古村治彦です。
2026年6月19日にアメリカとイランの間で60日間の停戦合意の覚書(MOU、Memorandum of Understanding)に署名された。そして、核開発の関する交渉が実施されるということになった。世界はイラン戦争の深刻化の回避に安堵し、イスラエルはイラン戦争の停戦に失望した。ホルムズ海峡の高校の自由は保証されることになったが、イラン側からの攻撃とアメリカによる報復があり、その後、停戦が再び合意された。
覚書は戦闘終結、戦争終結の完全な合意ではない。一時的な停戦合意に過ぎない。その期間は60日間である。この60日間の期限が近付いたら延長で両者が合意するだろうが、確実な停戦、戦争終結への道のりは遠いだろう。イラン国内には対米強硬派がおり、イスラム革命防衛隊にも戦争を継続したいと考える跳ね上がりがいるだろう。アメリカ国内には対イラン強硬派がおり、今回の覚書は「恥ずべき敗戦」と考え、無効化したいと考えているだろう。また、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相はアメリカ主導の覚書に巻き込まれて、イスラエルの独自の動きが封じられ、戦争ができないことで、国内での自身への批判の高まることを恐れている。
覚書署名後にイラン側がホルムズ海峡でタンカーへの攻撃を行ったが、このことについて私は懸念を持っている。イラン政府内、革命防衛隊内部のかなりの上層にイスラエルの情報・諜報機関のエージェントがいることは確実だ。イランのマスード・ペゼシュキアン大統領就任式の際、テヘランでハマスの最高指導者がイスラエルのモサドによって爆殺された。これは、イラン政府の中に高度機密情報を入手できるほどのイスラエルのエージェントが存在することを示している。イラン側からの攻撃が、イスラエルのエージェントによる働きかけによって、跳ね上がり分子がその働きかけによって短慮にも攻撃をしたという可能性はある。イスラエルは覚書の無効化を行うことができるし、アメリカ国内にもそれを支援する勢力がいるということを考えると、イラン戦争の和平の途はかなり険しいということになる。
イラン戦争によって混乱した世界は落ち着きを取り戻しつつあるが、それは不確定な要素、不安な要素を皆で見ないふりをして、「まぁ何とかなって良かったね」と言い合っているようなものであり、根本的な解決にはなっていないし、これから何が起きるかは分からない。イスラエルを止めるだけの力がアメリカにあるかも不透明だ。世界は不安なまま、暑い夏を迎える。
(貼り付けはじめ)
アメリカ・イラン和平合意について分かっていることと分かっていないこと(What We
Do and Don’t Know About the U.S.-Iran Peace Deal)
-イランの核開発計画など主要な諸問題は依然として未解決のままだ。
ジョン・ホルトィワンガー筆
2026年6月15日
『フォーリン・ポリシー』誌
https://foreignpolicy.com/2026/06/15/us-iran-peace-deal-trump-nuclear-sanctions-war-israel-lebanon-mou/?tpcc=recirc_featured_horizontal051524
アメリカとイランは日曜日、数千人の死者と世界経済への甚大な被害をもたらした数カ月に及ぶ戦争を終結させるための暫定合意に達したと発表した。これは数週間停滞していた和平プロセスにおける前向きな一歩となるが、合意文書が公表されていないため、多くの詳細は不明のままだ。両国は金曜日に合意の署名式を行う予定である。
イランが覚書(a memorandum of understanding)と表現したこの暫定合意について、分かっていることと分かっていないこと、そして今後の展開について、以下に詳しく解説する。
さらなる協議への道筋は以下の通りだ。この合意は戦争終結のための枠組みを提供するものであり、主に軍事作戦の停止、既存の停戦の延長、そしてホルムズ海峡をめぐる膠着状態の打開を目的としている。特に戦略的に重要なこの海峡の再開は、戦争によるガソリン価格の高騰やその他の経済的影響をめぐり、国内で批判が高まっているドナルド・トランプ米大統領にとって重要な目標である。
この合意により、ワシントンとテヘランの間の停戦状態が60日間延長される見通しであり、その期間中に核開発協議が行われる予定だ。その間、ホルムズ海峡の開放とイランの港に対するアメリカの封鎖解除が行われることになっており、これはエネルギー市場やイラン経済にとって大きな安堵材料となる。また、この合意の一環として、レバノンにおけるヒズボラとイスラエルの戦闘も終結する予定だ(詳しくは後述)。
主にパキスタンとカタールが仲介したこの合意は、金曜日にスイスのジュネーブでアメリカとイランによって正式に署名される予定で、その時点から60日間の期間が開始される。トランプ政権は月曜日、双方が日曜日に電子的に合意文書に署名済みであることを明らかにしたが、正式な署名式は予定通り6月19日に行われるとしている。
パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は日曜日にXへ投稿し、「合意が成立したことを受け、仲介役が今週、一連の会合を調整する。実施に向けたこれらの事前協議は、技術的な協議や正式な署名式のための基盤となるだろう」と述べた。
アメリカ側が述べていることは以下の通りだ。トランプはトゥルース・ソーシャルへの投稿で次のように投稿した。「イラン・イスラム共和国との合意が完了した。皆さんおめでとう!私はここに、ホルムズ海峡の自由な通行を全面的に許可し、同時にアメリカ海軍による封鎖の即時解除を承認する。世界の船よ、エンジンを始動せよ。石油を流通させよう!」
トランプはその後の投稿で、合意が署名されるまでは海峡は開放されないと述べ、機雷の除去作業に時間を要するとの見通しを示した。しかし、トランプの発表にもかかわらず、アメリカの封鎖が具体的にいつ、どのような形で解除されるのかは完全には明らかになっていない。また、海峡を「通行料無料」で開放するというトランプの主張についても疑問が残っている。イランの国営メディアは、60日間の交渉期間終了後、ホルムズ海峡を通る民間船舶からイラン側が経済的利益を得ようとする意向を示唆している。
月曜日、この点について問われたJ・D・ヴァンス米副大統領はCNBCに対し、政権としては「長期的には海峡が通行料無料で開放されることを見込んでいる。そうした詳細については、今後の実務者協議で詰めていくことになる」と述べた。
ヴァンスはまた、CBSの番組「CBSモーニングス」のインタヴューで、イランが「自らの義務を履行する限り」、ペルシア湾岸諸国が拠出する3000億ドル規模の復興基金を利用できるようになる可能性があるとも示唆した。
こうした詳細が明らかになっていないことは、今後のプロセスが直面しうる数多くの障害を浮き彫りにしている。特にイランの核開発計画をめぐる協議(高濃縮ウランの備蓄や将来のウラン濃縮活動などの問題を含む)は、激しい対立を招く公算が大きく、包括的な合意に向けた最大の難問の1つとなる可能性がある。
トランプは今回の暫定合意を歓迎する一方で、日曜日の『ニューヨーク・タイムズ』紙とのインタヴューにおいて、最終的な核合意に至らなかった場合には、イランに対する軍事攻撃の再開を含むあらゆる選択肢があり得ると述べた。
イラン側が述べていることは以下の通りだ。イランのカゼム・ガリブアバディ外務次官が日曜日、合意の成立を認めるとともに、これをテヘラン(イラン政府)の勝利と位置づけた。
イランの最高国家安全保障会議は声明の中で、「最終交渉は、覚書に基づく相手側の義務が履行された後まで延期される」と述べた。しかし、アメリカとイランの間では、それらの義務の性質をめぐって見解の相違があるようだ。
イラン政府当局者は、次の段階の交渉はアメリカが凍結資産を解除した後にのみ開始されると示唆しているが、トランプ政権は、そうした措置はあくまで核開発問題に関する進展に応じて講じるものだという立場を崩していない。
連邦議会におけるトランプの有力な盟友であり、対イラン強硬派として知られる共和党のリンジー・グラハム連邦上院議員は日曜日、X上で、合意内容の一部をめぐるワシントンとテヘランの認識の食い違いについて懸念を表明した。グラハムは「イランの核開発計画やその他の事項に関する今後の交渉を注視していく」と述べ、「合意に対するイラン側の見解が、アメリカの交渉チームの主張とは異なっているように見える点に、少なからず懸念を抱いている」と語った。またグラハムは、アメリカの法制度上、イランとの核開発合意は「検討および採決」のために連邦議会へ送付されることになるとの見通しを示した。
イスラエルの要素は以下の通りだ。交渉の障害となり得る要素である。イスラエル政府はこの新たな和平合意の当事者ではなく、イスラエル政府高官たちはすでに反対の意を表明している。イスラエルのイタマル・ベン・グヴィール国家安全保障相は声明の中で、「トランプの合意は私たちを拘束するものではない。イスラエルはアメリカの従属下にはなく、私たちは独立した主権国家である」と述べ、「私の立場は明確だ。私たちの安全を保障しないこの合意に私たちは関与しない」と強調した。
レバノンを拠点とするイラン支援の武装組織ヒズボラとのイスラエルの戦争は、今後の交渉において深刻な問題を引き起こす可能性がある。トランプ政権はこの紛争をイランとの戦争とは切り離されたものとして位置づけようとしてきたが、両者は根本的に密接な関連がある。
パキスタンとイランは、レバノンもこの合意の対象に含まれていると述べており、テヘランは一貫して、合意の成立はイスラエルとヒズボラの間での敵対行為の停止にかかっていると主張し続けている。しかし、総選挙を控え政治的な先行きが不透明な状況にあるイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ヒズボラとの戦闘を継続するよう国内から圧力を受けている。
イスラエル軍は日曜日にベイルートを攻撃したが、トランプ政権はこの攻撃が和平交渉を台無しにしかねないと懸念していました。トランプはトゥルース・ソーシャルへの投稿で、イスラエルによるこの攻撃について、「特にイランとの和平合意まであと一歩という特別な日に、あってはならないことだった」と述べた。
ヴァンスは日曜日にフォックス・ニューズに対し、「イスラエルがベイルートを攻撃した後、私たちは非常に懸念していた」と述べた。「イランがイスラエルに向けて大量のミサイルを発射しようとしているという多くの兆候が見られたからだ」。最終的にイランは攻撃を見送太が(報道によればトランプの働きかけによるものとされている)、イスラエルはレバノンでの姿勢を崩さない構えを見せている。イスラエルのイスラエル・カッツ国防相は月曜日、イスラエル軍がレバノン南部に駐留し続けると述べるとともに、イランからのいかなる攻撃に対しても報復すると警告した。
レバノンにおけるイスラエルの軍事行動に対しホワイトハウスの懸念が高まっていることを示すように、トランプは日曜日にニューヨーク・タイムズ紙に対し、ネタニヤフを「扱いにくい人物(difficult guy)」と評した。その上で、もしイランが核兵器を保有していれば「イスラエルは2時間も存続できないだろう」のだから、ネタニヤフは「私たちがこうした取り組みを行っていることに深く感謝すべきだ」と語った。
※ジョン・ホルトワンガー:『フォーリン・ポリシー』誌スタッフライター。Blueskyアカウント:@jchaltiwanger.bsky.social、Xアカウント:@jchaltiwanger
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シリコンヴァレーから世界支配を狙う新・軍産複合体の正体

『トランプの電撃作戦』

『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』



