古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:米国債

 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になります。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに行きます。

 ドナルド・トランプの一挙一投足に世界が振り回されている。現在、世界を振り回しているのはトランプ関税だ。トランプ政権が全ての国に対して10%の関税と、それ以外に選ばれた60カ国に追加の関税を課すということで大騒ぎになっている。トランプ関税のうち、追加関税は実施まで90日の延期が発表された。トランプ政権の動きに世界各国の株式市場が敏感に反応し、株価は乱高下した。
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ニューヨークの株価の推移
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日経平均株価の推移

トランプ関税の目的は、アメリカの製造業における競争力を取り戻すこと、アメリカ製品を世界中に輸出することが目的だ。アメリカが抱える巨額の貿易赤字を削減することもまた目的である。アメリカ製品を買うと言っても、魅力的な製品があるかと言われると思いつく物品はない。アメリカの農産物と言っても「まぁ安ければ」という程度だ。アメリカ車はアノ大きさ、力強さが好きだという人はそこまで多くないだろう。埼玉県南部や東京を歩いていても、アメリカ車を見かけることはほぼない。販売店がどこにあるかも分からない。アメリカからの製品で重要なのは、天然資源であり、石油や天然ガスだ。それも「国際的に納得できる価格なら」ということになる。

 アメリカが輸出志向になる際に重要なのはドルの価値だ。私が小学生だった1980年代前半は、日米貿易摩擦が激しかった頃で、親や先生が時事解説として、色々と教えてくれた。「どうして1ドル235円が230円になったら円髙で、逆になったら円安って言うの?」というところから始まって、輸出や輸入について簡単に教えてくれた。そこで、子供心に「日本は円安の方が良い、それは日本の自動車や電気製品がアメリカや諸外国で売れやすくなるからだ」ということが刷り込まれた。これを敷衍すれば、トランプが求めているのはドル安だ。しかし、現在はドル高の状態にある。ドルの購買力が高く、輸入品が安く入ってくるが、輸出はしにくいということになる。為替を何とかしなければ、関税だけでは、輸出のしにくさや貿易赤字を解消することはできない。
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円ドル為替の推移

 そこで出てきているのは「マールアラーゴ合意(Mar-a-Lago Accord)」という話だ。これはドル安(円高)のための多国間の取り決めを行うということで、その会場が、トランプ大統領の邸宅であるマールアラーゴになるというものだ。これに関して、トランプ政権の大統領経済諮問委員会(Council of Economic AdvisersCEA)委員長のスティーヴン・ミラン委員長がヘッジファンド会社「ハドソン・ベイ・キャピタル」の上級ストラティジストだった2024年11月(大統領選挙直後)に発表した論文が重要だと今年に入ってから報道されてきた。この報告書の内容は簡単に言えば、ドル安に誘導するために、関税を取引材料にするというものだ。ドルの価値は過大に評価されており、購買力が実態よりも高い状態になっているのを是正するというものだ。
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スティーヴン・ミラン

 ドルはこれまで世界の基軸通貨(key currency)として機能してきた。これは、石油の取引はドルでだけ行うというペトロダラー(オイルダラー)体制が機能してきたからだ。極端に言えば、アメリカはドルを刷りさえすれば、世界中から物が買える状態であった。そのために、莫大な貿易赤字を抱えることになった。アメリカとの貿易で利益を得た国々は、稼いだドルを「世界一安全な資産」(笑止千万)である米国債を購入することで、ドルがアメリカに戻るということになり、それがアメリカ国民の生活を下支えすることになった。このような状況を第2次トランプ政権は変革しようとしている。マネーゲームであぶく銭を稼いだり、借金で生活するのではなく、モノ作りに励み、きちんと働いて、倹約をするという生活をアメリカ国民が行う(アメリカ勃興期はそうしていたはずだ)ことを目指すという点で、最新刊『トランプの電撃作戦』で書いたように、トランプ政権は「維新」政権なのである。

 アメリカの家系が借金漬けという話はよく聞く。実際に1世帯で、住宅ローンで約3600万円、住宅を担保にしてのローンで約600万円、その他に約1500万円の借金がある。これは平均であるが、アメリカ国民がこれだけ借金ができるのはドルの強さのおかげだ。しかし、インフレが進行する中で、貧困層を中心に多くのアメリカ国民が生活困難に陥り、ホームレスになったり、犯罪に手を染めたりという話は日本でも報道されている。
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アメリカの家計全体の借金と平均

 このような借金漬けの状態を何とかしなければアメリカが立ち行かなくなるということは誰が見ても明らかだ。しかし、誰も手を付けようとしてこなかった。ここで、トランプが何とかしようとして、関税に取引材料にして、アメリカの体質を改善させようとしているのだが、これは厳しい試みになるだろう。既に、アメリカ国債の金利が急上昇し(アメリカ国債が売られている)、国内金利の急上昇を招く状態になり、慌てて、追加関税発動の90日間の日延べを決めた。これは、中国がアメリカに対してのけん制で行ったものだろう。農林中金が行ったという見方もあるようだが、日本勢にそのようなこと、つまり米国債売却をする度胸はない。中国が対抗できる実力を十分に見せたことで、関税に関して、米中間の真剣な交渉ということになる。トランプ政権側は虚心坦懐にアメリカの苦境を述べて、中国の支援を求めるだろう。単に中国と無益な争いをするために、高関税を中国に課すというような非合理な、馬鹿げたことはやらない。ここから交渉である。

 日本は世界最大の米国債保有国であるが、ここで外貨準備の構成やアメリカ一辺倒の経済政策や外交政策を見直すという動きを行うべきだ。ある意味でその機会である。アメリカは日本のことなど気にしてくれない。最大の米国債保有国であるのに、アメリカ政府とアメリカ国民の生活を支えているのが日本であるというのに。私たちはアメリカの属国という状況を抜け出すという最大の国益を練糖に起きながら、あらゆる状況に対処すべきだ。

(貼り付けはじめ)
関税の次は為替戦争か、米国「100年物米国債押し売り」までほのめかす

4/9() 13:36配信

中央日報日本語版

https://news.yahoo.co.jp/articles/ccdbe59385bfaeaa5cb151b0bf126780b853477b

トランプ米大統領が「関税戦争」の次に「為替戦争」を選ぶ可能性が大きくなっている。米国が慢性的な貿易赤字と財政赤字を解決するため関税緩和を口実にドルの価値を下げる「第2のプラザ合意」を要求するだろうという見通しが出ている。

◇「弱いドル」望むトランプ大統領、「マールアラーゴ合意を検討」

ニューヨーク・タイムズなど外信は8日、トランプ政権がドル相場を調整する多国間協議体である「マールアラーゴ合意」を検討していると明らかにした。マールアラーゴはトランプ大統領が所有するリゾートの名前だ。過去の「ブレトンウッズ体制」や「プラザ合意」が交渉場所であるリゾートの名前を使ったのをまねた名称だ。

米国がドル価値調整を試みる可能性が大きいのは為替相場が持つ相殺効果のためだ。実際に2019年の米中貿易紛争当時、中国は人民元を切り下げて米国が課した関税効果の4分の3以上を相殺したという分析がある。

米国の貿易赤字と財政赤字の「双子の赤字」が基軸通貨であるドルの構造的強さのためという見方も為替戦争の可能性を裏付ける。他国が基軸通貨であるドルを準備資産として蓄積しドルの価値が過度に上がり、これによって米国の輸出競争力が落ちたという解釈だ。このため自国の製造業復活を掲げるトランプ政権としてはドル高を必ず抑える必要がある。

◇関税緩和口実に「弱いドル、100年物国債押し売りの可能性」

米国政府の最近の関税施行が「弱いドル」を作るための布石という具体的なシナリオも出ている。ホワイトハウスのミラン経済諮問委員長は昨年11月の大統領選挙直後にまとめた報告書で、「懲罰的関税以降、欧州と中国のような貿易パートナーが関税引き下げの見返りとして通貨協定にさらに受容的になるだろう」とした。関税を先に課した後、これを緩和する見返りとしてドル安に同意する、いわゆるマールアラーゴ合意を導くことができるという主張だ。

問題はドル安を人為的に作る時に発生しうる影響だ。ドルが基軸通貨の地位を維持するには、それだけ強い需要がなければならず、そのためにはある程度のドル価値は維持されるほかない。だがドル高が続けば経常収支赤字は累積する。結局ドル基軸通貨体制では経常収支赤字を避けることができないといういわゆる「トリフィンのジレンマ」が発生する。

ミラン委員長は報告書でこのジレンマを解決するために「100年物米国債」を同盟国に事実上「押し売り」しなければならないと主張した。同盟国に米国政府が超長期で無料に近く資金を借り入れて長期間ドルに対する需要を維持するということだ。この場合、ドル安でもドルの基軸通貨としての覇権は続くというのがミラン委員長の考えだ。ミラン委員長は「関税というムチ、防衛の傘というニンジンを活用すればそうした取引に同意させられる」と報告書に書いた。

◇プラザ合意時は「3安好況」「いまは当時と違う」

米国が「ドル安体制」を実際に試みるならば、韓国経済に及ぼす影響は複雑だ。ひとまずドル安自体は韓国経済に大きく悪くないとの分析が多い。過去のプラザ合意時は輸出競合国である円の価値が大きく上がり、韓国の輸出競争力が上がった前例がある。プラザ合意後に韓国は低金利・原油安・ドル安の「3安好況」の恩恵を受け高い経済成長率を記録した。今回の米国の貿易紛争の主な当事者は中国だが、人民元を切り上げる場合、中国と競争する韓国の輸出品が相対的に利益を得られる。

ただプラザ合意当時と状況が違うという指摘もある。漢陽(ハニャン)大学経済学科のハ・ジュンギョン教授は「円と違い人民元はウォンと同調するので人民元が上がればウォンも一緒に上がり、韓国の輸出品に大きな利益は発生しないだろう。プラザ合意当時は韓国が貿易赤字国だったが、いまは黒字国のため米国はどんな形でも黒字を減らそうとする可能性が大きい」と指摘した。

◇「中国は従わないだろう、実現の可能性小さい」

トランプ式為替戦争の実現の可能性そのものが低いという分析も出ている。プラザ合意当時は主な交渉対象である日本とドイツが米国の国防力に依存していたため合意が比較的容易だった。だが今回は中国を相手にしなければならないため交渉自体が困難という説明だ。かえって関税と為替政策を大きく調整する状況で金融不安だけ拡大しかねないという懸念が大きい。

梨花(イファ)女子大学経済学科の石秉勲(ソク・ビョンフン)教授は「過去とは違い大多数の国が変動為替相場制を採択している状況で米国の強要により為替相場を人為的に調整するのは事実上不可能だ。結局トランプ大統領は中間選挙用に業績として掲げる投資誘致や防衛費引き上げのような他の反対給付を要求する可能性が大きい」と話した。
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●「「マールアラーゴ合意」とは何か、ドルへの影響は-QuickTake

Enda Curran、アンスティー・クリストファー

2025227 11:38 JST

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-27/SS8UW9T0AFB400

・米輸出競争力を高めるためのドル安誘導合意の臆測が飛び交っている

・内需拡大や為替介入、金利調整などの合意を通じて実現か

トランプ米大統領が対外貿易の在り方を大きく変える積極的な計画を打ち出していることを受け、ドルを意図的に弱くし、米国の輸出企業が中国や日本などのライバルと競争しやすくする多国間協定の可能性を巡り臆測が飛び交っている。

 アナリストの間では既に、フロリダ州パームビーチにあるトランプ氏の私邸にちなんで、「マールアラーゴ合意」という名前が定着している。

 注目されているのは、トランプ氏が大統領経済諮問委員会(CEA)委員長に指名したスティーブン・ミラン氏が、ヘッジファンド会社ハドソン・ベイ・キャピタルのシニアストラテジストだった202411月に発表した論文だ。

 ミラン氏はこの論文で、グローバルな貿易システムの改革と、「持続的ドル高」がもたらす経済不均衡の是正に向けたロードマップを提示した。

 トランプ氏の周辺でこのような考えを持つのは同氏だけではない。スコット・ベッセント氏は財務長官に指名される前の昨年6月、今後数年間で「何らかの壮大な経済再編」が起こると予測していた。

■「マールアラーゴ合意」は何を目指しているのか

 トランプ氏は、製造業と輸出の復活を含む米国の黄金時代を実現すると約束している。米貿易赤字の規模についても長年懸念している。赤字は24年に1兆2000億ドル(約179兆円)という過去最大を記録した。

 問題は、ドルの為替レートが歴史的に見て強含みで推移しており、輸入品を相対的に安価にすることで米国の競争力を損なっていることだ。

 実際、一部のアナリストは、通貨の国内購買力などを考慮する経済モデルに基づき、現在のドルは過大評価されているとみている。過大評価とその影響は、米政府がドル高に対処する何らかの合意を他国と結ぶ動機になる。

■これまでに同様の合意に達したことはあるか

 ある。1985年、先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)が開かれたニューヨークのホテルの名にちなんで「プラザ合意」と呼ばれる協定が、同じような状況(高インフレ、高金利、ドル高)の中で締結された。米国とフランス、日本、英国、西ドイツ(当時)の間で各国通貨に対してドル安に誘導する合意が成立した。

 この協定は、ドルの大幅な上昇が世界経済に悪影響を及ぼしているという認識に基づいてまとめられた。ドル高は、インフレ抑制を目的としたボルカー米連邦準備制度理事会(FRB)議長(当時)の金融引き締め、レーガン大統領(同)の減税や歳出拡大という積極的な財政政策によって加速していた。

 当時、米議員らは米国への主要な輸出国だった日本を保護主義だとし、対日批判を繰り返し、現在の中国とよく似た状況だった。プラザ合意はドル安誘導に成功したが、その後の行き過ぎた円高を招く要因になったとされた。

 87年には「ルーブル合意」が結ばれ、ドル安の流れに歯止めをかけ、円高の抑制が試みられた。日本では、これらの合意が「失われた10年」として知られる90年代の経済停滞の一因だと考えられるようになった。

 中国経済がデフレ圧力や不動産危機、製造業の過剰生産能力に直面する中で、日本の教訓は中国にとって決して見過ごせるものではない。

■「マールアラーゴ合意」はどのように機能するのか

 従来の手法では、米国の貿易相手国が自国内で生産する製品の内需拡大を誓い、製造業の対米輸出依存の軽減を図る。

 外国為替市場に介入して通貨を望ましい方向に誘導するという取り決めを盛り込むことも可能だが、外為市場の取引高は1日当たり7兆5000億ドルと膨大なため、これは難しいだろう。

 金利調整に関する規定を設けることも可能だが、80年代の合意当時よりも中央銀行の独立性が高まっているため、この分野での誓約は問題視され得る。

 ミラン氏とベッセント氏の昨年の発言からは、両氏がこれまでのテンプレートを超えることを望んでいることがうかがえる。

 ドルが世界の準備通貨であるため、他の国々はドルを買い続ける。その結果、ドルは過大評価され続け、米国の製造業に大きな負担となり続ける。多国間協定はドル高圧力の要因を減らす必要がある。

■米国の債務は協議の対象となるのか

 最近の臆測の一つに、米財務省が100年後が満期のゼロクーポン債を発行するというアイデアがある。

 ミラン氏は昨年11月の論文で、元クレディ・スイスのアナリストで調査会社エクス・ウノ・プルレスの創業者であるゾルタン・ポジャール氏が同年6月の論文で提案した米国と軍事同盟国との合意に言及している。それによると、米国が安全保障を担保する見返りとして、同盟国はこの100年債の購入を義務付けられる。

 

 米財務省が発行済み米国債の外国保有分を長期ゼロクーポン債に交換するという案もある。参加を拒否する同盟国は、安全保障が担保されなかったり、関税を課されたり、あるいはその両方の措置を取られる可能性がある。

■米国債のこうした再編はどのような結果をもたらすのか

 考えられるのは、米金利低下と財政赤字縮小、ドル安進行というシナリオだ。しかし、こうした急進的な考え方は、29兆ドル規模の米国債市場の信頼性を損なうリスクがある。

 連邦政府は長年にわたり、債券発行は「規則的かつ予測可能」に行うべきだと主張してきた。同盟国に債務スワップや100年債の購入を迫れば、米国債市場の評判に予測不可能なダメージを与えかねない。

 米国債が長きにわたって世界のベンチマークであり続けてきた主な理由は、流動性が高い、つまり取引が容易と見なされ、普遍的に理解されている法の支配に従っていることだ。

 この現状を覆すことになるという見通しから、債務スワップを伴う「マールアラーゴ合意」が実現するとは考えにくい。

■トランプ氏は強いドルを支持しているのではなかったのか

 トランプ氏と政権の経済チームは、米国は今後もドル高政策を堅持するつもりだと述べており、貿易決済にドルを使わないことを目指す新興国に対して関税を課すと示唆している。

 世界経済の中心におけるドルの役割を支える政策を推進しながら、同時にドル安政策も模索するというのは、政権にとって極めて難しいかじ取りとなるだろう。

■ドル安が米経済にもたらし得るリスクは何か

 ドル安は輸入コストを押し上げ、その結果としてインフレ率を上昇させ得る。また、利回りの高さや安全資産としての地位を求めて米資産に群がる投資家を追い払う結果になり、資金の一部がユーロや円など競合する通貨に流れる可能性もある。
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●「ウォール街が警戒する「マールアラーゴ合意」-国際金融秩序の再編も」

Liz Capo McCormick

『ブルームバーグ』日本版

2025221 12:39 JST 更新日時 2025221 16:22 JST

保有する米国債と超長期国債との交換を外国債権者に強制とのうわさ

ドル安誘導と借り入れコスト引き下げを目指すアジェンダの一環か

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-02-21/SS05KZDWRGG000

それはあまりに過激で、深く考える正当性すらないように思われた。米国の債務負担軽減のため、トランプ大統領が外国の債権者の一部に対し、保有する米国債と超長期国債との交換を強制する可能性があるというのだ。

 「マールアラーゴ合意」のうわさが広がり始めた後、ビアンコ・リサーチの創業者ジム・ビアンコ氏は、話し合いのため20日に顧客を集めた。

 それが近い将来に起きるとビアンコ氏は考えていないが、そのことはある意味で本題ではない。トランプ氏は、今後4年で国際金融秩序全体を一変させる可能性が十分あるとはっきり述べており、ウォール街は備える必要がある。

 30年余りの市場経験を持つベテランのビアンコ氏によれば、米国の債務負担を劇的に再編するという考えは、関税を用いて国際貿易を刷新し、ドル安を誘導し、最終的に借り入れコストを引き下げるというトランプ政権チームのアジェンダ(政策課題)の一環であり、いずれも米国の産業を世界の他の国・地域とより対等な立場に置く狙いがある。

 トランプ氏が既に着手した政府系ファンド創設や、安全保障で同盟国により大きな負担を求めることもプランの要素に含まれる。

 ビアンコ氏はウェビナーで、「ここで今起きていることについて、大きな視点で大胆に考え始めなければならない。マールアラーゴ合意は実際に存在するわけではなく、コンセプト(構想)であり、金融システムの一部を根本的につくり変える計画だ」と主張した。

 トランプ政権のアジェンダの背景にあるアイデアの多くは、大統領経済諮問委員会(CEA)委員長に指名されたスティーブン・ミラン氏が202411月に公表した論文に基づいている。元財務省上級顧問のミラン氏は、「持続的なドル過大評価」に起因する経済的不均衡の解消と、国際貿易システム改革に向けロードマップを提示した。

 ビアンコ氏によると、ベッセント財務長官の見解とそれは必ずしも食い違うものでない。ベッセント氏は20日、ブルームバーグ・テレビジョンとのインタビューで、「米国は強いドル政策をなお堅持している」と語った。

 「ミラン氏とベッセント氏は、同じ聖歌シートから歌っているように見える。全体の構想としてドルの価値を下げ、金利の価値を下げ、国の負債負担を減らすことを期待しており、それが彼らがやろうとしていることだ」とビアンコ氏は指摘した。

 同氏は債務スワップのアイデアやトランプ氏のより急進的な提案全般に言及し、「真剣に受け止める必要があり、字面通りに受け取ってはいけない。トランプ氏が北大西洋条約機構(NATO)をつぶして構わないと考えているとすれば、金融システムをつぶして構わないと考えない理由があるだろうか」と警告した。

 ニューヨークのプラザホテルで1985年に開催された先進5カ国蔵相・中央銀行総裁会議(G5)でのドル高是正のための「プラザ合意」、米ニューハンプシャー州ブレトンウッズで1944年に開かれた連合国国際通貨金融会議で締結され、第2次大戦後の国際通貨体制の枠組みを定めたブレトンウッズ協定は、現代の国際経済システム確立の重要な節目となった。

 いずれも討議の舞台となったリゾート名に由来しており、マールアラーゴ合意もフロリダ州のトランプ氏の邸宅にちなんでそう呼称される。
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●「【マーケットを語らず Vol.192】マールアラーゴ合意とはなにか 準備通貨供給と安全保障の一体性」

(今日のマーケット短歌)ウォラーを語り ベッセント語って 訳知り顔看板だけの 知識人よ

フェデリティ投信

重見 吉徳 2025/03/07

https://www.fidelity.co.jp/page/strategist/vol192-what-is-mar-a-lago-accord-vol1

目次:

Q1】「合意」の前に。そもそも「マールアラーゴ」とは?

Q2】「マールアラーゴ合意」とは?

Q3】マールアラーゴ合意の目的は?

Q4】なぜ準備通貨の供給と安全保障は一体不可分なのか?

(今回および次回はまさに、生成AIに投げれば済むことだったのかもしれません。なぜ、そうしなかったのか。筆者自身にもわかりませんが、おそらく筆者は時間を無駄にしているのでしょう。)

最近の金融市場は、いくつかの不安要素を抱えているようです。たとえば、

トランプ政権の通商政策(輸入関税の引き上げ)

米大手巨大テクノロジー企業による人工知能(AI)関連の設備投資

米国の景気動向

円金利の上昇:引き締めによる短期金利の上昇か、緩和継続による長期金利の上昇

ウォーレン・バフェット氏が率いるバークシャー・ハサウェイが株式保有を減らしていること

などです。

今日はこのうち、最初の点に関連する点を考えてみます。

トランプ政権の通商政策(輸入関税の引き上げ)に関してよく言われるのは、「トランプ氏は、貿易相手国から何らかの利益を得るために関税引き上げやその脅しを用いており、あくまでディール(取引)が成立するまでの一時的なものである」というものです。

たとえば、第1期のトランプ政権であれば、「中国が米国製品の輸入拡大を約束する」、「日本が(米国も互いに)関税を引き下げる・撤廃する」といったことがありました。

他方で、第2期のトランプ政権の関税政策については、

1期目に得たものよりもはるかに大きい「獲物」を狙っているのではないか、

国によっては、米国からの高関税賦課が恒久的に続くのではないか、

世界の分断がいっそう進むのではないか、

といったことも考慮しておく必要がありそうです。

そして、こうした、いわば懸念の中心的な役割を担うのが、最近の世界の金融市場で話題になっている「マールアラーゴ合意」です。以下に見ていきましょう。

Q1】「合意」の前に。そもそも「マールアラーゴ」とは?

マールアラーゴは、ドナルド・トランプ氏が米フロリダ州に持つ邸宅のことです。ウィキペディアによれば、この邸宅は、1924年から1927年にかけてフロリダの商人が建設したもので、1万平方メートルの敷地に126の部屋があるそうです。トランプ氏は1985年に、この邸宅を商人の遺族が運営する財団から購入したそうです。

Q2】「マールアラーゴ合意」とは?

マールアラーゴ合意は、(トランプ大統領によって米経済諮問委員会(CEA)の次期委員長に指名されている)スティーブン・ミラン氏(米国の資産運用会社のストラテジスト)が昨年11月に書いた論文のなかで示した、新たな多国間通貨合意の枠組みのことです。

後述の【Q4】で触れるように、この論文の最も重要なポイントは、準備通貨の供給と安全保障を一体不可分のものとして考える点です。

話を戻すと、過去の多国間の通貨/外国為替相場制度に関する取り決めは、ブレトン・ウッズ合意やスミソニアン合意、プラザ合意、ルーブル合意など、避暑地や博物館、ホテル、宮殿などのリゾート地で取り交わされており、マールアラーゴ合意はこれらに倣って名づけられています。

マールアラーゴ合意とは、具体的には、

外国の通貨当局が保有する外貨準備の大半売却による新たなドル安調整と、

金利上昇を抑制するための方策:外国の通貨当局が外貨準備として最小限残す短期の米国債を100年物割引国債と交換する、

政策協調への参加を促すための方策の組み合わせ:①輸入関税の賦課、②「安全保障の傘」からの除外、【論文からの筆者による外挿ですが】③FRBが提供するドル・スワップラインからの除外、

を指します*

なお、ミラン氏は論文の中で、「政策協調によるドル安調整」だけでなく、「米国単独によるドル安調整」も検討しています。

具体的には、

外国の通貨当局が保有する外貨準備の売却を促すために(なおかつ、「安全保障の傘」の過去と将来のコストを同盟国にも負担させるために)、米国債の支払い利息から「手数料」を徴収する(→ミラン氏は言及していないものの、筆者が補足すれば、手数料徴収を進めれば利付債は割引債になる)。

(外国の通貨当局がこれまで行ってきたように)FRBに外国為替市場での外貨買い・ドル売りの不胎化/非不胎化介入を依頼する。

金利上昇を抑制するための米国債の買い入れ(→補足すれば、新型コロナ・パンデミック以降の量的金融緩和・QE局面のように、リバース・レポ・ファシリティを使ってQEによる流動性拡大の影響を相殺することもできる)

*最初にミラン氏に代わって強調しておくと、ミラン氏が論文のなかで示しているのは、「米国の通貨当局はこうすべき。これが効果あり」という確信に満ちた政策提言ではなく、あくまで、「こうしたこともできるかもしれない」という、様々なツールを提示する思考実験として捉えられるべきものです。付け加えれば、ミラン氏は自身の論文について個人の考えであり、トランプ次期政権(当時)のものではないことを強調しています。したがい、本稿もトランプ政権が必ずしもミラン氏のアイデアと同様に考え、また同様に行動するわけではない点にご留意ください。

Q3】マールアラーゴ合意の目的は?

マールアラーゴ合意の目的は次の3つと考えられます。

貿易不均衡の是正:米国に製造業と雇用を戻す。

米国が他国からの借り入れで構築し提供してきた「安全保障の傘」(安全な自由貿易体制を含む)の負担を、「傘」の中にいる他国にも負担させる。

米国の公的債務≒米国が提供する「安全保障の傘」を持続可能にする。

ここで、1点目の貿易不均衡の是正は「重商主義」と捉えられたり、製造業の国内回帰は貿易理論の面から非効率と捉えられがちです。

他方で、世界経済の分断が予見されるなかではコストをかけてでも、たとえば食料品や半導体、軍事装備品、その他の必需品などの自給を進めるべきという、現政権による長期的な洞察もあるとみられます(→天然資源もそうでしょう)。

すなわち、上記1点目は、ほかの2点と一体として結びついていると筆者は捉えています。

翻って、われわれはまずは食料の自給率向上を考える必要があるでしょう。他国を支援できるほどの軍事能力があってはじめて同盟は機能するでしょうし、他国を支援できるような自給率を持ってこそ「いざ」というときに支援を得られるはずです。

Q4】なぜ準備通貨の供給と安全保障は一体不可分なのか?

先にも述べたとおり、ミラン氏の論文を通じて最も重要と思われるのは、準備通貨の供給と安全保障を一体不可分のものとして考える点です。

たとえば、次のように考えることができます(→以下は筆者による補足であり、筆者による解釈を含みます)。

米国は、第2次大戦を経て、その圧倒的な経済力と軍事力を背景に(少なくとも)西側諸国では一極覇権国(unipolar hegemon)となった。また、1950年代の後半以降、世界の主要な貿易財(特に原油)の決済は、それまでの英ポンド建てから、徐々に米ドル建てに移行していった(もしくは、1971年のニクソン・ショック以降は、ドルを安定させるために、そのように仕向けた)。

結果、米国は世界の貿易相手国に、準備通貨(米ドル)と準備資産(米国債)を供給し続けている。

準備通貨(米ドル)と準備資産(米国債)の供給にはたいてい、準備通貨供給国(米国)の経常収支赤字と財政収支赤字を伴う(→米国の経済学者、ロバート・トリフィンが指摘したもの。⇒米国がモノを買わなければ、相手国にはドルを渡せないし、米国政府が借り入れをしなければ、相手国には米国債を渡せない)。

確かに、米国は準備通貨の恩恵に浴した(→元フランス大統領、シャルル・ドゴール氏が『法外な特権』と呼んだもの)。

しかし、米国の準備通貨供給の恩恵に浴したのは、米国だけではない。

なぜなら、米国は巨額の対外借り入れによって、巨額の軍事支出を行い、西側世界の政治および経済の安定に寄与してきたためである(→米国側の言い分)。

たとえば、①自由かつ安全に世界の海や空を航行でき(→自由なサービス消費)、また、自由かつ安全に貿易財を移動できるのは(→自由な財消費)、米国による実力行使や、米国が持つ抑止力のおかげである。加えて、たとえば、インターネットの開発やインターネット上での自由かつ安全な取引(→自由なサービス消費)についても米国の技術力や監視のたまものである。

②米国以外の諸国の企業は米国への輸出拡大によって、売上と利益、そして雇用を得てきた。その裏側で、米国の製造業は米国から撤退し、米国の雇用は失われてきた。それは、米国の労働者が負担してきたものである。

③米国が準備通貨を供給する、その裏側で生じる米国の過大な消費は、一面では準備通貨供給国の特権であるかもしれないが、それはすべて返済が必要な借り入れである。すなわち、米国以外の政府や企業は米国から利息という収益まで取ってきた。それもまた、米国の労働者が負担するものである。

以上の3点をまとめると、現在の準備通貨システムは、「米国に過大消費のための資金を貸し付けることで、収益と雇用と安全保障の3つを得る、一石三鳥の構図」である。

しかし現在、米国は利払い費が軍事費を上回り、公的債務は利払いが利払いを生んで雪だるま式に膨らんでいる。

かかる状況は、世界の自由貿易と安全保障に疑問を投げかける。

システムの構築が必要であろう。おそらくは、米国以外の諸国が自由貿易と安全保障のための負担を拡大する必要があるだろう。

米国以外の諸国は、過去に得た、そして、将来においても得るだろう自由貿易と安全保障の恩恵について、応分の負担をすべきである。

負担の方法としては、各国が軍事支出を増やすことは当然のこととして、このほかに、米国政府の関税支払いやドル安調整、米国債利息の受け取り放棄(→米財務省による利付国債の買い戻しと、超長期の割引国債での借り換え)などが考えられる。

こうした負担に応じない場合には、関税を引き上げたり、安全保障の傘から外すことで対処する可能性がある。

関税の大きさについては、たとえば、互いの関税率の比較、外貨準備蓄積の規模や自国通貨抑制の過去、国内市場の開放度、米国の知的財産権保護の程度、「第3国」として中国が再輸出して米国からの関税を回避することに貢献しているか否か、北大西洋条約機構(NATO)の義務を全額負担しているか、国連における主要な国際紛争で中国・ロシア・イランの側に立っているか、制裁を受けた企業がこれを回避したり、制裁を受けた企業と取引することを支援しているか、世界のさまざまな戦域における米国の安全保障の取り組みを支持しているか、テロリストやサイバー犯罪者などの「米国の敵」をかくまっているか否か、こうした基準によって、変わるかもしれない。

以上、筆者が解釈する、ミラン氏の考えのアウトラインです。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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古村治彦です。
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米国債の巨額踏み倒しで金融統制が来る

今回は、副島隆彦(そえじまたかひこ)先生の最新刊『米国債の巨額踏み倒しで金融統制が来る』(徳間書店)をご紹介します。発売日は7月31日です。

 下に、まえがき、目次、あとがきを掲載します。参考にして、是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき

副島隆彦(そえじまたかひこ)

世界中で政治的異変が起きているから金(ゴールド)を買うべきだ

 私が『ドル覇権(はけん)の崩壊』(徳間書店、2007年8月刊)を書いて17年が経()つ。

 遂(つい)に米ドル(即ち米国債[べいこくさい])による世界支配体制(覇権 hegemony[

ヘジェモニー])が、私たちの目の前で崩れつつある。

 特にアメリカ株(NYダウ)が5月20日に、4万77ドルの史上最高値を付けた時が、アメリカ帝国(エムパイア)の力の頂点(ピーク)だった。このあとグズグズしている。日本株は、その前の3月22日に、4万888円の史上最高値を付けて、再び7月10日に4万1831円をつけた。

 そして5月16日に、北京でプーチンと習近平が会談して「これからの世界体制の有り方」について話し合った(後述する)。この時、世界史(人類史)の軸(アクシス)が動いた。

 私が、この本で強調して書くべきはやはり金(きん)のことだ。もう金(きん)の地金(じがね)値段は簡単には下がらない。世界各国で政治的な異変(いへん)が次々に起きている。だから、これからでもまだまだ、金(ゴールド)を買うべきだ。まさしく〝有事(ゆうじ)の金〟だ。金(きん)は私が前著で書いた通り、「3倍になる」。特に、これまで金を買ったことのない人は、決意を固めて今からでも金を買いなさい。私は、あなたたちの背中をドーンと押す。なぜ、このような一見(いっけん)無謀に見えることを、私、副島隆彦が書くのか。この本を読み進めてください。

 この本の書名は、『米国債の(アメリカ政府による)巨額踏み倒しで(日本でも)金融統制が来る』である。何を言っているのか、この文を読んだだけでは簡単には分からないでしょう。少し分()かり易(やす)く書くと、「アメリカは自分の既発行(きはっこう)の米国債を踏み倒して没落する」である。アメリカの国家財政と金融市場は、もうボロボロ状態である。もうすぐ崩れ落ちる。私たち日本人は、アメリカ帝国の崩壊が目前に迫っていて、米ドル(と米国債)の大(だい)下落がもうすぐ起きることを目撃することになる。

 これまでに私、副島隆彦の金融本を真面目に読んできた人たちなら、分かってくれるだろう。ここで、「巨額の米国債の踏み倒し(償還(しょうかん)しないこと)」を、難しく言うと national debt restructuring 「ナショナル・デット・リストラクチュアリング」である。これを日本語に訳すと、「国家の債務の再編(さいへん)」という。この「債務(デット)の再編(リストラクチュアリング)」という経済学の専門用語が私たち日本人に本当に分かりにくい。難かしいコトバだ。この「債務の再編(とか圧縮(あっしゅく))」を、分かり易く真実をぶちまけて書くと、まさしく「借金の踏み倒し」のことである。これなら分かるでしょう。「リストラするぞー」なら何となく分かるだろう。

 アメリカで、これまでに累積(るいせき)している巨額の国家借金の踏み倒しが、もうすぐ起きる。まさか、とてもそんなことは信じられない、と思っている人たちに対して私は、何も説得する気はない。縁(えん)なき衆生(しゅじょう)だ。私がひとりで焦ってこのことを書いているのは、この事態が実際に起きた時に、その時、「ほーら見てごらん。私、副島隆彦が書いたとおりになったでしょう」と言いたいからだ。そのために、この1冊の本を書いているのである。

 これまでの私の、年2冊の定期刊行物(笑)のような金融本たちに付き合ってくれて、読んでくれた皆さんに対しては、感謝の気持ちがある。副島隆彦の金融予言(よげん)の、またしてもの的中を、ともに喜んでもらいたい。他の連中なんかどうでもいい。

=====

米国債の巨額踏み倒しで金融統制が来る──【目次】

まえがき

世界中で政治的異変が起きているから金(ゴールド)を買うべきだ─2

第1章 アメリカは100兆ドルの借金を踏み倒す   

アメリカはもうすぐ巨額借金を踏み倒す─14

米国内のドルの20倍のドルが世界に垂れ流されている─16

金融タカ派とハト派はどこで争っているのか─20

産業資本家は金利が低い方がいい─24

安価な円を使った円キャリートレイドが逆回転を起こす─28

貧乏諸国の借金踏み倒しが始まる─30

アメリカの不動産が暴落している─35

アメリカは内戦になって多数の国民が死ぬ─43

トランプはドルを切り下げる─51

国家が借金を踏み倒す時代が始まる─54

国家も破産する──ギリシアの教訓─68

日本がアメリカに貢いだお金は1800兆円─72

米国債の借金は本当は20倍ある─85

世界の金融経済がこれから大爆発する原因は大量にばら撒かれた米国債─93

アメリカは借りた金を返さない─97

世界規模で起こっている借金取り立て─100

借金返済の苦しみを中心に世の中はできている─103

第2章 ドル覇権の崩壊が始まる   

米国債という借金証書を返せなくなったアメリカ帝国は没落する─112

米国債の隠れ借金で一番苦しんでいるのはドイツだろう─118

もうすぐ1ドル=120円台まで円高になるだろう。それを支える大きな構図─124

日本は手持ちの米国債を売ることができる─126

サウジや中東諸国が大量の米ドルを金に変えるよう要求している─137

ドル基軸からBRICSの新通貨体制に移行する─141

第3章 やっぱり金は3倍になる   

ゴールドマンサックスが金価格2700ドルを予想─150

「金は3倍になる」という私の予想どおりになりそうだ─156

金の値段はまだまだ上がる─160

やっぱり野口コインで金を買うのがお得─161

国際金価格はやがて3000ドルを突破してさらに上がる─164

金の価値は金自身が生み出す─167

税務署とケンカしなさい─171

そろそろプラチナを買うのもいい─174

銀貨も安いから買っておくといい─176

パラジウムも値上がりしたが…─178

日本でタワー・レジデンスの激しい値上がりが起きている。NYは値下がり─181

米ドルの信用が失墜し、米国債の巨額踏み倒しが起きる─183

ついに中露同盟の側にグローバルサウスがついた─185

プーチンと習近平が組んだ中露同盟が世界を主導する─187

第4章 国家は惜しみなく国民の資産を奪う                

日本政府はリデノミネイションで1万円を1000円にする─198

銀行から現金を下ろそうとすると警察官が来る─206

日本政府は現金を消そうとしている─210

デジタル・マネーも現金を消したい意向の現れ─211

マイナンバーは「個体識別番号」と言うべきだ─217

インボイスは本当は請求書なのに、領収書にもした─222

かつてアメリカで金(きん)保有禁止の大統領令が出された223

財産税は金融資産の保有額しだい─229

最終的には預金封鎖も政府は考えている─235

本当の富裕層はもう海外に逃げている─240

これからはインドネシアに注目すべきだ─245

旧日本軍の今村均大将が偉かった─247

第5章 アメリカは内戦(市民戦争(シヴィル・ウォー))で国家分裂するだろう   

国民の80%の支持率でも、なぜかトランプは当選できない─252

アメリカは内戦状態になって国家分裂する─257

あとがき─260

【特別付録】大恐慌でも大丈夫な株15銘柄262

=====

あとがき

 この本を書き上げるのに苦労した。この4、5、6月の3カ月に悪戦苦闘(あくせんくとう)した。文筆家(言論人)が文章を書けない(書かない)苦労など、世の中の知ったことではない。「早()よ。書いて出せ。待っているんだぞ」が人々の言葉だ。

 本書『米国債の巨額踏み倒し(デット・リストラクチュアリング)で金融統制が来る』は、A() rotten(ロットン) system(システム) for(フォー) sovereign(ソヴリン) debt(デット) restructuring(リストラクチュアリング) needs(ニーズ) fixing(フィクシング). という英文に戻して、これを、なんとか日本国民が分かるように説明することだ。この一点だけに集中し絞り込んで、私はこの一冊の本を書いた。「現在のアメリカ合衆国が抱える巨額の国家債務(借金)の仕組みは腐り果てているから、それを組み立て直す(再編する)必要がある」という意味だ。

 ところが、もうすぐ起きることは、アメリカ政府が宣言するであろうが、“(We haveNo financial responsibility.”「私は債務を返済する責任は負わない」「大借金を返す気はない」だ。アメリカは居直り強盗をするだろう。

 これと同時併行で起きているのが、貧乏新興国54カ国で一斉にやるかもしれない、世界銀行、IMFからの借(しゃっ)(かん)(借金)の踏み倒しである。これは“G20 (ジートゥエンティ) Common(コモン) Assurance(アシュアランス)(=Debt[デット]Restructuring(リストラチュアリング) Program(プログラム)”として現在G20で議論されていることだ。

 私はこの本でもっと多くのことを説明したかったが、気が勢()いて、とても私の頭(思考力)が追いつかない。それでも、これだけのことを書いた。本当に苦しい3カ月だった。これでよしとする。

 最後に、この本も徳間書店編集部力石幸一氏の苦労と共に成った。記して感謝します。

2024年7月

副島隆彦(そえじまたかひこ)

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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ビッグテック5社を解体せよ

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 

 2017年2月末にトランプ大統領が2018年度の米国連邦政府の予算案を発表しました。トランプが発表した国家予算案についていろいろと批判も出ています。

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そもそも約4兆ドル(約440兆円)の国家予算の総額のうち、組み換えや増減ができるのは、27%の約120兆円分しかありません。年金・障碍者保険・生活保護を指すソーシャル・セキュリティ(Social Security)と高齢者および障害者向け公的医療保険制度であるメディケア(Mdicare)の支払いが約260兆円でこれは義務的支出で、トランプはここには手を付けていません。また、義務的支出には国債の利子の支払いも含まれています。これだけ約73%に達しています。

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 アメリカの国家予算440兆円のうち、裁量で増減が出来る分が3割弱の約120兆円しかないということを抑えておかねばなりません。そうした部分で予算の増減をし、国の借金である国債を少しずつでも減らしていかねばなりません。ですから、どうしてもドラスティックな予算削減が行われるところが出てくるのは仕方がないところです。

 

ホワイトハウスに属するアメリカ行政管理予算局の局長ミック・マルヴァニーは、今回の予算の増減の特徴は、「国内向け予算を増やし、国外向け予算を減らす(spending less overseas and more back home)」だと述べています。

 

 アメリカ連邦政府の国債発行残高は約20兆ドル(約2200兆円)に達しています。トランプはこれを何とかしなければならない、とホワイトハウスの会議で語気を強めて訴えました。アメリカの国家予算はやはりアフガニスタン進攻やイラク進攻を行ったブッシュ政権時代にかなり増大し、それに合わせて米国債発行残高も増えていきました。日本はこのうちの5%である約1兆ドル(約110兆円)を保有しています。中国もほぼ同じ額を持っています。日中両国で米国債の約10%を保有しています。この日中両国がもし衝突ということになったら、困るのはアメリカではないですか、というのは私の主張です。

 

 話を元に戻しますが、こうした中で、国内での雇用につながるようなもの、はっきり言ってアメリカ最大の公共事業であるアメリカ軍の拡大は、雇用と教育(職業訓練も含む、アメリカ軍を名誉除隊すると、地元の警察官や消防士への応募で配慮がある)につながります。また、このブログでもご紹介しましたが、国務省とUSAIDの予算削減は、外国向け援助の削減という意味合いと、CIAがやるような後ろ暗い裏工作をこの2つの機関がやっているが、これは二重行政だということでの思い切った削減になりました。

 

 もちろん、この予算案がそのまま通ることはありません。トランプを支持した人々が多い州に不利な予算削減も行われています。例えば、農業省の地方開発センターの削減、アパラチア山脈地方の開発予算の削減は、トランプを当選された人々が住む地域に関連することですから、トランプ支持者から反対が起きるかもしれません。

 

 また、今回のオバマケア撤廃法案の撤回を見て明らかになったように、連邦議会内においては、民主党は反トランプで一枚岩の行動ができますが、共和党は内部分裂が露呈し、その一部が強硬に反対したら、トランプの政策の実行の阻害要因になることが明らかになりました。ですから、これから、連邦議会との「ディール」が重要になってきますが、これはとても複雑なことになると思います。しかし、全予算のたかだが4分の1(120兆円ほど、これも数字は大きいですが)しかいじることが出来ず、ここで国内の雇用につながるような支出をしながら、借金を少しでも減らして義務的経費を削減するということは大変なことで、トランプの任期だけでは無理な話ですし、アメリカが現状を脱却することはほぼ不可能であろうと思います。ですから、世界に大きな悪影響を出さないように、少しずつスピードを落として、世界覇権国の地位から降りていく作業をするということになります。それが、トランプの出現した意味だと思います。

 

(貼りつけはじめ)

 

Trump to Propose 10% Defense Increase in Budget Plan, Aides Say

 

by Shannon Pettypiece  and Jennifer A Dlouhy

2017227 10:15 GMT+9 2017228 5:29 GMT+9

https://www.bloomberg.com/politics/articles/2017-02-27/proposed-trump-budget-said-to-boost-defense-spending-cut-epa

 

Officials say budget targets being sent to federal agencies

Social Security, Medicare left out of planned reductions

 

President Donald Trump will propose boosting defense spending by $54 billion in his first budget plan, offset by an equivalent cut from the rest of the government’s discretionary budget, according to administration officials.

 

Most federal agencies other than those involved in security will see their budgets reduced to make room for 10 percent higher spending on defense, said the officials, who briefed reporters on condition of anonymity. The cuts won’t affect entitlements, including Social Security and Medicare, which make up about two-thirds of the $4 trillion federal budget. Trump has said he won’t touch either program.

 

In remarks to governors Monday at the White House, Trump called his plan a “public safety budget” focused on increasing law enforcement and keeping out terrorists. He also promised that “we’re going to start spending on infrastructure, big,” without giving details.

 

The White House is sending budget targets to federal agencies on Monday, a day before the president is set to deliver an address to a joint session of Congress in which he’s expected to outline his priorities for the nation. The administration plans to have a fuller budget outline next month, and it’s certain to come under intense criticism from Democrats and potentially some Republicans as favored government programs are slashed.

 

The budget is rooted in Trump’s campaign promises, Office of Management and Budget Director Mick Mulvaney told reporters on Monday.

 

We are taking his words and turning them into policies and dollars,” he said. “We will be spending less overseas and more back home.”

 

White House Press Secretary Sean Spicer added that “the reductions in spending will be sensible and rational, but they will also be tough.”

 

Cuts Elsewhere

 

If Congress were to adopt Trump’s plan it would mean that everything else government spends on discretionary programs outside of national security -- including medical research, veterans care, education, national parks, food and drug regulation -- would have be cut on average by about 10 percent, though some programs might be cut more and some less. The State Department and the Environmental Protection Agency are targeted for cuts in particular.

 

The White House budget is mostly an opening bid in what could be a protracted process to set a federal budget for the upcoming fiscal year. Congress approved $543 billion for non-defense discretionary funding for fiscal 2016 and $607 billion for defense. Those totals currently are set to be reduced by 2018 under the budget sequester law, which Congress would have to amend in order to pass Trump’s spending plans. That process would give Democrats, who’ve opposed cutting domestic programs, an opening to thwart Trump’s plans.

 

Stan Collender, a federal budget expert at Qorvis MSLGROUP, said cuts of the magnitude Trump envisions wouldn’t necessarily “eviscerate” federal agencies, unless individual ones were targeted for deeper cuts. But he said the impact would be significant.

 

This is not waste, fraud and abuse -- this is like lopping off a right arm and a right leg," Collender said.

 

Meat Ax’

 

Senate Democratic leader Charles Schumer of New York said Trump’s budget would take "a meat ax to programs that benefit the middle-class."

 

"A cut this steep almost certainly means cuts to agencies that protect consumers from Wall Street excess and protect clean air and water," Schumer said in a statement.

 

Senate Armed Services Committee Chairman John McCain, an Arizona Republican, meanwhile argued that the military spending increase wasn’t big enough for "a world on fire."

 

The House Armed Services Committee Chairman, Mac Thornberry of Texas, also criticized the increase as insufficient.

 

We cannot make repairing and rebuilding our military conditional on fixing our budget problems or on cutting other spending,” Thornberry, a Republican, said in a statement. “We owe it to the men and women who serve and to the American people to protect our nation’s security under all circumstances.”

 

Modern Threats

 

Veronique de Rugy, a senior fellow at the Mercatus Center, a think tank funded by the conservative Koch brothers that is affiliated with George Mason University in Virginia, said Trump should first reorganize the military to meet the threats of the modern world.

 

"The defense budget is blotted with massive amounts of waste and spending that respond to the military needs of a world that doesn’t exist anymore," de Rugy said. "The new injection of funds will once again be allocated based on politics or outdated priorities rather than national security concerns."

 

The New York Times reported Sunday evening that the budget will assume economic growth of 2.4 percent--roughly in line with professional forecasters’ current projections--but below the 3 percent growth Trump has pledged. Treasury Secretary Steven Mnuchin said in an interview broadcast by Fox News that the administration thinks a combination of tax cuts and regulatory relief will lead to economic growth of 3 percent or higher. “We’re going to make sure this works,” he said in the Fox interview. “This is all about creating growth.”

 

Defense Pledge

 

Trump made boosting defense spending a central tenant of his campaign to win the White House. He has called the U.S. military, the world’s largest, “badly depleted.”

 

We’re also putting in a massive budget request for our beloved military,” Trump said in a speech Feb. 24 at the Conservative Political Action Conference. “We will be substantially upgrading all of our military, all of our military, offensive, defensive, everything, bigger and better and stronger than ever before. And hopefully, we’ll never have to use it, but nobody’s gonna mess with us, folks, nobody.”

 

Trump’s budget outline will show the president’s “commitment to fixing VA,” Veterans Affairs Secretary David Shulkin said in an interview that aired on Fox News on Monday. Shulkin said it’s not about increased funding, but a matter of restructuring the system.

 

Foreign Aid

 

The State Department will not share in the largess. One of the agency’s deputy secretary positions, in charge of management and resources, is expected to be eliminated and its staff reassigned, people familiar with the plan said. Trump and his aides also are reviewing whether to eliminate many special envoy positions, the people said -- diplomatic staff assigned to key regions and issues, including climate change, anti-Semitism and Muslim communities.

 

State also handles a substantial chunk of U.S. foreign aid, which the administration officials said is being targeted for major cuts.

 

The EPA, meanwhile, has been a consistent target for Trump. He’s said the agency has too many regulations that burden companies and cause long delays for businesses trying to get approvals for new factories.

 

Trump’s pick for EPA administrator, Scott Pruitt, was a long-time foe of the agency as Oklahoma’s attorney general. Trump is slated to sign documents as soon as Monday compelling the EPA to begin undoing recent regulations, including the Clean Power Plan that slashes greenhouse gas emissions from electricity generation and the Waters of the U.S. rule that defined which waterways are subject to pollution regulation.

 

Its clogged the bloodstream of our country,” Trump said of the agency earlier this month. “People can’t do anything, people are looking to get approvals for factories for 15 years.”

 

The EPA is a perennial target for budget cuts for some conservatives in Congress, and advisers on Trump’s transition team said its funding and staff could be slashed below its $8.3 billion budget this fiscal year. Myron Ebell, who led the Trump transition team focused on the EPA, said the agency’s workforce could be cut to a third of its current size. The agency now has about 15,000 employees nationwide.

 

Pruitt declined to say whether his agency’s resources could be sharply reduced during a question-and-answer session at the Conservative Political Action Conference on Saturday.

 

House and Senate committees don’t have to embrace the president’s proposals, as presented. They will hold hearings to establish a congressional budget resolution laying out a framework for anticipated revenues and discretionary spending allocations for the 12 annual appropriations bills for the next fiscal year, which begins Oct. 1. That budget resolution is adopted by Congress, but is not signed by the president.

 

(貼りつけ終わり)

 

(終わり)









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