古村治彦です。
2026年11月の中間選挙が近づき、話題になることが多くなっている。ドナルド・トランプ大統領の支持率も「中間選挙が近づく中で下落」というような表現をされることが多い。中間選挙(midterm election)は、政権に対する「中間試験(midterm exam)」の意味合いが強く、これまで、政権を握っている党に不利な結果が出ることが多かった。現在のトランプ大統領の支持率は約39%、不支持率は約59%となっている。支持率が40%を切るのは厳しいが、「何があってもトランプを支持する人たち」がそれくらいはいるということになる。中間選挙では連邦下院の全議席(435議席)と連邦上院(10っ議席)の約3分の1の議席の選挙が実施される。また、一部州の知事選挙も実施される。それ以外にも地方の選挙も実施される。注目はやはり連邦議会の選挙だ。大統領の支持率が低いと結果に反映されるということがあり、今回で言えば共和党が不利な状況となっている。



現状では連邦上院では共和党が53議席、民主党系が47議席、連邦下院では共和党が217議席、共和党系無所属が1議席、民主党が212議席、欠員が5議席となっている。現在までの各種世論調査を見てみると、民主党に追い風が吹いているようであるが、上下両院で民主党が過半数を奪取できるかどうかは微妙な情勢だ。連邦下院では民主党が217議席、共和党が218議席となり、僅差で共和党、連邦上院では50対50となり、同数の場合には、連邦上院の議長役となる副大統領が1票を投じることになるので、上院もかなりの僅差で共和党が過半数ということになる。しかし、これだけの僅差となると、議会運営は難しくなる、日本の様に党議拘束ということはないので、全員が一致しての投票行動ということはあまりないからだ。
民主社会主義勢力は「アメリカ民主社会主義者(Democratic Socialists
of America、DSA)」という組織を結成している。これは民主党とは別組織であるが、この組織の会員が民主党員として各種の予備選挙に出て勝利し、民主党の候補者になっている。2016年大統領選挙でのバーニー・サンダース連邦上院議員の躍進以来、民主社会主義の躍進は続いている。しかし、民主党の候補者になることまではできるが、本選挙で勝てるかどうかという問題はある。社会主義という言葉、民主社会主義が掲げる政策に対しての支持は無党派層に広く浸透してはいない。「過激、急進的」ということで忌避されることもある。また、民主党内部にも穏健、中道、エスタブリッシュメントがある以上、民主党内部にも拒否反応がある。DSAは独自の政治勢力、最終的には政党として民主党とは別で行動すべきと考える人たちもいる、一方で、これまでうまくいっているのでそのまま続けるべきという意見もある。
現状では、民主社会主義勢力は都市部を中心に大学教育を受けた若者たちを中心に支持を拡大している。今回の中間選挙で民主党内部での影響力を大きく拡大することは確実となっている。これもまたアメリカの国力の衰退や帝国としての終わりが近づくという、大きな構造変化によって出てきた現象であると言えるだろう。
(貼り付けはじめ)
民主社会主義の勢いが高まる中、アメリカ民主社会主義者(DSA)は自らに問いかけている。「次はどうするのか?」(Amid a democratic socialist surge, the DSA asks itself: What’s next?)
-アメリカ民主社会主義者(、Democratic Socialists of
America DSA)の指導部にとって、2026年の予備選挙は、期待していた以上の勝利をもたらすものとなった。今、彼らはその影響力をさらに拡大しようとしている。
カレン・タマルティ筆
2026年8月3日
『ワシントン・ポスト』紙
https://www.washingtonpost.com/politics/2026/08/03/amid-democratic-socialist-surge-dsa-asks-itself-whats-next/
週末にシカゴで開かれたアメリカ民主社会主義者(DSA)の会合にメンバー約600人が参加した
シカゴ発。アメリカの民主社会主義運動(democratic socialist
movement)の指導者たちにとって、2026年は、彼らがかつてはあえて期待することさえしなかったほどの成功を収めた年となっている。
「自分の生きている間にこんなことが可能になるとは思ってもみなかった」とシカゴで週末に開催され、600人のメンバーが集まった3日間の会議の最中、インタヴューに応じた「アメリカ民主社会主義者(the Democratic Socialists of America、DSA)」の共同議長アシック・シディークは述べた。「私たちが収めつつある成果を目の当たりにして、驚きを感じているメンバーも確かにいるが、それは決して何もないところから突然生まれたものではない」。
シディークが述べるところでは、DSAの会費を支払う会員たちは非常に若く、「DSAの基準で言えば、私はもう年長者だ。私は30代ではあるのだが」ということだ。
「サミット」と銘打たれたこのDSAの集会では、参加者同士が「同志(comrades)」と呼び合っていた。彼らをここに集めた思想を物語るものとして、「ICE(移民関税執行局)を廃止せよ(Abolish ICE)」と書かれたTシャツや、「地主(や大家)どもクソ食らえ(Land Lords Suck)」と主張するバッジ、さらには19世紀のスローガンである「労働は、それが生み出したすべてのものに対する権利を有する(Labor is entitled to all it creates)」と記されたポスターなどが販売されていた。展示ホールのテーブルの1つには、「ディア・リーダー(鹿の指導者、Deer Leader)」と名付けられた雄鹿の剥製が置かれており、その角の間にはDSAの赤い野球帽が挟まれていた。
しかし、祝賀ムードが漂う一方で、ある深刻かつ戦略的な問いがそこにはあった。それは、「次はどうするのか?」という問いだ。
昨年、民主社会主義者のゾーラン・マムダニがニューヨーク市長に選出されて以来、DSAの全国運営組織が正式に公認、あるいは地方支部が支援した候補者たちは、市議会議員選挙から連邦議員選挙に至るまで数多くの予備選挙で次々と勝利を収めてきた。その中には、現職のヴェテラン議員を打ち負かしたケースも含まれている。
DSAの会員数は全国で12万人近くにまで増加していて、これはドナルド・トランプが2期目の大統領に当選した2024年当時の2倍以上の規模だ。先週発表されたCNNの世論調査では、民主党員および民主党支持層の成人の3分の1が、自らを「民主社会主義者」であると認識していることが明らかになった。
こうした数字こそが、民主党エスタブリッシュメントが「政治的な自殺願望(political
death wish)」とみなす事態を懸念する理由となっている。先月実施された『ワシントン・ポスト』紙とイプソス社による調査では、民主党員の4人に3人が大統領候補として民主社会主義者を支持することに前向きな姿勢を示したが、全米の一般有権者で同様の考えを持つ人は半数に満たないという結果だった。
DSAの会員数は全国規模で約12万人と急拡大している
DSAのメンバーも、これが難題であることを認めている。それは単に大統領選レヴェルの話にとどまらない。彼らの綱領における長期的な目標の多く―例えば刑務所制度の廃止、国境の開放、国防総省の予算削減、そして連邦上院の廃止など―は、エスタブリッシュメントの考え方から大きくかけ離れている。
しかし、彼らは、ニューヨーク市のような民主党の圧倒的な地盤以外の地域であっても、民主社会主義者の候補者を擁立することをためらうべきではないと主張している。そうした候補者の1人がフランチェスカ・ホンだ。彼女は、重要な激戦州であるウィスコンシン州で8月11日に行われる知事選挙の民主党予備選挙において、混戦を抜け出しリードしている状況だ。
会員数1万5000人を擁するDSAニューヨーク市支部の元共同議長ジェレミー・コーハンは「左派が予備選挙に勝って本選挙で負ければ災厄となるだろうが、中道派が予備選挙に勝って本選で負けた2016年もまた災厄だった」と述べた。彼はこの発言の中で、党エスタブリッシュメントの王朝の旗手だったヒラリー・クリントンと、民主社会主義というブランドを全国的なレヴェルにまで押し上げたバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)との間で繰り広げられた激しい争いに言及した。
コーハンは「勝利するためにはこれらのリスクを取らねばならない」とコーハン氏は述べた。
DSAのメンバーは、大きな自律性を持つ支部に所属しており、多くのメンバーはさらに、互いに意見の対立も多い十数個の「コーカス(caucus、党内グループ)」のいずれかにも参加している。今後、彼らにとっての重要な問いとなるのは、民主党を左傾化させるために揺さぶりをかけるべきか、それとも彼らが「ダーティ・ブレイク(dirty break、汚れた決別)」と呼ぶような、党との決別を行うべきか、ということだ。
ヒューストン支部から参加した正看護師であるセレナ・エルミタニオは、DSAの理事会に相当する27名で構成される「全国政治委員会(National Political Committee)」のメンバーだ。彼女はまた、DSA内部のマルクス主義的かつ労働運動を重視するグループ「ブレッド・アンド・ローゼズ・コーカス(Bread & Roses caucus)」のメンバーでもある。
エルミタニオは、民主党との完全な決別は「戦術として理にかなっている」と述べた。なぜなら、そうしなければDSAは、労働者の懸念を代弁しない既存の体制内組織内部の「下位のパートナー(a
junior partner)」に甘んじることになるからだ。
会議に参加するDSAメンバーのケイティ・シムズ(右)
これとは反対の立場を取るのが、ニューヨーク州イサカ支部のメンバーであるケイティ・シムズだ。彼女はDSAの選挙活動を統括し、「改革派(reformist)」とされる「ソーシャリスト・マジョリティ・コーカス(Socialist Majority Cacus)」のメンバーでもある。(DSAのメンバーは、自分たちが中道や穏健と評されることを嫌う。)
シムズは、「私たちは民主党の支持層を取り込もうとしている。慕って、うまくいっている活動を止めるのは理にかなっていない」と述べた。
もう一つの課題は、政府運営する医療制度といったDSAの主要な理念には賛同しているものの、「民主社会主義者」という肩書きを掲げない候補者を当選させるために、ヴォランティア主導の選挙活動を今後も投入すべきかどうかという点だ。
例えば、火曜日に行われたミシガン州の重要な連邦上院議員選挙民主党予備選挙において、DSAの活動家や現場の支援者たちは、進歩主義候補のアブドゥル・エルサイードを非公式に支援している。エルサイードは自らを社会主義者ではなく、「資本主義の仕組みを理解している資本家」だと主張しているが、DSAのメンバーたちは支援した。
しかし、他の地域ではDSAの支部はそれほど寛容ではない。オーランド支部は最近、支部の支持を求めていた郡委員会候補者に対し、支持を得るためにウェブサイトに「民主社会主義者」という言葉を掲載する必要があると伝えたと支部メンバーのクリフ・コノリーは述べた。コノリーによれば、その10分後には、この候補者のウェブサイトのトップに「労働者家族のために戦う民主社会主義者」という文言が掲げられたということだ。
DSAの注目度の高い全国的な支持を獲得するには、候補者は一連の基準を満たす必要があるとDSAの幹部たちは述べている。その基準とは、単なる「進歩主義派(progressive)」にとどまらず、自らを「民主社会主義者」であると明確に位置づけていること、DSAの強力な支部があり強固な組織的基盤による支援を受けられる地域で出馬すること、親イスラエル・ロビーからの資金提供を拒否すること、そして、米移民関税執行局(ICE)の廃止やule
ルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立といったDSAの政策的立場を支持すること、などだ。
連邦議事堂に姿を見せたアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は大統領選挙においてDSAの支持獲得の最有力候補と目されている(2026年7月)
また、DSA全国委員会は支持を求める候補者に対して厳格な面接プロセスを課しており、指導部によれば、このプロセスはマムダニの勝利以降、さらに要求の高さが上がっているということだ。
当面の課題の一つは、2028年の大統領選挙に向けた支持決定のプロセスを策定することであり、早ければ来年3月か4月までの決定を目指している。
もし出馬を決断すれば、支持獲得の最有力候補となるのはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)だ。しかし、DSAの大統領選検討委員会委員長であるアレックス・ペリテリは、仮に支持を決定するとしても、それはDSAにとってより長期的な戦略の一環になるだろうと述べている。
DSA指導部は、現在の構成員の多くを占める「若年層、都市部居住者、大卒者」というグループを超えて、組織と運動の裾野を広げる必要性を認識している。彼らは、大統領選挙への全国的な取り組みがその助けになると考えている。
「候補者を擁立することの魅力は、全米の何百万人もの人々にアプローチするためのプラットフォームが得られる点にある」とペリテリは述べた。彼自身、2016年の大統領選挙でサンダースのために戸別訪問を行ったことが政治活動の始まりとなった。
しかし彼らは、2028年の選挙は長い道のりの始まりに過ぎないと明確に述べている。ペリテリは「私たちは選挙を社会主義運動とDSAを成長させるための手段だと捉えている」と付け加えて述べた。「私たちの目標は資本主義から社会主義への移行を実現することであり、それは一度の選挙運動で達成できるものではない」。
(貼り付け終わり)
(終わり)

『世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理』

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『トランプの電撃作戦』

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