古村治彦です。

 

 ドナルド・トランプ大統領がハーバート・R・マクマスターを解任し、ジョン・ボルトンを国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命して、1カ月ほどが経過しました。その間に、米英仏によるシリアへのミサイル攻撃がありました。北朝鮮情勢は対話路線が前面に押し出ている感じです。

 

 そうした中で、ホワイトハウスで国家安全保障問題担当大統領補佐官が主宰する国家安全保障会議(NSC)の構成がだいぶ変わっているようです。ジョン・ボルトン就任後に更迭や自発的な退任が続いていたようです。

 

 ボルトンはミラ・リカーデル(Mira Ricardel)は自分の下の次席補佐官に任命しました。リカーデルは、2017年3月に商務次官(輸出管理担当)となりました。そして、今回、国家安全保障問題担当次席大統領補佐官に就任することになりました。

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ミラ・リカーデル 

 リカーデルはジョージタウン大学外交学部を卒業後、ボストン郊外にあるタフツ大学フレッチャー記念法・外交研究大学院で博士号を取得しました。ロナルド・レーガン政権で国務省の軍縮担当、ボブ・ドール連邦上院議員のスタッフ、ジョージ・W・ブッシュ政権で国防次官補代理、国防次官補臨時代理などを歴任しました。民間部門では、2006年から2015年にボーイング社の副会長(軍事部門、国際部門)を務めました。

 

 2016年、ドナルド・トランプの政権以降ティームに入り、国防政策部門を担当しました。トランプ政権内では商務次官を務めていました。今回、次席補佐官に就任しました。

 

 リカーデルは中央アジアやユーラシアを専門にしているようです。商務次官で輸出管理担当ということは、現在の貿易戦争の原因となっている関税政策にもかかわっているものと思われます。こうした点から反中国、反ロシア的な考えを持っているのだろうと推測されます。ネオコンのボルトンが選んだのですから、当然と言えるでしょう。

 

 私が気になったのはリカーデルが約10年にわたり、ボーイング社の副会長を務めていた点です。しかも軍事部門が長かったようですので、軍需産業の代表とも言える存在です。国家安全保障会議(NSC)を主宰するのは補佐官ですが、実際に準備を行うのは次席補佐官です。従って、これからアメリカの対外姿勢が強硬になっていくのだろうと思われます。

 

 北朝鮮問題は米朝首脳会談実現に向けて、マイク・ポンぺオCIA長官(次期国務長官)が訪朝したことで、かなり楽観的な雰囲気になっています。私は、トランプ大統領がポンぺオを訪朝させたのは、連邦議会での承認を得やすくするためもあり、また首脳会談の準備をしている、そのために強硬派であったポンぺオを行かせた、というジェスチャーを見せるものだったと思います。

 

 アメリカの対外政策を司る部門である国務省と国家安全保障会議の2つのラインで別々の方策、交渉と武力行使の準備をさせて、最終的にトランプ大統領がどちらかを選択するということになっているのだろうと思います。この2つの路線を競わせて最終的に自分で選ぶというのはトランプ大統領の常套手段です。ですから、交渉一辺倒になったと楽観視するのはまだ早いと思われます。

 

(貼り付けはじめ)

 

ジョン・ボルトンがミラ・リカーデルを次席補佐官に指名(John Bolton announces Mira Ricardel as deputy adviser

 

AP通信

2018年4月20日

http://uk.businessinsider.com/ap-john-bolton-announces-mira-ricardel-as-deputy-adviser-2018-4

 

フロリダ州ウエスト・パーム・ビーチ発(AP通信)。ジョン・ボルトン国家安全保障門団体等大統領補佐官は現在、国家安全保障会議(NSC)の内部チェックと構成の変更を行っており、金曜日、ミラ・リカーデルが国家安全保障問題担当次席大統領補佐官に就任すると発表した。

 

リカーデルは3つの政権でそれぞれ国務省、国防省、商務省に勤務した。また、ボブ・ドール上院議員のスタッフを務めた経験を持つ。

 

ドナルド・トランプ大統領によってあ新たに国家安全保障問題担当大統領補佐官に任命されたボルトンはリカーデルを次席補佐官に選んだことについて、「アメリカと諸国の同盟関係、防衛態勢、技術に関する安全保障、外国に対する安全保障上の支援、国家安全保障問題幅広い基盤を持つ専門性、軍縮のような国家安全保障諸問題などの幅広い専門性」をその理由としている。

 

ボルトンはトランプ政権で3人目の国家安全保障問題担当大統領補佐官で、前任者はハーバート・R・マクマスターであった。

 

国土安全保障問題担当大統領補佐官であったトム・ボサートを含む国家安全保障問題担当の高官の多くがボルトンによって更迭、もしくはボルトンの補佐官就任を受けて自発的に退任している。

 

(貼り付け終わり)

 

(終わり)

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今の巨大中国は日本が作った

※私の仲間である石井利明さんのデビュー作『福澤諭吉フリーメイソン論』が2018年4月16日に刊行されました。大変充実した内容になっています。よろしくお願いいたします。

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(仮)福澤諭吉 フリーメイソン論

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