古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

SNSI研究員・愛知大学国際問題研究所客員研究員の古村治彦(ふるむらはるひこ)のブログです。翻訳と評論の分野で活動しています。日常、考えたことを文章にして発表していきたいと思います。古村治彦の経歴などについては、お手数ですが、twitter accountかamazonの著者ページをご覧ください 連絡先は、harryfurumura@gmail.com です。twitter accountは、@Harryfurumura です。よろしくお願いします。

タグ:財務長官

 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 第二次ドナルド・トランプ政権の顔触れで注目を集めていた財務長官に、スコット・ベセントが指名された。スコット・ベセントはウォール街の投資会社の創設者で、投資家として実績を上げた人物だ。なんと言っても著名な投資家であるジョージ・ソロスの下で、10年以上にわたり、投資担当を務めた人物である。ウォール街の真ん中を歩いてきた人物と言えるだろう。ベセントはトランプ側近として、減税と規制緩和、財政赤字削減を通じての経済成長を主張している。トランプが目指す、ロナルド・レーガン政権時代の経済政策を実行することになるだろう。
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ドナルド・トランプとスコット・ベセント

 トランプの最側近となっているイーロン・マスクは、商務長官に指名されたハワード・ラトニックを財務長官に指名するように求めていたという報道もあり、今回、ベセントが指名されたことで、財務長官に関しては、トランプが自身の意思を通したということになる。しかし、財務長官指名に時間がかかったことは、陣営内部で相当な検討や話し合いが行われたことが容易に推察される。

 ベセントの財務長官指名をはじめとして、第二次ドナルド・トランプ政権は、各担当省庁の人事に相当な介入を行う用意があることは分かるが、意外と中道派というか、強固な、時に狂信的なトランプ支持を表明する人物は入っていないという印象である。狂信的な支持者は力強い存在であるが、逆に、あまりにも熱心すぎるあまりに考えが異なるようになると、強力な反対者となってしまう。これは私たちの身近な生活においても良く起きることだ。

 財務長官の場合はやはり、ウォール街の主要な人物たちとの面識がなければ務まらない。そうした点で、ソロスの下で働いて、自身の会社を成功させたベセントは適任ということになる。ベセントが減税を主張し、規制緩和を行い、経済成長率を上げる、また、トランプが主張している関税に関しても賛成しているということから、ドル安傾向になると考えられるので、日本円との関係で言えば円高ということになる。既に、市場ではそのように織り込んで動いているようだ。

(貼り付けはじめ)

●「米次期財務長官に投資家起用 ベセント氏、減税を主張」

11/23() 9:41配信 共同通信

https://news.yahoo.co.jp/articles/e958a70cf6a10487f4b589260d232f2eaccb533b

 【ワシントン共同】トランプ次期米大統領は22日、財政政策のかじ取りを担う財務長官に投資家のスコット・ベセント氏を起用すると発表した。これまで規制緩和や減税を通じた経済成長を重視する姿勢を示しており、トランプ氏が選挙戦で主張した法人税や所得税の減税などを担う。

 議会上院の承認を経て正式に就任する。ベセント氏は自ら創業した投資会社の運用責任者を務め、共和党の大統領候補者選びの段階からトランプ氏への支持を明確にしてきた。

 トランプ氏はベセント氏に関し「米国の新たな黄金時代をもたらす手助けをしてくれるだろう」とコメントした。

 ベセント氏は10日のウォールストリート・ジャーナル紙への寄稿では「トランプ氏は、規制緩和と税制改革を通じ、供給サイドの成長を促進するという使命を担っている」と指摘。バイデン政権による財政赤字拡大やエネルギー政策を批判した。

 米財務省は、G7で協調するロシアのウクライナ侵攻を巡る制裁や、ウクライナへの財政支援を手がけてきた。トランプ氏は支援の見直しなどに踏み切るかどうかも焦点となる。

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ドナルド・トランプ大統領はリスクの高い財務長官にスコット・ベセントを指名:知っておくべきこと(Trump taps Scott Bessent for high-stakes Treasury chief: What to know

アシュレイ・フィールズ筆
2024年11月23日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/business/5006200-trump-taps-scott-bessent-for-treasury-what-to-know/

ドナルド・トランプ次期大統領は金曜日、億万長者の投資家スコット・ベセントを財務長官に選んだ。トランプは、関税引き上げ(increase in tariffs)と世界貿易活動の大幅な転換(major shifts in the country’s global trade operations)を求め続けている中で、ベセントを財務長官に選んだ。

ベセントはヘッジファンドのキー・スクエア・グループの創設者として巨額の利益を上げ、数十年にわたり民主党の大統領候補を支援してきた。しかし、今回、トランプの2期目を目指す選挙キャンペーンに資金を提供した。

トランプは声明の中で、「アメリカの主流とアメリカの産業の生涯のチャンピオンとして、スコットは、アメリカの競争力を高め、不公正な貿易不均衡を止め、成長を最前線に置く経済、特に来るべき世界エネルギー支配を通じた経済の創造に取り組む私の政策を支持している」と書いている。

(1)民主党員からトランプ支持者へ転身(Democrat turned Trump supporter

ベセントは民主党とつながりがあり、バラク・オバマ、ヒラリー・クリントン、アル・ゴアの大統領選挙キャンペーンに献金し、2000年代には資金集め集会のホストを務めた。

自身の会社を設立する以前、ベセントは億万長者ジョージ・ソロスの下で10年以上、投資の最高責任者として働いていた。ソロスは民主党の最も著名な献金者の一人であるが、トランプ大統領とその同盟者たちから長年怒りを買っており、今年初めにはイスラエル・ガザ戦争に反対する大学キャンパスの抗議行動に資金を提供したと指摘する共和党員もいた。

『ナショナル・インタレスト』誌によれば、ソロスはアメリカ自由人権協会(American Civil Liberties UnionACLU)、全米家族計画連盟(Planned Parenthood)、ブレナン・センター(Brennan Center)など民主党の活動に対する強力な支持者である。

それにもかかわらず、『ウォールストリート・ジャーナル』紙の報道によれば、ベセントは長年トランプの周辺におり、JD・ヴァンス次期副大統領とも親しい。

(2)投資家としての背景(Background as an investor

ベセントのキャリアはソロスの下で飛躍的に成長し、1992年にロンドンの投資会社の対英ポンド賭けを手伝い、会社に10億ドルの支払いをもたらしたとロイター通信は報じている。

数年後、彼は最終的に450万ドルを集め、世界のマクロ経済をモニターする自身のヘッジファンドを立ち上げた。金融業界でのキャリアを通じて、投資家であるトランプの兄ロバート・トランプとも親密な関係を築き、一族の腹心であり続けた。

金曜日の発表前、ある情報提供者は本誌に対し、ベセントがトランプ政権に参加する場合、債券市場や為替市場での経験が有利に働くだろうと語っていた。

(3)トランプ選対の経済担当顧問(Economic adviser to Trump campaign

トランプは選挙期間中、経済情勢、特に減税と関税引き上げについて頻繁に語った。選挙期間中、ベセントは定期的にトーク番組に出演し、次期大統領の経済政策を宣伝した。

財務長官候補ベセントは第一次トランプ政権時に実施された減税の支持者で、連邦上院で人事承認されれば、国内市場の規制緩和を優先することになるだろう。

AP通信によると、ベセントは、国内総生産の3%に相当する財政赤字の削減と日量300万バレルの追加石油生産を通じて3%の経済成長を促進するという提案でトランプ前大統領に感銘を与えたということだ。

しかし、トランプ支持者の中には、ベセントが関税については弱いのではないかと懸念する者もいる。トランプはベセントに関する発表で関税について全く触れなかった。

(4)関税を支持(Support of tariffs

トランプはホワイトハウスへの立候補を通じて、アメリカ国内で調達・製造されていない製品への全面戦争(all out war)を宣言した。

共和党は、全ての輸入品に10~20%の一般関税を、中国からの輸入品には60%の関税をかけることを提案し、ベセントはその監督を任されることになる。ベセントは、関税は貿易協定を洗練させるために、制裁措置の代わりに使うことができると述べた。

AP通信によると、ベセントは8月に『ブルームバーグ』誌に対し、「ある意味、関税は制裁なき経済制裁(economic sanction without a sanction)とみなすことができると思う」と語った。

ベセントは「もし中国の経済政策が気に入らなければ、過剰な生産で市場を溢れさせれば、制裁を加えることもできるし、関税をかけることもできる。それは為替操作に対する答えともなる」と述べている。

(5)歴史上として初の同性愛者を公言した財務長官(First openly gay Treasury chief

ベセントが人事承認されれば、共和党政権で初めてLGBTQの閣僚が連邦上院で人事承認されることになる。ベセンは元ニューヨーク市検察官のジョン・フリーマンと結婚している。

ベセントは、2021年に連邦上院でLGBTQを公開した初の閣僚となった運輸長官ピート・ブティジェッジの足跡をたどることになる。

その前年、トランプ大統領はゲイであることを公表しているリチャード・グレネルを連邦上院の人事承認を必要としない国家情報長官代理に任命した。

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「三つ巴」:トランプ大統領の財務省指名権は宙に浮いている(‘Three-way tie’: Trump Treasury pick hanging in limbo

アレックス・ガンギターノ筆

2024年11月22日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/administration/5005347-trump-treasury-pick-limbo/

ドナルド・トランプ次期大統領はここ数日、財務長官に指名されそうな人物との会合に明け暮れているが、今のところ最終決定はどう転ぶか分からない状況だ。

アポロ・グローバル・マネジメントの共同設立者であるマーク・ローワン、連邦準備制度理事会の元理事のケヴィン・ウォーシュ、キー・スクエア・グループの創設者であるスコット・ベセントの3人は今週、次期大統領と会談するためにフロリダ州パームビーチを訪れた。

共和党関係者によると、会談にはトランプと、JD・ヴァンス次期副大統領、スコット・ラトニック、リンダ・マクマホン政権移行共同議長を含むトランプのティームのメンバーも含まれていたという。ローワンは金曜日にトランプのマー・ア・ラーゴ邸に戻った、と情報関係者は付け加えた。

ある共和党関係者は「今は試合前のボールのトスを待っている、そんな状況だ。 ボールは3人の候補者のうちの真ん中に位置している」と語った。

この情報提供者は、現状を「三つ巴(three-way tie)」と表現し、指名のタイミングはトランプが「車輪を回すのを止めた時(stops spinning the wheel)」になるだろうと付け加えた。

政権移行に詳しいある関係者は「流動的だ トランプ大統領は、ウォーシュの浮き輪がどう動くか見ている」と述べた。

ビル・ハガティ連邦上院議員(テネシー州選出、共和党)も財務長官の候補と目されており、火曜日にテキサス州で行われたスペースXの打ち上げにトランプ大統領とともに出席した。

トランプ政権移行ティームはコメントの要請に応じなかった。

トランプ大統領は、ウォール街の潜在的な不安を静めながら、自身の関税計画を支持した実績のある候補者を見つけるのに苦労しているため、財務長官の競争は数日間続いた。

財務長官は、トランプ大統領にとって最も重要な閣僚候補であり、木曜日にマット・ゲイツ前連邦下院議員(フロリダ州選出、共和党)が辞退したことで、司法長官候補がスポットライトを浴びた後に指名されることになる。

財務省を除き、そしてトランプ大統領がケリー・ロフラー元連邦上院議員(ジョージア州選出、共和党)に農務長官を依頼する可能性もあるが、トランプ大統領はまだ労働省と住宅都市開発省のトップを誰にするか選ばなければならない。

再選を逃したばかりのロリ・チャベス=デレマー連邦下院議員(オレゴン州選出、共和党)は、労働省の最有力候補と目されており、米国際トラック運転手組合(ティームスターズ)の支援を受けてきた。

財務長官の候補者の1人は、財務長官の代わりに国家経済会議(National Economic CouncilNEC)のトップに抜擢される可能性もある。ウォーシュはまた、ジェローム・パウエル議長の任期終了後の次期連邦準備制度理事会(FRB)議長に興味を示している。

今週初めにハワード・ラトニックが商務長官に指名され、財務長官候補から外れ、リンダ・マクマホンは教育長官に指名された。

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。
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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 昨日、このブログでご紹介したドナルド・トランプ次期大統領の顧問弁護士で側近のボリス・エプスタインに関する続報が出た。それは、「エプスタインがトランプ政権の高官、閣僚に押し込むために、コンサルティング契約を結んで金を払え(月に3万から4万ドル、中には10万ドル)と迫った」という内容だ。エプスタイン自身が、トランプの最側近であるという地位を利用して、官職を売ろうとしていたということになる。そして、財務長官に指名されたスコット・ベセントに対しても売り込みを行い、拒絶されたという報道がなされている。トランプ陣営では調査を完了したが、エプスタインが実際にそのような行動をしたのかどうかは明らかにしていない。エプスタインは2016年の大統領選挙から、トランプ陣営に参加し、コミュニケイション担当として活動し、テレビ番組にも出演していた。
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スティーヴ・チャンとボリス・エプスタイン
 昨日、このブログでご紹介したように、現在のトランプの最側近の地位にいるイーロン・マスクがボリス・エプスタインに対して敵意を持ち、情報漏洩をしているだろうとエプスタインを怒鳴り上げて、エプスタインはそれを否定したということだ。そして、エプスタインは、自身がロシアで生まれ育ち、ロシアとウクライナ両国に親族が住んでいるということで、ウクライナ戦争停戦に関わりたい、特使のような資格で関わりたいということをトランプに述べていたということである。

 今回の件は、トランプ側近内で内紛が起きていることを示している。今回の大統領選挙ではイーロン・マスクに注目が集まり、彼がトランプ陣営内で大きな影響力を持つようになった。それを面白く思わない勢力がトランプ陣営内にいるようだ。彼らは情報をマスコミにリークして、マスクの思うような人事をさせまいとしたようだ。そして、今回、トランプ側近のエプスタインの売官(官職売買)行為が暴かれた。これで、イーロン・マスクの力は強くなるだろう。
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 今回のようなケースはトランプ政権に限ったことではない。アメリカの政権内部には色々な人々が参加しており、一枚岩、一致団結ということは難しいようだ。色々な大枠が絡み合い、衝突が生まれる。トランプ陣営では、イーロン・マスクの力が強くなる。これは間違いのないところだ。問題は、トランプがいつまでマスクを許容するかというところだ。トランプもまたいつかマスクと衝突するということも起きるだろう。

(貼り付けはじめ)

トランプ・ティームがボリス・エプスタインの候補者指名を後押しするための「コンサルティング契約」を調査中(Trump team reviews Boris Epshteyn ‘consulting agreements’ to push potential nominees

ブレット・サミュエルズ筆

2024年11月26日

『ザ・ヒル』誌

https://thehill.com/homenews/5010245-trump-boris-epshteyn-consulting-agreements/

ドナルド・トランプ次期大統領の政権移行ティームは、トランプの長年の顧問の一人が、将来のトランプ政権での仕事を希望する人たちを擁護(推薦)するために支払いを求めていたという疑惑に関連して、コンサルティング契約の内部調査を行った。

AP通信や『ニューヨーク・タイムズ』紙を含む複数の報道機関は、ボリス・エプスタインが、トランプが先週財務長官に指名したスコット・ベセントを含む二人の人物を擁護するために支払いを求めていたと結論づけたと報じた。エプスタインは不正行為を否定している。

トランプ大統領のコミュニケイション・ディレクターであるスティーヴン・チャンは声明の中で次のように語っている。「標準的な慣行(standard practice)として、選挙運動のコンサルティング契約に関する広範な見直し調査が実施され、ボリスやその他の人物を含めて完了した。私たちは今、トランプ大統領がアメリカを再び偉大にするのを助けるために、チーム一丸となって前進している」。

エプスタインは声明の中で、この主張を「虚偽であり中傷的である(false and defamatory)」と述べた。

エプスタインは「私はトランプ大統領のために、そして彼のティームとともに働けることを光栄に思う。これらの偽の主張は虚偽であり、中傷であり、アメリカを再び偉大にすることから私たちの気をそらすことはない」と述べた。

個人へのアクセスやロビー活動のために手数料を取ることに違法性はないが、トランプ大統領は以前から、彼の名前や彼の近くにいることで利益を得ようとする人々に反感を抱いてきた。トランプ陣営は以前にも、トランプの支持を得たと不正確にほのめかす候補者を標的にしたことがある。

ニューヨーク・タイムズ紙は、2月にエプスタインがベセントに、マール・ア・ラーゴ周辺で投資家であるベセントに宣伝するために、月額3万ドルから4万ドルの報酬を提案したことが内部調査で判明したと報じた。ニューヨーク・タイムズによると、ベセントはこれを断った。

ニューヨーク・タイムズは、ベセントが今月初めにエプスタインに電話をかけ、自分を中傷していないかと質問したと報じたが、エプスタインは「ボリス・ファッキング・エプシュテイン」であり、コンサルティングのために彼を雇うには遅すぎると答えたという。

エプスタインはトランプ大統領の2016年と2020年の選挙キャンペーンに参加し、2020年の選挙結果に疑念を投げかける注目の取り組みの中心にいた。エプスタインは、トランプが2023年に34件の重罪で罪状認否を受けた際、マンハッタンの裁判所でトランプと一緒に登場した、ほんの一握りの側近の一人だった。エプスタインは長年にわたり、トランプ周辺に、批判者を生み出してきた。

保守系ウェブサイトの「ジャスト・ザ・ニューズ」が、エプスタインに対する疑惑を最初に報じた。ジャスト・ザ・ニューズとの短いインタヴューの中で、トランプ大統領は、大統領に近い人物がその近さを利用して金儲けをしようとするのは珍しいことではないと認めた。

トランプはインタヴューの中で「しかし、私のために働いている人間は、どんな立場であれ、金儲けを目的にしてはならない。彼らはアメリカを再び偉大にするためだけにここにいるべきだ」と語った。

次期大統領の息子であるエリック・トランプは、月曜夜の「フォックス・ニューズ」に出演した際、エプスタインに関する疑惑について質問された。

エリック・トランプはロウラ・イングラハムに対し次のように述べた。「聞いて欲しい、私はボリスのことを何年も知っているが、彼が善良な人間であること以外は知らない。とはいえ、私の父は信じられないほどはっきりと言っている。どんなことがあっても、そんなことはするな。信じて欲しいが、もしそんなことをしたら、しっぺ返しを食らうことになる」。

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●「米政権ポスト推薦で報酬要求か トランプ氏側近、CNNなど報道」

20241126 1506分 (共同通信) 東京新聞

https://www.tokyo-np.co.jp/article/369541

 【ワシントン共同】米CNNテレビなどは25日、トランプ次期大統領の側近ボリス・エプスタイン氏が次期政権の高官ポストへの推薦や政権関係者の紹介と引き換えに、候補者に報酬を求めた疑いがあると報じた。内部調査で発覚した。毎月10万ドル(約1540万円)を要求した例もあったとしている。エプスタイン氏は「根拠のない虚偽の主張だ」と否定した。

 トランプ氏の弁護士チームは、エプスタイン氏が投資家ベセント氏に報酬の支払いを求めた疑惑を調査。ベセント氏は支払いを拒否したという。

 ベセント氏はその後、次期政権の財務長官候補に指名されている。これ以外に少なくとも1件の疑惑があるとしている。

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●「トランプ氏側近のエプスタイン氏を調査 政権移行チーム」

The Wall Street Journal 週刊ダイヤモンド

国際The Wall Street Journal

20241127 10:59
https://diamond.jp/articles/-/354605

ドナルド・トランプ次期米大統領の側近であるボリス・エプスタイン氏は先週、トランプ氏の別荘「マールアラーゴ」のロビーで、スコット・ベッセント氏に突進する様子が目撃されている。政権移行チームが財務長官候補として検討していたヘッジファンドマネジャーのベッセント氏は、エプスタイン氏に「離れろ」と述べ、歩き続けようとした。だがエプスタイン氏は声を上げ、ベッセント氏を追い続けたという。大統領警護隊(シークレットサービス)など、この様子を目にした関係者らが間に割って入り2人を落ち着かせたと、現場にいた関係者らは明らかにした。そのエプスタイン氏は現在、トランプ氏の政権移行チームによる調査対象になっている。同氏はトランプ陣営に新たに加わったメンバーと舞台裏で衝突していた他、報酬を受け取ってさまざまな調整を行っていた疑いがかけられている。

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※2024年10月29日に佐藤優先生との対談『世界覇権国 交代劇の真相 インテリジェンス、宗教、政治学で読む』(←この部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます)が発売になりました。よろしくお願いいたします。

 ドナルド・トランプ次期政権の人事構想もだいぶ固まってきた。今回のトランプの政権移行ティームに大きな影響を与えているのが、イーロン・マスクである。イーロン・マスクは、今回の大統領選挙でトランプを積極的に支援し、選挙資金の提供や選挙集会での演説など、様々な活動を行った。マスクはトランプ勝利に賭けて、結果的に勝利した。イーロン・マスクはトランプに影響を与えられる、自分の意見や意向を申し述べられる立場になった。マスクはトランプの家族写真にも一緒に入ることを許されるほどで、今回の選挙の最大の勝利者はイーロン・マスクということになるだろう。
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トランプの家族とイーロン・マスクの家族

 今回、イーロン・マスクがあいつのことは気に入らないとなって、「お前が陣営の情報を色々とリークしているんだろう」と怒鳴り上げた相手がボリス・エプスタインという、ロシア生まれのトランプの顧問弁護士だ。ボリスは、トランプの息子エリックとジョージタウン大学で知り合い、トランプに紹介されたということだ。2016年のトランプ選対のコミュニケイション担当スタッフとなり、それ以来、トランプの側近グループに入っているようだ。トランプの抱える訴訟でも弁護を担当している。2020年の大統領選挙後に、選挙結果を覆そうとしたという容疑では、共謀者として名前が挙がっている。マスクに比べれば、トランプの側近歴は長い。
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ドナルド・トランプとボリス・エプスタイン
 イーロン・マスクは、トランプ政権に影響を与え、自身の利益を確保しようとしているように見える。マスクが主張したのは、今回、商務長官に指名されたハワード・ラトニックの財務長官指名だった。ラトニックか、スコット・ベセントかという最終決断になって、ベセントが財務長官になった。その前に、ラトニックが商務長官に指名されたので、ベセントの指名はほぼ決まったようなものだった。マスクの意向は実現しなかったことになる。これに対してマスクはフラストレイションを高めたことだろう。そして、「マスコミに情報が洩れて、ラトニックの名前が出たことで、財務長官になれなかった」と考えるようになったのだろうと思う。そして、トランプ陣営で一番情報が集まってくるのが顧問弁護士で選対幹部のエプスタインが犯人だということになったのだろう。

 エプスタインが実際に情報リークの犯人なのかはわからない。エプスタインにとっては、マスクに対抗して、マスクの意向をつぶせるくらいのことはできるとマスクに思わせることが重要だ。それだけ選対、側近の中で力があるということになる。また、黒幕というのは表には出てこないものだ。エプスタインは、ロシアで生まれ育ち、ロシアだけではなく、ウクライナにも親戚がいるので、ウクライナ戦争停戦の特使をやらせて欲しいとトランプに訴えているという話もある。彼自身は弁護士であって、これまで外交の経験はない。しかし、ウクライナ戦争停戦に関わることができれば、トランプの信頼も厚くなり、政権内での力を高めることができるという計算もあるのだろう。

 トランプ選対は、ヘリテージ財団の「プロジェクト2025」系、アメリカ・ファースト政策研究所系、側近系といったグループに分かれており、それぞれで主導権争いが起きている、もしくはこれから起きるということになるだろう。動きを注視していくことだ大切だろう。

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トランプのアドヴァイザーであるボリス・エプスタインとは誰か? そして、エプスタインはどうしてイーロン・マスクと衝突したのか?(Who Is Trump Adviser Boris Epshteyn, and Why Is He Clashing With Elon Musk?

2024年11月18日

『ニューズウィーク』誌

https://www.newsweek.com/boris-epshteyn-elon-musk-donald-trump-1987669

ドナルド・トランプ次期大統領の長年の顧問弁護士であるボリス・エプスタインが、トランプの新しい盟友である億万長者のイーロン・マスクと衝突したと言われている。

新政権の閣僚人事をめぐり、エプスタインとマスクの間に緊張が表面化した。複数の情報提供者が『アクシオス』誌に語ったところによると、2人はトランプのクラブ「マー・ア・ラーゴ」で激論を交わしているところを目撃されたという。

ニューズウィーク誌はトランプ、マスク、エプスタインの各代理人にコメントを求めた。

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2024年11月14日木曜日にマー・ア・ラーゴで開催されたアメリカ・ファースト政策研究所のパーティーに出席したイーロン・マスク、2024年7月にウィスコンシン州ミルウォーキーで開催された共和党全国大会に出席するトランプのアドヴァイザーを務めるボリス・エプシュテイン

●ボリス・エプスタインとはどんな人物か?(Who Is Boris Epshteyn?

『ポリティコ』誌の報道によると、ロシア系アメリカ人のエプスタインはモスクワ生まれで、後にアメリカに渡ってきた。ジョージタウン大学で友人となったトランプの息子エリックを通じてトランプと知り合ったということだ。

エプスタインは2016年にトランプ選対に参加し、コミュニケイション担当のスタッフとなり、頻繁にテレビ出演し、トランプを擁護した。エプスタインはその後、トランプ大統領就任委員会のコミュニケイション担当部長を務めた後、2020年選挙活動では、連合担当アドヴァイザーとして参加した。

エプスタインは長年にわたりトランプ大統領の側近グループにおり、次期大統領の側近の筆頭格とみなされている。

2024年4月、トランプがビジネス記録の改ざん容疑に関する歴史的な罪状認否のためにニューヨークに到着した際、エプスタインは法廷でトランプ元大統領の横に座り、34の容疑について無罪を主張した。

●エプスタインはなぜイーロン・マスクと衝突しているのか?(Why Is Epshteyn Clashing With Elon Musk?

争いの始まりは、トランプ大統領が誰を閣僚に選ぶべきかをめぐってだったとアクシオスは報じている。

複数の情報提供者がアクシオスに語ったところによると、マスクはエプスタインがトランプの人事に影響力を持ちすぎているのではないかと疑問を呈していたという。しかし、マスクは自分のお気に入りの人物を政権に推薦しており、最近ではトランプの財務長官人事にも積極的だった。

マスクの存在感はますます大きくなっており、トランプの孫娘カイが次期大統領勝利後の家族写真で「おじさんの地位(uncle status)」に昇格したと語ったほどだ。

マスクはウクライナのヴォロディミール・ゼレンスキー大統領との電話会談で次期大統領に加わったと報じられている。また、スペースXとテスラのCEOは選挙当日をトランプの自宅マー・ア・ラーゴで過ごし、共和党の勝利以来、マー・ア・ラーゴにほぼ常駐していると報じられている。

トランプ大統領はまた、連邦官僚制度の「解体(dismantle)」と人員削減を目的として、マスクを元共和党大統領候補ヴィヴェク・ラマスワミとともに政府効率省(Department of Government EfficiencyDOGE)のトップに任命した。

夕食会のある場面で、マスクがトランプ大統領の政権移行計画に関する詳細をリークしたとしてエプスタインを非難した後、「大激怒(massive blowup)」と「大爆発(huge explosion)」が起こった。エプスタインは、マスクが何を言っているのか分からないと発言したと言われている。

アクシオスによると、マスクとエプスタインの2人の間の緊張は、11月5日の選挙と迂回っ票日前から既にあったということだ。

●ボリス・エプスタインの純資産と経歴(Boris Epshteyn's Net Worth and Career History

エプスタインは弁護士兼投資銀行家であり、フォーチュンが報じたように、TGP Securities Inc.に100万ドルから500万ドルの株式を保有している。

ロースクール卒業後、エプスタインはミルバンク、ツイード、ハドレー・アンド・マクロイの各法律事務所で金融業務に携わり、特に銀行融資、証券取引、私募を担当した。

2008年、ジョン・マケイン元連邦上院議員とサラ・ペイリン元知事の選挙キャンペーンでコミュニケイション担当補佐官を務めた。

2016年にはトランプ選対の上級顧問を務めた。

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2024年5月16日木曜日、ニューヨークのマンハッタン刑事裁判所での公判中、ジェスチャーをするドナルド・トランプと顧問のボリス・エプシュテイン。エプシュテインは現在、トランプの新たな同盟者イーロン・マスクと争っているとされる

シンクレア・ブロードキャスト・グループは2017年にエプスタインを上級政治アナリストとして採用した。彼の契約期間は2019年に終了した。

2020年のトランプ大統領再選キャンペーンでは、エプスタインは、「ユダヤ人の声」トランプ諮問委員会の戦略顧問兼共同委員長を務めた。

●エプスタインと16日事件の関係(Epshteyn's Ties to January 6

エプスタインは、トランプ前大統領に対する最新の刑事起訴に含まれる、6人目の共謀者(co-conspirator)と見られている。

ジャック・スミス特別検察官は、2020年の選挙と2021年1月6日の事件の連邦捜査に関連する4つの犯罪(アメリカを欺く共同謀議、市民の権利に対する共同謀議、公的手続きの妨害、公的手続きの妨害の共同謀議)でトランプを起訴した。

共同共謀者のうち5人は、公開されている情報、引用、会合の日付など、起訴状の手がかりから特定できた。

6人目の共謀者とされる人物は現在、エプスタインであると考えられている。エプスタインは、2020年にトランプがジョー・バイデンを破ったと虚偽の宣言をするために、いくつかの主要な州に偽の選挙人を設置する計画の中心人物と言われている。

2020年12月、エプスタインからトランプの元弁護士ルディ・ジュリアーニに送られた電子メールが、トランプの起訴状に詳述されているものと一致した。エプスタインからジュリアーニとジュリアーニの息子アンドリューに送られたメールには、「選挙人のための弁護士メモ」という件名が書かれていたと『ニューヨーク・タイムズ』紙は報じている。

2022年、エプスタインはジュリアーニ、シドニー・パウエル、トランプのアシスタント、ジェナ・エリスとともに、1月6日のテロを調査する連邦下院特別委員会に証拠を提出するよう召喚された。

エプスタインはまた、1月6日の攻撃に至るまでの出来事に関する連邦捜査の一環として召喚され、捜査の一環としてFBIに携帯電話を押収された。

2024年4月、エプスタインはアリゾナ州の偽選挙疑惑に関与した疑いで起訴された

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる
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 悪魔のサイバー戦争をバイデン政権が始める

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 古村治彦です。

 2023年12月27日に『バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる』(徳間書店)を刊行しました。『週刊現代』2024年4月20日号「名著、再び」(佐藤優先生書評コーナー)に拙著が紹介されました。是非手に取ってお読みください。よろしくお願いいたします。

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バイデンを操る者たちがアメリカ帝国を崩壊させる

 アメリカ大統領選挙は、民主党は現職のジョー・バイデン大統領、共和党は予備選挙を圧倒的な勢いで勝ち進み、ライヴァルたちを蹴散らしたドナルド・トランプ前大統領がそれぞれ候補者に内定し、いち早く、「バイデン対トランプ」の構図となり、攻守所を変えて、2020年大統領選挙の再戦となっている。現在のところ、トランプが若干のリードという状況だ。ただ、五大湖周辺の激戦州となっている、ミシガン、ウィスコンシン、ペンシルヴァニア各州の世論調査の数字は拮抗しており、予断を許さない。これらの州をバイデンが取ると、数字上では選挙人獲得数で、バイデンが僅差で勝利を収める。

 私は個人としてはトランプ大統領支持である。もしアメリカ国民で投票権を持っているならば、トランプ大統領に投票する。しかし、バイデンを操っているエスタブリッシュメント派(民主党、そして共和党)は、非常に手強い。また、政府を握っているということは、大きな力を持っているということで、やれることの数や範囲は大きい。また、彼らは、バイデンも含めて、数々の犯罪行為に手を染めている(その代表がヒラリーだ)。彼らが逮捕を逃れるためにも、バイデン再選が彼らにとって望ましいということになる。
 アメリカ国内の分断は深刻化している。経済格差も大きくなり、かつ、教育格差(経済格差に連動する)、人種間格差(これもまた前記2つに連動する)などが大きくなっている。そうしたことから、「内戦」「第二次南北戦争」という声も上がっている。「選挙が正常に実施されない」という予測も出ている。確かに、全米各地の投票所での民主、共和両党の支持者やそれ以外の人々による、にらみ合いや衝突が起きることは考えられるが、それがアメリカ全土に広がるかどうかは不透明だ。トランプにしても、バイデンにしても、自身がアメリカ合衆国大統領であると主張するためには、「民主的な選挙」で選ばれた、という正統性が必要だ。

 トランプが大統領に当選すれば、ロバート・ライトハイザーが財務長官に就任するだろうという見方が出ている。ライトハイザーは米通商代表部に勤務した経験を持つ弁護士で、貿易交渉に長けた人物として知られてきた。そして、トランプ1期目の政権で、米通商代表に就任した。そして、米中間の関税引き上げ競争、米中貿易戦争を指揮した。その彼が、トランプ政権の財務長官になるという話だ。
 ライトハイザーは、現在、トランプ陣営の経済政策顧問を務めており、トランプ政権発足後に財務長官に起用されるということは絵空事ではない。ライトハイザーの影響は、現在のバイデン政権にも引き継がれている。バイデン政権は中国製の電気自動車の関税を100%に引き上げると発表したが、このような保護主義的、ナショナリスト的な関税政策は、トランプ政権下で激化したものであり、その主導者がロバート・ライトハイザーだった。

ライトハイザーは、中国製品に対する関税引き上げ(60%)や中国政府が出している補助金に対する調査など、積極的な姿勢を示している。ライトハイザーが財務長官になれば、アメリカの通商政策だけでなく国際経済政策も変化することになるだろう。

ライトハイザーは、貿易赤字に注目し、炭素国境税の導入や人権侵害者への制裁などを提案している。彼は中国を敵対国と位置付けている。ライトハイザーは現在のバイデン政権の「強いドル」政策(輸入品が安くなる)ではなく、「弱いドル」政策(輸出品が安くなる)を進めることになる。アメリカらの輸出を増やすことで、雇用を増やすということを目指す。そうなれば、日本に関して言えば、円高が進むということになる。

「バイデン、トランプ、どちらが勝つか」という予測ももちろん重要だろうが、「どちらが勝って、どのようになるか、何が起きるか」というより細かいことにも注目していく必要があるだろう。

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トランプが世界経済を革命的に変化させる手助けをするであろう人物(The Man Who Would Help Trump Upend the Global Economy

-ロバート・ライトハイザーは財務長官となる可能性があり、貿易政策以外にも革命を起こそうとしている。

エドワード・アルデン筆

2024年5月18日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2024/05/18/robert-lighthizer-trump-election-trade-tariffs-treasury-secretary/?tpcc=recirc_trending062921

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この10年近く、アメリカの通商政策は、1人の人物のイメージで作り替えられてきた。その人物とは、ロバート・ライトハイザーである。ドナルド・トランプ大統領時代の通商代表(trade representative)として、彼は、60年にわたるルールに基づく多国間貿易システム(multilateral trading system)の支持から離れ、強固なナショナリスト的アプローチへと、アメリカを方向転換させた。ジョー・バイデン大統領の下でライトハイザーの後任となったキャサリン・タイは、彼が築いた道を歩み続けている。トランプ大統領の元高官たちのほとんどが、トランプ大統領は再び大統領になるにはふさわしくないと非難しているにもかかわらず、ライトハイザーは他の多くの人々と同じように、トランプ大統領をより大きな公共の利益のための、欠陥のある船(flawed vessel for some greater public good)であると信じている。ライトハイザーは、2024年の選挙戦でもトランプの政策顧問の一人であり、11月にトランプが勝利すれば、より大きな仕事(おそらく財務長官)を任されるだろう。アメリカの通商政策だけでなく、より広範なアメリカの国際経済政策を変革するというライトハイザーの使命はまだ始まったばかりだ。

ライトハイザーの影響力は先月、バイデンが激戦州ペンシルヴァニア州ピッツバーグにある北米最大の産業別労働組合であるユナイテッド・スティールワーカーズの本部を訪問した際に最大限に発揮された。訪問後、政権はライトハイザーの要請でトランプ大統領が最初に課した一部の中国からの輸入品に対する関税を大幅に引き上げる計画を発表した。今週、タイ通商代表による見直しを受けて、バイデン政権は輸入された中国製電気自動車に100%の関税を課し、中国製の半導体、リチウムイオン電池、太陽電池、鉄鋼、アルミニウムの税率を引き上げた。タイ通商代表はまた、造船業界に対する中国の補助金に対する新たな第301条調査(ライトハイザーが復活させた1970年代の米国通商一国主義[trade unilateralism]の手段)にも着手した。更なる関税が中国に課せられる可能性が高い。そして、ライトハイザー自身も、トランプが大統領に選ばれたら、アメリカの輸出を増やすために強い米ドルの価値を切り下げるようアドバイスしており、このアドバイスは財務省ポストのオーディションの内容として広く読まれている。

ライトハイザーの影響力の拡大は、トランプ大統領の通商政策に見られる攻撃的なナショナリズムが一過性のものではないことを、アメリカの最も親密な同盟国を含む貿易相手国に警告するものである。その代わりに、アメリカは、民主、共和両政党の垣根を越えて、国際経済政策に「アメリカ・ファースト(America First)」のアプローチを取り入れる選択をした。この選択が意味するところは、今後何年も、おそらく何十年も続くだろう。そのため、自由貿易と多国間ルールのアメリカによる受け入れを非難の代弁者として、キャリアを積んできたライトハイザーは、その中間に位置する人物ということになる。

ライトハイザーがアメリカの次世代の国際経済政策の立案者になるとは考えにくい。第二次世界大戦の終戦直後に生まれた彼は、弁護士としてキャリアのほとんどを外国の競争からアメリカの鉄鋼産業を守ることに費やした。かつてアメリカの製造業の基幹産業であった鉄鋼は、情報技術、成長しているグリーン産業、高等教育や観光を含む国際サーヴィス貿易が急増する経済が支配する経済において、今や誤差の範囲のシェアを占めているだけだ。しかし、ライトハイザーが鉄鋼から学んだ教訓、つまり、アメリカの貿易相手国が、生産に補助金を出したり、商品を原価以下でダンピングしたりするなどの略奪的な行為に従事し、アメリカの雇用を奪い、製造業を空洞化させているという教訓は、今や民主、共和両党の貿易当局者たちにとって福音となっている。

ライトハイザーは2023年に著書『どんな貿易も自由ではない(No Trade Is Free)』を発表した。この本は、貿易自由化(trade liberalization)のメリットに関する長年にわたるコンセンサスに対する痛烈な告発である。フランクリン・D・ルーズベルトからバラク・オバマに至るまで、アメリカの歴代大統領は、世界的な貿易障壁(global trade barriers)の交渉による削減が、アメリカと世界をより豊かで安全なものにすると信じていた。ライトハイザーは常にこれに反対していた。しかし、ドナルド・レーガン政権時代に米通商代表部に短期間勤務した後、彼は世間から忘れ去られた存在になったが、連邦議会の公聴会にはたびたび登場した。特に2001年に実現した世界貿易機関(WTO)への中国の加盟に警告を発した。トランプが2020年の選挙で敗北した後に書かれた彼の著書は、アメリカの通商体制に対する「私はあなたにそう言ったよね(I told you so)」となるものだ。関税を引き下げ、世界的な貿易ルールでワシントンの手を縛ることは、「私が予想した以上に明白で、議論の余地のない失敗(a starker, more indisputable failure than even I could have predicted)」であり、アメリカの製造業の喪失、アメリカ人の賃金の低迷、中国に対するアメリカの戦略的地位の急激な低下をもたらしたとライトハイザーは書いている。しかし、「多国籍企業と輸入業者の影響下にある共和党と民主党のエスタブリッシュメント派は、自分たちの過ちを認識したくなかったし、認識することが不可能だった(political establishments of both the Republican and Democratic parties, under the influence of multinational corporations and importers, were unwilling or unable to recognize their mistakes)」と彼は主張する。

ライトハイザーは任期の4年間、米通商代表を務めた。これは、気まぐれな大統領の下では稀な業績である。彼は、アメリカを別の方向に変えることができた。ライトハイザーは世界の大部分からの鉄鋼とアルミニウムの輸入品に最大25%の関税を課し、中国のアメリカ向け輸出の4分の3に同様の関税を課し、北米自由貿易協定(North American Free Trade AgreementNAFTA)の再交渉にカナダとメキシコを強硬に参加させた。こうした動きは、主に国内で人気があり、メキシコでの労働法の執行を強化し、アメリカでの生産拡大を求める条項をめぐって、民主党は新たなアメリカ・メキシコ・カナダ協定を支持して結集した。バイデン政権はまた、ジャネット・イエレン財務長官の当初の強い反対にもかかわらず、対中関税を維持した。

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ワシントンのホワイトハウスの大統領執務室で、新たな関税を課す措置に署名したドナルド・トランプ米大統領に並んで立っているロバート・ライトハイザー米通商代表(2018年1月23日)

しかし、ライトハイザーはまだ始まったばかりだ。彼が思い描いているのは、最も単純な言葉で言えば、世界経済における安定化勢力(a stabilizing force in the global economy)となることをあまり心配せず、アメリカの狭い経済的利益を追求することをはるかに心配するアメリカの姿である。財務長官となったライトハイザーは、その使命を遂行するためにより多くの手段を手にすることになる。

ライトハイザーの重要な指標は、従来の経済学者がほとんど注目しないもの、それは、貿易赤字(trade deficit)だ。アメリカは、1975年以来、毎年財とサーヴィスの赤字を出しており、2022年にはなんと9510億ドルに達するが、2000年代半ばの経済規模に比べて貿易赤字ははるかに大きかった。しかし、ほとんどの経済学者は、貿易赤字は国民貯蓄率の関数(a function of national savings rates)であり、これはアメリカの高い消費と低い民間および公的貯蓄の必然的な結果であるため、貿易面での政府の介入の影響をほとんど受けないと考えている。ライトハイザーはこれに反対し、赤字はアメリカの富が競合国、最も重要なのは中国に直接移転するものであり、政府の強制的な行動によって是正できると考えている。

ライトハイザーは、中国だけでなく世界の他国との貿易のバランスを取ることをアメリカの政策目標とするだろう。その影響は非常に大きくなるだろう。ライトハイザーがトランプに提案したとされる手段の1つは、他の通貨に対して米ドルを安くするための協調的な取り組みだ。他の条件が同じであれば、ドルが安くなれば外国人がアメリカの輸出品に支払う価格は下がり、アメリカ人にとって輸入品はより高価になり、貿易を均衡に近づけるのに役立つだろう。しかし、ドルは世界通貨(world currency)としての役割もあり、長い間過大評価されてきた。最近では、好調なアメリカ経済と中東とヨーロッパの紛争を受けて投資家たちが安全なアメリカ資産を求めて高騰している。詳細は乏しいが、ライトハイザーは、1971年にリチャード・ニクソン米大統領と、1987年にロナルド・レーガン大統領が取った措置、つまり、貿易相手国がドルに対して自国の通貨を切り上げる措置を講じることに同意しない限り、関税を課したり脅したりする行為の再現を構想しているようだ。今日の世界的な金融の流れの規模(レーガン大統領がドル安に取り組んだときの水準の何倍にもなっている)を考えると、通貨の安定を乱すことの結果を予測するのは難しい。

ライトハイザーは同様に、アメリカに拠点を置く製造業の競争力を促進するため、アメリカの税制の見直しを構想している。複雑な歴史的理由から、アメリカの輸出は長い間、アメリカの税制によって損なわれてきた。ヨーロッパをはじめとするほとんどの国は付加価値税(value-added taxesVAT)に大きく依存しており、国外に持ち出される商品やサーヴィスは通常免除されている。一方、アメリカの税金は所得税が主体であり、国際貿易ルールの下ではそのような税金は払い戻されない。ヨーロッパに輸出するアメリカ企業は、ヨーロッパでの売上に対して、アメリカの法人税と現地の付加価値税の両方を支払う。ライトハイザーは、付加価値税の利点を模倣して法人税制を「国境調整可能(border adjustable)」にすることで、これを終わらせたいと考えている。しかし、このような改正は連邦議会の試練を乗り越えなければならず、過去にはウォルマートのようなアメリカの大手輸入業者からの反発で失敗に終わっている。ライトハイザーが財務長官になれば、再びこの問題に取り組むことを期待したい。
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左:アメリカが鉄鋼とアルミニウムに関税を課した後、ブリュッセルでヨーロッパ通商担当委員との会談に臨むライトハイザー米通商代表と世耕弘成経済産業大臣(2018年3月10日)。右:ホワイトハウスで行われたアメリカ・メキシコ・カナダ通商協定の署名式で、マイク・ペンス副大統領とライトハイザー代表に挟まれスピーチするトランプ大統領(2020年1月29日)。

しかし、ライトハイザーのお気に入りの手段は、ホワイトハウスが最も明確にコントロールされている関税であることに変わりはない。今年3月の『エコノミスト』誌に寄稿したライトハイザーは、トランプ大統領が当選した場合、新たな関税を課すと発表した計画を擁護し、関税撤廃という、アメリカの「大胆な実験」は「失敗した」と主張した。アメリカの貿易赤字を削減し、再工業化を加速させるためには、新たな関税(少なくとも一律10%)が必要である。それは、「経験上、これは成功し、高賃金の産業雇用が創出される」からだ。ライトハイザーは、そのような取り組みがどこまで可能かを示唆している。全ての輸入品に対して、「均衡を達成するまで、年々段階的に高い関税率を課すべきである」と書いている。言い換えれば、全ての貿易に対して最低10%の関税をかけるというのは、あくまでも最初の一手にすぎないということだ。

ライトハイザーはさらに、デ・ミニミス(de minimis、それ以下の輸入品は関税を完全に免除される価格)として知られるあいまいな規定の削除を目指すだろう。2015年の貿易円滑化および貿易執行法により、連邦議会は消費財の少量出荷に対する高価な事務手続きを排除することを目的として、その料金を200ドルから800ドルに引き上げた。この変化は、ちょうど海外からのオンライン注文が普及し始めたときに起こった。中国のファストファッション大手の「Shein(シーイン)」社のことを考えてみよう。シーイン社は2015年に零細企業から、年間売上高が少なくとも300億ドルの巨大企業に成長し、現在ではアメリカに単一の店舗やブランドを持たずにアメリカのファストファッション市場の30%近くを占めている。シーイン社のショッピングアプリのダウンロード数は、2015年には全世界で300万件にも届かなかったが、昨年は2億6000万件以上に増加した。シーイン社のビジネスモデルには、デ・ミニミス免除により中国製の衣料品をアメリカの消費者に免税で直接発送することが含まれている。FedEx(フェデックス)やUPS などの大手運送会社も喜んで協力している。ライトハイザーは、この規定により多くの中国企業が相互主義を必要とせずにアメリカ市場に関税を払うことなしにアクセスできるようになっていると主張している。

11月にどちらが勝とうとも、ライトハイザーの影響力は残るだろう。バイデンは、アメリカの製造業を促進することと、アメリカの保護主義(protectionism)の高まりを懸念する同盟諸国との共通点を模索することの間で一線を画そうとしてきた。しかし選挙の年、バイデン政権の公平性は失われつつある。オハイオ州選出のシェロッド・ブラウン連邦上院議員(民主党)の要請を受けたバイデンは、例えば、日本の日本製鉄によるUSスティールの買収計画を阻止すると約束した。日本製鉄は既に、全ての労働組合契約を尊重し、アメリカ本社をヒューストンからピッツバーグに移転し、雇用削減や海外への生産移転を行わないことを約束している。しかし、アメリカの労働組合は依然としてこの取引に反対している。そのためバイデンは、国家安全保障を理由に買収を阻止すると発言しているが、この動きはアジア太平洋におけるアメリカの最も重要な同盟国を激怒させるに違いない。

ライトハイザーと民主党の共通点は、多くの人が認識しているよりもはるかに深い。気候変動について考えてみよう。トランプを含む多くの共和党員は科学に懐疑的であり、化石燃料の使用を削減するための政府の行動に反対している。しかし、ライトハイザーは炭素を多く含む輸入品に対する追加関税を強く支持しており、この政策はヨーロッパ連合が既に導入しており、現在バイデン政権が真剣に検討している。ライトハイザーは著書『どんな貿易も自由ではない(No Trade Is Free)』の中で、セメント、肥料、アルミニウムなどの排出量集約的な製品に追加関税を課すことになる炭素国境税(carbon border tax)を支持しており、そうしなければ「私たちが許容できるよりもはるかに多くの炭素を使用している」製品を生産する国に利益をもたらすと主張している。

タイ米通商代表と勇敢な労働省の下で、バイデン政権はまた、世界中の人権侵害者や労働者の権利侵害者を制裁するために貿易手段をより積極的に利用するようになった。ライトハイザーはそれよりもはるかに先を行くだろう。ライトハイザーは著書の中で、輸出企業が環境保護、労働規則、労働者の健康と安全に関するアメリカと同等の基準を順守しない限り、全ての輸入を阻止すべきだと提案している。

これらの構想の最大の標的は、もちろん中国である。中国を貿易相手国としてではなく、敵対的な敵対国として扱い、アメリカの対中政策転換を開始したのはトランプ政権である。この転換で重要な役割を果たしたライトハイザーは、中国を「アメリカが国家として、そして西側スタイルの自由民主主義政府として、アメリカ革命以来直面してきた最大の脅威」だと声高に主張した(mince no words)。その証拠に、ライトハイザーは、中国の巨大な経済規模を挙げている。これは、ナチス・ドイツや帝国主義時代の日本はおろか、旧ソヴィエト連邦よりもはるかに有能な敵国である。ライトハイザーは、完全な経済的デカップリング(decoupling)に近いものを求めるだろう。その第一歩として、ライトハイザーは、北京のWTO加盟を認めるために2000年に連邦議会が与えた中国の「最恵国待遇(most favored nation)」の撤廃を提案する。そうなれば、米大統領は中国に差別的な関税をかけることができるようになる。

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(左から)中国の劉鶴副首相と貿易合意に署名する前のマイク・ペンス副大統領、ロバート・ライトハイザー米通商代表、ドナルド・トランプ大統領(2020年1月15日)

民主党側でそこまで進めようという人はほぼいない。今のところ、バイデン政権は、半導体や新しい電気自動車技術など、制限する必要がありそうな戦略的な対中貿易と、自由に取引できる一般消費財(ordinary consumer goods)貿易とを区別しようとしている。「小さな庭と高いフェンス」や「デリスク」というフレーズで包含されるバイデン政権の戦略は、米中貿易における相互利益の余地をまだ多く想定している。しかし、中国が脅威と見なされれば、見なされるほど、ライトハイザーの包括的なデカップリング(decoupling)の論理は説得力を増すだろう。アメリカの対中貿易はいかなる形であれ、中国を豊かにする可能性が高く、将来的には中国をより手強い敵にする可能性がある。特に選挙の年には、米中関係におけるニュアンスの違いを求める声はかき消されてしまうだろう。

しかし、ライトハイザーのアジェンダの影響力が民主、共和両党で拡大し、持続するだろうが、その混乱は専門家の多くが懸念しているよりも小幅なものになるかもしれない。トランプ大統領が関税を課した際、世界の貿易システムはかつて考えられていたよりも回復力があることが証明され、米中貿易の小幅な下落とインフレの小幅な上昇にとどまった。しかし、アメリカのちょっとした保護主義が突然、より有害なものにエスカレートする危険性も高まっている。ライトハイザーのトランプ政権時代の戦友であるピーター・ナヴァロ前ホワイトハウス通商製造業政策局長は、2021年1月6日に起きた連邦議事堂襲撃事件に関する連邦議会の調査への協力を拒否した罪で現在服役中だが、アメリカが全面的に関税の相互撤廃を要求することを望んでいる。ある製品の関税をアメリカの水準まで引き下げることを拒否した国(ヨーロッパの乗用車に対する10%の関税をアメリカの2.5%まで引き下げる必要がある)は、相殺関税(offsetting tariffs)に直面することになる。(その場合、ヨーロッパはアメリカの輸入SUVに対する25%の関税を相殺することで報復するだろう)。民主党もまた、風力タービンや電気自動車を含む多くのクリーンエネルギー製品に新たな関税を課すことを熱望している。先月、タイ米通商代表は連邦議会の委員会で、バイデン政権は、アメリカの電気自動車産業を保護するために「早期の行動、断固とした行動(early action, decisive action)」を取ると述べた。

民主、共和両党とも保護主義を支持する傾向が強まっていることは、この先更に多くのことが起こることを示唆している。他国がこれに応じれば、1920年代や1930年代以来の貿易戦争(trade wars)や通貨戦争(currency wars)が勃発することは容易に想像できる。

確かに、歴史は繰り返さなければならないという規則はない。アメリカは単に、自由化の方向に行き過ぎ、急ぎすぎた通商政策を修正し、アメリカの一部の産業や労働者を略奪的な競争に晒されている最中にあるだけかもしれない。確かに中間地点は可能だ。しかし、あらゆる証拠は、アメリカが反対方向にあまりにも速く進みすぎるという深刻な危険に晒されていることを示唆している。それが疑わしい場合は、私たちが生きている間に登場したアメリカ通商政策の最重要な人物であるライトハイザーがこれまでに何をし、何を言い、そしてこれからも何をしようとしているのかをよく見て欲しい。

※エドワード・アルデン:『フォーリン・ポリシー』誌コラムニスト。ウェスタン・ワシントン大学のロス記念特別客員教授、米外交評議会の上級研究員。著書に『調整の失敗:アメリカ国民はどのようにして世界経済に取り残されたか(Failure to Adjust: How Americans Got Left Behind in the Global Economy)』がある。ツイッターアカウント:@edwardalden

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 古村治彦です。

 

 トランプ次期政権の顔ぶれに注目が集まっています。選挙は現在の戦争と言うことを考えると、勝者側で勝利に貢献した人物には、「論功行賞」として重要なポストが与えられます。民主党側は現在政権に入っている人たちは軒並み出ていかねばなりません。そうなると、そういった人々がシンクタンクや大学、民間企業、もしくは独力でコンサルタントとなるのですから、民主党側であぶれてしまう人たちも出てきます。

 

 トランプ人事について、これまでの様々な報道を見ていて思うことは、「重要なポストの候補者にはだいたい2名から3名の名前が挙がり、一方はこれまで政府での経験があるワシントンのインサイダーと思われる人で、もう一方は、選挙でトランプ陣営に参加していた人だ」ということです。

 

 トランプは「ワシントンのアウトサイダー」として、「汚れてにごりまくった沼から泥水を抜いて綺麗にする(ドレイン・ザ・スワンプ)」ために、ワシントンに乗り込みます。しかし、トランプ陣営にはどうしても人材が足りません。その空白を埋めるためには、どうしてもワシントンのインサイダーを入れなくてはなりません。そうなれば、トランプは取り込まれてしまう危険も出てきます。

 

 そこで、これは恐らくですが、トランプは相互監視というか、2つのグループの人々を同じような権限のポジションにおいて、相互に競争させるのではないかと思います。忠誠心競争と言いますか、そのようなことをするのではないかと思います。

 

 同じような権限のポジションに2人の人物を置いて、この人たちの間は不仲でお互いが牽制し合っても、自分の意向に逆らわないようにする、というのがトランプの人事の考えではないかと思います。

 

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クドロー:トランプは政権内に民主党員を入れるべきだ(Kudlow: Trump should bring Dems into Cabinet

 

ハーパー・ニーディグ筆

2016年11月13日

『ザ・ヒル』誌

http://thehill.com/blogs/ballot-box/305744-kudlow-calls-for-trump-to-bring-dems-into-cabinet

 

保守系の経済専門家でドナルド・トランプに非公式に助言を行ってきたラリー・クドローは、トランプ次期大統領が民主党員を閣僚として迎えるのを見てみたいと発言した。

 

クドローは、日曜日にジョン・キャトシマティディスのラジオ番組に出演し、ウォール街の大物で民主党員のジェイミー・ダイモンが財務長官になるという噂について質問された。

 

「ダイモンが財務長官になるのを見てみたいですね。私はジェイミー・ダイモンを尊敬しています。彼は素晴らしい銀行家です。それだけではなく、トランプ氏は政権の中に民主党員を入れるべきなんですよ」。

 

1960年の大統領選挙で、僅差でリチャード・ニクソンを破ったジョン・F・ケネディ大統領は共和党員を財務長官にしたことをクドローは指摘した。トランプも、一般投票総数では民主党候補者のヒラリー・クリントンに負けたことを認識して以降、似たような動きをしている。

 

クドローは続けて「ですから、ジェイミー・ダイモンに財務長官になって欲しいですし、民主党員を政権内に入れるというアイディアも我ながら良いなと思います。トランプ政権でいくらかでも超党派の動きがあれば良いと思います」と述べた。

 

クドローは政治的対話における丁寧さと相互尊重を高めることを求め、そうすることで、超党派の動きが促進されると予測している。

 

ロイター通信は先週、トランプの政権移行ティームはダイモンに財務長官就任を打診したが、JPモルガン・チェースの最高経営責任者は財務長官就任に興味を持っているかどうかは明らかになっていないと報じた。

 

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メインストリート(中小業者)の勝者トランプがウォールストリート出身者を財務長官に(Main Street Champion Trump Turns to Wall Street to Fill Treasury Post

 

デイヴィッド・フランシス筆

2016年11月10日

『フォーリン・ポリシー』誌

http://foreignpolicy.com/2016/11/10/main-street-champion-trump-turns-to-wall-street-to-fill-treasury-post/

 

ドナルド・トランプ次期大統領は、ウォール街の特別利益とは関係を持たないアウトサイダーであると支持者に約束して選挙に当選した。しかし、マンハッタン島の南部に位置するウォール街の助けを借りるまでに時間はそんなにかからなかった。

 

CNBCによると、トランプは、JPモルガン・チェースCEOのジェイミー・ダイモンを財務長官に起用しようと考えているということだ。ダイモンはアメリカ国内の四大銀行のうち最大の銀行のリーダーであり、ウォール街でどのようにビジネスが行われているかに精通している人物だ。

 

この他に、トランプは、ゴールドマンサックスの幹部だったスティーヴン・ムヌキンを財務長官に起用しようと考えているとも報じられている。ムヌキンは、2016年の大統領選挙でトランプ選対の財務委員長を務めた。

 

ムヌキンが財務長官に起用されたら、その理由はトランプとの関係ということになる。ダイモンはこれまで繰り返し財務長官の職に興味を持っていないと語っている。ダイモンは、2016年のJPモルガン・チェースの株主たちへの書簡の中で、トランプの政策を批判した。

 

トランプ政権がこれまでの政権の政策や方法と大きくかけ離れたことはやらないということを示す材料を探している人々にとって、こうしたニュースは良いニュースと言える。ウォール街の銀行家が財務長官になるのは、ハンク・ポールソンやティム・ガイトナーという前例がある。彼らは、トランプが選挙戦で主張していた、より非伝統的な政策を行わないように説得しようとするだろう。トランプは選挙戦で、アメリカの国際のデフォルトを主張していた。

 

しかし、伝統からの脱却を望むトランプ支持者たちにとって、民主党候補のヒラリー・クリントンに対して歴史的な番狂わせの勝利を収めてわずか数日後に、トランプは中小企業に背を向けてウォール街に目を向けるようになっていることを示唆する兆候となっている。トランプは、ドッド=フランク法の気勢を廃止する計画を持っているという兆候を示している。これは金融業界にとっては大きなプレゼントなる。ウォール街以外にも財務長官にふさわしい人材が多数いるが、トランプはウォール街の外から財務長官を迎えるかどうかは明確になっていない。

 

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