古村治彦(ふるむらはるひこ)の政治情報紹介・分析ブログ

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タグ:陳吉寧

 古村治彦です。

 最近のブログで、ドナルド・トランプの後継者はJD・ヴァンス副大統領だということを書いている。もちろん、2028年には大統領選挙があり、選挙で勝利しなければ、後継の大統領にはなれないのではあるが。少なくとも、現職副大統領として、共和党の大統領選挙候補に指名は確実だろう。民主党は、カマラ・ハリス前副大統領、ギャヴィン・ニューサム・カリフォルニア州知事、ピート・ブティジェッジ前運輸長官の人気は高いが、ハリスとニューサムはカリフォルニア州を地盤としており、選挙戦で重要な五大湖周辺激戦州での勝利はおぼつかないだろう。ヴァンスは激戦州の1つのオハイオ州の出身である。

 話が大きく逸れてしまった。それでは、世界のもう一つの超大国である中国の最高指導者についてはどうであろうか。胡錦涛の後継者として中国共産党中央委員会総書記・国家主席・中国共産党中央軍事委員会主席・中国中央軍事委員会主席を務めている。鄧小平以降、中国最高指導部は2期10年、68歳引退(七上八下)が不文律となっていた。しかし、習近平は3期目以降も最高指導者の地位にとどまっている。2027年が任期最終年となるが、4期目に入るのかどうかという点に関心が集まっている。習近平の年齢は現在72歳であり、4期目まで全うするとなると最終的には80歳まではいかないが、70代後半になる。2032年がギリギリ限界ということになる(中国の歴代最高指導部層がいくら長寿だと言っても)。

 習近平の後継者については全く情報がない。側近とされる人物たちの名前は出てくるが、彼らは能吏、有能な官僚タイプが多く、指導者タイプではない。2022年に、現在は国務院総理を務める李強の後任として、上海市党委員会書記に就任した陳吉寧は1964年生まれで、今年は62歳の年である。来年に後継者となれば2期10年を務めることはできる。ネックとなるのは中央政府での経験の少なさとなる。

 習近平は側近や最高指導者層であっても、自身の意向に適わない人物たちは粛清まで行っている。閥やグループを作らせず、厳しく管理をしているようだ。そして、簡単に自身の意向を漏らさず、その結果として、後継者に誰を指名するかということも分からないようだ。そして、ナンバー2の存在さえも抑え込んで、政権運営を行っている。ストロングマン政治のスタイルということになる。しかし、人間である以上、いつかは引退の日が来る。そのための準備をしているだろうが、それが見えてこないというのは何とも不気味である。

(貼り付けはじめ)

誰が習近平の本当のナンバー2なのか?(Who Is Xi’s Real No. 2?

-中国の指導者は誰にも権力を譲るつもりはない。

デン・イーウェン筆

2026年5月7日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/05/07/china-cai-qi-li-qiang-leadership/

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中国の習近平国家主席(右)と蔡奇が北京の人民大会堂で拍手をしている(2025年3月28日)

中国共産党第20回全国代表大会以降、習近平(Xi Jinping)国家主席のナンバー2は誰なのかという議論は絶え間なく続いている。70歳の蔡奇(Cai Qi)の役割が拡大するにつれ、多くの識者が彼を「ナンバー2No. 2)」と見なすようになった。『エコノミスト』誌の最近の記事もまさにこの見解を示しており、政治局常務委員、中国共産党中央書記局第一位、そして中国共産党中央弁公室主任を務める蔡奇は、長年にわたり重要な行事で習主席に同行し、最高指導者のスケジュール、文書、会議、情報伝達、そして警備体制を管理してきたと主張している。

確かに蔡奇は、今日の中国政治において習主席に最も近い人物の1人である。しかし、最高権力に近いことと、権力を握っていることとは全く異なる。蔡奇はもちろん重要な人物ではあるが、中国の事実上のナンバー2ではない。習近平のように権力分担に異常なほど執着する指導者の下では、そのような人物は実際には存在しない。

極めて個人化された権力システムにおいては、門番のような役割がしばしば非常に大きな権力を握る。古代中国の宦官たち(great eunuchs)は、正式な制度上の地位を持っていたからではなく、皇帝と外廷との間の連絡ルートを独占していたからこそ、真の権力を握っていたのだ。彼らは、皇帝がどの上奏文を読み、誰と会い、何を聞いて、外廷が皇帝の意思をどのように理解するかを左右する門番だった。彼らは皇帝の権力に依存していたが、それによって絶大な影響力を持っていた。

しかし、この基準で見ても、蔡奇は事実上のナンバー2ではない。彼は習近平と党、政府、軍、その他の組織との間の連絡ルートを独占しておらず、独立した権力ブロックも形成していない。おそらく、彼がそうしたくないのではなく、そうできないのだろう。

習近平は蔡奇によって完全に遮断された皇帝ではなく、外部情報へのアクセスも彼を通してのみ可能というものでもない。軍、国家安全保障、規律検査、組織人事機構、経済行政、政府行政はそれぞれ独自のシステムを持っている。蔡奇は習近平に近いが、だからといって習近平に通じる全てのルートを掌握しているわけではない。

これが、蔡奇と、ナンバー2の地位に上り詰めた宦官(great eunuch)や寵臣(favorite minister)との違いである。宦官や寵臣は、諺にあるように「一人之下、万人之上(beneath one person and above 10,000)」(トップの地位にある一人を除いて、それ以外のすべての人より地位が高い)存在になり得た。なぜなら、彼らは皇帝の代理を務めると同時に、皇帝の名を利用して自らの政治的意思を操ることができたからだ。

蔡奇が示してきた権力は、主に実行、伝達、調整、監督(execution, transmission, coordination, and supervision)といったものだ。彼は習近平の意思を増幅させることはできるが、その意思に取って代わる兆候はない。彼は政策の実施を推進することはできるが、政策の優先順位を独自に変更する兆候はない。蔡奇の強みは、習の権力機構における歯車の1つであることにある。

最高指導者との近さが唯一の権力の源泉ではない。より厳しい基準も考慮する必要がある。例えば、ある最高幹部が重要なシステムを掌握しているか、最高指導者不在時に中央を代表して問題を解決できるか、主要党綱領において他の常務委員よりも上位に位置づけられているか、そして資源、幹部、資金、治安、地方の実施体制を動員できるか、といった点である。これらの基準からすると、蔡奇を事実上のナンバー2と表現するのは難しい。

最も単純な例は、「国内の監視役(keeps watch at home)」を誰が担うかという疑問だ。中国共産党には制度的なルールがあり、最高指導者が海外に長期滞在する場合、代理総書記として国政・軍事の重要事項を処理し、最高指導部の日常業務を維持する臨時責任者を指名しなければならない。その責任者は、蔡奇ではなく、中国の李強(Li Qiang)首相以外にはあり得ない。

李強首相は常務委員会で2位、国務院総理であり、政府・経済制度の継承と発展を担う責任者だ。中国共産党の複数の中核委員会や、部門横断的な党全体の会議において、李首相の役割は蔡奇よりも重要だ。

中央国家安全委員会、中央総合深化改革委員会、中央財政経済委員会といった中国共産党の中核機関は、習近平政権下における最も重要な党の審議・調整の場となっている。蔡奇が本当に事実上のナンバー2であるならば、少なくとも李強よりも高い責任を示すような地位をこれらの委員会で占めているはずだ。しかし、李強はこれらのほとんどの場で蔡奇より上位に位置している。

特に中央財政経済委員会では、李強は副委員長であるのに対し、蔡奇は単なる委員に過ぎない。改革開放以降、財政経済業務は事実上、ほとんどの場合、中国共産党にとって最も重要な業務であり、財政経済委員会は党が経済業務を指導する中核的なプラットフォームである。

重要な党会議における議長と閉会演説の役割も、この点をよく示している。省級および閣僚級幹部による勉強会は、習近平が主導する典型的なハイレヴェル党会議であり、国務院会議や通常の行政会議とは異なる。その手順は、習近平が重要な演説を行い、李強が議長を務めるというものだ。中央経済工作会議ではさらに明確で、習近平が演説し、李強が議長を務め閉会演説を行い、蔡奇は単に両方の会議に出席するだけである。

こうした取り決めは、儀礼的な細かな問題ではない。中国共産党の会議における政治において、「出席」「議長を務める」「閉会演説を行う」「実施の展開」は、それぞれ異なる政治的役割を意味する。蔡奇の出席は、彼が中核グループに属していることを示し、李強が議長を務め閉会演説を行うことは、彼が習近平の下で全体的な責任を担っていることを示している。

李強は政府の事務を、蔡奇は党の事務をそれぞれ担当しており、中国共産党の体制では党が政府よりも上位にあると主張する人もいるだろう。原則的には正しい。しかし、実際の権力となると、そう簡単に断言することはできない。党務自体が多層構造になっている。党務の最も重要な部分は、組織と人事、規律検査、政治法務、安全保障、そしてイデオロギーだ。

蔡奇が真に掌握しているのは、中央弁公室、書記局の日常的な調整、中央・国家機関工作委員会、そして習近平の意向を中心とした文書作成、会議、研究会、実施、監督である。これらはもちろん重要ではあるが、蔡奇自身の権力を行使するというよりは、習近平の意向を実行するためのものだ。

さらに、党務における最も重要な組織権力は蔡奇の手にはない。党内における昇進や人事を統括する中央組織部の責任者は石泰峰(Shi Taifeng)であり、組織システムは習近平を中心に運営されている。幹部の任命、査察、昇進、異動は、中国共産党の権力が生み出される中核的な要素である。蔡奇は書記局レヴェルで組織運営に関する政治的要求を提起したり、組織システムの重要な会議に出席したりすることはできるが、これは彼が中央組織部を直接支配していることを意味するものではない。言い換えれば、蔡奇が党務において持つのは、既に決定された事項を調整する権限であり、最も中核的な組織権力ではない。

対照的に、李強は政府および経済システムを統括している。政府業務は原則として党務ほど重要視されていないが、国家統治においてはより具体的な役割を果たしている。財政支援の方法、地方債務の解決方法、不動産セクターの運営方法、消費刺激策、産業政策の推進方法、外国投資の安定化、地方政府の運営方法、雇用圧力の緩和策、これらは全て国家機構が抱える難題である。蔡奇は実施を監督できるが、李強は実行しなければならない。李強が負うプレッシャーと責任は、通常の党務よりもはるかに大きく、重要である。

『エコノミスト』誌の判断が最も誤りやすいのはまさにこの点だ。エコノミスト誌は蔡奇の立場を習近平の側近と捉えているが、中国共産党の権力構造の分断の本性(the segmented nature of the CCP’s power structure)を過小評価している。習近平時代は確かに高度に個人化された中央集権化(centralization)の時代だが、だからといって全ての権力が蔡奇一人に委ねられている訳ではない。

むしろ、習近平の手法は権力を複数の人物に分散させ、信頼する側近に様々な権力ブロックを掌握させることにある。蔡奇はこれらのシステムを繋ぐ重要なハブではあるが、それらを完全に支配しているわけではない。

前述の通り、真のナンバー2は、指導者がいる時だけでなく、指導者が不在の時にも事態を収拾できる能力を備えていなければならない。蔡奇の権力は習近平の存在に大きく依存している。習近平の権力が強大であればあるほど、蔡奇の重要性は増し、習近平の存在感が高ければ高いほど、蔡奇の有用性も高まる。しかし、習近平が不在となった場合、一時的に全体的な統治を担う可能性が最も高いのは依然として李強であり、蔡奇ではない。

したがって、蔡奇を評価する際には、2つの極端な見方を避ける必要がある。彼を単なる秘書とみなすのは、当然ながら過小評価である。彼は普通の秘書ではなく、常務委員会レヴェルの中央執行者、いわば「内廷の太守(grand steward of the inner court)」である。蔡奇が掌握する情報、情報伝達経路、そして監督能力は、彼を習近平体制における最も重要な人物の1人とすることには十分である。しかし、彼を中国で事実上のナンバー2とみなすのは、過大評価である。

実際、習近平体制の本質は、蔡奇が李強に代わって新たなナンバー2になったことではなく、習近平が真の意味での完全なナンバー2を意図的に排除したことにある。誰もが権力の一部を担うが、習近平の直下であっても、誰も独自の権力中枢を形成することは許されない。蔡奇は習近平に最も近い人物、つまり習近平の権力機構における最も重要な側近に過ぎない。

蔡奇の存在感の高まりは、外部の人々に習近平が彼にますます依存しているという印象を与える。しかし、これは彼が第二の権力中枢になったからではない。真のナンバー2が存在しない体制においては、指導者に最も近い人物がナンバー2と誤解されやすいからである。

※デン・イーウェン:中国人作家・学者

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習近平がなぜ自らの側近を次々と排除するのか(Why Xi Is Kneecapping His Own Top Men

―指導部の中枢を標的にすることは誰も安全ではないことを示している。

デン・イーウェン筆

2026年4月15日

『フォーリン・ポリシー』誌

https://foreignpolicy.com/2026/04/15/ma-xingrui-xi-china-purges-xinjiang/

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新疆ウイグル自治区党委員会書記馬興瑞が北京で開催された第14回全国人民代表大会期間中の新疆ウイグル自治区代表団会議で演説を行った(2024年3月7日)

9カ月にわたる予想の末、かつて中国共産党(CCP)の重鎮だった馬興瑞の運命がついに明らかになった。4月3日、中国政府当局は、政治局員で中央農村工作指導グループ副主任を務めていた馬興瑞が、重大な規律違反と法律違反の疑いで中央規律検査委員会と国家監察委員会の調査を受けていると発表した。

昨年7月、馬興瑞が新疆ウイグル自治区党委員会書記の職を解任された際、公式発表は「別の任務に就いた」というものにとどまり、新たな役職は発表されず、説明も一切なかった。今振り返ってみると、この長期間の停職自体が何らかの兆候だったと言えるだろう。中国共産党上層部の事情に詳しい者にとって、馬の件で最も重要なことは、単にまた一人高官が失脚したという事実だけではない。それは、これまで漠然と存在しながらも明確に越えられることのなかった境界線を、ついに破ったということだ。すなわち、現職の政治局員、つまり中国で2番目に高い指導部(常務委員会に次ぐ24人からなる)を標的にしたのである。

厳密に言えば、この暗黙のルールは、昨年、軍指導者の何衛東と張又侠が失脚した時点で既に破られていた。しかし、軍の支配権を党が掌握する必要性というデリケートな問題があるため、軍権力はしばしば例外となる。しかし、一般の文民である党・国家政治局員である馬興瑞を標的にするのは、全く異なる意味を持つ。

馬興瑞失脚の理由は汚職とされているが、真の罪は別のところにあったのかもしれない。公式声明や党メディアの報道姿勢から判断すると、何衛東、張又侠、そして馬興瑞の真の罪は、習近平の絶対的な権威を侵害したことにある可能性が高い。軍による粛清は党の支配力の優位性を主張する動きと並行して行われたが、馬興瑞の場合は、彼自身の汚職ネットワークに対する規律の欠如が原因だった。

馬興瑞の妻が夫のコネクションを利用して、香港などのオフショア地域で多くの高官の妻や子供たちに数千万元相当の保険証券を発行していたという噂が広く流れている。関与したとされる人物の規模とネットワークの広がりは、驚くべきものだと言われている。もしこれらの主張が真実であれば、馬興瑞はそれを知っていたはずだ。そして、それを黙認することで、多くの高官の家族を自分に取り込もうとし、政治的な保護層となる利害同盟を築こうとしていた可能性が高い。

第20期政治局は、概して習近平の側近で構成されている。しかし、習近平陣営内にも中核と周辺という区別があり、両者の競争は激しい。馬興瑞は周辺に属し、習近平の妻で山東省出身の彭麗媛が率いるとされる、いわゆる山東派(the Shandong clique)の有力者と一般的に見なされていた。

馬興瑞のキャリアは、習近平の直接的な庇護ではなく、彭麗媛(Peng Liyuan)の庇護によって支えられていた。そのため、彼は来年の第21回党大会で最高位である政治局常務委員に上り詰めるには、いわば部外者だった。つまり、保険詐欺のような、習近平の歓心を買うための別の手段を講じる必要があった。

しかし、習近平は部下が自分の知らないところで小細工をしたり、緩やかな派閥を形成したりすることを極度に嫌う。習近平が馬興瑞の権力掌握の企みを見抜き始めた時、馬は失脚したのかもしれない。彭麗媛のような極めて影響力の大きい人物が関与していたことが、馬の失脚に比較的長い時間がかかった理由を説明するだろう。事件が9カ月も長引いたことは、習近平の躊躇を示唆している。

高官が公然と処罰されるかどうかを決定づけるのは、もはや彼がどれだけの金銭を受け取ったかではなく、汚職を利用して人脈、利害関係の連鎖、そして幾重にも重なる保護体制を構築したかどうか、つまり、最高権力層の支配からある程度逃れられるような、エリート層内部の水平的な繋がりを築いたかどうかである。言い換えれば、汚職はあくまでも入り口に過ぎない。問題は最終的に政治へと行き着くのだ。

習近平がエリート層、特に自身の側近たちに、生き残りのルールが変わったこと、つまり、たとえ彼に忠誠を誓っても政治的な安全は保証されず、粛清される可能性があることを理解させたいのであれば、最も効果的な方法は、身内の一人を見せしめにすることだ。この3つの事例の中で、馬興瑞の事例は、何衛東と張又侠の事例よりも効果的だ。後者2人は軍人出身であるため、たとえ自分たちも派閥を形成したとしても、習近平が必ずしも公然と彼らを攻撃するとは限らないという幻想を抱いている人物もいるかもしれない。

馬興瑞は事情が異なる。彼が厳しく処罰されれば、習近平の側近たち、特に彼の陣営の周辺にいる者たちへの衝撃ははるかに大きいだろう。彼らにとって、彭麗媛の存在や、習近平の側近と見なされていることさえ、安全を保証するものではない。どれほど地位が高く、どれほど人脈があろうとも、習近平が定める一線を越えれば、誰でも失脚する可能性がある。

以前であれば、最高層にまで上り詰めれば、ある程度の安全は確保されるという前提があった。しかし、その論理はもはや通用しなくなっている。習近平の側近たちもまた、階層化(stratified)が進むだろう。ごく少数の側近は依然として安全かもしれないが、外側の側近たちは、ますます脆弱で、替えがきく存在だと感じるようになるだろう。

政治的な安全を確保するため、各人は他の要人との利害関係のネットワークを同時に構築するのではなく、習近平本人への忠誠心という単一の道筋にますます頼らざるを得なくなるだろう。これは習近平の権威をさらに強化するだろう。しかし同時に、エリート層が有意義な集団統治を形成することはますます困難になり、最高レヴェルの政治はこれまで以上に硬直化(rigid)し、脆弱(fragile)なものとなるだろう。

※デン・イーウェン:中国人作家・学者

(貼り付け終わり)

(終わり)

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 古村治彦です。

 副島先生の最新刊『中国はアメリカに戦わずして勝つ』(ビジネス社)が2025年10月1日に発売になる。
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『中国はアメリカに戦わずして勝つ』←青い部分をクリックするとアマゾンのページに飛びます

本書は副島先生の中国研究本は18冊目になる。本書の注目点は、体調不良が噂される習近平の後継者は誰になるのかという点で、副島先生は陳吉寧(ちんきつねい)という人物の名前を挙げている。全く聞いたことがない人物であり、日本での紹介は初と言えるだろう。
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陳吉寧

 以下に、まえがき、目次、あとがきを掲載する。参考にしていただき、是非手に取ってお読みください。

(貼り付けはじめ)

まえがき 副島隆彦(そえじまたかひこ)

この本の書名(タイトル)「中国はアメリカに戦わずして勝つ」にある、「戦わなくても勝てる」は何故か。第3章で説明する。

この本で、一番の大事は、「習近平の次は誰になるか」である。きっとこの問題には多くの人が関心を持つだろう。

どうも噂(うわさ)どおり習近平の体調は良くないようだ。この噂(ルーマー)が5月から世界中に広がった。だから中国の次のトップは誰かが問題になる。私は、ここではっきりその名前を書く。最有力は陳吉寧(ちんきつねい)(チェン・ジーニン 1964年生まれ、現在61歳)という人物である。日本人は誰も聞いたことがない名前の男だ。

私のこの予測(予言)についても、本書の第1章に書く。中国のトップ人事のことに、多くの人が関心を持つだろう。

3ページに載せた、米と中の関税(タリフ)(貿易)交渉についての最新の動きを説明する。去る7月28、29日にアメリカ財務長官のスコット・ベッセントと、中国の何か立峰(かりつほう)副首相が交渉した。この記事にあるとおり、どうせトランプは習近平と2人で直接、サシで話し合おうとしている。果たして、この秋から来年にかけて首脳会談となって習近平がトランプの要望(その実は哀(あい)願、願訴である)に応じるかまだ分からない。

chuugokuhaamericanitatakawazushitekatsu002

中国は、アメリカにヘコヘコしない。日本、欧州(EU)、イギリスのように「関税(タリフ)を15%にしてくれて、よかった!」というような軟弱野郎ではない。中国は〝音無しの構え”である。自分の方からは、尻尾(しっぽ)を出さない。余計なことは一切言わない。何故なら、アメリカ(トランプ)は、強大国で強そうなことをさんざん言っているが、本当は、国家財政(ファイナンス)がボロボロの借金(負債)大国だ。だから、世界中に関税(タリフ)(外国への税金(タックス))をかけて、おカネをぶったくって国家予算に回しているのである。日本からは7月22日に、合意で(ただし、まだ合意文書なし)80兆円〈5500億ドル〉を払わせる。トランプは、これを日本からの投資(インヴェストメント)(自由に使える)だ、と強弁(きょうべん)する。しかし日本側の赤沢(あかさわ)大臣は、「これは融資(ゆうし)(ローン)です(厳しいヒモ付き)」と言った。

日本のメディア〈テレビ・新聞〉は、この初原(しょげん)(そもそも)の「アメリカは破産している」を言わない。トランプが狂ったように、外国への課税をしているのだ、と書かない。説明しない。

 現在の最先端の半導体(はんどうたい)戦争の主役は、① 台湾TSMC(ティエムエスシー)(モーリス・チャン元会長、94歳)と、中国ファーウェイ(華為技術。任正非(じんせいひ)CEO、80歳)と、それからこの3年で急激に出現したNVIDIA(エヌビディア)(米国企業。しかし台湾人のジェンスン・フアン社長・CEO、62歳)と、それから、中国 DeepSeek(ディープシーク)というAI(エイアイ)企業の40歳(1985年)のガキンチョの梁文鋒(りょうぶんぽう)である。

この4社の競争のことも説明する。なんだ、みーんな中国人じゃないか。

加えて、Apple(アップル)社の最新のスマホiPhone(アイフォーン)16(シックスティーン)は、ぜーんぶ、本当は中国製じゃないか。フォックスコン(富士康(こう)、郭台銘(グオダイミン)会長、74歳)が中国各地で作っている。

これらのことも全部ぶちかまして真実(本当のこと)を私は書く。

 この本の仕上がりに石破辞任のニューズが流れた。石破首相は、よく頑張った。アメリカに80兆円(5500億ドル)の貢(みつ)ぎ金(がね)を、最後の最後まで、払わないと、頑張った。日本国民の為(ため)である。それで自民党内でイジめが続いて辞任表明した(9月7日午後6時)。

 このあと、日本に反共(はんきょう)右翼の政権ができるだろう。参政党と国民民主党と連合する。新しい政党になるかも。そうなると自民党は分裂する。残った全国の温厚な保守の経営者、資産家たちの意向を受けた、自民党ハト派(中国、ロシアとも仲良く付き合う)の政党ができるだろう。私はこの動きを支持する。

副島隆彦(そえじまたかひこ)

=====

『中国はアメリカに戦わずして勝つ』 目次

まえがき ──

第1章  習近平の次のトップが分かった

「戦わずして勝つ」は「孫子兵法」に書いてある ──14

習近平の次のトップは誰か ──20

アメリカのトランプ大統領の動揺が中国に影響している ──30

第2章  日本人よ、バカ右翼に乗せられるな。日米中の背景を理解せよ

日本の過去のあやまちを昭和天皇は鄧小平に詫びた ──40

松下幸之助は鄧小平に「よろしおます」と言った ──47

こういう流れで中国はアメリカと組んだ ──51

第3章 米中半導体戦争

米中の関税交渉と半導体交渉が重なり合う ──58

スマホ屋の時価総額が日本のGDPに匹敵する異常事態 ──75

半導体は6つある ──76

「線幅2ナノ」の技術競争に中国企業が加わった ──7

 TSMCとトヨタとソニーの関係──79

日本のロジック半導体で起きた〝問題〟 ──82

中国は台湾に攻め込まなくても奪い返せる ──84

この状況下でさらにバカさが目立ってきた日本人 ──87

商売人は商売になる方に付くのが当たり前なのだ ──90

台湾のTSMCの争奪戦というのが、米中問題の正体 ──92

台独の人たちはすでに台湾脱出の準備を終えている ──94

TSMCのモーリス・チャンが開き直ったから恐ろしい ──96

半導体が中国人にしか作れなくなったから、台湾が中国に帰ってくる ──98

第4章  「中国が衰退し、日本が復活する」の大ウソ。煽動する者たち

ソロスのブレーンが突然表に出てきた ──102

バブル崩壊後の1992年からが、「失われた30年」 ──111

1995年に、斎藤ジン氏はサイスを卒業 ──117

2009年から2017年がバラク・オバマ大統領 ──119

その国のことは、その国の頭のいい原住民に聞かないと分からない ──122

同性愛者特有の「血の命脈」 ──123

第5章  「日本を中国にぶつけよ」

参政党を操るアメリカの新戦略参政党躍進の裏にあるもの ── 134

神谷宗幣を操っているのはこの男だ ──147

「日本を中国にぶつける」という戦略 ──150

第6章  トランプは、参院選を利用して

石破を脅して日本から70兆円を奪ったトランプが自讃した「史上最大の取引」 ──154

変質するトランプ政治 ──160

日本人が理解しようとしない「ファースト!」の真の意味 ──166

日本の操り方を変えてきたアメリカに備えよ ──171

第7章 習近平と父習仲勲の苦難の人生の物語

育ての親の胡錦濤を平然と切り捨てた習近平 ──182

「大長征」の真実は地獄の逃走劇だった ──186

毛沢東は裏で日本とつながっていた ──190

フランスに通行料を払って中国を侵略しに行った日本軍 ──193

習仲勲の失脚と文化大革命 ──198

凄さと曲解を合わせ持つ、遠藤誉の習近平論 ──201

鄧小平を嫌う中国のインテリたち ──210

毛沢東が死ぬまで、中国は堕ち続けた ──215

中国人エリートたちが海外留学で獲得するもの ──220

集団発狂した人間の群れの恐ろしさ ──223

善人は使い物にならないと分かった鄧小平 ──226

女も稼げという客家の精神 ──231

習近平は戦争ができる男だと鄧小平に見込まれた ──234

天安門事件の学生たちは留学したあと海亀になった ──236

葉剣英が鄧小平と習近平をつなげた ──238

サッチャーは鄧小平の脅しに震えた ──244

1992年に天皇は夫婦が中国に行ったことの重要性 ──248

あとがき ──250

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あとがき 副島隆彦

この本は、私の18冊目の中国研究本である。これまでの18年間(2007年末から)に私は年に1冊の割合で、コツコツと自分の中国本を書いてきた。その全18冊の表紙を小さな画像(写真)にして、表題(タイトル)を1ページの一覧表にしようと企てたが、今回はできなかった。来年やります。

私は、18年前の2007年(アメリカでリーマン・ショックの金融危機が起きる前年。私は54歳だった)に、中国旅行から帰ったあと、猛然と中国の政治経済についての本を書きたくなった。いや、どうしても書かなければいけないのだと激しく焦(あせ)った。

中国は巨大な成長を始めていた。そのことに私は現地(広東(カントン)省の東莞(トンガン)市)で気づいたからだ。中国の現在を、日本の政治的0 知識人の眼を通して「中国で何が起きているのか」を通史として書き残さないといけない、と強く思った。

それは司馬遷(しばせん)が『史記(しき)』(紀元前90年)を編年体(へんねんたい)で書いたことの伝統に従ったものである。18年前の第1巻の私の中国本の書名(タイトル)は、『中国 赤い資本主義は平和な帝国を目指す』(ビジネス社、2007年12月刊)である。ここに刻印された文字たちは、やがて歴史の証拠となる。

私の志(こころざしを理解してくれた、この本の版元(はんもと)(出版社のこと。あるいは書肆(しょし))の社長が、私が毎年、時間を見つけて、中国の現地の各都市(その年に大事件が起きた都市)に現地調査に行く費用を出してくれた。毎回100万円の出費がかかった。担当の岩谷健一氏が同行して写真を撮り、資料集めを手伝ってくれた。有難いことである。

私には今に至るも、たった一人の中国人の親友もいない。中国語もできない。人物名を漢字で表現する拼音(ピンイン)さえ読めない。それなのに私はずっと、中国の各地を見て、そして次々に起きた政治動乱の跡の気配(けはい)を感じに現地に行った。住民たちは何事(なにごと)も無かったように静かに暮らしている。中国報道プロパーの新聞記者たちではない者が、厳格で冷酷な政治知識人の目を通して、中国を観察しその記録を残さなければいけないのだ、との強烈な自我(信念)がこの作業を私に続けさせた。漱石や芥川が書いた中国探訪記に続くものだ。

「中国は崩壊する。中国共産党の一党独裁に反抗する民衆反乱が起きて、中国は必ず滅びる」と書いて多くの本にした、数十人の、歪(ゆが)んだ精神をした反共(はんきょう)右翼たちは、全員が、その本たち(証拠として残っている)と共に滅び去った。あ、まだ、何人か残党(リメインンズ)が残っているか。

今の巨大中国(私が作ったコトバ。書名にも使った)に戦争を挑(いど)む、そして勝てると思う馬鹿はいなくなった。

それでもまだアメリカが「日本を上手に騙(だま)して、唆(そそのか)して、中国にぶつけろ。台湾有事(ゆうじ)を嗾(けしか)けて、戦争をさせろ」という悪辣(あくらつ)な戦略で動いている。そのことを本書で書いた。

日本人は動かない。全くと言っていいぐらいに動かない。押し黙っている。「なんで、また(英と米に)騙(だま)されて戦争なんかするものか。真平御免(まっぴらごめん)だ」と、腹の底で思っている。しかし、口には出さない。まだあと日本だけでも500万人はいる反共右翼たちが残存しているが、あと数年で勢力として消えるだろう。私の冷静な客観予測(近(きん)未来への予言(プレディクト))である。

なぜ日本人の大半は、そして台湾人も、「戦争になる」の煽動(せんどう)に乗らないか。その理由の一つは、倨傲(きょごう)に聞こえるかもしれないが、私、副島隆彦が、この30年間、「アジア人どうし戦わず。戦争だけはしてはいけない」と書き続けたからだ。日本国における私の地位は自(おの)ずとそれぐらいはある。

この本の最終章だった「台湾は今どうなっているか」の台湾現地調査の報告は、50ページ分もあって浩瀚(こうかん)(分厚い)になるので、来年に回した。今の私には、もう1、2年を争うということがなくなった。遅らしてもどうということはない。

この本では、3年前の中国本で約束した「習仲勲(しゅうちゅうくん)、習近平親子の2代に渡る苦労」(第7章)をようやく完成させたことがよかった。この2人が分かれば、現代中国のこの100年間の苦闘の歴史が分かり、大きく概観(アウトルック)できると考えたからである。

最後に、私は上野千鶴子(ちづこ)女史(東大の女性学の講座を護(まも)った。私より5歳上)が、そのマルクス主義フェミニズム(略称マルフェミ)の立場から、戦闘的に男女の性愛論を書き並べた本たちが北京大学の超(ちょう)秀才の女子学生たちの話題になり深い感動を与えていることを知っている。

現在の中国共産党(中共(ちゅうきょう))研究の最先端(せんたん)はまさしく、この中国で起きている、「私たちエリート女たちにもっと男女の性愛の自由を認めよ。日本の自由さを見よ」という女性闘争である。これには、中共の幹部の男たちが動揺してオロオロしているはずである。

まるで、1919年の五四(ごし)運動(中国の現代政治闘争の始まり)の再来だ。

中国社会科学院は、まさしく金看板のマルクス主義フェミニズムの上野千鶴子を招いて、新たなる意識(文化)革命を中国で開始すべきだ。中国が文化の先進国0 0 0 0 0 0 である日本から学ぶことは、まだまだたくさんある。私は、中国人指導者と知識人層が( 魯迅(ろじん)のときと同じく)今も日本人を深いところで尊敬していることを鋭く知っている。箸の上げ下ろしから鰻(うなぎ)の蒲焼(かばやき)の食べ方まで、日本人の一挙手一投足を凝視している。日本を通して世界を学べ、は今も中国で生きている。

それでもアメリカ帝国の属国(ぞっこく)を長くやり過ぎた日本は、この40年間で本当に貧乏になった。中国どころか台湾、韓国からさえ哀(あわ)れみ(憐憫(れんびん))で見られる。

それなのに、何と、私たち日本人は、恐れ入ることに今も威張っている。襤褸(ぼろ)は着てても心は錦、の構えを、一般庶民でも持っている。愚かと言うか、何と言うか。40年も経済成長が止(と)まって貧乏なくせに。全く以(もっ)て明(あき)れ返(か)える。全てが見通せる私のような総合知識人の目には何でも映(うつ)る。

上野千鶴子女史は、女性学(ウィメンズ・スタディーズ)が流行廃(はやりすた)れしたあと、さらに才長(さいた)けて、老人(老女)評論家になって、名著『おひとりさまの老後』(2007年、法研刊)を書いた。人は老いて末期(まっき)を迎えたら、施設に入らないで(収容されないで)自分の家で死ぬべきだ論に私は深く同感した。だから私も自分の家で死ぬ(直前にだけ病院に入院する)と決めた。この意味でも、私は上野千鶴子が老いて、ますます中国に乗り込んで勇ましく中国の知識人層と権力者層に、いろいろと号令を掛けることを望む。

 最後の最後に。この本を書き上げる最後の1カ月は、この夏の猛暑と共に私の地獄だった。モノカキ人生を40年もやって、200冊も書いて、それでもまだ、このように、1冊の本を仕上げるのに、のたうち回っている。私には人生の達観はない。サラサラと書かれた本に碌(ろく)な本はない。このことを痛感している名うての編集者であり、苦しい本作りに同伴してくれた大久保龍也氏に記して感謝します。

2025年9月

副島隆彦(そえじまたかひこ)

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(終わり)

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