古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:茂木敏光

 古村治彦です。

 2025年10月4日に投開票が実施された自由民主党総裁選挙において、高市早苗議員が当選した。女性初の自民党総裁となり、総理大臣となる。高市政権は、麻生太郎傀儡政権であり、旧安倍派復権政権だ。とても「解党的な出直し」のための政権とは言えず、究極の先祖返りということになる。高市氏の極右的な思想を考えると、先祖返りも汚れまくった旧来の自民党政治に戻るのを通り越して、1930年代の対中侵略を行った戦前の軍部が幅を利かせた時代にまで戻る可能性が高い。女性初の総理大臣は慶賀すべきことであるが、思想的には全くもって支持できない、極右政権、対米絶対隷属政権となるだろう。
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 故安倍晋三政権下で行われた政策や、発生したスキャンダル、国会軽視、野党軽視、傲慢さ、極右や統一教会との深い関係といったことがこれから再び出現してくるかと思うと、気が重くなる。しかし、選挙結果を見ると、1回目の投票では、党員票・党友票では高市議員がトップの119票(全体の約40.3%)、小泉進次郎議員と林芳正官房長官が合わせて147票(約49.5%)となり、議員票では、高市氏は3位で34票(約21.7%)で、トップの小泉氏の80票(約21.7%)、2位の林氏の72票(24.4%)の後塵を拝した。高市氏の党内基盤は盤石ではない。麻生太郎元首相が率いる麻生派が唯一残った派閥として、決選投票で、「党員票が多かった人物に入れろ」という指令が飛び、元々支援していた高市氏を当選させる動きに出たために勝利したが、麻生派に対する批判や非難はこれから大きくなっていくだろう。旧安倍派4人衆の復権も進められるだろうが、これについても国民全体で批判を強めていかねばならない。統一教会との関係が深く、日本政治を大いにゆがめてきた勢力の復権に私たちは厳しい目を注がねばならない。
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苗字と閨閥だけで生きてきて、86歳になってもなお、私怨にまみれ、私欲のために政界にとどまり、日本の失われた30年において中心的な存在として、日本を衰退、滅亡へと進めた張本人としての責任感も罪悪感も持たない、およそ民主政治体制下での政治家とは思えない三流政治家である麻生氏を復権させるような結果になったことはただただ残念だ。

 選挙の結果を見ると、今回の総制裁選挙には5名が立候補し、高市議員と小泉進次郎議員の一騎打ちかと思っていたところに、林芳正官房長官が追い上げる展開となり、小林鷹之議員と茂木敏光議員は独自の戦いを強いられるという構図になった。茂木氏は田中派からの流れをくむ茂木派を率いる派閥の両州であったが、大惨敗ということになり、これで党内での力を失うことになるだろう。もっとも麻生氏に腰ぎんちゃくみたいにして従っていれば名誉職は与えられるだろう。

 小林鷹之議員は若手の支持を集めているようであったが、前回2024年の選挙からの伸びはなかった。党員票も議員票も大きな伸びはなかった。昨年の選挙では、旧安倍派である清和会の中の、福田達夫議員のグループの支援を受けて形になったが、今回はそういう動きはなかったようだ。小林氏が若手のリーダーとなるのはまだしばらくは難しいだろう。既に旧派閥で言えば、福田氏や小渕優子議員といった人物たちがリーダーとなっていくだろう。小林氏自身が資金力と影響力を蓄えることが重要だが、どうも難しいようだ。こいずみぎいんはやはり、国民全体から「あの人程度の頭脳では厳しい」という判断が昨年の総裁選から定着してしまったのは厳しい。林議員については、捲土重来を期して、自民党保守本流の総理総裁候補として健康に留意して研鑽を積んでいただくように期待するばかりだ。

 高市氏が総理総裁になって、生活が急に良くなるということはないが、日本をめぐる国際関係は緊張感を増すだろう。私が懸念しているのは、国防予算の3倍増である。具体的には現在の国防予算の対GDP比は1.2%程度であるが、これを2%にまで増加させるのは既に決まっていることだ。NATOが3.5%増、関連インフラ整備で1.5%増ということを決めており、アメリカ政府、具体的にはエルブリッジ・コルビー国防次官は、日本に3.5%までの引き上げを求め、石破政権はそれを拒絶した。高市政権は、愛国増税と、愛国予算組み替え(教育や福祉を削る)を実行する可能性が高い。それがアメリカ製の武器購入に回され、そのために、日本国民の生活はさらに苦しさを増す。造成をするならば、株式投資や不動産投資を行って、濡れ手で粟の暴利をむさぼっている人たちから多く取ってもらいたい。

 自民党が少数与党である状態は高市新総裁になっても変えられない。物価上昇や税金や社会保障による生活の苦しさをどうするかということになるが妙案はない。野党はガソリンの暫定税率の廃止や消費税減税・廃止を主張しているが、自民党としてはどこまで受け入れられるか不透明だ。高市氏が新総裁になっても何か大きく変わるということはない。国内の不満を簡単に解消できないとなれば、これまでの歴史が証明しているように、不満を外側に向ける、もしくは、国内にいる少数派や外国人に向けることになる。既にその兆候が明確に出ている。この点で、高市新政権は非常に危険である。

 公明党が高市新総裁を受けて、連立枠組変更を示唆しているが、なんともタイミングが遅すぎる対応だ。公明党は安倍晋三政権下で、下駄の雪のようにひたすら与党であることに執着してきた。それを今更馬鹿げた寝言を言っているのかということになる。整合性の取れない示唆である。小泉氏が新総裁になっていれば菅義偉元首相と関係の深い日本維新の会が連立パートナーの候補になっただろうが、高市氏ということになり、国民民主党が第一候補となるだろう。公明党が連立与党から抜けてしまえば、複数の政党が入らなければ過半数にならない。参政党や保守党は高市新総裁を歓迎し進んで協力するだろうが、連立与党に入れてしまえば、「極右が入った」ということで国際的な批判を受けることになるだろう。レ率政権に入る政党の数が多くなればそれだけ合意を取り付けることは難しく、しこりが残れば、政権運営は不安になる。高市新政権は決して盤石ではなく、前途多難といわざるを得ない。そして、その多難さを外側に向けて、国民の不満を外に逸らすということが起きないように私たちは注意すべきだ。

(貼り付けはじめ)

自民新総裁に高市氏 決選投票、小泉氏下す―15日、初の女性首相に・「新しい時代刻む」

時事通信 政治部202510050033分配信

https://www.jiji.com/jc/article?k=2025100400343&g=pol#goog_rewarded

 自民党は4日、総裁選の投開票を党本部で行い、高市早苗前経済安全保障担当相(64)を第29代総裁に選出した。決選投票で小泉進次郎農林水産相(44)を下し、自民初の女性総裁に就任。野党側の足並みはそろっておらず、15日にも召集される臨時国会で、石破茂首相の後継となる第104代首相に指名される見通しだ。女性首相は憲政史上初めてとなる。

 少数与党の政治状況下、当面は連立政権の枠組み拡大が焦点となる。自民は衆参両院選挙で相次いで惨敗しており、党の立て直しに向けても高市氏の手腕が問われる。

 高市氏の総裁選出馬は3度目。任期は石破氏の残りを引き継ぎ2027年9月末までになる。高市氏は両院議員総会などで役員人事に一任を取り付け、幹事長など要の人事を7日にも決める方向で調整に入った。幹事長には麻生派の鈴木俊一総務会長(72)の起用が取り沙汰されている。

 高市氏は総会で「自民党の新しい時代を刻んだ」と強調。両院で与党が過半数を割る現状を踏まえ、「これからが大変だ。力を合わせてやらなければならない」と結束を呼び掛けた。

 この後、就任の記者会見に臨み、政権の人事について「全員活躍、全世代総力結集で取り組む」と表明。派閥裏金事件の関係議員も「人事に影響はない。しっかり働いてもらう」として、登用する意向を明らかにした。総裁選を争った4候補を起用する考えも示した。

 連立拡大に関しては、憲法改正や外交・安全保障、財政政策などを巡る立場の一致を重視すると強調した。

 決選投票は、国会議員票295票に加え、47都道府県連に1票ずつが割り振られ、計342票で争われた。高市氏は185票を獲得し、156票の小泉氏に勝利。内訳は、国会議員票が149対145、都道府県連票が36対11で、いずれも高市氏が上回った。

 総裁選には5人が出馬。1回目投票は、295人の国会議員票と、同数の295票が割り振られた党員・党友票の計590票で争われた。高市氏が183票でトップに立ち、小泉氏が164票で続いた。林芳正官房長官(64)が134票で3位に入り、小林鷹之元経済安保相(50)が59票、茂木敏充前幹事長(69)が49票だった。

 いずれの候補も過半数に届かず、高市氏と小泉氏の決選投票となった。

 ◇自民総裁選の投票結果

【1回目の投票】

       国会議員票   党員票   計

高市 早苗     64   119  183

小泉進次郎     80    84  164

林  芳正     72    62  134

小林 鷹之     44    15   59

茂木 敏充     34    15   49

【決選投票】

        国会議員票  都道府県票   計

高市 早苗     149     36  185

小泉進次郎     145     11  156

※敬称略。国会議員票は1回目、決選ともに白票1

 ◇高市早苗氏略歴

 高市 早苗氏(たかいち・さなえ)64 神戸大経営卒。党政調会長、総務相、経済安全保障担当相。衆(10)奈良2区(無派閥)。

(貼り付け終わり)

(終わり)

※2025年11月に新刊発売予定です。新刊の仮タイトルは、『「新・軍産複合体」が導く米中友好の衝撃!(仮)』となっています。よろしくお願いいたします。
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 古村治彦です。

※2025年3月25日に最新刊『トランプの電撃作戦』(秀和システム)が発売になりました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。
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 2025年7月20日の参院議員選挙後、参院で与党過半数を割り込んだことを受けて、自民党内から、石破茂総裁の退陣を求める声が出ている。石破降ろしの震源地は麻生太郎元首相、高市早苗代議士、萩生田光一代議士をはじめとする旧安倍派裏金四人衆だ。そこに茂木敏光代議士も加わっている。

この人物たちに共通しているのは、故安倍晋三政権下に我が世の春を謳歌しながら、その悪事や危険な思想、無能力がばれてしまい、すっかり見限られてしまったということだ。この人々が安倍政権下で行ったことが原因で引き起こされた事件や国民生活の苦難について、恬として恥じ入ることもなく、議員の職を辞することもなく、居座り、税金を原資と売る歳費を貪り食っている。自分たちが引き起こした苦難が原因での、自民党の選挙の敗北を「最高指揮官が責任を取るのが筋」と主張して、自分たちの責任を免れ、なかったことにしようとしている。

(貼り付けはじめ)

石破首相の進退巡り自民内に亀裂 旧安倍、茂木派が辞任圧力強める

7/24() 18:52配信 共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/6a75afd4a588aee9ad31ac7735407c854199a81c

参院選で大敗した石破茂首相の進退を巡り、自民党内で亀裂が生じている。退陣が不可避な情勢となりながら続投を重ねて表明した首相は24日、日米関税交渉合意への対応に意欲を示した。一方、旧安倍派と旧茂木派、麻生派の有志議員らが首相の責任を問うため、両院議員総会の開催へ署名活動を展開し、辞任圧力を一層強めた。麻生太郎最高顧問や岸田文雄前首相が23日の石破首相との会談で続投に難色を示したことも判明した。関係者が明らかにした。

首相は24日、官邸で開いた都道府県議会議長との懇談会で、関税合意を踏まえ「影響を見定めつつ、地方の声を聞きながら一つ一つ課題に必要な対応を行う」と述べた。自民内では、合意により続投する理由が薄まったとの見方がある。だが首相は、影響を受ける事業者への追加支援に今後も全力を挙げるとしている。

同懇談会の終了後、官邸に首相を訪ねた鈴木宗男氏によると、首相は退陣論に関し「いろいろな意見があっていい」と語った。関税合意に基づき「日米関係をまた発展させたい」とも強調した。

(貼り付け終わり)

 麻生、高市、旧安倍派の復活は衰退亡国への一里塚である。統一教会をはじめとするカルトと親和性の高い自民党保守傍流の安倍派の復活は東アジアの安定を大きく損なう。また、今回の参議院議員選挙で躍進した参政党や国民民主党は安倍派と親和性が高い。現在少数与党の自公政権であるが、これらが協力することで、高市早苗議員を首班指名することができる。この2つの「極右(狂右)」勢力の発言力が高まることで、排外主義、対中今日姿勢が高まることは間違ない。そうなれば、国民生活は圧迫され、経済的にも苦しい状態に追い込まれる。このようなシナリオを避けることが極めて重要だ。

 自民党は結党以来、70年の間で、何度も政局を起こし、党内の激しい闘争を経験してきた。私が思い起こすのは1979年の「四十日抗争」だ。1979年の衆議院銀選挙(総選挙)で、自民党を率いる大平正芳総裁が一般消費税導入を訴えたが、自民党内でも反発が大きく、自民党が過半数割れを起こす事態となった。この結果に対して、三木武夫元首相、福田赳夫元首相が反発し、大平正芳の退陣を求める。田中角栄はロッキード事件で自民党を離党していたが、田中派は健在で、田中角栄は大平正芳を支援した。ここに、自民党保守本流(吉田茂を源流とする、自由党系の池田勇人と佐藤栄作の流れ)と自民党保守傍流(鳩山一郎や岸信介、三木武夫の日本民主党系の流れ)の争いが勃発した。大平・田中対福田・三木・中曽根という構図になった。中曽根はやや中間的な立場だった。大平・田中は自民党本部で両院議員総会を開催しようとし、反対派がホールをバリケード封鎖し、そこに浜田幸一が乗り込んで、大暴れして、「いいか断っとくけどな、かわいい子供達の時代のために自民党があるっちゅう事を忘れるな!?お前らの為にだけ自民党があるんじゃないぞ!?」と凄むシーンはこれまでに何度もテレビで流されてきたので、見たことがある人も多いだろう。

 選挙後の国会での首班指名で、自民党の候補を決めることができずに、本会議となってしまう。結局、大平正芳と福田赳夫の2名が候補となる事態となった。

 衆議院の1回目の投票では大平135票、福田125票、他は各野党の党首などとなり、過半数を得る候補者が現れず(議席数は511)、決選投票では大平138票、福田121票、無効票252票となり、大平が首班指名された。参議院でも同様となり、1回目の投票で大平78票、社会党の飛鳥田一雄委員長51票、福田赳夫38票となり(議席数は235)、決選投票で大平97,飛鳥田52票、白票87票となり、大平が指名された。ここから党内にしこりが残ることになった。1980年の予算審議で、自民党側が野党の予算修正の申し入れを拒否したことで、社会党、公明党、民主党が態度を硬化させた。そして、5月に内閣不信任案が提出された(社会党単独提出、公明、民社が参政を確認、共産党も同調)。自民党内の反州流派の動きによっては内閣不信任案が可決されてしまうという状況となった。

 本会議での採決では、中曽根派が反対に回り、福田派や三木派からも一部反対が出た。しかし、大半は本会議を欠席した。結果として、賛成243票、反対187票で不信任案が可決された。大平内閣に残された道は内閣総辞職か、衆議院の解散総選挙で、大平首相は解散総選挙を選んだ。これは「ハプニング解散」と呼ばれる。衆参同日選挙が決まったが、選挙期間中に大平正芳首相が急死し、弔い合戦ムードとなって、争いは収まり、選挙は大勝となった。

 長くなったが、これは1979年の四十日抗争と1980年のハプニング解散の概略である。今回の石破降ろし政局もまた、保守本流と保守傍流の争いである。「茂木派は旧田中派、旧竹下派の流れをくむから保守本流なのに、石破降ろしをしているではないか」という指摘もあるだろう。その通りではあるが、茂木氏はかりそめの、一時的な派閥の領袖に過ぎなかった。田中・竹下の流れは小渕優子に行くべきもので、それまでのつなぎだった。小渕優子と青木一彦は派閥を退会している。茂木は持ち慣れない派閥を持ち、安倍晋三元首相に忠誠を誓い、浮かれに浮かれて、人望を集めるということができず、次の首相候補にも名前が出ないほどだった。茂木派という名称は一時的、かつ、不規則なものだ。

 保守本流は吉田茂を源流としているが、吉田の孫である麻生太郎は宏池会から、河野洋平と共に脱退している。河野洋平は父である河野一郎の河野派に所属していたが、河野派は中曽根派となった。中曽根は河野に派閥を譲る思惑などなく(そもそも子分を作って大事にするというタイプでもなく)、河野洋平が新自由クラブを作って自民党を離党するようにある意味では仕向けることに成功した。河野洋平は自民党に戻る時に、保守本流の宏池会に入ったが、宏池会の跡目争いで加藤紘一に敗れて、宏池会を出て河野グループを結成した。反加藤ということで、麻生も一緒に出て、後に麻生派となった。加藤のハト派色が受け入れられなかったという、単純粗雑な、「ゴルゴ13」でしか国際関係を学べなかった麻生は(「ゴルゴ13」自体は素晴らしい作品であることは言うまでもない)、祖父や父親の名前を汚す、駄目な三代目であり、川柳で言う「売り家と唐様で書く三代目」である。色々と入り組んでいるが、現在、石破降ろしをしているのは保守本流に反旗を翻す保守傍流と認定していいと考える。

 石破降ろしは、おごり高ぶった、安倍晋三政権下の我が世の春を謳歌したい者たちが責任を取らないで済ませるために、最高指揮官に責任を代わりに取ってもらおう、それで自分たちは免罪してもらおうというふざけ切った態度でしかない。自民党の中身を変えずに、党の顔を変えてイメージを変えて人気を回復しようなどという姑息な弥縫策を進めても自民党に未来はない。自民党を正気に戻し、これまでの負の遺産を清算することが何よりも重要だ。石破茂首相の粘り腰と周囲の支えを強く願うものである。

(終わり)

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になります。予約受付中です。よろしくお願いいたします。

 2024年9月27日午後、自民党総裁選挙が実施された。9名の候補者が出馬して、選挙運動が行われ、投開票が実施された。1回目の投票は議員票(367票)と党員票(367票)で行われた。1回目の選挙の結果は以下の通りだ。
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(1)高市早苗181票(議員票72票;党員票109)

(2)石破茂154票(議員票46票;党員票108票)

(3)小泉進次郎136票(議員票75票;党員票61票)

(4)林芳正65票(議員票38票;党員票27票)

(5)小林鷹之60票(議員票41票;党員票19票)

(6)茂木敏光47票(議員票34票;党員票13票)

(7)上川陽子40票(議員票23票;党員票17票)

(8)河野太郎30票(議員票22票;党員票7票)

(9)加藤勝信22票(議員票16票;党員票6票)

 有力と見られていた、小泉進次郎議員が3位に沈んだ。過半数を獲得した候補者が出なかったために、1位の高市早苗議員と2位の石破茂議員による決選投票が実施された。決選投票は議員票(367票)と都道府県連票(47票)と、議員票の割合が高くなる。決選投票の結果は以下の通りだ。

(1)石破茂215票(議員票189票;都道府県連票26票)

(2)高市早苗194票(議員票173票;都道府県連票21)

無効票:5票
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 選挙の結果、石破茂議員が自民党の新総裁に選出された。そして、首相に指名されることが確実になった。私は、小泉進次郎議員選出が確実という見立てが政治のプロの間でなされていることを知り、絶望していた。更に、最近になって高市早苗議員の人気が急上昇していると報道されて、ますます嫌になっていた。「前門の小泉、後門の高市」で困ったことだなと思っていた。更に、麻生太郎元首相・副総裁が自身の率いる麻生派に1回目の投票で、自派の河野太郎議員ではなく、高市早苗議員に投票せよと促したという報道を見て、ますます嫌になっていた。麻生議員は高市議員が「勝ち馬」になると見ているのだと考え、なんてことだと諦めの気持ちになっていた。

 そうした絶望や諦めの気持ちが大きかった分、決選投票で石破議員が選出された時には、安堵感を持った。もちろん、石破氏が最善の選択肢ではない。しかし、最悪の選択肢を避けることができたというのは日本国にとって何よりのことだった。安倍晋三政治の清算ということがそのまま進められるな、自民党保守本流政治の復活が期待できるなと感じている。しかし、もちろん、石破氏に対する自民党内の反感、拒否感は大きい、党内運営は厳しいものとなるだろう。何か小さな失敗でも倒閣運動も起きるだろう。

 こうして見ると、立憲民主党の野田佳彦新代表選出は何とも悪い選択となった。野田代表は中道から少し右の有権者の支持を狙うと発言した。自民党総裁に、その層にアピール力を持つ石破新総裁が選ばれた。石破氏対野田氏でどちらに勝ち目があるか、と言えば、残念ながら石破氏だろう。野田氏は民主党の介錯人を務めた。最悪の場合、二度目の介錯人を務めることになるだろう。

 麻生太郎議員は晩節を汚す大きな判断ミスを行った。高市議員が勝利していれば、キングメイカーとして存在感を増していただろうが、自派の河野議員を見捨て、勝ち馬にも乗れずという最悪の結果となった。もっと早くに引退しておれば、晩節を汚すこともなかっただろうに、最後の最後でこのようなことになった。麻生派は派内で麻生太郎議員に対する引退勧告を出すべきだろう。84歳という年齢を考えればもう引退してもおかしくない。麻生派の跡目争いということが起きて、麻生派は分裂するだろうが、河野氏にどれだけの議員がついていくだろうか。今回の選挙で人望のなさが露呈した。これからの政治生命も脅かされてしまうだろう。小林鷹之議員は福田達夫議員と中曽根康隆議員の、安倍派と二階派の若手たちの支援を受けてある程度は戦えただろうが、それ以上のことはない。最初から最後まで不思議だったのは、そして今でも不思議なのは、上川陽子議員の人気が上がっていると言われ続けたことだ。一体何だったのか、一種の陽動、当て馬だったのだろうかと考えざるを得ない。

 今回の自民党総裁選挙では、最悪の選択肢を回避することになった。それが何よりの収穫である。自民党が大きく変わることはないし、議員たちがルールを守るということが一番実現困難なことだろう。しかし、最悪の事態を免れた。そのことが大きい。

(貼り付けはじめ)

●「自民新総裁の石破茂氏 元銀行員、安全保障や農政の論客」

9/27() 15:30配信 毎日新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/c6f78ed348ffd0f8d69bda571f1537bcf9847ed4

 5回目の挑戦にして初めて自民党総裁に選ばれた石破茂氏とはどんな人物なのか。

 父は、自治相や鳥取県知事を務めた石破二朗氏。慶応大を卒業後、三井銀行(現三井住友銀行)に勤めていたが、父の死後に田中角栄元首相の勧めで1986年衆院選に自民党公認で出馬して初当選した。

 リクルート事件後につくられた若手議員のグループで中心的役割を担い、選挙制度改革を訴えた。非自民の細川護熙連立政権が誕生した93年に自民党を離党。新生党や新進党に所属し、97年に自民党へ復党した。安全保障や農政の論客として知られ、防衛相や農相を歴任している。

 歴代最長政権を築いた安倍晋三元首相とは距離があったとされ、安倍政権に批判的な発言を繰り返してきた。各種世論調査では「次の首相にふさわしい人」でトップに顔を出す一方、党内の国会議員の人気は高くなく、総裁選では敗退を繰り返していた。

 今回の総裁選は「38年間の政治生活の総決算。最後の戦いに挑む」との思いで臨んでいた。

=====

<独自>自民・麻生副総裁が高市氏支持へ、麻生派議員にも指示 1回目から

9/26() 22:44配信 産経新聞

https://news.yahoo.co.jp/articles/385a69f027f45a2b77afa8d7d1186ce7c2c9e95f

自民党の麻生太郎副総裁が、総裁選(27日投開票)で高市早苗経済安全保障担当相を支持する意向を固め、岸田文雄首相(党総裁)らに伝えたことが分かった。26日、複数の党幹部が明らかにした。麻生氏はこれまで麻生派(志公会)の河野太郎デジタル相を支援する考えを示していた。麻生派は河野氏や上川陽子外相らに推薦人を出していたが、麻生氏は1回目の投票から高市氏を支援するよう同派議員に指示を出した。

総裁選は高市氏のほか、石破茂元幹事長と小泉進次郎元環境相の3人が激しく競り合う混戦となっている。麻生氏はこのうち、首相在任中に自らに退陣要求を突きつけた石破氏や、関係が良好ではない菅義偉前首相と近い小泉氏支持には難色を示していた。

ただ、党として派閥解消を掲げる中、麻生氏の派閥単位での指示が同派議員に徹底されるかは不透明だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 古村治彦です。

 2023年12月27日に最新刊『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。アメリカ政治と世界政治について詳しく分析しました。是非手に取ってお読みください。このブログを継続するため、本をご購読いただければ大変助かります。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 昨年からの自民党各派閥のパーティー券販売キックバック問題(裏金作り)は、複数の政治家と安倍派、二階派、岸田派の会計責任者の立件でひと段落となった。安倍派、二階派、岸田派、森山派、石破グループ(政策集団・勉強会として存続していた)は派閥解散、麻生派と茂木派は存続ということになった。菅義偉前首相を中心とする、無派閥という議員グループが大きな勢力となっている。現状は、旧派閥と新派閥の対立構造という形で捉えることができる。

 また、茂木派からは、小渕優子衆議院議員と青木一男参議院議員が退会を表明し、その後も参議院議員数名が退会した。田中角栄から竹下登、小渕恵三、橋本龍太郎と続く派閥において、「茂木敏充ではなく、小渕優子を首相にする」という意図を持った動きである。麻生派は今のところ大きな動きはないが、80歳を超えて失言も続く麻生太郎に引退してもらい、河野太郎を領袖とするという動きと、それに反対する動きが派内にはあるだろう。河野は菅義偉とも同じ神奈川県を地盤としている点で関係が良好であり、同じ神奈川県を地盤としている小泉進次郎も、以前の総裁選挙で河野太郎を支持したこともあり、河野太郎は、麻生派を継承もしくは分裂して、河野派となり、菅・小泉の神奈川グループの支援を受けるということも考えられる。

 安倍派に関しては、幹部の責任論がくすぶり続け、座長の塩谷立議員や五人衆と言われる幹部たちの離党や議員辞職についても語られている。自民党内部にそのような声がある。これは極めて重要な動きである。この議員たちは、自分たちが離党をしたり、議員を辞めたりする必要があるのかと憤慨しているだろうし、そもそも自分たちは派閥の慣例に従っただけのことで、それを作ったのは森喜朗元首相だと声に出して反論したいだろう。こうした安倍派の凋落の中で、福田達夫議員は新しい集団作りを目指すと発言した。福田派の結成ということになる。

 今回の派閥パーティー券販売をめぐる特捜検察の捜査にはアメリカの意図があっただろうということを推察し、そのことをこのブログでも書いた。そしうて、これまでの動きも合わせて考えると、私は、今回の派閥潰しの最終目標は森喜朗元首相の失脚であっただろうと考える。そして、合わせて、現在の自民党執行部の古い幹部たちの力を失わせ、新しい、若手たちの東洋を進めるということであっただろうと考えている。

 森喜朗という人物については、全くとらえどころがない、理解しがたい、日本の典型的な政治家として、アメリカは捉えていただろう。ロシアとの関係が深く(父親の代から)、清濁併せ呑むということで、アメリカ側としては御しにくいタイプの典型的な日本の政治家であった。今回、二階派も解散ということになり、二階俊博元幹事長も力を失い、引退を迫られることになるだろう。二階議員は中国との太いパイプを持つことで知られているが、アメリカにしてみれば、邪魔な存在ということで、森喜朗と二階俊博はまとめて失脚させられることになった。

 自民党の新しい実力者として、菅義偉がその地位に就くことになった。菅義偉議員は、安倍晋三政権の官房長官時代にアメリカを単独で訪問し、アメリカ側が首実検を済ませている。日本維新の会とも関係が深く、カジノ推進ということでアメリカの利益を推進する政治家である。アメリカとしては、森や二階に代わって、菅を実力者として据えるということにしたようだ。そして、派閥はご破算になって、新たに、河野派、福田派、小渕派、無派閥の小泉進次郎議員という、新しいリーダーたちを育成し、より直接的に、アメリカの意向が伝わり、実行されるような体制を構築しようとしていることになる。

 今回の動きは、アメリカ国内のジャパンハンドラーズの勢力変動の影響もあったと言えるだろう。安倍晋三を支持してきた、マイケル・グリーンがシドニー大学に移籍したことは、彼が左遷され、都落ちさせられたということである。そして、グリーンの後ろ盾を失った安倍晋三は首相の座を追われ、最終的には暗殺された。誰に暗殺されたか、このことは私の先生である副島隆彦先生の『愛子天皇待望論』(弓立社)に詳しいので、そちらを読んでもらいたい。

安倍晋三元首相と彼を取り巻く勢力は、統一教会に影響を受け、日本の歴史守勢主義を推し進め、核武装まで進めようとしていた。アメリカとしては、アメリカ軍にとって役立つ日本の防衛力強化は歓迎であるが、安倍晋三元首相はそれ以上のことをしようとした。彼はアメリカにべったりで、アメリカ従属路線の人物だと日本人である私たちは評価するが、アメリカ側からすれば、「靖国神社に参拝し、太平洋戦争での日本は正しかったと主張するカルト・オブ・ヤスクニであり、核武装まで主張する危なっかしい人物」となる。アメリカにとっては使い捨ての駒であり、どんなに栄耀栄華を誇っていても最後はポイッと捨てられる。

こうした動きを冷静にかつ冷酷に見てきたのが岸田文雄という人物の怖さである。岸田首相に関しては世間の評価は低いが、その粘り強さや下手(したて)に出ながら、いつの間にか相手を逆に締めているような動きには、政治家としての強さを感じる。岸田首相の対米レッドライン(最終防衛線)は、「金で済むことならば金を出す(防衛費の倍増のために増税はする)が、中国とぶつけられることはなんとしても回避する」ということだろう。国民生活の苦しさは日本の政治家であれば分かっているはずだが、「戦争をさせられるよりはずっと良い、何とか耐えてもらいたい」ということだと思う。書き散らしになって申し訳ないが、私の今に日本政治に関する考えを書いた。

(終わり)

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める
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 古村治彦です。

 以下の論稿は、10月31日の総選挙の前に、アメリカの外交専門誌『フォーリン・ポリシー』誌に掲載された日本政治分析の記事を紹介する。この記事では、安倍政権の功績を称え、岸田政権の行き先を不安視する内容だったが、結局、岸田文雄首相は政権基盤を固め、邪魔者だった甘利明には選挙で負けた責任を取らせて幹事長を辞任させることに成功した。また、これまでの人事では巧妙に麻生太郎と安倍晋三を外す動きを少しずつ進めている。

 下に紹介する記事は、日本政治の実態を捉えているとは言い難い。しかし、「アメリカ側から見た日本政治の姿」という側面からは良く書けているということになる。安倍政権下での対米従属の深化は、アメリカ側からすれば、日本の手駒としての能力が上がったということである。将棋で言えば、「歩」程度だったが、「飛車」「角行」とまではいかないが、「香車」程度にはなったということである。これで「日本の使い勝手」が良くなったということになる。

 岸田文雄に首相が交代したことでアメリカは警戒感を持っていることだろうが、そこに、ともにハーヴァード大学ケネディ行政大学院で修士号を取得した、茂木敏光を自民党幹事長に配し、林芳正を外相に起用したことで、「アメリカには逆らいません」という姿勢を示すことで、アメリカの警戒感を和らげようとしている。また、ジョージタウン大学卒業の河野太郎も首相候補であることから、これからしばらくは、アメリカで教育を受けた人物たちが首相を務めることになるだろうということをアメリカにシグナルとして送っている。

 この論稿の筆者はアメリカで日本政治を研究する立派な学者であろうが、やはり日本にいないことで、日本分析は隔靴掻痒の感を否めない。安倍首相は偉かった、岸田首相は心配という単純な話では済まないのである。

(貼り付けはじめ)

日本の総選挙は岸田の運命を決めることになるだろう(Japan’s Lower House Elections Will Decide Kishida’s Fate

-「回転ドア」首相は国内と国外に影響を与えることだろう

ナオコ・アオキ筆

『フォーリン・ポリシー』誌

2021年10月29日

https://foreignpolicy.com/2021/10/29/japan-kishida-ldp-prime-minister-revolving-door-lower-house-elections/

日本の下院に当たる衆議院議員選挙が10月31日に実施される。これは新たに首相に就任した岸田文雄首相にとっては最初の大きなテストとなるだろう。彼は前任者である菅義偉が就任後1年で辞職したことを受けて今月初めに首相に就任したばかりだ。今回の首相交代によって首相交代のサイクルがとても早いように見えるかもしれないが、2012年12月から2020年9月までの約8年間、日本を率いた安倍晋三元首相の時代までは、ほぼ毎年、新しい首相が誕生するのが当たり前だった。

菅首相の辞任が、日本の首相の「回転ドア」の連鎖の始まりとなるのか、はたまた、岸田首相も同じ運命をたどるのか、判断するのは時期尚早だ。過去には、政治的な戦いやスキャンダルで辞任する首相もいたし、個人の健康上の理由で辞任する首相もいた。しかし、選挙の敗北の結果として辞任ということが多かった。日曜日の選挙は、岸田首相が権力の座に座り続けられるかどうかを測るリトマス試験紙ということになるだろう。

岸田首相がどれだけ続けられるかが問題ではないという人たちもいるだろう。血胸のところ、日本は法の支配(rule of law)を尊重し、自由で公正な選挙(free and fair elections)が実施され、人々の諸権利(civil rights)が守られている安定した民主政治体制(stable democracy)である。近年、欧米で大きな広がりを見せているポピュリズム(populism)の陥穽も、この国では回避されている。また、政策の策定や効果的な実施に大きな役割を果たす強力な官僚組織があることでも知られている。

しかし、日本の首相の在任期間が日本にとっても世界にとっても重要である複数の理由がある。

1994年以降、日本の政治改革によって、首相の権力は拡大している。同年の選挙改革によって、議会の選挙システムは中選挙区制(multi-seat constituencies)から小選挙区制(single-seat districts)と比例代表制(proportional representation)に代わった。これによって、一つの選挙区の中で、一つの政党が複数の候補者を出して勝利を収めることができなくなった。

これにより、過去70年間、日本の政治を支配してきた自民党内の力学が変化し、かつては選挙区で候補者を出し合っていた自民党の派閥(factions)の間の競争が緩和された。その結果、自民党内の派閥の領袖たちの影響力は低下し、首相が派閥の領袖たちの意向に左右されなくなり、少なくとも理論的には、総理総裁がより個人的な力を発揮できるようになった。

また、1990年代後半から始まった一連の行政改革により、官僚に頼らずに政策を始め、展開できる首相の法的権限が強化された。2001年には政策設計機能と内閣府の創設によって官房長官(Cabinet Secretariat)の力が強化された。内閣府は政策形成の点で首相を直接支援する機能を持っている。安倍政権は2013年に国家安全保障会議(National Security Council)を創設し、外交政策に関する首相の力を強化した。これは、政治の最高指導者の手に安全保障政策形成の力を集中させるものだ。

つまり、現在の日本の首相は、20年前の首相に比べて、国の方向性を決め、政策の優先順位を決定し、改革を実行できるより強い立場にある。

権限は強化されているが、短期でどんどん交代していく首相では、中期的もしくは長期的なヴィジョンを実現するのに十分な時間を持つことはできない。短い在任期間では、首相が国内政治システムの重要な利害関係者から支持を得て、法案を起草して可決し、優先順位の高い政策を実行することはできない。この現象は、遠くない過去に多くの例が存在する。

最近の日本の首相は就任後に自分自身の経済成長戦略をスタートさせてきた。2007年9月から2008年9月まで首相を務めた福田康夫はテクノロジー部門の技術革新を通じて成長を促進する計画を立てた。福田の後任麻生太郎の在任期間は1年弱だった。麻生派自身の「成長イニシアティヴ」を策定した。アジア全体の経済規模を2倍にするために、輸出主導型モデル(export-oriented model)から需要主導型モデル(demand-driven one)に転換することを目指した。しかし、世界的な金融危機に見舞われ、福田も麻生もともに大きな成果は得られなかった。

2009年から2012年にかけて、自民党は野党だった。この時期に出た民主党の首相3人もまた自身の経済プログラムを推進した。たとえば、2011年9月から2012年12月まで482日間在任した野田佳彦は、8カ年経済成長戦略をスタートさせた。この戦略の目的は、「日本再生(rebirth of Japan)」を達成することだった。この計画は、2011年3月に発生した福島第一原発事故の後に導入され、その目的は、医療や再生可能エネルギーのような分野で新しい産業と雇用を生み出すことであった。多くの目標の一つは、2020年までに、ガソリンと電気のハイブリッド、電気、天然ガスなど高燃費効率車が日本の全自動車の50%を占めるようにすることだった。しかし、その計画は頓挫してしまった。2020年の日本の新車販売台数のうち、これらの車の販売台数は36.2%にとどまった。この36.2%の内訳は、環境に優しい完全な電気自動車ではなく、ガソリンと電気のハイブリッド車が大半を占めている。

同じパターンが外交政策でも繰り返されている。福田はこれから30年間のヴィジョンとして、太平洋に面した、環太平洋(Pacific Rim)の諸国のネットワーク化を進め、「太平洋を内海(inland sea)にする」ことを提唱した。このヴィジョンにおいて日本にとって重要政策とされたのは、インド洋において対テロ作戦に従事しているアメリカと外国の艦船に対する燃料補給業務を海上自衛隊に行わせることで、アメリカ主導のテロリズムの戦いに貢献することだった。皮肉なことに、皮肉なことに、福田は自民党が過半数を失った参議院で海上自衛隊の燃料補給業務の再可決法案を可決させることができずに辞任した。一方、麻生は「自由と繁栄の弧(arc of freedom and prosperity)」を議論した。これは、日本が同様の価値観を持つ国々と協力するというものだった。その基本概念は、現在の日本の外交政策にも生きているが、麻生の構想の名前で覚えている人はほぼいない。

安倍首相は約8年首相に在任し、強化された立場を完全に活用することで、これらの常識を覆した。最も注目すべきは、大規模な金融緩和、財政出動、構造改革を組み合わせた「アベノミクス」と呼ばれる経済成長プログラムである。アベノミクスは、日本経済の将来の軌道を根本的に変えるには至らなかったものの、デフレ脱却、失業率の低下、企業収益の向上を実現した。また、マーケティング的にも成功した。日本の首相の名前が、日本の専門家たちの少数グループだけに知られているだけでなく、世界中に知られている政策プログラムに付いているのは珍しいことだ。

経済に加えて、安倍派安全保障分野で成果を残した。日本の自衛隊の使命を拡大することで成果を残した。これらのステップをめぐっては論争が起きた。日本国憲法第9条は戦争を放棄している。これまでの数十年間、自衛隊の役割は増大しているが、安倍の改革は、特定の条件下での集団的自衛権の行使を日本に与えることで、重要な成果を上げた。

安倍首相が長期にわたり首相に在任したことで、日本の外交政策にも貢献した。安倍首相は、外交的そして概念的な構想を推進するために必要な諸外国の指導者との関係を構築する時間を得ることができた。この努力の成果の一つは、自由で開かれたインド太平洋というヴィジョンである。この考えは安倍首相が元々提唱したものだったが、トランプ政権によって採用され、2017年には完全なアメリカの戦略となった。

安倍政権下、2017年にアメリカが協議から脱退した後も、日本は地域の自由貿易協定である環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(Comprehensive and Progressive Agreement for Trans-Pacific Partnership)を主導した。アメリカが関与しない多極的な枠組みで日本が指導力を示したレアケースだった。

もちろん、安倍元首相の長期にわたった在任期間は、彼の政策目標が全て達成されたということを意味しない。とりわけ、また、1970年代から1980年代にかけて北朝鮮に拉致された日本人に関する問題や、北朝鮮の核・ミサイルの脅威の抑制について、北朝鮮との間で進展させることはできなかった。安倍首相はまた千島列島日本では北方領土と知られる千島列島をめぐるロシアとの領土問題についても何の進展もなかった。

また、首相の政治力を決める要因は、在任期間だけではない。国民からの支持もまた重要だ。安倍元首相は在任期間のほとんどで国民からの支持を享受した。安倍首相の外交・安全保障政策に対しては、中国をはじめとする地域の新たな課題に対処する必要性についての国内のコンセンサスが高まっていたことも追い風となった。

ここで2021年10月31日の選挙の話が出てくる。自民党の選挙結果によって、自民党が岸田を総裁に選んだことと岸田が挙げた公約に対する国民の支持の程度を測定することになるだろう。

現時点では、自民党が議席を増やすかどうかではなく、どれくらい議席を減らすかが問題となっている。最近の世論調査では、自民党の支持率が低下している。岸田首相は自民党の連立相手である公明党との間で衆議院の過半数を維持するという控えめな目標を掲げている。2021年10月14日に国会を解散する(dissolution)前、日本の下院にあたる衆議院465議席のうち、自民党は276議席を占め、公明党は29議席を占めている。岸田の掲げた目標を達成するためには、自民党は72議席を減らすことができる。最近の世論調査では、自公連立政権が過半数を維持する可能性が高いと言われているが、自民党が単独で過半数を維持できるかどうかは不確実である。

日曜日に自民党が予想以上の結果を出せば、党内での岸田首相の影響力が高まり、岸田首相が希望する政策を実行するための時間と場所が確保される可能性が高まる。良くない結果になれば、その可能性は低くなり、公明党の影響力は大きくなる。良くない結果となれば、来年夏の参議院選挙に向けて、自民党はまた新たな総理総裁選出を検討するきっかけにもなるだろう。どちらの結果になるにしても、岸田の仕事はより複雑になっていくだろう。

※ナオコ・アオキ:メリーランド大学国際・安全保障研究センター研究員、アメリカン大学の準教授を務めている。

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日本の選挙:岸田文雄首相は与党自民党の勝利を宣言(Japan election: PM Fumio Kishida declares victory for ruling LDP

BBC

2021年11月1日

https://www.bbc.com/news/world-asia-59110828

日本の岸田文雄首相は彼が率いる与党自由民主党(Liberal Democratic PartyLDP)の勝利を宣言した。

1カ月前に首相に就任したばかりの岸田氏にとって大勝利となった。彼が率いる自民党は衆議院(lower house)で233議席以上の議席を確保した。これは連立のパートナーである公明党の存在がなくても議会の過半数を占める数字だ。

自民党はこれまで数十年にわたり日本政治を支配してきたが、新型コロナウイルス感染拡大対策では批判を浴びた。

岸田首相の前任者菅義偉は就任1年で辞職することになった。

新型コロナウイルス感染者数拡大についての人々の懸念がありながらも東京オリンピック開催を推進し続けたことで自民党の支持率は低下し続けていた。そうした中で、菅首相の辞職が発表された。

64歳の岸田氏は長年にわたり首相の座を狙い続け、2012年から2017年まで外相を務めた。

自民党は465議席中276議席を占める形で総選挙を迎えた。

選挙戦序盤の世論調査では、自民党は過半数を占めるためには連立パートナーの公明党に頼らねばならないという結果が示されていたが、その予測は覆された。

自民党は261議席を獲得し、過半数の233議席を大きく上回った。公明党は32議席を獲得し、連立与党の議席数は合計で293議席となった。

日本の議会は、国会(National Diet)として知られている。国会は下院(lower)に当たる衆議院(House of Representatives)と上院(upper)に当たる参議院(House of Councillors)で構成される。

日曜日の投票はより優位な衆議院に関するものであり、参議院議員選挙は来年実施される。

月曜日、日経225は2.6%の上昇で終えた。投資家たちは自民党が過半数を大きく超えて議席を獲得したことについて、岸田首相の経済刺激策が議会をスムーズに通過するだろうということに賭けた。株価上昇はこのことを意味している。

選挙前、岸田首相は新型コロナウイルス感染拡大をきっかけにして、世界第三位の経済を支援するために数十兆円規模の支出を行うことを約束した。

日曜日、岸田首相は公営放送であるNHKに出演し、その際、今年の終わりまでに更なる追加予算を策定する計画だと述べた。

●岸田文雄とはどんな人物?

(1)岸田氏は政治家一族の出身であり、彼の父親と祖父も政府に関与した。

(2)彼は1993年に議員に初当選した。2012年から2017年まで外相を務めたがこれは最長記録だ。

(3)2016年のバラク・オバマ大統領の広島(岸田氏の地元)訪問を調整した。広島は核爆弾による攻撃を受けた都市の一つだ。現職のアメリカ大統領による初訪問となった。

(4)名門の東京大学の入学試験に失敗した。これは多くが東京大学で学んだ彼の一族からは「恥(embarrassment)」と見られた。

(5)彼はお酒を飲むのを好む。外相時代にロシアのセルゲイ・ラブロフ外相に飲み比べを挑んだというエピソードは有名だ。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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