古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:覚書

 古村治彦です。

 2026年6月19日にアメリカとイランの間で60日間の停戦合意の覚書(MOUMemorandum of Understanding)に署名された。そして、核開発の関する交渉が実施されるということになった。世界はイラン戦争の深刻化の回避に安堵し、イスラエルはイラン戦争の停戦に失望した。ホルムズ海峡の高校の自由は保証されることになったが、イラン側からの攻撃とアメリカによる報復があり、その後、停戦が再び合意された。

 覚書は戦闘終結、戦争終結の完全な合意ではない。一時的な停戦合意に過ぎない。その期間は60日間である。この60日間の期限が近付いたら延長で両者が合意するだろうが、確実な停戦、戦争終結への道のりは遠いだろう。イラン国内には対米強硬派がおり、イスラム革命防衛隊にも戦争を継続したいと考える跳ね上がりがいるだろう。アメリカ国内には対イラン強硬派がおり、今回の覚書は「恥ずべき敗戦」と考え、無効化したいと考えているだろう。また、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はアメリカ主導の覚書に巻き込まれて、イスラエルの独自の動きが封じられ、戦争ができないことで、国内での自身への批判の高まることを恐れている。

 覚書署名後にイラン側がホルムズ海峡でタンカーへの攻撃を行ったが、このことについて私は懸念を持っている。イラン政府内、革命防衛隊内部のかなりの上層にイスラエルの情報・諜報機関のエージェントがいることは確実だ。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領就任式の際、テヘランでハマスの最高指導者がイスラエルのモサドによって爆殺された。これは、イラン政府の中に高度機密情報を入手できるほどのイスラエルのエージェントが存在することを示している。イラン側からの攻撃が、イスラエルのエージェントによる働きかけによって、跳ね上がり分子がその働きかけによって短慮にも攻撃をしたという可能性はある。イスラエルは覚書の無効化を行うことができるし、アメリカ国内にもそれを支援する勢力がいるということを考えると、イラン戦争の和平の途はかなり険しいということになる。

 イラン戦争によって混乱した世界は落ち着きを取り戻しつつあるが、それは不確定な要素、不安な要素を皆で見ないふりをして、「まぁ何とかなって良かったね」と言い合っているようなものであり、根本的な解決にはなっていないし、これから何が起きるかは分からない。イスラエルを止めるだけの力がアメリカにあるかも不透明だ。世界は不安なまま、暑い夏を迎える。

(貼り付けはじめ)

アメリカ・イラン和平合意について分かっていることと分かっていないこと(What We Do and Don’t Know About the U.S.-Iran Peace Deal

-イランの核開発計画など主要な諸問題は依然として未解決のままだ。

ジョン・ホルトィワンガー筆

2026年6月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/06/15/us-iran-peace-deal-trump-nuclear-sanctions-war-israel-lebanon-mou/?tpcc=recirc_featured_horizontal051524

アメリカとイランは日曜日、数千人の死者と世界経済への甚大な被害をもたらした数カ月に及ぶ戦争を終結させるための暫定合意に達したと発表した。これは数週間停滞していた和平プロセスにおける前向きな一歩となるが、合意文書が公表されていないため、多くの詳細は不明のままだ。両国は金曜日に合意の署名式を行う予定である。

イランが覚書(a memorandum of understanding)と表現したこの暫定合意について、分かっていることと分かっていないこと、そして今後の展開について、以下に詳しく解説する。

さらなる協議への道筋は以下の通りだ。この合意は戦争終結のための枠組みを提供するものであり、主に軍事作戦の停止、既存の停戦の延長、そしてホルムズ海峡をめぐる膠着状態の打開を目的としている。特に戦略的に重要なこの海峡の再開は、戦争によるガソリン価格の高騰やその他の経済的影響をめぐり、国内で批判が高まっているドナルド・トランプ米大統領にとって重要な目標である。

この合意により、ワシントンとテヘランの間の停戦状態が60日間延長される見通しであり、その期間中に核開発協議が行われる予定だ。その間、ホルムズ海峡の開放とイランの港に対するアメリカの封鎖解除が行われることになっており、これはエネルギー市場やイラン経済にとって大きな安堵材料となる。また、この合意の一環として、レバノンにおけるヒズボラとイスラエルの戦闘も終結する予定だ(詳しくは後述)。

主にパキスタンとカタールが仲介したこの合意は、金曜日にスイスのジュネーブでアメリカとイランによって正式に署名される予定で、その時点から60日間の期間が開始される。トランプ政権は月曜日、双方が日曜日に電子的に合意文書に署名済みであることを明らかにしたが、正式な署名式は予定通り6月19日に行われるとしている。

パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は日曜日にXへ投稿し、「合意が成立したことを受け、仲介役が今週、一連の会合を調整する。実施に向けたこれらの事前協議は、技術的な協議や正式な署名式のための基盤となるだろう」と述べた。

アメリカ側が述べていることは以下の通りだ。トランプはトゥルース・ソーシャルへの投稿で次のように投稿した。「イラン・イスラム共和国との合意が完了した。皆さんおめでとう!私はここに、ホルムズ海峡の自由な通行を全面的に許可し、同時にアメリカ海軍による封鎖の即時解除を承認する。世界の船よ、エンジンを始動せよ。石油を流通させよう!」

トランプはその後の投稿で、合意が署名されるまでは海峡は開放されないと述べ、機雷の除去作業に時間を要するとの見通しを示した。しかし、トランプの発表にもかかわらず、アメリカの封鎖が具体的にいつ、どのような形で解除されるのかは完全には明らかになっていない。また、海峡を「通行料無料」で開放するというトランプの主張についても疑問が残っている。イランの国営メディアは、60日間の交渉期間終了後、ホルムズ海峡を通る民間船舶からイラン側が経済的利益を得ようとする意向を示唆している。

月曜日、この点について問われたJD・ヴァンス米副大統領はCNBCに対し、政権としては「長期的には海峡が通行料無料で開放されることを見込んでいる。そうした詳細については、今後の実務者協議で詰めていくことになる」と述べた。

ヴァンスはまた、CBSの番組「CBSモーニングス」のインタヴューで、イランが「自らの義務を履行する限り」、ペルシア湾岸諸国が拠出する3000億ドル規模の復興基金を利用できるようになる可能性があるとも示唆した。

こうした詳細が明らかになっていないことは、今後のプロセスが直面しうる数多くの障害を浮き彫りにしている。特にイランの核開発計画をめぐる協議(高濃縮ウランの備蓄や将来のウラン濃縮活動などの問題を含む)は、激しい対立を招く公算が大きく、包括的な合意に向けた最大の難問の1つとなる可能性がある。

トランプは今回の暫定合意を歓迎する一方で、日曜日の『ニューヨーク・タイムズ』紙とのインタヴューにおいて、最終的な核合意に至らなかった場合には、イランに対する軍事攻撃の再開を含むあらゆる選択肢があり得ると述べた。

イラン側が述べていることは以下の通りだ。イランのカゼム・ガリブアバディ外務次官が日曜日、合意の成立を認めるとともに、これをテヘラン(イラン政府)の勝利と位置づけた。

イランの最高国家安全保障会議は声明の中で、「最終交渉は、覚書に基づく相手側の義務が履行された後まで延期される」と述べた。しかし、アメリカとイランの間では、それらの義務の性質をめぐって見解の相違があるようだ。

イラン政府当局者は、次の段階の交渉はアメリカが凍結資産を解除した後にのみ開始されると示唆しているが、トランプ政権は、そうした措置はあくまで核開発問題に関する進展に応じて講じるものだという立場を崩していない。

連邦議会におけるトランプの有力な盟友であり、対イラン強硬派として知られる共和党のリンジー・グラハム連邦上院議員は日曜日、X上で、合意内容の一部をめぐるワシントンとテヘランの認識の食い違いについて懸念を表明した。グラハムは「イランの核開発計画やその他の事項に関する今後の交渉を注視していく」と述べ、「合意に対するイラン側の見解が、アメリカの交渉チームの主張とは異なっているように見える点に、少なからず懸念を抱いている」と語った。またグラハムは、アメリカの法制度上、イランとの核開発合意は「検討および採決」のために連邦議会へ送付されることになるとの見通しを示した。

イスラエルの要素は以下の通りだ。交渉の障害となり得る要素である。イスラエル政府はこの新たな和平合意の当事者ではなく、イスラエル政府高官たちはすでに反対の意を表明している。イスラエルのイタマル・ベン・グヴィール国家安全保障相は声明の中で、「トランプの合意は私たちを拘束するものではない。イスラエルはアメリカの従属下にはなく、私たちは独立した主権国家である」と述べ、「私の立場は明確だ。私たちの安全を保障しないこの合意に私たちは関与しない」と強調した。

レバノンを拠点とするイラン支援の武装組織ヒズボラとのイスラエルの戦争は、今後の交渉において深刻な問題を引き起こす可能性がある。トランプ政権はこの紛争をイランとの戦争とは切り離されたものとして位置づけようとしてきたが、両者は根本的に密接な関連がある。

パキスタンとイランは、レバノンもこの合意の対象に含まれていると述べており、テヘランは一貫して、合意の成立はイスラエルとヒズボラの間での敵対行為の停止にかかっていると主張し続けている。しかし、総選挙を控え政治的な先行きが不透明な状況にあるイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ヒズボラとの戦闘を継続するよう国内から圧力を受けている。

イスラエル軍は日曜日にベイルートを攻撃したが、トランプ政権はこの攻撃が和平交渉を台無しにしかねないと懸念していました。トランプはトゥルース・ソーシャルへの投稿で、イスラエルによるこの攻撃について、「特にイランとの和平合意まであと一歩という特別な日に、あってはならないことだった」と述べた。

ヴァンスは日曜日にフォックス・ニューズに対し、「イスラエルがベイルートを攻撃した後、私たちは非常に懸念していた」と述べた。「イランがイスラエルに向けて大量のミサイルを発射しようとしているという多くの兆候が見られたからだ」。最終的にイランは攻撃を見送太が(報道によればトランプの働きかけによるものとされている)、イスラエルはレバノンでの姿勢を崩さない構えを見せている。イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は月曜日、イスラエル軍がレバノン南部に駐留し続けると述べるとともに、イランからのいかなる攻撃に対しても報復すると警告した。

レバノンにおけるイスラエルの軍事行動に対しホワイトハウスの懸念が高まっていることを示すように、トランプは日曜日にニューヨーク・タイムズ紙に対し、ネタニヤフを「扱いにくい人物(difficult guy)」と評した。その上で、もしイランが核兵器を保有していれば「イスラエルは2時間も存続できないだろう」のだから、ネタニヤフは「私たちがこうした取り組みを行っていることに深く感謝すべきだ」と語った。

※ジョン・ホルトワンガー:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Blueskyアカウント:@jchaltiwanger.bsky.socialXアカウント:@jchaltiwanger

(貼り付け終わり)

(終わり)



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 古村治彦です。

 2026年6月19日にスイスで、アメリカとイランによる停戦延長60日間の覚書の調印式が行われる。リモートでの電子署名にはドナルド・トランプ大統領、JD・ヴァンス副大統領が署名を行い、スイスでの調印式にはヴァンス副大統領が出席する。トランプ政権高官がメディアの求めに応えて、14項目からなる覚書の内容を発表した。電話取材に対して、読み上げたということだ。

 この内容を読むと、アメリカ側がイラン側に大きく譲歩しており、アメリカとイスラエルの敗北を認める文書である。そのようには読めないが、内容はまさにそうなっている。そして、私はさらに、この文書は実質的に、アメリカとイランの国交回復文書ではないかという印象を持った。それは第2項が「アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国は、互いの主権と領土保全・一体性を尊重し、互いの内政に干渉しないことを約束する」となっているからだ。イランでイスラム革命が起きてから、アメリカとイランは国交断絶している。お互いに存在を公式には認めないということだ。もちろん、裏では交渉があり、国連には両国とも加盟している。しかし、両国が相互に「主権と領土保全を尊重し、内政干渉しない」ということを文書にして残したのはイラン革命が起きてから初めてのことである。これが国交正常化の第一歩となる。今回のアメリカとイランの交渉には中国も裏で重要な役割を果たしている。「アメリカが敗北したということが目立たないようにしながら、イランの顔を立てて、実質的にイランが利益を得られるような形」で、覚書まで進めたのは中国の影響力行使もあっただろう。

今年5月上旬にはイランのアッバス・アラグチ外相、中旬にはトランプ大統領の訪中が実施された。それから1カ月での覚書合意ということになる。2023年には中国の仲介で、サウジアラビアとイランの間での国交回復が行われている。中国による中東地域の平和と安定の推進が実行されていると私は考える。

 このブログでもすでにご紹介したが、イランの復興のための3000億ドル規模の基金も覚書の中に含まれている。この3000億ドルという数字は、イランが今回のイラン戦争で被った被害の推計額である。イランは戦争の被害の補償・賠償を求め、アメリカは支払いを拒否していた。イランがホルムズ海峡の通行料徴収を主張したのも、戦争被害の復興の資金獲得のためだ。この基金については、第6項で、「アメリカ合衆国は、地域パートナー諸国と協力し、イラン・イスラム共和国の復興および経済発展のために、少なくとも3000億ドル規模の、相互に合意した最終的な計画を策定する」と書かれている。地域パートナー諸国にはペルシア湾岸諸国と東アジア諸国が含まれるという報道があった。中国、日本、韓国などの中東地域の石油に依存している国々が出資することになる。アメリカとイスラエルという「ならず者国家」の乱暴狼藉の尻拭いをするというのはおかしな話だが、「金持ち喧嘩せず」で、支払うのも国際社会のお付き合いということになるのだろう。その代わり、アメリカには、イスラエルへの支援の減額、関税率の引き下げやトランプ関税時の交渉で決まった条件の見直しを要求するのは当然だ。

 アメリカ国内ではすでに今回の条件について「大惨事」「無残な降伏」という批判が出ている。それは当然のことだ。今回のイラン戦争については、アメリカは「(1)イラン指導部の排除(2)イランの軍事力の弱体化」を目的とし、イスラエルはこれら2つに加えて、「(3)イラン国内での反体制運動の醸成(モサドの調略もあり)(4)イランの政権転覆(体制転換)」を目的として攻撃を実施した。しかし、結果として、これらは達成されなかった。さらに、停戦のためにイランに対して譲歩を迫られる結果になった。トランプ大統領は、イランのミサイル保有も認めている。これでは何のために戦争をしたのか分からない。さらにはアメリカ軍の最強神話は崩れ去った。戦争前よりもアメリカの利益になること、状況が改善することは何もない。ただ数兆円の予算を浪費しただけということにもなる。党派を問わず、連邦議会で激しい追及が行われるだろう。アメリカに寄るイスラエルの支援の減額ということも検討されるだろう。

 イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はトランプ大統領を利用して、イランを攻撃することまではできたが、見事に失敗に終わった。トランプ大統領は責任をネタニヤフに押し付けようとしている。イスラエルとネタニヤフは戦争前よりも厳しい状況に置かれることになった。イスラエルは現在、レバノンの親イラン・シーア派組織ヒズボラへの攻撃を実施しているが、覚書にある通り、レバノン攻撃を停止しなければならない。ヒズボラもイスラエルへの攻撃を停止しなければならない。しかし、イスラエルは何らかの口実をつけて(「ヒズボラが合意を破って攻撃してきた」など)、レバノン攻撃を実施するだろう。合意の枠組みが崩壊することがイスラエルの利益ということになれば、どんなことでもするだろう。覚書調印は喜ばしいが、先行きには不安もある。

 アメリカとイスラエルは今回のイラン戦争でイランに敗北した。このことを素直に認めることが状況を改善する第一歩である。トランプ大統領は彼特有の「素直さ」「率直さ」で状況を認めている。しかし、これから責任追及が実施され、中間選挙まで厳しい状況が続くだろう。嫌気がさして大統領職から退くということも十分に考えられる。

(貼り付けはじめ)

ドナルド・トランプ大統領は批判の中イランとの合意を擁護:5つのポイント(Trump defends Iran deal amid criticism: 5 takeaways

ジュリア・マンチェスター、マロリー・ウィルソン、フィリプ・ティモティジャ、ラウラ・ケリー筆

2026年6月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5929083-trump-defends-iran-mou/

ドナルド・トランプ大統領は、フランスのエビアン・レ・バンで開催されたG7サミットでの記者会見で、水曜日に発表されたイランとの戦争終結に関する覚書(memorandum of understandingMOU)を擁護しつつも、それが「恒久的(permanent)」ではない可能性を示唆した。

トランプ大統領は、他のG7加盟国も戦争終結を支持し、紛争終結の時が来たと主張していることに言及した。

また、世界の石油供給への脅威を理由に戦争終結が必要だと述べた一方で、イランに対する新たな軍事行動の可能性も示唆した。

この合意は、イランの核開発計画に関する60日間の新たな交渉期間を設けるもので、この問題は今年初めにアメリカとイスラエルがイランを攻撃するきっかけとなった。

以下に5つのポイントを挙げる。

(1)トランプ大統領イランとの覚書は恒久的ではないと示唆する(Trump suggests the MOU with Iran isn’t permanent

トランプ大統領は記者会見で、暫定合意の恒久性(the permanence of the preliminary agreement)を軽視し、イランが合意内容を遵守しなければ合意は崩壊すると述べた。

トランプ大統領は記者団に「もし彼らが合意を守らない場合、あるいは合意書に記載されていない事項がある場合、それは覚書に過ぎないが、私たちは書面化していなくても一定の理解を持っている」と語った。

トランプ大統領は「もし彼らがそれを守らないなら、彼らが尊重するまで爆撃を再開するだろう」と大統領は続け、「爆弾の威力は驚くべきものだ」と付け加えた。

トランプ大統領の発言は、水曜日に「イランが言うことを聞かなければ爆撃する(to bomb Iran “if they don’t behave”)」と脅迫した発言と酷似している。

トランプ大統領はまた、この覚書は最終合意ではないと記者団に強調した。

「いや、最終合意ではない。これは覚書だ。もし私が気に入らなければ、再び銃撃し、爆弾を投下するだろう」とトランプ大統領は述べた。

ドナルド・トランプ大統領とJDヴァンス副大統領は日曜日、ホルムズ海峡再開に向けた暫定合意に電子署名した。大統領は水曜日、正式な対面署名は木曜日か金曜日に行われる可能性があると述べた。

(2)G7首脳が戦争終結を支持したことを強調し国際法違反を否定(Touts G7 support for ending war, dismisses violation of international law

トランプ大統領はサミットで勝利宣言を行い、G7首脳は個別の声明と共同声明で合意への支持を表明した。

世界の石油供給量の20%が通過するホルムズ海峡の再開にこの覚書がつながることに多くの首脳が安堵した様子だった。

ヨーロッパの諸大国と日本は、海峡閉鎖の結果、エネルギー価格の高騰に大きく打撃を受けている。

トランプ大統領はこれらの声明を称賛し、それらは交渉された合意の価値を反映していると主張した。

「彼らは皆、この合意を支持し、実現を望んでいるという声明を出している」とトランプ大統領は述べた。「そして、ホルムズ海峡が開かれたという事実も支持している。もし私たちが爆撃を行っていたら・・・さらに3カ月かかるかもしれない・・・何が残るだろうか? おそらく何も残らないだろう。しかし、海峡は決して開かれることはなかっただろう」。

トランプ大統領は、G7首脳がアメリカによるイランへの攻撃が国際法違反であると懸念を表明したかどうかという記者の質問を一蹴した。G7加盟国であるドイツ、イタリア、フランスの政府当局者は当初、この戦争は国際法違反(violating international law)だと批判していた。

トランプ大統領は「いや、いや、実際は正反対だ。彼らは彼ら(イラン)を非常に危険な存在だと感じていた」と答えた。

「彼らは自分たちも攻撃される可能性があるので、非常に安心していた。いや、そんなことは一度も話し合ったことはない。いや、むしろ逆だ」。

(3)トランプ大統領がイランのミサイル保有を容認したことを擁護している(Trump defends letting Iran maintain missile arsenal

大統領は、イランの弾道ミサイル保有を容認したことを擁護し、これはイランの核開発計画とは関係のない問題の1つとして、アメリカがペルシア湾岸の同盟諸国と協力して取り組む課題になると述べた。

また、イスラエルやサウジアラビアといったイランのライヴァル国がミサイルを保有している現状では、イランのミサイル保有を禁止することは不可能だっただろうと示唆した。これはイスラエルにとって深刻な懸念事項である。

トランプ大統領は水曜日、記者団に対して「つまり、他国が保有しているのだから、イランも多少は保有しなければならない。多少は必要だ」と語った。

「私は彼らの何人かを気に入っているが・・・彼らは賢いとは思わない。『大統領、彼らにミサイルを持たせるべきではありません』」と大統領は名前を明かさなかった補佐官たちについて語った。「『では、どうすればいいんだ? サウジアラビアにミサイルを持たせるが、イランに持たせないというわけにはいかないだろう?』と私が言うと、『はい、大統領』と答えたのだ」。

「そういうことはできないだろう。ミサイルは問題ではない」とトランプ大統領は述べ、ミサイルは「特定の場所に多少の被害を与えることはあっても、地球を吹き飛ばすことではない」とトランプ大統領は付け加えた。

イラン指導部は、ミサイル計画の変更は、和平合意に向けた外交交渉におけるレッドラインの1つであると述べている。イランは、このミサイル計画を用いて、イスラエルとペルシア湾のアメリカ軍基地を攻撃した。

「我々は彼らのミサイルの84~85%を破壊した。残りは地下に埋まっている。彼らはそれらを地上に出すことすらできないのだ」と、トランプ大統領は水曜日、イランがミサイル能力の一部を保持することをなぜ容認するのかという質問に対し、このように答えた。

(4)トランプ大統領がネタニヤフ首相との「対立」を強調する(Trump highlights ‘dispute’ with Netanyahu

トランプ大統領は、1時間以上にわたる記者会見で、イランとの戦争をめぐるアメリカとイスラエルの利害の相違(America’s and Israel’s divergent interests over the war with Iran)を浮き彫りにした。

トランプ大統領は、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相への批判は比較的控えめで、両者はレバノンのヒズボラがもたらす脅威をめぐって「対立(dispute)」していると述べ、イスラエル人の死傷者や甚大な被害を出さない限り、アメリカがテロ組織に指定するヒズボラへの攻撃を控えるようネタニヤフ首相に助言した。

イランは覚書においてレバノンでの停戦を優先事項とし、合意文書の冒頭にその項目を盛り込んでいる。

「レバノンを巡って、私たちは少しばかり意見の相違を抱えている」とトランプ大統領はネタニヤフ首相に言及しながら述べた。

「ビビ(ネタニヤフ首相の愛称)、もう少しソフトな対応ができるだろうと言った。ヒズボラ関係者が建物に侵入するたびに、建物を壊す必要はないだろう」と大統領は続けた。

「彼らが自衛すべきではないと言っているのではない。砂漠にドローン2機が撃ち込まれ、無害な状態で落下したのなら、ベイルートの建物を壊す必要はないと言っている」。

トランプ大統領のネタニヤフ首相に対する批判は、週初めに罵詈雑言を交えた激しい(in a profanity-laced tirade)非難を浴びせた時と比べると、穏やかなトーンだった。

トランプ大統領は、週末にイスラエル、ヒズボラ、イランの間で相次いだ報復攻撃を受けて、これらの攻撃が覚書の合意を危うく覆すところだったと述べた。

(5)トランプ大統領はガソリン備蓄が危険なほど減少していると発言した(Trump says gas reserves running dangerously low

トランプ大統領は発言の中で、海峡が再開されていなければ、石油備蓄は4週間で枯渇していたと述べた。

「備蓄は4週間ほどで枯渇する」とトランプ大統領は述べた。「世界中に備蓄はあるが、本当に枯渇してしまうだろう。そうなれば、石油を入手できなくなる時が来るだろう。」

石油が枯渇すれば「大混乱(bedlam)」になると大統領は述べた。

「この合意によって船舶が航行できるようになる」とトランプ大統領はイランとの合意について述べた。「爆撃を続ければ、船舶は航行できなくなるだろう」。

トランプ大統領がアメリカの石油在庫を指していたのか、世界の石油在庫を指していたのかは、必ずしも明確ではない。ホワイトハウスは詳細な説明を拒否し、『ザ・ヒル』誌に対し、トランプ大統領の元の発言を参照するよう求めた。

石油消費国で構成される国際エネルギー機関(IEA)は、石油備蓄量の減少について警告を発している。

IEAはまた、5月に今年の石油需要が供給を上回るとの見通しも示した。
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メモ:ドナルド・トランプ大統領がイランとの合意成立に苦心する中でタカ派はイラン情勢の「惨事」を嘆く(The Memo: Hawks lament ‘disaster’ on Iran as Trump strains to sell deal

ナイオール・スタンジ筆

2026年6月17日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5929372-trump-defends-iran-missile-rights/

ドナルド・トランプ大統領は水曜日、イランとの暫定和平合意の正当性を訴えようと試みたが、長時間の記者会見は、批判を和らげるための土壇場での特ダネ(no last-minute rabbits)など存在しないことを露呈したに過ぎなかった。

フランスで開催されたG7サミットを終え、帰国を控えたトランプ大統領の発言は、紛争終結を強く望むあまり、アメリカが当初の戦争目的(original war aims)からどれほど逸脱しているかをも明らかにした。

特に衝撃的だったのは、トランプ大統領がイランの弾道ミサイル保有権を擁護したことだ。かつてアメリカとイスラエルは、イランの弾道ミサイル能力の破壊を目標としていたにもかかわらず、認めることになった。

「他国が保有しているのだから、イランも保有しなければならない。イランも保有する必要がある」とトランプ大統領は述べ、ペルシ湾岸諸国との比較においてイランの立場に言及した。

トランプ大統領は、名前を出さないがある補佐官からイランの通常兵器を完全に排除する必要があると告げられた際、「私は『それでは、どうすればいいんだ? サウジアラビアにはミサイルを持たせておいて、彼らには持たせないのか?』と答えた」と付け加えた。

トランプ大統領は、ホルムズ海峡再開に向けた自身の取り組みを、アメリカの繁栄にとって極めて重要だと位置づけた。合意に至らなければ「経済的大惨事(economic catastrophe)」に陥ると警告し、大恐慌を悪化させたとして広く非難されているハーバート・フーヴァー元大統領のような事態は避けたいと述べた。

イランの濃縮核物質保有という核問題の核心部分について、トランプ大統領は懸念を払拭し、アメリカには「それを入手する手段がある(the equipment to get it)」し、入手できれば「心理的に(psychologically)」満足感を得られるだろうとしながらも、「実際にはそれほど価値はない。大した価値はない(it’s actually not valuable. Not a lot of value)」と述べた。

さらにトランプ大統領は、アメリカとイラン交渉団の間で合意された暫定覚書には、イランの復興費用を支援するための3000億ドルの基金設立が含まれていることを確認した。この基金はアメリカが直接資金援助するものではないものの、ワシントンは基金の計画と運営に関与し、ペルシア湾岸の同盟諸国にも拠出が期待される見込みだ。

トランプ大統領が演説していたのとほぼ同時刻、あるトランプ政権高官が記者会見を開き、覚書の全文を記者団に読み上げた。この合意は金曜日にスイスで署名される予定だ。

高官が確認した覚書の内容によると、この覚書は双方による、重要なホルムズ海峡の再開、イランによる原油輸出の即時再開、そして合意が履行される限りアメリカがイランの資産凍結を解除するという条項を含んでいる。

その見返りとして、イランは核兵器を「調達も開発もしない(procure or develop)」と約束した。トランプ大統領はこれを大きな勝利として喧伝しているが、実際にはイランが過去に何度も繰り返してきた約束を繰り返しているに過ぎない。バラク・オバマ前大統領時代に締結された包括的共同行動計画(Joint Comprehensive Plan of ActionJCPOA)にも同様の約束が含まれており、現在のトランプ大統領はこのJCPOAを厳しく批判している。

覚書には、イランが保有する高濃縮ウランは、少なくとも国際原子力機関(IAEA)の監視下で現地希釈(dilution on-site)されることが明記されている。しかし、該当箇所は曖昧で、「濃縮問題(the issue of enrichment)」に関する最終的な解決は最終合意に持ち越されるとされている。懐疑派は、これがテヘランに相当な裁量権を与えるのではないかと懸念している。

左派、右派を問わず、もしこれが戦争の解決策となるのであれば、そもそもなぜ戦争が戦われたのかと疑問を呈する声が上がっている。

特に保守強硬派の間では、強い不安が広がっている。イスラエル支持派のコメンテーターのベン・シャピロは水曜日のフォックスニューズのインタヴューで、この合意を「大惨事(disaster)」と評した。著名な保守派コメンテーターであるエリック・エリクソンもソーシャルメディアで、この合意は「アメリカの降伏(an American surrender)」だと書き込んだ。

憤慨しているのは専門家たちだけではない。

トランプ大統領が対立候補の1人を支持したことで先月の予備選挙で敗れたビル・キャシディ連邦上院議員(ルイジアナ州選出、共和党)は、この合意を「数十年来最悪の外交政策の失策(the worst foreign policy blunder in decades)」と非難した。

トランプ政権1期目に米国連大使を務め、その後2024年の大統領予備選挙でトランプと争ったニッキー・ヘイリーは、ソーシャルメディアで、イランは受け取った資金を「核開発の野望と、我々に対するテロリストの代理活動に利用するだろう(further their nuclear ambitions and on terrorist proxies against us)」と書き込んだ。

ヘイリーはさらに、「私たちが破壊したばかりの脅威を再建するために金を払うのは大きな間違いだ(It’s a huge mistake to pay to rebuild the threat we just destroyed)」と述べた。

これだけでも右派の反発を招くには十分だったが、トランプ大統領は記者会見で、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相とレバノンにおけるイスラエルの行動を幾度となく批判した。イスラエルによるレバノン侵攻と、ヒズボラとの戦闘の中で続く攻撃は、アメリカ・イラン和平合意に深刻な脅威を与えており、トランプ大統領はこれに強い不満を抱いている。

トランプ大統領は、最近のイスラエルによるベイルートへの攻撃は「私の見解では不必要だった(unnecessary in my book)」と述べた。

記者会見の冒頭で、トランプ大統領はレバノンにおけるイスラエルの行動は概して不均衡であると主張した。

「彼らが自衛すべきではないとは言っていない」と大統領は述べた。「砂漠にドローン2機が撃ち込まれて無害に落下したのなら、ベイルートの建物を破壊する必要はないはずだ。彼らはもっとましな行動を取るべきだし、率直に言って、もっとうまくやれるはずだ。」

インターネット上では、この発言に対し、意外な方面から大統領に穏やかな称賛が寄せられた。それは、ガザ地区とレバノンの両方でイスラエルが取ってきた行動にかねてから強い憤りを感じてきた、主に左派のコメンテーターたちからのものだった。

しかしながら、イスラエル国内でこの合意が引き起こした動揺は、すぐに明らかになった。

「一体なぜトランプ大統領はイランの弾道ミサイル計画を支持するのか?」と『イェルサレム・ポスト』紙の論説記事は一面トップで報じた。

『タイムズ・オブ・イスラエル』紙のホームページでは、創刊編集者のデイヴィッド・ホロヴィッツがトランプ大統領の合意を「壊滅的な降伏(catastrophic capitulation)」と評した。

もちろん、共和党内にもこの合意を擁護する人たちはいる。

リバータリアンで戦争批判派のランド・ポール連邦上院議員(ケンタッキー州選出、共和党)は、自身の投稿で「私は平和に関してトランプ大統領を支持する(I stand with President Trump on peace)」と述べた。

また、共和党内、そしてより広範なMAGAメディアのエコシステムには、ほぼあらゆる状況でトランプ大統領を支持すると見なせる人々が数多く存在する。

しかし、イラン合意はまさに嵐を巻き起こした。問題は、トランプ大統領とその支持者たちがどれだけ早く、そしてどれだけ効果的にこの嵐を鎮めることができるかということだ。

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関連記事:アメリカ・イラン14項目合意、戦争終結とホルムズ海峡開放(Read: 14-point US-Iran agreement to end war, open Strait of Hormuz

『ザ・ヒル』誌(TheHill.com

2026年6月17日

https://thehill.com/policy/international/5928797-us-iran-war-deal-text/

複数のトランプ政権高官は水曜日、記者団との電話会見で、イラン戦争終結とホルムズ海峡再開に向けたアメリカ・イラン合意の内容を読み上げた。

JD・ヴァンス副大統領は、金曜日にスイスで行われる覚書の正式署名式にアメリカ代表として出席する予定だが、トランプ大統領はG7サミットに出席するため既にヨーロッパ入りしているため、水曜日に出席する可能性もあると述べた。

合意内容は以下の通りだ。

●第1項

アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国、および現在の戦争における両国の同盟国は、本覚書に署名することにより、レバノンを含む全ての戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な終結を宣言し、今後、相互にいかなる戦争または軍事作戦も開始せず、相互に対する武力による威嚇または武力行使を控え、レバノンの領土保全・一体性と主権(sovereignty and territorial integrity)を確保することを約束する。最終合意は、レバノンを含む全戦線における戦争の恒久的終結、および本項のその他の規定を確認するものである。

●第2項

アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国は、互いの主権と領土保全・一体性を尊重し、互いの内政に干渉しないことを約束する。

●第3項

アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国は、双方の合意により延長可能な最長60日以内に最終合意の交渉および達成に尽力することを約束する。

●第4項

本覚書の署名後直ちに、アメリカ合衆国はイラン・イスラム共和国に対する海上封鎖およびあらゆる妨害行為の解除を開始し、30日以内に海上封鎖を完全に解除する。この期間中、船舶の航行量は、イラン・イスラム共和国が戦前の水準まで回復する船舶数に比例するものとする。アメリカ合衆国はさらに、最終合意後30日以内に、イラン・イスラム共和国近海から自国軍を撤退させることを約束する。

●第5項

本覚書の署名後、イラン・イスラム共和国は、ペルシア湾からオマーン湾、およびその逆方向への商船の安全な航行を、60日間限定で、無償で確保するため、最大限の努力を尽くすものとする。商船の航行は直ちに再開され、イラン・イスラム共和国による技術的・軍事的障害物の除去および機雷除去の必要性を考慮し、30日以内に再開される。イラン・イスラム共和国は、適用される国際法およびホルムズ海峡沿岸国の主権を尊重しつつ、他のペルシア湾沿岸諸国との協議を経て、オマーン・スルタン国と対話を行い、ホルムズ海峡における将来の行政および海上サーヴィスについて定める。

●第6項

アメリカ合衆国は、地域パートナー諸国と協力し、イラン・イスラム共和国の復興および経済発展のために、少なくとも3000億ドル規模の、相互に合意した最終的な計画を策定する。この計画の実施メカニズムは、60日以内に最終合意の一部として確定される。関連する金融取引に必要な全ての許可、免除、および認可は、アメリカ合衆国が付与する。

●第7項

アメリカ合衆国は、最終合意の一部として、合意されたスケジュールに従い、イラン・イスラム共和国に対するあらゆる種類の制裁措置(国連安全保障理事会決議、国際原子力機関(IAEA)理事会決議、および全てのアメリカによる一方的な制裁措置[一次制裁および二次制裁を含む])を解除することを約束する。イラン・イスラム共和国とアメリカ合衆国は、上記の制裁解除問題の重要性を認識し、これらの問題について相互合意に達するため、交渉において直ちにこれらの問題に取り組む意向を表明する。

●ポイント8

イラン・イスラム共和国は、核兵器の調達または開発を行わないことを改めて表明する。アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国は、第7項に記載されたスケジュールに従い、相互に合意するメカニズムに基づき、備蓄されている濃縮核物質の処分について解決することに合意した。その最低限の方法論は、国際原子力機関(IAEA)の監督下での現地での希釈(down-blending on site)である。両当事者はまた、最終合意で合意される法的枠組みに基づき、濃縮問題およびイラン・イスラム共和国の核ニーズに関連するその他の相互に合意された事項について協議することに合意した。最終合意は、この項の規定を確認するものである。アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国は、上記の核問題の極めて重要な意義を認識し、これらの問題について相互合意を達成するため、交渉において直ちにこれらの問題に取り組む意向を表明する。

●第9項

最終合意が成立するまでの間、アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国は現状維持(status quo)に合意する。イラン・イスラム共和国は核開発計画の現状を維持し、アメリカ合衆国は新たな制裁措置を課さず、また地域への追加部隊の派遣も行わない。

●第10項

アメリカ合衆国は、本覚書の署名後直ちに、かつ制裁措置が解除されるまでの間、米財務省がイラン産原油、石油製品および派生製品、ならびに銀行取引、保険、輸送等を含む全ての関連サーヴィスの輸出に対する免除措置を発令することを約束する。

●第11項

アメリカ合衆国は、本覚書の実施に伴い、イラン・イスラム共和国の凍結または制限された資金および資産を全面的に利用可能にすることを約束する。アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国は、交渉期間中にこれらの資金の解放に関する手続きについて相互に合意する。これらの資金は、元の口座に留保されているか、または移転されているかにかかわらず、イラン・イスラム共和国中央銀行が指定する最終受益者への支払いに全面的に利用可能となる。アメリカ合衆国は、これに伴い必要な全ての許可および承認を発令することを約束する。

●第12項

アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国は、本覚書の成功裏の履行と最終合意の将来的な遵守を監視するための執行メカニズムを設置することに合意する。

●第13項

本覚書の署名後、本覚書の第1項、第4項、第5項、第10項および第11項の履行開始およびこれらの措置の継続的履行を条件として、アメリカ合衆国とイラン・イスラム共和国は、最終合意に関する交渉を、他の項のみについて開始する。

●ポイント14

最終合意は拘束力のある国連安全保障理事会決議(a binding U.N.S.C. resolution)によって承認される。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 古村治彦です。

 今週金曜日にアメリカとイランの間で署名される覚書について、その全容は明らかにされていない。60日間停戦が継続され、ホルムズ海峡が解放されるということは明らかになっている。その間にアメリカとイランの間で核開発に関する交渉が実施される。今回の各交渉では、バラク・オバマ政権時代に締結した核合意よりも譲歩を迫られる可能性があり、おうなれば、イラン戦争を開始した意味はなく、実質的には「敗北」ということになる。

 イラン側はホルムズ海峡の管理権、通行料徴収を強く主張してきたが、60日間は徴収しないということになったようだ。この期間が終了後にはどうなるかは分からない。イラン側はアメリカとイスラエルによる攻撃で受けた被害の復旧のためという理由をつけているが、これは、アメリカとイスラエルが賠償金を支払うことで解消されるが、アメリカとイスラエルは賠償金を支払うことはしないということになれば、世界各国に負担してもらうということで通行料徴収ということになるようだ。アメリカとイスラエルは世界に多大な迷惑をかける「ならず者国家」である。

 覚書にはイランの復興と経済発展(reconstruction and economic development)」のための3000億ドル規模の基金(fund)設立がふくまれているようだ。48兆円規模の基金というのは何とも大きな話である。この金額はイランがこの戦争で受けた被害の総額ということになり、この基金は実質的には戦争被害に対する「賠償・補償(compensation)」の意味合いを持つ。そして、重要なのは以下の記事にあるが「この構想は、ペルシア湾岸諸国と東アジア諸国からの民間投資を想定している」ということであり、JD・ヴァンス副大統領は「アメリカの納税者からのお金ではない」と発言している。

 今回の停戦交渉には中国が大きな役割を果たしているが、イラン側が戦争被害の補償を強く主張する一方で、アメリカとしては「敗北」を印象付けるような賠償や保証は受け入れられないということで、この点が大きな摩擦点となったと言えるだろう。そこで、「お金で解決する」という考えを基本にして、中国が主導して、基金を作ってイランの復興を支援する、アメリカは支払わなくてよいという形でまとめたことになるのだろうと考える。中国は善意でやっているのではなく、その代わりに石油の確保と海外での投資先、中国企業のイラン復興プロジェクトの優先的な受注、中国国内の失業者の雇用といったことで、資金提供を決めたと考えられる。アメリカとしては、最大の属国である日本にある程度の資金を出させて、「中国だけが復興に参加しているのではない」という形にさせようという考えもあるだろう。アメリカとイランは国交断絶して約半世紀が経過しており、アメリカにはイラン国内に何の足掛かりもない。日本は長年にわたり、イランとの友好関係を保っている。日本を利用して、中国独占という形を取らせないということになるだろう。

 イラン戦争は中国が舞台裏で仲介し、資金を提供することで停戦に進むということになりそうだ。イラン戦争はアメリカと西側諸国没落と衰退、非西洋諸国の台頭と強靭さを印象付けることになった。

(貼り付けはじめ)

スクープ:CIA長官はイランの合意意図に疑問を抱いていると情報提供者たちが語る(Scoop: CIA director doubts Iran's intentions on deal, sources say

バラク・ラヴィド筆

2026年6月15日

『アクシオス』誌

https://www.axios.com/2026/06/15/us-iran-deal-cia-director-ratcliffe

関係者3人によると、ジョン・ラトクリフCIA長官はドナルド・トランプ大統領をはじめとする政府高官たちに対し、米情報・諜報機関が収集した証拠は、イランが最終合意でアメリカが求める核譲歩に応じる考えがあるのか​​どうかについて深刻な疑念を抱かせるものだと述べた。

●摩擦点(Friction point):トランプ政権の側近の中で懐疑的なのはラトクリフ長官だけではない。関係者2人によると、内部協議では、マルコ・ルビオ国務長官とピート・ヘグセス国防長官が、日曜日に発表された覚書(the memorandum of understandingMOU)について懸念を表明し、疑問を呈した一方、JD・ヴァンス副大統領、スティーヴ・ウィトコフ特使、ジャレッド・クシュナー特使は覚書を支持した。

●舞台裏(Behind the scenes):日曜日の発表に先立ち、トランプ大統領と側近の間で、この合意に関する一連のハイレヴェル会合が開かれた。

・関係者2人によると、一連の会合の中で、トランプとそのティームは、アメリカの複数の情報・諜報機関が収集した情報について協議した。その情報によると、イラン当局者が内部でこの合意について話し合っている内容は、仲介者やアメリカに対して述べている内容と矛盾していたという。

・情報者2人によると、ラトクリフ長官とルビオ長官は、その情報に基づき、アメリカが求める核措置にイランが同意するとは考えにくいと述べた。

・ある関係者は、「情報によると、イランの意図は合意に基づく約束と一致していない」と述べた。

●彼らが述べていること(What they're saying):「トランプ大統領はあらゆる問題についてあらゆる意見に耳を傾けるが、最終決定権は彼にあることは誰もが理解している」とホワイトハウス当局者は本記事に関する質問に対し答えた。

「この覚書は、イランが核兵器を保有できないこと、高濃縮ウランを保有できないこと、世界のエネルギー供給を人質にできないことを保証するという、政権が長年表明してきた全てのレッドラインを満たしている」とホワイトハウス当局者は述べ、トランプ大統領は「良い(good)」最終合意にのみ同意すると付け加えた。

CIAと国務省はコメントを拒絶した。

・国防総省のショーン・パーネル報道官は記事掲載後に回答し、ヘグセス長官は「和平合意(the peace deal)とトランプ大統領の全ての目標」を支持していると述べた。

●より広い視点(Zoom out):日曜日に署名された覚書の核関連条項は、今後60日以内に当事者間でより詳細な核合意が成立するかどうかにかかっている。

ヴァンス、ウィトコフ、クシュナーは、イラン国家のモハマド・バゲル・ガリバフ議長、アッバス・アラグチ外相、そしてパキスタンとカタールの仲介者と金曜日に会談し、次の段階について協議する予定だ。

●行間を読む(Between the lines):14項目からなる初期合意の全文はまだ公表されていないが、内容に詳しい情報筋によると、イランは覚書の下で譲歩する以上に多くのものを得ることになるだろう。ただし、イランがアメリカの目標を満たす核合意に署名することに同意すれば話は別だ。

●全体像(The big picture):この合意は停戦を延長し、60日間の交渉を開始することを目的としており、交渉期間は双方の合意により延長可能である。

・これらの交渉において、イランは核兵器を決して取得または調達しないという過去の約束を改めて表明した。

・情報筋によると、覚書には、アメリカとイランが「備蓄されている濃縮物質の処分問題を解決する(resolve the disposition of stockpiled enriched material)」こと、そして「最終合意で合意される満足のいく枠組みに基づき、将来の濃縮問題およびイランの核ニーズに関連するその他の相互に合意された事項について協議する(discuss the issue of future enrichment and other mutually agreed matters related to Iran's nuclear needs based on a satisfactory framework being agreed upon in the final deal)」ことを約束すると記されている。

・覚書には、交渉が継続する限り、イランは核開発計画の現状維持(the status quo)を行うと明記されている。一方、アメリカは新たな制裁を課したり、地域に増派したりはしない。

・複数の情報者による覚書の説明によれば、最終的な核合意が成立した場合、アメリカは30日以内に戦争のために動員した部隊を撤退させ、合意されたスケジュールに従ってイランに対する全ての制裁を解除する。

●要点(Breaking it down):この合意に懐疑的な国内勢力は、イランがアメリカの条件で核合意に署名する可能性は低く、その間、覚書によってアメリカよりもイランの方が利益を得るだろうと主張している。

・しかしながら、アメリカの政府高官2人は月曜日の記者会見で、イランにとっての利益は全て、イランが具体的な措置を講じるかどうかにかかっていると主張した。

・1人の政府高官は、イランが核譲歩に真剣かどうかは2、3週間で分かると述べた。もし真剣でなければ、イランが大きな利益を得ることなく交渉は決裂する可能性がある。

・リンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)は『アクシオス』誌に「イランの合意に対する見解は、アメリカの交渉ティームが主張しているものと異なっているように思えるのでやや懸念している」と語り、合意文書の即時公開を求めた。

●詳細(Zoom in):核関連事項は条件付きだが、覚書ではホルムズ海峡の早期再開が求められている。

・覚書の内容を知る情報筋によると、この覚書は「イランは最大限の努力を尽くし、60日間、商船の安全な航行を無償で確保する」と規定しており、アメリカは段階的に封鎖を解除し、30日以内に完全に解除する予定だという。

ある関係者によれば、覚書には、イランがオマーンと海峡における「将来の管理と海上サーヴィスを定める(to define future administration and maritime services)」ための対話を行い、他のペルシア湾岸諸国もこの対話に参加して、地域諸国の「適用される国際法と主権に沿った(in line with applicable international law and sovereign rights)」解決策を見出すと記されている。

イラン国営メディアは、60日間の期間終了後、通過料(transit fees)を徴収する可能性について報じている。

交渉における最も争点となった問題の1つは、イランの凍結された資金と資産の解放(the release of Iran's frozen funds and assets)だった。

関係者たちによると、覚書は「アメリカは、本覚書の履行に伴い、(資金を)完全に利用可能にする」と明記しており、解釈の余地が大きく残されている。

アメリカ政府当局者たちは、これは「成果報酬型()pay for performance」モデルになると述べている。あるアメリカ政府高官は記者団に対し、イランから前向きな「ジェスチャー(gesture)」が見られれば、アメリカは見返りとして一部の資金を解放する可能性があると語った。

また、覚書には、最終合意には、イランの「復興と経済発展(reconstruction and economic development)」のための3000億ドル規模の基金(fund)設立に関する「明確かつ相互に合意された計画(definitive and mutually agreed plan)」と、その実施メカニズムが含まれると記されていると関係者たちは述べた。

合意の支持者たちは、これは長期的な構想であり、イランが核開発計画を放棄し、大幅な国内改革を実施して初めて実現すると主張している。

=====

トランプ合意に基づきイランが受け取る可能性のある数十億ドルの内訳(Breaking down the billions Iran could receive under Trump's deal

デイヴ・ロウラー、バラク・ラヴィド筆

2026年6月16日

『アクシオス』誌

https://www.axios.com/2026/06/16/trump-iran-deal-billions-frozen-funds

ドナルド・トランプ大統領のイラン核合意の、いまだ秘密にされている条件は、テヘランがどれだけの経済的利益を得るのか、そしてそれがいつ実現するのかをめぐって激しい議論を巻き起こしている。

●全体像(The big picture):この合意により、イランは60日間の交渉期間中、石油を自由に販売できると見込まれている。さらに、より広範な制裁緩和(broader sanctions relief)、凍結資金へのアクセス(access to frozen funds)、そして最終的な核合意が成立すれば、最大3000億ドル規模の復興投資基金(a potential $300 billion rebuilding investment fund)への道が開かれる可能性がある。

●摩擦点(Friction point):批判者たちは、トランプ大統領が1期目に2015年の核合意を破棄した後、今回も同じ手法、つまり核譲歩と引き換えに資金凍結を解除するという手法を繰り返していると主張している。さらに、復興基金に関しては、さらに一歩踏み込んだ可能性もあるとしている。

・ホワイトハウスは、イランの「偽情報(misinformation)」によって議論が歪められているとし、「成果報酬型(pay for performance)」の仕組みこそが、可能な限り強力な合意を実現するための最善の方法だと主張している。

・しかし、アメリカ政府当局者たちは、少なくとも一部の利益はイランに前払いされることを認めている。

●現状(State of play):金曜日に正式に署名される予定の覚書は、より詳細な核合意に向けた60日間の交渉を開始することを目的としている。

・アメリカ政府当局者たちは、長期的な核合意が成立するかどうかは不確実だと認めつつも、イランの経済的利益は合意にかかっていると主張している。

・一方、覚書の内容に関する詳細がほとんど明らかにされていないため、数十億ドルが既にテヘランに流れているという憶測が飛び交っている。

・本件に関する質問に対し、あるアメリカ政府当局者は『アクシオス』誌に対し、「これは成果主義に基づく合意だ。イランは、核兵器の保有禁止、濃縮物質の無害化、ホルムズ海峡における航行の自由の阻害禁止など、合意した全ての条項を遵守した場合にのみ、覚書の恩恵を受けることができる」と述べた。

以下に、この合意における財政的インセンティヴの内訳を示す。

■イランが直ちに得るもの(What Iran gets right away

・あるアメリカ政府当局者によると、この合意には、協議が継続する限りイランが石油を販売できる一時的な制裁免除(sanctions waivers)が含まれている。これは、厳しいアメリカの海上封鎖が解除されるにつれて、莫大な収入源となる可能性がある。

・イラン国営メディアは、テヘランは署名するだけで凍結資金に即座にアクセスできるようになると主張しているが、アメリカ政府当局者たちはこれを断固として否定している。

・あるアメリカ政府高官は、イランは相互に遵守の意思を示すジェスチャーと引き換えに、制裁緩和や凍結資金へのアクセスといった「ジェスチャー(gestures)」を受け取る可能性があると述べた。

・アラブ首長国連邦(UAE)やカタールなどのペルシア湾岸諸国が、保有するイランの資金凍結を解除する裏取引(side delas)が行われているとの報道について、アメリカ政府高官は「馬鹿げている(preposterous)」と一蹴した。

・それでも、この覚書には解釈の余地が残されている。覚書の内容に詳しい情報筋によると、アメリカは「(凍結された資金を)この覚書の履行に伴い、完全に利用可能にする」と約束している。

■核合意でイランが得られるもの(What Iran gets under a nuclear deal

・最終的な核合意が成立した場合、アメリカは覚書に基づき、合意されたスケジュールに従ってイランに対する全ての制裁を解除することを約束しているとあるアメリカ政府関係者は覚書の内容を説明している。

・ホワイトハウスは、いかなる合意にも、イランの高濃縮ウランの回収、将来の濃縮の一時停止、およびそれに伴う査察体制が含まれるべきだと述べている。

・あるトランプ政権高官は、アメリカはイランが真剣に取り組むかどうかを2、3週間以内に判断できると見込んでおり、もし真剣に取り組まなければ、財政的な利益は限定的なものになるだろうと述べた。

■3000億ドルの基金(The $300 billion fund

・政治的に最も物議を醸す条項の1つは、イランのための復興基金(rebuilding fund)の可能性である。

・覚書の内容を知るある関係者によると、最終的な合意には、イランの「復興と経済発展(reconstruction and economic development)」を支援する基金に関する「明確かつ相互に合意された計画(definitive and mutually agreed plan)」が含まれるという。

・協議に詳しい複数の関係者によると、「繁栄基金(prosperity fund)」構想はカタール発案で、アメリカとイランの間で数週間にわたり協議されてきた。この構想は、ペルシア湾岸諸国と東アジア諸国からの民間投資を想定している。

JD・ヴァンス副大統領はフォックスニューズに対し、この資金はアメリカの納税者から拠出されるものではなく、イランが核開発計画を永久に放棄し、濃縮ウランを放棄し、核査察を受け入れた場合にのみ活用されると述べた。

●注目すべき点(What to watch):トランプ大統領は火曜日、覚書の本文は公表されるだろうと改めて述べたが、おそらく金曜日の正式署名までは公表されないだろう。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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 古村治彦です。
 
 2026年6月14日、パキスタンのシャバズ・シャリフ首相が、アメリカとイランの間で継続されてきた和平交渉について「覚書(memorandum of understanding)」の内容に合意し、署名が実施されると発表した。その後、アメリカ側とイラン側でそれぞれ合意がなされたことが発表された。今週金曜日、2026年6月19日にスイスで署名式が開かれ、アメリカからはJD・ヴァンス副大統領が出席する可能性が高いとされている。今回の覚書は、停戦を60日間延長し、ホルムズ海峡の開放が実施され、イランの核開発に関する交渉が行われるということが主要な内容となっている。

 イラン側はこれまで、ホルムズ海峡の管理権と船舶の通行料徴収を強く主張してきたが、これまでのところ、これらの内容については詳細が伝わってきていない。核開発に関する交渉の内容もこれから詰められることになるが、バラク・オバマ政権時代の核開発に関する合意以上の内容にはならないことが予想される。アメリカはイランに対する制裁の緩和や介助を実施しなければならない可能性もがあり、そうなれば、アメリカ側の譲歩、敗北という評価が出てくるだろう。

 覚書発行によって全ての戦線での戦闘が停止されるとされている。これにはレバノンも含まれる。つまり、イスラエルによるレバノン攻撃が停止されるということだ。イスラエルはレバノンへの攻撃を継続し、イラン側はそれに対して、「戦闘を停止しなければ和平交渉は行わない」とアメリカ側に伝えてきた。アメリカのドナルド・トランプ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相に対して、怒りの電話をしたことはすでに報じられている。合意直前には、イランがイスラエルへの攻撃を計画しており、それが実施されれば交渉は行き詰まり、停戦も遠のくということで、アメリカ側は合意に向けて奔走し、最終的にはイランが攻撃を中止したことで、交渉は継続されて合意に至った。
 覚書の合意到達は喜ばしいことであるが、和平合意(agreement)には程遠い。要は停戦を60日間延長するということであり、アメリカとイランの間には合意に至っていない相違点があることをお互いが認めているという状態でしかない。もちろん、交渉が継続されるというのは大きいが、問題は、イスラエルという不確定、不安定、不誠実な要素が存在するということだ。イスラエルはイランの打倒をあきらめていない。アメリカが「損切り」で、勝手にイランと停戦することを認めないだろう。「自分たち(イスラエル)は覚書に拘束されない」「ヒズボラ側が攻撃を仕掛けてきた」という理由をつけて、イスラエルが攻撃を行うことは十分に考えられる。そうなれば、交渉は中断し、ホルムズ海峡の封鎖や再攻撃ということも考えられる。先行きは不透明であり、喜んでばかりもいられない。

 さらに言えば、トランプ大統領の「皆さん、おめでとう(Congratulations to all)」という無神経な書き込みは全く持って受け入れがたい。そもそも、トランプ大統領がネタニヤフ首相の口車に乗って、政権内で誰もが賛成していない(アホのピート・ヘグセス国防長官は除く)イラン攻撃を始めたのがそもそもの始まりだ。放火魔が他人の家に火をつけて、被害を出しておいて、「火が消えておめでとう」と言って、誰が「一緒に喜びましょう」となるか。トランプ大統領がなすべきは、全世界に自分の判断の誤りと不明を謝罪し、自ら引退を決定することだ。そして、イスラエルのネタニヤフ首相は戦闘行為を停止し、裁判所に出頭し、汚職やスキャンダルでの裁判で有罪判決を受け、その生涯を檻のついた獄で終わらせることだ。それが世界に対するけじめということになるだろう。お前が火をつけたんだ。

(貼り付けはじめ)

米イラン、戦闘終結で合意 19日の署名後、ホルムズ開放へ 「平和もたらす」とトランプ氏

時事通信 6/15() 6:43配信

https://news.yahoo.co.jp/articles/71464a2a8df4a1098836d1a9d10fe68485765d3e

 【ワシントン、カイロ、ニューデリー時事】トランプ米大統領は米東部時間14日夕(日本時間15日朝)、イランとの戦闘を終結する覚書について「合意が成立した」とSNSで発表した。

 署名式はスイスで19日に行われる予定。トランプ氏はイランが事実上封鎖する原油輸送の要衝ホルムズ海峡が署名後に「開放される」と強調した。

 交渉を仲介するパキスタンのシャリフ首相はX(旧ツイッター)で「米イランの和平合意が成立した」と発表。双方が、レバノンを含む全ての前線で軍事行動を「即時かつ恒久的に停止すると宣言した」と明らかにした。

 トランプ氏は合意について「地域全体に平和と安定をもたらす」と評価。ホルムズ海峡での通航料なしの自由航行を認め、米軍による海上封鎖の即時解除を承認すると表明した。「世界の船舶よ、エンジンを始動せよ。原油を流通させよう」とも呼び掛けた。海峡開放に伴い、機雷を除去する見通しも示した。

 バンス副大統領はFOXニュースに、署名式へ出席する予定で、トランプ氏も参加する可能性を示唆した。また、イランが核兵器を保有せず、開発や購入、調達をしない確約が合意に盛り込まれており、「イランが順守すれば中東を一変させる」と語った。

 イランで国防・外交を統括する最高安全保障委員会も覚書に合意したと発表した。同委は米国が「覚書の義務」を果たす必要性を強調。イランメディアによると、同国外務次官はイラン側の履行は署名後に始まるとの認識を示した。国営テレビは、イランの部隊と国民の不屈の精神と勇敢な抵抗により、米国は戦闘終結を受け入れざるを得なかったと伝えている。

 現時点で覚書の全容は明らかになっていない。シャリフ氏は署名式までに、仲介国を交えた一連の会合が開かれると表明しており、詳細を詰める作業が続く可能性もある。

 14日にはイスラエル軍が親イランのイスラム教シーア派組織ヒズボラの拠点を狙い、レバノン空爆に踏み切り、合意成立が危ぶまれた。ニューヨーク・タイムズ紙はイラン当局者の話として、イランが予告していたイスラエルへの報復を中止したと報じた。

=====

アメリカとイランが停戦延長と海峡の開放のための合意に達した(U.S. and Iran reach deal to extend ceasefire and open strait

バラク・ラヴィッド筆

2026年6月14日

『アクシオス』誌

https://www.axios.com/2026/06/14/us-iran-ceasefire-extended-hormuz-reopen-trump

アメリカとイランは、停戦を60日間延長する枠組みで合意した。金曜日に正式な署名式が行われ、その後に核に関する交渉が行われることになる。

●重要性(Why it matters):この合意はホルムズ海峡の航行再開、世界のエネルギー市場への圧力緩和、そしてイランの核開発計画に関する交渉の道を開くことになる。

・この覚書(memorandum of understanding)は、イラン戦争における最大の外交的突破口となり、未解決の核問題に関する交渉のための時間稼ぎ(buy time)を行えることになる。

●全体像(The big picture):この合意は、戦前は世界の石油と液化天然ガスの約20%を輸送していたホルムズ海峡の航行を回復することを目的としている。しかし、核に関する重要な問題は、今後2カ月間の交渉に任されることになる。

・海峡の完全な再開はすぐには実現しないだろう。戦前の航行量に完全に回復するまでに必要な、機雷除去(mine-clearing)、インフラの修復(repairing infrastructure)、そして安全確保(guaranteeing security)には時間がかかるだろう。

●ニューズの要点(Driving the news):パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は日曜日、107日間に及ぶ戦争を経て、ホルムズ海峡の再開と核協議開始に向けた枠組み合意到達を発表した。

・ドナルド・トランプ大統領は、アメリカが間もなく海上封鎖を解除すると述べ、イランも海峡を再開し、その後、より詳細な核交渉が行われる見込みだと述べた。

・この合意は、パキスタンとカタールの仲介を経て、日曜日に電子署名される予定だったが、実際に署名されたかどうかはすぐには明らかになっていない。

●私たちが見ている現状(What we're watching):パキスタンのシャリフ首相と複数のイラン政府当局者は、正式な署名式は金曜日にスイスで行われると述べた。

トランプ大統領は、トゥルース・ソーシャルで、海峡の開放は「機雷除去のため、金曜日に合意が署名された後に行われる」と述べた。

・イランの最高国家安全保障会議(Supreme National Security Council)は、「レバノンを含む全ての戦線における戦争と軍事作戦は、今夜から直ちに、そして恒久的に終結する」と発表した。

・声明は続けて、「最終合意に向けた交渉は、相手側が覚書に基づく約束を履行した後にのみ行われる」と付け加えた。

●要約(Breaking it down):この合意では、アメリカとイランが60日間の猶予期間中に、イランの核濃縮と高濃縮ウランの廃棄について交渉することが求められている。

アメリカは、制裁緩和(sanctions relief)と凍結されているイランの資金の解放(the release of frozen Iranian funds)について協議する予定で、緩和はイランの合意遵守状況と連動すると見込まれている。

停戦は、日曜日に再び激化したレバノンのイスラエルとヒズボラ間の戦闘にも適用される。

現状:この合意は、緊迫した最終局面を経て成立した。イスラエルは署名予定の数時間前にベイルートのヒズボラの拠点を攻撃し、イランは合意からの離脱という脅しを使った。

・アメリカとイスラエルの複数の政府当局者によると、イランはイスラエルへの攻撃に向けた作戦準備を進めていた。

・アメリカの交渉担当者は、カタールとパキスタンの仲介者とともに、イランによるイスラエルへの攻撃を回避しようと奔走した。攻撃はイスラエルの厳しい報復を招き、合意を頓挫させる可能性が高かったが、イラン政府は最終的に攻撃を見送った。

彼らの発言(What they're saying):「イラン・イスラム共和国との合意は完了した。皆さん、おめでとう! 私はここにホルムズ海峡の通行料無料(toll free)を全面的に承認し、同時にアメリカ海軍による海上封鎖の即時解除を承認する。世界の船舶よ、エンジンを始動せよ」とトランプ大統領はトゥルース・ソーシャルに書き込んだ。

それよりも数分前、シャリフ首相は自身のXに、アメリカとイランの間で和平合意が「成立した(has been REACHED)」と投稿し、「双方はレバノンを含む全戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な停止を宣言した」と付け加えた。

シャリフ氏は、この合意は「既に成立している」と述べた。

Sharif said the deal was "now in place."

・イランのカゼム・ガリババディ外務次官はイランメディアに対し、覚書の本文が最終決定したと語った。

・ガリババディ次官によると、レバノンでの日曜日の情勢悪化を受けて、テヘランが覚書の本文に修正を求めた一部の修正案が受け入れられたという。

ガリババディ次官は、イラン軍の威嚇が「交渉の進展を促すことを助け("helped facilitate progress in the negotiations)」、「本文の最終決定に貢献した(contributed to finalizing the text)」と述べた。

ガリババディ次官は、今回の合意によって交渉中に未解決だったいくつかの問題が進展したと述べた。「軍は断固たる対応を取る準備ができていた(The armed forces were prepared to deliver a decisive response)」と述べた。

ガリババディ次官によると、合意文書に関する交渉はアメリカ東部標準時間午後5時頃まで続き、その15分後にシャリフ首相が合意を発表した。

●今後の展開(What's next):シャリフ首相は、パキスタンと他の仲介者が「今週中に一連の会合を仲介する」と述べ、その後技術協議を行う予定だと語った。

アメリカとイランの両国は、イランの高濃縮ウランの希釈方法、核開発計画の凍結と監視に関する技術合意に達するまで60日間の猶予を設けた。

詳細度の低い覚書の締結がいかに困難だったかを考えると、これは非常に難しい課題だ。

アメリカ側は、制裁緩和と凍結資金へのアクセス(access to frozen funds)は核開発の進展にかかっているため、イランは最終合意に達する動機があると主張している。アメリカとイスラエルの一部の強硬派は、最終的な合意は決して成立せず、核問題が解決されないまま戦争が終結するのではないかと懸念している。

(貼り付け終わり)

(終わり)
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ザ・フナイ vol.225(2026年7月号)
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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2026年2月28日にアメリカとイスラエルによる大規模攻撃によって開始されたイラン戦争は、4月に停戦合意が結ばれ、その後は散発的に攻撃が行われているが、大規模な戦闘状態にはなっていない。ホルムズ海峡をイラン側、アメリカ側双方がコントロールするべく封鎖し、お互いの許可がない船舶に対しては攻撃が実施されている。石油価格の高騰や物資不足は世界規模で発生している。そうした中で、和平に関する「覚書(Memorandum of UnderstandingMOU)」への署名が早期に行われると報道されている。

 交渉の最大の焦点はホルムズ海峡の再開だ。イラン側は通行料徴収を継続したいが、アメリカ側は自由な航行を確保したいということで折り合いがつかなかった。イランとしてはホルムズ海峡の通糊料徴収を行いたい意向で、アメリカ側はそれに妥協するかどうかだ。アメリカ自体は中東地域からの石油に依存していないが、西側諸国は中東からの石油に依存していることもあり、ここで譲歩できる稼働は不透明だ。しかし、60日間の交渉期間でイラン側には一時的に制裁が解除されることになっている。そして、復興資金や即時現金給付がイラン側に支払われるということになっている。これが実質的な通行料の代替になる可能性とされ、合意に至る可能性もある。

 イランの核開発については、イラン国内で高濃度ウランの希釈を行い、その後に国外に運び出すということになっているようだ。トランプ大統領は現在イラン国内にあるウランに関してはイラン国内にとどめておくことに同意しており、イラン国内での処理で同意している。イランは繰り返し、核兵器開発は行わないとしており、核開発とウランに関しては合意に障害はないように思われる。

 イランとの合意内容について、アメリカ国内の対イラン強硬派は反発を強めている。確かに、彼らの視点(イランは武力で打倒すべき対象だ)からすれば、大幅な譲歩であり、実質的には敗北に近い。イランの体制を保証するような内容になることは、対イラン強硬派にとって受け入れがたいものとなるし、そもそもがイランと交渉をして、取引を行うことが許せないということになる。対イラン強硬派はトランプ大統領を支持してきた人々である。彼らからの反発はトランプ大統領にとっては痛手であるが、痛撃というほどのことはない。アメリカ国民の過半数がイラン戦争に反対している中で、イラン戦争終結に向けた動きを進めているのは国民の声に従っているということになる。

 イスラエルの存在も交渉にとっては難しい存在である。イラン側はイスラエルのレバノン攻撃停止を交渉の条件としている。トランプ大統領はイスラエルの動きに激怒し、ベンヤミン・ネタニヤフ首相を怒鳴りつけたということはすでにご紹介した。ヴァンス副大統領も3月の時点でネタニヤフ首相を電話会談で厳しく批判した。ネタニヤフ首相はレバノンへの攻撃を一時的に停止したが、レバノンの新イランのシーア派組織ヒズボラ解体を目指し、攻撃を続けることになるだろう。そうなれば、イラン側としては、「停戦条件違反」ということになり、合意からの離脱を行い、ホルムズ海峡封鎖を実施することになるだろう。アメリカとしてはイスラエルを止めたいところだが、このブログでも紹介している通り、イスラエルはアメリカの力で止めるには大きくなり過ぎた。

 今回の「覚書(Memorandum of UnderstandingMOU)」という形式は、合意(Agreement)からは一段落ちることになる。「この点は合意しました。この点は双方に相違点があることを理解し、明記します」という形式で、相違点についてはこれから交渉を続けることに合意するというものだ。法的拘束力がどうしても弱い。また、現在残っている相違点は、数カ月間の交渉でも合意に至らなかった「難所」である。完全な合意に向けては困難が待ち構えている。

(貼り付けはじめ)

詳細が明らかになりつつあるイランとの合意に対して批判が強まっている;知っておくべき5つのポイント(Knives come out for emerging Iran deal: 5 things to know

コリン・メイン、マロリー・ウィルソン筆

2026年6月12日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5921933-us-iran-agreement-details/

ドナルド・トランプ大統領は木曜日、ワシントンとテヘランの間で早ければ今週末にも署名される可能性があると述べた合意の詳細が明らかになるにつれ、対イラン強硬派がすでに警戒の目を向けている。

ワシントンの強硬な反イラン系シンクタンクである民主政治体制防衛財団(the Foundation for Defense of DemocraciesFDD)に所属する元財務省高官ミアド・マレキは、「イランとのいかなる合意も、交渉力が喪失すること(the leverage is out the window)意味する」と、ソーシャルプラットフォーム「X」への投稿の中で述べた。

トランプの他の著名な支持者で、戦争を支持してきたリンジー・グラハム連邦上院議員(サウスカロライナ州選出、共和党)、FOXニューズの司会者マーク・レヴィン、『ワシントン・ポスト』紙のコラムニストでるマーク・ティーセンといった人々は、報道された内容に懸念を表明しつつ、より詳細な説明を求めている。

トランプ大統領は木曜日の朝、14項目からなる覚書を詳述したイランメディアの報道を否定した。

「イランのメディアが報じているいわゆる合意は虚偽(fake)だとトランプ大統領から聞いて私は大変喜んでいる。イラン側が述べている合意はひどいものになるだろうから(大統領がそれを否定してくれて)」とグラハムはXに投稿した。

これまでのところ、渡地たちが把握している合意内容は以下の通りだ。

(1)核兵器に関する約束は依然として曖昧だ(Nuclear commitments remain vague

金曜日、あるアメリカ政府高官は、合意に基づき、イランの高濃縮ウランは廃棄され、イランは核兵器を保有しないという長期的な約束をする可能性があると述べた。

イランは以前から核兵器開発を目指さないと表明しており、バラク・オバマ政権時代の合意でもまさにその約束をしていたが、トランプ大統領は1期目にこの合意から離脱した。

より重要なのは、イランが合意に基づきどのような行動を約束するかである。

トランプ大統領は、イランが兵器となるウランの備蓄を引き渡すことは交渉におけるレッドライン(最低ライン)だと述べているが、イランは今のところこれを拒否している。

妥協案となるであろうアイディアとしては、イラン国内で核物質を希釈、つまり「ダウン・ブレンディング(down-blending)」して、核兵器に使用できないようにすることだ。

しかし、トランプ大統領は木曜日、当面は地下に核物質を放置しておくことにも異論はないと示唆した。

トランプ大統領は大統領執務室で記者団から核物質に関する確約を得たのかという質問をされた。これ対して、「山の下に埋まっているから、誰も近づくことはできない」と答えた。

トランプ大統領は以前、昨年夏のアメリカとイスラエルによる空爆で激しい攻撃を受けた地下核施設からイランが核物質を回収しないよう、アメリカはイランを監視していると述べていた。

(2)制裁緩和に関する混乱したシグナル(Mixed signals on sanctions relief

複数のアメリカ政府当局者は、イランが特定の措置を履行するまで、資産凍結は解除されず、資金も受け取れないと述べている。

算定合意に関して、「イランが履行するまで、資金は一切解放されない」とあるアメリカ政府高官は木曜日に「ニューズネーション」に対し語った。

しかしながら、『アクシオス』誌によると、この合意は、現在進行中の交渉を待つ間、イランの石油輸出に対するアメリカの制裁を60日間免除するという内容が入っている。

これは、ホルムズ海峡におけるアメリカの封鎖によって麻痺状態に陥っているイランのエネルギー市場にとって極めて重要な経済的生命線(economic lifeline)となるだろう。

マレキは、60日後に制裁を再発動することは困難であり、アメリカは「60日間の猶予期間が失敗に終われば、外交的影響力が低下し、制裁執行姿勢も一時的に弱まる」と警告した。

イラン国営メディアは、この合意によってイランは復興資金(reconstruction money)として3000億ドル、さらに240億ドルの即時現金給付(an immediate cash)を受けることになると報じた。

トランプ大統領は木曜日、トゥルース・ソーシャルでこれらの報道を真っ向から否定したが、どの部分が事実と異なるのかは明言しなかった。

(3)ホルムズ海峡が再開される(Strait of Hormuz reopens

いかなる合意も、戦争と不安定な停戦期間中にほぼ閉鎖されていた重要なエネルギー回廊(the key energy corridor)であるホルムズ海峡の船舶航行の再開を双方が認めることを前提とするのはほぼ間違いないだろう。

『アクシオス』誌によると、現在の合意案では、イランは30日以内に通行料なしでホルムズ海峡を完全に再開する。その見返りとして、アメリカはイランの港を出入りする船舶に対する封鎖を解除する。

イラン国営メディアは、イランがホルムズ海峡の支配権を公式に放棄することはないだろうと報じている。いずれにせよ、イランはここ数カ月、ホルムズ海峡を封鎖し世界のエネルギー供給を混乱させることで、絶大な影響力を行使できることを証明してきた。

対イラン強硬派は、イランに再開条件を提示するのではなく、トランプ大統領にホルムズ海峡を武力で封鎖解除するよう強く求めている。アメリカはここ数週間、100隻以上のタンカーについて、密かに海峡を通過させているが、これは通常の航行量のごく一部に過ぎない。

エネルギー価格の高騰が3年ぶりの高インフレを招き、世界的な原油在庫の枯渇が経済苦境をさらに悪化させる恐れがあるため、トランプ大統領に対しては合意形成を求める国内からの圧力が高まっている。

トランプ大統領は、ホルムズ海峡が再開すればガソリン価格は急速に下落すると主張しているが、エネルギー専門家たちは、アメリカが戦前の水準にすぐに戻る可能性は低いと指摘している。

(4)いつどこで署名されるか(When and where

トランプ大統領は木曜日、記者団に対し、合意の署名は早ければ週末にも行われる可能性があり、場所はおそらくヨーロッパになると述べた。

トランプ大統領は出席できないと述べ、代わりにJD・ヴァンス副大統領を派遣するとした。また、義理の息子であるジャレッド・クシュナーと特使のスティーヴ・ウィトコフが合意に向けて「素晴らしい仕事をした(great job)」と称賛した。

合意はヨーロッパで署名される可能性もあるが、イランはパキスタンが交渉で中心的な役割を果たし、過去の協議を主催したことから、この暫定合意を「イスラマバード宣言(the Islamabad declaration)」と呼んでいる。

事情に詳しいある外交官がニューズネーションに語ったところによると、カタール代表団は水曜夜遅くまでテヘランで交渉を続け、最終的にアメリカとイランの最高指導者が受け入れ可能な文言で合意に達したという。

金曜日の報道によると、覚書の署名式はジュネーブで行われることが検討されている。ジュネーブは、トランプ大統領とアメリカ代表団が来週フランスで開催されるG7サミットに出席する場所から離れていない。

トランプ大統領は日曜日、ホワイトハウスでUFCイヴェントを開催し、誕生日を祝う予定だ。

(5)攻撃は継続する(Strikes continue

トランプ大統領が合意に楽観的な見方を示しているにもかかわらず、ある国防総省当局者によると、アメリカ軍は木曜夜、海峡で船舶を標的にしていたイランの攻撃ドローン2機を撃墜した。

大統領は金曜、自身のソーシャルメディアのトゥルース・ソーシャルへの投稿でこの行動を批判し、イランが国営メディアを通じて発表した合意内容も非難した。

「彼らとは誠意をもって交渉するなどということはあり得ない。“驚きだ!”」とトランプは書き込んだ。「さらに、昨夜ホルムズ海峡を出港するインド船に対するドローン攻撃は完全に撃退されたが、“これは全く容認できない”。彼らは“すぐに”態度を改めるべきだ!」。

トランプ大統領は木曜日、イランへの攻撃を示唆し、カーグ島と石油関連施設を次の標的にすると警告していた。しかし、同日中にこの脅迫を撤回し、両国は和平合意に近づいていると述べた。

今回の攻撃は、アメリカ軍アパッチヘリコプター撃墜事件を受けてアメリカが火曜日と水曜日にイランを攻撃したのに続き、今週3度目の攻撃となるはずだった。

イラン最高指導者直属の準軍事組織であるイスラム革命防衛隊(Islamic Revolutionary Guard Corps)は、これらの攻撃への報復として、ヨルダン、クウェート、バーレーンのアメリカ軍基地を標的にしたと発表した。

=====

戦闘終結に向けた合意はホルムズ海峡の再開につながるとイランは述べている(Deal to end fighting would lead to Hormuz reopening, Iran says

ガリー・オドネル(北アメリカ担当上級特派員、ワシントンDC)、オリヴィア・アイルランド筆

2026年6月12日

BBC
https://www.bbc.com/news/articles/c39y02x98k8o

イラン外相は、アメリカとの間でイラン戦争終結に向けた合意が間近に迫っており、ホルムズ海峡の再開も含まれると述べた。

セイイェド・アッバス・アラグチ外相は国営テレビに対し、合意にはアメリカによるイランへの海上封鎖解除も含まれるが、イランの核開発計画に関する協議は後日開始されると語った。

複数のアメリカ政府当局者は合意内容の一部を確認し、イランへの経済的利益はテヘランが義務を履行するかどうかにかかっていると述べた。

イラン戦争は2月28日、アメリカとイスラエルによるイラン全土への空爆で始まり、これを受けてイランはイスラエルとペルシア湾岸のアメリカの同盟諸国を攻撃し、世界の石油と液化天然ガスの主要輸送路であるホルムズ海峡を事実上封鎖した。

4月に停戦合意に至ったにもかかわらず、アメリカとイランは断続的に交戦を続けており、今週も2度にわたり報復攻撃が行われた。

ドナルド・トランプ米大統領は木曜日、交渉担当者たちが「素晴らしい合意に達した(just made a great settlement)」ため、イランに対する「予定されていた攻撃(scheduled attacks)」を中止したと述べた。この合意は間もなく署名される見込みだ。

金曜日、イランのメディアは、トランプ大統領が「合意された条件とは全く関係がなく」「真実とは無関係だ」と述べたとされる14項目の合意内容の一部を報じた。

数時間後、合意の仲介役を務めたパキスタンのシャバズ・シャリフ首相は、アメリカとイランの間で覚書(the Memorandum of UnderstandingMOU)が合意され、最終承認(finalising)を待っていると述べた。

イランのアラグチ外相は国営メディアに対し、イランの最高安全保障機関である最高国家安全保障会議(Supreme National Security CouncilSNSC)内には、合意の最新条項について「賛成派と反対派(supporters and opponents)」が存在すると述べた。

しかし、アラグチ外相は集団的な決定には至っていないと付け加えた。「今は待つしかない。承認されれば、合意は遠隔で署名されるだろう」と述べた。

イスラエルは、停戦延長とイランの核開発計画を含む主要問題に関する交渉開始を目指す今回の協議には参加していない。イランは数十年にわたり、西側諸国から核兵器開発を企てていると非難されてきた。イラン側は、核開発計画は発電や研究といった平和目的のためだと主張し、これらの非難を否定している。

金曜日午後、複数のアメリカ政府当局者は記者団に対し詳細な説明を行い、今回の合意によってホルムズ海峡が再開される代わりに、アメリカはイラン船舶に対する海上封鎖を解除すると述べた。

これらの措置はほぼ即座に発効する見込みだ。その後、60日間の交渉期間が設けられ、原子爆弾製造に不可欠なイランの濃縮ウラン問題に焦点が当てられる。アメリカ政府当局者によると、この交渉の結果、濃縮ウランは全て現地で破壊され、その後国外に搬出される予定だが、具体的な実施方法はまだ検討中だ。

経済面では、アメリカ政府当局者は、前払い金は一切提供されないことを強調した。これは、本格的な交渉開始前にイランの資産の一部が凍結解除されるという、以前のイランの報道を明らかに否定するものだ。

複数のアメリカ政府当局者によると、制裁解除や資産凍結解除などの措置は段階的に実施され、イランは段階的に世界経済に再統合される見込みだ。

この合意では、イランが地域内の代理勢力[proxy groups](ヒズボラをはじめとする中東各地のイラン系代理勢力)への資金提供を停止することが求められている。

複数のアメリカ政府当局者は、この覚書は信頼や約束に基づくものではなく、「履行(performance)」に基づくものであると強調した。イランは、約束した措置を履行したことが確認された場合にのみ、経済的利益を得られることになる。

アメリカ、イラン、パキスタン、そして仲介努力に貢献したカタールなど、関係各国は慎重ながらも楽観的な見方を示しているものの、解決にはまだ道のりは遠い。この合意案は過去1、2カ月の間に何度か修正案が提示されたものの、いずれも最終段階で頓挫している。

トランプ政権関係者によれば、今回の違いは、合意内容に対する楽観的な見方と、その内容に関する透明性の向上にある。

一方、イラン外相は「交渉の最終段階が完了次第、この合意は署名され、発表されるだろう」と述べた。

アラグチ外相はイラン国営テレビに対して「数日中に実現する可能性がある。私は非常に期待している」と語った。

アラグチ外相は、覚書(MOU)で最初に言及されたのは、アメリカによるイランへの海上封鎖の解除であると強調した。

世界の石油と液化天然ガスの約20%が通過する重要な航路であるホルムズ海峡について、アラグチ外相は「その管理は以前とは全く異なるものになるだろう」と述べた。ホルムズ海峡を封鎖して以来、イランは通過を希望する船舶に通行料の支払いを要求してきたが、アメリカは全ての船舶の通行を無料にすべきだと主張してきた。

イラン政府高官はまた、この覚書はイスラエルとレバノンのヒズボラ間の紛争終結を想定していると述べた。アメリカ国内の以前の報道では、イランがレバノンをこの合意に含めないことを強く主張しているため、レバノンはこの合意に含まれない可能性があると示唆されていた。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ヒズボラがイスラエル北部への攻撃を続けるならば、イスラエルはヒズボラを攻撃すると述べている。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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