古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:第三次世界大戦

 古村治彦です。

 ヘンリー・キッシンジャーは100歳となった。キッシンジャーが国家安全保障問題担当大統領補佐官、米国務長官を務めてから半世紀ほどが経つ。この50年ほどはコンサルタントというか、ネットワーカーとして活躍し、世界各国の最高首脳たちに具体的な指針を与えている。現在も移動は車椅子であるが、世界各地を飛び回っている。最近では日本を訪問し、岸田文雄首相とも会談している。
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 「キッシンジャーなんてまだ生きているの?」「過去の人でしょ?」「もうそんなに影響力なんてないでしょ」ということを言う人は多い。そして、下の論稿の著者であるスティーヴン・M・ウォルトも「どうしてそんなに評価されるのだろうか」という疑問を持っているようだ。ウォルトに言わせれば、キッシンジャーのキャリアには、学者、政府高官、コンサルタントの3つの場面があるが、学者としての業績(新しい考えや理論の提示)は中途半端で終わり、国家安全保障問題担当大統領補佐官や国務長官としての業績は確かにあるが、失敗もある。政府を離れてからのコンサルタント(キッシンジャー・アソシエイツ創設)からの方が50年ほどと最も長いキャリアであるが、政策提言など敗退したことはない、という評価になる。

 キッシンジャーの業績は「裏側(behind the scene)」でこそ発揮される。だから、表に出てくる内容だけで判断するのは、正確な判断ではない。彼の一挙一投足が報道されることはないが、漏れ伝わる動きは世界政治の勘所を抑えている。肝心な場所(ツボ、経絡)に適宜鍼を打つ鍼灸医のようなものだ。東洋医学のように、じんわりと効果が出てくる。それが現在の世界の状況だ。米中関係、米露関係が危険をはらみつつも、最終的な手切れまで進まないのはキッシンジャーの手当てがあるからだ。彼の米国内、海外に張り巡らせた人脈のおかげだ。

 キッシンジャーの抱える弱点は、彼の同程度の力を持つ後任者がいないことだ。キッシンジャーも人間であり、いつかは亡くなる。彼亡き後に誰がキッシンジャーと同じ役割を果たせるだろうか。管見ながら、私には彼の後任となり得る人物は思いつかない。そうなれば、大きく言えば、リアリズム側の力が弱まり、ネオコン(共和党)と人道的介入主義派(民主党)の力が大きくなる。目の上のたんこぶがいなくなり、これら2つの勢力が伸長することで、世界は大規模戦争の危機に直面する。その準備は進められている。NATOのアジアへの伸長はその一例だ。

 キッシンジャーをただの学者やコンサルタントと侮るのは間違いだ。また、「キッシンジャーは日本が嫌いなんでしょ」と訳知り顔に言うのも浅薄な態度である。キッシンジャーはそのような低次元の存在ではない。そもそも日本など世界から相手にされていないのだ。老人ばかりになって、金がなくなっていく日本にどれだけの価値があるのか。せいぜい中国の沿岸にべたっと張り付く空母、基地といったところだ。国際ゲームのプレイヤーではなく、コマ程度の存在だ。そういう認識を持って世界を眺めて、初めてキッシンジャーの凄さが少し分かるようになる。

(貼り付けはじめ)

ヘンリー・キッシンジャーの評判の不思議に関する問題を解決(Solving the Mystery of Henry Kissinger’s Reputation

-元米国務長官は天才だ、しかしそれは読者の皆さん方が考えるような形ではない。

スティーヴン・M・ウォルト筆
2023年6月9日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2023/06/09/henry-kissinger-birthday-reputation-foreign-policy/

ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官に関して、この1ヵ月間、ニューヨーク経済クラブやニューヨーク公共図書館でのプライヴェートイヴェントなど、何度も100歳の誕生日のお祝いが開かれ、多くのVIPが出席している。この光景は、キッシンジャー独自のステータスを雄弁に物語るものだ。外交官のディーン・アチソン、ジョージ・ケナン、ジョージ・シュルツはもちろん、生きている間にこれほどの扱いを受けた政治家はほとんどいない。歴代大統領もそうだ。

キッシンジャーについて考える際、誰でも認めることであるが、彼は驚くべき人生を歩んできた。ナチス・ドイツからの難民でありながら、やがてアメリカで権力の頂点に立ち、70年近くもアメリカの外交政策に大きな影響を与え続けてきた。1世紀の時を経て、キッシンジャーはアメリカが生んだ最も偉大な戦略的思想家であると称賛されるようになった。彼の名前は、外交問題評議会や議会図書館のフェローシップ、いくつかの大学の寄付講座や研究センター、そして彼の名を冠したコンサルティング会社にも刻まれている。101歳を迎えてなお、これほどまでに世間の注目を集める人物は他にいない。

しかし、キッシンジャーの素晴らしい人生の中心には、難問がある。 キッシンジャーは、現在、独特の深みと知恵と洞察力を備えた外交政策思想家として常に賞賛されているが、その長いキャリアは、彼の崇拝者たちが考えているほど印象的なものではないように見える。キッシンジャーが恐るべき知性と卓越した業績を持つ人物であることは、彼の最も厳しい批判者たちでさえ認めるところであるが、問題は、1世紀を経て得た評価が十分に正当化されるかどうかである。

これが「キッシンジャーの難問(Kissinger conundrum)」である。なぜ、キッシンジャーは畏敬の念を持たれ、彼自身が世界情勢を掌握し、他の誰よりも優れているかのように扱われるのだろうか?

この謎を理解するためには、キッシンジャーの職業上のキャリアを3つのセクションに分けることが有効である。第1段階は、ハーヴァード大学で1954年から1969年まで教鞭を執った研究者としてのキャリアである。第2段階は、リチャード・ニクソン大統領(当時)の国家安全保障問題担当大統領特別補佐官、ニクソンとニクソンの後継者ジェラルド・フォードの国務長官と国家安全保障問題担当大統領補佐官として、政府で活躍したキャリアである。第3段階は、著者、評論家、有識者としてのキャリアであり、その多くは、政府を離れた後に設立したコンサルティング会社キッシンジャー・アソシエイツの代表として行われたものである。

キッシンジャーは、ハーヴァード大学の学者として、数冊の本と多くの論文を発表し、ネルソン・ロックフェラーや外交問題評議会(CFR)との長いつきあいを開始した。いくつかの著書は広く注目されたが、結局、この時期の彼の学問への貢献は大きなものではなかった。彼の初期の著作はどれも古典という評価に値するものではなく、今日、学者たちに広く読まれ、議論されているものもほとんどない。ハンス・モーゲンソーやケネス・ウォルツのようなリアリストの著作は、国際関係の学術的研究に今なお長い影響を与えているが、キッシンジャーの学術的著作(最初の主著『回復された世界平和(A World Restored)』を含む)は、そうではない。キッシンジャーは核兵器についても多くの著作を残したが(1957年にベストセラーとなった『核兵器と外交政策(Nuclear Weapons and Foreign Policy)』を含む)、グレン・スナイダー、バーナード・ブロディ、アルバート・ウオルシュテッター、トーマス・シェリングの著作は、キッシンジャーの著作よりも核戦略の進化にはるかに大きな影響を与えた。キッシンジャーが後に出版した『選択の必要性(The Necessity for Choice)』(1961年)は評判が良くなく、ナイオール・ファーガソンのようにキッシンジャーに同情的な伝記作家でさえ、NATOに関する後の本『二国間の歪んだ関係――大西洋同盟の諸問題(The Troubled Partnership)』(1965年)は急いで書いたもので、すぐに時代遅れになったと認めている。

確かに、キッシンジャーが学問の世界に力を注いでいれば、もっと大きな影響を与えることができたかもしれない。キッシンジャーは、ウィーン会議でのヨーロッパ秩序の再構築を考察した『回復された世界平和』から続く、世界秩序に関する三部作を書くつもりであったことが現在分かっている。しかし、キッシンジャーは現実の政策課題に取り組むようになり、三部作の完成には至らなかった。そして、アメリカのヴェトナム政策を深く掘り下げるなど、こうした活動が、やがて1968年の政権発足につながった。しかし、事実は変わらない。 学者としてだけ見れば、キッシンジャーは学術界の神殿の一員ではない。

キッシンジャーが国家安全保障問題担当大統領補佐官や国務長官として残した記録は、常に論争の的となっている。中国への開放(国交回復)、ソ連との重要な軍備管理協定の交渉、繰り返されるアラブ・イスラエル紛争への対応など、注目すべき業績もある。しかし、これらの成果は、ヴェトナム戦争への支持と、戦争に勝てないという認識にもかかわらず、その長期化に直接関与したこととのバランスを取る必要がある。ニクソンとキッシンジャーはまた、戦争をカンボジアに拡大することを選択し、知らず知らずのうちにクメール・ルージュの大量虐殺支配への扉を開いてしまった。キッシンジャーがチリで起こしたピノチェトの軍事クーデターを支援したことや、1971年のインド・パキスタン戦争への対応についても、厳しい評価を下す価値がある。

これらの出来事(およびその他多くの出来事)をどのように評価するかについては、合理的な人々の間で意見が分かれるところであろう。しかし、キッシンジャーの政治家としての功績が、ディーン・アチソン(第51代国務長官)やジョージ・シュルツ(第60代国務長官)、あるいはハワード・ベイカー(第61代国務長官)の功績をはるかに凌ぐものであると評価することは難しい。これは、キッシンジャーの業績を否定するものではない。就任後の行動が彼を卓越した政治家という評価を得させるものではないことを認めているに過ぎない。

ここからは第3段階についてだ。キッシンジャーは、企業や政府、そして一般市民に対して戦略的な助言を提供するというキャリアで長い経験を持ち、重厚な書籍や新聞コラム、その他様々な形で、めまぐるしい活動をしてきた。キッシンジャーの長いキャリアを振り返って、その実績はどうだろうか?

悪くはないが、あなたが思っているほどでもない。まず、キッシンジャーは政府を去ってから多くの本を出版しているが、3冊の回顧録(邦題は『キッシンジャー秘録1-5』。『ホワイトハウス時代』『激動の時代』『再生の時代』)を除けば、どれも画期的なものではなく、学問への貢献度が特に高いものではない。最も野心的な『外交』(1995年)と『世界秩序』(2014年)は、それぞれのテーマについて長大かつ博識に考察しているが、いずれも斬新な理論的見方や挑発的で新しい歴史解釈は示していない。これに対して、キッシンジャーの回顧録は、アメリカの上級政治家が書いた個人的な記述としては最高のものであり、重要な業績であると私は考えている。アチソンの『アチソン回顧録』(『天地創造[Present at the Creation]』)だけが、それに近い。他の回顧録と同様、著者が在任中に行ったことを強力に擁護しているため、懐疑的な目で読まなければならない。しかし、世界最強の国の外交官であり戦略家である著者が、膨大な不確実性の中で、矛盾する圧力と優先順位をリアルタイムで調整しながら、どのような仕事をしていたかを、間近で見ることができるのである。また、巧みな人物描写と力強いドラマ性に満ちた、魅力的な作品となっている。

キッシンジャーの他の活動についてはどうだろうか? マット・ダスが最近指摘したように、キッシンジャーは、政府機関での勤務を、政府機関から退任後に有利なキャリアに転換させる技術を、発明し、確かに完成させたのである。 キッシンジャー・アソシエイツは、コーエン・グループ、オルブライト・ストーンブリッジ・グループ、ライス、ハドレー、ゲイツ&マニュエル、ウエストエグゼック・アドバイザーズなど、元政府高官の名前、見識、コネを多種多様な(通常は正体不明の)クライアントに提供する会社の家内工業(cottage industry)の手本となったのである。ジョージ・マーシャルのような公僕が、公の奉仕(および他者の犠牲)から利益を得ることは不適切だと考え、自分のキャリアを現金化するための儲け話を断ったが、そんな時代はとっくに終わっており、キッシンジャーはその倫理観を損なうようなことを誰よりもした。特に、これらの元高官が外交政策に関する公的な議論に積極的に参加し続け、場合によっては再び政府に戻る場合、利益相反の可能性は明らかである。問題は、彼らの公的な立場が、私的な収入を強化する(あるいは少なくとも保護する)ことを意図していたかどうかを知ることができないことである。

更に言えば、キッシンジャーは、彼が政府の職から退任して以来、私たちが直面している最大の戦略的問題のいくつかについて、ひどく間違っていた。例えば、彼はNATOの拡大を早くから支持していたが、この決定は、他のオブザーヴァーが、ヨーロッパの永続的な平和ではなく、ロシアとの直接的な衝突をもたらすと正しく予見したものである。また、キッシンジャーは2003年のイラク侵攻を支持したが、これはアメリカ史上最大の戦略的失敗の1つであることは間違いなく、2015年のイランとの核合意には反対した。そして、キッシンジャーは、関与政策によって中国の台頭を助けると、強力なライヴァルの出現を早めることになることを予見できなかった。この盲点が、2011年に出版された『中国――キッシンジャー回想録』が、明らかに両極端な結論に達した理由の一因かもしれない。

キッシンジャーが全てにおいて間違っていたと言っているのではない。現代の出来事を分析するのは難しいことであり、全てを正しく理解する人はいない。私が言いたいのは、評論家としての彼の実績は、日常的に世界情勢を論じる他の人々よりも明らかに優れている訳ではないのに、なぜ多くの人々が彼をアメリカの偉大な戦略家として称賛するのかが理解しがたい、ということだ。

従って、謎は次のようになる。誇大宣伝を無視すると、キッシンジャーは生産的で有名であり続けてきたが、最終的にはそれほど影響力のある学者ではなかった。実際の成功と憂慮すべき失敗の両方を経験した政策立案者である。そして、現代の政策問題のアナリストでもあるが、その実績は他の人よりも際立ったものではない。それでは、彼が今日享受している高い評判についてどのように説明されるだろうか?

その答えの一つは、もちろん、彼が長寿であることだ。もしキッシンジャーが70歳代後半、あるいは80歳代半ばでこの世を去っていたら、その死は多くの人々の注目を集め、アメリカ外交史における彼の地位は揺るぎないものになっただろう。しかし、現在のような象徴的な地位は得られなかっただろう。最後の1人ということは、批評家やライヴァルがほとんどいなくなり、時間の経過によって過去の罪の記憶が曖昧になり、信奉者たちが彼の評判を高める時間が長くなることを意味する。

100点満点の答えには、この説明は間違いなく役に立つが、謎に答えるには、それ以上のことが必要となる。

私は本当の理由は極めて単純だと考えている。キッシンジャーほど、影響力と名声を獲得し、維持するために、これまで、そしてこれからも、より長く努力した人はいないだろう。私はこれまで、驚くほど意欲的で野心的な人物を数多く知っているし、他の人物についてもたくさん本を読んできた。キッシンジャーはそのどれにも当てはまらない。キッシンジャーに関する多くの伝記を何気なく読んだだけでも、その野心が桁外れであること、集中力が抜群で仕事の邪魔をするような趣味がないこと、そしておそらく現代世界がこれまでに見たことのないような偉大なネットワーカーであったことが分かる。彼は、自分の役に立つかもしれない人との間にある橋を焼き切ることはしなかったし、明らかにコンセンサスから外れた立場を取ることもなく、新しい人脈を築く機会を逃すこともなく、侮辱を忘れることもなく、十分にやったと結論づけることもなかった。分かりやすく言えば、キッシンジャーは、他の誰よりも働き、魅力的で、巧みで、人々を出し抜いてきたのだ。そして、何よりも驚くべきことに、彼は今なおその歩みを止めない。

キッシンジャーはまた、影響力が自己強化されることも理解していた。あなたが十分に有名であれば、他の人々は、批判的であるよりも、支持的であり、融和的である方が、より多くの利益を得られると結論付けるだろう。キッシンジャーを追いかけることは、ジャーナリストや大学教授など、広い視野を持たない人であれば、まったく問題ないかもしれないが、外交政策の中枢で大成したいのであれば、賢い戦略とはいえない。彼は既に多くの友人やコネクションを持っていた。彼が大きくなればなるほど、野心的な政策担当者は彼の知恵を疑うよりも、彼の寵愛を求めることを選ぶだろう。

このような大きな野望は計画を狂わせることもあるだろうし、少し怖い気もするが、賞賛に値するものもある。そして、巨大な野望を持つ人々全員がキッシンジャーのようにやれる訳ではない。しかし、キッシンジャーが今受けている賞賛を額面通りに受け取る、もしくは判断に迷った瞬間に目を向けないということをしてはいけない。彼が死ぬなどと言うことは考え難いことだが、完全に無謬であるとは言い難い。

※スティーヴン・M・ウォルト:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ハーヴァード大学ロバート・アンド・レニー・ベルファー記念国際関係論教授。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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 古村治彦です。

 2022年11月15日、ポーランドのウクライナ国境近くにミサイルの発射体もしくは破片が落下して2人が死亡するという出来事が起きた。この事故について、ロシアのミサイルがポーランドに発射されたものだという非難がウクライナや東欧・中欧の国々から出て、NATOの集団的安全保障が発動されて、NATO軍がウクライナ戦争に参戦することになるのではないかという懸念と緊張が高まった。しかし、当事国ポーランドとアメリカが静観する構えを見せ、ウクライナのミサイルの可能性を指摘して、事態は沈静化した。ロシアはウクライナのポーランドとの国境地帯にミサイルは発射していないと主張している。

 2022年2月24日にウクライナ戦争が起きて、早いもので今年も暮れようとしている。ウクライナ戦争は2022年の世界全体に大きな影響を与えた。ヨーロッパから遠く離れた日本で暮らす私たちの生活にも暗い影を落とした。エネルギー価格と食料価格の高騰によって、生活費が高騰している。買い物に行って以前と同じものを買っても出ていくお金は増えているという状況だ。

 ウクライナ戦争が世界に暗い影を落とすという状況はこれからもしばらく続きそうだ。それは停戦に向けた動きが見えないからだ。ウクライナは西側諸国に対して「どんどん武器と金と物資を送れ。送らないのは正義に反する行為だ。そして、自分たちはウクライナ東部とクリミア半島を奪還する」と主張している。このような「正義」に基づいた主張には表立って反対しにくい。しかし、このブログでも以前に紹介したように、エネルギー価格の高騰、エネルギー不足で一段と厳しい生活を強いられるヨーロッパ各国の国民は「何とか和平を達成してくれないか」という願いを持ち、「平和」を希求している。より露骨に言えば、「ウクライナはもういい加減戦争を止めてロシアと停戦しろ、こっちだって生活が苦しいんだ。しかも人の武器と金で戦争しているんだぞ」ということになる。

 今回のポーランドでの出来事を受けて世界は緊張した。NATO軍、その主力はアメリカ軍ということになるが、NATO軍が参戦することになれば第三次世界大戦、更には核戦争にまで発展するということが人々を恐怖させた。戦争が拡大すれば現在よりも状況が悪化し、世界は不安定になる。そのことを改めて深刻に実感することになった。

 ウクライナ戦争が第三次世界大戦につながる危険性をいち早く指摘したのは、私の師である副島隆彦だ。『プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする』(2022年6月)を読むと、半年近く経っても状況は全く好転していないということが改めて実感できる。是非お読みいただきたい。

ukurainasensoudaisanjisekaitaisen511
プーチンを罠に嵌め、策略に陥れた英米ディープステイトはウクライナ戦争を第3次世界大戦にする

 ウクライナが満足する形で停戦が成立するためには、ウクライナ側の主張ヲ基にすれば、ウクライナが東部とクリミア半島を完全に奪還しなければならない。このことがまず可能なのかどうか、そして、可能だというならばそれにかかる時間とコスト(人命、お金、物資など)を冷静に判断しなければならない。そして、ウクライナがこれからどのような国家として存在していくのかということも改めて検討してある程度の道筋をつけなければならない。現在のところ、ウクライナが戦争に勝利して、自分たちの目的を達成することは「ほぼ不可能」である。そのことは、アメリカ軍の制服組トップであるマーク・ミリー米統合参謀本部議長が認めている。そして、ミリーは「政治的解決」を示唆している。これは「停戦交渉をするべき」ということを意味する。

 以下の論稿は正義派の考えに基づいて構成されているが、私が問いたいのは「どのタイミングで停戦交渉するのか」「ウクライナに良いタイミングが来るまで待つというが、そのタイミングはいつ来るのか、そもそもそのようなタイミングが来るのか」ということだ。私たちは太平洋戦争で、ミッドウェー海戦敗北とガダルカナル島失陥以降、アメリカの反転攻勢を受けて日本が追い詰められていく過程で、「何とかアメリカ軍に一撃を加えてそれでアメリカ側をひるませて講和に持ち込む」という「一撃講和論」という楽観主義的な考えによって、戦争が長引き、結果として無残な結果となったことを知っている。ウクライナ戦争でウクライナ側が攻勢に出ているが、ロシアが東部とクリミア半島の防御態勢を整えて、膠着状態に陥った場合、ウクライナの求める条件はまず達成できない。そうなれば戦争がだらだら長引く。ウクライナに対する支援をずっと続けられるのかどうか、という問題も出てくる。西側諸国からの支援がなければウクライナは戦争を継続できない。結局、ウクライナは自分たちの目的を達成する前に停戦ということになる。それは現状とほぼ変わらない段階でのことになるだろう。それならばだらだらと続いた期間とその間のコストは無駄ということになる。

 私は今年の3月の段階で早期停戦すべきだと述べた。その考えは今も変わらない。ウクライナがロシアに一撃を加えた今がタイミングだと思う。このまま戦争がだらだらと続くことは世界にとって不幸だ。

(貼り付けはじめ)

米軍高官「ウクライナ、軍事的勝利は当面ない」 政治解決に期待

11/17() 8:35配信 毎日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/ea4a4cbf2f1838b30306fd58c9f0bf254c7b891c

 米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長は16日の記者会見で、ロシアのウクライナ侵攻に関して「ロシアがウクライナ全土を征服するという戦略目標を実現できる可能性はゼロに近い。ただ、ウクライナが軍事的に勝利することも当面ないだろう」と指摘した。その上で「ロシア軍は大きなダメージを受けており、政治的判断で撤退する可能性はある」と述べ、攻勢に出ているウクライナにとっては交渉の好機だとの考えを示した。

 ミリー氏は「防衛に関して、ウクライナは大成功を収めている。ただ、攻撃に関しては、9月以降にハリコフ州とヘルソン州(の領域奪還)で成功したが、全体から見れば小さな地域だ。ウクライナ全土の約20%を占領するロシア軍を軍事的に追い出すことは非常に難しい任務だ」と指摘した。

 一方で、「ロシア軍は、多数の兵士が死傷し、戦車や歩兵戦闘車、(高性能の)第45世代戦闘機、ヘリコプターを大量に失い、非常に傷を負っている。交渉は、自分が強く、相手が弱い時に望むものだ。(ウクライナの望む形での)政治的解決は可能だ」と強調した。秋の降雨でぬかるみが増える季節を迎えたことで「戦術的な戦闘が鈍化すれば、政治解決に向けた対話の開始もあり得る」との見解を示した。【ワシントン秋山信一】

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ロシアとの交渉は魅力的であり、そして間違っている(Talking With Russia Is Tempting—and Wrong

-ウクライナでの戦争を終結させるための交渉を始めるのは時期尚早である。

ジェイムズ・トラウブ筆

2022年11月16日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/11/16/talking-with-russia-is-tempting-and-wrong/

1814年の夏、2年前にイギリスがアメリカに侵攻し始まった戦争を終結させるために、米英両国の交渉官たちがヘント(ベルギー)に集まった。イギリスは勝利の確信を持ち、領土に関するアメリカ側の譲歩を求めた。ジョン・クインシー・アダムスとヘンリー・クレイが率いるアメリカ代表団はイギリスからの強硬な条件をはねつけた。イギリスは、ニューイングランドの一部を含む当時の制圧地域を境界線として描き直すことを提案した。10月初旬にヨーロッパに届いたワシントン焼失のニューズは、アメリカ側にも譲歩を促すものだった。

しかし、アメリカ側は良い知らせを待って交渉を長引かせた。良い知らせは、シャンプラン湖周辺とボルチモアでのアメリカの勝利という形ですぐに届いた。クリスマス直前、イギリスは全ての要求を撤回し、最も争点となる問題を将来の議論に任せて先送りすることに同意した。ヘント条約は、アメリカの主権が脅かされていた時代に終止符を打ったのである。

この逸話の教訓は、戦時中の早まった外交は誤りであり、戦場のダイナミズムが交渉の条件を形成することを許さなければならないということである。マーク・ミリー統合参謀本部議長は、ウクライナがロシア軍と「膠着状態(standstill)」まで戦った今、外交の「好機をつかむ(seize the moment)」ようバイデン政権の同僚に呼びかけている。しかし、それは間違った比喩だ。ウクライナ人はまずロシアの猛攻に耐え、その後でそれを押し返した。1914年9月の協定がニューイングランドの大部分を切り落としたように、1カ月前の外交交渉では、ウクライナが取り戻したケルソンの支配をロシアに譲り渡すことになっていたかもしれない。外交のチャンスはいずれやってくるが、それは今ではない。

以前、ウクライナ問題で進歩主義的な民主党所属の政治家たちがジョー・バイデン米大統領に送った書簡について、私はコラムで左派の反戦外交の主張(left’s antiwar case for diplomacy)には抵抗があることを書いた。しかし、より強い主張は、右派、少なくとも左派ではない勢力から出ている。右派は、ウクライナの領土保全への関心は限りなく高いが、欧米諸国には他にも多くの懸念があり、ウクライナ支援とのバランスを取る必要があると正しく指摘している。ユーラシア・グループのクリフ・カプチャン会長は、『ナショナル・インタレスト』誌の記事の中で、戦争がもたらす重大かつ長期的なコストとして、「脱グローバリゼーション(deglobalization)」の加速、食料・エネルギー価格の上昇とそれらが引き起こす社会・政治不安、核の不安定性、そして何よりもロシアとNATOとの戦争、おそらくロシアによる核兵器の使用という見込みを挙げている。

最近、カプチャンの話を聞いたところ、「ロシアとの話し合いを受け入れるべきだと考えるのは少数派だ」と述べていた。彼が最も懸念するのは、軍事的なコストだ。「プーティンのレッドライン(最終譲歩ライン)はまだ見つかっていない」と彼は言った。ロシアのウラジミール・プーティン大統領は、これまで考えられていたようなリスク回避を受け入れる人物ではない。ウクライナ人がそれを払うに値すると考えるかどうかにかかわらず、彼は自分の体制に対する脅威と見なすものには、核兵器であれ何であれ、西側諸国にとって災難となるようなエスカレーションで対応するかもしれない。カプチャンの兄弟でジョージタウン大学のチャールズ・カプチャン教授(国際問題)も、「ロシア軍がウクライナ東部とクリミアから完全に追放された場合、クレムリンの核兵器への依存は現実的な選択肢となる」と主張している。

これはつまり、ウクライナ人が戦場で大成功を収め、プーティンが世界を引きずり込む前に、西側諸国は外交的な最終案を練り始める必要があるという提案を行うもので、これは外交とタイミングに関して本末転倒な主張だ。このような理屈は、もちろん、核の恐喝が使われる要点ということになる。私がクリフ・カプチャンにこのように言うと、彼は戦争の追加的なコスト、つまり何百人ものウクライナの子どもたちの恐ろしい死について指摘した。しかし、これはウクライナ人自身が喜んで負担しているように見えるコストである。

だからといって、プーティンのハッタリに簡単に応じるのは、狂気の沙汰としか言いようがない。バイデン政権はレッドラインの問題を痛感している。ウクライナに4億ドルの軍需物資を追加供与することを承認しながら、ロシア国内の標的を攻撃できる長距離無人機の供与は拒否した。外交上の主張は、事実上、ワシントンはアメリカだけでなくウクライナも制限しなければならないということになる。そうでなければ、国際関係学者のエマ・アシュフォードが最近書いたように、「戦争に対する慎重に調整された対応が、絶対的な勝利という危険なファンタジーに取って代わられるかもしれない」ということになる。アシュフォードは慎重に中立的な立場を取り、交渉による解決は「今日では不可能に思える」が、アメリカの外交官は「そのようなアプローチが伴う困難な問題を公にして、そしてパートナーに対して提起し始めるべきだ」と示唆している。

ウクライナにロシアとの対話を迫ってはいけないが、必ず来るだろう話し合いに向けて準備を始めるべきだということだ。これは論理的に聞こえる。しかし、本当にそうすべきなのか? 外交問題評議会のロシア専門家であるスティーヴン・セスタノビッチにこの問題を提起してみた。セスタノビッチは、可能性のあるシナリオを公開することさえ、最も貴重な要素であるウクライナの意志を奪うことになりかねないと述べた。彼は次のように語った。「そう、ある時点では、ウクライナ人と座って将来について話すことができる。しかし、彼らはどれだけの損害を受容するのかどうかについては敬意を払わなければならない」。セスタノビッチは、1940年5月、ウィンストン・チャーチルがイタリアの外交打診を拒否したのは、イギリスの士気が下がるのを恐れてのことであったという歴史的な類推(analogy)を使用した。

今、外交官の机の中に最終案の計画が残っているのは、タイミングや戦術だけでなく、外交的リアリストが甘く見がちな他の種類のコストにも関係がある。英国は、1812年の戦争後、アメリカがあまりにも強く、立地も良いため、奪還は不可能であることを悟った。しかし、プーティンは2014年の状態より少し良いものを認める協定によって勇み立つだろう。実際、プーティンは、危害を加える能力を保持している限り、近隣諸国と西側諸国にとって脅威であり続けるだろう。セスタノビッチは、ウクライナが東部で前進を続け、失ったものの多くを取り戻せば、「ロシアは完全にパニックモードになり」、プーティン自身の支配が脅かされることになると示唆している。これは事実上、ウクライナ軍の成功の最良のシナリオである。もちろん、最悪のシナリオは、その脅威に対してプーティンが暴発することである)。

根本的な問題は次のようなものだ。問題は、「それがどの程度問題なのか?」ということだ。これまでのところ、アメリカとヨーロッパは、ウクライナにおけるロシアの侵略を阻止することは、それなりの犠牲を払うに値するという結論に達している。欧米諸国が公言する価値観が本物であることが判明したことは、プーティンにとって当然ショックであり、欧米諸国の多くの人々にとっても、非常に喜ばしいショックであったに違いない。しかし、その意志は無限であるとは言い難い。バイデンをはじめとする指導者たちは、ロシアの賠償金とウクライナの領土の隅々までの返還を含むウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領の最大限の条件を達成するために、政治的、経済的負担を負い続けることはないだろう。

外交官たちがその計画を机上から引き上げる時が来るだろう。しかし、その前に、我々の協力でウクライナがプーティンの進撃をどこまで押し返せるか、見届けなければならない。それが私たちの利益であり、ウクライナの利益でもある。

※ジェイムズ・トラウブ:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト、ニューヨーク大学国際協力センター非常勤研究員。著書に『リベラリズムとは何だったか?:過去、現在、そして新しいアイディアの期待(What Was Liberalism? The Past, Present and Promise of A Noble Idea)』がある。ツイッターアカウント:

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 古村治彦です。

 ウクライナ戦争は終わりの見えない状況になっている。2月24日に始まってすぐに、停戦交渉が行われた。停戦交渉が断続的に行われてやがて停戦に至るものと私は考えていた。これは非常に甘い見通しだったと反省している。3月末になって停戦交渉という言葉が報道から消え始めた。「ウクライナ軍が善戦してロシア軍が首都キエフを掌握することを阻止できた、西側諸国が支援しているウクライナ軍は強い、ウクライナ軍がロシア軍を追い出すまで戦う」という流れになった。いくらウクライナ軍が強いと言っても無傷では済まない。ウクライナ軍にもウクライナ国民にも犠牲者が数多く出ている。しかし、そのようなことは顧みられない。日本のいつもはリベラルな仮面をかぶった好戦主義者たち(日本版ネオコン)の人々はここを先途と「どんどんやれやれ」「自由と人権と民主政治体制を守るために犠牲になれ(自分は安全な場所にいるけど)」という最低な存在になり果てている。

 アメリカやヨーロッパ諸国がより攻撃能力の高い武器をウクライナに供与するという転換を行ったことはこのブログでも既にご紹介した。下の論稿にあるように、ウクライナ戦争は停戦交渉ということではなく、「やるかやられるか」の段階に進んだということになる。プーティンを打ち倒すか、プーティンの目的を達成させるか、ということである。更に言えば、「ロシアを弱体化させる」という究極の目的が設定されている。

 「ロシアの弱体化」というアメリカとNATO諸国へのプーティンの対応は「核攻撃」ということになる。下の記事にあるウように、これをただの脅しの言葉と楽観的に捉えているNATO幹部が多くいるようだが、なんと馬鹿な人間たちなのだろう。何かに対処するにあたり、悲観的に考慮し一度決めたら楽観的に行動するということが原則だが、楽観論で考えてしまえば痛い目に遭うということは歴史が示している。人間は学ばない生き物である。

 ジョー・バイデン大統領による新たなアプローチによって、ウクライナ戦争の終わりは見えなくなり、更に戦争がエスカレートし、核戦争に至る可能性も高まっているということが下に紹介した記事の趣旨である。これまでの状況を冷静に判断すればこのような結論に至るのが当然である。停戦交渉を双方が行って一刻も早く停戦を実現することが最良であるが、その可能性は低くなっている。何と馬鹿げた状況であろう。

(貼り付けはじめ)

バイデンの危険な新たなウクライナ戦略:終わりのない戦い(Biden’s Dangerous New Ukraine Endgame: No Endgame

-ロシアを「弱体化」させる戦略で、バイデン米大統領はウクライナ戦争を世界規模の戦争に変えようとしているのかもしれない。

マイケル・ハーシュ筆

2022年4月29日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2022/04/29/russia-ukraine-war-biden-endgame/

今週一連の劇的な変化が起きた。ジョー・バイデン米大統領とNATOの同盟諸国は、ロシアの侵攻からウクライナを守るための政策を、ロシアのパワーと影響力を弱めるための政策へとエスカレートさせている。そうすることで、降伏するか、ロシア軍を更に派遣し攻撃を強化するか、ウクライナを越えて戦争を拡大させる可能性を高めるか、といった選択肢しかロシアのウラジミール・プーティン大統領に残さないことになるのではないかと専門家の中には懸念を持っている人々がいる。

木曜日、バイデンは連邦議会に対し、ウクライナに対して330億ドル(従来の2倍以上)の軍事、経済、人道支援を追加するよう要請した。そして、プーティンに対して「ウクライナを支配することにあなたは決して成功しない」という明確なメッセージを送ると述べた。バイデンはホワイトハウスでの発言で、この新しい政策は「ロシアの侵略に懲罰を与え、将来の紛争のリスクを軽減する」ことを意図していると述べた。

バイデン大統領のこうした言動はロイド・オースティン米国防長官が今週行った明確な宣言に追随し、その中身は全く同じものとなった。オースティン国防長官は、キエフでウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領と会談した後、アメリカの目的は長期にわたってロシアの力を削ぐことであり、ウクライナへの軍事攻撃を「再現する能力」を持たせないことだと発言した。ポーランドに一時滞在中、オースティンは「ロシアがウクライナへの侵攻のようなことをできない程度に弱体化することを望んでいる」とも語った。

この変化によって、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相に、アメリカや西側諸国がロシアとの「代理戦争」に突入し、核戦争に発展する可能性のある世界大戦を再び引き起こす危険があると宣言させたのかもしれない。「危険は深刻であり、そして現実でもある。そして、私たちはそれを過小評価してはならない」とラヴロフは語った。プーティンはまた今週、2月24日の侵攻開始以来続けてきたように、NATOに対して核兵器を使用するオプションがまだ存在することを再び示唆し、「そして、必要であれば、それらを使用する」と述べた。

アメリカによる新たな攻撃的アプローチに多くの賛意が寄せられている。特に現役や元のNATO幹部たちから賛辞が送られている。こうした人々はロシアからの核兵器による反撃という脅威は空虚な脅しの言葉に過ぎないと主張している。

NATO事務総長のアンデルス・フォグ・ラスムセンはインタヴューの中で、「アメリカによる攻撃的アプローチは前進する唯一の方法だ」と述べた。ラスムセンは更に次のように述べた。「プーティンの考えでは、西側の政策はとにかくロシアを弱体化させるものということになるので、これまでのアプローチと新たなアプローチには何の違いもない。それなのに、なぜ公然と話さないのか。過去に犯した過ちは、プーティンの野心、彼の残忍性を過小評価したことである。同時に、ロシア軍の強さを過大評価したことだ」。

アメリカとNATOの新たな戦略は、プーティンがウクライナの完全征服から東部と南部での新たな攻撃へとその野望を縮小せざるを得なくなったこと、つまりウクライナが戦場で成功を収め続けていることも一因となっている。ドイツを含むNATOの同盟諸国は、今週まではウクライナにより効果の高い重攻撃用武器を送ることを躊躇していたが、現状を受けて支援を強化した。ドイツのオラフ・ショルツ首相は、国内外からの政治的圧力を受け、今週初め、ウクライナに対空戦車50台を提供すると発表した。

しかし、他のロシア専門家は、アメリカと西側同盟諸国は事実上、これまで避けてきたレッドラインを踏み越えていると懸念を持っている。バイデンは、2カ月に及ぶ紛争の大半で、大規模な攻撃兵器や飛行禁止区域など、アメリカやNATO軍をロシアと直接対立させると思われるような軍事支援を承認することを拒否してきた。しかし今、追加支援と経済制裁の強化によって、バイデン大統領はプーティンを、戦い続けるか降伏するかのどちらかしかない状況に追い込んでいる、と懸念する人々もいる。降伏することは、プーティンが長年の目標としている、西側諸国に対してロシアの立場を強化するということの放棄を意味する。しかし、プーティンは長い間、欧米諸国の目的はロシアの弱体化や封じ込めだと言ってきたが、ウクライナやジョージア(グルジア)を中心とする周辺諸国に対して10年半にわたって攻撃的な動きを続けてきた中で、降伏したことは一度もない。

戦略国際問題研究所(CSIS)のヨーロッパ専門家ショーン・モナハンは「クレムリンの目には、西側がロシアを追いかけて捕まえようとしているように映っている。これは以前であれば暗黙の了解というところだったが今や現実となっている」と述べている。モナハンは更に次のように述べた。「バイデンが先月ポーランドで行った首脳会談で、“この男(プーティン)は権力の座に留まることはできない”と発言したことと合わせて考えると、領土戦争をより広い範囲の対立に変え、ウクライナ戦争を終わらせるための和平交渉をはるかに困難にし、あるいは現時点で不可能にさえするかもしれない」。バイデン政権幹部たちは後に、大統領はロシアの政権交代を求めている訳ではないと述べて火消しに努めた。

CIAでロシア担当主任分析官を務めたジョージ・ビーブは、バイデン政権は「アメリカにとっての最重要な国益とはロシアとの核衝突を回避すること」であることを忘れている可能性があると指摘している。ビーブは更に「ロシアは、自分たちも負けるのであれば、他の誰をも敗北させる能力(訳者註:核攻撃能力)を持っている。そしてそれは、私たちが向かっている場所かもしれない。今回の転換は危険な方向への転換だ」と述べた。

おそらく最も懸念されるのは、プーティンがロシア訪問をしたアントニオ・グテーレス国連事務総長に対して、交渉による解決の可能性をまだ希望していると述べたにもかかわらず、もはや交渉による解決の可能性がないように見えることである。

あるヨーロッパにある国の上級外交官は匿名を条件にして次のように述べた。「プーティンを弱体化させる政策と、それを口に出して言うことは全く別のことだ。プーティンにとって政治的解決に至る道を探さなければならないのだから、このような発言をするのは賢明ではないということになるだろう」。

アメリカ政府元高官で、現在はジョージタウン大学で国際関係の研究をしているチャールズ・カプチャンは「より危険になっている。ジャベリンや対戦車ミサイルを越えて、政治的に大詰め(endgame)、どのように戦争を終結させるかについて話し始める必要がある」と述べている。前述のビーブは次のように述べている。「国際的な解決という文脈で制裁を緩和する意思があることを、何らかの形でロシア側に控えめに伝える方法を見つける必要がある。ウクライナへの軍事支援もテコとして使えるだろう」。

しかし、そのような交渉の実現はこれまで以上に可能性が低くなりそうだ。両者とも長い戦いに身を投じているように見える。火曜日にプーティン、そしてラヴロフと会談した後、グテーレスは近々に停戦が実現する可能性はなく、戦争は「会談で終わることはない」と認めた。

ほんの1ヶ月前まで、ゼレンスキーはNATOに加盟しない中立のウクライナという考えを持ち、ウクライナ東部の分離主義勢力を認めると提案していた。しかし、ゼレンスキーはその後、ヨーロッパ連合理事会のシャルル・ミシェル議長に対し、ロシアの残虐行為に鑑み、ウクライナの世論は交渉に反対し、戦争継続に賛成していると述べた。

一方、フィンランドとスウェーデンはNATOへの加盟に関心を示しており、長年の非同盟政策を転換し、ロシア北部国境に新たな一触即発(ヘアトリガー、hair-trigger)の環境が出現する可能性がある。NATOの東方拡大をウクライナ侵攻の理由にしてきたプーティンにとってこれは大きな痛手となる。

そして、こうした緊張がすぐに緩和される見込みはほとんどない。オースティン米国防長官は今週、40カ国からなる「ウクライナ・コンタクト・グループ(Ukraine Contact Group)」を招集した。マーク・ミリー米統合参謀本部議長は「少なくとも年単位になるであろう」と述べた「長引く紛争(protracted conflict)」に備える準備をアメリカは進めている。

バイデンは、プーティンが戦術核や戦略核を配備した場合、アメリカがどのような対応を取る可能性があるかについては言及していない。更に、冷戦後の環境において、米露両国は核兵器の配備について明確なルールを設定していない。特に、中距離核戦力条約のような冷戦時代の軍備協定が棚上げされ、核兵器の運搬システムがより高速化し、自動デジタル化システムによって支配的に運営されるようになったためだ。「脱エスカレートするためにエスカレートする」と呼ばれるクレムリンの政策(西側が彼を止めようとすれば核武装すると脅す)の下、プーティンは年々、通常戦争の計算に核兵器を再導入している。政権を担ってきた20年の間に、彼はヨーロッパ大陸で、原子力巡航ミサイル、大洋上核武装魚雷、極超音速滑空機、さらに低収量の核兵器の建設を許可してきた。

しかし、プーティンはこれまで核兵器を使用すると脅したことはなく、また、使用する可能性があるかどうか、どのように使用するかを明らかにしたこともない。ウクライナ危機が起きるまで、アメリカの戦略家たちはプーティンによる核兵器の配備が脅威となるとは考えていなかった。プーティンはまずサイバー攻撃など非核兵器でエスカレートしてくるというのが大方の見方だった。

また、専門家の多くは、ロシア大統領がウクライナ国内で戦術核兵器を使用することで大きな利益を得るとは思えないと主張している。プーティンは十分に理性的な人物であり、核武装した大陸間弾道ミサイルをアメリカに発射することは考えないと見ている。しかし、プーティンは以前にも、独立したウクライナがロシアの支配から離れることは受け入れられないと示唆しており、2021年7月に発表した論稿で、そのような事態は「私たちに対する大量破壊兵器の使用に匹敵する結果になる」と書いている。

アメリカ政府の核軍備交渉官を務めたロバート・ガルーチは、ロシアの核による威嚇は新しい戦術であり、「ウクライナ周辺、つまりロシアとの国境を越えてロシア軍と直接衝突することになれば、真剣に受け止めるべきだろう」と述べた。

現在クインシー・インスティテュート・フォ・レスポンシブル・ステイトクラフトで大戦略部門の部長を務めるビーブは、ウクライナ戦争は不安定な膠着状態に陥る可能性が高いが、それは冷戦時代の多くよりも不安定で危険なものになる可能性があると語った。ビーブは「ウクライナとヨーロッパを分断し、ゲームのルールがないような、ある種の長期的で不安定な対立に終わる可能性が高い。“新たな冷戦”というより、欧州の傷の化けの皮が剥がれる」と述べた。

イギリスのリズ・トラス外相が今週の講演で示唆したように、新たに強化された欧米諸国とNATOがその範囲を欧州、中央アジア、中東を越えてインド太平洋にまで拡大すれば、事態は更に複雑になる可能性がある。トラス英外相は次のように述べた。「NATOはグローバルな展望を持ち、世界的な脅威に対処する用意がなければならない。インド太平洋における脅威を先取りし、日本やオーストラリアなどの同盟国と協力して、太平洋を確実に守る必要がある。そして、台湾のような民主政体国家が自らを守れるようにしなければならない」。

このことは、ロシアだけでなく、中国とも世界的な冷戦が長引くという見通しを示している。アメリカとその同盟諸国は、「資源に恵まれたロシアと、技術的にも経済的にも強力な中国との同盟」に直面し、容易に熱が高くなる可能性があるとビーブは言う。

※マイケル・ハーシュ:『フォーリン・ポリシー』誌上級記者。ツイッターアカウントは@michaelphirsh

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

私が所属している副島隆彦の学問道場定例会(講演会)が2022年5月15日に開催されます。以下に詳細を貼り付けます。

(貼り付けはじめ)

第43回副島隆彦を囲む会主催定例会

「第3次世界大戦に向かう悪魔のシナリオ」

・講師:副島隆彦(そえじまたかひこ)先生、田中進二郎(たなかしんじろう)研究員

・開催日時:2022年5月15日(日)12時開場、12時45分開演

・会場:JR「御茶ノ水」駅 全電通労働会館ホール

・会場住所:〒101-0062  東京都千代田区神田駿河台3丁目6

TEL03-3219-2211 FAX03-3219-2219

・会場までのアクセス:

JR中央・総武線 御茶ノ水駅

(聖橋口出口 徒歩5)

東京メトロ千代田線 新御茶ノ水駅

(B3出口 徒歩5)

東京メトロ丸ノ内線 淡路町駅

(A5出口 徒歩5)

都営地下鉄新宿線 小川町駅

(A7出口 徒歩5)

・当日の予定:

開場  12:00

開演  12:45

終了  17:00(予定・終了時刻は延長する可能性がございます)

【新型コロナウイルス感染拡大防止のお願い】

・発熱など体調が悪い場合には参加をお見合わせ下さい。

・マスクを着用してご参加ください。

・手洗いと手指の消毒をお願いいたします。

・ロビーやお手洗いなどでは密にならないよう、ご協力をお願いいたします。

※ウェブサイト「副島隆彦の学問道場」の「今日のぼやき」広報ページもご参照ください。
<a href="http://www.snsi.jp/tops/kouhou/2317l">http://www.snsi.jp/tops/kouhou/2317</a>

(貼り付け終わり)

※定例会出席のお申し込みはコチラ↓

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 ロシアによるウクライナ侵攻が発生してから1カ月以上が経過し、4月になろうとしている。状況は膠着状態からウクライナ軍とウクライナ国民の頑強な抵抗によってロシア軍は押し返され、作戦範囲を縮小し、東部地区の制圧に注力するように変更するという報道がなされている。ウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領はこの報道について信頼していないと述べている。

 一方で、ゼレンスキー大統領は西側諸国がゲーム・チェンジャーとなる措置を取っていないことに苛立ちを隠していない。飛行禁止区域設定や航空機供与があれば状況を一気に変化させて、ロシア軍を敗退させることは可能だ。今の状況では出血箇所の治療(止血)をしないままで、輸血をし、点滴で栄養を投与しているような状況だ。これでは根本的な解決にならないではないかというゼレンスキーの苛立ちは分かるが、一歩踏み込んだ措置は状況をさらに悪化させる可能性もある。

 このような踏み込んだ措置を取るにはアメリカが主体とならねばならない。飛行禁止区域設定では、アメリカ軍が区域を飛んだロシア軍機を撃墜するということになる。そうなれば、ロシア軍が報復ということで攻撃を仕掛けるということになり、米露間の直接戦闘に発展する。これが最終的に核ミサイルの撃ち合いにまで発展するのではないかというのが世界各国の政府の懸念となっている。

 アメリカ国民の多くはアメリカがロシアとの戦争に巻き込まれることを望んでいない。下の記事にあるように世論調査の結果では85%が懸念を表明している。これは太平洋戦争直前の状況に似ている。あの時も当時のフランクリン・D・ルーズヴェルト大統領は「皆さんの息子を戦争に送ることはない」という主張を繰り返し、大統領選挙に当選した。当時も戦争を忌避するアメリカ国民は多かった。それが一気に変わったのは真珠湾攻撃だ。これによってアメリカは日本に宣戦布告、日本と戦争状態に入り、これは三国同盟の朱子氏からドイツの対米宣戦布告とつながり、アメリカはアジア・太平洋地域で日本、ヨーロッパでドイツと戦うことになった。あれだけ戦争に反対していたアメリカ国民は熱狂のうちに戦争を支持するようになった。

 このような偶発的な(かつ仕組まれた)事件や出来事が起きれば、今回の状況もどうなるか分からない。ロシア軍の中にアメリカのネオコンや人道的介入主義派につながっている勢力がいて、ミサイルをポーランドに向けて発射すると言ったようなことを実行すれば、アメリカ軍は出動しなければならなくなる。

 アメリカのジョー・バイデン政権は非常に慎重な姿勢を堅持しているが、同時に非常に強い言葉遣いをしているので危険である。これ以上の事態の悪化を招かないためにも、感情的にならずに冷静に判断し、対処することが重要だ。ゼレンスキー大統領は私たちの感情に訴えてくる。これが非常に危険なことであることを理解しながら、彼の言葉を聞くということが防衛策ということになる。

(貼り付けはじめ)

ゼレンスキーが西側諸国の臆病さを非難し、ロシアが国家分裂を望んでいると警告を発する(Zelensky accuses West of cowardice, warns Russia wants to split nation

AP通信

2022年3月27日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/wire/599968-zelensky-accuses-west-of-cowardice-warns-russia-wants-to-split-nation

リヴィウ(ウクライナ)発。ヴォロディミール・ゼレンスキー大統領は日曜日、西側諸国の臆病さを非難し、別の高官はロシアがウクライナを北朝鮮と韓国のように国を2つに分割しようとしていると述べた。

ゼレンスキー大統領は、ロシアの侵攻軍から自国を守るために戦闘機や戦車を提供して欲しいと怒りを込めながら訴えた。ロシアは現在、東部のドンバス地域を支配することに主眼を置いているという。以前のより拡大した目標から明らかに後退しているが、これはウクライナの分裂を懸念させるものだ。

ジョー・バイデン米大統領が、ロシアのウラジミール・プーティン大統領は権力を維持できないと痛烈な演説をした後(ホワイトハウスはすぐにこの言葉の重要性を消そうと努力した)、ゼレンスキー大統領は、ロシアのミサイル攻撃が民間人を殺し、閉じ込める一方で、「誰が、どうやってジェット機やその他の武器を引き渡すべきかという綱引き」をしている西側諸国に怒りを向けた。

ゼレンスキーはヴィデオ演説の中で、戦争の最大の窮乏と恐怖に見舞われた南部の包囲都市マリウポリに向かって次のように述べた。「私は今日、マリウポリの守備隊と話した。私は彼らと常に連絡を取り合っている。彼らの決意、ヒロイズム、決意の堅さには驚かされるばかりだ。何十台ものジェット機や戦車をどう引き渡すか、31日間考え続けてきた人たちに、彼らの勇気の1%でもあればいいのだが」。

また、ゼレンスキー氏は日曜日にロシアの独立系ジャーナリストたちに対し、政府は中立を宣言し、ロシアに安全保障を提供することを検討すると述べ、以前の発言と同じことを繰り返した。これには、ウクライナの非核化も含まれるとも付け加えた。

ゼレンスキーは記者団に対し、中立の問題、そしてNATOへの加盟断念に同意することは、ロシア軍撤退後にウクライナの有権者による国民投票で問うべきであると語った。ロシア軍が撤退してから数カ月以内に投票が行われる可能性があるとも述べた。

ロシアはすぐにこのインタヴューの報道を禁止した。モスクワの通信を規制する連邦コミュニケーション・情報技術・マスメディア監視局(Roskomnadzor)は禁止令を出し、参加したロシアのメディアに対して行動を起こす(法的手段を取る)可能性があり、その容疑の中には「外国の代理人として行動している外国メディア」も含まれていると述べた。

ロシアを拠点とするメディアは、インタヴューが海外で公開されたにもかかわらず、禁止措置に従ったようだ。

ゼレンスキー氏はこれに対し、モスクワはジャーナリストたちとの短い会話すらも恐れていると述べた。ウクライナの通信社RBKウクライナによると、「これは悲劇的でないとすれば、面白いことということになる」と彼は言ったという。

ロシアによるウクライナ侵攻は、多くの地域で行き詰まっている。首都キエフを素早く包囲し、降伏させるという目的は、アメリカや他の西側同盟国からの武器によって強化されたウクライナの頑強な抵抗に対して頓挫している。

モスクワは、2014年以来ロシアに支援された分離主義勢力によって部分的に支配されている東部ドンバス地域全体を奪取することに重点を置いていると主張している。金曜日にロシア軍の高官が、軍隊は国内の他の地域から東部に振り向けられていると述べた。

ロシアは、モスクワがウクライナからクリミア半島を併合した直後にルハンスクと隣接するドネツクで反乱が起きて以来、分離主義勢力の反乱軍を支援してきた。ウクライナとの会談で、モスクワはキエフにドネツクとルハンスクの独立を認めるよう要求している。

ウクライナ軍情報機関のトップであるキリロ・ブダノフは、ロシアがウクライナを2つに分割しようとしていると非難し、北朝鮮と韓国になぞらえた。

ブダノフは国防省が発表した声明の中で、「占領者は占領地を一つの準国家構造に引き込み、独立したウクライナと戦わせようとするだろう」と述べた。ブダノフは、ウクライナ人によるゲリラ戦がそのような計画を頓挫させるだろうとも述べている。

戦争終結に向けてロシアと協議しているウクライナ代表団の一員であるダヴィド・アラクハミアは、フェイスブックの投稿で、両国は月曜日からトルコで会談すると述べた。しかし、ロシア側はその後、会談を火曜日に開始すると発表した。両者は以前にも会談しているが、合意に至っていない。

ウクライナの優先事項は「主権と領土の保全」であるとゼレンスキーは毎晩の演説で国民に語っている。

ゼレンスキーは今回の演説で「我々は平和を求めている、本当にしかも遅滞なく、だ。トルコで直接会談を持つ機会と必要がある」と語った。

ゼレンスキーはまた、軍が発表していない、あるいは承認していない部隊や装備の移動に関する報道を禁止する法律に署名した。この法律に違反したジャーナリストは、3年から8年の禁固刑に処される可能性がある。この法律では、ウクライナ人記者と外国人記者を区別していない。

ウクライナは、ロシアに勝つためには、欧米諸国はミサイルなどの軍備だけでなく、戦闘機も提供しなければならないとしている。アメリカ経由でポーランド機をウクライナに譲渡する案は、直接戦闘に巻き込まれることへのNATOの懸念から、破棄された。

ゼレンスキーは、「西側諸国の政府がこの悲劇を防ぐことを恐れている。決断することを恐れているのだ」と非難した。

ゼレンスキーの訴えは、前日にロケット弾の直撃を受けた西部の都市リヴィウの司祭も同じように受け止めていた。空からの攻撃は、モスクワが、戦争を東に移すつもりだという主張にもかかわらず、ウクライナ国内の全ての場所が攻撃対象となり得ることを示唆している。

ユーリ・ヴァスキフ牧師は「外交がうまくいかない時は、軍事的な支援が必要だ」と語り、ギリシャ・カトリック教会から、恐怖に駆られた教会員たちが遠ざかっているとも述べた。

キエフに向かう道すがら、ある村の住民は、ロシアが続けている攻撃の残骸をかき集めていた。キエフから約22マイル(35キロ)離れたビシフの地元の人々は、本や棚、額に入った写真など、できる限りのものを引き揚げるために、砲撃によって引き裂かれ、破壊された建物の中を歩いていた。

かつて幼稚園の教室だった場所に立ったスベトラーナ・グリボフスカ先生は、あまりにも多くの子どもたちが犠牲になってしまったと語った。

グリボフスカはイギリスの放送局「スカイニュース」の取材に対し、「これは間違っている。子どもたちには何の罪もない」と述べた。

ロシアは、ポーランドとの国境に近いリヴィウの燃料貯蔵所と防衛施設を空から発射する巡航ミサイルで攻撃したことを確認した。ロシア国防省のイゴール・コナシェンコフ報道官は、海上発射ミサイルによる別の攻撃で、ウクライナが防空ミサイルを保管しているキエフの西にあるプレセツクの倉庫を破壊したと述べた。

ロシアの相次ぐ空爆は、爆撃を受けた町や都市から逃れた推定20万人の避難所となっているこの町を揺るがした。リヴィウは、ロシアが2月24日に侵攻して以来、ウクライナを離れた380万人の難民の大半にとって中継地となっており、爆撃をほとんど受けずに済んでいる。

最初の爆破地点に近い団地の下にある薄暗く混雑した防空壕で、34歳の情報技術者オラナ・ウクライナッツは、最も爆撃を受けた都市の一つである北東部のハリコフから逃げ出した後、再び隠れなければならないとは信じられなかったと語った。

彼女は「私たちは通りの片側にいて、反対側でそれを目撃した。火が見えた。私は友人に『これは何だ』と言いました。それから爆発音とガラスが割れる音が聞こえた」と語った。

ハリコフでは、ウクライナの消防士たちが斧やチェーンソーを使ってコンクリートやその他の瓦礫を掘り、ロシア軍の地方行政庁舎への攻撃による犠牲者を探しているところであった。消防士たちによると、土曜日に1人の遺体が発見された。3月1日の攻撃で少なくとも6人が死亡した。ロシア軍が150万人の人口を抱えるハリコフの中心部を攻撃したのは初めてだった。

日曜日の夜には、北西部のヴォリン州の石油基地がロケット弾で攻撃された。

ウクライナから非難した数百万人とともに、侵攻によって1000万人以上が故郷を追われ、これはウクライナの人口のほぼ4分の1にあたる。数千人の市民が殺害されたと見られている。

ハリコフのアンドレア・ローザ、キエフのネビ・ケーナ、リヴィウのキャラ・アンナ、および世界各地のAP通信記者がこのレポートに寄稿した。

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世論調査:アメリカ国民の85%はウクライナ・ロシア紛争にアメリカが引きずり込まれることを懸念(85 percent of Americans concerned US will be drawn into Ukraine, Russia conflict: poll

マイケル・シュニール筆

2022年3月28日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/policy/international/599983-most-americans-concerned-us-will-be-drawn-into-ukraine-russia-conflict

アメリカ国民の圧倒的多数が、アメリカがウクライナとロシアの紛争に巻き込まれることを懸念していることが新しい世論調査で明らかになった。

AP通信とNORC・センター・フォ・パブリック・アフェアーズ・リサーチが実施した世論調査によると、アメリカの成人の85%が、アメリカがロシアとウクライナの紛争に巻き込まれることを懸念していることが分かった。

「非常に懸念している」と答えた人が21%、「とても懸念している」と答えた人が26%、「ある程度懸念している」と答えた人が38%だった。これに対し、調査対象の成人の11%が、アメリカがヨーロッパでの紛争に巻き込まれることをあまり心配していないと答え、4%が全く心配していないと答えた。

また、今回の世論調査では、ロシア・ウクライナ紛争がアメリカ国内の核に対する恐怖心を促していることも分かった。

調査対象の成人の71%が、ロシアのウクライナ侵攻により、世界のどこかで核兵器が使用される可能性が高まったと思うと回答した。また、25%の回答者は、モスクワの侵攻は世界中で核兵器が使用される可能性に影響を与えていないとし、4%は可能性を減らしたと答えた。

今回の世論調査は、ロシアがウクライナとの紛争で核兵器に頼る可能性を各国の指導者たちが議論している中で行われた。先進7か国(G7)の首脳たちは先週、ロシアに対し、ウクライナ紛争で化学兵器、生物兵器、核兵器を使用しないよう警告を発した。

G7首脳は「私たちは、化学兵器、生物兵器、核兵器、または関連物質の使用のいかなる脅威に対しても警告を発する。私たちは、ロシアが加盟している国際条約の下での義務を想起し、私たち全員を保護する」と声明に明記した。

G7首脳は「この点で、私たちは、国際的な不拡散協定を完全に遵守している国家であるウクライナに対するロシアの悪意ある、全く根拠のない偽情報キャンペーンを断固として非難する」と付け加えた。

今回の世論調査は、ロシア・ウクライナ紛争が2ヶ月目を迎えようとしていた3月17日から3月21日にかけて実施されたものだ。ロシアのウラジミール・プーティン大統領は2月24日にウクライナへの軍事作戦を指示し、侵攻のきっかけとなった。

しかし、ロシアの侵攻は、ウクライナ軍の頑強な抵抗により、多くの地域で阻まれている。

アメリカは、ウクライナ上空の飛行禁止区域の宣言を拒否し、ウクライナにアメリカ軍を派遣しないと宣言し、ドイツの米空軍基地へのMiG-29戦闘機の移送というポーランドの提案を拒否するなど、紛争を通じてロシアと直接対立することを避けるよう努力している。

しかし、バイデン大統領は先週、NATO条約と第5条(同盟国の1つに対する攻撃は全てに対する攻撃と見なす)に対するアメリカの関与を繰り返した。

今回の調査は1082名の成人を対処に実施され、誤差は4ポイントだ。

(貼り付け終わり)

(終わり)


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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
20211129sankeiad505

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