古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。X accountは、@Harryfurumura です。ブログ維持のために、著作のお買い上げもよろしくお願いします。

タグ:民主党

 古村治彦です。

 2026年11月の中間選挙が近づき、話題になることが多くなっている。ドナルド・トランプ大統領の支持率も「中間選挙が近づく中で下落」というような表現をされることが多い。中間選挙(midterm election)は、政権に対する「中間試験(midterm exam)」の意味合いが強く、これまで、政権を握っている党に不利な結果が出ることが多かった。現在のトランプ大統領の支持率は約39%、不支持率は約59%となっている。支持率が40%を切るのは厳しいが、「何があってもトランプを支持する人たち」がそれくらいはいるということになる。中間選挙では連邦下院の全議席(435議席)と連邦上院(10っ議席)の約3分の1の議席の選挙が実施される。また、一部州の知事選挙も実施される。それ以外にも地方の選挙も実施される。注目はやはり連邦議会の選挙だ。大統領の支持率が低いと結果に反映されるということがあり、今回で言えば共和党が不利な状況となっている。
donaldtrumpapprovalratings2026012720260818grapn001
2028midtermelectionhousegenericrates001
2028midtermelectionhouseseats001
2028midtermelectionsenatesseats001

 現状では連邦上院では共和党が53議席、民主党系が47議席、連邦下院では共和党が217議席、共和党系無所属が1議席、民主党が212議席、欠員が5議席となっている。現在までの各種世論調査を見てみると、民主党に追い風が吹いているようであるが、上下両院で民主党が過半数を奪取できるかどうかは微妙な情勢だ。連邦下院では民主党が217議席、共和党が218議席となり、僅差で共和党、連邦上院では50対50となり、同数の場合には、連邦上院の議長役となる副大統領が1票を投じることになるので、上院もかなりの僅差で共和党が過半数ということになる。しかし、これだけの僅差となると、議会運営は難しくなる、日本の様に党議拘束ということはないので、全員が一致しての投票行動ということはあまりないからだ。

 民主社会主義勢力は「アメリカ民主社会主義者(Democratic Socialists of AmericaDSA)」という組織を結成している。これは民主党とは別組織であるが、この組織の会員が民主党員として各種の予備選挙に出て勝利し、民主党の候補者になっている。2016年大統領選挙でのバーニー・サンダース連邦上院議員の躍進以来、民主社会主義の躍進は続いている。しかし、民主党の候補者になることまではできるが、本選挙で勝てるかどうかという問題はある。社会主義という言葉、民主社会主義が掲げる政策に対しての支持は無党派層に広く浸透してはいない。「過激、急進的」ということで忌避されることもある。また、民主党内部にも穏健、中道、エスタブリッシュメントがある以上、民主党内部にも拒否反応がある。DSAは独自の政治勢力、最終的には政党として民主党とは別で行動すべきと考える人たちもいる、一方で、これまでうまくいっているのでそのまま続けるべきという意見もある。

 現状では、民主社会主義勢力は都市部を中心に大学教育を受けた若者たちを中心に支持を拡大している。今回の中間選挙で民主党内部での影響力を大きく拡大することは確実となっている。これもまたアメリカの国力の衰退や帝国としての終わりが近づくという、大きな構造変化によって出てきた現象であると言えるだろう。

(貼り付けはじめ)

民主社会主義の勢いが高まる中、アメリカ民主社会主義者(DSA)は自らに問いかけている。「次はどうするのか?」(Amid a democratic socialist surge, the DSA asks itself: What’s next?

-アメリカ民主社会主義者(、Democratic Socialists of America DSA)の指導部にとって、2026年の予備選挙は、期待していた以上の勝利をもたらすものとなった。今、彼らはその影響力をさらに拡大しようとしている。

カレン・タマルティ筆

2026年8月3日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/politics/2026/08/03/amid-democratic-socialist-surge-dsa-asks-itself-whats-next/

attendersofdemocraticsocialistsofamericameetingchicago2026001

週末にシカゴで開かれたアメリカ民主社会主義者(DSA)の会合にメンバー約600人が参加した

シカゴ発。アメリカの民主社会主義運動(democratic socialist movement)の指導者たちにとって、2026年は、彼らがかつてはあえて期待することさえしなかったほどの成功を収めた年となっている。

「自分の生きている間にこんなことが可能になるとは思ってもみなかった」とシカゴで週末に開催され、600人のメンバーが集まった3日間の会議の最中、インタヴューに応じた「アメリカ民主社会主義者(the Democratic Socialists of AmericaDSA)」の共同議長アシック・シディークは述べた。「私たちが収めつつある成果を目の当たりにして、驚きを感じているメンバーも確かにいるが、それは決して何もないところから突然生まれたものではない」。

シディークが述べるところでは、DSAの会費を支払う会員たちは非常に若く、「DSAの基準で言えば、私はもう年長者だ。私は30代ではあるのだが」ということだ。

「サミット」と銘打たれたこのDSAの集会では、参加者同士が「同志(comrades)」と呼び合っていた。彼らをここに集めた思想を物語るものとして、「ICE(移民関税執行局)を廃止せよ(Abolish ICE)」と書かれたTシャツや、「地主(や大家)どもクソ食らえ(Land Lords Suck)」と主張するバッジ、さらには19世紀のスローガンである「労働は、それが生み出したすべてのものに対する権利を有する(Labor is entitled to all it creates)」と記されたポスターなどが販売されていた。展示ホールのテーブルの1つには、「ディア・リーダー(鹿の指導者、Deer Leader)」と名付けられた雄鹿の剥製が置かれており、その角の間にはDSAの赤い野球帽が挟まれていた。

しかし、祝賀ムードが漂う一方で、ある深刻かつ戦略的な問いがそこにはあった。それは、「次はどうするのか?」という問いだ。

昨年、民主社会主義者のゾーラン・マムダニがニューヨーク市長に選出されて以来、DSAの全国運営組織が正式に公認、あるいは地方支部が支援した候補者たちは、市議会議員選挙から連邦議員選挙に至るまで数多くの予備選挙で次々と勝利を収めてきた。その中には、現職のヴェテラン議員を打ち負かしたケースも含まれている。

DSAの会員数は全国で12万人近くにまで増加していて、これはドナルド・トランプが2期目の大統領に当選した2024年当時の2倍以上の規模だ。先週発表されたCNNの世論調査では、民主党員および民主党支持層の成人の3分の1が、自らを「民主社会主義者」であると認識していることが明らかになった。

こうした数字こそが、民主党エスタブリッシュメントが「政治的な自殺願望(political death wish)」とみなす事態を懸念する理由となっている。先月実施された『ワシントン・ポスト』紙とイプソス社による調査では、民主党員の4人に3人が大統領候補として民主社会主義者を支持することに前向きな姿勢を示したが、全米の一般有権者で同様の考えを持つ人は半数に満たないという結果だった。

dsamembers2026001

DSAの会員数は全国規模で約12万人と急拡大している

DSAのメンバーも、これが難題であることを認めている。それは単に大統領選レヴェルの話にとどまらない。彼らの綱領における長期的な目標の多く例えば刑務所制度の廃止、国境の開放、国防総省の予算削減、そして連邦上院の廃止などは、エスタブリッシュメントの考え方から大きくかけ離れている。

しかし、彼らは、ニューヨーク市のような民主党の圧倒的な地盤以外の地域であっても、民主社会主義者の候補者を擁立することをためらうべきではないと主張している。そうした候補者の1人がフランチェスカ・ホンだ。彼女は、重要な激戦州であるウィスコンシン州で8月11日に行われる知事選挙の民主党予備選挙において、混戦を抜け出しリードしている状況だ。

会員数1万5000人を擁するDSAニューヨーク市支部の元共同議長ジェレミー・コーハンは「左派が予備選挙に勝って本選挙で負ければ災厄となるだろうが、中道派が予備選挙に勝って本選で負けた2016年もまた災厄だった」と述べた。彼はこの発言の中で、党エスタブリッシュメントの王朝の旗手だったヒラリー・クリントンと、民主社会主義というブランドを全国的なレヴェルにまで押し上げたバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)との間で繰り広げられた激しい争いに言及した。

コーハンは「勝利するためにはこれらのリスクを取らねばならない」とコーハン氏は述べた。

DSAのメンバーは、大きな自律性を持つ支部に所属しており、多くのメンバーはさらに、互いに意見の対立も多い十数個の「コーカス(caucus、党内グループ)」のいずれかにも参加している。今後、彼らにとっての重要な問いとなるのは、民主党を左傾化させるために揺さぶりをかけるべきか、それとも彼らが「ダーティ・ブレイク(dirty break、汚れた決別)」と呼ぶような、党との決別を行うべきか、ということだ。

ヒューストン支部から参加した正看護師であるセレナ・エルミタニオは、DSAの理事会に相当する27名で構成される「全国政治委員会(National Political Committee)」のメンバーだ。彼女はまた、DSA内部のマルクス主義的かつ労働運動を重視するグループ「ブレッド・アンド・ローゼズ・コーカス(Bread & Roses caucus)」のメンバーでもある。

エルミタニオは、民主党との完全な決別は「戦術として理にかなっている」と述べた。なぜなら、そうしなければDSAは、労働者の懸念を代弁しない既存の体制内組織内部の「下位のパートナー(a junior partner)」に甘んじることになるからだ。

dsamembers2026002

会議に参加するDSAメンバーのケイティ・シムズ(右)

これとは反対の立場を取るのが、ニューヨーク州イサカ支部のメンバーであるケイティ・シムズだ。彼女はDSAの選挙活動を統括し、「改革派(reformist)」とされる「ソーシャリスト・マジョリティ・コーカス(Socialist Majority Cacus)」のメンバーでもある。(DSAのメンバーは、自分たちが中道や穏健と評されることを嫌う。)

シムズは、「私たちは民主党の支持層を取り込もうとしている。慕って、うまくいっている活動を止めるのは理にかなっていない」と述べた。

もう一つの課題は、政府運営する医療制度といったDSAの主要な理念には賛同しているものの、「民主社会主義者」という肩書きを掲げない候補者を当選させるために、ヴォランティア主導の選挙活動を今後も投入すべきかどうかという点だ。

例えば、火曜日に行われたミシガン州の重要な連邦上院議員選挙民主党予備選挙において、DSAの活動家や現場の支援者たちは、進歩主義候補のアブドゥル・エルサイードを非公式に支援している。エルサイードは自らを社会主義者ではなく、「資本主義の仕組みを理解している資本家」だと主張しているが、DSAのメンバーたちは支援した。

しかし、他の地域ではDSAの支部はそれほど寛容ではない。オーランド支部は最近、支部の支持を求めていた郡委員会候補者に対し、支持を得るためにウェブサイトに「民主社会主義者」という言葉を掲載する必要があると伝えたと支部メンバーのクリフ・コノリーは述べた。コノリーによれば、その10分後には、この候補者のウェブサイトのトップに「労働者家族のために戦う民主社会主義者」という文言が掲げられたということだ。

DSAの注目度の高い全国的な支持を獲得するには、候補者は一連の基準を満たす必要があるとDSAの幹部たちは述べている。その基準とは、単なる「進歩主義派(progressive)」にとどまらず、自らを「民主社会主義者」であると明確に位置づけていること、DSAの強力な支部があり強固な組織的基盤による支援を受けられる地域で出馬すること、親イスラエル・ロビーからの資金提供を拒否すること、そして、米移民関税執行局(ICE)の廃止やule

ルサレムを首都とするパレスチナ国家の樹立といったDSAの政策的立場を支持すること、などだ。

aocdsa001

連邦議事堂に姿を見せたアレクサンドリア・オカシオ=コルテス下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は大統領選挙においてDSAの支持獲得の最有力候補と目されている(2026年7月)

また、DSA全国委員会は支持を求める候補者に対して厳格な面接プロセスを課しており、指導部によれば、このプロセスはマムダニの勝利以降、さらに要求の高さが上がっているということだ。

当面の課題の一つは、2028年の大統領選挙に向けた支持決定のプロセスを策定することであり、早ければ来年3月か4月までの決定を目指している。

もし出馬を決断すれば、支持獲得の最有力候補となるのはアレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)だ。しかし、DSAの大統領選検討委員会委員長であるアレックス・ペリテリは、仮に支持を決定するとしても、それはDSAにとってより長期的な戦略の一環になるだろうと述べている。

DSA指導部は、現在の構成員の多くを占める「若年層、都市部居住者、大卒者」というグループを超えて、組織と運動の裾野を広げる必要性を認識している。彼らは、大統領選挙への全国的な取り組みがその助けになると考えている。

「候補者を擁立することの魅力は、全米の何百万人もの人々にアプローチするためのプラットフォームが得られる点にある」とペリテリは述べた。彼自身、2016年の大統領選挙でサンダースのために戸別訪問を行ったことが政治活動の始まりとなった。

しかし彼らは、2028年の選挙は長い道のりの始まりに過ぎないと明確に述べている。ペリテリは「私たちは選挙を社会主義運動とDSAを成長させるための手段だと捉えている」と付け加えて述べた。「私たちの目標は資本主義から社会主義への移行を実現することであり、それは一度の選挙運動で達成できるものではない」。

(貼り付け終わり)

(終わり)

sekaiwashuukyousensounitotsunyuushita002
世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 ジョージア州選出のジョン・オソフ連邦上院議員(民主党)が11月の本選挙に向けた選挙集会で、トランプ大統領の個人秘書ナタリー・ハープの名前を出して、トランプ大統領を揶揄したことで注目が集まっている。トランプ政権側は、オソフ議員を口汚く罵っている。その内容は以下の記事にある。ナタリー・ハープは現在30代半ば(1991年生まれ)の女性だ。ハープは骨肉腫を患い、未承認治療薬を利用して改善した、これは未承認治療を合法化する法律に署名したトランプ大統領のおかげだという内容を2019年にフォックス・ニューズに出演して述べたことで、トランプ大統領の目に留まり、2020年の共和党全国大会でも演説を行うまでになった。
natalieharp001
ナタリー・ハープ



その後はテレビ局で働いていたが、2024年の大統領選挙でトランプ陣営に参加した。そして、トランプ大統領の個人秘書となった。ハープは、トランプのSNSの発信を手伝い、トランプが後述する内容を代わりに打ち込むということを行っている。また、トランプにとっての最側近の地位にあり、情報を選別して伝える役割を果たしているということだ。下世話になってしまうが、若い女性が世界の最高権力者の近くにいるということは、どうしても色々と勘繰りたくなるものである。以下のイギリス紙『インディペンデント』紙のウェブサイト掲載記事にあるヴィデオ映像を見ると、その「親密さ」がどうしても際立ってしまう。

https://www.independent.co.uk/news/world/americas/us-politics/trump-natalie-harp-new-nickname-b3034437.html←クリックするとページに移動します

 オソフ議員は、「無用な戦争をして、人々の省察を苦しめているのに、トランプはきちんとした仕事をしていない」ということを述べており、これだけならばここまで注目を浴びることはなかった。そこに、若い女性が秘書として親密な関係を持ち、その秘書と遊びまわっているというようなことを述べたために注目を浴びることになった。ホワイトハウス側の口汚い罵倒は、かえって、トランプが実際のそのようになっていることを示しているとも言える。ナタリー・ハープの存在が政治的にどうこうということにはならないだろうが、トランプにとっての「情報の門番」の役割を果たしているというのは気になるところである。このような役割は通常であれば、大統領首席補佐官(White House Chief of Staff)が担うのであるが、スージー・ワイルズ首席補佐官の存在感や影響力が落ちていることがあるのではないかと推測される。もちろん、そこまでのことではなく、ただの埋め草記事程度ということもありうるが。

(貼り付けはじめ)

ナタリー・ハープとは何者か? オソフ上院議員がトランプ大統領の側近を巡り個人的な対立を激化させる(Who is Natalie Harp? Ossoff ignites personal feud over Trump’s aide

ベツィ・クライン、アレハンドラ・ジャラミロ筆Betsy Klein

2026年8月17日

CNN

https://edition.cnn.com/2026/08/17/politics/ossoff-natalie-harp-trump

jonosoff2026001
連邦議事堂でのジョン・オソフ連邦上院議員(2026年1月)

2028年大統領選挙の有力候補と見なされている民主党の有力議員がドナルド・トランプ大統領の最側近を攻撃したことで個人的な対立が起きた。この対立は、中間選挙の重要な激戦区にも波及する可能性がある。

11月に再選を控えるジョージア州選出のジョン・オソフ連邦上院議員は、アトランタで開かれた選挙集会での演説中、トランプが最高司令官としての務めを本当に果たしたいと考えているのかを激しく問い質す中で、トランプの側近でありながら一般にはあまり知られていない人物の名を挙げた。

オソフは集会で次のように述べた。「空母『リンカーン』の乗組員たちが彼の戦争を戦い、彼が私たちの弾薬や石油の備蓄を無駄に費やしている間、大統領は会議中に居眠りをし、ゴルフをプレーし、株式の売買を行っている」。

オソフ議員は続けて述べた。「彼はこの職務を遂行する気などないのだ。彼が望んでいるのは、自身の舞踏室を建設することや、カタールの首長から贈られた、防備も手薄と思われる『空飛ぶ宮殿』でナタリーと共に旅をすることだ」。ここで言及されたナタリーとは、大統領の個人秘書であるナタリー・ハープのことだ。

オソフのこの批判に対し、聴衆からは歓声が上がり、X上のコメントでも、特にハープの名前を挙げた点に注目が集まった。

月曜日、この民主党上院議員の発言について尋ねられたトランプ大統領は、オソフ議員をコメディアンのキャラクター「ピーウィー・ハーマン(Pee-wee Herman、訳者註:pee-weeとは「とても小さい」「子供向けの」を意味する俗語)」になぞらえ、大統領執務室でCNNのクリステン・ホームズ記者に対し、「(政治などより)他のことをする方がずっといい」と語った。その後、話題をホワイトハウスの建設工事へと転じ、「素晴らしい施設を建設している」と述べるとともに、自身の進めるイースト・ウィング(東棟)のプロジェクトについて、「単なる舞踏室などというものではない」と誇らしげに語った。

ホワイトハウスは以前からオソフ議員の発言を注視しており、月曜日朝には報道担当部門を通じてオソフ議員を激しく非難した。

ホワイトハウスのコミュニケーション・ディレクターを務めるスティーヴン・チャンはソーシャルメディアへの投稿で、「ジョン・ジャックオフ(Jon Jackoff、訳者註:jackoffは男性の示威行為を示す卑俗n表現)は、政界きっての『カック(cuck、訳者註:妻を他の男性に寝取られた男性の意味。頼りない男性、意志薄弱な男性を指す言葉)』な負け犬に違いない。国のために尽くす勤勉な人々を貶めるのではなく、ジョンは自らの魂の奥底を見つめ直し、なぜ自分がこの国を憎む惨めな人間なのかを自問すべきだ」と書いた。

ホワイトハウス報道官デイヴィス・イングルは、オソフ議員を「バラク・オバマのコスプレをした、見ていて痛々しい、女々しい演劇少年(cringeworthy, feminine theatre kid cosplaying as Barack Obama)」であり、「軽量級の敗者(lightweight loser)」だと評した。

これらの罵倒は、ホワイトハウスがオソフ議員をいかに注視しているかを浮き彫りにしている。オソフ議員は中間選挙を「汚職、生活費の高騰、そして失敗に終わった世界的なリーダーシップ」に対する信任投票と位置づけており、2028年の大統領選挙への出馬の可能性も取り沙汰されているからだ。

オソフ議員は再選を目指し、激戦州(パープル・ステート)であるジョージア州において、トランプの支持を受け、また親密な関係にあるマイク・コリンズ連邦下院議員と対決する。6月のFOXニューズの世論調査では、ジョージア州の登録有権者の間でオソフ議員がコリンズ議員を13ポイントリードしていたが、両党の選挙ストラティジストたちは、今後数カ月の間に接戦になると見ている。

オソフ議員によるトランプ大統領への挑発行為が、ソーシャルメディア上での反論以外の反応―例えばコリンズ議員への資金援助の強化など―を引き出すかどうかは、現時点では不明だ。計画に詳しい2人の人物によると、トランプは自身の政治資金管理団体(PAC)である「MAGA Inc.」を通じて、今後の選挙戦で使用する4億ドルの資金を確保しており、数週間以内に数百万ドル規模の資金を投入することをすでに承認しているということだ。

natalieharpdonaldtrumpdougburgum20260628001

ワシントンDCのイースト・ポトマック・パークにあるゴルフ場を視察するドナルド・トランプ大統領とダグ・バーガム内務長官に同行するホワイトハウス補佐官ナタリー・ハープ(中央)(2026年6月28日)

この出来事を契機にしてハープへの注目も再び高まった。ハープは、週末のマール・ア・ラーゴやニュージャージー州ベッドミンスターのゴルフクラブへの移動に頻繁に同行するなど、大統領から最も信頼される個人補佐官の1人であり、そして情報源として頭角を現している。イランからの脅威を受けてトランプがエアフォース・ワンからこっそり抜け出し、より小型の航空機に乗り換えた際も、同行したごく少数の側近の中に彼女の姿があった。

ハープは、トランプにとって情報の「門番(gatekeeper)」のような役割を担うようになっている。彼女が大統領の目に留まったのは2019年のことだ。Foxニューズのインタヴューで、骨肉腫を患いながらも生命の危機に瀕する事態を乗り越えた自身の経験を語り、その生還はトランプの「試す権利(訳者註:未承認の治療薬を試験的に使用する権利)」政策のおかげだと述べたことがきっかけだった。

「私はもう、がんで死ぬことはない。トランプ大統領のおかげで、がんと共に生きている」と彼女は番組「フォックス・アンド・フレンズ」に出演して語った。この出演を機に、「信仰と自由(Faith and Freedom)」会議や2020年の共和党全国大会で登壇する機会を得て、さらにワン・アメリカ・ニューズ・ネットワーク(OANN)での役割も担うようになり、トランプを支持・擁護する人物としての地位を確固たるものにした。そして2022年には、大統領の個人秘書として働き始めた。

『ニューヨーク・タイムズ』紙の報道によると、ハープは2023年にトランプへ称賛や個人的な内容を含む手紙を多数送り、周囲の人々を「動揺(unnerved)」させたということだ(ニューヨーク・タイムズの報道によれば、ある手紙には「私にとって重要なのはあなただけ」、別の手紙には「あなたに喜びをもたらしたい」と記されていた)。

現在、ハープはプリンターを携えてトランプに随行しており、大統領はソーシャルメディアへの投稿やテキストメッセージの多くを口述し、ハープが打ち込んでいる。こうした「親密さ(proximity)」が、彼女に影響力を持つ地位(a position of influence)をもたらしているのだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

sekaiwashuukyousensounitotsunyuushita002
世界は「宗教戦争」に突入した 「神に選ばれた」支配者の使命と論理

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 今年11月の中間選挙に向けて、現在、各地で連邦上下両院議員選挙や知事選挙の、民主党と共和党の予備選挙が実施されている。予備選挙はそれぞれの党の候補者を決める選挙であり、予備選挙を勝ち抜いて党の候補者となり、11月の本選挙に挑むということになる。現職の議員でも予備選挙で敗北して本選挙に出られずに退任ということは頻繁に起きる。連邦下院議員選挙は2年おきに実施され、野心を持つ挑戦者にとっては良いチャンスとなる。現職にとっては選挙対策に忙殺され、4期、5期くらい務めると心身ともに疲弊し、自ら引退して、ロビイストに転身したり、元の職業に戻ったりする人も多い。

 日本でも、民主党の予備選挙で、民主社会主義者、進歩主義者の候補者たちが勝利を収めていることが報じられている。このブログでもすでにご紹介している。それと同時に、左派の有権者の投票だけでは本選挙には勝てないということで、民主党支持の有権者をまとめるために、アメリカ民主社会主義者(DSA)を抜けて、民主党の候補者になるという人も出ていることもご紹介した。

 共和党がトランプの党になり、元は民主党を支持していた、労働組合に加盟していた白人労働者たちの党になりつつあることは知られている。以前は「共和党は経営者や白人の党、民主党は労働者やマイノリティの党」という色分けになっていたが、それが崩れつつある。労働者階級だからと言って民主党を自動的に支持することはないということを2016年の大統領選挙が明らかにした。こうした有権者は「民主党を支持してきたが、民主党は自分たちを見捨てて、新自由主義を受け入れ、自分たちの生活は悪くなった。それを隠すために、同性愛や人種、DEIといった社会や文化に関わる問題に傾注してきた」という感情を持っている。生活の心配がないエリート層は経済問題よりも、社会・文化問題に関心を持ち、よりリベラルな方向に進めようとしている。それについていけない労働者階級は「頭が悪い」と切り捨てるということになる。

 しかし、有権者の数で言えば、エリートよりも非エリートの方が多く、労働者介入の方が多い。民主党内部ではリベラルなエリートたちは大きな集団であっても、社会全体で見れば、その大きさと影響力は小さくなる。本選挙で勝つには、中道派やエスタブリッシュメント、更には共和党支持者も巻き込んでいかねばならない。

 民主社会主義者たちは経済問題を中心にして選挙戦を戦っているが、文化や社会問題について、あまり急進的にならずに、国民の世論に従う形で、底から半歩位離れるくらいの主張をするようにすれば、本選挙でも勝つ可能性が高まる。しかし、熱心な支持者である社的な有権者たちが離れるというディレンマを抱えることになる。ここをどのよう差配するかということが民主党にとって重要になってくる。

(貼り付けはじめ)

民主党は間違った問題の解決をしようとしている(Democrats Are Solving the Wrong Problems

-民主党は文化的な問題において信頼に足る存在であることを中道派の有権者に示す必要がある。

ファリード・ザカリア筆

2026年8月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/08/07/democrats-moderates-liberals-progressive-politics-working-class-primary-elections-republican-party-trump/

abdulelsayed20260806001

ミシガン州上院議員選挙民主党予備選挙で勝利したアブドゥル・エルサイードがミシガン州デトロイトで行われた記者会見で話をしている(8月6日)

民主党はディレンマに直面しており、ミシガン州の連邦上院議員選挙民主党予備選挙はその状況を如実に示していた。カリスマ性のある進歩主義派のアブドゥル・エルサイードが、民主党エスタブリッシュメントの支持を受けた穏健派のヘイリー・スティーヴンス連邦下院議員を破った。エネルギーは間違いなくエルサイードにあった。しかし、『ワシントン・ポスト』紙の分析によると、エルサイードの支持はミシガン州内で最も高学歴な郡や大学町に集中しており、一方のスティーヴンスは多くの地方や低所得地域で善戦していた。ここにディレンマがある。左派には情熱があるものの、本選挙で民主党が勝利するために必要な票は、依然として中道派が握っているのだ。

進歩主義派の答えは、経済面でよりポピュリスト的な姿勢を取ることでこの問題を解決できるというものだ。つまり、富裕層を批判し、給付を拡充し、それによって労働者階級にアピールするのだ。しかし、こうした考えは実際の労働者階級には響いていない。ピュー・リサーチ・センターの調査によると、民主党支持者のうち、自らを「民主社会主義者(democratic socialists)」と称する政治家を好むと答えたのは、大卒者では41%に上るのに対し、大卒でない層ではわずか26%にとどまっている。また、高所得の民主党支持者の方が低所得の支持者よりも民主社会主義者に好意的であり、その比率は40%対24%となっている。

民主党は長年、労働者階級の支持を取り戻すことを夢見てきた。ジョー・バイデン大統領は、経済政策を前面に打ち出し、ここ数十年で最大規模の労働者階級への働きかけを行った。バイデン政権はインフラ、工場、クリーンエネルギー、半導体分野に数千億ドルを投じたが、その多くは共和党支持の強い郡へと流れていった。それにもかかわらず、2024年の選挙では、ドナルド・トランプが大卒でない有権者や年収5万ドル未満の有権者の支持を獲得し、労働者階級のヒスパニック系や黒人有権者の間でも支持を伸ばした。過去30年間、民主党は経済政策において左傾化してきたが(クリントンよりオバマが左寄り、オバマよりバイデン氏が左寄り)、同じ期間に労働者階級は着実に民主党から離れていった。

ここから得られる教訓は、経済政策が重要ではないということではない。しかし、民主党の問題は、経済政策において中道寄りすぎると見られていることにあるのではない。民主党は、医療や、現在も大きな関心事である生活コスト(the cost of living)といった問題では、常に共和党をリードしている。民主党の弱点は、犯罪、移民、国境管理、そしていわゆる「ウォーク(woke:社会正義や差別に高い関心を持つ姿勢)」なアジェンダといった、文化的・社会的な問題にある。一例を挙げると、「アーギュメント(The Argument)」による世論調査では、トランプを支持しないものの共和党への投票に傾いていた有権者の間において、犯罪対策への信頼度で共和党が47%対1%で、民主党を大きくリードしていた。

民主党は圧力を受けているが、文化的な問題で中道寄りになるよりも、経済政策で左派寄りになる道を選ぶ方がはるかに容易だと感じている。国境管理の徹底、常習的な違反者への処罰、能力主義の擁護、あるいは生物学的な性の重要性といったことを率直に口にすれば、活動家や権利擁護団体、そして高学歴な党スタッフからの反発を招く恐れがあるからだ。そのため、多くの有権者を自分たちから遠ざけている文化的な姿勢には手をつけず、代わりに巨額の補助金や新たな給付策を提示したり、億万長者への攻撃を強めたりする。

しかし、事実はその逆であることを示唆している。ある研究では、29の政策課題における民主党の方針転換が検証されたが、選挙で最も大きな成果が得られたのは、社会・文化的な問題において中道寄りへ舵を切った場合であることが明らかになった。また別の報告書によれば、労働者階級の有権者は、リベラルな大卒層に比べて、国境警備の強化、犯罪の減少、警察官の増員をはるかに重視していた。一方、リベラルな大卒層が重視したのは、権威主義への抵抗、トランスジェンダーの権利や中絶へのアクセスの保護、そして気候変動対策だった。

この溝が深まったのは、労働者階級の有権者が単に右傾化した(lurched to the right)からではなく、むしろ大卒の民主党支持者がより急激に左傾化した(moved left further)からだ。アメリカ政治学者ニコラス・ジェイコブスの分析によると、2000年の時点では、民主党支持者と労働者階級の有権者の双方において、移民の受け入れ拡大を支持する割合は約8%に過ぎなかった。しかし、2020年には、民主党支持者の48%がこれを支持したのに対し、労働者階級の有権者では24%にとどまった。中絶に関する意見の差は、1980年には3ポイントだったが、2024年には30ポイントにまで拡大した。宗教や家族のあり方、そして政府が税金を無駄遣いしないという信頼感についても、大きな隔たりが生じている。

トランプは、こうした乖離が持つ政治的な力を理解している。選挙集会で彼が激しく批判する内容を聞いてみて欲しい。トランスジェンダーの選手、DEI(多様性・公平性・包摂性)を推進する官僚機構、エリート大学、犯罪、そして制御不能な国境といった問題だ。彼は、こうした問題が有権者の直感(gut)に深く訴えかけるものであることを知っている。

民主党がトランプを模倣したり、マイノリティを見捨てたり、反動的になったりすることが解決策ではない。国民皆保険制度や富裕税によってニューディール時代の連合が復活するという幻想を捨てるべきだ。あの時代もあの連合ももはや存在しない。幸いなことに、民主党は既に強力な現代的連合を築いている。大卒者、女性、マイノリティ、若年層、そして大都市圏の多くの労働者階級や中間層の有権者たちの連合だ。これらの有権者が求めているのは社会主義革命(a socialist revolution)ではなく、手頃な価格の住宅、質の高い学校、利用しやすい医療、安全な街路、国境管理、合法的な移民、そして経済成長といった、成果を出す効果的なリベラルな政府だ。そして、おそらくこれは、民主党が他の労働者階級にも再び支持を広げる助けとなるだろう。

民主党は、文化的に中道派の有権者に対し、リベラリズムは思いやりと寛容、開放性と無秩序、平等とイデオロギー的同調を明確に区別できることを示す必要がある。ミシガン州は、民主党の支持基盤、つまり予備選挙で投票するアメリカ人のごく一部にとって、民主党のエネルギーがどこにあるのかを示した。試練は、民主党がそのエネルギーを、国民全体に受け入れられる常識的な政治へと転換できるかどうかだ。

※ファリード・ザカリア:CNNの番組「ファリード・ザカリアGPS」の司会者であり、近著に『革命の時代(Age of Revolutions)』がある。彼は『ワシントン・ポスト』紙に週刊コラムを執筆しており、そのコラムは『フォーリン・ポリシー』誌にも配信されている。Xアカウント:@FareedZakaria

(貼り付け終わり)

(終わり)



sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 このブログで先月、民主社会主義勢力の躍進についてご紹介した。ニューヨーク市やコロラド州デンヴァーといった大都市での民主社会首位勢力の躍進は日本でも報道された。ニューヨーク市を地盤とするアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)連邦下院議員やニューヨーク市長ゾーラン・マムダニの人気、特に若い人たちの間での人気は高まっている。AOCは大統領選挙の候補者としても名前が挙がっているが、まだ30代であり、まずはニューヨーク州選出の連邦上院議員への鞍替えを考えているのではないかと思う。

 最近で言えば、ミシガン州の連邦上院議員選挙民主党予備選挙で、バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)が支援した急進左派のアブドゥル・エルサイードが、中道穏健派のヘイリー・スティーヴンス連邦下院議員を破って、民主党の候補に選ばれた。今年11月の本選挙で、共和党の候補者マイク・ロジャース元連邦下院議員と連邦上院議員の議席を争うことになる。

 エルサイードはイスラエル、特にベンヤミン・ネタニヤフ首相への激しい批判を選挙戦で展開していた。ユダヤ人やユダヤ教徒は切り離し(エルサイードは「ユダヤ人とユダヤ教を愛し尊敬している」と発言している)、イスラエルの実行している政策とその責任者であるネタニヤフ首相への批判を展開した。これに対して、アメリカ政治を牛耳ってきたイスラエル・ロビーの代表格AIPACが対抗馬であるスティーヴンス連邦下院議員に多くの選挙資金と反エルサイードのCMを展開したが、エルサイードが勝利した。本選挙に向けて、共和党のロジャースにイスラエル・ロビーから莫大な資金が流れることになるだろうが、それがかえってロジャースの足を引っ張る可能性もある。

 ウィスコンシン州知事選挙では、フランチェスカ・ホン州下院議員が支持を拡大している。現職で選挙を不出馬を表明したトニー・エヴァースは、サラ・ロドリゲス副知事を担ごうとしたが、選挙資金をめぐるスキャンダルで出馬断念となり、ミルウォーキー郡のデイヴィッド・クロウリー郡長を支援することになった。急進左派の勢力に穏健中道や民主党エスタブリッシュメントたちは戦々恐々としている。それは自分たちの既得権益が荒らされるということもあるが、本選挙で、無党派層から「急進的過ぎる」ということで支持を得られないという可能性もあるからだ。

 実際に、アメリカ民主社会主義者(DSA)に所属し、民主党予備選挙に立候補し勝利した候補者がDSAから抜け、その理由を「選挙区の有権者を団結させる、まとめる」ためとしている。民主社会主義勢力の勢いは伸びているが、民主社会主義を支持する人たちの支持だけで本選挙を勝てるということはない。やはり穏健中道や政治的関心の低い人たちも巻き込んでいかねばならない。民主社会主義勢力としては、これからいかにしてリーチを広げていくかということが重要になってくる。

(貼り付けはじめ)

急進左派が激戦州ミシガンで勝利、米民主予備選 中間選挙の試金石

Nolan D. McCaskill ロイター通信

202685日午後 5:00 GMT+931分前更新

https://jp.reuters.com/world/us/N2O2ZVTILNNM3L3GCA6V2PH4SA-2026-08-05/

[5日 ロイター] - 11月の米連邦上院選に向け、中西部ミシガン州で実施された民主党の上院予備選で、イスラム系の急進左派のアブドゥル・エルサイード氏が勝利した。穏健派候補のヘイリー・スティーブンス下院議員を接戦の末に破った。

エルサイード氏は5日に開いた記者会見で、民主主義について「今後は常に『これは国民のものであり、われわれが主導権を握る』と断言できるようになる」と語った。

AP通信によると、開票率99%時点でエルサイード氏の得票率は48.5%、スティーブンス氏は47.5%だった。

エルサイード氏は「メディケア・フォー・オール(国民皆保険制度)」を提唱するなど、民主社会主義を掲げ、イスラエルへの軍事支援停止を公約に選挙戦を展開した。一方、スティーブンス氏は民主党指導部や親イスラエル団体の支援を受けていた。

abdulelsayedmichigan20260805001

写真はイスラム系の急進左派のアブドゥル・エルサイード氏。85日、米ミシガン州デトロイトで撮影。 REUTERS/Rebecca Cook

今回の予備選は、経済ポピュリズムや反エスタブリッシュメント(既得権益層)を訴える急進左派と、党主流派に近い穏健派の対決という構図となり、民主党の今後の方向性を占う試金石として注目された。また、イスラエル支援を巡る対立も主要な争点となった。

ミシガン州は2024年の米大統領選でトランプ大統領が勝利した激戦州の一つ。エルサイード氏は州全体の予備選で勝利した初の急進左派候補となる。

11月の本選では、共和党候補のマイク・ロジャース元下院議員と対決する。

ロイター/イプソスが4日までにまとめた最新の世論調査によると、民主党支持者で「リベラル」と自認した割合は71%、「保守」と回答した割合は16%だった。イスラエルへの軍事・経済支援については、支持が16%にとどまり、57%が反対だった。

=====

メモ:左派がエルサイードの勝利の勢いを取り込もうとしている(The Memo: Left looks to seize on momentum from El-Sayed’s win

ナイオール・スタンジ筆

2026年8月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/6012536-abdul-el-sayed-michigan-democratic-primary-progressive-movement/

火曜日、ミシガン州やその他のいくつかの州で行われた予備選挙の結果は、必ずしも圧倒的な勝利とは言えなかったものの、民主党左派は依然として力強い勢いを維持した。

ミシガン州での注目の選挙戦は、進歩主義派(the progressive)の公衆衛生専門家アブドゥル・エルサイードが僅差で勝利した。これによりエルサイードは、マイク・ロジャース元連邦下院議員(ミシガン州選出、共和党)と戦う、連邦上院選挙の民主党公認候補となる。

ヘイリー・スティーヴンス連邦下院議員(民主党)に対するエルサイードの予備選挙勝利は、事前の世論調査の予測よりもはるかに接戦となった。予備選挙直前の複数の調査ではエルサイードが2桁のリードを保っていたが、最終的にはスティーヴンスを約1ポイント差で下す結果となった。

進歩主義派のストラティジストたちは、この結果を期待外れと見なしたり、勝利の差が小さかったことを11月の本選におけるロジャースとの対決に向けた警告信号と捉えたりする見方を否定している。

むしろ彼らは、エルサイードが成し遂げた偉業の大きさを強調している。公職に就いた経験が一度もない彼が、外部からの巨額の資金援助という圧倒的な強みを持つ4期目の現職女性連邦下院議員を打ち負かしたからだ。

スティーヴンスの立候補を支援し、エルサイードを阻止するために費やされた資金は6000万ドルを超えた。その総額の約半分は、AIPACthe American Israel Public Affairs Committee、アメリカ・イスラエル公共問題委員会)関連の資金源から拠出されたものだ。

ガザ地区におけるイスラエルの行動に対し、民主党支持者の多くが強い反発を抱く中、AIPACによる資金提供は党内で大きな論争の的となっている。イスラエルの行動を「ジェノサイド(genocide)」と呼ぶエルサイードは、このAIPAC問題をスティーヴンスへの攻撃材料として利用しようとした。

全体像としては、エルサイードは外部からの資金投​​入において約8対1という圧倒的な劣勢にありながらも、最終的に勝利を収めたということだ。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の元外交政策顧問であり、現在は国際政策センター副代表を務めるマット・ダスは本コラムに対し、エルサイードの選挙戦の結果が期待外れだったとする見方は「馬鹿げている」と語った。

ダスは「要するに、アブドゥル・エルサイードは前例のない規模の外部資金攻勢に直面し、彼を徹底的に排除しようとする民主党主流派とも対峙しなければならなかった。しかし彼は、素晴らしいメッセージ、確かな政治的手腕、そして極めて優れた組織力によって、それらを乗り越えた」と述べた。

エルサイードとスティーヴンスの選挙戦は、動揺が続く民主党内に存在するより大きな対立構造を象徴するものだった。

イスラエル・パレスチナ問題を越えて、エルサイードはよりポピュリスト的なメッセージを前面に押し出した。それは「政治から金を排除し、人々のポケットに金を入れ、全員にメディケア(公的医療保険)を(Money out of politics, money in your pocket, Medicare-for-All)」というスローガンに集約される。一方、より慎重で中道的な人物であるスティーヴンスは、対立候補を「セレブリティ(celebrity)」候補だと批判し、本選挙では勝てない人物だと決めつけた。

エルサイードは、サンダース上院議員、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)、エリザベス・ウォーレン連邦上院議員(マサチューセッツ州選出、民主党)、そして同じミシガン州選出のラシダ・トレイブ連邦下院議員(民主党)など、進歩主義派運動の主要な有力者のほぼ全員から支持を受けた。

スティーヴンスは、引退を表明していたゲーリー・ピーターズ連邦上院議員(ミシガン州選出、民主党)に加え、グレッチェン・ウィットマー・ミシガン州知事(民主党)やチャールズ・シューマー連邦上院少数党(民主党)院内総務(ニューヨーク州選出、民主党)からの支持を取り付けていた。

エルサイードの勝利を受け、民主党は迅速に結束を図った。ピーターズとウィットマーはエルサイードを支持し、スティーヴンス自身も支持を表明した。時に激しい対立もあった予備選挙の後だったが、彼女のメッセージは指名候補となったエルサイードに温かく受け止められた。

シューマーと、連邦上院民主党の選挙活動を統括するキルステン・ギルブランド連邦上院議員(ニューヨーク州選出、民主党)は、エルサイードを支持する共同声明を発表した。また、シューマーに近い政治活動委員会(PAC)である「連邦上院多数党PACSenate Majority PAC)」は、エルサイードの立候補を後押しする巧みな広告を公開した。

それでも、エルサイードを勝利に導こうと党内の各派閥が結集している状況であっても、民主党内の亀裂がすぐに完全に修復されることはないだろう。

近年、左派の挑戦者たちは、党主流派寄りの現職議員を相手に大きな成果を上げている。彼らは、より野心的な政策課題と、それを実現するために戦う強い情熱を求める党の草の根支持層(the party’s grassroots supporters)の多くのエネルギーをうまく取り込んできた。

火曜日には、もう1人の進歩派であるミシガン州下院議員ドノヴァン・マッキニー(民主党)が勝利を収めた。マッキニーは、ミシガン州連邦下院第13選挙区の民主党予備選挙で現職のシュリ・サネダー連邦下院議員(民主党)を破った。

ミシガン州の別の地域でも左派が勝利を手にした。「サンライズ・ムーブメント(Sunrise Movement)」共同創設者であるウィル・ローレンスが、ミシガン州第7選挙区の連邦下院民主党予備選挙で勝利を確実にした。

ミシガン州でのこれらの勝利は、左派が収めた一連の成果の最新の事例に過ぎない。

6月のニューヨーク州予備選挙では、アドリアーノ・エスパイヤット連邦下院議員(民主党)が、「アメリカ民主社会主義者(Democratic Socialists of AmericaDSA)」のメンバーであるダリアリザ・アビラ=シュバリエに敗れた。ダン・ゴールドマン連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)も、左派のライヴァルであるブラッド・ランダーに敗れた。

その1週間後には、ダイアナ・デゲット連邦下院議員(コロラド州選出、民主党)が予備選挙でDSAメンバーのメラト・キロスに敗れた。デゲットは連邦議会で16期目を目指していたが、彼女の初当選は1997年であり、それはキロスが生まれた年でもあった。

それ以前にも、ニューヨーク市長選挙でゾーラン・マムダニ(民主党)がアンドリュー・クオモ元知事(当時)を破るという歴史的な勝利を収めた出来事があった。

しかし、左派は途中で敗北も喫している。火曜日にはミズーリ州で敗北があった。進歩主義派の有力候補であったコリ・ブッシュが、かつて保持していたセントルイス地域の議席をウェスリー・ベル連邦下院議員(民主党)から奪還しようと挑みたが、大差で敗れた。

民主党の支持層内部におけるこうした意見の相違は、数多くの著名な対立も引き起こしている。

ジョン・フェッターマン連邦上院議員(ペンシルヴァニア州選出、民主党)やヴェテランのストラティジストであるジェームズ・カーヴィルなど、より中道的な路線を支持する人々は左派を激しく批判している。彼らは、社会が分断されている状況下であっても、選挙の勝敗は中道層を取り込めるかどうかにかかっていると主張している。

これに対し、進歩主義派も同様の応酬を見せている。サンダースは火曜夜、CNNのアビー・フィリップのインタヴューに応じ、もしカーヴィルが民主党内の左派勢力に対してそれほどの疎外感を抱いているのなら、「自分で新しい党を立ち上げる(start his own party)」べきだと示唆した。

中道派が特に懸念しているのは、ミシガン州におけるエルサイードのような人物の動向だ。ミシガン州は激戦州の1つであり、2024年の選挙ではトランプ大統領が当時のカマラ・ハリス副大統領を僅差で破った場所でもある。

エルサイードはDSAのメンバーではなく、自らを社会主義者と称していないが、それでも共和党側は彼を主流派から外れた人物として印象づけようとするだろう。

ロジャースは水曜朝、ソーシャルメディアへの投稿でエルサイードを「過激派(extremist)」と呼んだ。

これに対し、ダスのような進歩主義派は、左派寄りの人物こそが有権者の現在の心情と共鳴するのに適した立場にあると反論した。

ダスは、「政治を『左から右』という軸で捉え、地理的な中央にいるのが最も安全だとするような見方には、私はどうも説得力を感じない」と述べた。

ダスは続けて、「今は、既成勢力による政治のあり方に愛想を尽かすアメリカ人が増えている時期だ」と続け、有権者が求めているのは「何よりもまず、真実を語ってくれる候補者であり、自分たちが苦境にあることを理解し、それを救うためのヴィジョンを提示してくれる候補者だ」と語った。

ミシガン州をはじめとする各地で、左派はこうした見解を実際に試す機会を迎えることになる。

=====

民主社会主義者たちはウィスコンシン州で次の大勝利を目指してホンに期待を寄せる(Democratic socialists turn to Hong in Wisconsin with hopes for next big win

キャロライン・ヴァキル筆

2026年8月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/6008300-hong-wisconsin-democratic-socialist-primary-test/

ウィスコンシン州知事選におけるフランチェスカ・ホン州下院議員(民主党)の着実な支持拡大は、今回の選挙戦において、民主社会主義者や極左勢力にとって最大の試練の場となりつつある。

火曜日の予備選挙を控え、ホンは民主党候補者の中で有力な地位を占めているが、一方で、ウィスコンシン州知事トニー・エヴァースを含む党主流派は、ミルウォーキー郡のデイヴィッド・クロウリー郡長を支持する姿勢を固めている。

エヴァースたちは、ホンが11月の本選挙で共和党の指名候補となる見通しのトム・ティファニー連邦下院議員に勝利する可能性は低いと示唆しているほか、彼女の出馬が接戦となっている他の下院選や地方選の民主党候補に悪影響を及ぼしかねないと懸念している。

しかし、ホンは、有権者は党主流派に対して不満を抱いていると主張し、現代初の民主社会主義者としての知事就任を目指す中で、有権者にとって最も重要な課題に取り組むことに注力している。

ホンは『ザ・ヒル』誌のインタヴューに対し、「労働者階級出身の候補者として、『自分たちと同じ人間だ』と有権者に言われるとき、民主党や他の候補者が誤解しているかもしれないのは、人々が求めているのは『自分たちを気にかけてくれる人物』だという点だ」と述べた。

今年、民主社会主義者や進歩主義派は、予備選挙での指名獲得や現職議員を破るなど、目覚ましい躍進を遂げてきた。しかし、こうした勝利の多くは、ニューヨーク州やコロラド州といった民主党の地盤が強固な連邦下院選挙区でのものだった。そうした中、激戦州であるミシガン州では、火曜日に行われた上院予備選挙において、進歩主義派のアブドゥル・エルサイードが、穏健派のヘイリー・スティーヴンス連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)を僅差で破るという結果が出た。

ホンは、8月11日に行われる知事選挙でティファニーに挑むべく、他の3人の民主党候補と競い合う中、この連勝の勢いと反既成勢力のムードを追い風にしたいと考えている。現職のエヴァースが3選不出馬を決定したため、『クック・ポリティカル・レポート』によると、この選挙戦は「接戦(toss-up、トスアップ)」と予測されている。

ウィスコンシン州を拠点とする民主党のストラティジストであるジョー・ゼペッキは「民主党側のエネルギーがどこにあるのか、もはや誰も見て見ぬふりはできないだろう」と語った。

しかし、激戦州であるウィスコンシン州(2024年の選挙ではトランプ大統領と民主党のタミー・ボールドウィン連邦上院議員の双方を選出した)において、ホンは厳しい視線に晒されている。その理由は、「アメリカ民主社会主義者(DSA)」との関わりや、過去にソーシャルメディアで行った発言にある。それらの発言には、警察予算の削減や警察の廃止、感謝祭の中止、さらにはウィスコンシン州発祥の有名チェーン店「カルヴァース」への批判などが含まれていた。

DSAマディソン支部のメンバーであり、他のいくつかの地元支部からも支持を受けているホンだが、現在は過去の発言やDSA全国組織から距離を取ろうと努めている。

「知事に警察予算を削減する権限はなく、私はスローガンだけで政治を行うつもりもない」と、ホンは先月行われた民主党知事候補討論会(唯一の討論会)で述べた。また、感謝祭やカルヴァースに関する投稿については、「冗談で」行った可能性もあると『ザ・ヒル(The Hill)』誌に語っている。

「それらは、私自身が異なる立場にいた時に抱いていた考えであり、今は知事選挙に出馬するという立場にある」と彼女は述べ、さらに次のように続けた。「何を実現できるかについて、分別を持ち、現実的である必要がある」。

しかし、来週の民主党の指名争いでホンが勝利した場合の11月の本選挙での勝算を民主党主流派が懸念する中、共和党側は彼女の過去の発言を格好の攻撃材料にしている。

ティファニーは火曜日、ソーシャルメディアへの投稿でホンを揶揄し、「私の立場をはっきりさせておきたいが、知事に就任しても感謝祭(サンクスギビング)を中止することはない。念のため、改めて言っておく価値があると思う」と書いた。

トランプ大統領の支持を受けるティファニーは、ホンの進歩主義的な政治姿勢を徹底的に攻撃している。彼女は、シェフであり元レストラン経営者でもあるホンを「急進的(radical)」と呼び、11月の選挙ではウィスコンシン州として「大きな政府による社会主義を拒絶(reject big-government socialism)」するよう訴えている。

一方、エヴァースを含む一部の民主党員は、本選挙でティファニーと対決する候補者としてホンが最適であるかどうかに疑問を呈している。

エヴァース知事は月曜日の『ミルウォーキー・ジャーナル・センティネル』紙とのインタヴューで、ホンが11月にティファニーに勝利するのは「おそらく無理だろう(probably not)」と述べた。彼は、民主社会主義者であるホンを「極めて才能のある人物」と評しつつも、「結局のところ、重要なのは政策課題だ」と付け加えた。

エヴァース知事の発言について尋ねられたホンは、『ザ・ヒル』誌に対し、「私たちが掲げている政策課題こそが有権者の共感を最も呼んでいるものであり、最も多くの票を獲得する人物こそが、当選の可能性が最も高い候補者だと考えている」と語った。

エヴァース知事は、一度は選挙から距離を取ったものの、サラ・ロドリゲス副知事(民主党)が選挙資金をめぐる疑惑を受けて出馬を断念した後に再出馬したデイヴィッド・クロウリー郡長に対し、最後の最後で支持を表明した。

クロウリーは、同じく民主党のグウェン・ムーア連邦下院議員(ウィスコンシン州選出)からも支持されている。一方、ウィスコンシン州選出の民主党連邦議会議員のうち、残る2人であるボールドウィン連邦上院議員とマーク・ポーカン連邦下院議員は、この選挙戦について態度を明らかにしていない。ホンは、イルハン・オマル連邦下院議員(ミネソタ州選出)やロウ・カンナ連邦下院議員(カリフォルニア州選出)といった進歩主義派の民主党議員から支持を受けている。

デーン郡民主党のライアン・センデルバッハ委員長は、ウィスコンシン州知事選の予備選挙、とりわけホンの出馬をめぐって、党内に「不安や緊張感」が広がっていることを認めている。

民主党員の間では、ホンが指名を獲得した場合、連邦下院選や州議会選における党の勝算に悪影響が及ぶのではないかという懸念が生じている。

支持率が1桁にとどまっているもう一人の知事選候補、ケルダ・ロイズ州上院議員(民主党)は、『ザ・ヒル』誌に対し、「選挙名簿のトップ(知事候補)は、当然ながら下位の候補者にも影響を及ぼす」と語った。

ロイズは、共和党が予備選挙でホンを支援するために資金を投じている理由について、「有権者は自問すべきだ」と指摘した。

ロイズはさらに、「彼らは明らかに、トム・ティファニーが知事になるだけでなく、ウィスコンシン州で共和党が知事職と州議会上下両院を独占する(trifecta、トライフェクタ)道筋があると確信しているのだろう。そのことは、私たち全員にとって脅威となるはずだ」と付け加えた。

民主党は、ウィスコンシン州連邦下院第3選挙区での議席奪還を重要な好機と捉えている。この選挙区では、2024年に共和党のデリック・ヴァン・オーデン連邦下院議員が民主党のレベッカ・クックを僅差で退けた。選挙分析サイト「Decision Desk HQ」は、クックとヴァン・オーデンが再対決するこの11月の選挙戦において、民主党が優位に立つと予測している。

また、マディソン(ウィスコンシン州)では、民主党が州議会(下院および上院)の主導権奪還を目指している。ウィスコンシン州議会は2011年以来、共和党が支配し続けてきた。

一方で、ウィスコンシン州の他の民主党関係者からは、ホンの勝算や、もし彼女が火曜日の予備選挙を勝ち抜いた場合に11月の本選挙へ及ぼす影響について、期待を寄せる声も上がっている。

センデルバッハは、「人々の関心事や政治に求めるものは非常に多様だ。従って、一般的に『苦戦するだろう』と見られている地域で、フランチェスカ・ホンが実際に苦戦するとは限らないと私は見ている」と述べ、さらに次のように続けた。「有権者は単に『左右のスペクトラム(spectrum、政治的立ち位置)』上に存在し、その適当な物差しの上で自分に最も近い候補者を選ぶ、といった単純な存在ではない」。

ゼペッキの見解では、現在の国政レヴェルの政治情勢から考えて、ホンは極めて有利な立ち位置にいるということだ。

「既成政治への反発が強く、政治家に苛立ち、何か新しいものを求めている人々にとって、彼女はまさにその通りの候補者というポジションにいる」と彼は語った。

=====

ミシガン州連邦下院選挙の候補者が選挙区の「団結」を図るためDSAを離脱したと表明(Michigan House candidate says he left DSA to ‘unite’ district

フィンヤ・スワイ筆

2026年8月5日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/6012655-lawrence-lapses-dsa-membership/

進歩主義派の候補者であるウィル・ローレンス(民主党)は水曜日、ここ1カ月の間に「アメリカ民主社会主義者(DSA)」の会員資格を失効させたことを明らかにした。ローレンスはその理由について、激戦区であるミシガン州第7選挙区において、浮動票層を結束させることに注力したかったためだと説明している。

ローレンスは水曜日のCNNとのインタヴューで、「DSAや彼らが全米で展開している活動には大いに敬意を抱いているが、私たちがここで掲げている政策綱領は、第7選挙区の各地で有権者と対話を重ねる中で作り上げられたものであるという点を、明確にしておく必要があると感じた」と語った。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)の支持を受ける「サンライズ・ムーブメント」の共同創設者であるローレンスは、ランシングを拠点とする選挙区で行われた火曜日の民主党予備選挙(3候補による争い)で勝利し、11月の本選挙ではトム・バレット連邦下院議員(ミシガン州選出、共和党)と対決することになる。

ローレンスは、自身の選挙運動が選挙区と住民から寄せられた懸念事項を主軸に据えていることを有権者に理解してもらうため、アメリカ民主社会主義者(DSA)の会員資格を更新しなかったと述べた。

「私はこの選挙区の住民を代表し、人々の心を一つにするような課題に取り組むためにここにいるのだということをはっきりとさせておきたい」とローレンスは語った。

ローレンスは、生活費、医療費、ガソリン代、食料品価格といった主要な進歩主義派の争点を挙げ、これらが選挙区全体で人々の共感を呼んでいると指摘した。そして、自身の目標は有権者を「団結させる(unite)」ことだと述べた。

ローレンスはCNNに対し、DSAの会員資格を更新しなかったのは本選挙に進出したことによる判断ではないと語った。また、DSAとの間に根本的な意見の相違があるかどうかについては明言を避け、個別の政策課題についてはその都度対応していく意向を示した。

その代わりに、彼は自らを「オーガナイザーと連携を築く者(organizer and coalition builder)」と位置づけ、地域社会の懸念に基づいた政策課題を掲げていると説明した。

ローレンスは火曜日に行われた民主党予備選挙で、元駐ウクライナ米大使のブリジット・ブリンクと、元海軍特殊部隊(SEALs)隊員のマット・マースダムを破った。ブリンクはミシガン州のジェニファー・グランホルム元知事(民主党)とジム・ブランチャード元知事(民主党)の支持を受けていた一方、マースダムはエリッサ・スロットキン連邦上院議員(ミシガン州選出、民主党)の支持を受けていた。

(貼り付け終わり)

(終わり)



sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 アメリカで都市部、そして若者を中心にして民主社会主義(Democratic Socialism)が勢力を伸ばしている。この動きは2016年頃から始まった。2016年の大統領選挙は、共和党側で泡沫候補扱いだったドナルド・トランプが一気に大統領候補者に選ばれた。一方、民主党側ではヒラリー・クリントン元国務長官が大統領選挙候補者の大本命、一気に女性初の米大統領へという期待が高まっていた。その中で、若者たちを中心に、出馬表明を行ったバーニー・サンダース連邦上院議員を支持する動きが高まった。アメリカで「社会主義」という言葉はネガティヴな響きを持つ。ヨーロッパや日本の混合的な経済政策や健康保険政策などを「社会主義的」として忌避するほどだ。

サンダースは民主社会主義者を自認し、ヨーロッパや日本のような再分配や富裕層への課税強化などを長年にわたり主張してきた。その一貫した姿勢が、リベラルな振りをしながら実際には新自由主義的だったビル・クリントン政権やバラク・オバマ政権、民主党主流派・エスタブリッシュメントに不満を募らせていた若者たちを惹きつけることになった。そして、ニューヨークの財界と深い関係にあるヒラリーへの攻撃となった。民主党側では大統領選挙予備選挙でヒラリーが圧勝すると見られていたが、サンダースが健闘し、ヒラリーを追い詰めることになった。ヒラリーが最終的に勝利し、党大会で指名を受けるということになっても、若者たちはブーイングをし、デモを行い、サンダースが協力を求めてもそれを聞かず、民主党は分裂状態となり、結果として、ヒラリーは本選挙でトランプに敗れた。民主党を支持してきたラストベルトの白人労働者たちがトランプ支持、共和党支持となったのが象徴的だった。

 2018年の中間選挙では、ニューヨークの連邦下院議員選挙の民主党予備選挙で全く無名の若い女性で民主社会主義者のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス(AOC)が10期連続当選、下院議長も狙える位置にいた現職議員ジョセフ(ジョー)・クローリーを破って本選挙でも勝利し、史上最年少の女性下院議員となったのが象徴的だった。AOCはサンダースの大統領選挙から政治に参加するようになった。民主社会主義拡大の動きはこれ以降も進んだ。サンダースやAOC以外にも主流派・エスタブリッシュメントを批判する「進歩主義的」な議員たちは増加していった。
berniesanderszohranmamdaniaoc2025001
(左から)サンダース、マムダニ、AOC

 2025年のニューヨーク市長選挙でゾーラン・マムダニが民主党予備選挙、本選挙で勝利したことは民主社会主義拡大の勢いを物語るものとなった。そして、今年の中間選挙は地方選挙でも民主社会主義を標榜する候補者たちの勝利が続いている。以下に長くなるが、関連記事をいくつか紹介する。コロラド州デンヴァーの選挙区ではメラット・キロス、ニューヨークの選挙区では、マムダニ市長が支援した、ダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエ、クレア・ヴァルデス、ブラッド・ラウダーが予備選挙で勝利した。
zohranmamdanidsa20260618001
(左から)ヴァルデス、ラウダー、マムダニ、アヴィラ・シュヴァリエ

 民主社会主義は民主政治体制の中で社会主義を実現することを目指し、暴力革命は否定している。富の再分配や平等の実現を目指している。資本主義から社会主義への変化・移行を漸進的、非暴力的に行うということを目指している。以下の記事の中から、民主社会主義活動団体「アメリカ民主社会主義者(Democratic Socialists of AmericaDSA)」について、重要な部分を抜粋する。

(引用貼り付けはじめ)

DSAはウェブサイト上で、民主社会主義を「職場や地域社会、そして社会全体において、一般の人々が真に発言力を持つシステム(a system where ordinary people have a real voice in our workplaces, neighborhoods, and society)」と定義している。さらに、「私たちの生活を左右する主要な経済的基盤」の集団的所有(collective ownership of “key economic drivers that dominate our lives”)を推進し、エネルギー生産や交通機関の公営化、「メディケア・フォー・オール(皆保険制度)」、警察予算の削減(police defunding)、そして「グリーン・ニューディール」などを目標に掲げている。

「人々は、質の高い公共交通機関の拡充や、普遍的な保育の提供、最低賃金を生活できる水準まで引き上げることを求めている。こうした政策が検討のテーブルに乗っていると知れば、多くの人々が支持するだろう」とシディークは述べた。

昨年、候補者として出馬したマムダニは、家賃凍結(rent freezes)、普遍的な保育(universal childcare)、無料の市バス(free city buses)、そして市営食料品店(city-owned grocery stores)などを提唱した。

(中略)

DSAの綱領の刷新案について報じた。その中には、連邦上院の廃止、米国防総省の予算削減、そして大統領や最高裁判所を「連邦議会に従属する(subordinate to Congress)」執行機関や司法機関に置き換えるといった計画が含まれている。

シディークはテキストメッセージで、これらの計画は綱領の「暫定的な修正案(preliminary version of edits)」であり、最終版は「まもなく」発表される予定だと述べた。

(引用貼り付け終わり)

 抜粋する部分を読むと、民主社会主義が目指している政策について概略が分かる。最低賃金の引き上げや家賃凍結などは日本でも実施を検討して欲しい政策である。私が気になったのは、DSAの綱領の刷新案の中で、「連邦上院の廃止」と「大統領や最高裁判所を連邦議会に従属する形にする」という点だ。これは、アメリカを一院制(unicameralism)にし、三権分立(separation of powers)から、立法権(Legislative power)が行政権(Executive power)と司法権(Judicial power)に優越するという形を目指すということだ。

 これは、ジャン・ジャック・ルソー流の独裁(dictatorship)を生み出す危険性がある。ルソーは直接民主政治(direct democracy)を理想としていた。これは「人民主権(popular sovereignty)」ということである。そして、選挙の結果として表現されたものが「一般意志(general willVolonté générale)となり、その無誤謬性、絶対性によって決定がなされ、それに反対する少数派には結果が強制されるということになった。これは社会主義体制にも援用されている。これは非常に危険である。実際にフランス革命がのちに独裁と暴力を生み出してしまったのはこれらの考えによる。理想社会を実現するために、暴力と強制が正当化されるということにもなりかねない。民主社会主義の漸進的な変革は良いとしても、このような人民独裁を生み出しかねない考えというのは警戒を要すると私は考えている。

(貼り付けはじめ)

極左勢力がデンヴァーでも勝利を継続:コロラド州予備選挙の主なポイント(Far left extends victory streak into Denver: Key takeaways from Colorado’s primaries

ジュリア・ミュラー、キャロライン・ヴァキル筆

2026年6月30日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5948845-takeaways-colorado-primaries/

火曜日、コロラド州デンヴァーを選挙区とする連邦下院議員選挙の民主党予備選挙で、民主社会主義者のメラット・キロスが、進歩派の現職ダイアナ・デゲット議員を破るというもう1つの大きな番狂わせ(major upset)が起きた。この結果は共和党を喜ばせる一方、11月の本選挙を控えた民主党連邦下院指導部には懸念を抱かせるものとなるだろう。

元弁護士であるキロスは、「イスラエル国家の廃止を求めることは反ユダヤ主義にあたる」とする考えを批判する書簡を執筆したことを理由に解雇された経歴を持つ。今回、下院議員を15期務める現職で、連邦議会進歩派議員連盟(the Congressional Progressive CaucusCPC)のメンバーでもあるデゲットを打ち負かした。この勝利は、ニューヨーク市の激戦区における連邦下院予備選で民主社会主義者が勝利を収めてからわずか1週間後のことだった。

先週、ニューヨークでの予備選(現職議員2人が落選する結果となった)を受けて、民主党内は党内の緊張関係を軽視する姿勢を見せていた。しかし、デンヴァーでのキュロスの勝利により、党は最近の極左勢力の躍進や党内で生じている亀裂を、もはや単なる些細なこととして片付けるのが難しくなるだろう。

キロスの勝利は、中間選挙を控え、民主党の極左メンバーと苦戦を強いられている他の民主党候補者とを結びつけようとしている共和党にとっても、政治的な贈り物(a political gift)となる。

反エスタブリッシュメントの機運は、コロラド州知事選の民主党予備選挙でも鮮明になった。この選挙では、州司法長官のフィル・ワイザーが当初は本命視されていたマイケル・ベネット連邦上院議員を破った。一方、ジョン・ヒッケンルーパー連邦上院議員は予備選で進歩派のジュリー・ゴンザレス州上院議員を退け番狂わせを回避した。

コロラド州の予備選挙における主なポイントは以下の通りだ。

(1)DSAがまたも勝利を収める(DSA nabs latest win

先週ニューヨークでの予備選挙で相次いで勝利を収めた後、アメリカ民主社会主義者(the Democratic Socialists of AmericaDSA)はデンヴァーでも新たな試練を乗り越え勝利した。そこでは、29歳の民主社会主義者であるキロスが68歳の現職デゲットを破った。

連邦議会の「進歩派連邦議員連盟」のメンバーであり、地元選出の連邦議員として最長の在任期間を誇るデゲットは、30年にわたりコロラド州第1選挙区の議席を維持してきた。しかし、連邦下院での長い在任期間ゆえに、彼女は今回、連邦下院における新たな視点を求める声が高まる中で、キロスに対してのある種の脆弱性を露呈することになった。対立候補のキロスは、デゲットがワシントンでの活動を開始した当時にはまだ生まれてさえいなかった人物だ。

バーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)やアメリカ民主社会主義者(DSA)の支援を受けたキロスは、近年、大卒の若年層有権者が流入している選挙区で序盤からリードを奪った。Decision Desk HQのデータによると、東部夏時間の午後10時30分に勝敗が確定した時点で、開票率78%、キロスはデゲットを約4ポイントリードしていた。

キロスの勝利は、いわゆる「マムダニ効果(Mamdani effect)」の証拠となる。DSAは先週、支持基盤が集中し、ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニがその主張を最も力強く代弁しているニューヨーク州の予備選挙で、注目を集める勝利を収めたばかりだった。なお、DSAは政党ではなく、所属候補者は民主党から出馬するものの、党の主流派や組織運営の方針とは意見が全く異なる。

DSAは今後数週間、ミシガン州、ウィスコンシン州、フロリダ州などでも予備選挙という試練に直面することになる。専門家たちは、ニューヨークのような「青い(民主党支持の強い)地域」での勝利を過大評価することには慎重な姿勢を示しているが、コロラド州での予備選挙勝利は、左派的な政策アプローチに対する有権者の意欲が高まっていることを示す新たな兆候と言える。

共和党はこの予備選挙の結果に即座に反応し、極左勢力が民主党というブランドを乗っ取ろうとしていることの新たな証拠だと主張した。

「民主党における社会主義勢力の台頭は、もはや『ディープ・ブルー』(民主党の圧倒的強固な地盤)に限った話ではない。急進派が激戦区を次々と掌握し、民主党にとって必勝を期すべき議席を手の届かないものにしているほか、連邦下院の主導権を奪還する可能性をも潰してしまっている」と共和党連邦下院選挙対策委員会の広報担当マイク・マリネラは声明で述べた。

(2)反エスタブリッシュメントの民主党候補たちが重要な勝利を収める(Antiestablishment Democrats notch key wins

火曜日、反エスタブリッシュメントの民主党候補たちがいくつかの重要な勝利を収めた。

デンヴァーを擁する連邦下院第1選挙区で、民主社会主義者を自認するキロスが議会進歩派議員連盟(CPC)の現職デゲットを破ったことは、党内の反エスタブリッシュメント・新興勢力にとって最大の勝利となった。

この勝利は、キロスのイスラエルに関する一部の主張が党内で物議を醸していたにもかかわらず実現したものだ。彼女は以前、イスラエルの消滅を求めたりイスラエル政府を批判したりすることを「反ユダヤ主義的(antisemitic)」と見なす考え方を批判する書簡をアメリカの法律事務所宛てに送付していた。

また、コロラド州知事選の民主党予備選挙では、ワイザーがベネットを破った。これは、選挙戦当初、ベネットが圧倒的優位と見られていた政治情勢からすれば、予想外の結果だった。

ワイザーは厳密には民主党主流派の一員であり(コロラド州選出の有力民主党公職者の1人であり、民主社会主義者とは程遠い人物だ)、州司法長官という立場にあるが、ワシントンDCの現職政治家に対する予備選挙参加の有権者の不満を巧みに取り込んだ。

ワイザーは、自身がトランプ政権を66回も提訴した実績を強調する一方で、ベネットが大統領の閣僚指名の一部を承認したことを激しく批判した。さらに、ワイザーはベネット連邦上院議員が億万長者たちに「借りがある(言いなりになっている)[beholden]」と示唆し、自分自身は一般のコロラド州民のために戦う姿勢を強調した。

ベネットの政策スタンスの一部はワイザーよりも急進的なものだったが、彼の政策綱領や連邦上院議員としての経歴だけでは有権者の支持を勝ち取るには不十分だった。

しかしながら、ベネットが職を失うことにはならない。彼は連邦上院議員にとどまり、2028年の改選に臨むことになる。

一方、元コロラド州知事、元デンヴァー市長のヒッケンルーパーは、進歩派の州上院議員であるゴンザレスの挑戦を退けた。

(3)激戦が予想される連邦下院選挙(Races set for competitive House seats

デゲットの地盤であるデンヴァーの選挙区では、この秋、キロスが「民主党の堅い議席」とも言えるこの議席を容易に獲得する見通しだ。しかし、火曜夜の予備選挙の結果、連邦下院の主導権を巡る重要な戦いにおいて、いくつかの激戦区となる可能性のある選挙戦の構図も固まった。

コロラド州第8選挙区では、現職のゲイブ・エヴァンス連邦下院議員(共和党)が、今年改選を迎える共和党議員の中で最も苦戦が予想される1人と見られている。デンヴァー北部の郊外を選挙区とするこの議席について、クック・ポリティカル・レポートは「接戦(toss-up、トスアップ)」と評価している。

この秋、エヴァンスはマニー・ルティネル州下院議員(民主党)と対決することになる。ルティネルは火曜日の民主党予備選挙で、シャノン・バード元州下院議員を破った。弁護士であり、かつては米陸軍工兵隊でエコノミストとして勤務した経歴を持つルティネルには、11月の本選挙で民主党が議席を奪還できる最大の好機の1つを確実にものにするという重圧がかかっている。

コロラド州第5選挙区も、この秋の選挙で激戦となる可能性がある。クック・ポリティカル・レポートは今年に入り、この選挙区の情勢評価を「共和党確実(solid、ソリッド)」から「共和党優勢(likely、ライクリー)」へと民主党寄りに修正した。

現在、現職のジェフ・クランク連邦下院議員(共和党)が保持しているこの議席は、過去3回の大統領選挙のサイクルを通じて、一貫してリベラル(民主党)寄りへと変化してきた。この秋クランクに挑む候補者としては、予備選挙を勝ち抜いた元陸軍軍人のジェシカ・キリンが選ばれた。

民主党が連邦下院の主導権を握るには3議席を純増させる必要がある。

=====

ニューヨーク州議会選、民主社会主義者が相次ぎ勝利(Democratic socialists rack up wins in New York state Legislature races

アシュレイ・フィールズ筆

2026年6月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5938202-democratic-socialists-new-york-mamdani-primary-elections/

火曜日に行われたニューヨーク州議会の予備選挙で民主社会主義を掲げる候補者たちが次々と勝利を収めた。ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長(民主党)による政治的支援が、この「青い波(the blue wave、民主党の躍進)」を後押しした。

Decision Desk HQDDHQ)」によると、民主社会主義を掲げる候補者たちは、彼らを標的としたスーパーPAC(政治活動委員会)による巨額の資金投入があったにもかかわらず、州上院で2議席、州下院で4議席を獲得した。

パレスティナ系アメリカ人のエイバー・カワスが州上院第12選挙区の民主党予備選挙で勝利したほか、現職のジャバリ・ブリスポート州上院議員(民主党)は第25選挙区で78%以上の得票率を記録し、再選を確実にした(同選挙区の共和党予備選挙は中止された)。

DDHQによると、民主社会主義を掲げるジェシカ・ゴンザレス=ロハス候補も第13選挙区の予備選挙でリードしているが、最終的な結果はまだ確定していない。

「シティ・アンド・ステイト・ニューヨーク」の報道によると、ゴンザレス=ロハスは声明の中で、「力を合わせれば、働く家族を主軸に据え、地域社会に真の成果をもたらす未来を築くことができる」と述べている。

他にも、民主社会主義と関わりのある候補者が勝利を収めた。クリスチャン・テイトとサマンサ・カッタンは、それぞれニューヨーク州下院の予備選挙で勝利し、11月の本選挙では共和党の対立候補が不在となっている。また、DDHQの予測では、イオン・ハントリーが現職のステファニ・ジナーマン州下院議員を22ポイントの大差で破った。

現職の民主社会主義者であるダイアナ・モレノ(マムダニ氏の後任として州下院議員に就任)も、予備選挙で79%近い得票率を記録し、州議会への復帰を果たす見通しだ(DDHQ予測)。彼女は11月の本選挙で共和党の対立候補と対決することになる。

DDHQの集計によると、イラパ・サイリトゥパックも州議会予備選挙でリードしている。

現職議員の中で予備選挙を勝ち抜く可能性があるのはジョーダン・ライトだけで、DDHQのデータではライトが第70選挙区の予備選挙で首位に立っている。

「富裕層への課税(taxing the rich)。移民関税執行局(ICE)の排除(Kicking out ICE [Immigration and Customs Enforcement])。無償の保育の保証(Guaranteeing free childcare)。ニューヨーク市民が住居を維持すること(Keeping New Yorkers in their homes)」。ニューヨーク市のDSAは投票日の火曜朝、ソーシャルプラットフォーム「X」への投稿で、自らが支持する候補者たちへの後押しを行った。

DSAはさらに「社会主義の旗手たちを当選させこの政策課題を実現しよう」と呼びかけた。

「ニューヨーク・フォーカス」によると、DSAに反対するスーパーPAC(政治活動委員会)が290万ドルを投じて激しい反対運動を展開したものの、DSA系候補の選挙運動費用がいずれも20万ドルのラインを超えることはなかった。

DSA系候補に対抗する穏健派の挑戦者を支援するスーパーPACのストラティジストのジェフ・レブは「ニューヨーク・フォーカス」に対し、次のように語った。「ゾーランこそが起爆剤(the catalyst)となった。彼の勝利が人々を目覚めさせた」。

DSAには勢い(momentum)がある。彼らはニューヨークで過去最多の候補者を擁立しており、勝利の方程式を見出したと考えている。だからこそ、人々の反応が得られている」とレブは付け加えた。

マムダニにとって、連邦議会選挙でも大きな成果を挙げた。彼が支持を表明していた民主社会主義者のクレア・ヴァルデスとダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエがいずれも現職を破って勝利を収めた。
=====
エスパヤットがニューヨーク州の連邦下院民主党予備選でママダニ氏支持の候補に敗れる(Espaillat ousted in New York House primary by Mamdani-backed candidate

ジュリア・ミュラー筆

2026年6月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5931226-espaillat-loses-new-york-house-primary/

Decision Desk HQDDHQ)の予測によると、民主社会主義者のダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエが、民主党予備選挙で現職のアドリアーノ・エスパヤット連邦下院議員(民主党)を破った。これはニューヨーク市の社会主義運動にとって大きな勝利となる。

連邦下院第13選挙区をめぐるこの選挙戦は、ニューヨーク市のゾーラン・マムダニ市長(民主社会主義者)にとって、その影響力を試す重要な機会の1つだった。マムダニは、5期目を務める現職のエスパヤットに対抗するアヴィラ・シュヴァリエを支持していた。

昨年の歴史的な市長選での勝利に続き、マムダニがアヴィラ・シュヴァリエの選挙活動に同行したことは、彼女の陣営に大きな弾みを与えた。ハーレム、ワシントン・ハイツ、ブロンクスの一部を含むこの選挙区において、マムダニの支持は、アヴィラ・シュヴァリエがエスパヤットを追い抜く助けとなったと見られる。

この予備選挙の結果により、エスパヤットの下院議員としての任期は終了することになる。エスパヤットは2016年に選出され、不法移民としての経歴を持つ初の連邦議会議員として知られている。現在は連邦議会ヒスパニック議員連盟の会長を務めるほか、連邦議会進歩主義議員連盟のメンバーでもある。

民主党の地盤が極めて強固なこの選挙区において、アヴィラ・シュヴァリエが今年11月の本選挙で議席を獲得することはほぼ確実な情勢だ。
=====
ニューヨーク州連邦下院民主党予備選挙でヴェラスケス氏の後任にマムダニが支援した候補者(Mamdani’s pick set to replace Velázquez in House after New York primary win

ジュリア・ミュラー筆

2026年6月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5931196-valdez-wins-ny-house-primary-mamdani/

Decision Desk HQDDHQ)の予測によると、ニューヨーク州議会議員のクレア・ヴァルデスが、ニューヨーク州の激戦となっている連邦下院議員選挙の民主党予備選挙で勝利する見通しだ。
ニューヨーク州第7選挙区の予備選挙は、市内で最も進歩的な地域の1つにおいて有権者を二分する激しい争いとなった。

ヴァルデスは、ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニやアメリカ民主社会主義者(DSA)の支持を受けていた。一方、予備選挙のライヴァルであるブルックリン区長のアントニオ・レイノソは、ブルックリンとクイーンズの一部を代表する連邦下院議席の後任として、現職のニディア・ヴェラスケス連邦下院議員(民主党)から支持を得ていた。

ヴェラスケスは1992年にプエルトリコ系女性として初めて連邦下院議員に選出され、110期以上にわたる在任期間を経て引退を表明したため、この議席は後任を巡る選挙戦となっていた。

同じく30年以上にわたって務めたニューヨーク州選出の民主党議員ジェリー・ナドラーが引退する第12選挙区と同様、この議席は、ニューヨーク州における民主党の世代交代を巡る議論の中心にあるいくつかの議席の1つだ。

この選挙区は民主党の地盤が極めて強固であるため、ヴァルデスはこの秋の本選挙でも勝利する可能性が極めて高いと予想されている。
=====

マムダニが支援したラウダーがニューヨーク州連邦下院議員民主党予備選挙でゴールドマンを破る(Mamdani-backed Lander ousts Goldman in New York House primary

by Julia Mueller - 06/23/26 9:06 PM ET

https://thehill.com/homenews/campaign/5931205-lander-beats-goldman-new-york-house-primary/
Decision Desk HQ
DDHQ)の予測によると、元ニューヨーク市会計監査官ブラッド・ランダーが、現職のダン・ゴールドマン連邦下院議員(民主党)に予備選挙で挑戦し、勝利する見通しとなった。

DDHQのデータによれば、ランダーは開票率47%の時点で約63%の支持を集め、現職候補に圧勝した。

昨年、ニューヨーク市長選挙の民主党予備選挙で大きく引き離されて3位に終わったランダーだが、今秋の選挙では民主党の地盤であるこの議席を確実に手にする軌道に乗っている。今回の勝利は、ランダーを支援したニューヨーク市長ゾーラン・マムダニにとっても重要な成果となった。

リーバイ・ストラウス社の後継者であり、連邦議会進歩派議員連盟(CPC)のメンバーでもあるゴールドマンが、親イスラエル・ロビーからの長年の支援をめぐって苦境に立たされる中、進歩派であるランダーは強力な挑戦を仕掛けた。なお、ゴールドマンにはニューヨーク州のキャシー・ホークル知事(民主党)や連邦下院民主党指導部が支持を表明していた。

この選挙戦は、ニューヨークにおける民主党の進むべき方向性をめぐる対立軸を浮き彫りにした。ゴールドマンがより中道かつ既成勢力寄りの政策を掲げたのに対し、ランダーは進歩派の立場を強く打ち出した。

リーバイ・ストラウス社の後継者であるゴールドマンは、2024年の予備選挙では約40ポイントの大差をつけて再選を果たしたが、先月実施されたエマーソン・カレッジの世論調査では、2026年の予備選挙においてランダーが30ポイント以上リードしているという結果が出ていた。

=====

民主社会主義者について知っておくべきこと(What to know about democratic socialists

ジュリア・ミュラー、タラ・サター筆

2026年6月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/campaign/5941564-democratic-socialists-primaries-mamdani-sanders/

民主社会主義者たちは、エスタブリッシュメントの枠組みを超えた左派的な理想を掲げ、中間選挙を前に大きな勝利を収めて主流派の民主党員を動揺させるなど、国政の舞台で勢力を拡大している。

ニューヨーク市長ゾーラン・マムダニは、昨年の歴史的な選挙での勝利により、民主社会主義運動を全国的な注目の的へと押し上げ、アレクサンドリア・オカシオ=コルテス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)やバーニー・サンダース連邦上院議員(ヴァーモント州選出、無所属)などと肩を並べる存在となった。

最近の予備選挙を経て、ワシントンDCでは民主社会主義者が市長選での勝利を確実にしており、ロサンゼルスでも別の候補者がこの秋の市長選挙本選挙へと駒を進めた。火曜日に行われたニューヨーク州の連邦下院議員予備選挙では、マムダニが支持した2人の民主社会主義者が勝利を収めた。そのうちの1人は連邦下院の有力な進歩派議員を破っており、民主社会主義運動の勢いが増していることを示している。

民主社会主義の思想を支持する人々は、進歩的な変革を求め、いわゆる資本家階級による主導を拒絶している。また、全米各地で候補者を支援する草の根の活動家組織「アメリカ民主社会主義者(DSA)」は、2026年および2028年の選挙に向けて、その政治的組織力を強化している。

知っておくべきポイントは以下の通りだ。

(1)DSAは社会の「変革」を目指す(DSA aims to ‘transform’ society

DSAは、労働者階級に重点を置いてアメリカ政治を「変革」することを目指している。彼らは、既存の利益追求型構造や資本主義の枠組み(existing profit-driven structures and capitalist frameworks)を否定しつつ、経済的平等と社会正義(economic equality and social justice)を促進している。

DSAの共同議長であるアシク・シディークは木曜日の『ザ・ヒル』とのインタヴューで「私たちは社会を根本から全面的に変革しようとしているが、可能な限り全員で意思決定を行いながらそれを進めたいと考えている」と語った。

DSAはこの運動の主要な組織的基盤だが、有権者が党員登録できる政党ではなく、非営利の活動家団体だ。また、候補者の中には、この組織の正式な構成員でなくとも、民主社会主義の理念に共鳴している人もいるだろう。

DSAはウェブサイト上で、民主社会主義を「職場や地域社会、そして社会全体において、一般の人々が真に発言力を持つシステム(a system where ordinary people have a real voice in our workplaces, neighborhoods, and society)」と定義している。さらに、「私たちの生活を左右する主要な経済的基盤」の集団的所有(collective ownership of “key economic drivers that dominate our lives”)を推進し、エネルギー生産や交通機関の公営化、「メディケア・フォー・オール(皆保険制度)」、警察予算の削減(police defunding)、そして「グリーン・ニューディール」などを目標に掲げている。

「人々は、質の高い公共交通機関の拡充や、普遍的な保育の提供、最低賃金を生活できる水準まで引き上げることを求めている。こうした政策が検討のテーブルに乗っていると知れば、多くの人々が支持するだろう」とシディークは述べた。

昨年、候補者として出馬したマムダニは、家賃凍結(rent freezes)、普遍的な保育(universal childcare)、無料の市バス(free city buses)、そして市営食料品店(city-owned grocery stores)などを提唱した。

ワシントンDCでは、DSAの地元支部が犯罪対策として警察以外の代替策への投資を目指しており、移民関税執行局(ICE)と地元警察との「日常的な連携」を現職市長の失策の1つとして批判している。進歩派の民主党市長候補であるジャニース・ルイス・ジョージは、連邦政府による権限の濫用に対して徹底的に抵抗する姿勢を打ち出しており、これに対しトランプ大統領は、もし今秋の選挙で「狂った社会主義者」が選出されれば、連邦政府がワシントンDCを「取り戻す(take back)」可能性があると警告している。

ロサンゼルスでは、DSA所属の市長候補ニティア・ラマンが、ホームレス問題や住宅費高騰に対して進歩的な政策を打ち出している。DSAロサンゼルス支部は市長選においてまだ特定の候補を支持していないが、DSAロサンゼルス支部の目標には警察予算の削減や刑務所の廃止などが含まれている。

オカシオ=コルテスは「グリーン・ニューディール」の推進者として有名だ。これは、高速鉄道の整備、「炭素の社会的費用」ルールの導入、そして大恐慌時代の政策をモデルにした公的な雇用創出プログラムの確立など、環境および経済にわたる広範な改革を提案する法案だ。

DSAは以前からアメリカ合衆国憲法に対して批判的な姿勢をとっており、2024年の声明では、アメリカ政府の運営の基礎となるこの文書について、「エリートによる支配を明示的に固定化する政治秩序を確立するものだ」と述べている。

DSAは2024年の綱領において、究極の目標は「全ての人に市民的・政治的・民主的権利を保障し、単一の連邦議会における比例代表制に基づき、政治における金の影響力を排除する、新たな民主的憲法」を制定することだと述べている。

ウェブサイトに掲載されたDSAの綱領では、非市民や有罪判決を受けた人々への完全な投票権の付与、ワシントンDCの州昇格、比例代表制導入による二大政党制の解消、連邦下院議席数の拡大、大統領の一般投票による選出、そして最高裁判所による司法審査権の制限などが求められている。

保守寄りのシンクタンクであるマンハッタン研究所の出版物『シティ・ジャーナル』は最近、DSAの綱領の刷新案について報じた。その中には、連邦上院の廃止、米国防総省の予算削減、そして大統領や最高裁判所を「連邦議会に従属する(subordinate to Congress)」執行機関や司法機関に置き換えるといった計画が含まれている。
シディークはテキストメッセージで、これらの計画は綱領の「暫定的な修正案(preliminary version of edits)」であり、最終版は「まもなく」発表される予定だと述べた。
「しかし、私たちが明確にしておきたいのは、人々が政府、職場、地域社会に対して完全な民主的統制(democratic control)を持つ『民主社会主義的社会(a democratic socialist society)』のあり方に関する、より広範で長期的なヴィジョンと、統治に関する短期的なヴィジョンとを混同すべきではないということだ。後者については、私たちの候補者が掲げる実際の政策綱領をご覧いただきたい」。

(2)主要な選挙戦で勢いを増す候補者たち(Candidates gain momentum in key races

シディークは、DSAの成長は近年、「指数関数的なカーヴ(an exponential curve)」を描いていると述べている。

1980年代に左派の提唱団体として登場したDSAだが、2016年に無所属のサンダース(当時DSAの会員ではなかったが、自らを民主社会主義者と称していた)が大統領選挙に出馬した際、主流派政治の表舞台へと躍り出た。DSAによれば、その年のトランプの勝利がきっかけとなり、さらに数千人が新たに参加したということだ。

DSAニューヨーク支部は、2018年の選挙でジョー・クロウリー連邦下院議員(当時、ニューヨーク州選出、民主党)に挑んだオカシオ=コルテスを支持した。オカシオ=コルテスは、同様にDSAのメンバーであり、いわゆる進歩派グループ「スクワッド(Squad)」の一員であるラシダ・トレイブ連邦下院議員(ミシガン州選出、民主党)などと共に連邦議会入りを果たし、その次の選挙サイクルではコリ・ブッシュ連邦下院議員(ミズーリ州選出、民主党)も隊列に加わった。

シディークによると、10年近く前には約5000人だった会員数は現在10万人を超え、全米に200の支部を擁するまでに拡大している。

そして、マムダニの歴史的な勝利に続き、今回の中間選挙サイクルにおいても、DSAの候補者たちが注目すべき勝利を収めている。

今月、ワシントンDCではルイス・ジョージが予備選挙で穏健派の対立候補を上回る成績を収め、トランプの2期目を通じて首都の舵取りを担うことが事実上確実となった。その1週間前には、ラマンがロサンゼルス市長選挙の本投票(11月実施)への進出を決め、現職のカレン・バス市長(民主党)と対決することになった。

今週に入り、マムダニとDSAニューヨーク支部の支援を受けた民主社会主義者の候補者であるクレア・ヴァルデスとダリアリザ・アヴィラ・シュヴァリエが、ニューヨーク州の連邦議会予備選で大勝した。特にアヴィラ・シュヴァリエは、現職のアドリアーノ・エスパヤット連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)を破るという結果を残した。

DSAニューヨーク支部は木曜日、火曜夜の予備選挙投票終了後、会員が400人以上増加したと発表した。

しかし、今後数週間は、DSAの支持基盤の大部分が集中するニューヨーク州以外での運動の力が試される時期となるかもしれない。デンヴァー、デトロイト、南フロリダでDSA候補者が連邦議会議員選挙の予備選挙に臨むからだ。

(3)躍進は民主党との亀裂を浮き彫りにする(Rise underscores rift with Democratic Party

ニューヨーク市で行われた火曜日の予備選挙では、民主社会主義運動の勢力拡大に伴い、連邦議会選挙は民主党内の分裂を浮き彫りにした。

マムダニは、民主党予備選挙での勝利後、2025年の市長選挙でマムダニに重要な支持を与えた連邦議会ヒスパニック議員連盟会長のエスパイヤット議員ではなく、アヴィラ・シュヴァリエを支持した。また、退任するニディア・ヴェラスケス連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の後任として、ヴェラスケスが支持した候補者ではなく、ヴァルデスを支持した。

今回の選挙は、世代交代から経済政策に至るまで、民主党の将来に関する幅広い議論の中で、民主党内で意見の相違が生じていることを浮き彫りにした。

シディークは、ザ・ヒルのインタヴューで、2024年の選挙において左派的な政策や候補者が不足していると感じたことへの不満を表明した。また、カマラ・ハリス(当時副大統領)の敗因として、イスラエルによるガザ地区での戦争に起因する人道危機や気候変動といった問題に対するハリスの姿勢を挙げた。

「私たちが考えるハリスの敗因の1つは、予備選挙の段階で左派的な主張をしたり、より踏み込んだ要求をしたりする存在がいなかったことだ。その結果、パレスティナ問題(ガザ地区でのジェノサイドなど)が進行中であったにもかかわらず、選挙戦ではほとんど議論されなかった。また、気候変動、その他の主要な課題といった問題が、十分に取り上げられなかった。全体として右傾化(a slide to the right)が進み、それによって民主党の支持基盤の多くが離反し、普段は投票に行かない層も全く意欲をかき立てられなかった」とシディークは語った。

DSA運動の勢いが増す中、DSAは2028年の大統領選挙への挑戦も視野に入れている。

DSA運動から有力候補として名前が挙がっている人物の中で最も著名なのがオカシオ=コルテスです。

シディークによると、組織内では大統領候補の擁立に関する議論が行われており、DSAには「議論を重ね、最終的には誰を擁立するかについて集団的な決定に至るというプロセス」があるということだ。

「アメリカでは物事が非常に急速に変化している。先週私たちが手にしたような勝利は、こうした政治的立場を代表する人物が、大統領選挙で十分に有力な候補になり得るという期待を、私たちに抱かせてくれていると思う」とシディークは述べた。

=====

●「米民主党左派、中間選挙の候補者3割に 反イスラエル・物価高で支持」

202672 5:47

日本経済新聞

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN01CZR0R00C26A7000000/

democraticsocialismnikkei20260702001

西部コロラド州の下院選の民主党予備選で勝利宣言したメラット・キロス氏(630日)=AP

【ワシントン=飛田臨太郎】米民主党内で「民主社会主義者」や「進歩派」と呼ばれる急進左派が全米で勢いを増している。11月の中間選挙に向けて党候補を決める予備選は6割が終わり、このうち3割弱で左派系候補が勝利した。

主流の穏健派が次々と敗れる事態で、2028年の米大統領選にも影響が及びかねない。米ジョンズ・ホプキンズ大のダニエル・シェロズマン教授は民主党の現状について「これほど多くの左派系がメンバーになる状況はこれまでなかった」として「内部では亀裂が生じている」と指摘する。

29歳の若手、ベテラン破る

「私たちが戦えば変化は必ず起きる」。西部コロラド州で630日に投開票された連邦下院議員候補を選ぶ党予備選では、急進左派で29歳のメラット・キロス氏が約30年間も議席を維持してきたベテラン現職を破り、記者会見で気勢を上げた。

選挙戦では企業からの政治献金を拒否し、バリスタとして働く庶民的な姿勢を訴えた。弁護士としてニューヨークの法律事務所に務めていた際、「イスラエルの国家消滅を求めるのは反ユダヤ主義だ」とする見解に異議を唱えて解雇された経験も持つ。

コロラド州では同日実施の知事候補を選ぶ党予備選でも、左派色が強い候補が本命視されていた穏健派を破った。

democraticsocialismnikkei20260702002

民主党が党候補を決める全米での予備選は3月に始まり、9月までに終わる。コロラド州の結果を受けて、11月に改選する米連邦議会上院(改選33議席と補選の2議席)と下院(定数435議席)のうち、300超の選挙区で党候補が固まった。

日本経済新聞社の集計によると、このうち左派系が党候補の座を手中にした選挙区は80超あり、およそ27%を占めた。左派がつくる政治グループ、プログレッシブ・コーカス(進歩派議員連盟)などが支援した候補を集計した。

■全米に広がる「マムダニ旋風」

躍進の背景にあるのが、所得格差の拡大や長引く物価高だ。バイデン前政権を支えた主流の穏健派が「富裕層や大企業の利益に重きを置き、労働者や生活者を置き去りにした」と批判し、党指導部は人々の不満に応えていないと主張する。

経済面では公共サービス料金の無償化や国民皆保険の導入、大企業への規制強化などを政策に挙げる。

公共サービス料金の無償化などは米国では急進的に映る。だが米調査会社ギャラップによると、資本主義に肯定的な見方を示す民主党支持者の割合は2010年の51%から25年には42%に減少した。大企業に肯定的な見方も46%から17%にまで減った。

民主社会主義者を自称する左派は「資本主義の弊害を減らし、より平等な社会を実現しよう」と訴える。

イスラエルに批判的な姿勢や国防費の抑制といった主張なども支持を集めている。米国では若年層を中心にイスラエル支援に不満を持つ人の割合が大きい。

ギャラップによると、民主党支持者でイスラエルよりもパレスチナに共感すると答えた人は26年に65%と、その逆(17%)を大きく上回る。歴史的にイスラエル寄りの傾向が続いていたが、23年から逆転した。

democraticsocialismnikkei20260702003

性的少数者の権利擁護を訴える恒例のパレードに参加したマムダニ市長(628日、ニューヨーク)=AP

急進左派の代表格がニューヨーク市長のマムダニ氏だ。家賃の引き上げを禁じるなどして全米の注目を集める。623日にニューヨーク州で実施された連邦議会下院の予備選では、マムダニ氏が支援した急進左派の3人が勝利し、全米に衝撃を与えた。

主流派は左派候補の台頭は、無党派層や穏健な民主支持層を遠ざけると警戒する。激戦区で共和党に勝つには中道派の支持取り込みが欠かせないからだ。穏健派の民主下院グループは「私たちは資本主義者であり、社会主義者ではない」と訴える。

democraticsocialismnikkei20260702004
中間選挙で左派への支持が鮮明になれば、2028年の大統領選にも波及する。急進左派の若手代表格でZ世代から初めて下院議員になったマックスウェル・フロスト氏は「進歩派から我々の次期大統領候補を選ぶのが希望であり、そうなるだろう」と予告する。

トランプ米大統領は民主党の左傾化を中間選挙の争点にしようと動き始めた。「彼らは『社会民主』という言葉を使うが、実際には共産主義だ。建国以来、米国にとっての最大の脅威だ」などと再三、主張している。

急進左派は国内問題を重視し、対外関与を控えようとする傾向がある。共和党だけでなく、民主党でも内向き姿勢が強まれば、日本や世界に影響する。

(貼り付け終わり)

(終わり)



sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 エプスタイン・ファイルをめぐる連邦議会での激しいやり取りについては、このブログでもご紹介した。エプスタイン・ファイルは既に、アメリカ政治において熱を帯びた戦いの最前線になっている。司法省は未編集の資料を保有しており、連邦議会は被害者の名前などの編集を認めながら公開を求めてきた。そして、今年に入って約350万ページにも及ぶ資料が公開された。それらは編集されたもので、どうしても「加害者の名前が編集されているのではないか」という疑いが付きまとう。

 司法省は、連邦議会の議員たちに司法省の事務所内での未編集の資料の閲覧を認めている。議員たちは全てを見ることが出来る。もちろん、約350万ページの資料を見ることなど不可能だ。それでも民主党側の議員たちの中から、加害の証拠があり、有罪の可能性があるという人物たちの名前が発表されている。これからも、編集された部分から、重大な加害に関与した可能性がある人物たちの名前が出てくるだろう。「○○の名前があった」「■■に加害の可能性がある」ということが取り沙汰されている様子は、戦後アメリカに吹き荒れた、マッカーシズム(McCarthyism)、赤狩り(Red ScareRed Purge)を思い起こさせる。

 司法省がどの議員がどのような検索や調査を行ったかについて記録を取っていることが問題視されている。司法省は、被害者の名前が漏洩しないように、もしもの場合の責任の所在を明らかにするために記録を取っているとしている。一方で、民主党所属の議員たちからは、これは行政権による司法権に対する侵害であるとして批判を強めている。司法省が、議員たちがどのような調査をしたかの記録を取って、それをマスコミにリークなどすれば、議員たちに批判が集まるという危険性もある。

 司法省の主張にも、連邦議会民主党側の主張にも説得力があるが、日ごろは問題視されないことが、粒立てて問題視されるということはそれだけの緊張感があるということだ。民主、共和両党は、中間選挙に向けて、お互いを攻撃しようとし、エプスタイン・ファイルはその攻撃材料となっている。これからファイルの調査が進むことで、展開は大きく変わっていくことも予想される。

(貼り付けはじめ)

民主党が司法省による連邦議員のエプスタイン文書検索追跡を調査開始(Democrats launch investigation into DOJ tracking of lawmakers’ Epstein files searches

レベッカ・ベイッチ筆

2026年2月13日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5738162-epstein-files-doj-bondi-house-democrats/

連邦下院司法委員会と監視委員会の民主党所属の連邦議員は、パム・ボンディ司法長官が、ある議員によるジェフリー・エプスタイン事件の未編集ファイルに関する調査の概要を閲覧しているのが目撃されたことを受け、金曜日に司法省に対する合同調査を開始した。

この書簡は、司法省に対し「連邦議員によるエプスタイン・ファイル閲覧の追跡を直ちに中止する」よう求め、連邦議員が閲覧した未編集ファイルを追跡する意図を問う内容だ。

連邦下院司法委員会と監視・政府改革委員会の民主党側トップであるジェイミー・ラスキン連邦下院議員(メリーランド州選出)とロバート・ガルシア連邦下院議員(カリフォルニア州選出)は、プラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)と共に、「水曜日、連邦下院司法委員会の公聴会に持参された『バーン・ブック』バインダーのページの写真は、司法省が、多少編集が緩められたエプスタイン・ファイルを閲覧する議員たちを秘密裏に追跡していたことを連邦議会と世界に明らかにした」と書簡に記した。

議員たちは、「私たちが憲法上の監視義務を遂行する中で、連邦議員たちがあずかり知らないうちに、あるいは同意なく行われるこうした監視は、三権分立(separation of powers)の明白な侵害であり、司法省がジェフリー・エプスタインとギレーヌ・マクスウェルの共謀者、共犯者、そして幇助者を守るために手段を選ばず、被害者とアメリカ国民に正義を否定する姿勢をさらに強めていることの証拠である」と書いている。

司法省立法局(Office of Legislative AffairsOLA)は「秘密裏に連邦議会を監視する活動を行うべきではない」と議員たちは主張した。

写真には、ボンディ氏が「ジャヤパル・プラミラ捜査履歴」と題された文書を確認している様子が捉えられている。これは、司法長官と口論になったワシントン州選出の民主党議員の行動を確認しているように見える。

この写真は、議会で異例の超党派の合意を招き、両党の議員が自らの行動を追跡されることに憤慨した。

このような動きはマイク・ジョンソン連邦下院議長(ルイジアナ州選出、共和党)から異例の叱責を受けた。

ジョンソン議長は、「連邦議員には当然、それぞれのペースと裁量でそれらの資料を閲覧する権利があるべきであり、誰かがそれを追跡するのは適切ではないと考える。司法省関係者全員に同じ意見を述べたい」と述べ、これが「見落としや漏れ(oversight)」であることを願うと付け加えた。

ボンディ司法長官は水曜日、民主党所属の連邦議員たちに反論するために頻繁にバインダーを取り出し、各議員の選挙区で犯された具体的な犯罪の概要を手元に用意していた一方で、大統領と株式市場のパフォーマンスについては称賛していた。

「ジャヤパル議員は火曜日の朝、この公聴会開始の約23時間前にエプスタイン・ファイルを閲覧していた。その23時間の間に、司法省は彼女の検索履歴を取得し、それを利用して、監督に関する重大な疑問をかわすための党派的な攻撃を準備したようだ。ジャヤパル議員は検索履歴文書の正確性を確認した」と議員たちは書簡に記している。

司法省は金曜日、新たな調査について言及しなかったが、以前の発言については指摘した。

司法省の広報官は木曜日に「司法省は連邦議会に対し、エプスタイン・ファイルの非編集文書を閲覧する機会を与えた。この閲覧の一環として、司法省は被害者情報の漏洩を防ぐためであり、民主党は、検索の監視が司法省に彼らの潜在的な捜査計画に関する洞察を誤って与えている」と主張している。

連邦議員たちは、エプスタイン・ファイルの未編集版を閲覧するよう招請され、月曜日から司法省内の事務所に出向き始めている。

連邦議員たちが出した書簡には、少なくとも12名の民主党所属の連邦議員がエプスタイン・ファイルを閲覧したと記されており、ファイル公開を求める法案の共同提案者である共和党のトーマス・マシー下院議員(ケンタッキー州選出)とナンシー・メイス下院議員(サウスカロライナ州選出)も閲覧した。

エプスタイン・ファイルの閲覧要請書には、司法省が「全議員の閲覧日時」を記録すると記載されていたものの、連邦議員たちの書簡では、連邦議員たちは検索履歴が集計されることを知らされていなかったと書かれている。書簡ではまた、検索履歴の閲覧に何人の司法省職員が関与したのか、そしてボンディ長官が水曜日に連邦下院司法委員会に出席した際、「その準備と出席中に、情報はどのように使用されたのか」についても質問している。

連邦議員たちは、「検索に加えて、連邦議員に関するどのような情報を収集しているのか?」と質問した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
akagaritheredratinhollywoodcomic001
赤狩り THE RED RAT IN HOLLYWOOD (1)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 パム・ボンディ司法長官は連邦下院での公聴会に出席し、エプスタイン・ファイルについて、民主党所属の議員たちから激しく追及された。ボンディ長官はドナルド・トランプ大統領を護るために奮闘した。300万ページにも及ぶ文書が新たに公開されたが、被害者たちの名前が編集されていないところがあった、もしくは重要な部分で編集がされていたという批判がなされている。被害者たちは、名前が編集されていなかったことについて、「これ以上は騒ぐな」という口封じのための脅しだと批判している。

 民主、共和両党はエプスタイン・ファイルを自分たちにとって有利な武器として使おうとしている。民主党はトランプ大統領と政権最高幹部クラスがエプスタインと親密な関係にあったこと、トランプが大統領選挙期間中にはエプスタイン・ファイルの公開に積極的な姿勢だったのに、政権発足後には消極姿勢に転じたこと、その理由として、トランプがエプスタインと親密な関係にあり、犯罪行為に関係していたということを証明したいと考えていることなどを理由にして、攻撃材料としたいと考えている。

 共和党側は、ビル・クリントンをはじめとする民主党の重鎮たちや、リベラル派の大物、更には、民主党支持の財界人たちの名前を出すことや、民主党政権下では調査が進んでいなかったこと、逆に民主党側がトランプ攻撃のために、被害者たちを利用して政争の具にしようとしているとして反撃している。

 トランプ大統領自身は、エプスタイン・ファイルに関しては「騒ぐほどのものではない」「退屈な事件だ」という態度を取り、大きな騒ぎにはしたくないという姿勢を取っている。これがまた、トランプが自身の関与を隠そうとしているという批判を集めている。

 私はこのブログ書いたが、エプスタイン事件の本丸はイギリス王室やイギリス上流社会ではないかと考えている。さらに、ヨーロッパ各国の政治家や上流社会にも波及しており、もちろん、アメリカの上流階級も含めてだが、「エプスタイン階級(Epstein Class)」が形成されていると考えている。被害者の方々には申し訳ない言い方になるが、ただのセックススキャンダルだと思っていたが、それよりもより深刻な上流階級、「法の支配を受けない、法の上の人々」が犯罪行為を皆でやっていたということであろうと考えている。

 トランプは第二次政権になってから、ヨーロッパ諸国に対して融和的になっている。ウクライナに対してもそうだ。エプスタイン・ファイルの破壊力の深刻さを教えられ、これが破裂すれば、西側諸国は大きなダメージを受けると分かって、エスタブリッシュメントたち、上流階級の人々と何らかの「取引(ディール)」をしたのではないかと考えている。ヨーロッパ各国は王制が多く、エプスタイン事件とのかかわりが暴露されれば、王室や貴族性の廃止論が高まるだろう。もちろん、トランプ自身の身の安全が最優先だから、トランプにまで塁が及ぶようなことにはならないようにするだろう。

 ボンディ長官はこうした状況で、トランプを護るために奮闘している。長官の辞任までも視野に入れて対峙しているだろう。しかし、状況はなかなか厳しいようだ。300ページもの文書の分析は大変な作業となるだろう。そうした中でどのような爆弾が破裂するか分からない。

(貼り付けはじめ)

パム・ボンディ司法長官が出席した連邦議会での公聴会は激しい応酬が占めた:4つのポイント(Fiery exchanges dominate Bondi appearance before Congress: 4 takeaways

レベッカ・ベイッチ筆

2026年2月11日

https://thehill.com/homenews/house/5734303-pam-bondi-judiciary-committee-hearing-epstein/

パム・ボンディ司法長官は水曜日、就任後初めて連邦下院司法委員会に出席し、白熱した公聴会で議員たちと真っ向から対立した。

ボンディ司法長官は、ドナルド・トランプ大統領の敵対者たちに対する進行中の捜査から移民問題まで、幅広い問題について質問を受けたが、最も緊迫した応酬はエプスタインのファイルに関する質問の中で見られた。

ボンディ司法長官は大きなバインダーを手にして座り、議員たちを罵倒する際に何度もバインダーを参照した。それぞれの選挙区で起きた具体的な犯罪を引用したり、株式市場の動向を自慢したりした。

この繰り返しに民主党所属の議員たちから不満の声が上がり始め、ボンディ長官がバインダーを頻繁に参照したため、ある時点でジャレッド・モスコウィッツ連邦下院議員(フロリダ州選出、民主党)は「バインダーのジャレッド・モスコウィッツのセクションをめくってほしい。反対派のスタッフが私に対してどのような情報を提供したのか興味がある」と皮肉を言ったほどだ。

この激しい公聴会に関する4つのポイントを以下に紹介する。

(1)エプスタイン・ファイルをめぐる非難が焦点になった(Finger-pointing over the Epstein files takes center stage

公聴会には、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインの被害者11人が出席し(この人たち以外にも出席していた可能性がある)、公開されたファイルにおける大幅な改ざんを非難するシャツを着ていた。議員たちは被害者たちについて繰り返し言及した。

ある場面で、プラミラ・ジャヤパル連邦下院議員(ワシントン州選出、民主党)は、トランプ政権下の司法省(DOJ)とまだ面会していない被害者たちは手を挙げるよう求めた。全員が手を挙げた。

この場面は、公聴会の冒頭でボンディ司法長官が、さらなる虐待事件があれば司法省として全力で対応すると公約していたこととは対照的だった。ボンディ長官は「FBIは皆さんからの連絡を待っている。犯罪行為の容疑は全て真剣に受け止め、捜査する」と述べていた。

ジャヤパル議員は、エプスタインとのメールのやり取りの中で、司法省が彼の側近の身元を隠していたことを明らかにした。このメールは、被害者たちの名前が公開されている別のファイルと並べて表示されていた。議員たちはこのファイルを公聴会のためにぼかしを入れた。

別の事例では、トーマス・マシー連邦下院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、司法省がファイルの中で「有罪の可能性が高い(likely incriminated)」とされている人物のメールを「私が現行犯逮捕した(of me catching you red-handed)」ためだけに修正したと述べた。

ボンディ長官は、ファイル内の不適切な修正があれば、その改善に努めると述べた。

ボンディ長官は「もし、修正されるべきでない人物の名前が修正されていたら、もちろん改善する。もし被害者の名前が修正されていない場合は、私たちにお持ちいただきたい。修正する。私たちは30日間で数百万ページに及ぶ文書を精査し、修正と修正の修正を繰り返した。私たちのミスの割合は非常に低い」と述べた。

ボンディ長官は、前任者のメリック・ガーランドを引き合いに出し、議員たちが前のバイデン政権下でエプスタイン捜査について説明を求めなかった理由を問いただして繰り返し反論した。

マシ―議員は「メリック・ガーランドについて質問されて嬉しい」と述べた。

マシー議員は「これはウォーターゲート事件よりも大きな問題だ。4つの政権にまたがる問題だ。バイデン政権に遡る必要はない。オバマ政権、ジョージ・W・ブッシュ政権まで遡ればよい。この隠蔽工作は何十年にもわたっており、あなたにはその責任の一部がある」と述べた。

(2)公聴会は嘲笑と激しい応酬で占められた(Taunts and fiery exchanges dominate hearing

エプスタインのファイルに関する様々な質問は、ボンディ長官と議員たちの間で最も激しい応酬を引き起こした。

特に注目すべき応酬の一つは、ボンディ議員がジャヤパル議員から、司法省と面会していないと主張する11人の被害者に対し、「司法省が被害者たちに与えた苦しみについて謝罪する」よう求められたのを拒絶したことだ。

この要求は2人の女性の間で口論に発展し、ボンディ長官は「こんな芝居がかった行動(theatrics)で汚い目に遭うつもりはない」と反論した一方、ジャヤパル議員はボンディ長官が被害者たちを無視していると主張した。

応酬の最後に、ボンディ長官は「プロ意識がない(unprofessional)」と呟いた。

その直後、ボンディ長官がトランプ大統領に反対する者への訴追と、エプスタイン事件に関する訴追の欠如を比較するよう求められ、再び緊張が高まった。ボンディ長官が話している最中、委員会筆頭議員のジェイミー・ラスキン連邦下院議員(メリーランド州選出、民主党)が口を挟み、ジェリー・ナドラー下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)が自分の発言権を取り戻したと主張した。

ボンディ長官は、弁護士で憲法学教授を務めた経験を持つナドラー議員に向かって「あなたは落ちこぼれ弁護士だ。弁護士ですらない」と言い放った。

マシー議員がエプスタイン事件について質問すると、ボンディ長官は「トランプ錯乱症候群(Trump derangement syndrome)」にかかっていると述べ、マシー議員を「失敗した政治家(a failed politician)」と呼んだ。

ダン・ゴールドマン連邦下院議員(ニューヨーク州選出、民主党)の質問に対し、ボンディ長官は「あなたは現代の弁護士として、2016年にトランプ大統領を弾劾しようとした時と同じくらいしか優秀ではない」と述べた。

ハンク・ジョンソン連邦下院議員(ジョージア州選出、民主党)は質問の中で、「ここではまるでジキル博士とハイド氏のようなやりとりをしている」と述べ、ボンディ長官が説明を求めると、「つまり、共和党員には優しく、民主党員にはハイド氏のように振る舞うということだ」と付け加えた。

民主党所属の議員たちとのやり取りのほぼ全てにおいて、ボンディ長官は後続の共和党所属の議員たちに時間を割いて発言を求め、しばしば民主党優勢選挙区で起きた犯罪の詳細を述べた。ある場面では、ベッカ・バリント下院議員(ヴァーモント州選出、民主党)が「弱腰だ(weak sauce)」と答えた。

ボンディ長官は、バリント議員が反ユダヤ主義を非難する決議に反対票を投じたと示唆して反論した。

バリント議員は、「そんなことを言いたのか? あなたは本気なのか? ホロコウストで祖父を亡くした女性に反ユダヤ主義について何かを言うのか」と言い放ち、部屋を飛び出した。

ジャスミン・クロケット連邦下院議員(テキサス州選出、民主党)は、ボンディ長官が民主党所属議員たちの質問に答えなかったことを非難した。

「私たちが迎えている証人はどういう訳か弁護士でありながら、証言の仕組みを理解していない」とクロケット議員は述べた。

(3)エプスタイン事件と比較したトランプの敵対者への訴追(Prosecution of Trump foes compared to Epstein case

民主、共和両党ともに、ボンディ長官に対し、トランプの敵対者たちに対する多数の事件と捜査について追及したが、それらの問題をどのように進めるべきかについては異なる見解を示した。

ラスキン議員は「あなた方は、アメリカ国民のための司法省をトランプの復讐の道具に変えてしまった。ドナルド・トランプはピザのように訴追を注文し、あなた方は毎回それを実行する」と述べ、軍人が違法な命令を拒否できると指摘するヴィデオ映像を撮影した民主党所属議員6人をトランプ政権が起訴しようとしたが、大陪審(grand jury)が却下したというニューズに言及した。

「またしても大陪審があなた方の復讐工場を閉鎖した。・・・あなた方が大陪審の叡智と憲法に則った愛国心に耳を傾け、あの屈辱を倍増させることを二度としないよう願う」。

ナドラー議員は、トランプ大統領の敵対者たちを訴追することに関心を示していることと、エプスタインの側近たちに関する新たな訴追がないことを対比させた。

ナドラー議員は、「司法省はこれらの加害者を一人も裁きにかけることができていない。それどころか、ドナルド・トランプ大統領の敵と見なされる人たちを執拗に追及している。エプスタインの共謀者のうち、何人を起訴したのか? そもそも何人の加害者を捜査しているのか?」と述べた。

一方、委員会のジム・ジョーダン委員長(オハイオ州選出、共和党)は、元CIA長官ジョン・ブレナンを刑事告発したことについて質問した。

ジョーダン委員長は、「ブレナン長官は委員会に嘘をついた。そして、アメリカ国民は彼が本当に嘘をついたことで起訴されるのかを知りたいと思うだろう」と述べた。

ジョーダン委員長はさらに、2016年の大統領選挙に関する捜査においてスティール文書が果たした役割についてブレナン長官が嘘をついたと非難した。ブレナン長官はいかなる不正行為も行っていないと否定している。

「捜査が進行中であるかどうかは確認も否定もできないが、法の上にある者はいない(no one is above the law)ということは言える」とボンディ長官は述べた。

(4)民主党所属議員たちがボンディ長官に対してトランプとエプスタインの関係について追及(Democrats press Bondi on Trump’s ties to Epstein

複数の民主党所属の議員たちがボンディ長官に対し、トランプ大統領とエプスタインの関係、そして司法省がトランプの行動をどの程度調査したかについて質問した。

ある時点で、テッド・リュー連邦下院議員(カリフォルニア州選出、民主党)は、ボンディ長官がトランプ大統領とエプスタインがパーティーで撮影された映像を示した後、ボンディ長官が宣誓供述書で嘘をついたようだと述べた。

ボンディ長官は「これは全く馬鹿げている」と反論した。「彼らはドナルド・トランプ大統領が成し遂げた素晴らしいこと全てから目を逸らそうとしている。トランプ大統領が罪を犯したという証拠は何もない」と述べた。

リュー議員は、「あなたは宣誓下での(under oath)供述で嘘をついたと思うので、FBI国家脅威対策センターに通報した証人からの別の文書を提示する」と答え、トランプのリムジン運転手がトランプについて語った未確認の主張をまとめた文書を示した。

リュー議員は、「この証人を直ちに尋問する必要がある」と続けた。

「私を犯罪で告発することはできない」とボンディ長官は言い返した。

ゴールドマン議員はまた、司法省が編集した電子メールを示し、編集前のヴァージョンではエプスタインと側近のギレーヌ・マクスウェルが「ドナルド・トランプがジェフリー・エプスタインとの以前の関係について述べた発言」について話し合っていると述べた。

ゴールドマン議員は、「アメリカ国民が、ドナルド・トランプがジェフリー・エプスタインとの関係についてどれほど嘘をついているか理解できるよう、このメールの編集前のヴァージョンを公開することお約束してもらえるか?」と質問した。

民主党所属の議員たちはまた、トランプの名前がファイルに何回登場するかについても言及した。特にカシュ・パテルFBI長官が以前、その数は1000回未満だと主張していたことを踏まえると、なおさらその多さを強調する形となった。

モスコウィッツ議員は、聖書と『ハリー・ポッター』シリーズを傍らに置いて座っていた。

「エプスタイン・ファイルにトランプの名前が登場する回数は、神についての本に登場する神の名前よりも多くなっている。ちなみに、これはトランプ版聖書だ。ジェームズ王版ではない」とモスコウィッツ議員は述べた。

モスコウィッツ議員は、「エプスタイン・ファイルの中で、トランプの名前が登場する回数は、ハリー・ポッターの7冊の小説に登場するハリー・ポッターの回数よりも多い」と述べた。

多くの共和党所属の議員たちは、エプスタイン・ファイルについて質問しなかったが、質問した議員たちからはボンディ長官への称賛の声が上がった。

チップ・ロイ連邦下院議員(テキサス州選出、共和党)は「トランプ政権がこの問題を主導し、前政権は沈黙を守っていたと言っても言い過ぎには当たらない」と述べた。しかし、ロイ議員はさらに、なぜ被害者たちの名前が恣意的ではないにしても公表されたのかと問いただした。

しかし、ヘスス・“チュイ”・ガルシア連邦下院議員(イリノイ州選出、民主党)は激しい非難を行いその中で、ボンディ長官がファイルの取り扱いをめぐって激しい批判を受けていると指摘した。

ガルシア議員は、「これだけのことをした後では、誰もあなたを支持しない。私は民主党の日立のことを言っているのではない」と述べ、共和党が任命した判事たちによる敗北を指摘した。

「あなた方のMAGA支持基盤は、あなた方がエプスタイン・ファイルを隠蔽しているので、あなた方を軽蔑している。なんと皮肉なことか」

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 アメリカ国内の分断は深刻さを増している。第二次ドナルド・トランプ政権の大統領次席補佐官スティーヴン・ミラーが主導する、移民・関税執行局(ICE)の捜査員たちによる不法移民摘発で死者が出る事態となり、いくつかの地元の市や州が反発を強めている。既にご紹介したように、ミネソタ州ではティム・ウォルツ知事が州兵への出動準備のための「警告命令」を発令した。

 アメリカ国内は物価高(インフレ)による生活苦もあり、不満が溜まっている。その不満が外国や外国人(有色人種)に向かっている。アメリカ国内の分断は進み、アメリカは暴力が蔓延し、内戦状態になる可能性がある。

 2028年には大統領選挙が実施される。2027年には大統領選挙の選挙戦がスタートする。まずは民主、共和両党の大統領選挙候補者として指名を受けるための戦いが始まる。民主党では既に数名の政治家、主に各州の知事たちの名前が挙がっている。

 共和党側では、JD・ヴァンス副大統領、マルコ・ルビオ国務長官の名前が挙がっているが、トランプ大統領の三選を求める声が上がっている。アメリカ合衆国憲法では、同じ人物は大統領を2期8年までしか務められない。フランクリン・D・ルーズヴェルト大統領は三選、更には四選を果たしたが、世界恐慌や第二次世界大戦という特殊な事情があり、当時は憲法に明文化されておらず(初代ジョージ・ワシントンが三選を拒否したことで慣習とされていた)、戦後になって憲法修正第22条に明記されることになった。現在では三選は違憲ということになる。それでもトランプは時に、三選を目指すような発言をしている。また、2028年に、共和党の大統領候補の副大統領候補となり、実質的に院政を行う(ジョージ・W・ブッシュ[バカ息子]大統領時代のディック・チェイニーのように)ということも取り沙汰されている。

 トランプはその時には80歳を超えて、アメリカ男性の平均寿命73歳を大きく超えることになる。また、最近になって衰えを見せる場面もあり、三選を目指すということはないと私は予想している。また、健保違反の三選を目指すということになれば、アメリカはこれまで以上に不安定な状況に追い込まれる。それよりは、自分の息のかかった人物を大統領候補にする方がより良い選択ということになる。しかし、トランプは融通無碍である。何をしてくるか分からない。そのように思わせることで、敵対勢力を翻弄するということもできる。今年の中間選挙の結果と合わせて注目していきたい。

(貼り付けはじめ)

「トランプ2028」は冗談ではない(‘Trump 2028’ Is No Joke

-ドナルド・トランプ米大統領は中国の独裁政権の戦略をより深く参考にしている。

ハワード・フレンチ筆

2025年10月8日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/10/08/trump-2028-china-xi-jinping-military/

donaldtrump2028cap001
ミネアポリスのミネソタ大学で開催された「アメリカン・カムバック・ツアー」の会場で、列に並ぶ、「トランプ2028」のキャップをかぶった男性(2025年9月22日)

習近平国家主席は、統治開始当初から、軍幹部の粛清を常態化させてきた。不透明な法的手続きで汚職を理由にして、彼らの公然たる失脚、中国共産党からの追放、投獄を主導してきた。ほぼ全ての事例において、習近平と彼に忠実なプロパガンダ機関は、中国軍に対する政治的統制の強化に奔走してきた。

現代の中国研究者たちにとって最も重要な課題の1つは、なぜ習近平がこれほどまでに権力を掌握し、特に軍の服従(obeisance from the military)を確保することに固執するのかを見極めることである。その動機として最もよく挙げられるのは、習近平自身が常々主張している点、すなわち台湾の将来をめぐるいかなる戦いにも備え、最終的に勝利を収める必要があるという点である。

しかしながら、これが習近平の揺るぎない目的意識の全てを説明できるとは考えにくい。私には、習近平の動機は、少なくとも同程度には、自身の支配を永続させたいという願望によって支えられているように思える。それは、自身の権威に対するいかなる疑問も徹底的に排除することにかかっている。習近平の考えでは、毛沢東の言葉を借りれば、銃の絶対的な支配権を維持すること(maintaining absolute control of the gun)が、このための最低限の前提条件のようだ。中国の指導者は既に、中国の政治的継承を5年任期2期で規定していたルールブックを破棄し、2028年に党指導部による「再選(reelection)」という形式的な手続きを経れば、事実上、4期目の任期に突入する勢いだ。

過去のコラムで、ドナルド・トランプ米大統領の2期目の任期が、強圧的な権威主義と高度に個人化された統治(musclebound authoritarianism and highly personalized rule)を特徴とする中国のエリート政治の手法を借用しているように見える点について書いてきた。その最も明確な兆候の1つは、文化大革命の毛沢東のように、指導者に忠実な政治屋(political hacks)による行政を優先し、政府機関が空洞化していることである。

しかし、ここ数日、トランプ大統領が中国からさらに悲惨な教訓を引き出していることが明らかになっている。それは、国家安全保障機構に対して、そして国家安全保障機構を通して政治権力を行使することに執着する習近平国家主席の姿勢を如実に反映していると言えるだろう。これは、先週クアンティコで行われた、トランプ大統領とピート・ヘグゼス国防長官による、アメリカ軍最高幹部を集めた異例の大規模会合での演説、そして複数のアメリカ国内の都市に州兵、アメリカ移民関税執行局(U.S. Immigration and Customs EnforcementICE)などの連邦機関の職員を派遣したことからも明らかだ。

今日、アメリカ国民、そして世界は、トランプ大統領が中国の指導者と同様に権力の座を永続させるという目標を共有するという事態に備えなければならない。トランプ大統領は最近、民主党のチャック・シューマー連邦上院議員やハキーム・ジェフリーズ連邦下院議員を含む連邦議会指導者たちと会談した際、「トランプ2028」というスローガンが書かれた帽子を目立つように並べたテーブルに出席した。

トランプの公の場での発言や、最も熱烈な支持者たちの言辞に繰り返し登場するトランプの3期目就任に関する発言は、しばらくの間、広く冗談として片付けられていた。しかし、もし傍観者がかつてそのような話をこのように片付けることができたとしたら、それはもう過去の話だ。

クワンティコで行われたトランプとヘグセスの会合に関する多くの論評は、国防長官が兵士の体力強化を過度に重視していること、そしてジェンダーや多様性の問題よりも政治的正しさを重視する右翼的なアジェンダに重点を置いていることに集中している。一部の保守系メディアでさえ、ヘグセスの舞台上での威圧的なパフォーマンスを恥ずべきものと評した。しかし、この日最も重大な瞬間だったのは、トランプが「内部からの敵(enemy from within)」と呼ぶ敵と戦うためにアメリカ軍が果たすべき役割があると主張したことだ。

1878年のポッセ・コミタトゥス法(国内法執行におけるアメリカ軍の利用を禁じる)といった長年の伝統や法律を無視し、トランプ大統領は、軍に対し、国内の都市を軍事作戦のための訓練場として利用するよう求めた。

しかし、これは訓練というよりも、習近平国家主席流の、自身の政治的アジェンダの実現と忠誠心確保のための軍の再編に執着するトランプ大統領の姿勢と関係があるようだ。トランプ政権下でのアメリカの権威主義化への兆候は今に始まったことではないが、トランプ大統領の危険な発言と国内秩序の軍事化を指示する最近の行動は、ここ数世代におけるアメリカの民主政治体制に対する最も重大な挑戦の1つである。

今週のテレビインタヴューで、イリノイ州のJB・プリツカー知事は、アメリカの都市における軍人の継続的な展開は、国内秩序における軍の活用を常態化すること(to normalize)を目的としていると警告した。「来年、彼らは最終的にこれらの人々を投票所に派遣し、投票を守っていると主張するのではないかと懸念している」と彼は述べた。さらに、共和党が2026年の中間選挙で連邦議会の支配権(過半数)を失った場合、トランプは「2020年に行う可能性があると発言したこと、つまり軍隊を使って投票箱を押収し、不正があったと主張して票を集計することを実行するかもしれない」と付け加えた。

ここ数週間、トランプ大統領は数々の行動を次々と起こしており、権力への渇望(thirst for power)、牽制と均衡への焦燥(impatience with checks and balances)、そして真実軽視に対する懸念(disregard for the truth)が高まっている。

連邦裁判所の差し止め命令にもかかわらず、都市中心部の軍事統制を主張する最近の試みを推し進めるだけでなく、トランプ大統領と支持者たちは、緩やかに組織化され、一見すると一時的な反ファシスト・アナーキストの運動であるアンティファの亡霊を盾に、彼の政策に抗議する人々に対する暴力的な戦術の使用を正当化している。

法執行機関の連邦化は、不法移民の疑いのある人々や、適正手続きと人道的待遇を受ける権利を主張するあらゆる人々をも標的にしている。こうした戦術は最近、シカゴで極限まで押し進められ、貧困地域の人々がアパートから追い出されたり、路上で一斉検挙されたりしている。不法入国の疑いで、多くの場合、肌の色、言語、収入水準だけが理由となっているようだ。

一方、トランプ大統領は、反対派への憎悪を公然と表明する一方で、連邦予算を武器として利用し、伝統的に民主党を支持してきた州を罰し、大切なインフラ工事やその他のプロジェクトを凍結または中止している。

これほど多くの警告サインが点滅しているにもかかわらず、トランプ政権が、本来、そして伝統的に政治的に中立な立場にあるアメリカ軍を自らの目的のために利用しようとする最近の動きは、依然として最も危険なプロジェクトである。

習近平主席は、人民解放軍高官の度重なる粛清において、汚職を利用して排除したい人物を排除し、自身に個人的な恩義のある将軍たちのために道を作ってきた。これまでのところ、トランプは中国の習近平主席よりも曖昧で慎重な姿勢をとっており、最近排除された軍将官たちの失態とされる詳細についてはほとんど明らかにしていない。習近平の場合、軍高官の粛清のほぼ全てにおいて、その内容がいかに不透明で形式的なものであろうと、裁判が行われている。

国防長官としてヘグゼスは、元統合参謀本部議長のチャールズ・ブラウン・ジュニア将軍の場合は黒人であるという理由で、沿岸警備隊司令官のリンダ・フェイガン大将の場合は女性であるという理由以外に、明白な理由もなく、経験豊富で勲章を授与された将官を解任してきた。

軍の高官グループに対しては、昇進や職の安定をめぐる明白なイデオロギー審査はまだ行われていないが、指揮系統への服従だけでなく、トランプの政治方針への暗黙の同調が期待されているようだ。習近平主席による汚職疑惑の発言と同様に、政権が軍における民族的・性別的多様性を頻繁に軽視していることは、より広範で党派的な政策とトランプによる軍への個人的支配を隠蔽するために利用されているのではないかと警戒すべき理由が存在する。

「さらなる指導部交代が行われるだろう。それは私たちが望んでいるからではなく、しなければならないからだ」とヘグゼスはクアンティコに集まったアメリカ軍の最高幹部たちに語った。「もう一度言うが、これは生死に関わる問題だ。適切な人材を早く確保すれば、適切な政策を早く推進できる」。少し間を置いて、彼は付け加えた。「もし私が今日話している言葉に心が沈んでしまうようならば、名誉ある行動を取り、辞任すべきだ」。

※ハワード・W・フレンチ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。コロンビア大学ジャーナリズム大学院教授。長年にわたり特派員を務めた。最新作に『第二の解放:高潮期のンクルマ、汎アフリカ主義、そしてグローバル・ブラックネス(The Second Emancipation: Nkrumah, Pan-Africanism, and Global Blackness at High Tide)』がある。ブルースカイ・アカウント: @hofrenchbluesky.social Xアカウント:@hofrench

=====

トランプ大統領とヘグセス国防長官が異例の政治的に緊張感漂う再興会議でアメリカ軍指導者たちに講義(Trump, Hegseth lecture military leaders in rare, politically charged summit

-この異例で、直前になって企画された会議は、大統領と国防長官が党派的な政策を喧伝する場となった。

ナタリー・アリソン、マイケル・バーンバウム、エミリー・デイヴィス、パトリック・スヴィテック、エイミー・B・ワン筆

2025年9月30日

『ワシントン・ポスト』紙

https://www.washingtonpost.com/national-security/2025/09/30/hegseth-military-meeting-trump-generals/

火曜日、数百人のアメリカ軍最高幹部が、ドナルド・トランプ大統領とピート・ヘグゼス国防長官による極めて党派的な演説に沈黙して耳を傾けた。トランプとヘグセスは前任者たちを痛烈に批判し、自らの政治的目的を誇張するなど、両者の不満が露呈する異例の事態となった。

国防総省のヘグゼス長官ティームが主催したこのイヴェントは、世界各地の司令部から将軍や提督をワシントンから南に30マイル(約48キロ)ほど離れたヴァージニア州のクアンティコ海兵隊基地に招集した。トランプ大統領が直々に任命した統合参謀本部議長のダン・ケイン将軍は冒頭の発言で、このイヴェントは集まった最高幹部の将官と彼らの上級顧問たちにとって、軍の文民指導部から直接話を聞く「前例のない機会であり、光栄なこと(unprecedented opportunity and honor)」であると述べた。

トランプ大統領は、熱心な高官を国防総省の責任者に据え、アメリカ軍を党派政治の支配から守るために定められた長年の規範を、繰り返し、そして容赦なく踏みにじってきた。しかし、火曜日の演説は、現政権がこうした原則を全面的に無視していることをこれまでで最も露骨に示したと言えるだろう。

トランプ氏は約70分に及ぶ支離滅裂な発言の中で、もし出席者が自分の発言に納得できないなら部屋から出て行ってもいいと冗談を飛ばしつつ、「階級が下がれば将来も下がる」と付け加え、一部の人から不快な笑いを誘った。トランプが政権に復帰して以来、彼とヘグセスは多くの将軍や提督を、多くの場合、理由もなく解任してきた。一方で、女性やその他の要人に対する不均衡な解雇に焦点を当ててきた。大統領と国防長官は、軍の多様性と包括性の向上を柱とする有害な「目覚めた(woke)」イデオロギーを唱えていると広く非難している。

トランプ大統領は、アメリカの都市を警備するために軍隊を投入した自身の行動を擁護し、「内部からの敵(the enemy within)」と自ら呼ぶものを非難する一方で、国内での軍事力行使を認められるべきだと主張した。国防総省はこれらの都市を「訓練場(training grounds)」として使用できるべきだと大統領は述べた。既に訴訟を招いている展開を命じる中で、この考えは州や地方当局から確実に警戒感を抱かせるだろう。

トランプ大統領はまた、国防総省を戦争省に改称した決定を称賛し、ウクライナ紛争を終結させられなかったことを嘆き、ロシア沖におけるアメリカ潜水艦の極めて機密性の高い動きを暗黙のうちに認めた。

「私はそれを『Nワード』と呼んでいる」と大統領は潜水艦について述べ、原子力搭載を暗に示唆した。「Nワードは2つあり、どちらも使うことはできない」と語った。

集まったアメリカ軍最高幹部たちは、軍の超党派の伝統に従い、全ての時間を沈黙して演説を聴いていた。デューク大学の政治学者ピーター・フィーヴァーは、彼らが両者の演説に敬意を払いながらも反応しなかったことで、「非常に困難な綱渡りをうまくこなした(managed well a very difficult walk along a high wire)」と述べた。さらに、アメリカ軍最高幹部たちが沈黙を守っている理由を理解しているように見えた、トランプ大統領とヘグゼス国防長官も称賛に値すると付け加えた。

「演説は、アメリカ軍が今後数ヶ月間、対処しなければならない多くの問題を提起した」とフィーバーは述べた。そして、「しかし、テレビの生放送でそうする必要はない。そのため、アメリカの政軍関係(American civil-military relations)における非常に微妙な局面は、一部が懸念していたような惨事にはつながらなかった」と語った。

元国防総省高官で政軍問題の専門家であるコリ・シェイクはより悲観的な見方を示した。

アメリカン・エンタープライズ研究所の上級研究員であるシェイクは、「軍の指導者たちを、あからさまに党派的な政治劇に巻き込むことは恥ずべき行為であり、最高司令官が彼らに同胞アメリカ国民への暴力を奨励することは危険だ」と、述べた。

トランプ大統領はヘグゼスによって紹介された。ヘグゼスは、大統領就任前の激しい前座として、時折、罵詈雑言や下品で扇動的な言葉を使った。「我々の敵へ。FAFOだ」と彼は言った。これは「くそくらえ、気付け(f--- around, find out)」という意味の略語だった。

国防長官は大統領の参加を想定せずにこの行事を計画し、先週、全ての上級軍司令官とその下士官補佐官をヴァージニア州に召集するという不可解な命令を出したが、旅程については一切情報を提供しなかった。『ワシントン・ポスト』紙が木曜日に初めて報じたこの命令は、今年多くの将軍や提督が解任されたことを受けて、一部の人々を不安にさせた。

元フォックス・ニューズの司会者で、州兵として陸軍士官を務めたヘグゼス長官は、火曜日の演説で、目の前に座る男女(それぞれ数十年以上の軍歴を持つ)に説教した。ヘグセスは、軍隊を「かつてないほど強く、タフで、速く、獰猛で、力強い」ものにすると誓い、国防長官就任から繰り返してきた数々の論点を繰り返した。その中には、軍幹部は体力、身だしなみ、規律(physical fitness, grooming and discipline)といった基準を厳格に取り組む必要があるという主張も含まれていた。

ヘグセス国防長官は、軍が本来の使命である「戦争を戦い勝利すること(to fight and win wars)」から逸脱させた「愚かで無謀な政治家たち(foolish and reckless politicians)」を非難し、軍隊における「数十年にわたる衰退」(decades of decay” in the force)を是正すると誓った。また、戦闘におけるアメリカ軍の致死力行使を規定する「政治的に正しい過剰な交戦規則(politically correct and overbearing rules of engagement)」は廃止されたと宣言した。

さらに、「さらなる指導部の交代が行われることは間違いない」と述べ、追加の解任も予告した。ヘグセスは、ピーター・キアレッリ将軍、ケネス・「フランク」・マッケンジー将軍、マーク・A・ミリー将軍の3名の退役将校を、自分が「排除」したい将校の例として名指しした。

この将官3名を名指しした決定は、個人的な感情によるものと思われる。2012年に陸軍の序列第2位の将官として退役したキアレッリは、イラク駐留中のヘグセスの所属した旅団の元旅団長マイケル・スティール大佐を、同部隊の兵士たちを精査した戦争犯罪調査結果を受けて叱責した。マッケンジーとミリーは、2021年のアフガニスタンからの混乱したアメリカ軍撤退の際に指導的役割を果たし、トランプ政権の政治的標的となっている。

ミリーはコメントを拒否し、マッケンジーには連絡が取れなかった。キアレッリは電子メールで、ミリーとマッケンジーと「同じ文に名を連ねることができて光栄だ」と述べ、彼らを「私がこれまで共に仕えた中で最も優れた指導者たち」と呼んだ。

ヘグゼス長官は、1990年から1991年にかけて数カ月の間、イラクの侵攻と隣国クウェートの併合を撃退した湾岸​​戦争を、アメリカにとって模範となる紛争の例として挙げた。彼は湾岸戦争を「圧倒的な戦力と明確な終結目標を伴う限定的な任務(limited mission with overwhelming force and a clear end state)」と表現した。

また、1980年代にロナルド・レーガン大統領がアメリカ軍の増強を進めたことが重要な役割を果たしたと指摘し、当時の多くの軍指導者がヴェトナム戦争での戦闘経験を活用したことを指摘した。

ヘグセスは次のように語っている。「これは今日でも同じことが言える。我が国の文民・軍の指導部には、イラク戦争とアフガニスタン戦争を経験した軍人が多数おり、国家建設や漠然とした終末論に対して『二度と繰り返してはならない』と訴えている。ホワイトハウスにおいて、こうした明確な見解が示され、トランプ大統領の軍備増強と相まって、私たちは将来の勝利に向けて準備を整えている」。

ヘグゼスは、兵士と民間人職員が匿名で内部告発をしたり、有害な指導者を報告したり、人種、性別、性的指向、宗教に基づく不平等な扱いを指摘したりできる手段を徹底的に見直すと述べた。

ヘグゼスは次のように明言した。「軽率な苦情はもう終わりだ。匿名での苦情も、何度も苦情を言うことも、評判を落とすことも、果てしない待機時間も、法的に宙ぶらりんになることも、キャリアを台無しにすることも、気を遣って行動することももうない。もちろん、人種差別は1948年以来、私たちの部隊では違法となっている。セクハラも同様だ。どちらも間違っており違法だ」。

ヘグゼスは、高い基準を維持することは「有害ではない」と断言し、「有害な指導者」といった表現の「歪曲」だと非難した。ヘグセスは、国防総省はそのような文言の見直しを行い、軍当局者に対して「報復や疑問視されることを恐れずに基準を施行する」権限を与えると述べた。

ヘグゼスはまた、女性に配慮するために基準がどのように変更されたかについても疑問を呈し、特に戦闘専門職に関連する基準は高い水準を維持しなければならないと述べた。「女性が成功できれば素晴らしい。そうでなければ、仕方がない」と彼は語った。

ヘグゼスは、「ペンタゴンの廊下にいる太った将軍や提督を含む、太った兵士」を非難し、「見栄えが悪い(bad look)」と述べた。ヘグセスは全員が年2回、体力テストに合格し、身長と体重の基準を満たすことが義務付けられるという。彼は、自身の「厳しい」フィットネス・ルーティン(his own “hard” fitness routine)を模範とすべきものとして挙げた。

ヘグゼスは、自身のヴィジョンに沿って11の新たな指令を配布していると述べた。これらの指令は後に国防当局者たちがオンラインで公開した。指令には、いじめの定義の見直し、パープルハート勲章受章者への授与義務、そして優秀な文民職員の残留を促す一方で「業績不振」の職員には退職を促す新たな方法を国防省が模索することなどが含まれている。

ヘグゼスはまた、2024年に出版予定の著書『戦士たちへの戦争』の宣伝も行った。この本は、「目覚めた」文化がいかに軍を弱体化させてきたかを検証している。クワンティコに到着すると、彼はソーシャルメディアにこのフレーズを投稿し、演説中にも再び言及した。

ヘグセスは、「戦士たちへの戦争を終わらせていると言えるだろう」と語り、効果を狙って少し間を置いてから、「誰かがそれについて本を書いたと聞いた」と付け加えた。

この土壇場での会合は、批判的な人々の間で、その費用について疑問を投げかけている。特に、安全なヴィデオ会議機器を使って行うことができたはずの演説であったにもかかわらず、費用がかさんでいるという批判が起きている。日本、中東、ヨーロッパといった遠方から軍幹部を招聘するには、航空費、宿泊費、移動費など数百万ドルに上る可能性があると、元政府高官2人が匿名を条件に語った。彼らは、この問題の機密性から、過去の政府関係者の出張経験に基づいて推定した。

また、この会合は、火曜日が会計年度末であり、政府閉鎖が迫っていることを踏まえると、全ての最高指導者が一堂に集まることへの安全上の懸念も引き起こした。国防総省が発表したガイダンスでは、閉鎖が発生した場合、全ての出張を「中止」すべきだが、上級指導者は例外を認める場合に限られるとされている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。ブログ継続のために書籍の購入をいただけますよう、よろしくお願いいたします。

 エプスタイン文書公開は今年のアメリカ政治の大きなテーマになった。ドナルド・トランプ大統領は大統領選挙において、エプスタイン文書公開を主張していたが、大統領就任後には姿勢を変えて、文書は存在しないと述べ、支持者たちから反発を受けた。連邦議会民主党は、トランプとエプスタインの「親密な」関係が攻撃の武器になると考え、文書公開を求めていた。トランプは最終的に姿勢を変え、文書公開に賛成することになり、民主、共和両党が連邦議会で法案を可決した。その中で、ただ1人、法案に反対票を投じたのが共和党所属のクレイ・ヒギンズ連邦下院議員(ルイジアナ州選出、共和党)だった。私は、この唯一反対票を投じたヒギンズに興味を持った。なぜ1人だけ反対票を投じたのか、気になった。
clayhiggins001
クレイ・ヒギンズ

 ヒギンズはキャリアのほとんどを警察官として過ごした。アメリカ陸軍に入隊し、憲兵として勤務し、上級軍曹まで昇進した。その後は地元ルイジアナ州で保安官事務所に勤務した。ギャング対策のヴィデオでライフルを構えて脅すという内容で批判を受け、保安官事務所を辞めたが、連邦下院議員選挙に出馬し、当選した。現在まで連邦下院議員5期目を務めている。極右的保守派として知られ、トランプ大統領を熱烈に支持している。

 ヒギンズがトランプも賛成に回ったエプスタイン分子公開に反対したのは、警察官を経験した立場からであった。犯罪捜査の現場からの意見として反対している。捜査への協力者や被害者の情報が公開されることの危険性に言及している。そのようなことが起きれば、犯罪捜査に協力する人たちが減り、犯罪捜査が難しくなるというのは説得力がある。ヒギンズは批判を受けることも多いが、筋の通った人物のようだ。

(貼り付けはじめ)

エプスタイン文書公開に投じられた唯一の反対票(The only 'no' vote on releasing Epstein files

ブランドン・ドレノン筆

BBC

https://www.bbc.com/news/articles/crl2g195n96o

アメリカ連邦下院のほぼ全ての共和党所属議員が、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインに関連する文書の公開を義務付ける法案に賛成票を投じた。

唯一反対票を投じたのは、ルイジアナ州選出の共和党連邦会員議員クレイ・ヒギンズで、党の意向に反し、原則的な「反対(NO)」を表明した。

「3カ月前、この法案が間違っていたし、今も間違っている」とヒギンズはXに投稿した。続けて、「この法案は、アメリカにおける250年にわたる刑事司法手続きを放棄している」

と述べた。

エプスタイン法案が427対1で圧倒的多数で可決されたことは、連邦議会における稀有な超党派の姿勢を示す瞬間となった。数時間後、連邦上院もこの法案を可決し、最終決定、すなわちドナルド・トランプ大統領の署名への道が開かれた。

ヒギンズにとって、エプスタインの多くの被害者の個人情報保護こそが、この法案における最大の課題だった。

ヒギンズはXに次のように書いた。「既に書いたように、この法案は、証人、アリバイを提供した人々、家族など、何千人もの罪のない人々の情報を暴露し、傷つけるものだ。現状のまま成立すれば、このような犯罪捜査ファイルの広範な暴露が、過激なメディアに公開されれば、間違いなく罪のない人々が傷つけられることになるだろう」。

ヒギンズは、連邦上院で修正されればこの法案を支持すると述べたが、連邦上院多数党(共和党)院内総務のジョン・スーンは既に修正の可能性は低いと示唆していた。

スーン議員は火曜日、連邦上院において全会一致で法案が可決される前、「連邦下院で427対1の賛成多数で法案が可決し、大統領が署名すると言った場合、修正が行われるかどうかは分からない」と述べた。

連邦下院が法案を可決する前、民主党議員全員に加えて、採決を強制するための嘆願書に署名したのは、共和党議員でトーマス・マシー、ローレン・ボーバート、ナンシー・メイス、マージョリー・テイラー・グリーンのわずか4人だけだった。

しかし、トランプ大統領が採決への反対を撤回したことで、法案は共和党の圧倒的支持を得た。

ヒギンズ議員は2017年からルイジアナ州第三選挙区からの議員を務めており、自身のウェブサイトによると、連邦議会で最も保守的な議員の1人として広く知られている。

共和党所属の200人以上の議員たちが反対票を投じたにもかかわらず、ヒギンズが反対票を投じたのは、彼が型破りな立場を取った初めての事例ではない。

2024年、連邦下院共和党は、ソーシャルメディア上でハイチを「西半球で最もひどい国」と呼び、ハイチ人を「ペットを食べる」や「ドタバタ劇のギャング」と呼んだヒギンズ議員の不快な発言を非難する決議を可決した。

ヒギンズ議員は「1月20日までに、こういう悪党どもは正気を取り戻し、この国から出て行ってくれ」と投稿した。

フェイスブックは2020年、ヒギンズ議員がルイジアナ州で警察の暴力に抗議するデモに参加する武装した抗議者たちについて「お前ら10人をその場でぶっ殺す(drop any 10 of you where you stand)」と投稿したことを受け2つの投稿を削除した。

フェイスブックは当時、『ビジネス・インサイダー』誌に対し、これらの投稿は「暴力扇動を禁じる当社のポリシーに違反したため削除された」と説明していた。

連邦下院議員になる前、ヒギンズ議員はルイジアナ州セント・ランドリー郡保安官事務所に勤務していた。彼は2016年、ライフルを構えてギャングのメンバーを脅迫する様子が映った物議を醸した犯罪防止ヴィデオへの批判を受けて保安官事務所を辞任した。

BBCはヒギンズの事務所にコメントを求めている。

=====
エプスタイン文書公開に反対票を投じた唯一の下院議員であるクレイ・ヒギンズとは誰か?(Who is Clay Higgins, the only House member to vote against Epstein files release?

アシュリー・フィールズ筆

2025年11月19日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/house/5612391-clay-higgins-sole-house-dissenter-epstein-files-bill/

クレイ・ヒギンズ連邦下院議員(ルイジアナ州選出、共和党)は、有罪判決を受けた性犯罪者ジェフリー・エプスタインに関連する文書の公開を司法省に命じる法案に対し、火曜日に反対票を投じた唯一の下院議員となった。

法執行機関出身の保守派であるヒギンズ議員は、エプスタイン文書透明性法案に対し「当初から原則的に反対」してきたと述べた。

ヒギンズ議員は火曜日にソーシャルプラットフォームXへ投稿した声明の中で、「既に書いたように、この法案の文言通りであれば、証人、アリバイを提供した人々、家族など、何千人もの無実の人々の情報を暴露し、傷つけることになる」と述べた。

「もし現在の形で成立すれば、このような犯罪捜査ファイルの広範な公開が、過激なメディアに公開されれば、間違いなく無実の人々が傷つけられることになるだろう」とルイジアナ州選出の共和党議員ヒギンズは付け加えた。更に「私の反対票でそれを許すことはない」と述べた。

ヒギンズ議員は公式プロフィールで自らを「連邦議会で最も保守的な議員の一人」と自称し、法執行機関での経歴をしばしば強調している。また、連邦下院フリーダム・コーカスのメンバーでもあり、連邦下院監視・政府改革連邦法執行小委員会の委員長を務め、汚職捜査を担当している。

●強硬な保守派(Hard-line conservative

ヒギンズ議員のウェブサイトによると、政治活動を通じて、彼は「小さな政府、減税、国境の安全確保、そして個人の自由(champion for smaller government, lower taxes, secure borders, and individual freedoms)を擁護する」主要原則を一貫して支持してきた。

ヒギンズは、反中央集権化と反政府運動(a decentralized and anti-government movement,)を推進することで知られるスリー・パーセンターズや、極右反政府民兵を自称するオース・キーパーズなど、これらの中核理念を推進する組織と密接な関係を持っている。

KLFYによると、ルイジアナ州選出の議員は、オンライン上での発言が地元のアメリカ自由人権協会(ACLU)からの反発を招いた後、セント・ランドリー郡保安官事務所を辞任した。8年後、トランプ大統領とヴァンス副大統領が、オハイオ州でハイチ移民が犬を盗んで食べているという虚偽の主張をした後、ハイチ移民を批判し、人種差別的な発言をしたことで再び非難を浴びた。

「笑。ハイチ人はワイルドだ。ペットを食べる、ブードゥー、西半球で最も汚い国、カルト、ドタバタ劇のギャング・・・だが、大統領と副大統領を告訴するなど、今となってはすっかり洗練された気分になっているだろう」と、ソーシャルプラットフォーム「X」に投稿し、後に削除された。

当時、「これらの悪党どもは皆、1月20日までに正気を取り戻し、この国から出て行かなければならない」と大統領就任式の日に言及して付け加えた。

ヒギンズ議員はその後、激しい反発を受け、発言を撤回した。

先月、ヒギンズは連邦下院少数党(民主党)院内総務のハキーム・ジェフリーズ(ニューヨーク州選出、民主党)を「爬虫類人間(Reptilian)」と表現した写真を投稿した。

●選挙結果の否定(Election denial

ヒギンズは依然としてトランプ大統領の熱烈な支持者であり、2020年の大統領選挙はバイデン前大統領に有利になるように「不正操作(rigged)」されたという根拠のない大統領の主張を支持する発言を続けている。

ヒギンズ議員は、2024年10月のタウンホールミーティングで「2020年の選挙日まで、そして選挙日の翌日の早朝に、6つの州で何が起こったのか、その真相を完全に知ることは決してないかもしれない」と述べた。

「しかし、分別のある人間であれば、何が起こったのかを冷静に考察すれば、組織的な選挙不正があったという結論に達するだろう」と彼は付け加えた。

ルイジアナ州選出のヒギンズ議員は、2021年1月6日にワシントンDCで発生した連邦議事堂襲撃事件の際、「ゴーストバス(ghost buses)」がユニオン駅でFBIの覆面情報員を降ろし、群衆に紛れ込んだという陰謀論も唱えている。

当時FBI長官だったクリストファー・レイは、2023年のこの件に関する議会公聴会で、この説を断固として否定した。

(貼り付け終わり)

(終わり)

sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 

 第二次ドナルド・トランプ政権が始まって、アメリカはどうなっているだろうか。インフレ状態が続き、人々の生活を圧迫している。トランプ政権下の各種選挙では共和党は苦戦している。フロリダ州マイアミ市の市長選挙で30年ぶりに民主党所属の候補者が当選した。フロリダ州マイアミ市は第二次トランプ政権のマルコ・ルビオ国務長官(前連邦上院議員)のお膝元であり、共和党支持が多いキューバ系の有権者が多い。しかし、それでも共和党が破れたというのは今後への影響が大きい。来年は中間選挙が実施される。現状では民主党の支持率が上回っており、連邦下院においては共和党が過半数を失う可能性があるという状況になっている。そうなれば、トランプ大統領の影響力も低下する。

 トランプが標榜した政策、「製造業の国家の再建」はその実現までに時間がかかる。工場を誘致し、人々の雇用を軌道に乗せるには数年規模の計画が必要だ。そのための投資も必要であるが、大企業は経済法則に従い、人件費が安く、労働力としての質の高い外国での生産を選ぶことになる。高関税の保護主義政策も一定の成果を上げたようであるが、肝心の中国との関係では、アメリカは大きく妥協することになった。アメリカが貿易赤字を削減するためには中国からの輸入を減らし、国内での生産を高めねばならないが、この道筋は非常に厳しい。アメリカの輸出を促進するためには、ドル安(ドルの価値が低いこと)が望ましいが、現状はドル高が続いている。相対的に円安になっている。

 下記論稿にあるように、アメリカの現状をどう見るか、どう分析するかであるが、ある観点から見れば「最良」、別の観点から見れば「最悪」ということになる。どう見るかはそれぞれの個人の判断に任されるが、現状では「悪い」と見る人が多くいるということになると思う。アメリカ国内の分断状況も改善される兆しはなく、来年の中間選挙の前後に、何か大きな暴力が絡む事態が勃発しなければ良いけれど、その懸念が大きいと思わされる状態である。なかなか厳しい状況で2025年を終えていくということになるだろう。

(貼り付けはじめ)

最良の時代と最悪の時代、そしてアメリカの政治的分断(The best and worst of times and America’s political divide

ハーラン・ウルマン筆

2025年11月24日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/opinion/campaign/5619440-best-worst-times-america/

一つの思考実験(a thought experiment)をしてみよう。アメリカにとって、今は最良の時代だろうか、それとも最悪の時代だろうか?

MAGAMake America Great Again、アメリカを再び偉大に)の熱心な支持者を架空の人物を想定してみよう。MAGAの支持者と、MAGAが最良の時代だと主張する人物を想定してみよう。そして、MAGAに強く反対し、今は最悪の時代だと熱烈に信じている人物を架空の人物として想定してみよう。

この対比は、今日のアメリカ政治の何が間違っているかを示す。半分の真実と歪曲が、現実を装っている。

この架空の、そして欠陥のある議論は、今がアメリカにとって「黄金時代(golden era)」であるという主張から始まる。国境は閉鎖され、トランプは法と秩序をもたらしている。そして、アメリカ・ファースト政策は、国外においてアメリカをより安全で安心なものにしている。

トランプの経済計画の主要政策は関税、彼のお気に入りの言葉、である。関税は国家債務を解消し、数兆ドル規模の収入をもたらすと主張されている。関税によってアメリカのパートナーはアメリカへの直接投資を余儀なくされ、少なくとも20兆ドル、あるいはそれ以上の収入が見込まれる。

失業率はほぼゼロにまで低下し、インフレは過去のものとなるだろう。全てが順調に進めば、トランプが約束したアメリカ国民全員への2000ドルの給付金は間もなく支払われるだろう。
国際情勢はかつてないほど明るい。トランプは数え切れないほど多くの戦争を終結させてきた。ガザ地区では平和が訪れている。ウクライナ戦争終結に向けたトランプの戦略は、彼の卓越した交渉力に基づいている。

提案されている和平文書の正式な条件はまだ公表されていないが、その原則と基盤は極めて明確だ。トランプは既に戦争資金をヨーロッパに移管している。そして、平和はアメリカというよりもヨーロッパの責任となるだろう。

ウクライナは、本来ロシア領とすべき領土のロシアへの返還やウクライナ軍規模の縮小といった譲歩を迫られるだろう。NATO加盟の可能性も放棄せざるを得ないだろう。しかし、その安全保障は米露両国の投資の組み合わせによって保証される。

ロシアはもはや領土拡大の野心を抱いていない。なぜなら、野心を持ち続ければ、自国の投資が危険に晒されるからだ。ウクライナへの攻撃がアメリカの反撃を誘発するという、国連安全保障理事会第5条のような保証は不要だ。

同様に、中国とは強固な経済関係を確固たるものにする合意について交渉がなされ、米中両国関係は友好的な基盤へと回復するだろう。カリブ海諸国では、ヴェネズエラのニコラス・マドゥロ大統領が辞任するか、アメリカとの妥協点を見出すか、どちらかになるだろう。これもまた勝利と言えるだろう。

これらの観点からすれば、今こそまさに最良の時と言えるだろう。敵対的な見方をする人は、これまで述べてきたような見方をする人物が一体どこの惑星に住んでいるのかと疑問に思うだろう。

関税は税金と同じだ。適切に使えば効果を発揮するが、無秩序に適用されれば悲惨な結果を招く。インフレと失業は急上昇するだろう。そして、数兆ドル規模の支援約束は、まさに空論に過ぎない。債務はバクテリアのように増殖し、2026年夏半ばまでに40兆ドルに達するだろう。

全米各地に州兵を駐留させることは違法であり、何の成果ももたらしていない。ジョー・バイデン政権発足以降、暴力犯罪は減少傾向にある。

アメリカ軍に、積荷の正体不明の非武装小型船舶への攻撃を命じることは、戦争権限法および軍の法執行機関としての使用を禁じるポッセ・コミタトゥス法に反する。

ガザ停戦はイスラエルによって一貫して無視されており、イスラエルは依然としてガザ地区とシリアを攻撃し続けている。ウクライナとの合意案は、キエフを実質的に降伏に追い込むことになり、1938年のヒトラーとのミュンヘン協定を素晴らしいものと見せかけることになる。そして中国との関係は解決には程遠い。

2025年11月の各地での選挙で共和党が惨敗したことで、トランプは著しく弱体化している。裁判所は彼に不利な判決を下している。エプスタイン関連の文書公開をめぐるトランプの度重なる拒否と撤回は、彼の判断力に疑問を投げかけ、何が公開されるのかという疑問を投げかけている。

共和党はトランプがこの件を巧みに処理したと主張している。ハハッ!

多くの善良な人々(主に民主党員)が不必要に暴露され傷つけられるだろうという同情に基づいて、文書公開を拒否したというのは、全くのナンセンスだ。少なくとも、エプスタイン文書はトランプがエプスタインが未成年女性と何をしていたかを知っていながら沈黙を守っていたことを証明することになるだろう。

このやり取りが示すように、特に深刻な状況にある分野がある。それは、民主、共和両党が常識的な統治について合意できない政治環境だ。

さらに重要な点として、トランプは8人の連邦議員を扇動罪で告発した。扇動(sedition)とは、政府を転覆させるために武力を用いることだとトランプは理解しているはずだ。

トランプが主張する容疑は、軍隊は違法な命令に従わないように法律で義務付けられていると主張したことだ。アメリカ国民がこの法律を改めて認識しなければならないという事実は、政治情勢が最悪の状況にあることの究極の兆候である。

※ハーラン・ウルマン博士:UPI通信のアルノー・ドゥ・ボルクグレーヴ特別コラムニスト、アトランティック・カウンシル上級アドヴァイザー、2つの民間企業の会長、「ショックと畏怖の教義」主著者。ウルマンと元英国国防長官デイヴィッド・リチャーズは、戦略的大惨事の防止に関する著書を近々出版する予定となっている。

(貼り付け終わり)

(終わり)
sillionvalleykarasekaishihaiwoneraugunsanfukugoutainoshoutai001
シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 

trumpnodengekisakusencover001
『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック

このページのトップヘ