古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:習近平

 古村治彦です。

 2025年11月21日に『シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体』 (ビジネス社)を刊行します。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 
 最新刊の刊行に連動して、最新刊で取り上げた記事を中心にお伝えしている。各記事の一番下に、いくつかの単語が「タグ」として表示されている。「新・軍産複合体」や新刊のタイトルである「シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体」を押すと、関連する記事が出てくる。活用いただければ幸いだ。

 第二次ドナルド・トランプ政権は、各国からの輸入に高関税を掛ける政策を発表し。世界を混乱に陥れた。この高関税はアメリカの輸入業者に打撃を与え、消費者は物価高に苦しむことになった。私は、この高関税政策は、アメリカの製造業回帰に向けた第一段階と考えていた。しかし、現状は製造業の拠点づくりは進まず(数年単位のプロジェクトで当たり前だ)、ドルの価値は下がっているが、そこまでではない。やはり物価高もあり、強いドルで輸入品を買わねばならないということもある。
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 そうした中で、対中強硬姿勢を見せていたトランプ政権も、中国との妥協、合意をすることになった。アメリカが中国に頭を下げた格好である。レアアースの輸出制限がよほど厳しかったようだ。

※独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構のウエブサイト↓

https://www.jogmec.go.jp/publish/plus_vol29.html?mid=hp250515
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上記のページには、各資源について、どの国がどれだけ生産し、どれだけ精製しているかを示すグラフが出ている。このグラフに今回のアメリカと中国の貿易に関する合意の理由が明らかに示されている。グラフを見れば、重要資源とレアアースの分野においては、アメリカは中国に大きく後れを取っていることが分かる。レアアースの輸出制限をされてしまうのはアメリカにとって死活問題なのである。日本が石油を禁輸されてしまうようなものだ。下に掲載した論稿には具体的な国名が出てくるが、中国とインドネシアの名前が出てこない。これでは何の意味もないということもグラフを見れば明らかだ。

 ロシアは国際的な決済システムから除外されているのに、石油を輸出して外貨を稼いでいる。ロシア経済は破綻しなかった。それはロシアが資源大国であると同時に、ドルを使った国際決済システム以外に、金を使った決済を行えているからだ。ドルを基軸とするアメリカ中心の世界は終わりつつある。

 アメリカは今頃になって重要資源とレアアースの確保に躍起になっている。ドルを吸って買って来ればよいという石油で行えたシステムは機能しない。重要資源とレアアースの世界は中国が支配する世界である。アメリカは頭を下げるしかない。私たちはこのことをよくよく拳拳服膺する必要がある。

(貼り付けはじめ)

【解説】 トランプ氏の一連のレアアース合意、中国による世界的支配を変えられるのか

BBC NEWS JAPAN

20251030

スランジャナ・テワリ・アジアビジネス担当編集委員

https://www.bbc.com/japanese/articles/c0jd9ywzql1o

中国が長年、支配的な立場を保っているレアアース(希土類)の分野での供給を確保しようと、アメリカのドナルド・トランプ大統領がアジア歴訪中、次々と合意文書に署名している。

合意は、日本、マレーシア、タイ、ヴェトナム、カンボジアと結んだ。規模や内容は相手によって異なり、具体的な影響を評価するにはまだ早い。しかしいずれも、電気自動車やスマートフォンなど、先進的な製品の製造で不可欠となっている鉱物の入手方法を多様化させる取り組みを、合意の中身として含んでいる。

合意はまた、アメリカがパートナー各国のレアアース取引を、アメリカとの間だけに限定することを狙っている。このことは、トランプ氏が中国の習近平国家主席との重要な会談を前に、レアアースをめぐって中国への依存度を小さくしたいと思っていることをはっきり示している。

これらの合意は、いずれは中国のレアアース支配を脅かすかもしれない。ただ専門家らは、そうなるまでには何年もかかり、多くの犠牲を伴うだろうとしている。

英王立国際問題研究所(チャタム・ハウス)環境社会センターのパトリック・シュローダー上席研究員は今週の論説で、「オーストラリア、アメリカ、ヨーロッパなどの地域で新たな採鉱場、精製施設、加工工場を建設するには、(中国に比べて)はるかに高い資本コスト、厳しい環境規制、費用のかかる労働力とエネルギーの投入が必要になる」と指摘した。

それでも今回の動きは、米中対立の転換点となる一歩だ。

中国は現在、世界のほぼすべてのレアアースの加工を支配している。このことが、アメリカとの貿易戦争において、習氏に強大な力を与えている。両国は、関税やTikTokの米国事業の売却など、さまざまな問題で合意を目指している。そうしたなか、中国が最近、輸出を規制したことで、レアアースの供給が減っている。

この輸出規制は、欧米やアジアの製造業の拠点で、これまでもみられた不安を引き起こしている。これは、世界のサプライチェーンが、揺れ動きの大きい米中関係の影響をいかに受けやすいかを示している。

トランプ氏は、今週のアジア歴訪を開始する前にすでに、オーストラリアと85億ドル規模の合意を成立させた。レアアースの加工などに関して、産業レベルでの協力と共同投資を約束した。

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相がホワイトハウスを訪れた際、トランプ氏は、「今から1年ほど後には、重要鉱物やレアアースが取れすぎて、どうしていいかわからなくなるだろう」と述べた。また、「値段は2ドルになる」と述べ、供給の急増に伴って価格が急落するとの見方を示した。

 

トランプ氏が提示した時期も価格も非現実的だ。だが、重要鉱物を欲しているアメリカにとって、オーストラリアが重要なパートナーであることは間違いない。

 

米シンクタンクの戦略国際問題研究所のグレイスリン・バスカラン氏とケサリン・ホーヴァス氏は、最近の小論文で、オーストラリアを「地球上で最も広範で豊富な鉱物資源を誇る、クリスマスツリーのように輝く周期表」だと表現した。

 

イルカ・リソーシズなどいくつかの豪企業は、すでに精製施設を建設している。同社は今年、BBCの取材で、政府の支援なしでは財政的にほぼ不可能だとした。

 

トランプ氏がクアラルンプールのコンベンションセンターで、署名した文書を掲げて見せている。後ろには米国旗が見える画像提供,Getty Images

画像説明,タイとの間で署名した合意書を掲げるトランプ米大統領(26日、マレーシア・クアラルンプール)

アメリカが日本との間で結んだ重要鉱物に関する合意は、レアアースの供給と生産を強化する内容だ。また、レアアースをめぐる協調投資と備蓄の計画、供給ショックに対処する緊急対応グループについても触れている。

東南アジアの小規模経済圏との合意は、詳細がはっきりしない。マレーシア、タイ、ヴェトナム、カンボジアの各国は、アメリカのレアアースに対するアクセスの拡大と、米企業を中国企業より優遇する輸出ルールに合意した。アメリカへの出荷を妨害しないという約束や、中国系ではない企業による現地での加工や投資を奨励するという約束も、合意には含まれている。

 

ただ、マレーシアおよびタイとの合意は、拘束力のない「基本合意書」(MOU)だ。これは関係国の政治的な変化に耐えられるのだろうか?

まだ取り上げられていない大きな問題に「規制」がある。環境破壊の可能性を考慮すると、これは特に重要だ。レアアースをめぐるビジネスは、採掘だけでなく、加工までダーティーだ。採掘、浸出、熱分解、精製のすべてで放射性物質が発生する。中国での影響については多くの記録があり、他国が積極的に乗り出したくなる産業ではないことを示している。

中国を除いて、世界で最も多くのレアアースを供給しているのが、豪企業のライナス・レアアースだ。精製の一部はマレーシアに頼っており、同国では長年にわたり、規制をめぐっていくつかの問題に直面している。

トランプ氏は、日本やオーストラリアといったアジア太平洋地域の大国を投資に参加させ、レアアースの供給をめぐるアメリカのコントロールを拡大する可能性を手に入れた。確固たる基盤に立って、非常に重要な習氏との交渉に30日に臨むことになる。

とはいえ、中国がレアアース加工の約7割を占めているのは事実だ。追いつくには、膨大な資本、強力な環境法、技術の専門性が必要だ。一つの加工工場を建設するだけでも、設計からフル生産までは何年もかかる。オーストラリアは長い間、レアアースの生産拡大に真剣に取り組んできたが、工場はまだ稼働していない。

中国はこの地域で決して黙っていることはない。世界2位の経済大国の中国との貿易は、日本を含むすべての国にとって不可欠となっている。中国がもつ影響力(特に東南アジアでの影響力)を、アメリカは軽視することはできない。

レアアースのサプライチェーンは多様化と変革が必要だ。協力と投資の約束は手始めではあるが、前途は長く、曲がりくねっている。
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ホワイトハウス「中国がレアアース規制停止」 米中合意の詳細公表

日本経済新聞 2025112 10:01

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN0202J0S5A101C2000000/

米ホワイトハウスは1日、1030日に開いた米中首脳会談での合意内容の詳細を公表した。レアアースなど重要鉱物の輸出規制を「中国側が事実上撤廃する」と強調。「米国の労働者、農家、そして家族を最優先とする大きな勝利」だとアピールした。

米中が共同でまとめた文書ではなく、米国が独自に作成した説明資料「ファクトシート」の形式で発表した。ホワイトハウスは米中の約束事項を列挙したが、中国側の説明と食い違う可能性もある。

レアアース新規制「中国が施行停止」

ファクトシートによると、中国は109日に発表したレアアース(希土類)の新たな輸出規制を停止する。

新たな輸出規制は、中国産のレアアースをわずかでも含めば海外製品でも輸出時に中国政府の許可が必要だったり、レアアースの製錬ノウハウの国外提供を規制したりする内容。一部は施行前だった。

これらについて、ホワイトハウスは「中国が世界規模での施行を停止する」とした。

ホワイトハウスは中国が、重要鉱物であるガリウムやゲルマニウム、アンチモン、グラファイトの輸出許可を出すとも説明した。「20254月と2210月に中国が導入した輸出規制の事実上の撤廃を意味する」と主張した。

米戦略国際問題研究所(CSIS)はガリウムが「米国の主要な防衛サプライチェーンにおいて並外れた重要性を持つ」として、中国の輸出規制に警鐘を鳴らしていた。

オランダ半導体ネクスペリアの輸出再開

オランダに本社を置く中国資本の半導体メーカー、ネクスペリアの半導体については「世界各国に流通できるよう(中国が)適切な措置を取る」とも明記した。

同社の半導体は、オランダとの対立を背景に中国が輸出を一時停止し、ホンダのメキシコ工場が操業を一時停止するなど影響が広がっていた。米中合意を受け、中国商務省も1日、ネクスペリアの半導体の輸出を条件付きで解禁すると発表した。

米国は、中国当局が米テクノロジー企業に対する独占禁止法違反などの調査を「終了する」とも説明した。

中国当局は、米エヌビディアや米半導体大手クアルコムによる第三国企業の買収が、中国独禁法が定める手続きに違反したとして調査を始めたばかりだった。中国側が調査を終了すれば、米各社は違反を問われなくて済む可能性がある。

「中国がフェンタニルの原料輸出対策強化」

ファクトシートの説明によると、中国は合成麻薬フェンタニルの流入対策として、麻薬に用いられる可能性がある化学物質の北米向け輸出を停止する。

麻薬原料は代替となる物資も多いため、輸出停止の対象とした物質以外も管理を厳しくすることで米中は合意した。

中国側は3月以降に導入した鶏肉や小麦といった米国製品への報復関税も停止する。報復として導入した非関税障壁もすべて「停止または撤廃」するという。

中国が米国産の大豆を2025年にまず1200万トン以上輸入し、2628年にも少なくとも年2500万トンを購入することを約束したと明記した。

米国はフェンタニル関税引き下げ

米国側はフェンタニルの流入対策が不十分だとして中国に課した20%の追加関税のうち10%1110日から引き下げる。レアアースの輸出規制に対抗して示唆していた100%の追加関税も発動を見送る。

米国は中国企業に対する事実上の禁輸措置となる「エンティティーリスト」の対象を大幅に拡大する措置や、中国船からの入港料の徴収措置もそれぞれ1年延期する。

入港料については、中国側も報復措置として米国船から徴収する方針を示していたが、米国側が1年延期を決めたことで中国側も報復措置を「撤廃する」(ホワイトハウス)という。

米国の入港料を巡っては、中国船以外に日本の自動車運搬船も徴収対象になっていた。自動車運搬船の容積1トン当たり46ドルの入港料を、1210日以降に本格的に徴収する予定だった。

ファクトシートでは、日本の自動車運搬船からの入港料徴収も併せて延期となるかどうかはまだ明確になっていない。今後、連邦官報や米税関・国境取締局(CBP)の通達で詳細を公表するとみられる。

(八十島綾平、ワシントン=高見浩輔)

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重要鉱物でトランプ大統領のご機嫌を伺う国々(The Countries Courting Trump With Critical Minerals

-日本からパキスタンまで、取引は続いている。

リシ・イエンガー筆

2025年10月28日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/10/28/trump-critical-minerals-deals-rare-earths-list-japan-china/

ドナルド・トランプ米大統領は、重要鉱物がどこにあろうともその発見に躍起になっており、世界中の国々がそれらの供給に名乗りを上げている。

重要鉱物とレアアース(critical minerals and rare earths)は、和平協定から関税の脅威(peace deals to tariff threats)まで、トランプ大統領の第2期における外交政策の多くの柱となっている。その理由は明白だ。アメリカ地質調査所(U.S. Geological SurveyUSGS)がアメリカの安全保障に不可欠とみなす約50種類の鉱物は、ミサイルや戦闘機を含む多くの先進軍事技術に不可欠な原材料である。問題は、レアアースと重要鉱物の生産と加工の大部分を中国が占めていることであり、中国は貿易交渉においてこの締め付けをますます武器として利用しようとしている。

いくつかの国が、ワシントンのこうした優位性への対応を支援し、同時にトランプ大統領の支持を得ることで自国にも利益をもたらすべく、動き出している。

●日本(Japan

トランプ大統領は10月28日、日本の新首相であり、女性初の首相でもある高市早苗と会談し、レアアースおよび重要鉱物に関する協力に関する暫定合意に至った。

この合意に基づき、ワシントンと東京は、共同採掘投資、重要鉱物埋蔵量の地理的位置特定に関する協力、相互備蓄(joint mining investments, cooperation on geolocating critical mineral reserves, and mutual stockpiling)といった措置を通じて、両国それぞれおよび共同の重要鉱物供給の確保に向けて協力していく。

●マレーシア(Malaysia

トランプ大統領は大統領復帰後初のアジア歴訪で、まずマレーシアを訪れ、東南アジア諸国連合(Association for Southeast Asian NationsASEAN)首脳会議に出席した。マレーシアは、アメリカへの複数の投資約束とアメリカ製品に対する関税障壁の削減を約束する代わりに、貿易協定を締結した。

この協定には、アメリカとマレーシア両政府間の重要鉱物に関する覚書が含まれており、両国は「重要鉱物の代替市場を開拓」し、「世界の重要鉱物サプライチェーンの多様化を支援する」ために協力していくと表明した。

●タイ(Thailand

タイは、トランプ大統領がアジア歴訪中に重要鉱物協定に署名した2番目のASEAN加盟国となった。両国は枠組み貿易協定の締結に向けた交渉を継続している。

両政府間の覚書によると、アメリカ政府とアメリカ企業はタイの重要鉱物サプライチェインの発展を支援し、「タイの重要鉱物セクターの競争力向上」に貢献し、アメリカ企業にタイの重要鉱物への優先的なアクセスを与える可能性がある。

●オーストラリア(Australia

オーストラリアのアンソニー・アルバニージー首相も、重要鉱物資源をトランプ大統領のご機嫌取りとして利用し、2025年10月のワシントン訪問時に、アメリカがオーストラリアの重要鉱物資源とインフラへのアクセスを拡大する協定に署名した。

この協定の一環として、両国は今後6カ月間で重要鉱物プロジェクトに30億ドルを共同投資し、ホワイトハウスによると推定530億ドル相当の鉱物の採掘を目指す。国防総省はまた、ガリウム鉱石を採掘するため、西オーストラリア州に先進的な精錬所建設への投資を行う。

「今から約1年後には、重要鉱物とレアアースがあまりにも大量に存在し、どう扱えばいいのか分からなくなるだろう」とトランプ大統領は記者団に語った。

●ウクライナ(Ukraine

重要鉱物は、トランプ大統領の最も困難な外交努力の1つであるロシアとウクライナの戦争終結交渉に絡んでいた。

2025年2月、トランプ大統領は、アメリカが既にキエフに提供した援助に対する補償として、ウクライナ産の5000億ドル相当の鉱物資源の提供を要求した。ウクライナのウォロディミール・ゼレンスキー大統領は以前、アメリカの指導者トランプをなだめ、キエフの戦争遂行への支持を将来的に維持するため、アメリカにウクライナ資源へのアクセスを提供する用意があると示唆していた。しかし、ゼレンスキー大統領は「国を売る(sell our country)」ことはできないと明言し、トランプ政権の当初の提案には同意しなかった。

トランプ大統領がホワイトハウスでゼレンスキー大統領を叱責した悪名高い事件から数カ月後の4月下旬、ウクライナとアメリカは、リチウムやチタンなどの重要鉱物の100以上のウクライナ鉱床への優先的なアクセスをアメリカ企業に与える協定に署名した。

●コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo

重要鉱物資源が豊富なアフリカ大陸の中でも、コンゴは際立っている。この中央アフリカの国は、タンタルとコバルトの世界最大の供給国であり、金や銅といった他の資源も豊富に埋蔵している。中国は長年にわたり、コンゴをはじめとする鉱物資源の豊富なアフリカ諸国に足場を築いてきた。歴代のアメリカ政権は、この優位性を打破しようと試みてきた。

トランプ大統領の最新の試みは2025年6月、コンゴと隣国ルワンダの間で数カ月にわたって続いていた軍事衝突を終結させる合意の仲介役を務めたことだ。この合意には、重要鉱物資源に関する両国の協力が含まれており、安全保障の保証と引き換えに、アメリカがこれらの鉱物資源へのアクセスを拡大する道が開かれている。

しかし、複数のアメリカの連邦議員たちの反対を受けている合意内容については、現在も交渉が続いており、和平合意自体も依然として不安定な状況にある。

●パキスタン(Pakistan

アメリカ政府の高官たちは数カ月にわたり、パキスタンの膨大な重要鉱物資源へのアクセスに関心を示してきたが、2025年9月初旬、パキスタンはついにその意向を表明した。パキスタン政府は、アメリカ企業U.S.ストラテジック・メタルズと5億ドルの契約を締結し、アンチモンや銅などの鉱物資源へのアクセスを認めた。

パキスタンは2025年10月初旬、これらの鉱物資源の最初の出荷をアメリカに引き渡した。この南アジアの国における重要鉱物・金属資源の埋蔵量は、推定23万平方マイル(約57万平方キロメートル)以上に及ぶ。これはイギリスの国土の2倍以上の面積に相当する。

●予想以上(Above and beyond

トランプ大統領は、やや型破りな方法で鉱物資源のパイのより大きな部分を掌握しようと試みてきた。2025年7月には国防総省がアメリカのレアアース採掘会社MPマテリアルズの筆頭株主となり、最近ではトランプ政権がカナダの重要鉱物企業2社の株式を取得した。

重要鉱物は、大統領就任当初、グリーンランドを買収あるいは武力行使によって支配するという執念を抱かせた重要な要因でもあったが、最終的には実現しなかった。

※リシ・イエンガー:『』誌スタッフライター。アカウント:@iyengarish.bsky.social Xアカウント:@Iyengarish Instagram: @iyengar.rishi

(貼り付け終わり)

(終わり)
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体 


jinruiwofukounishitashoakunokongen001
『人類を不幸にした諸悪の根源 ローマ・カトリックと悪の帝国イギリス』
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『トランプの電撃作戦』
sekaihakenkokukoutaigekinoshinsouseishiki001
世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

bidenwoayatsurumonotachigaamericateikokuwohoukaisaseru001

バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

akumanocybersensouwobidenseikengahajimeru001

 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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中国は、中東情勢における重要な出来事である、2025年6月のイスラエルとイランの停戦を受けて、中国は中東地域における紛争が中国の国益にどう影響するかを考慮している。中国は中東地域から石油を輸入しており、中東の安定は中国の国益に適うことになる。また、中東地域やアフリカの各国との協力関係を深めており、中東情勢の悪化によって地域が不安定化し、戦争が起きたり、政府が倒されたりということは望ましいことではない。
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一方で、中東地域において、アメリカがイスラエルへの支援に偏重することで、他の中東地域の国々、特に伝統的な同盟国であるサウジアラビアとの関係が悪化したり、中東地域におけるアメリカの役割が縮小したりする事態は中国にとって望ましいことでもある。中国としては、中東地域のある程度の事態悪化までは容認できるという考えもある。そのために、イランを更に支援するということも考えられる。

 しかし、事態悪化が中国にとって都合の良いレヴェルで収まってくれるという保証はない。それどころか、コントロールできないということになれば、事態悪化が中国にとって都合が悪いということになってしまう。従って、合理的な判断は、事態の鎮静化、地域の安定ということになる。

 これに対して、アメリカはこのような複雑な思考ができず、ひたすらイスラエル支援にまい進している。イスラエルを支援すればするほど、イスラエルを危険に晒すということすらも分かっていない。イスラエルがガザ地区で行っている残虐な行為をアメリカが支援している、アメリカが化膿しているという構図を世界に晒し続けることは、イスラエルを危険に晒すだけではなく、アメリカも危険に晒す、国益に反する行為だ。このような判断すらもできなくなっているアメリカに世界覇権国の資格はないし、アメリカの支配層の劣化は目を覆いたくなるほどに酷い状況になっている。
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 日本もよくよく考えておくべきだ。アメリカに隷従しておけばよいという時代は終わった。そして、日本国民は賢くならねばならない。しかし、この失われた30年で、十分に痛めつけられ、日本の再興はかなり期待できない状況になっていると私は悲観している。

(貼り付けはじめ)

北京は中東情勢の激化を歓迎するだろうか?(Would Beijing Welcome Escalation in the Middle East?

-中国は不安定化によって大きな損失を被ることになる。

デン・ユウェン筆

2025年6月26日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/06/26/china-xi-middle-east-iran-israel-peace-trump/

北京は、アメリカのイラン攻撃とそれに伴うイスラエル・イラン間の(不安定ながらも)停戦を受けて、自らの立場を模索している。紛争が長期化すれば、必然的に波及し、アメリカ以外の主要諸国までも巻き込む可能性がある。それでは、この紛争は中国の国益にどう影響するのか? 北京は紛争のさらなる激化を望むのか、それとも公式声明が示唆するように、緊張緩和(cool down)と停戦(a cease-fire)の実現を真に望んでいるのか?

この問いに答えるには、中国の中東戦略とアメリカとの広範な戦略的競争という2つの側面から分析する必要がある。

一見すると、イスラエルとイランの紛争は中国とほとんど関係がないように思える。しかし、この紛争は中国の「一帯一路」構想(China’s Belt and Road InitiativeBRI)を混乱させ、エネルギー安全保障に影響を与え、さらには米中対立にも波及する可能性がある。つまり、中国は紛争の行方に真の利害関係を有している。

中国の中東戦略は、主にエネルギー安全保障の確保を最重要視している。それは、中国は湾岸諸国やイランから大量のエネルギーを輸入しているためだ。次に、同地域における経済的利益、すなわち一帯一路プロジェクトの実施が位置づけられる。最後に、アラブ諸国やイランとの政治的協力が挙げられる。この協力は、結局のところ前者の2つの目標に奉仕するものである。もし中国が中東産油への依存度がそれほど高くなく、過剰な工業生産能力を同地域に輸出する必要がなければ、中東諸国との緊密な関係維持やイランとサウジアラビアの仲介に、これほど強い動機は持たなかっただろう。

中国はウクライナ紛争後、ロシア産原油の購入を増やしているものの、依然として石油埋蔵量の大部分は中東産である。停戦が崩壊し紛争が拡大すれば、中国の中東における一帯一路構想プロジェクトは必然的に影響を受けるだろう。

過去10年間、一帯一路構想は中東において他のほとんどの地域を凌駕する大きな進展を遂げてきた。戦争によって引き起こされた協力の減速、あるいは強制的な停止は、中国の輸出と経済全体に直接的な打撃を与えるだろう。もしイランがホルムズ海峡封鎖の脅しを実行に移した場合、その結果生じる経済混乱は中国の原油輸入と経済回復に深刻な影響を与えるだろう。

しかしながら、このシナリオは北京にとって最悪の事態ではないかもしれない。中国が最も恐れているのは、アメリカ・イスラエル共同の軍事圧力によってイランの神政政治体制(Iran’s theocratic regime)が転覆することだ。イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、アメリカによるイランの核施設への攻撃を受け、イラン国民に対し、政府への反乱を公に呼びかけた。ドナルド・トランプ米大統領も政権交代を示唆している。もしそれが現実のものとなった場合、中国の長年にわたるイランへの投資と関与は水の泡となり、アメリカ主導の反乱に対する北京自身の長年の懸念を裏付けることになるだろう。

北京が現在のイランと連携していることで、イスラエルとは疎遠になっている。アメリカとイスラエルの支援を受ける新たなイラン政権は、少なくとも当初は中国を脇に追いやる可能性が高く、イランだけでなく中東全体における中国の立場に大きな打撃を与えるだろう。

中国の中東戦略の観点から言えば、北京はこの戦争がエスカレートすること、特に本格的な地域紛争に発展することを望んでいない。中国が停戦と地域の安定を求め、アメリカのイラン攻撃を非難するのは、単に道徳的な優位性のためだけではない。真の懸念を反映しているのだ。

しかし、イスラエルとイランの紛争は、より広範な米中競争にも影響を与えている。そして、場合によっては、これが中国の地域戦略(regional strategy)に取って代わる可能性もある。紛争の悪化が、たとえ短期的な経済的痛みを犠牲にしても、アメリカの影響力に対抗しようとする北京の努力に有利に働くならば、北京は実際には、アメリカがイスラエルを支持するのと同様に、限定的なエスカレーションを容認、あるいは支持する傾向にあるかもしれない。ジョン・ミアシャイマーなどの学者たちは、イスラエルによるイランの核施設への空爆、そして、アメリカによるイスラエル支援への介入は、最終的にはアメリカを犠牲にして中国に利益をもたらすと主張している。

最近のインタヴューで、ミアシャイマーはイスラエルとトランプ政権が危機を煽っていると批判した。アメリカは中国からのより大きな戦略的脅威に直面しており、ペルシャ湾で資源を浪費するのではなく、東アジアに資源を集中させるべきだと主張した。

ワシントンは湾岸地域から東アジアへの海軍・航空戦力の再展開を計画していたが、イスラエルのエスカレーションにより、ニミッツ級空母と爆撃機を湾岸地域に戻した。より広範な地域戦争は、アメリカが東アジアからさらに多くの軍事力の撤退を余儀なくさせ、弾薬備蓄(ammunition stockpiles)を枯渇させ、中国に対する抑止力を損なうことになるだろう。ミアシャイマーの見解では、中東情勢の動向は明らかにアメリカの利益にならない。

アメリカの視点からすれば、この論理は妥当である。エスカレーションによって紛争が長引けば、アメリカ軍は膠着状態(bog down)に陥り、東アジアにおけるプレゼンスが低下する可能性がある。そうなれば、アメリカは中国との長期的な競争を維持する能力を弱めることになる。

しかし、アメリカに損害を与えるものが必ずしも中国の利益になるとは限らない。ミアシャイマーの論理が成り立つためには、エスカレーションはイランの体制転換(regime change)に至ることなく、イランが長期にわたる軍事闘争を維持する能力を維持しなければならない。イラン政権が崩壊した場合、新政府がアメリカにとって強力な敵であり続けるかどうかは不透明だ。政権が存続した場合、トランプ大統領が長期的な軍事資源を投入して対立を継続するかどうかも同様に不透明だ。

北京の観点からすれば、イランとイスラエルの紛争が「第二のアフガニスタン(second Afghanistan)」となり、アメリカの注意を逸らすためには、イランは軍事力を維持しなければならない。そのためには、直接的な軍事支援、あるいはパキスタンなどの第三者を介した軍事支援、あるいはイラン国内の防衛産業への支援が必要になるかもしれない。北京による公然たる軍事支援は考えにくいものの、イランの自立性(ran’s self-sufficiency)を強化するための静かな支援はあり得る。

要するに、東アジアにおけるアメリカの戦略的圧力を軽減するために、北京はイスラエルとイランの紛争がエスカレートすることを、ある程度までは有利と見なすかもしれない。しかし、それはイランがホルムズ海峡を封鎖したり、内部崩壊したりしない限りの話だ。エスカレーションが始まれば、どこで止まるかを予測するのは困難だ。北京の立場は本質的に矛盾しており、停戦を求める声には少なくともある程度の誠実さが込められている。

これまで、北京は戦争に対するこの立場を明確にしてきた。カザフスタンのアスタナで最近行われた中国・中央アジア首脳会議において、習近平国家主席はウズベキスタンのシャフカト・ミルジヨエフ大統領にこの問題を提起し、イスラエルの軍事行動が地域の緊張の高まりを招いていると批判した。

習主席はまた、ロシアのプーティン大統領ともこの紛争について協議し、双方、特にイスラエルに対し、緊張緩和と外交ルートへの復帰を促した。中国の王毅外相は、イランとイスラエルの外相、そして他の中東諸国の外相たちと会談し、イスラエルを厳しく批判するとともに、イスラエルのギデオン・サール外相に対し、イスラエルによるイランへの攻撃は国際法違反であると訴えた。北京はまた、イランの核施設に対するアメリカの空爆を強く非難した。

北京のメッセージは明確だ。外交的にはイランを支持し、イスラエルとアメリカを非難し、より広範な地域的不安定化を避けるため自制を求めている。しかし同時に、全面戦争(total war)を回避し、外交への回帰を促している。

中国国内には密かにエスカレーションを望んでいる人間たちもいるかもしれないが、北京が一貫して平和を重視していること、特に一帯一路構想と中国の石油安全保障への潜在的な損害を考慮すると、少なくとも今のところは、北京は紛争が制御不能に陥ることを望んでいないことが窺(うかが)える。

※デン・ユウェン:中国の作家・学者。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※2025年11月に新刊発売予定です。新刊の仮タイトルは、『「新・軍産複合体」が導く米中友好の衝撃!(仮)』となっています。よろしくお願いいたします。
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『トランプの電撃作戦』
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世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 副島先生の最新刊『中国はアメリカに戦わずして勝つ』(ビジネス社)が2025年10月1日に発売になる。
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『中国はアメリカに戦わずして勝つ』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます

本書は副島先生の中国研究本は18冊目になる。本書の注目点は、体調不良が噂される習近平の後継者は誰になるのかという点で、副島先生は陳吉寧(ちんきつねい)という人物の名前を挙げている。全く聞いたことがない人物であり、日本での紹介は初と言えるだろう。
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陳吉寧

 以下に、まえがき、目次、あとがきを掲載する。参考にしていただき、是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき 副島隆彦(そえじまたかひこ)

この本の書名(タイトル)「中国はアメリカに戦わずして勝つ」にある、「戦わなくても勝てる」は何故か。第3章で説明する。

この本で、一番の大事は、「習近平の次は誰になるか」である。きっとこの問題には多くの人が関心を持つだろう。

どうも噂(うわさ)どおり習近平の体調は良くないようだ。この噂(ルーマー)が5月から世界中に広がった。だから中国の次のトップは誰かが問題になる。私は、ここではっきりその名前を書く。最有力は陳吉寧(ちんきつねい)(チェン・ジーニン 1964年生まれ、現在61歳)という人物である。日本人は誰も聞いたことがない名前の男だ。

私のこの予測(予言)についても、本書の第1章に書く。中国のトップ人事のことに、多くの人が関心を持つだろう。

3ページに載せた、米と中の関税(タリフ)(貿易)交渉についての最新の動きを説明する。去る7月28、29日にアメリカ財務長官のスコット・ベッセントと、中国の何か立峰(かりつほう)副首相が交渉した。この記事にあるとおり、どうせトランプは習近平と2人で直接、サシで話し合おうとしている。果たして、この秋から来年にかけて首脳会談となって習近平がトランプの要望(その実は哀(あい)願、願訴である)に応じるかまだ分からない。

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中国は、アメリカにヘコヘコしない。日本、欧州(EU)、イギリスのように「関税(タリフ)を15%にしてくれて、よかった!」というような軟弱野郎ではない。中国は〝音無しの構え”である。自分の方からは、尻尾(しっぽ)を出さない。余計なことは一切言わない。何故なら、アメリカ(トランプ)は、強大国で強そうなことをさんざん言っているが、本当は、国家財政(ファイナンス)がボロボロの借金(負債)大国だ。だから、世界中に関税(タリフ)(外国への税金(タックス))をかけて、おカネをぶったくって国家予算に回しているのである。日本からは7月22日に、合意で(ただし、まだ合意文書なし)80兆円〈5500億ドル〉を払わせる。トランプは、これを日本からの投資(インヴェストメント)(自由に使える)だ、と強弁(きょうべん)する。しかし日本側の赤沢(あかさわ)大臣は、「これは融資(ゆうし)(ローン)です(厳しいヒモ付き)」と言った。

日本のメディア〈テレビ・新聞〉は、この初原(しょげん)(そもそも)の「アメリカは破産している」を言わない。トランプが狂ったように、外国への課税をしているのだ、と書かない。説明しない。

 現在の最先端の半導体(はんどうたい)戦争の主役は、① 台湾TSMC(ティエムエスシー)(モーリス・チャン元会長、94歳)と、中国ファーウェイ(華為技術。任正非(じんせいひ)CEO、80歳)と、それからこの3年で急激に出現したNVIDIA(エヌビディア)(米国企業。しかし台湾人のジェンスン・フアン社長・CEO、62歳)と、それから、中国 DeepSeek(ディープシーク)というAI(エイアイ)企業の40歳(1985年)のガキンチョの梁文鋒(りょうぶんぽう)である。

この4社の競争のことも説明する。なんだ、みーんな中国人じゃないか。

加えて、Apple(アップル)社の最新のスマホiPhone(アイフォーン)16(シックスティーン)は、ぜーんぶ、本当は中国製じゃないか。フォックスコン(富士康(こう)、郭台銘(グオダイミン)会長、74歳)が中国各地で作っている。

これらのことも全部ぶちかまして真実(本当のこと)を私は書く。

 この本の仕上がりに石破辞任のニューズが流れた。石破首相は、よく頑張った。アメリカに80兆円(5500億ドル)の貢(みつ)ぎ金(がね)を、最後の最後まで、払わないと、頑張った。日本国民の為(ため)である。それで自民党内でイジめが続いて辞任表明した(9月7日午後6時)。

 このあと、日本に反共(はんきょう)右翼の政権ができるだろう。参政党と国民民主党と連合する。新しい政党になるかも。そうなると自民党は分裂する。残った全国の温厚な保守の経営者、資産家たちの意向を受けた、自民党ハト派(中国、ロシアとも仲良く付き合う)の政党ができるだろう。私はこの動きを支持する。

副島隆彦(そえじまたかひこ)

=====

『中国はアメリカに戦わずして勝つ』 目次

まえがき ──

第1章  習近平の次のトップが分かった

「戦わずして勝つ」は「孫子兵法」に書いてある ──14

習近平の次のトップは誰か ──20

アメリカのトランプ大統領の動揺が中国に影響している ──30

第2章  日本人よ、バカ右翼に乗せられるな。日米中の背景を理解せよ

日本の過去のあやまちを昭和天皇は鄧小平に詫びた ──40

松下幸之助は鄧小平に「よろしおます」と言った ──47

こういう流れで中国はアメリカと組んだ ──51

第3章 米中半導体戦争

米中の関税交渉と半導体交渉が重なり合う ──58

スマホ屋の時価総額が日本のGDPに匹敵する異常事態 ──75

半導体は6つある ──76

「線幅2ナノ」の技術競争に中国企業が加わった ──7

 TSMCとトヨタとソニーの関係──79

日本のロジック半導体で起きた〝問題〟 ──82

中国は台湾に攻め込まなくても奪い返せる ──84

この状況下でさらにバカさが目立ってきた日本人 ──87

商売人は商売になる方に付くのが当たり前なのだ ──90

台湾のTSMCの争奪戦というのが、米中問題の正体 ──92

台独の人たちはすでに台湾脱出の準備を終えている ──94

TSMCのモーリス・チャンが開き直ったから恐ろしい ──96

半導体が中国人にしか作れなくなったから、台湾が中国に帰ってくる ──98

第4章  「中国が衰退し、日本が復活する」の大ウソ。煽動する者たち

ソロスのブレーンが突然表に出てきた ──102

バブル崩壊後の1992年からが、「失われた30年」 ──111

1995年に、斎藤ジン氏はサイスを卒業 ──117

2009年から2017年がバラク・オバマ大統領 ──119

その国のことは、その国の頭のいい原住民に聞かないと分からない ──122

同性愛者特有の「血の命脈」 ──123

第5章  「日本を中国にぶつけよ」

参政党を操るアメリカの新戦略参政党躍進の裏にあるもの ── 134

神谷宗幣を操っているのはこの男だ ──147

「日本を中国にぶつける」という戦略 ──150

第6章  トランプは、参院選を利用して

石破を脅して日本から70兆円を奪ったトランプが自讃した「史上最大の取引」 ──154

変質するトランプ政治 ──160

日本人が理解しようとしない「ファースト!」の真の意味 ──166

日本の操り方を変えてきたアメリカに備えよ ──171

第7章 習近平と父習仲勲の苦難の人生の物語

育ての親の胡錦濤を平然と切り捨てた習近平 ──182

「大長征」の真実は地獄の逃走劇だった ──186

毛沢東は裏で日本とつながっていた ──190

フランスに通行料を払って中国を侵略しに行った日本軍 ──193

習仲勲の失脚と文化大革命 ──198

凄さと曲解を合わせ持つ、遠藤誉の習近平論 ──201

鄧小平を嫌う中国のインテリたち ──210

毛沢東が死ぬまで、中国は堕ち続けた ──215

中国人エリートたちが海外留学で獲得するもの ──220

集団発狂した人間の群れの恐ろしさ ──223

善人は使い物にならないと分かった鄧小平 ──226

女も稼げという客家の精神 ──231

習近平は戦争ができる男だと鄧小平に見込まれた ──234

天安門事件の学生たちは留学したあと海亀になった ──236

葉剣英が鄧小平と習近平をつなげた ──238

サッチャーは鄧小平の脅しに震えた ──244

1992年に天皇は夫婦が中国に行ったことの重要性 ──248

あとがき ──250

=====

あとがき 副島隆彦

この本は、私の18冊目の中国研究本である。これまでの18年間(2007年末から)に私は年に1冊の割合で、コツコツと自分の中国本を書いてきた。その全18冊の表紙を小さな画像(写真)にして、表題(タイトル)を1ページの一覧表にしようと企てたが、今回はできなかった。来年やります。

私は、18年前の2007年(アメリカでリーマン・ショックの金融危機が起きる前年。私は54歳だった)に、中国旅行から帰ったあと、猛然と中国の政治経済についての本を書きたくなった。いや、どうしても書かなければいけないのだと激しく焦(あせ)った。

中国は巨大な成長を始めていた。そのことに私は現地(広東(カントン)省の東莞(トンガン)市)で気づいたからだ。中国の現在を、日本の政治的0 知識人の眼を通して「中国で何が起きているのか」を通史として書き残さないといけない、と強く思った。

それは司馬遷(しばせん)が『史記(しき)』(紀元前90年)を編年体(へんねんたい)で書いたことの伝統に従ったものである。18年前の第1巻の私の中国本の書名(タイトル)は、『中国 赤い資本主義は平和な帝国を目指す』(ビジネス社、2007年12月刊)である。ここに刻印された文字たちは、やがて歴史の証拠となる。

私の志(こころざしを理解してくれた、この本の版元(はんもと)(出版社のこと。あるいは書肆(しょし))の社長が、私が毎年、時間を見つけて、中国の現地の各都市(その年に大事件が起きた都市)に現地調査に行く費用を出してくれた。毎回100万円の出費がかかった。担当の岩谷健一氏が同行して写真を撮り、資料集めを手伝ってくれた。有難いことである。

私には今に至るも、たった一人の中国人の親友もいない。中国語もできない。人物名を漢字で表現する拼音(ピンイン)さえ読めない。それなのに私はずっと、中国の各地を見て、そして次々に起きた政治動乱の跡の気配(けはい)を感じに現地に行った。住民たちは何事(なにごと)も無かったように静かに暮らしている。中国報道プロパーの新聞記者たちではない者が、厳格で冷酷な政治知識人の目を通して、中国を観察しその記録を残さなければいけないのだ、との強烈な自我(信念)がこの作業を私に続けさせた。漱石や芥川が書いた中国探訪記に続くものだ。

「中国は崩壊する。中国共産党の一党独裁に反抗する民衆反乱が起きて、中国は必ず滅びる」と書いて多くの本にした、数十人の、歪(ゆが)んだ精神をした反共(はんきょう)右翼たちは、全員が、その本たち(証拠として残っている)と共に滅び去った。あ、まだ、何人か残党(リメインンズ)が残っているか。

今の巨大中国(私が作ったコトバ。書名にも使った)に戦争を挑(いど)む、そして勝てると思う馬鹿はいなくなった。

それでもまだアメリカが「日本を上手に騙(だま)して、唆(そそのか)して、中国にぶつけろ。台湾有事(ゆうじ)を嗾(けしか)けて、戦争をさせろ」という悪辣(あくらつ)な戦略で動いている。そのことを本書で書いた。

日本人は動かない。全くと言っていいぐらいに動かない。押し黙っている。「なんで、また(英と米に)騙(だま)されて戦争なんかするものか。真平御免(まっぴらごめん)だ」と、腹の底で思っている。しかし、口には出さない。まだあと日本だけでも500万人はいる反共右翼たちが残存しているが、あと数年で勢力として消えるだろう。私の冷静な客観予測(近(きん)未来への予言(プレディクト))である。

なぜ日本人の大半は、そして台湾人も、「戦争になる」の煽動(せんどう)に乗らないか。その理由の一つは、倨傲(きょごう)に聞こえるかもしれないが、私、副島隆彦が、この30年間、「アジア人どうし戦わず。戦争だけはしてはいけない」と書き続けたからだ。日本国における私の地位は自(おの)ずとそれぐらいはある。

この本の最終章だった「台湾は今どうなっているか」の台湾現地調査の報告は、50ページ分もあって浩瀚(こうかん)(分厚い)になるので、来年に回した。今の私には、もう1、2年を争うということがなくなった。遅らしてもどうということはない。

この本では、3年前の中国本で約束した「習仲勲(しゅうちゅうくん)、習近平親子の2代に渡る苦労」(第7章)をようやく完成させたことがよかった。この2人が分かれば、現代中国のこの100年間の苦闘の歴史が分かり、大きく概観(アウトルック)できると考えたからである。

最後に、私は上野千鶴子(ちづこ)女史(東大の女性学の講座を護(まも)った。私より5歳上)が、そのマルクス主義フェミニズム(略称マルフェミ)の立場から、戦闘的に男女の性愛論を書き並べた本たちが北京大学の超(ちょう)秀才の女子学生たちの話題になり深い感動を与えていることを知っている。

現在の中国共産党(中共(ちゅうきょう))研究の最先端(せんたん)はまさしく、この中国で起きている、「私たちエリート女たちにもっと男女の性愛の自由を認めよ。日本の自由さを見よ」という女性闘争である。これには、中共の幹部の男たちが動揺してオロオロしているはずである。

まるで、1919年の五四(ごし)運動(中国の現代政治闘争の始まり)の再来だ。

中国社会科学院は、まさしく金看板のマルクス主義フェミニズムの上野千鶴子を招いて、新たなる意識(文化)革命を中国で開始すべきだ。中国が文化の先進国0 0 0 0 0 0 である日本から学ぶことは、まだまだたくさんある。私は、中国人指導者と知識人層が( 魯迅(ろじん)のときと同じく)今も日本人を深いところで尊敬していることを鋭く知っている。箸の上げ下ろしから鰻(うなぎ)の蒲焼(かばやき)の食べ方まで、日本人の一挙手一投足を凝視している。日本を通して世界を学べ、は今も中国で生きている。

それでもアメリカ帝国の属国(ぞっこく)を長くやり過ぎた日本は、この40年間で本当に貧乏になった。中国どころか台湾、韓国からさえ哀(あわ)れみ(憐憫(れんびん))で見られる。

それなのに、何と、私たち日本人は、恐れ入ることに今も威張っている。襤褸(ぼろ)は着てても心は錦、の構えを、一般庶民でも持っている。愚かと言うか、何と言うか。40年も経済成長が止(と)まって貧乏なくせに。全く以(もっ)て明(あき)れ返(か)える。全てが見通せる私のような総合知識人の目には何でも映(うつ)る。

上野千鶴子女史は、女性学(ウィメンズ・スタディーズ)が流行廃(はやりすた)れしたあと、さらに才長(さいた)けて、老人(老女)評論家になって、名著『おひとりさまの老後』(2007年、法研刊)を書いた。人は老いて末期(まっき)を迎えたら、施設に入らないで(収容されないで)自分の家で死ぬべきだ論に私は深く同感した。だから私も自分の家で死ぬ(直前にだけ病院に入院する)と決めた。この意味でも、私は上野千鶴子が老いて、ますます中国に乗り込んで勇ましく中国の知識人層と権力者層に、いろいろと号令を掛けることを望む。

 最後の最後に。この本を書き上げる最後の1カ月は、この夏の猛暑と共に私の地獄だった。モノカキ人生を40年もやって、200冊も書いて、それでもまだ、このように、1冊の本を仕上げるのに、のたうち回っている。私には人生の達観はない。サラサラと書かれた本に碌(ろく)な本はない。このことを痛感している名うての編集者であり、苦しい本作りに同伴してくれた大久保龍也氏に記して感謝します。

2025年9月

副島隆彦(そえじまたかひこ)

(貼り付け終わり)

(終わり)

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※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 一昨日(2025年6月29日)、中国政府が、9月3日に実施する戦勝80周年記念の軍事パレードに、アメリカのドナルド・トランプ大統領を招待する意向であるという報道が出た。このパレードにはロシアのウラジーミル・プーティン大統領も出席する予定と報じられており、トランプが出席するということになれば、北京の地で、習近平、トランプ、プーティンの「三帝会談」が実現する可能性もある。「ヤルタ2.0」と言っても良い。戦勝80周年記念パレード開催に合わせて、上海協力機構(SCO)首脳会談も実施される予定で、こちらに参加する首脳たちも戦勝80周年記念式典に参加する予定だ。上海協力機構にはイランが参加しており、イランがどのクラスの首脳を出席させるかによるが、アメリカとイランとの間の最高首脳クラスの接触ということも考えられる。
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 アメリカと中国は、トランプ関税の発表以来、緊張関係が続いている。しかし、両国は、第二次世界大戦の戦勝国で、国連安保理(the United Nations Security Council)の常任理事国(permanent members)である。これにロシアも加わる。私は、これまでの著作で、世界構造は大きく変化しつつあり、「西側諸国(the West、ジ・ウエスト)対西側以外の国々(the Rest、ザ・レスト)」の対立構造になっていると書いた。そうした中で、西側諸国を率いるアメリカと、西側諸国以外の国々のリーダーとなっている中国とロシアは、日本とドイツをはじめとする枢軸国(the Axis)に勝利して、国際秩序を成立させたという「共通点」を持っている。連合国(the Allied Powers)と枢軸国の色分けの地図を見てもらうと分かるが、ユーラシアの両端(ドイツと日本)と戦った中国とロシア、大西洋と太平洋の2つに面しており、大西洋からヨーロッパ、太平洋からアジアで、ドイツと日本を圧迫し、撤退させ、ロシアや中国を支援したアメリカという構図を改めて認識すべきである。
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中国はアメリカとの関係修復のために、日本に対する戦勝記念というカードを利用してきた。トランプ大統領とアメリカ政府が招待に応じることはないだろうが、トランプは何をしてくるか分からない。

 現在、日本国内で排外主義と歴史修正主義、復古主義が勢いを持っている。日本会議系・統一教会系に影響された故安倍晋三元首相支持の勢力がおり、それが国民民主党や参政党へと流れている。こうした人々は自分たちが危険な火遊びをしていることに気づかない。国内にしか目が向かないからだ。現在の世界秩序の中で、日本は「敗戦国であり、世界の秩序に逆らったという前歴を持ち、頭を下げて国際社会に復帰させてもらった存在」である。ドイツも同じだ。この枠組みを変更しようという動きが大きくなれば、「国際社会に弓を引く」という解釈をされかねない。日本は中国とロシアと国境を接している。この両国に付け入る隙を与えてはならない。慎重に、かつ低姿勢で事を進めていかねばならない。今回の中国の動きでそれを改めて認識しなければならない。

(貼り付けはじめ)

【独自】中国、閲兵式にトランプ氏を招待 9月、抗日戦勝記念で方針

6/29() 21:00配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/8fd7bcfe96026e4780c2431f506ca056fb98d101

 【北京共同】中国政府は93日に北京の天安門広場周辺で行う「抗日戦争勝利80年」記念の軍事パレード(閲兵式)にトランプ米大統領を招待する方針を固めた。また今年で創設80年の国連の総会が9月に米ニューヨークで開かれるのに合わせて、米政府が中国の習近平国家主席の訪米を提案したことも分かった。関係筋が29日、明らかにした。

 両首脳が対面で会談すれば第2次トランプ政権では初めて。軍事パレードにはロシアのプーチン大統領が参加する見通し。トランプ氏も参加すれば米中ロ首脳が共に「対日戦勝」を祝うことになり、日本にとっては大きな懸念事項になる。

 関係筋によると、トランプ氏自身は訪中に意欲を示しているため、軍事パレード参加にも前向きな姿勢だと中国側は分析している。ただルビオ米国務長官ら政権の要職に就いている多数の対中強硬派が反対するとみている。

 国連総会に合わせた習氏訪米について、中国側はメディアの前でトランプ氏と激しい口論になったウクライナのゼレンスキー大統領の二の舞いになることを警戒している。
=====
中国が第二次世界大戦終結80周年記念軍事パレードを9月3日に開催(China to hold military parade Sept. 3 for 80th anniv. of end of WWII

共同通信(KYODO NEWS ) 2025年6月24日

https://english.kyodonews.net/news/2025/06/41e9f30a4b57-china-to-hold-military-parade-sept-3-for-80th-anniv-of-end-of-wwii.html#google_vignette

中国は火曜日、第二次世界大戦終結80周年を記念し、93日に北京の天安門広場で軍事パレードを開催すると発表した。習近平国家主席が式典で演説を行う予定だ。

国営新華社通信によると、1937年から1945年にかけての抗日戦争における勝利を記念するこのパレードでは、「無人情報システム、水中戦闘部隊、サイバー・電子戦力、極超音速兵器といった新型戦闘能力を披露する(display new-type combat capabilities such as unmanned intelligent systems, underwater combat units, cyber and electronic forces and hypersonic weapons)」という。

ロシアのウラジーミル・プーティン大統領もこの式典に出席するとみられている。習近平国家主席は5月、モスクワで行われたヨーロッパにおける第二次世界大戦終結80周年記念式典(ロシアでは戦勝記念日)と赤の広場で行われた軍事パレードに参加した。

中国は今秋、北京近郊の天津でロシアも参加する上海協力機構(the Shanghai Cooperation OrganizationSOC)首脳会議を主催する予定で、加盟諸国の首脳たちは北京で行われる戦勝記念日の式典に出席する見込みだ。

この地域機構には現在、中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタン、イラン、ベラルーシの10カ国が加盟している。

戦後80周年を記念する行事の一環として、中国は、日本との本格的な開戦のきっかけとなった1937年の盧溝橋事件(the Marco Polo Bridge Incident)を記念する式典を7月7日に、同じ1937年に日本軍による南京大虐殺(the massacre in Nanjing)の犠牲者を追悼する式典を12月13日に開催すると発表した。

北京市南西部の石橋(盧溝橋[Lugou Bridge]としても知られる)付近で発生した日中両軍の小競り合い(a skirmish)は、1945年に日本が連合国(the Allied Powers)に降伏するまで続く本格的な紛争(a full-scale conflict)へと発展した。

中国は、旧南京(江蘇省)で日本軍が30万人以上を虐殺したと主張している。一方、日本の歴史家たちは、中国の民間人と兵士の死者数を数万人から20万人と推定している。

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 中国の若いエリート層(大学生たち)にとって重要なことは、経済の安定だ。若者たちにとって、経済状況の好転は台湾統一よりも重要なことだ。国のことも大事だが、自分の身の回りの生活の方が切実であり、より重要だ。若者たちはよりナショナリスティックではなくなっているということだ。これは、私たちにとっても理解できることだ。

 しかし、アメリカのドナルド・トランプ政権の高関税政策、特に中国を狙い撃ちにした馬鹿げた超高関税政策は、中国に打撃を与えると同時に、中国の若者たちのアメリカへの反感を高め、台湾統一への支持、武力による統一への支持を高める可能性がある。アメリカが反中的な政策を続けるならば、中国国内のナショナリズムを刺激し、国論を硬化させる可能性が高い。これは、東アジアの安全保障環境にとっての大きなリスクとなる。アメリカ国内の対中強硬派であっても、米中戦争を望んでいない。せいぜい、日本が中国に嚙みつくのを見ているという程度のことだ。しかし、不安定な状況はどのような突発的な出来事で、一気に深刻化するかは分からない。米中関係は、トムとジェリーではないが、「仲良く喧嘩をする」ものでなければ、東アジア、アジア、世界全体が大いに迷惑をこうむることになる。
 中国は国内をきちんと管理できるだろうが、アメリカはドナルド・トランプの絶妙なバランス感覚頼りという面がある。トランプ政権内の強硬派が過激な政策を実行に移し、トランプがそれを一時的に止めたり、引っ込めたりということをしている。米中関係は対立しているが、深刻さはない。対話がきちんとなされ、管理された対立という形になることが大事だ。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領の貿易戦争は中国の若いエリートたちのナショナリズムを高める可能性がある(Trump’s Trade War May Make Elite Young Chinese More Nationalistic

-学生たちは驚くほど台湾に対して無関心だ。

マヤ・ガズダー筆

2025年5月21日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2025/05/21/trump-tariffs-china-trade-war-nationalism-polling/

2025年3月23日に開催された中国開発フォーラムにおいて、李強首相は、個人消費(consumer spending)、技術革新(innovation)、そして外国投資(foreign investment)を重視し、国家経済回復に向けた野心的なロードマップを示した。そのメッセージは明確だった。中国の優先事項は地政学的紛争(geopolitical conflict)ではなく、経済の安定(economic stability)である。多くの若い中国エリートたちにとって、李首相の焦点は、彼ら自身の変化する懸念を反映している。

中国は、新型コロナウイルス感染症後の経済再編が進む中で、成長の鈍化(slowing growth)と若年層の失業率上昇(rising youth unemployment)に苦慮しているが、台湾との統一の緊急性は若いエリートたちの間で薄れつつあるようだ。北京の中国人大学生を対象に行った私の研究によると、党寄り(pro-party)、つまり「赤(red)」の見解から、ますますナショナリスティックな(increasingly nationalistic)「リトル・ピンク(little pink)」になっていると一般的に考えられている若いエリートたちは、実際にはより現実的で内向きになり、戦争や紛争に懐疑的になっていることが示唆されている。これは、私が北京と厦門でインタヴューした労働者階級の中年中国人タクシー運転手たちが唱えるナショナリスティックな見解とは対照的である。

しかしながら、ドナルド・トランプ大統領の絶えず変化する関税政策といったアメリカの新たな政策は、アメリカに対する反感を増大させ、逆説的に防衛的対応としての統一への支持を高める可能性がある。

清華大学の学生たちの意見は習近平国家主席の行動を予見するものではないものの、中国共産党(the Chinese Communist PartyCCP)は、特に過去10年間の経済成長鈍化の中で「愛国教育(patriotic education)」を重視してきたことから、若者の世論醸成に関心を示してきた。

そして、将来の中国共産党指導者となる可能性のあるエリート大学生たち(習近平主席は清華大学の卒業生)と、彼らの態度に影響を与える要因は、アメリカの政策にとって重要な意味を持つ。

2023年春、私はナショナリズムが中国の若者の統一支持を牽引しているという仮説を検証しようと試みた際、北京のエリート大学である清華大学と北京大学の学生たちは、国家の言説に見られる、強まっている強硬姿勢(the growing hawkishness)、つまり、台湾に対する武力行使への意欲の高まりを反映するだろうと予想した。

しかし、私の調査結果は驚くべき現実を明らかにした。学生たちは台湾についてほぼ議論していなかった。

ある学生は、「台湾?そんな話題は重要ではないと思う。地理的にも精神的にも、遠く感じる」と述べた。

こうした考え方は、学生たちに配布された匿名アンケートの結果にも反映されており、140件以上の回答があった。中国が直面している8つの「国内」問題を、緊急性の高いものから低いものの順にランク付けするよう求められたところ、台湾は気候変動(climate change)に次いで最下位から2番目にランクされた。

その他の課題は、緊急性の高いものから低いものの順に、コロナ後の経済回復(post-COVID economic recovery)、社会経済的不平等(socioeconomic inequality)、社会の安定(social stability)、外国直接投資の誘致(attracting foreign direct investment)、汚職対策(combating corruption)、教育の改善(improving education)であった。

一方、私がインタヴューしたタクシー運転手たちは、台湾を国家としての重要性という観点から語り、歴史的な恨み(historical grievances)をしばしば口にした。ある北京の運転手は「私たちが台湾を失えば、私たちは面目を失う(If we lose Taiwan, we lose face)」と言った。しかし、こうした人々でさえ、経済的な懸念は大きな問題となっていた。多くの運転手は、コロナ禍がなかった時代と比べて収入が半減したと語り、学生よりも武力による統一を支持する傾向は強かったものの、最大の懸念事項ではなかった。

学生とタクシー運転手(配車アプリで見つけたのは、主に中年男性のタクシー運転手)の態度の違いは、より広範な世代交代を反映している可能性もある。多くの学生は、両親の世代と比べて台湾に対して「それほどタカ派的ではない(less hawkish)」と感じていると述べた。

中国の若者の意識に関する最近の他の調査も、この反紛争的で台湾に対する無関心な感情を強めており、中国の若者がますますナショナリスティックになっているという一般的な見方とは矛盾している。

ある学生は「私たちの両親は祖先を辿れば台湾とのつながりがあり、中国本土と台湾の交流が盛んだった時代を覚えている。私たちにはそれがない」と言った。他の学生は、中国が計画経済(a planned economy)から脱却したことを例に挙げ、自分たちの世代は経済的に実利的で、イデオロギー的なナショナリズムにあまり動かされていないと主張した。

この見解は人気があるものの、一部の学生は、ハト派的な見解のために、同級生の中では依然として、自分のことを異端者(outliers)だと感じていると認めた。

多くの学生が、キャンパス内やオンラインフォーラムにおいて「政治的に正しくない(politically incorrect)」発言が批判を招く政治環境について語った。ある学生は、「台湾は友人間で話題にされることがほとんどないので、他の人がどう感じているのか、実のところ私には分からない。私たちが目にするのは、オンライン上の投稿や一般のコメントだけだ。最近は武力行使に賛成だと発言する方が政治的に正しいので、戦争に慎重な人が自分の意見を言うことはあまりない」と述べた。

中国開発フォーラムでの李首相の演説は、国内の不安の高まりと、個人消費の拡大の必要性に対する政府の認識を反映していた。世界的な不安定化の高まりにもかかわらず、持続可能な国内経済成長の必要性を強調し、私がインタヴューで繰り返し耳にした「経済難によって若い中国人はより内向きになっている(Economic hardship has made young Chinese more inward-focused)」という認識を強めた。

ある学生は「ゼロコロナ政策はまるで戦時中の政策のようだった。戦争は望んでいないと気づいた」と語った。別の学生は、パンデミック中に経済的困難を直接経験したことで、台湾のような政治的な抽象概念はそれほど重要ではなくなったと説明した。その学生は「うまく暮らしていれば、大局的な見方がしやすくなる」と言った。

ある学生は、統一を「中国にとっての合併と買収(merger and acquisition for China)」と捉え、「統一のコストとメリットを比較検討すると、合理性ではなく政治がこれを推進していることは明らかです。統一に明確なメリットはあまりない」と説明した。

中国の若者の失業率は記録的な高水準で推移しており、都市部の若い中国人(学生を除く統計)の約17%が就職に苦労している。名門大学を卒業したばかりの学生でさえ幻滅しており、多くの人が「横たわる(lying flat)」あるいは「腐らせる(letting it rot)」という、社会的な圧力への受動的な抵抗を表す言葉に捉えられている。このような状況では、台湾をめぐる仮想的な戦争は賢明ではなく、無意味であるように思われる。

中国国内の社会不和(social discord)もこの見方に影響を与えている可能性がある。複数の学生は、2022年11月に清華大学と北京大学が中国で行われた白書抗議運動(China’s White Paper Protests)に参加したことを、中国社会が不安定であり、統一を成功させる準備ができていない証拠だと指摘した。

しかし、統一がアメリカの侵略に対する防衛行動と捉えられると、こうした無関心な感情は消え去った。例えば、台湾が独立を宣言するという仮定のシナリオでは、学生が武力統一を支持する可能性は2倍以上になった。これは、学生が台湾の独立宣言はアメリカの支援に依存していると認識していたためだ。

ある学生は、「台湾海峡の緊張の最大の原因はアメリカであり、台湾ではない。もしアメリカが関与していなければ、統一は時間をかけて平和的に実現するだろう」と述べた。

多くの学生は、台湾を、中国の台頭を抑え込もうとするアメリカの「切り札(card to be played)」の1つに過ぎないと見ていた。香港、チベット、関税と何ら変わらないと彼らは考えていた。

こうした学生の意見は、タクシー運転手たちのよりナショナリスティックな感情を反映するものだった。ある北京の運転手は、1800年代にフランス軍とイギリス軍によって破壊された圓明園を指さしながら、迂回して通り過ぎた。この運転手は「私たち中国人は、あまりにも長い間、外国勢力にいじめられてきた。アメリカのような別の大国が玄関のドアをノックしてきたら、ノックし返さなければならない」と述べた。

中国政府が経済回復を強調していることは、若いエリートたちの考え方と合致しているかもしれない。しかし、今日の中国経済の課題は、2023年の課題とは異なる。その課題とは、主にトランプ大統領による関税と輸出規制の脅威(the threat of tariffs and export controls by Trump)だ。

トランプ大統領が最近、対中関税を90日間引き下げたことは一時的な安堵をもたらしたが、今後の交渉には不確実性がつきまとう。さらに、トランプ政権は依然として、テクノロジーや製造業を含む一部の中国製品への大幅な関税を維持している。これらの関税は、新型コロナウイルス感染症からの回復の鈍化と相まって、消費者信頼感と若年層の失業率をさらに圧迫する可能性がある。

中国の政策担当者たちが引き続き経済成長と国内の安定を優先するならば、中国政府が積極的に統一を推進する可能性は低下するかもしれない。しかし、アメリカの関税はナショナリズムを刺激し、台湾への潜在的な侵略を含む国家主導の行動への支持を高める可能性があります。

今日の若い中国人たちは、台湾との統一を優先事項とは考えていないかもしれない。中国政府が再び経済回復に重点を移すにつれ、若い世代の考え方に同調するようになるかもしれない。しかし、関税、輸出規制、米中関係の緊張といった外的圧力によって、こうした状況は変化する可能性がある。

中国国民がトランプ大統領の対中関税を、アメリカによる台湾独立支援と関連づけて捉え始めれば、アメリカは意図せずして統一への支持を固めてしまうリスクを負う。その中には、本来であれば統一に反対するであろう、理性的で戦争を警戒する若いエリートたちも含まれる。こうした支持は、中国指導部に台湾の主権をさらに圧迫するための国内での隠れ蓑を与えることになるだろうし、あるいは北京が「国旗を掲げて」行動(a rally-around-the-flag moment)を起こすよう誘惑することになるだろう。

米中経済関係は、今後4年間、ますます不安定になる可能性が高い。緊張(そして関税)が高まるにつれ、アメリカ政府当局者にとって、台湾海峡紛争と台湾支援に関して強硬な姿勢を示す誘惑に駆られるだろう。しかし、彼らは貿易に関する言論と台湾に関する言論を区別し、彼らが恐れるまさにその紛争を招かないように注意しなければならない。

緊張が高まる時代において、「若い中国人は台湾のことを気にかけているだろうか?(Do young Chinese care about Taiwan?)」という問いはもはや通用しない。むしろ、「トランプ大統領の関税など、どのようなアメリカの政策が彼らの無関心な考え方を変えることができるだろうか?(What U.S. policy—such as Trump’s tariffs—could change their apathetic mindsets?)」という問いが重要だ。

※マヤ・ガズダー:ワシントンの米国在台湾協会会長特別補佐、台北の米国在台湾協会政治担当を務めた。シュワルツマン奨学金を受けて清華大学で国際問題に関して複数の修士号を取得。Xアカウント:@mayaguzdar

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