古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:米中首脳会談

 古村治彦です。

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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)

 日中関係は冷え込んでいるという表現が生温いほどに悪化している。2025年11月の高市早苗首相の不要な台湾に関する発言から、すでに半年ほどを経過し、改善の努力は続けられていると思うが、成果は見られない。これは、近衛文麿首相の「爾後国民政府を対手(あいて)とせず」並みの日中関係における重大なマイナス発言として、後世の歴史家たちから評価されるだろう。あの時に謝って撤回しておけばここまでのことにはならなかった。高市首相は国益を毀損した首相である。


 米中首脳会談(5月14~15日)、中露首脳会談(5月20日)が行われ、ここで、日本の「新型軍国主義(Neo-Militarism)」について、中国の習近平国家主席が警告を発したという報道がなされている。米中首脳会談では議題に出る予定ではなかったのに、習主席が激しい言葉遣いで日本の新型軍国主義を非難したことに、アメリカ側が驚いたということだ。トランプ大統領は北朝鮮の脅威があるので日本の防衛費は増加しているという趣旨の発言をしたということだが、そもそも、どうしてアメリカ大統領が日本の弁護をしなければならないのかと大いに不満を持ったと思う(実際にはアメリカが大幅増額を要求しているのであるが)。「アメリカが増額するように命令しているからですよ」とはいくらトランプ大統領でも言えなかったようだ。「日本はあなたのところの属国だ。しっかり管理をしてくれなければ困る」ということになったようだ。トランプ大統領は帰りの飛行機から高市首相に15分間電話をしたそうだが、その内容は伝わっていない。「まぁ何とかとりなしておいたから」と言ったと考えられるし、「少しはおとなしくしろ」と言った可能性もある。

 中露首脳会談後の共同声明では、日本の「新型軍国主義」への非難の言葉が記載されている。米中首脳会談での話はあくまでメディアによる取材で出てきた話であるが、中露首脳会談の共同声明はきちんとした証拠となる。中国とロシアが日本の「軍国主義」傾向に警戒感を持っているということを公に示した。国連常任理事国で、日本の隣国である中国とロシアがそのような態度となっている。この状況は非常にまずい。これで日本国内に核武装の機運が高まるということになれば、国連憲章第53条や第107条にある「敵国」認定される可能性もある。もちろん、アメリカが国連安全保障理事会で拒否権を発動してくれて、日本が攻撃されることはないだろうが、今の日本は非常に危うく外側からは見えている。

 中国側が使う「新型軍国主義(xin xing jung guo zhu yi)」という言葉は、新型コロナウイルスの中国語訳である「新型冠状病毒(xin xing guan zhuang bing du)」を連想させる。ある意味では、ここに救いがある。「日本は新型軍国主義ウイルスに感染している状態で病気なのだからその治療をすれば元に戻る」と中国側は見てくれていると考えることもできる。

 日本は少子高齢化が世界で最も進み、経済力は衰え、国力研究会に今更研究をしてもらわなくても国力は大きく衰退している。日本は21世紀の「東亜病夫(sick man of East AsiaDōngyà bìngfū)」である。この言葉は19世紀末に衰退していた清朝に対して使われた言葉である。病気から目を逸らすために、病気の痛みや苦しさから目を逸らすために、「排外主義」や「過激なナショナリズム」に走り、果てには核武装を言い出す人たちが出てくる。それを外側から煽り立てる勢力がいる。現在のような状況が続けば、日中間の不測の事態、思いがけない武力衝突の可能性が高まるばかりだ。日本が東アジアと世界の不安定要因にならないためにも現在のような極右的志向を改めることが重要だ。
 しかし、日本人は全体として新型軍国主義というウイルスを避けるための「免疫システム(immune system)」である「知性」や「思考力」が極端に低下している。このウイルスとの戦いに勝てるかどうかは甚だ悲観的にならざるを得ない。

(貼り付けはじめ)

中国の習近平国家主席はドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で日本の「再軍備」を激しく非難した(Xi Jinping railed against Japan’s ‘remilitarisation’ at Donald Trump summit

-習主席は、アメリカの同盟国である日本の防衛費増額を批判する際に、激しい口調で発言した。

デメトリ・セヴァストプロ(ワシントンDC)、ジョー・リーヒー(北京)、レオ・ルイス(東京)筆

2026年5月25日

『フィナンシャル・タイムズ』紙

https://www.ft.com/content/70e922b3-c423-40f2-9c9d-1c64a38e026b?syn-25a6b1a6=1

北京で行われたドナルド・トランプ米大統領との首脳会談で、習近平中国国家主席は高市早苗首相に対し、日本の「再軍備(remilitarisation)」を激しく非難した。会談に詳しい7人の関係者が明らかにした。

習主席は日本について語る際、声を荒げ、感情的(vocal and agitated)になった。首脳会談前には中国側との協議で日本問題が取り上げられていなかったため、アメリカ政府当局者たちは驚いた。複数の関係者によると、習主席の激しい非難は、2日間にわたる首脳会談の中で最も白熱した場面(the most heated part)だったという。

習主席が高市首相と日本の防衛費増額を厳しく批判した後、トランプ大統領は、北朝鮮の脅威の高まりを理由に、日本はより積極的な安全保障姿勢を取る必要があると応じた。トランプ大統領が、日本の最大の安全保障上の懸念事項である中国について、同じ文脈で言及したかどうかは不明である。

元ホワイトハウス対日担当高官のクリストファー・ジョンストンは、習主席の日本に対する「辛辣なアプローチ(caustic approach)」と、トランプ大統領の米中関係安定への願望を利用しようとする試みは、安全保障における自立を目指す日本の姿勢を改めて裏付けるものだと述べた。

「習近平の自己認識の欠如は驚くべきものだ。彼自身の行動が、より強力な日本の台頭を加速させている」とジョンストンは述べた。

「中国の反日的なレトリックは、自国国境の外では支持を得ていない。・・・東京は、オーストラリア、フィリピン、そして韓国を含む地域全体のパートナー諸国との安全保障関係を強化している。これらの国々は皆、『再軍備(remilitarizing)』を進める日本よりも、攻撃的な中国をはるかに懸念している。」

日本は毎年発表する防衛白書において、北朝鮮よりも中国の脅威を優先的に挙げてきた。2023年以降、中国の軍事活動と対外姿勢を「最大の戦略的課題(greatest strategic challenge)」と位置づけている。2026年版防衛白書の草案では、中国による近年の軍事的強硬姿勢の高まりに焦点を当て、北京とモスクワの軍事協力の深化に「深刻な懸念(serious concern)」を表明している。

北京と東京の関係は、昨年11月、高市首相が台湾への中国の攻撃は日本にとって「存立の危機(existential threat)」となり、自衛隊の派遣を正当化する可能性があると発言したことに対し、中国が激しく反発して以来、急激に悪化している。高市首相の発言は政策変更を意味するものではないものの、中国からの非難を招いた。

中国はその後も日本に対する攻撃を繰り返し、レアアースの軍民両用輸出制限といった具体的な措置と、言葉による攻撃を織り交ぜながら攻撃を続けている。中国外務省は金曜日、日本が2025年までに防衛費を9.7%増額したと発表した。

中国外務省は続けて、「日本の防衛予算は14年連続で増加しているにもかかわらず、日本の右派勢力は依然として防衛費増額を声高に要求している。これは、日本の『平和国家(country for peace)』という仮面が剥がれ落ち、新軍国主義(neo-militarism)へと傾きつつあることを改めて示している」と述べた。

ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、世界第2位の軍事費支出国である中国は、昨年、防衛費を7.4%増の3360億ドルに引き上げた。これは31年連続の増額となる。一方、日本の防衛費は620億ドルだった。

高市首相は台湾に関する発言後、トランプ大統領やアメリカ政府高官からほとんど支持を得られなかった。この状況は、米中首脳サミットを前に、トランプ大統領が日本についてどのような発言をするのかという不安を東京にもたらした。

トランプ大統領はワシントンへの帰路、エアフォースワン機内から高市首相に電話をかけた。しかし、ホワイトハウスと日本政府は、大統領が高市首相に何を話したかについて詳細を明らかにしていない。

習近平国家主席との首脳会談について、あるアメリカ政府高官は、トランプ大統領が「日本国民への深い敬意と高市首相との親密な個人的関係を強調した(emphasised his deep respect for the Japanese people and his close personal relationship with Prime Minister Takaichi)」と述べた。

この高官はさらに、「アメリカ代表団は、在日アメリカ軍の大規模な駐留について中国側に改めて注意を促した(The US delegation reminded Chinese counterparts about the large US military presence in Japan)」と付け加えた。

日本政府は、トランプ大統領による同盟諸国への関税賦課から、イラン核戦争によって対中米軍事抑止力が弱体化しているとの懸念まで、日米同盟の現状について不安を抱いている。

『フィナンシャル・タイムズ』紙は土曜日、アメリカが今月、日本に対し、中国への「反撃(counterstrike)」力として日本が2024年に発注したトマホークミサイル400発の納入が大幅に遅れる可能性があると伝えたと報じた。

トランプ大統領が北京で、台湾への140億ドル規模の過去最高額の武器売却案は中国との交渉において有効な「交渉材料(negotiating chip)」になると述べたことを受け、同盟国やパートナー国はワシントンの台湾への関与について懸念を表明している。

『フィナンシャル・タイムズ』紙は金曜日、中国が、アメリカが台湾への武器売却案を承認するかどうかを明確にするまで、国防総省の政策担当高官(国防次官)であるエルブリッジ・コルビーの北京訪問を保留していると報じた。

在米中国大使館は習近平国家主席の発言についてコメントしなかったものの、日本の「右派勢力(right-wing forces)」が「地域平和の基盤を・・・揺るがそうとしている()shake the...foundation of regional peace」と非難した。

駐米中国大使館はさらに、「日本はまず何よりも、台湾に関する誤った言動を改め、無謀な再軍備の動き(reckless remilitarisation drive)を止め、良き友好関係(good neighbourliness)と友情(friendship)平和的発展(peaceful development)という正しい軌道に戻り、具体的な行動によってアジア諸国や世界の信頼を得るべきだ」と付け加えた。

日本の首相官邸はコメントを拒絶した。

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習近平氏、高市首相に言及し激高…中国外務省は否定

5/25() 18:15配信 読売新聞オンライン

https://news.yahoo.co.jp/articles/6b59e21248db3cac7208c4a5c9920c91eaec724f

 【ワシントン=栗山紘尚】英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は24日、北京で14~15日に行われた米中首脳会談で、中国の習近平(シージンピン)国家主席が、高市首相が「再軍備」を進めているとして声を荒らげて激高したと報じた。複数の関係者からの情報として伝えた。

 報道によると、習氏は会談で日本の防衛費増額の取り組みが話題になった際、口調を強めた。トランプ米大統領は日本の防衛強化策について、北朝鮮の脅威を引き合いに出し、「日本は積極的に防衛力強化を進めざるを得ない」と擁護したという。2日間の会談で、「最も緊迫した場面」だったと伝えている。

 報道について、中国外務省の毛寧(マオニン)報道局長は25日の記者会見で「中米首脳会談については、既に発表している。報道は中国が把握している内容とは異なる」と否定した。

 トランプ氏は3月に高市首相と会談した際、「習氏との会談では、日本を称賛するつもりだ」と話していた。習氏は今月20日、ロシアのプーチン大統領との首脳会談後の共同記者発表でも「軍国主義を復活させる挑発行為に反対する」と日本を批判した。

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中露が共同声明で「再軍備加速」と日本を名指し批判 プーチン氏、2日間の訪中終え帰国

5/21() 11:34配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/69fe43d836f28814268b07ea0cbe4dcf09759a7b

【北京=三塚聖平】中国国営新華社通信は20日夜、習近平国家主席とロシアのプーチン大統領が同日の会談後に署名した「全面的戦略協力のさらなる強化と善隣友好協力の深化」に関する共同声明の内容を伝えた。共同声明は「日本で加速する『再軍備』が、地域の平和と安定を深刻に脅かしている」と主張し、日本を名指しして批判した。

中国は、高市早苗首相の台湾有事を巡る国会答弁を機に対日姿勢を硬化させており、ロシアと対日圧力でも連携を強化する可能性がある。

共同声明は、中国が主張する「新型軍国主義」という言葉も使い、日本側に「残酷非道な侵略の歴史に基づき、第二次大戦の全ての結果を認める」ことを求めた。日本で非核三原則の見直しを求める意見が出ていることに触れ、「日本の右翼勢力の容認できない野心と極端な挑発行為」への「警戒」を表明した。

米国とイスラエルによるイランへの攻撃に関しては、「国際法などに違反し、中東情勢の安定を甚だしく損なう」との認識で一致した。名指しを避けつつも米国を念頭に「一部の国が覇権主義を追い求め、新植民地主義の思考に固執している」と批判した。

ロシアが侵略したウクライナに関する問題については、「対話と交渉を通じた解決策の追求を継続することを支持する」と表明した。

新華社は、「世界の多極化と新型国際関係」に関する共同声明の内容も伝えた。中露両国で「多極世界と、より公正な新型国際関係の形成に向けた共通ビジョンの構築を継続する」としている。

プーチン氏は20日夜、2日間の中国訪問日程を終えて帰国の途に就いた。同日夜には習氏とプーチン氏が北京の人民大会堂でお茶を飲みながら会談した。中国外務省によると、習氏は、中露関係について「高い質の発展を続け、さらなる高みへ至ると信じている」と強調した。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 古村治彦です。

 なんだか盛り上がらないままで、ドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席との米中首脳会談は終了した。何も大きな発表はなく、イラン戦争もウクライナ戦争もそのままということで、石油価格が短期的に下落することはないだろう。一方、中国側にとって十だったのは、台湾問題である。台湾問題で、アメリカ側から何らかの譲歩を引き出すことであった。台湾有事でアメリカ軍が支援することはしないとか、独立宣言を認めないといったことを公文書で記録しておくことを中国側は求めていただろうが、これはアメリカ政界内の親台湾派が許さないということもあって、厳しかっただろう。台湾問題については、トランプ大統領は中国訪問中には何も発言しなかった。しかし、アメリカに帰国後に、フォックスニューズでのインタヴューで、台湾独立に明確に反対する姿勢を示した。

 トランプ大統領はインタヴューの中で次のように述べている。

「何より、私たちは9500マイル(15289キロ)も離れた場所まで行って戦争をしなければならないということになる。私はそんなことを望んでいない。彼らには冷静になって欲しい。中国にも冷静になって欲しい(You know, we're supposed to travel 9,500 miles (15,289km) to fight a war. I'm not looking for that. I want them to cool down. I want China to cool down)」「私たちは戦争を望んでいない。現状維持であれば、中国もそれで構わないと思う。しかし、『アメリカが私たちを支持しているから独立しよう』と言うような事態は望んでいない(We're not looking to have wars, and if you kept it the way it is, I think China's going to be OK with that. But we're not looking to have somebody say, 'Let's go independent because the United States is backing us)」

 アメリカは中国と直接戦争することができない。万が一、中国が台湾に対して武力を行使することになってもアメリカ軍は出動することはないだろう。中国は現状維持で、少しずつ経済的な統合から始めて、時間をかけながら台湾を取り込んでいくことになるだろう。ここで邪魔になるのは、反中国で凝り固まって、何が何でも中国と戦いたいとする勢力である。これは、台湾にも、日本にも、アメリカにもいる。彼らが不測の武力衝突を行わせようとしてくるのは何とも怖いことだ。日中戦争も、第一次世界大戦も一発の銃声から始まったことを考えると、このような危険な勢力の蠢動こそが世界平和にとっての害悪である。

 日本の高市早苗首相の台湾有事に関する発言はトランプ大統領の今回の発言とは全く異なる内容だ。勇ましい内容ではあったが、これによって日中関係は冷え込み、イラン戦争が起きている現状で、この冷え込みの悪影響が少しずつ出てきている。トランプ大統領は放言も多いが決して馬鹿ではない。この点が高市早苗首相との最大の相違点ということになる。そして、今回のトランプ大統領の発言からは、米中首脳会談で、米中間で台湾に関して何らかの合意なり、取り決めがあったということが推測される。勇ましいだけで、梯子を外された高市早苗首相が何とも滑稽でもある。

(貼り付けはじめ)
トランプ大統領は中国の習国家主席との首脳会談から数時間後、台湾に対し独立宣言をしないよう警告した(Trump warns Taiwan against declaring independence, hours after summit with China's Xi

イアン・アキマン筆
BBC
2026年5月16日

https://www.bbc.com/news/articles/ce8p61v7l68o

ドナルド・トランプ米大統領は、台湾が中国からの正式な独立を宣言しないように警告を発した。

トランプ大統領は、北京で行われた習近平国家主席との2日間の首脳会談を終えた金曜日、フォックスニューズに対し、「私は誰かが独立することを望んでいる訳ではない(I'm not looking to have somebody go independent)」と述べた。

頼清徳台湾総統は以前、台湾は既に主権国家(a sovereign nation)であると認識しているため、正式な独立を宣言する必要はないと述べている。

アメリカは長年にわたり台湾を支援しており、法的義務として台湾に自衛手段を提供する義務を負っているが、この同盟関係と中国との外交関係の維持との間でしばしば折り合いをつけざるを得ない状況にある。

トランプ大統領は以前、自治権を持つ台湾について「どちらの立場にも確約はしていない(made no commitment either way)」と述べていた。中国は台湾を自国領土の一部と主張し、武力による併合も排除していない。

ワシントンの確立された立場は、台湾の独立を支持しないというものであり、北京との関係維持は、中国政府は一つであるという認識をアメリカが受け入れることを条件としている。

北京は台湾総統への嫌悪感を公然と表明しており、以前にも彼を「トラブルメーカー(troublemaker)」「両岸平和の破壊者(destroyer of cross-strait peace)」と表現したことがある。

台湾人の多くは自らを独立した国家の一部だと考えているが、大半は台湾が中国から独立も統一もせず、現状維持(the status quo)を望んでいる。

トランプ大統領はフォックスニューズのインタヴューで、この問題に関するアメリカの政策は変わっていないと改めて述べた。

「何より、私たちは9500マイル(15289キロ)も離れた場所まで行って戦争をしなければならないということになる。私はそんなことを望んでいない。彼らには冷静になって欲しい。中国にも冷静になって欲しい(You know, we're supposed to travel 9,500 miles (15,289km) to fight a war. I'm not looking for that. I want them to cool down. I want China to cool down)」。

ワシントンへの帰路、トランプ大統領は記者団に対し、習近平国家主席と台湾について「たくさん(a lot)」話し合ったと述べたが、アメリカが台湾を防衛するかどうかについては議論を避けたと語った。

トランプ大統領は、習主席は台湾に対して「非常に強い思い入れ(feels very strongly)」を持っており、「独立運動を望んでいない(doesn't want to see a movement for independence)」と述べた。

中国国営メディアによると、習国家主席は会談で「台湾問題は米中関係において最も重要な問題だ」と警告し、「対応を誤れば、米中両国は衝突、あるいは紛争に発展する可能性もある」と付け加えた。

トランプ大統領は、台湾を巡る中国との紛争を予見しているかと問われ、「いや、そうは思わない。大丈夫だろう。習主席は戦争を望んでいない("No, I don't think so. I think we'll be fine. [Xi] doesn't want to see a war)」と答えた。

中国は近年、台湾周辺で軍事演習を強化しており、地域の緊張を高め、ワシントンが築いてきたバランスを試している。

昨年後半、トランプ政権は台湾への110億ドル相当の武器売却を発表した。これには最新鋭のロケットランチャーや各種ミサイルが含まれており、北京はこれを非難した。

トランプ大統領は、この売却を進めるかどうか近いうちに決定すると述べ、習近平国家主席と「非常に詳細に(in great detail)」協議したと付け加えた。

さらに、「今、台湾を統治している人物、つまり誰のことかは皆さんも知っているだろうが、その人と話をする必要がある」と述べた。

アメリカは台湾と正式な外交関係はないものの、非公式ながら相当な関係を維持している。米大統領は伝統的に台湾の指導者と直接対話することはなく、もしそうすれば、台湾の頼清徳総統を分離主義者(a separatist)とみなす北京との間で大きな緊張が生じる可能性が高い。

台湾外交部政務次長の陳明祺は土曜日、台湾はトランプ大統領の発言の正確な意味を明確にする必要があると述べた。

陳次長はまた、アメリカによる台湾への武器売却はアメリカ国内法で認められていると述べた。

「台湾とアメリカの武器売買は、常に地域の平和と安定の礎となってきた」と付け加えた。

ロイター通信が引用した頼総統の報道官の発言によると、アメリカによる武器売却は、「アメリカによる台湾の安全保障への関与(US security commitment" to Taiwan)」の一部であり、「地域的な脅威に対する共通の抑止力として機能する(serve as a shared deterrent against regional threats)」とのことだ。

トランプ大統領はフォックスニューズに対し、「私たちは戦争を望んでいない。現状維持であれば、中国もそれで構わないと思う。しかし、『アメリカが私たちを支持しているから独立しよう』と言うような事態は望んでいない(We're not looking to have wars, and if you kept it the way it is, I think China's going to be OK with that. But we're not looking to have somebody say, 'Let's go independent because the United States is backing us)」と述べた。

アメリカは以前、独立問題に関して姿勢を軟化させたとして中国の反発を招いたことがある。

米国務省はウェブサイトから、2025年2月の台湾独立に反対するワシントンの立場を改めて表明する声明を削除した。北京はこれに対し、「分離主義勢力に誤ったシグナルを送るものだ」と批判した。

当時、台湾駐在の米当局者は「私たちは、いずれの側による一方的な現状変更にも反対すると長年表明してきた」と述べた。

台湾外交部長の林佳龍は、米中首脳会談を注視しており、「台湾とアメリカの関係の安定的な深化と台湾の利益の保護を確保するため」、アメリカをはじめとする各国と良好な意思疎通を維持していると述べた。

林部長は、台湾は常にこの地域の「平和と安定の守護者(guardian of peace and stability)」であったと述べ、中国が「攻撃的な軍事行動と権威主義的な抑圧(military actions and authoritarian oppression)」によってリスクを高めていると非難した。
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トランプ氏、台湾に独立宣言しないよう警告

AFP=時事 5/16() 7:52配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/b6dfa0610fbe746f1253b50ac4af692da2567550

AFP=時事】ドナルド・トランプ米大統領は15日、中国訪問で習近平国家主席に台湾を支持しないよう圧力をかけられた後、台湾に対し正式な独立宣言をしないよう警告した。

習氏にとって重要な問題である台湾の独立宣言について、トランプ氏は反対する姿勢を明確にし、台湾が軍事攻撃を受けた場合に米国が台湾を防衛しなければならない理由を疑問視した。

トランプ氏は米FOXニュースの番組「スペシャル・レポート・ウィズ・ブレット・ベイヤー」で、「私は誰かが独立することを望んでいない。それに、戦争をするために9500マイル(約15300キロ)も移動しなければならなくなることも望んでいない」と主張。

「彼ら(台湾)には冷静になってほしい。中国にも冷静になってほしい」「われわれは戦争を望んでいない。現状維持であれば、中国もそれで構わないと思う」と付け加えた。

米国は中華人民共和国が中国の唯一の合法政府であると承認しており、台湾の正式な独立を支持していないが、歴史的に台湾の独立に反対すると明言することは避けてきた。

米国は台湾関係法に基づき、台湾防衛のために武器を提供する義務を負っているが、米軍が台湾を支援するかどうかについては戦略的曖昧さを維持してきた。

習氏は米中首脳会談で、台湾問題で米側が対応を誤れば、「両国は衝突、さらには対立し、中米関係全体を極めて危険な状況へと押しやる可能性がある」と警告した。

台湾の頼清徳総統は、台湾は既に独立国であり、独立宣言は不要だという立場を取っている。【翻訳編集】 AFPBB News

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(終わり)

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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 今回のドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席の首脳会談は地味なものとなった。何か大きなサプライズがあった訳でもなく、華やかなイヴェントもなかった。ドナルド・トランプ大統領が何か重大な発言をすることもなかった。習近平国家主席はこれまで通りに慎重な動きに終始した。馬鹿笑いもハグもなかったし、晩餐会で知っている曲が流れたからと言って場も弁えずに踊り出すような馬鹿なこともなかった。世界政治を動かすということは落ち着いた環境で静かになされるものだということを認識させられた。

 首脳会談の内容について具体的な内容は伝わっていない。しかし、今回の米中首脳会談は「対等な超大国間の首脳会談」という、歴史上初の出来事であったことは間違いがない。これまで中国側で実施された米中首脳会談ではもっとアメリカ側に「媚びた」内容になっていた。しかし、今回は非常に控え目であった。アメリカが中国に辞を低くして臨み、中国は過剰に謙(へりくだ)ることなく、丁寧に接遇した。

 米中首脳間の発言で注目されるのは、「トゥキディデスの罠(the Thucydides Trap)」という言葉だ。習近平主席がトランプ大統領に対して、米中両国間はこの「トゥキディデスの罠」に陥らないように注意しなくてはならないと述べた。「トゥキディデスの罠」という言葉を提唱したのは、ハーヴァード大学教授のグレアム・アリソンだ。アリソンはヘンリー・キッシンジャーの後継者として、中国を何度も訪問し、習近平主席をはじめとする最高指導部と会談し、米中関係の維持、改善に努めている。「トゥキディデスの罠」とは、古代ギリシアのスパルタとアテネのペロポネソス戦争のアナロジーであり、既存の覇権国と新興大国との間には望まなくても戦争が起きてしまうということを警告している。アリソンや「トゥキディデスの罠」について詳しくは拙著『トランプの電撃作戦』(秀和システム)をぜひお読みいただきたい。

 すでにこのブログでも書いたが、中国側は台湾問題について、アメリカ側から大きな譲歩を引き出すことができなかった。そのために、イラン戦争停戦に関して、アメリカの求める停戦に関して大きなお土産を渡すことができなかった。台湾に関して、これまで以上に、中国に有利になるような形で姿勢を変更することはいくらトランプ大統領でも難しい。連邦議会の承認も必要になるし、アメリカ政府各部にいる親台湾派勢力の抵抗もある。したがって、そもそもが今回の首脳会談で大々的に発表することはできないだろう。しかし、アメリカ側の姿勢に何かしらの変化が見られるならば(たとえ小さくても)、何かしらの合意がなされたと見ることは可能であろう。

 今回の米中首脳会談は非常に地味であったが、時代の転換点を象徴する非常に重要な出来事であった。このことは間違いない。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ・習近平首脳会談は驚くほど平凡だった(The Trump-Xi Summit Was Remarkably Banal

-より自信を持つようになっている中国はトランプ大統領の訪問を軽視することを喜んで行っている。

ジェイムズ・パルマー筆

2026年5月15日

『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2026/05/15/trump-xi-summit-china-us-presidential-visit/

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ドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席は北京の天壇公園(Temple of Heaven)を訪問した(2026年5月14日)

今週、中国の報道を読み、見ていた人なら、ドナルド・トランプ米大統領の北京訪問を全く見逃していたとしても仕方ないことだ。

トランプ大統領が到着した水曜日、国営英字紙『チャイナ・デイリー』紙の一面は、習近平国家主席がタジキスタン大統領と握手する写真で埋め尽くされた。一方、中国共産党機関紙『人民日報』紙は、トランプ大統領の訪問に関する論評を3面まで追いやった。

中国で最も視聴率の高い夜のニュース番組「新聞聯報」は、月曜日にわずか12秒の報道でトランプ大統領の訪問を報じた。比較のために付け加えると、その後には「長江デルタの統合的発展は新たな突破口を開き続けている」と題した約6分間の特集が続いた。水曜日のトランプ大統領と習近平国家主席の会談は、放送時間でわずか2分半しか割かれず、13番目に位置づけられた。

結果的に、中国側がドラマチックな演出をほとんどしなかったのは、むしろ適切だったと言えるだろう。トランプ大統領の訪問は退屈極まりないものだった。習主席は政治的な決まり文句に終始し、台湾、民主政治体制と人権(democracy and human rights)、中国の「方途とシステム(path and system)」、そして「発展の権利(development right)」といったお決まりのレッドライン(red lines)について語った。「発展の権利」とは、ワシントンに押し下げられることなく、世界経済の階段を駆け上がる中国の能力を指す。

習主席はまた、お気に入りの話題にも触れた。二国間関係は競争(competition)ではなく安定(stability)でなければならない。既存の強大国と新興大国の間の対立というトゥキディデスの罠(the Thucydides Trap)を回避しなければならない。アメリカと中国は共に、常に未来に向かって前進し続けなければならない。

トランプ大統領と習主席は、貿易に関するいくつかの小さな譲歩、例えばアメリカ産食肉処理場の中国への輸出許可などを除けば、実質的な合意はほとんどなかったようだ。しかし、それもすぐに覆されたようだ。(この明らかな逆転は、突然の不遇の兆候ではなく、すでに政府の保護を求めていた中国の農業関係者による迅速なロビー活動の結果だと解釈すべきだろう。)

中国がボーイング機を購入するという約束など、期待されていた合意は会談前の噂を下回り、市場を失望させた。イラン、台湾、日本、その他の地政学的に係争中の問題については、進展はおろか、本格的な議論すら見られなかった。トランプ大統領は習近平国家主席がイランへの武器供与を「強く(strongly)」拒否したと述べたが、中国によるイランへの軍事支援は既に水面下で行われているため、この発言は何の意味も持たない。

しかし、過去の米大統領の中国訪問は、たとえ重要な成果がほとんど得られなかったとしても、中国の厳しく統制されたメディアで大々的に報じられていた。なぜ今回の訪問について、北京はこれほど沈黙を守ったのだろうか? 一つの理由は予測不可能性(unpredictability)だ。過去の米大統領は中国訪問の際、事前に合意された議題に沿って行動し、発言も抑制的かつ慎重だった。トランプ大統領にそのような姿勢を期待する者は誰もいない。

過去の訪問では、中国メディアは事前に準備を整え、万が一事態が悪化した場合に自らの立場が危うくなるリスクを負うことなく、事前に報道することができた。今回は、どの新聞編集者もメディア検閲官も、トランプ大統領の訪問を肯定的に報じれば、大統領の激しい発言後に「重大な政治的過ち(serious political mistakes)」と非難されることを恐れた。

過去の大統領訪問の際も、中国指導者たちはワシントンからの承認を通じて自国の正当性(validation)を確立しようとした。アメリカは世界的な超大国(the global superpower)として認められ、中国は対等な立場で寛大なホスト国(a peer and a gracious host)として振る舞うことで、自国民の目から見て地位を高めた。米大統領はもちろん、それほど地位の高くない要人でさえ訪れたレストランは、たちまち人気スポットとなった。今回、トランプ大統領の随行員の一人である台湾系アメリカ人のIT界の大物ジェンスン・フアンだけが、こうした人気を集めることができた。

ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマの中国訪問は、メディアで大きく取り上げられ、国民の強い関心を集めた。2017年のトランプ大統領の初訪問も同様だった。しかし今回は、イラン戦争におけるアメリカの失敗を皮肉るコメント(sardonic commentary over U.S. failure in the Iran war)や、トランプ大統領の従順で礼儀正しい態度を称賛する声(some praise for Trump’s submissive and mannered approach)を除けば、ソーシャルメディアのユーザーたちでさえ関心を示さなかったようだ。(中国のソーシャルメディアは、重要な国賓訪問の際によくあることだが、いつも以上に検閲されていた。)

中国はもはやアメリカからの承認を必要としていない(China no longer needs that validation from the United States)。製造業超大国(a manufacturing superpower)としてだけでなく、技術・科学大国(a technological and scientific giant)としても、その世界的な優位性は十分に確立されている。一方、アイソレイショニズム的で同盟諸国に敵対的、そして軍事的に苦戦している政権下で、アメリカの世界的なリーダーシップはかつてないほど不安定に見える。長年のパートナー国でさえ、ワシントンに対抗するために北京に接近している。

実際、今回の訪問中、承認を求めていたのはトランプ大統領の方だったようだ。しかも、国家レヴェルではなく、個人的な承認を求めていた。トランプ大統領は習近平国家主席を惜しみなく称賛し、フォックスニューズに対し、「ハリウッドに行って、映画に出演する中国の指導者を探しても・・・彼のような人物は、容姿も含めて、どこにも見つからないだろう」と語った。

トランプ大統領から予想外の称賛を受けた他の人物とは異なり、習主席はカリスマ性で知られているわけではない。中華人民共和国建国の父の一人の息子である習近平は、党の長老たちが「太子党(princelings)」に対して一般的に警戒心を抱いていたにもかかわらず、最高指導者の地位に就くことを許された。その理由の1つは、彼らが習近平を、同じく太子党出身の薄熙来のような危険なカリスマ性を持たない、堅実な共産党員だと誤解していたからである。

トランプ大統領は強権的な指導者を好むことで知られ、中国の独裁体制をしばしば称賛してきたが、今回は習近平から何か特別なものを求めていたようだ。奇妙なことに、トランプ大統領は「とルース・ソーシャル(Truth Social)」における投稿で、習近平がアメリカを「おそらく衰退国家(perhaps being a declining nation)」と「上品に(elegantly)」表現したと述べた。これは会談の中国側の発表には記載されていない。トランプ大統領が過去の発言を指していたのか、あるいは想像上の発言だったのかは不明だが、いずれにせよ、トランプ大統領は習近平がバイデン政権のことだけを指していたに違いないと示唆した。なぜなら、今のアメリカは「世界で最も熱い国(the hottest Nation anywhere in the world)」だからだ。

トランプ大統領の卑屈な態度(Trump’s obsequiousness)は、米中間の力関係と認識の真の変化を反映しているのかもしれない。しかし、これは地政学的な問題というよりは心理的な問題であり、支持率の低下とイラン戦争をめぐる弁明の強化によって、トランプ大統領自身の不安が高まっていることの表れとも言えるだろう。

いずれにせよ、米中関係の相対的な安定は今のところ揺るぎないように見える。その大きな理由は、米中両国とも他国との紛争に巻き込まれ、国内経済も停滞しているため、戦争を望む余裕がないからだ。

※ジェイムズ・パルマー:『フォーリン・ポリシー』誌副編集長。Blueskyアカウント:@beijingpalmer.bsky.social

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首脳会談からドナルド・トランプと習近平が求めるもの(What Trump and Xi Want From Their Summit

-両首脳は貿易、台湾問題、イラン核戦争について協議すると予想されている。

ジェイムズ・パルマー筆

2026年5月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/12/trump-xi-china-summit-visit-taiwan-trade-japan/

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ワシントンのホワイトハウスを出発する際に報道陣に語りかけたドナルド・トランプ米大統領(2026年5月12日)

今週に北京で開催されるドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席による待望の首脳会談についてプレビューする。

ドナルド・トランプ米大統領は水曜日に北京に到着し、習近平中国国家主席と2日間の首脳会談を行う予定だ。現職の米大統領による中国訪問は、2017年(トランプ大統領の1期目)以来となる。

こうした会談に歴史的な意義を見出したくなるのは当然だろう。特に、1972年のリチャード・ニクソン元大統領の中国訪問が大きな転換点となったことが記憶に残っているためだ。実際には、米大統領は中国大統領と定期的に会談しており、その結果も通常は定型的だ。しかし、今回の会談間隔は異例に長い。

ジョー・バイデン前大統領は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックによる二国間関係の悪化のため、在任中に中国を訪問することはなかった。トランプ大統領にとって今回の北京公式訪問は2回目となり、歴代大統領の訪問回数とほぼ同水準となる。バラク・オバマ大統領は在任中に3回、ジョージ・W・ブッシュ大統領は4回、ビル・クリントン大統領は1回北京を訪問している。

習近平国家主席は、13年間の在任期間中にアメリカを公式訪問したのは4回だが、他の行事の場で歴代大統領と会談したことは数多くある。

しかし、これらの首脳会談は、太平洋のどちら側で開催されようとも、依然として機会となっている。例えば、2015年には、オバマ大統領と習近平国家主席はワシントンへの公式訪問中に、重要なサイバーセキュリティ協定に合意した。では、両首脳はこの首脳会談で何を求めているのだろうか?

トランプ大統領は明らかに、何らかの象徴的な貿易協定または投資協定を狙っている。会談は主に米財務省が主導しており、トランプ大統領は多数の企業CEOを同行させている。彼の1期目の対中政策を特徴づけていた構造改革要求やタカ派的な優先事項の多くは姿を消し、政府内の国防・安全保障専門家は首脳会談に向けた準備段階で蚊帳の外に置かれている。

新たな貿易協定が締結されれば、2020年に合意された「第一段階(Phase One)」の合意を必然的に想起させるだろう。この合意では、中国は2000億ドル相当のアメリカ製品を購入すると約束したが、新型コロナウイルスの影響もあり、その約束は果たされなかった。今回中国が約束を履行するかどうかは、トランプ大統領にとって見かけ上の印象ほど重要ではないだろう。彼は、見出しを飾り、自身の支持率低下を相殺できるような象徴的な数字を求めているのだ。

注目すべきは、人権問題がアメリカの議題から完全に抜け落ちていることだ。トランプ政権下では人権は事実上死文(a dead letter)となっている。せいぜい、交渉担当者が求めるのは、中国の出国禁止措置の対象となっている少数のアメリカ市民の釈放くらいだろう。別の政権であれば、サイバーセキュリティも議題に上がるはずだ。特に昨年、ソルト・タイフーン・ハック(the Salt Typhoon hack)がワシントンに衝撃を与えた後ではなおさらだ。

習近平国家主席の優先事項はやや異なる。関税引き下げは歓迎すべきことではあるが、必須ではない。中国はトランプ政権の貿易戦争を比較的容易に乗り切り、昨年の輸出額は過去最高の3兆8000億ドルに達した。習主席はむしろ安全保障面での譲歩を求める可能性が高く、特に注目すべき分野が3つある。

第一に、中国は短期的には、自国経済と湾岸諸国の経済を圧迫しているイラン戦争の終結を望んでいる。中期的には、中国は、トランプ大統領が日本の高市早苗首相に対し、中国による台湾侵攻は日本の軍事介入を正当化するという立場を撤回するよう働きかけることを望んでいる。

最後に、中国は長期的には、台湾に関するアメリカの立場を恒久的に変更することを望んでおり、これには武器売却の停止、さらには中国による侵攻があった場合のアメリカの介入の可能性も含まれる。

最初の目標は、少なくとも中国の圧力だけでは実現しそうにない。2つ目の目標は、トランプ大統領が昨年、北京の意向を代弁して高市首相に電話をかけたことを考えると、より現実的だ。しかし、それが東京の姿勢に影響を与えるとは限らない。高市首相は、政策問題に関しては自らの立場を堅持しつつ、トランプ大統領を巧みに取り込む手腕を発揮してきたからだ。

台湾に対するアメリカの対応は大きな問題であり、習近平国家主席は、中国がアメリカに対して圧力をかける姿勢を昨年、アメリカが中国に対して圧力をかける姿勢よりも強かったことを考えると、優位な立場で首脳会談に臨むことになる。中国の重要鉱物資源に関する脅威はホワイトハウスを動揺させ、米中両国間の報復関税の応酬が急激に沈静化するきっかけとなった。

習近平はトランプが媚びへつらいを好むことを理解しているものの、小国が時折見せるような露骨な迎合行為(the overt displays of deference)には手を染めない。ここで金冠を戴くようなことはあり得ない。習近平自身の国内イメージにとって、トランプと対等(equal)、あるいはそれ以上の存在(superior)として見られることが重要なのだ。

一方、トランプは中国に対する経済制裁の行使にますます消極的になっており、エヌヴィディア(NVIDIA)のジェンスン・フアンCEOの働きかけを受けて、高度な人工知能チップの輸出をほぼ全面的に容認した。中国は、主要分野における依存度と安全保障上の弱点を軽減する能力を高めている。

しかし、台湾問題でアメリカから実質的な譲歩を引き出す可能性は低い。既に述べたように、アメリカが台湾防衛を放棄する代わりに中国が譲歩するという、信頼できる「大取引(grand bargain)」は成立し得ない。トランプ大統領の約束だけでは信用できず、事実上台湾を明け渡すという拘束力のある約束は、アメリカ連邦議会を通過することは決してないだろう。

それでも、北京は象徴的な勝利を収めることができるかもしれない。中国当局は台湾に関する用語に極めて重きを置き、しばしば言葉のニュアンスを他国の政治的立場を示す指標として解釈する。こうした好ましい表現は、指導者たちが愛国心を示そうとするにつれて、時代とともに変化していく。

例えば、2010年代初頭、中国の国営メディア幹部は、英語の報道において「台湾人(Taiwanese)」という呼称を用いることは、台湾を国家として認めることを意味するとして、使用を禁止した。北京は状況に応じて、台湾を「台湾島(Taiwan island)」「台湾省(Taiwan province)」「台湾地域(Taiwan region)」などと使い分けることができる。

トランプ大統領に中国の立場を反映した表現、例えば「アメリカは台湾が中国の一部であることを認める(the United States accepts that Taiwan is part of China)」といった表現を使わせるのは容易かもしれない。しかし、これは長年にわたる複雑なアメリカの政策とは相容れない。アメリカの政策は「一つの中国(one China)」という概念と中国共産党の正統な代表を認めつつも、台湾が中国の一部であるか否かについては公式な立場を取らず、中国が台湾を中国の一部と主張する立場を容認しているに過ぎない(no official stance on whether Taiwan is a part of China, although it acknowledges China’s position that it is.)。

トランプ大統領がこのような発言をすれば、台北では警戒感が高まり、ワシントンでは超党派の反発を招くだろう。台湾支持は共和党、特に連邦上院議員の間で強く、議員たちは首脳会談を前に既に懸念を表明している。

こうした反発がトランプ大統領にとってどれほど重要かは不明だ。彼は来月には容易に立場を撤回する可能性があり、そもそも立場変更を認めない可能性もある。

※ジェイムズ・パルマー:『フォーリン・ポリシー』誌副編集長。Blueskyアカウント:@beijingpalmer.bsky.social

(貼り付け終わり)

(終わり)

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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 下記論稿は米中首脳会談が実施される前に発表された論稿である。ドナルド・トランプ大統領の3日間にわたる(実質は2日)北京訪問は、中国とアメリカが「peer(対等、同僚)」の関係にあり、世界の「G2」であるということを明確に示す機会となった。中国側にとっての最大のおもてなしは、中国最高指導部が職務を行い、居住する「中南海」にトランプ大統領を招き入れ、昼食やお茶を共にしながら会談を行ったことであろう。歴代のアメリカ大統領でいえば、キャンプ・デイヴィッド、トランプ大統領であれば邸宅マール・ア・ラーゴに外国首脳を招き入れるようなものだ。

今回の首脳会談では、共同宣言や共同記者会見は実施されなかったので、会談の中身を詳しく知ることはできないが、イラン問題についてアメリカ側から積極的な働きかけがあり、台湾問題については中国側から積極的な働きかけがあったと考えられる。アメリカとしては、自分たちが不利な状況のままで膠着状態のイラン戦争を早く停戦させたい。そして、中東地域から離脱したい。中国としては「ほうほう、それはお困りですね。私にできることはして差し上げたいですが、私どもにも問題がありましてね」ということで、台湾問題に関して、アメリカから台湾有事の際にアメリカ軍を出動させないという確約を求めたいところだ。イラン問題解決を条件にして、台湾有事不介入確約を中国は求めたはずだ。

 しかし、これがうまくいかなかったのだろう。アメリカ政界内には強硬な反中、新台湾勢力がいる。民主、共和両党にまたがっている。トランプ政権だけでこれをどうこうすることはできない。イラン戦争停戦と天秤にかけて、台湾に関して重大な譲歩をするところまでは追い込まれていないということになる。中国側もそれならばイラン戦争に関して、私たちにできることは限られますねということになる。そうなると、米中首脳会談の成果はゼロどころかマイナスになって、トランプが何をしでかすか分からない。そこで、飛行機や大豆を買ってやって宥める、あやすということをして、「経済面で大きな進展があった」というお土産を持たせてあげたということになる。

 「お土産をいただいて、国内でその成果を誇る」という形は、これは朝貢である。日本も歴史上、中国の歴代王朝に朝貢をしていた。朝貢とは自分たちが持っていたものよりも価値のあるものを貰って帰ってくることだ。今回の米中首脳会談はアメリカ側による朝貢だというのは言い過ぎになってしまうだろうが、実質はそうだ。トランプ大統領としては経済的成果を強調して、支持率を少しでも上げたいところだ。関連して重要なのは、9月に習近平夫妻をアメリカに招待したことだ。アメリカの中間選挙前、中国の国慶節前ということで、ここでも何かしら成果の強調(中国によるアメリカへの投資など、中国とアメリカが台頭になっていることの強調)が行われるということになるだろう。この時に、イラン戦争停戦に関して何かの動きがあれば、「世界をリードする対等な超大国中国とアメリカが平和をもたらす」ということになる。しかし、イラン戦争に関しては9月までとは言わずに、一日も早い停戦が望まれるところであるが。

(貼り付けはじめ)

対中強硬派だったトランプに何が起こったか?(What Happened to Trump the China Hawk?

-アメリカ大統領ドナルド・トランプは緊張緩和(detente)と交渉合意(dealmaking)の姿勢で北京へ向かう。

リシ・イエンガー筆

2026年5月12日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/12/trump-china-hawk-xi-jinping-covid/

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ドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席(右)が北京の人民大会堂で開かれた公式晩餐会(a state dinner)に出席(2017年11月9日)

ドナルド・トランプ米大統領が約10年前に最後に北京を訪問して多くのことが起きたが、そうでないと考える人がいても無理はない。

トランプ大統領は水曜日に中国の首都北京へ向かう。今回の訪問は、平和共存(peaceful coexistence)、巨額のビジネス取引(business deals with big dollar amounts attached)、習近平中国国家主席への称賛(praise for Chinese President Xi Jinping)といった、2017年の前回訪問時と同様の、イメージを重視したものになると予想されている。

しかし、この2回の訪問の間、トランプ大統領は2018年7月に始まった数年にわたる貿易戦争、中国のハイテク企業ファウェイ(Huawei)に対する長年にわたる世界的な攻勢、中国のソーシャルメディアプラットフォームティックトック(TikTok)の禁止、そして中国企業がアメリカの先端技術にアクセスするのを阻止するための輸出規制などによって、対立を激化させてきた。

そして、もちろんのことだが、2019年末に中国で発生した新型コロナウイルス感染症の流行は、トランプ大統領の北京に対する怒りを決定づけた転換点となったようだ。

「特に、パンデミックが世界経済を完全に崩壊させ、大統領の再選の可能性をほぼ確実に潰してしまうという認識が広まったことがきっかけだった」と地政学的リスクアドヴァイザリー会社ガーノート・グローバルのマネージングディレクターであるライザ・トービンは語っている。第一次トランプ政権の国家安全保障会議の中国担当ディレクターを務めたトービンは、トランプのタカ派への転換(Trump’s hawkish turn)を間近で見てきた。「彼は習近平がパンデミックを早期に封じ込められなかったことを非難し、その後、この関係はうまくいっていないので、デカップリングする時だと判断した」と彼女は付け加えた。「そしてその時点で、彼はスタッフにデカップリング政策を推進する権限を与え、それが任期の残りの期間、私たちが実行したことだった」。

トランプは再選に関して正しかった。2020年11月の選挙で落選し、民主党のジョー・バイデンが後任となった。バイデンはホワイトハウスに入るにあたり、トランプがワシントンの国際的地位に与えた損害を修復すると公約した。しかし、対中政策に関しては、バイデンはトランプの路線を踏襲し、多くの技術輸出規制を強化し、中国製自動車の輸入禁止といった新たな政策を導入し、実際にTikTokの禁止法に署名した。

バイデン政権で国家安全保障問題担当大統領補佐官を務め、対中政策の主要立案者の1人だったジェイク・サリヴァンは次のように語っている。「トランプ政権時代を通して、米中関係の中核的な原則として、『関与(engagement)』というスローガンが『競争(competition)』というスローガンに取って代わられたことを認識した。トランプ政権時代、私たちは効果的に競争できると同時に、その競争を効果的に管理できる戦略を策定することに時間を費やした」。

その結果、過去6年間で、中国がアメリカにとって最大の敵対国であり国家安全保障上の脅威であるという超党派のコンセンサスがワシントンで形成され、民主党と共和党双方を駆り立ててきた。

しかしながら、それが今もトランプ大統領を駆り立てているかどうかは定かではない。トランプ政権はこの1年間で、テクノロジー大手エヌヴィディア(Nvidia)が製造する一部の先端半導体チップの中国への販売を承認し(ただし、実際に販売されたチップはまだない)、中国の技術的脅威を担当する商務省の主要人員を削減し、国家安全保障会議を大幅に縮小した。その中には、中国関連の専門家を10人以上解任することも含まれている。さらに、TikTokに対しても方針転換し、中国の親会社であるバイトダンス(ByteDance)が株式とアルゴリズムの管理権を維持することを認める合意を締結し、TikTokのアメリカでの事業継続を認めた。

トランプ大統領は習近平国家主席への称賛を惜しみなく続け、月曜日の記者会見では習主席を「素晴らしい人物(amazing man)」と呼び、中国を「鉄の拳で(with a pretty iron fist)」統治する手腕に感嘆を示した。また、トランプ大統領は(今回が初めてではないが)習主席との会談で台湾への武器売却について協議する意向を示した。これは、数十年にわたり米台関係を支えてきた「6つの保証(Six Assurances)」のうち2つ目を破ることになる。

​​それでは、トランプ大統領の2期目における明らかな心変わりは何が原因なのだろうか?かつての対中強硬派のトランプ大統領はどうなったのか? そして、このより融和的な姿勢は、今週後半に予定されている習主席との会談にどのような影響を与えるのだろうか? これらの疑問を解明するため、『フォーリン・ポリシー』誌は、トランプ政権内部の協議内容を匿名で語ることを希望した現職および元政府関係者十数名と、長年中国情勢を注視してきた専門家数名に話を聞いた。トランプ大統領の2期目における対中政策の転換は、彼の性格(personality)、プラグマティズム(pragmatism)、そして優先事項(priorities)によって左右されるものだということが明らかになった。

トランプ政権1期目と2期目の対中戦略の最大の違いは、中国問題にとどまらず、トランプ政権の統治方法の変化にもある。トランプ大統領は、1期目と比べて意思決定をはるかに中央集権化し、専門知識よりも忠誠心を重んじ、ごく少数の側近のみを信頼するようになった。その中心人物は、不動産開発業者出身で友人でもあるスティーヴ・ウィトコフと、娘婿のジャレッド・クシュナーだ。彼らはガザ地区、ウクライナ、イランにおける3つの戦争終結に向けた交渉の中心人物として活躍してきた。

しかし、ウィトコフとクシュナーが関与していない唯一の分野は中国問題だ。スコット・ベセント財務長官が主導権を握り、世界最大の2つの経済大国間の「安定(stability)」と「均衡(equilibrium)」を提唱している。「リスクを軽減する必要があるが、デカップリングは避けるべきだ」とベセント長官は先月『ウォール・ストリート・ジャーナル』紙に語った。

しかし、第二次トランプ政権では、トランプ自身の意見以外で中国問題に関して発言する余地ははるかに少なくなっている。第一次トランプ政権の国務省で中国政策を担当し、第二次政権で昨年4月まで国家安全保障会議に所属していたデイヴィッド・フェイトは次のように語っている。「トランプ大統領は最初の任期中、政権全体とホワイトハウスのあらゆる部署から、中国とのあらゆる競争に関するアイデアを提案する、かなりボトムアップ型の政策プロセスを監督していた。2期目では最初の任期とは異なるやり方で政権運営を行っている。それは全体的に言えることであり、中国に関しても同様だと思う」。

トランプ政権の幹部には依然として伝統的な対中強硬派が何人かいるものの、彼らは概して蚊帳の外に置かれ、発言権を奪われている。「2期目のトランプ大統領が1期目とは異なる対中姿勢を取っていることを示す一例として、大統領の外交・国家安全保障問題担当大統領補佐官がマルコ・ルビオであることが挙げられる。ルビオは過去10年間、ワシントンで最も雄弁で、あらゆる面で対中強硬派として知られていたが、現政権では対中活動は極めて限定的かつ選択的で、ほとんど沈黙に近い形でしか行っていない」とある元トランプ政権高官は語った。この人物は続けて、「ルビオは対中問題に非常に真剣かつ思慮深く、トランプ大統領が望み期待する国家安全保障問題担当大統領補佐官兼国務長官になろうと真剣に取り組んでいる。彼は大統領が望む側近でなければならない」と述べた。

特に対中問題において、トランプ政権はこれまで以上にトランプ大統領自身から直接指示を受けている。国務省報道官トミー・ピゴットは『フォーリン・ポリシー』誌に次のように語っている。「大統領が外交政策を策定し、政権がそれを実行する。ティームメンバー間の素晴らしい協力関係と個人的な関係は、大統領のマネジメント能力とリーダーシップ能力の証拠となっている。そして、歴史的な成果は紛れもない事実だ。マルコ・ルビオ国務長官は、より安全で、より強く、より繁栄したアメリカの実現に向けて取り組むトランプ大統領政権の一員であることを光栄に思っている」。

トランプ大統領のより穏健なアプローチを後押しするもう1つの要因は、北京がワシントンに対して反撃する意思と、実際に大きな打撃を与える能力を持っていることだ。

トランプ大統領は、2025年2月に中国製品に10%の関税を課し、その後複数回にわたって引き上げ、最終的には145%にまで引き上げるという、1期目の終盤と同様のやり方で2期目を開始した。

しかし今回は、中国は強力な反撃に出た。4月には、世界生産を支配しているレアアース鉱物数種に輸出規制を課した。これらのレアアースは、アメリカが依存する多くの技術や軍事用途において不可欠な要素である。この強硬な動きは、ほぼ即座に一連の協議につながり、6月にはアメリカが一部の輸出規制を緩和する代わりに、中国が重要鉱物の採掘許可を再開するという合意に至った。それから約4カ月後、トランプ大統領は2期目に入って初めて習近平国家主席と韓国の釜山で直接会談し、より広範な貿易休戦協定(a more expansive trade truce)を結んだ。

「実際、政権は北京が解放記念日の関税措置に対し、重要鉱物資源への攻撃的な対応で応じたことに、ほとんど不意を突かれた形だった」とトランプ政権の元高官は述べた。「大統領や側近の多くは、この事態に大きな懸念を抱き、中国との関係をより慎重に進める必要があると認識した。そして、この考えは昨年の政権運営の多くを説明している」。

ジェイコブ・ヘルバーグ米国務次官(経済成長・エネルギー・環境担当)は、トランプ政権は現在、中国との関係安定維持に注力すると同時に、自国のサプライチェインの多様化にも力を入れていると述べた。ヘルバーグは、重要鉱物資源を含むハイテクサプライチェインの安全確保を目指すアメリカ主導の国際協力枠組みである「パックス・シリカ(Pax Silica)」構想を統括している。この構想には現在、ノルウェー、フィンランド、オーストラリア、イスラエル、インド、日本、フィリピンなど15カ国が加盟している。

ヘルバーグは、中国によるレアアースの兵器化は、アメリカだけでなく世界各国にとって「前例のない転換点(unprecedented watershed)」だと述べた。続けて、「政権は、これは全く容認できないと明確に表明し、当然ながら多くの協議を経て、より良い均衡を見出すことができた。それが釜山合意につながり、現状は安定している」とも語った。

ヘルバーグは、こうした変化がトランプ大統領の政策における大きな転換点であるという見方を否定し、次のように述べた。「マスコミは、指導者の心理や国家元首の頭の中で何が起こっているのかを過剰に解釈し、憶測しようとする傾向がある。現在、世界情勢が不安定な中で、世界最大の経済大国である米中両国の安定は、世界の利益にかなう。政治的安定を維持しながら、経済的に平和的に競争することは可能だ。大統領はこの点について明確に述べており、矛盾はないと考える」と語った。

トランプ大統領の見解は、昨年12月に発表された国家安全保障戦略(national security strategy)で概説されたように、中国を「ほぼ同等の国near-peer()」と広く認識するようになったことによっても強化されている。この戦略は、ワシントンがあらゆる場所で、あらゆることを同時に行おうとする姿勢から脱却し、自国の勢力圏(spheres of influence)を優先することを強調している。今年初めのヴェネズエラ侵攻決定や、キューバの政権交代を画策したとされる動きは、その典型例と言える。

ワシントンDCにあるアメリカン・エンタープライズ研究所の研究員で、バイデン政権時代に国務省の米中関係担当顧問を務めたライアン・フェダシウクは次のように述べている。「大統領の外交政策を概ね理解する最良の方法は、彼が勝てる戦いを選んでいると考えることだ。中国は、現政権にとって勝てる戦いの対象ではない」。

しかしトランプ大統領は、中東地域における新たな政権転覆工作にも苦慮しながら北京へ向かう。2カ月以上前に開始したイランとの戦争は、今や脆弱な停戦協定にかかっている。そのため、中国との平和維持は喫緊の課題となっている。2017年の訪中時に習近平国家主席に対し北朝鮮の核兵器開発計画放棄を迫ったように、トランプ大統領は今回も習主席に圧力をかけ、中国のもう1つの同盟国であるイランに圧力をかけると見られている。イランは中国にとって主要な石油供給国であり、国際的なパートナーでもある。トランプ大統領はこれまでも繰り返し、イランを交渉のテーブルに着かせるために北京がより多くの行動を取るよう促してきた。

共和党のリンジー・グラハム連邦上院議員は火曜日の連邦上院公聴会で、トランプ大統領に同行するピート・ヘグセス国防長官に質問した際に次のように述べた。「トランプ大統領、中国を訪問する際には、あなたが話をする相手がロシアとイランを支援している人物であることを認識すべきだ」。グラハム議員はさらに、「世界中のどの国よりも、中国こそがこの戦争を終結させる上で最も大きな影響力を持つことができる国だ」と続けた。

イラン問題以外で、トランプ大統領にとって今週の首脳会談の重点は、積極的な取引を通じて中国との関係をさらに正式なものにすることにあるだろう。アップルのティム・クックCEOやテスラのイーロン・マスクCEOなど、中国とのつながりが深い企業幹部10数名がトランプ大統領に同行し、ボーイング機やアメリカ製農産物の中国による購入に関する重要な発表が期待されている。

ハーヴァード大学ケネディ・スクールの創設学部長で政治学教授のグラハム・アリソンは、「トランプ大統領はまさにビジネスマンの視点からこの問題に取り組んでいる」と述べ、「基本的にはライヴァル関係にあるが、非常に相互依存(interdependence)が強く、その相互依存は双方にとって有益であるべきだと考えている」と続けた。

アリソンは、トランプ大統領や習近平国家主席が「和解(rapprochement)」や「緊張緩和(detente)」といった言葉を使うとは予想していないが、「新たなパートナーシップ、あるいは素晴らしいパートナーシップの始まりと呼ぶかもしれない(might call this a new partnership or the beginning of a beautiful partnership)」と述べた。

このパートナーシップがどれくらいの期間、機能し続けるかはまだ分からない。ここ数週間、トランプ政権からはタカ派的な動きがいくつか見られ始めており、イラン産原油を処理する中国の精製業者に対する二次制裁や、4月下旬にホワイトハウスがディープシーク(DeepSeek)などの中国製AIモデルの訓練において中国が「アメリカ産業の革新技術を組織的に抽出し、模倣している」と非難する覚書などが含まれる。

前述のトービンは次のように語っている。「数カ月前までは、『中国』という言葉を口にすることさえ許されなかった。休戦協定があったので、中国を公然と批判することさえ許されなかった。しかし、今は明らかに状況が変わった。中国は現在、休戦協定を破るような重大な行動は控えつつも、より一般的な国家安全保障上の行動に積極的に関与している」。

トービンは、中国はおそらくこの慎重な姿勢を維持しようとするだろうと付け加えた。その一因として、トランプ大統領と習近平国家主席とのさらなる首脳会談の開催を模索している。習主席は今年後半にワシントンを訪問する予定であり、両首脳による追加会談も視野に入っている。

トービンは次のように述べている。「中国は、トランプ大統領をこうした一連の対話に引き込むことができれば、成功とみなすだろう。なぜなら、トランプ大統領が他国の首脳との直接会談をいかに重視しているか、そして首脳会談に向けて官僚主義的な動きを抑える傾向があることを、中国は既に認識しているからだ。もし彼らが、より多くの会合を開くという確約を取り付け、トランプ陣営に新たな輸出規制、新たな関税、新たな投資規制などを保留させるような心理的な制約を課すことができれば、それは成功と言えるだろう」。

※リシ・イエンガー:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Blueskyアカウント: @iyengarish.bsky.socialXアカウント:@IyengarishInstagramアカウント:@iyengar.rishi

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