中日に対して就職活動をしたとなると問題になるでしょうが、桑田氏が本当に就職活動をしたのかどうか疑問です。中日の監督候補でPL学園の後輩になる立浪和義氏が一芝居打った可能性も考えられます。



私が注目したいのは、桑田氏の就職活動先に楽天と横浜DeNAの名前があったことです。そして、この2球団に関しては、渡辺会長の逆鱗に触れた理由にはなっていません。私は、桑田氏が楽天の監督就任を望んでいるのは間違いないところだと思っています。それは、桑田氏と楽天の三木谷会長との間は、人脈としてしっかりつながっているからです。



私は渡辺会長が怒っているのは、恐らく楽天の三木谷氏に対してであると考えています。怒っているというよりは、恐れていると言った方が良いのかもしれません。三木谷氏をプロ野球の世界に参入させたのは渡辺氏です。しかし、今やプロ野球界で渡辺氏とは別の勢力が形成されつつあります。それはアメリカの代理人の新世代と言える人々です。ソフトバンクの孫正義氏、オリックスの宮内義彦氏、横浜DeNAの親会社DeNAの創業者南場智子氏といった人々は、アメリカ留学経験(アメリカで学士号や修士号を取得している)を持った人々です。アメリカの代理人であった渡辺会長は世代交代によって自分の力が剥奪されていくのを恐れているのでしょう。



楽天の三木谷氏の人脈に桑田氏はしっかり連なっています。そのことは2014年1月に出版する私の著書『ハーヴァード大学の秘密』で書きましたので、そちらをお読みいただきたいと思います。ここでは、渡辺氏は、桑田氏に対して怒りながら、本当はその先にいる三木谷氏に怒っている(本当は恐れている)ということになるのだと思います。



三木谷氏は、「アメリカの代理人」の新興勢力として力を増しているのでしょう。この文章で紹介した2つのニュースはいみじくもそのことを示していると私は考えています。



(終わり)

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ